運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-02-26 第34回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十六日(金曜日)     午前十時十九分開議  出席分科員    主査 岡本  茂君       加藤 精三君    久野 忠治君       小坂善太郎君    田中伊三次君       水田三喜男君    山口六郎次君       片島  港君    楯 兼次郎君       森本  靖君    今澄  勇君    兼務 井手 以誠君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植村 春彦君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房長         官)      荒巻伊勢雄君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         郵政事務官         (監察局長)  莊   宏君         郵政事務官         (郵務局長)  板野  學君         郵政事務官         (貯金局長)  山本 圭二君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      大塚  茂君         郵政事務官         (電波監理局         長)      甘利 省吾君         郵政事務官         (経理局長)  西村 尚治君         労働事務官         (労務局長)  亀井  光君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   谷川 寛三君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     佐方 信博君         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         日本電信電話公         社営業局長   大泉 周蔵君         日本電信電話公         社計画局長   伊藤  誠君         日本電信電話公         社施設局長   平山  温君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  山本 英也君     ————————————— 二月二十六日  分科員小松幹君及び島上善五郎委員辞任につ  き、その補欠として森本靖君及び片島港君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  分科員片島港君及び森本靖委員辞任につき、  その補欠として島上善五郎君及び小松幹君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  第一分科員井手以誠君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計予算郵政省所管  昭和三十五年度特別会計予算郵政省所管  昭和三十五年度政府関係機関予算郵政省所管      ————◇—————
  2. 岡本茂

    岡本主査 これより会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算、同じく特別会計予算及び同じく政府関係機関予算郵政省所管を議題といたします。  まず、政府説明を求めます。植竹郵政大臣
  3. 植村春彦

    植村国務大臣 当予算分科会におきまして昭和三十五年度郵政省所管予算案について御説明申し上げます。  まず郵政事業特別会計におきましては、歳入歳出予算総額は千八百九十三億三千二百万円でありまして、前年度と比較しますと百五十三億四千八百万円(九%)の増加となります。  この歳出予算内訳は、業務費が千三百九十二億百万円、業務外支出が四百二十四億二千五百万円、局舎その他建設費が五十億七千四百万円、公債及び借入金償還金が十八億三千百万円、予備費が八億円となっております。また、予算定員は、二十六万九千九十九人でありまして、前年度と比較しますと、四千五百三十三人の増員となりますが、この増員は、主として郵便および電気通信業務量増加郵政窓口機関増置等に伴うものであります。  郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出とも六百八十二億三千六百万円でありまして、前年度と比較しますと、八十七億五千四百万円(一五%)の増加となっております。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計におきましては、歳入が千七百四十億七千八百万円、歳出が六百二十七億四千百万円でありまして、前年度と比較しますと、歳入では百七十億五千四百万円(一一%)、歳出では九十三億一千六百万円(一七%)の増加となっております。また、歳入歳出差額千百十三億三千七百万円は、法律の定めるところにより、積立金として処理することになっており、財政投融資計画としての運用資金といたしましては、千百五十億円を確保する予定になっております。  当省所管一般会計予算におきましては、歳出予算総額は、二十億九千四百万円でありまして、前年度と比較しますと二億六百万円(一一%)の増加となっております。また、定員につきましては、三十一人の増加となりますが、これは電波監理および電気通信監理関係業務量増加によるものであります。  次に、日本電信電話公社予算案について申し上げます。  この予算は、損益資本および建設の三勘定に分かれておりまして、これらの各勘定の総計は、四千八百九十五億一千二百万円になりますが、このうち、勘定間の振りかえによる重複額を控除いたしますと、その収入支出の純計額は、いずれも二千七百四十七億四千万円でありまして、前年度に比べ六百十四億九千三百万円(二九%)の増加になります。  まず、損益勘定におきましては、収入は、二千二百九億円、支出は、千七百二十億円でありまして、この収入支出差額四百八十九億円は、建設改良および債務償還に充てるため資本勘定に繰り入れることになっております。  建設勘定におきましては、収入は、電信電話債券簡保及び資金運用部引き受けによるものが二十五億円、公募によるものが五十五億円、国会提案設備拡充法案に基づき加入者及び受益者引き受けによるものが三百六十一億円、設備料が四十七億円、損益勘定からの繰入金が減価償却費を含めて八百六十二億円、その他自己資金五十億円でありまして、これらの合計額千四百億円から債務償還に充当する百十五億円を控除した千二百八十五億円を建設財源として予定しております。  建設勘定支出は、一般拡張工程工事費が千百二十九億円、町村合併対策費が四十億円、農山漁村普及特別対策費が四十三億円、総係費が七十三億円となっております。  なお、予算総則におきまして、七十二億円、米貨にして二千万ドルの外貨債を発行できるように規定しております。  以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なお、詳細の点につきましては、御質問をいただきまして、お答え申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議のほどお題い申し上げます。
  4. 岡本茂

    岡本主査 これにて説明は終了いたしました。     —————————————
  5. 岡本茂

    岡本主査 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井手以誠君
  6. 井手以誠

    井手分科員 本日は郵政省の方と電電公社の方に若干お尋ねいたしたいと思います。すでに逓信委員会その他で論議されておるとは思いますが、重複するかもしれませんけれども予算委分科会でありますので、お許しをいただきたいと思います。   まず最初郵便局舎改築計画について承りたいと思います。郵政省で行なわれておりまする緊急局舎整備五ヵ年計画でございますか、その概要をまず承りたいと存じます。最初計画幾らで、今日までどのように進行しておるか、さらに今後の見通し数字中心として、説明はあまり要りませんから……。
  7. 板野學

    板野政府委員 お答え申し上げます。局舎整備五ヵ年計画は、ことしちょうど四年目に当たっておりますが、当初の計画といたしましては、総局数にいたしまして千三百六局、それから総坪数にいたしまして十八万八千四百九十五坪、それから金額にいたしまして百九十九億円、このような予算規模をもちまして昭和三十年度から発足いたしたわけでございまするが、今年の一応予算上見込まれておりまするものを如えますると、現在までの進捗状況は、局数にいたしまして六百九十五局、坪数におきまして六八・七%の進捗率を示しておるわけでございますが、今後三十五年を含めまして、四カ年の間に大体残りの四〇%程度のものを実行に移さなければならぬ、このような状況でございます。大体普通局の非常に物量増加いたしております都会地の大きな郵便局を今後相当規模を大きくして拡充しなければならないという状況でございます。特定局方面におきましては、大体大きな周辺のものが片づいておりまして、残り局数にいたしましてもかなりございますけれども、これらは小規模に属するものでございますので、大体八カ年のうちに全体の計画を完了することができるという見通しを立てております。
  8. 井手以誠

    井手分科員 三十五年度計画を加えると六百九十五局になるということですが、承りたいのは、その金額幾らになるか、それから三十年度を起点とした五ヵ年計画は三十四年度で終わっておるかと思うのでありますが、残ったものはどういうふうに消化なさるのか、あと四カ年で大体整備ができるというお話ではありましたけれども、当初の五ヵ年計画を九カ年に延長されるのか、その辺を第二点として承ります。
  9. 板野學

    板野政府委員 三十五年度、ことしの予算が承認を受けるという前提に立ちますと、金額にいたしまして百四十六億、全体の計画に対して約七三%に当たるということになるわけであります。それでこの局舎計画は全体で八カ年計画でございまして、三十五年度がちょうど六年目に当たる。従いまして、三十五年度に入りますとあと三カ年で完了するということになるわけでございますが、三十五年度を含めまして、今後の計画といたしましては、普通局方面におきまして、最近物量が非常に都会中心にふえておりますので、普通局中心計画を若干変更しなければならぬというふうに考えております。また特定局につきましては、今後は、先ほど申し上げましたように、局数といたしましては三十六年度以降に約五百四十局はかり残っておりますが、非常に局幅が狭いものでございますので、計画通りに進行するものと思います。この計画が終わります三十八年度以降につきましては、普通局方面につきましてはかなり物量等も今後見込まれますので、今年度から長期計画を作るにつきましても、かなり修正を要するものと考えておりますが、特定同等につきましても、今後経年その他の関係等からいたしまして、改善を要するものにつきましては、引き続き八カ年計画以降において長期計画を立てる、こういう考えのもとに現在さっそくいろいろな方面資料を収集しておるところであります。
  10. 井手以誠

    井手分科員 三十年度から三十八年度までの八カ年計画ですか。
  11. 板野學

    板野政府委員 さようでございます。
  12. 井手以誠

    井手分科員 それでは九カ年計画になりますね。
  13. 板野學

    板野政府委員 間違いました、三十七年度まででございます。ちょっと補足説明いたしますと、継続関係、継続して残ったもので少々三十九年度にわたるものもあるかと思います。一応計画といたしましては三十四年度から三十七年度までの八カ年計画でございます。
  14. 井手以誠

    井手分科員 予定としては、三十五年度までで消化し得ない五百数局については三十六、七両年度でやる、もし残ったものは三十八年度にやる考えである、かようでありますか。
  15. 板野學

    板野政府委員 さようでございます。
  16. 井手以誠

    井手分科員 私しばらく逓信委員会を離れておりましたが、八カ年計画というのは私は初めて聞いたのですが、いつできたのですか。
  17. 板野學

    板野政府委員 昭和二十八年のころからこの局舎整備——戦災その他で復旧がなかなかいっていないものも相当ある、また腐朽状態相当はなはだしい局舎もあるということで、毎年局舎整備につきましてはいろいろ予算要求もしておった次第でございますけれども、当時財政面からなかなかうまくいかない、こういうわけで、この計画に着手いたしましたのが昭和二十八年でございまして、それ以降大蔵省とのいろいろな折衝過程を経まして、三十年度初年度とする八カ年計画が正式にきまったわけでございます。
  18. 井手以誠

    井手分科員 別に確かめることもないかもしれませんが、私はみんな緊急局舎整備五ヵ年計画だと承知しておるつもりでありますが、何か八カ年計画計画書でもありましたら参考に見せてもらいたい。
  19. 板野學

    板野政府委員 これは当初から八カ年計画でございまして、その当時の計画書類等につきましては、後ほど資料として差し上げたいと思います。
  20. 井手以誠

    井手分科員 それはそれといたしましょう。  そこで、三十五年度簡易保険年金運用総額幾らになっておりますか。
  21. 大塚茂

    大塚政府委員 千二百五十億でございます。
  22. 井手以誠

    井手分科員 今から大臣にお聞きを願いたいと思いますが、これは昭和三十年のことでありますが、今郵務局長答弁によりますと、局舎拡充整備計画初年度に当たるわけでありますが、その際逓信委員会では積立金運用総額の三%は郵便局舎改築に振り向ける、こういう決定が行なわれておりますことは当局も御存じではあろうと思います。これは当時村上郵政大臣のときであったと記憶いたしております。大蔵省は一萬田大蔵大臣であったと記憶しておりますが、逓信委員会に来てもらったはずであります。委員会では三%は局舎改築に振り向けるという決議をいたし、本会議でもその点を報告して議決をしたことを私は記憶いたしておるのであります。その点だけまず大臣に御承知であるかどうか承っておきましょう。
  23. 植村春彦

    植村国務大臣 承知いたしております。
  24. 井手以誠

    井手分科員 三十五年度局舎改築原資、その内容を一つお願いいたします。重ねてはっきり申し上げておきますが、本年度予定されております改築計画は五十億ばかりと思っておりますか、その原資内訳を承りたいわけであります。
  25. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 三十五年度建築予算総額で五十億七千三百万円でございますが、このうちで簡保借入金が二十七億円でございます。それから減価償却引当金が十四億一千五百万円、貯金会計保険会計から繰り入れてもらいますところの設備負担金と申しますものが七億七千九百万円、営業上の剰余金を一億七千八百万円充当いたして、以上締めまして五十億七千三百万円ということに相なります。
  26. 井手以誠

    井手分科員 郵務局長にお願いをいたしておきたいと思いますのは、三十年度以降今日までの普通局特定局別改築に充当した費用、あるいは局直接でない設備、宿舎その他に充当したものを、目的別普通局特定局別に、各年度改築費を後刻御提出願いたいと思います。今承りますと、運用金の方から二十七億ということでありますが、大臣承知されておりますように、千二百五十億の運用総額の三%、私は三%では三十七億五千万だと思いますが、何か予算書の間違いですか。
  27. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 千二百五十億という運用原資の三%は確かに三十七億五千万円に相なるのでありまして、さらに先ほど先生のお話の、かつての議会での附帯決議というものも、私ども十分承知しておるのでございます。なるべくこれは尊重していかなければならぬというふうに考えておるのでありますけれども、ただこういった三十数億円という借入金を、年々借りて参りますと——特に新年度からは簡保借入金利子も、従来の六分つから六分三厘に引き上げられました。これは御承知のように三年据置の十二年均等償還に相なるわけでございますが、そういったような関係もございまして、これを全部償還いたしますまでには、ほとんど元本の倍額に近い利子を支払わなければいかぬということもございまして、郵政事業財政上非常に大きな負担に相なる。かたがた郵便局舎建設も急がなければならないのでございますけれども、こちらの方の建設能力というようなこともございまして、いろいろあわせ考えまして、御趣旨は尊重しなければならないのでありますけれども事業体制関係その他からいいまして、建設適正規模といったような点を勘案いたしまして、二十七億の借入金ということにいたしたような次第であります。
  28. 井手以誠

    井手分科員 郵政大臣、今の経理局長お話、その通りですか。
  29. 植村春彦

    植村国務大臣 その通りでございます。どうも三%きっちりでございませんことはまことに遺憾でありますが、本年度予算もくろみ、概算要求並びにその後の財政全体とのにらみ合わせから、査定折衝等をいたしました結果か、経理局長から申し上げましたような結果になった次第で、何とぞ御了承いただきたいと思います。
  30. 井手以誠

    井手分科員 私は意外な御答弁を聞いたわけです。今まで何カ年か、こういう議会決議をいたしておる。当局承知しておるにもかかわらず、三%を実現したことはございませんでした。私はその間一、二回、当局の反省を求めたことがございますが、その際の答弁は、大蔵省との折衝でやむを得ず三%に達しなかったということであります。ただいま大臣の御答弁によりますと、金利が高くなって、経理上の都合、さらに建設能力都合から二・二%程度に当たる二十七億にとどめた、こういう答弁であります。私はどうもその点については承服いたしかねるのであります。もちろん予算政府が出したものですから、これは政府一体のものではありますけれども郵政当局事情によるということになりますと、従来とは変わってくるわけです。大臣、あなたの監督なさっている電電公社——これはいろいろとあとで聞きたいと思っておりますが、電電公社は今度外債を発行される。おそらく今ニューヨークの市場では六分二、三厘、あるいはもっと高くなるかもしれません。私は昨年向こうの金融情勢も調査して参りましたが、おそらく六分からずっと上がるでありましょう。あなたの監督なさっておる電電公社は、外国に対してでも六分何厘の金を借りようとしておる。今聞きますと六分三厘だ。それでも郵政省は借りることができないのですか。まずその点から聞きましょう。
  31. 植村春彦

    植村国務大臣 どうも郵政省のこの郵便関係の収支予算考えますと、その余裕金運用の問題から、また簡保にいたしましても郵貯にいたしましても、その運用郵政省だけの立場からいたしますと、こうもしたい、ああもしたい、一般市中金利にも対応いたしました措置をしていきたい、そうしてそれを郵便局舎にも振り向けまして、御決議通りに持っていきたいというふうに考えて、御決議を尊重いたします気持は十二分に持っておるのでございますけれども、どうも遺憾でございますが、いろいろな財政組み立て方、仕組み全体から考えまして、なかなかその資金運用、またその金利問題等も理想通り参りませんので、従って資金を使って参ります、そして局舎建設いたします上にもその影響が現われまして、まだ御決議通り組み立て方が完全になっていないという点は確かに御指摘の通りで、まことに遺憾と存じますが、本年度概算要求、またその査定によります結果といたしましては、この程度努力一ぱいだったのでございます。なお御趣旨をよく尊重いたしまして、今後の組み立て方運用をいたして参りたいと存じます。
  32. 井手以誠

    井手分科員 私も当局事情はわかっておりますから、従来は大蔵省との折衝のために大臣が努力したけれどもできなかった、これは私は話はわからぬでもございません。しかしただいまの答弁は、これは郵政当局考えによってこういうふうなことになっておる。そうなりますと、これは逓信委員会決議に対してあなた方は違反しておる。逓信委員諸君に、これは絶対そうしなくちゃならぬという問題でもありませんけれども、了解を求められたことはございますか。
  33. 植村春彦

    植村国務大臣 ただいま私がお答え申し上げましたのは結果について申し上げたのでありますけれども概算要求をいたしましたときの郵政省考え方といたしましては、十分に御決議を尊重して組み立てをいたしたのでございますが、ただ結果からいたしまして、ただいま遺憾の意を表しましたような結果になりましたことを何とぞ御了承いただきたいのでございます。
  34. 井手以誠

    井手分科員 いろいろ申し上げたいんですが、あまり知り抜いたことでもございますし、またおそらく同僚議員もこの御答弁では承知しないでしょう。また追及があると思いますので、私はこの程度にしておきますが、けしからぬことだと思っております。  そこで重ねてお伺いいたしますが、当時の決議によりますと、改築資金は半額ずつ普通局特定局に分けるというふうになっておったのでありますが、従来ほとんどその決議が守られていない。普通局中心になっておる事情、またそういう普通局か必要であるということも考えられるでしょう。しかし、そういうことを承知の上で、特定局腐朽がはなはだしいという事情から、半々に分けてもらいたいという決議をいたしておったのであります。三十五年度は間違いないでしょうね、半分になっておりますか。
  35. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 五十億七千万円の総原資のうちで、郵便局に充当いたしたいと思っております金額は二十八億七千万円でございます。このうちで、実は、これもどうも私からまことに恐縮な答弁に相なるので相済みませんが、予定を見ますと、普通局がそのうち二十二億五千万円、特定局が六億二千万円ということに相なっておりまして、金額面におきましては半額には特定局は相なっておりませんけれども局舎といたしましては普通局三十局、特定局百十局ということに相なっておるのでございます。実はこれは郵務局長から御説明があるかと思いますけれども、御決議を確かに尊重しなければならないのでありますが——決議ではありません。質疑応答の結果の大臣答弁だったと思いますが、松田大臣のときの答弁でございましたが、しかし、それも政府答弁として尊重しなければならないと思いますけれども、最近の郵便物増加度合いが、特定局よりかむしろ普通局のあります大都会中心に激増しておりますので、どうしてもその当時の政府答弁趣旨をそのまま持っていくというわけにいかない結果、こういうふうになったように承知いたしておる次第でございます。
  36. 井手以誠

    井手分科員 これが総括質問一般質問であるならば大いに力んでやかましいところですが、ここではそうは申し上げません。それはけしからぬことです。あなたは何か質疑応答とおっしゃいましたけれども、これは本会議の記録がありますよ。松前委員長が報告したもので、こんなことが書いてある。「日本社会党井手以誠君より、本案審議過程中の論議にかんがみ、次の附帯決議が提出され、これまた全会一致可決せられました。右決議を朗読いたします。政府は、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に当っては左の各項の実施に努むべきである。一、積立金運用については地方還元趣旨を十分に徹底すること。二、郵便局舎建設を図るため、来年度以降、毎年度積立金運用総額の百分の三を下らない金額を国に対して貸付けること。右決議する。」これはどうですか。それはありませんか。
  37. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 それは決議ですが、今の二分の一の方は決議でなくて、そのあとの補足の質疑応答だったと思います。
  38. 井手以誠

    井手分科員 あるいは二分の一は決議でなかったかもしれません。しかし決議に類したものとして私ども考えておるのであります。ここにおりました委員諸君は全部これを了承いたしておりまして、二十八億七千万円のうちに、あるいは四分六分程度に差がつけられることを私はとがめるものではございません。しかし一方では二十二億五千万円、他方では六億二千万円、これはあまりに差がひど過ぎると私は考える。何か郵務局長言われますが、数字が違っておりませんか。これは予算書ではございません。項ではございませんからここで御訂正なさっても一向差しつかえございませんので、一つ大臣とよく話し合って答えて下さい。
  39. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 郵便局建設経費として予定しておりますものは、ただいま申し上げましたように二十八億七千万円でございます。これは借入金のほかに自己資金とかそういうものが加わりますから……。
  40. 井手以誠

    井手分科員 大臣はその計算ですか。私が今時間を与えたのは、八百屋お七の話ではないけれども、国会の決議に類するものでございましたから再考慮の余地を与えたつもりでございましたが、三%もとれていない。その上に、本来ならば、三%に当たりますならば十八億七千五百万円ですか、特定局舎の改築に充てられるものは、本来ならば、決議通りでありますならば、三十五年度特定局改築資金は十八億七千五百万円に当たるはずであります。ところが実際あなたの方で計画されたものは三分の一にしかすぎない。今特定局局舎がどういう実情であるかについて、私は多くは申し上げません。私はこういう予算では承知いたしません。大臣どうなさいますか。そういう決議が二つ重なった問題……。
  41. 植村春彦

    植村国務大臣 どうもほんとうに十分に取れておれませんことは遺憾でございますが、なおそのほかに、いろいろな工夫は考えておるのでありますが、ただいま簡易郵便局等をもって何とかして埋め合わせていきたいというふうなことも考えてはおりますが、まだそれを法律案として提出するまでには熟しておりませんので、何とかしてすみやかに御決議通り実現したいという意欲は十分に持っておるのでございますが、現在のところそういう情勢でございますので、特定局普通局につきましては、何とぞ原案は本年度は御承認いただけますれば、まことにしあわせと存じます。どうぞよろしくお願いいたしします。
  42. 井手以誠

    井手分科員 非常に不満であります。なお別の機会で承ることもあろうかと思います。時間がございませんので、次に進みますが、全国各地どこに参りましても特定局が非常に狭い、倒れかかっておる、足の踏み場もないというような状態を私はよく見まして、この整備計画が、一日も早く予定通りに完成するならばという熱願を持っておったのでありますが、今のような郵政省の熱意では、私は非常に残念であります。  そこで、次に承りたいのは、普通局の昇格の問題、これは郵務局長関係だと思いますが、これも長い間の懸案になっている問題でありまして、私の記憶では、三十二年度に百二十三局かの特定局普通局に昇格させるという話し合いができておったのであります。ところが、条件が整っておるにもかかわらず、実行されたものは六十数局であろうと思いますが、すでにほとんど上申されておるもの——その後もちろん審議会の答申もあったことは承知をいたしております。しかし、その答申に該当しておるものも相当多いのであります。それはその後どうなっておりますか。この三月末までにでも実行なさる計画ですか。私は、二年ほど前だと記憶いたしておりますが、三月までには残る局を相当数昇格をいたしたい、そういう言明があったことも記憶いたしておりますが、それから二年もたっておりますので、この点についての当局のとられた態度、それを一つ承りたいと存じます。
  43. 板野學

    板野政府委員 特定局普通局への昇格の問題に関しましては、特定局制度調査会の答申等もございました関係上、私どもといたしましては、その答申の線に沿いまして、この改定基準等につきましてもいろいろその後検討を加えて参ったわけでございますが、その検討も大体終わったのでございます。ただ、特定局普通局とのいろいろな差異から生じまするいろいろな改善と申しますか、あるいはその差異につきまして、あるいは定員の面の措置も要る、あるいは局舎の面の措置も要る、こういう面もございましたので、私どもその面の検討をいたし、ようやく三十五年度予算において、大体そういう面の実施の可能の見通しもつきましたので、ただいま各郵政局におきまして、いろいろの改定の基準に合いまするような——どういう面で合う、また事後の措置をどうしたらいいかというようなことを検討して、本省に逐次上申をしてくるという段階になっておりまするので、できるだけ早く、私どもも基準に沿ったような改定をやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  44. 井手以誠

    井手分科員 それでは、三十四年度中、三月までは一局も昇格なさる考えはございませんね。
  45. 板野學

    板野政府委員 あとまた時間の余裕もございませんので、できれば何とかやりたいと思いますけれども、それがちょっと今の時間的余裕でできないのじゃないかということと、もう一つは、御承知のように、幾分か定員の増になる点もございまするし、また分課等も設置しなければならぬというような面等もございますので、あるいは新年度になって相当のものが実施されてくるということになるだろうと思います。
  46. 井手以誠

    井手分科員 分課が設けられ、局舎改築されて条件が整って、すでに上申されたものについても、三月までにはやらないのですか。そういうものについては、数局については実行なさるお考えはございませんか。
  47. 板野學

    板野政府委員 すでに条件が整っており、かつそのあと特定局長、あるいは局舎等の措置がつき得るという見込みのものがございますれば、年度内におきましてもできるだけ早く、できるものはやりたい、こういう考え方で処理に当たっていきたいと思います。
  48. 井手以誠

    井手分科員 三十五年度には、もちろん基準に沿ったものの上申を待たなければなりませんけれども、大体どのくらい昇格させようというお考えでございますか。あるいは沿ったものがどのくらいあるとお考えでございますか。
  49. 板野學

    板野政府委員 ただいまはっきりした数字はございませんが、大体基準に該当するんじゃないか、こう見込まれておるものが大体九十局程度はございます。しかし、このものにつきましても、先ほど申しましたように、この局長の処遇の問題あるいは局舎の問題あるいは定員等の事情もございますので、それらをいろいろ、この昇格につきましては勘案していかなければならぬ。あるいは御承知のように、またこの郵便局の統廃合という問題もからまって参りますので、その中でどの程度いき得るかということにつきましては、ちょっと時間をかけて検討しなければならぬというふうに考えております。
  50. 井手以誠

    井手分科員 九十局のうちにどのくらいかわかりませんが、条件の整ったものは、数に限らず昇格させる、ほかの条件が整えば昇格なさるお考えですか。
  51. 板野學

    板野政府委員 そういう、先ほど申し上げました条件が一応昇格の基準に合っておりましても、さてその局長がはたしてそのまま昇格させて普通局長となり得るかどうか。あるいは集配統合の問題、局舎の問題はどうするか、あるいは定員その他のいろいろな点も考えなければならぬと思いまするし、現在そういう検討がまだ進みかけておる状況でございまして、ここでただいま、はっきりと、数字が大体どのくらいやられるかという点でお答えいたしかねるのでございます。
  52. 井手以誠

    井手分科員 大臣にお伺いいたしますが、今まで普通局昇格で一番問題になっておるのは、ただいま局長の答弁の中にも触れておりましたけれども、局長問題であります。局長問題にこだわっておっては、地元に利便を与える普通局の昇格が、いつまでたっても実現しないということになるのであります。これはやはり、局長問題ぐらいは英断をもって解決すべきであると思う。局長の問題が解決しないから昇格ができないという現在の状態は、打破すべきではないかと思うのですが、どうですか。
  53. 植村春彦

    植村国務大臣 この点は人事のことでございますので、今までまじめにいたしておりますような者につきましては、できるだけあたたかい気持で、局種変更後のことも考えていかなければならない、家族も持っております者でもあり、長年りっぱに勤め上げましたようなこともございますし、さればとて資格上、普通局の局長となりますと、業務の繁閑から申しましても、さらにその者を引き続いてそこにとどめることができにくい場合も、いろいろな事情もあろうかと思いますが、この点は英断と申しますよりは、十分にその本人の行く末なども考えまして、あるいは局舎を自分で所有しております場合には、配置転換と申しましてもなかなかむずかしい場合もございましょうが、各種の情勢を判断いたしまして、万遣漏のないような人事措置をとって参りたいと存じます。
  54. 井手以誠

    井手分科員 この問題はまだありますけれども、ほかの機会に譲りましょう。  その次に、ちょっと簡単なことですが、資金運用部原資になっておる郵便貯金が昨年よりも三割増しの千三百億円になっておるようであります。簡易保険の方は前年度と変わらない。これは三割増しもなるような確信がございますか。その根拠を一つ承りたいのであります。  同時にもう一点は、郵貯、簡保の最高制限の引き上げ、その用意があるかどうか。その二点を承りたいと思います。
  55. 山本圭二

    山本(圭)政府委員 郵便貯金の新年度の目標額は、昭和三十四年度当初の目標よりも三百億増加されておるわけでございます。根拠と申しますと、非常にむずかしくなるのでございますが、本年度郵便貯金の増加実績は、大体私どもの目算では千三百億を数十億こえるのではないか、こういうふうに判断しております。そのことと、来年度の経済情勢等につきましては、政府の御見解では、年間を通じましてそうはなはだしい低下がないというふうな御意見でございます。かたがただんだんと団体貯金等の結成がふえて参っておりますので、何とかして従業員全体が努力していただければ、千三百億程度には達成できるのではないかというふうに考えておるわけであります。  郵便貯金の最高制限につきましては、大蔵省の事務当局とたびたび折衝を重ねたのでありますが、本年度は減税措置になるような法案は、大蔵省としては出してもらっては困るというような話が強くございまして、郵便貯金法を改正いたしますと、御承知のように、国民貯蓄組合法の改正もいたさねばならぬ、そこで五十億近い税の減収になる、そこで本年はどうしても見合わせてもらいたいという話がありまして、事務的に非常に調整が困難でございましたので、ただいまのところは、御提案をいたしまして御審議を願うことが困難であると存じておる次第であります。
  56. 大塚茂

    大塚政府委員 簡易保険の最高制限額の引き上げにつきましては、ぜひ実現いたしたいということで、目下取り運び中でございます。
  57. 井手以誠

    井手分科員 ぜひ一つ、さきの審議会の答申もございますし、大臣に政治力を発揮してもらいたい、これを要望いたしておきます。  大蔵省、見えておりますか。——ちょっと一つだけ伺いたい。これは一般的な問題ですが、国鉄とかあるいは政府機関などのいわゆる独占的料金、これは財政法の三条にも関連して参る問題であります。この公共事業の料金はいかにあるべきかという点であります。いろいろ学説もございますが、大体各方面の見解を総合して参りますと、年度末の業績手当、あるいは積立金などを含んだ程度が料金として正しいのではないか、しかし、若干の利益も何%程度かはやむを得ないんじゃないか、こういうような見解を私はよく承っておるのでありますが、あなたの見解を一つ聞きたいのであります。
  58. 谷川寛三

    ○谷川説明員 非常にむずかしい問題でございまして、簡単にお答えできないと考えておりますが、私ども三公社協議いたしまして、国鉄などにいたしましても、独立採算ということを原則にいたして考えておりますので、そういった点からいろいろ考えていかなければならないという面もあるわけでございます。一方におきまして、いろいろ公共的な重大な使命を持っておる企業体でございますので、そういった面からの慎重な検討も必要であるわけでございまして、その点の調整をどうとるかにつきましては、なかなか簡単にお答えできないと思うのであります。たとえば国鉄なども、昨日もいろいろ議論になりましたが、これからいろいろ大きな建設投資をやっていかなければいかぬ段階にあるわけでありまして、自己資本の充実といった点から建設資金考えていくという点も重視していく必要がありますので、何とか公共制との調整をはかりながら妥当な料金体制を確立していく必要があるのではないかというふうに考えております。一方その他の企業体におきまするところの料金にいたしましても、そういう両面のかね合わせを慎重に検討しながら、物価を通じましての国民生活への影響等を勘案いたしまして、検討していきたいというふうに考えております。非常にばく然たるお答えで恐縮でございますが、基本的にはそういった点を中心にいたしまして考えていく必要があろうかと考えております。
  59. 井手以誠

    井手分科員 今あなたは建設資金だとおっしゃいましたが、財政法三条から出発いたしますと、賦課金ではありませんけれども、やはり賦課金に類するものだと思っております。社会保険の保険料などと同じような独占企業でございますし、公共の福祉ということが目的でございますから、やはり先刻申しました業績手当あるいはその他若干の積み立て程度のもので料金をきめるのが私は本筋だと思う。建設資金になりますと切りがないわけでありますが、その点をもう一回。
  60. 谷川寛三

    ○谷川説明員 先ほどお話財政法第三条からの制約でございますが、これは申し上げるまでもなく、独占企業体といたしまして非常に一般国民生活への影響も大きいわけでありますので、企業体におきまして自由に料金をきめるということにつきましての制約を規定しておるわけでございますが、ただいまお話しのどの程度の業績賞与が出せるような点で考えるのか、利潤をどれだけ見るのかという御質問でございますが、先ほど私建設の問題を特別例にとって出しましたが、それとは別にいたしまして、先ほどの独立採算、いろいろ一般企業的な面と、一方におきましては公共的見地に立っての検討、両面を勘案いたしまして検討すべきものだ、原価諸要素をどう見るかといったような点、一がいに申し上げることができないのではないかと思います。
  61. 井手以誠

    井手分科員 なかなかむずかしい、あなたも答えにくい問題だろうと思います。もうございませんからお引き取りになってけっこうです。  そこで、電電公社の方にお伺いをいたしますが、本年度のあなたの方の収入は二千二百九億円、前年度に比べますと、ちょうど二割増しになっておるのであります。承るところによりますと、あなたの方から大蔵省に出されました原案よりもこの事業収入は五十億ふえておると聞いておるのであります。昨年よりも二割増しの二千二百九億円というこの膨大な収入、副総裁、確信がございますか。おそらくあなたは原案として、五十億円少ないもので出された、これは確信あるものだと思いますが、それが一挙に五十億ふえて、それだけの増収の見込みに確信がおありになるのかどうか。
  62. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいま先生から御指摘の点につきましてお答えいたします。われわれの方の大蔵省最初出しました収入見込みと、その後最後の結論に至りました収入との差額を先生御指摘だと思いますが、実はこの点につきましては、最初大蔵省に出しました当時は、時期の関係もありまして、昨年の四月から六月までの収入実績に基づきまして、本年度の予想を立てたわけであります。しかし、これは毎年そうしておりますが、予算の最後にきまるときに、最も近いデータにそれを編成し直そうということで、大蔵省と大体毎年打ち合わせております。その線に基づきまして四月から九月までの収入実績というものに訂正いたしまして、それを将来に延ばしていくということで見直したわけであります。そういうわけでありまして、われわれの事業におきましても、全体の経済情勢の動向というものがやはり収入にも影響して参りますが、今後この経済情勢の変更というものがどういうことになるかということにつきましては、いろいろありますが、大体現在の経済界の趨勢というものがそう大きな変動をしないということを頭に置きますと、この見直しました傾向によりまして、来年度収入については大体大丈夫と考えております。
  63. 井手以誠

    井手分科員 確信ありということでありますが、それでは電信の収入は、最近ほとんど各年度変わりがないようでありますけれども、来年度も十億ふえておるようであります。これも大蔵省との折衝でふえたそうでありますが、電報代が急にふえるという根拠を簡単に一つ……。
  64. 横田信夫

    ○横田説明員 電信収入は御指摘のごとく三十四年度百億、三十五年度百九億という見込みになっております。大体横ばいの状況を続けております。ただこの電信収入につきまして、だんだん利用もふえ収入もふえておりますのが専用関係と加入電信関係でありますが、それも、先ほど申しましたように、電信についても四—六月の傾向、四—九月の傾向、これの見直しによって見直したわけであります。そういう根拠になっております。
  65. 井手以誠

    井手分科員 あなたの方に確信があればそれはけっこうであります。  そこで、私が今から特にお聞きしたいのは、資本勘定への繰り越しの問題、三十四年度は三百十八億円に対して、三十五年度は四百九十八億円、これは前年度に比べて五割四分の増加であります。これに予備費を加えますと、五百億という利益になるわけであります。五百億となりますと、収入に対して二割三分になりますか、これはものすごい利益が上がっておると私は考えるのであります。大臣も一つ聞いておっていただきたい。二千二百億の事業収入に対して利益が五百億をこえる、二割三分にも当たる。公共事業としてこれはどうなのか。これは料金が高いのか、従業員の待遇が悪いのか。この第一次拡充五ヵ年計画が発足いたしました二十九年、六年前ごろに比べますと、収入はちょうど倍になっておる。もちろんそれは当局の手腕等がしからしめたでありましょうし、あるいは職員多数の努力によってそういう増収もあったでありましょう。成績も上がったでありましょう。しかし昨年の五割増しという、収入に対して二割何分にも当たるこの収益、またこのあり方は私はちょっと考えねばならぬのじゃないかと思う。私は従業員の諸君から非常に待遇の悪いことをいつも訴えられておりますが、労働条件が悪いのか、あるいは料金が高いのが、どちらでしょうか。
  66. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいま先生の御指摘のありました数学は、大体その通りであります。損益の収支差額につきましては四百八十九億。しかしそのうち債務償還に充当しなければならないものが毎年相当ふえて参りますが、それが百十五億、今後もだいぶふえると思いますが、それを差し引きまして実際に建設資金に充当いたすものは三百七十四億であります。それでこの三百七十四億を建設改良資金に充当することがはたして妥当であるかどうかという問題につきましては、実は前の料金改正のときにだいぶ議論がありまして、電信電話、ことに電話は、先生よく御承知のように、千二百八十五億の拡張の規模のうちの相当大きな部分が、拡張と申しますよりはむしろサービスの改良、そういう面に使われるものが非常に多いわけであります。たとえて申しますならば、磁石式を自動式にかえる、あるいは共電式を自動式にかえていくという場合に、もちろん電話局の規模も幾分大きくなりますが、大部分はその他のお客さんのサービス、共電あるいは磁石から自動になる、これによってサービス改良ができる。あるいは市外線の増設にいたしましても、現在の加入者の方々の、今まで待ち合わせ時分の長かったものを即時にいたしていくというようなサービスの改良に振り向けられるものが相当多いものでありますから、従いまして、ある程度現在のお客さんからいただく料金収入をもっての財源が建設改良に振り向けられることは、電話事業としてある程度考えられてしかるべきじゃないかということがいろいろ議論がありまして、当時の国会の主たる論拠も、そういうことを前提にいたしまして料金値上げも認めていただいたわけであります。そういうわけによりましてこの料金収入損益の収支の差額というものが建設改良の財源に充当されておるわけであります。  なお私の方の従業員の待遇の改善の問題でありますが、このように設備の近代化をどんどんやっていく事業につきましては、従業員の全面的協力を得るということが非常に大事でありますので、その辺につきましては、できるだけわれわれも待遇の改善に努力いたしたい。従来も努力いたして参りましたし、幸いに本年度から初めて生産能率に伴う給与、これは正式の言葉としましては仲裁裁定の四項に伴う手当ということになりますが、昨年に比べて予算上どういう生産能率の増強を見ておるか、その増強を前提にいたしまして手当額を見ているということが、仲裁裁定に伴う実行として初めて本年度予算にも認められたわけであります。そのほか職員の厚生福利施設等についても、今後ともできるだけ努力していきたい、こう存じております。
  67. 井手以誠

    井手分科員 かつての国会なり審議会の意見は、これほど利益が上がっていない、一割程度のときではなかったかと思っておるのであります。今日では、先刻触れましたように、かりに借入金の償却をいたしましても、予備金を加えますと三百八十九億の利益になっており、収入に対して一割八分になっておる。これほどのものを建設の方に回すということを考えますと、やはり建設になりますと改良はもちろん必要でありましょうけれども、私ども今聞いておりますのは、電話が足りない、増設をしてくれというものについては私は必要だと思うのであるけれども、こう無理に一挙に計画を拡大して工事をやらなくちゃならないかという問題については、私は非常に問題があろうかと思うのであります。きょうは時間がございませんから、後日逓信委員会でいろいろ御質問申し上げたいと思っておりますが、生産性の向上、事業収入と職員の一人当たりの収入考えて参りますと、六年ほど前に比べると倍になっている。それほど職員一人当たり、従業員一人当たりの労働が——もっとも機械化はなされておりますけれども、神経的な作業においては強化されておるといわねばならぬのであります。  私はこの料金問題でもう一言申し上げておきたいことは、そういう建設資金に回すという——建設しなくちゃならぬ理由はわかります。理由はわかりますけれども、現在の加入者に高い料金で利用してもらって、その利益で拡張工事をやるということ、この点は私は問題だと思う。あとでまた資料もいただきたいと思うのですが、今加入されておる人の改良工事、この分だけならば理解はできますけれども、拡張工事等ほかの工事の費用を現在の利用者で負担しなくちゃならぬということは問題だと思う。人のために現在の加入者がよけい料金を払わなくちゃならない、その点について大臣はどんなふうにお考えですか。
  68. 植村春彦

    植村国務大臣 私企業におきましてさえも、公共性のあるものにつきましては、確かにあまりもうけ過ぎるるということはどんなものかと思われます。まして公共企業につきましては、なおさらさように思います。理想的といたしましては、収支ゼロになるのが公共企業体の理想だと存じます。しかしこの企業経営というものは、ゼロに目標を置きますと、必ずという言葉を使っていいほど赤字になりがちでございます。だから事業のもくろみといたしましては、ここに電電公社計画されましたような、このもくろみであっても、なかなか実際に決算いたしますと、ここまでほんとうにもうかるんだかどうかということについては、さらに運営上非常な企業努力が要ることだと存じます。従って、この表に現われましたところは、さほどにもうけ過ぎていると考えないということが第一点。第二点といたしましては、事業経営におきましては、もうかったものをどういうふうにこなしていくか、使用していくかということによって違うと思います。そこで、これがさらにサービスの改善に回りますならば、それはすでに加入している電話利用者にとりましても、これは利益の還元となると考えます。またただいま副総裁が答えられましたように、従業員の待遇改善に振り向けられますことは、まことに重要な大切なことであって、その計画につきましては、監督の責任上本年度計画を妥当なものと考えた次第でございます。第三の点は、それならばこの利益率、三十四年度、三十五年度の利益率というものが、はたしてただいまの経済情勢から見まして過当であるか、適切であるかという点を考え合わせますと、一応減価償却後の数字でございますので、数字だけを見ますと相当に高率であるとは思いますけれども債務償還につきましての方策として、どうしても債務はできるだけ早く返していきたいというふうな企業計画は、これはまた企業者として当然の計画として考えられることであると考えますので、まずまずこの程度資本勘上への繰り上げ方針ならば、何とか認めて差しつかえないものだ、さように考えて、政府の立場といたしましては、この資料を当委員会に提出申し上げまして、御審議をいただく運びに取り進めた次第であります。
  69. 井手以誠

    井手分科員 各個人の料金から申しますと、大体二割が建設勘定に回ることになるのであります。自分の改良ではなくて、人様の建設工事の方に二割よけい料金を払って建設が行なわれる、こういうことに、数字からいけば、なるわけであります。この料金のあり方は、もう時間の点がございますから、私はあらためて大臣なり電電公社にお伺いをいたしたいと思いますが、もう一点聞きたいのは、副総裁から待遇を改善している、こういうお話がありました。昨年から今年にかけての待遇改善というのは、わずかに百九十円とか二百五十円とか、あめ玉みたいなものじゃなかったかと思います。すでにあなたの方と組合の方では、企業合理化の進展に伴い労働条件は向上させるという基本的な了解事項があるのであります。これほど労働生産性が向上して、わずか六カ年くらいで倍の生産力を上げておるということでありますならば、百九十円とか二百五十円のみみっちいあめ玉みたいな金で済ませるものでは絶対にないと思う。そのほか職員の数その他については、後日またお尋ねいたしますが、わずかこのくらいの金で、合理化計画の進行に伴って、各従業員の身分は必ずしも安定しておるとは考えられませんし、当該局においては非常に不安を感じておる。そういうものに、わづかこのくらいのものでこの基本的了解事項を実行しておるとは、断じて私は考え得ないのであります。それで、過去のことはあとにいたしましても、三十五年度にどのくらいの待遇改善をお考えになっておりますか。
  70. 横田信夫

    ○横田説明員 従業員の生活の向上ということにつきましては、御説のごとく、われわれ事業の経営管理に当たる者といたしましては、できるだけ努力すべきであろうと存じております。ただ、従業員の生活につきましては、やはりサービスの向上と事業の発展、それから従業員の生活の向上、この三つが相伴っていくことが大事であろうと考えまして、その点はただいま先生の御指摘の通りだと思います。そういう点についても、今後とも従業員の全面的な協力を得なければならぬわけでありますが、そのほかに、公社といたしましては、やはり公社としての性格上、公共企業体としての法律のワクといいますか、そういうワクの中でできるだけ努力していくという権限が与えられておるわけであります。公社の待遇につきましては、公社法におきましては「職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。」「前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」とあります。今ベースの問題につきましては、そういう意味におきまして公務員と民間事業とのベースを相勘案してきめられていくということになっておるわけであります。しかも、それも給与総額の中できめていかなければならぬということでありまして、われわれといたしましても、公共企業体という性格上、そういう均衡を破ってというわけにはなかなかいかない点があるわけであります。ただ、その能率というような点につきましては、先刻も申し上げましたように、本年度から、予算上の予定された生産性向上に伴う給与の支給といたしまして、三十四年度に七億八千九百万円というものが初めて支給されることになったわけであります。三十五年度におきましては、初めてこれが予算化されまして、八億五千万円が計上されたわけであります。予算上の三十五年度の特別な特色はここにあるわけであります。これは現在約十九万の職員になっておりますので、一人当たりそれで割ってみますと年間約四千五百円くらいになるかと存じます。それが三十五年度の従来のものに比べての特色であります。なおちょっと申し忘れましたが、この生産手当は仲裁裁定の結論でありますので、一定の算式によって毎年これが予算上も計上されていくということに相なるのであります。その予算予定された能率を越えて実績が上がっていくということにつきましては、これは業績手当をまた考えていくという態勢になるわけであります。それからベースの問題につきましては、先生御指摘のごとく、仲裁裁定による二百五十円、これが今年度予算的に計上されております。今後のベースアップの問題につきましては、ただいま申しましたような公社の性格、そういうことを前提にいたしましての問題としてわれわれとしても考えていかなければならぬ問題だろうと思います。そのほか厚生福利施設につきましては、住宅の増強あるいは病院施設、医療施設あるいは作業環境の整備改善、これは先生が先ほどから郵便局舎に関連して御指摘のごとく、われわれの方は改式とか新築とかいうものが今のお客さんのサービスを増強するために当然必要になってきて、そういう改式、増築、改築というようなものが非常に多いのでありますが、そのときに、御承知のように建物も近代化されますし、作業環境も相当一般的にはよくなる。配転、職転の人たちにつきましてはその点はお気の毒でありますが、配転、職転になる対象の方々につきましては、できるだけその人たちに犠牲がいかないようにあらゆる措置を考えていくというような考慮をいたして参っております。
  71. 井手以誠

    井手分科員 ほかの公務員、公共企業体職員との均衡を保つという問題は、それは同一作業に対してのことでありまして、やはりそこには労働生産性の問題その他いろいろなことが考慮されねばならぬのでありまして、私は均衡ということはそう一律のものに考えるべきものではないと思っております。今まで企業合理化の進展に伴い、労働条件を向上させるという約束があったにもかかわらず、わずかに二百五十円か百九十円の実行しかやられておらない。また今度は盛んに副総裁は待遇を改善したとおっしゃいますけれども、私はこの合理化が進展しておる電電公社の職員にとって、この程度の待遇改善では、あまりそれに遇する道ではないと思っております。もっと基本的に私は考えてもらいたい。  なおほかにいろいろとお尋ねしたいこともありますが、約束された時間が参りましたので、本日はこの程度にとどめておきたいと思います。  大臣に最後に一つ申し上げておきたいことは、郵政省局舎改築の問題、昇格の問題、これは従来の約束と反してうまくいっていないことは、大臣から先刻お話しになった通りであります。電電公社のあり方についても、料金の問題あるいは職員の待遇の問題、これはいろいろ検討すべきことが多いと思っております。これらの点について大臣も、せっかく大臣になっておられるのでありますから、政治力を発揮して、自分の監督の下にある者がもっと明るい気持で仕事ができるように、昨年はいろいろと問題が多うございましたけれども、四月にはILOの批准も行なうという言明もあっておるのでありますから、特段の一つ御努力を願いたいと思っております。なおたくさんの問題がありますけれども、後日に譲りまして、本日はこれで終わりたいと思います。
  72. 岡本茂

    岡本主査 片島港君。
  73. 片島港

    片島分科員 郵政省関係で電波放送関係郵政事業、電信電話事業、この三つにわたっておもな点をお伺いしたいと思います。  郵便事業も年々取り扱いがふえて参りまして、御提出の資料によりますと大体八%くらい一年間にふえておるようであります。料金についても大体八・六%くらいの増収、しかも年度当初に予定したときよりも四%以上も自然増収がある、こういうような状態であります。ところが郵便事業は、いわれるように機械でなくて、低料金のわずか一円の第三種郵便物まで手で区分をし、手で配達をするという、要するに人間ばかりが取り扱うわけでありますから、当然人手がふえるわけでありますが、それについて今年度定員増加を見ますと、郵便の取り扱い関係で二千七百四十六人という数字が出ておるようであります。これは二十七万人に対してちょうど一%であります。八%の当初の予定よりも四・五%も自然増収があり、また取り扱い物数においても八%もふえておりますが、それに対してわずか一%しか定員増がない。まあ郵便局舎なんかも当然物がふえるに従って増築をしなければならぬのでありますが、しかしいずれにしても人手がなければまずできない仕事に対して二千七百四十六人、わずか一%しか人員はふやさない。こういうことになりますと非常に労働強化といいますか、そういう点は超過勤務手当とかいろいろな方法もありますけれども、その方法を見ましてもなおこういうような数字は、八%という数字から比べると非常に少ない。定員と事業増との関係郵便物がふえた場合にどういうふうにしてどの程度人手をふやすという一つの基準がありますかどうか、その点をまずお聞かせ願いたい。
  74. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 お答え申し上げます。郵便関係定員につきましては一応基準はあるのでございます。簡単に申しますと、新年度幾ら幾ら郵便物数の増加があるであろうということをまず予測いたしまして、その増加いたします物数のうちで普通局引き受けます物数を計算いたします。その物数を単位能率に換算いたしまして、その単位能率を一人当たりの一年間の処理能力、一応百七十五万九千通とはじいておりますが、百七十五万九千通でその増加物数を割りましたものが、新規増員分ということに一応算出されるわけでございます。そういった一応の基礎がございまして、それによって計算して定員増加してもらっておるわけでございますが、先生から先ほど御指摘のございましたように、郵便物数の増加割合と定員増加割合がマッチしないではないかという御指摘でございますが、郵便の取り扱いにおきましては、その物数が増加いたしましても、必ずしも定員の増を伴わない。最低配置要員といいますか、基幹要員といいますか、そういうものがございまして、物数がふえたからその割合だけ定員がふえなければならないという性質のものでは必ずしもないのでございます。ふえた割合に応じてはいかないのでありますけれども最初私が申し上げましたような百七十五万九千通という、一人当たりの処理能率ではじいたものを増員するという姿に相なっておるわけでございます。
  75. 片島港

    片島分科員 八%と一%というのは八分の一でありますから、半分くらいというのならわかるのでありますが、あまりにも差がひど過ぎはしないか。それから、最低の要員というものは、最初事業を始めるころはそうでありましょうけれども、もうすでに百年からかかってやって、基礎はちゃんとできておって、これから先は取り扱いのふえるのにつれて当然ふえていく。ではお尋ねしますが、郵便事業においては、あなたの方で物件費に入っておる賃金要員も含めまして、支出の何%が人件費になっておりましょうか。
  76. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 決算してみますと、毎年の傾向といたしまして業務の歳出予算のうちで大体七七%から七九%程度のものが人件費に費やされております。
  77. 片島港

    片島分科員 そうでしょう。七割から八割という人件費というのは、事業としては非常に人件費を食う事業であります。そういたしますとマッチしなくても、八%ふえた場合、その七割なり八割なりに、いわゆる人件費増というような形が出てこなければならぬ。八分の一ではなくて、少なくとも七割か八割くらいのところがふえなければ、やはり労働強化というような点にはね返ってくるのではないか。その点、定員というもの、いわわゆる人手というものについて非常に計算がいいかげんになっておりますために、現業でもいわゆる非常勤というような臨時をたくさん雇ってやっておるのであります。定員法のワクをはずせというようなこともいわれておるのでありますが、定員というものに縛られておるために、非常に事業が円滑にいかないという点がありますから、定員の算出については、一つもっと慎重に、もっと事業にマッチするような方法を考えていただきたい、こう考えるわけであります。  午前中に郵便事業のことを全部終わりたいと思いますので次に移りますが郵便機関の窓口を拡充するということは、与党の内部、政調会でも非常に問題になっております。私はできるだけ窓口を拡充いたしまして公衆の利便をはかるということは、公共事業である郵政事業として当然やらなければならぬ問題だと思うのであります。この窓口拡充のために最も簡易な方法として、昭和二十八年からでありますか、簡易郵便局制度ができたわけであります。最初のうちは百局くらいだったかと思うのでございますが、一年にだんだんとふえまして、三十四年度、三十五年度は五百局ずつ予算化された。ところが御承知のように簡易郵便局が非常にふるわない。最初のうちは作ってくれ作ってくれと言いましたが、設置をいたしますと経費が持てないというので、昇格運動、今度は一つ直轄にしてくれ、それから手数料を引き上げてくれという要求——実際現在公共団体で請負にしてやっておりますけれども、この経費はまことに微々たる手数料でありますから、当然公共団体なり、あるいはその個人がそれだけの負担をしなければならぬということになります。おそらく今日のような情勢では、もうすでに簡易郵便局は行き詰まっておる。現在作っておるのさえが文句を言うのでありますから、新規にこれから作ろうという、しかも、一年間に百局ずつ作っておりましたのを、すでに二カ年も続いて五百局も予算を取っておるのであります。私は三十四年度の実績をまだ確かめておりませんけれども、おそらく実際設置をされる数というのは、その半数あるいは三分の一にも足らないのじゃないかとさえ考えるわけでありますが、この簡易郵便局制度について、伝えられるところによると、個人請負をやればもっとうまくいくのじゃないかということが、これもまた窓口拡充の問題として非常に重要視されております。ところが現在ふるわないのは、私が言いましたように手数料が非常に少ないということからふるわないということです。もし個人ということになれば、たばこ屋さんとか八百屋さんとかやっておるところも、おそらく請負になるでありましょう。そういうようなところで片手間でやるというようなことになれば、私は料金が少なくても済むのじゃないかと思う。現在の簡易郵便局の場合、手数料を引き上げる、あるいは現在のように局舎を別に作って、公共団体か専従者を雇用してやるということになれば、どうしても引き合わぬのでありますから、現在の制度で郵便局舎を別に作るというようなこともしない。役場なりあるいは農協の窓口で一日じゅう仕事をするだけの仕事がないのでありますから、そういう人に片手間といいますか、ほかの仕事をやりつつやるということになれば、農協なり役場なんかでほかの仕事をやるということになると、ほかの仕事もやりながらやるから、これは個人に請け負わせなくても、十分採算もとれていく。そういうふうに窓口拡充については、現在の制度を傍観するとか、あるいは個人に委託をするといったようなことでなくとも、ほかにいろいろな窓口拡充、現在の簡易郵便局制度の不振を取り除く方法、そして公衆に非常に広範囲にわたって便利を与える方法が幾らでもあると思うのでありますが、この点について大臣の御所見を伺いたい。
  78. 植村春彦

    植村国務大臣 ただいま窓口拡充が全国的の熾烈な要望であるのはお話通りでございます。これを解決いたしますのに、できるならば特定局をたくさんふやしますれば一番いいと考えられますけれども、それでは予算がなかなか出し切れません。そこで簡易局の拡充の問題があるわけでございますが、手数料の値上げにつきましては、これはさらによく検討を——ただいまも検討中ではございますけれども、さらに検討を急いで、しかもよくこの点を研究いたして参りたいと存じます。ただ手数料を上げましただけでは、なかなか地方の御要望に応じられない。ことに山間僻地ではあるけれども、やはり窓口がどうしてもほしいといったような非常な熱心な要望が全国的にございますので、これを解決いたしますにはどうしたらいいかということをただいまこれまた検討中でございますが、議論といたしまして、これはやはり簡易郵便局を拡充したらいい。簡易郵便局を拡充するについては、手数料問題もあるし、同時にまた手数料問題だけでは解決されない。簡易郵便局を増置しなければならない。増置するとしても特定郵便局程度のものではとても財政上許されないから、個人請負にしたならば割合に安上がりでいける。片手間でやらせるべきか、専業として比較的ひまな、しかも性質も正直な、仕事のできるといったような人に請け負わせたならば、大へん安値に安上がりにもいくし、正確にまじめにもいくといったような強い議論もあるのは事実でございます。でき得べくんばそういったようなことを法律化して、すみやかに施行したい考えもむろんあるわけではございますが、まだそこまで機が熟していない。しかし機は熟していないけれども、この問題は何とかして国民の御要望に沿うように、きわめてすみやかに着手をしなければならない。あるいは場合によりましては今国会にも御審議願うような段取りにもしなければならないかもしれない、そういったような現段階でございます。
  79. 片島港

    片島分科員 安上がりをするために、比較的ひま人で善良な性質のいい者に請け負わせる。私は現在公共団体がやっておりましても、今簡易郵便局の問題でいろいろ言うのは、現在の簡易郵便局の仕事をしている人が一番陳情を私のところにたくさん送ってくれております。一般の人よりも現在の人です。だから現在の人をひま人で善良な性格のいい、文句を言わない人を雇えば、それは文句を言わないわけで、たとえば大臣もおそらく想像されておるように、定年でやめて恩給をもらっておるというような人がいるとする。そういう人にやらせたらどうだ。そうするなら役場を定年でやめた、また郵便局を定年でやめた、そういうような人を現在の簡易郵便局に雇ってやらせば、ここで文句は出てこないであろうと思う。現在の制度においてもやろうと思えばやれることであります。同時にまた役場あたりの窓口では足らぬ、別にということになるならばもっと山間になる。そういう場合でもそれが個人でなくとも、たとえば役場の嘱託であるとか、役場の何かの定役というような、また農協とかいう公共団体などに雇われている、嘱託されている、こういうような形においてやった方が、直接個人というよりも信用もおけます。しかしどんな善良の人でも現金など扱いますから、間違いが起こった場合に公共団体というものがうしろだてにおれば、それだけ欠損金が出た場合でも一般公衆が信頼がおけるわけでありますから、現在の制度において安上がりで幾らでも窓口の拡充ができる方法かあると思うのでありますが、どうお考えですか。
  80. 植村春彦

    植村国務大臣 まことに私たちの立場といたしまして、敬意をもって傾聴しなければならない御高見を拝聴したわけでございます。この問題につきましてさらにただいまの御意見を十分に具現化するにはどうしたらいいかということを検討いたしたいと存じます。おっしゃる通り個人で責任を負い得るか、あるいは役場等の責任においてその個人が役場に雇われた立場で仕事をすべきか、あるいは個人で全責任を持ってやるかわりに個人で一つやらせてくれというような要望を採用していくかということにつきまして、十分検討いたしたいと存じます。先ほど井手分科員からも、ただいま片島分科員からも窓口増置の御熱心な御要望がございましたので、私たちといたしましてもこの窓口増置につきましてはさらに拍車をかけて、すみやかに結論を出したいと存じます。
  81. 片島港

    片島分科員 個人で請け負わせるというようなことは、私たちいろいろ長い経験からいたしまして絶対に反対であります。従ってもしそういうことが法案として提出されるということになりましたならば、理を尽くして皆さんの御了解を得てそういう法律は絶対に阻止をする。こういうかたい決意でおるわけでありますから、いずれまた——逓信委員会は法案がたくさん出ておりまして、郵政関係について法案が出ておらないので審議をする機会がほとんどございませんので、私はきょう一言だけ、くぎをさす意味におきまして発言をいたしたわけでありますが、そういうお気持で、今後処置をしていただきいということをお願いをいたしておきす。  非常に飛び飛びになりますが、次に郵便貯金の問題であります。年々いろいろ論議をされておりますが、簡易保険につきまして、公共団体などに安直に郵便局の窓口を通じて貸付をするということが、簡易保険の募集の向上に非常に役に立っておるのは言うまでないのでありますが、郵便貯金につきましても、ある程度郵便局の窓口を通じて安直に公共団体などに融資をするという道を開くということになりますれば、この貯蓄増強の面におきまして利便があるではないか。これは前からいろいろと言われておりまして、ついに今日まで実現をいたしておりませんが、大臣は今までのいきさつというのはおわかりでないかと思いますけれども、この点について一つ御所見を承りたい。
  82. 植村春彦

    植村国務大臣 資金運用につきましては、私たち郵政当局が非常に苦心していることは御理解いただいていることかと存じますが、資金運用についての会議体もできておることでございまして、私たちもそのメンバーの一人になっておりますわけでございますが、具体的の運用についてはさような会議体があるわけでございますが、その基本的の、利回りをどうしよう、運用範囲をどうしようか、利息をどうしようかというようなことにつきましては、ただいま大蔵省でも検討してくれておりますし、私たちもそれにつきましてはもう長い間苦心もし、検討もしておる次第でございますので、さらにこの問題につきましては関係官庁とよく折衝して進めて参りたいと存じます。
  83. 片島港

    片島分科員 大臣が今の程度お話なり気魄では、これは絶対に実現はいたしません。これは非常に政治的な力が要るのです。今の御答弁は非常に力がないのですよ。それではとうてい実現できない。せっかくあなたも大臣をやられるなら、おれのやっているうちに何か一つ解決しようか——貯蓄の増強も、あなたは非常に運のいいときに大臣になられたから、千億円の予定額を途中で追加をいたしましたが、追加もまた消化をいたしております。来年からは二百五十億もさらにそれにつけ加えていこう。ちょうど景気のいいときに大臣に就任されてまことにおめでとうございますが、しかしそういうふうにして、この郵便貯金というのはなかなか実は苦労しておる。農協あたりは、貯金は農協へといって、どこでもずっと大きな看板なんかを立てております。貯金は郵便局へという看板は立てておりません。私はいろいろと地方を回ってみて、立てたらどうかと言うと、いやこれは官営事業であって、国が直接やっているのだから、あまりやると銀行とか農協あたりが文句を言う。その文句を言われる中で、従業員は非常な努力をして貯蓄増強に実はやっておるわけであります。一生懸命になってやっておるのです、その場合に、せめてはね返りといいますか、自分かもらうわけではないのです、従業員は。自分はもらわないけれども、私がこうして集めた金であなたの方に金を貸してやるのだ。自分が貸したようなつもりに従業員はなる。そうなればやはり貯金の増強の上において非常な奮発心が出る。そしていばれる。金を集めるだけでお前たちは何もいいことをやってくれないじゃないか、いやそれは大蔵省に行きまして、そんなこと言ったってなかなか土地の人にはぴんとこない。だから一つ勇断をもってそれが貸付ができるように——簡易保険もなかなかむずかしかったのです。ところがあなたみたような答弁ではなかった。非常な気魄をもってそれを解決した先人がおるわけですから、あなたも一つ郵便貯金について遺産を残してもらうように、もう少し気合いを入れて下さい。
  84. 植村春彦

    植村国務大臣 実は今回は大蔵省もずいぶん郵政省のことについては深い考慮を払ってくれまして、実は私たち一同感謝しているような次第でございます。ついでのことながら、この資金運用問題も一気呵成にやってもらいたかったのでありますが、どうもそこまではなかなか手が回りかねたわけでございます。これは私の語気こそ、はなはだやわらかい口調で答弁したか知りませんですが、熱意は非常にございまして、すでに大蔵省とも折衝——もっとも郵政省は前々からのべつまくなしに折衝しておることは御存じだろうと存じますが、私といたしましてはただいまも折衝中なのでございます。この点はいましばらく時間を拝借させていただいて、私の熱意のあらん限りを傾けまして、また折衝いたして参りたいと存じます。
  85. 片島港

    片島分科員 非常にピッチを上げてやらないと、内閣改造なんかになりますとまた新規になりますから、今年度予算折衝では相当努力をされたと思うのですが、どうかまだ熱のさめないうちに御努力を願って、今後の貯蓄増強の基礎を固めていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。  分科会はきょう一日でありますので非常に早足になりますが、電波放送関係について大臣にお伺いをしたい。大臣は、すでに年末にカラー・テレビを免許をすることについての重要な発表をされておるわけでありますが、ITUの会議に出席をされました機会に方々のカラー・テレビを見てきた、こういうことでありますが、私も見てきました。ところがヨーロッパではまだ問題にしておりません。どこに行きましても、日本がどうしてカラー・テレビにあんなに一生縣命になっておるのか——もっとも日本の場合でも一生懸命になっておるのはきわめて一部の人でありますが、その方にもお会いして非常に私たちは激励をされたわけでありますけれども、ヨーロッパ、特に本家である、あなたが非常にほめられておるアメリカのテレビ、アメリカはカラー・テレビに日本が熱を入れておるほど熱も入れておらないと同時に、非常に普及率が低いのであります。ヨーロッパではきわめて低調である。またアメリカですら普及率が非常に低いというのは、どういうところに原因があるようでありますか、御説明願いたい。
  86. 植村春彦

    植村国務大臣 まずヨーロッパについて申し上げますと、ヨーロッパでは今のカラー・テレビが悪いと考えておるのではないと私は観察して参りました。要はヨーロッパの標準方式を統一したい。これはカラーも同じでございますが、テレビは一国だけが自分だけひとりよがりではいけない。同じ仲間の国同士受像を交換し合ってこそ、真に文化の交流、文化進展のためになることだ。そのためにヨーロッパを全部統一したい。ところが御案内の通りフランスの方式も、フィリップスの設備機械の方式とか、いろいろまちまちでございますが、これは近く六百二十五に統一される機運にある。六百二十五に統一されますれば、そこでヨーロッパは踏み切ってカラー・テレビを始める国が相当出てくる、さように観察して参りました。  それからアメリカの方は、これはヨーロッパ方式と違います。同じNTSC方式と申しながら、ヨーロッパとアメリカとでは違うので、とてもこれは一緒に同じ方式を採用するには至らないであろうという見込みにつきましては、片島委員も御同感の御観察をしていらっしゃったことと存じます。それならば、ヨーロッパでは実験放送程度であるから普及しないのが当然であるけれども、実験放送でない本放送であるにかかわらず、何ゆえにアメリカの普及率が悪いかと申しますと、これは日本のせいであろうと私は考えます。日本にマス・プロにいたしましても非常にコスト・ダウンをして安く作る技術的特徴のあることは、あらゆる文化の生産物について申し上げることができる。電球でもそうでございましたし、繊維製品でも、ブラウスについてもそうでございましたし、また機械類につきましても、ミシンなどにいたしましても、今日では日本がどんどんアメリカに逆輸出しているような次第で、アメリカのミシンにどんどん日本製品が普及されておる。もし日本でカラー・テレビをアメリカ式に踏み切りまして、受像機を日本からアメリカにどんどん輸出していったならば、アメリカと違って非常にコストが安く、今日アメリカで四百九十五ドルしております受像機も、日本であればうんと安く向こうへ入れることができる。こうなれば日本の輸出工業、電子工業から申しまして非常なプラスになって、日本は世界に進出することができる。これはひとりアメリカに対してのみならず、ヨーロッパに対しても同じことである。部品の点につきましてはアメリカ式もヨーロッパ式も、ごくちょっとした一部分を、ヨーロッパにはヨーロッパ式のものを、アメリカにはアメリカ式のものを輸出いたしますれば事足りる。同様に東南アに対しまする進出問題にいたしましても、フィリピンはアメリカ式、それ以外はヨーロッパ式であるけれども、今御説明申し上げました通り、世界に向かって日本はコスト・ダウンされたテレビの受像機を、マス・プロでもってどんどん世界の市場に売って出ることができる。さように考えておりますので、アメリカの普及率が五十万にストップしておるという事実につきましては、私はそういったようなはっきりした見通しを持って帰ってきた次第でございます。
  87. 片島港

    片島分科員 輸出の問題、それは、通産大臣のような御答弁をされておりますが、なかなか思うようにいきません。日本は低賃金ですからなるほど安くできます。そのために為替の自由化、貿易の自由化をめぐって、外資が日本にたくさん入ってくるというような情勢になっておるのであります。御承知でありますように、ステンレスの食器類が非常に安く入っておりましたところが、向こうでは国内の同業者を救うために、輸入数量を制限するとか、関税を高くかけるとか、いろいろな方法は相手の国がやるのです。日本がどんどん作って出すから幾らでもはけるかといえば、向こうにも同業者がおって文句を言うのです。だから日本で非常に安く作ってどんどんやればもうかるなんというものでなく、やはり日本の国内の国民的な立場から、そういうメーカーがもうかりはしないかという心配はあなたはしなくてもいい。むしろ電波行政に携わるあなたとしては、日本の国民か電波を通じてどれだけ利益を受けるかということをお考えにならなければならぬのじゃないか。現在東京、大阪、あるいは五大都市、六大都市というところでは、スポンサーなどの面において十分やれる。これは採算が合う。ところがたとえば公共放送であるNHK、スポンサーのつかないNHK、これが全国にどの程度までやっていくか。さらに地方の小都市、私の郷里のような小都市、こういうところは民間の地方放送局がありますが、しかしこれがカラーでやるというほどのスポンサーがはたしてどれだけあるか。これが実施をされて一部の人が非常にもうかりましょう。しかし国民的な立場、あるいはもっと公共的な立場からする場合には、採算の問題についても、また利便の点についてもアメリカでさえ五十万でストップでありますから、いろいろこれを深く研究しなければならぬ点があるので、逓信委員会などでも問題になっておったわけです。大臣はちょっと一カ月足らず向こうに行ってこられたところが、すっかり自信を深められたようでありますが、この点についてはいかがでありますか。
  88. 植村春彦

    植村国務大臣 片島委員の御質問は、最初アメリカではどうだ、ヨーロッパではどうだという御質問だったものですから、受像機の輸出問題で日本と欧米との関係を申し上げたのでございますが、カラー・テレビを許可すべきものかどうかということに対する全般的な意見といたしましては、決して今の輸出問題だけで許可すべきであると考えているのではございません。確かに御指摘の通りこれは文化進展のために、カラー・テレビを許可すべきであると考えます。従ってその文化進展の途上といたしましては、これは初めから非常に大ぜいの人たちに見てもらうまで許可しないということは、文化向上のために私としてはとらざるところでございます。最初は大ぜい一緒の広場で集合いたしましてカラー・テレビを見る。次にはだんだんコスト・ダウンされて安くなったら、各家庭にそれが入っていく。さらに発明されて、トランジスター・ラジオのようにポケット用ができますれば——今日は普通のテレビはすでにポータブルができておりますが、カラー・テレビにおきましてもそういうような発明ができますような段階になりますれば、個人のポケットにも入っていく。要は第一段階として集合場所、第二に家庭、第三に個人のポケットに入る。そういう三段階か完全になるまで許可をとめておくということは、文化の進展上残念なことである。普及率は少なくとも大ぜい共通に一つの受像機を見るという立場においても、たとえば教育用の、医術の手術をしているところでも、カラーならば血は赤く、リンパ液は赤くない、黄色みを帯びた色であるというふうに、教育上カラーで放送すべきものもたくさんありましょうし、あるいはまた景色にいたしましても、風俗にいたしましても、あらゆる文化的放送につきまして、カラーによってこそほんとうによい目的を達することができる、そういうふうに考えて参りますと、この際カラー・テレビが今日までの段階になって参りまして、しかも日本の権威者をすぐって集めましたカラー・テレビ調査会の答申でも、ただいまの段階で許可するならば両立方式、すなわちアメリカ方式であるべき旨の答申がありました。私も自分の主観的だけでは、これを許可まで持っていきたくない。自分も欧米を実地に見たのみならず、そういった一流の権威者の答申といったような客観的な事実を待って、初めて許可の取り運びにいきたい。それよりもさらに大切なことは、国会の各党の政務を調査なさる機関にも理解していただくために、御説明にも上がらなければならない。そうしてまた各種のそういった取り運びをいたしましてから許可に持っていくべきものだ、さような考えを持っておる次第でございます。
  89. 片島港

    片島分科員 時間がありませんから、いま一つだけお尋ねして、また午後に譲りたいと思います。  これも放送関係でありますが、公共放送であるNHKの資料をいろいろ見ますと、差引一年間に百六十万人、ラジオの聴取者が契約を解除する。ふえる分もありますが、減る分だけを数字で見ますと、一年間に二百五十八万人の世帯がラジオを廃止する。現在千二百七十万でありますから、一年間に二割のラジオ受信者がラジオをやめるという。私の考えではおそらく現在のラジオの売れている状況、それから古物屋に行った。それを古物屋からだれか買うでありましょうが、二割というものが廃品として出るわけではない。これはどこかにあるわけであります。すなわち自分のうちにありましても、テレビがあればもうラジオは聞かないと言う場合に、踏み込んでいってこれを調査して、それであったじゃないかというわけには現在の法律ではいかないわけであります。そういたしますと、だんだんと減っていく。テレビがあるから要らぬ、これは重要なことです。私が分科会でこういう発言をしますと、新聞にでも載れば、ああそうか、もううちは払わぬぞという者が出てくるのではないかと心配をいたします。それに集金などに行った人が、これはほかのところから聞いたのですが。お宅はテレビは要りませんか、お宅はラジオはいかがでしょうか、もう古くなってはおりませんかとか言って、ラジオ、テレビの聴取の世帯でないところに聞きに来るのだそうです。そうすると、うちはまだ買ったばかりですよ、ああそうですかと言って帰って、今度集金に行く。この前来たときにあなたは買ったばかりだと言ったじゃないですかと、前にちゃんと調べてありますからいたけだかに言う。そういうスパイみたいなことをしてまでやるということを私は聞きました。これは容易ならぬことであります。きめ手がないからそういうことになるのでありますが、一年間に二割という数字は二百五十八万ですが、来年度また二割、だんだんこれは減っていく。開拓も幾らかありましょうけれども、まだラジオが道に捨ててあるのもごみ箱に捨ててあるのもない。売ったとかどこかにあるのですが、これだけ解約をするというようなことについて、あなたは所管大臣としてどういうお答えですか。
  90. 植村春彦

    植村国務大臣 この問題はただいま検討中でございますが、検討の最中におきましても、いろいろな防止方法あるいはNHKの採算維持につきましては議論もあります。たとえば税金のように聴取料を徴収したらどうか、これにつきましては、目的税というものはなるべくならば置かない方がよろしいのだという議論もございます。かつまたラジオの聴取料の金額からいたしまして、一月に八十五円の聴取料が、税金という名前をもって徴収されますことの可否についても論議がございます。また今度はそれに引きかえまして、それではテレビ聴視料にラジオの聴取料を含めたものを徴収したらどうだろうかという議論もございます。いろいろな議論がございまして、まだ結論までには到達いたしておりませんけれども、これは早急に検討いたしまして、今後の料金問題、また民放には料金はないわけでございますが、民放の今後のあり方、放送問題についての各種の問題を審議しまして、政府と監督官庁としてのあり方、方針を打ち出していくことで、目下進行中でございます。
  91. 片島港

    片島分科員 この問題はもう今日の問題でなく、数年も前、民放ができた当時から問題になっているのであります。そこで契約廃止者が二百五十八万、全体の受信者の二割、これはまことに目ざましい激増ぶりであります。料金問題がむずかしいのは御承知通りですが、このままにしておったのでは公共放送としてのラジオは成り立たぬのではないか。テレビでもうければいいということがあるかもしれませんけれども、これだって全国に行きました場合にはある程度頭打ちかくるでありましょう。そうなった場合に、ラジオというものについて採算が全然とれない。だから今度は経理を一本にプールにしよう、こういう状態であります。こう激増している場合には、税金でやったらいいのではないかというようなことは、もう前から議論されておりまして議論済みであります。そういたしますと、公共放送として今後経営を維持していくためには、早急に何らかの方法を考えなければならない。口だけでなく、期限を切ってやらなければならぬと思うが、これはいつごろをめどにされておりますか。来年になればもっと、再来年になればもっととこれはふえるでございましょうが、いつごろをめどに進行しておりますか。非常に急を要するものだと思います。
  92. 植村春彦

    植村国務大臣 いつという期限は今のところちょっと申し上げかねます。まだそこまではっきりした目標は出しておりませんが、できれば私が首にならない間に目鼻をつけたいと思っております。
  93. 片島港

    片島分科員 あなたが首にならない前なら非常に早いと思うので、これ以上追及いたしませんが、一つできるだけ早急に御検討願いたいと思います。  非常に時間が過ぎましたので、あと電信電話関係については午後の分科会で質問することにして、午前中はこれで終わりたいと思います。
  94. 岡本茂

    岡本主査 この際午後一時十分まで休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後一時二十五分開議
  95. 岡本茂

    岡本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。片島港君。
  96. 片島港

    片島分科員 最初数字の問題になりますが、電信電話事業は御当局の非常な努力によりまして、年々異常な進展をいたしておるようであります。ちょうだいをいたしました資料によりますと、年度別の電話の開通加入者が、昭和二十八年度というと第一次五カ年計画の当初でありますが、二十八年度を一〇〇といたしまして三十四年度には一八一、市外電話に至りましては回線において二四二、これも二十八年度を一〇〇として二四三、キロ程で二七八、収入が二〇四、こういうふうに二十八年から三十四年までに至りましておおむね二〇〇%、おおむね倍増いたしておるような状態であります。非常にけっこうなことだと思うのでありますが、これも結局皆様方のいろいろな計画のよかったこととともに、従業員の非常な能率の向上、生産性を非常に高めた、これがどうしても重要な要素といわなければならぬのでありますが、倍増いたしておりますのにかかわらず、職員の年度別を見まするならば、昭和二十八年度を一〇〇としてわずかに一五%というような定員増加であります。もちろんこれは後ほどもお尋ねいたしますが、合理化などによって人手が省けたという点もありましょうが、しかしながら一部の面、収入が上がったとかいう一つの問題だけでなく、加入者数も、市外回線キロ程も、収入も、すべてが倍増いたしておりますのに、要員がわずか一五%という状態では、電信電話の異常な発展の陰に、従業員の方へ労働の面においてしわ寄せが来ておる、こういうように数字的に考えるわけであります。この倍増いたしました電信電話に対しまして、要員が非常に少ない。努力はされたか知りませんが、非常に少ない。ここだけが特別、ほかの数字は全部倍増しておるが、これが同時に倍増とはもちろんいかないのは当然であります。当然ではありますが、何か基準がなければならぬと思うのです。たとえばふえていくのについて、倍増した場合には何%ふえるといったような何かの基準が、定員の算出の根拠になっていかなければならぬ。ただとにかくこれだけ要求してみろ、大蔵省査定をされたならば、もう一回復活をやってみろ、こういうことでなく、動かせない算定基準というものがなければならぬと思うのでありますが、この点について電電公社側からまず承りたい。
  97. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいま先生から電信電話の事業のわが国の発展につきましてお話がいろいろありましたが、お話通りでありまして、加入数、回線数、キロ程、そのほかにおいて非常な発展をいたしたわけであります。この発展のもとには全従業員の非常な協力と努力とが基礎になっておるわけであります。その点も先生のおっしゃる通りであります。ただ私たちの方のこの事業の発展は、おほめにあずかりましたが実はわが国だけでなくて、世界的なものとも言えるわけでありまして、この加入数増加の趨勢等は、すでに非常に発達しておるアメリカやイギリスの方面においても、同じような発展のカーブをたどっております。わが国におきましては、なおまだお客さんの需要か非常に多くて、その需要の三分の一しか満たし切れないというような、ほんとうに情けない状況であります。むしろ今後大いに努力すべき余地の方が多いと思うわけであります。  ただいま御指摘の人の問題でございますが、われわれの電信電話、ことに電話事業等におきましては、設備の近代化というようなことが一つの大きな課題になりまして、決して従業員の労働の過重ということでなくして、設備の近代化によって、労働の能率化、生産の能率化をはかっていくということが、われわれの事業に与えられた課題であろうと思うのです。そしてお客さんのサービスをよくする。そういう関係から、このように事業量が非常にふえているにもかかわらず、人の増員の比率はあまりこれに伴わない。むしろ相当な節約がされてくるというのが、われわれの事業の一つの特質だろうと思います。しかしそれにしましても、これだけ大きな拡張をやっておりますから、いかに少数にしてもおのずから相当程度の人数が要るわけでありまして、大体それにつきましては、従来の実績による増員の率というものを前提にいたしまして、もちろんそれに今の設備の近代化による経営能率による節約等を考慮して、その人員の増員要求並びに決定いたすというようなことになっておるわけであります。必要な人員の確保につきましては今後とも十分、できるだけ配意していきたい、こういうように存じております。
  98. 片島港

    片島分科員 私がお尋ねしたのは、要員の算定について確固たる一つの基準がなければならぬのじゃないか。ただ従来の実績に応じてと言いますが、その実績も何かの基準がなければならぬ。あらゆる面において倍増いたしておりますのに、要員だけが非常に少ない、増員か非常に少ないということは、一体どういうことであるか。そこに確固たる算定の基準というものが、電電公社にはあるのかどうか。これは郵政関係についてもお尋ねをいたしたのでありますが、郵務関係については、百何十万通とかなんとかいうような算定基準を言っておられました。私は決してあの答弁に満足はいたしませんが、電電公社の方は、午前中の質問にもありましたように、経営状態が発展をしまた向上をしており、非常に利益も上げておる。こういうところにひとり要員だけが残されておるということは、これはどういうことであるか、この点を明らかにしていただきたい。
  99. 横田信夫

    ○横田説明員 先ほどの先生の御質問に対しまして私抽象的なことを申し上げましたが、大きな方向としてはただいまお答えいたしましたような方向だと思いますけれども予算増員の大体の基礎はやはり実績によっております。そのほか事業内部におきまして、個々の局への人の配置というものを考える場合、これは一応の尺度というものを設けております。しかしこれも今の時間帯による人の配置——だんだん夜になって人が減るに従ってひまな局へ必ずしも配置しなくてよいというような点におきまして、時間帯による相当の配置の変化というようなことも考えられるのであります。その今の配置の内部的の一つの尺度としましては、毎年々々更新することになっていないのでありますが、現在の尺度としてはなお相当古いものが一応尺度として使われておりますが、そのままでなくて年々の能率増もありますものですから、これは内部の尺度として使っておるだけで、そのままの配置とはいたしてないわけであります。
  100. 片島港

    片島分科員 非常にあいまいな算定のようにしか私は受け取れぬのであります。結局この電信電話の発展の陰の一番大きな要素となるのは要員でありますから、もっとはっきりした——たとえば三十五年度予算におきまして、昨年の五割増という建設計画が示されておる。それに人員はどうなっておるかといいますと、建設関係で二百五十人であります。五割というような非常な大きな拡張をいたしますのに、二百五十人の建設要員がとれておるのにすぎない。これはおそらくどういう類似の事業から推してみましても、あまりにも少ないのじゃないか。それが現在の従業員に、非常な労働強化という形でおおいかぶさってくるのではないか、この点を非常に心配をするわけであります。非常に電信電話が拡張され、そして非常な利益を上げております。しかしそれにもかかわらず三カ年くらいかかってもまだつかない、こういうような状態であります。申し込んで三年たってもまだつかない。企業は安定どころではなくて非常な収支差益、収益を上げておる。そうして申込者も多いし、事業経営としては最も有利な事業であるにかかわらず、三年かかってもまだ架設できない、こういうところに私はいわゆる要員問題というものが一つの隘路になっておるのではないかと思う。今日の電信電話公社のような経営状態の中で、三年以上も——これはヨーロッパ諸国、ことにアメリカあたりを私たち見て回りましても、日本のようなところはないようであります。申し込んだならば、要するに商品でありますから、もうすぐつける。それは技術的に三日とか一週間とかいうことはありますが、日本のようにいつつくかわからぬというような状態というのはない。どうしてこんなに収益を上げておるような有利な事業で、三年かかってもつかないのか、このつかない理由、すなわち隘路となっておるような点は、諸外国と比較をしてみた場合、どういう点にあるのか、その点を一つお尋ねいたします。
  101. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいまの御指摘の通り、日本では今度のような拡張計画の幅を拡げてみましても、なおかつお客さんの需要に対してわずか三分の一のお申し込みに応じ得るだけ、はなはだ情けないわけでありまして、長期計画の目標といたしましては、ようやく十三年後に需給のバランスがとれるというくらいな規模で、まことに情けないものであります。御承知のように本年度二十八万、来年度から外債ができれば、それを基礎にして四十万という規模に上げて、なおかつお客さんの需要の三分の一しか満たせない。先生の御指摘のごとく、電話の需要発展というものは世界共通ではあるけれど、申し込みの三分の一しか応じられないという情けない情勢は、まあ世界の文化国は決していい方ではない、悪い方だということであります。それならば一挙にもっとうんと拡張して、お客さんの需要の充足が早期にできるようにするのにはどうしたらいいか、隘路はどこか、こういう御指摘でありますが、その非常な拡張をするにつきましては、もちろん人の問題もありますし、工事力の問題もあります。あるいはメーカーの能力、いろいろな問題かありますが、それにしましてもそう一ぺんに拡充できないという一番の隘路は、現在としては資金かと思われるわけであります。もちろん従業員につきましても、一度にふやした従業員がすぐ万全の能力を発揮して、今の設計監督あるいはそういう工事の施行等に当たれるかということになりますと問題はあります。そういう点で、人の関係においても、採用ということだけでなしに、訓練その他についても万般の措置を必要とするわけでありますが、もっと大きくする場合のさしあたっての問題ということになりますれば、あるいは所要財源の問題かと存ずるわけであります。
  102. 片島港

    片島分科員 どうも資金というのは不利な条件にある企業には回らない。あなたの方は自己資金でもまことに膨大なる資金を出しておる。これがどうしても今日まで開通しないという原因は、お話のように資金の問題、要員の問題、それから資材、それを使う技術、こういったようなものがあるわけでありますが、過去七カ年の実績を見ると、事業の方は倍増しておるのに、要員の方は一五%しかふえていない。先ほども指摘をいたしましたように、今雇っても直ちには使いものにならぬので、当然前もって養成をし、訓練をしておく必要がありますから、一五%というようなことではなくして、さらに来年は建設において五割も拡張しようという状態のときに、人手が不足ということは最も大きな要因になるのじゃないか。今採用しても使いものにならぬと言っておきながら、過去七カ年間において一五%くらいしか要員を入れておらないというのには矛盾がありはしないか。この点はいかがですか。
  103. 横田信夫

    ○横田説明員 お話のごとく、職員の訓練、採用の後の訓練、こういうようなことにつきましては、今後ともなお一そうわれわれとして努力しなければならぬと思っております。ことに新技術の採用ということが相当問題でありますので、この辺につきましては、先生の御指摘のように、なお一そうわれわれ努力いたしたいと思います。  なおこの人の問題につきましては、同時にある程度の人の職種転換というものもありまして、先生よく御承知のように、設備の近代化に伴って、やはりある程度の職種転換というものは、従業員の方々にがまんしていただかざるを得ない点があるわけであります。われわれの方もこういう設備の近代化に伴う従業員の馘首はしないという協定を、組合の間にはっきり結んでおります。しかし職種転換、配置転換だけはやはりがまんしていただかなければならない。そういう意味におきまして、新規採用以外の従来の人の職種転換による訓練というようなことにも、なお今後一そう力を注いでいきたいと思っております。なお人員の問題につきましては、年々の増加人員は、大体従来の実績を前提にいたしておりまして、たとえて申しますれば三十四年度で二十八万加入という増設をいたす予定であったわけでありますが、それで増員は四千二百五十名、今回はこれが三十七万という計画をいたしておりまして、これによります増員を五千三百十六人を予定いたしておるわけであります。その比率において昨年と大体同じような人の増員をこの予算においても考えておるわけであります。
  104. 片島港

    片島分科員 要員の問題は、ただいまお話の近代化の問題で後ほど大臣にお尋ねする一つの項目がございますから、そのときにさらに話を進めたいと思います。  大臣が本会議にちょっと行かれるそうですが、その前にお尋ねしておきたい。今度の建設計画におきまして、加入者が最低二万円から最高十五万円という負担をしなければならぬ、債券を買わなければならぬ。非常に安定をし、しかも非常にもうかっておる事業でありながら、最高十五万円も買わなければならぬ。もちろん十五万円というのは一級局でありますが、私がいただいた資料で計算をやってみますと、昭和三十三年度末でございますが、そのときでもすでに二百九十万の加入者があります中に、五級局以上が百九十二万というふうになっております。六級局以下が六千六百八十局、五級局以上が百八十七局、局数からいきますならば五級局以上はまことに少ないのでありますけれども加入者の数からいけば百九十二万でありまして、六千六百八十局の六級未満というのは加入者としてはわずか九十八万、こういうふうに大都市に加入者が集中をせられておる。それで今度のいわゆる加入者債券の平均を見ますと、大体十一万円くらいになっておる。要するに十一万円出さなければ電話はつけてもらえない。毎年々々積滞がふえておる。これを解消することは非常に大事なことでありますが、しかし平均してまず十一万円も現金を出さなければつけられない。こういうやり方というものは諸外国にも例がないのじゃないか。こういうことにしますと、せっかく電話をつけようという人も、非常に必要なことがあっても、金持ちでなければ電話はつけられない。要するに相当負担能力のある者でないと電話はつけられない。負担能力によって電話の加入を押えつけるというような形が出てくる。これはまず外国の例はどうなっておるのか。そうしてこういう有利な、しかも数百億の金をもうける、それだけ収支の差額が出て、自己資金にも数百億の金を出す。こういうときに十何万円も金を出さなければつけてやらない。これによって希望を押えるというような形が出てくる。こういうことが諸外国でも認められておるのか認められておらないのか。また電電公社のごとく、今日のようにそういう安定をし、繁栄をしておる企業が、これまでたくさんの負担金を取らなければつけられないような状態にあるのかどうか、この点を一つ大臣からお伺いしておきます。
  105. 植村春彦

    植村国務大臣 私は諸外国の例は、実ははなはだ申しにくいのですがよく存じません。電話局を視察に参りましたのも九年前でございまして、足かけ十年前に外国の局を見せてもらいまして説明を聞きましたが、よく記憶いたしておらないのでございます。その点はなはだ答弁として遺憾に存じます。  さて今のお話でありますが、確かに都市に加入者が集中いたしておるのは事実でございますが、こういう電話といったような施設は、理想的に申しますればだれもが無料で使えるのがむろん理想であり、また交通、通信すべて無料が理想でございましょうが、それならば実際問題としてそれができるかと申しますと、とても一般会計ではまかない切れない問題である。そこで理想そのものはそういうふうなことであろうと思いますが、それに近い方法と申しますれば、これは自己資金でもって公社が設備するのが一番理想に近い。自己資金でできなければ、これは国家資金でもってまかなうべきである。その国家資金でもできなければ財政投融資、国家ないし特殊銀行から借金してくるとか、あるいは社債等でもってまかなっていく。そうして加入者には御負担をかけないというのが一番けっこうだと存じますが、今日の情勢から、いたしましてとてもそれは困難であるので、やむなく加入者に御協力を願っている。しかもこのように積滞数がどんどん積もり、それにも増してどんどんと新しく架設希望者がふえてくる現状におきましては、ただいま副総裁からも御説明申し上げましたように、よんどころなく二万円ないし十五万円の債券を協力してもらうこととせざるを得なかった次第でございます。御指摘の通り三十万円かかるところを即時化や何かの特殊な費用を除きますと、大体におきまして全国平均二十一万円ばかりかかるわけでございましょう。そうするとどうもはなはだ非科学的な話ではありますけれども、半分は加入者の方で御協力願う、半分は公社の方で出しますからというふうなことで、平均十一万円を加入者に御協力願うというふうにしたのでございますが、しかしすでに国会におきましても御決議をいただいておりますので、その御決議を尊重いたしまして、加入者の御負担はできるだけ少なくするという意味におきまして、負担金としては負担法の当時よりも、今回提出した法律案におきましては安くして、二万円ないし十五万円というものは、加入者からお金を貸してもらう、電話債をしょってもらう、そういう意味におきまして、負担してもらうのでなく、お金を借りるというふうな方式をとらざるを得なかった。それによりまして国会の御決議をも尊重したということに御理解いただきたいと存じます。
  106. 片島港

    片島分科員 結局加入者負担ではない、こういうことを言われますけれども、やはり平均十一万円の金を公社が借りるわけでございます。貸すだけの余裕のある者でなければ結局つけてもらえない。ただいまただでいくのが理想だと言われましたが、私はただは理想ではないと思うのです。汽車でもただ乗る、電話でもただかけるということは理想ではありません。おそらく世界じゅうにただで汽車に乗ったり、一般にただのところはないのであります。汽車に乗るような人に債券を買わして、九州から東京まで行くのに債券を千円買えとか一万円買えとかいうことは言いません。これは料金の中において維持費としてやっておりますので、電話もつけた後は維持費として適正料金を取るのは当然でありますが、最初から十何万という負担をしなければならぬというのは、ほかの公共事業の場合にはない。電電公社が非常に困っている事業ならばこれも仕方がありません。ところが電電公社は御承知のように隆々たる発展を遂げ、数百億の利益を上げているところでありますから、ほかにたとえば財政投融資もありましょう、国家資金もありましょうが、民間からもまた資金繰りができるわけでありますから、ほかの新たに入ろうとしている人を押えつけるような、金持ちでなければつけられないというようなことではなく、もっとほかに方法があるのではないか、この点を私は質問をしているわけであります。先ほど外国の例は御存じないということでしたが、電電公社も来ておりますから電電公社からも承ることにして、これだけの負担をかけなければ、電電公社は実際現在の経営上どうしてもやっていけないのはどこに原因があるかを、国民が納得できるように大臣からもっと詳しくお話を伺いたい。
  107. 植村春彦

    植村国務大臣 通信無料理想論はどうも片島先生と私と政党の立場を逆転したような感がございますが、私は通信というものについては、ほんとうに理想は、ものをしゃべるのにもただでしゃべりますから、設備を使ってもやはり理想的にはただがいいのだ、しかしそこまではなかなか世の中が……
  108. 片島港

    片島分科員 それは共産主義よりほかにないよ。
  109. 植村春彦

    植村国務大臣 決して共産主義ばかりではない。国家社会主義におきましてもさように考えます。私たちは理想はそうであるけれども、現実の姿はそうではない。やはり受益者負担ということも多少加味することが当然だ、こういった政策でございます。そこで料金と同じように受益者負担ということを認めざるを得ないというふうな立場で申し上げているのでございます。外国におきましても全然加入者負担しないという例はないように聞いてはおりますが、最近のことは存じません。そういうふうなわけでございますから、今回はいろいろな数字を勘案した結果、全国平均十一万円程度の債券を持っていただいて、そのかわりその債券はまた担保に入れてごく低金利で金融の道もできるようにしてあるし、また売ろうと思えば電話債のことでございますから、売れるといったような処置もとっているわけでございます。
  110. 横田信夫

    ○横田説明員 お話の点につきましては負担金的なものと装置料と申しますか、損耗品的なものを負担してもらうという問題と二つありますが、先生のおっしゃいますのは大体負担金的なものをおっしゃっておられると思います。負担金的なものといたしましては、外国の制度が全部わかっているわけではないので、われわれがさしあたって知っているのは、たとえばフランスでは加入申込者に接続料の名義で三万フラン、邦貨に直しまして二万二千円、これは取り切りでありますが、それをいただいているというような例、あるいは取り切りではないのですが、先ほどの先生のできるだけ料金で設備する金も調達すべきだという点を前提としながら、先払いをたくさんもらうというような制度をやっておるような国、たとえばインドでは二十年間の料金を先にもらっておく。二十年ですから相当金は多くなります。そういうような例がありますが、そうたくさんはないように存じております。
  111. 片島港

    片島分科員 大臣がお帰りになってからさらに話を進めて参りますけれども、あなたの方で先ほどお話のありましたいわゆる設備の近代化、合理化ということが現在非常に進められておるわけでありますが、合理化を行なうということは非常に重要なことで、企業経営上どの企業でありましても近代化をはかり、合理化をはかっていくということは経営の要諦であろうと思うのであります。合理化をやる場合にもいろいろな効果をねらってやるということになります。電電公社の場合でもどこの場合でも同じですから、電電公社に聞かなくて、通産大臣なりあるいは労働政策なら労働大臣とかいうのが当然でありますが、電電公社は一体どういう効果を特にねらって合理化を進めておられますか、御説明を願いたい。
  112. 横田信夫

    ○横田説明員 先生の御質問、非常に広範な問題でありますので、御質問に対する妥当な、全部をおおうような答えになるかどうか幾分疑問がありますが、まずわれわれのやっております問題で電話における設備の近代化、電信における設備の近代化、大体二つに分けてみまして、電話の設備の方の近代化として今行なわれておる一番代表的なものは、国内電話の自動化、今までの交換手を介して行なっていく手動交換の磁石式あるいは共電式から自動交換にしていくという問題に進んでおるわけであります。自動交換の目的は、加入者相当多くなった場合に、これを全部手動交換でやっていくことについては、相当交換手の操作自身にも無理がありますが、設備の容量といたしましても、共電式の容量というものはそうむやみに多くなりはしない。ことにそれが相互接続するということになりますと相当むずかしくなる。先般まで日本で代表的な共電のものとしまして京都に西陣という大きな局、八千近くの局があったわけであります。それを京都のほかの局とつないでいくのには相当困難があったわけであります。そういう意味で市内の自動化ということにつきましては、お客さんのサービスを向上していき、しかもこれを動作そのほかで合理的にやっていこうとすると、自動化の方向に進まざるを得ない。しかもこれが市外と関係いたして参りますと、ますますそういう方向をたどるのが世界の傾向でありますし、また事業の経済的運営という点からいっても、そういう大きなものになるとやはり自動化の方へ行くのが、経済的な運営になるだろうと思うわけでございます。なお自動化の中でも近代化の方向がステップ・バイ・ステップ方式から大体クロスバーの方式の方へ行くという方向をたどっておりますが、これもできるだけ保守というようなものを楽にしていこう、仕事を簡単化、能率化していこうという、いわゆるスリーS・ポリシーといわれておりますが、標準化、特殊化、簡易化、こういう大量生産方式をとっていこうということに主眼が置かれるわけであります。市外の方におきましても、御承知のように従来は全部交換手を介しておりましたが、近郊につきましては交換手を介さなくて、直接お客さんがダイヤルして相手を呼んでいただく自動即時という傾向になって参っております。すなわち手動待時から手動即時、それから自動、これも大体サービスの向上、経営の近代化、経済化ということを目標にいたしております。  電話の方もたくさんありますが、一応そのくらいか代表的なものとしておきまして、電信の方は、今電報の中継機械化ということを設備の近代化の目標にいたしております。この点は一般のお客さんにはなかなかわからない点があるわけでありますが、そのねらっておるところもやはりサービスの向上であります。先生は専門家であられますから非常によく御存じでありますが、電信の場合、東京から地方の局に行く場合に途中に中継の局がある。その場合に全部手で受けてまた手で打つ、こういう過程を今までたどっておったわけであります。これを全部自動的にはやっていくようにしますならば、速度が非常に速くなる。それから中継に人手を入れないために誤謬が少なくなる。電報の目標は速く行く、誤謬を少なくすることがサービスの向上の一番中心でありますので、電報の中継機械化もそのサービスを向上していくということを最大目的にいたしております。これは同時に事業の経済化にもなる、こういうことを目的としております。
  113. 片島港

    片島分科員 経済的な効果をねらっていく、経費の節約、それからサービスの改善、これも非常に力説をしておられるのであります。私はもう一つ御答弁があるかと思ったのは、従業員の労働条件を向上するような方向もその効果として、%が幾らか知りませんか、一つくらいは出てくるのじゃないか。合理化をやって非常に経済的な効果を公社は上げた。公衆にはサービスを改善する、こういうことを言っておるが、従業員の労働条件は何ら加味しない。現在各工場で合理化をやる場合に、どこでも首切りが問題になります。幸いにして電電公社は年々事業が非常に発展しておりますから、その中に退職すべき人間を吸収をしていく。増員をしないで吸収することかできるから、この中に隠れておる。そこで私はお尋ねをしますが、第一次五ヵ年計画の二十八年から今年に至るまで、あなたの方では要員をふやすという問題と待遇を改善していくという努力をしてこられたと思うのですが、要員をふやす場合に、あなたの方はふえる分だけを要求するわけではなくて、合理化によって減る分、たとえば配置転換があります場合には、原局はそれだけ減員になったわけであります。ほかの局に回したわけでありますから、要するにそれだけ人間が浮いてきたわけであります。要員を算定いたします場合に、やはり減るべきものをあなたの方では年々計算をしておられると思うのでありますが、昭和二十八年から今年度に至るまで、合理化によってどのくらい定員の減を算定いたしておられますか、その数字を承りたい。
  114. 横田信夫

    ○横田説明員 ただいま非常に大事なことを言い忘れたので、先生が仰せられたようなことを補足いたします。御説のごとく設備の近代化の目的というものは、サービスの向上と事業の計画化、それと同時に従業員の作業について、作業環境は当然その場合われわれとして考えておりますか、仕事のやり方についてできるだけ合理化、向上化されていくということは、当然目標の一つにあげなければならぬ問題であります。たびたび申し上げますように、サービスの向上と事業の発展と従業員の生活向上ということが、われわれ経営管理者の三つの大きな目標でなければならぬと思っております。今後ともさように思っております。  次に御質問の配置転換がどの程度数字になっておるかという問題については、数字は二、三分——次に回していただきたいと思います。
  115. 片島港

    片島分科員 今のうちに数字を一つ拾っておいて下さい。非常に大事なことを言い落としたと言われますが、言い落としたのではなくして、それだけ軽くしか考えておらないので、結局言い落とすような結果になるのだろう。今経済界におきましても、経団連などにおきましても、経営者団体におきましても、全労会議との間に労働時間の短縮の問題を一つ話し合おう、こういう状態であります。私は非常に短期間でありましたが欧米を回りまして、日本の労働条件が非常に悪い。向こうは一週間に二日間も休みがある。年休の有給休暇が四十日ないし五十日もある。一日の就労時間もだんだんと短縮しよう。新聞で報道せられるところでは、ソ連あたりでも労働時間短縮をやるということがたびたび報ぜられておるような状態です。ところが非常な急スピードで近代化をやり、合理化をやって、数年ならずして倍増の計画、またそれが実際実施できるような発展を見せた電電公社におきまして、今日まで倍増どころではない、要員の面においても一五%といったような職員の増でありますから、おそらく相当ふえるべきものが、合理化によって不要な人間が出てきたが、配置転換によって、——その配置転換の数字は今お調べを願っているわけでありますが、これだけの合理化、近代化をやっていく場合には、従業員の方に還元さるべきものがなければならぬ。それは計画の中に入っておらなければならぬ。もし現在の労働時間の何%だけ、これだけの五ヵ年計画というものを遂行する、近代化、合理化をやるという場合には、どれだけ経費が節約になるか、サービスがどの程度改善されるか、同時に従業員の労働条件にはどのうな効果が数字的に現われてくるか、数字といえば労働条件と同時に給与の問題になってくる、そういうものか計画の中に入っておりますかどうか、全然合理化計画の中には初めから労働条件というものは考えておられないのかどうか、その点を一つお尋ねしたい。
  116. 横田信夫

    ○横田説明員 まず先ほどの問題にお答えさせていただきます。設備の近代化に伴ってお話のごとく交換手が要らなくなる、あるいはほかの方へ、電信としても従来の運用から保守の方に職種転換を必要とするというような問題がいろいろ起こるわけであります。お話のごとくわが事業におきましては、幸いそういう近代化によって要らなくなる人はあっても、拡張を控えておりますものですから、首は切らないということを組合と協定いたしておりますし、その通り実行してきております。そこで従来の実績はどの程度になっているかと申しますと、配置転換や職種転換を必要とする人がだんだんふえてきておりますが、二十八年度におきましては職種転換、配置転換、両方合わせて五十一人でありましたものが、二十九年は三百二十八人、三十年度は四百七十五人、三十一年度は六百十八人、三十二年度は千六百九十人、三十三年度は千八百二十五人、こういうような工合にふえてきております。三十四年度も大体三十三年度に幾分加わる人が職種転換、配置転換を必要とすると存じております。  次にお話のわれわれの設備の近代化、合理化、事業の発展に伴って、従業員の待遇改善ということにどういうようにはね返っていくか、そういうことが計画されているかという問題でありますが、午前中も御答弁いたしましたように、電信電話の事業といたしましては、サービスの向上と事業の発展とともに従業員の生活の向上、この三つが相伴っていくことをわれわれ経営管理者としてほんとうに願っているわけであります。従来も努力し、今後も努力しようと思っているわけであります。ただ公共企業体としての法律的制約、その性格的な特徴もありまして、公社法三十条によりまして、その給与のレベルにつきましてはああいう一定の制限のもとに行なわれるようになっております。それから能率の向上に伴ってどういうものが入っているかということにつきましては、先生御承知のように今年度初めて仲裁裁定による第四項手当、これは予定の生産能率を向上した、それに対する給与として考えていこう、そういうことで初めて三十五年度から予算化されたわけであります。これが予算の中に八億五千万円計上されているわけでございます。なお、その予定された能率を越えて業績が上がったという場合におきましては、それに対して業績手当というものを考えるというようなことにいたしております。なお、そういう従業員の直接給与のほかに、物的給与と申しますか、厚生福祉というような点で、住宅の拡充あるいは医療設備整備、それから先ほど先生から御指摘がありましたように設備の近代化によって、たとえば改築、増築をするというような場合に、やはり作業環境をよくしていくということについては、できるだけ配慮するというような方法を講じているわけであります。そういう方法をもって今後ともなお一そう努力いたしたい、こう考えております。
  117. 片島港

    片島分科員 今お答えになりましたいわゆる合理化に伴って人手が不要になった、職種転換、配置転換のお示しの数字が六千二百人くらいでありますが、三十四年度も大体そのくらいとするならば、約八千人というものがあなたの方では人手が節約をされて、それだけ経済効果が上がったことになるわけであります。そのように計画的に定員の減、すなわちそれだけ経済的に公社の経営がよくなるというのは、数字をもってちゃんと計画の中に織り込まれておりますが、私のお尋ねしたのは、従業員の労働条件の向上、これは時短の問題やあるいは給与の問題となるのでありますが、給与の増加、この労働条件の面においては計画の中に定員の減を計画されておると同じように、何らかの形で数字が織り込まれておりますかどうかということで、先ほどお尋ねをしたわけであります。
  118. 横田信夫

    ○横田説明員 その点につきましては、ただいま私の言葉が不十分な点もございましたでしょうが、給与のレベルの問題につきましては、年々レベルが上がるということを特に入れた意味ではございませんが、もちろんこの計画の中には昇給というものを前提にいたしております。しかし昇給のほかにレベルの問題もありますが、この問題はただいま申し上げますように、公社の性格としまして、レベルを公社だけで上げるというわけにはいかない問題でございます。この公社法に規定されておりますように、公共企業体の性格上、一般のレベルとの調整を見ながら見ていくということが、公共企業体の本質であろうかと思います。レベル問題自身についてはそういうように考えられておるわけであります。なお業績、能率が上がった場合にどうするかということにつきましては、ただいま申し上げましたように、仲裁裁定の四項に基づくものを前提にいたし、業績手当を支給する、こういう制度を前提にして考えられておる、こういうことに御了承願います。
  119. 片島港

    片島分科員 それで明らかになりましたのは、合理化、近代化による定員の減はちゃんと計画の中に盛られておりますが、時短の問題やあるいは給与の面——ただいま昇給原資ということを言われました。昇給原資は勤続を長くすることによって定期的に昇給をするものの原資でありまして、これは公務員も認められております。古くなれば給料が上がっていくという制度でありますから、これは論外であります。皆さんのやっておられる近代化、合理化ということを進めていって、公社の経済的にどの程度、たとえば八千人の人間を減らすことができる、あるいはサービスの向上は、現在まで即時でなかったところが、どことどこの区間は即時になる、こういうふうに現実にもう計画の中に織り込まれておる。それが副総裁が一番最初に言い落としましたこの従業員の労働条件の向上、こういうことについては、ただ定期昇給がある、あるいは事後処理的にあとで成績が上がった場合に幾らか給与をふやしていこう、あるいはもうからなかったのに仲裁裁定があって二百五十円ばかり給料を上げる。これはあなたの方ばかりでなくどこだって上がった。経営の非常に不振なところでも上がっておる。近代化も合理化もやらないところでも二百五十円は上がっておる。あなたの方は特別にこういう近代化、合理化をやって非常な企業の効果、成績を上げておるから、そういう場合にはどうしても従業員の労働条件の向上というものも入れるべきである。減らす分だけを減らして、もうかる分だけは目に見えて、またサービスの改善になったところは目に見えてはっきりわかっておるものが、何ら数字的に計画的に労働条件の向上というものがうたわれておらぬ。これが私は、今後皆さんが従業員対策、労務対策ということをやっていかれる上において、非常に重要な問題であると思う。これはまだ今からでもいい。全然今まで見ておらなかったことを、誤っておったところは改めるに幾らおそくてもいいですから、当然こういう条件というものを一項目計画の中に織り込めていただきたい。なお電電公社につきましては、法案も出ておるのでありますから、当該委員会において質問をさらに詳しくいたしたいと思います。  郵政大臣は、先ほどもお話がありましたが、十一万円平均の債券を買わせる、その債券は、担保にして金を貸す者もおる、債券だから売却もできる、こういうことにいたしますならば、債券を担保にして金を貸すだけの人がどこかにおるわけであります。また売却をするのは、この買い手か日本の国内におるから売れるわけであります。それならば、わざわざ一人々々にめんどうに、加入者に一々その債券を買わせないで、そういう市場がちゃんとあるわけでありますから、担保にもなり、売却もできる。それを一まとめにして、公社の資金として財政投融資かできなければ、民間からでも、他の方に何とか十一万円を買わせなくてもやる方法があるのではないか。大臣がうっかり口をすべらして、債券は担保にもできる。売却もできると言われるから、売却ができたり担保にできるなら、その市場が国内にあるわけであります。一人々々何十万人の人間に買わせなくても、まとめて窓口を一つにやる方法があるではないかということを私はお尋ねしたかったわけであります。
  120. 植村春彦

    植村国務大臣 ただいまの問題のばらばらに希望に応ずるか、またはまとめて応ずるかということは、一つの方法としていずれにすべきか考えられるわけでありますが、電話債券に限らず、一般的の問題ではありますけれども、債券市場もマーケットもごらんの通りできております。それからまた担保をとるということにつきましては、普通では取引のない銀行におきましてはいたさないことになっておりますので、それらにつきましては、ただいま勧銀等々と折衝中であることを承知いたしております。
  121. 岡本茂

    岡本主査 加藤精三君。
  122. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 委員会の委員の間、その他の事情で、私短時間で御質問しますので、労働省と郵政省の御当局者は非常に簡明に、私の問に対して明白にはっきり答えていただきたいのでありまして、あいまいなことは言わないでいただきたいと思います。いたずらに時間がかかるばかりでございますから。それを前提として質問をいたします。  「昭和三十四年十二月二十一日、公共企業体等労働委員会会長藤林敬三、郵政省御中、全逓信労働組合御中、今次郵政、全逓間における紛争あっせん案の中で、組合執行部は、この際、とりあえず、当局が解雇の措置を採った委員長、副委員長に代り、当局が解雇の措置を採っていない中央執行委員の中から、臨時の組合代表者を選定し、これをして団体交渉、労働協約の締結、その他組合の代表業務執行の責に任ぜしむること。」ということがございますが、そういうことで野上委員長、宝樹副委員長、大出書記長というような人を排除して、臨時代表者が一時業務をとるということになったわけでございまして、その藤林あっせん案の一に、「さしあたり、被解雇者以外の中央執行委員中より臨時組合代表者を選定し、交渉を再開すること。」とあるこの「さしあたり」という言葉が問題なのですが、「さしあたり」といいますと、これは近い将来において法律違反の委員長その他が辞職することを意味しておると思うのです。そういうためには、全逓側におきまして相当誠意を示して、早く取りかえる必要があると思うのであります。新聞で私は見たような記憶があるのですが、もうこういう大幹部たちは当分やめないということを公然と言っておるように記憶しておりますが、私の記憶違いであれば許していただきたいのであります。とにかくやめる気がないことは確かであります。そういう場合において、これはどうなるのですか。郵政省及び労働省において、それに対してどういう措置をとっているのかということか一つと、それに関連しまして、これはそういう対外関係だけならいいのですけれども、対内関係で組織に対して指令を出したり、大会の座長とかいうものになって議事をどんどん統轄しているとか、こういうことを公然とやっているというのは、非常に不正常な状態じゃないかと思うのであります。  右につきまして、郵政省や労働省がどういう措置をとっているか、それを簡単明瞭にお聞かせ願いたいと思います。
  123. 佐方信博

    ○佐方説明員 藤林あっせん案が出ましてから、さっそく組合の人と会いまして、正式に臨時代表者をこっちに通告してもらいたいということで、正式に臨時代表の尾島繁という人が執行委員の中から選ばれました。その人と団体交渉いたしまして、年末から今日までやってきておるわけでございます。そこで、この最後の項目にございますように「臨時の組合代表者を相手方として、団体交渉、労働協約の締結等に応ずる」ということでございますので、私たちはただいま団体交渉の場合にも、それから労働協約の締結の場合にも、委員長、副委員長でなくて、臨時代表者の尾島繁という人を相手にいたしまして、一切のことをやっております。また団体交渉の席には解雇されましたところの委員長、副委員長は出席いたしておりません。その後野上委員長名をもっていろいろな指令が出ておりまして、いろいろ問題があるように聞いておりましたので、組合幹部に会いまして、結局条約の批准というものは全逓の正常化ということと国内法規の整備ということが条件になっておるわけでございますので、全逓が正常化した、あと残るのは法規の整備ということだけであるのに、いかにも疑惑を招くような態度に出て、自分たちのせっかくの正常化に問題が残っていかぬのじゃないかという忠告はたびたびいたして参っております。
  124. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 それだけですか。とりあえずはどうですか。
  125. 佐方信博

    ○佐方説明員 そこで、いわゆる委員長、副委員長がどうなるかという問題につきましては、これは正常な状態におきまして大会を開いて、それは当然かわらるべきものだと思うわけでございますが、全逓としましては、先週、中央委員会を開きました。この中央委員会というものは、委員長、副委員長をかえる規約にはなっていないわけでございます。今のところは、委員長、副委員長をかえるための大会を開くという計画はないように聞いております。
  126. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 とりあえず、どういう処置をとったかということです。どうも非常に誠意のない答弁でございまして、私は憤慨にたえないわけであります。他から疑惑を持たれるようなやり方のように思うが、それを改めろという。それはもう組織命令を出したり指令を出したり、それからいろいろな会合で議事を統轄したりしているという事実をあなた方は知っているでしょう。知っておって、そして疑惑を持たれる。疑惑を持つというのは大がい間違った疑惑を持っておる。それは僕はおそらく間違った疑惑じゃないと思う。実際対外的にもそういうことをやっているんだと思う。解雇された旧役員がやっている。あなた方が最も身近に預っている団体ですから、そんなことがわからぬはずがないと思う。そういうことをはっきり正直に言っていただきたい。不正常が直っていないということ、それなら、このILO批准の前提になるような意味の正常化されているということをそういうふうにお考えになりますか。それを私はもっと責任者からお聞きしたいのです。大臣はどうお思いになりますか。まずそれからお聞きします。
  127. 植村春彦

    植村国務大臣 私たちはこれまで全逓と団体交渉ができなかったのは、これは法規上解釈いたしますと、全逓には正規の代表者がいなかったので、だれを相手にして責任者とみなして交渉をするか、その相手がいなかった。そのゆえをもちまして団体交渉に応じて参らなかったのでございますけれども、この藤林あっせん案によりまして、今の加藤分科員のお言葉の「さしあたり」、すなわちここに書いてございます「とりあえず」、同じ意味にとりまして、このとりあえず有資格者を臨時に代表者と選定して、それで団体交渉、労働協約の締結をするようにというあっせん案をのみまして、とりあえずあっせん案の通り団体交渉、労働協約の締結に応じつつある次第でございますが、まだ全部は完結いたしておらないので、このとりあえずという言葉がまだ生きておるわけでございます。まだとりあえず団体交渉を行なっておる最中でございます。やがて団体交渉が済みますと、今度はとりあえずではなく、さらに第二段の今おっしゃったILO批准問題等が出てくるのでございましょうが、郵政省の担当いたします範囲におきましては、このあっせん案に基づいての団体交渉、労働協約の締結が問題であるわけでございまして、ただいま佐方人事部長のお答え申し上げた通りでございます。  さらに第二の御質問であります野上、宝樹正副委員長の態度でございますが、私たちの聞き及びますところ、また了解いたしますところでは、全逓がこの組合臨時代表を正規に認めますために、正常化いたしますためには現在はとにかく全逓の立場としては従来ずっと野上君が委員長であり、宝樹君が副委員長であるので、向こうの組合内の事情でもって正規の従来の委員長の名前で招集して、その大会において尾島繁君が組合の内部からも大会において認められる代表者となるのである、その手続のために野上委員長が大会を招集したのである、かように聞き及び、これを了承しておるのでございますが、その後大会におきまする全逓内の結論といたしまして、さらに委員長、副委員長が残るとか、あるいはそこでやめてしまう、正常化の程度いかんというふうな問題につきましては、ただいま郵政省といたしましてはとりあえず団体交渉、労働協約の期間中でございますので、その問題は検討中ではございますが、郵政省としての結論はまだ出ておりません。むろん早急に検討を終えたいと存じておる次第でございます。
  128. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 ただいまの問題は、ちょっとおかしいと思うのです。昭和三十四年十二月二十五日郵政大臣から公共企業体等労働委員会の会長に対して照会した中に、そういう会議の招集等の対内業務も一切含まれる、一切の業務は臨時代表者がやらなければならぬと二に書いてある。大臣の御説明は全然違っています。  それからこの藤林あっせん案には、あまりにも明白なように、交渉再開にあたって臨時代表者がやるということがあるのですが、さしあたり被解雇者以外の中央執行委員長や臨時組合代表者を選定して交渉を再開することなんですから、この理事者の仕事というものは、労働組合においてもこれはずっと継続しているわけなんです。臨時代表者からほんとうの代表者になれば、それは非常にいいので、それが正常化に向かっての道なんです。何らそういうことは理由にならないのです。交渉が終わらないから、さしあたりいつまでも延ばすなんということは全然理由にならぬ。それから大臣がそういうふうなお考えだったら、職員課長ですか、当局の方も早く正常化することを促進できないのはあたりまえなんですよ。これに対して労働省のお考えをお聞きします。
  129. 亀井光

    ○亀井政府委員 藤林あっせんの内容自体は、先生も御承知通りですが、一昨年の春闘で解雇者が出まして、その後四条三項違反の状態がございまするために、団体交渉の申し入れに対しまして、郵政当局は拒否して参りました。問題は、団体交渉をめぐりまする紛争が一昨年以来続いて参っておりましたのを、昨年の十二月藤林あっせんによりまして、委員長、副委員長にかわって解雇されない臨時の代表者で団体交渉をし、労働協約の締結を行なうようにという趣旨でございました。このとりあえずという言葉は、先生ももう御指摘の通り、藤林あっせん員といたしましては、将来における委員長、副委員長の正規な更迭ということを期待をしておると思うのでございまして、それまでの間は、とりあえず臨時代表者で団体交渉なり労働協約の締結を行なうようにという趣旨だと考えておるのでございます。そこで十二月二十日あっせん案が出ますとともに、労使ともこれを無条件に受諾をいたしたのであります。無条件に受諾をしたということによりまして、一応団体交渉をめぐりまする労使関係の紛争というものは、これによって解決された、いわば最低限ではございまするが、労使関係の正常化というものは一応満たされたのではないかと思います。しかし四条三項違反の状態は現在でも続いておるのでございます。このことは昨年、一昨年の国鉄の場合、あるいは動力車組合の場合も同様でございますが、今この藤林あっせんで言っておりますのは、団体交渉をめぐりまする労使関係の正常化という趣旨でございます。そこで、先生御指摘の通り、われわれとしましても、委員長、副委員長が解雇されない者で充てられることを期待をし、その後また藤林あっせんの趣旨に反しまして、内部的業務につきまして従来の委員長名でいろいろな指令を出しておる、こういう不信な行為が新たに起こって参っておるわけでございます。従って、その新たに起こりました不信行為に対しましては、われわれはその是正方をみずからもやりますが、直接の当事者でございまする郵政当局にお願いしまして、強くその是正方をお願いをして参っておる次第でございます。
  130. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 どうも労働省関係の御解釈も私には物足りないところが非常に多いのです。大体ILO条約八十七号批准の前提になるような労使関係の正常化というものは、この臨時代表者によって労働関係を交渉しているこの状態がそれであるということですね。労働省が認めたことなんですか、責任ある御答弁を願います。
  131. 亀井光

    ○亀井政府委員 昨年二月二十日の閣議決定で、条約批准の一つの条件としまして、全逓の労使関係の正常化を待って批准の手続をとるのだという趣旨の決定がなされております。その場合の労使関係の正常化と申しまするのは、労使関係の正常化というそのこと自体は、法律的には、団体交渉し、労働組合の正常な活動ができる、すなわち労働協約の締結、このことを意味いたしておるわけでございます。そこで臨時代表者という、実は組合活動、組合運営の中でへんぱな変則な形ではございますが、一応無条件でこれを受諾しました以上、われわれとしましては、最低限ではございまするが、二月二十日の閣議決定の労使関係の正常化という趣旨は、一応これで全うされるというふうに考えております。
  132. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 とんでもないことを聞くものだと思います。労働省側政府委員のおっしゃるのは、無条件にのんだ組合がそれを履行してないのでしょう、それで正常化だとおっしゃるのですか。
  133. 亀井光

    ○亀井政府委員 このあっせん案の中に示されておりまする団体交渉と労働協約の締結、これが労使関係の正常化の一番ポイントになる問題だと思います。この問題につきましては、臨時代表者との間でそういうこと自体か法律的に認められて行なわれるわけでございます。問題は、先生御指摘の内部関係において、従来の首のない委員長の名前で出すことについての御指摘だと思うのであります。このことは、先ほど申し上げましたように、全逓組合の新しい不信行為でございます。この不信行為はわれわれとしてもあくまでも徹底的に追及し、その是正をはかっていかなければならぬということで、郵政当局にもお願いしまして、努力しておる段階でございます。
  134. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 どうも何だか言葉のごまかしでもって人をごまかすような気がするのですが、どう考えてもこれは、無条件で受諾したものについて、全逓側がその通りやってないのでしょう。あっせん案通りやってないのでしょう。臨時代表者がすべて組合を代表してやるというのでしょう。そうじゃないんですか。こう書いてありますよ。組合執行部は、この際とりあえず当局が解雇措置をとった委員長、副委員長にかわり、当局が解雇措置をとっていない中央執行委員の中から臨時の組合代表者を選定する。これをもって団体交渉、労働協約の締結その他組合の代表業務執行の責に任ぜしむること。こういう構造で、そういう基礎で、そういう根底で、その上に団体交渉というのは始まるわけです。基礎条件ができてないのじゃないですか。そうすると、交渉をいつまでもどんどん続けていれば、いつまでたっても四条三項ですか、正常の代表者が出ないわけでしょう。そういうふうに解釈すべきものじゃないのじゃないですか。それから、とりあえずというのは、近い将来できるだけ早く正常状態に復することを意味している。そうしてその正常状態に復するというのは、こう書いてあるでしょう。「法規に適合する状態において委員長、副委員長により労使関係が処理し得られるまで」、という趣旨であるのですから、できるだけ早く法規に適合する状態において、そういうような委員長、副委員長等を選出するということなんです。それは団体交渉継続中だということに籍口して、いつまでも延ばしていい、ILO条約は早く批准しなければならぬ、こういうふうなお考えだとすれば、驚くべきことなんです。わが国の労使関係の状態は非常に健全だとは言えないと思う。私は少なくとも、労働省の勤務評定をするようだけれども、あるいは労働関係の各省の勤務評定をするようだけれども、そうすれば、経済状態が健全でなかった時代において、無理に金解禁をやって、日本経済がどんな目にあったか。それと同じような状態になる危険があるかもしれない。これは国家的な非常な重大問題である。それに対処するお心がまえとして、ただいま労働省の政府委員がおっしゃったことが労働省の方針であるとするならば、国民はどれだけ心配するかわからない。もう一回御答弁をお願いします。
  135. 亀井光

    ○亀井政府委員 重ねて御答弁申し上げます。とりあえずという言葉は、先ほども申し上げましたように、藤林あっせん員といたしましては、できるだけ近い将来におきまして正規の委員長、副委員長を選任されるということを期待いたしておるわけでございます。従って、われわれといたしましても、また直接の当事者でございまする郵政当局といたしましても、その期待を実現するべく努力をされているものとわれわれ信じておるわけでございます。  そこで問題は、労使関係の正常化がこのあっせん案によって実現できたかどうかという問題だと思うのであります。一応全逓は、先ほども申し上げましたように、十二月の二十日に無条件で受諾をいたしております。無条件で受諾をしたということによって、われわれは、法律的にはそこに、最低限ではございますが、労使関係の正常化——すなわち団体交渉を中心とし、労働協約の締結を目的といたしまする労使関係というものは正常化したというふうに考えます。  次には藤林あっせんの中にございまする代表業務という中には、対外的代表業務、対内的代表業務、これは当然藤林あっせんとして両方含むというふうに考えられていたものだと私は思うのであります。そこで対外的な問題といたしましては、今すでに団体交渉が行なわれておるということによってその事実があがっておりまするが、対内的な問題につきましては、組合の指令としまして、野上委員長の名前を出された事実があるのであります。このこと自体はまさに新たな全逓労働組合の不信行為でございまして、われわれとしましては、この不信行為を直すことに努力しておりまするし、また直接の当局者でございます郵政当局もその努力をされておる。ただ、十七日の中央委員会までには野上委員長の名前で出さなければならない組合の事情といいますか、これは先ほど郵政大臣の御答弁にもございましたような事情もあったようでございます。今後は、われわれとしまして、そういう不信行為が行われないように、これを防止することに極力努力をして参りたい、かように考える次第でございます。
  136. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 今、郵政大臣からいろいろやむを得ない事情があったというお話をお聞きしたのでありますが、それはあとからお聞きすることにして、それでは、やむを得ないから不信じゃないということになるのですか。労働省にお聞きします。
  137. 亀井光

    ○亀井政府委員 不信行為であることは事実でございます。われわれも全く遺憾だと考えております。
  138. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 あっせん案を誠実に履行しなければ不信行為で、履行しているなら、それが一体正常化の状態なんですか。正常化のためのあっせん案をただ形式上無条件で承諾したということだけでもって、あと永久に全体的に正常化の状態が実現された、そういう御解釈ですか、そこをお尋ねします。
  139. 亀井光

    ○亀井政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、最低限の条件というふうに申し上げております。完全な条件と申しますれば、今対内的な問題も、あっせん案の趣旨、すなわち不信行為が払拭されなければならぬと思いまするが、団体交渉を中心としまする最低限度の労使関係の正常化というものは、一応できたというふうに考えております。
  140. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 それは言葉の問題で、何も意味がない。正常化ということは、とりもなおさず正常化なんだ。不信行為をやらないこと、あっせん案に従うこと、法律に従うことが正常化であります。そういう考え方では、私はどうにもならぬと思うのですが、そういう危険な状態で、そういう不信な状態で、それでILO八十七号条約の批准というようなことができる、そういうようにお考えになっておられますか、一つお尋ねします。
  141. 亀井光

    ○亀井政府委員 二月二十日の閣議決定の、全逓の労使関係の正常化ということにつきましては、ただいま申し上げましたように、団体交渉を中心としまする労使関係の正常化というものを条件といたしておるわけでございます。当時藤林あっせん案というものは予定もされておらなかったのでございまするし、その内容も予定されていなかったのでございまするから、対外的にどうだ、対内的にどうだというふうなことは全然考えられていなかったのでございまして、労使の中で団体交渉が正常に行なわれ、労働協約の締結ができるということを二月二十日の閣議決定は一応の条件といたしてきたわけでございます。従って、先生が御指摘の通りに、対内的な問題が片づかなければ、二月二十日の閣議決定の趣旨は貫かれないんじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、われわれといたしましては、そういうことはそういうことで、別個に不信行為は是正さしていくという立場で、できるだけ早く条約批准ということが実現できまするように、その前に不信行為はなくしていきたいということで今努力しておるわけであります。
  142. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 何のためにILOの批准をそう急ぐか、さっぱり僕はわからないのであります。政府委員が言われるように、不信行為ということが正常化と関係ない。とにかく全面的受諾すれば、それで交渉が始まるから、それが正常化だ、いつまでも臨時代表者で延ばせば延ばし得る状態において、それで最小限度の正常化だ、最小限度労使関係の交渉をなし得る状態だ、そういうふうな無理な解釈は、私は一般の国民はおそらく考えてないと思う。  なお少し実例を示して他の問題に関連して申し上げていきますが、郵政予算のうち七六%ないし七八%が人件費だという政府委員説明が先ほどありましたが、これは過去三、四年の間どういうふうに変遷しておりますか、パーセンテージが上がったか下がったかまず数字的に承りたいと思います。
  143. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 こまかいデータを実は今持ち合わせておりませんが、そう大した変化はございません。先生がただいまお話しの通り、七七、八%余りの線を上下しておるわけでございます。人件費は年々膨張しておりますけれども全体の予算規模も膨張しておりますために、その人件費の占める比率は比較的大きくは変動しないのであります。大体その程度の割合を占めておる実情であります。もし何でしたら、後刻パーセンテージの資料を取り寄せて提出いたします。
  144. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 その数字は、きのうの建設省の関係質問とともに留保したいと思っております。  それから、私は国民の怒りが郵便の遅配については極度になっていると考えているのであります。この怒りの中には、理由の何たるかを問わず、当然なすべき職務をサボタージュしておる点が相当あるんじゃないかと思う。この人件費の割合が占めている分量が逐次上がってくるというのは、相当サボタージュがあるために人件費の作業的な効果が十分発揮できない点があるんじゃないかと思っている。しかも不信行為をあえてするような幹部のもとにおいて、私はそういうことは十分想像され得るのであります。そうなりますと、郵政関係人の郵政事業か国民の郵政事業かという問題に帰着すると思う。そういう面から見ましても、いやしくも国民のこれだけの憤激をよそにして、正常化されたからということで労働省が満足しておられるということは、私はどうしてもふに落ちない。労働省の態度についてはあらためて別の席において私たちの方は御質問をすることにいたしますが、郵政大臣の先ほどの御答弁に違ったことがあるならば、この機会に承っておきたい、こう考えております。
  145. 植村春彦

    植村国務大臣 先ほどの答弁に関連いたしまして、補足的な説明を申し上げます。あっせん案というのは、紛争解決のためのあっせん案で、そうしてただいま労政局長が説明いたしました通りに、最低限度団体交渉、労働協約ができる程度の状態になった。そこで二月二十日の閣議でまとまりました案は、団体交渉を中心とする正常化の問題であったわけでありますから、このあっせん案をのめば、労使ともにあっせん案をのんだ以上は、団体交渉もできるし、労働協約の締結もできるような状態になった。この意味においての一応正常化と言える。そこで問題を二つに分けて考えたい。一つは、郵政省はあっせん案通りただいま団体交渉をやっている最中である。ところが、団体交渉をやっている最中に、われわれの解釈と違う——われわれと申しますのは、郵政省並びに公労委の解釈とは違う状態が起こってきつつある。まだはっきり起こってしまった、完了したと認めるべきか、起こりつつある状態であると認めるべきかは別の問題にしていただきたいと存じますが、とにかくそういう状態が起こりつつある。具体的に言うならば、委員長、副委員長がいわゆる法律的の無資格者が留任するかしないかという問題が起こってきている。そういうふうな状態が起こったために、ただいままであっせん案に従って継続してきた団体交渉を中止すべきであるか、このまま継続していくべきかということは、一つの問題である。この問題につきましては、あっせん案の趣旨から申しますと、とにかく、とりあえず解雇された者が委員長副委員長であっても、団体交渉をすべきだ、ただし、そのときには、臨時の組合代表を選定して団体交渉すべきだという指示の通り団体交渉をいたしておりますのですから、そのあっせん案に関する限り団体交渉を続けて差しつかえない、さように考えておるのでございます。問題を分けて考えまして、もう一つの問題であるそういったような非合法的組合、まだ完全な合法化ができていない、そういう問題については、完全なる合法化が行なわれるように、また藤林あっせん案の趣旨がその通りであるので、新しい事態——新しい事態と申しますと、被解雇者が前々から継続的に委員長副委員長になっているんだから、その点から見ますと、新しい事態——という言葉は、言葉に語弊があるかもしれませんが、——あっせん案後に全逓の大会が行なわれた、その大会において、委員長、副委員長が、有資格者が新たに委員長、副委員長とならず、資格のない者が継続して委員長、副委員長にずっと居すわるかどうかというこの事態、かりに新しいという言葉は語弊があるかもしれませんが、こういうふうな事態が生じた。その問題を、団体交渉の問題と関連はございますが、しかし、処置といたしましては、それはそれでそういうことのないように警告を発し、またどういう所存であるか、人事部長から組合にその真意を問いただすことをいたした、そういうのが実情でございますので、今後もこの問題は、早急に関係省、つまり労働省ともよく意見の調整をいたしまして対処して参りたいと存じます。
  146. 加藤精三

    ○加藤(精)分科員 私は経過を聞いておるのではないのでして、そこのところを大臣にもはっきりしてもらわないと困る。私の言うのはこういうことなんです。藤林さんから郵政省、全逓信労働組合の両方に提示した十二月二十一日の通知の中にこう書いてあるのです。「組合執行部は、この際、とりあえず、当局が解雇の措置を採った委員長、副委員長に代り、当局が解雇の措置を採っていない中央執行委員の中から、臨時の組合代表者を選定し、これをして団体交渉、労働協約の締結、その他組合の代表業務執行の責に任ぜしむること」。こういう土台をもって、その土台を守るならばこういうふうにしろということなんです。そして、土台を守るならば、労働関係の再開を認めるということなんです。そうしてその土台になっている業務執行の責というものは、十二月二十五日に、郵政大臣から公共企業体等労働委員会の会長に照会して、その答えが、「臨時の組合代表者の執行すべき組合の代表業務には、対外的な業務のみならず、対内的業務をも一切含まれるものと解するがいかん。」「そのお見込みの通り、」「貴見のとおり」としておる。それならば、労政局長の述べられたことも、大臣のお考えも間違っているのではないのですか。そこなんです。これは私はこれ以上追及することは、まあ諸種の事情があってやめますが、これは非常に重大なことなんです。われわれの党として十分また研究して、しかる後に他日また適当な委員会で御質問いたしますから、その御回答の御用意を願いたいと思っております。  私の質問はこれで終わります。
  147. 岡本茂

  148. 森本靖

    森本分科員 一般会計から特別会計、それから公社の予算と、順番に聞いていきたいと思っておりましたが、時間もあまりございませんので、私は、こまかい問題になりますけれども、特に聞きたいことだけを先に聞いておきたいと思います。  まず最初にお聞きしたいのは、有線放送電話に関する指導監督の旅費あるいはまた定員等についても、これは三十二年度予算から私が予算の分科会でしょっちゅうやかましく言っておるのでありますが、昨年度の、三十四年度予算でもその実績がほとんど見受けられなかったのでありますが、今回は若干の増額になっておるようでありますけれども、その増加になっておる人員と金額とをちょっとお知らせ願いたいと思います。
  149. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 お答え申し上げます。有線電気通信施設の監督旅費といたしまして、新年度二百七十五万三千円、それから定員といたしましては、電気通信監理官関係全体といたしまして十一人の増ということでございますので、必ずしも有線電気通信関係だけではありませんが、込めて十一人の定員を見てございます。
  150. 森本靖

    森本分科員 その十一人のうち、実際有線放送設備に関する指導監督を行なうということについては、一体何人くらい充てられるのですか。
  151. 松田英一

    松田政府委員 お答え申し上げます。十一人の内訳は、一人が本省定員で、十人が地方定員になっておりますけれども、地方の十人の定員は、全部有線放送電話に関係がございます。
  152. 森本靖

    森本分科員 昨年度予算を編成したときから本年のこの予算編成期までに、大体有線放送電話として増加した分については、どのくらいですか。
  153. 松田英一

    松田政府委員 今の御質問は施設の数だと存じますか、大体三十三年の三月末で設置者の数が千三十三でございます。それから一年後三十四年三月末で千六百十七になり、三十四年九月末で千七百四十四でございます。
  154. 森本靖

    森本分科員 現在新らしく有線放送電話ができる場合、この有線放送電話に関する法律において許可権となっておるわけでありますが、許可をする場合に、やはり現地にその施設を実際に見にいって、それでよく見てこれを許可するという方式をとっておるわけですか。それとも机上における文書審査によっての許可になっておるわけですか。
  155. 松田英一

    松田政府委員 まず申請がございまして、いろいろと文書照会によりまして、各般の調査をいたしまして、それだけでもって明らかになるものは大体それで許可をして参りますし、現地に行っていろいろ調べなければならない、あるいは検査もしなければならないというふうなものは現地に行って調べてきた上で許可をする、そういうことでやっております。
  156. 森本靖

    森本分科員 そうすると、書類で許可をした場合は、あと一年後か二年後にそのところへ必ず行って見てくる、こういうことになっていますか。
  157. 松田英一

    松田政府委員 大体におきまして、ある適当な機会にそこへ行って見て参るということはやれるようにして考えております。
  158. 森本靖

    森本分科員 それはほんとうですか。机上で許可をした分をあと一年以内に実際に見に行くということを、そこであなたは簡単にやっておるということを言わずに、ほんとうにやっておるのですか。
  159. 松田英一

    松田政府委員 一年以内とが二年以内という期限を切りますとなかなか全部そういうふうには参らないわけでございますが、いろいろな機会を利用いたしまして、また問題がありましたらそこへ参りまして、極力実情を把握するようにして進んでおります。
  160. 森本靖

    森本分科員 大体ものを許可するのに、その現物を見ずして、実際の施設の状況をどういうふうにやるということを見ずして、それで許可をするといっても、それがその後インチキをやっておるか、問題があるかどうかということは一つもわからぬはずです。第一、問題があるかないか自体が地方の電波監理局ではわからぬ仕組みだ。実際見にいかなければ、それが申請をしてきたところの文書の機械であるか、あるいは約款通りにやって、そういう手数料をとっておるものかどうか、また実際に上がってきておるところの手数料よりも高い手数料をとっておるのじゃないか、あるいは広告放送もついでにやっておるのじゃないかというようなことも、現地に行ってみなければ全然わからぬわけです。あっさり言って、旅費がないから行けない、こういうことになるのでしょう。行きたいけれども、人もないし金もないから行けない、人と金があれば許可をするというときには、現実に現場を見て許可をするというのがほんとうでしょう。
  161. 松田英一

    松田政府委員 先生のおっしゃいますように、もちろん人間と経費が潤沢であることは私どもとしては希望いたしておりまして、それが潤沢にあれば仰せのようにいろいろやれるわけでございますけれども、何分いろいろと国家の経費もたくさんある中でございますから、私どもに割り当てられる経費もこちらの満足するようには参りませんので、極力努力をしてどうにかやっていけるというふうに進めておるわけであります。
  162. 森本靖

    森本分科員 この問題を特に私が取り上げたのは今与党の中でも、与党の政調会の農林部会あたりでも、この有線放送電話に関しては、公社の電話につなげとか、あるいはまた同一市町村内以外のものともつなげという声が出ておるのであって、おそらく本年度中にこの問題はかなりそういう方向に発展をしていくのじゃないか。ただ技術水準その他の問題もあるけれども、そういうことも加えて、一切がっさいこの有線放送電話の新しいあり方というものについて検討が加えられていくんじゃないか。国会においても逓信委員会あたりで小委員会を設けて、その今後の発展についてはいかようにしたらいいかということが論議せられるわけです。そういう際に、西村経理局長が先ほど二百七十五万円とか言っておりましたが、いつも私の選挙区のことと比べるわけですが、目の子算にしても四国は大体すべての経費の二十分の一ということになるわけでありますから、四国管内全部で年間約十四万円、こういうことになるわけであります。年間十四万円であの四国管内の有線放送電話に対する実際の指導あるいはまた監査がはたしてできるかどうかということは、目の子算で考えても非常に困難だと考えられるわけでありまして、この点については、予算がこういう形において通っても、その面の実際の具体的な実施をする場合には、何らか他の予算の流用とかなんとかいうことでやらなければ、本年も去年と同様に考えておったのではいかぬのじゃないか。本年の有線放送電話は画期的な方向にいくのではないかと考えるわけですが、そういうことを想像して大臣はこの予算考えたわけですか。小さいことだからそこまで目がつかなかったというのですか。これは与党の中でも今相当大きく持ち上がっておりますし、特に農協関係あるいは農村団体からもこの問題については強くいわれておりますし、国会としても何らかの形においてこの方向の結論をつけなければならぬというのが本年であります。そういうときに、わずかこのくらいの経費でこれかはたして完全にできるかどうかということについては、これは事務当局でなしに、大臣はそこまで考えが及んでおったかどうか、一つ御答弁を願いたいと思います。
  163. 植村春彦

    植村国務大臣 この問題は昨年ごろからことに活発になりまして、ごく最近ますます活発に論議せられるようになったことは御案内の通りでございます。従って、予算といたしましても、むろんもっとたくさんほしかったのでございますが、今まではゼロ査定でありましたのが、今度はようやく十一人、これでむろん十分ではございませんが、ついたものですから……(森本分科員「ゼロじゃない」と呼ぶ)ただいま人数のことを申し上げたのですが、金額におきましてもふやしてもらって三百五十万円、たしかそのくらいだと思いましたが、五十万円ふえましたようなわけで、これは査定のときに一段と奮発してもらったので、むろんこれでは十分な活動はできませんけれども、せっかくついた予算でございますから、これをフルに動かしまして、有線放送の問題のいい結論が出るように一生懸命努力して参る所存であります。
  164. 森本靖

    森本分科員 それで具体的な今年度の実行のことを聞いておきたいと思うのですが、今言ったような金額では、これは例年の許可、認可のときでも非常に困難だ。まして今年は現地をかなり見なければならぬという状態が出てくると思うわけであります。そういう場合、この経費がかりに相当足らないという場合は、何らかの措置が郵政省の一般会計の予算の内部においてとれるかどうかということを聞いておきたいと思います。大臣どうですか。
  165. 植村春彦

    植村国務大臣 これは、これから検討いたしまして、結論が出ましたら、その結論に応じまして、次の予算こそはうんと奮発してもらいまして、この問題を解決して参りたいと思います。
  166. 森本靖

    森本分科員 私が聞いておるのは、予算の実行上そういうことが具体的にとれるかどうか、これは経理局長からの答弁でけっこうです。どうですか。
  167. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 今からそういうふうに予定してしまうわけには参りませんけれども、実行途上におきましてどうしても足りないということでありますれば、郵政省所管の一般会計内部におきまして、いろいろな旅費を差しくって万全を期していくようにいたしていきたいと考えておる次第であります。
  168. 森本靖

    森本分科員 次に、この国際電気通信政策の推進という項の国際会議への出席ということでありますが、この国際会議は本年度幾つありますか。それからその種類、出席人員。
  169. 松田英一

    松田政府委員 お答え申し上げます。一つは、本年度の国際電気通信連合の理事会がございまして、昨年の全権委員会議で日本が管理理事国になったものでございますから、これに出席をいたさなければなりませんので、これが一つございます。もう一つは、同じく国際電気通信連合の中に電信電話諮問委員会というのがございますが、それの総会かインドのニューデリーでございますので、それに出席することと、もう一つ研究委員会のときに出席する。それからECAFEの内陸運輸通信委員会、これが毎年一回ございますが、これに出席する。大体それだけのことを、ここにいっております国際会議としては予定しております。なお、電波関係の方でも国際会議はあるようでございますが、それはこれとは別に考えております。
  170. 森本靖

    森本分科員 その電波関係でさらにもっと詳しく聞きたいと思いますが、どうも時間がないようでありますから、一応この程度でこの一般会計はおいておきたいと思います。しかし、私はこの国際会議の問題については、ややもいたしますと、郵政省の金が非常に少ないところから、いつでも、たとえば放送関係等になると、民間の自主的な援助を仰ぐというような形で、頭から民間にたよるというふうな傾向がなきにしもあらずでありまして、そういう点についてば、今後の電波あるいは国際電気通信という面における経費というものは、私は他の経費に優先をしてでも相当余裕のある形をとっておかなければ、今日の国際電気通信、電波関係等から見ると、非常に日本がおくれておるんじゃないか。それでやむを得ず、いつでも国際電電、NHKあるいは民間放送等の自主的な援助に待っておるということをやっておるわけでありまして、そういう点は今後の問題でありますけれども、十分戒心をされてやっていただきたいということを要望しておいて、この一般会計は終わります。  次に郵政事業の特別会計で聞いておきたいと思います。本年の郵便収入についてでありますが、郵便収入の増収を、一応昨年度と比べてどの程度に見ておられますか。
  171. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 三十五年度におきましては、郵便収入を三十四年度の自然増収七・二%ということで予算を組んでおります。
  172. 森本靖

    森本分科員 昨年度予算は何%でしたか。
  173. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 昨年度はその前年度の七・八%増ということで組んでおる次第であります。
  174. 森本靖

    森本分科員 大体去年の七・八%というのがそもそも非常に高く見積もった金額になっておったわけでありますが、これが本年七・二%ということでありますけれども、具体的に申し上げまして、たとえば昨年の皇太子殿下の記念切手とか、ああいうふうなものがほとんど郵便収入に含まれていない。実際の予算の中には含まれておらなかったわけであります。もっともあれは寺尾郵政大臣か、皇太子に寄付するという珍答弁をしたこともありましたが、それはそれといたしまして、本年のそういうふうな記念切手というようなものについては、全然予算のワク外に発行するというふうな考え方のものがありますか。
  175. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 新年度は、実は収入の方があまり期待するほど伸びなさそうでございますので、その七・二%自然増収を見積もりましたほかに、記念切手発行分も、収入の面でまるままる予定いたしております。
  176. 森本靖

    森本分科員 そういうことになりますと、昨年の予算と比べて、これは全くまる裸の予算ということになるわけであります。あなた方がそれでやれるということで計画しておることになりますから、代は見てのお帰りということで、やってみなければわからぬということになると、経理局長考えておると思うわけでありますが、結局、やってみて決算の結果を見なければわからぬわけでありますが、あまりきゅうくつな、四角四面な形の予算を組むということは、特別会計としての弾力条項等の問題もあって、本年はなかなかきゅうくつな予算になりはしないかということが考えられるわけであります。きょうはそういう点についてこまかく追及していくのはやめにいたしまして、予算の中で、五百三十三ページの一般会計よりの受入れの金額が出ておるわけでありますが、この一般会計よりの受け入れの金額の内容を、大まかな点だけ言ってもらいたいのです。
  177. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 ただいまお尋ねの一般会計よりの受け入れ金額は、新年度二十億二千四百万円になっておるわけでございますが、これは主として国税とか恩給などの取り扱い事務に対する手数料の受け入れでございまして、それの詳細は五百四十五ページの上から八行目に「一般会計より受入」とございまして、その下にずっと各項目に分けてございます。
  178. 森本靖

    森本分科員 そこで、恩給支給事務費というわけですが、その恩給支給事務費の積算の単価はどういうことになっていますか。
  179. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 今手元にこまかいデータを持ち合わせておりませんので、調べますから、しばらく……。
  180. 森本靖

    森本分科員 それではあとでけっこうでありますが、ついでにもう一つ比べたいのは、国税金取扱事務費というのがありますが、その窓口で取り扱っておりますところの単価、さらにその送金の単価が具体的にどうなっているかということを、あとでけっこうですからお答えを願いたいと思います。  それからこの五百三十三ページの雑収入の中の広告業務収入というのは、比較的金額か少ないわけでありますが、これはどういう種類のものですか。
  181. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 これは郵便局の施設を媒体といたしまして、民間から広告をとっておりますが、そのための収入であります。
  182. 森本靖

    森本分科員 これはどこの郵便局でもやっておるとするならば、九十八万円なんというのはどだい安過ぎると思うのですが……。
  183. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 これは一応どこの郵便局でもやって差しつかえないことにはなっておりますけれども、スポンサーが比較的つかないものでありますので、結果はこういうことになっております。
  184. 森本靖

    森本分科員 こまかいことを言うようですけれども、スポンサーがつかないということでなしに、そういう趣旨が下部の郵便局には徹底しておらぬということです。あなたの方は大きな郵便局等についてはいっておるけれども、通常百名なり八十名程度郵便局にはそういう趣旨が徹底しておらぬ。だからこれはこまかいことですけれども、十万円でも二十万円でも五十万円でもこの特別会計の苦しい情勢の中でもうけることを考えるべきであって、そういう点は末端まで一つ浸透させて、やはり増収は考えるべきであるということを言いたかったので、特にこの点を聞いたわけであります。  それからとっぴなようでありますけれども大臣に一つ見解を聞いてみたいと思うのです。今の町のちまたの広告業者で、あの赤いポストに半分くらいやらしてもらいたいという者もおるわけであります。もっとも郵便ポストは代表的な郵便の象徴として、あれに広告をするということはもってのほかだというふうな意見もあるわけでありますが、しかし、有力な広告業者はあれに目をつけて、一つやらしてもらいたいというふうな意見もあるようであります。これに対して個人的な意見でけっこうでありますが、大臣どう思いますか。
  185. 植村春彦

    植村国務大臣 赤い郵便箱というと、すぐみんな非常に親しまれて、漫画にでも何でも出てくる。そのような郵便箱に広告が出ると、別に権威を害するわけではありませんけれども、何だかちょっと権威を失墜するような気がして、今まではそういうことはとらなかったというふうに承知をいたしておりますけれども、こういう方法で新しい収入の道を考えることがよいか悪いかということは、せっかくのお話も出ましたから、検討いたしたいと存じます。
  186. 森本靖

    森本分科員 私は今にわかにそれをやれということを言っておるわけではなしに、そういうこまかいところまで気をつけて増収を考えて、そうしてやはり郵便増収がこういうふうに行き詰まってきたときには、あらゆる観点を考えるべきではないかということを言っておるわけです。郵政省が、そういうふうに全国のポストに広告をしたらどのくらいの程度になるというそろばんをはじいたことをまだ私は聞いておらぬのであります。そういう点でもふだんからそのくらい熱心にやっておれば、郵政事業というものは間違いなく運行されていくということで言ったわけであります。これは一つやるとかやらぬとかいうことでなしに、実際によく検討してみたらどうか。あるいは、場合によっては、一般の意見を聞くとかいうようなこともやってみたらどうかということを考えるわけであります。その点は検討にゆだねることにします。  次に、この物件貸付料というのがかなりありますが、この物件貸付料というものの内訳はどうなっておりますか。
  187. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 職員宿舎の使用料が一億五千三百万円ほどございます。そのほか郵政弘済会とか互助会、そういったようなものに使用させておりますための賃貸料、こういうものが千三百万円ほどございます。
  188. 森本靖

    森本分科員 その内訳についてはまた後日私の方から質問をすることにします。  それからもう一つ、これは本年度予算の組み方において一番私は不審な点であると思いますが、本年の貯金の目標額と、それから保険の目標額と比べた場合には、保険の目標額の年間の第一回の保険料金の領収額というものは、昨年と同じようになっておるやにこの予算案では見受けられるのであります。ところが郵便貯金の純増額は約三百億円程度高額に見ておる。この貯金と保険については大体同じような経済状態のレベルにおいて目標額を設定するというのが正しいわけであります。そういう観点からいって、保険の方は同一の目標額になっておるにもかかわらず、貯金がこういうふうな形にふえておるということは、非常に奇異に感ずるわけであります。しかも逆に今国会に政府が提案をしようと考えておりまする法律案件の中には、簡易生命保険の最高額を三十万円に引き上げるという法律案件がある。しかしながら郵便貯金の最高額の引き上げと、それから金利の点についての問題は全然これが提案にならない。政治的な動きが逆になっているにもかかわらず、予算面における目標額が反対になっているということについて、私はどうしても納得がいきかねるわけでありますが、この点についてはどういうことになっておりますか。これは大きな問題でありますから、大臣に聞いておきたいと思います。
  189. 植村春彦

    植村国務大臣 全く御指摘の通りで、実は今回簡保につきましては、最高制限額の変更の法律改正を上程して御審議を願うことを考えているわでございます。貯金につきましても、これまた御指摘の通り、最高制限額につきましては私たちも全く同感でございますが、関係方面との了解がまだ完全に成立いたしませんので、はなはだ遺憾ながらまだその運びになっておらないのでございます。
  190. 森本靖

    森本分科員 その政治的ないきさつはわかりますが、私の聞いておりますのは、保険の目標額が同一であって、貯金の目標額が千三百億円、昨年から見た場合に三百億円もふえている。そうなって参りますと、貯金に対する優遇策、増収策というものを講じなければならぬと思う。あなたは今政治的に云々ということを言われたけれども、今国会にはこれを上程することはほとんど不可能である、これが今の政治情勢から見て正しい見方ではないか。簡易保険の最高制限額については引き上げが可能であるというふうに見られるわけであります。それが予算の組み方と実際の政治的配慮というものは逆になっている。郵便貯金だけは目標額をそれだけふやして、簡易生命保険郵便年金の目標額が去年と同じように十八億と八億円、どこにそういう差をつけるほどの経済的根拠があるか、何か経済的な根拠がなければこういう差はつかないはずです。何か経済変動があって、本年は貯金はうんとふえるけれども、保険はふえないという経済状態であるという理論がなければならない。その理論を聞いているわけです。
  191. 植村春彦

    植村国務大臣 全く御指摘の疑問もごもっともだと存じますけれども、昨年の実績、一昨年の実績に徴しますと、貯金につきましては昨年あの通り事務当局従事員一同が非常な馬力をかけました結果、目標以上の目的を達したわけでございますので、その統計からカーブを描いてみますと、今年千四百目標到達可能という結論でこれを上程した次第でございます
  192. 森本靖

    森本分科員 参考までに聞きますが、昨年の郵便貯金と簡易生命保険予算額とそれの到達額と、大臣が言った通り数字が出ているかちょっと経理局長から説明願いたい。そんな数字は出ていないとい思う。
  193. 植村春彦

    植村国務大臣 ただいまの私の答弁は、貯金のことをお答え申し上げましたので、貯金と簡保の関連性についてはお答えしなかったのです。これは一つ別々に答弁させていただくことにしてお許しいただきたいと思います。
  194. 山本圭二

    山本(圭)政府委員 本年度の実績でございますが、ただいまのところでは、追加目標を入れまして千二百五十億でありますが、三月までの落ちを相当見込みましても、千三百億を数十億オーバーするような見通しでございます。まあそれが第一の新目標の根拠になるものかと存じます。そのほか、経済情勢とか、あるいは第一線で団体貯金が相当結成をされておりますので、かたがた来年度一つ従業員各位にも大いに努力をしていただくということも見込みまして、千三百億は今まででは最良の実績でありますので、これと同額ということは非常に困難と思いますけれども、不可能ではないという見積もりで設定いたしたわけであります。
  195. 森本靖

    森本分科員 保険はどうなっておるのですか。
  196. 大塚茂

    大塚政府委員 保険の募集目標につきましては、やはり本年度の実績を基礎としまして、来年度見通しを立てました結果、保険というものは景気、不景気に比較的影響されることが少ないものでございまして、まあ予算目標十八億に対しまして、今年度もちょっとそこまで参りません。来年度は最高制限の引き上げをいたすわけでございますが、それによって多少ふえますけれども、それを見込んでも、なおかつ従来の十八億の目標までは——まあまあそのワク内であろうという見通しのもとに、目標をそのまま据え置いたという次第でございます。
  197. 森本靖

    森本分科員 これは非常に郵政省としては、貯金局長、保険局長は一応保険、貯金のベテランでありますけれども、私が想像しまするには、政府財政投融資資金を総花的にやらなければならぬ、また、今一般会計の財政が非常に苦しい、こういうことになって参りますと、財政投融資の面における花を持たせなければならぬ。そうなって参りますと、何といっても郵便貯金の増収ということが一番大事であるというところから、今貯金局長は昨年の実績云々ということを言いましたけれども、今まで郵政省始まって以来の最高の成績をもって予算額に計上するということは、非常にこれは危険なやり方であると思う。そういう点からいって、まあこれは財政投融資という政治的な至上命令を郵政省がそのまま受けざるを得ないという形において、今度受けておる。その結果、郵政省におきますところの末端の従業員というものは、郵便貯金というものは簡易生命保険と違いまして、実際にそう勧誘に行ってこれがふえるというものじゃないわけであります。窓口に来てくれるものが多いわけでありまして、大体勧誘するというのは、積み立て貯金と定額貯金だけでございます。通常貯金と、積み立て貯金、定額貯金の占める割合というものはそんなに違っておらぬわけでありまして、そういう点からいって、郵便貯金というもののふえるという場合は、局員が大いに努力をしてふえるという意味合いのものではないのであります。そのときの経済状態が反映をして、郵便貯金がふえる、減る、こういう問題でありますから、たまたま本年千三百億ということになりますと、御承知通り、本省としては各郵政局に、さらに郵政局は郵便局に、その貯金の純増の目標額というものを、強制的に各郵便局に割付をする。各郵便局としては、やむを得ぬから、実際に勧誘すべきものでないけれども、通常郵便貯金まで勧誘して回らなければならぬ、こういう結果になって、そのしわ寄せが全部従業員に来てしまうというのが通例であります。本省の大臣なり貯金局長というものは、千三百億ときまったからこれでやれ、こういって命令をすれば、それでよいようなものの、一番下で働く者にとっては、これはまことにありがた迷惑であるということが言えると私は思う。こういう点は十分郵政省としても考えて、さらにこういう目標額を設定するという場合には、郵政省郵政省としての科学的な根拠において、この程度はむずかしいというふうな突っぱりと粘りを持つような準備態勢を一つとってもらいたい。いつでもそういう点については大蔵省にやり込められるというのが、私は郵政省の実態ではなかろうかという気がするわけであります。ほとんどそのときの政治的な考え方によってこういう目標額が設定され、また支配をせられるということについては、郵政省の従業員としてはまことに迷惑千万な話でありまして、非常にそういう点が——特に第一線の従業員のことも考えると同時に、やはりそのときの経済状態というものを考えてやっていかなければならぬと思う。今、保険局長は、答弁のときに、簡易生命保険については、あまり経済状態については影響がないということを言われましたけれども郵政省の保険局自体が各郵政局に郵政局から郵便局に、簡易生命保険の目標額を割り付ける際には、五〇%以上そのときの経済状態というものを見ておるわけであります。現実に、郵政局が各郵便局に、お前のところは何万円の目標額ということを設定する場合には、そのときの普及率、さらにそのときの経済状態、さらに定員、こういうものを見て、いわゆる目標額というものを決定するわけであります。だから下部における目標額を設定する場合にはそういうことがはっきりとうたわれるわけでありますから、実際大どころの目標額においても、その経済状態が半分以上は入っておるのが当然であります。だれか見ても、貯金がこれだけふえて保険がふえてない。私は保険をふやせと言っているわけじゃない。郵便貯金だけ、こんなにぽこっとふやすというのはけしからぬ。しかも政治的な、法律の改正案については貯金の方があまり優遇されておらない。保険の方が優遇されておる。こういうちぐはぐな行政措置というものは私はやるべきでない、こう考えるわけであります。今ここで幾ら大臣に説教したところで、もう済んだ問題でありますからこれは仕方がないといたしましても、確かにこの点は不合理であろうと私は考えておるわけであります。  そこでちょっとついでに聞いておきたいと思いますが、郵便貯金の目標額が一千億円から千三百億円に、約三割がたふえておるわけでありますが、それに応じてこの郵便貯金の従業員に対する報償費その他の施設費というようなものについては、その割合にこの経費がふえておるかどうか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  198. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 郵便貯金の目標達成のための経費といたしましては、募集手当とか周知奨励費とかいろいろございますが、そういった所要経費を締めまして、新年度は十一億五千六百万円でございまして、前年度が十億六千百万円でありましたから、約九千万円程度増加でございます。必ずしも千億対千三百億の比率には相ならぬかと思いますけれども、本年度はその経費で、実は先ほど貯金局長が申しましたように、千三百億ほどの実績がすでに上がっておるわけでございますので、まあこの程度の経費でもどうにか所定目標は達成できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  199. 森本靖

    森本分科員 郵政省自体がそういうことを言うから、大体大蔵省になめられるのだ。去年の千億で、大体千三百億に近づいたということは、さっき私が言ったように、実際窓口で貯金を引き受けるべきものを、郵政局なり各郵便局の局長に対して、お前のところの純増の目標額はこれこれだから、これより下がったら成績が悪くなる、監査の成績が悪くなる、こういうことで、うしろからけつをたたかれ、たたかれするものだから、窓口ですわっておってもいいようなものが、結局出ていってやらなければならぬ、こういう結果になるのです。そういう点で、少なくとも私は、こういうふうに少ない額でできるということはもってのほかだ、こう考えるわけでありますが、もう一ぺん経理局長にその答弁をお願いしたいと思うわけであります。
  200. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 今やはり実績というものがものをいいますので、これは経費は多々弁ずるので、多ければ多い方がいいことは先生のおっしゃる通りであります。通りでありますけれども、何しろ貯金会計もそう裕福な会計ではございませんし、まあ従業員に負担がかかるという点はあるかもしれませんけれども、比較的順調に伸びております諸般の情勢からいたしまして、この程度の経費でやっていかれようかと思うわけでございます。さらに目標かどんどん出まして、経費が必要な場合には、また弾力条項の発動というような手もあるわけでありますし、一応新年度はこれでスタートしたらというふうに考えておる次第でございます。
  201. 森本靖

    森本分科員 そういう事なかれ主義でやるから、いつまでたっても郵政事業というものはうだつが上がらぬと思う。実際問題として郵便貯金、預託金の利子の問題についても、あるいはまた一般会計からのこの借り入れの資金の打ち切りの問題についても、私がもう前からやかましく言っておるけれども、一応四百何十億というものはこれは借金なんです。それから毎年この預託利子が低いことによって借金がふえていく。こういうことを続けておる。今日郵便貯金は一兆円をこえるという状態になっておる。しかし、その根本的な解決は一向につけようとしないというふうなやり方については、まあ今年も私は予算分科会でこのことを持ち出しておいて、また次の機会に譲るといたしますけれども、そういう点については一つほんとうに真剣に体当たり的に考えていかなければならぬ問題が相当あるんじゃないかというふうに私は考えておるわけであります。  それから次に郵便関係についてお聞きしたいと思いますけれども、この数字の問題だけちょっと聞いておきたいと思います。貸借対照表の中でありまするが、これは三十四年の三月でもどこでもそうでありますけれども、大体逆為替というのが八百二十万円あるわけでありますが、これはこの程度でありますか。
  202. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 そうでございます。
  203. 森本靖

    森本分科員 これは何年度の貸借対照表でも同一の金額になる筋合いのものですか。私はちょっとおかしな気がするわけでありますけれども
  204. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 同一になるわけじゃありません。これは、確定いたしておりますのは三十三年度の分だけでありまして、あと予定貸借対照表でございますので、予測できませんので、一応前年度の計数を踏襲して計上してあるという実情でございます。
  205. 森本靖

    森本分科員 実際問題としてこれは大体毎年どの程度になるものですか。それからこんなにたとえば三十四年の三月三十一日現在八百二十万円というふうにぴしっと区切りがつきますか。私はそんなにならぬような気がするわけであります。実際に各郵便局における逆為替の切り方は、そういう端数をつけぬような切り方になるとは思わぬのですが、どうですか。
  206. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 確かに先生がおっしゃるような点も考えられるのでございますが、実際決算したところこういうふうな計数が上がっておるようでございまして、いましばらく実際の決算書につきまして詳細に検討してみることにいたします。
  207. 森本靖

    森本分科員 逆為替というのは今制限は何円以上ですか。これは貯金局長の方が詳しいですよ。
  208. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 別にこれは制限はないと思いますが、これもまことに申しわけございませんが、よく調べまして……。
  209. 森本靖

    森本分科員 この数字を見てちょっとおかしいと思いますのでお聞きしたわけでありますが、それでは先ほどの恩給と国税の単価を一つ御説明願いたいと思います。
  210. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 恩給につきましては単金一件五十円、それから金額にいたしましては千分の七でもってはじきまして、二つの要素をもって手数料を算出いたしております。
  211. 森本靖

    森本分科員 国税は。
  212. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 国税につきましては、単金三十五円、料率千分の五ということではじいております。
  213. 森本靖

    森本分科員 この国税と恩給、五十円と三十五円の単価の差はどういうことですか。大体これは取り扱いは同じような取り扱いになると思うのですが。
  214. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 恩給の方が非常に手数がかかるようでありまして、税金は窓口でただ取り扱うだけでございますが、恩給は原簿などの関係も一応こちらで所管したりしておりますので、そういったような手数料も全部含みますために単価が高くしてあるわけでございます。
  215. 森本靖

    森本分科員 これはこまかいようですけれども、こういう単価の積算から、こまかく勘定して金をもらってこなければ、他会計からの繰り入れの問題について、この郵政特別会計というものは出ないのですよ。それで恩給が五十円であって一方が三十五円ということは、一方の三十五円というのは安過ぎるわけです。恩給の場合は原簿を保管するだけであって、その他の取り扱いというものは恩給も国税の取り扱いも大して変わらぬわけです。少なくとも三十五円という単価は安いのじゃないか、こう考えるわけでありますが、こういうふうな積算の単価については、もっと上げてくれというふうな話をしたことがありますか。
  216. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 大蔵省とは寄り寄り話はしておるわけでございます。まあこれでまかなえないこともありませんということで、一応新年度はこの単価で組んだわけでございますが、今後ともよく大蔵省との話し合いも続けて参りたいと思います。
  217. 森本靖

    森本分科員 もっと突っ込んで聞きたいと思いますけれども、時間の関係がありますのでやめますが、国民年金が来年度から全国民にやられるわけであります。この徴収については、郵便局の窓口において行なう、こういうことを国会において厚生大臣が正式に答弁をしておるわけであります。これは税金の問題やあるいは恩給の事務とはだいぶ違いまして、国民が全部入るわけでありますから、かなりの事務量になってくるわけであります。これについて、今言った税金の単価でやるのか恩給事務の単価でやるのかということについても、かなり収入面において違ってくるわけであります。そういう点についてはどうお考えですか。今からこれを考えておかないと、来年度になってあわてふためいて、安く値切られるということではかなわぬわけでありますが、どうですか。
  218. 西村尚治

    西村(尚)政府委員 国民年金の支払い事務の関係につきましては、大蔵省と話し合いました結果、一応一件三十円という単価で手数料を繰り入れてもらうことに相なっております。
  219. 森本靖

    森本分科員 これはどうして税金と五円違うのですか、税金とやり方は同じですよ。税金も、持ってきたらぽんぽんとスタンプを押して、その受領証を渡すだけですけれども、国民年金の場合も厚生大臣がよく国会において答弁しているのは、スタンプを押して受領証を出すだけだ、こういうことを言っているわけでありますから、この税金と国民年金は同一の取り扱いになるわけであります。その場合国民年金が五円安いというのはどういうわけでありますか。
  220. 山本圭二

    山本(圭)政府委員 おっしゃるように、大体手続は似ておりますが、国民年金につきましては厚生省の要望をお断わりいたしまして、向こうが通帳を作りまして、スタンプを押せばいい、一応そういうふうな簡略な手続にいたしましたので、手数が非常に省けるわけであります。将来有料の国民年金の収納につきましては別の問題でありますが、これはお説を傾聴いたして、なるべく高くいただけるように努力したいと思います。
  221. 森本靖

    森本分科員 これは税金だってそうでしょう。税金でも国民年金のやり方でも、窓口で取り扱う手数というものはほとんど同一ですよ。スタンプをぽんと押して、受領証を渡して、それから結局日報面で一応歳入として報告しなければならぬでしょう。そういうことになると同一な取り扱いになるわけです。同一の取り扱いなら同一の金額を出してもらうようにするのが当然ではないか、こういうささいな金額でも、ちりも積もれば山となるで、かなりの金額になるわけであります。こういうことからやっていかないと、郵政特別会計というものの黒字状態というものはなかなか来ないということで、私は特にこまかい問題を追及したわけであります。  まだほかにいろいろ郵便の内部の問題についてお聞きしたいこともありますけれども、一人残ってやっておってもどうかと思いますから、もうこの程度でやめます。特に私が郵政当局に注文したのは、もっと熱心に、もっと粘り強く、しかも科学的にデータを出して一つ予算編成というものをやってもらいたいということを要望して、私の本日の質問は終わります。
  222. 岡本茂

    岡本主査 ほかに御質疑はありませんか。——質疑がないようでありますから、郵政省所管に対する質疑はこれにて終了いたしました。  明二十七日は午前十時より開会し、建設省所管の審査を続行することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時一分散会