○堀
分科員 もちろん、見通しの問題につきましては、これはいろいろな資料の推計に基づくものでございましょうから、おっしゃるように、それが全部当たれば、これはもう株屋をやれば一番もうかっちゃうということになるだろうと思いますが、それがそういかないのが資本主義の常でございます。実は私非常にこの問題について疑義がございますのは、この「
昭和三十五
年度の
経済見通しと
経済運営の基本的態度」という資料の中に、お
出しになっておるのをちょっと調べてみましたところが、三十三
年度の実績見込みと三十三
年度の実績というものの間に相当な大きな食い違いがある。今
お話しになったように、三十三
年度実績見込みが出たのは三十四年の一月二十日ごろ、こういうことになりますね。ということになると、いろいろな根拠になるのは、もうすでに済んでおるところで出ておるのが私三十三
年度の実績見込みであろうと思います。そうしてその次に、三十三
年度の実績については、昨年の十二月ごろにお
出しになっておると思うのですが、これは国民
所得との関連で出てきたと思うのです。そこでこれを調べてみて、実は実績見込みと実績の間に非常な差があるのです。同様に今度は三十四
年度の実績見込みと当初の三十四
年度との見通しですね。見通しと実績見込みの間に差があるというのは私やむを得ないと思いますが、その差の中で比較的変化がなくてもいいであろうと思われるようなものの中、たとえば
政府の財貨サービス購入というようなものの部分についてみても、相当に著しい差が実はこの中にある。昨日も私は大蔵
委員会でいろいろな
経済問題の見通しについてこの話をちょっと聞いてみた。
大蔵省としては
経済企画庁の資料をどういうふうに
考えておるのかということを実は大蔵
委員会で聞いてみたところが、村上財務官はこういうふうに答えているのです。「現在、われわれの
考え方では、
経済企画庁の見通しというのは、ガイドポストと申しますか、
一つの
経済の指針といいますか、
政府が、こういう程度の
経済の伸びであれば、現在の
経済の実勢からの動き方として好ましくもあり、かつまた非常に可能性のある形であると
考えているようなものを、いろいろ
経済計算としてお示しいたしておるわけであります。従って、その場合に、諸外国の要因などが非常に変わりまして、非常に外国の景気もよくなる、それに応じて国内の投資力も非常に増大してくるということになりますと、
経済の伸びが当初の予想よりはそれを上回るということもあるわけであります。ただその方向づけがある程度合っていれば、こうしたガイドポストの意義としては一応認めねばならぬのではないかと思うのであります。」要するに、皆さんの方の資料というのは、ガイドポストとして方向さえ合っていれば、それで一応認めねばならぬという程度のものだということを
大蔵省は言っておる。これは私昨日ちょっとこまかいことを追及したら、あまり
経済企画庁の資料に基づいてやっておりませんと言いたい表現を、まあ露骨に言わないからこういうことになったと思うのですが、それはその前にほかの
委員が御質問になったのに対して、
経済企画庁の資料に基づいてやっておりますから、法人税収入については間違いがございませんとか、絶対確実ですとか非常に大見得を切った
あとで私がこれを
出してきたものだから、ちょっと
大蔵省もあわてられたのだと思うのです。
そこで非常に問題になる点をここでちょっと申し上げると、現在
日本の
経済の変動の基調をなしておるものはどこにあるかというと、やはり在庫投資の変動が
日本の
経済の一番波の変化の大きいところへきている。そうすると、
日本経済の今後のいろいろな見通しを立てられるのに際して、最も
重点的にそこへ問題をしぼっていかなければならぬ。
企画庁としての中心は在庫投資をいかに把握するかということ、過去における在庫投資の正確な把握なくしては、今後の在庫投資の変化というものは予測できないのではないか、こういうように私はこの資料をずっと見ながら
考えているわけです。ところが実はいろいろと
企画庁の資料を拝見してみると、四半期別の
所得統計などとその
あとで出たもの、いろいろ見ると、率直に申してどれもこれもばらばらで、在庫投資についてはどれをどう見ていいのかさっぱりわからぬという程度の現状なのです。そうして今度は三十三
年度の見通しについて見ますと、三十三
年度の当初見通しの資料がないので、実績見込みという、皆さんが年が終わった
あとでお
出しになっておるものと、それからその次のものとで比べてみると、三十三
年度に在庫の増加が千六百五十億ということに実績見込みでなっておった。ところが実績では、今度はそれが三百五十二億円しかないのだということになってきた。そこで、
あとの方で実はこの資料で気がついたのですが、三十三年と三十四年の伸び比が一七六一%というのが出ておる。これをぱっと見たとき、ミスプリントかと思った。こんなものはパーセンテージで出せるものではない。十七倍ということなんですから、パーセンテージで出せない。実績見込みでは二三六・四になっておる。このくらいならわれわれとしては
考えられると思ったけれ
ども、実数としては十七倍というような伸びが次に出ておる。ここは在庫として私非常に問題があると思います。ところが、今度は三十四
年度へきまして、三十四
年度の実績見込みと見通しとの差をずっと点検してみますと、最も大きいのはどこへきておるかというと、国内民間総資本形成が、三十四
年度の見通しとしては二兆円になっております。ところがこれが実績見込みで二兆六千九百四十億円と、都合六千九百四十億円の民間資本形成の増加になっておる。その増加の内訳は、生産者耐久施設、要するに設備投資が四千四百億増加して、在庫が二千三百億増加したということに実は内訳としてはなっておる。そこで、こういうふうな大きな変化——今の設備投資の広がりはちょっと
あとで伺いたいのですが、
昭和三十四
年度の設備投資というものの占める中で、
一体この誤差というのは実質的には何%に当たるのか。これは、さっきちょっと
長官がおっしゃったようなガイドポストとしても成り立たぬ。こんな見通しで実際
経済を
運営していこうということになるから、こういうことが起こるのだ。もっと正確なガイドポストなら誤差も少ないだろうが、グローバルなもので
出しておったから、誤差がますます大きくなってきておるというのが、現在の実勢ではないかと私は思うのです。実はきょうあまり不審があったから、これは何をもとにして調べておるのかと言うて
企画庁の方へ伺ったのです。そうしたら、これは
大蔵省の法人企業統計が土台になっておる、こういうことなので、そこまで手が回らないので、法人企業統計を調べておりませんが、これがどうも納得できない。この点について
大臣にお伺いをいたしたいことは、景気の見通しを立てるのは、当初には実績見込みというのではなくて、やはり見通しという問題で、相当な問題を
考えておられるのではないか。これほど見通しがこんがらがってくると、長期
計画などはナンセンスだと思うのです。一年先すら確実に見通せない状態の中で、五年とか十年とかいうようなことを
考えるという態度のり方がおかしいのではないか。私は今度いろいろ調べていて痛感をいたしますのは、
経済統計の
基礎になるべき資料、原材料となるべき資料というものが、大体不正確だと思う。土台が、あるいは
大蔵省の統計によったり、あるいは通産省がやっておるものによったり、いろいろあると思うのですが、もうちょっと土台のしっかりした計数の上で問題を発展さしていかない限り、今後もこういうことはしょっちゅう起こってくるのではないか、こういうように私は思うのですが、これについての
長官のお
考えを
一つ伺いたい。