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1960-02-24 第34回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和三十五年二月二十日(土曜日)委 員会において設置することに決した。 二月二十三日  本分科員委員長指名で次の通り選任された。       井出一太郎君    倉石 忠雄君       周東 英雄君    綱島 正興君       橋本 龍伍君    保利  茂君       松浦周太郎君    八木 一郎君       淡谷 悠藏君    北山 愛郎君       永井勝次郎君    門司  亮君 同日  綱島正興君が委員長指名主査に選任された。 ————————————————————— 昭和三十五年二月二十四日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席分科員    主査 綱島 正興君       井出一太郎君    倉石 忠雄君       橋本 龍伍君    保利  茂君       松浦周太郎君    八木 一郎君       淡谷 悠藏君    北山 愛郎君       永井勝次郎君    門司  亮君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         通商産業政務次         官       原田  憲君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     加藤 悌次君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君         通商産業事務官         (重工業局長) 小出 榮一君         通商産業事務官         (軽工業局長) 秋山 武夫君         通商産業事務官         (繊維局長)  今井 義衞君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         通商産業事務官         (石炭局長)  樋詰 誠明君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      小岩井康朔君         通商産業事務官         (公益事務局         長)      小室 恒夫君         工業技術院長  黒川 眞武君         特許庁長官   井上 尚一君         中小企業庁長官 小山 雄二君  分科員外出席者         通商産業事務官         (企業局次長) 磯野 太郎君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計予算通商産業省所管  昭和三十五年度特別会計予算通商産業省所管      ————◇—————
  2. 綱島正興

    綱島主査 これより予算委員会の第三分科会を開会いたします。  私が第三分科会主査を勤めることになりましたので、各位の御協力によりまして遺憾なきを期したいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  本分科会は、昭和三十五年度一般会計予算中、経済企画庁農林省及び通商産業省所管、二十五年度同特別会計予算中の農林省及び通商産業省所管について審査を行なうことになっておりますが、審査の順序といたしまして、本日は通商産業省所管、明二十五日は経済企画庁所管、二十六日及び二十七日は農林省所管について審査を進めて参りたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  それでは昭和三十五年度一般会計予算及び同特別会計予算中、通商産業省所管議題といたします。  まず説明を求めます。池田通商産業大臣
  3. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま議題となっております通商産業省予算各案について御説明を申し上げます。  まず、三十五年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は、百七十五億六千四百万円でありまして、これを三十四年度予算額百二十九億六千三百万円に比較いたしますと四十六億円増額することになります。  三十五年度予算のうち政策事項につきましては、これを(一)貿易振興及び経済協力費、(二)中小企業対策費、(三)鉱工業技術振興費、(四)産業基盤強化費、(5)石炭対策費の五項目に分け御説明申し上げます。  第一に、貿易振興及び経済協力費といたしましては、世界貿易自由化の傾向に伴う輸出競争激化情勢に対処して、海外市場の開拓と販路の拡張をはかりますため、前年度に引き続き各般の貿易振興事業充実強化するための施策を講ずることといたしまして、前年度対比四億九千二百万円増の二十五億一千八百万円を計上いたしております。  まず、貿易振興につきましては、特殊法人日本貿易振興会事業運営に必要な経費として、前年度対比二億七千九百万円増の十三億六千二百万円を計上いたしまして、従来に引き続き海外市場調査国際見本市参加貿易斡旋所運営日本商品宣伝米国市場輸入制限対策等海外事業を拡充いたしますとともに、国内中小企業者に対する貿易指導あっせん業務充実をはかりますほか、来年度は特にモスコーにおいて大規模見本市を開催する等、総合的に輸出振興事業推進する所存であります。  次に、昨年七月に設立されました財団法人日本輸出雑貨センター事業運営に必要な経費として、前年度の約倍額の一億一千百万円を計上いたしまして、引き続きデザインの登録認証制度の確立、共同検査場設置運営等業務を行なうとともに、新たに常設展示場設置等事業を行なうことといたしております。  なお貿易振興関係といたしましては、日本プラント協会事業費補助等プラント輸出促進費一億九千万円、東南アジア、豪州及びニュージーランド諸国巡航見本市船を派遣いたしますための補助金一億二千八百万円、生糸及び絹織物の海外宣伝費補助四千八百万円、輸出品検査改善強化費七千六百万円等を計上いたしております。  次に、経済協力対策費でございますが、輸出市場の培養、輸入原材料安定的確保中小企業海外進出等をはかりますため、東南アジア及びその周辺諸国経済社会等の実情を十分調査いたしますとともに、これら諸国に対する経済協力を積極的に推進する所存でございまして、おもなる経費といたしましては、財団法人アジア経済研究所特殊法人に改組し、その調査事業の拡充に必要な出資金一億円、補助金一億五千万円、技術者及び中小企業者海外派遣斡旋事業費海外技術者受入研修費投資等基礎調査費補助等一億三千八百万円であります。海外経済協力基金仮称)の設立につきましては、後ほど財政投融資関係で御説明申し上げます。  第二に、中小企業対策費といたしましては、中小企業振興が、今後の貿易自由化方策の円滑な推進にも、またわが国経済発展のためにも重要であることにかんがみまして、二十四億二千七百万円を計上いたしており、前年度対比八億八千四百万円の実質増となっております。  まず、中小企業設備近代化につきましては、従来の貸付率三分の一を二分の一に引き上げることといたしまして、前年度対比三億円増の十三億円を計上し、中小企業設備合理化を一そう推進することといたしております。  中小企業対策費として特に重点を置いた事項といたしまして、小規模事業対策費でございますが、現在小規模事業者に対して経営技術に関する相談指導等を行なっている商工会等を法制化し、商工会議所とともに小規模事業者相談指導に当たらしめることといたしまして、新たに補助金等四億三百万円を計上いたしております。  次に、中小企業の実態に応じた総合的振興策業種別に行ないますための業種別指導事業企業診断事業及び技術指導事業強化に要する経費として、二億四千四百万円を計上いたしております。  なお、中小企業対策費といたしましては、共同施設補助一億二千五百万円、災害復旧利子補給金七千二百万円、団体中央会補助六千四百万円、汚水処理施設補助五千万円等を計上いたしましたほか、中小鉱山の新鉱床探査費補助につきましては、前年度の倍額の一億円を、また花火関係災害防止のための補助三千万円を新しく計上いたしております。  第三に、鉱工業技術振興費といたしましては、最近における先進各国の目ざましい技術の進歩に対処して、新技術開発と、これが産業における利用促進をはかりますため、前年度対比三億五千万円増の三十六億六百万円を計上いたしております。  おもなる事項といたしましては、まず国立試験研究所重要研究費等に必要な経費として、前年度対比二億三千二百万円増の十五億一千三百万円を計上いたし、国立試験研究機関設備更新近代化をはかりまして、前年度に引き続き、電子技術オートメーション技術生産加工技術エネルギー対策技術分析技術等わが国経済にとって喫緊の重要研究推進することといたしております。  なお、北海道における鉱工業開発促進のため、北海道工業開発試験所を新設いたしたいと存じまして、初年度に必要な経費として五千万円を計上いたしております。  民間における試験研究補助につきましては、四億七千五百万円を計上いたしまして、国家的見地より見て重要と思われます応用研究工業化試験機械設備試作等について助成を強化する所存であります。  次に近年工業所有権に関する出願件数が激増いたしておりまして、その最終処分に至る期間が遅延し、産業活動にまで影響を及ぼすに至っておりますので、定員、経費充実し、処理正常化をはかることといたしまして、前年度に比し、一億二千二百万円増の五億六千七百万円を計上いたしております。  なお、技術振興関係といたしましては、ほかに原子力平和利用研究費として二億二千八百万円程度が、科学技術庁より当省所管試験研究機関に移しがえされる予定であります。  第四に、産業基盤強化対策費でございますが、わが国産業の将来の飛躍的発展基礎を作るため、前年度対比四億七千六百万円増の十七億二千四百万円を計上いたしておりまして、その内容のおもなるものといたしましては、まず工業用水確保が今後における工業生産の伸長のため重要不可欠な基盤である点にかんがみまして、工業用水道事業費といたしまして、北伊勢、川崎、大阪尼ヶ崎等継続十一地区のほかに、新規事業として、東京都江東地区大阪臨海、北九州及び加古川の四地区を加え、計十五地区事業に対し、補助を行なうこととし、前年度対比四億二千八百万円増の十二億七千百万円を計上いたしております。  次に、わが国産業生産性の向上を推進するため、日本生産性本部に対する補助として一億四千五百万円、天然ガス開発新潟地区地盤沈下対策費として四千百万円等の経費を計上いたしております。  第五に、石炭対策費でありますが、現在の石炭不況を克服し、石炭鉱業抜本的体質改善をはかりますため、前年度対比二十六億八千八百万円増の二十八億六千八百万円を計上いたしまして、炭鉱体質改善による合理化促進する所存であります。すなわち、炭鉱の大規模合理化工事石炭流通機構合理化及び中小炭鉱機械化促進いたしますため、炭鉱設備近代化特別貸付金制度及び中小炭鉱機械化促進特別貸付金制度を創設することとし、これがため、石炭鉱業整備事業団石炭鉱業合理化事業団仮称)に改組いたしまして、これに二十一億四千万円を出資することといたしております。  次に、石炭鉱業向け日本開発銀行及び中小企業金融公庫貸し出し金利が六分五厘に低減されますに伴い、整備事業団に対する加算納付金が廃止されることになりましたので、事業団が買収する非能率炭鉱買収物件に対する補助四億円を計上いたしております。なお、石炭業界共同で設置いたします財団法人石炭技術研究所仮称)に対し、補助金五千七百万円を計上いたしております。  石炭対策関係といたしましては、ほかに炭田総合用開発費として四千万円、石炭鉱害復旧事業費として当省分一億七千百万円及び他省関係六億七千八百万円等の経費を計上いたしております。  以上をもちまして、当省所管一般会計に関する御説明を終わりますが、詳細については、お手元の予算要求重要事項表をごらんいただきたいと存じます。  なお当省の所管いたしております特別会計につき、以下歳入歳出予算の大要を簡単に御説明申し上げます。  まず、アルコール専売事業特別会計でございますが、三十五年度の歳入予定額は三十五億三千四百五十九万五千円、歳出予定額は三十億六千三百四十万五千円でありまして、資産、売掛金の関係を加減しますと、三十五年度の益金予定額は、四億五千九百九十四万七千円となります。  第二に、輸出保険特別会計でございますが、三十五年度歳入歳出予定額は、ともに八十億七千百十二万八千円でありまして、歳入のおもなるものは、保険料収入十二億六千三百四十九万円、資金運用収入三億一千五百万円、雑収入三億八千六百五十九万五千円、前年度剰余金六十一億六百四万三千円であり、歳出のおもなるものは、支払い保険金九億四千六百八十六万円、予備費七十億六千六百五十一万三千円であります。  第三に、特定物資納付金処理特別会計でございますが、本会計は、特定物資輸入臨時措置法に基づくもので、三十五年度の歳入歳出予定額はおのおの三十億七千百二十六万円で、歳入の主なるものは、納付金三十億一千八十九万円であり、歳出の主なるものは産業投資特別会計繰入三十億六千七百五万円であります。  以上をもちまして、一般会計及び特別会計予算の概要につき御説明いたしましたが、この際当省関係財政投融資計画について、簡単に御説明したいと存じます。  昭和三十五年度における当省関係財政投融資総額は、一千六百十二億円でありまして、これを昭和三十四年度当初計画一千五百四十七億円と比較いたしますと、六十五億円の増加となります。  本計画の作成に際しましては、電力、鉄鋼、ガスについての世界銀行借款四十三億五千六百万円及び電力向けなどの資金調達のため開銀による外債三千万ドル(百八億円)の発行が別途に予定されておりますが、またさらに経済情勢金融情勢の推移に応じまして財政投融資計画を弾力的に運用いたすことにより、重要産業及び中小企業並びに貿易振興経済協力促進のための資金確保につき遺憾なきを期する所存であります。  まず、日本開発銀行につきまして、三十五年度における同行の融資重点は、わが国経済安定的成長目標といたしまして、産業基盤強化産業構造高度化資源有効利用に直接的に貢献する産業の育成、助長を目的として、電力石炭特定機械化学肥料都市ガス産業関連施設等重点的に取り上げることといたしましたほか、地域間の均衡的発展目途とした地域開発融資推進することといたしました。運用総額は、六百六十億円を確保するものとし、このため財政資金四百三十億円の融資確保いたしております。  次に、中小企業金融公庫でございますが、中小企業設備合理化近代化とその企業経営安定化に資するよう資金運用を行なうことといたします。運用総額は三十四年度当初計画六百四十五億円に対し、七十億円増の七百十五億円を確保いたし、このため財政資金三百十五億円の融資を受けることとした次第であります。  商工組合中央金庫につきましては、中小企業に対する組合金融充実をはかりますために、三十四年度の当初計画に対し、百億円増の二百五十億円の貸し出し純増を行なう計画でありまして、このため財政資金による商中債引き受け三十億円を行なうことといたしております。  中小企業信用保険公庫につきましては、三十五年度においては、信用保証協会保証規模を拡大いたすことによって、中小企業金融充実をはかりますために、融資基金として産業投資特別会計から出資十八億円を行なうことといたした次第であります。  次に、日本輸出入銀行でございますが、三十五年度におきましては、プラント輸出促進東南アジア等に対する経済協力賠償実施促進をはかるため、七百二十億円の貸付を行なう計画であります。この貸付規模は、三十四年度当初計画八百億円に対し八十億円の減少ではありますが、同年度の貸し出し実績見込み約六百七十億円に比較いたしますと、五十億円の増加となっております。この貸付計画確保いたしますため、三十五年度におきましては、出資十億円、融資三百五十億円合計三百六十億円の財政資金を投入する計画であります。  次に、電源開発株式会社につきましては、三十五年度におきましても三十四年度に引き続き、奥只見、御母衣、滝などの電源開発継続工事に主力を注ぎますほか、黒又、二又等新規地点開発計画いたしまして、四百六十五億円の工事規模確保し、このため財政資金四百三十五億円の融資を行なうことといたしておるのであります。  次に、石油資源開発株式会社につきましては、海洋掘さくを中心とする石油資源探鉱等を行ないますため、十九億円を産業投資特別会計から出資する計画であります。このほか、油田の開発にかかる民間資金の借り入れにつきまして、五億円の政府による債務保証限度額を設定いたしました。  次に、日本航空機製造株式会社につきましては、三十五年度の事業資金として、経済援助資金特別会計から七億五千万円の財政投資を行ないまして、当社の事業計画の円滑なる遂行を確保することといたしました。  最後に、海外経済協力基金仮称)についてでありますが、昭和三十三年度において経済基盤強化法に基づき、日本輸出入銀行出資されました五十億円を東南アジア経済協力推進基金として活用いたしますため、目下特殊法人設立を準備中であります。  以上をもちまして通商産業省所管一般会計及び特別会計予算の御説明を終わりますが、なお御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議の上可決せられんことをお願いいたす次第であります。
  4. 綱島正興

    綱島主査 これにて説明は終わりました。     —————————————
  5. 綱島正興

    綱島主査 質疑に入ります。質疑の通告がありますから順次これを許します。永井勝次郎君。
  6. 永井勝次郎

    永井分科員 通産大臣にお尋ねをいたしますが、けさの新聞で見ますと、火力発電に対して重油専焼ボイラーを認めるということに通産省では決定をされたということでありますが、重油使用制限臨時措置法の延期の問題と今回の取り扱いとそれから石炭の安定と、これらをからめてどのような総合的な対策のもとにお運びになっておられるのか、これを承りたいと思います。
  7. 池田勇人

    池田国務大臣 重油専焼ボイラーを今はっきり幾ら幾ら認めるという結論は出ておりません。御承知通り石炭企業合理化をはかるため、ただいま御説明申し上げましたように、政府といたしましては画期的の措置を講じようといたしておるのでございます。従いましてこれと歩調を合わせまして、今後石炭の最大の消費面であります電力関係につきましても、年々石炭消費増加を私は期待いたしておるのであります。しかし産業基盤強化経済合理化の点から考えまして、今やっておりますボイラー規制法、これはいつまでもやるべきでございませんので、大体本年の十月限りでありますが、これをただいまのところ三カ年延ばす計画でおるのであります。しからば昭和三十八年の十一月からは専焼ボイラーを認めることになりますが、この場合に十一月から専焼ボイラーをやるということになりますと、前もって相当の設備をしなければなりません。従いまして大体ボイラー規制法が今後三年続けられまして、その期限が終わるころにつきましては、私はある程度の専焼ボイラーを認める。そうすればそれを目途といたしまして、三十八年十月以前におきまして専焼設備を設けることもやむを得ないのじゃないか、こういう考えでおるのでございます。しからばいつから、どれだけということにつきましては、まだ結論は出ておりません。
  8. 永井勝次郎

    永井分科員 専焼ボイラーを許す前提として、それにからめてことしからですか、石炭百万トンの増量を引き受ける、そういう条件がついておると新聞に見えておるのでありますが、その関係はいかがですか。
  9. 池田勇人

    池田国務大臣 私は今申し上げましたごとく、産業全体から考えまして、いつまでもボイラー規制法をずっと続けるというわけにいきません。しかし重要産業である石炭消費ということも考えなければなりませんので、石炭業者と大消費者である電力業者との間に、毎年増量することによってボイラー規制法との関係を調整すべく業者間で今話をしておるのであります。毎年どれだけ消費をふやすか、そうしてまた三十八年度までに消費をどれだけふやすか、三十八年度の十一月以降専焼ボイラーがどんどんできるということになったときに、どかっと減ってもいけませんので、そういうところは業者間において話し合いをつけるよう電力石炭業者に言っておるわけであります。結論はまだ出ておりません。
  10. 永井勝次郎

    永井分科員 重油石炭との経済効率の上からいえば、電力会社は早くから重油をもっと使いたい、こういう要望があったと思います。政府は本年に重油規制を三年延長するが、三年後にはこれを打ち切る、こういう目標を持っておられる。そういたしますと、新設の分のボイラーについては、会社はもちろん重油専焼ボイラーをつけることになるでありましょうし、またその経済的な価値、効率から申しましても、だんだん石炭を使いたくないという——場所によって違うでありましょうが、そういう方向に動いていくことは、経済の原則から申しましてあたりまえのことだと思うのであります。そうすると、重油を使うということを前提にして、それを認めるということを前提にして、これに抱き合わせて石炭増量をはかるということは実際的に矛盾する事柄である。その矛盾する一つの事実を調整するためには、政府はよほどの成算があって、あるいはそれを裏づけていく石炭増量目標というものが実現できるような条件がなければ、軽々にそういうことはできないであろうと思うのでありますが、まだきまっていないということでありますが、すでに政府の意思が三年後にはもう延長しないのだという条件に立ちますと、情勢ががらっと変わってくると思うのであります。その辺の関係をもう少し明確にしていただきたい。
  11. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題につきましては、石炭鉱業審議会で十分練りまして、石炭合理化需要者の方の需要増加ということを話し合いの上で答申ができておるのであります。この石炭鉱業審議会におきましては、石炭業者関係労働者、もちろん消費者も入れております。矛盾するとおっしゃいますが、矛盾するのでございますけれども、そこが石炭鉱業重要性電力という公共事業関係の間でございますから、私は話がつくと考えておるのであります。
  12. 永井勝次郎

    永井分科員 次に通産大臣電力行政に対して、全般的というよりは基本的にどのような態度をもって臨まれるか、あるいは料金の問題において、あるいは水力火力とのかね合いの問題において、あるいは電発配電会社との開発関係における問題において、あるいは九分割されたこれら電力のいろいろな関係に対して、基本的にどのような態度をもって指導を進めていかれるお考えであるか、一応総合的に承っておきたいと思います。
  13. 池田勇人

    池田国務大臣 料金の問題につきましては、従来いろいろ問題がございまして、積み上げ方式と申しますか、経費を一々審査して、料金算定の基準にいたしておりましたが、御承知通り電気料金調査会というものができまして、電気料金算定はかくあるべしという答申が出ておるのであります。今その答申につきまして、通産省は検討を加えております。すなわち電気料金はこういうふうにしてきめることが適正であるということについての答申でございまして、今検討いたしております。  それから火力水力の問題は、御承知通り火主水従とか水主火従とかいろいろいっておりますが、これはやはり各会社によりまして、いろいろな点を考慮しなければなりません。水力が何ぼあり、需用がどのような状態であるということから、どちらを主にするかということは、各会社考えていくと思いますが、今の体制は火主水従ということのようでございます。  次に電源開発会社と九電力会社の問題、これは私は今特にここで問題にするほどのことはないと思います。やはり分野をきめまして、業者すなわち電源開発会社と九電力会社と話し合ってやっておるのでございます。今特に問題はないと思います。また全国の電力会社を九分割したことにつきましての問題はいろいろありますが、今私がここでこの問題につきましてどうこうということは、申し上げない方がいいと思います。これは業者間においていろいろ考えておることと思います。
  14. 永井勝次郎

    永井分科員 料金の問題についても、これは九つに分かれておるのでありますから、それぞれの九つの会社における企業単位の料金の問題が一つあります。また現在決定されておる料金の中において家庭用電燈料金をどうするか、大口あるいは小口電力料金をどういうふうにするか、あるいは農村の関係電力料金をどうするか、というような内部における個々の料金の査定の問題もあろうと思うのであります。料金については現在の原価主義をおとりになって、そうしてその中における料金のいろいろな査定、料金の格差というものはそれぞれの会社に一任されるわけでありますか。あるいはそれの個々の料金の内容にわたっても、査定をされるというお考えでありますか。あるいは貿易自由化に伴う基礎産業としての電力の国際的な競争力を高めるための、国際的な水準へ日本の電力企業というものを持っていくための基本的な方向を打ち出されるというお考えがないかどうか、その辺の関係をお示し願いたい。
  15. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま申し上げましたごとく、今までの料金の決定は原価主義でやっておったのでございます。今回いろいろ検討の結果、電力料金調査会もまた原価主義に基づく一定の方式によってきめていこうという答申案を全会一致でいたしておるのでございます。通産省といたしましては、その点につきましてただいま検討を加えておるのであります。  それから内容につきまして各種産業、各種業種についてどういうふうな方向をとっていくか、今までもそういう各業種別にいろいろ料金をきめております。今後におきましても、やはり情勢によりましていろいろな施策を加えるべき点が出てくるかと思いますが、ただいまのところ、特別にこの産業についてどうこうということで、今までの方針を変えていく考えはございません。
  16. 永井勝次郎

    永井分科員 通産大臣貿易自由化に伴う日本産業体質改善において影響を受ける部分からこれを直していこう、こういうような対症療法としてのお考えなのか、もっと基礎的に体質改善をしようという、この基盤から固めていこうという態度をもって進まれるのか、もし対症療法的に当面影響がないからというならば、電力の問題は国際貿易の面に浮かんで参りません。輸入ができないものでありますから、国内において独占的な価格もこれは可能であります。しかし基礎産業でありますから、電力の問題を国際水準の線までこれを上げて、各種産業のエネルギー源としてのあり方を確立しませんと、各産業体質改善の日程というものがはっきりして参りません。そういう面から申しますならば、直接には自由貿易との関係はありませんけれども、基礎的な問題としてこれをすみやかに取り上げなければならない段階がきているとわれわれは考えるのでありますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  17. 池田勇人

    池田国務大臣 これは今自由化の問題が大きくクローズ・アップしておりますから、そういう問題が起こってくると思います。それにもかかわらず経済の根本でございますから、エネルギー源としての重要な部門である電力料金のあり方につきましては、常に検討を加えていかなければならぬと考えておるのでございます。
  18. 永井勝次郎

    永井分科員 そういうふうな体質改善基礎、これは日本産業体質改善の基本的な問題であって、自由貿易とは必ずしも関係なくやらなければならないということになるならば、現在の電力が九つに分かれておって、それぞれの地域における料金差があり、そうしてその九つの分割というものも、合理的な一つの配分がなされたのではなくて、ただ単に九つに分けるというようなことで、経済的な条件で分かれたのではなくて、地域的な条件で分かれておる。従って経済的なファクターでこれらのものを検討しましたならば、非常に不合理な点があるので、これは根本からやはり直さなければ、これらの是正というものは不可能である。運営の面において、あるいは送電におけるロスを少なくするというような、そういう末梢的な措置では、合理化が根本的にできないといういろいろな条件があると思うのであります。そういう問題をお考えになられませんか。電力の問題を、日本における可能な限度において合理化するということならば、基本的に九つの分割されている会社の統一というものに手をそめないでは、できないということがはっきりしていると思うのでありますが、この点について大臣の所見を伺いたい。
  19. 池田勇人

    池田国務大臣 実は今の九分割をしたのは、昭和二十五年私が通産大臣を兼務しておったときでございます。あの当時としてはあれでよかったと思いますが、その後の事情の変化によりまして、お話のような点がなきにしもあらずでございます。従いまして電力業界におきましては、広域運営という考え方でお互いに融通し合うということで、今その欠点を補いつつあるのでございます。九分割が今になっていいか悪いかという議論はありましょうけれども、私といたしましてはまあ今の現状で広域運営強化しながらやっていきたいと考えております。
  20. 永井勝次郎

    永井分科員 広域運営は、現在非常に不合理になっている面の単なる一つの修正にすぎないのであって、根本的な問題ではありません。たとえば発電の関係から申しましても、富山県の水力発電をどういうふうに分割しているか。四つも五つも分け取りをして長距離を輸送して持っていっておる。もう少し合理的な経営をしようというならば、私は十分その面において合理化ができると思う。火力水力との地域的な配分関係においても、十分に合理的な施策が今後打ち立てられていくと思うのであります。ところが九つに分割されて、地域々々において料金が違っておる。そうして富山県の電源を各所で引っぱり合いをして持っていく、そういう事実に目をおおっておいて合理化だなんということは、これはとんでもない話だと思うのですが、その点はどうですか。
  21. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう議論が今一部行なわれておることも知っております。しかし通産省が今一緒になるとか別れろとかいうことを指令する規定も何もございません。私はこういうふうなものはいろいろの世論あるいは経営者の心がまえできまるべき問題であると思います。
  22. 永井勝次郎

    永井分科員 公益事業でありますから料金については原価主義ということを法定して、これが行政庁にまかされておるわけでありますし、相当の監督権があるわけであります。大臣は電気事業法をいつお出しになるつもりか。原案を作っていつまでたなざらしにしておくつもりか、この扱いを伺いたいと思います。
  23. 池田勇人

    池田国務大臣 今検討中でございます。原案ができましてもすぐその通りいくわけにもいきませんので、いろいろ各方面のことを考慮しながら検討を加えておるのであります。いつ提案するか、まだ未定でございます。
  24. 永井勝次郎

    永井分科員 今までの議会審議においては、電気事業法をもう出すもう出す、この国会に出す。たとえば国会提出の予定議案には電気事業法が印刷されたことさえあったのであります。その当時から比べますとずっと後退している。何が問題点なのか、どの点が問題なのか明らかにしていただきたい。
  25. 池田勇人

    池田国務大臣 今検討中でございまして、実は私はその原案をまだ見ていないのでございます。だからどの点が問題になっているかというところまでいっておりません。もししいてならば事務当局から御返事いたさせます。
  26. 小室恒夫

    ○小室政府委員 ただいま議論になりましたような、たとえば九電力会社と電源開発会社との関係を広域運営体制ということで、できるだけ現在の体制のまま合理化していこうというふうに進んでおるわけであります。そういう点の成果もまだ二年目で、どの程度までこれでやれるかということもはっきりしない点もあります。これはかなり大きな問題でございます。それからまた復元の問題というような、かねてからの懸案の問題もございます。大小いろいろの問題がございますが、現在の電気に関する臨時措置法で、旧公共事業令を電気事業の規制の法律として残しておりますが、現状において電気事業の規制に非常な支障があるという点がないものでありますから、いろいろな点をもう少し時間をかけて慎重に検討したいというのが、提案がおくれておる最大の理由でございます。
  27. 永井勝次郎

    永井分科員 ただいま小室局長は、現体制のまま合理化を進めていきたい、こういうことを言われる。現体制のままが一番いい体制なのかどうかというところに問題があるのであって、現体制という土俵の中で合理化する、そんなちっぽけな合理化なんという問題じゃございません。公益事業という立場から、国民経済的な立場からいかに合理化するかという立場で、現体制を判断し、あるいは別の法案を用意するということでなければならぬのじゃないか、その点はどうです。
  28. 小室恒夫

    ○小室政府委員 ただいま申したように広域運営というものでどこまでやれるかということの見定めもある程度したい、そういうふうに考えて、広域運営というものをどこまで電気事業法として織り込んでいくべきか、そういう点も一つの問題であるということを申したわけであります。
  29. 永井勝次郎

    永井分科員 大臣に伺いますが、九つの電力を統一しますと、これは相当に合理化ができると思います。ヨーロッパの共同市場も各国違った電力会社が、電線をつないでヨーロッパ共同市場の地域内の電力を一本にしようという動きが相当に出ておりますことは、これはもう御承知通りだと思うのであります。それを日本が戦争に負けて小さくなった、小さくなったと言いながら、その小さくなった地域の中で九つに分割しているこの不合理な体制を、どこまでも続けようとしている。ヨーロッパの方では国が違っても、あの広い地域を電線を一本につないで、さらに合理化をしよう、広域運営をやろう、この産業基礎条件を単一にしていこう、同じような条件に引き上げようというようなことをしておる。そういうところに、ただ電力会社の利益だけをはかるような立場でものを考えておることに対しては、われわれ非常に不満であるし、猛省を促したいと思うのであります。そこでこの料金の問題をちょっとお伺いします。大口需用は、三千キロ以上は一キロワット時三円七銭、五百キロ以上が四円二銭というような安い料金、これに対して業務用の方は七円四銭あるいは六円五十九銭、さらに電灯料金になりますと、十一円四十九銭というようなひどい価格をくっつけておる。これは大口で原価を切って赤字を出したものを、家庭用電灯で補いをつけているという、こういう価格の割り振りであります。こういうものに対して大臣は無関心でいられるのですかこれを一つ伺いたい。  さらに今日の電灯料金というものがどういう過程で改訂されてきたかといえば、もとは冬料金、夏料金という二つがありました。電力料金は原価主義というならば、夏料金と冬料金と二本建てであることは当然だと思うのです。原価主義の上からいって私は合理的だと思う。それを高い冬料金から安い夏料金にかわるときに冬料金のまま一本化してしまった。高い方の料金に一本化してしまう、こういうずるいやり方で値上げをやった。さらに今度は電力料金の計算の単位を変えて、定額であるとかあるいはメートルとかそういうものを今度はアンペア制に切りかえる。計算単位を切りかえて、この切りかえた当分の間はこれを置きかえる——アンペアの機械がそうできないから、アンペア制、五アンペアは幾らに置きかえる。十アンペアは幾らに置きかえると、従来の定額に一応換算してやっている。そしてそれが一応ついたところで、アンペア制でぐっと引き上げていった。五アンペアなんかではラジオもあるいはアイロンも電燈もというようなことができない。そんなのをするとすぐヒューズが溶けてしまう。ですから五アンペアで従来十分であったものが、今度は十アン。ヘアを設置しなければいけないというような形で計算単位を切りかえて、そうして実質的な値上げをやる。これが公益事業かと思われるような料金の改定の仕方や足どりをずっとやってきて、これが原価主義によって政府が許可を与える料金の内容だということについては、われわれは非常に不満を持っておるし、当局の行政指導というものに対して非常な疑義を私は持つものであります。さらに農村の関係に入りますと、これは大臣も御承知のようにもっとひどい。北海道のような場合は電柱を二本半以上つくところはそろばんに合わないからつけないのだというので峻拒いたします。でありますから、農家の場所によっては永久に電灯がつかないような状態に置かれている。それをつけたいなら自分で負担せいという。でありますから開拓農民であるとかなんとか、こういうみじめな人たちが一戸、電灯一つをつけるために十五万円内外の自己負担でつけておる。そうしてその電力料金はどうかといえば、組合を作って、そうして高い料金で配電されておる。さらに補修その他は自分たちの組合でやっていかなければならぬ、こういうひどい状態になっておる。さらに料金関係では、基本料金というのがきまっていて、たとえば酪農家なら牛を飼う牛を飼って一日十分か十五分まぐさを切る動力に使うというようなものでありましても、基本料金が一カ月千幾らという料金を負担させられる。でありますから、一時間当たりの料金から申しますと非常に高い。一時間当たりの実質料金が三百十一円、こういうひどい料金になっておる。こういうひどい料金の内容をそのままに見過ごしておる。これが公益事業だ。公益事業ということは国民経済的な立場から見た公益ということではなくて、公益事業という名において電力会社が、一企業が、営利会社がその利益を確保され、そうして税金を安くしてやる。当然ここからは配電しなくてもいいんだ。お前の公益事業はこの限界でいいんだというような利益の立場から国民経済を切り捨てる、こういうようなやり方をやっている。そうして現在はどれくらいあるかというと、三十四年の上期において四百三十五億一千四百六十二万円というような渇水準備金を蓄積しておる。そうして零細な地方の農民なんかの利益というものは踏みにじられておる。こういうようなやり方というものは厳に戒めなければならない問題だと思うのであります。事務的な答弁はあとに回わしまして、こういう一般的な企業のあり方というものについての大臣の御所見をお伺いいたします。
  30. 池田勇人

    池田国務大臣 電力料金につきましては、いろいろお話のような問題の点がございましょう。しかしこれは沿革的にもいっておりますし、また今後考慮して、改むべきところは改めたいと考えておるのであります。詳しいことは事務当局から……。
  31. 永井勝次郎

    永井分科員 ヨーロッパ共同市場における電力の政策と日本の政策……。
  32. 池田勇人

    池田国務大臣 ヨーロッパ共同体における電力の線はみなつながっておるかもわかりません。日本だって……。
  33. 永井勝次郎

    永井分科員 いや、料金の統一を目標にしているじゃないですか。
  34. 池田勇人

    池田国務大臣 それはただいまも申し上げましたように、いろいろ沿革もございますし、各省のこともございますので、十分検討して、今後改むべきところは改めたいと思います。
  35. 小室恒夫

    ○小室政府委員 おもな点だけ事務的に御答弁いたします。たとえば電灯の料金単価、これは平均十二円であります。それから大口の特約によりますと平均四円くらい、これは事実その通りでございます。これは電灯の犠牲において大口需用者を優遇しておるのじゃないかというお尋ねでありますけれども、私どもはかなり厳密な原価計算をやっておりまして、その原価計算に基づいてこういう差が出てきておるということ、実はここに詳しい表もあるのでございますけれども、あまりこまかく一つ一つの報告を申し上げるのはかえってどうかと思いますが、資料として、必要ならあとで出してもよろしゅうございます。大体において原価主義に基づいているということは言えるのであります。それからまた今回の電気料金制度調査会で、需用家、電力事業者、また学識経験者が集まりまして、二年間にわたっていろいろな角度から電気料金制度についての検討をして参っておりますが、夏冬の料金についてむろん原価の差があることは別として、これは一本化する方が望ましい、一年を通じた平均原価でもって考えるべきだという点もございます。ただアンペア制と最低料金制というようなお尋ねもございましたが、これは実情を十分考えて、急激にこういう点に変化を求めるつもりはございませんけれども、これについても、調査会の一応の答申がございますので、その線で処理したいというふうに考えておるわけでございます。調査会の答申というのは、一言に言えば、御指摘のように、原価主義をあくまで貫けという線ではございますけれども、しかしながら一方において、従来の沿革もあり実情もいろいろ考えなければなりませんから、そういう点で、たとえば無点灯部落の問題にしても、あるいは農事用の電力の問題にしても、いろいろとまたその状況に応じて考えていかなければならぬという点が、細目的な点においてはあると存じます。大臣も言われたように、実情に即していろいろとまた考えるべき点は考えるということは私どもも考えておるわけでございます。
  36. 永井勝次郎

    永井分科員 電力の問題ばかりで時間もとれませんから、次に移りたいと思いますが、ただ大臣に申し上げておきたいことは、私は池田通産大臣に対しては一行政庁の長官としての立場の意見を聞いているのではなくて、自民党における実力者として、次の出番を待っている大政治家としての修業時代としての池田通産大臣だ、こういう立場で私は質問をしておるのであります。そういう立場からいたしますと、あなたが一電力会社の利益の状態が、企業の実態がどうあるかということを忠実に再吟味しようとする態度ではなくて、ただ事務当局から与えられた説明によって、現状維持で、ただおざなりな答弁をするというような答弁の仕方では、大政治家としての素質に欠けるところがありますし、また国民の利益の立場で福祉国家を作るという新しい一つの芽を育て上げていくという、政治家としての心がまえとしては、私は反省してもらわなければいけない。電力業界の元老である松永氏がどう言っておるかといえば、この業界の人でさえ、従来の幹部はただ現状に安住して、桃源の夢をむさぼっていた。世界はそんなものではない。一大覚醒をしなかったら取り残されるぞ。業界自身の内部からでさえ、これだけの声が起こっておるときに、国民の中から、電力料金の公益事業としての性格をもっと拡大しよう、はっきりさせようという声がこれだけ盛り上がっているときに、将来の大政治家たるべき池田さんがこういうおざなりな答弁で済ませるという態度については、私は深く反省をしていただきたい、こういうことをつけ加えて、電力の問題は終わるとして、次に進みたいと思います。  肥料の問題は、今いろいろ問題があろうと思いますが、大臣はこの原価計算を今やっておる、あるいは合理化について新たなる角度から再検討しょうというような事柄で検討されておるということでありますが、現在の時点における作業の状況、それから今後におけるプログラム、そうしていつごろまでにどういうふうにして、どんな考え方こでれを処理されるか、その点をお伺いしたい。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 お話のように、肥料問題につきましては、石炭問題と同様われわれ最も頭を悩ましておるところでございます。従いまして、事務当局に従来の合理化第二次計画だけではいかない、もっと突き進んだ調査をするように命じておるのであります。まだ進行の分の報告を受けておりませんが、局長から御報告いたさせます。
  38. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 肥料の今後の対策、ことに輸出によります非常な大きな赤字を背負っております、それをいかにして解決していくかという点は、永井先生は肥料審議会の委員としても非常に御尽力を願っておるわけでありますが、前回及び前々回、その点について根本的にはマル公制度あるいは現在の肥料二法というものについての考え方をきめなければならないというようなところに触れられまして、十二月十八日に開きました中間の審議会におきまして、業界側それから政府側それぞれ検討を進めるべしという趣旨の御決定をいただいたわけであります。ただいま業界におきましては、主として本年度からスタートいたしました第二次合理化計画の再検討をするための資料を作りつつございます。数字的な資料は、三月十日という期限でわれわれの方へ提出を求めております。それが集まりました上で、次の段階の検討を始めるという予定にいたしております。  なお原価計算のやり方は、何と申しましても二法成立以来相当の時間もたっておりますし、内容自体最初から種々問題のあった点もございますし、またいわば消費者側と供給者側、メーカー側との一種の妥協というような形で、必ずしも学問的に正確を期してきめられた原価計算制度でないというような意見も幾つかございますので、これはただいま太田哲三博士を委員長といたします三人の学者のグループにお願いをいたしまして、綿密な再検討をしていただいております。すでに委員会を五回開いたわけであります。現在の進行状況から見ますと、三月の半ば前後に一応その結論がまとまるであろうという見込みでございますので、できれば三月の末、あるいは場合によっては四月早々に次の審議会を開いて、その結論を御報告をして審議をしていただくという段取りにいたしたいと思っております。今後の運び方と対策の基本方針と申しますか、これあたりは、実はまだそういうことで、非常に急速な輸出価格の低落という事態に伴いまして、数年先の対策をどうするかというようなところまでまだ突き進んだ考えは持っておりません。基本的には審議会の意見を十分参酌して、次の対策考えて参りたいと考えております。
  39. 永井勝次郎

    永井分科員 肥料の問題は、これはなかなか容易な問題ではないと思います。困難な問題だと思います。なぜかといえば、こういった関係企業は単に硫安なら硫安のワク内だけの合理化というようなことで、企業の一つのねらいが定まるものではなくて、あらゆる総合的な関係の中で硫安の問題がどういう位置を占め、どういう一つのコストになるかというような総合的な所見に立たなければ、これは硫安なら硫安の独走で問題が解決できるという関係ではないからであります。その困難性はよくわかるのでありますが、従来の原価計算は、たとえば利子、利潤という数字が出ているから、それならば資本はどのくらいかといえば、それはわからない。ただ投下資本がわからないで、利子、利潤という数字が出てくる。あるいは広告関係なんかにおきましても、ただ量で、この会社の使っておる広告を配分する。でありますから肥料のようなこういう大量のものは、一トンについて何百円というような非常な広告費がかかるというようなこういう計算が出ておる。でありますから、総合的な企業の中で、その中から硫安というものを取り出して、どれだけの設備がこれになにしているか、どれだけの資本を投下しているか、経費はどういうふうな配分になっておるか、こういう基本の合理的な計算システムができませんと、結論が間違ってくると思うのであります。ところがこれを直さなければいかぬじゃないかといえば、従来はこういう計算方式はちゃんと政府できまっておるのであって、独自な計算方式はできないのだ、こう言ってきたのであります。ところが今度は別な角度からほんとうに真実を追求する、コストを追求するという立場でいろいろやっておるということはこれはけっこうだと思います。ただ私も昨年ドイツに参りましたときにオッパムの工場その他を視察いたしまして、いろいろ意見も伺って参りましたわけでありますけれども、やはり肥料はもうからない仕事だ、ドイツにおいてももうからない仕事だ、そうしてそれはどうしても原料である廃ガスを使う、安いガスを使うということが企業採算の上の一番のポイントだ、こう言っておるのであります。その場合それだけでもまだいけないのでありまして、いろいろな仕事を総合的にやっておるので、あるときはこの仕事が好況だ、あるときは沈んだという場合には、肥料の値段が非常に下がって国際的に競争しなければならぬというときには、その総合的な経営の中からガスの値段を安くしてやる、安く計算して安く売れるようにするというように、ガスの値段においてもいろいろな伸び縮みができる、こういうやり方をやっておるようであります。そういう関係から申しますと、今度の硫安の肥料企業合理化というものの中には現在ある企業体質改善の問題もありましょう。しかし現在の企業を土台にして態勢をくずさないようにということでありますと、どうしても国際的な合理化競争への足を引っぱる関係になる。これは相当思い切ったスピードで追いつきませんと追いつけない。そういうような場合に、たとえば製鉄関係から出る廃ガス、これを甲の会社にやらせる、ガスの所有者と肥料の経営者とが企業が違う、こういうような場合には製鉄関係ガスの生産量も伸び縮みはしましょうそういう関係を、製鉄会社の原料の伸び縮みによってこっちの方の企業が伸び縮みをしなければいかぬ、こういうことになりますと、これはやはり正しい合理化のスタートではないのではないか、こう思うのでありますが、そういうような点について、大臣は基本的にどういうふうにお考えでありますか、伺いたいと思います。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 今までのように、電解炉とかあるいは固形原料からやるというようなことは、これは時代おくれでありまして、お話のように、流体原料によってやることが望ましいということは、われわれも考えておるわけでございます。しからば流体原料をどこに求めるか、それは今の製鉄業の廃ガスとかあるいは天然のガス等々が出てくるのであります。しかしいずれにいたしましても、その流体原料が無限にあるわけでもございません。限られておるし、また地域的にも差がございます。従いまして今の流体原料、また今後起こるべき流体原料をいかにマッチさせていくかということが、やはり肥料工業の合理化の根本をなすものだと思うのであります。従いまして、現在の製鉄からくる廃ガスにつきましては、おのおの既存の肥料の会社とタイアップして、そうして原価を安くするようにやっておりますし、また今後起こる石油からのガス、この利用につきましても十分考えていきたいと、今計画をいたしておるのであります。
  41. 永井勝次郎

    永井分科員 そういたしますと、やはり製鉄会社ガスを発生する、それをほかの会社で使わせる、こういうような組み合わせでおやりになるというお考えでありますか。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまのところはそういうふうにいたしております。たとえば日本鋼管の分を昭和電工、富士の飾磨のものを別府化学、八幡のものを新日本窒素、こういうふうに今計画して着々進んでおる状況でございます。
  43. 永井勝次郎

    永井分科員 議事進行に関して……たとえば私が今やっている、それからまた私の方の質問者が出て、あとまた僕がやるという、一人一回というような申し合わせではないから、それでもけっこうなわけですね。
  44. 綱島正興

    綱島主査 別段異議ありませんが、別に質疑の通告者もございますから、そこらもかね合わせて……。
  45. 永井勝次郎

    永井分科員 それではこの硫安の問題については、これはなお非常に問題がありますが、後刻またこの問題に触れていきたいと思います。  次には鉄鋼でありますが、鉄鋼については今自主調整をやらしておるが、なかなかこれがうまくまとまらない。八幡、富士は現状の比率によって今後の問題を律していこう、あるいは新興企業関係は、そうではなくて、新しいシステムを作ろうというようなことで、意見がなかなか合わない、こういうような状況のように承っておるのでありますが、この製鉄の関係については、大臣は基本的にどういうふうなお考えで臨まれるおつもりでありますか。たとえば需要の関係がどのようなふくれ方をしていくかという見通し、需給のバランスをどういうふうに見ているのか、そうしてその見方は当局の見方、業界の見方いろいろあるでありましょうが、そういうものをどういうふうに調整していくか。それから業者間のそういう問題は自主調整にもっぱらまかせておくのか。自主調整だといいながら、当局の方では試案を出してみたり、あるいは自主調整がまとまらなければ行政指導するぞ、こういうふうな、裏からいろいろなことが言われたりというような経過を今のところはたどっておると思うのでありますが、製鉄企業関係、業界の問題については、今後どのような基本的な態度で対処されるのか承っておきたいと思います。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 製鉄業は産業基盤でございますし、また最近の状況は非常に伸びてきております。三十四年度は、前年に比べましてインゴットで四割程度ふえるというような、かつてない盛況を呈しておる。鉄鋼行政は、大体今のところ、順調に非常によくいっておると考えております。  しからば今後今までのような伸びを続けていくかということになりますと、必ずしも昨年のような伸びは続けられません。従いまして業界の方におきましてもいろいろ相談いたしまして、大体三十七、八年までにどのくらい業績が伸びるかというようなことを計算して、いろいろ計画を立てておるのでございます。たとえば各高炉メーカーの八社にいたしましても、やはり自分はこう思うのだ、こう思うのだということでやりますから、全般の需給計画よりはみ出すことがあるのであります。従いまして業者間で自主調整をするようにわれわれはこいねがっておる。通産省といたしまして、今自主調整のうちに入ってどうしろというふうなことはいたしておりません。ただ鉄鋼業のあり方、大体の見通しというくらいなことを業者と話しておるでありましょうが、自主調整に立ち入った事実はございません。通産大臣といたしましては、あくまで業者間で適当な話し合いをつけてくることを期待いたしておるのでございます。
  47. 永井勝次郎

    永井分科員 途中で出した試案というようなものは、あれはどういうものですか。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 考え方だけの問題であります。私はあまりよく情勢を存じませんが、そういうように聞いております。
  49. 永井勝次郎

    永井分科員 そういたしますと、今後とも自主調整に期待する、そうして、それがもしまとまらなければ今度は自由競争になっていくわけでありますが、それでもやむを得ない、みずから求めたところだからというので、ほうっておくわけですか。その点はどうです。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 産業行政に携わっております私といたしましては、もっぱら業者間で円満に調整していくことを望むだけでございます。それがいかなかった場合にどうするかということを今申し上げることは、やはり責任者の立場として差し控えたいと思います。
  51. 永井勝次郎

    永井分科員 まあ具体的なことはどうこう言えないにいたしましても、自主調整がつかなかった場合に、何か審議会のようなものを作ってこういうふうにしよう、あるいはさらに業界の仲介に通産大臣が入ってどうするとか、あるいはそういう自主調整がつかなくてもおのずからむだな競争にはならないだろうとか、あるいは金融の面から締めていくとか、やはり何か腹づもりはあるでありましょう。そういうことを基本的にどういうふうにするのだ、しようと思っておるというくらいなことは言える段階ではないかと思うのですが、いかがですか。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申し上げたごとく、もっぱら自主調整を祈念してやまぬということだけで、御了承願いたいと思います。
  53. 永井勝次郎

    永井分科員 お祈りしていればとびらは開かれるだろうというお考えは、あまりに唯心論者になっておると思うのですが、ひたすらお祈りするだけでありますか。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申し上げた通りでございます。
  55. 永井勝次郎

    永井分科員 次に、私は中小企業関係についてお尋ねをいたしたいと思います。本年の予算から見た中小企業対策というのは、確かに一歩前進をしております。そのことは予算の面から認めます。ただ、これは従来の政府のとってきた中小企業対策に比べてゼスチュアだけはその姿勢をとったという程度のことでありまして、中小企業が現在当面している困難な事態、あるいは貿易自由化にさらされる中小企業のしわ寄せを伸ばすだけのアイロンの役割はとうていできないと考えるのであります。この点からお伺いをいたしたいのでありますが、業種別振興対策をお進めになっておる特別措置法案が、何か部内において、政府間でいろいろ問題が起こって停滞しておるように聞くのでありますが、これはいかがでございましょうか。
  56. 池田勇人

    池田国務大臣 中小企業業種別振興特別措置法は順調に進んでいっていると思います。近日中に提案になると思います。
  57. 永井勝次郎

    永井分科員 この方はまず四部門だけ出発する。初年度十五業種だというのですが、それを一つはっきりとここでお示し願いたいと思います。
  58. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 予算的には十五業種ということで積算になっております。どういう業種を選ぶかということは、目下検討中でございます。中小企業が相当ウエートを占める業種とか、あるいは貿易自由化の影響を相当受けそうな業種、そういう業種を考えて検討中であります。
  59. 永井勝次郎

    永井分科員 その選別の基準を示して下さい。
  60. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 これは遠からず提案いたします法律では、業種は政令で定めることになっております。政令でいずれはっきりいたしますが、今申しましたように、中小企業が相当ウエートを占める業種、それから輸出関係で特に中小企業がウエートを占める業種、あるいは貿易自由化等で相当の影響を中小企業が受けるおそれのある業種、そういう種類の業種を選びたいと思います。
  61. 永井勝次郎

    永井分科員 主要産地対策推進協議会を置くということになっておるようでありますが、主要産地の選定はどういう基準でおやりになりますか、これは政令できめるのでしょうが、大体法案を出す以上は、具体的な説明資料も整っておると思いますから、業種についても、あるいは主要産地に対する推進協議会というもののなにについてももう少し具体的な説明を願いたい。
  62. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 業種につきましては今申し上げた通りでございます。大体その業種の関係中小企業が集まっている産地は、それぞれまず業種別にいろいろ対策を立てます際に実態調査をいろいろやらなければいけませんし、また対策が立ちましたあと、それぞれその対策推進といいますか、実効を期していかなければならぬわけでありまして、そのために産地を選んでいく、その業種が選ばれまして、その業種に関する中小企業がたくさんいるところはみな主要産地ということで扱っていく、こういうことであります。
  63. 永井勝次郎

    永井分科員 中小企業対策予算の大部分は指導であるとか、診断であるとか、相談であるとか、こういうふうに従来の通りやたらに人をたくさん作って、たとえば商工会にしてもそうでありますが、人件費がおもなのでありますが、まあ指導もあるいは診断もけっこうでありましょうけれども、少なくも実際にやっている専門家の業者に対して、全国にわたって何千人という優秀な人材というものは、なかなかむずかしいのではないか。そういう俸給生活者の者をただそういう名前で配置するというだけでありますから、これは地方において業者が信頼をしない、またものの役にも立たない、費用のむだ使いという結果に終わるわけであります。でありますから、診断員であるとか、指導員であるとかいうためには、少なくもそういう関係に採用してから何年か実習をさせる、あるいは指導教育をする、そうして第一線に対しても十分指導力があるというような準備ができて、こういうシステムを作るのならけっこうでありますが、どろなわ式にただ何千人か配置する、こういうことでは効果が上がらぬと思いますが、この点については大臣は相当の自信がおありなんですか。
  64. 池田勇人

    池田国務大臣 従来商工会というものも実際あったのであります。そうしてまたある程度の指導商工会議所の方ではやっております。私はこれを徐徐に強化していこうと考えておるのであります。こういうものはやはりスタートを早く切りませんと、指導員ができてからどうこうという問題ではないのでありまして、両方相待って完璧を期したいという考えでございます。具体的なことにつきましては長官からお答えいたさせます。
  65. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 御指摘の通りに、中小企業は非常に相手も多いわけでありますし、また事柄の性質上指導ということが中心になっておるわけであります。たとえば従来からあります中小企業診断指導員というものにつきましても、これは一定の資格を持った者を診断員に登録する。それからまた始終研修等をやりまして、その実力の涵養に努めておる、そういう制度にしております。商工会法を新しく作りましてこれに配置します経営改善普及員というような種類の者も、われわれの計算では、会計士、計理士その他従来の中小企業診断員全体の数、あるいはそれの働き工合等から見まして、その他地方における学校卒業者というものの数から見まして、今度やろうとしておりますのに見合う数を十分に充足できるという見込で仕事を進めておるわけであります。なおこれらの者の経験あるいは実力ということにつきましては、従来と同じように研修したり教育したりという制度をともにあわせまして資格を限定いたしてやって参りたいと思います。
  66. 永井勝次郎

    永井分科員 大臣にお伺いをいたしますが、貿易自由化によって中小企業が相当の影響を受ける、こう一般的にいっておるのでありますが、大臣はどのような段階においてどのような具体的な形で中小企業に影響を与えると予想されるのか、その診断を一つ伺いたいと思います。
  67. 池田勇人

    池田国務大臣 これは各業種によって、また自由化をいつやるかによって、よほど違って参るのであります。私は中小企業に急激な悪影響の及ばないような方法で、いわゆる体質改善、関税制度の改善あるいは金融面等々しわを伸ばしながらやっていく考えであります。いろいろな産業に影響の多いものもあり、またほとんどないものもありましょう。それから今主として自由化というものは製造関係について言っておられますが、製品の輸入関係でも相当の影響があるのであります。そういう点を具体的にただいま個々の業種で検討、調査をいたしておるのであります。
  68. 永井勝次郎

    永井分科員 業種によっていろいろ影響の形は違うでありましょうが、共通の問題はあるだろうと思うのです。日本の現在の中小企業に対する共通の問題としての影響力が、どんな形でどういうふうに現われるのかということがわかりませんと、対策は立たぬと思いますが、どの点をどういうふうにお考えでありますか。
  69. 池田勇人

    池田国務大臣 中小企業に対する共通の問題というのは私はあまりないと思います。業種別によって違います。一度に全部ぱっと自由化するわけじゃないのであります。たとえば非常に能率のいい高度の技術を日本へ輸入するということになりますと、これはいろいろな問題があります。しかし共通的にということになりますとなかなかむずかしいのではないか、答えにくい問題だと私は思います。
  70. 永井勝次郎

    永井分科員 たとえば低賃金の問題なんか、これは共通の問題だろうと思うのです。あるいは技術が非常におくれておる、技術を相当向上させなければならぬという問題は、業種によっては違うでありましょうけれども、全般的には同じであろうと思う。あるいは資金が不足であるという関係も共通な問題だろうと思うのであります。共通の問題は共通の問題として、業種別の限界の中だけでは解決できない問題だと思うので、中小企業一般として、プロパーとして考えていかなければならぬ基礎があると思う。その点についてはいかがですか。
  71. 池田勇人

    池田国務大臣 自由化によって中小企業の低賃金にどういう影響があるかという問題は、私はあまりないと思います。それよりも産業自体から低賃金の問題を解決していかなければならぬ。私は、今回の貿易自由化を徐々にやっていくということは、日本の産業基盤強化して、経済を拡大して、そしてわれわれが一大目的としております低賃金をできるだけ早く解消していこうということのための自由化だと考えておるのであります。
  72. 永井勝次郎

    永井分科員 拡大していくという期待は大へんけっこうなんですが、それならば具体的に自由化によって日本の貿易がどの方面にそう拡大されていくのか、一つ具体的に貿易拡大のプログラムをお示し願いたい。アメリカの方にはどういう品物がどういうふうに伸びていく見通しがあるのか、あるいはヨーロッパの方にはどういうふうに伸びるのか、東南アジアの方にはどういうふうに伸びるのか、こういうことで一つ通産大臣の展望を伺いたい。
  73. 池田勇人

    池田国務大臣 貿易がどの方面に伸びるということはなかなかむずかしい問題であります。それよりも、日本が自由化することが世界の貿易拡大に寄与するということをお考え願いたい。日本がいつまでも今のような鎖国主義のあれでは外国も相手にしてくれぬということが一つの要素でございます。私はそれよりもまず日本の経済を拡大するのには、国内経済自由化した今日、国際経済を不自由にしておいて、びっこなやり方じゃいかぬということから言っておるのであります。従って日本の経済を拡大強化し、そして世界経済に溶け込んでいって自由な活動をするためにはやはり自由化が必要である。私は、全般的に伸びる要素がこれでできると考えております。ただ今までのような実績割当とかなんとかでやっておったり、あるいは地域別に外貨予算を作為して組む場合において、自由化いたしますると、東南アジアのような原料が高くて悪いというふうな方面からの輸入が減ってくる。そのときにどうするかという問題は、輸出入取引法等で緩和しようとしておるのであります。私は自由化が世界的に伸びる根拠だ、各方面に伸びるべきだと考えております。
  74. 永井勝次郎

    永井分科員 貿易自由化ということは、それぞれの国が貿易を拡大していくのだ、経済強化していくことに役立つのだ、今のシステムのうちにおける一般論としては一応これは抽象的にはわかるわけであります。たとえば、ヨーロッパの共同市場にいたしましても、これは自分の地元の足固めをやって、そうしてそこに経済の好景気、不況等に対する弾力的な力を培養して、それから外へ伸びてきた。ヨーロッパの共同市場なりあるいはイギリスの自由市場なり、あるいはアメリカその他にしても、どんどん海外へ自国の貿易を拡大するために、こういう政策を積極的にやってきている。その足固めには何年かという基礎の準備時代があったわけです。通産大臣あるいは岸総理は、二年前から準備したという話でありますが、われわれは通産関係の委員をやって、ここでいろいろやっておりましたけれども、いろいろな説明あるいは討議の中で貿易自由化の準備をこういうふうにやっているのだという話は、去年の暮れのころまではほとんど聞いたことがないのです。外からの一つの動きに対応いたしまして、適応してそういうことを言ってきた。それだけに国内には準備が不十分ではないか。でありますから、日本だけが拡大されるという条件が固有的にあるのじゃなくて、競争の中でこれに打ち勝っていく、その場合に、拡大するわけでありますから、これはもちろんその基礎には自国の経済の実態というものが吟味されなければならないと思う。そういうふうに、各国がみな力を合わせて、それから共同市場のような力を背景にして出てくるときに、日本がアジアで孤立していて、そうしてアジアの近所の貿易があっちこっち閉鎖されていて、遠い、経済力のうんとあるアメリカであるとかなんとかに貿易が少し伸びたというだけで、これが拡大の条件だなんということは、私は非常な危険ではないか、そういう観察は非常に抽象論ではないかと思うのであります。もしそういうふうでなくて具体的なものがあるというならば、こういう商品は伸びるのではないか、こういう地域にはこういう貿易の拡大の条件があるのではないかというふうにお示しいただかなければならぬと思うのです。東南アジアその他の方面においても賠償という問題で品物は出ていきますけれども、それでは純貿易の分野においてどれだけ伸びる条件があるのか、お聞きしたいと思います。
  75. 池田勇人

    池田国務大臣 私は、国内経済自由化というのは、十年前にありました制度をなくして自由なり姿に返し、その次には国際的にやるべき筋合いのものだと以前からも考え、為替相場の決定を二十四年にやったのも、そういう下心からやったわけでございます。ただ戦後の回復が十分ではなかったので議論になりませんでしたが、石橋内閣のときにも大豆の輸入の自由化はほとんど決定しておった状況でございます。私は閣僚になりましてからも常に自由化を叫んでおったのでありまして、昨年通産大臣になりましたとき、私は、ぜひこれはやらなければいかぬというので手を染めたわけなんでございます。たまたま日本の貿易が非常に伸びて参りました。世界の貿易は四、五%しか輸出入がふえませんが、日本の貿易は御承知通り二〇%をこえる輸出入の増加でございます。アメリカが五割、東南アジアでは最近では二、三割、ヨーロッパ方面でも一割程度ふえておるのであります。全体として日本の輸出は他の国の倍あるいは三倍というふうな伸び率を示しております。私は、これはやはり世界が日本の経済というものを認めてくれた、こういう情勢なのではないかと思います。外貨の点につきましても、御承知通り十三億二千万ドル、そうして昭和三十五年度におきましては為替収支で四億ドルという見込みを立てておるのであります。こういうときに私は、どこに準備ができていないか、準備のできていないものにつきましては準備をしてやる、こう言っておるのであります。今までやった分につきましては、大体準備ができております。こういう機会をとらえて、ほんとうに日本の経済と世界の経済のつながりを緊密にしていくということが、日本がこれ以上伸びる素地である、こういう確信をもってやっておるのであります。準備々々と言われますが、いたずらに準備々々と言っておって、やるべきことをおくらせることは国のためにならないと考えております。
  76. 永井勝次郎

    永井分科員 今通産大臣の言われたように、外貨が十三億二千万ドル、イタリア式に言うならば二十億ドルからの外貨がある。こういたしますと、日銀券の通貨が八千億円内外、二十二億ドル内外の国内通貨に対して九〇%近い外貨の手持ち、こういうことからいえば、アメリカなどは七〇%内外の準備でありますから、日本はそういう比率からいうならば準備はもう十分だ、こう言えるはずであります。しかし現在そういう手持ちをしておりながら、その底流するところに不安がある。こういう貿易がどこまで続くのだろうか、アメリカの好況というものがどこまで続くのであろう、アメリカがくしゃみすれば日本がかぜを引くというほど依存度が高い日本が、アメリカヘの貿易がふえたからといって、ただその面で喜んでいても困るではないか。そういう広い一つの市場というものを獲得するための努力が、自由化の中で用意されていなければならないし、その土台ができていなければならぬ、その土台ができていないままに、ただ現在これだけあるのだ、赤字は出超の基調だ、ただ現在の時点の現象だけでものを言っておりますから、世間もその通りには理解をしないし、それを信用しない、底冷えをどことなく感じておる、こういうのが現状ではないかと思います。でありますから日本が自由化をしていく、自由化をするかわりにもっと市場を拡大していくのだ、中共貿易はこういうふうにやるのだ、対ソ貿易はこういうふうにやるのだ、東南アジアには低開発地域への開発資金としてこれだけの資金を打ち込んで、そうしてそこでヨーロッパ市場なり何なりと戦っていってこれをしのいでいく条件がこれだけあるのだ、こういうような具体的なことをお示しいただかなければ、幾らこうやったといったって狭くなっている国際市場、その中においてさらに狭くなってきている日本はアジアにおいて孤立している、そしてアメリカヘの依存度の高まってきている日本。そういうものの中で自立的な拡大政策をやりますためには、国内における産業機構の上から、貿易構造の内容から、もっとこれで拡大できるのだということが立証されなければ、通産大臣が幾ら政治的な発言をしても、私はこれは理解できない、こう思います。そういう点において中共貿易はどうするのですか、対ソ貿易はどうするのですか、東南アジアヘの開発資金の投入等はどういうふうにやるのですか、それからアメリカ貿易の展望はどうなんですか、これを一つ伺いたい。
  77. 池田勇人

    池田国務大臣 物事を心配すれば切りがない、私はお答えとして申し上げます。昭和二十四年に為替相場をきめて、昭和二十八年と昭和三十二年におきましては国際収支は赤字でございましたが、しかしこれ以外の年におきましては三億ドルないし三億五千万ドルふえております。今では十三億二千万ドルになっております。国内における生活水準の引き上げ、産業発展は世界の人の驚異でございます。十三億二千万ドルと申しましても、正確に申しますと、十九億ドルたまっておるのであります。かせいだのであります。その残りの三億ドルというものは、インドネシア賠償として一億七千七百万ドル落とします。オープン・アカウント関係貸付が一億五千万ドル、そうして為替銀行への預金、政府の預金は三億ドルをこえております。これを別にして十三億二千万ドル。今までわれわれの歩んできた過去十年は国際収支は非常に黒字で、産業は伸びて、私はその心配は要らぬと思います。この上伸びるということになれば自由化が必要であり、世界の中に溶け込んでほんとうに自由な競争でいこう、これが私の考えであります。  具体的に申しますと、ソ連の問題につきましても——中共は向こうがやってくれないから仕方がないのでありますが、ソ連の問題につきましても、今貿易協定を三年でいっております。大体ソ連は三年間に三億ドルの輸入をしよう、そうして二億二、三千万ドルを払い、あとは延べ払い、日本はこれに対しまして大体ソ連から二億三、四千万ドルの輸入を計画しておりまして、昭和三十五年度は六千万ドルでございます。こういうふうにしてできるだけ各国との貿易をやっていこう。私は自由化の問題は経済の根本をなすものと思います。これをまずやって各国とのなにを続けていく。日本が自由化してこそ初めていろいろな国際的な障害も除き得られるということであるのでございます。アメリカ方面に対しましても、日本の商品が一度に伸びるということにつきまして非常に懸念しておりますが、徐々に伸びていくことは何ら向こうも言っておるわけではございません。経済協力の安保条約二条の問題もこういう趣旨から出ておるのであります。また東南アジアにおきましては、第一次製品の価格がおととしごろは安かったが、だんだん第一次製品の価格も上がって参っておりますから、これは他の先進国ともこれらの国を開発して、日本の伸びるところをますますふやしていく、こういう考えであるのでございます。
  78. 永井勝次郎

    永井分科員 国内の国民生活が全体的によくなった、世界の驚異だというような通産大臣の所見に対しましては、私は違った考えを持っておりますが、これはまた別の機会に譲るといたしまして、貿易がこれだけ伸びたということは現在事実であります。それならば、この伸びた貿易の輸出の外貨獲得の五〇%は、日本の中小企業者の努力で五〇%はかせいでおると思うのでありますが、この点はいかがでありますか。
  79. 池田勇人

    池田国務大臣 雑貨品等相当出ておりまして、それから今の、たとえば綿糸とか合成繊維等は大企業というか中小企業というか、いろいろ問題がございます。しかし日本の経済の実態というものは中小企業が一番多いのでございます。生産的にも相当多いのであります。輸出入の相当部分は中小企業である。何割が中小企業で何割が大企業かということはなかなか困難な問題でございますが、重要な部分が中小企業輸出品考えております。
  80. 永井勝次郎

    永井分科員 何%ということは正確でなくとも、われわれの計算では外貨獲得の約五〇%は中小企業の努力によって得たものである。それならば中小企業がそのような努力によって得た外貨に対して、輸入の分野においてどれだけ外貨の割当を従来受けてきたかということについてどのようにお考えですか。
  81. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の点がはっきりいたしませんが、中小企業が外貨をたとえば五割なら五割を獲得した、それを中小企業に五割やっているか、こういう御質問ですか。
  82. 永井勝次郎

    永井分科員 いや、そうではなくて、輸出をして、外貨を獲得したその五〇%は中小企業の人の努力だ。そうして輸入のための外貨割当はどんな仕組みになっているのか。中小企業関係にどれだけの外貨割当が従来行なわれてきたか。輸出の面と輸入の面とのこのつり合いを聞いているのです。
  83. 池田勇人

    池田国務大臣 外貨割当もその業態によって違っております。あるいは実績主義でいったり、あるいは設備主義でいったり、いろいろな点がございますので、御質問の点はちょっとはっきりいたしませんが……。
  84. 永井勝次郎

    永井分科員 わからなければお話しいたしますが、中小企業の非常な努力で外貨を獲得した。その外貨を使うのは大企業がほとんどじゃないか。そうしてその外貨の割当を受ければ、外貨の割当を受けただけで、二割とか三割というただもうけのような、こういう従来の管理貿易の実態ではなかったのか。だから、そういうような形でずんずんと大企業は大きく伸びたけれども、中小企業はざるで水くむように、一生懸命で外貨獲得には働くが、そのもうけの方は大企業にすっかり吸われてしまう。国内の産業体制においてもそうだ。だから、二重構造というものがだんだん拡大していく方向で、縮まっていく方向ではない、こういうふうにわれわれは理解しておる。そういたしますと、そういうような形ででき上がってきた現在の体制というものを、これを現状維持の形で管理貿易から自由化の方向へ移向しよう。そうして自由化になっても、できるだけ今日の体制を維持しようということであるならば、これはもう二重構造はますますひどくなっていく。だから、体質改善というならば、こういうような不合理な形で、この大企業重点で運ばれてきた従来の貿易構造というものを、是正していく方向に政策をとらなければ、しわ寄せばもっとひどくなるのじゃないか。だから、中小企業へのしわ寄せをできるだけ是正しようというならば、こういう面も十分考えていかなければならないのではないか、こういうことを言っておるのであります。でありますから、たとえばそれをさらに、こういう状態を維持するために、大企業が系列化をはかっていく、そうしてほかのものはこれを踏んずけていく、あるいはカルテルをやっていく、こういうことは、これは是正の方向ではないのではないか。ほんとうに自由化をやろうというならば、不公正な経済行為というものを是正するための独禁法をうんと締めていく、あるいは大企業の独占支配を制限する、制限を強化する、こういう方向の政策を打ち出さなければ、自由化とは逆ではないか。大臣の考えていることとは逆になるのではないか、こういうことなんです。この点についての所見を伺いたい。
  85. 池田勇人

    池田国務大臣 業態によって違いますが、あなたは二、三割の眠り口銭をとっていた、こう言われるから、多分繊維関係だと思います。そういう眠り口銭をとるということはよくないから、自由化しようとしておるのであります。その準備には相当かかるからというので、繊維界の各方面、たとえば綿とか羊毛とか化繊等々、関係業者相談の上、準備万端整えてやろうというので、今踏み出しておるのであります。だから、眠り口銭というものはなくなりましょう。そこで、自由に原材料を入れた場合において、日本の今の産業機構をどうやっていくかという問題は、これは当然眠り口銭をなくするための自由化でございますから、それによって原料が自由に手に入るようになったときの産業体制をどうしようかということは、今申し上げたように検討中であるのであります。健全な産業を長期にわたって育成していかなければならぬから、検討中であります。すぐ独占禁止法だとかなんとかいうふうなことを私は考えておるわけではございません。そういう意味におきまして、私は先ほど来、自由貿易をやるべきだということを申し上げておるのであります。
  86. 永井勝次郎

    永井分科員 そういたしますと、独禁法はいろいろな形、独禁法そのものずばりでなくても、あるいは輸出入取引法の関係において、あるいは繊維の関係において、どのような形であろうと、独禁法を強める方向をおとりになる、こう言うのですか、ゆるめる方向をおとりになる、こう言うのですか。
  87. 池田勇人

    池田国務大臣 これは自由化の問題を基本にいたしまして、日本の産業の国際的競争力を強める意味において、また国内産業正常化をはかる上において、いろいろな点を考えなければなりません。従いまして、今独占禁止法に手をつけることはいたさないつもりだ。ただ、先ほど申し上げました、日本の国内経済正常化と輸出貿易振興ということに対しまして支障のないように、ある程度の改正は、輸出入取引法あるいは繊維工業設備臨時措置法、これに対しまして改正を加えたい。いずれ国会の議決を得たいと考えております。
  88. 永井勝次郎

    永井分科員 その改正は、事実において、独禁法を弱める方向に動くのではないですか。
  89. 池田勇人

    池田国務大臣 独禁法を弱めますかどうか、私は、国家目的である国内経済正常化と国際競争力の強化、過当競争の防止のために今案を練っておるのであります。これがどういうふうな独禁法との関係を持ちますか、法案をごらんいただいてから御審議願いたいと思います。
  90. 永井勝次郎

    永井分科員 だから、日本の産業正常化というものの時点のとり方が私は問題である。現状をとりますと、管理貿易、管理為替の中で不当な形で変形された現状というものができ上がってくる。その変形された現状というものを、これを今の時点において、これが管理貿易のときの正常な形なんだ。今度は自由化にするときに、この現状を維推するためにいろいろな措置を講じなければならぬということになれば、管理貿易、管理為替にかわるべき大企業の独占支配というもの、こういう形を経済の行為としてやってくる、こういうことになるわけであります。あるいは長い間の管理貿易の中で不正常な形ができたんだ、それをあかを抜いて、その不正常な点を整理して修正して正常にする、こういう一つの考え方に立ちますならば、管理貿易の中で眠り口銭を長い間とってきた、ただもうけしてきたようにしてふくれてきたその不当な部分を削り取って、そのために押えられた部分を上げていく、これが正常化だということになるではありませんか。それがこの中小企業に対する対策の基本にもなってくるし、あるいは今後における政策の一つの出発点になってくるので、そういう関係から申しますならば、大企業が現状維持のために今度はカルテルをやる、系列を作る、こういう形になってきておる。これはさらにその延長になるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。だから、その点について、正常化というその時点はどこにおとりになるのか承りたい。
  91. 池田勇人

    池田国務大臣 今までの眠り口銭をなくすることでございます。そうしてほんとうの原則として、自由な立場でいくわけであります。しかしこれを、過去二十数年来やってきたことをぽんと出してしまいますと、経済の混乱が起こるから、混乱の起こらないように徐々に是正していこうとしておるのであります。そのために今申し上げましたような最小限度の法律の改正を要するから、御審議願うということであります。
  92. 永井勝次郎

    永井分科員 そこが逆なんです。それを是正するという方向をとりますならば、独禁法を強める方向でいかなければ是正はできないのじゃないですか。自由化になったって、独禁法をどんどんゆるめて、またアウトサイダーも制約できる、輸入の数量も互いに協定できるんだ、こういう価格維持のために——国民経済的な立場で、コストを下げるという方向ではなしに、カルテルによって価格を支配をしたり、数量を制限をしたり、あるいはアウトサイダーを制限したり、現状維持のためにあらゆる努力ができるような、そういうゆるめた条件をまた作っていく、こういうことは逆ではないですかと、こう言うのです。
  93. 池田勇人

    池田国務大臣 独禁法は改正いたしません。今申し上げましたように、日本の国際的立場をよくし、日本の貿易を伸ばし、過当競争を少なくし、そうして国内経済正常化発展を来たすための最小限度の輸出入取引法、あるいは繊維工業設備臨時措置法の改正をしたいというのであります。だから、それが独禁法にどう触れるか、独禁法をきつくしたのか、ゆるくしたのかということは、法案のときに一つ御審議を願いたいと思います。
  94. 永井勝次郎

    永井分科員 法案のときの審議ですけれども、それは明らかに独禁法というものの基本法には触れないで、繊維の面において、あるいは貿易の取引の面においてこれをぐんとゆるめる方向でしょう。独禁を強める方向ではないのです。大企業の不公正な経済活動が最大限にできるような条件を与えるというのです。これは逆じゃないですか。それは法案のときに審議しろというなら審議しますけれども、それは独禁法ではアウトサイダーまでも制約するという、そういう経済活動を積極的にできないことになっている、消極的な関係ですけれども。この輸出入取引法の中には積極的にそういう経済活動ができる、不公正な自分たちの立場をもっと強化していく方向をとっておる。これは逆じゃないですか。独禁法は改正しなくたって、事実においてそういうふうに一つ一つやっていく、こういうやり方をしているのですが、これはどうなんですか。
  95. 池田勇人

    池田国務大臣 独禁法というものはこんりんざいあの精神を拡大していかなければならぬという考え方なら、あなたの言うようなことになります。日本の経済をよくし、国際的に発展さしていくことが必要であるとするならば、輸出入取引法においてある輸出のためのアウトサイダーの規制等はやっていくことが必要と私は考えておるのであります。従いまして、いろいろな議論がアウトサイダーの規制のやり方に関してございましょうが、どの程度やるかということの問題は別個に議論すべきものであり、独禁法に独れるおそれがあるから輸出入取引法は改正しないのだ、こういう議論は出てこない。それが国のため、国民のため、世界経済発展のためになるということならば、御審議を願うべく、私は輸出入取引法においてアウトサイダーの規制を最小限度に入れることも考えなければならぬと今考慮しておるのであります。
  96. 永井勝次郎

    永井分科員 もう最後です。残余の分はまた午後の機会に譲るといたしまして、私は、大企業の利益のために独禁法はゆるめていくのだ、ゆるめるということは、必然的にそういう結果になるのだ、この必然性は大臣も十分御存じだと思う。また、その立場から申しますならば、国民経済的な立場から一企業の利益を招来するようないろいろな立法や経済活動は制約していかなければならぬ、国民経済的な立場で独禁法は強めていかなければ、不公正な活動というものがますます拡大していくのだ、こういうふうにわれわれは理解しておる。そこが大臣と違うところでありますが、この問題はまた午後に譲りたいと思います。
  97. 綱島正興

    綱島主査 それではこれにて休憩をいたしまして、午後一時四十分より再開いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時四十四分開議
  98. 松浦周太郎

    ○松浦(周)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
  99. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 通産大臣に、この間の予算の一般質問で時間がなかったので、お伺いいたしかねました点について二、三お伺いしたいのですが、その前にお聞きしておきたいのは、航空機製造事業法で指定された会社、この間もお話がございましたが、まだ速記録ができてきませんので、念のためにもう一度お伺いしておきたいのです。
  100. 池田勇人

    池田国務大臣 航空機製造事業法で指定したのは五つあると記憶しております。新三菱重工、川崎航空機、富士重工、新明和、それから日本飛行機の五つでございます。
  101. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この飛行機の製造は新三菱、川崎、富士、あとは修繕等について新明和と日本飛行機と伺っておりましたが、間違いございませんか。
  102. 池田勇人

    池田国務大臣 さようでございます。
  103. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この五つの会社について、飛行機の製造、飛行機器の製造についての許可を与えられた年月日がいつになっておりますか。機種もついでに事務当局からお答え願いたい。
  104. 小出榮一

    ○小出政府委員 新三菱重工業の、まず小牧工場から申し上げますが、製造事業の許可はF86Fにつきましては昭和三十年六月二十六日、それからS55につきましては三十三年十月三十日。それから修理事業につきましては、これは大型のプロペラ飛行機、それから小型のジェット飛行機、大型の回転翼飛行機、この三つの修理事業につきまして昭和三十年三月二十三日、それから大型ジェット飛行機の修理につきましては三十三年十月三十日。それから大幸工場の方につきましては、大型のピストン発動機の修理でございますが、修理事業の許可は三十年三月二十三日、それから小型のピストン発動機の修理が三十年九月六日でございます。以上が新三菱重工でございます。
  105. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 井出先生が見えておりますからちょっと譲ります。
  106. 松浦周太郎

    ○松浦(周)主査代理 井出一太郎君。
  107. 井出一太郎

    ○井出分科員 淡谷分科員の御好意でありますからほんのわずかばかりの時間で失礼いたします。  私はベトナム貿易に関連いたしまして、ほんの一、二問伺っておきたいのでございます。もちろん共産圏全体にわたる貿易の問題はまた機会を改めてお尋ねしたいと思っております。ことに日中貿易の問題は、池田大臣とも一度御懇談したいと考えております。当面ベトナムのことをなぜ申し上げますかといえば、昨年の南ベトナムとの賠償協定の成立以来、このことが北ベトナムにも相当に響いて参っておるようでございます。もしこのままに放置いたしますときには、せっかく道がつきかけておりますものがくずれ去るおそれもあるからでございます。そこで私、事務当局でよろしいのですが、最近一年間の北ベトナム、南ベトナム双方の貿易量というものがわかりましたらお尋ねをしたいのであります。
  108. 池田勇人

    池田国務大臣 ベトナムとの貿易につきましては、これはなかなか南ベトナムと北ベトナムとを正確に分けにくいのであります。南ベトナムの方は日本からの輸出が相当ございますが、これは主としてICAの方のことでございます。一般の輸出入につきましては北ベトナムの方が南ベトナムよりも多いのでございます。北ベトナムの方は、一九五八年には日本への輸入が百二十万ポンドで、輸出が百七十七万ポンドでございます。昨年の五九年度には、日本への輸入が百五十六万ポンド、輸入のおもなるものはホンゲイ炭でございまして、これが百五十六万ポンドのうち百四十六万ポンドに相なっております。日本からの輸出は百三十九万ポンドでございます。一昨年来からの南ベトナムヘの賠償問題で、民間でやっておりました貿易協定は一応破棄になりましたけれども、実質的には輸出入は今申し上げましたごとく、通常に行なわれておると考えられるのであります。これは主として日本がホンゲイ炭を百数十万入れます関係もあることと思いますが、私は今後におきましても貿易はできるだけ促進いたしたい、こういう考えでおります。
  109. 井出一太郎

    ○井出分科員 大体私の伺わんとするところはお答え下すっておるようであります。確かにホンゲイ炭のごときものは、日本にとりましてはずいぶん長い間なじみのある品目でございまして、こういう綱を立ち切らないで持っていきたいというのが、やはり国民の希望しておる点であろうと思うのでございます。申し上げるまでもなくああいった計画経済の国家でございますから、輸出入の計画というものが国家計画の中へ乗るのでなければ、多きを求めるわけには参りません。現在においては何かおこぼれをちょうだいしておるような格好に見えまするので、こちら側が熱意を示すこといかんによっては、向こうはこれに呼べば答えるというような状況にあるやに私は情報を聞いておるのであります。私昨年中国を回りました際にも、北ベトナムというものが中国においてかなり高く評価されておる。たとえばホー・チミン氏のごときは、毛沢東政権というものとほとんど対等の話し合いができるというような立場における人と見て参ったのであります。そんなふうな点からいたしまして、やはり今後の共産圏貿易に対する一つの足がかり、こういうものを私どもは大事にしなければならぬと思うのであります。言うまでもなく輸出という問題は、これはこまかに積み上げて、小さいものでもなおざりにしないで、それを集積していくという努力が必要なのでございますから、ただいまの大臣の御答弁で、十分そういう点に御関心を持っていられることを承って、私は安心をしておるのであります。そこで今後向こうは、たとえば人の交流というようなことも要望して参るでありましょう。先年向こうから、日本でいえば経済企画庁の長官のような人が来たこともございますが、そのときに滞在の便宜を日本の方ではかったということが、向こうに非常な好印象を与えておるようでございまして、今後人的交流等が行なわれまするような場合、やはりそういう便宜は供与していただけますかどうか、そのあたりも伺っておきたいのであります。
  110. 池田勇人

    池田国務大臣 井出委員のお話、全く同感でございます。今後も有無相通じて両国の親善を増進すべく、貿易を通じまして努力いたしたいと思います。従いまして、これに関連する事柄につきましては、できるだけの努力をいたしたいと思います。
  111. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは引き続いて御説明願いますが、修理の方はようございますから、製造の方だけをお伺いします。
  112. 小出榮一

    ○小出政府委員 それでは製造事業に関する部分だけ申し上げます。新三菱は先ほど申し上げたわけでありますから、省略いたします。  次は川崎航空機工業株式会社でございますが、神戸製作所、これが製造事業の許可はベル47型の回転翼航空機につきまして、三十年の一月二十五日、それから岐阜製作所につきましては、T33Aターボジェット飛行機、これが三十年の十二月七日に許可になっております。それから富士重工業でございますが、これの製造事業の許可はメンターB45のプロペラ飛行機、これが二十九年の九月二十九日、それからLM型プロペラ飛行機、これが三十一年の四月十六日、それからL19プロペラ飛行機、これが三十二年の八月十五日、それからT1Aターボジェット飛行機、これが三十四年九月十二日、以上が製造事業の許可になっておる日にちであります。
  113. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今度国内生産をやることになっておりますF104CもしくはJの許可はまだお与えになっておりませんか。
  114. 池田勇人

    池田国務大臣 まだ許可を与えておりません。
  115. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 航空機製造事業法に基づきますと、同じ航空機でも武器に類するものは防衛庁長官と意見を交換し、それから決定するというようなことがございますが、前にグラマン機に国防会議が内定しました場合には、通産省としてどの程度まで作業を進められたか、これは大臣からお聞きしたい。
  116. 池田勇人

    池田国務大臣 就任前でよく存じませんから、局長からお答えいたさせます。
  117. 小出榮一

    ○小出政府委員 前に国防会議におきまして、三十三年の四月十二日に一応内定いたしましたグラマン機につきましては、もちろん今お話の通り、航空機製造事業法の許可をするものでありまして、武器を装備し、あるいは搭載する構造を有する航空機、これは防衛庁が使う場合には当然そうなるわけでございますが、そういうものの製造修理については、あらかじめ防衛庁長官の意見を聞かなければならないという規定がございまするので、当然、これは通産省がやはり事業を許可すべきものの予定を立てますにつきましては、あらかじめ防衛庁と相談して参った、かように私どもも承知しております。
  118. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この際大臣に一つお願いしておきたいのですが、今の御答弁で、前任者のことだからよくわからないということでございましたけれども、私はそれならば申し上げたい。  国防会議にせよ、通産省あるいは防衛庁にせよ、首脳部が非常にひんぴんと変わるので、実際の仕事は局長、課長級で扱われている例が大へんに多い。従って通産大臣がおかわりになりましても、通産大臣の下で働いております方々が、大体この飛行機の問題では非常に詳しいし、また疑念もかかっているのであります。そこで私率直に大臣に申し上げますけれども、もしほんとうに事情をお知りにならないのであれば、以下の問答について、新しい機種選定につきましても、国民の疑惑のあるところを一つあらためて御考慮願いたいということをまず申し述べまして、おわかりにならない点は小出局長の方からでもかまいませんが、お答え願いたいと思うのです。グラマン機を内定しました場合に折衝を続けました会社というのは、どことどこでございますか。
  119. 小出榮一

    ○小出政府委員 実は私は当時は重工業局長じゃございませんものですから、詳しい折衝の経過はあとで記録その他に基づきまして私自身も勉強しておる、こういうような関係になっておりますが、もちろん当時におきましても今日におきましてもそうでございまするが、航空機を製造し得る能力と、またその許可を持っておりまする会社は三社しかないわけでございます。従いまして新三菱重工、川崎航空機、富士重工、この三つが当然対象になるわけでありまして、これにつきまして、しかもそれがいずれの場合におきましても一社だけで全部のものを単独生産をされるというほどの能力もございませんし、主たるものが何であるか、これに協力するものが何であるか、こういう趣旨で十分各社について総合的に研究をした、こういうふうに記憶いたしております。
  120. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 前のことはあなたも知らないことはわかっておるのでございますが、今度は新しい問題に触れますけれども、ロッキードが決定されましたあと、すぐ会社との折衝が始まっているようであります。これは小出局長も知らぬとは言えないし、通産大臣ももちろん知らないとは言えない。きまった翌日すぐあの会社との交渉が始まっているんですね。どういう経過をたどったのか、一つ御答弁を願いたいと思います。
  121. 池田勇人

    池田国務大臣 いずれの機種にきまるか存じませんでしたが、いずれにいたしましても、きまった機種をどこの会社が主たる契約者としてやるのに適当であるかどうかということは、その会社の工場設備その他能力、技術、経験、各方面のことを検討いたしまして、どこが一番適当かということにつきましては私は以前から事務当局と検討を加えておったのでございます。しこうして国防会議でロッキードときまりましたし、またこれは予算関係上急ぐと思いましたので、日ごろ私が研究しておりました資料に基づきまして、防衛庁長官と相談の上内定したのでございます。
  122. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 以前から準備されたというならば、一体グラマン機にきまってもロッキードにきまっても、これは担当する会社は新三菱というふうに前からおきめになっておったのですか。
  123. 池田勇人

    池田国務大臣 前からきめておったわけではございません。今度機種がきまるについて、今の会社の現状を見まして、そうして将来の工数と申しますか、労務者の稼働状況、それから先ほど申し上げました設備技術等々を考えまして腹づもりをいたしたのであります。
  124. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 技術、工数の点などの御考慮があったそうですが、価格の点などでは通産省は考慮する必要はないのですか。
  125. 池田勇人

    池田国務大臣 価格の点につきましては、防衛庁が相談なさるのでございまして、われわれはどこが請け負った方が全体としてベターであるか、いいかということを主にして検討したのであります。
  126. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 新三菱を主契約の会社と決定されたのは、通産省がやったのだというふうに見てよろしいですね。決定したのは、防衛庁じゃなくて通産省だ。防衛庁長官の意見を聞いたと申しますが、最後に決定したのは通産省の権限でおやりになった、そう了解してよろしいですか。
  127. 池田勇人

    池田国務大臣 航空機製造事業法の規定に基づきまして、防衛庁長官と協議の上、通産省で決定いたしました。
  128. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 一体日本に航空機の製造のできる会社というのはこの三つしかないのですか、あとにはございませんか、能力を持っているのは。
  129. 池田勇人

    池田国務大臣 その三社が一応の製造会社と思っております。
  130. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この航空機製造事業法には、航空機だけではなくて、航空機器の点まで許可を与えているようですが、今お話の通り、新三菱がやりましても、今度のように川崎が従契約で、平たく申しますと、下請になっている。ところが新三菱と川崎だけではロッキードは完成しないと思う。これはいろいろな電気機器その他のものが必要です。この会社も全部航空機製造事業法に基づいて通産省の許可を得なければ機器の製造はできませんか。
  131. 小出榮一

    ○小出政府委員 お話の通り航空機製造事業法におきましては、航空機それ自体の製造または修理の許可、それからその航空機に搭載いたしまするいわゆる航空機用機器、これは法律と政令で具体的にその機器が指定してあるわけでございます。その指定されました機器を製造いたしまする場合には、お話の通り許可が要るわけでございます。
  132. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今度は大体許可をさらにふやすつもりでございますか。あるいは新三菱だけで、あるいは川崎、富士とこの三つだけで十分ロッキードの完成ができるというお見通しですか、新しく許可をする会社がございますか。
  133. 小出榮一

    ○小出政府委員 航空機本体の方の製造につきましては、新三菱と川崎航空だけでやる予定でございます。ただお話の通り、たとえばエンジンでありますとか、あるいは電気通信関係の機器でありますとか、いろいろ航空機用の機器がございます。これはもちろんそれぞれ専門のメーカーもございまするし、それをどこにやらせるかということは、これから先の問題であります。従いまして航空機のいわゆる機器あるいは部品全部何から何まで新三菱重工と川崎航空でやるということは、実際上はできない、かように考えております。
  134. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 従来はどうでしたか。F86F製作の場合もそういう問題があると思うのですが、これはどういう会社に許可を与えてやらしておりましたか。エンジンとそれから電気機器の問題と、二つに分けてお尋ねいたします。
  135. 小出榮一

    ○小出政府委員 エンジンにつきましては国産をいたしておりません。従いましてその他の搭載機器等につきましては、それぞれの関連の企業に対しまして許可をいたしております。具体的な名前は今手元に資料を持っておりませんので。
  136. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私の方から聞きますが、三洋電機はどうですか、許可されておりますか。
  137. 小出榮一

    ○小出政府委員 三洋電機は従来航空機製造事業法に基づく許可業者にはなっていないのであります。
  138. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは電気機器の製造会社はほかにございましたか。
  139. 小出榮一

    ○小出政府委員 大体主としてやっておりますのは、東芝、それから日本電気及び三菱電機、この三社であります。
  140. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは三社ともに航空機製造事業法で許可されたのですか。もし与えたならば、与えた月日等をお知らせ願います。
  141. 小出榮一

    ○小出政府委員 三菱電機につきましては、三十二年の二月、これは航空機の種類によりまして、単に届け出によって認める場合とそれから許可を受ける場合と両方ございますが、三菱電機につきましては、実はいろんな種類のものがございまして、単一のものではございませんので、早いものにつきましては二十八年の一月三十日くらいから三十二年二月一日、それから日本電気につきましては、二十八年の六月十二日、それから三十二年の四月三十日の許可のものがございます。それから東京芝浦電気につきましては二十七年の九月十五日、それから三十二年の二月一日というのが、各種のものについていたしております。
  142. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ロッキードの生産については、ジェット・エンジンを国内生産する計画はございませんか。
  143. 小出榮一

    ○小出政府委員 今のところまだエンジン関係の具体的な計画については確定しておりませんけれども、エンジン関係につきましてはできれば国産をいたしたいという方向でただいま防衛庁と相談をいたしております。
  144. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そのエンジンを作る会社についても、大臣、どこか御研究なされておりますか。
  145. 池田勇人

    池田国務大臣 私はエンジンその他のことはよく存じませんので、通産大臣の意見を事務当局から求められれば、そのときに勉強して考えたいと思っております。
  146. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもロッキードをきめるときは非常に神速果敢にやられて、前の晩きめて翌日はもうきまっていますが、今度はエンジンもどうせそうなるだろうと思いますが、この際に私、一番心配いたしますのは、防衛庁の物の買い方なんです。予算が非常に大きいのですが、買い方が実に乱暴きわまるものなんです。今度だって、国庫債務負担行為によって三十六年度からの要求額が七百四十億と申しますと、従来かつて見なかったような大きな予算です。それがまだ契約もできていないものだが、大体見積もりもなし、競争入札もなしに、七百億円をこえる買い物が勝手にされている。それでも従来の防衛庁の予算の使い方が正しければ、私は通産大臣にこういうことを申し上げないのです。F86Fにしましても、その他の艦艇の生産にしましても、絶えず莫大な国費の乱費があるということを、国家機関である会計検査院から指摘をされているのです。七百億という従来に例がないほどの大きな予算を費やすのですから、発注の仕方を少し考えなければならぬのじゃないかと思うのです。七百億をこえるものが、価格の見積もりもなく競争入札もなく、随意契約でぼんぼん言うがままに買われるという形の中に、非常に国費を乱費するということが出てくると思う。一つ例を申し上げましょう。F86に関してでありますが、予算委員会に提出された資料で申し上げましても、これは通産大臣、あなたの方では防衛庁の買い方についての責任はおとりにならぬでしょうけれども、参考のために知っておいていただきたいのです。あした防衛庁がどういう答弁をされるか知りませんが、     〔松浦(周)主査代理退席、主査着   席〕 これは防衛庁の調査によるものですから間違いはないと思います。納期が大体三期に分かれておりまして、第一次生産は三十一年十月から三十二年十二月まで、この価格が一機当たり二千六百八十六万三千円になっておるのです。第二次生産は三十二年の十二月から三十四年の二月までで、百十機でございますが、これに対して価格は一機当たり六千五百三十三万五千円です。わずか二年のうちに二倍以上の値上がりを見ております。第三次の計画は三十四年の二月から三十五年の十二月までになっておりますが、このときの価格は八千二百十五万円です。三百機生産のうちの七十機を作り、百十機を作り、百二十機を作るのですが、二年か三年の間に四倍近い値上がりを見ておるというような契約の仕方では、どうもこれは今度のロッキード買い入れでも、防衛庁にまかしておったのでは予算のある限り一ぱい使ってしまうのは目に見えておる。その点について何か防衛庁長官と通産大臣とお話し合いになったことがございますか。これは前のことなんですが。
  147. 池田勇人

    池田国務大臣 そういうことにつきまして話し合ったことはございません。こういうことは大蔵大臣が予算の執行で協議したり、あるいは会計検査院が監督することだと思っております。
  148. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 航空機製造事業法を見ますと、何か重大な過失があったりあるいは仕事をやめたり、一カ年間仕事を休むと、許可を取り消すという条項がございますね。これは大臣おわかりですか。
  149. 池田勇人

    池田国務大臣 航空機製造事業法の第二条の十三に「通商産業大臣は、許可事業者が正当な事由がないのに、一年以内にその事業を開始せず、又は一年以上引き続きその事業を休止したときは、第二条の二の許可を取り消すことができる。」こういう規定があるわけであります。
  150. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ロッキードを作る会社に内定されております新三菱重工はF86Fの生産もやっております。その会社が、大臣は設備やあるいは工員の点だけでお考えなさるからそうですけれども、価格の点においてすでにこういうふうな値上がりをしておる。同時にF86Fの生産進行状況についても、ただいまの許可取り消しの関係等もございまして、通産大臣は押えてなければならぬはずだと思うのですが、契約の通りに生産が進行しておるかどうか。今度のロッキードの契約内定にあたりましてその点は御考慮になりましたか。今生産進行はどうなっておりますか。
  151. 小出榮一

    ○小出政府委員 御指摘の新三菱重工業が受注いたしましたF86Fジェット機の生産につきましては、第一次、第二次、第三次とやって参りましたけれども、予定よりはおくれておりまして大体本年度一ぱいはどうしてもかかる、そういうふうな予定でございます。
  152. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは本年おくれてからではしょうがないので、第一次、第二次、第三次にわたりましてどういう進行状況であったか、これを小出局長からでかまいませんからお答え願いたいと思います。大臣はどうせお知りにならぬでしょうから。
  153. 小出榮一

    ○小出政府委員 第一次の七十機につきましては、三十一年の三月から生産を開始いたしまして、第二次が百十機、第三次が百二十機ということでございますが、大体予定よりも約九カ月ほどおくれまして、月産六機というようなペースで、三十四年の六月までには二百五機生産が終了いたしておりましたけれども、その後、全部で三百機でございますが、月産のぺースがやや落ちました関係上、三十五年の三月、今年度一ばいかかる、こういうようなことであります。
  154. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その御答弁では私は満足できないのです。第一次生産計画、第二次生産計画はいつ完了しましたか。
  155. 小出榮一

    ○小出政府委員 第一次、第二次、第三次と期別の資料を今持っておりませんので、期別にはお答えいたしかねます。
  156. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 第三次はどうなっていますか。ことしの十二月一ばいというのですが、納期はそうじやなかったはずでしょう。延期するに至った経過、現在残っている機数、それを局長にお聞きしたい。
  157. 小出榮一

    ○小出政府委員 全体三百機の予定は三十五年三月まで、つまり今年度一ぱいということでございますが、これが今年一ぱい、つまり三十五年の十二月まで約九カ月おくれるということでございまして、先ほど申し上げましたように、昨年の六月で二百五機できまして、その後大体月産六機のぺースでいっておりますので、それに約三十機ほどつけ加えられておる、こういうのが現在の状況であります。
  158. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは去年の十二月完成していなければならない約束なんですね。これはおわかりでしょう。それが去年の十二月には何機残ったのですか。これはあなた知らぬとは言わせませんよ。この間、あなたは新三菱重工の社長と一緒にいたのだから、あなたが知らないと言っても、ちゃんと速記録にある。
  159. 小出榮一

    ○小出政府委員 御承知のように、新三菱重工業の名古屋の工場は、昨年の台風等の影響もございまして、ややおくれたのでございまするが、現在の時点におきましては約二百五機、従いまして十二月末におきましては、先ほど申し上げましたように二百四十数機というところの段階だと思います。
  160. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 昭和三十四年の十二月二十三日の決算委員会には、新三菱の社長、川崎の社長と一緒に出られて御答弁があったはずです。そのとき、あなたのおった前で吉田証人はそう答えておりませんよ。二十三ページを開いて下さい。その一番末尾のところに、私の納期がいつで現在どうなっているかというような質問に対して、吉田証人から——これは新三菱の社長ですが、「大体今年一ぱいでございましたが、仕事量が非常に減ってきましたので、私の方も防衛庁にお願いいたしまして、来年の暮れまでに三百機完納することになっております」こういうことをちゃんと言っているのですね。いいですか。なおこれは前々から聞いたんですが、次期戦闘機の機種が決定しないために仕事が非常にひまになって、手があくから、これでやむなく一カ年を延長しなければならないということをはっきり言っているのですよ。これは、もしも次期戦闘機がきまらないで、そして仕事が切れたら許可をお取り消しになるのでしょう。当然そうじゃないですか。その点が非常にデリケートな問題なんです。
  161. 小出榮一

    ○小出政府委員 今御指摘の通り、昨年の十二月二十三日現在におきまして、新三菱の社長の吉田さんがお答えになりましたのは、このときから来年の暮れと申しまするから、ことしの暮れになるわけでありますが、それまでに三百機完納する予定だったが、そのとき現在までにでき上がって引き渡したのは二百三十機、あと七十機から六十機ぐらい残っておる、こういうお話でありました。ただ、こういうふうになりました原因につきまして、今お話しのように、吉田さんの発言は、速記録によりますと「仕事量が非常に減ってきたので私の方も防衛庁にお願いいたしまして」と確かにそうおっしゃっておりますけれども、私どもは、そういう意味におきまして特に仕事をわざわざおくらせて生産をだらだら延ばすというようなことをいたしたことはありません。ただ、お話しのように、もし航空機製造事業法に基づきます仕事が終わりまして、なおその後いろいろ新しい機種の許可を得たにもかかわらず、その事業を一年以上開始しないとか、あるいはすでに許可を得ておりまして製造事業を行なっておりましても、それが一年間以上全然何もしないで休んでおる場合におきましては、もちろん、これは許可の取り消しという事態が起こるかと思います。現在のところそういう事態は予想されていない、かように考えております。
  162. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 現在まで第三次生産は五十四機残っておるのです。これはやはりあなたの方で、こういう大きな仕事を随意契約で、しかも独占価格をもって七百億、八百億というような仕事をあずけるような会社なんですから、その点のことはしょっちゅう考えておかれないと、妙な推定をしますよ。すでにロッキードの契約の内定はできているのです。この契約をする場合に小出局長も言っているはずですが、川崎が非常に不満を言っております。一ぺんも見積もりを徴せられたこともなく、相談に乗ったこともない。しかし、御決定になったのだからといって、昔の殿様に呼び出された町人ぐらいのことしか言っていない。そのくらい、この航空機製造事業というものは通産省に権限を持たせておる。大臣はおかわりになったから知らないでしょうけれども、いわば、これだけ莫大な仕事をどこにあずけるか、あなた方から大臣が聞いてやるのです。そこに、国民から非常な疑惑を持たれる原因があります。独占価格なんです。一体、新三菱と具体的な契約をする場合には、防衛庁の方からあなたの方に何か話し合いがございますか。ただ、かりに契約をさせたのだから、そのままずるずると防衛庁だけで契約が結べるというのですか。その点をお聞きしておきたい。
  163. 小出榮一

    ○小出政府委員 具体的に契約をいたしますのは、発注者であります防衛庁とそれから会社側、こういうことになるわけでありますが、もちろん、日米分担金の問題もございまして、外務省を中心といたしまして、そういうような問題につきましては、交換公文その他については事務的に折衝いたしておりまして、その委員会の中には通産省の担当官ももちろん参加いたしております。従いまして、実際問題として、やはり防衛庁から私の方には技術上の相談がある、かように考えております。
  164. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 相談があるのですね。そうしますと、やはり、あなたの方では、新三菱と本契約を結んでいいのか悪いのか、なお若干変更するという場合もあり得るのですね。あくまでも新三菱でなければならぬということはないわけですな。その点はどうですか。
  165. 小出榮一

    ○小出政府委員 通産大臣に権限がございますのは、先ほど大臣がお答えになりましたように、航空機製造事業法によります事業許可だけでございます。従いまして、先般国防会議の席上におきましてきめられましたものは、事業許可をいたすべきものを内定したわけでございます。従いまして、内定をいたしましたあとでロッキード社その他といろいろ折衝をして、具体的な見積もりが出て、それから許可の申請あるいは正式な契約の締結をする、こういう段階になるわけでございますが、それには、御承知のように航空機製造事業法によります許可基準というものがございまして、これは機種ごとに、その機種に必要ないろいろな設備——これは特殊なものがいろいろございます。従いまして、その仕様書に基づきまして必要な設備というものを備えているかどうか、そういう許可条件が具備されなければもちろんこれは許可いたさない。しかしながら、許可条件が具備されておりますれば新三菱に許可をする予定である。これが先般の内定の趣旨でございます。従いまして、許可条件が具備されない場合におきましては、製造事業法上の許可が与えられないということは、これは当然のことだと思います。
  166. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは決定ではなくて内定ですから。グラマンは内定しておいてくつがえされましたが、ロッキードは今度はくつがえされないように決定されたのでしょうね。これは会社の契約はまだ内定だというのでしょう。そうでしょう。国防会議が新機種に対して契約を与えたのは、大体内定なんでしょう。どうですか。
  167. 池田勇人

    池田国務大臣 国防会議ではロッキードを決定いたしております。
  168. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは小出局長と答弁が違います。あなたは内定だと言っている。池田通産大臣、国防会議のメンバーは、これは決定だと言っている。どっちがほんとうなんです。
  169. 小出榮一

    ○小出政府委員 国防会議の決定は、次期戦闘機の機種を決定したのでありまして、次期戦闘機はロッキードの個を決定した、こういうことであります。従いまして、生産担当会社の許可をする予定というのが、これは国防会議それ自体の議題ではございません。ございませんけれども、しかし重大な関係もございまするし、また予算折衝等の時間的の関係もございまするので、国防会議本来の議題が終わりました直後におきまして、同じメンバーの方々の間におきまして、通産大臣から御発言があってこれを了承していただいた、こういう関係でありまするが、航空機製造事業法に基づきまする事業許可というものは、先ほど申しましたように、正式の許可申請が出てから決定いたすわけでありますので、現在の段階においては内定、こういうことでございます。
  170. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大臣、それでいいのですか。契約は内定であっていいですか。
  171. 池田勇人

    池田国務大臣 前からそういうふうにお答えいたしております。
  172. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもその点が非常にあいまいなんですが、なおまた機会もございましょうから次に移りますけれども、これからどうせエンジンも作らなければなるまいし、電気機器等も作らなければならないでしょうその場合にもやはり新三菱が主契約ですから、新三菱が主契約者として、あるいはまたこのエンジンの製造会社あるいは電気機器の製造会社と別に契約をして、これを結びつけますか。どっちにいたします。
  173. 小出榮一

    ○小出政府委員 今お示しになりました航空機の主要な部品あるいは搭載機器等につきましては、いろいろな種類がございますし、エンジンなどにつきましては、これはいわゆる官給品といたしまして、防衛庁自体が調達をいたしまして、これを主たる契約者がもし新三菱であるといたしますれば、その新三菱に防衛庁から支給する、こういう関係になっております。
  174. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは予算的にはエンジンの価格は航空機購入の中に含まれますか。機器として別に出しますか。器材費ですか。どっちに入ります。
  175. 小出榮一

    ○小出政府委員 この価格の具体的な計算の内容につきましては、実は私どもも詳細に承知いたしておらないので、防衛庁にお聞きになった方が正確だと存じまするが、私どもが大体承知しておりますのは、そういうエンジンも含めました価格である、かように考えておおります。
  176. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛庁がエンジンを官給品として新三菱に提供する。そのエンジンは国内生産をしたいとあなたはさっきおっしゃった。そうすると防衛庁が発注するにつきましても、エンジンを作る会社にあなたの方で航空機製造事業法に基づく許可を与えなければならないと思うのですが、これはやはり新三菱とは独立に許可を与えますか。
  177. 小出榮一

    ○小出政府委員 航空機用の原動機につきましては、航空機製造事業法に基づきまして、やはり航空機用機器の一番重要なものでございますので、これにつきましてはそれはそれとして別に許可を与える、こういうことになっております。
  178. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その際に防衛庁としてはその会社の指定につきましては、あなたの方と交渉があるわけですね。防衛庁としてはできないわけですね。防衛庁が発注する前に航空機製造事業法に基づいて通産省が許可を与えなければこれはできないはずだと思いますが、その点はその通りですか。どうですか。
  179. 小出榮一

    ○小出政府委員 その関係は、航空機本体の製造事業許可と防衛庁の契約の関係と同様でございます。
  180. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 電気機器はどうですか。
  181. 小出榮一

    ○小出政府委員 電器機器につきましては、実はまだ明細の内容がきまっておりませんけれども、やはり航空機製造事業法の事業許可の対象になって、電気通信機関係は届出事業になっておりますので、そういう関係で届出によって処理される、かように考えております。
  182. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 新三菱が主契約になって、川崎航空が従契約になっている。私は決算委員会以来、この戦闘機の問題は追及しましたが、グラマン派でもロッキード派でもございませんし、新三菱派でも川崎派でもないけれども、どうもこの審議の過程を見、審議の結果を見ますと納得できないものがたくさんあるのです。従って、承りますけれども、新三菱を主として川崎を従としたのは、これは平たく言うと、川崎が下請工場になるような形にとられますが、一体契約上主契約と従契約と下請とどういう違いがあるのですか。
  183. 小出榮一

    ○小出政府委員 契約上はあくまでも新三菱重工業が防衛庁と契約するわけであります。従ってお話の通り、川崎航空機は実体的には下請関係になります。
  184. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは契約をする場合は、新三菱だけでできるわけだね。どうですか。
  185. 小出榮一

    ○小出政府委員 もちろんそうでございますけれども、しかしこれは普通の機械等につきまして、いわゆる大企業中小企業の下請関係と申しますよりは、最後に全体をアッセンブルいたしまして、責任を持って納入する責任者が新三菱という意味の主契約でございます。従って通常の親子関係というような下請関係よりもさらにウエートの高い、むしろ航空機の全体の構造の中で相当の部分をやはり川崎航空機にも協力してもらわなければならぬという関係になりますので、やはりこれは事前に十分両社の協力態勢というものができていませんと、円滑にこのむずかしい仕事が遂行できないということは明らかでございました。もちろん淡谷先生御指摘のように、形式だけに申しますれば、新三菱だけを指定すればいいわけでございますが、実際上は川崎の十分な協力なくしては全体の完成がスムーズに参りません事情にございますので、両社にそれぞれ話をした、こういうことでございます。
  186. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 川崎が協力しなければ、新三菱だけでは航空機の本体もできないことは明らかなんです。またあなたが中心になって通産省に新三菱と川崎と両方呼び出して、悪く言うと新三菱と契約し、川崎が因果を含められたという事情も判明しているのであります。そんなに重要な要素を占めておる川崎航空の設備なりあるいは技能なりであったならば、なぜ一体単独にまたエンジンを作るように別に契約をして、その契約したものを新三菱が受け入れて組み立てるというわけにいかなかったのですか。これは正直申し上げますと、川崎の方では価格にせよ何にせよ新三菱の方と取りきめなければならないので非常に困ると言っているのですよ。これは表面上は通産省に呼ばれて、あなたたちが主になって、伝え聞くところによりますと、承諾しなければあとは発注しないというふうにおどかしているというのもあります。これは否定されるかもしれません。そうして承諾させたけれども、実際上は下請関係に立つので、これは非常に困ったことになったとこぼしているのですよ。エンジンを製造する会社と別に契約をして、エンジンだけでも納入ができるならば、なぜそういう重大な会社とは別に契約を結んで、そして新三菱にこれを納めさせることができなかったのでしょうか。
  187. 小出榮一

    ○小出政府委員 まず私が両会社を呼び出しましたのは、国防会議が昨年の十一月六日の晩おそく終了いたしまして、同時に生産体制もできた。そこでそのきまった結果を通告いたします意味におきまして、翌日の午後三時に新三菱、午後四時に川崎航空の責任者を呼びまして、その国防会議の席上における決定あるいは内定の事実をただお伝えしただけでございまして、これは単なる伝達でございます。従いまして、私がそこでいろいろ圧力をかけたとかなんとかいうことを言われておるようでございますが、これは事実そういうことはございません。ただお話のように、原動機関係につきましては、別にそれはいわゆる航空機用機器という、航空機の本体ではございません。航空機用機器につきましては、これは航空機製造事業法におきましても、いわゆる航空機それ自体の事業とは別個の事業の建前になっておりますので、これは当然法律上も別々の許可ということにならざるを得ない。ただ新三菱と川崎航空機との関係は、そういった航空機の本体と、それにつけますいろいろな部品なり、搭載機器というようなものとは全く性質が違いまして、むしろ航空機それ自体の本体の部分につきまして、相当の協力、ほとんど組み合わせによってできる関係でございます。従って、別々にこれをどこからどこまで新三菱ということが、もちろんあらかじめわかっておりませんし、またやはり最後に責任をもって納入し、納入したあとにおきまして、もし何か事故が起きましたような場合におきまして、防衛庁に対して責任をとるのは新三菱である。その際にやはり契約の責任者というものは単一でなければ、航空機というものは分けられないものでございます。エンジンならエンジンというふうに単一のものとして分かれております場合におきましては、きわめて明確でございますけれども、航空機の本体の部分につきまして、両者がほとんど協力して生産するという場合におきましては、技術的にもそういうことは不可能でございますし、また防衛庁の契約の態勢におきましても、そういうことができないということが明らかでございますので、やはり最終の納入責任者というものが単一の契約者になる、こういうことにならざるを得なかったということであります。
  188. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 新三菱だけを契約者にしたというのは、責任の問題だけに限っているようですが、話があべこべと私は思うのです。責任が一つであっても、実際には新三菱と川崎が一緒に生産しなければできないのがロッキード航空機です。そうしますと、会社は依然として違っている、技術や経験も違っている。職工ももちろん違っている。場所も違っている。この違った場所で作られるものが、もし共同製作であり得るならば、責任者は別としても、共同の形で生産契約をする、共同の形でどこかをきめて契約をするという工合にはいかなかったのですか。
  189. 小出榮一

    ○小出政府委員 従来航空機関係の発注の場合においては、すべてそうでございます。たとえば川崎航空機が現在生産を担当しておりますP2V—7というようなものにつきまして、やはり川崎航空機が単一の防衛庁との間の主たる契約者であり、また新明和興業はそれに協力しておるという関係で全く同じであります。最初にロッキード社といろいろ技術提携をしたり、あるいは価格の見積もりを出すにつきましても、やはり単一の相手でありませんとこれは第一その航空機の構造内容、仕様書等についても全然向こうが教えてくれないという段階であります。従って相手方を一本にしぼりまして、そして三菱とロッキードとの折衝によって、初めて全体の仕様書なり、あるいは価格見積もりができるわけでありまして、あとは今度は下請という関係におきまして、川崎と相談をして、そして仕事の分け方その他発注の仕方等について技術的な相談に入る、こういう段階にどうしてもならざるを得ないのであります。これはそういった航空機器製造というものの特質にも関連するわけでございますが、そういう意味におきまして、川崎は従たる協力者ではありますけれども、両者を合わせて、二社と契約をするということは実際問題として不可能である、こういうふうに考えます。
  190. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 もしも新三菱から提示される請負価格について、川崎が納得ができないときに断われますか。これは直接の責任者、直接の契約者は新三菱です。その間でどうしても下請の価格では納得がいかないという場合があったときは、川崎は断われるのですね。
  191. 小出榮一

    ○小出政府委員 もちろんこれは主たる契約者からの下請関係でございますので、どうしても協力しないということであれば、当然話はこわれるわけでございますけれども、しかし先ほどお話がございましたように、もちろん川崎はP2V—7につきまして、ロッキード社と過去において技術提携をしておりました関係上、ロッキード社になじみが深いという意味で、ロッキードにきまった場合は自分の方に来るのではないかという期待を持っておったことは当然だと思います。そういうような意味におきまして非常な不満がございました。そのことは私のところにも申し出られましたし、またある程度ロッキード社の方からもそういう意思表示があったことは事実でございますが、その後十分それらの趣旨を話し合いまして、私が承知しております範囲におきましては、現在ロッキード社と新三菱と川崎との間においては円満に仕事の協定が進行しておる、かように考えておりますので、実際問題としては川崎が協力を拒否するということはあり得ない、かように考えております。
  192. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは通産大臣に一つお聞きしたいのですが、ロッキードと技術提携があって、経験も深かった川崎の方と主契約をしないで、新三菱と主契約をしたことについては、大臣は直接いろいろ相談にあずかりましたか。あなた自体の決定でなされたのですか。
  193. 池田勇人

    池田国務大臣 事務当局からの資料を見て私が決定いたしました。
  194. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 資料は事務当局から出されて、その資料に基づいてということでございますか。
  195. 池田勇人

    池田国務大臣 私はこういうことはあまり経験がございませんし、事務当局が集めた材料並びに事務当局の意見を聞きまして、これは新三菱を主たる契約者とし、川崎を従たるものにすることが適当であると判断して決定したのであります。
  196. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうも大臣はあまり深く関与していないようで、これはやはり局長、課長クラスでやった仕事と思いますけれども、航空機製造事業法の第十七条によりますと、工場へ行って報告徴収をしたり立ち入り検査をしたりする権能が通産省の職員にはあるようでありますが、これは現在どういう人たちでやっておりますか。
  197. 小出榮一

    ○小出政府委員 これは現在重工業局に担当の航空機武器課という課がございまして、その担当職員がこれをやっております。
  198. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 何人くらいおりますか。
  199. 小出榮一

    ○小出政府委員 私の方の本省の担当職員が四人でございます。それから地方の通産局を合わせまして十人ぐらい、そのほかにこの検査関係につきましては、防衛庁の職員も兼務のような関係になりまして協力をしていただいておる、こういうことでございます。
  200. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛庁の職員が兼務をする場合は、防衛庁の職員として兼務するのですか、通産省の職員としてやるのですか、どっちですか。
  201. 小出榮一

    ○小出政府委員 通産省の職員としてやるわけであります。
  202. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃ所管を移しますか。
  203. 小出榮一

    ○小出政府委員 兼務という形でやっております。
  204. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そのときは俸給はどっちが払いますか。通産省が払いますか、防衛庁が払いますか。
  205. 小出榮一

    ○小出政府委員 防衛庁でございます。
  206. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは防衛庁の職員が立ち入り検査をやったり報告徴収をしたりするというのは、法規的には何によるのですか。兼務し得るという法規がありますか。ただ便宜的にやっているのですか。
  207. 小出榮一

    ○小出政府委員 これは通産省の職員と併任の辞令を出しまして、従って通産省の職員としての資格においてやるわけでございます。
  208. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛庁と通産省とがそういう兼務関係に立つのはこの職員だけですか、他にもありますか。
  209. 小出榮一

    ○小出政府委員 ほかにはないと思います。
  210. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 総計十四人というならば、あとでかまいませんから、名前を資料として出していただきたい。  それからこの職員の監督責任の衝に当たる人はどなたですか。
  211. 小出榮一

    ○小出政府委員 最終的には通産大臣、直接は課長なり局長なりです。
  212. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 通産大臣、あなたは責任者だそうですから、一体何か事故があった場合はあなたはどうなさるおつもりですか。
  213. 池田勇人

    池田国務大臣 事故の内容によって考えたいと思います。
  214. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 非常に通産大臣はあっさり考えておられるようですが、やはり航空機製造というのは予算の非常にたくさんの部分を使うものでありますし、また見積もりもなし、随意契約をもってやる関係上、責任の所在というのがはっきりしていませんと、とんでもないことになると思うのです。国防会議もやはりそうです。念のために申し上げておきますけれども、この前に国防会議から天川勇に対して十万円の委託調査費を払っておる。国防会議議長の岸信介の判を押した辞令を出しておる。岸議長はこれを知らぬと言っておる。もちろんそれはにせものか本物か知りませんが。元警察庁の警備第五課の係長をしていた北野章一郎という男がいましたが、この男がこの辞令をどういうものか手に入れました。それを種にして百五十万円を要求する、ゆすりをやっているのです。少なくとも、形式上でも通産大臣が責任者であるし、あなたの名前を使ってその権力をもっていろいろな疑惑に満ちた行動が行なわれた場合に、あなた方が迷惑すると思う。やはりこれは重要な航空機製造事業を検査し、あるいは報告を徴収する役割ですから、大臣の責任もいいけれども、とかく大きな責任を持った人になりますと、あとになってからお飾りだという工合になりますので、そういうことのないように責任体制を明らかにしてやっていただきたいと思うのです。  なお航空機製造には多大な設備費用が要りますが、これは防衛産業設備維持費とは関係ないのでしょうね。
  215. 小出榮一

    ○小出政府委員 関係ございません。
  216. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これに対する融資は、通産省の方で大蔵省にまかして全然関係されておりませんか。
  217. 小出榮一

    ○小出政府委員 今のところ次期戦闘機を新たに生産に入りますにつきまして、新三菱なり川崎航空機が、どういうふうな追加設備投資を必要とするかという内容はまだわかっておりません。その設備投資の内容によりまして、またそれをどういうふうな融資措置をするかというようなことにつきましては、この設備の内容を見ました上で十分に検討したいと思います。
  218. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この法律の第二条の九によりますと、「許可事業者に対し、その生産技術上の基準に適合するように当該特定設備を修理し、又は改造すべきことを命ずることができる。」同じ第二条の十には、「許可事業者は、当該事業の用に供する特定設備を新設し、増設し、又は改造しようとするときは、通商産業大臣の許可を受けなければならない。」としてある。そうしますと、特定の設備や修理、改造を命ずることができるならば、これに要する費用は通産省がめんどうを見てやるのが一応筋だと思いますが、従来F86、P2V等の飛行機を製造する場合に、各社に対して融資をやったはずですが、その融資はどうなっておりますか。
  219. 小出榮一

    ○小出政府委員 従来、今お話の通り航空機の生産をいたすにつきましては、一定の生産設備基準というのが必要であります。従ってその設備基準に達しますまでは、どうしても設備が足りなければ、これに対しまして追加投資をしなければならぬということになるわけでございますので、これは政府の要請によってもし増設しなければならないということになりますと、政府としてもある程度これに対してめんどうを見なければならぬということになるわけでございます。そこで今まで過去におきまして、新三菱のF86Fあるいは川崎航空機のT33Aというようなものに対しまして、やはり相当の設備投資あるいは融資をいたして参ったのであります。これは全体でございますけれども、そういう融資額の総額は過去におきまして三億九千二百万円ということになっております。それから政府関係資金の借り入れの状況でございますが、新三菱重工業につきましては、今のお話のF86Fの製造設備全体に要します資金が三十七億二千百万円ほどでございます。そのうち経済援助資金特別会計のいわゆるMSAから十五億円の融資が行なわれております。
  220. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 川崎と富士はどうですか。
  221. 小出榮一

    ○小出政府委員 川崎航空機につきましては、ジェット・エンジンの修理、P2vの製造、J47のジェット・エンジンの部品の製造設備、それらを全部合わせまして所要資金が二十八億七千百万円でございます。それに対しましてMSA関係がやはり十四億九千五百万円、約十五億円あります。それから富士重工につきましては、T1Aの製造設備の総所要資金が十二億円でございました。それに対しまして経済援助資金からの融資額は二億三千万円であります。
  222. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この金利と償還時期はいつになっておりますか。
  223. 小出榮一

    ○小出政府委員 六分五厘で七年であります。
  224. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 MSAはもっと長いはずでしょう。
  225. 小出榮一

    ○小出政府委員 七年でございます。
  226. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 償還状態はどうなっておりますか。
  227. 小出榮一

    ○小出政府委員 新三菱重工業につきましては、先ほど申しました十五億円の借り入れの中で借り入れ残が八億であります。それから川崎航空機の方は十四億九千五百万円の借り入れに対しまして、借り入れ残が九億七百万円、それから富士重工は、先ほど二億三千万円と申し上げましたのは、三十三年度の上期だけでございまして、実はそのほかに下期に一億二千万円、合計いたしまして三億五千万円であります。これはまだ未償還であります。
  228. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 前にも経験があるから、ロッキードを生産するにあたっても新三菱なり川崎なりがどれくらいの資金量を必要とするか、見積もりはつくはずと思いますが、融資の大体の見積もりはどれくらいですか。
  229. 小出榮一

    ○小出政府委員 今回のロッキードF104の生産の仕様書なりどういうふうな設備であるかということの詳細はまだわかりませんので、従いまして今までの全体の設備の中でどれだけを使い、また新しく追加投資をしなければならぬのは何億くらいあるか、これはある程度の追加投資は必要と思いますが、その金額がどれくらいになるかということについては全然未確定でございます。その金額によりまして必要があればまた融資措置をしなければならぬ、かように考えております。
  230. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 このロッキードの生産に関しまして非常に大きな設備になると思うのですが、航空機の製造がだんだん盛んになってくるのにかかわらず、三社くらいに許可を与えて、三社だけの共同の製造でやっておるとしますと、この第二条の五の二、「その許可をすることによって当該航空機又は特定機器の製造又は修理の能力が著しく過大にならないこと。」という一項があるのです。いつまでも三社で莫大な予算を組んで航空機製造をやらしたら、これは勢い能力が著しく過大になることはわかっているんですが、この点に対して大臣はどうお考えですか。
  231. 池田勇人

    池田国務大臣 今後の実情その他を勘案しまして考えていきたいと思っております。
  232. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それだけじゃどうも満足できないんですがね。いつまでも三社にやらせるつもりなのか、新しい会社を育成助長するつもりなのか。この三社に今のような関係で——一社だけではできないから二社共同でやれ、今度はこれに対して富士も参加しろ、それからエンジンの会社も電気の計器の会社も全部入ってしまって、特定の会社に契約をして、政府設備やその他の改良のために設備投資をする。これでは勢い独占企業になるのです。私はそう思う。大臣はそうお考えになりませんか。対策はありますか。
  233. 池田勇人

    池田国務大臣 これは先ほど来申し上げましたごとく、技術者確保、資本、設備等がございますので、今の三社だけで満足する気はございません。たとえば新明和にいたしましても、他の機器の会社とタイアップして拡張しようという計画なども聞き及んでおります。また今までやっておった会社で進駐軍に貸しておるというのが独立した場合には考えたいということもほのかには聞いております。何も三社に限って、それのみを育成するという気持は毛頭ございません。
  234. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 過大なる設備というのは、今の基準から申しますと一体どのくらいを言うのですか。過大なる設備は許可しないとありますが。
  235. 小出榮一

    ○小出政府委員 第二条の、今お話しになっておる許可の基準といたしまして、「製造又は修理の能力が著しく過大にならないこと。」という趣旨は、むしろ実際に生産をいたしますその生産計画に比較いたしまして、むだな過剰設備を有しないというような趣旨でございまして、航空機工業全体といたしましては、これは終戦直後それぞれの会社が膨大な設備をまだ残存しておったわけでございますが、遺憾ながら航空機の製造修理は一切禁止されておったということで、全体が過剰設備になっておったわけであります。それがようやく漸次動いてきたという段階でございまして、従いましてむしろこれは個々の機種の製造許可の申請を見ました場合におきまして、その機種ごとにそれの生産に必要な設備の適正な限度を判断するわけであります。操作度その他から見ましてあまりむだな設備は持たないという趣旨にすぎないのでございます。
  236. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは大臣に一つお答え願いたいのですが、この間防衛庁の塚本装備局長は、小出局長のいる前で、航空機製造事業法は独占禁止法に除外されているということを言いました。赤城防衛庁長官との間にこの間の予算委員会で食い違いが生じて、装備局長は取り消しました。その席上には小出局長もおられた。あなたは気がつかなかったかもしれぬ。こっちの方ではわかっておったけれども、あなたの答弁を求めなかったからでしょうが。私は単に塚本装備局長が言ったことを取り消しましても、すでに公式の決算委員会でああいう発言をするほど、頭の中に、航空機製造という事業は独占禁止法から除外されて、幾ら大きくなっても、どのようなことをしても、見積もりもとらないで随意契約をして、会計検査院から指摘されても、独占禁止法による違反事項にはならないのだという気持が残るならば、私は今後いつまでも不明朗な予算の使い方はなくならないと思う。塚本装備局長だけではなくて、小出局長も通産大臣も、航空機製造事業法につきましても独占禁止の制約があるのですから、その点を十分考慮しておやりになるかを念のために大臣から伺っておきたい。
  237. 池田勇人

    池田国務大臣 私はあのときも聞いておりましたが、今の状態で独占禁止法に違反しておるという考えは持っておりません。ただ日本の産業、ことに科学技術振興につきましては、航空機事業というのは非常にウエートの重い事業でございますので、今後航空機事業発展に各方面から支援を与えたいという気持を持っております。
  238. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 あしたまた防衛庁に対して次期戦闘機の製造については質問するつもりでございますが、最後に一点申し上げておきたいのは、御答弁は要りませんが、大体予算が国庫債務負担行為という名前で承認を求められ、そのまま七百四十億が通り、しかも契約が随意契約で、価格も決定してない、まだ本契約もできてない、そういう形で七百億円の国費を使う製造が進むならば、国会の審議の権能というものは非常に薄くなります。七百数十億の予算が、まるでかつての臨時軍事費みたいな性格をもってやみの間にこれが使われるという心配が多分にあるのであります。特に防衛庁の予算は、軍事の秘密と称しまして、いつでも資料の提出を拒んだりしていることがございますし、会社がまたこれに便乗してやっている例もあります。きょうは名前をあげませんけれども、具体的に通産省のだれだれ、防衛庁のだれだれ——私データを持っておりますが、非常に暗躍をし、疑惑を招いている実例もございまするので、少なくとも日本の予算が、かつての軍国時代の臨時軍事費等にはならないように、防衛予算については、通産省も御関係がございまするので、十分なる御注意を要望して私質問を終わります。
  239. 綱島正興

    綱島主査 次に司門分科員
  240. 門司亮

    門司分科員 ちょっと変わったことを聞くようですが、通産省所管の中で、防衛産業施設維持費補助金というのがありますが、これはことしはどのくらい出しておりますか。
  241. 池田勇人

    池田国務大臣 三十五年度からなくなりました。三十四年度で三千万円程度、三十五年度はゼロであります。
  242. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ここに三十四年度は三千七百六十万ばかり書いてありますが、なくなっておるのでよろしゅうございます。  もう一つお聞きをしておきたいと思いますことは、この間の公聴会で、山屋公述人の話を聞いておりますと、商工中金の金利が非常に高くて業者が困っておるというような話があったのですが、これはもう少し安くなりませんか。
  243. 池田勇人

    池田国務大臣 従来一割をこえておったのでございまするが、昭和三十二年度から一割以下になったと思います。何分にも一般金融界から商工債券あるいは割引商工債券で募集いたしまして、その原資も七分をこえるというふうな状況でございますので、九分六厘くらいだったかと思いますが、これから下げるということはなかなか困難なようでございます。しかしこれから資金量を多くすると同時にできるだけ政府出資をして金利負担を下げるとか、あるいは債券の方で確定利付債券よりも割引商工債券を多くするとか、いろいろな工夫をして下げたいという気持は持っております。
  244. 門司亮

    門司分科員 これは私のしろうとの考え方だから、専門的には多少数字が違うかもしれませんが、この出資の状態は、一般出資がありますのと、政府資金運用部資金が出ておると思いますが、一般資金については五分の保証をしておることになっておるはずであります。そうすると、かりに資金運用部資金を六分三厘で出すといたしましても、これを日歩に引き直して参りますと、大体一銭五厘一毛くらいのものにしかならないと私は思う。それは、われわれが計算するとそういう計算が出るわけでありますが、半分々々にこれを出資しているとしてもそういう形が出てくる。ところが現行の約五十八億の中で、一般から出資しているのは約二十一億程度で、残りの三十七億程度のものが政府から出ていることになっている。こういう形ですから、どう考えても、今の約一割ぐらいということになりますと、結局ちょうど今大臣がお話しになりましたように、現行の二銭四厘から二銭五厘幾らという、大体九分何厘、一割前後に現状はなっているようであります。そこで考えていただかなければなりませんことは、今の中小企業の金融というのは、一般市中銀行が大体二銭四厘くらいで出していると私は思います。ただ、二銭四厘くらいで出しているが、ここにはどうしても遊ばせておく金を、百万円なり百五十万円なり借りようとすると、どうしても三十万円あるいはそれ以上のものを置いておかなければならぬ。無利子の金と、二銭四厘と計算していくと、大体ここでも二銭五、六厘についてくる、あるいはそれよりもう少し高くついてくる。そこでやはりそういうことをするよりも、むしろ商工中金の方がよくはないかということで、中小企業の諸君は商工中金に希望を持っている。ところが現実の問題として利息が同じ、あるいは少しくらい高目だということになりますと、借りるのはある程度気楽であるが、自分の手持ちを遊ばせなくてもいいということはできるが、実際の金利は非常に高いという矛盾があって、中小企業は金融の面で非常に困っていると思う。従ってこれは、さっき申し上げましたように、資金部資金の利息を、一般出資に対して五分の保証をしているとすればもう少し下げられるはずだ、こう考えるのですが、どうなんですか。どのくらいまで下げられますか。
  245. 池田勇人

    池田国務大臣 資金部資金も、御承知通り郵便貯金その他で原資が相当高うございますから、私はなかなか厄介な問題ではないかと思います。これを下げようとすれば、いわゆる無利子の政府出資を相当ふやすかどうかするのが一番早道です。そうしてまた、現在の機構におきまして割引商工債券等をうんと出すようにすれば、それだけ原資のコストも安くつくのでございますから、やはり資金を潤沢に各方面から安いものを求めるということが主であって、資金運用部の資金を特に下げるということはなかなか困難じゃないかと思います。
  246. 門司亮

    門司分科員 どうもわれわれしろうとが考えてくると、案外そう高くない資金が出ておって、こうして利息が約一割近いものになるということは、今の中小企業の金融面からの育成には非常に困難がありはしないかと考えるので、今の大臣の答弁で、私どもはこれを直ちに数字的に承服するわけにはいかないように考えるのでございますが、これは一つできるだけ検討していただいて、そうして中小企業の金融の円滑化をぜひ一つはかっていっていただきたい。  そうすることが今の問題としては必要ではないかと考えております。それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、例の中小企業等協同組合法の二十三条の三にあります小組合の問題ですが、この小組合の組合員に対しましては税制、金融上の特別の措置予算化せなければならないというようなことが法律に書いてあるのです。ところが、これについて通産省は何もやってないと思うのだが、何かおやりになりましたか。
  247. 池田勇人

    池田国務大臣 この前他の委員会でも問題になりましたが、国会の修正でできたとか聞いております。もちろん小組合の方につきまして金融上、税制上の措置をとりたいという念願は持っております。金融上の措置はいわゆる保証協会とかいろいろな点で見る体制になっておりますが、税制上の措置と申しますと、一般税制改正のときに考えるほかに、通産省としてやりたいと思いましても、所管事項でないのでございますから、なかなかむずかしい状態になっておるのであります。やはりそういう法律のあることでありますから、今後税制改正のときには強く要望していきたいと思っております。
  248. 門司亮

    門司分科員 強く要望してというお話でありますが、この法律ができた経緯はやはり大臣の方がよく御存じだと思います。これは各派の間でいろいろ折衝が行なわれて、そうして単にこういう団体法だけができたのでは効果がないからということで、特に小組合という名前をつけて、さっき大臣の答弁もありましたが、いわゆる企業のどれからどれまでが中小企業で、どうだということは非常にむずかしいというお話でありましたが、一応概念的に見て、小組合と考えられる小さな十人以下の使用者であるとか、あるいはサービス業において三人以下の使用者であるとかいうようなものが大体これの対象になっているはずであります。そういたしますと、今の日本の中小企業の状態の中で、一番困っているのはやはりこれらの諸君だと思います。同じように中小企業といっても、一千万円以上の資本金の三百人というものとは違いまして、ここに書いてある対象というのは、今申し上げましたような零細企業に属する諸君であって、それらの諸君の待望しているのは、やはりこういう法律ができているということに実はかなり大きな期待を持っていると思う。ところが、法律はできたが一向きき目がないということになり、法律を信用しなくなるということになると、これはまた困ったものが国民思想の中にも出てくると思う。だからこういうものは、法律があるのだからとっくに政府考えてくれてあるはずだと思っておったが、いまだに何もしていない。所管が違うから税制改正のときに何か考えようということでは、通産省として少し無責任過ぎはしないかと思う。あまりに人情がなさ過ぎる話だと思うのですが、もう少しはっきりしたお答えはできませんか。
  249. 池田勇人

    池田国務大臣 これは、法律にそういうことがあったならば、その法律によってやることは所管省がやるべきことでございます。しかし、小組合というものは通産省の所管でございますから、税制の所管省の大蔵省の方には強く要望いたしますけれども、私の方で提案の措置もとれませんし、非常に薄情に見えるとおっしゃいましても、これは今の制度上いたし方ないのであります。  それから税制改正、減税につきましては、原則としてしない、こういうことになっておりますので、その辺の事情をおくみ取り願いたいと思います。ただ問題は、小組合を育成していくために税制や金融上の特別の措置をとるという考え方もありますが、そうするためには小組合が既成事実としてたくさんできているという方がやりいいのでございます。しかるに、今法律を行なっておりますが、私の聞くところでは、全国で十前後しかないのであります。それだから法律を設けて便宜を与えろという説ももちろん成り立ちますが、しかしまた税制をやるとしますと、それが各方面に今及ぶのだということもまた一つの必要限度でございます。従いまして、今後商工会法あるいは小組合のところまで今の現状ではいかぬかもわかりませんが、中小企業の育成をやりつつ小組合というもののあり方を見ていきたいと私は考えているのであります。
  250. 門司亮

    門司分科員 私が今質問しましたのは、中小企業に対する政府の熱意のほどが一体どれくらいあるかということを聞きたかったのでありますが、今の御答弁では一向にわかりませんが、それならば、中小企業の育成について、政府はどういう形でこれを育成していくかということの具体的なはっきりしたものが何かございますか。これは法律を幾らこしらえても実行されなければ何にもならないのであって、昨日も私が申し上げましたように、中小企業に関する法律はたくさんあるのです。あるのだが、よくざる法と悪口を言われているように、みなしりが抜けたような法律がたくさんあって、実効がなかなか上がってこない。従って問題がたくさんあろうかと思いますが、ほんとうに具体化するにはどうすればいいかということ、基本の方針が政府にあるかどうかということ、これが私どもは疑わしくなってくる。日本の中小企業というものを育成していくにはどうすればいいかということ。単に金融だとかあるいは組織化だとか、それから商工組合をこしらえて、自主的にいろいろな価格や何かの是正もしていくようにしてやろうというようなことだけでは、かけ声だけでは、なかなか私は中小企業の育成にならぬと思うのですが、ほんとうに中小企業の育成をするには、たとえば合理化の問題でもどういう合理化をすればよろしいかということ等について、何かお考えがございますか。
  251. 池田勇人

    池田国務大臣 もう門司さん御存じの通り、なかなか中小企業というものはむずかしい。各国の事情を調べましても、金融とかあるいは組織化と言っておりまするが、私の考えるところでは、金融、組織化の前にやっぱり個々の業者につきまして指導育成、相談相手になるということが必要だと考えましたので、今度商工会法を制定しまして、法制的にもまた予算的にも中小企業、ことに零細企業者の相談相手になり、指導育成をしていく、こういう具体的な措置を今後とろうと考えておるのであります。また中小企業業種別振興についての法律を設けまして、審議会等によりまして、いろいろな各種の中小企業業種別指導していきたいということを今考えておるのであります。
  252. 門司亮

    門司分科員 そういう抽象的なものではなくて——むろんこれは指導員も必要でしょうし、あるいは内部を十分診察するような制度も私は必要だと思います。個々の業者について、かなり放漫のものもあるでしょうし、またやり方のあまりよくないものもありましようし、経済の激変に対処し得るような体制がとられていないものもあるかもしれない。そういうものについて、これをどういうふうに指導していけばいいかということはむろん必要だと思いますが、しかし基本のものの考え方としては、たとえば現在の中小企業がそのままでよろしいかということについて、これをどういうふうに合理化していくかというお考え方が私はなければならないと思うのです。現在の日本の状態を見てみますと、生産面におきましても、親会社のものと下請をやっておる諸君との比率というものが必ずしも一致していないのではないか。こういう点についても通産省は一応調べられたことがあるかどうかということ。ことに配分関係、いわゆる生産と消費との中にはさまっておりまする配給機構の問題が適正化されておるかどうかということ。これは中小企業自身の問題として考える必要があるのである。ところが中小企業者というのは御承知のように自由事業としての形をとっておりますから、なかなか自分自身で、これだけの生産があって、これだけの消費があるんだ、これだけのものが輸出に回っているんだから、国内消費の面からいけば結局これだけの配給機構でいいのだというような考え方は、おのおのの業者に私はないと思います。またそれを知り得る余地もないと思います。そういう問題からくる過当競争というものが当然起こってくるので、従って過当競争に対してどう一体指導していくかということについては、政府はやはりそうした一応の調査資料がなければ、指導もなかなか困難ではないか。従ってこの際そういうものに関する調査された経緯があるならば一つお話を願いたいし、また調査されたものがあるならばそれを一つお示しを願いたい。いわゆる中小企業のあるべき姿というものでありますが、おわかりでしたらこれを一つお知らせを願いたいと思います。
  253. 池田勇人

    池田国務大臣 事務当局より御報告いたさせます。
  254. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 中小企業は御承知通りに実態が非常に複雑でありまして、まず実態を正確に把握するということが大事でございます。従来各種の統計がございますが、中小企業を今言われたような面に頭を置いて調査したというのは、製造業については二年がかりで三十二年末を現在とした、中小企業総合基本調査というものをいたしました。これでたとえば中小企業の付加価値だとか生産性だとか、従業員の給与問題等にも立ち入りました調査ができております。商業関係につきましては、昨年からこれと似たようなことを始めております。本年度も主として食糧品関係を中心とした商業関係の調査を進めております。全部終わるのに三年がかりであります。
  255. 門司亮

    門司分科員 どうも非常に心細い話で、その基礎調査ができていなければどんな指導をし、どんなめんどうを見るといっても、雲をつかむような話であって、ほんとうの中小企業対策というものは成り立たぬと思う。今までやっていなかったことはどうしようもないが、こういうものをもう少し早く立てていただいて、そして政府指導方針というものをやはりはっきり持つということが必要だと思う。法律を幾らこしらえても、指導方針が誤っておれば結局何にもならないということです。あなた方がどんなに金融関係に金をお出しになっても、これがむだであっては何にもならない。国費をいたずらに使うだけだ。中小企業は日本の産業の中核体をなしておるとよく言われるのですが、中核体をなしておる産業であればあるほど、一つはっきりした組織の上に立って調査をしてもらって、そして有効な施策をぜひ早く立てていただきたいと思います。これができていなければ、議論をしてもなかなか中小企業問題というものは片づかないと思います。  今日の一つの問題は、業者が専門化して、そこに優秀な機械が置かれて、技術の優秀なものがそこに集まって、製品において生産において、コストにおいても大企業と何ら変わりのないような事態にまで中小企業を引き上げてやらなければ、とても大企業との太刀打ちはできないと思う。そうするにはどうすればいいかということの基本的の調査というものがどうしても必要である。それがまだはっきりしていないならば、ここで議論しても始まらないと思います。しかしそれにいたしましても、通産省としてはどういうふうにこれを導こうという方向だけくらいは、この際お示し願えれば幸いだと思います。
  256. 池田勇人

    池田国務大臣 お話の通りに、中小企業の実態を各業種別に調査することも必要でございます。事務当局から申しましたようになかなか時間を要しますし、困難でございます。しかし捨ておくわけにはいきません。従って私といたしましては、今回商工関係につきまして四億三百万円新規の経費を要求いたしまして、とにかく実態を調査しながら、また指導育成に当っていこう、こういうことをいたしておるのであります。三十二年から調査をいたします実態調査は続けて参りますが、それとは別個に商工会法等を設けまして、そしてまた企業別の振興措置法を設けまして、両面合わせて一つ中小企業の実態調査と育成指導ということを始めてみたいと考えております。
  257. 門司亮

    門司分科員 今の問題はその程度に一応しておきまして、その次に聞いておきたいと思いますことは、貿易自由化により、中小企業に非常に打撃があるのだろうといわれておりますが、一体貿易自由化について政府のスケジュールはどんなふうになっておりますか。これは必ずしも一ぺんにやられるわけではありますまいが、業種あるいは品物、年限というようなものが、どのくらいの幅でどのくらいの期限のうちにこれが自由化されるというような計画でもございましたら、一つ示していただきたい。
  258. 池田勇人

    池田国務大臣 今、日本の全輸入につきまして外貨予算を作っておりますが、そのうち三二、三%というものが自由になっておる。そのほかのものは自由になっておりません。しかしそのほかのものにつきましても、いわゆる対米十品目、たとえば銑鉄、大豆、くず鉄、ラワン、石こう、原皮、牛脂、ラード、アバカ繊維、銅合金くず、こういう物資につきましては、全体の一割程度でございますが、これは対ドル関係自由化していないのですが、対ドル以外のところは自由に入ってくるわけです。まず対ドル関係についての差別待遇を撤廃する、今言ったような品目が全体の輸入量の一割、一〇%を占めております。このうち四品目は一月から施行いたしまして、四月からくず鉄と粗製ラードと、それから牛脂を自由化しようと思います。七月に原皮をいたしまして、おおむね十月から銑鉄と大豆ということに予定いたしておるのでございますが、大豆につきましてはなお研究し、準備をしなければならぬ。これで大体四三、四%になります。これはすべて原材料でございます。その次にくるものは繊維の関係でございます。綿花、羊毛、あるいはパルプの問題、綿花と羊毛につきましては、これは大体全体の二〇%を占めておりますが、来年の四月から自由化していこう、その関係で今国会におきましても適当な法律改正をしよう、これは二〇%でございますから、これで六四、五%になりましょうそれでそのほかのものにつきまして、おもなるものは原材料でいたしますれば農産物、いわゆる米、小麦でございます。これが五%、それから原油、重油が九%を占めております。それから砂糖が二%、それから石炭が二%、そして機械類が九%で、大体一〇〇%になるのでありますが、このほかになお消費物資がございます。たとえばカン詰なんかにいたしましても、イギリスとの間ではカン詰あるいは毛織、ウイスキーというものを貿易協定によってイギリスからは入れておりますが、他の国からは入れていない。こういう問題につきましては、徐々に国内の情勢を見ながら自由化していこう、その手初めに、この一月末を期限といたしまして、自動割当制——とにかく申し込んでみろ、それによってある程度許すというのをやりましたところ、相当の申し込みが出ました。全部を許すわけにはいきませんが、これによりましていわゆる消費財の輸入希望がどの程度あるかということなんかも調べながらやっておるのであります。中小企業に影響があると申しましても、原材料のことばかり考えられてもいけない。たとえば繊維なんかにつきましても、さあ今繊維関係自由化すると申しましても、ナイロンのくつ下なんかを今すぐ自由化いたしますと、日本の中小企業に非常な影響がございます。各業種別に実態調査をしまして、そうして影響の少ないものから始めると同時に、影響の多いものについては今後どういう対策を講じたらいいかということを考えながらやっていこうといたしておるのでございます。残っておりますもの、砂糖とか石油とか、あるいは農産物は別でございますが、機械等々につきましてもやはり状態を見ながら、そうして善後措置を講じつつやっていくという考えでおるのであります。
  259. 門司亮

    門司分科員 そうすると今のお話では、大よそ一年から二年くらいかかると思いますが、そのくらいに考えていてよろしゅうございますか。
  260. 池田勇人

    池田国務大臣 これはいろいろな考え方がございますが、関税政策とのかね合いもございまして、二年はかかるそれ以上はかからないということは、なかなかむずかしいことだと思うのでございます。いつか経済企画庁長官が三年を目途として、こう言っておりましたが、何も三年を目途にきめておりません。これは実態に沿うようにしなければいかぬと思います。たとえば石油の問題にいたしましても、あるいはボイラー規制法を三年間延ばすということになりますと、なかなか三年で済むか済まないかわかりませんし、いろいろなむずかしい点がございます。それからいろいろな消費物資につきましても関係政策との関係がございます。そうして関税政策はガットの関係もございますから、こっちで勝手にどうこう言うわけにもいきません。私はなるべく早くはやりたい、しかし支障のないようにやりたい、各国との協調も考えなければならぬ、こういうことでございますので、いついつまでということはないのであります。
  261. 門司亮

    門司分科員 われわれがこれで心配しておりますのは、政府は三年だと言うし、業界の意見を総合いたしますと、三年ではあぶない、やはりもう少し様子を見てもらったらどうか。理屈はなるほどよろしいかもしれないが、ちょうど浜口内閣のときの金解禁みたいなことになりはしないか、どうしても金解禁がいいということでやってみたが、すぐあとで禁止しなければならぬというようなことができはしないか。そういう場合に迷惑するのは、やはり大企業よりもむしろ中小企業の方が非常に迷惑する、こういう考え方がありますので、期限がどれくらいかわからぬというお話でありますが。われわれはそういう面についてはぜひ一つ施策を誤らないように、どんないい施策であっても、これを急激に変更されると、その打撃はやはり業者に及ぼすことは、これは当然であります。その面については、何年でということが切れないというお話でありましたが、かなり一つ慎重にやっていただきたいと思います。  私どもがもう一つ心配しておりますのは、こういう問題が急激に行なわれて参りますと、これも私どもしろうとの考えだから、必ずしも当たるかどうかわかりませんが、在庫投資がふえる危険がありはしないかということが一応考えられます。在庫投資がふえてくるということなりますと、外為の関係や何かで勢い揚超の危惧が出てくるということになると、金融の引き締めをやらざるを得ない結果になりはしないか、そうなってくると一番先に打撃を受けるのは中小企業じゃないかということが必配される、だからこういう面についてどうでしょう、そういうきらいはないということが通産省でも言えますか。
  262. 池田勇人

    池田国務大臣 この為替・貿易自由化と金解禁と同じように考える説がありますが、これはもう識者あるいは新聞等では全然違うということで、この点の誤りが私はないように説いていきたいと思います。本質的には全然違うのです。それから今のお話の自由化したなら在庫投資、こうおっしゃいましたが、在庫投資というのは国内の製品在庫の問題でありますか、輸入在庫ですか。
  263. 門司亮

    門司分科員 輸入在庫です。
  264. 池田勇人

    池田国務大臣 私は過去の経験にかんがみまして——過去の経験というのは、昭和三十一年の秋から三十二年にかけまして輸入在庫投資が非常にふえました。これは三十一年の九月のスエズ運河で、これは大へんなことだというので、むちゃくちゃに輸入したわけであります。そうして輸入いたしまして、三十二年の初めに非常に為替が赤字になりそうだ、政府貿易を統制しているから、外貨を非常に押えて輸入禁止に出るのだろうという、外貨不足によるまた輪をかけた思惑金融があったのであります。日ごろの輸入在庫投資よりも十億近い過剰投資が行なわれておる。これは何かといったならばスエズ運河の問題もございますが、外貨予算を組んで政府が押えるのだという思惑から出た異常な状態であったのであります。私は自由化いたしましたならば、そういうことが起こり得ないので、いつも買えるし、買えなかったものはいつもヘッジしておかれるし、私はこれが正常化になる道だと考えておるのであります。経済政策に誤りがなければ、外貨不足とかなんとかいうことは起こらないので、今のような状態になってきますと、また思惑が起こるようなことが起こり得ないとも限りませんので、為替・貿易自由化して正常化したいと念願しております。
  265. 門司亮

    門司分科員 あとこまかい問題を少し聞いておきたいと思いますが、それは昨日もちょっと聞いたのでありますが、例の百貨店法の九条とそれから公正取引委員会との関連ですが、公正取引委員会の中に、やはり百貨店の不公正取引に関する特殊の指定をすることができるという一つの規定があるのでありますが、これを九条の中に織り込むようなことができませんか。この一つの法令に似たようなものがあるのです。これをやはり法律化するというわけには参りませんか。
  266. 磯野太郎

    ○磯野説明員 お答えいたします。ただいまの御質問は百貨店法、公正取引委員会の方の独占禁止に関する規定、つまりこれは不公正取引の規定だと思いますが、これを百貨店法の中に入れることができないかどうかという問題だと私は思います。百貨店の活動につきましても、これは一般法といたしまして、百貨店の経済活動につきましても一般的に独占禁止法が適用になるわけでございますから、そういうふうなことで、別に独占禁止法の不公正取引に関する規定を、百貨店法に織り込む必要はない、こういうふうに考えております。
  267. 門司亮

    門司分科員 私はやはりこういう、ある程度のきつい規定が九条の中にはっきり入らぬと、今のただ九条が勧告をするというだけの規定では、これは勧告したためしもありませんし、また今まで勧告したことはなかったと思います。だから結局、法律はあっても勧告だけ受ければいいから、勧告なら幾らでも受けようというようなことで、だんだん不正常化するように現実に私はなっていると思うのです。またなりつつあると思う。これをどこかでやはりもう少し規制のできる百貨店法にしないと、せっかくできた法律が、これもしり抜けのような法律で困ると思う。今お話のように、これを織り込むことができない、必要がないということになりますと、九条の問題についてどうお考えになっているか。これが発動して、完全に中小企業の小売商の利益が守られているというふうにお考えになっていますか。私は守られていないと思うのだが。
  268. 磯野太郎

    ○磯野説明員 百貨店法の施行につきましては、御承知通り昭和三十一年六月からこれを施行したわけでありますが、この法律が施行になりましたときとただいまの時点を比べますと、その間約四カ年たっておりますけれども、面積にいたしますと新増は三〇%程度でございます。それから御指摘になりましたように、ただいま正式の勧告をやったものは一件もございません。ただ勧告の規定を背景にいたしまして、実際にはある程度行政指導をやっておるわけでございます。私どもの方といたしましては、もちろん十分でないというふうなお考えもあるかと思いますけれども、そういう意味でいろいろ行政指導をやっております。なお百貨店法の施行といたしまして、御承知通り新増設の場合には各地にございます商業調整協議会で審議をいたしまして、その新増設についての意見を私どもの方に言って参るわけでございますが、その商業調整協議会のメンバーには中小商業者の方もいろいろお入り願っておりまして、そういう意味で十分中小商業者の方の利益も反映するようにいたしておる、こういうふうに考えております。
  269. 門司亮

    門司分科員 大臣にこの際ちょっと聞いておきたいと思いますことは、大臣の説明書の中には工業用水のことが書いてあります。工業用水は非常に大事なことであるには間違いはありませんが、現状のままで——ここに大臣が説明をしておりますような十一地域を指定したというようなことになっておりますが、工業用水と一般の用水と下水という三つの水の関連性というものは、この前の予算委員会で滝井君から御指摘をされた通りだと私は思うのです。その中で工業用水について特別にことしは——私の数字は大臣の数字と少し違うのです。大臣は四億二千八百万円の増と言っておりますけれども、私の数字でいくと三億八千五百万円しかならないのですけれども、数字の違いはどちらにいたましても、一応増しておられる。ところがこれにつきましては、地方財政計画の中でもこれに見合う起債として実は五十五億見ております。一応これも去年よりも大体二十三億ばかりふえております。そういたしますと、地方財政計画工業用水との関係、いわゆる通産省と地方の自治体との関連性ですが、これはどういう形で連絡をとっておいでになりますか。通産省が指定したところは必ずそういうことで地方の自治体にやらせるのだということになっておりますか。それとも地方の自治体からそういう補助をしてもらいたいという——これは四分の一の補助だと思います。四分の一の補助でこういう数字が私は出るのかと思いますが、この関係はどうなんですか。私はどうも一つの考え方として、中央で計画を立てる、それが地方に悪い意味、いい意味ということは別にして、ある程度地方に押しつけるような形が出てきて、案外計画通りものが進まないというようなことが往々にして見受けられるのですが、その辺事情はどうなんですか。
  270. 池田勇人

    池田国務大臣 どちらかといいますと、こちらが押しつけるのでなしに、通産省の方は各地方団体と相談をしながら、それによって案を作りまして、大蔵省に要求するわけでございます。そうして予算額を地方に配付する、こういうことに相なっておるのであります。
  271. 門司亮

    門司分科員 もう一つ聞いておきたいと思いますが、工業用水と一般用水と下水の三つの問題ですが、都市計画関係から申し上げて参りますと、日本の水というのは現状の工業地帯では、そうして今の水系別に取っております水道ではほとんど行き詰まっておる。これはどう動かしてもどうにもならない状態になっておると私は思う。阪神地方に参りましても、今の各自治体のばらばらの水道計画というようなものではどうにもならない。たとえば東京にしても、東京自身の水道計画あるいは横浜の水道計画、川崎の水道計画というものだけでは始末に負えなくなっておる。これは工業用水も同じようなことで、工業地帯に対する用水の施設は各都市別でなくて、その地域ごとに一つにまとめる。一体水道事業というものについては工業用水も同じでありますが、改革を要する時期だと実は考えるわけでありますが、その点についてのお考えと、それからもう一つの考え方は、工業用水では非常に大事なことですが、一ぺん使った水をもう一ぺん使うという施設を各工業会で研究はしておりますが、通産省はこれらの研究に対して何かやっておられるような実績があったらこの際一つ示しておいていただきたいと思います。
  272. 池田勇人

    池田国務大臣 工業用水は地盤沈下との関係、それから既存の工業、新興の工業の関係、いろいろな面から非常に重要でございますので、工業用水保全法という法律によりまして、今水質等の調査を始めております。また地盤沈下の関係につきましては、通産大臣におきまして指定し得るというふうな地下水のくみ上げの制限の規定等も活用いたしまして、工業用水と地盤沈下との関係につきまして検討を加えておるのであります。また他面汚水処理の問題、こういうこともございますので、工業用水確保と地盤沈下の問題、それから汚水処理、こういう三方面からいろいろ検討を加えて、この上とも工業の発展を助長するように工夫をこらしておるのでございます。
  273. 磯野太郎

    ○磯野説明員 工業用水全体の問題につきましては、ただいま御指摘の通りいろいろな問題について考えておりますが、大まかな考え方といたしましては、御承知のように地下水の関係がだんだん行き詰まって参りましたので、河川地域の水を工業用水道に活用していきたいというふうに考えております。それから一ぺん使いました水をもう一度使用するという回収水の問題につきましては、これは技術的には御承知のように、大体それができるわけでございまして、いろいろなところでこれを使っておるわけでございますが、将来の工業用水の供給の問題といたしましては、この回収用水、水を回収して使うという回収使用の方に一つの重点があるというふうに考えております。
  274. 門司亮

    門司分科員 今の話ですが、実際にやっております工場に聞いてみますれば、非常にコストが高くつくわけです。そこでやっぱり新しい水を使った方がよろしいということです。だから、この水の問題は非常に重要な問題で、今のような日本の状態では、この問題はかなり深刻な問題として検討しなければならぬと思うのですが、こういうところでちょっとした議論ではむずかしいと思うのです。従ってもう一ぺん水を使うというところに、政府はもう少し力を入れて、それを使って水の節約ができれば、かなり水の問題は解決するのじゃないかと思う。だからぜひ今のようなことじゃなくて——ほんとうに研究されていることは私、よく知っておる。どこの工場に行っても、これを専門にやっておる場所もありますし、研究所もありますし、かなり大きな会社では専門の技師がおって、一生懸命やっておりますが、水を引くことが非常に困難なのです。それで、そういう供給の不自由さにたえかねて、その研究をやっておるところが非常にたくさんある。ところがコスト高になって、なかなかうまくいかないということです。だからコストさえ安くつけば、ある程度の水は解決つくのじゃないかということはわれわれは考えております。その辺を通産省は真剣になって考えてやっていただきたいと思うのです。  最後に私聞いておきますが、工場を設置した当時と現在との工場地帯における井戸の数はどうなっておりますか。地盤沈下といいますけれども、最初の通産省に届けられたとき、あるいは県庁に届け出たとき、これほどたくさんの井戸を掘って地下水をくみ上げようというような計画ではなかったと思うのです。どこでもだんだん事業を拡張していくに従って、仕方がないから井戸を掘っていく、その井戸を無制限に掘りっぱなしにしておくから、結局地盤沈下のところまでいくということが私は現実だと思う。こういうものについて、取り締りと調査をされたことがありますか。これは工場を認可されるときの一つの要件なのです。はっきりいえばやみの用水ですね。水をくみ上げているのを調査されたことがありますか。
  275. 磯野太郎

    ○磯野説明員 今地盤沈下等が起こっております地域についての井戸の規制につきましては、御承知のように工業用水法という法律がございまして、これでただいまのところ、川崎でございますか、大阪、尼崎というような五地域を指定地域として指定いたしております。でございますので、その指定地域の中で井戸を新しく掘ります場合には、この工業用水法に規定がございまして、その深さでございますとか、水の取り口の関係、そういうようなものを法律によって規制いたしておりまして、通産大臣の許可にかけておるわけであります。  その井戸がどのくらい指定地域についてあるかということについては、ただいま数字を持っておりませんが、これは届出になっておりますから数字としてはわかっております。そういった格好でやっております。
  276. 門司亮

    門司分科員 私が聞いておるのは——そういうことはわかっておるのです。井戸を掘って水をくみ上げるから結局地盤沈下という問題が起こる。地盤沈下をしないように規制をして、届出をして許可するようになっておる。それが厳重に守られておれば、そうむやみやたらに地盤沈下はしないものとわれわれしろうとは一応考える。ところが三十尺掘るのをやみで五十尺掘ったとか、あるいは百尺のものが二百尺掘られてずっと下の地下水までくみ上げられているというようなことがあると私は思うのです。それがなければ、そんなにむやみにそのことのために被害はないと私は思う。これを取り締りをしておるかということなんです。これを一体調べておるかということなんです。これは工場の拡張などに伴って必ずそういうことがあると私は思う。市町村から供給する水にはおのずから制限がありますから、拡張するだけ市町村から水を十分に供給してくれればいいのですけれども、供給がなければ工場の拡張をするのに水が足りないから、仕方がないから下に掘るということになる。だからこういうものの調査ができておるかということです。ただ届出があるから大体間違いないだろう、数を調べればわかるだろう、それでは役人なんか要りはしない。そんなことなら子供を置いておけばたくさんです。こういう問題はもう少し真剣に考えてもらいたい。これが地方財政に及ぼす影響というものは非常に大きなものです。尼崎などをごらんになったか、尼崎に行ってごらんなさい。尼崎市は財政計画上は黒字団体です。交付税の不交付団体です。ところが地盤が下がることのために、防潮堤をこしらえなければならぬから、非常に大きな借金をして、そうして不交付団体でありながら再建整備法の適用を受けておるのです。こういう矛盾したものができてきておる。それらの原因が、もし地下水をくみ上げたことにあるとするならば、通産省はもう少し真剣になって考えていただかぬと、地方の財政の問題にいたしましても、地方の住民の住宅の関係からいきましても、非常に大きな問題を起こす。ただ、今のようなおざなりな答弁でこれを済まされてはかなわぬです。そのくらいの数字ならだれでもわかっておる。届出の数字ならトータルがどこかにあるはずですから、それで間違いないのだと涼しい顔をされてはかなわぬ。通産省は、あるいは企画庁かもしれないが、あなたの方でもっとはっきりした考え方で工業用水の問題と、さらに井戸の問題については関連性を考えて重要視してもらいたい。そういう数字がなければしようがない、調べられていなければこれはしようがありませんが、私はもう少し真剣になってもらいたいと思う。これからでも私はおそくはないと思いますが、一応それを調べてごらんなさい。どんな数字が出てくるか、どういうことになっておるか、こういう面が規制されないで、そうしてただ工業用水工業用水と騒いでおったところで追っつかぬと思うのです。きょうは大臣もおいでになりませんし、これ以上質問いたしませんが、その点は特に注意をして、機会があれば、調べた報告が願えれば幸いだと思います。
  277. 綱島正興

    綱島主査 明日は午前十時より開会いたし、経済企画庁所管予算について審議に入ることといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。     午後三時五十七分散会