○福田国務大臣 私はしばしば申し上げておりますが、今後どうしても
農政の中心課題は
農村の所得を向上することになければならない、こういうふうに言っておるわけであります。その所得を向上して、
農村が他の階層と相並んで明るい生活が営めるような
状態を出現するためには、
農村における生産性の向上ということをまず第一にやらなければならぬ。あなたはもうあまり生産はしないのだろうというお話でございますが、私がしばしば言っていることをお聞き下さればわかる
通り、これは生産性の向上ということが特に大事である。生産性の向上とは能率よく生産を高めるということにあるのでありまして、このためには農林省の
予算というものはほとんど大部分それを中心にしてやっているわけでございます。しかし、いかに
農村の所得を向上いたしましても、農家の所得と他の所得との均衡ということは私は困難であると思う。そこで、農家が農業生産による所得以外の所得の道を講じなければならぬとともに、
農村でできるところの生産物を、すなわち所得を分け合うところの人口、これが他の方面に進出し、他の方面で活躍するという道が開かれなければならぬ、かように
考える次第でございます。でありまするから、究極の
目的は農家の所得の向上にある。そのためには農業生産をふやし、その分け合うところの頭数が減っていく、こういうことによってこれが実現できるという
意味におきまして、私は次三男
対策その他の農業人口問題というものを言っているわけです。しかしそれだけで、一体農家と他の階層とが均衡とれた生活ができるかというと、これは生活条件というものが、都市と
農村では非常に違っております。また道路政策
一つとってみましても、都市には相当の舗装道路ができてくる。
農村はいまだに農道も整備されないというような
状態でありますので、そういう生活環境を
農村にも整備することに
政府が力を入れなくてはならぬということが、私が第三の問題としての環境整備だというふうに言っているゆえんなのです。
この環境整備という問題につきましては、
農村を
考える場合におきまして、農林省の
予算や農林省的角度の問題ばかりを
考えたのではこれは解決できない。たとえば無医村の問題を
考えましても、これは厚生省の問題である、あるいは
国民年金というものを昨年の暮れから始めておりますが、広く
国民全体に適用されておりますが、これを自由民主党が取り上げたゆえんのものは、農家に老後の保障を与えようということが主たる機縁になっておる、そういうわけなんです。あるいは三十五年度をもちまして
国民皆医療制というものが実現されます。これも農家にそういう医療を受ける
機会が恵まれないではないかというようなことを
考えながら、そういうものをやっているわけです。これも
農村の環境整備なのです。そういうものを農林省といたしましては
政府各般にわたって推進をする役割を勤むべきであるということを言っているわけであります。従いまして農林省固有の
予算におきましても、ただいま御指摘の電気の問題あるいは新
農村の問題、いろいろのものが組まれておりますが、しかし農林省ばかりでなく、
政府全体の機構の中に解決の道を求めなければ、この困難なる農業問題は解決できないのだということを申し上げておる次第でございます。