○小松(幹)
委員 中共との貿易ができないで遺憾だ、しかしそれは捨てていないと口ではおっしゃるけれども、一向やっていない。今
ソ連との貿易のことについて話し合っているというけれども、日ソ漁業交渉すらも行き詰まっておるじゃないですか。北洋漁業の問題も、
ソ連との問題で行き詰まっている。いわゆる国だけはうまいことを言っても、
一つも
現実的に手を打っていない。ことに
アメリカとの貿易は、初めて一九五九年に輸出超過になっております。ところがその貿易の内容を見てみると、トランジスター・ラジオあるいは雑貨品が多い。こういうトランジスターあるいは電気器具というものだけで
日本と
アメリカとの貿易がつながれて、そうしてそれが輸出超過になったからといって満足している
段階ではないと思う。
日本の産業というものはそういう雑貨だけが輸出ができてほくそえんでいるような
段階ではない。少なくとも鉄鋼の問題の解決にしても
中共との解決、あるいは漁業、重工業にしても
ソ連との解決というものが積極的になされなくてはならぬ
段階に来ておる。私は一九五九年十二月三日の
日本経済新聞に次のようなことが出ているのを見たのです。これなどははなはだうれしいような悲哀です。三菱造船と寿工業ではこのほど
アメリカのエンジニアリング・コンサルタントであるボン・コーホン・インターナショナル・コーポレーションを通じて、
ソ連向けのいわゆるスフ・プラントの注文を受けた。そしてそのプラントはモスクワ近郊に建てるのだといっておるが、
ソ連とのスフ・プラントでも
アメリカのバイヤー、
アメリカの商売を通じなければ
ソ連とは通じないということは一体どういうことか。はっきり言って、三菱造船も寿工業も下請に甘んじなければならぬ。これが
アメリカと
日本との経済協力の実態なんです、
ソ連と
中共とをシャット・アウトして——しかも
米ソはちゃんと
雪解けによってこういう契約をしておる。その下請が
日本にくる。いわゆるスフのプラント、いわゆる
日本の繊維のプラントは大へんいいのです。そういう関係から
考えたら、何も
アメリカのバイヤーの下請をせにやならぬことはないわけです。直接
ソ連と一対一でちゃんと取引ができるのに、こういう現象がきておるということは、
大陸との貿易がいかに遮断されておるか、しかも
アメリカによって遮断されておるということを如実に示した例であると思う。これがもって
日米の協力である。うまいことを言って、協力するときには何もかもなく協力するけれども、こういういわゆる貿易の点において協力してもらわなければならぬ。最近では
中共に西ドイツとイギリスの物品がどんどん入っておる。入っていないのは
日本だけだといっておる。せっかく隣に大きないわゆる買手市場があるのにもかかわらず、
アメリカはこれをシャット・アウトさせておるじゃないか。このいわゆる
大陸とのシャット・アウトを切り返して、新しく
大陸との貿易が自由にスムーズにできるようなことをなぜ
アメリカに持ち込んでいかないのか、これが
日米協力の第一、いわゆる先ほど第二条にある
アメリカの経済
政策と
日本の経済
政策とが違うという場合においては、それぞれ話し合ってやるということが書いてあるじゃないか。
アメリカの経済
政策は、
日本をシャット・アウトして、いわゆる
中共からシャット・アウトしてある
政策でしょう。しかし、
日本が生くるためには、
アメリカに人形やあるいはおもちゃを送って商売をするだけが芸じゃないのだ。はっきり
中共との問題も解決せにゃならぬ、鉄鋼問題も解決せにゃならぬという
一つの目標がある。この目標に向かってなぜ
岸総理は解決しないのか、こういうことを私は反問したいのです。あなたは口じゃ経済協力だ、あるいは経済
政策だとうまいことをやると言うけれども、こういうところをやっていないじゃないですか。どうなんですか。こういう問題は解決しないのか。