○
周東英雄君 私は、
自由民主党を代表いたしまして、ただいま
建設大臣より御
報告のありました、去る五月二十四日未明、
北海道、東北各県、
三重、
和歌山、
高知、
徳島、
鹿児島、
宮崎等ほとんど全国の
太平洋岸に来襲いたしました
津波による
災害に関し、若干の
質問をいたし、これが
復旧に対する
総理、
大蔵、
農林、
運輸等、
関係大臣の
所見を伺わんとするものであります。(
拍手)
まず、
最初に、この
津波によって一瞬にして肉親を失い、
家屋、
家財を
流失し、
農地、
漁船、
漁具、
養殖施設等、
生活手段を喪失せられました
人々に対し、
自由民主党の名において、心から
哀悼の意を表し、深甚なる御
同情を申し上げる次第であります。(
拍手)
さてこのたびの
津波災害の特色は、第一は、
警報の
発令が間に合わなかったために、
事前の
避難に役立たなかったこと、第二は、従って、
物質的災害に比べて人命の
被害が比較的に大きかったこと、第三は、
家屋、
家財、
農地等の
被害も大でありまするが、特に
水産関係の
被害が大きく、
零細漁民に大きな
打撃を与えたことであります。
そこで、
質問の第一は、
気象庁機構、
運営に関する件であります。
警報発令が非常におくれたことは、
国民もまた非常に不思議に思っております。これはもちろん不可抗力的な理由のあることもうかがえますが、
気象庁の
機構、
運営に改善を加える必要があったのではないかと思うのであります。もとより、今回の
津波のように、
地球の
裏側に
原因が
発生して、その範囲が
太平洋の全域にもわたるような大
規模なものは、国際的な
規模と
組織による
予報手段がなければ、的確な
予報をつかむことは困難だとは思われます。従って、このような国際的な
機構を
整備するように
わが国が積極的に
努力し、これに対する
対策を立てていくことが必要ではないかと思うのでありますが、これに対する
政府の
所見をお伺いしたいのであります。
気象庁は、従来の
データ等を基礎として、今回のような大
津波の来襲することは予想できなかったようであります。しかしながら、すでに二十三日には、ハワイにおける
津波被害の
状況が新聞、
ラジオ等で
報告されております。こういう問題を取り上げつつ科学的な考慮を払ったならば、もう少し
事前警報の
発表等に
手段がとれたのではないかと思うのであります。しかし、私は、
気象庁の
仕事というものは非常なじみな
仕事である、ともすると、これに対する
施設というようなものは、じみな
仕事だけに、
政府におかれましても、これに対して着目することが薄かったのではないかと思われます。従来とも、私どもは、
気象庁は、
天気予報等におきましても、
シナ大陸における
協力を求められない今日、相当大幅な
予算措置をしてこれが
対策を講ずべしということは、わが党が常に叫んできたことでありますが、今日まである程度の進捗は見たけれども、なかなかこれに対しても完備した
施設が行なわれません。いわんや、このたびのごとき、いまだかつてないような
地震、また、それに関連して起こる
津波の
予報施設を完備するためには、相当な
決意をもって臨まなければならぬと
考えるのであります。
和達長官は責任を感じて
辞表を
提出しておるということでありますが、いたずらにこういう人を責めるだけが問題ではなくて、
施設のない、じみな
仕事をやっている役所に対して相当な
決意をもって
施設を完備してやることが、私は
災害を将来に向かって
発生させないことの布石ではないかと思うのでありますが、これに対して
政府の
所見を伺いたいのであります。特に
大蔵大臣、
総理の御回答を求めます。
第二は、
被害復旧対策についてであります。今回の
津波による
物的被害は、
先ほども御
報告のありましたように、
農地の
流失、陥没、
家屋の流出あるいは
漁船、
漁具その他が問題になつておりますが、なかんずく
漁船、これは非常な
痛手であります。すでに
先ほどお話のありましたように、今月二十五日までに判明した数字は約九百そうに上っております。
零細漁民にとって、
漁船はその
生活の最も必要な
手段であります。これが今日ただいま喪失したならば、あすの日からの生計を立てることに困難を来たすことは、申すまでもございません。また、
沿岸漁民に対して最も必要な
施設は、わが党の力を入れておりまする
水産増殖施設であります。これが軒並みに
痛手を受けております。ことに、この際問題になることは、
養殖真珠施設であります。今や、
真珠は、
わが国の
外貨獲得に貢献する大きな
産業であります。
輸出産業の重大な役割を果たしておるものでありまして、戦後わずかに二十数億円の
輸出にとどまっておったものが、今日は百億をこえる
状況であります。しかるに、このたびの
災害では、ほとんど全滅的な
打撃を受けておるのであります。ことに、
三重県地区におきましては、
中小漁業者の
養殖施設はもちろんのこと、
企業者においても、軒並みにやられております。その上に、この
地方は、過
ぐる伊勢湾台風によりまして相当大きな
打撃を受けておるのにかかわらず、追っかけて今度の
津波の
災害でありまして、
いかだ施設等はほとんど壊滅しかけております。
養殖真珠施設というものは、あした
施設をすれば、すぐに一年で
生産ができるというものでないことは、御
承知の
通りであります。よいものを作るのには、少なくとも三年、二年の年月が必要となるのであります。すみやかにこれが
復旧施設をやらない限りは、来年から
生産の減退することは火を見るよりも明らかであります。この大きな
輸出産業がこうむる
打撃は大なるものであります。こういうふうな事柄を
考えてみまするときに、
農地その他の
施設の
回復等について万全の
処置をすることはもちろんでありますが、
漁船並びに
養殖真珠施設に対する
復旧に関しては、その
予算的措置並びに
立法を必要とするものであります。これに関して、
政府は
伊勢湾台風のときにとりました
処置に準じまして、すみやかに
立法的処置その他をとるの必要があると
考えますが、これに対して
政府の
所見はいかがでございますか、お伺いいたしたいのでございます。(
拍手)
第三にお伺いしたいのは、
災害は忘れた時分にくるとはよく言われますが、このごろは、忘れぬうちにたびたび参ります。そのたびに
応急的立法措置をやって追っかけていることは愚の至りでありまして、すでに
伊勢湾台風に対する
処置を講じましたときに、
基本的制度、
基本的立法、これを制定すべしという声が高らかにあったわけであります。
政府におきましても、それに同調されたはずであります。この
基本的立法、
制度の確立に関して、その後の経過はいかに相なっておりますか、
政府の御
所見を伺いたいのであります。
第四番目は、ただいま御
報告がありましたように、すでに
行政措置をもってあらゆる
応急救済の
処置が講ぜられておりますが、今後におきましても、ただいま申し上げましたような
処置に対しまして、すみやかに行動を起こし、すみやかなる
立案をもって臨まなければ、私は手おくれになると思うのであります。財政的な
処置、また金融的な
処置等について、今後いかなるお
考えをお持ちになっておりますか、これをお伺いいたしたいのであります。
最後に、このたびの
災害の
発生に伴いまして、これが
審議、計画、
立案等について、
社会党、
民社党に対してお呼びかけになりまして、そうして、共同でやろうということでありましたが、これに応じられなかったことについて、私は心から遺憾の意を表するものであります。(
拍手)ことに、今日は、この間の
国会において深傷を負われました
清瀬議長が、無理なからだを押して御登院になって、この
国民に対する
被害救済に対していかにすべきか、早く
立案すべきものであるという
考えから、
国会をこうして開かれましたことは、心から私は感激、感謝をいたし、敬意を表するところであります。(
拍手)しかし、今日におきましては、まだ
延長国会の初日であります。同時に、これらの
救済に関する
立法その他の
対策は、いまだ具体的になっておりません。そこで、私は、
政府におかれまして、
財政的処置または
立法的処置を具体的に早くきめて、これをひっさげて、あとで非難をされないように、よりよきものを作るために、
野党に呼びかけて、そうして
審議の
機会を作られるように、
政府が呼びかけの必要があると思うのでありますが、この点は特に
総理に御
所見を伺いたい。私は、
政府・
与党でりっぱに
対策を立て得ると思いますけれども、やはり、
野党の
意見を聞き、少しでもよりよきものにするために、
具体案をひっさげて
社会党に呼びかけ、
民社党に
協力を求めることが、今日、国家、
国民のために必要だと思うのでありますが、これに対して御
所見はいかがでございますか。
以上、私は、五点に関して
質問申し上げまして、終わりといたします。(
拍手)
〔
国務大臣岸信介君
登壇〕