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田中角榮君 ただいま上程になりました
北陸地方開発促進に関する
決議案につきまして、自由民主党、
日本社会党及び
民主社会党を代表いたしまして、
提案の理由を御
説明申し上げます。
まず、
決議案の案文を朗読いたします。
北陸地方開発促進に関する
決議案
わが国経済は、近時著しい伸長
発展を遂げつつあるが、反面、これらの産業活動は、おおむね大都市を中心とする先進地域に集中して、後進低
開発地域との格差を増大し、経済の跛行性をますます助長しているととは、
国民経済の均衡ある安定的
発展上、まことに遺憾とするところである。
ことに、北陸地方は、積雪寒冷地帯等の自然的悪条件に加えて、従来国の積極的施策に乏しく、ために産業経済ははなはだしく立ち遅れを余儀なくせられ、住民所得、地場資本、
地方財政力等いずれも全国的水準を下まわり、経済の悪循環による本地方の低位後進性は、ますます顕著の度を加え、旧態依然として、いわゆる「裏日本的」宿命を脱却し得ない
実情である。
しかしながら他面、本地方は、阪神、京浜及び中京の三大商工業地帯と密接につながり、各種資源の供給源として重要な地位を占め、かつ、日本海を中心とする対岸貿易の拠点的役割をにない、更にまた、幾多の観光資源に恵まるる等多大の
開発効果を期待し得るものがある。
すなわち、これがため、交通諸施設の整備拡充、災害の防除等経済基盤の培養強化と産業構造の高度化を図り、総合的地域
開発を強力に推進するにおいては、ひとり本地方の民生の向上、福祉の増進に資するのみならず、広くわが国経済の
発展に寄与するところきわめて大なるものがあると確信するものである。
よって、
政府は、すみやかに国土総合
開発の一環として、本地方における画期的
開発計画を確立し、これに伴う必要適切な特段の
措置を講じ、もって施策の万全を期すべきである。
右決議する。
そもそも、わが国経済の趨向を大観いたしまするに、その成長率は年を追うて上昇の一途をたどり、近来きわめて順調な伸張を遂げつつあることは、
諸君とともにまことに御同慶にたえないところでありまするが、その反面におきましては、これらの産業活動が概して大都市中心に集中をいたしまりして、地方低
開発地域との経済格差を増大し、国民所得の不均衡、
地方財政力の懸隔等、著しい地域的アンバランスを助長いたしておりますことは、経済の均整ある安定的
発展上、まことに好ましからざる事態であると思うのであります。ことに、
政府がさきに策定いたしました所得倍増を目途とする長期経済
計画の円滑適正なる
実施推進を期するためには、特に、これらの地域
開発の跛行性を打破して、全国的視野に立って経済施策を確立し、いわゆる経済の体質改善を行なうことが刻下喫緊の急務であると思うのであります。
翻って、北陸地方の
実情を見まするに、本土の中部に位して、阪神、京浜、中京等の先進商工業地帯と地域的につながりながら、常に日陰に取り残され、いわゆる裏日本的な宿命にあえいでいるのであります。すなわち、まず産業構造について見ましても、第一次産業の占むる割合は、全国平均四一%に比し四六%を占め、近代産業の見るべきもの乏しく、ことに、積雪寒冷地帯等の自然的悪条件のもとに置かれて、住民の所得水準は、全国平均八万五千余円に対し八万三千余円、実に二千円の低額を示し、地場資本は先進地に流出して蓄積に乏しく、従って、
地方財政力においてもその自主財源の占むる割合は、全国平均四一%に比し、わずかに三〇%にすぎない
実情であります。しかも、従来、本地方に対する国の積極的施策が立ちおくれておりましたために、その低位後進性が先進地に比してますます顕著の度を加えて参りましたことは、きわめて遺憾とするところであります。
他面、本地方の経済立地条件について見まするに、前述のような先進商工業地帯に密接なつながりを持ち、内陸には、水力、労働力のほか、石灰、珪藻土、陶石等の原料鉱産資源を埋蔵し、海には、日本海を中心とする沿岸漁業基地としての水産資源をかかえ、また、対岸貿易の拠点的地歩を占め、将来における多大の
開発効果を期待し得るものと思われるのであります。さらにまた、近来とみに重要視せられてきた観光
事業の面におきましても、立山、白山の名峰その他幾多の温泉源を持ち、豊富な観光資源に恵まれております。
このような特殊性にかんがみまして、この際、本地方の総合的地域
開発に画期的方策を立て、強力にこれを推進いたしましたならば、二百八十万住民の生活の向上、福祉の増進はもとより、広く国家経済の大局的見地においても貢献するところきわめて大なるものがあると思わるるのであります。
叙上のごとき
趣旨をもって、
政府はすみやかに本地方の実態に関する基礎調査を行ない、これに伴う基本
計画の確立と相待って、
開発事業の
実施推進に特段の方途を講ぜらるるよう、特に要請するものであります。
以上が本
決議案を
提案せんとする理由でありまして、こいねがわくば満場の御賛同を切にお願い申し上げる次第であります。(
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