○宮澤
政府委員 前回この問題につきまして堀
委員の御
質問に私一部お答えをいたしました関係がありますので、私から概略申し上げます。
最初に、省令の問題についてお尋ねがあったのでございますが、確かに堀
委員の御
指摘のように、現在この省令が私ども理想としておるような状態で運用されているかいないかといえば、まことに残念でありますが、理想的な形で運用されているとは思いません。省令に違背している、あるいは違反しているという
意味のお
言葉をお使いになったかと思いますが、それはお
言葉としては強過ぎると思いますが、理想的な状態で運用されているとは思いません。
それから第二に、前回
委員会の席上で、当時の
社会局長から登載を受ける出版社の承諾を得ていたしたい、かように御答弁を申し上げたこともその
通りでありますし、今回それがその
通りなされなかったということも御
指摘の
通りであります。そのような、私どもが理想としておるような状態に近からざる形でこの制度が今運用されているのには、実はかなりのいきさつがありますので、これは
一ついきさつとしてお聞きをいただきたいと思います。
前回申し上げましたように、この問題につきましては、
文部省は
文部省の
一つの
考え方に従いまして、
社会教育審議会の分科会の御
意見、これは御専門の方々の御
意見でありますから、それに従いつつ、登載に値するという書籍は登載していきたい。それについて
文部省あるいは審議会としての形式なり判断が当然働くべきでありますし、また
文部省という役所の責任でもあるというふうに私どもは考えております。これは前回申し上げました
通りであります。それとまた他面で直接関係者でありますところの出版社あるいはその団体と、円滑な理解と協力のもとにこの制度をやっていきたい、これも前回申し上げました。この二つの命題があるわけでございます。
そこで、このことを円滑に行ないますために、第一集を発行いたします前から、私どもとしては、
日本書籍出版協会といろいろに話し合いをして参りました。第一集発行後、第二集発行に至りますまでの間におきましても、あの当時
委員会で申し上げましたように、円満な理解に達するように、かなりいろいろな努力をいたしております。私どもの方は当時及び現在の
社会局長、担当の課長がそれに当たりましたが、先方のお名前は、非公式の話でございますから、省略させていただきます。そこで、前回第一集の発行せられます以前に、書籍協会と
お話し合いをいたしました段階では、私どもは、書籍協会の御
意見を、選定というような制度でやってもらっては困る、しかし目録制度にするならば協力をしてもいい、こういうふうに書籍協会は大体お考えになっておるというふうに判断をいたしたのであります。この判断に誤りがあったかどうか。これは私どもは判断に誤りはないと思いますが、しかし私どもはともかくそう判断をいたしております。そこで、それならばということで、申し出以外のものについては発行者の御同意を求めるという措置に出たわけでございます。そして同意をされなかった部分については、時間的に間に合う限り目録から落としたのが事実でございます。そこで、第二集発行にあたりましても、当時これが言論統制の端緒になるという危惧、私どもは杞憂と思いますが、そういうことを出版協会で持たれたものでありますりから、第一集をごらんになり、そうしてまた私どもがその後も御
説明を申し上げて、そういう危惧というものは解消をするであ
ろう、またそうさせたいという努力を重ねてきたのでありますが、その努力は不幸にも今日まで成功しておりません。書籍出版協会の側にもかなりいろいろ複雑な
事情がおありのようでありまして、そこで私どもは、それならば発行者が申請をするような場合には、
一つ個々の発行者の自由な意思というものを協会としても尊重をしていただきたい、協会には協会のお立場がありましょうけれども、中には申請をしたいという発行者もあるのでありますから、どうぞこの点は発行者の自由な意思というものを尊重していただきたいということを、非公式に協会に何度か
お話をしたのであります。協会としては、発行者の自由意思を尊重するというような保証を、私どもについに今日までお与えになっておらないのであります。この間にはいろいろな御
事情が協会の内部にあるようでありますが、それは省略をいたします。従って、私どもが今度適当と思って登載をいたす書籍の発行者に対してあらかじめ御承諾を求めるということになりますと、現実には、承諾をしたいんだけれども、協会の問題があってというような立場の発行者がかなりおられるようでありまして、そういたしますと、むしろ発行者そのものを非常に苦しい立場に立たせるというようなことが、実際問題としてあるように判断をいたしました。そこで、むしろそれならば私どもだけの責任において行なおう、こういうことで、このたび発行者の同意を求めなかったというのが
実情であります。もちろん、こういう判断をいたしますまでには、先ほど申し上げましたように、私どもの担当の
局長、課長がかなり非公式に話し合いを続けてきたかばりでなく、この当面の運営の責任を持っておられるところの審議会のメンバーの方々、これはこの方面の専門家も相当おられますので、ずいぶん出版協会といろいろ話をされました。しかしその結果、審議会のメンバーあるいは審議会としても、今度のような措置が最も適当であ
ろう、こういう最終的な判断をされましたし、私どももまた同様に考えた次第でございます。