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1960-02-26 第34回国会 衆議院 文教委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十五年二月二十六日(金曜日) 午前十一時二分
開議
出席委員
委員長
大平
正芳君
理事
臼井 莊一君
理事
簡牛 凡夫君
理事
高見 三郎君
理事
西村 力弥君
理事
長谷川 保君 坂田
道太
君 竹下 登君 田村 元君 松永 東君 八木 徹雄君
勝間田清一
君 金丸 徳重君 山崎
始男
君
本島百合子
君
出席国務大臣
文 部 大 臣
松田竹千代
君
出席政府委員
人事院事務官
(
給与局長
)
瀧本
忠男君
文部政務次官
宮澤 喜一君
文務事務官
(
大臣官房会計
課長
) 安嶋 彌君
文部事務官
(
初等中等教育
局長
)
内藤譽三郎
君
文部事務官
(
文化財保護委
員会事務局長
) 岡田 孝平君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
自治庁行政局
公務員課長
) 今枝 信雄君 専 門 員 石井 勗君
—————————————
二月二十五日
委員高田富之
君
辞任
につき、その
補欠
として河
野密
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員河野密
君
辞任
につき、その
補欠
として
高田
富之
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十六日
委員鈴木一
君解任につき、その
補欠
として
本島
百合子
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
二月二十四日
高等学校
の
定時制教育
及び
通信教育振興法
の一 部を改正する
法律案
(
内閣提出
第七五号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
高等学校
の
定時制教育
及び
通信教育振興法
の一 部を改正する
法律案
(
内閣提出
第七五号)
学校教育
に関する件
文化財保護
に関する件 ————◇—————
大平正芳
1
○
大平委員長
これより
会議
を開きます。 まず、
高等学校
の
定時制教育
及び
通信教育振興法
の一部を改正する
法律案
を議題とし、その
趣旨説明
を聴取いたします。
松田文部大臣
。
—————————————
松田竹千代
2
○松田国務大臣 このたび
政府
から提出いたしました
高等学校
の
定時制教育
及び
通信教育振興法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及び
内容
の概略について御
説明
申し上げます。
高等学校
の
定時制教育
及び
通信教育
は、働きながら学ぶ
青年
に対し、
教育
の
機会均等
を保障する目的をもって戦後
制度
化されたものでありまして、
勤労青年
の
基礎学力
や
職業技術
その他の資質の向上に重大な役割を果たすものとして、都市、農村を問わず、各
方面
から広く支持されてきたものであります。その後、各般の困難にもかかわらず、
関係者
の非常な
努力
によりまして、発足十余年を経過しました今日、ようやくその
基礎
が固まってきたものであります。
政府
といたしましても、これら
教育
の
振興
につきましては特に意を用い、
施設
、
設備
の
整備等
についてできる限りの
努力
をいたしてきたのでありますが、この際、一そうの
充実強化
をはかるためには、
施設
、
設備
の
整備
を一段と強化するとともに、その
教育
に面接従事する
校長
及び
教員
の待遇につき特別の
措置
を講じて、優秀な
人材
を確保することが特に必要であると信ずるのであります。 御
承知
のように、
定時制教育
には、
夜間
に
授業
を行なうものと昼間に
授業
を行なうものがありますが、
夜間
に
授業
を行なうものにおきましては、
夜間勤務
に伴う過労や病気など健康上の障害のほか、
家庭生活
上の不便も多いのであります。また、昼間に
授業
を行なうものにおきましても、
学校
は
辺地
などにおける
地域
の
中心的教育施設
としての
特色
と使命を有し、単に
校内指導
にとどまることなく、
家庭実習
、
現場実習
などの
校外指導
にも
重点
を置かなければならず、
勤務量
の
負担
かきわめて大きい
実情
であります。 また、
通信教育
は、
通信手段
という新しい
方法
を用いて
教育
する
特色
のある
制度
でありますか、その
教育
には、
添削指導
、日曜日などの
休業日
における
面接指導
、
辺地
などの
遠隔地
における
巡回指導
もあわせ行なう必要があり、その
勤務
は容易ならぬものかあるのであります。さらに、
定時制教育
、
通信教育
を通じて、
勤労
と
学習
とを同時に遂行する
生徒
を
対象
とするため、
生徒
の
学習
や
生活
の
指導
には種々の困難を伴う
現状
であります。 以上申し述べました
実情
にかんがみ、これらの
教育
に携わる
校長
及び
教員
に対し、その労に報いて専心その
職務
に精励できるようにするとともに、優秀な
人材
をこの
方面
に誘致し、確保し、もって
定時制教育
および
通信教育
を
振興
するため、このたび
定時制通信教育手当
を
支給
する
措置
を講じようとするものであります。 次に、この
手当
の
支給
に要する
経費
について、
当該地方公共団体
に対し
国庫補助
をすることができるものといたしました。一部の
都道府県
におきましては、従来これに相当する
手当
を
支給
しているところもありますが、その額並びに
範囲
につきましては、はなはだ不十分のきらいがあります。この際この
手当
について
国庫補助
の
規定
を設けることといたしましたのは、わが国全体としての
定時制教育
及び
通信教育
の
振興
を期するために、すべての
都道府県
において必要な額の
定時制通信教育手当
が
支給
できるようにするためであります。 以上が、この
法律案
の
提案
の
理由
及び
内容
の概要であります。何とぞ
十分審議
の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
大平正芳
3
○
大平委員長
ただいまの
趣旨説明
に対し、
補足説明
を聴取いたします。
内藤政府委員
。
内藤譽三郎
4
○
内藤
(譽)
政府委員
高等学校
の
定時制教育
及び
通信教育振興法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
について、ただいま
文部大臣
から
説明
がありましたが、私から補足して御
説明
申し上げます。最初に
高等学校
の
定時制教育
及び
通信教育
の
現状
について申し上げます。
昭和
三十四年におきまして、
定時制
の
課程
を置いております
高等学校
は、分校を含めまして
全国
で約三千校に及んでおり、約五十四万人の
生徒
がこの
課程
で学んでおります。
通信教育
を行なっております
高等学校
は七十校で、約六万人の
生徒
かこれによる
教育
を受けております。この
法律案
は、
国立
及び
公立
の
高等学校
において、これらの
教育
に従事する約二万四千人の
校長
、
教員
に対し、
定時制通信教育手当
を
支給
しようとするものであります。 まず、第五条は
国立
の
高等学校
の
校長
及び
教員
に
支給
します
定時制通信教育手当
に関する
規定
でありますが、
支給範囲
を、
定時制
の
課程
を置く
高等学校
または
通信教育
を行なっている
高等学校
の
校長
と、これらの
学校
において本務として
定時制教育
または
通信教育
に従事している
教員
といたしております。この
法律案
において
教員
と申しますのは、
教諭
、
養護教諭
、
助教諭
、
養護助教諭
及び常勤の講師と、政令による
一定
の
範囲
の
実習助手
とを考えております。
支給率
は七%といたしておりますか、現在
校長
にはいわゆる
管理職手当
を
支給
しており、また
教頭
及び主事につきましても、来
年度
からそれを
支給
することといたしておりますので、これらの
管理職手当
を受けます者については、
給与
の
均衡
をも考慮しつつ、
職務
の複雑、困難及び責任の度合に応じて併給することとし、その
支給率
は
管理職手当
とあわせて、一〇%または一二%になるよう
文部省令
で定める
予定
にいたしております。 第六条は、この
国立
の
高等学校
の
校長
および
教員
の
定時制通信教育手当
を
基準
として、
公立
の
高等学校
の
校長
及び
教員
に対し、
定時制通信教育手当
を
支給
すべき旨の
規定
でありまして、
支給範囲
、
支給率
及び
支給方法等
につき国のそれを
基準
とする旨を
規定
するものであります。 第七条は、
都道府県
及び
市等
が
公立高等学校
の
校長
及び
教員
にこの
手当
を
支給
いたします
経費
について、三分の一の
国庫補助
を行なうための
規定
であります。ただし、
補助
の
対象
となりますのは、実
支出額
ではありませんで、国の
支給率
と同率のものまでを限度といたしております。このための
経費
といたしまして、
昭和
三十五
年度
予算案
においては約一億七千万円を
計上
しております。 次に、
附則
でありますか、第一項でこの
法律
の
施行期日
を
昭和
三十五年四月一日からといたしております。
附則
第二項は、道府県の一部において、従来からこれらの
校長
及び
教員
の
勤務
の
特殊性
、
困難性
に着目し、
特殊勤務手当
その他の
名称
により
一定率
または
一定額
の
手当
を
支給
しているものかあるのでありますか、
名称
のいかんを問わず、
定時制通信教育手当
に相当いたしますような
手当
を受けております者について、この
手当
の
月額
か従来の
手当
の
月額
よりも低額とならないよう、従来の額につき保障するための
規定
であります。 以上がこの
法律案
の
内容
の要点であります。何とぞ、十分御
審議
の上御賛成下さるようお願い申し上げます。
—————————————
大平正芳
5
○
大平委員長
次に、去る二十四日の
文教行政
に関する
文部大臣
の発言に対する
補足説明
を聴取いたします。安
嶋会計課長
。
安嶋彌
6
○安
嶋政府委員
お
手元
にお配りしてあります三十五
年度
の
文部省所管予算案
の
重要事項
について、簡単に御
説明
を申し上げます。 第一は、
義務教育
の
改善充実
でございまして、その一は、
義務教育費国庫負担金
でございます。
義務教育費国庫負担金
は、前
年度
に比べまして八十八億二千万円余の
増額
になっておりますが、その主たる
増額
は
給与費
の増でございます。
給与費
につきましては、前
年度
に比べて八十七億余ふえておるわけでございますか、この前
年度
予算額
には三十三
年度
の
精算分
が含まれておりますので、これを差し引いた前
年度
の当初
予算
と比較いたしますと、百二十五億円余の増となっております。これからその百二十五億円の増の
内容
について簡単に申し上げたいと存じます。 第一は、
児童生徒
の
自然増減
による
教職員
の増でございまして、これが千百一名
予定
されております。御
承知
の
通り
、
小中学校
の
児童生徒数
の
自然増減
がかなり大幅にございまして、
小学校
におきましては
児童
の数が七十七万二千人減少いたします。
中学校
におきましては
生徒
の数が七十一万三千人増加いたします。これに従いまして、
小学校
では
教職員
の
自然減
が一万四千人余、
中学校
におきましては
教員
の
自然増
が一万五千人余ございまして、差引一千百一名の増となるわけでございます。 次は、
公立義務教育
諸
学校
の
学級編制
及び
教職員定数
の標準に関する
法律
の
実施
に伴う増でございまして、これは
小学校分
についてのみ
予定
されております。四千八百二十名がその
人員
でございまして、
学級規模
の
適正化
に伴う
部分
が三千七百四十六名、
定数充足
に伴う
部分
が千七十四名でございます。 次は
昇給
による増でございまして、二十六億円を
計上
いたしておりますが、二十三
年度
の
決算単価
を
基礎
にいたしまして、必要な
昇給財源
を
計上
いたしております。 次は、
人事院勧告
の
実施
に伴う増でございまして、これが三十四億円でございます。
中身
はいわゆる
中だるみ是正
と
夏季手当
〇・一カ月分の
増額
に伴う増でございます。 次は、
教頭
の
管理職手当
、
教頭
に対して本俸の七%の
管理職手当
を
支給
することを
予定
いたしました、その
関係
の
国庫負担金
でございます。 次は
恩給費
の増でございまして、これは
支給人員
の
増等
に伴う増でございます。 その次の
僻地手当
の
改善策
は、今
年度
から
僻地手当
の定率が引き上げになりますとともに、
僻地
の
指定基準
か昨年の夏改訂されております、それに伴う増。それから、昨年の九月から多
学年学級担当手当
というものが創設されておりますが、それに伴う増が約二億円ということになっておるわけでございます。 それから、
既定予算規模
の
是正
と申しますのは、三十四
年度
の
予算
と実績とのずれでございまして、この
事項
は
予算
の
積算
の技術的な点からこういう数字を
計上
したわけでございます。 次は、三十四
年度
の
不足見込み額
の補てんでございまして、これは、例年でございますと、本年の秋あるいは来春等において
補正予算
として
計上
するわけでございますが、本
年度
は特に当初
予算
にその
見込額
を
計上
したということでございます。 次は、
教材費
でございます。この
単価
は従前と全く同様でございまして、
金額
において三千八百万円増加いたしておりますが、これは、
単価
の安い
小学校
の
児童
が減りまして、
単価
の高い
中学校
の
生徒
がふえたことに伴う増でございます。 二は
公立文教施設
の
整備
でございまして、前
年度
に比べまして約十一億円の増となっております。 イは
義務制
諸
学校施設
の
整備
でございますが、これは、
公立文教施設整備
五カ年
計画
の第二年次ということで全体の
予算
を
積算
いたしておりますが、
実情
に即しますように多少
事項
によりましては緩急をつけておる次第でございます。
単価
、
構造比率等
は前
年度
と全く同じでございます。 まず、
校舎
につきましては、
重点
といたしまして、
中学校
の
生徒
の
急増対策
に
相当額
を
増額
いたしております。前
年度
に比べまして約二十億円の
増額
をいたしております。それから、
小学校
の
校舎
でございますが、これは
団地等
の人口の
部分
的な集中、いわゆる
社会増対策
がその
趣旨
でございます。
屋内運道場
につきましては、特に前
年度
とその
積算
の原価において変わる点がございません。 それから
僻地集会室
も前年とほぼ同様の
考え方
で
積算
をいたしております。
学校統合
でございますが、これは、従来の経続
事業
のほかに、
新規
に二万三千坪の
統合計画
が可能になるように
予算
を
計上
いたしております。 次は
危険校舎
でございますが、これは、先ほど申し上げました
中学校
の
急増対策
の
関係
もございまして、全体の
事業量
が減少すること、つまり、
中学校校舎
の増築に伴いまして
危険校舎
の
改築
の
事業
が多少減少するということも見込まれますので、ここのところは多少ペースをゆるめております。 それから、
特殊教育
の
建物
でございますが、これは、後ほど申し上げます
特殊教育
の
拡充等
をも考慮いたしまして、前
年度
に比べまして
金額
的に二千五百万円の増といたしております。 次に、ロといたしまして非
義務制
諸
学校
の
施設整備
でございまして、幼稚園、
定時制高等学校等
につきましては、これは前年と
同額
でございます。 それから
高等学校
の
危険校舎
の
改築
でございますが、
金額
的には二千万円の
増額
となっております。 次は
社会教育施設
でございまして、
公民館等
の
整備
が
中心
でございますが、
予算額
といたしましては、前年に比べて二・五倍というふうに飛躍的な
増額
となっております。 次の三は
公立文教施設
の
災害復旧費
でございまして、十二億円余を
計上
いたしております。個々の前
年度
予算額
は実は第二次
補正
までの
予算額
でございまして、御
承知
の第三次
補正
におきましては一億一千五百万円がさらに
追加計上
になっておる次第でございます。 第二は
特殊教育
の
振興
でございますが、その一は
公立養護学校
の
教育費国庫負担金
でございます。これは
義務教育国庫負担金
の
積算
の仕方と全く同様でございまして、
給与費
につきましては、
明年度
そこに書いてございますように
新設
十一校、これに伴う
教職員
の増百九十一名を
予定
いたしまして、この
給与費
を
計上
いたしております。
教材費
の
単価等
はこれまた
義務教育
と同じように前年
通り
据え置かれております。 その次は
養護学校等
の
施設
を推進するための
講習会等
に要する
経費
でございまして、
現職教員
のために
講習会
を開催する。それから
学習指導要領
につきましては特別なものが必要になるわけでございますが、それを新たに編集する、それに伴いまして必要な
教科書
を編集する、教師の
指導書
を作成する、そういう
関係
の
経費
でございます。
精神薄弱児
につきましては総合的な
教科書
を考える、
肢体不自由児
、
病弱児
につきましては体育にだけ特別なものを考えまして、その他は
一般
のものを使用するという
計画
でございます。 次は
養護学校
及び
特殊学級設備
の
整備
でございますが、その第一は
特殊学級
の
設備費
の
補助
でございます。
一般
の
特殊学級
といたしましては二百五十
学級
に対する
補助
を
予定
いたしております。
職業関係
、これは
精薄
の
中学部
でございますが、三十一
学級分
を
予定
いたしております。 次は
養護学校
の
設備費
でございまして、三ページの一番上でありますが、これは本
年度新規
に
計上
された
金額
でありまして、それぞれ必要な
設備費
を
補助
したいということでございます。 その次は
肢体
不自
児学校
のスクール・バスの
補助
でございますが、これは昨年の三台が四台ということになっております。 次は
特殊学校
への
就学奨励
でございますが、
小中学校
につきましては新たに
修学旅行費
の
補助
を加えております。このことについては別途法案として御
審議
いただくことになっておるわけでございますが、これによりまして従来
小中学校
にございまして
特殊学校
になかった
修学旅行費
がこれについたわけでございます。その間の不
均衡
がなくなったという次第であります。
高等学校
につきましては寄宿舎の雑費、
寝具費等
が新たに
計上
になっております。 次は
養護学校
の
教員養成
でございまして、
北海道学芸大学
、
東京学芸大学等
に一年及び半年
課程
の
養護教員
の特別な
養成過程
を設けることといたしております。
特殊教育
の
建物
につきましては最前申し上げた
通り
でございます。 第三は
科学技術教育振興
でございまして、その一が
理科教育設備
の
整備
でございます。
中身
は二つございまして、一つは
理科教育振興法
に基づく
補助金
でございますが、これは前年の約五億円が一割増しの五億五千万円ということになっておるわけでございます。 その次の
理科教育センター
は、これは
新規
に入りました
事項
でございまして、
全国
五カ所に、
教職員
の
理科教員
の
実験観察
を
中心
とした再
教育
の
施設
として
理科教育センター
を設ける際の
設置費
の
補助
をしたいということでございます。 次は
産業教育
の
施設設備費
の
負担金
でございまして、前
年度
に比べまして一億九千七百万円の増でございます。ほぼ十億に近くなったわけでございます。 まずその
設備費
について申し上げますと、イの
設備更新
が
新規
として入っております。これは二十七年の四月現在における
現有施設
の一部を更新修理するために必要な
経費
でございます。それからハの
新設課程
でございますが、これは前
年度
に引き続きまして
機械課程
、
電気課程
、
工業化学課程
、三
課程
の
新設
を
予定
いたしております。 次に
施設費
でございますが、
施設費
の
ロ新設課程
、これはただいま申し上げました
機械
、
電気
、
工業化学
の
新設課程
の
施設費
の
補助
を
計上
しておる次第でございます。 次は四ページでございますが、上から四行目に
中学校
の
設備
というのがございます。これは新
教育課程
に基づきます
中学校
の
技術課程
の
関係
の
設備
を充足するために必要な
補助金
でございまして、前
年度
に比べまして一億六千万円の
増額
となっております。 次は
在外研究員
の
派遣
でございますが、これは前年
同額
でございます。 次は
南極地域観測事業
でございますが、ただいまやっております第五次
観測
、それから今回越冬いたします第四次
越冬隊
の収容に要する
経費等
を
計上
しておるわけでございます。 五は
科学研究費
の
交付金等
でございまして、前
年度
に比べまして二億七千万円余の
増額
となっておりますが、そのうち一番大きい
増額
は
科学研究費交付金
の
増額
でございまして、これは前
年度
に比べまして二億四千万円の
増額
になっております。この
増額
の約過半は
機関研究
の
増額
に充てられる
予定
でございます。 その次は
民間学術研究団体
の
振興
でございますが、前
年度
に比べまして千六百万円の
増額
になっております。第一は
民間学術研究機関
の
助成
でございますが、これは
民間学術研究機関
の
助成
に関する
法律
に基づく
補助
でございます。次は
日本学術振興会
の
補助
でございますが、これは前年に比べまして二千二百万円の
増額
になっております。
流動研究員
の
制度
の
拡充
、
奨励研究制度
の
拡充等
がその主たる
内容
でございます。 第四の柱は私学の
振興
でございまして、その一は
私立学校振興会
に対する
政府
の
出資金
三億円でございます。従来の五十億円の
現金出資
に加えまして、さらに三億円の
出資
を行なうということでございます。 二は
私立大学
の
研究設備助成
でございます。前
年度
に比べまして一億三千九百万円余の
増額
でございまして、かなり大幅な増になっておりますが、
一般設備
のほかに
特殊設備
が入りました。この
特殊設備
が
事項
としては
新規
になっておるわけであります。 三は
私立大学
の
理科特別助成
でございまして、これも伸び方としては前
年度
に比べましてかなり大きな伸びを示しております。二億六千万円余の
増額
になっております。ここに
一般理工系学部
の
補助
というのがございますが、これは主として既設の
理工系学部
という
趣旨
でございます。 その次は
私立学校共済組合
の
補助
でございまして、
金額
的に九百六十万円余ふえておりますが、これは
人員
の増、
単価
の増に伴ういわば
自然増
でございます。 五ページに参りまして、第五の柱は
育英事業
になっております。
育英会
の
貸付金
でございますが、四十五億四千百万円となっておりまして、前
年度
に比べまして一億三千九百万円余の
増額
になっております。これは
特別奨学生
六千人の増に伴う増でございます。これによりまして
特別奨学生
は
高等学校
の第三
学年
まで充足されたということに相なるわけでございます。 第六は
社会教育
の
関係
でございまして、その一は
青年学級
の
振興
でございます。
青年学級
の
補助金
は前年とほぼ同様七千七百万円余でございます。その次の
青年学級
の
研究協議会等
の五百万円は、
青年学級
の
指導者等
の
研究協議会
を設ける
経費
でございまして、これは
新規
となっております。
青年
の家の
整備費
の
補助
、これはほぼ前年同様の
趣旨
でありまして、特別な変更はございません。 三は
婦人教育
の
振興
でありまして、これは
金額
的には飛躍的な
増額
になっております。その一は
婦人学級
の
委嘱費
でございますが、従来の三百
学級程度
を千四百
学級程度
に引き上げまして、
婦人学級
の
委嘱
を大幅に広げて参りたいということでございます。
金額
的にも前
年度
に比べまして五千二百万円
程度
の
増額
になっております。 次は
婦人教育指導助成
でございますが、これもかなり大幅な
増額
になっておりまして、前
年度
に比べまして約千七百万円の
増額
になっております。
事項
といたしましては、(口)の
外国派遣
が
新規
として入っておるわけでございます。 次は
社会教育関係団体
の
補助
でありまして、これも前
年度
に比べまして四千四百万円
程度
の
増額
になっております。
予定
される
範囲
はお
手元
の
資料
でごらんをいただきたいと思います。 五は
教育テレビ対策
でありまして、
テレビ番組
の
製作実施
に要する
経費
が三千六百万円、これは、御
承知
の「わたしたちの道徳」及び「あすへ開く窓」といった
番組
が出ておるわけでございますが、その
関係
の
経費
でございます。一つ置きまして
テレビ受像機設備
の
補助
がございますが、これは
新規
に
計上
された
経費
でございまして、
僻地
の
小中学校
に
テレビ受像機
を
設置
する際の
補助
を考えたわけでございます。 六の
児童文化センター
の
設置
、これは前年
通り
の
考え方
でありまして、特別な変化はございません。 次のページに参りまして、
公民館等
の
設備費
の
補助
でございますが、
中央公民館
につきましては映写機、
録音機
、
テレビ等
の
補助
を考えております。
移動公民館
につきましては、二台と書いてありますのは自動車のことでございます。図書館につきましては図書の
購入費
を
補助
する。
博物館
につきましては、
標本等
のいわゆる
博物館資料
の
整備
に必要な
経費
を
補助
するということでございます。 九は
国立中央青年
の家の
経費
でございますが、前
年度
に比べてかなり大幅な減になっておりますが、これは昨
年度
が
初年度
でございまして、
施設費等
が特に
初年度
として多く
計上
されておった、その
経費
が落ちたための減でございます。
事業規模等
につきましては従来よりさらに
拡充
されるわけでございます。備考のところに第二キャンプの
改修等
とございますが、これは
青年
の家のすぐ近くにございますもと米軍の軍事顧問団の宿舎を改修いたしまして、
青年
の家の宿泊
施設
に充てるため等の
経費
でございます。 次は
社会教育
の特別
助成
でございまして、備考に書いてございますような
社会教育
の
指導
者養成等の
経費
に充当する
予定
でございます。 第七は体育でありまして、その一は国民体育
施設
の
整備
、前
年度
に比べまして二千三百万円の増になっておりますが、従来の体育館、プール各五カ所の
補助
を、各十カ所の
補助
に
増額
したことに伴う増であります。 国民体育大会の
補助
は、夏季大会熊本県、冬季大会新潟、青森の両県において行なわれるものに対する
補助
を
予定
いたしております。
国立
競技場の
経費
がその次にございます。これもやや減になっておりますが、これは
施設費
の減に伴う減でございます。 四は体育
振興
特別
助成
でありまして、備考にございますような青少年スポーツ活動の
助成
に充当する
予定
でございます。 七ページへ参りまして、オリンピック東京大会の
実施
でありますが、オリンピック組織
委員会
の定額
補助
といたしまして四千万円を
新規
計上
いたしております。それからオリンピックを迎えるに際しまして、競技技術を向上したいということで四千万円を
計上
いたしております。これもほとんど
新規
の
事項
に属するわけでございます。 その次の
国立
競技湯の
拡充
でございますが、これまた、オリンピックを迎えるに際しまして、現在の
国立
競技場を
拡充
する必要がある。その基本設計に必要な
経費
を
計上
しておるわけでございます。 次は体育協会の
補助
でございますが、前年に比べまして約五百万円近くの増になっております。これまたオリンピック
関係
の仕事の増に伴う
補助
の増でございます。 六はローマオリンピック大会の選手団の
派遣
に必要な
経費
の
補助
でございます。定額
補助
として五千万円を
計上
いたしております。総
経費
といたしましては、選手団の
派遣
に要する
経費
の全体といたしまして、約一億七千万円必要だということを伺っております。 第八は国際文化の交流でありまして、その一は沖縄の
教育
に対する協力援助でございます。そのイは沖縄
教員
の内地
派遣
研究
制度
の
実施
でございますが、従来の二十五人に加えましてさらに十名そのワクを広げました。それと同時に従来の月八千円
程度
の滞在費を、月一万一千五百円というふうにかなり大幅に
増額
いたしておるわけでございます。 次のロは国費沖縄留学生の招致でございますが、これはほぼ前年
程度
でございまして、これに対しましては月約六千円
程度
の
手当
が
支給
されております。 次のハは
指導
主事の
派遣
でございまして、これは三十四
年度
から
実施
をしておる
事業
でございますが、その
人員
をさらに四名ふやしまして、従来一部沖縄
負担
でございました滞在費を、すべて日本
政府
が
負担
するということに伴う増か六百三十万円ということになっておるわけでございます。 次は国費外国人留学生の招致等でございまして、
学年
進行のほか
新規
増が七十名認められております。この国費外国人留学生については月二万円の
給与
が行なわれることになっております。その次の海外
教育
事情調査でございますが、これは東南アジアの
教育
事情を調査いたしまして、留学生の受け入れ等の調査研究を行ないたいということでございます。これは
新規
の
事項
になっております。 次は
文化財保護委
員会の
関係
でございますが、一の文化財保存
事業
費等、この中には
国立
劇場の基本設計、それから懸賞募集に伴う
経費
か二千五百万円
計上
されております。 それから文化財の保存修理費の
補助
が三億一千八百万円余
計上
されておりますが、このうち二千九百万円余は
災害復旧費
でございまして、その額を含むわけでございます。 次のページに参りまして、文化財の防災
施設
の
補助
でございますが、これは防火
施設
、収蔵庫、標識等を
設置
する
経費
の
補助
でございます。 それから準要保護対策でございまして、一の
教科書
費の
補助
、二の
修学旅行費
の
補助
、この立て方は前年
通り
でございまして、特別な変更はございません。ただし
金額
に多少の増減はございますが、これは
児童生徒数
の
自然増減
に伴う増減でございます。 三の保健医療費
補助
は、
金額
的にややふえておりますが、これはトラホームの治療費の日数を、従来の二十五日から五十日に引き上げたことに伴う増でございます。 四は
学校
給食費の
補助
でございますが、御
承知
の
通り
小麦のグラントが減少することに伴いまして、
学校
給食費に若干の値上がりが
予定
されておるわけでございますが、そういう事情もございまして、
学校
給食費につきましてのみは、準要保護
児童生徒
の率を、上の三つとは異なりまして、四%ということにいたしております。 次は、
学校教育
の充実等でございまして、その一は、ほぼ前年の
事業
費を引き続いておるわけでございますが、
高等学校
の
教育課程
の改訂が
予定
されておりますので、その
関係
の
講習会
に要する
経費
が
新規
計上
されております。それから九ページでございますが、前年からの
事業
を継続いたしますほか、
校長
等の研修に
重点
を置きたいという考えで、九百万円余を
新規
に
計上
いたしております。また教科別の研究団体の研究活動等を
助成
するという観点から、一千万円の
教育
研究
助成
に関する
経費
が
計上
されております。 その次は、
定時制
通信教育
の
振興
でございまして、ただいま
提案
になりました
定時制通信教育手当
の
支給
に要する
経費
の三分の一を
補助
するということで、一億七千万円が
新規
に
計上
されております。
定時制
高等学校
の
設備
補助
につきましては、これはいろいろ
内容
があるわけでございますが、その中の理科
関係
につきましてだけは、
理科教育振興法
に基づく
補助金
と平仄を合わせまして、二〇%増ということにいたしております。
通信教育
運営費の
補助
は、前年
同額
でございます。 その次の放送テレビの利用でございますが、これは
新規
でございまして、
高等学校
の
通信教育
にテレビを利用するために必要な
経費
でございます。 次は
学校
給食でございまして、
施設
、
設備
の
補助
につきましては、ほぼ従前の
考え方
を踏襲いたしております。食糧管理特例会計への繰り入れが十七億一千二百万円ございますが、これは従来
通り
百グラムについて一円の繰り入れでございまして、
金額
的に一億四千万円
程度
伸びておりますが、これは数量の増でございます。 次は、
国立
学校
の運営費でございますが、まず第一に教官研究費が二〇%
増額
になりまして、前
年度
に比べまして、十一億四千九百万円余の
増額
になっております。
設備
充実等につきましても、それぞれ
相当額
を
増額
しておるわけでございます。 その次は、学部学科の
新設
改組でございますが、これは主として
科学技術教育振興
、科学技術者養成という、そういう観点からの施策でございまして、学部といたしましては、京都大学の薬学部、岡山大学の工学部等の
新設
を見込んでおります。短期大学といたしましては、北見短期大学
新設
を見込んでおります。学科といたしましては北海道大学の
電気
工学科等の
新設
、それから短期大学の学科といたしましては、久留米短期大学の
電気
科等を
予定
いたしております。改組
拡充
といたしましては、十二学科を
予定
いたして、おります。以上を含めまして理工系の学生の増募は三十学科、短期大学五学科にわたりまして千百二十六名ということになっております。それで科学技術者養成八千人の増員
計画
が一応達成されるわけであります。 次に十ページでございますが、留学生
課程
でございます。これは東京外国語大学と、理科大学にそれぞれ設けられる
予定
でございます。修業年限は三年でございまして、一年か日本語の
課程
、あとの二年が
一般
教養の
課程
というふうに
予定
されております。 次は付属
養護学校
の
新設
でございますが、これは東京学芸大学と東京
教育
大学、これはいずれも
精神薄弱児
のための
養護学校
でございますが、それが付設されることになっております。第十三は
国立
文教
施設整備
でありまして、科学技術
振興
施設
と書いてございますのは、ただいま
国立
学校
について申し上げました学部、学科等の増設に伴う
施設
の
整備
が
中心
でございます。 それから次に米国余剰農産物処理法に基づく
施設
というのがございますが、これは先般日米の交換公文によって決定されました、アメリカの積み立て円を使用いたしまして、広島大学と長崎大学の医学部の研究室、病院を
整備
するために必要な
経費
でございます。 次は特定財源による
施設
でございますが、これは東京学芸大学の小金井地区統合等に伴う
経費
でございまして、それぞれ現在地の売却等による特別な財源が
予定
されておるものでございます。 その他といたしましては、同和
教育
でございますが、
学校教育
関係
につきましては約五十万円の増になっております。社会局
関係
におきましては、これは
事項
としては
新規
に入っておるわけでございまして、同和市町村の
社会教育
活動の
助成
等がこの
内容
になっております。
学校
安全会に対する
補助
がございますが、これは支部の
設置費
の
補助
を
新規
として
計上
いたしております。 三のその他はまあ
人員
の
増等
でございまして、特に申し上げる必要もないかと思います。 以上文部省所管の
予算
について御
説明
申し上げたわけでございますか、最後にございますように、前
年度
予算
に比べまして百八十九億の増になっております。これを前
年度
の当初
予算
に比較いたしますと、二百三十八億の増でございます。
一般
会計総
予算
において占めます比率は一二・四%でございまして、昨年の一二%に対しまして〇・四%
程度
の増になっておる次第でございます。簡単でありますが概略御
説明
申し上げました。 ————◇—————
大平正芳
7
○
大平委員長
次に
学校教育
等に関し調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。西村力弥君。
西村力弥
8
○西村(力)
委員
第一番に、この前
理事
会でも話し合ったのですが、文部省が当初要求した要求の概要について、これはまあ大蔵省と折衝した結果固まったものが今ここに君かれてあるわけですが、その前の、文部省として希望した要求額をわれわれに見せていただきたい、こういう話であったのです。それを一つぜひやっていただきたいと思いますが、いかがなものでありますか。
安嶋彌
9
○安
嶋政府委員
お話でございますが、文部省から大蔵省に対する
予算
の要求は、これは
政府
部内の問題でございまして、私どもといたしましては、
政府
として決定いたしました
予算
につきまして御
審議
を願いたいというふうに考えておる次第でございます。
西村力弥
10
○西村(力)
委員
それはもちろんそのものについて
審議
をするのでありますが、その参考のためにも、やはり文部省が当初理想的なものとしてどういう
予算
を組んでこれを推進しようとしたかということは、これは参考としてぜひ必要だ、こういうことなんでありますし、また他の役所においては、公式でないにしても、これは示している例かたくさんあるのです。そういうところから、私たちその希望を申し述べるわけなんでございまするが、これはどうしてもそういうことはできないものでございますか。公式にやはり出すということはできないでしょうが、何とかその点は考慮願いたいものだと思います。私たちの方の文教
委員
全体の意見もそういうことになっておりますので、その点一つ頼みたいと思う。それで、この席ではっきり答弁できないとすれば、また別にやりますが、そんなようなものじゃろうと思いますので、その辺一つ……。 次に、これは自民党さんの方ですし詰め
学級
の解消というのが選挙の公約になっておるわけですが、この表を見ましても、これは五カ年
計画
の第二年次分と、こうなっております。それでこの前の国会はいつでしたか、私は要求したのですが、五年過ぎた後の目標というものを明示してもらいたい、それに至る一年、二年、三年、四年、五年、この五カ年の年次
計画
、それは
児童生徒
の増減の度合いはどうだとか、それから増築の年次
計画
はこうだ、それから
学級
定員数のなにがこういう工合に推移して、最終はこうなんだ、こういう
計画
を出してもらいたい、こう申したのでしたが、これは一向出ないでしまった。そういう要求を出しておったのを出さないのはけしからぬといって最後に言ったところが、だれかあのときの
委員会
で、鈴木正吾氏だったか、大へん怒ったようなことがありましたが、今回一つそれをはっきりしてもらいたい。第二年次分とこう出ておりますけれども、先行きが五年間でどうなっていくかということかはっきりしないと僕らはいかぬと思うのです。それを
資料
としてぜひ提示していただきたいと思う。 次に、きょうは
管理職手当
についてお尋ねをしたい、こう思うのですが、
教頭
の
管理職手当
はいろいろジグザグの経過を経て日の目を見たという工合に見ておりますが、あの問題が出たときに、新聞記事は日教組対策費というような見出しをつけておる。そういう評価をした表現をしておる。これはやはり端的にいってみなそう受け取っているだろうと思うのです。大臣は、新聞記者のセンスで日教組対策費
教頭
管理職手当
、こう出ていることに対して、どういう考えを持たれるか、それを一つ聞かせてもらいたい、こう思うのです。
松田竹千代
11
○松田国務大臣 新聞にどういうふうにこの
管理職手当
の問題でうたってあったのか、私はよく知りませんけれども、文部省といたしましては、新聞にうたってあるとおっしゃるような目的ではございません。管理職、すなわち
学校
の管理並びに
教職員
の監督、そういった立場にある
校長
並びにこれを助けていく
教頭
に対しても、ひとしく
管理職手当
を出したい。これは当然他省のこれらの管理監督の立場にある者にも
手当
が出ていると同様に、出すべきものであるという考えから出しているものでございます。
西村力弥
12
○西村(力)
委員
一つ聞きたいのは、
校長
に去年から
管理職手当
を
支給
したわけですが、ある
校長
に至っては、それを受け取らない、そういうことは
教育
の真実を破壊するものだ、こういうような立場をとった
校長
もあると聞いておりますが、
校長
さんにそれを一年間
支給
して
実施
してみて、一体
教育
上の効果というものは、どういう工合な現われ方をしておるものか、これに対して、一年間経過したその状況を見まして、どういう工合に
観測
せられておるか、この点はどうお考えですか。
松田竹千代
13
○松田国務大臣
管理職手当
を出すことによって、
校長
が一年間やはり落ちついて
職務
に精励してきておるというふうに私どもは看取いたしておるわけであります。
西村力弥
14
○西村(力)
委員
それは
管理職手当
が出る出ないにかかわらず、一生懸命に
校長
さんとして、
教育
者として
努力
をしなければならぬことは当然なことです。ですが、それが
管理職手当
をつけたという、それを
校長
先生はもらったという、それは個人の経済事情もあるし、心理的な状況あるいは
学校
内の空気なんかもいろいろな変化を示してきておるわけなんです。その点について、金を出したから、こういう効果があった——今のような観念的な話じゃなく、もっと具体的に、この国費を投入し、地方費を投入してやった結果がこういう工合に
教育
にプラスしているというように、もっと的確に分析せられておるべきものであると思うのですが、それはどうです。
内藤譽三郎
15
○
内藤
(譽)
政府委員
従来の
給与
体系が、必ずしも
職務
の性質、責任の度合いによって
支給
されてなかったということ。大体学歴なり
勤務
年限を
中心
に
生活
給的な
給与
体系であった。そこで
校長
や
教頭
のような者、いわゆる管理職に対する
給与
の不十分であったことは私ども認めておるわけです。こういう点で、昨年
校長
に対する
管理職手当
を
支給
いたしまして、管理者としての意識を明確にし、かつ
学校
運営の
適正化
をはかる、こういう
趣旨
から
校長
さんが大へん御
努力
いただいておりますことは、私ども率直に認めておるのでございます。
西村力弥
16
○西村(力)
委員
文部省のお立場はそうであろうと思うのですが、そういうことだけでは、
管理職手当
支給
後の
学校教育
の場におけるいろいろな変化というものに対しては、具体的な
観測
というのは何らなされていないという工合に私は思うのです。この
管理職手当
を
支給
することによって、管理職的色彩というものは濃厚になったと思うのですが、具体例としては、この
支給
によって、
学校
長が
教職員
の団体である日教組から脱退した数はどのくらいか、そういうことはお調べでしょう。これは直接効果をねらったところでしょうからね。どのくらいなんです。
内藤譽三郎
17
○
内藤
(譽)
政府委員
校長
さんが従来から脱退しておった県が相当ございまして、東京、それから東海ブロックの静岡、名古屋、岐阜、三重、ここは従来から脱退しておりました。それから勤評の事件以来組合からの相当激しいつるし上げによって、
校長
みずから脱退しておった者も相当ございます。新しく
管理職手当
を
支給
してから、具体的にどれだけというようなことは明確になっておりませんが、現在のところ、
校長
さんで組合を脱退している人が約半数と思っております。
西村力弥
18
○西村(力)
委員
それから
管理職手当
を
校長
さんに
支給
したことによって
校長
と
教員
間の空気というものは変化を示しておるかどうか、この点についてはどうですか。
内藤譽三郎
19
○
内藤
(譽)
政府委員
別に
管理職手当
を
支給
したから
校長
さんと
教員
の間が工合か悪いというふうには私ども聞いておりません。
西村力弥
20
○西村(力)
委員
私たちこの前の
審議
の際にもいろいろ申し上げたのですが、
管理職手当
は決して純粋に
教育
効果の伸張をねらって仕組まれたものではない、そしてまたその
支給
については相当無理がある、こういう立場でみんな受け取っておりますので、この
支給
によって
校長
と職員間の空気というものは決して変化がないわけじゃなくて、大きな変化があります。そのことが
学校
内の空気を、同じ子供を
教育
するという一体観よりも、上司、下司という官僚主義的な立場によってただ機会的に結ばれている
学校
職員、そういうものがだんだんと生まれつつあるのです。
教育
の場というものはそうじゃなくて、やはり
校長
も先生方も一体となって、ただひたすらに子供たちの面に向かって
努力
を注いでいくというのがほんとうのあり方だと思うのです。それが
管理職手当
を
支給
したことによって、
校長
と職員との間の、何というか
一般
行政職
関係
の上司、下司というような
関係
、そういう結ばれ方になってきておる。それはすばらしい
教育
の場の大きな変化であると私たちは見ておるのです。こういうことが真の
教育
というものによい成果をもたらすものであるかどうかということになると、大きな疑問があると思います。これはやはりお互いに日本の将来のことを考える立場に立って見るときに、相当慎重な考慮をする必要があるだろうと思う。この
学校
職場が行政官庁の事務室的なものになったとするならば、そこから生まれる
教育
というものは、そんなものは無味乾燥にすぎないものになる。そういう結果を、文部省としてその状況をもう少し深く検討する必要があると思う。今何ら変化がないというようなことを仰せられますが、これは自分たちの立場を申しているだけのことであって、ことさらにそういう実態に触れようとしない、こういう立場だけが現われているのじゃないかと思うのです。 続いてお聞きしますが、
教頭
に
管理職手当
を
支給
する
基礎
の条項はどこでございますか。
内藤譽三郎
21
○
内藤
(譽)
政府委員
これは
学校教育
法施行規則の二十二条の二に、こういうことが書いてあるわけです。「
小学校
においては、
教頭
を置くものとする。但し、特別の事情のあるときは、これを置かないことができる。」「
教頭
は、
教諭
を以って、これにあてる。」「
教頭
は、
校長
を助け、校務を整理する。」こういう意味から
校長
に準じた扱いをしたわけであります。
西村力弥
22
○西村(力)
委員
その施行規則の母法は
学校教育
法だと思うのですが、その
学校教育
法の中に、
学校
におる職員の種類、種類と言ってはおかしいかもしれぬけれども、そういうものが
規定
されているのですが、その中にそういう
教頭
という職種が明示されておりますか。
内藤譽三郎
23
○
内藤
(譽)
政府委員
学校教育
法は
校長
と
教諭
、こういう建前になっております。
西村力弥
24
○西村(力)
委員
そうすると、施行規則は、その
学校教育
法に基づいて、その
法律
の
範囲
内において文部省が制定するのであるから、それは間違いないことだと思うのです。そうしますと、
学校
長のほかに
教諭
、そのほか事務職員とか
養護教諭
、こうなっておるのですが、
教頭
というのは、本質的には正資格というか、そういうものはやはり
教諭
だということは間違いないですね。
内藤譽三郎
25
○
内藤
(譽)
政府委員
さようでございます。
西村力弥
26
○西村(力)
委員
そうすると、
教頭
の本来の任務というものは何ですか。
内藤譽三郎
27
○
内藤
(譽)
政府委員
教頭
の本来の任務は、先ほど
学校教育
法施行規則二十二条の二で申しましたように、
校長
を補佐して校務を整理する、これが
教頭
本来の任務であります。
西村力弥
28
○西村(力)
委員
それは
教諭
というものの任務にそういうことは入っていないわけですね。
児童
の
教育
をつかさどるですか、
小学校
の場合はそういう場合なんです。
学校
には
校長
と
教諭
しかいない。しかも、
教諭
本来の任務は、子供の
教育
をつかさどる、こうなっておる。そのワク内において
教頭
というのを便宜的に施行規則できめているのですから、その便宜的にきめた仕事というものは、そういう工合に施行規則によるでしょうけれども、本来なすべき仕事というものは
教諭
の仕事である。こういう工合にいかなければどうもそこのところがおかしくなるではないかと思うのです。
学校教育
法の中に
校長
、
教頭
、
教諭
、こういうような種類があるならばそれでもよいけれども、施行規則の
教頭
とか保健主事とかそういうような仕事の区分あるいは格づけをしているところにある。だから、
教頭
といえども本来は
教諭
が任務である、こういうように言わざるを得ないわけであるが、どうですか。
内藤譽三郎
29
○
内藤
(譽)
政府委員
従来官名と職名とあるわけです。官名の場合は私ども
文部事務官
である。ところが、
局長
に補せられる、あるいは
課長
に任用される、こういうふうになるのであります。
教員
の場合でも、
教諭
の身分のままで
教頭
に補せられる場合もあるし、あるいは図書主任、衛生主任、校務主任その他
生活
主任とかいろいろ職制があるわけでありますが、その職制は、
学校教育
法第三条に「編制その他に関する
基準
に従い」これを
設置
されるもの、こういう
規定
がございまして、この編制その他の
基準
は監督庁が定める、こうなっておりますので、職制のきめ方は施行規則できめたわけでございます。
西村力弥
30
○西村(力)
委員
そういう工合に仰せられますが、第三条の
規定
を、そういう工合に
学校
内の事務分掌までこの編制の中に入れていくという場合には、われわれとしてはとうていこれは受け取るわけには参らない。この解釈は無理ではないか。そんなことを言うたら、今まで編制ということを用いた
法律
もたくさんありますが、この編制の中にそこまでみな入れるということになったら大へんなことになってしまうと思うのです。ここの「編制」は本来はどういうことなんですか。「
設備
、編制」こういう工合に大きく分けている中の「編制」というのはどういうことなんですか。前言った工合にそこまで入るのですか。そういうのは基本的な
学校教育
法の解釈としてはあまりにも便宜的過ぎるじゃないかという工合に受け取らざるを得ない、これはどうなるのですか。
内藤譽三郎
31
○
内藤
(譽)
政府委員
学校
の
基準
の中にどういうものを設けるかということは当然入ってくるのではなかろうか。たとえば司書
教諭
が必要なら司書
教諭
、あるいは子供たちの
生活
指導
、あるいは職業
指導
をしておる職業
指導
の
教諭
、こういうように
学校
におけるいろいろな職制が考えられるわけです。その職制の
基準
をきめることがこの
学校教育
法三条の目的であろう、もちろんこれのみではございません。
学校
の
学級
の規模をどうするとか、あるいは
教員
の定数をどうするかということも入りますし、あるいは
建物
や
設備
の
基準
も入る、こういうことでございまして、人的配置の
基準
もその中には当然含まれる、こういうふうに解釈しておるわけであります。
西村力弥
32
○西村(力)
委員
話は先に戻りますか、
学校教育
法第二十八条に
校長
と
教諭
、
養護教諭
、事務職員、
助教諭
、こういう工合になっておる。これが官名だ、こういう工合にあなたの方では仰せられますが、この人々の官名というと
教諭
とか
助教諭
、そういう工合にいうのが官名であって、そのほかの
教頭
とか保健主任とかいうものは職階的な
名称
である、こういう工合に言われますが、この二十八条に
規定
されておるのは官名というものであるかどうか、昔ですと官名ですと、何といいますか、地方の待遇官吏とかいっておっただろうと思います。ここで今示されておることはやはり一つのはっきりした職制、
職務
の
名称
として
校長
、
教諭
、こういう工合に
規定
していると私たちは考えておるのです。そしてあとの
教頭
とか云々というものは職名というよりも一つの業務分掌だという工合に私たちは考えておるが、その間の明確なる解明はどういうものですか。
内藤譽三郎
33
○
内藤
(譽)
政府委員
今お話のように、全部の職を上げて、その職ごとに
職務
の
範囲
をきめることも一つの
方法
だと思います。しかしながらその場合には無限に職を置かなければならぬ、こういうようなことになりまして、今申しましたように、
学校
の場合でも
教頭
もおりますし、あるいは補導主任をするような方もおられると思うし、また
生活
指導
その他職業
指導
の先生もおられるだろうし、あるいは衛生主任あるいは司書主任、いろいろ種類かたくさんございますので、これを全部網羅して
学校教育
法に明記しろ、こういう御意見も私一つの御意見だと思います。しかしこの場合に、今度は
職務
の間における
給与
の問題、いろんな問題においてまた大へん複雑な問題も起きてくるわけであります。そこで、こういうものは全部
教諭
というもので充てる、こういう今の
法律
体系をとっておるので、私どもはなるべく簡素化してそして
実情
に合う方が
法律
体系としてはいいんではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
西村力弥
34
○西村(力)
委員
そういう点については私たちの十分な、
法律
的な確たる見解をここで示すということも私たちの方ではなかなかできないから、あなたの答弁というものがやはり押しつけられるような工合になりますが、しからば
教頭
というものは必置になっているか、
全国
的に各
学校
とも
教頭
という名前で置いているのかどうか、これはどうなっていますか。
内藤譽三郎
35
○
内藤
(譽)
政府委員
現在のところいろいろまちまちでございまして、
教頭
といっておるところもあるし、校務主任といっておるところもありますし、また副
校長
といっているところもございます。職制としては
教頭
に統一することが望ましいと思っております。
西村力弥
36
○西村(力)
委員
法で規制づけられた必置制を施行規則で要請しているというようなことをあなたの方で仰せられますけれども、実態を見ますと、決してそういう種類のものじゃなくて、
学校
運営の都合上それをよりよくするために、あるいは地方の事情によって、やはり校務のいろんな分掌という形であるから、その
名称
やなんかも種々雑多である。また置いても置かなくても——そういうところもあるかもしれない、こういう工合になるのでありまして、法に規制づけられた職種であるならば、そういう事態はあり行べきことではないはずなんです。今の条項を示した施行規則はいつから発効しておるのです。
内藤譽三郎
37
○
内藤
(譽)
政府委員
ちょっとここに明確になっておりませんが、三十三年だろうと私は記憶しております。
西村力弥
38
○西村(力)
委員
当初そういうことはなかったのがいつからか加えられたということを私たちも聞いておるのですが、あまり古いことではないにしても、去年あたりの問題ではないわけだね。よほどずっと前からある。だから、その間においても文部省は何らそこに不自然を感じなかったと私たちは思っておるのです。副
校長
と呼ぼうが、校務主任と呼ぼうが、置かないようにしようが、そこに不自然を感じなかった。そういう工合になっておる状況を見ますと、決してあなたのようにこの
管理職手当
をつけなければならぬという工合にはっきり立場の確立されたものではないんだ。今、この
管理職手当
を
支給
せんがために、いかにも法的に
基礎
の固まっておる、確立しておる職種であるかごとく主張せられるけれども、そういうものではなくて、文部省としてもそういうことを不自然に思わなかったというところから見て、これははっきりいって校務分掌というような性格のものであると私たちは受け取らざるを得ないわけです。その点はどうなんです。
内藤譽三郎
39
○
内藤
(譽)
政府委員
教頭
につきましては、戦前から
教頭
という
制度
がございました。終戦後におきましても、新学制発足以来、
教頭
という
名称
のもの、あるいは校務主任あるいは副
校長
、こういう実態かあったわけでございますが、各府県非常にまちまちで困るから統一してほしいという
教育
長
会議
からの御要望もございましたので、私どもは、この点を考慮いたしながら
名称
を
教頭
で統一し、またその
職務
内容
を明確にいたしたわけであります。ですから、何か突然
教頭
というものを置いたというのではなくて、実態が置かれておった、それを法制化したにすぎない、かように考えておるのでございます。
西村力弥
40
○西村(力)
委員
実態は置かれておったにしても、校務主任という
名称
も存在する、副
校長
というと
校長
に準ずる者というのが明確でございますが、そういう工合にばらばらにやった。
名称
をあなたの方で統一しても、それに基づいて統一されない。また統一を強行しよう、強力にこれを
実施
させようとする意欲も今まで文部省にはなかった。こういうことを示しておるのですから、やはり
教頭
というものは
管理職手当
を
支給
するというような立場をはっきり持っておる者ではない。そういう工合に実態から私たちは言わざるを得ないわけなんです。しからば、今度
管理職手当
七%というのをつけるわけですが、これについては、いわゆる副
校長
、校務主任、
教頭
というような
名称
の者全部にこれを
支給
する、こういうことになりますか。
内藤譽三郎
41
○
内藤
(譽)
政府委員
今お話しの
通り
、全部に
支給
する考えでございます。ただ、この施行規則にもございますように、特別の事情あるときは置かないことができると書いてありますが、大体小規模な
学校
には置かない場合があるわけでありまして、そこで、どの
程度
の規模から置くかという一つの問題があるわけであります。私どもは、
校長
だけで管理監督が十分できる、あるいは
教頭
まで置かなければ不十分だ、こういうことが問題になると思います。そこで、
予算
の上では、
小学校
は五
学級
以下、
中学校
は二
学級
以下の小規模のものは
校長
だけで管理監督が十分できると考えまして、かりに
教頭
を置いても、これは国庫
負担
の
対象
にはしない、こういう考えでございます。
西村力弥
42
○西村(力)
委員
そういうのはおかしいじゃないかと思うのです。
教頭
という職種かはっきりあって、それが
管理職手当
を
支給
すべき仕事を担当しておるという工合になれば、その責任の度合いに応じてこれを
支給
するのですから、これは小規模であろうと大規模であろうと何らそこに変わりはない。しかも、実態からいうと、大
学校
などと同じように、
小学校
の
校長
さんは
会議
とか出張とかさまざまあって、
教頭
の仕事というものは、小であれば小なりに、やはりその混雑というか、煩瑣というか、そういうものがあるわけです。今おっしゃったように、小さいところには置かないのだ、これは全然置かなければそれでもいいのだけれども、置いている限りにおいてはやはり同じじゃないか。だから、それを逆に私たちなりに勘ぐれば、小さい
学校
の
教頭
なんかはよくよく若いやつがやっているのだ、そういう者に
管理職手当
をつければよその相当の連中とバランスがとれなくなるから、それはやめておけ、そういう便宜主義以外にないのだ、そういう工合にとれるのですが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
内藤譽三郎
43
○
内藤
(譽)
政府委員
管理監督をするというのは、やはりどこでも
一定
の規模がなければならぬと思います。そこで、中央官庁では、課以上でなければ管理職に扱っていないわけです。だから、課の構成員としては最低十名以上になっている。その十名について一人の管理職がおるわけです。そこで、
学校
の場合にどの
程度
の規模が妥当か。二人置く場合には、
小学校
では大体六
学級
以上、
中学校
では三
学級
以上というのが妥当ではなかろうか。こういう点で、たとえば二人おって、一人
校長
さんが管理職で、もう一人が
教頭
という場合一体何を管理するのか、管理監督すべき職員がいないわけですから、そこはあまり管理職だけになったらおかしなことになると思う。ですから今の
程度
が妥当ではなかろうかと考えておるのでございます。
西村力弥
44
○西村(力)
委員
校長
ともう一人の
教員
、そういう二人の独立
学校
がありますか。
内藤譽三郎
45
○
内藤
(譽)
政府委員
小規模
学校
にはそういうのがたくさんございます。
西村力弥
46
○西村(力)
委員
二人の独立
学校
というものは、私は今まで見たことがないのです。独立
学校
とすれば、
校長
がおって、そのほか助
教員
なども含めて三人くらい、それが最低のように思っておった。
全国
的に見れば、
校長
ともう一人の
教員
という独立
学校
があるというのですが、それは事実あるのですかね。
内藤譽三郎
47
○
内藤
(譽)
政府委員
統計をごらんいただけばおわかりになると思いますが、単級
学校
というものも相当あります。単級
学校
というものは一クラスの
学校
、ワン・ルーム・スクールですから、この場合に二人おればいい方で、一人のところもあります。あるいは複式の場合に三
学年
複式あるいは四
学年
複式というような実態がございます。また二
学級
の
学校
というのも
全国
で相当ございます。
西村力弥
48
○西村(力)
委員
その話はまたあとでいろいろやることにいたしまして、それでは自治庁
関係
にちょっとお尋ねいたします。地方公務員
関係
において
管理職手当
を
支給
しているという例は、いただいたこの表によって大体わかりますが、この
管理職手当
というのは、
一般
の地方公務員の場合は
管理職手当
という
名称
で
支給
になっておるかどうか、どういう
名称
になっておるのですか。
今枝信雄
49
○今枝
説明
員 地方公務員の
管理職手当
は、地方自治法上
管理職手当
という
名称
をつけております。国家公務員の場合は、
給与
制度
は俸給の特別調整額、こういうことが正式の
名称
になっております。
西村力弥
50
○西村(力)
委員
これをずっと見ますと、知事部局においては
課長
にまで
支給
しているところはごくまれであって、部長及びその次長までにとどまっておるのがほとんどでありますが、この
課長
というものはそういう管理職的な色彩が認められないのかどうか。 それから
課長
補佐というものがあるわけですが、その方の
職務
の
内容
上から、今論議されている
教頭
的な
職務
内容
と一致するところはないのか。その点はどういう工合に考えられておりますか、一つお聞かせ願いたいと思います。
今枝信雄
51
○今枝
説明
員 ただいま御指摘になりました
都道府県
の本庁の
課長
あるいは
課長
補佐もいわゆる管理職であることは間違いございません。ただどういう
範囲
の管理職に
管理職手当
を出すかということになるといろいろ
考え方
がございます。
都道府県
の場合にも本庁の
課長
には
管理職手当
を出しておらないが、出先の機関の長には
管理職手当
を出しておるところが相当ございます。あるいは警察本部を見てみますと、本庁の警察本部の
課長
には
管理職手当
を出さないか、警察署長にはほとんど
管理職手当
を出す、そういうふうな仕組みになっておるのでございます。
教員
の場合には、地方公務員たる
教員
は、国家公務員たる
教育
公務員の例によることを
教育
公務員特例法は要求をいたしておりますが、
一般
職の場合もその他の職員の場合も、国家公務員の
一般
行政職の
給与
に大体準ずる建前をとっております。現在、等級制に基づく給料
制度
のもとにおきましては、大体
都道府県
の部長が中央官庁の
課長
級の同じ給料表を用いておるのでございます。そういうところから主として知事部局におきましては本庁の部長級に
管理職手当
を出すというのが多くなっておるような
実情
でございます。
西村力弥
52
○西村(力)
委員
地方公務員の場合、
管理職手当
を出せば超勤
手当
はどうなりますか。
今枝信雄
53
○今枝
説明
員
管理職手当
を
支給
しておる者には超過
勤務
手当
を
支給
いたしておりません。
西村力弥
54
○西村(力)
委員
そうすると、超勤の把握が、そういう役職を持っている人々はむずかしい。それに加えて管理的な仕事を持っておるから、これに管理鞍
手当
を出すのだ、こうなるわけだろうと思うのです。そうすると
管理職手当
をもらわない者は全部超勤
手当
をもらうのだ、こういうことになってくるわけなんでありますが、
内藤
局長
にお尋ねしますが、
教職員
の場合は超勤
手当
を出さないわけですが、それに見合う分として俸給上の
措置
をやっているはずだと思うのですが、それはどういう工合になっていますか。
内藤譽三郎
55
○
内藤
(譽)
政府委員
一般
の公務員に比べて一号の調整額を出しております。
西村力弥
56
○西村(力)
委員
あのとき、その一号の調整をやった場合には超勤
手当
を
支給
することは事実上不可能である、こういうような立場からやったわけなのでありまして、他の地方公務員においてはその超勤
手当
を
支給
しない者に対して、そのかわりとして
管理職手当
を出しておる、こういう点からいいますると、そこに矛盾はないかどうか。
内藤譽三郎
57
○
内藤
(譽)
政府委員
経過的には、先ほど来御指摘になりましたように、超勤の財源を振りかえて
管理職手当
を創設したといういきさつはございますが、今日の段階におきましては、
給与
法に明示されておりますように、管理監督の地位にある者に
管理職手当
を
支給
する、こういうことになっておりまして、現に
国立
大学の学長には二五%の調整額を出すことになっておるわけであります。ですから
一般
の
教員
には出さなくても、学長、学部長あるいは病院長その他研究所長等にも、管理監督の地位にある者には
管理職手当
を
支給
しておる。こういうことでありまして、これは
小中学校
、
高等学校
の場合における
校長
と同じ立場でございます。従って
一般
教員
に調整額を出して超勤は
支給
しない、こういたしましたのは、これは
教員
の
勤務
実態がなかなか時間で計算しにくいという
実情
もございますので、こういう
措置
を講じたわけでございます。
西村力弥
58
○西村(力)
委員
それでは自治庁の
公務員課長
に聞きますが、今
教頭
にも
管理職手当
というものが七%というごく微々たるものでありますが、それが
支給
されることによって、地方自治団体の中のそういう
教職員
と
一般
公務員との間に何らか問題が発生するという工合に考えられませんか。
今枝信雄
59
○今枝
説明
員 お尋ねの点は、
教育
公務員とその他の
一般
行政事務に従事する職員との
給与
上の
均衡
の問題であろうかと思います。これはそもそもその
基礎
になります
給与
制度
においても本来違えた建前がとられております。そういうことから違っております。それから
管理職手当
につきましても、先ほど申し上げましたように、いろいろと
支給
をすべき
対象
を選びます観点も違っておるわけでございますから、ただ
教頭
に
管理職手当
を
支給
するということが直ちに他の
一般
行政事務に従事する職員の
管理職手当
あるいは超過
勤務
手当
、そういうものに直接の影響を持つものだとは考えておりません。
西村力弥
60
○西村(力)
委員
しかし地方団体においては今はことに
給与
の問題なんかについては知事に対する問題の持ち込みということがおもになって、そのために地方公務員も地方の
教育
職員も一体となって知事に問題を持ち込むという工合になっておりますので、その際においてはやはりこれは、あなたそう仰せられるけれども、常識的に考えまして相当問題をはらむことになるだろうと思うのです。本庁の
課長
、そういう人が
管理職手当
というなようものを受け取ることができないにもかかわらず、
学校
の
教頭
かこれをもらうということがあるならば、その地方自治団体一体としての運営上相当の問題が発生する。私たちはそう見ておるのです。それから大蔵省折衝の場合、最初はけられた、こういうことになっておるのだが、そのときはどういう
理由
でけられたのですか。
内藤譽三郎
61
○
内藤
(譽)
政府委員
財源の見通しがつかない、こういうことでした。
西村力弥
62
○西村(力)
委員
そうするとこれが復活したのは財源の見通しがついたから、こういうことなのでございますか。
内藤譽三郎
63
○
内藤
(譽)
政府委員
大体そういうことでございまして、各省たくさん要求しておりますから、財源の見通しがつけばつけてくれると思います。
西村力弥
64
○西村(力)
委員
それは大蔵省の方でも、こう言えばそんなことを言うだろうと私も思っておった。しかしそれは事実と全く違っておるだろうと思うのです。これはやはり、より大きく政策的な意味における圧力が奏功してここに報いられたのだということ、これははっきりするわけなのでございます。でありますから、これを強行するように復活にあたって
努力
せられた
文部大臣
は、この
手当
支給
に対してあらゆる法的な疑義というものは、全部事務当局を通じてあなた自身も解明せられた、それから私が今まで取り上げましたような工合に他の公務員との
均衡
上の問題、全体の政治的折衝の場において問題が起こらない、不都合な事態が発生しない、こういうような一つの結論をもってこの復活要求に当たられたのだと思うのですが、その
文部大臣
の一つの信念というか、確たる所信といいますか、そういうことは一体どうなんですか。
松田竹千代
65
○松田国務大臣 お話でありますけれども、
教頭
に対する
管理職手当
をつけるにあたっては、今お話のような考えは私は毛頭持っておりません。
校長
に出し、また
校長
事故あるときに
校長
の
職務
をかわってやる。また校務その他について
校長
を補佐していく、この
教頭
に
管理職手当
をつけるということはこれは当然のことである。諸外国においてもその例がありますし、また
教育
に最もよけい金を使っておるイギリスあたりにおきましては、
教育
に熱心な国におきましてはやはり
校長
、
教頭
などに相当多額の
管理職手当
を出しておる事例から見ましても、当然のこととして、われわれはその要求をいたし、
手当
をつけるようにいたしたのであるということを申し上げます。
西村力弥
66
○西村(力)
委員
それで、つけるならば、私たちは国家公務員地方公務員なんかの例を考えて、国家公務員は甲乙内とはっきりなって一二%が最低だ、地方公務員の実態を見ますと一〇%というのがありますが、七%なんというけちなことを、どうやってそれをやるのですか。それほどあなた方が重要だとこれをやるならば、
教育
の効果が大いに上がるという考えに立つならば、なぜそんなけちなことをやるのですか。お里が知れているといわれても仕方がないですよ。少しばかりのはした金で、これは大事だ、これは大事だという。そういうことをいっている
基礎
には、何かやはり他の
一般
の役人と
学校
の先生と同じじゃその点ではかえってうまくないのじゃないだろうかという気持があるのだろうと思うんですよ。
内藤譽三郎
67
○
内藤
(譽)
政府委員
そういう気持は毛頭ございませんが、ただ数が多いものでございまして、
校長
の場合に七%でも、半額でも実は五億以上もかかるわけであります。
教頭
の場合も半額で約三億以上かかるわけでございます。文部省
予算
全体の
均衡
も考えなければならぬし、財政の都合も考えて、実は私どもはできることでありますれば一二%ほしかったのですけれども、七%でがまんせざるを得なかった。今後できるだけ機会がありますれば、これを
増額
するように
努力
したいと思っております。
西村力弥
68
○西村(力)
委員
先ほど
文部大臣
から
提案
になった
定時制
通信教育
の
手当
の問題にしましても、それは実際
管理職手当
をやっているから、ほんとうは七%だけれども、それを込みにして一〇%ないし一二%におさめようということが書いてありましたけれども、まずその
考え方
がおかしいと思うのです。管理職という立場で七%というものが出ておる。
定時制
通信教育
のその
職務
の
困難性
から出すというならば、その両方併給になる者は少し減額してなんという
考え方
、そこに今の文部省のやり方に僕らはどうしてもすなおに受け取れないところがあるのです。それはやはり別個の性格、別個の
職務
の事情に応じたものを出すとするならば、一方の七%の
管理職手当
を出そうと出すまいと、別の立場を保障するものはそのまま保障されなければならないと思う。それならその一〇ないし一二%、七%いくと最高五%最低三%、これが定通
教育
の
教員
の
手当
増額
、こういうことになってくるわけです。そういう
考え方
は一体どこに基づいているのですか。
内藤譽三郎
69
○
内藤
(譽)
政府委員
お説の
通り
定通
手当
が七%、
校長
、
教頭
の管理職が七%なら、合わせて一四%出すというお考えもごもっともだと思うのです。ただその場合に他の
校長
さんとの
均衡
も考えなければならぬと思いますので、その
均衡
上、
校長
の場合は一二%、
教頭
は一〇%で制限をした、こういう
趣旨
でございます。
西村力弥
70
○西村(力)
委員
そういう
均衡
論を言うならば、はっきり地方の
一般
公務員との
均衡
あるいは国家公務員との
均衡
、そういう部局々々が大体
均衡
するようなことを考えるのが、これは俸給の仕組みとしては当然だ。そういう工合に
均衡
というものは必要だと思うのですよ。それは否定できないと思うのです。そういうことを言うならば、
教頭
に
管理職手当
を
支給
することは一体どういう
均衡
ということになるかということです。それは明らかに
均衡
が破れると私は思う。これは先ほど自治庁の
公務員課長
は、それは何でもないというようなことでありましたけれども、現実に現われていますよ。
教頭
なんという人に
管理職手当
を出して、何だ、本庁の
課長
も出ない、こういうことなんです。これを出すなら
課長
補佐にも出せということになって、地方ではそういうことが表面に現われない内部の一つの抗争となって現われつつある。だからそういう工合に出すならば定通の
審議
のときにも問題になると思うのですが、そっちの方だって、あとで適当なところで区切るというようなことをやらないで考えるべきが当然だと思う。 それから
予算
の問題云々ということでありますが、三億、地方もそれに見合う二分の一、三億ということになりますれば、こういうものを出さないで、もっと大事なところにこの問題の金がいったらすばらしく利用できるのですよ。きのうなんかもちょっと問題になったのですか、保育所の
措置
費の問題、おやつ代が三円にぶった切られた、あと二円の要求が結局削られた。あるいは
生活
保護を受ける人々に対して年末
手当
千五百円出す、だったら四億円で間に合う、私が計算してみると四億四千万円だ。
管理職手当
よりもそっちの方に持っていったらどれほどあたたかい政治になるか、どれほど日本の国が心豊かになるかということなんですよ。 時間もなんですしやめようと思うのですが、最後に
文部大臣
にお聞きします。
学校
の運営のあり方については、
校長
はそういう管理監督というような公的な部面もあるでしょうけれども、
教育
の場においては教師と
校長
たちみんな一体となって
児童
のしあわせを願って、それを作り上げていく、こういうあり方でなければならぬ。
学校
の職場のあり方という問題については、そういう方向を私たちは最も正しいことであると思う。それが
管理職手当
を出す出さないとか、それを受けておって上司、下司のような行政機構的な職場
関係
になるなんということは、決して正しいことではない、こう思っておるのですが、その点に関しては
文部大臣
は一体どういうお考えを持っていらっしゃるか。
松田竹千代
71
○松田国務大臣 お話しのように、
教育
の問題に対しましては
校長
といい
教頭
といい、
教員
一同一体となって
教育
に従事しなければならぬことは当然と思います。さればといって、
校長
なり
教頭
なり管理職の立場にある者と、また
一般
教員
の立場は、やはりそこにおのずから違いが出てくると思うのであります。わずかな
管理職手当
をつけようがつけまいが、それによって
校長
も
教頭
も、
教育
の本来の任務について考えの変わるべきものではないと私は考えております。むろん
校長
と
教頭
、
教員
一体となって
教育
の任に当らなければならぬものと考えております。
西村力弥
72
○西村(力)
委員
この
管理職手当
が
支給
されるにあたって、おれは職員と一体的な立場を持つためにこれを受け取らないということが京都あたりの
学校
長の場合にあったような工合に聞いておりますが、今後そういう事態が発生した場合には、文部省はどういう工合に考えられるのです。
内藤譽三郎
73
○
内藤
(譽)
政府委員
校長
の場合も若干そういう例がございましたけれども、今日の段階ではほとんど解決しております。
教頭
の場合にもそういうことがないものと確信しております。
西村力弥
74
○西村(力)
委員
そういう工合に確信しておると言うが、もし発生した場合には、京都の場合ですと本俸の
支給
も一町ストップしたということ、こういうことが京都に参りましたとき新聞に出ておりましたが、そのような工合に、それを受け取らない者に対する報復手段を講ずる、あるいは何か圧力的なものを加えるというようなことに対しては、文部省はどう考えますか。
内藤譽三郎
75
○
内藤
(譽)
政府委員
事実上そういうことは私はなかったと思うのです。ただ
管理職手当
を組み入れましても、税金の
関係
で、一体どれだけが
管理職手当
なのか、明確にならないわけなんです。だから
管理職手当
だけ受け取らないとおっしゃっても、計算がしにくいわけなんです。そこで、明確に管理職の返上ということが署名でもされますれば、これはまた可能でございますけれども、そういう事実はございません。今後も、私どもはいかなる
方面
からも圧力をかけることはよくないと思う。これは当局側もそうだし、また他の
方面
からも圧力をかけていただきたくないと思います。
西村力弥
76
○西村(力)
委員
事のよしあしはそれぞれ意見の対立するところがある、こう思うのですが、私はその事のよしあしよりも、この前
文部大臣
に私がちょっと極端なことを言って、加藤精三者からヤジられたりいたしましたが、私は教師というものは、やはり自分の人生観、世界観というものをがっちり持って、それをはっきり自分の方向として示していく、こういう教師こそいい教師としての資格があるのだ、こう思っております。それでなければ
教育
は成り立たない。ただ
機械
的に押し売りするというようなこと、移す、そういうようなことだけでは
教育
というのにはならぬと思う。教師というものは自覚をはっきり持ち、人生観、世界観というものをはっきり持って、初めてそこに
教育
というものが成り立つわけなんであります。この点について
文部大臣
はどう考えられるか。そういうものを持たない、無色、透明、無臭のような、そういうような教師というものは、これは
教育
者としての価値はないと私は思うのです。だから今言ったような工合に、これは法的にも不合理だと考える。あるいはこのことによって
学校
の職場の空気がくずれるからおれはもらわぬというような、こういうようなことをはっきり言い、また自分はそれを実踏するというような教師があれば、むしろこれはわれわれは、古い言葉で言えば、はっきり骨のある教師として賞賛さるべきものだ、こういう工合に私は思う。そういうことでこそ初めて
教育
というものは成り立つのだ、
教育
者としての資格があるのだ、私はそう思うのです。この点に関して、一体
文部大臣
はどういう工合にお考えになるか。最も好ましい教師のあり方、姿というのはどういうことか。
松田竹千代
77
○松田国務大臣
校長
も教師もひとしく人間である、教えられる学童も人間である。
教育
というのは、人間が人間を作り上げることでありますから、非常にむずかしいことである。だからお話のように、
教育
の任に当たる者といたしましては、確固たる信念、すなわちりっぱな人間を形成していく上においてのそういう考えを持ってこれに従事しなければならぬということは、お話の
通り
であります。従ってお話のように
教員
たる者は、そうわずかの
手当
やわずかの
給与
のことを眼中に置かないでやるような
教員
ももとよりあってほしいと思う。しかしながら精神的にそうした重要な任務に当たる者としては、やはり物的にもできる限りこれをよくしていきたい。その一助としてやはり
手当
制度
も設けてやらなければいかぬことを御了承願います。
西村力弥
78
○西村(力)
委員
そういうお考えでしたら、
教員
全体の俸給をもう少し上げたらいい。現在三千円のベース・アップの要求がありますし、これは当然の要求だと私たちは思っているのですが、それはそのくらいにいたしまして、それでは
給与局長
にお尋ねします。 文部省で
学校
の
教頭
に
管理職手当
を今度
支給
するということに
予算
を組まれてきたわけでございまするが、そうしますると、国家公務員である
教職員
の場合もそれに見合って、これは人事院規則にも九—一七でしたか、ああいうとこに当てていく、こういう作業を今やっていらっしゃるのですか。
瀧本忠男
79
○
瀧本
政府委員
国家公務員の場合におきましては、これは特別調整額という言葉を用いております。これは
給与
法によりまして、管理監督の任にあります者に
支給
することができる、このようになっておりまして、現在国家公務員におきましては、部局の長でありますとか、そういう方々に現在特別調整額として
支給
されております。
学校
の
教頭
がこれに該当するかどうかということでございますが、これは
学校教育
法あたりで、やはり文部省として御判断になることであろうというように思っておりますし、そのお考えをわれわれ承った上で、やはり
給与
法上管理監督の任に当たる者であると人事院が考えまする場合には、これは特別調整額をつけるという
措置
を人事院規則によってやる、このように考えます。
西村力弥
80
○西村(力)
委員
それは文部省の見解が主になるか、人事院の検討の結果が主であるかということになると、事
給与
に関しては、私たちはやっぱり人事院の検討というものが主でなければならない、こう思うのですよ。公務員の
勤務
条件、そういう問題に関してでありますから、その点
給与局長
どうです。人事院の見解というものが優先する、こういう毅然たる態度をあなた方にとってもらわなければならぬと思うが、どうです。
瀧本忠男
81
○
瀧本
政府委員
ただいま申し上げましたように、
学校
関係
の問題につきましては、これは
一般
的に国家公務員の中において考えまする問題よりいろいろなことがあるわけでございます。たとえば、
産業教育
振興
法というのがございまするし、また隔遠地
関係
にいたしましても、
学校
関係
だけでおやりになっておる。文教政策上やはり必要な事柄があるようにわれわれは存じております。やはりこの
学校
関係
の問題につきましては、文部省のお考えをわれわれは十分尊重しなければならぬと思っておりまするけれども、国家公務員たるこういう方々に対しまして、特別調整額をつけるかどうかという点になりますと、これは
給与
法に基づきまして人事院が判断いたすことであります。
西村力弥
82
○西村(力)
委員
現在の人事院のあり方を見ますると、当初の任務とか性格とかいうことから非常にぼけてきたということは、これはすべて認めるところでありますが、こういう問題については、国家公務員全体の立場を守る人事院として、毅然としてこの問題の検討にあたっていただきたい。それからこういう
給与
上の
予算
を組んでも、実際にこれを執行しない、こういうようなこともあり得ると思う。今まではそういう例がございますか。
瀧本忠男
83
○
瀧本
政府委員
そういう例もございます。たとえば昨年、これは執行しなかったというわけではございませんが、国家公務員の隔遠地
手当
の
予算
をとったのでございます。ところがこれは
僻地
教育
関係
でお考えになっております隔遠地の
手当
に比べまして、その
支給率
は同じでありまするけれども、そういうところに該当いたす
支給
格付
基準
と申しますか、それがよほど違っておった、その間に両者アンバランスがあったので、これをそのまま
実施
することは適当でない、そのように考えましたので、人来院は
実施
をずっとおくらしておったのであります。これは三十五
年度
から、文部省のおやりになっております
僻地
教育
関係
の隔遠地
手当
の額と、大体同
程度
のものがいただけるような目安が現在ついておるのでございまして、そういうことと関連いたしまして、その
増額
実施
ということはずいぶんおくれて、ことしに入りまして
実施
した、こういう例がございます。
西村力弥
84
○西村(力)
委員
人事院として、この問題は事前に話されたということはない、
予算
を組まれたことによって、それをどう
理由
づけるかというようなことに今苦慮されておるのが実態ではなかろうか、こう私は見るのですが、これについて、今
教頭
に
管理職手当
を出すのが妥当であるかどうかという結論は示すわけには参らない、こういう工合に思うのですが、今の点、この問題について先に人事院に相談があったかどうか、今どういう検討をされて、いつごろになればその結論を出されるか、そういう点についてはどのような工合に考えていらっしゃいますか。
瀧本忠男
85
○
瀧本
政府委員
この
教頭
に文部省が
管理職手当
をつけたいということは、ことしに始まったことではないのでございまして、去年も
予算
要求を、すなわち三十四
年度
の
予算
要求もされたように私は記憶いたしておるのであります。人事院は各種の国家公務員の
手当
等につきましては、各省の要求を聞きまして、これを一応人事院の立場において適当かどうかということを判断いたしまして、大蔵省の
予算
当局と、そういう意味において、人事院はこういうものにつけることは適当であると思う、従って
予算
をつけてもらいたい、こういう話を
予算
の前にいたすのでございます。そういう意味においては、各省からいろいろな要求が人事院に出ておるのでありますが、同様のお話か文部省からあった、それ以上の話はなかったように記憶いたします。
西村力弥
86
○西村(力)
委員
これでやめますが、こういう無理な
管理職手当
を
教頭
になんか
支給
することによって起こるいろいろな問題点、たとい
文部大臣
が
教員
である者は金なんかに左右されずに、こういうことを申されても、たといそれは少額であっても、やはり金というものは一番人間の心を動かすものでございますので、こういうことは、国家の将来を考えたときに、軽々にやるべきことでない。こういうことによって職場に発生するいろいろな事態——決して一体的なものでなくて、むしろ反発、反日、あるいは心の交流というものがその線において断ち切られる、こういうような事態が必ずこれから発生する。
教育
の形は整うけれども、その ほんとうの熱情のこもったしんがないということになっておる、こういう工合に私は非常に憂えておるのであります。金をもらうことに反対するわけじゃない。そういうことなら、全体の人にやるべきだ。そんなことで政策的に
教育
の場にくさびを打ち込んでいくようになることは、私たちとしてはよい結果をもたらすものではない、こうはっきり考えておるのであります。法理的に言いましても、
教頭
は
校長
を助け、校務を整理する。しかし、助け、なんて言ったら、すべての
教員
が助けている。その仕事の本来は
教諭
という仕事であって、しかもあの施行規則によれば、校務を整理する。整理するということが管理職であるなんというのは大へんなことだ。そういう点から、法解釈においてもまことに無理があると私たちは思っております。だから、結局万人が認める
通り
、これは日教組対策だ。日教組対策で
教育
政策をそういう面にやっていくということは、これは日本の
政府
としては、やはり正しいことではないと私は思うのです。 いろいろお尋ねしましたが、そういう点からいって、私たち望むらくは、最後の人事院の特別調整額の指定によりこれが保留されることによってこの問題は押えられていくべきだ、今までもそういう工合に例もあるのだから、
予算
が組まれてもこれは正しくないということになれば、その調整ができるまでは執行をしないという例もあるのですから、そういうような工合にむしろ期したい、それは本質ではありません。私たちはできるならば
文部大臣
の良識によってこのことが再検討せられることを望むのであります。私はこういう問題から発生する
教育
の行き先というものを考えて非常に憂えておるということであります。それだけを申し上げまして私の質問を終ります。
大平正芳
87
○
大平委員長
長谷川保君。
長谷川保
88
○長谷川(保)
委員
当面緊急の問題を二、三伺いまして、あとまた文教政策の重要問題について伺いたいと思います。 まず第一に伺いたいのは文化財の
関係
でありますが、新聞によりますと、松島に八十メートルの観光タワーを建てようとするものがあって、これは松島観光開発会社なるものでありますが、昨年の秋に国の
文化財保護委
員会の許可なしに着工して、途中二回も
文化財保護委
員会や宮城県から工事停止命令が出されたけれども、工事はどんどん進められて、二十五日までに半分の高さができてしまった、こういうことであります。一体この事情はどうなっておるのか、許可なしにこういうことが、文化財といたしましてのいわゆる名勝記念物といわれておりまする名勝
地域
に作られて、それが昨年の秋二回も
政府
の機関でありますところの
文化財保護委
員会が停止命令を出したにかかわらず、工事はどんどん進められておる。まことに不届きの話だと思うのでありますけれども、どういう事情であるか、その事情を承りたい。
松田竹千代
89
○松田国務大臣 これは正確を期するために岡田事務
局長
に答弁いたさせます。
岡田孝平
90
○岡田
政府委員
昨年の八月に松島観光株式会社の社長である坂井という者から、名勝松島に展望のためのタワーを
設置
いたしたい、従ってその許可を願いたい、こういう申請が参ったわけであります。そのことにつきまして
文化財保護委
員会におきましては慎重に
審議
いたしまして、十月二十二日名勝都会——文化財の専門
審議
会の名勝部会を開きまして、その部会におきまして不許可ということに意見の一致を見たのであります。そうしてそのことは十月二十四日
文化財保護委
員会におきましてこれを確認いたしまして不許可処分をいたしたということでございますが、県の知事が来られまして、県の立場といたしましては観光の見地からいってむしろこれは県としては賛成しておったんではないか、そういう立場にあるのであるから、さらに再検討して申請書を取り下げるようにいたしたい、こういう知事の申し出がございまして、その申請書は十一月五日に返戻いたしたのであります。その後本年になりましてから県の方から報告がございまして、その坂井という社長から無許可のままで、許可を得ないままに工事を始めておる、こういう報告が本年の一月にございまして、それは実にけしからぬことであるということで、直ちに県の
教育
委員会
に対しましてその工事の中止命令を出しております。その後県におきましては、二回あるいは三回にわたりまして、あるいは文書あるいは口頭でもって会社に対しましてその工事の中止命令を出しております。さらに、これは建築
基準
法の上から見ましても、知事の許可が要るわけでございますから、そういう点から見ましても、これは知事の方から建築
基準
法による許可の以前に工事に着手しないように、もししておればそれは直ちに中止するよう、こういう指示をいたしたのでございます。その後に至りまして、県の方ではさらにこの問題につきまして再検討をいたしておったようでございますが、申請者の方からさらに第二回の申請書が県に出されたのであります。第一日の申請は、高さ九十メートルの観光タワーでございましたが、第二回の方は、それを十メートル下げまして、八十メートルという、やや規模を縮小した
施設
を作りたいということで、第二回目の申請書を県に出しました。県の方ではそれにつきましてさらに検討したのでございますが、県の方では差しつかえない、こういう意見書をつけまして
文化財保護委
員会の方にその書類が回って参りました。
文化財保護委
員会におきましては、昨日さらに文化財専門
審議
会の名勝部会を開きまして、その第二回の申請につきまして審査いたしました結果、昨日、その申請も許可できない、そのように名勝部会におきましては決定いたした次第でございます。大体一応今までの概略を申し上げました。
長谷川保
91
○長谷川(保)
委員
こういうように無許可でやったこと自体がすでに
文化財保護
法違反である、あわせてこういうように不許可ということになって命令が出されておる、それにもかかわらずこれを続けてやっていく、何かその裏にまずい
関係
があるように私どもにはうかがわれるのであります。坂井なる者と地方の機関との間に何かまずい
関係
があり、そしてこの有名な名勝がそこなわれていくということがなされているのではないかというように考えるのです。 私よく汽車へ乗って地方に参りまして、非常に残念に思いますことは、やはり広告であります。あの広告があるためにどんなに美観がそこなわれておるか。かつてアメリカに参りましたときに、ワシントンから郊外に、ワシントンの住んでおりました家のところに参ります間が、自然のまま公園になっております。そこには一つも広告がございません。そこを
通り
まして、私は今まで海外を三回ほどあちこち旅行いたしましたけれども、その素朴な自然の美しさは世界で最も美しいところの一つと考えました。そこは特別な奇岩怪石があるのでもなければ、山岳重畳としているのでもなければ、渓谷があるのでもない、ただ自然のまま保持しておる美しさ、私が歩いたうちでは世界で最も美しいところの一つと考えましたが、日本の各地を旅行してみまして、あのいかにも欲ばった広告、そしてきたない色彩で、つまり芸術味のない美しさのない色彩でもって、ただただ人に印象づけようとするもので、ここから熱海へ行くまでも、あるいは沼津へ行くまでを見ましても、非常に残念に思うのです。たとえば熱海に行くまでの間を見ましても、あの大磯付近のこちらから行って右側、あの付近には広告がないので非常に美しい。私が東海道を
通り
ますときに、大磯付近のこちらから行って右側のあの景色を見ることは一つの非常な楽しみです。あそこで非常に安らかさを覚えるのでありますけれども、松島のようなところに変なものを建てられたら台なしだと私は思う。そういう意味で
文化財保護委
員会がそういう
措置
をとられたことは私は大賛成です。非常によかったと思う。しかし問題は、そういう許可をしないところ、あるいはすでに作っておるものに対しまして中止命令を出しましても、聞かないということで建てらたのではどうにもなりませんし、それは国の機関、公の機関が命令をしておる、あるいは県の
教育
委員会
が多分命令をしておるのでありましょうが、そういうことの権威にも
関係
する。こういうことが勝手気ままになされるということであれば問題であります。この点、
文化財保護
法を見ますと、罰則がきわめて軽いのです。私の見たところでは、これは百九条違反ということになるのでありましょうか、一万円以下の過料ですか、あるいはせいぜい三万円くらいの過料というようなところでありまして、そういうところからいわばなめてかかっているのじゃないかというようにも考えられるのであります。しかしこれは、
文化財保護
法によりましても、「この
法律
は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。」と書いてありますし、また第三条の
政府
及び地方公共団体の任務という条文にも、「
政府
及び地方公共団体は、文化財がわが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の
基礎
をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもってこの
法律
の
趣旨
の徹底に努めなければならない。」というように任務が書かれております。どうも今のままではその任務は果たせないように思うのでありますが、一体この問題で今
文化財保護委
員会が正しい判断をして
措置
をしようとしておりますことを貫くためには、どうしたらいいのか、またどこに欠陥があるのか、その事情を承りたい。
岡田孝平
92
○岡田
政府委員
この問題は、名勝の保護ということと、それから観光ということとの関連の問題でございますが、名勝を保護しますためには、もちろん、これは自然のままに、できるだけこれに人工的な手を加えないでおくことが保護の原則でございます。しかしながら、これを観光という意味合いで、多くの者がそれを賞美するということから、観光に必要ないろいろな
施設
を名勝地帯に設けるということも当然あることであります。松島の場合には、地元並びに県側といたしましては、観光
施設
としてこの
程度
のものは設けても差しつかえないのじゃなかろうかというような考えを持ったのでございますが、
文化財保護委
員会としましては、観光にもやはり観光
施設
としての限度があり、特別名勝というような、昔から日本三景と申されているようなりっぱな名勝地にそれと全く質の異なる
施設
を新たに加えるということは、やはり名勝としての質が下がってくる、異質の新しいものになる、それは本来の名勝の価値を傷つけるものではなかろうか、かような見地から、私ども、それはいけない、かように申しておるのでございます。この地帯は元来埋立地でございまして、そしてこの会社が埋め立てをいたしまして国から払い下げを受け、そしてヘルス・センターにいたしておる地区でございます。従って、ヘルス・センターは私どもは認めたのでございますので、ヘルス・センターに普通必要な
施設
ならば、たとえば宿舎を作るとかヘルス・センターとしての必要な
建物
を建てるということならば、これは差しつかえないが、かように飛び離れた、高さの非常に高い新しいものを加えることはいけない。また、かようなものをもし許すならば、次々と観光ということに名をかりまして、いろんな新しい不純な
施設
が出てくるということになって、結局本来の名勝の質がそこなわれる、かような見地から、これは許すべきではないというような考えを持っております。 地元といたしましては、観光という見地から、お客様がたくさん集まれば、それで結局金が落ちて、にぎやかになって、名勝の価値も多くの人々に賞美されるからよろしかろう、かような見地でありまして、この点は私どもとは全く反対でございます。県でさような考えを持っておりました
関係
上、県の専門
審議
会では差しつかえなかろうという結論を出され、また県の方で差しつかえないという意見で文化財の方に参ったのでございまして、その間に意見の相当の開きがございました。その間隔を縫いまして、申請者が工事を始めたという、これは特殊な事情でございまして、普通ならば県の方と私どもの方とさように
考え方
の開きがあることはないのでございますが、さようなケースの間隙を縫って業者が不法行為をしておる、こういうのが事実でございます。 私どもといたしましては、やはりこれは
文化財保護
の見地に立ちまして、どこまでも、専門
審議
会なり
文化財保護委
員会が反対いたしましたならば、それに従いまして、その
趣旨
を貫くようにいたしたい、かように考えております。従って業者に対しましては、県を通じ、たびたび中止の勧告をいたしております。また、この問題につきましては、県知事が非常に心配をされまして、何とか一つ早くこの問題を私どもの方で解決いたしたいと非常に苦慮をされまして、何か案でも持って最近来られるというような話もございます。県の知事の考え、あるいはまた業者の出力を見まして、もしこれ以上不法行為が続くというようなことでありますならば、これは直ちに法の命ずるところに従いまして、あるいは罰則、あるいは原状回復命令というような
措置
もとりたい、かように考えておる次第でございます。
長谷川保
93
○長谷川(保)
委員
私どもの想像するところでは、おそらく松島観光なるものをやっておるのは坂井という有力な人でもあり、そして県内の有力者を利用して、県の
教育
委員会
に圧力をかけていると思うのです。そして、あるいは県の観光課あるいは商工課等々に、おそらく圧力をかけてこれをやるということになっておるようであります。その裏にはいういろいろさいものがあるだろうと思うのでありますけれども、こんなことで押し切られたらだめですから、
文部大臣
、これは一つしっかりしてもらいたいと思う。こういう日本三景の一つであり、ことに自然の美しさということを非常に大事にするのがこの松島の特質であります。それをむざむざこんな——新聞に載っている写真で見ますと、ずいぶんでたらめな、いいかげんな、松島の景色とはおよそそぐわないような塔のように見えるのでありますけれども、こういうようなものを建てられて、押し切られては困ります。もし、この松島観光なるものが、原状復帰の命令に応じない、命令を出しても応じないというときには、
文化財保護委
員会というのはどういう手があるのですか。
岡田孝平
94
○岡田
政府委員
ただいま申しましたように、原状回復命令というものが法によって出せることになっております。この様子によりまして、もし必要があるならばさような命令を出す。その場合には、申請者は、みずからその
施設
を取り払いまして、原状に復さなければならぬ、かような義務があるわけでございます。
長谷川保
95
○長谷川(保)
委員
私が聞きたいのは、それに向こうが服さなかったらそのときはどういう手があるか。一万円以下の過料なんていうことが書いてあるようですが、そんなことではどうにもならぬのですね。命令に服さないときにはどういう手があるのですか。
岡田孝平
96
○岡田
政府委員
罰則の方は、ただいま過料という言葉がありましたが、過料の
規定
は、無許可で原状の変更をした場合に三万以下の過料でございます。もう一つ別の
規定
がございまして、史跡名勝天然記念物の原状を変更して、これを滅失した場合、あるいは衰亡に至らしめた、毀損したという場合には体刑もしくは罰金がございます。そのいずれに当たるかは、事案によりまして判定しなければなりませんが、ちょっとむずかしい問題で、ただいまいずれに当たるか申し上げられませんが、さような罰則があります。その判定の権限は裁判所にありまして私どもにはございません。 それから原状回復命令の方は、もしその命令に従わないということになるならば、直接強制執行の
方法
もございます。
長谷川保
97
○長谷川(保)
委員
多分県の方も有力者に圧迫せられて動かされて、こんな大きなものが半分も建ってしまった。八十メートルのものを四十メートルも建ててしまったというようなことになって、非常にむずかしい段階にきておると思うのです。しかしこういうことはもともとずいぶんいいかげんな、手続をしないでやってきておるわけでありますから、あるいは観光課あたりの了解を得た
程度
でやってきておるんじゃないかと思うのですけれども、こういうことがくずされますと、次々にくずれていくと思う。先年も奈良の若草山のところの問題がずいぶん問題視されましたけれども、なかなか手間がかかったし、またその間にいいかげんになっちゃったと思うのです。原状回復さしたというようなことを河井
文化財保護委
員長は報告していらっしゃいましたけれども、ずいぶんいいかげんになってしまったんじゃないかと思うのであります。私も現場を見に行ったことがありますけれども、こういうことがずるずるになりますと、商魂たくましい者どもがいよいよ文化財を破壊しますから、この点は
文部大臣
におかれても腹をくくってあくまで文化財を守ってもらいたいと思います。なお続いて
文化財保護委
員会におかれましても、十分厳重な態度で臨んでいただきたいということを希望いたします。 ついでに、この間東大で保存しておりまするはにわが盗み出されたという問題がありました。この問題も、盗み出した伊藤和夫なる者が、そのはにわに足をつけたりなんかしたということでありますけれども、これまた、そういうものが盗まれて長い間知らないでおったということでは相済まないと思うのでありますが、これはどういう事情ですか、簡単でけっこうでありますから御
説明
願いたい。
岡田孝平
98
○岡田
政府委員
その前にちょっと先ほどの問題でございますが、ヘルス・センターの付近にいかなる形におきましても一切
建物
を建ててはいかぬという態度はとっておりません。たとえば宿舎、宿舎に必要な
程度
のたとえば展望台
程度
のものでありますれば場合によっては建て得るかもしれない、しかしながら現在の申請がありますような第一回、第二回、いずれの申請もほとんど大同小異でありまして、かようなものは認めない、かような立場をとっております。いかなる意味においても
施設
を利用させないという意味ではございません。従いまして、今後もし
文化財保護委
員会で許可できそうな案でも出ましたならば、それはあらためて検討いたしたいという態度をとっておるわけであります。 それから、はにわの問題でございます。東大に保管しておりましたはにわの女子像が去年の秋ごろから紛失いたしまして、行方不明になったという事実を、十二月でありましたか、東大で発見いたしました。直ちに警察当局に連絡をいたしまして、警察当局から
全国
に捜査の手配をいたしたのであります。その結果最近に至りまして、それが出て参りました。その結果千葉市の伊藤和夫という東大に出入りしていた者でございますが、これが盗み出し、そして東京の杉並区の美術商の木村という者に売ったということでございます。かようなことは非常に遺憾なことでございまして、大学当局の管理に非常に欠陥があったことは申すまでもありませんが、このことに対しましては、直ちに各大学、
博物館
あるいは研究所等さような文化財を保管しておりますものに対しまして厳重なる警告を発して、今後の管理の万全を期したいと考えておる次第であります。すでにさような警告も発しております。なお場合によりましては管理が非常に不十分なところでありますならば、これはむしろ
国立
博物館
に所管がえをして、そこに安全に保管するのがよろしかろうというようなことも考えておる次第でございます。
長谷川保
99
○長谷川(保)
委員
ただいまのは地方の文化財及び大学等の機関で扱っているものでありますけれども、次に伺いますのは、
文化財保護委
員会直接のものであるのであります。一昨年であったと存じますが——私の記憶が違っておるかもしれませんが、田無でありましたか、民俗
博物館
を拝見いたしました。私はそれを拝見いたしまして、私も外国へ参りますたびに、また国内に旅行いたしますたびに、あちこちの
博物館
、美術館をよく拝見いたすのであります。あの田無の近くの保谷の民俗
博物館
を見まして、あそこに収蔵してありますいろいろな民俗学的に見て非常に貴重なものを見て驚いたのであります。たとえば中共に参りましてああいうたぐいのものを見ました。あるいはシカゴ、ボストンでもああいうたぐいのものを見ましたけれども、そういうものと比べて、価値から申しまして決して劣らない、実に貴重なものが集めてあることに感心をしたのであります。同時に寒心しましたのは、寒い方の寒心でありますけれども、あまりにも収蔵の
方法
がお粗末である。
博物館
というのか何というのか、家は全く大工小屋
程度
の——家を建てますときに大工が建てます大工小屋
程度
のバラックといって差しつかえない。しかも雨風等の用意はほとんどできておらぬというのに実は驚いたのであります。その際
文化財保護委
員会の方からも、何とかこれを適当なところにやり直してもらいたいという非常に強い要望があったのであります。私はもっともだと思ったのですが、
文部大臣
もお忙しいからあるいは見ておられないかと思いますが、これをごらんになったことがございますか。
松田竹千代
100
○松田国務大臣 見ておりません。
長谷川保
101
○長谷川(保)
委員
ぜひ一度ごらんになっていただきたい。当時も私は
文部大臣
に——灘尾さんのときだったかと思いますが、申し上げたことがありますが、至急これは手を入れてほしい。ああいうものをああやっておくということは国の恥でもあります。あるいは国民の恥でもあります。ああいうものは散逸したらいけないし、行ってみますと虫など食ってこわれているようなものもだいぶありました。これは実に惜しいです。当時、できるならば九段の前の遊就館に移したならばどうであろうか、民族の歴史を語っておるものでありますから、あそこならば場所柄として非常にいいのではないか、われわれの民族の中で国家のために動員されてなくなられました方のお参りに
全国
からたくさんの方が行きますし、また外国から見えますお客さんたちも、あそこなら非常に便利でありますし、またいわば外国の無名戦士の墓というものに近いもののあるところでありますから、民俗
博物館
を移転するには非常にいいところだ。ただ、当時一保険会社が使っておりました。その保険会社は今りっぱなのを立てておりますから、今どうなっておるか存じませんが、これはぜひ一度ごらんになるとともに、すみやかに十分な手を入れていただきたい。あれを十分整理いたしましてりっぱなものにして参りますれば、一つの非常に優秀な、日本の誇りにするような
博物館
になると私は思う。これはぜひとも
文部大臣
におかれてもごらんになって、すみやかにそれに対する対策を立てていただきたい。
内容
は非常にりっぱなものであります。このことを深く要望する次第でありますが、今日あれはどうなっておりますか、
現状
を伺いたい。
岡田孝平
102
○岡田
政府委員
保谷の民俗
博物館
は学術団体でありますところの日本民俗学会の付属
施設
ということで、日本民俗学会付属民俗
博物館
ということになっております。中にありますものは非常にりっぱなもの、お話の
通り
でございます。ただ管理が非常に悪い、実に危険であるということで、何とかこの管理を
整備
いたしたいということで、これはむしろ文部省の大学学術局の学術課の方の御所管になるかと思いますが、いろいろ心配いたしておりますが、
文化財保護委
員会といたしましては、むしろ
国立
の民俗
博物館
を作った方が根本的解決になるのではないかというような考えで、ただいまお話のありましたように、遊就館その他いろいろ
施設
を物色したこともございます。私どもといたしましては、
国立
の民俗
博物館
を作りまして、そこにありますようなりっぱな品物を収蔵する、あるいは
全国
にありますところのりっぱな民俗
資料
を展観いたしたい、かような考えを持っておりますが、いまだ遺憾ながら具体的な実現に手のついてないのは非常に残念だと思います。将来は早くそういうふうにいたしたいという考えはただいまも持っておる次第でございます。
長谷川保
103
○長谷川(保)
委員
これはぜひやっていただきたいと思う。民俗学会がやっておった、確かにそうでした。けれども、民俗学会というものはどういう団体か十分に存じませんけれども、ぜひ国がああいう
博物館
というものを——これは非常に必要です。あそこに集めてあるようなものの大
部分
は
国立
博物館
に行ってもありません。今上野へ行こうとどこへ行こうとありません。ああいうたぐいの
博物館
というのは私は非常に必要だと思う。これは一つぜひ
文部大臣
、近いうちにごらんになって、これをお作りなさいませ。これはあなたがお作りになって、後に名をなす仕事の一つだと私は思う。だからぜひお作りなさい。それくらいの見識は大臣お持ちのはずだから、ぜひ至急ごらんになって、やっていただきたい。このことを深くお願いしておきます。いずれにいたしましても、このような問題
一般
を通じまして、国の文化財に対する
考え方
というものが非常に不十分であるのではないか、ことに文部省当局が直接の責任でありますけれども、こういうものに対する価値を十分に認めるということについて、きわめて不十分ではないかというように私は考えるのであります。今日こういうようなものを非常に重んじていくことは単に復古主義というようなことではなくて、大よそ民族の文化というようなものを考える者にとりましては、きわめて大事だ。そういう点が非常に足りないと思う。だからずいぶん貴重なものが外国に流れたり、あるいはずいぶん棄損され、破棄されたりしているのではないかというように思うのであります。これらについて一つ大臣の御意見を伺いたいと思います。
松田竹千代
104
○松田国務大臣 いろいろ文化財のことについて御心配にあずかり、また鉄道の沿線その他至るところにおける広告、
国立
公園、いろいろコマーシャリズムの前に、日本の景色や天然のものが多くじゅうりんされているようなことに対しては、全く私も長谷川
委員
と憂いをともにするものでありまして、早くからこのことについては、外国の事例などなにして、運輸省その他の
方面
とも話したようなことがあったのでありますが、これは何とか特別の
措置
を講じて、きれいな国土をできるだけ美しく保存していく、それは国民
一般
の情操の上からも最も必要なことであるということに対しては、全く同感でございます。 ところで文化財の保護、修理、その他さらにこれを大いに国民の前にあるいは海外に、広く展示また宣伝していかなければならぬことも非常に大事であるし、そういう点から申しましても、国民
一般
の文化財に対する認識を深めていくということも、どうしてもやらなければならぬ。ところがわずかの
予算
をとるについても非常に難儀をいたすのであります。文化財の保護については、極力今度もその必要性を説いてやったのでありますけれども、依然としてなかなか困難であり、遺憾に思っている次第でありますが、今後は何とか一つ適当な処置を講じて、御趣意のあるところを実践に移していきたい、かように考えておるわけであります。
長谷川保
105
○長谷川(保)
委員
これらの点は今の河井文化財
委員長
も非常に嘆いておられたことでございますが、実際
予算
が今度少しふえたと言いながら、災害復旧等がありまして、全部で一億九千万円だそうでありまして、
博物館
等に重要な美術品を一つ買おうとしても、どうしようもないというようなことを嘆いておられました。どうかこういう点につきましても今後十分認識をせられまして、
予算
その他について十分
措置
せられるように望みます。 もう一つ緊急の問題を一つ伺っておきますが、静岡県に非常に風しんがはやっておるということであります。非常にはやりまして、
学校
の休校あるいは
学級
閉鎖等が続々として出ているようであります。あるいはまた大阪におきましては、流行性感冒がひどくはやっているようであります。
学校
の子供たちが非常にかかっておるようで、集団発生しているようでありますが、事情はどんなふうでありましょうか。それに対してどんなふうな手を打っておりましょうか。わかりましたら……。
内藤譽三郎
106
○
内藤
(譽)
政府委員
これは体育局所管のことでございますので、体育
局長
が参っておりませんから、あとで連絡しておきます。
長谷川保
107
○長谷川(保)
委員
それでは緊急の問題は一応この
程度
にしておきます。そしてまたあとで……。
西村力弥
108
○西村(力)
委員
文化財
関係
で、去年久留米がすりの問題で、一人の残されたおばあさんが自殺をしたという問題が、この
委員会
で問題になりましたが、あれに基づいて、ことしは少し
予算
を
増額
した。七百九十万円くらいですか、微々たるものでありますが、いささか
増額
したような工合に見ておるのですが、あのとき問題を取り上げた立場から、今後あの
予算
をどういう工合に執行され、そうして無形
文化財保護
の道がどんな前進を示しておるか、伺いたい。
岡田孝平
109
○岡田
政府委員
久留米がすりの問題に端を発しまして、無形文化財の保護ということについて非常にやかましくなって参りました。あの問題につきましては、特に製作いたしましてもそれが原価にも合わない、つまり製作原価を割って売らなければそれが売れないというような状態のものが、実は三つございまして、それが文化財に指定いたしました久留米がすりと結城つむぎ、それから越後ちぢみの三つでございます。この三つはいずれも団体指定と申しまして、多くの人が製作をいたしております。いずれも
機械
生産の同種のものに押されまして、ほとんど利益が伴わないのみか、むしろ損をしておる。従ってかようなものを保護するために何らかの
措置
をとりたいということで、大蔵省に
予算
を要求いたしました。要求は七百万円でございましたが、実際は三百万円という大蔵省の査定を受けて、ただいまのような状態になっておるわけであります。これにつきましては、それぞれ保存団体を作ってもらう。たとえば久留米がすりなら久留米がすりの保存団体というものを作ってもらいまして、その地区において優秀なる何人かを指定して製作させる。それに対して製作
補助
、あるいは厳密には損失補償の意味になりますけれども、製作
補助
ということで
補助金
を出し、それに対して、県におきましても市におきましても、やはり相当な
補助
をする、かような仕組みになっておる次第でございます。それは特に衰亡のおそれのひどいものでありますが、その他の無形文化財につきましては、あるいは記録の作成、つまり製法をそれぞれ分解いたしまして、それを写真にとり、あるいは記録をとる。あるいは製品を国で買い上げるというようなことをいたす。あるいはまた作品の展覧会を開くための
補助金
を出すというような、いろいろな手段を講じておりますが、遺憾ながら
予算
が至って少のうございますので、今後
予算
の
増額
にさらに一段の
努力
をいたしたい、かように考えております。
西村力弥
110
○西村(力)
委員
要求の半分だとしますと、ああいう人が結局は
生活
苦から自殺をしたということになりますので、
生活
保障ということが
重点
にならなければならないと思うのです。要求の半分だと、半分しか
生活
保障にならない、こういうことにもなるのでございますが、
生活
保障でという点と、それから伝承という二つの点が一番大事だと思うのですが、その点に対する見込みはどうですか。
岡田孝平
111
○岡田
政府委員
伝承の問題につきましては、これは全部ではございませんが、無形文化財のうちで必要なものにつきましては
講習会
形式の後継者養成所というものを作りまして、それに対して
国庫補助
を与えるということがございます。久留米がすりはまだそこまで参っておりませんが、これは将来さようにいたしたいと考えております。
西村力弥
112
○西村(力)
委員
生活
苦から自殺の道を選ぶというようなことにいかないようにする、その点はどうなんですか。それは相当
生活
は心配ない
程度
にやっていけるのですか。
岡田孝平
113
○岡田
政府委員
生活
苦から自殺したというふうにいろいろ新聞等で報ぜられておりましたが、実際は必ずしもそうでなくて、主人がなくなって、その他いろいろな原因でもって自殺した、一種の神経衰弱というふうに報ぜられておりますが、いずれにいたしましても無形文化財保持者であるために非常な精神的の
負担
をこうむって、それが自殺の一つの原因になったというふうに考えます。
生活
の
補助
という意味合いでは無形文化財保存の
補助金
を出しにくいのでございまして、これはやはりどこまでも無形の文化財の保存に必要なる
助成
ということになりまして、作品の制作に対する
補助
という意味合いで
予算
を出しておるわけであります。しかし、そういたしますならば自然それが
生活
の保障にまで充てられるという結果になるのでありますから、今後さらにできるだけの
努力
をいたしたいと思います。
西村力弥
114
○西村(力)
委員
生活
の保障とか
補助
という形では出せないでしょうけれども、
重点
はやはりこうやっていろいろな形でこれを守っていけば
生活
上の心配がなくなるという、これをやはり一番大事な問題として考えていかなければ僕はいかぬと思うのです。いろいろ、連れ合いがなくなった苦しさとか、精神的な圧迫とかということもあるでしょうけれども、要は
生活
苦だろうと僕は見ているんですよ。そういう点十分一つ今後とも
努力
を願いたいと思います。
大平正芳
115
○
大平委員長
次会は来たる三月二日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十三分散会