運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-04-13 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十三日(水曜日)     午後三時五十三分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 角屋堅次郎君    理事 芳賀  貢君 理事 小平  忠君       倉成  正君    笹山茂太郎君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君       野原 正勝君    赤路 友藏君      茜ケ久保重光君    足鹿  覺君       石田 宥全君    中澤 茂一君       西村 関一君    日野 吉夫君       松浦 定義君    神田 大作君       小松信太郎君    中村 時雄君  出席国務大臣         農林大臣臨時代         理国務大臣   菅野和太郎君  出席政府委員         農林政務次官  小枝 一雄君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      庄野五一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七三号)  開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇五号)  開拓者資金融通法による政府貸付金償還条  件の緩和等に関する特別措置法案内閣提出第  一〇六号)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  この際、菅野農林大臣臨時代理より発言を求められておりますので、これを許します。菅野農林大臣臨時代理
  3. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ちょっとごあいさつを申し上げたいと思います。  一昨日はからずも、福田農林大臣がモスクワへ行っておる留守中私に農林大臣代理をやれということを仰せつかったのであります。私といたしましては、農林行政ということに全然しろうとでありますので、総理に、私のようなしろうとがやるよりも、ほかに大臣にくろうとがおられるから、その方に仰せつかったらどうですかということを申し上げたのでありますが、経済企画庁は経済各般に関連いたしておりますのでとにかく君引き受けてくれということで、引き受けたのであります。全く私はしろうとでありますが、幸い、小枝政務次官農林行政については権威者でありますし、また有能な政府委員の方もおられることと思いますからして、万事政務次官、また政府委員におまかせし、また御指導をお願いする、また、この農林委員会の各位はみな農林行政についての権威者ばかりでありますので、皆様方の御鞭撻、御支援によってこの留守中の大役を果たしたいと存じておりますから、どうぞ一つよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案開拓者資金融通法の一部を改正する法律案及び開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置法案議題として、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 開拓関係の三法案が提案をされまして、本日から審議に入るわけでございますが、この際、三法案内容質問に入ります前に、開拓政策の基本問題についてまず政府考え方をお伺いしたいと思います。  戦後、日本が敗戦の結果、多数の海外よりの引揚者等国内帰国をいたしまして、そういう帰国者収容対策、あるいは当時の食糧事情等から、緊急開拓政策推進をされまして、今日まで約二十万六千六百戸にわたる入植者入植を見たわけでございますけれども、その間いろいろ経済事情あるいは立地条件その他の事情に左右されまして約五万七千七百戸の離農者を見ておるという形勢のもとに今日に至っておるわけでございますが、申すまでもなく、今後の開拓政策推進という問題から参りますと、今日農林省がとっておりますところの既入植者安定対策ということに重点を置いて、積極的な開拓政策推進するということは二の段にしておるわけでございますけれども、しかし、今後の国土総合開発あるいは産業経済の全般的な推進という意味からいきますと、こういう状態ではいかがかと思われるふしも多々あるわけでございます。  そこで、政府開拓政策に対する今後の展望、今後の方針ということに関連をいたしましてまずお伺いをいたしますのは、何と申しましても、やはり、積極的な開拓政策推進するという立場に立ちますならば、一体、日本国内における開拓可能地というふうなものについて、農林省として終戦直後のような異常な熱意と同様の熱意を持って今日積極的に調査を進められておるのであるかどうか。これは、山林原野と言わず、あるいはまた干拓の問題と言わず、いろいろな問題も含めまして、今日農林省調査に基づいて開墾可能地というものについて具体的にどのような見通しを持っておられるか、そういう点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  6. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問の点でございますが、今やっておりますことが既入植者の安定に重点を置いておりますことは先生のおっしゃる通りでございます。これにつきましては、私どもも、早くこういう段階を終わりまして、再び、国土高度利用といいますか、あるいは既存農家安定対策のためにもっと積極的な開拓政策をやりたいというふうに考えておるような次第でございます。  今先生のおっしゃいました今後の開拓可能面積の問題でございますが、結論から申し上げますと、三十五年度の予算にも、要土地改良面積干拓開墾面積につきまして再調査をしようということで予算も計上いたしました。これは、御承知のように、二十二年の緊急開拓当時に、五万分の一の図面で、可能地として約五百万町歩くらいあるのじゃないかというようなことを試算したことがございます。その後は、三十二年でございますか、今の新長期経済計画をやりますときに、農林省の内部でいろいろ検討しまして、開墾可能地が百五万町歩干拓可能地が八万町歩というような数字を概定しまして、それに基づいて、長期経済計画の五カ年間では開拓十七万五千というような数字を一応計上したのでございますが、過去の調査等にもいろいろ不備な点がございますので、三十五年度から三十六年度にわたりましてもう一回この点は再検討しようというようなことで、予算の計上をいたしたような次第であります。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 当面約十五万戸にわたる既入植者安定対策ということでやらざるを得ない事情については、私たち十分理解ができるわけでございますけれども、しかし、冒頭に申し上げましたように、今日の日本人口関係あるいは農業発展展望、こういうことから見ました場合には、積極的な開拓政策推進のためのおぜん立てというものについては、今日、既入植者の安定の段階の時期に次に前進すべき体制準備ということを十分やらなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。その点から見ると、いわば既入植者安定対策に追われるといいますか、ある意味においては手を焼いて、むしろ政府開拓政策推進意欲というものが減殺されているのじゃないかと見られる向きもあるわけであります。その点では、今日の開拓政策推進のための農地法というものではたして積極的な推進ができるのか、あるいは、かつてありました自作農創設特別措置法のように、積極的に開拓政策を進めるための立法措置というものを根拠にして推進すべきじゃないかと思われる節もあるわけでありますけれども、その辺の法的な整備についても再検討の段階に来ているのじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。
  8. 伊東正義

    伊東政府委員 今御指摘の点は、現行の農地法が、今先生のおっしゃいました旧自創法の精神を受け継ぎまして、農地法の中に土地の再配分という意味強制買収規定を含めました開拓関係規定がございます。これにつきましてはいろいろ意見がございまして、私どもといたしましては、今の農地法のままでいいのか、先生のおっしゃいました開拓関係全部についてもっと別な法体系がいいのか——あるいは開拓協同組合の問題もありましょうし、基本になります農地の問題もありましょうし、それも含めまして開拓者人々には開拓の基本法的なものもあっていいのじゃないかというような意見もございます。これにつきましては、また逆に、もう強制買収という形ではなくて土地改良方式によって開拓を進めるべきではないかという意見もございます。私どもといたしましては、将来の開拓の問題につきましては、今御審議願っております審議会におきましてもやはり議題一つといたしまして当然議論をしていただきたいというような考えでおる次第であります。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 今後の開拓政策展望という問題については、干拓も含めて約百十万町歩前後の開墾可能という一応の基準に立っておるわけですが、そういうものを積極的に推進する場合の総所要費をどういうふうに見通しておられるか、参考までにお伺いいたしたい。
  10. 伊東正義

    伊東政府委員 今先生のおっしゃいました百万町歩対象にしましてどのくらいかかるかということにつきましては、まだ試算はいたしておりませんが、今長期経済計画で五カ年間に二千三百億という行政投資試算したことがございます。さらに、今のような所得弾性値からはじきまして、いろいろな農産物の需要があるという面からだけ一応試算しまして、将来十年間でどのくらいの面積を造成すべきかというようなことも試算したことがございますが、このときはじきました試算は、農業基盤整備で七千六百億というような行政投資試算をしたことはございます。先生がおっしゃいましたように百十万町歩ずばりで幾らという試算は、まだいたしたことはございませんが、十カ年計画農業基盤整備ではどのくらいかかるだろうということでは、行政投資で七千六百億というようなことをはじいたことがございます。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 開拓政策の戦後の推移を見てみますと、特に緊急開拓政策推進の過程では、過剰人口をとりあえず就業せしめなければならぬということで準備等も十分整備せずに、また当時の事情から見て長期にわたる農業経営展望から見て適地であるかどうかということについても精査せずに入ったことが、やはり今日既入植者安定対策で非常に、苦労する一つ要因になると思う。資金の面においてもあるいは自然的立地条件においてもそういう面で一つ欠陥として現われておることを反省します場合に、ここ数年は既入植者安定対策重点を置いていくということはある程度やむを得ないとしても、次に開拓政策積極的推進ということに向かう場合に従来の開拓政策欠陥を再び露呈しないようなおぜん立てを十分整備する必要がある。これは、資金の面においてもあるいは営農その他の面においてもおぜん立てをして、そこに入る場合においてはパイロット・ファームなり新しい形式を加えて、既市町村よりももっと前進した営農の形において開拓政策推進できるようにしていくということでなければならぬ。そういうことから今農地局長にいろいろお伺いしてみると、積極的な開拓政策という面については農林省としても必ずしも十分な熱意体制にないのではないかと思う。そういう意味では、この点については先ほどいささか予算も組んでこれから一つ十分準備したいということでありましたけれども予算的にも、あるいは財政投融資面でも、あるいは法制的にも、少なくともここ二、三年の間に十分精査をし、おぜん立てをして、次に飛躍できる体制考えてもらわなければならぬ。ことに、既市町村等においても、これからなかなか困難になろうとする農業事情等から見て、開拓政策等もからめながら第一次産業発展ということを考えなければならぬ必至の趨勢にあるというふうに考えますので、この点は要望としても一つそういうふうにしていただきたいと思う。  次に、当面の三法案の焦点は申し上げるまでもなく既入植者安定対策ということで政府の方で出して参られたわけですが、この三法案を一括して考えられますことは、やはり、この三法案をもってしてもなおかつ既入植者安定対策を早期に完成をしていくということがはたしてできるかどうかということについては、私は、率直に言って大きな疑問を持たざるを得ない、こういうふうに思うわけであります。この三法案のうちで一番やはり期待をかけられておる問題は、もちろん開拓営農振興臨時措置法抜本的改正というふうなものが今度の改正を通じてできておるかどうか、こういうようなところがやはり開拓者から見た場合の大きな期待であったろうと思いますが、それは実際問題としては審議会等審議にゆだねるということでいわば当面を逃げられた観がある。そこで、お伺いをいたしたいのは、今日既入植者安定対策ということを考える場合に、農林省が約十五万近い既入植者実態というものについてどのような調査に基づいて今日どの程度に真相を把握しておられるかという点について少しく説明を願いたい。
  12. 伊東正義

    伊東政府委員 今おっしゃいましたように、この三法案だけで既入植者安定対策は十分とは私どもも思っておりません。この点は、この御審議願っております法案、そのほかに、建設工事でございますとか、あるいは追加投資をいたしますとか、そういういろいろな手段で開拓者営農の安定をはかるということをやっていかなければいかぬというふうに考えております。それから、先生のおっしゃいました大体十五万戸の開拓者についてどういうふうに見ているかということでございますが、御承知のように、開拓営農振興臨時措置法計画を立てまして承認を受けました農家は約九万五千戸弱でございます。六〇数%のものが要振興農家といいますか、そういうふうになっております。それで、この開拓者営農の問題でございますが、御承知のように、私の方でも経営経済調査とそれから実績調査というような方法で開拓者営農実態をつかむべく努力はいたしております。これを見ましても、大体粗収入でいきまして二十万以下という農家が五〇数%、六〇%弱くらいになっておりますので、開拓農家全部をとってみますれば収入が低い農家の方が半分以上もあるというような実態になっております。ただ、しかし、そう申し上げましても、やはり、年々の経営につきましては、生産物の量でありますとか、あるいは持っております家畜の数というものにつきましては、かなり年々追加投資もいたしておりますので上がってきているのではございますが、また一面何分にも非常に債務が多い。既存農家と比較いたしてみますと、先ほど申し上げましたように、粗収入二十万以下の農家が非常に多い。既存農家に参りますれば、これは三十万とか四十万の辺がかなり多いというふうなことになっておりますし、そのほかに非常に債務が多うございまして、既存農家でいきますと大体平均四万ぐらいの債務になっておりますが、開拓地でございますと二十数万の債務を持っておるというふうなことで、粗収入の点でも若干低い上に過去の債務重圧というものを非常に負っているというような形になっておりまして、今振興計画を作りまして、何とかその振興計画によりまして黒字に転換をしまして拡大再生産というところまで持っていきたいというように考えておりますが、今申し上げましたように約六割以上のものが要振興農家になっているというような現状でございまして、過去において相当の国費を費やしましたにかかわりませず、まだそういう状態にありますことを、はなはだわれわれとしても遺憾であるというふうに考えております。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 この際、終戦後から昭和三十五年の三月まで、あるいはそこまでいかぬかもわかりませんが、最近までの開拓のためにつぎ込んだ農林省としての予算総額、それから、現実に、個人債務は別として政府資金あるいは公庫資金、そういうふうな関係における開拓者債務実態、こういうものについて少しく数字的に御説明願いたいと思います。
  14. 伊東正義

    伊東政府委員 入植者に投じました予算でございますが、これは、二十年から始まりまして三十四年までで約七百億の予算を投じております。これは、建設工事費でございますとか、あるいは開墾作業費でございますとか、あるいは入植者の施設の補助金でございますとか、そういうものを含めまして六百八十六億でございますから、約七百億の予算を投じておるわけでございます。そのほかに政府融資金としまして二百三十五億の融資を三十四年まででいたしております。かなりの融資なり予算を投じているわけでございます。  それから、そのほかに、負債の状況でございますが、これは三十五年三月でございますから三十四年度までを入れましてでございますが、大体負債の残額が三百十五億ぐらいであろうというふうに推定されます。その中で政府が貸しております開拓者資金が百九十三億、これが一番大きな比率を占めております。それから、その次が公庫資金でございまして、これが公庫資金として自作農資金を除きまして約三十八億、四十億足らず公庫資本でございます。それから、御承知天災資金でございますが、中金から出ております天災資金が四十六億ぐらいございます。それから、自作農資金が約三十五億、それから、例の保証制度によって借りております資金の残っておりますものを約二億足らずと見まして、大体三百十五億少し、あるいは違うかもしれませんが、三百十六億ぐらいがあるのではなかろうかというふうに推定いたしております。このほかに、自作農資金肩がわりは大部分しましたけれども、あるいは若干まだ、親類から借りますとかいうような個人債務が一戸当たり二万なり三万あるのではないかというふうに考えております。今申し上げました三百十五億という数字を一戸当たりにして平均してみますと、大体一戸当たり二十一万ぐらいの負債になっております。そのほかに、今私申し上げましたように、あるいは個人親類縁者等から借りているというものが二、三万あるかもしれないというふうにわれわれは考えております。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 こういう戦後の開拓政策に使った国の財政あるいは融資関係、そしてなおかつ今日既入植者安定対策をやらなければならぬ現状にあるという、その根本原因はどういうところにあるのか。戦後すでに十数年を経過し、そしてその間そのつどやはり緊急の対策を講じながら、なおかつ、今お述べになったように約三百十五億近い個人負債以外の金を出さざるを得なくて、しかも相当この負債償還ということに困窮しておるという現状根本原因を、農林省としては一体どういうふうにお考えになるか。
  16. 伊東正義

    伊東政府委員 いろいろな原因があろうかと思われます。これにつきましては、金を使いましても、先生承知のように相当離農が出まして、二十五年までに入った人の中で離農した者は、今までの離農者のうちで九二%が二十五年ごろまでに出て行った。その間に使いました金がかなりむだになっていることも実はございます。それから、それはそれとしまして、経営不振の原因でございますが、これは、今いろいろ原因考えられます。たとえば、土地の問題一つ取り上げてみましても、緊急開拓当時入りまして十分な経営面積が与えられなかった人があるということにも一つ原因はございます。また、ある程度面積土地配分がありましても、非常に開墾作業の進度がおくれておりまして、約七〇%くらいの開墾でございますので、土地はもらったけれども十分な開墾ができぬということで経営が不振になっておる、土地だけについて言えばそういうことも考えられるだろうと思われます。また、経営内容について見ましても、非常に畑作物が多かった。過去におきましてはこれにつきましてあまり十分な対策もなかった。御承知のように、価格支持をやっております作物以外のものがかなり開拓地には多いというようなことで、安定をいたしておらなかった。また、過去におきまして安定しておりました開拓者を見ますと、大体飯米程度は自分で水田を耕作しておる、あるいはそれ以上の水田をやっておるというような人は過去におきましては相当安定した開拓農家になっておりますが、不振農家を見ますと、畑作が中心でございまして、そういうことがほとんどなかった。これは開拓の性質上当然でございますが、これにつきまして価格支持等の行なえるものも少なかった。あるいはまた、追加投資といいますか、投資関係も十分でございませんで、いろいろな、たとえば家畜でありますとか機械の導入等もおくれていて、十分経営に寄与できなかったというようなこともございます。また、一時はだいぶ経営がよくなったということもあったのでございますが、二十八年、九年、三十一年ごろの大災害によりまして、非常にまた開拓者が被害を受けまして、これらの借金の重圧というようなことからして経営の不振を来たしたというような、いろいろなことが実は重なり合いまして今日の結果になってきたというふうに考えております。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 そこで、大体現状までの経過については若干の数字的なことは明らかにされたわけですが、これを通じて感じられますことは、もうここまで来れば、この際既入植者安定対策については抜本的な対策を講じて、そうして、こういうことをいついつまでも政府がそのつど関係法案の一部改正ということで糊塗するのではなくて、この際三法案改正をやれば少なくとも約十五万戸の既入植者については計画的に安定ができてくるんだ、こういう確信が開拓人々に与えられるような対策がやはり今日講ぜらるべき段階に私は来ておると思う。そういう観点からこの三法案を見て参りますと、冒頭に申し上げましたように、それぞれの法案ともに、きわめて金を出し惜しみし、あるいは、いろいろな事情で、与党内においても積極的な対策を講じようという意欲があったにもかかわらず、最終的にはやはりきわめて不十分なところに終わってしまったという感が深いわけであります。そういうことをもってしては、いついつまでも既入植者安定対策に追われて、私が冒頭に申し上げましたような積極的な開拓政策推進ということにはなかなか踏み切れない、また、そのおぜん立てそのものについても、政府与党内においてもそれに踏み切っていこうという態勢にならない、こういうことに私はなるのではないかということを心配するわけです。そこで、それらの点は、まだ本日以降たくさんの質問希望者等もあって質疑が深められると思いますから、詳細は省略いたしたいと思いますが、政府が出しております一つ法案であります開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置法案、結局先ほど申し述べられました約三百十五億のうちの政府資金の問題についての条件緩和、こういうことで措置されようということでありますけれども、ここでやはり問題になりますのは、開拓者の実際の経営実態からして、従来指定をされている振興農家というものに条件緩和農家対象を限定することなく、もっと範囲を広げまして、開拓者全般という大きな視野から対象に加えるという配慮がなされなければならぬじゃないか、こういうふうに考えられるわけです。そういう意味から申しますならば、今も農地局長が言われたように、今日の困難な条件になって参りました一つ要因は、相次ぐいろいろな災害、こういうものが現実にやはり一つ要因をなしており、おそらく、去年の伊勢湾台風その他を初め累年の災害実態から見て、そういうことが特に開拓地においてはひどいだろうと私たちも判断するわけですけれども、そういう被災による転落農家、あるいは、実際問題として振興農家になるためには開拓組合の戸数その他のいろいろな条件等も加わるわけですけれども、そういうことを排して、個人的にやはり振興農家基準に該当するものについては、組合該当基準というものが実際には当てはまらなくても振興農家に加えるというような配慮、あるいは、入植年次についても法の制定された当時五年という入植年次で切られた関係上、五年以内のものについては百除外をされているという問題もございますので、償還条件緩和対象となる開拓農家については、この際、やはり、この法律を作る際にもっと開拓者全体ということににらみをきかして妥当な対象を決定する、こういう配慮が私は必要ではないかと思うのですけれども、その辺のところを農林省としてどう考えておられるか、まずお伺いしたい。
  18. 伊東正義

    伊東政府委員 対象の問題でございますが、振興計画を立てました人を原則として対象にいたしております。これは、御承知のように、緊急開拓当時十分な手当もなしに入りました人たちを中心にいたしまして開拓営農振興臨時措置法対象といたしまして、何とか振興対策を立てましてある程度の水準に上げていきたいという考え方でやったわけでありまして、われわれのその後の開拓考え方の中心は、やはりそうした人に中心のスポットを当ててやっていくという考え方をとりまして、実は、先ほど先生の御指摘もありましたが、振興計画をさらに作りかえまして別な計画を作ってやるということまで考えますと、これはまた非常に時間もかかり、また、現在やっております計画がある程度達成のできぬうちにまたそういう計画を作りかえるということにつきましては、私どもは、行政としましてむしろ工合が悪いのじゃないか、今の振興計画をまず達成いたしまして、その上で次の段階をどうするかということを考えたらどうだろうということで、基本的なそういう問題につきましては、また一つ審議会審議してもらって、開拓営農振興臨時措置法というものをどうするか、また全然新しいものを考えるのかというようなことについては検討したいというふうに思っておる次第でございます。  条件緩和対象でございますが、そういう経緯もございまして、私どもとしましては、振興計画を立てた人を中心に考え先生の御指摘のありました、それ以外の人でも災害その他で振興農家と同じような状態になっているという人につきましては、これは拾い上げて何とか条件緩和対象にしていきたいということで、実は今政令の段階で大蔵省当局と交渉をいたしておるところでございます。まだ最終決定はいたしておりませんが、御配付いたしました政令の案は、農林省だけの案でございまして、その点も実はまだ詰まっておらぬということでございますが、われわれとしましては、そこまでは一つ広げていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 角屋堅次郎

    角屋委員 今せっかくの農地局長のお話でございますけれども、私は、やはり、既入植者安定対策というものについて、本年度農林省考え得る最大限の措置を講じて、再び既入植者安定対策ということで関係法案の一部改正をやらなくてもいいという前提に立って考えます場合には、今申されたように、いわゆる開拓営農振興臨時措置法で当初すべり出した対象農家を中心にして条件緩和をする、こういうことだけではきわめて不十分じゃないか。つまり、昭和二十九年度以降の入植者というものについても、やはり、これら既入植者実態というものが、今申しました開拓営農振興臨時措置法の適用等をもって十分措置する必要のあるものについては、この対象範囲に加える、しかも条件緩和対象にもしていくということで、すみやかにやはり安定対策整備をはかる必要があるのじゃないか。御承知のように、昭和二十九年度以降入植した三十二年までの戸数について考えてみましても、一万六千七百九戸、こういうふうに言われておりまして、そのうちで、経営の不安定な入植者というのが、半数を少しこえております九千四百戸というふうに見られておるわけであります。当初農林省といたしましてもこれに対して追加融資の必要を認めて予算要求をされたというように承っておりますけれども、これが全額否定をされたというふうなことから、今農地局長の言われるように、当面、これらの問題については、今直ちに従来の者と一緒にやるということについては、どうも都合が悪いので、後ほど別途に必要ができれば検討するというようなことを言っておられまするけれども、これはやはり農林省としてもその必要を認めたことは予算の折衝の経緯からしても明らかであって、この際やはりこれらの者を含めて条件緩和等の対象にもする、また、開拓営農振興臨時措置法対象の中にも考慮しながら早急に改正をはかるということが必要じゃないかと思うのですが、再度一つその点をお伺いしたいと思います。
  20. 伊東正義

    伊東政府委員 今先生の御指摘の、われわれは谷間々々とよく言っておりますが、二十九年度以降の入植者につきまして追加投資の要求をしましたことはその通りでございます。いろいろその後に入りました人につきましての営農の不振の原因がございますが、われわれとしましては、今度の法律では、その中で災上によりまして営農不振になっているという人を何とか救っていきたい。三十九年以降に入りました人は緊急開拓当時と違いましてある程度いろいろな面で考えられておりますので、それ以降の人については、全部ということじゃなくて、やはり、災害というもので、自分のせいでなくて不可抗力によってそういう状態になっているという人につきましてまずこれは何とか対象にしたいということで、予算上の経緯もございましたので、実は大蔵省と政令の段階で折衝いたしておるような次第でございます。ただ、先生のおっしゃいますように、今度の法律だけで既入植者の安定というものは十分でないことは、これは確かでございまして、やはり、全般的に、たとえば建設工事をもっと上げまして、——水田経営をすべく土地配分がされておりましたところが、まだ水田ができなくて畑作をやっているというようなところがございましてそういう理由で経営不振という問題もございますので、やはり、そういう建設工事でありますとか、追加投資でありますとか、こういう全般のものを考えまして既入植者対策ということを考えるべきだというふうに思っておりますが、今おっしゃいましたようなところまでみんな対象にしていくかどうか、また、対象にした場合に今後どういうことをやったら一番いいのかという問題につきましては、先ほどの審議会というようなところで十分御論議をしていただきたいというふうに考えております。
  21. 角屋堅次郎

    角屋委員 今農地局長の言われた、いわゆる昭和二十九年以降の入植者の谷間開拓者、こういうふうに言われた者のうち、実際に政府資金条件緩和の場合に対象になるであろうというふうに農林省が推定をされた農家戸数というのは、どういうふうに見ておられたのですか。
  22. 伊東正義

    伊東政府委員 今の御質問でございますが、三十三年、三十四年の災害によりまして営農不振になっているというものを対象にしようというようなことを考えておりました当時の数字は千戸にならぬ数字でございますが、三十一年以降の災害というように対象を広げますれば、これがもう少しふえた数字になるのじゃなかろうかというふうに思っております。
  23. 角屋堅次郎

    角屋委員 先ほど私が申し上げましたように、一万六千七百九戸の二十九年から三十二年までの入植者のうちで、経営の不安定から対象になるであろうというのが約九千四百戸に上るんじゃないか、こういうふうに見ておるわけですけれども、この数字の食い違いというのは、農林省の方では大体千を少し出る程度と言っておられますけれども、その程度で、他の者はそう心配をする必要はないというふうに考えておられるのですか。
  24. 伊東正義

    伊東政府委員 今私が申し上げましたのは、私ども試算しておりましたのは、振興計画を立てました農家のうちで大体どのくらいがこの条件緩和に当たるだろうかということの推定を実はいたしておりまして、それ以降に入りました人につきましては実はまだ十分な推定は行なっておりません。今申し上げましたのは、災害にかかりましてその結果かなり不振になっている人を救うとすればどのくらいだろうということの概算をしただけでございまして、今先生のおっしゃいましたようにどのくらいが条件緩和対象になるかということにつきましてのはっきりした推定はいたしておりません。と申し上げますのは、実は、振興計画を立てました農家につきましても、この法律に書いております五年据置・十五年の人と十五年だけの人の推定につきましても、これはかなりふれがあります。でございますので、どの辺が正しいかということにつきましては、われわれも数字自身につきましてはかなり幅を持って考えておりますので、今の三十一年度以降につきましてはあまり正確な推定をしなかったわけでございます。
  25. 角屋堅次郎

    角屋委員 法律改正する、あるいは政策を立てるという場合には、開拓政策の場合で言えば、まず開拓者実態というものに基礎を置いてやらなければならぬ。いろいろお伺いをしますと、開拓者の実情について必ずしも十分な精査の上に立っていないような感じがするわけであります。一口に谷間開拓者というふうに言葉は使われますけれども、谷間開拓者として条件緩和の路線の上に乗せるべき件数が何戸あるかということにつきましても、各級機関を動員して精密な調査の上に立った対象戸数を把握する、その前提に立って必要な法律改正あるいは予算的措置をやる、こういうことでなければならぬと思うのです。これは後ほどまたそれぞれの方々からもさらにお話があると思うのですけれども、私は、やはり、政府資金償還条件の緩和を特別法として制定をされるということであるならば、この機会に、単に振興農家だけに限定せずに、また、同時に、被災による転落農家を一部配慮するというような程度にとどめずに、やはり、従来の入植戸数その他いろいろな条件の中からはずれたものでも、開拓者全般対策という立場から見て必要なものについては対象農家の中に入れてくる、こういうことでなければ、この条件緩和法案は実際に実を結ばない、こういうふうに考えるわけです。この点は今後の政策を通じて本法案の最終結論を得る際までに十分検討しなければならぬ、かように思われる。  なおまた、この条件緩和程度の問題でございまするけれども条件緩和対象になるというのはきわめて悪条件下にあるわけでございまするから、なるべくあたたかい措置をするという立場に立たなければならぬ。そういう点から見ますと、わずかばかりの金も取り立てるというような気持でなしに、たとえば、この条件緩和によって変更する場合、変更後の据置期間についての利子を徴するという第一条第一号の二にありますところのこれらの問題についても、この際温情ある措置をもって据置期間後の利子というものは思い切って無利子にする、そしてすみやかな立ち上がりをはかる、こういう配慮が必要であったと思うのであります。これらの点についてこの法案作成の際にどういうふうに検討されたか、お伺いしたい。
  26. 伊東正義

    伊東政府委員 先生のおっしゃいました金利の問題、そのほかに、延滞金でありますとか、あるいは未収になっておる金、実はいろいろ問題がございました。われわれもいろいろ議論したのでございますが、これらにつきましても、たとえば、過去の認定済みで未収のもの等につきましては一時に支払うという建前でございますが、これを元本に加えた上で十五年なりあるいは二十年という期間で払っていくということは、やはり開拓者にとっては有利でないか、実はそういう判断をいたしまして元加ということをいたしたのでございます。金利の点につきましては、先生のおっしゃいますように、あるいはこれをその間は利子を取らぬ、あるいは二分の一にするとかいうことも、いろいろ議論の過程においては出た問題でございますが、結局、開拓者にとりましては今度の五年据置・十五年あるいは十五年という償還条件の緩和は相当条件緩和なんであるから、一つその点は、元本について期間を延ばして条件緩和をすることは、利子を払ってもらっても今までの条件からすればかなり有利じゃないかというようなことになりましてこのふうな法案になっている次第でございます。
  27. 角屋堅次郎

    角屋委員 政府資金償還条件の緩和に対する特別立法の対象になるであろう開拓者の総戸数、そうして、今申しました契約変更後の据置期間中の利子を取る場合の利子総額はどの程度、無利子にすればどれだけのものを考慮しなければならぬのか、こういう点、計画の立案過程で十分検討してあるかと思いますので、数学的にお答えを願いたいと思います。
  28. 伊東正義

    伊東政府委員 どのくらいの戸数が対象になるかということにつきましては、実は、先ほど申し上げましたようにかなりのふれがございます。いろいろな推定ができるわけでございます。開拓の要振興農家となっておりますのが九万五千戸ございますが、一番高い推定でいきますと八万五、六千戸くらいの推定も一つ数字として出てきます。そのほか、六万台くらいの数字とか、いろんな数字が出てきますが、実は、やり方として、個人々々を取り上げまして、そうして収入からいろいろな経費なりあるいは家計費というようなものを全部差っ引いていきまして、それが償還条件を緩和したあとの政府の年々の償還よりも小さい場合には延長するというような形でやります。     〔委員長退席、田口委員長代理着席〕 個々の農家対象でございますので、数字についてはかなりなふれがございますが、大きい数字でいきますと八万六千くらいの戸数が実は出ております。ただ、この基準につきましては、まだ大蔵省と最終的には詰まっておりません。きょう差し上げました省令案、政令案の備考に、まだ農林省の案であって最終的な結論になっておりませんということを注記してございますが、われわれとしましては、農林省考えているような条件でいきますればあるいは今の高いような数字が出てくるかもしらぬという推定をいたしております。  金利につきましては管理部長からお答えいたします。
  29. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 条件緩和対象になる開拓者戸数というものは、基準をまだ検討中の段階で、そのきめ方によっては相当動いてくると思います。われわれとしては、今局長からお答え申し上げましたように、要振興農家相当部分、大体九割程度がこの条件緩和対象になるようにといったような気持で何とか措置していきたい、こういうような考えでおりますが、そういう前提で、その利子分がどうなるかこういうことを推定してみますと、据置期間中における利子分、徴収する分が大体四億程度に相なる、こういうふうに考えております。それは据置期間中の年間の利子でございます。大体それくらいになるのじゃないかと推定いたしております。
  30. 角屋堅次郎

    角屋委員 貸付金にかかわるところの未納の利子及び延滞金、こういうものをある程度減免するという考慮に立ちますと、計数的にはどれだけの額を見込まなければならぬのですか。
  31. 伊東正義

    伊東政府委員 延滞しておりますものの利子は約八億くらいでございます。
  32. 角屋堅次郎

    角屋委員 未納の利子は。
  33. 伊東正義

    伊東政府委員 今どうも言葉が足りませんでしたが、未納になっております利子が約八億くらいでございまして、いわゆる延滞金は九千万足らずでございます。
  34. 角屋堅次郎

    角屋委員 今の貸付金にかかわる未納の利子及び延滞金の処理問題をどうするかということについては、これは政府が積極的に温情を持ってやるかどうかということと関連をしてきますけれども、最小限、やはり契約変更後の据置期間中の無利子という問題については、この対象になる開拓農家実態から見て当然考えていかなければならぬ。その所要経費というものは、先ほど来お話のありましたような対象農家というものについては、大蔵省と折衝過程にある政令あるいは農林省の省令の中で最終的にはコンクリートになってくるわけですけれども、いずれにいたしましても、その経費は、大きくといいますか、ある程度余裕を持って見積もっても四億と言われているわけですから、この辺のところは思い切って措置をするということにしたらいかがなものでございましょうか。
  35. 伊東正義

    伊東政府委員 ちょうど申しましたように、今度の条件緩和につきましては実はかなり今までのたとえば国の債権の管理に関する法律でやりましたものよりも相当有利に考えておりますので、そこまで利子の免除、無利子ということにつきましては実は考えなかった次第でございます。
  36. 角屋堅次郎

    角屋委員 この法律によって、従来のような形で進めていくよりも政府がさらに必要とする経費というものは大体どれくらいになるという考え方ですか。
  37. 伊東正義

    伊東政府委員 質問を了解しがたかったのですが、もう一度お願いします。
  38. 角屋堅次郎

    角屋委員 開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置法を今度設けようというわけですけれども、従来のままで推移していくのではなくて、ここで条件緩和、これを設けるということによって、プラス必要とする経費は幾らになるというふうな考えに立っておられるか。
  39. 伊東正義

    伊東政府委員 今おっしゃいましたのはおそらく事務費その他であろうというふうに解釈したのでございますが、実は、これをやりますためには事務局を中心にして考えております。この法案内容をごらんになりますとおわかりのように、今まで組合単位に貸しておりましたものを、できれば全部個人が引き受けをいたしまして、国と開拓者個人との間の直接貸しをするというようなことで、いろいろ事務費がかかるわけでございますが、これにつきましては、従来より約三千万くらい特別会計の中で事務費を見ているような次第でございます。
  40. 角屋堅次郎

    角屋委員 今の条件緩和の特別措置法の関係では、やはり、対象農家の範囲の問題、あるいは未納の利子あるいは延滞金の処理の問題をどう考えるか、あるいは据置期間中の利子を無利子にすべきかどうか、こういうふうな問題がいろいろ焦点になるかと思うわけですけれども、これは、やはり、この際政府が本腰を入れてやろうということであれば、今計数的に聞いて参りましてもそれほど膨大な経費を要するということでないので、思い切って本法案の集約段階では十分協議をして適切な結論を出すべき問題であろう、こういうふうに思うわけです。  そこで、先ほどの振興農家の問題と関連をして、この際、やはり、開拓営農振興臨時措置法関係の指定朝日の昭和三十四年三月三十一日という問題については、一年の空白がございますけれども、やはり、これは、振興計画の提出期限というものについてさらに来年の三月三十一日まで延期をいたしまして、実情に沿った振興農家対象の拡大、こういうふうなことを開拓営農振興臨時措置法の問題と関連をして考うべきだと思うのですが、これらの検討の経過についてお伺いしたいと思います。
  41. 伊東正義

    伊東政府委員 振興計画の提出期限の三十四年三月三十一日を延長したらどうかという御質問でございますが、これにつきましては、われわれも実は議論をいたしました一つの問題でございます。御承知のように、それまで出ました振興計画の達成率というものが、高いものでは自作農資金等ではほとんど振興計画通り出ておりますが、いろいろ、開墾作業費でございますとか、一番低いものはまだ二、三〇%程度、振興資金も三十五年度まで入れまして五〇%というようなことで、提出期限まできめました振興計画の達成状態がまだそういうような現状でございます。それで、われわれとしましては、この開拓営農振興臨時措置法をやりました場合ににまず対象になったという人につきまして、振興計画に沿った営農の改善をはかって計画達成をするのが第一歩ではないかという見地に立ちまして、この期限を延ばすとかそういう問題、あるいは振興計画自身をもっと大きなものにしまして、たとえば基本営農類型地区くらいのものまでしろという要求もございますが、そういう問題につきましては、これは開拓営農振興臨時措置法全般の問題、むしろ全然新しい法律の体系の問題というようなことにもなりますので、これは、先ほどから申し上げますような審議会で、どうするかということを御議論願った方がよいのじゃないか、現段階では、今出ている振興計画をまず達成することが急務ではないかというような判断をいたしまして、そういう点の法律改正はいたさなかった次第でございます。
  42. 角屋堅次郎

    角屋委員 この開拓営農振興臨時措置法抜本的改正という問題については、これは、福田さんが農林大臣になられて以降にも、開拓者の諸君に、根本的に一つやりたいと考えている、こういうことを言明もされており、従って、この抜本的改正の問題については、開拓者の皆さんからいくと大きな期待を持ってながめておった。現実に出て参りました改正の中身を見てみると、国の災害資金融資措置の問題、あるいはむずかしい問題については開拓者営農振興審議会の設置を規定いたしまして、そこで一つ検討してみよう、こういうことで現実には逃げている。しかし、おそらく、開拓者期待から言うならば、この機会に抜本的に一つ既入植者安定対策というものを予算的にも法的にも講じてもらって、そしてがっちりとした体制にいこうというような熱意だったと思う。そういう意味から申しますと、戦後の混乱の時期に緊急開拓政策で入った諸君と、あるいはその後だんだんと経験を得、また経済の安定と見合ってパイロット・ファームその他労農類型等のいろいろ改善等によるところの自後の開拓農家との非常に大きな段差、こういうものをいろいろ考えて参りますと、終戦後の入植者全体を通じて今日問題になっております振興目標の問題にいたしましても、あるいは現実に一般農協と比べれば経済法盤のきわめて弱い開拓農協の整備の問題にいたしましても、あるいは今日取り上げている政府資金以外の公庫資金等を含めました負債整理の問題にいたしましても、やはり十分検討して出してこられるであろう、こういうふうに率直に期待しておったろうと私は思う。その期待開拓営農振興臨時措置法の中ではほとんど見られないというふうな結果になったのは、一体どういうところに問題があり、どういう理由に基づいているかという点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  43. 伊東正義

    伊東政府委員 開拓営農振興臨時措置法抜本的改正ということを考えないじゃないかという御質問でございますが、今度御審議願っておりますのは、開拓営農振興臨時措置法だけでなくて、御承知のように、条件緩和の新しい法律も出しております。これは、一つ法律だけでなくて私は、やはり、総合的な立場に立って既入植者安定対策をはかっていくという考えをとる必要があるのではなかろうか。臨時措置法だけの改正では十分でなくて、まずその一部改正のほかに、今度の新しい条件緩和法律を作りまして御審議を願っておるわけでございますが、今先生のおっしゃいました公庫資金の問題でありますとかあるいは開拓農協の問題、これは確かに問題がございます。問題がございますが、実は、金融だけにとってみますれば、公庫資金以外の災害資金営農改善資金に乗りかえ、あるいは個人負債につきましては、実は開拓地に対しましては自作農資金相当大幅に出しております。今年度もまた十五億ということで、振興計画のほとんど一〇〇%に近い自作農資金を出しまして肩がわりをするというようなことも実はやっておるわけでございます。公庫資金につきましては、これは先生のおっしゃるように問題が実はまだ残っておりますが、われわれとしましては、先ほど申し上げました三百十五億の中のほとんど七割以上を占める政府資金をまず対象に取り上げまして考えたのでございまして、公庫資金につきましては災害その他の場合は業務方法書で条件の緩和もできるというようなことになっておりますので、これにつきましては今金利を引き下げるというようなことは実は大蔵当局と話してはおりますが、公庫資金につきましては、そういう条件を若干今までよりも緩和する、将来のものについて緩和するというようなことにいたしまして考えていったらどうだろうかというような考え方をとったわけでございます。また、開拓農協につきましては、実はこれは大きな問題がございまして、一体総合農協との関係をどうするかということでしばしば議論もしたのでございますが、これにつきましては、まず入れもの——入れものと言っては何ですが、それよりも中身の開拓者営農の安定をはかることが先決ではないかというようなことで、そこまで実は手をつけませんでしたが、農協の問題は、総合農協との関係その他を含めまして、次の段階には何とかそれははっきりしたいというふうに考えているような次第でございます。
  44. 角屋堅次郎

    角屋委員 先ほど来の質問に重複をいたすわけですけれども振興計画の提出期限の来年の三月三十一日までの延期ということは、現状においてはこれは困難だというふうに言い得るわけですか。
  45. 伊東正義

    伊東政府委員 三十四年三月三十一日を法律改正をするという問題につきましては、私どもといたしましては、振興計画自身をどうするかというような問題とくるめまして、もっと総合的に考えるべきじゃないか。まず今やることは、今まで出ております振興計画の達成の率がまだ低いのでございますから、これをまず達成するということをやりまして、今申し上げました振興計画そのものをどうするかというようなことと関連させまして、先生のおっしゃいましたような問題は審議会等で検討してもらうのが一番いいんじゃないかというような考え方に立ちまして、法律改正をしなかったわけでございます。
  46. 角屋堅次郎

    角屋委員 今農地局長が言われましたように、振興法による取り上げの基準というものを見て参りますと、これはきわめて低い。たとえば、配分面積が一町二反以下のもので、農業による粗収入額が二十三万円、あるいは一町二反以上二町未満のもので二十五万円、あるいは二町以上二町五反未満のもので二十七万円、二町五反以上四町未満のもので三十万円、四町以上についても数字がありますけれども、要するに、こういうふうなことで、これ以下のものを対象にして振興の必要を認める、こういう考え方に立っておるわけですけれども、そういう意味からいけば、この目標そのものがきわめて低い。それらのものを速急に片づけなければならぬというその意味での説明はわかるわけですけれども、しかし、その後における開拓事業の実施要綱による振興目標というものが、昭和三十二年八月の農林省の見解によりますと、五カ年後に所得おおむね三十五万円、こういうところに目標を置こうということであったり、あるいは振興モデル組合の到達目標というようなことでいろいろ計数的に勘案をされたり、あるいは開拓地営農類型の到達目標というようなことでいろいろ昭和三十三年七月の農地局の見解等も出ておる。そういう段階的な数字を見て参りますと、この要振興農家というものは、目標としてきわめて低いところに停止されておる。この際、やはり、こういう振興農家あるいはその後における営農類型等の到達目標、こういう段階的な経過を踏みましたが、それらのものを一括して、開拓営農振興臨時補職法の抜本改正というような中で、振興目標の制定の問題、営農類型の全面的な検討の問題、こういうようなことが私は今日の段階においてやはりなさるべきでなかったかと思うのですが、その辺のところをもう一つ伺いしたい。
  47. 伊東正義

    伊東政府委員 その後、開拓営農振興臨時措置法ができましたあとに基本営農類型というような考え方を打ち出したことも、先生御指摘の通りでございます。これは、新しく入っていく人につきまして、なるべく、過去の誤りといいますか、あやまちといいますか、せっかく入りましても営農不振になるというようなことを二度と繰り返さぬようにということで、なるべく、新しく入る人につきましては、そういうような考え方で、一応そういうものをモデルにしましてやったらどうかという考えを打ち出したわけでございます。過去に入られた十数万の人につきましては、すでに土地配分も終わり、ある一定の形の営農も実はしておられるわけでございます。これにつきまして、実はこういう人々につきましても類型まで引き上げるべきだというような議論も種々あったのでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、過去の十五万を対象としてやりますことは、これはかなりの大仕事でございます。実は、今やっております振興計画でさえ、達成率といいますのはそう高くないという現状でございますので、まず、私どもといたしましては、第一段階として振興計画を達成するということをやるべきじゃないか。その上で、次には基本類型等の関係や何かをどういうふうに考えたらいいのだろうということにつきましては、これは、開拓政策としましては、相当大きな変換といいますか、ある段階まで飛び上がるというような格好にもあるいはなるかと思いますので、これにつきましては、先般来申しておりますように、審議会その他で練っていただきまして、十分検討した上で、どういう法律で取り上げて、どういうものをやっていくというようなことは、その上にいたしたいというような考えで、現在の段階では開拓営農振興臨時措置法ではその点は触れなかったような次第でございます。
  48. 角屋堅次郎

    角屋委員 この振興目標の制定の問題は、農林省がことしから考えておる過剰入植対策というものと関連して考えてみます場合に、いわゆる振興目標等が抜本的にこの際打ち立てられて、それとの見合いにおいて過剰入植等の対策が出てくるということであれば、終始一貫はしていると私は思うのですけれども、ただ、過剰入植の姿がある、従ってある程度そういうものを間引きすれば経営その他のものも緩和されるだろう、こういうふうな形では、これはきわめて弥縫的な対策と言わざるを得ない。やはり、過剰入植というものに対する対策を立ててくる以上は、それぞれの開拓地における振興目標のようなものをきっちり立てて、それと計画との見合いにおいて過剰入植等の対策についてもやはり積極的に推進をしていくということでなければならぬと思うのですが、農林省は、ことしから実施されようとする過剰入植等の対策というものは一体どういう立場で立てられるのか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  49. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問の点につきましては、われわれ、過剰入植につきまして今年度から初めて七千万ばかりの予算で、間引きといっておりますが、これをやろうということにいたしております。ただ、これは、戸数が三十五年度は六百戸というようなことになっておりますので、おそらく試験的に実施するということになろうかと思うのでありますが、その際の基本的な考え方といたしましては、やはり振興計画というものをもとにいたしまして考える。現在の振興計画の中で、配分面積が少ない、そして面積が過小であるゆえに営農が不振になっておる、それで増地をしてほしいというようなことが実は振興計画の中でも出てきておるものがございます。それでありますので、第一次的には、振興計画においてそういう面積が過小であり増地をしてほしいというところの組合対象にいたしまして、その中で今の過剰入植対策ということを考えていこうじゃないかというようなことで、まだ案でございますが、過剰入植対策要綱は、やはり、私どもとしましては、理論的には振興計画と結びつけて、その上でやっていくというふうな考え方をいたしております。
  50. 角屋堅次郎

    角屋委員 どうも、農地局長の御説明をいろいろ聞いておるわけですけれども、振興目標の問題と過剰入植との関連ということについては必ずしも私が期待をしておるような考え方に立っておるようには思わないのです。もっとも、これは、単に開拓地において過剰入植を間引きしなければならぬという条件ばかりでなくて、既設の農村においても、今日の零細経営の緩和という意味からいくならば、これも同様の意味においては、立場はまるきり違った状態でございましょうけれども考えなければならぬ。そういうふうなものをいろいろ考えて参りまして、冒頭に聞きましたようなやはり積極的な開拓政策推進のためのぜん立てというふうなものをなるべく早期にがっちりしたものを立てなければならぬという考え方を申し上げたわけですが、これらの問題については後ほどさらに関係委員からもいろいろ御質疑があろうと思いますので、この程度にいたしますが、やはり振興目標の制定という問題については基本的にこの際考えるべき段階に来ておるというふうに私は強く考えておるわけです。  開拓農協の整備の問題についていろいろお話がございましたけれども政府の方で、弱小の開拓単協の事務能力を強化するというふうなことから、今度各県に一カ所程度の合同事務所の設置というものを考えておるわけですけれども、これは将来ともにさらにだんだんと各県段階のそういうものを整備充実していくということであろうと思いますが、これらの今後の構想というものについて明らかにしていただきたいと思います。
  51. 伊東正義

    伊東政府委員 開拓農協につきましては、御承知のように、ほとんど専従の職員もないという農協が七、八割でございます。農協としてそういうもので一体形態をなすのかどうかというようなふうに考えられるまでに、開拓農協としましては私は十分なものでないというふうに思っております。それで、今年は、テスト・ケースとしまして、今申し上げましたような、先生が御質問になりましたような農協数カ所集めまして一つの統合事務所を作りまして、その上で事務をとっていくということを考えたらどうだろうということで、今年度初めて考えたのでございますが、そういう整備統合といいますか、それと関連しまして、もう一つは、総合農協との関係をどうしていくかということにつきましては、私は整備統合ということは当然やっていくべきである、また、組合の経理の補導でありますとか、そういうことももっと従来以上にやるべきであるというふうに考えております。ただ、総合農協との関係等につきましては、これはいろいろ問題がございますので、もう少し検討しました上で、農林省としては開拓農協と総合農協との関係をこう考えるというふうなことは打ち出していきたいというふうに考えております。
  52. 角屋堅次郎

    角屋委員 今の点で、明年度以降の弱小単協の事務体制強化のための合同事務所をさらに整備強化していくという構想については明瞭でなかったのですが、明年度以降の構想というものをもう少し明確にしていただきたい。
  53. 伊東正義

    伊東政府委員 農協の整備統合につきましては、やはり、将来にわたりましてもそういう考えでやるべきだというふうに思っております。
  54. 角屋堅次郎

    角屋委員 総合農協と開拓農協との関連の問題について、今農林省現状をどう見ておられるか、また、現実に近い将来どういう姿にするかということについては、いろいろ困難な問題があるので今検討しているのだということですけれども、本来ならば、私は、今日の科学の推進状況あるいは経済の状況から見れば、従来のように、開拓三代というような、長い年月を要しなければ一人前にならないのだというふうな古い考え方ではなしに、少なくとも、入植をして早ければ十年、おそくも十五年くらいでは既存農家以上の体制にできるという考え方に基づいての開拓政策というものがおぜん立てされなければならぬと思う。そういう意味からいけば、いつまでも開拓農協という姿で個々の開拓地組合があるのでなしに、そういうふうな一定の段階以降については既設農村とも融合していくという形で全体的な農村の形成をしていくということでなければならぬと思うのですが、今後の一般の農協というものと開拓後の開拓農協というものとの変遷あるいは将来の展望というようなものをいろいろ検討しておられると思うのですが、農林省としてはどういうふうにしていきたいというふうに考えておられますか。
  55. 伊東正義

    伊東政府委員 御指摘のように、いつまでも開拓農協でございます。そういう特別な名前を作るといいますか、既存の農協と融和しない、あるいは市町村の中でも開拓者が市町村の従来の人と融和しないというようなことは、私は非常にまずいことだと思っております。私は、過去におきましてそういう傾向が多分にあったのではなかろうか、——これは農林省にもある程度そういうことになりました責任はあろうかと思いますが、過去におきましては往々そういうことがあり、市町村の反対を押し切っていろいろなことをやりますとか、あるいは県と開拓展協が直接結ばざるを得なかったようないろいろの事情もあったであろうと思いますが、将来におきましては、そういうことではなくして、やはり開拓というものは市町村が希望するような開拓でなければならぬというふうに私も思っております。実は、最近の動きは、市町村当局が非常に開拓に関心を持ちまして、市町村の特定地域開発というようなことにつきましては市町村当局がまっ先に立っていくというような動きになっておりますので、私は非常にいい傾向だというふうに考えております。  開拓農協の将来の問題でございますが、開拓農協の中にも、実は、総合農協以上になりまして、既存農家の人のお世話をしておるところもございます。そういう例もございます。しかし、多くの場合はその逆で、既存の総合農協のいろいろの面でお世話になった方が経済面その他から考えれば非常にいいんじゃないかと思われるようなところが実は多いわけでございます。こういうものにつきましては、まだ農林省の中で経済局と農地局が相談をしてどうということではございませんが、私の考えを述べさしていただければ、なるべく経済的にそうした方が有利だというようなところにおきましては、これはどんどん開拓農協が総合農協に加入をしまして、そこの経済行為はそこでやってもらう、残りました開拓農協は別な開拓者の世話をしていくというようなことも考えられますし、なるべく経済的に実は割り切りまして総合農協との関係考えていった方が一番いいじゃないか、ただ、その場合に一番問題になりますのは、開拓農協の過去の負債の問題等がございますので、いろいろ問題はございますが、開拓農協と総合農協の関係経済的に割り切って考えていくのが筋ではなかろうかと私個人としては考えておるのでございます。
  56. 角屋堅次郎

    角屋委員 開拓農協も、やはり将来の推移というものを考えます場合に、農地局としては既設の一般の農協が開拓農協を受け入れるという場合に、りっぱな嫁だということで受け入れられやすい態勢をやはりちゃんと作ってやっておかなければ、これはなかなか融合ということはむずかしいだろうと思うのです。私は、少なくとも十五年以上たって依然として開拓農協という名前を続けていくという姿は、農林省農地局の開拓政策の貧困を示す以外の何ものでもないと思う。今日の時代に、十五年もたてば、むしろ既設農村以上の新しい営農体制、また、実際に既設農村から見てむしろ開拓地に学ばなければならない、こういう状態にやはり育てるということが必要であろうと思います。先ほど農地局長お話しのように、既設の農協から見ればきわめて開拓農協は悪条件に置かれているという姿は、農地局が十分恩情ある措置をしておったとも思えない。いつでもりっぱに育てて嫁に出るという態勢になぜできないかと言わざるを得ない。事務能力の整備強化のために各県に一カ所程度の合同事務所設置という問題も出ておりますけれども、今日十数年経た段階になれば、将来の展望等も十分にらみ合いながら、年数のたった開拓農協等についてはそういう形でやはり既設の農協と融合していくという、そのための開拓農協の当面の育成強化、いつでも嫁にして受け入れられるような情勢に開拓農協は充実していく、こういうことがやはり一つの重要なことであろうと思うのです。戦後ずっと今日まで二十万戸近くの入植者が入り、離農が五万戸近くありましたけれども、その上に立っておる開拓農協というものを農林省として一体どういうふうに見ておるか。開拓農協は農林省から開拓者に対するパイプ的な役割をするという考え方であるのか、あるいは開拓者に対するいろいろな仕事のいわば農林省の下請機関というふうな考え方でおるのか。その辺のところが、やはり従来の実情を見ると、一切がっさい開拓農協に下請機関的に仕事は背負わしたけれども、めんどうは十分見ない、従って、開拓農協としては、事務能力からいっても経済能力からいっても、きわめて脆弱な状態の中で今日呻吟しているというのが実態ではなかろうかと思う。一体、農林省として、開拓農協というものを開拓者に対するパイプ的な役割として見ておられるのか、あるいはもっと大きな役割を評価して見ておられるのか、この辺のところを一つ明らかにしてもらいたい。
  57. 伊東正義

    伊東政府委員 今おっしゃいましたように、開拓農協の過去の姿を見ますと、何でもかんでも開拓農協というような形になっておりまして、単なる経済行為ということだけでなくて、あるいは一部は市町村の事務的なものまでやってもらう、あるいは補助金をそこを通しまして、いろいろな土地の改良をやりますとかいうことをやってもらう、あるいは開拓農協本来の姿の経済行為というようなこともやられるというようなことで、非常に手広いといいますか、従来の経済的に強くない開拓者が作っている開拓農協の役割としましては相当役目が重過ぎたのじゃないかというふうに考えております。この点は、やはり、開拓農協のやっておられることで市町村当局等にたのむべきことはたのむ、市町村にも一つ開拓の応援をしてもらうというようなことで割り切るべきであり、開拓農協については、やはり経済的に総合農協との関係考えて、開拓者経済的な面を中心に考えていくというのが開拓農協の役目だろうというふうに思いますし、将来もその点につきましては一つ割り切った考え方でやっていきたいというふうに思っております。
  58. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、開拓農協の今後の発展の方向については、やはり既設の農協と融合していくということでなくてはならぬと思うのですが、政府開拓政策が貧困であるという現状においては、そういうことで次々と一般農協の方に入っていって、開拓政策対象となった開拓者自身の力が全体として弱いということになると、いついつまでも残された者が不幸を見なければならぬ、こういうことが一つの別の要因としてあるだろうと思う。いずれにいたしましても、開拓農協の当面の育成強化の問題というのについては、従来から盛りだくさんの仕事を負わせて、そのことによって開拓農協が非常な苦労をし、そして今日経済的にもいろいろな状態から言って苦労しておるという状態を、もっと一般農協に比しても遜色のないという形にまで高めるにはどうするかということについては、真剣に一つ考えてもらいたいと思います。  開拓営農振興臨時措置法改正問題については、先ほど来言っておりますように、私どもは、この機会に抜本的な改正という前提に立って考えてもらいたいと思いましたが、いろいろなむずかしい点は審議会に譲るということで逃げられたけれども、この法案の五条の二の改正条項等を見て参りましても、「政府は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、開拓営農振興組合組合員たる第二条第一項に規定する開拓者で、暴風雨、高潮、こう水その他の異常な天然現象」——カッコ書きの文章がありまして、「により著しい被害を受けたため同条第二項の営農改善計画を達成することができなくなると認められるものに対し」国の災害資金融資措置というものを考える、こういうふうになっておるわけですけれども、これは、「暴風雨、高潮、こう水その他の異常な天然現象」というふうに言っておるのは、解釈として、天災融資法に規定をしておる災害と同様な考え方に立つというふうにわれわれがとっていいのであるか、あるいは、そうでなくて、降雪とか降霜とかあるいは低温または降ひょう等によるものについては、これは必ずしもここでいう対象に入ってないという考え方であるのか、その辺のところは必ずしも明瞭でないわけです。この際、第五条の二の「暴風雨、高潮、こう水その他の異常な天然現象」という解釈について明確にしてもらいたいと思います。
  59. 伊東正義

    伊東政府委員 災害規定を入れましたのは、実は、今まで天災融資法で開拓者等につきましても営農資金が出ていたわけでございます。ところが、過去の例等を見ましても、なかなか天災融資法だけでは開拓者に円滑に行き渡らぬ点も実は出て参りました。そういうことで、これは天災融資法を補完するというような意味で、振興農家につきまして災害の場合に何とか考える必要があるのじゃないかというようなことで、特に昨年度の災害等を契機にいたしましてこの問題を取り上げたわけでございます。天災融資法の補完ということで考えましたので、原則といたしましては、天災融資法は肥料代でございますとか飼料代とか経営資金でございますが、今度の御審議願っておりますのは、原則としましては施設災害ということを頭に置いて考えておるわけでございますが、先生から御指摘のありましたのは、施設には全然被害がない、まあ冷害等で考えてみますと、家屋でございますとか農畜舎とか、そういうような施設には被害がないが、作物がやられたという場合はどうだという御質問だと思います。こういうものにつきましては、やはり例外的にはそういうものも考える、やはり入るのだというふうに大蔵当局とは話し合いはついております。
  60. 角屋堅次郎

    角屋委員 いわゆる「暴風雨、高潮、こう水その他の異常な天然現象」というのは天災融資法に規定する災害と同様な解釈の上に立って考えていいかという質問に対しては、必ずしも明確な答えがなかったと思うのですが、つまり、降雪、降霜、低温または降ひょう等を含めて考えておられるかどうかという点について、もう少しく明らかにしてもらいたいと思います。
  61. 伊東正義

    伊東政府委員 そこに例示いたしましたのは、大体施設災害が起こるであろうという災害を例示したのであります。そのほかに、例示はございませんが、先生のおっしゃいましたような、たとえば冷害でございますとか、そういうようなもので、施設の災害は全然起こらなかったというものでも、非常に激甚で作物がやられたというような場合には、それは異常災害の中に入るというふうに解釈をいたしておりますので、先生の御質問の通りというふうに考えております。
  62. 角屋堅次郎

    角屋委員 今お話がありましたように、天災融資法の関係では経営資金を力点として考えるということがあったわけです。今度のものはそれに見合って施設資金を中心に考えていきたい、こういうことですけれども、この際、開拓者資金融通法規定するもののほか、種苗関係あるいは肥料、薬剤等の購入資金、その他農業経営に必要な資金というものについても、先ほど来ある程度前提を置いて御説明がありましたけれども、明確に国の災害資金融資措置ということが本法の改正の中には含まれておるというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  63. 伊東正義

    伊東政府委員 お手元に政令の案を実は差し上げております。まだこれも最終決定ではございませんが、そこに実は場合を三つあげてございます。一つは、施設だけをやられたというような場合に出す施設資金、それから、二番目は、施設と農作物がやられたという両方で収入の百分の百以上になったというときでございますが、これにつきましては、施設資金と、今先生がおっしゃいました肥料代でございますとか飼料代でございますとか、そういう経営資金も出す。もう一つは、施設の災害が何もなくて農作物だけがやられた場合には例外としましてやはり先生のおっしゃいましたような経営資金は出すというように、はっきり出し方につきましては財務当局とも話をいたしております。
  64. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいまの点については、政令で一応農林省考え方が出ておるようでありますので、これらの中身と見合って後ほどまたいろいろ関係委員から詳細な質疑があろうと思いますから、この際は省略をいたします。  次に、三法案一つでありまする開拓者資金融通法改正問題についてお伺いしたいと思うのですけれども、これは、北海道の開拓者の場合、あるいはまた内地における一般の開拓者の場合、特に北海道と気象その他の条件ではあまり異ならない東北あるいは北陸あるいはその他高冷地におけるいろんな条件のところ、こういうものをいろいろ考えて参りますと、振興対策資金の貸付、あるいは償還条件というものについて、内地と北海道と区分をして北海道について特別な配慮をするというふうなことでなくて、むしろ北海道に考えられておる寒冷地対策資金の問題についてやはり内地についても同様に配慮していくということが実際に必要じゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、この辺のところは一体どういうふうにお考えですか。
  65. 伊東正義

    伊東政府委員 御指摘の寒冷地対策資金との関係でございますが、これは、寒冷地対策資金が北海道だけに適用になっているという関係からいたしまして、私どもの方も、北海道の開拓者につきまして寒冷地対策資金よりも振興対策資金が不利な条件になっておるということにつきましては、いろいろ議論もございましたので、これとまず均衡をとるということで、一応寒冷地対策資金が貸し出されます地域と同じ地域ということに限定をいたしたわけでございますが、将来の問題としてはもっと検討をすべきことがあろうというふうに考えております。
  66. 角屋堅次郎

    角屋委員 年賦償還金の支払いの問題ですけれども、これは、開拓者資金融通法改正の場合、あるいはまた政府資金償還条件の緩和に対する特別法における年賦償還金の支払い期限の問題について、法案あるいは政令等の状態から勘案をいたしますと、いずれも十二月三十一日という考え方に立っておると思うのですけれども、これの三月三十一日という従来の考え方を改められた根拠を明らかにしてもらいたい。
  67. 伊東正義

    伊東政府委員 今の特別会計法で参りますと、開拓者償還したものをまた財源に充てていくというようなことになっておりまして、実は従来は三月等に相当償還がございました。しかし、これは現実には開拓者に貸し出す財源にはもう時間的余裕がなくてできなかったというようなことがございます。その点と、もう一点は、やはり、でき秋に返してもらう方が開拓者にとってもいいじゃなかろうかという、この二つの点から判断いたしまして、十二月三十一日に返してもらうというふうに今までの三月三十一日を直して改善していきたいというようなつもりでこの規定を変えた次第であります。
  68. 角屋堅次郎

    角屋委員 今説明のような、でき秋にとにかく金を集めるということは、金を集める場合に集めやすいという問題と、明年度以降の貸付金にも使いたいという政府考えは理解ができるわけです。しかし、開拓者の場合には、そういう政府考え方以外に、そうなれば、十二月三十一日に支払う場合と三月に延びた場合の支払い条件については、期日その他いろいろの問題でプラス・マイナスの部面ができてくるというようなことで、希望としてはやはり三月三十一日ということにできないかという意見現実には率直に言ってあるわけです。これらのところは、変更することができるものであるか、あるいは十二月三十一日というものはなかなか変更しがたい期限であるのか、その辺のところはいかがですか。
  69. 伊東正義

    伊東政府委員 御指摘の点でございますが、私どもとしましては、この方がむしろよりよいではないかという判断で今の規定改正したような次第でございまして、できればこれで御審議をお願いいたしたいというふうに考えている次第でございます。
  70. 角屋堅次郎

    角屋委員 いろいろ質問しなければならぬ点も多いわけですけれども離農者償還未済分の処理をどうするかという問題について、本日、「開拓地における離農者の状況及び債務の処理について」という資料もいただいておるわけですけれども現実のこれら離農者償還未済分の処理、あるいは従来の処理状況ということについて少しく御説明願いたいと思います。
  71. 伊東正義

    伊東政府委員 従来離農者につきましてどういう措置をしていたかということにつきましては、お手元に差し上げてございます資料の七ページにありますが、国が出しております開拓者資金につきましては、承継入植者がございます場合には承継しておりますが、そういう人がない場合には一時繰り上げ償還というようなことをいたしております。しかし、そういたしましても納入ができぬという場合には、法律によりまして和解を行ないましてそしてその上で履行延期をしていくというような形をとっておるわけでございます。そうしまして、ここに書いておりますように、離農者に対します国の債権は七億ほど残っておりますが、そのうち四千四百万くらいが離農者から収納される見込みだというのが、国の開拓者資金離農者に対する今までの措置並びに債権の残額でございます。災害経営資金なり営農改善資金等につきましては、これは中金から出ている金でございまして、どうしてもとれぬという場合には、御承知のように損失補償の措置を講じておるわけでございまして、現在までに償還不能開拓者の分としまして損失補償をいたしました額は、八ページにございますが、二千六百万という損失補償をいたしております。自作農資金につきましては、これはまだほとんど例がございませんが、担保物件がございますので、これは残っております開拓農協なりまたは地元の町村に売買のあっせんをしてもらう。これは土地がおもでございます。そして、そのあとで公庫に支払ってもらうというような形をとっておるわけでございます。そのほかの系統資金につきましては、これは保証人も立てておるということでございますので、離農しまして払えぬという場合には保証人に請求をしていくというような場合がございますが、大体の場合は、承継入植者債務を引き継ぐというような方法をとるということ、大部分はそういうことでなかろうか、あるいはほかの残った人が払ってやるというような形という場合もあろうと思うのでございますが、こういうものにつきましては、どのくらい、どうなっているというような調査は実はまだございません。  今後の離農者の問題でございますが、これは間引き対策の場合にも問題になるわけでございます。それで、やはり、国の債権につきましては、従来と方法は同じでございましてやはり一時償還をするか、あるいはできれば和解をするというような形になろうかと思いますが、今度出します一種の離農の場合の補助金、それから、離農していきます場合に、土地を売り払う代金でございますとか、あるいは家畜・家屋を売り払う代金、そういうふうなものでなるべく国のものも払ってもらうというようなことにしてもらいたいというようなことで、補助金も出していくというような形をとったような次第でございます。
  72. 角屋堅次郎

    角屋委員 この離農者債務の問題について、開拓者資金の問題にいたしましても、あるいは災害経営資金営農改善資金、自創資金あるいは農林漁業公庫資金及び農林中金資金等の問題にいたしましても、実際の開拓地実態として、これらの政府資金なりあるいは系統資金なり、そういう債務が、残る者とあるいは離農した者との区分ということが明確にできておるかどうか。実際問題として、開拓農協というものをパイプにしていろいろな金を数多く借りておる現地の実情から見て、どの程度債務の明確化というものができておるというふうに御判断になっておるか。そこを一つ伺いしたいと思います。
  73. 伊東正義

    伊東政府委員 今、先生のおっしゃいました点は、条件緩和法律の中にもございます。個人組合債務を引き受けるという場合、これは非常にいろいろな問題が出てくるだろうと思っております。どの程度組合政府に対する債務開拓者組合に対する債務とがぴったり合うかどうかという問題につきましては、これは実はいろいろ問題があるだろうと思っております。それで、私どもとしましては、そういう過去においてわからない点がかなり多いということが、一つは、開拓者がまた金を借りまして償還をしていくという場合に、自分が債務を負っているのだという意識に欠ける点も出てくるでありましょうし、組合の運営自身としてもまずい点が出てくるだろうというようなことで、この際は一つはっきりしようということで、個人貸しに切りかえるということをやったわけでございますが、先生のおっしゃいました、たとえば不突合がどういうふうに出てくるかということは、実は予想ができかねますが、何かいろいろな理由で、国に返すべき金がたとえばほかの施設になっておった、あるいは別な用途に使われたというようなものにつきましては、はっきりしておりますれば、それはその人の債務ということに引き受けてもらうということを極力いたすべきであり、また、先生のおっしゃった、離農してわからなくなったというものにつきましては、これは一応組合固有の債務というふうに不突合の分としておきまして、それについて将来どうするかということは、また別途考えていきたい、わかるものは極力組合債務ということにはっきりし、行方不明者等ございましてどうしても合わぬというものにつきましては、これは組合債務ということにしておきまして、これをやはり一本化といいますか、これにつきましても元加いたしまして、やはり将来にわたって返してもらうとか、組合債務として残すという形をとりまして、その整理が終わりましたあとで、こういうものについては組合に負担を負わすべきかどうか、その他の点はまた別途どうしても検討する必要があるんじゃないかというふうに考えております。
  74. 角屋堅次郎

    角屋委員 離農者償還未済分の問題につきましては、今局長からもお話しのようなことで、実際に突合していくと、なかなかいずれに帰属するかわからぬというようなもの、あるいはまた、現実離農者に帰属するといたしましても、それがなくなったとか、あるいは行方がわからぬとか、いろいろなものを現実には含んでおる。そこで、離農者債務の処理という問題については、一応開拓農協あるいは今入っておる開拓者からすみやかに分離をして、そうしてその分は開拓地に無関係にどうするかということで考えることが私は必要じゃないかと思う。そういう意味では、場合によっては離農者償還未済分についてはやはり減免措置を講ずるとかいう思い切った考え方が必要であろうと思いますが、いずれにいたしましても、離農者債務の処理については、開拓農協並びに今入っておる開拓者から分離をして、どうするか、こういうことで抜本的に処理すべきものであろうと私は思いますが、農林省考え方の中には、そういう考え方をする場合においてはやはり現実開拓農協なりあるいは今おる開拓者に属する分もそういうことで離農者の方にしわ寄せをされはせぬかという心配をしておる向きもあるやに実は承っておるわけでありますが、そういうことは具体的に処理をしていけばおのずから整理すべきものは整理できるというふうに思うわけでして、この際離農者債務の処理の問題については分離して処理するということにならないものでしょうか。
  75. 伊東正義

    伊東政府委員 今おっしゃいましたように、個人とも離す、組合とも離すという御意見でございますが、一応個人からは離しまして組合債務ということで整理をいたしまして、その上でこれはどうするかということは再検討をいたしたい、今の段階でこれをどうするというところまでは実は至っておりませんが、将来の問題としてこれは再検討したいというふうに思っております。
  76. 角屋堅次郎

    角屋委員 開拓政策の今後の問題にいたしましても、当面の既入植者安定に対する三法案のいろいろな考え方にいたしましても、お伺いして参りますと、この三法案改正をもって約十五万戸の既入植者については明るい見通しのもとにここ数年を出ずして定着できる、営農も安定し経営の近代化にも乗り出せるという確信にはなかなか遠いように思うのですけれども、これは私ども今度の改正法案に大きな期待を持っておった者としてはまことに残念だと思います。この際、最後に政務次官にお伺いしたいと思うのですが、日本農業のこれからの発展展望等から見て、開拓政策そのものについては、やはり国土総合開発の観点からも積極的な推進をやらなければならぬ情勢にあるし、現実に当面既入植者安定対策ということで力を注ぐにいたしましても、おぜん立てだけははっきり準備をし、また予算的にも見通しを立て、あるいは融資その他の関係についても見通しを立て、また、それぞれの地域における営農体制というものをどうすべきかという点についても十分精査をして、そうして農村における体質改善の方向というものに見合っての開拓政策推進ということをやらなければならぬし、また、今の十五万戸の既入植者安定対策についても、これではきわめて不十分だと思うのですが、今後の既入植者安定対策というものも勘案しながら、一つ政務次官のお考え方をお伺いしたいと思います。
  77. 小枝一雄

    小枝政府委員 従来の開拓政策ないし将来に対する開拓政策につきましては、先ほどから角屋委員質疑の中にありました御意見のごとく、私どもといたしましても、これはどうしてもこの方面に力を注がなければならぬということは、日本農業のこれは宿命であろうと思っております。従いまして、この十五万戸に対する既入植者の問題にいたしましても、今回ここに数種の法律案をお願いいたしておるわけでございますが、ただこれに満足するというわけではございませんので、今後、御説のように、困難なる開拓者の現在の立場に思いをいたしまして抜本的な対策を講ずる要あることを私ども痛感いたしておるところであります。従いまして、この法案の通過を願うということは当面の一つ段階でございまして、今後、この問題につきましては、十分検討いたしまして、一日も早く安定する方向に持っていかなければならぬと考えておるわけであります。ことに、また、今後の既入植者でないところの新しい入植に対する考え方でございますが、これは、しばしば御発言の中にもありますように、日本の今日置かれております農業といたしましてはどうしても根本的に考えなければならぬ問題でございまして、従いまして、ただいまの政府でやっております農林漁業基本問題調査会のごときにおきましても、この調査会の内容といたしましても、今後の日本農業を行なっていきます上に、所得差はますますその開きが多くなってくる、ことに多数の人口を農村に包容いたしまして、その健全な発達をはかっていくということにおきましては、あるいは新しい入植者をさらにここに迎え、あるいは現在の既農家をして増反をいたしまして農業の根本的な経営の改善をはかるというような大きい立場からも考えまして、おそらくこの農林漁業基本問題調査会におきましてもこういう問題は一つの中心の問題であろうと考えております。私どもといたしましても、ただいまのところといたしましては、あまりにも現在の既入植者の諸君が困難な立場にありまするので、とりあえず重点的にこれを救済することに全力を注ぎ、将来の問題といたしましては、そういう点に十分思いをいたしまして日本農業としてはどうしても開拓開墾あるいは干拓の方面にも力を注いで増反をはかり、農村の人口をこれに包容するという施策は根本問題であると考えますので、十分検討いたしまして善処するつもりでおります。
  78. 田口長治郎

    ○田口委員長代理 この際御報告申し上げます。去る七日、本委員会は、臨海地域開発促進法案について国土総合開発特別委員会に連合審査会の開会申し入れをいたしたのでありますが、国土総合開発特別委員会におきましては、来たる二十日水曜日午後一時より連合審査会を開催いたしたいとの連絡がありましたので、念のため御報告いたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十五分散会