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1960-03-15 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十五日(火曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 永田 亮一君 理事 本名  武君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       今井  耕君    金子 岩三君       金丸  信君    笹山茂太郎君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君       松岡嘉兵衛君    松田 鐵藏君       八木 徹雄君    赤路 友藏君      茜ケ久保重光君    久保 三郎君       中澤 茂一君    松浦 定義君       山田 長司君    神田 大作君       中村 時雄君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         農林政務次官  小枝 一雄君         農林事務官         (農林経済局長)坂村 吉正君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         食糧庁長官   須賀 賢二君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局審査部         第一審査長)  八尋  昇君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    志場喜徳郎君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      泉 美之松君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      酒折 武弘君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      岡崎 三郎君         農 林 技 官         (食糧庁総務部         検査課長)   中  正三君         通商産業事務官         (通商局次長) 倉八  正君         通商産業事務官         (通商局農水産         課長)     西尾 八起君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 三月十五日  委員足鹿覺君辞任につき、その補欠として久保  三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(ビール麦問題)      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  ビール麦の諸問題について質疑の通告があります。これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 ビール麦の問題でまず最初公正取引委員会お尋ねをいたしたいと思います。  ビール麦取引については、昨年十一月、全国農民連盟と茨城県農協青年連盟代表から、それぞれ公正取引委員会に、ビール会社四社及びこれらが結成するところの麦酒酒造組合独禁法違反ということで提訴しておるわけでありますが、その後公正取引委員会においてはどういう調査とさらに審議を続けておられるか、その状況についてお伺いをいたしたい、かように思います。     〔委員長退席秋山委員長代理着席
  4. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ビール麦の問題につきましては、ただいまお話がありました通り、麒麟麦酒、日本麦酒朝日麦酒、宝酒造、この四社がビール麦の購入についていわゆる共同行為をしたという疑いがある、それにつきまして去年の十一月三十日に申告がありまして、私の方の委員会におきましては十一月十二日からその被疑事件につきまして調べておるわけであります。すでに関係人等百余人を調べまして、ただいま、その調べた結果を集めまして、そして法律的の一応の結論を出してそれを委員会報告してそれについて意見をきめる、こういう状況になっております。
  5. 久保三郎

    久保委員 それでは、続いてお尋ねしますが、今まで大へん困難な御調査をいただいておると思うのでありますが、特に、ビール麦の問題は、一方は力の弱い耕作農民、片方は独占的な企業であるということからして、たまたま問題がはぐらかされる傾向が多いと思うのです。大へん失礼かもわかりませんが、先般価格協定の問題について提訴があり、その結論は結局価格協定はなかったというようなことで、世間からいろいろ批判があった事件もあったやに聞いております。特に、このビール四社は酒造組合という彼らの独占的な一つのよりどころを作りまして、そういうものをよりどころとして、今日まで買い入れ価格あるいは契約数量というものを一方的に押しつけて参っているようであります。それから、もう一つは、この独占的な立場を非常に強度に利用いたしまして、最近問題になっております農協系統販売、こういうものは一切拒否するというような態度に出ているわけであります。この調査にあたっては、全国的な問題でありますからいろいろな御苦労もあるかと思いますが、やはり徹底的な究明をぜひしていただきたいと思うし、また、その必要があろうかと思います。特に、先ほどお話し申し上げました価格協定の問題については、最近、聞くところによれば、ビール四社あるいは麦酒酒造組合は、価格は大体偶然の一致である、こういうようなことを言っているようでありますが、これについては御調査の結果それぞれいろいろ証拠もお集めになっていると思うのであります。この価格協定については証人もたくさんおることであるし、事実もございますので、これはやはり前にあったと同じ事件のようにごまかされないように、一つ徹底的にやっていただく必要があるし、また、そういう徹底的な究明が可能であると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  6. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまの御意見、ごもっともでありまして、われわれといたしましては、どこまでも、独禁法を公正に運用するという意味においてまた、消費者中小企業者利益を擁護するというような立場から、できるだけ公正にやっていきたいし、また、やり得ると考えております。
  7. 久保三郎

    久保委員 続いてお伺いしたいのは、最近また聞くところによりますと、ビール四社というか、ビール会社及び酒造組合は、こういう契約栽培をやっても農民には不利益を与えていないのだから、提訴の理由はないということを言っているようにも聞いております。ところが、調査の結果、すでに御承知かと思うのでありますが、昨年この整粒規格を二・二ミリから二・五ミリに上げ、それによって相当ビール会社利益を受けているにかかわらず、耕作農民については何らの補償もしてないというようなこともあります。さらには、ある一つの、稲敷郡の農協の例を引きますと、自分たちの今までの耕作契約を、勝手にビール会社同士が受け渡しをしてこれを減らしてきたというような事実もあるわけであります。それで、この整粒規格でございますが、これまた御承知かと思うのでありますが、従来、二・二ミリ時代から、ビール会社は、製造過程において二・五ミリ以上のものを一番麦と称し、二・二ミリ以上のものを二番麦と称して、それぞれ製造原料に充てていたわけであります。ところが、去年整粒規格が引き上げになれば、当然ビール会社はそれによって相当な利益を得ているわけです。しかも、この二・五ミリから落ちたものが残麦ということになり、規格外になります。残麦というものは引き取らぬという。その残麦をどういうようにして買うかというと、御承知かと思いますが、それぞれの農協に行きまして、一応の契約栽培と称するものの買い上げが終わったあと価格を落として買っておる。普通四百円前後を大麦価格プラスして買うわけでありますが、この残麦は大体百円程度プラスして買ってくるというようなこともやっているわけなんです。こういう規格外の問題も非常な不利益を与えている、こういうことなのです。こういう事実は、彼らの言明とはもうまるきり反対なのでありまして、これは見のがし得ない事実が相当あると思う。こういうことについてはやはり相当お調べになったと思うのですが、どうでしょうか。
  8. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ビール麦規格が、おととしでございますか、二・二ミリから二・五ミリに上がったということは承知いたしております。ただ、われわれの方がどういうふうに調査しているかという調査内容でありますが、これはまだ結論も出ておりませんので、ことにこれは刑事事件に類似する事件でありますからして、御質問のところは十分考えられますが、その報告は一応遠慮さしていただきたいと思います。
  9. 久保三郎

    久保委員 価格協定一般的には非常にとらまえにくい問題かと思うのであります。先ほど申し上げたように、本件については幾多の事実も存在するわけでありますから、これはやはり相当お調べになったと思うのですが、大体お調べになった対象はどういうところでございますか。
  10. 八尋昇

    八尋説明員 ただいまの御質問でございますが、十二月の十二日に正式に審査事件として取り上げまして、農協麦耕運その他の耕作者の方の関係の方七十九人、それから、関係官庁でございます大蔵省、国税庁農林省食糧庁、県庁、食糧事務所、そういう方面十九人、及びビール会社四人、それから酒造組合を含めまして百四名の方に供述していただいておるのであります。それから、なお、そのほか種々の資料を各方面からちょうだいしております。
  11. 久保三郎

    久保委員 そういたしますと、大体御調査はもう済んで、これから一応の委員会にかける段取りになっておるのでしょうか。
  12. 八尋昇

    八尋説明員 大体あらかたの資料はすでに得られましたので、こまかいところを細密に検討いたしまして、今取りまとめの段階でございます。まあ四月中には委員会に御報告ができる、こういうふうな見通しを立てております。
  13. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、結審は大体四月中というふうに予想できましょうか。
  14. 八尋昇

    八尋説明員 四月中に公取委員会の方に御報告いたしますので、委員会の方での結論にどのくらいかかりますか、少なくとも麦の実際の収穫ができるまでには何らかの結論は出していただきたい、事務局の方ではこういうふうに考えております。
  15. 久保三郎

    久保委員 これは要望になりますが、現在、耕作農民は、御案内通り一つの不安というか、そういうものがございます。よりどころは公正取引委員会で公正な結論を出していただいておさばきをいただくということを待っているわけなんです。これはやはり御無理かもわかりませんが、一日も早く結審に到達してほしい、こういうふうに私は思うわけです。いかがでしょう。
  16. 八尋昇

    八尋説明員 各担当官とも非常に一生懸命にやっておりますので、私どもとしては、しっかりした御報告ができますように、そういうふうに努力いたします。
  17. 久保三郎

    久保委員 ただ、最後に申し上げたいのは、先般あった価格協定の問題も、これは公正取引委員会権威をどうこう言うわけではございませんが、一般の感じとしては、どうも政治的な圧力がかかってこれはそういう結論が出たんだろうというふうに推測する向きが多かったのは事実です。私もそういう考えを持った一人であります。しかし、それによって公正取引委員会が不公正な結論を出したとはあえて申し上げませんけれどもえてしてそういう政治情勢にございますので、しかも政治的には力はビール四社はございます。耕作農民はあまりないということなのでありまして、やはりこれはどこまでも疑問があれば徹底的に究明していただいて、公正取引委員会の尊厳というか権威を維持することは当然でございますが、それと同時に、世間一般がやはりそうだというふうに納得されるような結論に到達するように、私は強く希望しておきます。そのためには、政治的圧力などは一つ皆さん立場から排除していただきたい、こういうふうに希望しておきます。  それから、続いてお尋ねしたいのですが、麦耕連でございますが、麦耕運独禁法第八条の事業者団体規定に違反していると思うのでありますが、いかがでしょうか。
  18. 八尋昇

    八尋説明員 麦耕連について御質問がございましたのですが、審査中でございますので、そういったことを申し上げるのはごかんべん願いたいと思います。
  19. 久保三郎

    久保委員 審査中でありますから、違反しているかどうかということをお尋ねするのはちょっと工合が悪いかと確かに思います。それでは、麦耕連事業者団体規定に照らして現在審理中でございますか。
  20. 八尋昇

    八尋説明員 麦耕連をも含めまして、一切この四社の価格協定その他の協定締結に関連するものは一切調べております。
  21. 久保三郎

    久保委員 それでは、次に農林省にお伺いします。  まず第一にお尋ねしたいのは、ビール麦栽培取引は一言に契約栽培と言われておりますが、契約栽培をどういうふうに農林省は解釈しておられるか。
  22. 増田盛

    増田(盛)政府委員 ビール麦におきます契約栽培に関しましても、一般にいろいろな特約栽培の形がございまして、その一環としていろいろな形があるだろうと思うのであります。しかも、この場合におきますビール麦栽培契約に関しましては、数量価格、あるいは年々の豊凶がございますのでそれに従って増減すること、こういう内容が主要な中身になっているように聞いているわけでありますが、こういう契約栽培も私は通常の取引の形におきましてやはりあり得るものと思います。
  23. 久保三郎

    久保委員 特約栽培というのはとにかく約束して栽培することでありますが、こういう約束は、一方的に押しつけられる栽培約束でしょう。一方的に価格数量も押しつけられるという実態、これはやはり特約でしょう。いかがでしょうか。
  24. 増田盛

    増田(盛)政府委員 この場合に、一方的にもし契約内容が押しつけられたものであるということが事実といたしますと、やはり、われわれが考えておりますような契約栽培としては好ましくないのじゃないかと思います。それで、いろいろな他の農産物に関しまして取引形態があるわけでありますが、普通におきましては、やはり対等の立場に立って、いわば団体交渉のような形によって契約上の諸条件をきめていく、こういうことが好ましいものだ、しかも適切なものだと考えております。
  25. 久保三郎

    久保委員 ところが、実態は御承知通りであります。農林省としてはこういう特殊な農産物に対する栽培販売についてどういうお考えを持っておるのですか。
  26. 増田盛

    増田(盛)政府委員 いろいろな形におきまして農産物取引が行なわれておるわけでございまして、こういう場合に、きわめて取引の迅速をとうとぶたとえば青果物のような場合におきます取引マーケット中心にしてやっております。相手方が特殊な工場であって、しかもその原料を供給するような場合におきましては、私どもは、進んだ取引形態といたしましては、一方では生産者組織化、すなわち共販体制の確立をできるだけ進めていくという前提も一つあろうと思いますが、半面におきましては、やはりそういう生産者が一定の組織のもとに代表者を出して、それが対等の立場相手方と交渉して取引条件をきめていくというやり方だろうと思います。たとえば、最近北海道で行なわれておりますビートの取引等におきましては、これは形といたしましては共販体制という形をなかなかとり得ない性質でございまして、そこまでは行っておりませんけれども契約条件の取りきめにおきましては、耕作者委員会が対等の立場会社側と折衝して取引条件をきめておりますし、こういう例はその他の繊維作物にも見られるわけでありまして私は、あくまでも形よりも実態としてそういう形を整えていくということが大事なことだと思います。
  27. 久保三郎

    久保委員 お話がありましたが、大体においてこういう買い入れ先が独占的な立場にあるというものについては、今後新たな観点から考えていく必要があろうと私は思います。一般マーケットで売れるものではないとすれば、やはりきっちりした契約栽培というものを確立すべきだと思うのです。特に、御案内通りビール生産事業というものは年々伸びていく。そして独占化しつつある。酒が減ってビールがふえてきた。大体、酒を作る酒造会社あるいは酒造家、こういうものは中小企業で小さいものが多い。ところが、ビールは大体小さい資本ではできない。一つ工場を作るにも数十億の設備が要る。そういうことになりますと、今日あるところのビール四社のうちでも特に三社は独占的なものです。酒造高を見ても、ビール三社が一応九九%で、残る一%は宝なのです。その宝がわずかに余ぜんを保っている格好なのです。しかも、これが、先ほど申し上げたように新設に大体数十億かかる。もう一つは、一般にそれを宣伝するには相当な努力が要る。この二つを考えますと、これは、当分の間、ビール三社を中心にした酒造会社組合、これが日本ビール独占形態を強化していくと思う。ところが、一方、生産の方、耕作農民の方を見てみると、麦作改善とか農林省はいろいろおやりになっていただいているというお話でありますが、特に、麦作改良の中でも優秀な麦作に希望をつなぐほかなき農業として、ビール伸びていく今日、四百円前後のプラス・アルファがついても少し採算に合わぬでも、将来の伸び考えてここに一つ麦作に期待をかけてやろうというようなことで、結局思わざるところで独占ビール会社支配下に属しておる格好が今日の問題であります。単にこれは麦耕連から系統共販に移すというようにルートを変えるということだけの問題ではなくて、むしろ独占ビール会社に対する耕作農民の問題だと思うのです。そこで、私は、先ほどお話があったのと大体同じかと思いますが、こういう特殊な作物栽培あるいは契約というものは、法に欠陥があるとすれば――足りないものはたくさんあります。そうだとすれば、農林省はやはり一つ契約栽培の型を作って法によって守ってやるということをしなければ、自由化のあらしが吹いてくるというときにとうてい農民を守ることができないのであります。だから、今日は理屈の段階ではなくて現実にそういう場面に来ているということを一つ考えてほしいと思うのですが、どうでしょう。もう一ぺんくどく結論を申し上げますと、こういうマーケットの商品にはならぬ独占的なものである、こういう特殊な作物については契約栽培の制度を法的に確立してやるというような気がまえが必要だと思うのだが、農林省はどう考えるか。
  28. 増田盛

    増田(盛)政府委員 まず、ビール麦に使用されております作物は最も取引形態が独占的になりやすい形のタイプであると考えられるわけでありますが、その場合におきましては、やはり、その基底になるのは、何といいましても生産者側の団結、いわゆる共販体制等に盛り上がってきた組織化だろうと思うわけであります。私ども、こういう点に関しましては、農林省で、畑作振興が叫ばれて以来各種作物に関しましてやはり取引形態が独占的になりやすい性質作物に関しましていかなる取引形態がいいのかという点でいろいろ検討はしておるのでありますが、まだ結論を得ておらないわけであります。これは単に公正な取引形態というだけではないのでありまして、低落しがちな畑作物あるいは特殊作物価格維持という観点からもきわめて大事なわけでございます。現在検討中でございまして、役所が公の権力的な手段でどうするというところまで実はまだ検討いたしていないわけであります。ただいまお尋ねの法的にはっきりルートを定めて保護の手を伸ばしたらどうかという御質問に対しても今すぐそれを実行するということは言えないわけでありますが、大体、態勢といたしましては、やはり、こういう特約的なしかも独占的な傾向に陥りやすい作物に関しましては、せめて政府指導におきましてこの価格維持あるいは取引形態をささえてやるということが必要ではなかろうかとも考えるわけであります。これは今後のきわめて重大な検討事項でありまして、早急に検討いたしたいと思います。
  29. 久保三郎

    久保委員 お話の中で、指導でいきたいというようなお話もあったのであります。指導というのは、それはもちろんけっこうでありますが、従来の指導は徹底を欠いている。たとえば、ビール麦一つを例にとりましても、今まで、こういう問題が出るまで農林省は何をやっていたのですか。ビール麦耕作者に対して、あるいは取引に関して、どういう指導をなさっているか。それじゃそれを一ぺんお聞きしたい。いかがですか。
  30. 増田盛

    増田(盛)政府委員 率直に言いまして、私ども、本問題が発生しまして、特に振興局内部生産行政の面からいろいろ検討したのでございますが、実は大したことをやっておりません。これは、さかのぼりますと、昭和二十五、六年当時に麦一般の統制が解除されます場合にビール麦取引形態も変わったわけでありまして、その当時におきましては、私の方の農産課中心になりまして、生産者組織化にあの集団的な取引栽培を奨励したのでございますが、実は、これだけ問題が深刻化しているという点に関しましては行政庁の方がうかつでございまして、県からの連絡も特になかったわけでございまして、実はそのまま今日まで至っておったわけでございます。この点、私どもも重々反省いたしておるわけでございますが、ビール麦に端的に示されておりますようないろいろな問題が今後各種畑作物に関しまして特に起こってくる場合も想像されますので、私どもは、行政のあり方をこの際十分に反省しまして、新しい角度で出直したいと考えておるわけであります。
  31. 久保三郎

    久保委員 大へん御反省なさって、これからもおやりになるというので、それ以上何ごとも申し上げる必要はないかと思うのでありますが、計画生産という問題も一つ考えて、それから、別に耕作農民だけを守れと言うのじゃなくて、公正な取引を守れという立場からも、法の規制をするべきではないか。先ほどお話のあったように、団体交渉すら満足にできない。それで、耕作農民というよりは耕作農民団体、ある一つ農協が、去年までは朝日だったが、朝日会社から、お前のところはことしは宝に譲ったから一つ宝契約してくれというような不当なことをやられていては、団体交渉も何もないんですね。価格にしても、どこも同じで、四百円前後のプラスだ。これも一方的な押しつけです。しかも、価格そのものも、あとでまた聞きますが、問題がある。これを考えると、私が今申し上げたような観点から、積極的にこの法律なら法律を作るようにやるべきではないかと思うのです。大体において日本経済伸びとかなんとかは大へん早く出して、それがときたま当てずっぽうではずれる場合が多いのが日本政府仕事のようでありますが、そんなことは実際のことをはっきり言うとどうでもいいのです。伸びがどうあろうと、どうせはずれる仕事でありますから。目先の問題をまず第一にとらえて、今まで何もおやりにならなかったということなら、将来に対する展望くらいは、たとえば畑作はどうあるかということくらいは各部局において考えてしかるべきだと私は思うのです。全体はどうせ当てにならぬ話ですから、せめて農林省農民の経営というかそういうものの展望に基づいて積極的な施策を考えてもらいたい、こう思うのです。  そこで、続いてお伺いしますが、整粒規格の変更ですね。これは食糧庁でございますが、これは二・二ミリから二・五ミリになったので、先ほど申し上げたように、ビール会社はこれで非常な利益を得ていると思う。今までも、整粒規格が変わる以前から二・五ミリ以上が大体八〇%か九〇%あるものは一番麦として醸造に回す、二・二ミリ以上のものは二番麦、それ以下は三番麦と称して飼料に回す、こういうことになっておった。そうしますと、二・五ミリに上げれば、これは当然ビール会社利益を得るわけなんです。これは、先般神田委員最初に御質問申し上げたときに、大体大麦はそういうふうになってきたから改正したのだ、こういうことでありましたが、どうも、われわれが見るのでは、ビール会社の要請にこたえて規格を上げていった。なぜならば、これに対する裏づけは何もない。しかも、先ほど言う通り、二・五ミリから落ちたものは残麦と称する。そして、それじゃ残麦は買っていかないのかというと、これは別なルートで百円増しくらいで買っていく。もう一ぺんお尋ねするが、整粒規格は何のためにやったのか、はっきり御答弁いただきたいと思う。
  32. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいまビール大麦のふるい目規準を二・五ミリに引き上げたのはどういう理由であるかというお尋ねでございます。実は、ビール大麦の整粒は、三十二年産及び三十三年産のビール大麦までは二・二ミリのふるい目規準によって参ったのであります。今お話のございましたように、ビール大麦の用途は特定しておるわけでございまして、この用途の特殊性によりまして、需要者側といたしまして、ビール会社でありますが、これは前々からビール大麦の耕作組合にいわゆる大粒系の品種の奨励を依頼しておったのでございまして、その結果、最近におきましては、栽培されております品種は、ほとんど早生、中生から晩生になっております。つまり、晩生と申しますと粒の形が大きいわけでございまして、そういうふうに作付が転換されて参っております。その結果、出回り品の粒度も非常に大粒化しておるということがございます。これを実際に私どもの方で三十一年産、三十二年産について過去にさかのぼって調べて参りますと、当時実は二・二ミリというふるい目規準でもちろん検査しておったわけでございますが、その粒度の構成を調べてみますと、一等、二等、三等、それぞれありますが、たとえば、一等で言いますと、一番麦、つまり二・五ミリ以上のものが九四・二%というように、非常に高いパーセンテージを占めておるのであります。二番麦が、これは二・二ミリないし二・五ミリの麦でありますが、それが四・八%、それから、いわゆる細麦、これも一%というようなことでございまして、ほとんど二・二ミリ以上というふるい目規準で、その規格で検査しておったのでございまするが、実際は、やはり、そのうちのパーセンテージから申しますと、九〇%以上というものがいわゆる二・五ミリ以上になっておったというような実態になっておるわけでございます。これは三十三年産につきましても同様な数字になっております。いわゆる粒度の構成だけから申しますと、実は、二・二ミリを二・五ミリにする前とあととでは、結局、二・五ミリにする前におきましても、すでにその粒度構成におきましては、実はこの二・五ミリの基準にしても大体合格するというような程度のものになっておったわけでございます。もちろん、その場合に検査はいわゆる整粒工合だけを規格としてやるわけではございませんで、その他、色沢でありますとか、あるいはその他の規格がございまして、それによって、一等、二等、三等、あるいは不合格をきめますので、必ずしも一致するわけではありませんが、そういうような実態になっておった。それから、また、ビール工場におきまして、実際問題といたしまして、自分の工場に入りましたビール大麦をさらに二・五ミリのふるいでふるい分けて麦芽の製造に供しておる、こういうような実態がございますので、それで、私どもの方といたしましては、やはり、ビール大麦取引上は二・五ミリにするということが、取引の進展につれてそういうことをするのが進歩に即するゆえんであると考えまして、それで引き上げたわけでございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 過去にさかのぼって調べても、大体ビール麦は大粒化してきたというので、何ら影響はない、こういうお話のようにとれますが、事実は影響はあるわけです。これは食糧庁の検査の方だけから見ればなるほど不思議も変哲もないようでありますが、中身は、そのふるい目から落ちたのが残麦になる。規格外ですから、そうでしょう。それを買わないなら別ですよ。今までは買ってもらえた。しかし、今度は買わぬのです。買うとすれば別のルートで百円増しで買ってくる。こういう不利益考えないで、規格だけを上げていくということは、食糧庁全体として問題を考えない、ただ単に検査だけの話ですから、これはどんなに見てもビール会社の要請にこたえたというだけであって、片方の立場には一つも立っていない。こういう方針で検査というのはおやりになるのですか。検査というのはどういうためにおやりになるのですか。それからまず聞きましょう。検査は何のためにおやりになるか、そういう規格は何のためにあるのか、それをお聞きいたします。
  34. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいま、検査一般につきまして、どういうことのために検査をし、またどういうことを基準にして検査の規格をきめるのかというお尋ねかと思います。ただ、検査全般につきましてもそうでございますが、特にビール大麦についてもそうだと思いますが、やはり、検査をすることは、取引の基準を打ち立てまして、それによって公正な第三者がやった認定に基きまして、数がそろった一定の規格品について値段をきめて契約し、あるいは取引するということになるだろうと思うのであります。また、その検査規格について申しますと、やはり、生産者と需要者側との間におきまして、どういう規格が一番取引実態に沿うかということで大体きまってくると思いますが、しかし、やはり双方の立場がございますので、私どもの方でそれを認定いたしまして、それできめておるということになっておるわけでございます。
  35. 久保三郎

    久保委員 取引の基準をきめるというのですが、しかも、あなたの方で認定してやるというのでしょう。認定の場合は価格考えない認定というのはあるのですか。
  36. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 その検査の規格と、それから価格関係ということになるかと思いますが、ビール大麦の場合におきましても、検査規格を改正し、たとえば今の二・二ミリを二・五ミリにしたというようなことになりますと、これは検査規格が上がったということになります。そして、この検査規格の改正によりまして品質は向上しておるわけでございますから、従って、これと価格との関係につきましては、私ども考えといたしましては、実需者というか、需要者側といたしましては、もし同一の需給条件というものを前提といたしますならば、その需給条件のもとにおきまするならば、加算額、たとえば今までのビール大麦についての特別の加算額をつけて買っておるわけでございますが、それを引き上げるのが通常ではないか、こう考えておるわけでございます。ただ、実際問題といたしまして、いわゆる価格、また加算額を含めての価格でございまするが、その価格というものは、実は需給事情ということが前提になっておりまするので、その需給事情というものは実は毎年変動するわけでございます。ただ、一体需給事情がどの程度変動したらどの程度価格に響くかとか、あるいはまた規格がどれだけ上がるかということの相関関係できまるということになりまするので、私どもといたしましては、やはり、先ほど申し上げました同一の需給条件、大体ほぼ同じような需給事情のもとにおいてならば値段を上げるのが当然ではないか、通常ではないかというようなこと、そういったようなことを生産者それから需要者側との話し合いの結果契約してきめるわけでございますが、私どもの方では、そういった考えを十分に当事者に伝えまして、当事者双方が十分にお話し合いの上で契約をきめていただきたい、こういうふうに考えまして注意を促しておったわけでございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 あなたのお話を聞くと、何かよそ様の話をしているようなんです。需給には変動があるからというようなことで、あなたはビールの麦の伸びとかそういうことをあまりお考えになっていないのですか。農林省のお役人として、趨勢はどうなんだろうというようなことを考えないで、需給には変動があるというような、何かどこかの大学の講義みたいなことでいいのでしょうか。年々歳々ビールの需給はだんだん伸びているじゃないですか。  それから、買い入れする者と売る者とがお話し合いの上で云々と言いますが、今日のビール麦取引形態がどういうふうになっているかおわかりにならないはずはないのでありまして、そういう場合に一方的に整粒規格を上げればどうなるかということは、普通の人なら当然おわかりのはずなんです。もちろん、あなたの職務外だとおっしゃればそれまででありましょうが、農林省全体といたしまして、規格を上げればどうなるかということを考えなければならない。規格だけを上げていけば、これは当然農民は損をしていくということでしょう。ビール会社は得をするということでしょう。品質は二・五ミリになったから向上をした。向上をしたなら当然裏づけがあるべきはずです。ところが、全然ないでしょう。こういう点についてあなたの方は何も考えなくてもいいのですか。ただ、今のお話のように一般論として考えて、現実には二・五ミリが普通である、こういうふうに考えてお上げになったのですか。
  38. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 実は、ビール大麦価格の問題は、これは、もちろん、御承知のように政府の公定価格できめておるわけではございません。従いまして、私どもの方といたしましては、契約の両当事者に十分その事情なりをお話しいたしまして、契約当事者の間できめていただく以外に手がないということなのでございます。私どもといたしましては、美は、この規格を改正いたしましたときにも、これは、ビール会社に、それからまた、私どもといたしましては生産者代表するものと考えております麦耕連の方にお話を申し上げて、大体御了解を得て改正をしたわけであります。実は、私どもといたしましては、当時双方の契約当事者の実情を十分御承知の上で契約をなさるものだと期待しておったわけでございます。また、今回問題になりましてからも、いわゆる両当事者に対しまして、あらためて、その事情につきましても、先ほど申し上げておりますような私ども考え方、これを申し述べまして、また再考を促すというようなことで労力はして参ったつもりでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 今の最後の、両当事者にお話をして再考を求めることに努力したと言うが、どういう効果がありましたか。最近とはいつのころ話したのですか。
  40. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 たしか、日ははっきり覚えておりませんが、今回のビール麦の問題が起こりましてから直ちに、私どもの方ではビール会社なり麦耕連、全販、それぞれに対しましてこういったような私ども考え方を申し上げたのでございます。これはビール麦問題が起こってからでございますから、昨年の十月、十一月ごろじゃないか、こう思います。
  41. 久保三郎

    久保委員 そこで、そのときに、値段の問題についてビール会社が何という返事をしましたか。
  42. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 その当時、実は、私直接話してやったわけじゃございませんので、部下にやらしたのでございますから、それから聞いたわけでございますが、ビール会社の意向としましては、やはり、これはいわゆる売買契約に基づいておるのであって、私どもからお話した事情は十分わかりまするが、すでに三十五年産のビール大麦の売買契約につきましては大部分もう契約を終了しておるので、この際としましては一つこのままで参りたいというようなことでございました。しかし御趣旨は十分わかりました、こういうようなことのお話がございました。
  43. 久保三郎

    久保委員 それで、あなたは、農林省としてそういうビール会社お話を了解されたのですか。
  44. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 私どもは、先ほど申し上げましたように、前提といたしまして規格の改定ということはもちろんございまするが、また、一方におきまして、やっぱり需給事情と申しますか、そういったようなことが前提になっておりますので、むげに私ども考えを押しつけるというわけにも参りませんし、また、ただいまビール大麦問題がいろいろ取り上げられておる際でもございまするので、相手方である麦耕連あるいは全販という方の出方と申しますか、そういう方の動きがどうなるかというようなことで、また、その方の動きといたしましてはこれは一つ上げたいのだということでもございましたので、しばらく模様を見ておったわけでございます。
  45. 久保三郎

    久保委員 とにかく、整粒規格を引き上げた問題と、今の価格の問題との責任はあなたの方ですよ。そうでしょう。その責任がなければあなたは努力しないはずなんだ。今お話しのように、努力しているけれども努力が足りないんじゃないですか。これはやはりあなたの方の責任でやるべきだと私は思うのです。買う方は一円でも安い方がいいのでありますから、もう契約は大体したというが、いわゆる麦耕連を通ずるものと、農協を通ずるもの――全販を通ずるものというか、そういうものと二口ありますね。そういう事情で、必ずしも契約が最終的に固定したとは私らは考えておりません。あらためて団体交渉をさせるなり、規格を下げるなりするべきですよ、実際言うと。あなたの方の責任です。  それから、もう一つ、検査でお聞きしますが、下見検査の問題もこの前神田委員からお話がございました。下見検査というのは、あなたの方では麦耕連の御依頼によって出ていくのだそうでありますが、この出張については、先般参議院の方でもお答えがあったようでありますが、正規な出張でお出かけになる、こういうお話のように聞きましたが、そうでしょうか。
  46. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 下見検査は、今お話しのように、いわゆる正式の農産物の検査の以前におきまして、農家の準備といたしまして、いわゆる事前指導ということでやっておるわけでございます。私どもといたしましては、私どもの方の検査官を、いわゆる業務旅費を出しまして、正式に発令しまして現地にやってこれに参加さしておるということでございます。
  47. 久保三郎

    久保委員 この下見検査というものも、お話だけ聞けば、なるほど、下見をして、あと調製が悪ければもう少し調製しろというような指導をされるのだそうでありますが、どうも何か不明朗だと思う。これは検査は一本にしぼるべきだと思うのだが、この点はどう考えていますか。三回も検査がある。下見検査、本検査、今度はビール会社等の検収検査ということなんですね。なるほど、丁寧な検査でありまして、品質向上その他からいけば大へんりっぱかもしれませんが、農民の負担というか、農民の犠牲というものがある。これを考えると、もっと合理的に、だれが見てもなるほどというような検査制度に変える考えは持っていませんか。
  48. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 下見検査といわれております事前指導につきましては、私どもの方では、もちろん、いろいろな事情を考えまして、やった方がいいんじゃないかと思っておりますが、なおまた、いわゆる麦耕連あるいは生産者団体生産者の方々からの御依頼もございましてやっておるわけであります。これをやった場合とやらない場合とでどうかというようなことになりますが、もしこれをやらなければ、せっかく本検査に持って参りました場合に、いわゆる二等だと思ったのが三等になったり等外になるというような問題がありまして、また、そういうことになると、今度は、ビール大麦としては取引されないというのを、政府買い入れ政府に売り渡すためにもう一ぺん検査に持っていく、二重、三重の手間を農家の方におかけするということになる。下見検査というか、事前指導でもって、大体、この程度のものは一等だ、あるいは二等だ、もう少し手を加えればもう一等くらい等級は上がるでしょう、こういうようなこと。あるいは、これではビール大麦としての規格にはずれるから、もう少し調製して下さいとか、そういうようなことをするのが私どもとしては親切だ、こう思っておるのでございますが、しかし、もし各団体あるいは生産者の方々からの御納得をどうしても得ないということならば、これは考え直さなければいけませんが、ただいまのところは、非常にむしろいい効果の方が多いんじゃないか、こういうふうに私ども考えております。
  49. 久保三郎

    久保委員 下見があるために非常に合格率もよくなっておるはずだ、こうあなたはおっしゃいますが、これは局部的かもしれませんが、こういう実例もある。下見で九〇%合格、ところが、本検査ですか、これには七割だ。そうしますと、あなたの言うようなこととはずっと反対になってくる。これでは下見の効果はないじゃないかという実例も一つある。これは一つの例であります。私は全般的につかんでおりませんから何とも申し上げかねるのですが、こういう例がある。これは一人の農家のものじゃない。ある一つ農協のあるその辺一帯の問題です。そうしますと、どうも下見検査というものが何かおかしいじゃないかと思う。しかし、理屈としては、あなたがおっしゃるように、指導して、もう少し調製をよくするとか何かして規格に合うようにして持っていくというための準備行為としては効果があるようには思います。しかし、いずれにしても、このときに持ってくる麦の見本、こういうものも、麦耕連が買い上げるのか何か知りませんが、どこかへ行ってしまうというようなこと。小さい問題かもしれませんが、農民にすれば不可解しごくなしわざです。しかし、最後には一銭でも一円でも高く買ってもらうためにはやむを得ないのだというので、今日まで黙って見てきた。契約が移動されても、これまたやむを得ないということでやってきた。ところが、もうそういう時代でなくなってきた。ぎりぎり決着まできたというのが今日です。だから、検査というものは、そういう観念的なものでなく、実態に合ったような検査に、むしろこの際はもっと勉強して直すべきじゃないか、こう思うのです。私は全部が悪いとは言いません。いい面もあるでしょうが、そういう怨嗟の声、といっては大へん語弊があるが、恨みがましい声が農民の中に出ておる。それを見のがしても検査制度はいいんだということでは通らないと思う。もう少し末端の実態をつかんで検査制度を再検討する必要があると思うが、これはどうですか。
  50. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいまのお話で、下見検査にもいろいろ弊害があるんじゃないかというようなことがございました。私どもとしましては、いわゆる下見検査といわれる事前指導につきましてはさっき申し上げたような考えでございますが、なおまた、いろいろ御指摘のような弊害ということがあるとしますならば、私どもとしましても、今後の事前指導である下見検査のやり方、あるいはまたその下見検査に持ってくるサンプルの処理というようなことにつきまして――このサンプルの点も、私どもの方で正式にやっておるのじゃございませんので、従って、そのサンプルをどうしろのこうしろのという指図をするというところまではできませんけれども、まあ誤解のないように、農家の方によく納得してもらうようなことで処分するというようなところの指導はいたしたい、こう考えております。
  51. 久保三郎

    久保委員 それでは、同じ醸造に使う酒造米の検査はどういうふうにしてやりますか。
  52. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 酒造米の検査につきましては、実はぼんやりしてあまりよく聞かなかったのでありますが、大体下見検査をやっておらないというふうに聞いております。
  53. 久保三郎

    久保委員 ビールだけは下見検査をやって、同じ酒になる米はやらぬでいいというのは、どういうところに理由があるんですか。
  54. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 これは非常にむずかしい問題なんでございますが、酒造米につきましては実は希望がないのでございます。このビール大麦につきましては、実はやってくれという希望があるのでございます。また、同時に、私の方でも、やったらいいんじゃないかと思っておりますので、やっておるという次第でございます。
  55. 久保三郎

    久保委員 希望がなければやらないという御方針のようですが、先ほどから整粒規格を上げた問題にからんでいろいろ御説明があった御趣旨とはだいぶ違うように思うのであります。ビールはうまくなって、酒はまずくなってもいいということになりますか。
  56. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ちょっと、私、御質問の意味がよくわからないのですが、ビール大麦につきましては、検査に合格するあるいはその検査のどの等級になるかということにつきまして、農家の方で準備の都合上指導を受けたいということがございますので、それでやっておるのでありまして、本検査はもちろん両方とも厳正にやっておるということなんでございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 いや、あなたが先ほど言ったように、取引基準をきめるとか品質を向上させるとか、いろいろ検査の目的がございますね。そういうお話がありまして、ビール麦の方は麦耕連から御要請があってそして下見検査をして御指導なさるということでありますが、極端なことを言えば、希望がなければ酒はまずくてもいいのか、ビールがうまくなればいいのかということになろうかと思うのですが、これはどうなのかをお聞きしているのです。わかるでしょう。
  58. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 酒につきましては、やはり本来の検査というものは厳正にやるわけでございます。ビール大麦につきましてもまた本来の検査はちゃんとしっかりやるわけでございます。ただ、ビール大麦につきましては、その検査につきまして特に農家の方からの御希望もありますので事前の指導をしているというだけなんでございます。私どもの方ではそんなふうに考えております。
  59. 久保三郎

    久保委員 そこで、あとまだ御質問なさる方があるようですから先へ進みます。  価格の問題でありますが、御案内通りビール大麦政府で決定する価格プラス・アルファということについて、これは基本的にいいんでしょうか、こういう特殊なビール大麦の値段ということは。
  60. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいまの政府買い入れます場合の買い入れ価格に幾ら幾らということで加算する、これにつきましては、いいとか悪いとかいうことよりも、むしろ当事者間の協議の問題、契約内容の問題ということになるかと思いますので、そのように考えております。
  61. 久保三郎

    久保委員 それは、契約という建前をとればその通りでございますから、どういうようにきめようがそれはけっこうでありますが、ビール大麦生産費を償うというか、ビール大麦そのものの価格決定の方式としてはこれは正しい方式かどうかということを聞いているのです。政府買い入れ価格プラス・アルファというのが基本的にいいのか……。
  62. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 これはむずかしい問題でございますが、私どもといたしましては、契約内容でございまして、その内容の立て方といたしまして、政府買い入れ価格を基準にしてこれにプラスする、あるいは最初から幾らというきめ方もあるかと思いますが、それはやはり契約内容ということで、それしかいたし方ないんじゃないかと考えております。
  63. 久保三郎

    久保委員 お話通り、どういうようにきめようと、契約一つの方法ではございます。しかし、これは、極端なことを言えば不安定なきめ方ですな。政府買い入れ価格というのは幾らになるかわからない。極端なことを言えばそうでしょう。それにプラス・アルファというのですから、固定する契約金四百円前後、四百十円あるいは三百七十五円、それはきまる。しかも、先ほどからお話のあったように、ビール大麦そのものは、これはマーケット一般に売れるものじゃない。特殊な作物です。買うものは四社。九九%は四社で買っている。そういう場合に、価格決定はこういう方式が正しいかどうかという一つのものの考え方を農林省としてどういうふうに考えているか、聞いているのです。単に契約だからどうでもいいということではなくて、そういう作物に対する価格決定という方針はどういうものが正しいのか、私はこれを聞いているのです。
  64. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 私ども考え方ということになりますが、御承知のように、政府の麦の買い入れ価格法律でちゃんときまっておりましてどんなに低くても二十五、六年基準のパリティ価格を下がることはないということで、割合に安定した価格のきめ方ということになっておりますので、それに対しまして幾らの加算ということは、私は、契約内容といたしましてはこれもまた一つのきめ方としてある程度首肯できるのではなかろうか、こう思っているわけでございます。
  65. 久保三郎

    久保委員 しかし、この大麦価格が変動がないということならば、農民は問題ないのです。ビール大麦というか、大麦の値段がなければ問題はない。変動があるでしょう。これは、パリティ指数によって計算しても、やや安定――安定というのではなくて、大体幾らくらいになるだろうという見通しがつくということです。あなたは安定とおっしゃるのですが、これは絶対に安定ではないですよ。去年の数字とことしの数字があまり変わらぬという、そういう意味の安定ではありますね。それだけなんです。特殊な作物だから、私はこういう問題を言っているのです。一ぺんこれは研究課題に考えてもらいたい。  ところで、ビール大麦生産調査はおやりになっておりますか。これは、この前、神田委員の御質問で、やっておりませんという答弁をして今度はやっておりますという答弁をどなたかしておりますね。やっておるならば、生産費の調査はどうなっておるか。
  66. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 実は食糧庁の所管でございませんので、私どもの方では何とも答弁いたしかねるのでございますか……。
  67. 増田盛

    増田(盛)政府委員 これは、統計調査部で生産費の調査をやっております。
  68. 久保三郎

    久保委員 調査の結果は神田委員の要求に基づいて当委員会に提出されてあるのでしょうか。
  69. 増田盛

    増田(盛)政府委員 統計調査部のもちろん所管でありますけれども、私の方で聞いたところによりますと、統計調査部がただいま作業をしておりまして、委員部に出す手はずになっておるそうですが、まだ出しておらないそうであります。
  70. 久保三郎

    久保委員 一体、二カ月も三カ月もたって委員会に出せないなんというのはおかしいじゃないですか。まだまとまっていないのを今にわかにまとめているのですか。いかがですか。
  71. 増田盛

    増田(盛)政府委員 私の方からも統計調査部の方に催促いたしますが、委員部からそのような手続をお願いいたします。
  72. 秋山利恭

    秋山委員長代理 委員長の方でしかるべく取り計らいます。
  73. 久保三郎

    久保委員 さて、残麦の問題でありますが、残麦の問題は先ほど来お話し申し上げた通りであります。ビール会社規格外の麦を残麦として買っておる。普通なら四百円前後大麦価格プラスして買っているのでありますが、残麦は大体百円くらいプラスして買う。こういうものがビール会社へ行ってやはり一応ビール原料として使用されておると思うのでありますが、こういうものはビール会社の帳簿上にそういう価格の低いものは低いものとして載っているのでありますか。
  74. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、ビール大麦のうちの残麦と申しますものは買い入れておりますが、これはもちろん農業協同組合を通じて買い入れておるようであります。もちろん、その買い入れ価格買い入れた実価によって帳簿に記載されております。
  75. 久保三郎

    久保委員 正確に購入原麦の数量等は各社別に国税庁はつかんでおりますか。
  76. 泉美之松

    ○泉説明員 ただいま各社別の資料を持っておりませんが、ビール会社全体の数量は三十二収穫年度におきましては六万四千二百七十九石、三十三収穫年度におきましては七千七百三十石、三十四収穫年度におきましては三万二百五石というふうに、年によってかなり変動があるようであります。
  77. 久保三郎

    久保委員 醸造石数と庫出石数との間には相当差があると思いますが、徴税の場合には庫出しでもって石数で検査してやるのですか。大体徴税の方式はどういうふうになっておりますか。
  78. 泉美之松

    ○泉説明員 ビールに対します酒税の課税は、庫出しの際、工場から出荷する際一カ月分をまとめて課税するようになっております。
  79. 久保三郎

    久保委員 一カ月分まとめてというが、二カ月分まとめて確定したことはございますか。
  80. 泉美之松

    ○泉説明員 毎月一日から月末までの出荷分につきまして翌月十日までにビール会社が税務署に申告いたしまして、税務署の方で調査して決定して、月末までに納付するようにという納付書を出すわけでございます。従って毎月やっておるわけでございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 毎月おやりになるのを一カ月くらい延ばすようなことはないのですね。
  82. 泉美之松

    ○泉説明員 ございません。
  83. 久保三郎

    久保委員 それでは、ビール会社のたなおろしというか、そういうことについては国税庁の方は別段関知いたしませんか。
  84. 泉美之松

    ○泉説明員 ビールの精製したものの受け払いにつきましてはもちろん、原料麦の受け払いにつきましても、帳簿に記帳義務がございますので記帳させて、それを監視しておるわけでございます。
  85. 久保三郎

    久保委員 それでは、別の問題で、麦酒酒造組合はどういう性格のものですか。
  86. 泉美之松

    ○泉説明員 麦酒酒造組合は、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律がございまして、その法律に基づいて設立された酒類業組合一つでございまして、公共的性格を持ったものであります。
  87. 久保三郎

    久保委員 麦酒酒造組合はいかなる事業をやることが正しいのですか。
  88. 泉美之松

    ○泉説明員 麦酒酒造組合の事業といたしましては、先ほど申し上げました酒税の保全及び酒類業組合法第四十二条に規定があって、その規定に基づいて事業を行なうわけでございますが、現在麦酒酒造組合の定款で定めております事業は十五ございます。御必要があれば読み上げます。
  89. 久保三郎

    久保委員 現在麦酒酒造組合がやっておる四社の代弁の形は、特に耕作農民に対する代弁の形は、これは正しいと思いますか。
  90. 泉美之松

    ○泉説明員 この法律に基づく定款の八号に、「組合員の製造または販売するビールの原材料その他その製造または販売に要する物品の購入のあっせん」という規定がございます。ビール麦の購入につきましては、ビール会社各社とそれから単位農協とが、麦耕連のあっせんなどもありまして契約をするようになっておるわけでございますが、その際に麦酒酒造組合麦耕連と同じような立場であっせんをいたしておるようであります。私どもは、麦酒酒造組合が現在行なっておる行為は、この八号の物品の購入のあっせんというふうに解しておるわけでございますが、これらにつきましては、先ほどお話がございましたように、現在公取委員会の方にあっせんの範囲を越えておるかどうかといったような問題を含めて提訴されておるわけでございます。その審査の結果を待つよりいたし方ないと思います。私どもはあっせんと解しております。
  91. 久保三郎

    久保委員 公取の方にお調べ願っておるそうでありますが、あっせんの度を越えて、各社のいわゆる要請に基づいて割当をきめていくとかあるいは価格をきめていくとかいうことじゃなくて、四社共同のいわゆるカルテルの場所になっておるのじゃないですか。いかがですか。
  92. 泉美之松

    ○泉説明員 私どもは酒類業組合法に基づきまして麦酒酒造組合を監督する立場にありますが、私どもは、そういうカルテル行為を行なうものになっておるとは解しておりません。これまた公正取引委員会の方の審査中でございますので、その結論を待ちたいと思っております。
  93. 久保三郎

    久保委員 大蔵省に申し上げておきますが、あなたの方はなるほど酒造組合を監督する立場だということでありまするが、あっせんがどういう形態でなされているか、そういうものを一つ監督してほしいと思うのです。何か、お話を聞くと、酒造組合は自分の管轄だからということで、そのあとに回るようなお話に聞こえるのですが、そうじゃないのですか。今のように私がとることは間違いですか。――もう一ぺん申し上げましょうか。あなたのお話を聞くと、酒造組合はあなたの監督下にあるものであるというお話で、監督下にあるものだとすれば、公取委員会の問題になる前に、そういう声が出ているのだから、もう少し監督すべきではないだろうか。ところが、お話を類推すると、どうも自分の身内のような考えで、そういうあっせんだけであってカルテル行為をやっているようには思えない、こういうふうにとっておるように思うのですが、そう私がとることは間違いですか。
  94. 泉美之松

    ○泉説明員 自分の身内だからということで申しておるのではもちろんございません。私どもも、ビール麦の問題がありまして以来、麦酒酒造組合の責任者を呼びましていろいろ聴取いたしたのでございます。     〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕 ビール麦の耕作につきましては五十年ほどの長い歴史があるわけでございます。もちろん、戦時中麦の統制が行なわれまして、戦後二十五、六年ごろまで契約栽培という事実が中断したのでございますが、戦後合わせますと五十年の歴史をもってビール契約栽培ということが進められてきておったのであります。その間、今いろいろお話がございますけれども、内情はさほど変わってきておらないのでありまして、そういう意味におきまして、カルテル行為があるかどうかということにつきましては公取の審査の結果を待ちたいというだけでございます。私どもとしましては、それがカルテル行為であるかどうかということを判定する能力といいますか権限はないわけでございますので、そう思っておるわけでございます。
  95. 久保三郎

    久保委員 なるほど、カルテル行為があるかどうかの判断は、ここの段階では公正取引委員会結論を待つということで、あえてそういうことを申し上げる必要はないと思うのですが、ただ、問題は、歴史が五十年たって中身はそう変わっておらぬという。その変わっておらぬところに問題がある。全然変わらぬかというと、変わっておる。ビールはどんどん伸びていくという現実、しかもビールは四社で独占という形、これは変わってきたのじゃないですか。これもやはり考えてあなたの方でも御指導なり監督をなさるのが当然だと私は思うのです。いずれにしても、今後の酒造組合のあり方を、もう少し監督者的な立場から指導監督すべきだと思う。同時に、ああいう問題が起きたことについてどういうふうにお考えですか。
  96. 泉美之松

    ○泉説明員 私どもは、実は、従来までのところ、ビール耕作組合農民の方からは、ビールがどんどん生産がふえていく状況にあるし、ビール麦を耕作すると農家の収入の上にいいんだから、ビールの耕作面積をふやしてもらって、外国から麦を購入するようなことをしないように、というような陳情を受けておる次第でございまして従来におきましては、そういう点から見ると、ビール麦契約栽培ということにつきましてさほど問題はないように考えておったわけでございます。昨年の暮れ以来、公取の方に提訴がなされましてから、実はそういう事実があったかということで驚いて、現在いろいろの調査を行ない、また、私どもとして麦酒酒造組合指導すべき点がどういう点にあるだろうかというようなことを検討いたしておる次第でございます。
  97. 久保三郎

    久保委員 これは意見になりますが、一言だけつけ加えて大蔵省に要望しておきます。ビール生産を伸ばすということは、これは当面のあなた方の方でも考えなければいかぬと思う。伸ばすことは、ただビール生産事業に携わるビール会社を育成することだけではビール生産伸びない。むしろ原料を提供するところの農民も守ってやることによって、初めてビール産業は堅実に伸びていくのです。ところが、それを忘れると、この酒造組合が一方的に独走していく。そうなれば、日本におけるところのビール麦というものは、これは外国から入れるほかはない、こういうことになる。こういう点も考えて、今後やはり一つの理由をつけて麦酒酒造組合あるいはビール四社に対して的確なる指導をやってほしい、こう思います。  そこで、続いて、これは農林省並びに大蔵省とも関係があると思いますが、最近、聞くところによると、ビール醸造用の麦芽を輸入するということでありますが、そういうことはどうなっていますか。まず農林省から聞きましょう。
  98. 増田盛

    増田(盛)政府委員 三十五年度の麦芽の輸入に関しましては、通産省より輸入方に関しまして協議が参っておるわけでありまして、その数量はおおむね一万三千トンでございます。しかも、これに対して国税庁より、この数量は当初の組合関係の輸入希望数量が二万トン強であったのでありますが、これに対して醸造石数の増加施設等を十分に検討した結果の数字であるので、ぜひこれに対して同意を与えるようという書類が来たわけでありまして、私どもといたしまして今まで検討したのでございますが、三十五年度におきまして申し越しの通り醸造石数が急激にふえるということを前提といたしますと、現在の国内のモルトの製造施設から見ましては、どうしてもこの程度のものは不足するのではないかというふうに見ております。
  99. 久保三郎

    久保委員 不足するという見通しがあって一万三千トン入れるというのに同意したのですか。
  100. 増田盛

    増田(盛)政府委員 これは私どもの方といたしましてはやむを得ない数字じゃないかというふうに見ておるわけでございますが、ただ、問題は、一年一年の需給の関係だけをとらえて私の方がその充足されない差額に対し同意を与えるということだけでは行政として不十分でございまして、私どもといたしましては、どうしてもこの際将来の方向としてモルトに関しては国内自給の方策を立てたいという考えでおるわけでございます。従いまして、今回は同意をしなければいかぬだろうと思うのでありまして、しかも、輸入の期日が切迫しておるのでありまして、早急に決定を迫られておるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたような国内自給の方策に関しましては、いろいろ関係者の間で話し合いをしております。通産省あるいは国税庁、そして私どもの方の農林省、それから酒造団体もありまするし、生産者団体立場もございます。生産者団体立場というものは私ども代表するにいたしましても、酒造組合というものがある。従って、その間で十分に私たちの新しい自給の方針に対して了解をするのでなければこれに対する実効が薄いわけでありまして、そのためには、何らかの形によって関係官庁を網羅し、関係団体によりました協議会のようなものを設定して、具体的に自給の方策に対して計画を立て、これを実施に移すというめどをつけたいというふうに考えます。
  101. 久保三郎

    久保委員 今のお話を聞きますと、これから国内で自給計画を立ててやっていきたい、こういうことで、それには別に異論はありませんが、当面一万三千トンの輸入に対して承諾するほかないだろうということであります。時期も切迫しておるからという御説明でありますが、なるほど切迫しておるかもわかりませんが、現在のビール麦の耕作並びに契約、これは御案内通り実態であります。系統共販あるいは麦耕連の従来の線ということでまだ決着はついておらぬ。そういうときに輸入すること自体に問題がありはしないか。もう一つ、去年なら去年の実績を見ても、輸入を決着つけるのには少し早いのではないか。去年はもっとおそくなってからきめたんじゃないかと思いますが、どうですか。
  102. 増田盛

    増田(盛)政府委員 去年の事情も、大体今ごろじゃなかったかと思うのでありますが、特に、通産省の方から、輸入時期につきましては、――このモルトがバーター取引の協定になっておりまして、たしかチェコスロバキアから輸入することになっております。従って、輸入形式としてはきまっておるわけでありまして、問題は数量が残されておるわけでありまして、この点に関しましては、取引関係から見まして通産省の方といたしましては早急にきめなければならぬ御事情があるようでございまして、そういう通産省の御意向に沿って努力しておるわけであります。
  103. 久保三郎

    久保委員 通産省の意向もさりながら、国内の紛争というか、そういうものが片づかぬうちに輸入を決定するということは、大きな影響があると思うのです。極端な例を引けば、輸入されて因るのは耕作農民だ。相なるべくは自分のところで作ったものはたくさん買ってもらいたいという立場でしょう。しかも、決着がつかぬうちですから。それはバーター制でチェコスロバキアから入れなければならぬということの事情もわからぬことではないのですが、時期としてはまことにまずい時期ではなかろうか。ますますビール会社に力をつけてやるものだ。これでは公正な取引はできないじゃないですか。振興局長、いかがですか。
  104. 増田盛

    増田(盛)政府委員 ただいまお話しのような御事情もよくわかるのでございまして、私どもといたしましても、相当長い期間にわたりまして、その期間の中で、現在進行しておりますビール麦取引の問題が決着するように、実は期待をしておったわけであります。やはり、役所といたしましては、貿易上の日限というものもございますので、この点も今後とも通産省にいろいろお願いはいたしておるのでございますが、両方を考えながらきめていくということでございます。先ほど申し上げました通り、期日が切迫しておる関係上、どうしても早急にきめざるを得ないという情勢になっておるわけでありまして、この点だけは御了承願いたいと思います。
  105. 久保三郎

    久保委員 了承というお話ですが、どうも実際を言うとわれわれとしては了承するわけには参りません。だから、もしも振興局長が了承してくれと言うならば、今の紛争を政府の力によって解決するというのが先決じゃないでしょうか。解決しない前に輸入を決定するということ自体、それでは公正な取引はできませんよ。だから、私は強く言っておきますが、了承するわけには参りません。了承するならば、その前提条件としても、今の国内紛争に決着をつける、こういう政府の方針をぜひ打ち出していただきたい。政務次官がおいでになるようですから、今の問題はどうですか。
  106. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 結局、ビールの醸造の麦が幾ら要るかということは、現実の問題だろうと思います。ただいま久保委員お話しの点はよくわかるのでございますが、私どもといたしましては、結局、紛争の問題の解決には全力をあげて早期にこれを解決することに努力しなければならぬと考えますけれども、輸入の問題につきましては、現実の問題として、この春生産するところのビール麦の大体の見通しと、ビールの醸造石数というものを考えまして、これが適当であるという結論に達しましたならば、この輸入というものは将来の国内の生産ビール麦に影響を与えない範囲におきましてこれを了承するのほかないと考えるのであります。しかしながら、この輸入の数量ということにつきましては十分検討いたしまして善処しようという考え方でございます。
  107. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから、最後に振興局長にお聞きして終わります。  この前の参議院でこの問題の質問があったのでありますが、当時振興局長はおいでにならなかったと思うのであります。麦耕運の会長で中央会の会長をやっておるような者は農協法違反ではないかという質問に対して、中央会は農協法にいうところの組合ではないから、それは違うという答弁が農林省のどなたからかあったのですが、それはその通りですか。
  108. 酒折武弘

    ○酒折説明員 お答えいたします。  これは、農協法第五条に、「農業協同組合及び農業協同組合連合会(以下組合と総称する。)」とありまして、この二つの組合ということになっております。そこで、中央会というのは別の存在でございますので、それは法律上は入らないというわけでございます。
  109. 久保三郎

    久保委員 そういう解釈は法文上の解釈だと思う。それも一つだと思いますが、それでは中央会というのは農協法の精神を受け継いでいない組合というふうにとってもいいはずですね。しかし、それはちょっと違うのです。時間がありませんから私の意見だけ申し上げますが、いずれにしても、この中央会そのものが農協法にいう組合ではないから役員をやって重複するような事業に関係してもいいのだということでは、農協は守られないと思うのです。それは法律が悪いのでありまして、法律だけで解釈すべき問題ではないだろうと思うのです。  それから、もう一つ、これも参議院におけるところの質問だったのですが、その他の役員の兼務は処断しなければならないことに新たな法律の解釈だけから言ってもなると思うのですが、最近その処置はなさいましたか。
  110. 酒折武弘

    ○酒折説明員 従いまして、法律上の問題としましては、たとえば経済連の役員を兼ねておるというふうな場合に兼任の問題になるわけでありますが、それも、この法律規定から参りますと、四十二条の二の規定でございますが、「実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事する者は、当該組合理事、監事、参事又は会計主任になってはならない。」ということになっております。そこで、単に形式的にある程度競争関係にあるようなものを兼業しておっても、直ちにこの規定に触れるとは言えないので、これは、実質的に、具体的に、はたしてその結果として農協の事業に障害があるかどうかということを見なければならないという意味で、実態的に見なければならないということがあると思います。これは一般論です。  そこで、具体的に今度のビール麦の問題の場合にどうなるかということでありますが、これにつきましては、御承知通り、現在関係者の間で首脳部の交渉をやっておるわけでありまして、団体側としましても、これは取引の問題でございますので今後の取引関係もあるわけでありますが、できるだけ円満にこの問題を解決していきたいということで話し合いを進めておるわけであります。われわれといたしましても、この話し合いによって円満な妥結を期待いたしておるわけでありまして、内面的な処置といたしましては、法律的には直接現在具体的な措置はとらないという考え方でおります。
  111. 吉川久衛

    吉川委員長 神田大作君。
  112. 神田大作

    神田委員 時間もだいぶ迫っておりますので、私の方から簡単に質問しますから、一つ要領よく御答弁願いたいと思います。  まず公取の委員長さんにお尋ねしますが、現在、ビール取引に対しまして、四社が協定をして、価格あるいは作付等に対しましていわゆる公取法に違反しておるというような事実があるとわれわれは思うのであります。この点に対しまして、いろいろと御調査のようでありますけれども、先ほども答弁がありましたが、収穫前には決定したい、そういう御意向でございますが、七、八月ごろ決定されたのでは、これは耕作農民といたしましてもビール会社といたしましても非常に困る問題であると思うのです。だから、この問題を、少なくとももうずいぶん日にちもたっておるのでありますから、短時日に結論を出してもらいたいとわれわれは思うのでありますけれども、この問題についてどのようにお考えになられておるか、一つお伺いしたい。
  113. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 先ほど申しました通り、すでに参考人など百余名につきまして調べて、それも終わったので、その調べた結果を集計いたしまして、かつそれについて法律の見解をきめて、そして今の八尋審査長が申します通り審査部の意見をまとめてわれわれの委員会に案を出す、委員会はそれに基づいて最終決定をするのでありますが、お話にもありました通り、一日も早くしてほしいということはもっともな話でありますから、できるだけ早くやりたいと思います。ただし、五人の委員がやるのでありますから、いろいろ法律上の疑義も起こらぬとは限らぬのでありますから、いつということをはっきり申し上げることは実は困難でありますが、御趣旨のようにできるだけ早くやりたいと考えております。
  114. 神田大作

    神田委員 この委員会においては、価格の問題のほか、契約の諸般のことについて御調査であろうと思いますが、この調査の重点だけでも一つお聞かせ願いたいと思うのですが、いかがですか。
  115. 八尋昇

    八尋説明員 この申告になりました要点と申しますと、結局、四社が、ビール麦の購入にあたりまして、対価、数量、それから地域、こういったことを決定したということで、それで、私ども審査の重点というのが、結局は、この四社の共同行為とも申すべきものがあるかどうか、ここが中心になる、こう考えております。先ほど麦耕連の問題も出ましたが、もちろんこれに関連した事実として見ております。
  116. 神田大作

    神田委員 日にちをいつごろということは言えないということでありますが、この問題は、現在紛争を起こしておるいわゆる取引の方式に対しまして、一部の農民側とビール側において意見の相違を来たしておるのでありまして、公取の決定、審査内容等がこの紛争に重大な影響があると思うのであります。だから、私は、そういう紛争渦中にあっての審査でございますから非常に困難であろうと思いますけれども、また、それだけ非常に重大でありますから、少なくとも、私は、四月中にこの結論を出さないと、これは農民にとりましても会社側にとりましても重大な支障を来たすと思うのでありまして、この点は一つ公取の方でも留意されまして御努力願いたい、こういうふうに要望申し上げます。  次に、私がこの前質問をしたのでありますけれども、また先ほど久保君からも御質問がありましたが、今までのビール四社の取引の状態や、あるいは麦耕連との関係等を見ますと、これは非常に独占四社のやり方に対しまして農民はどうにも手が出ないというような状態になっておるのでありますが、特に今度の紛争の大きな原因になったのは、先ほど久保君からも質問があった通り、検査規格の変更であると思う。先ほど御答弁がありましたが、規格を二・二ミリから二・五ミリに変更したというが、これは一体どういういきさつで変更したのか。単なる麦の生成発展における過程を見て二・五ミリにしたというのでありますけれども、それだけではわれわれは納得がいかないのでありますが、一体この規格の変更はどのような機関によってどういうふうにして決定されたか、お尋ねしたいと思います。
  117. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 この検査規格の改正でございますが、どういういきさつで改正したのかというお話でございますが、私ども、ただいまからさかのぼっていろいろ調べて参りましたが、これは普通の規格の改正と同じような手続であり、かつまた、なぜということは、先ほど申し上げたようなことでございまして、それ以上に深くは私存じておりません。また、それ以上に深い事情があったというようなことは聞いておりません。
  118. 神田大作

    神田委員 それは、食糧事務所で、いわゆる農産物規格規程か何か、そういうものによって変更したと思うのですが、ただ食糧庁でもって勝手に一方的に決定したのですか。
  119. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 それは、やはり、先ほど申し上げましたように、需要者側の要望もございます。それからまた、実際検査の成績から申しましても、もうすでに取引内容といたしましては二・五ミリ以上のものが現に九割以上になっているというような実態から、これは改正いたしたのであります。
  120. 神田大作

    神田委員 それは、審議会か何か、規格を変更する場合には手続が要ると思いますが、その手続はどういう手続でやられたのか。
  121. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 手続といたしましては、実は別段法律上どういう手続でやれということはきまっておりませんで、普通の決裁によりまして、大臣の御決裁を経てやっているわけであります。
  122. 神田大作

    神田委員 それは、規程に対する需要者の要望があれば、あなたの方で適当と認めて大臣の認可でもって許可するのですか。どうなんですか。
  123. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 大臣の決裁を経まして、それで告示いたしまして改正するわけでございます。
  124. 神田大作

    神田委員 それは、審査委員会とかなんとかいうものはないのですか。
  125. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 実は、私どもの方の内部の機関といたしまして規格調査会というのもございました。ただ、これは、たしか三十年、三十一年度だったと思いますけれども、米の検査規格、それから麦の検査規格ということが問題になりましたときに臨時的に作ったものでございます。約一カ年間開いただけであります。この検査規格調査会というのも、これは規格の基本的な問題について調査審議するということになっておりまして、その御答申を得て三十年、三十一年はやったものでありますが、今回のこのビール麦の検査規格につきましては、そういう調査会はすでになくなっておりますので、これには諮らなかったわけであります。
  126. 神田大作

    神田委員 それでは私は政府当局の責任重大だと思うのであります。いわゆる一つ農産物取引をする場合に、需要者側の要請によってあなた方が規格を変更する、そのために今度は供給者側において重大な損失を来たすという場合、需要者側だけの言い分を聞いて供給者側の言い分を聞かないで決定したということ、それはどうですか。
  127. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 その当時のことを調べて参りますと、いわゆる需要者側であるビール会社、これはもちろんでありますが、また、いわゆる生産者側代表と私どもは当時考えておりましたいわゆる麦耕連、この意見は十分聞きまして、その上で改正をしたというふうに聞いております。
  128. 神田大作

    神田委員 それでは、その需要者側の申請の内容、並びに供給者側である麦耕連代表といつどこでどのような話をして了解されたか、お尋ねします。
  129. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいまの御質問でございまするが、実は、三十二年度の五月に改正したのでございまして、だいぶ古くなっておりますので、私、係にいろいろ問いただしましたところ、そういう答弁がありましたので、それをお答え申し上げたわけでございます。従って、いつ幾日どこでということはちょっと御答弁申しあげかねる、こう思うのでございます。
  130. 神田大作

    神田委員 それは今度のこのビール問題に対する重大な問題でありますので、このことについては、今あなたが答えられないとすれば、文書でもって当委員会に提出してもらいたい。いつどこでどのような内容で話し合いをされたか、しかじかの上においてあなたたちはこの処置をしたか、一体どういう人たちが認可の衝に当たったか、それを詳しく一つ書面でもって提出してもらいたい。後刻この問題について質疑をしたいと私は思います。  それで、あなたにお尋ねしますが、あなたは規格が上がることによって当然価格が上がるべきであるというような見解でございましたが、それはその通り考えでございますか。
  131. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 先ほど申しあげましたように、規格の改正によりまして品質は向上するということになるわけでございます。その場合に、この実需者といたしましては、同じような需給条件のもとにおいては、価格なりあるいは加算額を引き上げるのが普通の場合じゃないか、こう考えておるのであります。先ほど申し上げましたように、私どもの方で直接価格をきめるというわけではございませんので、そういったような事情を生産者と需要者側とこの両方に申し上げまして、需給事情というものは毎年変化するわけでございまするが、そういった需給事情というものをよくよくお考え願い、また、この規格は改正して品質そのものは一応形としては上がっておるのだということもお考え願った上で、一つ十分話し合って価格をきめていただきたいということの注意を促しておるわけでございます。
  132. 神田大作

    神田委員 一体、あなたの注意を促したというのは、この公取に提訴されて問題が起きてからだというお話ですか。
  133. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 公取の方に提訴されたのは十二月でありますか、私記憶がないのでございますが、私の方は、たしかその前にも、すでに、いわゆるビール会社の方にも、それから麦耕連の方にも話しておったというふうに思います。
  134. 神田大作

    神田委員 それはいつどのような内容でだれに話したのですか。
  135. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいまのところ詳しくはっきり正確な日時は記憶いたしておりません。
  136. 神田大作

    神田委員 一々重大な日時がわからぬということでは質問にならぬですよ。  委員長、これは午後話のわかる人を出してもらいたい。これは一番大事な点だから。  あなたは一体いつ麦耕連あるいはビール会社に対して価格を上ぐべきだという話をしたか。この点を明らかにして下さい。十月なら十月でいいですよ。そうすれば問題が起きてからですが、一体規格が改正になったのはいつですか。
  137. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 規格が改正になりましたのは三十三年の五月二十三日でございます。
  138. 神田大作

    神田委員 一年も二年も過ぎてからそんな話をしたって、どうにもならぬですよ。規格が変わるときに、いわゆる価格の問題と規格の問題というものはつながっておるわけです。規格を直すときにちゃんとそういう話し合いをして、公平な価格取引ができるように指導するのが監督官庁としての立場ですよ。それを、一年も二年もたってから、問題が起きてから、そうあるべきだということをしかも係を通じて言った、そういうばかな話がありますか。それは長官なりあるいは大臣が直接ちゃんとそういう会社なり麦耕連の責任者と話し合いをして、監督官庁としての立場をはっきりすべきだ。あなたは部長である。だれに一体言わしたのですか。それをはっきり言って下さい。
  139. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 ただいま正確なことは記憶しておりませんので、後ほど調べて御報告申し上げます。
  140. 神田大作

    神田委員 一体、需要者のそういう言い分を聞いて規格を上げるということは、先ほど久保君が質問されたように、残麦というものの数字がどんどんふえてきて大きな不利益農民にかぶさる。あなたたちは食糧庁として農民の生活や農業経営というものは一番よくわかっているわけです。あなたたちは農民立場に立って規格の問題や検査の問題はやらなければならぬと思う。しかるに、ビール会社の言い分だけを聞いて〇・三ミリという規格を上げる。そこで莫大な損失が農民側に来るということがはっきりとわかっておりながら、それに対して手をこまぬいて、しかもこの問題に対して一年もたってからそういう話し合いをするということは、一体食糧庁ははたして農民利益立場を十分理解しているのかどうか、われわれは怪しまざるを得ない。この問題については、あなたから確答が得られませんから、一体だれがビール会社に行ってその問題を話し、また麦耕連のどういう責任者にそのことを話したか、その内容、また、その前の規格を変更したときにおける需要者側との話し合い並びにその内容等をわれわれは詳細に承らなければ、この問題を進めるわけには私はいかぬ。今回茨城県稲敷郡の農家か、起こったいわゆる麦耕連不信の問題、ビール会社不信の問題は、この点に大きな原因があると思う。この問題についてただ規格を上げるということだけで食糧庁としては能としたように思われるのか。あなたたちが話をしたということは納得いかない、私は疑わざるを得ないので、証拠書類を見てからでないと、この質問は続行するわけにいかぬと思う。この検査の問題については、私はあなたの詳細な答弁が得られてから午後に質問を保留しておきます。  それで、振興局長お尋ねしますが、現在におけるビール麦取引というものは、四つの巨大なビール会社、それから農民組織であると称せられる麦耕連との間に、組織的力関係において非常な差異を来たして価格の問題にいたしましても、作付の問題にいたしましても不利な立場農民は追いやられておると思うのですけれども、この点に対して振興局長としてはいかなる考えを持っており、また、今までどういうことをし、今後はどういう考えを持っておるか、お尋ねしたいと思う。
  141. 増田盛

    増田(盛)政府委員 ビール麦取引の基本的な考え方に関しましては、先ほどもお答え申し上げた通りでありまして、やはり、根本的には、このようなきわめて強い独占的な傾向にあります工場との取引形態に関しましては、取引は同じ対等の立場に立って行なわれるということがねらいでございまして、そのためには、根本的に、生産者組織化といいますか、あるいは共販体制の強化といいますか、こういう生産者側の逐次上へ上へと伸びてそして固まったその組織取引の上に反映し得るような仕組みが、私は最も肝要ではないかと思うのであります。この点に関しましては、実は、これも先ほど申し上げたのでありますが、麦類の統制解除の際に、振興局といたしましては、やはり生産物の取引形態に対しまして危惧を抱いたわけであります。従って、当時におきましては、麦が間接統制に移される、それだけに自由化される趨勢にある、しかもビール麦というものは特殊な性格の上に、これが一般の麦の政府買い入れから別個のルートとして取り扱われる段階になったわけでございますので、この際におきまして、団体の育成並びに集団的な取引の奨励をしたのであります。その後急激に成長しまして、今日のようにきわめて大きな麦類作付の面積を占めるに至ったわけであります。しかし、生産者のこのような組織化に関しましては、実は振興局といたしましては別に具体的な指導はしなかったわけでございまして、今後は、農林経済局の農業協同組合の育成等の方針とも十分関連させまして、やはり、長期的に見まして、単純な任意的な団体から次第に法制的な形を整えた農協の共販の体制ということによって裏づけされた取引というものが、今後の趨勢でもありますし、必然の傾向でありますので、こういう方向に沿って、生産指導の面にいたしましても十分注意を払いたいというふうに考えております。
  142. 神田大作

    神田委員 共販体制の推進によって公正な取引を期するという振興局長意見でありますが、私もその通りであろうと思う。しかし、そうあなたが口で言うだけであっては、これは実現できない。それに対して、あなたのその考えを推進するために、いかなる実際的な方法をとっておるか、お尋ねいたします。
  143. 増田盛

    増田(盛)政府委員 私は、農民生産物の取引の問題、しかもそれは農協自体のものであり、農業団体そのものの問題であるわけでありますが、これに対しまして、役所が独断的なあるいは早急な立場からいろいろ干渉がましい指導をするということは避けるべきではないだろうかと思うのであります。しかし、私どもといたしましては、十分にそういう関係者の考え方を尊重しまして、できるだけその線に沿うようにしていくことは、やはり行政庁に与えられた一つの使命かと思うのであります。今回の問題におきましても、やはり、長い間のいきさつによりまして、生産者の任意団体というものが存在してきているわけです。これに対して将来を見通した農協自体の共販体制の高まりがあるわけであります。これに対して、今にわかに行政庁が最後の断を下してこれを強制するということではなくして、やはり、私は、将来はそういう方向によって当然解決されるべきではありますけれども、現在は同じ単位農業協同組合を地盤にした団体でございますから、まず、その上に、その指導者の間に十分な話し合い、十分な了解が得られて、事柄が円満に解決した方が、かえって今後のあるべき農民の結合の問題に対してもいい結果を与えるのではないかというふうに考えております。
  144. 神田大作

    神田委員 この取引の問題について、全敗連と麦耕連並びにビール会社の間にいろいろと話し合いが行なわれているということであります。また、局長も、ぜひ共販体制を推進していかなくちゃならぬというようなお考えのようでありますが、ずいぶん時日がかかっておるにもかかわらず、今日この共販の体制がなかなか確立されないようでありますが、これに対して、あなたがそのようにはっきりとした考えを持っておるなら、この際一つ、――今混乱をいたしまして迷惑をしておるのは耕作農民であります。耕作農民が大きな迷惑をしておるわけです。また非常に混迷をしておるわけです。こういうような問題について、そのような考え方に立つ監督官庁としての立場を明確に表明して、そしてこれを推進すべきであると思うのでありますが、どうお考えでありますか。
  145. 増田盛

    増田(盛)政府委員 お断わりいたしておきますけれども、この問題は実は生産者生産という立場で私の方はやっておるわけでありまして、そういう意味で特に取引関係に非常に大きな関心を持っておるわけであります。現在行なわれておりますところの団体首脳間におきます折衝、話し合いに関しましては、農林経済局におきます農業協同組合がいろいろ関係も深いわけでございまして、そういう関係とも十分に連絡して進める必要があるわけでございます。私どもといたしまして、ただいま申し上げました通り、やはり話し合いの結果を見るということであります。生産者の方々におかれましては、一応同じ生産者が作った農業協同組合をバックにしまして、片方に系統組織、片方に麦耕運の系統というように、頭の方が二つに分かれるというような形で、いろいろ御指摘のような御心配があろうかと思うのでありますが、やはり、この問題は、何と申しましても、役所の指導ということよりも、むしろ生産者自体、農民自体の組織の問題でございます。従って、それに関する限り、その自主的な活動の問題でもあり、その考え方の問題でもございます。従いまして、私どもといたしまして、やはりそういう動きの中で現在の団体首脳間の話し合いが行なわれておりますので、この結果ができるだけ早く出て参りますように期待はしつつも、その結果によってなすべきことはまた考えるというような態度でいるより仕方がないというように考えております。
  146. 神田大作

    神田委員 それでは、あなたが最初に表明した信念にちょっと沿わないような答弁であろうと思うのでありますが、振興局長としても、ここのところ苦しいことで、なかなかはっきりと言うわけにはいかぬだろうと思います。しかしながら、先ほど、麦耕連に対しましては、一体事業者団体に違反していないかという質問があった通り、われわれといたしましてはまことに疑問のある団体であります。農業協同組合を通ずる系統機関というものは、これは農林省が認可をして、しかも指導監督をしておる団体であるわけです。この点について、やはり農林省としてはしっかりした考えのもとにこれらの共販体制確立のために一つあなたの考えを推し進めることが解決の糸口じゃなかろうか、いわゆる農産物の近代的取引といいますか、昔のような、なあなあによるところの取引、そういうものじゃなく、組織におけるところの近代的な取引を推し進めるという意味合いにおきましても、あるいは現在におけるところの力関係を対等な立場で話し合いをさせるというような立場に立っても、この問題についてあなたが傍観的な態度をとっておるということに対しましては、ほかの省ならいざしらず、農林省がそういう態度をとっておるということに対しては、われわれは納得できない。この点についていかがですか。
  147. 酒折武弘

    ○酒折説明員 これは、ただいま振興局長から御説明いたしましたように、農協の共販の推進は当然農林省といたしましても大いにやらなければならないことでありますけれども、この共販の推進のきめ手となるものが要するに農民の団結でございまして、現段階におきまして、このビール麦問題につきましても、農協側といたしましては、まず内部の団結が必要であるということで、その点に相当な力を注いでおるわけでございます。われわれといたしましても、それにつきましては農協に対して十分な指導をやっておるつもりでございます。ただ、先ほども振興局長から申しましたように、農民の団結問題を役所の力でどうしろと言うわけには参らないわけであります。従って、事態は遅々としてなかなか進まないというのが実情でございます。
  148. 神田大作

    神田委員 もしそういう状態であるならば、われわれは、ビール会社の責任者、麦耕連の責任者、あるいは農業協同組合関係の責任者を当委員会に呼んで、あと理事会を開いてもらって、これはその諸問題について質疑をしたいと思います。というのは、この問題でもって非常に混乱しておるのは全く農民である。このままこういう混乱をいつまでも続けておくわけにはいかぬのです。あなたたちは、このような状態を直視して、これを一日も早く解決するための努力をしなくちゃならぬと思う。そういう点についていま一度振興局長並びに農協部長から答弁を願います。
  149. 増田盛

    増田(盛)政府委員 ビール麦の問題に関連するだけではなしに、やはり、農産物全体を通じまして農協組織の強化による共販体制の拡充ということに関しましては、農林省といたしましては、これは変わらない方針であります。これがたまたまビール麦の形で今回いろいろ問題になっておるわけでありまして、やはり、これが事新しく問題になった陰には、従来やはりいろいろ御議論がありまして農民が作りました任意団体があったわけであります。私どもは、そういう現実を無視して早急に結果だけを得るということはやはり注意しなければならぬと思うのであります。従って、私どもの基本的な方向に対しましては従来ともこれを押し通す考えでございまして、ただ、現実に起こりました問題に関しましては、あらゆる努力を払ってに円満な事態の収拾、解決に当たることがまたわれわれ行政官に課せられた任務でもあろうと思うのであります。そういう方向に対しまして私ども最善の努力を払う所存でございます。
  150. 神田大作

    神田委員 それでは、一つ、局長がそういう決意をもって衝に当たられることをわれわれも望んでおるわけでありますから、今後の努力を期待するわけであります。  いま一つお尋ねいたしますが、先ほど久保君からも質問がありましたが、いわゆる輸入麦芽の問題について、一万三千トンの麦芽輸入を本日決定されるように聞いておりますけれども、これは、内地でもって畑作振興立場に立ってビール麦の耕作を農民が非常に希望しておるにもかかわらず、外国からこのような多量な麦芽を輸入すること、内地の畑作農業を圧迫する、あるいはビール耕作農民を非常に窮地に追い込むというように思われるのでありますが、どうお考えになりますか。
  151. 増田盛

    増田(盛)政府委員 この麦芽の輸入の問題は、実は以前は御承知通りなかったわけでございまして、最近起こった現象でございます。私の承知いたしておるところによりますと、昭和三十二年から初めて輸入が開始されたようでございます。私どもといたしましてで、もちろんこういう麦芽の輸入ということは好ましいわけではないのでありまして、できるならこれはぜひ国産によって充足するという方針を早急に確立し、しかも、単に方針だけでなしに、これを現実の施設として可能ならしめるということが必要だと思うのであります。最近起こった現象でありまして、これに対して振興局の努力もきわめて不十分であって、話し合いは今までいろいろ行なわれておったのでありますが、これに対して計画的な国内自給というものはなかなか見られない。むしろ、若干の施設の拡充があっても、醸造石数の方がそれをさらに上回るという傾向が見られまして、やはり絶えず不足するということがこのままにおいては続くのではないか。先ほど申し上げましたように、こういう面に対しましては抜本的に自給対策を講ずる必要があるということを痛感しております。それに対して何らか有効適切な手を打ちたいというように考えます。
  152. 神田大作

    神田委員 これは非常に大事な問題であるんですね。あなたたちは農業の振興というのは日本農業をいわゆる生産力を倍増するとかなんとか言っているが、こういうことをしておったのではいつまでたっても日本の農業というものは外国農業の圧迫を受けつつだんだん縮まってしまう。あるいは鉱工業の圧迫を受けて、どうにもならなくなってくる。一体去年は幾ら輸入したのですか。年々増加しておる。大体ビールの需要がふえておるというのは、もうわかっておるわけであります。しかもそれを農民が希望しておるのであって、そういうような点に立って作付をしたいという農民の希望を抑圧して外国から麦芽を輸入するというようなことに対して、農林省が今日まで傍観しておるというような態度はどうもわれわれは納得できない。これは政務次官の方で一つはっきりした見解をとって――きょうこの一万三千トンが決定になるのだそうでありますが、去年あたりは九千トンです。だんだんふえておるわけですから、まあ一つふえる部分くらいは押えてもらいたい。特に、今度共は、共販の問題でもって紛争を来たしておる際でありますから、先ほど久保君が言ったように、ビール会社を力づけるようなことになるわけです。この点については政務次官はどのような考えを持っておられるか、お尋ねします。
  153. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 この輸入の問題につきましては、先ほど久保委員にお答えいたしました通りでございまして、これは需要供給の関係もあり、また、現実の問題といたしましてこれが足らないということになれば、当面の問題としては認めざるを得ないことと私は考えておるのであります。ただ、農林省側として今日まで考えて参りました問題は、昭和三十五年度産の麦価に影響を来たさないということを前提に検討して参っておるのであります。そういう意味におきまして、先ほど来神田委員の御質問になりましたお考え方につきましては、私ども全く同感であります。今日、日本畑作振興計画を立ててこの振興をはかりながら農家の所得の増大を期さねばならぬというときにおきまして、これが生産者の間に希望せざる作物でありますならともかくといたしまして、農民がこれを希望し、価格においてその要請に沿うことができる品物を、なおかつ農産物を外国から輸入せざるを得ないということは、はなはだこれは遺憾なことだと私は考えます。そういう意味におきまして、この問題は大いに今後検討し、かつ農産物価格の上におきまして、また農家の所得の上におきまして、十分努力を必要とし、また努力をする価値がある非常に重要な問題だと私は考えておるのであります。そういう意味におきまして、先ほど神田委員、また先刻来久保委員からもお述べになりましたように、年々ビール麦の需要が増大し、しかもビールの造石数がふえていくということは、今後わが農政の上に非常にこれは重大な関心を持つべき問題だと思いますので、先刻来お述べになりましたようないろいろな障害を取り除くことに鋭意努力いたしまして、十分これは努力をいたしたい、かように考えております。
  154. 神田大作

    神田委員 それは、もうきょう一万三千トン輸入がきまるわけです。今までのは、三千トンかあるいは五十トン、九千トンというようになっているでしょう。だから、これをきょう次官がこのまま見のがすつもりか、それともこれは最小限に抑えるつもりか、これはもう大事な問題だ。農民は、残麦ができると、それをビール麦に売らないで飼料にしたり何かして、ビール会社はそれを買わないでおるというような現実なんです。そういうふうに内地でもって麦があるにもかかわらず、外国から麦芽を入れるというのは、今度のいろいろの問題にからんで、じゃあお前らのものを買う必要はないのだ、外国から幾らでも入れたらいいだろう、何かそういう圧力がかかっておる。そうして、それは、通常ならば、たとえば三十五年度の場合には三十五年の四月になってみなければ申請しないのを、ことしだけは三十四年十月からビール会社では麦芽の輸入を申請しているでしょう。そうでしょう。半年も前から騒いでおるという、こういうような現実でありますからして、私は、きょうの一万三千トンの決定を、次官や大臣が真剣に考えて、これを最小限度に押える努力をしてもらいたい。これがさしあたって畑作農民の、日本の農業振興の大きなポイントであると私は思うのでありますけれども、次官はどうお考えになりますか。
  155. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 何分問題が急迫をいたしておる問題でありますが、私どもといたしましては、先ほど来御答弁申し上げましたような趣旨で検討いたして参ったのでありますが、ただいま神田委員がお述べになりますように、農民の間に今なおビール麦の手持ちがある。しかもそれは今日問題が起こっている矢先、一つの懲罰的な意識と申しますか、そういう考え方でやっておるとすれば、それははなはだ不都合だと思います。そこで、われわれといたしましては、一つ需給の状態、ビールの醸造の状況、そういうものを公平な立場に立って十分検討いたしまして、急を要する問題でありますから、もしそういう問題があるといたしますならば、十分これは検討いたさなければならぬ、かように考えるわけでありますが、いずれにいたしましても、需要供給のバランスの上に立って、しかも麦価に影響がないという範囲におきましてできる限り最小限度にこれを押えていきたい、かように考えますから、至急一つ検討いたしたいと思います。
  156. 神田大作

    神田委員 通商局の次長も見えられておるようでありますから、通産省としてはどういう考えを持っておられるか、お聞きしたい。
  157. 倉八正

    ○倉八説明員 輸入の問題でございますが、私の方は生産面・需要面の接点に立っておりまして、両方の十分な御意見を承ってやっております。それで、今のお話に出ております一万三千トンの問題というのも、これはずっと今まで相当長い間検討しておりまして通産省の立場としましては、これがたまたま船の百六十万ドルのバーターにもなっておりますし、輸出振興にも役立つということで、輸入というのはできればしたいものだというふうに考えておりますし、それからまた、国内の需要というものが逼迫しておるというようなことも国税庁の方から聞いておりまして、そういう立場に立っておるのでございますが、いろいろ生産面の方に問題もあるようでありますから、現在におきましても国税庁農林省とも相談中でございます。
  158. 神田大作

    神田委員 国税庁お尋ねしますが、国内の需要は逼迫しておるというような見解に立っておるのか、お尋ねいたします。
  159. 泉美之松

    ○泉説明員 ヒールの麦芽の輸入問題につきましては、御承知のように、三十四年産の麦でことしのビールを醸造して参るのでございます。ただいま問題になっておりまする三十五年産麦につきましては、契約栽培の問題が問題になっておるようでありますが、それは三十六年度のビールに使用するわけでございまして、私どもといたしましては、お話のように、三十五年産麦の契約栽培の問題が大きな問題になっておることは承知いたしておりますが、さしあたり三十四年産の麦がビール生産・移出の状況から見て足りない。それから、お話のように、まだ農民ビール麦を持っているじゃないかという点、あるいはそういう事情もあろうかと思いますが、実は、ビール生産・移出というものが、昨年から――昨年と申しますか、三十四年度は前年に比べまして相当急激に増加いたしまして、精麦能力の増設が間に合っておりません。従って精麦能力が不足ということからいたしまして、麦芽を輸入しないと三十五年のビールの需要に追っつけない、こういうような事情になっておるのでございます。
  160. 神田大作

    神田委員 それは、国税庁が税金をとる立場に立つならば、そういうことを言うかもしれないが、実際に農民というのは残麦でもって相当――あの当時、三十四年度会社が一割しか買わぬ。あとは買わないのだ。だから余っておるわけだ。しかも、それが、買い上げてくれ買い上げてくれという農民の要望に対して、会社がそれを振り切っているわけです。精麦施設が足らぬなどということは、そういうことは、一体いつになればどのくらいのビールの醸造の麦が必要だくらいわかっているわけです。そういう観点からではないと私は思うのです。バーター取引の必要上やむを得ないというような通産省の方の答弁は、ある程度われわれも認めざるを得ないけれども、泉間税部長が言われるような、そういう理由は私は納得できない。いずれにしても、現在紛争を続けておるビール麦に対しましては、一つ抜本的な改革を施してもらいたい。しかも、大麦・小麦は引き合わない、できるだけビール麦を作りたいというほうはいたる農民の声であります。それに対して、農民が希望するからといって四つの会社が善意な競争をするならいざ知らず、これが裏に回って独占契約をして取引の上において、価格において、あるいは輸入において四社が協定してやっておるというような、独占資本の一番悪い面が出ているのです。善意な競争であるならば農民もこのような騒ぎはしないのでありますけれども、そういう文句を言うと、農民に対してそれではお前には作らせない、あるいは、お前の県では頼まぬ、ほかの県で頼むとか言って圧力をかけている。こういう現状をよく調査して、一つこの取引の問題については抜本的な改正をしてもらいたいということを強くお願いしたい。  最後に次官からこの問題についての考えをお聞きしまして、私の質問の残りは後刻いたすことに保留をいたしまして、一応終わることにいたします。
  161. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 先ほど来のビール麦振興の問題につきましては、振興局長また農協部長からもお答えいたしましたように、生産、流通の両部門をよく両局の間でも調整させ、また、御意見のありましたように、この日本の農業生産が曲がりかどに来ておろうという今日におきまして、かようなビール麦を外国から輸入するというようなことは、はなはだ遺憾なことでございまして、これを漸次自給体制に向かうように、また、取引におきましても正常な取引が行なわれますように、十分努力いたしまして善処するつもりでございます。
  162. 吉川久衛

    吉川委員長 議事進行に関して芳賀委員より発言を求められております。これを許します。芳賀貢君。
  163. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ビール麦問題については午後も質疑を行なうわけですが、政府代表しておると認めて小枝政務次官に申し上げますが、先ほど、久保委員神田委員の発言中にも、政府ビール麦の輸入公表を本日中にも行なうような説も伝わっておるわけであります。従って、この輸入問題については、当委員会調査が十分済んで一応の結論が出るまでストップすべきだというふうに私は考えておりますので、この点については議事進行として委員長からも政府に伝えてもらいたい。
  164. 吉川久衛

    吉川委員長 ただいま芳賀委員の御発言もありました通り、本日中に一応の結論が出ると思いますが、本委員会の審議の終わるまでは公表を差し控えるように政府委員長から要望しておきます。  午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時五十三分開議
  165. 永田亮一

    ○永田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  166. 芳賀貢

    ○芳賀委員 公取委員会お尋ねしますが、ビール麦独禁法違反の問題について提訴が行なわれておるわけですが、午前中の答弁におきましても現在調査中であるということは承知いたしましたが、問題点ですね、特にビール四社が共同の行為を行なっておる価格の問題、あるいは買い入れの地域の協定の問題、あるいは取引条件の協定の問題等、幾多具体的な事例があげられておるわけでありますが、公取委員会としてどのような点を重点として事務局において調査を進めておるか、その内容をできるだけ明らかにしてほしいと思います。
  167. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 お答えいたします。  ただいま私ども委員会事務局審査部において広範な範囲にわたって審査を続けておりますから、せっかくのお尋ねではございますが、どういう点が重点であるかというようなことは、結果が出るまでお待ち願いたいと思います。ただいま芳賀先生の御質問のように、値段の問題、数量の問題、地域の問題、これはすべて提訴内容になっておりますから、その各方面にわたる協定がどのように行なわれているかということについて、参考人を呼び、現実の調査をして、今審査を続行しておる、こうお答えいたしたいと思います。
  168. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、具体的にお尋ねをいたしますが、第一の点は契約内容については文書契約になっておるわけでありますが、われわれが調査した結果によると、四社が協同組合を通じて生産者との間における契約を締結しておるわけでありますが、契約条件内容というものはほとんど同一のものである。これは、期せずして同一内容契約が締結されるということはあり得ないわけです。従って当然これは四社が協定して同一内容の文言契約を行なっておるということは明らかであると思いますが、この契約文書の内容等についての調査はもう十分進められておるかどうか、その点はいかがですか。
  169. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいまお尋ねの、契約文書の調査は、やっておるようでございます。
  170. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで比較すればわかるわけなんですがね。私たちもその契約書の各社の内容は持っておりますが、これは全く同一なもんなんですね。従って、もうこの点は長期に調査をしなくても大体内容については同一なものであるということは言えると思うのですが、いかがでしょう。
  171. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 それはお尋ねの中には協同組合契約文書もあるかと思いますが、そういう点はあるいは簡明な事実もあるようであります。その他いろんな問題をからめて今調査しておりますから、それだけ特に切り出してお答えするのはどうかごかんべん願いたいと思います。
  172. 芳賀貢

    ○芳賀委員 調査中ですから、あまり突っ込んだこともそれはある程度避ける必要があると思いますが、それでは、公取委員会においては、この契約の形式とか実態を見ていわゆるこれがこの契約栽培に類するものであるかどうか、その判断はどうです。
  173. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ちょっと、そういう点も今研究しておる最中でございますから、一応結論の出るまでお待ち願いたい、こう考えます。
  174. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはそう慎重に扱う問題でないと思うのです。まあ俗に契約栽培というようなことが通念的に言われておるが、しかし、内容を見ると、これは決して契約栽培とは言えないと思うのです。とにかく、これは会社農協との間において締結した文書契約であって、協同組合会社に対し数量を提供するというような契約内容であって、直接生産者会社間における契約ということにはなっていないようです。ですから、こういう点も、ほんとうにその契約栽培であるとすれば、これは当然会社ビール麦生産者との間において締結さるべきものであって、その場合協同組合生産者立場代表して会社との間において契約を結ぶということであれば、これは一応筋が通るが、この内容を見るとそういうところまでもいっていないのです。その次は、数量だけの契約ということになれば、これは農産物の場合においては必ずしも計画的に契約に基づいた数量生産というものは期待できないと思うのです。毎年の天候とか生産条件に左右されて、一定の数量を確保することは容易でないと思うのです。凶作年の場合は当然当初予想したよりも減収になるということになれば、その契約数量の確保はできない。あるいは平年作よりも作況が上回るというような場合においては、予定した反別から予定以上の収穫があがるという現象も生ずるわけです。従って、このような数量だけの契約栽培としての取りきめというものは、これは体をなしていないのであります。やはり、ほんとうの契約栽培であれば、耕作面積に対する契約というものを行なって、その面積から生産されたビール麦契約に基づいて会社側が引き取るというところまでいかなければ、これは契約栽培にはならぬと思います。こういう点は常識的に判断すれば答えが出るのですが、どういうようにお考えになっていますか。
  175. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 今先生のおっしゃったようなことであろうかと思いますが、そういう点を今審査しておりますから、そういう御意見一つ大いに参考にして審査結論を出すようにしたい、こう考えております。
  176. 芳賀貢

    ○芳賀委員 われわれが調査いたしました結果は、四社がそれぞれ農協単位に契約を行なっておるが、同じ協同組合単位の地域の中における重複した契約というものは全然行なわれていない。会社と協同組合との契約内容が、自然に行なわれた状態であれば、場合によっては同一農協の地域内において二社以上の会社契約することもこれはあり得るわけなんだが、そういうことが全然行なわれていないということになれば、当然これは四社が協定を結んで共同の行為の中でお互いの契約地域というものを協定して契約を結んでおるということが当然指摘されるのでありますが、この契約地域の問題等については十分な調査が進んでおるかどうか、お伺いしたい。
  177. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいまのような事情は、調べている過程において参考の事情として審査当局で十分聞いておるようであります。
  178. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、調査が進んで、契約の区域の協定の場合、あるいは価格の協定、あるいは取引条件契約内容等がすべてこれは共同行為によって行なわれておるということが当然明白になると思いますが、明白になった場合には、これはやはり独禁法違反の事案として当然審判を開始するという手続を事務局としてはとられると思いますが、そういうことになりますか。
  179. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 当初に申し上げたように、着々として審査を進めておりますから、今先生のおっしゃったような過程において議論して違反の疑いがあれば、当然わが方の委員会にお諮りいたしまして、審判開始の手続をとらざるを得ない、こう考えております。     〔永田委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 芳賀貢

    ○芳賀委員 調査の点につきましては、午前中の公取の御答弁では、四月中に調査を完了させて一応の結論をつけ、それを委員会の方へ回したいというようなことでございましたが、もう少し調査を能率的にやる方法はないのですか。
  181. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 私どもの与えられた人数では、最もスピードを上げてやっているつもりでございます。
  182. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは昨年の暮れからもう取り上げた問題でありますし、調査の対象になる範囲はおのずから限定されておって、それほど複雑怪奇な問題ではないと思うのです。歴史的にも数年の間このような形で問題が処理されておるということの事実関係というものだけが明らかになれば、これは独禁法違反の事案であるかどうかということも、常に取り扱っておる事務局の皆さんにおいては容易に明快な判断がつくと思うのです。それを早く進めてもらわぬと、午前中にも意見が出ましたように、たとえば審判を開始した場合においても、今度はなかなか時間がかかって結論を出しがたい、あるいは今年度のビール麦の収穫期あるいは出回り期にもぶつかるということにもなると思うので、そういうことも十分これは配慮されて、重点的に――これ以上大きな違反の問題もあると思いますが、しかし、農村にとってはこれは相当大きな問題であるし、全国的に注目している点ですから、この際調査予定というものをできるだけ繰り上げて能率的な調査を済ませて、われわれとしては当然これは独禁法違反の疑いじゃなくて事実があるというふうに見ておるので、公取の今後の公正な動作というものに一つの期待を持っておりますが、そういうことで進めるわけにいかぬですか。
  183. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいまの御趣旨のようにやって参りたいと思います。
  184. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一点お尋ねしたいのは、午前中も質問が出ましたが、生産者会社の間に立ってあっせんを行なっておるものに、一つ酒造組合一つ麦耕連という二つの団体があるわけですが、その酒造組合の方は法律によってできたいわゆる法的組合であるということが明らかになりましたが、麦耕運というものはどういうような根拠で形成されておる団体であるか、その点はどうですか。
  185. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 麦耕運がどういう団体であるか、独禁法でいわゆる事業者団体になるのかどうかというような問題も含めて今審査しておりまして、ここでお答えすることを御容赦願いたいと思います。
  186. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、あなたの方で調査する場合も、たとえば麦耕連の正体が何であるかということがわからぬと、正確な調査が進まないと思うのですが、たとえば、大まかに言って、これは法的な団体であるか、あるいは全く法根拠を持たない任意的なものであるかということは、これはもう明白になっておると思いますが、いかがですか。
  187. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 私の聞いておる限りでは、任意団体でございます。
  188. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうなると、任意団体がこのような事業面についての具体的なあっせんあるいはその代弁的な行為さえも実はやっておるわけですね。ある場合には金融上の事業もやっておるというようなこともわれわれは把握しておるわけなのですが、とにかく、あっせん団体というこのような団体が今言ったような性格のものであるとすれば、当初からここにも大きな問題があるのではないかと思いますが、これはやはり対象として調査されておるかどうか、いかがですか。
  189. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 その点はまさしく対象として調査しております。
  190. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今の時限では公取の事務局お尋ねしておくのはその程度の点でありますが、もう一つ酒造組合の場合にはやはり問題があると思うのです。先ほど、大蔵省の説明員からは、これは酒造組合の事業目的の中に物品のあっせん行為というものが入っているというお話もありましたが、ビール四社だけで作った酒造組合ですから、当然これは四社の利益というものを中心として利益を拡大擁護することを目的にしてできておるものですから、当然その行為というものは会社利益追求のために動いてもおるし、また、ある場合にはやはり代弁的なそういう行為というものが常に繰り返されておると思いますが、この組合に対してはどういうような態度で臨んでおるわけですか。
  191. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 それは、今われわれが調べております提訴された内容の問題にからんできますので、調べた結果御報告したいと思います。
  192. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、近い機会にまた委員会に出席を願って、調査の進行状態等については御報告願いたいと思うわけであります。  次に、農林省当局にお尋ねしますが、最近におけるたとえばビール麦の耕作状態、これは、毎年ビールの製造石数が非常な勢いで増加しておるということに見合っても、当然原料ビール麦生産というものは拡大の方向に進んでおると思いますが、最近の生産の推移というものはどういう状態になっておりますか。
  193. 増田盛

    増田(盛)政府委員 ビール麦の作付面積の増大は最近特に顕著なものがございまして、統計調査部の資料によりますと、昭和三十二年度におきましては、おおむね四万五千町歩程度でございますが、昭和三十三年度におきましては、同じ統計調査部の調査によりますと、六万二千町歩というふうに、きわめて大幅に増大いたしております。
  194. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで、この作付から生産されたビール麦原料大麦がどういうような経路で会社の方に売り込まれておるか、そういう点はどうですか。
  195. 増田盛

    増田(盛)政府委員 これは、しばしば、その中間的な段階に関しまして、食糧庁等でも御説明があったはずでありますが、一応私の承知いたしておるところによりますと、まず全部の麦に関しまして国営検査があります。その検査数量の合格の中から、あらかじめ会社と農業協同組合との間に栽培契約が結ばれておりまして、この数量に従いまして会社販売いたしておるようなわけでありますが、この場合のルートといたしましては、単位農協が、これもかねてビール会社との協議によりまして指定されました駅のもよりの倉庫に納めまして、それから会社が引き取る、こういうルートになっておるわけであります。
  196. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど公取委からは答弁がなかったのですが、この際、振興局としては、今の契約栽培内容とかやり方についてどう考えておりますか。
  197. 増田盛

    増田(盛)政府委員 ただいまの契約栽培内容の問題に関しましても、私ども承知いたしております範囲内におきましては、数量、それから豊凶の差による契約数量の変動、それから価格、その倉庫に対する入出庫の条件等が内容になっておるわけでありまして、こういう内容が、実は実際の行為は単協段階に行なわれるわけでありますが、しかし、栽培並びに取引条件というものは、先ほどから問題となっておりますあっせん団体の手によって会社側並びに生産者双方の条件についていろいろな協議が行なわれるように聞いておるのであります。私は、契約栽培内容の形式から言いますと、こういう形の契約もあり得ると思うのであります。もちろん内容におきまして十分に完備したものとは言えない点もあるのでございますが、やはり、それも適正な形で行なわれた場合におきましては、私はあり得るというふうに考えるわけであります。ただ、その取引が、午前中も申し上げました通り、対等の資格・条件の中で適正に内容が定められるというところに問題の核心があるように思います。
  198. 芳賀貢

    ○芳賀委員 振興局の場合は、やはり生産者立場というものを十分考えながら生産の育成とか消流問題等にも努力しておるわけですが、今のようなこういう契約のあり方というものは、そういう形もあるという程度では済まぬと思います。たとえば、あなたの方で扱っているビートあるいは亜麻にしても、それから、内容は違うが、たとえば牛乳の契約販売の場合にしても、もうすべてこれは生産者会社が直接契約で、そうして、契約の主体というものは、栽培の面積、あるいは牛乳の場合にはその飼育している乳牛から生産された乳の全量というものが対象になるわけです。このビール麦の場合においては、生産者との間における密着というものはない。協同組合会社との間における数量契約ですから、一定数量の売り渡し契約が締結されておるというような形です。ですから、それを正常化すためには、耕作する生産者会社との間における契約ということにして、そして、契約の形というものは、生産者立場代表する農協生産者代表して会社契約するということであればいいが、この契約というのは非常に質的にも違う。こういう点は、振興局として、麦耕連の方もあなたの方で作らせて指導しておるし、こういう形というものを容認して今まで温存させておるのだから、間違いがあればあなたの方で適正に直すように指導するのが当然じゃないですか。そういうことをどうしてやらないのですか。
  199. 増田盛

    増田(盛)政府委員 ビール麦だけに問題を限るわけではないのでありますが、一般的にこういう巨大な資本を持っております相手方に対する農産物取引の基本的な形態は、やはり農業協同組合組織を強化し、取引の単位を拡大し、しかも対等の条件取引条件を定める、そういう結集した力で取引の円滑を期するということが根本であると思うのでありまして、この点に関しましては、午前中から再三繰り返してお話し申し上げた通りでございます。ただ、ビール麦に関しまして、実は、これも、耕作団体の設立当時におきまして昭和二十五、六年当時の麦の間接統制に移管した当時でございますが、役所の勧奨もありまして今のような団体が生まれたわけでございます。これも、やはり、農業団体が次第に成長し力がつくに従いまして、そういう大きな組織の中で解消し、そしてさらに大きく発展すべき大筋に対しましては、私どもも十分考えておるところでございます。ただ、現在まで実はこういう取引の面に関しまして問題が割合隠されたままで来ておりまして、役所としてこれに対して十分吟味するいとまがなかったわけでございますが、今回いろいろな問題が起こりましたときに、幸いにいたしまして関係団体の首脳部におきましていろいろ円満な解決の方同に向かって話し合いを進めておりますので、私はこれが私たちの望む方向に向かって円満に解決されることを期待しておるわけでございます。
  200. 芳賀貢

    ○芳賀委員 このようなたとえば特約栽培の場合は、農林省当局としても、当然、契約内容とかあるいはやり方等についても、このような形が望ましいというような一つの事例を設けて、その線に沿って適正な契約が行なわれて、耕作者も安心して生産できるような方向に進めていくことが当然だと思うのですが、そういうふうに改善する御意思はないのですか。
  201. 増田盛

    増田(盛)政府委員 この特殊な農作物のいわゆる契約栽培あるいは特約取引、いろいろな形が現在までにわれわれの研究対象になるためには少なくないいろいろな事例があるわけでございすして、私どもといたしましても、昨年度の北海道におきますビートの取引等を契機にしまして種々検討したわけでありまして、特に養蚕関係あるいは乳牛関係、私どもの方で取り扱っておりますたとえば麻関係取引、いろいろあるわけでありますが、やはり、おのおのの農作物の特殊性なり、あるいは従来の長い間につちかってきました慣行等がありまして、やはりさまざまな形をとっているわけでございます。しかし、根本におきまして、やはり畑作物価格がきわめて不安定な現在におきまして、価格維持をやるという場合の大きな柱は、何と申し上げましても農民の協同化であり組織化である。しかもその上に共販体制を強化する以外にはないという確信を持っておるものでありますが、私どもといたしまして、今にわかに法制等の措置によって特約取引を規制する、あるいは契約栽培を規制するというところまでは、実はまだ適当ではないと思うのでありますが、何らかの形で指導面に対しましてそういう大きな根本的な方策なりその母体的な方策を確立いたしたいと考える次第でございます。
  202. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、政務次官にお尋ねしますが、ビール麦問題は半ば社会的な問題にまでなっているわけです。今振興局長からもいろいろな答弁が行なわれておるが、農林省としては、社会問題化したようなこの問題をどのように扱ったらいいというふうに考えておられますか。
  203. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 午前中から質疑応答のありましたように、このビール麦が最近において農産物の上から非常に司要視されるようになって参ったのであります。従来のやり方につきましては、芳賀委員よく御承知通りでありまして、農林省といたしましては、当事者間の意思におきましてでき得る限り適正な取引ができるようにという一つ指導方針をもって、あるいは府県を通じ、あるいは農林省においてこの指導をして参るという程度に尽きておったと考えるのであります。最近におけるビール麦状況をいろいろ考えて参りますと、先ほど局長からもお答えいたしましたように、年々需要が増大してくる、ビールの醸造量がふえてくるというような状態でございまして、この問題につきましては、このまま放任しておくということは、われわれといたしましては、これは適当ではないのではないかということも強く考えられるわけであります。そういう点に立ちまして、事務当局間におきましても根本的な方針を立て、また、私どもといたしましても十分検討いたしまして、生産者にとりまして不利益を来たさないような一つ方針を検討いたしまして、至急に何らかの方法を考えたいと思っております。これは私の率直な現在の考え方であります。
  204. 芳賀貢

    ○芳賀委員 特に、問題は、契約の形式においても直接の生産者の意思というものは何ら表現されないという欠点が一つ。それから、もう一つは、数量だけの契約ですから、たとえば、予定を立てて耕作をして豊凶があった場合にはその処理というものは明らかにならぬわけです。たとえば、反当三石なら三石の収量予定を立てて栽培に努力しても、やはり天候等の条件によってはなはだしい減収が起きたという場合には、予定数量の確保というものは当然できないのです。ですから、減収とか損失が起きた場合の、いわゆる減収補てんというような措置は今の契約の中では全然講じられないわけであります。それから、もう一つは、予定を立てて耕作をしても、年によってはまた生産が上回って、数量から見るとある程度オーバーする場合もできるわけであります。その場合には全然これは引き取らぬというような不当なことが起きてくるわけであります。ですから、栽培契約とすれば、一定の基準に基づく耕作面積というものを確保して、その面積から生産された原料ビール麦については、やはり全面的に会社がこれを引き取る、特に不可抗力の原因によって減収になったというような場合には当然これは当事者間の交渉の中で何らかの補てんを行なうとか、現在よりももう少し高度に社会性を帯びた契約にこの機会に改善させる必要があると思うのです。特に、麦耕連というものは非常に問題だと思うのです。何ら法的の根拠もない。そしてそれが事業団体の事業目的と同じような不法な行為もあえてやっておるというような点は、この際根本的に内容調査して解決しなければならない問題だと思います。すでに、今日の段階では、農業協同組合はやはり生産者の協同組織でありまするし、生産物の集荷販売等についても、総合農協販売事業、あるいは都道府県段階においては販売事業の連合会とか、あるいは経済連もありますし、また全国段階においては全販連というような、こういう系統組織も整然として整っておるわけです。だから、何も根拠のない脱法的なこういう団体を、しかも農林省がこれを援助して作らして、いつまでもこの形を温存しておくというところに私は問題があると思うのです。ですから、農林省と参してもう少し系統の集荷販売機構というものを整然として強化するという考えがあるとすれば、この際麦耕連の存在ということについて十分解明して、何らかはっきりした解決の方途を見出す必要があるのじゃないかと私たちは考えているのですが、政務次官、あなたは役人じゃないのですから、もう少し一段高度の立場からこの問題をながめた場合において、少なくともこれはもう当面の問題だから短期間に解決すべきだと思いますが、いかがですか。
  205. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 ただいま芳賀委員お話しのように、農林省指導によって生まれたところの麦耕連が今日十分な機能が働いていないという御指摘につきましては、これは十分検討いたさなければならぬと思いますし、ことに、現在の麦耕連をこのまま活用いたしまして、その内容を十分改善し充実をいたしまして、十分その機能が果たせるようになり得るかどうかということも、根本的な検討を加えたいと思います。  なお、本朝来神田委員の御質問にもお答えいたしましたように、事務当局といたしましても、ビール団体におきましては醸造者側におきまして一本化して販売会社を設立しておるというようなことでありまして、生産者団体だけ何か二つに分かれているというようなことは当然不利益な問題だと考えます。この問題につきましても、あるいは振興局、経済局、食糧庁等におきまして十分連繋を保ち、意見を統一をいたしまして、十分な体制を整えるように一つすみやかに善処していきたい、かように考えるわけであります。  要するに、ビール麦においてただ問題がございますのは、御承知のように、一般の食糧あるいは飼料の麦におきましては、ことに食糧の麦については、国が価格を保障し買い上げるということになっております。ビール麦の場合は、ビール会社と直接契約をいたしまして、要するに、食糧麦の場合は国が責任をもって買い上げるのでございますから、それ以上に利益がある場合でないとビール麦栽培しないのじゃないかと考えておるのでありますけれども、しかし、あるいは生産の上の工程あるいはいろいろな問題があろうと思いますし、ことに畑作振興のやかましい今日、われわれとしてもこれには非常に努力をしなければならぬ現状にかんがみまして午前中御指摘になりましたように、ビール麦を輸入しなければならぬという段階におきまして、われわれはこれはどこまでも国内で自給し得る体制を整えていくという必要を痛感しておるのでありまして、そういう問題につきましては、でき得る限りすみやかに抜本的な検討を加えまして善処いたしたい、かように考えておるところであります。
  206. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だいぶ誠意のある答弁ですが、それでは、もう少しはっきりしておきたいのですが、善処するというのは、麦耕連をどう扱う考えですか。
  207. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 麦耕連につきましては、実は、私、率直に申しまして十分検しておりませんので、これから十分一つこの内容調査いたしまして善処いたすつもりでございます。
  208. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、先ほど来の政府委員の答弁でもおわかりの通り、何ら法的の根拠のない任意団体なんです。生産者立場団体であるかというと、これはそうでもない。むしろこれは現実的に見ると会社の御用機関みたいな役割を多分に果たしておる。ですから、これは農林省から見てもやはり協同組合とは性質的に見て性格が全く翼賛のものであるということが言えるかもしれない。これをよく勉強しておらぬというのはまことに遺憾な話なのでありますが、短時間に十分検討されて――なかなかこれは農林省の部内では取り扱いが困難だと思いますから、小枝さんがこれを解明すればそれでもいいし、あなたがもしできなければ、これは農林大臣の責任において、このような全く根拠のないヌエ的な、むしろ生産者利益を阻害するような行為さえも行なっておるようなこういう団体については、はっきりした農林省としての方針を示されれば、そのことによって契約栽培の本来的な姿をまた打ち出すことができるのではないかというふうに私は考えますので、この際あらためて所信を明らかにしてもらいたいと思います。
  209. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 この麦耕連生産者団体代表でない、むしろビール会社の側に立っているというようなことで、これが生産者立場としていろいろな世評が立つということは適当でないと考えるのであります。従いまして、そういう場合におきましては、あるいは他の方法によって、これは協議をやりますとか、あるいは麦耕連というものの性格を検討いたしまして、生産者団体にいたしますとか、そういうふうになるのが当然だろうと考えますので、そういう線に沿って検討いたしていきたいと考えます。
  210. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、当面した輸入問題です。これは、午前中も委員長から、当委員会調査が終わるまで輸入公表はストップするようにというお話がありました。そこで、お尋ねしたいのは、現在ビール麦の集荷販売機関の一つとして全敗連が計画的に原料ビール麦の集荷を行なっておるのですが、聞くところによると、この全販連が集荷した原料麦については、会社側はこれを買付をしないというような態度を示しておるというふうにも聞いておるのですが、どのように理解しておられるか。
  211. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 芳賀委員お話のように、もし全販連がビール麦の在庫が相当あるということになりますのに、それを度外視して外国から輸入するということは適当でない、かように考えております。
  212. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の聞いておるのは、全販連が集荷した原料麦を公社が買付しないという態度を示しておるという話をわれわれ聞いておるが、その内容を関知されておるかどうかという点なんです。
  213. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 いろいろ情報としてはそういうふうな情報もございますが、現実問題といたしましては、全販連とそれからビール会社方面といろいろ話し合いをいたしまして、具体的な解決をつけよう、こういうようなことで話をしておるようでございますので、そういう話し合いの線を主体にいたしまして、当面の問題としては円満に解決するようにというようなことを期待しておるわけであります。
  214. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、全敗連と会社側の中間に立って処理する努力を農林省がしておるとすれば、一体それは坂村さんの方の経済局でやっておるのですか、それとも食糧庁でやっておるのか、どこの主管でその問題を進めておるわけですか。
  215. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 農林省が全販連と会社側の中間に立ってということでございませんで、私たちが聞いておりますのは、全販連の方とビール会社の方といろいろ具体的な話し合いを進めておるからというような話を聞いておりますので、そういう点で、いずれ円満に解決がつくのではあるまいかというふうに期待をしておるわけであります。
  216. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは輸入問題と重大な関係があると思うのです。たとえば、全敗連が五十万俵の集荷計画を立てて、そうして集荷するとすれば、当然これはビール原料の麦ですからして、それは会社側に売り渡す以外に消費の道はないわけです。従って、三十四年の産麦が順調に消化されないということになれば、これは生産者にとっても重大な問題でもあるし、また、それから起きる損害というものも相当額になるので、そういう事実というものを十分考慮に入れて、この問題の解決を前提として今回の輸入計画というものを考えて進めておるかどうか、その点を明らかにしてもらいたい。
  217. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 ビール麦の直接の輸入の問題は起こっておりませんで、現在話が起こっておりますのは麦芽の輸入の問題でございますが、もちろんこういうような問題も全体のビール麦の需給とも非常に密接な関係があるのでございますから、そういう点を、私どもの方といたしましても、生産方面あるいは需要の方面、そういう面ともにらみ合わせまして十分検討いたしまして、輸入をどの程度するかというような問題については十分慎重に一つ検討していきたいというふうに考えております。
  218. 芳賀貢

    ○芳賀委員 食糧庁はどう考えておるのですか。
  219. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 私どもの方は、実はビール大麦の取り扱いにつきましては、昭和二十七年以来、麦全般の問題といたしましては、御承知のように直接統制は廃止になっておりますので間接統制になっております。もっぱら自由取引ということを前提にしておるわけでございます。それで、そういう観点からいたしまして、特にビール大麦につきましては特殊の格上げ品ということになっておりますので、結局、私どもとしては単に検査の面においてこれにタッチするということでございますので、さしあたり、私どもの方から御意見申し上げるのはどうか、こういうふうに考えております。
  220. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ経済局ということになると思うのですが、会社と全敗連で話をしているらしいでは済まぬじゃないですか。その話がどうなってどうなるということがわからなければ、当面する輸入に対して農林省としても通産省に合意するかどうかという態度がきまらぬと思うのです。
  221. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 私ども経済局といたしましては、貿易関係の問題につきましては、一応農林省の事務の中身を申し上げますれば、窓口になっていますので、通産省との話は私どもでいろいろいたしますが、先ほど申し上げましたように、生産関係あるいは需要関係、そういう面の部局の意見も十分聞いて、その結果によって慎重に扱っていくというっふうな態度であります。
  222. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、問題は、全敗連が系統機関として集荷計画を立てて集荷したその現物のいわゆる原料大麦の売り先というのは、当然会社以外にないのですから、この問題はまだ未解決で停滞しておるのですよ。これは三十五年のビール麦の集荷問題ともまた大きな関係があるわけです。だから、この際、全販連の集荷した原料ビール麦の処理というものを先に行なって、そうして三十五年度の生産あるいは流通にも一つの計画性を持たして、そうしてどうしても絶対不足については輸入するということであれば、これはやむを得ぬことだと思うのです。そういう順序でこの問題を解決するという確信を持って農林省が当っておるかどうかということをお尋ねしておるわけです。
  223. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 もちろん、それは、国内で生産された麦が、あるいは全敗連にやり、あるいはその他のところにやるというようなことでございますから、そういう点の生産関係、あるいは流通関係、それから需要の面、そういう点を考えるという場合には、当然そういうことを考えた上で、どうしても輸入しなければならぬものは輸入するというような態度をきめるべきであるというように私ども考えておるわけであります。今そういう点は慎重に取り扱いたいというように考えております。
  224. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、全販連の集荷ビール麦、これはいわゆる需給計画の中でどれだけ会社側が引き取るという見込みをつけておるのですか。
  225. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 部内の仕事を申し上げましてはなはだ申しわけございませんが、私どもの方では貿易関係のいろいろな窓口をやっておりますので、そういう関係、需要の面あるいは生産の面がどういう工合になっておるかということをいろいろ農林省の内部で検討されたことを私の方で取り次いで通産省と折衝する、こういう形になっております。
  226. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、その案を作った方から説明してもらいたい。
  227. 増田盛

    増田(盛)政府委員 ただいま問題になっております三十五年産麦の中で全販連が集荷したものの措置でございますが、実はこの問題は団体首脳間で進行しております取引状態を改善するという主張に関連しておるわけでありまして、私ども、従来二本建で、すなわち、麦耕連の系統で集まってくるもの、それから全敗連の系統で集まってくるもの、これに関しましてはまだ詳細全販連から聞いておらないのであります。従って、その計画に関して御説明できないのでありますが、両者間に、しかもビール会社との間に最終的な話がきめられないままに行なわれておると考えております。従って、現在差し迫っております輸入問題に対して、私ども、現在のモルトの輸入を考えます場合におきましては、将来におきます麦芽の国内自給体制の確立ということが最も重大な問題でありまして、何とかしてこれを中心にして早急に樹立したいというふうに考えておるわけであります。そして、この自給体制の樹立に関連しまして、関連というよりも、当然それに並行しまして、今行なわれております話し合いが無事円満に解決して、集荷取引上の混乱が避けられるということになれば、はなはだしあわせなわけでありまして、そういうことを期待しておるわけであります。しかし、今目前に迫っておる御承知の現在のモルトの輸入に関しましては、実は時期的に一年間のズレがあるわけでありまして、今酒造年度に今後使用いたしますモルトの原料になる大麦は三十四年産麦でありまして、これから生産しましたモルトの生産状況から見ますと、どうしても今後の輸入を早急に認めざるを得ない、しかも、その時期は、午前中に御説明申し上げました通り、バーター取引関係がありまして、ことに通産省の催促等もありまして、一応本問題と関係が深いわけでございますから、製造年月から言いますと一年間のズレがありますが、そこは不即不離でございますので、何とか片一方の要求も満たさざるを得ないという立場に立っておるわけでありまして、結論いたしますのに、やはり早急にきめなければならぬのじゃないかと考えております。
  228. 芳賀貢

    ○芳賀委員 小枝さんにお尋ねいたしますが、大体内容はおわかりになったと思いますが、やはり、当面した問題としては、全販連と会社との間に横たわった問題の処理を明らかにしてそれを前提にして輸入に対する態度というものをきめるべきだと思うのです。当然そうすべきだと思いますが、政務次官としてはそのような段取りで進まれるお考えかどうか、伺っておきたいと思います。
  229. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 いろいろこの問題を何っておりますと、この輸入麦の問題も重要な問題になっておりまして、十分これは検討しなければならぬと私ども考えておりますが、要するに、国内の生産者生産した麦が来たるべき年度のビール生産原料のワク外にあるということは、われわれとしてはあり得ないことだと思います。そういう意味におきまして、先ほど来からお話もありますように、この問題は、農林省側としても、積極的にそれぞれの関係方面に十分話をいたしまして、極力、そういうふうに、国内で生産され現在在庫されており、しかも直ちに使い得る麦であるということになりますならば、この貿易の問題とあわせて十分検討いたしまして、善処、努力をいたすつもりであります。
  230. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま次官からそういうお話がありましたが、そこで、通商局の倉八次長にお尋ねしますが、大体国内の事情は午前中からの質疑の中で明らかになっておると思うのです。特に、麦耕連系統で集荷した以外のいわゆる全販連系統のもう一つの集荷の形態があって、ここで相当量の集荷が行なわれておる、そういうような事情というものが今回の麦芽の輸入に対しては十分織り込まれていないと思うんです。大蔵省の方もおそらくそうだろうと思うんです。従って、今日その内容が判明しておるわけですから、これをもう一度再検討して、国内の原料麦の処理というものを相当重要視して、そうして十分の需要計画の上に立って必要量については輸入を認めるというような処置に出られた方がいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  231. 倉八正

    ○倉八説明員 今の芳賀委員の御質問に対してお答えします。  最初通産省に輸入の要望がありましたときは、たしか二万トンだったと思います。その後、われわれの方としましては、農林省国税庁といろいろ相談いたしまして、それから、さっき先生から御質問のありました全販連なんかの問題もあったかと思いますが、その後一万三千トンというふうに輸入が圧縮されて参ったわけであります。私たちの方では、この問題は、バーターの問題でありまして別に公表を要しないのでありますから、すでに受け付けております。受け付けておりますが、それをまだ私どもの方ではあたためておるわけでありまして、そのあたためておるわけは、農林省の問題あるいは需要方面関係官庁である国税庁の問題というような、今各委員からいろいろお尋ねのあったような問題もあろうかと思いまして、私の方ではしばらく押えております。しかしながら、率直に言いますれば、これは大体百六十万ドルの船とのバーターでありまして御承知のように、チェコとの問題は、おととしぐらいから相当貿易も伸びて参りまして、何とかして出したいと思いますが、いろいろ複雑な問題も控えておりますから、私の方ではきょう現在においてはまだそれを握っております。
  232. 芳賀貢

    ○芳賀委員 バーター貿易の場合でも、そのことによって国内の農産物に対する異常な圧迫が生ずるようなことは、これはあくまでも避けてもらわなければならぬわけです。しかも、チェコからの麦芽の輸入についても、これは品質においても価格においても、国産のものの方が良質で価格も安いわけです。ですから、最近唱えられておるところの自由化の問題と逆だと思うのです。ですから、そういう問題を十分考慮した場合におきましては、国産の原料麦を圧迫までして、品質の悪いしかも価格の高価な麦芽をあえてバーター貿易に名をかりて輸入しなければならぬということは、これは十分再検討の余地があると思うのです。従来からの経緯があるとすれば、やはり、先ほどから繰り返して言うように、まずその国内産の現物の処理というものを優先にして、しかる後に今年度のビール醸造に対して必要な麦芽等についてはこれを輸入で充足させるということは、これは政府としての態度としてしかるべきだと思うのです。ぜひそういうことで問題の解決に当たるべきだと思いますが、この際、どなたでもいいが、今の政府代表して、間違いなくこうやりますという責任のある答弁を求めたいと思います。
  233. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 芳賀委員のおっしゃることは全くその通りでありまして、輸入するビール麦が他に転用できるということなら格別、ビールの醸造にしかこれが使えない、そうしてこれが国内産のビール麦を圧迫して、それを生産したところの農民あるいはこれを取り扱っておる人々に迷惑をかけるということは、農業政策としてはとるべきでない、かように考えますので、十分検討いたしまして善処するつもりであります。
  234. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長に申し上げますが、今政府代表して小枝政務次官から良心的な答弁が行なわれたのですが、われわれ委員会としては、この機会に根本的な解決をはかるために、必要であれば、たとえば会社側とか、あるいは麦耕連とか、全敗連とか、あるいは生産者代表とか、そういう関係者の代表の出席を求めて内容を十分明らかにして、そうして最善の結論を出すべきだというふうに実は考えておったわけです。しかし、今の政務次官の答弁によって、たとえば、契約方式の内容、今後の取引の改善の問題、あるいは現在あるところの全販連の集荷したビール麦の処理等を、当然これは責任を持って優先的に行なうということであれば、これはそれに対する期待を持ってもいいと思うのですが、委員長においては、これは安心してその通りやれるというような判断でおられるのか、これは安心がならぬからやはりもう一度委員会においてこれを究明する方がいいと考えられるか、賢明なる委員長の御意見も一応聞かしてもらいたいと思います。
  235. 吉川久衛

    吉川委員長 せっかくの芳賀委員の御意見でございますが、私は、小枝政務次官の答弁は今までの質疑を通じまして誠意あるものと認めます。従いまして、今後の成り行きを静観いたしまして、その上で善処することにいたします。
  236. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、小枝政務次官に申し上げますが、ただいまの言明の趣旨に沿って、あと何日ぐらい後に、政府の方針を御決定になって、このように処理したというような報告を当委員会で行なわれるかどうか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  237. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 どうもこれは相手方のあることでありまして交渉いたさなければなりませんが、先ほどから御承知のように、非常に期日は緊迫しておるように考えておりますから、私どもそのつもりで努力をする考えであります。
  238. 吉川久衛

    吉川委員長 神田大作君。
  239. 神田大作

    神田委員 午前中保留いたしましたいわゆる検査規格の変更に伴う価格の問題についての調査ができましたなれば、御答弁願いたいと思います。
  240. 岡崎三郎

    ○岡崎説明員 午前中の御審議の際申し上げましたように、三十二年から三十三年当時、規格改正しました当時の事情につきましては、その当時の担当者が実はただいまここにおりませんので、それで、なお聞き合わせて今後至急調査したいと思っております。  なおまた、昨年の暮れからことしにかけましての申し入れ、あるいはだれとどこで会ったかということにつきましては、直ちに一緒に聞いておりました検査課長を帰らせまして調べさせておるのですが、まだそれは届いておりませんので、御了承願いたいと思います。
  241. 神田大作

    神田委員 非常に大事な規格の変更の場合に、いわゆる需要者だけの要請によってそのような規格の変更をして、供給者が莫大な損害をこうむるのに対して、私は、政府当局としても、あるいは食糧庁といたしましても、もっと誠意のある態度をとるべきだと思う。何かやはり規格変更に対する機構のやり方について欠陥があるんじゃなかろうかと私は思う。これは、供給者側の意見、それから実需者側の意見を十分に聴取し、あるいは権威ある審議機関にかけて決定さるべきだと思うのです。ところが、実需者がこうした方がいいというようなこの申請をうのみにしたような格好によって今回の規格の変更をする、これはわれわれの納得のできないことでありますから、あなたが供給者や実需者に対していろいろと方法をとったと言われますが、その方法の内容を直ちに文書によって当委員会に提出してもらいたい。それに基づいて今後私は質疑をしていきたい、こういうように考えております。  いま一つは、今芳賀委員も言われた通り、輸入麦芽の問題が緊急な問題になっておるのでありますが、三十四年であろうと三十五年産であろうと、農民ビール麦をたくさん作りたいという要望がある。また、実際において残麦というものが相当できておる。そういうふうに、農家のいわゆるビール麦の買い上げを不徹底にしてそうして外国から高い悪い麦芽を入れるというような、そういうばかげた話はわれわれは聞いておられないからして、今後私はこの問題を根本的に検討を加えなければならぬと同時に、差し迫った輸入麦芽を最小限度に一つ押えてもらいたいということを政務次官に強く要求するのでありますが、政務次官の御見解を承りたいと思います。
  242. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 神田委員の御指摘の、この規格を変えたという問題でございますが、これに対して、私どもといたしましては、需要者と供給者、つまり生産者と需要者の両者の立場があるという場合に、需要者だけの要求によってやるということは今後やらないつもりであります。生産者側意見も十分尊重いたしまして、その上で決定いたしたいと考えております。制度の問題につきましては今後十分検討いたしてみたいと思います。  それから、輸入麦の問題でございますが、これは先ほど来芳賀委員にお答えいたしました通りでございまして、極力努力いたし善処いたしたいと考えております。
  243. 吉川久衛

    吉川委員長 本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。  暫時休憩いたします。     午後四時五分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕