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1960-03-11 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十一日(金曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 角屋堅次郎君    理事 小平  忠君       倉成  正君    田邉 國男君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君       綱島 正興君    松田 鐵藏君       八木 徹雄君    保岡 武久君       赤路 友藏君   茜ケ久保重光君       石田 宥全君    中澤 茂一君       山田 長司君    小松信太郎君       中村 時雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      木村 秀弘君         農林政務次官  小枝 一雄君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君  委員外出席者         大 蔵 技 官         (主税局税関部         鑑査課長)   木谷 忠義君         農 林 技 官         (振興局農産課         長)      石川  里君         通商産業事務官         (通商局次長) 倉八  正君         通商産業事務官         (重工業局自動         車課長)    本村 庄一君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月十日  大豆の輸入等に関する臨時措置に関する法律案  反対の請願小松信太郎紹介)(第九二七  号)  林業種苗法の一部改正に関する請願田中正巳  君紹介)(第九四九号)  国有林用苗木買上げに関する請願田中正巳君  紹介)(第九五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(主要農業機械問  題)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  主要農業機械関税問題について質疑の通告があります。これを許します。小平忠君。
  3. 小平忠

    小平(忠)委員 政府重要機械類輸入関税免税措置を一カ年間延長するということにきめたというのでありますが、その理由はどういうことでありますか。
  4. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、現在、関税定率法の附則でもって、重要機械類を本年度一ぱい免税するという規定ができておりまして、その中には農業用に使われるいろんな機械類で特に国産のできないものの関税を免除するという取り扱いになっておるわけでございます。     〔委員長退席本名委員長代理着席
  5. 小平忠

    小平(忠)委員 一カ年間延長した理由を聞いておる。別に農業機械ということを聞いておるのではない。重要機械を一カ年間延長した理由はどこにあるのですか。
  6. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 いろいろな機械類の中には、新式高性能産業用機械でもって国産化できませんものが相当ございます。一方、国内産業設備更新あるいは合理化等の必要から、いろいろな機械類輸入をしなくてはならぬような事態もございますので、従って、従来のようにそういう特殊の機械類国産のできないものについてはもう一年免税をいたしたいという仕組みでございます。
  7. 小平忠

    小平(忠)委員 そうなんでしょう。そうすると、問題がある。実は過日の金曜日の閣議で決定したという報告を聞いたのですが、その延長理由が、ただいま税関部長が御説明のように、高性能国産困難なものというようなことがやはり延長の大きな理由になっておるとするならば、営農用トラクターの中で二十五馬力以上の従来免税されているものを、今度はそれに対して免税措置をやめるという理由は成り立たない。  その具体的な内容について伺う前に、そうすると、一カ年延長なさる中には従来の品目が全部入っているのですか。
  8. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 今回の政令で二十五馬力以上の営農用トラクターについてそのエンジン部分免税を打ち切りました理由は、最近、御承知のように、国産トラクターも次第に生産段階に入って参っております。また、エンジンにつきましては、特に各工場でもって生産が進んで参っております。そういう関係で、本法の規定そのもの国産困難なるものを免税するという規定になっておりますので、生産状況とにらみ合わせまして、昨年は生産ができておらなかったものでも、その後次第に生産の実積があがってきておるというようなものにつきましては、逐次免税を打ち切るという方針をとっております。その関係で、二十五馬力以上のものにつきましても、その本体部分は別として、エンジン部分については、生産ができておるという調査の結果、打ち切ることといたした次第でございます。
  9. 小平忠

    小平(忠)委員 農林経済局長、その通りですか。
  10. 坂村吉正

    坂村政府委員 その通りでございます。
  11. 小平忠

    小平(忠)委員 そんなことはないでしょう。今現実に国内産の営農用トラクターの各メーカーの製造の状況はどうなんですか。
  12. 坂村吉正

    坂村政府委員 今までは、国内でそういう優秀な大型トラクターができなかったというような事情もございまして、免税措置をとって、供給に遺憾のないようにということでやってきておったのでございますが、最近、だんだん国内的にもそういう機械試作が成功いたしまして、おいおい商業的にもできて参るようになっておるのでございまして、たとえば、今までの実績を申し上げますると、小松製作所でも今までにもう百七台の製作をいたしておりまするし、また久保田鉄工所では二十台、ビクターオートという会社では二百四十八台、芝浦製作所では二百三十六台というようなことで、おいおい国産のものが出てきておる。こういうような状況でございまするので、そういう見地からいたしまして、あまり大きく農業影響を与えないというような程度におきましては、国産のものもできるだけ推進していくというような考え方からそういうような措置をとることにいたしたわけでございます。
  13. 小平忠

    小平(忠)委員 あなたのおっしゃっているのは、いわゆる高性能ではなくて馬力の低い低性能営農用トラクターについては確かに相当な実績をあげていることはあると思います。農林省営農用トラクター輸入関税軽減について一月十三日に通産省大蔵省と打ち合わせをいたしておりまする内容にどう主張されておりますか。これは、その一部を見ますると、こう言っているのです。「農業機械化による生産性の向上と生産コストの低下が当面の課題であって、これがため営農用ホイルトラクターの導入を強力に推進する必要がある。このために要するトラクターは、本来国産機の使用に待つべきものと思われるが、現在においては、次のとおり性能外国トラクター輸入に頼らざるを得ない状態である。」、さらに、最後にいきまして、「トラクターは未だ試作研究段階であり、その生産体制も充分整っておらず、又その価格外国トラクターより高い。」、こう指摘しているのです。これはあなたの今のお話と違うじゃないですか。
  14. 石川里

    石川説明員 農林省方針といたしましては、ただいま御指摘がございましたが、現在やはり優秀な外国品輸入する必要もございますが、同時に、先ほど経済局長から申し上げましたように、国内におきまして、すでに小松製作所においては四十五馬力のものが百七台ほどできており、これが外国にも輸出をされておる、こういう事態に相なっておりまするので、この国内生産体制をも指導して参りたい、保護して参りたい、こういう見地に立っておる次第でございます。従いまして、エンジン部分が一五%でございまするが、エンジン部分は全体の価格の三、四割程度でございまするので、都合しますると五、六%ぐらいの関税になるということでございまするので、この程度でございますれば、しかもこれが大幅に農家の負担に嫁せられるということでございますると特に問題が大きかろうと思いまするが、現在国がその半額負担いたしておるわけでありまして、さらに都道府県も何分かの負担を願う、その残額につきましては利用者負担をする、こういう形になりまするので、あまり大きな影響はないのではないかという感じがいたしておる次第でございます。
  15. 小平忠

    小平(忠)委員 質問しておるところと全然違うところをあなた答弁されてはだめですよ。農林省通産省大蔵省関税軽減についての相談をされているときには書面によって出されているこのことはどうなんですかと聞いたのです。  それから、敷衍されて経済局長小松製作所が四十五馬力を相当数作っておるというようなことを言っておるのだが、これは、二百台で、国内には一つも差し向けられない、これは全部賠償物資としての輸出でしょう。今日本営農用トラクターとして使っておりまする高性能トラクターとは太刀打ちできないものである。この四十五馬力小松製作所のものは国内のどこかに出しておりますか、出していないでしょう、これは。
  16. 石川里

    石川説明員 賠償物資に当てられたのが大部分でございますが、十八台ほど内地に仕向けられておるということに相なっておる次第でございます。
  17. 小平忠

    小平(忠)委員 これは間違いありませんか。予定にありますか。
  18. 石川里

    石川説明員 間違いございません。
  19. 小平忠

    小平(忠)委員 ともあれ、現在日本メーカーでは少なくとも二十五馬力以上のトラクターにつきましてはまだまだ農林省指摘しているように試作段階なのです。価格も高い、ですから、劈頭関税部長が明確に指摘されたように、一年間延期の理由というものが高性能国産困難なものという、その考え方に二十五馬力以上のものは当てはまるべきものである。従来二十五馬力以上のものについてもエンジン部分にいわゆる免税措置をとっていたものを、今度この部分だけ特に——ほかの重要機械というものは高性能国産困難なものは一カ年延長するんだということ出しておるにもかかわらず、なぜ二十五馬力以上の特に高性能国産困難なものというものを今度は一カ年延長対象にしなかったのですか。
  20. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは、農業関係だけではございませんで、この重要機械免税政令に指定されております各種の機械類につきましては、この前の大蔵委員会附帯決議にもございますように、できるだけ国産の進んだものにつきましては整理するようにという御指摘がございまして、われわれといたしましては、一般機械類全部につきまして、国産化がどの程度になっているかということを調査いたしまして、できるだけ整理の方向に参っておるわけでございます。ただいま問題となっております営農用トラクターにつきましても、国産化できない本体部分につきましては免税を継続いたしますが、しかし、エンジン部分につきましては、先ほど農林省の方からの御説明もありましたように、相当国産化が進んでおりますので、この部分免税を打ち切りたいということで今度の政令が制定されたわけであります。     〔本名委員長代理退席委員長着席
  21. 小平忠

    小平(忠)委員 それは、関税部長、あなたの答弁は私の伺っておることと違うのです。特に高性能国産困難なものというのが一カ年延長したというならば、なぜ二十五馬力以上のエンジン部分についてこれを課税するのであるかという点を私は聞いておるのです。農林省の方では国産化が進んでいると言うけれども、進んでいないのです。逆なのです。小松製作所の四十五馬力というものは、大半が今御説明のように賠償物資として輸出向けなのです。わずか十八台だけ国産に回そうと考えているのでしょう。あと久保田鉄工芝浦トラクターも全部まだそういう二十五馬力以上のものは作っていないのです。全部、十馬力、十五馬力、こういう低いものです。そのエンジン部分についても国産化を進められておるというのはどこなのですか。
  22. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 重要機械免税趣旨でございます新式または高性能産業用機械類国産の困難なものと規定しておりますのは、国産し得るというものにつきましては、国内産業保護いたします見地から、いわゆる保護関税、あるいは育成関税というような趣旨課税をするけれども、しかし、どうしても国産のできないものについてはこれは、保護あるいは育成すべき対象がないということのために免税をしようということでございます。ちょっと比較は困難かと思いますが、たとえば、電子計算機等につきましても、最近までは全部免税をいたしておりましたけれども、最近中型あるいは小型電子計算機でその本体部分がすでに国産ができる、——もちろん、一般に市販する、国内需要を全部まかなうという程度までには至っておりませんけれども、しかし、注文があれば製作し得るという段階に至っておりますので、免税を打ち切ることとした事例もございます。どの段階国産困難、国産可能と言うことができるかどうかということは、これは相当認定が入りますので非常にむずかしい問題ではございますけれども、しかし、一応試作段階を越えて、注文があれば製造し得るということになりますと、国産困難とは言えないのじゃないかというような従来の一応基準でもって調査いたしまして、先ほど農林省から御答弁がございましたように、芝浦機械とかあるいは小松製作所久保田鉄工等でその段階に立ち至っておるという認定のもとに今度の措置をとった次第でございます。
  23. 小平忠

    小平(忠)委員 税関部長は全然私の質問に答えていない。一番肝心なことは、国内メーカー試作段階をもう越えてどんどんと太刀打ちできるような体制にあるなら、これは私は今回の政府処置も大いによろしいかと思うんだけれども、一方、農林省では、もう一回私は申し上げますが、「トラクターは未だ試作研究段階であり、その生産体制も充分整っておらず、又その価格外国トラクターより高い。」従って、この「性能外国トラクター輸入に頼らざるを得ない状態である。」と言っている。これは、農林省、間違いですか。
  24. 坂村吉正

    坂村政府委員 ただいまお読み上げになりましたような文書は、いろいろ関税折衝の際には農林省からそういう文書が出ておるのでございます。そして、いろいろ話し合いをいたしまして、実際問題といたしまして国産がどうやら役に立つという状況に来ておるから、それでは、農林省といたしましては補助金も出して奨励もしておるものでもありますし、その国産奨励というものと、それから実際の農業の方の需要の面と便、不便とを考えましてできれば安くて性能のいいものが入ることがよろしいのでありますけれども、両方の面をいろいろ考えまして、そのエンジン部分について一五%の課税という程度のものであれば、両方利害を彼此勘案しまして適当なところじゃないだろうか、というようなところでそういう措置に同意をいたしておるというような状況でございます。
  25. 小平忠

    小平(忠)委員 そうすると、今後の営農用トラクター輸入計画はどうなっておりますか。
  26. 倉八正

    ○倉八説明員 今の小平先生輸入計画でございますけれども、これは、私たちの方としましては輸入計画としては持ちません。申請があればそれによって許可するということでございまして、念のために昨年の実績を申し上げますと、十五馬力が十台、それから三十二馬力から五十馬力のいわゆる大型中型というのが三百五十八台でありまして、小型というのはきわめて少ないのであります。それで、今後の輸入につきましては、申請がありますれば、私どもの方といたしましては、貿易自由化というような点もありまして、できるだけ輸入したい。そのことについては農林省とも十二分に御相談しまして輸入を許可する方針でございます。
  27. 小平忠

    小平(忠)委員 農林省の三十四年度並びに三十五年度輸入トラクター、これに対する計画がありましょう。農林省はどうですか。
  28. 石川里

    石川説明員 ただいま資料が不十分でございまして、正確な数字をはっきり申し上げかねますが、三十四年度におきましては五十一台ほど輸入いたしており、一台は国産いたしております。三十五年度につきましては、五割補助で県が購入する、こういうことになりますので、この数字につきましては、県と打ち合わせいたしまして、価格の問題もございますので、台数が決定する次第でございます。
  29. 小平忠

    小平(忠)委員 それは全然話にならぬですよ。三十四年度五十一台なんて、そんなべらぼうな話はないです。三十四年度は、私の方の調査では、二十五馬力対象にいたしまして、ホイールトラクターが三百九十二台、それからクロラートラクターが十二台、合計四百四台です。五十一台なんて、どこからそんな数字が出てきたのです。それから、私の方から申し上げれば、農林省では、三十五年度予定は、三十四年度四百四台に対して七百五十六台の輸入計画を持っておる。これは申請もありますし、そういう状態なんです。国産化がだんだんと進んでいって、もう注文があるからこれは試作段階の域を脱しておるというならば、なぜ輸入トラクターを昨年度よりも本年度、本年度よりも来年度ふやさなければならぬ現状にあるのか。そんなものじゃないのです。ともあれ、やはり日本農業機械化を推進する意味から、特に二十五馬力以上のそういう性能エンジン部分については、特にそういう大事なものについては、政府が、高性能国産困難なものは一カ年さらに延期しよう、こういう考え方に立つなら、二十五馬力以上につきましても当然従来通り関税免税措置をとるべきです。全然数字が違うじゃないですか。
  30. 倉八正

    ○倉八説明員 私からちょっとお答えいたします。  今小平先生のおっしゃった、エンジンという部面に限りますと、エンジン生産につきましては、四十馬力とか、そういうのにかかわらず、大体自動車会社でやっておりまして、それがそのままトラクターに使われるのでありまして、すでに実用の段階に入っておると私は思います。
  31. 石川里

    石川説明員 私から先ほど申し上げました数字言葉が足りませんで恐縮でございましたが、国が直接昨年度買いました数字でございます。全体といたしましては、仰せのように、輸入が約四百台、そういうことに相なっております。
  32. 小平忠

    小平(忠)委員 私の伺っておることは無理ですか。そうじゃないと思う。高性能国産困難なものについてはやはり免税措置を一カ年延長するという、その趣旨に従って、トラクター現状というのは、農林省からも相談されているように、まだ試作段階だということだから、なぜ免税措置を一カ年延長しないのですか。今からでもおそくないから、そういう処置をしなさいよ。
  33. 坂村吉正

    坂村政府委員 小平委員の御質問の御趣旨は、農業機械化というような面から言いますとごもっともな御趣旨でございまして、農林省考え方ももちろんその通りでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、国産機械試作段階を越えまして相当商品化されるというような段階にもなっていますので、そういう面で国産トラクター製作を推進奨励する、そういうような意味と、それから農業のそういう要望の面とをいろいろ考え合わせまして、そうして、両方利害が大体調和するようなところで、今までに比べてそう大きな負担にもならないものですから、そして国で半額補助というような措置もとっておるのでございますから、そういう点を総合的に考えまして、今回の措置については農林省もその線でやっても差しつかえないんじゃないだろうかというふうに考えておる状況でございますので、その点は御了承願いたいと思います。
  34. 小平忠

    小平(忠)委員 それは筋が通らないです。あなたも私の考え方に同調されるのでしょう。このことは、非常に小さな問題のように思うけれども、きわめて重要なことなんです。  政務次官にお伺いしますが、従来、農業用トラクターというのは、日本のまだ性能も悪いし価格も高いし、結局従来輸入関税については免税措置をとって優秀なものを輸入しておるわけです。一方、国内でもだんだんと各メーカー試作さして、早く優秀なものができるように政府はやらしておるわけです。今度政府が火曜日の閣議重要機械類についてはこの免税措置を一カ年間延長することをきめたのです。きめたが、若干そこでやりくりをしたのです。いじったのです。そのときに、従来二十五馬力トラクターエンジン部分についてもそういうわけで試作段階だから免税措置を実はやっておったのを、今度は二十五馬力以上は免税を打ち切るというのです。エンジン部分だから三、四割だというけれども、実際にはエンジン部分はやはり五〇%近くになるわけです。半分に該当するから、事実は従来三〇%の関税免税が一五%の関税としてかかる。従って、大体高性能トラクターになりますと価格もずいぶん高くなって参りますから、相当な負担になるということです。そういうことが筋なんですか。私の伺っておることなり、私の考え方が無理ですか。
  35. 小枝一雄

    小枝政府委員 私も、先般来、国会の先生方のいろいろな注意もありまして、機械免税が取りやめられるんじゃあるまいかというふうなことも伝わっておるが、そういう点について善処するようにという話を伺いました。小平委員お話しのように、日本農業の今日最も重要な問題は農業機械化の問題でありまして、これは、農村の文化あるいは生産コストの切り下げ、生産の面、生活の面を通じまして重要な問題でございまして、農業機械化を促進するというお考えについては、私も全く同感であるのであります。ただ、この問題につきましては、ただいま事務当局からも局長初め各関係の者からお答え申し上げましたようなわけでございまして、ただエンジン部分国産でどうにか利用できるのではあるまいかというような見解に基づいてこういう政令が決定したように相なっておるのでございます。ただ、問題の所在の重点は、試作中の段階のものであるか、実際にこれが実用化しておるのであるかということが問題の焦点であろうかと思うのでありますが、今まで私の事務当局との折衝説明を聞きました段階におきましては、いろいろ大蔵省あるいは通産省等関係におきまして、おそらく試作中の域を脱していないという考え方と、すでにもう実用的に国内需要をどうにか満たせる段階であるということとの間でいろいろ検討を続けて参ったように伺っております。そういう点におきまして多少の問題はありましても、国産品を伸ばすということは、これはもうすべての業界を通じて考えなければならぬ問題であるということで、一応そういうことで妥結したように聞いておるのであります。しかし、先ほども申し上げましたように、問題の重点として、これがほんとうに実用化し、国産品をもってその需要を満たし得るものであるかどうかという大きな問題が実際問題としてはあると思います。そういう点については今後十分検討いたしまして善処しなければならぬと考えておる次第でございます。
  36. 小平忠

    小平(忠)委員 それは政務次官のおっしゃるように十分検討して善処をすべきです。現に農林省も、私がここで二回申し上げましたが、やはりわが国国産営農用トラクターの急速な進歩を推進する意味からも、まだ当分は輸入トラクター輸入関税を軽減することについて意見を出しておる。その中にも明確にうたっておる言葉は、トラクターはいまだ試作研究段階であって、その生産体制も十分整っておらず、またその価格外国トラクターより非常に高い、従って、現在においてはどうしても外国トラクター輸入にたよらざるを得ない現状である、こういうことです。だから、免税措置を一カ年延長する場合に——重要機械についてやっているでしょう、特に二十五馬力以上の高性能のものについてエンジン部分だけ関税をかけるということは筋が通らないのです。だから、閣議決定し、さらに昨日公示しても、そのことは今後の運用で直さなければだめですよ。このこともありましたから、そういう行政措置が具体的になされる前に私はこの委員会質疑を通じて明らかにいたそうと思いまして、委員長に実は一昨日もこのことを要求し、関係各省政府委員においで願うように連絡したわけです。そういうことをやっているさなかに、昨日政府はこれを強行しているのです。まことに遺憾です。  そこで、私は、この機会に政府の責任ある答弁を願いたいと思うのですが、今日、政府農業機械化を積極的に推進いたしておるときに、全国的に耕耘機等小型機械が乱脈その極に達しておる。このために農家がどれだけ迷惑しているか。そして、その耕耘機は、業者の整備の整ってないものが次から次へとできていくということから、故障ができて直しに行こうと思ったら、そのメーカ—がつぶれてしまっておる、そういう状態で、お話にならない。今日の農村の大きな問題は、米価その他農産物価格といたしましても、高米価主義を必ずしも望まない。むしろ、外国の国際水準にだんだん近づけていくという意味からも、高米価主義だけをとるという考え方は、これは考えなければならないということの反面に、生産費を下げるということに重点を置いた場合にどこに持っていくのですか。やはり、その場合には、肥料とか農機具とか、そういう生産資材のコストを下げるということを考えなければならぬでしょう。そういう場合に、政府が現在されております農機具の製造メーカーに対する指導、監督、あるいは今日問題にしております輸入の営農トラクターに対する考え方、こういうことについて、農業機械化を主張されておる政府として、今後どう指導しようとしておるのですか。
  37. 小枝一雄

    小枝政府委員 小平委員のおっしゃるように、最近、小型トラクター大型トラクターその他農機具が非常に発達いたしまして、また普及も年々増大いたしてきておりますことは、一面において喜ぶべき現象であるのであります。ただ、その反面におきまして、あるいはいろいろ粗悪な品物が出回りますとか、あるいはその価格が高くて、農産物の価格にマッチしないで、これが生産コストを高めるというような状況があるという現象も、一部の間におきましてはなきにしもあらずであるのであります。そういう意味におきまして、農林省として現在とっております方法としては、農民が安心して使えるような機械を普及しなければならない、また、価格においてもこれが不当なものであってはならないという建前から、この農機具の検査所を整備いたしまして、それぞれ厳密な検査をいたしまして、すべてを奨励するような方法をとっておるのであります。ただ、この農業機械化の進行の道程におきましてはある程度のそういう現象が現われてもやむを得ないことではないかと考えておりますけれども、農林省としましては、規格もできるだけ統一いたしまして、完全なものを安く農家に提供するという趣旨のもとに、ただいま申し上げましたような機械の検査、また、それに対して農林省が意思表示をいたしまして、あるいは農機具のメーカーにそれぞれの注意を与えまして、そうして農民に提供するような処置をとっておる次第であります。今後におきましても、一そう、そういう方法をいろいろな方面から検討いたしまして、農機具の普及発達に支障のないように努力をいたしたいと考えるのであります。
  38. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますと、政府といたしまして、現在、農機具メーカーの実態を、大まかに言いましてどんなように現在区分されておるか。大メーカー、中メーカー、小メーカーの数、それから、国産の農機具はどういうような種類のものが実際に今作られておるか。それに対してこれをどう改善し指導しようというのか。今の政務次官の指導方針に従って農林省なり通産省はこれに対してどういうようなことを具体的にやっているのか、お伺いしたい。
  39. 倉八正

    ○倉八説明員 私はその所管でございませんから、今の御質問に対しては所管関係者から後刻お答えさせたいと思います。
  40. 石川里

    石川説明員 工場は全体といたしまして約千二百ほどございます、資本金につきましては、三千万円以上のものが十社程度となっておりまして、その他のものは中小のメーカーになっております。従いまして、良質のものを安価に農家に提供するためには、今後生産の合理化をはからなければならない、かように考えております。農林省といたしましては、通産省とも連絡をとりまして、長期低利の融資関係につきましても若干手がけておるような次第でございますが、いまだこの点に対する私どもの対策は必ずしも十分でございませんので、今後一段とこの点につきまして努力をいたしたい、かように存じておる次第であります。
  41. 小平忠

    小平(忠)委員 現在、日本の農機具メーカーにつきましては、御承知のように、四大業者もあり、そのほかに中小メーカーもありますが、ざっと千二百といいますけれども、私はもっと多いと思う。現在日本の農機具メーカーが私企業であるだけに、政府としてはなかなかこれに対する指導監督が十分にいかぬと思うのであるけれども、むしろ、私は、今日本営農用トラクターなんかも外国トラクターに太刀打ちできないほど性能が劣っておるということは、いわゆる集中的な指導督励がされないところにも原因があろうと思う。それから、日本の古い農機具に対する改善も、試作研究の度合いをまだ脱皮してないという面があろうと思います。ですから、これを機会に、農林省通産省も、一段と、日本の農機具に対して、もっと農民が安心して使える性能のいい安いものを供給するという考え方に立って前進すべきだと思う。そのために、きょうでなくてけっこうでありますから、大体大別した業者別の営業の内容、それから、どういうものを作っておるか、それから、これに対してここ数年の趨勢を知りたい。こういうことが一番大事です。そういうことが基礎になって、悪いところは改善していかなければならぬと思う。それは農林省においても通産省においても基本的な資料調査はあると思う。そういうものを本委員会に提出していただきたいということをお願いいたします。よろしいかどうか、それが一点。  最後に、先刻の二十五馬力以上に対しますエンジン部分の従来の免税処置が今度四月一日からできないことについては、政務次官はこれは十分に検討した上で善処したいとおっしゃったが、それはどのように善処しようと考えるのか、それは改善できるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  42. 小枝一雄

    小枝政府委員 私が申し上げますのは、一度これを改正いたしましたものをもとに戻すとかいうような、そういう意味でなしに、先ほど申し上げましたように、試作研究の段階であるか、これがほんとうに実用化して国産で間に合うものであるかというところに重点がある問題であると思いますので、その点についてもう一応十分検討いたしまして、その上で、これをもとに戻すべきであるか、このままでいくべきであるかということを慎重に検討してみたい、かように考えておる次第であります。  なお、先ほど小平委員から御要求のありました、農機具のメーカー、あるいは、これらをどういうふうに全国に普及しておるか、また、これをどういうふうに検査をして今日までやって参っておるかとかいうようなことにつきましては、御要求の通り資料は提出をいたしたいと考えております。
  43. 小平忠

    小平(忠)委員 資料の点はぜひそのようにお願いいたします。  前段の、もうきめてしまったことは別なので今後のとおっしゃるが、これが誤まりであった、悪いのであったというならば、法律といえども改正できるのです。その処置はできないことはない。同時に、一番大事なことは——私はこれを質問するまでに各大メーカーごとに実態を全部調べたのです。いわゆる輸入トラクターがどんどんと入ってくるのに対抗してやれるのはどこであるか。辛うじて小松製作所の賠償見返り物資としての輸出用だけなんです。あとはどこもない。小松のホイール・トラクターの場合も、これは計画はあってもやっていない。久保田鉄工においてしかり、まだ全然立っていない。三菱ふそうは全然考えていない。こういう状態の中で、二十五馬力以上の営農用トラクターは、今年は四百台だが来年は六百八十台にふやしていくという現状です。ですから、これはもう、閣議できめて政令を出してしまったからどうにもならないというのでは、生産者の困ることも全然考えない政府になってしまう。ですから、これに対して私は絶対承服できない。政府当局において十分善処されんことを強く要望いたしまして、私は質問を終わります。
  44. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今の資料の提出に伴ってもう一つつけ加えておきたいのは、御存じのように、特に農機具外は対外的の経済情勢から来る自由化の問題から見れば非常に弱い線を持っている。もちろんこれは金融が基礎になってまだ問題が残っておりますけれども、おそらくこれがもう一歩進んでくると金融の問題が私は現われてくると思う。利子の高い日本で今のようなやり方をしておっていいかどうかという根本問題に私はなってくると思うのです。そういう建前から言って、対外的にはそういうことであって、対内的には非常に強い。そうして、農村におけるところの現金収入をこれでほとんど取り上げて、その取り上げたものを他産業に転換させていく。すなわち、一般に言われる農村から工業界の方向に資本の収奪をはかっていくという一般公式論が生まれてくるわけです。そういう建前から言って、特に農機具は最も大きなファクターを持っている。そこで、一つの資料の提出をつけ加えて言っておきたい。それは、特に日立、三菱、小松、久保田、井関、これらの大きなメーカがあります。これがほとんど中心になっておりますが、そのほか、先ほど申しました一千二百からあるうちの、資本金三千万円ですか、十社あると言われたこの十社に対して、戦後から今までの需注の問題、生産量の問題、価格の問題、これを明確に一つ資料として提出していただきたい。個人の会社ですからなかなかむずかしいと思いますけれども、でき得る限りの努力を払ってやっていただければ幸いだと思っております。
  45. 吉川久衛

    吉川委員長 政府委員に申し上げますが、小平委員の御指摘は、私、全く同感でございます。きわめて重要な問題であるので、政府は特に関心を持っていただきたい。農機具行政が今日まで皆無にひとしい状態にあり、最近になって政府はこの面に関心を持たれたようではございますけれども、きわめて不十分でありますから、特に本問題について重大な関心を持つように、委員長から御注意を申し上げておきます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会