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1960-03-10 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十日(木曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 田口長治郎君 理事 永田 亮一君    理事 本名  武君 理事 角屋堅次郎君    理事 小平  忠君       安倍晋太郎君    今井  耕君       金丸  信君    倉成  正君       笹山茂太郎君    高石幸三郎君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       野原 正勝君    松田 鐵藏君       八木 徹雄君    赤路 友藏君      茜ケ久保重光君    石田 宥全君       中澤 茂一君    西村 関一君       松浦 定義君    神田 大作君       中村 時雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         農林政務次官  小枝 一雄君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務局         市町村税課長) 鎌田 要人君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    塩崎  潤君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (国税庁税部         所得税課長)  山下 元利君         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    小林 誠一君         農林事務官         (農林経済局経         済課長)    大口 駿一君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  立川 宗保君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月十日  委員中村時雄辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として水  谷長三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員水谷長三郎辞任につき、その補欠として  中村時雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農業課税問題)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農業課税問題について質疑の通告があります。これを許します。石田宥全君
  3. 石田宥全

    石田(宥)委員 農業課税全般について御質問申し上げたいと思いますが、まず最初に、昭和三十年以降における農業所得税課税人員とその額、特に所得税法改正前と後との関係について、なお、三十四年度の問題は想定額でけっこうでありますが、お示し願いたいと思います。
  4. 白石正雄

    白石説明員 農業所得税昭和三十年以降の課税状況でございますが、三十年は人員八十七万八千人、課税額面十一億一千九百万、三十一年は人員六十万二千人、課税額六十九億二千二百万、三十二年は人員六十三万八千人、課税額五十八億八千六百万、三十三年は人員五十八万人、課税額四十九億四千百万円、なお、三十四年につきましては、現在申告期に差しかかっておる状況でございまして、数字の見込みもまだ集計いたしていないわけでありまするので、数字は不明でございまするが、三十四年度の予算といたしましては二十億八千五百万が見込まれております。
  5. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいまお示しになりましたように、農業所得税そのものは総体から見るとあまり過重な負担でないように見受けられるのでありますが、農家経済調査、これは農林省農家経済調査でありますが、これによってみますと、ここで三十三年度のものが最近出ておりますけれども、三十二年度のものによって担税力とその実情を分析してみますると、農家の総所得、すなわち総所得の中には農業所得並びに農外所得が入るわけでありますが、それから家族の家計費を差し引いて残り担税力といたしますると、農家の総所得家計費をまかない得る階層は、年間所得三十万円以上の農家経営耕地面積は一町二反以上となります。ところが、それ以下の者が三三%になりますので、三三%の農家担税力がないのです。さらに、年所得三十万から五十万の農家でも、担税所得は黒字でも、公租公課を支払ったとたんに赤字農家に転落してしまうのであります。そういう者が全体の三五・九%あることになるのであります。年間所得十万円以下の農家では、その総所得家計費の三八・一%しかまかなえないという実情にあるのでありますが、こういう実情のもとにおける今日の農業課税は、農業経営を圧迫するところの不当に過重なものになると考えられるが、これについて国税庁並び主税局長の御意見を率直に承りたい。
  6. 原純夫

    原政府委員 農家のみならずいろいろな国民の各層・各業態につきましての税負担をどう判断するかということは非常にむずかしい問題でありますから、なかなか簡単にお答え申すのはいかがかと思います。お話のような角度での御意見もあると思いまするし、また、他の業態との比較においてはどうかということもありまするし、いろいろあるわけであります。今お話になりましたのは、担税力というものを、所得——農外所得を含めた所得から家計費を引いたものでプラスになるかマイナスになるか、また公租公課を引いたものでそれがプラスになるかマイナスになるかというふうな形でとらえておられますが、家計費というものをどういうふうな姿で押えるかという問題が一つございます。われわれ、そういう角度で見ます場合には、一つには、家計費というものがいわゆる最低限これだけ要るという線がありますが、その最低限というものはなかなかっかみにくい。最低限と目されるものはなるべく少なくとも直接税の課税対象にはしないというのがよろしいように思いまするが、それも、財政全般の需要が非常に多いというために国民負担としていろいろな面で持ってもらわなければならぬという場合は、やはりそこに弾力的な考え方をせねばならぬというようなことになって、なかなか家計費との関係自体もむずかしい問題であります。  最近は非常に国民経済伸びて参りまするし、予算構成も、かつてのような軍事的な経費ウエートは非常に少なくて、社会保障あるいは国土保全的な経費ウエートが非常に多くなるというような時代でありまするから、税の方も、おっしゃるような線はなるべく重んじていきたいというわけで、最近では、所得税課税を受ける階層が、一体残りがあって貯蓄ができるかどうかというような調べをやっております。私の記憶するところでは、大体今の所得税がかかる階層はある程度貯蓄ができる階層であるというふうに見ております。これは農家だけの問題でなくて一般に家計調査から調べたものであります。そういう見地から言いますと農家の方も全体としては同様なことではなかろうかというふうに思いますが、農家はまた一般の都市勤労者あるいは営業者家計とは違う特殊な点もありますし、もう少し十分検討してみたいと思います。  なお、農家負担を考えまする場合には、所得税だけではなくて、住民税はむろんのこと、固定資産税その他の租税というものも考えてみなければならぬわけであります。まあ、いろいろ調べております感じでは、所得税よりもおそらく住民税の方が払っている総額においては多いのではないか。それから、固定資産税というものが御案内通り相当な問題になるというようなことで、ただいま私ども税制問題を税制調査会にお諮りしながら検討しておりますが、その面ではやはり少なくともそれらの三税は込めて検討しなければいかぬというのでやっております。きょうは急でありますので、その面の何も用意いたしてきておりませんが、じっくりそれらを含めて検討したいと思っております。  なお、負担といいますと、税法上の負担ということのほかに、所得申告あるいは調査というものがどうであるかというような見地から、勤労者営業者農業者バランスというようなことが相当調査会あたりでは問題になっております。この辺は、単に申告調査というだけでなく、所得が何か正確に反映されるような制度ができるかできないかというような角度で今後問題になると思います。  大体、お尋ねの点につきまして考えておりますこと、また検討いたしておりますことをざっと申し上げますとそういうことでございます。
  7. 石田宥全

    石田(宥)委員 私の説明が足りなかったわけでありますが、家計費については農林統計の「農家家計の実態」であります。それから、十万円以上の所得者社会保障対象にはなっておりません。そういう角度でもう一ぺんお答えを願いたいと思います。
  8. 原純夫

    原政府委員 もう一度申し上げますと、農家負担が過重であるということについては、私は、所得税はもうあまり問題はないと思います。調査会委員さん方が昨年の夏方々歩いてごらんになりましたが、実際見ると、所得税住民税固定資産税と並べて、所得税は、問題ないというのは全然ないというのではありませんけれども、大したことはない。やはり、住民税固定資産税というものをくるめた負担検討というのが要る。私も一、二村を歩きました際に、委員さん方のお供をして見ましたが、やはりそういう感じを持ちました。固定資産税住民税という制度をくるめて考えなければいかぬなというふうに考えました。今お尋ね所得税だけというふうにとりますればそういうことになりまするし、全部含めて言えば、やはり、そういう住民税固定資産税をあわせて負担の問題を考える面ではかなり検討すべき問題がありそうな感じがいたしまするが、調査会あたりでの概してのなにでは、勤労所得が一番ぴちんとつかまるという点に関心を持っておられます。営業農業というものはやはり問題だということで、そこでは、営業の方が何といいますか申告度が低いという意見ばかりでなくて、農業の方が低いという意見もあります。そういうような点で、これはなかなかわかりにくいことで、また、私、制度を考える立場から見ますと、やはり、そういうことがもやもやでないように、所得というものはガラス張りになるようなシステム——農業というものは概してそういうような業種ではないかと今まで思っておったのですが、どうもそうばかりでもないというような声もありますので、五十万なら五十万、三十万なら三十万の所得とすれば負担はどうだという、その三十万といわれる所得が実際の所得とどうかというような点が、なるべく社会にそういうものがガラス張りでというと言い過ぎかもしれませんが正確に出て、お互いが公平なべースで国の財政に貢献するというような仕組みもやっぱり入り用なんじゃないかというような感じもいたしております。  十万以下のお話もございましたが、大体今農家夫婦・子供が何人——今の平均ではおそらく扶養親族が四人くらいになっておると思いますが、これは例の農給合算の扱いを変えたというようなことから、若干前よりも人数が下ってきております。これで課税最低限が二十八万円になるということでありますので、十万以下のところは所得税にはもう関係はない。住民税ももうほとんどないと思います。扶養控除税額控除ですけれども、基礎控除が九万円ですから、ほとんど関係がない。やはりそういうところでは固定資産税というものをどう見るかというような問題になってくるのじゃないかと思います。  固定資産税につきましては、御案内通り、だいぶいろいろな面の評価統一を欠くということで、今固定資産評価制度調査会検討を進めておりますが、検討と並行して、税制調査会の方でも課税をどうするかという問題を慎重に考えなければならぬと思っておる次第でございます。  なお御質問にぴたっといってないかもしれませんが、なかなか大きな問題ですから、足りませんでしたら、どうかくだいていろいろお尋ねいただきたいと思います。
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 原さんのおっしゃる通りで、大体住民税固定資産税等地方税の方の負担がはるかに大きくなっておる。この点は自治庁関係の方にあとで詳しくお尋ねをするつもりでありますが、さらに、こういう傾向があるのです。農業所得上昇率よりも税金負担上昇率の方が上がる傾向がある。さっき私は昭和三十二年度の数字をちょっと申し上げたのですが、昭和三十三年度の農家経済調査によりますと、いわゆる担税所得と称する農外所得をも加えたもので一戸当り平均が三十三万九千八百円になる。これは対前年比で申し上げると二・四%の増加なんであります。ところが、家計費の方は、三十二万三千七百円で、対前年比は一・五%しか伸びていない、こういう伸び悩みがある。租税公課の諸負担になると、二万六千七百八十六円になりまして、対前年比では三・五%伸びておる、こういう傾向になっておるのです。ですから、さっき申し上げたように、三十万ないし五十万の所得の人であって、税金を納めたとたんに赤字農家に転落をするというような農家に対する税法上の救済措置が行なわるべきではないのか、農業所得伸びよりも税負担の方の伸びが大きいということになると、しかも五年続きの豊作の中におけるこういう状況から見て考慮すべき余地があるのではないか、こう考えられるのです。こういう点については何かお考えはございませんか。
  10. 原純夫

    原政府委員 所得伸びた場合に税はどうなるかというのは、税の種類によっていろいろな形で動きます。片方の極にある固定資産税というものは、所得がふえましても、それと並行して資産評価が上がる、あるいは資産の量がふえるということがなければ、伸びないわけであります。農家の場合なんかは、そういう意味では一番安定しているじゃないか。三十三年は、たしか固定資産評価がえをした年ですから、それで少し上がっておるかもしれませんが、評価がえのない年は動かない。片方の極の所得税というのは、所得がふえますと、そのふえるものの——まあ農家ですと三倍やそこいらのスピードでふえていきます。そのわけはこうであります。当時の控除でなくて今の控除で申し上げますが、さっき申しました夫婦に子が四人という農家だとすると、控除額は二十八万円です、ですから、前年三十万の所得があったという農家は、二十八万引いて二万円を課税所得として税金がかかるということになります。ところが、それがかりに今お話しの二・四、二%伸びたとしますと、三十万の二%ですからして六千円ふえるわけです。ということは、二万円の課税所得が二万六千円になるということであります。ですから、税率は同じとしても、三割税はふえるということになります。わずか二%の所得の増が所得税では三割の増になる、伸び率は十五倍になるということになります。これは所得の大部分控除されるというような場合に一番大きく出るわけです。今お話数字の違いは、いわばそういうニュアンスのかなり多い固定資産税的なものから所得税的なもの、——住民税控除が割合少ないですからその間に来ると思います。そうして、扶養控除税額控除で割合低いですからやはり課税所得が相当あって、所得税ほど伸びはないと思いますけれども、間に来るというようなことになると思います。これは、いわば所得がふえれば負担は累進的にふえるのだという見地から言って、何と言いますか、その点ふえる率だけで驚くのは当たらないというふうに思います。今のような三十万の所得で二十八万控除があるというようなあたりの者がそうやって三割も四割もふえるというような点は非常に極限に近いところで、もっと極限のことを言えば無限大に近いような伸び方もするわけです。零のものが税が出るというようなことになるわけで、そういうようなところで判断をしてはいけないという感じが私はいたします。やはり、階層別負担をじっとカーブをにらんで、その階層別にどういう負担になるか、また、それぞれの階層のところで農家所得に対してどういう負担になるというようなところを見ていく必要があるというふうに思います。二・四%の所得伸びに対して税が三・五%だというのは中身を分析してみないといけないと思いますが、私のざっとした感じでは、所得税、それから固定資産税もおそらく三十三年の評価影響を受けておるのではないかと思いますから、何と言いますか、お示し数字が非常に農家について緊迫した税についての手を打てということになるかどうか、もう少し検討さしていただきたいと思います。
  11. 石田宥全

    石田(宥)委員 私が今申し上げておるのは農家経済調査なんです。これは農林省の方も見えておるのでなお一つ検討願いたいと思います。  それから、主税局長のお説の通りで、国税地方税との比率などを見ると、昭和二十三年度の関係で、国税が二千九百八十五円で、そのうち所得税は二千七百四十三円です。これは一九%です。地方税は、道府県民税が七百円で、これは四%、市町村民税が一万二千三百六十円で七七%、こういう比率になっておるのです。従って、この農業経営者に対する国税部分というものはきわめてわずかであって、二〇%をよう動かない。ところが、市町村民税の方は、市町村民税だけで七七%、こういう状況になっておる。そこで、今の税制として、国税地方税とのバランス、しかも、これは、あと自治庁の方に伺いますけれども、住民税負担所得の少ない者の方が非常に比率が高くて、所得が多くなるとその比率がぐんと下がってくる。こういう現状をよく御存じになっておるのかどうか。よく知っておられるとすれば、そういう税体系全体から見てここに大きな矛盾があるのではないか。その矛盾をどう処理すればいいのか。これは税制を預かっておられる局長の見解を伺っておきたいと思います。
  12. 原純夫

    原政府委員 今の御質問は、焦点は、住民税、特に市町村民税所得階層別負担バランスといいますか、調和が取れておるかどうかという点にあると思います。非常にむずかしい問題でありまして、累次の税制調査会あるいは地方制度調査会でも盛んに取り上げておる問題で、私、地方税のことでありますし、あまり主税局長としてきちんきちんと——というとなにですが、改まった形で申し上げるのはいろいろ遠慮がありますが、少しそういう点をはずしていただいて、こういうような議論があるというような形で申し上げさしていただきたいと思います。  住民税で指摘されておりますのは、御案内通り、第一方式でやれば国税と並行できますからあまり問題はない。第二方式、第三方式ただし書きでやります場合に、一つには、扶養控除所得控除ではなくて税額控除である、税額控除が、所得控除をしたならば与えられるであろう減額よりもかなり小さいことになっております。そういうような点が一つ。それから、もう一つは、この課税所得に対してかける税率が、税の基準税率ですか標準税率ですかをこえるものが相当あって、それを自治庁も年来直そうということで財源も計上して努力をしておられますが、なかなか十分なところにいかない。この二つの面から問題が出てきておると思います。その結果、おっしゃる通り、主として前者、扶養控除関係低額所得者まで広く取り込まれる、そうして、負担も何といいますか所得税の場合と比べて負担カーブがゆるいということになっております。その評価でありますが、まず一つにはここに問題があります。ありますが、やはり、地方の村なら村という社会において、その村の中心の税として固定資産税住民税がある、やはり住民税所得税におけるよりもより広い階層から、そうしてより広く村の財源を集めるという角度での配慮が必要だという考え方がかなりあります。つまり、住民税としての性格はより普遍的なものであってよろしいという考え方一つございます。そういうような配慮一つあるだろうと思いますが、しかし、やはり、現実に非常に第一方式の場合と負担が違うというのをどうするかという問題がありまして、やはり、住民税課税方式統一か、あるいは何らか調和をはかるというような問題がここ両三年の間かなり議論されております。この議論の際の様子を見ますと、どうも大都市あるいは豊かだと思われるような都市方面は第一方式を使っておりますが、これが第二方式ただし書きあるいは第三方式ただし書きというような方に近づいたらというと、そういうところは、余裕があるせいか、近づけば税収はふえるはずなんでありますけれども、それを喜ばないというか、めんどうでしようがないというような議論をよく聞きます反面、貧しいところは、第一方式ではとうていやれない、やはり何か調和のとれた一つ方式でいく、あるいは一つなり二つなり、それもあまり今のようなアンバランスのできないような方式を考えたらよいんじゃないかという気持は関係者のみなにあるようでございます。  具体的にどういう案になるか、私ども関係者としていろいろ素案は練っておりますが、なおもう少し検討の上申し上げさしていただきたい。特に重点的に感ずるのは、やはり扶養控除というようなものが税額控除になっているようなあたりをどうするかということが一つ大きな問題だろうということ。それから、やはり、税率構成所得税とそのままにするか、あるいはもう少し寝かした、——寝かしたというと語弊がありますが、傾斜の少ないものにして、やはり広い範囲から納めるというような点を考えるという議論がやはり相当出ると思いますが、それも程度問題ですから、どの程度にやるかというような度合いのつけ方がなかなか問題であろうというふうに思います。その他、今の制度のままでは都道府県税の取り方あたりにもかなり問題があるというようなことはありますが、これはちょっと派生的ですから省略いたします。大体そんなようなことが今までの検討では議論されておりますが、本年夏前後にはこの問題について特に日程を数回さいて調査会でも検討していただこうということにいたしております。
  13. 石田宥全

    石田(宥)委員 ここではっきりしておきたいことは、地方税の場合、これを制度として検討される場合は主税局は当然タッチされると思うのですが、適用等について、あるいはまた課税住民税課税は五項目に分かれておるわけですが、そういうものの適用なりあるいはそういうものの一部改正というようなものは、主税局はタッチされますかされませんか。地方税の問題について端的に言うと主税局というものはどの程度参画されるかということです。
  14. 原純夫

    原政府委員 地方税制度につきましては、大蔵大臣自治庁長官共管——まあ自治庁長官の方が主管のような形でありますが、共同でというようなことになっております。いわゆる共管ということになっておって、地方税法その他地方税関係法律等につきましては合議を受けるということになっております。しかし、それの執行の面につきましては特に一々御連絡を受けるというようなことはありません。しかし、やはり国の税務の執行と関連のある事項については御連絡を受けております。先ほど来出ております固定資産評価というような問題は、ただいま、いいことか悪いことか、いろいろ議論はありますが、地方評価と国の評価とは必ずしも統一されておりませんけれども、やはり、地方が動かし国が動かすというのは、それぞれに影響があるものですから、そういう際には実際上御連絡をしておる。これは実際上の連絡であって、官制上協議を要するというようなことではなく、実際上緊密に連絡しておる。執行面で重要な面はそういうようなことになっております。それから、住民税課税のもととなります所得税基本額については、地方団体税務署の方から御連絡しておる。むしろ、農業課税なんかの問題になりますと、税務署のいろいろな台帳あるいはその他の調べに役場のお力添えをいただくというようなことも非常に多いかと存じます。従いまして、お互いにいろいろ御連絡、協調があるというのが実情だと思っております。
  15. 石田宥全

    石田(宥)委員 今、後段に述べられた問題ですね、これはあと昭和三十年度の所得税課税の手続の問題を国税庁にお伺いをしたあとで実は尋ねようと思ったのですが、たまたまその問題が出ましたから伺っておきますが、税務署の方でいわゆる基準町村というものをきめて所得の標準を作成される。それが以前には、いわゆる中庸標準というもので、その税務署の管轄内におけるおよそ所得課税農家と思われる階層のサンプリング・ランダム方式による標準作成であったわけです。最近は基準町村というものができてそれが標準になる。そういたしますと、現在の単作地帯における課税状況は、農業所得税を納めなければならないような農家は非常に限られたものになってくる。それはおよそ非常な上層の階層だけになる。そういうところの標準を今度はずっと下層の住民税所得割の標準にするということは妥当でない、これはだれが考えても明らかだと思うのです。従って、何年間かわれわれは国税庁長官に対して、税務署で定めた標準を住民税所得割の標準にすることは適切でないということを文書をもって自治庁なり府県なりあるいは税務署を通じて市町村なりによく伝達をせよということを言っておるのです。そこで、国税庁長官はその手続をとっておると私は理解しておる。ところが、現実には、その趣旨がよく了解されていないのか、あるいは地方財政の都合でやらないのか知らないけれども、やっておらない。これは主税局長の立場から見て一体どういう御見解ですか。もう少し詳しく一つ……。
  16. 原純夫

    原政府委員 確かに問題のある点でありますが、非常に重要な問題でありますので、ここに直税部長も見えておりますし、それから自治庁の方も見えておると思いますが、執行面のそういうところまで実は私よく承知しておりません。承知せぬまま私の考えを述べるというのもいかがかと思いますので、どうか直税部長なりあるいは自治庁関係の方のお考えをお聞きいただいたらと思うのであります。
  17. 石田宥全

    石田(宥)委員 いや、国税庁関係自治庁関係にはあとでゆっくり尋ねることがたくさんあるのです。局長はちょっと急がれるのでしょう、それで局長の方の質疑を終わってその次にしたいと実は考えておるので、あまり局長に同情し過ぎてあれかもしれないけれども……。  その次に一つお尋ねしますが、農家の家族専従者控除の問題です。これは、実は、昨年の半ばごろに、与党の自民党も、農業については普通の申告納税の場合も青色同様に専従者控除をすべきである、三十五年度から実施するんだということを一応御決定になったようなんです。ところが、伊勢湾台風等による財源難という理由でこれが取りやめになったわけです。私どもはなはだ遺憾に存ずるわけでありますが、家族専従者控除を行なった場合における国税住民税に及ぼす影響一つ。  もう一つは、農家の販売した米の予約減税というものの関係があるのでありますが、予約減税を行なうことになったようでありますが、それをやった場合における国税住民税に及ぼす影響についての数字がございましたら、一つ示しを願いたいのです。
  18. 原純夫

    原政府委員 専従者控除を白色申告音にも認めるということでいきました場合の減収額、これは昨年の秋から暮れにかけて検討いたしましたときの数字でありますから、その後の実績に徴して数字の調整を要するかもしれませんが、まあこのくらいの数字だという形でお聞き願います。農家関係では、所得税で十四億、住民税で四十七億という一応の数字が出ております。その場合に、農家だけというわけには参りませんので、一般にも広げるということになりますから、その上でどうかといいますと、さらに所得税で四十五、六億ふえる。つまり六十億くらいの減になる。それから、住民税では、他のも合わせると八十億ちょっと上になる。他のが入って参りますと、他の営業の方は事業税の方にも影響してくるということにいたしますと、事業税で二十八億くらいになるということで、その一番大きい場合をとりますと、国、地方を合わせて百七十億近くの減収になるというようなことが出ております。農業だけの場合は、合わして六十一億ですか、そういう数字が当時のあれで計算をいたした数字であります。  予約減税による減収見込み額は、三十四年度これははずしたいと思って、予算には廃止するつもりで組んだのですが、そのとききめました額が十四億だったと思います。今度三十五年度の計算では十七億くらいになるのじゃないかと思っております。十四億のときの住民税の方の減収が八億くらいだったと記憶しております。
  19. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、経過は、先ほど申し上げましたように、与党の方もいろいろ財源難等の関係でお取りやめになったそうでございますが、事務当局としては、やはり諸般の事情を勘案されまして、現在白色申告納税についても専従者控除をなすべしという意見がかなり強いようでありますが、これはもちろん国全体の財政事情も考慮されなければならないと思いますけれども、専従者控除をなすべきであるという基本的な考え方で今後お臨みになるか、あるいは専従者控除というものはやらないという基本的な考えで臨まれるか、局長の所見を伺っておきたい。
  20. 原純夫

    原政府委員 私は、この専従者控除という形でこれを税制全般に及ぼすということは、ちょっとかまえがしっくりしないのじゃないかと思っております。御案内のように、専従者控除というものは青色申告奨励のために設けた制度であって、きめがあまりこまかくできておりません。やはり、この問題と取っ組むならば、家族従業員の給与をどう控除するかという問題で、今の専従者控除の形にとらわれる必要はないと思うのです。そういう問題としては、私はそれは所得税制において十分検討すべき値打ちのある事柄だと思っております。従いまして検討も、専従者控除をということでなくて、家族従業員控除をすべきかどうか、すべきならばどういうふうにやるか。端的に、少しなにかもしれませんが、八万円の者は幾らでもいいのだというようなことがいいのかどうか。やはり、農家あるいは営業場所によっていろいろ実情があるでしょう。それらを考えて、八万円というものは、一人働いているといえば八万円というのはいいのかどうかというあたり、実際にその給与を払うか払わぬかというような問題ですね、その辺をなにしませんと、そこでやりよう一つで税がかなり動くということになっても困る。その問題は実はこの同族法人の個人的なものについてもあるのです。これは法人ですから、法人が給与を払うのは当然だというようなことで……。今は、あまり過当な給与になりますと、こういう計算は否認だということでいろいろ税務署意見を言いますが、その辺がいわばかなり野放しになっているというのとあわせてやはり問題じゃないかということで、寄り寄り部内でも検討いたしておりまするし、調査会の審議もしていただくことになっております。政府、与党の方も昨年暮れにかけてかなり議論されましたが、まあこれの方はかなり要望がございましたが、結論はまだ出すに至らぬうちに、例の伊勢湾台風で減税はできない、——これは減税か合理化かわかりませんが、実際上減るわけですから減税だということで延びたというようなわけでございます。
  21. 石田宥全

    石田(宥)委員 この専従者控除については、今の局長の御答弁だと、これは給与的性格のようにお答えでありますが、なお、しかし、青色申告をする者に対する特典として考えているのか、あるいは給与であるのかということをもっと明確にしていただきたい。御案内のように、専従者控除は最高八万円で、労働の種類や日数によって控除額の高低をつけているのでございますから、給与と見るのが妥当と思いますが、どうであるか。農業の場合は、夫婦で営農を行なっている場合は、夫と同格の人格を持つ妻を事業主と見るか使用人と見るのか。すなわち、婚姻と同時に財産を共有し事業を共同で営んでいると思われる場合が非常に多いのです。こういう場合の見解を承りたい。よその国でやっている例があるようでありますが、こういうような場合に配偶者控除等を措置するお考えがありますかどうですか。
  22. 原純夫

    原政府委員 専従者控除はもちろん給与の損金容認でありますが、反面それはやはり青色申告の奨励策として始まったという経緯があり、私どもとしては、家族従業員給与をまっ正面から認めるという角度での踏み切りをつけるには、なおここでやり方について白紙から考えて十分検討する必要があると思っておる次第であります。  それから、妻が夫と共同で事業を行なっているようなものだ、従って何らかの配慮をという意味でのお話でありますが、昨年、三十四年の税制改正で一人目の扶養控除を五万から七万に引き上げました。基礎控除九万との間にわずか二万というようなことになりましたが、これは配偶者でなければ与えないというものではありませんけれども、お話しのような気分が相当強く入っておるということを御了承いただきたいと思います。外国では、いわゆる共同申告といいますか、一つ所得ではあるが、二つに分けて申告してそして安い税率適用するという制度がアメリカで行なわれ、ドイツでもそういう制度をとっておりますが、そこまでいくと、たとえば給与所得者でも、まあ私どもでも家内は私と一緒に社会に尽くしておるという気持でやっておると思いますし、なかなかむずかしい問題になってくるので、そこまではなかなかいかぬだろう。配偶者控除の問題は、名前をどう呼ぶかは別にして、現在の制度もぴたり配偶者とは言っておりませんけれども、かなりそういうニュアンスは入っておるというふうな気持でいる次第でございます。
  23. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に、自家労賃の取り扱いの問題です。自家労賃というものは当然必要経費として控除さるべきものだと思うのです。法人の場合はもちろんそうであるし、青色をした場合は専従者控除という名においてこれは行なわれておると思うのです。ただ、さっきも局長触れられたように、給与というものが、具体的には形の上において一カ月幾らという給与はきわめて少ない、ほとんどないにひとしい、そういう点から考えて、今の農家の家族従業員に対しては月給、給与という名前のものは払っていないけれども、やはりその被服費それから食費等は全部まかなっておる。のみならず、娘さんならば嫁にやる際にちゃんと支度をして、給与を支給するとかわりがない。あるいは、分家をさせるなりする。そうすると、そういうものはいわゆる物的給与になると思うのです。一体物的給与というものは給与とみなすのかみなさぬのか、この二点。自家労賃は所得計算の場合に必要経費とみなすべきではないかということと、もう一つは、農家の従業員の給与というものが、物的給与を行なった場合に、これは法律上の給与とみなせるかみなせないかという点。
  24. 原純夫

    原政府委員 自家労賃を必要経費と考うべきかどうかという問題は、二つ考え方があるわけです。一つは、おっしゃるような、自家労賃は損金だという考え方。もう一つは、やはりそれを含めて所得の処分権は一家の主人なら主人にあるということで、それを担税力の単位として見るという考え方。今の所得税法はその後者の考え方に立っておるわけです。これは二つ考え方があると思います。なお、実際後者の考え方はある意味で合理性が薄いのじゃないかというような批判も受けるだろうと思いますが、同時に、前者の考え方、つまり自家労賃を容認する場合には、これがちょうど、物での給与といいますか、支給した物のお話がありましたが、その他先ほど来申し上げておりますように、実際に支給したかどうか、幾らかというようなことがとても部外者にはわかるものでないというようなことから、よほど執行面でもむずかしいというような問題点があります。  そこで、第二段の、物的給与はどうかということでありますが、私、通達のこまかいところを承知しておりませんが、給与所得でも現物給与があるというくらいのところですから、理屈は、物で支給しても評価して給与に入ると見るのではなかろうかと思いますが、恐縮ですが、直税部長さんの方からよくお聞きいただきたいと思います。
  25. 白石正雄

    白石説明員 物的給与は給与であるかという御質問でありますが、所得税の全般的な扱いといたしまして、やはり、物的給与も現物給与といたしまして源泉課税等の場合におきましても課税をしておりますので、理論といたしましては、物的給与もやはり現金支給と同じように給与とみなすと当然考えるべきものと考えております。ただ、ただいま主税局長からも御答弁がありましたように、実際問題として、認定と申しますか、そういう点におきましていろいろ問題がありまするので、非常に複雑な問題があるということは御承知願いたいと考える次第でございます。
  26. 石田宥全

    石田(宥)委員 ちょっと、部長さん、原則的にその通りだと思う。把握しにくいからといって、問題はあるけれども、現実に課税する場合にこれは無視されておるのではありませんか。あと昭和三十四年度の所得税の問題でいろいろ伺いますけれども、この点、どうせ出たついででありますから。やはり法律上物的給与も給与である。ただそれをどう算定するかということは生活程度やいろいろな事情で相違はしますけれども、それを給与なりとして損金に算入しておらないというのが現地の実情なんですよ。把握が困難だということは、現実にそれを損金に算入しないということの理由にならない。どうですか。
  27. 白石正雄

    白石説明員 ただいまの所得税の建前といたしましては、基礎控除のほかに扶養控除等を認めておりまして、生計を一にする者につきましてはそういった家計費の中から生活費が支給されておるという状態に相なっておるわけでございます。従いまして、その家計を主宰しておる人が所得がある、その人から扶養家族等に対しまして支給がなされるという場合におきまして、普通の食費でありますれば、これは生活費の中でまかなわれておるものでございますから、これを支給した給与だというように認定するということはいかがかと思うわけでございます。従いまして、そのあたりに複雑な問題がございまするので、一般的に毎日食っている食事を給与だと認定するわけには参りますまい。しかし、そのほかに、たとえばそのために特別にきめて別途支給をしたというような現物給与の問題がありますれば、これは一般原則に基づきましてやはり給与として考えるということになろうかと思いますが、そのあたりの境目にいろいろ複雑な問題がございまするので、先ほど御答弁した、ようなことになろうかと思うわけでございます。
  28. 石田宥全

    石田(宥)委員 この点は非常に重要だと思うのです。それは扶養控除というものはそういう点を加味しておるかもしれないけれども、扶養控除と給与というものとはやはり明確に区別されなければならないと思うのです。ですから、今の部長の答弁もその点どうもあいまいですが、やはりちゃんと割り切って処置すべきではないかと思うのです。扶養控除と給与というものは、物的給与であっても給与は給与だ、こういうふうに割り切るべきではないかと思うのですが、これは、局長さん、どうですか。
  29. 原純夫

    原政府委員 なかなかむずかしい問題だと思いまするから、十分練ってお答えしなければいかぬと思います。一緒に食べているというだけで現金給与を何にも払っていない、それは給与だ、——なるほど理屈はそうだと言う人もいるかもしれぬけれども、どうかなと言う人もいるだろう。なかなかむずかしい問題ですから、なお十分練ってお答えした方がよろしいと思いますので、御了承願います。
  30. 石田宥全

    石田(宥)委員 この点は、特に農業経営の場合は非常に重大なんですよ。ですから、今ここではっきり答弁せよと言ってもそれは無理かもしれぬけれども、要するに、そういう小さな不合理がたくさん累積したものが、結論的に私が最初言ったように農業経営者に対する課税負担の過重になるという結果を生んでいる。ですから、そういうあいまいな、解釈の困難なような問題をすっきり割り切るように今後十分一つ配慮を願いたいと思う。  次に局長にお尋ねしたいことは、今の農地評価の問題ですが、農地の評価というものが最近どんどん高くなってきている。これは、宅地や工場等の敷地などの場合に非常に高くなって、それが農地に影響を及ぼしまして、農地が高くなればなるほどこれは農業経営に悪影響を及ぼしている。ところが、御案内のように、相続税でやる場合は、法務省関係では大体たんぼは七万円くらいに見ておる。固定資産税の方は大体の標準は三万六千円です。ところが、同じ法務関係で登録税という取り扱いになると、またその中間くらいをとっておる。税の種類が異なるごとにその評価額がそれぞれ異なっておる。こういうことは非常に異様な感を受けるのです。農林省あたりはもっと農地というようなものの価格が無限に暴騰するのに対して何らかの抑制の措置をとらなければならないと思っておるのですが、農林省もなかなかこれは手をつけておりませんけれども、今申し上げたように、法務省関係地方団体、それぞれ違っておる。これは一体どういうことでこういうふうに違っておるのか、また局長としてはこういうものに対してどういうお考えを持っておられるかを伺っておきたいと思います。
  31. 原純夫

    原政府委員 違って参りましたのは、多分に沿革的な理由が多いと私は見ております。というのは、固定資産税が、昭和二十五年にシャウプ勧告で従来の地租家屋税というようなものは固定資産税ということでできて、そのときにはかなりに評価統一をとって、かなりこれから税収をあげるというようなことでスタートしたわけですが、何分、当時の土地の値段は、御案内通り、戦時中また戦後の混乱の時期の様相のもとにあって、いわば物価の騰貴の影響がまだ十分及んでない。その後において物価の騰貴に追いつき、さらに、だんだん、いわば土地の稀少価値といいますか、そういうものか出てきたかのような形で、都市周辺等においては相当なスピードで上がっていくというような趨勢にあるわけです。ですから、二十五年以来やって参ります間に、国税においても地方税においても、特に土地の評価はきわめて重要でかつ困難な問題があった。率直に言えば、固定資産税のように三年に一回上げるというときに、三年たってみると非常に上がっている、それを思い切って一回ぽこっと上げられるかどうかというようなことになりますと、実際上抵抗が生ずるというようなことで、固定資産税評価が相続税の評価と非常に開いたというような沿革的な事由が私は非常に大きいと思います。制度的にも、両者の評価はそれぞれ違う官庁がやっておる。官庁が違うからといっても同じ国の官庁ですから統一にとるのはあたりまえだということはありますが、その辺で必ずしも法律的に統一をとれというふうにもなってないというようなことも表裏してこうなってきた。しかし、これはおかしいではないかということは、累次の税制調査会あるいは地方制度調査会でも問題になりまして、昨年の春国会で御承認願いました固定資産評価制度調査会というのが発足して、ただいまこの問題に取り組んでいるわけであります。大体取り組んでおります腰がまえは、感覚的には、やはりばらばらなのはおかしいという感覚でやっておられます。しかし、それは、全部煮詰めて、国税地方税、また国税の中でも相続税、登録税というような税目が違う場合に、その税目に応じた評価の差があっていいかどうかという問題は、まだ理論的にも論じ詰めて必ず一本にするというところまではいっておりませんけれども、少なくとも今のように倍——半分以上の非常に大きな開きがあるということではおかしいじゃないかということは一致した意見で、ただいま鋭意調査会検討を進めておるというのが実情でございます。
  32. 石田宥全

    石田(宥)委員 固定資産評価制度調査会の問題は自治庁関係からなお詳しく承りたいと思うのですが、固定資産評価というものは、先ほども触れましたように、工場敷地とか宅地とかいうような場合には農地とは全くバランスのとれない値上がりをいたしておるわけですね。ところが、それがやはり農地に直接影響を及ぼすわけですよ。ですから、やはりそこに農地については農地だけの一定の限界というものが引かれなければならない。そして、それにはやはり従来の収益還元方式という一つの算定方式があるのです。それについてもいろいろ議論があるそうですから、あとでまたその点を承りますけれども、少なくとも今後の税体系についての責任を負っておられる局長は、農地というものが、他産業とバランスがとれない劣勢産業である農業経営の基盤をなすものであって、それがいたずらに宅地や工場敷地等の関係で侵されてそれがために農業経営を困難に陥れるようなことのないように、午後制度改正等にあたって一つ配慮していただきたい。主税局長関係はとりまとめてこれで一応質疑は終わりまして、あとで今度は国税庁自治庁関係その他に質疑をいたしたいと思います。
  33. 吉川久衛

    吉川委員長 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後一時十八分開議
  34. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。石田宥全君
  35. 石田宥全

    石田(宥)委員 国税庁の直税部長に伺いますが、午前中にもちょっと触れたのですけれども、従来の農業所得税の標準作成にあたっては、いわゆる中庸標準を作っておったわけですね。中庸標準にもそれぞれ問題はあるわけで、けれども、今度は基準町村に切りかえて一税務署管内において一町村、これに切りかえられたわけですね。これは一体どういう理由に基づくものですか。
  36. 白石正雄

    白石説明員 御承知のように、農業所得税課税につきましては、記帳のない農家が大多数でございまするので、そのような農家申告指導の便宜上所得標準を作成いたしておるということは御承知の通りでございますが、その所得標準もなるべく微細にわたりまして各地域ごとにたくさんのものを作成をするということがいいかと思うわけでございまするけれども、これも、便宜と手数その他の問題も勘案いたしまして、税務署ごとに地域、等級等の状況の類似したところにつきまして作成いたしておるわけでございまするが、それらの作成にあたりまして、基準的な町村を選びまして、そこで詳細なる調査をいたし、それに基づきまして、そのほかの地域につきましてはいろいろの調査をいたしまして決定をいたすというようにいたしておる次第であります。このような方式は従来からやっておったわけでございまするが、その場合に、中庸標準というようなお言葉があったようでございますが、最近の課税状況等にかんがみまして、だんだん課税農家も減税の結果減少いたしてきまして、納税者の階層にも若干の変動もございましたので、できるだけ課税農家実情に適するように選ぶべきであろうというようなことから、それに適当な基準町村を選びまして、そうしてそれらのところにつきまして適正なる所得標準率を作成するように指導して参っておる次第でございます。
  37. 石田宥全

    石田(宥)委員 従来は、その税務署管内における大体の所得税を納めるような階層のいわゆるサンプリング・ランダム方式という抜き取り調査、これは全般にわたっておったのです。ところが、今度非常に広い署の管内のうちから一市町村だけをとるということに変えたわけですね。そうなりますと、その署が全部平場地帯を管轄する税務署であるならばまだ理解はできるけれども、平易と山間とその中間地帯のような、地帯がそれぞれ違っておるような場合がある。そういうような場合に、基準町村による標準というものを作られると、今度はその他の町村にこれを適用する場合に非常に問題が起こると思うのです。その基準町村を決定するところの尺度というか、考え方というか、そういうものは一体どういう標準でお作りになっておるのですか。
  38. 白石正雄

    白石説明員 国税庁並び国税局といたしましては、できる限り各地の状況適用するに妥当のような標準を作成いたさなければなりませんので、そういう意味におきまして、山間部、中間部、あるいは平坦部というようなところにおきまして妥当になるような標準地を選定させるように税務署を指導いたしまして、そして所得標準の作成をいたしておるわけでございます。従いまして、国税局を通じてながめてみますと、山間地を選定する適当なような税務署とか、あるいは平坦地を選定するに適当なような税務署が選ばれておるわけでございますが、具体的な税務署がその標準地を選ぶにつきましては、またその税務署の管内におきまして最も適当だと思うところを選びまして、関係町村の協力も得て標準の作成に任じておるという状況でございます。
  39. 石田宥全

    石田(宥)委員 まあそこにも問題はありますけれども、次に進みますが、さっき申し上げたように、平場なら平場、山間なら山間、あるいはその両方にまたがるようなところならまたがるようなところの事情のもとにあるのであれば、割合に単純なんですね。ところが、平場に基準町村をとっておいて、そして山間地帯の水田などが非常に少ないようなところにまで適用されるという場合もある。そういう場合に、基準町村の標準というものを他の町村にこれを分解するというか適用するという場合の方程式があるだろうと思うのです。そういう方程式というようなものはどういう方式によって分解されることになっておりますか。
  40. 白石正雄

    白石説明員 お尋ねの点を分析してみますと、二つの点になろうかと思うわけでありますが、第一は、基準として選びましたところと、それから、それをほかのところの標準率に適用する場合におきまして、その状況が相当違う場合があり得る、そのような場合にどのようにやっておるかという問題でございますが、でき得る限り、基準町村と申しますか、その所得標準につきまして詳細な調査をするところをたくさん選べば、問題のような点は避けられるかと思うわけでございます。しかし、全部についてそれをやることはなかなかできかねますので、そういう意味において基準町村を選んでおるという関係上、その選定につきましてはできる限り妥当なところを選定するわけでございますけれども、やはり若干条件の異なる問題が起こってくるということはお話しの通りであろうかと思います。そこで、それをほかのところにどのように適用をするか、この問題でございまするが、これは、基準町村において詳細に調査をいたしまして、そこで所得標準を出しまして、また、ほかの地域につきましても、共準町村について調査をする程度までは至らないわけでございますけれども、簡単な調査を実施いたしまして、そして、そのほか農林省関係の資料とかあるいはいろいろほかの状況上収集し得ました資料に基づきまして具体的な所得標準を作成いたしておるわけであります。方程式というようなお話でございましたが、方程式みたいにぴちっと出るという問題でもなかろうかと思うわけでございまして、彼此勘案いたしまして妥当な調整を加えておるというところでございます。
  41. 石田宥全

    石田(宥)委員 一定の方式のようなものはないというお話ですが、そういうことになると、結果においては不公平な問題が起こると思うのですよ。そこで、それならば、所得の標準の調査については、基準町村の方は一体どういう点とどういう点とをどういうふうにして具体的に調べるのか、それから、それ以外のところはどういう点とどういう点を調べるのですか。
  42. 白石正雄

    白石説明員 所得の計算は、今さら申し上げるまでもないことでございまするが、収入金額と必要経費検討いたしまして所得を算出するわけでございますので、従いまして、まず最初に収入金額を調査するわけでございます。収入金額は、御承知のように、農産物につきましては収穫時の時価でその収穫したものを評価するということになっておりますので、まず収量がどれだけであるかという調査に相なるかと思うわけでございます。これらにつきましては、具体的には、税務署におきまして、坪刈り調査をやるとか、あるいは在庫米調査をやるとか、そういった方法もとりまするし、また、他面標準率を作成するにつきましては、全般的な資料という意味におきまして農林省関係の諸般の資料を参考にいたしまして決定をいたすということをやっておる次第でございます。さらに、経費につきましては、肥料代とか雇い人費とか、そのほか石田先生御承知のように各種の項目があるわけでございますが、これらにつきましては、それぞれの所在地におきまして必要な調査を実施いたしまして、そして決定いたしておるという状況でございます。
  43. 石田宥全

    石田(宥)委員 まことに抽象的な議論で、もっと具体的に私の方から尋ねますが、そうすると、こうなりませんか。収量の方は大体有資格者標準のようなものになるのですね。そのウエートが非常に強くなる。ところが、必要経費の方はどうかというと、資格のない下層の者までも含めたもののウエートが大体非常に大きくなってくる。そういうところに大きなアンバランスが出てくると思うのですが、どうですか。
  44. 白石正雄

    白石説明員 お尋ねの点は、具体的にどういう農家対象にして調査を実施するかというようなことに関連してくるかと思います。従いまして、必要経費調査いたしまする場合に、むしろ課税農家でなしに非課税農家の田畑の面積の少ないようなところを対象にして調査をするということになりますれば、お話のような問題が生じてくるかと思うわけでございますが、調査といたしましては、やはり課税農家となるような農家対象といたしまして必要経費調査を実施するということにいたしますれば、お話のような問題は避けられるかと考えておるわけでございまして、実際の調査におきましてはそのように心がけておる次第でございます。
  45. 石田宥全

    石田(宥)委員 それを見ておると、実際は大体私が指摘したようなことになっておるわけです。これはあとでもっと詳しく質問をいたしますが、従来の標準を策定するにあたっては、農業団体や農民団体と協議をして、そこでその標準というものを決定するという手続をとっておられたようでありますが、今はどうなんですか。
  46. 白石正雄

    白石説明員 所得標準は、今さら申すまでもなく、自主的な申告納税の建前上、農民の皆様の申告をお助けするという意味で作成いたしておるわけでございますので、課税農家の皆様方の納得のいく標準が作成されるように私ども努めておるわけでございまして、そういう意味におきまして、農業関係の各種の団体の御意見は十分これを尊重し、それらの関係から提出されました資料も十分しんしゃくいたしまして従来やってきたわけでございます。この方針につきましては、現在におきましてももちろん一そう皆様方の農業団体関係の協力をお願いしてやっておる次第でございまして、本年におきましても、全国大部分のところにおきまして、農業団体関係の御納得をいただいて、幸い今日のところ順調に確定申告状況も進んでおるというような報告を受けておる次第でございます。
  47. 石田宥全

    石田(宥)委員 農業団体との協議がスムーズにいっていないで、非常な食い違いがあるまま押しつけるような態度をとっておる税務署があったらどうしますか。
  48. 白石正雄

    白石説明員 私どもは、あくまでも、自主申告申告納税の建前から、御納得のいく納税をしていただくために努力をいたしておる次第でございまして、標準の作成につきましても、できるだけ適正なものを作成するよう努力いたしておる次第でございます。従いまして、農業団体の御協力を得るよう、よく税務署をして努力をさせるということで指導いたしておる次第でございます。
  49. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうも、大部分は、署長が言うことを聞いていないのですね。ここに朝日新聞の投書にも書いておるのですがね。「いつも思うことであるが、申告書の記入法をもう少しわかりやすく出来ないものだろうか。わたしどもにとって、あまりにもむずかしすぎる。そのため、税務署員が相談に応ずるというわけだが、実際は、税務署員の持っている標準表によって所得税を算定されてしまうのである。たとえば、雇人費は十アール当たり何人、馬一頭の経費はいくら、農具・肥料等の必要経費はこれといった具合に、ご親切にもスラスラ書きこんでくれる。なにかいおうとすると、これ以上は認められません、標準はこうなんだから、とくる。まったく、やりきれない。それでも、満足に申告の書き方を知らない人々は、いやいやながら、署員の書きこんだものに印を押し、確定申告書として提出しているのだ。」、こういう、いろいろあと先まだあるけれども、私はこれが実態だと思うのですよ。  そこで、そういう実態の中で、一体、農業団体等との関係で、ここに一つ、基準町村になった町村の税務課と税務署の食い違いのデータがありますが、これは、まず適用反収は、税務署側は二石八斗と見ておる。ところが、町の税務課は、——むしろ町の税務課というものは農業団体などと違って税務所の指導を受けておる。税務署と同じようなケースで調べる税務課なんです。     〔委員長退席、永田委員長代理着席〕 税務署が二石八斗に対して、町の税務課では二石六斗六升、農業団体の方は二石五斗八升と、こういうふうになっておる。それから、玄米収入の点では、税務署の方は二万七千二百三十八円、税務課の方は二万五千六百五十二円、農業団体の方は二万四千八百七十九円。わらでは、これはあまりどっちもそう違いません。ところが、その収入の合計にいきますと、税務署の方は二万八千四百五十八円で、町の税務課は二万六千八百九円、農業団体の方は二万六千十四円、こういうふうに違ってくる。それから、公租・諸課賦もやはりその通りで非常に違っておる。苗代代までちょっと違ってくる。肥料代も相当な開きがある。こういうふうにずっと違って、しかも、町の税務課の調べ農業団体の調べというものは、ちゃんと数字と資料を全部出しておる。ところが、それを全然無視して一方的なものを示しておるわけです。こういうふうなことになると、農民側が納得できるはずがないのです。だからして、今そこに紛争のような形で、それは納得できない、納得納税としては納得できない、こういうことで今問題を起こしておるわけですよ、その他、経費についても、具体的な税務署調べる項目はやはり全部それらの町の税務課も農業団体も調べておる。ところがみんな違っておる。こういう点でありますが、一体、それは、部長が先ほど御答弁になりましたような国税庁の方針が正しく運用されておるのかいないのかという疑問をわれわれは持っておるのです。部長の答弁のようなことならば、こういう食い違いは起こらないはずなんです。そういう資料を出し合った上で話し合いをして、その結論を出し、そしてそこで多少一致できない面があったとしても、歩み寄りの余地もできるわけです。ところが、税務署の方は、われわれの方は確信をもってこういうものを出したからということになると、ここで納得という線はどうしても出てこないわけです。そういう場合は一体どういうふうにお考えになりますか。
  50. 白石正雄

    白石説明員 まず最初に、朝日新聞の投書をお読みになりましたが、私も簡単に一読いたしました。今その詳細を実は記憶いたしておりませんけれども、そのときの私の記憶によりますと、まず、申告書の書き方が非常にむずかしいのではないかということが一点あったかと思います。これは私どもかねがね承ることでございまして、できるだけすべての事務を簡素化したいということで、気をつけて努力いたしておる次第でございますが、税法の規定も、負担の公平と申しますか、合理的に物事を解決しようという見地からいろいろ複雑になっておるという面もありまして、申告書の記載の方法も、簡素化しようと思いながらも、あの程度のものはやむを得ないという点もあるわけでございまして、私どもも努力はいたしておりますが、その辺のところも御了承瀬いたいと思う次第でございます。  また、その次の問題といたしましては、雇い人費がどうとか、あるいは償却がどうとかということを税務署が一方的に押しつけるというような意味の文句があったように記憶いたしますが、青色申告で記帳のあられる方はもちろんその記帳に基づいて御申告を願うわけでございますが、一般に記帳がない。従いまして、所得の計算につきましてよるべき資料がないというようなお方の便宜のために、所得標準を作成いたしまして、申告指導の便宜に供しておるわけでございます。その所得標準の作成につきましては、今御答弁申し上げましたように、いろいろ関係方面の意見も参考として、できる限りりっぱなものを作るということで作成いたしております。従いまして、一応関係団体の御納得も得て所得標準を作成しました上におきましては、帳簿のない農家の方はそれに基づいて申告していただくというように指導しておるという状況でございますので、投書なされた意味が那辺にありますか、私も今ちょっとはっきり記憶いたしておりませんけれども、何か無理に個別のお方につきましても押しつけておるというようなことは、言葉の言い方と申しますか、若干それは誤解があろうかと思うわけでございまして、その点さよう御了承願いたいと思うわけでございます。  次に、農業団体、税務署、それから税務課の見方が、具体的な数字をおあげになりましてそれぞれ違う、違う場合にどうしようとするのかというようなお尋ねであったわけでございますが、同じものを目の前に置いて見る場合におきましても、見方の相違がとかく出てくるわけでございまして、まして、所得の計算というようなものは、いろいろむずかしい問題がございますので、見る人によって若干そこに意見の相違があるということも間々あることだと考えるわけであります。さような場合におきましては、双方虚心たんかいによく話し合えば納得のいく問題ではなかろうかと考えておる次第でございまして、そういったことで全国各地におきましては大体納得を得て徴税の事務が進んでおる次第でございます。今お話しの点で、今なおそういった意見の相違があるというところにおきましては、全部が全部意見が対立しておるということでなしに、両者の意見がだんだん合致したけれども、まだ若干のところに食い違いがあるというような問題じゃなかろうかと思うわけでございまして、そのあたりは、さらに双方誠意を示しお話し合いをすれば、必ず意見は一致するだろうと考えておる次第でございます。私どももさような努力を惜しまないつもりでございますので、納税者の皆様におきましても御協力を願いたいと考えておる次第でございます。
  51. 石田宥全

    石田(宥)委員 今部長も言われたのですが、同じ作柄のたんぼを見ておっても、見方の相違もあるということは、その通りだと思います。そこで、立川部長さんに伺いたいのですが、これは必ずしも税金の問題だけではありませんけれども、税務行政上、統計というものはやはり市町村段階まで参考として用い得るものでなければならない。ところが、最近までは、とかく市町村段階まで参考にしてもらうだけ自信のあるものはできないということであったので、それでは困るじゃないか、予算が足りなければ予算もとり、人員も充実し、機能を発揮し得るような状態のもとにおいて、市町村段階における統計の数字も確信をもってこれを発表し得るようにということを、多年にわたってわれわれは要望して参りました。これは、昨年からですか一昨年からですか、市町村段階までたとえば米の収量の問題等は統計数字を出しておられます。この点についての、そういうわれわれの要望に基づいて変更されたそれらの事情を、少し承っておきたいと思います。
  52. 立川宗保

    ○立川説明員 農業課税につきましては、いろいろと問題の多いところでございまして、特に判断の基礎となる正確な資料が大切なことは、先ほど来の石田委員お話通りでございます。そこで、昭和三十年に所得税課税についての扱いを多少手直しがいたされましたときに、政府の内部の決定で、農林省調査資料を国税庁の方に差し上げて、そういうものを一つの重要な基礎として措置される方がいいということになりまして、自来、私の方で調査をいたしましたその年の米の反当収量を、税務署、並びに御要望があれば農業団体、あるいは県というような方面にも差し上げまして、課税の公正を期するようにお願いをしておるわけでございます。
  53. 石田宥全

    石田(宥)委員 今立川部長からお話があった通りだと思います。しかも、閣議においても、統計を尊重すべきであるという決定が行なわれておるわけです。ところが、これは私まだほかの県は調べていないのですけれども、新潟県の場合を見ますと、税務署が十三あるわけです。そのうちの一つの十日町税務署では発表いたしておりませんが、十二の署は全部この統計事務所の数字よりも相当程度高いのです。たとえば、新発田は、統計数字は二石八斗三合、ところが税務署は三石一斗と見ておる。新潟の場合は、統計の方は三石二斗六升、ところが税務署は三石二斗八升、これが一番開きが少ないようで、とにかく十四の税務署の反収というものが全部違っておる。全部高い。低いのは一つもない。同じのも一つもない。こういうことになると、閣議の決定事項も無視し、そうしてせっかく専門の委員を多数配属して調査をした統計というものを無視したやり方である。一体、税務署の役人というものはどの程度専門的な予備知識というか専門知識があるのか、おわかりになっておると思うのですが、統計事務所の職員というものは、長い間農業関係に従事しておる全くの専門家がやっておる。ところが、その専門家で相当な予算をもって調査したものを無視して、ことごとくそれよりも上回るところの数字を、これは確信あるものだといって、農業団体やあるいは町の税務課等の主張も無視してこれを押しつけようとするところに問題があるのではないか。これについて一体部長はどうお考えになっていますか。
  54. 白石正雄

    白石説明員 税務署といたしましては、収量を調査するにつきまして、税務署自体でも先ほど申し上げましたように坪刈り調査とかあるいは在庫米調査をいたしまして、基準調査その他の資料といたしておる次第でございますが、同時にまた、農林省関係の統計資料も十分尊重いたしまして、そしてこれを所得調査の資料といたしておる次第でございます。ただいま御指摘の数字は、私具体的に存じないわけでございますが、税務署の資料と作報の方の数字とが、税務署がほとんど一律に高いというようなお話のようでございますが、これは、何か基礎の点に、両者が同じ実態をつかまえてそのようになっておるのでなくして、計算のやり方と申しますか、そのあたりに何らかの差異があるのではないか。今さら石田委員に申し上げるまでもないことだと思いますが、税務署の方は、御承知のように、台帳面積を課税の基礎といたしまして、その台帳面積一反当たりの収量というものを算定いたしておりますので、それらの関係に今対象となっております数値の食い違いの原因があるのではなかろうかというように考える次第でございます。
  55. 石田宥全

    石田(宥)委員 税務署の方の面積の把握はどういう手続になっておるのですか。
  56. 白石正雄

    白石説明員 ただいま申し上げましたように、台帳面積によってやっておる次第でございます。台帳面積によってやっておると申し上げますと、若干補足を必要とするかと思いますが、たとえば、ある農家につきまして在庫米の調査をいたします。そうしますと、そこに幾ら幾らというその農家の収量が出て参るわけでございます。それをその農家の記載になっております台帳面積で割りまして、そして台帳面積一反当たりの収量というものを出しておるわけでございます。従いまして、台帳面積を基礎といたしておりますのは、課税の事務的な手続上それだけのものだということで、一応法的な面積になっておるわけでございますので、それを基礎とせざるを得ない状況であると思いますので、そのような課税手続上の問題と申しますか、便宜と申しますか、そのような点で台帳面積を基礎として課税をいたしておる次第でございます。しかし、あくまでもこれは実収を基礎といたしまして、いわば一種の換算方式と申しますか、そういった便宜に中間的な手続として採用いたしておるわけでございますので、決してそのために実情がゆがめられるということはないものと考えておる次第でございます。
  57. 石田宥全

    石田(宥)委員 部長、もうちょっと勉強してこないとだめですよ、そんな答弁じゃ。実際は、やはり、台帳面積と、共済の方の面積と、さらにその他の事情を勘案しなければ実際の把握ができないのです。ことに最近は畑の開田成りというようなものが著しくふえておる。それは共済にも上がってこない、台帳にもちろん出てこない、そういうものが著しく多い地方があるのです。そうすると、在庫調査やあるいはその他の調査で把握された反収というものは、実情とはなはだしく異なったものが出てくる。そうでしょう。それは反収によるとなったら、これはとんでもないことで、税務署はこんなことをしておりませんよ。実際は税務署はもっと実情に沿うようにやっておりますけれども、そういうところに、今の課税の実際の方式というものはこういう調査をもとにしてやっていないのです。だから問題なんです。ほんとうに実情に合うようないわゆる実態把握をやっておればそう問題ではないのです。それをやらないから問題が起こる。だから、新潟県の資料をとってごらんなさい。たとえば、これは畑の方ですけれども、普通畑の方の反当経費経費率というものがある。これが、十三の税務署のうち、三つは欠けており、一つはちょっと違っておるけれども、経費率はあとは全部九九・八九%だ。たった一つの署が一万分の一違っておるところがある。そうすると、一体、経費率というものだけが——ほかのものはみな違っておるのに経費率というものだけが一万分の一も違わないということなんです。ミサイルの誤差は一万分の一だと言われておるのだが、ミサイルの誤差ほども相違がないところの数字が出るというのは、一体どういうことですか。あなたは農業経営農業経済にはしろうとでおられるかもしれぬが、最近三十三年度の米の生産費調査の成績が発表されておりますが、これをごらんなさい。これは二千四百七十七戸の調べですが、一石当たりの生産費が、一番低いところは二千二百円から二千四百円の間のものが一戸、それから、ずっと高いところへくると、一万三千四百円から一万三千六百円までの農家が二戸あるわけです。一石当たりの生産費が二千二、三百円の農家から、一万三千何百円、こういうふうに大きな開きがあるのですよ。ところが、一体、一万分の一も違わないようなその経費率というものが新潟県全体が同じになるなどということは、これは神わざにひとしいものである。一体こういう数字というものはどうしてできるとお考えになりますか。実態とは著しく違ったものが出ておるじゃないですか。
  58. 白石正雄

    白石説明員 新潟の税務署におきまして経費率が九九・八九%で一律になっておるというようなお話でございますが、農家の必要経費と申しますか、これが各農家において違う。これは当然のことであろうと思います。経営が違う以上、その経費が一銭一厘も違わずに同じもので成り立つということは考えられないことで、農家が違いますればそれに応じまして経費も違うということは、厳密な意味におきましておっしゃる通りで、申すまでもないことと思います。ただ、課税をいたしますにつきましては、そのように一銭一厘も違わない必要経費を算定するということは実際問題としてなかなかできかねるわけでございます。従いまして、所得標準というようなものを使って申告の便宜に供しておるということは前々から申し上げておる通りでございます。従いまして、所得標準を使うということ自身に、厳密な意味で考えますれば、今おっしゃいましたような問題が伏在するかと思うわけでございますが、これは、実際問題といたしまして、課税の全般的な実際的な公平をはかるという意味におきまして、標準率の作成というものを御了承願えるといたしますれば、その間そのような差異は御寛恕願えるのではないかと考えておるのでございます。従いまして今御指摘のような九九・八九でほとんど神わざじゃないかという御指摘は、理論としてはまことにその通りでございますが、所得標準の作成の便宜という点からお認めを願いたいと考える次第でございます。
  59. 石田宥全

    石田(宥)委員 それはたまたま一税務署管内でそれをやるというならわかるのだけれども、県内大部分税務署が全部そうなんです。あるいはこれは全国もみなそうかもしれないですよ。私はまだ全国的に調べてみませんが、そうするとこれは常識上おかしいということになりませんか。
  60. 白石正雄

    白石説明員 先ほど申し上げました点で、所得標準は全部一律じゃないかというようなお話でございます。これは、また、今さら申すまでもなく石田先生御了承のことだと思いますが、経費は各地域によってもちろん違っております。それゆえにこそ、私ども、基準町村を選びまして、それぞれ必要経費その他の調査をやっておるわけでございますから、絶対額その他につきましてもこれは相当違っておるわけでございまして、各局別に見ますれば絶対額はそれぞれ相違いたしております。関信局の中におきましてもそれぞれ相違いたしておるわけでございますけれども、たまたま御指摘のような点がどの点でございますか、詳細承知いたしておりませんけれども、大体状況が類似するというようなところで、特に差異を設けるほどの相違も見当たらなかったという点で、むしろ一律の方が客観的に公平になるんじゃないかというような見地からそのような算定をいたしたものじゃないかと考えておる次第でございまして、決して全国一律というようなことは御承知の通りやっていない次第でございます。
  61. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、ほかのものとの関連でこれを見るとおかしいということははっきりしてくるのですよ。これは今私が申し上げたのは新津税務署管内の村松の話をしておるのですが、新潟県の大部分が大体前年比の反当り所得が千三百円から千四百円台の増になっておるのです。ところが、新津税務署だけが倍以上の三千七百六十円の増になっておるのです。そうして経費率などは同じになっている。あなたはこれをどう判断しますか。
  62. 白石正雄

    白石説明員 具体的な点につきましては、実は私も詳細検討いたしておりませんので、数字に基づいてお答えするということは本日いたしかねますが、大体の考え方としてお答えいたしたいと思います。  農業の必要経費は個々の農家におきまして厳密な意味においては異なるということは考えられますが、同時に、大体似たようなものであるということも、ある程度、——これは程度問題でございますけれども、考えられると思うわけでございます。それに反しまして、収入の方は、これは気候の関係もありましょうし、それから地域の関係もありましょうし、そういった点が関連いたしまして、年により所により相当の変化があるというようなことが考えられるわけなんです。従いまして、前年は総所得率が多かったけれども、ことしは凶作とかなんかの関係で下がったということも再三ありまして、それらの率いかんというようなことでいろいろ石田先生あたりからおしかりを受けるという問題も生じてくるのでございますが、さような関係で、今御指摘のような地域が、大体必要な経費といたしましては似たものだというように認定されたのだろうと思うわけでございますが、他面、収入の点につきましては、その土地柄と申しますか、地域の差というようなもので違う場合もあり得るという関係所得関係も異なってきておるということであろうかと考えるわけであります。たまたま今のお話は前年に対する何か増加の関係というようなことを御指摘になったようでございます。これも具体的に調査してみないと明らかでないわけでございますが、そうなりますと、ただ前年の増加だけを見ずに、本年出てきた結果が一体権衡のとれておるものになっておるかどうかということも問題になろうかと思うわけでございます。新津の具体的に出ました所得額自体があるいは新潟あたりに比べまして非常に高くなっておる、これはどうも常識から考えておかしいというようなことになりましたならば、これまた検討しなければならぬ問題だと思うわけでございますが、出てきました結果の今年の数字がまだそれでも新潟の所得よりも以下だというようなことにもしなっておるといたしますれば、——私詳細に数字を存じておりませんが、それであるいは権衡のとれた妥当な数字になっておるかもしれないわけでございます。このあたりの点も十分検討しなければならぬ問題ではなかろうか。税務署といたしましては、本年の課税につきましてはできるだけ慎重を期してやっておるつもりでございますけれども、あるいはまた、どこかに間違いがあるというようなことになりますれば、それは十分よく再検討しなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  63. 石田宥全

    石田(宥)委員 最近局の管内の人事異動が行なわれたようですね。何だかちょっと頭が変なんじゃないかと考えておるのです。第一、先ほどいろいろ話しました基準町村の変更を、去年の十二月、刈り取りを終わってからやっておる。去年の十一月までは前年度までの基準町村の小須戸町をとっている。十二月になって村松町に切りかえておる。ちょうど竹に木を継いだような調査をやっておるわけなのです。そうして自信ありと称しておって、今ごろになってすっかり自信を失なったような格好をしておる。これは統計の方からもお聞きしたいのですが、年度の半ばに対象の町村を切りかえるというようなことで正確なものが把握できるとお考えですか。どうですか、部長さん。
  64. 白石正雄

    白石説明員 何か新津の税務署につきまして本年の基準町村の選定につきましてあるいは若干行き違いがあったようなことを聞きましたので、その点の報告を長めでおる次第でございますが、ただいままで私どもの知り得ましたところによりますれば、前年度まで基準町村として選定いたしました場所は、すでに数年間同じ場所でやっておる、こういう状態のようでございました。従いまして、それは適当な場所だということで今までやってきたのだろうと思うわけでございますが、やはり、一カ所のみにやっておるということはいかがであろうか、ときには基準町村も変更してほかのところでやってみるという必要も、これは課税全般から考えますればあり得ることであると思うわけでございます。従いまして、そのような考え方から、数年間やってきました基準町村を本年変更いたしたいということを考えた模様でございます。これにつきましては、やはり、関係市町村の御納得を得、また関係市町村の御協力を得なければ調査というものも円滑にいかないわけでございますので、それからの関係につきましては、十分関係団体の意見も徴し、また御連絡も申し上げてやっておるつもりであったようでございますが、その間の連絡にあるいは若干行き違いがあったようで、御指摘の点に似たような問題が若干あったのではないかというように聞いておる次第でございます。ただ、若干その時期がおくれたという御指摘のようでございますが、調査上は支障のないように、前々から小須戸、村松両方の調査をやっておったようでございまして、本年度の調査といたしましては別に支障のないように努力いたしたというふうに報告を受けておる次第でございます。
  65. 立川宗保

    ○立川説明員 私どもの調査原則といたしましては、調査対象に当たりましたサンプルを調査期間中に変更するということはいたしませんけれども、これはまたそれぞれ調査をするところの方針によって違います。ただいま、両方ともあらかじめ調査をしておった、こういうようなことでございますけれども、私どもの意見だけでは申し上げられません。
  66. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは、直税部長さん、先ほどのお話のように、基準町村は基準町村で、その他のものも一応調査しておるというお話ですね。そうすると、基準町村を変えたからといって、結果的にそう大きな変化というものは現われないはずなのです。ところが、変化が現われて、最初は非常に強腰であったけれども、いよいよきのうあたりの様子だと税務署側は完全に自信を夫なってしまっているわけです。  一角がくずれればみなくずれてしまいますよ、自信がないのだから。むずかしい議論をしていなくても実際はこういうのですよ。それは全国的な傾向でもあるのですが、各局と局とのバランスで、局の境に非常にアンバランスがあっては困る、各署と署との間にアンバランスがあると困る、今度は町村と町村の間にアンバランスがあると困る、こういうことから、実際はそればかり気にして作文をやっておるのですよ。実態なんか調査しておりませんよ。それがほんとうです。それは税務署の連中がちゃんと言っておる。そういうことだから、全く机の上ででっち上げられている。だから統計の数字を無視するような結果になるのです。そうでしょう。そうでなければ、それほど実態と離れた結論が出るはずがないのです。この点は部長もしろうとじゃないのだからわかっているはずです。ときどきとんちんかんなようなことも言うておるけれども、大体専門家なのだからわかっているはずです。一体、そういうぼろを出しているときには、やはり率直にやり直したらいいのです。これは私も国税局へ行って局の部課長とも話をしたのですが、ことしは本来から言えば今までのように税務署長の責任において賦課すべきものでしょう。ところが、署長の権限を無視して、署長に権限を与えないで、局で各関係バランスだけ考えて、局で強くこれを押しつけようとしておるわけだ。そこに問題があるのですよ。その結果どうですか。関信局では、県全体の不当課税だといってそういう事実が指摘されたところが、今度新潟県全体に、それではたんぼは百円所得を引くとかあるいは百五十円所得を引くとかいうことをやった。一体そんなことが今の税法の建前として許されますか。一つ答弁して下さい。
  67. 白石正雄

    白石説明員 基準町村の選び方につきまして若干農業団体との間に意見の食い違いがあった点につきましては、先ほど申し上げたような状況でございます。基準町村を選ぶにつきましては、やはり最も適当だと思うところを選ばなければならぬわけでありまして、基準とならないようなところを選んでほかの課税に妥当でない結果を及ぼすようなことがあってはならないわけでございますので、税務署といたしましては最も妥当だというところを選定したものと考えますけれども、もしその選定が妥当でないというようなことで意見がありますれば、それらの御意見は、具体的にその理由をよく反省いたしまして、もし改むべき点がありますれば、今後、翌年度からの課税につきましては、またそれらの点もよく参考といたしまして事務を進めて参りたいと考えております。基準町村の選び方によって非常にほかの課税にまで影響を及ぼす、——何か甲の基準町村を選べば課税が低くなるし、乙を選べば非常に高くなるというように受け取れるようなお言葉があったようでございますけれども、そのようなことは私どもとしてはないものと考えておる次第でございまして、やはり基準町村を選びながら、同時にほかの町村の状況につきましてはそれぞれ若干の調査をいたしまして、そうして権衡をとっておる次第でございますので、甲を選んだ場合と乙を選んだ場合にすぐ食い違いがあるということでは、そもそも問題があろうかと考える次第であります。従いまして、それらの点につきましては今後とも十分注意いたしまして、課税の公平を保ちたいと考えておる次第でございます。
  68. 石田宥全

    石田(宥)委員 この問題はまだいろいろあるのですが、あとでほかの問題もありますので、これ以上いたしませんけれども、ただ、今の部長の言葉の中で、問題があれば来年度から直す、こういうことですが、まだ確定申告は三月十五日ですよ。それから、三月十五日は問題があったときには三月三十一日まで延長したこともあるのです。御承知だと思うけれども、前例もあるのですよ。ですから、問題があるものは来年まで待つ必要はないのです。ことしやりなさい。これからすぐやりなさい。やれるのですから、これは。ずいぶんあなたもがんこなところがあるのだが、どうですか、一つゆっくり話し合って、お互いに納得ずくで、来年はもちろんだけれども、ことし問題になったらことし直したらどうですか。
  69. 白石正雄

    白石説明員 御承知のように、先ほど御指摘がありましたように、基準町村の選び方がややおくれたじゃないかというような御指摘も受けたわけでございますが、私どもといたしましては、なるべく早く基準町村も選びまして、収獲のときもあらかじめわかっておりまして、そこでよく調査をするというように、期日はできるだけ長くかけまして調査をいたさなければならぬと考えておる次第でございます。それらが若干おくれたじゃないかということで先ほど御指摘を受けたような状況でございますが、選びました基準町村につきましては、税務署といたしましては最も妥当なところを選んだつもりでございますが、もし何らかこういう点が妥当でなかったじゃないかというような御指摘がありますれば、そういう点は今後の税務行政の反省の資料といたしまして十分参考として善処していきたい、かように考えておる次第でございます。本年度分につきましては、適当なものと思ってやった次第でございまするし、かつまた、これを今からやり直すと申しましても、すでに秋ごろ選定したことさえもおそいではないかというような御指摘を受けたような状況でございますので、これは本年度分はもうとうてい今からやり直すというようなことはできないことでございまするので、一つその点は御了承願いまして、今後の基準町村の選び方につきましては、いろいろ御指摘がありますれば、それらの点は参考といたしまして適正な選び方をするように努力いたしたい、かように考えておる次第であります。
  70. 石田宥全

    石田(宥)委員 これから調査をせよというのではないのですよ。さっきそれがためにちゃんと数字も出しておるように、各町村ごとに市町村の税務課なりあるいは農業団体なり農民団体なりのそれぞれの資料があるんです。それとつき合わせの話をしておったら、税務署は自信を失っておるのですから、そういう場合にどっちの資料が正しいかというようなことが、これから残された話し合いの場であろうと思うのですよ。それは調査とは別でしょう。しかし、基本的な調査とは別にそういう場があり得るし、なければならないし、それがまた従来の建前なんじゃないですか。そうでしょう。どうですか。
  71. 白石正雄

    白石説明員 この点につきましては、先ほどすでに御答弁申し上げたかと思うわけでありまするが、一つのものにつきましても、やはり人が違えば見方が違うということがあり得るわけでございますので、それらの点につきまして、やはり誠意を披瀝いたしましてよくお話し合いをいたす、かように努力しておる次第でございまして、もし御指摘のような意見の食い違いの税務署がなおありといたしますれば、その点につきましてはさらによく円満に解決をするように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  72. 石田宥全

    石田(宥)委員 それで了解しましたが、この問題でたった一点伺っておきたいと思うのです。保有米の算定ですね。これが九九・七ということで全国一律に見られておるようですが、この点はなかなか局や署の方ではどうにもならない問題なんです。同時に、これはかなりむずかしい問題だから、これこそ食糧事務所や統計事務所の協力のもとに行なわれなければ実態の把握は困難じゃないかと思う。ところが、ほとんどそれも行なわれておらないで、国税庁で決定されておるようでありますが、それの算定の基礎というものを一つ伺っておきたい。
  73. 白石正雄

    白石説明員 収穫物の収入金額を算定する場合におきまして、収穫時の数地を押えまして、そうして価格を乗じまして、収益金額を算定するわけでございますが、その場合に、政府売り渡し米につきましては、これは農林省の方で一つ一つ等級の検査をされまして、何等級が幾らというようになされますので、これははっきりと数字が出てくるわけでございます。これに対しまして、保有米の方につきましては、そのような調査が的確に行なわれないという関係で、これをどのように見るか。一体何等米が幾ら残っておる、こう見るか、これは非常にむずかしい問題であろうかと思います。普通の税務のやり方といたしましては、一方に的確なる資料がある、他方においては的確な資料がない、よるべきところがない、こういう場合におきましては、一方に存するところの的確な資料をくつがえすような反証がない限り、その資料にそのままよるというのが普通の考え方ではなかろうかと思うわけでございます。従いまして、農林省の方がお買い上げになるところの検査の等級別の数量というものがありまするから、普通の考え方からしますれば、保有米の方もそれと同じように見るというのが普通の考え方であろうかと思うわけでございます。従いまして、従来は大体そのような考え方で進んでおったようでございますが、二十六年でございますか、二十五年でございますか、私実は詳細承知しておりませんが、そのころ何か少し秋ごろ天候が悪かった、そういうときがあったそうでございます。従いまして、農家の方はでき上がったものをさっさと政府に売り渡した、天候が悪かったから後のものは少し悪かった、悪かったから悪くなったものが保有米として残っている、だから政府売り渡し米と保有米とは品質の差がある、こういう御主張があった。従いまして、こちらの方は、いろいろ検討いたしまして、なるほどそういうこともあり得たであろうという判断のもとに、若干保有米についてしんしゃくをしようということを言ったわけでございます。そのときの考え方といたしましては、等級は五等級まであるわけでありますが、四等級の一割程度のものが五等級になるもの、——ちょっと言葉が不足いたしましたが、政府に売り渡しましたものの等級別の数量を出しまして、その政府に売り渡しました中の四等級の一割を五等級になるものといたしまして、それだけ格下げいたしまして、そうして全体の加重平均をとりまして、これを保有米だ、かように推定いたしたわけでございます。従いまして、この考え方は、そういった特別の事情がない場合におきましてはもとに戻すべきものじゃなかろうかという考え方が当時としてはあったわけであります。しかし、やはり、一度そういう方針をとりますと、またこれをくつがえすようなこともなかなか資料的には出て参りませんで、その後その方針をとりまして、四等級の一割を五等級に格下げをして、全体の加重平均をとってみますと、全体で大体〇・三%くらいの比率に妥当するものになるということになりましたので、自後〇・三%というしんしゃくをやるということで今日に至っておるというのが実情でございます。  そこで、今申し上げましたような意見も一方にあるわけでございますが、現状におきましてと〇三・%というものをまた再検討すべきではないかということを再三御意見といたしまして最近承っておるわけでございますが、これにつきまして、ただいままで私ども考えておりますることは、やはり的確な資料に基づいてもう少し確実なものになすべきだと思うわけでございますが、これは調査といたしましても非常に困難だということは石田委員も御了承願えるわけだと思うのであります。そういったわけで的確な資料もなかなか出にくい。他面、大数観察といたしまして、私どもがただいま考えてみますと、それを採用いたしましたその後でございまするが、二十九年あるいは三十年ごろの農林省の買い上げになっておりまする等級というものを見てみますと、三等級は四九・三%、四等級は四三・九%、それから五等級が二・四%、これが三十年産米につきましての数量になっておるわけでございます。この数量がその後漸次変化しておるわけでございます。四等級の四三・九%というのが、最近の実績を見ますと、三十三年では二二・五%に下がっておる。そうしまして、二等級の三・八%というのが二三・二%に上がっておるわけであります。つまり、だんだん上位等級の比率が多くなりまして、下位等級の比率が少なくなっております。従いまして、全体といたしまして米価はそれだけ高くなっておる、こういうことに相なるわけでございます。そうしますと、〇・三という数字は全体の米価にぶっかけておりますから、そのしんしゃくは実質的には相当上昇しておる、かように相なるわけでございます。全体の米価の加重平均でやっておったわけでありますから、全体が売り渡し米の価格がずっと上昇いたしておりますから、従いまして、その上昇した、高くなった価格に〇・三をぶっかけておりますから、絶対額は相当ふえておる。だから、その〇・三は、もし厳密な意味で申し上げますれば、むしろ下げなければならぬ、当時と同じ比率をもってやりますれば〇・三を引き下げるべきだという議論も出てくる可能性があるわけでございますが、そういう点も織りまぜまして、今直ちにこの点を再検討するような資料も他面ないというようなことで、据え置きにいたしておるという状況でございます。  なお、蛇足かと思いますけれども、くず米の調査というようなことが農林省関係であるようでございますが、このようなくず米の調査からいたしましても、二十九年ごろ八・九%でありましたのが、最近は五・六%というように下がっておりまして、相当くず米の率も低下しておる、こういう点も織りまぜまして、現在のところで相当妥当なものではなかろうかというように考えておる次第でございます。
  74. 石田宥全

    石田(宥)委員 この点はどうも認識の相違が——議論いたしませんが、去年あたりは非常な豊作で、しかも天候も悪くないから米質もいい。けれども、豊作になればなるほどまたくず米が多くなって、保有米というものはくず米が非常に多くなる。そういう関係もありますので、これはあと一ついろいろの角度から検討して下さい。  それから、主税局の方にちょっと伺いたいのですが、大農具の償却の問題ですが、これが税務署では七年見ておる。しかし、実情は、これは専門家ならだれでもわかるはずですが、最近農具の進歩発展が非常にテンポが早くなりまして、大体われわれの方の調べたのでは三年か三年半くらい。これは完全に使用しないうちに新型が出たりいろいろ大型になったりで変わっておるのですよ。ですから、従来のような七年という償却では長過ぎて、農業経済を圧迫することはなはだしいものがある。それで、この償却をもっと短縮しなければならない、こういう議論が非常にやかましくなっておる。農林省の方にも、調査があると思いますから、お聞きしたいと思うけれども、時間がないので、主税局の方でもこの点もう手をつけておられるのじゃないかと思うので、一つ答弁を願っておきたい。
  75. 塩崎潤

    ○塩崎説明員 お答えいたします。  固定資産の耐用年数の問題につきましては、御存じの通り、技術革新の状況に応じまして設備の更新の状況が非常に早いというので産業界からつとに言われておるところでありまするそのことにつきまして、御存じの通り、私ども昭和三十二年から作業中でございます。だんだん最近大詰めになって参りましたので、私どもの方に固定資産の耐用年数の打ち合わせ会を設けまして、各界の権威者にお願いいたしまして、その実情調査中であります。できるならば今年度三月くらいまでに輪郭が出て参るようにいたしたいと考えております。この技術革新がどの程度農業方面に影響するか、これにつきましても私ども検討中でございますし、なお、御存じの通りに、私どもの検討会には各省の方も幹事となっておりますので、このあたりの事情につきましては農林省とも十分打ち合わせまして、全般的な固定資産の耐用年数の改定をどういうふうにしたらいいかという角度から検討をして参りたいと考えております。
  76. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは一つ農林省の方もよく資料の的確なものを把握してやっていただきたい。  それから、もう一つ、これと関連いたしますけれども、雪国等の固定資産の償却というものはやはり特別に扱われなければならないと思うのです。これは鉄道局が具体的な資料をたくさん持っております。そういうことも農具の償却と合わせて検討して、次の機会に修正されるように、これは要望で申し上げておきます。  大へん時間をとりまして恐縮ですが、今度は自治庁関係に伺います。  さっき主税局長の原さんからお話があったように、今国税庁の直税部長の話の中でも大体お聞きになっておわかりだと思うのですが、農業関係では所得税そのものがいろいろ不合理な点がある、そこで、税務署で定めた所得標準というものが地方税所得の標準にされておる場合が多いのです。それで、まず伺いたいことは、住民税の方では、地方税法の三百十三条、三百十四条にまたがっていろいろ分けられておりますが、その住民税の方のオプションの一、二、三のただし書き、三、三のただし書き適用の町村の数をちょっと伺っておきたいと思います。
  77. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 住民税にはただいま御指摘がございましたように五つの課税方式があるわけでございますが、その中で市町村の数で申しますと圧倒的に多いのが、ただいま仰せになりましたオプション・ツーただし書きであります。全国的に昨年四月一日現在で私の方で調べたところでは三千五百六十二市町村ございます。三千五百六十二市町村の中でこのオプション・ツーただし書きをとっておりますのが二千八百二十市町村でありまして、全体の七九・二%に当たっております。これに次ぎまして、オプション・ワンが四百九十七市町村でありまして、全体の一四%に当たっております。この両方で大体九四%ということになっておりますので、残りの六%足らずの市町村が他の三つの課税方式をそれぞれ採用しておる。  そこで、市町村別にはそうでございますが、御参考までに、納税義務者の数がどういう分布になっておるかということと、税額の分布がどうなっておるかということを申し上げますと、率だけで申し上げますが納税義務者の数で申しますと、オプション・ワンの市町村に属しておりますものがわずかに多いのでございまして、この住民税所得割の納税義務者全体で約千三百万人ほどいるわけでございますが、その中の四八・二%がオプション・ワンでございます。オプション・ツーただし書きの方が四五・六%、こういう形になっております。それから、税額で申し上げますと、税額でもわずかにオプション・ワンの方が多いのでありまして、オプション・ワンの方が五一%、ツーただし書きの方が四二%、こういう割合になっております。
  78. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、さっき問題になりました、こういう状況のもとにおける所得の把握、すなわち、課税所得額というものを税務署で定めた標準を用いておる市町村と、独自に算定をして課税しておる市町村とを、おわかりになりましたら一つ聞きたい。
  79. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 地方税法の二百九十七条の規定でございますが、住民税課税標準になりますオプション・ワンの場合でございますと所得税額、ツー、スリーの場合でございますと総所得金額なり課税所得金額になるわけでございますが、これは、「所得税法その他の所得税に関する法令の規定に基いて算定したものとする。」、こういう条文に相なっておるわけでございます。そこで、市町村といたしましては、前年課税主義をとっておる関系もございまして、ほとんどすべての市町村が税務署課税資料を参考にさせていただいておる、こういう形でございます。
  80. 石田宥全

    石田(宥)委員 一昨年とその前の年と、農業課税の問題がずいぶん問題となりまして、国税庁長官にその点を指摘いたしましたところ、地方税所得標準に税務署の定めた標準を直ちに用いることは妥当ではない、こういうことを国税庁長官は言っておるのです。そこで、妥当でないならば、妥当でないところの標準の数字を基礎にして地方団体課税すべきではないではないかということを私ども主張いたしまして、国税庁長官の方から自治庁長官にあてて、さらにまた国税局からは府県の総務部長に対して、これを標準とすることは妥当ではない、こういう申し入れをさしてあるわけです。その申し入れというものはどう処理されたのですか。
  81. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、これは三十三年の二月二十七日の当委員会であったように記憶いたしております。そこで、この国税庁の方と石田委員との間でそういう照復がありましたその趣旨も、私ども国税庁の方から申し入れを受けております。それで、ちょうどその直後に全国都道府県の地方課長会議がございました。その地方課長会議の席上で、この当日の委員会の速記録によりまして、この状況説明をいたしまして、これをそのまま用いることのないように、——もちろん、市町村のことでございますし、遺憾ながらそういう所得の把握と申しますか、調査と申しますか、そういう点につきましてなお熟練いたした者の少ない状況もございますものですから、参考にするということはどうしてもいたし方ないわけでございますが、そのままそれを右から左に使うということのないようにされたい旨の指示を地方課長にいたしてあります。それから、やはり、その前後であったかと思いますが、新潟の高田市長からこの点につきましての照会がございました。それにつきましても、そのまま使うことのないようにという理由をつけてこの照復をいたしておる経緯もございます。
  82. 石田宥全

    石田(宥)委員 さっきその点で主税局長の方に確認をさしたわけですが、これは、自治庁の権限というか、所管事項なんですね。どうも、自治庁の方の課税に対する態度というものが、まことに乱暴きわまる扱いをやっておるのじゃないか、こう思うのですよ。これはいろいろ資料もありますが、五項目あるうちのどっちを使うかということにも問題があって、一例をあげると、扶養親族二人の場合で十六万円の所得の者が、第一方式による所得割の額は二百七十円です。ところが、第二方式ただし書きによる所得割の額は千八百八十円、こういう大きな開きが出ておる。あるいは、扶養親族三人の場合でも、第一方式による所得割の額が五百八十円、ところが、第二方式ただし書きによる所得割額が三千百六十円、こういうふうに非常な開きがある。そこで、その税金対象になる所得額というものが、階層の上の方の、もう一カ町村でも何戸もないというような、これは富農という言葉が妥当かどうかわからぬけれども、きわめて裕福な農家だけをとらえて、そこで作った標準を、今度は一町か一町五反くらいの零細農にまでこの標準で課税されるということになると、結果においては非常な不合理が出てくる。その不合理のちゃんとした数字はあります。ありますが、そういうことについて自治庁は何ら矛盾感じられないのですか、それに対する対策も一体考えておられないのですか。
  83. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 御指摘の点、午前中も主税局長と先生の質疑応答がございまして、私うしろで拝聴いたしておったのでありますが、問題はこういうことではないかと思います。  一つは、今の地方税法の建前が、所得税法なり法人税法なりというものと納税義務者というものとの関係と違いまして、地方税法は、まず市町村が個個の納税義務者に対して税金を課するその直接の根拠になりますところの市町村の条例の基本法だ、こういう建前になっておるわけでございます。従いまして、基本的に、市町村が納税義務者なり課税対象なりあるいは税率なりというものをどのような選び方をするかということは、本来市町村の——表現が適当でないかもしれませんが、固有の権利であって、それを地方税法で網をかぶせておるのは、やはり、国民経済全体の統一という見地から見て最小限度の網をかける、こういうふうに今まで地方税法の立て方自身が相なっておるように私ども理解しておるわけでございます。  そこで、この住民税課税の問題でございますが、今のような住民税になりましたのは、先生御承知の通り昭和二十五年のシャウプ税制に基づくものでございます。この当時からいわゆる課税方式の自由選択制というものがあったわけでございます。そこで、この自由選択制について、自治庁といたしまして、お前のところはオプション・ワンをとれ、お前のところはオプション・ツーただし書きをとれ、こういう指導はちょっとできかねる実情にございまして、市町村がその実情に応じた課税方式を選んで課税をする、こういう建前になっておったわけでございます。その当時は、昭和二十五年から三十一年まででございますが、その間は、第二、第三課税方式につきましては制限税率一つあっただけでございます。第二課税方式ただし書きの場合でございますと七・五%という制限税率をきめておるだけでございまして、その範囲の中では市町村がどのような税率のきめ方をいたしましても、それは市町村の任意にまかすという建前をとっておった次第でございます。そのような状態からいたしまして、市町村の場合、特に二十八、九年を契機にいたしまして、財政が非常に苦しくなって参りましたものですから、第二課税方式ただし書きの住民の負担が非常に重くなりました。国会でもしばしばそれについてわれわれ御注意をいただいたのであります。そこで、昭和三十二年の例の一千億減税を目の前に控えまして、市町村に対しまして一応今の制限税率のほかに準拠税率という制度を設けたわけでございます。大体第一課税方式の場合と負担の不均衡が著しくならないようなことを目途に置きながら、第二及び第三課税方式につきまして準拠税率を設けた。それから、それまで第二、第三課税方式ただし書きの場合でございますと、御存じの通り扶養控除というのがございません。従いまして、この扶養税額控除というものを、扶養親族の数に応ずるところの税額控除を、それまではこれまた市町村の任意であったのでありますが、それを必ずおやりなさいということで、この条例できめたわけでございます。オプション・ツー、スリーのただし書きの場合には必ず扶養税額控除をやらなければならない、こういう制度に切りかえまして、以後そういう線で私どもも指導いたしますと同時に、激変緩和の趣旨から特別交付税をもって若干めんどうを見たということもございまして、現在のところは、準拠税率そのままやっておる市町村を含めまして、全市町村の七割程度のものが、少なくとも二十一年度以前の準拠税率設定当時に比べますと、大なり小なりの減税をやっておる、こういう結果にはなっておるわけでございます。
  84. 石田宥全

    石田(宥)委員 地方団体の自主性を尊重する、それは自治行政はそういう建前だと思うのです。しかし、それは理屈でありまして、現実に日本の政治というものは地方団体にどれだけの自治的な権限、自主性を与えておるかは、専門家のあなたの方がよく御存じなんで、やはり、ある程度制約を加え、それから相当強い指導をやらないと、今申し上げたようなアンバランスの問題は処理できないのです。これはあなたに言うてもなにですから、別の機会に長官なりあるいは局長なりによく申し上げたいと思うのです。  さらに、さっきもちょっと問題に出た予約減税の問題あるいは青色申告の問題等の場合に、たとえば、予約減税の特別措置に対しては、高知県や千葉県その他の町村でこれを無視して住民税を課しておる。これはもう当然に減税をしなければならないのでありますし、さらにまた、青色申告をやったにもかかわらず、住民税課税する際に専従者控除をしないでおるところの市町村が相当数見受けられるわけです。これは、法律上ちゃんと控除を認めておるにもかかわらず、それを適用しないという理事者の行為というものは違法行為ではないかと考えるのですが、これはどうお考えになりますか。同時にまた、それに対してはどういう御処置をされるか。
  85. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 結論から申しまして、予約減税をやりませんでしたり、あるいは青色申告が認められておるにかかわらず住民税において専従者控除をやらないということは、違法であります。これにつきましては、私ども通達をもってはっきり示しておるところでもございますし、また、そういう事実を聞きましたときは、そのつど地方課を通しまして指導しておる次第でございます。
  86. 石田宥全

    石田(宥)委員 なお、地方団体財源の大きな部分を占めておる固定資産の問題で、これはさっきも局長が答弁しておりましたように、何か調査会で今検討中だということでありますが、従来は収益還元方式をおとりになっておられたわけです。ところが、最近この調査会意見というものが一部発表されておる。農地の問題はまだ決定が留保されておる、こういうことになっておるようでありますが、これについては、農業経営の上において固定資産評価いかんというものは非常に大きな問題であります。これもさっき局長との間の話を聞いておられるからおわかりだと思うのですが、私どもは、収益還元方式といってもやはり若干問題点があるので、その問題点を手直しをして、やはりそれによるべきではないかと考えておるわけであります。ところが、調査会の一部では実売買価格によるべしという意見が相当強いということを承っておるわけであります。この調査会におけるいろいろな動向と、それから、自治庁として、ことに事務を担当しておられる課長などの所見は、どうあるべきだと考えておられるか、これを承っておきたい。
  87. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 この固定資産評価の問題でございますが、率直に申しまして、農地の評価につきましては、現在固定資産評価制度調査会におきまして意見が分かれたまま、まだ基本方針の統一を見ておらない状況にございます。ただいま御指摘になられましたように、一つ考え方は、収益還元価格というものをベースに置いて、それで売買実例価格というものを参酌すべきだという考え方、それに対しまして、もう一つ考え方は、売買実例価格をむしろベースに置いて、それで収益をも加味するという評価方法をとるべきだという考え方の二つでございます。問題は、固定資産評価制度調査会の発足の初めにさかのぼるわけでございますが、時間もございませんので簡単にお答えさしていただきますと、固定資産税課税標準でございますところの価格というものは、地方税法上適正な時価ということになっておるわけでございます。そこで、適正な時価とは何ぞや、こういうことになるわけでございますが、これは、結論的には、正常な取引条件のもとにおける価格だ、こういう地方税法課税標準でございますところの価格の説明でございます。こういうことに一応委員会としては結論を出されたわけでございます。そこで、そういう形になって参りますと、やはり、その場合売買実例価格というものがあるのだから、それをベースに置くべきではないか、それから、御存じでございましょうが、現在の固定資産税課税客体になっております農地の価格は、勧銀あるいは不動産研究所あたりで御調査になっておられますところのいわゆる売買実例価格に対しまして大体二三%ないし二四%という非常に低い評価に相なっておるわけでございます。     〔永田委員長代理退席、委員長着席〕 そういう低い評価になっておる原因としてやはり今のような点があるのじゃないだろうか、こういうことにもなっておるわけでございます。それに対しまして、農地というものは、もともと売買を目的とする財産じゃなく、これによって農業を経営する地盤なんだから、従いまして、その収益還元方式で当然いくべきだ、こういう御意見もございます。委員会自身としましては、なおこの点につきまして再三再四実態調査等も織り込んで結論を出していかれる、こういう段階になっておるわけでございます。  そこで、事務を担当しておる課長意見を言え、こういうことになるわけでございますが、今そういう調査の進行の過程でございますので、これはちょっとごかんべん願いたいと存じます。
  88. 吉川久衛

    吉川委員長 石田委員に申し上げますが、まだ質疑者が数人おりますので、質疑はなるべく簡単にお願いいたします。
  89. 石田宥全

    石田(宥)委員 簡潔に申し上げますが、そこで、事務担当官として一体どういう意見だということは無理だろうと思うのですが、現在やっておるところの収益還元方式の内容について伺います。  所得の方の米価の算定になりますと、御案内のように、都市労賃を基準にしてこれに若干の修正をした賃金になっておる。所得の方はそういうふうにはっきりしておるが、生産費の方では、自家労賃というものは、今の統計では、実際に支払った農村の日雇いの賃金ということになっておって、ここに大きなアンバランスがある。それは農民にとって非常に不利な要因をなしておるわけです。米価算定の基準である労賃は都市均衡労賃なんだから、やはり生産費の方もそれによって評価さるべきではないかと考えるのですが、これは修正をされる用意があるかどうか。
  90. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 現在、農地等の評価につきましては、御指摘の通り収益還元方式をとっておる。これは若干の留保をつけた方がいいのじゃないかと思いますが、基本的にはそういうことを申し上げていいのじゃないかと思います。その場合に、労賃の見方について日雇い労賃を見て算定しておるではないか、これはその通りでございます。これは、今の評価の算定の方法が、農林省の方の小作料の算定の方式を実は参考にしてとっておるということが一つございます。もう一つは、固定資産税課税客体になります農地の評価ということになるわけでございますが、その市町村内での農地の評価ということになりますと、都市労働者の労賃をとるのはいかがなものであろうかという感じがするわけでございます。  なお、御参考までに申し上げますと、私どもの方でやっております収益還元方式は、いわば非常にゆがめられた格好でございまして、計算上出て参りました額にさらに相当の圧縮を加えておりますので、現実の段階といたしましては不利になっておるということは言えないと思います。
  91. 石田宥全

    石田(宥)委員 所得の方を都市労賃に均衡さしたものとして計算をしたならば、必要経費の方もやはりそれに準ずべきではないか。もちろん、収益還元方式といっても純粋なものではなくて実はゆがめられ過ぎていると思う。けれども、その点はやはりどっちもバランスのとれたものにすべきではないか。  もう一つ、収益還元方式は全体的な全国のトータルで行なわれるのであるけれども、現実にはやはり市町村が課税の客体になっておるわけなんだから、やはり市町村においてもこれを一応の基準としてそれを若干修正するということはいいかもしれないけれども、それを、今の場合は、下の方は全然やれない、やらせない、こういうことは非常に私は矛盾していると思う。やはり、上の方は国全体のトータルでやっておるなら、下の方は下の方でそれをやって、それを何らかの方法で修正するということがほんとうではないかと思うのですが、これはどうですか。  それから、もう一つは、なるほどいろいろ修正はされておるけれども、収益還元方式が中心ではあるが、収益還元方式の場合に、農業を企業として最近いろいろな面で取り扱われておるのだが、企業利潤というものは全然見ていない。これは間違いではないか。これは、ほかの方の公企業などを議論する場合に、せんだって通運料金の値上げのときに運輸省の局長が来て話を聞いたのですが、適正利潤とは年間二〇%だ、そのうち一〇%は税金その他であって、二〇%が適正利潤だ、こう言っておる。ところが、農業の場合に利潤部分というものは全然見ないで収益還元方式を当てはめるということは、一体どういうことか。しかも、米が統制を受けておる現段階においては、当然利潤部分というものも算入すべきであると考えるのですが、どうですか。  以上の三点を一つ……。
  92. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 収益還元方式をとっているのは全国から市町村におろす平均価格の算定の段階だけであって、現実の個々の市町村においては収益還元方式をとらないのは矛盾ではないかという点につきましては、確かにおっしゃる通りの御意見もあろうと思います。ただ、問題は、現在の評価方式、これはすでに御存じであろうと思うのでありますが、考え方の基本といたしましては、農地の場合でございますと、地方、生産力といいますか、そういうものを示しますところの自然的な条件、それから経済的な条件、災害条件、この三つで個々の土地については評価をつけていく、こういう建前をとっております。この評価基準の現在のあり方の問題が一つ。それから、もう一つは、個々の市町村ごとにそういう収益還元方式をとるということにいたしました場合の収益の見方なり、あるいはこの必要経費の見方なり、あるいは資本還元率の見方なり、そういったものにつきましてもう少し練った上でないといかがであろうか、こういう感じがしておるわけでございます。  それから、企業利潤の問題につきましても、これはたしか今の平均価格を示しましたのは三十三年でございましたが、その際に農林省からも実は御意見があったわけでございます。この点、私どもも農業についてはしろうとなんでございますが、固定資産税というものはその土地のいわば価格というものを課税標準にして課税をする。その土地の価格を見る際に、先ほどのこれは基本の問題になるわけでございますが、まるまる収益還元方式で律していいものであろうかという点については、なおまだ一まつの私ども疑問があるという感じもいたしますので、この点もひっくるめまして、今の評価制度調査会の答申の結果に待ちたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  93. 石田宥全

    石田(宥)委員 固定資産の問題についてもう一つだけお伺いしたいのですが、水田の場合の畦畔は地租の時代には除外されておった。今度は畦畔も固定資産対象になり課税対象になったわけです。これはどういう関係でそういうことになったのですか。
  94. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 これは、その沿革という点については、ちょっと私も不勉強で存じないのでございますが、固定資産税課税客体でございますところの  土地ということになりますと、少なくとも、非課税として国有、公有あるいは公共用その他非課税になっております資産以外のものは全部課税客体にする、こういう建前をとっております関係上、畦畔部分も当然課税客体になる。これはいたし方がないのじゃないかという感じがいたす次第でございます。
  95. 石田宥全

    石田(宥)委員 国税庁の直税部長に青色申告のことをちょっと伺っておきたいのです。青色申告の中身の問題や何かいろいろ議論がありますけれども、それは議論を抜きにいたしまして、専従者控除を行なおうという動きがあったときに、一時事務当局でも何か考えられたようですけれども、その後専従者控除を行なわないということになったときに、それでは青色申告を行なえば専従者控除が行なわれるのだから青色申告を少し簡素化するということで、専従者控除が切りかえられたような経過があるわけです。そこで、青色申告というものは、従来国税庁としては、これは税体系から言って邪道だという考え方が強かったのです。それで、ここ二、三年は、これは部長とぼけちゃいかぬが、圧縮方針をとつております。たとえば、私が直接関係した問題などでも、農協から金を引き出した記帳の日時と、自分の記帳の日時が違うからといって、それはだめだといって白色に直させられたような例もある。そんなことをつついていったら、事実上青色申告というものは皆無になってしまうし、これは最近ずっと減っておるはずです。数字をあなたはお持ちだろうけれども、そんな数字は聞きません。とにかく圧縮方針をとっておることだけは間違いな  い。そこで、ことしの一月ですか、どういう点とどういう点を簡素化すると  いう文書が出たわけです。ところが、それを見てみると、自分のうちで使った野菜だとか、くだものだとか、そんなものを一括してあとから記帳してもいいとなっておるが、こんなものは簡素化でも何でもない。言いのがれですよ。まあそれはそれでもいい。ところが、三月十五日までこれを申告しないと昭和三十五年度はだめでしょう。三月十五日まで申告をしなければだめなものは、三十四年中に趣旨の徹底をはかり啓蒙をしなければならないはずです。ところが、全然それをやっておらない。農民は何も知りません。それで、こういうふうに簡単化ができるのだ、青色にやればこういう専従者控除があるのだということを農民に少しも周知徹底をはかろうとしないで今日に至っておられる。一月一日から記帳をしていなければ、三月十五日から申告しても、それは行ない得ないでしょう。これはどうですか。
  96. 白石正雄

    白石説明員 青色申告につきまして、ただいま御指摘の点は、私といたしましてもまことに御指摘の通りだと考えております。青色申告は、記帳を正確にいたしましても、申告納税制度を健全に発達せしめる、こういう目的から創設されたわけでございまして、営業につきましては、個人の全納税者の約半数程度のものが青色になっておりまして、相当量的にも発展をいたしておる。ところが、農業につきましては、五十万近い課税農家のうちに青色申告をなさっている農家が二万七千程度、その中には失格者もございますので、課税農家はさらに低い数字しかないという現状でございまして、青色の農家につきます伸長の状況はあまり芳しくない。これがどういう点に原因するかということにつきましては、いろいろ御指摘なさったような各方面の御意見もあろうかと思うわけでございますが、いずれにしましても、青色申告としましては、やはり記帳を正確にいたしまして、そうして健全なる申告をするという建前でありますので、そういう意味で、やはり正確な記帳をなさっておいでになるということが第一の要件であろうかと思うわけでございまして、そういった方面で私ども指導をいたしておりますが、間々中には今御指摘なさったような事例もあるいはあろうかと思うわけでございますけれども、これは、決して抑圧しているという意味ではなくて、ただ正確な記帳を指導するという方面からやっているところでございます。何はともあれ、そのような状況でありまして、今日ただいまのところ、農家における青色の状況というものは、量的にあまり発達していないということが現実の状況でございます。  そこで、これが御指摘のように昨年どういうふうに専従者控除を解決するかというような点が問題になりました後におきまして、青色が現状において普及していないというのは、やはり何らかもっと方策をとるべきところがあるのではないか、そうといたしますれば、国税庁としましては、どうも記帳が複雑ではないか、農家の現状というものが営業と違ってなかなか思うような記帳をつけるというようなことができないから、何らかの意味においてできるだけ簡素化したらどうか、こういう御意見が起こったわけでございます。これにつきまして、私どもとしましては、すでにもう簡素化すべき点は十分簡素化いたしまして、そうして青色の発展ということに努力してきたわけでございますので、もうほとんど簡素化の余地はないのではないかということを考えておったわけでございます。しかし、青色の農家における伸長をはかるという意味でさらに検討する余地はなかろうかということでいろいろ検討いたしまして、そしていまさらここで申し上げるまでもなく御承知だろうと思いますが、今御指摘になりましたような点を含めまして四点ほどの簡素化をはかったわけであります。見方によりますれば大した簡素化ではないのじゃないかという御指摘があるかもしれませんが、私どもとしましては、できるだけ簡素化をするということでやった次第でございます。
  97. 石田宥全

    石田(宥)委員 いろいろ慎重に御配慮になったということはわかるのです。ところが、これは、政府と与党との間で、政治的に、専従者控除制度を行ない得ない、それを行なうと国税にも地方税にも大きな影響があるので、行なわない、そのかわりに、青色を簡素化して、これを普及しよう、こういう政府与党の諸君がせっかくの親心でこれを措置されたけれども、農民の方ではちっとも徹底していない。国税庁の末端の機関は少しもそれの周知徹底をはかろうとしていない。国税庁は各税務署長に対して今の簡素化した文書を流しただけで、あとは手を組んで知らぬ顔をしているから、農民は全然関知していない。これは役人の怠慢もはなはだしきものである。そう思いませんか。  そこで、私は、時間がないからくどくど申しませんが、少なくとも三月十五日に申告をすればいいのだが、一月一日から記帳をしていなければそれはだめなんだということすらも農民は知らないわけだ。だから、これは適当な期間周知徹底をはかって、そしてやはり本年から希望の者が青色申告をなし得るような措置をなすべきだと思う。これは、一つ、長官や大蔵省とも連絡をとって、一定の期間その申告を延期して、同時にまた、一月一日の分から記帳してなくても、本年に限ってさかのぼって事後処理をやってそれを認めるというような特別措置をやるように、早急に措置してもらいたい。せっかくの政府の親心を全く無視してしまうようなことは、役人として怠慢で許されない。一つ、肝に銘じて、帰ってから相談して措置していただきたい。
  98. 白石正雄

    白石説明員 三十五年度分から青色の簡素化を徹底するにつきましては、時間の関係上十分な宣伝の関係ができなかったのじゃないかという御指摘につきましては、私どもも、それの告示をやりました期日が最近でございましたので、時間的余裕がなかったという点は御指摘の通りでございます。ただ、簡素化のことを検討いたしまして、やはり簡素化をする余地があるということになりましたので、これはできるだけ急いでやるべきだということでやったわけでございまして、三十五年分から適用するというつもりならば初めからもっと準備を早くすべきではなかったかという点につきましては、御指摘の通りでございますけれども、そういう点も御了承願いたいと思うわけであります。国税庁といたしましては、広報関係を利用いたしましてできる限りの宣伝には努めたわけでございますし、また、農協関係にお願いいたしましてできるだけ宣伝していただきたいということで努力しているわけでございますが、時間的に余裕がそうなかったという点につきましてはお話通りでございますので、三十五年につきましては十分でなかったかと思いますが、三十六年以降につきましてはさらに広報宣伝いたしまして努力いたしたい、かように考えている次第でございます。
  99. 石田宥全

    石田(宥)委員 それは、あなた、私の言うたことをたなに上げて話しているが、長官と相談して、大蔵省とも相談して、親心を生かすように一つ暫定措置を相談しなさい。  私、これで質疑を終わりますが、自治庁課長さんも、今日は時間が足りないで私の質問も不徹底でありあなたの答弁も不徹底な点もあったと思うけれども、午前中からの質疑の中で農民に対する課税が妥当でないという点はおわかりになったと思うのです。ですから、今後制度改正なり法律の改正なりあるいは行政の指導の面でこれは一つ十分配慮していただきたい。  部長さんは一つよく相談してやって下さい。
  100. 吉川久衛

    吉川委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十分散会