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福田国務大臣 基本的な
考え方といたしましては、自由化ということは
日本経済の発展のために非常にいいことだと思いますので、
政府全体の
計画といたしましては積極的にこれを進めたい、こういうふうに
考えております。ただ、農作物につきましては、これは自由化の世界的風潮ではございますが、世界の国々いずれも自国の
農業を擁護する手段をとっております。ことに、わが国におきましては、御
承知の
通り、零細
農業から
日本の
農業が成り立っておるという
状況もありますので、特別の配慮を加えなければならない、かように
考えておる次第でございます。
具体的に言いますと、今
一般的には自由化をいたしておりますがドル地域に対しまして例外的に為替管理をやっておるものがあるわけでございまして、これらにつきましては全部にわたりまして自由化をいたしたいというふうに
考え、すでにラワン材とアバカ繊維につきましては一月からこれを実施しております。なお、四月以降におきまして、牛脂だとか粗製ラードだとか、さようなものにつきましての自由化が行なわれるわけです。それからさらに皮類の自由化が行なわれるというふうに
考えられておるのでございますが、これは皮の加工業者に対する影響がありますので、それらの
対策が整った上いたしたいというふうに
考えております。また、精製ラードにつきましては、これは関税を引き上げるという措置をとる必要があるというふうに
考えますので、その諸外国との間の関税
交渉等の見通しがつきました上において自由化をいたしたい。それから、十月ころを目途といたしまして
大豆の自由化をいたしたいというふうに
考えておるのでございますが、これが
対策といたしましては、国産
大豆は全部おおむね現在の価格をもってこれを
政府が買い上げる、すなわち、価格支持のための交付金を交付するというような形をとりました上でこれを実施することになるわけでございます。それから、その他いろいろこまかいものがありますが、これらにつきましても、必要なものにつきましてはそれぞれの措置をとります。また、
国民の主食であります米麦につきましては自由化をいたす
考えは持っておりません。それから、酪農製品につきましても自由化をしない方がいいという
考えを持っております。これは、まだ若き
日本の酪農産業を助けていく必要がある、かような見地からでございます。それから、砂糖につきましては、これは、一つは国産甘味資源擁護という見地があるわけでございます。また、同時に、キューバの砂糖が非常に安いわけでございますから、自由化しますとキューバの砂糖が
日本に殺到して入ってくることになりはしまいか、さような際にはその見返りとして輸出される品物がキューバに対しましてはそう大してありませんから、
日本の貿易構造という見地からいかがなものであろうかということが
考えられる次第でございます。さようなことを
考えてみますと、なかなか砂糖の自由化ということはむずかしいのではあるまいか。なお検討を要するものでありますが、ただいまのところといたしましては、砂糖につきましても自由化ということを
考えておらぬという段階でございます。
それから、先ほど御注意がありましたが、これは何かの誤解のようでございますから、ちょっと申し上げておきますが、神田さんからの
お話で、三十四年度の
生産増加率は三・四%
程度のもの、これは
農業総
生産のことでございます。私が申しておりますのは、私が
農業政策として
考えるのは、これからは農家の所得であって、その前提としての
農業総
生産、もとよりこれは問題でございますが、終着点は農家の所得をどうするかということであります。農家の所得といたしますと、その三・四%、過去三カ年
平均で私は四・三と申し上げたのですが、その上にさらに
農業人口というものが都市に移動しております。それを
考慮いたしますと五%以上になる、こういうことを申し上げておるのでございます。
それから、私の説明の中に、
農業が
日本経済にいい影響を与えたということを申し述べておるのは、米の
生産等もあります。それらの多量の米をとにかく
政府が買うわけでございますから、四千億円近くの金を
政府が農家に支払うわけです。そういうものが回り回って
日本経済を刺激し、非常に調子の高い経済を脱出していることは御同慶にたえないのだということを申し上げたので、私は、かねがね、
日本の経済は農村が安定しなければ安定した発展はできないのだ、農村が安定すれば地方都市はおのずから安定する、地方都市、農村が、安定すれば、それに物を
供給する国の大事業も発展する、要するに、
日本経済の安定した発展のためには農村をまず安定させることが一番手初めだという
考え方を持っております。そのことが昨年の
豊作によって実現されておるということを
一般的に申し上げておるわけでございまして、個々の農家につきましてどうのこうのと言っておる次第ではないのでございます。