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1960-02-24 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十四日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 永田 亮一君    理事 丹羽 兵助君 理事 本名  武君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君    理事 小平  忠君       金子 岩三君    倉成  正君       笹山茂太郎君    田邉 國男君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君       松岡嘉兵衛君    八木 徹雄君       保岡 武久君    赤路 友藏君      茜ケ久保重光君    足鹿  覺君       石田 宥全君    中澤 茂一君       西村 関一君    松浦 定義君       山田 長司君    神田 大作君       小松信太郎君    中村 時雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農林局長)  伊東 正義君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         農林事務官         (畜産局長)  安田善一郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  大澤  融君         食糧庁長官   須賀 賢二君         林野庁長官   山崎  齋君         水産庁次長   高橋 泰彦君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      岡崎 三郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   亀長 友義君         農林事務官         (食料庁業務第         二部長)    村田 豊三君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 二月十八日  漁業協同組合整備促進法案内閣提出第六一  号)  中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六二号) 同月二十二日  国有林用苗木買上げに関する請願荒舩清十郎  君紹介)(第四九一号)  同(井出一太郎君外二十七名紹介)(第六四九  号)  林業種苗法の一部改正に関する請願荒舩清十  郎君紹介)(第四九二号)  同(井出一太郎君外二十七名紹介)(第六五〇  号)  開拓道路及び橋りょう補修費等国庫補助増額に  関する請願鈴木善幸紹介)(第四九六号)  大豆輸入等に関する臨時措置に関する法律案  反対の請願阿部五郎紹介)(第四九七号)  同(愛知揆一君紹介)(第四九八号)  同(赤澤正道紹介)(第四九九号)  同(茜ケ久保重光紹介)(第五〇〇号)  同(秋田大助紹介)(第五〇一号)  同(井手以誠君紹介)(第五〇二号)  同(池田正之輔君紹介)(第五〇三号)  同外二件(石橋政嗣君紹介)(第五〇四号)  同外一件(一萬田尚登紹介)(第五〇五号)  同(今村等紹介)(第五〇六号)  同(植木庚子郎君紹介)(第五〇七号)  同(内田常雄紹介)(第五〇八号)  同(内海安吉紹介)(第五〇九号)  同(大久保武雄紹介)(第五一〇号)  同(大久保留次郎紹介)(第五一一号)  同(大坪保雄紹介)(第五一二号)  同(大橋武夫紹介)(第五一三号)  同(岡本茂紹介)(第五一四号)  同(加藤精三紹介)(第五一五号)  同(加藤高藏君紹介)(第五一六号)  同(鴨田宗一紹介)(第五一七号)  同(川崎末五郎紹介)(第五一八号)  同(川野芳滿紹介)(第五一九号)  同(簡牛凡夫君紹介)(第五二〇号)  同(木村俊夫紹介)(第五二一号)  同(菊池義郎紹介)(第五二二号)  同(北村徳太郎紹介)(第五二三号)  同(栗原俊夫紹介)(第五二四号)  同(黒金泰美紹介)(第五二五号)  同(小島徹三紹介)(第五二六号)  同(小山長規紹介)(第五二七号)  同(河本敏夫紹介)(第五二八号)  同(佐藤虎次郎紹介)(第五二九号)  同(佐藤洋之助紹介)(第五三〇号)  同(櫻内義雄紹介)(第五三一号)  同(島口重次郎紹介)(第五三二号)  同(鈴木正吾紹介)(第五三三号)  同(砂原格紹介)(第五三四号)  同(瀬戸山三男紹介)(第五三五号)  同(關谷勝利紹介)(第五三六号)  同(田中織之進君紹介)(第五三七号)  同(田村元紹介)(第五三八号)  同外一件(高橋等紹介)(第五三九号)  同(高見三郎紹介)(第九四〇号)  同(竹内俊吉紹介)(第五四一号)  同(竹下登紹介)(第五四二号)  同(千葉三郎紹介)(第五四三号)  同(塚原俊郎紹介)(第五四四号)  同(津島文治紹介)(第五四五号)  同(寺島隆太郎紹介)(第五四六号)  同(渡海元三郎紹介)(第五四七号)  同(徳安實藏紹介)(第五四八号)  同(床次徳二紹介)(第五四九号)  同(中川俊思君紹介)(第五五〇号)  同(中島茂喜紹介)(第五五一号)  同(中村三之丞紹介)(第五五二号)  同(永山忠則紹介)(第五五三号)  同(夏堀源三郎紹介)(第五五四号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第五五五号)  同(西村榮一紹介)(第五五六号)  同(西村直己紹介)(第五五七号)  同(長谷川四郎紹介)(第五五八号)  同(八田貞義紹介)(第五五九号)  同(濱田幸雄紹介)(第五六〇号)  同(廣瀬正雄紹介)(第五六一号)  同(平井義一紹介)(第五六二号)  同(福井順一紹介)(第五六三号)  同(福井盛太紹介)(第五六四号)  同(福田一紹介)(第五六五号)  同(藤本捨助君紹介)(第五六六号)  同外一件(保利茂紹介)(第五六七号)  同(星島二郎紹介)(第五六八号)  同外一件(細田義安紹介)(第五六九号)  同(坊秀男紹介)(第五七〇号)  同(前尾繁三郎紹介)(第五七一号)  同(前田正男紹介)(第五七二号)  同(松田竹千代紹介)(第五七三号)  同(三池信紹介)(第五七四号)  同(三浦一雄紹介)(第五七五号)  同外一件(森清紹介)(第五七六号)  同(森下國雄紹介)(第五七七号)  同外二件(村上勇紹介)(第五七八号)  同(山口好一紹介)(第五七九号)  同(山口六郎次紹介)(第五八〇号)  同(山下榮二紹介)(第五八一号)  同外一件(山村新治郎君紹介)(第五八二号)  同(柳谷清三郎紹介)(第五八三号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第五八四号)  同(大久保武雄紹介)(第五八五号)  同(大平正芳紹介)(第五八六号)  同(菊池義郎紹介)(第五八七号)  同(増田甲子七君紹介)(第五八八号)  同(久野忠治紹介)(第五八九号)  同(吉田重延君外一名紹介)(第五九〇号)  同(辻原弘市君紹介)(第五九一号)  同(二階堂進紹介)(第五九二号)  同(橋本正之紹介)(第五九三号)  同(廣瀬勝邦紹介)(第五九四号)  同(藤枝泉介紹介)(第五九五号)  同(松永東紹介)(第五九六号)  同(秋山利恭紹介)(第六〇七号)  同(橋本龍伍紹介)(第六〇八号)  同(松澤雄藏紹介)(第六五五号)  同(生田宏一紹介)(第六八九号)  めん羊事業振興特別措置法制定に関する請願(  大石武一紹介)(第六五一号)  農地保全事業関連工事に対する国庫補助等増  額に関する請願)(瀬戸山三男紹介)(第六  五二号)  甘しよの価格安定等に関する請願瀬戸山三男  君紹介)(第六五三号)  国産大豆集荷業者調整機関に指定の請願(山  本猛夫君紹介)(第六五六号)  鹿屋市に国立林業試験場設置に関する請願(二  階堂進紹介)(第六七四号)  鹿屋市、垂水市及び肝付地区町村部分林造成  に関する請願二階堂進紹介)(第六七五  号)  鹿屋市に畜産試験場設置に関する請願二階堂  進君紹介)(第六七六号)  鹿屋市に国立竹林試験場設置に関する請願(二  階堂進紹介)(第六七七号)  鹿屋市に熊本営林局分室設置に関する請願(二  階堂進紹介)(第六七八号)  鹿児島県肝付地区国有林道網整備拡充に関す  る請願二階堂進紹介)(第六七九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十九日  昭和三十四年度産米の概算金返納期限延長並び  に利息免除等に関する陳情書  (第三九号)  拡大造林及び優良種苗確保事業費国庫負担に関  する陳情書  (  第四〇号)  愛知県下における十五号台風長期冠潮地帯の稲  株除去に要する経費助成に関する陳情書  (第四一号)  県外移出米助成金交付に関する法律制定促進に  関する陳情書(第  四二号)  同(第一二〇号)  同(第一二一号)  果樹農業振興法制定等に関する陳情書  (第四三号)  同(第四四号)  十五号台風による森林災害対策早期実現に関  する陳情書(第五  五号)  造林事業費国庫補助増額に関する陳情書  (第一二二号)  果樹農業振興法制定に関する陳情書  (第一二四号)  長崎県海域の漁業取締りに関する陳情書  (第一二五号)  児島湖締切提とう無料開放に関する陳情書  (第一三七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農林大臣所信表明に対し質疑の通告があります。この際これを許します。高石幸三郎君。
  3. 高石幸三郎

    高石委員 前回の委員会が途中で切れてしまいましたので、少し続けることが調子が悪いのでありますが、私は、もともと、素朴な農民気持というような観点に立って、そして、あまり意見を申し上げないで、大臣所信表明に対して、聞きたいこと知りたいことをお尋ねすることにしておりますから、どうかそのつもりで御答弁を願いたいと思っております。  せんだってもちょっと入ったのでありますが、いわゆる曲がりかどに来た農政、それについて、曲がりかどに来た農政の典型的なものは食管制度の再検討ではないかというふうに申し上げたのでありますが、しかし、大臣見解では、自分の言う曲がりかど農政というのは、現在の農業の置かれているいろいろな情勢を判断してそう言っておるので、農政個々について言っておるのではないというふうに承ったのでありますが、その通り了承してよろしゅうございますか。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 その通りでございます。
  5. 高石幸三郎

    高石委員 そうすると、農政でなくて日本農業が曲がりかどに来ている、これでよろしゅうございますね。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 農業はもとより、それに対する施策もこれに伴いまして転換期にある、かように考えております。
  7. 高石幸三郎

    高石委員 転換期にあるということの意味であれば、われわれの見解と同じでありますからけっこうであります。  そこで、せんだって伺いました食管制度でありますが、大臣は、制度としては非常にいい制度だということを申されました。制度それ自身はそうだと思います。生産者からできるだけ政府が高く買ってあげて、そして消費者にはできるだけ安く売ってあげて、その足りないところは一般会計でこれを補充していくということになっていけは、政府としては、きわめてよいというよりは、簡単にしてやさしいじゃないかと思います。しかし、こういう大きな制度ができ上がったということについては、その当時の国民生活であるとか、あるいは社会情勢であるとか、いろいろ必要やむを得ざるところからでき上がった制度でありまして、その制度のよしあしということは、現実に即してその制度が合うかどうかということにあると思うのであります。しかし、戦争中から長い間続いてきたこの制度をここで改廃するということについては、非常な決意も要るでしょうし、いろいろな対策も必要でありますが、現実食管法が的とした諸般の情勢はかなりくずれかかっているということは、だれもそう見ているのじゃないか、いわゆる一つの転換期に来ているのではないか。転換期に来ているとすれば、これに対してある程度の——永久にこの制度を続けていくということはありいないことである。いつのときかこの制度について何か別の考え方がなければならぬということは、だれでも予想されると思うのであります。そうすると、それは制度としてはあるいは申し分ないかもしれないけれども、この制度の対象である現実事態の変化に対しては、われわれはやはり冷厳に素直に考えていかなければならぬと思うので、従って、将来の食管制度に対するあなたの所信を承りたいということは、おそらくだれでも聞きたいところではないかと思うのであります。  そんなわけで具体的に幾つかの問題に入ったのでありますが、たとえば、ここに内地産米についても、これはもう毎年、いろいろな施策が成功し、また天候にも恵まれ、また農民の皆さんのいろいろな努力が実って豊作だということは、ほんとうに御同慶にたえません。すでに政府買い入れ数量予定よりは非常に突破して三千八百万石に近いものが生まれつつある。しかも、そのほかに農家の余剰米というものは相当あって、むしろ膨大な自由流通市場を形成していると言ってもいいのじゃないか。こういうふうな関係で、政府配給米はこの自由米に押されて、受配率は低下する一方である。特に、配給辞退は、昨年の十一月で大体二割ぐらいにきておりましたが、本年に入っては一月で三割にも近い。しかも、これまで完全受配地区であったところの大阪、京都、兵庫などの大消費地でも一割をこえる辞退が見られている。先だって申し上げました通り、そういう全国的に五〇%を割る県が、はなはだしいところは茨城の三〇・五%、あるいは栃木の三四・一%を初め九県に達している。かように、政府買い入れは前年の一割以上も上廻り、逆に受配率は低下するということになれば、自然内地米政府在庫は相当の量に達するのじゃないか。こういう場合、一体この在庫した政府米をどうするかということだけでも何らかの対策を迫られているのではないか。これについてはどうするか、配給辞退についてはどう見ているかということを承りたいのであります。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 高石委員が米の配給制度について非常に御心配なさっておられるそのお考えに対しましては、私も深く敬意を表します。現在食管制度に対しましてこれをゆすぶるようないろいろな現象が現われていることはお話通りでございまして、たとえば受配率が非常に低下してきておる、また、やみ価格が低くなって参りまして、全国平均で言いますと配給価格よりも下回る、昨年は、百二十四円というのがやみ価格平均でございましたが、これに対して配給価格は百二十一円、ことしになりますと、やみ価格の方が百二十円と逆の現象が出てきておるというような事態になってきているわけです。私どももこういうことの推移につきましては多大の関心を払っておるわけです。ただ、昨年は非常な豊作でございまして、私どもも今後かような豊作が持続することを期待し願望する次第でございますが、そううまいわけにもなかなかいくまいと思うのです。五年続きの豊作と申しますが、四年前のごときは、七千二百万石という日本の米の需給から言えば一千万石くらいは不足したのではないかと思われるくらいの状況であり、その後の形勢を見ましても、翌年は七千六百万石、その翌年は七千九百万石、かような状況でも非常な不足をしておるわけです。五年間を平均いたしましても七千八百万石でございますから、これでも米の需給としては相当不足をしておる、かように考えるわけであります。一面、ただいまの時点におきましては、いろいろなあまり芳しからざるというか、食管制度自体から見るとこれを脅かす要因が出ておりますが、私は、この事態だけでこの制度自態をどうするかという問題を判断すると非常に大きな危険がありはしまいか、やはり、長期的に見まして日本の米の需給は一体どうなるだろうかというようなことから判断をしなければならぬというふうに基本的には考えておるのです。人口が第一伸びている。また、所得は今後十年間で倍増と言われるくらい伸びていく傾向にある。そうすると、やはり米に依存する傾向が高まっていく趨勢にあるわけでございます。さようなことから考えまして、米が需給として余る状態が近い将来において出てくるのだというふうにはどうも考えられないのでありまして、やはり、そういうようなことを前提として考えますと、生産者に対しましては多分に価格支持的性格を帯びてきておる今日の制度、また消費者に対しましては生活安定的な要素を非常に高めておる今日の制度を根本的に改革するのだというところにはなかなか踏み切れないわけでございまして、しかし、統制というものはどこまでもぎごちないものであってはならない、これが国民生活に非常にやわらかな響きを持つものが好ましいというようなことで、配給面なんかはなるべくこれを国民の要望に沿うように改善していくとか、いろいろ工夫をこらしつつ現在の制度を維持していくのだという方向をとるべきかというふうに考えておるわけでございます。しかし、御意見のほどは重々頭に置きまして今後に対処したい、かように考えます。
  9. 高石幸三郎

    高石委員 御意見についてはいろいろ考えもございますが、先ほど申した通り、まず方針をお尋ねすることに重点を置いておりますから、一応承っておきます。  そうすると、どうもちょっと疑念にたえないのは、外米輸入です。今の大臣お話では内地米だけで全部まかなうというふうなお気持のようでございますが、この外米という大きな問題が控えております。外米輸入は、昭和三十年ごろの百三十万トンから三十四年には二十万トンに減ってきた。これはけっこうなことだと思うのです。それでも、昨年の十月ごろ、私は記憶違いかもしれませんけれども、準内地米で約一カ年分、砕米で六カ月分も在庫をかかえている。そこへもってきて、さきにビルマから三万トンの予定を四万五千トン買い付けを余儀なくされ、最近の報道では、さらに韓国から例の日本漁船員を送還する条件として三万トンを輸入せざるを得ないという。これは外交上・通商上仕方がない状態かと思いますけれども、これを食管制度から見た供給を確保するという面から言うと、ほとんどむちゃくちゃにひとしい。その上、今度は台湾米輸入についても、当初十万トンくらいの予定というのが十五万トンになった。こうなりますると、おそらく、外米輸入ということは、今後とも、いろいろ後進国との関係において、先回も申し上げました通り、スペイン、タイ、カンボジア、ベトナム等交渉でも同様の心配があるものと見ねばならない。しかも、この輸入する三万トンにしろ、あるいは四万五千トンにしろ、全部そのまま在庫としてかかえていくことになる。こういうふうな事情に対し、外米輸入の現況と将来の見通し、特にその国内の米作にどんな影響を与えるのかということを考えると、どうもわれわれとしてはごもっともと言いかねるのでありますが、大臣の所見を承りたいと思います。     〔委員長退席丹羽(兵)委員長代理   着席〕
  10. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本の米の生産が昨年のような状態でありますると、あるいはことしあたり米輸入をせぬでもいいかという議論も立つわけなのです。ところが、御承知のように外米は安いわけであります。品物も違うわけでございますが、それで、食糧庁の操作といたしましては、御承知のようにこれを特殊用途に使っておるわけであります。徳用米でありますとか、あるいは工業用に使いますとか、さような用途に使うわけでありまして、これが一般内地米需給を圧迫するというようなことがないようにいたしておるわけなんです。  そこで、外米は、そんなに徳用米需要でありますとかあるいは工業用需要なんかがあるかという問題になるわけでございますが、これは、お話通り、ただいまの買付計画から言いますると供給がそれらの需要を若干上回る傾向でございまして、年度末におきまする持ち越しが相当多額になるというような傾向でございます。私どもといたしましては、そういうような状態におきまして、なるべく適正なる持ち越しというか、需要に見合った買付が行なわれることを希望するわけであります。  ところが、一方におきまして、日本東南アジア岩国経済協力関係を特にこの際深くしなければならぬという立場にも立たせられておるわけでございます。さようなことであり、また、日本の国の全体の米の需給というようなことを考えてみましても、私は、勝負はことし一年じゃない、これは来年も再来年もやや長期にわたって考えていい問題ではあるまいかというふうに考えるわけであります。さようなことで、若干本年だけの需給をとってみますると合理的とも言えないかのごとく見えるような買付も行なわれるわけなんです。しかし、お話のようにめちゃくちゃにこれをやっているというわけでは決してございません。ビルマにつきましては確かに三万トンと予定しておったわけであります。これを一万五千トンふやしまして四万五千トンにしておる。しかし、台湾につきましては当初から十五万トンということを考えておりましたので、あなたも御承知と思いまするが、前にきまっております貿易計画にも十五万トンというふうになっておるわけなんです。しかも、持ち越しに多少なるその場合の保管寺のことも考えまして、買うところの米の一部分は、昨年できました米から買わないで、ことしの夏できる米から買いましょうということまでいたしておるわけであります。当初の計画に比べまするとやや切り詰めたような買い方をいたしておるわけであります。それから、韓国に対しまして、これはあなたもさように申されましたが、いろいろな両国間の団交全体の配慮の上から、あるいは買付をするとい、うような話が進んでおる。まだ決着にはなっておりません。しかし、これを買う場合におきましても、ただいま申し上げましたような事情考慮いたしました、玄米で買おうというようなことを考えておるわけです。  いずれにいたしましても、外米全体といたしまして、貿易計画に見込んだものをそう上回ってはおりませんし、また、おおむね前年度の実績程度を頭に置きながら、多少のでこぼこはありますがやっておるということでありまして、これは考慮考慮を重ね、どれが日本のために一番いいのかというところできめておりますので、さように御了承願いたいと思います。
  11. 高石幸三郎

    高石委員 どうも、時間の制約もあり、他の諸君も控えておるし、議論をすると切りがなくなりますので、差し控えますけれどもお話では、将来の悪いときを考えてやっていくということは政治家として当然でございましょうけれども、しかし、現実に、私的のお話をこういうところで申し上げていいかどうかわかりませんけれども藤山外務大臣お話を聞くと、当初韓国は五万トン要求した、外務大臣考えでは二万トン程度ではないかということだったが、結局農林大臣のお計らいによって三万トンになったのだということで、しかも、これは、われわれは交渉についてはわかりませんけれども韓国側が勝手につかまえ勝手に刑を科したわが国の善良な船員諸君刑期を満了した者だけを帰す、全部二百十余人おるそうですけれども刑期を満了した者百六十余人ほどだけを帰すと聞いておりますが、あと残りの者は刑期を満了しなければ帰さぬという。こういうことはまことに理解に苦しむところであります。こうして計画にないものを外交通商上の必要から余儀なく輸入される措置は、いわゆる食管制度における供給を確保するという見地から、われわれとしては、どうおっしゃられても納得できないのでありますが、なお、これだけ犠牲を払っても抑留問題が全部解決することができないというようなことは、どうもわれわれとしてはあまり感心できないのでありますが、これに関与された大臣として、事実はどうなんですか、お聞きしたいと思います。
  12. 福田赳夫

    福田国務大臣 今、日韓会談の交渉が始まっておるわけです。それで、まず抑留者の相互送還をやろう、それからさらに貿易を再開しよう、さらに引き続いて日韓国交全体の調整をしましょう、そういう話の糸口の談判が始まって、その一番のきっかけになりますのが抑留者の相互釈放でございますが、その相互釈放については、向こうの方では、米を少し買ってくれぬか、こういう話が出てきておるわけなんです。私もいろいろ検討してみたのでございまするが、結論的に申し上げますと、そういう一連の日韓交渉の糸口になる相互釈放問題、しかも、この相互釈放問題が実現できないということになりますと、これは人道上・人権上ゆゆしい問題だというふうに考えるわけです。それで、若干の米をここで買い取りまして、日本需給計画上からは少し長くこれを倉にしまっておくというような事態になるかもしれません。さようなことでございまして、金利・倉敷の損失をこうむるということになりますが、人道上の問題の前に米を買わないのだというわけにもいかないというふうに判断をいたしておるわけであります。そこで、韓国側に対しましては条件を出しまして、米は買い入れることを検討してみる、検討してみるにつきましては、この買い入れは今回限りだ、もう前例としないのだということが一つなんです。それから、もう一つは、値段が適正な値段でなければならぬということ。向こうの言い値では買えません。これはいろいろな角度から見て適正値段。それから、もう一つは、日本需給計画から見て多少手持になるおそれがありますので、玄米でやってもらいたいのだということなんです。それから、漁夫の釈放が現実に行なわれたという保証を必要とする、こういうことなのであります。それらのことでありますれば、ここで幾ら買うかという数量の検討をいたしましょう、こういうふうになっておりまして、向こうでは何か玄米の点について問題があるようなんです。本国側ともその点よく相談するからというので、まだ話は決着になっておりませんが、さようなことで、多少食管会計の運営上からは不利な点もあるのでございますが、大所高所ということでやむを得ない買付である、かように考えておる次第であります。
  13. 高石幸三郎

    高石委員 抑留者は全部で何名で、刑期満了した者は何名ですか。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 抑留者は全部で二百十四名おるのです。そのうちで刑期が満了した者が百六十七名です。
  15. 高石幸三郎

    高石委員 満了しない者はどうなんですか、帰さぬのですか。
  16. 福田赳夫

    福田国務大臣 その辺は今話し合い中であります。
  17. 高石幸三郎

    高石委員 結局、食管制度のいわゆる供給という面については、内地米だけでなく、もちろん外国米も当然それが供給源になっておるわけですから、すでに食管制度はある程度国際性を帯びてきたと言ってもいいのです。ですから、この点について、われわれとしては、外米徳用米にするのだというようなことは今だから言える議論であって、大臣が心配しておるように、いわゆる不作でも来ればかってわれわれはイモの葉っぱでも何でも食べたときもあるのだから、そういった非常の場合に籍口してこの供給が余っている現実を強いて回避しようとするのは了解に苦しむのです。外米でも、すでに準内地米台湾、朝鮮米というのは、昔から当然食べておった米です。米の需給考えるとき、かように通商外交上の国際性を帯びてきたこの際、なお先ほどのような御方針は、ちょっとわれわれとして腑に落ちない点があるのであります。その点は十分御検討願います。  その次に、麦の方に入りますけれども輸入食糧管理勘定というのを見ますと、ことしも麦をだいぶお買いになるようです。外麦が全部で二百三十四万九千トンとなっております。それから売り渡しの方が二百二十二万四千トンということになっておるのですが、入る方は大体これでわかりますけれども、売る方はどういうふうに消化されておるのですか。
  18. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 三十五年度の麦の売買でございますが、ただいまお話しのように、大体小麦につきましては二百二十万トン見当、それから大麦が若干ございます。小麦は、この近年の傾向を見ますと、大体外麦二百二十万見当のところで需要が推移しておるのでございます。これは申し上げるまでもなく製粉用に売却をいたしまして、おもな用途はパン及びめんの消費になっておるわけでございます。大麦は最近精麦の需要が非常に変わって参っておりまして、傾向といたしましては精麦の需要がかなり減退いたしております。そのかわりにむしろ小麦がふえるという傾向でなくて米が精麦に置きかわっておるというような傾向を最近見せておるわけであります。それで、ことし三十五年度の場合は一応十数万トンの外麦の輸入を計上いたしたわけでございます。これは今後の麦の精麦の需要の実勢を十分見た上で実行に移したい、さように考えておるわけであります。
  19. 高石幸三郎

    高石委員 それで、国内産の麦は、大麦で四十四万トン、裸麦で四十五万二千トン、小麦で六十三万二千トン、合計で百五十二万四千トンとなっておりますが、そうすると、これと合わせて今の外麦と現在の手持ちはどのくらいになっているのですか。
  20. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 外麦の在庫は、最近外麦につきまして政府買い入れます割合が順次上がって参っております。従いまして、ものによりましてはかなり古いものも若干在庫いたしておる関係もありまして、数量はかなり残っております。今現実に持っておりますものは調べまして報告いたします。
  21. 高石幸三郎

    高石委員 それで、こういった実に対して、ごく素朴な国民感情というか農民感情というか、特にわれわれのように麦地帯に接している者としては、どうしてこんなに麦が余っておるのにたくさんの麦を輸入するのだろうかという気持がある。それが一つ。それから、日本のパンは世界一にぜいたくだ、こういう歩どまりが五〇%の精白度を持ったまっ白いパンというものは世界にないのだ、こういうパンを作るためにアメリカやカナダあたりからたくさんの麦を買っているのではないか、こういうことをわれわれ聞くのであります。せんだっても申し上げましたが、日本内地の小麦というものは、いわゆるグルテン価が低いからどうもパン用には不向きだ、こういうふうに言われている。しかしながら、われわれ関東——埼玉とか群馬とかいうころには、セミ・ハード、半硬質の小麦の適地が相当あるはずだ。しかも、そういう種類の小麦を奨励することによって、多少パンの質は悪くても、外麦の輸入に対して幾らか足しになるのじゃなかろうか。特に内地の小麦のパンの普及ということについてはもっと考えてもらえぬだろうか。聞くところによると三十五年度の予算についても国内麦のパン焼きかまどを奨励していきたいということが一部に出たそうであります。しかしこれは全然削ってしまったというようなことを聞いておるのでありますが、こういったことは何か大きな制約のもとにできないのであるかどうか、これを一つお聞きしたいのであります。
  22. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 国内で麦の供給力が相当あるにかかわらず、外麦を多量に入れ過ぎるのではないかという御趣旨においての御質疑と考えるのでありますが、特に小麦について考えますと、品質の問題等もただいま御指摘のようにいろいろ問題がございますが、大体内麦を来年あたり小麦につきましては約六十万トンばかり買う予定でございますけれども、この六十万トンの内麦と、先ほども申し上げました二百二十万トン程度の外麦の輸入と両方合わせまして、大体国内で使っておりますパン用、めん用の需要を充足いたしておるわけであります。私どもの方といたしましては、やはり内麦の供給力を一応前提におきまして、それと需給計画上の所要童と見合って外麦の輸入量をきめておるという考え方に立っておるわけであります。それが端的に現われておりますのは外大麦の問題でありまして、外大麦は品質その他の関係からいきますと内麦同様に相当の需要があるのでございます。しかし、だんだん最近の需給状況を見ますと、外大麦の需要は実際現実にありますが、内大麦の供給力が相当ございますので、そちらの面から外大麦の輸入は抑えておるというような関係になっておりますが、やはり国内供給力を一応前提におきまして輸入の方は考えておるという実態でございます。
  23. 高石幸三郎

    高石委員 麦の増産対策についていろいろな施策も行なっておるようでありますけれども、こういう点についてもかなり意見があります。特に、ドリルまきあるいは全層まきというものについては肥料代が二倍も高くなり、機械にも金がかかるなど、現地にも意見がいろいろあるようでありますが、しかし、時間の関係がありますので、こういうことも含めて、麦作対策ということは麦の生産地にとって非常な問題でありますから、ただその声だけを伝えておきます。「今後の麦作を規制する諸条件の中で、現段階において最も問題となるのは国の食糧政策の動向である。現行の食糧管理制度においては、麦類はいわゆる間接統制のもとに価格支持を受けているが、外麦価格に比較して割高なこと、政府売り渡し価格と買い入れ価格の間における逆ざや関係が拡大していることなどの事情に関連して、食糧政策の転換ないし麦価の引き下げが云々されており、生産農家の麦作の前途に対する不安を招いている。」、あるいはまた、「国の政策が明確化されず、しかも年々の麦類需給計画も農家の経営経済に対する参酌がきわめて不十分な形で立てられるという事態を繰り返す限りにおいては、われわれの長期的、抜本的な麦作対策も立てにくい。」、こういうのが現地の声でありますから、十分その点をお考え願いたいと思うのであります。  それでは、次に移りますが、食管会計の赤字の問題であります。これは、前提は抜きにいたしまして、漸次赤字がふえる一方である。消費者価格は上げるわけにはいかない。そうして、これからどういうふうに米審で取り上げるかわかりませんけれども、いわゆる生産費・所得補償方式によるところの米価ということになりますと、どうも下げるわけにいかないだろう。こういう状況下におきまして、生産者米価にしろ消費者米価にしろ、方向としては一体どういうふうに考えておるのであるか。そうして、また、食管の赤字対策についてどういうふうに持ち合わせがあるかということを簡単に伺っておきたいと思います。
  24. 福田赳夫

    福田国務大臣 食管赤字につきましては、これは理想的に言いますれば赤字がない状態が一番望ましいわけでございまするが、しかし、現実の問題とするとそういうわけには参らないわけでございます。食管会計の中の、たとえば先ほどお話の出ました外米を政治的に輸入する、そういう場合における金利・倉敷料の増額を消費者に負担させるというわけにも参らないわけでございます。また、経常的に考えましても食糧行政費といういうようなものは要るわけでございますから、そういうようなものは国の一般会計が負担してもいいという理論も成り立つわけであります。そういうようなものを考えまして、ある程度の負担も一般の租税財源をもって負担するということはやむを得ない状況ではあるまいかというふうに考えるわけであります。ただ、その国民の租税負担額がかさみまして相当の巨額に達するというような状態になりますと、これは私は、制度を維持していくということに対しまして大きな消極的な圧力を加える要因になってくる、こういうふうに考えるわけであります。赤字を左右する要因の一番大きなものは消費者価格と生産者価格の米価でありますが、米価につきましても、消費者価格、生産者価格ともさようなことも考慮しながら、また、生産者価格につきましては、生産費・所得補償方式という要請もありますので、そういうようないろいろな角度のものを考慮しまして総合的にきめていかなければならぬ、こういう考え方をいたしております。
  25. 高石幸三郎

    高石委員 それでは、食管制度については大体その程度といたしまして、ほかに移りますが、農政の基本的な考え方、これは基本問題調査会におまかせしておりまして、その結論はいずれ出ると思いますが、ただ、われわれが一つの基調として考えたいことは、「農業小六法によせて」という大臣の序文があるようでありますが、「国民の約半数が従事しているにもかかわらず、国民所得の面においては、僅かに五分の一の比重を占めるに過ぎない。」とか、あるいは、「国民の過半を占める農民の生活をより豊かにし」、こういう表現は、一応日本農業の国政におきまする地位を強制するという意味においては同感でありますけれども、しかし、あまりこういうことを強調することによって、かえって農業それ自体に対する一般の見方を故意に偏向させるのではないか。現に私どもが疑問として聞いているのに、ほんとうに農民人口はそんなにあるのかということです。確かに農家世帯に入っているには違いない。しかし、もうその世帯構成は質的にはかなり変化が来ておって、相当数のものが他産業に出ているのじゃないか。現に、専業というのはわずか三五%であって、あと六五%は兼業になり、その大部分は他産業の従事人口ではないか。こういうふうな実情から考えまして、いわゆる農政を進めるにおいて、形容でなく、もっと実際に即した農業の姿というものを国民に浮き出す必要がある。今日のように、日本の全体の経済の構造からいきましても、産業的ないろいろな動きからいきましても、農業を真に盛り立てるためには、農業の実態、ありのままの姿に即して進めていく方がかえっていいのじゃないか、こういう見方もあるのであります。この点どういうものでございましょうか。承りたい。
  26. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは私もお話通りだと考えます。私は、農家が曲がりかどに来たといって非常にしょげ返っておる傾向がありますから、むしろこれを激励をしておるのです。大いに自信をもって農業をやってもらいたい、こういうふうに言っておるわけなんです。過去数カ年の傾向を見てもこうではないか、今後国の方でもこういう施策をやりまするが、農業というものはこういうふうに伸びていく、また安定した生計を営める素地を作り得るのだ、こういうことを言っているわけであって、決して農業というものが今後非常に工合が悪いのだというふうなことは言いたくもないし、また、すべきでもないし、現実の農家を放置するといろいろ問題が起こるが、これにはこういう手当をする、こう手当をするから農家もふるい立って、一つ重要なる国の産業のにない手としてがんばってもらいたい、こういうことを言っている次第です。
  27. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 高石君に申し上げます。申し合わせ時間の関係もありますので、質疑はなるだけ簡単に願いたいと思います。
  28. 高石幸三郎

    高石委員 まだいろいろな問題が残っておりますが、後日の機会にお尋ねすることにして、本日はこれでやめておきます。
  29. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 松浦定義君。
  30. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 農林大臣の御所見に対して大体ある程度意見は出尽くしたと思うのですが、私は特にこの機会にお尋ねしておきたい二、三の点について明確なる御答弁を願いたいと思うわけなんです。  まず第一に、いろいろ皆さんから意見がありましたように、私どもの目から見まして、現在の保守党内閣、特に岸内閣の政権下における福田農政というものはどういうものであるかということを明らかにしたいわけでありますが、いろいろ大臣の御説明の要旨の中にも所々にそういう御意見が出ております。ただ、私は、いろいろの面で重大な問題になりますと、農林漁業基本問題調査会において目下鋭意慎重に検討中だ、こういうことを、大臣ばかりでないのです、地方における与党諸君のいろいろの重要な会議においてもそういうことを言って、現実の問題だけを必要とするといったような、これをやらなければいけないのだというような形で、方向が曲げられておる。先ほど高石委員からも再々お話がありましたように、この中にあります曲がりかどに来た農政ということについての大臣の説明は、むしろこういうことがやはり原因して——今のお話でありますと全体の農業がそういう形に来たのだという御説明でありますけれども、むしろ責任はそういうところにあるのではないかというふうに実は思うわけであります。この機会にもう一回、農業基本問題調査会というものはどういうものであるかという点について、岸政権下における福山農政というものをずばり一言でもって御表現願えれば非常にしあわせだと思います。
  31. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本農業は戦後相当の回復発展をしております。しかしながら、日本の国の経済全体を見ますと、これは世界にまれに見る大発展をしておるわけです。さような中における均衡的な考え方をいたしますと、農業の発展の度合いは他の産業におくれておると言わざるを得ないわけでございます。     〔丹羽(兵)委員長代理退席、委員   長着席〕 かようなことでありますと、これは社会的にもまた経済的にも政治的にもゆるがせにできない問題なのでありますので、この際、さようなことのないように、他産業に対して均衡のとれた発展が農業においても実現できるようにというのが農政の根幹をなしておるわけなんです。農業基本問題調査会は、これは皆さんが御審議、御決定になられました権威ある調査会でありますので、その答申はどこまでも尊重しなければならぬ。これは政府といたしまして国会に対する義務でございます。さような意味において私どもも調査会ということを申し上げますが、調査会の結論を待つまでもなく、その大もとに横たわるところの農政のやり方、それからそれの前提となる農業の今日の地位というのはただいま申し上げた通りでございまして、これはだれがどう診察いたしましても同じ結論ではあるまいか、かように考えておる次第であります。
  32. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 権威ある国会が作ったのだからというお話でありますけれども、これはやはり現在の内閣がいろいろ農政の行き詰まりというものをこういう点で打開しようという、私は善意に解釈すればそういう意図もあるであろうということで了承できないわけではないのですが、往々にして、過去の行き方から見ますと、そういう名に隠れて現実の問題がおくれていくということがないように、今の大臣の御説明で一つこれからもっと努力をしてもらいたい。  そこで、私は、大臣お話を百パーセント信頼するといたしましても、今日までの経過から申しますと、なかなか信頼できない面がある。かりに一言にして申し上げますならば、昭和二十三年の十月に吉田内閣が成立いたしましてから今日までちょうど十二カ年間保守党の内閣が続いてきておる。その間に国民生活の基本である農業に対してどういう誠意を持っておるかということを調べてみますと、大体大臣が十六人かわっている。そして入れかわることによって二十三回かわっておる。その中間にいろいろ問題がありまして、五回の臨時があり、その臨時が八回かわっておる。そうしますと、通算いたしますと十二カ年間で臨時を入れなくても七カ月強です。臨時を入れたり何かいたしますと五・何カ月といったような、そういう大臣の政治的生命しか保たれていないというのが今日の現状です。だから、私は、こういうようなわずか六カ月足らずの期間でもって、今大臣が言われるように、今の農政が世界的情勢の中からこういうように来たんだというふうに今の岸内閣として言えるかどうかということを、先ほどからそういう意味で御質問したわけです。  そういう意味で、私はそういう点については非常に遺憾でありますけれども、過去は過去として、それでは私どもが見てプラスになった面が全然ないかといえば、そうではない。これは、極端に申し上げますと、私どもは何としても予算を獲得してもらわなければいけない。これが大臣の重要な任務なのです。そうしますと、その十六名のうちで十二カ年の間で予算を一番取ったのは廣川農林大臣、その次が河野農林大臣、それから現在は福田農林大臣がこれはもう一番取っておると思う。この三大臣は、農政の三支柱と言っても過言ではないと思う。そういう関係で、今度の大臣が過去の農業協同組合の大会で、おれは大蔵省にもいたんだから取り方をよく知っておると言われた、それが今度の予算の大綱じゃなかろうかと思うのです。ところが、この予算の大綱を、あたかも岩戸豊作、神武予算だなんていって、だれが書いたか知らないけれども、新聞や雑誌に非常に手放しでほめておる。それを喜んでおられるような向きもないわけじゃないんで、従って、こうした面から見ますと、私は現実の問題としてまだまだ農政というものはこれからもっともっと努力していただかなければならぬと思うのであります。少なくとも、私は、農林あるいは建設、大蔵といったような大臣は、総理大臣と同じ任期を勤まるようなそういう大臣を岸内閣の責任において今後一つやってもらいたい。それでやはり先ほど申し上げました岸政権のもとにおける福田農政の支柱は何であるかということをお聞きしたわけです。そういう意味で十分閣僚会議の中でも大いに努力していただきたいことをここでつけ加えておくわけであります。  なお、そういう場合において、大臣が十六名かわるうちには必ず局長、部長、課長といったような人事の異動をすることがあたかも大臣の手腕かのように伝えられておる。そういうことはわれわれ農民にとっては非常に残念なことです。事務当局が一生懸命やろうとしたのが、わずか半年間でかわる。その人の栄達という意味からいきますればいいかもしれないけれども、その傘下におる農民なり農業関係者は、そのたびにいろいろ変わる政策に対して苦労しておるという現状は、大臣だっておわかりになると思うのです。こういう点について、これから福田農林大臣のうちにはそういうようなことは繰り返さないという御決意のもとに、ごとしの予算を十二分に生かして、末端までその成果をあげるような農政をやりたいというお考えがあるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  33. 福田赳夫

    福田国務大臣 もとよりさような覚悟でございます。
  34. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そういうお考えのもとにこれから私は二、三お聞きしたいと思うのですが、今度の御説明でいけば納得できないわけじゃありませんが、今までの食糧自給対策という名目が農業基盤の対策といったような名前に変わったわけなんです。その変わり方について、食糧自給というような考え方が薄らいだといったような見方もできるわけなんですが、この点についてのお考えはどうであるか、お聞きいたします。
  35. 福田赳夫

    福田国務大臣 世間の一部には、米が昨年のような豊作状況だと、もう食糧増産政策というものは一体みしたらどうだろうというような意見もあるわけなんです。私はこれは承服できない。それはその根拠が間違っておるんだ、こういうふうに考えておる。また申し上げておるわけです。なるほど昨年は米は大体自給が可能となるがごとき豊作でありましたけれども、そういう豊作を毎年当てにするという考え方はきわめて危険であり、過去五カ年間の平均をとりましても七千八百万石、五百万石内外は不足だとも見られるような状態であり、今後の人口の増加や所得の増加ということを考えてみますと、米の需給はなかなかとりにくい状態であるので、米にいたしましても、これは増産政策を一歩もゆるめる段階ではない、かように考えておる次第でございます。ただ、先ほども申し上げましたが、日本農業全体、といたしまして今転換期に立っておる。それは、何といたしましても日本の一戸当たりの農家の所得が低い。その根源を考えてみますと、これは土地が狭い。一戸当たりの耕作面積が狭いという点、これが非常に大きな影響を及ぼしておると思います。しかし、この土地を拡大すると申しましても、国土の状況を見ますとなかなか容易なことじゃない。あるいは開拓だとか、あるいは移民だとか、干拓だとか、いろいろ努力はしますけれども、これは知れたものです。そこで、どうしても、私は、努力の主力というものはその限られた土地の生産能率を上げるというところに重点を置かなければならぬ、こういうふうに考える次第でございます。  さようなことで、増産はもとより大事なことでございますが、増産と同時に、考え方を、生産性を上げるんだというところに、すなわち一戸当たりの所得を増加するんだというところに置かなければならぬ。農政の基本的な考え方というものをそういうところに徹底して考え直さなければならぬ。従来、農林省の予算の中心とも申すべき食糧増産費、これを農業基盤整備費といたしたわけでございまして、決して、食糧増産が必要なくなったんだ、かようなことではございませんで、それは内容を検討していただきますれば両々の意味を持っておる。しかも、生産性向上という問題は食糧増産と相競合して進められる。自作ばかりではなくて、あるいは農業法人化というような問題にもつながる問題であり、あるいは集団化、共同化という問題にもつながる問題であり、あらゆる問題の考え方をそういうような方向に持っていきたいという意味を含めたものであります。
  36. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 今のお話を聞きますと、生産性を上げて所得を引き上げるんだ、こういう話でありますが、結論的にはそういうことは非常に好ましいことでありますが、生産を上げても所得を引き上げるということについてはやっぱり価格対策というものが要るわけです。私は、今お話しのように、米作についてはなるほど大体日本で自給ができる、そういうのでありますから、むしろ米作対策につきましては価格対策が重点でほとんど事足りるのではないかというまでになっておると思うのです。ところが、その反面に、畑作対策になりますと、価格対策までに及ばない、生産が上がらないというような実態があるというところにお気がついたんだと思う。価格対策だけではやはり今の世界情勢の中の価格には対抗できない。だから、あえて生産費を下げて農家の所得を得るんだということで、その生産基盤の確保ということであるならば、予算なんかは相当ふえてしかるべきだと思うのです。多少ふえた面もありますけれども、そういう基盤を確保すると同時に、いろいろな農産物に対しては価格対策をもっともっとやってもらわなければ、今大臣の言われるようなそういう点には率直に申し上げまして到達しないのではないか。もしそうだとすれば、今の農安法が大豆あるいは菜種、カンショ、バレイショといったような特殊なものだけにしか該当していない。これをもっともっと広げて、大豆以外の雑穀だとか、あるいはまた特殊な青果物あるいは野菜等に至るまで農民がそれをもって生活の中心とするといったような、そういう農家全体が潤うような形で価格対策をお考えになっているのかどうか、そういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  37. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本農政において価格政策というものは非常に高いウエートを持っているわけであります。米麦初め農安法対象物資、その他厚薄の違いはありますが、七〇%くらいはその価格の支持を受けておるともいわれておるような次第でございます。しかし、価格支持政策の対象となすべき物資は、これはよほど慎重な配慮が要るのではあるまいかというふうに考えるわけです。たとえば、今いろいろお話がありましたが、ミカンについて価格支持政策をする、みんながミカンを植えるというようなことになって過剰な状態が出現する、とてもミカンを何年も保有するというわけには政府もいきませんから、なかなか困難な事情もありましょう。また、問題となる産業がきわめて地区的なものであって、これを全国民の税金でまかなうということについて議論があるというような問題もあるわけであります。その対象となすべき物資につきましては相当慎重な配慮が要ると思うのでございますが、現在の状態におきましては相当手広く支持政策が行なわれておる。今後自由化というような問題もありますが、そういうものに関連いたしまして必要があるというような状態がありますとか、何か特殊な事態がありますれば、これはさらに再検討を要しますが、今日のところではまずまずというところにいっているのではあるまいかという考えを持っております。
  38. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 私の質問とだいぶかけ離れた御答弁のような結果に内容がなってしまったのです。と申しますのは、大臣お話でありますと、大体今の価格支持制度を適用しておるものが相当広範にわたっておる、だから検討はするけれども今のところはこれでというような非常に安易なお考えのようでありますが、それでは、今農安法の中で保護しておるというその対象物資を生産しておる農家が、はたして今大臣が言われるように所得の引き上げ、生産性の向上という将来に対しても希望を持ってやっておるかといいますと、私はそうではないと思う。今ちょっとお触れになりましたように、貿易の自由化等が実施されますと、特に国内産で一番大きな打撃を受けるのは大豆であるというようにいろいろな機会会で言われているわけでありますので、大豆一つを問題にとりましても、今のような農安法の中できめられておる範囲の考え方では、とうてい農民は満足しない。しかし、幸いにしていろいろな形から市場価格というものが政府のきめられた範囲よりもやや上回っておるごとによって、政府は今日まで一俵たりとも買わなくても済んでおるわけです。むろん最初の目的が買う目的でなくて市場の価格を不当に下げない目的によって入れたというのであるなら話はわかるのでありますが、そういうような危険な考え方でこういうものを設定し、これから今言われるように自由化に対抗するように内部の体制を整えて、いつ自由化になってもびくともしない生産基盤を作るのだということしの福田農政考え方からいたしますならば、大豆の一例をもってしましても農家は非常に不安だという一言に尽きると思う。前回もお話がありましたように、この大豆については三千二百円で全部買い上げる、こういう処置をして農民のあれを安定する、こういうようなお話ですが、その三千二百円というものは農家の手取りであるかどうか、そういう点についてお伺いをいたします。
  39. 福田赳夫

    福田国務大臣 自由化が行なわれる場合に、大豆が農産物資としては問題になるわけなのです。私は、しばしば申し上げております通り、自由化が行なわれましても、農産物資につきまして——木の農業は特に零細農業であります。基礎脆弱である今日におきましては、徹底した防衛手段を講じた上でなければこれを採用しないという基本方針を持っておるわけです。大豆につきましては、ただいまお話しのように、現在の農家の所得を維持する価格をもちまして全量政府が買い上げる、こういうことをいたすことに政府としても決定しておるわけです。その価格というのは庭先の価格でございます。すなわち手取りでございます。
  40. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そうしますと、大豆の自由化の実施はどうしてもやる、避けられないという判断のもとに御発言になっておるのかどうか、その点が明確になりませんと、金額がいいとか悪いということについての質問に私は入れないと思います。この点について明らかにしていただきたい。
  41. 福田赳夫

    福田国務大臣 閣僚間の会議におきましては、ことしの十月を目途といたしまして自由化をいたしたいということに相なっております。
  42. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 むろん閣僚の決定は相当権威があるものと思うのですが、先ほど一番最初に私が申し上げましたように、十六名の大臣のうち、最も予算について努力し農政にも努力したと私が推賞した河野前農林大臣、少なくとも農林大臣の重要な席を過去に持っており、その後再三再四岸内閣その他鳩山内閣、石橋内閣といったような内閣にも閣僚としてやっておられた河野さんは、この自由化については絶対に反対だ、これをやったらもう農民は大へんなことになる、こういうふうに言って再々このごろ主張されておったようでありますが、そういう意見については閣僚会議その他重要な会議において何か検討されているのかいないのか、この点をお聞きいたしたいと思います。
  43. 福田赳夫

    福田国務大臣 自由化につきましてはあらゆる角度からその利害得失を検討しております。日本としますと、国柄とするとどうしても輸出を伸ばさなければならない国柄になっておるわけです。さようなことで、世界中が自由化という傾向になりますと、日本だけが孤立して保護主義に徹底しておるというわけには参らない。日本の輸出を伸ばさんとすれば、日本もその門戸を開放しなければならぬという立場にあるわけです。しかし、世界中、一面におきましては農業につきましてはいずれの国もそれぞれその国に適合いたしました保護政策をとっておるのでありまして、自由化と申しましても農業についてこれを全面的に適用するという考え方はとるべからざることは、これまた当然なんです。  さようなことで、私といたしましては、米麦でありますとか、あるいは今後特に力を入れなければならぬ酪農製品でありますとか、さようなものについては自由化ということをとる、べきではないと考えており、また、政府におきましてもさような考えを持っております。  それから、大豆につきましては、すでに自由化になっておるので、ただドル地域に対する点だけが例外になっておるというので、これはなかなか例外を維持しがたい情勢でありますので、これは一つ解除する、すなわち、今年の秋ごろを目標にして全面的に自由化にしようということになっておる次第であります。  すでに一月自由化をいたしました物資といたしましてはラワン材があるわけですが、ラワン材は日本にそういう生産がありませんので、幾ら輸入いたしましても、輸入が多ければ多いほど日本の国のラワン材が安くなるという日本経済全体にいい傾向を持っている。また、アバカ繊維、マニラ麻につきましては、国産のミツマタと競合するわけでありますが、これはそのミツマタの生産の約半量を政府が買い上げるということ、それから、三十五年度予算におきまして八倍体栽培というような品種の改良政策をとって助成するというような方法をとりまして、いささかも心配ない状態におきまして実現したものであります。  今後幾らか農産物につきましても自由化という問題が出てきますが、いずれも、あらゆる対策、手当をやった上で、心配のないというところで初めて実視する。全国の農家の方は、自由化によって農産物について心配する必要はない状態でこれを実施していきたい。それから、なお、自由化にいたしますると、農業関係では、その農家の必需品であるところの農具が安くなる傾向があるとか、あるいは日用品全般にわたって安くなるとか、非常にいい傾向はあるのです。いい傾向は受けても悪い傾向はこれを排除するというところで考えておる、さように御了承願います。
  44. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 大臣はまことに自信があるような御説明なんですが、私は、先ほど申し上げましたように、やはり、閣僚に近い有力な人が、これに対しては、大へんだ、むしろこれをやったら過去における五・一五、二・二六事件のようなことが起こるんだという警告をしているわけです。大臣の御説明は今日の段階ではお聞きできるとしても、将来に対して私は不安を持つということでありますから、今最後に言われました農家の生産を高め、しかも所得を上げるためにも、手段を逸脱しない、そういう範囲内において実施するということは何としても原則でなかろうかと思うわけです。だから、この大豆がもし自由化されるということになりまするならば、私どもとしては、これは大へんなことになるという説の方がまだ信頼せなければならぬような状態だと思うわけであります。特に、今もお話のように、ドル地域以外についてはもう丁でにそれは自由化されておるんだから、今度はドル地域だけだというようなお話がありますけれども、そうだとすれば、ドル地域以外に今自由になっておるために、今日までの現在の大豆というものが、今三千二百円は庭先で手取りだと言われますけれども、今は三千二十五円なんです。そういうようなことをしておいて、それでもって、なお次の段階においては百七十五円上げて大体結論を出そうというようなお考えかもしれませんけれども、それでは農家はなかなか納得しないと私は思うのですが、こういう点については、私は、少なくとも現在残っておる大豆についてどういうふうなお考えを持っておられるかということが、農民を納得させる一番大事なことだと思うのです。今までのやつは仕方がないが、これからのやつはこうするんだと言っても、なかなか納得しがたい。でありまするから、極端に申し上げますならば、約六十七、八万俵まだ本年産が残って、当局に対していろいろ御配慮を願っておるというように私は聞いておるのです。しかし、このことがまだ結論が出ないで、すでに十月以降のことにはや関心がいってしまっておる。しかし、先ほど申し上げましたような形で、十月からドル地域まで自由化するということになりまするためにやはり今日の大豆はだんだんだんだんと値下げをしておるわけです。そういうことも、やはり、本年の対策についてはこうするんだ、だからこうだというようでありませんと、ちょっと農民は納得することができないと思うんですが、本年の余っておる六十七万俵に対しまして、今政府としてはどういうお考え方でこれを処理しようとお考えになっておりまするのか、お伺いいたしたいと思います。
  45. 福田赳夫

    福田国務大臣 大豆につきましては、繰り返して申し上げておるのですが、現在程度の農家の所得を確保するような値段で政府が全量これを買い上げるということを言っておりますので、これはいささかも農家の方が心配する必要はない。これは、松浦さんのような有力者が心配だ心配だというものだから、農家の方でもそうかなあというふうに考えられるのではないかと思いますが、これは何らの心配はないのです。そういうことが影響いたしまして現在の市価を若干下がらしておるというような状態かと、かように思うのであります。どうか心配ないというふうな御宣伝を願いたいのです。
  46. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 値を下げたのは私のせいだという話でありますが、それなら、今の速記を十分一つ熟読翫味されまして——この六十七万俵は私はあなたのせいだと思っておる。このままの形でこれを何とか処分せよといって全販を中心にして投げておるなら、私はその責任はちょっとお引き受けできないわけです。もし、今年の残ったものをやはりそういうことによって責任を言われるならば、私は金がないけれども大臣は金があるわけだから、それをもって大臣が身をもって実証していただけるならば、今後のことについては私もできる限り今のお答えを善意に解釈して農民を納得させるにやぶさかではないわけですが、ことしの残余のものについてどういう御処置をなさるか、お伺いをしておるわけであります。
  47. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは、自由化になって今後の大豆の成り行きがなかなか心配だという議論があるものですから、そういうことが影響して大豆の市況を下げておるということもあるいはあろうかと思うわけです。ところが、今大豆の市価が下っておるというのは、ほかにも事情があるわけでございまして、収穫期の直後である、また輸入が船繰りの関係なんかありましてだいぶおくれておりまして、昨今に殺到しておるというような事情もあるわけであります。大豆がAA化されて、その際においては不安だということにつきましては、不安はないということで御納得を得たようでございますから、そういう要因が除かれると、この市況も若干いい傾向を持つ。それから、もう一つの問題である、輸入が昨今に殺到して国内大豆が売れ行きが圧迫されていくというような点につきましては、農林省といたしましても、これはできる限り何とか協力をいたしたいというので、そういう措置をやっておりますが、その具体的措置につきましては食糧庁長官がお答え申します。
  48. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 三十四年産の大豆につきまして、全販が現在無条件委託を受けているものが六十数万俵あります。この処理につきましては、先般来全販並びに実需者団体等と鋭意話し合いを続けておりまして、われわれの方もその間に介入いたしまして種々あっせんをいたしたのでございます。大体この処理につきましては見通しが立って参っております。いずれ、数量、実際の取引金額等につきましても具体的な話し合いができるものと考えておりますが、私どもの見通しといたしましては、三十四年産の全販が持ちました大豆につきましては、そのような自主調整の過程を通じまして生産者に迷惑をかけないように十分処理できるものと考えておる次第であります。
  49. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 大体、農安法の中で大豆を処理しようとすれば、農家は生産すると同時にそれぞれの機関を通じて全販に無条件委託のような形で出すわけなのです。従って、途中においてそれを変更するということはよほどの場合でないとできないわけです。昨年中共問題がいろいろ混乱いたしましたときに、市場では、三千六百円、三千八百円といったような、そういう大豆の値段が出たわけです。政府の方針に極端に協力しない農家がないわけではなく、ある者は三千四、五百円から八百円くらいで大豆をどんどん売っているわけなんです。最悪の立場を考慮しながら、全般を通じて何とか処置をしてもらいたいと、農業経営の安定化をはかろうとしておる農家は、今日六十何万俵残してしまって、今三千五十円がやっとだ。将来どうするかということは、今長官のお話のように努力していただくことはわかりますけれども、農安法というものはそういう形である程度農家を束縛しているわけなんですね。でありますから、最終的なものについてはもっともっと効果があったんだ、やはりこの法律で農民が保護されたんだということが明らかになりませんと、今日のような、先ほど大臣お話しになりましたように、自分たちが自立するためには農業法人化もあるいはやむを得ぬというような情勢の中で農業協同組合品という一つのワクの中で農民を結束していくということは、なかなか至難だと思うのであります。でありますから、私は、今十の言葉を一〇〇%信頼するといたしまして、本年のものにつきましては、そういう経過をたどって農家が出しておるものでありますから、これはほかのものなら重大な問題になると思いますが、どうぞ一つそういう意味で本年度の処理につきましては全力をあげて団体の意見等を聴取されて御処置願うことを特にお願い申し上げておきたいと思うわけであります。  次に、私は、甘味資源の十カ年計画の遂行の問題についてお伺いいたします。御承知通り、本問題は昨年は相当長期にわたって検討いたしまして、農林省としてもこの問題に積極的に処置をされておると思うのでありますが、今問題になっておる、たとえば、寒地ビートでもって四十万トン、あるいはなお暖地ビートもその後ずいぶん努力されておるようであります。さらに、その他結晶ブドウ糖も普及しようという、こういう対策について、今日の農林省としての進捗状況といいますか、その概要についてお伺いいたしたいと思います。
  50. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 昨年甘味資源十カ年計画を立てまして、十カ年の計画をもってテンサイと国内カンショと結晶ブドウ糖等によって国内自給度を上げまして、その残余を輸入によるという体制をとったわけであります。まだ初年度でございまするので実績はそれほど見るべきものはございませんが、テンサイ糖につきましては、初年度の計画十三万九千八百トンに対しまして実績は十四万トンの見込みでありまして、当初計画とほぼ完全に一致する程度の成績になっておるわけでございます。結晶ブドウ糖につきましては、一万七千トンを計画いたしたのでございますが、発足当初でもありますので、この計画まで完全には到達しておりません。現在の見込みは一万一千トン程度でございます。三十五年度につきましては、これからの問題でございますが、大体テンサイ糖は計画通り十五万トン程度生産量を確保できるであろう、また、納品ブドウ糖につきましては、計画は二万八千トンでございますが、最近新しい製造法等も逐次工業化されつつありますので、三十五年度につきましてはこの計画を上回る生産になるのではないかと考えておるような次第でございます。
  51. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 それから、ちょっと予算上から私は気がついたのですが、なるほど、この十カ年計画の三十五年度については、まだほんとうの計画だと思うのですが、私は、この実地並びに暖地ビートをほんとうに推進するには、土地改良なりいろいろのものが要ると思うのです。そういう点については後刻またお尋ねしようと思いますが、私が一番不審にたえないのは、たとえば、現在寒地ビートは主として北海道で生産をし、そこの工場で処理しているわけですが、昨年、東北の青森、岩手あたりにそういう熱意がありまして、そこで生産をさせ、それを北海道の工場へ運んで、そのために昨年は二百八十二万六千円というような東北テンサイ導入対策費、つまり輸送費の補助を計上されておったところが、本年はそれがゼロになっている。どういうわけでゼロにされたのか。青森や岩手はもう工場が建ってその必要がないという見通しで本年やっておられるのか、この点の理由をお聞きいたしたいと思います。
  52. 増田盛

    増田(盛)政府委員 御承知通り、前年度二百数十万円予算を組んだわけであります。そしてこれは確かに津軽海峡を渡っていく場合の輸送費に対して補助したわけでありますが、当時の事情とその後の事情がだいぶ変わって参りまして、たとえば、暖地ビードにおきましては、大分あるいは岡山県等におきまして自力で試作をいたし、小規模な百トンプラント程度のものを目標にしまして粗糖を製造する段階に入ったわけであります。しかも、これは、百トンプラントの設立によって消化する場合もありますし、また、たとえばアルコール工業、暫定的に地元でしょうちゅう等を作っておりますアルコール原料として消費しているという段階になって参りまして、こういう地帯におきましては独力で試作を進めているわけでありまして、現在このような試作を進めて参ります地方は全国で十数県に上っているわけであります。従いまして、特定の青森の場合に限りまして輸送費補助をすることが不適当であります。それから、関係の県におきましても、この予算が県費に対する直接の補助になっております関係等もあって、あまり歓迎をしないということがありまして、お互い同士の納得づくの上で本年はこの予算の計上を見合わせたわけであります。
  53. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 暖地ビートが非常に盛んになって、そういう地帯では補助する必要がないような形で熱意があることは私はわかります。しかし、それはやはり、いろいろな産業構造から言いましても、二毛作、三毛作をするようなところで多角的な収入を得ようとするような企図があるわけです。政府としては甘味資源の十カ年計画という大きなワクにはまっておりますけれども、受ける農家といたしましては、やはり二毛作、三毛作の中でやるわけです。ところが、東北の青森、岩手の畑作地帯では、その地帯とは全然条件が違うわけです。それをそういうような地帯と同じだからといって削るその考え方自体が、これから十カ年計画に誤りを来たさなければいい、そういう心配から申し上げている。なるほど、その県自体がいろいろ費用の関係から納得をしてやるというならば、私はそれに対しては別にどうということは言えないと思うけれども、そういうものではないと思うのです。その地帯に少なくとも二百八十二万六千円という予算を計上するまでには相当権威ある調査をされてやったと思うのです。ところが、削るときには簡単に削ってしまう。しかも、削られた理由は、今言われたような暖地と比較してそういうようなことをやるというのは、先ほど申し上げたように畑作振興に対する熱意というところまでやはり関係をしてくるのではないかと思うので、そういう意味で、これからでもいろいろ方法はあろうかと思いますから、少なくとも昨年の試作が本年減反にならないような方法をとってこそ初めてその効果があるのであって、それじゃやめたといったような一部の農民心理がそこへ出てくるようなやり方では、やはり重点が零細農民に向けられるということにはならないと思うのですから、この点についても十分御検討を願いたいと思うわけでございます。  なお、これは再三当委員会でも指摘し、あるいはまた要請をしておるわけでありますが、北海道における寒地ビートの作付の今後の十カ年計画に対する処置として、相当広範な地帯における新工場の設置等がいろいろ問題になっておるわけです。最近の新聞等が伝えるところによりますと、大臣の談話がこうだとか考え方がこうだということを流布されておりますけれども、私は、これは大臣の本心であるかどうかということは明確になっていないと思います。この際一つ、北海道におけるこれからの工場の計画に伴った増産計画、さらに、工場を設置する場合、これは法律的には農地法四条の農地転用の許可だけしかないと言いますけれども、政策的には大臣としてはもっともっと積極的な態度が好ましいと私は思うので、これらの最終的な工場の決定、あるいは生産計画に対する予算の確保等に対する責任について大臣の御所見を承りたいと思います。
  54. 福田赳夫

    福田国務大臣 北海道のビート問題につきましては、昨年の六月に一度これを内定しようという動きがありまして、その後、私、農林大臣に就任いたし、白紙で検討するということにいたしたわけです。その前提といたしましては、どうしても生産計画をはっきりしなければいかぬ、こういうので、生産計画を現地北海道庁当局にお願いをいたしたわけです。北海道当局におきましては、慎重にこれをいたしたい、また、三十五年度以降の国の予算の数字ということも考えなければいかぬ、さようなことで大へんおくれまして、まだその計画が農林省の方に連絡がないような状態でございます。しかし、もう大体時期的に考えましておっつけそういう計画がこちらの方に届いてくる段階かというふうに見通しておるわけなんでございます。いずれにいたしましても、私といたしましては、国内糖の増産ということは日本の経済構造から見ましてきわめて重要な課題であるというふうに考えておるわけです。その際におきまして、北海道は寒冷地でなかなか有効な作物が今までなかったわけでございますが、テンサイが北海道畑作に非常に適しておるということも大体において立証されたといたしますと、北海道においてこのテンサイを大いに育成いたしたい、かように考えております。  現在八社から工場を新たに設けたいという話があるわけでございますが、さような熱意のある会社は、私の気持といたしましては、全部に出ていってもらって、この重要な北海道の開発並びに国内糖の開発ということに取り組んでもらいたいという気持ではおりまするが、しかし、出ていったあとでいろいろなそごがあってはならぬ、すなわち、そのそごをなくするためには生産計画とその工場の進出というものが見合わなければならぬというふうに考えておる次第でございます。さような私の気持も北海道庁当局に伝えまして、生産計画を、今までのワクにとらわれず、広くまた長い期間でもけっこうでありまするから検討していただきたい、かようないきさつになっております。いずれ近く生産計画が出てくると思いますから、その生産計画を見まして間違いないような結論を下していきたい、かように考えておる次第であります。
  55. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 大臣の御方針によって道庁当局から出てくることは間違いないと思うのですが、その場合に、予算上から言って、土地改良あるいは機械の貸与、そういうものについては三十五年度には総額にしてどのくらいのものを農林省として御検討になっておるか、あるいは、道庁としての要請がこうだったけれども、本年度はこういうものであった、そういう点についてちょっとお伺いいたしたいと思います。
  56. 伊東正義

    ○伊東政府委員 北海道の畑地の土地改良の問題でございますが、今予算のお尋ねでございますけれども、大体団体様でございますが、畑地だけの団体営は、昨年は二億五千万ぐらいが、今年は三億二千万ぐらい、七千万ぐらいふえております。内容は、客土でありますとか、暗渠排水、あるいは農道というものが中心になっております。私の方でまだ増産計画を十分道庁からは伺っておりませんが、そのふえました七千万というものにつきましては、重点的にビートの方に向けるということも考えたらいいのではないか、昨年は大体一億九千万ぐらいがビート関係に使われたのじゃないかというような予想をいたしておりますので、ふえましたものは、もし道庁の希望があれば重点的にそちらに使いたい、かように考えております。
  57. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 本年はそういう形でなかなか微妙な動きのある中で決定をされるのでありますから、大臣としても相当の決断力が要る私は思うのです。先ほどお話上のように、昨年の六月に前三浦大臣が一応決定をしようとしたということでありましたが、今回の場合もやはり大臣の責任においておやりになるのか、あるいは知事がその主たる決定権を持っておるというふうにお考えになって進められるのか、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  58. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは知事の作付計画を尊重いたしまして農林省において決定されるものと考えます。
  59. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そういたしますと、今までこれは相当延びに延びてきておると思うのです。最初の話は七社、八社というものの中で二、三社ぐらいというのが前の農林大臣意見であったので、これではいかぬということで、今のお話のように、できれば全社にも、——しかし、十分に採算がとれるということになりますると、おのずとそこに限度が出てくるわけでありますが、その場合の決定をする会社の対象に対する基準とか何かについては何かおありになるのか。たとえば、前の農林大臣は現在持っておる会社にはやらせない、新しい会社にやらせるのだということの発言があったようでありますが、今度のお考え方はそういう点についてはどういうお考え方でやっておられますか、お聞きをいたしたいと思います。
  60. 福田赳夫

    福田国務大臣 まだ決定の方針はきめておりませんが、万事作付計画を見ましてからこれはきめたい、かように考えております。
  61. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 これは私はちょっとおかしいと思うのです。作付計画は、これはわれわれが大体農家として現在作っておる立場からすればわかるわけです。十カ年間にどの程度のものを輪作として入れていいか、そういうことは道庁だっておわかりになって、前の計画が総体において六万五千で足らぬとすれば、これは七万に伸ばすようにしよう、それに対しては予算がこうだ、こういう御計画だと思うのです。しかし、まあその計画が出てこなければ会社を選定する基準というものは出てこないということでないと私は思うのです。すでに会社はいろいろな要望を持ってそれぞれ申請をしてきておると思うのです。土地条件、あるいは会社内容、あるいはまたそれぞれの会社の今後の生産に対する指導とかいうものについては、私は内容は申請の中で出ておると思うのですし、さらに、会社の大体の内容については、会社が全然きょうあすできた会社でなくて、相当の有力なる会社ばかりだと思っておるのですから、生産計画が出てこなければ会社の基準がきまらないということでなく、どこにやらせるかということはおきめになれぬかもしれませんけれども、こういうような考え方の会社にということは私はわかると思うのですが、先ほど申し上げましたように、全然持っていないものか、あるいはそういうことは考慮しないで考えるとか、そういうぐらいの方針はおわかりになると思うのですが、どうでございましょうか。
  62. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういう方針というものは、作付計画を検討する過程においてだんだんと固まってくる性格のものです。そこで、今日作付計画を全然見ない段階におきまして、こういう種類の、あるいはこういう基準の会社・工場に許可するんだということを抽象的に言うわけにいかないのです。
  63. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 ちょっとお聞きする  のが無理な点もあろうかと思いますが、作付計画を検討しながらきめるということになりますと、私は相当時間がかかると思う。作付計画が半年も数カ月もかかって出てくるのですから、それにこたえるためには、それはいかにだれだといっても、事前にそういうものを検討しないでおいて、ワクもなしにおいて、そうして半月や一カ月でやったというんでは、これはまたいろいろな誤解を招かざるを得ないような結果になると思うのですが、大体の最終的な決定といいますか、そういう点についても多少お考えがあると思うのですが、そういう点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  64. 福田赳夫

    福田国務大臣 伺いますと、大体、工事というか、来年操業を始めるということになりますると、その工場の施設等の関係は六月ころにはどうしても始めなければならぬというふうに伺っているのです。そういうようなことを考え、しかし、なるべく早くその準備の心組み等があった方がいいのでありますから、作付計画が出てきさえいたしますれば、なるべく早い機会に工場の指定をいたしたい、こういうふうに考えております。
  65. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 その御方針で、計画が出てこなければわからないとの御意見がまた出るかとは思いますが、大体において、新聞やその他からの情報によりますと、四社ないし五社くらいは見通しをつけたいんだ、こういうようなお考えのようですが、それには変わりないですか。
  66. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、なるべく多い方がいいと思っているんですよ。そういう含みで生産計画を検討して参りたいという注文をつけておるわけで、それがどんなものを持ってきますか、まだ、それが、四つなのか、五つなのか、六つなのか、ちょっと予想いたしがたい段階でございます。
  67. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 この問題につきましては、当委員会でも特別に甘味資源の小委員会まで作っていろいろ広い意味での検討をしているわけですが、道案が出て参りまして農林大臣があわせて工場の指定等を検討されるのと並行しまして、当委員会に、従来からもそういう話はありましたが、あらためてその案を示し、あわせて農林大臣意見なりあるいは農林省当局の意見等も発表願う、そういうところで最終的な決定をされるものと私ども考えておるのですが、この点従来と何ら変わりないように考えてよろしゅうございますか。
  68. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは御関心を持たれている方が非常にたくさんありますので、私の結論がなるべく間違いがないようにというふうに私も念願しているのです。そういうようなことから、関心を持たれている方面の意見を広くお聞きしたいというふうに考えております。ただし、決定は私の責任でいたします。
  69. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 むろん大臣の決定にはもう異議はないですが、当委員会としてもいろいろの関係する問題がありますので、今お話しのように関心を必要以上に持たざるを得ないような形になるわけなんですが、そういう場合には、適当な時期に決定してしまってからこれでどうだといったようなことでない時期にお示しを願いたい、こういうふうに考えておりますし、それも当然だと思うのですが、その点についてもう一回だけ御回答を願いたい。
  70. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは決定の方法は非常に行政の末端に及ぶ問題でもございます。ただ、それが非常に各方面から御関心がありますものですから、あらかじめ御意見を承る、こういうことでございまして、さようなふうに御了承願いたいと思います。
  71. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 まあ意見なら幾らでもあるわけですから、その機会に申し上げることにいたしまして、次に、結晶ブドウ糖の問題で、特に最近酵素糖化法ということで躍進的な発展をしておるということで、いろいろ当局において御検討願っておるようでありますが、最近聞くところによりますと、外資を導入して一部の人が新しい設置をしたいというような動きがあるということであります。私どもとしては、やはり、国内の中小産業を守るためには、国内でできないものなら別としても、できるものについては、できるだけ国内でもってそういう問題は解決した方がいいんじゃないか、先ほど貿易・為替の自由化の問題でお話がございましたように、それがやはり当然の措置だと思うのですが、今出ておりまするコーン・プロを中心とした新会社と、現在酸糖化あるいは酵素糖化でやり、あるいはまた将来やろうとするものについての見解について、この機会にお伺いいたしたい。
  72. 福田赳夫

    福田国務大臣 今澱粉糖化の方法としてコーン・プロを導入しようという話があるわけです。私は、考え方といたしますれば、そういう能率のいい設備が日本に導入されまして、日本国民に安い砂糖、甘味を提供することができることが最も好ましい、かように考えております。ただ、お話のように、現実の問題といたしますと、日本にはもっと低能率のいろいろな企業がありますので、それに重大なる影響があっては、これは困るわけなんであります。さような配慮から、ただいままでその新しいコーン・プロ社との提携ということにつきましては、農林省といたしましてこれを押えてきておるというような状態でございます。それらの前提条件が排除されまして、これを入れてももう日本の業界にはさしたる影響もないのだということになりますれば、これはこういうものを大いに取り入れてやった方が好ましい、かように根本的には考えております。
  73. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 この点は大臣の御方針通りだと思うのですが、ややもするとこれが相当政治的に扱われるような向きが私はないとは断言できないと思う。でありますから、先ほどのビート工場の設置その他につきましても同様でありますけれども、私は、あくまでこれは政策的に扱ってもらいたい。政策的に一つ十分御検討願って、今の国内産業の支障にならないようにやるという御方針を堅持されまして、その上に立ってという御説明は、私ども機会あるたびにまた検討をさしていただくことを保留したい、こういうように実は考えておるわけでありますから、この点は十分一つ御努力を願いたいと思うわけであります。  なお、この結晶ブドウ糖の一環として、木材の糖化というものが従来からもいろいろ意見が出ておるわけであります。これは結晶ブドウ糖のワク内には入っていないとは思いますけれども、同様甘味資源の自給対策の一環としてやっておられるように考えておるのでありますが、今農林省が扱っておるこの木材糖化の問題について、御承知通りに、北海道で北海道木材化学工業が、十カ年間くらい調査いたしました結果、ようやく昨年発足をいたしたわけであります。これは一番大きい株主が北海道というので、大体二億からの株を持っておるわけでありますけれども、まだそれが着工に至らない。いろいろ関係もありましょうけれども、着工には至っていないのであります。開発公庫等の融資を当然仰がねばならぬ、そういう場合に、今日開発公庫等はその要請によってこれが十分こたえられるような内容を検討されておるかどうか、あるいは、農林省当局としても、特に林業の問題にも関係して参ります。木材の高度利用の点から言っても、これは将来日本として当然この問題は発展さすべきであるというようなお考えでこの問題に対処されておるかどうか。この点の内容についてお伺いいたしたいと思います。
  74. 山崎齋

    ○山崎政府委員 木糖の生産に関しましては、それの原料となります木材が、製材なんかをいたしました場合のくず材とか、あるいは丸太にならない、従来山に残されておったような枝、その他のものを使うということに必然的になるわけであります。そういう面からいたしまして、林野庁におきましては、これが健全に発達するということはきわめて望ましいことだというふうに考えておる次第でございます。
  75. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 融資等の関係については、おわかりになる方はおりませんか。
  76. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 融資につきましては、先ほど林野庁長官の御答弁にございましたように、非常に農林省といたしましても推進するというような気持でございますので、開発公庫に融資をお願いするように考えております。
  77. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 私は、地方の北海道なら北海道というものの知事が代表者になって最高の二億からの出資をしておる権威ある会社なんですから、これは、農林省当局が言うばかりでなく、もっと公布としては積極的にこれをやってもらいたいということを考えておるのですが、これは十億というのですから、私はおそらく要請はしておると思うのです。しておると思うのですけれども、今年度の予算の中にそれが入っておらないという事業に支障を来たすわけですから、きょうは開発公庫から来ておられぬとしても、林野庁長官お話にありましたように、この事業はやはり推進しなければならぬということになるとするならば、ぜひ一つ農林省当局としてもその実現方については最善の努力をしてもらいたい、こういう考えでありますが、農林大臣としてのお考えを承っておきたいと思います。
  78. 福田赳夫

    福田国務大臣 国内におきまして甘味資源を充足するということは非常に重要な問題でありますので、いろいろな検討をしておるという話を聞いておりますが、検討の結果これでいけるのだということになりますれば、積極的に融資等につきましてはあっせん、協力をするつもりであります。
  79. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 この種の問題については、一つできれば次々とやはり相当私は出てくると思うのです。最近、二、三のこれらの事業についての御計画があるやに私も聞いておるのですが、これらについてもやはり積極的に私はやってもらわなければならぬと思うのです。そういう点で、ぜひ大臣の積極的な政策推進についての御努力をさらに期待をいたしまして、次にもう一点だけお伺いいたしたいと思います。  本年度の自創資金のワクの拡大で、前年度は百億であったというのが今年度は百三十億というふうにワクの拡大ができたわけでありますが、このワクの配分といいますか、それらについてはどういうような計画で今日進められておりますか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  80. 伊東正義

    ○伊東政府委員 自創資金の配分の問題でございますが、これは、御承知のように、中には災等分として昨年も百億の場合二十億保留しておきましたが、いろいろな関係がございまして、全部を割り振るということにはなっておりません。ただいま、どういうふうに割り振るかは、実は検討中でございます。
  81. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 時間がありませんから、端的にお伺いいたしますが、これらの三十億ワクを拡大した中に、過去におきまする農家の負債、こうしたものの償還に充てるという御意思があるのかないのか。あるいは、そういう要請があれば、積極的にこれらの意見をいれて、これに対して結論を出すというようなお考えであるかどうか、従来のようにただ前向きだけのものであって、跡始末というようなそういう負債はこの中に入らぬというようなお考えであるかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
  82. 伊東正義

    ○伊東政府委員 自創資金の中の維持資金は、借金のためにどうしても土地を手離さなければならぬというような人には維持資金として貸し付けることになっております。御質問の負債整理の問題は、実は国会等におきましていろいろ御意見がございまして、われわれといたしましては、昨年はそういう意味で最後に五億も追加いたしまして、北海道は十七億になっております。本年度も北海道につきましては特殊の理由があるということは検討の際の要因として考えたいと思います。
  83. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 今たまたま北海道の問題が出ましたからちょっとお尋ねしておきますが、北海道としては、この自創資金のワクの許す範囲内において、できれば内容を変えてでも何とか融資をしてもらいたいという意向が、道庁当局から私どもの手元へも来ているわけです。そのワクは三十億ということを言っておられるようですが、この三十億については大体その意志に沿うことができるというような考え方であるかどうか、この点もあわせてお聞きしたい。
  84. 伊東正義

    ○伊東政府委員 ワクの点につきましては、先ほども申し上げましたように検討中でございますから、何とも今申し上げられません。
  85. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 それでは、内容ですが、負債を整理するということになりますと、相当金利も安く、長期の返済でないと当然返済できないわけなんですが、金利の点について三分あるいは三分五厘、据置期間を五カ年、特に三十年くらいの年賦にしてもらいたい、なお、今まで一戸当たりが二十万程度であったものを、少なくとも五十万にふやしてもらわなければならないという強い要請があるわけです。こういうような、利子、据置期間、あるいは返済期間、さらに一戸当たりの貸付額の限度額といったようなものについてどういうお考えでおられますか。この点についてお伺いいたします。
  86. 伊東正義

    ○伊東政府委員 貸しつけの条件、据置期間、限度、償還期間というものにつきましては、全国的な問題だろうと思いますが、北海道からは実は今先生がおっしゃいましたような御要望が出ておりまして、これにつきましては、経済局の方で、三十五年度に調査費を取りまして、特に北海道の農家、できれば漁家も含めまし負債の状況等の調査を三十五年度にやることになっておりますので、そういう結果を待ちましてどういうことにするか考えたいということで、三十五年度におきましては従来通りの貸付条件でやって参るという考えでおります。
  87. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 私はこの問題が一番大事なところだと思いますので、大臣見解として、この自作農営農維持資金のワク内で、利子、あるいは据置期間、返済期間、あるいは一人当たりのワクというものは、今要望いたしましたようなことについて自信を持って努力をする、こういう御決意であるかどうか、この点を一つ大臣から伺いたいと思います。
  88. 福田赳夫

    福田国務大臣 ワクの拡大につきましては努力をするつもりです。ただ、償還の条件の変更につきましては、今農地局長から申し上げましたように、三十五年度に徹底的な負債状況の調査をいたしまして、その結果を見ました上善処したい、かように考えます。
  89. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そうしますと、百億を百三十億にふやしたから、その三十億の割り振りについては考える、しかし、利子、据置期間、返済期間、一人当たりの金額のワクについては、三十五年度に検討して、結論が出た場合には、三十六年度から実施できるものはしたい、こういうふうに理解しなければならぬ結果になると思うのですが、そういうお考えですか。
  90. 福田赳夫

    福田国務大臣 さようなことであります。
  91. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 これは私は非常に重大なことになるのではないかと心配するわけであります。でありますから、私どもは、昨年畑作振興臨時措置法を制定してもらったときに、同時に、負債の問題について、これはどうしてもあわせて制定をしなければならぬということで、現在でもその意思を曲げないで今日まで要請をしておるわけなんです。ところが、それは一つ別に考えるということでありますので、今日まで継続審議の中で単独立法もどうかと思って実は考慮しておるわけですが、最近に至りまして、北海道庁を中心として、あらゆる団体も、前の処置をある程度譲歩いたしまして、とりあえずそれじゃワクの拡大——今言いましたいろいろの条件をその中で満たされるならば、あえて特別立法でなくてもというふうに変わってきたわけです。ところが、この問題まで、今大臣の言われるように、三十五年度は調査をするのだ、結論が出た場合に三十六年度から実施できるものはするのだ、できないものはできないのだといったような印象を受ける考え方では、この負債の整理に対しては、私は非常に心細い感じがするわけですが、どうしても自創資金のワクの中では全国的な問題もあるからそれはできないので、もしそれはやむを得ないとするならば、別に何か負債整理の問題について、長い間の懸案になっておるのですから、処置をするというお考えは持っておられるのかどうか、この点をあわせてお伺いいたします。
  92. 福田赳夫

    福田国務大臣 やはり、一番重要な点は、借りかえなり、そういう資金のワクの問題じゃないかと思うのです。そのワクにつきましては、三十五年度におきましてできる限りこれを拡大して当面の御要請にこたえたい、かように私は考えておるのですが、このこまかい条件等につきましては、なお三十五年度調査をしてやりたい、こういうことであります。ワクが相当拡大すれば、大かた御要請に沿うということになるのじゃあるまいかと考えております。
  93. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 大臣のお考え方とすれば、それで十分答えてもらったようなお考えかもしれませんけれども、現在の一戸平均三十万、四十万という負債に苦しんでおる畑作地帯の、しかも単作地帯の農家で、先ほどのお話の貿易の自由化等の波の中でほんとうに農業基盤の確保をするのだというお考えに沿う立場からいたしますならば、満足できないという結論が出ると思うのですから、どうぞ一つ、こういう面について私どもは非常に不満足でありますが、自後この問題についてもいろいろと方法があろうかと思いますから、十分御検討を願いたいと思うわけであります。  最後に、水産問題でお伺いしたい点が実はたくさんあるわけですが、時間の制限がございますし、いろいろこまかい点については多くの人から予算委員会その他でやっておりますから、私は、最終的に一点伺っておきますが、やはり、現在の母船団がああいう苦しい中でだんだんと後退せざるを得ないということになりますと、これが沖合い漁業あるいは沿岸漁業とだんだんと押されてくるわけです。でありますから、そういう点についての処置として、今資源論その他に始まっていろいろの問題があり、あるいはまた船団の減船もやむを得ないという形になると思うのですが、こういう重大なときに、農林大臣はやはり責任を持ってこれを解決してもらわなければならぬ。新聞その他で見ますと、場合によっては自分が訪ソしてもいいというお考えでありますけれども、そういうような消極的なものでなくて、それが解決できなければ、みずから進んで行って解決するのだといって、今行っている人を激励するという点からも、大臣は訪ソしてこの問題をすみやかに解決をして、沖合いあるいは沿岸漁民の今後の生産の拡大あるいはまた先ほど申し上げました農業基盤の拡大といったような新しい方針を実現する以外に手はないと私は思うのですが、訪ソをされて解決をするという御熱意があるかどうか、この機会にお伺いいたしたいと思います。
  94. 福田赳夫

    福田国務大臣 日ソの漁業交渉は、事務的というか、委員会で委員の諸君が資源論を中心にして検討する問題で実は政治的な解決をするというような、性格のものでないのです。さようなことで委員の方に善処方をお願いをいたしておるわけでございますが、しかし、諸般の情勢上、政府の責任者が出かけていくことが可なりというならば、これは積極的に私も出ていくつもりでございます。
  95. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 大臣の今の御決意を一そう検討の中に加味されまして、一日も早くこの問題の解決できるように善処されんことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  96. 吉川久衛

    吉川委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時四十四分開議
  97. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  大臣に対する質疑を続行いたします。神田大作君。
  98. 神田大作

    ○神田委員 一時間の持ち時間であるというようなことであるから、私の方でもなるべく簡明に質問しますから、大臣の方でも簡単に一つお答え願いたいと思います。  まず第一にお尋ねしたいが、大臣は、今度の予算について、相当大幅な増額をした、これでもって農業生産性の向上に役立たせると言っておりますけれども、私は、現在の貿易自由化のあらしの前に置かれておる日本農業状態を見ましても、これくらいの少額の農林予算でもってこれに対処することはとうていできないと考えておるのでありますが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  99. 福田赳夫

    福田国務大臣 農林漁業につきましては、金があればあるほど有効な施策もできるわけであります。しかし、これは一挙にというわけにも参りませんので、三十五年といたしましては可能な最大限の考慮をいたす、こういうことなんです。しかし、私は、農林漁業基本問題調査会というものの結論を待つまでもなく、これで新しい方向は十分に打ち出していける、かように確信をいたします。
  100. 神田大作

    ○神田委員 大臣のそういう確信が当たれば、これは幸いだと思うのであります。しかしながら、日本のおくれた農業の現状において、所得倍増とかあるいは都市との均衡というふうなことを叫んでおりますが、これは言葉だけであって、今度の予算を見ましても、災害対策及び食管の赤字補てんを差し引けば七十三億程度でありまして、こういうようなことでもって、現在、都市と農村との均衡を是正するとか、あるいはまた生産性を飛躍的に向上させるというようなことは、とうてい夢のような話であると私は思うのでありますが、いかがですか。
  101. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは、金の面もさることながら、予算の内容を一つ御検討願いたいと思うのです。それで、今日本農業が非常におくれている方面は畑地にあるわけです。畑地に対しまして、あるいは果樹を導入するとか、あるいは酪農を振興するとか、また小麦の生産性を向上するとか、いろいろ施策を施すわけでございます。土地改良小業にいたしましても五十三億円の増加をいたしておるし、なおまた、小団地融資にいたしましても六十三億から九十億円というふうにふやしておるわけでございます。これで相当の仕事ができると思うのでございます。土地改良費も、水田ということばかりでなくて、生産基盤確保というような意味合いにおきまして、できる限り畑地の方にも重点を置いていきたい。その他、金がそうかかりませんければ、あるいは共同化、集団化という施策は随所にやっていくわけであります。また農業法人問題もただいま検討中である。さらにまた農民団体に対しましても積極的にいろいろな助成をしていくとか、あらゆる問題がその萠芽を少なくともこの予算に出しておるわけであります。私は、十カ年所得倍増という中に伍しまして農家も必ず所得が倍増できる基礎がこれで発足できる、かように考えております。
  102. 神田大作

    ○神田委員 予算の面で畑地改良に少しばかりの金を回した、あるいは土地改良に融資をやったというようなことで、パーセンテージにいたしますれば、食管会計その他災害対策を除けば農林予算は去年の四%しかふえてない。予算総額が一一%の伸びをしておるのに、農業予算は災害対策と食管赤字の補てんを差し引くというと四%の伸びしかしていない。そういうことでもって、それでも農業に対して所得倍増をやり得る基礎を作ったというような、そういうことに対しては私は納得できない。  また、所得倍増ということを自民党さんを初めとして農林大臣も言っておるようですが、この所得倍増というのは、一体農業平均所得の倍増をいうのか、それとも現在の零細農業の所得あるいは都市近郊との関係をどう考えておるか、都市近郊の収入と農村におけるところの収入との較差をどうして縮めようとするか、その点をお尋ねいたします。
  103. 福田赳夫

    福田国務大臣 予算の増加は全体で言いますと二割四分ふえておるわけですが、食管の費用とかあるいは災害を差し引きましても八十億円ふえ、さらに、三十四年度に臨時的な費用として出しておりました蚕糸関係のものをこれに加算いたしますと、百十億円ネットふえているのです。これは例年に比べますと相当大幅の増加でございまして、その中にただいま申し上げたような各種の新しい方向の政策を出しておる。  それから、所得倍増計画といいますのは、これは国民総所得の倍増を言っておるわけでございます。もちろんその中には人口の増加という要素があり、かつ、労働人口がこの十年間に非常に大幅にふえますので、一人当たりの所得の伸びは六割をこえることになるわけです。その六割をこえる所得の増加を達成するためには、大体年率五・三%くらいずつ伸びていきますれば、十年後には六割以上の増加に相なるわけでございます。そこで、農家の所得は一体国民全体の一人当たりの平均五・三の年率の所得の増加ができるかできないか、こういうことが問題なんでございます。そこで、三十一年から三十四年まで趨勢を見ますと、この間は比較的農家の経営が安定してきた時期には当たりますが、それにいたしましても、農業だけとってみますと、生産所得の伸びは四・三%の年率になってくるわけです。その間農村から都市への人口の移動というものが相当行なわれておりますので、これを考慮いたしますと、大体過去数カ年間においても五・三%という年率を現に達成しているのです。今後一体どうなるかというと、私は、この農業一人当たりの所得が四・三%というような過去の高い比率を持ち得ることは、これは相当苦労があると思うのです。これにつきましては、あるいは二・五%であるとか、あるいはせいぜい三%であるとか、いろいろな見方があります。しかし、私は、所得倍増計画という全体の国の計画があり、その発展する計画の全体の中身におきまして、農業人口はさらに今後鉱工業の方に移動するというふうに考えておるわけであります。さようなことを考慮いたしますと、私ども生産性を向上するという予算的施策を講じて、少なくとも三%以上の所得の伸びを達成いたしますれば、五%をこえるという程度の一戸当たりの農家の年所得の向上はもう不可能じゃない。これは、私は、必ずできるし、またでかさなければいかぬ、かように考えているわけであります。
  104. 神田大作

    ○神田委員 問題は、鉱工業の生産に携わる者と農業に従事する者とのいわゆる不均衡を是正するということが大事なことだと思います。もしかりに大臣が言われるように五・何%——われわれから言えば三・五%か四%だろうと思うのですけれども、それだけ伸びたとしても、今、都市におけるところの所得を一〇〇といたしますと、農村における所得は三〇、三分の一というようなことであります。これは一体いつ縮まるか。農民の所得を都市の所得に引き上げなければ農民の要望というものは達成されない。またそれが非常に大事なことであると思うのでありますけれども、この点に関してどう考えますか。
  105. 福田赳夫

    福田国務大臣 考え方というか、傾向の大筋を申しますれば、農家の所得の伸びというものは三%とかあるいはそれをちょっとこえる程度の年率だろうと思うのです。しかし、一方、ただいま申し上げましたように、農業以外の方面に対して農業人口は移動する。これは所得の倍増計画全体の中においてさようなことに相なるわけであります。それがかりに二%程度の移動があるというふうにいたしますれば、これは三%何がしプラス二%でありますから五%何がしになるのでございまして、大体これは平均所得になるわけです。鉱工業の方におきましては、鉱工業総生産平均の五・三%を大いに上回りまして九%ぐらいにその際はなる計算です。しかし、農村方面からの人口受け入れ、また、二、三男もこれに吸収する結果、それを分け合うところの人口が多くなるわけであります。従って、一人当たりの所得は少なくなる。結局これが農家の所得である五・何%という程度にこれが一人当たりといたしてみますと下がるというふうになって、そこに均衡点が出てくる、かように考えております。
  106. 神田大作

    ○神田委員 どうも、大臣のそういう言葉では、そういう考えを持っているかもしれませんが、農村の人口を減らすと言うが、具体的にじゃあどうして減らすのか、あるいは貿易の自由化によって安い農産物がどんどん入ってくるような時代が来るおそれが十分あると思うのでありますが、そういうものに対する農産物の価格政策、流通対策というような具体的な問題をやらなければ、いわゆる農村の所得倍増あるいはまた都市工業者とのいわゆる較差というものは縮めることはできないのですが、そういう具体的な問題が予算化されてそれが現実に着々と実行に移されておらなければ、だんだん農村の人口は減るだろう、価格も何とか保持できるであろうというようなことでは、これはだめだと思うのですが、そこの点はいかがです。
  107. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは私は二つのことを申し上げたのです。農家の農業生産をふやす、そのためには農業生産性を上げるということが一つ。もう一つは、日本経済全体を大きくしてその中に、農家人口も、二、三男も、またそれ以上に、農業人口というものを吸収していくという、この二つの点を申し上げたわけです。第一の点がすなわちわが農林省の担任する施策でございまして、本年度の予算は一千三百十八億円ありまするが、これはほとんど全部がその方面に充当されているのです。それでないというものはほとんどありません。これは、一々一千三百十八億円のことを申し上げるととても一時間では申し上げられないから申し上げませんが、ほとんど全部がその方向に向けられておる、かように御了承の上予算をごらんいただきたいと思うのです。  それから、農業人口を他の人口に転換するというか、また、同じ意味におきまして農家の構成員が他の兼業所得を得る、こういう角度の問題は、農林省ばかりの政策ではないのです。主として農林省以外の関係施策になってくるわけです。私は、しかし、農村の所得を向上し、他の産業との均衡のとれた農村というものを実現するという角度から、各省にもお願いいたしましていろいろなことをやっておるわけでございますが、たとえば農村の二、三男に対して技術を修得せしめる、そして他産業への転換を容易ならしめるという趣旨をもちまして、今度農村地帯に新たに十四カ所職業訓練所を設けるとか、あるいは農業協同組合の組合長さんとか町村長さんなんかに職業安定所の協力員というものをお願いいたしまして、そして身近に職業のあっせんをしていただくとか、いろいろなことを考えておる次第であります。なおまた、通産省の政策といたしましても、農林省の農地法の運用といたしましても、なるべく工場は農村の人が通えるような地帯に建てることが望ましいのでありまして、さような運用をするということをいたしますとか、あるいは、学校の制度にいたしましても、なるべく実業課程の高等学校を新設するとかいたしまして、農家の子弟が技術を身につけて他に大いに活躍できるような素地を作るとか、いろいろなことをやっておるわけです。国政全体の中において初めてこの農家のむずかしい問題は解決できる、かようなことで、全力を各方面に対して注いでおるのであります。
  108. 神田大作

    ○神田委員 大臣は、職業訓練所もやった、あるいは農協の組合長や部落会長を職業指導あっせん者に嘱託するということですが、こういった職業訓練所でもって全国で訓練される農家の子弟というものは幾らになりますか。そんな数は知れたものです。農村の人口が非常に飽和状態になっている現在において、そういう手先の仕事でもってこれは解決できる問題ではないのです。もっと国土総合開発という観点に立ってこれを解決しなければ解決のしようがない。あるいはまた、今度何か農村地帯における嘱託をする、これは私に言わせればはっきりした自民党のいわゆる選挙対策のにおいが大いにある。たった二百万くらいの予算を組んで、部落会長に、あんたを農村子弟の就職あっせん者に嘱託する……。それはあなた方のひもつきにしようとする。われわれから言わせれば、どうもけしからぬ予算だと私は患う。こういうことでもって、現在曲がりかどに来ている日本農業の過剰な状態、ひしめき合っている状態を解決できますか。基本的に国土の開発に対しまして熱意を失い、開拓に対しましても、今までの新規開拓に対して千戸程度の開拓しか実行しようとしておらない。そしてそんな部落会長を嘱託するくらい  のことではこれはどうにもならぬ問題だと思うのですが、このことをやっているとあとの大きないろいろな問題について質問する時間がないから、私は、大臣が声を大にしていわゆる曲がりかどに来た日本農政に対して新機軸を出してこの予算を大増額をしたというようなことを言っていることは、とんでもない話であるということだけを申し上げて、この問題はまたあとの機会に譲りたいと思います。  そこで、食管制度の問題についてちょっとお尋ねしますが、あなたは現在の食管制度を守っていくお考えだろうと思うのですが、今度韓国の抑留漁夫の送還にからんで韓国米を三万トン買うというようなことでありますが、これは、長い間抑留されているわれわれ同胞を一日も早く送還させたいというのは、われわれのほんとうの念願です。しかし、一体、食管制度の現在の立場からして、そういうような筋の通らない韓国の要求を大臣はどう考えられるか、お尋ねいたします。
  109. 福田赳夫

    福田国務大臣 まずお断りしておきますが、私どもはまじめに農村の曲がりかどに来た事態を克服していきたいというふうに考えておるのでありまして、これを自民党の選挙対策だなんて、そういうふうに一言で片づけてしまうという態度には、私は断じて承服できませんから、これだけは申し上げておきます。  それから、第二は、この韓国米の問題でございまするが、これは抑留者の釈放というものにからんで向こうで言ってきた。私もずいぶん無理難題とは思います。しかし、これを買わなければ帰さないのだ、これを買えば帰すのだと言えば、私は人道上・人権上の問題として考慮せざるを得ない、こういう羽目になっていることを御了承おき願います。
  110. 神田大作

    ○神田委員 その点は、大臣の心境は察するに余りある。しかしながら、それでは、三万トン買うことによりまして送還は完全にできる見通しが立っておるのかどうか。また、今後こういう無理難題が続くおそれがあるのではないか。あるいはまた、これに関連して、もうさっそく、台湾米を十万トンでたくさんだと言っているにもかかわらず十五万トン、五万トンまた押しつけられている。こういうように、日本に米を売ろうとする国は、何も韓国ばかりではない。東南アジアの諸国も日本へ食糧を輸出したいという大きな念願を持っている。こういうものに対する影響が相当にあるのではなかろうか。私は、韓国米の問題もいつから交渉になったのかわかりませんけれども、大体、ビルマ米にしても、一万五千トンさらに買い付けて貿易の正常化を期そうというふうに、日本の食糧需給をそういうような一つの鉱工業輸出の何というか貿易を正常化するための道具に使っていって、日本農業を守るのだとかあるいは日本農業生産の拡大を期するというようなことを言っても、筋が通らぬのじゃなかろうか、こう思うのですが、これはいかがですか。
  111. 福田赳夫

    福田国務大臣 台湾米は当初から十五万トン買うということに予定をしておったのでございまして、ずいぶん前にきめました貿易計画におきましても十五万トンになっておりますことは御承知通りであります。ただ、交渉のかけ引きというか、そういうことがあるものですから最初に十一万トンとか何とか言い出して、だんだんと十五万トンに来た経過をごらんになって、どうも五万トンふえたのではないかというようなお言葉でございましたが、そうではないのです。これは当初からの予定の線に落ちついたというので、私どもとしては妥当な解決であったというふうに考えております。また、ビルマ米の方は、私どもは大体三万トンぐらいが適正かと思ったのですが、これを一万五千トンふやしまして四万五千トンにしたのです。その結果、商社の締め出し問題とか、あるいは日本からの輸入は一切拒否するという通商政策上の問題が解決し、さらに両国間ではこれを機縁として貿易を大いに促進しようというようなことになりまして、相互に貿易使節を交換するというようなところまで来たのでありまして、これもわれわれは非常にいい結果を見たと思うのです。外米輸入するにつきましては、大体私どもは三十四年度の実績ということをにらみながらやっておるのであります。それが今の見通しでは韓国米の関係でちょっと足を出す、——韓国米がきまりますればそういう結果になりそうに思うのですが、そう踏みはずしたことはやっておりません。しかも外米工業用でありますとかいろいろの特殊な用途があるのでございまして、内地の米の需給を圧迫させるというようなことは考えておりません。
  112. 神田大作

    ○神田委員 内地の需給を圧迫しない、こう言っておりますが、外米というのは一体今内地でもってどういうような消費状態にありますか。これは相当外米配給辞退というようなことも起きておると思うのでありますが、外米の内需関係についてお答え願いたいと思います。
  113. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 最近外米はどういうふうに使われておるかということでございますが、外米には御承知のように二種類ございまして、いわゆる台湾米、今度買い付けが問題になっております韓国米、そういった種類のものを私どもは準内地米と称しております。それから、ビルマ、タイの米をいわゆる普通外米と称しておるわけでございます。最近の消費の実態は、準内地米につきましては、本年あたりの計画を見ますと、大体月間一万三、四千トン、これは一般の主食用に消費されております。これは徳用米と称しまして七百四十円程度の値段で売却をいたしておるわけでございます。一般消費者が米屋から買ってきて食うという形をとっております。それから、外米は、これは一般食用と工業用に分かれるわけでございますが、現在では、外米につきましては、主食用が大体月四、五千トンに上り、そのほかに工業用といたしまして年間八万トンないし九万トンくらいの需要があるわけでございます。これは中にはブロークン・ライスも含んでおりますが、菓子用でありますとか、あるいはビールの醸造用等でございますか、そういう工業原料に使われておるものが八万トンあるのであります。
  114. 神田大作

    ○神田委員 外米輸入計画並びに状況はいかがですか。
  115. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 本年度の外米輸入計画は、最近台湾米韓国米、いろいろな問題が出て参っておりますので、それらを全部総合いたしますと当初の計画より若干変わって参りますが、準内地米につきましては、現在までにきまっておりまするものは、台湾米の十五万トンでございます。それから、外米につきましては、ビルマが四万五千トン、タイが五千トン予定されておるわけでありますが、これはタイ側から若干の増額要求もあることかと考えられますので、五千トンを若干上回るかもしれません。     〔委員長退席、本名委員長代理着席〕 そのほかにブロークン・ライスが六万八千トン、これが予定をされておるわけであります。それらを合わせますと、現在の段階では二十六万八千トン程度になっております。
  116. 神田大作

    ○神田委員 去年の実績はどうですか。
  117. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 昨年の実績は、これは米穀年度で申し上げますと、三十四米穀年度の実績は二十五万四千トンでございます。
  118. 神田大作

    ○神田委員 そうすると、この数字から見ましても、これは、ビルマ台湾外米の相当数量の輸出実積をとったのでありますからして、タイはこれについて黙っているわけにはいかぬというような状態に陥ることになりますと、今でも去年よりも一万トン以上輸入がふえておるわけであります。こういうことを考えると、五年続きの豊作日本の現在の食糧事情に、外国の食糧がこのように内需を圧迫するといいますか、内需の均衡を破ろうとしておりますが、これではどうですか、食管制というものがこういうことでもって一体持ちこたえていくことができるのかどうか、食管制度そのものに対しまして非常な圧力になってくると思うのでありますけれども、この点大臣はどう考えますか。
  119. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま食糧庁長官が申し上げましたように、準内地米につきましては徳用米に使う、また、普通外米につきましては工業用その他特殊な用途に使う、これはもういずれも特殊の用途なんです。それでありますから、少し私ども考え方よりよけいに輸入するというようなことになりますと、それだけ手持ちになって残るわけですね。従いまして、年を越すというような場合におきまして、その持ち越しの量が適正量よりはふえるわけであります。食管会計の立場から言いますれば、その際の金利や倉敷がふえるということになるわけでございます。しかし、内地米需給を圧迫するというふうには私ども考えておりません。昨年は非常な豊作でございまするが、四年前の三十一年のようなことがありますれば、相当多量の外米輸入しなければならぬというようなこともありますので、大きな意味の需給として考えてみましても、金利、倉敷という損失はありまするけれども、多少の持ち越しが出ましてもそう大した心配はない。それよりは、やっぱり、日本の今置かれている立場とすると、東南アジア諸国との経済協力というようなことが非常に重大な問題でありますので、多少の犠牲を忍んでもそのくらいのことはすべきではないか、かような結論を持っておるわけであります。
  120. 神田大作

    ○神田委員 非常に大事な、大臣農政に対する考え違いがあるんじゃなかろうかと私は思うのです。今度の予算を見ましても、いわゆる食糧増産というような費目を何か農業基盤の強化費とかいうふうにかえてあります。要するに、日本農業に対して、もう食糧は外国から安い食糧が入ってくるのだ、何も内地でもって苦労して予算をとってそうして日本内地の食糧増産に力を入れる必要はないという、こういうような考えが、これは河野農林大臣のときからきざしてきておると思うのです。これは日本農業にとりましては看過することのできない非常に大事な一つの問題点だと思うのでありますけれども、こういうふうに内需がそれに即応しておらないにもかかわらず、もう持ち越しを覚悟して、そうしていろいろな事情に基づいて圧迫をされながら外米輸入しておるというような態度をとっておりますれば、これが一年々々そういうふうに累積いたしますと、一体どうなるんですか。これは非常に重大問題になってくると思うのでありますが、この点についてお考えを伺いたいと思います。
  121. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは、米の生産は、昨年はよかったのですが、過去五カ年平均で見れば、七千八百万石で、私どもの見当では五百万石ぐらいは需給不足になっておると思うのです。そういうような状況でございまするから、やや長期に見ますれば、ことし多少特殊用途外米持ち越したといって、それが国の大きな負担になる、さようなふうには考えておりません。しかし、あなたは、政府が食糧増産費という費目を農業基盤強化費にかえたからそのゆえをもってどうも食糧増産に熱意を失ったんじゃないかというような想像をされておるようでありますが、さようなことは、先ほどるる申し上げておりました通り、毛頭ございません。
  122. 神田大作

    ○神田委員 これは何も福田農林大臣だけじゃないのです。これはもう二、三年前からそういう農政の基本を自民党としてはとってきたんじゃなかろうか、こういうふうに私は考えておるのです。これはこまかく言うとまた議論になりますからやめますが、あなたはそういう考えはないとは言っておるものの、米麦を輸入しているし、また、AA制によってほかの大豆を初めとして安い食糧品が入ってくる。これは要するに日本を農産物の市場にしようとするアメリカの意図も見えるわけであります。アメリカではもうどうしようもない、幾ら作付制限してもどんどんふえてくる。小麦を初めとして酪農製品や何かをもてあましておるのでありますからして、日本をどうしてもアメリカの農産物の消費地にしようという、そういう考えは私は相当あると思うのです。そういうときに、外米を、あっちからゆすられ、こっちからゆすられて、はいはいと言って輸入しておったのでは、これは、そういう日本農民の生活を守るというようなことを口では言っておりながら、実際においては外国農業のあらしの前にたたきのめしていくような、そういう方向に持っていくのではなかろうかと、われわれは非常に心配しておるわけでありますからして、その点をもっとはっきりと、いや、そうじゃないのだ、食糧増産については、かようにして日本需給をはかり、農民の生活を、こういう流通対策、こういう価格対策でもって守っていくんだということをあなたに表明してもらいたい。
  123. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは、私が前にるる申し上げたというのは、質問者が違うものですから、あなたじゃないのです、高石さんですかに対して申し上げたことなんで、時間の関係があるというから特に省略をいたしたわけであります。言わしてもらいますれば、(笑声)私は、日本農業はなかなか困難な立場にあると思うのです。それは、やはり、その基盤である農地が非常に零細である、さようなことでございますので、私どもは、一面におきましては、あるいは開拓でありますとか、干拓であるとか、あるいは海外の移住とか、いろいろ努力をいたしますが、しかし、それだけではとうていこの隘路をふさぐわけにはいきません。やはり、限られた農地でありますれば、その限られた農地におきまして、最高の能率をあげる、すなわち、最大の所得を獲得するという方途を打ち立てていかなければならぬというふうに考える次第でございます。さようなことで、私は生産性の向上ということに全力を尽くしたい。農林省の予算全体がそういう方向に使われんといたしておるわけでございますが、そういうような意味も込めまして、もとより食糧の増産に努め、ことに、ただいま外国から輸入しおるよう食物、——大豆でありますとか、あるいは小麦でありますとか、さらに砂糖でありますとか、そういうようなものは国内の生産でこれを置きかえていく、そうして、外国の農家を養うかわりに、日本の農家の所得をふやすという考え方を強力に進めなければならぬというふうに今考えておるわけです。それと相並行いたしまして、この価格の維持、これも考えなきゃいかぬ。今、日本の農作物の大体七割くらいは価格支持政策によってささえられておるわけです。しかし、価格支持政策を適用するところの困難な農作物につきましては、流通の改善、——市場を整備するとか、あるいは生産状況を相通報するとか、いろいろの施策を講じまして、需給並びに価格の調整をはかっていくという施策を進めていく。また、一方におきましては、零細な農家経営は能率が悪いという点を克服する意味におきまして、あらゆる面におきまして経営の共同化、集団化を促進していく。また、他方におきましては、農業法人問題という農民から盛り上がった意欲にこたえるべく、ただいま法制の検討をしておるとか、いろいろのことを考えておるわけです。日本の農家がより多くの所得を獲得するというために、農林省予算がほとんどそういう目的に使われているというふうに御了承願いたいのです。また、同時に、農林省の予算だけではとても解決できないことで、日本国の経済全体が伸びていかなければ農村の所得は向上しないのでありますから、そういうために、日本の経済を十カ年においておおむね二倍に拡大するという政策には大いに協力しておるのです。また、その協力の過程におきましては、特に農村のためになるようにというので、先ほど申し上げました通り、農村の人口がそれらの他の産業からその所得を吸収し得るようにいろいろ施策をお願いしている、かような次第でございます。
  124. 神田大作

    ○神田委員 あなたの話は私はもう前から聞きました。これは、そういうことを言いますが、それはあなたが口でだけ言えることなんです。  それでは、開拓問題を一つ取り上げましょう。開拓問題で、いわゆる二十万から三十万そこそこの開拓農家がいわゆる八〇%おる。これに対して、今度の開拓者に対する施策というものは一体何です。これでもって一体あなたが今言ったようなことが実際に実現することができますか。もう非常に低収入でもって、開拓農からおりていこう、農業経営をやめようというような、こういう農家もどんどん出てきておる。あるいはまた、生活に苦労して、どうにもならなくなって、子弟をどこかへ出さなくちゃならぬ、人身売買に似ているようなそういうことをやっている開拓農家というものがたくさんある。こういう問題は、今あなたが言ったようなことで、一体、口ではそう言うけれども、これをどう解決するのです。解決できませんでしょう。あるいは、経営規模を拡大するといっても、膨大な国有林をかかえておって、これに対する開拓政策というものは何ら持っていない。国有林をただ守って、木だけ育てていこうというようなことで、一体日本農業のいわゆる経営規模というものは拡大されるか。  二、三男対策にいたしましても、職業の訓練所を作ったとか、さっきも申したように、部落会長を職業指導あっせん者に嘱託したなんということで、一体農家の二、二男対策というものは解決できますか。できないですよ。  これは口で言うのと予算において実際に行なわれることとは、てんで問題じゃないのです。だから、私は、そういうことじゃなしに、もっと抜本的な農業政策、曲がりかどに来た日本農業、いわゆる安い外国食糧のあらしの前に立っておる日本農業というものをここでもって立て直すためには、思い切った予算をつぎ込まない限り、どうにもならぬ。たった四%やあるいは五、六%の予算をふやしたからといって、おれは曲がりかどの農政に対する一つの新しい芽を出したなんて言ったところで、なかなかそんなことでもって現在の日本農業というものは解決し、曙光を見出すわけにいかぬ、私はこう考えるのです。  この問題を二人でもってしゃべっておると時間がなくなるから、前の食管制度に返りますが、どうですか。一体。そうは言っているが、実際は外米日本の食糧需給を圧迫することは事実でしょう。こういう事実を知っておりながら、またタイやビルマ台湾韓国から入れようとすることに対しても、もっと食管制度を守って、日本の食糧増産をして、そうしてはっきりとこれを食管制度というものを持続してやっていくのだという強い考えを持っておるならば、こういうような外米によるところの圧迫というものに対しまして、大臣はこれを押えるべきなんです。批准すべきなんです。そういうことに対してどう考えられますか、大臣
  125. 福田赳夫

    福田国務大臣 神田さんは、韓国に抑留されている漁民が、まあ二万トンなり三万トンの米を貰えば釈放されるのだ、それが、日本が買わなければ釈放できないんだというような際に、どういう態度をとるか存じませんけれども、私といたしましては、これは人道上の問題といたしまして、これは承諾せざるを得ないのです。さようなことで韓国米の二、三万トンが大体三十四年度の実績を上回る買付になりまするけれども、これは、先ほど申し上げております通り用途がおのずから特定されているのです。これは私は内地の需給を圧迫させないつもりです。それで、徳用米として売り払いまするが、その売り払いができなければ保存いたします。そうして、金利、倉敷料は損しますけれども、そのくらいなことは、まあ人道上の問題ですから、国会の方でもお許しを願わなければならぬ、かように今考えておるのです。  先ほど日本を外国の市場にしちゃうんだというようなお話がありますが、さようなことは毛頭考えておらないということを重ねて申し上げます。
  126. 神田大作

    ○神田委員 私は、この韓国米の問題について、そういう筋が通らないやり方に対して、やはり、こういう無理難題が今後も続くようなことになるとこれは大へんなことである、また、そういうことによってほかのタイや東南アジア諸国がこれに乗じてやはり無理難題をしかけるというようなことに対して、これはきぜんたる態度をとらなければならぬ、こう考えておるのです。韓国米の三万トンの問題に対する大臣の苦しい立場というものはわれわれは了解するのです。ただ、それをきっかけとして、そういうような外国食糧の圧迫を日本が受けないようにぜひしなくちゃならぬし、そのために食管制度というものが確立されていかなければならぬ、こういうような観点に立って私は御質問申し上げたわけであります。次に、私は、いわゆる貿易の自由化によるところの、先ほども質問がありましたが、大豆のAA制でありますが、この問題について農林省としては三つの案を持っておると言われておりますが、一体この三つの案というものはどれが実現されようとしておるのか、また、これが実現されるごとによって大豆の価格というものは維持され得るのであるか、その点の見通しについてお尋ねいたします。
  127. 福田赳夫

    福田国務大臣 三つの案というのは、一つの案は、現在大豆に一〇%の関税がかかっておるわけでございまするが、その上にさらに一〇%近くの関税または瞬間タッチ方式による課徴金を取りまして、それを財源といたしまして国産大豆の価格支持をやろう、こういう考え方でございます。それから、第二案は、それとは全く逆な考え方でございまするが、一〇%の関税、それは据え置きといたしまして、そうして据え置きでありますから、外国大豆は今一俵二千四百円で入ってきますが、それに現在一割の関税がかかるのですから二千六百円くらいになるわけですね。そういう安いところまで日本の国産大豆が下がってきたんじゃ困りますから、その差額を埋める、すなわち価格支持をするための財源を、大豆関係以外の他の財源、これを一般財源から求めようという考え方でございます。すなわち、関税は据え置きということであります。それから、第三案というのは、折衷案でございまして、関税は据え置き一〇%であるけれども、それに加えて、まあ四%程度の課徴金を取って、前の一〇%の関税収入相当額と、それから課徴金四%内外によるところの新たな財源、両者を合わせて価格支持をやろう、こういう考え方なんでございます。  いずれの考え方におきましても、国産大豆につきましては、これをおおむね現在程度の価格をもちまして政府が買い取るということにつきましては、これは共通した考え方でございます。ただ、違うのは、その買い取るためには財源が要るわけでございまするから、その要るところの財源を、これを新たなる関税に求めるか、あるいは他の財源に求めるか、その財源について、まだ政府意見が、どっちにするかということできまらないわけなんです。それだけの問題でございます。
  128. 神田大作

    ○神田委員 関税の引き上げあるいは瞬間タッチの制度によって課徴金を取ってやるか、一般の財政負担でやるか、一般の財政負担によって大豆の価格を維持するということになると、これは毎年々々予算折衝やなんかでもってやっていくから、内閣がかわったりなんかするとこれはくずれるおそれが十分あると思うのでありますが、こういう点について、大臣は、A・B・Cどの案が適切であるとお考えになっておられるか、お尋ねします。
  129. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはいろいろ考え方があるわけでございまするが、私としては、第一に申し上げました新たに財源を関税または課徴金で調達いたしまして価格支持に充てるんだという考え方が一番いいと思うのです。ただ、これは、関税を上げるかまたは課徴金を徴するかということにつきまして対外折衝を要するという点において難色はあるのですが、そういう点を除外して考えますれば、これが一番すっきりしている、かように考えます。
  130. 神田大作

    ○神田委員 農林大臣が一番いい案であるというようなことに対して、アメリカ大使館のエルキントン農務参事官が日本に申し入れをして、そういう課徴金を取るようなことは絶対承服できないというようなことを文書により申し入れをしたといわれますが、これは事実であるか。
  131. 福田赳夫

    福田国務大臣 承知しておりません。何か書いたものは見たことはありますが、それがエルキントンの書なりやいなや、そういうことは知りません。いずれにいたしましても、私は大して重点を置いておりませんから……。
  132. 神田大作

    ○神田委員 これは確かな筋によってわれわれが入手しておるわけです。だから、これは大臣が知らないというのはおかしいと私は思うのですけれども、いろいろ対外的なことで大臣がそういうことを言っているんだろうと思うのですけれども、これはやはりいわゆるアメリカの農産物を日本に押しつけていこうという一つの基本的な考えに基づいてなされておる重大な問題だと僕は思うのでありますが、そういう圧迫に屈することなく、大臣が一番いいという方法で一つこれを実現してもらいたい、こうわれわれは強く希望するのでありますが、大臣はどう考えますか。
  133. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは、いいと申しましても程度の問題で、そう大して大きな違いのある問題じゃないのです。私は、閣僚会議に対しましては、A・B・Cいずれでもいい、どっちかと申しますれば第一案がいいというような程度のいいなんです。そこで、閣僚会議におきましても、それじゃ財源をどうするかということで今検討しているのですが、大蔵省の方では農林省案を支持するわけです。——別途財源を調達するというのではかないませんから。通産省の方では、なるべく大豆からできる油の値段を圧迫しないという方がいいものですから、関税を上げたり課徴金を取ったりするということはきらうわけであります。そういうことなんでございますが、これは対外折衝もあることでございます。しかし、対外折衝と申しましても、あなたがおっしゃるように、別にアメリカの要請に屈するとか、そういうことじゃないのでございまして、やはり、関税を上げる場合におきましては、関税の利害関係国と十分相談し、しかもその代償までこっちから出さなければならぬというむずかしい問題もありますので、そう簡単に割り切り得る問題ではないことを申し上げておきます。
  134. 神田大作

    ○神田委員 これは非常に大事なことで、今後の日本輸入食糧にからんであるいは今後大きな問題になってくると思うのでありますが、いわゆるエルキントン参事官であるかだれかわからないが、書いたものを見たと言っておりますが、一体書いたものの内容は、どういうことが書いてあったのですか。
  135. 福田赳夫

    福田国務大臣 私も紙っきれを見てほうり出した程度で、そう関心を待たない、そういう種類の情報というか、そんなものです。私は別にそんなものを何ら頭に置いて事を考えておりません。
  136. 神田大作

    ○神田委員 しかし、それはおかしい。こういう大事な問題を、書いたものを見て内容を知悉しないというような大臣の答弁は了承できない。書いたものを見た以上は、そこにどういう内容が書いであるのか、大臣の責任においてこれはちゃんと内容を承知しなければならぬと思う。書いたものを見たけれども内容はわからぬと、そういう答弁は僕は絶対承服できない。一体何のことが書いてあったのです。どう書いてあったのですか。
  137. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ関税を上げたり課徴金を取ったりするということは好ましくないというようなことが書いてあった文書かもしれません。かもしれませんが、とにかくそんな表立ったものじゃないのですよ。語弊があるかもしれませんけれども、何かどこかの属僚がそんなことを言っておったとそういう記事が書いてあるというだけのものであって、私は農林省を預かる責任者といたしまして、そんなものを別に頭に置く必要はないという程度のものでございます。
  138. 神田大作

    ○神田委員 これは、大臣がそういう考えを持っているのはいいとして、少くとも今大きな影響を与えられようとしているところのAA制の問題にからんでそういう文書が大臣に渡された。ところが、書いたものは何が書いてあったかわからなかった、書いたものを見て、あるいは課徴金を取ってはけしからぬ、いかぬというようなことであったように思うとか、そういうあやふやなことでは済まされない重大問題である。今後もわれわれのいわゆる貿易自由化にからむ重大な問題でありますから、その内容をはっきりとこの委員会に報告していただきたい、こう思うのであります。
  139. 福田赳夫

    福田国務大臣 そんなものは、別にあったからといって、そういうふうに取り立てるような重要文書じゃないのですよ。ただ、私としても、ほんとうに気軽に、そうかといって捨ててしまうような程度の、人が言ったという記事がある文書なんです。
  140. 神田大作

    ○神田委員 委員長、この問題は、もう時間がなくなるから、あとで理事会を開いて一つ検討してもらいたい。要求します。  この大豆の問題にからんで、いわゆるAA制を推進するところから、現存の大豆の割当制について非常な批判がある。輸入大豆の割当に対して非常な批判が行なわれておる。私がいつかこの委員会で質問したときに、食糧庁から資料を提出させたが、一体だれとだれにこの輸入大豆を割り当てたかという資料を私は要求した。いわゆる日油連傘下のものを要求した。その資料を調査したところが、二月には三十日はないと思うのでありますけれども、三十日に配給したとか、三十一日に配給したというような書き方だ。問い合わせたところが、そこに行っていない。こんなのはもらいませんというのがある。輸入大豆割当に関して、日油連のこういうインチキと思われるようなやり方に対して、一体監督官庁は厳重なる監督をしているのか、査察をしているのか。厳重な監督をし間違いはないと何回も答弁をしておりながら、そういうような資料を私に渡している。これは時間がありませんからこの次の質問のときに追及しますが、こういうようなでたらめな資料を私の質問に対して出した去年をどうしてくれるか、この問題を追及します。     〔発言する者あり〕
  141. 本名武

    ○本名委員長代理 御静粛に願います。
  142. 福田赳夫

    福田国務大臣 なお実情は調査をいたしましてお答え申し上げます。
  143. 神田大作

    ○神田委員 時間がありませんから簡単に質問しますが、次に、ビール麦の共販についてであります。  ビール会社が今まで麦購連というような組織をもってビール麦を買い入れる。それで、今農業協同組合の組織の上に乗ってビール麦の共販体制を強化しようというような声が農民の間にほうはいとして起きておるのでありますが、大臣はこの問題に対してはどのような考えを持っておりますか、お尋ねします。
  144. 福田赳夫

    福田国務大臣 私はこの問題の内容を詳しく承知しておりませんから、事務当局が承知でありますれば事務当局から答弁させます。
  145. 本名武

    ○本名委員長代理 神川君に申し上げますが、経済局長来ておりませんから……。
  146. 神田大作

    ○神田委員 この問題はあとで答弁を願いたいと思います。  次に、いわゆる産業計画会議というのがあってその会長は松永安左衛門さんでありますが、その産業会議から、いわゆるたばこ専売制度の民営、こういうことについて大臣にあるいは勧告なりあるいは何か申し入れ、そういうものがあったかどうか、お尋ねします。
  147. 福田赳夫

    福田国務大臣 さようなものは承っておりません。
  148. 神田大作

    ○神田委員 もし専売制度の民営について申し入れがあったとすれば、大臣はどうお考えになりますか。
  149. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は民営よりはむしろ昔のような官営の方がいいように思うという議論を常々持っております。どうも今の公社制度というのは中途半端でいかぬ、こういう考えを持っておりますが、民営の内容がどういうものか、まだ承知もいたしておりませんが、かねがねさような考えを持っております。
  150. 神田大作

    ○神田委員 この問題についてはまたあとの機会に質問します。  林野行政について簡単に御質問しますが、今、国有林の払い下げとかあるいはまた保安林の設定とかというような問題について、往々われわれの耳にはどうも芳しからぬことが言われておりますが、その後、官有林の払い下げの問題等については、どのような方法、どのような考え方のもとになされておるのか、お尋ねいたします。
  151. 山崎齋

    ○山崎政府委員 国有林の払い下げにつきましては、御存じの通り、町村合併等によりまして土地と立木と合わせて売り払います場合、並びに経常的に行なっております立木あるいは直営生産いたしました丸太というようなものを払い下げる場合、それぞれあるわけであります。このいずれにいたしましても、その価格の決定等にあたりましては、土地につきましては財務局その他の第三者機関の判定を仰ぎ、また、立木、素材につきましては、そのときにおきます一般の市場の取引の時価を精細に調査いたしまして、そういうものを基準として計算いたしまして、最低価格、予定価格というものを出しておるという形になっております。また、売り払いの方法にいたしましても、随意契約、指名競争あるいは一般競争入札というような方法がそれぞれとられておるわけであります。特に、随意契約につきましては、これを漸次減少させていきたいという線に沿いまして、年々それを減少し、指名入札あるいは一般競争入札を増加していこうという方向に努力しておる次第であります。
  152. 神田大作

    ○神田委員 この随意契約を漸次減少させていくと言っておりますけれども、私は随意契約に対しましてもいろいろと今までの沿革等があることも承知しております。しかしながら、林野行政におけるところの一番のガンは、いわゆる特定業者との随意契約、これによって林産物が処理されるということになって、大きなパルプ会社との長い間のくされ縁が今日も続いておるというような現実は、早くこれを改善しなければならないと思うのですが、この問題について大臣考えをお尋ねいたします。
  153. 福田赳夫

    福田国務大臣 くされ縁があっては、これは大へんなことであります。さようなことのないように、適正に売り払いが行なわれるように努力いたしたいと思います。     〔本名委員長代理退席、委員長着席〕
  154. 神田大作

    ○神田委員 どうも、時間がない時間がないとうしろの方から催促されますので、これも一つあとの機会に御質問申し上げたいと思います。林野行政のいわゆるくされ縁と申しますか、私ははっきり申しますが、くされ縁です。あるいは払い下げの問題、そういう問題について、これには特段の大臣の監督と、そうしてきぜんたる態度をもってやっていってもらいたいということを強く要求する次第であります。  最後に、私は、現在日本農業において一番われわれが期待しておる畜産の行政でありますけれども、現在いわゆる肉畜が足らぬというので外国から輸入するということを計画しておると聞かされておりますが、この肉畜の流通過程、この問題については改善すべき多くの問題があると思うのであります。特に、農民からは安い豚を買い入れる、そして消費者供給するときは相当の利潤を得ている、こういう問題についても抜本的な改革をしなければならない。共販体制の確立ということも一番大事なことであろうと思いますが、特に農業協同組合の組織を通しての共販体制の確立、これによって生産農家が安心して豚を飼える、消費者も安心して安い肉が食えるという体制の確立、どうしてもこれに手をつけて抜本的な改革をしなければならないと思いますが、大臣はこの問題についてどうお考えになりますか、お尋ねいたします。
  155. 福田赳夫

    福田国務大臣 畜産は特に需給関係をよく見ながら農家としても進めていかなければならない種類のものであります。また、政府におきましても需給関係を特に注意していかなければならぬというふうに考えておるわけであります。そこで、かような需給問題につきましてはお互いに注意をしなければならないのですが、同時に、ただいま御指摘のように、流通の過程の問題です。これもよほど気をつける必要がある幾多の問題があるようでございます。さようなことから、今回の三十五年度予算におきましても、市場を整備するとか、いろいろの施策を講じておるわけでございますが、需要と見合って日本の畜産が健全に伸びて、そうして外国のものはそう必要はないのだという事態になることを念願をいたしておる次第であります。
  156. 神田大作

    ○神田委員 この問題は今後の農業経営にとって非常に大事な問題でありますが、今度の予算を通しましても見るべきものはない。大臣が、いわゆる農業所得の飛躍的増大をはかると言っておっても、こういう問題に手をつけないで、農業経営の近代化あるいは増強というようなことは期せられないと思うのです。こういう点においてやはり言葉ではなしに実際において手をつけていってもらいたい、こういうように私は強く要望いたします。  次に、現在農民にとって非常に支出の負担となっておるところの耕耘機を中心とするところの大農機具対策です。これが全然なされておらない。七百からのメーカーがどんどん思い思いに勝手な耕耘機を作って、そして農家に売りつけておる。農家はその会社がつぶれると部分品も買えなくてたな上げしてしまうというようなことで、大農機具を中心とする農機具行政というものに対して手をつけておかねばならぬ。これは今日農民の大きな負担になっておる。この問題は、いわゆる規格の統一とか、あるいは共同利用とか、あるいは技術の指導とか、こういう点に対して大臣はどのような考えを持っておるのか、この点を一点お尋ねいたします。
  157. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本の農家が所存が少ないという一番の原因は、やはり、科や技術を経営に取り入れにくい状況農業にはあり、かつ日本の零細農業においては特にしかりという点にある、かように私ども考えておるわけです。しかし、日本の与えられた立地条件からいいまして、そんな状態を一挙に解決して大農に持っていくというようなことはとうていできるわけではありませんから、与えられた条件の中でできる限りさような科学技術というものは取り入れていくという施策考えなければならぬ。そういう意味からして、共同化だとか、あいは集団化だとか、あるいは農業法人問題とか、そういう問題を考えておるわけなのです。それと並行いたしまして、農村に機械を導入する、これはもちろん考えなければならぬ問題でございまして、三十五年度の予算におきましても、大型トラクター、中型トラクターを導入する計画を進めておるわけなのです。ただ、御指摘の規格を統一するという問題、これはなかなかいろいろむずかしい問題があるのではあるまいか、なお私どもも勉強させていただきたい、かように存じます。
  158. 神田大作

    ○神田委員 この問題については農業政策としてまだ取り上げておられないようでありますが、七百億からの金を農民がこれに使っておるのでありますから、これを野放しにしておく現在の状態を早く改めて、そうして農機具行政というものを確立してもらいたい、これを強く要求するのであります。   そのほか、さっき私も申し上げました開拓営農に対する考え方、現在におけるところの不振開拓農家をどうして振興させていくかという大きな問題があると思いますが、この問題に対しての大臣のお考えはいかがであるか。  そのほか、飼料行政、とにかく安い飼料を農民は手に入れなければ日本の畜産振興というものは成り立たないのでありますけれども、現在輸入の飼料というものは実需者七団体によって占められております。しかしながら、そのうちに保税工場会というのがありますが、その保税工場会の裏にいわゆる日本糧穀株式会社というのがあって、そこに非常な問題がひそんでおるのではなかろうか。こういう飼料に対する抜本的な対策、あるいはまた、肥料にいたしましても、今貿易の自由化がされようとするときに、通産省あたりがいわゆる硫安工業の近代化を阻止しておる。安い硫安が幾らでもできるのにそれを阻止しておるというような状態でやっておる。これでは、どんなに農業振興をはかっても、こういうようにこの行政面において安い硫安ができるのをわざわざ許さない、そうして農民に高い硫安を売りつけておるというような行政をやっておって、大臣がさっき言われたように農業振興ができますか。こういう点においても私はどうにも理解することのできない問題があると思うのであります。こういう問題について、時間がありませんから簡単に大臣所信を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  159. 福田赳夫

    福田国務大臣 神田さんがいろいろ言われますが、世の中は農業だけがよくなればいいんだという角度で考えますと、いろいろのことが考えられるわけだと思います。しかし、そういうわけに私はいかないと思うのです。世の中みんなして協同して生きておるわけでございまして、そのほかのもののはね返りも農業に来るわけで、さようなことで、おっしゃられることすべて私は百パーセント同感というふうにも申し上げかねますが、しかし、農業振興の御熱意に対しましては全く同感でございます。御鞭撻によりましてますます努力していきたいと思います。
  160. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、山田長司君。
  161. 山田長司

    ○山田(長)委員 大臣は、日本農政につきまして、曲がりかどに来ておるというお話があったのでありますが、これはまた考え方によっては飛躍の時期に来ておるとも私は考えられると思うのです。ただ、その飛躍の時期を作るためには、やはり、今のお考えの中からわれわれ察しますときに、いろいろ矛盾がある点が究明されなければ、飛躍の農政にはならないのではないかという気がするのです。漁業の問題にいたしましても、きのうきょうの新聞等を見ておっても、日ソ漁業の交渉ではずいぶん努力されておるように察知することができるし、そういう点では、今日本国民生活の食ぜんをにぎわす魚の問題一つ見ても、北の方ではソ連との争いがあり、西の方では李ライン問題があり、それから遠洋漁業では死の灰の恐怖にさらされておるというようなわけで、かなり容易ならない段階にあると思うのです。こういう問題の解決は、この日ソ漁業の交渉を見ましても、前三回の交渉もかなり長引いておるし、今度もかなり長引くものと見ておるのです。それは、日米安全保障条約の改定というような問題もあり、日本がもし平和条約の問題等を積極的に推し進める意欲があれば、案外そういう点から簡単に片づくのではないかと思われるのですが、きのうきょうの新聞等を見ておりますと、資源論でとにかく苦労されておるようですけれども、さっきの大臣の答弁の中からちょっと察知したのでありますが、一体、この資源論だけ、いわゆる事務的折衝だけで大臣はこれが結論が出るもののようにお考えになられておるかどうか。聞くところによると高碕さんが行かれるそうでありますが、高碕さんがおいでになられます以上は、これは政治的な折衝に行かれるものとわれわれ察知するわけですけれども、事務的折衝だけではなかなか困難じゃないかと思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  162. 福田赳夫

    福田国務大臣 日ソ漁業条約の実施につきましては、日ソ漁業委員会でこれをやっていく、建前が、事務的に科学的に検討していこう、こういうことになっておるのです。私どもといたしましては、その日ソ漁業条約の本来の趣旨でこのことがきめられていく、これが一番好ましい形であるというふうに考えておりますし、ソ連側におきましても大体その線でただいままでやってきております。政治折衝が必要である段階にまだ来ておりませんけれども、もしそういうような必要がありますれば、また他の手段を講じなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  163. 山田長司

    ○山田(長)委員 過去三回の会議状態から考えてみますと、今度の場合は一番むずかしい場面にぶつかったのではないかと私は思うのです。それは、先ほど申し上げましたように、安全保障条約の改定という、ソ連で喜ばない問題が出てきてしまっている。高碕さんが行かれて政治的な折衝でどう解決つけるかわかりませんけれども、これは、場合によったら、やはり国民生活に非常に関係のある問題ですから、私は農相みずから乗り込んで政治的な話にしなければならぬ事態に直面すると思うのです。今ここで大臣がつぶさにその話をする必要はないのでありますが、そういうことが起こる事態に私はことしはなってしまっていると思うのです。そのときにはみずから乗り込んでこれが責任ある結論を出さなければならぬと思うのですが、そのときにはどうしますか。
  164. 福田赳夫

    福田国務大臣 私が行った方がよかろうと判断される事態でありますれば、私も積極的にモスクワに参りまして談判に当たるつもりでおります。
  165. 山田長司

    ○山田(長)委員 今の答弁で私は了解するのでありますが、二月の初めごろの新聞を見ますと、一応禁止しようじゃないかというふうなソ連側の意向が出ておったわけで、敬意を払う意味においてもやはり大臣が乗り込んだ方が、受ける印象がよいのではないかと私は考えましたので、今のようなことを申し上げたわけです。  次に伺いたいのは、今月の十二日に起こった李ラインの問題です。  やはりこの問題は西の方における日本漁業の危機だと私は思うのです。第五・八幡丸が韓国警備艇によって撃沈されたということでありますが、このことについては、外務省ではいち早く抗議文を出しておられるようですけれども、これはやはり、食糧の問題でありますがゆえに、農林大臣としても当然何らかのお立場でこのことについて立場を表明しなければならぬ事態に来ると私は思うのです。そこで申し上げたいことは、日本韓国だけに抗議をしているという今までの外務省のやり方、これについて私は申し上げたいのです。なぜ申し上げたいかというと、これは、ちょうど日本が満州国という、かいらい政権を作っていたのと同じように、韓国はちょうど腹話術の人形みたいなものだと私は思っているのです。李承晩政権という人形に日本の外務省がものを言っても、さっぱりらちはあかないと思うのです。人形を使っておる芸能人の方に文句を言わなければいけないと思うのです。これは芸能人がどこであるかということは私が言わなくても明確であろうと思うのです。そこで、根本的解決は、この芸能人に政府は条約を結ぼうと言っておるくらいのときですから、この芸能人の方に連絡がつかないはずがないと思います。これは、福田農林大臣は、芸能人と言うとおもしろくないかもしれませんが、やはり結論的には韓国だけの抗議や折衝だけでは結論が出ないのじゃないか。とにかく、台湾の蒋介石と李承晩と岸政権とは三国連合を作ってもいいような話があるくらいの状態のときですから、やはり芸能人の力を借りて結論を出したらいいのじゃないか。外務省では、朝鮮の大使か公使か知りませんが来てもらって決議文を手交したということが新聞に出ておりましたが、これだけでは結論が出ない。これだけでは九州や中国地方の漁民の人たちは安心がいかないと思うのです。この点について農相としての何か御所見はないものでしょうか。
  166. 福田赳夫

    福田国務大臣 日韓問題でございますが、外務省が韓国側交渉するに際しましては、漁民に関した問題でありますので、農林省とは緊密に連絡をとりながらやっております。今のお話、答えるにはまことに機微な問題でありますので、よく御意見として承っておきます。
  167. 山田長司

    ○山田(長)委員 実際機微な問題であることには相違ないと思います。しかし、だれも、言うと言わざるとにかかわらず、言論機関が地震や火事や雷や説教強盗その他あったことは大体正しく報道してくれるし、そういう問題は安心がいくのですが、こういう問題になりますと、明治年間にもあった新聞のごとく、その論筆が突くべき方向を明確に突いておるという印象を受けないわけです。非常に機微に属する問題でありますけれども、米の押しつけられた買い方をするのも、それはまたよいかもしれませんけれども、何かやはりそれについては外務省だけではなくて農林省当局もそのことについての一つ大きな手を打ってもらえないものか。実際その食糧をまかなう努力をしておる漁民のことを考えますときに、農林当局も一つ外務省に負けないで何か手はないものかと思うのですが……。
  168. 福田赳夫

    福田国務大臣 さような問題につきまして、いろいろ韓国日本政府との間に問題が起こり、また交渉がある、それは外務省を通じてやるわけです。しかし、その前にあらかじめ農林省と相談してやりますので、外務省の交渉に十分私どもの意思が入っておるわけです。さよう御了承願います。
  169. 山田長司

    ○山田(長)委員 率直に言って、朝鮮の三十八度線を境として、北と南との情勢というものは、政治の面も経済の面も文化の面も、最近は比較にならないほど変わっているという印象をわれわれは受けるわけです。北はソ連があと押しをして、南はアメリカがあと押しをしていること、これは私が申し上げなくともどなたもわかるし、これは大体断定できると思うのです。この点で韓国側が非常にヒステリックになっているのじゃないか、こう考えると、この李承晩ラインなんというものが国際法上からもあるいは国際慣習上からも不当なものであるということがわかるのですけれども日本政府としてはこれは認めていないということは聞いているのですけれども、やはりこれも背後の見きわめをつけてこれが折衝を外務省なり農林省なりは一つ積極的にやってもらわないと、漁民としても安心して魚とりができないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  170. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国はお話のような見解をもう前からとっておる次第でございまして、いよいよ日韓のそういう諸問題の調整に入ろうかというようなきざしが見えておるのです。そういうあとを受けまして日韓国交調整の交渉が始まるという際に李ライン問題というのも話題になるわけであります。その際には、私どももその方針を堅持いたしまして、これが貫徹を期したい、かように考えております。
  171. 山田長司

    ○山田(長)委員 新聞の報道でありまするので、これはここで大臣から確かめておきたいわけなんですが、訓練のためと称して全巡視船に備砲をして李ライン周辺に出動しているということが新聞に出ておるのですが、このことについて、日本の水産業界の中からは、日本政府はもう低姿勢を捨てて、いつ何時でも事が起こった場合にはと、こういう用意に出動しているのじゃないか、こういうことを言っている者があるわけなんですけれども、砲を巡視船につけて出動しているものなんですか。この点について農林当局でもこの真相は知っているはずだと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  172. 福田赳夫

    福田国務大臣 さようなことは伺っておりませんが、そういうことはないのではないかというふうに考えます。
  173. 山田長司

    ○山田(長)委員 水産庁はどうですか。
  174. 高橋泰彦

    高橋(泰)政府委員 お答えいたします。  この警備は従来海上保安庁がその任に当たっているわけでございます。従前、私どもの聞いているところによりますと、韓国周辺に警戒に出動する際はそのような装備をはずして参っておるように聞いております。最近、そのはずす問題が、緊急に船を回した場合に間に合わなかったという事例が二、三あったように聞き及んでおりますが、その点は、方針を改めて武装をしだしたというようなことは全然聞いておりません。その点は海上保安庁から御聴取願いたいと思いますが、私どもとしては、従前と変わったやり力をしたというふうには聞いておりません。
  175. 山田長司

    ○山田(長)委員 これは大新聞で報道していることですから、そうでたらめな報道はしていないと思うのです。もし備砲をして巡視船が出ているというようなことになりますと、この間のようなことが起こった場合に、何も指令をしなくても、魚とりのことですから気の荒い元気な人がいるに相違ないので、そのときの勢いでどういう事態が発生するかわからぬという気がするわけですが、相手方から人道上無視されたような事態が起こったにしても、やはり、その危険な状態において日本の巡視船がつけているとすれば、厳重な処置の方法がとれるべきものだと思うのですけれども、この点について何かここで明確な御答弁を願うわけにはいかぬものですか。
  176. 高橋泰彦

    高橋(泰)政府委員 ただいま御指摘のようなふうには、私どもまだ聞き及んでおりません。
  177. 山田長司

    ○山田(長)委員 これは至急お取り調べを願いたいと思いますが、この質問は一応これでやめておきます。  次に、日本の食糧問題を伺う前に、北と西と伺ったのですが、南の問題を一つ伺いますが、ソ連がキューバから砂糖を毎年百万トンずつ五カ年間買いつけるということが新聞に出ていたわけです。おそらくキューバの今のストックがはけるので、あの国としてはかなり安心して生産に携わることができると思います。キューバには西欧及びアメリカの資本等が従来入っておったのですが、第一次大戦、第二次大戦ともにキューバは戦争からのがれているという関係で、自国の資本的蓄積ができたので、工場等も設けてなかなか活発になっているという話を伺うのですが、今回のことによって日本に対して影響が起こるとは私は思いませんし、砂糖の輸入については限界点があるわけですから、高くなることはないと思っておりますけれども、やはり明確に指針が打ち出されていないと、何かしら国民の間で、ソ連が五百万トンも砂糖の買いつけをやると、砂糖が来なくなって、あるいは高くなるのではないかという、つまらない疑念を国民の間では話題にしている人もあるわけです。こういう点について、これは高くなるとか安くなることもないことをわれわれは知っておりますけれども、やはり、変化の起こらぬことをこの際一つ御言明願いたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  178. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 ソ連がキューバから砂糖を買いつけることに関連をいたしまして、今後世界の砂糖相場なり砂糖市場の動きがどういうふうになって参るかということにつきましては、まだ、私どもも、新聞その他で断片的にのみ承知をいたしておるところでありまして、十分に情勢の分析をいたして判断をいたすところまで実は参っておりません。いろいろ情報その他を総合いたしまして、今後の砂糖相場の成り行きなり、あるいは砂糖前掲の動きなりを早急に検討いたしたいと考えております。私どもといたしましても、かねてから、糖価の安定対策につきましては、昨年来十カ年計画その他の線の中に主張を織り込みまして進めておる次第でございます。最近砂糖相場の動きがキューバの問題が出ます以前に比較いたしますと若干変わっておるようでございますが、今後の動き等も十分把握いたしまして、われわれの砂糖価格安定対策の中にどういうふうにそれが影響してくるかという点はさらに十分研究をしていきたいと考えております。
  179. 山田長司

    ○山田(長)委員 今度は砂糖から米に移るわけですが、未曽有の豊作が続いたために米麦の政府買付も順調に進んでいるようでありまして、一応この点は安定しているようにわれわれ見受けているのですが、最近一般消費者の中から、先ほど神田君も言われておりましたけれども、配給を受け取らぬ人が出てきておることをわれわれも耳にしております。そこで、都市の消費者に対する増配の道というものは何とか講ぜられないものかどうか、大臣の御所見を伺いたいのです。
  180. 福田赳夫

    福田国務大臣 昨年は未曽有の豊作でありましたので、十一月から増配を実行しておるのであります。この増配は、今後の需給計画を検討してみますると、大体本来穀年度は続けていけそうな傾向でございますので、ぜひさようにいたしたい、かように考えております。
  181. 山田長司

    ○山田(長)委員 内地米豊作にかかわらず、先ほども神田君が言われましたが、韓国からの買い入れ、あるいはビルマから四万五千トンの買い入れ台湾からも十五万トンを買わなければならない実情、これはやはり結果的には国民が犠牲になることなんでありまして、外交上留意をしなければならないことはわかるのですけれども、何とかこの点方法はないものかどうか。先ほどの神田君に対する答弁で理解がいかぬから、もう一ぺん伺うわけなんです。お願いいたします。
  182. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは、人命というか、人道上の問題でございまするから、向こうの方で米を買わなければ抑留者を釈放しないんだと言われますると、私ども非常に立場がつらいんです。しかし、お話のように、いろいろ日本側にも負担になる問題がありますので、その負担になる点を極力除去していかなければならぬというので、ただいまといたしますると、こういう種類の買付は今回限りだという点、それから、玄米にしてもらいたいということを言っているのです。これは、内地の需給に圧迫を加えては困りますから、あるいは倉庫でしばらく手持ちになる可能性があるのです。そこで、保存に都合のいいように玄米で輸入するということですね。それからまた、値段は適正な値段でなければならぬということ、これらのことを向こうに申し上げておるわけなんです。そして、そういう条件を満たし、かつ抑留者を釈放するということがほんとうに行なわれるということでありますれば、米の輸入について、その量について検討しましょう、今こういうことを言っておるわけです。できる限りの努力をいたしておる次第でございます。
  183. 山田長司

    ○山田(長)委員 大臣は御存じかどうかわからないのですが、実は、大臣になる前に起こっておる事件です。それは、実は私は決算にもいるわけですから、千葉の食糧事務所の六千四百四十九俵の米が行方不明になった問題について、千葉の食糧事務所にも参りましてこれの調査に当たったわけですが、埼玉県の本庄では麦が一万七千俵なくなっておる。さらに、青森、それから鹿児島、宮崎と思いますが、こういう地区においても行方不明になったものがあるわけです。これは、倉庫の監督上どこに欠陥があったのか、食糧当局からも伺ったのでありますけれども、どうも理解ができなかったのです。せっかく血の出るような思いをして出した食糧がどこへどう行ったのかわからぬというような事態が起こったということ、しかもこれは会計検査院の関係においても弁償すればあるいは世に出ずに片づいてしまったのではないかというようなことも調査上私は感じたわけなんですけれども、何か管理上において行き届かない点があったから、こういうことが起こったわけですが、こういう事態が起こり得るはずがわれわれは常識的に考えてみてないわけでありますけれども、どこに欠陥があったと思われるかということです。それから、もう一つは、将来管理上における注意をやはり厳重にしておかなければ、せっかくこれを納めた農家の人たちにとってみれば非常に力を落とすのじゃないかという気がするのですが、この点について御所見を伺いたいと思います。
  184. 福田赳夫

    福田国務大臣 御指摘のように、先般お話のような不祥事件が各地で起こりまして、まことに申しわけない次第でございます。これにつきまして、その原因は個々の場合につきましていろいろあるわけでございますが、通じて、その倉市業者が適正を欠いておったという点が言えるのではあるまいかというふうに思うわけでございます。また、同時に、その倉庫業者がそういう事態を起こしたことにつきまする官庁の検査上の責任ということも、これも行き届かぬ点があった、こういうふうに思うわけでございます。すでに、個々の事態によりまして情は違いますが、その情に応じまして官吏といたしましてもそれぞれ行政上の処分をするとか、さような手続をとっておる次第でございます。今後は、業者の選定にあたりましても、また、業者の監督につきましても、また、さらに常時の検査につきましても、特段の手配をいたしまして、かようなことがもう再び起こらないように気をつけて参りたいと存じております。
  185. 山田長司

    ○山田(長)委員 業務用の配給米の問題ですが、百貨店とか、最近は非常に娯楽センターというのができました。これらに非常に良質の米が出て、ところによっては一日数十石の食糧を費やしておる。これはおそらく配給ルートから出ておるものじゃないと私どもは思うのです。聞きますと、これは持参したものだ、こう言っています。これは、常識的に考えてみて、私は特定の場所をここで言うのはやめますけれども、一日に一万五千人も二万人もの人がみな気を合わせて米を持参したなどということは、常識で判断したってこれはあり得る筋合いのものじゃないのです。おそらくトラックで運び込むほどのものだと思われるのですが、こういう大量な、想像もできないような米の移動について、食管法上の違反がむろんあると思うのですが、これについては何らの取り調べというものが今日なされていないものかどうか、一応伺います。
  186. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 現在、業務用米の配給につきましては、昨年配給改善協議会をやりました際に、業務用米については全体の需給が緩和いたしましたことのその兼ね合いにおきまして、相当ワクはゆるめて参っておるのであります。去年までは年間十三万トンくらいであったのでありますが、それを大体年間二十万トンくらいのワクに拡大をいたしまして、同時に、以前は準内地米との抱き合わせ等もやっておったのでありますけれども、現在では内地米だけで切り離してやっております。大体、二十万トンということになりますと、業務用米として買い受け申請がある数量に対しましてはそれに応ずることができるのではなかろうかという程度の数量になっておると私ども判断いたしております。ただ、ただいま御指摘のありましたような例は、非常に集団的に業務用米が大量に出ているような例も最近あるのでありますけれども、それらにつきまして、それが全部正規の業務用米として流れたものである、あるいは別のルートから出たものである、その辺はなかなか実態の確認はいたしがたいのでございます。特定の場所につきまして業務用米がそこに幾ら配給をされておるかということは、その配給の台帳の方を調べることができまするが、それらとつき合わせてみまして、実際の様子がどういうことになっておるかという程度の推測しかできないわけであります。最近のやみ米の取り締まりは、警察当局の方針といたしましても、大口のものにつきまして重点的に取り締まるというような方針をとっておりますので、ルート外の消費につきまして全部こまかくということには実際問題として相なっておらないような実情でございます。
  187. 山田長司

    ○山田(長)委員 私は、この点非常に不公平があるのじゃないかという気がするのです。電車や汽車のやみ米取り締まりは、このごろかなり緩和されたように見受けるのでありますが、少しばかりしょってきたとか、あるいは都会に病人があって持ってきた人も中にはあるに違いないのです。常習者以外にそういう人もいると思うのです。そういう人たちが徹底的に取り締まりを受けて、中には刑事上の責任を問われて罰金刑に処せられた人などもいるわけです。そういう少量持ってくる人がそうやって苦労しているにかかわらず、片方では、おそらくトラックで買わなければならないほどの大量の米を消費している。しかもそれが良質米である。こういう事態なのに、これには何ら取り締まり要員が手を入れず、究明せずにある。こういう状態では有名無実の食管法になっているのではないかという気が私するのです。そういう点で、こういう大きな米の消費をしているところに何らか食糧庁として手を入れた事例を耳にしたことがありますか。
  188. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 業務用米の大量に消費されておるところにつきまして、私どもの方で直接その実態を調べたという例は、私自身は承知いたしておりません。
  189. 山田長司

    ○山田(長)委員 こういう点が非常に矛盾しているのではないかと私は思うのです。東京近在にできているヘルスセンターの数、あるいは、いわゆる、実際上の温泉でない、多数の不特定人を入れるお湯屋ができておりますが、これらがことごとく大量の米を消費してお客さんに提供している。こういう食管法があってもなきがごとき状態が公然としてあるのですから、少しくらい汽車で米を持ってくる人の取り締まりというものは、これは貧乏人いじめの法規になってしまっているのではないか。何かこの点について大臣として方途を講ずる御所見はないものですか。
  190. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 やみ米の取り締まり実態というものは、いろいろな見方もあると思いますが、最近警察当局で重点を置いておりますのは、大口のやみ米運送を重点的に取り締まっておるわけであります。だんだん需給事情も緩和をいたして参っておりますので、やみ米取り締まりの行き方もだいぶ以前と状況が変わって参っておるわけでありまして、今御指摘がありますように、何か著しく均衡のとれない特殊の弱い立場の人だけをいじめるというような形において取り締まりが行なわれておるというふうには私はなっていないのだと考えておりますが、もしそういう点がありますようでございますれば、これは、私どもの方といたしましても、警察当局とやみ米取り締まりのやり方につきましては年に数回打ち合わせをやっておりますので、それらの点は警察当局ともよく連絡をとってみたいと考えております。
  191. 山田長司

    ○山田(長)委員 ちょっと今の長官の答弁の語尾がはっきりしなかったのですが、警察当局とこの取り締まりについて打ち合わせをしておるわけですね。
  192. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 このやみ米取り締まりにつきましては、以前から私どもの方でも経費の一部等も分担をいたしております。やみ米取り締まりの実際の方針等につきましては、随時警察当局とも打ち合わせをいたしておるわけであります。従いまして、ただいま山田委員から御指摘のありましたようなやみ米取り締まり上につきましてなお今後特に留意すべき点がございますれば、警察当局とも十分連絡をとってみたいと考えております。
  193. 山田長司

    ○山田(長)委員 この際明らかにしておきたいのですが、食糧庁でたくさん保管してあった黄変米は、その後どう処理されたか、一応伺っておきたいと思うのです。
  194. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 黄変米処理の詳細な数字を私ただいまここに持ち合わせておりませんが、私が就任をする以前に大体これは処理がついておったのでありますので、私が記憶しております範囲で申し上げますと、全量工業用に処分をいたしまして、あの当時問題になりました黄変米を現在なお食糧庁で手持ちをいたしておるものはないというふうに承知いたしております。
  195. 山田長司

    ○山田(長)委員 この処理にあたっては、食糧庁はどのくらいの赤字を出しましたか。
  196. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 ちょっと私、その資料をただいま持っておりませんので、もしお許しを願えますれば、後刻あるいは明日以降の機会に資料として差し出したいと思いますが、それでお許しを願いたいと思います。
  197. 山田長司

    ○山田(長)委員 あまり大世帯で、食糧庁としては今度の予算で赤字の補てんの予算がとられておるようですけれども、たとえば、倉庫があるにかかわらず、これは群馬県の日本製粉の会社の事例ですが、民間の倉庫へ入れて二百万円の倉庫料を払っているというような事例があるわけで、不注意からかなり赤字を生じていることが、われわれがよそから見ておってあるやにも感じられるわけなんです。そういう点で食糧管理の衝に当たる長官に特に御注意を申し上げておきたいのですが、今度のように政治的に米を買わなければならないような事態、あるいはまたそのほかの地方から外国米を輸入しなければならないような場合、こういう赤字を生み出さなければならないような政治的な根拠が食糧庁におおいかぶさっているわけなんですけれども、何かこういう事例で赤字になる根拠というものを食糧庁の長官などはあげられると思うのですが、そういう赤字になる事例のひどいものは一体何だと思いますか。
  198. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 食管会計の赤字の要因と申しまするものは、これは、一言で申し上げますれば、米麦について現在とっておりまする売買の仕方からいきますと、ある程度の赤字が出てくるというような建前になってくるわけであります。米について簡単に申し上げますれば、大体一石千円程度の中間経費がかかるわけでございまするけれども、このうち半分を消費者に持っていただきまして、半分は財政で持つというような実際の運営をいたしておるわけでございます。従いまして、百万石米を先買いたしますれば、そこで五億程度の赤字が出てくるというような仕組みになっておるわけでございます。麦につきましても、御承知のように、光り値と買い値が完全に現在は逆ざやになっておるわけでございまして、その間逆ざやの関係から赤字が出て参るわけであります。こういうものは、現在の制度の建前からいたしまして、売買をいたしますれば赤字が出て参る仕組みになっておるわけでございますから、それに応ずる赤字は財政で埋めていただかなければならぬと考えておるわけでございます。  ただいま御指摘のような私どもが業務を運営いたして参りまする運営の仕方によりまして経費を節減できる部面につきましては、これはもうできる限りの方法を講じまして、経費の節減をいたすべきでございまして、中間経費の節減という問題につきましては、年々、国会でも、また米価審議会等におきましても繰り返し御指摘を受けております問題でございまするので、われわれといたしましては、これにつきましてはできる限りの方途は尽くして参ってきておるわけでございます。食管経費の大きなものと申しますと、人件費、輸送費、保管料といったようなものでございますが、人件費につきましては、御承知のように、食管で約二万七、八千人の人間を擁しております。これは、逐年事業長は増大をいたしておりまするが、人間の数はふやさないという方針をこの数年堅持しておりまして、その方針で参っておるわけであります。従いまして、給与が定期昇給その他によりまして若干上がって参ります程度における人件費部面においての経費の増加はございまするが、総体としては押えて参っておるわけでございます。また、運賃、保管料等につきましても、これは既定の料率できめられておりまするものが多いのでございますが、これらにつきましても、運送実績等の取り方もできるだけ合理的なものに直しまして、むだを落としまして計算をしたものをとっておるわけでございます。また、保管等の問題につきましても、これは農業倉庫に入れるか営業倉庫に入れるかということによりまして料率がかなり違ってくるわけでございます。特に最近は東京なども米は現在三カ月分程度しか消費地で保有しておりません。あとはなるべく産地に置くような運営をいたしておるわけでございます。そういたしますると、保管料の支払い全体の額からいきますと非常に節約になって参るわけであります。また、農業倉庫に保管料の支払い実績を残すという意味におきましてもプラスになりますので、現在は消費地に米を置くことをできるだけ切り詰めまして、産地に米を多く置く。米の保管料は年間大体六十億くらい払うのでありますが、農業倉庫のもの五十億、営業倉庫のもの十億というような割合に今はなってきている次第でございます。そういう面でできるだけ切り詰められるところは切り詰めていく運営をいたしておるわけでございます。  今山田委員から御指摘のありました、たとえばビルマ米を買うとか、あるいは朝鮮米を貰うとかいうような今度の問題に関連をいたしまして、これは厳密な意味におきましての需給べースからは多少上回った買付になることは、今回の場合やむを得ないと思います。従いまして、持ち越し期間等も通常の、ベースで買いました場合に比較いたしますと延びる場合もあるのでありますが、そういうものにつきましては、原則的な了解といたしまして、これは本来食管会計が負担すべきものでない、別途にそれについて出て参ります経費増は処理をしてもらう筋合いであるということを私ども主張いたしております。また、この前のビルマ米の増量買付の場合には、その点大臣から閣議でも御了解を取りつけていただいております。そういう意味におきまする赤字は別途に処理をして参るという考え方で進めております。     〔委員長退席、本名委員長代理着席〕
  199. 山田長司

    ○山田(長)委員 次に、林野当局に伺いたいのです。  これは大臣にも関係があると思いますが、最近木材の需要が非常に多くなってきておる、最近の四十六年間に六・二倍の需要増加が出ておるのですが、これに対して、森林の植栽あるいは保育、こういう面が必ずしも完全でないので水害が大きくなってきておる、こういうことが言われているわけですが、この木材が戦前に比して三百四十倍から三百六十倍くらいに上がっておる、こういう状況になっているけれども、なかなか山に手がつけられないで、それで山が荒廃の一途をたどっておる、こういう状態にあるようです。そこで林業については根本的に国策上から考え直さなければならないのではないかと私は思うのです。私がなぜそういうことを申し上げるかというと、森林というものは、山ばかりでなしに、公益性があって、山の所有者以外にまでいろいろな影響が及んでくるということが考えられるからです。そこで、森林法の改正等が考えられないかどうか、一応この点大臣の御所見を伺いたいと思います。あるいは林野庁長官でもけっこうです。
  200. 山崎齋

    ○山崎政府委員 木材の需要が増加しておりますことはお話通りでありまして、昭和九年から十年ごろの国内の森林の伐採量に対しまして、最近におきましては約三倍程度の木材が国内の森林から生産されておるという現状におるのでありまして、年々の森林の成長量に比較いたしまして二倍程度の伐採がされておるということが言えるように思うのであります。  一方、また、造林につきまして簡単に申し上げますと、民有林におきます年間の伐採面積は約五十七万町歩と見られるのでありまして、これの伐採跡地はどうなっておるか申し上げますと、薪炭林等で、切ったあと、萠芽によって自然に山になるというふうなものと、水源林その他で、皆伐をしなくて、いわゆる択伐、抜き切りという方法によって行ないまして、自然にまた林になるというふうなものを合わせまして、約二十七万町歩がこういうことで行なわれておりますし、また、アカマツ等で、伐採したあとに天然に種が落ちまして、自然に山になる、それに幾らかの手を加えるというふうなものが約二万町歩、それから、杉とかヒノキとかいうふうなものを人工によって植栽するというものが約二十八万町歩というふうな状況になっておるのでございます。この二十八万町歩のうちで約十万町歩は、既往におきまして人工造林したものを切って、そのあとにまた再造林するというものでありますので、結局年々十八万町歩程度の天然林が人工林に切りかえられておるというふうな形になっておるのでありまして、先ほどお話しの通り成長量よりも相当多く切られておるわけでありますが、切られたあとの処理につきましては、人工造林というものが相当程度によく行なわれる段階に来ておるというふうにわれわれは考えておるわけであります
  201. 山田長司

    ○山田(長)委員 私が森林法の改正をする必要はないかと言うのは、この森林法の規定の中に、十六条の6の一に間材という条文があるのですが、この間伐というのは、表面は、残した木を育てるのだから必要のように見受けられるけれども、実際は、間伐と称してうろ抜いて何木か木を切っているわけですが、二、三年でまた間伐をやっている。その間伐の間に今度はまた木を植えているわけです。その植えた木を育てるためにまた間伐をするのだというようなことで、実際は山が坊主になってしまって間伐だと言っているような事態があるわけです。ここで伺いたいのは、この規定の中に罰則規定がある。この罰則規定には、届けを出さなかった場合には五千円以下の罰金に処すという規定があるのですが、これは明確に伺っておきたいのですけれども、この規定は、もしその五千円以下の罰金に処すというような規定ならば、届けを出さずにどんどん伐採して罰金を支払う方が、むしろ税務署に来ておどろかされてよけいに税金をとられる心配なんかないわけですから、むしろ有名無実な感じがあるのです。ですから、これは臨時措置法に従った形の罰金の言い渡しができるものなのかどうか、この点が明確でないので伺っておきたいのですが、どうなのですか。
  202. 山崎齋

    ○山崎政府委員 森林法におきましては、伐採する場合には届け出または伐採の許可を得なければならないことになっておりますが、最近におきます伐採の件数というものは全国で百十万件にただいま達しているようこ思うのであります。この中で違反件数は約六千件程度が違反しているようにわれわれの調査の結果なっております。この六千件程度の違反の中で、若い山を許可もなしに切るというふうな悪質な者を罰したものが三百件程度あるというふうな現状でございます。これらの違反に対しましては、お話通り、その罰金の金額は非常に低いのであります。他の場合と異なりまして、何分自分の所有にかかるものを切るというふうなことが行なわれるわけでありまして、そういう者に対して非常に強い程度の刑罰を科するということにも問題があるのではないかというふうな観点に立って、お話のような程度の罰則にきめられたわけであります。最近の森林の伐採の関係あるいは造林の関係からいたしまして、森林法全体につきましても今後十分検討して根本的な対策を打つべきじゃないかというような点もありますので、林野庁としても、その点を早急に研究して森林法の改正の問題に今後臨んでいきたいというふうに考えるわけであります。
  203. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうしますと、この罰金等臨時措置法という法律はこの林野庁の罰則規定には適用ができないものなんですか。もしこの罰金等臨時措置法の規定の適用ができるとするならば、五千円であっても、それにあと二十五倍の税金をかけられるということになれば、ずいぶん変わると思うのですが、この罰金等臨時措置法という法律はそれに適用されるのかされないのか、これは一つ明確にお答えを願っておきたいと思うのです。
  204. 山崎齋

    ○山崎政府委員 罰金等臨時措置法の関係は、実ははっきりわかりませんので、また研究の上でお答えいたしたいと思います。
  205. 山田長司

    ○山田(長)委員 この森林法の中にはほかにずいぶん罰則規定がいろいろあるわけで、これが適用できるとするならば、まあ非常な変わり方をすると思いますが、この点ぜひ一つお調べ願いたいと思います。     〔本名委員長代理退席、委員長着席〕  それから、これは大臣に一つ伺いたいのですが、育成期間がもし過ぎて基幹産業のために林野庁の樹木が非常にいためられておる場合に、損害要求ができるのかどうか。これは日本の国有林の育成のためにも重大な問題であると思いますので、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  206. 山崎齋

    ○山崎政府委員 お尋ねの件は、国有林等が鉱害その他によって大きく荒らされたという場合のことかと考えますが、これにつきましては法律が三、四年前に改正されたのでありまして、その鉱害賠償を国有林についてもとることができるということに改正になっておりますので、そういうことができるわけであります。
  207. 山田長司

    ○山田(長)委員 国の場合はそれが要求できますけれども、これが一般国民  の場合には、訴訟を起こして基幹産業にこれが損失の請求をするというようなことはなかなかできないのです。こういう点、基幹産業を育成するというようなことから、国民がそれの犠牲になるというような場合は、今度は国有林じゃなくて民有林の場合には、林野庁はどんな育成をしてやりますか。
  208. 山崎齋

    ○山崎政府委員 民有林の鉱害等につきましては、従前から賠償をとることができることになっておるのであります。そういう場合には、個人というよりも多数の人々が被害を受けるというようなことになるわけでありまして、これにつきましては、市町村とか森林組合というふうな団体が中心になりまして関係の方面と折衝して賠償金の支出を求める、それで、支出されましたものをそれぞれの被害者に適正に配分するというふうなことが従来から行なわれておるわけであります。林野庁といたしましても、そういう線によりまして適正な解決が行なわれるように指導しておるわけであります。
  209. 吉川久衛

    吉川委員長 山田君に申し上げます。申し合わせの時間の到来したことをお伝え申し上げます。
  210. 山田長司

    ○山田(長)委員 木炭の生産と販売について、最近都市の需要は、電力とか石炭とか煉炭とか石油等に押されて、生産量に比して多少減少していると思いますし、この価格については必ずしも低廉じゃないと思うのですけれども生産者はいよいよ山の奥の方へ行かなければ生産ができない状態に最近なってきていると思うのです。生産者状態は、われわれが見るに見かねるほど悲惨な状態で、山奥へ入って仕事をしているわけなんです。これに対して、木炭政策は、ことしは予算を少しふやしたようでありますけれども、何かしらもう少し方途が講ぜられないものかと思うのです。この点、やはり国民生活と非常に関係があるものですから、長官でも大臣でもけっこうですが、お答え願いたいと思います。
  211. 山崎齋

    ○山崎政府委員 木炭の需要が最近二、三年減少して参りまして、従前におきましては年間大体二百万トン程度需要があり、生産されたわけでありますが、最近におきましては大体百七十万トン程度需要ではなかろうかという状況になって参っておるのであります。また、木炭は、御承知通り需要時期と需要時期でない時期がある関係で価格の差も非常に大きいこと、それから、原木を確保する面からいたしましても、最近パルプ等の用材とかなり激しい競合が見られるようになったこと、そういう点から見まして、木炭の生産も漸次苦しくなっておるように考えるのであります。従いまして、林野庁といたしましては、三十四年度から不需要期の木炭をそれぞれの産地の倉庫等に備蓄いたしまして出荷調整を行なう、あるいはそれによって価格の安定を期していくということも始めたのであります。また、最近の需要状況からいたしまして、従来のような俵に入れた木炭でなしに、これを短く切りましてハトロン紙等に詰めた木炭が非常に売れ行きもいいし消費にも便利だというような点からいたしまして、そういうものの共同施設というようなものを進めていくということも考えまして、そういう点についての指導も強力にやっておるわけでありますが、製炭個所が漸次奥地に移っていかなければならぬというような関係からいたしまして、その奥地に移りますために採算上困難の度を増すわけでありますので、木炭なりあるいは原木等の搬送施設につきましての補助を三十五年度から新たに始めるというようなことによりまして、木炭の事情を緩和していくという方向に努力したいと考えております。
  212. 山田長司

    ○山田(長)委員 時間の注意がありましたので、私はもう一点最後に伺います。  これは大臣に伺いたいのですが、各省の中で、農林省が一審外郭組織を持っているわけです。私の調べた範囲では、この外郭組織の中で補助金を出しておるものの中に、もう有名無実なものもあるのです。国民負担を軽くするためにも、切るということはなかなか困難なことですけれども、思い切って、国のために、必要がない組織のために補助金を出すということは慎んでもらわなければならぬと思うのです。そういう点で、十分調べて、思い切った処置を願いたいと思うのですが、大臣、一つ御所見を伺いたい。
  213. 福田赳夫

    福田国務大臣 外郭団体は、御承知のように農林省は非常に多いわけであります。それだけまた仕事の量も多いわけであります。外郭団体ができまして、その使命が終わったあとでまだぐずぐずしているというような傾向はありがちでございまするから、御注意に従いまして、よく精査いたしまして、もしさようなものがありますれば、整理するとか、改廃いたしますとか、さようなことにいたしたいと思います。なおお気づきの点がありましたら御教示を願います。
  214. 山田長司

    ○山田(長)委員 もっと前に伺うべきだったのでありますが、時間のことで飛んでしまいましたので、最後にもう一つだけ伺います。  日米余剰農産物の協定の改定にあたって交換文書に署名をしておるやに伺うのでありますが、どういう内容のものであるか、大臣から一つ御説明願いたいと思います。
  215. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お尋ねの点は、あるいは的確なお返事ができないかと思いますが、多分、最近におきまする余剰農産物の米軍使用円につきましてその使用計画に基づきまする問題ではなかろうかと存ずるのでありますが、御承知のように、余剰農産物の見返り円につきましては、一部日本側で使用する、他方において米軍で使用するというものがあるわけであります。その米軍の使用の円につきまして、従来米軍で留保した分をさらに日本側と協議して使用したい、こういうお話があったわけであります。もしその点でありまするならば、農林省関係といたしましては国内市場開拓の経費というものがあり、これは米側の使用の分の中にもそういうものがあるわけでありますが、これをさらに最近における米側の留保している資金の中から市場開拓資金としてこういう計画で使いたいということについて日本側と話し合いがついたものがある、そういうような内容でございます。
  216. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうしますと、それはガリオア、イロアの問題とは全然関係がないわけですね。
  217. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 全然関係ないわけであります。
  218. 山田長司

    ○山田(長)委員 終わります。
  219. 吉川久衛

    吉川委員長 議事進行に関して中澤茂一君より発言を求められました。これを許します。中澤君。
  220. 中澤茂一

    ○中澤委員 委員長は一体本委員会の運営をどうお考えになっておるか。今朝から、私も所用があって出たり入ったりしてはおりますが、この政府与党席は一体何ですか。今後このような状況で重要議案が審議されるとするならば、われわれはもはや審議に応じません。社会党十一名、民社四名、計十五名、与党は二十五名の委員がおるのに、例によって出席の悪いのはわかりますが、しかし、何としても、代表質問においてこの空席の状況では、われわれは審議に応じられないと思うのです。だから、これに対して委員長は自今善処されなければ、わが日本社会党は審議に応じないということをはっきりここで明らかにしておきます。
  221. 吉川久衛

    吉川委員長 中澤委員の御発言、まことにごもっともでございます。私も遺憾に存じておりますので、与党の理事諸君にも連絡をいたしまして、よくその趣旨を徹底させて、もっと出席のよくなるように善処いたします。  次に、小松信太郎君。
  222. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 大臣に伺いたいと思いますが、先ほどの神田委員と大臣との質疑応答の中で、神田委員が、三十四年度の農業生産の成長率が三・四%、こういうふうに言われましたところが、大臣は五・四%だということを占われた。それで、私は、大臣は変なことを答弁されたと思って聞いておったのです。と申しますことは、十九日の農林省の発表によると、やはり三・四%になっておる。そこで、変だと思ったところが、その点について神田委員が重ねて質問をいたしました。ところが、大臣は、いや、それは、農業生産はその通りだけれども農業以外のもので収入がある云々というようなことを言われたと記憶しておりますが、私は、そういうものの見方が、農業に関する限りははたして農家にとって至当な見方であるかどうかという点をちょっと不審に思ったわけです。と申しますことは、ほとんど全農家が組合員になっております農業協同組合の決算の様式が、決算時におきまして、未収利子は計上しておらない、未払い利子は計上する、こういうふうに非常に手がたくやっておるのです。ところが、ただ大臣の答弁だけが五・四%だ、こういうふうにおっしゃられまして、農家が、われわれの今年度の成績はそれほどよかったのだというみたいに錯覚を起こすと、これは今どなたも見るところ、いわゆる曲がりかどに来ておるのだというふうに言われている農業に対する農家の心がまえが若干弛緩をするのじゃないか、こういうふうなことがちょっと心配されました。大臣のただ先ほどの言葉だけならば私それほど思わなかったのですが、実は、ことしの予算につきましても、食管の赤字の引き当てになる繰入金百三億ですか、あと伊勢湾台風のああいう特殊な場合の予算額まで組み入れまして、いかに膨大な予算を、取ってあるかというようなことも発表されておりますから、これは相通ずるものの見方じゃないか、こういうふうに考えまして、大臣が今後何かおっしゃられるときに、やはり、農家に対しては、農業協同組合が現在そういう態度で臨んでいるように、必要以上に景気のいいみたいなものの話し方はされない方がいいのじゃないか、こう思ったものですから、一言申し上げておきます。  それから、委員会におきまして大臣が昨年度の行政の御説明の中で、昨年度は伊勢湾台風のような大きな被害があったけれども、とにかく空前の米の豊作だった、しかもそれだけでなくほかのものも伸びておるので、当初の予測を上回る高い成長率を確保したと言われている。それはけっこうなんですよ。ところが、このことが他方最近における国民経済の高度の安定的成長に資したこととあわせ考えますとまことに御同慶にたえない、こう言われておりまして、こういうふうなことには間違いありますまいけれども、この言葉の上だけで考えますと農家のふところ工合も非常によくなっているように思われますが、実際、今日、大農といわれる人々はどうかわかりませんけれども、中農以下は決して楽じゃない。現金も手持ちしておりません。確かに農協その他の金融機関の貯金高を見ますと相当な伸びはありますけれども、これはほんの一部の人が伸びたのであって、一般的に伸びたわけではない。いわゆる偏在しておるわけでございます。それで、五年連続の豊作だ、こういうことでありながら、今日農家のふところ工合が非常に悪くなってしまったということ。そこへもってきまして、先ほど来各委員からも質問がありましたように、いわゆる貿易の自由化に対しまして、今農村は非常に不安に襲われております。二月十四日の新聞によりますと、政府は五月末日までに今問題になっている貿易自由化についての計画をまとめる方針であって、農林省も農産物の自由化を検討中である、こういうことが出ておりますけれども、農林省といたしまして、ただいまどういうふうな検討をされておりまして、どういうふうな成案を持っておられますか、一つ伺いたい。
  223. 福田赳夫

    福田国務大臣 基本的な考え方といたしましては、自由化ということは日本経済の発展のために非常にいいことだと思いますので、政府全体の計画といたしましては積極的にこれを進めたい、こういうふうに考えております。ただ、農作物につきましては、これは自由化の世界的風潮ではございますが、世界の国々いずれも自国の農業を擁護する手段をとっております。ことに、わが国におきましては、御承知通り、零細農業から日本農業が成り立っておるという状況もありますので、特別の配慮を加えなければならない、かように考えておる次第でございます。  具体的に言いますと、今一般的には自由化をいたしておりますがドル地域に対しまして例外的に為替管理をやっておるものがあるわけでございまして、これらにつきましては全部にわたりまして自由化をいたしたいというふうに考え、すでにラワン材とアバカ繊維につきましては一月からこれを実施しております。なお、四月以降におきまして、牛脂だとか粗製ラードだとか、さようなものにつきましての自由化が行なわれるわけです。それからさらに皮類の自由化が行なわれるというふうに考えられておるのでございますが、これは皮の加工業者に対する影響がありますので、それらの対策が整った上いたしたいというふうに考えております。また、精製ラードにつきましては、これは関税を引き上げるという措置をとる必要があるというふうに考えますので、その諸外国との間の関税交渉等の見通しがつきました上において自由化をいたしたい。それから、十月ころを目途といたしまして大豆の自由化をいたしたいというふうに考えておるのでございますが、これが対策といたしましては、国産大豆は全部おおむね現在の価格をもってこれを政府が買い上げる、すなわち、価格支持のための交付金を交付するというような形をとりました上でこれを実施することになるわけでございます。それから、その他いろいろこまかいものがありますが、これらにつきましても、必要なものにつきましてはそれぞれの措置をとります。また、国民の主食であります米麦につきましては自由化をいたす考えは持っておりません。それから、酪農製品につきましても自由化をしない方がいいという考えを持っております。これは、まだ若き日本の酪農産業を助けていく必要がある、かような見地からでございます。それから、砂糖につきましては、これは、一つは国産甘味資源擁護という見地があるわけでございます。また、同時に、キューバの砂糖が非常に安いわけでございますから、自由化しますとキューバの砂糖が日本に殺到して入ってくることになりはしまいか、さような際にはその見返りとして輸出される品物がキューバに対しましてはそう大してありませんから、日本の貿易構造という見地からいかがなものであろうかということが考えられる次第でございます。さようなことを考えてみますと、なかなか砂糖の自由化ということはむずかしいのではあるまいか。なお検討を要するものでありますが、ただいまのところといたしましては、砂糖につきましても自由化ということを考えておらぬという段階でございます。  それから、先ほど御注意がありましたが、これは何かの誤解のようでございますから、ちょっと申し上げておきますが、神田さんからのお話で、三十四年度の生産増加率は三・四%程度のもの、これは農業生産のことでございます。私が申しておりますのは、私が農業政策として考えるのは、これからは農家の所得であって、その前提としての農業生産、もとよりこれは問題でございますが、終着点は農家の所得をどうするかということであります。農家の所得といたしますと、その三・四%、過去三カ年平均で私は四・三と申し上げたのですが、その上にさらに農業人口というものが都市に移動しております。それを考慮いたしますと五%以上になる、こういうことを申し上げておるのでございます。  それから、私の説明の中に、農業日本経済にいい影響を与えたということを申し述べておるのは、米の生産等もあります。それらの多量の米をとにかく政府が買うわけでございますから、四千億円近くの金を政府が農家に支払うわけです。そういうものが回り回って日本経済を刺激し、非常に調子の高い経済を脱出していることは御同慶にたえないのだということを申し上げたので、私は、かねがね、日本の経済は農村が安定しなければ安定した発展はできないのだ、農村が安定すれば地方都市はおのずから安定する、地方都市、農村が、安定すれば、それに物を供給する国の大事業も発展する、要するに、日本経済の安定した発展のためには農村をまず安定させることが一番手初めだという考え方を持っております。そのことが昨年の豊作によって実現されておるということを一般的に申し上げておるわけでございまして、個々の農家につきましてどうのこうのと言っておる次第ではないのでございます。
  224. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 大臣が今みたいに純農業生産とその他を分けてお話をされればわかるんですよ。ただ、片一方の質問者が農業という言葉を使って言われた。そこで、農業だから、農業以外の仕事を農家はたくさんやっておりますから今大臣が言われたような言葉が成り立ちますが、農業以外の商売、たとえば中小企業者が、店の商売だけから得た利益のほかに、何か自作で何がしかの野菜を作った場合に、その収入まで含めて営業収益と見るかどうかというような問題を考えてみると、初めからはっきり分けておけばよろしゅうございますが、いきなり農業成長云々の中にぽっとそういうふうに数字が出てくると、私は、やはり誤解される危険があるだろう、そういうふうに考えたから申し上げたのです。  それから、米麦、酪農、砂糖、そういうものは今のところは自由化に組み入れる考えはない、こういうお話でございます。ところで、今のままでおくということは、結局、まだ力のついていないうちにこういったものを入れると日本の農家がやられてしまう、こういうことからでありましょうが、今の農家の経済状態がいつまでも続いていくならば、これはいつまでもこのままでいくのですか。
  225. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本の農家はきわめて零細でございます。どうも非常に大規模の機械農業をしている他国の産業に立ち打ちするというところにいく日は近い将来にはなかなかやって参らないと思います。でありますから、自由化とは申しながら、そういう際におきまして日本の国産農作物で外国商品と競合するような立場にあるもの、これはどうしても保護する必要がある、さような意味から、自由化はとりにくい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  226. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 それはわかりましたが、今のようなこういう状態であるならば、いつまでもそのまま続けていきますか。
  227. 福田赳夫

    福田国務大臣 生産性が大いに向上するという努力は大いに尽くしますが、それが効果をあげない限りにおきましては、さような政策をとらざるを得ないわけであります。
  228. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 FAOの統計資料によると、産出量が百キログラムについて平均投入労働時間が、アメリカの場合は小麦が一時間、日本の場合には五十四時間、こういうふうに出ておるわけですね。そうすると、今のままでなまやおろそかの生産の向上をはかっただけでは、とてもこれは追いつきそうもないわけですね。こういうものに対して、いつかは追いつけるんだ、こういう信念はお持ちですか。
  229. 福田赳夫

    福田国務大臣 今外国から輸入しておるおもなものは、まず小麦でございますが、小麦が二割方外国と値段が違うわけでございます。私どもは、これなんかは何とかしてその二割という価格差を解消する努力をしなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。さような意味合いから、三十五年度予算でも、試験のための栽培をやってみようかと、いろいろ努力をしていますが、そういう努力が実を結んで競争できるというようなことになりますれば非常にけっこうなことである、かように考えております。
  230. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 その努力が実を結ぶ時期は大体のところは想定されておるのですか。
  231. 福田赳夫

    福田国務大臣 一つ小麦の場合をとりましても、それからさらに大豆の場合につきましても、なかなかこれはそうなまやさしいことではないと思います。いつになったらという確たる見当もまだ私も持っておりません。砂糖、甘味資源なんかになりますると、これは多少の関税操作ぐらいで——多少というか、現在も相当かかっているわけですが、かかっているものに多少の調整を加える程度であるいはいけるかしれぬというような感じもしますが、これは、先ほど申し上げましたように、他の理由がありますので、そう価格差だけの見解から自由化というわけにも参りません。零細農業だものですから、これをどういう方法で克服していくか、これから日本農業というものはそういう研究問題が多々あるわけでありますが、今的確にいつになったらどうかという見通しも申し上げられない状況であります。
  232. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 先ほども話題になりましたが、たとえば、ほんとうは買いたくない米であっても、米以外のいろいろの事情のために買わざるを得ない場面も起きるわけですね。そうしますと、いつになるかわからぬ、そういうふうな時期が来たらば自由化する、こういうお話なんでしょうけれども、やはり、ある程度のめどをつけてやっておらぬと、不測の理由によって自由化に追い込まれてしまう、自由化じゃなくても米の場合のように必要以上のものが入ってくる、こういうふうなことにもなるのじゃないかと思うのです。でありますから、向こうとりっぱに太刀打ちできるようなそういう体制を早く作るべきであろうと思うのですけれども大臣は、先ほど、あまりにも零細過ぎる、こういう言葉でそれを至難の理由の一つとしてあげておりますが、零細を何とか零細でなくするというようなお考えについてはどうですか。     〔委員長退席丹羽(兵)委員長代   理着席〕
  233. 福田赳夫

    福田国務大臣 現在農地法があるわけでございます。農地法は自作農主義を基本にしておりまして、この考え方というものは、私は、どこまでも貫いていかなければならぬ、かように考えるわけなんです。ただ、その自作農主義の欠点を克服して、自作農主役によって自作農主義の上に抜き出ていくところの政策というものが必要ではあるまいか、さようなことから、自作農主義は一方においてとりながら、集団化だとか、共同化だとか、あるいは農業法人とか、そういうものを考えて参ります。なお、土地の生産性を向上していくというようないろいろな施策とあわせまして、農家の全体の立場を改善していく、こういう方策を根強くとっていくというほかにないのではあるまいかというふうに考えておる次第であります。
  234. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 そのほか、生産性をほんとうに引き上げるためには、やはり人力だけじゃなかなかうまくいかないのではないか。従って、外国並みに機械化ということも当然考えられるべきだと思うのですが、とにかく、土地の問題が解決しませんことには、現在すでに反別が小さいために機械化することによってえらい赤字を出している農家が相当いるわけですね。ですから、そういう機械化という面につきましては、先ほど神田委員からも出ましたように、今の機械そのものがどうもおかしいのではないか、そういうことに対してどう考えているかということで、そのことについてははっきりした答弁がなかったように聞いているのでございますが、土地の問題と機械化の問題と見合ってどういう手を現在打たれようとしているのですか。
  235. 福田赳夫

    福田国務大臣 農村の機械化につきましては、今の零細な農業経営者には機械化と申してもなかなか受け入れにくいと思うのです。そこで、そういうものを受け入れて労働の生産性を農業部面でも上げるという考え方が必要である。さようなことから、先ほど申し上げましたように、集団化、共同化、農業法人というような線を出していくことを考えておるわけです。そういうものと見合いながら農村にも機械を導入する。さようなことから、予算面でも、大型・中型のトラクターの導入の助成をするというようなことも考えているような次第でございます。
  236. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 それから、またFAOの標準労働時間の問題ですが、小麦につきましては、先ほど申し上げましたように、アメリカは石キログラムに対して一時間、日本は五十四時間、こういうふうに出ておりますけれども、牛乳につきましては、アメリカが五・三時間、日本が一七・一時間です。非常に差が減ってくるわけです。私が見たのは小麦と牛乳だけでございますので、その他のことにつきましてはよくわかりませんけれども、おそらく、この違いというものは、どれだけ大幅に機械化し得るかどうかということでこういう数字が出てきたのだろうと思うのです。だとすれば、果樹の場合の機械化は、アメリカや外国の事情はよくわかりませんが、向こうでも小麦の場合のように機械化はされておらないと思うのです。だとすれば、小麦ほど労働の投入時間に大きな開きがないのじゃないか。そうすると、果樹みたいなものをもっと積極的にやったらどうか。それで、最近、果樹の輸出は、なまのままででも出るのかどうかわかりませんが、カン詰は相当出ているのじゃないですか。どのくらい出ているかおわかりになりましたらお答え願いたい。
  237. 福田赳夫

    福田国務大臣 お話通りでございまして、私も、果樹は生産一定量当たりの労働力というものはアメリカなどと比べてそう遜色はないのではないかという感じがするのです。さような次第でありますから、お話のように、まだ果樹関係のカン詰なんかは、相当これは輸出をされ、今後も輸出が伸びる形勢にあるわけなんです。さようなことから、果樹振興には私どもは特別力を入れていごうというのでもろもろの施策を出している、かように御了承を願いたいのです。
  238. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 大臣考え方はまことに大賛成なんでございますが、そういう考え方の裏づけとなる予算の面になりますと、どうも少し足りないのじゃないか、こういうふうに考えざるを得ないのですが、この果樹の振興という問題につきましては、もっともっと積極的におやりになるお考えであるか、伺いたいと思います。
  239. 福田赳夫

    福田国務大臣 果樹関係につきましては、果樹関係者からもろもろのことを言われておりますが、大体御要請に応じておる予算を編成しておるわけであります。前々からも国費を出しておりますが、その国費のほかに、今度は新たに農林漁業金融公庫から融資の道を開きますとか、また、今国会に果樹振興法を提案いたしまして果樹の一そうの振興をはかっていこうとか、また、農林省におきましては、今まで果樹というものは機構上はほっときぱなしだというふうな状態にあったのですが、今度は新たに機構を設けましてこれを振興局で一元的に扱うことをいたしますとか、相当のことをいたしております。さようなことをやる。三十五年度の実施の経過を見て、なお必要がありますということでありますれば、この上とも果樹の振興には努力をしていきたい、かような考えでございます。
  240. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 それから、今農産物の自由化がこわいということは、要するに国内生産物が外国品に比べて非常に高いからであるわけですが、昭和二十六、七年ごろまでは、国内製品が外国品と比べて安かったのと違いますか。
  241. 福田赳夫

    福田国務大臣 私も農作物についてはどうもはっきりしたことはわかりませんが、一般の工業製品の方は、今日も安いものが相当あり、当時も相当安いものがあったと思います。なお政府委員から……。
  242. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 これは、終戦直後、二十五、六年ごろまでにかけまして、品物によりまして多少の差はございますが、概して申し上げられますのは、外国のものの方が高くて日本のものの方が安いというような関係になっておったわけでございます。その後その状況が逆転して参っておる、二十五、六年を境にいたしまして変わって参ったと私も承知いたします。
  243. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 逆転した理由はどこにありますか。
  244. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 これは一がいに申し上げられないと思いますが、二十五、六年以前の貿易の姿と申しますか、あるいは日本の為替の関係と申しますか、いわゆる生産費と日本へ入る価格とがそのままストレートに反映していたかどうかは必ずしもはっきりしないわけでございます。その後二十六年あたりからその関係は変わって参ったわけでございます。私もその間の事情を今手元に整理いたしておりませんのでこまかく申し上げかねますが、傾向としてはそういうふうになっておると承知いたしております。
  245. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 とにかく、為替関係だけで逆転したわけではないでしょう。その点ちょっと……。
  246. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 その間の関係はただいま整理して持って来ておりませんので、全部詳しくはお答えいたしかねます。
  247. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 とにかく、私も詳しいことはわかりませんが、何かで見たのですが、日本の方が安かったものが、二十六、七年以来あべこべに高くなってしまったということですね。そこに私は大きな問題が介在するのではないかと思う。この問題を解決いたしませんことには、農業生産性を向上するとかなんとか言いましても、農家経済の向上にはならぬじゃないか。大臣、一つその点はどういうふうにお考えになりますか。
  248. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういうことがあってはならないというので、生産費を安くし、また、所得がありましたら、その一定の所得でなるべく効力を発揮するような使い方ができるような施策を進めなければならぬ、こういうふうに考えております。
  249. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 この二、三年そうした傾向がますます激しくなりつつある。現状維持ではないのです。そうして、こんな高いものを一生懸命に作っておいて、日本の農家がもうかっておるなら話はわかるが、やはり貧乏している。そういうことになると、ますます自由化ということに対して不安を持たざるを得ないのです。だからといって、日本が太刀打ちできるまではそんなことはさせないと大臣がおっしゃっておりましても、米の問題のようなことを農家は身辺で見ておりますから、政府の言うことを百パーセント信頼して、おれたちは一生懸命に、いつかは太刀打ちできるような状態になるべく努力はするけれども、それまでは政府が見てくれるから安全だ、安心してもいい、そういう気持にはなり得ない。だから、ただいま大臣は、そういうふうな逆転した姿になって、それを正常な形に返すべく努力しておられるのだと言うが、どういうような形で努力しておられるのか。
  250. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは、予算について言いますれば、予算全体が、生産性を一つ大いに向上しよう、そういう方向に向けられておるわけです。それから、もろもろの法作業も今度御審議を願おうと思っています。そういうものもさような考え方に基づいてお願いをするわけであります。要するに、農家の所得が多くなって、しかもかかりが安くいけばいいのでございますから、そういうことを実現するためにあらゆる施策を、農林省ばかりではなく国の全般にわたって進めていく、こういうことなんでございます。
  251. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 そういうことでこういうふうにするんだという、そういう言葉の上ではわかるのですが、さて、それだけでは、なかなかこれまでの例もありまして、農家は安心していけない。そこで、具体的におっしゃっていただいて、農家もそれを聞いて、なるほどこれなら今度は大丈夫かもしれぬ、そういうような形で御説明願えませんか。
  252. 福田赳夫

    福田国務大臣 まず、仕事の能率をよくするもとを作らなければいかぬというので、生産基盤の強化ということを総合的にやるわけです。これは、土地改良事業を中心にいたしまして、その他もろもろの事業をやるわけでございます。さようことをいたします。それからまた、できた品物がよくさばけなければならぬというので、流通部門の対策、これも力を入れるわけであります。また、今までは、米は生産能率はいいけれども、畑地がおくれておるというので、畑地を基本にいたしました対策、果樹だとかあるいは酪農でありますとか、そういうような問題にも力を入れていく。さらに、農業生産が上がるというだけでは私どもは満足できないのです。やはり、農業生産が上がると同時に、農家の二、三男なんかが就職がうまくいくとか、また、農家の人で希望する人は他の産業で大いに活躍してもらうというふうに施策を進めていくとか、いろいろのことが予算の中に入っておるわけであります。それから、同町に、これは予算にはないけれども、先ほど来申し上げておりまする通り、予算に掲げておりまする集団化、共同化という考え方と並行いたしまして、農業法人というような問題とも取り組んでいきたい、かような考え方をいたしておる次第であります。
  253. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 農業以外の方へ農家の二、三男を送り出すわけですね。そういうことが簡単に送り出し得るようなそういう時代ならば、私は、今日農家でいわゆる十分働き得ない労働力というものは農業の面だけでも農業生産物が多く販売されることによりまして相当程度消化し得るのじゃないか。ですから、ほんとうに人が農村で余ってくるというときには、農業以外の方でもその余った人を受け入れるということはなかなか至難じゃないか。そこで、考えられることは、これはたとえばですが、未墾地をどんどん開拓していって、そういうところへはめ込む、そして、そこでは、国内消費の作物だけじゃなくて、外国へ輸出でき得るもの、先ほど申し上げたくだものもその一つなんでございますが、こういう方面で新しい分野を開いたらどうかと思うんです。そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  254. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはまことにごもっともなお考えで、さような考えでおります。
  255. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 それでは、最後に、先ほど質問いたしましたときに御答弁がはっきりしなかったんですが、終戦当時から二十五、六年までの農作物の価格は日本の方が安くて外国の方が高かったものが、最近におきましては逆転してしまったわけですが、その理由につきましては、先ほども申し上げましたように、その点が解明されませんと、ほんとうに地についた農業政策というものはできないのではないか、私はかように考えておりまするので、この次の機会でもよろしゅうございますから、その点は一つ十分御調査の上御答弁願いたいと思います。
  256. 福田赳夫

    福田国務大臣 承知いたしました。
  257. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時五分散会