○帆足
委員 戦争中に疎開の専門家であったところの赤城さんから、こういうことを聞くとは意外であって、私は、こういう論議こそがまじめな安全保障についての論議だと思うので、私は、全
国民がこれを聞いてもらいたいと思います。そうして、今の赤城さんの答弁では、
日本の防衛庁
長官の戦略に対する認識、近代科学と立地条件に対する認識、その教養の水準というものが現われて、
日本国民は、ほんとうに一人々々がまじめに
考えるならば、これは大へんだと、こう思うでしょう。
アメリカは、基地に選んだ場所からは疎開する準備をしておる。基地の周辺の人たちを、どこに疎開させるかということを
考えずして基地を設定するということは、私は、無責任であるだけでなくて、犯罪的行為だと思います。もし基地というものが、日米共同して守るから安全なものであるとするならば、
アメリカ上院議員の奥さんやお嬢さんたちを、基地に参観交代さしたらいいでしょう。もちろん、一番かわいらしい奥さんとお嬢さんに基地周辺に住んでいただけば、
アメリカも慎重になるでしょう。私
どもは、近代戦略のたくさんの
歴史を見まして、基地というものはいかにたやすく見捨てられたか、いかにたやすく破壊されたかという
歴史を、たくさん皆さんとともに知っておるわけです。近くは、満州国の
国民だってそうでしょう。
アメリカが、皆さんのような五十男がかわいいわけでもなし、
日本がそれほどかわいいわけでもない。
アメリカの安全のために、
日本をどう利用しようかということである。しかし、
アメリカのその利用しようとする力を、私
どもが、保守政党の諸君が正当に評価して、その力も誠実に活用するということについては、それも
一つの
考え方でしょう。しかし、それならばそれで、やはり
日本の運命を
考えながら、そこへ限界というものを置いて、一辺倒、べたぼれするのではなくして、こういう点では
アメリカの世話になるけれ
ども、こういう点においてはブレーキを置いておこうという慎重な
考慮がなくしては、私は大和民族と言えないと思うのです。きょう、
古井さんは、そうなっていないと言っている。与党の中でも最も頭脳明晰なる、最もいい議論をしたのは
古井さんだと思うのです。そして、そういう点が十分でない、少なくとも、十分でないから
考えてくれないかという意見があったと思うのです。ですから、野党たるわれわれが最も強くこれを強調するということは、当然のことでしょう。私は、時間がありますれば、これから順々に赤城さんと話し合って、どういう点があぶないかということを、客観的事実をとらえて
話し合いたいと思います。そして、一民族の永遠の生命というものは、時の
内閣の
一つや
二つがつぶれようと、つぶれまいと、そういうことはどうでもいいことです。ほんとうを言えば、自民党も社会党も、党派の争いなんというものはどうでもいいことです。しかも、原爆とミサイル、人工衛星、まるで夢見るような時代にわれわれは生を受けて、そして、この人類の重大な過渡期に、東西会談がまさに始まろうとしている。軍備の全廃すらが、人類の日程に上ろうとしている。十五年前に、
日本に朝鮮も台地も満州もなくなつて、連隊旗はこたつぶとんになるなどと言った者がいたならば、おそらく監獄にぶち込まれていたでしょう。それより以上の大きな
変化が起こって、その
変化は今でもまだ続いている。こういうときには、私は、党派の争いを越えて、それでは、
日本の立地条件や、今日の原爆や、ミサイルや、人工衛星の進歩の
状況を、まず超党派的に、詳しく公聴会でも開いて聞こう、聞いた上で、その上の主観的判断において多少の相違があってもやむを得ない。きょうの
古井さんのような
お話ならば、私
どもは、意見の相違はあるけれ
ども、これは傾聴すべき問題である。保守といい、革新といい、人生に
二つの行き方があることは当然です。保守でもりっぱにやってもらいたい、平和にやってもらいたいというのが、の願いではないでしょうか。その願いから見ると、私は、今日の
内閣の行き方はー
最初は、藤山さんはそういうつもりでなかったと思うのです。藤山さんは、近衛さんのような人で、良識のある方です。しかし、いつの間にかずるずると深みに陥り、国際
情勢が急に変わってしまったというところにギャップがあるので、そのギャップは、与党内で相談して埋めるべきギャップであるまいかと私は思います。特に、ジェット機から最近ミサイルに移った移り方というものは、すさまじいものでありまして、最近、南太平洋に投ぜられました弾道弾は、射程距離一万四千キロ、その早さは音速の二十倍といわれております。過去において機械科兵団が動きましたときは、一時間にわずか五キロ、原子船の艦艇の機動力ですら、一時間に五十キロそこそこでしょう。ジェット機でたかだか千キロ、それが今では、一時間に一万八千キロの早さで走る。そして
ソ連の
——私は
ソ連をひいきせず、別に
アメリカをけなすわけでもありません。ただ事実として、
ソ連のミサイルは千三百キロですか、それに対して、
アメリカのミサイルはわずか十三キロ、月とスッポンといわれています。一体、
アメリカのミサイルに原爆が載るのでしょうか。私は、
ソ連が千三百キロの人工衛星を持っておるから、そして、それに原爆がしつらえられるからといって、力をもって世論をリードしようとするならば、われわれにとって不愉快なことです。しかし、同時に、
アメリカが、またそれに対して、自分の
立場をまじめに
考えて、これは力と力では人類の破滅である、
話し合いでいかねばならぬ。もうそごに今来かかっている。共産主義者は、ワシントンなどうろうろすれば、昔は死刑か無期懲役になった。そのフルシチョフ氏が、その共産主義者が、もう言いたいほうだいのことを、ワシントンやニューヨークに行ってテレビやラジオでしゃべる。逆に、アイゼンハワーが今度モスクワに行く。八年前に、私が初めて、皆さんの妨げを、岡崎さんでしたかのじゃまを排除しまして、合法的にモスクワに参りましたときに、私は、北斗七星を見ながら、一体、なぞの国というものが世の中にあるだろうか、ある国がなぞと見え始めたなら、その民族の理性がすでに曇っている証拠ではないか、なぞというものは現在にあるはずはない。やはりこの目で見、この目で感じ、敵を知り、われを知り、百戦危うからず、そう思って八年前に参りましたけれ
ども、今では、アイゼンハワー大統領その人ですらが、モスクワを訪問する時代になっているじゃありませんか。(「無声映画時代だ」と呼ぶ者あり)無声映画時代と言いますけれ
ども、まさに、そういう時代だ、まさにそういう時代でしょう。映画を見ているような時代です。活弁や浪花節語りよりもっといいでしょう。こういう時代でありますから、私は、ミサイルの性能について、もう少しつまびらかにしなければならぬ。
そこで、赤城
長官に伺いたいことは、最近の科学の進歩からいえば、三万フィートー今度のは六万フィートですね。六万フィートのあの黒いジェット機が落とされることは、これはあたりまえのことだと思うのです。御
承知のように、人工衛星は月
世界に向って一億数千キロの旅をしました。五十万キロ離れているときに、なお宇宙ロケットは地球上のモスクワに通信を送っていたといわれています。そうだとすれば、黒いジェット機のごとき落ちてしまうのは、これはあたりまえのことです。おそらく、しっぽか羽根をやられて、斜めにこうきたときに落下傘で落ちたのでしょう。誘導技術、それから、最近における電波トンネルの技術の進歩など、驚くべきものです。私は、皆さんと一緒に、こういう問題についてのまず専門家の公聴会を、明日の公聴会に引き続いてやってもらいたいと思います。従いまして、
長官にお尋ねしますけれ
ども、現在、
長官は、
ソ連のミサイルと
アメリカのミサイルの性能について、どういう認識を持っておられるか、その一端だけでも何っておきたい。