○竹谷委員 しからば、
お尋ねをしたいのでありまするが、昭和三十二年五月七日、参議院内閣
委員会において、秋山長造君が次のように岸首相に質問をいたしました。すなわち、端的にお伺いしますが、「
自衛の
範囲内ならば、あるいはきわめて小型のものならば、あるいは防御的なものならばというようにワクさえつけば、核兵器を用いてもあえて
憲法違反ではないというようにお
考えになっているのかどうか。」こういう質問を秋山長造君がなすった。これに対して
総理は、「今日われわれの普通に核兵器と
考えられている原水爆やこれを中心としたようなもの、これはもっぱら攻撃用の性格を持っているものであると思いますが、そういうものを用いてはならないことはこれは当然でありますけれ
ども、ただ
言葉だけの観念でもって、核兵器と名前がつけばいかなるものもこれは
憲法違反と、こういう法律的
解釈につきましては、今私がお答え申し上げましたように、その
自衛力の本来の
本質に反せない性格を持っているものならば、原子力を用いましても私は差しつかえないのじゃないか、かように
考えております。」こういうふうに原子力兵器、核兵器の是認の
答弁がありました。これに対しまして秋山君は、続けていわく、「私は重大な御発言を今初めて聞くんですが、原子力を用いた兵器でも
自衛の
範囲内ならばかまわない、これはその通りなんですか。原子力兵器を用いてもいいのですか、
自衛ということならば。」こう質問しましたところ、岸首相は「問題はわれわれがあくまでも
自衛力の
範囲であり、
自衛力というワクを越えないということが、
自衛権の
範囲を越えないということが
憲法の
精神であって、やはりそういう
意味における科学の発達というもの、技術の発達というものについてそれを一切制約するというものではなしに、
自衛権という本来の
本質ですべての兵器というものの性格をきめるべきものである、かように
考えております。」これはそのときの質問応答の一節でありまするが、この速記録を見ますると、昭和三十二年五月には、岸首相は、
自衛の
範囲内ならば、兵器の日進月歩の今日においては、
自衛の
範囲内というワク内であるならば、原子兵器も核兵器も用いることもあり得る、こういう
意味の
答弁をしたものと受け取れるのでありますつるが、今首相は、核兵器は一切
憲法違反である、また三月十六日の私に対する
答弁においても同様のお答があったのでありまするが、この昭和三十二年五月七日の参議院内閣
委員会におけるときのこの
答弁を、その後変更せられたのであるかどうか。前のは間違いであった、核兵器は一切
憲法違反である、このように今はお
考えになっておるのであるかどうか、
お尋ねをいたしたいのであります。