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藤山国務大臣 現行の行政協定を見てみますと、御承知の
通り、占領下にありまして、それに引き続いた諸般の問題がございましたので、今日の時代になりましてこれを見ますと、
条約を自主的な立場で検討していくと、同じような立場でこれを見ますと、相当に改正を要する点があると思うのであります。従いまして、そういう
点等につきましては、できるだけ
日本の自主性のもとにこれを改善していく、しかも、それが他のNATO諸国、その他同種の協定等に見劣りをしないものにしていく、また、今
お話しのように、
日本の特殊性というものも考慮に加えて参らなければならぬのであります。
それらの点を頭に置きながらこの改正をいたしたのでありまして、今回の改正の主たる点を申し上げますと、第三条におきまして、御承知の
通り、今日の行政協定におきましては、
施設及び
区域に関して
米軍が権利、権力、権能をふるい得るというようなことになっておりますのを、今回は、「管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」ということに改めたわけでございます。同時に、
施設、
区域外で、やはりアメリカが権利、権力、権能を行使するようになっておったのでございますけれ
ども、今回は、
施設、
区域外の場合におきましては、
日本側は措置をとることにいたすことが原則であることを、明らかにいたしたのでございます。
また、第十一条における税関検査免除
範囲等につきましても、他の国のこの種協定等の実情も参照いたしまして、
日本の立場を、より自主的な立場からこれを改正することにいたしたのでございます。
また、第十二条におきます雇用
関係の問題でございますけれ
ども、今日では直接雇用と間接雇用とが、現行
安保条約にはございます。直接雇用につきましては、いろいろ問題も過去にございます。進駐軍労働組合等からもいろいろな意見がございましたので、われわれは、それらのことを参考にいたしまして、間接雇用ということに、原則としてこれを切りかえることにいたしたのであります。
また、保安解雇に関する規定等につきましては、従来の実績から見まして、わが国におきます諸般の事情も、これを考慮して参らなければならぬのでございますから、それらについて適切な措置を今回の協定においてはとることにいたして、そうして改善を加えていったのでございます。
また、いわゆる十四条契約者と申しております特殊契約者の特権等につきまして、あるいはその指定等につきまして、
日本側に対して不利にならないように、しかも、アメリカ駐留軍が
日本において十分な便宜を得られながら、しかも
日本側の不利にならないように、これを改正することにいたしたのでございます。
なお、第十八条の民事請求権に関する規定につきましては、相当改正を要する必要があるわけでありまして、特にこの点については、他の例から後ほどいずれこまかい点については申し上げることになろうかと思いますけれ
ども、これらについても改正を加えたのでございます。
なお、行政協定二十五条のb項であります
防衛分担金の削除ということをいたしまして、今日まで
防衛分担金を
日本が分担いたしておりましたもの等につきまして、それを今後は分担いたさないようにいたしたのであります。
以上のような点がおもな点でございまするけれ
ども、小さな点についても、まだいろいろな改善を加えておるのでございます。こまかい点につきましては、いずれ御
質問に応じて
お答えをいたしたいと思います。