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1960-03-03 第34回国会 衆議院 逓信委員会有線放送に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十五年二月二十三日(火曜 日)委員会において設置することに決した。 二月二十三日  本小委員委員長指名で次の通り選任された。       秋田 大助君    淺香 忠雄君       佐藤洋之助君    進藤 一馬君      橋本登美三郎君    平野 三郎君     早稻田柳右エ門君    小沢 貞孝君       片島  港君    森本  靖君       大野 幸一君 同日  淺香忠雄君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 昭和三十五年三月三日(木曜日)     午後一時二十三分開議  出席小委員   小委員長 淺香 忠雄君       進藤 一馬君   橋本登美三郎君       小沢 貞孝君    片島  港君       森本  靖君  出席政府委員         郵政事務官         (電波監理局         長)      甘利 省吾君  小委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     野村 秀雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   春日 由三君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  有線放送に関する件      ――――◇―――――
  2. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員長代理 これより会議を開きます。  小委員長所用のため、私が小委員長の職務を行ないます。  有線放送に関する問題について調査を進めます。  本日御出席参考人は、日本放送協会野村会長前田小野専務理事春日経理局長の四名でございます。  なお、会議を進める都合上、参考人から一応お聞きしたいと思うんですが、参考人から一つこういうことをお話し願いたいと思います。  ラジオ聴取料の最近の傾向及び将来の対策有線放送ラジオ設置数並びにその個数有線放送ラジオに対しての将来の対策及び今後の措置、これらを中心にして参考人からの御意見を一応拝聴したいと思います。  なお、資料がありましたら、配付願います。
  3. 小野吉郎

    小野参考人 お答えを申し上げます。  四件に関する御質問でございますが、まず第一点のラジオ聴取料の最近の傾向及び将来の対策についてでございますが、ラジオ聴取者自体といたしましては、これは決して減退をしておらないばかりでなく、増加を見ておると思うのでありますが、NHK収入の前線になっております放送法にきめられました契約の件数といたしましては、目下漸減傾向にございまして、昭和三十四年度予算関係で申し上げますと、御承認をいただきました予算におきましては、ラジオ受信料を六十七円から八十五円に改訂いたしまして、なおかつ十万の増加を見込んでおったわけでございますが、実際の実績といたしましては、最近までの状況で約九十万の減少を見ております。そういう面で、予算との関係におきましては、十万の増が逆にそれだけの九十万の減少になっておりますので、百万程度減少を今日見ておるわけであります。今年度内の情勢を推測いたしますと、おそらく百万をいささかこえる減少を見るのではないか、かように考えられるわけであります。その原因がどういうところにあるかと申しますと、大勢といたしましてはやはりテレビジョンの急速な普及によりまして減少を見ておるようであります。事実こういった減少に対しまして協会事業運営基礎になります収入に非常に影響のある問題でございますので、極力そのようなことを防止いたしますためにあらゆる施策を講じておるわけでございまして、その面ではきわめて強硬なそういった措置をとりつつあるといったような不平を聞かないでもないのでありますが、そういった措置法律上の限界もございますし、なかなかそういうような点につきまして十分とはいかないかもしれませんが、その際におけるいろいろ御事情を聞いてみますと、やはりテレビをつけたからラジオは聞かないのであるというような意向が圧倒的に多いのであります。     〔橋本(登)小委員長代理退席進藤委員長代理着席〕 その他ラジオの故障を理由にされる方方もございますが、大体におきましてはテレビを見れば用が足りるのでラジオを聞いておらない、従ってこれを処分しておるというようなケースが非常に多いわけでございます。そういう状況ラジオ契約数がかなり激減を見ておるというような情勢でございます。  これに対して将来の対策でございますが、この対策を立てますためにいろいろそういった減少の実態をほんとうに調査いたしますためにいろいろ手を尽くしておるわけでございまして、今日まだそれに対しまして的確に対策根拠に取り得る確信があるというようなことはまだつかみ得ないのでございますが、そういった面を早急につかみまして収入源の確保につきまして有効適切な措置を考えなければならない、かように考えておる次第でございます。  お尋ねの第二点でありますが、有線放送ラジオ設置数並びにその個数でございますが、この点につきましては資料昭和三十四年の一月三十一日現在のものしかただいま手元にございません。これで申し上げますと、施設の数といたしましては共同聴取の数が千二百九十六というようになっております。このほかに有線放送電話施設を持っておりますものが千八十四ございまして、合わせまして二千三百八十ございます。それに対しまして加入者の数が何名くらいあるかと申しますと、共同聴取施設のみの者が三十二万七千七百四十、電話の付置いたしております者が六十三万八千四百九十二でございます。両方合わせまして九十六万六千二百三十二、約百万ございます。これに、内訳でございますが、単独受信機所有者と、そうでなく、そういったホームセットを持っておらないで、この施設につながったスピーカーだけのものと両方ございます。試みにこれを分けてみますと、スピーカーだけを持っておりましてホームセットのないものが、共同聴取施設のみにつきましては二十一万五千七百五十三でございます。電話の付置いたしておりますものが六万八千三百十九でございまして、合わせまして二十八万四千七十二、約三十万でございます。今の電話のあるなしにかかわらず、そういったスピーカー施設もあり、他にまたホームセットを持って、一般のラジオ受信者と同様に単独にそういった受信機を所持いたしております者が、共同聴取施設につきまして十一万千九百八十七、電話のついております者が五十七万百七十三名ございまして、合計いたしますと六十八万二千百六十名でございます。これをパーセンテージで申し上げますと、ざっと七〇・六%はホームセットを持っておられる。残余の者がホームセットなしにスピーカーだけで聞いておられるというようになっておるわけでございます。     〔進藤委員長代理退席淺香小委員長着席〕 さらにお尋ねの第三点でございますが、有線放送ラジオに対しての将来の対策及び今後の措置をどうするかというお尋ねでございますが、この点につきましては、今回編成いたしました予算、ただいま御審議をいただいております予算内容といたしましては、こういった有線放送ラジオ聴取者に対するいろんな便益の問題等も考えまして、在来もささやかながらやって参ってはおるのでございますが、これを強化いたしまして、この施設運用なり技術的な面につきまして、力添えをいたしたいというような点も考えまして、約一億六千万円余の歳出項目予算を計上してあるわけでございます。しかしこの関係につきましては、在来いろいろ問題がありまして、いろいろ御指示も得て参っております。このような施設についてまるまるの受信料を徴収することの可否につきましては、ここ相当前から問題になっておるわけであります。そういった諸問題点はよく承知をいたしておるのでありますが、そこにいろいろ困難な問題もございまして、かたがた、かりに減額をいたすとしますと、その減額の理由なり、在来NHKといたしまして郵政大臣の御認可を得まして、一定の基準によって減額免除措置をいたしております方策、それとの関連等も考えまして、いろいろ方針の上から申しましても、またその他実際これが取り扱い等の面につきましても、問題点はよくわかっておりますが、そのような措置をいたしておりません。先ほど申し上げましたように、施設に対する技術的な援助というような意味合いにおきましてそのような金を盛ったのでありますが、その編成の過程等を通じまして、いろいろ、そのような技術的な援助よりも、むしろ直接これは減免の方面において考えるべきだというような御意見も承っております。このような面は、いろいろと御意見によりまして善処いたしたいとは思うのでございますが、これも三十五年度予算をすでに編成いたしておりまして、そのワク内にかかる問題ではございますが、こういう点につきましても、技術援助というような面で金としては一億六千万円の金を盛ってございますので、これをどのように予算執行上におきまして措置したらいいかという点はあろうかとも思います。  以上、はなはだ簡単でございますがお答えを申し上げます。
  4. 淺香忠雄

    淺香小委員長 質疑の通告があります。これを許します。橋本登美三郎君。
  5. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 時間もありませんが、二、三簡単に質問をしておきたいと思います。  電波監理局長にお聞きしたいのですが、このスピーカーに対する料金徴収根拠ですが、御承知のように第三十二条で「協会放送受信することのできる受信設備を設置した者は、」とある。この「受信設備」という範囲をどの程度までに解釈しておるか、これをお聞きしたい。
  6. 甘利省吾

    甘利政府委員 三十二条で「受信することのできる受信設備を設置した者は、」とございますが、それを受けまして放送法施行規則の第五条で、受話器スピーカーブラウン管受信設備に入る、これで一応受信設備というカテゴリーに入れてあります。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 そうしますと、スピーカー単独の場合でも受信設備というのですか、それとも真空管その他を含めたものを一つセットとして受信設備と言っておるのですか、その点を。
  8. 甘利省吾

    甘利政府委員 これはもっぱら機械的な構造、そういうものにとらわれずに、要するにNHK放送がそこから音になって出てくる、そういう機能があれば、それが一つ受信設備である、こういうふうに解釈しております。
  9. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 実はこの問題で小委員会を作る必要があったのは、御承知のように国会に対して、軽減措置を講じてもらいたい、こういう請願が十数件前国会からあったのであります。当時臨時国会でもありましたので、審議期間がありませんでしたが、本三十五年度の予算を決定するにあたって、あらためて当委員会でもこれらの問題を処理する必要に迫られて、小委員会が設けられたのであります。そこで、この受信設備範囲は、日本放送協会放送受信規約の第三条では「受話器拡声器又は受像管拡声器を含む。)」とあり、これは一応別個一つ受信設備とすることができるのですが、その協会規約というものと放送法の言っておるところの受信設備とは同じ意味解釈してよろしいのですか、それとも政府はこれは別個解釈を持っておりますか。
  10. 甘利省吾

    甘利政府委員 放送法の第三十二条を受けて施行規則第五条で受信設備を定義しまして、さらにそれを受けてNHKとして契約範囲を内規できめまして、郵政大臣認可を得た上で徴収しておる、こういう形になっております。
  11. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 一応法的には現在の有線放送による設備スピーカーに対して料金を徴収する、いわゆる契約をすることができる、こう解釈してよろしいわけですね。
  12. 甘利省吾

    甘利政府委員 その通りでございます。
  13. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 そうしますと、請願で言うところの軽減措置を講じられたいという根拠はだんだんなくなる。実際問題としては、世論が非常にやかましいのですが、もしスピーカー一つだけでも受信設備だという郵政省解釈であれば、請願の趣旨は成り立たない。料金体系というものを、ただ単に政治的な考慮でこれを軽減するということになれば問題だろうと思うのです。この受信設備解釈について、過去の解釈はともあれ、今後なおかつ郵政省がそういうふうにしておくとすれば、オール・オア・ナッシングになってしまうのですが、そういう点に対する解釈の相違ですね。従来そう解釈しておったという点はそれでいいのですが、そういうような世論並びに実情を考えて、これをどう考えていかなければならぬかということについて御見解があれば伺っておきたい。
  14. 甘利省吾

    甘利政府委員 現行の規定におきましては、徴収契約対象になることは当然明らかでございますが、一面、現在でもすでに免除等措置を講じておるものがございまして、これは主として社会政策的な意味からやっておるわけでございます。従って、そういう範疇に入るものであれば、在来方針に照らして減免措置ということはあり得るかとも思いますが、有線放送といったようなものを免除する場合に、それが全部はたして社会政策的な意味からくる免除であるかどうかという点になりますと、いささか問題もあろうかと思います。要するに、こういう公共放送というものを日本で維持していくという原則、それの財政基盤は何でまかなうかということを考えますと、それを受信し得る設備をできるだけ広範囲につかみまして、それらが平等に費用を負担する、こういう建前を郵政当局としてはとっております。平等に取るということがはたして公平であるかどうか、その辺はいろいろ議論もあるかと思いますが、公共放送財政基礎を確立するという点から、現在のところはそういう方針をとっておるような次第でございます。
  15. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 私にはなお疑問があるのです。三十二条の受信設備というのと放送法施行規則省令ですか、その場合の受信設備放送受信する受信機に連接する受話器拡声器及び受像管を含むものとする。」この解釈ですが、この放送受信設備受話器拡声器及び受像管を含むものが一体となって受信設備というのではないのですか。それとも拡声器だけでも受信設備と言い得るのですか。ここのところをもう少し明確にしていただきたい。
  16. 甘利省吾

    甘利政府委員 この「放送受信する受信機」これは完全に一つ受信機でございますが、さらにその受信機に連接された受話器拡声器というのがまた一つ受信単位として受信設備である、こういうふうに解釈しておるわけであります。
  17. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 この放送法に対して政府自身解釈を下して省令として出しておるのですが、この省令の設定について、放送法三十二条一項の受信設備範囲を越えた解釈をしておらないか。いわゆる料金を設定する範囲をきめるという目標のために特にスピーカーでも取れるような省令をきめるための案文ではないかとも解釈されるのです。従って、そういうものを入れないという省令になればスピーカーは金が取れない、こういうことになるではないですか。そういうものに対しても料金契約を可能にするために受信設備を拡大解釈していはせぬかと思うのです。省令はあなた方が勝手に作るのでわれわれの審議対象にならないわけですが、われわれは、受信し得る装置や受像管ブラウン管ですか、こういうもののないものはどうも受信設備とは言えぬのじゃないかという解釈に立つのですが、省令においてはただ三十二条の契約を可能ならしむるために特にこれは取り上げて書いてある。この五条で「本文の」というのは、特にスピーカーのようなまぎらわしいものがあるので、これは一種の受信設備にするのだという認定を与えるための根拠だと思うのですが、その点はどうですか。
  18. 甘利省吾

    甘利政府委員 確かに橋本先生のおっしゃるようなことだと考えますが、しからば受信設備というものの線をどこに引くかということになりますと、これがまた受信機そのものの性能のよしあし、あるいはその選択の自由か不自由か、ひいては受信状況がよいか悪いかというようなところまで問題が発展しまして、要するにどこに線を引いてそれを受信単位とするかという一つ解釈論でございますので、それは技術的に言った受信設備と言い切れば、それはもうアンテナからスピーカーなり何なり全部そろったものが確かに一つ受信機でございます。そういう受信機でなければ聴取料対象にしないというきめ方もまた一つの行き方だろうとは思いますが、有線放送の当初においては、無電地帯等親受信機から各家庭にそれを引きまして、ほんとう意味放送共同聴取という形で完全にエンジョイしてきたのが、始まりでございますので、そういう場合にそれが受信機でないとは言い切れないというわけで、その機能的に見た、要するにNHK放送が聴取できるという、世帯ごとにそういう設備が設置してあれば、それを一つ聴取単位にする、こういう考え方受信設備範囲をきめたものでございます。
  19. 橋本登美三郎

    橋本(登)小委員 局長のおっしゃることはよくわかります。私も、当時の発生的な原因、こういうことからして始まったNHKの経営の基礎というものから考えて、かなりそういう点についても無視ができなかったということだろうと思うのですが、ただ法律上で言う受信設備という言葉は、これをどれにひっかけるかといえば、電波法上における受信機とか、電波法上に言うところの言葉に相通じなくちゃいかぬと思う。そこで、ここで言う省令の第五条は、そういうのは無視して、料金対象としてのものに限ってきたから、非常に受信設備というものを拡大解釈してきたというようなことだろうと思うんですね。ことに、この省令なりが問題になってきたのは、民放等がまだ十分に発達していない時期にこういう省令をきめる必要があった。最近では、御承知のように、NHKでも、第一波、第二波が盛んに放送せられるのみならず、各民放が波を出している。こういう完全なる受信設備を持たないものは、これに対して選択する能力を持っていない。従って、いわゆる受益者から見れば、非常にかたわのものを持って一人前の料金を取られる、こういう結果になっているわけなんです。こういうことから、いろいろ社会的には、こういうものに対して金を取ることは無理じゃないかという議論が出て参ったろうと思う。しかし、また法律の上からいっても、法律で言う第三十二条の受信設備というものは、どうも当時から問題があったんですが、もちろん、これは時代の進化によって、機械内容が変わっていくことはわかっておる。最近はトランジスターのようなものになってきていますから、必ずしも有線の、電気がなくとも、いわゆる蓄電池といいますか乾電池でもって、これが聞ける。しかしながら、やはり波を受けるだけの設備がそれ自体になければ、受信機ともいえない。ですから、ここで言う受信設備というものは、やはり波を受ける能力のあるものがまずなくちゃいかぬのじゃないかと思う。声さえ出ればというのでなく、やはり根本としては、どういう形でもいいが、波を受ける能力のあるもの、それがやはり受信設備の中の中心になるだろうと思う。ですから、スピーカーをもって受信設備であるということには、どうも私は無理があるんじゃないかと思う。ただ、発生的な原因からいけば、当時そういう解釈をしていく必要もあったけれども、最近のように、ポータブルといいますか、トランジスターラジオが発達して、そういう地区においても近くに放送局があれば聞ける。かつては、そういうようなポータブルあるいはトランジスターラジオというものがなかったものですから、線を張って電気を通じなければ放送を受けることができなかったのですが、最近は情勢が変わってきたんですね。そういうことから、いわゆる将来、有線放送がだんだん伸びていくか、あるいは短くなるかわかりませんが、最近の傾向からいえば、有線放送だけのものは伸びないで、当然トランジスターなり、あるいは小型のポータブルに変わってくるんじゃないかと思う。そういうような機械変化及び社会情勢変化から見て、従来の第三十二条を受けての放送法施行規則の第五条には無理があるんじゃないか。この点の改正がなくして、請願がいうように有線放送だけについては軽減措置を行なえといって、もしこういう措置規則もしくは法の改正を行なわずにやるということになれば、料金体系をくずしてしまう、私はそれが非常にこわい。金額が一億五千万とか三億の問題は問題じゃなくして、そういうことになれば、国会が扱えば何でもできるということ。女を男にすることもできるということがよくいわれるのですが、そういうことが行なわれるようになれば、これは一ラジオの問題じゃなくして、他の問題についても大きな問題になる。ですから、NHK当局の方で、軽減措置のことについても幾らかその措置があるようなことを言われましたが、そういう考えでこの問題を取り扱うことは非常に危険がある。ですからして、あくまで料金体系は厳格にして、そうしてこの前出ておるような生活保護対象になる者、いわゆる減免措置は特殊な場合に限るのだ、特殊な場合というのは、原則としては社会政策的な意味である、こういう意味減免措置が講ぜられるのはいいが、それ以外に何か政治的な考慮とか、その他の事情減免措置が講ぜられるということになると、料金体系がくずれる。こういうふうに私は考えておるのですが、これについての政府当局考え方を伺いたい。
  20. 甘利省吾

    甘利政府委員 先ほどの放送法施行規則で定義する受信設備というものと、この減免措置とは、一応関係なく、これは別個の社会政策的な意味で、特に契約対象外にするように郵政大臣認可を得てやっておるわけでございますので、要するに今先生のおっしゃいました、最終的にこういう有線放送のような形のものを受信設備というカテゴリーからはずすという意味合いにおいて、いわゆる放送対象から切り離す、確かにそれは一つ考え方と思います。元来、放送というものは、不特定多数の者が直接受信できるというようなのが放送の本来の使命だろうと思いますので、ある一カ所で受信しましてこれを有線で送るということが本来の放送受信機であるかどうか、これは確かに考究してみる必要はあると考えております。
  21. 森本靖

    森本委員 有線放送関係論議をせられて参りまして、この小委員会でも大体の結論をつけるためにやるわけでありますが、ここで政府当局にも言っておきたいことは、それからこれはNHKもそうでありますが、「有線放送施設関係資料」というので有線放送というものを今ここで論議をされておるのは、有線放送電話の問題であって、本来の有線放送の問題じゃないわけであって、その辺をごっちゃにせられぬようにしてもらいたい。今この委員会において問題にしておるのは有線放送電話である。御承知のように法律が二つあるわけでありまして、有線放送業務に関する法律と、有線放送電話に関する法律と二つあるのであって、その有線放送業務の件については現在全然問題になっていないわけでしょう。有線放送業務に関する問題については受信料を取ってないでしょう。有線放送電話に取っておるのであって、スピーカーは取ってないはずです。
  22. 小野吉郎

    小野参考人 NHKでただいまいただいておりますのは、NHKラジオを聞き得る状態にありますところの受信設備からいただいておるのでありまして、これは電話とは関係はございません。有線放送自体放送を受けまして、それをさらに各戸有線でもって流してやる、こういうものを……。
  23. 森本靖

    森本委員 よく聞きなさい。私が言っておるのは、各戸にいっておるのは、スピーカー、テレフォンがいっておるのであって、みんな勘違いしている。有線放送というのは、部落々々にスピーカーを置いてやっているわけであって、あれがこの有線放送業務運用の規正に関する法律であって、今問題になっておるのは、有線放送電話に関する問題で、そのスピーカーとテレフォンが両方ついておるのを言っておるわけでしょう。だから、実際の本来部落についておるスピーカーだけの部分については、問題になっていないでしょう。
  24. 小野吉郎

    小野参考人 親受信機については、それからいって各戸に流れておりますから……。
  25. 森本靖

    森本委員 それだけ取っておる。
  26. 小野吉郎

    小野参考人 そうでなく、各戸に取っております。個々の加入聴取者、これから取っておるわけです。
  27. 森本靖

    森本委員 各戸じゃないのだ。それは各戸にはないんで、部落々々に、その部落に一つか二つ有線放送スピーカーを備えてやっておるわけであって、これは取りようがないのです。今の問題になっておるのは、有線放送電話に関して、スピーカーと一緒につけておるわけだが、それに入っていくやつの、その前の要するに街頭にあるところのスピーカーは取りようがないと思う。一軒々々取れるはずがないわけです。それをみなごっちゃにしておる。それは部落に一つか二つしかないわけであって、かりに受信料を取るといったところで、一体だれから受信料を取るかということになるわけであって、それをやってないと思うのです。それは取ってないはずだ。それをはっきりして下さい。
  28. 小野吉郎

    小野参考人 街頭の関係につきましては、そのもとでありますこれは一つだけいただいております。あとは、そこから引かれております――これは電話のついたものもありますし、また電話はまだつけていなくて、各戸スピーカーだけでラジオを聞いておられる向きもあるわけです。これについては各戸にいただいておるわけです。
  29. 森本靖

    森本委員 だから、私が言っておるのは各戸にそれぞれ引いておるのを、有線放送についてはやっておるけれども、その有線放送各戸スピーカーだけというものは、このごろはほとんど少なくなってきて、実際問題としては有線放送電話の問題がほとんど問題になって、街頭におけるものは、それぞれの部落々々につけておるわけであって、実際のスピーカーによるいわゆる各戸にいっておるものは、今は全体の数からいってごく少数でしょう。
  30. 小野吉郎

    小野参考人 先ほど申し上げましたけれども、こういった施設で聞き得る状態にありますものが約九十六万あるわけでございまして、この中で七〇・六%のものが完全なるホームセットになっております。従いまして、これは普通の受信機のものと同様に取れるわけでありまして、あとの三〇%弱のものがスピーカーだけでありまして、ホームセットでなく聞いておるわけであります。これが約三十万近く今日におきましてもあるわけであります。
  31. 淺香忠雄

    淺香小委員長 次会は来たる十日木曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時四分散会