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1960-04-27 第34回国会 衆議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十七日(水曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長 佐藤洋之助君    理事 秋田 大助君 理事 淺香 忠雄君  理事 進藤 一馬君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 片島  港君 理事 森本  靖君    理事 大野 幸一君       上林山榮吉君    藏内 修治君       田中 角榮君    寺島隆太郎君       平野 三郎君    渡邊 本治君       原   茂君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植竹 春彦君  出席政府委員         郵政政務次官  佐藤虎次郎君         郵政事務官         (大臣官房長) 荒巻伊勢雄君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         日本電信電話公         社営業局長   大泉 周藏君         日本電信電話公         社計画局長   伊藤  誠君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  山本 英也君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 四月十四日  委員風見章君及び小沢貞孝辞任につき、その  補欠として八百板正君及び吉川兼光君が議長の  指名委員に選任された。 同月十五日  委員堤ツルヨ辞任につき、その補欠として池  田禎治君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員吉川兼光辞任につき、その補欠として小  沢貞孝君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十三日  児島電報電話局自動改式に伴う職員の配置転  換の実施期間延長に関する請願外七十九件(中  原健次紹介)(第二三三三号)  同外七十七件(山崎始男紹介)(第二三八五  号)  特定郵便局制度撤廃に関する請願石村英雄君  紹介)(第二三五八号)  長野県下における電話網整備強化に関する請  願(井出一太郎紹介)(第二四〇七号)  簡易郵便局法の一部改正に関する請願池田清  志君紹介)(第二四六九号)  淡路島内市外線洲本電話局集中化等に関す  る請願永田亮一紹介)(第二四七一号) 同月二十一日  富山県水橋町中部地区に無集配郵便局設置の請  願(鍛冶良作紹介)(第二五六七号)  指宿湊郵便局普通局昇格に関する請願上林  山榮吉紹介)(第二五六八号)  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案等  反対に関する請願帆足計紹介)(第二八三  二号) 同月二十六日  洲本炬口外地区内に特定郵便局設置請願  (渡海元三郎紹介)(第二八五四号)  は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六八号)      ————◇—————
  2. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告があります。これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 この日本電信電話公社法の一部を改正する法律案については、すでに大臣から提案理由説明を受け、松田監理官から逐条説明を受けておりますので、それに従って私の方から質問を進めていきたい、こう考えるわけでありますが、実はきのうの衆議院の本会議において、問題になっておりました設備負担法の問題も一応通過したわけであります。本来ならばそれについてもう一回この委員会に差し戻しを願いまして、この委員会において、あの施行期日の点について若干疑義の点がありますので質問をしたい、そう考えておりましたけれども、あまり法案がおくれておるということで、いろいろの方からの要請がありましたので、あの法案委員会に返らずに本会議を通過したわけであります。そこで、通過はしたあとでございますけれども、一応明らかにしておかなければならぬ点がありますので、その点についてまず冒頭に明らかにしていただきたいと思いますことは、昨年と一昨年の四月における電話架設状況というものはどうなっておりますか。
  4. 大泉周藏

    大泉説明員 詳しくは覚えておりませんが、おおむね二万程度と思っております。
  5. 森本靖

    森本委員 昨年も一昨年も二万程度ですか。
  6. 大泉周藏

    大泉説明員 詳細は覚えておりませんけれども、昨年は出足がややおくれておりましたが、季節の関係もありますし、大体似た程度だと考えております。
  7. 森本靖

    森本委員 昨年の予算における電話の総架設数幾らでしたか。
  8. 山本英也

    山本説明員 三十四年度予算におきまして出ておりましたのは二十八万であります。
  9. 森本靖

    森本委員 きのう通った法律はいつから施行になりますか、大臣
  10. 植竹春彦

    植竹国務大臣 四月二十八日になります。
  11. 森本靖

    森本委員 四月二十八日になりますか、妙な日になりますね、五月一日ぐらいにしたらどうですか。どういうわけですか。
  12. 松田英一

    松田政府委員 実はあの法律をできるだけ早く実施いたしまして、電話拡充に努めたいということで考えておりましたので、国会で議決をいただきまして、正式に官報に載ります最小限の日付ということでやって参りまして、それが二十八日になりますので、その日に施行いたすわけであります。
  13. 森本靖

    森本委員 それでは昨年の分についてお聞きいたしますが、当初予算二十八万ということであったら、おそらくそれを各四半期ごと計画に分けてやられるわけでありますが、その三十四年度の各四半期ごとに分けた計画というのはどうなっておりますか。
  14. 大泉周藏

    大泉説明員 ただいまここに資料を持ち合わせておりませんが、やり方といたしましては、新しくサービスを開始する局につきましてのものは別に計算いたしまして、その他のものは大体各月を平準化して割り当てるのであります。大体その程度でございますので、各月別のこまかい資料はございませんが、おおむね各四半期には四分の一程度早期開設を考えておりますから、少し早目になっておるというように考えております。
  15. 森本靖

    森本委員 今年の四月のきょう現在までに幾ら電話がついておりますか。
  16. 大泉周藏

    大泉説明員 実はその資料を持って参らなかったのでございますが、この状況を報告するようにと申しておりまして、ただいま持っておりますのは、十五日までの資料でございますが、加入電話といたしましては、一般電話臨時電話を合わせまして約四百でございます。
  17. 森本靖

    森本委員 臨時電話をのけて加入電話幾らですか。
  18. 大泉周藏

    大泉説明員 これは十五日までの資料でございますので不正確でございますが、それまでにつきましては二百四十三でございます。
  19. 森本靖

    森本委員 本年の電話加入予算幾らですか。
  20. 大泉周藏

    大泉説明員 三十七万でございます。
  21. 森本靖

    森本委員 その三十七万を十二で割ったら幾らになりますか。
  22. 大泉周藏

    大泉説明員 実はその計算と申しますよりも私たち計画を申し上げますと、今年度はできたならば四月には二万五千つけたいと考えておったのでございますが、施行になりますならば、できるだけこの予定の数に追いつかせたいと考えておる次第でございます。
  23. 森本靖

    森本委員 私は、これは非常に電電公社並びに郵政大臣責任だと思いますが、大体四月に二万五千つける。それから年間に三十七万ということでありましたら、それに応じての四月につけなければならぬ電話があると思います。これを四月の十五日までに、全国でわずか二百四十三しか電話をつけておらぬ。これは大臣、どういうことですか。
  24. 大泉周藏

    大泉説明員 大臣にお答え願います前に、事務当局の方の苦衷を御証明申し上げたいと思うのでございまして、実はこのことを甲すとまことにどうかと思うのでございますが、私たちは、この改訂第二次五カ年計画の初年度であります当年度では、ぜひ三十七万をつけたい、また弾力条項を入れ、外債の方を入れまして四十万ぜひつけたいと考えたのでありまして、国会の御意思が、おそらく予算ではそうしろという御趣旨と考えましたので、これができるための最大の努力を払いたいと考えたのでございます。ところが御承知のごとく、旧負担法と今度の拡充法では資本関係の入る金が違うのでありまして、旧負担法でつけますならばその資本関係歳入は非常に減って参るので、財源的に欠陥を生ずるのであります。それで四月中に電話法律施行にならないというような考え方もあったのでございますが、私たちとしてはもう間もなくだろうという考え方。それから旧負担法でつけてやったのでは三十七万というのはつけられなくなる危険がある。どうしても三十七万はつけたい。そこで工事の方をいろいろ差し繰りまして、とにかく準備万端整えて、もう少し待ったらばつく。なお同時に、私たちは、旧負担法でつけ得るものはどんどんつけるようにという指令も出しまして、無理のない形で三十七万をぜひつけていきたいと考えておったのでございますが、地方におきましては、実際各通信局状況を聞きましても、加入申込者方々の間の均衡問題等もございまして、なかなか施行期日が明確でない段階においてつけることは非常に困り難だ、少しつけ出すならばやはり相当な数をつけないと不均衡が起こるということを、私たちも非常に苦心をしておったのでございまして、郵政省当局に対しましても、この法案が通ったならば、できるだけ施行期日を早くしていただくようにお願いしておったわけでございまして、私たちはこの法律を通していただきましたからには、できるだけこの上半期以内にはこのおくれは完全に取り返すようにいたしたいと、苦心いたしておる次第でございます。
  25. 大野幸一

    大野(幸)委員 今電話架設するというお話がありましたが、ここで私は郵政大臣にちょっと聞いておきたいのですが、私たちもそういうことになるんじゃないかと思って、われわれの友党である社会党に反対立場をとって、衆議院議事を促進したつもりであります。それがなぜこんなに長くなったのか。そもそも参議院から大臣を出しているのは、参議院審議がスムーズにいくであろうということも考慮されておるのであろう。それで参議院にも大臣が割り振りされているのだろうと思うのですが、この点について参議院でなぜこんなに長引いたか。そうして公社に対しても迷惑をかけ、一般の大衆にも迷惑をかけた。こういうことになったいきさつをここで——あなたは冒頭話されたかしらぬけれども、一応釈明を願いたい。
  26. 植竹春彦

    植竹国務大臣 衆議院におきましては、詳細なる、御熱心なる御審議にもかかわりませず、万事万端予定通りに御審議を済ませていただきまして、まことに感謝にたえないところでございます。参議院に回付せられましてからも慎重に御審議下さいまして、あるいは委員会の開催のないときにも各自御研究、御検討下さって、委員会を開催せられた御都合のためにおそくなったことだと存じますが、私といたしましては、一日も早く御審議、御採決を願いたいということで、お願いを継続しておったのでございますが、幸い——日にちは、以上のような御都合からだと存じますが、かかりましたけれども、おかげをもちまして昨日最終決定が行なわれましたことは、まことに感謝にたえない次第でございまして、すみやかに御決定下さいました衆議院委員皆様に対しまして、深く感謝の意を表する次第でございます。
  27. 森本靖

    森本委員 大臣におってもらったらいいのですけれども政務次官がおりますから、私は大臣の代理として政務次官にお聞きをいたします。  先ほどの営業局長答弁を聞きましても、十五日までにわずか二百四十三しかついてないということになりますと、四月二十八日に法律が公布、施行されて、それから三十七万個一生懸命つけるということでありますけれども、実際問題として、電話というものは一日々々を争うものです。とにかく商売人になれば、二日、三日おくれるということによって、この電話から受ける利益は非常に大きな影響を来たすわけでありまして、四月につくものと五月につくものとは、経済的な影響力というものは非常に大きな差があるわけであります。普通のことでございましたら、一カ月待つとか二カ月待つとかいうことであっても、そう大して影響がないということが言えるけれども、少なくとも電話というものは通信でありまして、通信というものは少なくとも速報性を持っておるわけです。そういう面からいたしまして、四月にわずか二百四十三しか電話はついていない。二十七日までに、私はおそらく一千ぐらいしかついてない、こう思うわけでありますが、それはそれとして——今のことをどうこう言ったところで仕方がない。ただしかし、日本経済新聞あたりにも、非常に国民のふんまんがぶちまけられたような記事が載っておるわけです。そこで本来ならば、現行の設備負担法において電話はつけれるわけであります。法律的には電話はつけれる。しかも国民はつけてもらう権利がある。それを、この法律が、もうあすは通るだろう、あさっては通るだろう、その次の日には通るだろうという工合に、毎日々々法律が通ることを頼みにして電話をつけなかった。こういうことについては、私は一つ責任所在を明らかにしてもらいたいと思う。これから先は一つ一つ、その責任所在を明らかにしてもらわぬと、国会としての討論あるいは議事を進行させる意味において、全然意味をなさぬと思う。そういう意味において、先ほど友党でありますところの民社の大野委員が言われましたように、衆議院もいろいろ異論がありましたけれども、三月十五日にはこの衆議院を通過しておるわけです。あとまだ二週間という余裕をもって参議院に送付しておるわけであります。普通の法律案件でございましたら、かなり賛成反対がありましても、年度内に成立をするというのが、大体今までの建前であります。一体これが通らなかったということについては、郵政大臣としての責任があるのか、あるいはまた公社としての責任があるのか。それからまた公社が四月二十七日までに電話を全然つけなかった、そうして国民に非常に迷惑をかけた、これの責任は一体だれがとるのか。その責任のあり方を、国民に対してどういうふうにして明らかにしようとするのか、これを一つ明確にしてもらいたい、こう思うわけであります。
  28. 松田英一

    松田政府委員 お答え申し上げます。ただいまのような事情になって参りましたことにつきましては、私どもまことに申しわけない次第だと思うわけでございますが、実は今度の法案が、四月一日施行予定していろいろと計画を考えておったわけでございますが、四月一日実施は不可能だということになりまして、従って法律的に申せば旧法でもって電話をつけて参らなければならないという状況にあることは森本先生御指摘の通りでございます。そこで旧法によって電話架設して参るために必要な法律的な手続と申しますか、たとえば債券の認可その他につきましても、すべてとったわけでございます。ただ実際問題といたしまして、とにかく法案審議されておりまして、旧法新法との切りかわりということが必ずそこに起こってくるということは目に見えておりまして、その場合にどういうようにその切りかえの時期を乗り切るかということにつきましては、これは実際問題としまして、ただいま営業局長の申し上げましたように、加入者の間の不均衡の問題とか、あるいは工事進め方の問題とか、いろいろ公社側実行上の問題がございまして、一つ一つ、しかもこの電話というものは一つ申し込みがありまして、直ちにそのときつけるというようなことで運んでおりますればその点の問題があまりないわけでございますけれども、従来からずっと引き続いて、いわゆる積滞しておりました電話公社の方で幾らつけるということで具体的の加入電話をつける決定をするという運びになっております関係上、今出て参ったものをすぐその場でさばくというようなやり方でもございませんために、どうしてもそこに実行上にいろいろと問題が起こってくるということでございますので、その点においては公社がその実行をいかにさばいていくか、いかにその問題をうまく計画的に処理していくかということにつきましては、私どももただ法律問題からこの法律通りですぐ実施をしろということも言いかねるような情勢にございましたので、公社としての計画進め方の実勢と申しますか、計画進め方実行上の問題といたしまして、私どももこの状況はやむを得ないということで考えておったわけでございます。
  29. 森本靖

    森本委員 だから、やむを得ないということについてはあなたのくどくどした説明でわかったけれども、一体四月二十八日前に電話が普通と同じようにつかなかったというところの責任はどこが負うのか、郵政大臣が負うのか、電電公社が負うのか、その点を一つ明確にしておいてもらいたい。それから国民にこれはこういうふうなことで電話が平年通りつかなかったということをおわびをしておいてもらいたい。一体その責任はどこにあるのか、こういう場合には郵政大臣責任を負うのか、公社責任を負うのか、その公社の事務的なやり方がまずかったのか、あるいはそれとも法律案件が通らなかったからどうしてもできなかったのか、法律案件が通らなくても実際には現在の設備負担法ででき得る措置がとられている。そういうふうな万全の手配もしてなかったというのか、一体どこにこの根本的な責任所在があるのか、これはやはり将来もし郵政大臣不信任案でも出すということになれば、もし郵政大臣責任だということになれば有力な郵政大臣責任追及の一端になる。だからこれは一つその責任所在を、郵政大臣にあるのか、公社の事務的なやり方がまずかったのか、その点を一つ明らかにしておいてもらいたい、こういうことです。
  30. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)政府委員 だいぶおかしりを受けたのでございますが、率直に申し上げますと、監督指導的立場におりまする郵政省当局の私どもといたしましても、私ども政治の貧困がかようになったということも一応考えられます。今後は十分、おしかりを受けないように指導鞭撻して、御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  31. 森本靖

    森本委員 郵政大臣政治力の不足ということはそれははっきり言えると思います。政治力不足によってこの法律案件が通らなかった。それについての郵政大臣としては非常に大きな責任を感じておる、これは全くこのことによって国民その他に対して御迷惑をかけたことについては申しわけがないということは、一つ政務次官、議員じゃないですよ、国民一つ明らかにしてもらいたい、こう思うわけです。
  32. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)政府委員 今後はおしかりを受けないようにいたしたいと思いますから、さよう御了承願いたいと思います。
  33. 森本靖

    森本委員 そこで政治力不足によって法案があれだけおくれたということについては、これは郵政大臣責任だ。ところが法律的には、あの法律案件が通らなくても現実には設備負担法において現在でも電話はつけれる、こういう措置ができている。だから積滞数が幾らあっても、また不均衡の問題をあなたは言っておるけれども加入者は、そんなことはどうでもいい、今とにかく早くつけてくれという加入者が多いと思う。現実の問題として……。そういう人に対して現在の法律案件において、現在の設備負担法においてつけ得るにもかかわらずこれがつけ得なかったということについては一体どこに原因があるのか、そのことを一つ聞いておきたい。
  34. 大泉周藏

    大泉説明員 これは公衆電気通信法がある限りは電話はつけられるわけでありまして、負担法の有無にかかわらず電話はつけ得るものはつけなければならぬということは私たちも当然考えておるわけであります。この新法施行に伴いましての加入者方々に引き受けていただきます債券額というものは、今度の三十七万の電話をつける大きなささえになっておるわけであります。それでかりの計算もやってみたのでございますが、かりに四月中だけを全部旧負担法でつけるとすればどういうことになるかといいますと、加入者に持っていただきます債券額の収入におきまして、これは旧法の場合の負担金も入っておりますが、その差額が十億余りにもなるのでございます。十億余り歳入欠陥と申しますか、歳入減を生ずる。これは今度のやり方からいきますとおおむね一万ぐらいの加入者がつき得なくなる危険性があるわけでございまして、国会の御意思が必ずしも減らせという御意思でなくて、予算では三十七万つけるとなっておりますので、私たちはそういう欠陥を生ずるのにやる手はないものだ。しかしこれがおくれれば事実上予算実施不可能になりますが、その決心をどこでとるかについて非常に苦慮いたしたのでございます。それで加入者方々にも御迷惑がかかりますので、できるだけつけ得るものはつけるが、全面的に今度の三十五年度架設計画を根本からくずすようなことはまだ時期尚早であるというので一日々々を身の細る思いをして待っていたのでございまして、その間、加入申込者方々にも窓口からいろいろ御説明するように、いろいろ指示もいたしたのでございます。またわずかのものならば不均衡なしにつけられるものはできるだけつけるようにということもできるだけ申しておったのでございますが、何分長年の積滞の方々がたくさんおいでになるのでございまして、この新旧切りかわりに備えまして、旧年度の間においてはその条件の切れ目の境目になるようなところで円滑にいくように、旧年度に非常に努力をしてうまく普及するようにしておったのでございますので、これを一角をくずしますと、やはり二万ぐらいはつけないとどうも不均衡になるのではないかという非常に強い声が出ました。私たちここで必ず一カ月延びるとかなんとかいうことがわかっているならいざ知らず、国会の方でも必ずしもそのようでもないように見受けられましたので、今度の拡充法というのは電話をうんとつけよう、つけることによって電話を申し込んでおいで方々の御期待に沿おうという考え方のものでございますので、とにかくつけるということを、目前の御不満に対する何らかの措置ということをできるだけやろうと思った結果が、結局もう少しのことならば加入申込者方々にも御納得をしていただいて、もう少し待っていただいた方がよろしい。しかも私たち見通しでは、いろいろ工事関係のものに対しまして、もうちょっとならばこの三十七万架設ということはできるという見通しがございましたので、その間、国会関係見通しも私たちとしてはつけ得なかったということについては私、非常に責任を感ずる次第でございます。振り返ってみまして、いつどの時期にどうすればよかったかということも、ほんとうに国民皆様方に対して申しわけないと思って反省もいたしておるのでございますが、結果的に見ますと、この時期に通していただくならば、やはり今のようなやり方しかなかったのではないか、そのあとは、できるだけ早くつけることによって、お待ち願った皆様方に対しておわびするのが一番ではないかということで、明日の施行を控えまして、一つでも早くつけるということを現場に督励いたしておる次第でございます。
  35. 森本靖

    森本委員 大体今の営業局長答弁で私はけっこうだと思いますが、ただしかし今の答弁は、単なる営業局長公社側答弁であってはならないと思う。やはり総裁なり副総裁公社を代表してそういうふうな回答をすべきであって、総裁がおらぬから、副総裁にもう一ぺん最後に聞いておこうと思っておったのですが、副総裁どうしましたか。来なければ審議をやめます。大臣もおらぬ、総裁も副総裁もおらぬという委員会で、大事な法案審議することはできません。
  36. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 森本さんに申し上げますが、二時半くらいな予定だものですから、総裁は間もなく来ます。
  37. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)政府委員 森本先生から非常に御鞭撻の御意見がある通り、私自体監督的立場において、また指導しなければならない立場におる郵政省といたしましても——自体が皆さんから、電話架設に対して、陳情を毎日四、五件ずつ受けておるような次第です。そこで特に電電公社に向かって、急速にやっていただきたいということを申しております。そこで、私の考えておることも森本生先の考えておられることも同一であろうと思っておるのでありますが、大体私は、今日ケーブル布設に対して一体どういう考えを持っておるかということで、目下督励いたしておるような次第でございますが、そのケーブルの布設に対してどういう考えで工事施行をやるかということであります。それは私が当時建設委員長あるいは委員をやっておった時代から考えておるのですが、道路は作る、舗装はする、そしてケーブルをつけるためにまた掘り直す、この費用というものは莫大であります。その計画がありとするならば、道路の舗装をやる前に建設省と打ち合わせてやらなければならないものである。今後は、このケーブルの布設が、埋設ができるならば、おそらくは計画予定通り工事施行ができるものと私は考えております。ゆえに、十分今後監督あるいは激励鞭撻して、御期待に沿うようにいたす所存であります。
  38. 大野幸一

    大野(幸)委員 ちょっとさっきの関連で、あげ足をとるのでも何でもないのですが、あなたの言い間違いではないかと思うのです。一カ月の空白状態ができたということについては、むしろ監督庁たる郵政省の側にある、こう思うのですが、そのときにわれわれの政治の貧困と言われた。われわれの政治の貧困ということは一般的なものになってしまって、むしろ私は率直に言えば、参議院における郵政大臣政治力の貧困だ、こういうふうにあなたはおっしゃったのじゃないかと思う。こう理解していいですか。
  39. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)政府委員 参議院におきましても、非常に慎重に御審議賜わっておったのです。補佐的立場にある私の力の及ばざるところも多々あったように思われます。あまりに緊張し、かつ参議院の皆さんが御熱心に慎重に御審議をやっていただかれたために、こういう工合におくれたのではないかというようにも考えておりますが、いずれにいたしましても、補佐しなければならない私の力の及ばざるところも多々あったことをお許しを願いたい、かつ御推察も願いたいと思います。
  40. 大野幸一

    大野(幸)委員 とにかく予算措置を伴う法案なんです。それで参議院は、通常ならば遠慮して、衆議院の議決を重要視してくれるだろうと思うのです。それに対して、参議院出身である大臣に対して、何かそこにスムーズにいかないということも考えられるのです。特にカラーテレビなどにおいて、相当委員間に感情的の刺激もあったということも漏れ聞いておるのですが、従来郵政大臣は常に参議院から出られるのを常としておる。こういう点について、私ははなはだ遺憾と思っておるのでありますが、それほどここでは追及いたしませんけれども、とにかくこういう予算措置を伴う、財政措置を伴う問題については、われわれははなはだ遺憾だということを、あらためてここで申し添えてだけおきます。もう答弁は要りません。
  41. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 森本君、副総裁が見えましたから……。
  42. 森本靖

    森本委員 副総裁、今営業局長からちょっとお聞きになったかと思いますが、要するに二十八日から、いわゆる今度の負担法施行になりまして、いよいよ本格的に電話がつくということになるわけであります。しかし四月には大体二万五千くらい電話をつける予定であったものが、わずか一千くらいしかついていない。これについての大綱的な政治責任はむろん郵政大臣にあるわけでありますが、ただしかし公社側としても、現在の現行法律においてつけ得られるわけであります。おそらくつけ得られるけれども、先ほどの営業局長答弁では、旧法律でやれば十億円くらい歳入が減るというようなことも言われておったのでありますが、それは歳入が減ろうが減るまいが、現行の法律がある以上は、現行法律においてつけなければならぬ、国民からの要望があればつけなければならぬことは、これはその通りであります。おそらく、今営業局長があっさりと言われましたけれども、その見通し等についても、あと一日、あと一日というようなことで考えておるうちにこれが二十八日になってしまったというのが実情だろうと思うわけです、実際問題として。初めから二十八日から施行になるということがはっきり見通しがついておれば、おそらく二十八日まではこういうふうにして旧法律においてつけ得るという計画を立てたと思うのであります。しかし実際にそれが政治上のいろいろな現象において、あと二日、あと三日ということで、じんぜん日を送って今日になったということは、あっさり営業局長が言ったように、私はその通りだと思うわけです。それはその通りとしても、過ぎたことでありますからやむを得ないとしても、やはり責任所在というものは、これはあくまでも郵政大臣に全責任があるわけであります。これは郵政大臣が一応今回こういうふうなことにおいて、電話がつくのがおくれたということについては、私は当委員会を通じて、やはり国民に謝罪の意を表してもらいたいということで、郵政当局からはあったわけでありますが、一応公社の方としても、政治的な責任郵政大臣にありとはいえ、やはり事務的に進めていくならばつけ得たわけでありますから、そういう点についても、私はやはり公社としても総裁なり副総裁から、今度の問題に対する見解を明らかにしておいてもらいたい。おおむね今後のいろいろな関連も出て参りますので、この際責任所在というものを明確にしておいていただきたい、こう思うわけです。
  43. 横田信夫

    ○横田説明員 今御指摘になりました点については、実情はただいま先生のおっしゃった通りであります。われわれといたしまして、四月当初において、ことに急ぐと思われるものは旧法において当面の処置だけはいたしました。新法施行というものができれば、それによってできるだけ早くその体制でいきたい。しかしその間事実上の問題としてある程度の冷却期間がないと、かえってお客さんに対して非常な不公平感——いろいろのお客さんにかえって制度の違いによる不公平感を持たすというようなことから、ある程度の冷却期間を置かなければならぬというので、状況を見ておってだんだんそれが実情になったわけでございますが、その事情のいかんを問わず、今お話しのごとくお客さんに対しては公社責任を負うべき問題でありまして、この点につきましては、お客さんをお待たせした問題については、できるだけ早くお客さんの御要望に応じていく、これが公社がお客さんにお勤めをするゆえんではないかと思っております。できるだけおくれた期間を早く取り戻して、お客さんの御要望に沿っていくというようにいたしたいと考えておるわけであります。
  44. 片島港

    ○片島委員 関連して。今副総裁おいでにならないときに、森本委員から非常に鋭い追及があったわけですが、今年は非常に膨大な設備拡張をやっていこうというので、本予算で三十七万、それに外貨の導入で三万、合計四十万をやろう。四十万を月に平均しますと三万三千三百三十、一カ月平均がこうなるわけです。ところが実は四月に二百何十しかやってないそうですから、ほとんどやっておらぬわけです。そうすると十一カ月で四十万個をこなしていこうというのには、三万六千三百六十三で、一カ月休んだためにちょうど月平均三千三十の増加になるわけです。こういう膨大な拡張計画をやる場合には、おのずから工事能力というものも考えてやっておられるに違いない。月平均三千三十くらいを毎月ならしてよけいかけるということはそう問題でないというならそれは別です。それならまた重大な問題がそれから起きてくるのじゃないか。また私たちは新しい質問をしなければならぬのであります。特に十二カ月で四十万をやろう、こういったのを十一カ月で四十万やろうという場合には、十二カ月にこれを換算してみますと四十三万六千三百六十三になるのであります。とにかく四十万をこなすのに、一カ月だけじゃありませんよ、毎月ならしてみて三千三十という工事増を、あなたたちはこの一カ月を空費したことによって負担しなければならないわけです。これが楽々とやっていける見込みがありますか。
  45. 横田信夫

    ○横田説明員 今後の拡張計画につきましては、お客さんの側から見れば、第二次五カ年計画の修正自身が十三年後に需要を充足するのですから必ずしも大きいものじゃないわけでありますが、お客さんに対するサービスの上から、この必要最小限度の計画公社からいえば相当大きなものであります。それがこれをやるにつきましては、あの修正計画自身の実行についてできるだけ全力を尽くして、また準備もそれぞれ整えて参ったわけであります。それに加えてなおこの一カ月のおくれというものをできるだけ早く取り戻して、お客さんの御要望に沿おうというわけでありますので、ただいま先生御指摘になりました楽々かというお話につきましては、決して楽々とは考えておりません。これにつきましては現場段階、管理段階一体となって、あらゆる努力を傾注して、何とかそのおくれを取り戻すように努力いたしたいと思います。決して楽々とは考えておりません。
  46. 片島港

    ○片島委員 楽々でないにしても、大体もともとあなたの方で計画を立て、予算を作られる場合には、非常に窮屈であるがこれだけは何とかしてこなしていこう。私は前の予算審議のときにも実は、これでは要員関係、また工事能力といったような点から非常に問題があるのじゃないか、特に要員の問題なんかでも問題があるのじゃないかということも追及したわけですが、これが三千人以上も毎月割り振りがふえていくということは、それだけのゆとりがあったのだ、少しがんばれば月に三千くらいの加入者をふやしていくことができるのだということを証拠立てるようなことにもなるわけです。そうしたら前の予算なり計画というものは非常にずさんなものであった、まだ毎月三千以上を加えるだけの能力を保有しておったのだ、こういうことになりはしませんか。
  47. 横田信夫

    ○横田説明員 具体的に少し分析いたしますと、今の約三千月々架設が増になるお客さんの問題ですが、先生もよく御承知のように、電信電話拡充計画としましては、基礎設備の拡充とそれからお客さんの架設の問題と二つあるわけであります。架設の部分につきましては、昨年来ずっと局舎あるいは端子増というようなものをやって参ってその最後にお客さんの御要望に応ずるという部分と、それから本年度三十五年度に基礎設備そのものを仕上げてお客さんの御要望に応ずる、この両者あるわけであります。この前者のものについては、取り返しというものが、楽とは申せませんが、ある程度やり方によっては相当のスピードをかけ得る余地があるのじゃないか。後者の分につきましては、これを今予定内に進めていくということにつきましては諸種の困難はありますが、しかしこれもこれから十一カ月の問題でありますのでどこまでいくか、これについてはとにかく全力を尽くしていくということで考えておるわけであります。
  48. 片島港

    ○片島委員 これは公社法の一部改正の問題で、さらに三十七万プラス三万をやろうということは直接関係する問題でありますので、私は関連質問でもありますからこれでやめますけれども架設能力といったような問題については、その本質問のときにやります。
  49. 森本靖

    森本委員 それではその負担増の問題についてはその程度にしておきますが、きょうこの委員会で言われた、政府並びに公社当局のいわゆる国民に対する先ほどの謝罪といいますか、そういうふうな事態については、一つ十分にこれは肝に銘じてやっていってもらいたい。あんなことだけれどもこうなったから大体このくらいでいくだろうぐらいの安易な気持でこういうふうな問題を二度と繰り返さないように、一つ私は特に要望してこの問題については終わりまして、肝心の法案について質問を進めていきたいと思います。  まず最初にお聞きしたいのは、現在公社におきまして外債が若干でも昔のものが残っておるのじゃないかと思うのですが、そういうのはないですか。
  50. 山本英也

    山本説明員 お答えを申し上げます。公社になります前に外債というようなものがあるのではないかというお尋ねでございますが、公社になりますときに旧来の外貨国債をもって通信事業特別会計の負担とされておりましたものは確かにございます。これは種類で申し上げますと、英貨公債、仏貨公債、米貨公債、この三種類ございます。その分はどういう処理になっておるかと申しますと、公社になるときに、公社が政府からそれだけの借入金をいたすという形にいたしまして、実質的な債務は継承いたしておりますけれども、国の債券でございますので、現在は国が債券の発行をしておられる。公社は直接には外貨債はただいまのところは持っておりません。
  51. 森本靖

    森本委員 それは何ですか。政府の出資金の中に入っておるわけですか。
  52. 山本英也

    山本説明員 お答えを申し上げますが、出資金の中に入っておるのではございませんで、政府からの借入金の中にその勘定が入っております。
  53. 森本靖

    森本委員 そうするとこれは政府の長期借入金ということで入っておるわけですか。
  54. 山本英也

    山本説明員 仰せの通りでございます。
  55. 森本靖

    森本委員 その政府の長期借入金というのは、英貨債とそれからフランスのやつと、大体金額でどのくらいですか。
  56. 山本英也

    山本説明員 ただいまの日本の金に直しまして、約八億円でございます。
  57. 森本靖

    森本委員 これに対して政府は、これは大体政府債と発行しておる、政府が借り入れてということでありますが、この償還その他金利等についてはどうなっておるんですか。
  58. 山本英也

    山本説明員 大蔵省の方では、旧来の外貨債全般につきまして、その期限の到来期におきまして支払いを完了しておいでになります。その原資としまして、公社の方から年々大蔵省に借入金の返済の形で繰り入れをいたしております。
  59. 森本靖

    森本委員 この外貨債の金利は幾らになっておりますか。
  60. 山本英也

    山本説明員 時代によりまして利率が異なっておりますが、早期の分につきましてはたしか六分台の利率であったかと思います。それから戦前の年代は後期になりますと、四分半というのがあったかと思いますが、ただいま資料を持っておりませんので、後ほど正確なお答えを申し上げます。
  61. 森本靖

    森本委員 そこで、今度の日本電信電話公社法の一部を改正する法律案要綱によって、世銀とそれから一般の外資を導入できるという二つのやり方になると思うのですが、その場合、この金利それから償還計画というものはどういうふうな案をお持ちですか。これは政府の方だろうと思うが、公社の人でもどちらでもいいです。
  62. 山本英也

    山本説明員 ただいまの御質問は、今後電信電話公社といたしまして発行いたしますところの債券あるいは国際復興開発銀行からの借入金について条件はどういうことになるであろうか、どういうことを予想しているかというお尋ねかと考えるのでありますが、その点についてお答えを申し上げますれば、現在ただいまのところでは世銀からの借り入れというよりも、むしろ米国の国際証券市場におきますところの社債の発行ということをおもに考えておる次第でございます。従いまして、これは、その発行いたしますときの時期によりまして米国の国際金融市場におきますところの発行条件というものは、金利の変動につれまして相当変わってくると考えられるのであります。ちなみに、昨年来米国におきますところの国内の金利も相当の高騰を示しているやに聞き及んでおります。従いまして数年前に比べますと著しく国内金利が高くなっておりますので、国際金融市場におきまするところの金利水準も若干上回っておるように考えられます。この傾向は、大体昨年の四、五月ごろから米国の国内金利の上昇傾向を続けまして、それに従いましてアメリカにおける外貨債の発行に際しますところの金利条件等も上向いて参っておるのが実情だったと思うのであります。一番最近の例で申しますと、日本は、日本関係の外貨社債と申しますか、外貨債と申しますものは、債券を発行いたしましたのは昨年の二月の十五日に日本国政府が米貨債を発行いたしましたのが、戦後におきましては一番新しい例でございます。このときの例を申し上げますと、期限は十五年でございます。それから利率は五分五厘、発行価額はたしか九八%だったと思います。この二月十五日に発行いたしましてから後の発行条件の推移を、他の外国の例等に徴しますのと、もう一つは世銀からの借款の条件が、昨年の二月ごろから比べまして、今年の初頭にかけましては、やはり条件としては必ずしも好転をいたしておりません。例で申し上げますれば、道路公団が世銀からごく最近借款をされましたが、そのときの利率は六分二厘五毛だったと思うのであります。これは期限はたしか二十年だったと存じます。その場合は、従来の世銀からの日本での受け入れの場合の借入金の条件に比べますれば、利率等におきましては若干上がっておる。五分五厘とか六分以下でありましたのが、六分二厘五毛というような条件になっておりまして、これは当時の借入金の成立した時期における、ニューヨークにおきますところの金融市場の情勢を反映して、そう定められたのではないかと考えるのであります。従いまして今後公社が今年度内において外債等を発行するに際しましては、アメリカにおけるところの、国際金融市場における金利情勢、あるいは発行条件の推移等を十分注視いたしますと同時に、日本政府の監督をいただきますところの郵政省あるいは大蔵省と十分よく御指導をいただきまして、発行の時期等を誤らないようにいたしていきたいと考えるのであります。ちなみに、日本の国内におきまして発行いたしますところの社債等に比べますれば、期限におきましても、金利の点におきましても、外貨債の方が今でもなお若干有利ではないかと考えるのであります。御質問に対しまして適当なお答えになっておらないかもしれませんが、大体以上のようなことでございます。
  63. 森本靖

    森本委員 まず事務的なことを聞いておきたいと思いますが、公社が借入金を行なう場合におけるその借入金に対する利子、それから償還計画等をきめるのは法的にどの条項であるわけですか。
  64. 松田英一

    松田政府委員 公社法の第六十二条の規定に「公社は、郵政大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは一時借入金をし、又は電信電話債券を発行することができる。」これは改正になっていないもとの条文でございますが、それによりまして認可を公社が受けるわけでございます。それで電信電話債券令に、こういう条項によって事柄を書いて申請しろということが書いてございまして、その中にいろいろ電信電話債券の場合の条件が出て参りまして、それで認可をいたすことにきまるわけでございます。それから償還の計画につきましては公社法の六十六条でございますか、それによって、公社は毎年償還計画を立てて郵政大臣の承認を受けるということになっておりまして、それで私どもはやはり承認をするわけであります。それから長期借入金の場合は借り入れのつどその条件を示して認可を受けるわけであります。
  65. 森本靖

    森本委員 この償還計画の場合には確かに第六十六条にあるわけですが、金利その他についての問題は、これは債券令のどこですか、八条ですか。
  66. 松田英一

    松田政府委員 債券令の中の第三条に、債券の申込証に書くべき事柄がいろいろ書いてございまして、この中に利率も出て参りますし、償還の方法と期限も出て参ります。そこでこういう事柄を記載して認可の申請がございますので、それを認可いたすことによりまして条件の認可を得ことになるわけであります。
  67. 森本靖

    森本委員 そうするとやはりこの債券令の第三条によるところのものも、第六十二条によるところの郵政大臣の認可を受けなければならぬ、こういうふうになるわけですね。
  68. 松田英一

    松田政府委員 私今もとの条文を引用いたしまして少しおわかりにくかったかと思いますが、債券令の第十条に認可そのものの規定がございます。それでその認可を受けますときに申請書に発行を必要とする理由と、それから先ほど申し上げました条項でございますが、「第三条第二項第一号から第七号までに掲げる事項」というものをつけまして認可申請をするわけであります。それでそれを認可いたしますことによりまして発行の条件がきまってくるわけであります。
  69. 森本靖

    森本委員 簡単でいいんですよ。この債券令の十条によってなにをやって、そうして第六十二条の一項によって現在は郵政大臣の認可を受ける、こういうことになるわけですね。
  70. 松田英一

    松田政府委員 さようでございます。
  71. 森本靖

    森本委員 そこで公社は本年度七十二億の外資を入れるということを計画をしておるわけでありますが、公社の五カ年計画あるいは十カ年計画というのは、この設備負担法においてある計画が出ておるわけです。そうなりますとこの七十二億について、公社として向こうの市場はどうなっておるか、それは問題外として、公社としてはこの七十二億というものの借り入れの条件は大体どの辺に目安を置いて予算を組んでおるか。
  72. 山本英也

    山本説明員 お答え申し上げますが、その前に先ほどお尋ねがございましたことについてただいま取り調べました結果を申し上げたいと思います。  過去におきますところの国債で、大へん恐縮でございますけれども訂正を申し上げたいのですが、英、仏と申し上げましたが、仏貨債の方はもうすでに償還を終わりまして、米、英の二種類に相なっております。四分利の米貨公債というのがただいま残っておりますものが三億七千七百万円、六分の英貨公債が、日本の金にいたしまして四億一千九百万円残っております。それから六分半の米貨公債というのが二千万円だけただいま残っております。  それからただいまのお尋ねでございますけれども予算上はどういう工合の扱いをして、いるかというお尋ねだと存じますが、予算上の扱いといたしましては、予算総則に外貨をもって表示し得るもの七十二億を公社が借り入れることができるという規定がございますので、その面におきまして予算に現われておるわけでございまして、それの利子あるいは発行に伴いますところの諸費用というものは、三十五年度予算の中にはまだ含まれておりません。従いまして今年度中に発行を完了いたしまして、それに伴いますところの利子あるいは発行に伴いますところの諸経費というものは、予備費の解除をお願いいたしますとか、あるいは既定の経費を差し繰りまして支弁をしていく所存でございます。
  73. 森本靖

    森本委員 予算書はわれわれも審議したわけですから、その予算書における正規の手続を私は聞いておるわけじゃないわけです。少なくとも七十二億という外資を本年導入するということは、今の電電公社の資金計画というものは一カ年の計画じゃないわけです。長期にわたって、この間も笑い話になったが、昭和四十七年までの計画を立てておるわけです。あなたの方はいわゆる拡充五カ年計画というものを立て直しておるわけです。そういう資金計画面からいって——これは向こうの金融市場のそのときの条件によっては、向こうとの折衝でありますから、こうなってくると商売だから、それはそのときの変動によって変わってくることは当然でありますが、私が聞いておりますのは、公社としては、金利はどの程度にして、償還計画というものはどの程度という大体の目安を置いて、この七十二億というものを受け入れる態勢をとっておるのか、こういうことであります。それはむろんここであなたがはっきり答弁せられても、私は最初に言ったようにそれを実際に受け入れようということになると、あくまでもそれは一つの商取引みたいな格好になるわけでありますから、それは公社の目安であって、そのことが確実にその際実行されるかどうかということについては、これは不明であります。ただ私が今聞いておるのは、公社としてはこれを借り入れるについての償還並びに金利についてはどういう目安を立てておるか、こういうことです。
  74. 山本英也

    山本説明員 お尋ねの点につきましては公社が具体的にどういう予想を持って臨んでおるかということではなくして、改訂第二次五カ年計画を作成いたしました場合に、外貨債百億程度を資金計画上計上いたしまして、四十万加入の増設、今後三カ年間におきまして四十三万個の増設ということを計画いたした次第でございます。従いまして、先般ごらんをいただきました改訂第二次五カ年計画におきますところの収支計算、あるいは資金計画の面にこの外債分をどういう工合な条件をもって考慮しておるかというお尋ねだといたしますれば、それは国内におきまして公募債を発行いたしましたときの利子、あるいは償還というものよりも外貨債の方が有利であろうとは想像はいたしましたけれども、最悪の場合でも、それ以下の条件というものは考慮をいたす必要もございませんし、また考慮することは不可能でございますので、国内におきまして公募いたしますところの電信電話公社債、電信電話債券の条件をもって計算はいたしております。ただ、これは一応の計算でございまして、それを予想して申し上げているわけではございません。
  75. 森本靖

    森本委員 公募債券の償還と金利は幾らなんですか。
  76. 山本英也

    山本説明員 ただいまは政府保証債といたしまして七分、償還期限は七年でございます。
  77. 森本靖

    森本委員 これより上回るということはおそらくないと思いますけれども、これより上回る条件であったとするならば、これはやらぬ、こういうことですか。
  78. 山本英也

    山本説明員 外貨債というものをお願いいたしたいという工合に考えましたときには、公社としては資金計画上、国内で資金を調達いたしますよりもより有利なものということを一つの希望といたしております。従いまして、実際問題としては、国内におきますところの発行条件よりもさらに不利になる条件で発行いたそうとはただいまのところは考えておりません。
  79. 森本靖

    森本委員 これは監督官庁としての郵政大臣に聞いておきますが、今の公社当局答弁にありましたように、国内の発行における公募債券より上回るところの条件において公社としてはただいまのところ受け入れる準備はない。こういうことでありますが、これは法律を改正をしたらいつでもやれるわけでありますから、この際念を押しておきたいと思いますが、今後公社がこの外貨債を導入するという場合においては、少なくとも国内における公募債券を上回るというふうな条件の場合は、絶対に受け入れない、この公募債券よりも条件のいいものでなければ受け入れない、こういうことについては、一つ明確にしておいてもらいたいと私は思うわけであります。ただいまのところというようなことになると、これは法律はいつでも受け入れる条件になっておるわけですから、どうなるかわからぬわけでありますが、こういう点については、質疑で明らかにしておきたい、こう思うわけです。
  80. 植竹春彦

    植竹国務大臣 内国債によるか外国債によるかという点につきましては、外国債による場合にはむろん内国債よりも有利な条件であるということは、これは大原則でありますので、この原則はあくまでも貫く方針はただいま公社答弁いたしました通りであります。しかし何分にも経済界のことでございますから、そのクォーテーションの変動、フラクチュエーションということは避けがたいのでありますから、その万が一の場合のことを公社としてただいまのところという表現を使って述べられましたことと了解いたしますので、原則的にどんなことがあっても内国債を上回ることのないように、しっかりした方針でもって臨むことは申し上げるまでもないところでございます。
  81. 森本靖

    森本委員 そういうことはないということになりましたが、そこで本年のこの七十二億の外貨債については世銀と一般の外貨の債券の場合と大体どういうふうに具体的に内容を考えておるわけですか、その割り振りを。
  82. 山本英也

    山本説明員 私からお答え申し上げるのは適当かどうか疑問でございますけれども、経過といたしましては、公社は最初は世銀借款というものは非常に困難である、と申しますのは世銀の借款と、世銀からの借入金を受け入れます条件といたしましては、他に外貨債を得る、外貨の金融を受ける道がない場合ということ、その他の条件がございまして、また世銀が設立せられましてから国内の通信事業というようなものに対して借款を供与した例が他の諸国に対してもないということを伺っておったのであります。従いまして公社といたしましては世銀借款というものはまず望みがないのではないかという工合に考えておったのでございます。昨年たまたま世銀の幹部の方が日本においでになりましたときに、必ずしもそういうものでもないというお話も承りましたし、また電力あるいは運輸というようなものと抱き合わせで通信施設の借款というものも一部他に例もあるというふうなお話も承りました。たまたまその際に、従来日本が世界銀行からの借款につきましては、ある意味で国とされて一つのワクというようなものも大体とりきめがあったように承っておりまして、それが大体昨年度一ばいで日本に対しますところの融資計画というようなものも実現するのではないか、ついては新しく世銀からの借款について政府とされて世銀当局との話し合いの機会が昨秋あるというようなことも承りましたので、その際には国内の通信事業に対しましても世銀からの借款ということは不可能でないということをお聞きいたしましたので、世銀借款ということも可能であるという立場において、世銀の借款というものを電電公社の事業に入れていただきたいというお願いを御当局に申し上げた次第であります。しかしながら、その後の世銀当局と日本政府との間の話し合いについては、むしろ世銀当局の方から国内の通信施設に対する借款の供与ということは望ましくないというような意味のお話しもあったやに聞いておりまして、昨秋の世銀当局と日本政府との間の話し合いのときには、通信事業に対しますところの借款供与ということはプログラムには載っておらないように聞き及んでおります。従いまして、私どもといたしましては世銀借款ということよりも、できますならば直接にアメリカの金融市場におきまして公募によるところの社債を発行したいということに考えを変えまして、その点を御当局にお願いを申し上げた次第であります、従いまして、ただいまのところは世銀とごく直近の三十五年度中におきますところの見込みといたしましては、世銀借款ということが絶対に不可能である、少しの余地もないとは言い切れないと思いますが、むしろ公募によりますところの社債の発行ということに大いに期待を持っておる次第でございます。
  83. 森本靖

    森本委員 そうすると、この七十二億というのは世銀の方はほとんど見込みがない、一般の社債の方で七十二億を調達をする、こういう考え方公社当局は立っておる、こういうことですか。
  84. 山本英也

    山本説明員 大体その通りでございます。
  85. 森本靖

    森本委員 アメリカの国内における現在の社債の金利というものは、大体どの程度ですか。
  86. 山本英也

    山本説明員 ただいまのお尋ね、米国におきまして国内債として発行するものの社債の発行条件いかんというようなお話でございましょうか。
  87. 森本靖

    森本委員 ええ。
  88. 山本英也

    山本説明員 これははなはだつまびらかにしない点でございますが、米国におきましても、一流社債、二流社債と三流社債というよりに、企業の実体によりまして発行条件というのは相当階差があるように聞いております。ただいま手持ちの資料で申し上げますと、一流債と称せられております……(森本委員「たとえばベル会社なんかだったら……」と呼ぶ)一例でございますが、これは一九五七年に発行いたしましたアメリカのATT会社の社債でございますが、これは表面金利五%で、発行価格が百一ドル半、一〇一・五%で出しております。それから同じく非常な優良一流会社と考えられておりますところのジェネラル・モータースのごときは、一九五三年、これはだいぶ前でございますけれども、やはり発行価格は百ドル二分の一で、三荷四分の一%で出しておるようなものもございます。ごく最近の社債の発行条件等につきましては、大体四分台から五分台のちょっと上を出るというようなところでもって、一流社債といえども発行されているように聞いております。
  89. 森本靖

    森本委員 この間監理官が答弁せられたように、大体五分五厘、あるいは今あなたがおっしゃったように、せめて四分五厘から五分程度のものであれば、これは国内の今の資金面から見た場合には、私は非常に成功のように思うけれども、ただ公社の方として、そういう点についてのめど、これを借り入れる場合にどの程度になるだろうというふうな目安というものは立っていないのですか。
  90. 山本英也

    山本説明員 公社の方が発行条件等についてどういう予想をしているかというお尋ねですか、それともどういう手続によって……(森本委員「条件」と呼ぶ)条件ですか。これはやはりアメリカにおきますところのほかの諸国等におきまして外貨債を発行しておるところもぼつぼつあるようでございますので、私どもといたしましては、それらの条件などもよく見まして、またアメリカにおきますところの金利の一般の情勢というようなものをよく注視をいたしまして、発行条件について不利な時期において発行をいたさなければならないということのないように努めて参りたいと思うのであります。  それからただいまお答え申し上げました中で、発行条件が四分とか五分五厘というものであるというような状況であるということを申し上げましたが、外国への投資というものにつきましては、アメリカにおきましても、国内の社債の発行条件等とは若干変わった様相を呈しておりますので、御参考までにおもないわゆる外債というものにつきましての発行条件等を申し上げます。発行の年月によって非常に違っておりますが、ここには、戦後において米国市場において発行されました外債、一九四六年のオーストラリアの国債から始まりまして、一九五九年の十二月にフランスの不動産銀行が発行いたしましたものがございますが、これらを見ますと、やはり先ほど申し上げましたように、金利の一般情勢によりまして若干変わってきてはおります。従いましては五八年、五九年という時期になりますと、発行利率等は若干上回っております。五七年の三月に出ましたものが五分、これはオーストラリアの国債でございます。それからだんだん五七年の九月になりますと五分半、五八年の三月になりますと五荷四分の一、五八年の六月になりますと五荷四分の三、それから五九年の二月以後は、先ほど日本の場合を申し上げましたが、五荷二分の一程度のものでございます。それが昨年の年末に出ましたフランスの不動産銀行の外債におきましても、やはり五荷二分の一でございます。しかしながら、発行価格その他におきましては若干ずつの相違がございまして、こまかい表面金利と実質の発行のときの利回りというものとは調節がございますので、こまかいニュアンスはおのおのそれぞれについておるようでございます。
  91. 森本靖

    森本委員 大体アメリカの金利が日本の金利よりも非常に今まで安いということは考えられるわけですが、しかしアメリカの国内においてもだんだん金利が上がってきておる、こういうことで、私が率直に具体的に聞きたいのは、現在この七十二億の外債を導入するということについては、公社はすでにそれぞれの折衝も交渉もいろいろやっておるだろう。だから具体的に発行計画がどの程度になって、実際金利がどの程度になって償還計画がどういうふうになるのか、それに対するところの向こうの条件は具体的にあるのかないのか、これにあるところの先取特権だけの問題なのか、こういうふうな具体的な内容というものを聞きたいわけです。状況説明はよくわかりましたから、具体的に公社がこれから借り入れようとしておるところの七十二億という金はどういうふうな条件において借りられようとしておるのか、その内容がわからぬと、国会としてあなた方に白紙委任をしたような格好になる。その具体的な内容というものをわれわれとしては聞きたい、こういうことなんです、率直な事実として。
  92. 山本英也

    山本説明員 ただいまのお尋ね、まことにごもっともだと存ずるのでございますが、公社といたしましては、まだアメリカの発行市場に対しまして具対的な条件等を示して折衝をいたしておりません。これは実情といたしましていたしておりません。と申しますのは、やはり予算措置あるいは発行いたしますに対して必要な法的措置というようなものが非常に大きな条件になりますので、私どもといたしましては、直接にまだ折衝を開始する時期ではないと考えておる次第であります。そこで、具体的には打診をするとか折衝を始めたということはございませんが、公社としてどういう条件を好ましいものと考えているかということにつきましては、ただいま申し上げましたような他に比してより不利な条件というものはぜひ避けなければならないということを十分考慮いたしまして、条件の推移等を注視いたしまして、適当な時期を発行の時期としていきたいという工合に考えておる次第であります。最大限どこまで悪条件をのみ得るのかということに相なりますれば、先ほどお答え申し上げましたように、国内において発行いたします条件よりも不利なる条件で国外において募債をするということは、当面公社としては考えていないということを申し上げた次第であります。
  93. 森本靖

    森本委員 法律案件を提案をして、予算が通っておる以上は七十二億円というものを公社が借り入れができるわけでありまして、法案は通ってないけれども、実際には予算では通っておるわけです。すでに公社としては、こういう問題についてほんとうにきまらない問題は別として、常に予備折衝というようなものを行なって、そうしてその予備折衝なら予備折衝の一応の外郭でもこの委員会を通じて明らかにするということでなければ、われわれは一体何を審議しているかわからぬです。とにかくこれは通しておいてくれ、あとでやることはおれらでやるから、お前ら知ったことではない、こういうような法律案件審議の仕方はないと思う。だから私が最初に言ったように、最終的に向こうとのとりきめはいずれ商取りきめになるから、その問題についてはそのときの条件も影響しようし、金融市場の条件も影響しようし、またそのときの経済的な条件も影響しようし、あるいはまたアメリカの国内情勢、日本の国内情勢というものが影響しようし、いろんなものが影響してくるわけであります。そういうものは百も承知しておりながら、なおかつ私が執拗に質問をしておるということは、大体どの程度でやるつもりだろうというふうな一応の目安というか、そういうところの輪郭が明らかでないと——経理局長の先ほどの答弁を聞いておると、私が聞かんとしておるところの内容については一つも核心に触れた答弁がないわけです。そういう点をある程度私は明らかにしてもらいたい。これから先折衝するんだということになりましても、すでに三月の末に国会を通過いたしました予算には、七十二億というものは盛られている。しかもあの七十二億というもののいきさつについては私も重々承知をいたしておりますけれども、一月の末に閣議決定になって政府案が決定されたときに、すでにあの時分からこの問題についての折衝はなされておらなければならぬと思う。そうすると、あれから二月、三月、四月ということになりますと、およそこの程度の輪郭であるというようなことが一応明らかになる、この程度であってしかるべきではないか、こう思うわけです。この点がちっとも明らかにならない、こういうわけでありまするが、あしたもこの委員会がありますので、そのあしたの委員会においてもさらに私はこの輪郭くらいでも一つわからしてもらいたい、こう思うわけであります。  それからもう一つ、この一般の外貨を、いわゆる向こうで債券を発行してやるわけでありまするが、そういう場合にはこれは向こうの証券市場に全部これをゆだねるわけでありますか、それとも特定のどっかのものが出すということになればその特定のものにもやるというふうになりますか。それとも一つの証券市場なら証券市場を通じて募集するという格好になりますか。
  94. 山本英也

    山本説明員 具体的にどういう発行形態になるかということにつきましては、私どもとして予想いたしておりますのは、やはり一般に対して買い受けを勧誘する、募集するということを建前とした公募の形でいきたいと考えております。ただその場合に、実際の募集の勧誘でありますとか、そういうことはどの場合も同じでございますけれども、アメリカの証券会社等に委託をして行ならのが例でございます。日本の外債の場合の例を申し上げますと、日本はファースト・ボストンという証券会社に頼みまして——その元締めと申しますか、幹事会社としましてはファースト・ボストンという会社に委託をいたしまして、その結果、アメリカにおいて、各投資先というものが、銀行でありますとかあるいは年金その他の基金関係というようなものでさばけましたものもございますし、その半数以上アメリカ以外のヨーロッパでさばけた場合もあるわけでございます。こういうことはやはりアメリカの証券業者が行ないますことでございますので、公社が直接に行なうというよりは、適当なる証券業者に委託をして行なっていきたいという工合にわれわれは考えております。
  95. 森本靖

    森本委員 適当な証券業者を通じてやるということになった場合に、たとえば五十億なら五十億公募するときでも、これは国内において公募しても、片寄る場合があり得るわけでありますが、五十億なら五十億一つの機関を通じて公募した場合、それがある一つのところに片寄っても何ら制限がないわけですね。向こうのこれに関係しておるいろいろな会社その他があるわけでありますが、向こうの証券市場を通じて公募した場合、形式は公募であっても、実質的にはたれかが、あるいはどこかが半数以上とかそれだけ収集するというようなことが現実にあり得ると思うのですが、もしそういうことになった場合もそれを防ぐ手段というものはないわけですね。
  96. 山本英也

    山本説明員 公募でございますから、国内の場合と同じように、社債の申し込みをいたしますものが片寄るか片寄らないかということは、公社において左右はおそらくできないと思いますので、そういう場合も理論的にあり得ると思います。実際問題といたしましては、引き受け業者がたくさんございますので、それがおのおの投資先を探し求めて売りつけて、その手数料をもって証券引き受け業者は商売をしているのでありますから、片寄らせるということはおそらくないのではないかという工合に考えております。
  97. 森本靖

    森本委員 いや、私が言っているのは、向こうで業者が取りきめればそれだけの手数料があるわけですが、しかし、一つか二つのところでそれだけ引き受けるということになれば簡単にいくわけです、形式は公募の形をとっても。だから、そういうことがあり得るかどうかは知らぬが、そういうことを防ぐ手段がないということが一応ここで明らかになったわけであります。それから、そういうふうな証券業者その他と今まで公社はすでに話をしたことが一つ一もないのですか。
  98. 山本英也

    山本説明員 発行条件等について折衝をいたしたことはございません。
  99. 森本靖

    森本委員 それならこの金は、結局これは全部アメリカということですか。これはアメリカと書いてないから、ドイツでもどこでも、この法律ならやれると思うのですが、端的に言うと、あなたの方はアメリカということですか。
  100. 山本英也

    山本説明員 端的に申しまして、アメリカということは、アメリカの投資を受けるということを意味するものではなくして、社債の発行をいたします発行地がアメリカであるということでありまして、その消化先というものは、おそらく全世界にわたるであろうと考えられます。
  101. 森本靖

    森本委員 これはこの法律では、アメリカで発行されぬでもかまわぬでしよう。
  102. 松田英一

    松田政府委員 ただいま森本先生のおっしゃいました通り法律の建前といたしましては、外貨債全部について書いてございまして、アメリカでなくてもこの法律によってやれることになっております。ただ現実に起こっております問題といたしましては、アメリカについてその問題が起こるということであります。
  103. 森本靖

    森本委員 現実に問題が起こるということは、アメリカで起こっておるのですか。一つも折衝も何もしておらぬのに、現実にどこに問題が起こっておるのですか。アメリカと一つも折衝しておらぬのだったら、イギリスでも、ドイツでも、フランスでも、スエーデンでも、ノルウエーでも、どこでも同じじゃないですか。さっきからどことどういう折衝をしておるかと聞いておるが、そういろ折衝はしておらぬ、こう言っておるから、一つも折衝しておらぬのだったら、法律の建前から言ったら、全世界どこでもやれるのだから、全部折衝してみて、この国はこういうことです、この国はこういうことです、どこにいたしましょうというような答弁をするのが建前じゃないですか。だから、アメリカを建前としてやっておるなら、すでにアメリカとどういうふうな話をしておるか、アメリカの証券市場とどういうような話をしておるかということをさっきから聞いておるけれども、それは一向に折衝しておりません、こう言っておるから、それなら、折衝しておらぬのだったら、今から折衝するんだったら、アメリカに限ったことはない。それはそれぞれの国の資金力を見て、おそらく西ドイツあたりは、今の段階では経済力からいって、投資する余裕がありますよ。だから、そういうことになるとするならば、私はアメリカも西ドイツもどこも一緒だ、こう思うわけでありますが、これはきょうはだんだん時間が迫ってきましたので、私はあしたに質問を譲りたいと思いますが、いま一つこの外貨を入れるという問題については、これは将来非常に大きな影響力があるわけでありまするから、もっと具体的に輪郭だけでもこういう輪郭であるというような、具体的な問題が答弁できるようにぜひお願いをしたい。そうでありませんと、先ほど来経理局長答弁を聞いておると、アメリカの金融市場はこういう状況でございます、それから国内債の公募債券以上では借り入れられない、それ以下でやりたい、ここまで一応明らかになっておるわけです。ところが、そこから先はもう一切話し合いしておらぬ、予備折衝もしておらぬ、こういうことになりますから、先はかいもく五里霧中だ、こういうことになると、これはまあ総動員法じゃないけれども、白紙委任状みたいな格好になるわけです。だからその点については、法律審議する場合には、必ずその法律審議される場合に、その法律によって施行されるところの政令の内容に至るまで審議をする建前を今までとってきておる。そうすると、この法律案件においてこれだけの外資を導入することができる、その外資はどういうふうなやり方において、どういう条件において導入しようと日本側は考えておるのか、向こう側はどういうふうに考えておるのか、アメリカから外資を導入しようとするならば、アメリカ側はどう考えておるか、あるいは西ドイツなら西ドイツはどう考えておるか、こういう点のおよそのことが明らかにならぬと、これはやはりなかなか審議しにくい、私はこう思うわけでありまして、なお明日この質疑の続きを行なうことにいたしまして、私のきょうの質問はこれで一応終わりにいたします。
  104. 松田英一

    松田政府委員 ただいま私お答え申し上げましたことについて、少し補足させていただきたいと思います。現在この法律といたしましては、将来のこともございますし、従いまして、外貨債全般として書いてございますので、特にアメリカというわけには、これは法律でございますのでそういうふうに書いていないのでございますが、大体現在の情勢といたしまして、世界の経済市況の関係からして、大体起債地はアメリカということは、日本の経済界と申しますか現在の外債の起債の関係としては、一般的にそういうことで取り運ばれておりますし、それから予算総則におきましてもそういうことを前提といたしまして、一応予算総則の中には七十二億円ということではございますが、そのうらはらの関係として、ドルということでもって書いてもいるわけでございます。それで、ただ具体的な発行条件等につきましては、これは公社側といたしましても、法律も通っていない、従って法律的能力もないのにということでもって遠慮をしておったきらいもあるのではないかとも思いますが、ただ一般的な状況として、外貨債の発行できる打診と申しますか、そういうものは、先般梶井前総裁がアメリカに行かれたとき以来、いろいろと公社としても研究しておるわけでありますから、その点だけは御了承願いたいと思います。
  105. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 次会は明二十八日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十七分散会