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1960-03-15 第34回国会 衆議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十五日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 佐藤洋之助君    理事 秋田 大助君 理事 淺香 忠雄君   理事 進藤 一馬君 理事 橋本登美三郎君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 片島  港君    理事 森本  靖君 理事 大野 幸一君       池田 清志君    賀屋 興宣君       上林山榮吉君    久野 忠治君       田中 角榮君    塚田十一郎君       寺島隆太郎君    平野 三郎君       渡邊 本治君    金丸 徳重君       佐々木更三君    松前 重義君       八百板 正君    堤 ツルヨ君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植竹 春彦君  出席政府委員         法制局参事官         (第三部長)  吉國 一郎君         郵政政務次官  佐藤虎次郎君         郵政事務官         (大臣官房長) 荒巻伊勢雄君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         日本電信電話公         社職員局長   行広 清美君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  山本 英也君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月十日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として成  田知巳君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員木村武雄君、藏内修治君及び成田知巳君辞  任につき、その補欠として久野忠治君、池田清  志君及び金丸徳重君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員池田清志君及び久野忠治辞任につき、そ  の補欠として藏内修治君及び木村武雄君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 三月十日  郵便集配請負人処遇改善に関する請願淺香  忠雄紹介)(第九九五号)  同(森本靖紹介)(第一一二五号)  同(塚田十一郎紹介)(第一一三七号)  指宿湊郵便局普通局昇格に関する請願(床次  徳二君紹介)(第九九六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する  法律案内閣提出第一三号)      ————◇—————
  2. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 これより会議を開きます。  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますから、これを順次許します。松前重義君。
  3. 松前重義

    松前委員 私は、この前質問に立ちましたときに、技術革新労働問題に関する政府統一見解を伺いたいということを申し上げまして、大臣統一見解を発表するということでございましたから、その点をまず伺いたいと思います。
  4. 植竹春彦

    植竹国務大臣 お答え申し上げます。技術革新に伴いまして、労働条件等の諸問題に対しましての見解を申し上げます。  オートメーション化中心といたしまして技術革新をいたして参りますれば、個々の問題についてはあとで申し上げるといたしまして、長い目で見て総合的に申し上げますと、一般労働時間はこれによりまして短縮され、また賃金労働生産性向上によりまして増加いたします。また作業環境も非常によくなる。安全でしかも衛生的になる。それらの改善をもたらすことになりまして、労働条件向上していくものと考えられます。そういうふうに人類生活がよくなればこそのオートメーションであって、オートメーション化されたために人類生活が悪くなるようでは、とんでもないことで、まして労働に従事いたします者の労働条件が悪くなるようではならない、さよう政府考えます。  このように、一般的に技術革新労働条件向上をもたらすものではございますけれども、さて、それでは、オートメーションの結果、生産性向上される、その生産性向上された成果配分するにあたりましては、二つの点に留意しなければならないと存じます。第一が顧客、カストマーに対して、第二が従業員に対しまして、それから資本に対しまして、適正なオートメーション化成果配分していかなければならないと存じます。従って、労働条件向上考えます場合にも、コスト高を招来したり、価格を騰貴させたり、資本の蓄積に悪影響があってはならない。もっとも、これはオートメーションのときばかりではございません。いかなる生産につきましても、この条件はむろん必要なのでございますが、オートメーション化の場合におきましても、これは当然考えていかなければならないと存じます。そこでオートメーション化に伴いましては、そういったよう悪影響を及ぼさないように、また経営者側従業員諸君も、両方ともに積極的な経営の運営をやっていかなければならない。従業員諸君もこれに協力してくれなければならない。さよう考えております。  そこで、これを各論的に一つ一つ分けて申し上げますと、まず労働時間の短縮の問題でございますが、これは労働時間が短縮することによりまして、生産性がより向上し得るようにしていってもらわなければならない。労働時間が短縮したために、逆に生産性低下するようではしようがない。しょうがないけれども、それはオートメ化機械化によりまして、むろん十分補っていかれることと存じます。その範囲内において当然労働時間は短縮さるべきものである、さよう考えます。  次に賃金の上昇につきましても、やはり生産性向上成果を、適当な配分考慮しながら、給与制度報奨制度等、各産業企業の実情に応じまして、適切な方法をとられることが望ましい、さよう考えます。もっとも、そういうふうに申し上げますけれども、それならばオートメーション化は絶対に労働条件悪影響はないかと申しますと、非常な大発明があって、急激なオートメーション化によりまして、一時的に失業が発生する可能性は、確かに考えていかなければならぬのでありますが、こういったよう個々の特殊な問題につきましては、その個々のケースにぶつかりまして対処いたしまして、その場合には最大限度雇用条件で失業問題に対処して善処していかなければ絶対にいけないと考えております。そういうふうな一時的の問題はあるわけでございますけれども、長い目で、長期的の傾向といたしましては、やはりオートメーション化は、生産性向上に伴う所得増大コスト低下、市場の拡大、さらにその事業ばかりでなく、関連部門生産も、オートメーション化に伴いまして増大する傾向にございますので、この技術革新等によって節約された労働力は、一般に、企業内の配置転換あるいは生産増大によって吸収されていくと思われます。ただいま議題となっております電電公社拡充計画の問題におきましても、やはり大幅に事業拡張のためにそちらの方へ労働力が吸収されて、順調にこの問題を処理していけるものと考えております。
  5. 松前重義

    松前委員 大体この技術革新労働問題に対する統一見解を伺ったのでありますが、ただいまの見解は、政策として具体的に閣議を経ておきめになったものでありますか、その辺を伺いたいと思います。
  6. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これをざっくばらんに申し上げますと、関係閣僚と協議いたしまして、それで政府見解として統一して参ったのでございます。閣議というわけではございません。
  7. 松前重義

    松前委員 この問題は、電電公社事業のみならず、今後における科学技術の振興に伴って、事業体というものは当然この問題にぶつかることになるのでありまして、日本のあらゆる産業、経済の伸展とともに当然この問題に遭遇いたしまして、何とかこれを解決しなければならないことになっておるのでありますから、従って、これはいわゆる政府としての統一見解としてただいま承ったのでありますけれども岸総理大臣責任においてこのよう政策を御発表になったと見て差しつかえございませんか。
  8. 植竹春彦

    植竹国務大臣 岸総理大臣には直接このこまかいことまでは協議いたしませんでしたけれども関係閣僚といたしまして、主として労働大臣と十分に協議して、政府統一見解として持って参ったのでございますので、この点につきましては、むろんのこと政府としての責任はあるわけでございます。
  9. 松前重義

    松前委員 わかりました。今の統一見解におきまして、二、三の点について御質問を申し上げたいと存じます。まず第一の問題は、電話拡張の第二次五カ年計画におきまして、大臣としては、お客さんに対してはコスト高を来たさないというよう方向に向かって、生産性向上によって得られたる利益配分するんだ、こういうお話がありました。それが第一。第二は従業員待遇改善あるいはまた労働時間の短縮、第三が事業向上に回す、こういうような三つの点に適当な配分を行なうというお話であります。その第一の、いわゆる事業客体でありますお客さんに対してコスト高を来たさないという問題であります。この点に対して、第二次五カ年計画なるものは、大体生産性向上、すなわちオートメーション中心として編み出されたものであります。そのオートメーション中心としてここに編成されたこの予算なるものを見てみますと、お客様に対してコスト高を来たさないというこの目的に向かっては、全く相反する、いわゆる多額電話債券を持たせるとか、あるいはまたその他の当然廃止しなければならない負担金のごときものを継続するとか、いろいろな内容を持ったものとして、ここに法案を提出されておるのであります。これに対して、まず政府の統一されたる御見解というただいまのお話とは、まるで反対の具体的な予算をお作りになったんではないかと私どもは見るのでありますが、この点に対しては大臣はどういうふうにお考えでありますか、伺いたいと存じます。
  10. 植竹春彦

    植竹国務大臣 この点は、前々から、今回の方が負担金額の実質において架設者に軽減されているということを申し上げておるわけでございます。つまり一級地を一つの例にあげてお答え申し上げますと、十五万円というふうな債券引受額というわけでございますが、これはどこまでも債券——架設者からお金を貸していただくというわけでございますので、その貸してもらったものに対する金利はむろん払うわけで、ただ架設者が一時的にそのまとまったお金支出しなければならないので、その支出に伴いまして、それが自分お金であろうと、架設者が他から融通してきたお金であろうと、そのお金に対するまた支払いの金利等差額の見合いもございますでしょう。それからまた、その債券をすぐに担保に入れて融通し、あるいは債券を売りさばいて処分するような場合にも、架設者として支出があるわけでございましょうけれども、そのいずれの場合におきましても、従来までの負担法よりは、ふところのいたむという点におきましては、軽減されている。計算はすでにお手元にごらんいただきました計算書通りでございまして、負担ということになりますと、結局は軽減された、さよう考えております。
  11. 松前重義

    松前委員 オートメーションによる生産性向上ということによって得られたる利益は、先ほど申し上げましたように、まず事業客体に対してこれを還元する、また従業員に対して還元する、事業改善に対して還元する、こういう方式をとるということをお話になりましたが、これは当然のことであろうと思うのであります。であるならば、お客様に対してできるだけ安く電話を提供するということが大事なことでありまして、オートメーションその他能率化されたる機械によって、比較的前よりもコスト低下を来たすようにするのが当然のことではないかと思うのであります。また電話債券というものは借りるのであって、取り上げるのではないというお話がございますが、それだけの資力を持たない者は電話の恩典に浴することはできない。言いかえると、あくまでも電話というものは一つの恩典的なものであって、電話をできるだけ架設費もなくて普及してやるというよう理想に向かっては、だんだん逆行する、十五万円の貯金でも持っていなければ、これはつけられないというようなことでありまして、少なくとも新しい加入者に対しまして、その普及目的に対してむしろ逆行するよう方向になっておると思うのであります。生産性向上その他のこれに基づくところの利益分配というよう意味におきましても、この第二次五カ年計画を通じてここにまた負担金に関する法律が出ておりますが、こういうものはどうもただいまの大臣の御説明理想と相反するものではないか、こういうふうに実は考えるのでありますが、この点に対して、どういうふうに大臣はお考えであるか、お伺いいたしたいと思います。
  12. 植竹春彦

    植竹国務大臣 この点につきましても、やはり私は、負担金そのものは軽減されておるのであるから、加入者にとりましては今度の方が福音である、さよう考えます。また資金が大へんかかって多額資金を要するということにつきましては、さきにお答え申し上げましたように、これは自分ふところをいためるのではなくて、結局もし資金が十五万円なら十五万円足りない人には、電話架設に伴っては特に特殊の金融の道が開かれておりますので、前回委員会でお答え申し上げました通りに、勧業銀行を初めといたしまして、その債券につきましていろいろめんどうを見てくれる銀行が数多くあるわけでございますから、その点から考えましても、結局ふところをいためる金額が現在の法律よりも改善せられておる、さよう考えております。
  13. 松前重義

    松前委員 そういう御見解もありましょうけれども、少なくとも十五万円以上のお金を持っていなければ電話はつけられないということは、私は間違いない事実だと思うのです。前はそれより少なくても電話はつけられたのでありますから、結局これは、金持ちには電話をつけてやるが、貧乏人には——貧乏人というわけではないが、お金がなければ、つけてあげませんよというふうに、これは電話普及に対して非常に障害になると思うのであります。先ほど申し上げたように、生産性向上、そしてそれによって得られたところの利益分配は、コスト低下せしめる方向に使うという理想は正しいといたしましても、この理想に対してはむしろ相反する結果をもたらすと思うのです。もう一ぺんそういう観点から、それだけの金がなければ電話はつかぬのだという意味において——銀行からの借り入れその他債券担保というようなことはあとからの話であって、まず最初のイニシアルチャージというものがない限り、困難であることをお認めになると思うのですが、いかがでしょう。
  14. 植竹春彦

    植竹国務大臣 それはお話通り頭金と申しますか、イニシアルチャージは確かに必要でございます。それにいたしましても、前回の分よりも安上がりになりまして、現在の都会地において電話をつけたいという階層、また、いなかにおきましての電話を架設したいという希望者業務活動生活活動の程度を勘案いたしますと、ただいまの諸物価等を考察いたしまして、二万円ないし十五万円の債券負担ということは決して過重ではない、これはお金持ちでなければ、つからないというものではない。ことに今申し上げました通り頭金さえございますれば、金融の道を格別に準備してございますので、あとは決して十五万円などは必要としない。その点におきましてもオートメーション化の、たとえば電話につきまして申し上げますれば、マイクロ化とか、自動化とか、そういったいろいろな機械化に伴います恩恵は電話加入者は享受し得るもの、さよう考えております。
  15. 松前重義

    松前委員 問題は、頭金というものがなければつかぬのでありまして、その点は前よりもずっと増大されるというようなことで、全体から見て、やはり電話普及に対しては逆行するというよう方向に向かうと私どもは見ているのであります。長年の間のわれわれの念願として、できるだけ負担金などというものはこれを廃止したい、そして電灯やその他のようにどんどんつけられるようにしてあげたい、これが理想であるのに、やはり頭金をうんと出さなければならないというよう方向に進むのはどうも電話政策の逆行じゃないかという感じを持つのであります。電話政策といたしまして、そういうイニシアルチャージを持たなければつかないというような、そういう行き方、しかも、それがだんだん増大されていくというようなやり方は、われわれが電話政策として今日まで念願してきたところの、この普及に対する理想とは逆行しており、同時にまた、生産性向上によります利益分配、その分配の第一条件に反するという感じを持つのでありまして、これは何度御質問申し上げても同じような御答弁をなさると思いますから、次の質問に移りたいとも思いますが、そういったふうに私ども考えます。そこで第二の問題は、やはりこれに関連いたした問題でありますが、電話が非常に普及した国々に行ってみますと、たとえば、アメリカとかなんとかいうような極端に資本主義の発達した国は別といたしまして、スエーデンやデンマークような、ああいう文化国家であって、しかも、いろいろな意味において最も進んだ国、しかも電話普及率は世界の数番目までに存在している、こういうふうな国に行ってみますと、たとえば電話を持たなければ商売にならない——事業経営者電話をつけて電話通話をやりますとき、もちろん負担金も何も要りません、負担金電話債券も何も要らぬ、どんどんつけてやる、つけてやるけれども、その場合において、いわゆる事業を特に電話によって営むよう事業体に対しましては、農村ような必ずしも電話だけで生きているのではないというようなものの電話料金とは、差があります。すなわち政策料金をそこに課しております。たとえば三越だとか白木屋とかいうようなところの電話料金は高いのであります。ところが、農村とかなんとかいうようなところの電話料金は安いのであります。こういうふうな政策料金を課しまして、そうして公平な、こういう生産性向上等によりまする利益の還元をやっておるのでありますが、こういう料金問題に対しまして、どのよう政策的な考え方をお持ちであるか。すなわち第二次五カ年計画には何らの考慮も払われていないようでありますが、これらに対しまして一体どういう考え方をお持ちであるか。これは政策問題として大臣の御見解を承りたい。
  16. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいま日本電電公社が定めております政策料金で、都会地方との差額、または単独電話共同電話等に課せられた問題、それからまた通話に対する料金のみならず、設備に対する構内電話あるいは一般電話とか専用電話、それらについてのいろいろな較差については、おおむね電電公社のこれまでの政策料金は妥当なものである、さよう監督官庁としては考えておるのであります。具体的に一つ一つについては、ちょっと料金を記憶いたしておらないものでございますから……。
  17. 松前重義

    松前委員 具体的なことを私は承ろうと思っておるわけではございません。大体妥当だという御説明でございましたが、この前も御質問いたしましたように、加入区域にしましても、いなかは非常に家の数が少なくて、しかも加入区域は狭い、電話利用範囲も狭い。都会は人口がめちゃくちゃに多くて、しかも加入区域はべらぼうに地域的には広い、そして単一料金でもって通話できる。いなかはすぐ市外通話だ。こういうことで、すでにいなかに非常な負担がかかっております。言いかえると、私が先ほど申し上げたように、農村だとか、あるいはまたそれに類似しました電話だけで生活をしているのではないというようなところの電話に対しましては、普及目的を持って政策料金を課して安くしておる。ところが、事業体電話がどうしてもなくちゃいかぬというもの、会社等に対しましては、比較的高い料金を課しておる。こういうふうな政策料金を課しておる例がデンマークその他にあるわけですが、電話普及目的のためには、ある程度そういうことにしないと、いなかに重くして都会に軽くするよう電話政策では、極端な資本主義政策であると思うのであります。そういうふうな意味において、今度の五カ年計画に何らの考慮もないと思うのでありますが、その点を大臣はどういうふうにお考えであるか。政策的な面から御答弁を願いたいと思います。
  18. 植竹春彦

    植竹国務大臣 いなかにおきましても、同一地域にありましては都会地よりも安くなっておることは御案内の通りだと存じます。他の地域にかけますときに、料金はこれまた都会地から地方にかけますのと大差ないわけだと考えておりますが、ただいまの電話料金制度が同一地域中心といたしまして定まっております関係上、市外電話の方につきましては、これは御意見の捕り将来とも検討を要する点もあるいはあるかとも存じます。大体原則的に考えますと、以上申し上げましたように、都会地におきましては、地域が広くて、しかも利用価値が非常に多いという観点から、都会地の方を高くして、むしろいなかの方が安くなっておる、さよう考えておりますが、この点につきましては、具体的には電電公社の方から答弁さしていただきますれば、しあわせと存じます。
  19. 横田信夫

    横田説明員 大体ただいま大臣からお話がありました方針でいろいろ料金をきめておるわけでありますが、先生も御承知のように、住宅電話事業電話の区別、それから利用度の幾分少ないところには共同電話をある程度使っている、あるいは地方におきましては多数共同ということもやっております。なお電話基本料、それから地方におきましては定額制というふうなことで、やはり大臣からお話がありましたように、地方の方が安くなっておるわけであります。おそらく先生は、中小都市と申しますか、中都市における度数料と、東京、大阪等の大都会度数料が同じ七円で利用価値が違うじゃないかというような点も御指摘になったのじゃないかと思います。こういう点は今後とももう少し研究していくべき問題だろうと思います。大体におきまして地方における料金は、度数よりは利用価値を標準にいたしまして、安くなっておるということがいえると思います。なお地方における五カ年計画政策といたしましては、この第二次五カ年計画中において、地方におけるいわゆる無電話部落、二十戸以上の無電話部落をこの二カ年間になくしていこうということで、従来より以上の力を入れていくというよう考えております。一般のものにつきましては四十七年を目標にいたしておりますが、無電話部落の解消につきましては、今後三年間でそれを目標にいたしております。そのほか町村については、あるいは合併できないところは市外通話を特に改善していく、こういうよう方法地方における農村対策考えておるわけであります。
  20. 松前重義

    松前委員 端的に御質問しますが、都会よりもいなかの方が、利用度あるいはまた度数等関係その他から見ても、非常に負担が重い、このことはお認めになりますな。
  21. 横田信夫

    横田説明員 ただいまお答えいたしましたように、料金自身といたしましては、都会よりは地方の方が、利用価値を前提にいたしてきめておりますので、安くなっておるわけであります。ただ都会いなかとの国民所得関係でどうなっておるか、というような問題につきましては別といたしまして、地方の方が負担としても安くなっておるということをお答えしたのであります。
  22. 松前重義

    松前委員 負担としては安くなっているという表現は、どういう意味でおっしゃっておられるのでございますか。料金の問題ですか、それとも利用価値の問題ですか、それとも負担金の問題であるか、少し分析して……。
  23. 横田信夫

    横田説明員 料金として、いなかの方が安くなっておるということを申し上げたのでございます。なおそのほかに、今度の法案における社債の引き受けていただく額等ももちろん安くなっておりますが、料金といたしましても、比較的いなかの方が安くなっておるということを申し上げたのであります。
  24. 松前重義

    松前委員 通話範囲が、すなわち通話区域なるものが狭いということは、これは料金問題と大きな関連性を持つものでありまして、その通話区域は、東京とか大阪のような大都会と、いなかとは、だいぶ大きな差がある。人口が少ないのにもかかわらず、その範囲が非常に狭い、これはお認めになりますね。
  25. 横田信夫

    横田説明員 お話の点は、大都市加入区域地方加入区域、大都市の東京というようなところ特に広いじゃないかというような点は御説の通りでございます。
  26. 松前重義

    松前委員 それならば、今あなたの断定されたいなかの方がはるかに負担が軽いということは成り立たないと私は見ておるのだが、どうです。
  27. 横田信夫

    横田説明員 都会における電話利用度、加入者の数も多いというような点の利用価値が高いということを前提にいたしまして、都会の方の電話料金の方が、使用料の方が高くなっているわけであります。それで、いなかの方においての電話使用料は加入者の数も少ない、従ってその利用価値が少ないということを合わせまして、いなか料金の方が安くなっておる、こういうことを申し上げたのであります。
  28. 松前重義

    松前委員 いなかの方が利用度も利用の価値というものも少ないし、比較いたしますと、私はいなかの方に負担を加重せしめる政策よう考えておる。それは、すなわちいなかの方が加入区域が非常に狭いということ、広ければ別ですが、狭いということによって、ちょっと隣の村と話をする、そうすれば別の市外通話となる、こういうような格好になるのでありますから、私は全体的に電話利益を受けるという立場から見ても、少なくともこの負担というものは重い、こういうふうに見ておるのですが、どうですか。
  29. 横田信夫

    横田説明員 先生も御承知のように、ただいま基本料といたしましては、事務用といたしまして、基本料が一級局は千円、二級局は九百円、だんだん下がりまして、六級局は五百円というように安くなっておるわけでありますが、なお定額制といたしましても、五級局の千八百円に対しまして十一級局が六百五十円、定額制にいたしましても五級局に比べまして十一級局は六百五十円でありますので、約三分の一というように下がっておるわけであります。この比率の下がり方をもう少し検討せよという御説かもわかりませんが、従来とも、そういう意味におきまして、地方における電話料金というものは割安にということで、こういう料金がきめられておるものと存じておるわけであります。
  30. 松前重義

    松前委員 その一級局から五級局というようなものができることが、ちょっとおかしいのでありまして、そういうような差別をだんだん撤廃しなければならない、差別を撤廃することによって、少なくとも電話利用の公平化と加入負担の公平化をはかるべきである、こういうふうに私は思うわけです。従って、加入区域を広くしていく、こういうふうにしなくちゃならないと思いますが、それに対して、第二次五カ年計画は全然こういう考慮を払っていないのではないかという感じがするのであります。何かこういう考慮を払っておられる具体的なものがこの計画の中にありますか。
  31. 横田信夫

    横田説明員 ただいま申し上げましたように、都会地方とにおきましては、地方における料金が、料金としては安くなっておりますが、この料金は安くなっても、利用形態をもっと同じよう条件に持っていく必要があるのじゃないか、こういうようなお説のようでありますが、将来いなかの方も複局地にして、非常に大きな区域にしていくということも、将来の料金制度の改正と申しますか、そういう問題としては考究していくべき問題であります。そういう点は先生のお説まことにごもっともだと思いますが、それは今後の料金の改正の大きな課題として研究していきたい、こう思っておるわけであります。
  32. 松前重義

    松前委員 せっかく五カ年計画ができましたので、こういうふうな一つの切れ目のときに、抜本塞源的に従来の課題を解決さるべきものであったと私どもは、期待しておったのであります。しかし、その内容が盛られてないことを非常に遺憾に思います。そこで、大臣に御質問申し上げたいのでありますが、生産性向上によって得られたる利益は、これを第一に客体に対して還元する、第二は従業員に対して還元する、第三は事業体事業そのものの改善に還元する、こういうことでございましたが、この従業員に対する問題であります。そうしてその従業員に対する問題といたしましては、労働時間の短縮生産性向上に伴って労働時間を短縮して、労働条件をよくする、こういうことが一つ。それから賃金を上げる、これが第二の問題であると思うのであります。第二の問題は、失業をさせない、こういうふうな三つの問題が労働条件改善の問題として考えられるのであります。そこで一般的な考え方といたしまして、人類が今まで考えることさえできなかったところの、非常に躍進的な科学技術の進歩によってもたらされたところのオートメーションに従事いたしまするところの労働者というもののその質は——質と申しますと、失礼でありますが、いろいろな意味においても知識を豊富に持たなければいけないし、経験も持たなければならない、そういう訓練を経なければならない。労働の質が、根本から、いわゆる肉体労働でなくて、頭脳労働としての方向に変わらなければならない、また変わっておるのだ。従って、言いかえると、従来の科学技術その他に対するところの実力というものが著しく向上しなければならないし、それだけの努力がそれぞれの労働者になされなければならない。こういうことを考えてみまするときに、その質の問題が、本質的に従来のものをもってしては、できない——もっこをかついで、その辺をぶらぶら歩いて、そうして土木工事に携わっておるというようなことが、東南アジア諸国に行きますと、よく見られます。けれども、ブルドーザーでもってどんどんかき回しているその機械力というもの、そのブルドーザー一台が何百人分の仕事をする。それはその機械を運転し、その機械をよく理解し、マスターして、その機械力をうまく利用できるということによるのであります。同じようオートメーション化というものの進行過程におきまして、その労働者の質が全然同じであるというふうに私ども考えてはならないし、同時に、労働者の質的向上というものが非常に期待され、そうしてまた労働者も努力をしておる、こう見るのであります。そういう意味からいたしまして、労働賃金の問題、時間の問題、あるいはまた、もちろん失業なんというのはもってのほかのことでありまするが、とにもかくにもこのような諸問題に対しまして、どういう関連性を持っておるかということの御見解一つ承りたいと思います。
  33. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは全くただいまの松前委員の御高見の通りであると存じます。日本の勤労者諸君が、いわゆる肉体労働と申せ、非常に知能が必要となってきている。日本生産技術が向上して参り、ことにオートメーション化機械化されて参りますと、知能の向上が要求せられる。また日本の組合員諸君が、また非組合員の人でもそうでありますが、非常に労働者としても程度が高くなってきておる。それによってこそオートメーションをこなし得るものだというお説に対しまして、全く同感でございます。それにはそれだけの賃金向上ということも当然伴ってこなければならない、待遇の問題につきましても当然十分の考慮を払っていくべきだ、さよう考えて全く同感に存じます。
  34. 松前重義

    松前委員 具体的な例を申し上げますると、従来は日本電話線は、二人の人が電話をかけるというときには、二本の電話線で二人が通話したのであります。東京—大阪間で二人が通話するときには、二本の電話線を専用したのであります。ところが、最近の進歩によって、二本の電話線が二十にも三十にも使える。同時に通話できる。二十人、三十人が一緒に通話できる。同じような物資をもって、そのようなたくさんの通話ができるような技術の発達がきた。同時に、その二本の電話線なるものの利用率は二十倍、三十倍になった。それだけまたそれを保守したり、あるいはまた修理いたしまする技術というものは非常な向上を来たしておる。従って、それだけの責任がその労働者にはかかるのです。保守する人には二十何倍の責任がかかってくる。もし一つ故障になったら、全部がだめになってしまう。こういうようなのが、いわゆるオートメーションという——自動交換だけをさすのではないのでありまして、市外通話その他においても、こういう例がほとんどすべてを支配しておるのであります。そういうときに、二十倍にも三十倍にも能率が上がった。能率が上がったから、よかったといって、今まで一回線に一人の労働者が必要であったとするならば、三十名雇用しておかなければいけなかった。それを一人で済む、これはいいことだ、あとの二十九名は首切ってもいいじゃないか、あるいは、これはもうけものだというような概念ではないことは、これは先ほどお話のあった通りであります。ところが、その一人で十分保守ができることはできるけれども、その人の技術力、その人の頭脳、神経というものは、非常に集中的に、完全な保守のために働かなければならぬ。一刻もゆるがせにできぬ。何となれば、二、三十回線というものが一ぺんに故障になってしまう。あるいは何百回線というものが同軸ケーブルでは故障になる。またマイクロウェーブ等においても同じでありまして、何百回線が一ぺんに故障になる。だから一人の人間の負担と神経というものは大へんな労力として消費されることになります。こういうふうな生産性向上というものが、電電公社の第三次五カ年計画の裏づけとして行なわれておるのでありまするから、この労働問題とオートメーションの問題は、これは非常に重要なものであります。私は、この事業客体でありまするお客さん、国民大衆に対するサービスもさることながら、これもやらなくちゃいけません。同時にまた、事業の拡張その他改善にこれを還元することも、ある程度は必要でありましょうけれども、それだけのいわゆる利益をもたらし得るところの大きな原動力となるものはその技術力であり、その人の集中されたる責任の重い労働である。しかも神経を使う労働である。ほかの労働とはまるで違った性質を持ったものである。こういうものはほかの労働、もっこかつぎとか、あんな肉体労働とはまるで違ったものである。従来は、技術は多少知っておっても、一回線に対して一人いればよかった、三十回線には三十人いればよかった、今は三十回線が一人でよろしい、こういうことでありますから、大へんな神経と労力を使わなくちゃならぬというところに、この労働問題がオートメーションとの関係において起こってき、そこに相当な還元がなければならないと思うのでございます。この点につきましては、先ほど抽象的な御答弁の中にも、もちろん含まれておったと思うのでありまするけれども、私はこの割合だと思うのです。これらの客体に対する還元、事業客体に対する還元と、そしてまた事業改善に対してこれを還元することと、そうして労働者にこれを還元することのパーセンテージは、およそどのくらいのところでお考えになっておるか。第二次五カ年計画においては、どうも事業改善にほとんどすべてが注ぎ込まれて、このよう労働者、みずから勉強しなければならないし、また知識を向上せしめなくちゃいかぬ、そしてまた集中したる神経を使ってこの大責任を果たさなければならぬという労働者に対して、ほとんど考慮がないのではないかという感じが私はするのでありますが、郵政大臣はこの負担金法案の御提出者として、どのよう政策的な見方を持っておられるか、伺いたいと思います。
  35. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまの問題は、全く御高見の通りであると存じます。私がさきに冒頭にお答え申し上げました中で、生産性向上成果を、カストマーと従業員と投下資本への配分ということを申し上げましたが、そのカストマーということは、いわゆる顧客、加入者、今度の電話拡充問題について申し上げますと、いわゆる加入者といった狭い意味、必ずしもそういう意味ではございませんので、つまり社会一般に還元させるという意味で、まず顧客という言葉を当てはめたのでありますが、正確に申しますれば、これは社会還元という意味で申したのであります。また従業員ということをその次にあげましたのは、結局オートメーション化と言い、機械化と申し、能率化と申しますが、それは結局人間生活のためである。しかも、その人間生活のためにオートメーション化をやっているのである。しかも、そのオートメーション化はだれがやるのだ。考えてみると、結局人間がやる。ただいまの御高説の通り従業員諸君が業務に従事する、そしてオートメーションを使いこなしているというところにあるので、人間のために人間がやっていることでございますから、そこで御高説の通り従業員の待遇の問題につきましても、つまり従業員に還元するという問題につきましても、これは慎重に十分に考慮していかなければならない、さよう考えますが、具体的なパーセンテージにつきましては、これは労働科学研究所、あるいは能率研究所等において出されている模様でございまして、ただいまここに具体的の持ち合わせもございませんけれども、それはその事業々々により、またオートメーション化の程度によりまして、その成果配分はそれぞれ違って参るわけであります。今回の拡充法案に現われましたこの料金の決定、オートメーション化成果配分問題につきましては、おおむね妥当と存じまして、この原案を決定して提出したようなわけでございます。
  36. 松前重義

    松前委員 おおむね妥当ということでありましたが、どうもおおむね妥当でないという気持で御質問を申し上げておるわけであります。これをいろいろ分解してみまして、労働時間の短縮というものについては、こういうふうな過重な頭脳労働——科学技術の進歩に伴う施設のオートメーション化というものに対しまして、非常に複雑な機能を取り扱うために、非常な頭脳労働の過重を来たす、こういうよう労働に対しまして、また交換手の諸君や、その他のやっておりますことも、ほんとうに、これは言葉の使い方から何から神経を使ってやっているようなものでございますから、このような神経労働と頭脳労働と二つ合わさったよう労働条件に対しまして、この労働時間についてはどういうふうな考え方をお持ちでありまするか。私どもとしては、当然、労働時間の短縮によってこの労働の健全性を保存しなくてはならない、こういうふうに思うのでありますが、どういう考え方をお持ちか、大臣から伺いたい。
  37. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは、たとえば外国の例に見ますように、一週間七日間を五日間働く、それからまた一日の就業時間を短縮していく、いろんな方法があるわけでございます。しかし、この電信電話拡充案に盛られましたところの労働時間につきましては、これは拡充が非常に忙しい仕事であるために、あるいは、ただいまでは超過勤務等によりまして、この急激な拡張に間に合わしていかなければならないような個所もあろうかと存じますが、なお具体的につきましては、電電公社の方から御聴取をお願いいたしたいと思います。
  38. 横田信夫

    横田説明員 ただいま大臣からお話がありましたように、設備の近代化に伴いまして、生産性は相当上がってくるはずであります。また生産性を上げることを前提にいたして、設備の近代化も行なわれるものと思いますが、それに伴いまして、全体的な給与におきましても、また労働時間につきましても、だんだん向上を見ていくのが世界の傾向であろうと思います。また、わが事業においても、そういう傾向をたどっていくのが当然の方向だろうと思うわけでございます。過去の例を見ましても、昭和二十八年に基準内賃金が約一万五千円、こまかくいいまして、平均して一万五千七円、それが三十三年度には一万九千七百六十四円、三十四年度におきましては二万六百八十三円、幾分これにプラスされますが、こういうようにだんだん上がってきております。また勤務時間につきましても、実労働時間の推移は、昭和二十八年におきまして、月平均実績といたしまして、実労働時間は、公社におきまして百八十四時間であったものが、三十三年度におきましては百七十四時間、こういうようにだんだん短縮傾向にあるわけでありますが、今後も生産性向上に伴いまして、こういう方向をたどるということが、設備の近代化並びに事業経営の能率化、そういうことのいくべき方向であろう、こう思うわけでございまして、この点は、事業目標といたしましては、先ほど大臣があげましたように、サービスの向上事業の発展、従業員生活向上、この三つを三大目標としていくべきものであろうと思います。公社の置かれております法的その他の制約がありますが、そういう制約の中におきまして、そういう方向で今後とも進めていくべきものと考えております。
  39. 松前重義

    松前委員 第二次五カ年計画において、労働時間短縮について盛られている計画を具体的に御説明願いたい。
  40. 横田信夫

    横田説明員 今申し上げました計数は過去のものでありますが、今後におきましても、公社の事業設備の近代化に伴いまして、当然こういう方向をたどっていくように、われわれとしては考えております。そういう方向を当然事業として庶幾いたしておるわけであります。
  41. 松前重義

    松前委員 私が質問いたしておりますのは、これを具体的にお示しを願いたいということであります。抽象的ではございません。
  42. 横田信夫

    横田説明員 給与の問題につきまして具体的になっておる問題といたしましては、御承知のように三十五年度の予算におきましては、予算上の計画された生産性向上につきましては、生産性向上協力手当といたして八億五千万円計上いたしております。なおそれを超過いたしました場合におきましては、業績手当を支給する、こういうようにいたしております。業績手当の支給につきましては、従来とも、これを顧客、事業従業員、この三つに分けていくという方向において、この業績手当の支給は行なわれておるわけであります。なお基本給の上昇の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、公社の法的規制そのほかの状況がありまして、今後における事業の伸展、生産性向上に伴いまして、だんだん向上いたすものとは存じておりますが、金額として特に計上いたしておるものはございません。勤務時間にいたしましても、ただいまの勤務時間は、一般事業に比べまして、どちらかと申しますと、主要産業のうちで最も短い方でありますが、なお今後とも生産性向上に伴ってだんだん時間が短くなっていく、しかし短くなっていっても、結局人をそれによってふやしていくというようなことでなくして、短い時間でより以上の成果を上げるという意味におきましての勤務時間の短縮ということは、今後望ましいわけでありますが、具体的に何年後に何時間短くするということは、特に計画されていないわけであります。
  43. 松前重義

    松前委員 機械の能率その他は、みなわかっておりますので、その辺のところは、予算を作る以上は今のよう一つ目標を持っておられるとするならば、当然この中に入ってこなければならないと思うのでありまして、全然そういうことは、まあできるならやろうというくらいの程度で軽く見ておられるよう感じがするのでありますが、その程度ですか。
  44. 横田信夫

    横田説明員 基本給べースの問題につきましては、これも生産性向上に伴いまして、だんだん向上していくことが望ましいし、われわれもできるだけそういうように力を尽くしていきたいと思っておりますが、公社の基本給ベースの問題につきましては、ただ公社だけ独走するというわけにはなかなか参らないわけであります。一般日本全体の産業、経済の生産性向上というものとかね合わされて、ある程度の均衡性を持ちながら進んでいくことが必要でもありますし、その辺を考えられて、一般の経済の均衡、一般のベースの問題を考慮して、それとの関係におきまして、決して公社が見劣りしないようにということはもちろん考えられるわけでありますが、一般のそういう経済生産性向上とも関係されて、公社だけ独走することはなかなか困難でありますので、特に計上されていないわけであります。また労働時間にいたしましても、ただいまお話しいたしましたように、主要産業のうちで最も短い方であります。しかし、これも将来できるだけ生産性向上に伴って短くなることが望ましいことでありますが、日本産業の中で、この電気通信事業だけ独走するというわけにも参らぬわけでありまして、そういう意味におきまして、今後諸種の経済の発展とともに、こういう問題について考えらるべき問題だろう、こう考えておるわけであります。
  45. 松前重義

    松前委員 経済の発展ということをお使いになりましたが、どういう意味を含んでおりますか。
  46. 横田信夫

    横田説明員 われわれ電信電話事業設備の近代化ということによる生産能率もさることながら、同時に日本全体といたしまして、設備の近代化、そのほか作業の合理化、そういうものによって日本の全産業、全経済というものが生産性向上していくことが当然必要でありますし、それに伴ってわが日本人のそういう給与レベルと申しますか、生活が当然向上されていくべきものであります。そういう全体との均衡を考えながら、公社の給与は考えらるべき建前にあります。これは先生も御承知のように、公社法の第二十条第二項に「前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」こういう公社法の精神に沿いまして、全体との関係というものを考えられながら考慮していくということが最も望ましいことであるし、われわれもそういう方向に努力いたしたい、こういうことであります。
  47. 松前重義

    松前委員 経済は発展ばかりはしないで、後退することがあります。しかしながら、文化の進歩というものはしんしんことして前進するものであります。経済は後退することがあります。だから、経済の発展だけでもってオートメーションがもたらされるということは私は間違いであろうと思いますが、これは議論でありますから、これ以上申し上げません。ただ問題は、一般の他の産業、あるいは事業体あるいは公務員その他の給与とも一応にらみ合わしてという御答弁で、電電公社だけやってみたってだめだ、こうおっしゃる。私は、電電公社ほどこのオートメーションがどんどん事業の中に取り入れられていくという事業体は、ほかにはあまりありません、あることはあるけれども、おそい、あとからついてくる、電電公社がまっ先にこの労働条件という問題とオートメーションの関連性を片づけていかなくちゃならないと思うわけです。これは一つのパイオニアです。新しい時代の性格を裏づけるための一つのパイオニアだと思う。だから、よそがやらぬから、おれはやらぬのだというようなことでは、これは私は今後大へんなことになるのだという感じがする。そういう意味において私は政府統一見解を問うて、大臣からは、非常に抽象的ではありますが、大体妥当なと申しますか、労働条件改善する、時間も短縮する、あるいは賃金もできるだけ増すというよう意味のことを、あるいはまた顧客に対してもこいつを還元するとか、事業改善にもこれを資するというお話もありましたが、ほんとうは、そのパーセンテージを具体的に示していただけば、もっと明確になるのでありますけれども、抽象的であって、そこのところが明確でございません。ただいま電電公社の副総裁答弁されましたように、よその官庁やその他のものがそうしないから、おれの方はしないのだ、こういうのでありますから、そこで統一見解ということに相なるのであります。そこで、その統一見解の立場において、これは政治的に見て、ただいまの電電公社計画の中にはこのことが考慮されていない。大体、よそがやっておらぬから、自分考慮しないのだというお話でありまするが、これは政府全体としてどのよう見解をお持ちであるか、大臣から伺いたいと思います。
  48. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまの電電公社の御答弁は、考慮しないというのではない、まだおそらく発表段階までにまとまっていないことの御答弁だったと存じますが、政府全体といたしましては、この問題につきましては、各関係労働部門からの希望もございます。それで政府といたしましての統一的な方針もむろん出さなければならないそろそろ時期にきているわけでございますけれども、まだはっきりした統一結論が、具体的にパーセンテージとか、あるいはまして金額とか、具体的なところまではいっておりません。この問題につきましては、ただいまの御意見まことにごもっともでございますので、よく検討いたしたいと存じます。
  49. 松前重義

    松前委員 電電公社はどういうふうに今の大臣の御答弁に対してお考えになりますか。
  50. 横田信夫

    横田説明員 先ほど具体的になっている問題といたしまして、電電公社だけにおきまして特殊性に基づいてすぐ現われてくるものは、生産手当であるとか業績手当、これは当然差をもって現われてくる体制になっております。今後も、こういう発展する事業であり、近代化の進む事業でありますので、他の事業とは当然相当な差をもって出てくることは、すでにはっきりいたしておりますペースの問題につきましても、今後この設備の近代化に伴うサービスの向上事業の発展、従業員生活向上という三大目標からして、向上の道をたどることは望ましいわけでありますが、ただいま現実といたしましては、まだ具体的な問題を発表する段階でもないという大臣のお言葉の通りであります。
  51. 松前重義

    松前委員 この問題は、電電公社がとにかく日本のあらゆる事業に先がけてこの問題に当面しております。でありまするから、政府統一見解を私は最初に伺ったわけです。同時に、その統一見解に従って、大臣は相当な考慮を払うべし、労働条件に対しても相当な考慮を払うべし、こういうような御答弁もあった。こういう御答弁があるのに、まだまだ電電公社としては、何らの——今おっしゃったぐらいの、何かわずかの金額お話はありましたけれども、とにもかくにも、ここに時間の短縮労働条件賃金の問題その他について、こういうふうな頭脳労働に対する特異性について、具体的な措置をおとりになっていないというよう感じがするのでありまして、その点に対して大臣の御答弁とだいぶ違うという感じがするのですが、いかがでしょう。
  52. 横田信夫

    横田説明員 大臣の御方針の通りであります。
  53. 松前重義

    松前委員 どうもだいぶ違うようです。総裁から伺いたいと思うのですが……。
  54. 大橋八郎

    ○大橋説明員 先ほどから松前さんの御質疑の点、拝聴いたしておりますが、まことにごもっともなことと思っております。職員の待遇改善につきまして、元来五カ年計画の中で、他の計画と同様にこれを取り入れて考えろということは、当然の筋であろうかと思うのであります。ただ御承知の通り、公社の性格から見まして、法的にも、また予算上の点から見ましても、種々制約があります。また官庁職員その他の公社との関係もありまして、具体的にこれをこの計画の中に盛り込むことができなかったという点が多いのでありますが、ただ今後五カ年計画の実行の場合に、できるだけ遺憾のないように措置していきたい、かよう考えておるわけであります。
  55. 松前重義

    松前委員 非常に抽象的な御答弁で、実行においてこれを取り入れるというようなことでありますけれども、この点が、もう少し大臣との間を調整する必要があると思うのです。大臣統一見解というものはどういう意味においておっしゃったのか存じませんけれども、特に電電公社の特異性を認めている。他の産業もこのオートメーションというものは導入されなければならない、また導入され得る可能性があります。けれども、それよりも増して、この電電公社事業というものは、相当に幅広く、しかも奥深くこのオートメーション化が行なわれつつある。また、それを背景として事業が成り立っておる、こういうものでありまして、言いかえると、事業オートメーションという問題に対して、大問題をまっ先に提供するのは電電公社事業である、こういうふうに思うのでありますから、この電電公社事業というものが、オートメーションの先駆者としての立場において、非常な苦難の道を歩むでありましょう。ただいまお話ように、ほかの事業が何だから、おれの方もしないんだ、そういうふうな退嬰的なことでなくて、これは先駆者ですから、やはり最初に切り開いて、そしてオートメーションというものの進行過程においてこういうことが考慮され、こういうことが具体的に実現されなければならないという先例をここに残さなければならないのでありますから、それに対する一つの歴史的な電電公社事業の役割というものについて、どういうふうにお考えになるかということと、ただいまのオートメーション労働問題に対する統一見解の御答弁、これとの関連性について、もう一ぺん一つ伺いたいと思います。
  56. 植竹春彦

    植竹国務大臣 おおむねただいまの御意見の通りでございます。おおむねと申し上げましたのは、電電公社総裁、副総裁といたされましては公社法の第三十条第二項の規定がございますので、やはり各方面の情勢を考慮してからでなくてはその結論が出ないというお答えをされたのは、当然なことだと存じます。それで私といたしましても、この公社法の三十条の第二項というものは尊重していかなければならない立場にございます。そしてまた松前委員のお述べになりましたオートメーション化電電公社との関係の問題、また従業員の給与の問題等につきまして、まことに御意見の通りであると存じますので、先ほど申し上げましたように、各方面からの労働関係の希望が、まだ出そろってはおりませんが、もうぼつぼつ出ております。関係官庁相寄りまして協議いたしまして、方針も樹立していきたい、さよう考えております。
  57. 森本靖

    森本委員 関連して。大臣がよく法律をたてにとるので、僕もその法律をたてにとって聞いてみたいのですが、第三十条の二項の「前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」とあるのは、これは大臣は、国家公務員その他の人の賃金と同一あるいはまた同一水準でなければならぬと、こう解釈しておるのですか。
  58. 植竹春彦

    植竹国務大臣 いえ、そういう意味でありませんで、むろんそういう意味を全然含まないとは申しませんけれども、そればかりではなくて、職員の給与は国家公務員及び民間事業従業員の給与その他の事情を考慮して定めなくちゃならぬという意味は、考慮して定めるということは、絶対それより下でなくてはいけない、上でなくてはいけないというのでなく、その当時の社会情勢、経済情勢、給与状態、生活状態、各般の労働関係の情勢を考慮するという意味でありますから、場合によりまして上のことも下のこともあろうと存じます。下でなくてはいけないという規定には私は読んでおりません。
  59. 森本靖

    森本委員 それは大臣、都合のいい解釈をしてはいかぬ。「この前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」ということは、今言うた諸般の情勢を考慮してきめなければならぬということであって、公務員の賃金はこうだ、しかし電電公社のいわゆる合理化の推進あるいはオートメーションの推進ということによって、労働力が強化せられておるという場合には、やはり水準がずっと高くてもよろしいというふうなことも、この中の考慮に含められておるわけです。それからもう一つ重大なことは、ここで民間事業の従業者の給与その他も考えなければならぬわけです。そうすると、ここで電電公社と民間事業の方と比べる事業といったら、大臣、どこですか、電電公社で一番比べやすいのは……。常識でわかるでしょう。
  60. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまの森本委員の御見解と私とはそんなに違わないと思いますが、なお具体的には松田監理官からお答えいたします。
  61. 森本靖

    森本委員 いや、僕が言っているのは——監理官に聞いたら、監理官がすぐ答えるわけです。そうでなしに、大臣が政治家としてこの三十条の第二項を読んで——今あなたが第二項を引用されたから、その引用された民間事業というのは、電電公社と一番比較するに値する民間事業というのはどの事業ですか、こう聞いておるわけです。それは常識でわかるわけでしょう。国際電電でしょうが。そうじゃないですか。
  62. 植竹春彦

    植竹国務大臣 国際電電もその一つでありましょうが、まだ電気通信に関します諸事業、製造工業もございます。やはりいろいろな事業が入ってくる。KDDもむろんその一つであるわけでありましょう。
  63. 森本靖

    森本委員 そんな答弁はないのであって、大体この電電公社の類似民間産業というのは、これは国際電信電話株式会社、それからそれと似たような仕事をしておるのは民間の加入電信あるいはPBX、こういうのが民間の類似産業です。その民間の類似産業と比べて、公社の賃金がはたして今日その水準と比べて正しいものであるかどうか。たとえば国際電電の給与と比べて、あるいはまた加入電信に入っているところの貿易商社の賃金と比べて、あるいはまた民間のPBXの交換のところと比べて、電電公社の交換手の要員の賃金がはたして妥当かどうか。そういう点について、大臣として政治的に検討したことがあるのですか。この法律を今あなたは言われましたけれども、具体的に、これは監理官からこまかく数字をということでなしに、大臣というものは——私は何円何銭、何円ベースということをこまかく大臣に聞こうとは思わぬわけです。ただ大臣は、公社の職員がどのくらいの賃金であって、それで国際電電の従業員がどの程度の賃金であって、今言った民間産業の人の賃金がどの程度の賃金であるかということを頭の中にちょっと描けるくらいの、ふだんからの勉強をしておろうと私は思う。だから、何円何銭という賃金ベースが、どうのこうのということを私は言っているわけじゃない。たとえば現在電電公社の職員のベースと国際電電の職員のベースと、どの程度になっておるかということについては、大臣としては頭の中に置いておく必要があると思う。その点を聞いておるわけです。
  64. 植竹春彦

    植竹国務大臣 どうも賃金ベースは、計算のしようによっていろいろのように承知いたしておりますが、大体におきまして全逓が二万四百何円ですか、それから電電公社がやっぱりそのくらい——もうちょっといいですか、二万五百円、要するに約二万円程度であるということは承知しております。KDDの方は、KDDというのは何か大へん成績のいい会社だということを承知いたしておりますけれども、(森本委員大臣は監督機関じゃないか」と呼ぶ)監督機関なものですから、成績のいい会社だということは承知いたしておりますけれども電電公社はKDDから比べますと、成績が落ちるようにこれも承知しております。この賃金べースを考えますことは大へん重要な問題でありますし、KDDだけを比較することもむろんできませんが、KDDのこともむろんこれを重要参考資料の一つとせねばならない、さよう考えておりますので、慎重にこの問題を研究しつつあるわけでございます。
  65. 森本靖

    森本委員 関連ですから、あとでまたゆっくりやって、これで終わりますが、大臣は国際電電のことについては非常に成績がいい会社だという程度のことしか知識がないわけですけれども、国際電信電話株式会社法という法律について、大臣はこの会社のすべてをこの法律に基づいて監督するということになっている。その監督する大臣がそんな程度じゃ、これはとても監督はできませんよ。少なくともKDDの従業員のべースが大体どの程度ということは頭の中に入れておくべきだと思う。家族手当がなんぼ、地域手当がなんぼということを私は聞いておるわけではない。べースについてはどの程度ということを頭の中に入れておくことは大臣として必要だと思う。監督する大臣が、どうも成績がよろしいように思いますというよう答弁で、それで満足にこの法律に基づいて監督ができると思わぬ。そこで、今ここで責めても仕方ないわけでありますが、とにかくこの第三十条というものの解釈は、狭義に公務員と同水準でなければならぬという解釈ではない。この法律の趣旨は、国家公務員はそうであっても、電電公社の場合はその特殊な事情がある。だから、これは上げなければならぬ、さらにそれを同種の民間産業と比べた場合には、さらにこれは劣る、これは上げなければならぬ、こういうことも、第二項の「給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」この中に私は入っていると思う。その点はどうですか。
  66. 植竹春彦

    植竹国務大臣 その通りであります。ことに第一項には能率給のことも含まれておりますので、御説の通りでございます。
  67. 松前重義

    松前委員 なかなかおもしろい質疑応答でありましたが、電電公社法の第三十条というものを、今のように、大体似たよう事業である国際電信電話株式会社の方とにらみ合わせて給与をきめるべきであるというふうに解釈いたしますと、これは非常にいい法律であると私どもは思うのでありまして、この法律を、ただいま森本委員質問の中に申しましたような、そういうふうな電電公社の給与その他をそちらへ右へならえをする、すなわちそれを参酌して、それを考慮してやるというよう意味において、今後の電電公社経営をお考えになるかどうか、そういうふうに御解釈になるかどうか、その解釈の仕方をもう一ぺん一つ答弁願いたい。
  68. 植竹春彦

    植竹国務大臣 私は、同じような民間会社の給与を十分に考慮するということは、KDDだけと考えておりません。おそらくKDDのようにしたら、公社は破産してしまいはせぬかと思います。しかし公社のただいまの資本構成、それから生産性、収益率、業績等を考えまして、公社がKDDと同じような諸条件であったならば、KDDと同じようにむろんすべきである、さよう考えますが、この点はKDDだけを比較対象といたしませんで、KDDのこともこれは十分に参考にして、それからまたKDD以外の、先ほど森本委員の御指摘になりましたような各団体につきましても十分に考慮の対象としていって、そしてこれならば適切であるという妥当な線を結論として出していくべきである、さよう考えます。
  69. 松前重義

    松前委員 どうも先ほどの御答弁の御趣旨、労働者にその利益は還元するというよう方向の御答弁があったのでございますが、今度は、なるべく還元したくないのだというようなふうにだんだん変わってきたよう感じがする。ただいまの公社法という実にりっぱな法律がありますので、これに従って電電公社事業というものがオートメーションに関する一つの——KDDもそれよりちょっと先にぶつかった会社でありますけれども、しかし電電公社なるものは、最も大きな事業体として、最初に政府機関としてぶつかったものでありますから、その点において、特に一つこの問題の解決の選手として、ここにいわゆるただいまの電電公社法の精神を生かす、それによって突破口を開くというよう意味における解釈を私はすべきであると思うのでありますが、これはいかがでございますか。
  70. 植竹春彦

    植竹国務大臣 突破口になりますか、いかがか存じませんが、ただいまの御趣旨十分に尊重して、妥当な結論を出していきたいと存じます
  71. 松前重義

    松前委員 どうもあげ足をとるようなことはあまり言いたくないのでありますけれども、ちょっと気になりますから、電電公社当局の御答弁を伺いたいと思います。KDDという会社は非常に経営よろしきを得ているという話でありまして、それで利益が上っている、電電公社はあまりよくないという話でありますが、それはいかがですか。総裁、そういうふうにお考えでありますか。私どもはそう思わぬのでありますが、そうお考えでありますか。
  72. 大橋八郎

    ○大橋説明員 私はKDDと比較して、現在の公社の成績がどういう割合にいいか悪いか、比較したことがありませんから、ちょっと御答弁いたしかねると思います。むろんKDDは非常に成績がよろしいかと思いますが、公社の事業といえども、そう成績が悪い方じゃなかろうと考えております。
  73. 松前重義

    松前委員 大臣ももうちょっと御勉強になって——悪くないそうでありますから。そうすると、KDDとそう大差はないということになりますから、そこにやはり公社法の精神は当然生かすべきであると私ども思うのでありますが、これは公社の立場としては、そうお思いになりませんか。その方が私どもはいいと思うのだけれども、そうお思いになりませんか。私の方は遠慮しますとおっしゃいますか。
  74. 大橋八郎

    ○大橋説明員 先ほどKDDと比較してどの程度かということは、比較はできないということを申し上げました。KDDはむろん非常に成績がいいと思いますが、私の方もやはり悪くはないと考えておることは、先ほども答弁申し上げた通りであります。
  75. 松前重義

    松前委員 私が伺っているのは、そういう比較論は先ほど伺いましたので、いわゆる公社法の第三十条ですか、それの民間産業その他を考慮してという、その言葉の解釈を、もう少し積極的におとりになるお気持はございませんかという御質問を申し上げているのです。
  76. 大橋八郎

    ○大橋説明員 法律の解釈は、これは監督官庁の方の解釈によるほか仕方がないと思います。私個人の意見をもし問われるならば、この三十条の「その他の事情を考慮して定めなければならない。」ということは、要するに、ここに書いてある通り、よくにらみ合わせて考えてきめろ、こういうことだと思います。ぜひこれと同じにしろというほど窮屈なものじゃむろんないと思いますが、まあいろいろな事情を考えて、いろいろなファクターを取り入れてきめろということだと思います。
  77. 松前重義

    松前委員 いろいろなファクターとはどういうことでありましょうか。
  78. 大橋八郎

    ○大橋説明員 それは、具体的に今ここでどのファクターということを申し上げるあれはちょっとありませんけれども、いろいろのことを……。
  79. 松前重義

    松前委員 大体同じにしようというのではないけれども、まあそちらに近づきたい、近づくように努力をしたいという意欲はお持ちでございますか。
  80. 大橋八郎

    ○大橋説明員 意欲はむろん持っております。ただ、先ほどもちょっとお話がありました、例の計画の中に取り入れたらどうかというようなことでありますが、これは、御承知の通り、第一次五カ年計画のときから、程度の差は多少あるだろうと思いますけれども、従来に比べますと、非常な躍進をしたわけです。その場合にも、実行の方面でできるだけ考慮することにして、先ほど副総裁も申し上げました時間の点においても、べースの点においても、漸次向上してきておることは、先ほど御答弁申し上げた通りであります。従いまして、この五カ年計画の場合も、今ここに具体的に、第何年度にはどのくらい、第何年度にはどの程度のパーセンテージを上げるとか下げるとかいうことは、むろんそこまでは計画はありませんけれども、年々のそのときの予算の状況等をにらみ合わせて、先ほどの第三十条の趣旨もそこに取り入れて、できるだけ向上させていきたい、かようなことに考えておるわけであります。
  81. 松前重義

    松前委員 ただいまのお話で、積極的なある程度の腹案をお持ちようでありますけれども、いわゆるKDDの問題は、にらみ合わせ、すなわち考慮してというこの点につきましては、とにかくある程度この公社法というものを積極的に解釈しなければ私はならないと思うのです。もし大臣の御答弁が、この生産性向上労働条件の問題に対する誠意を持った御答弁であるならば、そうでなければならないと私は思うのでありますが、その点につきまして、積極的な解釈のもとに監督官庁として今後指導されるつもりでありますか、伺いたいと思います。
  82. 植竹春彦

    植竹国務大臣 御意見の通り監督して参ります。
  83. 松前重義

    松前委員 私は、この電信電話事業というものがだんだんオートメーション化されて参りまして、そうして能率が向上してきている、これに対しまし三一三の例をあげて申し上げてみたいと思うのです。オーストリアにおきましては、一般産業労働時間というものは一週間四十八時間であります。ところが電信電話事業におきましては二六・四五時間、著しく短縮されておることはこの労働の特異性によるものであることは言うまでもありません。オランダにおきましては、一般産業労働時間は四十八時間でありますが、これに対しまして電信電話事業に従事する者の労働時間は四十二時間でありまして、大体一割二分ぐらいは下回っております。それからスイスにおきましても、一般産業労働時間が四十八時間に対して、スイスは少し長くて四四・四五時間であります。カナダにおきましては、一般産業は四十四時間であります。ところが電信電話事業におきましては四十時間、大体一割引であります。ノルウエーはもっと労働時間が少なくて、一般産業四十八時間に対しまして、電信電話事業は三十七時間になっております。まあこのようにいたしまして、この労働時間の短縮というものにつきましては、いわゆるオートメーションによるところの特殊な労働に対する労働条件を満たすために、時間の短縮を行なっておるのでありまして、こういう実例から見ましても、当然これは他の産業、あるいはまた事業体とは異なったものであるという認識の上に立って、積極的にただいまの公社法の解釈をすべきであると私どもは思うのでありまして、この点につきまして、もう一回大臣から、この外国の例というものはお認めになるかどうか、そうしてこれは理由があることであるとお思いになるか、そうしてその理由たるものは、オートメーション技術革新のもたらしたものである、またその他にも多少の条件はありますが、主としてそこにある、また特異な労働であるということをお認めになるかどうか、この辺につきまして御答弁を願いたいと思います。
  84. 植竹春彦

    植竹国務大臣 御意見の通り考えます。
  85. 松前重義

    松前委員 どうも御意見の通りでは、まことに答弁として物足りない感じがいたしますが、もう少し具体的に、外国の例が正しい、こういう傾向を持っておるということをお認めになり、その上で公社法の解釈というものを積極的に今後おとりになって、電電公社の監督をおやりになるかどうか、この点について伺いたい。
  86. 植竹春彦

    植竹国務大臣 電信電話、ことに交換の事務等は非常に神経をわずらわし、疲労度につきましても、一般労働条件よりも疲れるということもむろん承知いたしております。従って、こういった差のあるのはもっともなことである、当然なことである、さよう考えまして、今後こういうふうな問題を労働条件等の検討にあたりましては十分に考慮して参りたいと存じます。
  87. 松前重義

    松前委員 ただ神経を使う労働であるというだけでなく、先ほど来申し上げましたように、相当な勉強をしなくちゃならないし、また知識も向上しなければならぬし、その陰においては、労働時間以外の努力が相当に必要である、こういうことがなければ、とうてい実力ある労働者にはなれない、こういう意味のことを私は言っておるのでありまして、ただ単に神経を使うとか使わぬとかいうだけの問題ではなく、その責任の非常に大きいことと同時に、またその人の実力を培養しない限り、電信電話オートメーション化に対応することはできない、これに対してどうお考えになるかということを伺っておるのでありまして、外国の例に対して日本方向をどういうふうに向けていこうとされるのか、これを伺っておるわけです。
  88. 植竹春彦

    植竹国務大臣 その問題は、実は本日の御質問の初めの方にお答えを申し上げましたものですから、特殊技能とか知識とかいう問題は省略いたしたのでありますが、ただいまの御意見の通り、特殊技能と特殊頭脳、従ってそれに対する神経の疲労等も、肉体的疲労等もつけ加えた意味で簡単に申し上げたのでございますけれども、詳細に申し上げますれば、ただいまお答え申し上げた通り、言いかえれば、御意見の通りでございます。
  89. 松前重義

    松前委員 私が申し上げておりますのは、何も特殊な技術者だけのことを言っているのではなく、電電公社従業員全体に関して言っておるのでありますが、そういう特殊な労働であるという建前から、電電公社当局は、今大臣の御答弁よう方向に向かって今後の労働条件改善に対して努力をされるつもりかどうか、伺っておきます。
  90. 大橋八郎

    ○大橋説明員 ただいまお話の、電信電話事業従業員の特異性にかんがみて労働時間を短縮しなければならぬ、こういう御趣旨はごもっともかと思うのであります。日本の現状におきましても、今手元にありますこの材料を見ますと、日本一般の実働時間週当たり五十・二時間、それに対して電電公社従業員の実働時間が三十九・四時間というふうになっておるわけであります。大体御趣旨のよう方向に現在の日本の状態もあるし、今後も当然こういう趣旨において、できるだけ改善をはかっていかなければならぬ、かよう考えております。
  91. 松前重義

    松前委員 労働条件改善の問題は、具体的な数字をもってお示しいただかないと、どうしても納得できません。先ほど副総裁から数字を多少お示しになりましたけれども、あの大事業の中に、ほんのスズメの涙ほどの予算を計上したからといって、それが満足されたと私どもは全然思っておりません。すなわち、電信電話事業経営の中で事業によって得られた利益——収入ではありません、その利益設備方向に投資されていく、そういうようなパーセンテージが非常に多いと私どもは思いますが、その設備の方に投資されるのと、それから労働条件改善、これらに対しましてどのような比率をもって今度の五カ年計画は編成されているかを伺いたいと思います。
  92. 横田信夫

    横田説明員 お答えいたします。今の労働時間と給与の問題につきまして、ことに給与の問題について、三十条のいろいろお話が出ましたが、要は、公社だけ独走できないということも申し上げた、その引例に二項を引用いたしたのであります。しかし、それにいたしましても、ただいま大臣お話がありましたように、あれをできるだけ積極的に解していくという方向は、まことにけっこうだろうと思います。われわれも今後ともそういうふうに努力したいと思うわけでありますが、ことに給与の問題、あるいは労働時間にしましても、今総裁からお話がありましたように、全日本の実労働時間でいきますと、週にいたしまして五十・二に対しまして、電電公社は三十九・四時間、そういうように、相当程度われわれの方の労働時間の特殊性も認められて、短くなっているわけであります。また全産業の五百人以上の大きな工場をとってみましても、三十三年度におきまして、一カ月に実労働時間が百九十二時間、これに対しまして電電公社が百七十時間、ただいま先生が引用されました世界の傾向と比べましても、日本における電信電話事業一般産業との比率は、決して遜色のあるものではないわけであります。しかし、この労働時間につきましては、先ほど大臣からの御指摘のように、今後設備の近代化に伴って生産性向上すれば、これもなお一そう向上されていくことが望ましいと考えているわけであります。そこで、給与にいたしましても、電電公社というような独占的公共事業という建前からしまして、給与べースの上がるということについては、関係方面はもちろんのこと、世論の一般的な支持のもとで、こういうレベルが上がっていくことの認められることが必要であります。先ほどから申し上げますように、生産手当とか業績手当とかいう問題につきましては、幸いにして、ようやくわれわれの事業の特異性が認められて、その成果が上がったわけでありますが、ベースにおきましても、わが事業におきましての特殊性というものが一般の世論からも認められまして、なお、一般より相当高くていいのだというところまでいくことが将来も必要であろうと思います。そのためには、われわれ管理者だけではなく、全従業員が一体になりまして、よく働いていって、電電公社従業員は、サービスも非常にいいし、また能率も非常に上がっている、従って、一般産業よりもレベルが特に高くていいのだという社会的な一般の支持を得るように、これはわれわれだけでもいかぬ、全従業員が一体になって今後ともそういうことに努力いたしたいと思うわけであります。それから、今の経費において占める給与の比率、それから改善に投入いたしております比率を経理局長から御答弁いたします。
  93. 山本英也

    ○山本説明員 収支差額等の人件費に対します分と、設備に対しますところの投入部分がどうなっておるかというお尋ねかと思いますが、収支差額ということになりますときには問題もございますので、収支に対して申し上げますと、収入に対しましては、人件費が三九%を占めております。それから支出に対しましては、四五%を占めております。それから収支差額として建設勘定に繰り入れますところの額というものは、ただいま人件費が三九%だと申し上げたのに対して、二二%に相なっております。これは三十五年度の予算におきますところの数字をパーセンテージで表わしたものでございますが、収入に対しますところの人件費の比率というものは三十三年度が三三・一二でございますので、逐年収入に対しますところの人件費の支出割合というものは減っていくという傾向にはございませんので、過去五カ年間の傾向を見ますと、大体横ばいの増加を示しておるのであります。
  94. 松前重義

    松前委員 私が言っておるのは、人件費とかそういう収入とかいうようなことでないのでありまして、事業全体として利益とみなされるものが、第二次五カ年計画においてはどのよう配分されるのであるか、こういうことです。
  95. 横田信夫

    横田説明員 御質問と今の経理局長答弁、大体同じ方向のことを言っていると思うのでありますが、要は、収支差額というものの出てくる問題はどこにあるかということになりますと、先生もよく御承知のように、前回料金値上げの際に——あの料金値上げの根拠というのは、単に赤字を消すということでなくして、電話料金というものは、現在のお客さんに対するサービス改善ということに——今の拡張改良計画の約半分というものは改善に充当されるもので、従って、あの料金値上げというものは、いろいろの議論はありましたが、それを前提にして認められたわけであります。そういう意味で、収支差額というものは予算上当然予定されていくべきものでありまして、その比率につきましては、大体今の国会の予算討議のときと同様の比率をもって予算の編成がなされておるわけでありますが、それを越えて、なおいわゆる収入の増がある、能率の増があるという問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように、業績手当として見ていく。この業績手当としての配分につきましては、お客さんに三分の一還元いたしまして、あと三分の二を資本従業員との関係で還元する、こういう原則を持っております。それで資本と給与との還元の比率は六〇、四〇の比率で還元するということになっております。
  96. 松前重義

    松前委員 どっちが六〇ですか。
  97. 横田信夫

    横田説明員 六〇は職員の方であります。
  98. 松前重義

    松前委員 もう一つ伺いたいのは、外国の例を私が申し上げたところが、外国と日本労働時間は変わるのだ、こういうお話でありましたのです。従って、労働時間の問題はこれ以上考慮する必要はないのだ、そういう基礎の上に立って考慮する必要はないのだ、こういうことでありますか。そうすると、話はまた逆戻りしたわけですか。
  99. 横田信夫

    横田説明員 そういうことを御答弁したつもりは毛頭ないのでございます。もちろん、現在におきましても、わが事業の特殊性からいたしまして、日本の平均の勤務時間とわが国における電信電話事業の時間というものが、諸外国における一般産業と電信電話事業との比率というものと同じようになっておるということを申し上げただけでありまして、今後とも設備の近代化が進んでいくわが事業ようなものにおきまして、そういう生産性向上とともに労働時間の短縮というものがはからるべき方向にあるということについては、否定しないのみか、今後ともそういう方向従業員とともに努力していきたい、こう申し上げたわけであります。
  100. 松前重義

    松前委員 一般産業の絶対量というものが、労働時間が相当長いから、それで比率は大体同じである、一般産業労働時間がもっと縮まってくるならば、こっちもその比率に従って縮ませるのだ、おっしゃったのはこういう意味ですか。一般産業とにらみ合わせて、言いかえますと、それを考慮してという意味の解釈か、そのようにおとりですか。話がだいぶ逆戻りしたようだから、その辺のところをもう一ぺん……。
  101. 横田信夫

    横田説明員 現在の状況、過去の状況について申し上げたわけであります。過去の状況を申し上げた趣旨は、過去におきましても、われわれはわが事業における勤務時間の特殊性からして、一般産業よりは当然特殊性としての勤務時間の短縮については、従業員とともに努力してきたつもりであるけれども、その結果がこういうことになっておるのだ、今後とも、そういうことについては、生産性向上とともに労働時間の短縮方向で努力したいということについて申し上げたわけでありまして、他の方がやらなければ絶対にやらぬ、というようなことを申し上げておるわけではないのであります。
  102. 松前重義

    松前委員 絶対的なものとして、ほかの産業とのにらみ合わせの上において、ほかがそのよう労働時間が短縮されればこっちもやるのだ、こういうことではない、こういうことではなくして、われわれはわれわれ独自の立場において労働時間の短縮をやるのだ、こういう意味と解釈してよろしゅうございますか。
  103. 横田信夫

    横田説明員 わが事業の特殊性を認めながら努力していくことは当然でありますが、先ほども申し上げましたように、独占的公共事業でありますので、幾ら何でも世論の支持を受けないような不均衡なことはできない。しかし世論の支持を受けながらいくということは、今の給与と同様でありまして、電電公社の職員は、ほかの方と比べて、あんな仕事なのだから、勤務時間についても、あるいは給与についても、格段の差があっていいのだという世論の支持があるように、今後従業員とともに努力していく、管理者だけでなく、従業員全体とわれわれが手を握っていって、そういう世論の支持のもとに、われわれとしては努力していきたい、こういうことを申し上げたのであります。
  104. 松前重義

    松前委員 世論の支持でまた逃げられたのでありますが、どうも議論は逆戻りしますね。世論の支持を得、そうしてまた従業員の努力、その上においてのみできるのであって、管理者だけでできるのではない、こういうことであるとするならば、あなた方に労働時間の短縮その他に対する責任はないのだというふうに聞こえるのでありますが、そういうお気持で経営しておられるのか。責任はないのだ、むしろ世論に責任があるのだ、あるいは従業員責任があるのだ、こういうふうにわれわれには聞かれるのでありまして、まことに無責任経営よう感じがするので、御答弁を拝聴すれば拝聴するほど、逆戻りしていくという感じがするのですが、どうですか。もしそうであるならば、あなたから答弁を聞かなくてもいいことになる。
  105. 横田信夫

    横田説明員 私はそんなことを申し上げた覚えは毛頭ないのでありまして、また管理者もそういうことに努力すべきはもちろんでありますが、管理者と従業員一体となってわが事業は運営されるのでありますから、そういう方向につきまして、われわれ管理者のみならず、全従業員とともに努力して、それによって——世論に責任は毛頭ありません。むしろ、その事実を前提にして、世論は当然われわれの努力を認めて、そこに根拠ができてくるものだろうと思っておるわけであります。
  106. 松前重義

    松前委員 労働者と一体となってという御発言は、非常に重要であると思います。労働組合との交渉その他におきまして一体となるということになりますと、その一つの結合体というものは、同じような資格においての一体化でなければなりません。そうすると、労働組合のこの労働条件その他に対する主張を、ほんとうに誠意をもって受け入れ、またあなた方の主張も誠意をもって受け入れるというところに、一体化というものはでき上がると思うのでありますが、これに対しまして、やはり経営者と、要求するものと要求されるものというような対立の中に、いつまでもそれが平行線をたどるがごとき姿に置いては、とうていこの問題の解決はつかないと私は思う。こういう意味におきまして、今後この問題の解決に対してどのような態度をもってお臨みになるつもりか、これを伺いたいと思います。
  107. 大橋八郎

    ○大橋説明員 先ほど副総裁から申し上げました通り、今後の待遇改善その他の問題につきましては、経営者の立場と組合の立場、それぞれありましょうけれども、常に話し合いの場を求めて、でき得る限りお互いに納得した上で話を進めていきたいというのが根本の精神であります。従いまして、従来もそのつもりで経営して参っておるのでありますが、今後も同様の趣旨に基づきまして、でき得る限り話し合いの場を求めつつ進めていきたい、かよう考えておるわけであります。
  108. 松前重義

    松前委員 第二次五カ年計画なるものは大体今国会を山といたしまして実行に入る、そのような気持をもってお進めになっておられると思うのであります。ところが、この第二次五カ年計画をいよいよ実行をしようという前夜である今日において、その問題につきまして、一体となるという先ほどのまことにけっこうな御表現がありましたけれども、その表現を具体化なすって、この実行に一体となって進むというようなふうに今後の行き方をお考えであるかどうか、内容の問題を含めて、その時期の問題を早急に解決される意図があるかどうか、この辺を伺いたいと思います。
  109. 大橋八郎

    ○大橋説明員 ただいまの御質問の御趣旨はよく理解しかねるのでありますが、時期の問題と申しますことは、もう少し詳しく一つ説明願いたいと思います。
  110. 松前重義

    松前委員 言葉が足りませんでしたが、この計画を四月から実行に移すつもりで提案しておられると思います。であるならば、実行に際して、四月からいよいよ皆さん方としては実働に入りたいという意図のもとにおやりでありまするから、今月一ぱいには、今のお言葉のように、労働組合と一体となる態勢をお作りになる必要があると思うのです。でありまするから、そのよう一つ今後の交渉を急いで、しかるべき一体となり得る態勢にまで持っていかれるつもりでありまするか、いかがですか、こういうことをお伺いしたわけです。
  111. 大橋八郎

    ○大橋説明員 ただいまの御趣旨は、現在組合からいろいろ要求が出ておりますそれとの関連、団体交渉のあるいは妥結の問題ではないかと実は拝聴いたしたのでありますが、この問題となりますと、いろいろ複雑な、たくさんな問題がありますので、はたして今月、来年度に移る前に全部の妥結が見られるかどうかということは、私どもも懸念はいたしておるのであります。できるだけ話をまとめて、妥結し得るものは、なるべく早く妥結したい。どうしても妥結のできぬものは、来年度に持ち越すのもやむを得ないと思うのでありますが、できるだけ早く多くの項目について妥結の点に到達さしたいという心持だけは持っております。
  112. 松前重義

    松前委員 先ほど大臣から、生産性向上からオートメーション化による労働条件改善、これは賃金の面におきでましても、あるいは労働時間の問題に対しましても、これらを改善する、ことに電信電話事業に従事する従業員の特異性にかんがみてこれを考慮するという話がございました。それに伴って、電信電話公社においては、その趣旨に従って今後の実行において努力していくというお話もございました。しかも、電電公社法の中における他の事業体をも考慮してという文句を積極的に解釈して実行に移すんだ、こういうお話がございました。こういう総合的な御答弁に対しまして、そのように解釈してよいかどうか、総裁大臣とから御答弁を願いたいと思います。
  113. 大橋八郎

    ○大橋説明員 大体先ほどからこの問題に対して答弁申し上げた通りでありまして、今後大臣答弁の趣旨にのっとりまして私どもは仕事を進めていきたい、かよう考えております。
  114. 植竹春彦

    植竹国務大臣 監督官庁といたしまして、公社と十分の連絡をとりまして、先ほどから答弁申し上げました趣旨が十分織り込まれるように積極的に努力いたします。
  115. 松前重義

    松前委員 たくさんまだございますけれども、一応この辺で打ち切りたいと存ずるのでありますが、何をおきましても、労働組合と一体となって進んでいくということは、非常に重要な、しかも、われわれとしては望ましい御発言でございまして、早急にこれらの諸問題を解決されて、明るい事業体として前進する必要があるのではないかと思うのであります。いずれにいたしましても、この労働条件オートメーション関係は非常に重要である。しかも電電公社特異の現象である。現在のところ特に著しい現象である。こういう認識の上に立ちまして、大臣も閣僚として、政策的にこれを遂行する意図を持って善処していただきたいと思うと同時に、電電公社当局においても、ただいま大臣の趣旨に沿うて善処するというお話でありましたが、積極的な電電公社法の解釈の上に立ってこれを具体化すべく、早急に結論を得られんことを私は希望するものであります。まだたくさんありますけれども、片島委員もたくさん質問を準備しておるそうでありますから、それに譲ることにして、これで打ち切ります。
  116. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 片島君。
  117. 片島港

    ○片島委員 最初に一つお尋ねをいたしておきまするが、今非常に積滞がふえております。先進国で、日本ように申し込んで三年もまだ電話がつかないようなところは、外国にはどういう国があるか、御調査になったことがございますか。
  118. 横田信夫

    横田説明員 実はごく最近の資料を今持ってきておりませんが、申し込んで早期につく国は、今割合に少ないのであります。今フランスあるいはドイツ、イギリス、ことにフランス等は、日本と同じように、申し込んでからなかなか二年ぐらいつかないのも相当あるように聞いておるわけであります。申し込んですぐつくというような情勢にあるのは、アメリカ、スイス、スエーデン、こういうような国は、相当申し込んでから短期間のうちにつくようであります。なおアメリカ等におきましては、申し込んでからすぐはなかなか一般のは——つくことはつくけれども、しかし多数共同から、できるだけ少数共同へ、あるいは共同から単独へ直りたいという希望については、アメリカでもやはり一年以上その申し込みに応じられないというような状況にあるようであります。
  119. 片島港

    ○片島委員 先ほど労働時間の問題で、松前委員から質問がありましたが、一般産業労働時間と電信電話事業労働時間と、松前委員が読み上げるのを政府当局も書きつけておられましたから、おそらく御調査になっておられないで、知られなかったと思う。今度の法案によると、債券をこういうふうに負担させる、このことを私が外国の例をお尋ねしたときも御答弁はなかったようでありますが、やはりこういう大きな計画を立てられるときには、あらゆる面で諸外国のいろんな例を勉強をしていただいておって、そしてわれわれが国会審議に非常に参考になるように御勉強をお願いいたしたいと思うのであります。わからないことは、もうお聞きしても仕方がありませんから、お聞きしませんが……。先ほど大臣は、債券負担につきまして、まあ電話でも申し込むような人は十五万くらいのものは——あるいは二万ないし十五万のこの債券は大したことはない、こういうような話でありましたが、電話の需要はだんだんとふえてきております。現在もう大きな企業金持ち階級というのは大体つけておるのでありまして、私は、新規需要の架設の大部分は、中小零細企業ではないかと思うのであります。現在では、うどん屋、そば屋、八百屋でも、とうふ屋でも電話を持っておりますから、これからつけてほしいという人は、非常に零細な人たちが多い。そういう人たちは十万円はおろか、一万円の金も寝かせておくというようなことはできないような業態のもので、これをむしろ資本に使う。ところが、申し込んで、いつつくかわからない。それに準備をしておる。それは借りればいいじゃないかというけれども電電公社の方から通知が参りまして、その指定の日までに払い込まなければ、つけてくれないわけであります。そういたしますと、現在非常に積滞数が多いのでありますが、多い積滞数を債券負担能力というものによって押える、こういうような格好になってくるのではないか。公衆電気通信法の第一条には、電信電話を「あまねく、且つ、公平に提供する」と、こうなっておりますが、すぐに金の間に合わないようなものには、つけられない。こういうようなことになると、「あまねく、且つ、公平に提供する」ことにならない。しばらく待ってくれ、あなたの方が指定した期日を延期をするという何か考慮があればいいんですが、それを考慮しないということになれば、非常に不公平になり、あまねくでない。零細企業というものの需要をあなたの方でせきとめるというような形になるのじゃないかと思うのですが、大臣いかがですか。
  120. 植竹春彦

    植竹国務大臣 公平にと申しますのは、それでは、その公平の原則はどうかと申しますと、やはり電話を架設するには資金が要るので、これは電電公社だけが負担するのでなく、やはり加入者の方にも御協力願う。そうすると、御協力願うということになりますと、やはりある程度の支出はしてもらいたい、たとえば若干の設置料、また債券の引き受け等をやってもらわなければならないので、無料でこれをつけますだけの財政的見通しも公社としてはないので、原案をそういうふうにして提出したわけでございます。そこで、ある程度はやはり負担してもらうということになりますと、それだけの負担をし得ないでも電話を使いたいという人におきましては、よんどころなく公衆赤電話等を利用してもらうほかない、さよう観点に立っての法律案でございます。
  121. 片島港

    ○片島委員 若干負担していただくのは、これは私もいいと思うのでありますが、ただ、今まで六万円でありましたものが、一級局においては十五万、平均をして十一万というので、今度の法律は、現在の措置法に対して期間を延ばすということと、債券の額を高率に引き上げるというのがこの法律案の骨子であります。若干といいましても、その引き上げ方が多いので、今後圧倒的に需要の中で多いであろう中小零細企業というものは、非常にこれによって押えられるのでありますから、大臣の今言われる若干負担というようなことでは、これはごまかしになる。非常に高額の債券を今度引き受けなければならぬというところに問題があるのでありますから、零細企業なり中小企業でも、非常にこれによってせきとめるという結果にならないかということを私はお尋ねしておるのであります。
  122. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは零細企業の意欲を引きとめるという御説でございますが、やはり多少の負担をしてもらう、あるいは債券を引き受けて協力してもらうということになりますと、それすらも出し得ない零細企業の人には、先ほど申し上げましたように、公衆電話等を利用してもらうほかはない、さよう考えますので、零細企業を特に押えつけるという方針ではございませんし、またそういう立案にはなっておらないわけであります。
  123. 片島港

    ○片島委員 立案にはなっておらないどころではない、金額を引き上げたのでありますから、当然になっておるんじゃないかと思う。それだけの能力のある者でないと、少し需要者についてのベースを上げたわけなんで、今までの負担の能力があった者が、今度はそれ以上の負担の能力のある者でないと、申し込みができないということになるから、それだけは申し込みをせきとめることになるのじゃないですか。
  124. 横田信夫

    横田説明員 お話の点は、この法律がもし通って施行になった場合、お客さんの需要がどういうふうに変動するだろう、こういうことになるわけでありますが、実はこの点につきまして、将来の需要でありますので、百パーセント正しいかどうか、いろいろ問題はありますけれども、昨年の暮れに一応抽出調査の方法によりまして、全国の需要調査をいたしたわけであります。その需要調査をいたしましたときの状況は、一、二級局におきまして約一割くらい減るんじゃないだろうか、それから三、四級局においては八%くらい減るのじゃないか、五級局においては一一%ふえる、それから六、七級局では、少しふえ過ぎるのですが、三割二分くらいふえそうだ、それから八級局、九級局で八%くらいふえそうだ、それから十級局以下で二割くらいふえそうだ、抽出調査の結果は大体そういう見込みになったのであります。なお、このときの事情といたしましては、先般来いろいろ御議論がありました、いわゆる頭金について、銀行の方で普通金利で、——低利で金の一時調達をするという方法を前提にいたしていない調査でありますので、あの銀行の方の金融が円滑に考えられますならば、この需要見込みというのはもう少しふえるのじゃないか、こういうよう考えられるわけであります。
  125. 片島港

    ○片島委員 それは今度の債券引受額を引き上げた場合における増加でございますか。
  126. 横田信夫

    横田説明員 現行のものの場合と、それからもし今度のように変わった場合と、どういうような影響があるだろうかという意味の抽出調査であります。
  127. 片島港

    ○片島委員 法制局の方が見えておるそうですから、法制局の方に先にお尋ねしておきます。この法律案は、御承知のよう電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案でございますが、内閣から提出をされた法律案で、暫定措置として出されたもので、期限がどのくらいのものが今まで一番長かったものでございましょうか。一つ例をいろいろお話を願いたい。
  128. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいまの御質問でございますが、暫定措置法あるいは臨時措置法として法律案を提出いたします場合は、当然恒久的な措置ではございませんで、一定の期間限りの措置を定めるものでございます。その規定のいたし方といたしましては、二種類ございまして、一つは具体的な五年であるとか、十年であるというような期限を設けますものと、それから法律の上では期限を設けませんで、当分の間という文言を使いまして、その法律が臨時的な、あるいは暫定的なものであることを示す方法と二種類ございます。今回の電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案はその第一の類型に属するわけでございまして、法律案の附則の第二項に「この法律は、昭和四十八年三月三十一日までに廃止するものとする。」という方針を鮮明してございます。このような長い例はほかにあるかというお話でございますが、今日までに成立を見ております法律の中で、たとえば昭和二十七年の法律第九十六号の特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法、これは南九州等の火山灰地帯の農業災害を防ぎますとともに、その地方産業の振興をはかるために一定の振興計画を立てまして、それを強力に推進するための法律でございますが、これが昭和二十七年の四月二十五日に施行になりまして、昭和三十七年三月三十一日までその効力を有するということになっておりまして、約十年間になっております。それから昭和二十六年の法律第六十六号で積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法、これは北海道、青森等のような積雪が非常に深く、二毛作ができないというような地帯の農業振興をはかるための立法でございます。これも昭和二十六年の三月三十一日に施行になりまして、昭和二十六年三月三十一日までその効力を有するという規定をいたしております。それからまた石炭鉱業合理化臨時措置法、これは石炭鉱業の整備を行ないますとともに、一定の地方におきまして、石炭鉱業の合理化をはかるために縦坑の掘さく等を強力に推進することを定めた法律でございますが、これが昭和二十年の八月十日に施行になりまして、この法律はその附則におきまして「昭和四十二年三月三十一日までに廃止するものとする。」という方針を鮮明しております。これは約十三年でございます。  そのように従来も相当長いものがございまして、今回の法律の立案に際しましてはただいまのお説のように、この措置が非常に長いではないかということは検討はいたしたわけでございますが、政策的な理由よりいたしまして、昭和四十八年の三月三十一日まではこのような措置をとる必要がある。しかし必ず昭和四十八年の三月三十一日まで同じ措置で継続するという趣旨ではございませんので、昭和四十八年の三月三十一日までに廃止をする、従って、それまでにこの措置を必要としないような事態になりました場合には、当然に法律をもって措置をいたすということでございます。この点につきまして、この有効期間の規定のいたし方は、先ほど申し上げました第一類型に二つございまして、昭和何年の何月までその効力を有するという規定の仕方と、何月何日までに廃止するものとするという、立法精神を鮮明いたしますものと、二種類ございます。前者の方は何ら手を触れませんでも、一定の期限まで存続いたしますと効力を失って、廃止されたと同様な状態が生じるものであります。この法律ように何年何月までに廃止するものとするというのは、そのときまでに廃止するという立法精神を、いわば現在から鮮明しておいたという格好の違いがございます。なお、先ほど申し上げました当分の間という規定の仕方をいたしましたもので、現在まで存続しておりまして非常に期間の長いものといたしましては、訴訟費用等臨時措置法という法律が昭和十九年の四月一日に施行になりまして、当分の間ということでございますから、法律が廃止されない限り存続いたしておりまして、現に有効なものとして効力を持っております。この法律がまだまだしばらくは存続すると思いますので、従来までございました臨時措置といたしまして最も長い生命を有したものは、その訴訟費用等臨時措置法という法律であると申せると思います。
  129. 片島港

    ○片島委員 特殊土壌地帯というのでも、私の郷里は特殊土壌地帯に入っておるのですが、これが変化して特殊土壌でなくなるというようなところでなく、またその地域としてもきわめて広範なものであります。これはむしろ臨時立法というよりは、恒久立法でいいくらいのものじゃないかと私たちは考えます。また積雪寒冷地帯というのも、急に北海道や東北で何年かしたら雪が降らないようになる、暖かくなるというものではなくして、おそらく恒久的に寒いわけであります。こういうところは相当長くていいが、電気通信事業というのは非常に長足の進歩、日進月歩の事業であります。こういう現在のような形態がいつまで続くか、予測もできないような非常に変転——変転といいましても、非常に目ざましい進歩というのであります。事態に合うようにならないかもしれないこういう立法は、むしろもう少し短くしておいて、そのときの情勢々々に合わした方が適当であると考えるのでありますが、法制局の方はどうでしょう。
  130. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいまの御質問でございますが、この法律の内容といたします措置につきましては、法案の立案を担当いたしました郵政省及び日本電信電話公社におきまして、現在の第二次五カ年計画の進行状況等からいたしまして、昭和四十八年の三月末日までにはほぼ現在の電話の需給状態が非常に望ましい程度まで改善されるということで、そのときまでこのよう債券の引き受けに関する暫定措置を必要とするという政策的な判断をいたしたわけでございます。私ども法律の審査をいたします者といたしましては、その判断が合理性を持つというふうに考えまして、このよう法律案を提案いたしたわけでございます。
  131. 片島港

    ○片島委員 大臣は、この前、他の委員質問に対しまして、四十八年の三月になったならば自動化されるというよう答弁をされております。これは速記録にもちゃんと出ておりますが、全部の電話自動化される、すべてが解決されるというような御答弁がありました。これは非常に不勉強であったわけでありますが、ここに書いてありますように、ただいままた法制局から言われたように、四十八年になったならば解決をするというふうに大臣あるいは法制局あたりでは考えておられるのに、電電公社では、まだまだ他の国に比べたらこの程度まで低いのだ、非常に劣っておるのだということが書かれております。その点は非常に食い違っておりますが、公社当局から、四十八年度になったならばどの程度になるか、もう少しはっきりと御説明をお願いしたい。
  132. 大橋八郎

    ○大橋説明員 これはせんだってどなたかの御質問に対しても申し上げましたが、公社といたしまして第二次五カ年計画を立てたときに大体長期の目標を定めたのであります。そのときに数十万のいわゆる積滞数があったが、これを全部解消する時期を昭和四十七年度末と目標を定めたわけであります。そういう一つ目標に向かって五カ年計画を設定する。いま一つは全国の市外通話をすべて四十七年度末までに即時化するということであります。いま一つは全国の電話の九五%までを四十七年度末までに自動化する。大体こういう長期の目標を立てまして、それに基づいて第二次五カ年計画を立てたのであります。今度第二次五カ年計画を改訂するにあたりましても、その三つの目標はやはり依然としてその目標達成の目途のもとにこの改訂を企てた、こういうことになっております。
  133. 片島港

    ○片島委員 そうすると、四十七年度末をもって、いろいろな経済成長率などから見て全部需要を解決するということですか。
  134. 大橋八郎

    ○大橋説明員 むろん将来といえども新規の需要は出て参ります。ただ、今の積滞というものはなくなる、現在のよう市外通話の大部分が待時通話であるという状態はなくなる。それから自動の場合につきましても、九五%までは全部自動交換になって、手動は五%くらいしか残らないという状態になる。そのときは一応ノーマルな状態になったので、その後は新規の申し込みをできるだけ早くかけていくという状態になるのじゃないか、こういう考え方であります。
  135. 片島港

    ○片島委員 今の総裁の御答弁は、現在の積滞を解消するのであって、新規の需要をば含めないのですか。
  136. 大橋八郎

    ○大橋説明員 積滞を解消するということ年々の新規はかけつつ従来の積滞をなくしていく、こういうわけでありますが、積滞がなくなった暁にも新規の将来の申し込みもむろん数多くあることと思います。
  137. 片島港

    ○片島委員 今度の債券の区分、算出根拠ということについて、この前総裁から非常に詳細にメモを数字的に読み上げられたのでありますが、簡単に申し上げれば、帰するところ、利用の範囲が非常に広くまた多くなる、こういうことが主軸になっておるよう考えたのでありますが、数字はよろしゅうございますから、もっと簡単に主要な点だけをお答え願います。
  138. 大橋八郎

    ○大橋説明員 先日申し上げましたのは、大体今後債券を引き受けていただく額は平均して十万円、これを前提といたしております。それを全国一律にすべての加入者に十万円ずつ引き受けていただくという考え方もあるわけであります。これは一番簡明といえば最も簡明なのであります。しかし、さようなことはむしろ実情に合わないのではないか。現在行なわれております負担法におきましても、負担金の方も全国一律ではありませんが、債券をお引き受けいただく方も全国一律ではなくて、級別に引受額の状態が変わっておるのであります。従いまして、今度のやり方もやはり級別によって引受額を変えた方がむしろ現実に合うのではなかろうかという前提のもとにかような表を作ったわけであります。
  139. 片島港

    ○片島委員 その表はわかっておるのでありますが、数字でなく項目でいえば、たとえば利用の範囲が非常に広いとか狭いとか、あるいは直接通話をする範囲、市内の加入者の数が多いとか少ないとか、そういう利用の範囲の広狭によって、また多少によってというのも一つの重要なポイントだろうと思う。そういう項目によって御説明を願えばどういうことですか。
  140. 大橋八郎

    ○大橋説明員 先ほど申し上げました十万円という額を一律ではなくて級別にきめる、こういう場合にまず根本的なものさしといたしましては、やはりその局の加入者の利用率の高いものは引受額も多くする、利用率の低いものは引受額も少なくするという行き方できめたわけであります。この行き方は大体現在の負担法におきましてもとっておるやり方と存じます。ただそれに一つつけ加えましてごく下級の、八級局以下のいなかの方の局につきましては、そういう考え方で一応算出したものの中で、特に政策考慮を加えまして、さらにこれを軽減したという点が加わっておるわけであります。
  141. 片島港

    ○片島委員 利用率の高いものを特に債券の割当を多くする、そうすると現在の度数料は利用率の高い低いにはよっておらない。それからまた市外通話につきましては、たとえば東京と横浜は非常に利用率がいい。しかし同じ距離でありましても埼玉県の東京寄りの方は利用率が悪いわけですが、市外回線の長さによって、距離によってきめておるので、利用率によってはきめておらない。そうすると債券を区分する場合には利用率を考え、また度数料市外通話につきましては利用率というものは考えておらぬというと、同じ公社で同じ電話事業の場合に矛盾をすると思うのでありますが、いかがでしょうか。
  142. 大橋八郎

    ○大橋説明員 先ほど利用率と申しましたが、その趣旨は、実は利用価値という意味で申し上げたのであります。つまり東京の加入者電話を利用する利用価値と、農村あたりの加入者電話利用価値というものは、相当その間に利用価値の差があるだろう、従いまして、利用価値の高い局の加入者によけい引き受けていただく、こういう意味で申し上げたのであります。
  143. 片島港

    ○片島委員 しかし利用価値という場合に、東京の加入者、それから同じ度数料でも五級局の利用価値という場合には、東京の利用価値の方がずっと高いと思う。さらにまた一級局から八級局にかける、横浜は何級局になりますか、そういうところにかける場合には、利用価値が非常に高いのじゃないかと思います。横浜のどこでも市内にかけられる。それをやはり回線のキロ数によってきめておって、そういう意味の価値ということは度数料市外通話については考慮されておらぬのではないか。
  144. 大橋八郎

    ○大橋説明員 これは実はどういうものさしを使うかという場合、見方によっていろいろあると思いますが、私どもといたしましては先ほど申し上げましたように、その局の加入者電話利用価値というものを一つのものさしとして、まずそれでいった方が最も簡明なのではなかろうかという考え方で、実はこれを採用したわけであります。その場合に利用価値を表わしているものは何かといいますと、これも見方によってそうじゃないという見方もあると思いますが、一応私ども考えましたのは、基本料金の大体の比較であります。度数料金は別としまして、基本料金が御承知の通り局によって違うのであります。一級局では千円、二級局では九百円、そのほかだんだん下にいくに従って低くなっておるわけであります。さらに下級の方の定額制の局になりますと、その基本料がないわけでありますけれども定額制のうちで一時撤去の場合に適用される使用料、つまり定額制の使用料の十分の四に当たるものがそれでありますが、これがまず大体基本料に当たるものじゃないかと考えますので、それを適用して下の方の局には利用価値のものさしとしたわけであります。
  145. 片島港

    ○片島委員 基本料金の差額というのは、今数字で表わされたように、総体に金額も少ないし、またその差が非常に少ないのでありまして、むしろ料金を左右するものは、少なくとも四級局以上というところになりますと、度数料の方が料金に影響してくると思う。そういたしますと、度数料とか市外通話とかいうものには利用価値考えないが、債券のときだけ特に高額な場合にはそれを算出の根拠とするということに矛盾はございませんか。
  146. 大橋八郎

    ○大橋説明員 御承知の通り、今度の引き受け債券料金ではないのでございまして、加入者から建設費の一部に当たるものを公社が貸していただくという建前になっておりますので、その貸していただく額をどういうふうにきめたら社会事情に合うだろうか、これは考え方の問題であります。それは先ほど申し上げました基本料金を大体根拠にして、その差額の割合で十万円というものをちょうどまん中に置いて、利用価値の多いところはそれよりよけい引き受けていただく、また利用価値の乏しい地方加入者はそれよりもっと低い社債を引き受けていただく、かようにすることが最も一般社会通念に合うのではなかろうか、かような見地のもとにきめようといたしておるわけであります。
  147. 片島港

    ○片島委員 料金ではないということは逃げ口上になるのではないですか。基本料金を大体基礎にして割った方がいいというのでありますから、やはり負担をさせる場合には料金利用価値によらぬでもいい、債券利用価値によらなければいかぬ、こういうことにはならないと思う。結局私は、森本君の質問に対して一般的とか常識的とか言ったのが、あとになって委員長からも相当警告があっていろいろやってみたところが、基本料金がたまたまうまく合うようだ、こういうことになって御答弁になっているような気がするわけであります。この区分について私はまだ理解できないのであります。要員の点について一つお尋ねをしたいのでありますが、今年度は建設勘定において二百五十人の増員がとれたといって非常に喜んでおられるようでありますけれども、今年度の事業増、これは金額にいたしますと四百三十五億円の資金増になるわけであります。三十四年度の五割増になるのでありますが、四百三十五億円の資金増に対するこの事業量に対して、二百五十人というのはあまりにも少ないのではないかと思うのですが、この算出をせられた根拠はどういうところにあるのでございましょうか。
  148. 横田信夫

    横田説明員 この二百五十人と申しますのは、御承知のように、われわれの方の建設事業といたしましては建設工程は直営工程と請負工程とあるわけでありますが、二百五十人の前提になるものは積算、設計、監督、この要員を前提にいたしているわけでありまして、この人数の五千三百人という増員につきましては、昨年度の根拠にいたしましても、大体昨年の拡張工程とそれから昨年度の事業工程四千三百人、それとことしの規模を前提にいたしますと、大体同じような比率でありまして、要求人員とは相当の差がありましたが——要求人員におきましては現在のサービスの向上というものも相当見込んでいこうということを考えておりました。こういう拡張工程を前提にいたしまして、建設のサービスの向上よりは主として拡張に重点を置いているということで、結論的には五千三百人ということに相なったわけであります。
  149. 片島港

    ○片島委員 現在の建設勘定に入っている人員、いわゆる損益勘定と建設勘定と二大別をしました場合の建設要員の総定員は何名でございますか。
  150. 山本英也

    ○山本説明員 予算におきまして建設勘定の方に見込んでおります人員は約一万七千名でございます。建設専担の要員といたしましては一万七千名でございます。
  151. 片島港

    ○片島委員 一万七千名といいますと、現在までの仕事の量をやるのに一万七千名、五割の事業増に対して二百五十名というのはどうもふに落ちないのでありますが、この二百五十名という方の算定はどうしてなされたのでありますか。
  152. 山本英也

    ○山本説明員 公社の要員におきまして二百五十名というものを出しましたのは、ただいま申し上げました建設勘定において一応見込みます人員一万七千名は、建設の工事に当たります人間と設計をいたします人間と監督をいたします人間とを合わせた数字でございます。そのうちで設計、監督をいたします人間というものは、現場の工事の従業員数に比べますれば非常に数は少ないわけであります。従いまして三十四年度予算におきまして八百五十億の建設の規模を実施いたしますときに、その前年度に対しても約百億以上の建設の幅の伸びがございます。従いまして、三十四年度におきましても設計及び監督に要しまする人員につきましては増員要求をいたしまして、二百五十名の設計、監督要員といたしましての予算の成立を見たわけでございます。従いまして、公社で実際に工事をいたしますときには、現場におりますところの建設担当要員と申しますのは、日常の保守をいたしますところの保守要員と共通で従事いたさしておりますために、結果におきましては損益勘定の保守要員が建設に従事いたします分につきましては年々損益勘定の方から建設勘定の方に予算といたしましても繰り入れておるような次第でございまして、ただいま申し上げました二百五十名と申しますのは、建設の規模が大きくなりますに従いまして設計量がふえますので、それは金額の割合でふえるかどうかということにつきましては問題はございますけれども、相当大きなふえ方をいたしましたために、それに必要といたしますところの設計要員等を主として一百五十名増員をいたしたことでございます。
  153. 片島港

    ○片島委員 設計要員だけやって建設の仕事をやる者をふやさないということになると、新規のものは全部請負に出してしまうという考えですか。
  154. 山本英也

    ○山本説明員 ただいま申し上げましたように、公社におきましては損益勘定支弁の保守要員というものを建設に当たらせる場合の方がむしろ多いのでございまして、建設専担の要員というよりも建設と保守両方に従事いたします要員の方が多いわけであります。従いまして、来年度五千三百十六名の増員がございますが、そのうち三千二十五名の保守要員の増を見込んでおります。この三千二十五名の保守要員というのは、保守だけに専担いたすわけではございませんで、建設にもあわせて従事いたしますので、総体の来年度におきますところの建設工程の伸びには相応じ得るものと考えております。
  155. 片島港

    ○片島委員 それではこういうふうに建設の要員のために二百五十名ということを算出される根拠はないわけですね。二百五十名を入れなくても、損益勘定の中に全部ぶち込んであれば、どちらを使ってもいいということになるとあやふやになりはしませんか。特に昨年度の百億円事業増に対しては二百五十人を要求した。今年は四百三十五億円の資金増に対して三百五十人である。同じ二百五十人であるということは、まあ多少の違いがありましても、百億円の仕事と四百三十五億円の仕事をやる場合に、設計、監督要員が同じであっていいというわけには参らぬと思うのであります。そういう点はどうですか。
  156. 山本英也

    ○山本説明員 おっしゃる通りの点もございますけれども、二百五十名というのは必ずしも少ない数字ではございません。また建設工程の伸びは金額で比較いたしますれば五割程度の伸びを示しておりますけれども、設計量におきましてそれだけ比例して伸びるというものではございませんので、設計量そのものにつきましては、設計の基準化でございますとかあるいは設計事務の能率化ということをはかりまして、設計能率を非常に高めますことによって、この程度の増員をもって十分こなし得るものと考えております。
  157. 片島港

    ○片島委員 設計の話ばかりされておりますが、設計、監督というのである。監督というのは、現場にいて監督しなければならぬのでありますから、そういうのは事業量がふえればふえるわけで、能率を上げることによってというような表現は、要員の増員がとれないための表現であります。それだけ労働強化という形で従業員の方にかぶさってくるのじゃありませんか。特に私がお聞きしておきたいのは、農村公衆とか団体加入というのが年々ふえてきております。これは昨年もお尋ねを、したのでありますが、来年度の増員の中に、これらについての増員、保守要員というものが見込まれておりますか。またそれを見込んでおられるならば、大体どのくらいの人数を見込んでおられるのか。非常にへんぴなところに農村公衆や団体加入などができまして、そうして、できますと遠いところまで行ってこの故障を直さなければならぬ。現在でも保守要員というのは非常に少なくて、特に今あなたがおっしゃったように、建設の方に回されるものでありますから、保守の方が要員が足らない。それにもってきて農村公衆、団体加入などがふえて参ればふえて参るほど、保守の方にもまた労働過重の傾向が出て参ると思うのでありますが、どの程度の増員を算定いたしておりますかをお伺いしたい。
  158. 山本英也

    ○山本説明員 ただいまのお尋ねでありますが、予算といたしましては農村公衆のために何人というような積算のいたし方はいたしておりませんので、市内線の施設の伸びあるいは市外線の施設の伸びあるいは公衆電話の個数の伸びに対しまして、保守要員の増員は要求いたしております。
  159. 片島港

    ○片島委員 その仕事の質から見て、異種の事業に対しましてはやはり別に積算の根拠を求めなければ、ただ全体としていってまるく入れられた場合にはなかなかこういうところに要員が回っていかない傾向が多いわけであります。でありますから何といいますか、何もかにも含めてということは、結局こういう方面の保守要員というものは別に見ていないということになりゃしませんか。
  160. 山本英也

    ○山本説明員 ただいまのお尋ねは、実際の配置上の問題に関連する点もあるかと存じますが、予算といたしましては、総体の施設の伸びというものに伴いますところの保守要員の増というものを三千二十五名だけ見込んでおりますので、その見込み方が農村公衆何個について何名という見込み方でございませんので、公衆電話の増設幾ら、市外線の伸びが何キロ、あるいは市内線路の伸びが何キロと、線路、機械とに分けまして要求いたしておりますので、お尋ねの農村公衆に対して何人の保守要員の増員を見込んだかという点についてはお答えできませんが、総体といたしまして三千二十五人の増員をもってまかない得るように予算では計上いたしてございます。
  161. 片島港

    ○片島委員 そうすると、市内における公衆電話も、僻地にある農村公衆も、これは一緒にして公衆何個についてというような算定ですか。
  162. 山本英也

    ○山本説明員 その通りでございます。地域別の区分をいたしませんで、全国的に考えまして、公衆電話といえども保守に不便なところにございます公衆電話もございますれば、保守に便利なところにございます公衆電話もあるわけでございます。それらは、過去におきまして、公衆電話一個設置いたしますればということは、大体多くの比率の変動がない限りにおきましては、従来の全国の平均をもって考えて参って大差ないことと考えまして、ただいまおっしゃいましたような工合に、地域差等は設けておりません。
  163. 片島港

    ○片島委員 農村公衆が設置せられておるのは、取扱局あるいはは委託局といったようなところでも、特に定員の配置の少ないところほど農村公衆が多いわけであります。大都会の公衆電話を何個ふやしてみたところで、そう大して保守の方がその数に応じて今後手間がかかるというものではなくして、かえって、取扱局などでも最も定員の少ない、要員が少なくて困っておるところに、非常に手間がかかる距離の遠い農村公衆、団体加入というようなものができてくるのでありますから、これは摘出をして別に積算の根拠を求めないと、定員の少ないところはますます負担が過重になるというふうに考えるのでありますが、いかがでありましょう。
  164. 山本英也

    ○山本説明員 ただいま先生の御指摘のような点は十分考慮いたさなければならないと思うのでありますが、予算定員と申しますか、ただいまお答え申し上げました予算積算上の定員というものと、実際に配置いたします実際上の保守要員の定員の配置の適正化ということと、二つ問題があるのではないかと思うのであります。従いまして、ただいまのような具体的な点につきましては、実際にこの予算を実行いたします際におきまして、公社といたしましては精細なる要員計画をもちまして、実行上どういう工合の配置をしていくかということにつきましては、あらためて検討を加えて実施に移しております。従いまして、来年度におきまして農村公衆電話の設置、保守上等において非常に人手が不足であるということがはっきりいたしますれば、要員の実行計画上、配置計画上はそれを充足するよう計画を立てていきたいと考えております。
  165. 片島港

    ○片島委員 元の方で、算出でとってない場合に、総体の中から配置をするということになれば、源が算出の根拠に入っておらない場合には、どうしても、配分をいたしました場合に、実行の場合に無理が参りまして、やはり私が申しました定員の少ないところ、農村地帯、非常におくれておるところ、そういったようなところに配算される要員というのが非常に少なくなってきます。私は農村公衆電話が始まって以来、私の郷里のなにから見ましても、公衆電話を非常な勢いでたくさんつけていただいて、非常に一般住民は喜んでおりますけれども、そのために保守要員がふえたということは、まだ私は聞いておらないわけであります。でありますから、結局元が少なければそういうところへ配置をすることができない。こういうりっぱなサービスをやっていただくのはけっこうでありますけれども、要員の面において十分御配慮を願わないということになりますれば、現在の従業員労働がますます過重になってくる、こういうことを私はおそれるわけであります。今年度もう予算は通過いたしましたが、実行配置の場合におきましても、十分その点を考慮して、一つ配置をやっていただきたいと考えるわけであります。次に、先ほど松前委員からお話がありましたのに御答弁をいただきまして、年々給与がふえておる。過去五年間、あるいは第一次五カ年計画以来これくらいふえたという数字をもって明示をせられましたが、これは特に事業がだんだん拡張をせられ、そうして従業員生産性向上をしたために、このように給与が上がったのであると受け取れるよう答弁でございました。ところがこの間においては、当然物価の上昇ということを考えなければなりません。それと同時に定期昇給、これをまた考えなければなりません。定期昇給というのは、もし物価がもう長年月にわたって安定をしておる、何十年も安定をしておる、そういうような場合でありますならば、実は定年者が出て行く分について新規採用者が入ってくる。事業の拡張も行なわれず、物価も長期に安定をしておるということになるならば、新陳代謝をもって昇給原資というものは生み出されてくる性質のものです。ところが、事業の拡張によって新規の要員が増員をせられるということと、現在ではまだそういう新陳代謝が数量的に同じような割合でいかない、事業がどんどん拡張いたしております、また戦争などの関係で、年令差というものが、あるときにはたくさん入りあるときにはたるみが出た、こういうよう関係で、定期昇給というものは、現在昇給原資をとって行なわれておる。でありますから、もし生産性向上した、非常に能率が上がったということが見られる場合には、給与の上昇の場合、物価の上昇、定期昇給というもの、こういう要素を差し引いたものからわれわれは判断しなければならぬのでありますが、そういうものを差し引いた場合には、はたして給与が上がっておるのかどうか、そういうことを御検討になったことがございますか。
  166. 横田信夫

    横田説明員 御説のごとく、その給与の上がりと今の物価の上昇率、こういうものを両方見て考えなければいかぬわけであります。その辺については相当詳しい調査をいたしておりますので、職員局長から答弁いたさせます。
  167. 行広清美

    ○行広説明員 ただいまお話がございましたように、給与のべースの上がって参ります要素を分析いたしますと、生産性向上に見合うもののほかに、定期昇給というものもございますし、また物価の上昇というものもあることは御説の通りでございます。そこで、一応問題になりますのは、生産性向上に見合いまして賃金のベースというものが上がっておるかどうか、こういうことではないかというふうに思います。そのような面からこの問題を取り上げてみた場合におきまして、私どもはその点は一応ベースも上がってきておるというふうに考えております。その点につきましては、この前も申し上げたのでございますが、大体労働生産性をとります場合に、付加価値的生産性の問題がありますが、私どもはやはり物的生産性の問題をもとにすべきであるというふうに考えておりますので、そのデータによりますと、昭和三十年度を基準といたしまして見た場合におきまして、三十三年度が実績におきまして一二六・八%という上昇率になっております。これに対しまして、給与の面で見た場合におきましても大体百二十数%になっておりまして、一応その伸びというものはバランスがとれておる、こういうふうに見ておるわけであります。
  168. 片島港

    ○片島委員 何だかよくわけがわからぬのですがね。今日まで基本給与が上がっておるというものの中には物価の上昇、これは人事院の勧告によって国家公務員に勧告されておるようなことがございますが、また、あなたの方には仲裁裁定などによって、物価の上昇とかいろいろなことを勘案をして実施を勧告されておるような数字が従来出てきておるわけであります。こういうものが能率の向上によってという形ではなくて、国家公務員でもだれでも、非常に非能率な役所でも、同じように出ている。ですから、これはまず引く。それから定期昇給というのは、日本の昇給制度は、年期を積めば積むほどだんだん給料が高くなるという制度でありますから、純粋の能率給でなく、生活給といったものが含まれているわけであります。もともと戦前特に満州事変以前あたりは、昇給原資というものは、予算には国家公務員はほとんどとりませんでした。ほとんど事業の拡張などがなかった場合には、退職と新規採用とがあまり変わらないくらいであります。大体その差が、全体の従業員の二割くらいの退職で、それによって昇給が自然と行なわれておったわけであります。現在では年令構成が違っておりますし、事業の進歩に伴う増員といったようなものもありますので、まっすぐな線でカーブを描いておりません。非常にたるんだところがあるし、窮屈なところがあります。そのために新陳代謝によってはできない。従って定期昇給というのはあなたのところばかりでなく、国家公務員においても同じように予算で認められるようになったわけです。ですからこの分はまず生産性向上、能率の向上には影響ない。そうすると、生産性向上、能率の向上による分というのは一体どのくらいあるのか、別にそういうことを給与の面において配慮せられたことがあるのかどうか、これを聞いておる。
  169. 行広清美

    ○行広説明員 私どもが給与の問題を考えます場合におきまして、今お話ように定期昇給というものはもちろんございます。その場合において各企業体あるいは国家公務員等におきましても、その上昇率というものはもちろんそれぞれの特殊性に応じまして違っているわけでございます。そこで私どもが給与の伸びを見る場合におきましては、まあ結局これは比較対照の問題でございますので、一応一定の年次をとりまして、その伸びを比較するということをしなくてはならぬわけでございます。そこで、今私どもが基準としてとりました三十年度におきましても、もちろん定期昇給というものは見込まれておるわけでございますので、一応それを含めましたものを基準といたしまして、その後毎年四・五%という定期昇給原資がございますものですから、それを含めたものと比較すれば、大体その傾向というものがわかるのではないかというふうに考えているわけでございます。そのような建前のもとにおきまして、先ほど申し上げましたように、その伸びを見ましてお話を申し上げたような次第でございます。
  170. 片島港

    ○片島委員 それでは定期昇給を含めたとか、あるいは勧告によるベース・アップを含めたとかいうことで、そのほかの四・五%の昇給原資というのはどこでもあるのです、国家公務員にもみな出しておりますから。どこでもあるのでなくて、あなたの方で特別に、電信電話事業の異常な発展、異常な成長に対する生産性向上というものは、別に今まで特別に引き出して考慮になったことはないわけですね、給与については。
  171. 行広清美

    ○行広説明員 その点につきましては二つございまして、一つは、先ほど副総裁からも申し上げましたように、業績手当という制度でございます。これは御承知のように、予定された収入をオーバーした場合におきまして、それが職員の能率の向上によって上げられたものであった場合におきましては、そのうちの一定額が還元されるということになっております。その業績手当の伸びを見た場合におきましては、他の公務員と比較いたしましても、ずっと多く支給されておるという点が一つでございます。それからもう一つは、計画されました生産性向上分に見合ういわゆる生産性向上考えました特別な手当でございまして、これも副総裁から申し上げたところでございます。その二つの点について生産性の伸びに対応するものとして考えておるのであります。
  172. 森本靖

    森本委員 ちょっと関連して聞いておきたいと思います。今退職手当の問題が出ておりましたが、現在公社職員に対する退職手当は法律的にはどうなっているわけですか。
  173. 行広清美

    ○行広説明員 公社におきまする退職手当につきましては、国家公務員の退職手当法が適用されておりまして、それによりますと、経営上の必要その他の事由によりまして総裁が認定をし得るという点におきまして弾力性が付与されておりますが、その他の点につきましては大体同じようなことになっております。
  174. 森本靖

    森本委員 いや、現在の公社の職員に対する退職手当は、国家公務員の退職手当の暫定措置法が適用されておるのじゃないですか。
  175. 行広清美

    ○行広説明員 そうです、先ほどお答え申し上げた通りであります。
  176. 森本靖

    森本委員 その場合、大体公社法の性格からいっても、公労法の性格からいっても、これは国家公務員退職手当暫定措置法が適用せられるのでなくて、実際に公社と従業員の代表とが団体交渉を行なって、そうしてその協定によってこの退職手当を出すというのが、やはり公社法、公労法という法律の建前からいったら、そうなるのがほんとうじゃないのですか。
  177. 行広清美

    ○行広説明員 私どもといたしましては、現在の体制のもとにおきましては、先ほど申し上げましたように、法律によって規定をされておりますので、今の段階におきまして、労働組合との間におきまして団体交渉によってきめるということは、これは意義のないことである、いわゆる無意味なことであるというふうに考えております。
  178. 森本靖

    森本委員 私の言っておるのは、現在の法律を云々しておるわけじゃないのです。現在の法律があるから、その法律においてそういうようにやっておるけれども、元来公労法の建前からいった場合には、こういう国家公務員の退職手当暫定措置法を公社の職員にまで適用してやるということでなくして、実際に公社は公社として従業員の代表と団体交渉を行なって、その上にこの退職手当というものをきめるのが正しいやり方ではないか、労使の関係からいっても正しいやり方ではないか。現在そういう法律があるから、公社としてはその法律に準拠してやらざるを得ないけれども、実際はこういうふうな法律が公社の職員に適用されるということはおかしいことであって、公労法の建前からいくならば、公社と従業員の代表が団体交渉を行なって、その上において決定をせられるというのが、今の労使関係からいってそれが正当ではないか。現在こういう法律があるからこういうことをやっておることが正しいということと私が聞いておることとは別なんです。現在そういう法律があるからそういうことをやっておることが正しいということを、私は間違っておると言っておるわけじゃないのです。そういうやり方というものは、元来その法律が適用されるということでなくして、実際は労使の団体交渉によってきめていくというのが公社の退職手当のきめ方として正しいやり方ではないか、こういうことを言っておるわけなんです。あくまでもこれは退職手当の暫定的なやり方であって、恒久的な公社の職員の退職手当のやり方ではないこういうことなんです。これは職員局長に聞いてもちょっと答えが無理かもわからぬので、場合によっては総裁なり副総裁の方からこれに対する見解をお聞きしたいと思うのです。
  179. 横田信夫

    横田説明員 お話のごとく、立法論といたしまして、この公社に対す退職手当について別の法体系によるということも考えられるわけでありますが、この公共企業体の諸種の問題につきましては、たとえば給与総額の制限があるとかいろんなことにおきまして、現体制において、なお公共企業体としての自主性の縛られる点はいろいろあるわけでありますが、そういう意味におきまして、将来の問題としては確かに先生の御指摘のようなことも考えられる問題じゃないかと思いますが、その問題につきましては、日本における三公社の今後の進歩の問題にかかるものではないかと思っております。
  180. 森本靖

    森本委員 これはもうこういう問題になりますと、公社の総裁、副総裁の問題でないかもわかりません。それ以上の問題になりますと、やはりこれは郵政大臣としての、政治家としての任務だろうと私は思うわけでありますが、今の副総裁それから職員局長の答弁を聞いて、大臣としては、この公社の職員の退職手当というものが、今の法律にありまするような、国家公務員退職手当暫定措置法によって公社の職員が適用せられるということは、将来これは不都合である。これはあくまでも暫定的なものであって、恒久的な公社の職員の退職手当のあり方ではない。これは三公社の問題も同様でありまするが、全体的に政府としての統一した見解としては、私はこういうふうな暫定的な退職手当のやり方については早急に改めるべき必要がある、こう考えるわけでありまして、大臣もおそらく私と同意見だろうと思うのですが、どうですか。
  181. 植竹春彦

    植竹国務大臣 公共企業体のあり方そのものにこの辺で検討を——すでに公共企業体に関する調査を各方面でやっておることは御承知の通りでありますが、もうこの辺でそろそろ結論を出して公共企業体全般について改正を加える段階になってきていると思います。従って、それと見合いましてやはり給与問題も解決していくべきものだと思います。従って公共企業体そのもののあり方をどうするかによって今の問題も違った結論が出てくると思います。ただいま森本委員の御指摘になりましたような組み立て方で公社のあり方をきめていくということになりますと、ただいまの御意見通り私も同感でございます。つまり前提付で私は御意見に賛意を表する次第であります。
  182. 森本靖

    森本委員 これは大臣よく勉強してもらいたいと思うのですが、公社の一般の職員の給与は、公社法の三十条によってきめるわけです。しかし、それと同時に、公労法に基づいて従業員の代表と公社の代表とが団体交渉を行なって今日給与水準をきめることになっておるわけです。退職手当もそういう団体交渉に値する労働条件になるわけであります。だから、そういう観点からいくならば、退職手当も両者が団体交渉を行なって、その上において決定をせられることが正しい労使関係のあり方である。ただ今日の公社の退職手当が、国家公務員の退職手当暫定措置法が適用せられておるということは、三公社が公社に移行する場合に、そういう法律的な手続が非常にめんどうくさかったので、便宜的にその暫定措置法を適用した経緯があるわけであります。もはやこの退職手当の暫定措置法は、私が今言ったように改正をして、そうして暫定的でなく恒久的な退職手当として、あくまでも労使が対等の立場に立って交渉し、その交渉ができない場合には、調停、仲裁、あっせん、そういう制度もあるわけでありますから、そういうふうな本来の幹に、もはや戻すべき退職手当の制度ではないかということを聞いておるわけであります。私はその他の公共企業体のあり方云々ということを聞いておるわけじゃない。労働条件一つの単位としての退職手当の問題については、いつまでも国家公務員の退職手当暫定措置法が適用せられ、しかもこれが公社に移行せられる場合の便宜的な措置であって、これはもはや今日の段階においては廃止をして、本来のあり方に直すべきじゃないか。賢明なる大臣は、おそらく私と同意見であろう、こう聞いておるわけであります。そうでしょう、どうですか。
  183. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまの御説はその通りでありますけれども、ただし、先ほど私が申し上げましたように、公共企業体のあり方そのものによりましては、また違った給与、退職に対する立法措置が行なわれることもあり得るということを申し上げましたので、ただいまの森本委員お話の前提のもとに立ちますれば、私も全く同感でございます。
  184. 片島港

    ○片島委員 給与関係について質問をしておったわけでありますが、今度組合の方からの要求に対してゼロ回答が出ておるようであります。一般の民間の小さい中小企業労働組合でも、非常に経営状態が上向きになっておるようなときにはゼロ回答ということはないのでありまして、組合の要求通りでなくても、このくらいはどうだというような案が提示せられるのが普通でありますが、ゼロ回答というのはどういう意味でありますか。
  185. 横田信夫

    横田説明員 ただいま組合の方からいろいろ申し出があります。項目は約二十数項目にわたっておるわけでありますが、その中にはわれわれとしてもできる事項もあるわけでありまして、そういう事項についてはそれ相当の回答もいたしておるわけでありますが、ただいま先生の御指摘のものは、おそらく七千円給与ベースを上げろという問題についてであろうと思います。この七千円の給与ベースを上げることにつきましては、今七千円を上げるといたしますと、約二百三十億の金が要るわけでありますが、資金資金といたしまして、客観的な情勢から参りますと、物価なり消費物資の値段、あるいはそういう生活費の実態調査というようなものからいきますと、客観的にこれを上げるべき理由はなかなかないのでありますが、そういうことを前提にいたしまして、われわれの方といたしましては、先般来申しておりますように、われわれの事業の特殊性というものをどこに認めるか、幸いにして生産手当あるいは業績手当等においての特殊性はただいま認められてきておるわけであります。給与ベースにつきまして、ただいま客観的に給与ベースだけについて、われわれの事業だけをこの際特に上げていくという客観的な理由もなかなかむずかしい問題であります。さしあたりわれわれといたしましては、この要求に対しては、遺憾ながら応じられない、こういう回答をいたしておるわけであります。
  186. 片島港

    ○片島委員 要求したのが二百三十億、まあ今まで要求した通りにそのままのまれたということはないのでありますから、公社の理事者としての立場からいくならば、これは要求通りいけないだろうと私も予想できるわけであります。ところがゼロとは何ですか。ただいま消費物価だとか生活水準だとかいろいろな要素を言われたようですが、先ほど公社法第三十条の論議のときにおきましては、第一項における能率の問題、また第二項における一般公務員とか民間の賃金というようなことを言われたわけであります。そうしてその方向に向かって一つ努力をしよう、これまで言われたと思う。今、副総裁が言われるのは、二十条にあげたことは一つも触れられないで、物価であるとか生活水準であるとか、そういうようなことばかり言っておられるのでありますが、これは先ほどの御答弁と非常に考え方が違っておるように、実質をあなたの方では露呈されたものではありませんか。
  187. 横田信夫

    横田説明員 われわれの気持として、こういう公共企業体の経営者といたしまして目標といたしておることは、サービスの向上事業の発展、従業員生活向上、この三つを三大目標に掲げておることは、先ほど申し上げた通りであります。決してこの点に即応するわれわれの努力をしないということではないのであります。今後とも全力を尽くしたいと思っております。ただ先ほど申し上げましたように、この一つの手当のうちの、あるいは一つの要求のうちのこのベースの問題につきましては、現行の給与水準は、基準内賃金で約二万四百円になっておりまして、わが国の一般賃金、給与水準と比較して低いものではないということと、今の消費者物価というものの状況から、直ちにこの要求に応じかねる。ただし今後一般の世論を、電電公社の職員についてはよく働くし、サービスもいいし、ほかの事業とは給与ベースにおいても特に考えるべきだというよう一般の世論を、われわれも従業員も相ともに手を携えて、そういう世論を作り上げ、そういう世論の支持のもとに、そういうことが実行できるように今後とも努力いたしたい、こういうことを申し上げたわけであります。
  188. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 この際生理現象もあるでしょうから、交代でおいでを願って、またお茶なり何なり……。
  189. 片島港

    ○片島委員 先ほどから私が休憩を盛んに交渉しておるのでありますけれども、休憩を認めてくれないのは委員長及び与党の方々であります。どうか皆さん方社会党を恨まないで、委員長や与党の方々のこの強引な審議ぶりに対して御批判をお願いしたいと思います。今、副総裁から御答弁がありましたが、世論が大体認めようになったら、なかなか電電公社はサービスがいい、従業員もサービスがいい、そこでこれは給与も上げてやらなければならぬというような世論が出た場合、こういうことですが、今まで、たとえば電電公社でも、国鉄でも、専売公社でも、そういうような世論があった例がございましょうか。たとえば、電電公社の職員は非常にサービスがいいから給与を上げてやらなければならぬというようなことが、投書でも来たことがありますか。私は新聞あたりでも拝見したことがないのであります。それを待たれるわけでありますか。世論が何か非常にサービスがいいから上げてやれというようになった場合というような御答弁を聞いておるのですが、今までそういう例が一回でもあったでしょうか。
  190. 大橋八郎

    ○大橋説明員 私はそういう投書があったと存じません。しかし、世論と申しましてもいろいろな形態があるわけであります。一つの例で申しますれば、世論といいますか社会的良識といいますか、たとえば係争になったべース・アップの場合に労働委員会に提訴して、その結果判定が下れば、それはやはり一つの社会良識の現われじゃないかと思います。あるいは各方面の政党政派等においても、一致してこういう状態が適当ではないだろうかということに意見がまとまれば、これも一つの世論じゃないかと思います。世論と申しましてもいろいろの形態があると思います。そういう趣旨を申し述べたものと思います。
  191. 片島港

    ○片島委員 副総裁が言われたのは、世論が非常に支持をし、サービスがよくなった、上げてやらなければかわいそうだ、そういうような空気ができた場合と言いますが、この空気を作るものは、やはり政府であり公社でなければ、そういう空気は出てこないのです。あるいはまた第三者による調停なり仲裁というものが行なわれなければ何もない。その場合には、やはり公社として皆さんの方に責任があるわけですから、そういう場合に、ただ世論がみんながよくなったからというようなことを待てば、これは百年河清を待つようなものであります。そういう意味で——副総裁が今お戻りになりましたが、今までに世論によって給与を上げる、そういうようなことがあったかどうか、副総裁から御答弁を願った方が一番いいと思います。
  192. 横田信夫

    横田説明員 ちょっと生理的現象で席をはずしておりましたので……。私、世論ということを申し上げましたが、世論というものは、私の申し上げたのは、実は広い意味でありまして、われわれのような独占的公共企業体でありますので、私どもにいたしましても従業員にいたしましても、給与が上がることは、あからさまに申し上げますと、こんなにうれしいことはないのであります。しかし、こういう独占的公共事業でありますので、どうしてもお客さんのサービス、それから事業の発展、従業員生活向上が相伴っていかなければいかぬということと、それからわれわれの方の独占的公共企業体の従業員の待遇というものは、やはり世間注視の的であります。この世論というものは、もちろん政府関係方面とかあるいはいろいろな広いところを含めまして、そういう意味で申し上げたわけであります。そういう広い世の中の支持をもとにして、初めて政府関係方面もこれを納得できるし、われわれの方も強く押せる、そういうことになっておりますので、そういう意味での広い意味で申し上げたので、御了解いただきたいと思います。
  193. 片島港

    ○片島委員 今のはちょっと私ふに落ちないのです。政府でもそういうふうに考えるとか、それからわれわれもそういうふうな状態ができれば努力しやすい、こうおっしゃいますが、実は今度の要求があってからゼロ回答されるまでに、何か少しでもどこかに努力をされたですか。あなたたちは、政府がそういうふうな空気になり、一般がなるのについては、皆さん方がやはりそういう空気を持ち上げていくだけ——あなたはなるだけ上げてやりたいと思うとおっしゃるのですから、それを努力をしなければ、そういうものは天から降ってきたり、自然現象でそういうことができるわけじゃありません。あなたたちは責任者であります。でありますが、今度の問題についてもこのゼロ回答を出されるのにどこか押してみられたことがありますか。何か相談でもされたことがありますか。
  194. 横田信夫

    横田説明員 このベース七千円要求に対しての私どもの態度といたしまして、先ほどから申し上げましたようにわれわれと従業員とともになって、やはり世間の支持というものを得る努力をすべきでありますが、本件ただいまのところ、われわれとしてこの要求に応ずべきだという客観情勢はどうも見当らぬということで、この問題については遺憾ながらゼロ回答をいたしたわけであります。
  195. 森本靖

    森本委員 今の副総裁答弁を聞いておりますと、非常に私が不可解に感ずることは、先ほどの大臣の国際電電の問題じゃないですけれども、大体今度改訂五カ年計画で六千二百三十億円の総額を盛った建設資金を出しておいて、そうして年間平均にいたしまして約八百十億円という自己資金を出しておるわけであります。だからそれだけの収入が上がっておるわけでありまして、本来ならばそれだけの自己資金を出すということならば、この改訂五カ年計画に応じてそれだけの従業員待遇改善計画というものもこの五カ年計画の中に当然織り込んで考えて、そうしてあなたたちは大蔵省なりあるいは政府と折衝して、そこで政府なり大蔵省からこれがいけないということでけられるならば、それはまたその他の政治力もかりなければならぬということになるけれども、あなた方の方はそういう改訂第二次五カ年計画を提出するにあたって、従業員待遇改善ということについては全然考慮に入れた計画案というものを初めから出しておらぬわけであります。最初から六千二百三十億円という総額の建設資金、さらに年間八百十億円という自己資金を出すだけの第二次五カ年計画を出すならば、先ほど来の総裁、副総裁大臣答弁ような形の待遇改善というものを考えるならば、そのときに当然あなた方はこの従業員待遇改善を一緒に出して、そうして政治的にその待遇改善が都合が悪い、大蔵省が財政資金的に都合が悪い、あるいは日本の経済状態から見て都合が悪い、こういうふうにけられるならば、それは公社の総裁、副総裁責任を問うても仕方がない、こういうことになりますけれども、最初からこの計画案を出す際に公社の総裁なり副総裁あるいは公社の幹部としてはそういう案を出すべきではないか。少なくとも私はここで七千円とか五千円とか六千円が正しいということを言っておるわけじゃありません。金額の問題を言っておるわけじゃありません。それだけの膨大な建設計画を出すならば、それと同時に従業員待遇改善も並行して提案するのが、あなたたちのいわゆる責任ある公社の経営者として最も正しいやり方ではないか。そういうやり方をやっておらぬ。先ほどの国際電電との比較の通り、民間の類似産業といえば国際電電がただ一つの民間の類似産業である。あそこは経営が非常によろしいというふうに聞いておるということを大臣が言っておって、その内容については知らない。たとえば電電公社にしても東京、大阪、北九州というふうな大都会だけの電電公社電話サービスであるならば、これは国際電電と変わらぬだけの利益を当然上げるわけであります。ところが年間百何億になんなんとするところの電信会計をかかえておる。さらにまた農村公衆電話、あるいはまた地方電話改善ということになりますと、相当の資本金が要る。この資本金というものはすべて自己資金でまかなわなければならぬということではない。そういうやり方をするならば商売が成り立たぬわけであります。だから商売が成り立たぬところの犠牲というものをすべて従業員にしわ寄せをしていくというやり方が、われわれから見て一番気に食わぬ場所であります。だからそれだけの財政資金が要るならば要るで、やはり当然政府考えるべきであって、これだけの年間八百十億円という自己資金としての事業収入を上げ得るだけのこういう事業経営である場合においては、当然この従業員待遇改善というものを考えてしかるべきではないか。口では盛んに待遇改善考える、考えるということを言っておるけれども、今回の第二次改訂五カ年計画の中にはそういう待遇改善というものは一つも見ておらぬじゃないか。それだけの熱意とそれだけのがんばりがあなた方にあったとするならば、最初から第二次五カ年計画を提案をする際にそれと並行して従業員待遇改善を出したらいいじゃないか。それを出しておらぬということはどういうことかということを聞いておきたいと思う。副総裁一つそれは最初に出しておらぬということについてはどういうことですか。
  196. 横田信夫

    横田説明員 この三十五年度の予算におきましてわれわれの従業員待遇改善についての特殊性と申しますならば、これも先ほど申し上げましたように、職員の物的労働生産性向上に伴って予算上生産を上げることのできる一応計画になったものの見通し対象といたしましては、仲裁裁定第四項に基づく手当を初めて計上いたしております。これが八億五千万円であります。この収支差額があるから従業員の待遇を改善しろという問題につきましては、なかなかこの収支差額があるからだけということによりましてはすぐ待遇改善ということに結びつき得ないのでありまして、御承知のようにわれわれの事業の中にも電信事業電話事業とがあるわけでありますが、電信事業の方は収支これを事業分計いたしてみますと、収支差額は約百億以上の赤字になっております。しかしこれは決してわれわれの従業員が、電信従業員が働かないとか、そういうことでなくして、この電信事業の特殊性と料金制度、そういうものとに相関連いたしたものでありまして、必ずしも収支差額がないから、電信事業についての従業員の勤惰というものを一がいにこれに関係を持たすということは不当でありますが、同時に収支の差額があるから、すぐこれを待遇改善に持っていけるということにはなり得ないのでありまして、まあ、三十五年度の特殊性として、上げ得たものはこういう生産に伴う手当でありますが、給与ベースにつきましては、今の一般の情勢からしまして、一応この社会情勢としてこの程度のものでわれわれとしては計上せざるを得ないという条件にあるわけであります。
  197. 片島港

    ○片島委員 さきの質問に戻るわけでありますが、給与の改善についてどこにも努力をしておらない。それはあなたの方の判断であります。判断というのは、あなた方が今上げたならば支持を受けないであろう、こういうあなたたちの判断からゼロ回答をやられた。ところがあなたたちの判断がもしこれは組合の要求通りでなくて、ごく少額、たとえば極端にいえば二百円とか五百円というような場合であっても、とにかくびた一文といえどもあなたたちのやることが支持されない、こう考えておるのでありますか。それは組合はのまないでしょう。のまないけれども、あなたたちがきわめて少なくても——ゼロでなければいかぬのだ。わずか二百円や五百円でも支持を受けないとお思いになったか。私は、組合は反対だろうが、これは支持は受けると思うのです。こんなに大きな要求をやったけれども公社はなかなか押えた。それであなたたちは全然ゼロが正しい——私は二百円や五百円でいいというのじゃありません。従ってあなたたちの方はそうやったときには支持はないのだ。だからゼロだ。やる気はないのだ、どこにも働きかけもしない、自主的な判断においてもその支持のことも考えない。これは私は非常に誠意のない態度だと思うのであります。たとい組合が受けなくても、大体受けそうなところで少し折れてくれぬかというような話も何もなく、君たちは高いぞ、高ければもっと負けてくれというような交渉も何もなく、ただもうゼロ、これは公社法の第三十条に明らかに違反をするものではないか。先ほど大臣や、また公社当局から大臣答弁に相づちを打たれたよう答弁の精神にも反するのではないか、特に第二項を非常に強く解釈をいたしまして、しかもあなた方の都合のいいように三十条の二項を解釈をせられて、第一項はあまり重く見られないで、第二項ばかりをあなた方のよう考えでやるならば、ほかが上がらなければ自分のところは上げられない、要するにほかのところについていく、自主性も何もなくて、たとえば人事院の勧告でも公務員にあったならば考えようかとか、あるいは一般のどこか、あなたの方は類似産業といっても別にどこということを明示をせられておりませんが、何かこの対象になるような、比較になるようなところが上がった場合には上げていこう、その対象さえはっきりしておらぬ、この点はいかがですか。
  198. 横田信夫

    横田説明員 ただ私たちとしては、今の世論とかいうものについて受け身に全部考えていこうというつもりはないのでありまして、今後もわれわれの事業のサービスを向上し、事業を発展させ、それによって従業員生活向上をはかる、こういう三本の柱が相伴っていくことによって、必ず客観的な支持も得られ、客観的に主張し得る理由も得られる、そういうことにおきましての努力をいたそうと思っておるのであります。決して受け身的にのみ問題を処理しようとは考えていないつもりであります。今後ともこの点につきましては、たびたび申し上げますように、サービスの向上事業の発展とともに従業員生活向上には大いに努力したいと思っております。
  199. 片島港

    ○片島委員 労働時間の問題についても、さきに全労会議と経団連の会見がありましたときに、生産性向上がだんだんと成果を上げるに従って時間短縮考えなければならぬということで意見の一致を見ておるわけであります。これは経営者団体と全労会議との会談において見ておる。電信電話事業が非常な生産性を上げておるというのは数字によってもわかります。特に設備の近代化に伴いまして、労働の質が非常に高度化してくるということもお認めになっておるのでありますが、ただこれもゼロ、幾らかはここに何かちらつかせておるならば、また皆さん方はそれによって言いわけがたつわけでありますけれども、全くのゼロでありますが、そういう点はどう考えておられますか。
  200. 横田信夫

    横田説明員 労働時間の方向といたしまして、先生御指摘のごとく、今後生産性向上に伴って労働時間が短縮されることが望ましいことは私ども否定はいたしませんし、今後そういう努力をいたしたいと思いますが、生産性を上げていくということは、今の労働時間の短縮によって従業員の数を増すとか、あるいは能率が落ちるということは予想していないのであります。それによって同じ人間で、あるいは少ない人間であってもより以上のサービスができる、あるいは仕事ができるということを前提にいたしての労働時間の短縮であります。そういう意味においてはなお今後実行上そういうことのできる道を従業員とともに発見していきたいと思っております。今の労働時間の短縮についての回答もそういう意味においての回答でありますので、御了承願いたいと思います。
  201. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 議事進行の発言がありますから許したいと思います。秋田委員
  202. 秋田大助

    ○秋田委員 議事進行に関して発言を求めます。ただいま審議中の電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案に関しましては、去る二月五日提案理由の趣旨説明がありましてから今日まで慎重審議が進められ、質疑も十分にされたものと考えられますので、この辺で質疑を打ち切り、直ちに討論採決に入ることを動議として提出いたします。
  203. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 ただいまの秋田委員の動議につきましては理事会において協議することとし、この際暫時休憩いたします。     午後二時三十二分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  204. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 再開いたします。休憩前に引き続き質疑を続行いたします。堤ツルヨ君。
  205. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 ただいま審議打ち切りの動議が出ましたけれども、この間までの私の質疑に対しまして、はっきりと答えていただかないと困る問題が二、三点ございますので、ごく簡単明瞭にお答えをいただきまして、はっきりと速記録に残しておきたいと思います。
  206. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 堤委員に注意しますが、五分間という理事会の決定ですから……。かつまた答弁もきわめて簡単にお願いします。
  207. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 そこで一番にお尋ねいたしたいのは、この電話債券加入者が購入するにあたりまして、それに必要といたします多額の金は、零細業者、それから一般家庭、中堅層以下の世帯ではなかなかむずかしい金額でございますので、これを何とか銀行の窓口において融資をしていく、そして月賦ででも月々返していく方法をとるとかなんとかしないと、とてもこれはみなが電話をあきらめてしまうだろう、こういうふうな懸念がございますので、勧業銀行だけというような話が当初ございましたけれども、そんなことを言わないで、全国の都市銀行、全国の地方銀行、また信用金庫に至るまで融資の道を、窓口で小口融資を簡単にできるよう銀行各行に連絡をとられて、オーケーをとられるとともに、その方法につきましては国民に周知徹底をなさるように御要求をいたしておきましたが、これにつきましての具体的な方途が今日までにとられたでございましょうか、これに対する御答弁を承りたいと思います。
  208. 大橋八郎

    ○大橋説明員 ただいま御質問の点につきましては、御趣旨の通り目下取り運び中でございます。都市銀行につきましては、全部承諾を得ております。なお地方銀行につきましても、大部分の四十九行は、すでに承諾を得ております。
  209. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 周知徹底方はどうなさいましたか。知らなければこれを利用できないわけです。
  210. 大橋八郎

    ○大橋説明員 もちろん今後周知徹底に努めるつもりでございます。
  211. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 これは昨年までの実施にかんがみまして、銀行の窓口に小さな紙切れを出しておくというような不親切なものではだめでございますから、一つ加入者にはこういう方法があるんだということを、全国に周知徹底させていただくことを要望しておきます。その次にお尋ねをいたしておきたいのは、電信電話事業におけるところの労働条件の特異性にかんがみまして、従業員の人たちの協力なくしてはこの膨大な計画はとうてい遂行し得ません。にもかかわらず、電電公社におきましては、過般の全電通の要求に対しましてゼロ回答をいたしたり、またあいまいな答えを続けてきておるのでございますが、給与の問題、配置転換の問題、労働時間の問題は、おのおのの議員から質疑の面においてもいろいろ追及されましたけれども、万般の合理的な施策を行なって、従業員がこの第二次五カ年計画に沿い得るような、協力できるような、電電公社におけるところの今後の改善がなされるということが前提でなければ、いかにりっぱな計画がございましても、とても進まないのでございますが、この改善ははっきりと、いろいろな面において改善なさるものと解釈してよろしゅうございますか。その点も一応承っておきたいと思います。
  212. 大橋八郎

    ○大橋説明員 労働条件改善、時間の短縮その他各種の労働問題につきましては、今後の五カ年計画実施の中ででき得るだけの努力をいたすつもりであります。
  213. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 でき得るだけの努力というのは、どこへでも逃げられるわけでございます。もっと具体的な御返答を承りたいと思いますけれども、私は、質問の過程におきましても各委員から鋭く追及されておりますので、公社におきましては、どの辺まではこれを実施しなければならないという常識がおありだろうと思いますので、かたがたこの点を強く要求いたしておきたいと思います。もう一つ、第三点としてお尋ねをいたしたいのは、利回りの問題でございます。これは市場におけるところの価格の安定ということがなければ、結局負担加入者にかかってくるのでございますから、この利回りの問題につきましては、最低どれくらいな自信を持っておられるか、ここではっきりとお答えいただきたいと思います。
  214. 大橋八郎

    ○大橋説明員 引受債券の利回りにつきましては、大体七分二厘の利率をつけるということで進んでおります。
  215. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 電電公社におかれましては、これを四月一日から実施するというので、非常にこの法案の通過を急いでおられますが、なかなか万全の策ではありません。非常に欠陥が多いのでございます。また、かてて加えて、この実施に入ることを前提として、もうすでに二、三カ月前から電話の架設を停止していらっしゃるのでございます。私はこれは大きな問題だと思いますが、今日以後、この間できました空白につきましては、良心を持って電電公社の公共福祉の面からの使命にこたえられんことを要望いたしまして、私の質問にかえておきます。
  216. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 森本靖君。
  217. 森本靖

    森本委員 最後に聞いておきたいと思いますが、先ほど来大臣からいろいろ答弁がありましたけれども、かなりぼやけておりますので、簡単でけっこうでありますから明確にしていただきたいと思いますことは、今回の改訂第二次五カ年計画は、先ほど私が申し上げましたように、総額六千二百三十億円にも上るところの膨大な建設資金を要しておるわけであります。しかもこの中に自己資金が、年平均八百十億円という巨額の資金を含んでおるわけであります。にもかかわりませず、この改訂第二次五カ年計画におきましては、要員対策といい、従業員待遇改善並びにその労働条件改善等については、一顧だに触れてないわけであります。しかしながら、先ほど来の答弁では、考慮いたします、おおむね妥当でありますというような、大体とかいうふうないろいろの答弁がありましたけれども、この第二次五カ年計画を遂行するにあたっては、どうしてもそれとうらはらにありますところの従業員待遇改善並びに労働条件改善については、将来考慮しますということでなくして、絶対に将来これを改善していかなければならぬ、こう考えておるわけであります。その額の大小、あるいはまたその労働条件をいかように具体的に——勤務時間を何時間短縮をするかという、そういう具体的な問題にここで触れたくありません。しかしながら、この第二次五カ年計画の膨大な事業を遂行するにあたっては、どうしても今申しましたところの労働条件改善とさらに従業員待遇改善というものは、これは離しても離すことのできない重要な、うらはらの問題であろうと考えておるわけであります。だから、この改訂第二次五カ年計画の遂行にあたって、大臣としては、この従業員労働条件改善、さらに待遇の改善ということについては、一つ明確にその意思表示をお願いしておきたい。さらにまた、先ほど大橋総裁も言われましたけれども、私は念を押す意味におきまして、明確に一つ——これを善処いたします、考慮いたしますということでなしに、その金額、その時間の短縮の内容はともかくといたしまして、そういう方向に絶対に行ないますという言明を特に得ておきたい、こう私は考えておるわけであります。一つ大臣総裁と、最後に御答弁をお願いしたいと思うわけであります。
  218. 大橋八郎

    ○大橋説明員 ただいまの森本委員の御質疑に対しまして簡単に申し上げますが、今後の計画の実施の途上においてできるだけ実現するように努力をいたします。これだけのことを申し上げます。
  219. 植竹春彦

    植竹国務大臣 公社の運営は公社が自主的にやっておるところは、御存じの通りであります。そうして、公社の総裁がただいま御答弁になりましたが、監督者の立場といたしまして、公社の総裁が言いましたことが実現いたされますように、また森本委員の御趣旨を尊重いたしまして、十分に監督いたして参ります。
  220. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 ほかに質疑もないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  222. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 これより討論に入ります。討論の通告があります。順次これを許します。森本靖君。
  223. 森本靖

    森本委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案に対し、反対の意を表するものであります。この法律案目的とするところは、電話加入申込者等に電電公社の発行する債券を引き受けさせて、改訂電信電話拡充第二次五カ年計画の遂行に要する資金の一部を調達しようとするものであります。ここ両三年来、電話架設並びに電信電話サービスの向上に対する国民の要望が急激に高まり、既定計画をもってしてはとうていこれを満足させることができなくなり、その結果、電電公社設備拡充計画の修正拡大を余儀なくされたということは、ひっきょう、公社の第二次五カ年計画の策定に誤算があったということにほかならないのでありますが、この際いたずらに過去の誤りを追及することはやめにいたしまして、わが社会党としては、電話需給のアンバランスを解消し、今なお決して満足すべき状態にない電信電話サービスを急速に改善するためには、既往の計画を改訂しなければならないとする点においては、本案を支持せられる諸君と軌を一にするものであります。いな、むしろ、電電公社政府並びに与党によって作られたこの拡充修正の計画は小規模に過ぎるのではないか、もっと急速に国民の要望にこたえる徹底した拡充計画が策定せらるべきであり、またそのよう計画の実行も可能なのではないかという考え方を持っておるのであります。一例をあげれば、公社の改訂計画によれば、三十五年度以降三カ年間に百二十九万の加入電話を増設することになっておりますが、わが党としては、やり方によっては二十万をふやして百五十万の増設も決して不可能ではないという見方をしているのでありまして、こういう考え方が改訂計画に対するわが党の批判の根底に横たわっておるということを最初に明らかにしておきたいと思うのであります。しからば、わが社会党が改訂計画を容認することができず、ひいては本法律案に対しても反対の態度をとらざるを得ない理由は何であるかと申しますならば、第一は、改訂計画の所要資金の調達方法に重大な過誤を犯しておるという点であります。電電公社の改訂五カ年計画の遂行には総額六千二百三十億円を算する膨大な建設資金を必要とするのでありますが、これを昭和三十五年度以降三カ年間に区切ってみましても、一カ年平均千五百億円、うち自己資金でまかない得るものが八百十億円、残りの六百九十億円は外部資金に依存せざるを得ないのであります。問題は、この年間六百九十億円に達する外部資金の調達源にあるのでありまして、本来電信電話事業のごとき高度の公共性を有する事業、ことにわが国のごとく長く国営事業として経営され、現に政府関係機関たる公社によって経営せられている事業設備拡張の資金源は、当然国家財政資金の投資もしくは融資に仰ぐべき性質のものでありまして、財政資金が欠乏している場合には、やむなく一般市場に起債することは容認せらるべきだといたしましても、これを事業の利用者たる最も弱い電話加入者等の側に求むべきでないことは多言を要しないところであります。しかるに、改訂計画によれば、前に述べた一カ年平均六百九十億円の外部資金のうち、財政資金の融資、公募社債の額は合わせて二百八十億円、割合にいたしまして四割強にすぎず、残余の六割、四百十億円は、これをこの法律案による加入申込者の債券引き受け制度に依存しようとするものでありまして、昭和三十五年度財政投融資額として僅々二十五億円が計上されておるにすぎないのであります。政府が財政資金のワクに籍口して極力国家資金の投入を回避し、この膨大なる電話拡張計画負担の大部分を電話利用者に転嫁せんとする証拠は歴々たるものがあるのであります。政府並びに公社当局は、電話加入者による債券引き受け制度が受益者負担の原理に合致するとか、負担金制度に比べて実質的負担はかえって減少するとか、いろいろ都合のいい理屈を並べておりますけれども、たとえば一級地における十五万円の債券引き受けということは、一般大衆にとっては容易ならざる負担であります。このような制度が、電話事業を国民全般の利用から切り離して、一部金持ち階級の私物化する傾向を助長することはすこぶる明瞭なことでありまして、わが党がこの法律案に反対する最大の理由はここにあるのであります。しかも、本法案審議の過程において、債券引き受けの六段階の配分について、常識的に十五万円から二万円までのつかみ分けであるというよう総裁答弁であります。加入電話債券引き受けについても、公社と国際電電との六十一万一千円とわずか六千円程度の不均衡を暴露せられ、法案審議の過程においてあわてて公社が幹部会議を行なって、その積算根拠をあとからつけ足すという醜態を暴露しておるのであります。次に、電話加入申込者等による債券引き受け制度は、決して望ましいものではないが、巨額の建設資金を調達するためにやむを得ずとったものであるという弁解に対しては、このような拙劣にして弊害のある方法をとらなくても、必要なる資金を調達する方法は幾らでもあるということを、私は特に指摘しておきたいと思います。その第一は、膨大なる国家予算あるいは財政投融資計画を再検討して適正なる配分方法をとれば、電話加入者にしわ寄せしなくても、電信電話拡充資金の財源を求めることは決して難事ではないということであります。この点は与野党の主張の根本的に分かれるところでありますが、この際その詳論を避けることにいたします。第二は、特に電電公社に聞いてもらいたいと思いますことは、電電公社の資材購入価格の合理化による工事費節減の問題であります。電電公社の一加入当たりの工事費単金は、第一次五カ年計画当時二十八万円、第二次五カ年計画当時三十万円、改訂第二次五カ年計画では三十四万円と上昇する一方でありまして、これは、自動改式、市外即時化等、基礎的改善の時期にあるためと説明しておりますが、公社の資材購入価格においても、契約方式の検討その他合理化の余地が多々存するであろうということは想像にかたくありません。工事費単金の引き下げはそれだけ多数の加入者を増設し得ることを意味するものであり、公社としてはこれらの点に最善の努力を傾けてなお足らざるところを外部資金に求むべきであります。これに関連をして電電公社資金運用の能率化についても一音いたしたいのであります。現在公社の資金は国庫に預託され、しかも三十億円までは無利子となっておるがごとき不合理きわまる制度を改め、手持ち資金を効率的に運用したならば、この面よりも公社収支の改善に寄与するところ大なるものがあると考えるのであります。第三に、料金の合理化の問題でありますが、現行の公社の料金制度が、あるいは加入区域の面から、あるいは市外通話の面からすこぶる不合理なものになっておることは、公社自身が本委員会において答弁したところであります。にもかかわりませず、なぜか公社はこれが是正に消極的であります。思うに、料金の合理化は、とかく料金値上げと混同されやすく、世論の批判を招くことをおそれて容易に手をつけないと想像されますけれども、不合理、不均衡を放置することは、決して事業に忠実なるゆえんではないのであります。公社当局が英断をもって適当な是正を行なうならば、たといそれが収入の増加を来たさなくても、少なくとも改訂計画を正当に批判する素地を与えることとなるのでありまして、現在のような不合理の基礎の上に立った計画では、われわれとしては計画の適否すら正しく判断することができないような状態に置かれておるのであります。最後に、公社の改訂計画は、その実行に当たる公社職員の全面的協力を前提として初めて実現性を持つものであるにもかかわりませず、実際において従業員の支持を得る見込みがきわめて希薄であることをあげざるを得ないのであります。すなわち、この改訂計画の実行は、従業員側における相当の労働強化を意味するものであるが、これに対する従業員待遇改善その他の雇用問題に関する考慮がはなはだしく欠けておるのであります。最初に申し上げた通り、改訂五カ年計画のうち、自己資金は一カ年間平均八百十億円の巨額に上っておるのであります。このように公社収入の巨額が設備拡充資金に充当せられて、従業員待遇改善に回されていないことは、公社法の精神にも反するものであります。公社の生産性増大に伴い、この際思い切った待遇改善を行ない、要員対策についても万全の策をとり、公社の合理化施策が急速に進められておる現状から、勤務時間の短縮をも行なうべきであります。要するに、この膨大な第二次五カ年計画の遂行にあたっては、従業員の大幅な待遇改善、要員の適切な増員、さらに勤務時間の短縮などによって、従業員の心からなる協力によって初めて完成されるものであります。しかるに、この三つの条件がほとんどゼロにひとしい改訂五カ年計画では、たとい建設資金獲得に成功しましても予定の速度をもってこの計画を進行するかどうか、はなはだ疑問といわざるを得ないのであります。以上主要なる数個の理由をあげて申し上げたごとく、公社の改訂五カ年計画中には根本的にわれわれの主張と背反するものを包蔵しており、この五カ年計画遂行の資金調達を目的とするこの法律案もまた五カ年計画の持つ矛盾を当然に包含しておるのでありまして、わが党の見解をもってすれば、政府は真にわが国の電信電話事業改善向上するの熱意に欠け、建設資金負担を最も弱い立場にある電話利用者に転嫁をして当面を糊塗せんとしたものがすなわち本法案であります。以上申し述べた理由により、日本社会党は本法律案に反対するものであることを重ねて申し上げ、私の討論を終わる次第であります。(拍手)
  224. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 橋本登美三郎君。
  225. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 私は、本法案に対して自由民主党を代表し、賛成の意を表するものであります。御承知のよう電話の戦前の数は百八万加入数にすぎなかったのでありますが、現在は三百十四万の加入を見ております。これは第一次五カ年計画の成功と、続いて第二次五カ年計画の実質がこういうふうな成功を示しておるわけであります。特に東京—大阪等の長距離を初めとして、数十カ所の長距離電話が自動式に改式せられて、今日産業の開発の上に非常な貢献をなしておることは各位の十分御承知の通りであります。特に好評を博しておりますのは、わが党の主張である無電話部落の解消、これは非常に喜ばれておりまして、現在第一次五カ年計画、第二次五カ年計画を通じまして今日まで無電話部落の解消に役立ちました数は一万二千七百部落に達しております。かつまた地域団体加入、これは一、三年前から開始せられたのでありますが、これも二百五十カ所に及んで、この数は一万数千の電話をぶら下げておるような状態でありまして、これはわが党の主張しやまざるところであって、かつまた公社がこれに協力して無電話部落の解消の実現を期しつつあることはまことに慶賀にたえない次第であります。今回の第二次五カ年計画の改訂案を基礎とする三十五年度以降の予算案につきましてはこの法案が骨子となるわけでありますが、この法案を出しまする事情は、御承知の通りに現在非常に電話申し込みの数がふえて参りまして、これを解決するためには従来の第二次五カ年計画ではとうてい追いつかない。こういうことからして現在のままであっては百万をこえるような積滞数が逆に増加していく状態にある。これを解消するためにはどうしても積極的な施策を講じなければならぬというのがこの法案の趣旨でありまして、この法案の内容は、大体わが党が党内に電話拡充特別委員会を設置して、その案に基づいて政府並びに電電当局が作成したものであって、われわれといたしましてはこの法案に全面的に賛成をする次第であります。ことに本法案の特色でありますが、本質的にこの法案には二つの特徴があります。一つは今申したように激増する電話加入申込者を昭和四十七年度までにこれを解消しよう、そうしてそれ以後は全く申し込んだらすぐつくような状態に、いわゆる平静化していくということが一つ目的。第二には、従来電話をつけるためには特別の費用を要した。現行法律によっていわゆる設備負担金という、三万円ないし一万円の申込金といいましょうか、設備負担金を課せられておったのですが、今回の法案ではこの設備負担金というものをやめる。そうして装備費といたしまして一万円程度を申込者から受ける。これはもちろんこれに公債の問題が触れておりますが、根本的な、形式的な点から申せば、非常にこれは本質的な改革である。従来の金をもらって設備をするということと、金をもらわないで設備をしよう、こういうところに本質的には非常な差異があるわけであります。もちろん今申したように過渡的にはこの法案では相当多額の公債を持ってもらうということになっておりますが、最近の電話というものは、いわゆる生産手段の一つである。従ってこれを架設しよう、利用しようという者が生産手段の一つに対して投資をするということはこれは当然のことでありますからして、社会党の諸君が言うよう金持ちにだけ電話を引くという考え方ではない。この十五万ないし二万円の公債の加入者引き受けに対しては、電電公社が配慮をして、一般銀行にまでこれが貸し出しをしてもらうようなことを認めたということも、一つにはこの電話というものが単なる消費物資ではなくして、生産手段として今後電話というものを考えていくという基礎に銀行自身が立ったから資金金融認めたのだろう、こうわれわれは解釈する次第でありまして、この点は画期的な法案一つの特徴であります。もちろんこれらの大事業を敢行するためには、電電公社当局におきましてもあるいは従業員各位においても相当の努力を必要とするのでありますから、ことに今回の改訂によっては、百八十万の加入電話、十万の公衆電話をつける、それ以外に五百七十万キロの市外回線の増設をはかるという画期的な事業でありますから、従ってこの事業に対して従業員各位に全面的な協力をしてもらわなければならぬことは言を待たないのであります。従って、本委員会においてもたびたび論議になりましたが、いわゆる従業員各位の待遇改善、これはわが党におきましても特に考慮をしておるのでありまして、特に電信電話事業は他の二公社五現業とは違って特異性を持っておる。従って特異な事業体に従事しておる各位でありますから、いわゆるこの三公社五現業とは必ずしも同一に論ずることはできない。ただし政府との関係もあり、予算を要するのでありますから、これが整備については慎重を要するわけでありますが、特に公社当局においては、こうした特別の生態を持っておる事業体であり、かつまたオートメーション化が当然に必要とせらるる事業体でありますから、これら特異性を十分に認識せられて、待遇改善については今後ともに御努力を願いたいと考えておるものであります。簡単でありますが、この法案の特色を申し述べ、かつまた社会党の反対は必ずしも本質的には反対とは考えられない。ただいまの討論を聞きましても、いわゆる電話をふやすことについては賛成である。ただ引きかえに給与改善等申しておるだけでありますから、私はこの法案に対しては各位ともに全面的に賛成を願えるものと考えまして、ことにわが党としましては全面的に本案に対して賛成の意を表するものであります。(拍手)
  226. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  227. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 これより採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  228. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 起立多数。よって、本案は原案通り可決いたしました。     —————————————
  229. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 この際、堤ツルヨ君より発言を求められております。これを許します。堤ツルヨ君。
  230. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私は、ただいま可決されました電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案に対しまして、自由民主党、民主社会党両党の共同提案にかかる次の決議を付する動議を提案いたします。  まず附帯決議の案文を朗読いたします。    電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案に対する附帯決議   この法律の施行に当り、政府並びに日本電信電話公社当局は、次の各項の励行に努むべきである。  一、この法律による電信電話債券の市場価格の安定を図るため、債券の利率の設定その他の措置につき格段の考慮を払うこと。  二、電信電話債券の引受けを容易ならしめるため、電話加入申込者等が、全国にわたり、簡易に、銀行等から融資を受けることのできる方途を講ずるとともに、その方途の周知徹底に努めること。  三、電信電話事業における労働条件の特異性にかんがみ、労務管理、特に給与、配置転換労働時間等につき、万般の合理的施策を行い、従業員の電信電話拡充計画完遂への協力をはかること。  四、電話売買取引に関する諸種の弊害を根絶するとともに、業者の善導に努めること。  右決議する。  以上の附帯決議につきまして趣旨を御説明申し上げます。まず決議案の第一項は、この法律によって電信電話債券を引き受けた電話加入申込者等が種々の事情で債券を金にかえようとする場合が非常に多いのでございまして、その場合にその市場価格が暴落するようなことがございますと、不測の損害を加入者がこうむるわけでございます。ひいては政府並びに公社当局は、この法律案による暫定措置が、従来の電話設備負担の制度よりも、加入申込者にとって経済的な負担が軽いということを言っておりますけれども、実質的に軽減するものであるというその言明の根拠を、暴落をいたしますと失うのでございます。政府及び公社当局は、こうした事情にかんがみて債券の利率の設定をいたし、あるいは公社による債券の買い入れ操作等、債券の市場価格の安定に十分な考慮を払われなければならないというのでございます。従来、ともすれば、公社はみずからの利益を追求することのみに追われておりましたが、今日までの公社の態度を反省して、利用者、加入者の立場になってこの問題を考えていかなければならないのでございます。現状よりも実質的負担が軽くなるという政府の言明の通り、市場価格を安定させることによって加入者を守るということに誠心誠意努力されるように要望するものでございます。次に第二項は、電話加入申込者等の中には、一時に多額の引き受け債券に要する払い込みを困難とする階層を当然含んでおるのでございます。今まで電話を設置してしまった層と、これから電話を設置せんとする層とは、常識的に考えましても、今日以後架設しようとする人々は、零細企業、中小企業、住宅街等を見ますときに、また農山漁村をも含めて、階層は非常に低いのでございます。従ってこれらの十五万円からの何段階かに分けましたところの公債を買うにつきましての金の工面は、全国的にわたって加入者は苦労をするのであります。従ってこの金の調達をはかるために、簡単に銀行等の窓口から払込額の金融を受けて、これを月賦などの方法で返せばいいというよう方法が開かれなければ、電話は高ねの花になってしまうのであります。従って親切丁寧に、かくかくしかじかの方法でこういう銀行が皆様のために小口融資をするというところの具体的な指導と、そうして周知徹底とをなされて、従来の公社の冷たいやり方を一つ一掃してもらいたいと思うのでございます。便利な方法を隠してしまってPRをしないで、できるだけ融資の道を開いておいても、実際末端では庶民がこれにありつけないような不親切な方法をとってきた過去を見まして、これは大いに反省してもらわなければならない問題でございます。法の精神を曲げて公社が運用するということになりますので、一番重大な問題であろうと思うのでございます。その次の第三項は、この法律案と改訂電信電話拡充第二次五カ年計画との関連にかんがみまして、従業員拡充計画完遂に対するところの全面的な協力は、種々今日まで述べてきましたように、膨大な計画を遂行するためには協力がなければ実現できないのでございます。この見地から、今までのよう従業員に対する政府の態度ではとうてい協力できないと思うのでありまして、公社当局は労務管理の面に格別の留意をして、ことに、なかんずく給与の問題や配置転換の問題、労働時間の短縮等について万全の合理的な施策を講じなければならないのでございます。特にこのたび提出せられました改訂五カ年計画には、まことに冷たい態度でございまして、根本的には何ら方法が述べられておりません。各党から指摘されたゆえんもここにあると思うのでございます。どうぞこの委員会のあらゆる審議過程におけるところの委員諸公の意見を取り入れられまして、問題になった点を十分にこの五カ年計画と並行して解決しながら、従業員の協力を請うという態度に出られなければならないと存じますので、この第三項を付したわけであります。最後に第四項は、電話加入者の数の増加するに伴って電話売買業者の取引の数も増加するものと予想されますが、電話の売買には種々の不正や弊害がつきまといやすく、これがために善良な加入者に損害を与える場合もしばしば生じておるのでございまして、これが防止策を講じなければ、悪質な取引業者を排除して、そうして公正な業者が公共福祉の立場から電話加入者に協力するという態勢にならなければ、これはうなずけない問題であるのでございます。野放しでありました従来の政策を解消して、積極的にこれら業者の明朗化をはかられなければならないと思われるのでありまして、どうか一つ電話業者の食いものになっておりました哀れな電話加入者を守るという建前から、と同時に正しいところの公共精神に徹した善良な業者、中小零細企業者といいますか、これはばかにならない数でございますので、これを一挙に殺してしまうということもできない現段階におきましては、善良なものを協力させるという態勢の中に一つ積極的な手を公社が打たれなければならないということをぜひつけ加えなければ、この膨大な計画の裏に食いものにされる民衆が今日までの現状にかんがみましてますます激増するということを憂うるものでございまするがゆえに、第四項目をつけ加えたわけでございます。どうかこうした附帯決議案の趣旨を了とされまして、できるだけ多数の御賛成が得られますようにお願いいたしまして、私の趣旨説明を終わる次第でございます。
  231. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 ただいま堤君より提出の動議の通り、本案に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  232. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 起立多数。よって、堤君提出の動議の通り附帯決議を付することに決しました。この際、植竹郵政大臣より発言を求められております。これを許します。植竹郵政大臣
  233. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の趣旨が実現されますように、公社を十分監督して、この御決議を尊重して参る所存でございます。本日まで皆様今回のこの拡充法案につきまして御懇篤なる御審議を賜わりまして御可決下さいましたことを厚く御礼申し上げます。
  234. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  235. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  次会は明十六日水曜日十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十五分散会