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1960-03-02 第34回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二日(水曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 佐藤洋之助君    理事 淺香 忠雄君 理事 進藤 一馬君 理事 橋本登美三郎君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 片島  港君 理事 森本  靖君       上林山榮吉君    木村 武雄君       塚田十一郎君    寺島隆太郎君       渡邊 本治君    金丸 徳重君       八百板 正君    堤 ツルヨ君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植竹 春彦君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房長) 荒巻伊勢雄君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         日本電信電話公         社営業局長   大泉 周蔵君         日本電信電話公         社計画局長   伊藤  誠君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月二日  委員成田知巳君辞任につき、その補欠として金  丸徳重君が議長の指名で委員に選任された。 本日の会議に付した案件  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する  法律案内閣提出第一三号)      ————◇—————
  2. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案を議題とし、その質疑を行ないます。  質疑の通告があります。これを許します。堤ツルヨ君。
  3. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私は郵政大臣の御答弁をも必要とする問題点を持っておりますけれども、これは大臣がおでましになれるときに残しまして質問をいたしたいと思います。  まず改訂電信電話拡充第二次五カ年計画についてお伺いをいたしますが、第二次の五カ年計画は、すでに昭和三十三年から実施中のもので、三十三年、三十四年と二年を経過しております。この二カ年における実施というものは五カ年計画通りに、今日まで三十三年、三十四年二カ年進んできたかどうか、この経過について当局からお伺いいたしたい。
  4. 大橋八郎

    大橋説明員 この二カ年間経過は、大体順調に進んだと考えております。
  5. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 ただいま、大体という御答弁総裁からございました。私はなぜそういうことをお尋ねしたかと申しますと、第二次五カ年計画立案当時、当局が予測しておりました需要見込みを大きく上回る申し込みがあって、これをくずしていくためにどうしても五カ年計画改訂を行なわなければならない、こういっておるのでありますけれども立案当時は需要申し込みを一体どれくらい見込んでおられたか。従って、架設計画年間二十七万と大体計画をしておったのでございますが、当時これが妥当であったかどうかということが問題だと思うのでありますけれども、いかがでございましょうか。
  6. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほどの御答弁は非常に簡単に申しましたが、もう少し詳しく申し上げます。御承知通り、第二次五カ年計画を設定いたしましたときの考え方は、加入者増設について言いますと、一年の申し込みが大体二十四万新しい申し込みがあるもの、こういう想定のもとに立てまして、年々平均二十七万ずつ架設いたしますれば、差引三万ずつよけいつく勘定になる、そうすると、これだけずつは、少なくとも従来の積滞数が減っていく、この五カ年計画を終わった後、さらに第三次、第四次と五カ年計画を続けまして、昭和四十七年度の終わりに積滞数を全部一掃する、こういう目標を立てて第二次五カ年計画というものは出発いたしたわけであります。それでその後の成績を見ますと、この五カ年計画に基づいて国会の協賛を経ました予算が二カ年間あるわけでありますが、この二カ年間予算は、その予算通りもしくはその予算以上の数をつけておるのであります。しかしながらそこに、ただいま一つ指摘があったように存じますが、違算があったと申しますのは、当時の申し込み需要に大きな違算があった、見込み違いがあった、こういうことであります。従いまして、当時二十七万ずつつければ幾らかずつでも積滞数が減るという考え方が、かえって積滞数が増加するという結果になって参ったのであります。大体三十三年、三十四年というこの二カ年間におきまして、新規申し込みは三十六万、三十七万というような数字でありまして、減るどころか、かえって十万ぐらいずつ積滞数が増した、かような状況が明らかになりましたので、このまま五カ年計画を続けましては積滞数がますます増加する、かような形勢が明らかになりましたので、ちょうど五カ年計画の中途でありますけれどもこれを解決しなければならぬ、かように考えまして、昨年改訂案立案いたしました。その立案に基づきまして来年度の予算も組んで、協賛を仰いでいる次第でございます。この新しい五カ年計画といたしましては、毎年あとの三カ年間において平均いたしまして四十三万の申し込みがあるものと想定いたしまして、その三年間に百二十九万の数を新規電話架設、こういう前提のもとに立って改訂をいたしたわけであります。
  7. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 ただいま総裁は、二十七万つければ大体二十四万に対して三万ずつ積滞を消化していけるという見通しを持っておった、こうおっしゃるわけです。私はただいまのこの二十四万という見通しを立てられた当局に対して、非常に不信の念を持つのでございます。二十四万という甘い数を立てられた根拠について一つ御説明いただきたいと思います。
  8. 大橋八郎

    大橋説明員 当時の考え方といたしましては、大体電話需要というものは国民所得といいますか、国民経済発達と同じ線に沿って大体発達していきます。かような前提のもとに立って当時の過去の実績等もしんしゃくして今のような数字見込みを立てたわけでございます。ところが、その後の申し込み状況をさらに深く研究した結果によりますと、その当時の発達考え方というものが、やはり甘かったという結論であります。大体電話需要というものは一般経済発達よりも相当上回った申し込みがあるもの、こういうことが明らかになって参りました。これは日本だけの状況でなく、世界各国状況がすべて大体においてさような状況になっておることが明らかになりましたので、今度の改訂案におきましては今申し上げたような発達調査というものの結果に基づきまして需要数を相当大幅に拡大いたしたわけでございます。
  9. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 電話というものが国民から非常に非難されておりまする原因は、そういう電電公社の初めからの誤算にあると思う。私はこれを数字的に総裁に申し上げますが、私たちがいただいております電電公社からお出しになった資料をみずからごらんなさい。四十四ページのいわゆる年間新規需要数というものを電電公社みずから発表いたしております。それによりますと、昭和三十年はなるほど二十四万以下の十八万五千の需要数でございますけれども、三十一年になりますると三十四万四千と十六万はね上がっておるじゃありませんか。おたくが三十三年からの計画を立てるのに三十四万と踏んだにもかかわらず、実際の数は三十一年から三十四万五千近く申し込み希望者がある。それからその次の年に至りますると、今度は三十三万七千にはね上がっております。それから三十三年になりますと三十五万九千、大かた三十六万であります。そうすると二十四万を見積っておられるのは需要者の三分の二ではありませんか。こういう実数が電電公社に殺到しておるにもかかわらず、電電公社は二十四万というようなけしからぬところの見積りを立てておられる。大きな失政の原因はこういうところから出てきておると思うのですが、総裁いかがですか。こういう現実を前にしておって、二十四万というような机上立案をなさる電電公社の無責任さは、私は実に許すべからざるものがあると思うのです。これを一つはっきりしていただきたい。
  10. 大橋八郎

    大橋説明員 これは第一次五カ年計画がだんだん終わりに近づきましたときに、第二次五カ年計画の樹立の調査をいたしました。そのときの材料はおそらく昭和二十八年、九年、三十年あたりの数字基礎になっておるものと存じます。それに基づいて第二次五カ年計画新規需要見込み等が立てられたために、二十四万で大ていよかろう。この数字でごらんいただきますように、昭和二十八年には新規需要数は二十八万六千という数字が出ております。二十九年には十二万八千という数字が出ております。三十年には十八万五千。ここらの数字を平均して考えますと、大体二十四万という当時の見込みであったと考えるのであります。ただ三十一年、三十二年となりますと急に飛び上がりまして、三十四万四千あるいは三十三万七千というような数字になったのでありまして、この辺の見込み違いは、この数字とり方によって生じたもの、かように考えております。
  11. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 そこで数字とり方なんですが、電電公社だけではないと思いますけれども数字とり方をおよそピントはずれのところに置いてもらっては困るわけでして、第一次五カ年計画を終わるときには、第二次五カ年計画基礎ができておらなければいけないじゃないですか。それをそこヘピントを合わせないで、昭和二十八年、九年ごろの需要数のところにピントを合わして、二十四万を立てておる。こういうところに私は大きな問題があると思うのです。日本経済発展度、また国民所得向上程度によって三十三年度の案を作成する、同時にこの五カ年計画が完全に近いものであるかどうか、これはやはりよく考えていただかなければならない問題であったと思うのです。私が指摘いたしまするように、非常に的はずれなものであって、国民経済生活向上程度によって、この五カ年計画が二十八年度、二十九年度というようなところにポイントを置いたものでなくて、もっともっと実情に即して三十三年からの第二次計画というものを立てなければ全く話にならない。こういうことでございます。この五カ年計画を拝見いたしますと、総裁はそうお答えになっておりまするけれども、初めから一つの不安を電電公社は持っておったんじゃないか。これは自信がないけれども、とにかく第二次計画を立ててお茶をにごしたんじゃないかと思う。それはどういうことかと申しますと、その財源に充てられるところの公債、すなわち債券負担法実施期限が五カ年計画実施中に、これは改正されて一応切れることになっております。というのは三十七年にたしか切れることになっておる。そういたしますと、どうせ二年か三年目に改訂したらよいのだということを当初から見越して、どうせ積滞ができるのだから、できたときには理屈をつけて、公債の値段を上げればよいというようなことを頭の中に置いて、行き詰まり案であるということを知りながら、これを立案になさったような気配が、債券期限などから見てどうもあるのですが、これは一体どうですか。
  12. 横田信夫

    横田説明員 ただいま先生からだいぶおしかりを受けましたが、実は需要見込みを誤った点については、先ほど総裁からお話がありました通りでありまして、実は今先生の御指摘のように、途中で変えようと思って需要測定故意に小さく見たということはほんとうにないのです。ただその需要測定を小さく見たことについての、今先生の御指摘されたことについては、重々間違いであったことはおわびを申し上げるよりほかにないわけであります。ただ先生も御承知のように、三十三年度から第二次五カ年計画をやるとすれば、三十一年度がまだわからぬ途中にこういう計画を立てぬととても間に合わない、それで三十一年度の途中に第二次五カ年計画案の策定にかかったわけであります。従ってその場合に過去三年間実績というものが一つの大きな根拠にならざるを得なかったという点は確かにありまして、昭和二十九年が十二万八千、三十年が十八万五千、これは今から見ますと、この二カ年だけは異常な年だと言えるわけでありますが、当時としましてはこの二カ年だけが異常だというわけにはなかなかいかなかった事情があったわけでありまして、こういう過去の実績根拠にしながら、将来を推定するという点において当時の状況からして二十四万、これを過去の計数からいきますと、初め二十万という数字が当時出たのでありますが、三十一年度の途中でもありましたので、三十一年度全部の実績はわからぬけれども、その傾向だけは加えていこうということで、この傾向でなお修正しても二十四万という当時の数字で出た。これも当時としても決してそう少ない需要見込みではないと考えております。その点は、今先生からおしかりのごとく、非常に規模が小さくて、気宇狭小じゃないか、そういうことを考えておってはいかぬと言われることについては、当時の誤りについてはほんとうにすなおにお断わりを申し上げるよりほかにないのですが、当時の見込みとしては故意にやったということは毛頭ありません。  それから当時の誤りのもう一つの点は、三十三年度、三十四年度当初の見込みのあやまちの問題だけではなくして、将来の伸び率も当時相当誤っておったということがあります。これは今総裁からお話がありましたように、当時は将来の伸び率も、国民所得伸び率電話需要伸び率は大体並行するというように当時は需要推定をいたしておりました。しかしその後の情勢をずっと分析いたしますと、やはり国民所得伸び率よりも、ただいま総裁お話がありましたように、二割ぐらい多く伸びている、こういう実績も相当わかりましたので、それを加味するということで、今度はもう一ぺん需要見込みを改めた、これが二つの大きな点であります。  もう一つは、先生の御指摘になりました四十四ページの次四十五ページに、そういうようなずっと伸びていく率の見返しのほかに、そうなった後——四十七年度というのは長い先ですからなかなかむずかしいことですが、そのときに大体どのくらいの普及度になるだろうかという結果論で、横で見てみようということを今度はやってみたわけでございます。そういたしますと、今のような今度の伸び率で見ると、四十七年度末には住宅世帯——これは普通の住宅ですが、この住宅で一八・八%、すなわち五軒に一軒ぐらいは普及するだろう、この程度なのです。しかし、おそらくこれ以上になるのじゃないかと実は私はおそれているのですけれども、これくらいの需要測定ならまあまあ許されるところじゃなかろうかというのが、今度の需要測定でありまして、前の需要測定を誤った点については重々申しわけないと思います。
  13. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 重々申しわけないことが、非常に国民に被害を与えておるのです。こういう誤った数字をとられますと、全体が狂って参ります。電話は国家の産業経済計画とうらはらのものでございまして、経済成長率にいたしましても、これは常識として五%というものは最低ですが、明治時代からずっと伸びているのです。そういうものを考えましたときに、これは非常に大きな問題であって、むしろ私うがって考えると、そんなことはよく知っておったのだけれども、追っつかぬような積滞数に一ぺんしてやれ、壁に突き当たったときには公債を十五万円ぐらいに上げて——今ここへ出てきておりますが、そこのところで一大転換をはかってごまかしてやれというような腹があったのじゃないか。こういう大きな誤差に対して、郵政省電気通信監理官はぼやぼやしておられると私は思うのですが、どういう見解を持っておられましたか。
  14. 松田英一

    松田政府委員 ただいま非常におしかりをこうむりまして、私どもも申しわけないと存じておるのでありまするが、確かに第二次五カ年計画を策定いたしましたときの模様といたしまして、ただいま副総裁からも申し上げましたように、昭和二十九年、三十年、三十一年、その辺の模様で、二十九年につきましては、あの当時非常に不景気で、この数字は確かに低過ぎたであろうということは考えたのでありますけれども、三十年は相当復活しておった。ところが、三十一年、三十二年と申しますのは、いわゆる神武景気といわれているときで、これをむしろ引き締める必要があるというような模様も出ておったわけであります。そういう点もいろいろ考え合わせて、私どもあのときの傾向としてはあれでいいのではないだろうかということを考えた次第でございます。かたがたこれが私どももその点で、予算と申しますか、実は消極的ではないかとしかられる一つ原因でもございますが、大体従来の予算の折衝というものからきまってくるいわゆる予算実績ということも一つの要素をなしておりまして、第二次五カ年計画を立てましたときに、すでに今から考えまして、そんなことは問題ではなかったというわけでございますけれども、あの当時八百億台というものがとれるということは、実はその当時としては非常に大へんなことでございまして、それまでは六百億、あるいはそれがやっと七百億台になってきた、それを八百億台に乗せていくということが、実際問題といたしましては、なかなか苦労した結果やっと八百億台に乗ったというような事情もございまして、結局全体の需要見込み、それからそれの実現性ということから考えまして、第二次五カ年計画は、当時としては、ある意味でいえばやはりこれでやるのが普通だ、あるいは場合によれば、これすら非常に努力を要したという状況であったと思うのでございまして、そのこと自体が、結果から見て誤っておりましたので、私どもその点では郵政省はぼやぼやしておったと言われても申し開きができないわけでございますけれども、当時の事情としてはある程度やむを得ない状況もあったということを御了解いただきたいと思います。
  15. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 堤さん、大臣が今出席要求しまして間もなく見えますから、こちらを続行して下さい。
  16. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 第二次五カ年計画を実行に移されるときには——立案なさったのは昭和三十二年でしょう。
  17. 横田信夫

    横田説明員 完成いたしましたのは三十二年でありますが、その作業にかかりまして、いろいろな積み上げは三十一年度からやったわけであります。
  18. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 従って、あとから出てきた三十一年の三十四万四千、三十二年の三十三万七千、三十二年の三十五万九千、三十四年の三十七万という新規需要は見当がつかなかった、こういうところへいくんだろうと思いますけれども、これは大へんな認識の違いでございまして、私はこれがこれからずっとしこりになっていく原因で、電電公社自体として克服されなければならない大きな問題だと思います。この第二次五カ年計画立案のときに三万積滞を消化していくのだという見込みを立てておったにもかかわらず、逆に七万ないし十万の積滞を加算していったという誤算です。プラス・マイナスどうなるか。三万積滞を消化していくという計画を立てておるのに、十万逆に加算してきた。その誤差は十三万じゃないですか。こんなべらぼうな誤差はないのでございまして、こういうことで今度もまた改訂立案にあたってこういう数字的根拠に立たれると、どうにもならない。そうすると、電話とは、えらい人やあなた方にお上手をして、もみ手をしてつけてもらうものなりというものになってしまって、これが日本常識ではたまらないです。国民自体国民の金で電話というものはもっとうまくつくはずです。むしろ逆に電電はつぶしてしまった方がうまくいくかもしれない。総裁以下大責任です。これはこれ以上つきましてもお気の毒でありますし、率直に誤りをお認めになっておりますから、これが今度またこの中にこれと同じようなあやまちをして参りますとどうにもならないということを強調したい。これをよくお考えいただきたい。  それで新しい数字でございますが、いただきました資料では四十七年度で千六十万、こういうふうに見ておられるのですが、今のような需要供給のバランスというものは大体千六十万と数字をあげておるけれども、大体これをおあげになったところの算定基礎というものをもう一ぺんここでしっかり聞いておかないと、私が今まで指摘しましたようなぼんやりした算定基礎に立っておられると取り返しがつかなくなると思いますから、資料だけでなしに、当局からここで速記録に残すように御説明いただきたいと思います。
  19. 横田信夫

    横田説明員 ただいまの御質問の点について申し上げます。この需要見込みについてでありますが、先ほどちょっと触れましたように、過去の電話需要が発生いたしました経路を再度分析をいたしました結果、その傾向線というものが国民所得増加率とどういうことになっておるかという推定を立てたわけでございます。その推定分析いたしましたところ、大体日本において国民所得伸びよりは約二割方電話需要伸びの方が多いという分析の結果が出たわけでありますが、なおこれを日本だけでなしに諸外国伸び率等も研究いたしてみました。先ほど指摘になりましたお手元の冊子に、わが国国民所得加入需要増加指数の推移が四十六ページに出ております。それから諸外国伸び率は四十七ページ以下四十八ページ、四十九ページ、五十ページに出ております。こういうわが国のみならず諸外国傾向を見まして、その伸び率というものと国民所得伸び率というものを新たに見直してこういう将来の推定を立てたわけでございます。なお国民所得伸び率につきましては、現在日本でできております経済企画庁の伸び率というものを根底にいたして見ております。それから先ほどもちょっと触れましたが、そういうようにいたしまして、その結果が三十七年度末あるいは四十七年度末に——これは常識的になりますけれども、そういうように伸ばしていった場合に、住宅における電話がどういう率で普及するだろうか、あるいは産業世帯——産業世帯と申しますのは、自分のうちで商売をやっておるとか住宅商売を兼ねておるというようなものを産業世帯といたしております。それから純事業所というものについてどのくらいな普及度になるだろうかということを横から横断的にながめてみたわけでございますが、現在の三十二年度末においては、住宅世帯は五%ですから二十軒に一つ、それが三十七年度末には九・五%、大体十軒に一つ、四十七年度末には一八・八%ですから五軒に一つ、こういうような比率になっております。産業世帯におきましては、現在は二つ一つ、それが二十七年度末には六八%の普及率、四十七年度には一一三%ですから一軒以上の率になる。こういう横から横断的にながめたものと両方見まして、まずこの程度需要というものが妥当じゃないかと考えたわけであります。この長期予測も非常にむずかしいわけでありますが、一応大づかみに申しまして以上のような需要見込みをいたしたわけであります。  なお、先ほどからの問題について一言付言させていただきたいのは、確かに二十四万という第二次五カ年計画需要予測というものは、今から考えますと非常に少なかったわけでありますが、過去の実績は、先生もよく御承知のように、日本の数十年間における戦前の最高は百十万の加入でありました。数十年間に百十万の加入に対して御承知のように、第一次五カ年計画ではそれと同じ加入者増設、すなわち百九万の増設をいたしたわけであります。すなわち大体一年に二十万でありまして、これはほんとうに画期的な拡張であったわけであります。この第一次五カ年計画の一年二十万の加入者拡張というものは非常に画期的なものであると、実はわれわれの内部でも幾分自負しておりましたし、外部でも幾分評価されたのですが、その二十万を二十七万の計画に第二次五カ年計画で持っていったわけですから、当時としましてはこれもまた画期的な計画だと実は自負しておったのが、先生先ほどの御指摘のごとく、これも非常に小さかったというようなことでありまして、今度はこれは四十万から出発していこう。これもほんとうに画期的だと思うのですが、お客さん側から見れば、この拡張は私は最小限度だと思う。この最小限度拡張を何とか諸方面の御理解を得て実行いたしたいと思っているのがわれわれの衷心からの願いでありますので、先生先ほどからおっしゃるように、おそらくこれでも小さいのではないかという御激励は非常にありがたいわけでありますから、少なくともこの最小限の実現についてよろしく御指導をお願いしたいのであります。
  20. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 一生懸命当局は気ばってやっておられるのに、私たちがあまりきびしいことを申し上げると失礼になる点があるかと思いますが、画期的なものであったけれども、これが実はあまり画期的なものでないという結果になったのです。だからやはりその考え方の上に立って次に行かなければならぬ。少なくとも今度これをお立てになりますにはしっかりしたデータを持ってやっていただかないことには、この五カ年計画はすぐ次の五カ年計画に影響いたします。十数年間の通信施策の基礎になるわけでございます。この五カ年計画改訂にあたっては慎重でなければならぬということを私が繰り返し繰り返し申し上げますのは、十数年たってそのあと計画というものがどうなるかということをともに考えておかないと、やはりこれはいかないと思うわけであります。電電公社は一応これで十何年というものの見通しを立てておられるわけですが、四十七年以後は大体どういう構想を持っておられるか。
  21. 横田信夫

    横田説明員 この四十四ページの資料2にある年間新規需要数は四十六年度で六十一万、四十七年度で六十三万、このカーブでその後伸びていくものと思っておりますが、しかし、先ほどから申し上げますように、需要の測定としては、先生指摘のように相当気ばったつもりではありますが、われわれの見るところ、現実な見方としてはそうですが、これが最小限であって、おそらく多くなっても少なくなることはないという需要測定でありまして、今としてはこういう見込みはおそらく各方面の御了承を得るだろうと思っておりますが、現実には、先生もよく御承知のように、申し込んでつかない電話がたまっているものですから、これが幾分つくとなると一挙に申し込まれるという情勢にありますので、幾分年々の高低はできるかと思いますが、長い見込みとしては、この程度がおそらくまず現実的な見込みであるけれども最小の目標である、こういうように考えております。
  22. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、いかにも日本電話事情というものは先進国に比べて情けないものです。遠距離はなかなか出ない。ついたとしても大へんな克服しなければならぬ問題を一ぱい持っていると思う。あなたがおっしゃるように、よしや四十七年に克服したといたしましても、今度は数でなしに電話そのものとして消化していかなければならぬ問題が一ぱい山積している。今度出されているこの報告を見てごらんなさい。非常に矛盾があるのです。今度の改訂案の中には、自動式に差別交換局を設置するという計画を立てていらっしゃる。そうして共電式や磁石式の局を新設することにして、その横にはこれをまた自動式に変えていく計画に金が要ることになった。日本電話事情というものは、貧すれば鈍するを繰り返していくのですよ。数はある程度マスターするとしても、先進国の電話事情と比べて四十七年にどれくらいたくさんのものができておるかということを一つ常識的にお考えにならないと、私はまた誤差が出てくると思うのです。四十七年になったら、この調子でやったら工業水準の高い近代国家と同様に日本電話電電公社が鼻高々になるようなものになると思っておったら大へんな間違いでございまして、やはり数をマスターしていくということに追われて、しかもそれもまたかみ切れないという結果に終わると同時に、今度はちょうどこうやくを張るように日本の道路の舗装をやっておりますが、あれと同じように掘り返し掘り返しこうやくを張りながらつぎはぎしながら自動式の一人前のものに持っていこうということになってくると、これまた電子の世の中ですよ、大へんなことになってくる。そういうことを考えたときに、私はこの期限をもっと短縮してもらいたい。そういうことに対する考えを大臣にお聞きしたいと思うのですが、監理官にちょっと先に大臣がいらっしゃるまでそういうことをどう考えていらっしゃるのかお聞きしたい。
  23. 松田英一

    松田政府委員 先生のおっしゃるところまことにごもっともでございます。私どもも、でき得れば一日でも早く今のような状態は脱したいという気持は強く持っているわけでございます。ただここで一応この計画で今後十三年間ということを考えておりますのは、結局この計画を遂行いたしますのに要します資金の問題がこれに並行して起こってきておるわけでございます。その状況を考えてみて私どもはこの計画をながめます場合に、いかにこの資金を調達していくかということに非常にむずかしい点があるわけでございまして、十三年に一応考えざるを得なくなったのも、やはりその資金がどのように得られるかということ、この改訂五カ年計画に基づいての将来の伸びについてすらも、私どもはなかなかこれは苦労しなければこの計画は実現できないのじゃないかということを心配するものであります。それだけの自信と申しますか資金獲得の可能性というものを考えます場合に、今は十三年でこうなってもこれがわれわれとしての実現可能性としての目標ではないだろうかというふうに考えて十三年と考えたわけでございまして、もちろん私どもは気持といたしましては十年にしたいという気持はやまやまでございます。問題は、十年にすれば必然的に資金の必要とする幅がそれだけ広がりますので、その資金獲得についてどういう方法、どういう自信を持つかということに関連するわけでございまして、これもわれわれは大いに努力をしなければならぬところでございますけれども、それが確信がつき得ればもちろん十年にすることは私ども大いにそうしたいと思います。
  24. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 電気通信監理官のお答えは何が何やらさっぱりわからない。御自信がないということにしておきたいと思うのです。大臣にこれはあらためて聞きたいと思う。  私、今触れましたけれども、量と質の問題両面を考えていかなければならぬと思う。量と質ということになるとおかしいですけれども、かりにそういう言葉を使いましょう。それをマスターしていくために、今度の改訂案を見ますと、今言いましたように、共電式や磁石式をやむを得ないということでつける。今度はそれを改式していくために予算が横についておる。そうすると金の二重使いになるわけです。今おっしゃるように金がないのです。それが初めに誤算があったものですから、その誤算を埋めていくためにとにかく臨時の手を打つ。そうすると今度またこれを本物にしていくために一度捨ててしまって、また改式の予算を使う。二重使いになっていく。私は今度の改訂案を見まして、もう少し金が合理的に使えるように知恵が働かせられないものかと思う。これは電子の世の中で新しい電話を研究していこうかというときに、明治、大正そのままの時代のものを応急措置としてつけて、またこれを捨てて次の自動式に変える、こういうことをやっていかなければならぬというような改訂案自体をこの辺で電電公社は考え直して、そうつまらぬものをたくさんつけないで、自動式の中に包含していって、二重段階をとらないでもいいように、一つ改式予算が要らないようにするわけにいかないものか、こういうふうにこの改訂案を拝見しているのですが、その点いかがでございますか。
  25. 横田信夫

    横田説明員 先生の御指摘の点は非常に大事な問題でございまして、方向として非常に御卓見だと思います。この点につきまして、われわれの方においても並行的にそういう研究は進めておるわけであります。ただ非常に小さな規模のときに、磁石式と自動式とどっちが有利かということになりますと、現在の状態を前提にいたしますならば磁石式の方が有利だ、しかしある限度以上にいきますと自動式が有利だということになるわけでありますが、この場合に、昔はそのほかに共電式でも大共電、中共電、小共電たくさん種類があったわけでありますが、共電式についてもそういうものの整理をいたしまして、できるだけ共電式については新規のそういう形は——従来ありました共電式の交換機で使えるものはある程度使わしていただいておりますが、そういうものの整理については現在そういう改式をいたしております。そういう配意をいたしております。それから磁石式をやめて初めから全部小自動交換だけにしたらどうかという点の御指摘もありましたが、こういう問題につきましては親局との関係上すぐ全国的にそうするわけにいかないということと、小自動交換の最も経済的な方式というものについて、ただいま通信研究所でなお一そう研究いたしておりますけれども、現在の段階においては磁石式は小さなところで、経済的に考えましてもまた長期の要員計画という点から考えましても、ある程度存在意義がある。それを将来だんだん全体的に自動化の傾向ができた場合に、先生のおっしゃるように、地方の方も小自動交換というもので初めから使っていくという例はだんだんこれから出てくると思います。そういう点で御了承願いたいと思います。なお詳しい点につきましては、計画局長から数字的に御説明をいたさせます。
  26. 伊藤誠

    ○伊藤説明員 ただいまお話のございました磁石式の方式で電話をふやしていく、局を建設していくという点に関しまして申し上げますると、今副総裁から説明申し上げましたように、そういうケースは非常に小さな局の場合に起こるのでございますが、私どもといたしましては、これはできるだけ少なくして参りたいというふうには考えております。ただ磁石で新しい局を作りまして、現方式移転と申しておりますが、これにつきましてはもし新しい局を作りまして移転いたしましても、八年間以内に自動に変えるというような見込みのないところをそういたしておりますので、大体八年間あるいはそれ以上たちますと磁石式は安くございますので、必ずしも不経済にはならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  27. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 これは私独自の立場から公社の方へ出かけていってもう少し突っ込んで御説明いただきたいと思います。ほかの質問もありますから、時間をとりますので略しますが、当然私のような主張をいたしますと、この間松前さんが御質問になっておりました人員の配置転換の問題、減員の問題とも関係して参りますから、たとえば私のような要らぬことを言いますと、一つの局長のポストがなくなるとかいろいろな問題が出てくると思いますけれども、今おっしゃるようなあちらに三百こちらに五百というような大正年代式のものを散在させないで、やはり私は大きなところへまわりをくっつけて自動式に持っていくということにならぬことには、これはもう大よそ十年先には困った状態になると思っておるわけなんです。これはまたあらためて数字を聞かしていただいて、もう一度ここでやる必要がありましたならば、これはこの法案の審議中にやらせていただきたい、かように思います。  そこでちょっと人員の問題に触れますが、松前さんが取り上げておられましたけれども、この通信界の技術の発達は五年ないし七年先でも見通しがむずかしいですが、今ある人員を配置転換によって何とか充当していくというが、これは非常にけっこうなことでありますけれども、拝見しますと、ことしもまた新しく増員することを考えておられるように思います。今ある要らなくなった人間を配置転換によって充当していくという計画があるところへ、拙速主義をとるがゆえに人員を配置せざるを得ないということになって新しい増員をする。無責任な増員をしたがゆえに、今度合理化されたときにことし増員しただけの人間の行き場に困るというようなことが目の先に見えているのに増員したようなむだが私はあると思うのでございますが、これについては総裁や副総裁は自信があるかどうか、見通しがあるのかどうか、これを一つ承っておきたいと思います。
  28. 横田信夫

    横田説明員 御指摘の点も非常に大きな問題でございます。この設備の近代化をはかっていく目的は、先生の御指摘のごとく、できるだけ少ない人間で能率を上げていってお客さんのサービスをよくしていくという点に目標があるわけであります。われわれの計画もおっしゃる通りその辺を目標にいたしております。ただ同時に今の拡張というものが相当大きな規模でありますので、先生ただいまこれでも小さいという御指摘がありましたが、しかし従来のものに比べれば相当画期的な拡張でありますので、やはり相当な増員が要る。この増員の五千三百名というものは現在の人の配置転換、職種転換を考えまして、それに加えてこれだけ要る、こういう計画でありまして、この今の配置転換、職種転換をする人を五千三百人のうちへ含めてじゃなくて、それを配置転換してなおかつこれだけの人間が要る、こういう状況でこれだけの増員になっております。なお今後一そう設備の近代化において能率の向上をはかりたいとは思いますが、一応最小限度このくらいの人間は必要であろうこういうことでありますので御了承を願います。
  29. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私は、その人間の問題については、近代化された、合理化された機械を使うようになったら、逆に人間は必要でしょうけれども、無理やりにふやしていきますならば、あとへ問題が残って危険であるということを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つお聞きいたしたいのは、四十万の計画の中にはたしか外債が入っております。この外資導入についてうまくいっているという程度に答えておられるように思いますけれども、その内容はどうなっておるか。交渉の進捗状態ですね、そういうものがほんとうに確実かどうか、ここではっきりしていただきたいと思います。
  30. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいま外債の問題で御質問がありましたが、これは私どもとしては国会の御協賛を得た後でなければ相手方といろいろ状況を話し合うということはいたしかねるわけであります。ただいますぐ向こうの証券界に働きかけるまでには至っておりません。従いまして確実に年度内にこれの募集ができるとかできぬとかいうことをここで御返事申し上げることは控えるべきだと思います。しかし御承知通り、昨年あたりからニューヨークの証券界は外債を募集するには必ずしも適当な時期といいますか、有利な時期でないというのが一般の観測であります。しかしながらまだ来年度も一年ありますので、今すぐにはいかなくても来年度のうちには向こうの情勢もだんだん好転いたすことと予測されますので、この程度の外債は募集し得るものという考え方に立って今進んでいるわけであります。
  31. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 今総裁がお答えになった点はよくわかりますけれども、少なくとも下交渉の段階というところまでぐらいはいっておられるのではないかと思うのでございますが、いかがですか。
  32. 大橋八郎

    大橋説明員 昨年あたりからちょいちょい電電公社の外債問題が新聞紙上等にも現われましたので、アメリカあたりの証券会社の首脳部その他の人が日本へやって参りまして公社へたずねて参る人も二、三ありました。しかしながら、ただいま申し上げましたような状況で、私の方としては国会の通過後でなければ話ができませんので、そういう人に対しては現在のアメリカ証券界の模様はどうだ、もし将来国会を通過した暁には場合によってはまたいろいろお世話になるかもしれぬという程度のことで応酬しているので、それ以上は突き進んでやっておりません。
  33. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 いろいろお立場がおありでございましょうから、これ以上何ですけれども、外債も入れて四十万ということを打ち出しておられるのですから、これは確実に電電公社の手に入れてもらわなければならないと困るのです。しかしその辺は電電公社だけではいくまいと思いますから、その他の角度から私どもも働かしていただきたいと思いますが、十分これは遂行していくために自信を持って交渉をされて、電話難解消の計画の遂行に役立てていただきたいと思います。  それからもう一つお尋ねいたしておきますが、この改訂第二次五カ年計画の二十九ページに、農山漁村における電話普及特別対策の中の無電話地区の問題がいろいろと書いてございますけれども、これらの地区だけでも重点的にもう少し積極的にやれないものかと考えるのでございますが、いかがでございますか。
  34. 横田信夫

    横田説明員 お話のごとくこういう方面もできるだけ多くいきたいわけでありますが、一応無電話部落の解消といたしましては、この第二次五カ年計画中に無電話部落の解消ということを目標にいたしてこれを計画いたしておるわけであります。早いに越したことはないのでありますが、これも限度がありますので、この程度で御了解願いたいと思うわけでございます。
  35. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 無電話農村地帯の問題は非常に大きな政治問題です。たとえば一つの在所に八十世帯ある。そこが無電話地帯であるということになりますと、火事が起こったとか、急病人ができたとか、強盗殺人があったというときにさえも、この陥没部落は大へんな問題なんです。ですからこれが五カ年計画のスピードと一緒に並行してやるのだということでなしに、これをピックアップして一、二年の間に片づけてしまうということが行なわれなければならない。こういう見地から申し上げておるのですが、そういうことについては電電公社の中で皆さん寄り合って一つこれだけはこの五カ年計画の中でこうした金の中からやりくりをして、一、二年のうちに片づけていこうという御相談はなされなかったのですか。なされても、なおかつここへ落ちつかざるを得なかったのか、その辺一つ伺っておきたい。
  36. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほど私、第二次五カ年計画の御説明を申し上げましたときに、加入者同士のことについての話は申し上げましたが、質のことは申し上げませんでしたので、ちょっと補足してただいまの問題についてあわせて御答弁いたしたいと思います。  第二次五カ年計画を作りましたときの計画の根本において四つの目標が立てられたのであります。第一は、先ほど申し上げました昭和四十七年までに従来の積滞を一掃してしまおう、これが一つの目標であります。第二の目標は、全国にまだ、先ほど指摘のように、交換手を呼び出してつなぐという旧式な電話が非常にたくさんある。これをできるだけ早く自動化しなければいかぬ、といってもこれは金の関係その他いろいろな問題ですぐにはなかなか右から左へいきませんので、これもやはり四十七年までに全国の電話の九五%までを全部自動にする、これが第二の目標であります。それから第三の目標は、全国の市外通話がほとんど全部待時通話である、即時通話になっておらぬ。これも四十七年度までの間に全部即時通話にかえていきたい、これが第三の目標であります。それに第四の目標といたしまして、従来農村の電話の普及が大へんおくれている。これにいま少しく力を注いで、農村の電話の普及をはからなければならない。ことに町村合併によって大きくなった町村には、同一町村内には同じ市内電話にするか、市内電話にならないまでも、少なくとも即時通話できるように、これは五カ年内にやろう、また無電話部落も五カ年内に全部一掃しよう、そういう当時の目標で出発をいたしておるのであります。従いまして、ただいま御指摘の農山漁村の無電話部落はこの第二次五カ年計画中に全部一掃しようという目標でただいま進んでおるわけであります。
  37. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 堤さん、大臣が見えましたから……。
  38. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 大臣、すぐ立たれるわけですか。
  39. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 予算の方がありますから、大臣の方に質問を切りかえていただけますか。
  40. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私は、やはり大臣に話を聞いていてもらわないと、大臣がしろうととは申し上げませんけれども、すぐに答えていただくにしても、もう一度言い直さなければなりませんし、大臣質問するときをあらためましょうか。
  41. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 せっかく見えたのですから、何か……。
  42. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 それでは、できるだけそういうふうにいたします。  今もおっしゃいましたけれども、五カ年計画のその第四の目的の中に入れておるのだから、そう突っつくなということだと思うんですけれども、五カ年じゃのんびりし過ぎていると思います。ですからあの計画をお立てになるならば、一つ早く無電話地帯を一、二年の間に解消するようにこの案の中に入れてもらいたい、こう思っているわけです。私が先ほどから質問申し上げておる諸点は、この改訂案の中にできたら私たちは盛り込みたいと思うから質問をしておるわけでございまして、何とか考えていただかなければならぬと思います。これは意見の並行線では済まぬ問題だ、こう思っております。公衆電気通信法には、釈迦に説法ですけれども、たしかこう書いてあるのです。「合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に」サービスを「提供する」こうあるはずですから、合理的な料金で、あまねくかつ公平にサービスを提供するということでなければいけないのでございます。私はやはり電話のない農村地帯というものに対しては、公平なところの電話行政が今日行なわれておらない。従って、極端に言いますれば、公衆電気通信法に電電公社は違反をしておるという結果になっておる。この点一つ考えていただいて、できたら私たちはこれを修正したいと、かように思っております。  それからその次にもう一つお尋ねをいたしますが、この間からいわれている料金の水準は維持する、つまり電電公社に吸い上げるところの電話料金というものは、全体の額は変えないけれども、料金体系を変えるかどうか、近い将来考えなければならぬ、こういうようなことをおっしゃった。これは電電公社の方からいうと少しも変わらない、一文も変わらないというけれども、使っている方の人の立場からいうと、非常に問題なのでございまして、現在利用している人たちの実質負担がどういうふうに変わるかということは大きな関心事であろうと思いますので、この問題につきましてもう少しここで御見解を発表していただきたいと思います。
  43. 大橋八郎

    大橋説明員 農村公衆電話の問題を先にちょっと申し上げますが、第二次五カ年計画のうちに無電話部落を解消しよう、こういう初めからの計画でありまして、来年度からあと三カ年の間に全部現在の計画では解消することになっております。現に来年度のごときも初めの計画よりも相当たくさんに実は増しているのであります。ただいまの御指摘は、三年は待てないから、それをもっと早くやれということだと思うのであります。ただいまのところでは今申し上げたようなことで進んでおります。  それから料金問題でありますが、現在の料金体系が不合理になっておるということは、これは先日も松前先生からも御指摘があったのであります。大体の方向は同一市内の市内電話の料金というものは、大都会と地方によっては非常に差があって不公平じゃないかという点が一つ。それから市外電話の現在の料金体系というものは、そのときも説明がありましたように、根本的改正をやらないで昔やったのを継ぎ足し継ぎ足してやっていった結果、ずいぶん不公平になっているところが多い。そこでこういう不合理な点を改めようということと、それからいま一つ、市外電話につきましては、将来今のような手動で市外の通話をやるのでなく、自動即時ということにだんだん改正していかなければならぬ。それには技術的な問題もからみまして、できるだけ早くこれを改正しないと、これはますますめんどうになるということで、その点からも至急取り急いで改正したい、こういう大体の考え方でございます。
  44. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 そうすると、今総裁のお答えになった料金体系を変えるという事務は、ある程度進んでいるんですね。
  45. 大橋八郎

    大橋説明員 これは数年前から私の方で研究いたしまして、特に外国の制度研究のために何人かの専門家を向こうへやって外国の例を調査している。技術方面とそれから営業方面、両方面からいろいろな案を作って研究を進めております。先日も松前先生に対してお答えしたのですが、私どもとしてはできるならばこの次の通常国会にでもこれを提案したい、実はそういう心持で調査を急いでおるつもりであります。
  46. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 数年前からやっておられるんでしょうから、ある程度の段階にきておられると思いますので、今きているところを一つお示しいただきたい。
  47. 横田信夫

    横田説明員 この問題につきまして、ただいま総裁からお答えがありましたように、お客さんの側からする問題とそれから料金について、料金体系というものと今後のいわゆる設備近代化、どういう方式を取り入れていこうという問題が相関連するという意味におきまして、今後の計画と両方の面からしまして、この料金の改訂をどう持っていくかということが非常に大きな問題でありますが、まず第一に、大都市と地方における小都市あるいは小都市以外の町村、そういうところを考えてみますと、今地方の町村は大体度数料を取っておりませんで、均一制をとっておりますが、同じ度数料を取っておるところにおきましても、東京とそのほかの地方の中都市の度数料を取っておるところとは、度数料が同じ七円では不均衡じゃないか、こういう問題があるわけです。この問題を解決するについては、従来二つの方法があるわけでありますが、従来、二年ばかり前までは諸外国状況もそうでありましたけれども、どっちかというと、東京という大都市のようにインター・バンドを持っていく、いわゆる市内帯域制をとっていくという方向が一つ傾向でありましたし、われわれの方のいろいろな調査も、正直に申し上げますと、それを中心にして進んでおった、そう言えるのであります。しかし、その後の情勢というものを見ていきますと、この市内帯域制をとるよりは、市内帯域を大都市のみならず、地方も市内帯域を大きくしていくという方向にいって、むしろ市外の通話の段階を減していく、こういう方向をとる方がいいんじゃないかという方向に相当各国とも踏み切ってきた。イギリスあたりは一昨年ごろからはっきりそれに踏み切ってきましたし、それをなお昨年から一歩を進めていく、欧州方面は大体そういう方向に進んでおりますが、そういう方がむしろいいんじゃないかという一つの新しい傾向を取り入れて、この両者の優劣を比較してその方向をきめていきたい、これが一番大きな問題になっております。その市内帯域をとるということから、あるいは広い地域の市内帯域制をとっていくということが、市外の方向においても——今非常に市外の段階が多いのですけれども、それを段階をむしろ少なくしていく。将来の問題を考えた場合には、先生先ほど指摘のごとく、将来は市外においても設備の近代化というのをとっていくのが当然じゃないか。これは世界各国ともそうでありますが、そういう市外においても設備の近代化をやって、サービスをよくし、事業をできるだけ経済的にやっていくという意味の市外の自動交換というようなものを考えた場合は、この段階をことにできるだけ少なくしていくことが非常に経済的にいき、またサービスをよくするのに根本的に、本質的に一致する方向じゃないかというような意味で、現在は、どちらかというと、そういう方向にわれわれは二つの案をずっと比較検討しながら、その後者の方に今重みがきているというような段階でありまして、なおこれは非常に大事な問題でありますので、結論が出ておりませんが、大体の現在の状況はそういうようなことでございます。
  48. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 これは利用しておる利用者の立場から言えば、実質的な負担がどうなるかということが非常に大きな関心事でありますから、私はこれを尋ねておるのであります。まだ数年やっておるけれどもなかなかむずかしいとおっしゃるのでございますから、これはまた私は特別に一度お尋ねいたします。  そこで大臣一つ三点ほどお聞きしたいと思います。今これは第二次五カ年計画が出まして四十万個年間に克服していくということになっておりますが、十五万円公債でマスターしていった過程において、四十七年度のころには近代国家と比べて日本電話事情はどうだろうかということを大臣は大きくお考えになっておると思うのですが、これでいって四十七年度ごろどういうふうにお考えになっておりますか。
  49. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 私はやはり同じように考えております。四十七年度ごろは日本電話も画期的によくなり、まずまず四十七年度になれば、いろいろなサービス上のことについてはともかく、設備上のことにつきましては、だれからもほんとうに喜ばれるような状態になる、さように考えております。
  50. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 近代国家と比べてですよ。先進国に比べて少しも劣らない電話需要があるだけの供給ができて、先進国家並みの電話状態というものが作れると思っていらっしゃるかどうか。
  51. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 御意見の通りりっぱに作れると存じます。
  52. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 それは困るのでしてね、大臣。数だけはマスターしていけるのですけれども、とんでもないおくれた電話しかできないのですよ。これは歴代の郵政大臣電電公社電話事情に対してそういう考えを持っていらっしゃるから出る予算が少なかったと思うのです。それは大臣今まで予算委員会に出ておられましたから御存じないのですけれども、数だけマスターしていって一千六十万個ですかの、四十七年度の数というものをどうにか消化したとしましても、これはもうとんでもない非近代的な電話事情が質的に先進国と比べて残るのですよ。そうすると、数を克服したあとにまだ問題は電電公社には一ぱいあると思うのです。従って私は先ほどから言っているのですけれども、この前第二次五カ年計画を立てられたときに、この前の計画を三十三年に立てられたときから発足したものは二十七万と踏んだのです。それで二十七万と踏んで、二十四万ぐらいしか需要がないから、三万ずつ積滞を消化していけると思ったのです。ところがこれはあにはからんや、逆に七万か十万積滞を加算していったのです。大へん誤算を生じておるわけです。それで今度四十万よかろう、まあすばらしい、こういう御構想なんですけれども、この改訂案を拝見してみますると、みんなが自動式に初めからさあっとそろっていくかといったら、そうじゃないのです。実に矛盾した内容が盛られておりまして、大臣も御勉強になっておるだろうと思いますけれども、もう法案の内容は実におかしいので、私たち賛成しがたいのです。よろしゅうございますか。特に説明いたしますと、私は何でこういうことを言うかといいますと、法案の中に差別交換局を設置する計画を立てておるのです。共電式や磁石式を相当新設する計画を開いて、そうしてわが国では共電式や磁石式の電話局ができてもこれを自動式に持っていかなければならぬとみんなが思っているのです。初めから自動式と取り組まないで、拙速主義で、共電式や磁石式に持っていって、そうして同じこの改訂案の中では、その作ったものをぶっこわして、また自動式に持っていくということをやっておる。これは今度の計画だけでなしに、今までのもずっと検討してみますと、やはりこれは自動式から電子を追っていくわけです。そうすると、順番に取り戻したようでありますけれども、数もふえております。質的には追っていかなければならぬ、スピード化していかなければならぬということになりますと大へんな問題が起こるわけであります。これは外債を入れて四十万ということを言っていらっしゃるけれども、決して豊かな予算ではないのです。私はもっと郵政省はそこの認識を改めて、電電公社の監督指導を十分なさると同時に、もっと予算が出されなければいかぬと思うのです。そこのところを一つ大臣心得ていらっしゃらないと思うのですけれども、認識を改めていただかなければならぬのですが、どうでしょう。四十七年に近代国家、先進国と同じようにりっぱな電話情勢ができ上がると思っているなんてお答えになったら大へんなんですがね。いかがでしょう。
  53. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 その意味で、比較の御質問があったといたしますれば、それは技術的のことはわかりませんが、この計画案を見ますと、結局は全部自動化してしまう立案になっておりますので、設備につきましては、この立案を信用いたしまして、それで近代国家になるという答えをいたしたのでございます。まだそのほかに問題がたくさんあるという御意見でございますが、私もさように考えます。たとえばサービスの問題にいたしましても、外国日本ではだいぶんサービスが違います。たとえば、ここから長崎に電話いたしますれば、電話の相手が留守しておれば、今その相手は留守といっても、どこへ行っているのだ、行く先々まで突きとめてその電話をかけた人とかけられた人との間をつないでくれるような親切な、しかも迅速なサービスも今日外国ではどんどん行なわれております。そういったようにサービスの点から、いろいろな点において問題点はたくさんあろうと存じますが、大体設備の問題につきましては、今日許された予算の範囲内ではこれは精一ぱいで、御承認いただきたいと思う次第でございます。
  54. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 これはもう大へんな認識違いでございまして、郵政大臣一つ電電公社電話の問題について一から勉強していただかなければならぬ、私はかように思います。私たちがいただいております、この電電公社自体が出しております第二次五カ年計画の一〇ページをごらんになりますと、大臣、書いているのです。「このように、四十七年度末の需要数を約一千六十万と見、これを全部充足したとした場合においても加入電話の人口当たり普及率は四十七年度末で一〇%にすぎず、米国に対しては約三十五年、英国に対しては約十五年おくれていることとなる。また電話の世帯別普及状況は、一住宅世帯当たり〇・一九加入、一産業世帯当たり一・一加入、一純事業所当たり二・四加入にすぎない。」こういうふうに電電公社は泣いておるのでございまして、こういうものを大臣が読んでやらないで、大臣の責任において、この法律を出しているのじゃ、なってないですよ。一度お忙しいでしょうけれども、重要な法律でございます、日本の産業経済発展の裏づけであるところの電話事業に対しまして、もう少し親心を持たれますと同時に、電電公社に対するところの融資を大臣が強硬に総理大臣や大蔵大臣と折衝されまして、今総裁に伺うところによりますれば、外資の導入の問題につきましても、四十万のうち外債を二、三万充てておられると見ております。従ってこれができなければ四十万といっておっても、三十七万ぐらいになってしまうのでございますから、一つ確実に電電公社に外債があたるように、大臣みずからやっていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、種類は違いますけれども、お尋ねいたしておきたいのは、きょうの朝日新聞に電電公社ゼロ回答という記事が出ております。本日のこの報道によりますと、公社は全電通の要求に対して、ゼロ回答を出したという。この点についてあらましを大臣から報告していただきたいと思うのでございます。非常に大切な問題でございますので、最後にきょうの問題でございますけれども一つお聞きしておきたいと思います。
  55. 横田信夫

    横田説明員 実は大臣への御質問に私立って非常に申しわけないのですが、まだ大臣に詳しく申し上げるひまがなかったものでございますから、実情をちょっと申し上げます。  全電通に対する回答を昨日初めて回答いたしたわけであります。今お尋ねの点は、全電通から七千円のベース・アップ要求がありまして、われわれといたしましても、もちろんこういう事業の発展、そうしてまたこういう拡張もいたしますし、いろいろな意味合いにおいて全従業員の協力を得なければならぬと思っております。しかし私昨日も全電通に対してこの点について伝えましたのは、われわれの事業は、ことに独占的な公共事業といたしましては、サービスの向上、それから事業の発展、従業員の生活の向上、この三つが常に相並行していくことが必要だということが一つ、それからもう一つは公共企業体としては、公共企業体としての特殊な法律の制約のもとに動いておる。その法律の制約も、全体の精神は一般の会社と違いまして、公共企業体という性格上一般の世論の是認を得るといういわゆる客観性を持った方策でないと容認せられない、こういう状態にあります。また公社だけで云々ということのできない制約もありますので、こういうことを前提にいたしまして考えたときには、現在の七千円のベース・アップの全電通の要求には応じかねるということを回答いたしたわけであります。その意味で、実は大臣までほんとうに詳しく申し上げることをちょっとおくれておりましたので、かわって実情だけ申し上げておきます。
  56. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 大臣に御報告なさる間もないけさの問題である、これはお互いにお忙しいのですから了承いたします。しかしゼロ回答とは何事ですか。あなたのおっしゃいました、それはお互いに働く人たちの立場ばかりを強調できないということも常識としてわかります。しかしゼロ回答というような冷たいことで、働く人たちが電電公社の皆さんと協調していこうという気持になれるかどうか、これは一つよく大臣総裁と御相談になりまして、考え直していただいて、あとにまたこの問題を残しておきたいと思います。そこで私は、これは大臣にも聞いていただきたいのですが、最後に電話業者の問題について質問をいたしたい。これは私が先ほどから申しております四十万、第二次五カ年計画電話増設計画というものは、非常に膨大なものでございます。私がいろいろと言っておりますけれども、実に大へんな膨大なものでございます。この膨大な増設計画とうらはらの関係にありまして、非常に批判されておる問題がほかならぬ、私が言うところの市中における電話加入権の売買とその業者の問題であると私は思います。この電話業者というものに対して公社は一体どう考えておられるのかということを、この際はっきりしてもらわなければならぬのじゃないか、かように考えるわけでございまして、簡単でございますから、公社はこの電話業者というものをどう考えておられるか、もし大臣のお考えがございましたら、先に伺っておきます。
  57. 横田信夫

    横田説明員 電話につきましては、御承知のように、この電話加入権の売買というようなことの行なわれているのは、確かに世界で日本だけ、決して喜ぶべき現象ではない。私たちの公社からいえば非常に悲しむべき現象だと思っております。しかしこの責任は、同時に公社、この事業経営をやっているわれわれの責任であり、同時にこの公社を指導していただいておる関係方面のまた責任でもあるといえると思いますが、要はこの需給がアンバランスである。数十年の電話事業をやっている間にお客さんの需要を完全に満たしたことは、特別なある年を除いて、これは特殊な年で、ときどき需要がうんと減ったということが歴史上ありますが、それを除いて、お客さんの需要を満たしたことがない。これはほんとうに自慢にならぬことですが、そういう事態のために電話加入権の売買というものが非常におかしな現象が出ております。これは習慣的に認められてきて、戦前においては、法律上明文はなかったけれども、裁判で加入権というものが財産権として認められた。それが戦後において、こういう現象はおかしいじゃないかというので、実は法律的にこの譲渡が禁止されたということが占領下において二年ばかりありました。しかしこういう問題は、需給のアンバランスをもとにして起こった問題でありますので、単に法律で禁止するということで結局問題は解決する問題ではなくて、やはりこういう事態を直すのはこの需給のアンバランスをなくしていく、拡張をやって、需要に応ぜられるという根本の態勢を作らずに、ただ法律で押えても無理だというので、結局は財産権というか、加入権の売買を認むべきだということが国会の法律できまったわけであります。それは確かに今の需給のアンバランスを前提にしたときにはやむを得ない。そういう関係で、日本で今電話の売買業者というものが——これは公社とは別でありますが、そういう場合に、公社としてこれに対してどういう態度をとるかということにつきましては、悲しむべき現象ではあるけれども電話加入権の売買が財産権の売買として認められておるこの場合に、電話売買業者の行為が、お客さんの加入者に迷惑をかけないように、できるだけわれわれとしては実際的な指導をしていくということと、それからまたお客さんへのPRをできるだけやって、不当な電話売買業者の害を受けないようにわれわれとしてはできるだけ配慮していく。根本的にいえば需給のバランスをとっていく、お客さんの申し込みに対してすぐ公社が需要に応じられるようになれば、自然にこの売買業者というものはなくなるものでありますから、根本的にいえばそういう時代が一日も早くくることを望む。それまでは今のお客さんに対して害を受けないように、われわれとしてはできるだけPRするということと、電話売買業者に対して迷惑を与えないように実際上の指導をしていく、こういう態度をとって参っておるわけであります。
  58. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 副総裁の今の御答弁は、簡単に言いますと、電話不足に起因して必然的に発生したもの、こういうことになっておると思います。相当膨大な数字に上ると思いますが、全国の電話業者というものはどれくらいありますか、数をちょっとお答え願いたい。
  59. 大泉周蔵

    ○大泉説明員 実はこの点につきましてはなかなかわかりにくいのでございまして、電話屋とおっしゃいましたが、中身には電話の取引をする者と、それから電話をもって金融する者とがありまして、これを全部含めていいますと、非常な概算でありますけれども、四十万もあるのではないかというお話を聞いたことがあるのですが、私たちとしては、そのような数字につきましての詳しい実情はわからないのであります。ただ実は、質権法ができました結果、電話取引業者の中に電話事業の協同組合ができております。その組合に加入しておる者はそんなに多くはございませんので、その数字はここに持っておりますが、詳しくはまた資料で御説明してもよろしゅうございますが、次々とあります。きまった数それだけというのではございませんので、東京では、これは実は昨年の八月に調べたのでございますが、組合が六つございます。そのほかに仙台とか松本、名古屋、京都等に一つずつあります。大阪には四つ、神戸、広島、岡山等にも一つずつございまして、そのおのおのの加盟者は、小さいのは六軒、七軒というのがありますが、大きいのは百軒くらい加盟しておるのでございまして、協同組合は実は六百名くらいであろうと思っておるのでございます。ただ、今申しましたように、それ以外のいわゆるアウトサイダー的な電話業者、あるいは土地建物仲介業者等で、電話取引を副業的に行なう可能性のある者はおそらく四十万程度じゃないか、こういわれておるわけであります。
  60. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 区役所のまわりに代書屋、裁判所のまわりに代書屋というものがありますように、電話局のまわりに行ったら必ず十軒や十五軒電話業者というものがあるわけなんです。これは電電公社も目についているはずなんです。四十万とおっしゃっているけれども、実際の数は私はもっと多いのじゃないかと思います。これは相当膨大な数字に上るということは事実なんです。たとい四十万といたしましても、これにぶら下がって生活するところの家族の数を勘定しますと、一世帯の人数を五人と見て、二百万人の人たちがこの電話業で生計を立てておられるということになっております。この電話屋というのは、電話が不足しておること自体を大きな営業上のファクターとして商売をしておるのですね。電話が不足しておるということが要素になって、この電話屋というところの事業が今副総裁のおっしゃる通り成り立っておる。この電話不足の度合いは、私に言わしむればこの業界の盛衰を左右する。従って逆から見ますと、電話がどんどん拡充されることは社会的にはまことに喜ばしいけれども、この業界にしてみれば、言わしむるならば大きな関心事である。問題は、電話加入権を公社以外の者が売買することははなはだ好ましくないとしておる。それにもかかわらず公社はすっきりしないで、この問題についてはなぜかくさいものにはふたをするような主義をとってきておるように私は思うのです。今、営業局長がお答えになりましたけれども、もう少しこの電話業者というものに対する積極的な公社の考えと、それから今十五万の公債で発足いたします第二次五カ年計画のあれにあたりまして、この電話業者の問題は、ある程度私はすっきりしておかないと大へんなことになると思うのです。これについて、この改訂案をお立てになり、十五万の公債を発行するにあたって、この電話業者にどう対処していこうかということを公社の中で御検討になったことがあるかどうか、その対策をお持ちになっておるかどうか、こういうことを一度聞いてみたいと思います。
  61. 大泉周蔵

    ○大泉説明員 この点については考えたことがあるかという御質問であるならば、確かに考えたのでございます。ただ申し上げましたのは、私たちといたしましては、この問題にからんで不正が行なわれないように十分考えなければならぬという趣旨から十分考えておるのでございますが、電話取引が正当に行なわれるものを妨げようというような意味じゃありません。ただ先生のおっしゃいましたのは、おそらく現在でもいろいろ散見されまする、たとえば電話債券故意にたたいて買っておるような方々とか、あるいは電話の不足につけ込んで虚偽の申し込みをしたり、いろいろなことをする人のいわゆるそういう不正行為のことだろうと思うのでありますが、そういうことが行なわれないようにするためにはいろいろな施策を並行的に考えたのでございます。むろんこの点につきましては、電信電話債券というものの、たとえばこの前もお話し申し上げましたような、月賦と申しますか、そういうような考え方で事実上売り急がなくても済むような方法とか、あるいは今後新しい法律が施行になりましたような場合には、さらに窓口におけるその点についての応待なり、相談に応ずるような方策を考えますと同時に、実は先般来も不正が行なわれないように、印鑑証明の提出を求めたり、あるいは仮空名義で売買をされるのを防ぐために、特に電話の輻湊しておるところでは一定期間転売をしないという念書をいただいたというような、あらゆる施策を講じております。また同時に一部には電話がつかないということに乗じまして、その間に手続代行と称していろいろな仕方で公社として好ましからぬ宣伝をなさる方がある。こういうものについては適時的確にその地域の方々に実際をお知らせする。また電話のお申し込みに対しましても、代理人を通じてだけおやりになったものにつきましては、これはものによっては代理になじまない行為として、必ず本人の方と直接連絡をするという施策を講じまして、電話をお申し込みになっている方々に不測の損害がかからないようにできるだけの努力を講じておる次第でございます。
  62. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 今の局長の御答弁、私はもう少しあれしてもらいたいと思うのですが、電電公社の中自体電話不足の現状をなくしていくということが、そういう悪徳業者をなくする一つの方法だということで、中を充実しよう、電話事情をよくしていこうとお考えになるのは、これは当然のことなんです。ところがそういう事情をなくしていく間において——安保じゃないけれども電話を利用しようとして需要申し込みをした人たちが被害をこうむらないような、安全保障対策が要るわけでございます。理屈を言ってみてもこれをなくすということは現実にできないわけなんでしょう。ですからこの業界が現存しておるというその法理的な根拠がどこにあるかとか、発生の歴史を今の段階で探ってみても仕方がありませんから、現実に横たわっておる問題をどう解消に持っていくかということになると、業者自体に対するところの積極施策というものが、電話事情をよくしていくというところの電電公社の中自体と同時に、業者に向かっての相当積極的な施策がなければ、私はやはり被害は絶えないと思うのです。これは大事なことでして、なぜおやりにならないかと非常に不思議に思うのです。たとえば私にここに三億の金ができた、質屋をやろうが、高利貸しをやろうが、電話屋をやろうが、自由なんですね。私の知っておるある人が、どの部屋かは申しませんけれどもあるおえら方の部屋に行って、大臣官房クラスの人に聞いてみた、私は三億ほどの金があるので電話屋をやろうと思いますがどういう許可が要りますか、こうしろうとが聞いてみたら、それは御自由でございまして何も電電公社の知ったことではございません、いろいろとこう探ってみると、野放しのやりほうだいだということがおたくの中からの答弁ではっきりしてきた。そうすると野放しのやりほうだいであるということは——良心的にやっておる人たちをも私は言うのじゃありませんけれども、どんな悪いこともできるということなんです。今、営業局長がおっしゃるように、どんな悪いことでもやっているじゃありませんか。電話が何本か入るということになりますと、おたくたちの局の中で、自分たちの名前で申し込まれないものだから、その辺におる人の名前を借りて申し込まして、新規のもの五十本のうち十本くらい電話屋がとってしまう。そして名前を貸してもらった名義料というのですか、お礼というのですか、その人にちょっぴり払って、そしてついたところの電話はやみで売ってもうけておる電話屋があるじゃありませんか。公債をたたいておるじゃありませんか。ましてや十五万円の金の融通ができなくなるということになりますと——銀行とあなた方はおっしゃるけれども、銀行というのは金持ち、ちょっと余裕のある人に縁のあるところであります。郵便局の窓口までは一般庶民は近い感じを持っていますけれども、銀行といったら大きな事業を持ち金を持った中堅階層以上でないと近寄れないところだと思っている。銀行の窓口で庶民が二十万貸してくれと言ったって、だれが簡単に借りられますか。ですから銀行などへ借りにいくという知恵がないのと同時に、この間私に御提出になりました利用率は一・三%じゃありませんか。そういうことからいってみても悪徳業者が出るということを考えなくちゃいけない。悪徳業者というものを規制するところの積極施策がやっぱり要る。私は念のために申し上げておきますけれども、二百万、二百五十万の人たちがこの電話業によって生計を立てておられるということになりますると、今の日本の社会情勢からいってこの人たちは中小零細企業に属する人たちです。一般自由業者に入る人たちでしょうから、この人たちの生活権を奪うところの問題までは私は突っ込んでいくことはいたしません。しかもこれは考えてみますると、大いに電話のほしい人たちに多年便宜を提供した面も認めざるを得ない。これはしかし公共的な見地から見ましたときに、公共福祉のためにのみやってきたかと申しますると、やはり個人の金もうけが優先しておったと言うことが、私は妥当だと思っております。そうするとやむを得ない電電公社事情電話事情がこうだから、これを地球の上から抹殺することができないという現実であるならば、この現実を認めてある程度国民の納得のいく電話業というものになってもらって、これを殺さないでこの人たちの生計の道を立ててもらうというところへいかなければ仕方がないじゃないかと私は思っている。これは民社党的な考え方と言われるかもしれませんけれども、この人たちを殺すわけにいきません。かといって電話事情の悪いのにつけ込んでこれを食いものにされては困るのです。ましてやこの第二次五カ年計画改訂にあたってはこの危険が非常に多いということになって参りますると、今までのように電話業に対してくさいものにふたをして、そして知らぬ存ぜぬでは、電電公社はいけないのじゃないか。副総裁、いかがですか。私はこれは何とかこの際すっきりせぬことにはいかぬ、こう思っておるのですが、大臣も聞いておられることと思いますけれども、非常に大きな問題です、一応御答弁いただきたい。
  63. 横田信夫

    横田説明員 電話業者についての事実上の指導、どうしたらいいかということについての一つのサゼスチョンを与えながらの御質問で、これは非常に大事なことだと思っております。ただ、先ほど営業局長からお答えいたしましたように、今は法律的に申しますと一応企業としては自由にできる、公社が禁止するわけにいかないという建前になっております。しかし実際はお客さんに対して迷惑をかけないように、公社としてはほんとうに配意しなければいけない。従来の方法はどこへ重点を置いておったかと申しますと、業者を、これはいい、これは悪いという色づけを公社がやるということは相当むずかしいというので、公社へお客さんが来てくれれば公社はお客さんにできるだけ親切な応待ができるというところへ主眼を置いておったことは確かでありまして、業者自身に色分けをつける、そういうことに今まで施策の重点を置いてなかったということは先生指摘通りであります。これで今後もいいかという問題については、なお確かに研究していくべき問題だと思いますが、今後ともどちらかというとやはり重点は、公社自身お客さんが来れば親切に応待して、お客さんが電話業者のところへ行かぬでもよろしいというところへできるだけ施策を持っていくべきだと思います。それにしても先生がおっしゃるように現在の電話業者の存在意義はまだある。たとえば今電話を質に入れたいというようなことを公社に相談に来られても、公社はその相談に応じかねます。そのときに高利を取らずに質権設定をする、標準利率でやっていく、それからまたお客さんの無知に乗じて白紙委任状であと変なことをされないようにしていくという——今言い間違えました。質権自身は電話業者でなしに、業者は限定されておりますので、これは別といたしまして、その電話業者の方自身に今財産権で認められておるものですから、どんな金を出してもとにかく急に要るというような場合に電話業者のところへ行く。これは公社においでになるよりは、やはりそこに行かざるを得ないというような事情もありまして、正しい意味の電話業者であれば、現在の需給のアンバランスからこの存在意義というものは確かにあるわけで、先生のおっしゃるごとく、いい電話業者と悪い電話業者と何か色分けするなり、お客さんが悪い電話業者に行かぬようにする方策をもう少しとれという問題については、なおこれから研究させていただきたいと思います。ただその場合に、なかなかむずかしい問題で、どちらかというと業者の自主的統制を前提にして、その上にわれわれの推薦が乗っかるというような方法以上に出ることはなかなかむずかしいんじゃなかろうか、こういうふうに一応考えておりますが、なお今後これだけの法案が通った場合に、今の電話業者の問題はより大きな問題になると思いますので、なお一そうその点について積極的に研究、施策いたしたいと思っております。
  64. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 副総裁、解釈を間違えないようにしていただきたいのですが、電電公社がいい業者と悪い業者と色合いをつけて、これはいいから行きなさいといって、いい者の太鼓持ちをやりなさい、そういうことを言っているのではないのです。私は悪いことをしないように積極施策を打ちなさい、こう言っているわけです。  そこで、今もおっしゃいましたけれども電話不足のために電話が希少価値を生んで値段が高くなる、そこで電話加入権が財産権的な性格が生じて、これによって経済現象として市価が上がる。市価というものが生まれてきますね。そうすると、このような現実に目をやったときに、電話加入権そのものの法理的な解釈を拡張して財産権として認めて、そしてその次に公社より譲渡された加入権、すなわち財産の譲渡を禁止するということは、基本的には憲法問題まで波及するのでございますから、従って電話加入権の売買は合法的である、こういうふうに業者の方々は言っておられるわけです。この業者の方々の今申し上げたような言い分に対しては、先ほどからの問答を聞いておりますると、合法的だというところの業者の見解をその通りであるというふうに公社は見ておられるように思うのでございますが、やむを得ないと見ておられるのですか。そこのところをちょっともう一度聞いておきたい。
  65. 横田信夫

    横田説明員 今の御質問、ちょっとわかりかねる点もありましたが、電話加入権の財産権としての売買は認めておりますので、そのこと自体はいいことではないけれども日本の現状としてはやむを得ない、しかも合法的なことだと考えております。
  66. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 やむを得ない合法的なことだ——まあ譲ってそうだとしましても、公社は電話行政の公共性ということをやっぱり考えなくちゃならぬわけで、業者が電話の必要な人、売りたい人の良心的な仲介の労をとるという社会的な存在意義を持っておればよろしいけれども、これをわきまえないで、やたらに公社の申し込み取得価格と市価との価格差をねらって、いわゆる射利的目的のための不正申し込みをしたり、その他悪質な、要するに電話を食いものにする悪徳業者というものを防止しなければならぬと私も思う。そういう悪徳業者を防止するためには、やっぱり公社が立ち上がらなければならぬと私は思うのですが、先ほどおっしゃったのは、公社が業者というものを大目に認めていこうというのですけれども、私はやっぱり悪徳業者の防止ということを考えてもらわなくちゃならぬ、こう思うわけです。問題は悪徳業者を締め出すということになると思うのですが、そういうことになると、今までのような野放しの電話業者でなしに、少なくとも良心的な業者を審査して、ふるいにかけて許可制にして、登録でもさして、健全な電話の発展を期するような、協力者としての電話業者というものに持っていかなければならぬ。この際、この計画にあたって、この問題を公社が触れるにあらずんば、私たちはこの法案は通せないと思っておる。こういう私の意見に対して、どうですか。
  67. 横田信夫

    横田説明員 先ほど来私の答弁があるいは幾分的をはずれておったところもあったかもしれませんが、先生の今の御質問でだいぶはっきりして参りました。要は悪徳業者の行為に対しての電電公社の取り扱いの防止策としては、従来ともいろいろやってきたつもりであります。それは先ほど営業局長から御説明申し上げましたように、自分が人の名前をもって申し込んで、優先的につけて、それをすぐ売って暴利を博するということのできないように、たとえば戸籍謄本を求める、あるいはすぐの転売ができないようにしていく、そういう意味でいろいろな防止策は従来とも講じて参りましたけれども、この点になると常にある程度は追っかけごっこの面もあります。われわれが手を打つとまたその上に出るというような面も常にありますが、またそれを研究してわれわれも防止策を講ずるというようなことで、ある程度追っかけごっこをやりながらりやってきたわけでありますが、そのほか、先生の今おっしゃるように、この売買業者を許可営業にしていくという問題になると、直接許可営業ということは公社自身としてはなかなか困難であります。新たに法律も要る問題でもあります。しかし許可営業にしなくても今の実際上の指導というもので、業者ばかりの集まりの上で自主的指導を頭に置いて間接的な実際上の指導をしていくというような道があるのではなかろうか。そういう点で、もっと公社も研究したらどうかということのように私了解しましたので、先ほどのような御返事をいたしたわけでありますが、一応許可営業にすることは公社自身としてできることじゃないですから、その辺御了解願いたい。
  68. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 むずかしいお立場があることはわかりますけれども電話を布設するについて債券を買わなければならぬ。その要るところの十五万円の金は銀行の窓口で融資するんだということになると、やはり電話から生まれてくるところの利益を銀行が独占するということになりますから、大資本擁護の問題とも連なると私は思うのです。ですからいろいろな点で考えてみなければなりませんので、悪徳業者でなければ、ある程度この人たちを法で認めて、そしてこのなりわいを立てている人たちが、公共福祉の目的中心に優先さして、射利的目的でなしにやろうとするならば、私は今の段階ではむしろふたをしないでお認めになっていかれた方が現実的じゃないか、こう思うのです。現に三十五年親子二代にわたって電話業をやっておるような人たちから、この職業を取り上げるということは実際にできないし、また足りないがゆえに公共福祉のために便宜の面から奉仕してきたという面もあるのですから、従ってこの際よく考えて、悪い人たちを自主的に業者がおっぽり出してしまうということができればしあわせでございますけれども、私が今まで見るところでは必ずしも公共優先でなしに、射利的目的の不法行為も相当ある。電話を食いものにしておる人たちも相当あるということを勘案いたしますときに、これはやはり電電公社の方から一つ立案してでも何とか手を打たなければ、この第二次改訂にあたってやはり万全を期することができないんじゃないかと思うわけです。従って私といたしましては、この質問の最後にお願いをいたしておきたいのは、こういう悪徳業者を締め出して、良心的な業者を守っていく——守っていくと言ったらおかしいけれども、認めていくという立場から審査するとか、ふるいにかけるとか、許可制にするとか、登録をするとか、こういう今までの野放し状態を規制していくところの法律の立案をやってもらって、私どもに案を示してもらいたい、こういうふうに考えますので、お願いいたしておきたいと思います。
  69. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 承知いたしました。  午後は一時半より再開することとし、この際暫時休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  70. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 再開いたします。  午前中に引き続き質疑を続行いたします。金丸徳重君。
  71. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私は、法案に関するお尋ねを申し上げます前に、先ほど午前中の委員会でもちょっと質疑の対象になりました、今回の全電通組合からの要求に対する御回答が昨日なされまして、それにつきまして、ゼロ回答だということが新聞にあったということで、午前中問題になったのでありますが、それについて一言だけお伺いをいたしておきたいと思います。それはやがてこの法案の審議に関連することでもあろうと思いますので、この際特にお尋ねいたすのであります。  電気通信事業における技術の革新はまことに目ざましいものがあるように私どもはしろうとながら承知いたしております。おそらく政府機関の事業の中でこれくらい短期間に目ざましい技術的な躍進、革新が行なわれた事業というものもあるまいと思われるのであります。そして今回この法案を提出になりました根拠も、実のことをいいますれば、最近の電話需要に対する対策として、一面においては技術の革新を取り上げ、これを十全に駆使して世間の需要に応じたいということが基礎になりまして五カ年計画改訂にもなったのではないかと想像されるのであります。従って、これに従事されておるところの従業員の技術面における勉強研究というものは、ほかの政府機関、もちろん学術専門の機関などにおきましては目ざましいものがあろうと思います。またそれに対する対策も十分考慮せられておるとは思いますが、ただその他の政府事業の面においては、これくらい目ざましいものはないと思われるし、またそれに対する従業員諸君の勉強度合い、研究の度合いというものも実に頭の下がるものがあるように私ども承知いたしております。またそうでなければせっかくの革新した技術を駆使して世間の需要に応じようといっても、人的方面において障害にぶち当たるわけでありますから、機械面の革新とともにそれを駆使する人間の知能の革新というものが両々相待っていかなければならないのであります。電電公社におかれては、そういうことについての対策として、あるいは研修所を拡充する、あるいは大学を設ける、その他の講習施設、研究施設を十分に備えておられると思います。そこで一歩を進めまして、それにもかかわらず従来の従業員に対する給与の面は、とかくどうも政府の他の機関に右へならえさせられるような気配がなきにしもあらず、従来私どもが役所で世話になっておりました時分には、そういうことによってとかく実情に合うところの、能力に合うところの待遇というものが行なわれなかったやのうらみがあります。もちろん終戦後の労働問題の活発なる検討あるいは採択などによって革新はされておる、欠陥は取り除かれつつあるように思われるのでありますが、しかしながらまだその点が十分ではないのではないか。特に電電公社の事業のように、最近十年間というよりもこの五年間に目ざましい技術が取り上げられておる際に、それに応ずべき従業員の研究態度が旺盛になっておる際においては、それに対応するだけの待遇改善がはたしてなされておるかいなか、私はこの点を心配いたすのでありますが、今日までの実績と、今後におけるこうしたことについてのお心がまえというようなものをこの際承っておきたいと思います。
  72. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいまの御質問は、従業員の待遇改善の問題についての公社の態度あるいは現状はどうか、こういうことであります。ただいまお話しの通り、技術の革新に伴っていろいろの改善また事業上の革新が行なわれておる。この事業を円滑に遂行するためには、技術の革新もさることながら、同時に従業員の協力がなければこれを円滑に推進していくことは困難である、またできないということは私ども十分考えております。従いまして、公社としては、従来から従業員の待遇の改善につきましてはでき得るだけ努力いたしてきたつもりであります。賃金の水準を初めといたしまして、厚生施設の面においても、また作業の環境の点についても、でき得るだけの改善を今日まで行なってきたつもりであります。わが国の他のいろいろな企業に比較いたしまして、待遇の点において決して電電公社が劣っておるとは私ども考えておりません。しかしながら、決してこれは非常に理想的にいっているとまでは申し上げるわけではありません。そう一そう今後あらゆる機会においてこれを改善していかなければならぬ、かように考えておるわけであります。ただ、御承知通り電電公社の仕事は、いわゆる公共企業体の一つとして、国民からの信託にこたえなければならぬ。また完全な会社営業とも違って、公共企業でありますがゆえに、その待遇の水準につきましても公社法の規定によっておのずから制約が加えられております。公社法三十条によりまして、「国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」ということがすでに規定されております。さような点から考えまして、そう自由に、これを勝手に左右するということもできにくい事情にあることはむろん御推察ついただけるかと思います。要するに、社会的に認容される範囲内において、できるだけあらゆる機会においてこれを改善していきたい、かように考えておるわけであります。さようなことで、今度の第三次五カ年計画におきましても、従業員の努力に対して、たとえば生産性向上に基づく努力に対して、予算面にもその手当が計上されておるということを一つの例として申し上げてよかろうと思います。そのほかに、先ほど申し上げました厚生施設、たとえば住宅の五カ年計画あるいは病院施設の五カ年計画というようなもの、それから職場環境の点は、事業の拡張に伴って電信局の施設を改善して新しいものを建てて、それによってその職場環境は改善される、かようなことであらゆる点にでき得るだけの考慮を現在払い、また今後も払っていく所存でございます。
  73. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 総裁が非常な御苦心を払って従業員の待遇改善に御努力なさっておられる、その誠意につきましては私も毛頭疑うものではありません。私が心配いたしますのは、とかく政府機関の従業員は、他の政府機関の従業員の待遇に影響されまして、もしかすると特殊性が没却される、あるいは軽視される心配があるのであります。今御指摘になりました公社法の中にきめられておるようなことも、そういうことについての言いわけの一つの材料に扱われる心配の種になるのでありますが、しかし、この飛躍的なる技術の改善を土台として、世間の需要に今度という今度こそ応ずるために一大方策をとろうという際においては、おのずからそうした従来のいきさつなどに拘泥されない対策が、人事面においても必要ではなかろうかと思うのであります。ことに、この数年来の技術の革新に対しまして、従業員一般がこれに追いつくべく勉強を、言葉がいけないかもしれませんけれども、しいられておる。日進月歩する技術にはおくれてはならぬわけであります。ほかの機関などにおきましては、ある意味においてはのんびりしておってもいいのにかかわらず、ことに電電公社の技術面の職員などは、家へ帰っても技術研究の雑誌、書籍を勉強しなければならないというような立場に置かれておる。技術職員以外の職員諸君といえども、やはりそういう中においておくれをとってはならないために非常な努力をいたしております。従って、そういう中において、それを土台としてこの事業の一大転換といいますか、大躍進をしようという場合においては、やはりここで他の政府機関の待遇などに拘泥されずに、新しい方策が講ぜられなければならないのではないか。単に待遇改善とかなんとかいう言葉でなしに、もし現在、過去の何らのいきさつなしに、新しい時代における新しい職員の給与を考えるとするならば、単に国家公務員の給与云々というようなことに拘泥せずに、新しいものを考えるならば、もっと別なものが出てくるのではないかという意味における考え方をとってみていただく必要があるのではないかと思うのであります。それらの点についてはどうでございますか。
  74. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいま公社の技術員その他の努力に対して、非常にありがたいお言葉をちょうだいいたしまして大へん感激いたしておるわけであります。私どもといたしましても、公社の従業員の献身的な努力に対して常に感謝と感激をいたしておるものであります。ただ給与そのものをどうするかということになりますと、やはり先ほど申し上げましたような自然の制約が法的にもあります。従いまして私どもとしては、なるべくできるだけの待遇改善を行ない、水準を上げていきたいという心持を持っておるのでありますが、ただ私どもの力だけでやるということは、今日の状態ではよほど困難であります。私どもとしてもあらゆる機会にこれらの方途を講じて、少しでも上げていきたいということは常に念願し、努力をしておるつもりであります。
  75. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 あらゆる努力をなさっておられる、ただそれにもかかわらずなかなか困難だと言われますが、今度の改訂五カ年計画をお取り上げになりましたについては、ずいぶん大きな決意をその面についてはお出しになったやに私どもは受け取っておるのであります。非常に大事な金のないときにおいて、十五万円の公債を発行してでも世間の需要に応じようなどという一大決心をお示しになったについては、車の両輪のもう一つの面における従業員の活動意欲の増進でありますとか、あるいは進歩する技術を駆使するための素質の向上でありますとか、それに対する報酬、対価とでも申しますか、そういうものについての一大決意をお示しになっておらぬやに思われる。これは私は非常に残念に思うのでございまして、全電通の組合の方からの要求がゼロ回答であるというそれでは、私はせっかくの総裁のこの段階における決意をその方面でお示しになるについては一つ何か片手落ちのような気がいたすのでありますが、その点どうでありましょうか。
  76. 大橋八郎

    大橋説明員 いろいろ御批判をいただいてはなはだ恐縮でございます。今日の私どもの立場といたしましては、力が足りないせいでありましょうか、それ以上の施策を直ちにとることはなかなか困難な状態にあります。今後もできるだけあらゆる機会に努力を続けたいとは考えております。
  77. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 電電公社総裁の御尽力だけではとうてい足りませんので、私は大臣にお伺いいたすのでありますが、大臣は閣議の中において、あるいは世間全般のことをごらんになっておられます国務大臣の立場から、こういうことについてはどういう御所見をお持ちになっておられるのでありましょうか。電電公社の事業というものが非常な飛躍的な技術の進歩を土台として、こんな案が提案されてきたといたしますならば、それに対する従業員の待遇ということについても、他の政府機関のそれに拘泥されることなき措置が国務全般の上からも考慮されなければならないように思います。大臣は今の状況でよろしいとお考えになっておりますか。それとも何か特殊な方策を、今まではできないにいたしましても、今後この五カ年計画の遂行という機会において一歩お踏み出しになるために、電電公社に力をお貸しになる腹がおありか、お伺いをいたします。
  78. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 五カ年計画と待遇問題とにつきましては、一応切り離して五カ年計画計画を聴取し、またこれを検討して国会に提出する運びとすることに処置いたした次第でございます。この機械化とか近代化、合理化、それによりましてますます技術の進展を見て、楽に仕事ができるようになり、なるほど人数は人手を機械にかえるということもございますでしょうが、逆に待遇の問題につきましては、機械化ができればこそかえって待遇がよくなってしかるべきだと、ちょっと逆説的に一応聞こえるかもしれぬが、それでなければ文化の進展が人類の生活に何の役に立つかというふうに私は考えておりますので、機械化こそむしろ待遇改善のためになることだ、さように考えております。また他面におきまして、自分の関係いたしております執務の機関の従事員等の待遇は、やはり世間全般の公平の原則の上に立ちまして、自分のところだけが特によくなって、あとは悪くてもいいなんぞという不心得は全然いたしませんけれども、やはり自分の責任と気持の上におきまして、自分の関係しております仕事の従事員の待遇がよくなるように考えることは、どうも人情としてそういうふうな気持にならざるを得ない次第でございます。従って自分の関係しております行政監督あるいは行政指導しておりますような立場の従事員の待遇問題については特に関心を持ち、待遇のいいことはむろん私の望むところであるということは明確に申し上げて、お答えといたしたいと存じます。
  79. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 大臣が自分が御関係になっておられるところの従業員の待遇を少しでもよくしようというあたたかい人情をお持ちになっておられますことは、私もそうなければならぬと思います。ただ私のお伺いしたいのは、今おっしゃったような機械化が待遇改善の要素になるのだというような一般論でなしに、電電公社の事業が非常な機械の進歩によって今や職員の労働はその質において転換をしてきているのではないかと思う。量ではあるいは減ってくるかもしれませんけれども、昔の電電公社職員の労働の質と最近のここ両三年の質と、今後そういう方向に驀進する傾向の中における電電公社職員の質というものは非常に変わってきている。そういう変わった中において待遇というものを判断する要素も変わってこなければいけないのではないか。簡単に八時間勤務だからどうだ、自転車に乗るからどうだ、機械をいじくるからどうだということではなくて、そういう質的転換を今や行ないつつあるのだという面において、今の待遇の状況が理想であるかどうかということをお伺いしたい。広い面から御検討になってそれでいいのかどうかということについてのお考えを大臣に承っておきたかったのであります。
  80. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 ただいまの肉体労働が、従来の肉体労働と違って、それに特殊技術労働が加味され、また頭脳労働が肉体労働に加味されてきております事実は、私も率直にこれを認める次第でございます。しからば具体的にそれでは全電通の公社の従業員諸君の待遇がいかがあるべきかということにつきましては、さらに研究の時間をお与え願いたいと思います。これは公社の方で仕事を執行いたします関係上、公社の方で編み出しました待遇方針につきまして、それを見た上で、十分検討して時勢の要求に対応するような監督をいたして参りたい、さように考えます。
  81. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 どうも大臣から私の御期待申し上げたようなお答えがいただけませんので、大へん残念でありますが、しかしこの問題についてあまり時間をとっておってもいけませんので、総裁あるいは副総裁の方からお答えをいただいてもいいのでありますが、とにかく技術革新を土台にしての今度の案ということでありますならば、それに対しての従業員の待遇改善ということについても、今までとは違った角度から違った力の入れ方をしなければならないのではないかということについてはどうでございましょうか。その辺くどいようでありますが、今後におけるこの問題のお取り扱いのための御決意というか心がまえを承っておくことは大へんどもにとりましては大事だと思うので、簡単でよろしゅうございますからお答えをいただきたい。
  82. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほどからたびたび同じことを繰り返して申し上げて恐縮でありますが、私どもとしては、あらゆる機会にできるだけの努力を払って改善に引き続いて努力したい、かような考え方であります。
  83. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 じゃ、それはそれといたしまして、次の問題に移ります。  今度の公社の御計画になっております改訂五カ年計画基礎になるところの世間の電話に対する需要傾向数字というものを承りますと、なかなか大へんな急上昇のカーブをもって進んでおる。それは所得の伸び以上に伸びておる。しかもこれは日本傾向ばかりではなくて世界的な傾向であるというふうなことが基礎になっておるようであります。私ども電話需要の躍進ぶりについては、世間一般からの声を聞くにつけましても、また公社の方からこうした資料をちょうだいいたし検討いたしますにつけましても、その通りであろうかと思いますが、さてそういたしますならば、午前中の質疑の中にも出てきたことでありますが、今度お出しになった法案に基づいて積滞数の解消を計画なさっても、はたして四十八年度までにそれが達し得るやいなや、これは心もとない、いな、むしろさらに積滞数がたまってさらに需要が増すのじゃないかという心配をさえ持つのであります。といいますのは、電話一つ引けばその次にはさらに二つ需要を呼び起こす、その二つ需要を満足させますと、その次にはその二つがさらに二つずつの四つの需要を呼び起こすということになるのではないか。今日までつけてもつけても、かけてもかけてもなお足らぬというような電話需要界における実情というものは、そういう連鎖反応を起こすものだという電話の本質がそうさしておるのではないかと思います。この点をどういうふうにおとりになっておられまするか。今度の電電公社計画基礎になりましたにつきましては、その需要の今までの足取りというものが基礎になってみたり、あるいは所得の伸びというようなものを基礎にしてみたりいたします。もちろんそういうことも私は確かに一つ資料であろうと思いますが、問題は電話需要の本質にあろうかと思うのであります。つければさらによりよき需要を呼び起こすということになるのではないか。そうしますると、この計画は今後における需要をより一そう喚起し、積滞数を増すことになっても、解消する方向には当分いかないのではないかと思います。もとよりこれも事業場あるいは作業場における電話が十分ついて、あるいはさらに進んで住宅でも、住宅電話が五%とか二〇%ということでなくて、五〇%にも八〇%にもなったときにおいては——そういうことはあるまいと思いますが、そのくらいまでにならない限りは、需要はこれでいいなどという頭打ちのところまではいかないと思うのです。この基本の考え方につきましてはどうでありましょうか。私の考え方が少し間違っておるかどうか、飛躍し過ぎておるかどうか知りませんが、それをまず承っておきたいと思います。
  84. 大橋八郎

    大橋説明員 電話の特質についてのただいまのお話、そういう意味のようなことも多分にあると私どもも考えております。そこでその点の認識といいますか、当時の考え方が幾らか甘かったがために、せっかく第二次五カ年計画を作りましたのが二年足らずでこれを改訂しなければならなくなった実は一つ原因かと考えておりまして、私どもとしては大へんその不明を恥じておるような次第であります。ただ将来の見通しにつきましても、お手元にお配りした五カ年計画という刷りものの中の付表についておりますように、最初の五カ年計画のときの考え方が、電話の将来の伸びというものは、国民生活、経済伸びと大体同じカーブで上がっていくのだ、こういう見方で実はやっておったことは御承知通りであります。それが見込みが甘かったがために今度改訂をしなければならぬということになった一つ原因だと思うのであります。そこで今度のときは、経済伸びよりもさらに二割以上の大きい伸びを示すもの、こういう観点に立って今度の計画を立てたのであります。この二割ということがはたして妥当なりやいなやということになりますと、これはどうもちょっと将来のことで、これで十分かとだめを押されますと、一応私どもの現在の考えではまずこの程度でよかろうかと思います。はなはだ確信のないことを申し上げておしかりを受けるかもしれませんけれども、現在の案というものは最小限度の案である、あるいはこれでなおふくれ上がる需要が出てこないとは限らないという危惧の念を心の中に包蔵しながら、最小限度の案としてここに提出しておるわけであります。現在の私ども考え方としてはまずこの程度で進みたい、かように考えております。
  85. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 やはり国民所得というものが基礎に立っておるようであります。そして、まあ念のために二割くらいを盛り込んでおこうというようなお考えのようであります。所得が増せば電話需要を呼び起こす、それも確かにあろうかと私は思いますけれども、今の社会における電話需要は、所得が伸びたから需要が増すということでなしに、あるいはつける力があるからつけてほしいのだというようなことではなくて、電話需要は、社会生活の向上でありますとか、あるいは交友関係、交際関係、通商関係の外延、あるいは緊密度の伸展とでも申しますか、そういうものが基礎になってくるのではないか。かりに今日国民所得が頭打ちの状況になっても、電話需要というものは、そうした文化の向上なり人間の交際の伸展というものがある限りにおいては、やはり増してくるのではないかと思いますので、国民所得伸び基礎にするというこの根本の考え方というものは、私はどだい間違っておるのじゃないかと思うのです。それでは二割増すところを五割増せばいいじゃないかということになるのかもしれませんけれども、あるいは一割で足りるということになるかもしれませんけれども、そうじゃなくて、根本は国民所得をねらうべきではなくて、もっと別な要素をねらってかかりませんと、いつでも大へん見込み違いをするのじゃないか、こういうふうにも思うのであります。それらについて御検討になって、やむを得ざる措置としてお出しになっておられるのか、それとも国民所得というものが一番たよりになる数字というふうにお考えになっての上でありますか、それを一つ承りたい。
  86. 大橋八郎

    大橋説明員 この将来の発達調査の問題は非常にむずかしい問題でありまして、どれがいいかということになりますと確たる学術上の根拠というものもなかなかつかみにくいのであります。しかし、何といいましても国民の生活程度とかあるいは経済力の発達基礎に置いて考えるべきだと思うのです。ただ第二次五カ年計画の設定の最初に考えたように、国民経済伸びというものだけをとって、それと同じ伸びだと当時考えたことがどうも間違いである、そこで国民生活の伸びというものは一応の基礎にはなりますけれども、その上に先ほどからお話しの、あるいは文化生活の向上とか、あるいはさらにそこにいろんな要素が加わって、国民生活の伸びよりもさらにプラス・アルファしたものがその実情に合うのではないか、こういうことで、それらと勘案して二割というものが加わったのでありますが、さてこの二割が必ず正しいかどうかということになりますと、今日いろいろまだ研究は続けておりますものの、実はまだこれなら大丈夫だという結論がなかなかむずかしい。一応今日までのところでは、二割くらいが至当ではあるまいかという一応の結論を得ておるわけでありますが、なお将来のことについては、常に十分検討を加えて、もう少し実情に合ったように研究は続けていきたいと思っております。
  87. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そこで、これはなかなかむずかしい問題であろうと思いますが、今日までの経験に基づきまして、五カ年計画改訂しなければならないような事情を巻き起こした原因には、ここに資料としてちょうだいいたしておりまする五カ年計画資料の中に出てくるのでありますが、住宅世帯産業世帯、純事業所というふうに分けて電話需要を検討されておるようでありますけれども、その電電公社見込みを狂わしたものは、この三つのうちのどれが主であったでありましょうか。その点を一つお聞かせいただけますれば、この問題を私が理解いたしていく上に何かの手がかりになろうと思うのでありますが、そのどちらでございますか。
  88. 横田信夫

    横田説明員 ただいま先生指摘の、将来の需要伸びは、ある程度加入者がふえるに従ってまたよけい需要を喚起するのではないか、この現象は具体的な場合はことにそういう場合が多いのです。ことにこのごろ商売をやっていると、相手の商売の人が電話を持っている、自分が持たぬということになれば絶対商売は負けだ、どんなことをしてでも電話がほしい、こういう需要が出てくるのは当然であります。こういうものも全部——そういう意味での需要の増というのは、日本では今まで非常に少なかったのです。各国ともそういう意味で今の需要伸びの中には、先生のおっしゃるような需要が含まれてずっと伸びてきておるわけであります。従って先生のお申しのごとく、日本の所得と需要伸びだけでなしに、外国の相当普及したところの所得と需要伸び、そういうものと勘案いたしましても、やはり所得に対してこの電話需要伸びの方が大体二割ないし二割ちょっとばかりカーブが多くなっている。それがいつになったらとまるかという問題になりますと、先生の御指摘のごとく、なかなかとまらぬわけであります。というのは、アメリカのようにあんなに電話伸びても、なおかつ今のように所得の伸びに対して二割方の増加を示してまだ伸びている。おそらく今の日本では一応この需要見込みで、住宅として五軒に一軒、アメリカの方は一住宅電話でなしに、だんだん一人一電話ということでむしろ需要の開拓をしていこうという方向に向いていると聞いておりますが、そういう意味で電話の将来はいつまで伸びるかわからないと思うのです。需要伸びると思うのです。ただそれが一挙に伸びるかということになると、やはり外国傾向を見ましても、ある程度所得の伸びと比較しながらだんだん顕在になってきておる、こう考えられますので、まずそういう意味で所得を基礎にした方が、一応一般の傾向線を見るのにはいいだろう。ただその傾向線を見るだけでなしに、先生の御指摘のごとく、今産業世帯、それから住宅世帯、それから純事業所、こう分けてみて、常識的にどのくらいの伸びがあるだろう、これは常識的と同時に、抽出調査で現実にアドランダムにお客さんの意向も聞いて、ある程度の、そういうまだ今申し込んでないけれども申し込む気持があるとか、そういう意味の需要調査をやったものもあるわけでありますが、そういうものの伸びも勘案いたしてみますと、先生お持ちの九ページにありますように、事業所数、世帯数を基礎とした需要予測をやってみると、今の需要伸びと三十七年度末までは大体同じような傾向があるということも傍証として上がりましたので、そういう両方の面から見まして、まあまあこの辺ならかたい。しかし、先ほど総裁が言われましたように、何分日本には潜在需要があるものですから、今、潜在需要がちょっと需要を呼んで、ほかがすぐ出てくるという年度別の移動は相当あるのじゃないかと思いますが、長い目で見ると、このカーブというものが一応堅実な見込みのカーブとしてはいえるのじゃなかろうか、こういうように考えているわけであります。
  89. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私は、むしろ逆で、長い目で見ると、所得というものが全然参考にならぬようなことになりはしないかということを心配するのであります。そういう意味において、この所得を基礎にしたことについて、何かはかのものを取り上げるということはできないかということをお尋ねしたのでありますが、うしろの方に出てくる、よその国の所得とそれからこの需要伸びの工合を見ましても、あるところまでは、所得の伸びあたりとやや足並みをそろえながら進んでいくようでありますが、あるところまでいきますと、もう所得の伸びなどはほったらかしてしまって、自分だけでどんどん伸びていくという傾向に向いてきておる。もちろん、これにはその他の要素も加わってくるかもしれませんけれども、スイスなどの例というのはそれをよく示しており、ますます私は差がひどくなってくるのじゃないかと思われるのです。電話というものは、そういう本質を持っておるのじゃないかというような気がするのであります。私がさっきお伺いしたのは、そういうような本質を持っておるのにもかかわらず、そういう本質であるということを私は一応頭の中に置いておいたものですから、次のお伺いに入ったのでありますが、この九ページに現われておるところの需要率といいますか、四十七年度末までには、住宅世帯において二〇・二%になる、産業世帯において一二二・二%になる、純事業所において二五一・五%になるというようなことで計画を進められておるようでありますが、これが今までの経験に基づいて、及びその電話の本質というものを考えて、頭の中に置いてみて、もし見込み違いを起こすとするならば、この三つのうちのどこで見込み違いを起こすであろうか。これは過去の経験においても言い得るし、証明し得るのじゃないかと思うのですが、どこでそういう見込み違いをしてしまって、そうしてこの五カ年計画改訂しなければならないような原因を生み出したかということをお伺いしたのであります。
  90. 伊藤誠

    ○伊藤説明員 この電話需要の算定の方法でございますが、先ほど来御説明申し上げておりますように、先生の御意見のように、経済成長率をべースにして考えておるのでございます。これは確かにお話のような経済成長率以外の要素も十分に取り入れなくちゃならないというふうに私ども考えるのでございますけれども、計数的にこれを見まする場合に、非常にむずかしゅうございますので、私どもは過去の経済成長率と申しますか、国民所得電話需要数との相関関係を、最小自乗法を用いまして分析いたしたのでございます。その結果一つの数式を得まして、それを当てはめまして実は四十七年度末の需要数を算定したのでございます。それによりますると、約一千六十万ということに相なるわけでございまするが、もう一つ、ただいまお話のございました住宅世帯でございますとか、産業世帯あるいは純事業所というような算定でございまするが、これは実は今申し上げました経済成長率を方程式によりまして算定いたしました方法とは全然別個な観点から算定いたしたのでございまして、住宅世帯数、産業世帯数、純事業所数、これはいろいろ厚生省なりその他で発表されておりまするものに基づくデータを全部使いまして、従来の世帯数なり事業所数というものを一応算定いたしまして、また一方需要率でございまするが、これは従来の需要率、たとえば住宅世帯におきましては、四十七年度におきましては一体百世帯のうちどれだけが電話を持つかということは、非常に算定がむずかしゅうございますので、大体現在電話を持っておりまする率、百世帯のうち所得幾ら以上の方が住宅世帯電話を持っているというような率を一応そのまま適用いたしたのでございまして、従いましてこの点には確かに問題はあろうと思うのです。また産業世帯につきましても、これは過去二回産業世帯あるいは純事業所需要率というものを調査いたしたのでございまして、大体将来その姿で伸びていくだろうというふうに算定いたしたのでございます。従いまして、先ほどお話しの電話の効用がふえるに従って数がふえていくだろうということは、従来までの使用いたしました数の中に、そういう要素ももちろん含まれておるのでございまして、その限度におきましては確かに考慮したと申していいかと思いますが、それ以外にさらに伸びるだろうということについては、実は算定いたしておらないのでございます。そういうふうにいたしまして算定いたしました結果、国民経済成長率から見ましたものは一千五十七万、約一千六十万でございますが、住宅世帯でありますとか産業世帯、純事業所というものから算定いたしましたものが約一千百三十七万に相なったのでございまして、大体両方から見まして大して狂いがないということから、私どもこの数値を使ったわけでございます。
  91. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私のお尋ねの仕方がまずいからかもわかりませんが、端的にお伺いしまして、現在積滞数をこのような分け方にしてみるというと、どの部面に一番たまっているか、こういうことを端的にお答えいただくとよろしいのですが。
  92. 横田信夫

    横田説明員 先生のお尋ねは、現在の積滞需要、今約七十何万になっておりますが、それを分類したらどうなっているか、こういうお尋ねでございますか。——ちょっとお待ち下さい、今資料があるのですけれども……。
  93. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 それでは時間が惜しいですから続けますが、私のねらいはこういうことなんです。いろいろ申し込みがありますが、純事業所、事務所、作業場などについては、おそらく優先的にその需要に応じておられるのじゃないかと思います。また、そうでありたいと思うものですから、そう想像いたします。その次には産業世帯の方の需要を次に優先的に応ぜられておるのじゃないか、こう思うものですから、そういう御方針をとってこられたとするならば、今の七十何万かの積滞のうちにはそういうものは比較的少なくて、住宅世帯というものが多いのではないか、少なくとも率において相当高いのではないか、こう私は想像するものですから、念のためそれをお伺いしたわけであります。
  94. 伊藤誠

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。積滞でございますが、純事業所産業世帯住宅世帯のどこに積滞が多いかというお尋ねと思うのでございます。三十二年度末でございまするけれども、積滞と現在の加入数を合わせましたものと現在の加入数との比率でございますが、これを見ますと、大体これを充足率といっております。従いまして残りの部分が積滞になるのでございますが、事業所につきましては大体八八%申し込みに応じており、産業世帯については八二%、住宅世帯については七七%の需要に応じておるというふうに相なっておる次第でございます。
  95. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 大体私の想像がそれほど間違っていなかったように思います。ただ私は、実はもう少し率に開きがあるのではないかと思っておったのでありますが、今後の計画につきましては、やはりそういうようなことをも加味して計算なさっておられるのかどうか、この点を……。
  96. 伊藤誠

    ○伊藤説明員 第二次五カ年計画の最終年度でございまする三十七年度末における状態を申し上げますると、ただいま申し上げました事業所に対しまする充足率八八%というものが大体九八%くらいになるように思います。それから産業世帯につきましては、八二%の充足率が大体八八%、住宅世帯は七七%が三十七年度末におきましてもそのまま七七%ということに相なろうと思います。これは現実に電話をつけます場合には、頭からこういう数字を割り当てるのではございませんで、いろいろ局によりまして需要がございまするので、結果的にぴたりとこの数字になるかどうかはちょっとはっきりはいたさないのでございまするけれども、大体におきまして私ども推定ではこの程度になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  97. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 だんだん理想の方向に持っていくために努力なさっておられる様子は今の数字でよくわかりました。ただ私は、先ほどから申し上げましたように、電話というものはそれ自体連鎖反応的に需要を呼び起こすという意味におきまして、今後住宅世帯需要というものが、つければつけるに従ってますます高くなってくるのではないか、こういうことを心配いたす。それは農村におきまする有線放送、あれでよくわかるのであります。最初計画したときには、部落のうちの何%といいますか、半分かあるいは四割くらいで計画する。ところがだんだん、あそこにあるならこっちにもなければ因るとか、しまいには、その本人はほしくなくとも、まわりの人が、あそこに電話を持ってもらわぬとどうもまわりの人が不便だというようなことからいたしまして、本人はそれほど必要でないのにもかかわらず、有線放送電話施設の仲間入りをさせられる、させられると言ってはいけませんけれども加入するというようなことになってきて、そうして、とうとう部落の九〇%とか九五%とか、ほとんど全員が加入するというようなことになる。そういうものなんです。そういうことを一つの経験として、実際の問題として頭の中へ入れて考えますると、やはり電電公社電話住宅世帯に対して四十七年度末で二〇・二%で間に合うなどとは考えません。今後ますます電話の緊要度が叫ばれ、電電公社に対する不満の声があげられるのは、やはりその辺に種がありそうに思う。これに対してどういうふうなお心がまえを持っておられるか。今承りますと、将来に向かっても七七%くらいでいくというようなお見込みのようでありますが、今の需要数基礎にしても、申し込みがもっと増すということを考えますと、七七%どころか、あるいは五〇%にも四〇%にも下がるのではないかという心配がある。そのときには、電電公社は今以上の世間の不満の声の前に立たなければならないのではないか、こう思うのでありますが、その点はどういうお見込みですか。
  98. 伊藤誠

    ○伊藤説明員 四十七年度末におきまして一千六十万になるだろうというふうに私ども推定いたしまして、この一千六十万というものを全部、申し込まれたならばすぐおつけする状態に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。従いまして、四十七年度以降におきましては、もちろん電話はどんどんふえて参ると思いますが、その状態におきましては、申し込まれたならばすぐにおつけするというふうに持っていきたい。その目安として大体幾らぐらいの加入数になるだろうかということを算定いたしたのがこの一千六十万であります。従いまして、もし途中におきまして相当需要が出て参るということがはっきりいたしますれば、現在は第二次五カ年計画をやっておりますが、第三次、第四次という計画をやりまして四十七年度になるのでございまするが、その状況によりまして四十七年度末におきまして需給のバランスをとる、申し込まれたならばすぐおつけするという状態に持っていくように努力しなくてはならないというように考えておる次第であります。
  99. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その意欲はよくわかるのです。その努力目標はわかりますけれども、その公社の方の御計画以上に需要が増すであろうということを私は心配する。総裁もそういう心配は全然ないわけではないというように言われております。お示しいただいた資料などによって世界の電話状況を見てみれば、やはりそういうことになりはしないか、こう思うものですから、バランスをとりたいのだ、申し込んだらすぐつけるような状態に置きたいという意欲はわかりますけれども、その意欲にもかかわらず、実際はそれどころか、ますます開きが出てきはしないか、こういうことを思うのでありますが、それについて、いや、そんなことはないのだと言い切れば話は別であります。そのことについて承っておきませんければ次のお尋ねのなにになりませんから、最初総裁が仰せられたように、心配がないとは言い切れないという立場に立って考えてみますとどういうことになりますか。
  100. 横田信夫

    横田説明員 電話の効用は、先生がおっしゃるように、加入者がふえればふえるほど確かに利用価値がふえるわけであります。そういう意味におきまして、需要の増勢というものが相当長い間続くだろうと思います。ただ先生お話しの、たとえば住宅電話について、ある程度までいくとないのがおかしくなって、その辺から急カーブに多くなるだろうという、どの辺の問題ということになると、そういう気もいたしますが、その意味で各国の電話を見てみますと、ここにアルゼンチンとありますけれども、アルゼンチンは非常に低い普及度ですからちょっとこれは例になりませんが、相当普及の多いアメリカ、イギリス、スイス、こういうところを見ますと、そういう住宅の五軒に一軒とか十軒に一軒とかいう過程を経て、今四軒に一軒とかそういう段階にきておるわけですが、そういう段階にくる途中では、やはり国民経済伸びと並行的にきていると思う。あるところへいって急カーブを描いているというようなことはないのですから、一応こういうことを前提にいたしますと、需要の将来の伸びという場合においては、今の国民経済伸びいかんだ、パーセンテージはそれより多くはなりますが、大体並行して見ていく方が順当であろう、こういうように考えているわけであります。
  101. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 これは将来の見通しのことになりますから、これ以上どうこうということも、私にも確たる資料があってのことではありません。ただ、地方における特に有線放送などの実情を見てみますとそういう気がいたします。もちろん農村におけるそういう状況が直ちにとってもって都会の生活に当てはまるかどうか、都会地における住宅電話需要にそのまま置きかえられるかどうかについては、確かに疑問点はあろうかと思います。ただ、電話というものはそういうふうな本質を持っているものだということが私の脳裏には強くこびりついておるのであります。  そこで、次のお尋ねに入るのでありますが、電話発達史というものを見てみますと、これはどこでもそうだと思うのでありますけれども加入電話によって発達してきた。もちろんわが国におきましても、公衆電話を加味した郵便局あたりにおけるそうした加入電話あるいはボックスの中に置いた電話、公衆電話というものが取り入れられたけれども、しかし、主たるものはやはり加入電話である。そうして加入権というものまで生ずることになったわけであります。これを今からどうというわけにはいきませんけれども、かりに公衆電話から発達してきたといたします。そうして昔のような公衆電話ではなくして、今後いろいろ検討されて解決されるかもしれないところの公衆電話でありながら呼び出しも簡易にできるのだというようなことがもし取り入れられるとしまするならば、今後における住宅電話需要というものにある程度ブレーキがかけ得るのではないか、こんな気がするのであります。今後も加入電話を主にして考えるのか、公衆電話を主にして考えていくかということによって、電電公社の今後における世間の需要に応ずる態度というものはずいぶん変わってきはしないかと私は思うのであります。私はいなかの方におりまして、一本の公衆電話が全部落の需要をかなえて——もちろん特別な人がおって、おれのところにも一本別な電話がほしいというようなことを聞くことは聞きますけれども、多くの場合においては、その三十戸なり五十戸なりの部落は一本の電話によって何人かの申し込みをがまんさせるばかりでなしに、その他いわゆる潜在需要をそれで押えていっておる例をたびたび見ておるのであります。これは地方においては、ことに強く私どもの脳裏に印象づけられておるのでありますが、この現象は、私は都会地においてもとれるんじゃないかと思うのです。もちろんいなかの電話は、呼び出しといいましても、拡声機によって、何々さん電話ですということによって呼び出しておりますから、公衆電話とはいいながら、実質的には加入電話同様の効果を上げつつある。その状態そのものを都会生活の中に持ち込むことは困難かも知れません。困難かもしれませんけれども、そういうような傾向を都会の中に持ち込んできて、そして何らか呼び出しの方法などを今後技術的に御検討になりますると、半径百メーターなら百メーターの中の需要というものは、ある程度押えることができるんじゃないか。現に、これは逆ですけれども加入電話一本あるがために、公衆電話申し込みを押えておる。これは私は逆の現象だと思う。公衆電話があれば加入電話申し込みをがまんしてもらうということも可能であり、そうしたことは、私は理論的にも可能だと思うのです。今のところは逆になっていっております。その逆を、ほんとうの正しいといいますか、順な考え方に戻して見ますると、今問題になるように、今後かりにこの五カ年計画改訂案実施された後においても、なお需要を十分に充足させることができないかもしれない心配というのは、そういう意味においてある程度解消できるんじゃないか、こう思うのでありますが、そういうことについて御検討をお進めになっておられるかどうか承りたい。
  102. 横田信夫

    横田説明員 公衆電話の増加の必要、及び公衆電話を増加することによって住宅電話需要に及ぼす影響いかん、なお公衆電話をどういうようにして増加していくつもりか、こういう御質問のようでありますが、公衆電話につきましては、先生もよく御承知のように、昭和二十七年に約二万の公衆電話があったわけでありますが、これが三十三年には八万になって、この間に約四倍にふえた。加入電話需要をなかなか充足できない現在、できるだけ公衆電話をふやしていくという方策は、今後とも公社として維持していきたいと思っております。従って第二次五カ年計画の中でも、農村漁村等の、ことに無電話部落等においては、第二次五カ年計画中に三万四千三百——改訂前の計画が一万五千ですから、すでに二倍以上に今度の場合もふやしておるわけであります。こういうように、公衆電話計画につきましては、ことに農山漁村等については特に力を入れてやろうと思っております。そのほか、都市におきましてもできるだけふやしていきたい、こう思っておるわけであります。  また、公衆電話普及率を世界の状況で見てみますと、加入電話普及率では、主要なる国の中で日本が二十二番目ですけれども、公衆電話は、こういうように非常に力を入れて参りましたので、世界の主要国のうちで十七位で、一応公衆電話の方が少し上にいっておるわけであります。しかし、なおかつ、先生から御指摘のありましたように、加入電話需要が非常に旺盛で、それの充足がまだ少ない、こういう状況下におきましては、公衆電話をこういう程度に増加していくから、加入電話の増勢に影響を及ぼすところまで、まだいっていないんじゃないか、こういうように存じております。
  103. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私は、今度の計画にも非常に公衆電話に力を入れていかれる方針についてはよくわかります。しかしながら、それにもかかわらず、やはり加入主、公衆従という従来の考え方はちっとも変っておらぬように思う。加入電話に力を入れる程度までに公衆電話には力が入ってこないのではないか、こういう感じを受ける。といいますのは、公衆電話に対する需要は、これはなるほど申し込みは一枚であるかもしれませんけれども、その裏にある一般公衆の熱心なる希望、念願は強いものがあろうと思う。それらを考えますると、単に電電公社の窓口に申込書となって現われた数以上に需要度の高いものがあるように私には思える。そういうことを考えてみると、考え方は、ずいぶん公衆電話に力を入れておるとおっしゃっても、実際はその実需の申し込みの率からいいますと低いものでありはしないか、こういうことを思うのでありますが、この点はどうでありますか。私の言わんとするところは、この辺で一つさか立ちをして下さらぬか、こういうことなのです。
  104. 横田信夫

    横田説明員 先ほど数字を申し上げましたときに少し言い足らぬ点がありましたが、現在のようなときに、できるだけ公衆電話に力を入れろという先生の御趣旨ごもっともで、私も賛成であります。実は先ほど数字をあげましたのも、この公衆電話をうんとふやしていくというので相当力を入れた結果が、二十七年を前提にいたしまして四倍にふえておる。もちろん加入者の方はそんなにふえておりませんが、増加の率からいいましても、公衆電話のふえ方は前に比べましてうんとふえてきております。ことに戦前に至っては非常に少ない数字でありましたが、戦後御承知のように、単にボックス公衆だけでなしに、委託公衆、簡易公衆も含めてできるだけふやしていくという方策をとりましたことによって、この数字はうんとふえて参ったわけであります。で、今後もこの点については力をゆるめずにやっていきたい。そういう方針で、私たちの方は従来第一次五カ年計画のときに力を入れたと同じように今後も公衆電話に力を入れていく。先生の御方針はまさにそのつもりでやっていくつもりであります。従って、その伸び率も、加入電話普及率は、世界における順位もまだ二十二番目で、公衆電話の方はずっとふえ方が多かって十七位までふえたわけですが、なおこの方策は、先生の御指摘のようにできるだけ公衆電話に力を入れていくということを今後ともやっていきかいと思っております。ただ公衆電話をやるから、加入電話は、今積滞新規申し込みに対して約三分の一しかついていませんが、この充足率をもっと下げたらどうかというところへはいきかねるのじゃないかと思いますが、公衆電話に力を入れることは、御指摘のごとく今後ともやりたいと思っております。
  105. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 非常に極端な言い方かもしれませんけれども加入電話において他の先進国に追いつくまでには容易なことじゃない。せめて公衆電話では世界第一等になってもらいたいというのです。そうしてそれは可能であると思うのです。それであればこそ、せめて公衆電話については、十七番目などとおっしゃらぬで、第一等を目ざして猛驀進をしていただくわけにはいかないだろうか。それについてのお考えがなされていたかどうか、こういうことを承りたいのであります。力を入れておられることはよくわかるのでありますが、そういうことについての考えはいかがですか。
  106. 横田信夫

    横田説明員 力を入れておるのが、実績に今後とも現われるという点が問題だろうと思いますが、なお公衆電話の、たとえば三十五年度の公衆電話のその後の農山漁村の方の普及は、この計画はここにありますが、このほかの、先生の御指摘のように、都会その他における公衆電話の普及についての、具体的に現在三十五年度において指示いたして進行しておる方針について、営業局長からちょっと御説明させます。
  107. 大泉周蔵

    ○大泉説明員 公衆電話につきましては、先生の御意見まことにごもっともでございまして、実は私たちも大体そのような考え方をいたしております。つまり公衆電話加入電話にかわり得るということはないと私は思いますけれども、とにかく、せめて公衆電話でもなければ役に立たないということで、公衆電話につきましては、できるだけ可能な限りは、実態上即応するようによけいやるようにということで、これは計画の中で非常にはっきり現われておりますが、無電話部落地帯の公衆電話、そのほか加入区域内の無電話団地などにつきましても、少なくとも公衆電話だけは必ずつけるようにということで指示いたしております。  それから先生のおっしやいました趣旨から、工程につきましても最低限これだけやって、なお実情に応じて工程をやるようにということで、実情に応ずるような指示をいたしております。  大体そういうことでございまして、なお先生がおっしゃいました呼び出しの件についてでありますが、この点につきましても、呼び出し電話という制度は、回線保留が長くて工合が悪いものでございますから、一たん切りまして、さらにかけ直すという方法ならよろしいということで、ことに団地等につきましてはその方法も指示いたしまして、できるだけやるようにいたしております。
  108. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 よくわかりました。その力を入れていただくことを、これは公衆の立場から、庶民の立場から非常に感謝するのでありますが、ただ、やはり考え方の中に、公衆電話加入電話にはかわるわけにはいかないが、こういうことを言われておるのですが、実は私は、公衆電話をもって加入電話にかえ得るような、これは技術的になかなかむずかしいかもしれませんけれども、地方においてはもうすでにそういう事態になってきていると思う。それは確かに世の中が変わってきておるのです、世間全体が変わってきておりまして、昔のように非常にこしょこしょ暮らすとか、あるいは自分たちだけで暮らすとかいうことでなしに、みんな開放的になり、秘密というようなこともだんだんなくなってくるというような世間の傾向である。従って地方などにおいては、大きな、電話が部落全体に聞こえるようなことであっても、それでもいい、むしろその方がいいんだというようなことになっておるようであります。昔のように通信の秘密性というようなことは、これは大へん大切なことであります、事業上、作業上その他については私は大切なことであろうかと思いますが、しかし一般の社会生活においては、実は秘密のない社会こそいいんじゃないかというふうにまで考えるのであって、そういう意味におきましては、昔の公衆電話考え方と、今日それから今後における公衆電話考え方あるいは使命というものは、よほど変わってくる。従って、ある程度公衆電話加入電話にかわり得る状況といいますか、そういう使命をも達し得るようになってきた。そこで、そういうことも考えていただいて、公衆電話加入電話にかわり得るような方途というものを、ここでさらに技術的にも研究なさり、それから制度扱い上にも研究なさるお心がまえになっておられるか、方針をとっておられるかどうか。もしとられておるとするならば、その状況などを承りたい。
  109. 横田信夫

    横田説明員 いろいろわれわれの参考になる御意見を聞かしていただいて非常に感謝いたしたのでありますが、先生のおっしゃるように、公衆電話というものがある段階までは確かに加入電話にとってかわるし、それでお客さんの不足がちな需要に対して、少なくとも電話の利便を公衆電話というものによって早く普及していくというのに役立つことは、先生のおっしゃる通りであると思います。またそういう意味で公衆電話に力を入れていくことは、仰せの通りいたそうと思っております。ある段階以上にいくと、またお客さんの方も公衆電話では満足されなくて、そこまで出かけていくのではなくて、自分の家におって、あるいは机におってすぐかけたい、こういうような傾向になるのが、また大体の世界の趨勢ではないかと思います。そういう意味で、公衆電話をある程度普及していくことはもちろん力を入れていく、その次に、先生のおっしゃるように、公衆電話的な意味でいわゆる多数共同的な、自分の家からかけられるけれども、局からの回線は一本で、できるだけみんなで利用していく、その間に話が漏れてもかまわぬ共同電話、こういう過程もある程度考えたらどうか、そういう先生の御意見だろうと思います。そういう点は、われわれとしても従来ともそういうことも研究いたしてきておりますが、今後ともそういう点についてできるだけやっていきたい。ただある段階を越えると、またそれでもだめなんでありまして、御承知のように、アメリカでは住宅はほとんど共同、イギリスは法律で住宅は共同ということになっておりますが、アメリカの住宅の共同も、四共同、八共同というような共同も非常に多いわけですが、今の状況を見ますと、アメリカではそういう四共同、五共同というものを、もっと少ない二共同にしてくれ、二共同を単独にしてくれ、やはりこういう要求が非常に多いのです。そういう需要まではなかなかアメリカも応じ切れなくて、日本で積滞数が非常に大きいのですけれども、アメリでもそういう意味のディグレード——つまりランクを上げてくれという意味の申し込みは、ベル会社も応じ切れなくてそれがたまっているという需要が非常に多い、こういう状況にあります。そういう意味で、この電話の公衆電話と一般電話との関係も、公衆電話である程度加入電話の足らぬのを補って、加入電話のかわりにも御利用願う、そしてもう一歩進むと多数共同、もう一歩進むと単独で、だんだんよくなる、こういう電話の発展過程をたどるものと考えます。そういう点につきまして今後ともなお一そう研究さしていただきたいと思います。
  110. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その電話の発展過程は、各戸電話という理想境に達するまでは軽視するものではない、これは私はそうなるであろうと思いますが、そうした発展過程において、それまでになかなか時間もかかるし、金もかかる。そうして今、現段階においては資金面において苦労なさっておる電電公社が、方向としてはいきなり加入電話第一主義と申しますか、その理想境に向かって直接に進んでおるように思う。もちろん加入電話の方にも力を入れておられる、こう言われますけれども、今度の計画の中においては加入電話をかなり押えて、まず第一に公衆電話をばらまいて、公衆電話を必要とするところは全部ばらまいて、その上でなお緊切な加入電話住宅電話については考えようというような考え方ではなくて、住宅電話の積滞数がうんと多い、それを七七%くらいまでは充足したいのだという念願が先に立ってしまって、しかし公衆電話の方も需要が多いのだし、相当効果も上がるからそれをも取り入れよう、こういうことのように思われる。私は力を入れないとは申しません、力を入れていただいておることはよくわかりますけれども、この住宅電話需要をうんと押えてでも、第一に公衆電話を理想の状態に置いてみて、その次のステップとして加入電話住宅電話の方に力を入れるというように考え直されないものかどうか、こういうことをお尋ねしておるわけであります。
  111. 横田信夫

    横田説明員 加入電話第一主義で公衆電話にも力を入れておるという御指摘でございましたが、並行的にいっておることは確かでありますけれども、並行的にいっておる中で実は公衆電話の方により力を入れておるわけでありまして、加入電話については、今の予算が成立されることを前提にいたしますが、その場合に加入電話の架設はこれだけだというようにいわば計画的に進んでおりますけれども、その加入電話とそれから公衆電話、ことに委託公衆、簡易公衆は一緒にいけるものですから、公衆電話の方は数を限らぬ、これは必要ならこの中で幾らでもつけなさいということを通信局の方に指示いたしておるわけであります。その中でどちらを優先的にやっておるかといえば、公衆電話の方は数を本社でも限定していない、先ほど営業局長も申し上げましたが、どちらかということになると公衆電話の方によりウエートを置いておるととは確かなんでありまして、されば先生のおっしゃるように加入電話はやめておいて公衆電話だけ一年間やってしまえ、これはちょっと無理かと存じますので、並行のうちで公衆電話により力を入れるという点で一応御了解願いまして、先生のおっしゃる問題についてはなお一そう研究させていただきたいと思います。
  112. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 それでは、これははなはだ突っ込んだお伺いになるのでありますが、公衆電話需要がそれからそれへと増してくるのですから、これでなかなか完全とは申し上げられませんが、この辺ならばよかろうという状態になるまでにはこれからどのくらいかかるのですか。たとえば一年とか二年とかの間にできる予定でありますか。
  113. 大泉周蔵

    ○大泉説明員 実はその点につきましては、公衆電話需要というものの調査は非常にむずかしいのでございまして、私たちの方では、先ほど申し上げましたように、無電話部落については言わなくともほしいであろうことはわかりますので、当然つけるという計算をして考えておるわけです。そのほかに、たとえば街頭等において幾つあればほんとう需要に満つるかということになりますと、私たちとしましては必要なものはどんどんつけていく。場合によっては加入電話の方を振りかえてもかまわない、とにかく需要に応じたらいいじゃないかという考え方でやっております。ただ公衆電話につきましては、実際問題としましてたとえば度数制局、均一制局というようなところにおいてはいろいろ特殊事情がございまして、それぞれその間におきましてもあらゆる機会にできるだけどんどん需要に応ずるようにということを指示いたしておるわけであります。ただ、いつになったら完全か、こう言われますと、私たちとしましてはもうこの問題に関しては最優先にできるだけ考えておる、こう申し上げていいと思います。ただあるいはこういうことを耳にされますと違うじゃないかとおっしゃるかもしれないと思いますが、実は加入電話をつけたいために委託公衆電話をつげてくれとか、あるいは優先順位をとりたいために簡易電話にしたいからつけてくれという御要望については、需要数その他の点から審査しまして、そういうものは一般の優先順位を乱るものですからできませんけれども、精神としましては私たちは先生のおっしゃる通りのような気持で運用しておるわけであります。
  114. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そういう方針をとっておられることにつきましては私も非常に感謝をいたします。ぜひそうありたいと思う。ただ現場において聞きますと、これは無電話部落解消のことにからむわけでありますが、一本加入電話があるので百戸くらいある部落でも公衆電話を引いてもらえないのだという現象が起こっておる、それが大へん文句の種になっております。逆に公衆電話があるところには加入電話をしばらくの間——公社の方でもこれだけ苦労しておるんだけれどもなかなか容易じゃないんだから、公衆電話の方でがまんしてくれないかということであってこそ私どもには了解できるのでありますが、実際は逆のようであります。加入電話があるがゆえに公衆電話がつけられない。公衆電話がないがゆえに、こちらの人が加入電話を持っていると、その対抗上こちらにも加入電話をほしいということで、加入電話需要がこちらの加入電話のあることによってかえって強まっていく。もしそうでなくてそれが公衆電話であれば、それをみんなで公平に仲よく使うことによって一般の需要が達するのでありまして、今の積滞数であるとか、申し込んでも引かないというような文句も比較的少なくなって、電電公社としても楽をするのではないかと思うのでありますが、これらは私どもがたまたま見る現象でありましょうか、それとも国内全般にあちこち起きているようなことでありましょうか。もしそういうようなことであるならば、それに対する対策はどうなっているのか承りたい。
  115. 大泉周蔵

    ○大泉説明員 ただいまのお話は、無電話部落対策を講ずる場合に、すでに加入電話一つあった場合には無電話部落としては扱われなくて、結局電話がつかないということに対する御指摘かと思います。この点につきましては、無電話部落と、希少電話部落と申しますか、電話が非常に少ない部落の両方を拾い上げまして、これを全部解決するように努力いたしておるわけでございます。そこで、加入電話一つだけあって使いにくいときには、これを簡易公衆電話として、つまり加入電話を公衆電話の用に供するという形をもしおとり願えば、そのような御要求にはすぐにも応じるような用意でおります。しかし、それはいやだけれども別につけろということでありますと、現在では希少電話部落につきましても一定の基準を立てまして、やはり電話の使いにくいところには無電話部落対策の一環としてある一定の基準でつけておるような次第でありまして、今おっしゃいました御趣旨につきましては、実行面においてさらに十分注意してやっていきたいと考えております。
  116. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 公衆電話の方にばかりなったのですが、実際はおっしゃるように簡易公衆ですか、そういう方に持っていけばいいのですが、それが話がつかない。既得権といいますか優越感を持っていたいという今の加入権者が、そういう一般の需要には応じなくて問題を起こしているという例は、私が知る限りにおきましても幾つかあります。おそらく全国的には多いように思われる。そういうことについては、電話がもし公衆性、公共性ということから出発したならばこういうことはなかったと思うのでありますけれども加入電話加入権ということが重視された今日までの歴史的な産物として出てきた現象だろうと思います。これはしかし何かの方法で解消するように、もちろんこれは話をつければいつでもと言われますが、実際問題としてなかなかつかない。そういう現象が起きております。これは理論ではなくて、実際の問題として何か解決するような道を講じていただく。そういう場合においては、要するにある地域であるとか、あるいは集団に対しては、それがどういう状況であろうと一つだけ公衆電話を置くのだ、全国的にばらまくのだという方針が強行されれば、優先的に強化されればおのずから解決するような問題だろうと思います。これは私の希望でありますので、御検討を願ってすみやかに何とかそういう問題が解決するような方向に持っていっていただきたいと思います。  そこで私の今までお尋ねいたしましたねらいは、今度の法案の一番大きな問題は資金難のように承っておるのであります。その資金難があるにもかかわらず世間の需要に応じなければならない、これは一見非常に矛盾する、相背馳するような条件の中に置かれておるものです。そこでそれを幾らかでも緩和する道といえば、加入電話の方についてはかなり押えて数は少なくしてでも公衆電話をばらまくことによって、少し時をかせぐ方法をおとりになる必要もあろうかと思う。そういう考えは持っておるけれども、しかしそれはそれ、これはこれだという今までのお答えのようでありますが、ここで思い切って、この計画の中から十万——公衆電話六万五千でありますか、今度十万ですか、十万を十五万にして五万をふやすことによって、二十万の加入住宅電話需要に応じ得るような社会的なる効果をねらうという道もあろうかと思われる。五万個公衆電話をふやすことによって、二十万なり三十万なりの加入電話はしばらく待ってもらうということも可能ではないかというふうな考えを持つものですからお尋ねしたのでありますが、こういうことについてはどうお考えですか、副総裁から一つ
  117. 横田信夫

    横田説明員 お話しのように、公衆電話についてはなお一そう努力いたしたいと思います。ことに最後の御指摘のような場合については、責任を持って善処するということをお答え申して、十分やっていけると思います。最後の御指摘のような加入電話の場合に、できればやはり簡易公衆電話としてこれにお勧めして、やっていただければそれでいいし、その人が変わった人で、どうしてもできない、ほかの一般の村の人に迷惑をかけるというような場合には、なお一そう配慮をすべきだという点については、十分善処いたしたいと思います。
  118. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私の結論的にお伺いした点はお答えなかったのでありまして、くどいようでありますが、今のような電話の本質から考えてみて、電電公社がお考えになっているような世間を満足きせるような状態は、容易にこないのではないか。今のこの計画をお進めになっても、なお不満の声は高まるかもしれないけれども、やれやれもう大丈夫だということまではいかないのではないか。四十七年度末をねらっておられるようでありますが、とうていそれでは満足しないのではないか、こういうことが想像せられます。かりにこの計画がこのまま実行に移されても、容易にそういう様相が築き得ないとするならば、ここで一ぺん振り返ってみて、公衆電話にうんと力を入れるということに方針を立て直してみて、一応この世間の需要をがまんしてもらうような状態を一時的にも作り出す方針、お考えはないものかどうか、こういうことを承っておるのであります。
  119. 横田信夫

    横田説明員 農山漁村における公衆電話増設は、実は既定計画の一万五千を、先ほど御説明いたしましたように、三万四千三百に改訂いたしたわけであります。そのほかのものと合わせて十万、この十万につきましては、先ほど営業局長から御説明申し上げましたように、今の簡易公衆等は加入者であり、同時に公衆電話である、こういうようなものもあるわけであります。こういうものについては、一応こういう予定にはなっていますけれども、今のようにわれわれの指示としても、これについて実行上ほんとうに必要なところを押えるということはやってない。むしろ要望があるところはできるだけふやしていけという計画でやっておりますので、加入者電話がふえると同時に公衆電話がふえるという形にもなるのでして、こういうものがこの予定数以上に、ほんとう需要があればもっとこの数よりふえるだろう。だから加入数を減せと言われましたけれども、減さなくてもこれはふえていくんじゃないか、こう考えておるわけであります。どちらに重点を置いていっているかと言われれば、先ほど局長から申しましたように、簡易公衆電話申し込みで、当然自分一人でなしに、そのほかの人のためでもあるという場合は、これは優先順位になっていますし、そういうものを先にやれ、これは数を制限せぬ、こういうことになっておりますので、並行とは言いながら、公衆電話の方により重点を置いておるという方向でいっておりますので、先生お話のごとく、まず公衆電話にやって、加入電話はこの予定数を減せということにつきましては、今のような方針をとっておることによって、さしあたりの公衆電話優先主義というものは相当貫徹されておりますので、なお不足な点がありますれば今後研究さしていただくことにして、先生のおっしゃるこれを改訂しろということについては、ちょっと今改訂については御猶予を願いたいと思います。
  120. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 これは押し問答ばかりしておっても時間が過ぎてしまいますので、大臣にお伺いするのでありますが、結局、この法案の一番の難点は、資金をどこから取り出すかということになるわけであります。提案された案のように十五万ないし六万でありますか、何万かを加入者から借りるというこの道は、一つの道ではあろうと思いますけれども、しかしながらもう一つの道、しかもそれは郵政大臣としては考えなければならない道であろうかと思うのでありますが、政府の方の資金の中から、もっとよけいに電電公社事業の方につぎ込む道はないものか。昨年末以来の予算折衝上、大臣はずいぶん御苦労なさったことと私は想像いたします。想像いたしますけれども、その御苦労の結果としてはあまりにも少ない財政投融資の電電公社事業への協力であるように思われる。これだけの大事業を国の方針として電電公社にさせようとするのに対して、国がその持てる資金面から電電公社事業に対して協力するのにあまりに薄いのではないか、こういう感じを私は強く持つのでありますが、郵政大臣、これについてはどういう御見解、御所信をお持ちでありましょうか。今日までの御苦心の状況などをも加えてお聞かせいただければしあわせだと思います。
  121. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 財投が五千九百四十一億でございますか、ですから、もっとぼしかったのはやまやまでございまして、いろいろ折衝はいたしたのでありますけれども、なかなか財政投融資からは十分にこっちに回りませんでした。ただいまの御意見の通り、もっともっとたくさんほしいようにも思いましたが、まずまずこれならば四十万加入が達成できるという見通しがつきましたからには、一応これで満足と申しましょうか、これで引き下がったようなわけでございまして、そのかわりに、その次の年には四十三万、さらに四十六万という予定が控えておりますので、その次の年にまたうんと皆さんに御協力いただいて、がんばってとってもらおうと思っております。
  122. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私はこの辺が郵政大臣の腕の見せどころだったと思うのです。私の口から申し上げるまでもありませんが、財政投融資の資金については、郵政大臣としては、ずいぶん大蔵省方面といいますか、その面に寄与なさっておられる、貢献なさっておられるわけです。ところが、今度関係なさっておられるところの通信事業、電電公社事業の、これは一大事業を遂行なさろう、させようという段におきましては、今までかりに四十億なり五十億なりのワクであっても、それを数倍あるいは十数倍にしてもいいように思う。郵政大臣なればこそその主張が国に向かってできるのではないか。そういう主張をなさっただろうとは思いますけれども、結果は依然としてそういうことであることは、大へん残念に思うのであります。今後これについてはどういうふうにお考えになられますか。ことしはあの災害復旧などのためによけいに住宅その他の方面に財政投融資の資金が要るのでやむを得なかったとはいうものの、それは去年のことしなればこそである。ですから、三十六年度以降などについても、より以上郵政大臣は財政投融資面の投資先については主張し得るように思う。一つ見通しをお聞かせいただきたい。
  123. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 確かに、どうも私たちの希望には切りがなかったのでございますが、しかし、前年度、前々年度、さらに過去ずっと比較いたしますと、ことしが一番たくさんとれておりますから、まあこの程度一つ及第させていただきたいと思うのでございます。むろんこれは私がとってきたのじゃない、同僚議員たちのほんとうになみなみならぬ御協力と、電電公社はもとより、事務局がうんとがんばってくれましたために、私はあまり働かないのにかかわらず、初めてこんなにたくさんもらったのですから、ことしは一つこの程度でごかんべん願いたいと思います。来年はもう私の首がないはずでございますから、今度は一議員として一生懸命に皆さんと力を合わせてこの予算をたくさんもらいたい、さような決意でございます。
  124. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 大臣、去年よりも多いという考え方はこの場合は当たらないと思います。今まで想像もできないような大飛躍をなさろうというのが今度の計画なんです。それに対して、郵政大臣としては、それなりの力の入れ方というものがあるべきであって、去年これこれだったのが五億よけいになったとか、十五億よけいになったとかいうことであっては、私どもとしては満足できない、納得できないのであります。大臣一つそういう考えに立って、去年の暮れにはできなかったけれども、今後はうんとでかすのだという御決意は持っておいていただきたいように思いますが、その点は考え直していただきたい。
  125. 植竹春彦

    ○植竹国務大臣 御説の通りよく尊重いたしまして大いにがんばります。
  126. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 次会は来たる八日火曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十四分散会