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1960-02-24 第34回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十三日(火曜日)委員長の指 名で次の通り小委員及び小委員長を選任した。  有線放送に関する小委員       秋田 大助君    淺香 忠雄君       佐藤洋之助君    進藤 一馬君      橋本登美三郎君    平野 三郎君     早稻田柳右エ門君    小沢 貞孝君       片島  港君    森本  靖君       大野 幸一君  有線放送に関する小委員長            淺香 忠雄————————————————————— 昭和三十五年二月二十四日(水曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 佐藤洋之助君    理事 秋田 大助君 理事 淺香 忠雄君   理事 進藤 一馬君 理事 橋本登美三郎理事 早稻田柳右エ門君 理事  片島  港君    理事 森本  靖君       賀屋 興宣君    上林山榮吉君       木村 武雄君    根本龍太郎君       渡邊 本治君    原   茂君       松前 重義君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植竹 春彦君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣房房長) 荒巻伊勢雄君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         日本電信電話公         社営業局長   大泉 周蔵君         日本電信電話公         社計画局長   伊藤  誠君         日本電信電話公         社施設局長   平山  温君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 二月二十三日  委員金丸徳重君辞任につき、その補欠として佐  々木更三君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する  法律案内閣提出第一三号)      ————◇—————
  2. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 これより会議を開きます。  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告があります。これを許します。松前重義君。
  3. 松前重義

    松前委員 第二次五カ年計画改訂におきまして御質問をしたいと思うのですが、その一つは、料金政策加入区域との問題であります。料金政策加入区域の問題というのは、どういう意味を含んでおるかと申しますと、たとえば東京のような大都市は、非常に遠距離なところであっても、通話料金は七円でいいのであります。たとえば荻窪の端から葛飾の端まで電話をかけても、七円でいく。非常に加入区域は広いのであります。ところが、いなかに行くと、非常に加入区域は狭くて、それでしかもほんのお隣のところと電話をするのでも、市外通話で、しかも待ち合わせ時間はめちゃくちゃにかかる、こういうことになっており、従って、料金の面からいうと、多額の料金を払わなければ、電話はかからないということになります。こういう非常な矛盾が、電話の現在の計画の中に、また実施されておる現在の電話事業の中に存在をしておるのでありまして、これに対して、第二次五カ年計画においては、いかなる考慮を払っておられるのであるか、これを一つ伺いたいと思うのであります。
  4. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいまの加入区域の問題でありますが、ただいま御指摘通り、現在の制度のもとにおいては、確かに今お話のような不権衡といいますか、不合理な点が横たわっておると思います。実はこれにつきましては、だいぶ前から料金改訂、といいまして増収の改訂ではありませんが、合理化意味における料金改訂をやらなければいかぬ、さようなことで種々調査をいたしまして、だんだん結論にやや近づきつつあるような状態でありますが、まだその改訂料金を、今度の改訂五カ年計画に盛り込むまでには実は熟しておりません。今回の改訂案にはそのことは入っておりません。
  5. 松前重義

    松前委員 その案の内容はどういうふうな案の内容でありますか、事務当局から伺いたいと思います。
  6. 大橋八郎

    大橋説明員 いずれいま少し煮詰まってある程度の案ができますれば、広く各方面の御意見も聞き、むろんこの委員会等でもあらかじめ腹案等を申し上げ、さらにその上に進めていきたい、かように考えております。実はまだ当局の案としても、いろいろな案があるという程度でありまして、この案が最上の案であるという程度までまだ熟しておりません。特に確信を持ってこの際ここで御説明申し上げることは、ちょっと時期が早いのじゃないかというふうに考えたのでございます。いかがでございましょうか、熟していないものでも、何か考え方だけでも御説明した方がよろしゅうございましょうか。
  7. 松前重義

    松前委員 御答弁、非常に抽象的でありまして、もう少し、もし案を御検討中であるならばその検討しておられる内容その他についてお漏らしを願って、そしていつごろこれは実施したいか、その大体のめど、これだけの膨大な計画を一応実施するといたしまするならば、少なくともそういう基本的な問題をきめてかからなければ、これはしばらく実施も控えなくちゃならないというふうにもなると私は思うのでありまして、この基本的ないわゆる電話料金加入区域との問題が解決しないままで計画をどんどんお進めになるということは、矛盾をますます増大せしめることになることは言うまでもありませんから、この点につきましては従来の方針でどんどん計画を当分の間お進めになるつもりかどうか。そういうことになるとますますこれは病膏肓に入ることになって、あとでこれの訂正が困難だと思うのであります。早急におやりになるならばまあこれは別といたしましても、ずいぶん長くなるということになれば大へんなことになると思うのですが、その点どういうものでございましょうか。
  8. 大橋八郎

    大橋説明員 私どもは実はできるなら、うまく案が進みますならば、この国会にでもと最初は考えておったのでありますが、ちょっとそこまで調査が行き得なかったのであります。そう長くこれをいつまでも便々と延ばすことはできないとは痛感いたしておりますので、今後の調査の進捗の工合によっては、あるいはこの次の通常国会にでも出し得れば非常にけっこうだ、またその目途を持ってこれから調査をさらに進めたい、かように私ども考えております。  きわめて抽象的な話になるかもしれませんが、大体今度の料金合理化の問題は二の点にしぼられると思います。一つは、先ほど御指摘のありましたような、大都会地方との市内電話料金の不合理といいますか、不権衡という問題だと思います。いま一つは、市外通話料金の問題がそれにさらにつけ加わるわけであります。現在の市外料金というものも、料金合理化の点からいいますと、これまた相当合理の面が多いわけであります。結局この二つの点に今度の合理化問題がしぼられるだろうと思います。ことに市外通話料の問題は、同時にまた即時通話、特に自動による即時通話の問題に関連いたします。そうなりますと、自然、機械なりその他の変更も伴いますので、相当複雑な関係を生じます。従いましてその点の調査を寄り寄り進めておりますので一つ仕事がおくれているようなわけでございます。しかしこれを長く延ばすつもりは毛頭ございません。できるだけ早くこれを実行したい、かように考えております。
  9. 松前重義

    松前委員 いなか加入区域を広くするということは、これは当然考えなければならない問題であると思います。現在でもこれは実行できることでありますが、電電公社の内規か何かに書いてあるのかどうか存じませんけれどもいなか都市あたりで、加入区域を広げるという同じ行政区域の中にあっても、その距離等において、ちょっとでもこれが中心から離れておるようなときにはなかなか分局も作れないというような話を、実際の場において私どもはよく承るのであります。東京などはそれよりもはるかに人口稠密であって、しかも地域も非常に広いのにどんどん分局が建つ。一体どういう概念で、現在の法律その他によらなくても、現在の電話拡張の基本的な問題として、どうしてそういうふうな取り扱いを大都市いなかでなさっておられるのか、この点ちょっと伺いたいと思うのです。
  10. 横田信夫

    横田説明員 お答え申し上げます。実はこの問題につきましては、先生の方が研究は非常に進まれておるわけでありまして、私の答えが釈迦に説教みたいなことになるかもわかりませんが、世界趨勢からいいますと、御承知のように従来加入区域料金区域をどうするかということについては、大都市いなか相当均衡がある、これをどう救済するかということは、救済する方向として二つあるわけでありまして、従来はたとえばニューヨーク、ロンドン、ロスアンゼルスという、どちらかといいますとそういう広いところは、幾つかに分けまして、同じ市内通話区域ではあるけれども同一加入区域であって料金区域としては幾つかに分かれる。すなわち、ある区域からある区域へ行く場合に、二通話になる、または三通話になるというような市内料金帯域というものを作って、それでいなかとの均衡考えていくという一つ方向があるわけであります。市内料金帯域制と申しておりますが、そういう方向でこの問題の不均衡を是正していこうという方法で、東京なり大阪をそういうようにしていくという一つ方向があり得るわけであります。もう一つ方向は、そうでなくしてむしろ今先生の仰せになりましたような、いなか電話局も単局地でなくして複局地にして、同一加入区域にし、料金区域も広くしていく。それで市外の方の段階も、できるだけ段階を少なくしていこう、こういう方向と二つあるわけであります。最近の趨勢なり将来の技術の発展あるいは全国自動ダイヤルというような方式考えていくと、むしろ後者の方式の方がいいのじゃないかといっているのが世界全体の傾向のようにわれわれ理解いたしております。そういう問題についての研究を今進めておるわけでありまして、この点が先ほど総裁のお触れになりました問題であります。  なお現在といたしまして複局地と単局地、そういう根本的な改正は別として、今どういうようにいたしておるかということについては、現在はいなかの方におきましては、行政区域同一になりました場合に、これを市内通話にできるようにわれわれの方の電電公社もできるだけ御協力申し上げる。しかしこれは設備相当増強しなければならないし、この可能な限度ということで、順次そういう方向に動いておるわけでありますが、その同一行政区域の場合には、全国としては非常にたくさん対象地区がありますものですから、さしあたり一応ただいま手をつけておりますところは六キロ以内の地域についてはできるだけ市内通話にして、できれば合併していく。あるいは合併できなくても、従局方式でいくというような方法で順次やっておるわけであります。それをこえる地域につきましては、同一料金区域にはできなくても、市外通話の待合時間をできるだけ短くして、できれば即時通話にするというような方向考えておるわけでありまして、この第二次五カ年計画改訂もそういうことを頭に入れました計画をいたしておるわけであります。
  11. 松前重義

    松前委員 私は、そこに問題があると思います。この六キロという数字が非常に問題だと思うのであります。六キロというのは一体どういうところから出てきた数字であるか、つまらぬことのようですが、非常に大事なことでありますので、その点を伺わせていただきたいと思うのであります。東京あたりでは六キロどころじゃないのでありまして、そこに大きなアンバランス、不公正さがある、こういうふうに私どもは見ております。この点は何か理論的根拠がおありになるか、伺いたいと思います。
  12. 横田信夫

    横田説明員 その辺につきましては、この六キロというものについて、たとえば技術的な観点から絶対的な標準があるというものではありませんで、これも今のキロとしては、広さは広いほどお客さんのためには便利なわけでありますが、何分対象の局が非常に多いので、一応この程度のものをさしあたりの基準にいたすというものでありまして、これを絶対的な動きがたいものの技術的な根拠とかいうものに基づいての距離区域ではないわけであります。
  13. 松前重義

    松前委員 早い話が、第二次五カ年計画ではそういうけちな六キロというような短い距離でなくて、これをもう少し思い切って拡大する御意図はありませんか。
  14. 横田信夫

    横田説明員 先ほど根本的問題として申し上げましたような料金問題の従来の考え方は、今先生の御指摘になるように、複局地というものが日本においては都会だけだ、いなかは単局地だ、これで長い間ずっと、長い歴史で来ておったのでありますが、この問題は、先生のおっしゃるように、根本的にもう一ぺん再検討してみるべき時期じゃないかと考えるわけであります。そういう意味におきましては、料金問題の根本的な一つ検討の問題として、この問題も取り上げて考えていきたい、そういうことで、ただいま事務的に種々検討させていただいておるわけであります。
  15. 松前重義

    松前委員 加入区域を拡大するという問題につきましては、これは早急に実行しなくちゃならないはずだと私は思うのです。今度御提出になっておられるいわゆる第二次五カ年計画の中には、そういう考え方を実施する具体的なプランが入っておりますか、おりませんか、伺いたいと思います。
  16. 横田信夫

    横田説明員 先ほど総裁がお答えいたしましたように、この料金制度そのものがこの第二次五カ年計画には入ってないわけでありますが、今の料金問題を考える場合に、われわれのこの五カ年計画考える場合との関連と申しますならば、一応料金制度改正という問題も、べースとしてはいわゆる全体としては、料金レベル同一に頭に置いて今のような問題を考えていこう、このベースも別に考えるとすれば、当然この五カ年計画との間に収支の見通しそのほかにおいて相当の違いが出てくるわけでありますから、ベースは大体に置かしていただこう、従って先生のおっしゃるように、加入区域というものを相当広くした場合、市内通話料金というものは相当減収になるわけでありますが、しかし一方においてそういう減収がある場合に、一方においては料金の是正もしていかなければならぬ、こういうようなことも全体的に料金制度として検討していって、料金レベル同一に置いたものとして料金制度研究は並行的に研究さしていただくというようにわれわれとしては考えております。なおこの五カ年計画進歩に即応して、この料金制度というものを合理化していくという線は当然料金の問題を考えるときに十分念頭に置いてわれわれは研究を進めていくべきものだと思っております。
  17. 松前重義

    松前委員 私がお尋ねしておるのは、五カ年計画というものは、ただいまのようないなか大都市とのアンバランスが非常に顕著に最近において現われてきておりますから、これを是正するということは焦眉の急であるわけです。第二次五カ年計画というものがここに打ち出されるというようなことはわれわれ希望しておったのであります。従って、ただいま質問をしておりますような加入区域の拡大と料金の問題とをある程度この中に織り込んでありますか、ありませんかということを伺っておりますので、この案の中に入っておるのか入っておらぬのか、その点を御答弁願いたいと思います。
  18. 横田信夫

    横田説明員 第二次五カ年計画の中に入っておる限度につきましては、先ほどお答えいたしましたように、一応第二次五カ年計画改訂中においては六キロの限度までは——今まで地方の方は単局地ということをむしろ原則にいたしておりました。この原則を打ち破りまして、六キロまではできるだけ統合なり、あるいは場合によっては今の従局というような複局方式を取り入れていっても、同一料金区域同一加入区域というところに持っていきたいという点はこの第二次五カ年計画中に入っておるわけでありまして、それが先生のおっしゃるように根本的になお不十分ではないかという点はあるにいたしましても、従来からいいますとある程度進歩はしてきておるとわれわれとしては考えております。
  19. 松前重義

    松前委員 どうもおやりになっていることに納得がいかぬ。将来はやるとおっしゃるからおそらく解決するかもしれないと思いますけれども、なぜ一体六キロということを固執されるのであるか、東京ならば六キロは固執しない、大阪ならば固執しない、しかし地方都市は六キロを固執する、それは人口か何かでしかるべき限度を設けていらっしゃるのかどうか、その基準をちょっと教えていただかぬと納得がいかないのであります。
  20. 平山温

    平山説明員 お答え申し上げます。今副総裁からお答えいたしました六キロと申しますのは、統合したりあるいは従局にした場合における経済的な要素がもちろん入っておりますけれども、そのほかに先生がお尋ねになりましたところの加入区域を設定するにつきましては、公衆電気通信法第二十九条に、いわゆるその地域の社会的、経済的諸条件行政区画、あるいは加入電話の需要、それから供給の見込み、こういったものを総合して考えるということになっておりますので、現在のところさようになっておるわけでございまして、大都市地方がこれによって直ちに均衡がとれておるかどうかという点には問題はありますけれども、一応そういうことから六キロということになっておる次第であります。
  21. 松前重義

    松前委員 そうなるとその六キロというのは、そういう公衆電気通信法の精神をあなた方なりに解釈をされてこの六キロというものを作られたのだから、従ってこれは変更するわけにはいかぬということにお考えですか、どうなんですか。これは非常に重大な問題だと思うのです。
  22. 大泉周蔵

    大泉説明員 ただいまの点につきまして、今の一応の考え方を申し上げますと、実を申しますと、加入区域をどうするかという点につきましては、今後の料金合理化の根本問題でございます。それで、収容区域通話区域というものをどういう工合にするか。単局地通話区域収容区域が一緒になっておるのでございますが、複局地市内通話区域収容区域をまたがっておるわけでございます。そこで、これをだんだん拡大していく場合に、全国的な通話体系に悪影響が起こってはいけないということから、実は現在におきましては、ある意味においては最小限度と申しますか、現段階におけるある限度考えてやられたものと承知しておるのでございます。  それで、かつて四キロ、六キロというような基準をきめられたのは、伝送基準から考えまして、経済的にある程度段階では可能なもの——金さえかければ幾らでも広げられますけれども、ある一定の線路規格でもって経済的可能なものは、四キロ程度ならば割合に簡単だが、六キロだと少し太い線路を使わなければいけない、六キロ程度で大体伝送基準を見て、できるだけ要望に応じていこう。むろん具体的に申しますと、先生も御承知のように、総括局の管内であるか、あるいは端局であるか、集中局であるかによりまして伝送配分が非常に違うわけでございますが、大体社会的な納得等考えまして、六キロという程度基準にしたように承知いたしておるのでございます。今後これをどうするかにつきましては、今後の収容区域をどういう工合にやっていくか、あるいは市内料金通話できる複局の範囲をどこまでにするかということにつきましては、非常に大きな問題になるのでございまして、これをここでどこまでにするかということは、非常に問題になろうかと思うのでございます。  それで、先ほどから総裁あるいは副総裁からの御説明もございましたように、私たちは諸外国の例をも十分参酌いたしまして、日本に最も適する通話料金制度はどういう工合にしたらいいかと考えておるのでございます。それで、その考慮の中の一つには、収容区域につきましては、やはり線路経済のいろんな問題がございますが、通話区域につきましては、やはり料金原価、あるいは社会の情勢というものから、ある程度広げる方向研究の必要がある。その場合に、単一がいいか二段階にするかにつきましては、まだいろいろな諸外国の例がございます。そういうことも考え合わせて研究いたしておるような次第でございます。従いまして、今のまますぐにということになりますと、いろいろ問題があろうかと思いますが、先ほど総裁からの御説明にもありました通り、できるだけ速急に、どのような方向に持っていくかをきめまして、善処いたしていきたいと思っておる次第でございます。
  23. 松前重義

    松前委員 六キロという問題は、これは将来において研究の結果、もう少し併合して通話区域を広くしよう、加入区域を広くしょうというような御意図のように承るのですが、いなかの方は、ただいまお話があったように、経済的な諸条件、その他の条件参考にして六キロというものをきめるのだ、こういう法律によってやったのだという話でありまするけれども、経済的な諸条件という意味はどういう意味であるかということは別問題といたしまして、とにもかくにも、大都市においては相当電話事業というのは利益が上がっておる。いなかではあまり上がらない。あるところは赤字になるというところもあります。ありまするけれども、やはり電信電話公社国営事業公共企業体として経営を一応委任しておる。そういう場合においては、そういう事業の本質として、やはりあまり採算というか、資本家がその辺に何か金もうけのために経営をしておるような仕事と同じように、損するところはやらぬのだというような概念で、ただ計算をしておやりになると、六キロが四キロになってみたり、あるいはまた六キロ程度にとどまるのか知りませんが、そういうことになると私は思うのでありまして、電電公社法にいろいろな字句もありましょうけれども電信電話公社という、一つパブリックコーポレーションという形をとって、そうして国家の、国民全体の利益のために、便宜のためにその企業経営するという負託を受けておる電電公社であるならば、あまりそこばかり着目して計画を進められると、ただいまのような、大都市には非常な便利なものになりまするが、いなかではあまり便利でないばかりか、えらい負担をいなかの人はかけられる。何かにつけて大都市偏重政策になってくる。そういう意味からしても、やはり地方に対しても、大都市における収益をむしろそちらに還元するような態勢をとるのがしかるべきじゃないかと思うのであります。計画の基本的な概念としてこういうふうな方向に向かって電信電話計画を樹立さるべきではなかろうかと思うのでありますが、この点につきましてどういうようなお考えをお持ちであるか。ことに、これは監督官庁である郵政大臣から一つ伺いたいと思います。
  24. 植竹春彦

    植竹国務大臣 今御質問の要旨を拝聴いたしまして、私としても行政をやって参ります上に非常に参考になる御意見を拝聴したわけでありまして、さらに、今電電公社から御答弁申し上げましたような考え方もあり、計画もございますので、よく検討いたしまして、その趣旨にのっとって監督して参りたい、かように存じます。
  25. 松前重義

    松前委員 どうも抽象的でわかりませんが、いわゆるパブリックコーポレーションとしての使命をどのような方向に具現していくかという場合の一つ方向として、ただいまのような非常な地方大都市とのアンバランスがある。これに対して今後の電電公社事業拡張方向として、このような配慮をもって進めなければならないと思うのでありますが、これに対して郵政大臣のもう少し具体的な、どうしてもそうさせるかさせないのか、意見はまことにけっこうだが、何とか考えてはおるというくらいのところじゃ、ちょっとなまぬるい御返事と思うのですが、もう少し具体的な答弁を願いたいと思うのです。
  26. 植竹春彦

    植竹国務大臣 どうも公共性企業性はとかく二律背反的なところもあるので、公共企業体の性格につきましては、各界の御意見もあり、また私としても考えておるところがありますが、ことにまた都市地方とのアンバランスの問題につきましても、公共性に重点を置けば、独立採算制の点において欠けるところがあり、その反対にすればまたそういったような悪結果、悪影響が経営上出て参りますし、また一般大衆にもその影響が出て参りますので、その間の二律背反のかね合いというところが実際問題の運営にあたっての味であり、また一番大切な経営の要点であると存じますので、具体的にそれではどの都市またその周辺のいなかと申しますか、地方事情といったようなことを——大体全国一律にそのバランスのとれた経営をすべきであるとは存じますけれども、やはりその土地の事情もございますので、その辺のことを今後どういうふうにやっていったらばほんとうの意味の公平になるか、悪平等でなしにほんとうの意味の公平になるかというふうなことも一つの課題であろうと存じますので、具体的にどの都市またどの背後地、それをどういうふうにバランスしていくかというふうなこともよく研究して参りたいと存じます。
  27. 淺香忠雄

    淺香委員 関連。今料金問題で松前委員から非常にうがった質問なり御意見等を伺って傾聴に値する御意見だと思っております。そこで、会社の方で料金を今改訂することに種々御準備をなさっておられるようですが、その改訂のきめ方が四キロとか六キロとか、その基準をいろいろ今お話しなさっておられますが、たとえ話ですけれども東京とか名古屋とか大阪等の場合にはどこが都内やら市内やら、順次郊外というものは今はなくなりつつある状態にありまして、工場は建つわ、住宅は建っていくわ、どこが都内やら郊外やら実際にわからないような状態にあるときに、もっと大まかに東京都下あるいは大阪府下というような、全体を一つのものと見るような方式料金改訂をなさることが必要ではないか、私はこう思うのですが、今のきめ方などを聞いていますと、あんまりせせこましい。こまかくコンパスをどこまで引いていくんだ、その次は幾らだ、その次は幾らだ、そんなことではたしてこれが将来を考えたら済むであろうかと私は考えるのですけれども、その点公社の方から一つ意見を一ぺん伺いたいと思います。
  28. 横田信夫

    横田説明員 まことにごもっともな次第でありまして、私の言葉が幾分足らぬ点もありましたが、先ほど申しました六キロというのも、おおむね六キロを基準にいたして同一地域内の通話というものについてはできるだけ市内通話に編入できるように考案していこうということでありまして、局間距離を六キロということでありますが、それより長いのもほんとうに線路をいろいろ手を入れていったり、松前先生の言われるようないろいろな新しい技術的な方法をもっていけば相当広く伸びるわけでありますが、実は残念ながら従来のわが国における電話局の施設あるいは規格というものから申しますと、複局地というものをどちらかというと大都市以外では例外と考えていました。複局地東京とか大阪とかといったような大都市だけにあり、いなかの方は単局地だという考えで従来きていました。そういういなかの方は、市内線路の場合はちょっと越えたから全然聞こえないかというと、それほどじゃございませんが、大体これも九キロくらいの市内線路の規格なんでありまして、そのくらいなら大体自信を持って市内通話というものの規格としていけるだろうというくらいなところの規格で、大体今までできておったようであります。そうすると、局間距離が六キロということは、もう一つその先に加入者まで平均して三キロ延びるということであれば、大体九キロくらいになるだろう。そういうようなことで、もちろん先ほど松前先生の言われたように、あるいは淺香先生の今言われるように、将来の大きな問題としてそういう問題を全部考え直して、もっと新しい線で考え直したらどうかということについて非常に御卓見と思うわけでありまして、そういうことを考えなければならぬわけでありますが、そうなると非常に現在の設備を中心に——さしあたりの問題でなく、少し長い目で見て、そういうところへ持ていくのだ、料金制度もそのため少し変えてもらわなければいかぬ、こういう問題ともからみ合うのでありますが、その点で根本的な問題としてはまさにおっしゃるように研究すべき問題である、さしあたりといたしましては局間距離六キロ、それから先また加入者まで三キロくらい延びるとして、そのくらいの施設が大体全国の基礎になっているものですから、そういうことも頭に入れまして、まずさしあたりとしてはその辺から出発していきたい、こういうように考えます。
  29. 松前重義

    松前委員 大都市における加入区域料金の問題に関連してでありますが、大都市において外国の例にも見られるようないわゆるゾーン・メータリングのシステムを採用して、加入区域というものをある程度局限して、あるゾーンとゾーンとのインター・ゾーンの通話に対して多少料金を高くするというような格好に持っていくならば、比較的これは合理的なものにもなるかと思うのでありますが、しかしそれは大衆に対して多少の負担を増大せしめることになります。ですから、ゾーン・メータリングのような方式によって大都市いなかと大体公平な加入区域にこれを組み立てていくという考え方と、あるいはまた大都市並みにいなか加入区域を増大して、これを公平に両者とも扱ってやる、こういう二つの方式があるかと思うのであります。先ほど副総裁から御答弁があった通り、従ってただいまいなかのやつに対してはある程度拡大したいという御意向のようでありましたが、ところがとてつもない大きな加入区域を持っている東京のようなところは、ゾーン・メータリングを実施するだけの用意がありますか、また何らかの調査、あるいはまたその計画をお持ちであるか伺いたいと思います。
  30. 横田信夫

    横田説明員 その点が非常に大きな問題でありまして、もちろん東京の各局にゾーン・メーターをつけるということが技術的にできないわけではありませんが、しかしそういうインター・ゾーンの方法大都市へ持っていく方向をたどるか、あるいはそうでなくて東京のようなところをそのまま置いておいて、ほかのところを広げるという方法を持っていくか、その辺をどちらにするかということが、実は先ほど申しましたように一番大きな問題であって、その辺がまだただいま研究中でありますし、従って今お話のゾーン・メーターをつけるとしたらどうなるかというような研究は、もちろん従来もいたしたことはありますが、つけるということに決定するかどうか、これからの料金制度はどちらがいいか、今、先生の御指摘のようにイギリスあたりはかつてロンドンを一ぺんインター・ゾーンにした。インター・ゾーン・システムをとったけれども、昨年からまたそれをやめて、いわゆる大ゾーン・システムに持っていった。欧州もどちらかというとそっちの方向へいったというような情勢であります。従来はインター・ゾーンという方向をみな各国とも共通に持っておりました。最近はそうではなくて、もっと大きな将来を考えた場合には、そういうインター・ゾーンの方法をとらずに、むしろ今の欧州、イギリスというような方向をたどった方がいいのじゃないかというような意味におきまして、この問題を至急検討さしていただく、こういうように思っております。
  31. 松前重義

    松前委員 総裁から先ほど、大体次の通常国会までにはその計画を組んで国会提出するというようなお話がありましたが、それはその通りに変わりございませんか、ちょっとお伺いいたしたい。
  32. 大橋八郎

    大橋説明員 先ほど申し上げましたのは、必ず次の国会までに決定して出すということまでは申し上げたつもりはないのでございます。できるならこの次の通常国会には出したい、そういう希望を持って目下調査を進めておる、こういうことでございます。それですから、まあ私の方では出せるものなら出したいという、強い希望を持っておるわけであります。
  33. 松前重義

    松前委員 どうしてもこれは、次の国会では私はむしろおそいと思うので、すでにこの第二次五カ年計画の中に織り込まれていなければならないと思うのであります。思うのでありますが、今のところこれは入ってない。もし次の通常国会に御提案になる場合においては、やはり第二次五カ年計画なるものの改訂が、ある程度必要になると思うのでありますが、その改訂案も一緒に御提案になるつもりであるかどうか、お伺いいたしたい。
  34. 大橋八郎

    大橋説明員 もし料金改訂の結果、現在の改訂五カ年計画の著しい部分に変化を生ずることがありますと、計画そのものを変えなければならぬということになるだろうと思います。ただ私ども考えておりますのは、料金全体としては大体収入の増減がない方向で私ども改訂しようとしておるのであります。個々の料金としては、これはでこぼこが自然と是正される点もありますし、局別に見れば今までよりはだいぶ増収になるところもあり、減収になるところもあるだろうと思いますが、全体の電話収入といたしましては、現在の程度に変更のないもの、こういう前提のもとに改訂をやりたいと思っておりますので、この事柄だけで直接に、第二次五カ年計画改訂したものを、さらに必ず改訂する必要が生じるか、そこまでのところは今のところ考えておりません。
  35. 松前重義

    松前委員 だんだんお話は後退してくるようでありますが、これはもう基本的な問題ですから、これが解決しないでどんどん計画が実行に移されていきますと、矛盾撞着がますますはなはだしくなるばかりであります。これは少なくとも早急にその方式を決定されて、その線に沿うて矛盾撞着のないように——もしもこの案が何らかの修正か何かによって実行に移されるような場合があったと仮定いたしましたならば、当然そのような方向に進んでいかなければ将来に禍根を残すと実は思うのであります。せっかくこれだけの予算を使って、またやり直さなければならぬというようなことでは、ここに二重、二重の手間を必要とすることになりまして、大へんなロスになると思うのであります。早くできるかできないかということは非常に重要な問題であると思うので、初めからこの中に織り込まれてやっておるならば、非常に経済的に——これを加入者にまで負担せしめなくてもいいのではないか、加入者に負担せしめるにしても、非常に軽くなる、このように考えるのでありますが、その点に対して、いわゆる加入区域電話料金の問題についての具体的な施策の設定に対して、もう少し熱意があってほしいものだという感じを持ちます。しかしこれ以上私は質問はいたしません。  第二の問題はオートメーション化の問題であります。いわゆる技術革新の時代と申しますか、これはもう近代というものは常に技術革新の流れによって織りなされておるといっても過言ではないと思います。この技術革新が最近においては非常な勢いをもって、企業の中に取り入れられるようになったことは申すまでもございません。しかも技術革新の進行過程において起こります現象は、従来人手を要してやっておったものが、機械によって処理されて参りますから、人手が要らなくなる、従って雇用の問題との間に大きな社会問題を生じてくるのであります。この問題と取り組んでおる企業の一番先端をいく企業電信電話公社であろうと私は思います。そういう意味からいたしまして、日本の技術革新の進行過程におけるオートメーション化と雇用の問題、この重要な問題にぶつかった最初の大きな企業体としての電電公社は、日本のあらゆる企業に波及するであろう、また波及しつつあるところのオートメーション化の問題の最先端をいくものであり、そうしてまたこれの解決というものが、政治的に大きな意義を持つものであると私は思うのであります。     〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕 そういう意味からして御質問申し上げたいと思うのでありますが、まずこの問題は電電公社当局だけの問題ではないのでありまして、この点は政府の政策の基本問題の一つであると考えます。従って一般論といたしまして、技術革新に伴うオートメーション化と雇用の問題について、政府はどのような考え方を持って対処していこうとしておられるのか。その最初にぶつかったところの電電公社のこの事業を背景として、今後におけるあらゆる企業に及びつつあるオートメーション化と雇用の問題、いわゆる雇用問題とこういう技術革新の進行に伴うところの機械化の問題を、どのような基本的な概念の上に立って政策を進めていこうとされるのか、これを一つ郵政大臣に伺いたいと思うのです。
  36. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは実に大きなしかも重要な問題で、また、はっきりした答えが各界を通じてまだ出ていない問題だと存じます。この問題は人口問題にもつながるものであり、それから文化の進展と、その進展しつつある文化を受け入れるか、受け入れないかの問題でもあり、人類生活の非常な大問題だと存じます。これは政府といたしましての統一見解ではございませんで、個人的の意見が大へん入っておりますので、そういうことを申し上げるのはこういう委員会の席上いかがかと存ぜられますけれども、それをお許しいただくといたしますれば試みに申し上げたいと存じます。  私は、オートメーション化ないしいわゆる機械化、人手を少なくして、楽に、非常に膨大な質と量との品物を作っていく、サービスを生み出していくということは、これは絶対に阻止すべきではない。人類の進化の過程を阻止すべきではない、こういう発明がどんどんと行なわれることを阻止することは、人類文化への反逆、さように考えております。そこで、それならばその現われた新しい発明、新しいオートメーション化、機械化、それを雇用問題との関連においてどう処置していくかということは、人口問題ともからみ合わせました非常に重大な問題であると存じます。郵政省が所管しております現在の段階におきましては——これは私の個人意見ではございません。これは電電公社の問題でございますから、電電公社の方に自主的な考えがおありだと存じますが、監督の官庁といたしましては、ただいまの段階では、そういうふうな場合には配置転換等で処置していくことができる。また、これはちょっと御質問から逸脱いたしますれば恐縮に存じますが、郵務の問題にいたしましても、幸い定員等がまだ十分でございませんので、配置転換をいたしましても、ただいまはその人員を消化していくことができる。自然、定員の新陳代謝等もございますので、ただいまの段階ではさような方法で処置ができていく、さように考えておりますが、いつ何どき非常にずば抜けたオートメーション化が発明されないとも限りません。そういうようなオートメーションの発明と、従ってオートメーション化された作業の問題については、ただいまのところ具体的発明もございませんので、そこまでは考えていないのでございます。しかし、しょせん、これは私たち人類がぶつかります今後の、と申しますよりは、むしろ目の前の大きな問題と存じますので、私もあっちこっちの意見も聞き、その点を苦慮はいたしておりますが、はなはだ不見識かとも存じますけれども、これならば絶対に大丈夫だというしっかりした結論をまだ今日の段階では得ていないのでございます。従って、さらにこの問題は研究いたしまして、その結論でも出ましたときにあらためて御答弁申し上げたいと思います。
  37. 松前重義

    松前委員 まあ大臣からの御答弁は抽象的であるだろうと想像しておりましたが、まさにその通りでありました。しかし、このオートメーション化と労働条件等の問題というものは、ただいま配置転換等のお話がありましたけれども、単に配置転換というようなこそくなものではなくて、基本的な問題にぶつかっておると思うのです。人類の頭脳によって創造されたこのような機械あるいは設備等によりまして能率のいいものができた場合、言いかえると、一人の頭当たりの生産量、すなわちパー・ア・ヘッド・プロダクションというものが著しく増大することになるのです。この著しく増大された場合においては、一体、労働条件と申しますか、いわゆる勤務時間等をどういうふうにするか、あるいはお休みをどういうふうにするか、あるいは先ほど来の雇用の問題等をどういうふうに取り扱うか、こういう基本的な問題に現在電電公社は当面しておるのであります。第二次五カ年計画の大要を見てみますと、ほとんどあらゆるところにオートメーション化というものがその計画の基調をなしておるのでありますから、この基本的な不動の政策がここに樹立されていないと、安心してこれに対して取っ組んでいくわけにはなかなか参らぬような状況にあると思うのであります。そういう意味からしまして、ただいま個人的な見解であるというお話でございましたけれども、しかし、私は個人の御見解まことにけっこうであり、傾聴いたしましたけれども、政府としては、ことに労働省あたりと話し合われまして、閣議を通じて、技術革新、オートメーション、そうして雇用の問題、あるいは労働条件の問題等、この基本問題に対する統一見解をこの委員会に一つ御発表願いたい。これを一つお願いいたしたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  38. 植竹春彦

    植竹国務大臣 承知いたしました。
  39. 松前重義

    松前委員 電電公社当局にお尋ねいたしますが、このオートメーションとただいまの労働条件の問題は非常に重要である。ことにこの御計画内容を見ると、どこもここも大部分がそこに引っかかってくるところばかりでありまして、従って従業員の立場から見ますならば非常に問題とするところが多いのであります。言いかえると、技術革新というものに極端な資本主義的な態度をもって臨むならば、お情けで配置転換をやってやるとか、人は必要だから首を切らぬとかいうことが関の山でありまして、パー・ア・ヘッド・プロダクション、個人当たりの生産力がいかに増大しようともそれは顧慮するところなし、こういうことで臨んでおるのが現在までの行き方ではないかと思うのであります。これに対してどういう具体的な考え方を持ってこの予算をお作りになったのか。これを設定され、裏づけしておる重要な技術革新と雇用労働条件の問題についての大体概念的な御説明総裁より承りたいと思います。
  40. 大橋八郎

    大橋説明員 技術革新の問題と将来の定員問題、ひいては広い意味での労働問題が非常に密接な関係があることは、ただいまのお説の通りだと思います。ただ現在の五カ年計画改訂について問題を局限して考えますと、現在の段階においては、先ほど大臣からも御説明のありましたように、一方において、オートメーション化もしくは自動化によって定員を減らす部分が相当あります。しかし、同時にまた拡張される部分も相当多いのであります。それを彼此相殺して、結局、今度の予算にも現われておりますように、五千名以上の増員をやっておるような状態であります。従って、現在の段階でありますと、職種転換もしくは配置転換ということで、解雇その他の問題が起こらないで済ませる状態であると思います。しかし、先ほどもお話がありましたように、ことに通信技術の進歩は非常に速い進歩が行なわれておりますので、むろん今後またいかような新しい発明によって、この程度ではとても扱いかねるという事態が生じないとも限らないのであります。そういう事態が将来生ずる場合には、いま少し別途の考慮がさらに必要になってくるのではないかと考えておりますが、まず今日五カ年計画の残った三年間の改訂について局限して考えますと、今申し上げた程度の職種転換、配置転換によって一応問題は解決できるんじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  41. 松前重義

    松前委員 私は大臣が、この技術革新というものは人類の文化の進展に伴い、しかも人類の生活に対するところの重要な新しい問題として考えなければならない基本問題だ、こういうふうな見解を持たれることに敬意を表します。ある企業経営というようなものを考える場合におきましても、やはり人の生活というものの基本問題を背景として考えなければならない。これは言いかえると一つの哲学的な問題であると思うのでありますが、いわゆる技術革新によって一人当たりの生産力が著しく増大するという場合においては、その人間に対する報酬なり勤労時間なり、あるいはその他の労働条件なるものを一体どのように考えたらよろしいのであるか。なに、いい機械ができてどんどんオートメーション化したから、もう君ら要らぬからここから出ていけ、おる人間に対しては、君はもうそれでもって十分勤務時間、勤務場所を与えてやったから、給料をもらっておれ、こういうふうな考えでよろしいのかどうかという問題でありまして、私どもが今人類の一人として取っ組んでいる一つの技術革新という新しい現代に対処して、われわれが今当面しているところの非常に大きな疑問と申しますか、問題はそこにあると私は思うのであります。そうなってくると人間というものはときどき原子爆弾で戦争でもして——原子爆弾ならほとんど死んでしまうかもしれませんが、いわゆる人減らしをやる、人口を減らしていくということでもしなければならぬということにもなるのでありまして、私はそういう地球上の基本問題にぶつかっておると思うのであります。そういう点からこの問題と取っ組んでいかないと、わけても日本のような人口の多い国でありますから、この問題については非常に慎重にかまえていかなくちゃならない。言いかえると、このオートメーション化ということを日本においてどの程度まで進展せしめてよろしいのであるかどうかという問題は、アメリカやあるいはその他の失業者の一人もいない、人間が足りなくて困っているような国々と日本と同じようにこれを考えてやっていく場合においては、私は大きな社会問題を起こすものであると思うのでありまして、政治的には社会問題が起きると考えまするが、哲学的な問題としては、やはりこの地球上における一定の人口とオートメーション化との関係というものが基本的な問題としてここに起こってくると思うのであります。こういう意味からしまして、ただ単にオートメーション化して余った人間は、なに、ほかでもって仕事をふやすからそっちに配置すればいいのだ、それだけの考えでは私はどうもいかぬと思う。これはアメリカその他におきましてもすでにそれだけでは解決していないばかりか、労働条件その他に非常な改善を施して、土曜も休みにするとかあるいは六時間労働にするとかいろいろしております。ですからそういう基本的な問題にぶつかるのでありますから、私が今大臣に政府としての統一した見解を伺いたいと申したのはそれであります。そういう意味から私はお尋ねをしておりまして、ただ首を切らぬから君はあっちに行って働け、その程度では私は済まされない時代が歴史の中に訪れてきていると思うからここに質問をしているわけであります。この点についてのこういう立場からの御見解と、もう一つ、この第二次五カ年計画を設定されるに至りました道程において、雇用の問題とオートメーションの問題にどのような関連性を持ち、思想的背景を持ってお作りになったのか、その点を人数その他の問題は別として、いわゆる考え方の基本を伺いたいと思うのであります。
  42. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまの御意見のうちに戦争と人口問題等がございましたが、そういったマルサス時代の考え方もございましたけれども、しかし私は現代の資本主義の成果は、これは社会主義でも資本主義でも同じことでありますが、オートメーション化、機械化ということは阻止すべきではない、これはどんどん助長していくべきだ、そうして新発明によってますます雇用条件がよくなって、マスプロによりましてコスト・ダウンも行なわれるし、従って生活も非常に楽になる、早い話が昔はわれわれが使ったことのないような万年筆も私たちは使っておりますし、テレビやラジオなんかもとても手が出ないと思っておりましたものもどうやら手にすることができるように、ますます発明またオートメーション化によりまして私たちの生活が潤わされていく、これは社会主義経済でも資本主義経済でも同じことであって、資本主義への反省から起こりました資本主義の成果と申すこともできると思いますし、また社会主義の政治におきましても、やはり同じような結果が生まれると存じます。要はこのオートメーションの成果、これをどういうふうに料理していくかということが政治の問題であり、また経済政策の問題であり、人類への貢献であるということであろうと存じますので、私はオートメーション化ということは決して阻止すべきではない、それによってますます人類の生活が高度化されていくものである、さような観点から、電電公社の問題といたしましても、郵政の行政といたしましても取り組んでいくべきものであるから、従って機械化、オートメーション化あるいは合理化とかいったふうなことに反対する人たちも中にはございますけれども、その人たちに十分話し合って理解を得まして、郵政、電電等の合理化、オートメーション化に理解を持ってもらって、電電に関係いたします全従事員の諸君もますますその点は安心して、ただいまの電電公社総裁初め幹部が考えております経営方針のもとにうんとがんばってもらいたい、さようなことを行政の監督者として考えている次第でございます。
  43. 松前重義

    松前委員 どうも抽象的な議論ばかりでありますが、一つ言葉じりをつかむわけではありませんけれども、いろいろな大臣の御高説は敬意を表します。ただ問題は、オートメーション化や機械化あるいはまた技術革新によって人々の生活が幸福になる、向上する、こういうお話がございましたが、向上するというのはどういう意味を含んでいるのか、そこのところは私は非常に大事な問題だと思うので、労働条件その他は全然同じでそうしてオートメーション化がどんどん進んでいくというようなことでは、これは向上ではありませんが、向上とは一体どういう意味を含んでおるのか、そこのところをちょっと伺いたいと思います。
  44. 植竹春彦

    植竹国務大臣 精神生活の場合の向上の問題はしばらくおきまして、われわれの物質生活の面だけについて申しますと、衣食住ともに高度化され、進化していくことが向上と思います。私は変化論者でなしに進化論者でございますので、さような立場に立って、さような見解を持っております。
  45. 松前重義

    松前委員 ダーウィンの進化論によっていろいろ御高説を承りました。いろいろここで議論をしても尽きませんが、統一見解をあなたにお願い申し上げましたのは、統一見解と申しますのは何もオートメーションにめちゃくちゃに反対するとかなんとかいうことでなくて、一体このことが社会の進歩にどのような影響を及ぼすか、ところが社会の進歩とは一体何であるか、あるいは人々の生活の向上とは一体何であるか、そこが問題なんでありまして、従業員の労働条件の問題を考えないでオートメーションというものをわれわれとして考えるわけに参らないということ、すなわちオートメーションという概念の裏にはそれだけの用意を必要とするものであるという意味から統一見解を伺いたいというわけであります。その点を一つただいまの御答弁に加えてお願いをしたいと思うわけであります。  そこで、このオートメーション問題につきましていろいろございますが、一、二の小さな例を取り上げてやってみましょう。  これはまたいなか電話の話をします。皆さんは都会のことばかりしか考えていないようだけれどもいなか電話考えてみます。そのいなか電話即時通話というものがありますが、これを自動即時というものになさる計画相当にたくさんある。いなか自動即時にされると交換手が要らなくなってしまいまして、みんな首になる。かつて私の郷里で自動即時にされたことがあります。ところがそのために交換手がみんな必要がなくなりまして首になるということであります。しかしこれを配置転換されるそうでありますけれどもいなかのことでありますからえらい遠いところに配置転換をなさるというのです。熊本から大牟田に通わなければならない。汽車賃の方が月給より高い、こういうことになる。配置転換なさってもそういうことになったのでは、まことに従業員には気の毒でありまして、結局赤字で、汽車賃を出していては勤めても損でありますからやめる、こういうことになっておりまして、その人は失業するということになります。私はその気の毒な、家計を助けておる女の交換手の諸君を、市役所やあるいはまた電気会社その他におじぎをして歩きまして、やっと半分ばかり採用してもらった。家計の豊かとまではいかぬでも、何とかなるという者はそのままに放置したのが一昨々年のことでありました。問題は何でもかんでもオートメーション、オートメーションでやってしまうと、かわいそうな国民、ことに従業員の中に大きなしわ寄せがくるのであります。その生活向上どころか、これは全く逆転して不幸な事態を生じ、それでその町ではとうてい生活できないというので、これも大きく新聞に出ましたが、電電公社の従業員に自殺者が出ました。こういうふうなことでは人々の大へんな不幸になる場合があるのでありまして、計画そのものの中によほど考慮をめぐらさないと、大都市のようなところでは多少やりましても拡張がどんどん行なわれ、そうして地域は比較的狭いものでありますし、交通の便その他もいいのですから、配置転換しても差しつかえない場合がありますけれどもいなかではそれができない場合が非常に多い。方々でこの問題が起こる。また一部においては、何々県というところの小さな都市電話自動化される。それを一挙にやられるような場合があったのでありまして、そういうときにはどこもここも首切りで、これは大へんなことになります。そうすると配置転換、女の子なんか他県に配置転換なんということはできません。そういう場合を今までも幾つか実例としてあげることができるのであります。そういうふうな意味におきまして、オートメーション、オートメーションと、いわゆるはやりに乗じてこれをやるというところに大きな矛盾が出てきて、このオートメーション化はけっこうなものであるといいながらも、その裏には非常な悲劇が生まれてくるおそれがあるのであります。これらに対して、一体この第二次五カ年計画ではどのような考慮を払っておいでになるのか、その辺の消息を伺いたいと思うのであります。
  46. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいま松前先生の御郷里の方の現実の問題を拝聴いたしました。私、実は初耳でありまして、さようなことにできるだけ避けるようにという従来の方針のように承っておりますし、また私どももさように指示をいたしておるのであります。配置転換につきましては、できるだけ本人の事情をも勘案し、またあらかじめ組合等にその計画等を示して、各方面に十分の納得を得た上でやるようにしておりますけれども、もし事実そういうところがあったとすれば、私どもとしてははなはだ遺憾に存ずるものであります。今後もそういうことがないように、できるだけ気をつけてやりたいと思っております。五カ年計画改訂につきましても、さようなことの生じないという前提に立ってこれを運用する、こういう建前で実は作っておるわけであります。
  47. 松前重義

    松前委員 大体抽象的にはそういうふうなことでお作りになっておいでになるという御説明でございます。しかしこのオートメーションに伴う労働条件というものは、これは何といっても基本的な問題でありますから、政府としての統一された見解を承ってからでないと質問はちょっとしにくいのでございますが、いずれにいたしましても、このオートメーションによって単にいいことばかりが起こるのでなくて、従業員に大きなしわ寄せがくることはもう言うまでもないことであります。従業員の幸福どころか、不幸を来たす可能性が非常にあるという実例を私どもは方々で見ておりまして、この点については、計画内容をまだあまり勉強しておりませんから、拝見いたしましてそれから御質問を申し上げたいと思うのであります。またこのような計画をお作りになり、そのような非常な地方的混乱が起こる可能性のあるオートメーションの実施過程におきましては、従業員、すなわち言いかえると労働組合との間に実施にあたっての事前の打ち合わせをやって、そうして円滑に計画を遂行していく、こういうふうな方向に向かって、かつて電電公社当局はやっておられたのでありまするが、今後におきましても、このように事前に打ち合わせて、そうして円滑に一つこの事業を遂行していく。——なかなか当局だけで考えた以上に、やはり大きなしわ寄せがくる場合が多いのでありますからそれをやっておられたようでありますが、その点に関しましては、今後これを実施されると仮定いたしまして、その場合には事前の協議をなすって、そうして円滑な運用を期しておられるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  48. 大橋八郎

    大橋説明員 ただいま御指摘通り、従来今のオートメーション化、あるいは自動化の場合の配転の措置につきましては、組合と十分協議を遂げた上で、できるだけ納得を得た上でやる、こういう方針は現在でも将来でも変わらぬつもりであります。このことにつきましては、先年組合と当局との間に協定ができまして、その協定によりまして、実施前約一年前にその計画内容説明いたしまして、そうして今後の措置について十分協議をする、こういう話し合いができております。すでに現在もその方針でやっておりますし、今後もやはりその方針でやるつもりであります。
  49. 松前重義

    松前委員 先ほど来申し上げましたオートメーション、技術革新の流れ、それに即応した人々の生活条件、勤労者の労働条件、これらの諸問題は、これは政府の統一した見解を承るということにいたしまして、その後においてまた御質問をいたしたいと思うのであります。  今度は資金問題を少しばかりお尋ねしてみたいと思うのであります。電話債券なるものの一加入当たり負わせられる総額が、非常に高いようでありますが、一体、この資金を得るのに、電電公社電電公社法によって縛られておる。従って銀行等からの借り入れもできない。ならば、政府の資金運用部資金あるいは財政投融資等からこれの方に政府資金を回すということも、これはわずかしかおやりにならない。ほんとうはそっちでやってもらわなければならぬと思うのですが、おやりにならない。そういうことになると、結局ここに電話債券で加入者に、国民に負担させなければならぬという、妙なしわ寄せをまた国民は受けることになるのであります。電電公社のような非常に安定した企業に対しては、政府関係の金融機関、ことに大銀行等からの融資というようなことがもし可能であるといたしますならば、こんなに債券をうんと買わせなくても、国民に負担させなくても、私は電話の架設はできるものだと思う。一番大事なことは、これは財政投融資その他に対して、もう少しこのなにを増額してもらって、そうして国家資金によってこれをまかなっていくという方向に進みたいと思うのでありますが、この点に対しては建設大臣はどういう努力をされたのか、まずここからお伺いしたいと思うのです。
  50. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは全く自己資金を使いますれば最も理想的であり、それができませんときには、よんどころなく、財政投融資または借入金、社債等を発行してまかなって、加入者に負担をかけることのないようにして参るのが当然であろうと存じまして、できるだけそういう方針で公社とも打ち合わせて参ったのでございますが、そうかと申しまして、全然加入者に負担してもらわないというのでは、計画を立てて参ります上に不可能でございましたので、よんどころなく、先に加入者からも借金する、電話公債をしょってもらう。そうしてまた、ごく一部負担法の時代よりは安く上がるようになるわけでありますが、ごく一部分は設備の費用を負担してもらうといったような方法で、政府の方としては行政指導に当たっていたようなわけでございます。具体的には、その社債にいたしましても、借入金にいたしましても、国内ではなかなか調達できませんので、二千万ドル程度のものは、公社法を改正いたしまして、外債を募りますことをお認めいただきまして、外債によってまかなっていく。そうしてまた自己資金といたしましては、大体三十五年度は六百九十億円で、負担法の改正をいたしまして二百八十億円、それから財政投融資その他の分を三百四十億円、これには外債の約七十二億から百億のものも含まれておるわけでございますが、大体合計三百四十億、そうして一千四百十億円の資金を調達いたしまして、これを五カ年計画の後半期、三十五年度、六年度、七年度分を全部合計いたしますと、大体六千二百三十億円の資金を、今申し上げましたような割合を毎年行なって参りまして、総額において、そういった六千二百三十億といったような資金を調達して、それに充てていこう、そういった計画をいたした次第でございます。
  51. 松前重義

    松前委員 私がお尋ねしたのは、今の資金計画をお尋ねしたのでありませんので、計画の一部として、もう少し財政投融資あるいは資金運用部資金からの政府資金がこちらに振り当てられなかったのか、もう少し政府資金に依存するというところに経営の健全性もあるのではないか、こういう意味からして、外債の七十億なんというのは、私はあとで御質問いたしますけれども、そんなものよりも、政府資金をもう少しお回しになったらいかがであろうか、どういうふうないきさつでこんなに少額にとどめられたか、それを伺いたいというわけであります。
  52. 植竹春彦

    植竹国務大臣 まことに御説の通り自己資金がない場合には、政府資金、国家の金でもって出してもらうのが理想だと存じます。それでもだめなときには、国家から金を借りてきて、市中銀行とかあるいは外債等にたよらないでやっていくことがよろしいことは、まことに御意見通りでございまして、一生懸命にそういうふうな方針では参りましたのですが、政府の方にも財政的の都合がございまして、右に申し上げましたような数字に落ちついたのでございまして、この点何とぞ御理解、御了承いただきたいと思います。
  53. 松前重義

    松前委員 外債の七十億とかいう話でありますが、百億ですか、これはどういうことになっておりますか。どういう意味で一体外債を、わずかそのくらいの金を外債と称して公社法まで変えてこれを借りなくちゃいかぬのですか。それでなければ公社が立っていかぬのですか、まことに情けない話だと思うのですけれども、その点情けない中には何か理由があるではないかと思うので、お伺いさしていただきたいと思います。
  54. 植竹春彦

    植竹国務大臣 松田監理官から詳細お答えさしていただきます。
  55. 松田英一

    ○松田政府委員 実は資金の調達の問題につきましては、ただいま先生の言われましたように、われわれとしてはあらゆる努力をして、今度の改訂計画の最初に当たる三十五年度の計画を何とか生かしたいということで努力をいたしたわけであります。それにつきましては、郵政省のみならず、各方面の方々の御助力も得まして、いろいろと努力をしたのでございますけれども、なかなか政府の財政投融資というのは、国全体のいろいろなバランス、いろいろ重要な投資先というものがございまして、その方にはやはりある一定の限度しか振り向けられないというのがさんざん苦労悪闘した結果の姿でございます。ところが、三十五年度の計画は、今度の長期計画の最初の年度といたしまして考えたところによりますと、どうしても四十万の加入者はふやさなければならないということでいろいろ考えました結果、結局その資金では三十七万名しか加入者はできない。それはバランスのとれたいろいろな計画を立てまして三十七万ということでございますので、どうしてもなお三万名の加入者はふやす必要があるというようなこともございまして、その分は外債にたよる以外に方法がないということになったわけであります。ただ、日本の国の状況からいたしまして、電電公社事業が非常に順調に行っておりますために、外国から資金を借り入れることも電電公社の場合にはかなり有望であるというような点もございますので、その限度においてなら借り入れていっても将来支障もないであろうし、また、資金の一つの獲得方法で新たな道を開くことは将来の計画のためによいことでもあろうというようなことも考え合わせまして、外貨七十二億、アメリカのドルにいたしまして二千万ドルを限度として外債の発行を認めるということに相なった次第でございます。
  56. 松前重義

    松前委員 外債に対して担保とかなんとかいうような何か条件がありますか。
  57. 松田英一

    ○松田政府委員 この点につきましては、いわゆる公社法の改正のときにそのことがいろいろ出て参るのでございますけれども、現在までの話といたしましては、公社の外債を出しますときには、一応公社の債券を外貨によって出しまして、従いまして、その債券につきましては、一般の電信電話公社債とほぼ同じになりますので、ただ、外貨債であるための特別な措置は必要でございますけれども、それについての担保その他については別段のことはないわけでございます。ただ、公社法の規定によりますれば、普通の電信電話債券の債権者は先取特権を持っているということがあるだけでありまして、特別な担保等はないわけでございます。それから今度の公社債の規定の中には、債券のみならず、いわゆる世銀からの借入金の規定の準備もいたしておりますが、これは現在の方針としてそういうことを具体的に考えているわけではございませんけれども、外貨債の発行ということはいろいろな場合が考慮せられますので、あるいは世銀からの借り入れということも考える必要があるかもしれない。そのために、法律の規定がないためにそういうことになったのでは実現が不可能になるということで、世銀からの借り入れということもできるように道を開くことにしております。また、予算総則においてもそういうことが書いてございますが、この場合におきましても、世銀の借入金というものはやはり今までの例と大体同じでございまして、その場合における担保というものは、特別に物的担保が入るとかなんとかいう問題ではございませんで、電信電話債券保有者に対するものと同様な先取特権の規定が加えられるというだけでございます。
  58. 松前重義

    松前委員 それは担保もなければ保証も何も要りませんね。
  59. 松田英一

    ○松田政府委員 外貨債の発行のときには政府保証だけがございますので、政府保証の規定は今回も作ることにしております。
  60. 松前重義

    松前委員 大体その点はわかりましたが、電電公社法改正なさるのに、外国から金を借りる分は、これが可能なようにするが、国内から金を借りるということに対してできないことになっていますね。それはなぜおやりになりませんか。そこの政府の見解を一つ……。
  61. 松田英一

    ○松田政府委員 実は現在の公社法の規定では、法律そのものから申しますれば、いわば国内からの借入金ということをすればこれにひっかかるという禁止規定はないわけでございます。ただ、現実にこれが公社でありますために、公社というものの全体の行き方、結局予算を国会提出して、政府関係機関としていろいろやっていく、そういったものの動かし方といたしまして、その資金全体は、政府機関の一環として、いわゆる財政投融資で考えていくということになっておりますので、特別に法律規定にひっかかって民間から金が借りられないというよりも、むしろ公社であるための一つのそういった動かし方であるというふうになるのではないかと思います。
  62. 松前重義

    松前委員 ちょっと今のやつは、われわれは法律屋でないものだからわかりませんが、公社は借りてはいけないとは公社法の中には書いてないというのですか、それとも借りようと思えば借りられるというのですか。そこのところをはっきりして下さい。
  63. 松田英一

    ○松田政府委員 私の御説明が足りなかったかもしれませんが、公社法の規定によりまして、公社の予算は政府へ提出されまして、いわゆる政府関係機関の予算として国会に出されるのであります。その予算を見るときのやり方の一つとして、財政投融資計画というものによって考えて予算を編成していく。従ってその予算の扱い方の一つの運用方式であるということで、公社法できまっておるといえば公社法できまっておるわけであると思いますが、具体的な借入先等の制限の点から借りられないという問題は一応は出てこないのではないかというように考えます。
  64. 松前重義

    松前委員 どうもわかりませんが、一体、たとえば銀行その他から公社は金を借りられるのですか、借りられませんか。そこをはっきり言って下さい。今の公社法によって借りられますか、借りられませんか。公社であるがゆえに借りられないのか、それとも公社法の規定になくとも、公社であるから借りられないのか、それとも借りようと思えば借りられるのか。そこのところをはっきり言って下さい。
  65. 松田英一

    ○松田政府委員 法律の規定によりますれば、借りる根拠はございます。しかし、そのときには郵政大臣の認可を受けなければならない。公社法の六十二条でございますか、そういうことになっているわけでございます。しかし現実には、公社が借りようとする問題の出て参ります前に、予算ということでもって公社の運用が縛られてしまいますので、予算のときにすでに財政投融資というようなところから、公社の資金調達はこれこれであるということが前もってきまってしまうわけでございますので、現実の問題として、六十二条による借入金の認可申請ということが、具体的には現われないわけであります。
  66. 松前重義

    松前委員 借りるというのは、銀行から借りるか、加入者から借りるかという——借りるというわけじゃないけれども、これは電話債券を買ってもらうわけでございますが、借入金というものは、政府以外からは絶対にできないのか、それともやろうと思えば、郵政大臣が認可すればできるのか。それだけ一つ簡単に答弁して下さい。あまり長く言われますと、だんだんわからなくなってくるから、お願いします。
  67. 松田英一

    ○松田政府委員 二つの方法があるわけでございますが、一つはもちろん債券を発行するということでございまして、これは現実にやっております場合にも、いわゆる公募債、財政投融資の計画のワクには入って額は制限されますが、この具体的な出し方のときには、電電公社郵政大臣の認可を得まして、民間から金を借りているわけでございます。借入金の場合には、現実にはこれもやはり財政投融資計画によりまして、借りる先は、たとえば預金部資金であるとか、簡保からというようなことできまって参りまして、ほかからは借りる余地がないように予算の方できまってしまうわけでございますので、現実には現われてこないわけであります。
  68. 松前重義

    松前委員 どうも予算できまってしまうとおっしゃるけれども、予算の中にあらかじめ借入金を入れておけば、それはできるんじゃないかな。そうなると、そこのところはどうですか。
  69. 横田信夫

    横田説明員 松田監理官の御答弁で言った通りで、法律的にはそうですが、もっと私の方の実際上の問題をお話ししますと、ただいまお話がありましたように、公社法の六十二条で、「公社は、郵政大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは一時借入金をし、又は電信電話債券を発行することができる。」これは必ずしも政府からの長期借入金でなければならぬと限定はしていない。だから銀行から法律的には借りることはできるわけです。しかしこの場合に、同じく六十二条の二項で、「前項の規定による長期借入金、一時借入金及び電信電話債券の限度額については、予算をもって国会の議決を経なければならない。」従って、予算にこの限度額を銀行からの借入金として出せば、これはできないことはない。しかし、それならなぜそれをやらぬのかということになりますと、一つは利子の問題で、利子は、御承知のように、公募の方がほんとうは今の銀行借り入れよりは安い。公募が七分二厘八毛くらいになりますけれども、銀行からの借り入れは日歩二銭三厘だから幾分公募の方が有利だということが一つ。もう一つは、銀行から借り入れすることになりますと、実際問題としては、銀行へ預け入れをせずに銀行から借り入れるということはちょっとむずかしいので、事実は銀行へ預金して、それからまた銀行から借りる、こういう相互関係がないと、なかなか事実むずかしい。そこで国庫借入金の問題に事実上関連してくる。こういうような事実上の関連があるのであります。法律的には、ただいま監理官から申し上げましたように、できます、こういうことであります。
  70. 松前重義

    松前委員 大体できそうでありますが、私は勉強不足で、どうもそういう詳しい条項を、読んだかもわからぬが、忘れてしまったので、今教わってこれはできるということになった。そうなると、これは利息だけの問題であるというお話でありまして、それからまた銀行との取引がないからできないというお話ですね。ところが電電公社は、全国に大きな支店を持っているような銀行に対して、それを通じて、いろいろ電話料金その他の、預金ではないけれども、送金をやっておられる。相当なお金があそこにたまっておるらしいですね。これは一応の預金のような形でたまっているだろうと私は思う。預金ではないけれども、いわゆる送金途上における電電公社のお金が銀行にあるはずだ。そういう関係もありまするから、私はそういう取引がないからできないなんということでもってあきらめる必要はないんじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、そこのところはどうでしょう。
  71. 横田信夫

    横田説明員 先生お話は、これも条文をちょっと読ませていただきますと、六十七条に、「公社は、業務に係る現金を国庫に預託しなければならない。但し、業務上必要があるときは、政令で定めるところにより、郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。上これは今先生お話のように、送金途中にある、最高一週間、事実上三日くらいになっておるのですが、今送金途中にある金だけが銀行へ預けることができるということで、政府の御承認を得ているわけですが、実際問題としては、その送金途中にある金だけを前提にして金を借りていくことは、相当困難があるということと、それからまた、今の銀行預金の方を中心に考えるとすれば、財政投融資は相当困難になって、おそらくこれはゼロになっていくという問題がある。こういう問題とのかね合わせで、現在は財政投融資の方を中心と考える、こういうことであります。
  72. 松前重義

    松前委員 一応考えられることは、大体財政投融資からまかなうのが本筋だと私らは思うが、もしそれができなければ、全部それを加入者の負担にしてしまうという政策はまずいんじゃないかということなんです。それならば、ほかの金融機関の融資によって建設費をまかなって、そうして片一方の加入者の負担を軽減したらどうかという考え方の上に立っての話なんで、片一方で、やるならば財政投融資はゼロになるとかそういうことは、なるかもしれぬとあなた方が多少危惧しておるだけの話であって、それは努力次第だと私らは思うのです。だからそういう意味において、民間のものは全然これを利用しないで、アメリカの民間はどんどん利用するというような仕組みは、一体どうだろうかという疑問が起こってくるのです。公社法の改正までして、わずか七十億程度のものをアメリカから借りなくちゃいかぬのかということなんです。国内ではそういうことをしないで、みんな加入者に負担さしておいて、こういうところどうも政策上の矛盾があるんじゃないかという感じがするのです。しかしこれ以上私は追及はいたしません。またいずれこの辺勉強してから御質問いたしましょう。  そこでもう一つは、今度は相当電話債券が出るわけです。どうですか、電話債券の値段は著しく下落するようなことはありませんか。大体皆さん方の見通しを、これが実行されるかどうか別問題として一応今日伺っておく必要があるかと思うのです。
  73. 横田信夫

    横田説明員 実は先般堤先生から資料要求がありましたので、お手元に資料を差し上げましたが、これが実情になっておりまして、電信電話債券関係調書、これの二ページをごらん願いますと、従来の電信電話債券——これは電信電話債券について気配相場が立つまでは、非常にいわゆる市場性を離れて不合理に値段が落ちたことがあるわけでございます。気配相場が立った以後の三十年以後におきましては、大体金利と相並行してこの値段が上下いたしましたけれども、そうむやみに不合理な上下はいたしていないわけであります。従いまして、この表にありますように、三十年から三十四年まで、平均値は一番低いのが八十二円三十九銭、高いのが九十四円四十四銭、こういう移動をいたしておりますが、大体金利との関係において動いておるわけであります。たとえば八十五円といたしましても一割ちょっとに利回りが当たるわけであります。現在の六分五厘といたしましてもこういう程度でありまして、一般の社債の利回りがそれ以上に悪ければ別といたしまして、大体それより以上の場合は、一般市場性を持っておるものですから値段がまた普通に返る、こういう動きをいたしておるわけであります。そのほかに今度の電信電話債券の措置法におきましては、六分五厘でなくして公募債の利率を基準にして今度は利率をきめていこうということになるわけでありまして、これ以外は市場性においてなお有利になる、こういうわけであります。電信電話債券の将来についてあまり危惧する必要はないんじゃないか、こういうように考えております。
  74. 松前重義

    松前委員 この問題は資料をちょうだいしましたので、私、あまりこういう点はよくわかりませんから、もう少し勉強して、また御質問いたしたいと思います。  第二次五カ年計画について、あるいはまた関連の問題につきまして、もう少しお尋ねをしたいことがありますけれども、後日また理事会の許可を得て質問したいと思います。きょうはこれまでにしておきます。
  75. 進藤一馬

    進藤委員長代理 次会は来たる三月一日火曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会