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土井委員 元来私から申し上げますれば、少なくとも酒を飲んだ人は
運転してはならないというくらいの、自分が酒を飲まないからという意味ではありませんが、厳格にやらなければならないはずだと思うのであります。それでただいまの
答弁によりますると、
最初原案は、なるほど「何人も、酒に酔い」と、酔うという限度をこう書いてありますが、参議院の方の
修正は、「酒気を帯びて」といって、かなりこれは文章的にはきつくなっておるわけであります。だから片方は、酔って
運転するということは迷惑千万な話で、
現行法でもやっておるのであって、従って今度は参議院の方で、「酒気を帯びて(身体に政令で定める程度以上にアルコ−ルを保有する)」というように
修正されてきておる。これは一歩前進の形であると思うのですが、むしろ私は、酒を飲んで
運転してはならないというくらいに強いものにしておいてもいいのではないか。そうでないと、たとえばこれはただいまの
答弁の中にありますように、予防法ではない、
事故が起きてから後の刑罰のその量を決定するためのものであって、予防法としては何にもなっていない。だから
事故が起きてから、一体酒を飲んでその結果
事故を起こしたのかどうか、それじゃお前は酒を飲まなかったから刑罰はこれだけにしてやるが、飲んでやったのだからこれだけにするというような、そういう予防法ではなくて起きた後における取り締まりの対象、刑罰の量刑の問題をここで議論しておるということは、僕は
法律の建前からいって少し矛盾しているのではないかと思う。むしろ、これはもっと積極的に、酒を飲んで
運転してはならない。こう限定してしまえば、−それでもやりますよ、ものを盗んだらうしろに手が回るといってもやはりやるんだから、やるけれども、それの方がもっと徹底しているし、それから
運転する人も注意する。飲んで
運転してはだめなんだということで、それくらいに厳格にやっていいのではないかと思う。ことに現在の日本の
交通量の面から見て、あるいは
交通の
事故の面からいって、常におそれることは、たとえば飛行機がこの間名古屋でジェット機と衝突した。そうすると大騒ぎをする。死傷者はきわめて少ない。ところが世間は、こういうふうにはなやかと言うとおかしいが、新聞ででかでかと書かれると、それに便乗するかどうか知らぬが、これを非常に大きく取り扱う。ところが
交通事故によって死亡している人、私は毎日通っているが、交番のところにきのうの
事故として、死者何名、負傷者何名と書いてある。東京都だけでも大へんな人が一年に死ぬ。全国的には非常にたくさんの人が死んでおる。それから負傷者の中には、病院に行ってから後死んでいる人は、とりあえずの死亡の中に入っておらない。また不具、廃疾者にならなければならないような
事故を起している人もたくさんある。これは国家的に見ても非常に大きな損失である。こういう面から
考えれば、
交通事故によって生ずる人命の損傷というものは、何ものにもかえがたい大きな国家的損失である。個々の人間の問題ではなくて、国家的に見て非常に大きな損失である。この問題は等閑視されているわけではありませんが、あまり問題にされておらないということははなはだ遺憾である。たとえば船がひっくり返って数百人、あるいは洞爺丸のような場合であれば、もう天下をあげて騒いでいるけれども、時々刻々として起こっておる
交通事故については、比較的これを重要視しないような傾向は遺憾だと思う。従って、こういう取り締まりの中には、厳格過ぎるくらいの
法律の制定をすべきではないか。それでもなお酒気を帯びてやる人がおります。おるけれども、予防法として
考えるならば、それくらいに厳格にやるべきじゃないかと思うのだが、
当局は、一体酒を飲んで後
事故が起きてから刑量を決定するためにやるのか、やることを
目的としているような
法律であって、それで満足されておるのかどうか。あるいは将来そういうことについて一歩前進して強いものにしていきたいという
考え方があるのかどうか。この点について
一つ所信のほどを聞かしていただきたいと思います。