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1960-05-10 第34回国会 衆議院 地方行政委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十日(火曜日)   午前十時二十八分開議  出席委員  地方行政委員会   委員長代理 理事 飯塚 定輔君   理事 田中 榮一君 理事 加賀田 進君   理事 阪上安太郎君 理事 門司 売君   相川 勝六君 亀山 孝一君   津島 文治君 富田 健治君   古川 丈吉君 山崎 巖君   太田 一夫君 佐野 憲治君   安井 吉典君 大矢 省三君   運輸委員会   理事 関谷 勝利君 理事 井岡 大治君   理事 久保 三郎君 理事 土井 直作君   竹内 俊吉君 塚原 俊郎君   三池 信君  島口重次郎君   館 俊三君  正木 清君   菊川 君子君 出席国務大臣  国務大臣 石原幹市郎出席政府委員  警察庁長官 柏村 信雄君  警視監警察庁刑事局長) 中川 董治君  警視監警察庁保安局長) 木村 行蔵君  運輸事務官自動車局長) 国友 弘康君 委員外出席者  警視長警察庁保安局交通課長内海 倫君  建設事務官道路局次長)前田 光嘉君 本日の会議に付した秦件  道路交通法案内閣提出第五八号)(参議院送付)                                                      ′ 〔飯塚地方行政委員長代理委員長席に着く〕
  2. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 これより道路交通法案について地方行政委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、本案を所管しております地方行政委員長が本連合審査会委員長職務を行なうわけでありますが、濱地地方行政委員長は病気のため本日出席できませんので、その指名によりまして私が委員長職務を行ないます。  本案について、まず政府より提案理由説明を求めます。石原国務大臣
  3. 石原幹市郎

    石原国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。 この法律案は、現行道路交通取締法及び同法施行令を廃止し、新たに道路交通法を制定しようとするものであります。  現行道路交通取締法は、昭和二十二年に制定され、以来、数次の部分的な改正を加えられて今日に至っているものでありますが、この間わが国における交通事情は、自動車の急激な発達、普及及び増加に伴い、まことに著しく変化し、特に最近における大都市道路交通は、同法制定当時と比較しますと、異常なまでに発展、変貌を遂げ、しかも、近い将来におきましては、さらに一そうの複雑と困難が加わることが予想される状況であります。このような実情に対し、現行法令規定では、すでに種々の点で不十分なことが痛感されるのみならず、今後の交通事情変化には、とうてい対処し得ないものと判断されるに至りましたので、今回同法及び同法施行令について全面的に検討を加え、新しい時代に対応した道路交通基本法としてこの法律案を立案いたしたものであります。 この法律案は、現行法令と比較して、相当広い範囲にわたって規定整備、新設をいたしておりますが、その重要な点は、次の通りであります。  第一は、法の名称道路交通法とし、また、法の目的を明確にしたことであります。この法律は、道路交通基本法たる性格を有するものであることにかんがみ、現行道路交通取締法という名称を改め、道路交通法とし、また、法の目的につきましても、単に道路における危険を防止し、その他交通の安全をはかるのみでなく、積極的に交通の円滑をはかることをも目的とするものであることを明らかにいたしました。  第二は、法体系整備するとともに、用語及び表現を平易化したことであります。現行法におきましては、道路交通規制に関する基本的な事項が法及び施行令の両者にわたって規定されているのでありますが、これら基本的な事項はすべてこの法律の中に規定することとして、法体系整備し、また、国民のだれもがこの法律を容易に理解し得るように用語及び表現をできるだけ平易にすることに意を用いました。  第三は、交通規制に関する規定整備したことであります。そのおもなものは、交通規制のための道路標示の設置に関する規定を新設すること、公安委員会が区間または期間の短い通行禁止または制限を警察署長に行なわせることができる規定を新設すること、自動車最低速度に関する規定を新設すること及び道路交通に関する調査を行なうための規定を新設すること等であります。  第四は、歩行者通行に関する規定整備するとともに、歩行者保護の徹底をはかったことであります。歩行者通行につきましては、特に一章を設けまして、その通行方法基本を明らかにしますとともに、これらの規定には原則として罰則を付さず、違反者に対しては警察官が必要な指示を行なうことといたしました。また、車両等交通方法に関する規定において歩行者通行保護をはかることといたしました。  第五は、車両等交通方法合理化をはかったことであります。自動車を初めとする各種車両等増加に伴いまして、現行規定では、車両等交通規制について十分な実効を期することが困難となるに至りましたので、車両通行方法基本原則、追い越しに関する規制、交差点における通行方法、停車及び駐車に関する規制等についても新たな規定を設けるとともに、現行規定についても全面的な検討を加え、車両等交通方法合理化に必要な規定整備をいたしました。  第六は、交通の円滑をはかり、危険を防止するための措置を強化したことであります。道路において車両等通行が停滞したため交通が著しく混雑するおそれがある場合における混雑緩和措置違法駐車または違法工作物等交通の危険を生じさせ、または著しく交通妨害となるおそれがある場合における移動、除去、移転等措置について必要な規定を設けるほか、酒気帯び運転過労運転等無謀運転禁止整備不良車両運転禁止等道路における危険防止措置に関する規定整備することといたしました。  第七は、雇用者及び車両運行管理者義務についての規定を設けたことであります。最近における交通事故及び交通法令達反原因には、単に運転者の責に帰すべきもののみならず、むしろ運転者を雇用する者あるいは車両運行を管理する地位にある者の責任と思われるものが多いことが痛感されるところであります。よって、雇用者はその雇用する運転者に安全な運転を行なわせるよう努めなければならないこと、雇用運転者をして過酷な条件のもとに運転させてはならないこと等とするほか、車両等運行を直接管理する地位にある者は、無免許運転無謀運転等を命じ、または容認してはならないこととし、これらの者が運転者とともに交通の秩序の確立に責任のあることを明らかにいたしました。  第八は、運転免許制度合理化をはかったことであります。運転免許の種別を整理してその簡素化をはかったこと、免許証交付手続についてその不合理を改めたこと、免許についての行政処分実効をはかる措置を講じたこと、各都道府県における運転免許関係事務斉一化適正化をはかるため全国的な基準を命令で定めることとしたこと等、運転免許に関する規定整備して、運転免許制度合理化をはかることといたしました。 最後に、罰則整備したことであります。現行法制定以後の社会情勢変化及び現行各種法令規定する罰則との均衡を考慮して全面的に罰則整備するとともに、過失犯規定及び両罰規定整備することとし、また、交通事故原因に飲酒によるものが多い実情にかんがみ、運転者交通違反を犯した場合において、酒気を帯びていたときの刑の加重について規定する等、罰則整備をはかることといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第でございます。
  4. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 以上をもちまして、提案理由説明は終わりました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  5. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 質疑の通告がありますので順次これを許します。関谷勝利君。
  6. 關谷勝利

    関谷委員 私は簡単に一、二点だけお尋ねをしたいと思います。  まず、大臣が御用事がおありだそうですから、大臣に簡単にお尋ねをしたいと思いますが、ただいま提案理由で御説明がありましたように、今度の道路交通法案は、今までの道路交通取締法と比較をいたしますと、非常に改善をされておりますことはよくわかるのでありますが、この法律で抜けております事柄は、路上駐車場がわりに使っておる、これを取り締まる法の規定一つもないということ。もう一つは、舗装をいたしておりますところはともかくもでありますが、舗装をしてない道路のための泥よけの取り付けの義務というふうなことをはっきりとしておきませんことには、あの沿道の家屋その他がみじめな目にあっておりますことは大臣よく御存知であろうと思います。私は、この大きな二点がこの取締法で欠けておるのではないかというふうに考えております。私、先般内海交通課長お尋ねをいたした際に、路上駐車場がわりに使ってはならないという点について質問をいたしましたところが、道路法道路運送法とこの道路交通法三つが一緒になってこれを改正しなければできないのだというふうなことで、よくわかっておられるようでありますのに、それならこの三つ法律をよく連絡をとって、ともにこの事故防止ができるように、交通の危険、交通妨害を排除することができるようになぜやらなかったのかと思うのでありますが、これは大臣はどういうふうにお考えになりますか。一応これで決定をしておくが、近い将来にこれは修正をしようとかなんとかいうようなお考えを持っておられますかどうですか、この点伺ってみたいと思います。
  7. 石原幹市郎

    石原国務大臣 路上駐車の問題と泥よけの問題についてお尋ねがあったのでありますが、駐車規定につきましては、今回の改正案にも相当強化した規定を入れておるのであります。ただ、今お話しになりましたように、全然路上駐車を禁ずるといいますか、車庫がわりに使っておるああいう形を一掃してしまいますには、全部に対して車庫を持つ義務を課さねばならぬというようなことにまでなりますので、そこまで今回の措置では踏み切れてないのでございますが、これはただいまお話しのございましたように、あの駐車の問題が非常に交通複雑化あるいは道路の狭隘化しておる大きな原因になっておると私も考えております。これらの問題は、さらに今後道路整備等と相待ちまして検討していかねばならない問題と思います。  泥よけの問題につきましては、法で泥よけをつけるということを義務化してはおりません。これも道路の悪いところについては勧奨をして、なるべく泥よけをつけさす、こういうふうにしたいと思うのであります。道路舗装が完成し整備してくるにつれて、泥よけを全部つけておくというような格好はあまり文明的な形としては感心した形ではないと思います。道路整備と相待ちましてそれまでの間は、できる限り悪いところでは勧奨してなるべく泥よけをつけさす、こういう考えでおります。
  8. 關谷勝利

    関谷委員 大臣は泥よけをつけるようなことは文明的でないと言いますが、それなら、家が泥まみれに壁を塗ったように泥をつけられておるのが、あれが文明的だというふうに考えているんですか。自動車の方に泥よけをつけるのは当然なんです。あれを非文明と言うなら、あの泥まみれになった家を見たときに、あれを文明的だとお考えになりますか。この法律審議といいましても、ほとんど終末に近づいておるようでありますので、私、最初にこの連合審査をやったのでありましたら、道路法道路運送法改正してもらいたい。私、修正案でも出そうかと思っておったのでありますが、そういうふうなものはもう時間的に余裕がなさそうでありますので次に見送りますが、これは近い将来に大臣よくお考えになって、路上駐車については今度は厳重にしたと言いますが、私が言っているのは、車庫がわりに使うなと言うのであります。全部車庫がわりに使っておって、そのために道路が狭くなっておる。この法律を見ますと、三メートル半あけさえすれば車庫がわりに使ってよろしいというふうな解釈が半面できます。そういうふうな法律を作って、これで交通の危険を除けとか、交通妨害を排除するといっても、できるもんじゃない。こういうふうなことは、近い将来にこれは一つ修正していただきたいと思います。この点は希望を申し上げておきます。  それから泥よけの点につきまして、いなかへでも参りますと、国道周囲あたりの家はそれはみじめなものであります。みんな泥で壁を塗ったようなことになっておりますのですが、これは七十一条の一号によりますと、「ぬかるみ又は水たまり通行するときは、泥よけ器をつけ、又は徐行する等して、泥土汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。」、こう書いて、泥よけ器をつけまたは徐行することの義務をつけてないようでありまするし、七十四条の三号では、「車両等に泥よけ器を備える等の必要な措置をとらなければならない。」というふうなことで、これを見ますと、泥よけ器をつけなければならぬというふうにとれない節もないのでありまするが、完全に義務づけた文句とは思いません。これはこの七十四条によって、必要のある場合には行政指導でつけさすというのか、この法文でつけなければならぬというのか、そこらの解釈をちょっと承っておきたい。
  9. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 泥よけ器については、法律義務化いたしてはおりません。しかし、泥よけ器をつける等必要な措置を講ずる、従って泥のはねるようなところにおいては泥よけ器をつけるか、できるだけ徐行するということで泥をはねないようにしろということで、ただいまお話しのように法律義務化はいたしておりませんが、できるだけそういう地域においてはつけるように勧奨するという考えを残しておるわけでございます。
  10. 關谷勝利

    関谷委員 私、もう今質疑応答をいたしましても修正する余裕がないということなら、一向質問してもその効果は何もないのであります。そうでなければ、この交通の危険、交通妨害というようなことはとうてい除くことはできないのであります。私はこの点におきましても、舗装道路以外のぬかるみのような道路通行するような場合には、泥よけ器をつけなければならぬというふうに法律義務化しなければ、沿道のあのみじめな姿は消えないのだ。道路は、もちろん舗装してしまえば問題はありませんが、道路の十カ年計画が終わるまでとか、五カ年計画が終わるまでとかいうことになりますと、それまではそういうことが必要になって参りますので、暫定措置として、道路五カ年計画あるいは十カ年計画の終わるまでは便宜そういうふうなものをつけさすというふうに行政指導一つやっていただきたい、これも希望しておきます。  この法律を私ずっと読んでみまして、これでは交通の危険あるいは妨害を排除することはできないし、他人に迷惑をかけることを除去することは一切できない。こういうふうなざる法ならあまりほめた法律ではない、こういうふうに考えますので、近い将来にこれを修正してもらいたい。こういうことを希望いたしまして質問を打り切ります。
  11. 土井直作

    土井委員 関連して、ただいま関谷委員から質問されました条項の中で、実はきわめて微温的な態度をとっておられることを非常に私は遺憾とするのであります。それはなぜであるかと言いまするならば、近い将来に、泥よけの問題にいたしましても、それから道路上の駐車にいたしましても、修正をしてもらいたい。こういうことでありまするが、これはもとよりわれわれの権限に属する問題でありますから、地方行政委員会の方でこの問題はやはり現にこの法案が出されておる過程において修正すべきではないか、こう思うのであります。これは地方行政委員会の方で適当に御処理願いたいと思いますが、私は、特に自家用自動車道路上に、車庫がなくてそれで車庫がわりに使っておるということについて、ただいま石原大臣は、全面的に法律でやるということはとうてい現在の実情においてはできないということを言われております。これはもってのほかのことだと思う。少なくともそれを全面的にやりましても、自家用自動車を持っておるくらいの人々車庫も作れないということはあり得ないと思う。従って、これについて当局としては、自家用自動車路上駐車しておることを厳禁する、そうして直ちに車庫を作れというところの強い決意があるかどうか、それをやる意思があるかどうかということをこの機会にはっきり述べていただきたいと思います。
  12. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 最近の自動車増加は非常に激しい状況でございます。従いまして大都市におきましては、なかなかこれに応じて車庫を作るということが困難な事情もあるかと思います。われわれといたしましては、必ず車庫を持つ、たとえば営業用と同じように車庫を持った者についてだけ所有を許すというようなことにすることが、道路交通の安全、円滑というものを期する上において一番適切であるという点については、ただいまお話し通りと私は考えるわけでありますが、直ちに現在の状況をそこに持っていくということは、非常に困難なことがあるのではないかというふうに考えるわけでございまして、この点は制度的にそうするというよりも、できるだけ勧奨いたしましてそういう方向に持っていくということにいたしていきたいというつもりで現在おるわけであります。
  13. 土井直作

    土井委員 ただいま御答弁によりますると、直ちにこれを実施することができない状態である。いわゆる困難な実情がある。その困難な実情は具体的にいうとどういう内容を示しておりますか。困難な実情を具体的にこの際示していただきたいと思います。
  14. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 実は私も西荻窪に住んでおるのでありますが、最近近所の人で、大部分は小型でありますけれども、ずいぶんと車を持っております。ところが、今まで割に狭い家に住んでおりながら、自動車が割に安くなってきたのじゃないかと思うのですが、自動車を持っている。そういうことになりますと、あき地があればそこに置くということで、できるだけ迷惑をかけないように努めておるようでございますけれども、時として、やはり庭も狭くて庭にも入れられない、また庭に入れるだけの門の大きさもない、というような人が自動車を持っておるような状況になってきておるのが実情であります。従って、初めに自動車を許すときにそういう建前をとるということにすれば、これは可能だと思いますが、そういうことでなしに、自動車を今すでに持ってしまっておる者で車庫のない者に対して、直ちにそれを、今から自動車を使っていかぬということにはできないのじゃないか。そういう実情でございますので、今から自動車を持たせるという者について必ず車庫を作れということを、この時点から強制するということも直ちにはいきかねるのじゃないかということを考えるわけでございますが、そういう点はまた運輸省なり通産省の関係当局ともよく相談をいたしまして、われわれとしてはお話しのような御趣旨に全く賛成でございまして、できるだけ車庫もないような人は自動車を使っていない方が道路交通上はよろしいのでございますけれども、そうかといって、また経済なり生活の実情から、直ちにそこまで法律的に強制するということはとり得ない実情もあるのではないか、こういう点を申し上げる次第でございます。
  15. 土井直作

    土井委員 これは押し問答になるかもしれませんけれども、実際上の問題としては、自家用自動車を持っておるような人々は、柏村長官は自宅の付近の実情を言っておりますが、たいがい中型くらいの車庫を作ることには事欠かない人が本来自動車を持っておるのです。ただ、このごろは自動車の盗難もさほどありませんから、そういう関係で比較的路上に置いた方が便利だから、わざわざ車庫を作らないというやり方をとっているのです。そこで今後の許可条件としては、自家用車を持つ人は当然車庫を作るということを原則として考えていかなければならない。これは運輸当局の方から、この点を念のため一つ答弁をしていただきたいと思います。それから実際的な問題として、それだけの経済力がないということは考えられない。このごろ自転車だって、ちゃんと自転車をしまうところを作っているくらいだから、あれは簡単だからできるのかもしれませんが、自動車の場合、門が狭いとかなんとかいうことは、ちょっと答弁としては、私はあまり当を得た答弁ではないと思うのでありまして、この点については、今後やはり厳格にやっていただかなければ、交通緩和ということは不可能ではないかと考えるわけであります。  それから、同じく関連の問題でございますが、今関谷委員からも言われております七十一条のぬかるみの泥よけ器の問題について、ここで疑問に思うのは、これに対する罰則があるはずであります。ところが、ここではこういうふうに書いてある。要するに「ぬかるみ又は水たまり通行するときは、泥よけ器をつけ、又は徐行する等して、泥土汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。」ということでありますが、たとえば舗装との関係ですね。こういうふうにはっきりと「ぬかるみ」という場合、東京都などを見て参りますと、舗装道路舗装道路との間にまだ舗装していないところがあり、そこは雨などが降ると非常な泥濘のような状態になる、こういう場合がしばしばある。そういうときに、これは法律では徐行しろといっておるけれども、実際は、一秒を争うようなタクシーの連中なんというものは、そんなことかまっていないですからね、びゅうびゅう飛んでいくということです。その間の距離がどれだけりかということは別として、それはそのときの道路状態によって違うでしょうが、そのところまで行って徐行するというようなことは、商売をやっているタクシー業者なんというものはなかなかやらぬ。それから、それじゃそこまで行って泥よけ器をつけるというのも、今までつけないのを急に停車してつけるなんて、そんな奇特な運転手はこれまたおらない。だから、これは書いてあるけれども死文になってしまうのじゃないかというおそれがある。たとえばいなかのようなずっと全然舗装がないところでは、雨の場合においてはつけなければならないということになるかもしれませんけれども、都会の場合には死文に陥るおそれがありはしないかと思いますが、その点についての御見解はいかがですか。
  16. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 最初のお話の車庫をできるだけ法律的に持たせるという点は、もちろん私も非常に貴重な御意見として承るわけでございまして、われわれもできればそうしたいということで、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、関係当局ともよく連絡いたしまして、その御趣旨に沿うような方向にできるだけ努力をいたしたいと思います。 それから泥よけ器の問題につきましては、確かにお話しのように、舗装が全然されていないようなところにおいては、できるだけ勧奨して泥よけ器を初めからつけさせるというごとでございます。それから都会地等について、確かにお話しのように、ぬかるみに来たらおりて泥よけ器をつけるなんという奇特なことをする者はもちろんないと思います。しかしまた、そういうようなほとんど大部分舗装されておって泥よけ器を要しないようなところにおいて、泥よけ器を義務的につけさせるにはあたらないのじゃないか。そういうものは、舗装のしてないような個所あるいは水たまり個所等においては、良識をもって徐行をしてもらうというようなことで、この七十一条にいっております趣旨が達成されるように、できるだけ指導をし、また一般の良識に待っていきたいという気持で今度のこの法改正考えておる次第であります。
  17. 國友弘康

    國友政府委員 自動車車庫の問題に関しましては、現在関係当局と私どもの方とで打ち合わせをいたしておりますが、私ども考えますのに、日本におきまする自動車普及状態は、実は世界各国に比べますと、まだそう多いというわけではございません。数字を一応申し上げてみますと、たとえばアメリカは一台当たり二・六人の人口を持っておりますが、日本におきましては一台当たり百三十一人でございます。これは国情もいろいろと違いますけれども、しかし、われわれが一番規制をしなければならないのは大都市でありまして、地方のいなか等においては、まだ道路その他におきましても、全部が車庫規制をする必要があるかどうかということについては考慮を要するところもあると思いまするし、さらに、たとえば東京に参っております自動車が埼玉県に車庫を持っておるような場合、これは決して東京都の路上駐車防止し得ることにはならないのでありまして、それらの点等も考慮しなければならないので、車庫を持たせることも必要であるけれども、具体的にはその地域々々の交通規制をすることが必要であろうと考えておるのでございまして、道路運送法車庫を強制するという点まで、実は私どもの方としては今まだ踏み切る状態には立ち至っておらないのであります。今後総理府等にも、そのような関係官庁との連絡機関もできますので、そういうところで十分にこれらの問題を研究したいと考えております。
  18. 土井直作

    土井委員 自動車局長は、その点についていろいろ日本と外国の例などを引いて御説明になつておりまするが、これは根本的に、外国と日本との道路の幅員の関係、あるいは道路舗装関係とかいろいろな点において違うのでありますから、同日の議論には私はならないのではないか、こう思うのであります。ただ問題は、たとえば今御説明になった御答弁のように、埼玉県に車庫があるけれども、東京へ来て常に路上駐車するという場合もあり得る、これは例外中の例外であります。多くの場合には、自家用車を持っておる人は自分のうちに大体車庫を持っておるのが原則であります。会社、工場でない限り、営業車でない限り。従って車庫を強制いたしましても、そのことのための弊害というものは起こらないのではないか。要するに当局の決意が足りないのではないか。先ほど関谷委員も言ったように、同情立法的な内容があって、ことに取り締まりの任に当たっている方面では、自分の付近の実情から考えて、おそらく相当陳情があったのかどうかわかりませんけれども、そういうことであっては、やはり公共の安全を期するということは不可能ではないかと思うので、一段と努力して、これはできるならば地方行政委員会一つ修正してもらうというくらいにして、強硬に当局をして叱咤勉励するだけの熱意がなければ、この法案は意味をなさない。  それからもう一つ、これは関連ではございませんで恐縮ですが、あとに質疑の通告のある方に対しては申しわけありませんが、第六十五条に、「何人も、酒に酔い」、それからカッコして、「車両等運転してはならない。」こういうふうに書いてありますが、これはわれわれが体験するところ、また見聞するところ、そういうものから推してみまして、酒気を帯びて運転する人は営業をしておる人は非常に少ないのであります。おそらくこの点については、相当監督行政の面で徹底しておるのではないかと思いますが、タクシーとかハイヤー、こういうような営業車で酒気を帯びている者は非常に少ないのです。ところが、酒気を帯びて運転をして事故を起こすのは自家用車であります。自家用車の連中が、それぞれバーなり料理屋なりへ行って、一緒にお客とあれしたり友人とあれしたり、それぞれして酒を飲んで、それから帰りに勢いよく運転してきて事故を起こす、こういう場合がしばしばある。従ってその取り締まりを、一体この法律が公布されます場合に−−対象として酒気を帯びている者は多くは自家用車の所有者だ、こういうふうに見ていいわけであります。その取り締まりは、具体的にどういうふうにされるつもりか。酒気ということは、これは何かメーターがあってはかるのでありますが、何か限度があるのですか。どれくらいまではいいということですか。この点を一つ聞かしていただきたい。  それからもう一つ、酒はその人その人によって分量の差で酔う程度が違うわけです。常に一升酒を飲んでいる人は三合や四合飲んだって酔わないが、われわれのようにジュースくらい飲んでいるやつが一ばい飲むというと、もうほろ酔いきげんになるということであって、その酔う限度というものは、その人のそれぞれの体質によって非常に相違があるのではないかと思うのですが、これは一滴も飲んではいけないという形になっておるのか、取り締まりの具体的な事例というものをどういうところにめどを置いておるか、その点をはっきりお聞かせ願いたい。
  19. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 初めに改正案で私ども考えておりましたのは、「何人も、酒に酔い」カッコを除きますが、「車両等運転してはならない。」ということで、現行法と同じように酔っぱらって運転してはいけないということにしており、また酒気帯び運転につきましては、刑罰において何か違反があったときにその刑を加重していく、いわゆる倍加していくという方法をとっておったのでありますが、参議院の修正案におきまして、「何人も、酒気を帯びて車両等運転してはならない。」というふうに修正されたわけです。それで罰則については、私ども考えておりました通りになっておるわけであります。そこでこれはどういうふうに取り締まっていくかと申しますと、私どもは最初原案におきまして「酒に酔い」、酔っぱらってということになりますと、外形においてそういうことが看取される状況がほとんど多いわけであります。ところが「酒気を帯び」ということになりますと、必ずしも運転している実態を見て、直ちに酒気を帯びておるか帯びていないかということは、外からなかなか判断しにくい問題があるわけであります。従いまして、実情といたしましては、何か事故を起こす、違反をするというようなときに、どうもこれは酒気を帯びておるということで検査をして刑を加重する、取り締まりの実情はそういうことに相なろうかと思います。  ところで、この「酒気を帯び」というのは一体どの程度かということでございますが、通俗的に申しますと、いわゆるほろ酔い一歩手前というところでございまして、実際には科学的に検査する機械をもちまして、アルコールが体内に、いわゆる呼気の中に何%以上、血液の中に何%以上ということが物理的に出るような機械を使用いたしまして、それによってこれは酒気を帯びておる、これは酒気を帯びていないということを判断するようにいたしたい、これは政令でまたその物理的な限度というものをきめることにいたしたい、こう考えております。
  20. 土井直作

    土井委員 元来私から申し上げますれば、少なくとも酒を飲んだ人は運転してはならないというくらいの、自分が酒を飲まないからという意味ではありませんが、厳格にやらなければならないはずだと思うのであります。それでただいまの答弁によりますると、最初原案は、なるほど「何人も、酒に酔い」と、酔うという限度をこう書いてありますが、参議院の方の修正は、「酒気を帯びて」といって、かなりこれは文章的にはきつくなっておるわけであります。だから片方は、酔って運転するということは迷惑千万な話で、現行法でもやっておるのであって、従って今度は参議院の方で、「酒気を帯びて(身体に政令で定める程度以上にアルコ−ルを保有する)」というように修正されてきておる。これは一歩前進の形であると思うのですが、むしろ私は、酒を飲んで運転してはならないというくらいに強いものにしておいてもいいのではないか。そうでないと、たとえばこれはただいまの答弁の中にありますように、予防法ではない、事故が起きてから後の刑罰のその量を決定するためのものであって、予防法としては何にもなっていない。だから事故が起きてから、一体酒を飲んでその結果事故を起こしたのかどうか、それじゃお前は酒を飲まなかったから刑罰はこれだけにしてやるが、飲んでやったのだからこれだけにするというような、そういう予防法ではなくて起きた後における取り締まりの対象、刑罰の量刑の問題をここで議論しておるということは、僕は法律の建前からいって少し矛盾しているのではないかと思う。むしろ、これはもっと積極的に、酒を飲んで運転してはならない。こう限定してしまえば、−それでもやりますよ、ものを盗んだらうしろに手が回るといってもやはりやるんだから、やるけれども、それの方がもっと徹底しているし、それから運転する人も注意する。飲んで運転してはだめなんだということで、それくらいに厳格にやっていいのではないかと思う。ことに現在の日本の交通量の面から見て、あるいは交通事故の面からいって、常におそれることは、たとえば飛行機がこの間名古屋でジェット機と衝突した。そうすると大騒ぎをする。死傷者はきわめて少ない。ところが世間は、こういうふうにはなやかと言うとおかしいが、新聞ででかでかと書かれると、それに便乗するかどうか知らぬが、これを非常に大きく取り扱う。ところが交通事故によって死亡している人、私は毎日通っているが、交番のところにきのうの事故として、死者何名、負傷者何名と書いてある。東京都だけでも大へんな人が一年に死ぬ。全国的には非常にたくさんの人が死んでおる。それから負傷者の中には、病院に行ってから後死んでいる人は、とりあえずの死亡の中に入っておらない。また不具、廃疾者にならなければならないような事故を起している人もたくさんある。これは国家的に見ても非常に大きな損失である。こういう面から考えれば、交通事故によって生ずる人命の損傷というものは、何ものにもかえがたい大きな国家的損失である。個々の人間の問題ではなくて、国家的に見て非常に大きな損失である。この問題は等閑視されているわけではありませんが、あまり問題にされておらないということははなはだ遺憾である。たとえば船がひっくり返って数百人、あるいは洞爺丸のような場合であれば、もう天下をあげて騒いでいるけれども、時々刻々として起こっておる交通事故については、比較的これを重要視しないような傾向は遺憾だと思う。従って、こういう取り締まりの中には、厳格過ぎるくらいの法律の制定をすべきではないか。それでもなお酒気を帯びてやる人がおります。おるけれども、予防法として考えるならば、それくらいに厳格にやるべきじゃないかと思うのだが、当局は、一体酒を飲んで後事故が起きてから刑量を決定するためにやるのか、やることを目的としているような法律であって、それで満足されておるのかどうか。あるいは将来そういうことについて一歩前進して強いものにしていきたいという考え方があるのかどうか。この点について一つ所信のほどを聞かしていただきたいと思います。
  21. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど私申し上げましたのは、酒気帯び運転の取り締まりの実際に行なわれる状況について申し上げたわけで、これは確かに事後的に相なるかと思いますけれども、しかし、参議院で修正されましたようなこういう規定によって、また酒気を帯びて運転してはならないという規定があり、なおかつこれが加重されるということによって、そういうものはいけないんだという考え方が一般に徹底いたして参るのではないか。そういう意味の予防的な効果は非常に大きいのではないかというふうに私は考えるわけでございます。また念のために申し上げておきますが、私どもただいま政令案として考えております酒気帯びの限界でございますが、血液一ミリリットル当たり〇・五ミリグラム以上、呼気、吐く息でありますが、一リットル当たり〇・二五ミリグラム以上、こういうことが測定できるような機械を現在警察において持つておりますが、そういうものによって検査をする。これはもちろん事後に相なるわけでございますが、しかし法律にこういうことが明記され、またこれが幸いにして国会を通過いたしますれば、六カ月以内に施行する。その間においてもできるだけ徹底をして参りたいというふうに考えます。御趣旨のように、確かに酒を飲んで運転をするというようなことによる交通事故というものは非常に多いわけでございます。われわれもこれはできるだけためていきたいということは、私お話と全く同じ考えを持っておるので、これはできるだけ徹底していきたいと思います。ただ、酒を飲んでということになりますと、先ほどお話にございましたように、酒の強い者はある程度飲んでも平気である。弱い者はちょっと飲んでも耳まで赤くなるということもございますし、また酒を飲むという時間的な、酒を飲んでどのくらい、何時間後というようなことまで法律的に規定するわけには参りませんので、その運転している現在において、ただいま申し上げましたような物理的に計算できる限度を越えてアルコールを体内に保有しているということをとらえないと、罰則までつけております関係上、単に道徳的規定だけでは済まされない問題があると思います。しかし、お話しのように酒を飲んで運転してはいけないという気持、これはできるだけ世間に徹底して参りたいと私ども念願いたしておるわけであります。
  22. 土井直作

    土井委員 非常に幼稚な質問で、同僚委員諸君にも恐縮ではあると思いますが、今お話しの酒の量の計量の点ですが、私よくわからないのですが、どれだけのものがどうだということは、たとえばわれわれのように全然酒を飲まない者は、二はいか三ばい飲んでも非常に酔うのですね。その場合そういうようなことがわかるのですか。たとえば一升飲んでいる人が、三合ぐらい飲んだってあまり酔わない、われわれは二はいか三ばいでもっていい気分になる。そういうことはそれでわかるのですか。
  23. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私もある程度酒を飲むわけでありまするが、私もコップ一ぱいぐっと飲んでみると、完全にひっかかります。時間がたちますると、酒の強い者はこれを排泄してしまいます。従って時間との関係があると思いますけれども、相当強い者でも、そんなに酔っぱらうほど飲まなくても、これに完全にひっかかるということになるわけであります。(「検査するまでにさめてしまう」と呼ぶ者あり)検査するまでにさめるというような程度ならば、これに該当しない程度ならば、安全の程度であるということが言えると思います。これははっきりと物理的に出るわけでございます。弱い人はなかなか排泄しにくいので、おそらく体内にとどまっているアルコールの量というものが持続的になるということは言い得ると思います。
  24. 土井直作

    土井委員 ありがとうございました。
  25. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 久保三郎君。
  26. 久保三郎

    ○久保委員 酔っぱらい運転について、今お答えがあったわけでありますが、そうしますと、六十五条は訓示規定ではなくて、やはりこれによりますと、百十八条の第二号にひっかかるわけですね。
  27. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 これは単なる訓示規定ではございませんで、刑の加重される規定と合わせて、同時に現行法と同じように酔っぱらい運転という、ほんとうに酒に酔って運転する者を取り締まる規定でございます。
  28. 久保三郎

    ○久保委員 今の酒を飲んでの運転ですが、二つに分けてみたらどうか。一つは酒を飲んでは運転できないのだという訓示規定を設ける。それから酔っぱらっての運転は、今の政令できめる、血液一ミリの中にどの程度、それ以上になっている場合はもちろん酔っぱらい運転として処罰する。こういうふうなことにすれば、今の世間の要求にある程度かなうのではないか。というのは、この第六十五条をそのまま今のようなお話に持っていきますと、酒を飲んでいるというだけで処罰をされるということになると、大へん失礼な言い分でありますが、現在の警察官の取り締まりの立場からいうと、どうも自家用車をもってバーに入っていった。出てくるのを待っておって、お前酒を飲んでいるだろうというようなことになっても、これはまた常識を欠いておるわけであります。とにもかくにも酒を飲んで運転することはいけないのだということを、やはり訓示規定を設けるべきではないか。その上で、今の政令で定める以上のアルコール分を飲んで、しかも運転して酔っぱらっているというようなことは、当然これは処罰していい。そういうふうに書いたらどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  29. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 酒に関連いたしますと、四つあると思うのです。酒を飲まないということ、それから酒をただ飲んだということ、それから酒気帯びの状態、酔っぱらいの状態、この四つに分けられると思います。酒を飲むということだけになりますると、これは先ほど申し上げましたように、時間的な関連もあるわけです。もちろん一日前に飲んだやつは常識的にひっかからないと思いますけれども、一時間前でも、まだ酒が残っている者もありますし、もう消えてしまう者もある。だから酒飲みだけでは、これはちょっとはっきりさせられない。そこで参議院で修正されましたのが、酒気を帯びて運転してはならない。これは絶対に法律上酒気を帯びて運転してはいけないということになりまして、罰則はどういうふうに動くかといいますと、酒気を帯びて運転してはならないということは、ある意味では道徳的規定でございます。酒気を帯びて運転して何ら違反がない、事故が起こらないという状況のときにおいては、これは罰則が適用にならないわけであります。それでこれがこの法令に規定する違反にかかった場合に刑が倍加される、いわゆる加重されるということに相なるわけでございます。ところが酔っぱらい運転だと、酔っぱらって運転しただけで、事故を起こす起こさないにかかわらず、これは罰則規定の適用がある。こういうふうに相なるわけでございまして、大体ただいまお話しの御趣旨に参議院の修正案というものは沿ったような道徳的規定罰則を加味する規定というものを含んだものというように相なるかと思います。
  30. 久保三郎

    ○久保委員 今の長官の御説明でわからないところがありますが、百十八条第二号、これは第六十五条の規定に違反した者で、いわゆる政令で定めるところの量よりよけい飲んだ者、そういう状態にある者で酒に酔っぱらっておる、こう書いてある。酒気を帯びて車両運転をした者は処罰する、こうある。この場合酒に酔わなければいいんですか。違反してなおかつ酒に酔っぱらったということじゃないでしょうか。だから政令に定める条文だけでは、酒に酔っているかどうかというのはその人によって違う。これはあなたが御説明通りですが、いわゆる六十五条そのもの、運転した場合はこれは処罰されるのですか、どうなんです。
  31. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 六十五条につきましては、私先ほど御説明申し上げた通りでございますが、百十八条の修正案は、第六十五条の酒気帯び運転、この六十五条の規定に違反したもので、今度は酒に酔い車両等運転した者と、こう相なるわけで、酒気帯びのうちに、単純な酒気帯びと、それから酒に酔うのと、二つに分けられるわけです。それだから酒に酔う程度までいったやつ、いわゆる酔っぱらい運転はこれ自体がいけない。それから酒気帯びについては、何か違反があったときに、酒気を帯びない場合の違反についての罰則がございますが、その違反の罰則を加重して刑罰を課するということができる。酔っぱらうのと、酔っぱらわないで酒気を帯びているというのと二つに分けて考えております。
  32. 久保三郎

    ○久保委員 非常にこの法律はややこしいと思うのです。これはやはり明確にされた方がいいと思うのです。酒を飲んだ時間がきのうのどうのというのは常識的ではありません。きのう飲んだやつは実際酒を飲んだうちに入らない。だからそういうことじゃなくて、常識的に考えて、酒を飲んで運転してはいけないという一つ法律目的を達しなければいかぬと思うのですね。事故があったときに処罰するというのは、これは付随的なものです。そうなると、今の形ではちょっと過酷ではないか。六十五条ではちょっとひど過ぎやしないか、ひど過ぎるというより困るじゃないか。だから一般的に六十五条にいうアルコール分を保有して、その他の、たとえば事故を起こしたという場合には、その罪を加重するということであるのでしょう。御説明はそうでしょう。その上に、酒に酔って運転した場合には百十八条の第二号による、こういうことですね。そうだとすれば、これは二つに分けて、むしろ酒を飲んで運転したらいかぬという道徳規定を一項目別に置いて、そのあとを六十五条で消化したらどうか、こういうふうに思うのです。というのは、取り締まりにしても何にしても、科学的かもしれませんけれども、大体風船か何かふくらますのだそうでございますが、こんなものはどこの警察も持ってやっているということは事実ないと思うのです。そういう事実守り得ない、規制し得ないものが基本になって、実際の目的の、とにかく酒を飲んで運転してもらっては困るのだということがないがしろになるのでは困る。私は担当の委員会の皆さんにお願いして、こういう線でできるものなら一つ工夫してほしい、こう思います。これは別に答弁は要りません。  それからもう一つ、泥よけの問題でございますが、泥よけ器といいますか、そういう器械は現在あるのですか、ないのですか。実際泥をよけるような器械はどうなんです。
  33. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ある程度効果的なものは考案されているわけでございますけれども、完全にそれで防ぎ得るという、われわれとして確信を持ったものは今まで知らないわけでございます。しかし、泥よけ器をつけることによって相当の効果があるということは、さっき関谷委員お話しのように確かにあるわけでございますが、今回の改正におきましては、泥よけ器を勧奨する程度にして、強制するという段階まで考えることは無理ではないかというつもりで本案を提案いたしておる次第であります。
  34. 久保三郎

    ○久保委員 泥よけ器を強制するか、あるいは罰則をつけるかという問題は、事実問題があると思う。しかし先ほど来、あるいはこれまでも参議院の段階でおそらく御論議になったと思うのですが、大衆は泥はねの問題は非常に迷惑しておる。これは通産省ですか、運輸省ですか、あなた方か、どちらの所管であるかわかりませんが、これは昭和三十年に交通事故防止対策要綱ができまして、その中には、泥よけ器の研究という一項目がございます。その後、その担当の人で研究はされておるのですか、いかがですか。
  35. 内海倫

    内海説明員 泥よけ器の研究につきましては、積極的にわれわれの方でこういうふうな装置という具体的な研究成果を上げておるものはいまだありません。従いまして、民間においていろいろ考案されてくるものにつきましては、警察庁及び運輸省におきまして試験検討いたしまして、それに対する意見を付してその改良等に資する指示はいたしておりますが、現在のところ、ただいま長官の申しましたように、私の方及び運輸省において、これであれば的確に泥をはねないという性能を保有したものが出現しておるという段階には至っておりません。
  36. 久保三郎

    ○久保委員 警察といいますか、警察庁の方では、こういうものの研究に取り組んでいるのではないですか。今のお話だと、取り組んではおらないのですね。業者が何か作ってきたものを一応試験してみて、それがいいとか悪いとかいうふうなご意見なんですか。政府機関において積極的な何か研究されておる部面はないのですか。
  37. 内海倫

    内海説明員 先ほど申しましたように、私どもの方で積極的に泥よけ装置を研究するというふうな具体的な研究はまだいたしておりません。
  38. 久保三郎

    ○久保委員 運輸省はどうですか。
  39. 國友弘康

    國友政府委員 泥よけに閲しましては、先ほど警察庁の方から答弁がありましたように、警察庁及び運輸省で研究はいたしております。試験もいたしております。これはやはり今製造されております泥よけ器を運輸技術研究所におきまして数回にわたって実験をいたしました。そのデーターを今私持っておりませんけれども、試験結果が出ております。その結果につきましては、地方機関、陸運局等にも通知してございますが、結論的に申し上げますと、先ほど警察庁の方から答弁がありましたように、完全に泥よけの防止のできる器械はできておらない。ある程度泥のはね方の少なくなる状況ではございますが、完全と思われるような泥よけ器はできておらないのでございまして、運輸省といたしましても、政府が完全な泥よけ器を発案するような方法を研究しておるかと申しますと、そこまではいっておらないわけでございます。
  40. 久保三郎

    ○久保委員 これはあまり名誉な話ではなくて、泥よけなどはつけないような道路にすることが先決だと思います。しかし、これは理想です。よって、ここで要望しておきたいのは、やはり効率的な泥よけ器を作るために、政府機関でそれぞれ早急に研究を遂げられるようにしてほしいと思う。それから警察庁のほうで泥よけ器をつけるように積極的に進めておるのですか、それとも消極的にこういうものがあるからつけたらどうかという程度でしょうか、あるいはこれからどうするのですか。
  41. 内海倫

    内海説明員 泥よけの実態につきましては、私どもも実情を聴取いたして、地方の実情もよくわかっておりますので、各警察本部に対しましては、泥はねの防止についての指示はしばしばいたしております。その場合に、その都道府県公安委員会の選択によりまして、陸運局で保安上支障ないと認定したものについて、それらを通知いたしまして、こういうものが陸運局で認定されておるから、つける場合にはこういうものをつけたらどうかという連絡もいたしております。なおまた、私どもといたしましては、こういうふうな指導はいたしておるわけでございます。たとえば全部につけろということになりますと、いろいろな道路状況、あるいは天候その他によりまして事情が異なりますので、たとえば非常に雨が降ってぬかるような場合には、そのぬかるみ道路を定期的に運行するようなバスあるいはトラック等については、十分相談し合って、泥よけ装置をつけるというふうなこともかね合わせて、要は泥を飛ばさないような措置を講ずるようにという指導をするような形の指示はしばしばいたしております。
  42. 久保三郎

    ○久保委員 どうも泥よけについては、問題が大きい割に、自信を持ってこれというきめ手は各方面にもないようで、大へん残念だと思います。とにかく泥はねで非常に迷惑をこうむっておるのは周知の通りであります。これはもう少し何か指導というか、別に現状では法律規制する必要もないかと思うのであります。ものには理屈がありまして、泥よけをつけるよりは道路をよくした方がいいじゃないかという文句のあるところですから、法律規制するのは二の次にしまして、もう少し積極的にこの泥よけ器の考案なり、あるいはこれを普及させるなり、こういう方法をとってほしいと私は思うのであります。  それで先に参りますが、今度の法改正というか、制定と同じでありますが、今までは取り締まりが重点でありまして、交通指導は大体二の次になる。今度はそうじやなくて、道路交通全体の法律ということになった。そうしますと、今度は警察庁自体の任務も大へん変わったと思うのです。ところがこの法律の重点は、先ほど長官から御説明のあったように、その一つには罰則の問題があります。罰則の強化についてはいろいろ論議もあるでありましょうが、普通に見ますと、罰則の強化で一つ規制していこう。これを全部取り締まるという自信はおそらく警察庁にもないと思う。罰則でもっておどかして、と言っては大へん語弊がありますが、そういうものに気をつけさせながら何とか規制していこうという、早く言えば他力本願的なものが一つありはしないか、こう思うのです。そうだとすれば大へんな間違いでありまして、罰則は強化したが、むしろ罰則は強化しないで済むような形が必要だ。これは言うまでもなく、交通の整理あるいは指導の衝に当たる警察官の問題で、これは地方行政委員会でも論議されたようでありますが、警察官の任務というものは、従来の観念からいえば、とにかく古い観念から引き続いて、警察官はこわいものだ、警察は取り締まられるものだ、こういう観念が強くあったと思う。あるいは現場に立つ警察官にしても、民主的な警察官も中にはたくさんおられますが、全体を通ずる傾向は、法規ができたら一番先に罰則の方だけ見てやろう。こういう傾向が強いのじゃないかと思うのです。そこで警察官の教養の問題であります。今までの交通警察官の教養は取り締まりに重点を置かれたと思うのです。この法案が通れば、当然今度は道路交通に対する全体のいわゆる指揮者として、これは教育し直さなければならぬと思うのですが、そういう考えを持っておりますか、どうですか。
  43. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 警察の任務は多々あるわけでございますが、最近交通状況からいたしまして、交通警察というものは非常に重視されて参っておりますし、私どもも、たとえば増員をお願いするにいたしましても、交通警察の増強ということに最重点を置いておるようなわけでありまして、現在でも、決して取り締まり重点主義で警察官を指導いたしておるわけではございません。できるだけ指導、また一般の理解を深めるように警察がりっばに整理をし、正当に規制をしていくということに力を注いできておったわけでありますが、ただいまお話しのように、この法律で全面的な改正が行なわれますに際しましては、この審議の過程を通じ、また施行前におきましても、できるだけ一般に対する理解を深めると同時に、ただいまお話しの警察官の教養ということが特に重要であろうということを考えておるわけでございます。決して取締重点主義ということでなくて、民間の理解を深めるような指導また適切な整理ができるような技能と見識を深く植えつけるように指導して参りたいというふうに考えております。今回罰則を強化いたしましたのも、各種の法令等との勘案において考えたわけでございまして、罰則強化によってこれをおどして交通規制を完壁ならしめようという考えは毛頭持っておらないわけでありまして、もちろん罰則の強化がその一助に相なるということは結果的にあると思いますけれども、そういう意図を持って罰則の強化ということを考えておるわけではございません。
  44. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ちょっと今の問題に関連いたしまして伺っておきたいと思いますが、現在いわゆる交通巡査と称する方々で、大型運転免許を持っている方は何人いますか。全部持っておるのですか。この点を伺っておきたい。
  45. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 交通警察に従事する者が全部運転免許を持っているということは申し上げかねると思います。しかし、先ほど申し上げましたように、交通警察というものが非常に重要度を加えて参りましたので、運転の技術を修得させるということにつきまして、特にわれわれ意を払っておりまして、従来初任教養一年ということでやってきておるわけでございますが、今回さらに、一年を教養して第一線に立たせた後に、半年くらいの第一線の勤務を終えた者について再教育をする、四カ月の教養をさらに施す。それの一つの項目として運転技術の修得ということを特につけ加えて、交通についての知識、技能というものを普及させたいということを考えておる次第であります。
  46. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこでさらに伺っておきたいのですが、バーとかあるいはそこらの飲み屋でもって酒を飲んで、しかもそれがオーナー・ドライバー、自分ではとても車を運転して帰ることができないという酔っぱらい、それが警察等に連絡があって、私は酔っぱらってどうにも車が運転できませんけれども、車を持って帰らなければいけないので、警察の方で一つ運転して車を持って帰ってくれ、こういうような連絡があったような過去の実例がございますか。
  47. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私は、そういう実例を聞いておりません。
  48. 阪上安太郎

    ○阪上委員 実はこういう質問を申し上げるのは、先ほども久保君からお話がありましたように、これは単に厳罰主義ばかりでなく、一方において警察行政における警察サービスとして、交通の円滑、事故防止等に当たらなければならぬという趣旨であったと私は思うのであります。諸外国の例を見ますと、私も実は体験したことがありますけれども、西ドイツあたりでは、酔っぱらってどうにも運転ができぬ、しかも酔っぱらい運転は厳重に禁止されておる。これを何とか救済する方法として考え出されておるのが、今申し上げたように、警察に連絡をしてそうして運転してもらう。こういうようなサービス行政がその背後において非常にカバーされておる。こういったことが真実なされないと、先ほどからもいろいろ酒気を帯びてとか、あるいは酔っぱらってとかいう問題が出ておるけれども、こういった問題は、ある意味においては、これは見つからなければ、やはり訓示規定的な内容しか持たないことになってくる。こういった面をやはりほんとうに親切に警察が取り扱っていくということにおいて、初めてこういう法律が生きてくるのではないか、こういうふうに思うのであります。そういったことについて、何か政令その他で、あるいは法の条文等において義務づけていくような考え方を、長官自体としてお持ちになられるかどうか、この点、一つ伺っておきたいと思います。
  49. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 西ドイツの例で、確かに非常に発達した文化的な国においては、私はそういうところまでいくべきだと思いまするし、日本においてもそういうふうにあってほしいと考えますけれども、現在の日本の社会事情とか、犯罪の情勢であるとか、警察の力と申しますか、陣容であるとかいう点から申しますと、酔っぱらいから頼まれて、これをうちに送り届けてやるというところまでの親切は、私は、少なくとも法律的にこれを保障するようなことはやはり尚早ではないか。まあとにかくオーナー・ドライバーが酔っぱらって運転できないようなことにならないようにしてもらうということであって、警察がそこまで世話をやくまでの文化的な社会になっていないのじゃないかというふうに私は考えております。従って、ただいまお話しのようなことに法律的に踏み切っていこうという考えは、現在私は持ち合わせておりません。
  50. 阪上安太郎

    ○阪上委員 貧乏国の悲哀のような回答に接したわけですが、それならこれは交通警察官がみんな運転できるような状態に置いておく。それからもしそういうケ一スが出てきたときには、法律がどうであろうと、警察としてはサービス行政として、これはこの者に運転させてはだめだ、酒場のマダムから連絡があったというようなことがあるかもしれませんが、そういう場合に積極的にその状態をよく判断して、送り届けてやるというようなことをして、犯罪防止の一助となるような方法を考えていく熱意だけはお持ちになっていなければいけないのではないでしょうか、どうなんですか。
  51. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 法律的に義務づけるということでなしに、事実問題としていろいろ市民の世話をやいていくというのが警察の仕事でございますから、その状況によっては介抱をして送り届けるとか、あるいはどっかにとめさせるとか、いろいろ方法はあると思います。そういうことについての親切心を警察が持つということについては、私どもも大いに指導して参りたいと思いますが、先ほどお話しのように義務づけて、警察の任務としてそれをしなければならないということにはちょっといきかねるということを申し上げておきたいと思います。
  52. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 多少さかのぼって恐縮でございますけれども、先ほど御質問がございました警察官の運転免許の所持者の数でございます。現在全国の交通警察官の全員が八千三百五十名ございます。その中で運転免許証を所持しております者が六千七名でございます。約八割近くになっております。それから警視庁管内では千八百七十八名中千六百五十三名でありまして、大体八割前後ではないかと思いますが、私たちの方針といたしましては、先ほどお尋ねのありましたように、やはり全警察官が、ことに交通に専従しております全警察官が運転免許は必ず持っておるという方向指導して参ってきておりますけれども、今後もできるだけその目標に近づけるように指導して参りたいと思っております。
  53. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この論議はもう少しやってみたいと思いますけれども、今日は連合審査会でありますから、地方行政委員会等でいたしたいと思っております。
  54. 久保三郎

    ○久保委員 先ほどに引き続いてお尋ねしますが、警察官特に交通警察官、これは特別な教育をされるということでありますが、さらに徹底した教育をすると同時に、これは一般のその他の警備警察とか刑事警察とか、いろいろありますが、交通警察の部面はやはり一つにはっきりと区別したらどうか、区別の画然としたものを分野として置いたらどうか、こういうように私は思います。今の実態から申しますと、交通整理をやる警官が場合によっては刑事警察にいく、警備警察にいくということでは、とうていこれからの交通警察を円滑にするということは非常にむずかしい。よって、これは警察庁の機構あるいは地方の警察機構全体にわたるのでありますが、私は、この際こういう膨大な抜本的な改正をするというならば、この法律を機構に合わせたものにしたらどうか、こういうふうに考えております。もちろん現在の交通関係の警察官の数もそうたくさんはないと思います。幾らかふやすようでありますが、これしも現在の交通量にはなかなか合わないのではないか、こういうふうに思うわけであります。量もさりながら、性格をきちっと交通警察官というふうに上から下までずっと画然としたものにして、これには特殊の教育、それから特殊な訓練、そういうものを常時やる必要がありはしないかと思うのですが、どうですか。
  55. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 御趣旨まことにごもっともと存じます。昔の駐在所といいますか、一般の警察で一人の者がすべてのことをやっておったというような時代と違いまして、非常に社会が複雑化して参りましたに伴いまして、警察の仕事もだんだん分化しております。交通警察につきましては、事実上特にいろいろな教養も必要でございますので、実際の実情といたしましては、非常に専門化してきておるわけであります。しかしながら、採用するときは一般警察官として採用して、交通警察に適性のある者をできるだけ交通警察へということに相なるわけでございますので、警察官としては十分勤まるけれども、交通警察に不向きな者はまた他に回すということも必要であるし、それから刑事警察にははたして適当であるかどうかわからないが、交通警察の方で教養を与えればそういうことに熟達し得るというような者を回すということもありますので、若い者を採用いたします関係から、やはりいろいろの仕事につかせつつ、だんだん専門化させていくということに相なろうかと思うのであります。従って、交通警察に入ってずっと交通をやるという筋が、大体本来の姿に相なっていくのではないかと私は考えておるわけでございます。また先ほど申し上げましたように、仕事というものが非常に専門化し分化して参るという趨勢でもございますので、ただいまお話しのような筋に大勢は動いていくものと私は考えております。またそう指導して参りたいと思っております。
  56. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 昨年の四月から科学警察研究所に交通部ができまして、いろいろな専門家を入れていろいろ研究いたしておるのでありますけれども、その中で最も研究いたしておる題目といたしまして、交通警察官にいろいろな適性があるわけであります。能力なり、性格なり、これをテーマにして研究しております。まだ結論は出ておりませんけれども、研究いたしておりますので、その結論に応じましてまたいろいろ手を打つべきではないかと思っております。
  57. 久保三郎

    ○久保委員 ただいまの長官の御答弁最初の方ですが、これはこういうふうにすべきじゃないかと思う。警察官を採用する場合、一般警察官として採用して、それから適性検査をして交通警察に回す者は回す。こういうことのようでありますが、私はそうじゃなくて、採用時からやはり交通警察官として適性のある者を採用していくという建前をとったらどうかという考えを持っているのです。  それからもう一つは、これは石原国務大臣の御意見を承りたいのですが、警察庁の中では刑事局と警備局ですか、局があるのは二つですか、三つですか、そういう中で、これだけの膨大な法律を今から作って、そうしてこれからだんだん伸びていく陸上交通を一切何とか円滑にやっていこうということならば、これは保安局の何に入るか知りませんが、保安局もその交通以外にいろいろあるでしょう。そういうことだとすれば、これはやはり機構そのものを一つ確立していただきたい。こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  58. 石原幹市郎

    石原国務大臣 現在交通は保安局に属しておるのでありますが、この保安局も、もとは警備局から分化して保安局が生まれてきた。こういう形になっておるのでありまして、御指摘のように、交通警察の問題が警察でも最もウエートの重い問題の一つになっておりまして、現に警視庁では前から交通部というようなものがあるのでございます。将来の問題としては検討していかなければならぬと思いますが、またあまりに機構ばかりをいじったり、膨大になるということも考えて参らなければなりませんので、将来の問題点として検討していきたいと思います。
  59. 久保三郎

    ○久保委員 別に機構の問題だけを申し上げるのではないのですけれども、自治庁が自治省に昇格するというような話もあり、それもあるかもしれません。しかしながら、これから問題の多い交通行政に対して、これはやはり考える筋合いだろうと思うのです。保安局の中にあるそうですが、保安局というと、火薬の取り締まりとか、あるいは危険の何とか、いろいろありますね。機械の問題も出てくるでしょう、ボイラーの規制もおそらくあるでしょう。そういうことの中に一部交通をやっているというのでは、どうもこれから発展する交通の需要に応じ切れないと思うので、ぞひ御研究を願いたい、こう思う。  もう一つは、私は地方から出てきておりますが、たとえば積載制限をまた今までよりもきつくしますね。たとえばトラックならトラックの積載重量をはかるのに、そういう機械は、これは警察庁の御費用で設備するのでしょう。地方ですか、いかがですか。−−地方にしても、早い話が、ある地方などは、これは大体一組四つですか、そういうものを二組くらい持っていればいい方でございます。しかもそういうところは砂利トラックが多い。それでは実際に警察官は取り締まりができるかといえば、できないというのです。見ていても、目分量でどうだろうかというのです。こういう問題については、この法律を作って規制し、円滑にしていくというのならば、これは石原国務大臣に御答弁いただきたいのですが、そういう費用を地方にも十分与えるべきだと私は思うのですが、どうでしょう。御用意ございましょうか。
  60. 石原幹市郎

    石原国務大臣 自治庁といたしまして、三十五年度の地方財政計画を編成するにあたりましても、警察であるとか、消防であるとかいうものの基準単価をだんだんふやして参っておるのでございます。その点は、私はただいま自治庁と国家公安委員会を兼務いたしておりますので、その間の連絡は十分つきますので、警察当局の意向を十分に財政計画の上に反映せしめておるつもりでございまして、御指摘になりました問題、具体的に今数字的には申し上げかねますけれども、三十六年度の編成にあたりましても、そういう点は十分反映させたい、さように考えております。
  61. 久保三郎

    ○久保委員 簡単にもう二つほどお伺いいたします。罰則規定の中ですが、「違反となるような行為をした」場合も罰則があるのですね。「違反となるような行為をした」という条項が、これはたくさんありますね。この「なるような行為」というのはどういうのですか、処罰されるのですか。いかがでしょう。
  62. 内海倫

    内海説明員 文章の表現上「違反となるような」というような表現がしてありますが、これは、規制法の方が、たとえば車両というものを主語にして、車両は何々してはならない、こういうふうな規定のいたし方になっておりまして、しかも罰則の方におきましては、処罰の対象は車ではなくて人になります。従いまして、その事両が違反となるような場合においては、それを運転した者を罰する。こういうふうな罰則の書き分けになっておりますので、「となるような」というのは、通常言葉として使われておりますばく然とした言葉の使い方ではなく、さような規制法の方における車両はどこどこに駐車してはならない、車両は何々の場合に追い越してはならない、こういう規制の書き方をいたしておりますので、それに伴いまして、罰則においては人を罰則の対象にいたします関係上、そういう言葉を使いましたもので、これは法務省及び法制局とも法理論的に十分検討して、決して厳密を欠く書き方ではない、こういうことで書いておるのでございます。
  63. 久保三郎

    ○久保委員 そういう御説明なら、これは一応わからないわけではありませんが、普通に読むと、今内海交通課長がおっしゃるような注釈が必要だと思う。これはあとで地方行政委員会の方でも一つ検討いただきたいと思うのであります。私は課長のその解釈を一応容認するとしまして、要望いたしておきたいのは、これは警察官にその注釈をはっきりさせておいてもらわぬと、実際困るのです。拡大解釈に持っていく心配がある。これは一つ要望しておきます。  それから最後に一つお伺いしたいのは、行政協定によると、米軍というか、合衆国の軍隊の構成員、軍属及び家族に対して発給された運転免許証はそのままよろしい、こうなっておる。これもまあそれでいいかもしれません。ところが、交通事故を起こした場合にはどういう規制になりますか。今までそういう処罰をしたことがございますか。
  64. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 その場合も道交法は全部適用になります。
  65. 久保三郎

    ○久保委員 どういうふうに適用したか、適用した例がたくさんあると思うのですが、適用した事案はわかりますか。何件くらいあったのですか。
  66. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 相当やっているはずですけれども、数字は今ちょっと手元にございません。
  67. 久保三郎

    ○久保委員 たとえば国鉄だけの踏み切りの事故で、私がけさ調べただけで、昭和二十七年以来この行政協定の第十条に関係するものが、全体を含みますが、大きな事故で二十八件あるのです。これはおそらく処罰していないのじゃないかと私は思うのです。というのは、国鉄は今まで賠償をもらっていません。だから私はここでそういう処罰をしたかどうかという問題を具体的に聞くわけに参りません。国鉄の踏み切りでやった事故だけでもいいのです。どういう処罰をしたか、これはあとで資料として出していただきたい、こういうふうに思います。  それから私の質問の結論でありますが、今回道路交通についてはかような法律を作って、早くいえば画期的な法律ということでしょう。これをやるのだが、さてしからば交通法だけで現在の交通を円滑にし、危険を防止することは不可能だというのは、だれも知っておる。しからば、この法律と警察庁の機能の範囲外に出て、あれとこれはやらなければいかぬというものは、どうお考えですか。
  68. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお話しの点はまことにごもっともで、参議院におきましても、また衆議院の地方行政委員会におきましても、その点が強くお話があったわけでございます。道路交通の問題は、単にこの法律なり、あるいは警察の指導規制ということだけで円滑を期し得ないことは当然でございまして、まず非常な問題となりますのが、道路整備ということであろうかと思います。また運輸省における運輸行政上のいろいろ交通についての調和という問題があろうかと思います。そういう点につきまして、建設省、運輸省その他関係省庁と、私どもも十分に密接な連絡をとり、協調を遂げてやって参りたいと思いまするし、参議院において要望されましたように、そのための強力な機関を設置すべしというような御要望もあります。そういう点について十分に今後検討し、道路交通についての総合行政の実をあげて参らなければならぬというように考えておる次第であります。
  69. 久保三郎

    ○久保委員 道路交通法、この法律ができて、これを完全に実施するために、さしあたり何と何をやらなければならぬか。先ほど言ったようないろいろな問題はありましょう。警察官の教養の問題、それ以外にどういうことをやらなければこの法律は生きていかないか、いかがですか。
  70. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 これは先ほど久保委員からお話のありましたように、まず警察官の教養を高めていき、十分にこの法の趣旨を徹底させて、取り締まりに、あるいは指導に遺憾ないようにして参らなければいかぬということは、これは警察自体当然に考えなければならぬことでございまするが、しかしながら法律というものは、法ができ、またこれを官憲によって励行するというだけで済むものではございません。広く民間の協力、理解というものがなければならぬと思うわけでございます。従いまして、法律が公布になりましてから施行するまでに六カ月の猶予期間を置いて、その間にできるだけの啓蒙宣伝ということをし、一番大事な国民の理解を深めていき、法を順守するという気風を馴致して参るということに努めなければならぬと思います。それと加えまして、先ほど申し上げましたように、関係各省との連絡協調によって、この法が遺憾なく運営されるように努力して参りたい、こう考えております。
  71. 正木清

    ○正木委員 関連して、簡単に六十五条の運転禁止の項についてお尋ねしたいと思うのです。先ほどからの長官の御答弁を承っておって、理解できたようで具体的に理解できませんので、重ねてお伺いいたしますが、まずこの六十五条の規定、何人も、酒気を帯びて運転してはいけない。この規定は、身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態の者、そこで政令で定めるという規定について、先ほどあなたは何か器械があるとおっしゃっていましたが、それを具体的にもう一度明らかにしてもらいたい。
  72. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど申し上げました酒気を帯びというのは、まあ通俗的に申せば、ほろ酔い一歩手前であるということを申し上げたわけでありますが、ちょっと気持がよくて、運転などすると、少し元気を出してスピード違反もやりかねないというような気分だと思います。そこで政令で物理的にどの程度のものをはかり得るということを申し上げたわけでございますが、この器械は実はきょうでも持参すればよかったのでありますが、今警察で使っておりますのは呼気をはかるわけでございます。風船のようなものに呼気を吐かせまして、そうしてこれを今度目盛のついたある薬品を入れたものを通過させるわけです。そうすると、それについて色が変わってくるわけです。どの程度その呼気の中にアルコール分が入っているかということがそれで物理的にわかるという状況になるわけであります。
  73. 正木清

    ○正木委員 よくわかりました。そこであなたにお尋ねしたいのは、まず六十五条の、この酒気を帯びてというのが大体事故の最大原因一つになっておりますね。非常に不幸な犠牲者が出ておるので、このことは取り締まり規定としては当然だと思っておりますが、さてその器械ですね、一台どれくらいの価格でございますか。
  74. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 きわめて低廉だと思います。そう高くありません。全国の警察署に必ずございます。数は相当の数を持っているはずでございます。
  75. 正木清

    ○正木委員 そこで私あらためてお伺いするのですが、ただいまの点を聞きたいために六十五条を私は持ち出したのですが、それは今の答弁のように、全国の警察にそれを配備してございますという程度で、この法律の精神が具体的に生きますか、生きないでしょう。現実にはそれは交通取り締まりをやる者すべてが、二人なら二人、三人なら三人一組で交通取り締まりをやっておるようですが、これ全体にその器械が配備されて、そしていついかなるところでも、その器械によってこの六十五条の精神が生きるということにならなければ、法は生きていかないんじゃありませんか。その準備はできておるんですか。
  76. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 先ほどきわめて簡単に申し上げて申しわけなかったと思いますけれども、大体各警察署で、月に百人前後ぐらいはこの酒気帯び、酒っばらい運転を取り調べ得るドランク・メーターというものを備えて、また警察官もそれに対応してやり得る態勢にはございます。
  77. 正木清

    ○正木委員 大臣、大丈夫ですか。これが通過すると、直ちに六十五条が生きるわけですが、その点が完備されていないと法は死物化してくるんじゃないか。法が死物化せば、酔っぱらいしてやっても、つかまった者は運が悪いんだ、つかまらないでやる限り、どんなことをやっても差しつかえないという悪習慣を生む結果になりはせぬか、その点を心配するのです。いかがですか。
  78. 石原幹市郎

    石原国務大臣 せっかく法律ができましても、守られないような法律になっては、これは法律ができてむしろ逆効果だと私は思います。今でもそういう法律が若干ございまするが、非常にかえって害毒を流す。そこでこの法律は、成立しましてから、やはり準備期間を相当置いておりまするので、御意見もございまするので、その間にこういうものは十分行き渡るように準備をさしたい、かように考えております。
  79. 正木清

    ○正木委員 そこで長官、その六十五条の罰則規定ですが、百十八条の二号になるわけですが、政令で定めた以上のアルコールを飲んだ者が酒に酔い——ここで先ほどからも質問がありましたように、分かれておるわけですが、違反した者で、酒を飲んでという、そこでその酒に酔ったという規定がカッコして「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態にあることをいう。」そこで正常な運転ができない状態にあることをいうという、この正常な運転ができるできないの判定は、だれが下すんですか。
  80. 中川董治

    ○中川政府委員 ただいまの御質問の点は、現行法も同様のことになります。現行法におきましても同様のことが言い得るのでありますが、酒に酔って運転することに刑事罰を課するという考え方を現行法でも攻正案でもとっておるわけです。その酒に酔うという概念が、御指摘があったと思いますが、不明確であります。不明確でありまして、また人の個人差というのが非常に激しい問題でございます。こういう性格でありますので、それをよりよく法律で明確にするという努力をまずしたい。これを考えた言葉が、今御指摘の正常な運転ができないおそれがある状態にまで至る程度において酔っているということであります。また、そう書きましても、なおかつまだ困難である、これも事実であります。ところが、こういう個人差のある問題につきましては、最終的には裁判所が判定するのですけれども、裁判所の判定に先だちまして、第一線の捜査官が判定するわけです。捜査官が判定する場合におきましては、この状態においては正常な運転ができないという社会常識に基づいて捜査をしていく。その捜査について、それがもっともであるかどうかという最終の判定は裁判官であろう、こういうことにならざるを得ないと思います。これはきわめてあいまいなことを申し上げるようでございますけれども、事柄の性質がこういう性質でありますので、個人差のある問題を捜査官が発見するにつきましては、この人はどうもあぶない、正常な運転ができにくい、こういうふうに認定できるものを合理的にやりまして、それを捜査官の判定だけでもってするのはまた慎重を欠きますので、後ほどの刑事手続におきまして裁判官の判断が最後になるだろう。こういうふうな手続にならざるを得ないのでありまして、これは改正案でもそうなりますが、現行法でも全く同様の規定がありまして、それによりまして、酔っぱらい運転につきまして相当数処罰を受けている。こういう状態であるのであります。
  81. 正木清

    ○正木委員 そう長々しく弁解をしなければこの法律内容がわからぬということでは、特に日本人のような性格、至るところに飲み屋があるというような開放的な国では、この法律趣旨徹底がなかなか困難ですよ。そこで私はなぜ質問したかというと、「酒に酔い」の定義とでもいいましょうか、これは何かというと、カッコして長たらしく書いてある。あなたの答弁を開いておると、なかなか理解できるようでできない。そこで思い切って、罰則規定で道徳性を加味するものであるならば、こういう長たらしいものをとって、六十五条のこれを生かしていったらどうです。六十五条で、何人も酒気を帯びて運転をしてはいかないというのですから、その酒気を帯びての定義は何だというと、あなた方には器械があるというのです。その器械の程度以上を越したものは酔っぱらいである。こう法文上明記すれば、個人差がどうだのこうだのという議論をしなくて済むんじゃありませんか。これは、私は酒をあまり飲まぬから言うのかも知らぬけれども、百十八条の第二号の規定の仕方は、裁判になったら相当時間がかかりますよ。これはいかがですか。
  82. 中川董治

    ○中川政府委員 ただいまの私の答弁に対しまして、大へん理解がしにくいという御趣旨の御意見であったのでありますが、このことは現行法もそうであるということが一つと、私どもは世界各国の立法例を調べてみたのですが、私の知る範囲におきまして、世界各国の立法例は、ことごとく酒に酔うということに刑事罰を課しておるだけなのでありまして、酒に酔うという範囲を越えて、酒を飲むということだけで刑事罰を課しておるところはもちろんございませんし、ある一定の量のアルコールがからだに入ったことだけでもって罰している国もないわけでございます。先生の御意見に従えば、酒に酔ったか酔わないかは問うところでなくして、一定のアルコールが体内に入ることによって刑事罰を課そうという御意見のように拝聴したのでございますが、そういう立法例をとっておるところは各国いずれもないということが一つと、各国がなくても日本だけやってもいいのですけれども、からだの中にアルコールが入っておりましても、きわめて正常な人があるわけです。その人に対してまで刑事罰を課すということは、立法政策としていかがなものであるか、こういう考えに出たものでございます。
  83. 正木清

    ○正木委員 局長、議論になって恐縮だけれども、あなたの論法からいうと、この六十五条の何人も酒気を帯びて云々という条項はなくて済むのではないか。罰則規定だけ設けておけばいい。六十五条は、酒に酔いカッコ云々の者はこういう刑事罰があるぞ、これでいいのだと思いますが、そう思いませんか。
  84. 中川董治

    ○中川政府委員 刑事罰を課せるという関係のみに立てば、そういうふうに相なろうかと思います。ところが政府原案におきましては、こういう酒関係の問題は一般道徳にまかしておいて、刑事罰を課する限度だけを禁止規定に入れた方がいいと考えまして、六十五条の政府原案は、お説のように作ったのでございますけれども、参議院において御審議になりました結果は、刑事罰は政府原案でよろしいけれども、社会風教の問題として問題とする点は、やはり法律に書いておく方がよりベターであろう、こういう国会の御意見でこざいますので、そのご意見はまことに傾聴に値するので、私ども賛成いたした次第でございます。
  85. 正木清

    ○正木委員 そうすると第六十五条で、具体的にいうと器械をもって検査した結果、その程度以上であるということが明らかになった。そこで第百十八条の罰則規定に該当するわけですが、この六十五条に関する限りの違反行為というのは罰則規定では非常に軽微だ、こう考えていいのですか。
  86. 中川董治

    ○中川政府委員 正確にお答えいたしますと、六十五条の違反行為は全部罰則がかかるのではなくして、六十五条の違反行為のうち五割か六割に該当するものが罰則にかかるのであって、残りの二、三割は罰則のかからない道徳規定であると御了解願いたいのであります。
  87. 正木清

    ○正木委員 そこに私自身としては問題があるのですが、私自身としては、少なくともこの六十五条に違反した者はせめて免許くらいは取り消すくらいの強い規定を一項挿入してはどうか。それでなければ道徳規定といって天下に宣伝する値打はないじゃないか。おそろしいのは、何せ酒を飲んで運転をすることですからね。実は私の知人ですが、不幸な人があるのです。これはある役所の相当な人ですが、夕方役所の帰りにお子さんのおみやげを買うために歩道を歩いていました。それでうしろからかけられて、一晩生きておりましたが、死にました。実に気の毒な方です。こういう例があるのです。それは何かというと、やはり警察の取り調べの結果、酒を飲んで運転を誤っているのです。ですから、この六十五条というものを生かすのであるならば、私は刑事罰とは別に、道徳的に見て免許を取り消すぞくらいの強いのもを入れておいたらどうかという気がいたしますが、いかがですか。
  88. 中川董治

    ○中川政府委員 私がお答えいたしましたのは、刑事罰に関する限りにおいて申し上げたのでありまして、先生の御質問は私賛成でございまして、この刑事罰は私が申し上げた通りでございますが、この六十五条の違反であって、酔っぱらいの程度に至らないものにつきましては、刑事罰の対象にはならないが、行政処分の対象にはいたすのであります。それは具体的に申すと、百三条の二項二号によりまして「この法律に違反したとき」、こういうことに相なりますので、行政処分の対象に相なる、こういうことであります。
  89. 正木清

    ○正木委員 その行政処分の対象の具体的内容はどうなんですか。
  90. 中川董治

    ○中川政府委員 運転免許証の取り消し、停止の処分であります。
  91. 正木清

    ○正木委員 それはあなたの方の役所で直ちにできるのですか。
  92. 中川董治

    ○中川政府委員 これは警察を管理しております都道府県公安委員会の判断によって可能に相なるわけであります。
  93. 正木清

    ○正木委員 都道府県の公安委員会の判断、これが抽象的なんですね。
  94. 中川董治

    ○中川政府委員 都道府県の公安委員会と申しましたのは、きわめて法律的に冷たく申し上げたのですけれども、こういう事件がございますと、具体的に申しますと、だんだんそういう事件があった旨を警察官が明らかにするわけですね。そうすると、かねがね都道府県公安委員会に一定の免許取り消しまたは停止の基準がありますので、その資料として差し出す。そうすると、やや定例的なものにつきましては、この基準に従えばこのようにしてよろしいというような公安委員会措置がこざいますので、それでどしどし警察がやっていく。大へん大所高所で判断すべきような事案につきましては、公安委員会の議によって判断願う。こういうことに相なろうかと思います。
  95. 正木清

    ○正木委員 この六十五条の規定については、当該の地方行政委員会の皆さん方も十分御研究になっておられると思うのですが、私のただいまの意見等も御参考になれば大へんしあわせだと思って一言地方行政委員会の方々に申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ簡単に、路上に放置されている自動車の取り締まりですね。先ほど同僚からは、盛んに大都市の、しかも自家用車を中心にしての御意見がございましたが、私はこういう生きた事例にあっているのです。私の町は北海道の札幌市でございますが、朝六時ごろ町内に火事がございまして、飛んで行きました。ところが、その道路は大通りから横町に入ったところでございまして、まあ普通の個人の住宅街ですから、あれは九尺か、十尺くらいのものでしょう。そこに営業用の貨物自動車が実は二台置いてあったわけです。あとでわかったのですが、それはもちろんその会社に雇用されている運転手が、仕事を終えて夜半帰ってきて、その道路に車を置いて、自分たちはアパート生活をしている。朝六時半ごろ火事があった。消防車が入れぬのですね、その狭い道路に大型の貨物自動車を二台放置してあるわけですから。そこでその事を移動するのに約六、七分かかったわけですね。それで当然、私の町内の消防の諸君に言わせれば、その車がなければこれはぼや程度で食いとめることができた。その車二台が放置されてあったばかりに一軒あらかた焼いてしまった。こういう事実があるのですね。そこで私は、先ほど長官からの答弁で、この個人の所有による自家用車の取り扱いについて大へんに理解ある、車を持っておる諸君から見れば同情ある御答弁でございましたが、こういう場合もあるということを頭の中に入れておいた方がいいのじゃないか。現に私はそういう目にあっているのです。ですから、この路上に放置しておく自動車の取り締まりということは、やはり国民全体の幸福と福祉というものが土台であらゆる法律はできていくわけだから、ごく少数のそういう特殊の人々に温情をかけるために全体を犠牲にするという結果になっては、法律というものは死文化するのじゃないか、非常に苛酷のようでありますね。今、知識階級というか、文化人というか、ある程度の月収を持つ人は、やはり自家用車は持ちたい。だからといって車庫を作るゆとりはない。つい自分の前の道路に車を放置する。その放置している結果、私が今申し上げたようなことが起きる。それは全体に対しては非常に大きな犠牲をしいることなんだから、これは取り締まりはやはりある程度厳重にすべきではないか、この法律を作るのであれば思い切って……。いかがでしょう。
  96. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど路上駐車の点について、私はああいう御趣旨には賛成であるが、いきなり法的にこれを禁止できないということを申し上げたのでございますが、それはこの法律でも明記いたしておりますように、駐車禁止されていない場所における駐車の問題、路上放置の問題について申し上げたのでございまして、ただいまお話しのように、消防自動車が通れないような、この法律におきましても三・五メートルの幅を、余裕を残さないところには駐車してはならないということになっております。従って、消防自動車が通れないような状況において駐車することは、もちろんこの法律違反でございますから、十分に取り締まって参らなければならぬのであります。先ほど申し上げましたのは、そうでなくて、駐車してよろしいところに放置しておくといいますか、車庫がわりに置くというやつを全部法律的に禁止する段階にはちょっと考えられないということを申し上げたのであります。ただいま御指摘のような問題につきましては、この法律においても厳重に取り締まって参りたいと考えております。
  97. 正木清

    ○正木委員 最後に、そうすると、わかりやすくお尋ねするのですが、この法律で、たとえば今あなたが指摘した三・五メートルでしたか、この条項がございましたが、そうすると各町内をパトロールするおまわりさんが、幸いにしてこの法律のことがわかっていて、たとえばそういう違反駐車をやっているようなときには、直ちにその車を移動することを命ずるというようなことは、いと簡単にできますか。長官、わかりやすく答弁願いたいのですが、あなたの部下が各町内をパトロールして下さっていますね。そのおまわりさんが、この法律趣旨を承知して下さっておって、これは違反行為だなと気がついたときには、直ちにその車の移動を命ずることができるし、直ちにその罰則規定に基づいて手続きをとることができますか。  それからもう一点、自家用車以外で、これはいなかに行けば行くほど多かろうと存ずるのですが、営業主というか、雇用主というか、この人々に対してもやはり考える必要があるのじゃないかと思います。運転者のみを責めるのじゃなくて、そういうことも考える余地があるかどうか。
  98. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先の問題は、そういう違反しておる駐車につきましては、第五十一条におきまして、警察官が、禁止されている場所から移動すべきことを命ずることができるわけであります。なおそれを命ずる——違反している者がはっきりしないような場合におきましては、警察署長がこれを実力をもってほかに移すということもできることになっております。それから営業車についても、そういう点につきましては同様に注意することができるわけであります。
  99. 正木清

    ○正木委員 移動を命じても、それを聞かなかった場合に、罰則はないのですか。
  100. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 罰則はございます。
  101. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 井岡君。
  102. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほど石原長官から、この法律改正する目的をるる述べられたわけですが、もう一度簡潔に伺いたい。第一条で、旧法には「円滑を図る」ということがなかったのを今度入れた理由、これを一つ先にお伺いいたしたいと思います。
  103. 石原幹市郎

    石原国務大臣 現在の道路交通取締法におきましても、やはりそういう気持ではもちろんやっておるわけでございますが、提案理由でも申し上げましたように、今度の改正案におきましては、単に取り締まりということばかりではなしに、最近非常に複雑激増いたしております交通問題に対して、はっきりした態度を打ち出していく。そういう意味で書いたのでございます。
  104. 井岡大治

    ○井岡委員 単に取り締まりだけでなしに、交通全体の問題についてはっきりした態度を示したい。言いかえて申し上げますと、交通の中には、単に道路上を運行する場合と、その運行をせしめる事業という場合と、二つあると思います。その運行の場合については、先ほど同僚議員からかなり詳しく御質問がありましたので、私は省略いたしますが、営業をする、いわゆる一つの事業体として運行せしめる一つの母体、これらに対しても規制をする、こういう意味ですか。この点を一つはっきりお答え願いたいと思います。
  105. 石原幹市郎

    石原国務大臣 この営業車の問題につきましては、井岡委員も御承知のように、道路運送法とか、そういう方面でもやっておるわけでありますが、今回の法案におきましても、先ほどからいろいろ話に出ておりましたように雇用者にも義務を課したい。場合によると罰則を課して、いろいろの事故責任は雇用主にも負わせるべきだというような考えも入れておりますし、それから今回のこの法律につきましては、歩行者保護というようなこともはかっていくとか、その他ひとり取り締まりとか罰則とかいうことのみでなくて、一つ道路交通のルールを確立していこう、こういうようなことが今回の改正案一つの大きな骨になっております。
  106. 井岡大治

    ○井岡委員 私の質問がまずいものですからそういう御答弁かと思うのですが、単に私は営業だけの問題を言っておるのではなくして、いわゆる道路上に運行するもの、これを一つ交通として判断する。このことについては、今同僚議員からかなり違った角度から御質問なさっておられましたから、私はこれは省きますが、いわゆる交通保安というか、とにかくそういう観点からこの改正をされるために円滑という文字を入れられたのかどうか、こういうことなのです。
  107. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 この円滑というのを入れましたのは、ただいま大臣からもお話のありましたように、従来も、道路交通取締法の運用といたしましては、危険防止、安全ということのほかに、円滑ということも十分に加味して運用して参ってきたわけでございますが、そういう点をさらにはっきりする。特に最近の交通事情等からはっきりさせるという趣旨でいたしたわけでございますが、これは円滑を入れたということに特別の、従来と変わったというか、あとに出て参ります規定の上において、円滑をはっきり現わすための規定というのを出すための文字というわけではございません。
  108. 井岡大治

    ○井岡委員 この論争をやっておりますとかなり長くなりますから、次に移りますが、第七十五条に、「車両等運行を管理する者の義務」、こう書いてあります。これと今回改正された道路運送法運行管理者とは同じものですか、どうですか。
  109. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 必ずしも同じものではありませんが、ある程度ダブっている面もあります。
  110. 井岡大治

    ○井岡委員 必ずしも同じものではない、これは条文が違いますからそういうことはわかるわけですが、その精神においてそれは同じものか、こういうことです。
  111. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 精神は、直接の目的は違っておりまして、こちらの車両運行の直接管理者に対する義務義務づけましたのは、道交法上の目的からしまして、危険防止ということを目的にいたしております。それから道路運送法関係の、今回の改正に載っておりますところの運行管理者の方の目的は、それとは直接関係はありません。
  112. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、運行管理の義務者というのはだれをさしておるのか、いわゆる事業体なら事業体の中ではだれをさしておるのか。
  113. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 これは、たとえば砂利トラックなどの場合、多数の車両雇用者が使っている。ところが、その車両運行について、お前はどの自動車を使え、そしてどういうところに行って、いつ運んでこいというような、いろいろな直接の車両との関係運行管理については、場合によっては、直接別な人が管理している場合があります。そういう場合に、名前はどう言いますか、たとえば営業課長とかあるいは車庫長とか、名前はそれぞれの業態でいろいろ違いますけれども、直接現実においてその事両の運行を管理している者をさしております。
  114. 井岡大治

    ○井岡委員 一項はなるほど車両の問題ですが、二項では、薬物の影響、過労、病気その他の理由により正常な運転ができないおそれがある者、こういうような者については運行さしてはいけないといっている。従って、これは単なる車両というものにはならないと思うのです。いわゆる労務管理上における一つの問題が多分に含まれている。従って、あなたの言う車両管理者というものと、いわゆる道路運送法による運行管理者というものとほぼ同一の問題がここに生まれてきているわけなんです。だから、単なる運行管理者、いわゆる運行管理者だけで問題を判断されることはあやまちだと思うのですが、この点はどうですか。
  115. 内海倫

    内海説明員 七十四条と七十五条の規定の書き分けでございますが、七十四条も七十五条も、その立法の趣旨としましては、要するに雇用されておる運転者が、雇用条件というワクにはめられて、心ならずも、あるいは過労、あるいはその他の理由によって正常な運転ができない、あるいは過当な業務を課されるというふうな状態において運転をする。そういう状態に着目しまして、ただひとり運転者についてだけその責任を追及するということは、道路交通の保安上きわめて適当でない。従いまして、そういうふうな実態に関しましては、あわせてこの運転者を雇用する者についても、そのような違反に対する責任を追及すべきであるという立法趣旨に基づくものであります。そこで今度は、第七十四条につきましては、第二項につきまして参議院において修正されまして、所定の条件のもとにおける罰則がつくことに相なりましたけれども。原則的には、七十四条は雇用者全部についての義務規定いたしたものであり、七十五条は、そこの各項目ともにいずれもやや運行に対する具体的な内容を設定いたしまして、そういう内容を命じあるいは容認するという者に対して刑事責任を追及する、こういう建前から、その責任の対象となるべき者を明確にいたしますために、雇用者であるよりはより直接的にその運行の管理に当たっておる者についての責任を明確にいたしたいという考えで、特にこの場合において車両運行を管理する者というふうに特定いたしたわけであります。もとより、そういう場合におきましても、その運行管理の責任地位にある者は、雇用者の命によってやる場合も多々ございましょう。そういう点も勘案いたしまして、罰則におきまして、そういう場合における運行管理者の刑事責任の追及とともに、それに対する雇用者の両罰も設定いたしたわけであります。なおまた、この運行管理者というものは、どこまでもそういうふうな運行管理に責任を有する者でございますから、場合によりましては、もとより多くの場合、それはすなわち雇用者と同一人格である場合も考えられると思いますし、また非常に大きな法人組織等でありますれば、社長であるよりは、むしろそういう運行労務等を管理しておる責任者である場合もあろうと思います。従いまして、この七十五条において責任を追及されるべき者は、その責任を負担するにふさわしい職責と地位にある者を指定して、これが七十五条の運行の管理に責任を有する者というふうに規定いたしたものであります。従いまして、そのことは当然運行の管理者とあるがゆえに、その雇用者責任を免れるというものではない。法の定めるところによりまして、雇用者もまた両罰の責任を追及されておるのでございます。
  116. 井岡大治

    ○井岡委員 厳密に言いますと、特定というか、特定ではあるけれども指名をした者ではない。従いまして車両あるいは人事、労務、こういうものを管理する地位にある者、こういうように理解していいのですか。
  117. 内海倫

    内海説明員 おおむねそういうふうにお考え願っていいと思います。
  118. 井岡大治

    ○井岡委員 おおむねでは、内海さん、ちょっと厄介なんです。というのは、道路運送法の方が非常にあいまいなんです。こちらとの関係はあとで聞きますが、あなたの方にはっきり聞いておかないと困るので、この点もう一ペんはっきりとお答え願いたい。
  119. 内海倫

    内海説明員 先ほども申しましたのを繰り返すわけでございますが、七十五条は「車両等運行を直接管理する地位にある者」ということをいっておりますので、従ってその地位に基づいて運行を命じ、あるいはそういうふうに運行していく者を容認した場合でありますれば、その者がこの責任地位にあるわけでありますから、会社の組織、態様等によりまして、労務管理の担当者がその責任の対象になる場合もあろうと思いますし、あるいは営業部長というものがすべてそういう責任を保有しておるものであれば、その営業部長がその責任を担当する者であろうと思います。要するに、これを第七十五条の規定の観念からは、その運転者がそういう運行をせざるを得ない、あるいはせしめられるということに一つの、言葉は悪うございますが、心理的なある程度の圧迫を受ける立場にあるそういう責任者というものが、すなわちこの七十五条の運行管理者に該当する者と考えられます。従いまして、たとえば一つ運転者が非常な過労状態運転しておる、そしてその運転状態を発見いたしまして、その結果、それを命ずる立場にある者は何々会社の何の職にある者である。こうなりますれば、その者がその責任の対象になる。こういうふうに考えてよかろうかと思います。
  120. 井岡大治

    ○井岡委員 それでは具体的に聞いてみましょう。これは内海さんに個人的に話をしたことがあると思いますが、昨年の夏あるところに参りました。そしてある観光バスに乗った。それは二日がかりのコースです。そこで私も乗せてもらいました。ところが、夜になったら山間地ですから宿屋がないのです。そこで半農、半宿屋というのですか、お百姓さんの家にお客さんを泊めた。運転手と車掌君は、寝るところがないので車両の中でお休みになっておる。夏ですから、窓を締めてしまうと暑くて寝られないから、みんな窓をあけて寝る。若干蚊をいぶすなにはたきますけれども、山間ですからそんなことでは追っつきません。蚊が一ぱい来て、車掌さんと運転手さんが、ゆうべは一睡もできなかったというお話です。そしてあくる日また帰っていくわけです。そこで、そこの会社のいわゆる労務協定なり労働条件なりを見てみますと、必ずしも一人の運転手、車掌でそれを運行しろとは書いてない。同時に八時間労働というものは明確にしてある。従って、一回行ってくれば何日か休みだということにはちゃんとなっておる。けれども基準外協定において、一週間何時間の基準外を認めるという労務協定を結んでおるわけです。そうしますと、実際においてそれは休むのでなくて、やはりオーバー・タイムの中にそれを入れていって、一日か半日休んでまた行かなければならない。こういう状況になっておるのです。この場合における責任者というものはだれが責任をとるか、こう私は疑いたくなるわけです。労務協定をやっておるから、社長の方としてはあるいは労務管理者としては、労務協定でそれでいいじゃないか、こういうことになるでしょう。一方においては、客はそういうなにですから、シーズンですから、どんどん車両が足らないでもやってくる。だから仕方がないから、現場の係員というものはそれをやらざるを得ない、そういうこと。労務協定をやるのは、いわゆる社長なり勤労部長がやって、現場の係員というものは、これは追いまくられるから、労務協定の範囲外でやっている、こういう場合が起こってくるわけです。現に私はその目にあって、私も全く困ったのです。そういう場合における個々の車両管理者並びに——どういうのですか、車両等の管理者、車両の管理者並びに等ですから、運行管理者も含まっているだろうと思う。そういう場合の管理はだれが責任を負うか。
  121. 中川董治

    ○中川政府委員 これはちょっとお答えが適当でないと思いますが、こういうふうに理解願いたいと思います。まず第一に、立法趣旨から申しますと自然に解決するわけですが、具体的に過労運転をした運転手さん、それからまたスピード違反をした運転手さん、無免許運転をした運転手さん、こういう違反をした運転手さんを罰するだけにいたしますと、そういう環境を作った者が責任を免れる。これに対する対策をまず考えたわけです。七十五条のような規定がなくとも、共犯という関係で、あるいは教唆しこれを幇助しという関係が明白になれば、七十五条があろうがなかろうが、その教唆者または幇助者は処罰を受ける、こういうことに相なると思うのであります。ところが教唆、幇助の関係ということが比較的明確ではないけれども、教唆、幇助的な開係に立つ地位にある者を一つ禁止規定によって明確にすることが事柄の中心に相なる。こう考えましたので、まず管理者の地位にある者という前に、容認という言葉をごらん願いたいと思うのですが、命じた場合におきましては教唆になる場合が多いから異議がないので、刑法総則をもう一ぺん書き直したという点に近い点があると思うのですけれども、独立犯とした点が一つございますけれども、そういう今の御設例のような場合に、当該の人が容認しておったかどうかということが、まず問題の要点だと思います。そういうふうに過労になることを百も知りつつ、なおかつやっておったということになれば、まず容認になりますので、そういう点において有罪ということが言えましょう。その次には管理者の地位になるわけですが、そういう運行というものを現実に管理するという人間を念頭においたならば、これは必ずしも単数たることを要しないのでありまして、現実に直接運行管理する地位にある人であります場合におきましては、その人はその責任を負うということに相なるだろうと思うのであります。お答えといたしましては、御設例のような場合においては、ずっと全体のしかけとして容認のしようもないという場合におきましては無罪になりますが、その人たちが容認しておるというふうに考えられる場合におきましては責任を問われる、こういうことに相なろうかと思います。
  122. 井岡大治

    ○井岡委員 非常に長ったらしいことを言っていただいたけれども、結局は要点をつかんでない。それはここに書いてある第六十六条の「過労運転等禁止」ということで、自分は過労だとわかっておるのです。自分は過労だとわかっておるけれども、客観的にそういういろいろな条件の中からやらざるを得ない条件が生まれてきているわけです。しかも、この第六十六では「してはならない」のですから、運転者の個人がこれは対象になるわけですね、そうでしょう。だから今までいろいろな大きなバス事故が起こっているあれを調べておいでになったらおわかりになると思うのです。ほとんどがいわゆる過労からくる運転のなにが多いわけです。そこで私は、幸い第七十五条を作られたんだろうと思って理解しておったんです。ところが今のお話を聞いておると、さっぱりわかったようなわからぬような、しかも私は具体的に例を出している。労働協約の中では八時間ということを規定し、そして一週間のオーバー・タイムに何時間ということを認める、こうやっている。だから、全く二十四時間運行しているのですから、前の日の八時に出て、あくる日の晩の八時に帰ってくる。これは二十四時間以上の勤務をしているわけですね。かなり長い勤務をしているわけです。そういう条件の中でやってはいかぬ、従って二日なり三日なり休まさなければならぬ。ところが、これは休ましておったのでは、現実にはそこのそういう週期的ななにからくると、採算等のことがあってやれないだろう、こういう問題も出てくるわけです。だから週期的にオーバー・タイムの問題を具体的に協議してきめている。だからこの法では、オーバー・タイムをやったって会社の社長さんには何の責任もないのです。労務部長さんにも何の責任もない。人事課長さんにも責任はない。この法からくる責任というものは現場の係員ですよ。運輸省のいう個々の運行管理者ですよ。今度運輸省がやられるわけですね。路線等いろいろなことをやられる個々の管理者、こういう管理者が現実に追われてやっているわけです。従って、処分はその営業体からくるものでなくて、あるいは営業者としての政策からくるものでなくて、現場の運転者と——自分は六十六条で運転してはならないのだが、これは運転しちゃったから、これはこれとしていかない。そうして全く係員である小者が処分をされていったというのが今までの大きな事故の実態なのです。だからせっかくこれをこしらえられたのであれば、もう少しこれを、刑事局長の言うように持って回ったものを言うのでなくて、直截に、こういう場合にはこうだということの規定をなさらなければ、円滑という初めの法案全体を含めた問題にならないじゃないか。私は、皆さんがいろいろ聞かれて、運行のいわゆる円滑ということを聞いておりました。説明にも聞いておりますけれども、この問題があるからもう一度あらためて聞いたわけです。だから、そんな持って回してものを言わないで、こうだということを直截にしてもらわなければ、こんな法を幾ら作ってみたって、抜け道を考える人間は幾らでも抜け道を考える。この点をもう一度……。
  123. 中川董治

    ○中川政府委員 持って回ったことをお答えしたと申されるのですけれども、まず運行管理者というものは現実に把握できるわけですね。運行管理者が容認しているという行為があれば、運行管理者はその刑事責任を負う。運行管理者が刑事責任を一たび負えば、今度は事業主が知っていようといまいと、両罰規定で雇用主の方は罰せられる。こういう意味において明確なのです。私が持って回ったと言われる要点は、当該行為の場合において、直接運行を管理する地位にある者が全く知らないような状態であった場合においてはやむを得ない。知ってそういうことを容認しておったということが証明されないと、その人を罰するのは無理であろうということを申し添えたことが持って回ったということに相なるのでありましょうけれども、この容認するという行為を証明しないと、やはりこの刑罰目的も達成できませんし、全体の交通の安全と危険防止をはかるために関係者の責任を明確に表わそうという法目的も実現できませんので、容認するという行為があった以上、しかもその運行を直接管理する地位にある者が容認した以上、今度は雇用主はその事実を知っていようといまいと、両罰規定によってどんぴしゃりと刑罰を受ける。こういうことによって明確だろうと思うのですが、御了承いただきたいと思います。
  124. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、一方の方は六十六条の方で、自分は平常な状態でないということで運転者は拒否ができるわけです。しかし現実にはできないのです。この点をはっきり理解してもらわないと問題が起こるのです。そうしてこの方については非常に大きな刑罰を受けるわけです。片方の七十五条のあなたの言うことについては、第百十九条でわずか三カ月以下三万円以下の罰金なんです。状態としては、こちらのそういう条件に追い込んでいる、その条件を持っておる方にウエートを置かないで、いわゆる雇用されておる者の方に大きな罰則がきて、しかもそれはどうしてもやらなければいけない状態の中でなんです。しかも大体三万円くらいの罰金、これもほとんどないですよ。今までほとんどまん中の辺か一番下の方でとまってしまっている。そうして大きなところはごそっごそっと抜けてしまう。日本の政治はそういうものらしい。しかし今度は画期的なほんとうに新しい法律を作ったんだと言われるのなら、これらの問題についてもう少しやはり考えていただく必要があるのではないか。これは地方行政委員会の方にまかせはしますけれども、私は法の均衡から考えて、とうていこれは合致したものではない、こういうふうに理解いたします。
  125. 中川董治

    ○中川政府委員 まずお答えいたしたいのですが、現在こういったものについて取り締まりがルーズじゃないかとおっしゃる点は、現行法では、今問題になっております七十五条のような規定がございませんので、それで御指摘のようになっておるということを私たちも認めます。そういう実情ではよくないので、今度は七十五条という新しい規定を作りましたので、この新しい規定の施行後は御期待に沿うようにできるのではないか、こういうのがお答えの一つ。  それからもう一つは、法定刑が片方は五万円で片方は三万円だが、そのつり合いがとれないじゃないかという御指摘であります。私どもはそういう点を十分研究いたしたのでありますが、やはり刑事罰というのは責任関係を明確にして、それに対応する責任をはっきりするというようなことが目的でございます。容認という行為と教唆という行為とは、教唆行為の方が強くて、容認という行為が弱いことは当然であります。教唆であれば五万円、容認であれば三万円にならざるを得ない、こういう宿命に相なろうかと存ずるのであります。
  126. 井岡大治

    ○井岡委員 問題は、三万円がいいとか五万円がいいとか言っているのではないのですよ。いわゆるそういうことによって交通保安という大目的が達せられるかどうかということを言っておるのです。そのことよってたくさんの人が一ぺんに死んでしまうのですよ。会社はなるほどそのことによって賠償責任を負うでしょう。こういう点からいって痛手があるということは言えるでしょう。同時にまた、そういう会社に対しての客数というものが減ってくるということで、いわゆる社会的打撃を受けるということも言えるでしょう。言えるけれども、せっかくこしらえられるのだったら、もう少しそれらの問題は具体的にできないような方法をおとりになることがいいんじゃないか。単に刑事技術とか法律技術だけの問題としてこの問題を取り上げられるなら、これは取り締まり法としてこしらえて現在やっていけるわけなんです。現在取り締まり法としていろいろ規則なり規定なりをこしらえてやっておられるわけです。それを全部ここへ集められて集大成されたわけです。ですから、この機会にやはりそういう問題をお考えになる必要があるのじゃないか、こう申し上げている。これらの問題は地方行政委員会の方におまかせいたしますが、実態はこういうことなんです。従ってこの管理者というものについての考え方を明確にしてもらわないと、こういう不特定多数のようなことにしてもらっておったんでは、これは、抜け道が出てくる、こういうことなんです。
  127. 中川董治

    ○中川政府委員 われわれは実体を押えて抜け道ができないようにこういう法律を作ったんです。たとえばよくあることですが、届け出をした者が責任者ということになりますと、全く罰金を受けることを商売にするやつができて、届け出制によって実体が抜けてしまう事例が過去において多いのです。それで届け出制度の抜け道を防止する目的をもちまして、社会的実態に即して、運行を直接管理する地位にある者を認定することによってその実体の抜け道を防ごう、こういう趣旨であることを御了承いただきたいことが一つと。それからもう一つは、ただいまの御発言者の御指摘を実現する目的をもちまして七十五条を置き、しかもこれに両罰規定を置いて、両罰規定は無過失責任ということになっておりますので、無過失責任を加えることによって、先生の御指摘は改正後は完全に実行できる、こういう自信を持っております。
  128. 井岡大治

    ○井岡委員 私は刑事局長と議論をしようと思いませんけれども、不特定多数によって防止できるのだというのですけれども、不特定多数の防止法というのは実際問題としてなかなかむずかしい。それよりも特定の人間を置いておくということでなければ、そういうダイヤ運転運行管理者としては責任を持つことができない、こういうことが言えるわけです。この点は局長と議論しようとは思わないけれども、十分やはり検討してもらいたいと思う。長官にもう一度御答弁を願いたい。
  129. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私も中川刑事局長と同じ見解を持ってはおりますが、先般来お話のございましたことにつきましては、またとくと検討して善処するようにしたいと思います。
  130. 安井吉典

    ○安井委員 関連質問。今の場合、井岡さんの言われるさっきの例でいいのですが、その不特定多数という問題ですね。たとえばそういうふうな疲労運転に入った場合、現場の係長がそれを容認した、あるいは命じた。それだけで済んだ場合は、その係長がこの運行管理者に当たるのですか。それとも、いろいろな場合がありますが、その人が課長の次席ぐらいの人に、実はこう聞いているのですが、どうでしょうと相談した、その人が認めた、また課長が認めた、あるいはもっと大きな問題で、もう少し上の立場の人に相談をした。そういういろいろの場合があるが、つまり一人だけが容認した場合と、その立場々々で相談した場合と二つに分けてお答え願いたい。
  131. 中川董治

    ○中川政府委員 不特定多数という言葉は私は使わなかったのです。ただいま申し上げたのは、御質問によれば、○○会社において直接運行を管理する人がだれであるかを明瞭にせよというお話でございましたが、それは無理であろう、その人間を明瞭にすると、その人間をロボットにしてやるというケース等が出て参りますので、それは実態に沿わないという趣旨でお答えしたのです。  安井先生の御質問にお答えいたしますが、今の御説明によりますと、運行課長が大体運行を管理する地位にあるものと認められますが、そういう場合運行課長にまとめていいではないかということになりますと、運行課長をロボットにして、そこに置いておかないで容認し得ないようにしていると、この法文は空文になりますので、そういう場合には、次席がその現場にいる場合においては、その次席が運行管理の責任者であるということにしよう、こういう趣旨でございます。いずれにいたしましても直接運行を管理する地位にある者一人の違反事項について、一人だけで直ちに両罰規定が事業主にもかかる、こういうことです。相談した人間がそそのかしたりあるいはその合議に参画したということになりますれば、共謀理論でこれは共謀したということになりまして、共謀の罪に問われる、こういうことになります。
  132. 太田一夫

    ○太田委員 私は運輸省に一つ今の論争に関連をいたしまして所見を伺いたい。あなたの方の今度の道路運送法の第二十五条の二によりまして、運行管理者を選任するということですが、これは安全運転のためにこれを採用する制度を作った。その仕事の内容、権限は運輸省令によって内容を定める。こういうことになっており、しかもそれが義務に違反した場合におきましては雇用者は解任しなさい、解任ということによって一つの処罰がかかっておりますが、こういう制度をお作りになった建前からいって、今道路交通法において運行を管理する者というばく然たる対象者を考えての取締りの考え方と、あなたの方のお考えになっていることと、道路運送法道路交通法との両方の違い、これがあると思っていらっしゃるか、同じであるか。あるいはそういう道路交通法の警察庁の考え方だと、道路運送法を施行する立場にある運輸省としては困ったことになるとお考えになるか、いやそれはけっこうだとお考えになるか、その今の論争を通ずる運輸省当局の見解というのを、一つ明らかにしていただきたい。
  133. 國友弘康

    國友政府委員 道路運送法で、運行管理者の規定を今度の改正案では入れることにいたしておりますが、この道路運送法にいいますところの運行管理者は、事業用自動車運行指令についての全責任を負う者でありまして、これは、運輸省としては、具体的に全責任を負う人を任命させて、そしてそれに責任を負わせるという建前で、いろいろな仕事の内容については省令で規定するつもりでおりますが、一営業所ごとに一人任命して、その人が運行指令の全責任を持つということに考えておりますが、この道路交通法の方の車両等運行を直接管理する地位にある者と申しますのは、単にその運行管理者のみならず、そのほかの者も含まれるのではないかと思っておりますが、その点、道路運送法にいいますところの運行管理者が、この道路交通法にいいますところの車両等運行を直接管理する地位にある者になる場合が相当多いと思いますが、ただ、それ以外に、私どもの方で観念いたしております運行管理者の補助者等も、この道路交通法の方で申しますと、第七十五条に規定する地位にある者ということになると考えるのでございます。この点、運輸省の立場から、道路交通法改正について適切と思うかどうかということに関しましては、私どもも、この規定検討いたしましたが、これは警察庁とも打ち合わせて、この規定を入れることはけっこうであるということを回答しております次第でございます。
  134. 太田一夫

    ○太田委員 そうなりますと、大へんな問題が起きると思うのです。柏村長官お尋ねをいたしますが、今國友局長は、道路運送法第二十五条の二の運行管理者という地位にあるこの指名された人は全責任を負うのだという、このことははっきりしてしまいますね。そうすると、今の中川局長の考えておられる対象者と違ってくるのです。全責任を運輸省は負わせておるのに、その責任を持っておる者はまだほかにあるというような考え方は、運輸省の制度というものをないがしろにしたものであるから、意見が一致するはずがないのです。  それからもう一つ運行管理者の運輸省令の内容というのは、今お話しになりませんでしたが、運輸委員会の議事録を拝見をいたしますると、ちょうどこちらの道路交通法上の運行を管理する者の責任というようなものと同じようなものが向こうに入っているのですよ。薬物の影響、過労の者に運転させてはならない、そういうことが省令の中に盛られることになっている。してみますると、運輸省の考えておりますところの運行管理者、これは運輸省が陸運局で教習をして、各営業所、事業所に配置するのでしょう。いわゆる天下ごめんの全責任者ですからね。それがどうしても私は、この七十五条の運行を管理する者に、原則としてならなくちゃならないと思う。それらをはっきり、柏村長官にいたしましても、中川局長にしても、おっしゃらなければならぬと思う。そうしませんと、あなたたちは、道路運送法、運輸省の管轄の法律の方は運輸省さんだから、向こうの方でお考えになることで、われわれは簡単に参考に聞いておく程度ということで、あまり深く検討されておらないような感じがしてならないのですが、どうなんですか。一つ柏村長官に明確にその辺の所感を承っておきたいと思うのです。中川局長でもいいです。
  135. 中川董治

    ○中川政府委員 われわれは、道路運送法の一部改正法律案の第二十五条の二の条文はよく知っております。よく知っておりまして、しかも申し上げているのですが、どういうことかと申しますと、運輸省の方でおやりになることにつきましては、これは道路運送法でございますので、まず事業用自動車運行ということにならざるを得ない。私の方で提案しております道路交通法は、事業用につきましても自家用につきましても、いずれにも適用がございますということが一つ。それから私の方の道路交通法のうちの事業用の場合については、大体一緒になるんじゃなかろうかという御意見でございますが、大体一緒になるであろうという御意見につきましては、そのように考えておるのでございます。なぜ同じ言葉を用いなかったかということでございますが、同じ言葉を用いなかった理由は、道路運送法の適用の幅と、それから道路交通法の適用の幅が違うということが一つと、それから道路運送法の方は、事業監督を中心にいたしておりますので、選任をして、こういう手続を規定いたすということはむしろ当然でございますので、そういう手続に基づいて事業監督が行なわれているということは、行政監督の効率を発揮するゆえんであろうと存じまして、敬意を表するわけでございますが、私どもの方の七十五条につきましては、それは刑事罰を伴う規定でございますので、その実態を中心に書かざるを得ない。実態を中心に書きますと、こういう言葉にならざるを得ない。こういう言葉になりますが、実態をよく詮議しますと、多くの場合——脱法の意思その他でやっている場合は別でございますが、多くの場合一致するということは御指摘の通りでございます。
  136. 井岡大治

    ○井岡委員 事業監督の条文と刑事罰の条文と違う、こういう話ですが、道路交通法は一般的なものだ、これはわかっておりますが、たとえば、私が申し上げているのは、事業監督の場合における運行管理者あるいは車両管理者というものはどういうものか、こう聞いているのですから、そこのところをやはり間違わないようにしていただきたい、こう思うのです。ですから、一般論としてあなたのおっしゃることについてどうこうでなく、特定の問題を提議して、こういう場合にはどうなるのだ、こう聞いている。だから一般論でお話をなさろうと、それから事業監督だからといって敬意を表してもらうのはけっこうですが、敬意を表しても問題は同じであって、そうして同じ問題について食い違いが起こっているようなことは困るじゃないか、こういうことを申し上げておる。だからこの点はもう少し整理をしてもらいたい、こう思うのです。同時に、当然これらのことについてのいわゆる内部規定等が設けられると思うのですが、この点はいかがですか、もうこのままですか。
  137. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 この道交法案が通過いたしましたならば、いろいろ第一線で、これに応じて規則を作りましたり、あるいは指導や取り締まりの方針をきめなければならない。それに応じまして、中央におきましても準則といいますか、いろいろな解釈などを精密にいたしまして、第一線に指示いたしたい。
  138. 井岡大治

    ○井岡委員 その場合、そのいわゆる準則といいますか、内規といいますか、そういうものができましたら一つお出しをいただきたい、こう思います。これをお願いしておきます。
  139. 木村行蔵

    ○木村(行)政府委員 承知しました。
  140. 井岡大治

    ○井岡委員 それから、もう時間もかなり過ぎておりますから一点だけ運輸省に伺います。先ほどお聞きになりましたように、かなり違うわけですが、あなた方の場合は事業者の方を主としておやりになる。ところが、今までの運輸委員会における答弁では、非常にこれは軽微なものだ、こういうようにお考えになっておられるようですが、その軽微からくる一つ事故が起こった場合、これは非常にやっかいなものが出てくる、こう思うのです。ですから、この点は警察庁の方と十分打ち合わせをしていただいて、業務上における運行管理者のいわゆる業務内容、こういうものを統一してもらわないと、現実の問題として、事業者等にはどれが——片方は運輸省の道路運送法に基づく運行管理者と思っておったところが、こちらの方では道交法に基づく運行管理者になっちゃって困ってくる場合があると思うのですが、こういう点で一つ御協議いただく用意があるかどうか、お伺いしたい。
  141. 國友弘康

    國友政府委員 道路運送法規定します運行管理者につきましては、道路運送法上の条文に基づきまする道路運送法上の義務規定していくつもりでおりますが、今ここの質疑応答の間にも、運行管理者という言葉が、道路運送法上の運行管理者と道路交通法上の運行管理者という言葉で扱われておるような傾向もありましたので、それらの点に関しましては、今後道路運送法の運用につきましても、あるいは道路交通法の運用につきましても、私の方と警察庁の方で十分打ち合わせをしていきたいと思っております。
  142. 井岡大治

    ○井岡委員 あと一点だけ簡単にお伺いをいたしたいと思います。この提案説明の中にも書いてあるのですが、公安委員会が区間、期間の短いものについては警察署長に委任する、大体この区間、期間というものはどのくらいをお考えになっているか、この点を一つお伺いしたい。
  143. 内海倫

    内海説明員 期間はごく短い期間のものでありまして、具体的に申しますと、公安委員会は、大体各県の状態を見ますと一週間ごとに開催いたしておりますので、そういうふうな公安委員会の開催を待ついとまのない期間、従いまして最大限をとりましても六日以内という期間になろうと思います。それから区間につきましては、原則といいますか、当然警察署長の管轄する区域内というものがまず大原則であります。さらにその中におきまして区域を局限していく考えをとっております。
  144. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。——なければこれにて本連合審査会を閉じます。    午後一時二十二分散会