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1960-05-17 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十七日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長代理 理事 飯塚 定輔君    理事 纐纈 彌三君 理事 田中 榮一君    理事 渡海元三郎君 理事 加賀田 進君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君       天野 光晴君    生田 宏一君       加藤 精三君    亀山 孝一君       川崎末五郎君    床次 徳二君       山口六郎次君    山崎  巖君       川村 継義君    佐野 憲治君       野口 忠夫君    安井 吉典君       大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      中川 董治君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君         警  視  監         (警察庁警備局         長)      江口 俊男君         通商産業事務官         (軽工業局長) 秋山 武夫君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         参事官)    増井正次郎君         警  視  長         (警察庁保安局         保安課長)   中村 隆則君         警  視  長         (警察庁保安局         交通課長)   内海  倫君         通商産業事務官         (重工業局長心         得)      佐橋  滋君         通商産業事務官         (重工業局自動         車課長)    佐々木 学君         建設事務官         (道路局次長) 前田 光嘉君         専  門  員 圓地与四松君     ————————————— 五月十七日  委員金子岩三君、鈴木善幸君、高田富與君及び  中島茂喜辞任につき、その補欠として床次徳  二君、生田宏一君、天野光晴君及び山口六郎次  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員天野光晴君、生田宏一君、床次徳二君及び  山口六郎次辞任につき、その補欠として高田  富與君、鈴木善幸君、金子岩三君及び中島茂喜  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十六日  古物営業法の一部改正に関する請願外二件(田  中榮一紹介)(第三七四一号)  同(原田憲紹介)(第三八二四号)  同(田中榮一紹介)(第三九〇八号)  同外二件(中山マサ紹介)(第三九〇九号)  同(田中榮一紹介)(第三九五八号)  大規模償却資産に対する固定資産税課税改正  に関する請願増田甲子七君紹介)(第三九五  九号)  国の委任事務に関する請願山中貞則紹介)  (第三九六〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法案内閣提出第五八号)(参議院送  付)  警察に関する件      ————◇—————
  2. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 これより会議を開きます。  濱地委員長には本日病気のため御出席できませんので、その指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。  道路交通法案を議題といたします。この際、道路交通法案審査小委員長報告を求めます。小委員長代理田中榮一君。
  3. 田中榮一

    田中(榮)委員 ただいま報告を求められました道路交通法案審査小委員会における審査の経過並びに結果につき御報告申し上げます。  本小委員会は、道路交通法案道路交通基本法たる性格を有するものであり、かつ国民日常生活に及ぼす影響が重大であることにかんがみ、審査に万全を期するため去る四月十五日設置、小委員十一名が選任せられました。五月九日第一回の小委員会を開き、自来昨十六日まで六回にわたって開会し熱心に審査を続行したのであります。  質疑は各条文にわたり、政府当局の説明並びに答弁を聴取しつつ詳細かつ熱心に行なわれ、道路交通行政の根本問題にも触れて広範多岐論議が行なわれたのであります。  審査におけるおもな論点を申し上げますと次の通りであります。  一、歩行者法規違反に対する罰則が付されていないこと、駅構内等における通行区分規制を欠いていること等、歩行者に対する交通規制が不十分ではないか。二、交通モニター制度を採用してはどうか、交通安全協会刷新強化等民間協力を推進すべきではないか。三、道路工事の際の交通規制とその道路標識もしくは標示のあり方をいかにすべきか。四、交通ひんぱんな地域及び時間において列をなして走行する大型バス等走行間隔規制すべきではないか。五、追い越しの際、相手の確認を得るようにすべきではないか、その方式いかん。六、緊急自動車指定基準を明確かつ厳格にすべきではないか。七、交差点における車両優先順位道路について指定してはどうか。八、バス等乗車定員については実情を考慮して規制を行なうべきではないか。九、自動車車体検査及び登録の事務公安委員会の所管に移すべきではないか。十、車両等運転に際し酒気帯び運転禁止飲酒運転禁止に改めるべきではないか。十一、泥よけ器の装着も法的に義務づけるべきではないか。十二、車両等運行を管理する者の認定が困難ではないか、また道路運送法一部改正案における運行管理者本案における車両等運行を管理する者との概念の差異を明確にすべきではないか。十三、公安委員会の行なう道路交通に関する調査の結果を関係官庁に勧告ないし意見を付して通知するよう規定すべきではないか。十四、罰則強化雇用運転者負担能力にとって過重でないか、また過労運転等、主として雇用者責任に属する事案に対しては罰則適用上情状酌量する考えであるか。などの諸点のほか、道路不法使用に関する諸問題、自動車教習所指定基準をめぐる諸問題等について活発な論議が行なわれたのであります。  去る十二日には日本社会党及び民主社会党所属委員より修正すべき事項もしくは附帯決議を付すべき問題点としておよそ次のごとき意見が提示されました。  一、公安委員会信号機設置義務を課すること。二、児童登下校の際における保護規定を明文化すること。三、追い越しの場合、前車の確認を得て通行すること。四、緊急自動車優先に関する規定消防自動車の特例を明記すること。五、酒気帯び運転禁止飲酒運転禁止に改めること。六、七十条の安全運転一般原則に関する基準を明確化し、その乱用を防止すること。七、運転者遵守事項中、泥はねによる迷惑を防止するため、泥よけ器をつけまたは徐行する等の規定を厳守せしめること。八、自動車教習所指定については等級を設け、かつ運転免許試験の全部免除もできるように改めること。九、公安委員会の行なう道路交通に関する調査の結果を関係官庁意見を付して通知するよう規定すること。十、道路交通に関する行政処分等についての苦情処理機関ないし交通審判所のごときものを設置すること。十一、法文の表現の平易化をはかるため「当該」等の字句を整理すること。十二、運転者に対する罰則は過酷であるので軽減すること。等でありました。  なお、右のほか、委員諸君から交通モニター制度の採用を附帯決議に加えるべきであるとの意見がありました。  次いで、これらの意見に対して政府当局の見解を聴取したのでありますが、当局は、道路交通行政総合化については、行政機関相互間の連絡調整徹底化及びそのための機関設置を積極的に推進する。また、交通道徳確立交通法令周知徹底については、国民運動の展開、学校教育を通ずる交通知識普及等に万全を期する。さらに自動車教習所指定基準の政令については、委員会趣旨に沿って適正な基準を定め、その案をあらかじめ委員会に提示するつもりである等の答弁がありました。  かくして小委員会としては、昨十六日各党委員の間において協議検討の結果、大要次のごとき趣旨修正案並び附帯決議案を作成し、これを本委員会において採択すべきものとの結論に達したのであります。  まず、修正案については、第一に、公安委員会信号機設置の権能を有するのみにとどまらず、いやしくも必要と認められる場所については、積極的にその設置に努力しなければならない旨を規定して、その責任義務を明確にすることであります。  第二に、児童または幼児登下校における交通事故の頻発にかんがみ、特に誘導、合図等措置をとる必要があると認められる場所については、警察官のみならず、いわゆる緑のおばさんのごとき人々もこれらの措置をとることによって学童幼児保護に当たることが強く要請される旨を法的に規定しようとするのであります。  第三に、公安委員会の行なう道路交通に関する調査規定につき、これを単に調査にとどめず、必要と認めるときは、公安委員会意見を付してその調査の結果を道路管理者または関係行政庁に通知することにより、道路交通の安全と円滑に資そうとするものであります。  次に、本案が可決せられる暁、本案に対して付されるべき附帯決議案は次の通りであります。    道路交通法案に対する附帯決議(案)   本法の制定に伴い政府は次の諸点についてすみやかに適切な対策を講ずべきである。  一、警察庁運輸省、建設省、文部省、労働省、通商産業省等交通関係のある行政機関相互同連絡調整徹底して、総合的な道路交通行政実現を期するとともに、これら関連行政調整のために内閣に強力な機関設置すること。  一、交通道徳確立交通法令普及を図るため、とくに次の方策を講じてその徹底を期すること。   1 遵法精神を昂揚するための国民運動を展開すること。とくに車両運転者道路使用者等本法関係の深い者に対しては、法の趣旨及び内容周知徹底につとめること。   2 学校教育を通じ、学童に対して交通知識普及を図ること。  一、道路交通の円滑、事故防止並びに危害の予防徹底するため、とくに次の事項について積極的な対策を樹立し、その実現を期すること。   1 学童幼児の登、下校の際における保護徹底を期するため、所要の行政措置を講ずること。   2 都道府県単位又は地区別交通事故防止のための組織あるいはモニター制度を採用する等、国民協力態勢確立すること。   3 泥はねによる被害を防止するため、道路の補修の促進、徐行運転の励行、泥よけ器の装置等につき積極的に措置すること。  一、信号機道路標識等設置を促進し、交通上必要と認められる箇所については、必ずこれを設置するようにつとめること。  一、安全運転一般原則に関する亀準を設定してその運用に慎重を期すること。  一、乗車定員規制については、実情を勘案し、その運用につき慎重を期すること。  一、自動車教習所指定基準の設定については、その規模、要員の資格要件、教習の内容等をとくに考慮して適正な基準確立し、積極的に自動車教習所質的向上を図ること。  一、交通に関する行政処分等についての苦情処理機関設置を検討すること、  一、飲酒運転危険性にかんがみ、本法運用を通じてその防止徹底を期すること。  一、交通警察の充実及びその運営の合理化を図るため、交通警察官の資質の向上及びその増員、ならびに交通警察に関する予算の増額等措置を講ずること。  一、雇用者及び車両等運行を管理する者の義務に関する規定については、この規定趣旨実現しうるようその運用の適正を期すること。  右決議する。  右御報告いたします。
  4. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 以上をもちまして小委員長報告は終わりました。     —————————————
  5. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 道路交通法案に対する質疑を継続いたします。門司委員
  6. 門司亮

    門司委員 すでに同僚委員からかなり詳細にわたって質問がされておりますので、できるだけ簡単に二、三の点についてお尋ねいたしたいと思いますが、最初に聞いておきたいと思いますのは、今運輸委員会道路運送法の一部改正がかけられておるようでありますが、この中で車庫に対する警察官立ち入り検査等が問題になっておるようであります。これについて警察側立ち入り検査をしても間違いは起こさないというようなことができるかどうかということをこの際聞いておきたいと思います。
  7. 木村行藏

    木村(行)政府委員 あるいはお聞き違いいたしておるかもしれませんが、現在の道運法の一部改正の案の中には警察官立ち入り権限を新たに書いてございません。
  8. 門司亮

    門司委員 それが入っていなければいいと思いますが、私は大体そういうふうに理解しておったのです。  それに関連をして聞いておきたいと思いますことは、御承知のように車庫が十分になくて道路にたくさんの自動車が置かれております。それは今度のこの改正法でも実際問題としてなかなか解決がつかぬと思う。ことに多いのは裏通り道路の狭いところにたくさんの車が置いてある。広いところは交通がひんぱんだからなかなか置けない。それからそういう個人の関係は割合少ないので、ないと私は思うのですが、実際朝の四時から五時くらいに一応見てみると、ほとんど町の道路という道路の端に車の置いてないところはない。おそらくあれば車庫がないのじゃないかと私は考える。これが朝の何にも通らない三時か四時ころああして並んでおるというのなら大して交通に支障はないけれども、仕事の都合によっては朝から置きっぱなしになっておるのが相当多いと思う。こういうものに対する整理はこの法律でどういう形で行なわれておるのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
  9. 木村行藏

    木村(行)政府委員 一応この法案では四十五条の第二項で、道路の右側に三・五メートル以上の余地がない場所においては駐車してはならないという規定を考えておりますが、この規定運用にあたりましても、ただいま門司委員から御指摘がありましたように、相当の違反の実態が、この法案がかりに施行される場合には出てくると思うのです。それらにつきましても、結局その他の行政措置というようなことが当然なさるべきであろうと思います。たとえば共同駐車場を作るなり、あるいはその他の方法によって、できるだけ違反が起こらぬように予防措置関係の向きとも十分相談いたしまして、その後なおかつ、まだこの規定に対する違反があります場合には、できるだけ予防的に注意しながら、さらにどうしても聞かない悪質のものについては、この規定適用していきたいと考えております。
  10. 門司亮

    門司委員 これはどうしても聞かないといいましても、経済的の問題と地理的の問題があるのです。一つの商社が、ほかに家も持っていなければその付近に場所もない、しかし車は持っているというのが私は今の状態だと思う。これを片づけるには、今のお話のようなことだけでは実質的の問題として私は片づかぬと思うのです。だから法律はできたが、いつまでたっても事実上の運用は非常に困難だ。そうすると、いつの間にか条文が空文化してしまって、既成の事実というものはどうしても強制することができないというのが、私はこの種の法律現状だと思うのです。だから、それに対して今のような答弁でよろしいかどうかということは、私にはかなり疑問があるのですが、何かほかに考え方はありませんか。ただ注意をするといいましても、これはなかなか受け入れる方で受け入れられないと思うのですよ。おまけに何か規定によりますと、かなり広い場所でなければ車庫というようなものの認可が与えられない。そういう場所はなかなか都会のまん中に見つからぬと思う。今日までそれが野放しになっておるという形で、急にこれをやってみたところで、それなら車を置くところのない商店では、車を売る以外にはないということになると思う。そして今のお話のように共同駐車場でもこしらえるということになりましても、これもなかなかそういうたくさんの車を集めるような場所都会の適当な場所にあるかどうかということは疑問なんです。だからこの辺は、どうでしょう、法律はこしらえたが実際はうまくいかぬということになると困ると思うのですが、何かもう少しはっきりした話がありませんか。
  11. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 実は青空車庫につきましては、ああいうものを一掃するために、今局長から申し上げました三・五メートル以上あるようなところにおいても、青空車庫的なものは一掃する必要があるのではないか、車庫のない者は車を所有できないようにしたらどうかというようなきびしい御意見もあったわけでございますが、これに対しましては、直ちにそこまでは参り得ないということを申し上げておったわけでございますけれども、現行法におきましても、三・四メートルの余地を残す場所でなければ駐車してはならないということに相なっております。今度三・五メートルということにいたしたわけでございますが、これの運用につきましては、確かに非常に困難な地域もあるかとは思いますが、大部分のところにつきましては、ただいま局長が申し上げたように、関係方面とも十分連絡をとり、また指導、督励をいたしまして、所期の目的を達成するように極力努力をいたしたいというつもりでおるわけでございます。
  12. 門司亮

    門司委員 それ以上追及しても、これは実際の問題として私はなかなか困難と思いますが、それについては一つぜひ法があまり無理のない程度で実効の上がるようなことを考えてもらいたいと思います。その点を一つ申し上げておきます。  その次に聞いておきたいと思いますことは、例の事故防止関係ですが、この間からいろいろ私聞きましたときに御答弁もあったのでありますが、踏み切りその他の事故を防ぐために、この前の委員会で申し上げましたように、何かいわゆる軌道を走ってくる車に合図をするような処置を明確にとっていきたい。これは運輸省の方では御存じだと思いますが、運輸省の何の規則でしたか、私は二十八条か九条のような気がするのだが、実はそこに例のバスや何かについては発煙筒のようなものを持っていなければならないという規定があるわけであります。そうすると、車両の一部には運輸省規定でそういうものが実行されているか、されていないかわかりませんが、とにかく交通の安全のために一応そういうことが考えられておる。この規定を大体全部の車両——自転車やなんかこまかいのは大して影響はないと思いますが、一応四つの車あるいは三つの車を持っているものまで適用のできるように広げるというわけにはいかないですか。
  13. 國友弘康

    國友政府委員 事故防止のための赤い旗とか、注意をいたすべきものを、事業用自動車については持たせるように運輸規則で制定しているのでございますが、これは道路運送法に基づきます省令でありまして、道路運送法は、実は自家用全部についてそういうことを規定する権限は与えられておりませんので、自家用を含めまして全部についてそういうような措置をいたすまでには実は立ち至っておりませんですが、現在は自動車運送事業等運輸規則に、旅客事業用自動車についてはそういうものを所持するように措置をしておるのが運輸省現状でございます。
  14. 門司亮

    門司委員 要するに旅客運送をするバスについては非常に問題が大きいものですから、同じ事故についても人間の損傷がかなり大きいために、そういう措置を私はとっていると思う。それはバスだけでなくて、起こるのは同じことですから、やはりできれば何かの措置をとられて、そして最大限度に譲っても、少なくとも一人の力で押したり引いたりしても動かない——具体的に言いますと、一人で動かせる、あるいは助手と二人くらいで押せばどうにかなるという車なら大した影響はないと思いますが、荷物を積んだ車はなかなかそうはいかぬと思いますので、ぜひ一つ、今のような運輸省に幸い規定がありますので、これをもう少し幅を広げて考えてもらう。そしてそれは義務づけても、私は大した負担にはならぬと思う。たとえば発煙筒一つ考えてみましても、これは中の火薬は一年か二年目くらいに取りかえればよろしいのであって、そんなに大きな負担にはならぬと思う。そして見通しのきかないような場所で、かりに踏み切り事故があっても、ある程度こういうことで押えられるのじゃないか。踏み切りの大きな事故を見ていますと、ほとんど運転手は承知している。しかし車が大きいのと重量があるのでどうにもならない。どうにもならないので結局衝突する。要するに意識した衝突です。片方の軌道の方の運転手も一応意識しているのですね。しかし、急ブレーキをかけても間に合わないということであって、何らかの形でもって防止すればできるものを、お互いに事故が起こるのだということを意識しながら、とうとう事故を起こしてしまうというのが今日の現状だと思う。これは人間の意識で解決することですから、処置よろしきを得ればこれは解決できると思う。どうせむずかしい問題ではないと思うのです。だから、事故防止のためには、ぜひそういうものを何かの規定の中にはっきり入れてこれを厳守させる。車の持ち主も、さっき申し上げたように大した負担にはならないと思う。だから、これは運輸省からでもどちらからでもよろしゅうございますが、この辺、もう少しはっきりした御答弁一つ願いたい。
  15. 木村行藏

    木村(行)政府委員 門司委員のただいまのお話につきまして、事故防止の観点から実際非常に必要であったという実例もあるわけでありますので、まことに御趣旨ごもっともだと思います。従いまして、これにつきましては、特に踏み切り事故防止の重要な一環といたしまして、できる限り自家用自動車についても、その携帯について、行政指導によってできるだけ奨励して参りたいと思っております。
  16. 門司亮

    門司委員 これは特にトラックやなんかの大きなもので動きのとれないものについては、至急一つ考えていただきたいと思う。私は行政措置くらいではなかなかおさまらぬと思います。ようやらぬと思います。何らかの処置が必要だと思います。義務づけることが必要だと思います。今これができなければ、一つできるだけ考えていただいて、そしてこの規定は何も警察だけが考えるのじゃなくて、私は運輸省の方の考え方がはっきりすれば、そうむずかしい問題にはならぬと思うのですけれども、今の局長お話では、どうもそこまで考えられていないというような御答弁のようでありますが、そうものをあまり窮屈に考えないで、できれば一つ運輸省規定なりどこかではっきり義務づけてもらう。これは警察の方でもやればできないことはないと思いますが、車両に関する問題だから、あるいは運輸省の方では、おれの方のなわ張りだとおっしゃるかもしれないが、特に警察行政指導と相待って、運輸省では、将来できるだけ早い機会に規則か何かの形でやっていただく。今もって例の花月園前の踏み切りでは、何回も事故をやる。防げば防げると思いますが、どうしてもそれができない。そうして大きな事故を起こしておる。そういうことだから、ぜひお願いしたいと思います。  それからもう一つの問題は、例の行政罰司法罰関係ですが、この関係については、いろいろ実際上の問題としては問題もあろうかと思います。しかし運転手をしておる諸君の身になりますと、それの罰金が非常に多くて、その上に免許を取り上げられる、あるいは一定期間の停止をさせられるということになると、罰金を納めるのに非常に苦労するのです。そうしてこの仕事自体が、事故が絶対に起らぬという保証もどこにもつけられませんし、それからもう一つの問題は、今度の罰則は非常に強くなったことのために、これで事故が減るかといえば、私はなかなか事故は減らないと思います。なぜ減らないかというと、罰金が重ければ重くなるほど、あるいは処罰がひどければひどいほど、ひき逃げというと少し言い過ぎかもしれませんが、事故を起こしてつかまったら大へんだという片方に瞬間的な心理がありますから、かえってひき逃げのようなものがふえはしないかというような心配が実はあるのです。それからもう一つは、さっき申しましたように、なかなか本人自身にとっては、両方の処罰というもので、事実上の営業というか、仕事が行えませんので非常に困る。それで多くの場合、行政措置罰則と二つつくものの中にはいろいろありますが、普通の自由営業をやっております諸君に、かりに許可営業で営業停止がありましても、この自助卓のように六カ月停止するとか、あるいは免許証を取り上げてしまうとかいう長期の営業の停止等は割合少ないのです。飲食店か何かにもときどきありますが、環境衛生がよくないというので、あるいは何かおかしなことをやったからということで営業の停止はあるが、三ヵ月、半年も行なわれるということは非常にまれです。ところが、自動車運転手に限って非常にこれが多いのです。それから片方には、二カ月分くらいの月給を持っていかれるような罰金がついてくるということで、こうなると、運転を業として自分の力だけで働いている、二万五千円か、せいぜい三万円程度の給料をもらっている運転手としては、なかなか過酷な問題だと考えられる。だから、これについての今までの御答弁の中で、大体できるだけ了承していこうということ、さらに法律の中には、免許の取り上げ等については、講習会その他でこれをカバーしていこうという趣旨はよくわかっておりますが、そういうことを十分一つ考えてもらいませんと、そうして今までの御答弁自体を十分に一つ生かしていただきませんと、かえって私は逆の結果が出てくるということを非常におそれますので、この点を特に御注意申し上げておきたいと思います。御答弁は私は必要はないと思います。  その次に建設省にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、道路行政との関係ですが、これはここでしばしば議論がありますし、世間一般の議論で、道の幅と車の大きさというようなものはまるきりむちゃくちゃで、道路が悪いということで泥よけの問題なんか、かなり問題になっておる。それで結局、結論は道路が悪いのだということにならざるを得ないのですが、道路運送法関係もありますが、問題はこの道交法の関係として全部がしわ寄せされておるのです。通産省が勝手に大きな車をこしらえる。これはこの間も、通産省の局長さんに車の大きさを聞いてみましたら、わからぬという話だったが、私の手元にあるものだけでも、車の幅が二メートル六以上のものがある。車の幅が二メートル六以上だということになると、とてつもないものができているわけです。道路の幅が非常に狭い。従って、運輸行政と、通産省の持っております製造させる一つの行政と、それから道路の行政と、取り締まりの行政というような四つのものが、ほんとうに一体にならなければ、どうしてもこれはできない。建設省にはっきり聞いておきたいと思いますことは、処置ができそうなものだと考えることは、たとえば大きな車がすれ違うことのできないような場所に、たくさんの旅客を積んだバスが通っております。これは都会のまん中ではなお困りますが、たとえば狭い道路、片一方が断崖であって、片一方はがけであって、どうしても交差の困難な場所に、いなかのようなところへ行くと往々にしてぶつかる。こういう場所については、一定の距離くらいのところに、でき得れば車の退避所というものがこしられられないものかどうかということであります。もう少しすれ違うに十分な場所を与えてもらえれば、そこまでいけば、お互いに大した問題がなくてすれ違うことができるというような応急処置ができないかどうか。これは建設省としてやれますか、大体主要国道あるいは主要県道並びに主要市町村道くらいまでに。
  17. 前田光嘉

    ○前田説明員 現在におきましても、特に交通の激しいところで道路の幅員の狭いところにつきましては、全体的な道路改良を待つまでもなく、ただいま先生の御指摘のような待避所の設置あるいは局部的な改良というようなことで、道路交通を通すように努力しております。ただいま申されましたように、最近特に自動車の大型化の傾向がございますので、できるだけその全体の道路整備ももちろんでございますけれども、とりあえず待避所あるいは局部的な改良、特に待避所につきましては今後やっていきたいと思っております。
  18. 門司亮

    門司委員 これは努力するというだけでは実際はおさまらぬのですよ。だから、具体的にやはり予算をある程度取って、そうして応急処置をどうしても講じてもらいたいと思う。そうしなければ、道路が改修されてからなんといったって、そんなものでは間に合いはしません。どうにもならないということでありますから、ぜひこの点はただおざなりの答弁だけでなくて、十分に考えてもらいたいと思います。  それから次に、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、この法律の八十八条の中でちょっと意見がありましたが、第三号に、「前号に掲げる者のほか、政令で定める身体の障害のある者」ということになっておりまして、これが免許の欠格の事項になっておりますが、この事項の範囲というのはどの範囲まで一応考えられているかということであります。この「政令で定める」というのは、おそらくこの法律に基づいて政令をこしらえられるのであって、現在の厚生省関係にある身体障害者の政令とは私は違うと思うのですが、どの辺までこれは考えられておられますか。
  19. 内海倫

    ○内海説明員 三号につきましては、現在、この前も御答弁申し上げましたように、各専門家に意見を求めまして、慎重にその範囲を検討中でございますが、私どもの考え方としましては、二号に、いわば法律上定められた決定的な欠格条件としての身体障害及び心身の障害を書いておるわけでございますが、大体三号もこういうふうな考え方に立ちまして、これだけの身体の障害があれば絶対的に運転ができないと認定される範囲にこれをとどめて規定していきたい。極端なことを申しますと、はなはだ極端な例を申し上げるわけでありますが、両手両足のない者ということは、これはたとえば三号に考えざるを得ないものであります。それがさらに狭まって参りますと、両手のない人ということも考えられて参りますし、そういう点で、こういう身体的な障害があれば、これは自動車運転させることが絶対に危険であり、また適当でないということを十分に検討した形でこの範囲を定めたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  20. 門司亮

    門司委員 最後にもう一つだけ聞いておきたいと思います。この法律ができまして、そうして附帯決議につけておりますように、関係各省で何か機関を設けて、そうして法律が完全に守れるように処置をとってもらいたいということをつけております。だから私は、これで大体よろしいかと思いますが、特に大臣に伺っておきたいと思いますことは、先ほどから申し上げておりますように、四つの行政庁がほんとうに一つにならなければ、これはどう考えても満足な取り締まりはできないのです。ことに建設省に私はもう一言ここで申し上げておきたいと思いますが、それは道路の構造の問題です。道路の構造とそれから道路を作る順序、これをもう少し建設省が考えてもらいませんと、どうにもならないじゃないか。たとえば道路の構造にいたしましても、かなりかまぼこ型になったところが日本にはたくさんある。そうすると、自転車とか軽自動車なんかどうしてもまん中を通りたがる。端を通ろうとしてもなかなか通りにくい。それ一から手車なんか見ていましても、結局あまりにかまぼこ型になっているために、端の方によらない。どうしてもまん中にくる。従って道路の半分——半分とは私は申し上げませんが、道路の端はほとんど一メートルぐらい使っていないところがある。道路が狭いところにもってきて、使用不能のところがたくさんある。それはあなた方ごらんになればすぐわかる。それは端にごみがたまっているから、道路を使っていないところが線を引いたようになっている。こういう一つの構造上の問題があろうかと思います。  それからもう一つは、これはどこにもあることですが、道路のまん中の車の通るところだけは一応舗装するが、あとはほとんど舗装がいつまでたってもできないのです。そうすると、いやでもおうでもまん中を通れということを、これは建設省が指示しているような気がします。ここまで言うと少し言い過ぎるかもしれませんが、事故を起こすということを建設省が平気で見のがしているということにも考えられる。これは道路を作るときには、まず人間の歩くところを先にきれいにする。あるいはこれを同時にきれいにするということの方針を立ててもらわぬと、これは都会にしましても、いなかにしましても、事故防止にはならぬですよ。これはどんなに法律だけやかましくこさえても、歩けなければ、人間としては勢い歩けるところに出てきます。こういうふうなことを一体建設省としては考えているかどうか、この点。前段については一つ大臣から御答弁願いたいと思いますし、後段については建設省の方でもう少しはっきりした行政を一つ考えてもらいたいと思います。
  21. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 今日この道路交通法案の審議にあたりまして、参議院におきましても、交通関係行政の連絡調整強化して総合的施策の策定推進をはかるために、内閣にやはり強力な審議機関を置けという附帯決議がついており、衆議院の当委員会におきましても、そういう趣旨附帯決議がつけられることになっておるようでございまするが、これはわれわれも、前々からそういう感じを強く持っておったものでございまして、ただいま総理府に御案内のように、交通事故防止対策本部なるものがございまするが、いろいろやってきておりまするけれども、まだこれという大きな効果を上げておりません。そこで今回のこの法案成立を機に、両院でつけられました附帯決議趣旨を私は十分尊重をいたしまして、ことに運輸省、建設省、警察庁、通産省、これらの四省で緊密な連絡がとれるような機関設置いたしまして、御期待に沿うように抜本的な施策を立てたい、かように考えておるものでございます。
  22. 前田光嘉

    ○前田説明員 道路の構造につきまして御指摘がございましたが、第一点の、道路のまん中がふくらんでおって、両側が低いために、非常に通りにくいということでございますが、道路は、その機能を維持するためには、排水問題が一番大事でございますので、道路自体にある程度の傾斜があることはやむを得ぬと思いますが、ただいまお話のように、それがかえって交通の障害になっておるということはあるかもわかりませんので、さらに全国の道路実情を調べまして、そういうことのないように、もちろん排水関係は必要でございますけれども、そのためにかえって道路構造が交通者に対して障害となっておることにつきましては、十分調査の上善処いたしたいと思います。  第二点の、道路の舗装が中央部分だけ舗装してあって、両側はほうってあるというお説でございますが、これにつきましては、実は交通の激しいところをまず予算のある限りにおいて急いで舗装をしようということから始めまして、全国におきましてもまだ若干できていないところもありますが、ただいまお話しのように交通が輻湊して参りまして、せっかくある道路を全体に使う必要がございますので、予算の獲得に努めまして、最近相当全国的に舗装を実施しております。あるいはまだ舗装が全部完成していないところもありますけれども、できるだけ早い機会に道路の全体を舗装いたしたいと思っておりますので、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
  23. 門司亮

    門司委員 私は今のような御答弁ではあまり感心しないのです。まだ全部できていないとか、できるとかを聞いているのではない。全部はできっこない。やろうたって事実上できないのです。だから、方針はどういう方針で、今後の道路の改修については全部一緒にやるという方針を立ててもらいたいということだけ聞けば私はよろしいのです。いなかへ行ってごらんなさい、まん中が舗装してあって、両方の端がほとんど全部といっていいほど舗装されていない。人も自転車も全部舗装したところだけ通って、舗装されていないところはだれも通っていない。だから、道路のまん中を集約して人間が通れ、事故を起こせというようなものです。はっきり幅員全体が使えるような道路の構造といいますか、構築をしてもらわぬと、どんなにこの法律ができても、どんなに道路の右側を通らなければならぬとか、あるいはこの線から車は何メートル離れて通れといったって、事実上は実行されないのです。法律を作るからには、やはり法律を守れるようにしてもらいたい。この法律の中に今申し上げたようなことが幾つかちゃんと書いてあるのです。問題はそういうことですから、あなたの方の方針をそういう方針にきめてもらい、それで進んでもらうということだけ御答弁願えばいいのであって、あなた方がまだ全部に行き渡っていないとか言っても、これは行き渡りっこないのです。(「それには財源が要る」と呼ぶ者あり)財源は政府でやるんだ。どうですか、そういう基本的な方針が立てられませんか。
  24. 前田光嘉

    ○前田説明員 道路におきましては、構造上路肩と申しまして、交通の用に供する部分でない一種のゆとりの場所があります。あるいは地方においては路肩の部分につきましては、一般の中央部における舗装とは違った軽い程度の構造でやっておるところがあります。そういうところにつきましては、元来道路構造におきましては、交通の用に供しない、ただ何らかの場合における一応ゆとりの場所としてとっておる面もございますので、一応道路の幅として一般に見える範囲の中でも舗装をしない個所があると思います。しかし、これにつきましても、できるだけ舗装したいという気持を持っておりますが、財政の関係で特に交通の激しいところからまず舗装していくということになりますと、場所によりましては、全幅舗装をしないで、特に交通の激しいところだけ舗装をしていくということの方がかえって舗装の効果を上げることになると思いますので、具体的なことにつきまして、ただいまの先生の御趣旨も十分尊重しながら、予算の範囲内で最も効率的な道路の舗装ができるように善処したいと思います。
  25. 門司亮

    門司委員 私は質問をやめようと思いましたが、そういう答弁が出てくればなかなか質問をやめるわけにいかない。大体この法律交通事故をなくそうということが一つの大きな主眼なんです。それから国民全体の交通事故をできるだけ少なくすることに主眼がある。ここに日本週報というのがありますけれども、これを読んでみますと、一年に一万人以上交通事故で死んでいる。けがをした人はこれの何十倍、何百倍なんです。そういう事故を現実に起こしている。毎年一万人の人間が殺されてごらんなさい、どんなことが起こるか、これは大へんなことです。交通事故だからといって、それがどういうわけか知らないが、大して問題になっておらない。人間の生命が失われているということでは同じことです。これの一つの原因が道路の全幅が使えないというところにあることから考えますと、あなたの方では、道を作ればいいのだ、予算がないからまん中だけきれいにしておけばいいのだ。道路のことだけをお考えになればあるいはそういうことが言えるかもしれない。しかし、交通事故防止というものの考え方からすれば、できるだけ道路は全体の幅が使えて、そうして歩行者も、自転車に乗っているような諸君も、交通上の事故のないようなところを歩けるように処置してもらいたいというのが私どもの考えです。道路を作る人は、ただ道路を作って、体裁のいいものを作ればそれでいいのだ、あとはどんなに事故が起ころうとどうでもいいという考え方ではないと思いますけれども、道路をお作りになるときには、道路は一体何のために作っておるかということです。道路自身の生命というものは、ただまん中だけ舗装して、車だけ通ればいいのだというものじゃないと思う。道路の役目というものを考えて、少なくとも事故防止については建設省は相当考えてもらいたい。私は、今の建設省の答弁がそんなことなら、ここへ大臣に出てきてもらって、もう少し突っ込んだ話をしなければ、事務的にものを考えて、事務屋さんだけが、われわれは建設省だから道路さえこしらえればそれでいいのだ、道路をこしらえる順序はこういう順序でやればいいのだ、交通事故防止を何も考えられないというようなことでは、この法律を安心して通すわけにはいかない。あぶなくてしょうがない。この法律を読んでごらんなさい。この中に道路の幅と車との関係が書いてある。どうですか、あなたの方でもう少し考え方をはっきりしてくれませんか。あなたの方は、おれの方は建設省だ、道路を作ればそれでよろしい、交通事故警察が取り締まればよろしいのだ、こういうことになったのでは、人間が助からぬですよ。
  26. 前田光嘉

    ○前田説明員 私が申し上げましたのは、決して先生の意思に反して、道路交通事故を無視して道路を作っていいということを申したのではありませんで、舗装の効果を発揮するためには、あるいは場合によっては路肩における舗装はあと回しにするということもあり得るということを申し上げましたので、その考え方におきましては、なるたけ早い機会に全国の道路の舗装、道路の改良の効果が道路交通の上におきましても十分発揮できますように、先生の御趣旨に従って努力しておるということについては全く同じでございます。その点私の説明が不十分で、あるいは誤解を起こしたかもしれませんけれども、その御趣旨に従って努力いたしますので、御了解願いたいと思います。
  27. 門司亮

    門司委員 そうくどく言う必要もないと思いますが、少し建設省が考えてもらいたいと思いますことは、あなた方は道路の効果といっておられますが、道路の効果も必要なんです。しかし、やはり人間の生命は大事なんですから、道路の効果にとらわれて人間の生命をおろそかにするという考え方であってはならぬと思うのです。そういうことで、どうしてもあなたの方でできないというなら、できないでよろしい。私の方はまた考え直さなければならぬ。もう少しはっきりした御答弁を願えませんか。私がここであなたからはっきり聞いておきたいと思いますことは、私が先ほどから申しておりますように、道路の全体が使えないような道路の構造——われわれも水の排泄が非常に大切だということは一応存じております。道路が必ずしも平らでなくて、まん中がへこんでおるというようなことがいけないことはわかっております。しかし、道路がほんとうにできておるかどうかということ——これは私の一つの例ですが、私がワシントンに行ったとき、道路の上を車が走っておりますけれども、れんがを積んだ車が綱も何もかけていないで走っているということは、いかに道路がスムーズに、板張りのようになっていて、運転ができているかということです。日本であんなことをやったら、みながたぴしになって落ちてしまいます。そういうことは、一つのものの考え方としては、道路をできるだけ広くしてもらって、そうして産業上に影響するもの、あるいは道路としての一つの使命を果たすところの経済的効果を願うものとしてのまん中をきれいにすることも一つでしょう。しかし、こういう法律を審議するわれわれの立場から考えれば、やはり人間の通るところは事故の起こらぬように道路の構造をこしらえてもらいたい。あるいは施工する場合にも、そういうことを考えて施工してもらいたいということが、私どもこの法律をこしらえる立場に立った者の考え方なんです。あなた方の方は、ただ道路さえ作ればそれでよろしいのだ、道路の効果さえ上げればそれでよろしいのだ。この考え方の食い違いが、こういうへんな気持に私はならざるを得なくなってくる。だからあなたの方も、こういう法律ができる以上は、少なくともこの法律の効果を上げるようにあなた方の方で配慮していただければできるはずなんです。これは私はできないとは申し上げないのだ。あなたの方でできないというのならば、これはどうかしている。今の御答弁のように、できるだけそういうことをしたいと思いますが、そういうことはあり得るというようなことを答弁されておったのでは、私はこの法律はなかなか通せないと思う。だからどうなのです。くどく申し上げるようですが、大体私どもの考えているようなことで道路の改造といいますか、改良といいますかは、やっていくということにはっきりした御答弁はできませんか。
  28. 前田光嘉

    ○前田説明員 ただいまの御趣旨を尊重いたしまして、その線に沿って実現のできますように努力したいと思っております。
  29. 飯塚定輔

  30. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は六十三条に関係いたしまして、車両の検査についてこの際伺っておきたいと思います。  私ども地方におって、今まで自治体行政等を担当してやってきたのですが、車両検査につきまして非常に疑わしい、納得のできないような面が非常に多かったのであります。私は、そういった実例を相当数持っているわけなんですが、はからずもきょうの新聞でもって、この修理工場とからみましたところの陸運汚職が発表されております。私は別にそれ見たことかという気持にはなっておりませんが、当然こういった問題が明るみに出てくる段階ではなかろうかというふうに考えておるわけなんです。  そこで一つ警察庁にまずお伺いしておきたいと思いますが、あなた方の方では街頭車両検査実施要領というようなものによりまして、車両検査を随時やっておると思う。そこであまり遠いデータは必要ありませんけれども、昨年一年間くらいに、不良車両はどのくらい摘発されておるか、これを一つ伺っておきたいと思います。
  31. 木村行藏

    木村(行)政府委員 昨年一年の間に街頭で警察官車両の整備不良だということを発見いたしまして、その現場でその整備不良を指摘して整備させましたものが約二十一万件ございます。それからさらにその現場で整備不可能という程度の高い整備不良につきましては警告書を与えまして、その警告書に書いてありますところの整備期間、その期間までに整備すべしという警告の内容をもちまして、その警告によりまして整備しまして、そしてその後整備を確認する意味におきまして警察署長なりあるいは陸運事務所長なりの証明書をもらいましたのが三十三万件ぐらい、両方で五十二万か三万件ございます。非常に多い数であります。
  32. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その確認の方法は、警察署なり陸運事務所なり、こういっておると思います。それでまあ確認されておるわけなんですが、この五十五万件になんなんとする不良車両、これも毎日々々街頭でもって車両検査をやっておるわけじゃないと私は思う。随時適時やっておられることではないかと思うのであります。従って、不良車両の横行している状態というものは、はるかにこの数字を突破しているのじゃないかと私は思うのであります。そこでこういった不良車両によって事故を起こしたところの車両、整備の不良によって事故が起こったというような件数がわかっておりますれば、この際伺っておきたい。
  33. 木村行藏

    木村(行)政府委員 昨年一年で約三千件であります。
  34. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで一つ運輸省に伺っておきたいのでありますが、私はきょうの新聞を見て実はびっくりしたのであります。検査をやるべき検査官が認証工場と連絡をとって、しょっちゅう自動車で送り迎えまで受けておる、しかも酒色の供応を受けておる、金品の収賄をやっておる。こんな状態でもって、今われわれが大きく問題としておりますところの、国民が問題としておるこの道路行政、交通行政というものがはたしてうまくいくだろうか。そこでこの新聞に発表されておる内容につきまして、この通りでありますか、それとも何か新聞発表が多少間違っておるかどうか、こういった点について、もしあなたの方で相違があるなら、その相違点を明らかにしてもらいたい。
  35. 國友弘康

    國友政府委員 昨日からの新聞に収賄容疑で逮捕されました三人の検査官のことについて報道されておりますが、この点に関しましては、陸運局及び陸運事務所に対しまして詳細に調査するように申してあるところでありますが、この容疑にかかりました三人は収容されておりますので、目下確実なところを調べることはできませんが、私どもといたしましては、実は平素来非常に汚職の関係注意を喚起しておりまして、ことに私どもの担当しております仕事は事業免許とか、そのほかそういう方面に非常に近い関係を持っておりますので、細心の注意を払って、そういうことは絶対に起こさないように指導しておるのでございますが、たまたまこのような事態が発生しましたことを非常に遺憾と考えておるのでございます。あるいはこのような容疑があったのではないかと考えております。これらの詳細の点については、私どもまだ把握しておりません。よく詳細調べまして善処いたしたいと考えております。
  36. 阪上安太郎

    ○阪上委員 警察庁調査によって一年間に五十五万件の不良車両というものが摘発された。しかもこれはきわめて間歇的に行なわれるものであって、常則的に車両検査というものは全国一斉に行なわれておるわけのものでもない。にもかかわらずこれだけの数字が出ておる。この点につきまして、いかに不完全な整備が行なわれておるかというところの大きな証拠ではないかと私は思う。こういう車が今そこらを走り回っておるということになれば、道交法でもっていかに規制しまして、運転手その他に注意をして運転をやれというようなことを言い、人命尊重の建前から保護を加えていくような方式というものをとり、あるいは先ほど議論がありました建設省との関係道路をもっと完全なものにしろといって、こういったようなことをやってみましても、肝心かなめの車がこわれておって、半身不随の車がそこらを走っておるようなことでは、とてもあぶなくて町を歩けない。この責任というものはあげて僕は運輸省にあるのじゃないかと思う。あなた方が認証した工場はどれくらいあるかよく知りませんけれども、新聞の報ずるところによっても、東京都内だけでも三千五十社ある。しかもその中には、自分でもって適当な広さすら持っていない。私も現に見ておる。道路のわきの方で車をほっぽり出して、そこでもって堂々と修理をやっておる。あるいは掘立小屋式のようなものできわめて不完全な、整備の能力のない工場が認証されておる。これはおそらく検査官が酒を飲まされて認証したところの工場ではないかと思う。こういうようなきわめて不見識なことを運輸省がやっておるということについては、私は重大な問題ではないかと思う。われわれは道路一つだって、いろいろな情状を酌量して考えてみれば、店先に自分の車ぐらい置いていいんじゃないかという気持すらある。それでさえ、われわれはやはり交通の円滑を期するためにそういったものは障害になるということで、涙をのんで禁止していくという方向をとっている。にもかかわらず、適当な広場もなくて、道路のまん中に車をおっぽり出して修理をやっている。あっちにはドラムカンがひっくり返り、こっちには油がこぼれているというような状態をあなた方は見ておりながら、何ら手を打つことなく簡単に認証しておる。これは大へんな問題じゃないですか。私はこういう点から考えていったら、運輸省などというのは車体検査の能力など全然ないんじゃないかと思う。こういう行政はもうあなた方は放棄すべきだと思う。  そこで私は伺っておきたいのですが、今まで所有者が検査受けをする場合の件数、それから工場に委託して、工場の者が委任を受けて検査受けをするという件数は、どういう比率になっておるか。詳細な数字がありましたらこの際発表願いたい。
  37. 國友弘康

    國友政府委員 ただいまの検査の両数についての数字は持ち合わせておりませんが、後刻調べまして御報告申し上げたいと思います。  自動車検査の建前を申し上げますと、事業用自動車につきましては九カ月目から一年でございます。自家用自動車等につきましては、二年目に一回自動車車体検査を施行しておるわけであります。そのときにおきまする状況を調べまして、合格をするものには車検証を交付することになっておりまして、実はその中間におきまする車体の検査はいたしておりません。それで灯火が一ヵ所悪くなっておる、たまたまそのときに悪くなったというようなものにつきましては、私どもの方としては権限が及ばない状況になっているのでございましてそれらの点が路上車検の場合に発見されることが多いのではないかと考えております。そういう状況で車両検査の際におきまする適格性というものを調査しておるのでございますが、昨日来の汚職に関しましては、それに検査官が手心を加えたというようなこともいわれておりますので、全部について車両検査を実施するはずであるし、しておるのでありますが、車両検査官の一人なり二人がそういう行為をしたということはまことに遺憾でありまして、これらの点に関しましては今後厳に戒めていきたいと考えておるのでございます。  さらに自動車整備工場あるいは事業者が、路上等に自動車を放置し、あるいは路上で自動車の整備を行なっておるというようなことに関しましては、私どももそういうことがあってはならないと考えておりまして、この点は認証の場合等におきましても、その認証をいたしまする車両と同時に収容する車両数につきましてよく見まして、それにふさわしいような工場を認証しておるのであります、ただ古く認証されました工場が、最近の自動車の修繕の激増によりまして、お客さんを断わるわけにいかないから引き受けるというような場合がございます。これらの点に関しましては、そういうことがないように、昨年も通達を出しまして、陸運局なり陸運事務所なりが十分指導するように、それから今後認証の場合には、十分にそれを収容する能力があるような施設を持つようにという方向で指導をし、実施しておるわけでございまして、これらの点に関しましては、今後も完全に施行していくようにしたいと考えております。
  38. 阪上安太郎

    ○阪上委員 読売新聞の記事によりますと、四月末現在、都内に三千五十軒認証工場がある。そこで同交通部で調査したところでは——交通部というのは運輸省交通部というのがあるのですね。これは警視庁かもしれませんが……。それによると、整備士も置かないで、掘立小屋のようなところで、道路自動車を放置して、全く名ばかりの認証工場というのが十数軒もある。また認証の際、他の工場から機械や整備士を借りてきている。全くこれは見せ金工場というようなものも出ておる。認証のときにあなた方は一体どうしているのですか。一定の基準が施行法か細則か何かにあると私は思うのです。そしてその基準によって認証されておると思うのですが、現実にあなた方が見て十数軒もそういうのがあるのを、どうしてあなた方は放置しているのか、この点が一点と。いま一つ伺いたいのは、二年間車両の検査の有効期間がある。しかし私の承知しておるところでは、検査場から出てきた車が直ちに警察の検査にひっかかって、その場でもって不良の刻印を押されておるものが相当件数に上っておるということである。そうなってくると、全く整備工場それ自体が何の能力もないということになる。そういったものが山ほどあるということなんだ。こういったことについて、先ほどあなた方は答弁されておるけれども、あなた方の答弁を裏づける何らの証拠にならない。逆の証拠になっておる。こういった点について運輸省はどういう考え方を持っておられるか、それを伺っておきたい。
  39. 國友弘康

    國友政府委員 その認証工場の調査の点に関しましては、警視庁の交通部の調査であろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、自動車の分解整備事業に関しましては、道路運送車両法の施行規則に基づきまして認証という行為をいたしておりますが、その今該当するように出ております工場につきましては、はたして分解整備事業としての認証を受けたものかどうかということを調査しなければならぬと思います。と申しますのは、単に分解整備をいたしません事業に関しましては、これは認証という行為を運輸省はいたしておりません。届け出をもって足る事業でありまして認証というような行為をいたしておりません。認証いたします場合には、先ほど申し上げましたように、認証の審査をいたしまして、基準等も作りましてやっておりますので、それらの点に関しましては、問題でもございますし、十分調査をして遺憾のないような方途を講じたいと思っておりますし、今申しましたように、その工場が自動車の分解整備工場であるか、普通の一般の町の修理工場であるかということも調べなければちょっと申し上げかねますので、十分調べたいと思います。
  40. 阪上安太郎

    ○阪上委員 認証工場であるかどうかが十分に調べなければわからぬ、私はそういうことだと思います。あなた方はそういうことをお調べになった例が今までありますか。
  41. 國友弘康

    國友政府委員 その認証工場につきましては、私どもの方の監督下にございますので、これに関しましては監査もいたしております。そういった関係で、これらは私どもとしては十分に調べておるのでございます。
  42. 阪上安太郎

    ○阪上委員 十分に調べておるといって、毎年やっておられますか。最近いつおやりになりましたか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  43. 國友弘康

    國友政府委員 この点は毎年監査を数をきめてやっておりますので、毎年やっておりますが、数が多いので全般的には毎年行けない状況であると思っておりますが、この点も何年にいつ何件やったかということは、今数字を持ち合わせておりませんのでお答えできないのでございますが、数をきめまして、毎年監査を実施いたしております。
  44. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私が質問しているのはその方法じゃないのです。あなた方がしっかりした基準に基づいて認証したものを監査される、これも必要でありましょう。しかし、私が言いたいのはそのことじゃないのでありまして、今あなたの説明によると、認証外の工場がある、それは他の法律によって行なっているものである、こういうふうに言っておられるところが現に認証を受けないでもって分解とか整備とかをやっているものがあるとすれば、そういったものに対してあなた方はどういう措置をとられるかということです。またそういうものがあるかどうかの調査をされたことがあるかどうか、こういうことを聞いているのです。
  45. 國友弘康

    國友政府委員 この認証工場以外の工場におきまして車体の修繕をいたしましたものにつきましても、自動車の検査場にその車両が参りました場合には検査をする建前になっております。ただこの場合に、認証工場である場合には信用がございますので、これは行政指導といたしまして、車両の検査記録簿の写しというものを陸運事務所に検査の際に出させることにしております。この青空整備とかいうことを申しておりますのは、今度問題の発端となりましたのは、車両検査記録簿の写しを偽造したか、あるいは認証された整備工場からもらってきて勝手に書き込んで提出したという事態でございますか、これらの点に関しまして、私どもとしては、今申しましたような認証工場で修繕をしたということに関します証明といたしましては、自動車の検査記録簿の写しを提出させております。それによって認証工場で修繕をしたということを一応見るのでございます号か、それに伴いまして、それが提出されましても、自動車の検査場においてさらにブレーキ・テスターとか、あるいは灯火の試験とか、あるいはスピード・メーターとか、そういうものにかけまして検査した上で合格したものに車検証を出しておるのでございまして、手続としてはそういう検査をいたしておりますが、この青空整備なり何なりをやっておりますものについて、私どもがこれを排除しようとして調査したというふうなことについては、特にそれのみを目的にして調査したことは現在までございません。
  46. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこでさらに伺っておきたいのは、これは新聞の記事によりますと、何か一級、二級の重整備業者というのがあって、これが整備をやったということであるならば、車検はしないでもってこれは許される。こういうことになっているのですが、この点は事実なんですか。
  47. 國友弘康

    國友政府委員 この検査の省略の点につきましては、検査を省略する場合を行政指導としてやっている場合があるようでございますが、これらの点、やはり問題を起こす可能性が非常に強いのでございまして、今後そういうような点は改めて、十分に検査をするようにしていきたいと考えております。
  48. 阪上安太郎

    ○阪上委員 どの法律で、どの細則でそういうことができるようになっておるのですか、これを一つ明らかにしても上りいたい。
  49. 國友弘康

    國友政府委員 道路運送車両法の第六十四条に、「自動車の分解整備をしにときは、自動車の使用者は当該自動車及び自動車検査証を呈示して陸運局長の検査を受けなければならない。但し、第七十八条の自動車分解整備事業者において分解整備の工事をし、且つ、第九十条の検査をしたときは、この限りでない。」という規定がござでいます。この規定に基づきましてこの措置をいたしておるのでございます。
  50. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その六十何条というのはどういうことなんですか。今言ったように、整備工場の一級、二級のものについては検査をしなくていいという規定になっているのかどうか、そこをはっきりして下さい。
  51. 國友弘康

    國友政府委員 自動車の検査は陸運局長の検査を受けなければなりませんけれども、認証を受けました自動車分解整備事業者において分解整備をいたしまして、そうして自動車分解整備事業者が分解整備を完了したときに、当該自動車が保安基準に適合するかどうかについてその自動車分解整備事業者が検査をしました場合には、検査を受けなくてもいいという規定でございまして、認証を受けました自動車分解整備事業者が分解整備工事をいたしまして、その検査をいたしました場合には、陸軍局長の検査、これは全般的に検査を義務づけておりますが、その除外例もあり得る、こういうことを規定しておるのでございます。
  52. 阪上安太郎

    ○阪上委員 認証工場はあなたはさっき行政指導でもってやっている、こう言われた。法的にははっきりした根拠があるのじゃないですか。そうですね。——そこで私は伺いたいのですが、私はこういう実例を持っているのです。私は自分でささやかながら自家用車を持っている。ところが、これはほとんど使用もしない新しい車なんです。今回検査を受けようとしたところが、このまま受けてこいと私は言ったのだが、やはり在来のしきたりと車検のあり方からして、どうしても整備工場を通さなければなかなか受からない、こう言うんだ。このことは、ただ私一人の経験じゃないと思う。私は多くの人からこのことを聞いておりますよ。そういうことはどこにも法的に根拠がないのであって、そういった何か特殊な恩典を、あなた方は行政指導と称して極度に与えておるがために、今言ったような弊害が他面において出てきておる。私はこういうことじゃないかと思うのです。あるいはまた勘ぐってものを考えたならば、そういう業者に整備さしておけば、たとい整備の手を抜いたとしても、ブレーキの調整が十二分にできていなくて、雨天の場合等に急ブレーキを踏んだときに、そのためにスリップするというような事態の整備しかしていなくても、そういう工場の検査があればということでもってあなた方がこれを容認している。そういうところから車両の整備不良に伴う交通事故というものが頻発するのではないかと思う。また先ほど私は、あなた方の話を聞いておりますと、そういう整備工場の監査はサンプリングをとって適宜にときどきやる、こういうことを言っておられる。一方警察の方は、間歇的とはいいながらしょっちゅう街頭に出て検査をやっている。あなた方はアフター・ケアの何らの力も持っていないのですよ。簡単に言うならば、認証工場の認証のしっぱなし、少し言葉が過ぎるかもしれないけれども、整備のしっぱなしをそのまま認めていくというような形になってしまう。それ以後においては、あなた方はみずからの手でもって常時街頭を走っている車、そういったものについて何らの検査の手を延べておられない。二年間は全く大丈夫だ、こういう考え方に終始しておられる。車なんというものは、いつ不良になっているかわかりゃしない。私は、そういうことから考えていきますと、こういった行政を運輸省でもってやるということ自体に何か不合理なものが出てくるのじゃないか。こういう点について、むしろこういった行政は日々検査をやれるところの警察当局にまかしていくということも一つの案じゃなかろうかっと思うのであります。こういった点について、非常に重要な問題でありますけれども、あまりなわ張り争いをしないで、実際道路交通を円滑に持っていくために、思い切ってそういった点について改善を加えていく必要があるのじゃなかろうかと思いますので、こういったことについてあなたの意見——をあなたにこの際そういう意見を聞くということは無理かもしれませんけれども、参考までに一つ伺っておきたいと思います。
  53. 國友弘康

    國友政府委員 認証場の監督あるいは自動車の検査等に関しましては、たまたまあのような不祥事件が起こりましたが、ただ私どもとして筋を通してやっておりますことは、自動車の検査は厳格に、機械設備も相当持っておりますが、これらを通して検査をするということで実施をいたしておりますし、認証場に関しましても、監査をしました結果、あるいはその他の場合におきまして不正なことあるいはその他遺憾なことがございました場合には、認証の取り消しその他の行為もいたしておるのであります。そういう監督はいたしておりますが、今後も十分に監督していきたいと思っております。  それからなわ繩り争いとか、そういうようなことについてのお話がございましたが、実は先ほどから申し上げておりますように、自動車検査に関しましては、ブレーキのテストをするとか、あるいはスピード・メーターについての検査をするとか、あるいはハンドルの正、不正についての検査をするとか、灯火についての検査をするとか、あるいは車体の内部の、たとえば台ワクなりその他のものについての欠陥があるかないかというような、機械設備を使っての検査を運輸省としては実施いたしております。しかしながら、たまたまいろいろと事故が起こる場合、あるいは車両の故障が起こる場合もございますので、それらの点については、警察当局で路上において検査をしておられますが、しかし、この警察当局の路上におきます検査というものは、そう車体の内部にわたってまで検査をされることはちょっとでき得ないのじゃないかと思います。これらの外面的に現われました、あるいは歴然と現われるような故障を持って走っております車については、ぜひ路上において発見していただいて、そういう事故をなくするようにしなければならないと思いますが、車体の内部構造に立ち至ってまでの検査というものは、やはり一定時期を限って厳格な検査をすべきであろうと考えておりますので、この点私の方としましては、やはり現在設備を持っておりまして、積極的に非常に手を加えてやっております運輸省自動車検査というものにたよっていくべきだと考えておる次第でありまして、その点私どもとしても十分に今後も指導し、事故を起こさないようにやっていきたいと思っております。今ちょっとその数字を持って参りませんでしたが、自動車車両欠陥事故と申しますものは、陸運事務所の検査をやり出しましてから非常に少なくなりまして、ここ五年か七年くらいの間に五分の一くらいにたしか減ったのじゃないかと考えておりますこの数字につきましは、正確な数字はあとで申し上げたいと思いますが、近来陸軍事務所の自動車検査をいたし出しましてから、自動車車両欠陥による交通事故というものは減って参りましたので、そのことは特に申し上げておかなければならぬことだと考えております。
  54. 阪上安太郎

    ○阪上委員 警察でやる路上の検査というものはきわめて外見的なものであって、われわれがやっておる検査というものはきわめて内部的なものまで徹底的に検査する、そのことは必要である、こういうことです。私はそんなことを否定しているわけじゃないのです。当然やるべきだと思います。しかしながら、陸運当局として二年の間、もう検査証を与えたならば全然検査していないのでしょう。その間に内部の検査というものは技術的にやれないと思う。やれるのですか、私はやれないと思う。何かそういうことについて内部的な検査を——車両が古くなっておるかわからないのです。ましてさっき言った整備工場と検査官とが贈収賄をやっておるような状態で完全に内部が——どっちの内部かそれはわかりません。車の内部が何であるかわかりはしない。そういうことをやっておったのでは、ろくな内部の検査もできていないと私は思う。あまり極端な言い方になるかもしれませんけれども。そこで警察側がそういうことをやっておるということについて、これは無意味なことでも何でもないのであってそういう外見的なものから内部的な欠陥を発見する端緒になるということは事実です。あなたの方ではそういうことも何もやっていない。やっていないでもって、警察のやることは外部的なものだ、こういうようにきめつけてしまって、その後二年間に何ら検査も実施しない、こういうことではいけないのじゃないか。しかしながら、事実上そう一年ごとに、半期ごとにやることはできないということであるならば、もっともっと整備工場等に対する監督も厳重にし、それから整備工場の整備能力というようなものについて、いわゆる認証の際における認証基準等につきましても、もっと厳重なものを規定してそうしてやらなければいけないと思うのですが、あなた方はそういう方の配慮は、今の御答弁によると全然しようとしていないじゃないですか、一体これをどうするつもりなんですか。
  55. 國友弘康

    國友政府委員 検査の点に関しましては、現状といたしましては、たとえば自家用については二年目に一回検査をいたしまして、その後につきましては現在のところはいたさない場合の方が多いのであります。ただ、道路運送車両法の第六十三条に臨時検査の制度がございまして、この場合、臨時検査をするということを公示いたしました場合には、陸運局長の方に自動車検査証を呈示するとか、検査を受けるということをいたさなければならないことがありますので、これらの点につきましては今後は十分にやっていきたいと思っております。整備工場の認証等に関しまして、全然やっておらぬとか、改正をしないとか、ルーズであるとかいうようなことは絶対ありませんで、私どもとしましても、工場の認証等に関しましては厳格な基準で実施をいたしております。さらに、たまたまあのような事故が起こりましたけれども、しかし陸連事務所の自動早検査というものは全く信用のおけないものであるということは絶対にないのであります。われわれとしてはそれを十分に指導して、車両事故等も起こさぬように、発見するようにしていく。さらに、大体自動車の所有者が自分で事故を起こしたいと思う者はありませんので、やはり自動車運転して出ますときには、大体運転者はその車両の整備状況を自分で十分に見て、これが安全に運転し得るかどうかということを自分で確認して出るのが当然でありまして、自分がよく見てあぶないと思ったら、車両の整備工場に入れて修繕して運行するのが当然である。そういう状況でありますので、自動車事故というものは、そういう車両の所有者みずからがやはり配慮をして事故防止するという方向で今やっておりますので、われわれといたしましては、一年なり二年なりの時期を置きまして徹底した検査を行なって故障を発見するというような方法をとっておりますので、その他の場合においては、自動車の所有者なりあるいは運転者なりというものは、自分が運転をします前に当然あれしていくわけでありましてそれらの点については私どもの方へ、むしろ自動車運転者というものは自動車運転し始める前には十分にそれを見、事故を起こしたいと思う者はないのだから、むしろ自動車の検査をもう少し期日を延ばしてもらってもいいじゃないかということを言ってくる者もあるような次第でありまして、われわれとしては、現在は一年なり二年なりに徹底した検査をして故障を発見するという方法でやっておるわけでございます。
  56. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今の自動車局長の活によると、それはその通りなんです。何も車両の整備ばかりじゃなく、事故を起こそうと思って運転手運転しているなんというのは一人もいないのです。それでも事故は起こるのです。あなたのような理屈になってくると、認証なんということは必要ないじゃないですか。認証工場なんというのは何のためにあなた方は認証しているのです。本人が十分注意して、悪ければ工場へ持っていって直せばいいのだ。別にその場合に認証工場とかなんとかいうものを作る必要はないじゃないですか。なぜあなた方はこの車両法によって認証工場というものを指定されているのです。そこのところをお考えになったらおわかりでしょう。なぜもっとしっかりと認証工場というものに対してあなた方責任を持たないのですか。そんな考えでおるから妙なものが起こってくるのです。車体検査の検査証なんというものは金で買われていると言ったって過言ではないじゃないですか。こういう状態になってきたら、金で買われた車検を持って車が走っている。こういうことになったら、そう言われても仕方がないじゃないですか。認証工場というものをそれじゃ何のためにあなたは認証されているのですか。運転手が自分で十分注意をして車の整備等をやらなければならぬ、そんなことはきまり切っていますよ。一方において、そういう車両の整備をやる機関として、あなた方はわざわざ認証工場というものを指定されておるのじゃないですか。だから運転手まかせというものの考え方自体が、やはりこの社会構造というものを全然頭に置いてないものの考え方です。  それから金がかかるのですよ。工場に持っていけばべらばうに取るのですよ。認証工場というのはべらぼうに取るところの独占企業的な役割をあなた方は植え付けている。それだけ責任を持たなくちゃいけないのじゃないですか。先ほど、警視庁の調べ等によりましても、私何回も言っておりますけれども、整備工場から出てきて一時間たたぬうちに車が不良であるというところの、しかもそれが内部のこまかいところじゃなくして、外見だけ見たってそういう欠陥を持っているという車が、整備工場から車検をもらってどんどん出てくる。どの工場から出てきてどの工場で整備を受けた車が不良であったというところの調査をあなた方していますか。
  57. 國友弘康

    國友政府委員 これは、先生のおっしゃいますことは、ちょっと私の申し上げましたことを誤解されておるかと思いますが、実は私は運転手まかせにしたらいいという意味ではございませんで、運転者というものは自動車の内部の欠陥なりあるいはくせなりというものを十分に知っておるはずのものである。それで故障も自分らで発見するであろう、すべきであるということを申し上げたのでございまして、そういう場合には工場に入れて修繕をするはずである。これが二年なら二年の間におきまする一つ事故防止措置になっておるということだけを申し上げたのでございますか、認証工場を設定しております意味合いは、やはり信用のおける工場にそういう修繕を委託してもらえば、そんなにむちゃなことはないであろう、事故防止にも役立つであろうという考え方のもとに、われわれとしては実施しているのでありまして、やはり信用のおける証工場に自動車の検査を持っていってもらう方がよりいいと私は考えております。ただ先生の今おっしゃいました、その工場、車検場から出てきまして、直ちに故障が発見されたということについては、私どのケースであったかを存じませんが、やはり、どの工場が修繕をいたしました場合の検査について不良の場合があるというようなことは陸運事務所でチェックしておりまして、この点は陸運事務所で調査をいたしております。  それから、先ほど申しあげました中で、警察で整備不良車を発見されました場合に、その整備についての証明を求めることになっておりますが、この際にはやはり陸地事務所の方で現在チェックしておるのでございます。
  58. 阪上安太郎

    ○阪上委員 認証工場につきましては、先ほどから何回も私は言っているように、あなた方はやはり責任を持たなければいけないと思うのです。自分で認証したのだから。そしてその通りやっていなければ、そんなものはやめさして、取り消したらいいじゃないですか。そういった断固たる行為に出なければ、私はこの問題は解決しないと思います。汚職事件を起こしているこの問題について、私は、多分にその人に責任がある、汚職を起こした三人の検査官に責任があるという考え方よりも、こういった者が出てくるような仕組みになっているということが問題じゃないかと思うのです。このことは世間ではもう通説になっているのです。ほとんど車に故障がなくても、裏側を洗って、そうして何かさびどのを塗らなければ通らないというようなことで、そのために五万円も十万円も金を取っていくというような仕組みになっておる。それは認証工場というものがあるがためにそういう役割を果たしているのです。しかしながら、りっぱな整備をやるものを認証して、十分な監督のもとにこれをやらせるということは、決して悪い制度ではない。大いに奨励していいことであるけれども、あなた方の監督がそこまで行き届いていない。しかも、認証工場というものがあるために、一般の人は、自分で車を大々的に直すことができないということは事実でありますので、必ず認証工場を通していこうという考え方を持っているわけです。この認証工場には特権が与えられているから、そういうめんどうな千続きを踏んで、自分で検査を受けるということは大へんだからということもわかっているのです。そういうところにとんでもない暴利をむさぼっているという面もある。結果から見て、そういうことに協力するというような関係ができ上がっているように私は思うのです。もしそういうことであれば、これは大へんな社会問題です。しかもその工場が、場合によっては、使用者の方も一つこの辺手を抜いておいてくれということで、請負ですから、大体何ぼかかるか、十万円かかるか、三十万円かかるか、二十万円くらいでやっておいてくれ、というようなことでもって、その二十万円で通ることもあるのですよ。こういうからくり、こういう仕組みというものに対して、われわれは十二分に監視しなければならぬし、そういうことのために、私はむしろこの基準等につきましても、あるいは検査を終わった車等に対して、適時臨時検査をやるような仕組み等につきましても、あなたの方でもっと十二分に検討されて、今世間からそういう非難が出ているのですから、私はこの問題に対処されることが必要じゃなかろうかと、こう思うわけであります。
  59. 國友弘康

    國友政府委員 先生のただいまおっしゃいました認証工場の監督その他の点に関しまして、私どもとしても、こういう問題のあります際でもあり、さらにこういう問題がなくても、十分に監督をすべきものと考えておりますので、今おっしゃいましたように、十分な調査をし、今後監督を進めていきたいと考えております。また道路交通法、道路運送重両法に基づきまして、道交法では現場における検査をやり、道路運送車両法では定期検査をやつておりますが、これら現場における検査と定期検査に関しましの連携は十分に密にいたしまして、遺憾のないようにいたしていきたいと考えております。
  60. 阪上安太郎

    ○阪上委員 道交法を早く通さなければならぬ情勢にありますので、私は、きょうはもうこれ以上質問は行なわないことにいたします。先ほどから言いましたように、認証工場等に対するところの監視、監督の方法、それからこういった自後の検査等につきましても、相当も私は業務上の分野の問題もあろうかと思いますので、一つ政府当局関係行政庁におきましてよく協議されて、十分に検討していただきたい、こういうように思います。
  61. 飯塚定輔

  62. 安井吉典

    ○安井委員 これは、きのう小委員会で慎重な審議が行なわれました結果を総括的にお尋ねをいたしました際に、質問事項の中に加えておけばよろしかったわけですが、きょう関係各省もおそろいのようでございますので、一点だけ、要望的な問題でございますがお尋ねをいたしたいと思います。自民党側の御都合でだいぶお急ぎのようでございますので、簡単に一つ……。これだけは協力をいたします。  それは教習所の関係でありますが、今車の問題が出ましたけれども、整備の行き届きました事の上に技術のすぐれた運転者が乗ることによって事故が減るわけでありますが、車が激増して参りまして、それとむしろ正比例的に無免許運転者がだいぶふえているというような事情があるようであります。さらにまた運転技能が十分でない運転者もずいぶんふえている、こういうようなことであるわけであります。この質的な向上をはかるということ、そしてまたより多数の運転者を作り出すということ、そういうようなために現在の教習所を質的な向上をはかっていくと同時に、国立または公立で教習所を作るということも大切ではないかというふうな論議も小委員会でかわされたわけでありますが、現在の段階におきまして、各公安委員会によりまして基準がだいぶ差異があるようでありますが、非常に、面積の小さいところ、あるいはまた教科内容においていろいろ問題のあるようなところ、あるいはまた教習料といったような面においても、どんどんよい運転者をたくさん出すという、そういう考え方ではできるだけ安い方が望ましいわけでありますが、現実にはそうでないようです。また名目的な教習料は安くても、その教授期間をずっと長引かせて、実質的には非常に多額の金を払わなければ免許状をもらえない、そういったような事情もあるようであります。そういうような点からいきまして、公立や、特に国立の教習所を設けるというようなことに踏み切ってもいい段階ではないか、そういうように思うわけでありますが、一つ政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  63. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 教習所を整備いたし、すぐれた技術の運転者を養成するということは、実際非常に大事なことであろうと存じます。従いまして、今回もそういう意味で教習所の整備の基準というようなものについて政令で定めることにいたし、質の向上をはかりたいと考えておるわけでございますが、ただいまお話しのように、国立または公立のものを設立するのがまた一つの適当な方策でないかという御趣旨のように伺ったのでありますが、現在県立のものは若干ございます。こういうものも、ただいまお話しのように、低廉で相当向上した技術というものも確保しやすい方向のものと思いますので、そういう点についても、これを促進するようにいたしたいと思います。また、国立につきましては現在ございませんが、これの設立等についてもとくと検討いたしてみたいと考えます。
  64. 安井吉典

    ○安井委員 現在ある教習所に対する既得権侵害といったような心配もあるいはあるかもしれませんけれども、たとえば東京なんかはそれどころの問題ではないと思います。教習所には特に今は免許ブームといったような格好かもしれませんけれども、ずいぶん群がっております。だから、もっともっと程度の高い、しかも大衆の直接利益になるような、そういうようなものを東京なんかには国立で考えてもいい段階ではないか、そういうふうに思うわけです。これは都立で考えてもいいのではないか、そういうことを考えるわけです。それが現在ある教習所の既得権侵害どころか、むしろ今あるものへの改善の刺激というものにも十分なっていくのじゃないか、そういうことを思うわけであります。  そこでここで提案いたしますが、これは非常に一挙両得の提案でどなたも賛成してくれる提案じゃないかと思うのですが、実は私こう思うのです。競輪場を一つ教習所に転換するという方向です。競輪場の問題については、きのうの新聞ですか、都政調査会の調査の結果よりましても、世論調査では、廃止が七五・一%、どちらでもよいという無批判組が一三・四%、存続すべきだと答えたのはわずかに五・七%、こういったような数字が現に出ているわけでありますが、政府は、今の段階では相変わらずこの問題についてぐずぐず態度を決しかねているというふうに聞くわけでありますが、大へん遺憾だと思います。現在いろいろな社会悪の問題に競輪は常にからんできている。だから、競輪がなくなることによって犯罪も減るわけでしょうし、特に競輪場の問題については、地方財政の問題とか、あるいはまたそれに従事している従業者の身分の問題とか、そういう問題があるわけでありますが、従業者の配置転換といったようなものが、教習所に転換することによって百パーセントできるとは思いませんけれども、相当部分の解決策にもなるのじゃないか。ことに東京なんかでは、新しく教科所を作る場合に、敷地の問題にいつも行き詰まっておるようです。ですから大阪並みに三千坪以上にしろと言いましても、なかなかすぐにいかないというふうな事情も私ども聞くわけでありますが、敷地の問題もこれで解決がつくのじゃないか。だから、こういうような面からいっても、すべての競輪場がみんな教習所になるというふうなことにはならないにいたしましても、これは競輪の問題にきわめて関係のあります自治庁長倉もおられますし、きょうは通産省の方からも重工業局長がおいでのようでありすし、運輸省もおいでのようであります。競輪の問題と教習所の問題につきまして、一つそれぞれのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  65. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 競輪の問題につきましては、当委員会でもしばしば論ぜられました。それから今お話のありましたように、競輪審議会等が設けられまして、近くそのうち何らかの結論が出されることと思っております。またこの結論を待つまでもなく、いろいろの自治体でそれぞれの方向をきめて、すでに廃止したところもあるやに聞いておりまするが、今の御提案は確かに一つの思いつきであろうと思います。将来公営の練習場のようなものができまする際には、一つ考え方としてわれわれも御意見をそれらの自治体に披露をいたしまして、考え方として取り上げていってみたいと思います。
  66. 國友弘康

    國友政府委員 自動車学校の点と競輪場の点につきましては、参加しております官庁の中で、私ども一番関係が少ないのでございますが、石原国務大臣の御答弁と同じように考えております。
  67. 佐々木学

    ○佐々木説明員 石原長官の御答弁と同様に考えております。
  68. 安井吉典

    ○安井委員 いずれにいたしましても、競輪の問題そのものでも、政府がまだ相変わらずぐらぐらですから、役人の立場にある人はお答えしにくいかと思いますけれども、しかし、現在のギャンブルの場が教育の場になるということぐらいすばらしい思いつきはないと思うのであります。これは自画自賛かもしれませんが、いずれにしても、現在でも賭博のテラ銭で、地方財政にそれが入っていって学校か建っているわけでありますが、現在でも教育に関係があるのかもしれませんけれども、一つそういうふうな転身の場を十分お考えをいただきたいと思います。
  69. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 ほかに質疑はありませんか。別に質疑はないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたします。     —————————————
  70. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 本案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案にかかる修正案が提出されております。     —————————————
  71. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 まず本修正案趣旨説明を求めます。川村継義君。
  72. 川村継義

    ○川村委員 ただいま議題となっております道路交通法案に対する自由民主党、日本社会党、民主社会党の共同提案によります修正案の提案理由並びにその内容の概要について、御説明申し上げます。  まず修正案を朗読いたします。    道路交通法案に対する修正案   道路交通法案の一部を次のように修正する。   第四条中第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。  3 公安委員会は、交通のひんばんな交差点その他交通の危険を防止するために必要と認められる場所には、信号機設置するようにつとめなければならない。   第十四条に次の一項を加える。  4 児童又は幼児が小学校又は幼稚園に通うため道路を通行している場合において、誘導、合図その他適当な措置をとることが必要と認められる場所については、警察官その他その場所に居合わせた者は、これらの措置をとることにより、児童又は幼児が安全に道路を通行することができるようにつとめなければならない。   第百十一条に次の一項を加える。  3 公委員会は、第一項の規定による調査を行なった場合において、必要があると認めるときは、その道路管理者又は関係行政庁に対し、意見を附してその調査の結果を通知するものとする。  以上が修正案でありますが、この修正案が提案に至りました経過並びにその理由については、先ほど道路交通法案審査小委員会委員長より詳細に御説明がありましたので、私からあらためて申しあげる必要もないと思いますけれども、簡単にその趣旨を申し述べたいと思います。  今日、道路交通の状態は非常に複雑、あるいは混乱をきわめてきておりまして、道路交通の安全、円滑を阻害しておりますことは申し上げるまでもありません。道路交通の円滑、安全をはかっていくには、交通の環境の整備ということ、あるいは交通安全施設の充実、これが非常に緊急な問題であるわけであります。今日のわが国の道路交通現状は、まことに憂慮すべき状態であるのでありまして、ここにこの法案が提案されておるわけであります。いろいろと問題点は多うございますが、ここに第一に修正になっております信号機設置の問題につきましても、公安委員会がその信号機設置について必要だ、こう認めたときには、信号機設置するようにしなければならないといたしましたのも、道路交通法の趣旨に基づいて、道路交通法がその基本法であるという建前にかんがみましても、公安委員会権限責任義務を明確にいたさんとするものであります。  その次の修正点は、だれもが承知いたしておりますように、今日の交通事故の大部分は、幼稚園の子供あるいは学童が大きな事故を受けております。いたいけな園児や学童、身体的にも精神的にも未熟なこういう子供たちが数多くの交通事故の被害を受けておるということは、まことに残念なことでありましてこれらの園児、学童交通事故から守ってやるということは、われわれ社会人の責任であると考えられるのであります。そこで、ここに一項を設けて、その保護徹底をはかって、さらに道路交通法の精神の高揚をいたさんとするものであります。  第三番目の趣旨は、公安委員会がその道路交通関係のあるところの諸調査を行なった場合に、ただ調査のやりっぱなしではなくて、その調査が終りましたら、その結果をそれぞれの管理者あるいは関係行政庁に対して意見を付して報告し、関係管理者あるいは行政庁は、その意見に基づいて至急に道路の整備等をはかるという適切な措置がとられるようにしなければならないという考えのもとに、公安委員会にそれだけの権限を認めていく必要がある。こういうことで、ここに修正の項目を起こしたのであります。  以上が概略の趣旨でございますが、ちょうど昨日から十日間、全国に交通安全週間として、交通安会の実施をみております。ちょうどこの機会に、長い間論議されて参りましたこの道路交通法が、ここに委員会を通過してこれらがいよいよ適正な運営のもとにその目的を達することを強く念願し、あわせて趣旨の説明といたすわけであります。
  73. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 以上をもちまして修正案趣旨説明は終わりました。  この際、本案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。本動議の説明を求めます。纐纈彌三君。
  74. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 このたび本委員会及び小委員会審査を通じ、本案の目的である道路における危険の防止と、交通の安全と円滑を一そう推進する意味におきまして、小委員会の結論に基づき、自由民主党並びに日本社会党、民主社会党の共同提案により、次のような附帯決議を付したいと存じます。ただいまから附帯決議の案文を朗読いたします。    道路交通法案に対する附帯決議(案)   本法の制定に伴い政府は次の諸点についてすみやかに適切な対策を講ずべきである。  一、警察庁運輸省、建設省、文部省、労働省、通商産業省等交通関係のある行政機関相互間の連絡調整徹底して、総合的な道路交通行政実現を期するとともに、これら関連行政調整のために内閣に強力な機関設置すること。  一、交通道徳確立交通法令普及を図るため、とくに次の方策を講じてその徹底を期すること。   1 遵法精神を昂揚するための国民運動を展開すること。とくに車両運転者道路使用者等本法関係の深い者に対しては、法の趣旨及び内容周知徹底につとめること。   2 学校教育を通じ、学童に対して交通知識普及を図ること。  一、道路交通の円滑、事故防止並びに危害の予防徹底するため、とくに次の事項について積極的な対策を樹立し、その実現を期すること。   1 学童幼児登下校の際における保護徹底を期するため、所要の行政措置を講ずること。   2 都道府県単位又は地区別交通事故防止のための組織あるいはモニター制度を採用する等、国民協力態勢確立すること。   3 泥はねによる被害を防止するため、道路の補修の促進、徐行運転の励行、泥よけ器の装置等につき積極的に措置すること。  一、信号機道路標識等設置を促進し、交通上必要と認められる箇所については、必ずこれを設置するようにつとめること。  一、安全運転一般原則に関する基準を設定してその運用に慎重を期すること。  一、乗車定員規制については、実情を勘案し、その運用につき慎重を期すること。  一、自動車教習所指定基準の設定については、その規模、要員の資格要件、教習の内容等をとくに考慮して適切な基準確立し、積極的に自動車教習所質的向上を図ること。  一、交通に関する行政処分等についての苦情情処理機関設置を検討すること  一、飲酒運転危険性にかんがみ、本法運用を通じてのその防止徹底を期すること。  一、交通警察の充実及びその運営の合理化を図るため、交通警察官の資質の向上及びその増員、ならびに交通警察に関する予算の増額等措置を講ずること。  一、雇用者及び車両等運行を管理する者の義務に関する規定については、この規定趣旨実現しうるようその運用の適正を期すること。   右決議する。     —————————————
  75. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 これより原案及び修正案を一括して討論に付す順序でありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、道路交通法案に対する三派共同提案の修正案について採決いたしま  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  76. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案につき採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  77. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 起立総員。よって修正部分を除いては原案の通り可決いたしました  右の結果、本案は修正議決すべきものと決しました。(拍手)  次に、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  78. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。  次に、お諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、これに御異議はありませんか。     「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、午後二時から再開することとし、これにて休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ————◇—————     午後二時四十一開議
  80. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 午前中に引き続き会議を開きます。  警察に関する件につきまして調査を進めます。  まず三池炭鉱三川鉱事件について政府より説明を求めます。警察庁江口警備局長
  81. 江口俊男

    ○江口政府委員 三川鉱事件というお話でございますが、三川鉱事件と称するものには従来たくさんございます。おそらく五月十二日の港務所内におきます第一組合と警察官隊との衝突の事柄であろうと払われますので、その分につきまして簡単に、得ております報告の概要を御報告申し上げます。  御承知のように五月十二日、福岡地方裁判所所属の中村、吉次両執行史が、仮処分執行のために補助者百二十名を連れまして三池港務所におもむきましたが、当日は旧労側の弁護団との話し合いに終始いたしまして、執行は午後の五時二十分ごろまで中止をいたされました。この間、旧労側は約三千八百名を繰り込みまして、三川鉱貯炭槽周辺に動員をいたしまして、この仮処分執行の阻止をするという態勢をとりましたが、執行吏が引き揚げましたので、午後の六時ごろから一部分を残して三千八百名の大部分が引き揚げを開始いたしたのであります。この解散デモの一隊約三百名が六時十六分ごろ約五千名の行動隊を先頭にいたしまして、検問所前におきまして通常勤務をいたしておりました警察官十名に対しまして、青竹あるいは竹の筒、これは第一組合側では水筒と称しておりますが、水筒を、水を入れるために竹筒を持っておりますが、こういうものを持って襲いかかり、警察官一名はそのためにデモの中に引きずり込まれたのでございます。また、検問所の窓ガラス等を破壊するというような暴行を働きましたので、これを救出しようといたしました警察部隊に対しまして、約二千五百名の旧労側がこれを包囲しまして、その間石を投げる、あるいはなぐりかかるというようなことを繰り返しまして、その途中におきまして公務執行妨害罪の容疑で一名が検挙をいたされましたが、午後七時十五分ごろまでの約一時間にわたりまして、港務所内港駅検問所等の周辺の至るところにおきまして警察に対する激しい攻撃が行なわれたのでございます。警察部隊はこれに対しまして、最高約千五百名の部隊を出動させて、旧労働側の最高時三千五百名に達しましたデモ隊の鎮圧に当たったのでございます。その後社会党議員団との話し合いの結果、八時五十分ごろデモ隊は解散をいたしましたが、この間、旧労側の暴力行為によりまして警察官百二十七名名が重軽傷を負うという結果に相なったのであります。その以外に警察車両等にも相当のひどい損害を受けております。なお、旧労側の負傷者の程度、数等につきましては、私たち詳しく存じませんけれども、報道機関に対する発表によりますれば、これまた四十五名の負傷者を出しておるということに相なっております。  以上が五月十二日の夕刻起こりました三池港務所内におきまする衝突事件の概要でございます。
  82. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 質疑の通告があります。この際これを許します。阪上安太郎君。
  83. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただいま十二日の事件につきまして、警察側から御説明があったのでありまするが、その概要につきましては、大かた私は当たっておると思うのであります。しかしながら、この事件は、二池炭鉱の乱闘流血事件といたしましては、大体五回目の事件のようにわれわれは思うのであります。一回目は御承知のように三月二十八日、例の第一組合、第二組合、職員、暴力団、こういうものが入りまじりまして、約三百人が重軽傷を負っております。それから二回目は、その翌日の二十九日でありまして、このときにも同様の乱用事件があり、同時にピケ隊員の久保清さんが殺されておる。さらに四月十八日にやはりこういった衝突がありまして、八十数人が重軽傷を負っておる。そうしてまた同月の二十日、宮浦鉱で警察隊が第二組合の就労を護衛したために、例の第一組合のピケ隊ともみ合いになって百四十人負傷しておるといったようなことがありまして、次々とこういった乱闘事件があり、私どもこれは大へん憂慮をいたしておる問題でございます。ところで今回は、今申し上げましたような乱闘事件と多少性質を異にいたしておりまして、遺憾ながら警察と第一組合との間の直接の衝突というような事態に相なってきております。これは大へん嘆かわしい事件だとわれわれも考えておるわけであります。そこで私、きょう質問申し上げたいのは実はそういった事件の内容それ自体がどうであるとかこうであるとかいう問題ではないのであります。新聞等の発表によりますと、先ほどおっしゃった石が飛んだ、これは事実であります。同時に警棒がうなり、こういうような表現をしておるわけであります。どちらが先でどちらがあとであったかという問題もやはり究明しなければならぬと思うのでありますけれども、私はさっそく現地を調査いたしまして、やはり一番問題となるところは、そういうことではなくして、それ以外の点にあるのじゃないかということであります。従って、きょうは意見が相当入ると思いますが、一つこの点御了承を願いたいと思います。  三池炭鉱の乱闘事件は五回目でありますけれども、私、最初のときから心配しておったのは、結局最後には警察と直接ぶつかるような事件になるのじゃないだろうかということをおそれておりましたが、不幸にしてその通りになってしまったわけであります。繰り返して非常に残念に思っております。  そこで多少内容に触れてみたいと思いますが、一つは、問題点といたしまして、デモ隊が警察の方にデモをぶっつけた、こういうことになっておりますが、組合側から言わせると、直前に五、六十名の警察隊がデモ隊の途中をさえぎって横断した。それで憤慨して押しかけたんだ、こういうことを言っております。いずれ水かけ論になろうと思いますけれども、そういうことを言っておる。それから今言われた中に、総評の弁護団と社会党の議員団との間でいろいろ話し合いをして、最後はおさめたということになっておりますが、その間に社会党の阿具根参議院議員が警察官にこん棒でもって殴打された、こういうことを言って告発をやっておるということなのであります。この件につきまして現地でいろいろ調査いたしましたが、このことにつきましては、どうやら事実があったと認めざるを得ないような調査の結果が出ておるのであります。これは私どもの調査であります。団員根議員は、別にデモ隊を指揮して警察官にぶつかっていったというような事実は、これはどこからも認められません。そうしてああいう石は飛ぶ、警棒はうなるというような段階になりましたので、中に入ってこれを阻止しようということでもって、一つまず話し合いをしようじゃないかという話を持ちかけていったのは事実でありますが、そのときに参議院議員が何だ、国会議員が何だというようなことを警察側から申しまして、そうして阿具根参議院議員を警察隊の側の方へ引っぱり込んだ。その際にこん棒で負傷をしておる、目の上を負傷しておるのであります。それから足を負傷しておるのでありますが、これは向こうにありますどぶの中に足を突っ込んだことによって負傷したのだというふうに言われておりますが、それはどうも明瞭ではないのでありますけれども、今申し上げましたような点は明らかに認められる点があるのであります。これは別に国会から派遣されたところの国会議員じゃないのでありますけれども、いずれにいたしましてもつ調査のため、あるいは事態の紛糾を何とか激突させぬがために出張して、そういう渦中に巻き込まれたというのが事実であります。この場合、警察官がそういう言動を放ち、しかも仲裁に入って明らかにとめようとしておる。われわれは写真等も持っておりますが、次の段階には、これを警察隊の側に引っぱり込んで殴打したということにつきましては、私は非常に遺憾に思っておるのでありますけれども、この点警察当局としてはどういう情報を得ておられますか、一つ伺っておきたいと思います。
  84. 江口俊男

    ○江口政府委員 ただいま阪上委員お話は、阪上委員の手元において情報をとられたものと思いまするが、われわれに入っております情報を申し上げまするから、その結果につきましては公平な第三者によって将来明らかになるものと思いまするけれども、ただこの情報が違っておりまする点につきまして一、二申し上げたいと思います。どちらが挑発したかという問題につきましては、ただいまあるいは水かけ論になるというお言葉もございましたが、私たちとしましては、その点は事実は事実としてはっきりさせる方がいいという意味で、何べんも現地へ照会をいたしたわけでございまするが、その結果、デモ隊を挑発するような形で警察部隊が横切ったという事実はないということに相なっております。これは現地について御承知でございましょうけれども、デモ隊もそこまでいくつもりがあったかどうかそれは存じませんが、日常の行事として、大牟田署に対しましてはおはようデモというのが午前中にございます。それからホッパーその他にピケを張っております者がそこを解散して帰りますつる際には、ある程度の人間が固まつて帰りまするが、これはこんばんはデモとかあるいはさようならデモとか、名前はやさしいのですが、とにかくデモをやって帰るということにいつも相なっておったわけであります。ところが、その日はその程度が、これは計画的であったかどうかというのは今後の捜査に待たなければわかりませんけれども、とにかくその勢いが強くて、たった十人のうちの半分が外に立って警察をしているというところに、五十人余りの者が突っかかってきて、そうしてそのうちの一人をデモの中に巻き込み、それからガラス戸は、投石あるいは竹でございまするとか、そういうものでやられる。とにかく一番初めのきっかけというものは、これは明らかにデモ隊側が警察に対して攻撃をかけてきたという形になっておることは、われわれ何べん調べましてもそういうことに相なっておるわけでございます。  それから先ほど総評の弁護団及び国会議員の方々との話し合いということを私申し上げたようにとられておりまするけれども、これは仮処分の執行をするかしないかというところには、総評の弁護団が執行吏に対して話し合いに入った。それからあとで事態を終結させる場においては、国会議員の方々が入っておられた。こういう事実でございます。  それから阿具根議員の負傷につきましては、これは告訴も出ておりますので、この点もっとも両方の言い分が違うわけでございまするから、いずれ将来はっきりすると思いまするが、私の方の得ておりまする情報、また私たちがそうであろうと確信をいたしておりまする事実につきまして申し上げますと、阿具根議員と、そのときの指揮者とおっしゃるのは機動隊長の永末警視だと思いまするが、その間には話し合いが持たれるところまでいっておりません。すでに警備実施の実行に当たる直前でありましたので、あるいは阿具根議員はそういう呼びかけ方をされたかもしれませんが、指揮官の方ではそれを認めて、何か二人で話し合って事態を収拾しようというような状態ではなく、やはり一刻も早くあとの部隊を行動に移さして、中に閉じ込められている者を一刻も早く解放しようという立場にあったようであります。それから前額部の、額の傷につきましては、これは阿具根議員自身も、デモ隊の先頭に立っておいでになったことでないことはわれわれも知っております。だから、こちらの側とデモ隊と接触する際に、こちらの側の攻撃といいますか、抵抗といいますか、警棒等で前額部に傷ができたというのではなしに、初めて警察官が阿具根議員を見ましたときには、すでにデモ隊側から石が飛んでおりまして、一時はその石をよけようという形をされたようでありまするが、あとではやはり中に割って入ってというか、まん中の方に立たれて投石をとめるという形をされたのであります。そのときにこちらの方で石は投げておりませんので、そのときに石が前額部に当たったか、からだに当たったかというところまでは現認しておりませんが、五、六個阿具根議員に第一組合のデモ隊側から投げたものが当たったようである。こういうふうに現認しておる警察官が、現在のところこちらの方に十一名おります。それから足をけがされたのも、これは想像でありますけれども、そのときに傷ができたかどうかということはもちろんわかりませんけれども、これは警察とデモ隊とのもみ合いになったときに、ちょうど中にはさまっておられたのでありまするから、そのときにもみ合いの中でみぞに足をとられてころばれた。おそらくそのときに足をけがされたとすればされたんじゃないか。これははっきりとそのときに血が出ておったとかどうだったとかという現認じゃございませんが、そのときの状況も見ておるのでございます。こういうのが警察側から見ました事実でございまするが、それについては御本人も告訴をされておりますので、どの部分が間違いであったとか、あるいはほかに証人がおって、それはどちらの方が正しいというようなことは、あるいは将来あろうかと思いますけれども、現在私たちが得ておる情報、それから私たちとしてはそうであろうと思われる事実は、ただいま申し上げた通りでございます。
  85. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この問題をやっておりますと、水かけ論になります。そこで私、この際伺っておきたいと思いますのは、ああいった程度が高いとか低いとかいう問題じゃないのです。ああいった場合に、警察官が防衛の立場をとっておられたとか、攻撃の立場をとっておられたとか、これは非常に問題点があろうと思うのであります。ああいった程度のやり方による行動というものは、警察官職務執行法によって行動されておると思いますけれども、こん棒を振りかざし、襲いかかるというような行為は、永末隊長が命令をして増員をしておりますから、そのときになぜかからぬのか、やれということで、待機していた者を動かして投入しておるように私は見てきたのであります。その場合の警察官のやる防御というか、攻撃というか、その範囲というものはああいう行き方でいいのですか。非常に質問があいまいかもしれませんが、率直に言うと、ああいう実力行使というものは法的に許されたところの範囲内の行動であったかどうかということについて伺っておきたいと思います。
  86. 江口俊男

    ○江口政府委員 ああいう事態において、先ほども申し上げたように、われわれの方も十人の検問員が取り囲まれて暴行を受けた、現実にその七名は負傷をいたしております。それを救出しようとして行った部隊が、さらに大きな部隊で取り囲まれたということになりますれば、中の事情がよくわかりませんので、あとから次々に救出に行くということは当然だと思います。その救出に行く場合におきましてのやり方は、これは相手の出方にもよることでありましょうが、こん棒を持って襲いかかるというようなことは私はやってはいないと思います。多少実力行使というものを強い力でやらなければ、大ぜいの人数をかき分けて無勢の人間で救出に行くわけでございますから、抽象的に言えば、私はあの通りであってしかるべきだと思いますけれども、その個々具体の行動について行き過ぎがあったかなかったかというようなことは、また別問題だと思います。
  87. 阪上安太郎

    ○阪上委員 実はこの前の全学連のデモのときに、この前ですわり込みをやっておりまして、警察隊が特車といいますか、何かああいうもので防御線を張っておる。ところが、全学連の連中はそれをよじ登って、しかも警察隊の中に飛び込んできておるという実情を私は見ておったのです。それからそのほかに、こちらの路上の方ですわり込みをやっておった女の子がおったのでありますが、これはなかなか警察の退去には応じないので、いわゆるゴボウ抜きをやっておる姿を見ておったのであります。飛び込んできた者もずいぶん乱暴なものだと私は思うのでありますけれども、これに対して相当手荒な行動が警察官の中で出ておった。それからあの女の子につきまして、あとで私は知ったのでありますけれども、病院へ行っている女の子の髪が一つかみ抜かれておるのです。これはわれわれは非常に悲惨な状態だと思ったのでありますが、そういうことが東京で行なわれておる。この間の場面におきましても、襲いかかったということでありますけれども、これはなかなか認定がむずかしいし、判定もむずかしいと思います。一体ああいう場面に、相手も竹の棒を持っておるというような状態でありますから、警察隊の方では警棒を振りかざして、そうして襲いかかって殴打を加えて排除しなければそれ以外に手がない、あるいはまたすわり込みに対しては、女の子の髪の毛の一つかみも抜かなければならぬというような状態でありますので、ああいった行為というものはやはり是認されてしかるべきなんですか。先ほど言われたように、是認さるべきものと思われるか。そのときどきのケースによる、こういうことなんでありますけれどもどうなんでしょうか。
  88. 江口俊男

    ○江口政府委員 最後におっしゃったように、そのときどきのケースによるのでございまして、今度の三池の場合なんか、初め暴行を受けた十人が中でどうなっているか、あるいはそれを救いに行った部隊が取り囲まれている中で、ほっておいたら平穏に話がつくものかどうかということを外からわかれば、それはまた別の打つ手もあるかと思いますが、とにかく次々にデモ隊がふえまして、中にはさまれておる警察官がどんな目にあっているかわからぬという時期においては、やはり失効を行使してそれを救い出しに行くのが私は当然のことだと考えるわけであります。ただ、その際に私の聞いておりますのは、警棒を振り上げてなぐりかかっていったというのじゃなしに、やはり横隊形で分けて入ったというのですから、警棒を横にかまえて押して行った。こういうふうに了解をいたしておるのであります。  それから、この間の全学連のデモのときのお話だと思いますけれども、女子学生の髪の毛云々の話は、これがどういう場合にどういう行動によって髪の毛が抜けたかということについては、この前も文教委員会で御質問がありましたので、調べ得る限りにおいては調べたんですが、目下のところ、それはたれそれがつかまえて髪の毛を引っぱったから抜けたんだというようなことはわかっておりません。もしも本人の方ではっきりしたことがわかれば、それはそれ相応の申し出をしてもらえば、はっきりするんじゃないか、こう考えます。
  89. 阪上安太郎

    ○阪上委員 警察の任務というものは、すでに私が申し上げるまでもないわけですが、生命、財産を保護しなければならぬのです。警察としても、その場その場のケースで非常につらい立場になるということはあり得ると思うのです。それは私もよく了解します。しかしながら、かといって、相手に致命的な損傷を与えたり、重傷を与えたりするような格好が生じてくるその原因が、すべて相手方にあるというふうに解釈することは、少し解釈が苦しいじゃないか。従って、警察官はそういうことのためにはいかなる実力行使をしてもいいのだ、こういうふうに考えておる向きがあるじゃないかというふうに私は考えるのですが、この点どうなんでしょうか。やはりいかなる実力行使をやってもいいというふうに法を解釈されておるということですか。
  90. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお話しのように、警察の活動が冷静であり、慎重でなければならないことは申すまでもございません。ただ、先ほど来局長が申しておりますように、そう申しながら、事態によって行動の強さというものにはやはり段階があるのではないか。いかなる場合においても、ある一つの目的を達するためにどんなことをしてもいいというようなことは、私どもも毛頭考えておりませんが、そのときの隊長の考えを私そのままに聞いておるわけではございませんけれども、とにかく検問所に十人ほどの警察官が普通に勤務しているところにデモ隊が襲いかかって、竹棒でこれをぐっと巻き込むというようなことをやって、これがあとで聞けば、ようやくそこから離脱して多少の負傷で済んだわけでございますけれども、そういう少人数のところに大ぜいのものが押しかける、これを救援に行った一部隊がさらにまた多数の、数倍するものによって取り囲まれるというような状況になりますれば、中におけるあの激高した状況において、生命の危険というものも考えざるを得ない状況だったと思うのでありまして、そういう際に、相当に強力なる警察行動というものが行なわれるということは、私は事態の状態からやむを得なかったものであろうと思います。できるだけ実力というものは消極的に用いるべき原則は御意見通りだと私い思いますけれども、事態によって、多数の人間に対しては常に警察は手をこまぬいて不法をそのまま見過ごすというようなことでは、警察の任務は達成できないわけであります。ただいまのは警察官の危険というものについての行動でありますけれども、警察官の危険という問題はきわめて例外的に起こることでございましょうが、一般の民衆がそうした危険に巻き込まれたような状況において、これに攻撃をかけている者が不法な状況にある場合におきまして、当然に相当強力なる実力を行使するということも、場合によって起こるということは当然ではないかと思います。
  91. 阪上安太郎

    ○阪上委員 警察官がいかなる行動をやってもいいということではないというお話を今承った。私はそうあるべきだ、かように考えております。そこでこの際もう少し話を進めまして、実は最初の乱闘事件のときに、ここでも問題になったのでありますけれども、警察の手配、出動等において、かなりな手落ちがあったのじゃないかというふうな解釈のできるような場面もあったという論議がなされたのであります。この点については、ある程度そういうことを是認された向きもあったと思うのであります。そこで警察とされては、それ以後犯罪を未然に防止する建前からだと思うのでありますけれども、相当な配備を今やっておられるわけであります。そこで私伺いたいのでありますが、確かにあの当時は暴力団が町に横行し、非常に治安が保たれないというような見通しもあったことは事実であり、世間の声も、国会の戸も、犯罪防止と犯罪予防については、もう少し警察は労働争議とは別に思い切った態度をとれという要請もされておったように思います。その結果が現在のような警備の状態、配置状態になっておるのではないか、こういうように思うのであります。それから今日までの間に相当な時日を経過いたしまして現在の状態では、ああいった配備をしなければならないような治安の状態にないと私は見ているのです。もちろん炭住住宅街や社宅等におきましては、その後かなり不愉快な問題も起こっておるようでありますので、ある程度の配備は必要であろうかと思うけれども、全般的にああいった配備をする必要はないのじゃないか。この間の事件に際しまして柏村警察庁長官は、新聞発表しておられる中に、非常宣言をやるべき事態ではないというような意味のことを言っておられたように私は見ておる。確かに非常宣言をやるような事態ではない。ところが、あの警察の配備の状態を見ておりますと、全く非常態勢下にあるような印象を受けるような配備状態が依然として続けられておる私は、この際ああいった行動が去る十二日のような——どちらから手を出したかわからぬ、組合から手を出したというのが非常に濃厚なようでありますけれども、ああいった突発的な事件を起こす原因を作っているのじゃないだろうか。これはただ単に警察が犯罪予防という建前からああいう配置をしておるのだということでなく、組合側から言わせれば、会社側が仮処分の執行について申請をしておって、それを執行するために何か警察と暗黙の連係があって、その必要のために、別に非常事態的な配備をしなくてもいいのにかかわらず、依然としてその配備を今日まで続行しておる。こういうような見方をしておるようであります。また、県警察はこれに対して、会社側がそういうような不用意な言動をしておることも事実でありますので、そういう言動は厳に慎んでもらいたいという警告も発しておるというような状態であります。そういう状態の中でああいった事件が起こってくるのでありますけれども、この点私をして言わしめれば、もう少し警察は機動にものをいわせ、敏速な行動をすることが必要でありますし、そういった機能を生かすべきであって、常時べったりああいうような態勢でもってずっと続けていくということは、今言ったような誤解を与え、その誤解が組合側を刺激して、そうして不用意な言葉を言い、あるいは時には公正な任務についておる者に対して罵倒を浴びせ、税金どうぼうだというような言葉を浴びせるようになり、それに対して若い警察官あたりは心中快しとせずして、常にふんまんを抱いておるというようなことで、うつぼつとしてそういうような気分があの町全体に流れている。その原因は、私はやはり警察がもう少し自分の力を信頼してそうして適時的確に出動態勢を整えておって、執行吏その他の要請に応じて必要な場合に出ていくというようなことであれば、私はああいう状態はもう少し緩和できるのじゃないかと思います。町を歩いてみておりましても、私もいくさに何回も参加してきた男でありますけれども、全く占領地における何か警備の状態のような感じがしまして、あまりにも形式に流れ、あまりにも事大的な物の考え方でやっているのじゃないかというような印象を非常に強くするのであります。それはいろいろむずかしい問題点があろうかもしれないけれども、もういいかげん適当な時期に警察隊を一ぺん収縮して、そうしてああいった緊張感というものを解かれたらどうか。これは非常に長くなりますけれども、ああいう状態が、非常事態でないにかかわらず継続して長い期間行なわれるということになれば、私はただ単に何も第一組合のために警察官をあそこに出動しておるのじゃないと思う。そういうことになりますと、住民全体に何か不安感を与え、そうして住民の権利や義務というもの、あるいは自由な行動というものに対して、何らか暗黙の圧迫を与えているのじゃないか。極端な言い方をすれば、憲法違反じゃないかというような感じも非常に強いのでありますが、この点について長官はどういうふうにお考えになっておりますか。
  92. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 大牟田に多数の警察官を配置いたしておることにつきまして、ただいま阪上委員からお話がございましたが、私どもといたしましても、できるだけ警察官の動員というものは最小限度にいたし、警察官も平常の勤務に服する、各県から相当数の動員をいたしておるわけでございまして、その動員された地域における治安の確保ということについても、相当に勤務過重の状況にだんだん相なっておるわけでございますので、警察といたしましても、でき得ればそういうことを望んでおるわけでございます。しかしながら、遺憾ながら大牟田の現状は、住宅街を初めといたしまして、いまだに治安は確保されていないとわれわれは見ておるわけでございます。もしあそこで警察が相当の縮小ということに相なりますれば、またどんな不時の事態が起こらないとも限らないというふうにわれわれは考えておるわけでありまして私どもも、一日も早く平静を取り戻して早く動員を解く、少なくとも相当の動員を減らすというようなことも常々考えておるわけでございますが、遺憾ながらそういう事態に今のところは相なっていないというふうに考えるわけでございます。もとより警察にいたしましても冷静慎重に事をし、市民なりあるいは組合員なりの刺激にならないように努めるということはもちろんでありますが、ただいまお言葉がありましたので私の気持を申し上げますと、それはああいう事態において、素朴なる組合員の中に、あるいは自然発生的に警察に対する反感が出ないとは私は申しません。申しませんが、私非常に遺憾に思いますのは、たとえば総評の弁護団の方などが、こちらの私のところにいろいろ要望とか抗議とかに来られます。社会党の議員さん方もおいでになります。そういう場合に常におっしゃることは、第一組合側は自分の方から不法行為の手出しをするようなことは絶対にないし、させないのだ、逮捕にも協力するんだ——事実協力していただいた場合もあるわけでございますけれども、そういうふうにおっしゃるわけであります。われわれもできるだけそれを信じたいのでありますが、現場に参りますと、事態は必ずしもおっしゃる通りにはいっていない。また、全部が全部と申しません。そのうちのごく一部の方ではあろうけれども、現地に行きますれば、あるいは激励の趣旨からでありましょうけれども、死守するんだとか、その手段は選ばないというようなところまで指導督励をされるというようなこと、また警察が会社の犬であるとか、あるいは税金どろぼうであるとかいうようなことが、しょっちゅう口にされ、また掲示されるというような状況が、そのままそういう指導者の多数入っておられるところにおいて見過ごされておるということは、私は、素朴な労働者自体の自然発生的な感情の発露もないとは申しませんけれども、そういう指導というものが相当にあずかって警察に対する反感というものを巻き起こし、またこれによって自分たちが警察に対抗してやることは正しいのだというふうな観念を植え付けることになっておりはしないかというふうに考えますので、私は、警察自体としても、できるだけ冷静に慎重に事に当たるべきであり、もちろん基本線として争議に介入しないという厳正公平な立場をとるように指導をいたしておりますけれども、警察の反省すべき点もないとは私はもちろん申しませんが、願わくはそうした労働運動の指導者をもって任ずる人たちの反省をこの際私は促したいという気がいたしておるわけでございます。少し答弁からはずれたかもしれませんが、ああした事態が起こりましたあとにおいて、私はつくづくそういうふうに考えるわけでございます。  それからさっきの新聞発表の点は、私が積極的に発表したのではなくて、新聞記者諸君から、ああいうことがあったので非常事態、緊急事態と申しますか、その宣言でもするつもりなのかというような質問に対して、そんなことは今考えていないということを申したのが記事になった次第であります。
  93. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は、あなたが今答弁された点につきまして、全然それが当たっていないとは私も思いません。ただもう少しこの問題について、お互いに冷静に考える必要があるんじゃないかという考え方に持っていきたいというので、実は先ほどから質問しておるのですが、たとえば今の警察隊が会社の建物に入っているわけなんです。保育所にたしか四カ所ぐらい入っておると思います。体育館にも入っておる。それから会社の事務所のようなところにも入っておる。あの問題が起こった十二日のときにも、会社の施設の中に入っておる。これはいろいろ問題があろうかと思います。実際ああいった状態下において、いつまでも天幕露営ばかりもやっておられないこともありましょうし、よくわかるのでありますけれども、ああいった、ことに保育所あたりを利用しておるというようなこと、それがあるいは一方においてデマゴーグされるような理由を与えておる向きもあるのじゃないか。ああいうところに、こういう事態のもとに宿することが適切だと長官はお考えになっておりますか。
  94. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど申しましたように、非常に多数の動員をいたしております。大部分はもちろん会社の施設外に宿泊しておるわけでございますが、その一部が会社の施設を借用しておることも事実でございます。これは緊急的な場合の警備の用意のために必要である場合もございまするし、事実適当な宿営個所がないという原因によるものもございます。私は、この前から社会労働委員会等におきましてもお答えいたしておるのでありますが、会社の施設を正規に借用して、そこに宿泊すること自体が中立性を害するものであるというふうには考えておりません。しかしながら、そういうことが攻撃の材料になったり、あるいはふとして誤解を生ずるというおそれが全然ないとは言えないわけでございますので、もしかわるべき適当な施設があれば、そちらに移ることが望ましいというふうに私は考えております。  それから保育所については、これも社会労働委員会において相当痛烈に御質問があったわけでございますが、そのとき伺ったのでは、警察があれを借りておるために保育所が閉鎖されて、子供が行けないでおる。非常に悲惨だという御意見があったのであります。それで私は、特に保育所等についてはできるだけ早く適当な場所に移るように、これは現地的に解決しなければならない問題でありますから、私の方でいついつまでに引き揚げろという命令を下すべき筋のものではありませんが、できるだけ適当な施設に移動する方がいいという指導をいたしておるわけでありますが、後に聞きますと、ああいう争議状態の中において、保育所というものが閉鎖されておった。閉鎖されておった保育所が、そのままただがらあきになっておるので、これを借用して宿営しておるということが事実のようでございます。しかし、何にいたしましても、われわれとしては先ほど来由しました原則に従って、警備上必要な場合は、もちろんその会社の施設であろうと、当然借りるべき場合もある。あるけれども、原則的には、なるべく誤解のないような方法をとるべきであるということは現地にも申しておりますし、現地の本部長等もそういうつもりで努力はいたしておるものと考えております。
  95. 阪上安太郎

    ○阪上委員 保育所の問題につきまして、私も現地に見て参りましたが、確かに教室は、四山鉱の場合なんか四つあるのですが、全部やはり宿泊しております。そして現在の状態では、もちろんあなたが今おっしゃったように保育所を開設できないような状態にはない。これは一面警察のおかげかもしれませんが、治安は保たれておって、当然もう開設しなければならぬ状態に僕はあると思うのです。ですから、今おっしゃったように、ああいうところは無理があっても、やはりできるだけ早く撤退された方がいいのではないかという感じがします。今のあなたの御答弁もそういう方向でありますので、私はそれで満足します。  いま一つ、私非常に不思議に感じたのは、第二人工島というのがあります。縦坑になっております。ここは鉄条網で中へ入ることが遮断されておりまして、立ち入り禁止の執行が行なわれておるわけなのです。その中側に警察官諸君が入っておる。ちょうど天気のいい日でありましたが、私どもがそばへ行ってお互いに二人で話し合いをいたしましたが、どうも立ち入り禁止で第三者が立ち入りできないのですね。そこへ警察官が入っておるが、あなたはだれの指示によって、だれの委託によってそこへ入っておるのかと言ったら、よくわからない。警察官自身がとにかく理由がわからぬので煩悶しているというような状態なのです。私はよくわかりませんから上司に聞いて下さい、こういうことでありましたけれども、あそこの隊長はこれ自体がわからないのです。私は、会社の請願巡査かと言ったら、いやそうじゃないというのです。ああいうところに何か気の毒な——これは警察官としても気の毒です。ああいう行動をやっておったら迷いますよ。私も、法的にどうだということは専門家でないからよくわかりませんけれども、ああいうことはもう少し注意された方がいいのじゃないか。警察官日号もああいうときに困っているのです。私自身も問うてみたところが、ただここを警備しろと言われたから警備しているという。一体何を警備しているのかと聞くと、入ってこないようにと。だってここは立ち入り禁止じゃないか、警察官といえども立ち入り禁止のところに入るのはおかしいじゃないかだれに頼まれた、会社を呼びなさいと言った。ところが会社側としては頼んだとも頼まないとも言わない。もし頼まれたとしても、入るべき性質のものじゃない。ああいうところが案外誤解を与えて、警察は会社側に立っているなどとよけいなことを言われる原因を作っているのじゃないか。これはあなたの方でしっかりした見解があればよろしいですが、なければ調べていただきたいと思います。あれはどうも不自然だという感じがわれわれいたします。  それから一つこの際伺っておきたいのは警職法第五条です。ピケ隊というのは、ピケ権を持っておってピケを張っておるのですが、今問題になっておるのは例のホッパーのピケの問題なのです。そしてピケ隊を排除するところの執行命令というのは出てないわけです。立ち入り禁止は出ておる。そこヘピケ隊が何千人か集まっておる。ところが最近に立ち入り禁止のところへへいを建てるということで、ここ二、三日えらく問題になるのじゃないかと思うのです。あるいはまた流血の惨が起こるのじゃないかというようにわれわれ心配しながら帰ってきたのですが、執行吏が、執行命令を執行するために警察官協力を頼むということは、私はあり得ると思うのです。その場合に、明白かつ現在の危険というものが発生してない段階において、ピケ隊がただピケを張っているという場合に、執行吏に協力するために警察官はあのピケ隊のピケ・ラインを突破することができるか。これは今後非常に大きな問題になると私は思うのですが、あなた方の見解をちょっと伺ってみたいと思う。ピケ権は持っているわけです。ただしピケを張っておる。しかし立ち入り禁止のまん前におる。そしてそこにへいを作ろうとするのですが、ピケ隊が取り巻いておる。中から来る場合は私は問題じゃないと思うけれども、中からなかなか来られない状態ですから、正面から来る。そこへへいを建てようという行為が今まさに行なわれようとしておる。その場合、警察協力を求めてくる。その場合に警察は、このピケを張っているというだけのピケ隊を突破することができるかどうか、この点について伺いたい。
  96. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ピケというものが、もちろん団結権の誇示あるいは平和的説得の範囲内において合法視されることは、これは当然でございます。その場合に、執行吏がその執行のためにピケ隊を突破して入っていこうとする。その場合、抵抗がある場合におきましては警察の援助を受けることができる。民事訴訟法の五百三十六条の二項におきまして、「抵抗ヲ受クル場合ニ於テハ執行吏ハ威力ヲ用ヰ且警察上ノ援助ヲ求ムルコトヲ得」ということで、この五三十六条の二項による援助を求められたときには、抵抗を排除して執行吏の公務を援助するということが可能であろうと思います。
  97. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その場合に、警察は、警職法五条との関係はどうなりますか。
  98. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 警職法五条によりますれば、要求のあるなしにかかわらず、犯罪が行なわれようとしてそのままであるならば、生命、身体、財産に危害が及ぶと考えるときには、これを制止することができるということで、この民訴法によることなくして、警察としては行動をすることができるということになると思います。
  99. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ここに、こういう立ち入り禁止場所があるのですね。それを現実の問題としてこういうふうにピケ隊が現在取り巻いておる。そして、ここへへいを建てようというのです。これは執行命令が出ておるわけです。この場合に、このピケは、ピケ権に基づいてピケを張っておるわけです。ピケに対しては平和的に説得しなければならぬという解釈が出ておるわけです。この場合に、執行吏がここヘへいを建てる場合に、こういう状態のもとではどうしてもへいが建てられぬということになる。中からなら建てられますが、外からは建てられぬ。この場合に、警察協力を求めてくる場合に、あなた方はこれを排除する——明らかに生命、財産等に危害があるということが判定される場合には警職法五条によって動けるだろうが、ただずっとピケを張っておる場合に——何でこんなことを言うかといいますと、当面起こる問題はこれじゃないかということから非常に心配しておるのです。この場合に、執行吏に協力するということになれば、とにかくここにへいを建てるために、静かに——静かですが、なかなか強力にがんばっておるものを、警察官によって排除することができるかどうかという問題です。     〔飯塚委員長代理退席、纐纈委員長代理着席〕
  100. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 平和的な説得というのは、これは争議に関連しての問題でございます。執行吏が、その執行をするために抵抗をやめてくれといって入っていくときに、抵抗をし、——それは直ちに執行吏が援助を求めるかどうかは別といたしまして援助を求めた場合におきましては、その抵抗を排除して執行をさせる義務警察にあると存じます。
  101. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その場合に、抵抗したら、公務執行妨害になるのですか。
  102. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 当然公務執行妨害罪が成立すると思います。
  103. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その場合に、執行吏じゃなくて、会社側が——これは会社側が建てるとは言えない、執行吏が建てるということになるのかもしれませんが、この点の解釈は私も不十分ですけれども、土建会社に頼んで人夫が建てるということになる。その場合には、やはり公務執行妨害になるのですか。
  104. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 人夫が建てる場合は、これは会社の普通の仕事でございますので、公務とは申せないと思います。
  105. 阪上安太郎

    ○阪上委員 よくわかりました。そこで、この際一つ長官にお願いしたいと思いますが、こういう事態が発生する可能性が非常に強い。警察は、やはり正当な警察官の行為として行動し、執行吏に協力されるということが望ましいと思うのであります。しかし、とっさの場合でありますので、大へんな問題になろうと思います。十二分によく指導していただいて、乱闘にならぬような配慮をしてもらいたい。こういうことをこの際希望しておきたいと思います。  それから先ほど阿具根さんのお話をしたのですが、ここに写真があるのであります。これを一つごらんになっていただきたい。——警察の方へ引っぱり込んでおる。その写真を見ると、現場の説明とも合致しておるのですが、警察側から言わせれば、組合員がそこで阻止している。それからこういうことも聞いておるのです。正直言って、危険な状態だからこちらへ引っぱり込んで守ろうとしたんだということも、ほんとうの話、現場で聞いた。いろいろな事情があるけれども、見ると、どうもこのやろうというような格好で引っぱり込んでおるような印象を与えるような写真になっておる。すでにこれは告訴されておる問題でありますので、正当な結論が出てくると思いますが、その点はそのくらいにいたしておきます。  最後に一つ、長官わざわざ御出席いただいておるのでありますけれども、先ほどからいろいろ論議いたしておりますが、今申し上げましたようなピケ権と警察官職務執行法の第五条の関係というものは、非常に微妙な問題であります。今のような状態でいきますと、そういったことから、微妙な原因から、ややもすれば警察とピケ隊との間の衝突が起こる可能性が非常に強い。これからのケースはほとんどそれに終始するのではないかというくらいまでわれわれは考えておりますので、そういった点については十二分に一つ注意願いたいと思うのであります。  いま一つ、先ほど長官からもお話がありましたが、最初の段階、歴史的な経過から見て、警察が万全を期して治安維持のためにあれだけの大きな装備をしておられる、配置をしておられるということもわからぬことはないけれども、それをいつまでも惰性でやっておりますと、あなた方は意識していないけれども、最後には何か争議に介入し、知らず知らずのうちに、第一組合の方では敵対意識を持っておりますから、何か会社側に立って争議に介入するようなことになるかもしれないとも思うし、同時にそういう印象を与えるおそれもあるし、できるだけ早く状況を判断されまして、無用な誇大な配置、装備というようなものについては、一つこの際考慮していただきたいと思うのであります。こういった点について委員長はどういうふうにお考えになりましょうか、伺っておきたいと思います。
  106. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 私も、あれだけの多数の警察官が長くおるということは、好んでおらしておるわけではもちろんないのであります。しかし、先般私も現地を視察しましたり、また、いろいろ報告によりましても、第一まだあの広大な炭住街、住宅街においても、多数の者が疎開をしておりまして、帰れない。一時はまた再疎開をしなければならぬというような状態でありまして、全く治安が保たれていないという一番大きな証拠であります。住宅街の治安を確保する上においては、私は、住宅街に注がれておる警備力は、まだむしろふやさなければならぬのじゃないかというくらいに感じたわけであります。  それからいわゆる構内、鉱業所の問題につきましても、一方では会社は仕事をしたい、第二組合も就労したい、こういうことで、これについては仮処分も出ておるわけであります。またホッパー周辺についても、最近相次いで仮処分が出ております。その法に基づいていろいろの事態を進めたいという動きがあるわけであります。それをピケ権と称していろいろこれを阻害しておる。こういう事態であれば、要請があれば、法に基づいた正当なる行動を援護していかなければならない。こういうことになりまするので、好ましいことではありませんけれども、ただいまの事態では、まだ警備力をゆるめるとか、これを半減するとか、こういうことは考えられない事態ではないか、かように私は考えます。
  107. 阪上安太郎

    ○阪上委員 炭住街に起こっておる人権問題的な問題、これにつきましては、ある程度うなずけないこともない。しかしながら、あれだけのものを常駐して、さらにこれを増員しなければならぬような状態にあるとは私は思わない。それからもう一つは、鉱業所におけるところの問題について、そういった執行が何らか次々に出てくる可能性があり、ピケ排除の執行も出てくる可能性があるという想定のもとに、現在あそこで配備しておるということになれば、私はこれは大へんな問題ではないかと思う。それは、そういう命令と要請があったときに出動すればよいのであって、そのために向こうに常時べったりあれだけのものを配置しておかなければならぬということであるならば、これは警察のあり方としては、むしろそういうことによって正当なピケに対するところの不断の圧力を加えておることになりやしないかと私は思うのですが、これはどうでしょうか。
  108. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 決していつごろかわからないピケ排除を予定して大部隊を置いておくという考え方ではございません。全体の治安の情勢からいたしまして、要所々々に適当に配置をしておる。それがある人から見れば足りないという方もあるし、ある人から見れば多過ぎるということになるわけでありますが、警察としては、現在大牟田地区並びに荒尾地区における治安情勢を見てどうしてもあの程度のものは要る。しかし平静を取り戻すごとによりまして、できるだけ早い機会にこうした動員もできるだけ減少するというふうに、また、し得る事態がくるように、われわれも念願をいたしておる次第でございます。
  109. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私が重ねてお伺いしておきたいのは、今長官のお話によると、現地を見てこられたということであります。炭住街の問題は別といたしまして、鉱業所付近のあの警備状態は、私は、各般の情勢から見て、あの程度のことを今やらなければならぬということにはならないと思う。それこそ執行吏の要請等に備えるということであるならば、もっとやり方があるのではないかと思う。何のためにああいうようにして鉱業所を取り巻いて、そうして分駐所を設けて、そうして警らして歩いておる。執行吏が行動を起こす場合に、突如として行動を起こすなんということは私はないと思う。もし警察に要請を求めるならば、必ず連絡もあろうかと思う。ああいうことをやっておるから、さっき言ったようなデモをひっかけるというようなつまらぬことが起こってくるのではないかと思う。そういう感情が流れておるから、そういった感情の支配しておるところのものを緩和する意味においても、私は、できるだけ早く撤退して——撤退するからといって、それに対して何ら無防備であっていいと私は言いません。それはそれだけの機動力を持っておる警察隊でなければならぬと思うのでありまして、それを常時べったりああいうようにやっておりますと、明らかに何らかの執行命令が出たときに直ちに第一組合は行動するであろうから、これはあくまでも排除していくのだというような印象を与えて、そうしてとげとげしい気分を作り上げてしまって、その結果が、どっちから手を出したかわからないというつまらないことになってしまうと思います。今長官からお話がありましたが、ああいった配備の必要性につきましては、あなた方自信を持ってやっておられることでありますから、あまり常備的に長い期間ああいうことを続けられるという方式については、十分に私は考えてもらいたいと思うのです。さらに御所見を承れればけっこうだと思います。
  110. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私も原則的には、炭住街については相当常時的警備が必要であろう。しかし、その他のところにつきましては臨時に、ある場合には大動員になる場合もありましょうが、臨時的な事案として考えるべきものであるということを考えております。それに応じたような配置が必要であろうと思いますし、先ほどお話しのように、警察の機動力を発揮して、できるだけ刺激しないような態勢をとるということも望ましいことだと思うわけでございます。現地の事情について、そうした原則的な指導はいたしておるわけでございますが、現地の部隊として、また私どもの気持もよくのみ込んだ上において必要な措置をとっているものと信じておるわけでございますが、さらに検討をいたして参りたいと思います。
  111. 川村継義

    ○川村委員 関連して一つ二つお聞きしておきたいと思いますが、今、阪上委日の質疑に対して長官並びに大臣からお答えがありました。今の長官のお答えのお考えについてはある程度納得いきますけれども、先ほど長官は、現在の三池における炭住街の治安状況、その他構内の状況を考えると、あれでも警備は足らないというように見ているのだ、こういうお話でありまして、お考えが少しずれているように私は受けるのですが、この点についてよく考えていただきたいと思いますことは、もちろん今の三池のあの事態は決してなまやさしい事態ではありません。これは非常に重要な事態であります。しかし、当局が三池のあの事態に全勢力を使っておられるような今日の状態は、私たちとしては納得のいかないものがあります。九州の各県から警官が動員されておると聞いておりますけれども、各県の警察の動員されたあとの状態というものは、非常に心配になる点が多いと思います。これは私、何かの週刊誌でもちょっと見た記憶がありますが、たとえば福岡市内の繁華街における夜の犯罪が非常に増加した、あるいはやみの女の横行がひどくなったというようなこと、あるいは警官の留守を守っておられる夫人が大へんな苦労をしておられるというようなことなどを聞いておるわけです。実際は非常に多いと思います。そこであるいは連絡があったかと思いますけれども、熊本の八代市の八代警察の警官と、それから警官の逮捕に協力した一般人が殺されておる。これはお聞きになっておるか知りませんが、何か連絡を受けておられますか。
  112. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 連絡は受けております。
  113. 川村継義

    ○川村委員 それならば、その内容も大体御存じと思いますけれども、現地で私が聞いた内容は、殺した犯人は十八才か十九才になる少年です。これが何かどろぼうをして、農家の米を持ち出したとか言っております。それが町に出て、それを売った金で映画を見たり何かして使っておったので、それを探しておりましたときに、映画館に入っておった。映画館に入っておるという連絡があったので、この少年に出頭を求めるために、八代署の警官がその少年を連れに行った。ところが少年は、いきなり持っておりました相当長い刃物で切りつけて、警官に瀕死の重傷を負わせたのであります。私は、おそらくあの警官も不幸にも命を落としたのではないかと心配しております。その逮捕に協力しようとした一般人が即座に刺されまして、そうしてなくなったのであります。一体どうしてその警官はそんなに油断をしたのだろうか、こう聞いてみましたら、大体そういう事件に日ごろあまりタッチしておられない警官で、いわゆる八代警察署の内勤の人であって、まあ少年であるということで問題を軽く見て連れに行ったということかもしれません。想像するに、いろいろ事情があったかもしれません。しかし、やはり内勤の警官であったがためにその用意と心がけがなかったということであります。  それでは一体内勤の警官がどうして行ったかということになりますと、結局どこも三池に動員されておりますので、非常に人手不足で、たまたまそのときにそういう担当をしておる人がおらなかったというので、内勤のその人が出て行った。こういうことになっておるのじゃないかと推測されるわけであります。幸いにしてその少年は翌朝、関係署の警察官の非常な苦労の後、長い間隠れておったところの小屋の中から、最後は説得をしてつかまえたわけでありますが、こういう事件がどうも次から次に起こっておりまして、私たちの地方でも、このような犯罪がひんぱんに起こる傾向にある。こういうようにやはり警察の日ごろの治安力というものがなくなっておるということは、三池に警官を動員されておることに起因するのじゃないか、こう思わざるを得ないのであります。こういう状態を国家公安委員長はどういうふうに見ておられるか、委員長のお考えを一つ聞いておきたいと思います。
  114. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 八代警察官内の事案につきまして、ただいまいろいろお話があったわけであります。九州各地から多数の警察官が三池、大牟田に動員されておりますので、他の地域の一般治安状態については、実は私も心配しておる者の一人でございますが、幸いにただいままでの報告では、事件その他もふえていないということでございまして、残っておる警察官が非常に緊張してやってくれておった、かように思っておったのであります。八代事件はまことに遺憾でございますが、その事件が直ちに大牟田の動員の直接の現われとも考えられないのではないかと思うのであります。先ほど来から話しておりますように、こういう事態はなるべく早く解消するのに越したことはないと思いますけれども、しかしこの問題は、大牟田なり大牟田周辺全体の大きな治安問題に関連をいたしておりますから、ただいままであの動員態勢を続けておる次第であります。
  115. 川村継義

    ○川村委員 八代事件は三池には直接関係がないだろうという御意見でありますが、その点は、どうも私たちの認識と違うようで、私の方がまつ正直に考えておるのじゃないかと思います。あのときに内勤の警官でなくて、そういう仕事を担当しておる警官の人が出ていきましたら、警官が殺されたり、あるいは一般の人が刺殺された事件は起こらなかったかもしれない。こういうことにはなりませんか。どうも委員長の方がかえってのんきなような考え方ですね。そういうふうなことで問題を見るということは私はおかしいと思う。事件数は幸いにして少ないとおっしゃいますけれども、それでは私がもう一つ申し上げます。  今熊本で参議院の補欠選挙が行なわれておる。何かお聞きになっておると思いますが、今度の参議院補欠選挙は実にめちゃくちゃな選挙ですよ。買収、供応をだれが取り締まるか、ほとんど手がついておりません。もっとひどいのは連呼行為です。ちょうど私が応援に参りまして事務所におりましたら、おそらく私たちが推薦した候補者もそれをやったと思うのですが、隣の部屋で、候補者をどっかでおろしてよかろうというので叫んだら、あいにくつかまって警告を受けた。こういうことを言っておりました。というのは、一般人の話を聞きますと、もう連呼行為は全部やりっぱなしだそうです。特にお金を持っておられる候補者の方は、選挙用のトラックには一つも乗っておらない。何メートルもうしろからハイヤーでついていく。前では候補者を乗せておらない選挙用のトラックが盛んに連呼している。わがまま勝手にふるまっておる。どうしてあんなことをするか。長官、大へん残念なことですが、今巡査さんたちはほとんど三池に行ってしまってがらあきだ、こういうことなんですよ。長官は、そういう犯罪なんかは三池にはあまり関係ないようにおっしゃったのですが、選挙にも出るような良識のある者が平気で法を犯すということは実に残念ですけれども、運動員ともなれば、そういうことを平気でやるということは、ちょうど三池に動員されて警察力が不足しておるということにつけ込んで違反をやっている、こう言わざるを得ないでしょう。買収、供応を取り締ろうとしても、取り締まる手がない。そういうことを委員長はどうお考えですか。
  116. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 ただいまもお答え申しあげましたように、多数の警察力を一地方に動員してさいているということは、好ましいことと私も考えておりません。直接関連ある地帯では三分の一くらいの警察力をさいておりましょう。それ以外の土地でも四分の一あるいは五分の一の応援隊をさいているということでありますから、好ましいことではありませんが、しかしそうかといいまして、大牟田なり大牟田周辺地区のあの緊迫しておる地帯の治安ということも確保しなければならないのであります。先ほど八代事件のことで申し上げたのは、これが直ちに直接の因果関係とも言えないのじゃなかろうか。それは川村委員が今言われましたように、三池の事件がなければあるいはなかったかもしれません。しかし、なくても、あるいはあったかもしれない事件だと思います。  選挙違反の取り締まり等についても、御指摘のように、あるいは若干ルーズになっておる点があるかもしれませんが、これもやはり好ましいことでありませんが、あの大牟田の緊迫した事態の治安確保ということのためのやむない結果である。かように考えておるので、これはお互いに政治としてもっと大きな立場から考えてこういう事態が一刻も早く終息して正常な治安態勢に戻ることをわれわれも極力望んでおるところであります。そういう方向にもちろん努力をしなければならぬと思いますが、ただいまの過程では残念ながらやむを得ない事態だ、かように思う次第であります。
  117. 川村継義

    ○川村委員 そこでさっき阪上委員がいろいろ意見を付して質疑を申し上げ、要望しておるようでありますけれども、現在大牟田に集結されておる警察官の勢力は四千名から四千五百名だと聞いている。今私が申し上げておるような勤務地についての治安状況というものは、私が知っている範囲は狭くて、もっともっと調べればたくさんあると思いますけれども、三池々々といって、あまりにも三池の方に頭を向け過ぎている。あなたは今緊迫している状態は非常に大事だと言っておるが、そこに頭が向き過ぎて、九州各県の警官の勤務地の治安状況というものが乱れるということについてもっと考えてもらう必要がある。私はそう思う。そうなりますと、今の四千から五千動員されておる警官を、なるたけ勢力をさいて帰すということが必要ではないかと思う。大牟田の勢力にいたしましても、いろいろ炭住の治安の問題もありましょうが、構内の問題にいたしましても、警官の人たちが駐屯していて、時間を置いて一個小隊と申しましょうか、二個小隊と申しましょうか、常にホッパーの付近とかそこらをずっと警らしておる。これは阪上委員も指摘いたしましたように、どうもやはりあの場合にとる処置としては少し適当でない。そういうことが結局組合員を常にいう立たせる、刺激をしておる。長官もさっき言ったように、組合の方においても、警官に対して相当気に入らないようなことも言ったようだし、問題は全然ないとは思いません。しかし、これは長官が言ったように、理由はあると思いますが、保育所や会社の建物を使って宿泊しておるとか、あるいは警らの状態であるとか、あるいはこの前もありましたように陽動作戦で、こちらに突入するような形を見せておいて、別の門から第二組合を入れる、こういうやり方では、やはり警官の警備に対する反感が出て参りますし、そういうのが積み直なって実に残念な状態になっておるということも、やはり第三者の立場に立って冷静に見ていかなければならぬと思う。  それからもう一つは、警察権の問題とか警察官の人たちの教養の問題等で心配することは、こういうことが考えられる。よほど注意してもらいたいと思うことは、これも私が熊本に帰ったとき、天草という島があります。
  118. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 川村委員関連ですからなるべく簡潔にお願いいたします。
  119. 川村継義

    ○川村委員 わかりました。そこの島で、ちょうど雨の降る日に、警官の方が例の警備の服装をしてバスに乗ってこられた。天候が悪いためにバスがめり込んだ。ところが、いち早く警官がおりて車を引き上げて、バス運行できるように協力された。その車がもう十分もおそかったならば、船が出ていってしまうから乗客も困るわけです。そのときに乗客はみな感謝した。あのような善良な警官が、今度三池に行ってあの空気にもまれて、私が心配するのは、労働組合運動そのものを正しく認識されるかどうか、あるいはそういう状態に巻き込まれて、かえって色上げをするというか、非常に先鋭的な考えを持って帰ってこられて、また一般住民に臨むというようなことがあったら、これは大問題だということなどを考えたわけです。そこで今の状態では、大牟田の警備についても、それはいろいろ計画があるかもしれませんが、われわれの見るところでは、ああいう動員数などというのは全く必要がない。こう見ておりますから、至急に一つ相当部分は現地の治安確保のために帰す。必要のあった場合に、この警官がいわゆる警察法の目的に従って行動するということをやってもらう必要があるのじゃないか、こう考えておるのです。最後に一つ委員長の見解を伺いたい。
  120. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 先ほどすでに申し上げたと思うのでありまするが、今回のこういう事態につきましては、政府としても、あるいは会社としても、あるいは各労働団体としても、あげてこの事態の早期解決に力をいたさなければならぬと思うのであります。それまでの間は、まことに遺憾でありまするけれども、一応こういう警備態勢が事態に合うのではないかと思うのでありまして、われわれも今後極力一刻も早く平静なる治安状態になり得るように諸般の手を打つよう考えていかなければならないと思っております。川村委員お話はよくわかりました。
  121. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これで終わりたいと思いますが、一つ最後に私から要望しておきたいと思うのは、大牟田の問題は、結局は何らかの形において解決するのです。解決せぬということはないのです。私は、現地の警察官と組合の諸君が現場においてやりとりをやっておる姿を見ておりましても、ある面においては非常になごやかな場面が出ております。どうせ解決する問題でありますので、あまり不用意な刺激を与えたりして、あとで非常に気まずいものを残してしまうというようなことがあっては、私は申しわけないと思うのです。そういう点で先ほどから私も申し上げておりますし、川村委員からも申し上げておりますが、ああいう配備のあり方については、さらに検討されて、また県下全体の警備の問題もありましょうし、いろいろな点からさらに検討していただいて、あと味の悪いものを残さないように極力一つ善処していただきたい、これだけ申し上げまして私終わりたいと思います。     …………………………………
  122. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 では次に火薬類の取り締まりにつきまして質疑の通告があります。この際これを許します。門司亮君。
  123. 門司亮

    門司委員 私ごく簡単に二、三の点だけ申し上げておきます。最初に聞いておきたいと思いますことは、法律の十九条にあります問題であります。この中で一般のものは届け出なければならないが、船舶、航空機については届け出をしなくてもいいということが書いてありますが、これは私は非常に危険だと思うのです。特に船舶にしても、航空機にしても、これは当然この中から除いていいのですか。
  124. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 十九条の規定は、実は従来——というのは現行法でございますが、政府各省間の権限がはっきり定められていなかったという問題から、やや不備と認められますので、改正をいたしたものでございます。ただいま御質問の点は、船舶につきましては船舶安全法、航空機につきましては航空法という、それぞれ特殊な輸送機関としての特殊の安全に関する規定を持っておりまして、その一本で取り締まりをしてもらえば、火薬類の取締法として特に別個の取り扱いをする必要はない。その体系において、これは今後運輸省がすべて政令あるいは省令によりまして、火薬類の取り締まりをするということに権限関係を明定いたしました関係の修正点でございます。
  125. 門司亮

    門司委員 こういうところに官庁のなわ張り争いがあるのではないかと思っております。火薬類は火薬類で取り締まった方が都合がいいのではないかと思うのですが、あっちの規定を引っぱらなければならない、こっちの規定を引っぱらなければならないということ自体が私は非常におかしいと思うのです。この法律は火薬類取締法で、片方は運輸に関する規定ですから、火薬類の取締法ではないのです。運輸に関する規定の中にそういうことを入れると、汽車の中にマッチや火薬類を持ち込んではならないという規定があるから、この法律で取り締まらないんだというようなことになって、私はかなりめんどうなものができ上がると思う。法律はできるだけ一本にまとめる。もしそういう必要があるなら、この法律の中に、運輸省規定の中にあるものは読みかえるというようなことをしていただいて、できるだけ一本にしておいてもらいたい。こう考えておりますので、この辺は一つよく話し合いの中で考えておいてもらいませんと、事故の起こった場合に権限争いをされては困る。  その次に伺いたいと思いますことは、取締法ではなく、火薬の災害に対する予防処置に関する何か特別の法律ができないかということであります。取り締まりさえすればそれでよろしいということでは、これはなかなか困難ですよ。それが一つ、この際御意見があれば聞かせていただきたい。
  126. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 重ねて十九条の問題をちょっと申し上げさせていただきますが、実は国道の爆発事故がございました際に、一体あの事故についての責任官庁はどこかということで、こちらの委員会でも、また商工委員会でも、非常に問題にせられまして、私どもその処置に実は窮したのでございます。門司先生からもたしかそれに関連してのおしかりを受けたように私記憶しておりますが、今回十九条のような改正をいたしました趣旨は、むしろそういう意味で火薬の取り締まりに関する行政を動態と静態の二つに分けまして、私ども通産省のような出先機関、手足のないところは静態の側、すなわち製造工場でございますとか、あるいは都道府県を通じての火薬庫でございますとか、いずれにしても移動しない状態における取り締まりを担当する。それから移動しておる状態につきましては、輸送する運搬具ごとに分類をいたします。ただいま例にあげられました船舶、航空機、それから鉄道、軌道、無軌条電車等、それぞれ運輸省が特別の法律を持っておりまして、現在もその中へ持ち込むいわゆる危険物についての取り締まりをやっておるわけでございます。これを運輸省令によって、もちろん私どもと相談をしてやるわけでございますが、運輸省令によって火薬類の特有の厳重な規定を設けるならば設けようということで、いずれにしましても輸送上の問題については、そういうことで運輸省所管の事項については運輸省に担当してもらう。それから自動車と軽車両、これは一般の道路上の問題でございますが、これは国家公安委員会すなわち警察において担当をしてもらうということに三者話し合いをいたしました。そういうことで権限をはっきりしようということにいたしたわけでございます。  それから予防的な問題ということでございます。実は私どもこの取締法の規定は、いわば理想的には全部が予防取り締まりでありたいと希望しておるわけでございます。決して事後、すなわち事故が起こってからそのあとどうこうするということに重点があるわけではもちろんございません。たとえば今回の改正で非常に大きく改正をしたつもりでございますが、保安教育というようなもの、これは大きな柱にいたしてございます。取締法という名前にはなっておりますけれども、何と申しましても、過去の事例に徴して、事故の絶滅を期する根本は、取り扱い関係者の注意に期待する、それが唯一の問題だと思います。従来その点がかなりあいまいと申しますか、規定上からもきわめて抽象的な規定しか置かれておりませんでしたので、今後はその点を計画的に、また的確に実行をさせる。末端まで保安意識を徹底させるということに一つの大きな重点を置いたつもりでございまして、こういう意味で実は予防ということに十分万全を期したいと考えておるのでございます。
  127. 門司亮

    門司委員 私の質問がただ単に予防と言っておりましたが、私の考え方の中には、災害をどう未然に防ぐかということがあるのであります。それについても一体処置がとられておるかということです。これは神奈川新聞のきのうかおとといの朝刊でありますが、五百数十人いる学校から三百メートルしか離れてないところにかなり大きな火薬庫があるのです。一体火薬庫が先にできたのか、学校が先にできたのか知らないが、いずれにしてもこういう危険区域に学校がある。しかも火薬庫に行くには、四メートルか六メートルしか道の幅がなくてほとんどトラックはすれ違うことができないということが書いてあります。ここに毎日何十回か火薬を積んだ車が出たり入ったりしている。地元の人はどうにもならぬと言っている。こういうものは方々にたくさんあるのですよ。こういうものに対する予防措置はどう考えているか、この法律で何かできますか。火薬工場が事故を起こさない、いうことも予防一つであります。しかし、もし万一事故の起こったときに被害を受ける諸君の身のことを私は先に早く考えるべきだと思う。この法律の中にそういうことがはっきりしておりますか。今日改正すべき点があるとするなら、私は、むしろそういう点をはっきりしておいていただきたい。私は、ほかの委員会からもすぐ出てこいという要求がきておりますので、きょうはこれ以上申しあげません。言うことだけを言って、一応答弁は考えておいてもらいたいということにしておきたいと思います。  私のきょうお聞きしたいことは、こういう問題は一体どう解決するつもりか。それから現行といいますか、古い規定によって、現在の会社や工場のある場所は、一応そのときはそれに適合しておったかもしれない。しかし、そのあとからだんだん人間がふえてくる。あるいは会社の規模も大きくなってくる。今度の横須賀の事件などを見てごらんなさい。横須賀の事件は、事実上はああいうものが一体認められるかどうかということなんです。こういう災害を受ける方の側に立って考えてみますと、この火薬の取締法というだけでは、これはきわめて不完全である。私はこの際政府に要求したいことは、これらの危険区域から、住んでいる人間を全部立ちのかせるか、この工場を移転させるか、どちらかが講じられなければならぬ。どんなに安全を保っても爆発するでしょう。神奈川県はこの半年の間に大きな事故を三回やっている。これも今までの法規に基づいておのおのやっておったのです。横須賀の問題だけが、火をつけたかどうかという問題が残っておりますけれども、どんなに取り締まっても、不測の事態というものは起こるのです。事態が起こったときに迷惑するのはその付近の住民です。これに対する予防措置はどの程度考えられるか、どの程度の処置がとられるかということが大きな問題だと思う。神奈川県のごときは、花火工場あるいは火薬を取り扱っておる家の数、それから火薬庫の所在地などを入れますと、おそらく百以上あるでしょう。ことに駐留軍の使っております火薬等については、これは全く野放しです。届け出もしなければ、どこに火薬庫が幾つあるかわからない。池子と田奈の二つに火薬庫があるはずです。そういう状態ですから、これに対してこの際ぜひとも考えられる必要がある。これがなければ住民の不安は除けないのです。あの横須賀の事態を見て、あるいは東洋化工の問題を見てこういう危険区域には工場を置かないという建前が一体どこでとられておるのか、それがどこで指導されているのか、それに対してどういう処置をするのか。私ははっきり言えば、今日の状態では法律だけでは片づかない。工場を移転しようとすれば、相当な金もかかるし、相当の日にちもかかるし、また場所の選択もしなければならない。そういうものに対する政府協力がなければ安全度が保てない。こういう政府協力を与えるようなことを考えておられるかどうかということです。被災者の立場に立ってこの法律を見てみますと、あなた方の方ではこれでよろしいとお考えになっているかもしれないが、ちっともそういう点が除かれておらない。学校の問題は市役所で考えればいい、個人の住宅の問題は個人で考えればいいというかもしれませんが、なかなかそういうわけにいかない。こういう点等についてどういうふうに処置されるのか。その辺をもう少しはっきりしたものにして、政府のまとまった結論なり答弁を私はこの際一つ要求したいのであります。この点は警察側から考えてどうお考えになるか、あるいは通産省から考えてどうお考えになるか、もしこの際御返事が願えますならば、一つしておいていただきたいと思います。
  128. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 御質問が火薬類取締法全般、あるいはその範囲を越えての御質問でございますから、あるいはただいまのお答えだけでは御満足が得られないかと思いますが、私の考えております範囲のことを申し上げます。  予防措置といたしまして、確かにお説のように絶対に事故を起こさないということはちょっと断言いたしかねる。これは非常に不幸ではございますけれども、ときに事故が起こるということはあるという前提で安全を考えなければならない、これは当然のことかと思います。そのために現行法及び今回の改正法律によりまして法的に実施いたしておりますことは、保安距離ということでございます。お話しのように距離が非常に接近してきておるという場合には、その工場なりあるいは火薬庫なりで取り扱い得る火薬の量を減らさせていくということ、これが現在行ない得る唯一の問題であろうと思います。接近してくる方の建物を制限するということは、現在の法体系の上ではなかなか困難なことでございます。その相談もいたしましたが、場合によっては憲法の問題にまでさかのぼりかねないということで、その方法はまず困難であります。結局行ない得る方法は、周辺の地区が火薬関係事業所の所有地あるいは地上権の設定等によって建築制限が実際上可能なところ以外では、火薬の量を落とすということ以外にはないわけでございます。実は法律を守っておればというお話でございましたが、どうもいずれの場合も、ことに東洋化工の場合あたりは、規定以上の数倍の火薬が置かれておる工場であるということが、被害を一そう大きくしたということになっております。実は保安距離は法律ではございませんで、ただいま申し上げましたようなことである程度機動的な運用も時によって必要でございますので、現行法も通産省令で規定をいたしておりまして、これは今回法律改正いたしまして以後、同時に省令上の保安距離についても再検討を加えて最近の事態に合いますように距離を延長するということで、目下技術的な、また社会的な意味での検討を加えておるところでございます。
  129. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま大体秋山局長からお答えがありましたようなこと以外、現在できないかと思いますが、現実に神奈川におきましては、昨年のああした不幸な事案にかんがみまして、警察当局におきましても、県当局と十分な連携をとっていろいろの指導措置をとり、また調査をいたしたわけでございます。現に今度爆発した当該の火薬庫につきましても、ただいまお話しのように、住宅が建ってきたために、保安距離が非常に違反という状態になっておるということもはっきりいたしましたので、これについて移転を勧告いたし、そして、あの業者におきましても、移転すべくかえ地を見つけて、たしか申請中であったというように聞いておるわけでございまして、警察といたしましても、法律上の問題はもちろん的確にこれを運営しなければなりませんが、それを越えて、さらに行政指導上、ただいま秋山局長お話のように量を減らすという問題以外に、移転等も積極的にやはり考えさせていくというような指導を強力に推進して参りたいと考えておるわけでございます。
  130. 門司亮

    門司委員 私は向こうの委員会に出なければなりませんからもう終わりますが、今の通産省のお話のような消極的な、片一方を減らしていくのだというようなことでは、なかなか私は問題の解決がつかぬと思うのです。そういうことをすればするほど、私は違反がふえてくると思う。だから、もう少し積極的に政府が乗り出して、たとえば敷地のあっせんをするとか、あるいは場合によっては何らかの形で、移転ができなければ融資をしてやるとかいうようなことで、積極的な施策をなすべきだと思う。今申し上げました井土谷分校のごときは、事実上現在の保安の距離にも違反しておることは事実なんです。学校がほとんどかかっている。そして一級火薬庫があって大体十二火薬庫がある。そうすると全部で大体百トン以上のものがここに置かれるようになっている。こういうことを考えますと、もう少し積極的に政府は考えをはっきりしてもらいたい。そして住民に安心をさせてもらいたい。火薬の移転については政府は積極的に乗り出すのだ、敷地のあっせんから移転に要する融資などもやるのだということで、住民の意見が十分に反映するようにしてもらいたい。良心的な営業者がよそに移りたいといっても、財政的な問題や、格好な土地がなければ移転ができないのです。考えているうちに今度の横須賀のような事件が起きてくればどうにもならない。これについての補償その他を何も考えていない。私はこれ以上の意見は言いませんが、補償等についても何らかの保険制度を設けるとか、あるいは何らかの形で、やはり万一の場合に備えて、住民の被害というものをできるだけ少なくするということのためにぜひ努力していただきたいということを申し上げまして、これは答弁は要求はいたしません。時間もございませんから、この程度にして質問を終わります。
  131. 亀山孝一

    ○亀山委員 火薬の問題について今門司委員がいろいろ言われまして、ちょっと席をはずしておりましたので、あるいは重複するかもしれませんが、通産当局にただ一つだけお願いを申し上げたいと思うのです。なお、これに対する意見も伺いたい。  それは、大体今度の火薬類取締法で、われわれが多年地方行政委員会において要望したことが盛られたものと思いますが、ただ最近、表面に現われていないのでありますけれども、火薬の授受といいますか、火薬を貯蔵している場合の出し入れ、そういうものに対して、まだまだ私は現在のままでは不徹底ではないか、いま少し慎重にやる必要があるのではないか、こう思うのです。今度の法律である程度規定で入っておるかもしれませんが、これについては、やはり常時公安委員会あるいは警察当局と連絡せられまして火薬の移動あるいは授受、これらについては厳重にやっていただきたい。私どもは治安上非常に心配しておるところであります。その点は現在の規定でどの程度取り締まれるか、また、今申し上げたような警察当局との連絡について一応御意見を承っておきたいと思います。
  132. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 ごもっともな点でございまして、私どもも、今回の法律の中では、御意見趣旨に沿った改正を十分加えておるつもりでございます。かつての銃砲火薬類取締法ほどまで戻っておるかどうかは疑問でございますが、これは憲法の建前の相違等からきておるということで御了解を願いたいと思います。少なくとも今回改正いたしました法律では、お話しの火薬類の授受について、たとえば、警察が取り締まりたいけれども法律上できないというような事態はまずなくて済ませ得るというふうに私は考えております。  それからもう一点は責任者でございますが、取扱い保安責任者というものにつきましても、責任範囲を明確にし、義務をはっきり課する。また、それの実行の結果を確認するというようなところまでの保証をするような規定を設けてございます。これは法律が守られなければいたし方ございませんが、法律が守られます限りは、その点についても従来より格段の進歩を見たはずだと、かように思う次第でございます。  なお、警察、消防、それから今回の改正で輸送関係運輸省に相当大きくかかることに相なるわけでございますが、その他、ただいま門司委員も触れられたのでございますが、災害が起こりました場合、局部的ではございますけれども、災害救助法の発動というような問題も、実はまだ政府部内、ことに厚生省あたりとも十分連絡協議をしたいと考えておりますけれども、まだ成案を得ていない状態でございます。それらの関係もございまして、その他の関係省も加えました、公式な審議会という形でございませんけれども、できるだけ連絡を緊密にするような組織を、私どもの方は幹事役を勤めることによって、円滑に運用していきたいと考えております。
  133. 亀山孝一

    ○亀山委員 ただいまの御説明でよくわかりました。ことに今お述べになりました火薬爆発による被害に関する災害救助、これはぜひ一つ何とか成案を得られるか、適当な処置をとられるような援助をお願いしたい。  それから、いま一つ最後にお伺いしたいのは、いわゆる加工品の子供のおもちゃである花火のようなものの取り締まり、これに対してある程度の規定があるようですが、先般どの週刊雑誌でありましたか、新聞でありましたかこれに関する心配の記事が相当出ておりましたが、今度は、子供のおもちゃである花火、ああいうものに対してはどの程度まで取り締まりをなさるおつもりですか。
  134. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 従来も、現行法では玩具用煙火は全部法律適用を除外いたしております。事玩具に関する限りは全く取り締まりなしという状態でございましたが、実は全く不服でございますけれども、先日の埼玉の岩槻で起こりましたのはクラッカーとかひきだまという、要するに従来の扱いでいうと玩具でございまして、法律適用外である工場があれだけの事故を起こした。これは実は私どもの方が先に心配をし、それに当たる規定を入れておいた法律改正案が出ておったということで、それが妙な形になったわけでございますが、今回はある量以上——ものによって多少相違がございますが、少なくとも他に危害を及ぼすようなおそれのある、ある程度以上の量を扱っておる場合には、玩具用煙火といえども全部火薬類と同様の扱いをするということで、規定適用をしようということで改正をいたしております。従って、今後も適用されませんのは、たとえば蔵前の店先でごくわずかのおもちゃの花火を置いて売っておる、もっと小さいのはお祭りの露店でございますが、そういうようなもの、あるいは実際上子供が買ってきて、よく紙だまをはがして、詰めかえて、指を飛ばしたとかいう玩弄中の事故、ここまではちょっと私どもの手も及びませんし、規定もいたしておりません。それ以外はほとんど全部火薬類と同様に取り締まりを受けるということにするわけでございます。
  135. 亀山孝一

    ○亀山委員 今お話の子供のおもちゃの花火ですか、ある一定量以下の火薬を持っておるものは除外になっておる。これはあるいはやむを得ないかもしれませんが、それも今後十分一つ監視の目をつけていただいて、これをどうするということはわれわれ何もわかりませんけれども、案外そういうものが大事に至るんですよ。だから、そういうものを通産当局でよく見守ってやってもらいたい。それだけお願いいたしまして私の質問を終わります。
  136. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめ、次会は明十八日午前十時より開会することといたしまして本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会