○
奧野政府委員 問題は
二つあろうかと思います。
一つは
道路の
目的財源としながら
基準財政収入の中に算定しておることがどうであるかという問題、もう
一つは
道路の
目的財源としておきながら
一般の
財源が多いからこれを減額するという
措置が妥当であるかどうかという問題、この
二つの問題であろうと思います。
第一点の問題は、
道路に関する
財源は全部
目的財源で充当するのだという
建前になっておりますならば、
地方交付税の
財源計算から全く
別個の取り扱いにしてよろしいと思うのであります。ところが、
現状はそれだけでは十分でございませんので、ある
程度一般財源を充当することを期待して
基準財政需要額に
道路費を算定しておるわけであります。そうしますと、両者別々に
計算をした結果は非常な不公平が生じてしまうのであります。たとえば、くどいようでありますが
軽油引取税の
収入が非常に多額である。にもかかわらず、
一般財源に充当される
部分については普通に
道路に関する
基準財政需要額を算定していく。そうすると、
一般財源が全体として十分でありません限りは
地方交付税で差額が
補てんされていくわけであります。逆にまた
軽油引取税収入が非常に少ないにかかわらず、
道路費に関する
基準財政需要額が普通の
計算をされる。そうすると、もっと
財源がなければならないのに、
一般の
財源計算の
部分だけ足りない
財源が
補てんされる結果になり、非常な不利な結果になってしまう。そうしますと、これはやはり全体を
一つにして
計算しなければならないのではないか、そうすることが
財源の
均衡化上必要ではないか、こういうように思われるわけでございます。もとより
財源の
均衡化を考える必要はない、それぞれの
団体が
独立財源でやっていけるようにすればよろしいのだというような
考え方に立てば格別でございますけれども、
財源の
均衡化の
制度として
地方交付税の
制度があり、しかもその
地方交付税というものが
地方独立税収入の半ばを占めるというような大きな
分量になっております今日におきましては、やはり現在の姿には欠陥があるのではないか、これはやはり一歩前進させなければならないのではないか、かように私たちは考えるわけであります。ことに
軽油引取税の
収入額というものが、あの税の
創設当時のようなごくわずかな
金額であれば別でございますけれども、その後に非常に大きな
金額になって参りまして、わずかな
金額でありますと、不公平をそのまま存置しておっても、なるたけ
独立財源に手を触れないのだというような
考え方も成り立つであろうかと思います。しかしながら、今日のような
軽油引取税収入額や
道路譲与税の
収入額が大きくなって参りますと、
現状のままに置いておきますことはきわめて不合理だ、こういうような
考え方を持って参ったわけでございます。
第二点は、
地方道路譲与税を
目的財源にしながら減額するという問題であります。しかしながら
地方道路譲与税は、税金を徴収いたしました
団体と、この
収入の帰属する
団体とは何ら特別に
関係はございません。御承知のように全く国の
支配下に置かれまして
配分をする
財源でございます。そうしますと、これをどういうような
配分の仕方に変えるかということによっては別段
地方団体の
独立性に何ら影響を与えない、かように私どもは考えておるわけであります。従いまして
道路の
目的財源をどの
程度の
分量にするか、これはやはり
道路譲与税を
基準財政収入額に算定して参るわけであります。今までと違いまして、
目的財源の
部分を含めて全体を算定するわけでありますから、全体として
基準財政需要額を補って余りありますならば、完全に国の
支配下に置かれました
地方道路譲与税を特にその
団体に
算定額通り交付しなければならないという必要はない。むしろそれは減額をしてしかるべきではないか、かように考えるわけであります。そうしますと、ゼロになる
団体があっても、それはそれなりに私は理屈がつくと思う。今、
加賀田さんが御
心配になるようなこともおもんぱかって、
目的財源にしておるのであるから、やはり幾らかでも残した方が
目的財源の
性格を将来とも一そう強くしていけるのではないか。こういうような
配慮のもとに
算定額が少なくとも三分の一だけは残るような
配慮をいたしたわけであります。しかしながら、これは理論的に突き詰めて考えてみますならば、国の
支配下におきまして国から
配分される
財源でありますから、
地方交付税と
地方道路譲与税との間に本質的には別段差異はない、このようなものの
考え方もできるのではないか、かように考えるわけであります。しかし御
心配になりますようなことも考えまして、現在
提案しておりますような姿にいたしたい、かように考えているわけであります。