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1960-03-29 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十九日(火曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 纐纈 彌三君 理事 田中 榮一君    理事 渡海元三郎君 理事 吉田 重延君    理事 加賀田 進君 理事 阪上安太郎君    理事 門司  亮君       相川 勝六君    加藤 精三君       亀山 孝一君    川崎末五郎君       津島 文治君    富田 健治君       川村 継義君    佐野 憲治君       安井 吉典君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      後藤田正晴君  委員外出席者         議     員 渡海元三郎君         議     員 加賀田 進君         議     員 安井 吉典君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    塩崎  潤君         大蔵事務官         (主税局調査課         長)      川村博太郎君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 三月二十六日  道路交通法案反対に関する請願下平正一君紹  介)(第一五五四号)  同(多賀谷真稔紹介)(第一五五五号)  同(井岡大治紹介)(第一七二一号)  遊興飲食税減免に関する請願外八件(淺沼稻次  郎君紹介)(第一七一七号)  同(飯塚定輔紹介)(第一七一八号)  同外一件(島上善五郎紹介)(第一七一九  号)  同(坊秀男紹介)(第一七二〇号)  交付公債制度廃止等に関する請願小川平二君  紹介)(第一七二二号)  全日制市町村立高等学校教職員退職手当全国  通算に関する請願淺香忠雄紹介)(第一八  四四号)  同(渡海元三郎紹介)(第一八四五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  行政書士法の一部を改正する法律案渡海元三  郎君外二名提出衆法第一六号)  地方税法の一部を改正する法律案安井吉典君  外七名提出衆法第二一号)  地方交付税法の一部を改正する法律案加賀田  進君外七名提出衆法第二二号)  臨時地方特別交付金に関する法律案内閣提出  第三八号)  地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の  一部を改正する法律案内閣提出第七四号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇三号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会談を開きます。  去る十八日本委員会に付託となりました渡海元三郎君外二名提出にかかる行政書士法の一部を改正する法律案議題とし、まず提出者より提案理由説明を求めます。渡海元三郎君。     —————————————
  3. 渡海元三郎

    渡海議員 ただいま議題に供せられました行政書士法の一部を改正する法律案について、その提案理由説明をいたします。  行政書士法昭和二十六年、行政書士業務公共性にかんがみ、その業務の適正な執行を確保して、一面その利用者の便益に資するとともに、行政書士の資質の向上と職務執行上の利益をはかるため制定せられたのでありますが、その後の本法の施行状況を見るに、従来任意設立任意加入であった行政書士会並びにその連合会を、司法書士税理士等類似業務の場合と同様、義務設立強制加入とすることによって、行政書士会の自主的な指導力を強化して行政書士の品位の保持、業務の改善、適正化に資する必要があるので本改正案提案いたした次第であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  4. 濱地文平

    濱地委員長 去る二十四日本委員会に付託されました安井吉典君外七名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び加賀田進君外七名提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、それぞれ提出者より提案理由説明を求めます。安井吉典君。     —————————————
  5. 安井吉典

    安井議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました地方税法の一部を改正する法律案につきまして提案理由の御説明をいたします。  最近の政府税制改正に対する態度は、国税中心となり、地方税は従になっているやに思われます。従って、減税措置国税中心になされ、地方税は結果的には逆に増税になっている面が多々あります。神武景気とか、岩戸景気とかいわれながらも、一部の大企業、大所得者層を除いては、依然として低生活水準にあえいでいる現状のもとで、国税より以上に大衆課税要素の濃い地方税減税は当面の急務であると断言できると思います。しかしながら、政府におきましては、そういう事態に対して何ら考慮を払わず、かつ大企業等に対する課税減免特例措置その他現行地方税制の数多い矛盾を全く放置し、おざなりな改正案地方住民の切なる要望を無視する態度に出ているやに思われますので、日本社会党といたしましては、独自の改正案提案する次第であります。  次に改正案等概要を御説明いたします。  第一事業税の軽減につきましては、個人事業税では基礎控除を三十万円にすること。法人事業税につきましては、特別法人に対する標準税率現行百分の七から百分の六とすること。その他の法人に対する課税標準率は、所得のうち年五十万円以下の金額現行百分の七を百分の六とすること。  第二、遊興飲食税については、遊興を伴わない飲食店喫茶店等における免税点現行一人一回の料金が三百円以下とあるのを五百円以下に引き上げること。また旅館における免税点現行八百円以下とあるのを千円以下に引き上げること。  第三は、娯楽施設利用税でありますが、ゴルフ場利用税標準税率現行二百円から五百円に引き上げること。  第四、固定資産税、田畑に対する課税標準評価額の三分の二の金額とすること。またゴルフ場の芝、休閑地等の特殊な資産に対しては、特に制限税率現行百分の二・一からこれらに限って百分の七まで引き上げること。  第五、電気ガス税、これについては税率現行の百分の十から百分の七に引き下げるとともに、非課税範囲を制限し、これについて税率百分の二の電気ガス税を課すること。さらに市町村長の指定する街灯に使用する電気については電気税を課さないものとすること。なお社会党では同時に街灯に対する電気料金の引き下げをも考慮いたしております。  第六、消防施設税創設、これは都道府県市町村における消防費用に充てる財源を交付するため消防施設税を設けることとし、その納税義務者民営損害保険会社であり、その道府県内の収入火災保険料標準とし、税率は百分の三とし、その徴収方法については申告納付方法によるものとすること。なお農業共済火災共済等共済事業は除外し、また道府県市町村配分する方法は、市町村の人口、家屋の床面積等基準として別に命令で定めることとすること。  第七、自動車税。トラック、これは現行一万五千円及び三輪小型自動車、これは現行四千三百円でありますが、それぞれの自家用については千円ずつ引き下げること。  以上でありますが、特に遊興飲食税減税については、さきの国会において満場一致で実況をきめた経過があるものであります。  以上、地方税法の一部を改正する法律案提案理由概要を申し上げたわけでございますが、何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたす次第でございます。(拍手)     —————————————
  6. 濱地文平

    濱地委員長 次に加賀田進君。
  7. 加賀田進

    加賀田議員 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま提案になりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして提案理由の御説明をいたします。  地方財政の不安定なことについては今さら言うまでもありません。さらに地方財政現状をめぐって、大蔵省、自治庁地方自治団体等の間に、毎年同じような紛争があり、年とともに激化して来ているのも御存じ通りであります。このように毎年問題になり、悪化してきている地方財政の原因は、一つ政府経済政策の失敗による景気変動地方財政にすぐに波及するような仕組みになっていること、一つ補助単価人件費の過小見積り、税収の過大見積り等によるずさんな地方財政計画一つ道路整備五カ年計画公立文教施設整備五カ年計画等公共事業を、地方財政現状を無視して中央政府が強行し、そのしわ寄せを受けていること、一つは数度にわたる国税改正地方財政を犠牲にして行なわれたこと等がおもなるものであると思います。  さらに本年度地方財政計画を見ましても、政府は、財政規模は二千億円増となり、本年度地方財政は健全化し行政水準引き上げになると宣伝していますが、確かに昨年度よりは幾らかよくなるとは思いますが、なお地方税自然増の過大見積り、特別交付金三十億円等の不確定な財源や、災害事業関係に重点が置かれ、県単位市町村単位事業は縮小されている点、さらに財源配分が大都市、大府県に有利になり、小都市、農漁村、後進県に不利になる傾向にある等未解法の問題は数々残されています。従って、行政水準引き上げなどとうてい考えられないことであります。  以上のような地方財政上の問題点の解決の一助にするためには、地方交付税率引き上げによって地方財政の確立をはかり、地域間の不均衡もあわせて是正することが当面の急務であると信ずる次第であります。さらに、この地方交付税率の一・五%引き上げは、日本社会党のみならず、地方行政を実際にあずかる地方自治団体の切なる要望でもありますので、何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手
  8. 濱地文平

    濱地委員長 以上をもちまして、提案理由説明は終わりました。  この際お諮りいたします。すなわち、ただいま提案理由説明を聴取いたしました二法案は、さきに設置いたしました地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員会審査に付したいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決します。      ————◇—————
  10. 濱地文平

    濱地委員長 内閣提出にかかる臨時地方特別交付金に関する法律案地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので順次これを許します。加賀田進君。
  11. 加賀田進

    加賀田委員 本年の財政計画の中で最も大きく地方団体の関心を引かれているのは、地方交付税に対する措置だと私は思うのであります。従って本年度は、国税三法の自然増収並びに今度地方交付税の中であらためて基準財政収入額の中に、従来目的税として地方団体財源にしております軽油引取税道路譲与税が含まれることになったのです。従って私は、この交付税という性格目的税という性格の中に、非常に大きな矛盾を感ずるわけであります。そこで私は質問いたしたいのは、この軽油引取税道路譲与税というものは、法律でも決定された通り目的税として道路に使用するということが決定されておりますが、その目的税があらためて用途を明確にしない——いわゆる交付税としては目的税的に用途を明確にして地方公共団体に交付する性格のものではないわけですから、一たん目的税がその基準財政収入額の中に含まれて、あらためて単位費用等計算されて地方公共団体目的税性格がなくなって地方公共団体に再配分されていく、こういうところに一つ矛盾があるんじゃないかと私は思うのです。この点に対して、本案を提出された自治庁としてどういう見解でこういうものを含まれたのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 軽油引取税も、地方道路譲与税も、道路に関する目的財源である従来の性格は、今回の地方交付税法改正案によりましても何ら異動は生じないわけであります。現状は、軽油引取税地方道路譲与税のような道路に関する目的財源による財源手当と、もう一つは、それだけでは道路に関する財源が十分でございませんので、一般財源もある程度道路に充当しなければならないという建前のもとに、基準財政需要額の中で道路費を算定しておるわけであります。そうしますと、一方では一般財源を予定して基準財政需要額の中で道路費を算定する、他方では軽油引取税地方道路譲与税目的財源だということでこの計算からはずしておくということになりますと、たまたま軽油引取税が非常に多いあるいは少ないという団体は、地方交付税財源配分において逆な損得が生じてしまうわけであります。そこでやはり計算は全体を一つにして計算をして、足りないところを地方交付税補てんをするという措置をとることが公平な財源配分になるのではないだろうか、こういうふうな考え方を持っておるわけであります。  もとより軽油引取税地方道路譲与税目的財源でございますので、道路に関する基準財政需要額がこれらの財源以下であることはあり得ないわけであります。以下である場合には、そこまで基準財政需要額引き上げなければならない、かように考えておるわけであります。そうすることによって、目的財源が十分であれば地方交付税補てんは必要でないのじゃないか、かように考えるわけであります。また目的税源が十分でございませんければ、従来以上に道路財源一般財源によって補給していかなければならないのじゃないか、そういうようなやり方をしたい、かような考え方でおるわけであります。
  13. 加賀田進

    加賀田委員 この軽油引取税道路譲与税とは、おのずから性格が異なっていると思うのです。都道府県並びに五大市がこの軽油引取税を課せられておるわけでありますが、そういたしますと、この案で見ますと、単位費用等におきましては、道路並びに橋梁等に対しては四倍ないし三倍半程度単位費用が値上げされていて、そういう裏づけは、ある程度私は了承する点があると思う。しかしながら個々の団体におきますると、目的税として賦課されて参りまする道路譲与税軽油引取税というものが引き続いて市町村間の中において全部義務的に目的税として道路に使用されなければならぬ。ところが実際はそれが一たん交付税の中に入ってきて、それが単位費用等に基づいて再配分されていくという形になってくると、その財源裏づけが、はたして目的税として二つの税の税収入と同じ額になるかどうかという問題が起こってくるわけです。この中では、基準財政収入のいわゆる一〇〇%をこえた分に対する十分の二ですかは、逆に交付団体の方に道路目的税として配分されることになっております。そうなって参りますると、一方では目的税として一つワクがはめられて財源が与えられている。その財源は一たん交付税として入ってきて、完全にそれが補てんされればいいけれども、その団体間においては、目的税財源以外に、いわゆる多い、少ないという問題が起こってくるのじゃないかと思う。そうすると、この税を基準財政収入額に入れたために、比較的富裕府県といわれておるところは、かえってその目的税義務は課せられているけれども、義務だけの財源は実質的になくなっているのではないか。もちろんそれは一般財源としてなお道路においてそれを補給しなければならない内容を含んでおりますけれども、目的税という形では、ワクを設けながら、一般財源に使用する交付税の中に入れてこれを算定した。もちろん目的としては、いわゆる公共団体間の財源調整ということが一つ目的だろうと思うのです。大きな目的として交付税の中に入れられたものと思いますけれども、どうも目的税と決定されたものを一たん交付税の中に入れて、一般財源のような形で配分するということは、目的税自体性格がぼやけてくるのじゃないかと思います。もしそれを交付税の中に入れるとするなら、もちろん今度は道路譲与税配分方法も変わって参りまして、道路に対する面積とかあるいは延長等によって比較して配分するということになっておりますけれども、もっと目的税配分方法というものを考えなければならないのじゃないか。現在軽油引取税につきましては従来と同じような方法をとっております。従って、軽油引取税として五大市並びに都道府県間が得た収入というものは、今度は基準財政需要額単位費用に決定された額、配分によって再配分されるという形が起こってくる。こういうような矛盾を含んだ今度の地方財政計画あるいは交付税改正というものが行われてきているのじゃないかと思う。従来それを基準財政収入額に入れずして、完全なる地方団体目的税として使用することを認めておきながら、今度はそれをその中に含めてしまって、いわゆる財源の再配分要素の中に含めたいということに、私はどうも不可解な点があるのであります。従ってわれわれとしては、こういうようにして市町村間の財源の不均衡を是正するのは、既定財源でなくて別個財源をやはり国からとってきて、そこの不均衡を是正しなければならないという性格を持っておると思う。既定財源の中で、今申し上げたような目的税というものを交付税の中に入れてしまって、そして再配分性格を持ったということには、どうも私は納得がいかないのです。従ってこれは自治庁自体の将来の考え方か、従来問題になっておりまするいわゆる未開発地域における公共事業費補助金の率を上げてもらいたいという要求を押えるためにこういうことをやったのではないか、うがった考えかもしれませんけれども、やはりこういう考え方も含まれてくるわけです。従って、この目的税交付税基準財政収入額に含めて再配分したということについては、法の性格上も私はどうも納得いかない点があるのです。もう一度その点を説明していただきたい。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 問題は二つあろうかと思います。一つ道路目的財源としながら基準財政収入の中に算定しておることがどうであるかという問題、もう一つ道路目的財源としておきながら一般財源が多いからこれを減額するという措置が妥当であるかどうかという問題、この二つの問題であろうと思います。  第一点の問題は、道路に関する財源は全部目的財源で充当するのだという建前になっておりますならば、地方交付税財源計算から全く別個の取り扱いにしてよろしいと思うのであります。ところが、現状はそれだけでは十分でございませんので、ある程度一般財源を充当することを期待して基準財政需要額道路費を算定しておるわけであります。そうしますと、両者別々に計算をした結果は非常な不公平が生じてしまうのであります。たとえば、くどいようでありますが軽油引取税収入が非常に多額である。にもかかわらず、一般財源に充当される部分については普通に道路に関する基準財政需要額を算定していく。そうすると、一般財源が全体として十分でありません限りは地方交付税で差額が補てんされていくわけであります。逆にまた軽油引取税収入が非常に少ないにかかわらず、道路費に関する基準財政需要額が普通の計算をされる。そうすると、もっと財源がなければならないのに、一般財源計算部分だけ足りない財源補てんされる結果になり、非常な不利な結果になってしまう。そうしますと、これはやはり全体を一つにして計算しなければならないのではないか、そうすることが財源均衡化上必要ではないか、こういうように思われるわけでございます。もとより財源均衡化を考える必要はない、それぞれの団体独立財源でやっていけるようにすればよろしいのだというような考え方に立てば格別でございますけれども、財源均衡化制度として地方交付税制度があり、しかもその地方交付税というものが地方独立税収入の半ばを占めるというような大きな分量になっております今日におきましては、やはり現在の姿には欠陥があるのではないか、これはやはり一歩前進させなければならないのではないか、かように私たちは考えるわけであります。ことに軽油引取税収入額というものが、あの税の創設当時のようなごくわずかな金額であれば別でございますけれども、その後に非常に大きな金額になって参りまして、わずかな金額でありますと、不公平をそのまま存置しておっても、なるたけ独立財源に手を触れないのだというような考え方も成り立つであろうかと思います。しかしながら、今日のような軽油引取税収入額道路譲与税収入額が大きくなって参りますと、現状のままに置いておきますことはきわめて不合理だ、こういうような考え方を持って参ったわけでございます。  第二点は、地方道路譲与税目的財源にしながら減額するという問題であります。しかしながら地方道路譲与税は、税金を徴収いたしました団体と、この収入の帰属する団体とは何ら特別に関係はございません。御承知のように全く国の支配下に置かれまして配分をする財源でございます。そうしますと、これをどういうような配分の仕方に変えるかということによっては別段地方団体独立性に何ら影響を与えない、かように私どもは考えておるわけであります。従いまして道路目的財源をどの程度分量にするか、これはやはり道路譲与税基準財政収入額に算定して参るわけであります。今までと違いまして、目的財源部分を含めて全体を算定するわけでありますから、全体として基準財政需要額を補って余りありますならば、完全に国の支配下に置かれました地方道路譲与税を特にその団体算定額通り交付しなければならないという必要はない。むしろそれは減額をしてしかるべきではないか、かように考えるわけであります。そうしますと、ゼロになる団体があっても、それはそれなりに私は理屈がつくと思う。今、加賀田さんが御心配になるようなこともおもんぱかって、目的財源にしておるのであるから、やはり幾らかでも残した方が目的財源性格を将来とも一そう強くしていけるのではないか。こういうような配慮のもとに算定額が少なくとも三分の一だけは残るような配慮をいたしたわけであります。しかしながら、これは理論的に突き詰めて考えてみますならば、国の支配下におきまして国から配分される財源でありますから、地方交付税地方道路譲与税との間に本質的には別段差異はない、このようなものの考え方もできるのではないか、かように考えるわけであります。しかし御心配になりますようなことも考えまして、現在提案しておりますような姿にいたしたい、かように考えているわけであります。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 道路譲与税府県間の問題は、道路譲与税配分方法基準財政需要額単位費用と見合って配分されるということになると、目的税道路税でありますけれども、実質的にはあまり性格が変わってこないのじゃないかと思います。これは性格上の問題だけになってくると思うのですが、ただ五大市の場合に、御存じのように軽油引取税が課されてきている。これは市町村土木費に対する道路費単位費用というものはそうあまり上がっていないわけです。従って、五大市軽油引取税財源というものをこの基準財政需要額の中に含めて、全部の市町村にバランスをとったという形が起こってくる。従って、実質的には目的税一般財源と合わせて道路費用としているかもしれません。しかしそういうことは別としても、一方では五大市目的税としてこれは決定された費用として出ておる。その財源交付税として戻ってきて一般市町村にばらまかれていくということになると、義務だけが課せられてきて、そしてその財源というものは実質的には市町村にばらまかれて、完全な補てんがなされてないという矛盾が起こってくる。そこに私は、いわゆる目的税一般財源としての交付税矛盾が今度の中に生まれてきておると思う。この点は自治庁としても将来の見通しについて明らかにしてもらいたい。
  16. 奧野誠亮

    奧野政府委員 加賀田さんの御心配になっていることはよくわかりました。これは同じ道路費でありましても、市町村のうちで五大市は特別な任務を負っているわけであります。国道や府県道の管理は五大市でございます。従いまして市町村道路費単位費用は、本来からいいますと、五大市単位費用とその他の市町村単位費用とを区分すべきであります。しかし現行法は市町村を一律にきめておりますので、態容補正をもちまして国道、府県道に相当いたします五大市道路費については割増しを行なうわけであります。この割増しは、地方道路譲与税軽油引取税あるいは軽油引取税交付金を基準財政収入額に算入いたします結果は、従来以上に割り増しをしなければならぬわけでございます。それは当然総理府令の改正をもって行なう予定にいたしておるわけであります。法律の上には表われて参りませんけれども、態容補正係数を従来よりも五大市道路につきましてはずっと引き上げたい、かような考え方を持っているわけであります。
  17. 加賀田進

    加賀田委員 そういう計画もある程度伺っておるのです。ところが今度の単位費用は、今申し上げた通り府県間の道路につきましては三倍ないし四倍の単位費用が上がっているわけです。市町村の場合には御存じのように一平方メートルについて六円四十銭が六円五十銭というわずかな値上げになっております。従って、もちろん態容補正で何とか考慮するといいながら非常に差額が激しい形になっております。しかも今奥野局長の言われた通り五大市の方は一級道路、二級道路あるいは府県道路まである程度管理しなければならぬという立場に置かれて、財政支出は非常に多いと思う。そこで単なる態容補正だけでそれらの矛盾が——今まではある程度はなされたかもしれませんけれども、相当大幅の差額というものが市町村府県との間にできているために、態容補正によってはたしてまかなわれるかどうかということを私は心配している。従ってその態容補正についての、わかっていれば具体的な問題を明らかにしてもらいたい。
  18. 奧野誠亮

    奧野政府委員 府県分の単位費用引き上げが行なわれるということは、もっぱら軽油引取税地方道路譲与税収入額基準財政収入額に算入される結果であります。そうしますと、五大市につきましても同じ問題があるわけでありますので、同じ程度道路費に関する基準財政需要額引き上げられなければならないわけであります。そういう方法で態容補正の割り増しの改正を検討いたしているわけでございます。
  19. 加賀田進

    加賀田委員 そこで私は、今度提出されました三十億の臨時特別交付税について質問いたしたいと思います。  これは一般交付税、特別交付税と同じような配分方法をとって決定されると聞いております。それは総理府令に基いてその配分方法が決定されると思いますけれども、その性格が、従来われわれが論議いたして参りました通り、昨年の国税の減収補てんとして百二十二億ですか、大蔵省等に要求しておったわけですが、出てきたのは三十億というわずかな財源になってきた。しかし三十億は、依然として国税改正に基づく減収補てんという目的を持っているわけです。そこで問題となりますのは、特別交付税というものはそういう性格ではなくて、当初算定いたしました基準財政収入額が極端に少なくなっておる、あるいは災害等に基づいて臨時の支出が必要になった、そういう特別な事情に基づいてこの六%という特別交付税というものは配分されることになっておる。全く目的が双方異なったものが三十億、特別交付税の中に入ってきた。そこで新たなる三十億の配分方法が検討されなければならない状態になってきておる。特に総理府令等によって決定されると思いますけれども、その三十億というのは、別個配分方法を決定されて市町村配分されるのか、あるいは一般交付税の中に加算されて、その中の一部として財源補てんという形で加算されるのか、その点を明確にしてもらいたい。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 特別交付税臨時地方特別交付金も、一応それぞれの理由に基づいて算定をして、団体別の総額を算出したい、こういう考え方を持っておるわけであります。その方が公平な配分ができるのではないかというふうに考えております。しかし、臨時地方特別交付金制度ができましたので、従来の特別交付税配分事項の中にこの臨時地方特別交付金を設けた趣旨に基づく配分事項を加えるべきだ、そうして全体を合わせまして個々の団体に交付すべき額を決定して、そのうち一定部分臨時地方特別交付金制度に基づく配分額だというように決定をして参りたいと考えております。
  21. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、三十億というのは別個配分方法じゃなくて、特別交付税の中に含まれてしまう。しかし、新たな事項としては減税の減収補てんという性格を入れるということになって参りますと、どうも内容がぼけてしまって、入っておるような入っていないような、しかも三十億が入らない前の特別交付金の総額と現在の特別交付金の総額との比較も何%になるか知りませんけれども、これもはたしてそういう性格を明確に区分した入り方をするかどうかという問題で、地方公共団体に、入っておるような入ってないような非常な疑義を生むのじゃないか。従ってやはり三十億は明確に区分して、この間要求されておった百二十二億がわずかに三十億になったけれども、結局税収入の減少に基づく三十億としての形で各地方公共団体にこれを補てんするんだという形の方が明確になるのではないかと思います。総理府令に基づきその性格一つふやした、従って全部プールして配分してしまったということでは、各市町村間においては、国税減税に基づく影響でいろいろアンバランスが起こってくると思う。そのアンバランスを三十億で補てんするということが、どうも内容的に表面に浮かんでこないような性格を持つのです。その点に対して自治庁はどう考えるか。
  22. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほど申し上げましたように、特別交付税臨時地方特別交付金とを全く切り離して配分額を決定するということになりますと、臨時地方特別交付金の三十億を、それじゃどういうような姿において配分すればよろしいかということになってくると思います。たとえて申し上げますと、特別交付税の場合には、競輪の収入が相当多額にのぼっておりますと、減額項目に立てるわけであります。あるいはまた不交付団体につきましては超過額の一定部分を減額項目に立てるわけであります。やはりそういうことも配慮して臨時地方特別交付金の額を決定した方が公平な配分になるのではないだろうか、こういうように思われるわけであります。そこで、総額は全体を合わせまして決定をするわけでありますけれども、その結果、いずれにしましても臨時地方特別交付金というものは別な金額になっておりますので、配分した額のうちの幾らが臨時地方特別交付金であるかということを明示しなければなりません。その場合に特別な一項目を立てた部分金額を指摘して、それが臨時地方特別交付金なんだという言い方もございますし、総額のうちに占める臨時地方特別交付金の割合に基づいて、これだけが臨時地方特別交付金だ、こういうような示し方をすることもできるわけであります。その両者のいずれによるかということにつきましては、なお政府部内においても検討をしていきたい、かように考えておるわけでございます。しかしながら、項目の中に臨時地方特別交付金制度が生まれました事項を明らかに示すわけでございますし、またその趣旨は地方団体にも当然通知をするわけでございますので、臨時地方特別交付金が宙に消えてしまうというような心配は私たちはないのではないか、こう思うわけでございます。どういうような配分方式をとればこの制度の趣旨も生き、同時にまた特別交付税を通じまして公平な配分になるかという点に重点があるのではないだろうか、かように考えておるわけであります。そういうようなところから、現在のところは今まで申し上げておりますような方向で検討いたしているわけでございます。
  23. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、臨時交付金の配分の場合には、地方公共団体にはその三十億の分を明確にして出すわけですか。いわゆるこの分が三十億の分であり、残りどれだけかが特別交付金だということは明確にして出すわけですか。大体百二十二億の四分の一程度財源でありますから、税収入の不足額の四分の一ですから、不交付団体交付団体の方に変わって参りますから、その金額だけがプラスされるという性格を持っております。大体地方公共団体として、金額の明示によって明らかになると思いますが、それに見合った財源裏づけするという趣旨でその点が明確になっておるのかどうか。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方団体に交付いたしますときには、臨時地方特別交付金幾らということは明示せざるを得ないわけでございます。
  25. 加賀田進

    加賀田委員 それから、これは当分の間ということになっておるわけですが、大体どういう現象が起こった場合にはこれを廃止するとかなんとかという目的があるだろうと思いますが、当分ということは言葉の上では明確ではございませんけれども、廃止するような場合は、何か明確な事項があった場合には廃止するとか、こういう事態になったときには廃止するということがあるのかどうか。
  26. 奧野誠亮

    奧野政府委員 率直な話、別段いつまでというようなことを政府部内でも詰めた話はいたしておりません。地方財政関係する者の立場からいいますと、二八・五%を二八・八%にしてもらいたいという希望を持っております。また、国庫財政の立場から考えますと、むしろ今おっしゃいますようにこれを廃止する方向において解決するということであるかもしれません。いずれにしましても、現在地方制度調査会や税制調査会におきまして財源配分等の問題が検討されておるわけでございます。税制調査会の方は三年間というような期間を切って審議されておりますので、そういう結論の出ます際には、いずれにしてもこのような暫定的な措置を何らかの方法ですっきりしたものにしなければならない、こう考えておるわけであります。その場合にどういう形になるかということについては、なお今後の問題になるだろうと思います。
  27. 加賀田進

    加賀田委員 それで大蔵省とのいろいろな折衝の過程でそういう形になったと思いますが、そうしますと、当分の間ということはまだ明確に話し合いがついていない。たとえばこの交付税税率がうんと大幅に上がるような場合には、その中に含まれるかもわからないし、あるいは地方財政全般を検討中だから、それが根本的に解決すれば、その中で消滅していくかもしれないというばく然としたものですか。そういう正解でいいのですか。
  28. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方財政現状にかんがみまして〇・三%相当額の地方財源の追加が行なわれたわけでございますので、地方財政現状が特に変わりません限り、財源としては必要だと思うのでございます。将来どういうような結論をたどるかということにつきましては、今お話のございましたように、いろいろな問題とあわせて検討されるということになっておるわけでございます。
  29. 濱地文平

  30. 渡海元三郎

    渡海委員 合併後、大体年数が経過いたしたのでございますが、今度の交付税法の提案理由説明の中に、合併によって地方交付税上の特例措置が設けられておったその割り増しがだんだんと減少して参りますので、その分は市町村財源の総体的な充実をはかる方向においてこれを確保する。そのために、「その他の諸費」の「人口」及び「面積」を測定単位とするものにかかる単位費用引き上げる。こういうふうに説明されたのでございますが、その総額は大体どのくらいになるのでございますか。大体の金額がわかっておりましたら承りたい。
  31. 奧野誠亮

    奧野政府委員 市町村の今お話しになりましたような基盤強化のための費用として三十八億円を予定しておるわけであります。
  32. 渡海元三郎

    渡海委員 市町村を総合的にながめるという観点から、合併の残渣を取り去るという意味からは合理的な改正であろうと思うのでございますが、市町村の中には、いわゆる不交付団体が相当多数にあると思う。この不交付団体は、そのままこれらの恩典によって救われることなく、年度が経過しましたら、さっそくゼロになってしまうというふうなことが起こるのでございます。もちろん不交付団体でございますから相当の財源もございますし、おのずからそのことはやるべきであろうと思いますが、この間におけるまだ合併によりますところの新市町村計画も十分に行なわれておると申しがたい現状におきましたなれば、そのような経過が過ぎることによって激減する財源のために相当の混乱が起こるのではないか、かように考えるのでございますが、これらに対する措置をいかような措置によって救済されるお見通しか、この点確実なるお見通しを御説明賜わりたいと思います。
  33. 奧野誠亮

    奧野政府委員 交付団体が合併後の年度経過によって地方交付税の額が減ってくるという問題は、合併算定がえによる特典の期間が過ぎるということに帰着するだろうと思っております。従来の個別の市町村ごとで計算して算出された額を合算した場合に、その額の方が多ければその額を交付する、こういたしておるのでございます。これは五年間続ける、こういうことになっておるわけでございます。そこで六年目で合併算定が之を行なわないその結果、交付税が交付されないというようになります場合には、もし合併算定がえが行なわれるとしたならば、どれだけ地方交付税が交付になるか、その金額の半分を六年目におきましては機械的に特別交付税として算出して当該団体に交付したいと考えております。漸次これを縮減していきまして、大体三年間くらいの間はある程度特別交付税による補てん措置を講ずべきものだろう、こう考えておるわけでございまして、三十四年度において合併算定がえの期間が終了した団体がございます。そういう団体につきましては、今申し上げましたような措置を実施したわけでございます。来年度以降につきましても、この方向で特別交付税を運用して参りたい、かように考えております。
  34. 渡海元三郎

    渡海委員 大体わかりました。あらためてお聞きいたしますが、六年目のいわゆる初年度は、大体今までのような計算方法によって計算されました半額を特別交付税で確保してやる。あと三年間引き続いて漸減をしながら三カ年間は見るのだ、こういうように了解してよろしいのですか。
  35. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りでございます。
  36. 加賀田進

    加賀田委員 最後に、大臣がお見えになりませんから政務次官にお伺いしたい。この地方行政委員会交付税法等の改正案が出る前に、大臣としては、市町村間の財源配分の傾斜はこれ以上つけるべきではない、こういう見方をしておった。従って全般の地方財政の援助ということが将来の大きな課題だ、こういうふうに説明されておったように私は思うのです。もしそういうふうにして財政貧弱府県に対して財政援助をする必要があるならば、現在の既定財源ではなくて、改めたる財源をもって援助すべきである、こういうふうに本委員会で言明されたのです。ところが、この交付税改正を見てみますと、ほとんど既定財源の中でなお傾斜を深めていくという方向にこれを打ち出してきているわけです。前の大臣の発言と、この交付税の内容とは相当大きな相違があると思うのです。大臣にかわって、政務次官としてはどう考えるか、あるいは将来なおこういうように傾斜を高めようとする意思を持っているのかどうか、この点を最後に一つ明確にしていただきたいと思います。
  37. 丹羽喬四郎

    ○丹羽政府委員 ただいま加賀田委員からの御質問でございますが、大臣から、これ以上地方団体間の傾斜を強めることはしないという言明があったそうでございますが、この言明は、おそらくは今回の改正案を契機といたしまして、これ以上の傾斜はつけられぬという意味だろうと思う次第でございます。私たち自治庁といたしまして平年考えておりますことは、今日富裕団体と申しましても、非常な人口の増加その他いろいろの行政設備、施設の急激な必要性というような点から申しまして、今日の固有の財源だけではまだまだ足らぬという気持を持っている次第でございます。一方におきまして、いわゆる後進県におきましては、とても今日の財源では足らぬ。ことに最近の治山治水の緊急な対策の必要からいたしまして、地方費負担の激増が見込まれているというような点からいたしまして、先般の予算折衝の際におきましても、少なくとも道路につきましては、先般の特別会計の際におきまして臨特廃止前と同じように四分の三の国庫負担ということが認められた次第でございますので、少なくとも治水につきましても、そのくらいの要するに国庫負担の増加ということを切に望んだ次第でございますが、国費等の需要増加の関係上、ただいまいたし方なくその点は一応留保した次第でございます。また一方、未開発地帯の開発のための需要の増大に伴いまして、国費負担の増ということをしなければ、未開発地はどうしても早急に開発ができぬということは痛感している次第であります。一方、今日まで与えられました財源だけでは不足でございますが、富裕府県につきましては、与えられた財源で当分の間がまんをしてもらうということをいたしまして、やはり後進府県につきましては、できるだけ国庫負担をつけてもらいたい。これ以上傾斜をつけまして、富裕府県、いわゆる幾分裕福な団体からこれ以上取ることは非常に無理であろうということを確信しておる次第でございますので、どうかいたしまして国庫負担の増をはかって後進団体の需要の充足に充てたい、こういうように考えている次第でございますので、おそらくは石原長官からの言明は、今回の交付税法の改正、これを最後にいたしまして、これ以上の傾斜はつけられぬ、こういう言明であろうと思う次第であります。
  38. 加賀田進

    加賀田委員 なかなか政務次官もうまい答弁をされています。実は交付税がまだ自治庁、大蔵省との折衝の過程にあって、海のものとも山のものともわからないときにその言明をされたのです。従って、われわれが特にそれを質問したのは、もっと府県間の財政調整をすれば地方財政はある程度いいのだ、こういう大蔵省の見方の中で、自治庁としては、これ以上財政調整ということは、地方自治体間における財源からそれが困難な状態になってくるというような論議の焦点の中で質問したのですから、この交付税が決定された後の市町村間の財政の傾斜の問題ではなかったと私は思うのです。しかし出て参った以上、われわれはこれに対して審議をしなければなりません。  ただそこで、それと関連して今問題になっておりますのは、聞くところによりますと、未開発地域に対する公共事業等の補助金の増額に基づいて実質的な傾斜をつけるべきだということで、当委員会においても、各地方公共団体の三十六府県ですかの未開発地域におきましても強い要求があるわけであります。聞くところによりますと、これは三十六年度から実施してもらいたい、本年度の予算には関係ないのだ。こういうことで、今度の国会でこの法案提出するようにわれわれも要求しておったのですが、いまだに出てこないのです。これは一体今度の国会で出す意思があるのか、あるいは大蔵省ががんとしてかぶりを振っていうことを聞かないから、あきらめて次の国会に出そうとする態度をとっているのか、なお折衝中なのか、その点を一つ明らかにしてもらいたい。これは今後の交付税審議に大きな関連性があると思うので、自治庁としての決意を聞くと同時に、大蔵省自体の考えも、この際明らかにしておいていただきたいのであります。
  39. 丹羽喬四郎

    ○丹羽(喬)政府委員 ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては、三十五年度予算につきましては、すでに大体決定を見て、衆議院もすでに通過したことでございますので、私どもといたしましては、精算による方式によりまして、どうかいたしまして三十五年度の中におきまして、この未開発地域の国庫負担の増というあの法律を出したい、こういう気持におきましては、ただいまも変わっておりません。ただいろいろ折衝過程がありますので、ただいまあるいは九州地方の開発であるとか、その他各地方の開発案というものが出て参りまして、それらとのからみ合わせでどういうふうになるかということがただいま論議をされている次第でございますが、自治庁といたしましては、あくまでもこの国会におきまして、未開発地帯における開発促進の公共事業の国庫負担の逓増方式による国庫負担の増額ということの望みは捨てておりません。どうかこの国会中におきまして結論を得たいとせっかく努力している最中でございます。
  40. 大村筆雄

    ○大村説明員 ただいま御質問のございました財源調整並びにそれに関連しましての未開発地域に対する国庫補助金の特例の問題でございますが、現在の地方財源の与え方の仕組みは御承知の通りでございまして、ただそこに非常に大きな問題がございますのは、標準税収入に対して八割とか七割を基準財政収入として見込むという点でございます。たとえば百五十億もある標準税収の団体と十億しかない団体と同じように八割を見込んでいいのかどうかという問題、また基準財政需要の算定の仕方が、はたして富裕団体と貧弱団体均衡がとれるような算定をなされているかどうかという問題、たとえば今まで富裕県において行政施設水準が相当高くなっておる。こういう高くなっているものを基礎として減価償却方式でもって、それの更新費が見込まれている。ところがそういう行政施設が、今まで財政が貧弱なためにあまりなされていないところに、現状の貧弱なままでの減価償却方式の更新費しか入っていない。そういう見方がはたしていいかどうか。この問題が現在の交付税配分の際の問題の根本的な欠陥として横たわっているということが指摘できると思います。従いまして現在の仕組みでは、標準税収を前提といたしまして、そこで約二千九百億に上る交付税でもって財源調整をやっていく。それによって各団体の財政力を均一ならしめるというシステムになっているわけであります。そういう根本的な欠陥がありますために、財政力が必ずしも貧富間に均一に配分されていない。それをどうして是正するかという問題があるわけです。従いまして、私どもが大蔵省で年来申し上げておりますのは、そういう根本的欠陥の是正について指摘し、また意見を申し上げておるわけであります。そういう現在の仕組みを見ていただきますと、国庫補助金をもって財政調整の機能を付与することは必要ないということになるわけでございます。理屈はそうでございます。ただ自治庁中心といたしまして、未開発地域に対する財源調整の問題を補助金でという案が提議されております。そういう問題につきましては、ただいまお答え申しましたように、まず根本的に現在の交付税配分方式の仕組みに沿っての欠陥の是正というものを検討して、その上でそういう問題が議論されるべきではないか。理屈を申し上げますと、現在の制度は理想からいきましたら、補助金による段階的な差等を設けることは毛頭ないということは言えるわけでございます。ただ全般的に税制調査会とかあるいは地方制度調査会で根本的な税源配分の問題が御議論されている段階でございますので、そういう御結論ともあわせましてこの問題を検討して参りたい、かように考えております。
  41. 渡海元三郎

    渡海委員 関連して。ただいま大村主計官のお話でございまして、地方交付税法は各地方団体間の財源を調整するための目的であるのだ、こう言っていましたが、私たちはそう考えていないのです。たとえば基準財政収入額の七割、八割というような姿でいいかということに検討の要がある、こう言われたのでありますが、地方自治体の一番の本旨は地方自治でございます。国が地方自治団体を自分の方策によって全部を均一化するんだったら、地方自治の妙味、地方自治の本旨というものはどこにあるのだと私は考えざるを得ない。この精神を没却して、地方交付税を単にそのように根本的に考えられるところに私はあやまちがあるんじゃないか、このように思うのでございます。ただいま言われました大村主計官の御議論に対しましては、私は非常に不満な点が多々あると思いますが、ここで問題として取り上げますのは、時間も要しますし、あえていたしません。しかしながら、そのような議論を大蔵省が言われますのでしたら、今回の交付税法の改正の際にぜひとも大蔵大臣にこの委員会に出席していただきまして、根本的にこの問題についてわれわれは解明すべき必要があると思うのでございます。つきましては、大蔵大臣の御出席をぜひ委員長において要望していただきたいことを申し上げて、その席でこの問題について根本的に私たちは議論いたしたいと思います。この点を要求いたしまして終わります。
  42. 濱地文平

    濱地委員長 了承いたしました。
  43. 加賀田進

    加賀田委員 大蔵省が、基準財政収入額の七〇、八〇をもっと上げて、市町村間の財源調整をすべきだと言われましたけれども、それだったら、建設省やあるいは厚生省その他、特に公共事業に対する予算単価と実質単価の相違というものはどこで負担しておるか、あなた知っていますか。市町村のわずか二割あるいは三割という自己財源の中で、予算単価と実質単価の相違というものを、予算に現われない形として市町村は負担をしておるのです。負担し切れなかったら地方住民に負担させるというようなことで、いわゆる税外負担というものが行なわれてきているわけです。これらの問題をたな上げして、地方団体間の財源調整だけで七割、八割というものをやればうまくいくのだということは、政治全般に携わっておる者としては納得いかない点がある。そういうことであなた方がほんとうに理論的にすっきりとした国政をやろうとするならば、目に見えざる地方公共団体の負担というものをまず解消する。国の責任においてやるものは、国がそういう予算に現われないような地方公共団体、住民の負担というものをまず完全に解消して、ここまで解消したじゃないか、そこでもっと地方公共団体としても財源調整をしてもらいたいという態度をとっていただかなければ、自治庁だけに、もっと地方交付税配分適正化せよ、未開発地域に対する国庫補助の率の引き上げというものはそれからだ、こういうようなことを言うのは、自治庁だけにすべての責任を転嫁することになるのであって、大蔵省自体も考えていただかなければならぬ点もたくさんあると思う。ここで論議しましても決定されないと思いますが、今、渡海委員も言われましたように、大蔵大臣に最高責任者として出ていただいて、これらの問題に対しては最後まで明確にして問題を解決していきたいと思います。その点をはっきりしなければわれわれとしては交付税法の改正というものは通せないと思います。ですから、きょうお帰りになったら、大蔵大臣にぜひ出てくるように要請してもらいたいと思います。
  44. 大村筆雄

    ○大村説明員 ただいま私の答弁に対しまして御注意をいただいたのでありますけれども、私、先ほど基準財政収入の算定に問題があると申し上げましたのは、実はこういうことでございます。たとえばある団体基準財政需要額が五百億なら五百億の基準財政需要額団体があるといたします。その場合に、片一方の団体標準税収入が百五十億ある、片一方の団体は十億しかない。その場合に、たとえば二割なら二割が自主財源として保留される。その場合に、同じ基準財政需要額団体でありながら、片一方は三十億が保留される、片一方は二億しか保留されない。これで同じように地方自治を守れということが言えるのかどうか、そういう仕組みでいいのかどうか。その調整のための一つの案としては、大蔵省は従来八割、九割ということも実は申し上げたこともあるのでございますが、その根本的な問題は、今申し上げましたように、同じ基準財政需要額団体でありながら、保留財源金額が三十億と二億というような差があっていいのかどうか、その問題の指摘として実は申し上げておるわけでございます。
  45. 濱地文平

    濱地委員長 ほかに御質問はございませんか。——なければ本日はこれにて散会いたします。     午後零時七分散会