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1960-03-01 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月一日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君    理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君    理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君       相川 勝六君    金子 岩三君       亀山 孝一君    鈴木 善幸君       高田 富與君    津島 文治君       富田 健治君    三田村武夫君       山崎  巖君    川村 継義君       佐野 憲治君    中井徳次郎君       安井 吉典君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      後藤田正晴君         大蔵政務次官  奧村又十郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁長官官         房調査官)   大村 襄治君         総理府事務官         (自治庁行政局         公務員課長)  今枝 信雄君         総理府事務官         (自治庁税務局         府県税課長)  降矢 敬義君         総理府事務官         (自治庁税務局         市町村税課長) 鎌田 要人君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 二月二十九日  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第八  二号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政に関する件(昭和三十五年度地方財政  計画)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件につきまして調査を進めます。前会に引き続き、昭和三十五年度地方財政計画に関する質問に入ります。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 地方財政並びに税にも関係が出てくるかと思いますが、お尋ねをいたしたいと思うわけであります。初めにことしの政府予算編成に関連いたしまして、地方財政計画ができたわけでありますが、新年度地方財政方向につきまして、この間の予算編成の中からだいぶ改善されたような面もあるわけであります。しかしながらわれわれがこれこそ重大な問題だと思っていたようなものがまだまだ宿題になって残っておるというふうな気がするわけであります。去年の暮れからお正月にかけまして、自治庁大蔵省とがきわめて手に汗を握るような大熱戦を広げまして、予算の最後的な数字が固まったというふうに聞くわけでございますが、自治庁として大体においてうまくいったとお考えなのか、それに御満足なのか、そういったような点についてのお考えから一つ伺いたいと思います。これは政務次官から一つ……。
  4. 丹羽喬四郎

    丹羽(喬)政府委員 ただいま安井委員からの御質問でございますが、先般の予算折衝の点につきましては、私ども極力地方財政確立健全化を目ざしまして大蔵当局と折衝いたしました。ことに住民税減収補てんの問題につきましては、今日の地方財政のまだ充実をしていない状況にかんがみまして、極力国費の支出による補てん考えまして、百二十二億の減収に対する全額補てんということで折衝した次第でございますが、国の都合もございまして、決して満足しているというわけではございませんが、やむを得ず今回はいわゆる交付税の〇・三に相当する二十九億何がしという額で一応やむを得ぬということで引下がった次第でございます。地方財政全体につきまして、ことにまだいわゆる行政水準の低い後進地方につきましては、まだまだ財源の必要を非常に痛感している次第でございまして、決してこれで満足していると思っている次第ではございません。
  5. 安井吉典

    安井委員 今申し上げましたように、全体的な問題の解決のための御努力というのはわかるわけであります。しかしながら、今回きまりましたその内容は、今も政務次官からお話しがありましたように、住民税減収補てんの問題にいたしましても、何か臨時地方特別交付金というような形で、ほんとう臨時の特別な、さらに当分の間といったようなきめがなされて最後的なけりがついたり、あるいはまた固定資産税減収補てんにいたしましても、これも当分の間だ、交付公債の廃止の問題についてもさしあたり措置としてというふうなことであります。だからそういうことからいいますと、ほんとう臨時の、当分の間の、さしあたりの、そういったようなまくら言葉のつくような昭和三十五年度地方財政計画だといったような気がするわけであります。もちろん私どもも、その予算を獲得するための自治庁側の御苦労というものもわからないわけでは決してありません。しかし、ほんとう地方財政地方自治が将来どういうふうに心配のない方向に進むかということを考えますと、今回の地方財政計画最大欠点は、長期見通し計画性に欠けているというところに一番大きな欠点があるように思うわけであります。そこでそういう最大欠点とでも申すべき長期見通しだとか、計画性だとか、そういうようなものを今後においてどういうふうにお立てになろうとお考えになっていらっしゃるか、その点一つさらに政務次官から伺いたいと思います。
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽(喬)政府委員 ただいま安井先生からの、非常に地方財政を御心配いただきましての御懸念でございます。ごもっともと存ずる次第でございます。先ほど来の御質問の当分の間という点につきましては、私どもも同感でございます。しかしながらこの当分の間というものは、近く中央、地方を通じまして税制根本的改革をしようということになっておりまして、税制調査会におきまして国税、地方税のあり方というものにつきまして根本的の改革をしようということになっておりますので、それまでの当分の間ということでございます。その際におきましては、私ども地方財源確立のために、できるだけ地方健全化のために財源付与ということを考えていかなければならぬ、こういうふうに考えている次第でございます。それまでの当分の間というふうに御了解いただいていてけっこうではないかと思う次第でございます。  さらにまた将来の地方行政水準確立、あるいは地方団体財政健全化というような点につきましては、いろいろ問題があるわけでございます。一例をあげますと、よくたばこ消費税譲与税化というようなことも唱えられていた次第でございますが、これらの点につきましては、いわゆる富裕府県と申しましても、大都市におきましては年々人口が非常に急激に増大しておりまして、東京都のごときは三十万ずつつもふえていく。地方の大きな都市以上にも伸びてくる。そういう点の水源地の問題、交通路の問題あるいはまた屎尿処理の問題、その他緊急やらなければならない仕事もたくさんございますので、それがために決してただいまの財源で富裕であるとか、余っておるというわけには参りませんので、やはり独立財源として与えられましたものはそのままにおきまして、もう一つしからば後進県と申しますか、後退した地方団体につきましては、新たなる財源をぜひ当分の間でも付与いたしまして、そして後進団体の方の財源確立もはかりたいと思っている次第でございます。私どもといたしましては、とりあえずの問題といたしまして、いわゆる未開発地帯における開発の促進のために国庫補助率漸増的増大というような案をただいま自治庁といたしましても考案をしているところでございまして、ぜひとも後進県財源付与につきましても格段の努力をいたしまして、できるだけ不安のなからしめるように、そうして早期に行政水準確立を見るように努力いたしたい、こう思っておる次第であります。  それからもう一つ、ただいま交付公債お話がございましたが、御承知のように交付公債は私ども全額廃し、普通債方法によることを主張した次第でございますが、財政の事情もございまして、特別会計分の約百六十数万円でございますが、これらは一般起債と切りかえるということに大体成功いたしました。残りの一般会計分と申しますかの四十五億だけがただいま残っている次第でございます。これも漸次解消の方向に向かっているところでございます。これを来年度にはぜひ普通の起債方法によるか、あるいは財源の余裕がございました場合にこれを現金償還方法によらしめるか、現金拠出方法によるかということにいたしまして、漸次解決して参りたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
  7. 安井吉典

    安井委員 政務次官から一通りの見通しについてのお話があったわけでありますが、ただ長期見通しに立ってはどうなるかということになりますと、これは税制調査会があるのだからそのときまで、そういうところでお逃げになるわけであります。おそらく今度の地方財政計画のどこをお聞きいたしましても、やはり長期はどうなるのかというと、いや税制調査会——何もかも隠れ家一つできているような気がするわけです。これはもう自治庁だけじゃなしに、大蔵省質問にあたっては何もかもそれでお逃げになるようでありますが、それだけ大きな期待が持たれている税制調査会が、それだけの期待を全都満足できるような結論に将来到達することができるかということになると、これは大へん疑問だと思うわけです。それらの立場から私は、それを待つということじゃなしに、税制調査会の中におきまして、将来地方財政をどう持っていくかという意欲的な問題を打ち立てるという方向にこそ今のうちから御努力を願わねばならぬ、こういうことでなければならぬのじゃないかと思います。そういうことでなければ、ただそこまで行けば何とかなるだろうということではいかぬと思います。そこでこれからあと、今度の地方財政計画の中でのいろいろな問題点についてお尋ねをして参るわけでありますが、現在までのいろいろな質疑応答の中でだいぶ尽くされた面もありますので、なるべく重複しないようなことで進めて参りたいと思います。  第一番目に減税補てんの問題でありますが、今のお答えの中にもありましたように、臨時地方特別交付金なるものの制度ができたわけでありますが、ここでも当分の間という言い方がされている。その税制調査会はいつごろ当分の間の終着駅がくるわけでしょうか。その点いつごろなのかということ。それまで〇・三%で補てんするというお考え方はそのままでいかれるおつもりか。その点についてお答え願いたいと思います。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 臨時地方特別交付金制度をいつまで続けるかというようなことについては、別段政府内で話をきめたわけのものではございません。しかしながら、国、地方を通ずる税制改正の問題を三十五年、六年にわたる審議の結果、三十七年には結論を出して実行に移さなければならぬわけですから、その際には、これを恒久化するか、あるいは廃止して他の税を与えるかというような問題も当然議論になってくるわけでございますので、その際にはいずれかに踏み切るべきものであろう、かように考えておるわけでございます。
  9. 安井吉典

    安井委員 そこで私、不思議に思うわけなんですけれども、そこまでいっても、これは法律は国会がきめるわけでございます。ですから、そのときになって変えても差しつかえないわけですから、その際に、このような臨時地方特別交付金ですか、まぎらわしいようなものをお作りにならないで、地方交付税法改正で、〇・三%は私は少ないと思うけれども、それでもいいから堂々とお出しになるべきでなかったかと思うのですが、どうですか。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自治庁なり地方財政立場から考えて参りますと、やはり恒久的な姿として財源を確保したかったわけであります。しかし国庫財政立場から考えますと、しばしば大蔵省事務当局が申しておりますように、地方財源が非常に豊かになってきている。そういう際に補てんの必要がないじゃないか、こういう考え方も実はあるわけであります。そういうところからあえて主税の〇・三%相当額という、はっきりした金額にまで一応歩み寄りができたわけであります。そういう点から、大蔵省側考え方もございまして、当分の間、必ずしも恒久的なものにきめてしまわないというようなところで妥協ができたというような形になっておるわけでございます。
  11. 安井吉典

    安井委員 妥協というような形になっているから、何か場当たりな、ほんとうさしあたり措置で、交付税にこぶがついたような格好で、きわめてみっともない形だと思うのです。そういうような形でいかざるを得なかったことはほんとうに残念なことだと思うわけでありますが、あくまで交付税でいくなら交付税でいくという形で筋ははっきりすべきだったと思います。ところで〇・三%にいたしましても、当分の間で、三十七年ごろの恒久化の段階までそれでいくということでありますけれども、明年のことを考えた場合に、昨年度所得税法改正によって三十五年度住民税減収になるのを埋めるために〇・三%というような話が出たということになるならば、昭和三十六年度減収補てんの問題については、この〇・三%をそのままでいくということはおかしいと思うのです。といいますのは、昭和三十四年度所得税については四月から十二月分の計算で行なわれているはずですから、九カ月分のはずです。ところが三十六年度でわれわれ住民税の問題にぶつかったときには、十二カ月分が問題にならなければいけないと思うわけですが、その割合の問題についてどうでしょう。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 減収額全額補てんするということになりますと、百二十二億円にも上るわけでございます。交付団体だけで見ましても六十数億円に上るわけでありますから、そういうことを総合的に見まして〇・三%という金額がきまって参ったわけであります。またその間の過程におきましては、地方債を増額して国が元利補給するという考え方がございましたし、あるいはまた国が補給をするにいたしましても、絶対値できめて三十億に縛りたいという考え方もございました。しかしわれわれといたしましては、先ほど安井さんの御指摘になりましたように、あくまで地方交付税増率というような形で問題を解決したかったのであります。その結果、いろいろ議論したあげく、結局地方交付税増率と実体的にはひとしい姿すなわち将来三税が伸びました場合には、主税の〇・三%相当額地方団体に追加して与えられるというようなことになるわけでございまして、そういうところからこの金額がきまったような次第であります。
  13. 安井吉典

    安井委員 今私の質問に対するお答えの中からでも、さらに私どもこの三十億あるいは〇・三%というものの意味のなさとでもいいますか、筋の通らなさとでもいいますか、そういうものをつくづく感ぜざるを得ないわけであります。これは自治庁大蔵省の、あるいは政府部内のこれらの話し合いいかんによって、全国都道府県なり市町村なりは非常に大きな影響を受けるわけです。そういうような場合の話し合いが、何かやくざのけんかの仲直りみたいな形で話し合いができたということは、これは国の財政の上からも、あるいは地方財政の将来を考えても、非常に残念なことだと思うわけであります。だから少なくも話し合いの筋を通すというようなことなら、やはり明年度はもう少し、その〇・三%に幾らかでも筋を通すという意味から、この所行税額の四分の三じゃなしに、四分の四という形の補てんをさらに大蔵省に要求される、〇・三%をさらに引き上げるというようなおつもりはありませんか。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほども申し上げましたような両論のある経緯からきまってきた問題でございますので、そういう考え方を持っておりません。むしろ機会がありますならば私たちは恒久的なものにはっきりしたい。あえて三十七年を待ちませんでも、できるならいろいろな制度改正機会には、地方交付税税率引き上げというすっきりした姿にしたいという希望は多分に持っておるわけであります。
  15. 安井吉典

    安井委員 それにいたしましても、幾らかでも筋が通るような形にするのならば、もう少し話し合い内容を、新しい方向に持っていって地方財政幾らかでも貢献できるような方向——これは不幸な話し合いですけれども、その結論だけでも幾らかでも前進されるようにお進め願えればと思うわけであります。  ところで、そういうような形で三十億円が出てきたわけでありますが、そういたしますとこの三十億円はどういうように配分をしようとお考えになっておられるか、その点を一つ
  16. 奧野誠亮

    奧野政府委員 法案に示しておりますように、地方交付税特別交付税の例によって配分いたしたい、かように考えているわけであります。特別交付税配分するにあたりましては、いろいろな事象をとらえまして配分額を決定していくわけでありますが、その中に住民税減税に伴いまして、特に減税が困難であるにもかかわらず、なお減税をしてもらいたいというような、言いかえれば住民税個人所得割について、第二課税方式のただし書きを採用しているような市町村、こういう地域については、ある程度減税をした場合には、減収額の一部を補てんするというような種類の項目を加える必要があるのではないかと考えているのであります。そうやって、全体的に特別交付税が増額になったような形において、個々の団体に対する配分額を決定をしていきたい。そしてそのうち特別の部分について臨時地方特別交付金による配分額というような定め方をすればよろしいのじゃないか、かように考えておるわけでございます。要するに従来の特別交付税とこの臨時特別交付金とを一体として運用していきたいというふうに考えております。
  17. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、交付税の中の特別交付税とどんぶり勘定に一応してしまって、しかし使い方においては区別をしていく、そういうお考えですか。
  18. 奧野誠亮

    奧野政府委員 大体そういうような方向です。
  19. 安井吉典

    安井委員 私は、この交付金の生まれからいいましてもあまり芳ばしい生まれ方をしたわけではございませんけれども、しかしながら一応そういうような形で生まれた以上は、やはりこれを幾らかでもよりよい形に育てていかなければならない、そういうふうに思うわけです。そのためにはやはり今日の地方財政のきびしい中におきまして、何とか住民のための減税をしなければいけないというふうな、そういうふうな団体に必ずそれが配られる、そういうようなことでなければならないと思うわけでありますが、そのように現実減税への穴埋めという形で必ずできるというお見通しをお持ちですか。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりましたように、やはりほうっておけば減税が困難だというような地域もあるわけでございます。しかし減税をしてもらうというような建前で税制改正も行なわれて参るわけでございますので、そういうような地域については、減税を可能ならしめるようにこの臨時地方特別交付金を生かして使いたいという考え方を持っておるわけでございます。
  21. 安井吉典

    安井委員 現在の住民税制度は、もう実に複雑な姿にあるわけです。ですからオプション一の場合にはこれは問題がないにいたしましても、その他の方式の場合には、これは単に準拠率を引き下げるというような法律をきめようときめまいと、それが無関係に実際の課税が行なわれる、そういうふうな姿であるわけです。従いましてこのような複雑な現在の地方、特に市町村でありますが、それとこの必ず減税をさせるという御方針とをうまくどういうふうにマッチさせていかれるか、それについての具体的なお考え一つ伺いたいと思います。
  22. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように地方交付税計算に当たりましては準拠税率につきましても、引き下げられた後の金額基準財政収入額に算定されて参るわけでございます。従いまして自動的に減収額は相当部分普通交付税補てんされている、こういう姿になって参るのです。従いまして、そういうような考え方は十分に通達等をもちまして徹底させていかなければならないと思いますが、しかしなおそれに加えまして、減税を実施した団体につきましてはその一部補てん意味において臨時地方特別交付金を交付するというような交付金配分の原則を立てて参りますと、一そう減税がやりやすくなるのじゃないか、こう考えておるわけでございます。そういうような二段がまえで負担緩和措置が実行されるように持っていきたい、かように存じているわけであります。
  23. 安井吉典

    安井委員 私はこう思うのです。必ず減税が行なわれて、それを見届けて補いをつけるという方法——現在すでに市町村条例をもってきめております。それを具体的に昭和三十五年度からこうしますという条例の変更と改訂を行なった場合に、そうなりますと、行なえばそこで具体的な数字が出てくるわけです。そういうような形においてこれに今の交付金を充てていく、そういうふうな方式はどうでしょうか。それはどういうふうにお考えですか。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 大体お考えのようなことを考えておるわけでございます。現実税率を引き下げる、そういう団体につきまして減収額の一部を補てんするというような方式地方団体に連絡して参りたい、かように考えております。
  25. 安井吉典

    安井委員 そこでもう一つ問題になりますのは、不交付団体に対する同じような問題があるわけです。それについてはどういうふうなお考えでしょうか。
  26. 奧野誠亮

    奧野政府委員 不交付団体減収額につきましては、別段特に補てんをするというような考え方は持っておりません。
  27. 安井吉典

    安井委員 ただ私、今のお答えの中でちょっと心配になりますのは、われわれがここで税の問題を考える場合には、地方財政という見地から考えなければいけないことが一つと、もう一つは、やはり住民負担というと面から考えなければいけない。その場合において、不交付団体の場合にはこれは何も考えてくれないということになって——交付団体にもピンからキリまでありますから、そういうようなことでもし減税措置が行なわれないということになりますと、これは住民にとって不幸だと思います。だからあくまで住民負担を軽くするという方向において、不交付団体についても交付金をやるということもあるかもしれませんけれども、もっと具体的に何か方策がないか、お考えになっておりませんか。
  28. 奧野誠亮

    奧野政府委員 不交付団体はおそらく課税方式といたしましても第一方式を採用しているだろうと思います。税率を据え置きます限り自動的に減税になっていくわけでございます。従いましてそういう団体におきまして住民負担が軽減されるということはまず間違いない、かように考えてよろしいと思うのであります。そうなりますとその次に、地方団体財政状況がどうなるか、補てんの必要があるかどうかということになるわけでございますが、不交付団体でありますと、一応計算上は超過額が出ておるわけでございますので、必ずこれを補てんするという措置をとるには及ばないのじゃないだろうか、かように考えておるのであります。
  29. 安井吉典

    安井委員 いずれにいたしましても、それらの御指導というものは、住民の直接のふところの問題に焦点を置いた考え方一つお進めいただかなければならないというふうに思います。今大村主計官もお見えでございますが、肝心の今の補てんの問題と、少し話の方が先に進んだあとでお見えになりまして、話が少しあと戻りするようなことになるわけでありますけれども先ほどこういう話をしていたわけです。  昭和三十四年度所得税減税は、一年分の四分の三額について行なわれているわけです。そういうものを基礎にして百二十二億だの何だのというふうな話が出まして、この間うちの予算でのちょうちょう発止としての戦いがあったと思います。ところが昭和三十六年度以降を考えた場合には、その年になりますと所得税はもう四分の三額じゃなしに、一年まるまるの分の減税という問題になってくるわけですね。ですから百二十二億というその数字はもっとふくれた形に当然なっているべきだと思います。そういうところで論議が進められなければならないと思うわけでありますが、その意味におきまして今度の交付金の〇・三という数字を三十六年度以降においてさらに再検討するお気持はないのかどうか、その点大蔵省としてのお考えを伺いたい。
  30. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 お答え申し上げます。住民税減税に伴う減収補てんの問題につきましては、前回も御説明申しましたように、累進的の税率の適用に伴う実質的な増税を減税という格好で負担を軽減していくという考えに立ってやっております関係上、そういう見地からやる減税につきましては、これは国税、地方税といわず当然自主的にやっていかなければならぬものかと思います。しかし地方団体におきましては財政的に非常にいろいろな団体があるわけでございまして、中には自主的になかなかやりにくい団体もあるかと思います。そういう見地で、初年度にあたりまして特に団体財政力を勘案いたしまして、公約減税の実施を円滑ならしめるために、〇・三%に相当する約三十億円というものを臨時地方特別交付金として計上いたしたわけでございまして、これが平年度化いたしました場合においても、特にこの率を変えて増額するということは考えておりません。
  31. 安井吉典

    安井委員 私は、それはちょっとおかしいと思うのです。昭和三十五年度の問題として今の論議がなされたわけです。だから昭和三十六年なり三十七年なりにおいて、そう毎年変わるわけじゃありませんが、つまり四分の三時代と平年度化された時代とでは話し合いの変わってくる余地が十分にあると思うわけです。そういったような点今後さらに一つ御検討を願っておかなければいけないと思います。きょうはそればかりやっていると時間がありませんし、話がずっと進んで参りましたので、これ以上この問題について追及いたしませんけれども、これは一つ十分にお考え置きをいただかなければならないと思います。  次に固定資産税減収補てんの関係でございますが、これもやはり当分の間ということで地方財政法の改正がなされているわけでありますが、この当分の間はやはり同じことですか。
  32. 大村襄治

    大村(襄)説明員 お答え申し上げます。同じことだという前の点ちょっと聞き漏らしておったのですが……。
  33. 安井吉典

    安井委員 税制調査会がさっきは当分の同の終着駅だというお答えですから……。
  34. 大村襄治

    大村(襄)説明員 そういう意味では同じように考えております。
  35. 安井吉典

    安井委員 固定資産評価制度調査会の作業が進んでいるようですが、それと関連させるというお考えはないですか、その当分の同という意味において。
  36. 大村襄治

    大村(襄)説明員 固定資産評価制度調査会におきましては評価の関係を審議しているわけでございますが、その調査会の現在までの方向におきましては、これによって税負担そのものに変更を加えるのは適当でないというふうな方向が出ておりますので、必ずしも今の問題とは関係を持たないというふうに考えております。要するに、税制調査会におきまして地方税制全体について新しい方向が出ましたならば、それとにらみ合わせてこの問題の決着をつける、こういうふうに御了解を願います。
  37. 安井吉典

    安井委員 税制調査会は、これは大蔵省自治庁の両方に関連があるだろうと思うんですが、一体現在どういうふうなところまでいろいろな調査なり審議なりが進んでいるのでしょうか。
  38. 大村襄治

    大村(襄)説明員 税制調査会は昨年の四月に発足いたしましたが、大体昨年一ぱいは総会を数回開きまして、全般にわたる事柄につきまして検討したわけでございますが、昨年の末から三つの部会に分かれまして、それぞれの専門部門について検討をしております。概略申し上げますると、第一の税制一般の部会におきましては、租税負担の全般の問題、それから税法の簡素平明化、そういった問題を主題といたします。第二の部会であります企業課税部会におきましては、企業に対する税負担の問題、特に法人、個人の負担の均衡の問題あるいは企業資本充実の観点からする税制のあり方の問題、そういった点を検討しておるわけでございます。第三の部会であります税源配分の部会におきましては、国税、地方税を通ずる税源の配分のあり方の問題を検討いたしておるわけでございます。地方税制といたしましては、今申し上げました三つの部会のいずれも関連を持つわけでございますが、特に第二の企業課税部会で事業税の問題が密接な関連があります。第三の税源配分の部会におきましては、これは国税、地方税を通ずる税源の配分のあり方を対象とするので、きわめて密接な関係を持つわけでありますが、税源配分部会におきましては、現在のところ地方財政のあり方の問題と量の問題、その観点を検討しておりまして、続きまして各税目について今後検討を加える、そういうふうな状況に現在あるわけであります。
  39. 安井吉典

    安井委員 すると、今までのところは中間的な答申は出ていないのですか。
  40. 大村襄治

    大村(襄)説明員 ただいまのところは中間的な答申は出ておりません。
  41. 安井吉典

    安井委員 固定資産評価制度調査会の方は出ておるそうですね。
  42. 大村襄治

    大村(襄)説明員 正確に申し上げますと、中間的答申ということには当たらないわけでございまして、固定資産評価制度調査会は、同じく昨年の春設置されましたが、昨年じゅう全般的な問題について検討を加えまして、昨年末の総会におきまして、大体の大きな問題点についての考え方を取りまとめて発表したわけでございます。その中にはまだ委員の間で意見が一致しないために、この問題に対する考え方は必ずしも一定しないでおる分もございますが、大筋のところ今までの総会の議事をまとめて発表した。今後各部会で検討して具体的にきめるわけであります。
  43. 安井吉典

    安井委員 税制の問題は非常に重要で、われわれも関心を持たなければいけませんので、税制調査会あるいは固定資産評価制度調査会のそういったような決議なんか、資料としてわれわれにもお配りを願いたいと思います。固定資産税減収補てんの問題につきましての補てん方法は、これまた住民税に劣らない不自然な形で処理されております。これは今となって言っても、もうあとの祭かもしれませんけれども、一応起債で埋めてあとで元利償還金で戻すというような、実にこれまた減収補てん金に輪をかけたようなおかしな形で処理されるというわけで、こういう形ではやはり筋が通らない、そういうふうに思います。そこで私もこれをいつも申し上げているわけでありますが、こういったような一時糊塗的な方法ではなしに、あくまでも抜本的な対策こそ必要なんだと繰り返し繰り返し申し上げたいわけです。ですから前に主張いたしておりましたような減収補給金、住民税と同じような形で出すのなら、これも幾らかは話が通ったのかもしれませんけれども、それもできておらないで、去年の繰り返し、そんなような形でお茶を濁されたというような形です。これはもらう方にしてみればどっちにころんでも同じことかもしれませんけれども、しかしこれはやはり国の政治の筋を通すという上からおきまして非常に残念なことだと思います。そこで一番根本的な問題は、固定資産税の超過課税をなさなければいけないといったような地域、これは特に北海道が多いわけでありますけれども、そのような特殊の環境のもとでは住民税も例外なしに超過課税が行なわれておる。そういうようなことであります。これに対しては、あくまでそれらの超過課税が行なわれなくても済むような、そういう財政措置こそ一番抜本的な対策として望ましいわけであります。それにつきまして、どういうふうにお考えでしょうか。
  44. 大村襄治

    大村(襄)説明員 御指摘の通り、現在のところ、北海道の市町村におきましては、超過課税等の住民負担が多いという事実はあったと考えられます。今後におきましてこの点をどういうふうに解決するか、これはまさに先ほど質問になりました税制副査会あたりの重要な使命であろうと思うわけでありますが、私どもといたしましては、各種税制につきまして、できるだけ普遍的な税制地方団体に適用して自主的な財源を増強するという方向で検討を進めて参りたい、さように考えている次第であります。
  45. 安井吉典

    安井委員 そういうふうな税に対する直接の手もある。しかしこれはやはり財政全般につきまして考えるべきことで、未開発地域は背伸びをするためにそれだけよけいお金がかかるんだし、さらにまた地域が広大であるとか、そのようなことによって当然きわめて出費が多くなる。こういうふうな問題に対して基本的な手が打たれなくてはならないわけです。そういうような意味におきまして、奧野財政局長も、前の私の質問に対しましても、何か一つ抜本的な方策を考えたいというふうなことをおっしゃっておられたような記憶があるわけでありますが、その後それらの言われましたことをどこまで御検討されて今お進めになろうとされておるか、それを一つ伺いたいと思います。
  46. 奧野誠亮

    奧野政府委員 北海道の市町村を見てみますと、開拓農民が自立できるようになっていくまでの間の援護措置といいましょうか、そういうことにつきまして市町村がかなりな財政負担をいたしているようでございます。こういう点につきましては、私たちは、開拓途上にあるのだからもっと思い切った国からの援助措置をとってもらえないだろうかという期待を持ち続けておるわけでございます。たとえて申し上げますと、安井さんも御承知のことで、よけいなことを言って恐縮でありますが、農道補助金をもらってきても、あとはなかなか道路にならぬままでほうりっぱなしになっているのがずいぶんございます。農道というような格好のものでございますから、当然には市町村負担にもならない、交付税計算上は道路の中にあがってこないというような問題もあったりするわけでございまして、もっと思い切った、国があとあとまで道路として使えるような援助をしていくべきなのか、あるいは市町村ほんとうにかぶってしまうのか、そういうような問題もあろうかと思うのであります。従来財政調整制度としての地方配付税時代から考えますと、現在の地方交付税制度になりましてから、北海道の市町村財源はずっと豊かになったと思います。豊かになったわけでありますけれども、なお現状から考えますと、建設途上にあるというような言い方もできるわけでありますので、それだけの財政負担はとてもまかなえないというような問題もあろうかと思っております。そういう意味で、全面的に北海道の市町村財源を充実するという意味で、昨年新たに面積基準によりまして基準財政需要額を測定する方式をとったわけでございます。今回はさらにその単位を引き上げましてそのウエートを一そう高めたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。さらにまた市町村間の格差を縮める。言いかえれば極地の低い市町村の割り下げの率を緩和していく、従って極地の低い市町村財政需要を傾斜的に増額していくというような方式をとったりしたいと考えているわけでありまして、そういうような一連の考え方地方交付税改正案の中に盛り込んでいるわけでありまして、近く国会の御審議をわずらわしたい、かように考えているわけでございます。要するに地方交付税制度におきましても、もっと思い切った財源が増額になります場合には傾斜的な配分考えてよろしいのじゃないか、こういう考えを持っております。もう一つは、やはり国庫負担制度におきまして、開拓地でありますだけに農道のごときものにつきましては、全額国庫負担的な考え方をもっと強く出してもらっていいのじゃないか。また、さしあたりだけでなしに、ある程度固まるまで国がめんどうを見ていく必要があるのじゃないだろうか、こういうことを国庫負担金の点については強く希望を持っているような次第であります。
  47. 安井吉典

    安井委員 大蔵省は、この同じ問題につきましてどういうようなお考えですか。
  48. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問の北海道の点でございますが、北海道につきましては、御承知の通り、公共事業を初め相当高い国庫負担率ないしは全額国庫負担という思い切った負担制度をもって各種の公共事業を施行してこれにかかっておりますが、それにもかかわらずなお地元負担が相当あるという点につきましては、やはり今財政局長から御答弁がございましたように、地方交付税配分を北海道の特殊事情、実態に即して配分できるよう今後も研究を続けていかなければならぬ、かように考えております。
  49. 安井吉典

    安井委員 いつもこの委員会の問答だけで問題が終わるということであっては私は困ると思う。一つ具体的に、しかも真剣に、これらの問題の解決の方向をお進め願わなければならぬ。まだまだ問題は、今おっしゃったようなところだけで解決できると思いませんので、一つ御検討を願い——検討だけではなく一つお進め願わなければいけない、そういうふうに思います。  次に問題を移しまして、今度の地方財政計画の中でも、国と地方地方地方との間の財政秩序の適正化をはかるのだというふうな打ち出しがございます。この問題も、先般来いろいろな方向から触れられておりますが、それにぶつからないような方向お尋ねを二、三してみたいと思うわけであります。直轄事業はすべて国で、地方は補助金なしに地方独自の形でやるのだ、そうしてまた交付公債なんかは全廃するのだ、そういう方向こそ望ましいということを、この間も、たしか石原長官もこの委員会で言われていたと思います。私どもはそういうお話をお聞きいたしましてから、実はもうずいぶん長くなるわけです。お話お話だけでいっも終わっておって、今度の場合もただ交付公債の問題が幾らか解決でさましたり、あるいはまた財政決の改正の中で措置がされるというふうなことだけで実はとどまっておるわけでありますが、一体これを根本的に解決できるのはいつかということです。それに対して具体的に今どういうふうに動かれておるかということが私は問題だと思うわけです。ですから、そういうふうな態勢としては、現在の国の財政とそれから地方財政とをばらばらに全部解きほぐしてしまって、そこでいろいろな角度から両方との関連点を見出しながら数字的な試算をやってみる。そういうような具体的な措置が、これはもう一日も早くとられなければ、将来の見通しなどというものは、ただ大臣が、委員会で、こうでございますというふうな答弁だけで済むという段階に終わってしまうだろうと思いますが、どうなんでしょう。そういう具体的な方向に今向いているのでしょうか。
  50. 奧野誠亮

    奧野政府委員 人それぞれによりまして、公共事業の負担制度をどういうふうにするかという考え方は違っておると思います。ただ政府としては、現在、別段直轄事業を全額国庫負担制度がよろしいのだという結論は持っていないわけであります。現在までに予算化されておりますような方向において運営することが、現状においてはよろしいという考え方に立っております。私たち全額国庫負担制度を申し上げました一番の理由は、数年来直轄事業の分量はどんどんふえております。しかもその一部は地方団体負担することになっておりますにもかかわらず、仕事が終わりましてから、お前のところの負担はこれだけだとツケが回されまして、そのツケはその通りでございますという証書を国に渡すだけになっておったわけでございます。こういうような不合理なあり方は穏当でない。二人三脚で仕事をすることにしておきながら国が独走をしている。国が独走をするのなら、責任の帰属を明確にする意味において全額国庫負担制度をとるべきだ、こういうふうに主張をして参ったわけであります。全額国庫負担制度というものと、交付公債制度廃止という問題は、これは別の問題でございます。交付公債制度を廃止しまして、ほんとうに二人三脚でいくんだ、地方団体が一部を負担するんだ、はっきりその負担額を認可してその負担分を府県の予算に載っけていく、こういう健全な運営の仕方で行なわれますならば、私たちはけっこうだ。事業につきまして地方団体が一部を負担することは別に不当だという考え方は持っていないわけでございます。特に全額国庫負担制度になりますと、地方団体側からは、あれもやれ、これもやれと、ただ事業の拡大のみを求められて収拾をつけにくくなるというような心配も一部にあるわけでございます。私たちは、従来のような運営のあり方であれば、全額国庫負担制度をとって国の責任をはっきりさせてくれ、こういう言い方をして参ったわけでございます。そういう限りにおきまして、私はやはりそういう考え方が正しいと思うのです。しかし交付公債制度を廃止されますならば、今のように共同負担でいくというのも一つの行き方ではないか、かように考えておるわけでございます。
  51. 安井吉典

    安井委員 今の財政秩序の適正化と自治庁が言っている問題について、大蔵省はどうなんですか。
  52. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 現在の基本的な国庫負担制度、あるいは国、地方を通ずる負担のあり方、これは原則的には明治以来の長い原則に基づいて運営されておるわけです。その根底には現在の行財政制度が長い間の伝統として横たわっているわけでございますが、その長い間には制度の一部に多少行き過ぎなりなんなりがあるかと思います。そういう点は自治庁がおっしゃいましたように、財政秩序の確立という点においていじっていく必要があると思います。ただ、ただいま御質問ございましたような直轄事業の全額国庫負担というような点になりますと、たとえば直轄事業、補助事業のあり方、あるいはそれを通ずる国、地方負担制度のあり方、あるいはその前提となる財政制度のあり方というような根本的な問題につながるわけでありますので、そういう問題については別途慎重に検討する必要がある、かように考えております。
  53. 安井吉典

    安井委員 私はそこで考えるわけでありますが、今の奥野財政局長のお話にありましたように、仕手が終わってからツケが回ってくる、そういうような形が現実の姿で、たとえば国が治山治水五カ年計画だとか、まあ前期後期の十カ年計画ですか、道路五カ年計画というふうな大きな計画を掲げて、これは自民党内閣の手柄だというようなことで、どんどん吹聴はされておるわけであります。ところが、実は予算をよく見よすと、地方公共団体負担分というやつが必ずうしろにくっついてきておるというのを今のような表現で言われたのだろうと思うのですけれども、これはちょうど割り勘でおごってやったというのと同じようなわけで、きょうの委員会が終わってからどこかで一ぱいやろうと政府からあわれまして、行ってごちそうになったつもりでいたところが、あくる日に二割お前が持ってくれという割り勘のツケが来る。しかし政府はどこへ行きましても、おれはあいつにおごってやったんだ、この問うんとおごってやったんだと吹聴だけはされておるという形です。そういうような形で、地方団体はいいところだけ政府に吸われて、実際の仕事を押しつけられるというふうな格好ではやり切れないことなんで、ほんとう地方自治の姿を生かす道は、あくまで責任の分野を明らかにして進めていくような方向でなければならないと思います。そこで大村主計官が言われたように、これはもう実に重大な問題で、慎重に検討しなければいけないと言われます。これはごもっともで、先ほど税制調査会お話が出ましたけれども、それよりももっと根本的な問題であり、しかし同時に税制調査会が税の配分をどうするかということを審議するその前提の上に、私はこの行政の再配分というものがなければならないのではないか、そういうふうに思うわけです。その再配分という場合においては、結局その再配分をどういうふうにするかという仕方がもう非常に問題なわけで、だからそういうような再配分方向地方公共団体に都合のいいような方向でやってくれと、黙って大蔵省に預けておいたって、これはおそらくできっこないわけであります。だから自治庁一つ真剣になって、私さっき申し上げましたように、現在の地方と国との負担制度全体をもう全部解きほぐしてしまって、国の財政においてももちろん限度があるわけなんですから、さらにそれを解きほぐしたものを、ああか、こうかというふうに組み立て直すというふうな作業、そういう基礎的な作業を早くお始めになっておらなければ、その場になったんじゃ追っつかない。むろしそういうものをお作りになって、これを一つ各省なり、大蔵省なりにお話し合いをされて、自治庁がそれこそイニシアチブをとって、話し合いをまとめていくという、それくらいの意欲的な作業がなければ、私はいつまでたったって国会の答弁だけで終わるのじゃないか、そう思うわけです。どうでしょう、政務次官、それくらいの意欲を持ってお進めを願いたいと思うのですが……。
  54. 丹羽喬四郎

    丹羽(喬)政府委員 ただいまの御意見でございますが、ただいまのことは行政事務の再配分の問題にも関連する問題でございまして、私どもできるだけそういった方向に向かって進んでいきたいと思っておる次第でございますが、従来の慣習もございますし、慣行もございますし、一挙にそう急激にいくというわけにもなかなか参らぬと思うわけでございますが、できるだけそういう方向に推し進めていきたい、こう思っておる次第でございます。
  55. 安井吉典

    安井委員 もうできるだけというふうな段階は私は過ぎていると思うのです。一つこれは今ここでこうやりますというふうなお答えをいただけないにしても、お持ち帰りになって、真剣に御討議を願いたいと思います。その点一つ要望しておきます。  それから中央と地方との間の責任分野を明らかにするというふうな意味で、都道府県が市町村に対しまして、当然都道府県で負担すべきものであるにもかかわらず、近路とか橋梁とかそういったような問題で市町村負担をかけていくというようなものも改めなければいけないというふうな措置が、財政計画あるいはまた財政法の改正の中で盛り込まれておるようでありますが、その場合において、これはやはり一方に対してその負担を完全にすべしというものに対しての完全な財源付与というものがなければ、これは非常にむずかしいことだと思うのです。その点、どういうふうになっておりますか
  56. 奧野誠亮

    奧野政府委員 本来府県が負担すべきもので、それを市町村に転嫁しておる相当部分をやめてもらいたい、そういう考え方を持っておるわけでございますが、さしあたりやめてもらいたい金額のめどを二十億円ということに置きまして、地方財政計画上の数字をはじいておるわけでございます。同町に地方交付税計算いたします場合に、河川費とか道路費とかいうものにつきましては、ある程度府県の事業でありましても、市町村から負担金が徴収できるということで、地方財源計算いたします場合に、それだけのものを控除しておるわけでございます。この控除をやめますと、それだけ地方財源がふえるわけでございますので、府県のそれらの経費の単位費用を引き上げなければならないわけであります。これらにつきましても、今申し上げましたような方法をとることによって単位費用を引き上げ、その結果、府県に財源が今までよりも増額付与される、こういうことになるわけでございます。さらに別途地方財政法を改正いたしまして、特定の経費については市町村に転嫁をしてはいけないのだという禁止規定を置く、こういう三段がまえで考えておるわけでございます。
  57. 安井吉典

    安井委員 たとえば県道に永久橋がかけられるような場合に、その両側の市町村に、一応県が基準をきめておきまして、その基準によって負担をさせるというふうなことをやっているところがあるようでありますが、そういうのは今おっしゃった初めの部分なんですか、あとの部分なんですか。
  58. 奧野誠亮

    奧野政府委員 現在県の工事あるいは国の工事について市町村負担さしておりますのは、受益者負担金に根拠を置いておるようでございます。さしあたり道路に例をとりますと、市町村から原則として負担金を徴収しないように持っていきたいと考えておりますのは国道だけでございます。この国道だけを考えておるわけでございますが、しかしまだ国道だけにつきましても、建設省では一級国道に限定してほしいという希望を言っておるわけでございます。私たちは一級国道といわず、二級国道につきましても、原則的には国と府県の負担財政等を行なっていくべきであって、たまたま市町村の行政区画にかかっているから、市町村からも幾らか金を出させなければならないという考え方はやめてもらいたい、こう思っておるわけでございます。もちろん例外はございましょうから、例外の場合には自治庁長官の承認を受ければよろしいとかいうような抜け道は作っておいてよろしいと思うのでありますけれども、こういう点につきましても、事業官庁はできる限り市町村からとれるようにしておきたい、私たちはできる限り財政の秩序というものはすっきりしたものにしてしまって、必要な団体につきましてはそれだけに財源手当をちゃんとしていきたいという考え方を持っておるわけでございます。従いまして、道路についていいますと、県道についての受益者負担を排除するという考え方は持っていないわけでございまして、国道について、たまたまある市町村の行政区画にかかっているからといって、その市町村に受益があるということで負担をさせるのはあまり住民感情も好意的なものになっていないじゃないか、しかも国と府県が共同負担をしていくことになるのだから、ことさら三者に負担させるような複雑な負担制度をとる必要はない、こういう考え方を持っております。
  59. 安井吉典

    安井委員 そうすると、国道とそれから河川ですか、河川はどの程度の河川があるわけですか、二十億の範囲は。質問は二十億の範囲ということで、一つおっしゃって下さい。
  60. 奧野誠亮

    奧野政府委員 財政法の中に規定をいたしておるわけでございます。なおまたこまかい点については政令に譲る事項でございます。さしあたり私たちがいいますのは、河川では河川法適用河川と考えておるわけであります。なおこれにつきましても政府部内で異論がありまして、適用河川のうちのさらに直轄事業だけに限ってもらいたい、こういう希望が現にございまして、なお話し合いをいたしておる最中でございます。近路につきましては、一級国道、二級国道といわず、とにかく国道については市町村負担をさせないという建前をとりたい。この点、私たちとしても例外はあってよろしいと思うのであります。それに対しまして事業官庁では一級国道に限定をしてもらいたい、二級国道は市町村から負担金をとるようにしたい、こういう希望を言っておるわけでございまして、なお調整をいたしておる最中でございます。それから海岸砂防に関するものにつきましては、直轄工事に限定をしておきたい、こういう考え方をとっておるわけでございます。
  61. 安井吉典

    安井委員 特に砂防なんかになりますと、下流の河川が埋まるのを防ぐために上流に作るのですから、砂防の堰堤のできた市町村のみが負担をかぶるということは話にも何にもならないことだと思うのです。だから、そういうことでこの措置が今ではむしろおそ過ぎるわけですが、積極的にお進めいただかなければならないと思いますが、そうしますと二十億の範囲ですから、それをどういうところで選択されるわけですか、その選択はだれがするわけですか。
  62. 奧野誠亮

    奧野政府委員 率直なことを申し上げますと、私たちは、今砂防を例におとりになりましたが、何も直轄の砂防工事だけでなしに、国庫負担を受けて行ないます砂防工事全体につきまして市町村から負担金を徴収しないようにするのが筋道だと思います。しかし各事業官庁は市町村から徴収できるような道を残しておきたがるわけであります。そこの話がどうしてもつかない。話がつかないものですから、つく範囲で一つこの制度を出発させたい。しかし法律に書いてあることは精神を出しておるのであります。ただ、たまたま市町村の行政区画に属しておるからといって、一々今までのように受益者負担として市町村から金をとるようなことをやめてもらいたい、またそういう精神を出すことによってそういう傾向に拍車をかけるだろう、こう私期待しておるわけであります。法律ではっきり負担転嫁を禁止しておる項目だけでいこうと二十億にならないと思います。しかしそういう考え方で、たとえば今おあげになりました砂防工事でありましても、直轄工事に限らず、国庫負担を受けて行ないます砂防工事につきましては、なるべく市町村から負担をとらないようにやってもらいたい。またこういう精神を出すことによって漸次そういうことが可能になっていくだろう、こういうふうに私たちとしては期待しておるわけであります。
  63. 安井吉典

    安井委員 まだ具体的なものの決定段階までいっていないようですから要望ということにしておきたいと思いますが、つまりワクがきまっておるとすれば、特定の市町村では負担なしで済むが、ところがワクがないというので別なところは負担をさせられた、同じような相似たケースにおいてこういうことがあっては困ると思うので、その点一つ運用がうまくいくようにぜひお考えを願わなければならないと思います。  ところが、これに関係いたしまして現在の都道府県なり市町村がきわめて多くの外郭団体を持っておる。国も持っておる。おそらく自治庁にもだいぶくっついておるのではないかと思うのですが、大体都道府県なり市町村予算を見てみますと、建設事業にいたしましても、厚生福祉事業にいたしましても、教育事業にいたしましても、もうその項目ごとに何々期成会だとか何々協議会だとかいうのがくっついてないものは一つもないと言っても過言でないと思います。それに対する市町村なり都道府県なりの現実負担というものはどれくらいになるか、おそらく自治庁でもお調べがあるだろうと思いますからそれを伺いたいと思います。非常に大きな額に上っておると思います。ところがそういうようなものは、たとえば河川についての治水関係の全国団体、それの都道府県単位のもの、それから市町村というように上から下までちょうど役所の組織と並行してできておるわけでありますけれども、また負担を、たとえば河川工事の事業量割りに幾ら負担をしてくれとか、道路工事の事業割りにどれだけの負担だとか、そういうようなことで半強制的なというと大げさかもしれませんが、そういうような性格も持っておると思います。そこで今度政府がおやりになる財政法の改正やらそういうような形で、例の財秩序の適正化という表向きのことをなさっても、裏の方でそういうような団体負担というような形で行なわれるということがそのままになっておりますと、これはしり抜けとでもいいますか、そういうような形であります。その点これらの負担金全般の問題についてどういうふうなお考えを持っていらっしゃいますか、それを一つ伺います。
  64. 奧野誠亮

    奧野政府委員 いろんな外郭団体を十ぱ一からげに批判していくことは当たらない。外郭団体でありましても、非常に効果をあげておるところとそうでないところといろいろあるわけです。ただ御指摘になりましたようにいたずらに外郭団体負担金ばかりが地方団体財政支出に大きな割合品を占めてこれを圧迫していくということは好ましくないことであります。そういうこともございまして、財政再建団体でありますと、給付金等の支出につきまして抑制措置をとっていることは御承知の通りであります。一定の割合以上を占めるようになりますと承認を受けなければならないという建前をとることによって、それらを排除しやすいようにいたしておるわけであります。  もう一つ考えなければならないことは、やはり補助金制度というものが、こういう外郭団体の結成に若干役割を不当に演じている向きがあるのではないか、こういう感じを私たちは持っておるわけであります。そういう意味におきましても、なるべく補助金を少なくして地方団体一般財源を与える。外郭団体的な役割を、そういう意味においては不用にするということも可能な面が多分にあろうかと思います。そういう点につきましては、今後とも私たちとしては努力いたしていきたい、かように考えておるわけであります。
  65. 安井吉典

    安井委員 今言われたように、外郭団体でもいろいろあると思います。たとえば全国知事会だとか、町村会だとか、市長会だとか、そういったような組織も十ぱ一からげという言い方をすればそれに入るかもしれません。ところがそういうものを初めとして、もう実に数多くのものがあるわけなんです。再建団体の場合には、いろいろな規制の方法も現におやりになっておられるようでありますけれども現実には一体どのくらいあるのです。この点お調べになったことはありませんか。
  66. 奧野誠亮

    奧野政府委員 外郭団体の範囲のとりようでございますが、団体につきまして若干調べたものがございます。今持ち合わせておりませんので、この次にでもお答えさせていただきたいと思います。
  67. 安井吉典

    安井委員 それのいろいろな資料をお出しいただきまして、われわれにも一つ検討させていただきたいと思いますが、今言いましたように、法律では規制ができないような形で、うしろの方から同じような負担の増高という方向に進むのでは意味がないわけですから、その点一つ御検討願いたいと思います。  次に、ずいぶん問題はたくさんあるのですが、国の公共事業がだんだんかさんでくることにおいて、市町村、都道府県の財政に非常に負担がふえてくるように思うわけであります。現在の政府の治山治水でありますとか、その他各種の建設事業の計画がどんどん進むにつれて、ますますこれが広がってくるような気がいたしますが、今後一体どういうふうなお見通しを持っておられるのでしょうか。
  68. 奧野誠亮

    奧野政府委員 公共事業黄が漸増していく傾向にあることは御指摘の通りでございます。直轄事業の地方負担額も、そういう意味におきましては急激に増加いたして参っているわけでございまして、数年前に八十億前後であったものが、現在では二百四十八億円という巨額に上って参ってきているわけでございます。その他の公共事業につきましても、たとえば道路五カ年評画が現在進行の過程にある、また治山治水計画が作られてこれから始められようとしている。しかし治山治水計画につきましては、国の負担幾らにし、地方負担幾らにするというこまかい作業まではまだ至っていないわけでございます。従いましてそれぞれについて、一定の長期計画が作られていくという傾向になって参ってきておりますので、それらを見ながら、国の財政もそうでありましょうが、地方財政につきましても財源措置をいたしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。一つの目安がはっきり立っていくわけでございますので、財源措置につきましてもある程度計画的な考え方を持つことができるようになるのではないか、こう考えております。いずれにいたしましても、こういう種類の事業は、私たちとしては大いに伸ばしていかなければならないだろうと存じておるわけであります。
  69. 安井吉典

    安井委員 この伸びに伴って地方財政の方も一緒に伸びていかなければならないわけですね。その点うまくずっとスライドしてやっていけるお見通しができておりますかどうか、その点を一つ伺いたいと思います。
  70. 奧野誠亮

    奧野政府委員 毎年度国の予算案と並行して地方財政計画を策定しております。そのことはやはり御指摘になりましたような問題がございますので、地方財政計画を策定して、地方負担の増加額に対応する財源措置ができているかできていないか、またできるか、こういうような作業をいたして参っておるわけでございます。将来の問題でございますが、まだ治山治水の計画がきまっておりませんので、その部分がどうきまるかによって、あるいは地方財政上非常に問題が残るというような議論になるかもしれません。しかし今まできまっております問題に関しましては、特にそれがために地方財政がとても消化できないというふうには私たちは考えていないわけであります。
  71. 安井吉典

    安井委員 ただ、私非常に心配なのは、現在のそのような公共事業の中に、これはたしかこの前門司さんも御指摘になっていた問題だと思いますけれども、いろいろな、一例をあげますと国庫補助職員だとか、そういうようなものの付加給なんかが補助の対象になっていないとか、あるいはその他いろいろ単価の算定が不十分であるとか、そういうようなことが、総額が広がっていけばその差がますます広がっていくわけです。これは今はほんのわずかな差でも、公共事業そのものが伸びていけばいくほどおそらくその差は猛烈な広がりを見せていく、こういうようなことです。これがむしろ非常におそろしいと思うわけです。たとえば公共事業などに関係のある公務員の補助職員というか国庫補助職員、そういうような場合に寒冷地手当だとか、石炭手当だとか、薪炭手当、超過勤務手当、そういったような付加給が補助の対象になっていないものが多いように見るわけでありますが、これはもう全費目についてそうなんでしょうか、あるいはまた特定の費目についてそうなんでしょうか。
  72. 奧野誠亮

    奧野政府委員 義務教育費国庫負担法に基づく職員なんかにつきましては、全体の給与費が国庫負担の対象になっているわけであります。従いまして、ものによってということになるのかもしれません。たしか五万人前後の職員についてそういう問題があるわけであります。
  73. 安井吉典

    安井委員 大蔵省は、大体において今の付加給はつけないで、都道府県なり市町村に持たせた方がいいというお考えに立っているのですか。
  74. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 お答え申し上げます。各省の補助事業に関しまして相当の補助職員がございます。その場合に、財政局長の答弁にもございましたように、義務教育の小、中学校ですと、これは実質額の二分の一が国庫負担になるわけでございます。それからまたほかの補助職員になりますと、これは付加給は国庫補助の対象としないというわけであります。どこまで補助か、それはもちろん補助事業の内容によるかと思います。補助対象の補助基本額、それがどこまでとるかという問題がございますけれども、補助職員の問題につきましては、単価の問題、その他の問題、いろいろ従来問題がございました。こういうような点は、逐次是正して参るということで私たち考えておるわけであります。
  75. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと関連して。今のことで気がついたのですが、自治法の付則の八条の改正自治庁はどう考えるかなんです。これは大蔵省よりも地方自治庁に向きたいのだが、今の国の官吏、自治法の百七十二条ないし百七十五条でしたか、その辺に書いてあったと思うのです。それで付則八条には「当分の間」という字を使っている。原則としては地方の職員にすべきだということを書いて、「当分の間」ということを書いて、そうして施行規程の方にもっていって、厚生省の定員は何人、労働省の定員は何人と定員が書いてあるが、その数が四、五万人になるかもしれませんが、この基本的なものの考え方はどうなんですか。基本的には、法律をこしらえるときは当然地方の職員として昔のような事務分担をするというような、いわゆる国家連帯支弁法というような法律は今ありませんし、そういう形で今まで惰性でやってきておるのですが、法律の原則は、あくまでも地方の自治体が本体だということは付則の八条にはっきり書いてあるのです。だからどうしてもこの辺で付則の八条を改正する必要がありはしないかと考えるのだが、一体自治庁考え方はどうなんですか。
  76. 今枝信雄

    ○今枝説明員 地方自治法付則八条に根拠がございます都道府県に勤務する国家公務員の取り扱いでございますが、この点はただいま御指摘になりましたように本来はその事務並びに事務に従事する職員は、事務は地方公共団体、職員は地方公務員、こういうふうな建前をとることが筋であるかと思います。地方自治法制定当時いろいろと問題がございまして、特に国家的見地から統一的な行政を行なう必要があるものとして労働省関係では所管行政並びに失業保険行政、厚生省関係では社会保険に関する事務、そういう事務そのものが地方公共団体の基幹でございますので、知事に委任をしてそれに従事する職員を国家公務員、こういう形で現在残しておるのでございます。自治庁といたしましては、かねてからこれを名実ともに都道府県の業務に移し、職員を地方公務員にいたしたいということで、機会あるごとに関係のところとお話を申し上げておるのでございます。率直に申し上げまして、政府部内で意見の統一を見るに至っておりませんので、すぐにこれをお話しのようなすっきりした線に整理をするということは、現在では非常に困難な事情にございます。
  77. 安井吉典

    安井委員 付加給の問題は、三分の二補助にするとか、三分の一補助にして職員手当を補助しているのだといっても、実はそうだということです。付加給があって初めてその人の勤務が成り立つのです。ですから石炭手当や寒冷地手当の必要な地域に働かされているところの職員には、やはりそれが予算の中には上されて初めてその人の勤務が成り立つわけです。ですから二分の一補助しているとか、三分の一補助しているということはうそになるわけです。そういうようなことからいっても、これは当然今後の施策の中でもう少し考え直していただかなければならない非常に重大な問題だと思います。特に公共事業その他国の仕事がどんどんふえて、市町村への負担を多くしておる段階におきまして、特にその点お考えをいただかなければならないと思います。  次に地方債の問題、特に交付公債の問題につきましては、しばしばいろいろな立場から論じられておりますので、深く触れませんが、一点だけお伺いをしたい点があります。先ほどからの話し合いの中にもありましたように、国と地方との行政責任の帰属を明らかにするという立場からすれば、交付公債もくそもない。直轄事業はすべて国が負担するのだ。そういうような方向こそが望ましいわけであります。しかしそれができないで、現在までの交付公債という姿でうやむやにやってきておったのを、今回は一応これを特別会計分だけをやめて現金納付の方向に切りかえる。こういうふうな措置がとられたという説明を受けているわけでありますが、ただその場合におきまして二百三億円ですが、その全額が全部地方債に計上されないで、一部が現金納付という形で残っているというふうに私は聞いているわけでありますが、その特別会計分の二百三億に充てる場合に、現実措置として、その起債分と財政計画で見ている現金納付分とをどういうふうに区分けして各団体に割り当てようとなさる御計画であるか、この点一つお伺いいたします。
  78. 奧野誠亮

    奧野政府委員 直轄事業の地方負担分につきましても、やはり一般財源で国に納付していけるような財政状況に持っていきたいわけであります。しかしながら一挙にそう切りかえていくにつきましてもいろいろ問題がございますので、さしあたり百六十億の地方位を用意したというわけでございます。またこういうふうに切りかえるに当りましては、地方交付税制度改正いたしまして、河川費なり道路費なりの基準財政需要額を増額することにしております。その増額いたしました限りにおいては、一般財源で直轄事業に伴う地方負担分を国に納付できるわけであります。そこで直轄事業の地方負担分が河川費なり道路興なりについてきまって参りますと、この額から交付税の河川費に算入されている一定額を差し引いた残りのもの、この分については地方債を認めなければならぬ、あるいは直轄の道路事業費から算定されます地方負担分、これから基準財政需要額の道路費に算入されております一定の金額を控除いたしまして、一定の金額は現金で納付できるはずだ、こういう姓前でございます。その差額について地方債を許可していきたい、こういうような運用の仕方をして参りたいと考えておるわけであります。
  79. 安井吉典

    安井委員 地方公共団体の中でも力の強いのと弱いのがある。その場合に強い団体には全額持ち出しでいく、弱い団体には今の貸し出しでいく。そういうような行き方と、もう一つは、今言われましたように、全体的な地元負担の一定割合で、全部一率に起債分は起債分、現金持ち出し分は打ち出し分、そういうふうな区分けでやる。そういうような二通りがあると思いますが、私が今申しましたあとの方で全部おやりになるというわけですか。その団体財政力には無関係におやりになる、そういうことですか。
  80. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方団体は、時によっては地方税に相当な増収がある、時によってはそうまでもいかないというふうに、団体によって、また年度間によって区々でございますので、なるたけ税収入などの伸びの多いときには、一般財源の中でよけい直轄事業に伴う地方負担分を納付してもらう、そうして将来の荷を軽くしておくという必要があろうかと思いますので、こういう点はもちろん考えていきたいと思っておるのであります。なお不交付団体につきましては計算上の超過額もございますので、超過額の一定金額は控除科目に立てるというような計算をすることによって、地方債額を少なくするというような方法もあわせて考慮して参りたい、かように考えておるわけであります。原則的な考え方を私は最初に申し上げたわけでありまして、団体の納付状況なり交付団体状況なりによりまして、今申し上げたような措置をとっていかなければならぬと思います。
  81. 安井吉典

    安井委員 そうしますと二百三億の百六十億というと大体八〇%ですね。ですから地が負担分の八〇%を一律に起債、として残りは現金負担ですか——そういうような形でなしに、地方団体のそれぞれの力を考慮の中に入れながらきめていく、こういうことですね。
  82. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りであります。なお重ねて申し上げますと、たとえば店準財政需要額において河川費を計算いたします場合には、河川の延長を測定単位にしております。しかし直轄事業は河川の延長にまんべんなくばらまかれるわけではございませんで、特定の河川に集中して事業が行なわれるわけであります。従いまして、直轄事業は年によりまして特定地域に集中する傾きがありますので、ただ単純に八割分が起債が許可されるというわけでございませんで、団体によりましては九五%まで起債が許可される、また許可されなければやっていけないというところもあり得るかと思うのでございます。そういうこともあわせて考慮して参りたいと思っております。
  83. 安井吉典

    安井委員 自治庁の現在までの地方財政の指導の方向が、公債費をできるだけ縮めよう、そういう点に力点が置かれまして、ことしなんかもそのために一般会計への起債額は切り詰めたんだ、そういうような御説明があったわけであります。しかしこの交付公債の問題がワクの中に入ることによりまして、公債費の問題はまた新しい問題を含んできているのではないか、そういうことでありますが、さっきのお話のように公共事業の伸びによってどんどん直轄事業がふえてくる、それに伴って一そう公債費がふえる。また将来においては国の一般会計分についても公債で見るというような方向もこれはおそらくお考えになっているんだと思うのですが、そういうことになりますと一そうふえてくるわけです。もっともこれは一般会計でしょい込まなくたって借金で残っていくということは当然なんですけれども、どちらに走っても同じことかもしれませんが、しかし、はっきりと、公債費が直轄事業の伸びに伴ってふえてくるという問題は現われてくると思うのです。それについての対策はお考になっておりましょうか。
  84. 奧野誠亮

    奧野政府委員 従来の交付公債制度でありますと、全額借金でまかなっていく、それにもかかわらず地方財政計画上に上がって参りませんので、不健全な要素をつけ加えていきながら、財政計画上はそのことを見過ごしてしまいます。そのことが今回はっきり現金納付になった関係から、地方財政計画にも乗っけるわけでございますので、将来の地方財政のことも考えながら、直轄事業の負担金について検討を加えていくことができるようになったわけであります。私たちは二百三億円全部を一般財源で支払えるような方向に持っていきたい、こういう希望を持っているわけでございます。ただ地方団体の規模が小さいわけでございますから、そう言いましてもある程度の地方債を予定せざるを得ないかもしれませんが、しかし、八割も地方債資金を用心しなければならぬことは、これは健全な姿ではないと思っております。将来は直轄事業の分担金がなおふえてくるでありましょうけれども地方債としてはもっと少なくても、地方財政全体としては円滑な運営ができるように一般財源の増額をはかっていきたい、健全な姿において運営できるように持っていきたいという希望を抱いておるわけでございます。
  85. 安井吉典

    安井委員 一般財源がそういうふうに伸びてくれば、これはおっしゃる通りそれにこしたことはないわけでありますけれども、やはり私は、根本的な方向は、幾度も繰り返しますけれども、直轄事業は全部国がやるんだという建前をさらにお進めいただくという方向こそが望ましいので、今後とも一つ基本的な考え方としてそういうことでやっていただかなければならないと思うわけでございます。  次に、給与関係の問題について一つ伺いたいと思います。今度の地方財政計画の中でも、給与費は非常に大きなウエートを占めているわけであります。しかし、それでもなおいろいろな問題が未解決に残っているような気がするわけであります。昨年給与の実態調査が行なわれたわけでありますが、それの結果が、この説明を見ますと、考慮してこうなったのだというふうにいわれているわけでありますが、しかし、あの実態調査なるものは非常に膨大なもので、なかなか十分に目を通したわけでもありませんけれども、あそこで現われている数字がそのまま今度の財政計画の中に現わされたということではないようであります。その間に相当差額が出ているように思うのですが、その点はどうでしょうか。実際人員について、今までは地方公共団体に一体何人職員がいるのかわからなかった、それをはっきりと政府は実態調査によっておつかみになったはずであります。ところが、財政計画の中では若干の増加はされておるけれども、あの調査とは相当大きな違いがあるというふうに私は見るわけですが、どうでしょうか。
  86. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一般職員につきましては、財政計画で取り上げております員数とそうでない員数との区分が必ずしも的確にできないわけでございます。たとえば、企業会計の職員につきましては財政計画上は排除いたしておるわけでありますが、しかし、実態調査の場合にはその建前をとっておってもかなり入り組みがございまして、調査の際において完全に一致させるということはなかなか困難であったわけでございます。そこで、実態調査に現われた数字を基礎にいたしまして入り組みを調整しながら、どの程度充足すれば財政計画との間でぴったり一致するだろうかというようなことで、いろいろ検討しました結果が財政計画に現われておる修正の数字であります。私たちは、この程度の修正によって大体実態に合ってくるだろうという考え方を持っておるわけであります。ただ、御指摘にありましたように、実態調査の結果の数字を調整いたしませんと、その間に相当な食い違いがございます。しかし、それは今も申し上げたようにおのずから対象人員が違うわけでございますので、ある程度の調整はやむを得ないだろう、こう思っておるわけであります。
  87. 安井吉典

    安井委員 昨夜私、これをちょっと調べてみたのですけれども、実態調査では一般職員が百十一万二千人ぐらい統計的に現われております。ところが、計画では、今度だいぶふやしておられるようでありますけれども、九十三万六千人、十七万六千人余りの差が出ております。それから、義務教育職員についても、これは別な統計調査で去年おやりになっておられる。その結果は六十五万人と出ているのが、今度の財政計画では五十五万六千人と、九万五千人の差が出ているわけです。今奧野局長から言われましたような理由は、これはあるとは思います。しかしながら、統計法上による指定統計として政府現実におやりになったその資料なんですからこれはやはりもっと尊重さるべきではなかったかと、私はそういうふうに思うわけでありますが、その修正をなさったという具体的な措置は下からの積み上げか何かでおやりになったわけですか。それともめくら算用で大体この辺かというところだったのでしょうか。あるいはまた財政数字の上から逆算をされたのか、その点はどうなんでしょうか。
  88. 奧野誠亮

    奧野政府委員 率直に申し上げまして両方を使っているといえると思います。実態調査の職員につきまして一応出て参りました数字から、たとえば一般職員の中でも警察事務職員はどれくらいあって、これはのけなければならないとか、あるいは東京都の職員で市町村の職員に属する者、あるいは区に都の職員を配置している場合もありますので、都の職員として上がっておりましても、区、町村職員と見られる者が相当数あるわけでございます。そういうような調整を一面において行ないましたし、他においては既往にさかのぼりまして財政計画上どういうような職員計算をしてきたか、一番のもとはやはり実態の職員を押えておったわけでありますが、その後増減をしております。たとえばいつかの際に地方公務員について定年制を採用できるというような法律案を国会に提案いたしたことがございました。その際にある程度職員数の整理が行なわれるだろうということを財政計画期待をいたしたことがございます。しかしながら、その後定年制が施行されないで済んだ。従って、国が期待をした職員の減というものは現実問題としてはできなかったのじゃないかという置きかえの数字を用いたりいたしております。要するに、一面は実態調査数字を調整する。他面においては、今まで繰り返して参った財政計画上の数字の増減を再検討する。この両方から計算をし直しまして、是正の数字をはじき出したわけでございます。
  89. 安井吉典

    安井委員 その是正は、員数だけではなしに本俸についてもなされているように思うのですが、その場合に一般職員の方の不交付団体の職員については、逆に減額されたような説明になっておりますが、これはどうなんでしょう
  90. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘の通り府県の職員につきましては、交付団体にあっては二百七十三円を増額し、不交付団体にありましては二百十二円を減額しております。要するに実態調査では学歴、経験年数から見まして、もしその人が国家公務員であれば幾らの給与を受けるべきであるか、こういうあるべき給与額というものを算出したわけでございます。そういう場合に財政計画上はそのあるべき給与額を基礎にしてはじき出しておるわけでございますが、それとの食い違いが今申し上げました程度あったわけでございます。しかし不交付団体はごくわずかでございますので、全体としては本俸是正の面においてもかなり増額になっているということでございます。
  91. 安井吉典

    安井委員 つまり説明にはこのように書いているが、実際上はそれによって現実の給料が引き下げられるというふうなことは、不交付団体ではないでしょうか。
  92. 奧野誠亮

    奧野政府委員 財政計画上のこの数字から現実の給与問題がどうこうなるというようには私たちは考えていないわけでございます。むしろ交付団体につきましては、適正な給与額を計画上にも盛り上げていくことによって、地方団体の給与額が適正になされるだろうというように則行はいたしておるわけであります。しかしことさら不交付団体について減額されたことから、そのこと自体が直ちに影響を与えるというわけにはならないのじゃないだろうか、こう思っております。と言いますのは、不交付団体としましては現実の給与がすでに若干高いわけでありまして、高いことがある程度一般に知られておるところだと思います。そういう関係もございますので、この程度の金額の結果直ちに給与切り下げというような問題に発展をするのだというように私たちは予想はいたしていないわけであります。もとより不交付団体といえども国家公務員の給与ベースを基礎にして給与の支給が行なわれることはわれわれとしては望んでいるところでございます。
  93. 安井吉典

    安井委員 今地方公務員の団体も三千円ベース・アップということで闘争を展開していることは御存じだと思うのですが、何かこれで見ますと高いから下げてやるのだと水をさすように見える点もあるのですが、その点はどうでしょう。
  94. 奧野誠亮

    奧野政府委員 あくまでもわれわれは財政計画上の数字を是正しているわけでありまして、上げるところもあれば下げるところもあって初めて是正ということになるのじゃないか、こう思っておるわけであります。市町村につきましては、全体的に二百三十五円引き上げているわけであります。
  95. 安井吉典

    安井委員 やはりこれは既得権というような形で、高いから下げてやるのだというふうな単純な考え方でその行政指導がなされたのでは困ると思うのです。その点何か印象がちょっとよくないような気がするわけでありますが、その点一つこういうような単純な資料でございますけれども、これは慎重にお運びをいただかなければならぬのではないかと思います。  それから昇給率の見方は、義務教育について三%、警察職員が四・二%、一般職員の方は書いてないのですけれども、そういうふうな違いはどういうことで起きたのでしょう。
  96. 奧野誠亮

    奧野政府委員 教育職員につきましては新陳代謝が比較的円滑に行なわれております。従いまして高給者が退職をいたしまして低給者が新しく採用になる、そういうところから全体としての給与水準は一般職員などのようには急激には上がってこない。一般職員の場合には退職者が比較的ないわけであります。全体として給与ベースがそのままずっと上へ上がっているきらいがございます。その結果一般職員や警察職員については現実の姿が四・二%の昇給財源を必要とする、学校職員につきましては三%の昇給財源を必要とするという結果になっているわけであります。
  97. 安井吉典

    安井委員 一般職員は四・二ですか。そういうことなんですね。その点何かわかったようなわからぬような気がするわけであります。そうすると現実にこれは下からの積み上げということなんですか、それとも大体上から当てはめた数字なんですか。
  98. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一般職員も四・二%の昇給卒ではじいております。なお、これは実績がこうなっているということでございます。
  99. 安井吉典

    安井委員 臨時職員の定数化につきまして、ことし国家公務員はたしか八千人ふえて六十九万人くらいになったわけでありますが、この前の説明で、この見方をちょっと私聞き忘れたのですが、幾らに見たと言われましたか。
  100. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一〇%の繰り入れを考えております。
  101. 安井吉典

    安井委員 先ほどの実態調査で見ますと、その臨時職員という数字で出ておりますのが、十万四千八百五人もいるわけです。ところが今言われましたその一〇%というのは、それが基礎になっていないのですね。
  102. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ちょっと今おっしゃった失態調査による臨時職員の数が大き過ぎると思うのです。今資料を探してみたいと思いますが、そんなような数字は出ていないはずだと思います。——公務員課長から伺いますと、おっしゃっている数字は企業会計なども全部含めた数字であります。その方の食い違いだろうと思います。
  103. 安井吉典

    安井委員 一般会計の数字は……。
  104. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一般会計の数字を正確に私覚えておりませんが、たしか三万人前後じゃないかと思います。なお調査してみたいと思います。
  105. 安井吉典

    安井委員 国家公務員につきまして、定員法を全然廃止しようというような動きがあるようなことも、ちょっと新聞なんかで見るわけでありますが、それが行なわれるかどうかはわかりませんが、もしそうだとすれば、地方公共団体の職員につきましての影響というものはどういうふうにお考えでしょうか。
  106. 今枝信雄

    ○今枝説明員 国家公務員について定員法の廃止の案が一部からいろいろと議論をされておることは事実でございます。しかし政府全体としてそういう方向に決定をいたしたというところまでは承知をいたしておりません。かりに定員を廃止いたしましても、いわゆる臨時職員の処遇を改善することとは一応別の問題になるのじゃなかろうか。かりに地方公共団体の場合に、現在定数外に置かれておるいわゆる臨時職員を定数内に繰り入れることによって、それを機会として処遇の改善をはかってきたわけでございまして、定数条例を廃止したからといって、そのままの状態で置かれるようでは、問題になっている臨時職員の処遇の改善はすぐ実現できないのではないかと思うわけであります。いずれにいたしましても、やはり処遇を改善するために何らかの財政上の裏づけの措置が必要ではないか、かように考えております。
  107. 安井吉典

    安井委員 その点大事な問題だと思いますので、いろいろ御検討願いたいと思います。  次に人事院の勧告が地方公務員にもこの際適用しようというふうな措置がなされているわけですが、この場合も義務教育職員の場合は本俸の二・九%、警察及び一般職員は三・八五%というふうにありますが、これも先ほどと同じような理由でしょうか。
  108. 奧野誠亮

    奧野政府委員 現実に給与表に職員を当てはめて見ますと、その給与表の適用を受ける人たちが多ければ、それだけ給与改訂に要する財源は多くなるわけであります。でありますので、現実の姿がどういうところに多く職員がいるかというようなところから、初任給改訂の影響はどちらがよけい影響を受けるか、中級職員の給与改訂はどちらがよけい影響を受けるかで違ってくるわけであります。
  109. 安井吉典

    安井委員 地方公務員の場合は、民間ベースから四千五百円から五千円も平均給与は安いし、その中でも特に実態調査で見ますと、市町村職員の場合は、全国平均が一万三千四百四十七円ですか、ひとしく市町村職員といいましても、特に町村職員の場合は一万三百八円、国家公務員から二三%も低いというふうな数字が現われています。ですから民間ベースから、五千円から七千円もこれは安いという形ではないかと思います。こういうふうなベースそのものが、人事院勧告そのものを取り入れたという形で現在組まれておりますけれども、根本的に低いベースをほかと同じくらいに引き上げてやる、それくらいの御熱意が、今回の財政計画の中にお持ち合わせなかったというふうに見るわけなんですが、今後この問題はどういうふうにお考えでしょうか。
  110. 奧野誠亮

    奧野政府委員 財政計画上の給与費は、国家公務員であれば受けられるであろう給与額を基礎にして算定をしているわけでございます。従いまして、現実の給与と比べますと、それよりももっと多く算入しているのもございしょうし、もっと少なくしか算入していないというものもあろうかと思います。とにかく理論給与ではじき出しているわけです。
  111. 安井吉典

    安井委員 ですから、町村職員なんかの場合は、先ほどその実態調査との数字の違いの問題も話がありましたけれども、実際は計画の中で計算されているよりも多いのかもしれないし、あるいはまたもう一つは、計画としては一応算入されていても、各町村の財政が乏しいものですから、給与向けに見たものを、橋を作ったり学校を建てたりする費用に使っているかもしれないと思うわけです。そういうような意味で、市町村財政そのものを強くするというところに、根本的な問題も残っているかと思います。しかしながら現実に低い部面を、計算上、計画上はこうなっているからこれでいいのだというふうな突っぱね方をなされるということでなしに、現実に引き上げてやるような、そういう御努力を今後一そうお続けを願わなければならない、そういうふうに思います。  時間がだいぶ過ぎて参りましたので、一つ高等学校の職員の問題をちょっと伺って終わりたいと思います。今まで、まず義務教育だというようなことで、そういう方向に力が入れられて、しかしそれにもかかわらず義務教育の職員に対する措置というものも不十分であって、職員団体からいろいろな不満が述べられているのは御承知の通りなんですが、高校職員の場合は、義務教育に対するいろいろな問題が解決できるのを待ってからというようなことで、待ってもらっていたというふうな形ではなかったかと思います。しかしもう今日まで来て、待ちくたびれたというような姿がずいぶんあるように聞くわけです。現在文部省でも、高校職員の定数の標準についての法律をこしらえて、そういうことで同校職員の定数を確保しようという方向に向いているというふうな話も聞くわけでありますが、これについての自治庁のお考えはどうでしょうか。
  112. 奧野誠亮

    奧野政府委員 高等学校の教員定数は、現在でも文部省令で出ているわけであります。それを法律に高めたいという希望を文部省としては持っておられるようでございます。この点については、別段私たちの方では異論は持っておりません。ただそういう際には、高等学校の設置責任者はどこにあるかということを明確にしてもらいたいということを一つ考えております。さらにまた高等学校の規模はどういうものが適正だと考えておるか、そういうこともはっきり教えてもらいたいという希望を持っております。もう一つは、現在の中学校の生徒というものは、三十五年から三年間にわたりまして、毎年七、八十万人ずつふて参るわけでございます。そのことは、さらに四年先になると、高等学校へどっと生徒が押し寄せていくということになるわけでありまして、しかもそれが三、四年過ぎますと、またがらあきになっていくということにもなるわけでございますので、その間の経過をどう措置すればよろしいと考えているのか、はっきりしてもらいたい。教員はふやすわ、数年たてば一ぺんに首切りをしなければならないわということになってしまいますし、非常な混乱を起こすわけでありますので、そういう経過措置についてどういう配慮を持っておるかというようなことを伺っておるのでございまして、そういう点について、まだ明確な返事をいただいていないわけでございますが、そういう点を中心にしてお互いに研究し合っておるというのが現在の段階でございます。
  113. 安井吉典

    安井委員 今たしか甲号が四十人以内、乙号が五十人以内というふうに一学級の生徒数がきめられ、全日制と定時制のそれぞれに従っての授業時間数がはじかれ、それから定員がはじき出されているというふうな今の省令です。しかし、これは省令だけであって、法的な拘束力はないそうです。ですから現存のところは、一番低い方の五十人以内、それをさらに低く下回ったような姿で実際の高等学校の運営が行なわれているというような状態だそうです。ですから、できれば甲号の四十人くらいのところまで引き上げる努力こそ、高等学校の教育を前進させていくためには必要なんだろうと思います。急にそこまでいかなくても、とりあえず一学級五十人くらいのところでとどめておかなければ、少なくもこれまで上げなければ、中学校やあるいは小学校とも違った教育内容を持った高等学校の教育が、完全にいくわけはないというふうな気もするわけであります。ですから、十年くらいの前にきめられたのが今の省令だそうでありますので、これをよりよい条件のところまで改める方法、少なくも今の最低基準のところまで進めていくことが当然なことではないかと思います。ことに、聞くところによると、三十八年度から高等学校の教育課程が大幅に改訂されるそうですが、これに従って必要な教職員の配置をするというような必要もあるわけです。現在は、今局長がお話になったような財政措置内容であるように聞くわけでありますが、地方財政計画、ことに地方交付税の需要額の算定につきまして、高等学校の問題について特に改善しなければいけないというふうなお考えはありませんか。
  114. 奧野誠亮

    奧野政府委員 交付税計算では、高等学校費という項目を立てまして、高等学校の生徒数で基準財政需要額を算定いたしておるわけでございます。他の行政項目から考えますと、高等学校費で算定いたしておりますところは、実際の所要額と比べまして、割合潤沢に算定しているということがいえるかと思います。団体によりましては、実際に使っているよりも、かえって基準財政需要額の方が多いという事例もないわけではありません。しかし、その単位費用をきめますについては、文部省で出しております乙号基準の学校当たりの職員数との間に二人ほど開きがございます。それを毎年一人ずつふやしていったわけでございます。一人ずつふやすということは、それだけ単位費用を引き上げるわけでありまして、一人ふやせるだけの財源交付税上与えられる、こういうことになるわけであります。今回の交付税法の改正にあたりましても、さらに一学校について職員を一人ふやして単位費用をきめたい、かように考えております。
  115. 安井吉典

    安井委員 そうすると、ことしの交付税の算定の場合には、一人ふえると何人になりますか。三十何人になりますか。
  116. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三十八人ではなかったかと思います。
  117. 安井吉典

    安井委員 交付税についての、ことしとりあえずの措置について今お話があったわけでありますけれども、現地の実際の市町村状況で、それはいろいろ市町村によってニュアンスはあると思いますけれども現実に置かれている立場というものは、非常に困難な状態にあるというふうに私聞くわけであります。たとえば寒冷地補正でありますとか、種別補正でありますとか、そういうような問題を初め、これはまた地域々々における特殊性もあると思います。そういうようなものが十分に現われるようにこの際お考えおきを要望いたしたいと思います。ちょうど約束の一時にきっぱりなったので、これで終わりたいと思いますが、私きょう申し上げましたいろいろな質問の中で、まだまだたくさん問題があるわけですが、端おりましたけれども、一番大事なことは、地方財政がしっかり自分の足で立ち上がれるという方向に持っていくための最も基本的な問題は、国と地方との行政あるいは財政の再配分の問題だ、こういうふうに思うわけです。それもいつも話だけでは、もう何十ぺん、何百ぺんとなくこの委員会で繰り返された話です。しかし一向に進まない。だから具体的にどうするかということが必要なのです。私がさっき全部を解きほぐしてその中から新しい組立てを進めるべきだという主張をいたしましたけれども、それは一つの行き方でしょうし、その他皆さん方にも十分お考えをいただきまして、よりよい方向にお進めになりますことを強く要望いたしまして、一応これで終わりたいと思います。
  118. 川村継義

    ○川村委員 関連して。小さいことですが、一つ聞いておきたいと思うのです。安井さんの質問に関連して、さっき昇給率の話が出ましたが、義務教育職員三%、一般が四・二%、ことし人事院勧告を実施して中級関係を手直しするということですが、前年度同様の昇給率でそういうものを見て大丈夫ですか。また財政計画と決算、その辺の上にずいぶん大きなずれを生じはしませんか。同じ昇給率で大丈夫ですか。  それからもう一つは、さっき減収補てんの問題で話が出ましたが、私ちょっと忘れましたけれども市町村の不交付団体は、市が幾つ、町が幾つ、村が幾つあるか、その数をお知らせ願いたい。減収の関係で不交付団体であったものが交付団体になるということはないでしょうね。そういう心配はありませんか。住民税減収に伴って基準財政需要あるいは収入というものの見合いから、交付団体にしなければならぬという市町村が出てきはしないか。そういう心配があるのですが、それはありませんか。この二つを答えて下さい。
  119. 奧野誠亮

    奧野政府委員 昇給率の問題は、昨年も同じような計算の仕方で算定をして参ったわけでございます。義務教育職員につきましては、国の予算もそれにのっとっておるわけであります。この点につきましては、そう大きな開きは生じてこないのじゃないだろうか、こう思っております。中級職員の給与改訂に伴いますものにつきましては、一応人手院勧告通りに精密な調査をした上で予定されたものでございます。しかし現実の職員数に完全に当てはめたわけのものでございませんので、若干そこに食い違いが生ずるかもしれません。増減は当然起こってくると思います。しかしそれにしましても、そう大きな開きは生じないのではないか、こういうふうに存じておるわけであります。  なお交付団体と不交付団体の問題でございますが、不交付団体から交付団体になったり、交付団体から不交付団体になったりすることはございますが、三十五年度においてそういう移り変わりが非常に大きくなるというようには、私たちは思っていないわけでございます。府県の不交付団体は三団体でございます。市の不交付団体は、正確に覚えておりませんが、百六十前後じゃなかったかという気がいたします。町村の不交付団体は四%くらいじゃなかっただろうか、こう思っております。今正確な数字を持っておりませんので、この次のときに正確に御連絡申し上げたいと思います。
  120. 濱地文平

    濱地委員長 午後二時から再開することにいたしまして、これにてちょっと休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  121. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十五年度地方財政計画に関する質疑を続行いたします。阪上君。
  122. 阪上安太郎

    ○阪上委員 地方財政につきまして、すでに相当の質疑がかわされておるのでございます。質問の傾向といたしましても、すでに細部の問題に入っているように見受けられますが、私はなおこの場合一つ、行政問題を取り上げるにあたりまして、行政面における若干の質問を行ないたいと思うのであります。  その一つは青少年、婦人対策でございます。総理の本会議におきます施政演説におきまして、青少年対策、婦人対策につきまして重点的な施策として述べられております。そこで私、きょう大臣にお伺いいたしたいのは、本委員会におきましても、青少年対策といたしまして小委員会を持って検討を続けられてきたのでありますが、これを一体財政計画の中でどのように取り上げておるかということにつきまして、私の調べたところによりますと、財政面においては、わずかな額でありますけれども、補助金等においてむしろ減額されているというふうに見ておるのであります。われわれがこのようにして、青少年対策というものにつきまして非常な重要性を感じまして、一生懸命に今日までやって参りましたのにかかわりませず、財政的な面におきましては、ほとんど顧慮が払われていないばかりでなく、逆に補助金等で若干の減少を来たしておるということは、非常に遺憾に思うのであります。この点につきまして、一つ大臣のお考えを伺っておきたい、かように存じます。
  123. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 ただいま御指摘があったのでありますが、この財政計画の中で、特別に青少年、婦人対策を取り上げて計画を立てているという面は、御指摘のようにないのでありますが、国でいろいろやっております精神薄弱児の今度の対策であるとか、そういう問題の裏づけは、一応全部組んでおるつもりであります。それから単独事業関係は、ある程度総体的にふやしておりますので、そのワク内での市町村のいろいろな計画ということはあり得ると思います。なお警察関係の方の問題につきましては、御承知のように警察関係の費用全体でふえております。その中で青少年補導とかいろいろな問題も入っておるわけであります。そういう意味で、特別に減らしたとかどうとかという点はないのでありまして、一応国の方針に即応した裏づけを計上しておる、こういうことで御了解願いたいと思います。
  124. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今も長官がおっしゃいましたように、青少年対策関係の予算といたしましては、各省においてそれぞれ組んでおります。ちょっとながめてみましても、文部省で扱っておる分、あるいはまた農林省で扱っておる分、総理府で扱っている分、運輸省で扱っている分、その他労働省等においても非常に扱っておりますし、建設省関係におきましてもやはり扱っております。こういうふうにいたしまして、青少年対策というものは各省ばらばらでもって組んでおる。しかしながら、その行政を実施していく最末端になりますと、すべて地方公共団体がこれを取り扱ってやるという結果になっておるわけなのでありますが、御承知のように青少年対策などというものにつきましては、何といたしましても総合的に取り上げなければ効果のないものであります。それがこのような形において行なわれておる。しかも実際、終末においてこの問題を処理していくのは自治体である、こういうことでありますので、この点につきまして私きょうは別に予算上どうのこうのと申し上げるわけではございませんが、自治庁においてこの問題を統括して指導していく、そういう部門を設けてやっていこうというような考え方をお持ちになっておるかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  125. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 財政計画の上にある程度のなにを計上しなければならぬかということは、これは議論の問題と思いますが、将来考えてみたいと思う点であります。今の青少年婦人対策の問題を自治庁なり何かでまとめてやるような考えはないかどうかという点につきましては、これはやはり文部省なり厚生省が中心になってやる行政的仕事ではないか、私はそう思います。阪上委員の御指摘になりました問題は、どういう意図を持っておられるのかわかりませんけれども、行政の分担としてはそういうところが中心ではないか、かように考えます。
  126. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただいま長官がおっしゃったのは、在米の考え方としての青少年対策の行政上の取り扱い方ではないかと私は思うのであります。しかしながら、新しい青少年対策のあり方としては、どうも今までのわが国の対策の取り扱い方は間違っておるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。ことに、長官になぜこんな問題をお尋ねするかといいますと、一昨々年でございましたか、私も青少年対策のことでヨーロッパ等を回って参りましたが、ほとんどこの問題は内務省的な行政部門において取り上げております。決して文部省でもなければ厚生省でもない、こういう具体的なものが出ております。過般警察庁から出されました青少年犯罪等に関する資料をながめてみましても、ヨーロッパにおける青少年犯罪というものは、今申し上げましたように内務省関係で取り上げて、末端との間で密接な関係でこの対策が行なわれておるような国におきましては非常に少ないように思います。総理は施政方針の中でこの青少年婦人対策というものを大きく取り上げられておりますけれども、内外をながめてみましたならば、ほとんど補助金的なものしか頭に人ってないような形にしか現われておりません。私はそこにわが国の青少年対策の険路があるのではないかと思うのであります。もしこのような状態で進めていかれるならば、これは大へんな悔いを残すのではないかと思います。そういう徴候はもう社会の中に数多く出てきております。こういう段階におきまして、今申し上げましたような長官の考え方——これは長官だけでどうというわけにもいかない問題でありますけれども、もう少しこの問題に真剣に取り組んでいただいて、でき得べくんば、自治庁の中に青少年局くらいを設けて、諸外国の例にならってやっていくような考え方を持っていただきたいと思います。しかしながら、この青少年対策の中で、いろいろ諸外国の例、わが国の状態を見てみましても、最近青少年のための施設を作りたいという地方自治体の意向はきわめて熾烈であります。これに対しまして、補助金の問題は別といたしましても、せめて起債くらいはこれに大幅につけてやるという考え方はないのでございますか。この点を一つ伺っておきたいと思います。
  127. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 ただいまの、自治庁に青少年局でも設けてという御意見は、将来庁が省になり、いろいろ行政が発展していった場合の問題としてはいいと思うのですが、あまり発展し過ぎると内政省だ、どうだということで、むしろお宅の系統の方から非常に警戒されるのではないかと思いますので、今後の問題として研究させてもらうことにいたしまして、今の起債の問題でありますが、現在におきましても、公民館であるとか、名前はいろいろでございますけれども、単独事業債の一部門といたしまして、財政局等においても十分考えてもらいつつあるのであります。将来さらにそういう部門に一つのワクでも作って計上していくというような方向努力をするということも一つの目標ではないかと私も考えます。
  128. 阪上安太郎

    ○阪上委員 一つ奥野局長に、将来起債等を考えるというようなことを言わずに、この場合考える余地がございませんかどうかということを伺っておきたいと思います。
  129. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今大臣からお話しになりましたように、三十五年度からそういう方面の起債をつけるように踏み切っていきたいということでございます。
  130. 阪上安太郎

    ○阪上委員 青少年の家を建設したいという希望が各所にあるのです。これにつきましては御承知のように、もうここ数年末やかましく言っております。これについての起債は本年度以降実施できますかどうか、一つお伺いしたい。
  131. 奧野誠亮

    奧野政府委員 すでに県営で一部国庫負担を受けてやる施設がございますが、そういうものについて起債を認めた例はございます。国庫負担制度と並行いたして考えて参りたいと思います。なおまた厚生年金の還元融資におきましても、そういった式の施設が起債対象に取り上げられておるわけでございます。
  132. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それはそのくらいにしておきまして、最近地盤沈下に伴いますいろいろな事故が発生いたしております。これは直接自治庁の関係ではございませんが、この地盤沈下等に伴いますガス漏れ問題等が出ておりますが、これは一体どこで行政監督なり指導なりするものでしょうか。非常に浅学非才でありますので伺っておきたいと思います。
  133. 奧野誠亮

    奧野政府委員 関係各省それぞれにまたがっておるわけでございますが、新潟の地盤沈下の問題について例をとって申し上げますと、どちらかと申しますと経済企画庁が中心になりまして、通産省、建設省、大蔵省自治庁、それぞれ相談をし合ってやっておるわけでございます。
  134. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今監督官庁なり指導部門、行政部門の例が数多くあげられましたが、やはり自治庁もそれに関係しておられます。道路行政との関係におきまして、地方自治体がこういった地盤沈下に対してあらかじめ承知しておりながらも、財政的にどうにもならぬという点におきまして、非常に苦慮しておる血がたくさんあるのでございますが、これに対しまして自治庁としては何か方針を持っておられますか、これを一つ伺っておきたいと思います。
  135. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地盤沈下の問題はいろいろあろうかと思うのであります。大都市を中心にして起こっております問題は、やはり地下水のくみ上げに端を発していると思います。そういう意味で、まず工業用水道を急速に整備する反面、その整備した地域から地下水のくみ上げを禁止していく、こういう方針がとられて参ってきておるわけであります。また新潟地方を中心とする地盤沈下の問題につきましては、天然ガスの採掘が原因じゃないかということでいろいろ検討が進められおるのでございます。一部の地域だけは天然ガスの採掘を一応中止しているわけでございます。それをさらにもっと広い範囲にどうのこうのという問題が残されておるのでありますが、かりにそういうことになりますと、また補償の問題などもからんで参るわけでございます。ただ地震が契機になって若干地盤沈下を生じたとか、いろいろな全く自然的な現象による地域もあるわけでございまして、そういうものにつきましては公共事業をかなり積極的に進められておるわけでございます。そういうものは国庫負担率について特例を定めるとかあるいはまたその地方負担分についての地方債の元利償還分に対して基準財政需要額上特別な扱いをするとかいうような措置もとって参ってきておるわけでございます。
  136. 阪上安太郎

    ○阪上委員 地盤沈下につきましても、経済企画庁の問題であるとかあるいは建設省の管轄であるとかいうだけの考え方ではなくて、自治庁といたしましても、これが対策等についての財政的な援助というものをやはり考えていただかなくちゃならぬと思うのであります。しかし、どの額までこれをきめるかということについては今のところなかなか簡単に結論が出ないでありましょうけれども、どうぞ一つそういう心がまえで進めていただきたい、かように思います。  さらに多少ケースは違いますが、最近宮城県下でもって集団赤痢が発生いたしております。これはとんでもない事件だと私は思っておりますが、これはいろいろな原因がございますけれども、その原因の中で、町長が、町営水道の運営上特別会計としてやっておるのだけれども財政的な面においてどうも財源が不足しておってうまく運営ができない。その結果非常に不完全な状態において水道源というものが置かれておるということを理由の一つとしてあげておるのでありますが、この点について御調査なすったか。今までに承知せられておることにつきまして一つ伺っておきたいと思います。
  137. 奧野誠亮

    奧野政府委員 赤痢患者が集団発生したという事実は承知しておりますが、しかしその原因につきましては詳しいことは聞いておりません。もし水道の資金が十分でないからだということになって参りますと、どうもその話が私たちとしてはふに落ちないように思うのであります。水道事業について起債を認めません以上は、所要資金全体について資金手当をしているつもりでございますし、将来また拡張のような場合にはそういう手当をする用意はあるわけでございます。御指摘になりました点はなおよく聞いてみたいと思います。
  138. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私もこれは実際調査したわけでもないのでございますけれども、数言前のテレビで聞いておりましたところが、あけすけに水道の金がないから、要するに採算がとれないから放置した結果こういうような状態になったということを言っております。もしそういうことがありますなら、これは重大問題じゃないかと思います。地方財政健全化というようなことをよく言われるのでありますけれども、こういったところにそういった隘路があるのかと思って、私は実はがく然としたわけです。これは一つお取り調べいただいて、次会にでも御報告願いたいと思います。  次に、競輪の廃止でございます。これは財政問題として考えてもいいのでありますが、私は一応この際行政問題として考えておるのであります。このことについて長官はどういうようにお考えになっておりますか。廃止すべきものとお考えになっておられるのか、廃止すべきでないとお考えになっておるのか、そういった点につきまして一つ伺っておきたいと思います。
  139. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 この委員会でもたびたびお答えしたと思うのでありますが、競輪の存廃問題につきましては、通産省にあります競輪審議会等でいろいろ検討されておるわけであります。私の考え方といたしましては、その結論に従って行政的にいろいろ対処しなければならぬのでありますけれども、私個人といたしましては、今のままのあり方の競輪はよくないと思っております。こういう形であればない方がいい。あれが経営主体なり運営方法なりずっと改善されまして、真に国民大衆の健全娯楽を加味した意味のものになる際には、これはいいと思いますけれども、今の形では好ましくないものと思っておりますので、さような意味地方自治団体に対しましても競輪に多く依存するような財政計画なり、財政運営の方法をとるべきでないという方針を立てまして、すでにその方向に私は乗り出しているつもりであります。
  140. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今度の財政計画の中に雑収入として五十億円ほど増がある。それは競輪収入を見込んでおられるように私は解釈しているのですが、この点はどうですか。
  141. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今度の計画で、高等学校の学級増、それに伴う教職員の増というようなものも見ているわけでございまして、それに対応いたしまして授業料等の増加収入を見込むという意味で雑収入五十億増を見込んだわけであります。
  142. 阪上安太郎

    ○阪上委員 競輪収入は見込んでいないのでございますか。
  143. 奧野誠亮

    奧野政府委員 財政計画の雑収入全体の基礎に入っているわけでございますけれども、それについての増加は別に見込んでおりません。
  144. 阪上安太郎

    ○阪上委員 どのくらい見込んでおられますか。
  145. 奧野誠亮

    奧野政府委員 雑収入を別に分解をいたしていないわけでございますけれども、大体競輪収入が八十億円内外ございます。
  146. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今伺うと、別にふえていないということで一応けっこうだと思うのでありますけれども、そういうようなものを見込んでおられるというものの考え方は、やはり健全娯楽として競輪というものを存続していこうという考え方につながるものでございましょうか。長官に一つ……。
  147. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 この三十五年度財政計画に見ておりますのは、現実にまだ競輪というものはあるのでありますから、その現実に基づいたものをこれは当然計上しておかなければならないと思いますが、先ほどの御質問は将来の競輪に対する考え方を聞かれましたので、私の考え方を申し上げたのであります。それとこれとは関係ないと思います。
  148. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、やはり行政的なものの考え方からお伺いしたいのですが、公務員の給与水準でございますけれども、国家公務員の給与水準というものと民間の給与水準というものの開きは一体どの程度になるか、自治庁等でお調べになった範囲内で一つお知らせ願いたいと思います。
  149. 奧野誠亮

    奧野政府委員 行政局の方の所管に嘱しているのですけれども、担当者が参っておりません。ただ財政計画上は御承知のように理論給与、国家公務員であれば今の学歴経験年数からいえばどのくらいの給与を受けられるか、それを基礎にして算出しております。
  150. 阪上安太郎

    ○阪上委員 最近各地方でもって、どこというわけではございませんけれども、べース・アップが非常に問題になっております。そのべース・アップを主張する側の声を聞いてみると、結局のところ落ちついていく先は、公務員の現在の給与べースが民間給与に比べて非常に低い、こういうことで、その低いものに右へならへするという考え方自治庁等からの行政指導がある。こういうことで、そういったものに対する不満を持っておりまして、このべース・アップ問題が起こっているわけなんでございますけれども、どうなんですか。民間給与というものはやはり公務員法二十四条等によって当然公務員の給与べースの基準になっていかなければならぬ一つの要素だと思いますけれども自治庁としましてはそういうものはお考えになっておりませんでしょうか、一つ伺ってみたいと思います。
  151. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 私ども今国家、地方を通じまして、公務員の給与の現状が民間給与と比べましていいとは思っておりません。しかし公務員の給与につきましては、国家公務員については人事院でいろいろ検討をいたし、給与についてもしばしば改訂等の勧告もされておるのでありまして、地方公務員につきましては、やはり国家公務員との関連性もありまするので、国家公務員の給与に準じていろいろ改訂の措置をとれるように地方財政計画等においても随時是正を加えまして、この三十五年度計画につきましてもいろいろの給与の改訂を盛り込んでおるのであります。そういう意味で、現状民間給与と比べましていいとは思っておりませんが、やはり国家公務員との関連においていろいろの措置をとっておる次第であります。
  152. 阪上安太郎

    ○阪上委員 経済企画庁の国民生活白書などによりましても、かなり大ざっぱでありますけれども農家所得等におきましても、昭和十一年を基準にいたしまして御承知のような四百五倍でございますか、大きな伸びを持っております。それからまた個人営業者におきましても五百六十六倍、数字ははっきりいたしておりませんが伸びを持っております。ところがホワイト・カラーの職員の給与等におきましては、御案内のように百七十五倍くらいしか伸びがない。従って大学教授などでも二十年前に採用されて、そしてやめなければならない時期がきておる余すところわずかしかない人々にとってみましても、入ったときと同じ効果しかない給与を受けているということで大へん問題になっております。そういう問題になっている国家公務員の低いところへ、民間給与ですらが一般国民の所得なんかと比べまして大へん低いところに押えられておって、それよりもまだ低いところに国家公務員がおる。こういう現実を全然無視して、そうして地方自治体に対しましては国家公務員に右へならえしなければならないんだから右へならえしろというような行き方でもってこれを押えているということなんであります。従って問題は他方公務員の給与改訂という今度大幅に取り上げられましたような問題、それだけで当然解決すべき性質のものじゃないということはお互いにわかるわけなんであります。そこでこういった給与水準の是正の問題につきまして、まず国家公務員から改めていかなければならないと私は思いますけれども、その改め方について、自治庁としましてはただ漫然とこれを見送っておらないで、一つ地方公務員等の給与につきましていろいろと指導もなさっておるのでありますし、その建前からして国家公務員の給与水準を上げることにつきましての配慮なり方策なりを、今後どういうふうに進めていかれるつもりか。あるいは上げなくてもいいとおっしゃるのですか、その点長官の御意見を承っておきたいと思います。
  153. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 閣議などでも、ときどきやはり給与の問題は話に出るのであります。ただいまの建前といたしましては、先ほども申し上げましたように人事院勧告を尊重いたしまして政府がずっと改訂をやっておるわけであります。人事院等におきましてもよく検討してもらいまして、人事院と政府、相意思の疏通をはかりまして、給与の適正化をやっていきたいというのが一応の考え方ではないかと思います。
  154. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この問題は数字的には私もよく突っ込んでおりませんが、もう大体国家公務員が低いということはわかっております。それに従って地方公務員だって低いことははっきりしておると思うのであります。ところがこれが地方で問題になります場合には、そういう者に対するべース・アップをする考え方というものは、きわめて反住民的であり、住民の利益を侵害するものであるというような考え方に常に導かれておる。今回のこれと関係いたしまして、地方議員の報酬の問題につきましても、私は考え方としては同じような方向へ動いておるのじゃないか、こう思うのであります。適不適の問題はいろいろございましょうが、そういうものを値上げしていく考え方は、何かきわめて反住民的であるというふうに、もう考えがそこに落ちついてしまっておる。私はこれは大へんな大きな問題じゃないかと、かように思うわけであります。今回のこの議員報酬の問題につきましても、自民党さんの方からもこれに対しましては決議されまして、行政部会の方で自粛するようにという意思表示をされております。それから長官の方でも、これは非公式な通知であったかどうか知りませんが、やはりそういった通知を出されております。ところがこれなどにつきましても、基準というものがどこに置かれているのだかちっともわからないのであります。漫然とただ上げることはよろしくないというような、観念的な扱い方になってしまっている。きょうかきのうですか、新聞で見ましたところ、これに対して基準を設けるというような考え方を持っておられるようであります。私はこれは非常に適切だと思いますが、いずれにいたしましても、議会が現段階におきましてベース・アップをやっていこうということになりますと、これはきわめて消費的な経費であり、しかも消費的が浪費的と読みかえられてしまって、きわめて反住民的であり、住民の利益をそこなうものであるというような考え方に導かれておる。こういうことにつきまして、一つ自治庁におかれましても、通り一ぺんなものの考え方じゃなくして、今申し上げましたような幅の広い、深い原因を持っておるこういうものから是正していかなければならぬ。そうして住民にもよろしく理解を求めて、公務員の給与というものを是正していくという考え方を持っていただかなくちゃならぬと思うのであります。これをいつまでも放置しておかれて、そういうものはあまり麗々しく打ち上げると住民が反対するであろうから、あるいはまた大蔵省の方ではできるだけ財布のひもを締めようという考え方が伝統的にありますので、そういうことをやると大蔵省のごきげんを損じて、地方財政計画等あるいは国の予算等を盛っていく場合に相当障害があるというようなことをおそれられて、当然是正すべきものを是正していかないというような方向にコンクリートされてしまっておるということは私はまずいと思うのであります。この点についてどうでございましょう。
  155. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 今回の地方会議員の報酬の問題につきましても、私どもとしましては、何でもかんでもむやみに値上げがいかないということを言うておるのではないのでありまして、地方財政の現状にかんがみまして、各府県が共同して一律に右へならえというような考え方のもとに行動するということは、これは厳に自粛してもらわねばならぬのじゃないかという意味を中心に、先般自粛の協議をしてもらったのであります。なおこの問題にも関連しまして、私もやはりあなたの今言われたのと同じ意見でございまして、何らかの基準のようなことでも考えておかないと、何でもかんでも悪いとか、上げることが一切いかぬというような考え方は今後もいかないと思いますので、国会議員について一般職の最高を下ることがないようにという規定があると同じように、地方議会の議員についても何かの基準を考えるべきではないかということは、自治庁の中でもいろいろ最近議論されかけておるのでありまして、何らかの方向を設けたらよくないかと、かように思います。それから一般の公務員につきましても、先ほど申し上げましたように、現状必ずしも民間と比べていいとはいえないと思いますので、この問題は閣議におきましてもときどき議論が出ておるのでありますが、人事院等とよく連携をとって、適正なる給与が生まれまするようにわれわれも努力したい、かように考えます。
  156. 阪上安太郎

    ○阪上委員 一つ公務員の給与水準の問題につきましては、地方と国家とを問わず、これが水準を高めていただくように今後とも御努力願いたいと思うのです。  次に、地方財政上の問題点を二、三聞いてみたいと思うのであります。この三十五年度予算編成のときに、ずいぶん問題があったように思うのでありますが、大蔵省から十二月の二十三日に原案が提出されて、一月十三日まで決定しなかった。その一番最後に例の三十億の減収補てんの問題があった、こういうように私伺っております。これは政府のことですからあまり干渉はしたくありませんけれども地方財政計画を立てていくその火柱になるところの要素である自治庁のものを一番あと回しにしていつもやっておる。大体地方自治庁をなめておる考え方だと私は思うのであります。あらゆるものを出し尽くして、そうして自治庁から幾らやかましく言ったって、その点は一番あと回しにしておって、一番最後に何とかしようじゃないかというようなものの考え方で、地方自治健全化していこうということを考えたって、それはものにならぬと思う。この点は私は非常に遺憾に思っております。そこでこれはもう常に行なわれている問題でありますけれども大蔵省自治庁の意見がこのごろずっと対立しております。昨年の三十四年度から対立しておるのでありますが、一体どの点で意見が対立しておるのですか、一ぺんこの点につきまして最初に——きょうは大臣が来ておられて、一方政務次官見えておらぬし、双方から伺うというわけにはいきますまいけれども一つ長官から、どういう点で一体対立しておるのか伺っておきたいと思うのです。
  157. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 しさいにわたってはいろいろあると思いますが、根本の問題は、われわれ地方側といたしましては、税源にいたしましても、財源にしても、大体いいものはみな国が握っておるじゃないか、地方にいいものを与えておかないで、それでわれわれが苦しいという場合に、中央におきましては、大蔵省においては、地方団体は苦しいというても、いろいろ地方団体の間にいいところもあれば悪いところもあるのだから、そのいいところから少し悪いところを助けるようなことをしたらいいじゃないか、団体間の財源調整等を講じたらいいじゃないかというようなことが、何としても毎年一番の衝突をする基本の原因になっておるのではないかと私は思っております。
  158. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私も大体そういうふうに承っておるのであります。本年問題になりました問題点といたしましても、例の減税による減収補てんの問題、これはやはり大蔵省自治庁との間では補てん策について意見が対立しておる。それから交付公債制度の廃止の問題につきましても問題があった。結論はああいうふうになりましたけれども、これはやはり問題があった、意見の食い違いがあった。公共事業の国庫負担率の引き上げにつきましても問題があったように承っております。あるいはまた地方債の増額問題でも問題点があったと承っております。しかしながら一番大きな問題は、地方団体間の財源調整の問題が、これは昨年あるいはそれ以前から尾を引いておったのではないかと私は思うのであります。  そこで、この際一つ大蔵省に伺っておきたいのでありますが、常に大蔵省では団体間の財源調整ということをやかましく言われて、富裕団体と未開発団体との間の問題をやかましく言われるが、あなた方は根本的にどんな財源調整の理念を持っておられるか、一つできれば伺っておきたいと思うのであります。どう財源調整をされようという考え方を基本的に持っておられるか、これを一つできたら伺っておきたいと思います。
  159. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 ここ数年来財源調整ということが問題になっておりまして、それに対して大蔵省としてはどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、財源調整といいましても、不交付団体あるいは交付団体いろいろあろうかと思うのですが、基本的には先ほど長官からもお話がございましたように、現在の税制のもとでは税源がどうしても偏在してしまう。富裕団体ではますます税収は伸びますし、貧弱団体は税収の伸びがないという関係で、どうしても財源が偏在しがちでございます。従いまして、財源超過団体というものも、財源超過額というものも、ある程度算定できるわけでありますから、そういう点で基本的な税制改正という点は目下これは税制調査会でやっておりますが、なおそのほかに、交付団体あるいは不交付団体間の財源調整が考えられないのか、あるいは交付団体間におきましても同じような問題がありますので、その交付団体間の財源調整といたしましては、現在約三千億程度に上っております地方交付税制度あるいは地方譲与税制度というものがあるわけでありますから、これをできるだけ各団体間の財政力が同じになるように適正な配分をやるべきではないかということが私ども財源調整の考え方でございます。
  160. 阪上安太郎

    ○阪上委員 もう少し具体的に伺いたいのですが、結局こういうことなのですか。現在の地方財政規模、この中において大蔵省財源調整しよう、こういう考え方ですか。
  161. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 毎年々々地方財政計画自治庁がお立てになりまして、翌年度地方団体全体の歳入見積り、歳出見積りを立てまして、それで全体の運営費は幾らかということを判断されるわけでありますけれども、一応そこでつじつまは合いましても、いざ実行となりますと、財源の貧弱な団体等は財政が苦しいという声が出てくるわけであります。富裕な団体におきましては、それほどの声が由ない。そうしますと、財政計画で一応つじつまが合っておりましても、その実行において、財源調整の財源交付税配分という機能がうまくいくかいかぬかによってかなりそういうでこぼこが出てくるのじゃないか。そこらのところをできるだけ交付税制度をうまく適正に円滑に運営することによって、そういうことのないようにできるだけしていただきたいというのが私ども考え方でございます。
  162. 阪上安太郎

    ○阪上委員 税制調査会等の国と地方を通ずる税財源の再配分の問題、これは今検討中だということでございまして、まだなかなか結論も出ない。中間報告もわれわれ受けていないという状態でございますが、どうなるのでございましょうか、私はこういった地方団体間の財源調整などというものは、自治庁の基本的な考え方というものはよく承っておるのでありますが、富裕団体にしても、現在の行政水準を低めていくような方向のものは、これは納付できないのだ、従って富裕団体においても、なお行政水準は維持していかなければならないのだ、こういう考え方が基本的にあるように私は承っておるのです。そこでそうなってくると、一体どう財源調整するかということについては、ぼつぼつ結論が出てきておるのじゃないかと私は思うのです。非課税におきましても、数字ははっきり覚えてないのですが、二百何十億かの減があるということですが、担税特別措置法における減を相当地方財源に与えておるのですが、こういったものについて、こういったものをまず整理していくという考え方がなかったならば、幾ら口先ばかりで財源調整をやるのだといってみたところで、これはできやしないじゃないですか。租税特別措置法というような、もうそんな措置をする必要もないものを大部分含めているようなものを、なぜ大蔵省は早く整理なさらないのですか。一体これをおやりになるのですか。企業はどんどん伸びているじゃないですか。これ以上めんどうを見るのですか。これをいつまでもほったらかしにしておいて、それからしわ寄せするところの地方財源問題というものをほったらかしにしておいて、そうして何か地方団体間の財源調整をやっていくのだというようなことを、ただ題目的にとなえておっても、できっこないと思うのです。そこで一つ伺いたいのは、大蔵省はやはり富裕団体を削って、そして低いところへ土盛りしていこうという考え方があるのかないのか。いま一つは、そういう考え方がないということであれば、一体どう財源調整をやっていくか、その調整財源をどこに求めていくか。私は求め方としては、これが全部ではありませんけれども、やはり租税特別措置法等の適正な是正をしなければいけないと思うのですが、これについて大蔵省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  163. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 まずお尋ねの租税特別措置法のような臨時的なまた例外的な措置をいつまで続けるのだ、早くやめられるものはやめて常態に復すべきである。租税特別措置法の例外的な規定があるから、それを基準にしな事業税の課税とか、あるいは住民税の所得、法人税の所得割、こういうようなものもまたアンバランスになるのじゃないかという御意見でございますが、全くお説のような事態がかなりあると存じます。そこで大蔵省といたしましては税制調査会、これは現在の税制調査会ではありません、前の税制調査会において、たびたび租税特別措置法という臨時措置はできるだけ早くやめるべきであるという答申が出ておりますので、その答申に沿いまして、できるだけ早くやめたいということで、昨年の四月一日から預貯金の利子所得に対する非課税措置を国家として、分離課税ではありますが、一割課税するというところまで踏み切ったのでありますが、これをもう一つ進めて、今後もう一段と不均衡な税制を改めたい、かように存じております。ただ中には、いわゆる米穀の超過供出奨励金などに対する牛保税の措置ということになりますと、これは社会党さんの方も存置すべしという御意見もあります。また医者の診療所の報酬に対する臨時措置、これもなかなか踏み切れない事情もございまして、そういうものはあとにいたしましても、できるものから早くやりたいということで、これも現在税制調査会の方へ諮問をかけておる、こういう状態でございます。なお富裕団体の経営費の基準額の算定についての御質問については、大村主計官からお答えさせたいと思います。
  164. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 先ほど大蔵省が言っている財源調整というものは、富裕団体の金を削って回せというのかという御質問がございましたのですが、富裕団体の現在ある行政水準を低下させて、そして貧弱団体を救えという意味でおっしゃっているのでございましたら、そうではございませんので、ひとしく行政水準の維持向上ははかっていかなければならないのでございますけれども、富裕団体財政力と貧弱団体財政力が同じ程度の財政力になるように、一つ交付税配分等を考えていかなければならぬ、そういう趣旨で申し上げておるわけでございます。
  165. 加賀田進

    ○加賀田委員 関連して。交付税に関係した財源調整の問題で非常に大蔵省として考え方の相違があると思うのです。財政問題を一応調整する云々と言っておりますけれども、この財政を調整する重要な役割をしているのは交付税ですから、交付税の算定で、結局基準財政需要額に基づいて各地方団体間の行政水準の一定額がきまる。それは結局、全国の地方団体行政水準のバランスを保とうというのが目的であって、住民の要求により、あるいは一般の国家の水準によって、地方団体行政水準というものを高めていこうとか、あるいは一定の行政水準が正しいという、こういう見解のもとにこれが制定されていないのです。一定の行政水準というものをきめて、その間において貧弱府県に財政的な調整をするということの趣旨でこの交付税法ができておるとするならば、この交付税の税額というものを一つの率に基づいて一定額をきめるということ自体に問題が起こってくる。二八・五%という率をきめて、その財源の範囲内で基準財政需要額をきめていくのです。それがきまれば全国の地方団体行政水準がきまっていく。それが反対の状態になっていると思う。だからほんとう交付税の性格というものが地方団体財政水準というものをずっと平均化していくという趣旨であれば、まず行政水準というものをきめて、それに基づいて、貧弱府県に対する財政調整が要れば、これは野放しで交付税に基づく方法によって財政的裏づけをしていく、こういう形をとらなければならぬのに、そういう性格を持っていながらも、頭から交付税金額をきめて、そこで行政水準をならしていくというところに理論と実際行なわれているものが違ってきている。そこに大蔵省考え方が、言葉の上では財政調整とかいわゆる富裕府県とか言っておりますが、それは一定の行政水準よりちょっと上回ったところを富裕府県と言っているのであって、財政的に富裕ではないと思う。だからそういうものの考え方は、大蔵省として、この交付税等において頭は押えられる、行政水準は大体きまっているから、富裕府県から取ってこい、こういう考え方になっているのじゃないかと思うのです。つまり財政調整と行政水準との関係における大蔵省考え方ですね。われわれはそういう考え方を持っているのですが、大蔵省としてどういう考え方を持っているか、この点だけをはっきりしておいていただきたい。
  166. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 ただいまの行政水準財源調整の関係の御質問でございますが、行政水準をどういうふうに見ていくかという問題、これは実は非常にむずかしい問題だと思います。しかし、たとえば治山治水五カ年計画、道路五カ年計画あるいは下水道など、各事業別に、最近は国の経済五カ年計画に基づきまして事業の計画が充実して参っております。大蔵省といたしましても、その計画につきまして、財政の許す範囲内で計画に即応するように予算編成して参るわけでございます。その計画に基づいて編成されました予算を基礎にいたしまして、地方財政計画というものはできていくわけでございます。そこで、地方財政計画におきまして翌年度地方税収は一体どのくらいになるか、またそういう国の事業計画に基づくところの国庫負担関係の支出はどのくらいになるか、その他の交付税につきましては二八・五%、従って国の事業計画に基づく歳出、その他地方の単独の事業計画というものを検討いたしまして、それで財源が足りるのか足りないのかということを地方財政計画で判断していくわけでございますが、その結果、地方財政計画でこれでよろしいということになりましたら、それに基づいて基準財政需要額が算定されていくわけで、その算定された基準財政需要額と基準財政収入額に基づきまして交付税配分されていく、そういう仕組みになっております。
  167. 加賀田進

    ○加賀田委員 それはただ一つの形式的な段階だけであって、実際は交付税金額が大体国税三税に基づいてきまるわけです。その範囲を越えた基準財政需要額の単位表というものを上げることはできないでしょう、総額が頭で押えられてしまっておるのですから。だから、この交付税に基づいて各都道府県門の一定の基準行政水準というものをきめて、それにならしていくというのが今のやり方なんです、実際的には。だから、ただ地方団体の要求されるいわゆる基準行政水準といいましょうか、そういうものに基づく財政的な裏づけは実際的にはやってないでしょう。そこにやはり政府としての、交付税という性格の考え方の相違というものが私はあると思う。これは単なる財政調整、あるいは地方公共団体の特殊な事情に基づく財政の要求があるとか、財政収入が特段な事情に基づいて減収されてきたとか、そういう特別の交付税の性格も合わせております。ほんとうの性格というのは、私はやはり一定の行政水準をきめて、それに不可能な財政の貧弱なところは、無条件でそれまでの財政裏づけをしていくという形で、この交付税というものが算定されておるとするならば、その金額というのは、頭からワクとして押えるべきじゃないと思うのです。ところが、頭から抑えられて、それから逆にきているというところに、私はこの性格の相違があると思う。大蔵省としても頭を押えて二八・五、それ以上上げてはならないとかいうような一つのワクをぎゅっときめて、その範囲の中で財政需要というものをきめて、そこに交付税とか——交付団体交付団体とわれわれはいっておりますが、大蔵省は富裕団体、貧弱団体とかいっておりますが、そこに私は地方行政に対する大きな考え方の相違というものが生まれてきているんじゃないかと思うのです。だから、各省が事業計画を立てる、その事業計画に基づいて地方負担もある。地方の単独事業もある。そうすると、国の行政に基づいて地方負担が増加されれば、単独事業というのはだんだん押えられてきているわけです。押えて財政調整をやってきておる。これ以上押えることができないとなると、交付税によって何とかしようかという、こういう不健全な地方財政というものが生まれてきている。そこに私は地方財政の困難な問題と、実質的に行政水準が近代社会に合わないようなテンポでのろのろついていくというような行き方があると思う。これは大蔵省としても、もっと問題を考え直してもらわなくてはならぬと思う。そういう考え方の相違が自治庁大蔵省との折衝の焦点になっていると思うのです。大蔵省は、いわゆる地方財政住民に直結したサービス行政ですから、ぜひともそういう形でもっと考え面して、将来自治庁との折衝をやってもらいたい。
  168. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 この地方財政の方針としては、あるいはごもっともな点が多いと思います。これはここに自治庁長官もおられますので、さしおいて申し上げてどうかと思いますが、大蔵省考え方を申し上げますと、私は地方財政のことは詳しくは存じませんが、大蔵省としては地方財政をどう見ておるかという考え方で申し上げますと、地方自治確立し、また地方財政確立するには、年々によって国の会計から地方財政幾ら繰り入れるかということが毎年浮動するということじゃいかぬので、地方団体の責任、事務分担すべて確定し、国と地方とがはっきり分けて——この前も私は委員会で申し上げましたが、西ドイツのように、すっかり分けて、そうして財源もすっきりと、直接税は府県あるいは市町村、それから間接税は国というふうにずばっと割って、その上で多少の財源調整をする、これも法律に基づいてはっきりする。こういうところまでいければ、私は理想だと思うのです。しかし今の状態では、単独事業であろうがその他の補助事業にしても、国の負担地方団体負担というものが、ときによって法律改正され、変わります。そして、事務においてもいろいろ新たな事務がふえていって、その関係も不明確になり、また減税の場合においても、国だけがやって、地方の方は、それに伴うについては財源が見つからぬというようなことで、根本の土台がどうもまだはっきり立っておらぬということ。しかし、こういうことを根本から改めて、一つ何とか大蔵省自治庁との間にしっかり話し合いのつくような状態に持っていきたい、かように念願しておるのでありますが、何しろまだ力足らず十分の話し合いがついておりませんが、大蔵省としてはそのように考えておりますので、従って二八・五%の交付税税率がきめてある、これについて御意見がございましたけれども、国の立場にしても、税制改正財政計画を立てるについては、何年か将来を見越しての長期的な計画も必要でありますから、毎年地方財政の方に幾ら繰り入れるか全然見当がつかないようなことでは財政計画も立たぬので、やはり二八・五%というものを一つのめどにしてやっていかなければ、国の方が予算が作れない、税制改正考えられない、かように存じます。その辺も御了承願いたいと思います。
  169. 阪上安太郎

    ○阪上委員 先ほど私の質問で、富裕団体を削るというような団体間の調整はやらない、これははっきりしておるですね。そういうふうにわれわれ考えていいわけですね。そうしましたら、本年問題になりましたたばこ消費税の譲与化、これは結果においてはそういうことになりはしませんか。あなた方が考えられておるほかの方向に進みはしませんか。しかも今年問題になって、ずいぶんあれはやりとりされたというふうに私は伺っておるのですが、そういう考え方を一方において持っておって、そうして一方においては、富裕同体の財源を削るというような考え方はないんだ、行政水準は維持していく、そういうことを言っておるから、いつまでたっても自治庁との間の意見の調整ができないんじゃないかと思うのです。次官どうですか。
  170. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 地方団体間の、つまり同一水準の財政需要をまかなっていくということについては、現在の国及び地方税制からいたしまして財源が非常にアンバランスでありますから、財源調整の方法なくして調整はできない。たばこ譲与税ということは財源調整の一つ方法であって、ほかにもいろいろとあろうと思います。これは大蔵省としては、基本的には自治庁に実現していただくように、かねてからたびたび要望しておる次第であります。
  171. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これは一つの例を引いて出し上げたのですが、そうすると、やはり税のアンバランスがある。従って税のアンバランスがあるからどうしても高いところは削ってくるんだ、こういう考え方ですか。富裕団体の方を削るというのですか。先ほどあなたは削らないと言ったじゃないですか、どうなんですか。
  172. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 先ほど来申し上げましたのは、富裕団体行政水準を低下させるという意味で削る、財源調整というふうにおとりになるのでしたら、私の申し上げておるととは違いますということで申し上げましたので、むしろ行政水準の維持向上という見地から見れば、もちろん同じように考えていいわけでございますけれども、たとえば三十五年度に常総団体におきまして百億法人の自然増収があるといたしました場合に、たばこ消費税で二十億なら二十億を財源調整に使うという場合には、もちろん財源は異同いたしますけれども、全体としてそういう行政水準の低下を招くようなことはないというふうに考えております。
  173. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ちょっと理屈がわからないのです。富裕団体行政水準を低めるような作用を、団体間の調整においては考えていない、しかしながら税の偏在があるので、これは削る。一体行政水準を維持していくところの大きなファクターは何ですか。これはやはり財源でしょう。財源以外に何か手品師みたいなことができるか、一ぺん方法を教えて下さい。
  174. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 たとえば、先ほど申し上げましたように、ある県におきまして法人事業税の増収が百億翌年度にあるといたしました場合に、その戸隠に会わせてすでに今までも超過財源があるわけでございますけれども、百億のうちからたとえば二十億をたばこ消費税財源調整的にほかの団体へ分けていただく、そういうことでございます。
  175. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうすると、大蔵省考えられておる行政水準というものは一つの一定のものなんですね。社会の進歩あるいは経済の伸びというふうなものとは全然関係なく、頭の中で一定のものがこういうふうにあって、従って税の伸びがあった場合には、そのうちのあるものを削った場合に行政水準は維持できるという、一定の何か行政水準というものを考えられておるのですか。社会の進歩あるいは経済界の進歩その他に伴うてあるべき行政水準というものが常に伸びていく、その水準を考えないで、ただ一定のものを頭に置いておられる、こういうことなんですか。
  176. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 もちろん財源と申しますのは、国民所得の伸びに応じまして毎年財源が伸びて参ります。伸びる範囲内で行政水準も伸びていくものだ、かように考えております。
  177. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうなると、やはり団体間の調整という問題は具体的な様相を帯びてこないと私は思うのです。そういう考え方ではとてもじゃないが、行政水準の維持という言葉にも当らぬじゃないか、そう思うのであります。常に伸びていくものをつかまえていかなければいけないのです。伸ばすべき考え方のもとに行政水準の維持——行政水準の維持とは行政水準を高めるということと同じ意味考えていいんじゃないかと思うのです。何かここに一つ行政水準が上がって、これをそのままに維持しておる、これが行政水準の維持だという考え方は、私は根本的に間違っておると思います。伸びていく姿のままで行政水準を維持する。だから維持することも伸びるということも同じことだ、こういうふうに私は考えております。そういう考え方でもっていかないと、地方財政というものは健全化も何もあったものじゃありません。最近の経済白書、これは沈みやすい本だから小説を読むようなつもりで私は読んでおるのですけれども、実に的確なものを指摘されておりますよ。戦後の国民生活の個人消費、消費命だといわれておる最近の伸びというものをはっきり把握しておりますが、その中で、特に地方公共団体の公共施設というものが、衛生関係でも何でも含めたものがいかに低い水準にあるかということをはっきり指摘しております。これを伸ばさなければ行政水準は伸びたと言われないのであって、あなたが言う行政水準を維持したとは言えないのです。門司委員の予算委員会における質問と大蔵大臣の答弁等を伺っておりましても、きょうあなた方がおっしゃいましたのと同じようなものの考え方をされておる。これは親方がそう言っておられるのだから同じように言っておられるのかもしれませんけれども、ちっともその点について解明されていないのです。私はこんなことをしつこく言うのはあまり好きじゃありませんけれども、ここ数年来の自治庁大蔵省との間のこの意見の調整ができないところの問題は、ほとんどこれにかかっているんじゃないかと私は思うのです。私が今考えたような考え方というものは不当なんでしょうか、この点について逆に御意見を伺っておきたいと思うのです。
  178. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 行政水準は、経済なり文化その他が進展するに応じて上げていかなければならぬというお説については異論はございません。しかし国、地方を通じての歳入と申しますか、全体の財源の増収に見合ったものでなければ、行政水準だけをどんどん上げていっても、財源がそれに伴わなければどうにもなりません。国としても、また地方財政だけにそんなに国の財源をさくわけには参りませんので、そこに行政水準というものがある程度制約されるということは、これはやむを得ぬ。その制約のめどは二八・五%が一つのめどにもなろうか、かように考えておるので、一番高い水準に右へならえするというわけにはこれはいかぬ。そうすればある程度のところへ水準を置くとすれば、財源調整というものは、私は当然起こってくる、こういうふうに考えておる次第であります。
  179. 阪上安太郎

    ○阪上委員 あなたがまたおっしゃったのですが、一番高いところのものに右へならえするわけにはいかぬ、この考え方なんですよ。それが私はおかしいと思うのです。それで政務次官先ほどからあなたは財源がないとおっしゃるけれども財源はあります。さっき言いました租税特別措置法なんか整理すれば一番いい財源なんです。そこまで整理すべきじゃないですか、税制調査会結論なんかどうでもいいですよ。そうでなくても、この前の調査会の結論先ほど一つだけの整理をなさったのでありますけれども、これをおやりになったら、それでできる問題ですよ、こんな問題は……。
  180. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 理論的にいえばそういう御意見も成り立つと思います。いわゆる租税特別措置法などをやめれば財源が相当浮いて、それで財源調整なくして地方財政をもっと確立できる。それはお説の通りと思います。しかし今自由民主党が政権を担当してやっておりますについては、私どもとしてはそう簡単に租税特別措置法その他の措置を急に一ぺんに改めるということはできない。徐々にやっていくということでありますので、そういう面から制約を受けておりますので、これはもうそこまでの御議論になりますならば、社会党さんが内閣をおとりになっておやりになっていただかなければ、これはもう議論の食い違いと存ずる次第でございます。
  181. 阪上安太郎

    ○阪上委員 言葉じりじゃないけれども、自由民主党が今天下をとっておるから、租税特別措置法というものは簡単に整理はできないのだ。これは少し次官言い過ぎじゃないかと思うのですがね。言い過ぎは悪い意味の言い過ぎではなくして、あまり大蔵政務次官正直に考えられ過ぎているのじゃないかと思う。とにかく企業は伸びているのですよ。私は措置する必要がないと言っているのです。もうこんなものはできるだけ早く整理していくべきだ、こう言うのです。自民党であろうと、社会党であろうと、そういう考え方ですね。あえてそういうことを言われるなら、何か大資本擁護の建前でおやりになっているのかと、こういう反論を言わざるを得ないですよ。大資本擁護の建前でおやりになっている自民党のこの施策に伴うて、国税の租税特別措置が行なわれ、地方税がそれのしわ寄せを食っている。これはどう考えても不合理でしょう。経済基盤確立のためにめんどうを児なければならぬ時期はあったでありましょう。私はそんなにめちゃな議論は言いませんけれども、これはもうこれでいいのじゃないか。その議論はそれくらいにしておきましょう。  次は小さい問題かもしれませんが、この際大蔵省一つ伺っておきたいと思いますけれども大蔵省地方税財政に対する関与といいますか、これはかなり行なわれていると思うのです。予算編成上の場合におけるそういう配慮以外に、たとえば起伏の認許可の問題というようなものについて、これは法的権限は一体どこにあるのでしょうか。大蔵省は関与すべきものなんですか、すべからざるものなんですか、これを一つ伺っておきたいと思います。
  182. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 法制的な点から御説明申し上げます。これは行政組織法によりまして大蔵省設置法があるわけでございまして、大蔵省設置法におきまして起債の許可権、これは認められておる点でございます。
  183. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで起債の許可をする場合に、出先の財務局がこれにタッチするわけですね、そういう形で今のところおやりになっておる、こういうことですか。しかしこれは最終の決定権はどこにあるのでしょうか。
  184. 奧野誠亮

    奧野政府委員 大蔵省地方財政との関係でございますので、端的に申し上げたいと思います。  大蔵省設置法には、国の財務の統括の立場からする地方財源、要するに国の財務統括の立場から地方財政が問題になる限りにおいて地方財政が問題にできる。地方財政プロパーについてとかくの権限を大蔵省が持っておるわけではない、かように考えております。この表現の際にも、率直に申し上げますとかなりもめて、この表現になったわけでございます。国の財務統括の立場からすれば、地方財政について何ら権限を持たないということは困る場合が起こるわけでございまして、そういう立場でこの帆走が置かれたわけでございます。地方債につきましては、都道府県と五大市の地方債の許可権限は自治庁長戸でございます。その他の市町村地方債の許可権限は府県知事でございます。そして一件金額が五百万円をこえるものにつきまして、自治庁長官が許可をしようとします場合には大蔵大臣に協議する、こういう建前になっておるわけでございます。しかしながら地方債の資金というものは資金運用部資金もございますし、簡易保険の資金も、公営企業金融公庫の資金も、いろいろあるわけでございます。許可をいたしましても、その資金を貸すところで直ちにどれだけの資金を融通するか、こういう問題になるわけでございますので、できる限り許可を受けたときには、どの資金を使うかということも一緒にきめまして、その関係のところへ行けば直ちに貸してもらえるというような仕組みをとりました方が、事が円滑に運ぶわけでございます。そこで現在では、今申し上げました一件金額が五百万円をこえるものであるだけではございませんで、全面的に自治庁大蔵省と協議をいたしております。しかしながら、その協議が単に許可をする協議だけではなしに、どの資金を使うかということも一緒に協議をしておるわけでございますので、借り入れにあたりましても、もう一ぺん許可を受けなければならないという手数はないわけでございます。そういうことで、事を円滑に運ぶという立場から、今のような運営の仕方をしておるわけでございますが、場合によりましては、もう少し簡単に大蔵省で扱ってもらえないだろうかと思うような場合もございます。あるいは大蔵省側自治庁のとっております態度につきまして、改めるべき点があるようにお考えになる場合もあろうかと思いますけれども、今申し上げましたような法制の立場、同時にまた運営の円滑さを期して、現在の仕組みをとっておるわけでございます。
  185. 亀山孝一

    ○亀山委員 関連して。今阪上委員からの御質問地方債の許可問題は、数回前の国会におきましても当委員会で私は申し上げましたが、許可権を持っておる自治庁大蔵省との間の交渉の問題は、これは今の起債資金の問題はやむを得ぬかもしれません。しかし地方の財務部、財務出張所というものが県と同様にこれを取り扱う。従って一市町村起債をする場合には、県庁に行って、財務出張所へ行って、さらに場合によれば財務部へまで行くのです。これは中井委員も私とともに申し上げておったのですが、何とかこれは簡単にできないかということを申し上げたら、当時の大蔵当局は考慮するといわれた。その後少しの間は割合いに便宜を払われたようです。しかるに最近ではまたもとに戻っておる。事こまかに府県の監督と同様に二重審査をしておる。これは今阪上委員が言われましたけれども、われわれもたびたび言っている。今奧野財政局長の説明もありまして、自治庁大蔵省と両方の御当局の関係はわかる。わかるけれども、一体地方で財務出張所、財務部が何ゆえに府県庁と同じようにあれほど厳重な審査をする必要があるか。信用しないのです。幸いきょうは奥村政務次官いらっしゃいますが、これは私数回前に強い質問をして、くどいようですが、そのときには十分考慮すると言われた。しかるに今日またもとのもくあみになってしまっておる。このためにこうむる市町村の迷惑は大へんなものです。政務次官も御存じかと思うけれども起債をするときには府県庁へ行き、さらに財務出張所へ行く、場合によっては財務部まで行く、こういう手間を一体何がゆえにとらせるのですか。私はこの際は、財務都なり財務出張所のいろいろの機構もあるから、これをどうせいということはあまり言いませんけれども、このこうむる迷惑を少し緩和してもらいたい。今阪上委員の非常に適切な質問がありまして、私は特にお許しをいただきまして関連質問をするのは、この機会政務次官主計官から関係当局にお話しを願って、この国全中にどういう処置をとるか、一つ御明言願いたい。ほんとうに気の毒ですよ。これに対する政務次官お答えを願いたい。
  186. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 今御指摘のようにかなり以前の委員会に、これは私は政務次官でなしに、大蔵委員長か何かのときだったかと思いますが、今のような御意見もありまして、あまり繁雑な制度ではいかぬというお話が出まして、一時反省したように存じます。今の御質問ではまたまた出張所までもずいぶんこまかく見ておるように承りました。しかし私の承知しております範囲では、起債の種類によっては府県に総ワクを削り当てて、その総ワクの中で府県が案を立てて持ってきたものについては、ほとんど文句なしに通るのが多いので、そうでないということにつきましては、それは種類によってはかなりこまかいところまで調べておるのもあると思いますが、なおそういう事例がありましたら、よく承りまして、今御指摘のようにこの国会中に一つ善処するように努力いたしたいと思います。
  187. 亀山孝一

    ○亀山委員 ただいま奥村政務次官から非常に御親切な御答弁を伺いましてありがとうございます。どうか一つこの会期中に今の問題は何とか緩和していただきたい。一番気の毒なのは仕事をしようとしておる市町村長です。一つそれを何とか行政が簡素化できますように、ぜひお願いいたします。
  188. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私申し上げようと思っておりました後段の質問は、大体亀山先生からお話がありましたが、率直に言いまして私も長い間市長をやっておったのでありますが、起債の認可をもらうために大阪府へ行って地方課長に会い、いろいろ窮状を訴えて起債の許可を願う。その場合地方課では、それならば一つ自治庁に頼んでこい、こうは言わない。その場合特に問題になるのは、財務局の許可を一つ得てこい、こういうことなんです。それは政務次官ほんとうなんです。これは私案に迂遠であると思う。そこで先ほどのような質問になったわけですが、これは一つもう一元化してもらわなければいけないと私は思うのです。こんなものに大蔵省がいつまでもこだわっておられてはおかしいのじゃないか、こういうふうに思います。この点は亀山さんからもお話がありましたが、何とかこの国会中に話し合いをして解決していただきたいと思います。これだけ申し上げておきます。  それから次に地方財政計画について若干問題点を持っておりますので、御質問申し上げたいと思うのでありますが、細部につきましてはまた先に質問いたすことにいたします。  昭和三十四年度地方財政計画のときに、基本方針が示されております。それは七百億円の減税等もございましたので、その減税により国民負担の軽減をはかるというような基本方針でございます。そして可及的すみやかに地方財源の充実をはかっていくのだ、それから先ほど来から問題になっております行政水準の向上をはかるのだ、こういうものが大体三十四年度財政計画の樹立の際における基本方針であったと私は思っております。先般来三十五年度の基本方針を長官から伺ったわけでありますが、地方財政健全化ということをトップにうたっておられます。しかし、今度は、住民負担の軽減ということにつきましては、特に減税という形においては打ち出しておられなかったように思うのであります。現実には百二十二億の減税というものが実施されますけれども、こんなことは既定の事実だとわれわれは思っておったのであります。今さら麗々しく百二十二億を減税して地方住民負担を軽減するのだ、こう言えた義理のものではないだろうと私は思っておるわけであります。その次に、税外負担の解消、これを非常に取り上げていただいております。この点につきましては、私は非常にけっこうなことだと思って感激しているような基本方針でございます。その次に、また地方行政水準の維持ということがうたわれております。今度は向上とはうたっていないように思うのであります。そこで今度の財政計画をながめてみますと、先ほど問題になっておりました地方団体間の財源の調整というものがある程度この中に仕組まれておる、私はこういうふうに見るわけであります。本日午前中安井君の質問がございましたときに問題になりました百二十億の問題、あるいは臨時特別交付金の問題、その配分方式をながめてみますと、明らかに財源調整が行なわれている。私はこういうふうに見るのでありますが、自治庁としてはこういうような団体間の財源調整を行なう方針をはっきりと持っておやりになったのか、そういうことは適当でないということを考えられつつ、例のたばこ消費税譲与税化の圧力に耐えかねてやむを得ずとられたのがこの措置であったのか、この点をお伺いしたいと思います。
  189. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 大体そういう足りないところへ税を配ってやろうというのが交付税でありますから、もともと財源調整というか、財源配分の建前のものでありますが、そういう意味で現在の段階においてもある程度の財源調整をはかっていかなければならぬことは当然ではないかと思うのであります。別にたばこ消費税譲与税化を防ぐために財源調整をやったというような意味では、毛頭ございません。
  190. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この種の財源調整というものは将来ともやはりおとりになるのでございましょうか、これをちょっと伺っておきたいと思います。
  191. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 たびたびここで話に出ておりますように、税制調査会で税財源の根本的調整をはかり、同時に地方制度調査会等においても行政事務の配分を適正化したり、ここでもいろいろ検討を願っておりますが、そういうところで一つの方針を打ち立てられて、国、地方を通ずる税財源の適正な配分が行なわれた後におきましては、地方団体の間で十二分の財源調整をやらなければならぬのだ、もしそれでもなおできないような小さな団体は、大きな団体と一緒になって財政の樹立をはかっていかなければならぬ、私はそういうふうに考えております。
  192. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この団体間の財源調整は、私どもは非常に神経過敏になっておるのであります。従って善意の意味一つ大蔵省自治庁の間で——これこそいろんな要素が出てこないとなかなかそれはできないというようにおきめになって、ずるずる延ばしに延ばしていくような考え方をお持ちにならぬで、これは本国会となかなか言い切れる問題ではなかろうと思いますけれども、もうそろそろわれわれはこういうふうにやっていくのだというものが出てくるようなところまで持っていってもらいたいと思うのであります。ことに今長官が言われた言葉は、なかなか意味深長に承っておるのでありますけれども、それをそのまま受け取っていいかどうか私はよくわかりませんが、行政水準との関係において、やはり未開発地域開発を国庫支出金その他の形においてもやっていかなければならない問題もあろうかと思うのであります。むしろそっちの方が行政水準を維持し、向上させていく方向からいえば一つの大事な要素になるのではないかと思います。ですから、ただ単に税収入の問題ばかりを頭に置かずに、そちらの方の問題もやはり考えていただいて、早くこの問題を意見調整ができるように持っていってもらいたいと思うのであります。  時間がだいぶ迫って参りましたので、また次回に譲りたいと思いますが、この際税外負担について伺っておきたいと思います。税外負担、例の法令外負担につきましては、三十一回国会におきまして三月十日でありましたか、大蔵省からああいういきさつもございまして、資料を出すということになっております。今作業を急いでおられるようでございますけれども、概略の数字が出ておりましたらこの際一つ伺っておきたいと思います。
  193. 大村筆雄

    大村(筆)説明員 昨年本委員会におきまして私どもの局長が税外負担の問題につきまして、大蔵省といたしましても下部機関を使って調査をいたしますということをお約束申し上げたのであります。その後その調査を昨年の八月に財務局でやっていただいたのでありますが、ちょうど九月に御承知の大災害がございまして、財務局の調査の報告が停滞いたしまして、やっと昨年蘇れに本省まで届いたのでございます。ちょうど予算編成最中でありますので、その間整理がおくれましてまことに申しわけないと思います。ただいま国会開会中でもありますので、これが整理集計を急いでおります。集計いたし次第すみやかに本委員会に御報告申し上げたいと思います。
  194. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この問題につきまして問題を解明していきたいと思っておるのでありますが、大蔵省の資料が出ませんのでなかなかやりにくいのであります。  そこで、とりあえず一つ自治庁の方に伺っておきたいのであります。あなたの方で御調査なさいました税外負担の、三十三年十月にいただきました資料によりましても、公費支弁当然の分として二百五十三億ばかりが出ておるのではないかと思うのであります。市町村の経費に充当した寄付金として五十六億六千六百万円、町内会、部落会、消防団後援会費として五十七億二千八百万円、PTAの寄付金が百三十九億九百万円、合計二百五十三億三百万円、こういうふうになっております。公費支弁が当然の分という見方、それ自体において問題点がありますが、一応この数字を基礎といたしましても、二百五十三億というものは公費支弁で見られなければならぬ、こういうことになっておりますが、見られておるものはたしかPTAの寄付金等について九十億、それからこれは私ちょっと数字がわかりませんが、市町村の経費に充当した寄付金等、これは府県が当然やるべきものを市町村負担さしたというものを市町村が計上したという意味であるか、この点よくわからないのでありますが、何かそういったものについて二十億程度含まれておるということであります。二百五十三億でもって解消するということになれば、一応この基礎から見て妥当だと思いますけれども、今言ったような金額でもってこれを解消するんだということであるならば、大へんあとに問題をのこしてくるんじゃないか、私こういうふうに考えるのであります。この点について自治庁のこういった財政措置をされた見解を一つ伺っておきたいと思うのであります。
  195. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘の通り三十三年十に三十二年度の決算について調査いたしました数字がその通りでございます。これは市町村に一定の項目を示しまして数字を出してもらったわけでございます。私たちは税外負担のすべてが今直ちに排除しなければならないものだというようにも考えていないわけでございます。また調査のしようによりましては、いわゆる税外負担というものがこれよりももっと大きな金額に上っているというようなものの考え方もあり得ようかと思います。そういうようなところから、だれが考えてもいかにも無理だと思われるものから逐時整理していきたい、そういう意味で先般も申し上げたわけでありますが、小学校の維持修繕費をPTAにしわ寄せする、あるいは職員の給与費を寄付に求めておる、これはひどいわけでありますので、そういうものから排除していきたい。同時にまた市町村財源が全体として潤って参りますならば、あえて無理な寄付金に財源を求めるということはしなくなるだろう、こういうような期待も持っておるわけであります。従いまして漸次市町村財政運営を改めてもらう、その一つの端緒を作っていきたい、そういうようなところから現在義務教育について税外負担に求めております九十億円の金額に目途を置いて整理に着手する、こういうように考えたわけであります。一例を申し上げますと、町村道につきまして、町村は砂利を支給して、あとは全部部落でその砂利まきから補修からやっているというような場合がございます。そういうようなものがこの数字の中にどういうような格好になって現われて参ってきていますか、若干区々な点もあろうかと思います。しかしそういう運営のあり方まで今直ちにやめさすというわけには参らぬのではないか。また現在のような経済状態のもとにおきましては、そういうような行き方において公共施設を維持してもらうというような気持もむしろとうとんでいかなければならないんじゃないだろうか、かようにも考えるわけでございます。そういうようなことを総合勘案いたしまして、さしあたり精神的に無理な税外負担はやめなければならないのだというような運営の改善を強く訴えていきたい、こう考えておるわけでございます。
  196. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで今、公費でもって負担すべきものがあなたの方の調査によりましても二百五十三億も出ておる。そのほかに任意支弁の分もかなりあるということになっております。それを合わせましてもやはり三百四十五億くらいになるんじゃないか、こういうふうに思うのであります。そのほかに法令外負担がやはりあると思うのであります。こんなものを合わせていくと、やはり四百七億近くになっていく。これはあなたの方の資料によってもそれだけのものは出て参ります。そのほかに市町村が府県に対して土地建物等において無償でもって貸与しているというような問題もこの中には含まれてくると思うのであります。そのほかにあらゆる部門にわたってまだまだこの資料では把握できていないところの税外負担が私はかなりあると思うのであります。そういった税外負担というものが非常に大きな額に達しておって、租税との歩合におきましても一割から一割五分に達しておるのではないかというのが、一昨日ですか門司さんも指摘されておったように思うのであります。  そこで今回公費でもって負担すべき分と、こう考えられた基礎が非常にむずかしい問題でありまして、はっきりしないと思うのでありますが、その中に何か受益者負担との関連において、受益者負担分としてながめられるものについては除外されてしまっておるというふうに私は説明の過程において承ったのです。しかしながら、この点について受益者負担というものに対して一体自治庁はどういうようにお考えになっておるのだろうか。受益者負担というものは何でもかんでも受益者負担がすればよいのだ、家の前のどぶが悪ければ受益者負担だ、そこを直す場合には受益者負担だというような単純な考え方で受益者負担というものを考えておられると、やはり地方財政健全化の面からは大きな故障を生じてくるのではないかと私は思うのであります。膨大な税外負担、それを十二分に把握されていない。しかし大体推定すると七百億から一千億に近いものが出てくると考える、あるいはもっとそれ以上のものが出てくるのではないかと大ざっぱに考えられる。そうして公費でもって負担してやらなければならない分をやはり取り上げて救済しなければならぬ。こういう観点から公費でもって負担すべき分というものをきめられた。しかしそのきめるときの考え方として受益者負担というものを除外しておられる。その受益者負担に対する考え方はどういう考え方を持っておられるかはっきりしないのでありますが、これを一つ何か適当に、われわれ浅学非才にわかるような言葉で説明願えれば非常にけっこうだと思うのです。
  197. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先般受益者負担のことを申し上げましたのは、都道府県がその負担されておる経費を市町村に転嫁しておる。その転嫁しておる根拠は、受益者負担ということになっておるでしょうと、こう申し上げたのでございます。道路法を見ましても、河川法を見ましても、砂防法を見ましても、みな市町村に経費の負担をさせることができるのだという根拠規定があるわけであります。その根拠規定を置いておりますのは、市町村が受益しておるのだからだ、こういう建前に立っておると思います。そこで私は、地方財政法の中で、大規模かつ広域にわたる事業で政令で定めるものに要する経費については市町村負担さしてはならないのだ、こう書いたわけであります。その場合に河川法、道路法、砂防法等も全部直そうと考えたわけでございまして、地方財政法で引っぱってきておる負担転嫁禁止の規定については、河川法や道路法で市町村負担させることができると書いてある規定を部分的に排除しようと考えたわけであります。一たんはそういうことで関係各省とも話がついたわけでありましたが、なおこまかな点でどこまで禁止するかというようなことで、なおもう一そう活を進めなければならないものもございましたので、一応河川法や道路法の規定をいじることはやめたわけでありますが、地方財政法の規定が新法、旧法との関係においても、一般法、特別法との関係においても優先するのだから、あえて道路法や河川法の改正を待たなくても、その分は市町村負担を求めることはできないのだ、こういう解釈も成り立ちますし、法制局もその見解でございましたので、河川法や道路法の一部修正を思いとどまったわけであります。私たちはやはり大規模な工事をやる、国道の改修工事をやっておる、あるいは河川の改修工事をやっておる、たまたま市町村の行政区域にかかっておるからといって、その市町村負担を求める、しかもその根拠を受益者負担ということでもって求めるということは、今日の住民感情がこういう空気になって参っておりますし、また大規模建設工事をどんどん大きな力で、国なり府県なりの力でやっていかなければなりません場合に、市町村負担を出さなければその工事をやれぬという性格のものではないと考えますので、そういう意味の受益者負担は排除していきたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。こういう点はなお一そう私たちとしては進めていかなければならぬのじゃないかと思うのでございますが、事業省におきましては、そういう点につきましてなおいろいろと難色を示しておりますので、さしあたり話のつくものからそういう考え方を強く打ち出して参りたい、かように考えておるわけであります。
  198. 阪上安太郎

    ○阪上委員 もう私は釈迦に説法ですから申し上げる必要もないかと思いますが、とにかく住民は税金を負担しておる。住民が税金を負担しておって、そうして一方において受益者負担をやっていくということなのであります。今受益者負担地方自治体でもってかぶせておるものの中には、非常に不適当なものも数多くあるんじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。都市計画費を取っておきながら、下水道の修理に対して受益者負担をしてみたり、道路等の舗装についてもやはり同じことが言えると思うのであります。あるいはまたPTAの負担金等におきましても考えられる面が多分に出ておると思うのであります。大体受益者負担などというものをあまり強く強調するという考え方自体が間違っておるんじゃないか。それならば極言すれば、もう税金を取る必要はないんじゃないか、すべて受益者負担でもってやっていけばそれでいいのじゃないか。そういうことをやれば、税の本来の目的というものはなくなってしまって、とんでもない結果になっていく。そのとんでもない結果になっていく方向というものを受益者負担というものが打ち出しておるということであるならば、これは一つ自治庁等におかれまして厳密にこの受益者負担に対する善後策を考えていただきたいと私は思うのであります。この点だけは一つお願いしておきたいと思います。  特にこの中でPTAの負担金等につきましては、これは自治庁の資料になっておる大もとの文部省の調査によりましても、高等学校の生徒一人当たり年間公費と父兄負担分合わせまして、五万四千円くらいかかっておる。そのうち三万二千円が大体父兄の負担である。それから中学生におきましても二万八千円、そのうち二万二千円というものがやはり父兄負担になっておる。小学生におきましても二万二千円、それに対しまして二万二千円程度のものがやはり父兄負担になっておる。そして企画庁の国民生活白書によりましても、こういった教育費の負担というものについては、大体所得のいかんにかかわらず負担をしなければならぬところのものであるがゆえに、低額所得者に対しては非常に大きな負担になっておるということをしみじみ訴えておるのであります。月額一万五千円くらいの所得者に対しましては、大体四%に近い負担率を示しておるというようなことを言っております。もちろんこれに大学生を入れて、高等学校、中学校、小学校一人ずつ持ったならば、大へんなことになってくるのじゃないかと思うのであります。しかも憲法に保障されております義務教育に関する費用というものは、全額国庫負担でなければならぬということになっておるのであります。こうなって参りますと、ほかの税外負担もさることながら、義務教育に対するPTAの負担というものについては、もう少し思い切った措置をとっていただくわけにはいかないだろうか、こういうふうに私考えるわけなんでありまして、解消するということで第一年度を出発していただいたので非常にありがたいのでありますけれども、PTAの負担金につきまして、一体将来これをどうされるつもりでありますか。やはりここ一、二年の間に解消するような勢いを持っておやりになるのでありましょうか、どうなんですか。
  199. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 今度の地方財政法の改正にもはっきりこの点をうたっておるのでありまして、将来だんだん財政計画にこの面のワクをふやして参りまして、純粋のPTAの当然負担しなければならないようなもの以外のもの、税の性質に近いものは解消する方向努力を続けていきたいと思います。
  200. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大蔵政務次官もお帰りになるそうでありますので、別に答弁は要りませんが、税外負担の問題は大へんな問題ですから、大蔵省もあまりけちけちしないで解消に一つ協力していただきたいと思います。  そこで一つ自治庁の方にお伺いいたしますが、この九十億程度の——と言うと非常に失礼でありますが、これが措置されたことによってそれが住民負担にならないような方向への配分財政措置がされるということでありますが、私の一つおそれておりますのは、こういうことで寄付してはいけないのだ、こういうことはPTAに押しつけてはいけないのだ、こういうように持っていくのはいいのですが、それとともにわずか九十億でありますので、これをたてにしてPTAが今度はわれわれはもう寄付する必要はないのだという立場に導かれやすいと思います。その結果、地方自治体における教育関係の行政に非常に大きな財政的な困難を感じてくるのじゃないかということをおそれておりますが、これに対しましてどういうふうに措置をされますか。
  201. 奧野誠亮

    奧野政府委員 阪上さんはわずか九十億とおっしゃいましたが、私たちは九十億という大きな金をもって仕事をやっていくのであります。税外負担の問題は、小学校費、中学校費、消防関係費、いろいろございます。従いまして市町村の基準財政需要額を算定するにあたって、小学校費、中学費、消防費などを増額することにいたしております。それで税収入の少ない団体交付税が増額交付されることになって参るわけでありますので、市町村としては解消しようと思えば解消できる、財源は確保できる、こういうことになるわけであります。なお法律的に規制を受けるわけでありますが、今おっしゃいましたように、この範囲からは絶対に負担をかけてはいけないのだ、この範囲からはぜがひでも市町村の経費に乗っけていかなければならないのだというように必ずしも割り切れない場合も数多いと思います。そういうこともございまして、やはり財政法で禁止規定を置きますことはきわめて限定的なものにいたしておりますので、これはあくまでも良識に従ってその基準をつけていただかなければならないわけであります。あくまでもPTAにおきましても、PTA本来の活動の負担をとやかく言うわけではありませんし、また住民が積極的にいろいろな施設を寄付しようという気持を押える筋合いのものでもないわけでありますので、今申し上げましたように、一方においては財源を与え、他方には禁止規定を置くけれども、きわめて限定的な明確なものだけにとどめておく、あとは今後の運営とそれに対する指導というようなことで良識ある財政秩序の確立をはかって参りたい、かような考え方でございます。
  202. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この税外負担の問題につきましては、法令外負担も含めまして、自治庁におかれましても、この調査の段階で満足されないでさらに一つ調査を進めていただきたいと思います。その場合に、自治庁調査はこうであり大蔵省調査はこうである、文部省はこうであり建設省はこうであるというような行き方ではなくして、こういうような大きな問題をかかえております税外負担について、内閣に何か特別の調査機関を設けるというような考え方はないでしょうか。そうすべきじゃないかと思いますが、長官はどういうふうにお考えになっておりますか。
  203. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 ただいまのところはございませんが、地方財政の非常に大きな一つの問題になっておりますので、御意見として承っておきまして、なおいろいろな機会にそういう話を持ち出してみたいと思います。
  204. 阪上安太郎

    ○阪上委員 なお質問はさらに続行いたしたいと思いますが、時間が四時半になりましたのでやめろということでございますから、きょうはこの辺で終わりたいと思います。
  205. 奧野誠亮

    奧野政府委員 午前の安井さんの御質問で、多分そうでしょうと答えておった数字に若干狂いがございますので正確に申し上げておきます。一つは、交付税の高等学校の単位費用をきめるに当たって、先生数を何人に見ているかという問題でございますが、七五五十人の生徒で、一学校にいたしまして三十四年度は先生数を三十三人で計算をしておりました。それを二十五年度は一人ふやしまして三十四人にしようと思っておるわけでございます。たしか文部省令の乙号基準では三十六人になるのではなかろうかと思いますので、なお二人の食い違いがございます。それからもう一つは、川村さんの御質問だったと思いますが、交付税の不交付団体が幾つあるか、こういう問題でございます。大都市は六団体のうち五、その他の都市は五百四十四団体のうち九十四、町村は三千三十四団体のうち百七十二、市町村全体でいいますと三千五百四十八団体のうち二百七十二団体が不交付団体だということになっております。これは三十四年度交付税計算でございます。  それからもう一つ、いわゆる外郭団体等に対する支出金がどれくらいになっているかという数字の御質問がございました。これは私の調べた数字でございますが、各種団体等に対する補助金の総計は、都道府県で四十三億円になっております。
  206. 安井吉典

    安井委員 今の四十三億は市町村ですか、都道府県だけですか。
  207. 奧野誠亮

    奧野政府委員 都道府県だけの数字でございます。市町村についてはこういう資料を持っておりません。
  208. 門司亮

    ○門司委員 私はこの際大臣が見えておりますので、大臣を通じて一つ委員長から資料を出していただきたいと思います。それはもう新聞でも御承知だと思いますが、香川かどこかで警察の費用をおまわりさんに負担させたという問題があるのですが、そのことにつきまして警備警察に関する問題がいろいろうわさされている。御承知のようにS活動費、スパイ情報の報償費というものが含まれております。こういうものは地方の警察ではわからないのです。だから警察の費用というものをこの際はっきりしておいていただきたいと思いますが、事務当局からこれらのことは一つ出していただくようにしてもらいたいと思います。二十一条に基づく長官官房の所管の経費がどうなっておるのか。それから二十二条の警務局の費用と二十三条の刑事局の費用、二十三条の二の保安警察に関するいわゆる保安局の費用、二十四条の警備局に関する費用、それから二十五条の通信局に関する費用、警察がこういうふうにずっと所管別に分かれておりますので、その所管別の経費をおのおのできるだけこまかく出していただきたいと思います。  それからその次に、国と地方との警察費全体に対する負担の割合とその総額を出してもらいたい。そうしてその集計として、警察費の総額が一体どうなっておるかということを一応この際明らかにしておいてもらいたいと思います。  こういうことを私が申し上げますのは、すでに公安委員長は御承知だと思いますが、今まで公安警備警察には秘密の金をかなりたくさん出して、いろいろな思想調査もごたごたやっているようですが、その方はちっとも惜しまないが、大事な国民の治安関係である刑事警察の方の費用を少し惜しんでいるようなきらいがあります。これはあまりいい傾向ではありませんので、国民の方からいえば、どうも警察のこういう傾向は迎え入れられない形であって、やはり犯罪捜査その他に万全を期するような費用はできるだけ多いことが私は必要だと思います。香川県の例はとっぴな例でありまして、ここまで刑事警察に要する費用が少なくなっているということになりますと、日本の治安関係にかなり大きな影響を持つ。国全体としての思想調査や何かに一生懸命金を使うこともいいでしょうけれども、やはり国民感情からいえば、どろぼうの方に少しよけい使ってもらったり、殺人罪の方によけい使ってもらわないと安心して寝られないということになりますので、ここら辺の経費をはっきり出していただきたいと思います。その上で、もしこういう警察の費用の中に片手落ちがあるならば、これを直してもらいたい、こういうことを考えておりますので、一店の資料として出していただきたいと思います。
  209. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 ただいま御要求になりました資料はいずれ出したいと思いますが、香川県における警察事件は、ちょっと新聞報道が少し事実と相違しておったようでありまして、新聞も朝日新聞だけが取り上げまして、きょうの論説にまでもいろいろ書いておったのでありますが、ごく簡略に申しますと、香川県で今三つばかり非常に大きな事件で捜査本部が設けられ、しかもまだ犯人が逮捕に至っていない。警察もほとんど全機能をあげてへとへとになっておるというような状況の際に、たまたま警察署長会議におきまして、そういう捜査に従事しておる連中を激励しようじゃないか、お互いにうどんの一ぱいでも供出するようなつもりで見舞をしようじゃないかというような発議があり、賛成者がありましてああいう形になったのであります。そのとき警察本部長も、これは決して強制のような形になってはいけない、多額になってもいけない、天引きのような形ではもってのほかだというようなわけで、非常に厳重な注意をわざわざいたしておるのでありますが、結果におきましては各人から拠出されたというようなことになったのでありまして、それから捜査費の全体の問題について、ただいま県会で四百万円ばかりの追加予算を計上しておるのでありまして、新聞の報道はちょっと事実と違うのであります。ただ御指摘になりました公安警備の費用と、一般刑事関係の費用との開きがあるということは、いわゆる昔から特高警察と普通警察と非常に違いがあって、部内においても不平もあり批判もあったのであります。今日はもちろんそんな時代ではございませんが、ややともするとそちらの費用が若干多いというようなきらいなきにしもあらずでありまして、こういう点は私は、御指摘を待つまでもなく、公平といいますか、両方に適当に渡るように、警察に対して常に言うておる次第であります。いずれ資料を出させたいと思いますが、香川県の事案は新聞に報道されておるのとちょっと実態が違っておりますので、ちょうど御質問がございましたので、一応このことを皆さんにお知らせする意味お答えをしておきます。
  210. 門司亮

    ○門司委員 一言だけ頼んでおきたいと思います。ちょっとわかりにくい資料になるかもしれませんが、実は警察費の中で都道府県の会計に入らない分がある。警察本部長限りで使っておる金がかなりあるはずです。こういうところにも何か警察の暗い影がある。警察法改正のときに、私はぜひ県の方に繰り入れなさい、そして経理を明らかにした方がいい、どうせそういう金は要らないわけじゃない、要るんだから、明らかにした方がいいと言ったら、やはりそれもそうはいかないといって、警察本部長限りで握っている金がある。これは経理の上からいってもおかしいのです。自分で持っていて勝手に使い、どこにも報告をしない、義務も負わないということは……。だからこういう問題ももしわかりましたら、どのくらいの金が——機密費という言葉を使うと悪いかもしれないが、府県本部長限りに行っておる金、こういうものもわかればわかるようにしておいていただきたい。
  211. 安井吉典

    安井委員 先ほどの御説明の中の高等学校の基準、これは七百五十人、十五学級という基準そのままですか。七百五十人、十五学級という基準自体に問題があるんじゃないですか。実際の場合はもっとこれよりも数が少なかったり多かったりして、これとそぐわないような形で実際の高等学校がある。その最も基礎的なものから問題があるんじゃないですか、どうなんですか。
  212. 奧野誠亮

    奧野政府委員 高等学校の単位費用をきめます場合には、標準規模の学校における所要経費を基礎に算出しておるわけであります。現在全国の高等学校の生徒数の平均で見ますと、大体七百五十人前後であったのではないかと思います。そこから七百五十人を基礎にして所要経費を算出するようにして参ったのであります。
  213. 安井吉典

    安井委員 基準の内容自体七百五十人というのは今でも動かないのですか。この点もう少し御検討願いたいと思うのですが、七百十五人が実際の姿にきっちり合ったようなものかどうか、その点もう少し知りたいのです。  それからもう一つ、定時制通信教育手当というやつは予算化されたのですね。
  214. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方交付税法改正案の中で、その部分の単位費用引き上げを用意いたします。
  215. 纐纈彌三

    ○纐纈委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十一分散会