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1960-03-01 第34回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月一日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 山中 貞則君 理事 平岡忠次郎君    理事 廣瀬 勝邦君       荒木萬壽夫君    押谷 富三君       加藤 高藏君    鴨田 宗一君       黒金 泰美君    進藤 一馬君       田邉 國男君    竹下  登君       西村 英一君    濱田 幸雄君       古川 丈吉君    毛利 松平君       山本 勝市君    石野 久男君       石村 英雄君    加藤 勘十君       久保田鶴松君    堀  昌雄君       横山 利秋君    大貫 大八君       松尾トシ子君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      泉 美之松君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部長)    竹村 忠一君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月二十五日  委員堀昌雄辞任につき、その補欠として北山  愛郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員北山愛郎辞任につき、その補欠として堀  昌雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員石村英雄辞任につき、その補欠として岡  良一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡良一辞任につき、その補欠として石村  英雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十七日  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  案(内閣提出第七九号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第七二号)  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  案(内閣提出第七九号)  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第二  八号)  税制に関する件      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  去る二月二十四日付託になりました補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び同二十七日付託になりました国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案の両案を議題といたします。     —————————————      ————◇—————
  3. 植木庚子郎

    植木委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。大蔵政務次官奧村又十郎君。
  4. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 ただいま議題となりました補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  まず、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、国の財政健全化をはかる等の目的から、補助金等整理合理化につきまして、昭和二十九年度以降の予算において所要の措置を講ずるとともに、法的措置を講ずる必要があるものにつきましては、補助金等臨時特例等に関する法律により、その特例措置を講じてきたのであります。  政府といたしましては、補助金等整理合理化につき、今後ともなお調査検討を進めて参る所存でありますが、昭和三十五年度予算の編成にあたりましても、各種補助金等につき検討の結果、一般的には、同年度においても引き続き同法による特例措置を講ずることとし、その有効期限昭和三十六年三月三十一日まで延長することといたしました。  なお、漁船損害補償法及び外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基づく補助金のこの法律による特例措置につきましては、検討の結果、この特例措置を恒久化することが適切と考えられますので、別途それぞれ関係委員会において御審議をお願いすることといたしております漁船損害補償法の一部を改正する法律案及び外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案におきまして、それぞれ特例法規定の趣旨にのっとった改正を行なうこととし、あわせて補助金等臨時特例等に関する法律中の特例措置規定を削除することといたしておりますので、御了承いただきたいと存じます。  次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案について申し上げます。この法律案は、別途御審議を仰ぐこととなっております国際開発協会協定に基づきまして、わが国国際開発協会加盟することに伴い必要な措置規定することを目的とするものであります。  国際開発協会すなわち、いわゆる第二世銀は、世界経済の繁栄のためには先進諸国一体となって低開発諸国経済開発を援助することがきわめて重要であるとの認識に基づきまして、新たに設けられることとなった国際的な開発金融機関であります。このような国際機関としてはすでに世界銀行等があるわけでありますが、それらの性格上、融資の対象、条件等におのずから制約があり、そのため低開発諸国開発援助をより効果的な方法により促進するため、新たな国際機関を設立することが要請されたのであります。  国際開発協会は十億ドルの資本金世界銀行加盟国により構成されることになっていますが、わが国は、従来からの低開発諸国に対する開発援助に加えて、このような国際機関による活動が一そう効果をもたらすものと考え、進んでこれに加盟しようとするものであります。  次に、この法律の概要を申し上げますと、国際開発協会協定によりわが国出資額は三千三百五十九万合衆国ドルすなわち百二十億九千二百四十万円となっておりますので、政府は、この金額を限度として同協会に対して出資し得ることを規定いたしました。この出資は金または自由交換可能通貨で行なうこととなっております。なお、協定によりますと、自由交換可能通貨として本邦通貨出資することが認められております。  次に、協定によりますと、出資額の一部については、それが本邦通貨である円で払い込まれる場合には、本邦通貨の払い込みを国債の交付によってかえることが認められておりますので、この出資のために協会に交付する国債発行等に関して必要な事項を規定いたしました。  なお、この国債は、協会から要求のあり次第直ちに現金で支払われるべきものでありますので、政府協会からこの国債について償還要求があった場合には直ちに償還を行なうとともに、償還財源に不足がある等のため償還ができない場合を考慮して、政府はその償還できない金額に相当する国債の買い取りを日本銀行に対して命ずることができることといたしたのであります。  次に、協会が保有する本邦通貨その他の資産の寄託所として日本銀行を指定することといたしました。  以上がこの二法案提案理由及び内容の概略であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
  5. 植木庚子郎

    植木委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 植木庚子郎

    植木委員長 酒税法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
  7. 平岡忠次郎

    平岡委員 今回、合成酒級別発展的解消と準一級酒の創設のために、酒税法の一部を改正する法律案提案されております。ところで、業界の関心事は、やはり花どきを控えまして早くこの法律を通してくれ、こういうもっともな要望がございます。ところで、私どもは、租税の三大柱である酒税につきましては、いろいろ検討すべきことが多いのでありまして、必ずしもこの業界要望に即時にこたえるということに対しましては、いささか疑問を持っておるわけであります。そこで、内々事情をよく聞いてみますと、早く法律を通してくれというこの主張の具体的な理由としまして、法律が通って後、相当期間級別審査の時間を要するということでございます。そこで、行政当局の方におきましては、法律が確定してから発足するというふうに必ずしもかたくなに考えずに、並行的に準一級酒に関する級別調査といいますか、その問題につきましては準備行為をもはや積極的に並行的に進めたらいいのではないか、かように考えますが、どのように政府はお考えになっておるか。
  8. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 非常に野党の皆さんから御親切な御質問でありますが、事務的な問題でありますので、主税局長から御答弁をしていただきます。
  9. 原純夫

    原政府委員 お話通り、ちょうど四月から花見どきでございますし、なるべく早く出したいという気持もありますのですが、そのために、お話審査その他の準備的な行為が要るわけです。法律をお認め願いますまでは、それは建前としてはできないわけでございますけれども、お許し願えれば、事実行為は三月中にやらしていただきたい事実的ないろいろな準備はやりまして、法律をお認め願えれば、それに基づいて審査正式決定を即刻いたすことができるような事実上の行為をやらしていただきたいと思いますので、ぜひそれを御了承いただきたいと思います。
  10. 平岡忠次郎

    平岡委員 そのように一つ並行的に進めて下さい。      ————◇—————
  11. 植木庚子郎

    植木委員長 次に、税制に関する件について調査を進めます。  質疑通告があります。これを許します。横山利秋君。
  12. 横山利秋

    横山委員 三十五年度予算案で、税の改正法案は重油、原油の問題だけで、本年度はあまり具体的な論争がない。しかし、一番中心になりましたのが、二千百五十億円の自然増収がありながら、それをなぜ減税しないのかという点であります。私は今回政府がとった措置については根本的に立場を異にするのでありますが、今後政府税制改正についてどういう構想を持っておるのかという点を中心に、また明年度の税の徴収はいかにして行なわれるかということを中心に、お伺いをいたしたいと思うわけであります。  まず第一に、大蔵大臣は、衆参両院において、三十六年には減税をするということを抽象的に言いました。それでは何が中心になるのかという点については、あまり明らかにしていないのであります。今年は相済まないけれども三十六年には減税をすると言う以上は、こまかいことでなくとも、大綱としてこの問題とこの問題が税制改正中心になるということがあってしかるべきだと思います。そこでまず政府側の今後の税制改正についての大綱的な考え方を承りたいのです。前もってお断わりしておきますが、どうぞ一つできる限り具体的に御答弁をお願いいたします。
  13. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 大蔵大臣、ほかの委員会等で、昭和三十六年度減税をするということを御答弁なさったそうでありますが、どの程度のものをどのようにするということについては明らかにしなかったように承知しております。何と申しましても、もし三十六年度減税をするといたしましても、歳入歳出全体の財政規模というものが問題であります。またそれのもとになる経済の今後の動き、見通しというものが大きな要素でありますから、今からこれらの見通しというものはとうていつけられないと思うのであります。御承知のように、政府といたしましては、昨年から内閣に作りました税制調査会において、三年の間に根本的に、国税地方税を通じてのあらゆる問題点を今研究調査しております。その答申を待って順次実施したい、こういう基本方針を持っておりますので、これらの調査会結論と相待って、三十六年度にまず結論の出たものから順次取り上げて参りたい、こういうことでありますから、今お尋ねのような、どのような方向にどの程度ということについては、はっきりした御答弁はいたしかねるので、御了承願いたいと存じます。
  14. 横山利秋

    横山委員 それは、次官、いささか通り一ぺん過ぎるとに思う。この間これがもう配付をされて、私ども読んでいるから、その読んでいる立場お話を願わなければだめなんです。少なくとも、これを配付されて、政府としてはこういうことで今研究をいたしておりますということを私どもに文書をもって説明をされている。こういうことというのは、国税通則法を作りたい。それから再調査または審査請求訴訟に関することをしたい。企業課税について結論を得たい。税制中央地方を通ずる再配分について結論を得たい。その中で、少なくともいわゆる税制改正として中心になるのは、企業課税相当重心を置いて議論をされているように思う。これを出された以上は、そこに税制改正中心点があるとしか私ども考えられないが、私どもとしてはいささかここで見解を異にする。だから聞いておるのは、このまま政府税制改正方向だと受け取ってよろしいかという意味で私は聞いておるのですから、何もこれで何百億になるとかどうとかいうこまかい議論でなく、大筋の議論としていま少し態度を明らかにされることを私は要望したい。
  15. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 御指摘のように、先般差し上げました資料にもありますように、税制調査会としては、国税通則法とも申すべき税の徴収制度とか、あるいは再調査、再審査制度、訴願の制度といったものを根本的に再検討する、企業課税制度も改める、あるいはその他御指摘のようなことを税制調査会で取り上げていただいて、ただいま検討していただいております。しかし、これはそれぞれが減税と結びついたものではないと私は思っております。その中の企業課税につきましても、必ずしもこれは減税によって企業課税を行なうという意味ではない、これは個人的ではありますけれども、私はさように考えます。従いまして、減税とは別に、税制改正調査会で今検討中であり、政府もまたその結論を待って実施したい、かように考えております。
  16. 横山利秋

    横山委員 それでは原さんにちょっとお伺いしたいのですが、この項目はもう一年も前から本委員会においても政府側から説明があって、そのコースに乗って作業が行なわれていると思うのですが、このコース以外に最近いろいろと情勢変化というものがあって、新しい問題が出ておるわけです。たとえば貿易・為替の自由化によった一つ税の制の面の考え方がなければなりますまい。それから、これはどういうことになるか知りませんが、安保条約によって今度の国会に出ているらしいのですが、これら条約との関係の問題もあるでしょうし、そのほか新しい情勢変化というものがあろうと思う。そういう点については、一体税制調査会としては初めから与えられた仕事をやっておるのか、あるいは新しい情勢変化に応じた議論が取り上げられておるのか。私はこれに一応目を通しましたけれども、このまま、なまで税制調査会に今諮問しておると受け取っていいのか。最近における税制調査会の雰囲気並びにここに出ていない意見がありましたら、一つお伺いしたいのです。
  17. 原純夫

    原政府委員 企業課税の問題と、それから中央地方の税の配分の問題、それから先ほど来お話の出ております通則法の問題、簡素化の問題、これらの問題はつとに抜本的な解決が必要だ、しかも検討に相当長時間を要するということで、政府側から少なくともこれはぜひお願いしたいと言ったことであります。それ以外についてはどうかというお尋ねでありまするが、もちろん調査会税制全般についてどうしたらよろしいかという諮問を受けておりますので、ただいま申し上げましたような各項目についていろいろ議論検討が進められるのと並行して、税制全般の中でそういう他の問題が何かということも検討しておられます。その結果取り上げられてきておる問題を申し上げますれば、第一には、やはり国民税負担自体が現在の状況でよろしいかどうかという問題があります。これは税制考える一番根本的な問題でありましょうが、これは非常にむずかしい問題ではありまするが、昨年来何回か持ち返って検討を加えられております。それから、第二に、やはり税制中心をなす所得税における各般の控除税率について深い検討をしなければならぬだろうというふうな点、これはまだ作業にあまり入っておられませんが、問もなく入られることになると思います。これが第二であります。第三に、やはり広くその他財産課税あるいは間接課税の両の各税についての問題点にも当たられるのではないかというふうに思っております。なお、第四として、ただいまお話しの自由化税制という事柄も可り上げるべきであろうということが、先般三つの部会一つであります一般部会でそういうことになりまして、その点を取り上げるということになっております。ただ、自由化税制といいますのは、徹底的に考えて参りますと、非常にむずかしい問題であります。一面には、企業課税というものはどういう立場検討するかこいえば、必ずしも税負担を軽減するとかいうような問題でなくて、企業にまつわるいろいろな税の仕組みをどういうふうに組み直したならば、国民経済運行、循環、生産、消費というような運行が最も合現的に能率的になるかという角度で取り上げておりますので、私どもといたしますれば、その角度を十分徹底して検討すれば、それがすなわち自由化にこたえるという面になると思っておりまするけれども、しかしながら、自由化がこのような当面の日程になっておりますので、そういり意味で、自由化税制ということもいろいろ検討しようということになっております。ただ、自由化税制を取り上げます場合に、私としては、今申したようなことで、企業課税問題と真正面に組むということが一番本命の答えだろうと思っておりますが、これについて調査会としてどういう答えを出すかというのは、まだいろいろな各論的な議論が出てきておりませんので、今後の問題ということでございます。最後に御指摘のありました安保条約に伴いまする法律関係は、御案内所得税関税等特例法というのがありまして、これを改正する法律案を御提案申し上げておるわけでありますから、それについて御審議を願うということになると思います。ただし、これは特殊の問題でもありますので、特に調査会の方では別段入って詳しく御検討になるということにはなっておりません。
  18. 横山利秋

    横山委員 五点ばかりあげられたわけですが、私ども意見を含めて、二、三さらに具体的にただしたいと思うのです。  第一に自由化税制の問題です。まあ急がば回れというように、自由化税制は要するに企業課税を追求する、それが正攻法なことだという点については、私は必ずしも否定はしない。しかし、そうだとすれば、一体企業課税というものの焦点は何かというところに、私どもとあなた方とどうも見解が異なるようです。われわれが少なくとも承知をした最初の問題は、企業課税というものは法人個人の問題から始まったように承知をしておる。しかも個人の中でわれわれが常に主張してやまなかったものが自家労賃の問題だった。自家労賃から法人個人とのつり合いの問題がいつの間にやら発展をして増資免税の問題になって、あたかも配当やあるいは増資なんかの問題が企業課税中心のような考えをしておるということは、まことに私はすりかえられたもはなはだしいということを痛感している。今自由化税制を論ずるにあたって、最も各界をおおっておることは、確かに国際競争力を増すということについては各企業同様ではあるけれども、最もしわ寄せを受けるのは中小企業ではないか。かりに大企業自由化による競争で太刀打ちができなかったとしても、それは下請企業にあるいは下請労働者最後的にしわ寄せできるから、最後中心になるものは中小企業ではないか。しかりとするならば、その中小企業の対策こそ最も中心であるといわれておる。従って、私は、三段前法ではないけれども、あなたの言う自由化税制中心企業課税であるとするならば、その企業課税というものの根本的な考えというものは、主税局としては一体どういうふうに理解をしておるのか。あなた方自身だって、この企業課税が始まったときと今日の状況について、釈然たらざるものがあるはずだと私は考えるのでありますが、一体大蔵省のいうところの企業課税というものは何に中心が置かれておるのか、それを一つこの際はっきりしてもらいたいと思う。  それから、まあそれが正攻法ではあろうけれども自由化に伴う税制というものはまだほかにも観点があろうかと思う。それは、たとえば、こまかい話でありますが、この前あなたに聞いても、そんなことは大したことはないだろうと言っておったけれども、お酒の関係一体どうであろうか。そのほか企業課税の中に入るかもしれませんが、耐用年数の問題についてはどうであろうか等、自由化に伴うそのほかの諸問題についても一つ考え方を明らかにしてほしい。
  19. 原純夫

    原政府委員 企業課税問題の中身といたしまして、ただいま御指摘になりました法人個人関係、特に自家労貸の関係一つの大きな項目であることは事実であります。しかしながら、この差し上げてあります資料をごらん願ってもわかりまするように、それと並んで、自己資本の充実の見地から、配当利子との課税上の扱いが非常に違うという点をどうするかという問題は、当初からそれと並んで大きな柱であったわけであります。特に顕著な柱としては、その二本の柱が初めからあったわけでありますが、だんだん考えて参りますと、さらに法人税そのもの負担というものをどういう形で負担させるか、というような問題がなお出て参ると私は思っております。つまり一本の比例税率でよろしいか。現在二百万円以下の所得部分逓減税率がありまするけれども、その上は全部御案内の三八%という一本の税率になっておりまするが、こういう形でよろしいかどうかという問題があると思います。その他、税の種目としては事業税というものをどう考えるかというような問題も、大きな項目になると思います。これらは、大体当初から差し上げてあります問題点に、第一回の総会のとき以来出してある問題でありまして、ちょうど、自家労賃の問題は、農業法人問題等とのからまりが特に注目されて、昨年議論がだいぶ盛んになったという経緯はありまするが、決してこれだけを考えておったのを配当にすりかえたというのではないのであって、調査会における審議日程の予定にも、ただいま申しましたような点を、将来それぞれはっきり日程をとってやろうというようにいたしておりますので、その点御了解を願いたいと思います。  なお、先ほどの自由化税制という問題は、せんじ詰めれば、企業課税の問題を、私が申しましたような税制国民経済的に最も能率のいい税制にするという覚悟で取り上げるのだという一般論だけではいけないとおっしゃるのは、その通りだと思いまするが、その中で、今お話のありましたような点、いろいろ問題がございましょう。特に耐用年数問題は、配当利子と近いような待遇をしろということは、配当に対する法人段階における配当課税を、従来よりも優遇するといいますが、低下するということになるわけでありまするが、耐用年数の方の問題は、配当されるのでなくて、いわば社内留保にからまる問題であります。社内留保を厚くすることによって企業に力をつけるという角度の問題の一つだと思います。そういう意味で、この企業課税問題には、配当を優遇するか留保を優遇するかというような問題もあります。これも、当初から、そういう角度の問題を諮問の中に——諮問といいますが、問題点の中に入れてございます。そういう角度の問題として重要であろうと思いまするが、耐用年数につきましては、先年来たびたびこの委員会でも御報告申し上げておりまするように、科学技術の進歩に伴って、耐用年数算定の基礎となる諸条件がだいぶ変わってきておるという点は率直に検討をして、年数を直すべきものは直すんだということで、昨年の初め以来かなり資料を集めて、ただいまそれを最終的に年数に算定していく算定方式を検討しておるという段階でありますので、その作業をなるべく早い間にまとめておきたいと思っております。財源等をにらみ合わせて、できる限り早い時期に実行に移したいと思っておりまするが、これにはやはりなお財源のことでよくその条件を見なければならぬと思います。  その他、関税問題は自由化とはまさに真正面に向かい合った問題でありまするので、私どもといたしましては、昨年の春以来、各省との間で何回か幹事会というようなもので検討いたしてきておりまするし、本年は関税率審議俵に御苦労願いまして、この問題を速急に勉強して参りたいというふうに思っております。酒その他間接諸税でもいろいろ問題が出てきまするし、そり場合やはり関税と総合的に問題を見て処理するというようなことになると思いまするが、大体そんなようなかまえで私どもやっておる次第でございます。
  20. 横山利秋

    横山委員 こういう問題があります、こういう問題がありますと言うばかりでなくて、ものの考え方を私は聞きたいと思って言っているのですよ。たとえば、今の企業課税にしたところが、あなた方の問題の提起の仕方は、この調査会へでも、資本を充実しなければならぬ、それにはどうしたらいいがという言い方で問題の提起をしておることは、一体妥当であろうかどうかという気がするわけであります。もちりん日本における自己資本と他人資本の状態を考えれば、今日の企業として他人資本が多いことはだれでも知っている。しかし、それがはたして不健全であると一体どういう角度で断定がされるのであろうか。他人資本が多いからもうお前さんのところに銭を貸しておけぬ、返せといって金融機関が企業に迫っているのであろうか。他人資本が多いから日本の産業は重大な危機にあるのであろうか。それには、水の流れるような、そういう状況にならざるを得ない事情があって、そのこと自身が大へんなことだというのは理屈の上だけであって、現実問題としての緊迫感は何もないではないか。そこに何か資本を充実しなければいかぬというだけの理屈をつけて、増資免税配当その他への特段の措置をさらに強化するということは、税制の公平論からいって一体何で主税局がそういうことまでめんどうを見なければならぬのか、ほかの所業政策としてそれはなさるべきことではないのかということについて、私はすなおにあなたの意見を聞きたいと思っておるのです。これは、あなたの調査会議論をするのですし、まだきまってもおりませんから、事務担当者としての立場で言っても別に差しつかえないと思うのです。そういうことはどうであろうか。  それから、第二番目の耐用年数だってそうです。耐用年数を圧縮することによって実際恩恵を受けるのは、言うまでもありませんが、ほとんど大企業です。中企業以上です。零細企業耐用年数の恩恵を受けるどころではない。耐用年数が尽きてしまった古ぼけた機械を使っているのです。現実は、産業構造の上から一番設備を更新しなければならぬのはその零細企業だと私は思う。その意味から言うならば、これは前の企業の資本の充実の問題とうらはらになかもるしれませんけれども、ほんとうにその問題の焦点を貫くためには、耐用年数だってもう一歩突っ込んだ分析が必要ではなかろうか。何のために耐用年数を圧縮するのか。設備を更新しなければならぬからである。だれが一体設備を更新されることを要請されておるのか。それは経済の二重構造のどん底の企業が一番必要なのではないか。すなおにそういうふうになぜ見れないのであろうか。私はそう思うのですが、その二点について御意見を承りたい。
  21. 原純夫

    原政府委員 第一に提起されました疑問は、私自身強く持っている疑問と全然同一の疑問であります。私の調査会で御検討願う際も、企業課税問題特に、配当自己資本充実問題を最初にどうか十分御判断願いたいということを申しております。なぜ自己資本の充実が必要なのか。それは、私が申しますのは、配当利子並みに扱えという角度、これは言うてみますならば、利子企業の損金になりますが、そういうふうに扱うということは、どうも受け取る方の配当控除をやめる、また益金不算人をやめるということをいたしましても、何か手を打たないと、相当税収のロスになると思うのであります。そうである以上、そのロスに価するものでなければ、そういう改正はすべきでない。それは自己資本充実の値打ちがそのロスをオーバーしてよろしいということにならないと、そういう結論は出ないわけです。自己資本充実についてはなぜ必要かということを、調査会では三、四回の会合にわたってずいぶん議論されております。お話のような疑問を出される向きもあり、またそれに反対する疑問を出される向きもございました。十分その点は審議の経過で疑問が提起され、かなり慎重に処理をされるということになっております。  それから、第二点の耐用年数の問題、これも大企業が利益を受けるというお話でありますが、ややもすればそうなりがちであるという点は、私ども気をつけなければならぬと思っております。しかしながら、耐用年数本体は本来的にそうだとは私は思いません。やはり大企業中小企業全部の設備についてきめてあるわけですから、場合によると、「その他」というようなところに一括されるものが割合年数が長いということがありますと、中小企業のものは「その他」で処理されて不利になるということがあるかもしれませんけれども、特に耐用年数表自体はまずまず中立に使えるのではないか。特別償却の制度が入りますと、率直に申しまして、今の特別償却の利用度は大企業にはるかに多いということは、私は事実だと思います。いずれにいたしましても、耐用年数自体にしても、お話のような意味で、中小企業に対する配慮が実際問題として軽くなるということがあってはならないということは、私ども省内におきましてもいつも気をつけてやっておりますので、その点それをお含みいただきたいし、また大事な点でありますから、よく私どものやる今後の検討作業というようなものを、そういう意味で見守っていただきたいというふうに思います。十分気をつけてやって参りたいと思います。
  22. 横山利秋

    横山委員 その点は、やや政治的でありますから、政務次官にお伺いしたいと思うのでありますが、確かに、原さんの言うように、耐用年数は、何も大企業が使っておったって零細企業が使っておったって、十六年なら十六年、二十年なら二十年、これは公平だということは言えると思うのです。特別償却の問題だけが大企業に有利だ、そういう理屈で言えないことはないと思う。けれども、実際、それでは一つの機械が大企業と零細企業に売られていって、そこで使っておって、償却の事情を考えていけば、そんなものはもう零細企業は命脈も尽きてしまった古ぼけた機械をいつまでも使っておるのですから、それだからこそ二軍構造が固定化してちっとも直らぬのです。今私どもが日本の産業の近代化をはかるというための均整のとれたことをするには、どうしても中小企業、零細企業の近代化が必要なんです。そのためというよりも、むしろ大きな意味で日本の産業のために必要なんだと思う。従って、耐用年数を新しく制定するに際しては、この際一つ中小企業については、特別とは私は思いません。普通だと思うが、大企業と違った年数表を作ることが、今の日本の産業にとっては必要なのではないか。これは特別措置だと私は考えない。普通措置として大きな政策として必要なのではないかということを私は痛感するわけです。今の作業としては、純粋な意味耐用年数の技術的な作業が続いておるようでありますけれども、根本的に考えを新たにして、中小企業に対する特別な——特別ではない。普通の別な耐用年数表というものがあってしかるべきではないかと考えるのでありますが、いかがでございましょうか。
  23. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 先ほど来の御質問につきましては、税制調査会もまだ結論を得ていないのだから、一つこだわらずに率直にしゃべれ、そう責任は追及せぬからという意味でありますか、特に政務次官に政治的な意見をというのですから、そういう意味で申し上げます。  まず、さっきの企業保税の問題、特に増資を促進するという問題につきましては、いろいろ議論があるようでありますが、私に言わせますならば、現在の日本の企業の状態では、他人資本と自己貸本の比率が、あまりにも戦前と比べて、また諸外国の例と比べて、かけ離れておる。しかも、現に企業が借り入れに依存し過ぎるという傾向が強いから、日本としてはどうしても増資を促進し自己資本をふやして、企業の体質を改善すべきである。この観点から企業課税考えねばいかぬ。ほかに法人個人その他の問題もありますが、こういうものを全部一ぺん取り上げて洗い出して、結論の出たものからやっていこう、こういうわけであります。耐用年数につきましても、私個人としては、率直に申しまして横山委員のおっしゃる点に非常に共鳴するところがございます。と申しますのは、今の考え方で、特に最新の設備改善、合理化ということで新しい機械を入れる、新しい能率の上がる機械に対しては符に耐用年数を短縮するということになりますと、そういうのは税制上の恩典をよけい受ける、古ぼけた機械をいつまでも使っておる中小企業は、耐用年数が長くて税制上の恩典も受けられぬということになると、大企業と中少企業との税制上のアンバランスがまた開くということでありますから、新しい機械で合理化した、だからこれは特別に特例措置でどんどん短縮する、そして税制上の恩恵を与えるという行き方には、税制立場からいくと簡単には応じられない、こういう考えを持っております。
  24. 石村英雄

    石村委員 ちょっと事実上の取り扱いのことを関連してお尋ねしますが、中小企業の人たちは、よく大企業の方から中古機械を買っておるのです。ところが、大企業の方ではもう償却済みで帳簿価格はほとんどゼロです。これを買ってくる。モーターのようなものでも五万円か六万円で買ってくるというときに、その耐用年数、償却を認めるのはどういうなにでやっておるのですか、実際上として。
  25. 原純夫

    原政府委員 中古機械の年数は、中古機械を取得しましたあと何年持つだろうかという残存耐用年数を見積って、それによって償却するということになっております。それが非常にむずかしいという場合には、今まで使った年数を引きましたものの二割増しの年数でやることを扱いで規定しておるというのが、ただいまの通達事項になっております。
  26. 石村英雄

    石村委員 もちろん、大企業が償却してしまったというのは、税法上、耐用年数がすでにフルになってゼロになったということばかりでなしに、あるいは大企業が特別の償却をしてしまって、帳簿価格がゼロになっておるということがあるかもしれませんが、いずれにしても、中小企業がその中古を買ったら、今度は二割増しの年数で見てやるというのは、これはどういうわけで二割増しで見なければならぬのですか。もし大企業の方なら、あたりまえにいってゼロになる。耐用年数はフルにいってなくなる。これはわずかなものでも、スクラップにしょうが何にしょうが価格はあるということで、残額ゼロには認めないようですが、しかし、それが中小企業へ行ったら、今まで使った年数で二割増しだというのは、二割増しよけい残存年数を少なくするという意味ですか。大企業の方で五年残っているのを今度三割減らして四年にして見るというのならまだわかるが、反対に五年を六年にしてやるというのはどうも合点がいかぬですが、どちらなんですか。
  27. 原純夫

    原政府委員 二割増しと申しましたが、ちょっと言葉が不足でありましたが、二十年の年数できまっておる機械であると仮定して、そうして大企業なら大企業で十五年使いました。そこで中小企業にそれを売った。その中小企業は何年で償却するかという問題としてやりますと、残りの年数が五年であります。二割といいますのは経過年数十五年の二割を足すということで、三年足して八年で償却しますということになっている。  趣旨を申し上げます。今の例で言いますと、二十年という耐用年数は、経済年数といいますか、二十年を年数とする機械は、三十年はおろか、三十五年、四十年と使うのが実際であります。それが第一であります。従いまして、十五年たったときに買います値段は、そうスクラップ価格ではないのです。やはり中小企業は相当の値段で買って参るわけです。それをあとの五年で償却するのが妥当だとなりますと、ただいま第一段に申しました実際に物理的に使える年数よりもかなり短くなっておりますから、十五年も使ったというその十五年は、四十年の年数であると思えば非常に短いわけですね。それを引いた五年で償却するということは、そのときの取得価格の実際——中古で売る場合に、ある程度の修繕はもちろんのこと、できるだけ見ばもよくして売るということになりまするから、そういう事情も入るというようなわけで、それを五年で償却させることはいかがか。大体中小企業が取得します値段自体が相当の値段にもなる。取得の際には修繕費はもちろん実際上改良質的なものも加えられることが通例であるというようなことも考えまして、ただいまのような扱いにいたしておるという次第でございます。
  28. 石村英雄

    石村委員 関連が長過ぎて恐縮ですが、そうすると、大企業の方でそのまま使っておれば、物理的には三十年も四十年もあるかもしれぬが——石うすなんか僕らの家に百年からあります。——大企業なら二十年で償却を認める。それが中小企業へ行ったら、物理的にまだ十年も十五年もあるんだから、耐用年数を長くする。相当な値段で買っていると言うのですが、相当高い値段では中小企業は買いたくないけれども、それしかないから買ってくるので、むしろそんなものこそもうゼロと見てやって、中小企業の実体を強化することになるようにやってやるのがほんとうではないか。それを大企業の方では耐用年数で認めてゼロにしてもいい、中小企業へいけばこれはまた二割増しで、しかも今まで使った年数の二割増しでふえていくというようなことは、全く考え方が逆のような気がする。中小企業はどうせ貧乏な小さな企業だから、そんなろくでもない機械でも役に立つから、大いに耐用年数を長く見てやろうというような、そういう仁慈の心でおやりになっているのか。どうも合点がいかない。
  29. 原純夫

    原政府委員 今のは大企業から中小企業へと申しましたが、間違いで、何も大企業から中小企業へと限らぬわけです。どんな企業がどういうふうになにいたしますか、やはり年数というものは実際上物理的に使える年数にゆとりをとってありますと、その年数の途中で機械の所有者がかわるという場合には、やっぱり残りのゆとりというものを考慮して扱いを定めるということは、あってよろしいんではなかろうかと思っております。中小企業のために政策的にどうしようというお考えはまたおありになることと思いますが、それはそれでまた別途のことであり、それは償却だけの問題でなくて、先ほども申しました大きな企業と小さな企業との所得自体に対する税率の盛り方、その他についても一連の問題としてお考えあるべき問題じゃないかというように私は思います。繰り返して申しますと、耐用年数の問題としては、やはりそれの使われる年数と、今申した物理的なというのではありませんよ、経済的な年数でよろしゅうございますが、それを公平に見て盛るということである。ただいまの扱いは、それを公平に見て盛るには、今のようなことでよろしいと思ってやっているわけでありますので、御了承いただきたいと思います。
  30. 石村英雄

    石村委員 もう一つ、その公平ということが逆だと言うんです。大企業にとっては、大きな企業だから、そんな機械は早く償却して新しいいいのを使うのが当然だ、中小企業は貧弱だから思い機械を長く使うのが当然だというような考えで、税法というものが執行されておる、こういうことになる。私たちは逆だと思うのですよ。中小企業こそ早く償却させていい機械を早く入れるようにしてやる方が、中小企業の向上発展のために必要だ。あなた方の考えは、大企業は大きなものだから、耕しい機械を早くどんどん入れなければならぬから、耐用年数を短くしてやろう、中小企業は貧弱なものだから後先大事に時代おくれの機械を使わせよう、こういう考えで税の取り扱いをやられておるということになると思うのです。これは政務次官の政治的な御判町を……。
  31. 原純夫

    原政府委員 私一つ非常に大事な点を落としておりましたので、補足して申し上げます。  償却のやり方に定率法、定額法というのがあるのは御存じの通りであります。二十年の機械を定率法で大企業——大企業と言うのはやめますが、ある企業が十五年使っておったという場合に、その十五年たったところで他の企業がそれを買ったとした場合に、その、他の企業は、定率法でやるのならば二十年の定率でやっていってちょうどいいということがあるのです。おわかりでございますか。二十年の機械の償却率は年に約一割です。一〇・九%です。定額だと九十の二十分の一だから四・五%になるわけだけれども、定率はその値段の一〇・九%を毎年落としていける。落ちた残りに一〇・九をかけていきますから、だんだん減っていくわけですけれども、そういうやり方をしているわけですね。そうすると、十五年たったときに取得した人は、やはりその率でやっていっていただけば、ちょうど公平にいくというわけです。そこで、五年だから五年でやるということになりますと、そのとき買った値段に対して、どうなりますか。何と五年ですと三割六分九厘償却してよろしいということになるわけです。これは機械の償却としては非常に早過ぎるということになるわけです。先ほど来申したのは、定額の場合にはそういうような説明もできますけれども、定率の場合には、その点の数字的な条件がまるっきり変わってきて、今八年にいたしましても二割五分の償却ができるということになりますので、その辺をからめてお考えを願いたい。大体この定率法でやります企業がもうほとんどでございますから、実際上定率法でやる場合には、私がただいままで申し上げた問題は全然違ってくる。従いまして、実際問題として経過年数の二割を足すということでも、あとの取得者は非常に加速された償却ができるという点を申し落としておりましたので、それをつけ加えておきたいと思います。
  32. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 特に御指名で政治的な御答弁をということでありますので、ちょっとつけ加えて申しますと、申すまでもなく、耐用年数は、企業の固定資産の減価償却を税法上どれだけ損金に見るかという基準をきめるのが耐用年数。そうすると、これは企業そのものの所得の計算上の取り扱いでありますので、それからいきますと、今の原主税局長の御答弁は私は妥当であるのじゃなかろうかと思う。つまり中小企業が大企業の相当償却したものを買い入れる。買い入れた場合には、大企業の帳簿の残存価格よりは、おそらく相当高い価格で買い入れて、そしてその中小企業の資産として計上するわけですから、そうすれば、耐用年数は、大企業の帳簿上の残存年数じゃなしに、それに一年や二年加えて計算して、実態に合う、むしろ実態と比べてまだ耐用年数は少ないくらいになるということになるのですから、主税局長の御答弁は私は妥当である、かように存じます。
  33. 石村英雄

    石村委員 実はわれわれしろうとでよくわからぬのです。奥村政務次官の御答弁も合点がいかぬし、主税局長の御答弁も合点がいかぬのです。こちらが勉強不足かもしれないが、関連でもありますし、何ですから、今ここであまり突っ込んで御質問することは控えますが、これはもっと勉強して、徹底的に明らかにしなければならぬと思います。関連はこれで終わります。
  34. 横山利秋

    横山委員 具体的な石村さんの質問と、根本的な私の耐用年数の中少企業に対する影響——どうも与党の皆さんの顔色を見ておっても、全くこの点については同感だろうと私は思っておるわけです。(「そんな顔をしていない」と呼ぶ者あり)耐用年数作業がいわゆる純技術的に進んでおるという点について、一ぺんぜひ、国会でもこういう意見があったがどうか、ということを調査会主税局から披露をされて、議論をしていただくように私は要望したいし、また政府としてもこの点に十分留意を願いたいと思っておるわけです。  その次は、今も話がありましたが、自家労賃の問題です。自家労賃がそもそも企業課税の出発点ではなかったか。また私どもがやかましく言っておったことでありますけれども政府としては自家労賃をどういうふうにお考えでありますか。銭が資本なのが普通でありますが、からだを資本にして、朝は早うから夜も寝もやらずに、女房と一緒にとうふを作り、あるいは単を押して働いておる人々、原材料はみんな買って加工賃だけ、つまり自分の労力だけで生活をしておる一人親方たち、そういう人たちには、すでに一部には自家労賃制度が実施をされておるのでありますけれども、そのことが許されるならば、全般的に、今日自家労賃制度税制の中に正攻法的な意味で取り入れらるべきではなかろうか、またそういう段階ではなかろうかというふうに考えますが、政府の御意見を伺いたい。
  35. 原純夫

    原政府委員 そういう御意見も有力な意見でありますが、政府意見は、なお調査会における検討を待ちまして、その上で熟しましたところで申し上げるようにいたしたいと思います。
  36. 横山利秋

    横山委員 それでは、今言うわけにはいかないとおっしゃるなら、こういう聞き方をいたしましょう。主税局として、自家労賃問題の焦点は一体どういうことなのかということを、一つこの際明確にされたいと思います。自家労賃問題を事業所得と勤労所得に分けて考えるとすれば、どういう長所とどういう欠点があるかという点を、一つ明らかにしてほしい。
  37. 原純夫

    原政府委員 問題は、自家労賃というだけの問題でなくて、法人個人との隣合いになっております分野において、企業法人になることによって税負担が大きく変わる。それが、何かそこに不自然なものを感じさせられるという反面、また個人の方では今の自家労賃あたりが不自然だというふうに感ぜられる人が相当いるというようなところに、つまり個人における所得税課税の面における問題点と、反面、法人になったその法人課税として、今の税法がとっておりますいろいろな点がどうかという、両面の問題があるわけであります。この両面の問題を含めて、この際抜本的な検討をして解決をはかりたいというわけであります。いろいろな態度があり得ると思うのでありまするが、昭和二十五年のシャウプ税制のもとになりました考え方は、たしか、私の記憶するところによれば、税法をしてそういう企業法律形態のあり方を中立的であらせるという考え方であったと思います。やはりそういう態度というものはかなり大事な態度ではないか、ひっくり返して言いますれば、実態が同じものが、個人で経営をするか法人で経営をするかによって、税の負担が顕著に違ってくるということについては、相当反省の余地があるのではなかろうかという感じが私はいたしております。法律形態が違うわけでありますから、全然同じということはできないでありましょうが、その間に、税負担においてやはりバランスがとれる。そして、その税の種類、またとらえる対象の実質、そういうようなものにも何らか共通のものを頭に置いて考えることが重要な問題ではなかろうかというふうに考えております。自家労賃問題、さらにこの法人税における問題を含めて、そんなような考え方があるのではないかと思いながらやっております。
  38. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 関連。  いろいろ論争を承っておって、私の考えを申し上げてお考えを承りたいと思います。少しさかのぼりますが、先ほど来の自己資本と借り入れ資本の比率で、借り入れ資本が多いことは非常に不健全だという考えに対して、根本的な、何ゆえに不健全なのか、必ずしも不健全と言えぬのじゃないかという意見の対立がありました。その点について、私は、かねがね、やはり個人でも法人でもそうですけれども、借金のやい者は自主性を失っているのではないか。とかく、個人の場合でいいますと、ほんとうに独立人として真に民主的なわれわれの尊重すべき人間生活というものを送れぬと思うのです。ですから、必ずしも借金を全面的に否定するのではありませんけれども、なるべく自分の財産、自分の資本というものを基本に置いて一人でやっていくここが、やはり独立自主の一つの要件だというふうに考えるのであります。借金が多くて借金の借りかえに頭を使っていくということが、今日非常に日本の中小企業、大企業の弊害になっておりますが、そういう借金の借りかえに夢中になって、それに大きな労力と時間とをさかれるというようなことは、これは病的現象であって、健全な企業あるいは健全なる個人とは言えない。こういう意味で、私はなるべく自己資本が多いことがいい、こういうふうに考えるのであります。  それから、先ほどの耐用年数の問題でありますが、ここで考えなければならぬのは、大企業においては、もはや経済的な使用にたえない、まだ物理的には使用し得るけれども、しかし経済的にはもう使用にたえないというので、価値がゼロと見るべきものを、中小企業というものがあって、それが相当の高い値段で買う高い値段で買っても、中小企業はそれで仕事をやっていくということは、結局大企業というものの資本効率が非常に低い。同じ設備と同じ資本を持たしたら、中小企業の方が要するにそれを有効に使い得る。大企業ではむだになったやつでも中小企業の手にかけると生きてくるということ。そこで、われわれが考えなければならぬのは、なぜ生きてくるのか、なぜ中小企業の手にかければ、同じ古い機械をもってでも価値の増殖を営み得るかといいますと、これは中小企業のほんとうの肉体的、精神的力、だからいわば勤労所得みたいなものです。そこに生まれてくるものは、資本の力で生まれてくるものではない。資本の力だけということならば、もう大企業のところで寿命が尽きておるようなものなんだから、そこで、私は、中小企業の下にかけて出てきたところの、そういうつまらぬ古い、大企業で間に合わぬような、大企業がそれを使っておったのではとうてい経済的に競争にたえられぬというような機械をもって、そうしてりっぱに生産を営み、国民所得を生み出していくというその所得は、これは勤労者の、つまり広い意味の勤労を——ただ肉体的勤労だけではない。それを生み出してきたものであるから、そこで出てきた所得を、大企業が設備とか資本とかいうもので生み出した資本所得というものと区別して考える必要があるんじゃないか。だから、勤労所得に対してはそういう資本所得よりも優遇するということが一般原則だろうと思う。そうすれば、そういう古い機械を手にして作り出してきたところの所得というものは、これを大企業が同じようにその機械を使って出てきた所得というものと同じ並列に見るべきものじゃなくて、これはむだなものを勤労で生かしてきたのだというところに、その所得をなるべく本人の手元にたくさん残るように、方法はどういう方法でもいいのですが、してやるのがほんとうであって、それを耐用年限の問題で処理することがいいか、いろいろありましょうけれども、要するに、勤労所得だからなるべく手元にたくさん残してやるという、こういう方法を考え研究していくべきじゃないか、こういうように、所感ですけれども、思うのです。
  39. 横山利秋

    横山委員 山本博士の最後は同感でございますが、最初の資本の問題、その点ではどうも私は同感をいたしかねるのです。それは、現在、他人資本と自己資本とのバランスが、戦前と比べて他人資本が多い、だからいかぬのだ、戦前は常道であったというところにどうも議論中心があり、そこで第二段に金というものはなるべく変えぬ方がいいという修身的経済論といいますか(笑声)、そういう観点に立っていると私は思う。本来あなたと私と逆なわけです。あなたは自由主義経済で、金なんかどこからでも持ってこい、われわれは社会主義でというふうにならなきゃならぬわけですが、ちょっと私の方が商売根性があって、あなたの方が修身的経済論ではおかしい。私は、今の日本の経済状況からいって、他人資本が多いということは、それ自身切迫感、危機感、銀行、金融機関の極端な強圧というものが一般論としては増大したではないかということなんです。それから百歩譲って、よろしい、修身的な意味において了承しょう。けれども、だからといって税金でめんどう見る必要はないではないかというのが私の持論でございますから、その点は一つ山本博士も税の公平論として御同調を賜わりたい。  どうも話がそちらへいって、私の質問していることを忘れてしまいましたが、山本博士の結論でも、勤労所得だから、耐用年数でめんどう見てやるか、あるいは自家労賃でめんどう見てやるか、そのどちらかでやるべきだという点については全く同意見でございますから、これは問題はないのであります。与野党一致の要望として力を入れられることを、要望します。  時間がありませんから、次に国税庁関係に移りますが、聞くところによりますと、三十五年度予算で二千百五十億の自然増収を生み出しますためには、国税庁としてはもう全努力をあげなければならぬ、主税局としてもそれだけの金は何としても確保しなければならぬということで、いろいろな工夫をされておるそうであります。私があちらこちらでうかがい知ったことによりましても、たとえば、よく本委員会で問題になるのでありますが、青色の取り消しを一生懸命にやるということになるし、また承れば各局で法人税課が独立して、法人税の徴収について全努力をあげるというし、それから裁判で負けてばかりおるから、裁判で勝つように税務官制度の新設をするというし、それから基本通達で非常にシビアなやり方をするというし等々、いろいろな手を使われておるそうであります。しかも、ある新聞を見ますと、まことに驚いたことに、「証拠資料の完全収集に力を入れるが、これに新兵器として超小型録音機が登場する。すでにテストが行なわれており、四月から各国税局に備えつけられる予定だが、ポケットなどにも簡単に入るテープ・レコーダーで、マイクは万年筆とか腕時計などに仕込まれているので外見からは判らないのが特長、」こういう新兵器を持って納税者のところに行く、そのために予算を計上されておる、こういう話だそうです。これに対して、そこにいらっしゃる白石直税部長の談話を読んで見ますと、「調査費が増えたからといって、直ちに税務調査を強化するという考えはもっていない。むしろ今までの調査費が少なすぎたといえよう」とうまいことを言っています。「ただ、今年は経済界が好況であることと適正な申告をしているものと、そうでないものとの区別をするためにも調査をより一層深度化、精密化して、適正な課税を図る必要があるわけだ。」まことに適正な言い方のようではありますけれども、裏を返していけば、ずいぶんはっきりしたものの言い方だという感じがいたすわけであります。一体二千三百五十億が妥当であるかどうかということについては、大いにお互いに議論のあるところでありますけれども、一応その議論はさておくといたしましても、ほかっておいて二千百五十億が集まるものではないというあなた方の考え方が、いろいろなところで随所に問題や話題を提供しておるようであります。  二、三その点でお伺いしたいのですが、一体こういう新兵器なるもの、人をばかにしたようなテープ・レコーダーを持って納税者に臨まれるおつもりであるかどうか。それらを中心にして、この自然増収と称せられる増税についての徴収の仕方についてお伺いをいたします。
  40. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 山本委員の御意見、また横山委員の前段の御意見、御質問について、ちょっと私から御答弁申し上げたいと思います。私は、かねても委員会で申し上げましたように、政務次官になる前は、大蔵委員会は古いので、しかも税法上の私の意見としては野党の方の御意見と従来もあまり変わっていなかった。そこで、今の山本委員のおっしゃいます中小企業というものは、その所得の実態は勤労所得が多いのだ、精神的に肉体的に創意、工夫して、勤労所得によって大企業では上がらない利益を上げておるのだ、従って中小企業には特にそういった意味においても税法上適切な諸策が必要だ。横山委員におかれては、勤労所得、これについてはまた特別の措置をすべきであるというかねての御意見、両方とも全く私も賛成です。しかし、その皆さん方の御意見を受けて、政務次官となって大蔵省内でその御意見を実現すべく研究してみますと、私として思い当たることは、中小企業はなるほど特別の措置をしたいが、大体中小企業法人なるものは同族会社であります。大部分が同族会社であって、これが税法についても納税者もまだ十分おわかりにならぬ方もあるし、また税務行政においても的確に所得を把握することがなかなかむずかしい。そこで、今の勤労所得の問題ですが、同族会社の場合に、社長その他同族の方の勤労所得というものをどのように見るか、認定するか、これは非常にむずかしいので、現実にはいろいろトラブルの的になっておる。そこで、横山委員のおっしゃるように、勤労所得を控除するといいますが、同族会社の場合になりますと、会社が帳簿でつけてきておる、これをどのように査定するかという問題ともからんでくるので、もしそれを実現する場合に、一体勤労所得というものを幾らに見るかということがまた問題になってくる。こういうことでなかなか困難なので、税務行政の面においても、もう少し実態に合うように行政自体を現実に合わそうということで、国税庁もただいまのお話のような苦労をしておるのだろう、かように存ずるので、御趣旨を体して努力するつもりであります。
  41. 白石正雄

    ○白石説明員 国税庁関係につきまして御質問がございましたので、これにつきましてお答え申し上げたいと思います。  三十五年度の歳入予算が相当増加を見込まれておることは、国税庁として相当調査を強行するのではないかというような趣旨の御質問であったわけでありますが、歳入予算の見積もりにつきましては、主税局の方から御説明がありますように、これは適正に見積もられておるものと考えておるわけでございまして、今さらかようなことを横山委員に向かいまして御答弁申し上げることもどうかと考える次第でございますが、国税庁の仕事といたしましては、別に見積もりとは関係なくして、適正な税務の執行に当たるということは当然のことでございます。ただ、そのような意味におきまして、税務の執行を適正にやるという意味の努力をいたしておるわけでございまして、決して歳入予算の見積もりと関連いたしましてどうこうという問題はないわけでございます。調査中の旅費の増額その他予算関係に関連いたしまして、いろいろの御質問があったようでございますが、私どもの担当しております税務の執行が、理想と比較いたしましてなお十分でないということは、私ども承知いたしておる次第であります。それらの点につきましては、私ども全力をあげて適正な執行がなされるように努力すべきものと考えておる次第でございます。調査費の予算につきましても、今までもいろいろな努力をいたした次第でございますが、今回またさらに若干の増加を見込まれておる次第でありまして、これらは今までの予算の不足を補いまして、執行に資するものと考えておるのでありますが、これは巻間伝えられるような意味におきます徴税強化というようなことでは決してないわけであります。いわば適正な歳入の確保というものにつきまして努力するというところでございます。  なお、ただいまマイクロ云々というようなお言葉があった次第でありますが、直税関係予算につきましては、そういうものを実は承知いたしておりません。ただ調査査察関係であったかと承知いたしておりますが、その関係予算といたしましてそういうものが計上せられておるかに承知いたしておる次第でございます。従いまして、税務署におきます普通の調査にこういうものを使う意図はないわけでありまして、むしろ強制調査というような場合に、あるいは普通の証拠収集が困難であるというような場合に使用せられるものではないかと私聞いておる次第でございますが、私の所管いたしております直税部関係予算といたしましては、さような経費は計上いたしておりませんので、一応私からはそのような答弁をいたしたいと思います。
  42. 横山利秋

    横山委員 わかりました。白石さんの方では使っていない。しかし、調査査察部で使っているかもしれぬ、こういうお話ですが、どこで使っていようと、調査査察部だから、隠しマイクといいますか、Gメンというか、税メンというか知らぬが、それはちょっといかがなものでしょうか。おととしあなたも御一緒だったですか、査察の査察をわれわれ大蔵委員がやりましたときに、特に念を押したのは、人権のじゅうりんの事実ありやいなやということでありました。そのときにわかりましたことは、調査査察という以上は、いわゆるマンモス企業、大企業中心であろうかと思いきや、まさにその重点が、今あなたの話があったように、同族会社としての中小企業が多かったわけです。これはいかなることだ。調査査察というものはどこでもやるのかと言うたら、局長の答えていわく、大企業というものは帳簿その他が整然としておって脱税のすきはないようだ。合理制度が確立しておる。それに比べると、中小企業は同族会社が多くてやはり脱税のあれが多いから、必然的にそうなるのだ、こういう話でありました。これはまことにまことしやかな話ではありますけれども、われわれとしては承知のならなかった議論であるということに相なったわけであります。今回調査査察部で万年筆にマイクのついたやつを持って納税者のところへ行って、そしてそ知らぬ顔をして録音をしてくる、それを証拠にするというような調査査察のあり方がこれから行なわれるとするならば、私は言語道断だと思います。そのときにわれわれの声をからして力説をいたしましたものは、まず第一に調査査察という査察的なこと、権力的なものをなくする、人権じゅうりんをなくするということであり、できれば全廃をしろ、できなければ科学的、合理的な徴税制度に切りかえよということであったわけです。これは予算が確保されたかどうかは別といたしましても、少なくとも部内からこういうものを主計局に要求をするという考え方が私はどうにも納得ができぬ。いかがでございますか。
  43. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 ただいまの国税、中でも法人税、所得税等の直税の徴収制度の中に査察の制度がある以上は、やむを得ないことと考えます。ただ問題は、査察制度のあり方全般に検討すべき問題は多々ある、かように存じます。御承知通り、シャウプ勧告に基づいて税制改正昭和二十四年に行なわれました当時、この査察という制度ができた。間接税に査察の制度が——これは何といいますか、通告処分によってそれを実行したならば、告発は避けられるというのに対しまして、所得税法人税の直接税に対して査察があり、査察制度によって詐欺または不正の事実があった場合には告発し、場合によっては体刑にも処する、こういう法律があって、その制度がある以上は、これは場合によってはやむを得ないと思います。というのは、調べに行っていろいろお話があっても、話がまたあとからどんどんくずれていくということでは適切な査察ができないということで、おそらくやむを得ない手段として査察の方は考えたものと思います。しかし、そこでそういう制度自体が今日再検討すべきであるということであれば、議論は別であります。そこで、そういう問題もありまして、御承知通り国税通則法とも称すべき査察あるいは再審査、再調査、訴願その他更正決定その他のやり方について根本的に再検討し、税制調査会において結論を得て、そういうことも改めて参りたい、かように考えておる次第であります。
  44. 横山利秋

    横山委員 全然話がおかしいですよ。あとでつけ加えた国税通則法とは全然関係ない。それと同時に、こういう制度がある以上はやむを得ないとはどういう意見です。そういう調査制度があるなら、何をやってもいいということにはならぬでしょう。あなたと私とすなおに話をしておって、隠しマイクを持っておって、誘導尋問的な——ならまだいいけれども、さらにけしからぬことには、それを証拠にするというのでしょう。全く人権じゅうりんじゃないか。大体こればかりでなくて、先般小委員会を設けてあれだけ査察についていろんな議論をしたのに、民主化する方向でなくて、非民主化の方向じゃないか。あなただって先ほどからいろいろ言われておる。こちらにすわっておるときはこうであったけれども、そこへすわるとなかなかうまくいかぬとおっしゃる。もう私の聞いただけでも三べん目です。しかし、いやしくも奥村さんとしてみても、言われたものの考えはあなたから離れていないはずだと私は思う。そうならそうで、根本についてはあなたの態度を変えてもらっては困る。ここで言ったことは何ら変わりはないから、その方向で徐徐であるが前進をするから、承知を願いたいというならいざ知らず、ここで言ったこととそっちで言ったことと全然逆なような態度を見せられたのでは、私はまことに遺憾だと思う。少なくともこちらにいらっしゃったころには、そういうお話はなさらなかったはずです。そんな隠しマスクなんということがあったら、あなただったら、私よりもさらに舌鋒鋭く政府に迫って、直ちに取り消されたと私は確信をする。私は予算は計上されなかったであろうと思います。そう思いたいけれども予算がかりに計上されていなかったにしても、要求するものの考え方がけしからぬと言っている。あの当時、戦争が済んだあとに採用した第三者通報制、いわゆる密告制度というものはどうだと言ったら、もうなくなっていますと答えている。ところが協力費とかなんとか形を変えてまだあるらしいんです。そういう人民が人民をお互いに密告し合うというような納税制度、そういうような仕組みを政府が奨励をする、そのためにまたそこへ予算として計上するということは、許されざる非民主的なやり方ですよ。従って、こういう考え方がまだ根っこに、国税庁の中に、大蔵省の中に宿っておるとするならば、考え方を全然変えてもらわなければいかぬと思う。いわんや、あなたから、査察制度がある以上はテープレコーダーを使ったってしょうがないじゃないかということを聞くのはまことに意外千万で、私は取り消しを要求いたします。
  45. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 私個人としては査察制度の現在のあり方は大幅に改めねばならぬと考えております。しかし、これは税制調査会の答申を得て改めて参りたいというのです。しかし、その改める以前の現在の査察制度がある限り、よほど悪質な脱税その他のものには、これは厳罰に処せなければならぬ。それは告発をし、裁判にかける。告発の場合にはやはり証拠がなければならぬというようなことから、やむを得ぬ処置ではなかろうか。今国税庁長官も査察部長もここへ見えませんので、どういう答弁を申し上げるか知りませんが、査察制度がある限り、これはやむを得ない、かように思います。
  46. 横山利秋

    横山委員 査察制度がある限り何がやむを得ないのですか。あなたの論理から言うならば、査察制度がある限りは何をしてもいいし、納税者の人権をじゅうりんしてもよろしい。前に問題があったんだけれども一つの会社を数十人が押し寄せて数日間調査をして商売もできないようにさせ、それでもってあとで白でした、そう言ってもそれはしょうがないとか、あるいは一億の脱税だと思ったらわずか百万だった、それでも百万なら黒じゃないか、やむを得ない、こういうところまであなたの論理は発展するじゃありませんか。少なくとも近代的な納税制度を呼号する以上は、何をやってもいいという論理はあり得ない。リミットがあるはずです。先般の小委員会でも、私は科学的な合理的な徴税制度に前進をしろと言うて、淺香委員長の中間報告があって、それが満場一致決定された今隠しマイクの問題や第三者通報制度で脱税を密告してくれた方にはお礼をあげますというようなやり方は、これは戦後のものじゃないか、今こういうやり方をやってはならぬではないか、こういうことを言っておるのです。従って、その事の真偽は別といたしましても、譲って言いますけれども、もしもそういう隠しマイクのようなことをやるとするならば、やめさせますとなぜ言えぬのですか。密告制度で、ほうびを出すようなやり方はやめさせますと、なぜ言えぬのです。
  47. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 実は私はまだ国税庁長官なり査察部長の方からそういうものを使用するという相談を受けておりませんので、今の御質問はかなり突っ込んだ御質問でありますので、重要な答弁になると思いますから、国税庁長官あるいは査察部長意見もよく聞いて、あらためて御答弁を申し上げたいと思います。
  48. 横山利秋

    横山委員 それは承知できない。これは常識の問題ですよ。こういうことがあったかなかったかということは、それは調べられてもよろしい。調べられてもよろしいけれども、少なくとも常識的な問題だと私は思うのです。今の御時世に、今あなた方が民主的な納税制度、民主的な政府というふうに言われる限りにおいては、こういう隠しマイクを持って納税者に接近をして、そしらぬ顔をしてほかの話をして、それを証拠にするというやり方、あるいは密告したらお礼を差し上げますというようなやり方は、常識的な問題としていかぬと言うのですよ。ですから、あなたは長官に聞かなくてはわからぬではいけませんよ。少なくとも大蔵省を代表する責任のある方ならば、もしもそういうことがあったらやめさせますと言うのが当然ではないか。あなたは、隠しマイクやこういうやり方について、必要があったらやるという腹がまだあるから、そういうように逃げられるのではないか。はっきりなさったらいかがですか。
  49. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 現在の視察制度によりますと、御承知通り最初査察をいたします場合には令状を持って参ります。そして証拠になるような物件、帳簿、書類等は押収できることになっております。そして令状を持って参っての調べについては、あらかじめ、ちょうど刑事訴訟法に基づいて調べるように、納税者の自由意思に基づいて御答弁を願う、こういう念を押して、そして自由意思に基づいてお答えを願っているわけです。そして場合によって帳簿も押収するということでありますから、マイクを持っていくことだけが取り立てて悪いということは私はないかと思います。しかし、それは技術的なことですから、これは一つ国税庁長官なり査察部長に来ていただいて、直接お聞き願ってけっこうです。
  50. 石野久男

    ○石野委員 ちょっと関連して。  ただいまの査察に行きます場合に、マイクを持っていくということは何で悪いのだという政務次官のものの考え方について、これは基本的に人権の問題にも関係してくると思うのです。もしそのマイクが携帯用のマイクであっても、何でもいいのです。その前へすっと置いて、そしてこれでとりますよと言ってとる場合ならば、それを承知でものを言うのだから何をか言わん。しかし、万年筆の中に隠しているとかなんとかいうのは、実を言うとこれは盗聴なんですよ。そういう考え方自体が人権を無視しているということなんです。なぜ、やるならでっかいものを持っていくとか、前にちゃんと置いて、これでやるからあなたはそのつもりで話しなさいと言えないのですか。その考え方がなぜできないのかというところに、政府なり国税庁なりの考え方が非常に民主的でない卑屈なものの考え方があるということをついておるわけです。それもまた人権を無視していることに通ずるということを言ったんだから、だから横山君が先ほどから何べんも、賢明な政務次官であればそういうむちゃなことを言うはずはないのだが、常識的に答弁ができるのではないかということを言っているのです。政府がなぜそういう万年筆の先などへ隠しマイクなんかをつけるような考え方をするのか。その基本的なものの考え方を直してもらわなければ、この問題についてわれわれは了解がいかないわけですよ。それでもなおかつ、いや隠しマイクでいくのだというあなた方の考え方ならば、もう少し私たちは別な角度から究明しなければいけない、こういうことを横山氏が言っているのだから、もう一度政務次官の考え方を聞かして下さい。
  51. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 査察は御承知通り初めから犯罪を調べるという態度で臨むのでありますから、令状を持っていく、また疑いのある点も明らかにして調べる、こういうことでありますので、そういうあり方でいきますならば、自由意思でお答え願うということをあらかじめ念を押しておく。だから、その場合に、いわゆる聞き取り書を書くかわりにテープレコーダーに載せる、そういう事務的な便宜処置だろうと思うんで、まさかポケットに万年筆の隠しマイクを入れて……。(「あったらどうするか」と呼ぶ者あり)そういうことは私どもはなかろうと思いますが、それは私は全然相談に乗っておりませんから、国税庁長官なり査察部長に来ていただいてお答えを申し上げます。
  52. 大貫大八

    ○大貫委員 関連して。  ちょっと今の考え方がおかしいのですよ。そういうことがあったか、ないかという問題でなく、ものの考え方が——あなたは令状を持っていくからどうのこうの言いますけれども、刑事訴訟法に基づいて令状を持っていく者が、盗聴機を持っていって、それを隠しマイクで録音するという証拠のとり方は、刑事訴訟法でも認められませんよ。それは人権じゅうりんになりますよ。いわゆる刑事訴訟法に基づけば黙秘権があるのですから、供述するなら自由だということを告げて、そして供述書をとるのですから、そういう盗聴機があれば、自由にならぬじゃないですか。たとえば、そこで不意に、何か思わざることまでとられてしまう、そういうことは一つの人権じゅうりんになるのですよ。刑事訴訟法ではそんなこと認めていませんよ。そういうことに対する考え方がどうかというのです。
  53. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 ただいま申し上げますように、納税者なりまた調べられる人のお答えを聞き取り書に書くかわりに、便宜措置としてテープレコーダーにとる程度のことだろうと思うのですが、またそういうふうな意味の……。(「違う、そうじゃない」と呼ぶ者あり)どうも、大体責任者の国税庁長官なり査察部長がおらぬのに、推量でお答えするということは少し行き過ぎかと思うのでなんですが、今説明員からの説明によりますと、第三国人などの公務執行妨害などの事態が起きた場合の調査の利用に供するというので、私が推量いたしました、聞き取り書のかわりにテープレコーダーを利用する、こういうことすらも今のところはする考えはないんだ、こういうことであります。これ以上は、一つ国税庁長官、査察部長委員会に招致の上で、御質問願いたいと思います。
  54. 横山利秋

    横山委員 それは奥村さん、あなたは遠慮なさっているのかなんだか知らぬけれども、ここまで議論をして問題の焦点に近づいてきて、私は知らぬとは言わせませんよ。あなたは大蔵政務次官だ。大臣のかわりにそこにいらっしゃるのですから、ここまで問題がはっきりしてきたなら、あなたも腹を据えて答弁なさいよ。  私は今担当のお方のことについて質問を続けますけれども、第三国人が公務執行妨害をするから、そのときにこの隠しマイクを待つ、こういう話ですね。間違いありませんね。——では日本国人についてはこの隠しマイクは使わない、そういうことですね。まずそこから質問いたします。
  55. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 今査察部長が参りますから……。
  56. 植木庚子郎

    植木委員長 査察部長が来るそうですから、ほかの質問を一つ
  57. 横山利秋

    横山委員 次の質問は税外負担の問題です。国民は納税者一人当たり約一万八千円くらいを納税しておる。これを重税である、ないといって私ども議論しておるのですが、それ以外に、やれPTAの会費だとか、やれ道路を直さなければならぬというので、道路に対する多少の負担だとか、国民の税外の負担というものはおそるべき多額に上がっているわけです。そこで、この間の新聞によりますと、自治庁はこの税外負担の全廃に一歩を進める、こういう話を発表いたしました。これは一体大蔵省として裏づけされた話であるかどうか。少なくとも主税局で、国民税負担議論する上において、税外負担というものは幾らぐらいあってその現状はどういうふうになっているかということを、一体調査をされておるのかどうか。なぜこれが自治庁においてこういう発表がされ、大蔵省において税外負担が問題にされていないのか。この点について伺います。
  58. 原純夫

    原政府委員 ただいまおっしゃいます税外負担というのは、大体名前は寄付金というような名前が多いと思いますが、これにつきましては、税負担を論ずる場合に、それに伴って考えなければならぬ問題であることはおっしゃる通りであります。先般の昭和二十四年のシャウプ調査団が勧告いたしました際にも、その点を調べまして、当時たしか、私の記憶でありますが、三百億くらいそういうものがある。それをやめよう。大体それは、国が寄付を受けるという場合よりも、地方的なものが番付を受ける場合が多いということからだったと思いますが、三百億相当額の財源を地方に渡しまして、そうして税外負担の解消を期したというような経緯もありますので、それは、おっしゃるような角度で、こういうものは十分規制されななければならない、またやむを得ざる場合には、程度問題でありますが、租税そのものとは違って参りますけれども、やはり相当考えていかなければならぬという建前できておるのでありますが、遺憾ながら、その後払拭されたはずの寄付金がまた復活といいますか、新たにまた出てくるというようなことで、近ごろでは二百何十億あるいは三百億というような数字がいわれておるわけでありますが、今回地方財政が税収の増、交付税の増その他を見まして、一つの機会であるということで、三十五年度地方財政計画では、そういう面に一歩前進して解決をはかりたいということで、計画を組んでいるというような次第であります。先ほど申しましたように、国の系統で寄付を受けるということも絶無とは、言えないことと思いますが、やはり地方的なものが多いということから、一応そういうような面で処置をするということに、実際問題としてなってきているわけでございます。
  59. 横山利秋

    横山委員 これは主税局の方にも関連をすると思いますが、主税局はいらっしゃらないようですから、次官にお伺いせざるを符ないのですが、この税外負担全廃の方向へ推進をするという点はけっこうなことで、過ぐる二年ばかり前に、私も予算委員会で強く迫って、足立政務次官のときでしたか、大蔵省から通達を出していただいたことがあるのです。それにもかかわらず今なお税外負担が問題になる。しかし、自治庁がそういうふうにやるということについては、大蔵省として裏打ちがなければ、こんなものはできるはずがない。そこで、第一は、国の出先機関に対する寄付金とかあるいは分担金とかいうような、国及び地方の出先機関に対する寄付金等について、大蔵省としては、政府としては、これを禁止するということをはっきりされる用意があるかどうか、それが第一番。第二番目には、自治庁がそういうふうに努力をするというならば——今年度、三十四年度では三百億近くて、三十五年度は自治庁は九十億円を解消することを目標としておるそうでありますが、それらの解消のために、自治庁やあるいは地方自治団体が努力をするとするならば、国はその努力に対する多少の負担をする、予算を計上するということが、当然あり得るだろうと思うのだか、これについて、大蔵省としてその用意があって、打ち合わせの結果行なわれておるのであるかどうか。この二点をお伺いいたします。
  60. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 実は、御指摘の問題は、私はまだ詳しくは聞いておりません。おそらく自治庁と大蔵省との事務的な折衝の段階にあって、まだ私のところへ上がって参っておりません。
  61. 横山利秋

    横山委員 私が見ております新聞は、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の改正案がまとまったので、十九日の閣議で決定して国会へ提出する。この法案の中における住民の税外負担改正でありますから、おそらく私はこの法案の中にある程度盛られておると思うのであります。われわれが大蔵委員会として重視すべきことは、国民税負担ということは、本委員会の重視すべき大眼目の問題であるから、単に国税のみならず、地方税をも含んで今調査会議論をしておるとするならば、この税外負担がどのくらいあって、その税外負担をも含めて国民税負担能力があるかないかを議論すべきではなかろうか。それが、大蔵省として、知りません、自治庁のやっていることですからと一体言えるであろうかどうか。また自治庁がそういうことをしたとするならば、当然大蔵省として予算措置もめんどう見るべきものではないか。さっきから聞いていますと、次官は知らないと言い、主税局長も、さあどうでしょうか、三百億ぐらいでしょうかというようなことでは、いささかお粗末ではないかと思うのです。これはもう知らぬとおっしゃるならば、それはやむを得ませんから、次回の本委員会に、この地方財政再建促進特別措置法と地方財政法、二法案に関連をして、税外負担一体どのくらい国民は今負担しておるか、あるいはまた、その二法案の提出に際して、政府としてはどういう措置をとるかという点について、一つ資料を出していただきたいと思うのであります。  それから、先ほどのことですが、長官はいらっしゃるのですか。
  62. 植木庚子郎

    植木委員長 長官はおりません。今呼んでおります。国税庁査査察部長は来ております。
  63. 横山利秋

    横山委員 それでは、まず査察部長に、もうそこでお話を聞いたと思いますが、お伺いをいたします。先ほどの最後の御答弁は、この隠しマイクなるものは、第三国人に対して、公務執行妨害のような状況にあるときに、これを利用するのみであるという答弁がございましたが、それはどうであるかというところから御質問をいたします。
  64. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  小型録音機を使います目的として今私ども考えておりますところのものは、実は査察調査に参りまして、場合によりましては、関係者からいろいろなことをお伺いいたしまして、それを聞き取りいたしまして調音にするわけでございますが、さような段階におきまして、担当官といたしましては、その場における質疑応答が間違いのないように記録するように努めさせておるわけでございまするが、と申しましても、やはりあとからいろいろな問題も出てこないとも保証されないわけでございまするから、そのとき作成いたしました調書、それから実際の質疑応答とが、はたして真実であるかどうかということを証明いたすために使いたいと思っております。それで、小型にいたしました理由といたしましては、小型の方が何と申しましても携帯に便利なものでございますから、小型にいたしたような次第でございます。
  65. 横山利秋

    横山委員 簡単にそれではイエスかノーを言って下さい。日本人であろうと第三国人であろうと関係なく、これは使用されるわけですね。
  66. 竹村忠一

    ○竹村説明員 それは第三国人には限っておりません。
  67. 横山利秋

    横山委員 わかりました。  それから、その次にお伺いいたしますのは、ここにマイクがございますということを明示して使用するのですか。明示をせずに使用するのですか。
  68. 竹村忠一

    ○竹村説明員 状況によるとも思いますが、大部分の場合におきましては、ここにマイクがあるということをお知らせしてから使うようにしたいと思っております。
  69. 横山利秋

    横山委員 本委員会が問題といたしますのは、大部分であろうとなかろうと、これは便利なものですから——もしもこれは明示して使うならば、そんな万年筆のマイクなんか使いませんね。ちゃんと録音機を前にそろえてやりますね。万年筆でやるような、そういう隠しマイクという意味は、大部分が明示をせずに使うということを想定したわけではありますまいか。
  70. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、もっぱら携帯に便利だという意味で、小型を選定いたしたわけでございます。
  71. 横山利秋

    横山委員 携帯に便利で万年筆にいたしますか。人をばかにしたような御答弁をなさらぬように願いたいのです。これは隠しマイクという意味でしょう。携帯に便利だということは、手に下げるということか、あるいは万年筆にしかけたという意味か、どちらの意味が重視をされるのですか。少なくとも相手にわからぬように、秘密に録音ができるというところに特色があるのではないですか。
  72. 竹村忠一

    ○竹村説明員 何と申しましても、マイクは今までのものはかなり大型でございまするので、私どもの方は小型を選定いたしたわけでございます。もちろんその場合に、どういう式のものを買うかというところまでは、まだ具体的にはきまっていないわけでございまするが、やはり携帯に便利なために比較的小型のものにしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  73. 横山利秋

    横山委員 携帯に便利だということは、相手にわかるかわからないかということを度外視して、自分が持って歩くに便利であるかどうかということが尺度になるわけです。少なくとも本問題が問題になりますのは、持っていることが相手にわからない場合がある。そこに問題があるのです。少なくともあなた方が本マイクを利用しようというのは、相手にわからないことがある。従って、相手にわからずに録音できるという特色を重視をせられているのではないですか。
  74. 竹村忠一

    ○竹村説明員 私どもの方のマイクを購入いたします目的は、先ほど御説明申し上げましたように、聞き取りを作成いたしました場合に、それが後日そうでなかったというような問題が出てくることを防止いたすのが目的でございます。従いまして、先ほど申し上げましたように、まあそのときの事情にもよりまするが、(「どういう事情か言ってみろ」と呼ぶ者あり)ほとんど多くの場合におきましては、マイクでおとりしているということをお知らせいたしましてから使うつもりでございます。
  75. 横山利秋

    横山委員 ほとんどであるかほとんどでないかは問題の性質によりますよ。いいですか。これを持っておるということを相手はわからないのです。自分が言わなければ相手にはわからぬでしょう。しかも、その目的が、考えられるように、もう隠しマイクなんだから、おのずから明瞭じゃありませんか。あなたがほとんど大部分だとかなんとか言っているのは、裏を返して言うならば、相手に明示をせずこのマイクを使うことがあるということを肯定しておるのですね。
  76. 竹村忠一

    ○竹村説明員 かりに隠しマイクで盗聴いたしましたものは、裁判になりました場合の証拠能力の関係もございますので、私どもの方といたしましては、さようなことをするつもりはございません。
  77. 横山利秋

    横山委員 一体何を考えておるのですか。私どもが問題にしておることは、かつて、あなたの任期中ではなかったかもしらぬが、前任者のときに、調査査察ということも近代的なあり方にしてもらわなければならぬ、査察という名前が大体いかぬのだ、合理的に、科学的に、一つ調査機構を充実するならば、まだ許せるけれども、断じて人権をじゅうりんするようなことがあってはならぬと、あれだけかたく言って、長官はそのとき全く仰せのごとく努力をいたしますと言ったではありませんか。相手に明示をせずにこの隠しマイクを使うことがあり得るとあなたが裏打ちをされたということは全く重大な問題で、人権をじゅうりんするもはなはだしいとあなたは思わないのですか。先ほど次官がうっかりおっしゃったのですけれども調査査察という機構があれば何をやってもいい、調査査察という制度がある以上は何をやってもいいのだ、という考え方があなたの中にあるのではありませんか。
  78. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  査察のために人権をじゅうりんして差しつかえないのだということは、私どもは毛頭考えておりません。私どもは、平素の事務を遂行するにあたりましても、できるだけ人権の尊重という面につきまして配慮いたしておるつもりでございます。たまたま、本件につきまして、小型マイクの内容がどのようなものであるかということで、問題が起こったわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げました通り、さような方法によりまして集めました証拠は、証拠力の問題もございますので、決してとるつもりはございません。  なお、私が先ほど御説明申し上げました場合に、事情によると申しましたのは、あるいはまあ予期しがたいような事情でもあるかと思って申し上げたのでございますが、その点は、誤解を招きましたようでございますから、訂正申し上げます。私どもは、隠しマイクを使ってやるつもりは、証拠を集めるつもりは、毛頭ございません。先ほど申し上げました通り、もっぱら聞き取りの正確性を期するという意味におきまして使うのでございます。
  79. 横山利秋

    横山委員 私どもが問題にいたしますのは、隠しマイクを使用するのか使用しないのかということです。私は明示をしてテープレコーダーを納税者の前に置いて質問すること自身もいかぬと思いますよ。私はそういうことも許しません。いわんや相手に明示をせずして相手の言葉をテープレコーダーにとるということは断じて許しません。少し事務的にお伺いしますけれども、この隠しマイクの予算は計上されましたか。これは幾らで、そうして隠しマイクは全国で何カ所ぐらい配置をされるもので、内容はどういうものですか。
  80. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。予算といたしましては百三十万円でございます。それで各局一台ずつを考えております。なお、内容につきまして、先生の方から隠しマイクというお話がございましたが、私どもは、そういうものではなくて、むしろ小型のマイクを希望いたしておるわけでございます。
  81. 横山利秋

    横山委員 その小型のマイクが隠しマイクなんですよ。そんな言葉でごまかそうとしたってだめなんです。今ちょっと聞き漏らしましたけれども、全国で幾つぐらい買って、どういうふうに配分するのですか。
  82. 竹村忠一

    ○竹村説明員 申し上げます。国税局が十一ございますが、大体各局一台ずつの見当を予定いたしております。
  83. 横山利秋

    横山委員 重ねて言いますけれども、そうすると百二十八万円、十一台だから一台十二万円ですか、十二万円の隠しマイクを各局に配置をして、その隠しマイクを全く人目にわからぬように身につけて、そうして納税者のところへ行って、それを帰ってきてみんなで聞き合って、うっかり言ったことを証拠にはしない証拠にするとおっしゃるわけですね。証拠にはしない証拠にするとおっしゃるわけですよ、あなたの言い分は。そういう証拠にはしない証拠にするというやり方が、一番陰険なんですよ、実は。話し合っておってもそれを言わない。言わないで、しかも腹の中には、あんなこと言っておったって、ちゃんとおれは知っておるのだからという態度だから、いつも納税者とそれから税務署との間に紛争が絶えないのです。証拠なら証拠として堂々と出す。証拠に対して議論を納税者にしてもらう。標準率表だってすっかり見せて、こういう計算方式だが、お前のところはなぜこういうことにしないかということにしなければならぬ。それを自分のポケットの中にだけ標準率衣を持っておって、いや、間違っているに違いないというやり方が一番陰険だと言うのです。なぜ隠しマイクを使うのです。あなたはとうとう逃げ回って、証拠にはしないといってそれでいて証拠にするのです。税務署だけの証拠にすることをはっきりおっしゃっているわけではないのですか。ですから私はもうこういうようなやり方はやめなければならぬ。  もう一つの問題は、第三者の通報制度です。密告制度です。密告制度はなくなったはずじゃありませんか。なくなったにかかわらず、予算に計上されて、何か課税協力者の報償経費としてこれが計上されているそうです。言語道断ではありませんか。そういうようなやり方を一体いつまでこっそり隠れてやるのですか。何が一体民主的な納税制度ですか。私は、こういうような調査査察のやり方が、これがしかも大企業、マンモス企業に対してばかりでなくて、実は同族会社か中小企業等も調査査察の数多くの対象になっているということは、何を一体考えておるのか、わけがわからぬ。かりに大企業であっても、私は大企業の徴税が今だめだ、もっとしっかりやらなければいかぬと言っているのだけれども、それであっても人権をじゅうりんすることは許されません。隠しマイクを使うことは言語道断です。やめなければなりませんよ。どうですか。
  84. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お言葉を返すようではなはだ失礼でございますが、私が申し上げました趣旨は、隠しマイクを使いまして集めました証拠は、証拠の問題といたしまして問題になるわけでありますから、私どもはそういう使い方をしない、こういう趣旨を申し上げたかったのでございます。(「何のために使うのか、具体的に言ってみよ」と呼ぶ者あり)それは、先ほど申し上げましたように、調書を作りますときに、調書とその場の応答とがあとで食い違っておっては……。(「食い違ったらどっちをとるのか、隠しマイクの方をとるのか、それでなかったら、そういうものがある必要はないじゃないか」と呼ぶ者あり)その場合の証明のためにマイクを使うわけであります。
  85. 大貫大八

    ○大貫委員 ちょっと関連。  今の答弁は、はなはだけしかならぬ答弁だと思うのです。なるほど、あなたのおっしゃるのは、その隠しマイクで録音したものは直接の証拠にしないというだけでしょう。ただそれを調書を書くときに補充をするとあなたは言っておるわけです。そうすると、これは大へんな大きな問題になると思う。直接の証拠には出せないけれども、結局それを利用して、供述書を、録音したものをかけてみて、そして足りないところはその録音通りに供述書を作るということじゃないのですか。どうなんです。
  86. 竹村忠一

    ○竹村説明員 私の説明が若干足りなかったかもしれませんが、申し上げておりますことは、私どもの使う目的は申し上げた通りのものでございまして、また、それを使用するにあたりましては、関係者にマイクで録音いたしますということを申し上げて使うつもりであります。
  87. 大貫大八

    ○大貫委員 使うつもりだといっても、先ほどはそうじゃないじゃないですか。相手方に知らせずに使用することもあるということをおっしゃっているじゃないですか。そうしますと、これは相手方に知らして録音したのならば、あなたは証拠力の問題を先ほどおっしゃっているが、直接証拠に出せるじゃありませんか。証拠に出せない証拠力というものに問題があるというのは、盗聴しておるから裁判所へ行っても通らないので、証拠には直接出せないということだけなんでしょう。しかも、その録音したものを、供述調書を作るにあたって、ちゃんと供述調書が十分であるかどうかは、その盗聴した録音を聞いてみて、ここも足りなかった、ここも足りなかったというて、その供述調書を補充しているのじゃないですか。それを証拠に出しているのじゃないですか。
  88. 竹村忠一

    ○竹村説明員 私の最初の答弁が少し不正確でありましたから、誤解を招いているのじゃないかと思うのでありますが、私が申し上げますることは、録音機を使用するにありましては関係者に全部告知する、こういうことでございます。それから、調書との関係におきましては、いずれもさように告知いたしましてから録音いたしますことを考えておりますので、かりに盗聴いたしましても証拠としては問題がございまするし、先ほど私が申し上げましたのはそういう問題でございまするから、相手方に告げないでは使用しない、こういうことを申し上げておったわけでございます。表現が少し不正確でありました点は御了承願いたいと思います。
  89. 大貫大八

    ○大貫委員 これは大へんなごまかしじゃないか。最初は明らかに言っておるんですよ、相手方に知らせずに使用するということは。私はメモしているのです。相手方に知らせて録音するならば、そんな小型のものなんか必要ないじゃないですか。どんな小型のものを使用しておるのですか。明示したらどうですか。一番小型というものはどんなものです。
  90. 竹村忠一

    ○竹村説明員 実は私まだ現物を——予算要求いたしまして予算に載ったわけでございまするが、具体的にどういうものという品物を見ておるわけでございませんので申し上げかねますが、ただ携帯に便利であるという点につきましては、私どもは重点を置いて考えております。いかさま現在ありまする録音機は相当大きゅうございまして、持ち運びもかなり不便でございます。
  91. 大貫大八

    ○大貫委員 それじゃ確かめておきますが、ほんとうにそういう録音機は相手方に明示せずして使用しないというのは確かですか。もしそうでないと、目に見えるものでないといけませんよ。万年筆みたいにポケットに入れて、明示したといっても、そんなことは信用できませんよ。要するに、もしそういうことを告げずに使用しておったとするならば、重大な憲法違反ですよ。被疑者には黙秘権があるのですから、そうすると、黙秘権がある場合においては、黙秘権のことを告げて尋問するでしょう。その場合に、あなたのこれから述べることは全部録音しますということになれば、黙秘権を主張するかもしれぬ、録音するのでは私は述べない、こう言うかもしれませんよ、黙秘権というのは憲法上保障された権利なんですから。それを告げずに、ひそかにそれを盗聴機でとってしまって、それで今度は供述書を補充するということになれば、これは憲法違反ですよ。どうですか。ほんとうに先ほどの答弁が気になるのです。最初は、あなたは、原則として相手方に告げて録音するようなことをおっしゃっておるのですが、あとで変更されて、全部相手方に承認を得て録音しているとおっしゃっているのです。それで、しかも小型の録音機というのは、あなたは知らぬなんてばかな話はないと思うのですが、どうなんですか。そんなことはないでしょう。
  92. 竹村忠一

    ○竹村説明員 私ども関係者につきまして現在調書をとっているわけでございますが、その場合におきましても、やはり黙秘権の問題は関係者に知らせましてから聞き取りをとることにいたしております。従いまして、今度マイクを使うにいたしましても、やはりその方の関係につきましては従来のやり方といささかも変わりはございません。黙秘権の問題につきましては、やはりあらかじめ本人に告知するつもりでございます。
  93. 石野久男

    ○石野委員 関連。  今の小型マイクを使うという考え方も変わりはないようですが、それを明示するか明示しないかという問題を一つはっきりしなければいけませんし、それからもう一つは、いわゆる便利な小型のものだという容量は、ポケットに入れる程度のものなのか、それとも外で下げていくようなものをいうのか、その辺のところをはっきりしてもらいたいと思う。  もう一つは、相手方に明示するという場合に、マイクを相手に持たすのかどうか。その点をはっきりして下さい。マイクはどこかに隠しておいて、相手のしゃべっていることを録音するのか。必ずマイクを納税者の方に持たすのかどうか。その点も明確に一つ聞かしてもらいたい。
  94. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  具体的にまだ購入すべき銘柄がきまってないわけでございますが、先ほど申しましたように携帯に便利なというのが一つの基準でございまして、盗聴するというのが基準でございません。あくまでも携帯に便利だという基準に沿いまして購入するような手配にいたしたいというふうに考えております。  それから、使用の場合に、相手方にマイクがあるということを告知するかどうかという問題でございますが、これは全部告知するつもりでございます。(「今度はつもりか」と呼ぶ者あり)ただいまのところ、何というか、つもりという言葉が悪ければ、告知いたします。  それから、第三点で、マイクをどちらが持つかという問題でございますが、これは場合によったらどちらでもいいと思います。私の方といたしましては、要は目的に照らしまして、その場の応答が正確に記録されるようにいたしたいと思っております。
  95. 石野久男

    ○石野委員 まだ銘柄がきまってないからどういうものだかわからないというようなことで逃げておられるようだが、私は、今横山委員からのいろいろな質問を聞いてみますと、携帯マイクというものはとにかく万年筆か何かにも入るような小柄のものになるように聞いているわけですね。とにかくその携帯用ということの意味は、洋服のどこかに入れるということを意味しているように思われます。そうでなく、外で何か弁当箱でも下げるように持っていくものならば、これならば案外にわかりやすい。だけれども、ポケットの中に入れておいたり、そで口に置いておいたりするようなことでは、幾らあなた方がここでいいことを言ったって、相手方に知らせなくても十分用益を果たせますし、また私たちの心配しているいわゆる盗聴の用に供せられるわけですから、私は、銘柄の問題については、もうすでに予算もきまり、本年じゅうにそれを入れるということであるならば、それをはっきり知らしてほしいということが一つ。  それから、もう一つは、横山委員も言っているように、納税者に対してマイクを使うということについて、それ自体も一つ問題があります。しかし、問題ではあるけれども、かりにそれが明確に本人の前に置かれて、そうしてあなたにも黙秘権がありますよということを明示してやられる場合の録音であれば、それは本人も承知だからある程度のものは出てきますけれども、それでさえも問題があるのです。実を言うと、われわれは、やはりそういうような問題は全然相手にも知らさないでそういうことをすることはよくない。ですから、私は、この盗聴機に類するところの携帯マイクというものを使うということについては、もっと真剣に事務当局において、使えるという問題だけではなしに、先ほど来言っているように、憲法上の問題もあるので、本委員会としては十分検討しなければいけない問題になっていると思いますので、そういう問題について、全然あなた方は考慮しないでこれを考えているのかどうか。この点、奧村政務次官は、この問題についてどういうふうに考えか、一つはっきり聞かせていただきたい。
  96. 竹村忠一

    ○竹村説明員 小型の録音機というので、その内容が確定いたしておりません関係上、非常な誤解を招いているようでございますが、お活にございましたような万年筆のような小型の、そのような極端なものは、私どもといたしましては考えておりません。
  97. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 先ほども申し上げましたように、私としてはまだ全然内部で相談を受けておりませんので、さっそく内部で相談いたしまして、次会の委員会にまた御答弁を申し上げたいと思いますので、しばらく留保願いたと思います。
  98. 横山利秋

    横山委員 先ほどから皆さんすべての人がおわかりのように、政府側の態度はもう三転、四転いたしました。これは明らかに政府側としてもまずいとお考えだと私は思うわけです。いわんや私は失礼な話をいたしますけれども、済むのなら適当なところで済まそうということで、これは三国人だけ使うのですというような詭弁をなさることはやめてもらわなければいかぬ。それから、査察部長にしたところで、だんだん、それじゃこう言ったら何とか防ぎとめられないか、こう言ったらというふうに間口をふさいでいって、この辺でというような態度も私はよくないと思う。私は原則的に言うておきますが、少なくとも小型マイクである以上は、相手がわからないというところに特色がある。かりにまた相手がわかったところで、納税者の前にぽんとマイクを置いて、さあ答えて下さいという態度がどういう心理的影響を相手に及ぼすかということは、おのずからわかることでありましょう。マイクを前に置いて、たとえば街頭録音でもそうです。前に突きつけられて、さあさあと言われて、どういう心理になるか。われわれ政治家やあるいは心臓の強いお役人やそういう人ならいざ知らず、庶民の中でマイクを突きつけられた感じというものを考えなければだめだ。これはまさに心理的な圧迫ですよ。ですから、マイクを明示して、前に置いて、だれにでもわかるようなものであっても、納税者の前にマイクを置いて、さあものを言えというやり方は、私は賛成できません。また、相手にわからない小型のマイクであっても、相手に明示するから使わしてくれということも私は賛成できません。なぜならば、それは保証がないからです。明示をしましたという保証がないからです。相手はわかりません。使っておる本人しかわからないこであります。そうしてそれは使わなかったといえば済むことです、証拠がないから。それでもって証拠にするからです。そういうことは、これは許さるべきことではありません。  私は、きょうの政府側の皆さんの御答弁のことについて、もう根本的に不満足であります。ですから、政務次官がおっしゃったように、一ぺん内部で十分議論をされて、次会は長官も一つ御出席願いまして、できるならば大臣みずから本問題について一つ答弁されんことを要望して、きょうの私の質問を終わります。
  99. 植木庚子郎

    植木委員長 次会は来たる三日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時十五分散会