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1960-03-11 第34回国会 衆議院 商工委員会外務委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十一日(金曜日)     午後三時三十八分開議  出席委員  商工委員会    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君       岡本  茂君    鹿野 彦吉君       始関 伊平君    田中 榮一君       田中 龍夫君    中井 一夫君       板川 正吾君    勝澤 芳雄君       小林 正美君    櫻井 奎夫君       東海林 稔君    北條 秀一君  外務委員会    委員長 小泉 純也君    理事 加藤 精三君 理事 竹内 俊吉君    理事 床次 徳二君 理事 戸叶 里子君    理事 松本 七郎君       愛知 揆一君    石坂  繁君       岩本 信行君    野田 武夫君       福家 俊一君    森下 國雄君       穗積 七郎君    森島 守人君  出席国務大臣         外 務 大 臣 藤山愛一郎君         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         外務事務官         (大臣官房長) 内田 藤雄君         通商産業政務次         官       原田  憲君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君  委員外出席者         外務参事官   北原 秀雄君         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  アジア経済研究所法案内閣提出第八四号)      ————◇—————     〔中村商工委員長委員長席に着く〕
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより商工委員会外務委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして私が委員長の職務を行ないます。  アジア経済研究所法案議題といたします。     —————————————     —————————————
  3. 中村幸八

    中村委員長 まず本案に対する提案理由説明を聴取いたしたいと存じます。通商産業政務次官原田憲君。
  4. 原田憲

    原田(憲)政府委員 ただいま議題となりましたアジア経済研究所法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  最近のわが国経済が、高度の成長率を維持しつつ、かつ安定した発展をたどっていることは御存じの通りでありますが、その基礎には、官民一体となっての輸出努力による貿易の順調な拡大が存することは申すまでもありません。政府といたしましては、今後とも海外依存度の高いわが国経済を、長期にわたって拡大発展させるため、貿易拡大のための諸施策の実施に引き続き努力する所存であります。  ところで、最近における貿易自由化の傾向と特に欧州に顕著な地域化の動向のもとにあって、わが国貿易拡大するためには、低開発地域、ことにわが国と地理的にも歴史的にも関係の深いアジア地域経済開発への協力促進することによって、これら地域との経済交流拡大をはかることが特に必要であります。このためには、低開発地域経済、なかんずくアジア地域経済に関する十分な判断資料が不可欠であります。しかるにわが国におきましては、これら地域経済に関して適切な判断を下すための基礎的かつ総合的な研究資料は整備されておらず、そのため、アジア地域に対する貿易拡大あるいは経済協力促進にあたっては、従来から幾多の不便を感じておりました。  かかる情勢にかんがみ、とりあえず、財界、学界等各界からの要望に基づいて、一昨年十二月十九日財団法人としてアジア経済研究所を発足させ、同研究所に対して補助金委託費を交付し、調査研究業務を実施させて参りました。今回、わが国におけるアジア経済研究中心機関として長期的調査研究体制を確立し、その内容を拡充強化するため、同研究所を発展的に解消して政府が強力に援助する体制を整えるとともに、民間出資をも認め、政府監督する特殊法人とすることといたしました。  この法案は、以上の経緯及び趣旨に従いまして、アジア地域等経済及びこれに関連する諸事情について基礎的かつ総合的な調査研究を行ない、並びにその成果を普及し、もってこれら地域との貿易拡大及び経済協力促進に寄与することを目的といたしましてアジア経済研究所設立しようとするものであります。  次に、この法案要旨を御説明いたします。  まず第一に、アジア経済研究所資本金は、政府及び政府以外の者からの出資金合計額とし、政府一般会計から研究所設立の際一億円を出資することといたしました。  第二に、研究所の役員として、会長所長理事及び監事を置くこととし、会長所長及び監事通商産業大臣が任命し、理事会長が任命することといたしております。なお研究所の行なう業務は広範囲であり、その調査研究は適正妥当なものであることが要望されますので、参与会を設け、広く学識経験者の意見を取り入れるようにいたしました。  第三に、研究所の行なう業務でありますが、アジア経済研究所設立目的に従いましてアジア地域経済及びこれに関連する諸事情に関して、資料の収集、調査研究現地調査及びそれら調査研究成果普及等業務を行なわせるとともに、必要に応じ、アジア地域以外の地域、たとえばアフリカ、中南米等についても調査研究及びその成果普及等業務をも行なわせることといたしております。  第四に、研究所財務及び会計でありますが、研究所事業計画資金計画収支予算等につきましては、通商産業大臣の認可または承認を要することといたしておりますが、これは研究所業務公共性によるほか、研究所特殊法人としての性格上、政府以外の出資者発言権が認められないため、通商産業大臣がこれらの者にかわり研究所財務及び会計に関与する必要があること等の理由によるものであります。また、利益を生じた場合、これを配当することなく積み立てることとし、本研究所が営利を目的とするものでないことを明らかにすることといたしました。  第五に、研究所は、通商産業大臣監督を受け、通商産業大臣は、研究所に対して監督上必要な命令をなし、または報告を徴し、職員をして立ち入り検査ができることといたしました。  最後に、研究所設立に関する事務は、通商産業大臣が任命する設立委員に処理させることといたしますが、設立にあたりまして財団法人アジア経済研究所の一切の権利義務を包括承継できることといたしまして、従来から行なってきた調査研究業務の継続に支障を来たさないようにいたしております。  なお、このほか研究所に対する課税を減免するため各種税法の一部改正を行ないまして研究所業務運営に遺憾なきを期した次第であります。  以上、簡単でありますが、この法律案及びその要旨を御説明いたしました。  なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  5. 中村幸八

    中村委員長 以上で提案理由説明は終わりました。     —————————————
  6. 中村幸八

    中村委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。戸叶里子君。
  7. 戸叶里子

    戸叶委員 このアジア経済研究所の問題は、前々からいろいろ言われていたのでございまして、この所管が一時通産省になるか、あるいはまた外務省になるかということで、だいぶもめたというようなことも私は伺っているわけでございます。結局あの当時、たしか二年くらい前だったと思いますけれども、この海外技術センターというのとアジア経済研究所というのと二つあったのを、仲よく一つずつ分けるというような形で岸さんが裁断を下されたというようなことも聞いているわけでございますけれども、その場合にこの技術センター外務省の方に、そしてまたアジア経済研究所の方が通産省の方にというふうにお分けになった。その内容について通産省外務省も納得された上で分けられたのかどうか、その点をまず伺いたいと思います。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 戸叶委員の御指摘がありましたのはおそらく二年前だと思いますが、当時通産省におきまして研究調査目的をもって若干の予算を持っておられました。従いましてそれに対して、それを拡大していこうということでこの研究所通産省の方の予算につきました。そういう意味において適当な裁断であったと存じます。
  9. 戸叶里子

    戸叶委員 通産省の方はいかがですか。
  10. 原田憲

    原田(憲)政府委員 ただいま外務大臣が言われたように、適当であったと思っております。
  11. 戸叶里子

    戸叶委員 経済技術センター外務省所管になったわけですけれども技術センターの方が、私どもから見るならばむしろ通産省に近い方がよかったのじゃないか。そしてどちらもまた海外へ出ていく問題でございますから、外務省を無視したやり方というものはできないでしょうし、両方が持ちつ持たれつしてその効果を十分あげていけるものじゃないかと思うのですけれども、結局技術センターの方が外務省へいってしまって、そしてこの経済研究所の方が通産省へいったというふうな結果になったわけですけれども、こういう点で外務大臣もそれから通産省の方も大へんけっこうなことだということを言っていらっしゃるわけです。  そこで私はこれから二、三点質問いたしたいと思いますけれども、今度特殊法人にされまして、政府監督ということをだいぶ強めていくというように提案理由説明の中にもあったわけです。結局これは今までよりもその監督が強められて、いわばセミオフィシャル的なものになっていくのじゃないかと思うのです。そうしますと、民間のときはそれほど問題でなかったものが、半分でもオフィシャルになってくるということになりますと、日本のかっての戦争前から戦争時代のことを知っておりますアジア諸国が、非常に警戒をするような面も出てくるのではないか。そしてあるいは日本が大東亜共栄圏的な国策を遂行するような、そういうようなことのための調査ではないかというような印象を持つ国の人々もあるわけでございまして、この相手国警戒心というものを起こさせるのではないかということを、私は非常に心配するわけでございます。現に、聞くところによりますと、新華社電報の報ずるところでは、日本国策遂行機関と思われるようなものが今度はできるというようなことさえいわれておるわけでありまして、どんなに口でそういうもんじゃないんだと説明してみましても、これをそうでないというふうに納得させるようなどこかに法律的なものがなければならないのじゃないかと思うのですけれども、この点はどういうふうに説明していただけるか、伺いたいと思います。
  12. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知のように、日本アジア諸国協力いたしまして低開発国開発に資していく。またそれぞれの二国間において貿易を振興していくということは、これは好ましいことでありまして、その基礎となるべき諸般の調査というものが行なわれることによって初めてそういうような目的も達せられ、日本協力態勢も十分にできると思うのであります。ところが調査研究というものは、口で申しますことは簡単でございますけれども、相当な経費を要することでありますし、また相当な人材を集めて参らなければならぬのであります。従ってその調査をします主体というものが財政的にも安定をし、そうして十分有能な人材がそこに入って活動し得るというような基礎が置かれなければ、有能な人材も得られませんし、またこういう調査研究所が有能な人材を持たなければ、いかに資金がありましてもほんとう意味活動はできないわけであります。そういう意味におきまして今回これに関して国家がある程度の出資をいたしますということは、私は適当なことだと思うのであります。そこで、国家がそういうような出資をするということから、何か今戸叶議員が言われますように、いろいろ調査関係国において危惧の念を持ちはしないかというようなお説でございます。むろんわれわれ今日の日本が、いわゆる大東亜共栄圏というような思想を持っておりませんことは——戦後しばらくの時期はどうでありましょうとも、逐次払拭されてきていることは事実であります。また今回のこの研究所調査研究をする趣旨というものは、今申し上げましたように、ほんとうアジアの民生の向上のために経済的協力をするというような立場において調査研究をいたすことでありますから、そういうような誤解が起こるわけもございませんし、進めたときにかりに若干誤解が起こりましても、この研究所成果が出て参りますれば、むろんそういうことは払拭される、またこの研究所成果というものは日本民間にも各国にも広く使用されることになるわけでありまして、そういう意味において誤解が起こることはないと私ども考えております。
  13. 戸叶里子

    戸叶委員 今の外務大臣の、財政的な安定、それからりっぱな人を送って調査をするんだとおっしゃるのはいいといたしましても、先ほど私が質問しましたような、いわゆる大東亜共栄圏的な国策を遂行するんじゃないかという危惧の念を持っているところがすでにあるわけなんです。そういうことはないと思うという断定の上に立って藤山外務大臣はおっしゃった。先ほど申し上げましたように、もうよその国の新聞ではそういうことをいっているわけでございまして、そういうものに対処して、そうではないんだというようなことをやっていきませんと、やはり調査をすると申しましても十分な成果が上げられないと思うのです。そういう意味で一体どういうふうな方針を持って通産省の方がお臨みになるか、この点を伺いたいと思います。
  14. 原田憲

    原田(憲)政府委員 新華社で今度のこのアジア経済研究所法案が審議されておることについて、仰せのような懸念を持っておるということを、私は残念ながらまだ読んでおらないのでございますけれども、先般商工委員会においても松平委員から仰せがありました。しかしながら今度のアジア経済研究所特殊法人にいたしまして何をするかということは、そのような目的は絶対に持っておらないのでございまして、基礎的、総合的な調査研究を行ない、そしてそれが純粋に経済的に日本アジアの国々と手をつなぎ合って発展していくための資料を集める、日本各省でもそういう関係団体でも、いろいろな方面へ、一ところに集めた資料を提供いたしまして、目的を達成しようと思っておるのであります。その誤解というものは絶対にないと私どもは申し上げる以外にないと思うのであります。
  15. 戸叶里子

    戸叶委員 誤解が起きているのに誤解がないという以外にないというような方針を持っていられるのじゃ、私は非常に心細い限りだと思うのであります。そういうふうな態度では、資料を集めることが悪いと言っているのじゃないのですけれども、そういうふうな甘い気持で集めるといっても十分な成果が上げられないんだということを申し上げているのであって、もっと十分な成果が上げられるような、そういうふうな気持を持たれないような方法をお考えになっていかなければだめだということを申し上げているわけでございます。この点についてももっとよく検討をしていっていただきたいと思うのです。  それでは具体的な問題といたしまして、外務大臣通産省の方も、この所管通産省でやってもらうからいいのだというふうなことで満足した答弁をしていらっしゃるわけなんですが、そうしますと、実際問題といたしまして、だれかが調査に行くわけですけれども、その調査に行く場合には、現地外務省出先機関とどうしても十分密接な連携をとっていかなければならないと思うのです。こういうふうな連携がはたしてうまくとっていかれるかどうか、この点を具体的に伺いたいと思います。
  16. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 海外におきます仕事につきまして、それが通産省ばかりでなく、農林省であろうと、各省仕事につきましては、外務省は当然十分なお世話とあっせんをしなければならぬのであります。また同時に各省の方も、海外調査その他をされる場合には、当然外務省公館を利用されますことが一番便宜でもあり、また必要でもあろうと思います。そういう意味において外務省としてはできるだけのお世話を申し上げることむろんでありまして、万遺漏なきを期して参りたいと存じております。特にその土地のいろいろな事情あるいは慣習もございます。そういうことを十分御了解いただいて現地に行かれる方々に活動していただかなければならぬのでありますから、外務省といたしましては、そういう面につきまして十分な御協力の上にやりませんと、とかく誤解を起こしたり、あるいは国交の上に大きな影響を及ぼすような問題が起こらぬとは限らぬのでありますから、われわれといたしましてはそういう面に最大の注意を払いまして、この研究所が円満に活動し得るようにいたして参りたいと存じております。  むろん研究所はまだ非常に小さいわけでありまして、こういう研究調査機関を充実して参りますために相当な資金を要し、相当な人材を集めてやらなければならぬと思います。これが将来日本アジア研究所でなくて、アジアのためのアジア研究所になることが一番望ましい。これはアジア各国人たちが、この調査検討の結果を、それぞれの国が自国の経済開発伸展に利用できるように考えていくべきであろうかと私は思っておりますけれども、現在はまだ出発早々で、ごく小規模のものでありますので、理想理想として、現実の問題として仕事を始めて参るよりほかに方法はないと存じております。
  17. 戸叶里子

    戸叶委員 今外務大臣は、別に問題がない、出先機関の方でいろいろと親切にしてあげるからいいということをおっしゃったのですけれども大臣の方ではそういうお考えでいらっしゃるかもしれませんが、外国を回ってみまして、出先機関などで、たとえば通産省から行った人、あるいはほかの省から行った人たち外務省人たちと必ずしもよくいっていないような例さえあるわけなんです。それにもかかわらず、今度は外務省を通さずに調査に行くのにもかかわらず万遺憾なきを期してやれますと大きなことをおっしゃってみましても、現地においてはたしてうまくいけるかどうかということは、私は非常に問題があるのじゃないかと思います。もう少しそういうふうな事情をお調べになって、そうしてどんなに大臣自身がそういうふうに考えていらっしゃっても、うまくいっていないというようなことをも研究された上で、効果を上げるようにしていっていただかなければならぬのじゃないかと私は考えます。  そこで、いらっしゃる人の身分は一体どういう身分なんですか。学生なんですか。留学生と同じなんですかどうなんですか。
  18. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話しのように、われわれとしてはできるだけ各省関係に対してお世話をして参らなければなりません。今回の運営に当たりましても、池田通産大臣も、これらの運営全般については閣議においても、外務省と十分に相談しながら協力していくということを言われておりますし、われわれこれは予算の窓口がどこにあるとか、監督官庁がどこであるとかいうことを越えて、やはりこの研究所主体になる方と外務省とがしょっちゅう密接な連絡協調を保っていくことによって、海外における運営が万全を期し得られると思うのであります。でありますから、そういう意味において、われわれとしては、形の上よりも本研究所主体に十分なる連絡協調を保っていきますことが、出て行かれる方の行動の上にも反映していくと思うのでありまして、そういう点もあわせ考慮しながらわれわれはできるだけの御協力を申し上げていきたい、こういうふうに考えております。  なお、調査に行かれる人のことにつきましては、当局から答弁することにいたしたいと思います。
  19. 原田憲

    原田(憲)政府委員 ただいま外務大臣がおっしゃった通り、これは密接に連携をとりまして、十分に効果を上げたいと考えるのでございますが、このアジア経済研究所海外派遣員を送る目的は、現地におきまして現地語調査研究活動を行なわせること、またその素地を育成することにありまして、このような調査研究活動内容は、貿易業界産業界等貿易活動や、貿易に深く結びついた民間経済協力活動に際しての必要な基礎資料を作ることでございますから、直接外交目的につながるものではございません。今戸叶先生の言われたように、身分でいいますと研究所員でありまして、文部省から行っております留学生や、あるいは商社から派遣員等が行っておりますが、この人たちと同じように、在外公館とはそれぞれの機能において協力するとともに、一般的な監督を受けることになるのでございます。そこでより一そうの連携をとって、調査の分野もそういう方面でございますから、純粋の外交目的とはおのずから異なると思うのでありますけれども、十分な連携をはかりながら双方の調査の効率を高めるために努力をするつもりでございます。
  20. 戸叶里子

    戸叶委員 日本から調査官が向こうへ行く場合の先方受け入れ機関は、大学とか大学研究所とかいったところらしいのです。そういう場合に、その受け入れ機関外務省を通してお頼みになるのですか、どうですか。この点がまず一点。それからもう一つは、在外公館との協力関係は大へんによくいきますというふうにおっしゃるのですけれども、うまくいかなかったときに一番困るのはやはり行った人だと思うのです。行った人が、せっかく行ってもいやな思いをされたり、十分に調査ができないということになりますと、いろいろな面でむだが出てくるわけでございまして、そういう人が効果を上げるためには、たとえば通産省から直接向こう研究所なり何なりに話をするにしても、外務省と話し合って両方効果を上げるような、何か外務大臣の訓令を持っていくとか、そういうふうなことはお考えになっておらないかどうか、外務省通産省両方から伺いたいと思います。
  21. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先ほど通産政務次官が御答弁申し上げておりますように、身分としては一般の人として参るわけでありますから、そういう意味において外務省と特殊の関係は持ちません。しかしながら、こうした調査をいたす基本的な連携を保っていきますことは、万遺漏なきを期して参りますので、そういう方面調査員を出されますとき等には、当然外務省に御相談があると考えております。また御相談がありました上は、あらゆる便宜をはかって参ることが当然のことだ、こう存じております。
  22. 原田憲

    原田(憲)政府委員 こちらから向こうへ参ります際に、直接参ります先と連絡をとることはもちろんでございますが、すべて外務省のごやっかいになっていろいろ御便宜をはかっていただくように従来からやっておりますし、今後もそうするつもりでございます。
  23. 戸叶里子

    戸叶委員 お二人でそういうふうにお答えになれば大へんけっこうだと思うのです。ただそういうふうなことが、法律的に別にどこでどうだということもございませんので、あとで問題が起きやしないかということを私は心配するわけでございます。  もう一点伺いたいことは、三十四年、三十五年にすでに学生大学なり何なりに調査目的で行っているというふうに聞いておりますけれども、その場合に、先方にこういうふうなことを調査するために行くのだということを連絡した上で行っていらっしゃるかどうか、ただ漫然と学生というような形で行っているかどうか、この点を伺いたいと思います。
  24. 原田憲

    原田(憲)政府委員 連絡をして参ります。
  25. 戸叶里子

    戸叶委員 何々を研究するという題目まで言及してあるわけですね、それが一つ。それから今通産政務次官のお話によりますと、通産省から直接大学なりあるいはその大学研究機関に交渉する、しかしそのときには外務省にも連携していくということでございますけれども、それでは出先機関においては、だれがどういうふうな目的でどこに来ているというようなことは、ちゃんとはっきりわかるようにしてあるかどうか、この点を伺いたい。
  26. 原田憲

    原田(憲)政府委員 向こうへ行くのは通産省が命令して行くのでございません。研究所から行くのでございまして、それらはテーマを与えて目的を持って行き、それらがそれぞれの機関連絡が十分あるかという御質問でございますが、それらに対しては十分連絡をとってやるようにいたしております。
  27. 戸叶里子

    戸叶委員 今まで外務省としても、アジア地域との貿易振興というような面にわたって、経済外交の線でいろいろな調査をしていらっしゃったと思いますけれども、そういうふうな調査をしていた形と、今度の研究所との関係はどうなるかということが一点。もう一つは、国連にエカフェがあるわけでありますけれども、こういうふうな調査機関と今度のあれとの関係はどういうふうになるのか、この二点を伺いたいと思います。
  28. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知の通り外務省も外交の仕事をいたす上に、ことに経済外交の仕事をいたします上に資料の収集調査等をいたさなければなりません。しかし何と申し上げましても、今日外務省としては、現地におきまして広範に諸種の問題をかかえておりますので、従って、当面いたしております案件に関連する諸般の経済問題等につきましては調査が行き届いて参りますけれども基礎的な、その国の経済の特殊的な事情というようなものについては、実ははなはだ調査が行き届きませんし、またそういう意味では人員も足りないのでございます。今回のアジア経済研究所は、やはり基本的にそういう問題にも手を触れて、そして十分しっかりした調査をなさるわけでございますから、われわれはそういう調査ができますればそれを受けて、非常に参考になります。また外務省としては、自分の現実問題を扱っております関係における調査、その資料が当面の問題以外にも活用されるようなものでありますれば、当然こういう研究所に送付いたしまして、そして研究所資料として保存もし、また活用もしていただくということに努めて参りたい、こういうふうに考えております。  国際機関との関連でございますが、現状までは、むろんまだ出発後わずかでございますし、多分昨年度の予算は二千万円くらいであったわけでありまして、十分な活動もしておらぬ。ようやく組織の中心になる東畑先生のようないい人を得て、調査員の養成なり組織活動なりについての準備をいたしておる段階でございますので、まだ十分そういう国際機関との連携等について進められておるとは思っておりません。しかし将来この種の機関というものは、やはり国際的な広がりを持ちまして、連携を持って、そして相互に調査研究を交換して参りますことは望ましいことでございます。ことに先ほど申し上げましたように、これは単に日本の何か国策を遂行するような意味研究所でなくて、広くアジア全体の経済の問題については、ここに来ればあらゆる資料が整っているのだ、そうして低開発国の方々においても、自分の国で十分資料が整っていなくて、あるいは自分の国を取り巻いている隣国や何かに対して、貿易経済の交渉をされますときに、日本のこの経済研究所に来てみれば、隣りの国の様子もよくわかるのだというように、国際的な面においてもこれが活用されるようなものになりますことが望ましいことなんでありまして、そういう意味においては、国際機関との連携というものも今後とられることと思います。私はこの研究所の発足にあたりまして、おそらくこれは今回のこの法律案通りますれば、現在の首脳の方々が引き続きこれを運営されることになろうと思いますけれども、かりに東畑先生のような方が引き続きやられるということになりますれば、私は今私の申し上げたようなことが東畑先生の理想でもあり、そういうふうに初めの運営方針をきめられていくということは、私は確信を持っておる次第でございます。従って将来国際機関との連携も十分にとられることになろうと思います。
  29. 戸叶里子

    戸叶委員 私の伺いたいと思ったことが、ここに資料が出ているようでございますから、今これをちょっと見せていただきますので、他の委員に質問を譲りたいと思います。
  30. 中村幸八

    中村委員長 松本七郎君。
  31. 松本七郎

    ○松本(七)委員 だいぶ長い間の所管争いで、総理まで入ってやっとこれが決定したわけですから、おそらく単なる所管争いではなかっただろうと思います。やはりできるところの経済研究所というものに、ほんとう成果を上げさせるために、外務省外務省がいいという、通産省通産省の方がいいという立場でこそ争いがなされたのだろうと思う。またそうでなければ、単なる所管争いなんというそんなばかなことはないはずだ。今外務大臣のお話を伺っておると、そこのところがさっぱりわからない。われわれとしてはこうやってきまった以上は、それは各省協力するのはあたりまえのことで、幾ら外務省通産省が争っても、できた以上は外務省が全面的にこの研究所成果を上げるように協力するのは当然なことなんです。けれどもわれわれとすれば、これができ、今後この成果を十分上げるために、一体どういう実績を上げていくかということを、われわれ国会としては当然監視しなければならない。従ってこのいきさつについて、外務省はどういう立場から外務省でなければならぬという主張をされたのか、通産省はいかなる観点から、やはり通産省所管がいいと主張されたのか、そこの論点を明らかにしておかなければ、われわれはこれが今後うまく運営できるかどうかということを判断する基準がぼけてくる。だから争った以上は単なる争いじゃないのでしょうから、そこの論点をもう少しはっきりしてもらいたい。
  32. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろんこの設立に当たりまして、通産省通産省の意見を持ち、われわれはわれわれの意見を持っておったことは当然でございまして単なるなわ張り拡張の予算ぶんどり戦をやったわけではございません。御承知のように、外務省といたしまして経済外交を推進して参りますためには、先ほど申し上げましたように、当面の事態に対して、それらの当面の外交懸案に関連いたします経済事情なり、あるいは経済情勢なりということを調査はいたしてきております。またそれをいたさなければ当面の外交案件の解決にも困難を来たすわけであります。むろん私はそれには力を入れます。しかしそうしたことをやっておりましても、やはり当面のいろいろな経済事情調査その他を考えてみます場合におきましては、基礎的な一般的知識や調査研究資料の整備というものがなければ、当面の調査等も困難な場合もございます。従って、そういう調査研究の必要性をわれわれは考えておったのであります。そこで外務省といたしましても、一昨々年でありましたか、この種の研究所を、外務省直属ではないにいたしましても、とにかく民間的でも設立して、それに補助費を出すなり、あるいは外務省が直轄なり何かそういうものを作ってやることが適当であろうということは私の考えておったことであり、外務当局もみなそういう意見でございました。たまたまそれを持ち出して具体的計画を進めようといたしましたとき、通産省は当時一千万円でありましたか二千万円でありましたか、それを補助されまして、経済研究所設立することに予算措置をされておったわけで、従ってそういう場合に、われわれの理想としては、なるべく外務省考え方を入れたそうした研究所を作ってもらいたい、当面貿易あるいは経済交流に関する若干のいわゆる商品学的なものだけでなしに、もう少し根本的な考え方でやってもらう必要があるので、その点においては通産当局の監督のもとにあり、あるいは通産当局の理想としているよりも若干違うのじゃないかということで、そういう意味で、まずわれわれの意見を出したわけでございますが、しかし、いろいろ通産当局と話し合っている上におきまして、通産当局においても当面商品売り込みの単なる調査ではなくて、やはりそれには基礎的な立場に立つ国情の調査、あるいは経済上の変動の調査も必要であるということについては、通産当局も認められておるのでありまして、これが予算措置等の拡大によって、やはり通産省も単なる商品の調査機関じゃない、ジェトロがやっておるような調査機関じゃないというような意味でありましたので、最終的には、そういう意味においては意見の食い違いはなかったと思います。ただそういうことでございますから、われわれもそう主張しておりましたので、できればわれわれのところで、しかも海外でおもに調査をいたすのでありますから、やりたいということを強く申したことは、これは当然のことだと思います。そういうことの関係において外務省としては主張もいたしたのでありまして、単なる予算獲得のなわ張り争いとかなんとかいうようなものではございません。しかし今申しましたように、両者の意見に間隔がございましたから、やはり最終的には総理の裁断によりまして、閣議で決定いたしたことにわれわれが服従いたして参ることは当然でございます。
  33. 原田憲

    原田(憲)政府委員 皆さんの方が先輩でその内容なんかよく御存じでありまして、私が答弁をするのは当を得てないかと思いますけれども、ただいま外務大臣がお話しに相なりましたが、通産省といたしましては、アジア経済研究所は、その設立の経緯からいいましても、貿易業界あるいは産業界等貿易活動または貿易に深く結びついている民間経済協力活動に際して、必要な基礎資料を与えることを、おもな任務として設立されたものでありますから、その趣旨に照らして、かつまた監督の簡素化をはかるために、政府監督通産省一本にする方がよいという主張をいたして参りました。外務省は外交活動所管しておりますから、アジア経済研究所海外における事業については、留学生やあるいは商社の派遣員に対すると同様の関係を維持しまして、外交目的に連なる場合には、在外公館監督をすることは言うまでもないのでありますが、海外における学術の研究とかあるいは貿易活動、金融事業というものは監督に加わらない、こういうことと同じように、アジア経済研究所通産省所管にした方がよいだろうということを主張したわけでございます。かかる意味で、通産省所管に決定を見たのでありますが、先ほどから申し上げておりますように、関係することは非常にたくさんございますから、相互いに連携しまして、十分目的を達成するように持っていきたい。また研究所業務運営の上で重要な事項に関するものは、諮問機関として参与会を設けまして、その参与会の中には各省関係される方々、もちろん外務省の職員も参加して連絡を密にするということで、解決をするようにいたした次第でございます。
  34. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そうすると、今後の運営については、今までと違った趣が出てくるのでしょうか。外務大臣の言われるのは、このアジア研究所設立趣旨からいうと、必ずしも外務大臣の期待されるような当面の政策プラス基礎研究というようなことに結びつかないわけですね、アジア研究所ができた当時の趣旨からいえば。しかし、外務大臣としては、できるだけやはり外交政策の、当面の政策研究の基礎になるような研究ができるようなものであってほしい、こういうわけです。それだから、この際むしろ外務省所管した方がいいという立場から主張されたように伺うのですが、そうすると、今度できた新しく特殊法人にしてやられるこの研究所というものは、そういう趣旨を加味してやっていく御方針でしょうか。
  35. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろん、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、アジア研究所というものが将来逐次発展して参りますれば、私の今申し上げたような基礎的な調査研究も十分やる、それは池田通産大臣ともわれわれ十分話し合っておりますし、また現に研究所を主宰しておられる東畑博士あたりの方針であります。従って、それでありますから、留学生の派遣とか、そういう意味においては相当基本的な問題を今日考えておるのであります。ジェトロがやっております単なる商品売り込みのための調査というような、そういうものでないことは、通産大臣理想と私の理想と一致いたしておること、申すまでもございません。
  36. 松本七郎

    ○松本(七)委員 何か閣僚間の申し合わせ事項というのがあるように聞いておりますが、それはどういう内容でしょうか。
  37. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 特別に閣僚間の申し合わせはございません。この運営にあたって、通産大臣外務大臣とが相協力して参りますことは、当然過ぎるほど当然でありまして、何か書いたものを置くなどとという、そういう必要は……。(「あるのです。」「外務大臣は何も知らない、困るじゃないか」と呼ぶ者あり)  私の今申し上げたのは、何か非常な方針について、そうした池田さんと私の間に書いたものが何かあるんだというふうな御質問、あるいは閣議できめたものがあるのかという御質問かと思ったのですが、こういうような事務的な申し合わせは、これはむろんございます。
  38. 松本七郎

    ○松本(七)委員 申し合わせ事項というのがあるでしょう、それを説明して下さい。
  39. 池田勇人

    池田国務大臣 アジア研究所が特別の法律に基づきます法人といたして発足します場合におきまして、閣議におきましていろいろ話がございました。また事務次官会議におきましても、いろいろ話がございました。われわれはこういうことにかんがみまして、先般の閣議で、アジア経済研究所法の運用に関する閣議了解といたしまして「一、アジア経済研究所調査研究機関としての特殊性にかんがみ、監督規定の運用にあたっては、その自主的かつ効率的調査活動を助長するよう努めるものとする。二、アジア経済研究所会長を任免する場合には、通商産業大臣はあらかじめ閣議の了解を得るものとする。三、アジア地域経済及びこれに関連する諸事情調査研究に関しては、今後類似の機関を設けないこととする。」こういうことでございます。  しこうしてこれに至ります経過を申しますると、参与会というものがございまして、その参与会には関係各省の次官等々がこれに当たるというふうな規定があったのでございますが、これはやめよう、やはり一にありますように、この法人が自主的にどんどん活動ができるようにした方がいい。しこうして必要があるならば、いわゆる委員を今から任命しておかず、参与会を随時開いてやることにしよう、こういうことにしまして、この閣議決定で関係各省、七、八省でしたか、そういうものを任命するということはよそう、まあ外務大臣と通産大臣とが主になって相談し合っていこうということにいたしたのでございます。
  40. 松本七郎

    ○松本(七)委員 外務大臣は、最後まで共管にすることを非常に主張されたというのですが、それはどういう意味でしょうか。
  41. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろんわれわれとしては、初めに主張していたことでございますから、最後の決定を見ますまでは、われわれの主張を通していくとい  うことは、それは当然でございます。池田通産大臣もそれを言われた。それでありますから、裁定を受けて、閣議決定できまったわけであります。その後は円満にやること申すまでもございません。
  42. 松本七郎

    ○松本(七)委員 今後の活動をわれわれが判断するのには、先ほどもアジア経済研究所設立趣旨という言葉も通産政務次官から説明に出ておりましたが、やはり今までの実績というものをある程度知っておかないと、今後の見通し等もつかぬと思うのです。ここに出ておる資料、たとえば三十四年度の民間経済関係研究機関に対する補助金というのは、三十五年の三月七日、通産調べでここにきていますけれども、これは研究所名と補助金の交付官庁と補助金額だけしか書いてないんですね。これの詳細な研究所の収支明細書というものが当然出ているはずだと思うのです。たとえば、それぞれ補助金をもらったところのテーマ、それからその調査費の使途、それから人件費、そういうものがわかっているだろうと思うのですが、そういったこまかい資料を至急に出していただきたいのです。ここで説明は大へんでしょうから、資料で至急出していただきたいのです。いつごろ出ますか。
  43. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 文部省から五つ六つのいろいろな研究機関に対して補助金が出ております。われわれの方でも若干調べたのでありますが、詳細はちょっとわかりかねますので……。お手元にアジア経済研究所法案参考資料というものをお配りしているかと思うのでありますが、この中に概略は出ておるのでありますが、あるいはこれ以上もう少し詳細なものを御要求でございましたら、作りましてさっそく提出いたしたいと思います。
  44. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そのテーマの数しか書いてないのです。これではテーマの内容は全然わからないのです。一体今までどういう研究がなされておるのか、それを知らなければこれから判断することができない。テーマが五つあったとか十あったとか書いてあるだけで、何もわからない。
  45. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 さっそく提出いたしたいと思います。
  46. 戸叶里子

    戸叶委員 一点だけ、通産大臣がお見えになりましたから伺いたいと思います。アジア経済研究所通産省で一手に引き受けられて、そうして大いに日本貿易をさらに高めていこうというふうな抱負が、この説明によりますと一応書いてあるわけでございますけれども、この際通産大臣に伺いたいのは、経済外交というのは一体どういうものかを、ちょっと伺いたいと思います。
  47. 池田勇人

    池田国務大臣 これは別に定義はないと思います。各自に経済外交という言葉を使っておりますから。やはり経済外交というものは経済の交流を主としてやろうということではないでしょうか、私はそう考えております。
  48. 戸叶里子

    戸叶委員 ついでに藤山外務大臣にも、経済外交というものは一体何か伺いたいと思います。
  49. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 池田通産大臣の言われました通り各国との間の経済協力を密接にしていく、貿易関係を十分円滑に推進していく、そういうことのために、外務省としてとるべき方策をきめていきますことが、われわれの立場における経済外交であります。要するに通産大臣と少しも変わった点はございません。ただそれを実施していきます場合のテクニックと申しますか、そういうものを外務省としては十分考えて参らなければならぬと思います。
  50. 戸叶里子

    戸叶委員 私は今両大臣にお伺いいたしましたのは、先ほど松本委員から、今度のこの法案も共管にしようと  いうふうな意見があったにもかかわらず、そのままになったのはどうかということをお聞きになりましたが、藤山外務大臣、何か口の中でもごもごおっしゃったので、私、ちょっとわからなかったのです。松本さんのさっきのお言葉から考えましても、今のお二人の意見を聞いても、結局経済外交というのは外務省通産省と一緒になってやった方がいいと思うので、そういう意味からも松本委員が共管にしたらどうかというふうなことをおっしゃったのじゃないかと思いますので、私はもう一度この点を通産大臣にお伺いしたいと思います。
  51. 池田勇人

    池田国務大臣 経済の交流は国策でございますので、だれがやっても同じでございます。これは通産省に限ったことではございません。あるいは農林省もございましょう。あるいは日本の医薬品の方から申しますと厚生省もございます。造船その他では運輸省もございます。みんなが力を合わせてやる。しからばどこが一番関係が多くて、どこが旗振りになった方がいいかという問題になりますと、二人の旗振りよりも一人の方がいいじゃないか、こういうので共管よりも一つのところの方がいい。しかし自分の旗の振り方が足りなかったり、悪かったら、やはりよそから注意してもらわなければならないので、特に外務大臣にお願いしてお助けを願うようにして、通産省の専管にしたのであります。
  52. 中村幸八

    中村委員長 次は松平忠久君。
  53. 松平忠久

    松平委員 大体両委員から御質問がありましたので簡単に質問したいと思うのです。ちょうど外務大臣がお見えになっておるのでお伺いしたいのだが、エカフェの調査区域というものは、このアジア経済研究所調査区域と比べて、どういうような工合になっていましょうか。その点をお聞きしたいことが第一点。エカフェは調査費用を一体幾ら出しておるかということ。それから日本が国連に出しておる金の中から調査費というものは何%くらいエカフェのために使われておるのかということをちょっとお伺いしたい。
  54. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 こまかい点につきましては北原参事官から御答弁申し上げます。
  55. 北原秀雄

    ○北原説明員 アジア経済研究所の対象といたします区域とエカフェの対象といたします区域、これは実はエカフェの場合には、エカフェそのものの参加国のほかに五大国が正式のメンバーとして入っております。そこでもちろんソ連も入っておるわけでございます。しかしエカフェそのものの活動の対象となっております地域と申しますと、やはり正式のメンバー・マイナス五大国ということに相なろうかと思います。その場合には西の方は大体イランでございます。中共はいまだに入っておりません。それから豪州、ニュージーランドは入っておりますが、エカフェの本来のメンバーとは幾分違う資格で入っておるのだろうと思います。  それからもう一つは、国連に対しますわが国の醵出金のうち、どの程度いかにしてどういう方法でエカフェのために使われておるか、これは実はちょっと今即答いたしかねます。と申しますのは、各国の醵出金は国連全体の費用のために何%ということで割り当てておるわけでありますから、その国連全体の予算のうちの何%かがエカフェ関係調査費に充てられておるということになると思います。ちょっと算定した数を持っておりませんので、後刻提出いたします。
  56. 松平忠久

    松平委員 パーセンテージはわからぬにしても、エカフェのために一体幾ら国連は支出していますか。
  57. 北原秀雄

    ○北原説明員 エカフェの総予算は、私はっきり記憶いたしておりませんが、経営費といたしましては、おそらく人員等の関係から見まして、大体三百万ないし五百万見当かと思います。その理由といたしましては、大体エカフェの事務関係の人員の数から見て、その程度に相なろうかと思います。
  58. 松平忠久

    松平委員 そこでお聞きしたいのですが、先ほども戸叶委員から質問がありましたが、どうも国策遂行のための一つ調査機関だというような、そういう評判になることはきわめて好ましくない。ところが国連には幸いにしてエカフェという調査機関があるのです。このエカフェの調査機関アジア経済研究所というものが非常に密接な関係をつけるべきだ、私はこういう意見を持っておるのですが、それに対する外務大臣のお考えをまず伺いたい。
  59. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先ほども申し上げましたように、この研究機関各国の国際機関といろいろ密接な関係を持ち、連携をとって参りますことは好ましいことであります。特に現在においては大体エカフェの構成メンバーを対象にしているような地域調査でございますから、十分な連絡をとることは私もお説の通り望ましいと思っております。
  60. 松平忠久

    松平委員 コロンボ・プランというものについては、調査機能というものはございますか。
  61. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 調査機関というものを持っておるとは考えておりません。
  62. 松平忠久

    松平委員 コロンボにある事務局というものは、調査は全然やっておらないということですか。
  63. 北原秀雄

    ○北原説明員 コロンボ・プランの場合も、エカフェよりもなおこれは事務局を小さくいたしまして、各国政府資料なり調査内容なりを集めるという調査役だけをやっておるものと了解しております。それに比べまして、エカフェの方は、資料資料でございますが、幾分調査部がございまして、その範囲内での調査事務をとっております。
  64. 松平忠久

    松平委員 そういたしますと、エカフェの調査機構というものと、このアジア経済研究所というものは、密接な関係を持ちたいと外務大臣はおっしゃっておりましたが、今までのところ調査の上において、何らか連絡協議をした、あるいは具体的に話し合いをしたというようなことがありますかどうですか。
  65. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 これまでのところは、まだ設立早々でございまするので、十分な連係はとっておりませんが、エカフェの事務局から出ましたいろいろの資料等をもちろんいただいたり等はいたしております。今後事務局とは密接な連係をとるように努めさせたい、こういうことであります。
  66. 松平忠久

    松平委員 先ほど質問に出たかどうか、私ちょっとうっかりしておりましたが、昭和三十四年度、昭和三十五年度等におきまして、一年ないし二年の調査員アジア地域に派遣する、そしてそれは研究所とかあるいは大学等において研究に従事するという計画書のようなものを提出されておりますが、主として東南アジア地域なのですが、これはその調査員を受け入れる場合におきまして、これこれの調査員はどういうテーマで調査をするのだということを相手国の了解の上で受け入れる機関において受け入れておる、こういうことになっておりますが、どうなのですか。この点を伺いたい。
  67. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 現地側の了解を得まして、派遣をいたしております。テーマにつきましても同様でございます。
  68. 松平忠久

    松平委員 次に伺いたいのは、ソビエトに対してはどういうような調査方法をもって調査をしよう、こういうお考えですか。
  69. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、われわれといたしましてはこのアジア経済研究所調査の仕方等につきましては、もう実質的に調査機関にまかせたいという考えでおるのであります。
  70. 松平忠久

    松平委員 それから先ほどの閣議の了解事項といいますか、それの第三点かに、たしか第三点と関連しておると思うのですが、関係各省のいろいろな調査機関というものがございます。たとえば経済企画庁に海外調査課というようなものがあるようですが、そういうものと、これは具体的には連係はどういうふうになっておりますか。たとえば調査のための連絡機構というか、そういうような協議をするというようなことで、ダブらないようにするとか、そういった関係各省調査機関と、それからここのアジア経済研究所との間の調査がダブッたり何かしないというためには、全般の調査のための事前の協議会のようなものがなければならぬと思います。そういうものはどこで、参与会でやるというのか、どこかでそういう事務的な打ち合わせというか、やるようなお考えであるのかどうか、それも伺いたい。
  71. 池田勇人

    池田国務大臣 このアジア経済研究所は、御承知と思いますが、実地についていろいろ経済各般の調査をするのでございます。従いまして各関係省において持っております調査機関とは参与会を通じましていろいろ打ち合わせていくべきだと考えております。
  72. 松平忠久

    松平委員 それは何か政府部内に連絡調査の機構のようなものをお作りになるというようなことですか。連絡調査のための協議機関というようなものを——それを随時やっていくというのではなくて、何か計画的にそういうものをお持ちになるということですか、今の御答弁は。
  73. 池田勇人

    池田国務大臣 参与会もございますが、連絡協議機関も設けていきたいと考えております。
  74. 松平忠久

    松平委員 それからここに調査資料を出しておられますが、文部省等におきまして民間調査機関に対して委託一調査費とかそういったものを出しておるように資料が出ております。そこで先ほど通産大臣が答弁になった中で、なるべくこの特殊法人のアジ研に統一していきたいというようなお話、そういう答弁のように私は承ったわけですが、そういたしますと、現在の民間にある調査機関に出しておる補助金というようなものは、これは全部漸次減らしていくというようなことになるかどうか。それは大蔵省の主計官が来ておられるようですが、それはどういうふうに、つまりこのアジア経済研究所に一本化していくというふうになるのか、あるいは従来通り補助金を出していくというのか、その辺はどうですか。
  75. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。私担当が文部省でないので、その分に関連しましたことは的確にお答えできませんが、外務省通産省を持っておりますので、その関係につきまして申し上げます。今申し上げましたように、アジア経済研究所は今後とも基礎的、総的合な研究の中枢機関にして参るという考え方でいくという段階になっておるのでございます。そういう関係で今後アジア地域等に関します調査研究につきましては、努めてアジ研に集中して調査させる、かように考えております。ただ私文部省所管でないのでありますが、文部省の所轄の補助金関係を拝見いたしますと、必ずしもアジア地域を中心とした研究とは限らないという研究もございます。そういった関係で個々に判断して参るべきである、こう考えております。
  76. 松平忠久

    松平委員 だんだんこの機関に統合していきたいという、そういうお答えであったわけですが、文部省関係の中でアジア関係しておるものがかなりあるように思うのです。ここに書いてある中国研究所というものは、これはアジアだろうと思うのです。それから外務省からエカフェに対して補助金が出ておりますが、こういうものはやめていく、こういうことですか。
  77. 田代一正

    ○田代説明員 御説の通り外務省関係でエカフェに補助金が出ております。昭和三十四年度におきまして五百万円が出ております。これにつきましては、エカフェ協会と申しますのは、先ほどからいろいろお話がありましたように、エカフェの調査活動その他を国内にいろいろ紹介するとかいった機能を中心にして、それに付属して調査するということだと思います。そういった関係もありますので、これは今にわかにアジア経済研究所ができたからといって、エカフェに対する補助金を全部打ち切るということには相ならぬ、目的はそれぞれ違うというふうに思っております。
  78. 松平忠久

    松平委員 文部省の所管は、所管外だと言われておりますが、この中国研究所というものは、アジア経済研究所において、現在の段階においてはこれを通じなければ、ちょっと現地に人を派遣するというようなことはできないでしょう。事実、またここに委託をして調査をさせるというふうになっているわけですが、これの関係の費用というものは、そのまままだ存続させておくということですか。御方針はどうですか。あなたが所管外なら所管の人に来てもらってちょっと説明を聞きたい。
  79. 池田勇人

    池田国務大臣 今大蔵省の職員から申し上げましたように、過去の歴史がございまして、そしておのおのその特殊の目的のために調査を始めておるのであります。従いまして私が申し上げるのは、アジ研のような基礎的総合的の調査機関は、この閣議決定にありますようになるべく設けないことにする、こういうのでございます。既設の分につきましては、よくその個々の場合を検討していかなければならぬ問題だ。これができたからほかのものはだめだというようにはまだいかぬと思います。十分検討を加えていく必要があると思います。
  80. 松平忠久

    松平委員 もう一つ伺いたい点は、これに関連した技術センターの問題なんです。この技術センターのああいうような足して二で割るような格好で、所管がきまったというふうにわれわれも理解しておるわけだが、率直に言って、むしろこれは逆じゃなかろうかという考えを私も持っている。技術センターはむしろ通産省所管にして、これは外務省所管にするというように入れかえたらどうか。この方が筋が通るんじゃないかと思うのですが、そういう点は一体両大臣はお考えになったり話し合ったことはないですか。実務をやるところはやっぱり通産省でやらせた方がいいと思う。この方がうまくいきます。調査は実務でないからまあ外務省でもいいだろう、こういうふうに思うので、むしろ入れかえちゃったらどうか、こう思うのですが、この点大臣のお考えはどうですか。
  81. 池田勇人

    池田国務大臣 私は、昨年の六月ごろから通産大臣をしておりますが、財団法人アジア経済研究所通産省所管でけっこうだ、そして特殊法人にする。これは通産省所管でけっこうだ、こういうふうに考えております。
  82. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 技術センターは単に通産関係だけでございません。農林関係も問題がございます。従いまして、そういうものを一括してやります場合には外務省が適当だと、こう考えております。
  83. 松平忠久

    松平委員 これは池田通産大臣に伺った方がいいかと思うのですが、私は、最近出してくるいろいろな法案を見てみますと、どうも機械主義的に、いいかげんに専管の省をきめるような傾向があるのではないか、こういうふうな気がしてならないのです。そこに統一した思想も何もなくして、場当たりでもって、思いつきできめてしまう。あるいは権限争いの結果、しょうがなくて押しつけてしまうというふうに思えるのです。たとえば、今出ていますこのアジア研の問題はこういうふうになったが、これに若干関連のある海外経済協力基金法案というものが出ているのです。これもこの委員会にかかっているわけです。ところが、これは経済企画庁です。そして、責任は大蔵省です。それから輸出入銀行も大蔵省です。この基金法案は、輸銀ができないというか、経済ベースに乗らぬものをやるというのだから、輸銀ときわめて密接な関係になければならぬ。そうすると、これはやはり大蔵省の所管になった方がいいように思うのだけれども、これもどういうわけで一体経済企画庁がなったのか。そういうところにでたらめな、その場かげんのやり方があって、しょうがないから、岸さんがこれをやれ、あれをやれということで、足して二で割るようなやり方をしているのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、この点は閣議等で皆さんは一体疑問を持たぬのかどうか。これを最後に伺っておきたいと思います。
  84. 池田勇人

    池田国務大臣 私は、アジア経済研究所所管につきましては全然知らないのでございますが、東南アジア経済開発基金というものにつきましては、私自身相当関心を持っている。どこがいいだろうかという場合、あなたの言うような話もございます。これは事柄が大蔵省関係に近いと思いましても、私は、輸銀とは別の考え方でいかなければならぬと思う。輸銀や大蔵省の方の考え方では、開発基金というものは、なかなかうまく運用できぬというので企画庁が一番いい、こういうので、これはあまり閣議でも議論にならなかったと思います。
  85. 松本七郎

    ○松本(七)委員 今この資料を見せていただいたのですが、これは三十四年度のアジア経済研究所の案内書です。この中には会計報告なんか全然ないです。だから、ここに資料をいただいておるけれども、このほかにいわゆるアジア経済研究所としての収支明細書というものが、監督省に対して出ているはずです。それを見たいのです。そうしないと、内容がどういう関連をしておるか、こまかいことがわからないので、ぜひ至急それを出して下さい。
  86. 松尾泰一郎

    ○松尾(泰)政府委員 後刻、さっそく作りまして提出いたします。
  87. 中村幸八

    中村委員長 他に御質疑はございませんか。——それでは、これにて散会いたします。     午後四時五十七分散会