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1960-03-30 第34回国会 衆議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月三十日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       岡本  茂君    始関 伊平君       田中 龍夫君    中井 一夫君       中垣 國男君    細田 義安君       板川 正吾君    小林 正美君       櫻井 奎夫君    辻原 弘市君       加藤 鐐造君    北條 秀一君       山下 榮二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 菅野和太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    大堀  弘君         通商産業政務次         官       原田  憲君         通商産業事務官         (軽工業局長) 秋山 武夫君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      小室 恒夫君  委員外出席者         外務事務官         (経済局経済協         力部経済協力課         長)      澤木 正男君         大蔵事務官         (為替局投資課         長)      奧村 輝之君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    上原誠之輔君         労働基準監督官         (労働基準局労         災補償部補償課         長)      佐間田睦男君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月三十日  委員東海林稔辞任につき、その補欠として辻  原弘市君が議長指名委員に選任された。 同日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として東  海林稔君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  海外経済協力基金法案内閣提出第八八号)  火薬類取締に関する件      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。海外経済協力基金法案を議題として、審査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。松平忠人君。
  3. 松平忠久

    松平委員 海外経済協力基金法案に関してこれから質問したいと思うのですが、海外経済協力の関連において、今まで、第二次世界大戦後いろいろ変遷をしてきていることは御承知通りであります。そこで、私は、最も重要はことは、現在の各国並びに国際的な規模におけるいろいろな経済協力機構、及びその実施の状態があるわけでありますが、その中で日本は一体どういう役割を持っていくのが一番必要であるかということを念頭に入れなければならぬと思うのです。そういう日本役割というものを出して参りまして、その役割を演じていくには、一体どういう協力の方法をもってするのがいいかということに結論づけられると思うのです。  そういたしますと、お伺いしたいのは、今の海外経済協力というものはきわめて複雑であります。つまり国際的な規模における国際機関としての協力関係、それから各国別々にやっているものと二通りありますが、各国別々にやっているものの中にはコロンボプランだとかいうものもあり、あるいはこの間アメリカで開かれました九カ国の低開発会議というものもあり、さらにはソビエト圏内資本主義諸国との間における競争というものもあるわけなんです。そこで、私はまず第一に、これらの経済協力関係というものが、東南アジアというものを中心にして、どういうふうに今日動いておるとお考えになっておるか、その実情等の把握のしぶり、それをまず伺ってみたいと思うのです。かいつまんで言えば、国際的な規模における国際機構としての経済協力というものは、一体どういうことをやっているのかというものから、まずお答え願いたいと思います。
  4. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 戦後におきまして各国経済協力するという一つ運動が現われてきて、御承知通り国際通貨基金なり、あるいは世界銀行なり、あるいはガットの問題にいたしましてもそうですが、経済協力ということが戦後における一つの動向だと思います。その経済協力一つの現われとして、低開発国経済開発ということを協力してやろうという運動が起こってき、ことに最近においてはそれがだんだんと活発になってきたと思うのであります。第二世界銀行もその一例でありますが、あるいはコロンボ会議にいたしましても、あるいはエカフェにいたしましても、これはやはり世界各国協力して低開発国経済開発をやろうという運動が盛んになってきてその中へ日本も仲間入りをしているわけであります。ことに最近におきましては、御承知通り大西洋経済会議が開かれまして、一つはヨーロッパの共同市場、また自由貿易連合との関係、それから一つは低開発国に対して世界各国協力してやろうという一つ運動、そこへ先般日本も参加いたしたのでありますが、そういうようなことで、低開発国経済開発ということが最近においては非常に活発に現われてきたことであって、これはまことに私は喜ばしいことと思うのであります。同時に、各国ともにやはりそれぞれプラント輸出なりその他の事業について、低開発国に対して投資あるいは融資をいたしております。そういうことで、それぞれの立場からみなやっておるのでありまして従いまして、日本もやはり早独でやれる投資あるいは融資などはやっていいことだと思います。融資あるいは投資ということは、同時に日本の物資の輸出ということも伴いますからして、そういう意味単独で低開発国経済開発をやるということをやるべきだと思います。  そこで問題になりますのは、低開発国経済開発には、資本技術の問題があると思います。そこで、日本といたしましては、大体日本技術能力は相当すぐれておりますから、できるだけ技術的には援助すべきだと思います。資金の問題につきましては、世界銀行にも加入しておりますから、そちらからも協力して出すということもやりますが、同時に、日本でももし資金の余裕があれば、それを融資なり投資なりすべきだ、こう思うのであります。その一環として、今回海外経済協力基金というものを設けまして、そして主として東南アジア投資したいということで、こういう法案を出したような次第であります。
  5. 松平忠久

    松平委員 私の伺いたいのは、もうちょっと具体的なことなんですが、今おっしゃったように国際的な規模における開発ということが出ておりますけれども、第一世銀は、やはりアメリカ発言権というものが非常に強いような仕組みになっておりまするそこで東南アジアとしては喜ばない。従ってそこに第二世銀という構想が出てきたということは御承知通りであります。そのほかに国際的な基金の制度というものもあり、今おっしゃったような工カフェの問題もございます。そこでお伺いしたいのは、これは地域東南アジアということに一応しておきますが、東南アジアにおいて国際的な協力機構というか、そういうものをやっている活動状況というものを、よく知っておかなければならぬと思うのです。と申しますのは、東南アジアは非常に民族意識が強いというようなことから、どうしてもそれとマッチするようなやり方をもっていかなければならぬということで、今までも変遷してきておるわけですが、最近数年間における国際協力機構のもとにおいて、一体どの程度開発どいうものができておるのか、どの程度のドルというものがつぎ込まれておるのか、これはもしイギリスの方からいいましたらポンドになるかもしれませんが、ともかく国連の息のかかった協力国連の息のかかった開発というものは、どの程度進んでおるのかということを第一点にお伺いしたい。  それから、その国連のもとにおける経済協力に対して、日本発言権というものはどのくらいあるのですか。私は日本発言権というものはきわめて微弱じゃないかと思う。これは世界銀行を作ったときのいきさつというものを見れば、日本は実に不満なんです。あれを作ったときのいきさつは、日本発言権はほとんどない。渡辺君が行っておりますけれども、平理事として一人おるだけで、第二世銀のできたときも渡辺君がちょこちょことやってしまった。実際日本発言権というものは、第二世銀の場合も出てこないと私は見ているのです。これはまことにまずいと思うのですが、日本発言権はどのくらいあるのですか、それが第二点。どうぞ。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 主として東南アジアの問題につきまして、世界銀行などが、どのように援助しているかという具体的の数字は、また政府委員から答弁させますが、そのうちコロンボ会議だけは私ちょっと数字を覚えておりますから申し上げますが、大体コロンボ会議が開かれて十年たつのでありますが、昨年までの融資額は大体六十億ドル、そのうち五十六億ドルがアメリカです。御承知通り開発国経済開発で、今までそれだけの力を持っておったのはアメリカだけです。そこでアメリカが、今日自分ばかりがやつちゃいかぬじゃないか、西欧諸国も低開発国経済開発については、もうそれだけの力ができたのじゃないかということから、この大西洋経済会議というものが生まれてきたのであります。でありますからして、最近におきまして西欧諸国も低開発国経済開発に乗り出してきたということになっております。今まではほとんどアメリカ資金を持ち、従ってアメリカ発言権を持っておったと思います。そういう意味において、お話通り日本も大なる発言権はなかったと思いますが、しかし最近日本もだんだん経済力を増してきて、出資もするし、また単独東南アジア諸国へも投資いたすようになりましたからして、従って日本も漸次発言権が強くなってくる、こう思うのでありまして、今までのところはアメリカが独壇場であった、これはお話通りであったと思うのであります。
  7. 大堀弘

    大堀政府委員 国際協力機構といたしまして、国際復興開発銀行世銀、その後できました国際金融公社、これが主たるものでありますが、国際復興開発銀行につきましては、一九五九年三月三十一日現在の世銀貸出実行額融資承諾額をとってみますると、全体で貸出実行額は約三十二億ドル、融資承諾額が四十二億ドルでございますが、そのうちで東南アジア地域は、前者つまり貸出実行額については七億一千七百万ドル、それから融資承諾額につきましては十億九千二百万ドルでございまして、全体の貸出額及び融資承諾額のうち、前者については約二二・%、後者につきましては約二五八%に相なっております。東南アジア各国出資が全体の一六七%でございますから、出資よりは上回った貸付が行なわれておる、かように考えられます。  それから国際金融公社につきましては、業務開始以来昨年の七月二十日までの統計でございますが、二十件で千八百万ドルの融資承諾が与えられておりましてそのうち東南アジア諸国について見ますると、五件で四百万ドル、件数で二五%、金額で二二%でございます。主たるものにつきましては以上の通りでございます。
  8. 松平忠久

    松平委員 それは数字は承りましたけれども、どういうような業種についてそういう金が出ておるのかということはわかりませんか。——それは時間をとりますから、あと資料などあったら見せて下さい。
  9. 大堀弘

    大堀政府委員 後ほど資料を調製いたします。
  10. 松平忠久

    松平委員 そこで次に伺いたいのは、各国経済協力関係というものがある、その中に贈与というのと援助というのがあると思うのです、ことにアメリカとか。日本の場合だったら賠償というようなものがそれに入ると思いますが、贈与援助というような関係は、日本の場合におきましてはどういうふうになっておりますか。日本の場合は、今までのところは贈与が多くて援助が少ないという、そのパーセンテージはどういうふうになっておるか。輸銀等を通じたのが援助だと思いますが、賠償贈与ということになる。アメリカ贈与援助という二つに分かれておる。そこでこれは一体どういうようなパーセンテージに動いているものか、それから今後これはどういうふうになっていくものであるか。いろいろな議論があると思うのです。贈与が多かったという結果、インドその他の国は援助ずれしているという批判がある。同時にまた、贈与でなくてやっぱり利息をつけた金を借りていくというのでなければ、一生懸命にならぬというような考え方もあるわけであります。そこで私が伺いたいのは、日本アメリカの場合におきまして、贈与援助というものは、今日までのところどういうようなことになっておるかということを伺いたい。
  11. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 贈与援助がどういう工合になっておるかということは、あと事務当局から報告させますが、おそらくもうこれからは援助だと思うのです。今までは贈与だったと考えますが、御承知通りマーシャルプランということで、アメリカは盛んに世界各国援助をしておったわけですが、もう今日はほとんどマーシャルプランというものはやらずに、大体援助ということでやっておるようであります。今後は援助ということで低開発国経済開発をやることになる、こう考えております。
  12. 松平忠久

    松平委員 その援助贈与パーセンテージについては、あとで伺いたいと思います。時間がありませんから先を急ぎます。そこで、そういうようないろんな方式によっていわゆる開発というものが逐次行なわれてきておる、こういうわけでありますが、国連は、低開発地域というものを開発していくのに対して、一体何か特別のプランというものを持っておりますか。つまり、大まかに言えば、それは生活を向上するというようなことでありましょう。しかしながら、そういったばく然としたものではなく、もっとコンクリートな、つまり、東南アジアは、各国によって違うかもしれぬけれども、この地域にはこういうようなことをしたらいいんじゃないか、ここはこういうふうにしたらいいんじゃないかというような一つプランというものがなければならぬと思うが、今日の段階において、そういう一つプランというものを持っておるのかどうか、こういうことを伺いたい。
  13. 澤木正男

    澤木説明員 お答え申し上げます。国連が現在行なっております経済協力関係援助というものは、拡大技術計画と、それから国連特別基金でいたしまする援助と、この二つでございます。特別基金の方につきましては、国連経済社会理事会におきまして年度間の主要計画を定めまして、いろいろな国の主として開発計画の前段階における調査ということに資金が向けられております。現在約二千六百万ドルくらいのうち、八百万ドルくらいが世界各国後進地域の種々の開発計画調査のために支出されております。それから、拡大技術援助につきましては、主として各国技術者後進国に派遣するような計画を行なっております。最近におきまして、アフリカの次々と起こって参ります独立国並び後進国開発のために、やはり国連特別基金と同じような趣旨でありますが、アフリカ開発基金を別個に設けたい、規模は五百万ドルということでございますが、そういう動きもあるように聞いております。
  14. 松平忠久

    松平委員 そうすると、今の説明によると、技術援助ということをやっておる、それからそのほかは調査段階である、こういうように思うのです。事実そういうような程度のものしか国連というものはやってないのかどうか。国連援助担当者といいますか、そういうところでは、何か新聞に等によると、ホフマン氏あたりが一つ試算をして、大体二千億ドルくらいの金で、電力はこうだ、化学工業はこうだというようなプランを作って、そこの住民の生活程度を何%引き上げるというような試算をしておるようでありますが、そういうような計画というものを、現在とられんとしておるのか、あるいは基礎数字として検討されようとしておるのか、そういうことを伺いたい。
  15. 澤木正男

    澤木説明員 ただいま松平委員の仰せられましたホフマン氏のアイディアというものは、今年の一月ごろ彼が発行いたしました「ワン・ハンドレッド・アンド・ワン・カントリーズ」「百一の国」というので、低開発国国民所得の低さを述べまして、それに対して、これらの後進国開発をやるためには、さらに国際的な機関を通じて約十億ドルの金が出し得るではないか、それから、二国間の援助方式によりましてさらにもう十億ドルくらい出し得る、それから先進国民間資本のうちから十億ドルということで、約三十億ドルくらい現在よりも先進国は金を出し得るではないかということを唱えたわけでございます。一方、国連経済社会理事会におきましては、従来からいわゆるSUNFEDと申しまして、生産事業援助基金を作ってほしいという要求が、後進国から相当活発に出ております。しかしながら、これに対しましてアメリカ初め主要先進国考え方と申しますのは、現在ございます世界銀行並びに新たに設立の決定いたされました国際金融開発公社というものは、われわれが出しておる国際機関であって、それ以上に国連に別にそういう式の基金を作る必要はないという考え方であります。一部の国の中には後進国工業生産を指導するための工業生産委員会を別に設けてほしいという話も出ているわけでありまして、今年の七月ジュネーブで開かれますEC OSOCの総会においてそういうことがさらに議論せられるはずでございます。
  16. 松平忠久

    松平委員 三十億ドルよけいに出して一年に二%かなにかずつ実収入を上げていくというのがホフマン基礎になっておるようでありますが、国連一つ事務機構というか、そういったもののものの考え方というものは、東南アジア等の低開発地域開発について、一体かなり役割を演じていくものかどうか、またいかせるべきかどうかという点は、日本として考えなければならぬことだと思うのです。ということは、国際的規模における開発ということをやって、その中で日本の演ずる役割というもの、そういうものをやはり強力にやっていった方がいいではないか、こういう私は観点を持っているわけです。従って、私の聞かんとするのは、ホフマン計画が一体将来各国を動かしていくというような方向にいくものであるかどうか。日本はそれをいかせるような努力をするつもりであるかどうかということです。
  17. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大体国連というところは第一線的に活動するところではないのでありまして、やはり第一線的に活動するところは世界銀行ということになると思います。でありますからして、やはりこの国連中心になって、それがプロモーターとしていろいろのことを考えてもらってそれによって世界銀行なり、あるいは各国が動くというようなことで今後進むべきではないか、こうわれわれは考えておるのであります。そしてまた国連動きと同時に、日本でいえば単独東南アジア開発ということはやはりやるべきであって、世界協力の中へ入ると同時に、また日本単独でこの東南アジア経済開発ということにやはり乗り出すべきじゃないか、こう考えておるのであります。
  18. 松平忠久

    松平委員 それは非常に不満足な答弁です。私の質問に対する答弁としては非常に不満足だから、これはあとの機会にもう少し政府部内で思想統一かなんかして、総理から答えてもらいたい、この問題は私はこういうふうに思う。  そこで次に伺いたいのは、こういうような世界各国のいろいろな援助競争があります。それから国際的な規模における援助というものがあります。そういう中で、日本は一体どこに重きを置いて開発をやろうというのであるか、あるいはどういうような構想日本役割というものをほかの国にも納得させ、日本地理的条件、あるいは人口あるいは日本産業状態というものから見て一体どういう役割をするのが一番いいとお考えですか。
  19. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 日本地理的関係あるいは人種的関係と申しますか、東南アジア経済開発は主として日本が乗り出すべきじゃないか、私はこう考えておるのであります。それは私昨年コロンボ会議に参りまして、東南アジア諸国を回って参りましたときに、各国ともやはり日本一つ積極的に援助に乗り出してほしいという希望を申し出ておるのであります。それにはいろいろ理由がありますが、一つ東南アジア各国が独立したということにおいては日本援助があったということ、この点においても各国とも感謝いたしております。それからその次、やはり日本に対する親近感を持っておる。でありますからして、同じ援助を受けるのであれば日本援助してほしいという考え方、それから第三には、最近における日本経済力の発展ということについて非常に高く評価しておりまして、今日の日本であれば経済的援助ができるじゃないかというような期待を持っております。そういうような東南アジア各国期待を持っておりますからして、ことに日本といたしましては地理的関係上、東南アジア諸国へ将来経済的にいろいろ交流をしなければならぬというように考えますからして、私は東南アジア経済開発については、日本が積極的に乗り出すべきじゃないか、こう考えておるのであります。
  20. 松平忠久

    松平委員 そうすると、この基金法案というものをこしらえた理由を伺いたいのだが、これは主としてどこへやっていくつもりです。これは何か構想政府部内にあってできたと私は思うのです。それは率直に言ってかまいません。
  21. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 もちろん東南アジアを主として考えております。
  22. 松平忠久

    松平委員 東南アジアですけれども、やはり東南アジアの中であるものを構想に置いて、そうしてますそれをやっていこう。五十億程度の金なんだから、そういうことだろうと思うのですが、まだそれは大臣は御存じございませんか。
  23. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私の考えでは、東南アジア諸国全般考えておるのであって、どこの国へ主としてやるとかというようなことは、私自身は考えておりません。
  24. 松平忠久

    松平委員 東南アジアでは、どこの国に対して日本は重点的にやっていくのが一番いいとお考えです。
  25. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私の考えでは、各国みな日本と密接な関係がありますからして、各国に対してそれぞれ経済援助をすべきじゃないか、こう考えております。
  26. 松平忠久

    松平委員 東南アジア地理的範囲ということをここで論議する必要はないと思うが、しかしおのずから東南アジアといっても、日本はどこの国へ重点を置くべきかという一つのアウトラインというものがやはりなければならぬと私は思う。パキスタンまで含めてずっとどこの国でもまんべんなくやるのか、そうじゃなくて、その中では政情の安定した国もあるだろうし、いろいろ国情が違うし、また地理的条件も違うし、経済的条件も違うと思うのですよ。だからおよそ日本としてはやはりこれはどういうところへ——自然の法則に従って流れるくらいのことは、政府としては考え計画を立てていかなければならぬ、まんべんなくどこでもというようなことではなかろうと思うのですが、その点はどうですか。
  27. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 東南アジア各国のやはり経済事情が違いますからして、従ってその経済事情に応じて日本経済援助をしなければならぬ、こう思っておりますからして、集中的にどの国だけを援助するということは日本としてはとるべき策ではない、東南アジア各国ともにやはり経済交流をすべきだ、こう私は考えております。
  28. 松平忠久

    松平委員 それは追及しません。また何か秘密会でもしてもらったときにやろうと思います。  それではもう一つ伺いたいのは、賠償とこの基金との関係というものはどうなっているのか、賠償は御承知のようなああいう民間借款というものをくっつけて賠償というものを成立さしたわけであります。そうすると、これはあのときに成立したところの借款信用供与というものに関連あるのですか、この基金というものは……。
  29. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 賠償に対しては輸銀とこの基金とはやはり同じ関係にありまして、この基金で向こうの経済開発に役立つことがあればやはり援助したい、こう考えております。
  30. 松平忠久

    松平委員 私の言うのは、蒸し返しのようですけれども、賠償のときの借款供与というものは、あれはどういう性質のものです。あれは民間のベースでもってやるということになっておったのだけれども、政府はあれに対してあっせんをするとかなんとかということはないのですか。
  31. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 賠償協定に際しては、これは政府はあっせんする義務は負うていないそうであります。ビルマの点につきましては多少政府があっせんいたしたそうでありますが、大体ほかの賠償については政府があっせんせずして、民間協定でやるという建前になっております。
  32. 松平忠久

    松平委員 ビルマの場合は今後も政府があっせんするという義務を日本が負っていると思うのです。ほかの国については政府があっせんする義務はない、こう思います。従って私の聞かんとするのは、この基金というものは、たとえばビルマの場合においては、この基金のものを政府があっせんして出させる、こういう性質のものであるかどうかということを伺いたいのです。
  33. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ビルマの場合はあっせんということでなくして、できるだけ政府協力する、援助するという立場になっておるのでありますからして、従いまして今後ビルマの問題であるいは基金資金を使いたいということであれば、あるいは事業によっては、それに参加するということもあり得ると思います。
  34. 松平忠久

    松平委員 そうすると、ビルマ以外の国は、あの借款供与の条項というものを民間が履行していくという場合には、政府はあっせんしないかもしらぬけれども、しかしこの金を使っていける、こういうことですか。
  35. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この基金の目的に該当した場合にはもちろん援助するわけです。
  36. 松平忠久

    松平委員 その次に伺いたいと思うのは、輸銀というものに——今日の段階においてこの基金を作らなければならないというためには、輸銀の窓口に対してかなりいろいろなベースに乗らないものが来ておらなければならぬと思うのです。こういう例があり、こういう例があるから、これは低利、長期のものを貸すような仕組みの基金を作らなければならぬというふうになるわけです。そこで一体輸銀では手に負えないというものは、どんなものが来ているのですか。
  37. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 輸銀のいわゆる金融ベースに乗らないものは、この基金の金を使うという建前になっておりまして、これは相当そういう要望はあるのであります。私、昨年東南アジア各国を回って参りましたときも、輸銀ではどうしても貸してくれない、だから何かほかの方法で資金を融通してもらえないかというような希望を、あちこちで聞いて参ったのでありますが、具体的な事例につきましては事務当局から報告させます。
  38. 大堀弘

    大堀政府委員 これは実は私ども調べたのでございますが、相当たくさんの件数が輸銀に常時参っておりまして、具体的ケースについては、輸銀なるがゆえにだめだということでなく、どうも輸銀のケースには、貸付の期間が短かいあるいは金利が採算が合わないというようなこともございますし、あるいは担保の条件がそれに応じていけないというようなケースもございまして、内容はよくてもなかなかまとまらないまま引き下がってしまうようなケースが非常に多いわけであります。多少具体的な大きな場合としては、タルタワ島の漁業基地の建設とか、ボルネオの森林開発計画とか、ビルマの紡績工場の建設あるいはインドの人繊パルプ工場の建設計画等につきまして、なかなかそういった条件が折り合いませんで進展しないものがかなりありました。
  39. 松平忠久

    松平委員 それは輸銀の窓口で断わったのですか、あるいは輸銀の窓口に行く前にだれかが断わってしまったのですか、そこのところはどういうふうになっておるのですか。輸銀の窓口に行って、これはどうもだめだというふうになったのか、あるいは輸銀まで持っていかずに、これはだめだと思って持っていかなかったというのか、そこはどうでしょう。
  40. 大堀弘

    大堀政府委員 それはいろいろなケースがあるわけでございまして、輸銀に一応相談してみましたが、どうも条件に乗りそうもないというようなことで引き下がってしまうようなケースも相当多いようであります。相当話し合いを進めたが、すれすれのところで輸銀の承諾を得られないという見通しで引き下がってしまうというケースが割合に多いようであります。
  41. 松平忠久

    松平委員 輸銀というのは、その支店はどこにもないわけですね。そこで、輸銀に申し込む場合には、日本における日本人だけしか申し込めないしということですか。
  42. 大堀弘

    大堀政府委員 輸出入銀行の場合は、本邦人を通してやることになっております。外国政府に直接、インドに貸した場合、例外がございますが、個人といたしましては本邦人でございますので、本邦人が輸銀に話を持っていくということに相なっております。
  43. 松平忠久

    松平委員 それでは海外における日本人もいいわけですか。
  44. 大堀弘

    大堀政府委員 海外におりましても本邦人でございましたらよろしいわけでございます。海外に別会社を作って外国法人になっておりましたら、これは別個の問題になると思います。
  45. 松平忠久

    松平委員 そこで今あなたが例にあげました、漁業であるとかあるいは紡績であるとかいうことがあったけれども、漁業とかあるいは森林資源の開発だとか、長期のものについては輸銀はなかなか困難でしょう。しかし紡績だとかあるいは製鉄所だとかその他のそういった工業の施設を作っていくというような関係において、輸銀が断わるというのはどういうわけなんですか。輸銀はドイツその他の国の輸銀と同様の性質の金融機関よりも利息が高いとか、あるいは条件が悪いとかいうことなんですか。どうして日本輸銀はそれができないのですか。
  46. 奧村輝之

    ○奧村説明員 大蔵省の方から御説明申し上げます。今の御質問に関連いたしまして、どういう手続で政府がこの対外投資とか延べ払いを許可するかということを、一緒に御説明申し上げないとわかりにくかろうと思います。  まず第一に外国に金を貸す、あるいは延べ払い輸出をする、あるいは投資をする、こういう場合には為替管理法上の許可が要るわけでありまして、この許可がおりました場合には、資金をどうするかという問題になるわけであります。資金はまず民間の資金を使う、それがどうしてもできないというときには輸出入銀行の資金で応援をする、こういう建前になっております。従っていろいろ案件があります中には、たとえば先ほど例にあげられましたドイツとかフランスとか、こういう国と日本プラントの延べ払い輸出競争をする、あるいは現地で設備の建設をする、そういう場合には、私どもとしては外国がどういう条件を出しておるかということを聞きまして、調べましてそれと比較をするわけであります。われわれとしては外国に負けるような条件を出しては、国際競争でございますから非常に問題がある。しかしいつも外国に勝つということもいろいろと事情があってむずかしかろうと思います。そういうような関係におきましては、もちろん外国の条件を考慮に入れながらこの程度の条件ならばよかろう、こういう判断をいたすわけであります。そのあと輸出入銀行に回ってくる。  先ほどどの程度の案件が輸出入銀行では断わられたかというお話があったわけでありますが、計画がかなり具体化いたしませんと、輸出入銀行の窓口には出て参らないわけであります。その前にいろいろな見地からこれを検討する、あるいはまだ準備段階であるから、調査を進めて、その調査の模様とにらみ合わせて判断する、こういう段階において、今の輸出入銀行の条件ではむずかしかろう、こういう解釈が出る場合もあろうかと思います。
  47. 松平忠久

    松平委員 私は時間がないのです。聞けば菅野大臣も参議院の予算委員会に呼ばれておるということで、この辺でちょっと中止してくれという自民党側の理事の話なんです。しかし私は今序の口を質問したわけであります。そこで私は留保して次回に譲りたいと思います。      ————◇—————
  48. 中村幸八

    中村委員長 次に、火薬類取り締まりの件について質疑の通告がありますのでこれを許します。辻原弘市君。
  49. 辻原弘市

    辻原委員 それでは企画庁長官お急ぎのようですから、最初に伺っておきたいと思うのですが、去る二十二日の午後七時に、和歌山県における熊野川の電源開発工事現場において、突然ダイナマイトの爆発事件がございました。大臣も御承知のように、二十三名に上る死者及び七名に上る重軽傷者を出したといった事件は、最近いろいろ火薬の爆発事件がございましたけれども、おそらくこういう大規模な事件を起こしたことは、私の記憶によりましても皆無であったと思うのであります。従いまして、現場における非常な混乱、またその後の措置等につきましてはいろいろ問題が出ておるのであります。実は通産大臣から火薬の取り扱いにつきまして詳細に伺いたいと思ったのでありますが、御病気でございますから、それらの点につきましては、あとで政務次官初め通産省の局長の方々に伺いたいと思いますが、この電源開発工事についての計画その他の主管は、企画庁長官がなすっておられると私は考えるのであります。今回の爆発事件について政府としてはどういう措置を一体おとりなすったか。またこの爆発事件による工事全体の進捗の問題、そういう点について過怠がないかどうか、こういう事柄についてます長官に一つ伺いたいと思います。
  50. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私の方で電源開発計画については所管いたしておりますが、工事自体につきましては通産省が直接関係いたしておりますから、そういう問題につきましては通産省から御答弁願いたいと思います。
  51. 辻原弘市

    辻原委員 計画について過怠がないかどうか聞いている。実施とは言っていない。
  52. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その工事の実施については私どもは全然関係いたしておりません。こういう電源開発をどこでやるということについての相談には乗っております。
  53. 辻原弘市

    辻原委員 そうしますと、電源開発の具体的な責任については企画庁の長官は何らお持ちなすっていないということでございますか。
  54. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 直接私は責任はありません。
  55. 辻原弘市

    辻原委員 直接、間接も私は申しておりませんので、計画全体を通じて、そういう事件が起きた場合に、何がしの死傷あるいは計画の一部変更、そういった問題が起きはしないかと思って、実は心配するがために、企画庁のその事件に対する判定は一体どうか、こう伺っておるのです。だから直接の関係がなくても間接の関係があるはずなんですから、それらの点についてどうか、こう言っておる。責任があなたの方には全然ないならないと、ここで言ってもらいたいと思います。
  56. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私の方は電源開発の調整をやっておるところでありまして、従いましてそういうような問題につきましては、直接通産省の局長から一つお答えさせていただきたいと思います。
  57. 辻原弘市

    辻原委員 それでは企画庁の方ではこれらの事件についてはあずかっておらぬようでありますから、通産政務次官にお伺いをいたしまして、若干こまかい点は一つ局長の方から聞きたいと思います。  まず、この事件についての原因は一体何かということであります。現地等においてその後警察が主になりまして捜査を進めておるようでありますが、私どもの仄聞するところでは、いまだに結論が出ていないようであります。その後通産省がお調べになった範囲で、一体原因が何であったおわかりになっておればお答えを願いたい。
  58. 原田憲

    ○原田(憲)政府委員 辻原委員が先ほど御質問なすった態野川の電源開発工事場におけるところのダイナマイトの爆破事件について、非常に監督官庁としての通産当局としては、遺憾なことであると思っております。この原因についてどうしてこういうことが起きたかは目下調査中で、まだはっきりいたしておりません。  なお工事現場の詳細については事務当局から説明いたさせます。
  59. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 今回の椋呂発電所の事故については、事故の発生と同時に和歌山県の方から火薬取り締まりの担当官が現場に参りまして、いろいろ調査をし、事後の指図をいたしておりますが、なお現場におりまして直接の連絡を受けておりませんので、じかにわかっておらないのですが、現在のところはただいま政務次官からお答え申し上げましたように、的確な原因をつかむまでに至っておりません。
  60. 辻原弘市

    辻原委員 原因についてはいろいろ言われております。作業所内の信号燈の電線の漏電が起因したのではないか、あるいはこれは火薬の集積所でありますが、その天井がないために落盤をして信管を破裂さしたのではないか、あるいはその他過失に基づいたものではないか、いろいろの説がありますが、総じて私はこの事件を通じてまことに遺憾な事件であったと思うのであります。場所的に見ましても、そう多人数の作業員が死傷するといったような場所でも本来はないはずであるにかかわらず、結果的には実に最近の火薬爆発事件としては希有の多数の死傷者を出している。こういったところにその原因について何かが伏在するのではないかと実は私どもも考えているわけであります。最近これほどの大きな事件ではありませんけれども、火薬の爆発による事故が頻発をしております。横浜の東洋化工の事件、第二国道における火薬トラックと砂利トラックの衝突の事件、日本油脂における作業員のミスから生じた爆発の事件、等々、火薬の取り扱いに端を発しました事故が頻発をして今回またこういう大きな事件をもたらした。前々からその事件のつど指摘されておりますが、火薬の取り扱いに対する一般の認識またそれに対する取り締まり法規の不備、こういう点がやはりあるのではないか、私はそう考える。法規の不備とともにその法規をかたく守られて、その規定に示すような取り扱いをしているかどうか、こういう点についてもはなはだ疑問があるのであります。そういう点について、この椋呂の爆発事件の中で通産省として調査の結果、判明せられているようなことがありましたら、この機会にお述べを願いたい。
  61. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 事件の概要を申し上げます。発生いたしました三月二十二日の午後七時ごろ、俗称丸島隧道といっております本坑道から横にずり出しの坑道、工事用の坑道を掘りましたその坑口から約七メートルのところに設けられておりました火薬数取扱所の爆発事故でございます。当時そこに所在しておりました火薬の量は、大体三百六十キロ前後と推定いたしております。これは前日の帳簿残と、当日運び込んだ数量及び消費した数量を加減いたしまして、爆発当時あったと推定せられる数量でございます。事故によります被害は、死者が二十三名、重傷が一名、軽傷六名という報告でございます。坑口から三十メートル付近、それから四十メートル付近に、それぞれ落盤がございました。なお今の丸島隧道の坑口付近にも土石が堆積しておりますので、取扱所の周辺の詳細な調査がまだ進められないという現場の状態でございます。
  62. 辻原弘市

    辻原委員 そこで伺いたいのは、前日照合いたしました火薬の量、三百六十キロと今お話しになりましたが、当日この爆発の原因となったいわゆる火薬の貯蔵所、この貯蔵所には、新聞等の伝えるところによりますと、ダイナマイトが四百六十キロ、電気信管が約一千本、工事用雷管が百五十本、誘導線が二百メートル、装填いたしましたダイナマイトが約百本、実に多量に上っておるわけでありますが、火薬類取締法の施行規則によりますと、理論的な集積所の停滞量というものは、一日当たり二百五十キロというのが規定になっておるようでありますが、この新聞等に伝えられておるいわゆる貯蔵量、停滞量というものが事実であるとするならば、これは規定の範囲をはるかにオーバーしているということが言い得るのであります。さらに火薬の爆破量というものは、その貯蔵の爆発量の三乗に比例する、こういうことを聞いておるわけですが、そういうことを思いますと、この許容量というものは、いわゆる停滞量がどれだけあったかということは、事故をより大きくせしめたといったようなことと非常に関連があるように私は思う。この点、停滞量の把握、それから今言った規定の二百五十キロというものと、従来の取り扱い、指導、こういうものとの関連は、一体どうなっておったのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  63. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 お説の通り、停滞量の最高限度量は、この場合二百五十キロでございます。これは火薬類取締法施行規則第五十一条第二項第九号の規定するところのものでございます。従いまして、先ほど申し上げました数量は、明らかにそれを超過しておるということで、違反の事実があるわけでございます。本来火薬というような非常に危険なものを、法規に定められた量をこえて貯蔵するというようなことは、常識的にはあり得べからざることであるはずでございますが、先刻も御指摘がございましたように、従来とかく末端になればなるほどそういう意味の保安観念が徹底を欠いておる。この点は私どももある程度是認せざるを得ない。今後の法律改正、その後における実際上の指導というものも、特に保安意識の高揚というところに重点を置いて指導しなければならぬと考えておる次第でございます。ただいまの状況ではまことにお説の通りでございます。
  64. 辻原弘市

    辻原委員 いま一点、この火薬の貯蔵所の位置なんでありますが、先ほどの御説明によりましても、坑道の入口から十メートル内外の位置にこの貯蔵所を設けておった。そういたしますると、これは作業員の交代、また作業員の作業それ自体と非常に関係の深い位置に貯蔵所があったということになる。取締法の施行規則、先ぼと局長の言われました五十一条の第二項の一号を見ますると、「火薬類取扱所は、通路、通路となる坑道、動力線、火薬庫、火気を取り扱う場所、人の出入する建物等に対し安全で、かつ、湿気の少い場所」こういうふうに規定をされておりまするが、この坑道に近い位置に設けておった火薬取扱所というものは、はたしてこの規定に従った安全な場所であったかどうか、この点についての判定はいかがですか。
  65. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 私まだ現場を直接見ておりませんのですが、報告にあります図面等から判定いたしますと、ただいまお説のように、坑口から十メートル前後の位置にあって、しかもその坑道は人が出入りする坑道であるということで、まさにただいまの御指摘の条項にそぐわない、不適当な位置であったというふうに判断いたします。
  66. 辻原弘市

    辻原委員 今の点は、私は事件と明らかな関係があると思うのです。それは先刻申しましたように、普通ならばこれだけの作業員が死傷するという、そういう工事ではない。ところがたまたまこの爆発をいたしました七時過ぎというのは、七時が交代時刻になっておるために、交代する作業員と、それから新しく作業に入っていこうとする作業員と、それぞれの班がそこでぶち合って、狭い坑道の中でひしめいておった。それが約四十名に上ったために、一挙にこれらの人々が、全部この火薬に吹き飛ばされた。中におった者は全員、ほとんど一片の肉片をとどめただけで四散してしまったというような悲惨事を引き起こした。だからこの坑道の中における火薬取扱所の位置というものは、はなはだしくこの事件を大きくせしめた原因になっておる、かように私も考えるのでありますが、今局長もそのことについては御説明になりました。そこで伺いたいのでありますが、そういたしますと、一体こうした責任はどこにあるのでありましょうか。これらの責任は一体どこにあるか、それを伺いたい。
  67. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 具体的な責任としては、もちろん工事施行者自身であることは申すまでもないことでございますが、これは貯蔵ではございませんで、消費の段階にすでに入っておるのでございますが、いずれにいたしましても、その監督は直接には都道府県がやっております。その都道府県はわれわれの監督下にあるということで、間接にわれわれにも責任があると存じております。
  68. 辻原弘市

    辻原委員 私はここで形式的責任を云々するのではありません。形式的な責任は、監督官庁である通産大臣はあるでしょう。またそれぞれの業務を所管している局長にもあるでしょう。問題は、現場における工事の施行者、実際に火薬を取り扱ういわゆる火薬の取扱者、またそれを監督する都道府県、多岐にわたっておると思うのでありますが、要は、規定なり、また火薬類に対する取り扱いの保全の気持というものが、はたして徹底せられておったかどうか。そういういわゆる責任、火薬取り扱いに対する認識の度合い、そういったところに私は大きな責任問題があるんじゃないか、こういうふうに思うのであります。幸い過去のいろいろな不幸な事例にかんがみて今回政府も取締法の、この二十五年にできた古いものを実情に合わして改正しようというので、案を提案せられておるようでありますが、不幸な事件を何とか防止しなくちゃならない。そのための所要の改正でありますから、私はその改正の中で法案についての具体的な内容は私は詳しくは存じておりませんけれども、形式的責任というものは、常に事件が起こったあとで問題になる。そうではなしに、事件を未然に予防するための、そういった火薬を取り扱う人の人命に影響するものを取り扱っているという責任、その責任を事前に明確にさせるということが私は事故を絶無ならしめる——そうはいいましても、天災事変に類するものでありますから、なかなか絶無とはいえませんでしょうが、少なくとも被害を僅少にとどめることができる、そういった点で、今後のいわゆる指導方針、こういうものがこの機会においても、法案改正前といえども、私は周知徹底せしめる必要があると思います。そういう点についての早急な指導を一つおやり願いたいと私は思うのでありますが、お心組みがございますかどうか、伺いたいと思います。
  69. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 まことにごもっともな御意見でございまして、私どもも実は法律案を立案いたします途中でも、その点にはある程度配意をしたつもりでございます。いずれ法案につきましては、近日中に御審議を願うことになるわけでございます。その中にたまたま今回のような消費現場における危険の予防ということについてのいろいろの制度を盛り込んでいただく。たとえば一つの重点といたしまして、計画的な保安教育ということを徹底的にやるということを大きく取り上げております。あるいは現場における具体的な作業の監督者、責任者というものも従来のような単に作業主任、あるいは取り扱い主任というようななまやさしいものでなしに、一般の作業とは別個の体系として保安のみを専念させるようなピラミッド型の保安体制というものを、現場ごとに確立させるというような計画も盛り込んでございます。いずれこれらは詳細別の機会に御説明申し上げまするが、たまたま一昨日と昨日、これは他の目的もございますが、都道府県の火薬担当官の会議を二日間にわたって催しておりまして、ちょうどいい機会でございましたので、昨日も私みずから会議に出まして、今回の事例を詳しく説明もいたしましたし、県の係官自身の保安に対する認識についてきわめて厳重な警告もいたしました。同時に製造業者、販売業者、消費者あるいは運送業者というものに対してその趣旨を十分徹底してもらうように、また単に係官のみならず、課長、部長、知事という上司に対しても、こういう趣旨の要望があったということを十分伝えてもらいたいということも懇々告げて参った次第でございます。とりあえず、各県におきましては今回の事例を一つの警告として、利用といってはおかしいのですが、活用いたしまして、現に一日に何千個所でハッパ等が行なわれておるわけでございます。一日もその危険の他に及ぶことのないように大至急警告措置をとるということで、注意を喚起する手配をいたしておる次第でございます。
  70. 辻原弘市

    辻原委員 この事件を離れて一般的に火薬の問題を考える場合に、実際にダイナマイト、火薬を製造する工場に対するこれの保全の取り扱い、それから実際それを作業等に使用する消費者に対する取り扱い、それからその途上における運搬の問題、私はいろいろ問題があろうと思います。私がこの事件を契機といたしまして調べた範囲によりますると、取り扱い等の法規がなかなか詳細に規定をされておりますが、実際にそれらの、たとえば運搬に対する許可の取り扱い、こういうものはそれぞれ地方庁のしかもまた出張所等でこれを委任をして扱っているという、しかもその担当者が一人ないし補助者が一人、非常に少ないあれでやっておるようであります。実際問題から見ますと、なかなかそういった専門家が少なくて、また専任の担当者が少ない中で、これらを取り扱っているというところに若干の問題があるのであります。これは過去ならばいざ知らず、現在のように非常にあらゆる部面にわたっての開発工事が進められ、いわゆる公共事業がひんぱんに行なわれている段階においては、火薬の使用量、ダイナマイトの使う量というものは年々私は増大しておると思います。そういう点から考えてみて、しかも留意をしていただかなければならぬ点は、どちらかというと製造工場はあるいは都市の周辺にあるかもわかりません。しかし実際それを使用しておるところ、またそれを運搬しておる個所というものは、これは地方のしかも山間僻地、こういうところにむしろ私は多いと思う。そういうところの許可官庁というものは勢い都道府県の出張所というようなことになっておる。そこには人員が非常に少ない。これではたしてその火薬の運搬あるいは消費者に対する保全が全うできるかどうか。私は今回の事件についても深くはお尋ねもいたしません。しかしながらいろいろこれを常識的に考えてみた場合においてもそこらに問題があるように思う。そういう点を今回の法の改正とともに十分留意をして検討してみる必要があろうかと思うのでありますが、御意見はいかがですか。
  71. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 まことに一々ごもっともでございまして、私どもその点にはかなり決断をしたつもりでございます。今回の改正案、いずれ御審議を願いますが、一つの重点は先ほど申し上げました保安意識の高揚、計画的な保安教育ということでございます。他の二点がございまして、その一つは何といっても取り締まり体制を整備強化するということでございます。もう一点はその具体的な現われでございますが、現場における警察官の、法規順守に対する監視といいますか、協力を求めるという点でございます。今回の事件も非常な山間における工事現場の事故でございます。一日に二回ハッパが行なわれておるというようなことで、極端にいえば常時つきっきりに監督者がおらなければならぬというようなことにさえなりかねないのでございますが、これらも言うべくして事実上はなかなか実行ができないということで、常々保安意識なり、あるいは取り締まりなんという監督面からの取り締まりと、法規の順守ということと同時に、何といってもやはり現場における保安意識を常に持ち続けさせるということが、最終の事故を絶滅あるいは減少せしめる残された手段ではないかと考えておる次第でございます。従いまして法規も強化いたしますし、取り締まり体制も従来から見ますれば、飛躍的に強化されると私どもは期待いたしておりますが、何といってもそれには一応の限界がございまして、現場ごとの安全ということは、あくまで当事者の取り扱いの慎重さにあるということを一切の関係者に徹底せしめる、ここに最後のポイントがあると思うのでございます。
  72. 辻原弘市

    辻原委員 軽工業局長のただいまの御意見私も賛成であります。それはただ法規を整備し、取り締まりを強化するだけでこの保安、保全というものは足れりという考え方を持つならば大きな間違いであろうと思います。これは幾ら警官を立ち入り検査に立ち合わせようとも、要するに使用する際のそれぞれの取り扱い責任者といいますか、またこれを扱うそれぞれの作業員に十分火薬についての認識なり、また保全についての考え方、こういうものが徹底をしておらなければこれは全く空文であります。従って一方においてそれらの法規またそれの管理監督、こういう点を強化すると同時に、それを裏づけるものはあくまでも現場における作業に当たられる方々、また現場の作業を施行する方々の火薬についての考え方、取り扱いについての深い認識、これが裏づけをされて初めて私は先刻申したような事故を少なくし、また被害を僅少ならしめることだという点を、両々相待って今後の事故を防ぐという点に、通産省としても格別の努力をいただきたいと私は希望する次第であります。  さらにこの機会に政務次官に一つ希望やらお伺いをしておきたいと思うのでありますが、今回の椋呂事件も非常に死者が多くて不幸な事件でありますが、不幸中の幸いでありましたことは、作業現場が一般人家その他と隔絶をされておったために、一般人家に累を及ぼすことはなかった。ところが、この作業でもそうでありますが、昨年の九月ごろから約五百人の作業員が入りまして、その家族の方々もそれぞれその地に住居をかまえられ、相当なダム・サイトとしての市街地を形成するような状況にまで至っております。それがまた一般の民家にも隣接してくる、こういうことになりまして、こういう大きな工事を進められる際は、必ずその地方における一般民家に対する保全ということが十分考慮されなければならぬ。たまたま今回はそれはありませんでしたからよかったようなものの、それに累を及ぼすようなことになれば、これは一大問題だと思う。同時に、そういった爆発による、あるいは落盤による工事の直接の原因による災害というものを防止するとともに、いま一つの問題は、各地から相当の作業員の方々が入ってこられますので、その地方の風土あるいは習慣あるいは治安維持、こういうものととかく問題を起こしがちなんです。そういった点についての治安維持、災害予防、こういうことを相当の認識を持って、所管省はおやりになっておるか、警察庁その他とも十分な連携を持ってそれらの保全に当たられておるか。私は、この電源開発の工事だけではありませんが、各地で行なわれているいろいろな公共事業を見るにつけて、はたしてそういう点が十分であるかどうかについて、いささか疑問を持つわけです。こういう事件が起きたことを契機にいたしまして、私は、火薬の問題ばかりではなくて、その他の災害予防、また治安の維持、こういう点について特段の努力を政府はしていただきたいと思うのであります。それについて、通産政務次官、何かお考えがあり、また具体的におやりになるというような事柄がございましたならばお述べを願っておきたいと思います。そうすることによりまして、こういう作業地に近い住民の方々は非常に安心感を持つだろうと思いますから、あえてこの点についての見解を承りたいと思います。
  73. 原田憲

    ○原田(憲)政府委員 この災害を中心として、ただ火薬の取締まりという面だけでなく、こういう大きな工事がだんだん実行されてくると、そこにたくさんの人も集まってくるし、そういう人と工事場との間の治安の問題も生じてくるのじゃないか、それらについて政府は何か考えておるかという御質問でございますが、実は産業というものを中心に災害が起きるということは——一大災害が起きますと、それが非常に大きな損害になるのでありますから、当事者としても、また政府としても当然災害予防ということについては考えておるのであります。しかしながら、産業といいましてもいろいろございまして、御承知のように、鉱山関係では鉱山保安法とか、あるいはまた電気関係では電気事業法とかいうそれぞれの法律をもって災害を防止することに努力をいたしておるのでありますが、これを全般的にどうしようかということについては、それぞれ産業の性質が違いますので、なかなかむずかしい問題でございます。これに対しては、政府といたしましては、昨年の三十四年に総理府に産業災害防止対策審議会を設けまして、産業災害防止計画の樹立の促進、それから産業安全教育の徹底ということをはかることといたしておるのでございます。われわれ通産当局といたしましても、先ほどからまことに有益な御質問をいただいておりますが、去年から花火の問題、それからまたダイナマイトの爆発の問題、また、自動車が衝突して問題が起きた、あるいは炭鉱における問題が起きたというようなことから、鋭意これらの災害を未然に防ぐための施策を講じておるのであります。火薬の問題を取り上げてみましても、花火事件のときに各委員の先生からいろいろと御質問がございましたが、取り締まりの面からばかり申しますと、戦前は警察が非常にタッチをしておった。そこで、警察官にこの取り締まりをまかすということになりますと、警職法の改正問題というようなとんでもない方面へまたほこ先が行ってしまう。そうかといって、今辻原さんの言われた治安というような問題に関しましては、やはり警察官の立ち入りということも、そういう問題を離れて協力を求めなければならぬ問題がある、というようなことをいろいろ考えまして、政府といたしましては、火薬類の取締法の改正をお諮りさしていただきたいと思っておるのであります。何しろ科学技術というものはどんどん進歩いたしまして、今日二百五十キロが一日分のダイナマイトの使用量ということでこの規則もでき上がっておるようでございますが、実際は、先ほど御指摘がありましたようにすでにもっと使うということになってきております。しかし、現在の規則では二百五十キロしか使えないのでありますから、二百五十キロの貯蔵所を二カ所作ることが法規にかなったことでございますが、これらのいわゆる科学技術の進歩に伴う取締規則も作っていかなければならぬ、こういうように考えておりまして、ただいま御指摘のありましたことはまことに有益であり、われわれも全く同感でありまして、大きな事故を未然に防ぐというふうなために、鋭意努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  74. 辻原弘市

    辻原委員 次に、死者、重軽傷者に対する弔意の事後措置、弔意の方法についてはどういうふうに考えられておるか、この点を承りたいと思います。
  75. 原田憲

    ○原田(憲)政府委員 私どもの方でわかっております点を申し上げますと、当該工事を請負っております建設会社では、もちろん労災保険を給付することは当然でございますが、そのほかに葬祭料とか遺族に対する援助ということについても万全を期している模様でございます。電源開発会社としては、死者に対しては香典を贈るほか、負傷者に対しまして治療について誠意をもって精神的に援助をしておるということでございます。
  76. 辻原弘市

    辻原委員 なお、労働省から出ていらっしゃると思いますので、これらの死者、負傷者に対する労災保険はどの程度になりますか、参考にお聞きしておきたい。
  77. 佐間田睦男

    ○佐間田説明員 今度の災害につきまして、先ほど来お話がございましたように、原因その他についてまだ調査中のところもございますが、いずれにいたしましても、被災労働者につきましては、大体この種の災害を私どもの方で考えてみますと、いずれも労災保険法上の業務上の災害になることは間違いないと思いますので、そういう関係から死亡労働者にはさっそく遺族補償をしたい、なお、重軽傷者には療養の補償をやりたいということをいたしております。ただ、そういう原因との関係もからみ合いまして、直ちに全額ということもできませんので、遺族関係については半額を直ちに払う。また重傷者は別段制限の問題はございませんが、療養費を全額支給するというようなことでいたしております。その大体の金額でございますが、大体終局的に、私どものところでは、二千二百万円くらいの支出になるであろう、こう考えております。それにつきましては、御承知のように年度末でもございますので、さっそく私どもの方では、予算その他の措置をとりまして、被災労働者の保険上の給付に支障を来たさないように万全の手配をしておる次第でございます。
  78. 辻原弘市

    辻原委員 今承りますると、それぞれの責任のある側におきましては、尽くせるだけの措置をとっておるというお話でございましたし、また労災関係につきましても、必要な財源の措置も行なわれておるようでありますが、原因は専門的に探求をして、そのことがいまだにはっきりしておりませんけれども、しかし常識的に考えてみましても、それぞれの作業員の過失ということではないのでありまするから、従って、不慮の公務による災害ということは、これは一般的に見て明らかであります。従ってこういう場合の措置、こういう場合の弔慰の方法については、可及的すみやかにほんとうに死者に対し、重軽傷者に対して、できるだけの弔慰をするという心組みで、一つ政府としてもそれぞれの関係者に督励をしていただきまして、遺憾のないようにやっていただきたいということを、最後に希望いたしまして、時間も経過いたしましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 関連いたしまして、一、二お伺いいたします。  先ほどの辻原委員の質問におきまして、今回の事件に対して、停滞量もそれから停滞場所も、火薬類取締法施行規則違反であるということを、秋山局長はお認めになったわけです。このような場合、刑法上及び行政上どのような処分があるんですか。
  80. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 当該工事人というよりは、現在の作業主任でございます。現場には甲種の免状を持った作業主任者がおりまして、従って行政的には、この作業主任者の責任を追及するということになると思います。その形といたしましては、法規違反の点については、当然刑事問題、最高五万円の範囲内の罰金、これは司法問題でございます。それから行政的には、場合によっては作業主任者の解任の命令、それから免状の返還命令ということになると存じます。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほどの御答弁では、直接責任とか間接的責任とかいうような形式的な責任のことを述べておったと思います。今おっしゃるのは、法律的には作業主任者だけが、そういう責任を負うだけなんですか。
  82. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 現在の取締法上から申しますれば、その通りでございます。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、あなたはいわゆる行政的な火薬取り締まりの最高の、大臣がありますが、局長として、一体この事件に対して、あなた自体としてどういうような行政措置を考えておられますか。
  84. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 直接には、先刻申し上げましたように、府県の監督下にある事業でございますから、県と十分打ち合わせをいたしました上で具体的な措置をきめたいと考えておりましてまだその措置まで進んでおらない状態でございます。法律的に申し上げますれば、先ほど申し上げた通りでございます。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 直接には当該府県が監督をしておる、取り締まりをしておるということであるが、結局あなたの方から命令が出るのでしょう。あなたの方が府県に対してはこの問題については監督できる立場にあるのでしょう。
  86. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 現在の法体系では、直接監督はあくまで知事で、ございまして、この場合、先ほど私作業主任と申し上げましたのは取扱主任の誤りであります。消費段階におきます主任者は取扱主任者という名称で呼ばれておりますが、この取扱主任者としての免状の返還命令は知事がする、それから事業者に対する解任命令は通産大臣がする建前になっております。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 今局長のおっしゃった刑事上の罰五万円以下の云々というのは、あくまで行政罰ですね、行政犯としてのあれでしょう。
  88. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 罰金の方は、もちろんこれは司法的手続を経て課されるものでございますが、その根本は行政法規違反ということでございます。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、これはあなたに聞く問題じゃなしに、法制局ないしは法務省あたりに聞くべき問題かと思いますが、量を越えて停滞さすあるいは法規に違反した場所に停滞場所を作るということ、これに対する過失があった場合は、いわゆる行政罰としての刑罰だけでなくていわゆる自然犯としての刑事上の問題が出てくると思うのですが、その点はどうですか。
  90. 秋山武夫

    ○秋山政府委員 今回の事件に対しての刑法上の責任ということを、実は私まだ研究不十分でござまして、ただいままだお答えいたしかねます。研究いたしましてお答え申し上げます。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題につきましては、なお当委員会におきましてもっと質問をし、検討を加えていきたいと思います。なぜならば、先ほど辻原委員も申しましたように、最近火薬による災害が多過ぎる、あるいはまた炭鉱の問題等いわゆる通産省の関係、いうなれば商工委員会の関係のこういった事件が多い。ガス等も含めてあります。そういう問題について当委員会といたしましても、簡単におざなりの質問をしたからといって済まされる問題でないと思いますので、この点については保留をいたしておきます。      ————◇—————
  92. 中村幸八

    中村委員長 この際お諮りいたします。海外経済協力基金法案につきまして、外務委員会及び大蔵委員会より本委員会と連合審査会を開きたい旨の申し出がありましたので、これを受諾し、連合審査会を開くことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際午後一時半まで暫時休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時四十四分開議
  94. 中村幸八

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  再び海外経済協力基金法案を議題とし、質疑を続行いたします。始関伊平君。
  95. 始関伊平

    始関委員 私はこの法案の内容またその基金の実際の運用の仕方などに中心を置きまして御質問を申し上げます。  今度政府がこの法律の通過を待ちまして設立をしようといたしております基金の性格の問題でございますが、先ほど長官の委員会での答弁をお聞きしておりますと、海外経済協力というものは大体政府自体がやるんだ、そういう頭でお答えになっておると思うのでございますが、もし政府の責任で経済協力というものをやっていこう、進めていこうということであれば、これは特別会計というような形が一つ考えられる。またいわゆる金融機関としての自主的な立場というものをはっきりしようということであれば、特殊銀行とかあるいは特殊会社とか、現に特殊会社のような構想は途中あったのでございますが、私はそういう構想考えられると思うのでありますが、今度は基金という形で提案をされたというのはどういう考え方理由に基づくものであるかということを最初にお尋ねをいたします。
  96. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 低開発国の、海外経済開発につきましてはすべて政府が責任を負うというわけのものではないと思います。もちろん民間にも今後大いに進出してもらいたい、こう考えておるのでございますが、今回提案しました海外経済協力基金を特殊法人にいたした理由といたしましては、これは政府機関でやったらいいじゃないかという御意見もおありかと思います。がしかし、政府機関でやりますといろいろ制限、拘束というものがありまして、かえって十分の活動ができぬのじゃないかというようなことを考えまして、やはりこれは特殊法人として、特別の才能のある人にまかしてやってもらう、政府機関でなくしてやってもらうというような考え方で特殊法人にしたわけであります。これは輸出入銀行などと同じような形式でやったらどうかというお話でありますが、これは輸出入銀行と多少性格が違うのでありまして、あれは全くの金融機関であります。こちらは金融機関ではなくして、ある意味では投資会社と申しますか、多少性格が違うのでありまして、輸出入銀行で取り扱わないようなものをこっちは取り扱うということで、やはり輸出入銀行とは別の組織にしておいた方が万事仕事の上においてやりやすいんじゃないかということで、別のものを作ったような次第です。
  97. 始関伊平

    始関委員 この基金政府との関係につきましては、後ほどもう一ぺんお尋ねをいたしますが、さて今度はこの数年来海外経済協力ということの重要性がだんだん広く認識されまして、政府が重要政策として取り上げられておるということはまことにけっこうだと存じますが、しかしながらいわゆる低開発国に対する経済協力をやっておりますのは日本だけではございませんで、アメリカやソ連、イギリス、あるいは西ドイツというような諸国が、いわば競争的にやっておると思います。今日までのところでは、今日までの実績を見ますと、何と申しましても日本の場合は規模が小さい、また必ずしも積極的でもなく、また活発であったとも言えないだろうと思うのであります。こういう大国に比べまして立ちおくれてもおりますし、また見劣りがしておる、こう思うのでありまして、これは国力の違いを勘定に入れましても、なおかつそうではなかろうかと私は思うのでありますが、今日までの経済協力、これには賠償に伴うもの、その他いろいろございますが、今日までの実績あるいは成果というものにつきまして、これは私は数字をあげて御説明を願いたいとは思っていないのでございますが、大体の感じとしてほぼ満足すべき状態であるのか、あるいは非常に不満な状態であるのか、そういう点の感じを一つ伺いたいと思うのであります。おそらくは今までのところでは非常に不満である。それを補うために今度の基金という制度ができてきたと思うのでございますが、相当役に立つものとお考えなのかどうか、こういう点を伺いたい。  なお今後の問題といたしまして先ほど菅野長官のお話では東南アジア地域に特に重点を置くのだという、こういうお話でございましたが、地域としてはその通りでございましょうけれども、何か日本として特に特色を持ったといいますか、あるいは特徴のあるといいますか、こういう大国の間に伍して経済協力をやる、そういう点になると、何らか特別の工夫とか構想とか、日本としてはこういう点に特徴を持った経済協力をやる、そういう御構想がおありなら、その点もあわせて伺いたいと思います。
  98. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 最近海外経済協力については毎年だんだんとその資金なりあるいは技術提供などについて援助を拡大しておると思います。しかし今回この海外経済協力基金を設けます理由といたしましては、御承知通り海外経済協力資金として今まで五十億円の金が昭和三十三年度の予算に計上してあったのでありましたが、実はそれを動かして運用していなかったのであります。その後岸総理の東南アジアの訪問など、また最近において低開発国経済開発ということが世界的な一つの大勢になってきまして、そういう関係と、それから日本経済力の躍進、そういうようなことで、昨年ごろからこの際一つ本気になって低開発国経済開発に乗り出すべきではないか、あの五十億円の金をそのままにしておくべきじゃないじゃないかという議論が出て参りまして、そこでついに昨年来この海外経済協力基金というものを設けて、積極的にこの際乗り出そう、そしてまた乗り出すという態度を東南アジア諸国にも示すということで、今度の法案を提出したような次第なのであります。
  99. 始関伊平

    始関委員 それでは法案の内容に入りましてお尋ねをいたしますが、この基金を設けます目的は第一条にあるわけでございますが、要するに経済開発のために必要な基金で、輸出入銀行なり、あるいは一般の金般機関から供給を受けられるものについては問題がない、受けることが困難なものについてその円滑な供給をはかろう、これがこの基金を設置いたしました目的と了承いたします。ところで輸出入銀行の方の法律を見ますと、業務がかなり広範に規定をいたしておりまして、ほとんどあらゆることが一応やれるような建前になっておると思うのであります。そこで、法律の規定なり、あるいは今後の運用方針として、輸銀との比較においてどういう点が違うのかということをはっきりさせなければならないと考える次第であります。  問題を分けて伺いますが、第一にいわゆる投資の機能、これは輸銀は銀行でありますから投資の機能はない、この基金のみに投資機能があるというふうに了解いたしますが、それはそれでよろしゅうございますか、これが第一点であります。  それから、その次に第二点といたしまして、いわゆる民間投資会社に対する出資資金の貸付、これは輸銀法上も建前としては可能であるけれども、実際はなかなかむずかしいのだ、こういうふうに聞いておるのであります。しかしながら、たとえばアラスカパルプというような場合には、実際に輸銀からの貸付が行なわれておるわけでありますが、アラスカパルプなどの場合は例外的な場合である、このように解釈すべきものであるのかどうか、その点を伺いたい。そこで、この基金による民間投資会社に対する出資資金の貸付は、どういう条件のもとに行なわれることになるのか、輸銀の場合との相違点をはっきりと説明していただきたいのであります。この点がはっきりしませんと、この基金を特に設けるという理由がわからないわけでございますので、はっきりと御説明を願いたい。  第三点といたしまして、貸付資金の内容は、輸銀の場合には機械設備の関係に限られるようでありますが、この基金の場合にはそのような制限はないのか、貸付資金の内容においてどういう違いがあるのか。この三点を中心といたしまして、それ以外にも顕著な点があれば、あわせて御説明を伺いたいのでありますが、輸銀との相違点を明確にお答え願いたいのであります。
  100. 大堀弘

    大堀政府委員 輸銀との違いにつきまして具体的に御説明申し上げたいと思います。  第一点は、御指摘がございましたが、輸銀輸出入金融が中心になっておりますので、海外投資金融につきましては、もちろんある限度においてできることになっておりますが、無条件にできることになっておりません。今回の基金輸出入金融はやらないという建前でありますと同時に、海外投資金融につきましては輸銀のように制限付ではなく、広範にできることになっておるわけであります。その点が基本的な違いでございまして、今御質問のございました点について順次申し上げますと、アラスカパルプの例につきまして御質問がございましたが、この投資金融につきましても、輸銀の場合でございますと保証ないし担保の提供が相当厳格に条件つけられておりまして、結局この場合も対人保証になっておりますが、各関係会社の重役が連帯で保証いたしておるわけであります。これは投資金融といたしましては多少例外的な取り扱い——閣議で御方針を決定いただきまして、特別な措置として例外的な扱いとしてやっておるわけでございまして、ミナス製鉄所の場合もほぼ同様なケースに相なるわけであります。この投資金融でございますと、相当長期な投資になっていますけれども、償還の点でも見通しが非常に将来にわたっておりますので、これを貸付金で参りますと、担保の点でかなりむずかしい点にぶつかります。その点は、今回の基金でございますと、輸銀の場合と違いまして償還確実ということでなく、事業の内容が適当であり、見通しが的確であれば貸し付け得ることになっておりますので、担保条件等かなり弾力的な運用ができる、この点が輸銀との違いかと思います。投資の方法につきましては、今回の基金法案の業務の範囲に書いてありますように、輸銀の場合は当然貸付だけでございますが、今回の基金の場合は貸付金以外に出資もできることに相なっております。それと同時に、開発事業の予備調査のための融資及び試験的実施のための融資、こういう新しい方法が認められておりますことと、さらに第四号で開発事業に関連した調査を行なうことができる、これは、輸銀に完全な金融機関でございますが、今度の基金開発事業関係した限りにおいて調査を行なうことができることになっておりまして、この点も輸銀との違いに相なっておるわけでございます。なお投資の方法につきまして、設備資金だけに限らず運転資金も貸し付けることができることに相なっております。
  101. 始関伊平

    始関委員 その次に第二十条でございますが、二十条に業務が規定してございまして、その第一号に「必要な資金を貸し付ける」、こう規定してあるのでありますが、ここに「必要な資金」というのは何かということであります。「必要な資金」の種類を伺いたいのであります。これには円、ドルのみならず、現地通貨も含むのかどうかということを伺いたいのであります。  それから、そうであるとすれば、現地通貨の調達方法についてはどう考えておるかということを伺いたいのであります。実はこの海外経済協力のための機構を審議しておる途中におきまして、これは主として通産省方面でありますが、たとえばセメントとかあるいは繊維製品だとか、余剰物資というほどではありませんけれども、比較的供給力に余裕のある物資を無為替輸出を認めて、それを見返りにしていわゆる必要な現地通貨を獲得して利用したらどうだ、こういう意見もあったのでありますが、これが立ち消えになったのはどういう理由か。そういう方法がないとすれば、今度の現地通貨の調達はどういう方法でやるのかということを伺いたいのであります。  なお円、ドル、現地通貨というようなものがいろいろあると思うのでありますが、実際問題として一番よけいに予想されるのは何かということをちょっと伺っておきたいのであります。  それからあわせて、貸付の相手方でありますが、これはだれになるのか、いわゆる出資会社——日本にできる出資会社、それから現地会社、それから外国政府等というものが含まれると思うのでありますが、この点どうか。それから一番多く予想される相手方はだれか、こういう点もあわせてお答えを願いたいのであります。
  102. 大堀弘

    大堀政府委員 貸付いたします場合の通貨につきましては、法律の建前といたしましては限定いたしてございませんので、円貨に限らず、外貨をもって貸付することも法律としては可能な建前になっております。ただ現実の問題といたしましては、これが通常の場合になると思いますが、本邦人を通して、本邦人が海外へ行って事業をする、従いまして、貸付の相手方としても本邦人が通常の場合は相なると思います。貸付の方法も、円貨で貸し付けるのが通常の方向になるだろうと思います。ただいま消費財の問題についてお尋ねがございましたが、円貨で、かりに一億円貸し付けました場合は、これは外貨に当然かえまして、外国で事業をいたすのでございますから、現地で運転資金を使います場合は、外貨にかえて持っていかなければなりません。当然これは外貨に交換することを認める。従って三百万ドルくらいの金になりますので、持っていって向うでまた現地通貨にかえて使うということは可能であろうと考えられます。外貨に交換することを認める以上は、これは当然消費財でかりに持っていって、消費財を現地でもって売りまして、その代価で当該開発事業に使いましても差しつかえない。その金自身が開発事業に使われるということが確実であれば、方法はいずれによっても差しつかえない、こういう意味において、法律の中において特にうたっておりませんが、そういうことも可能であると考えております。  それから相手方の問題につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、本邦人を通す場合が通常の場合であると考えております。これは外国人に直接貸すことも法律といたしましては可能でございますが、通常は本邦人を通す、原則としては本邦人を通すという運用に相なると思います。
  103. 始関伊平

    始関委員 そうしますと、この前通産省にあった構想では、経済協力機構が、自分で輸出をして経済協力に必要な現地通貨を調達するということを考えておられるのだが、ただいまの大堀局長のお話だと、この基金から金を借りた者が形を変えて持っていってよろしい、こういうことなんですね。
  104. 大堀弘

    大堀政府委員 基金は貸付をいたしますだけでありますので、基金から金を借りた人、つまり向こうで事業をしようとする人が金を借りて、その金で物資を調達して持っていって、商品を売って現地通貨を調達するということも可能である、こういう意味でございます。
  105. 始関伊平

    始関委員 次に第二十一条について伺います。  その二号に「開発事業に係る事業計画の内容が適切であり、その達成が確実であると認められる場合」に、この基金から貸付をする、こう書いてあるのでありますが、この意味をちょっと伺いたいと思うのであります。輸銀などの場合でも、事業計画の内容が適切だとか、あるいは達成が確実でなければいかぬとかこういう条件は必要だと思うのでありますが、輸銀の場合にこういったような条件のほかに、具体的にどういう条件がさらにプラスされるのかということを伺うと、この意味ははっきりすると思うので、その点を一つ説明を願います。
  106. 大堀弘

    大堀政府委員 輸銀の場合には十八条の二に規定がございますが、「貸付に係る資金の償還」が確実であると認められる場合と規定がございます。従いまして業務方法竜、等においては、このために担保等については相当厳格な規定を置いておるわけであります。この点が今回の基金でございますと、やはり当然事業の内容が適切であり、達成が確実であるということがもちろん必要なわけでありまして、ただ政治的にどうだということで、経済的なこういった見通しもなしにやるということはできないと考えられるわけでございますが、償還確実という規定がございませんので、担保等についてはかなり弾力的な運用ができる、かように考えております。
  107. 始関伊平

    始関委員 今度の質問は大臣からお答えをいただいた方がよろしいと思うのでございますが、この基金から出資資金などというものを貸し付ける場合におきまして、貸付条件というものが、今大堀局長の話のように、輸銀などの場合に比べてだいぶ緩和されておる、これは当然だと思います。そうでなければこういう特別の基金を作る意味がない、こんなふうに考えます。しかしながら貸付を受ける主体そのものは明確でなければならないと思うのであります。リスクに対して全然責任を負えないような、そういう主体であっては困るのでありまして、少なくとも第一次的な責任を負担し得る、そういう資格を持った借り手がまずできないと困ると思うのであります。よく戦時中にありました親方日の丸式の考え方で、海外経済協力というものをやっていくことは、私は適当でないと考えております。そこでこのような観点からしまして、たとえばウルシの場合、これは出資会社を作りますのは中小企業者といわれておるウルシ業者だと思うのでありますが、こういうウルシを使うウルシ業者というものが、そういう中小企業者が寄りまして何か出資会社というものを作る、こういうものに金を貸してやらぬと、一面この基金を作る趣旨に合わないわけでありますが、さればといってあまり貧弱な、たとえば資本金二千万円というような形では、私が申し上げたようないわゆる責任のある借り手としての資格を備えることはできないと思うのでありまして、ここに一つジレンマのようなものがある。こういう点についてどういうふうな指導方針を、主務官庁であられる企画庁はおとりになるかということを伺いたいのであります。それからたとえばスマトラ油田なんかの場合のお話を聞きますと、これまた先ほど私が申し上げたような、いわゆる責任のある主体の確立ということが問題となっておると思うのでありますが、こういうような現実の問題につきまして、私はここで具体的にいろいろ御説明を伺おうとは考えておらないのでありますが、今の借り手としての責任、条件というものをどう考えるかということは非常に大きな問題でありますので、長官から御答弁を願います。  それからスマトラ油田なんかは、場合によっては輸銀にたよれないような面もあるというようなこともいわれておると思うのでありまして、従いましてある場合には輸銀と今度の基金とが抱き合わせで融資をするということも考えられるのかと思いますが、この問題につきましてもちょっとお答えをいただきたいと思います。
  108. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話通り、親方日の丸で償還見込みのありませんようなものにも貸したりすることは、これはもうできないと思います。しかし中小企業者で一つの団体を作り、あるいは会社を作って、出資会社を作ってそしてそれが確実な信用のできる出資会社であるならばこれは融資をしても差しつかえない、こう考えておるので、今のウルシなどもその一例かと思います。そういうようなことで今中小企業者が、個人ではだめだが、団体を作って、あるいは会社を作ってやるというよう場合には、輸銀ではどうも貸せぬがというような場合には基金では貸してやるべきではないか、そういうようなことは具体的に基金ができてから、一つそういう責任者にいろいろ案を考えてもらいたい、こう存じておるのであります。
  109. 小平久雄

    ○小平(久)委員 ちょっと関連して。今の始関君の御質問に関連して、今度の基金輸銀との相違の点ですが、二十一条の関係で、特にこの第二号の関係になるかと思うのですが、輸銀の場合には償還確実ということが条件だ、この基金の場合には必ずしも償還確実でなくても、この内容が適切であればいいんだということのようですが、ちょっと考えると内容が適切だという以上は、これは償還も当然確実ということも含むような気がするんですね。しかしそれはしばらく別としても、こういう相違があるから、基金の場合には担保なども相当弾力的にやり得ると思うというような御説明があったわけですが、その弾力的という意味ですね、極端に言えば担保などがなくても貸す場合があるのか、それから外国でとにかく事業はやるのでしょうから、その事業にもよりますが、中には担保にとってみてもしようがないような事業があるんじゃないかと思うのですね。しかしまた担保の値打のある事業をやる場合もあるかもしれぬ。そういう場合に、いずれにしても外国でやる事業の権利あるいはその施設、いわゆる持ち込み担保といいますか、そういったようなこともこれは認めることになるのかどうか。さらにはせっかくこういう基金を作る大目的からして、ときには無担保でやる、また極端に言えばもう償還の見込みはほとんどない、しかし経済協力という点からいえばこれはやった方がいい、こういう判断をすればもう償還はあまり気にしないで貸す、あるいは投資する、そこまで踏み切って運営なさるのかどうか、これは一つ運営の根本ですから、どうですか、大臣。
  110. 大堀弘

    大堀政府委員 先ほどの御説明は後ほど申し上げますが、ただいまの点を先に申し上げますと、事業計画の内容が適切であり、その達成が確実であると認められる場合、この場合は当然償還も可能であるというふうに考えますが、問題は担保の問題について中小企業者あたりが出ていきます場合に、国内に相当大きな担保を持っておって、それを担保に提供して金を借りて現地へ行って事業をするということが可能でありますれば、これは一番よろしいわけであります、銀行業務といたしましては。しかしこちらはこちらで自分の事業があって、また向こうへ行ってやりたいという場合に、これを担保に提供することによって国内の仕事ができないという場合に、せっかくいい計画でありながら、できないということになっても困りますので、そういう場合に宇美の内容が適切で達成確実であれば担保は必ずしも一〇〇%物的担保を取らないでも、そのやる人の熱意なり信用なり、事業計画の内容なりを見て適切であれば貸し得るというのが、多少輸銀との違いに相なるわけでございまして、たとえば持ち込み担保といいます場合、現地で百万円の投資をして、持ち込み担保でございますとおそらく価値が六割くらいに相なるかと思いますけれども、それでも貸し得るということに考え方を作っておるわけでございます。この詳細につきましては、後にございます業務方法書によりまして、金利とか担保、条件等につきまして詳細な規定を、基金の総裁が実情に即して案を作っていただくということに相なる、かように考えております。  それから先ほどの協調融資の点につきましては輸銀と性格が違いますので、たとえば輸銀がある貸付の五割を持つ、これが四割を持つというふうな意味の協調融資になる場合はないと思いますけれども、ある開発事業について基金が運転資金その他金を貸し付けまして、それに対して一部プラントが日本から出ていきます場合に、そのプラントについて輸銀が延べ払いの金融をする、こういうふうな形で実際上は相協調して運営していくというふうになると考えております。
  111. 始関伊平

    始関委員 私の大臣にお尋ね申し上げましたのは、事業計画の達成が確実でなければいけませんが、たとえば極端なことを言えば、ウルシを使う業者が五百万の会社を作った。たとえば三十億なり五十億なり貸してくれといって、それで経済協力事業をやろうといったような場合に、その主体的な条件——議論すれば、主体的条件とその事業の達成が可能かどうかということと必ずしも関係がありと言えないかもしれませんが、やはり金融事業だから当然に直接の借り手になるものはどういうものであるかということが私は問題になると思うのですが、それは具体的な問題でございますので、先ほどのお話だと、基金ができてから相談してきめさせるとおっしゃるのだが、興味もあるし、重要な問題だと思いますので、その点あわせて御答弁をいただければしあわせだと思います。  それから大堀局長に今の点ですが、輸銀の方は機械設備に限られておりますね。ところが機械設備でないものあるいは土建事業の金だとか、そういうものをあわせて貸してやらなければならぬ場合がありますから、そういう意味一つ事業について輸銀とこの基金とが抱き合わせ、協調融資をする場合も起こってくるし、またそれをやって差しつかえないのじゃないか、こういうことなのです。
  112. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいま御指摘のように土建等の場合は、当然現地の労務者に対する費用等もございますから、開発事業に対する融資として基金から融資されることになると思いますが、その中にかりに発電設備なり製造設備、機械設備が入っておりまして、それが日本からの機械を持っていくということになりました場合には、輸銀がこれに対して延べ払いの金融をするということで、実質的な意味で協調ということをやって参って一向差しつかえないと思います。
  113. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいまの御質問の件ですが、先ほどから申し上げました通り親方日の丸式の考え方でやってもらっては困るのでありますが、しかしその事業自体が日本の国策上必要だ、その事業開発さした方が将来の日本の経済興隆の上に必要だというような場合は、多少の危険も見てこれは一つ育ててやるというようなことも必要じゃないか、こう思っております。
  114. 始関伊平

    始関委員 時間がないそうでございますから、私のお尋ねしたいことはまだだいぶあるのですけれども、あと一問でやめておきます。  これは冒頭にお尋ねしましたこの基金政府との関係でございますが、この基金政府の政策表裏一体の関係において運用されなければならない。これは私はある意味で当然だと思うのでありますが、これと同時に、この基金もやはり一つの金融機関であるから、そういう意味においての責任体制といいますか、あるいは自主性といいますか、こういうものが確立されなければいかぬ。これはやはりそこに一つの矛盾のある要請が二つあると思うのです。そこで私は端的にお尋ねをいたしますが、本基金関係各省の意向に反して貸し付ける、あるいは意向に反して貸し付けないということが当然私はできると思うのです。その点菅野長官はどういうふうにお考えか、これが一点であります。それから採算に乗らぬものを貸してやろうというわけですから、いわゆる政治的な圧力というものが相当ものを言い得る余地があるわけでありますけれども、これを排除しなければならぬと思いますが、この点いかがでありますか。これが第二点。それからもう一つ、こういう点に関連いたしまして、特に責任者たる総裁の人選というものが私はきわめて重要であると思う。言うことを聞かなければいかぬが、全部御無理ごもっともでも困るのでありまして、総裁の人選というものは非常にむずかしいと思うのでありますが、総裁の人選についての責任者としての菅野長官の御構想を伺いたいのであります。最後の点は、党の総務会で法案を審議いたしましたときにも、ちょっとうるさい問題になりましたので、特に明快なる御答弁をお願いいたします。
  115. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この基金の運用につきましては、やはり総裁の責任においてやってもらうのであります。しかし運営協議会というものがありまして、政府の局長級か次官級か、そこはまだ確定いたしておりませんが、それによって政府の意図を参考にしてもらって、総裁の一存で運用してもらうというつもりでいたしておるのであります。それから今のお話通り資金の運用につきましてはあまり政治的な意味を持ち過ぎても困るのでありまして、これはやはり二十一条の規定に従って、そうしてなお国策上ぜひ必要だというような観点からこの資金の運用ということを考えていかなければならぬ、こう考えておるのであります。それから総裁の選任につきましては、今のところ私自身は何ら考えておりませんでこの法案が通過いたしますれば、そのときに各大臣と相談の上で総裁の選任ということに取りかかりたい、こう考えておる次第であります。
  116. 始関伊平

    始関委員 最後にもう一つ簡単に伺いますが、この基金の業務の範囲に入るかどうかという問題ですが、たとえば肥料工場なんかのプラント輸出の場合に、輸銀でやってもらうのは当然ですが、これが現地側の希望で、たとえば技術的な責任を日本側で持ってもらいたい、そういうような意味合いで機械設備などの輸出代金の一部を出資に振りかえてもらいたいというような場合がしばしばあるようでありますが、こういう場合には、これは基金の業務範囲に私は入ると思うのですが、いかがですか。
  117. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいまお尋ねの点は現実の問題としてあるわけでございますが、なおわれわれとしては具体的な事例について検討いたしたいと思いますが、建前といたしましては、やはり一部投資が必要だ、その投資によって開発事業が成り立つ、それに伴ってまた日本プラントが出ていくというようになります場合、開発事業として日本援助することが適当であるという意味が入っておりますれば、やはり対象にはなると考えております。
  118. 中村幸八

    中村委員長 次は北條秀一君。
  119. 北條秀一

    ○北條委員 この法律及びその構想について四、五点私は伺いたいと思います。  第一点は、菅野さんでなしに行政当局からお答え願いたいと思います。非常に小さなことで恐縮でありますが、用語の点についてであります。後にこれは大事になってくると思いますので、特にお聞きするのでありますが、第七条に「者」という字が使ってあります。同時に三十九条にもそれがございます。前者の七条のときの「者」は、私は自然人でもなければ法人でもないと思うのですが、三十九条の場合の「者」は確かに法人か自然人だと思うのです。この使い分けはどうなっているか伺いたい。  それから三十四条の検査ですが、「立ち入り」という言葉を使っております。この「立ち入り」という言葉は、最近政府は悪い傾向がございまして、火薬類取締法の一部を改正する法律案でも、商工会法案でも立ち入りという言葉をたくさん使っております。社会党ばりに言いますと、政府は時代逆行反動政策だ、こういうことが言えると思うのです。法律というものは必要最小限度の表現をするのが建前だと思うので、書かなくてもいいものは書かないで、こういう字はとった方がいいと思うのです。  それから附則の第三条にございます「命じて」という言葉は任命とどういうふうに違うのかということ、もう一つは附則第二条の二項、監事となるべき者を事前に任命すると書いてありますが、その際に監事は一体何をするのかということ、総裁の任務はわかりますが、監事は何も事前に指名する必要はないと思うのです。
  120. 大堀弘

    大堀政府委員 お答え申し上げます。  最初の七条の「基金でない者は」、の「者」の点と三十九条の「者」、これは七条を受けたもので、私どもは両方同じもので自然人も法人も含んでいるというふうに解釈いたしております。これはアジア経済研究所その他最近の法令も、こういう通常の一般の用法になっておりますので、それによって書いているわけでございます。  附則の三条の「命じて、」と書いてございますのは任命するという意味でございます。この点もやはりアジア経済研究所あるいは電源開発会社等の普通の立法例の用語によりまして書いているわけでございます。  三十四条の「立ち入り」の点でございますが、これは政府出資の特殊法人等について、やはり一般的にある規定でございますが、御指摘のようにこういう規定を使います場合は通常の場合を予想いたしておりませんで、政府出資基金でございますから、万一の場合に必要がありますれば、強制的に立ち入り検査ができるという規定を置いているだけでございまして通常の場合は話し合いで十分事が達成すると考えているわけでございます。これも一般の立法例によりまして特殊な場合に発動し得るという規定でございますので御了承いただきたいと思います。  それから監事もやはり設立のときから総裁と同時に任命されたものとなるという形になっておりまして、やはり監事の仕事は法人設立のときから同時に必要になる、こういうことです。事前に指名いたしますが、基金の設立のときにおいて監事に任命されたものとなり、そこでいよいよ具体的に監事としての働きをする、こういうことになるわけであります。
  121. 北條秀一

    ○北條委員 重ねてそれはお聞きしないつもりでありましたが、監事は、経済企画庁の長官が設立については、委員が何人になるか知りませんが、十分所管大臣としてめんどうを見られるわけでありますから、監事なんというものを事前に指名しておく必要は毛頭ないと私は思うのです。前にありました国内旅客船公団ですか、あれにもこういうふうな規定をやっておりますが、どうも私は、先ほど言いましたように、法律というものは必要最小限度のものをきめるのが、建前であると思うのです。よけいなものをごてごてくっつけるから法律というものはわからなくなるので、こんなものはもうやめたらどうか。監事を事前にきめて、これが何の仕事をするのか、どういう責任を持つのかということを聞きたいのです。何も仕事はないでしょう。どうでしょうか、その点は。
  122. 大堀弘

    大堀政府委員 設立の事前には監事の任務は何もございません。設立以後に発生するわけでございます。
  123. 北條秀一

    ○北條委員 ついでにもう一つ。設立委員というものは何人になるのですか。
  124. 大堀弘

    大堀政府委員 法律上は人数はきめておりませんが、一般の例によりまして関係各省の次官その他学識経験者を入れて任命されることになると思うのでございます。
  125. 北條秀一

    ○北條委員 菅野さんにお伺いいたします。私は第一にお聞きしたいのは、昭和三十二年に岸さんがアメリカに行かれましてお帰りになってそして例の東南アジア開発協力基金という構想を出された。たしか七月の一日に岸さんがお帰りになって二日の朝、私は岸さんのところへ私の案を持っていった。その当時引揚者給付金等支給法というのが成立しまして、五百億でありますから、そのうちの百億をこういうふうにして出したらどうかという進言をいたしましたら、岸さんは喜ばれてそれはやりたい、百億でなくとも五十億でもやりたいと言うので、私も大いに岸さんに協力をしてやろうと思ったのですが、その後満二年間というものは全く着手されないのですね。当時は東南アジア開発協力基金であったのですが、今度は名を海外経済協力基金と変えてこられた。私ははたして現在の内閣はほんとうに本腰を入れてやるつもりなのかどうか、非常に疑問に思うのです。午前中かなり質問があったかと思いますので、私はつべこべ言いませんが、ほんとうに本腰を入れてやるつもりなのかどうか、この点をまず聞きたい。
  126. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 三十三年度の予算に経済基盤強化法によって東南アジア開発協力基金というものを設けることにしたのは、これはまた北條委員の岸首相に対する御示唆によって、こういうことができたのじゃないかと私は想像しておるのですが、その後二年間というものは実は遊んでおったようなことであるし、これはわれわれ大いに遺憾に思いまして、もう昨年の暮れごろから、一つこれを活用することをこの際政府として考えようじゃないかということが閣議に持ち上がりまして、岸総理もこの際これをはっきりこの金を使うということをきめようと提案されて、そしてその世話役を経済企画庁でやってくれという岸総理からのお話で、私の方でこの仕事は世話さしてもらうことに相なったのであります。でありますからして、今度は本気で政府はやるつもりでおりますし、私もこれを引き受ける以上は、私自身も、どうしてもこの東南アジア開発は、この際日本が乗り出さなければならぬという信念を持っておりますので、一つ今度は本気でやりたい、こう考えております。
  127. 北條秀一

    ○北條委員 その次にお聞きしたいのでありますが、最近政府は非常に悪い傾向があると思うのです。というのは、何でもかんでも特殊法人にしようとしている。先般問題になりましたアジア経済研究所でも、やはり特殊法人にする、今度もまた特殊法人にする、なぜ特殊法人にするかということについて私はよくわからないのです。まあそんたくいたしますと、特殊法人にすることによって、政府は責任を回避するというふうな考えがあるのではないか。それからもう一つは、行政機構の簡素化ということが、今日まで一貫した一つの国会の考え方でありますが、そういうことがあるので、こういう特殊法人という形に逃げているというふうにも考えられるのであります。  もう一つ私が言えるのは、こういうものは、特殊法人にしなくて、政府そのものが責任を持って、金を出すか出さぬかということは、これは事務ですから輸出入銀行でやってもどこでやってもよろしいと思うのです。従って政府は、何ゆえにこういうものを好んで、政府みずからが本来やるべきことを特殊法人によってやるか、こういうことなんです。私は結論としては、こういうことは政府そのものが直接やっていいのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この点どうですか。
  128. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私は北條委員とは多少意見を異にするのでありまして、アジア経済研究所は別ですが、海外経済協力基金は、政府の持っている機能と民間人の持っている機能とを合わせてやることが一番いいのじゃないかという考え方をしておるのであります。政府機関としてやりますと、いろいろ拘束、制限がありまして、十二分に活動ができないといううらみがあると私は思います。でありますから、こういうような特殊法人にしておきまして、民間人の優秀な人に総裁になってもらって、その人の手腕を大いに発揮してもらうということで、民間人の機能と政府の機能と合わせて活用するような制度をとった方がいいということで、こういうような基金を設けることにいたしたのであります。
  129. 北條秀一

    ○北條委員 ごもっとものように見えますけれども、総裁一人、理事二人、それから監事一人ですが、それだけの役員を任命される。しかも業務方法書であるとかあるいは協議であるとかなんとか、がんじがらめなんですね。民間の人の知識経験を十分に生かすと言われるのでありますけれども、私はそうでないと思うのです。たとえば今あります国鉄にいたしましても電電公社にしても、簡単に言いますと、いずれも手足を縛っちゃって、さあお前これで走れというふうな傾向になっておるのですね。今度も私はそうだと思うのです。なるほどおっしゃるところはいかにももっともらしいけれども、ところが実はそうはいかない。これは、やったところで結局総裁を作ったり理事を任命して、その人件費を出すくらいが関の山だというふうに私は考えておるのです。この点はあなたと私とは平行線ですから、別にそれ以上追及をいたしません。  その次にお聞きしますが、先ほど局長からお話がありまして、この基金そのものが海外の調査をするというふうに言われたと思うのでありますが、はたしてそうなのか。そうなるとアジア経済研究所という特殊法人が、先日衆議院を通って、やがて参議院も通るでございましょうが、そこはあれだけの金を使って調査するのですね。今度こちらでまた調査するというのは、一体どういうことになるのか。結論としてはアジア経済研究所というものをお使いになるつもりかつもりでないのか、その点はどうなんですか。
  130. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この基金調査開発事業に関連しての調査でありますから、この基金資金の運営について、はたしてこれが有望な資金投資先であるかどうかということを調査するのであります。アジア経済研究所はアジア経済一般の総合的な研究をするのであります。でありますから、この調査の行き方が違うと思います。しかしこの基金の方では、アジア経済研究所が調査したものも、また大いに活用させてもらわなければならぬこともあると思いますから、全然行き方は違いますけれども、基金といたしましてのアジア経済研究所の調査研究の利用を、われわれも大いに期待いたしておるのであります。
  131. 北條秀一

    ○北條委員 だいぶ前でありますが、新聞によると対外経済協力審議会というものを、今度政府は作るのだということでございましたが、それは事実なのかどうか、もしお作りになるとすればその構想についてお伺いしたい。
  132. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 今のお話の対外経済協力審議会は、内閣委員会の方で審議されまして、先般衆議院を通過したはずだと思います。これは大所高所から海外経済協力について政府の根本方針をきめるところでありまして、従いまして、その審議会においてきめられた方針によって、この基金がまた運用されるということもあり得ることだと考えております。
  133. 北條秀一

    ○北條委員 片方にアジア経済研究所があり、こっちの方に審議会があり、そしてあなたが一切見ておられて、関係大臣が寄ってたかってやっておって、さらに各関係官庁の次官が十五人集まってやって、まるで何を一体みんな寄ってたかってやるのかよくわからないのです。私はもっとすっきりしたものをやったらどうかというふうに考えるわけであります。結局どうもこういうことによって、冒頭に言いましたが、政府は国会における攻撃を避けていこうと、こういうように私には見えるのです。ですから私は、先ほどあなたが本腰を入れてやるんだとおっしゃるなら、こういうものを作ってよろしいと思う。よろしいから、本腰を入れるならそういったものを全部大局的に整理して、もっと筋の通った、海外協力をやるというふうな体制を早急に打ち立てられますように、この際強く要望したいと思います。
  134. 小平久雄

    ○小平(久)委員 関連。時間もありませんから、私は数点一挙にお尋ねしますから御答弁願います。  まず第一点は、今回設けられる協力基金ですね、こういった一国だけでやる協力機関、特に資金的な協力機関というものが外国にも例があるのか。世銀とか第二世銀とかいろいろあるようですが、一国だけでやるのじゃないでしょうから、外国には一体本法できめるような例があるのかどうかという点が第一点。もしあれば、その内容等のあらましを御説明願いたいと思います。  それから、第二点は資金関係ですが、当初たな上げになっておる五十億と従来の運用資金ですか、金利と合わせて五十数億で発足するということですが、これは先ほどもお話ありました通り、たまたま三十三年度の余裕財源でたな上げしておったものを活用するというのですが、見ようによっては消極的な財源ですね。ところがせっかくこういうものを作るのに、わずか五十億ばかりの基金で終わったんでは、それこそ絵に書いたもちということになってしまう。今後一体どういうふうにして増加していく計画があるのか、政府の決心というか、それを一つお聞かせ願いたい。  なおそれと関連して、大体こういった仕組みのものができるときには、資金が足らぬ場合には借入金などもできるといったような規定が、大体の慣例のようになっていますが、これは貸し出しなりあるいは投資なりの性格上、借り入れは認めない、事実上できないという見込みで規定がないのかどうか知りませんが、資金計画などを出して局長、長官の認可を受けるようになっていますが、借り入れ等のことにつきましては何らの規定がないようですけれども、これはどういう運用になるのか。これが第三点。  それから第四点は、二十条と関連するのですが、いわゆる開発事業というものの定義がここにうたってあるのですが、「東南アジア等地域の産業の開発に寄与し、かつ、本邦との経済交流を促進するため緊要と認められる事業」これが開発事業だと言っている。ここを「かつ」という字で結んでおるわけですが、従来東南アジア開発協力するという考え方ですね。それは必ずしもそれが直接本邦との経済交流の促進に寄与しなくとも、東南アジア諸国の一般の産業のレベルが上がる、あるいは生活のレベルが上がる、そのことによって間接的にはわが国にも裨益するだろう、そういうむしろ広い意味において東南アジアとの経済協力というか、大体観念がそうであったと思う。これが今度の法案からいうと、非常に狭く直接的に本邦との経済交流を促進するのだ、それでなければ今度の基金事業対象にはならぬ、こういうふうに受け取れるのですが、そういうふうにとってよろしいのか。つまり一般的なレベル・アップのために、東南アジアの産業なり生活のレベル・アップのために必要な事業、そういう場合にはこの基金は活用できないのかどうかという点、これが第四点であります。  第五点は、第二十四条との関係ですが、「一般の金融機関競争してはならない。」という特に断わり書きがありますが、これはどういう必要からこういうことが書かれたのかという点。先ほど来御説明のような、本基金事業内容からすれば、一般金融機関競争などは当然なかろうと思うが、特にこういう断わり書きをしたのはどういう理由なのか。時間がありませんから、一応、以上申し上げた点を御説明願います。
  135. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 第一点のお尋ねでございますが、アメリカに大統領基金、海外貸付基金DLFというのがあります。ちょうど今度の海外経済協力基金と同じような性格を持っておるものであります。  それから、お話通り五十億円では、もちろんわれわれも今後の発展においては足らないと思っておりますが、今まで五十億円眠っておったのを生かしていくものでありまして、これを一つスタートにして、今後の業務の発展によって資金をもっと増したい、こう考えております。  それから、なるほど現在では借入金ということを考えておりませんが、将来事業が発展すれば借入金の問題も起こってくるのじゃないか。またそのときにはそのときで、そういう規定を設けなければならぬのじゃないかということを、われわれ考えておるのであります。今後の基金の発展を見て検討したい、こう考えております。  それから、二十条の第一号にありましたことは、今お話通り直接的に本邦との経済交流を促進するためという意味ではありません。もっと広く解釈しておるのでありまして、やはりこれは投資であります。投資をする場合の長期的な考え方をしておりますので、直接的に日本との経済交流を促進するのでなくとも、将来十年あるいは十五年先において経済交流を促進するというようなものであれば、当然この中には含まれている、こう考えておるのでありますからして、これはわれわれは広く解釈をいたしておるのであります。  それから二十四条、これは一般の金融機関の補完機関でありますので、そこで競合しないようにうたってあるのであって、一般金融機関がやっておる以外の仕事をやるのだということを、ここではっきりうたっておるわけであります。
  136. 中村幸八

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後二時五十一分散会