運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-09 第34回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月九日(水曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君       江崎 真澄君    岡本  茂君       始関 伊平君    田中 榮一君       田中 龍夫君    細田 義安君       渡邊 本治君    板川 正吾君       勝澤 芳雄君    小林 正美君       東海林 稔君    多賀谷真稔君       堂森 芳夫君    八木  昇君       和田 博雄君    加藤 鐐造君       北條 秀一君    山下 榮二君  出席政府委員         通商産業政務次         官       原田  憲君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         通商産業事務官         (石炭局長)  樋詰 誠明君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      小室 恒夫君  委員外出席者         参  考  人         (財団法人アジ         ア経済研究所所         長)      東畑 精一君         参  考  人         (日本石炭協会         会長)     石松 正鐵君         参  考  人         (電気事業連合         会副会長)   松根 宗一君         参  考  人         (日本炭鉱労働         組合事務局長) 古賀  定君         参  考  人         (全国石炭鉱業         労働組合中央執         行委員)    森   誠君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月九日  委員櫻井奎夫君辞任につき、その補欠として多  賀谷真稔君が議長指名委員に選任された。 同日  委員賀谷真稔辞任につき、その補欠として  櫻井奎夫君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  連合審査会開会に関する件  アジア経済研究所法案内閣提出第八四号)  重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第八一号)      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  アジア経済研究所法案を議題とし、審査を進めます。  お諮りいたします。本日は特に本案審査のため、参考人として財団法人アジア経済研究所所長東畑精一君より意見を聴取いたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際、東畑参考人に一言ごあいさつを申し上げます。本日はきわめて御多忙中のところ、当委員会要望をいれて御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本案に対し、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  それでは、財団法人アジア経済研究所所長東畑精一君。
  4. 東畑精一

    東畑参考人 今委員長から御紹介をこうむりました財団法人アジア経済研究所長東畑でございます。きょうは御多忙中、われわれの法案のために委員会を開催していただきまして、こちらの気持を率直に述べる機会を得ましたのを大へん喜んでおります。  アジア経済研究所は一昨年十二月に財団法人として成立したのでありますが、成立の経緯につきましては、比較的簡単だと私は思っております。それは、特に日本アジア諸国その他との交渉がだんだん増して参りました。ところが、学界の方におきましては、従来専門的にそれを研究するというのが、比較的、歴史をやっておる人にはございましたのですが、現在の問題につきましては、専門家が非常に少ない。ですから、この際特別にアジア問題を研究するということは大事じゃないかという声が——よほど久しい以前からございましたが、たまたま一昨年でありましたか、約二十名ばかりの学界方々が、たびたびお寄り下さいまして、当時の内閣総理大臣に向かって、研究所を設置していただくよう要望書を提出いたしたことがございました。なお、財界の方でも、貿易その他経済関係がだんだん密接になってくる、加えるに賠償も実施していくということになりますと、一そうその関係がふえてくる。ところが、必ずしも東南アジアの事情は手にとるがごとくわかりませんので、やはり研究する必要があるのではないかという声が非常に強かったと思うのです。そういうことで、いろいろ経緯があったと了解いたしておりますが、政府がその趣旨をとったというわけで、アジア経済研究所を作るために若干の補助金を出す、こういう形で、一昨年の十二月に設立されたのでございます。ところが昨年、つまり三十四年度の予算において、もう少し規模を拡大するということになりまして、改組が行なわれるようになりました。それで、昨年の六月一日に一ぺん全部解消いたしまして、あらためて拡大された規模においてやる、こういうことで、小林中さんが会長になり、私が所長に就任いたしまして、自来約八カ月になりますが、今日まで一生懸命やっているのであります。ところが、この研究所を設立するにつきまして、外部協力をうんと得るということは、もちろん大事なことでありますが、内部スタッフにりっぱな人間を集めたい、専門家を作っていくということがより大事なことだと思っています。実は若干のいい男に当たってみますと、一体研究所というのはいつまで続くのですか、と言うのです。もちろん長く続くようにしなければなりませんという話をするのですが、どうもいい人が来るのには、持続するということが一番大事なことではないかと思います。そういうためには、私もいろいろ頭を練りましたのですが、何らかの形において、最低限度、ある程度規模のものが永続するということでなければ、結局人間を集めることができないということもわかりました。いかなる形において永続するかということは、これはなかなか万人に保証を与えることはできませんけれども、まず補助金でやっていくということになりまして、時の政府の気分によって、ああいうものはよしておけということになってくると、——そんなこともないと思いますが、それではどうもいい人を集めることはできないと考えまして、やはり特殊法人という形にしていただき、少なくとも持続するという形をとっていただいたならば、これは人材を集めることができるというので、そういう了解も得たわけであります。それで人を集めさせまして、今日に至っております。経緯といたしましてはそういうわけであります。  仕事といたしましては、幾つかの部門に分かれておりますが、一つは、言うまでもなく研究でございます。研究につきましては、若い人を集めたばかりでありますから、内部スタッフがそれほど強力ではない。よその強力な人に研究所に入っていただくわけにもなかなかいかないということになりまして、一方において内部スタッフを養成しつつ、他面におきまして外部の方にいろいろと御協力を願いたい、こういう手はずにいたしております。それで、現在二十の研究グループを作っていただき、それにいろいろの問題についての御研究を願っております。それから、研究グループとしてではなしに、各地研究所あるいは大学、あるいは民間アジアの問題について、現在まで権威と目されている方々にそれぞれ適切な問題を委託調査をお願いいたすことにしておりまして、大きいのが約十項目、個人的のが二十項目、その研究を今お願いいたしております。こういう形で、内部的に漸次能力をつけつつ外部の援助をこいねがいたい。でき得べくんば、アジア経済研究所の一員になることはできぬでも、問題の重要性をお感じになっており、かつ、それをこなせる日本中の全部の方に御協力を願って、研究所の成果をあげたい、こういう希望を持っております。  もう一つ重要なのは資料でありますが、信用できる図書及び現地新聞雑誌をできる限り集めたい。これは単に研究所自身図書として必要なのみならず、公開をいたしまして個人の御利用にまかしたい、こう思っております。現在までに約六、七百万円買いましたが、まだ一万点にはなっていないと思います。毎日のように多数の書物が入って参っております。ことに新聞雑誌で信頼のできるものが約三百点くらい参っております。これを整理いたしまして御供覧願いたい、こう思っております。でき得べくんば将来この整理の仕方をもっとこまかくいたしまして、たとえばインドネシアの工業なら工業についてはどうだ、こういう分類もして、現実の必要に応じたような資料の提供をいたしたいと思っておりますが、残念ながら今日のところそこまではいっておりません。資料につきまして、値段も高く日本にそうたくさん必要ではない、どこかに一部そろっていればよい、こういうものの購入は、国会とかその他の図書館と連絡をとりましてむだのないように、実は努力をいたしております。  もう一つ、われわれとしましては出版という問題があります。出版につきましては、これは実は研究を始めまして済んでからの出版になりますので、一年くらいずつどうしてもずれができて参ります。三十三年度、と申しますのは、十二月に開かれたわけでありまして、現実調査をする人が現地に行きましたのが三月になってからで、その報告が出ましたのが大体去年の夏ごろであります。その整理をいたしておりますので、本日までに一冊でもせめて間に合わせようと思っておりましたが、あるいは一週間くらいおくれるかと思いますが、出版書が、第一号が来週中にはおそらく出る。これは一年おくれになっておりますので、三十四年度は急に拡大いたしましたので、実は非常に膨大な報告書が出てくると思っております。たしか予算的に考えますと、四百字詰めの原稿紙で二万枚ぐらいの報告書の予定になっておりますが、もう少し時期を待っていただきたいと思っております。  その他につきましてなお申し上げたい点が一、二ございますが、それは実はこの研究所運営するにつきまして、何といいましても、今までわれわれ特にそうでございましたですが、イギリス人とかフランス人とかドイツ人研究を通じて、実は東洋諸国を見ておったわけでありますが、やはり日本人の眼で東洋を見たい、それにはどうしても語学の必要があるというわけでありまして、昨年採用いたしました十名ばかりの人には、三カ月にわたりまして八月から十二月にかけて各地語学——七ヵ国語でありますが、やらしました。この語学をやった人を実は今度あらためて留学生といたしまして東亜諸国へ派遣することになっておりまして、この三月中にはその人たちが一年ないし二年間の期間をもちまして、諸国へ行くことになっております。  もう一つは、先ほど申しました、外部の人が中心になって内部の者も加わっておりますこの二十の委員会でありますが、その委員会の中で、これはみな国内における研究でありますが、なお国内における研究で十分確かめ得ない、こういうことにつきましては、それぞれ二カ月余りの期間をもちまして現地へ派遣して問題を調査してくる、こういうことにいたしておりまして、若干名、半数近くの者がすでにこの二月に出発いたしました。三月中に残りの半数の人が出発いたす、こういうことにいたしております。実は三十五年度の予算が幸いにして通るようになりますと、現在五十二人の定員でやっておりますが、そのほかに在外研究員には、定員外といいますか、海外定員として十六名となっておりますが、もしことしの予算が通りますと、それに加うるに二十五名の増員をしていただく、こういうことになっております。  アウト・ラインとしてその程度でありますが、なお御質問に応じましてお答えいたします。
  5. 中村幸八

    中村委員長 以上で東畑参考人意見の陳述は終了いたしました。  委員より質疑の通告があります。順次これを許可いたします。田中武夫 君。
  6. 田中武夫

    田中(武)委員 東畑先生にちょっとお伺いしたいのですが、実はこのアジア経済研究所法案について、われわれ一番の焦点といいますか、問題点考えておりますのは、従来財団法人として民間調査研究をやっておられたのを、今度はそれを特殊法人としてやっていく。そこで、特殊法人としなければならないのかどうかという点と、もう一つは、特殊法人とすることによって、いわば国策としてアジア研究をやるのだ、こういうように相手方から受け取られる。そのことが、いわゆる調査相手方になるアジア諸国はどのような受け取り方をするか、こういうことを考えた場合、むしろ、やはり民間でやるという建前の従来の財団法人でいく方がいいのじゃないか、このように考えるわけなんですが、今の先生お話を承っておりますと、いい人を集めるためには持続性が必要である、そういう点から財団法人より特殊法人の方がいいのだ、こういうような御意見のようにも承ったわけなんですが、財団法人ならば持続性がないのでございましょうか、その点いかがでございましょうか。
  7. 東畑精一

    東畑参考人 お答えいたします。これは私としまして非常にありがたい質問でもございますし、同時に非常にお答えするのに苦しい質問でもあるのでございます。正直に私の気持を申しますと。と申しますのは、従来私もいろいろな財団法人関係研究機関その他に関与いたしましたのですが、どうも初めの二、三年は、財界といっていいか、金を出す人といっていいか、そういう方面景気がいいのですけれども、あとになってきますと、非常にだらける、というと悪いのですが、何となしに熱もなくなっていく。それでずるずるべったりになるということが実は多いのであります。それもあまり正直に申し上げて実は恐縮なのですが、そういう中で、人を初めから育てないならば、数年間その調子でやって、あとはだらしなくいく、これもいいでしょうけれども、よく考てみますと、これから人間を作っていくのに、どうしても五年とか十年とか絶対に続くということがないと、青年諸君が集まってこないのです。悪いのはたくさん来るのですけれどもいいのがこないのです。そういうことを考えて、一体どうしたら一番いいか。実は財団法人のときにも、政府から出ておる金が二年度ですが一億円あります。財界からは二千何百万円となっておりますが、大部分政府の金なのです。それで私は長続きするというただ一念考えつきましたのが特殊法人なのですが、特殊法人にすると、なかなか監督がうるさいからおよしなさい、こう言って忠告してくれた人もあるのでありますが、考え悩んだあげく、やはり社会保障みたいなもので、どうしても持続するということを選ぶと、財団法人よりは、特殊法人として日本政府に多少の義務——政府義務というと悪いかしれませんが、負ってもらう、保障を与えてもらう、こういう意味で実は特殊法人にしていただきたいということを、私からもお願いしたわけなんであります。  それにつきまして、国策として調査をするという誤解が起こりはしないかということですが、これもごもっともな御質問だと思いますし、私たちが一番常に心得ておる問題は、実はそれであります。その色彩について、世間にあるいは相手国に対して誤解を招くとなりますならば、これは非常に罪が深いことであります。研究所といたしましては、現に公にはアンダー・デベロップド・カントリー、低開発国という言葉は使うことは禁止しておりますし、現在留学生を出します諸国に対しまして、政府及び相手方研究所大学へこちらの状態も説明いたしまして、国策としてやるということでなしに、純然たる研究機関としてやる、こういう説明をいたしまして研究員の派遣はお願いいたしておりますが、全部今までのところ誤解というものはありませんで、喜んで迎えてやろう、向こうのスタッフに入れてやろうという返事をいただいております。しかし今のような誤解がないように、私は最後まで努力をいたしたい。事実また国策として政府がどうのこうのということは、今まで過去一年間足らずでありますが、一度もそういう思いをいたしたことはございません。今後もないと思います。
  8. 田中武夫

    田中(武)委員 民間財団法人として経済活動の一環として調査をする、こういうことだから、今先生が過去一年の間にそんなことはなかったということであっても、今度特殊法人ということになって、いわゆる国の機関じゃないが、国の機関に準ずる行動としてやるということになってくると、そこに相手方の受けるニュアンスも変わってくると思います。現にアジア諸国の中ではこのことに対して疑惑的な目でもって見ているところもありますし、また放送等についても、どうも反対のような放送をしておるということを聞いておりますが、そういうことであるならば財団法人のときの方が仕事がしやすいのじゃないかというように思います。今先生は将来もないと思う、こういうことですが、現にアジア諸国の一部で、そういう動きがあることに対しては、どういうようにお考えですか。
  9. 東畑精一

    東畑参考人 いやこれは私は、われわれの心得として極力努力しなければならないことだと思っておりますし、それから財団法人であるということにつきまして、かえって私はあまりに民間的要素が強くて、民間といいましてもいろんな注文が出てくるのですから、むしろわれわれが賛成な注文というのは大いにやりたいと思いますが、必ずしもそうでないという要素もあり得ると思うのです。今のところそういうことはございませんが、そういう意味では多少でも独立的になれる、自主的になれるというのには、持続する基礎がなければならぬということになってくる。これは御質問のように誤解されるかもしれませんが、他面におきまして腹をすえてそれをやるということになってきますと——一時の策でどうのこうのなんということは外国人は信用せぬ、というふうに考えておりまして、これは結果を見ていただくより仕方がないと思うのですが、私のつらで……。こういうように考えております。
  10. 田中武夫

    田中(武)委員 財団法人ということであるならば、今先生がおっしゃった、初めは景気がいいけれどもだんだんとしりつぼみになる例が多い、実際そういう面もあったかと思いますが、この資料によりますと、小林さんを会長にして先生所長となって、評議員の中には二百三十五の日本一流会社が名を連ねているわけです。そういうことであるなら、そんなに先生が言われるように、一、二年ははなやかだかあとしりつぼみになるということには必ずしもならぬのじゃなかろうかと思うので、今先生のおっしゃっておるように、ただ持続性の問題だけが特殊法人にするという理由であるならば、これはどうも財団法人という性格から来るものではなくて、それを運営する人たち心意気ではなかろうかと私は思うのです。そうするならば、今先生特別法人としてやった場合に、相手方がそういう疑惑を持つかもわからぬが、それに対しては努力をする、心意気を持って進むんだと言われたが、こういうことならば、その心意気をむしろ財団法人としての運営に持っていかれる方がいいんじゃないか、このように考えるのですが、どういうことですか。
  11. 東畑精一

    東畑参考人 お言葉に返すわけではございませんが、このたくさんの評議員にはまだずいぶん欠けているのがございまして、特に欠けておるのは、アジアに非常に関係の多い農業関係ですね。こういうところに入っていただきたいということになりまして、もっと実は拡大いたしたいと思っておりま す。と申しますのは、できる限り多数の人の協力を得たいと思うのであります。この運営によってやった力がいいというお話でありますが、それも一つのもっともな考えだと思うのですが、これは考えていただきますと、ここ全部に運営していくということは、私としましては——自身は過去の経歴から御存じのように、全然知りません。そういうわけでありますから、どうでしょうか。これは財界というものは全体としてはちゃんとしてあると思いますけれども、個々的にいったらこんな気ままなところはないと思います。そういう感じを実は持っており、ましてこれはきわめて正直な話であります。そこら一つお察しを願いたいと思います。
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 そこら一つということですから、その点はその程度にしておきましょう。  先ほど先生特殊法人にすればいわゆる政府からというか、官僚からの監督がきびしくなる、こういうことをお考えのようですが、事実この法案を見ましても、いろいろの面で監督とか検査とかいうような面が出てくるわけなんですが、そういうことであるならばやはり官僚統制が強化せられる、従ってアジア経済研究所運営といいますか、動き、あるいはその目的が、官僚統制によって動かされていく、すなわち政府意図によって動かされていく、こういうようになってきて、ほんとに先生のようないわゆる学究的な立場からおやりになろうというアジア研究がゆがめられるのではないか、政治意図によってゆがめられていく、ことに今日の日本の国際上における存在から見まして、国際的な意図によってゆがめられていく、そういうことがひいては世界の平和にも大きな影響を与えるというような結果にならないかということを心配するわけなんですが、そういうことについての御懸念はないでしょうか。
  13. 東畑精一

    東畑参考人 特殊法人になると監督がやかましくなるというお話でありますが、私はたとえばお金についてはやはり厳重に監督してもらった方がいい。どうしても民間補助金が主になっておりますので、こういうのは私の経験ではややもするというと多少だらしなくなる、こういうように思っております。つまり普通の官庁等におけるように、金については厳重に監督していただきたいと思っております。今の田中さんのお話でありますが、監督ということが、研究の内容について監督を受けるとか、指導を受けるとかいうふうにおとりを願うと、実は非常に困るのでありまして、そういうことは絶対ないと思います。また各省はずいぶん関係いたしておりますが、今までの経験ではそういった方面につきまして、どうのこうのというのは実は一つもありません。またそういうのが言えるようなものがあったら、よほど官僚としてけっこうではないかというくらいに実は思っております。これは私の経験を申し上げて恐縮でございますが、終戦直後、農林省で農業総合研究所というのができました。当時第一次吉田内閣でありましたが、和田博雄君が農林大臣としてそれを設立したのです。そのときに私は今のようなお話もいたしたことがありますが、まあ君思うようにやってみろ、ということでありまして、約九年九カ月やったのでありますが、私がこちらで主にやっておるということに対して官僚がどうのこうのと言ったことは、実は一度もありません。非常に気持よくその間をやりました。むしろこちらを援助してくれるといいますか、そういった経験をつまり持っておりまして、アジア経済研究所の場合も過去ずっとそうなんですが、われわれ一生懸命やっておるのに対して、口幅ったい話なんですが、内容的にどうのこうのという官僚諸君がおったら、私はむしろ歓迎いたします。この点は一つ御心配なさらないように願いたいと思います。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 先生はむしろ官僚の口ばしを入れることを歓迎する、こうおっしゃっておるので、何をか言わんやでありますが、たとえば本法の十三条では役員任命権通産大臣にあるわけです。先生は今、金の面では監督をきびしくした方がいい、しかし運営面まで云々せられるようなことはない、こう言われるのですが、役員任免権通産大臣が握るということ、役員の人事を握っておるということは、すなわち運営を握るということになろうと思うのです。この場合は、先生はそういうお考えかもしれませんが、やはり役員をかえることによって、自分たちの思うように動く人、そういうことを前提として人を選んでいくことによって、政府なり官僚の思うような方向へ動かしていく、こういうことになろうと思うのですが、役員任命とおっしゃるような運営の面ではどのようにお考えになりますか。
  15. 東畑精一

    東畑参考人 ちょっと役人が干渉することを歓迎するというふうにお聞き取りになりましたようですけれども、そんな気持はありません。一般全体で考えれば、会長所長及び監事は、通産大臣が任命する、だから都合のいい者を任命するということもあり得るわけだと思うのであります。しかし、われわれ大学におりましたが、みな文部大臣が任命するのですから、別にそれでどうのこうのというありがたみを感じたこともありません。これは結局人によりけりだと思うのです。通産大臣が変なやつを任命されたら、国会などでどんどんやられたらいいと思うのです。そういうふうにしていただけばいいと思う。私は実は法律のことはよくわかりませんが、法律的にはこういう形になるのじゃないですか。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 特殊法人になれば、今までの例を見ましても大体こういうことになっているわけです。だから特殊法人にしてこういう格好にすることがいけないということではなく、特殊法人にすることに問題がある、それはたとえばこういう問題も出てくる、こう申し上げておるわけなんです。それで、先生は案外楽観的におっしゃっておりますが、われわれが、政府が任命する各種の、たとえば審議会の委員等を見ました場合、あらかじめ政府意図することに賛成するような人、たとえば、例がちょっとおかしくなりますが、独禁法を改正しようと政府考えたら、カルテル友の会といわれるような独禁法改正賛成の人ばかりを集めて任命するわけなんです。現に今社会的な問題になっております競輪審議会のメンバーを見ましても、御承知のように、競輪に賛成する関係にある人ばかりを選んで、言いわけ的にただ二名ほど良心的な人を選んだにすぎない。こういう苦い経験をわれわれ持っております。従って一年や二年は問題はなかろうかと思いますが、やはりこれが伝家の宝刀となって動いて、かりに今の会長なり先生政府意図するようなことをやらないということになれば、首をはねてすりかえるというようなこともやりかねないと思う。そういうことを私は心配しておるわけです。  それから先生の立場からは、アジア研究するにあたっては、ほんとうに学究的な純粋な気持から研究する、こういうことになろうと思うのですが、現に二つの世界に分かれて冷たい流れが流れていることは現実の事実なんです。しかも、日本が今日置かれている国際的立場は言うまでもなく、ことに岸政府においてははっきりいたしております。そのような場合に、アジアにあってもやはり二つの流れに分かれておるわけです。その一方に対してどのような態度で臨むか、こういうことが問題になるのですが、先生は、アジア研究にあたって、そういう流れに対してはどのようなお考えで臨もうとしておられますか、あるいはそのことについて政府から何らかの干渉があった場合には、どういう考えで対処せられる考えでおられますか。
  17. 東畑精一

    東畑参考人 私は田中さんと多少初めに食い違いがあると思っておりますが、私の心持は法律でもって研究所を作ってしまいますと、政府に多少の義務がつく。むしろそういう義務がなしに——ちょっと政府の気に食わぬことが報告書に出てくると、あんなところはやめてしまえと言いかねまじきこともあり得ると思うのでありますが、そういうことのないように、実は法律的存在として国会で十分審議していただいて国会の監督を受けるということになれば、そんな気ままが言えないということが、特殊法人化ということの起こりになっておる。少くとも私自身はそうなっておると思います。  それから今のアジアの問題は非常に重要な問題で、私ども一研究者としてはその事情自身がなかなかきわめにくいと思っております。あくまで研究所としてやっていく、こういうことになりましょう。政府がそれに対してそれほどの何か言うということは一度もありませんし、おそらくあるまいと思いますが、研究所のいろいろな人たちが個人的にどうのこうのということは存じませんが、研究所自身として差別をする、冷ややかに現実を見る、こういうことが一番中心になっております。またそういう気持で今研究所全体はおると思っております。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 聞きたい点もたくさんあるのですが、時間がつかえておるのでやめたいと思いますが、最後に一言だけお伺いいたしたいと思います。アジア研究のために海外派遣といいますか、外遊といいますか、たくさん出ていくと思います。従来も出ていかれたと思うのですが、その出ていかれた人たちは、いわゆる学者とか専門家という人と役人、官僚とはどの程度になっておりますか。ますます役人が便乗して外遊をするということになりはしないか、私はこういうことも考えるわけですが、過去の実績及び今後のそういう海外派遣についてはどのような方針でありますか、それをお伺いしたいのです。実はきょう先生においで願ったのは、この法案に関連して、現在のアジア研究所の幹部の方々も、特殊法人の方に希望しておられるという政府答弁があったので、はたしてそうかということで御意見を聞いたのですが、私はまさか東畑先生のような方が官僚統制を歓迎せられるとは思っていなかったのですが、今お話を伺いまして先生のお考えはわかりました。その点だけをお伺いいたしたいと思います。
  19. 東畑精一

    東畑参考人 留学生の問題につきましては、三十四年度の話でございますが、一年ないし二年間というのが十六名になっております。十六名の留学生の中で、私たち昨年採用いたしました研究生が、約二百何十名かの中で十一名かと記憶いたしますが、採りました。この中で語学をやらせ、もう少し日本にいたいというものもおりまして、結局八名しか留学生として出すことができません。幸いにして予算も残り八名の留学生が出せるということになっておりますので、いろいろ苦労いたしまして研究しまして、結局大学関係の人に行っていただこうというので、一人は東京大学の助手をしておる人、もう一人は慶応大学大学院の学生でありましたが、助手の人、これは経済をやっております。早稲田大学の方もお願いしましたが、必ずしもうまくいきません、また次回に考えようということになっております。京都大学先生で助教授をしております人。大学関係ではその三人を選びまして、あとアジア問題につきまして、われわれずっと地図を描いてみますと、足りない、もっとやりたい、おまけに派遣できるというので、公務員を農林省、通産省、大蔵省それから経済企画庁、そこから五人選びまして、それぞれこちらの研究の初年度に始めます研究体制ですか、システム、そういうことを多少顧慮しまして、適地に派遣するということにいたしました。皆若い大学を出て数年という人でありました。これをとったから官僚がどうのこうのというのは、田中さんこらえていただきたいです。官僚というべき官僚になっておりませんし、われわれがどうのこうの、官僚を歓迎する、これだけは一つ私のつらを見て御容赦願いたい。
  20. 中村幸八

    中村委員長 次は北條秀一君。
  21. 北條秀一

    ○北條委員 本日は東畑先生わざわざお出向き願いまして貴重な時間をとりますことをお許し願いたいと存じます。承りますと、東畑先生は十一時三十分にお立ちにならなければならぬそうでありますし、まだ私のあとに松平さんがおりまので、私はごく短時間に東畑先生の御見解を承りたいと思います。  ただいま田中さんとのお話し合いで、東畑先生がどういうことを考えておるかということは、大体私どもわかったのでありますが、先生あるいはおぼろげながら御承知願っておるかと思いますが、私は満鉄の調査課におりましたし、東亜経済研究所にも関係しておりました。また中国大陸の例の興中公司という機関に席を置いておりました。さらにまた東亜各地域の調査研究に当たりましては、ほとんどこれは戦時中でありますが、そういう元締めをやっております。そういう過去の十数年の間の体験から申し上げるのでありますが、今日アジア地域は、日本にとりまして非常に重大な地域であることは言うまでもございません。ではその低開発国であるアジア諸地域に対して、世界の各国はどういう態度で臨んでおるかと申しますと、二大国でありますアメリカの態度はもとより、ソ連は最近フルシチョフが参りまして、いろいろと各地を回って経済協力を申し込み、その約束を締結されておるわけであります。そういう今日の状態において、日本がこれからアジア諸地域の低開発国といろいろと協力をし、それと関係を今後深めていかなければならぬのでありますが、その際にやり方として、ソ連の方式あるいはアメリカの方式と同じ方式で日本が対抗していくかというと、それではとても対抗できるはずはありません。それは今朝の東京新聞が低開発国に対する日本と諸外国との協力費用の統計を出しておりますが、とうてい日本の力関係からいっては問題にならないことは言うまでもないところであります。また先般私の友人がエチオピアに三年間行っておりまして、例のエチオピアの顧問団が帰って参りましたが、エチオピアの事情を見ましても、日本は少ししか行っていない。英、米、イタリアは何百人の人間を出しているということであります。そういう状態でありますので、やはり日本アジアの一員として血の通う方策をとっていくという考え方で調査をし、研究手段をとるということが絶対に必要ではないかというふうに私はかたく信ずるのであります。同時にまた、今東畑先生がおっしゃいましたように、東畑先生の人格と識見とその構想を生かしていくためには、どういう方法をとったら一番いいかというのが、これはよけいなことかもしれませんが、私の考えているところであります。そこで今田中さんの質問の中にいろいろ出ておりましたので、私は繰り返しませんが、要するところ今回これを特殊法人とされるということは、私の経験、以上申し上げました点からしまして、どうしてもそういうことはやっちゃいけないというふうに、私は確信するのであります。要するところ調査研究と申しますと、調査をする方と調査をされる方と両方のいわば呼吸が合っていかなければ調査できないと思う。ところが今東畑先生のところは調査される際に、五十何人のスタッフと、日本の在外公館あるいは商社の在外出張所あるいはまた諸外国が出しておりますいろいろな資料新聞あるいはラジオ、こういうものがあるわけでございますが、どうしても今先生がおっしゃいましたように、これからいよいよ真剣になって血の通う調査研究をするためには、やはり人をたくさん派遣しなければならない、ということになって参りますと、特殊法人という形では私どもの経験からいって、まずいというのが結論になって参ります。東畑先生の心配されますのは、そこでどうしたらいいかということでありますが、その対策について私はもっともっと考えていただきたいというふうに考えるのであります。これらのことは政治論でございますが、東畑先生は自分の視角からいろいろ考えられた結果、こういうところにおちが来たのだということでございますが、私の考えから言うと、もっと考え方があるのではないか、たとえばきょう参考人で来られました松根宗一さんがおられます。電気事業連合会の専務理事をされておりますが、あの電気事業連合会が電力研究所を持って、膨大な施設と膨大な予算を持って民間財団法人としてやっている。現にこういう方法がなきにしもあらずなんです。でありますから、対策をどうしたらいいかということが東畑先生の一番の悩みだとお聞きしておりますけれども、その対策についてはもっと別な考えをして、田中さんが言ったようにアジア諸国がほんとうに喜んで、もちろん東畑先生も喜んでやっておられると言われましたけれども、今後喜んで血の通う調査をしまた調査協力してくれ、そうしてお互いに経済を開発していこうじゃないかという態勢をとるために、私は国内のそういった研究所をどういう形で、どういうふうな財源でもってやったらいいか、その問題を解決すればいいのであって、先生特殊法人に結論を求められたのは、私は少し早まり過ぎてはいないかという気がしてならないのであります。そこで私は以上申し上げました点から——おしゃべりが少し多過ぎて恐縮でありますが、東畑先生にもう一度考えていただきたい。考えていただくといっても、今のお話では自分にはその余地がないということでございましょうから、それならそれで質問らしい質問をいたしますと、アジア経済研究所東畑先生の構想あるいは小林中さんの構想をフルにやるとすれば、どれだけの人員とどれだけの金がほしいのか、そういう点についてあなたの構想をこの際お聞かせ願えないかということです。特殊法人にするかしないかということは東畑先生を離れて、これは政治論として私は今後とも議論してきたいと考えておりますが、その点についてどうですか。
  22. 東畑精一

    東畑参考人 いろいろ御親切な御注意がありまして、これは重々心にとどめてやりたいと思います。  今の法人問題でございますが、いろいろ話し合ったのです。どうしてもそれがよくないというなら変える。しかし経験を積んでから考え直す、こういう意味で長い目で見ていただきたいと思っておりますが、今日のところ先ほどるる申し上げましたように、どうもこの形が一番いい、どうしてもこの形でうまくいかないときはあらためてまた政府にも申したいと思っておりますが、今はちっともそういう気はありません。  それから研究所としてどれだけの構想でやるかということでございますが、これはやはりどれだけの人間のめんどうを見るかということになってきます。私の研究所としましても小林会長が私に、一体どのくらいの規模に最後には持っていくのかという話であります。どうもこれに対して、率直に自信のある答えは残念ながらできません。何しろ現在研究しようと思っている国だけでも二十くらいあります。将来またもっと広げていくということになると世界の国の半分にもなってきます。そして一国に五人なら五人くらいのエキスパートを持ちたい、こうなってきますと研究専門家が二百人とかいうことになってくる、それに付属したいろいろな設備、事務、図書館となってきますと、あるいは倍ぐらいになると思います。そういうことを私はちょっと小林氏にも申したことがありますが、今自信あることにはなっておりません。ただいたずらに多くしていくとか予算をむやみにふやしたらよくできるかということになると、それは使い方が問題だと思います。かりに今のような理想形態を描きましても、まあ十年ですかな。私は、それもやれるかやれぬかは別といたしましても、まずじわじわふやしていき、能力に応じてやっていく、こういう気持でおります。その他あまり先のことは、今日もう法人問題で一生懸命になっておりますから……。
  23. 北條秀一

    ○北條委員 東畑先生の言われることはこういうふうに理解してよろしいですか、いろいろ構想を練ってやろうと考えておる、それを安心してやれるようにしてくれ、こういうことが御趣旨なんでしょうか。
  24. 東畑精一

    東畑参考人 まさに私の申したいことはあなたのおっしゃった通りであります。
  25. 中村幸八

    中村委員長 次は松平忠久君。
  26. 松平忠久

    ○松平委員 お忙しいところ恐縮ですが、若干御質問申したいと思います。今の質疑応答で大体お気持はわかりましたが、私当初伺っておったときは、東畑さんが引き受けられる心境というものは、あまり干渉がましいことではなくて、運営はおれにまかしてくれ、こういうことで引き受けられたということであります。それで今後とも、特殊法人になりましても、役員の任命、その他ございますが、その御心境をもってずっとやっていかれるのであるかどうか、これを伺いたいと思うのです。ということは、御承知のようにジェトロというものがございます。これが特殊法人のような格好になっておるのですが、最近ジェトロの運営を見ますと、かなり役人の古手が入り込んできているわけです。幹部のほとんど、理事というか、その下の部長というものがおりまして、幹部級のところに多分十五、六名入っていると思います。そうするとこれはもうきちきちでもって、ほかの人が行っても、杉さんが理事長をやっていますけれども、結局のところロボットじゃないかと思うので す。これじゃ私はうまくいかないと思う。先生大学、文部省等の御経験もあるだろうと思いますけれども、そういう前例もございますので、私はそれを心配しているわけです。  それからもう一つは、今の御答弁の中にも役人をいろいろ海外視察、調査に出すというお話がありましたが、お宅の方から取り寄せた資料を見ますと、一年間の調査をするものの中でこれが八人ばかりありますけれども、その八人の中で五人が役人だ、こういうことなんですね。それから短期に二カ月、三カ月現地に派遣するというのが二十六名ございますけれども、その中で役人が十二名ですが、大学先生は五名です。あと民間人というような格好になっております。どうもともするとこういうものに便乗して役人が海外へ行きたがる傾向があると思うのです。一体こういうことでいいのかどうか、役人以外には人材はないのか。イージー・ゴーイングでもって、リコメンドされると、それをついやってしまうのではないかと思いますが、八人のうち五人が関係各省の役人である。一年間の留学というのがそういうものだろうと思います。それから二、三カ月の視察が今言うように二十六名の中で十二名も役人である。こういうことは、ほかの人が見れば初めからどうもおかしい、こういうふうになると思うのですが、その辺はどういうふうにお感じですか。
  27. 東畑精一

    東畑参考人 ごもっともなお話だと思いますが、八名のうち五名というのは、十六名のうちで内部のが八名ありますから、五名役人を選んだのであります。先ほど申しましたのは若い男なんで、一々お会いしまして首実検してきめたのでありますが、私の気持は、役人には違いないかもしれませんけれども、もし御本人がそういう気持になってくれれば、この機会に私の方へ取り込みたいというので、所員候補というか、これはちょっと言いたくないことなのでありますが、そのくらいの気持でおりまして、やはり研究するのがおもしろいのだという人を実は選んだのであります。ですから形は役人には違いありませんけれども、現にどの省でありましたか、その省は別といたしまして、大部分は休職になりまして私のところの所員になるのです。そういう形になっておりますから、この点一つ誤解のないようにお願いいたします。  それから一体に役人が外国に行っている、外国へ行きたいのは役人に限らないのでありますが、それに別にどうのという——百二十人かの委員になっているのです。その中で、委員長という人だけはやかましく申しまして、だれにお願いするのかということをよく申しまして、あとの人選は全部委員長にまかしております。その中に役人も入っているでありましょうが、役人でも大学の講師をしておるとかなんとかいう人が多いと思いまして……。
  28. 松平忠久

    ○松平委員 そういう人じゃなくて、ほんとうの省の役人というのが多いのですよ。大学先生は少ないのです。
  29. 東畑精一

    東畑参考人 講師をしておるとか、いわゆる役人らしくない役人といいますか、私は一切こだわらないのです。役人であろうと代議士であろうと財界人であろうと、そのことについて適当だと思う人ならだれでもいい、こういう観念で通しております。ですから肩書きでどうのこうのとおっしゃっていただくことは、一つ私に免じて許していただきたい、これは私は自信を持ってそういたしております。
  30. 松平忠久

    ○松平委員 そういうお気持であるならば了といたします。  もう一つ伺いたいのは、アジアというと非常に地域が広いわけです。それで調査のプランと申しますか、どういうところから手をつけていくべきであるか、あるいはどこの国を重点に置くべきであるか、あるいはどういう産業についての調査を優先的あるいは重点的にやるというようなプランを持っておいでになるかということが第一。それと日本の東南アジアにおける経済協力ということとの結びつき、その点は政府と打ち合わせでもしてそういうふうにするのか、あるいは政府の東南アジアあるいは民間の東南アジアに対するいろんな意欲というものとは無関係に、調査だけは進めていくというのであるか、その点はどうですか。
  31. 東畑精一

    東畑参考人 研究所としてどういう問題を選ぶかということは、実は研究として非常に重要なことでございまして、私の方といたしましては約二十ヵ国くらいありますが、こういう国々において、単に日本関係ということだけでなしに、世界的な関係におきましても、あるいはその国の事情として持っている問題とかいうものは、おそらく三百くらいあると思います。そういう問題集を作りまして、そして、あなたは一体今日本として、どの問題か一番研究するのに大事であるかということを、これは数百カ所へ聞いております。ことしのも実は昨日出ましたが、あらためてそういう問題集を作りまして出しております。そして各政党の調査会に送るようになっております。二、三百になると思っておりますが、そういう問題の中でいろいろと皆さんの御意見を聞き、同時に——われわれの力でやれない問題はこれは仕方がありません。やれる問題というふうに合わせていって、それで問題を選択いたします。昨年のこの問題集というのは全部そういうあちこちから聞きまして、もちろん政府からも聞いております。そしてわれわれとして選択いたしたものであります。そういう形でやっておりまして、今どれを重点とするかということは、ちょっと人間の数が少ないものでありますから、希望を持ってもやれぬことがございます。それからまた人によりましては、こういうことはぜひやりたいのだという人もありまして、現にこういうのがあります。あのインドとの境のシッキムの研究なら幾らでもやるという非常に有能な人がおるのであります。しかしわれわれとしては、今シッキムをやることは少しぜいたくではないかと思って、こういう人はとらずに、民間にレザーブしてもらっておる、こういう状態でございますので、ちょっと重点を一言で言えとおっしゃられると困るのでありますが、集めてくる問題からいえば、どうしても日本と関連が多いものというふうになってくるのは、これは当然でございます。
  32. 松平忠久

    ○松平委員 それから次に、先ほど議論が出ましたが、各国の誤解を受けるおそれがある、ことに特殊法人ということで、国策の遂行の機関ではないか、過去の大東亜共栄圏のような考え方の一環が現われておるように思われるので、一つ運営の方法としては、国連との関係、国連の調査機関とかエカフェの関係、これらと関係をつけてやられることが非常に必要ではなかろうか。国連のいわば下請のようなことになっていくことが必要ではないか、私はこういう考え方を持っておるわけなんですが、コロンボ・プランの事務局とか、あるいはエカフェの事務局、並びに国連の調査関係機関とはどの程度協力をしていかれるつもりであるか、そのことをお伺いいたします。
  33. 東畑精一

    東畑参考人 現在特にアジア地域の研究機関研究所と目されるものが世界に百くらいありますですか、その百ばかりの研究所と現に連携をとりつつあります。
  34. 松平忠久

    ○松平委員 それから次に、アジアのこまかいことをこの前この委員会質問をいたしました。ですから、それは政府の事務当局からお聞きを願いたいと思うのですが、今までの財団法人時代の書いたものを見ますと、やはりむだがあるのではなかろうか、むだと申しますか、よけいなことをする傾向があるのではないかと思います。たとえば英文の定期刊行物を出すという計画もある。それは出さないであろうと思いますが、それは必要に応じて出すのはいいだろうと私は思うのだけれども、そういうようなものは、外国のための調査機関ではないのだからやる必要はないだろうと思うのですけれども、そういうのが計画の中に入っておる。あるいは日本の散逸した書籍を、持っていった国に対して返還を要求するとか、パンフレットを見ますと刺激的なようなことも書いてあるわけです。そういった行き方は、ますます誤解を受けるのではないかと思いますので、これは事務当局もやらない方がいいだろう、こういう結論になったわけです。そういう点で、今までのやり方を顧みられて、新たに出発する以上は、なるべく誤解を起こさないようにという心がけである、こういうことを先ほど承って安心しておるわけでありますが、最後に私が伺いたいのは、中国の関係です。あるいはソビエトの関係もあるのですが、それよりもむしろ中国の関係の方が重大ではなかろうかと思います。しかし中国の関係については、この研究所が人員を派遣することは現在の状況ではできない。そこで、中国の関係研究は、これはあと回しにするのだ、そういうようなお考えなんですか。あるいは、それとも来年度も計画があるようでありますけれども、ここは何か方法を設けて、中国の経済研究調査もやっていく、こういうことであるか、その点はどうですか。
  35. 東畑精一

    東畑参考人 あの英文のことは、実は二つございまして、一つは、日本の事情を書いたものを英文にするということを若干企画いたしております。ことに、日本の米作の技術的発展というものは、東亜諸国にも大いに参考になり、要求されておるものでありますから、これを一つ作ろうというので、現に東大の松尾教授にやっていただいておりますが、そういう意味の英文は出すということになっております。それから、それぞれの論文を——調査のアウト・ラインといいますか、サマリーは数ページのものになると思いますが、これはやはり学問社会の一つの常識になっておる問題である。その程度のことはやる。むだをするなとおっしゃることはごもっともであります。十分これは心得ます。  それから、中国の研究はできる限りやりたいというので、——しかし中へわれわれとして入ることができないと思いますから、香港にも今度若い内部の男が一人留学生として行きますし、それから京都大学の助教授の方が、これも香港に行っていただくことになっておりますが、中国の研究ということは極力やりたい、それから材料も極力集めたい、こういうふうに努力しております。
  36. 中村幸八

    中村委員長 他に御質疑はございませんか。——それでは、東畑参考人には貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。      ————◇—————
  37. 中村幸八

    中村委員長 お諮りいたします。本案につきまして外務委員会との連合審査会の開会を要望いたしておりますので、申し入れを受けました場合には、これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。      ————◇—————
  39. 中村幸八

    中村委員長 次に重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  お諮りいたします。本日は特に本案審査のため、参考人として日本石炭協会会長石松正鉄君、電気事業連合会副会長松根宗一君、日本炭鉱労働組合事務局長古賀定君、全国石炭鉱業労働組合中央執行委員森誠君、以上四名の方々より意見を聴取したいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中のところ、当委員会要望をいれ御出席いただき、まことにありがとうございました。本案に対し忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。ただ、時間の都合もありますので、最初に御意見をお述べ願いまする時間は、お一人大体十分程度に願い、後刻委員から質疑もあることと存じますので、そのとき十分お答え下さるようお願い申し上げます。  それでは、はなはだ勝手ながら、発言の順序は委員長に御一任願うことといたしまして、まず日本石炭協会会長石松参考人より御発言を願います。
  41. 石松正鐵

    ○石松参考人 私、石炭協会長の石松でございます。本日は重油ボイラー規制法に関しまして、石炭業界としての意見を述べさせていただく機会を得まして、ありがとうございました。  重油ボイラー規制法は、今日まで石炭需要の安定をはかる上に相当の効果があったと思っております。今、昭和三十二年度のボイラー用石炭、重油の使用量について見ますと、北海道、九州の産炭地は別といたしまして、本州中央部すなわち関東、東海、近畿におきまして、電力以外の一般産業のボイラーにおきまして、重油消費割合は、水管式が三二・八%、その他のボイラーで五二%を示し、重油ボイラー規制法に関心が深く、かつ設備の新設、改造が注目されやすいと思われる大規模工場、すなわち水管式ボイラーを多く使っておるのでありますが、そういう工場では三二・八%にとまっておるのに対しまして、小規模工場、すなわちその他ボイラーが多いのでありますが、そういう工場では五二%と大幅の比率を示し、大規模工場ではボイラーの重油使用が抑制されていることがうかがわれるのでございます。これは重油ボイラー規制法の効果と考えております。  従って、もし重油ボイラー規制法が廃止されるようなことでもありますれば、大々的に石炭使用から重油使用への転換が行なわれるであろうと思います。この転換数量は最低年間七百五十万トンという計算も出ております。こういう大きな需要の喪失があっては、石炭鉱業の今後立っていく基盤が失われることになるのであります。  こういうように重油ボイラー規制法が相当効果があった反面として、この法律の改正ないし廃止の要望も各産業から強く主張されたのでありますが、法律の廃止は、石炭鉱業に対する各界の御理解により、廃止ではなく、改正存続の方向にまとまってきたのでありますが、改正と申しましても、すこぶる多方面から改正の要望が出ておりまして、これらを全部取り入れますと、法律の廃止と変わりがないことになるわけでありまして、従って、改正点も、一、伝熱面積五十平米未満の小型ボイラーについての法律適用除外、二、期限三カ年延長後自然失効の二点にしぼられましたが、これはやむを得ない改正であると考えております。  なお、火力発電用ボイラーについては、完成が法律失効後であれば、着工は、当局の認定するものについては、法律施行中でも許されるものがあるように運用されることになると承っていますが、この運用に当たっては、次の点に十分御留意願いたいと思います。  すなわち、石炭の今後の需要を支える柱は、まず電力、次いで鉄鋼、この二業種でありまして、この両者の支援に待って初めて三十八年度五千五百万トンの出炭態勢も期待し得るのであります。この二本の柱が細くなるようなことがあれば石炭需給の安定という合理化基盤が失われることになるのであります。従って、火力発電ボイラーについて重油専焼設備の着工を認められるに当たっては、重油専焼設備が完成しても、電力用炭全体としては年々漸増するという限りにおいて、重油専焼設備の着工を認められるよう運用願いたいと思います。  要するに、改正法律政府原案は、今日の客観情勢よりして、やむを得ないものとは思いまするが、その運用に当たっては、石炭、需要の安定的増大という合理化の基盤を保つことができるよう、十分に考慮されんことを切望してやまないのでございます。  以上でございます。
  42. 中村幸八

    中村委員長 次は松根宗一君。
  43. 松根宗一

    ○松根参考人 私、御紹介いただきました電気事業連合会副会長の松根でございます。  このボイラー規制法の改正に関する表面に出ております問題は、直接電気事業の火力発電と実は関係がないやに見えるのでございますが、いろいろ行政指導その他によりまして、油の使い方についての政府のお考えもあるようでございますので、石炭をたくさん使っております電気事業の立場から、このボイラー規制法についての意見を申し述べさしていただきたいと思います。  電気事業の現在の需要の増加というものが、日本の経済成長につれまして、年々非常な増加をいたしておりますことは、もう御承知の通りだと思うのでございますが、この電力を供給いたします電源につきましては、御承知のように水力の地点がだんだん減って参りますこと、あるいは経済的に不利であるというような関係から、最近火力発電の進歩に伴いまして、だんだん火力の開発という問題が割合を大きく占めて参っております。大体ことしあたりの電力の発生源を比率で申し上げますと、大体水力が六、火力が四ぐらいになっておるかと存じますが、ここ数年後にはそれが逆になる。たとえば火力が六、水力が四になるというような態勢にあるのでございます。従いまして、この火力発電を何で起こすかという問題は電気業といたしましては非常に大きな問題であり、ことに電気業の料金というものが、御承知のように非常に低く押えられております関係から、何とか、それを値上げしないように——値上げいたしましても、これを極力小さくしたいという努力を今日までいたしてきておるのでございますが、この燃料の問題がコストの中に占めます割合は、大体現在、全体の電気の二割を占めております。従いまして、先刻申しましたように、水火の割合が逆転いたしますと、将来これが二割五分あるいは三割近くコストを占めるというような傾向にあるだけに、この燃料問題につきましては、電気業としましましては非常な関心といいますか、関心以上のものを持っておるわけなのでございます。従いまして、われわれの考えといたしましては、量の問題、経済性の問題、その両方から将来の電気業の燃料をどう考えるかということを長期にわたっていろいろ計画を立て、調査をいたしておるのでございます が、日本の従来火力発電は、百パーセント石炭にたよっておったのでございますが、日本の石炭の産出量、それに特に今問題になっております経済をくっつけますと、おのずからこれについて限界があるということが最近いろいろの委員会なり審査会で、ほぼはっきりして参りまして、たとえば、この間の通産省の石炭鉱業審議会等におきましても、大体三十八年度が五千万トンないし五千五百万トンというような見当がついて参っております。かりに五千五百万トンといたしましても、大まかに申し上げまして、おそらくその中に原料炭、粘結炭が千五百万トンくらいあるのじゃないかと思います。従いまして、たき料になりますものが四千万トンというようなことになります。このうち他の産業にも使いますので、おそらくフルに使いましても二千五百万トンくらいが限度じゃないか。それでは今どれくらい電力が石炭を使っているかと申し上げますと、三十四年度で九電力だけで約手二百万トン、ほかを入れますと、千三百万トン近い数字じゃないかと思いますが、これが、さっきのような、火力を重点に置いて開発して参りますと、年々非常に膨大になって参つりまして、おそらく三十八年、つまりこの石炭の合理化が完成しますころになりますと、九電力だけで千八百万トン、全体といたしましては二千万トン近い数字が使われるのじゃないかと思うのであります。そういたしますと、これは今後石炭の合理化によって、いかに石炭のコストが下がっていくかということにも関係いたしますが、大体日本の火力発電というものの石炭に依存する限度というものはおおよそこれも限界がきた。従いまして、われわれの方としては、あとをまず一番安い重油、次は、重油もこれから十年もたちますと、またどういうことになるか知れませんので、どうしても原子力発電というものに最後はよっていかなければいかぬ、かように考えておるわけでございます。従いまして、このボイラー規制法というような、各産業が消費しますエネルギーを、そのときの情勢に応じて最も経済なものでやっていくということは、特に電気事業のような公益事業につきましては、今のコストを低くするという意味からも望ましい。従って、このボイラー規制法というようなものについては、存続について実は反対の意見を従来持っておるのであります。今こういうふうな燃料が、技術革新と申しますか、エネルギーの変革と申しますか、そういういろいろなことからして優秀なものが出てくるということ。また重油に限りませず、天然ガスというようなものもだんだん出て参るというようなものを、やはり経済性、またその優秀性に応じて自由に選択しまして、そうして公益事業としての大事な使命を果たしていきたいというのは実は電気事業としては当然の念願だろうと思うのであります。  今、簡単に石炭と重油との値段を同じといたしまして、どれだけ違うかということを試算をいたしてみたのでございますが、大体一五%くらい石油の方が安いのでございます。従いまして五円の電気ができておりますと七十銭くらい安くなるというようなことに相なるわけでございます。なおその上に石炭をたきます発電所と、石油をたきます発電所とでは、約二割石油の方が金がかからない。これは、たとえば余分の貯炭場が要らないとか、あるいは石炭に要します運搬その他の節約ができますので、大体二割安くなるわけでございます。そういたしますと、これからわれわれが三十八年度までに、かりに三、四百万キロの発電所——火力発電所はもっと多いのですが、その中で三、四百万キロのものを専焼にするとしないとでは、建設費だけで約三、四百億の金の節約になるわけでございます。  これもこの際皆さんにお聞きおきいただきたいのは、年々電気事業は非常に金がかかりまして、一年に二千六、七百億の金を建設費として使っております。この金を調達いたしますのに実は非常な苦心をいたしておりまして、なかなか内地ではまかないかねるというので、このごろでは外国へ一つ借りにいこうという、外資の問題が御承知のように浮かび上がっております。かりに専焼にしたいものを残すといたしまして、一年に百億あるいは百五十億くらいの建設費の節約ができるのじゃないかと思います。それくらい資金の上においても非常な軽減をされるわけであります。  そういうことから考えまして、電気業といたしましては、なるべく早く優秀なエネルギーを使いたいという気持でおるのでありますが、かといって、それじゃ石炭は一トンも使わぬのかと申しますと、今私どもが申し上げております前提は、やはり従来ありますもの、またこれから三十八年度までに作っておりますもの、またその以降に作りますものも全部石油専焼でやろうといっておるのではないのであります。経済的に十分引き合います石炭がちょうだいできるならば、なるべく安定した内地の燃料を使い、またそれによって一国の雇用もよくなるということであるならば、できる限り内地の炭を使っていくことについては、やぶさかでないのでございます。ただ先ほど石松会長からもお話がございましたように、最近の石炭事業の合理化という問題につきましては、先年石炭合理化法ができましてからの経過を見ましても、なかなかうまくいっていない。今度はしっかりやるから一つ三年間延ばしてくれぬかというお話もございますが、率直に申し上げますと、はたしてこれでいけるだろうかということの信頼感が、これは単に電気業だけでなしに、一般的にあるのじゃないかと存ずるのであります。今後われわれといたしましても、急にこれを全部、いかに有利であるからといって、石油に切りかえようということは考えておりません。三十八年度までにもおそらく年々百万トンくらいはだんだんふえて参りましょうし、それ以後におきましても、いろいろ石炭界の方ではいっておられますが、これが急激に減るというようなことはないと思います。ただし今度の石炭合理化がうまく進みまして、言うがごとく石炭のコスト・ダウンができますという前提に立ってのお話なんでございまして、電気業といたしましては、できるならばなるべく石炭を使いたい、従いまして石炭のコスト・ダウンが一体どこまでできるのか、またそういう経済的な出炭がどれだけの量確保できるのか、これは一応調査はできておりますが、これは今後の実績に待たなければいけない、しかも三年間で合理化が実現するというのであれば、その間はこのボイラー規制法というものを延ばして御安心のいくようなことについて御協力申し上げることはやむを得ないじゃなかろうかということで、実は昨年来石炭業界の方とわれわれの方とでいろいろお話しまして、そういうことになったわけでございますが、そのときにもやはり三十八年度以降はボイラー規制法はやめるのだ、三年間でやめるのだといたしますと、三十八年度から動く発電所については専焼でいいじゃないか、しかもその間石炭も年々使うことがふえていくのだというようなことから、われわれもそれじゃ三年間に限ってこれを延ばすことに御協力申し上げようということに、両協会の話し合いがつきまして、各委員会等もそういう結論に相なったわけでございます。従いまして、石炭の合理化を進められることはこれが一番大事なことでございまして、ボイラー規制法によって石炭の合理化が決して完成するものではない、そのつまみたいなものでありまして、主たる方を一つしっかりやっていただくことが、電気業界としてほんとうに心から願っておるわけでございます。簡単でございますが終わります。
  44. 中村幸八

    中村委員長 次は古賀定君。
  45. 古賀定

    ○古賀参考人 私、日本炭鉱労働組合の事務局長の古賀であります。今提案されております法案について、炭労の考え方を二点に分けて申し上げたいと思います。  その第一点は、現在の重油ボイラー設置制限法案、これを三カ年延長するのだ、このことについてでありますが、この法案の三カ年間延長ということによって、現在の石炭産業そのものが根本的に改善をされて繁栄をするという方向が打ち出されるというものではなかろう、このように考えておるわけです。しかし石松参考人の方からも述べられましたように、現在の段階として、当面の処置として、この三カ年間延長するという方法は必要ではないのか、このように私どもは考えておるわけです。  さらに第二点目の小型ボイラーを本法案から除外をしておるという問題でございます。除外をすることによって年間二百万トンの石炭消費が減少していく、そのことがわれわれ炭鉱労働者の雇用にどう影響するのか、こういう立場から私たちは十分検討して参りました。今私ども炭鉱労働者に対しては、石炭価格を千二百円下げる、これは三十八年度までに下げるのだ、この場合における石炭の需要想定は五千五百万トン程度である、こういう国民的な要請と申しますか、そういう形の中で十一万人に及ぶ人員を、現在の労働市場からほうり出さなければならない、こういう条件が今進んでおるわけです。こういうことを考えていきますと、かつて昭和三十年、合理化法がこの委員会でいろいろ審議されました際にも、私たちは炭労の立場として、この合理化法の制定によって、多くの中小炭鉱あたりから失業者が出てくるのではないか、そして結果的には大手、独占に生産が集中して、大手の繁栄というものをもたらすだけだろう、従ってこのように多くの失業者を生み出そうとするこの合理化法案については反対なんだ、こういう立場を述べてきたのです。ところが、現在まで五年余りの時日を経過してみますと、私どもが指摘した通り、今筑豊地帯を初めとして全国には五万五千人に及ぶ炭鉱失業者が出ておる。そしてこの職を失った人たちの問題が、社会問題として今盛んに論議されておる。こういう実態になっておるわけです。だから私どもは現在までも石炭産業労働者という立場に立って、国民経済の自立的な発展、そのための基礎産業であるエネルギー、この国内資源を完全に利用する、そうして石炭産業の進歩と繁栄をはかっていくための基本的な石炭政策というものを、政府当局はすみやかに樹立してわれわれに明示すべきだ、こういうことを主張して参りました。しかしいまだ完全に石炭産業の安定政策というものが確立されていない現状の中にあるわけです。のみならず逆に、先ほども申し上げましたけれども、私たち炭鉱労働者に対しては三十八年度までに十一万人の炭鉱労働者を解雇する、こういう立場に立って、本年も二万三千人からの労働者が職を追われていく、さらに来年度もおそらく二万七千人程度の人員が現在の炭鉱から追われるのではないか、このように判断しておるわけです。こういう立場から、提案されておる重油ボイラー設置制限に関するこの臨時措置法案の中から小型ボイラーを除外するということになりますと、年間二百万トンの需要減少、その結果相当数の労働者が現在の作業場から失職しなければならないという条件が生まれてくるのではないか。簡単な算術計算でありますから、私どもの考えておる数字が的確だとは申し上げませんけれども、二百万トンの消費減少という面から、約一万人に近い人たちが失業者になるのではないか、こういうことを私たちは憂えるわけです。さらばといって、現在のように非常に早い速度で進んでおります技術革新という形の中で中小企業が近代化をしていく、そういう立場を否定するわけにはいかない。だから中小企業の近代化という観点に立つ限り、この法案で提案をされておる除外というものもわれわれは認めなければならない、このように考えておるわけです。ただ問題は、先ほど申し上げましたように、二百万トンの減少から炭鉱労働者が雇用を離れる、こういう条件がないようにぜひ配慮をしていただきたい。特にこの種の問題から出てくるのは一般炭でありますから、特に中小炭鉱の労働者、これが失業の巷にほうり出されるのではないか、このように考えるわけです。従って、たとえばこの法案の通過によって二百万トンの消費減少というものがこの面から生まれたとしても、もっと他の面で需要の拡大をはかっていく、そうして炭鉱労働者の雇用を維持していくの だ、このことを裏づけとして十分御検討願って、そういう立場から今提案されておる問題を慎重に審議願って、私どもの主張に賛成を願いたいと思っておるのです。従って、結論的に申し上げますと、今出されておる二つの点については私どもは一応賛成だ、こういうことになるわけです。
  46. 中村幸八

    中村委員長 次は森誠君。
  47. 森誠

    ○森参考人 全炭鉱の森です。ただいま問題になっております重油ボイラー規制法の可否の問題については、私たち直接それに携わる石炭産業の労働者として、一応明快な立場を表明いたしたいというふうに考えております。  結論から先に申し上げますと、この法案の存続に賛成を表明いたします。ただ申し上げたいのは、小型ボイラーの適用除外の問題でございますけれども、この問題についてもわれわれは慎重に検討いたしたわけです。しかしながら、われわれひとりよがりということのみを考えてもいけないということから、やはり中小企業の合理化の問題、そういうような問題から考えれば、現状の段階ではやむを得ない処置ではないかということを考えております。  ただ問題としては——私がここで申し上げるまでもなく、現在の重油ボイラー法が設置された理由、あるいは石炭産業の現状とかあるいはその他数字のこまかい点は、ここに集まられている皆さん方の方が詳しいと思いますので省かしていただきますけれども、ただ若干、抽象的ではございますけれども、少なくとも現在の政策として一応、おそまきではありますけれども、国家的な問題としていろいろなことをやっております。たとえば合理化法による炭鉱の買い上げの増額の問題とか、あるいは炭鉱離職者の法案の設置その他いろいろ政策として推進して、それがようやく軌道に乗りつつあるわけです。またその線に沿って石炭の業界の方も、新しい石炭の合理化法案というものを推進するために、われわれ全炭鉱と話し合って、現在その活路を見出している最中に、ともすればこの法案が一般に与える傾向は、非常に水をかけたような、いわゆる心理的な影響が若干あるのではないか、こういうことを私どもは懸念をいたしております。しかしながら、問題は十分説明をすれば納得のいくことでありますし、こういう点については問題がないと思っております。ただ現在われわれ直接これに従事しておる者としての率直な考え方は、現在行なわれておる保護政策を少しゆるめることでも、下部では非常に問題があるということです。たとえばよかれと思ってやった保護政策でも、いわゆる小型ボイラーを適用除外にするということは非常に影響があるということ、こういうことを十分お考え願いたいということを申し上げたいと思います。  なお次に、小型ボイラーを適用除外することによって、重油転換に対する安直な手段として、そういうようなものが安直にできるという安易感を与える危険性を多分に含んでおる、そういうふうに考えるわけです。少なくとも小型ですからいいようなものの、これが将来大型への口火になる可能性が十分ある。こういう点については、いわゆる行政指導あるいはその他の面で十分規制をしていただきたい、このようにお願いいたしたいわけです。  大体以上の点がわれわれの率直な考え方でございまして、結論的には、先ほど申し上げましたように、この法案については賛意を表するものです。  ただ、参考までに申し上げますけれども、私ども全炭鉱では、昨年の末と本年の一月に国内の視察団を派遣をして、離職者対策と流通消費の面を、われわれの立場で調査をいたしております。その調査報告の中の一つの実態を皆様に御報告いたしますと、京阪地区でございますけれども、これはもちろん中小の部類に入ると思いますが、一たび重油に転換したならば、いかに石炭の利点があとからわかってきても、なかなか再転換はできないんだということを、従業員あるいは経営者諸君が申しております。そういうことになれば、これはボイラーの大小を問わず、再転換は不可能だということ。それから重油の転換が、いわゆる転換の償却費といいますか、そういうようなものが二年から三年で大体償却できるということから、こういう小型ボイラーの適用除外をすれば、勢いそういう可能性のあるところが非常に多く出る。先ほども炭労の古賀事務局長が申し上げましたように、やはり二百万トン前後の需要の減少になるということが確実にわかっております。こういう面について、はっきりしたそれの受け入れ態勢と、それからこういう合理化がされるならば、われわれだけでなく、相手側の中小企業も、人員の合理化がされるわけです。すると、相手側の人員の雇用対策と、またわれわれの需要の減少面の対策、そういうような対策面を十分考慮をお願いしたい、このように考えておるわけでございます。こういうような面で、われわれとしても今後十分考えて、陰ながら協力をいたしたい。なお、いろいろお願いしたいこともございますけれども、問題は、運用の面で十分規制を行なっていただきたいということを、再度強調いたしたいと思います。  なお最後に、経済計画に対応したいわゆる総合エネルギー対策と申しますか、いわゆる政策と消費、生産、輸送、そういうようなものの一貫した総合対策を早急に樹立されるように強くお願いをいたしまして、意見を終わりたいと思います。
  48. 中村幸八

    中村委員長 以上で参考人方々意見の陳述は終わりました。  この際午後一時まで、暫時休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時十六分開議
  49. 中村幸八

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人に対する質疑並びに政府に対する質疑を順次許可いたします。多賀谷真稔君。
  50. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ちょっと石炭協会にお尋ねいたしたいのですが、この重油ボイラー設置の制限に関する臨時措置法案がなくなる昭和三十八年後、その後においては、新たに設置をする分だけでなくて、今まで石炭をたいておったものが重油に転換をされる可能性もあるわけです。法律が全然なくなりますから……。こういった場合、はたして対処できる態勢になっておるのかどうか、またなり得る自信があるのかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  51. 石松正鐵

    ○石松参考人 私どもといたしましても、今御質問の通り、三十八年度以降において石炭の需要が幾らかでも減退をするというようなことになれば、これは石炭業界としては大問題でございます。それで私どもが特に期待をしておる電力業界におきましても、三十八年度以降かりにボイラー規制法が廃止された後といえども、電力用炭の需要は、少なくとも二千万トン、ないしそれよりもさらに漸増するということが確認できないと、業界としてはそこに非常に問題があると思います。これは、ひたすら電力業界にお願いすると同時に、かりに将来特別の地区の重油ボイラー専焼を認められる場合でも、その認可をされる場合は、それを勘案しながら認可をしてもらいたいというように考えております。
  52. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、やはり三十八年後でも、これは何らかの形で認可制度、すなわち重油ボイラー設置の認可あるいは今まで石炭を使っておったボイラーが、重油になる場合の改造の場合の認可、今かなり時間がありますけれども、明確には言えないでしょうけれども、やはりこういうものが要る、こういう考え方ですか。
  53. 石松正鐵

    ○石松参考人 そういうふうに協会も希望しております。
  54. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは政府にちょっとついでですからお聞きいたしたいのですが、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律施行規則、要するに通産省令はこの法律施行に伴って改正になるのですか。
  55. 福井政男

    ○福井政府委員 公益事業の電力に関します部分につきまして設置が認められるような根拠規定を省令を改正して作りたい、こういう予定でございます。
  56. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、今までの規定は設置が必要であってやむを得ないと認められる場合、すなわち第一条には、ボイラーの性質、発生するときにおいてきわめて精密に圧力を調整をしなければならぬとか、あるいは急激にボイラーの負荷を変動させる必要がある、こういうふうにいわゆるボイラーの性格から必要やむを得ないという条件を出しておる、その次には微粉炭を使用するボイラーで爆発による災害発生の防止、こういう点から設置の許可をやむを得ないと認める、あるいは可燃性ガスを生産する者が、いわば自家消費する場合の補助燃料としての重油の使用、あるいはまたたしか廃油を使う場合に設置をやむを得ないと認める、こういう条文があったと思いますけれども、こういういわばボイラーの性質あるいは自家用についてやむを得ない場合、こういうような場合に認められておるのですが、今度は経済のいわば効率といいますか、経営上の要素を加味して、ボイラーの設置を認めるかどうかという基準をきめられるわけですか。
  57. 福井政男

    ○福井政府委員 現行省令で認められておりますのは、ただいま多賀谷先生の御指摘の通りでございますが、この現行法律の第二条の五号のロに「設置が必要であってやむを得ないと認められる場合であって、通商産業省令で定めるとき。」という条文がございますが、この条文で認めていきたい、こういう考え方になっております。
  58. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから私は、法律の第二条の五号のロ、すなわち「設置が必要であってやむを得ないと認められる場合であって、通省産業省令で定める」こういう通産省令を今読んだわけです。そして今まではいわばボイラーの性質、用途といいますか、そういうものから許可の基準をきめておる。ですがこれはだれが判断しても懇意的に判断できないのです。比較的自由に判断ができない。許可基準というものはぴしっとしておる。ところが今度は経営という要素が入ってきますと、これはいわば恣意的に通産省ができる。全然今まで列挙された要件と性格が違うわけですね。そうするとなぜ電気公益事業にだけ許すのか、こういう問題も起きはしないかと思うのですが、どうでしょう。
  59. 福井政男

    ○福井政府委員 御指摘の点でございますが、この第二条の五号のロには、「設置が必要であってやむを得ないと認められる場合」という場合には限定いたしてございませんで、設置が一般的にやむを得ない場合ということになるわけでございますが、ただいま御指摘の現行省令に掲げてございますのはお話の通りでございまして、今後認めます場合にはもちろん経営ということだけでなしに、つまり公益事業としてみまして専焼火力を認めます場合には、その地点でございますとか、あるいはまた設置いたします場所のスペースの問題でございますとか、いろいろ客観的な条件ももちろん考慮されることになると思います。
  60. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いわば客観的な条件といいましても、それによってコストが高くなるか安くなるか、こういうような面が非常に大きな要素になってくる。そうすると何も電気だけではないわけですね。そういうことをいえば……。これは一般のボイラーだって重油にしてもらわなければ企業が成り立たぬぞ、こう言ってくればこれはやむを得ないと認めざるを得ない。そういう要素を入れてくるならば……、こう私は言っておるわけです。これについてどういうようにお考えですか。
  61. 福井政男

    ○福井政府委員 その点はおっしゃる通りでございますが、そこは電力事業が公益事業という性格から私ども認めていきたい、こういう考え方でございます。
  62. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、政府にはあとから聞きますけれども、政府の今の考えとしては、この法律の施行期間中には公益事業以外は認めない、こういうわけですね。認めないというのは設置を認めない。すなわちボイラーの性格からくるもの、あるいは自家可燃性ガスとかいろいろなものを除いた分野で、そうして許可の申請をしても一応公益事業以外には認めない、こういうことですか。
  63. 福井政男

    ○福井政府委員 その通りでございます。第二条に該当するもの以外は認めない、こういうことになるわけであります。
  64. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この点はきわめて重大でありますからまたお尋ねいたしたいと思いますが、次に今政府がお考えになっておるような重油専焼の火力発電所の設置を認めた場合における石炭の関係、これをお聞かせ願いたいと思いますがね。
  65. 小室恒夫

    ○小室政府委員 今後重油専焼の火力発電所を認めていく考え方でございますが、一般炭の最も大口の消費者である電気事業としては、電気事業の合理化ということだけでなくて、重油産業としての石炭産業というものがやはり合理化されていかなければならぬ、成り立っていかなければならぬという前提のもとに電力用炭の消費をやはり漸増させていくという建前を一方でとりまして、その前提条件が確保される限りにおいて立地条件その他の点から見て、どうしても重油専焼の発電所を必要とする個所に省令の新しい許可によって設置を認めていくわけでございますから、むしろ石炭産業には好影響があるというか、石炭の電力用炭としての消費は漸増していく。ただ漸増の程度、これは毎年々々多少の幅はございますが、そういう形になって参ると思っております。
  66. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その漸増の火力発電所の消費の問題と、石炭協会で五千五百万トン三十八年度のベースを考えられておる場合の一般炭における割合というものはどうなるでしょうか。これは政府でも協会でもどちらでもいいのですが。
  67. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 先ほど松根さんからもおっしゃられたように、大体三十八年くらいに千八百万トン程度になるじゃないかといったお話があったように私は拝聴したのでございますが、大体私どもの今の考えでは、少なくとも千八百万トン程度にはなる、こういうふうに考えております。
  68. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、一般炭の消費の傾向は昭和三十三年と比べてどうですか。
  69. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 昭和三十三年と比べますと、昭和三十三年は豊水あるいは一般のエネルギー多消費産業の伸び悩みといったこともございまして、御承知のように九百万トンちょっとしか使っておらぬわけでございます。従いまして、かりに千八百万トンに比較いたしますと、三十三年と三十八年では電力部門で約九百万トンばかり消費がふえるという格好になりますが、全体の消費量は三十八年五千五百万トン程度、こういうふうに考えますと、三十三年の消費が四千八百万でございますから約七百万トン全体でふえる。全体で七百万トンふえて電力で九百万トンということになりますと、大体電力とそれからセメント関係等で三十三年に比べましてほぼ一千万トンばかりふえて、ほかの産業におきまして七百万トンばかり全体で減ってトータルで三百万トンふえるという程度になるじゃないかと考えております。
  70. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三十四年と比べるとどうですか。私が聞いておるのは、五千五百万トンというのは原料炭を含めての話ですから、一般炭は全体としてどういうようになるのかお知らせ願いたい。
  71. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 本年度におきまして原料炭は千百万トン弱出ておるのでございます。業界の方でもできるだけ原料炭の割合をふやしていきたい、こういうふうにいっておられますが、私どもの見るところではそう急激にはふえ得ないじゃないか、三十八年度におきましても、千三百万から千三百五十万トン程度に一応とまるのじゃないか、そういうふうに考えております。従いまして五千五百万トンということになると一般炭が四千二百万トン程度になるというふうに考えております。
  72. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三十三年は原料炭は何ぼですか。
  73. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 三十三年は九百七、八十万トンだったと思います。ことしが大体千七、八十万トン、千百万に若干足らないということであります。
  74. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると一般炭全体とすれば結局ふえないわけですね。
  75. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 そうあまり大きな増加はないと考えております。
  76. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうしますと、これはあとから申し上げますが、五千五百万トンベースというのは原料炭を含めてですから、それほど石炭の消費が急激に減る、実質上経済の伸びからすると減るという形でもないけれども、一般炭だけとすると、むしろベースは横ばい、あるいはベースは減る可能性が、今の傾向ではある。そうすると問題は、一般炭を出しておるものはほとんど中小炭砿が多い、これは率直にいうと相当中小炭鉱をつぶさなければならぬという計画になるのですね。
  77. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 全体の大きな傾向といたしましては、一般炭で増加が期待されますのは電力とセメント、それ以外にはないと考えております。大体ほかの産業部門はむしろだんだん漸減という格好を示すのじゃないか、一般産業の方は少しずつ減っていって電力とセメントが年々ある程度確実にふえていくということで、一般炭全体の消費ベースというものは三十三年から比べると若干は大きい。三十三年は四千八百万のうち約千万足らずでございますから、三千八百万ぐらいの一般炭でございます。ことしが大体三千七百万ぐらい。それが四千二、三百万トンの一般炭でありますから、一般炭全体といたしましては三千八百万と四千二百万の差で四百万トンぐらいはふえる、そういうふうに考えておりますが、そのふえた分は大部分電気とセメントといったところに向かいまして、その他の産業部門はむしろ今の割合から少しずつ減るというのは、やむを得ない傾向じゃないかと考えております。
  78. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これも通産省でけっこうですから、石炭の使用効率ですね、各産業別に一つ示していただきたい。
  79. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 われわれが調べましたところでは、たとえば一般のストーカーだきで石炭をたきます場合、重油のボイラーとストーカーだきのボイラーは、メリットを比較してみますと、重油が一円であるならば石炭は八十三銭四厘でなければならない。結局メリット換算八三・四。それから最近の大きな火力発電の場合は、われわれの調査によりますと、メリットは九〇・四になっております。それから肥料出門、これはコッパース法とウインクラー法と両方ありますが、コッパース法の場合は三四・五、ウインクラー法の場合は一一・七ということでございまして、もし石炭だきになりますと、設備が大きくなるとか、あるいは人件費がかかる、灰捨て場等の経費がかかる、いろんな経費がかかるわけでありますが、それらのものは石炭につきまとう物理的な現象であるということで、それらにかかる費用を石炭で値引きするということでいった場合、どこまで値を引いたら石油と競争できるかという立場での今の計算でありまして、重油が一円のときに旧式のウインクラー法でありますならば、石炭がカロリ一当たり十一銭七厘で供給されるということなら、それを使う経営者としてはトータルで同じ仕上がりのコストになる、そういうことでございます。今のはたまたま一例を申し上げましたが、そのほかにいろいろ炉の関係、たとえば平炉等ではメリットは約五〇、四九ということになっておりますが、大体五〇、それからセメントでは九〇をこえてたしか九二、三あったと思います。なおいろいろの設備別のメリットも調査いたしましたが、手元に調査表を持ってきておりませんので、もし必要がございましたならば、あとから提出いたします。
  80. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは政府にちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、火力発電用に使う場合には、今石炭局長のおっしゃったように、他の産業に比べると効率がいいわけですね。そうすると、他の産業に比べて効率がいい火力発電、すなわち公益事業だけに、そういった設置やむを得ないということで許可するのは、これは問題があるじゃありませんか。むしろ政府の政策としては、効率の割合いい、しかも公益事業ですから財政投融資その他でめんどうを見てやれるのに、私企業を、かかる公企業よりも酷に扱うという法律的な根拠というのが非常に問題になると思うのです。今の通産省令ですと、ボイラーの性質ですから、これは何ともいえない。しかしコストの面とか経営の面ということを考えれば、私はこの省令の改正というものは、ボイラー規制法を骨抜きにするといったらあるいは言い過ぎかもしれませんが、かなり大幅な修正である、実質的修正であ る、こう考えるわけですが、その点どういうようにお考えですか。
  81. 福井政男

    ○福井政府委員 省令で認めて参ります場合にも、先ほどから説明いたしておりますように、石炭の消費量は漸増するということで、石炭合理化対策に支障のないような運用をしていくという点を考えておりますのと、それから火力専焼設備を認めます場合に、一体どういうメリットがあるかという問題になるわけでありますが、これは午前中電気事業連合会の松根さんから詳細にお話がございましたが、建設費の面から見ましても、たとえば燃料費ということに限ってみても非常なメリットがあるわけでございます。
  82. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いや私が鉱山局長にお尋ねしたいのは、それは発電所も確かに重油を使った方がいいわけですね。そのことが私企業でも言える。ましてや他の産業の場合は、石炭の使用効率というものが火力発電所よりも低いものですから、なお言えるわけですね。ところが公益事業というものは、いろいろな点において、別の意味における国の援助の政策ができるではないか。こういう場合に、国の手を差し伸べるルートのある公益事業に、一般の私企業よりもよりよくする、あるいはよりよくするということは言葉の点において語弊があれば直しますけれども、むしろ私企業を悪くする、過酷に扱う根拠というものが出てこなくなるのじゃないか、こういうことを言っておるわけです。
  83. 小室恒夫

    ○小室政府委員 経済問題を離れて立地条件等の点から申しましても、また技術的な点から申しましても、どうしても重油専焼でないと、ロード・センターと申しますか需要の集中している地域において火力発電所を設けていくことは非常に困難だという面が相当ございます。むろん経済面ということもありまするし、立地条件も最終的にいえば経済面の問題に最後は帰着するというような言い方もできると思うのであります。経済面から申せば、もちろん最近の電源開発の結果といたしまして、非常に発電原価が毎年々々上がって参る結果になっていまして、これを何とか調整しようと、財政投融資あるいは税制の面等でもいろいろ考えてはいただいておりますけれども、実を言うとなかなか調整し切れない。そういう面がありますので、電気事業だけの立場から申せば実はもっと大幅に重油の専焼発電所を認めていかなければならぬ立場でありますけれども、先ほど来申しておりますように公益事業としての立場を考え、重要産業としての石炭鉱業が成り立っていくということでなければならぬ。その意味では一種の妥協的産物であります。しかしながらこの程度のものはやはり電気事業にぜひ認めていただかないと、技術上の見地からいってもあるいはまた大局的の意味からの経法的見地からいっても、どうしても困る、こういうのがわれわれの考え方でございます。
  84. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 政府については、あとから質問を続けますから省略しますが、私はこの点は非常に重大だと思うのです。というのは、一般の企業家は声が小さいからそれを取り上げない。むしろ国の政策からいうならば、使用効率のいいものは一つ石炭を使ってもらう、使用効率の悪いものは、これはやむを得ないから重油に切りかえなさい、こう言ったって、むしろ経済の原則からいうならば私はそれが当然だと思う。それを逆に使用効率の比較的いい電気に許すという。それはまあ公益事業であるからと、こういうことを言われるが、公益事業であるならば別の方法があると思う。一方においては国は石炭に助成をしておる、補助金を出しておる、そう言いながら私企業の犠牲において公益事業だけが、他に道があるにもかかわらず安易なやり方をするというところに問題がありはしないか。これは大きな政策になりますから、あとから質問いたします。  そこで石炭協会にちょっとお尋ねいたしますが、今私が質問いたしたように、通産省令を変えられると、これは電力だけなら何とか政府監督権がありますから、押えることができるでしょうけれども、その観念と同じ要素がこのボイラー規制法の中に入ってきますと、経営の面が入ってくるならばこれは大へんなことだと思う。実際上この法律は役に立たないようなものになる、こういう気がいたしますが、その点どういうふうにお考えですか。
  85. 石松正鐵

    ○石松参考人 私どもとしてはとにかく石炭の消費が三十八年度以降に、特に電力用炭の消費が漸増するということが確約できますれば、私はそれで特に異議ないと思います。
  86. 八木昇

    ○八木(昇)委員 ただいまの多賀谷委員質問に関連して二、三伺っておきたいと思います。  最初に電気事業連合会の松根さんに二、三点伺いたいと思います。いつでございましたか、私も新聞か何かでちょっと見たのでありますが、四日市の火力発電所の問題で、重油専焼ボイラーというのか、そういうたぐいのものを設置したというふうな記事を、ちらっと見たような気がいたしました。現在までに火力発電所の建設をやっておるものの中で、石炭をたくボイラーはやらないで、重油専焼的なボイラー設置の工事を事実上進めておって、通産省の許可、認可を待っている、そういう姿になっておるような発電所、建設中の発電所というものが現実国内に存在するかどうかということを一つ。  それからもう一つは、最近これが問題になっておるわけですが、本年度から着工を始めようとする火力発電所の中で、重油専焼のボイラーの発電所というものを電力会社方面で通産省の許可の申請をすでになすっておるか、あるいはしようとしておられるか。すでに電力会社方面で予定しておられるのが、本年度のものだけで出力が百万キロこしておったと思いますが、そのくらいの設備の発電所を五カ所か六カ所申請をされる予定だと承っております。そのことについてですが、それらは全部今年度中に工事にかかるのであるか。完成は昭和三十八年の十一月以降の完成のものであるか。それらはすべてそうであるか、あるいはそうでなく昭和三十八年十月以前に完成をする予定のものもあるのかどうかということが、私の質問の第二点。  それからもう一つはこういった重油専焼の火力発電所の設置希望というものは、本年すでに出ておりますように来年、再来年というふうに、昭和三十六年、三十七年、三十八年、ずっと毎年建設予定が一応あるのだ、それらの建設計画といいますか、そういったものの大ざっぱなところを説明していただきたい。以上でございます。
  87. 松根宗一

    ○松根参考人 お答えを申し上げます。第一の御質問の、現在専焼火力の工事に着手しておるかというお話でございますが、これは政府の許可も要ることでございますから、今は一つもございません。それから三十五年度に着工しますものは、今計画としてわれわれが考えてありますものを取りまとめましたのですが、大体東京で二カ所、四台、中部で二カ所、二台、関西に一カ所、こういうふうになっております。その竣工期はいろいろございますが、一番早いのが、三十七年の末か三十八年の初めになるのが二台、三十八年度以降になりますのが二台、あとがその中間になると思います。  もう一つは来年度以降の計画でございますね、これはさっきも申し上げましたように、たくさんの火力の計画があります。もちろん専焼火力がその中に相当入ると思いますが、これは今後の石炭、石油の情勢によりましてきめていきたい、こういうふうに考えておるようでございます。従ってそれをどこをどうするということは、まだはっきりいたしておりません。ただ考え方としては、同じ場所に石炭を置いたり石油を置いたりということは非常に不経済になるものですから、同じ場所にやる場合には、大体同じ石炭なり石油なりをまとめてやるというような行き方になると思います。
  88. 八木昇

    ○八木(昇)委員 重ねてもう一点お伺いしたいと思いますが、大体日本の今後のエネルギーの推移ですね、これは経済企画庁が二年ほど前に新長期計画というものを発表した際に、昭和五十年度においては、七千カロリーの石炭に換算して二億七千六百万トンというエネルギーを必要とするよう、になるのではないか。そういった場合に、水力とか石炭とかというようなものでまかない得る部面というものはどうしても割合が減ってくる。ほとんどが油ということになって、若干原子力はそのときに入っておるのでしょうけれども、大体こういうような大筋は今日も——その見込みが少し大き過ぎるという論もありますけれども、大体そういわれております。そうなってきますと、電力のウェートが非常に高くなってくる。そういう場合に、今後電力会社方面は石油に依存する度合いが、大体大ざっぱに見てどのくらいになってくるのか。ずっと将来は見通せないとしても、たとえば五年後の昭和四十二年度あたりを考えた場合に、一体電力関係としてどのくらいの量の石油を必要とするとお考えになっておりますか、これも一つお尋ねいたします。
  89. 松根宗一

    ○松根参考人 前段の経審の日本の経済の成長率の問題でございますが、今私はっきり数字を覚えておりませんが、各社で五カ年、十カ年あるいは十五カ年というふうに、長期の計画を今いろいろ立てておりますけれども、その模様によりますと、どうもあの数字よりも、エネルギーの消費量はもっとふえるのじゃないか。まだはっきりした私どもの数字をつかんでおりませんが、大体あれよりも上がっていくんじゃないかということが実は感じられるのであります。  それから四十二年ごろに一体石油をどれくらい使うかという問題、これも、その後数字がまた変わっておりますが、昨年の暮れごろ私の方でちょっと試算をしてみたのですが、五年後の四十二年に、大体石炭に換算いたしまして四千百万トンぐらいの燃料が要る。かりに二千万トンを、石炭を使うといたしますと、残りが石炭一千万トンぐらいの油が要る。これをもし二千五百万トン使えば、その差額の七百五十万トンが油として要る、そういうような割合になると思います。これは一に石炭の出てくる量と、それからその値段、経時性の問題との関連になりますので、その当時になりまして、石炭の合理化が非常にうまくいきまして、石油との値開きがあまりないということになれば、石炭の消費量はふえるかもしれません。そのときにはたして石炭の入手ができるかどうかという問題がありましょうし、あるいは逆に油の値段が、かりに今九千円しているのが、七千円になるとか六千円になるとかということがないとも言えません。そうするとまたそこらに比率が変わってくる問題も起こってくると思います。それにいたしましても、先刻も申し上げたのですが、石炭の経済的な産出ということを考えた場合に、二千五百万トンぐらいが、電力用炭としてはマキシマムではなかろうかというふうに、われわれの方は今考えております。
  90. 八木昇

    ○八木(昇)委員 今度は石炭協会の方に伺いたい。先ほど、一般用炭の消費内容について多賀谷さんから質問があったのですが、これを一般用の粉炭に限ってみた場合に、一般用の粉炭の中で電力に用いられるものは一体どのくらいの割合を占めておるか。電力用炭はほとんど一般用の粉炭だと思いますので、その点ちょっと伺いたい。しかも、そういった一般用の粉炭はほとんど中小炭鉱のものなのですが、大手と中小炭鉱で掘られるものとの割合は大体どの程度か、ちょっとお伺いいたします。
  91. 石松正鐵

    ○石松参考人 私の手元では大手十八社だけの資料しかございませんので、中小炭鉱まではちょっとわかりかねております。大手だけで申しますと、三十四年度の全出炭が約三千三百万ト ン、そのうち原料炭が約一千万トンございますので、一般炭としては約二千三百万トンの出炭を見ておるわけであります。そのうちから電力にいく粉炭、これは資料を持ってきておりませんが、なんでしたらあとでお届けしてもよろしゅうございます。
  92. 八木昇

    ○八木(昇)委員 参考人の方への質問はこれで終わりまして、政府委員の方にあと一点質問をして終わりたいと思います。先ほど鉱山局長から御答弁があったのですが、火力発電に関しては、やはり省令の改正をやって、やむを得ないと認められるものについては、重油専焼ボイラーの工事に着工することを認めなければならないというようなお考えが述べられたようであります。そうなりますと、一体やむを得ないと認める基準をどこに置くのか。それから一度幾つかの重油専焼ボイラーを認めたならば、今度はお前のところは認めない、こうはなかなか言えないと思います。先ほどの電気事業連合会の方の御計画によりましても、おそらくは三十六年度においても三十七年度においても重油専焼ボイラーの設置申請というものが続々と来るようでございます。そういう点をどういうふうにお考えになっておるかということを伺いたいのが一つ。  もう一つは、これは公益事業局長にお伺いいたしますが、この法律がもし無修正で国会を通過した場合、昭和三十八年の十一月以降は一体どうされるおつもりかということです。火力発電における重油と石炭との関係を昭和三十八年十一月以降はどういうふうにやっていこうというお考えか、これをちょっと伺っておきたい。
  93. 福井政男

    ○福井政府委員 第一点の、省令で認める場合に一体どういうふうな基準で認めるかという点でございますが、この点につきましては具体的な案というものはまだ今のところ検討中でございまして、最後的な考え方はきまっておりません。先ほど申し上げましたように、電力の負荷の中心地点にやはりどうしても設置をする必要があるけれども、適当な土地を求めることができないとか、そういった灰捨て場とかあるいは貯炭場等の見地から見まして、適当な土地を求めることができるかどうかというような点、それから全体的な立地条件の制約がどういう関係にあるかというような点、大体こういう点を中心にしてきめることに相なると思います。  それから三十六年度に認めると、次々にまた出てくるのではないかという点でございますが、これは先ほどこの点につきましても御説明申し上げましたように、電力部門における石炭の消費量を増加するという方針で、しかも、電力業界、石炭業界ともに十分御納得のいくところを認めていく、こういう考え方で運用していくことに相なると思います。
  94. 小室恒夫

    ○小室政府委員 三十八年十一月に重油ボイラー規制の法律が失効いたしました後の措置でありますが、これは電力用炭の消費を漸増させつつ、電気事業としても必要最小限度の合理化をやっていきたい、こういうことが大原則になっておりまして、そういう原則に即して、私どもは公益事業として電気事業をあらゆる面で監督しておりますので、その立場から今の原則が本法失効後も守られていくように善処いたしたいと考えておるわけであります。
  95. 八木昇

    ○八木(昇)委員 その場合の法律的基礎は、公共事業令か何かによってということらしいですが、それもどこのどういう条文に当てはめてやっていかれるかということを伺いたい。
  96. 小室恒夫

    ○小室政府委員 公共事業令で、いわゆる施設の監督といいますか、発電所を作ります際に、その保安上の基準とか、その他いろいろな面から規制を加えております。しかしながら、私どもは、直ちにそういう法規を適用してそれによって統制するというようなことでなくて、行政指導によってただいまの原則を十分保持していけるものであると考えております。
  97. 中村幸八

    中村委員長 武藤武雄君。
  98. 武藤武雄

    ○武藤委員 参考人の方をお待たせするのもいかがかと思いますので、先に参考人の方にお伺いいたします。  石炭協会の石松会長さんにお伺いいたしますが、このボイラー規制法の延長を三年と限定いたしまして、それと今度政府が出します石炭鉱業合理化法の一部改正、合理化計画というものと関連をして、コスト・ダウンを三十八年までに千二百円程度引き下げて重油と十分競争できるようにする、こういう建前でボイラー規制法の三カ年間の延長ということになっておるわけでありますが、きのうの私の質問で、政府は大体資金の面からいっても、それから今度の特別貸付金制度の活用からいっても、千二百円コスト・ダウンすることにスピード・アップを考えて、大体それで達成できるのではないか、もちろんそれは業界の方の熱意があればということだと思うのでありますが、今の進行状態、資金の状態からいってその見通しはいかがですか。
  99. 石松正鐵

    ○石松参考人 私どもといたしましても、さきの合理化審議会の答申にありますように、三十八年度までに千二百円程度下げるべきだということにつきましても、これが実現を期して、現在生産面の合理化、さらには流通面の合理化を推進しておるわけでございますが、それには、答申にもありましたように、政府の強力な助成措置が必要でありまして、そういうものを含めましてとにかく何とかして三十八年度までには千二百円程度を下げようという努力を現在続けております。
  100. 武藤武雄

    ○武藤委員 努力をするということで計画の遂行にあたっての核心には至っていないような御説明だと思うのでありますが、そういうさなかに、きのうも私触れたんですけれども、特別貸付金制度についても、最初は主要坑道、一般坑道、主要巻上機、選炭機等まで含めて近代化をやるという計画であったが、予算関係上主要坑道、主要巻上機等に限定して考えていくということになったわけでありまして、その他は開銀資金その他の融資にたよるほかないということでありまして、われわれとしては結果的にどうも政府の近代化計画でいくと、中途半ぱな計画になるおそれがあるのではないか、こういうことを心配しておるわけであります。第一点はそれと、それからそういった業界自体が三年後の達成に確信が持てない。一生懸命努力をするということだけではっきりした確信がないというような事態のときにこのボイラー規制法の一部制限の解除があるわけでありますけれども、その際に先ほど多賀谷委員も触れられましたように、今度は解除の理由というものを、やはり経済効果というものに相当ウエートを置いてくるということになると、先ほどからの説明では、公益事業関係について、それ以外は重油専焼等をその間に計画をするということは考えないということでありますけれども、しかし実際問題としては経済効果を中心に考えていくということになると、今質問がありましたように公益事業だけにこれを適用していくということは、事実上やはり困難になってくるのではないかと思うのです。そうすると何かこれは規制法そのものが、しり抜けみたいになって次々と範囲が拡大をされてくるというおそれを、われわれは非常に持っておるのですけれども、協会の力は大体この考え方には賛成だというのでありますけれども、そういうおそれはない、あるけれども仕方がないという意味で賛成をされるのか、その点をお聞きしたい。
  101. 石松正鐵

    ○石松参考人 私どもは先ほど申し上げましたように、三十八年度に千二百円を下げるという確信があるかといわれますと、これは確信があるということまでは言い切れないわけであります。ということは、やはり今申し上げましたように業界の努力ももちろんでございますが、そのほかに政府の強力な措置、たとえばおかげで今度は近代化の資金もつけていただきましたし、その他今後税制の改正その他によりまして、どうしても先生方のさらに強力な御支援にもよって、一つそういう資金の面の確保にも御援助を願いたい。そういうことと相待って、何とかして目標を達成しようという信念には変わりはないのであります。ただ、今確約できるかといわれますと、なかなかこれはいろいろな要素がありますのでそこまでは申し切れませんが、そこに向かって何とか達成しようという、何と申しますか、必死の努力を続けておるわけであります。そういうふうに一つ御了解を願いたい。  それからもう一つは今の電力ボイラーの問題でございますけれども、先ほども申し上げましたように、やはり石炭の値段を下げるには、いかに合理化をはかりましても生産が上昇しないと、十分の低炭価の実現ということは期待できないということであります。従ってかりにボイラー規制法が廃止になりましても、石炭としての需要としては、とにかく漸増をぜひ私どもは期待しておるということであります。
  102. 武藤武雄

    ○武藤委員 われわれは、どうしても石炭産業が生きていくためには、やはり合理化をして近代化をしてコストを下げなければならぬ、これはもう至上命令であって、これに反対してみたってどうにもならぬと思うのであります。その際に需要という幅を縮めて合理化をするということになると、これはどうしても人員を大幅に減らさなければ合理化にならないということでありますから、これは直接労働者の問題に含まれてくるわけでありますね。ですから非常な努力をしておる最中に、今度は需要の面が狭められてくるような政策が次々ととられてくるということになると、そういう条件の中で合理化をするとすれば、これは勢い人間を極端に減らす以外にはない、こうなってくるので、その間をわれわれは非常な心配をしておるわけであります。それで念のためお聞きをしたわけであります。  それからもう一つは、これから、たとえば昭和三十八年度以降の専焼ボ イラーについて電気側で工事計画をする、着工するということに、この間の通産大臣の話を聞いてもなってくるのではないかと思いますけれども、そういう際に石炭業界として電気事業者側と長期的な石炭の供給について話し合いをするということを、ただたび新聞やその他で言われているわけでありますけれども、それが具体的に進んでいるかどうか、これを石炭側から一つ、実際に行なわれているかどうかということ。それから電気側の方としても、石炭産業というのは非常に国民全体に大きな影響を与える産業でありまして、電気事業自体が国家の財政投融資その他国家の非常に大きな援助を受けて、公益事業として開発をしておるわけでありますから、そういったやはり国策に沿った電気事業というものがなければならぬと思うのです。そういう際に単に自分のコストだけがよくなるということだけではなしに、やはり十分そういった面も石炭業界側と話し合いをして、石炭産業の安定についても十分協力するという態勢が、電気事業界の側にも出ておるのかどうか、その間の内容を御報告願いたいと思います。
  103. 石松正鐵

    ○石松参考人 まず石炭の方を申し上げますと、石炭各社、それから電力の各社、それぞれ先ほど申されたような長期契約によって事業の安定をはかりたいというので、各企業別においてそれぞれ話し合いを進めております。
  104. 松根宗一

    ○松根参考人 ただいま石炭業界と電気業界との話し合いはどうなっているかという御質問でございましたが、これはお話までもなく電気といたしましても非常に大事な原料供給先でありますので、この石炭業がほんとうに立ち直って繁栄することは心から望むわけなんでありますので、従来とも両方がうまくいくようにということで、おそらく他の業界にはないほど、たびたび会合を持ち、あるいは最高首脳部にあるいはその次の段階というふうにしてしばしばやっております。現に一昨年三十三年度のごときは需用も非常に不景気でありまして、また雨量も非常に多かった。しかし約束の炭は全部お引き取りしましょうというので、一番多いときは貯炭を五百万トンも余分にかかえた。これはお約束であったから実行したわけでありますが、このためにおそらく従来のやり方でいきますと、何十億かの負担を電気事業はいたしているのではないかと思います。また価格等につきましても最近は割合に電力炭の価格決定というものが先行いたします。従って昨年等も二百円引きでしたかで入れたわけでありますが、これなんかは実は他の業界から、何だ、そんな下げ方ではと、えらい怒られるぐらいのことで、石炭の方から言えば、それでも御不満であったかもしれませんが、そういうふうにできるだけの協力はわれわれとしてはいたしておりますし、また今後ともなるべく法律だとかそういうことでなく、業界で話し合っていこうじゃないかということを、実は先般もお話ししたのでございま す。ボイラー規制法なんというもの自体要らぬじゃないか、両業界で話してやればいいじゃないかという議論も、実はその当時あったのでありますが、電力業界の方はそれでいいかもしれないが、ほかの消費が減るからということでこういうことに相なったわけであります。その点はあまり御心配は要らないのじゃないですか。
  105. 武藤武雄

    ○武藤委員 大へん電気事業者側の方の御理解のある説明なんで、今後とも両業界の方で緊密な連絡をとって、できるだけ長期安定の契約ができるように努力してもらいたいと思います。そこで先ほどもちょっと議論になったわけでありますけれども、経済効果というものを中心にして一般ボイラーの制限が解除されていくということになりますと、先ほど申しましたように電気事業の方は政府の相当強い行政指導が行なわれますから、また両者の協力関係もいいのでありますから、何とか調整ができるのではないか、こういうふうに私ども思いますけれども、問題は一般の産業のボイラーの場合に、政府はきのうの説明ですと、制限を解除しても二〇%程度の転換しか行なわれないのではないか、そうすると全体の石炭の消費から見ればほとんど問題にならない量で済む、こういう説明のようでありましたが、そのはっきりした根拠はどこにあるのか、その根拠をお聞かせ願いたいと思うのであります。鉱山局長でも石炭局長でもけっこうであります。  それで先ほど労働側の森さんの御説明の中に、実態を調査したところが、やはり中小企業その他等においては、ボイラー規制法の制限が解除されるならば、これはもうすみやかに転換をしたい、設備転換をしても大体三年か四年で転換のコストは完全に償却できる、こういうことをいっておるという御報告がありました。またもう一たん転換をすれば、再度石炭に転換をするというようなことは考えられない、こういうことを言っておるということでありますけれども、そういうふうに転換の実際の設備等から考えると割に簡単に転換ができる、しかも現状では非常に早く償却ができる、こういうことになって、本法がはずされるということになると、やはり相当転換を要求する声が出てくるのではないかと思うのです。ですから本法で五十平米以下のボイラーの制限が解除されるわけですけれども、そのうち二割程度などということはなかなか考えられないのではないか。そういうはっきりした根拠というのは常識的に考えてないのではないかと思うのです。  それからもう一つは、今度の制限解除に伴って、何か政府の方で通産省令を改正して、そうして現行法の中のたとえば第二条第五号の口、それから第三条第二号等で設置あるいは改造等の場合には必要でやむを得ない場合、こういうふうに強くうたっております。また内容についてもこまかく書いてありますが、相当通産大臣が柔軟な態度で許可ができるように直したいという意向があるといううわさもあるのですが、これは非常に大きな問題なんで、その二つの点について政府側の御答弁を願いたい。
  106. 福井政男

    ○福井政府委員 第一点につきましては、現在ボイラーの缶数が約五万八千缶ございます。この数字は正確な統計でとっているわけでありますが、年々の変化を見て参りまして、増加並びに更新いたします数字の割合が約一五%ということでございます。従いまして武藤先生の御指摘のように、今度解除した場合正確に一五%から二〇%前後のパーセンテージに石炭の節約量がなるかどうかということになりますと、これは厳正な意味で正確にはそういうことは言えないと思います。数字で申しまして五十平米未満のものにつきましては石炭の消費量が二百万トンでございます。缶数でいきますと約八一%になるわけでありますが、全体の新設更新の割合一五%というものが五十平米未満のものにつきましても同様に行なわれているという想定のもとに、この一五%という数字をはじいているわけでございます。そういう計算をいたしますと、二百万トンの数字から産炭地におきます約二割、四十万トンをさっ引きました百六十万トンに相当いたします分について一五%前後のものが新しく改造、新設されるだろう、こういうことで数字をはじいているわけでございまして、二百万トンと申しますのはなお念のために申しますが、はずされました五十平米未満のボイラーの消費量が二百万トンということでございまして、この法律の適用外におきましても、現在設置されております二百万トンの石炭を消費いたしております五十平米未満のボイラーが、全部切りかわるということはとうてい考えられない、ただその割合をどういうふうに見るかということにおきまして、私どもは先ほど申しました一般の更新と新設の割合が適用されるだろう、そういう割合で見ていいだろうということで計算をいたしているわけであります。  それから省令の改正の点につきましては、ただいま御質問のような意味合いでの省令の改正というものは、全然考えておりません。電力事業につきまして許可し得る道を開くための省令の改正という点だけでございます。
  107. 武藤武雄

    ○武藤委員 そうするとこの二百万トンというのは現行の制限外のボイラーも全部含めている、こう解釈してよろしいですか。ここに出ております五万八千百十二、消費量二百万トン、この小型ボイラーというのは従来の制限外のボイラー、このボイラー制限にかからない、たとえば機関車とか移動しているもののボイラー、そういうものも全部含まれているのですか。
  108. 福井政男

    ○福井政府委員 そういうものは入っておりません。適用を受けておるものにつきまして、五十平米未満のボイラーの全消費量が二百万トン、こういうことでございます。
  109. 武藤武雄

    ○武藤委員 そうなると、たとえば従来は制限をされておって、その新設なり改造なりが非常にむずかしくなっているわけですね。必要やむを得ざる場合以外は認めないわけですから、そういう場合の比率は自由に転換できる今度の場合、適用されないのではないかと思うのです。実際に重油の方がいい、コストの償却も有利に償却できるということになると相当促進されるのではないか、こういうふうに思うのです。これは私の方も推定でありますから、どっちが正しいかわかりませんが、そういう心配が非常に多いということ、それからもう一つは三カ年後に、今お聞きしまして省令の改正は単に公益事業面における電気の専焼ボイラーについての施工や着工の問題についての、おそらく取り扱いということに限定する、こういう御答弁ですから、それを了解いたしますが、そういたしましても、二十八年度ということになると、これは一般のボイラーの新設あるいは転換等は、それを見越して加速度に三十八年度以降は進むのではなかろうか。電気事業の方は、先ほど言ったような両者の話し合いなり、ある程度の行政官庁としての指導が入るわけですけれども、一般の方は、そういうことはおそらくないのではないかと思うのです。その際に石炭の方は積極的な合理化を進めておる、どういうふうなことになりますか、進めておる。しかしこの制限解除によって、今度は今制限下にあるものも、三十八年度以降は、もうほとんど重油専焼の方に切りかえていく。それに対しては監督官庁としては、これは公益事業みたいな指導はできないわけでありますから、そういう際に、三十八年度以降の石炭の消費というものは、一体どういうことになるのか、一つその間の御説明を願いたい。
  110. 福井政男

    ○福井政府委員 先ほどの一五%は、新設更新されますものの全ボイラー数に対する割合でございまして、これは石炭、重油両方を含んでおります。従いまして中小企業等で事業をやって参ります場合に、どうしても新しくボイラーを設置しなければならぬ、あるいは改造しなければならぬというものにつきまして、これは石炭、重油両方を含めての割合でございます。  それから三十八年十月末でこの法律が切れまして、十一月以降については、お話のように一般のボイラーにつきましては、何らの規制がない、こういうことになります。それまでに石炭の価格が、石炭が合理化されて、重油と競争し得るという前提で三カ年ということにいたしておるわけでありまして、石炭の消費量につきましては、石炭局長からお答え申し上げます。
  111. 武藤武雄

    ○武藤委員 そこが問題なんで、先ほど森さんの御説にもあったように、中小企業どこを回ってみても、一たん重油に転換をしてしまうと、もう石炭に再転換することは事実上不可能である、こういうことを言っておられるわけです。その場合に一般の方は、今度五十平米以上のボイラーも、重油の方が安い、重油の方がいいというので、石炭が合理化の努力中に、全部重油専焼に——全部ということは少し言い過ぎですけれども、どんどん転換が行なわれる。合理化が完成したころには、大体一般のボイラーはもう石炭がシャット・アウトされておる。あとたよるのは電力だけだというようなことに、これはならないとも限らないのですが、そういう点に対する行政官庁としての石炭産業対策上の調整なり指導なりというものは、考える必要がないのですか、あるのですか、その点を一つ御説明願います。
  112. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、今後も一般炭としては、大体電力とセメント、そういういったところがふえて、それ以外のものは減らざるを得ない。これはいろいろな面に関係しますが、メリットの関係その他の面から申しましても、ボイラー規制法がなくなるというような先のことを考えますと、これは当然一般産業は徐々に重油の使用量がふえていき、石炭の使用量が減っていくのが、これは経済的な傾向じゃなかろうか。もちろんわれわれといたしましては、これは国内のエネルギーの最大のものでございますので、全部を通じまして、全エネルギーの供給量の中における石炭の量というものが、できるだけ大きいということが望ましい、こう思っておりますが、しかしこれは同時に、国際競争力とかいろいろな総合的な面、もちろん雇用の面なんか考えなければなりませんが、いろいろな面から考えまして、それぞれの国の自然条件その他によっても左右されることがございますので、いろいろな点から検討した結果、今の段階におきましては、さしあたり三十八年は五千五百万トン程度ということを、しかも経済的な競争価格で供給できるような態勢に持っていくというようなことが、国民経済的に非常に望ましいということで、生産の方もやっておりますし、消費の方もそれにマッチした消費というものが十分についていくもの、そういうような確信のもとに石炭業界の体質改善を進めていきたいと思っております。
  113. 武藤武雄

    ○武藤委員 もうあまり長くなりますから、これで終わります。終わりますが、最後に一言あれですが、今の御説明ですと、何か非常に心細過ぎちゃうんじゃないかと思うのです。一般炭の方は、もうセメントと電気以外はどうもたよれない、こうなると、電気の方も、四十二年度で石炭換算をして四千五百万トンということになると、そのうちの石炭の割合が幾らになるかということになるわけですけれども、先ほど二千五百万トンの場合とか何とか言われましたけれども、とにかく重油の比率というものは、この当時には相当多くなってくるんじゃないかと思うのです。そういうことを考えると、どうも今の局長さんの御説明だと、五千五百万トンの需要なんというものは心細くなってしまうのでありますけれども、いわゆる一般炭の方が、重油がそういう格好なので、ボイラーの面では非常に後退してくるという場合に、やはりそれにかわるものを積極的に考えていかなければならぬということに、結論的になってくるんじゃないかと思うのです。電気だけにたよるといって も、電気自身がだんだんと重油に転換をしてくる公算が多くなるわけですから、そういう点について、まあこれはあとで石炭合理化法の問題でまた問題になりますから、きょうはあまり本格的な問題に触れなくてもけっこうでありますが、そういう点を十分考慮してもらいたいと思います。これで終わります。
  114. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ちょっと関連。先ほど松根さんから、昭和三十八年度は千八百万トンないし二千万トンの石炭消費がある、こういうお話でしたが、これは先ほど、三十五年度、重油ボイラーの設置の申請をする、こういう話ですね。これらをも勘案してのお話でしょうか、数字は……。
  115. 松根宗一

    ○松根参考人 お話のように大体三十八年度までに運転を開始します専焼ボイラーというのは、さっき申し上げた二、三台しかないと思います。許可になりましても。ですから今工事中のものは全部石炭だけになっております。そういうふうにふえていくわけですね。
  116. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それを考慮に入れてですね。
  117. 松根宗一

    ○松根参考人 入れてです。
  118. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、千八百万トンないし二千万トンで、大体一割、豊水あるいは渇水が上下しますと、どのくらい石炭が要らなくなったり、また必要になったりするのでしょうか。
  119. 松根宗一

    ○松根参考人 一割豊水のときに何ぼ違うかという計算、まああとで申し上げますが、実はその変動が必ずしも豊水だけでなく、経済の景気、不景気でこれまた非常に違うのでございますよ。従って大体、最も渇水のときと最も豊水のときとの差が、しかも景気がよくて渇水でというときと、豊水で不景気だというときが一番差が多いわけですね。そういうことはなかなか考えられませんが、大体四、五百万トンのものじゃないかと思います。あるいは五、六百万トンになるかと思います。
  120. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 経済の状態を同じにしたらどうですか。
  121. 松根宗一

    ○松根参考人 そういう詳しい計算は実はしておりませんが、まあ半々ぐらいにお考え下すっていいんじゃないかと思います。
  122. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 けっこうです。
  123. 始関伊平

    始関委員 関連。この機会にちょっと石松さんにお尋ねしたいのでございますが、日本石炭協会でいつでございましたか、昭和三十八年ごろまでに八百円炭価を下げる、こういうことを発表されたと思うのでございますが、あの発表の性質は、どういうことであるのかということを伺いたいと思うのです。石炭協会が大手十八社を代表されまして、一方的に石炭協会の方針をただ発表されたということであるのか、あるいは需要者に対する約束あるいは公約といったような性質を持つのか、値下げ発表の意味と申しますか、性質をちょっと伺いたいと思います。
  124. 石松正鐵

    ○石松参考人 あれは石炭業界としては新情勢に即応して、今後生産面及び流通面の合理化を徹底的にやって低炭価の実現を期して、そして石炭需要の確保並びに生産の安定を期して将来の石炭産業の安定の基盤を作る、そのためにはこの際ああいう形において石炭の値段八百円を下げますということを公表し確約したわけであります。これは一般消費者に対する確約でございます。
  125. 始関伊平

    始関委員 そういたしますと、ついでにもう一点伺いますが、八百円というのは、今度幾らという年次別の計画があるのですか。最終年次八百円ということでございますか。
  126. 石松正鐵

    ○石松参考人 最終年度までに八百円ということでございます。年度別に幾らという計画はございません。
  127. 中村幸八

    中村委員長 他に御質疑はありませんか。——参考人に対する質疑も終了したようでありますので、参考人方々に対しまして一言ごあいさつを申し上げます。皆様には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
  128. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 政府にお尋ねいたしたいと思います。まず現行法の実施状況からお尋ねいたしたいと思います。問題になってます小型ボイラーですが、小型ボイラーの設置の状態を実際どういう面で把握されておるか、お尋ねいたしたいと思います。それがはたして重油を使っておるのか石炭を使っておるのか、いかなる面において政府は把握されておるのか、これをお尋ねいたしたいと思います。
  129. 福井政男

    ○福井政府委員 ボイラーの能力別に見まして、石炭と重油をどういう状況で使用しているかという正確な統計は現在ございませんので、数字はちょっとわかりかねます。
  130. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 把握されてないわけですか。
  131. 福井政男

    ○福井政府委員 台数としては把握いたしておるわけでございますが、その一つ一つが石炭をたいておるか、重油をたいておるかという点につきましての統計はございません。
  132. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 把握されていなければ、現行法が実施されておるのかどうかわからないでしょう。どういう面で監督されておるのですか。
  133. 福井政男

    ○福井政府委員 各通産局が第一線部隊としてやっておりますのと、それから労働省が同時に、これは別の面からでございますが、ボイラーにつきましてやっておる監督、こういう両方の面からやっております。
  134. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働省はボイラーについては安全衛生の面から把握しておるわけですけれども、通産省が重油ボイラー設置の制限臨時措置法について、全然把握しておらぬということは、どういうわけですか。
  135. 福井政男

    ○福井政府委員 各通産局がボイラーにつきまして施行をいたして参っておるわけでありまして、そういう面で実態を把握しておるということはいえると思います。
  136. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あなたの方は報告義務を課してないでしょう。すなわち年に百二十キロリットル以下のボイラーについては何も報告する義務がないのですね。ですから実際は、百二十キロリットル以上のボイラーについては把握されることになっておる。ところが百二十キロリットル以下のものについては把握するように初めからなってないのですよ。ですから私は、現在は小型ボイラーについては、現行法でも監督のしょうがないと思う、これはどうなんです。
  137. 福井政男

    ○福井政府委員 報告を免除されておりますのは、もちろん報告は参らぬわけでございます。
  138. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから実際問題としては、小型ボイラーで重油専焼をする場合に、監督する方法がないのですね、そうでしょう。
  139. 福井政男

    ○福井政府委員 その点は労働省とタイ・アップしてやっております以上には、仰せの通り、一々通産省独自で的確な調査をするということには、現実には相参らぬわけでございます。
  140. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働省の方は安全衛生の方からいっている、重油を使用する制限という面から監督しておるわけではないのですから、実際問題としては小型ボイラーというのは監督してない、現行法でも法の外にある、こういうように考えるのですがどうですか。
  141. 福井政男

    ○福井政府委員 この法律の適用を受けますものにつきましては、やはり十分に私ども通産局を督励しまして、遺憾なく実施をするようにということで施行いたしておるわけであります。
  142. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 法律は全部適用するようになっているのですけれども、実際監督する方法がないのですね。あなたの方は百二十キロリットル以上使用するボイラーのみ報告を求めているのですからね。率直に言うと実際ないのですよ、そうでしょう。
  143. 福井政男

    ○福井政府委員 報告義務を免除されておりますものは、仰せのように労働省とタイ・アップしてやっております以上には、監督する方法はないわけでございます。
  144. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、私はこのことを取り上げて言うわけではないのですが、法律政府提案であって、われわれも審議をしたのですけれども、施行規則の方で、実際の取り扱いとして、小さいものについては免除したと同じ形になっているわけです、あなたの方は報告義務も何も課してないのですから。ですから問題は法律施行に対して政府がこういう怠慢であっていいかということです。実際上やり得ないような状態であるならば、今度の改正案で出たように、初めから除外規定を設けるのが至当じゃなかったかと私は思うのです。しかも法律は全面的に適用するといいながら、報告義務も何も取っていないのです。こういう運営の仕方というものは間違っていやしないかと思うのです。政令の定める基準以上のものについて、この法律の適用を受けるならそれでもいい、初めからそいう制限はないのです、全部適用するようになっている。ところが、実際はあなたの方で手心を加えられておる、こういうのが実態でしょう。政務次官どうです。
  145. 原田憲

    ○原田(憲)政府委員 私はあなたのような専門家でないから実際はよくわからぬのだが、今お話を聞いておるとその通りじゃないかと思う。
  146. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、私は過去のことはとやかく言うわけではないのですが、実際の運営で、小型ボイラーについては、ほとんど免除と同じような手ぬるい監督をしておる、こういうことで、小型ボイラーについては、実際はかなり重油ボイラーが設置されたのではないかという気持を持っておる。そこで続いて質問いたしますが、現行法の四条という規定があるわけです が、この四条の規定を適用した例がありますか。
  147. 福井政男

    ○福井政府委員 ボイラーの設置者に対しまする指示でございますが、この点につきましては缶数にして百二十一缶あります。
  148. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それは年度から言うといつごろ適用になりましたか。
  149. 福井政男

    ○福井政府委員 三十一年の下期まででございます。
  150. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それから第五条の適用は具体的にされましたか。
  151. 福井政男

    ○福井政府委員 第五条の適用をいたしましてどうこうという、形式的に第五条の条文を適用したという件数はございません。
  152. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 第四条で重油ボイラーを重油以外の燃料を使うボイラーに改造を命じたことはありますか。
  153. 福井政男

    ○福井政府委員 ございます。なお、先ほどの第五条につきましては、改造費用につきまして税法上の優遇措置を実施いたしております。
  154. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この改造したのは百二十一のうちどのくらいあるわけです か。
  155. 福井政男

    ○福井政府委員 缶数で二十五缶でございます。
  156. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そしてその油重の消費量はどのくらい減ったわけですか。
  157. 福井政男

    ○福井政府委員 約一万三千キロリットルでございます。
  158. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 第五条の資金の確保というのは、逆に損金に算入するということで、税法上の処置をなされたということは知っております。しかしやはり第五条があるのですから、資金の確保というのと損金に算入するということは違うのですから、法律に書いた以上はそれをおやりになるのが至当ではないか。また第五条は実際におやりにならないから、第四条の適用ということはきわめてむずかしい状態になると思うのです。そこで、現行法の四条、五条というものは、今後残しておく必要があるかどうか、一体どうなんで す。
  159. 福井政男

    ○福井政府委員 第四条につきましては、実績は先ほど申し上げたようなことでございますが、既得権というような問題もございまして、これを運用して参ります場合には、実績にかんがみましてなかなか摩擦が多いというようなことで、その後活発に適用するということは行なわれておりませんが、第四条、第五条は私どもこのまま存置いたしたい、かように存じております。
  160. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に、小型ボイラーは先ほどお話がありましたが、把握されてないのにどの程度重油に転換されるかということを聞いてもむだと思いますけれども、先ほど武藤委員にお答弁になりましたことは架空な数字だと思うのです。机上の数字で、実際は把握されてないのに数字だけをおやりになっても、きわめておかしいことじゃないかと思うのです。どういう根拠からそういうものが出たのですか。
  161. 福井政男

    ○福井政府委員 ボイラーの缶数が約五万八千缶ございまして、その石炭の消費量というものもつかんでおりますし、それから五十平米未満の石炭の消費量というものが約二百万トンということは実績の数字でございます。
  162. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それは実績ですか、二百万トンは。ボイラーの数がよくわかつてないのに実績というのはおかしいでしょう。この中には石炭を使わずに石油を使っているものもあるかもしれません。
  163. 福井政男

    ○福井政府委員 二百万トンというのは、石炭を消費いたしました実績でございます。これは熱管理法に基づきましてこっております数字でございますので、油の消費量というものは、この中にはもちろん入っておりません。
  164. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、二百万トンというものと五万八千缶というものは数字が合わないわけですね。五万八千缶が二百万ント使っているのじゃなくて、五万八千缶のうち石炭を使っているものが二百万トン使っている、こういうことですね。
  165. 福井政男

    ○福井政府委員 五万八千缶のうち五十平米未満、つまり俗にいいます一トン・ボイラーの石炭の消費量が二百万トン、こういうことでございます。
  166. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 五万八千缶という数字は、小型ボイラーの数字で、石炭を使っているのか石油を使っているのかわからない数字なんです。どうせ除外するのですから、そのことは私はあまりこまかく言いませんけれども、こういうずさんな統計ではわれわれは承服し得ないものがある、こういうことだけを申しておきます。  そこで、この法律施行後、一体どういうように法律が施行され、許可をされたか、一つデータを出していただきたいと思います。
  167. 福井政男

    ○福井政府委員 三十年から三十三年度までの数字をかいつまんで申し上げます。更新、精密調整、微粉炭混焼、可燃性ガス混焼、廃熱ガス混焼、廃油混焼、移設、経過措置、こういう事項が法律上定めてございますが、全体で缶数といたしまして千五百八缶ということになります。その年度別の数字を申し上げますと、ボイラー缶数について申し上げますと、昭和三十年度に百四十三件、三十一年度に三百一件、三十二年度に四百九十一件、三十三年度に五百七十三件、合計いたしまして千五百八件、こういうことになっております。
  168. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その間に、すなわち昭和三十年から三十四年までに幾らボイラーの数がふえたんですか。
  169. 福井政男

    ○福井政府委員 年間約七、八千缶ずつふえております。
  170. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この年間七、八千缶なのに、許可をしたものが、千五百缶というのは、ちょっとおかしいでしょう。そのほかに除外のボイラーもあるにしても、結局法の適用を受けるものは千五百缶で、実際は七千も八千もふえておる、こういうことですか。
  171. 福井政男

    ○福井政府委員 お話の通りでございます。ただ、そのふえました分は石炭ボイラー、こういうことに相なるわけでございます。許可を受けましたものだけが重油をたけるという法の適用を受けまして、許可を受けたものが、先ほど申し上げました数字でございます。バランスにつきましては、石炭ボイラーが増長された、こういうことに相なるわけであります。
  172. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 石炭の消費量はふえていませんよ。これは実際はだいぶ石油を使っておるんでしょう。ただ、許可の法の網の中へ入ってきたのが、ざっといえば千五百でしょう。おおむねということを言えば、おおむねそういうことで、これは実際石炭を使っているのが七千缶の残り、七千缶マイナス千五百缶、これが石炭を使っておるということじゃなくて、実際問題として は、石炭の消費量もふえてないわけですから、大きなボイラーは別として、法の適用を受けた、そして許可基準を願い、申請をして許可を得たものが千五百缶、こういうことでしょう。
  173. 福井政男

    ○福井政府委員 これはいろいろ立場によって御想像が違うのかもしれませんけれども、私どもは石炭ボイラーの増設数、こういうふうに見ておりまして、法の施行は、それ自体忠実に行なわれておる、かように存じておりま す。
  174. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 石炭の消費量が一般産業においてはふえてないんですね。ふえてないのに、ボイラーはふえている。そのボイラーがふえたものは石炭ボイラーじゃありませんよ。石油ボイラーのうち法の適用を受けて許可したのが千五百缶と、こういうことでしょう。局長はお話しになるのですけれども、どうも納得できないですね。少々の数字の誤差はけっこうですけれども、これだけ大きな開きがあるということは、われわれ承服できないのですが ね。
  175. 福井政男

    ○福井政府委員 私は重油ボイラーの設置につきましては、法律の許可を受けましたものだけが重油をたいておるというふうに解釈いたしております。
  176. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと年間七千缶から八千缶ふえておるというのは、法律の適用でいいますとどういうような条文の適用を受けるボイラーがふえておるというのですか。
  177. 福井政男

    ○福井政府委員 これは法律の適用を全然受けないで設置することはできるわけであります。ただ特別にいろいろの単独立法で事業の設備の許可とかいうような縛り方をいたしておりますものがありますれば、そういう見地からそれぞれの許認可を必要とする場合があると思いますけれども、ボイラーにつきまして特別に制限するということはございません。
  178. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私の質問の仕方が悪かったようですから、私一つだけ聞きますが、年々七千から八千ふえておるボイラーという中には、船舶または車両に設置するものとか、あるいは重油ボイラーが移動式なものであるとか、あるいは試験または研究のために設置されたものであるとか、こういうものも含むのですか、どうですか。
  179. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいま私が申し上げました数字の中には舶用型、機関車型、機関車用、それは入っております。
  180. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと第二条で、ただし書きで一、二、三、四の除外がありますが、この除外を除いたものは幾らですか、幾らくらいふえておるか。
  181. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいまの数字から機関車用の約千缶を引きました数字に相なるわけであります。
  182. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと毎年六千缶というものが、大体法律から除外をされていないボイラーになるわけでしょう。そうすると少なくとも六千缶のものは許可の対象になるわけで す。そういたしますと、そのうち法律施行から今日まで四、五年たちますが、その間に許可をしたものは千五百というのはおかしいでしょう。
  183. 福井政男

    ○福井政府委員 私の説明申し上げておりますのがあるいは言葉が足らないのかもしれませんが、先ほど申し上げました数字から約千五百を引きましたあとの数字につきましては、これは石炭ボイラーでございまして、この重油ボイラー規制法とは何らの関係がございません。そういう数字に相なるわけでございます。
  184. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 七千缶というのはいつからいつまでふえたボイラーの数ですか、年々とおっしゃったような気がいたすわけですが……。
  185. 福井政男

    ○福井政府委員 一年間の統計でございます。年間の数字でございます。
  186. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 年間七千缶ですと、三十一年、三十二年、三十三年、三十四年、四年間ですから、ボイラーの数はふえたのが二万八千くらいになるわけでしょう。そのうち許可したのが千五百、残りは石炭だ、こうおっしゃっても、これはどうも数字が合いませんよ。
  187. 福井政男

    ○福井政府委員 なお先ほど申し上げました数字の中には大きい改造になりますものは新設ということで入っておりますから、実数の増加は若干食い違っておる、かように見ております。
  188. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、私は特に条文を上げて聞いたわけですよ。改造は二条の五号のイになるんです。現に設置しておるものにかえてやるのだ、これは違うんですね。現に設置している重油ボイラーにかえて設置する、これは五号に入りますが、私は一、二、三、四、とこう聞いているわけです。ですから、改造は一つ削って、一体幾らふえたのだということを的確におっしゃっていただきたい。法律施行から今日まで、大体幾らふえているのですか。
  189. 福井政男

    ○福井政府委員 どうも私の説明がまずいようでございますが、ボイラーには重油をたきますボイラーと、石炭のボイラーとあるわけでありまして、先ほど年間の数字を申し上げましたのは、石炭と重油と両方のボイラーの年間の新設の数を申し上げたわけであります。その中には大きい改造で新設に匹敵するものも含まれている、こういうことに相なるわけでありまして、法律の方の適用から参りますと、これは重油ボイラーの場合だけ、こういうことに相なって参ります。
  190. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私が申しますのは、石炭の消費の面から見ると、火力発電あるいはセメントを除いては消費がふえていない。消費がふえていないということは、電力とかセメントを除いてはあまりボイラーはふえていないのだ、こういう判定をしているわけですね。基礎はそこにあるのですよ。ところがボイラーは実際年間七千缶からふえておる。そのうち車両があるとしても、それは千缶だということになると、六千缶ずつふえている。法律の適用を受けて、申請をして許可を得たものはそのうち千五百しかない。しかもこれは法律施行後ずっと数年間を合わせてですよ。ですから、どうも数字が合わないじゃないかと言っておる。これはあなたの言うように石炭ボイラーじゃないですよ、実際問題として。石炭の消費量がふえておらなきゃならぬのに、一般の消費量はむしろ横ばいでしょう。
  191. 福井政男

    ○福井政府委員 石炭の消費量につきましては、石炭局長から申し上げると思いますが、私の今申し上げておりますのは、ボイラーにつきましての統計上の実数を申し上げておるわけでございます。
  192. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では一つ資料を取りまとめて至急この委員会に出していただきたいと思います。一体この法律施行後どういう状態になっておるのか、その間石炭ボイラーはどのくらいふえておるか、どの程度把握されておるか、この点を一つ出していただきたいと思います。  そこで、その次にお尋ねいたしますが、先ほどは産業別の石炭使用の効率についてお聞きいたしました。私は今度はボイラー別に、大小といえばなかなか区分けがむずかしいと思いますが、大きなボイラーと小さいボイラー、こういう規模別にボイラーを見た場合の効率はどうなっているか、これは何かわかりましたらお知らせ願いたい。
  193. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいまの御質問は、石炭ボイラーの効率、こういうことですか。
  194. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 石炭です。
  195. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 私、今手元に持ってきておりませんが、この前審議会で検討いたしましたときに、たしか同じボイラーにつきましても、規模別に、十トン以下、二十トン以下、あるいは五十トン以上というふうに分けて試算したというふうに記憶いたしておりますので、できるだけ早く資料を取り寄せまして提出いたします。
  196. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私はボイラーの規模別によって石炭の効率が違うと思うのです。それで小型のボイラーの重油転換とか、あるいは重油を使用するということについては異議がないと思うのです。ところが大型のものについてはやはり問題がある。ことに、また電力に戻ってはなはだ恐縮ですけれども、電力ほど石炭使用の効率のいいものはないのです。これは何をいっても国の政策として石炭を保護するというなら、政府監督権の最もある公益事業である電力についてこの規制をするということが妥当ではないか、あるいはコストが上がるという問題については、別の方法でやるべきじゃないか、私はこう思うのです。むしろ最も需要が伸びる電力にある程度重油専焼を認めるということになると、私はこの法律の基礎というものが全部崩れると思うのです。公益事業だけ行なうということになると、それはむしろ政府の強制的な動きです。一般私企業で、経営が非常に困っておるところは許可しないで、政府の保護の届く公益事業には許可する、こういう考え方自体が国の政策として間違っておりはしないか、私はこういうように考えるわけです。政務次官、どういうようにお考えですか。
  197. 原田憲

    ○原田(憲)政府委員 石炭と重油の問題は非常に大きな問題で、すでに昭和三十年に合理化をやろうということで踏み切ったところが、なかなかうまいこといかないので、このたび重油ボイラー規制法なんかも延長して、なお新しい政策として、石炭合理化の方策をやって、この三年間にどうしても競合できるエネルギーにしようという意気込みでかかっておるわけであります。石炭の重要性というものは政府としてもよく考えておりますけれども、いかに保護せよといっても、コストの面で合わなかったら、これは重大な転換をしなければならない。一方では、もうすでにそれを見越して、あっさりと決意して、エネルギー革命であるから、重油政策に転換したらどうだという相当強い世論もあるわけであります。しかし政府としては、いわゆるエネルギー社会における革命、革命には非常な混乱が多い、それではいけないという面もありますし、なお理論的には、やがてあるいはエネルギーの社会に革命が来るということが必然であるとしても、それじゃそれがすぐ来るのかという問題、あるいは今の雇用の問題、あるいは日本の置かれておる地位における外貨の問題等々から勘案して、この三十八年度までに、今度こそはこれが最後の手であるということで、今度の法律を出しておるわけであります。そこで石炭業界としても、これはもう政府、労、使一体になってやらなければならない問題であると私は思うのでありますが、それではそれまでの間どうするか。本来ならば、すでにもう期間が来て、ボイラー規制法は廃止される運命にあった、こういうことになっておったのでありますから、それに伴って当然重油専焼ボイラーを置こうということを考える人もあるわけであります。特に今問題になっております電力界なんかは、大きなエネルギーを使う部面でありますから、当然そういうことは考えておる、しかしこれは一面においては、石炭の一番大きなお得意さんである。こういうことから、先ほど公益事業局長が妥協案だということを申し上げましたけれども、特にここでは、石油がすぐそばの使えるところにあるというような場所、あるいは貯炭場が要るとか、あるいは灰捨て場が要るというような、土地的にいってもいろいろたくさんの土地を要するというようなところとか、また石炭をたくために煙害で問題があるというようなところには、重油専焼ボイラーを置いてもやむを得ないのじゃないかというような意見も出てくるわけであります。そこで先ほどのことを繰り返しますが、妥協案といいますか、そういうことで三十八年度までに、ほんとうに石炭というものが重油と競合できるコストまで下がるならば、当然業者もまた石炭を使うのでありますから、その場合には石炭の需要というものも伸びるのであるからいいじゃないか、こういうことになると思うのであります。ゆえに、政府としましては、重要な問題でありますだけに、いま一度石炭対策として、抜本的なほんとうの力を入れた政策をやってみようということで、もう三年間期限を延長しようということにいたしておるわけでございます。
  198. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、石炭のエネルギーとしての最終使用の面が、だんだんだんだん減っていることは、生活水準の向上とともにいなめない事実だと思うのです。そこで、電気の需用の伸びているのも、石炭のエネルギーが電力エネルギーにかわっている面もあるのです。これが非常に大きいのです。ですから、同じ石炭を使うにも、石炭そのものを使わないで、電気にして使った方が、文化生活に非常にいいし、その方が喜ばしいのです。電力は新しい分野を開拓しているのではなくて、石炭の分野を食っていっておるという、こういう面が一つあるのです。それから、煤煙の話をされましたけれども、今新しい新鋭火力で、煤煙なんという問題は、そう起こっていないのです。むしろほかの工場において起こっておる。もっとも新鋭火力は、石炭を使う面においても、オートメーション化された、合理化されたものなんです。ですから、ほかの産業の分は全部重油ボイラーにまかしても、電力だけは石炭を使うべきだということを、国の政策としてやった方が私はいいと思う。あるいはセメントと電力だけは石炭を使うんだ、こういった方がすっきりすると思うのです。施行されても、監督されておるかどうか、順守されておるかどうかわからないような法律を作っておくよりも、需用が伸びる電力あるいはセメントだけは、熱効率もいいから石炭をお使い下さい、そのかわり国は別の面で保護しましょう、こういった一体の対策の方がいいと思うのです。私企業に重油を使わないで石炭を使えということ自体が、法律としては無理があると思うのです。なるほど、たとえ重油専焼を許しても、現在よりも火力発電用炭は伸びるでしょう。しかし、ほかの分野は、全部だんだんだんだん減退しているのですから、重点を電力とセメントに置くならば、国の政策として、私は、ほかの分野は重油専焼を許しても、電力とセメントだけは許さない、こういう態勢の方がむしろいいのじゃないかと思うのです。しかも、大規模ですから、熱効率がいいのです。それから灰でも、フライ・アッシュになって売れているのです。実際は捨て場に困るよりも、むしろそれが売れている、こういう状態ですから、私はもう少し政策として考えたらいいと思うのです。大臣がおりませんから、それ以上聞いてもどうかと思うのですが、どうも政策の行き方が間違っておるではないかと思うのです。なるほど電力企業も一つの私企業ですが、ものの考え方をもう少し変えたらどうか。これは一般私企業を圧迫するような形をとらないで、需用量の伸びる電力は他に比べれば熱効率がよいのだ、こういう点は十分考えるべきではないかと思うが、一体どういうお考えですか。
  199. 原田憲

    ○原田(憲)政府委員 多賀谷さんの意見としては私は承っておきたいと思うのでありますが、たとえば、これは私の個人の意見になるかとも思いますけれども、先ほど参考人として出ておった石松さんが、三十八年度までに千二百円まで下がるということについてどうだということを問われたときに、これはここで確約するわけにいかないというような話でありました。石炭というものの現在置かれている地位を考えると、これは千二百円まで下げなければいけないのだというくらいの気持をもって業界も進まなければ、私は今多賀谷氏の言われることはよくわかりますけれども、それでも競合することはできないと思います。理屈の上ではよくわかりますけれども、実際問題として競合することはできない。合理化に伴う人的配置転換の問題等は、やはり政府、また業界、組合が一致して考えるべき問題であって、石炭の置かれている地位というものを考えるときに、電気とセメントだけはどうしても石炭を使えというやり方で、はたして石炭のコストを下げて重油と競合せしめることができるかどうかということについては、政策としてはあなたのおっしゃることをやる方が逆になるではないか、こういうように考えます。
  200. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 全部フリーにしておって電力だけ石炭を使え、こういうなら問題は別ですけれども、今は逆でしょう。一般の私企業にも石炭を使え、重油を使ってはいけませんよ、こういう法律があるのです。全部フリーのときに火力発電とセメントだけは石炭を使いなさい、こういうのならば問題があるけれども、今は他の産業も全部規制している。そういう中であるから、一般の産業を規制するよりも、重点的に、しかも熱効率のよい電力とセメントに限って行なわれたらどうだろうか。なかんずく電力は公益事業であるからその方法がありはしないか、こういうことを言ったわけです。これはまたあとから大臣に質問をいたしたいと思います。また、炭界の状態も、今のままでよいということを申しておるわけではない。しかも、景気がよくなればすぐ炭価を上げる。合理化法案が出たら下がるどころか、石炭の値段が上がったということでは、一方これは公益事業であるがゆえになお使えませんわけですから、この方法はやはり考えなければいかぬじゃないか。しかし、電気と石炭というものは、一体の政策の中で総合的に行なうべき性格のものではないか、こう思うのです。そのことを強調しておるわけです。さらに資料が出てから細部については質問をいたしたい、かように思います。
  201. 中村幸八

    中村委員長 先ほど多賀谷委員から要求のありました資料については、至急取りそろえて当委員会に御提出を願います。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後三時二十八分散会