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1960-03-08 第34回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月八日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君       江崎 真澄君    岡本  茂君       始関 伊平君    關谷 勝利君       田中 龍夫君    中垣 國男君       野田 武夫君    濱田 正信君       渡邊 本治君    板川 正吾君       小林 正美君    櫻井 奎夫君       東海林 稔君    八木  昇君       和田 博雄君    加藤 鐐造君       北條 秀一君    山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         厚生事務官         (薬務局長)  高田 浩運君         通商産業政務次         官       内田 常雄君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         通商産業事務官         (石炭局長)  樋詰 誠明君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      小室 恒夫君  委員外出席者         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    阿部 久一君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月四日  商工会組織等に関する法律案内閣提出第七  六号) 同日  物価値上げ抑制に関する請願加賀田進君紹  介)(第七一一号)  同(栗原俊夫紹介)(第七一二号)  同(穗積七郎紹介)(第八四三号)  韓国ひじき輸入に関する請願角屋堅次郎君紹  介)(第七一三号)  関市に日本刃物輸出センター設置に関する請願  (山本幸一紹介)(第七一四号)  京都府八幡町の採掘権設定反対に関する請願(  前尾繁三郎紹介)(第七六五号)  不況炭鉱地帯中小商工業者救済に関する請願  (木村守江紹介)(第八四四号)  同(正木清紹介)(第八四五号)  川内河口一帯工場適地調査地区に指定の請願  (池田清志紹介)(第八七九号)  零細企業対策強化に伴う商工会法制定促進に関  する請願天野光晴紹介)(第九二一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  商工会組織等に関する法律案内閣提出第七  六号)  滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃止する法律  案(内閣提出第三一号)(参議院送付)  重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第八一号)  私的独占の禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  商工会組織等に関する法律案議題とし、審査に入ります。     —————————————
  3. 中村幸八

    中村委員長 まず趣旨説明を聴取いたします。通商産業政務次官内田常雄君。
  4. 内田常雄

    内田(常)政府委員 ただいま議題となりました商工会組織等に関する法律案について提案理由を御説明いたします。  中小企業問題につきましては、その重要性にかんがみ、政府といたしましてもかねてから諸般の施策を講じてその解決に努力いたして参ったのでありますが、中小企業の中でも中規模事業者小規模事業者との経営較差は、非常にはなはだしいものがあります。しかるに従来の中小企業対策においては、この小規模事業者に対する施策は必ずしも十分とはいえず、特に地方町村における小規模事業者対策強化は緊要とされているところであります。  この対策強化のためには、もちろん金融措置税制措置等についても考慮する必要があり、政府としてもこれに意を注いでおりますが、小規模事業者の特質を考えますときは、これらの事業者のためには、その実情に即した資料収集提供経営及び技術に関する相談指導事業資金の借り入れのあっせん、各種事務代行等業務を不断に行なう組織を確立することが最も肝要と考えられます。  このような業務を行なう組織としては、市部においてはすでに商工業総合的改善発達をはかるための組織として商工会議所制度があり、小規模事業者に対する事業をある程度行なっておりますのに対し、町村等の郡部においてはこのような制度がありませんので、主として町村における商工業総合的改善発達をはかるための組織を確立する必要があるのであります。  このような必要性に基づき、すでに現在までに主として町村において二千六百以上に及ぶ商工会が自然発生的に誕生しておりますので、これを法制化することが適当と考えられますとともに、いかに組織を定めましても小規模事業者の資力の状況からしては、国及び地方公共団体が積極的な助成を行なうのでなければ、十分な事業活動を期待することができないので、その助成措置についても法定する必要があると考えられるのであります。  このような見地から今回本法律案提出いたした次第でありますが、次に本法律案の概要について御説明申し上げます。  この法律案の骨子は、商工会組織について定めるとともに、商工会及び商工会議所の行なう小規模事業者のための事業について国の助成措置を規定するものであります。  第一に、商工会につきましては、これを本法に基づく特殊法人とするとともに、その営利活動を禁止し、またその地区につきましては、市町村廃置分合等若干の場合の例外を除いて、一の町村に一の商工会を設けることを原則とし、商工会議所とも地区を重複して設立することのないように定められております。  商工会事業については、商工業に関する相談指導、情報、資料収集提供講習会展示会開催等その地区内の商工業改善発達のために必要な事業を行なうこととされておりますが、その加入脱退は自由でありまして、地区内に半年以上事業所を有する商工業者であればすべて会員となることができるのであります。商工会は、その地区内の商工業者の半数以上が加入するものであれば、通商産業大臣の認可を受けて設立することができるのであり、その管理は、総会、総代会及び役員を通じて行なわれるものであります。また、商工会公共的性格から通商産業大臣所要監督規定も設けられております。  第二に、商工会及び商工会議所の行なう小規模事業者活動を促進するための措置として、国がその経費の一部を補助することができるように定められておりますが、この国の助成を行なうための予算措置といたしましては、先般衆議院におきまして御可決をいただいた昭和三十五年度一般会計予算におきまして、小規模事業指導費補助金として総額三億九千二百万円を計上いたし、小規模事業者のための対策強化拡充を期している次第であります。  以上本法律案提案理由の概略を申し述べましたが、何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 中村幸八

    中村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  6. 中村幸八

    中村委員長 次に、滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃止する法律案議題とし審査を進めます。  本案については他に質疑はないようでありますので、本案に対する質疑は終局したものと認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認めます。引き続き本案について討論に入るわけでありますが、討論通告がありませんので、直ちに本案を採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃止する法律案を採決いたします。本案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 中村幸八

    中村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま可決いたしました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。      ————◇—————
  11. 中村幸八

    中村委員長 次に、重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑通告があります。順次これを許します。武藤武雄君。
  12. 武藤武雄

    武藤委員 それでは大臣が来る前に多少事務的なことについて質問をいたしておきます。  今回の重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置法の一部を改正いたしまして、三カ年延長ということと、内容においては小型ボイラー本法適用対象からはずすということですけれども、今回伝熱面積が五十平方メートル未満の小型ボイラーを、本法適用対象から除外をするということをきめられました理由について説明を求めます。
  13. 内田常雄

    内田(常)政府委員 昭和三十年以来、この法律の運用の経過を顧みますると、伝熱面積五十平方メートル、すなわち一トンボイラー以下のものは、その数は総ボイラーの約八割以上にもなりますが、その消費する石炭は非常に少ない、四%以下であったと記憶いたしますが、そのような状態でありまして、石炭計画的需要の確保にはほとんど差しつかえはない。その半面、これらの一トンボイラー以下のものを用いますものは、中小企業でありますとか、国民生活に必須のものが非常に多くを占めておりまして、今回別に御審議をいただいております石炭合理化臨時措置法に基づきます石炭鉱業のいわば抜本的合理化施策を一方に行ないまする状況に対処いたしますと、右のような状況から伝熱面積五十平方メートルのものははずした方が国民生活にも便利であり、また燃料政策上も支障がない、かような踏み切りをいたしまして、これをはずしたような次第でございます。
  14. 武藤武雄

    武藤委員 ただいまの説明だと、ボイラー対象の率から言うと、約八割くらいは小型ボイラーだということですが、ただ消費は二割程度だ、こういうことですが、重油に切りかえた場合の、その切りかえる設備転換の場合の費用とか、それから転換をすることによって現在コスト上にいわゆる影響する利益というのは、大体どのくらい見ておるか。
  15. 福井政男

    福井政府委員 ただいまの政務次官の御説明のように、数から申しますと、八割ということになりまして、石炭消費量から申しますと、約二百万トンでございます。ただ二百万トンでございますが、そのうち産炭地消費されますものが約二割前後と見られておりますので、約百六十万トンということに相なるわけでありますが、その百六十万トンのうち一体どの程度設備が改造せられ、新設されるかということに相なるわけでありますが、従来の実績から見ますと、大体二割前後ではなかろうか、こういうふうに統計上は見ております。従いまして、二、三十万トンか、多く見ましてもせいぜい四、五十万トンくらいのものが、現実石炭消費量としては食い込む数量になる、幾ら多く見ましても、大体五十万トンくらいではなかろうか、そういうふうに見ております。  それから一トンボイラー設置費用関係でありますが、一トンの重油ボイラー設置費用は、約五百万円から六百万円程度ということに相なっております。
  16. 武藤武雄

    武藤委員 今の二〇%というのは、そうすると従来の実質百六十万トン程度石炭消費の中の約二〇%、多くて五十万トンくらい、これが大体転換を予想されるボイラー、こういうふうに見ておるわけですか。
  17. 福井政男

    福井政府委員 さようでございます。
  18. 武藤武雄

    武藤委員 わかりました。  大臣にお聞きいたしますが、ボイラー規制法を三カ年に限って延長する、こういう政策をきめられました根拠を一つ……。
  19. 池田勇人

    池田国務大臣 大体ボイラー規制法自体は、世界各国にないようなきつい法律なんで、原則としては、私は規制法に対してあまり賛成できないのですが、日本の今の石炭の現状から申しますると、やはりこういう非常手段を講じなければならぬ実情にあります。かたがた、片一方では、石炭合理化に対しまして関係業者が非常な決意を新たにして進んでおるときでありますから、こういう点を考えまして、無理な法律でございますが、三年間を限って延長して、その間に石炭合理化を進めていきたい、こういう考えであります。ただ問題は、中小企業等のことを考えますると、企業合理化その他から申しまして、こういう中小企業要求しておるような一トンボイラー程度のものははずしても、石炭消費量から申しまして大した影響はない、こういう考え方で、こういう措置をとることにいたしたのでございます。
  20. 武藤武雄

    武藤委員 ボイラー規制法自体は、国内基幹産業である石炭への影響を防ごうという趣旨ですから、これは保護立法であることは間違いないと思います。が、これは必要な保護立法であったのでありますから、そこで、業界筋の発表しましたのによりますと、三カ年間に千二百円程度コストダウンをやる、こういうことでありますが、その具体的な内容一つ計画ができておれば伺いたいと思います。
  21. 池田勇人

    池田国務大臣 これは各会社の各山ごとにつきまして、合理化方式をとらした場合の大体の想定でございます。なかなか詳しい計算でございまして、一々私が説明いたしますよりも、事務当局から御説明さす方がよいのではないかと思います。
  22. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 御承知のように、昨年の夏に大手団体であります石炭協会で、三十八年までに八百円値段を下げるという長期計画を発表したわけであります。これを発表いたしました際の資料につきまして、私どもの方で各会社別計画といったようなものをいろいろ検討いたしてみました。その結果、大体会社計画というものがその通り実行される場合には、ほぼ八百円の引き下げということが、一つ一つ山——それをどの山はつぶし、どの山の生産は伸ばすといったようなことをもとにしてやっておりましたので、われわれの見方会社見方との間に若干の食い違いがありますが、大体八百円程度引き下げということが、そういうことが実現されたならば可能ではないか、こう思ったわけでございます。ところがたまたま昨年通産大臣から、石炭鉱業は今後いかにあるべきかということを諮問されておりました石炭鉱業審議会におきまして、あらゆる方面からの検討を加えました結果、石炭の今までの非常な不況ということが石炭供給の不安定と価格の割高ということにあるから、まずその価格の割高ということを是正しなければならぬ。しかも今後競争相手であります石油との価格というものを考えた場合に八百円では不十分で、千二百円程度下げなければ経済性のある燃料ということを主張するのは非常に無理ではないかといったような結論に達しまして、三十八年度までに、三十三年度に比べて千二百円販売価格を下げるべきであるという結論をいただいたわけでございます。そこで政府といたしましてはその答申に基づきまして、どういうふうにやればはたしてこの千二百円という案が実現できるかということについていろいろ検討したわけでございますが、その結果は、まず山元における体質改善を、業界考えておったよりも、もっとスピード・アップさせて早く促進する。そのためには高能率炭鉱を積極的に造成する必要がございますので、政府財政資金というものをてこといたしまして、新しい能率のいい山を作り上げる、スピード・アップするために特別貸付金制度といったものを設けまして、開銀融資あるいは市中銀行融資等と合わせて、できるだけ投資を繰り上げさせる。大体大手十八社について考えてみますと、会社当局考えでは、五年間に千二百億程度設備投資をやりたい、こういうふうに考えておりましたが、さらにそれに二百億ばかり追加して、大手関係だけで千四百億の投資をさせるということによりまして、三十九年あるいは四十年といったころに完成を予定いたしておりました山につきましても、できるだけ三十八年度までに完成を繰り上げさせる、体質改善を繰り上げるということと、それから御承知のように、石炭販売価格の平均して二割程度は、輸送費あるいは諸掛りといったものになっております。そこで、この石炭はバルキー・カーゴーで遠距離を運んでくる、従って北海道から東京へ持ってくる場合を考えますと、千七百円から金がかかっている。この過程において、相当のむだを排除する道があるのではないかということから、流通面におきますむだを省くということをやる。この二つをやることによりまして、大体会社当局考えておりましたものよりも、さらに四百円程度値段を下げることができるのではないかという、非常にまだこれは大ざっぱな段階でございますが、一応の目安を得ることができましたために、大体われわれといたしましては、千二百円実現ができるまでという前提のもとに、所要予算も組み、現在いろいろ具体的な施策についての検討を進めたわけでございますが、詳細は現在生産性部会というものを石炭鉱業審議会の中でやっております。それは、千二百円というものは、山元でどの程度下げるべきか、あるいは流通面でどのくらい下げることが可能かといったようなことを、まず大ざっぱに振り分けまして、さらにその振り分けられた流通部門あるいは生産部門おのおのについて、こういうことをやればこの程度下がるのだという具体的な施策を、かなり深く掘り下げるといったことを目標に現在やっておりますので、できますならば、大体流通の面でどの程度下げることができるかといった大ざっぱな見当だけでも、年度内か四月の半ばまでには得たいということで、現在審議をお願いしておるわけであります。
  23. 武藤武雄

    武藤委員 石炭政策のこまかい問題はあと合理化法の一部改正案が出ますから、同時に質問したいと思いますが、関連がありますので、大きい点だけをを拾い出します。政府は、今回の合理化法の一部改正法案提出のときに、八百円のコストダウンを中心とする三カ年計画の中で、大体五十七、八億の石炭鉱業近代化資金が必要である、こういうことで、事務当局は大蔵省の方に強く要求をされたと思うのですけれども、これは予算編成内容でありますから、全体の国の資金計画の面から切り下げられたり節約をされることはやむを得ないと思いますけれども、しかし、実際にこのきまりました金額は全体で二十一億、実際に近代化資金として運用されるのは十八億程度、こう聞いておるのでありますけれども、そういたしますと、この三カ年間で八百円のコストダウンをするという構想で出たときの政府が援助すべき近代化資金が、今度は千二百円に大幅に切り上げられてコストダウンをやる、そういうようになった場合に、でき上がりました予算内容とは相当食い違いが出ておるわけでありますけれども、一部にはどうも全く中途半端な合理化に終わってしまって、実際の計画に到達することは非常に困難じゃないか、こういう声が非常に強いのでありますけれども、その件に対する政府の見解はどうです。
  24. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 確かに予算ができますまでの過程におきましては、今武藤委員の御指摘のように、われわれ五十億の要求をいたしたのでございます。そのときには、主要坑道あるいは巻上機関係というもののほかに、運搬関係選炭関係というものをも全部入れまして、大体その半分程度政府の方で積極的にめんどうをみたい、こういうふうに思ったわけでございますが、この政府の新しい金を出すという考え方は、先ほど申し上げましたように、これをてこといたしまして、ほかの金をむしろ誘発して、積極的に投資を促進させようというものでございます。従いまして、その割合が五割がいいのか、あるいは三割でいいのかといったようなことにつきましては、これはいろいろ意見もあるのじゃないか。結論といたしましては、いろいろな投資計画がございますが、その中で一番踏み切りをつけなければならないのは、主要坑道あるいは巻上機といったようなものでございまして、大体それの踏み切りがつけば、あと選炭機運搬機といったようなものにつきましては、開銀融資あるいは興長銀、その他の市中銀融資をさらに引きずっていくことも可能でございますので、これはわれわれといたしましては多いにこしたことはございませんが、大体主要坑道関係と巻上機関係だけに限定いたしますと、われわれの考えておりましたもののほぼ四割程度はその金でまかなえる。そういたしますと、その残りの六割を開銀に期待する。その他運搬選炭関係につきましても、開銀その他興長銀、ことに、さらに政府の今後の石炭政策を明示すると同時に、協力を求めるということをやれば、これは五十億に比べますと、かなり苦しいことは事実でございましょうが、大体資金調達ということは可能であり、従って千二百円というものの引き下げに対する初年度の施策としては、一応これで出発し得るというふうに確信いたしております。
  25. 武藤武雄

    武藤委員 特別貸付金制度を作って資金を確保したいというお話ですが、石炭鉱業合理化事業団ですか、あれの取り扱う貸付金制度とは別の貸付金制度ですか。
  26. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 同じものでございます。
  27. 武藤武雄

    武藤委員 わかりました。現在の石炭経営者が持っておる従来の政府融資ですね。開銀その他の融資相当莫大な額に上って、だいぶ業界の方からも・一応これをたな上げにしてもらわないと合理化ができない、こういう声も非常に強く出ておったようでありますけれども、何も業界の都合のいいことだけを、うのみにする必要はもちろんないと思いますけれども、結局、今後三年間に大体千四百億程度資金が必要になるという場合に、そのうちの自己資金の範囲とそれから開銀融資一般銀行融資、そういった程度、千四百億程度の六割は大体開銀その他からやりたいということでありますけれども、その比率はどうなりますか。自己資金開銀融資あたりの……。
  28. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 大体五年間に千四百億ということになりますと、一年間に二百八十億程度ということになります。これは最近の投資実績が、三十三年が二百五十億、その前が二百八十億、その前が二百四十億ということで、大体三十二年度以降は、二百四十億から二百八十億というくらいの投資を、現実にやってきておるわけであります。そのときの開銀から出ました金というものが、四十億ないし六十億ということで進んできております。従いまして、今後大手が二百八十億の金を毎年調達するということは、トータルといたしましては、大体今まで石炭鉱業がつぎ込んでおりました資金量というものに比べましてそう大きなものではない。むしろこれをことしは御承知のように開銀の方も八十億ということで、新しい特別貸付金というものを合わせますと、百億余りのものが財政資金から出るわけでございますので、残りの百八十億ないし二百億程度のものにつきましては、従来通りの興長銀調達、あるいは自分の償却等による留保分ということで、私どもとしては十分にまかなっていける見込みがあるというふうに考えております。
  29. 武藤武雄

    武藤委員 石炭局長説明ですと、何か最初の説明では、相当事業を繰り上げて、相当合理化近代化をやるという御説明のようですけれどもあとからの説明だと、何か従来の資金あまり関係ない、大体同じ程度だという御答弁でありまして、どうもその間の事情がぴんとこないのでありますけれども、もう少し……。
  30. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 私のあとからの説明が、いかにも楽々とできるというふうなお受け取り方をなさいましたら、これは私の説明がはなはだまずかったわけでございます。三十三年度、これはこの前の神武景気のあとを受けまして、石炭といたしまして二百八十億という非常に大きな投資をやったわけでございます。その後石炭不況になりまして、三十四年度は大体継続工事を中心に二百五十億ということにやったわけでございますが、一方今後の石炭の炭価の推移その他から見まして、会社自体といたしましては二百五十億程度というものを続けるのが、精一ぱいじゃないかというふうな一応の見込みをした、こう考えます。また現実資金繰りから申しますと、やはりその程度と押えるのが安全だと思いますが、それでいきますと、どうしても千二百億程度にしかならないわけでございます。そこで、われわれといたしましては、従来石炭を一体今後どう持っていくかということについての態度が業界としてもはっきりしない。自分自身も一体今後どう持っていくかということに踏み切りがつかない。また貸す方にしても、石炭が今後どうなるかということについて、はたして貸していいものかどうかということについて十分な見通しが立ち得なかった。そういうことが石炭設備投資調達します上におきまして、相当の支障になっていたわけでございますが、石炭鉱業審議会結論というものが出、また政府の方でその方針に沿って政策としてそれを取り上げるということをはっきりし、それと並行いたしまして今御審議いただいておりますボイラー法の延長ということにつきましても、三年間延長に踏み切ったというような一連の措置から、業界自体としても、自分の行くべき道についてはっきりしたある程度の確信が持てたということと、金融機関の方でも、政府の方でそういうふうにはっきりするなら、この際石炭設備資金についても従来以上貸す、こういうことになってきたわけで、われわれは金額的には二十数億というのは決して大きな金額ではございませんが、初めて政府の意思を表明して、その融資ということを打ち出したところに意味があると思っておりますので、今後は政府の方針と相待ちまして、金融機関側も従来よりは石炭に対して融資しやすくなったのではないか、こういうふうに考えて先ほどのような御説明をしたわけでございます。
  31. 武藤武雄

    武藤委員 通産大臣に御質問いたします。大体今事務当局の御説明を伺ったわけでございますけれども、当初の出発としては、相当政府計画上からは、予算面では後退したわけでありますけれども、三カ年間に政府として相当強力な行政指導も必要だと思うのでありますが、大体業界が千二百円程度コストダウンが、現在の計画進行状態から見て可能である、いわゆる自信の持てる状態だ、こういうふうに通産大臣は判断されておりますか。
  32. 池田勇人

    池田国務大臣 過去半年余り通産大臣といたしまして石炭対策につきまして勉強したのでございますが、私の見るところでは、二、三年前の石炭関係業者とはよほど意気込みが違って参りまして、私は今のところ、業者につきましていろいろ相談し合って、ぜひ実現さしたい、また実現し得るものと考えております。
  33. 武藤武雄

    武藤委員 合理化に伴う労働問題その他は合理化法審議のときにやりたいと思いますけれども、大体今の説明ですと、相当熱意を持ってこ合理化政策に取り組んでいくという大臣の答弁で、けっこうであります。石炭政策は、大臣の試金石だとまで言っておるわけでありますから、相当な熱意を持っておられると思います。  そこで、さらにもう一つ質問いたしますが、今度政府は大きく貿易の自由化に踏み切ったわけでありますけれども、その際に、特に今度のアラビア石油の開発やら何やらいろいろ問題がありまして、結局石油というものが世界的な生産過剰といいますか、相当な拡大生産過程にある。何か脇村教授のお話によると、従来は石油資本家は、資源に限りがあるわけでありますから、細く長くという政策をとっておったけれども、最近は次のエネルギー革命ということを考えて、早晩原子力がとってかわる時代が来る。従ってこの際は、もう掘って掘って掘りまくった方がいい。こういうふうに大体石油界の世界の動向が変わってきておる。こういうことを説明されておるのでありますけれども、そういう際に、わが国も初めて海外油田の大開発をやって、相当有望な油田を掘り当てたということで、やがては円資金による石油が自由に日本に入ってくる。こういう過程になってくると思うのであります。アラビア石油がすぐ短期間にそうなるとは考えられませんけれども、そういった世界の傾向から考えて、三カ年間に千二百円のコストダウンをやるということと、貿易の自由化によって石油が制限なしに相当豊富に日本に入ってくる、こういう事態が予想された場合の三カ年後の、その際のいわゆる石炭と石油との関係というものを、一体どういうふうに見ておられますか。
  34. 池田勇人

    池田国務大臣 エネルギー革命につきましては、武藤さんも御存じの通り、いろいろ説がございます。石油、原油が相当下がってくるだろうとか、ことにまた原子力に行くまでにいわゆるLPGというものが石油に相当かわるというふうなことも考えられます。私は三年先、千二百円下げればこれで十分対抗できるのだという太鼓判を押すわけにも参りませんが、しかし努力目標としてはそうかけ離れたこともできないわけでございます。従いまして、今のところは石油あるいはガスの状況を見ながら、また別のことも考えていかなければならぬと思います。アラビア石油のお話がございましたが、これも昭和三十八年か九年くらいでようやく一千万キロリットルくらいでございます。そのころになりますと、日本の石油の需要も三千五、六百万キロリットルあるいは四千万キロリットルくらいになるやもわからぬというふうな状況でございますので、これによって非常にだぶつくということもないと思います。一にやはり世界の石油政策がどう行くかという問題だと思います。また輸入にいたしましても、今度関税の改正で、今従価にいたしておりまするが、従量にするという考え方相当強く、われわれもそれに賛成というか必ずしも反対じゃないのであります。そういういろいろな政策をとりまして、何としても国内資源の最も大きい石炭というものを五千五、六百万トンくらいは確保することは、これは国際収支から申しましても、労働問題、雇用の問題からいっても、ぜひ必要なことでございますから、あの手この手を考えて、とにかく五千五、六百万トンの石炭は石油と抗争し得るような方法を今後も研究していきたいという気持でおります。
  35. 武藤武雄

    武藤委員 本案の直接の内容にはなっておりませんけれども、たびたびの報道によりますと、火力発電側の要求によって、通産大臣としては、大体三カ年後に完成をする重油専焼の火力発電のボイラーについては、これを認めてもよい、こういうふうな意向であるということが言われておったのでありますけれども、この点は、今の心境も同じでありますか。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 私は、昭和三十八年の十月でございまするから、大体、その後において稼働する分については一切認めぬということもいかがなものか、特定の地域につきましては、ある程度考えていいんじゃないかと思います。しかし、電力業界石炭にどれだけの協力をするかということが先決問題であります。重油専焼ボイラーができましても、石炭を毎年百万トンあるいは百五十万トンずつ、三年間ではなしに、その後にもふやすのだという前提があれば、私はある程度認めていくのも妥当じゃないかと思います。一に、これは電力界と石炭業界の円満な、しかも良識ある話し合いによってきめるべきものである。私は石炭を電力業者が増量するということになれば、とにかく三十八年までは一切設置を認めないということもいかがなものかと考えておるのであります。ただ、場所と数につきましては相当考えなければならぬと思います。
  37. 武藤武雄

    武藤委員 重要な政策だと思うのでありますけれども、結局今の大臣の答弁ですと、無制限に重油専焼を認めるという意味ではない、業界業界がある程度、今大体五千五、六百万トン程度消費は確保したい、こういう大臣の御説明のようですけれども、そういった全体の消費量とからんで、石炭業界から電力業界が引き取る石炭というものを、ある程度計画を立てて、その計画量に従って重油専焼というものも計画の上で認めていく、こういうふうに理解していいわけですか。
  38. 池田勇人

    池田国務大臣 その通りです。
  39. 武藤武雄

    武藤委員 これは大臣本法の期間の延長のときの便宜的な答弁でなくて、これは相当重要な問題だと思うのです。ということは、先ほど石炭局長から説明もありましたように、業界も真剣になって合理化に取り組む——あとでいろいろ問題が出てくると思いますけれども、とにかく労働問題も相当むずかしい問題が発生してくると思います。それから、石炭界を取り巻く中小企業の商店の立場から、この前大臣がいないときに中小企業庁長官に質問したのでありますけれども、離職者と同じような深刻な状態に、石炭にたよっておる零細商店等は陥っておるのであります。そういういろいろの犠牲の中に合理化を進めるわけでありますから、そうして、合理化完成した——政府の援助なり業界の努力、あるいは労働者の努力等によって、何とかかんとか三年後に合理化完成して、さてようやく石油と何とか肩を並べられるときがきたといったときに、電力会社の方は、全部もう重油専焼に切りかえられてしまうというのじゃ、これは何のために努力をしたのかさっぱりわからなくなるので、その点は一つ大臣——ずっと長期間大臣をやっておられるなら、なおいいんですけれども、結局ほんとうに計画を立てて、これは事務当局の方にもお願いをして、やはりはっきりした年度別計画というものをこの際立てられて、そうしてその計画の上で認める場合には認める、こういう方針をとってもらわぬと、せっかく努力したは、出てきたときには、もう三年後には全部許可になるのだということで専焼ボイラーにしてしまったというのでは、合理化の意味はなくなると思います。その間の考え一つ伺いたい。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 ボイラー規制法は三年間だ、三年間が済んだらあとはほっておくんだという考え方は私は持たないのであります。三年間が済みましても、やはり石炭と電力は常に協調し合って、お互いに助け合っていくということは必要であろうと考えております。またそうしなければ石炭業はもたないのであります。私は武藤さんがお考えになっておると同じようなことを考えてやっていきたい。私が通産大臣でなくても、やはり議席を持つとかなんとかすれば、あの方針を変更しないように——もし私がそういうことでなくても、あなた方がいらっしゃれば大丈夫だと思います。
  41. 武藤武雄

    武藤委員 この際ボイラー規制法の問題とは直接関係がないかもしれませんけれども、貿易自由化とからんで、特に石炭みたいな大きな影響を地域的に、あるいは関連産業的に与える産業は少ないと思いますので、そういう石炭産業を考えて、この際やはり計画的な、今までのように何か増産計画を立てたと思うと、石炭が余っちゃったというようなことでなしに、相当困難ではありましても、はっきりした計画的な指導が必要だと思うのです。その意味で前の臨時国会に、わが党は石炭産業会議設置政府要求いたしました。原則的には賛成だ、しかしいろいろな問題があるから政府としても検討したい、こういう回答があったのですけれども、この間社会党も石炭鉱業安定法をここで提案されたわけですけれども、その中にも石炭鉱業安定会議というものを作って、大体内容は私どもの主張と同じでありますけれども、そういうことが絶対必要だということが、あの社会党の提案説明の中にも書いてありますけれども、今石炭鉱業審議会の中で、長期安定計画を進めるということで、最近は委員の数もふやして、相当拡大したものにしていくというお考えのようですが、私は、ただいま大臣が答弁になったように、いわゆる重油ボイラーの問題にしても、やはり石炭業界と電気業界は、ある程度長期的な計画についての話し合いをして、そうして両方協力し合って安定を考えていくということを言われたのでありますけれども、そういうためにも、こういった広く民間その他の団体のいろいろの知恵も貸してもらい、協力し合えるような会議の形式は、これから特に必要になってくるんじゃないかと思います。そういう点について、この際あらためて前の懸案の御回答を願いたい。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 お話しの通り、通産省におきまして石炭鉱業審議会というものがありまして、今回の合理化につきましてのりっぱな答申も、各員の熱心な検討の結果出てきたのであります。私は今後も石炭鉱業審議会をできるだけ活用していきたいと思っております。また別に、これは通産省の工業技術院が主宰いたしまして、昨年の暮れに石炭会議というものを開きました。これは技術者ばかりお集まり願いまして、採炭から輸送から、そうして石炭の需要増大のための研究、四部会に分けまして、技術者連中が非常に貴重な意見を吐かれて検討を加えられております。この石炭会議という技術者の会議もたびたび開いて、そうして石炭技術の各方面の、輸送から採炭から、利用方面ということを考えていきたいと思っております。また今回は、石炭業者が石炭技術の研究所というものをお互いに醵金し合いましてこしらえることになりまして、政府の方もこれに対しまして五千七百万円かの補助をいたしました。こういうことで、石炭技術面の検討が加えられ、需要の新しい方面への進出も私は期待し得るんじゃないかと思います。また御承知のように、北海道に国立試験所を置く。これは私は石炭なんかが中心になるんじゃないかと思っておりますけれども、北海道における石炭は、最重要資源でございます。北海道自体で、この石炭を単に燃やすだけでなしに、流体化、その他の研究も続けていって、今の電力あるいはセメント、ガス方面への需要の増大をはかると同時に、新しい需要面を切り開いていこう、こういう考えで進んでおるのであります。
  43. 武藤武雄

    武藤委員 ボイラー規制法の問題は、大体この程度で、大いに今後とも情熱を持ってやってもらうということで終わりたいと思いますが、今の石炭鉱業審議会、あるいは社会党提案のような石炭鉱業安定会議、どちらでもけっこうでありますけれども、今大臣説明を聞きましても、いろいろ各分野々々でそういう審議会が持たれておるようであります。その分野々々で検討されることも必要でありますけれども、やはり全体的な立場でエネルギーの問題を検討する、こういった総合的な機関というものも必要ではないかと思います。ですから、その点はわが社会党も要求しておるわけですから、わが方でこういうふうにやっておるから心配ないのだということでなしに、十分にこれは検討してもらいたいと思います。  それから、これは関連になって失礼でありますけれども、この間、私、大臣の出席を求めたのでありますけれども、出られなくて残念でしたが、中小企業庁長官は、御趣旨はよくわかったから実態をまず調査したい、こういうお話でしたけれども大臣に、どういう報告がなされ、どういう対策が立てられておるかお聞きしたいのです。それは、炭田地帯の零細商工業者の問題です。極端な村なんかになりますと、今まで従業員が六千名もおったところが、もう千二百名になっておるというところもあるわけです。石炭というのは便利のいいところにはないのでありまして、ほとんど山の中が多いのであります。そういう場合に、極端に労務者が少なくなると商売がやっていけない、やっていけないから仕方がないから引き揚げてどこかへいって商売をやろうと思っても、そのあとを買うものなんかだれもいないのです。これは何百万円かけても二束三文にしかならないわけです。そういう場合には引っ越すにも引っ越されない、どうしようもない、ちょうど石炭の離職者と同じような立場にある者が最近相当ふえております。これは九州なんか特にひどい、常磐地帯にも相当ありますけれども、そういう人たちが石炭影響、エネルギーの影響によってこういう状態になったということについては離職者もわれわれも同じだ、だからこの際政府は、そういう業者がほかに転業するとか、あるいはほかに職を求めていかなければならぬという場合には、石炭離職者と同じ取り扱いはできないかもしれぬけれども、やはりああいった趣旨で、これらの転廃業あるいは再就職等に対する援助というもの、たとえば土地、家を手放していく場合にはそれを政府が保証して買い上げをするとか、何かこういったものに対する一つの援助の態勢をとってもらいたい、これは全国的に相当強い要求となって出てきておるのです。これをこの間質問いたしましたところが、さっそく実態を調べて対策を立てたい、こういうお話でしたが、その後どういうふうな御見解でおられるか、大臣がおられますからお聞きいたします。
  44. 池田勇人

    池田国務大臣 まだ局長から報告を受けておりません。お話を承りまして、今の局長と同じような意見でございます。さっそく実態を調査いたしまして考えてみたいと思います。
  45. 關谷勝利

    ○關谷委員 関連して。先ほど石炭局長の御答弁の中に、石炭コストダウンをやる上において、山元体質改善のほかに輸送費、荷役費等の流通面において四百円ほどのむだを省くことができるのだというお話がありましたが、これはどういうふうな御計画でやられますのか、具体的に御説明を願いたい。
  46. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 私、先ほど流通面で四百円できるというふうに、はっきり申し上げたのではございませんで、流通面合理化、それから山元体質改善の促進をやると、一応大きな見当として大体そのくらいはやり得るのじゃなかろうかというふうに、検討の結果達しましたので、できるだけその結果に近づけるように具体的に措置をしたいということで、今やっておるわけでございます。たとえば山元で幾ら下げ得るか、あるいは流通面で幾ら下げ得るかという、この二つにつきましては、生産性部会というものを毎週やっておるわけでございますが、そこで、流通面で幾ら下げ得るか、山元コストダウンということが、従来会社考えておったのに比べてこういう繰り上げをすることによって、幾らまで可能かという振り分けについて今検討をやっておる最中であります。ただ、先ほど大ざっぱに申し上げましたときの一応の試算といたしましては、たとえば会社考えておりましたときよりも繰り上げてやる、能率のいい山を繰り上げて早く作らせる。それから同時に非能率炭鉱の整備をそれと並行してやるということをやりますと、会社考えておった案よりは二百円近いものを下げ得るのではないか。それから一方、三千からの銘柄がございまして、同じように小口の運搬をやり、小口の貯炭をやっております。流通面におきましても、使う方から見ればせいぜい数十種類の規格的なものがあれば、それでいいわけでございます。そういたしますと船も大型の船で混載ということも可能になりますし、貯炭場自体も非常に小さくて済むということになりますので、流通面合理化をやれば大体二百円から三百円の間というものを下げ得るのではないか。これは一例でございますが、たとえばこの前北炭で新しい石炭専用船を一つ作りましたが、北炭の方の説明によりますと、かりにああいう船を今後さらに、五、六ぱい、四はいですか作るというようなことをやれば、それを非常に高能率に運転すれば、従来のようなやり方に比べて二百四十円ぐらい輸送費だけで下がり得る計算が、一応立つといったようなお話もございます。従いまして、現在運輸省の方でやっていただいております特定港湾施設工事特別会計によります積出港あるいは揚げ港の荷役の機械化ということとあわせまして、それらの高能率の船の建造ということも、片一方で別途促進されるということを前提といたしますと、大体千二百円のコストダウンのうち、揚げ賃におきます価格引き下げということは不可能なことではないと考えております。
  47. 關谷勝利

    ○關谷委員 私が漏れ聞いておるところによりますと、千二百円のコストダウンをやります上に、この船賃等で四百円だけ節約するようなことをするんだということで、今海運界あたりがだいぶ騒いでおるようでありますが、石炭コストダウンをやるために、そのしわ寄せが海運界に全部くるのではなかろうかというようなことを非常に心配いたしております。具体的にどういうふうにするんだということを御説明いただきますと、私たちもそれに対しましてまた御質問申し上げるのでありますが、そういう資料をお持ちでございますか。
  48. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 千二百円をどう分けるかということを、先ほど申し上げましたように今審議会で検討しておる最中でございまして、流通面にどういう問題があるかといったこととあわせてまだ検討している段階でございます。一応のその結論が出ますのは、できれば三月一ぱいぐらいまでに出していただきたいと思っておりますが、あるいは四月にかかるのではないかと思っております。しかしいずれの場合におきましても、四百円のしわ寄せを海運業界だけに寄せるといったことは、われわれ考えたこともございませんし、現在審議会で行なわれておりますのもそういうことは全然ございません。一番高いのが北海道から東京に来ます千二百円、これは運賃、それから取り扱いのいろいろな諸掛りというものがかかっておるわけでありますが、そういう場合におきましても、実際に切り下げるのがはたして三百円までいけるかどうか、これは積み込みの施設あるいは荷揚げの関係も全部ひっくるめてございますが、そういうことを全部ひっくるめましても、三百円を期待するのは相当無理じゃないか、非常にばく然とではございますが、われわれ常識的に考えておるわけでございまして、山元におきます体質改善、これにやはり業者が初めに考えておりましたよりも百円から百五十円ぐらいまでは繰り上げ効果ということを期待せざるを得ないのではないか、こういうふうにも考えておりますので、山元で九百円下げて、流通面で三百円下げる。山元で九百五十円下げてあるいは二百五十円を流通関係にするのか、どの程度にするのが一番常識的であり、また可能であるかということにつきましては、今の生産性部会検討の結果を待った上で、われわれといたしましても政府側の決心というものを固めたい、こう思っておりますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  49. 關谷勝利

    ○關谷委員 その結論が出ましたら、その資料を御提出願いたいと思います。またあらためて、その際に御質問申し上げます。
  50. 中村幸八

    中村委員長 次は八木昇君。
  51. 八木昇

    ○八木(昇)委員 私は、石炭関係についてはたくさん問題がございますが、本日は、今の武藤君の質問に続きまして、重油ボイラー関係に主としてしぼりまして、若干質問をいたしたいと思います。  大臣に御質問をいたしたいと思うのですが、その前提としまして、二つばかりまず数字を明らかにしておいてほしいと思うのであります。この点は鉱山局長にお伺いをしたいと思いますが、この重油ボイラー設置制限法の期間延長に関連して提出されました資料によりますと、五十平方メートル未満のボイラーについては今度制限をはずす、その五十平方メートル未満のボイラーは、現在まで制限法の対象となっておった全ボイラーの罐数の中の八一%に当たる罐数だ、従来消費しておった石炭消費量は年間約二百万トンだ、こういう大体の資料提出をされております。ところがこの八一%、二百万トンというのは、現在まで重油ボイラー設置制限の対象になっておった全ボイラー消費した石炭の中で何%を占めておるか、石炭消費量として何%を占めておるか。罐数としては八一%であるけれども、全体としての今までの規制の対象となっておったボイラーのたいた石炭の総量は何万トンであって、そのうち五十平方メートル未満のものが何万トン入っておったか、この比率が示されておりませんので、その点を一つ明らかにしてほしい。もう一つは火力発電について、重油専焼ボイラーの火力発電所の設置をこの際許可してほしいというのが、電力会社方面から具体的に出ておるわけです。これに対してどのような対策をとられるかということはあとで御質問いたしますが、当面出ておるだけでも、約百万キロワットの設備の火力発電所が重油専焼ボイラーにしてもらいたいという要求があるようでございます。さらに近々のうちに、引き続きまして数十万キロの重油専焼ボイラーの火力発電所の設置許可を、電力会社方面では求めてくる模様であります。そうなりますと、重油消費量が非常にふえていくということが予測されますが、火力発電所が重油専焼ボイラーを用いた場合、一万キロの火力発電は、年間に一体どのくらいの重油をたくものであるか、それを石炭に換算すればどのくらいのトン数になるものであるか。これはあるいは公益事業局長の方がお詳しいかもわかりませんから、そちらの方からでもけっこうですが、まずこの二つの数字を明らかにしておいてほしいと思います。
  52. 福井政男

    福井政府委員 小型ボイラーの使います二百万トンは、ボイラー炭の何割に当たるかという第一点でありますが、ボイラー炭としましては約二千三百万トン程度費消されておりますので、一割弱ということに相なります。さらに全体の石炭需要量から申しますと、一般炭の需要量が約三千九百万トンでございますので、五%程度、こういうことに相なります。
  53. 小室恒夫

    ○小室政府委員 ただいま御質問の通り、電力会社の方から、三十五年度に着工するものについても、すでに総計で百万キロワット以上のものを希望しております。またこの先の三十六年度以降のものを加えますと、相当大きな数字が、しかも一案、二案、三案というような形で、まだ最終案というわけではありませんが、いろいろ出ておることは事実でありますけれども、先ほど大臣からお話がありましたように、石炭産業と電力産業、これは両方とも合理化して参らなければなりませんので、毎年電力用炭——一般炭の最大の消費者である電力事業消費しておる石炭を漸増さしていく、そういうことを確保した上で、本措置法を中心として、立地上、経済上どうしても認めなければならぬ重油専焼の発電所を省令で例外的に認める、こういう考え方であります。  それから重油所要量でありますが、これはまだ計画の段階でありますので、また各地域ごとに規模も異なりますし、一応の推定、たとえば東電で、十七万五千キロワットの横浜一基の例で申しますと、年間で二十六万キロリットル、これを一万キロで直しますと、一万キロで幾らというような数字が出ます。その他一つ一つの数字をここに持っておりますけれども、各発電所ごとに若干違いがありますので、一万キロで幾らということを、今ちょっと計算すれば出るといえば出るのでありますが、申し上げにくいのであります。
  54. 八木昇

    ○八木(昇)委員 ちょっと鉱山局長にお伺いします。先ほど申されました数字は、すべてのボイラー消費する石炭の総量だろうと思うのですが、従来の重油ボイラー規制法におきましても、船舶に設置するボイラー、あるいは車両に設置するボイラー、あるいは移動式の重油ボイラーとかいろいろなものは、この法の制限対象ではなかったわけでしょう。ですから、この従来の重油ボイラー規制法の対象にされておるボイラーですね、これは一体どれだけの石炭をたいていだのか。言いかえれば、重油ボイラー規制法によって、一体どれだけの重油規制がされておったのかという意味です。それは今の二千三百万トンというような数字ではなかったはずです。
  55. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 先ほど大体二千三百万トンと鉱山局長が申し上げましたのは、そのうち約一千万程度が電力関係残りの千三百万トンというのが電力以外の鉱工業ということでございまして、鉄道あるいは船といったような移動のものは別にして、全体で二千三百万を大体ボイラーで使っておる、そういうふうな数字になると考えております。
  56. 八木昇

    ○八木(昇)委員 今の数字につきましては私まだ若干疑問が残りますが、それは別といたしまして、いずれにいたしましても、今度のボイラー規制法の一部を改正することによりまして、全体の重油ボイラー設置制限の対象となっておったボイラー罐数においても、約八割というのが対象からはずされるということになって、さらに加えて電力方面に関しましては、電力の消費する石炭の総量というものが非常に大きいということは申すまでもありませんが、その電力関係につきましても重油専焼のボイラーを、これから工事にかかるということを認めていこうという方向になりつつあるということは、実質的に見ますると、この従来の重油ボイラー規制法というものが相当大幅に内容が変わってきて、そして極端な表現をすればしり抜けというような格好になってきておる、こういうふうに考えるわけです。そこで先ほど武藤委員の質問もありましたが、大臣に重ねて質問をいたしますが、日経新聞あたりでは相当具体的に、昭和三十五年度分については、火力発電所の重油専焼ボイラーについて、これを許可するという方向に、通産省は明瞭に踏み切ったということが書いてあるわけであります。しかもその場合に、法の解釈として、設置と、条文に書いてある字句は、これは新たなる規制法の延長期間が切れるまでの間に完成をしないもの、すなわち着工はするけれども、この規制法が切れる昭和三十八年の十月までの間に専焼ボイラーの工事が完成しないものについて、すなわち、いわばただ着工はするが、完成昭和三十八年十月以降のものだというものについては、これは設置という言葉の中にあてはめない、こういうような、非常に便宜的な解釈に変更をして、そうして重油専焼ボイラーを認めようとする方向のようでございます。この二月二十四日の日本経済新聞の記事について、通産大臣のお考えを少しく具体的に述べていただきたい。
  57. 池田勇人

    池田国務大臣 ボイラー規制法設置とは、その工事に着手することが設置でございます。そう解釈しておりますから、現実重油をたく、たかぬの問題とは違っております。そこでどの程度を認めるかということにつきましては、今公益事業局長が御答弁申し上げましたように、いろいろ申請は出ておりますが、われわれとしては法に基づきまして、しかも石炭業者、電力業者のいわゆる石炭消費を漸増していくという前提のもとに、やむを得ない場合を例外的に認めようかと考えておるのでございます。そのことが日本経済全体としていいという考えに立てば、ある程度例外の分を厳重な審査のもとに認めていくにやぶさかでないということでございます。石炭消費考えボイラー規制を三年間延長するのでございますから、お話のようにしり抜けということは絶対にいたしません。厳重な審査を経まして、例外的に認めることあるべしということでございます。
  58. 八木昇

    ○八木(昇)委員 大臣のお気持は今の御答弁で大体わかりましたがそうなりますとやはりちょっと矛盾を感ずるわけであります。すなわち設置という法の文句は、それは現実重油をたく、たかぬではなくて、そういう重油専焼ボイラーを作る工事に着手すること、このことが設置という意味だ、こういうことになりますと、それならばやむを得ない、万々やむを得ないと考えられる一部のものについてだけは認めるという実際処置との間に、これはどうしても矛盾ということになりやしないでしょうか。
  59. 池田勇人

    池田国務大臣 これは矛盾ではないのです。原則を立てまして、そうして例外的に認めるということは全体として矛盾ではない。行政はそういうことが往々あると思います。それが国のために、経済界のためになるということであれば矛盾ではございません。それで今言ったように工事に着手することが設置だといって、三十八年の十月まで一切工事させない。そうすると三十八年の十一月から工事しても、二年とか三年とかかかるというふうなことは、これは三年間ということにつきまして、いろいろそこに異常な状態が起こりますので、それをある程度緩和しながらやっていこうということでございます。
  60. 八木昇

    ○八木(昇)委員 その辺の法文の解釈の仕方のやりとりについては、私も省きますけれども、実際問題として、ここにも出ておりますように昭和三十五年度中に大体電力会社は十一の火力発電所の建設に着工する計画である。そのうちに、たとえば東京電力の横浜とか五井あるいは中部電力の新名古屋とか、その他約百万キロ以上の設備の火力発電所については重油専焼ボイラーを実は要求してきている。これについては具体的にどうされるおつもりでございましょうか。
  61. 池田勇人

    池田国務大臣 重油ボイラー規制法が三十八年の十月までで、十一月からなくなるとした場合に、十一月から動き出すものに何億あるいは十何億とかかる。石炭を燃やすボイラーを、将来要らない設備を、しかもまた一切使わずに済むかもわからぬというものを設けさすということは、国民経済上からいってよくないことであります。だからそういう点を考えまして、この分は将来重油専焼でいい、この程度は許さなければならぬという分につきましては、例外的に石炭ボイラー設置せずにいかす場合もあるというのでございます。それが私は行政の上からも、また国家経済からいっても適当であるのではないか。そこで第二の、それでは東電の専焼ボイラーをどうするかという問題につきましては、私は先ほど答、えましたように電力界と石炭業界との話がこういうふうなことでつきまして、そうして私の希望では、三年だけつけて四年目から全然知らぬのだというふうなことも、これは石炭業界のためによくないことでございますから、そういう話し合いがつきましてから、私は個々の場合についての結論を出したいと考えております。
  62. 八木昇

    ○八木(昇)委員 一応抽象論としてはごもっともだと思うのですけれども、この程度重油専焼の火力発電所を認めてもいいのではないかというようなことを言いましても、一体どの程度認めるのが妥当であるか、適切であるかというその程度を判断する基準というところが、むしろ実際としては問題になる。そこの判断を誤るならば、結果は非常にまずいものということになると思いますので、そこで日本のエネルギーの見通しというようなものについて、あと二つ三つお伺いしたいと思うのです。私が今さら申し上げるまでもありませんが、経済企画庁方面が、もうこれは二、三年前になりますか、新長期経済計画を発表されたときに、日本のエネルギーの今後の推移はどうなるか。その結論として昭和三十七年度には石炭に換算して約一億数千万トンのエネルギーが日本は必要になる。昭和五十年度には二億七千六百万トンに及ぶところのエネルギーが日本は必要になる。この場合に国内のエネルギーは、水力とか石炭とか等を総動員してやっても、供給力は五二%にしか達し得ない。結局不足分は、原子力、石油、それから輸入石炭というのに依存をせなければならぬということになるので、結局外国に対する依存度というのは、昭和五十年は四八%にもなる。その結果は、結局石油の輸入等につきましても、昭和三十一年は三億八千万ドルの油の輸入であったが、昭和五十年には二十億ドルも油の輸入のための外貨が必要になってくる、大体こういうエネルギーの見通しを立てたと思います。そういうわけであるからして国内の石炭も、これは合理化近代化、増炭というようなものについて、相当に馬力をかけてやらなければならぬというのが、ほんの二年くらい前に出した経済企画庁の大体方向であったのですが、そうなりますると、その後石炭の事情が全然見込みのようにはいかなかったということで、大きな事情の変化が現われたわけですけれども、しかし私としてお伺いをしたい点は、石炭の需要がどうなるか、こうなるかは別として、わが国のエネルギー全体の推移の見通しというものは、やはり昭和五十年度においては二億七千数百万トン程度にも達するのではないかという、大体大筋の方向については今日もなおそう考えておられるかどうかという点を確かめておきたいと思います。
  63. 池田勇人

    池田国務大臣 私は企画庁の昭和五十年におきまする石炭換算二億七千万トンということにつきましては、再検討しておると考えております。昭和三十三年の石炭換算一億一千六百万トン、こうなる。大体各国の状況を見ましても、国民所得の差が消費エネルギーの差と大体似ておるようでございます。従って私は三十三年を基準にして一億一千六百万トンなら、所得を倍にするということになると、二億三、四千万トンでいいのではないかという気がいたしております。これは私のしろうと考えです。今二億七千万トンがどうかという問題につきまして、再検討を加えておるようでございますが、われわれもこの問題につきましては、十分研究していきたいと思います。ただ問題は、石炭にいたしましても、熱管理が行き届きますと、相当の今までロスしておったのが出て参りますし、いろいろが点がありますので、なかなかエネルギー総量というものは、毎年どうなるかということも、もう、たとえば今年の石炭にいたしましても、私が就任当時・貯炭が千百万トンばかりあった、三月末は七百八、九十万トン、八百万トンくらいじゃないかと思うという答弁をいたしましたが、とんでもない話だ、そんなことはありはしないということを、ある委員から言われ、しかられましたが、しかし大体予想通りの八百万トンを切れておるようでございまして、このエネルギーのあれをどうこうということはなかなかむずかしいことです。今まで政府でやりました五カ年計画、二回作りましたが、もう五カ年計画は一、二年でくずれてしまうようなのが、今までの日本の現状でございます。私は十分、一案、二案、三案と検討いたしまして、こういう場合のときにはこう、ああいう場合のときにはあるというような方法を講じていかなければ、計画はすぐくずれるようになるんじゃないかと思います。しかし将来につきましての一応の計画は、やはり検討しておく必要がありますので、ただいま企画庁はもちろんのこと、主としてエネルギーを取り扱っておる通産省といたしましても、十分研究を加えていきたいと考えております。
  64. 八木昇

    ○八木(昇)委員 これは、お互い神わざに近いような計算をして、的確なるエネルギーの今後の推移というものを、数字的にも間違いなくつかむということは、なかなかむずかしいことだということはその通りですけれども、しかし今の大臣の御答弁では、二億七千六百万トンというものは少しく大き過ぎるので再検討を要するのではないか。二億三、四千万トンぐらいのところじゃなかろうかというようなお気持のようでございますが、かりにそうだといたしましても、日本のエネルギーの需要の増加していくテンポというものは著しいものだということは、だれの目にも明らかなわけです。そうなってきますと、結局石油によってそのエネルギーをまかなうということになっていきますと、これは今から十年以上もたちますと、ものすごい巨額のドルを必要とするということだけは否定しがたい事実だと思うのです。そうなってくると、ここに、どうしても国内の石炭鉱業というものに、資金の面でもどんどんつぎ込む、それから従って設備近代化し、石炭値段というものをできるだけ安くして、そうしてどんどん掘らせて、石炭消費というものをふやすということに、どうしても政策の重点がより一そう積極的に向かっていかないと、日本の将来のエネルギー問題は重大な局面に逢着することは、実は明らかではないかというふうに、私としては非常に事態をおそれるわけです。  そこで問題を電力に区切って、これは公益事業局長にお伺いしてみたいと思いますが、電力の消費量というか電力の需用というか、そういうものは今後一体どういうことになっていくというふうに見通しを持っておるかということについて一つ。まあ一般に言われておるところでは、昭和三十五年、六年、七年の、これからの三カ年間においても、今までの電力需用の少なくとも四〇%程度増加する、これが当初の見込みでしたが、これは四〇%増加ぐらいではとどまらないだろう、五〇%以上に達するであろうというのが、ごく最近の見通しであろう、こう思うのです。今度はその三十七年からさらに五年後の昭和四十二年にはどうなるかというと、昭和三十七年現在のさらに三十数パーセントの増加を示すのではないか、こういうふうに考えられるのですが、そうなってきますと、電力方面の使うところの重油の量というものは、非常にばく大な量に達するのではないか。しかもこれを自然に放置しておきますならば、おそらく重油をたいた方が、石炭をたくよりかずっと割安につく。で、設備資金とかあるいは人件費の関係とか、その他を見込みますと、石炭が少なくとも現在の値段より二割以上下がらないと、重油にはとうてい対抗できない。そうなりますと、ほっておけば電力業界はどんどん重油をたくという方向へ行くということは間違いない。しかも電力需用は加速度的な増加を示す、こういうことになるのではないかということを私考えるのです。そこで、電力需用の今後の見通しはどうかということを、ちょっと答えていただきたい。
  65. 小室恒夫

    ○小室政府委員 非常に長期的な見通しでありますので、なかなか計画通りに動いていかないのでありますけれども、十年後の需用というものを試算、これは一つの試算でありますが、最初の五カ年間は大体需用が九・五%くらいで伸張して参る、さらに次の五カ年間は年間八・六%くらいの比率で伸びて参るというふうに計算いたしますと、四十三年度におきましては三十四年度の二・二八倍、二倍三分くらいにまで伸びるというような一応の計算を立てております。最近の電力需用の伸びは、実を申しますと、本年度は前年に比して一五%増、それから来年度もこれは今推算中でございますが、一〇%をこえる伸びがどうも期待できそうに思われます。一〇何%ということはまだ計算中でありますから申し上げませんが、そういう状況から申しますと、今の九・五%とか八・六%が妥当かどうかということもにわかに言いがたいのでありますが、とにかく十年後には二倍以上にふえるという推算は、控え目なものであっても過大なものではないだろうという感じがいたしております。また、重油専焼の発電所が、これも産炭地に近いところと遠いところで、石炭混焼のものとの差がいろいろ食い違っておりますけれども、発電原価で一割ないし二割くらい重油専焼の方が安いだろうというのが通説になっておりますので、電力需用だけの立場、原価を低減するというだけの立場に徹すれば、おっしゃるようなことも起こり得るのでありますが、先ほど来申しておりますように、重油産業と石炭産業との両立ということを考えて参りますので、むろん重油消費も漸増して参りましょうけれども、それほど極端なことにはならない、適当なところに落ちつくのではないかというふうに考えます。
  66. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そこで、今度は鉱山局長に伺いますが、大体原油の輸入というのは、大ざっぱに言って今後五年間くらいに一体どのくらいふえるという見通しでございますか。
  67. 福井政男

    福井政府委員 原油の輸入といたしましては、御承知のように九七、八%輸入いたしておりますが、今後の処理の増加の見通しといたしましては、三十七年度で二千七百七十万キロの処理をする、これは企画庁の長期計画でございますが、そういう数字になっております。四十年が三千六百万キロということになっておりまして、この数字でいいかどうかということも、私ども、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、目下検討をいたしておりますが、大体そういう数字になっております。なお三十四年度の処理量としましては、約二千三百万から四百万くらいに考えております。
  68. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それは大体三年後には石炭の炭価が千二百円まではトン当たり下がらないまでも、まあそれに近い数字が下がる、それから重油ボイラー規制法は、三十八年の十月以降は法としてはなくなるというような前提の上ですか。
  69. 福井政男

    福井政府委員 さようでございます。
  70. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そういたしますと、そういうふうに事態が割合にうまく進んでもなおかつ原油の輸入は、もう今後数年の間に五割以上ふえるということに非常に大ざっぱに言ってなるのではないか、こういうふうに考えられるわけであります。そう考えてきますと、やはり事態は相当重大ではないかと私どもとしては考えるわけです。時間もありませんので、あと一つ二つで終わりたいと思いますが、そうなってきますと、結局石炭対策のおくれというものを、私どもとしては感じるわけであります。  そこで、その石炭対策そのものについては、先ほど武藤委員も言っておられましたように、今度の合理化法の一部改正法案審議の際に申し上げたいと思いますし、この政府案に対して社会党からは独自の法案を出しておりますが、日本のエネルギー対策全体からこれを公平にながめた場合に、石炭対策は非常におくれており、安易に外国の油の輸入に依存しているという傾向にあるのではないかと、私ども考えるわけであります。そこで、こういうことを考えます場合に、相当石炭対策に積極的な施策を打ち出さなければならぬ。その場合に、今度出されました合理化法の一部改正のごときは、政府が出します二十億でございますか二十一億くらいのものでございますか、そういったようなことでは、ほとんど取るに足らないというような見方を私どもとしてはいたしております。こういった点についての通産大臣の決意のほどをこの際承っておきたいと思います。
  71. 池田勇人

    池田国務大臣 これは石炭だけのことを申しますと、多いに越したことはないのでございます。やはりいろいろ財政全体から考えまして、まあ一応この程度で進んでいったらどうか、この問題も当初は大蔵省なんか、なかなか聞かなかったのであります。だんだん石炭鉱業重要性を認識してくれまして、この程度に相なったのでございます。私は、今御心配のような点もありますので、石炭対策につきましては、今後情勢に応じまして対策強化をはかっていきたいと考えております。
  72. 八木昇

    ○八木(昇)委員 終わります。      ————◇—————
  73. 中村幸八

    中村委員長 次に、私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  薬の乱売に関する問題について質疑通告がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 私は最近東京都内で問題となっております薬の、主としてビタミン、ホルモン、肝臓薬等成人の保健薬の割引販売の問題に関連しまして、この際関係当局の見解をお伺いいたしたいと存じます。  御承知のように、戦後衛生保健の思想が普及し、その上各種の新薬が発見され、その結果国民の平均寿命が著しく伸びて参りましたことは御承知の通りであります。昭和三十三年の統計によりますと、平均寿命が男が六十五才、女が六十九・六才、大体七十才でありますが、十年前と比較いたしますと、約十年間も寿命が伸びているそうであります。なお二十年前と比較いたしますと、とにかく二十才近く平均寿命が伸びている。その原因は、幼児や結核の死亡が非常に減ってきておることであります。ところが、われわれ成人四十才、五十才以上の人の寿命というのは、この十年間少しも変わっておらない。死亡率の第一であった結核が五位かに落ちまして、成人病である脳卒中あるいはガン、心臓病、こういうものが一位から三位を占めておるということになっておるようであります。幼児や結核死亡者が激減したというのは、衛生思想の普及もさることでありますが、抗生物質を中心とする治療薬が目ざましい効果を上げたからだと思うのであります。しかし、成人の平均余命といいますか、これが伸びない原因は、成人を対象とする保健薬、予防医薬、こういうものの発展が不十分であった、こういうことを物語っておると思うのであります。従って、目下問題となっておりまする保健薬というのは国民保健の対策考える場合に、私は重要な問題になるだろうと思うのであります。  東京都における保健剤の安売り問題は、従って、ただ単に割引販売問題というだけでなくて、表面に現われている現象が問題なのではなく、その原因を究明する必要がある、正しい流通秩序を確保させて、成人が健康で活躍できるような、成人の余命というのがもっともっと伸びるような効果をもたらすべきだろうと思う。こういう意味から、私は国民保健の上から、この保健剤の問題を取り上げてみたいと思うのであります。  そこで、まず第一にお伺いしたいのでありますが、薬業の生産、卸、小売、この三部門に対する所管当局とその関係をとりあえずお伺いしたい。たとえば厚生省はどういう関係を担当しておるか、通産省はどういう関係を担当しておるか、その関係をまず第一にお伺いしたい。
  75. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 薬は、今お話のように、国民の保健衛生という立場から非常に重要なものでございますので、これに関しましては、現在薬事法という法律がございまして、製造につきましては、これを登録制ということで、実質上は許可と同じ、それから一つ一つの薬を製造するにつきましても、許可制をとっております。それから卸なり販売なりのいわゆる流通段階につきましても、これもやはり薬の特質上、これを取り扱うものの資格その他がきめられておりまして、手続としましては、やはり製造業者と同じような登録というようなことになっております。そういう意味で、生産から配給に至るまで、私の方の関係では薬事法に基づいて規制をいたしておるような状況でございます。  なお、経済問題につきましては、中小企業団体組織に関する法律等がございます。これに関しまして、薬に関係します部分につきましては、私の方で監督をいたしております。
  76. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると製造、流通部面も主として厚生省の薬務局長が当面の責任者だ、こういうことになりますか、わかりました。  それでは次にお伺いしたいのでありますが、新聞等で御承知のように、池袋の三共薬品という薬店が割引販売三割から五割いたしております。定価で一般に買っておる消費者の立場から考えますと、三割から五割、割引しても損はない、こう言っておるそうでありまして、これはわれわれ定価で買っている方の立場からいうと、非常に常識では理解できないような価格だと思うのであります。一体このメーカーから流通段階における価格体系というものはどういうふうになっておるか、ちょっとお伺いします。
  77. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 価格そのものにつきましては、御承知のように価格の統制等を行なっておりません。従って一つ一つ価格について高い安い、あるいは適正であるかどうかということについては、私の方は申し上げる立場でございませんけれども、御承知のようにメーカーから卸、小売、そういう一応の三段階、A価B価C価というような格好で、通常世間では呼んでおりますが、そういうような建て方になっております。これらの内容のきめ方その他につきましては、これは業界の方でやっておる、そういうふうになっております。
  78. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると流通段階でも厚生省が責任をもって指導することになるわけですが、価格の面では業者の自由にまかせる、どういう販売の方法をもってしても厚生省はこれに関係しない、こういうようにおっしゃるわけですか。
  79. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 御承知のように薬の問題については、薬の品質を確保するということが何をおいても一番必要なことであろうと思います。その意味において今申し上げたように、製造から販売の段階についても、業者の資格等についても制限をする等いろいろな規制を行なっております。また随時薬事監視を厳重にいたしまして、品質の確保がなされるように努力をいたしておるような次第であります。さらにまた薬についての国民の信頼度、あるいは適正な流通の秩序によって円滑に国民に薬が供給をせられる、そういう状態を確保するということは、薬の特質上当然考えなければならない点だと思うのでございますが、ただ価格そのものについては、役所の方といたしまして一般の薬についてはかれこれ申し上げるというような仕組みにはなっていないわけであります。
  80. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると品質の点は厚生省が厳重な監督をする、価格の点においては立ち入った監視はできない、こういうお話であります。しかし私池袋に行って調べたんですが、三共薬品では三割から五割、割引して売っても利益はあるのだ、こういうことを言っております。そして一般の消費者に安く売るのが一体どこが悪いか、また消費者側としては、いい薬が安く買えるならこれに越したことはないのであります。消費者は安く売ることを歓迎しておる。しかしそこに問題がある。新聞等によると、いろいろ都内の薬業業者が非常な打撃を受けて売り上げが減っておる、こういうようなことも出ているのですが、こういう問題に対して適正な行政指導するところは厚生省じゃありませんか。
  81. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 今申し上げましたように、薬が正常なルートで円滑に国民に配給せられることを確保するということは、何をおいても第一に考えなくてはならぬことですから、従って、そのためには薬の店というものが、適当な地域的な配置に置かれておるということが、やはり一つの前提でございます。これらのものが混乱を来たすということになりますると、やはり全体として、私の方としては無関心ではもちろんおれないわけでございます。その意味において、この間のような事例について、薬に関係する立場からして、あまりにも非常識な事柄については、私ども法の許す範囲内において、適当な指図等をいたしておるのでございますが、なお一般的なそういう業界の調整の問題につきましては、中小企業団体組織法に基づきます消費商業組合を作って、そしてそれに基づいて調整規程を整えて、お互いの間のそういうむちゃくちゃな競争による配給の混乱等が起きないようにしていくということについては、私どもももちろん指導いたしておるわけであります。しかし、たとえば個々の価格を幾らならよろしい、それならばだめだ、そういうような干渉の仕方はしていない、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  82. 板川正吾

    ○板川委員 公取委員長にお伺いしたいのですが、価格の問題で、独占禁止法二条の七項の二ないし三によりますと、不当な価格で取引をしたり、また不当な手段で他の顧客を奪ってしまう、こういうような販売の方法は不公正な取引方法となるおそれがある、こういうことがきめられておりますが、池袋の三共薬品の三割ないし五割割引なるものは、この不公正取引に当てはまるかどうか、この点についてお伺いしたいのであります。また、不公正取引の一般的な判定の基準というものは、どういうことを基準にして不公正であるかないかということをきめてあるか、この点をお伺いいたしたい。
  83. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 私の方で不公正取引と申しますのは、今の例だと不当廉売であります。不当廉売というものは、仕入れ原価を割って売る場合を一応考えておるわけであります。従って、今三割または五割を引いたものが仕入れ原価を割っているかどうかという問題で、もちろん池袋で一時は九割引きというのもあったわけであります。九割引きということになっては、常識で考えても原価を割っておると思うのですが、それは幸いに先月末日で終わっておるようでありますが、三割、五割程度は、私の方としては原価を割っておるとは考えておりません。もちろん、これは池袋について十分調べたのではありませんけれども、大阪におきまして、大阪方面の薬の業者を調べますと、仕入れ方の上手下手と申しますか、安く仕入れる人と、そうでなく仕入れる人とありますので、一がいには申せませんけれども、非常に安く仕入れているのから見ると、三割程度あるいはものによっては五割ということは必ずしも原価を割ったとは思われないのであります。
  84. 板川正吾

    ○板川委員 池袋の九割引きというのはどういう品物ですか。保健剤ですか。
  85. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 九割引きというのは、御推測の通りに異例中の異例で、勢いの激するところああいう状態になったのでありますが、品物としては、私の承知いたしておりますのはマーキュロと脱脂綿であります。
  86. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、池袋ではそれは大体サービスにくれるようなもので、三割ないし五割引きというところで承知してよいと思いますが、私の調査等によっても、関西の薬品の販売価格等を見ますと、池袋よりさらに安いようですね。それも二年も前から関西では薬品の安売り、割引販売、こういうことが行なわれておるが、東京では関西の割引率よりもやや高めです。しかし、これが非常な問題になるのは一体どういう原因からでしょうか。業界等が非常に混乱を来たしておるということは、関西ではすでに二年前からもっと安い値で行なわれている。しかし、東京で行なわれたら非常な混乱がある。これはどういう原因からそうなったでしょうか。
  87. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 今お話のように、薬に関します配給秩序の乱れと申しますか、そういう状態は前から大阪、岐阜、名古屋、京都、福岡その他の各地において、程度の差はございますけれども、いろいろな形で行なわれて、これがやはり地元においては相当な問題を提起し、またいろいろな影響を及ぼしたということはお話の通りでございまして、東京の方も実は今度が初めてではないのでございますけれども、そういうような地方の状態から今回東京にいわば舞台が移ってきた、そういうようなことにこれは考えていい問題だと思うのであります。おのずからそれぞれの地方におきましてそれぞれ相当影響を及ぼし、従って問題をかもしたことは、程度の差は多少あるにいたしましても、大同小異ということが言えるではないかと思うのであります。たまたま場所が東京でということが一つの原因だと思いますが、いわゆる対抗販売というような格好で二つの店が目と鼻の先で乱売を始めたということが、やはり問題を大きくしたと申しますか、複雑にした原因の一つとも考えられるのでございます。しかし、今までずいぶんあちこちで問題の起こった一つの集積が、こういう形で現われたとも本質的には言えると思います。従って、今回のものが特に全然異質のものだとは考えていないわけであります。
  88. 板川正吾

    ○板川委員 公取委員長にお尋ねしたいのですが、三割ないし五割程度では薬の場合原価を割っていない、生産価格を割っていない、従って不当廉売でない、こう仰せられるのですが、大手各社の保健剤の公表された価格、A価格、B価格、C価格、こういうものを見てみますと、たとえば強力パンビタンの場合は、小売り価格一〇〇に対して卸価格が七一であり、メーカーが六二である。ポポンSですか、これはやはり小売り価格一〇〇に対して七〇、六二、大体一〇〇、七〇、六二、こういう比率を示しております。今度製薬業者二十社が、流通秩序改善実施要綱なるものを出したが、その中にも小売り向け製品としては、小売価格の一〇〇に対して卸価格が七〇、メーカー価格が六〇、一〇〇、七〇、六〇という割合でおろしておる。現在の公表価格でも大体似ておりますが、その一〇〇に対して五割引いたらばメーカーの価格を割ってしまうのですが、これは不当廉売となりませんか。
  89. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 先ほど申し上げましたが、薬によるし、また買い方によっていろいろ差異が生じてくる。そこである薬は常に同じ価格で仕入れられるとは言えない。たとえばメーカーの方で非常な過剰生産をする、何とかして早くこれを換金したいというような場合だというと、今おっしゃった価格よりおそらく安く手に入ると思います。そういうわけでありますから、その仕入れの方法いかんによってだいぶ差が生ずるということになるだろうと思います。だから五割で売った場合に原価を割るという場合もあり得るし、あるいはもっと極端なことを言えば、五割以下に売っても相当の利益があるということもあり得る、こういうことだと思います。
  90. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますとどこがこういう点を監督をするのですか。たとえばメーカーが各種ビタミン類を押し込み販売した場合に、一体小売価格一〇〇に対して仕入れ価格というのは大体どのくらいに、調査の範囲でなっておりますか、公取ですか、薬務局長ですか、一体どのくらいで仕入れしているのですか。
  91. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 私も取引の関係につきましては詳細承知いたしておりませんが、ただ申し上げられますことは、なるほど今お話のように大体小売三割それから卸一割というマージンになるわけでございますが、実際問題としてはメーカーから卸、あるいは卸から小売に渡します場合にいろいろな形で、サービスがつくわけでございます。その場合にたとえば品物を何個買えば何個渡せば、それについておまけとしてこれだけ渡す、そういうようなことが従来行なわれておりましたので、それを換算をいたしました場合に、どの程度の仕入れ値段になるかということは、今公取委員長からお話のありましたように個々の取引の問題でございまして、私その辺は十分承知をしておりません。
  92. 板川正吾

    ○板川委員 薬務局長が個々の面で知らないんじゃ、流通面を監督する面でどうも不十分だと思うのですが、公取の委員長は、廉売の基準ということで仕入れ価格販売価格関係はわからなくちゃならないわけですか、公取委員長は、この点はどうお考えですか。
  93. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 われわれの方といたしましては、独禁法のいわゆる番人でございますからして、常に不当廉売が行なわれるということについては目を光らしておるわけであります。そこで薬の問題もいろいろあっちこっちからありますので、去年あたりからどのくらいが取引されておるかということを、先ほど申し上げました大阪で調べております。ただし非常に貧弱な陣容で調べるものでありますから十分な調べはできませんが、とにかく調べております。それでまだ結論には到達しておりませんが、大体の傾向を把握する状態に達しつつあるということであります。
  94. 板川正吾

    ○板川委員 ビタミン類のメーカーから押し込み販売の資料を、私手に入れたのですが、これですと、結局添付品のサービスとか、あるいは奨励券のサービスとか、いろいろのサービスがついて、販売価格一〇〇に対して仕入れ価格が五二・八から五四・九、大体五三%から五五%で普通入るのですね。まあ、これが一応表面のやつだと思うのです。実際はもっと安く入るのじゃないかな、こう思っております。  そこで今度の東京都の乱売あるいは廉売問題でメーカーの二十社が集まりまして流通秩序改善実施要綱、こういうものを申し合わせをし、これを卸業者と小売業者の三者で協議をした。これは新聞で報道されておるから御存じと思うのであります。この三者で協議するということと、それからこの申し合わせの中で乱売をした場合、今まで三割も四割も割引して売ったのだが、これは一割しか割引しちゃいけないということで、一割程度の割引はいいが、それ以上はもう安売りしちやいかぬ。要するに高く売れ、こういうことを申し合わせをしておる。しかもそれ以下で安く売った場合には、そこの商店に対して薬の配給を、流出を阻止するような全面的な協力をしよう、こういうことを各社で申し合わせしておりますが、これは独禁法違反になりませんか。
  95. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 実は薬の組合の方が、私の方の事務局へ見えて、大要今のような話があったのであります。われわれの方といたしましては、今の話をそのまま受け取りますというと、独禁法の共同行為になる疑いが非常にあります。もちろんお話にありましたように、新聞にも小売の方でそんなにもうけちゃ、高く売っては消費者も困るだろうし、自分たちも商売ができない。だからその申し合わせば反対だというような声も出ておりまするが、従ってまだ薬屋さんの共同行為ができたとは考えておりませんが、私の方といたしましてはそれが独禁法上のいわゆる共同行為になるということになれば、それに対する対策を当然講じなければならぬ。現在事務局において様子を見つつ研究をしておるという段階であります。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 板川君の質問に関連をいたしましてお伺いいたします。薬の製造及び販売は、薬事法によって薬務局の方で監督をしておられると思うのです。先ほどの板川委員の質問に対しまして価格の点までは立ち入れない、こういうような意味の御答弁があったと思います。なるほど薬事法ではそういう価格について幾らにせよとか、こうせよとか、こういうことを取り締まるような強力な規定はございません。が、しかし販売面を指導し、監督する立場にある薬務局といたしましては、薬のいわゆる卸及び小売等の段階における適正な利潤、マージンはどの程度がいいかというようなことくらいは、これは行政的に御指導になる必要があると思うのですが、今日までそのようなことをしておられたことがありますか。また卸及び小売の段階におきましては、薬においてはどの程度のマージンが適正とお考えになっておりますか、お伺いいたします。
  97. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 先ほど来お話がありましたように、薬の配給秩序の乱れというのは、かなり前からの問題でございまして、これに対する措置といたしまして、結局これは卸、メーカー、小売、それぞれに原因と考えなければならない点があるわけでございますので、その三者の集まる三者協議会を設けまして、そこにいろいろな問題を提起して漸次正常状態に戻していくための努力をする、そういうようなことで、すでに一年半ほど前からそういう仕組みを設けてやっておるわけであります。  そこで先ほどお話がありました三者の協議会というのは、そのことでございました。それで三者それぞれの立場において研究をし、また論議を重ねてきましたけれども、終局において、一応の具体的な考え方としてまとまってきたのが、先ほど来お話の点でございますが、なお私どもの方はそういう三者協力の上に流通秩序を確立していくという努力をできるだけ支援をし、あるいはおこがましい言葉を使うとすれば指導をして参っておるわけでございます。そのほかに先ほど来申し上げておりますように、中小企業団体法に基づきます小売商業組合の設立を促進をしてやっておるわけでありますから、お尋ねのマージンの問題については、これはそういうような関係で、直接私が幾らが適当であるということを申し上げる立場にはございませんけれども、大体従来の慣行として小売三割、卸一割ということが常識であるように考えております。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 薬には大てい定価というのが入っていると思うのです。先ほどの公取委員長の話では三割ないし五割ならば原価を割らないだろう。三割ないし五割引いて売ってもなお引き合うんだったら、定価のつけ方が高過ぎるということになるんだと思うのです。そこでやはり薬品の製造販売を行政的に指導する立場にあるあなたは、小売価格が高過ぎるならば、それを低く定めるように勧告ないし指導をして、定められた定価通りに売ると、こういうようなことはできないのですか。もちろんあなたもおっしゃるように三者集まっての協議会によって流通秩序を立てていくということは、民主的に最もけっこうな方法だと思いますが、一年半もかかってできないというならば、そこにある程度の行政指導監督が必要だと思うのです。この定価というものと利潤との関係及び、そういうことなら定価が高過ぎる——先ほどここで笑い話に出ておりましたが、昔から言われておる薬九層倍の思想が今日なおあっていいのか、そういう点から適正な小売価格を定めるよう、そうしてその小売価格を守って販売するようと、こういうような指導はできませんか。
  99. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 先ほどお話に出ました、この間の取引方法についての三者の協議会での話し合い、これもずいぶん関係者が努力をされて、あそこまできたわけでございますけれども、これは当面流通秩序の乱れを改善するすべての方法ではなくして、一つの一部分のものでございまして、そのほかに今もお話がありました価格の問題、定価のつけ方の問題、いろいろの問題があるわけでございます。これに引き続いて、そういう問題をこの三者協議会でよく打ち合わせをして結論に持っていく、そういうふうに私ども考えておるわけでございますが、せっかくのお話でございますので、さらに私どもとしては、一つ三者協議会を通じてお話の線に向かって十分努力をいたしたいと考えております。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 大体薬事法自体が古過ぎると思う。薬を製造するにあたっては届け出をして、厚生省はそれが毒でなければ、害がなければ、きいてもきかなくても許可をする、それが薬事法の建前なんです。だからこういう点を根本的に考える必要があると思う。今あなた方がおっしゃったように一部のものかもしれません。薬についてのいろいろな問題が今起きておるのは一部かもしれません。しかしその一部がああいうようなことになったことについて、一般の薬に対する観念は変わってきております。少なくとも国民の保健と衛生を受け持つ大きな部門を持っておるこのごろの売薬において、そういう不信感があってはたして国民の健康、保健が保てると思いますか。一部だから云々ということではないです。今日では薬全体に対して価格の面等において不信感が出ておる。これはいなめない事実だと思う。そこにあなた方の監督の面において若干反省してもらわなければならぬものがあろうと思う。従いまして一部だからということではなく、私が申し上げたいのは、すでにメーカーが生産過剰に入っておる、だから押しつけが行なわれておる、あるいは裏に回って、定価を割っての乱売が行なわれる。ああいう乱売合戦の裏には、メーカーに直結しておるのもあると聞いております。そういう不正なといいますか、信念のない製薬会社はどんどん整理したらいかがですか。
  101. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 先ほど申し上げましたように、薬の品質を確保すると同時に、薬についての国民の信頼度というものを確保する、そういうことがやはり薬務行政上も非常に考えなければならない重要なポイントである、そういうふうに私ども考えております。そのゆえにこそこの間の池袋問題については、私どもそういう点も十分心配をいたしまして必要な措置をとったわけでございます。なお今お話の薬の配給についての正常な秩序を守るということにつきましては、これは非常に必要なことだし、私どももお話の点につきまして全く同感でございますので、そのような趣旨で今後努力いたしたいと思います。  なお念のために申し上げておきますけれども、薬の一品々々の許可につきましてはこれは実は許可制になっておりまして、実際の内容、それについての効能、効果、というものについて専門家による審査をいたしまして許す、そういうことに現在は取り扱っております。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 薬を一品々々検査し  て、中に何が入っておるということは調べる、それはわかりますよ。ところがそれは害にならないということを調  べるだけです。これが保健にこうだ、こういう方面にきく、こういうことについてどの程度の効果があるかということはあまり調べていない。それははっきりしております。それはそれとして、大臣に伺いますが、薬品はもちろん厚生省において指導監督しておられるわけですが、今日ああいう状態が起きておることは、大きく言って流通秩序の問題だと思うのです。そういう点からやはり通産大臣関係が出てくると思うのです。そこで昨年国会を通りました小売商業特別措置法、これはわれわれの案と一緒にして修正になりまして小売商業調整特別措置法になりましたが、その法案審議にあたりまして、われわれはメーカーと小売と卸、この三つの範囲をはっきりすべきじゃなかろうかということから、メーカーの小売行為あるいは卸の小売行為、すなわち卸と小売を両方やっているところは、卸は卸としてやっていく、あるいは卸をやっておるが、小売をやっておるのが多ければ、これは小売と認める、こういうような案をもちまして修正に入りましたが、残念ながらその点は入らなかったわけなんです。今日薬についてこのような状態が起こっておる。これは、そのメーカーから卸へ行って、卸から小売へ行くという秩序が乱れてきておる、ここにこういった廉売合戦が起こってきておると思う。裏に回ってメーカーが直接おろしておる、あるいは卸を飛んで小売へ行っておるとか、卸が小売をやっておるというところにあろうと思うのです。こういう流通秩序全体から見まして、メーカー、小売、卸、この関係をはっきりする必要があろうと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  103. 池田勇人

    池田国務大臣 経済の実態からいって、しかもまた多年の慣行から申しまして、製造業者は卸ができないとか、小売ができないとか、こういう規定は、日本の今の状態としてはなかなか厄介で、言うべくして行ない得ないし、またそういうことは流通秩序の規制にはなりますが、実態に沿うか沿わぬかは検討を要することだと思います。
  104. 板川正吾

    ○板川委員 価格の面を見ますと、たとえば強力パンビタンは、メーカーの価格は五百二十五円、一般の小売価格は八百五十円ですが、われわれの入手した調査によりますと、小売商店の仕入れ価格はメーカーの五百二十五円に対して最低四百円になっております。それからポポンSの場合には、百二十錠入りで九百九十円というメーカー価格ですが、これが千六百円で売られるのが六百八十円で入っておる。ビタホーマーは、三百五十円のメーカー価格が二百十円。ミネビタールは、五百二十五円のメーカー価格が三百三十円。グロンサンは、二百五十五円のメーカー価格が百六十五円。強力ユーボンは、五百七十円のメーカー価格に対して四百二十円。こういうように小売商店の仕入れ価格の方がメーカーから卸に売り出す値段より安いというのは一体どういうことなんですか。これでは、製薬会社が、非常に乱売競争をしたためにあるいは収益が悪くなるのじゃないかと思うのです。とにかくメーカーで売り出すぎめてある価格より一割か二割安く小売へ出すのですから、その中間の卸を通過した場合もっと安く出すでしょう。そうしますと、大手製薬会社の経理は、普通ならば左前になっていくのじゃないかと心配するのですが、この大手各社の経営状況について、たとえば最近の配当率、売上率の前年比、売り上げに対する宣伝費の割合、売り上げに対する人件費の割合、これがわかっておりましたならば、薬務局長でも公取委員長でも中小企業庁長官でもけっこうでありますから、はっきり言って下さい。
  105. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 今お話の資料は手元に持っておりませんので、後日また申し上げます。
  106. 板川正吾

    ○板川委員 それではあと資料は出せますか。
  107. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 出す方向で研究してみたいと思います。
  108. 板川正吾

    ○板川委員 流通面を担当する薬務局長が、あまり流通関係に熱意を持っていないように思うのです。  私が調べた範囲では、武田製薬では配当が一割五分、中外製薬では二割、三共製薬では一割八分、第一製薬では一割八分というように、ずいぶん安売りしておりながらもうかって配当はいいです。しかも大正製薬では配当が十割で、二割、三割ではない十割の配当をしておる。そういうように膨大な配当をしておって、それでしかもメーカー自身が値段をくずして小売へ出しておる、この流通過程というものはめちゃくちゃじゃありませんか。そんなふうにめちゃくちゃに売ったら過当競争でそのメーカーがつぶれるかと思うとものすごい配当もしておる、給与水準もいい、こうなると薬を買う国民、消費者の立場というものを薬務局長はもっと考えてもらいたいと思う。分析してその中身が毒でなければ出すという程度のことなら、それは試験場へ回しておけばいいのであって、薬務局長という立場、厚生省という立場からいうと、消費国民の立場を考えて、もっと真剣な流通面に対する対策を打ち立てるべきではないかと思うのですが、これに対する考え方はいかがですか。
  109. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 そういう趣旨で私ども努力をいたしておるわけでございます。
  110. 板川正吾

    ○板川委員 結論として東京都における薬業界の混乱というものは、メーカー自身が非常にもうけ過ぎておる、そうしてもうけ過ぎておるために自分できめた定価を自分自身が守れない、こういうところに今の東京都、関東における薬業界の混乱の原因があると思う。今度東京都における薬業小売業が、こういう保健剤を三割値下げしたらいいだろうということを要求しておりますが、薬業界では大体メーカーがもうけ過ぎた、大量生産になってコストダウンができた。しかもそれを昔の値段で売ろうとしておる。今度この大手二十社の申し合わせによると、その割引率が三割も五割もしておったものがある。関西ではそうやっておった。その割引率を一割程度で高いものを売らせる。こうなったらもうけ過ぎで全く薬九層倍という格好になってしまうのですが、これはやはり小売業者の主張の通り、保健剤は三割ないし四割というのですか、小売業者が成り立っていかなくちゃいけませんから、小売業者は三割は値下げしてもいいという主張をしておるのですが、私は妥当な要求だと思う。これに対して薬務局長はどうお考えですか。
  111. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 先ほど来のお話でおわかりのように、なるほど薬については定価がありますけれども、実際の流通状況を見ますと相当値くずれしておるのが現在の実情でございます。従って対策としては、これらの実情を十分念頭に置いて進めていかなければならぬことは当然でございますが、今お話の点等につきましては、やはり先ほど申し上げました三者協議会で十分検討していくべき問題だと考えております。
  112. 板川正吾

    ○板川委員 値くずれしておる実情検討する、その実情を聞くとわからないというじゃないですか。それで、三者協議会で今きめようというので、主としてメーカーが申し合わせして三者協議会に諮っているというのは、これは値くずれを防止しようということになるかもしれませんが、しかし一般の消費者からいえば値上げになりますよ。それは実情に沿わないじゃないですか。
  113. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 先ほど申し上げましたように、この間の話し合いというのは、現在の流通秩序を確立するためのすべての対策ではなくして、それも一つ、それからそのほかにも今お話のありました価格等の問題を含めていろいろな問題があるわけでございますから、その一つの問題をということで一応話し合いのけりをつけて、今お話の価格の問題、そのほかいろいろな問題を逐次議に上せて検討していく、そういうことでございます。私どもお話の趣旨はよく理解できますので、今後その趣旨で努力して参りたいと思っております。
  114. 板川正吾

    ○板川委員 一つ今後真剣な対策考えてもらうこととして、その一つ考え方として私公取の委員長にお聞きしたいのですが、独禁法二十四条の二によって再販売価格維持契約制度がございます。この指定品目の中にビタミン剤、ホルモン剤があります。メーカーも卸も小売も適正な利潤をとり、一般消費者にも適正な値段で売るという流通秩序を確立する意味において、保健剤のように国民保健の上に非常な影響を持つもの、特にこれから国民保健の立場からいえば治療薬でなくて、成人病対策、成人病の保健というのが問題になっているときに、この保健剤というものを独禁法の二十四条二でいう再販売価格制度を確立して、そうして新聞のように雑誌のように、どこで買ってもこの保健剤はこれだけの値段である、そうして各段階で適正な利潤を受ける、こういう再販売価格制度の指定にして、そういう点で流通秩序を確立したらどうかと思うのでありますが、これに対して公取委員長薬務局長の見解を伺いたい。
  115. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 再販売価格の指定という制度がありますが、実は薬の方では大正製薬しか今やっておらないのです。従って、はたして再販売価格維持契約という契約が、経済的に見て非常に利用価値があるものかどうかということは、相当研究の余地があるように思っております。従ってこれをきちんとやった方がいいかどうかということは、ただいまとしてははっきり申し上げかねるのであります。
  116. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 これらの問題については公取委員会の方と私の方と連絡を緊密にいたしておりますので、今委員長からお答えのありましたように考えております。
  117. 板川正吾

    ○板川委員 大正製薬がそういう式で、利益率は年間十割ではない百割、こういう利益を上げておるのであります。だから私は大正製薬でできるんだから、やはり各製薬会社大手も再販売価格制度をとって、もうちっと流通秩序を正常に戻すべきではないかと考えておるわけであります。そのほかたとえば自動車の販売のように一年に一ぺん値段を発表して、これからのグロンサンは百錠入りで幾らにするというふうに小売値段を公表してもいいんじゃないか。どうも値段が大体あいまいでおって、そして大量生産でもうかってきている。そこで値くずしをメーカー自身がするというところに、やはり問題があるんですから、たとえば自動車の販売価格をきめるような場合あるいは鉄鋼——ともかく問題はありますが、鉄鋼の公販制度みたいなものを参考にして、もうちょっと流通秩序の健全な確立に努力してもらいたいと要望いたします。  それから最後に、公取委員長にちょっと申し上げますが、この間いろいろ資料要求していただいておりますが、その資料のほかに昭和三十三年度の年次報告をいただいております。これは研究さしてもらいますが、私ちょっとこれで不審に思っている点は、三十二年の年次報告の場合は、非常に冊子も大きくて膨大で内容も豊富でありました。ある学者の話ですが、率直に言いますと、日本の公取は何もしないが、年次報告だけはきちんと出すことが唯一の仕事だろう、こういうことを言って酷評する人さえある。ところがこの大事な年次報告が、三十二年度のスペースを字数で割ってみましたら四十七万字見当出しております。しかし三十三年度は十六万字、三分の一に減ったのです。この減った理由は、公取の活動が三分の一に減ったのではないと思う。予算が特別減ったということもない。そうすると一体この報告書が非常に少なくなったのはどういうことか、どうもおかしい。あまり詳しいことを出すとめんどくさいから、なるべく簡単にして出そうというのでしたら、せっかくの公取の一番の仕事としてのこの年次報告が、これは世界各国に出すのだと思いますが、ずさんになるのはまことに残念であります。この年次報告が急にことし、去年の三分の一になったというのはどういう関係でございますか。
  118. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 公取の年次報告は御承知の通り独禁法の規定によってやるのでありますから、なるべく法の規定に合うようにやっているわけであります。もちろんわれわれの方としては法の規定でやっている以外のことで調査活動をしておりますので、それは別な方法で公表しよう、こういうふうな考えでおるのであります。
  119. 田中武夫

    田中(武)委員 さっき関連質問だったから途中でやめたのですが、薬務局長に伺いたいのですが、外国の立法例を見ました場合には、薬の製造許可をとる場合に、販売価格というか、小売価格をつけて出す、こういう立法であります。日本でもそういうふうにしたらどうですか。先ほどから言っているように、公正取引委員会が調べたところでは、三割ないし五割引いて売るのは原価を割っていない。そういうことなら定価をでたらめにつけてあることになろうと思うのです。そんならなぜ定価をそういうつけ方をしてその定価から三割ないし五割引いて売るのか、初めから三割ないし五割引いた適正な定価をつけておいてその定価を励行させることが、流通秩序の維持からいいと思います。そういうふうに考えて、薬事法を改正して外国の立法例にあるように製薬の許可をとる場合に販売価格をもつけて出す、そういうふうにしたら私は守れると思うのですが、どうですか。
  120. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 お話にありましたように、外国によりましてはいわゆる薬価令という規制の仕方をやっておりますが、日本におきましても同じような、今いわゆる薬価令というようなものを作ったらどうかという意見は前からございますが、現実の問題としては、いわゆる保険の薬価につきましては、薬価基準、いわゆる保険に使う薬につきましては、一応薬価基準というものを設けて、それを中心にしてやっておるわけでございますが、一般の薬に、今お話のような方式においてこれが規制をするという問題につきましては、さらに一つ検討いたしてみたいと思います。
  121. 田中武夫

    田中(武)委員 いずれにいたしましても、薬廉売合戦、三十八度線を限っての日韓合戦をやる、そして社会的な話題をまく、こういうことは法律の上に何か欠陥があるのか、あるいは監督しておられるあなた方の方にあるのか、どこかにやはり一本くぎが抜けておるからああいうことになると思う。そのことはひいては一般国民の薬に対する信頼感、ことに価格に対する信頼感というものがなくなってしまう。こういうことは保健衛生の上からいっても、あるいは経済的な問題からいっても、私は許すことができないと思うので、法律もあるいは行政指導一つ検討し直してやっていただきたいということを希望いたしておきます。  最後に、公正取引委員長にお伺いいたしたいのですが、先ほど板川君の質問に対する御答弁で、独禁法第二条第六項による公正取引委員会の告示第十一号六号、これについて不当なる廉売といいますか、これは原価を切らなければいいんだ、こういう解釈だということをお答えになったのですが、第六号は「正常な商慣習に照して」云々となっておるのですが、正常な商慣習を、どのようにお考えになっておりますか。
  122. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 正常な商慣習というと、ごく抽象的な言葉ですが、ある慣習があって、それが客観的に見て不当でない、こういうふうに考えております。結局文字の解釈みたいになってしまいますが、どうも具体的のお話でないものだから……。
  123. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、私が申し上げているのは、板川委員が告示十一号の六号違反ではないか、こう質問したのに対し、そうではないと認めたという御答弁でありましたけれども、それなら「正常な商慣習に照して」云々としておられる。従って薬における正常な商慣習とは何ぞやと、こう聞いておる。その前提がなければ、あなた、違反であるとかないとかいうことを結論を出せないでしょう。それを出される以上は、薬における、売薬小売における正常な商慣習というものを定義しなければいけないわけです。それをいかに定義せられたか、こう聞いておる。
  124. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 私が答えましたのは、今六号というお話ですが、五号についてお答えしたのです。五号はいわゆる不当廉売といっておるが、これが一番おもな問題なんです。五号についてお答えしたのです。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 板川君は六号で尋ねたと思うのです。それではあらためて私が六号でお伺いしますが、あれは六号に違反しませんか。
  126. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 顧客の誘引または強制ということがあるかないかが問題であって、それがあった場合に、それが正常な商慣習に照らして不当な利益をもってやったかどうか、こういうことになるわけであります。六号の方の顧客の誘引なりあるいは強制という事態はまだ私の方で、はっきりつかんでおらぬわけです。
  127. 田中武夫

    田中(武)委員 実際ごらんになったですか。町かどに両方立っておって、日本人はこちらということでやっておるのですよ。交通整理の巡査まで出るのですよ。どうでしょう、これ、六号からいってあなたのおっしゃるようなことになるのでしょうか。
  128. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 今おっしゃった池袋のケースは、私ども行って現実を調べたわけではございません。ただいろいろなパンフレットといいますか、広告とか何かをしまして、先ほど公取委員長がお答え申し上げましたように、三割、五割の方は問題はないが、中に九割あるのは何だろうか。九割ともなれば不当廉売になるんじゃないかという議論をしておりまして、今田中先生のおっしゃったような六号の方の問題は、私ども具体的に議論したことはございませんですから、ちょっとこれは、またあらためて研究してお答えいたします。
  129. 田中武夫

    田中(武)委員 もうこれ以上言っても、どうやらあまり研究していないようですからやめますが、薬事法には、御承知のように誇大広告の禁止の規定があります。それから独禁法は、いろいろな立場から、消費者といわゆる小売りというかそれ以上の段階との関係とを規制しておると思うのです。ああいう手段を設けるのはどこかにやはり欠陥があると思うのです。誇大広告の約束は、メーカーが誇大広告をしてはいかぬ、こういうことになるのか、あるいは販売においても、いわゆる小売商においてもやはりあると思うのです。そうすると、プラカードを立てて、こちらは日本人でございます、というようなことで、日韓戦争を始めるというようなことも、何かやはり——誇大広告ということとは関連しないかもしれぬが、そのやり方には誇大広告に抵触する点も出てくるんじゃないかと思うのです。こういう点につきましては、幸い自粛の方向に向かっておるようでありますが、こういうことは、先ほど来言っておるように、流通市場の面からいっても、保健衛生の面からいっても、薬に対する不信感を買うだけのことです。公取は公取の立場から、局長は局長の立場で十分今後善処していただきたいと思います。  それから公正取引委員長にもまだ聞きたいのですが、商慣習の問題、法律関係についてもまだ残っておりますが、私は公正取引委員長にいつも毒づくように思われるから、きょうはこれだけにしておきます。
  130. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 薬務局長にちょっと聞きたいが、薬事法の中に、毒物でなければ、たとえばビタミンならビタミン、これだけのものが入っているのだということなんだけれども、毒物さえ入っていなければ、それが効力があってもなくてもよろしいのですか。
  131. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 薬は結局それぞれの要素について、それぞれの効能があるわけでございます。その効能と、それから入っているものとの関連を審査をして、許す、許さないということをやっておるわけでございます。従って全然その効能がないと認められるものについて、それらしい効能をつけるというようなものについては認めない、そういうことにいたしております。なお今毒物云々ということは、副作用の関係だろうと思いますけれども、薬であるからには、用い方によりましては、おのずからすべて益があると同時に、用い方を誤まれば副作用その他の事態を考えなくちゃなりませんので、その辺の関係ももちろん十分審査をいたします。
  132. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 もう一つ討論を聞いているとなかなかむずかしくてわからなくなってしまうのですが、そうすると、あなたのところへこういう薬ができましたというデータが出ますね。そのデータで申請を受けると、あなたのところで一切の分析をやって、認可とか許可になるのでしょうな。
  133. 高田浩運

    ○高田(浩)政府委員 二つの場合がございますが、全然新しい薬、今まで出てない薬、抗生物質なんかで次から次へ出てくるのはそうでございます。それからガンの薬のマイトマイシンなんかもその一つでありますが、これらを許す許さぬということにつきましては、相当の医師によります実験データをとりまして、それに基づいて薬事審議会において専門家が検討して許す許さないということをきめる、そういう仕組みになっております。それからアスピリンでありますとか、その他の従来からあります薬、それらを、Aの組み合わせ、Bの組み合わせ、いろいろな組み合わせがございますが、それについては、結局今までわかっている薬についての効能というのは、おのづからわかっているわけでございますから、従ってそれらの物質の入り方と、それからその効能との関連を見て許す許さないということをきめる、たとえば小麦粉なら小麦粉というようなものを入れて効能をつける、そういうものについても、もちろんこれは毒ではございませんけれども許さない、そういう仕組みになっております。
  134. 板川正吾

    ○板川委員 いずれこの問題は正常な秩序に戻ろうと思います。しかし大メーカーの立場と小売業者の立場と同時に、一番大切な消費者の立場というものを忘れないで、この秩序の正常な確立をしてもらいたい、こう要望いたします。
  135. 中村幸八

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、明日は午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時二十二分散会