運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-05-17 第34回国会 衆議院 社会労働委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十七日(火曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君    理事 藤本 捨助君 理事 滝井 義高君    理事 八木 一男君 理事 堤 ツルヨ君       池田 清志君    亀山 孝一君       藏内 修治君    河野 孝子君       齋藤 邦吉君    田口長治郎君       早川  崇君    古川 丈吉君       柳谷清三郎君    赤松  勇君       伊藤よし子君    大原  亨君       河野  正君    五島 虎雄君       中村 英男君    本島百合子君  出席国務大臣         労 働 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         労働事務官        (職業安定局長) 堀  秀夫君  委員外出席者         議     員 五島 虎雄君         議     員 堤 ツルヨ君         文部事務官         (初等中等教育         局特殊教育主任         官)      辻村 泰男君         厚生事務官         (医務局医事課         長)      江間 時彦君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    上原誠之輔君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 五月十二日  委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として倉  石忠雄君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員池田清志辞任につき、その補欠として小  金義照君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小金義照辞任につき、その補欠として  中島茂喜君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中島茂喜辞任につき、その補欠として池  田清志君が議長指名委員に選任された。 同日  十七日委員山下春江辞任につき、その補欠と  して田口長治郎君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員田口長治郎辞任につき、その補欠として  山下春江君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十四日  港湾労働者雇用安定に関する法律案五島虎  雄君外十名提出衆法第三七号)  労働組合法の一部を改正する法律案堤ツルヨ  君外二名提出衆法第三八号) 同月十六日  戦傷病者のための単独法制定に関する請願(青  木正紹介)(第三七四三号)  同(田中幾三郎紹介)(第三七四四号)  同(今松治郎紹介)(第三八二八号)  同(中山マサ紹介)(第三九一〇号)  同(天野光晴紹介)(第三九六二号)  同(山本勝市君紹介)(第三九六三号)  結核療獲所、病院の建築費に関する請願(内田  常雄君紹介)(第三七四五号)  同(本島百合子紹介)(第三七四六号)  宗教法人立保育施設取扱い改善に関する請願  (臼井莊一君紹介)(第三八二七号)  動員学徒犠牲者援護に関する請願外三件(千葉  三郎君紹介)(第三八二九号)  公益法人立及び社会福祉法人立結核療養所、病  院を公的医療機関に認定の請願中村高一君紹  介)(第三八七四号)  最低賃金法の一部改正に関する請願長谷川保  君紹介)(第三八七五号)  社会保障制度確立に関する請願伊藤よし子君  紹介)(第三八七六号)  同(大原亨紹介)(第三八七七号)  同(滝井義高紹介)(第三八七八号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三八七九号)  同(石山權作君紹介)(第三九六四号)  戦傷病者医療制度確立に関する請願保岡武  久君紹介)(第三九六六号)は委員会に付託さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  身体障害者雇用促進法案内閣提出第五五号)  港湾労働者雇用安定に関する法律案五島虎  雄君外十名提出衆法(第三七号)  労働組合法の一部を改正する法律案堤ツルヨ  君外二名提出衆法第三八号)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  身体障害者雇用促進法案について審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。田口長治郎君。
  3. 田口長治郎

    田口委員 私はこの機会に戦争未亡人及び遺児雇用の問題につきまして、労働大臣にお伺いいたしたいと思うのでございます。  この問題につきましては、労働省といたしまして、相当行政処置で今日まで処置しておられることは承知しておるのでございますが、その行政処置をどの程度にやっていただいておるか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 松野頼三

    松野国務大臣 未亡人及び母子家庭就職に関することは、先般の委員会でも御質問がございましてお答えをいたしましたが、いわゆる遺児家庭孤児就職率は、先般当委員会における御要求もございまして、その以後三十一年、三十二年、三十三年と、歴年実は順調に上昇級をたどりまして、三十三年は中学校高等学校卒孤児就職率は実は九〇数%という数字を示しております。従って私は必ずしも悪いということは今日言えないと思います。  ただここで問題になりますのは、企業別に申しますと、金融機関等はややもいたしますと母子家庭とかあるいは孤児就職を困難ならしめるような条件をよく言われております。そういうことから、実は大部分の都道府県では、府県知事保証人になってその補てんをするというような条例を作った府県も出て参りました。こういうことは、一面から申しますと機会均等であるべき、また特に同情さるべき孤児の方が、いわゆる金銭保証の問題でその差を受けるということはよろしくないと考えますので、各府県のそういう制度をなお促進して参りたいと考えております。  なお、今回の身体障害者法律とは別でございますが、外国の例には、戦争身体障害者特別扱いにするというふうな国もございますけれども、一応日本におきましては、前の職業によって差をつけてはならないという今日の法律の建前から、前職業という意味は今日とるべきではなかろう、しかし、身体障害者及びその他恵まれない方に対しては、やはりそれ相当法律的論拠と現実の促進をはかりたい、こう考えて、今日は行政措置におきましては優先的にそういうものを重点に取り扱っております。
  5. 田口長治郎

    田口委員 ただいま大臣お話しになりましたように、最近では雇用率相当上昇はしておるのでございますが、現場実情をよく調べてみますと、どうも今お話しになりましたように、金融機関関係もでございますけれども、大会社にその傾向がやはりあるのでございまして、雇用が非常によくなったということは、むしろ中小の個人あるいは会社、こういうところがあまりとらわれないで雇用をしている、こういう状態になっておるようでございます。しかるに関係者といたしましては、やはり小さいところよりも、しっかりした大きい会社に入りたい、あるいは銀行に入りたい、デパートに入りたい、こういう希望が非常に強いのでございまして、同じく雇用されるにいたしましても、大きいところがどうかすると門を閉じてしまっておることが普通になり、悩みの種になっておるのでございます。私から申すまでもなく、気の毒な立場にある未亡人及び子供でございます。それから同時に、この連中に対しましては国としては何とか特別な処置をしなければならぬ、こういうような立場の人ばかりであるにかかわらず、今の情勢が、大きなところがどうも拒否をする、こういうような実情でございますから、何とかこの点をわれわれは是正をしなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございます。今まで衆議院の労働委員会または内閣委員会で、二十九年十二月にこの問題に対しまして決議したことがあるのでございますが、おそらく役所といたしましては、この決議趣旨に沿うて努力をしていただいておると思うのでございますけれども、この決議行政指導を強力にやれ、こういうような決議になっておって、これを実行されてなおそういうような足らざるところがあるところから見ますと、私は将来この問題につきましては行政措置でいかぬとすれば、どうしてもやはり立法処置を講じて、そうしてこれらの人を救済するよりほかに方法がない、こういうふうに考える次第でございます。この点について大臣はどうお考えになっておりますか、御答弁願います。
  6. 松野頼三

    松野国務大臣 田口委員指摘のように、この決議に従いまして、実は九七%の就職率と申しましたのは、実は内容についてはまだ検討いたしておりません。就職率としての九七%で、これの就職が大企業であるか中小企業であるかはまだ明快になっておりません。従って、御趣旨のところは、同じ雇用にしても内容についての差があるのじゃなかろうかというきわめて適切の御質問のように考えますので、政府としても、もう少しそういう内容を調べまして、その欠点がどういうところにあるかということを把握して、必要のある場合には立法ということも考えなければなるまいと考えますけれども、今日はその御趣旨に沿って雇用率ということにのみ焦点を置いて行政指導しました結果、高等学校中学校で九七%という、いわゆる量の確保は一応はかれたと私は思います。質につきましてはなお一そう政府検討し、統計を調べまして、必要のあるものならば必要な方向措置はしなければなるまいと考えますが、今日はまだそこまで内容について明快に検討はいたしておりません。
  7. 田口長治郎

    田口委員 九七%の就職率の問題でありますが、これは景気上昇によって、私らの友だちのところでも中学卒業の人を非常に努力して探しておりますけれども、どうもその人がいないという状態でありますが、これは今結局人が一人も残っていない、こういう状態における上昇とも考えられるのでございまして、多少世間が不景気になりました場合にも九七%というものが維持できるかどうか。こういうようなときになりますと、これらの人が第一線として雇用から離れるという事情もございましょうし、今内容を分析しておられないというお話でございますが、確かに中小のところには相当雇用しておりますけれども、大会社あるいは銀は二の足を踏む、こういう現場実情でありますから、一つこの問題につきましては従来の行政指導を一歩踏み越えて何かここに一つ考えていただきまして、国家のために犠牲になられたこれらの人に対しましてこの上苦痛を負わせるということのないようにいたしたいのでございます。いろいろ内容を分析して措置考えよう、こういうお話でございますからこの上に私申し上げませんが、実情をよくお含みの上善処していただくように特にお願いを申し上げる次第でございます。
  8. 永山忠則

  9. 滝井義高

    滝井委員 身体障害者雇用促進法につきましては同僚委員から相当詳しく質問がございましたので、私はとりあえず法文を読んで疑問に思う逐条的なところを先に御質問申し上げて、それから身体障害者の中でも肢体不自由者が一番多いわけですが、その次に視力障害——盲人が多いわけです。従ってこれらの複方障害者の問題を特殊な問題として、逐条的な質問を終わったあとにやらしてもらいたいと思うのです。  それで逐条的なものから入りますが、二条の「特定職種」というのはこれこれのもの、こういうふうに書いておるわけですが、この場合に、この法律における特定職種というものは具体的にどういうものとどういうものを政令でお書きになるのか、それをまず御説明願いたいと思う。
  10. 堀秀夫

    堀政府委員 特定職種につきましては、この法律が成立いたしましたならば、身体障害者雇用審議会におきまして関係者の方の御意見を十分に伺いました上で定めて参りたいと考えております。要するに重度障害者の能力に特に適合すると認められるような職種を申すものでありまして、われわれといたしましてはたただいまのような基本的な考え方のもとに、とりあえずまず第一には、重度視覚障害者に対しましてマッサージあるいはあんま関係職種というようなものを指定したいと考えております。なおそれ以外にも特に障害程度の重いような身体障害者が働くことが適しておるというような職種につきましては、審議会の御意見を伺いまして、将来これを漸次拡大して適職を指定していく、その指定しました適職につきましては、一般雇用比率よりも特に高い比率を出しまして、重度障害者適職に対して雇用されることが促進されますようにわれわれとしては考えて参りたいと思っております。
  11. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと審議会意見を聞くんだが、当面政府としてはあんまとかマッサージ業くらいしか考えていないわけですか。わざわざ特定職種というものを二条の定義の中に入れたわけですが、どうもわずかにあんまマッサージというようなものでは——これはあとでいろいろ質問をいたしますが、これは言わなくても現在特定職種みたようになっているんですね。こういう法律をお出しになるならば、たとえば最近できました自動車の駐車場ですか、それからエレベーターなんかもずっと機械化されてきましたから、ここの別館なんかでも番人がときどきついていますね。そういうのをもう少し具体的に、厚生省としては審議会意見を聞くんでしょうが、役所自身の腹案というものが必要じゃないかと思うのです。どうもあんまマッサージくらいが特定職煙ということだけでは、何か物足らぬような感じがするのです。しかしそのくらいしか考えていないということになれば、これはやむを得ないと思うのですが、もう少しやはり職種を御検討になって、拡大をしてもらいたいと思う。  次は、重度障害者です。これは一級、二級、こういうことになるのですか。ただ二条の二項で特定職種に適合するようなものが重度障害者になるように思うのですが、今あなた方の方で、あんまマッサージ特定職種に指定するということになると、重度障害者というのは、結局盲人か、盲人に近い者ということになってしまうわけですね。そうしますと重度障害者というのはマッサージあんましか逆説的にはつけないことになってしまうのですよ。それではどうも重度障害者がかわいそうになるわけです。今の田口さんのお説ではないけれども、重度障害者配偶者というものをつけなければならぬという法律をここに入れてもらわなければならぬのじゃないかという感じがするんです。この点、重度障害者というのは、前項に規定する身体障害者をいうというのは、これはどうもあまり範囲が狭くなり過ぎて、重度障害者はつけないということになるのではないのですか。
  12. 堀秀夫

    堀政府委員 先ほど御答弁申し上げましたのは、とりあえずこの法律が成立いたしました暁において全然問題なしに明確に政令で脱走できるものは、まず第一段としてあんま職あるいはマッサージ職というようなものが考えられると申し上げたのでありますが、これに引き続きまして、ただいま滝井委員の御指摘のように、最近メーターの監視であるとか、あるいは監視断続的な業務であるとか、あるいは諸外国の例にもありますように、エレベーター関係従業員であるとか、こういうようなものにつきましては、重度障害者でもつき得る余地がある職種であると考えております。従いましてわれわれといたしましては、この審議会に対しまして全然白紙で、げたを預けるということではありませんので、そのような重度障害者がつくことが適すると思われるような職種は、われわれとしても洗いざらい調査いたしまして、これを審議会に御検討を願いまして、そしてこれを特定職種として指定していくという度取りで進みたいと考えております。従いまして、この重度障害者につきましても、これは重度視覚障害者だけということではありません。あるいはその聴覚等においても全然聞こえないというような者もありましょうし、あるいは四肢の不自由な方につきましても、特にその程度が重いという方があると思います。そういうような一般身体障害者に比べまして障害程度が著しく重いと考えられます方は、この法律において重度障害者といたしまして、それに適する職種指定職種として指定していくという、このような考え方で、われわれとしては先ほど申し上げましたのは、まず今までのあれから見て、審議会等にお諮りするまでもなく直ちに指定できるというものは、あんまマッサージ関係職種であると申し上げたわけであります。それ以外のものにつきましても審議会の御意見を伺いまして、われわれとしては積極的にこれを拡大指定していくという方向考えております。従いまして、これを障害者の面につきましても、別に視覚障害だけではありませんで、あらゆる障害にわたりまして、一般よりも特に重いという方は重度障害者として政令で定めていく、それに適する職種は何であるかということも政令で定めていく、その方向に向かって実施して参りたいと考えております。
  13. 滝井義高

    滝井委員 ぜひ一つ特定職種範囲を拡大するとともに、それとうらはらの関係にある重度障害者というものについても、ある程度やはり考えに弾力を持っていただかなければならぬと思うのです。  同じような考え方で、今度は就職部面の問題になりますが、二条の四項で、「この法律において「職員」とは、」というところで、その職員は「国若しくは地方公共団体又は日本専売公社日本国有鉄道若しくは日本電信電話公社機関に常時勤務する職員であって、」とこうなって、あとには除外例を設けておるわけです。私はこれでは少し少ないと思うのです。こういう専売公社日本国有鉄道を入れるならば、この際日本銀行、それから道路公団みたいなもの、あるいは公庫ですね、こういう少なくとも日銀とか公庫公団というようなものまで範囲を拡大しないと、とても八方三千人の雇用というものはできないのじゃないかという感じがするのです。一体なぜこのようにあなた方は非常につつましやかな「職員」というものに限定したかということなんです。もう少し、国が財政投融資をしたり税金をつぎ込んでおるようなところにまで拡大する必要があると思うのです。何も身体障害者だからといって頭が悪いわけではないのです。頭がよくて身体が悪いために雇われないという人が今ずいぶん多いのですよ。そこで、これはやはり公団とか公庫というようなものまで、日本銀行もひっくるめて入れるべきじゃないかと思うのですが、どうしてこういう三公社程度に限ったのですか。
  14. 堀秀夫

    堀政府委員 この法律におきましては国、地方公共団体、それに準ずるもの、それから民間事業、この二つに分けて規定をしたわけでございます。その場合に、国、地方公共団体に準ずるものといたしまして、これは現在の労働関係法規、たとえば失業保険法でありますとか、その他の労働関係法規でも、専売公社、国鉄、電電公社というようないわゆる三公社は、これは国家公務員並みに扱っておりますから、これらのものはひっくるめましてその方の部面に入れたということでございます。しかしその反面、ただいま先生が御指摘のように、民間はそれではどうなるかということでございますが、民間においては、この第十三条におきまして、やはり雇用比率を設定するという考え方になっておるわけでございます。その場合におきまして、民間においてもまたおのずから雇用比率内容につきましては差異があると考えられるのでございます。たとえば土建関係のような肉体労働の非常に多いような職種を含むような業種と、それからただいま御指摘のような事務関係職種相当多いというような事業につきましては、おのずから雇用比率が違ってくる。公社の方につきましては、雇用比率肉体労働を多数含んでおりまするような企業に比べまして、雇用比率も当然それよりも高くあるべきであると考えております。また特にただいまもお話がありましたが、公団とか、あるいは銀行関係政府に準ずるというようなものにつきましても、同じような考え方から雇用比率はやはり一般よりもまた高いものであるということが理想として望ましいと思うのでございまして、一般的に見まして、民間の場合に現在の〇・六五程度雇用比率をさしあたり倍増するという考え方で進んでおりまするが、これは平均的な考え方でございます。その中身におきましても、ただいま言われましたようなところにつきましては、特に高い比率を設定してこれを雇用するというように努力して参りたいと考えておるわけであります。
  15. 滝井義高

    滝井委員 一・三と一・五ですから、高くしたからといっても、その間なら一・四くらいにしかならないわけです。だからそうでなくて、これは国の機関と同じように取り扱って一・五という部類に入れるならば、やはりここの二条の四項の「職員」というものはこういうものだというその中に、日銀なり公団なり公庫というものは私は入れる方がいいんじゃないかという、こういう主張なんですよ。これはわれわれはぜひそうしてもらいたいと思うのです。そういうものを入れなければ、今まで国家公務員なり地方公務員ですか、とにかく官公庁関係は三十三年度で十六万人くらい雇ったんだが、身体障害者は七百六十三人くらいしか入っていない、こういう実態なんですから、これはとてもあなた方の言うように——八万三千人の雇用を何カ年でやるのか知りません。一年か、二年か、三年か、五年かかるのか知りませんが、おやりになるということはとてもむずかしいですよ。民間事業というものは慈善事業じゃないんです。三井三池じゃないですけれども、とにかく千二百人首を切ろうという世の中ですから、とても身体障害者なんか雇わぬですよ。だから、そういう意味で、これはある程度半強制的な形をヒューマニズムをもってやる以外にないと思う。それには率先して国の機関なりあるいはこれに準ずるところが、そういう態勢をとらなければ、これはとてもできるものじゃないと思うのです。どうですか。これは僕ら修正をしてもらいたいと思うんだが、斎藤さんはなかなかがんこで応じないと言っておりますが、こういうところは一・五%にあなた方がするということになれば、これは修正しなくてもいいと思うのです。日銀公団公庫、こういうようなものについては、地方公共団体なり国有鉄道専売公社電電公社と同じように取り扱う、こういうことならいいですが、松野さんどうですか。
  16. 松野頼三

    松野国務大臣 今回分けましたのは、これは行政官庁ということと、御承知のように三公五現、国家公務員法という、法律的な縦割りをするとこういうふうなことになります。従って職安を通ずる機関民間機関というふうな解釈でいたしますと、職安を通ずるものは三公五現よりも、主として公団関係民間という概念に入るわけであります。ただその比率が一・区五と一・三と違うじゃないかというのは、平均のところをねらったわけで、当然一・三という民間の中には一・五以上のものも出て参りましょう、あるいは一・五以下のものも出て参りましょう。平均して百人以上使用する民間事業体は一・三を基準に今回定めたい、これが今回の諮問の中心ですから、当然その作業内容を全部検討いたしまして、公団というようなものはやはり民間よりも政府機関的色彩が強いのですから、おそらく私はその作業内容においては一・五程度になると思いますけれども、一応これは審議会に諮って業種別にきめるという原則ですから、ここで一・五にするとは申しませんが、おのずからそういう意味で一・五になり得る要素が多いだろう、ただ作業内容をもう一度検討いたしますから、ここで明言はいたしませんが、おそらくそういう結果が私は予想される、こう考えて、公団というものは民間にしてありまして、作業率というのは、民間にしてありますけれどもおそらく国家地方機関に準ずるものに私はなるだろう、こう考えております。
  17. 滝井義高

    滝井委員 ぜひ一つ一・五にしてもらいたいと思うのです。  事のついでに、今度炭鉱離職者援護会ができましたね。あれにあなた方は身体障害者を率先してお使いになりましたか。
  18. 堀秀夫

    堀政府委員 援護会におきましては、はなはだ恐縮でございますが、まだその実情をちょっと調べておりません。この関係におきましても、これはわれわれ労働省の仕事と表裏一体をなして仕事をしていただく団体でございまするから、十分この法律成立に伴いまして今のような精神が生かされまするようにわれわれとしては配意したいと考えます。
  19. 滝井義高

    滝井委員 実は顧みて他を言うというわけじゃないですけれども、やはりこの法律が出ると時を同じくして援護会というものは発足しているわけです。これは炭鉱離職者も雇うでしょうが、同時にやはりそういう者も雇ったということを率先して示して、ここで私の方はこうして援護会ができたときには一番先に雇っておりますというくらいの答弁が出なければいかぬ。今から調べるということは、結局労働省がそういうことをしていないということなんですね。だからこういう点はやはり松野さんもちょっと足元を気をつけておかなければいかぬと、いうことですよ。  その次は、坑内労働者や船員は身体障害者というのはなかなか使えないと思うのですが、そのほかに労働省令で除外をする労働者を二条の五項できめることになっておりますね。これは一体どういうものをお考えになっておりますか。
  20. 堀秀夫

    堀政府委員  この法律成立にあたりまして、われわれとしては関係各省と十分相談したいと思いますが、われわれの考え方といたしましては、これはあつくまでも例外でございまするから、このような除外されるような職種はなるべく狭くするという考え方で各省に折衝したいと考えております。考えられますものとしては海上保安官でありますとか、あるいは消防吏員でありますとか、航空機の搭乗員でありますとか、その他高所作業等、危険を伴うような業種、こういうものはやはり身体障害者の方ではつきにくい業種ではないかと考えられますが、なるべく考え方といたしましては、各省に折衝いたしまする際に、その中身は限定する、狭くするという方向で折衝したいと考えております。
  21. 滝井義高

    滝井委員 実は自動車の運転手ですね。これは多分身体障害者でも、たとえば片手がだめだという人には免許はくれないのではないかと思うのです。スクーターですか、あれは軽免許ですが、あれもくれないんじゃないかと思うのです。ただ許可制のバイクまでじゃないかと思うのですが、これは最近における補装具の進歩というものが、片手がしっかりしておれば、あとは補装具の程度でやることができるのではないかと思うのです。東京のような大都会で非常に交通が錯綜しておるところは、そういうものは認められませんという例外は作っても、いなかや何かで、ある程度運転免許を段階的に認めて、そうして事故がないということになれば、今度は三輪車とか自動車、こういうように段階的に認めていくような制度を、身体障害者にもとってやる必要があるのではないかと思うのです。最近だんだん自転車がなくなって、オート・カーが多くなってきたのですから、こういう点を何かあなた方お考えになったことがあるのですか。実は今除外する中で海上保安庁とか消防とか航空機を言いましたが、自動車を言わなかったので、私どうも自動車が気になるのでお尋ねするのですが、その実態は一体どうなっておりますか。
  22. 堀秀夫

    堀政府委員 自動車の運転手につきましては、ただいま私が例として申しませんでしたのは、先生の御指摘のような気分が実はあったからでございます。ただ大都会等の交通量の非常に激しいようなところにおきましては、現状としては、ただいまのような身体障害者に対する適当な補助具があったといたしましても、交通安全の見地あるいはその人の人命尊重という見地からも、非常にむずかしい問題があるのじゃないかと考えます。しかし交通量もあまりないようなところにおきまして、適当な補助具がありますれば、身体障害者雇用促進するという見地から、そういうようなものも検討する余地があると考えます。そういう意味におきまして、これは非常に技術的な問題がありますので、労働省といたしましては今関係官庁といろいろ相談をしております。また審議会にも関係官庁から特別の委員として入っていただくようなことにもなっておりますので、よく関係者の御意見を伺い、技術的な検討を加えました上で慎重にきめて参りたいと考えております。
  23. 滝井義高

    滝井委員 これは最近におけるスクーター、バイク、それから自動車熱等が非常に盛り上がって参りましたが、身体障害者でどうしても自分は自動車の免許をとって乗りたいのだという人がおっても、それはできないわけなんです。これはぜひ一つ労働大臣において運輸省と十分御折衝になって——私はこれは段階をつけてかまわぬと思うのです。一挙に自動車の免状じゃなくて、たとえばスクーターを先にやり、それから三輪車から自動車というようにしてもかまわぬと思うのです。それから非常に交通ひんぱんな大都市等においてはある程度制限しますということでいいと思うのです。何かやはりこういうものをしてやることの方がいいような感じがするのです。大臣において、ぜひこれはしてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  24. 松野頼三

    松野国務大臣 自動車免許のことはまだ私も明快に存じませんが、一応そういうふうな段階を経ながら、やはり適応訓練ということ及び補助具の研究もありますので、あわせてなおこの問題については現実的にもう少し検討して参りたいと考えます。
  25. 滝井義高

    滝井委員 次は三条の「公共職業安定所は、正当な理由がないにもかかわらず身体障害者でないことを条件とする求人の申込みを受理しないことができる。」という、この「正当な理由がないにもかかわらず」というものさしですね。これは将来民間事業主に対して一・三%の身体障害者を使用してもらうというときに、これは職業安定所の行政の上に非常に重要な影響を及ぼすところなんです。一体この基準はどういう工合にお考えになっておりますか。
  26. 堀秀夫

    堀政府委員 現在職安法十六条におきまして、求人の申し込みの内容が法令に違反するとき、またはその申し込みの内容をなす労働条件が、通常の労働条件と比べて著しく不適当であると認めるときは、求人の申し込みを受理しないことができるということを規定しております。しかしこれだけの規定では、身体障害者については十分でないと考えまして、この三条一項のような規定を設けたわけでございます。このような限定的な場合にとどまらず、要するに身体障害者に対して、この職種身体障害者でも十分やっていけるというふうに客観的に認められるにもかかわらず、身体障害者でないことを条件とするというような求人の申し込みについてはこれを受理いたさないという考え方で、第三条一項をつけ加えたものでございます。この内容をさらに具体的に申し上げますれば、ただいまのようなことでございますが、われわれとしてはさらにその適職関係の職務分析をいたしまして、そうしていやしくも身体障害者であっても当然これは働けるというふうに客観的に認められる場合に、身体障害者でないことを条件とするというようなことは許さない、求人の申し込みを受理しないという考え方で進んで参りたいと考えております。
  27. 滝井義高

    滝井委員 これはそれぞれの事業体が一・三%以上にも雇ったような場合は、これは文句なしにこういうことはないと思うのですけれども、やはりすれすれであったり、幾分一・三%に不足しておる、しかしもう職種がないというときに、どうしても身体障害者は雇えないというような、やはりいろいろな事情が出てくると思うのです。これはよほど三条の解釈をはっきりしておかないと、第一線の職業安定行政に当たる職員自身が困ることにもなるような問題があるのじゃないかと思うので、十分御注意を願いたいと思うのです。  四条の指導ですが、「公共職業安定所は、その紹介により就職した身体障害者に対して、就職後においても、その作業の環境に適応させるため必要な指導を行なうことができる。」というようなことになっておるわけです。これはあと身体障害者の適応訓練なんかの問題もありますが、就職をせしめた場合に、職業安定所の職員が絶えず行って指導をするということは非常に重要なことだと思うのです。先日参考人を呼んで意見をお聞きしたときも、切々たる訴えは、結局職業安定所の身体障害者就職について理解のある職員というものが長くそこにいないということが欠陥だ、これはいい人が来たと思っていろいろ相談をして、うまく仕事がいき始めると、その人がそこに長くおったら出世の妨げにもなる、あるいは給料も上がらぬ、そのうちに家庭の方から不平と不満が出て、これはお気の毒だけれども、やはり私は転勤せざるを得ないといって去っていく、これが一番困るのだということを、堀さんお聞きになったと思うのです。私はやはりこの条文の就職後の指導というものが非常に重要になってくると思うのです。この問題は単に抽象的な指導ではなくて、当然この作業場における設備の改善の問題にも通じてくるし、それから作業をする補装具の問題にも関連してくるわけですね。やはりいろいろ条件を整えて、初めてその人がそこの仕事場にうまく適合していく姿が出ると思うのです。これはやはり就職をしたら、その事業場にまかしておくのではなくて、絶えず世話をした職業安定所の職員が、その世話をした事業場をときどき回って不平不満を聞きながら、職場環境の改善なり補装具の改善というものをしてやる必要があると思うのです。これはあとで触れてきますが、労働省の行政ばかりではないのです。厚生省の身体障害者の行政にも交錯してくるところなんです。従って、こういう点に対するあなた方の具体的な就職後の指導の体制というものを、職業安定行政の中で、この法案が通ったあとには、はっきり確立しなければならぬと思うのですが、どういう工合に確立するつもりですか。
  28. 堀秀夫

    堀政府委員 身体障害者につきましては、就職後も常時心をいたしましてその相談に応じ、適切な指導を与えていくということがきわめて大事な問題であるということにつきましては、先生の御指摘の通りわれわれも全然同感でございます。この法律の施行にあたりまして、われわれとしてはまず第一に職安関係の機構を整備するということをぜひやっていきたいと考えております。その内容といたしまして、ただいまもお話がありましたが、大体官庁関係では一つの職務にずっと長くおりますと、そのため昇進もできない、昇進するためには配置転換を考えなければならないというような場合が多いことにかんがみまして、このたび各職安職業紹介官の制度を設けました。職業紹介官という制度を設けましたのは、この職業紹介官ということでありますれば、第一線の窓口においてこの身体障害者その他いろいろな求職者の方に対しまして、相談に応ずる第一線の職員がそのままで職業紹介管として昇進ができるという考え方でございます。この職業紹介官の制度を活用すると同時に、また身体障害者の多いような所轄の安定所の機構につきましては、特に身体障害者のための係を設け、窓口も設けるというようなことを並行して行ないまして、職安の内郭の体制を整備充実させて参りたいと考えております。  それから第二番目に、以上のようなことをいたしまるるためには、やはり身体障害者の方が就職した後においてもどのような状況になったかということを職安としても常時把握しておかなければならないと思うわけであります。このため現在格職安におきましては、求職の申し込みがありました隙に求職者のカードを作りますが、これは一定の期間が過ぎますれば保存しないことになっておりまするが、身体障害者関係につきましては、特に永久的な身体障害者のカードを作りまして、これを職安にはっきりと登録しておきまして、その方がどこの職場についたか、その職場においてどういう状況であったか、またその職場を離れたことがあるかということを常時把握できる体制を作って参りたい、このように考えます。
  29. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この法律が通った後には職業安定関係の機構の整備をおやりになる、そして特に職業紹介官というようなものを強化するという御説でございますが、全国の公共職業安定所にそういう職業紹介官というのは現在どのくらいおるのですか、そうしてこの法律が通った後にはそれが具体的にどういう形で予算上あるいは定員上強化されることになるのですか。
  30. 堀秀夫

    堀政府委員 職業紹介官の問題につきましては、大蔵省、人事院とも話をつけまして、本年度の予算においても認められております。大体数は全国で五百人程度でございます。本年度はまずそのようなワクがございまするので、このワク内において充実をはかって参りたい、また明年度以降におきましては情勢を見ましてさらにこれを拡大して参りたいと考えます。
  31. 滝井義高

    滝井委員 五百人ということになると、公共職業安定所の数が幾らあるのか知りませんが——幾らくらいあるのですか。
  32. 堀秀夫

    堀政府委員 四百三十三でございます。
  33. 滝井義高

    滝井委員 そうすると一つ職業安定所に一人ずつ——県それから中央に相当要るでしょうから、一人、多いところで二人ということになるのですが、これはやはりなかなか問題があると思うのです。と申しますのは、御存じの通り職業安定所には足がないのです。自動車もない。従って各事業場に就職をお世話してそのあと見回るなんということは、とても一人か二人では実際できないわけですよ。こういうところに、政府がほんとうに身体障害者雇用をやるのかどうか少し疑わしくなるのですが、これはやるという政府の方針を信頼して、今年は発足の当初ですから、一職業安定所に一人ないし二人おるということになればそれでいいと思うのです。しかし来年度からやはりもう少しこういうところに具体的に人をつぎ込み金をつぎ込んでやってもらいたいということを私は希望いたしておきます。  次は適応訓練ですが、適応訓練の問題については前に同僚の各位からいろいろ御質問がございまして、一カ月に五千二百五十円程度事業主に委託料を出して六カ月程度やる、本人には月に千円程度の手当を出すということがはっきりしたわけですが、この場合において、標準的な環境の作業場、それから引き続き雇用期待のできるところという二つの条件が堀さんから御説名があったと思うのです。この身体障害者の適応訓練に適するような標準的な環境の作業場というのをもう少し具体的にする必要があるのじゃないかと思うのりです。と申しますのは、大体この表によってあなた方がこの法律身体上の欠陥の範囲というものをおきめになっておるわけですね。従ってこういう者の就職範囲は、科学的に見て、あるいは医学的に見ても大体限定されてくると思うのです。それが限定されてくるということになると、そういう作業環境というものも大体きまってくると思うのです。それで御説明になりました標準的な環境の作業——引き続き雇用を期待するというのは話し合いでできるわけですが、大体それはどのような事柄を具備しておれば標準的なものになるのですか。
  34. 堀秀夫

    堀政府委員 この適応訓練につきましては、事実上のねらいを打っておるわけでございます。すなわち都道府県事業主に委託して適応訓練を実施するわけでございますが、約六カ月の間一定の補助もいたしまして、それから本人に対しましても手当の支給をいたしまして、そしてこの六カ月の適応訓練が終わりますれば大体その職場環境にずっと引き続き継続的に雇用されるような態勢に入り得ると考えられますので、その事業場において引き続き定着する、雇用を安定するというねらいを持っておるわけでございます。従いましてこの委託につきましては、適応訓練が終了した後も引き続いてその身体障害者雇用を継続してもらうことが期待できますような事業主に委託したい考えでおるのでございますが、その場合におきましてもやはり先のことまで考えますと、万一の場合にはその事業場からまた離れなければならないというような場合が起こることも考えられるわけでございます。その場合におきまして、あまりその事業場の作業環境が特殊なものでございまして、ほかの事業場におきまして通用しないというようなところでは、今のような万一のことがありました場合において、せっかく行ないました適応訓練が無意味になるということが考えられますので、「その環境が標準的なものであると認められるもの」ということを条件にしたわけでございますが、要するにただいま申し上げましたような考え方におきまして、作業の工程その他の諸条件が、一般的に見まして同種の作業を行なっておる事業場の平均的な地位にあるというような場合におきましては、その環境が標準的なものと認められる事業場であるというふうに考えるわけであります。要するにその事業場におきましてあまり特殊な環境があるということではなくて、その事業場でないほかの事業場においても同じような環境のもとに身体障害者を働かしておるというようなところを見て、具体的に判定して参りたいと考えております。
  35. 滝井義高

    滝井委員 現実にある職場で身体障害者が非常にうまく仕事をやっておる、そういう事業場と同じような事業場を一応標準的なものとして選択をして適応訓練を委託するという形がとられるということ、よくわかりました。そうしますと、そういう事業場がきまれば、今度はその適応訓練の基準ということが十条にあるのです。これは労働省令で定めることになったておるのですが、その場合の適応訓練の基準というのはやはり今のようなことをいうのですか。これはどういうことですか。
  36. 堀秀夫

    堀政府委員 これにつきましては、身体障害者雇用審議会において関係者の御意向を伺った上で正式に練り上げまして省令で規定したいと思っておりますが、大体訓練事項の基準につきましては次のような考え方を持っておるわけであります。すなわち、これもよく関係者の御意見を伺った上で改善する余地がありますれば、さらに改善して参りたいと考えておりますが、われわれが一応腹案として考えておりますのは、六カ月の間準備訓練と実務訓練に分けまして、準備訓練を大体一カ月程度、それから実務訓練を五カ月程度ということにいたしたい。準備訓練におきましては心理的な適応指導、すなわち職場生活への適応、それから能力についての自覚を喚起させる、あるいは仕事に対する関心を喚起させるというような指導を行ない、それから身体的な適応指導を行なう。もう少し具体的に申しますれば、作業時間、作業条件等への身体的適応、それから身体動作をならすということ、それから作業の基本動作と障害による動作との調整方法の工夫というような点に分けまして、身体的な適応の指導ということをいたす。以上のような一カ月門の準備訓練を行ないましたあとは、実務訓練に移りまして、実務訓練におきましては服務心得、職務に関する基礎的な知識、これは商品の知識、それから工程の知識というようなものを含めまして、そのような知識の修得を行なわせる。それから道具、機械の使用方法、作業の手順を修得させる。それから工程内の単純作業に習熟させる。それからさらに進みまして工程内の基幹作業についての計画的習熟を行なう。以上のようなことを後の五カ月の期間において実務訓練として実施をして参りたい。ただいまのようなことを考えておりますが、これらのものにつきまして関係者の専門的な御意見を十分伺いまして、以上のようなことを省令として基準を定めて参りたいと考えております。
  37. 滝井義高

    滝井委員 よくわかりました。そうしますと、今の適応訓練は前と違って非常に専門的な基準であるということがわかりましたので、万遺憾なくやってもらいたいと思います。  次は、この十一条の雇用に関する国等の義務についてでございます。私は労働大臣の答弁を聞き落としたのでございますが、これは身体障害者の採用に関する計画を作成しなければならないことに十一条はなっておるわけでございますが、これを一・五%とか一・三%の率をおきめになる。これは政令でおやりになるのだそうでありますが、私たちはそれを法律にぜひ書いてもらいたいと今与党の方に言っておるわけですが、一体一・五%なり一・三%、人数でいえば八万三千人の人を何年間で達成をするおつもりなのですか。
  38. 松野頼三

    松野国務大臣 第一回の目標としましては、一・二五%と一・三%を基準にしてやって参りたい。何年間ということは、なるべくすみやかな問題ですが、これは雇用内容関係いたしますので、審議会に諮って実現をすみやかにやりたい。従ってまず初年度といたしましては一・三と一・五を基準雇用の問題を解決して参りたい。今何年間ときめるわけではありませんが、第一目標としてはそれをやりたい。おそらく私は一年そこそこできるのではなかろうかと思いますが、それは事業内容業種の問題がからんで参ります、あるいは指定職種という問題もこれにからんで参りますので、審議会でこの問題は具体的には検討して参りたいと考えております。
  39. 滝井義高

    滝井委員 私、人にこれに何年と松野さんは答えただろうかと言ったら、三年と言ったという人がありましたけれども、今のお話だと、できれば一年ぐらいでやれはせぬかというお話でありますが、一年で八万三千人をやると、いうことは、過去の実績から見てなかなかこれはうまくいかないと思うのです。そこで私はやはりこの身体障害者雇用促進法の眼になるところ、竜を描いてひとみを入れるところは十一条だと思うんですよ。そこで私たちとしては、政令で定めるその雇用の率というものを、できればここに一・五%なら一・五%と入れる。そしてこれは一年でやるというのはなかなかむずかしいと思うのです、客観的に考えてみて、自由化の嵐も吹いておりますから。従って三年くらいでいいから、一・五%を三年間を目標にしてやるんだ、こういうことになりますと、今度はあなた方が来年度大蔵省と予算折衝の場合に職業紹介官の予算もとりいいし、第一線で働いている人たちも、とにかく目標を三年間でやらなければならないということになると馬力が違います。一・五%をすみやかにやったらいい、そうして計画を作ってやるんだ、しかしそれは何年間という区切りはないということになると、何かしり抜けになる感じがする。これは今うしろで折衝しているようでありますが、これはぜひ三年でやる。一年でなくともいいですから、三年でやる。そうして一・五%は絶対にやる。こうなりますと、日本身体障害者ですみやかに職につけなければならぬというものは大体三年でめどがつくわけです。それから三年たった、もう一ぺんこの法律を根本的に検討し直す必要があると思うのです。そういう点で、大臣どうですか、今のあなたの御答弁では一年くらいでやるようなことをおっしゃるから、三年くらいなら私はうまくいくのではないかと思うのです。三年でいくなら二万四、五千人やればいい、まあ三万人を目標にしてやれば、三年目には少なくとも身体障害者就職したいと登録した者については大体いってしまうことになる、どうですか、この点は。
  40. 松野頼三

    松野国務大臣 もちろんこの具体的計画を立てるときには、何年間を期限にすることはおそらく出てくると思います。ただ法律で書くということは、個々の内容あるいは事業の主体というものがございますから、一律にやるわけには参りません。従ってあるものは一・三以上になりましょうし、あるものは一そこそこになる業種もあるのでありますから、そういうふうな内容を見ると、法律で一・五という基準をきめるには私は少し無理でなかろうか。従ってこれは審議会においては何年間と具体的に出てくることは当然であります。今日さしあたり労働省を見ましても、労働省は一・五にやれということなら、私はおそらく二年間くらいでやれるという感じを持っておりますけれども、各省がこの通りできるか、その行政の内容職種によって雇用の数について差があるのではなかろうか、こう考えますと、一律に法律に書くにはこの本旨からいって現実に無理ではないかと思っております。従って最初の法律ですから、雇う方の気持も、これに乗りいいように、協力しいいように行政というものは進んでいかなければならない。法律できめることは簡単ですが、実行ということを考えると、審議会で格雇い入れの方の意向を十分理解する、またこちらの法律内容も理解した上でおそらく何年計画というものは審議会で出て参ります。法律で書くにはまだ少し早計じゃないかという感じがしますので、各省、各事業体、格産業別に審議会内でもう少し明快に検討した方が私は順調に進む、こういうような感じで、法律に書くことには必ずしも賛成ではございません。
  41. 滝井義高

    滝井委員 私が三年を主張するのは、何も三年以内に何をしなければならぬという個々のものを言うわけではないですよ。あなた方の説明では、この法律が通ると、日本全国で大体八万三千人くらいの者が今度新しく雇用されるのだという御説明があったわけです。その八万三千人の人を消化していくためには、全国的に見て、民間、官庁を合わせて三年以内でやりますよという態勢を示してくれと言うんです。法律で三年と大きくワクをはめておけば、それから先は松野さんの言うようにたとえば二%も雇うところがあれば、どうしてもいかぬというところは一%とか〇・八でもいい。しかし日本全体としては三年間にそれはやりますぞという形を作ることが私は必要ではないかと思う。その三年というワクと一・五%という数字がこの法律に出てきますと、この法律というものはほんとうに生きあがる。これは全国にわき上がってくる。また身体障害者も、これは三年以内でつかなければならぬという気持になって、やはりこの身体障害者職業に対する訓練意欲というものも盛り上がってくると思うし、それから職安の仕事をする皆さん方もやらなければならぬという気持が出てくる。そしてできればこの職業安定所でうんとつけたところには大臣が特別褒賞でもやるようにすれば、ますますこれはいいことになって、案外一・五%というのが場合によっては三%くらいいって、世界一のあれになるかもしれませんよ。だからはっきりした目標がないと、なかなかこういう仕事はできない。だから何か目標をぜひ一つ定めてもらいたいと思うのです。社会党がこの法案を通す唯一の条件というものはこれです。これにやっぱり三年——あなた方は一年でできる、二年でできるというのが、それよりもう一年余裕をとって三年、そして一つ率を入れてもらいたい、これがこの法案を通す唯一の条件です。あといろいろのものはありますけれども、それは附帯決議でもかまわぬと思う。大臣、どうですか、政治的にここを思い切ってやることが、職業安定行政を推進し、日本身体障害者に非常に大きな希望を持たせることになると思う。こういう法案を作って、その法案の対象者に希望が持たせられないということくらい哀れなことはないと思うのですが、どうですか。
  42. 松野頼三

    松野国務大臣 御趣旨のことはよくわかります。従って、そういうことを勘案して政令でこの審議会の意向を聞いてきめるというのでありますから、ここで法律で、三年間で一・五%というならば、その三年間の一・五%は希望があるかもしれません。しかし将来どうなるかというと、また三年間たてば法律を作らなければならない、それでは私は、雇用の永続性というものはないんじゃなかろうか、やはりこういうことこそ——私は行政的にこの法律の精神を百パーセント完全に実施するためには、そういうものはどちらかというとかえって雇用の本質を曲げるのじゃなかろうかと思うのです。従って、そういう強制的なことにあらずして、やはりすべての点において保護するという永続的な法律というならば、私は政令審議会にゆだねられるという方がかえってこの法律が生きるのじゃなかろうか。この三年と一・五%は生きるかもしれません。しかしそれで全うするわけには参らぬのじゃなかろうか。私たちはまだずっと上げて参りたいのです。第一回が一・五%ですが、私は可能であるとすれば三%以上に上げて参りたいのです、本心から。そう考えると、途中で、一回だけで、二回は作らないというような法律よりも、将来できるように余裕を持った、あたたかみのある方が私は指導としてはいいのじゃなかろうか。こういうふうな感じで、札を作るならば三年で橋を作れ、できればそれでいいかもしれません。しかしこの法律はやはり長い目で見ていただきたい。また長い目でこれをやらなければならないというならば、私は三年とか区切って、一・五とかいう数を区切ることは、かえって行政をゆがめるのじゃないかと思う。どうかそれを一つそういうふうに御理解いただきたいと思うのです。
  43. 滝井義高

    滝井委員 実はこの法律は施行期日が四月一日になっているわけです。これは通すにあたっては、どうしても修正しなければならぬ点です。従って、私はあなた方がこの十一条の本文を変えることをいやだとおっしゃるならば、附則でもいいのです。附則で、第一期のものについては一・五%、三カ年間以内にやるものとする、附則でこれだけでもいいのです。これは立法上どうなるか知りませんが、どうせ附則は修正しなければならぬのですから、ここを通す場合には無修正で通すというわけにはいかない。従って、そのあとにもう一行入れたらいい。本文は直さなくても、附則でもできるのです。松野さんの言われるように、どうせそれはやるんだ、一・五%は第一期なんだというから、第一期は一つ一・五%、三カ年以内だということをしてもらっておけばいいのです。それであとは本文のこれでもいいのです。こういう形で、先は政令でもいいのです。そこらあたりは意見が平行線ですから、これを通すについてはもう少し話し合わなければいかぬでしょうから、われわれとしてはそういう主張があるということだけをはっきりしておきたいと思うのです。そうしないと、これは身体障害者に非常に大きな希望を持たしておって、工合が悪いところが出てくるのです。  次は、採用状況の通報等の十二条二項に、その前条の計画を作成した任命権者等に対して、その適正な実施に関する事項を労働大臣が必要があると認めるときには勧告をすることができることになっておるわけです。これはいわば労働大臣が勧告をするということは、人間の問題にも関係してくるので、行政の変更にもこれはなりかねない重要な問題点を含んでおる。労働大臣がその適正な実施を勧告をしても、これをその任命権者、これは都道府県知事になるでしょうが、これが実施をしなかったときには一体どうなるかということです。適正な実施に関する事項を勧告して、その通りやらなかったときには一体どうなるか。これはすることができるだけで、訓示規定までいってない。やって、向こうがしなければそれまでだし、やってもいいし、やらなくてもいいという、訓示規定よりか少し軽い規定ですが、今言ったように、私が期限をきめなければならぬというのは、こういうところからもあるわけです。期限をきめておけば、法治国家ですから、法律できちっときめておりますから、実施を勧告するというその勧告が非常にきけてくるわけです。ところが、きめていないで、いや、わしの方は都合が悪いのだ、あなたの方が一年でやってもらいたい、二年でやってもらいたいと言っても、いや、わしの方の自治体の都合は、財政的にも赤字その他で、とても能率を上げておるから、身体障害者は雇えません、これはかんべんして下さいということになれば、どうにもならないと思います。これはいわば行政の運営とも関連をする重要な点になると思うのですが、適正な実施に関する事項を勧告されて、そうしてその任命権者あたりがこれを実行しないときの処置は、一体どういうことになりますか。
  44. 松野頼三

    松野国務大臣 政令をきめることは、各省みなが了承の上で政令をきめるわけであります。従って、政令をきめるということは、各省ともそれを実施するぞということを公にこれは認めた上の計画であり、政令であるわけです。それを実行しないということは、行政官庁として非常に大きなそれは失敗であります。もしも勧告を受けるということは、それだけ天下にその行政の不適格を指摘されることであります。私は、おそらく行政官庁におきましては、この勧告というものが一番強い罰則だとさえ考えております。かりに会計検査院から指摘される——指摘ではどうかと言われればいろいろございましょうが、検査院から指摘されるということは、それは直すということがその本旨でなければなりません。それから今回勧告というのですから、私は、すべての行政官庁同上のものは、指摘、勧告あるいは協議ということが一つの大きな罰則になっておるわけであって、罰金とかいうよりも、私は行政的な責任は行政的にこれを処罰するという意味が勧告ではなかろうかと思っております。従って、この勧告を実施しないということはまずあり得ない。また勧告を受けたら、必ずそれに対する答えを出さなければならない。どういう意味で勧告を実施できなかったか、そのときは、勧告の実施のために、さらに労働省がそれについての協議をするということは、すべて行政官庁間においては一番大きなブレーキだと思う。またこれを守る一番大きな罰則だとさえ考えていいのではないかと私は思っておりますので、そういうことは万々ございません。またすべて行政は関連性があるので、一つ役所一つ役所の言うことを聞かなくていいというわけには参りません。最終的には内閣会議というものがございますから。どうかその辺は、勧告をされたら非常に強いのだというふうにおとりいただきたい。今日の行政はそういう運営をしております。
  45. 滝井義高

    滝井委員 ところが松野さん、そうはいかぬのです。うしろに医務局長がおられますが、全国の国立病院は医者が足りなくて、行政管理庁からこのごろ勧告を受けた。ところが、その充足がまだ同じ内閣の中で、できないのです。うしろに医務局長が来ていますけれども、四、五日前、ここで栗原さんから盛んにやられておった。行政管理庁から勧告を受けておるけれども、充足ができないのです。国立病院には来手がない。そうしてこれは早く充足せよというけれども、給料が安いから来手がないという実態です。だから、行政管理庁から、人間の命に関することだから早く職員を入れなさいといっても、どうにもならぬ。うしろに医務局長もおりますけれども、そういう状態ですよ。今あなたは、同じ行政官庁から他の行政官庁が勧告を受けて、それを実施しなければ恥だと言う。恥だけれども、財政的にいかんともしがたいのだ、身体障害者二人雇えば、その分だけ能率が下がりますから、私の方はそんなわけにはいきません、むしろ身体障害者より、若い、給料の安い女の子を入れた方が能率が上がります、こうなると、行政の運行の問題に関連してくるわけです。従って、そういうことを乗り切っていくためには、どうしても期限というものをつけて、一・五というものがある程度——義務ということを書いてあるように、ある程度強制力を持たせなければ、なかなかむずかしいのです。それは殷鑑遠からず、国立病院の職員が、医者が足らないで患者が困っておると言うて押しかけてきておるにもかかわらず、政府はそれをやらないのです。やれないのが現実です。しかもこれは、公選の都道府県知事に勧告をして、任命権者がやる場合も出てくるわけです。だから、ここらあたりに問題があると思うのです。四、五日前に医務局の問題をここで論議したすぐあとなんですが、行政管理庁が勧告をしてもなかなかうまくいかぬ。そうすると労働大臣は、これは頼む側ですから、頼む側の大臣が、お前の方はけしからぬじゃないかと言ったって、それじゃ一つ労働省から予算を回してくれますか、こう言われたらそれまでなんです。だから適正な勧告やなんかをする前に、法律できめておいた方が、あなたは仕事が楽でしょう。法律でやらなければならぬ、こうしておいた方が、あなたが言うときも楽です。法律できめておるのだからやって下さいと、あなたも言うし、われわれもここで言えるわけです。ところが法律でやっておらぬと、ほかの大臣を呼んで言っても、いやそれは労働大臣から勧告を受けたけれども、予算上いかんともしがとうございます、こうなるとそれまでです。法律に義務的にしていないのですから。だから、私の方では三年間でやりとうございますけれども、いかんともしがたいから五年くらいにして下さい、こう言われると、われわれも二の句が継げない。ところが、ここに三年と限っておきますと、けしからぬじゃないか、法律に三年と書いてあるのに何事じゃ、こう言えるわけです。問題はここです。だからわれわれの党で論議したときにも、勧告することができるというのはなまぬるい、勧告しなければならぬ、こう書きなさいという論が実はあったのです。みんな勧告することができるとなっておるが、それをしなければならぬと書きかえろというのが、うちの修正点の中に実はあるのです。そういう点で、これは四、五日前やったことだから、あなたが幾らこう言われても、どうもそれはあつものにこりてなますを吹くわけじゃないけれども、信頼できかねるのです。しかもうしろに国務局長も来ているのだから。
  46. 松野頼三

    松野国務大臣 ちょっと滝井さんの御議論の中に、誤解があるのではないかと思います。それは第十一条で計画を作成する、そして第十二条ではその作成を義務づけております。従って、その作成のときにはやはり計画という年限が入るのです。ただ作成して、いつまでにやればいいのだという期限をきめずに作成をいたしません。従って、この問題については、作成のときには当然何年の計画で一・五にするという期限が入るのですから、先ほどの御質問の、法律的に期限が入らないじゃないかというふうなことは、入るという文句はありませんけれども、十一条、十二条をお読みいただけば、作成する、しなければならないという、その作成は義務であります。しかもその作成は、無期限な作成というものはやって参りません。従って、そのときにはちゃんと年限が入るのですから、何年間にしなければならぬと、特におきめいただかなくても、現実には、政令できめるときには、ちゃんとこの作成は義務づけられているし、その作成には年限が入る。その上で、なおかつ実施しないときでありますから、医務局の場合とは、私は少し理由が違うのじゃなかろうかと思います。おそらく医務局も最善の努力をして、今日まで勧告を全うしようとしていると思いますが、ただ今日ほかの条件で、いかに善意に努力しても、それが満たされないということはありましょう。しかし今回の身体障害者雇用問題は、そういうものじゃないのです。作成のときに、十分自分のところの定員を調べ、そして能力を調べた上で作成するし、それで期限が切られるのですから、その上で、なおかつ実施しないというならば、しない方が何らかの特別事情があるわけで、特別事情がない限り、私は勧告にこたえるものじゃなかろうかと思います。予算というものは、前もって作成のときにきまっております。従って、医務局の今度のことは、おそらく非常に不可抗力的な問題というものがあるので、それとはおのずから違うと思います。この実施については期限も入ることでありますし、作成には、各省一致して政令できめるということであります。なおかつその上に勧告ということは、これはほんとうに十中の十の予備を置いたと私は思います。勧告しなくてもやれるにきまっておりますけれども、この身体障害者という立場の方を保護する意味で、なおその上に勧告権というものを補充したということは、どちらかといえば、各省からいうならば、労働省のこのやり方は行き過ぎだと、おそらくおっしゃるでしょう。自分のところの雇用に一々口出しをするなとおっしゃるのを、なおかつここまで各省が理解してくれたということは、おそらく身体障害者であるからだろうと思います。医務局の勧告とは、おのずから性質と内容が違うし、またそういう御心配のないようにという意味で、年限の問題もきめたのじゃなかろうかと思いますので、どうぞ本案の年限のことは御心配にならないように、私の方で十分やって参りますから。
  47. 滝井義高

    滝井委員 実は医務局の方は、予算できまっている定員です。その定員が充足できないわけです。いわんや身体障害者というものは、これは定員じゃないわけです。しかも今言ったように、一・五%というものは法律できまっているわけでもない。従って計画というものは、今松野さんの言われるように、恣意的に各省が作ることができるならば、とても三年ではできませんから、五年だ、十年だということになる。なるほど計画には年数を入れますけれども、それが三年以内でなくて、五年とか、八年とか、十年とかかかるなら、計画ができてもこれはナンセンスです。それは松野さんが労働大臣でなくなっているかもしれないし、われわれが代議士でないかもしれない。だから、そういう点で、われわれの時代に最善のものを作っておく必要があると思う。医務局の定員は、法律できまって、予算の裏づけのある定員さえも、勧告を受けておってまだ充足できず、どうにもならぬという実態ですから、いわんやこれをきちっときめても、やらなければそれまでです。義務というても罰則があるわけじゃないのですからね。だから予算上の問題で、その官庁なり民間がやれないということになれば、これはどうにもならぬ。そういうためには、最小限度の手かせ足かせをして、一・五%と三年というものはきめておく、そしてその上に勧告というものをつけておけばなおいいということですよ。これは平行線でございますから、これでやめます。  次は、十三条で事業の種類によって身体障害者雇用の率が違ってきますが、たとえばマッサージならマッサージというものは、パーセントは何%だと、こう一々きまるわけですか。事業範囲というものは、これは身体障害者範囲である程度きまることは、さいぜん私が指摘した通りですが、たとえば例をあげて、事業の種類で、一番雇用率の高いもの一番雇用率の低いものと中ごろ、三つくらいちょっとあげてみてくれませんか。
  48. 堀秀夫

    堀政府委員 民間においていろいろ業種がございますけれども、おおむね申しますと、事務的な職種を多数含んでおりますような事業においては雇用率が高い、それから肉体的な労働を雇用する職種を多く扱っております事業においては、その率が低い、こういうことであるわけであります。そこで、われわれの方といたしましては、身体障害者でもつけるような職種を多数含むような職種については、率をなるべく高くします。それから現場的な、肉体的労働を多数含むようなものについては、その率を比較的低く定めていくという考え方で進みたいと思っております。具体的に例を申しますならば、たとえば銀行とか金融とかというような事務的な職種につきましては、この率は最も高く考えて参りたい。逆にたとえば建設業の現場であるとかというようなところにつきましては、この率はなかなか一般の平均のようには参りませんので、率は相当低く規定せざるを得ないのではないか、このように考えております。この法律が成立いたしましたならば審議会を直ちに発足いたしますが、これに関係委員の方に各方面から集まっていただくわけでありまするから、その御意見を伺いまして、あるいは必要がありますれば専門都会等も設けまして具体的に検討いたしました上で、実情に応じた比率を作って参りたい。ただし全体といたしまして、現在民間応兼におきましては大体身体障害者雇用率が〇・六三%くらいでありまするから、これを少なくとも倍増の一・三%には平均してもするという考え方のもとに、今のような業種の実態を見まして関係者の御意見を聞いて、多少格差を破けて参りたいと考えております。
  49. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと具体的にどの事業についてはどのくらいということは、今のところまだはっきりきまっていないわけですか。
  50. 堀秀夫

    堀政府委員 一、二の実例を申し上げてみまするが、現在たとえば衣服その他の繊維製品製造業の雇用比率は〇・九一%でございます。それから家具装備品製造業は二・〇七%で、これは非常に高いわけでございます。それから高いところを申し上げますると、電気、ガス、水道業が〇・九一%というような数字になっております。それから逆に低いところを申し上げますると、建設業におきましては〇・三七%程度でございます。それから出版印刷関連産業は〇・五%で、これも低いことになっております。それから化学関係、化学工業におきましては〇・六七%というような数字になっております。以上のようにいろいろ業種によりまして現在の実態も相違がございますけれども、これを勘案いたしました上で、先ほど申し上げた事務的な業種あるいは事務的でありませんでも監視的な業種、こういうような身体障害者でもつけるというような職種を多く含みまする業種につきましてはこの率を高く、それから土建等の肉体労働を含みまするものあるいは漁業、水産関係というような、やはり現場肉体労働が非常に多いというようなものにつきましては、やはり率は低目にきめざるを得ない、このように考えております。
  51. 滝井義高

    滝井委員 事業の種類、特に民間における一般雇用主の雇用義務をわれわれが考えた場合に、やはり事業の種類というものが雇用に非常に大きな影響を及ぼしてくるわけです。過去の実績は家具の類が一番多かったことは私も本を読んで知っておりますが、そうしますと、衣服その他の繊維を扱う仕事、それから家具の類、こういうところが身体障害者を非常によく使う形態として出てくるわけです。そうすると、そういうものは企業の形態から見ると、中小企業、特に零細企業が多い形が出てくるわけです。もちろん紡績工場その他はありましょうけれども、やはりこれは衣服というからには仕立屋さんとかというような形になると思うのです。洋服屋さん、それから家具といっても、これは東京あたりたくさんあります中小企業です。そうなりますと、やはりこれは雇用相当大幅に一・三%というような形でパーセンテージで出していくことになると、百人以上使っている大企業にある程度重点を置かなければならない。ということになると、過去の実績から見てそういう大企業身体障害者の適応する職種が非常に少ないという、今度は逆な現象がそこに出てきているわけです。これを打開していくものは、やはり私は身体障害者職業訓練と申しますか、同時に補装具の改善の問題というものが非常に大きくクローズ・アップしてくる感じがするのです。そうすると一体そういう面に対する計画を立てた、そうして実施をさせていくということについて、その面の国の補助というか、政策の推進というものは、この法律の通過と同時にどういうことになっていくのかということです。
  52. 堀秀夫

    堀政府委員 事業場の規模別に現在の身体障害者雇用率を見てみますと、御指摘のように小規模の事業場においては雇用率が案外高い。たとえば十人未満の事業場につきましては身体障害者のと雇用率というものは、現在でも一・七二%というような相当な高率を示しております。ところがこれが中小から大規模になりますと、そのようなわけには参らぬ。要するに十人以上の事業場を平均して見ますると、先ほど申し上げましたように〇・六五%程度でございまするが、その中をまた見てみますると、十人から九十九人まで〇・六%、それから百人——四百九十九人が〇・五二%、それから五百人以上、これはまたやや高くなりますが、〇・七%というような数学でございます。われわれといたしましては、これを見ました場合に、各規模の業種において、この法律ができましたならば、身体障害者雇用促進してもらいまするように大いに呼びかけなければなりませんが、特に百人から四百九十九人、この辺の業種につきましては特に馬力をかけて啓蒙宣伝の必要があるのではないか、このように考えておるわけでございます。そこでわれわれといたしましては、身体障害者に対するところのいろいろな研究、補助具等の研究が進んでおります。適職の分析の研究も進んでおります。われわれの考え方といたしましては、身体障害者適職につきまするならば、一般の健常者と変わらない能率を上げ得るものである、そのような考え方についてわれわれは確信を持っておるわけであります。しかるに今まで身体障害者一般の健常者に比べまして雇用率がきわめて低かったということは、やはり業界において身体障害者に対する一種の偏見、心理的な偏見というものが存在したということが、大きな事実であろうと思うわけでございます。われわれといたしましては、このような偏見を一つこの際改めていただきまするように、政府全体として大きな啓蒙宣伝運動をやりたい。また適職につきましては、身体障害者雇用率が何十パーセントというような非常に大きな数になりますればいろいろな問題がございまするが、さしあたり第一次計画の一・三あるいは一・五%という程度身体障害者の職場を開放してもらうということは、企業にとっても決してマイナスにはならない、このように考えております。またそういうことにつきまして、この法律にも政府として資料の提供、研究その他のいろいろなサービス義務の規定を設けておりまするが、こういうものを活用しまして、民間に大きく呼びかけていく大きな運動として、身体障害者に対する職場を開放していく、こういう運動を盛り上げて参りたいと考えております。
  53. 滝井義高

    滝井委員 五百人以上の企業に〇・七%の身体障害者がおる。それが十人から九十九人、百人から四百九十九人に比して高いというのは、結局その企業自体の中のアクシデントによって身体障害者が発生しておるわけです。だからこれは自己が作った身体障害者を抱きかかえておるだけのことであって、他の企業から出た身体障害者を雇い入れているという意味ではないのですよ。ここに一つの問題があるわけです。だから私は法律としては、自己が作った身体障害者を抱きかかえることは当然だが、そのほかにいわゆる世における身体障害者というものを別にワクを作って抱きかかえさせる必要があると思うのです。その点がこの法案は少しあいまいになっている。たとえば鉄道弘済会が高いというのは当然です。これは国鉄という危険業務についておるから高いのです。ところがあれは他の身体障害者をよけいに入れているかというと、それは案外少ない。だから私、この点の分析も非常に大事なところだと思うのです。大企業に、自己が作った身体障害者のほかに、計画を作る場合に雇い入れさせるような政策が今後は必要になってくると思うのです。  次の質問に移ります。十四条の第三項に「公共職業安定所長は、身体障害者の雇入れに関する計画が著しく不適当であると認めるときは、当該雇用主に対してその変更を勧告することができる。」ことになっておりますね。そうすると、この計画が著しく不適当であるということで変更を命じましょう。ところが前のお役所関係になると、計画が不適当であるかどうかということは何も言ってないのです。これは一体どういうことですか。さいぜん私が問題にした十一条では、身体障害者の採用に関する計画を作るわけでしょう。作ってそれが適切であるか不適切であるかということを労働大臣は何も言わないわけですよ。ところが民間については、これは不適切でだめです、こういうことを言うわけです。これは労働大臣は、他の役所については少し遠慮しているのだと思いますけれども、これはやはり私は——実施に関しては言っている。実施に関しては勧告をしておるけれども、問題は計画そのものが一体適正であるか不適正であるかということが大事なんです。それを民間については職業安定所長が、これはどうも不適正だといって勧告することができるのに、どうして役所には不適正ということを言わないのかということです。
  54. 堀秀夫

    堀政府委員 法文がちょっとごたごたしておりますので、やや誤解があると思います。十一条に、各官庁は計画を作成しなければならない、このように規定しております。そこで特に国、地方公共団体あるいは公社というようなところは率先垂範する意味で、大いに適当な計画を作ってそれを実施してもらわなければならぬというので強くしてあるわけです。しかもこの計画の作成については、十一条に、政令で定めるところにより作成しなければならないと書いてあります。政令におきまして、この計画を作成する前に、あらかじめ労働大臣に協議もしくは連絡するというような手続義務を旅する予定にしております。そのような考え方におきまして、事前に労働大臣としてはその計画が適当であるか不適当であるかということについて関係官庁に対して十分意見を言う。そうしてこの計画作成について不適当であれば直してもらう、あらかじめそういうような手段を取り得ることになっております。民間についてはそこまで参りませんので、出て参りました計画が著しく不適当なときは直したらどうかというふうに勧告することができるということにとどめたわけでございます。従いまして、国、地方公共団体公社等につきましては、これは計画案を作ります前に労働大臣に連絡してもらって、労働大臣は事前に意見を言うって直させる、しかもあとになってその計画を実施しないというような場合には、さらに勧告ができるということで十二条に規定したわけでございまして、国、地方公共団体公社等におきましては、民間よりさらに強い義務を課しておるわけでございます。
  55. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、国なり地方公共団体に対しては労働大臣は事前協議をやることになるわけですね。これは拒否権があるかどうか知りませんけれども、事前協議をやる。そうしてその計画によってやらせる。それでその計画を実施しないということになれば今度は勧告する、言葉を聞くとこれは非常に強いように思います。そういう事前協議までおやりになるのなら、これはやはり法律に私は書いてもらいたいのです。そういうようにすればこれは非常に生きてきますよ。政令もある場合には法律と同じです。政令をお作りになるのなら、どうせ閣議でお諮りになるのですから、閣議でやるよりもここに入れた方がめんどうくさくなくていいでしょう。これは条文の書き方が違っていますから御質問したわけですが、よくわかりました。  次は、まだありますが、あと時間の関係がありますからずっと飛ばしまして、この職業安定行政と福祉事務所の関係、これは相互に密接な連絡をとり協力をすることになっておる。これは二十四条だったかと思いますが、これは具体的にどういう形になるのですか。これを私調べてみましたけれども、仕事が非常に交錯しておるのですね。まず身体障害者の肉体的なハンディキャップを取り除くために、職業能力あるいは生活能力の回復をはかるということで職業訓練をやる。これはお宅でやるわけですね。そこでこの職業訓練なり生活能力をつけるための仕事は労働省でやりますが、今度これに身体障害者の国民年金とか厚生年金とかの年金その他がつく場合は厚生省になるわけですね。そういうことで、職業能力をつける、それから年金がいくということで、食える形ができてくるわけです。そうすると、そういう形ができますが、同時に今度は身体障害者の自立史生の援護的措置——一つ年金が出てきましたけれども、もっと具体的にいいますと、そういうものの第一線の機関はどこかというと、援護については福祉事務所になる。そのほかに各都道府県ごとに身体障害者の更生相談所があって、そしてさいぜんあなたの言われたような職場における準備訓練の段階で心理的な適応指導その他が行なわれますね。これと同じような形で身体障害者の更生相談所でも医師とか心理学者、特に医者でも心理学を勉強した人たちによる職能判定員というものがおって、その人たちの職能判定をやるわけです。そこである程度の肉体的な、心理的な判定が終わると、今度は矯正医療というのですか、あなたにはこういう補装具を当てたらいいでしょうというような、いわゆる矯正医療というようなものが行なわれてくるわけですよ。そうしてその見通しがつきますと、今度はそれに適切な義手義足というものが具体的に与えられて、そして職業につくという形が出てくるわけですね。そのほかに今度は、あなたの方の身体障害者職業訓練所というものが出てきておるわけですね。それからその背後に今度は公共職業安定所が出てきておる。この関係をよほどうまくやっておかぬと、手の切れた、足の切れた身体障害者を労働省と厚生省が両方からひっぱり合うことになるのです。だからこの条文で、それぞれ第一線の福祉事務所と職業安定所とがお互いに協力をしてやっていくという場合に、これは行政上一体どういうふうな運びになっていくのか。そういう身体障害者が一番先に行く窓口というのは、どうも私の感じでは福祉事務所のような感じがするのです。それから福祉事務所の手を通じておそらく職安か何かに行くのじゃないかと思うのだが、その行く前の段階で、福祉事務所で今言ったようないろいろなことがずっとやられていくのですね。そうすると、そこでもらった補装具というものは、今度職安の窓口に行ったら、こんな補装具は役に立たないのだ、その補装具をしておったのでは仕事がだめですよといって、今度は別のものを労働省がくれると、それはむだになるという感じがする。そうすると同じ予算を厚生省の社会福祉関係で組んでいる。労働省も、この条文を見ますと、二十三条の「政府の義務等」のところに、「政府は、身体障害者雇用促進について、事業主その他国民一般の理解をたかめるため必要な措置を講ずるものとする。」というのが一項になっている。二項、で「労働大臣は、身体障害者に適当な職業作業設備及び作業補助具その他身体障害者職業安定に関し必要な事項について、調査、研究及び資料の整備に努めるものとする。」ということになって、作業の補助具については、無料でくれるとは書いていないですよ。ところが厚生省の方はこれはくれるわけです。多分手帳を持っておったら無料でくれるのじゃなかったかと思うのです。お金が要るのですか。(「生活保護の人たちはくれる」と呼ぶ者あり)身体障害者の多くのものは、職がなかったら大がい生活保護です。従ってむしろあなた方の方でも、これを生活保護に限らずに、やはり一つの適応訓練をして職についたら、研究をした成果を、作業員を与えるという形をとっていく必要があるのじゃないかと思う。そういう場合の厚生省と労働省との連絡その他というものは一体どうなっているかということが第一。第二番目は、そういう作業具その他を研究した成果というものを、むしろ無料でおやりになる必要があるのじゃないか。五千二百五十円ですか、事業主にやるあの中には、そういうものは入っていないと思う。そうするとやはりそういうものを国で現物をおやりになる必要があるのじゃないかという感じがするのですが、この二点について所見を承りたいと思います。
  56. 堀秀夫

    堀政府委員 労働省、厚生省の出先機関の連絡につきましては、ただいまお話のようにいろいろ事項が錯綜しておりますので、その間の連絡調整を十分にすることが必要であるということは御指摘の通りと考えます。その意味におきまして、この二十四条の規定も特に設けたわけでございますが、この調整につきましては、まず第一に中央におきましては、労働省、厚生省間で十分に連絡調整をはかりたい。これは両省直接の相談もございまするし、あるいは民間関係者の方の御意見を一緒に伺ったようなことがいい場合には、身体障害者雇用審議会、これにも厚生省から関係の方に入っていただく予定になっておりますので、こういうところで十分に調査して参りたい。それから地方におきましては、職業安定所、それから職業訓練所があります場合にはその職業訓練所、それから福祉事務所、身体障害者更生相談所あるいは身体障害者更生指導所というような出先の機関におきまして連絡協議会のような連絡会議を設けまして、そこで具体的にその調整をして参る、こういう方向をぜひやりたいと考えております。厚生省とも御相談申し上げておる途中でございます。  それから第二番目に補助共等の支給の問題でございますが、ここにございますように、労働大臣におきましても「調査、研究及び資料の整備に努める」ということを特に書いておきましたが、生活の非常に困難な方につきましては、厚生省とも十分に連絡いたしまして、ただいま言われましたような無料で補助具が支給される、この制度を活用していただくようにしたいと思います。それ以上の問題につきましては、たとえば産業災害による方でございますれば、労災保険法の福祉施設といたしまして無料で支給ができるというような実例も出ております。これも活用して参りたいと考えております。それ以上あらゆる人に無料で支給するということにつきましては、現行の制度ではいろいろ困難な点がございますので、これはわれわれの今後の大きな一つの研究課題といたしまして検討して参りたいと思います。要するに厚生省、労働省と中央地方の連絡を密にいたしまして、お困りの方には無料で支給するというような制度を活用して参るとともに、労災福祉施設も十二分に活用して参りたいと考えます。
  57. 滝井義高

    滝井委員 厚生省でくれる——たとえば日常使う補装具と作業用の補装具と二つ要るわけですが、これは生活保護だったら二つともくれますか。作業につくときのやつはくれないのじゃないですか。そうすると、その分についてはやはり労働省が何かめんどうを見てやらないと問題があると思うのです。これはこまかいことですから一応御研究になっていただきたいと思うのです。あなたの万で研究されて、それが末端に行き渡らなければ困りますから……。  もう一問で終わりますが、実は別表についてです。私の方でこういうのを一ぺん調べてみた。現在の身体障害者の廃疾障害程度等を各法律によってずっと対照してみますと、矢に千差万別です。今われわれの目についただけでも、身体障害者福祉法の別表があります。厚生年金保険法があります。船員保険法の障害年金の中に、「職務上ノ事由二因リ廃疾」があります。それから船員保険法の障害手当金の「職務上ノ事由二因ル廃疾」がある。それから労災保険法があります。それから恩給法の関係があります。それから国家公務員共済組合法、公共企業職員等の共済組合法があります。それから国民年金法、今度のあなたの方の身体障害者雇用促進法案の別表と、この九つができたわけです。それでまず一つだけ例をあげてみます。一体これはあなた方はどう判断するか。まず一級の目の一番重いところを見てみます。そうすると身体障害者福祉法では「両眼の視力がそれぞれ〇・一以下のもの」です。それから厚生年金法では「両眼の視力が〇・〇二以下に減じたもの」です。それから今度は船員保険法の障害年金を見ますと、「両眼ヲ失明シタルモノ」となっておる。それから船員保険法関係障害手当金の方は「一眼失明シ他眼ノ視力〇・六以下に減ジタルモノ」、こういう工合に非常にゆるやかになってきている。労災保険法は「両眼が失明したもの」、恩給法では「両眼ノ視力カ明暗ヲ弁別シ得サルモノ」、それから国家公務員共済組合法あるいは公共企業職員等の共済組合法では「両眼の視力が〇・〇二以下に減じたもの」、これは厚生年金と同じになっておる。それから国民年金法にいきますと「両眼の視力の和が〇・〇四以下のもの」、こういうように冬法律みんな違う。あなた方の方を見ますと、「一眼の視力が〇・〇七以下のもの」とまた独特のものを打ち出した。もちろん法律はそれぞれ目的があってできております。目的があってできておりますけれども、このように同じ一級だというのに——恩給法の方は特別項症になるからそれは一級とはいわぬが、これは一級に当たるところですよ。それなのにどうして各省各局ばらばらに同じ道をいかなければならぬかということです。もう少しこれは厚生省と労働省と恩給局、三者が話し合えばできることです。そしてこれはむしろこの際日本における身体障害者の表というものを一級から十級なら十級までずっとお作りになって、そうして自分のところの法律はこのうちの一級から三級をとるなら三級をとりますというように、一つの表を作ってこれを法律に適用する方がいいのではないか。一つ一つ法律をお作りになって独特の別表をお作りになると、何が何だかわからないのですよ。従って国民年金のごときは、骨盤引き上げというような変なものを作って、われわれ医者も知らぬようなものを出してくるのです。そういうことでは困ると思うのですね。われわれ議員はみんな専門家ではないですから……。しかしこの別表というものは一級になるか二級になるか、非常に大事なところなんです。ところがそれは各法律によってみんな解釈が違ってくるのですね。労働大臣どうですか。この法律は今度は仕方がないとしても、やはりあなたのところと厚生大臣と恩給局とがお話し合いになって、そして国家公務員関係のものも入れまして、日本における身体障害者の別表というものを、統一したものをお作りになって、そしてその統一した表の中からどれとどれを適用する、こうしてもらえば非常にいいんです。これは参考のために私の方で作ったのですが、あれではわからぬですよ。全部違う。上と下と見比べていかなければならない。ちょうど安保条約で、各安全保障条約と類似のものを比べていくと同じで、これはあれよりかややこしいです。だから大臣どうですか。これは非常に専門的な研究を必要としますから、私は今すぐとは言いませんが、恩給のときも私はこれを主張したのです。政府は何とかそうしたいと言ったが、やはりやらないのですね。今度は一つ松野さん、あなたの政治力で厚生大臣にも語らってやってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  58. 松野頼三

    松野国務大臣 今回は福祉法と恩給法と勘案してやったわけでありますが、御趣旨のように、これは労働省の所管じゃありませんが、政府全体としては一つの表を作って、その法律ではその中のどれをとる、そういうふうにする方が、これは行政上も、あるいは国民の立場から見ても便利じゃなかろうかと考えますし、鋭意内閣におきましてもそこの問題を一つ取り扱って、各省間の連絡をはかりたい、こう思いますが、労働大臣としては、各省のものをそのまま採用するという今回の法律ですから、今回は本案に御賛成いただいて、今後必ずそういった方向——いろいろの問題で御本人は非常に困ると思う。一々認定を受ける、一々格づけが違うということで非常にお困りでもありましょうし、行政的にも——背の伝統を重んじてやっておられるかもしれませんが、何らか改善をはかりたい、私もそう考えております。
  59. 滝井義高

    滝井委員 ぜひ一つ、これはあなたにはだ脱いでいただいて、閣議で発言をしてそういう機運を作っていただきたいと思います。  午後少し特殊な視力障害者の問題をいろいろの方面から、文部行政、特殊教育までひっくるめてお尋ねしたいと思いますので、午前中はこれでやめますが、この法律は四月一日から実施になっておりますが、あなた方はこれをいつから実施するお考えですか。
  60. 堀秀夫

    堀政府委員 原案は年度内にこの法案の成立を期待いたしまして四月一日からということにしておりましたが、いろいろな関係でおくれたわけであります。そこでわれわれといたしましては、この法律が本国会で通過成立いたしましたならば、すみやかにこの法律を公布いたしまして、公布の日から施行する、このようにしたいと考えております。      ————◇—————
  61. 永山忠則

    永山委員長 次に、去る十四日付託になりました五島虎雄君外十名提出の、港湾労働者雇用安定に関する法律案を議題として審査を進めます。     —————————————     —————————————
  62. 永山忠則

    永山委員長 その趣旨の説明を求めます。五島虎雄君。
  63. 五島虎雄

    五島議員 ただいま議題となりました港湾労働者雇用安定に関する法律案の提案理由の説明をいたします。  私がここで申し述べようとする論点を要約してみますと、港湾に働く労働者の雇用を安定し、正常な海運事業発展の基盤としようということであります。御承知の通り、昭和三十四年以降は、国の責任によって、港湾施設の整備拡充が実施されることになっております。しかし、この施設で働く港湾労働者を取り巻く状態については何ら改善の措置が講ぜられていないのであります。  簡単にこの港湾労働者の実態を検討してみますと、多くの問題が認められるのであります。低賃金、労働条件の低位はすでに早くから指摘されているところでありますが、その原因は、ボスの介在、不当労働慣行の残存、つまり、近代的労働関係のワク外にこれらの港湾労働者の多くが放置されていることにあるのであります。従ってこの不当労働慣行の支配する港湾においては、業者の恣意に支配される結果常に就業が不安定であり、常用労働者よりも日雇い労働者が多く、生活もまた浮動性を帯びるということになっているのでありますが、この事実がわが国の海運事業の将来に悪影響を与えるであろうことは予測にかたくないのであります。一例として、わが同港湾労働者の賃金が低い結果、外国船の値たたきを許し、それが全体としてのわが国の国際収支に悪影響を及ぼしていることは、単にこの問題が労働問題としてではなく、政治的問題としても重要な意義を持ってきている事実をあげることができるのであります。このような前提に立って、私どもは早急に港湾労働者の置かれた環境を整備し、近代的労働関係の確立と、計画的な雇用対策の樹立、それに基づく海運事業の発展を促す必要があると考え、本法案を提案するに至ったのであります。  本法案の内容を簡単に申し述べますと、第一に、日雇い港湾労働者の不安定性を除外し、計画的な雇用促進するために、日雇い労働者の登録制を実施することにしました。  第二に、港湾労働の計画的雇用を推進するために、港湾労働委員会を中央港湾労働委員会と地方港湾労働委員会との二本立てにして設けることにしました。  第三に、この労働委員会が常に港湾労働事情の実態を調査し、港湾運送事業の合理的、総合的計画を立て、それによって各港湾ごとに必要な労働力の定数を定めることにしました。  第四に、この必要な労働力に比して、常用港湾労働者数が不足する場合は、登録港湾労働者の中から不足せる労働者数を指定し、指定した労働者を優先的に雇用する義務を雇用主に課しました。  第五に、この指定労働者が万一不就業の場合は、不就業手当を給することにし、不就業手当は原則として業主負担とし、一部を国庫が補助することができることとしました。  右の諸点が本法案のごく簡単な要点でありますが、この法案の目的とするところは、現在のような不安定な雇用に依存する港湾労働事情を早急に改め、港湾労働者の常用化を促進して、一日も早く近代的労働関係を樹立しようとする点に存するのであります。  なお、世界のほとんどの海運国は一九四七年ごろ港湾労働法を制定しているのでありますが、一九四七年にはILOも港湾労働者雇用恒常化に関する決議を採択して、各国に港湾労働法の制定を促しているのが実情であります。  以上が港湾労働者雇用安定に関する法律案の提案理由の説明でありますが、何とぞ慎重審議の上、本法案を可決せられんことを望むものであります。
  64. 永山忠則

    永山委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  65. 永山忠則

    永山委員長 次に、去る十四日付正になりました堤ツルヨ君外二名提出の、労働組合法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。     —————————————
  66. 永山忠則

    永山委員長 その趣旨の説明を求めます。堤ツルヨ君。
  67. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)議員 私はただいま議題となりました労働組合法の一部を改正する法律案について、簡単に提案理由の説明をつけ加えます。  この法案は、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)の一部を改正するものでございます。  すなわち第十九条第二十一項の後段中「第九項」を「第七項中「労働組合」とあるのは「労働組合(当該都道府県を含む二以上の都道府県の区域にわたって組織を有する単位労働組合が、当該労働組合の規約の定めに基づいて一以上の従たる事務所を当該都道府県の区域内に設置しているときは、当該労働組合の規約の定めるところにより当該都道府県の区域内において当該従たる事務所ごとにその組合員を代表する者を含む。)」と、第九項」に改め、同条第二十二項の本文中「地方労働委員会に関する規定」の下に「(前項後段の規定中第七項に係る部分を除く。)」をつけ加えようとするものでございます。  この法律の施行の際、現にこの法律によるところの改正前の労働組合法第十九条第二十一項において準用する同法同条第七項の規定に基づき地方労働委員会の労働者を代表する委員の候補者の推薦を求める手続が開始されている場合における当該労働者を代表する委員の候補者の推薦については、なお従前の例による、という経過措置にいたしたものでございます。  この理由は、二つ以上の都道府県の区域にわたって組織を持っておる単位労働組合の従たる事務所ごとに、その組合員を代表する者も、地方労働委員会の労働者を代表する委員の候補者を推薦することができるものとする必要がある。これがこの法律案提出いたしました理由でございます。  何とぞ慎重御審議の上、できるだけすみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
  68. 永山忠則

    永山委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  午後二時半まで休憩いたします。     午後一時十二分休憩      ————◇—————     午後二時四十七分開議
  69. 永山忠則

    永山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  身体障害者雇用促進法案を議題とし、審査を進めます。質疑を続けます。滝井義高君。
  70. 滝井義高

    滝井委員 身体障害者雇用促進法に関連をして、少し特殊な問題を御質問したいと思うのです。  現在身体障害者六十四万一千人の中で、肢体不自由な者が四十一万三千人、大体六割四分四席程度肢体不自由者でございます。しかし視覚障害者、いわゆる視力の障害というのが十三万三千人おるわけです。それから聴力、聴覚の障害が八万三千人程度、声帯の障害、いわゆる言語障害が一万二千人程度になっておるようでございます。従ってわれわれが身体障害者の対策を講ずる場合に、肢体不自由という問題は、これは午前中に指摘をいたしましたように、当然補装具の問題、その他が非常に重要になってくるわけです。しかし視力、視覚の障害の十三万三千人の者については、いわゆる二条三項の重度障害者が特殊の職種というものに指定をされてついている。その特殊の職種とは一体何ぞやというと、あんまとかマッサージだ、こういう問題が出てきたわけです。そうしますと、この視覚障害の十三万三千人の中で特に重い人の問題というものは、この特定職種の問題と関連をしてくることは午前中の説明でもはっきりしてきたわけですが、この人たちのつく職業というものがあんまであり、マッサージである、こういう御答弁もあったわけです。そこで、私はあんまの問題を中心に少しお尋ねをしてみたいと思うのです。  最近あんまさんたちの職業範囲というものが非常に狭くなっておる、そのために厚生省の社会局あたりも非常に困っておるわけです。新しいあんまさんたちの、いわば視力障害者職業分野の開拓の問題というのが、社会局の行政の中で、身体障害者の福祉行政の上で、相当大きな比重を現在占めてきつつあるわけです。その職業の中の典型的なあんま業について、職業安定行政なり労働基準局行政、それから医務局の行政と関連をしながら少しお聞きしたいのです。  まず第一には、これは参議院でも少し問題になっておるように聞いておるのですが、参議院の速記録をちょっと読むひまがなくて読んでいないから、幾分重複するところがあるかと思いますが、御答弁を願いたいと思います。  まず、現在あんまさんたちは独立してあんまをやっておる方もおられますが、多くの人たちは何か親方みたいなのがおって、そしてそのもとで、雇用されておるのか職業紹介をされておるのか知りませんけれども、とにかく一日の収入の五、六割というものは、調べてみるとその親方みたような人にやっておるわけですね。その払う形態はどういうことになっておるかというと、食事代、部屋代それから電話の使用料、たとえば旅館に泊まっておるお客さんから電話がかかってくる、そうしますとその電話の使用料というものを払うことになるわけです。それから自分のうちにはあんまさんがおりますぞという宣伝をやはりするわけですから、その宣伝費というようなものをひっくるめて、一日の収入の五、六割というものを総括してたな代といいますか席代といいますか、あるいは看板料とでもいいますか、そういう形で支払っておるわけです。そして自炊のときは一日一人五、六十円ぐらいですか、それから通勤でもやっぱり看板料で幾分取られるらしい。そして自炊をしておれば親方の、看板を受けておるそのお店、これは医療法では施術所ですか施業所ということになると思いますが、そこに親方と一緒に住むという格好になっております。それで自炊のときには患者さん一人に五、六十円ずつ間代みたいな形で払うことになるわけですが、一体こういう形態というものは職業安定行政上どういうように見るのかということなんです。その親方とあんまさんたちとの間には雇用関係があるのかどうかということです。これをちょっと僕知りたいんですがね。
  71. 堀秀夫

    堀政府委員 本日は基準局からも見えておりますから、また補足して説明があると思いますが、われわれといたしましては大体におきまして、これはもとよりいろいろな現場の実態によって認定すべき問題でございますが、大都分の場合におきましては施術所の業者との間に雇用関係があるものが多い、このように考えております。
  72. 滝井義高

    滝井委員 雇用関係があるということになりますと、親方がその者に賃金を払わなきゃならぬわけですね。ところが実際は親方が賃金を払うんじゃなくて、施術所におるその人が親方に飯代や何かを払っておるのですから、逆な形になっておるわけです。親方が金をくれておるわけじゃないのです。しかも、たとえば六畳の間に三人なら三人寝せるわけですね。そうしますと、一カ月の間代が六千円だということで一万八千円金を取っておるわけです。これは私の国の八幡なんかにあります労働合宿所と同じような形が出ておるわけです。しかもそこを見ると、おやじは電話は握っておりますね。電話がくると、何々さんといって呼んでやると、その人がその電話のきた先の旅館なら旅館に出ていくわけですね。いわばこれは出張施術です。出張して施術するという形になっておる。そうしてお金は親方が払うんじゃなくて、そのあんまさんがお客さんからもらってきておるわけですね。そうしてもらったお金から間代とか電話料とかいうような、いわゆる看板料と申しますか、そういうものを払っておるわけです。だからその六畳の間に寝ている三人の人は、いわば六畳の間というのは休息室みたいなものですよ。そういう形になっておると思うのです。どうも形態は労働合宿所によく似ておる。ところが今堀さんの方は、これは雇用関係があると言う、こういう形になっておるんですね。どうもそこらあたり、労働省は雇用関係があるというならば、その雇用関係というものは、法律上ではどういう形態になれば雇用関係があるという条件になるのですか。
  73. 上原誠之輔

    ○上原説明員 あんまの施術所とその中におりますあんま師との関係でございますが、この実態につきまして実は私どもの方、なお詳細な状況につきましてはつまびらかでございませんが、形といたしまして二つの形があろうかと思います。先ほど安定局長からお話しいたしましたように、業者との間に雇用関係があります場合、もう一つの場合は業者との間に雇用関係がございませんで、業者は単に施術行為のあっせんをしているという場合があろうかと思います。雇用関係というのはどういうふうな場合をとらえるかと申しますと、いわゆる業者とその下におりますあんまさんとの間に使用従属の関係にあるという場合に、これが雇用関係にあるというふうに解すべきではないか、こういうふうに考えております。
  74. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、使用従属の関係にあれば雇用関係があるんだ、こういうことでございますが、これはそういうことの答弁で一応承っておきます。そこで職業安定法の三十二条の有料職業紹介関係と、それから四十四条の労働者の供給事業関係ですね、これもはっきり雇用関係があれば、その問題は出てこないと思うんですね。ところが第二の型の施術行為のあっせんですか、こういう形のものになると、これは少しおかしくなってくると思うんですね。はっきりと雇用関係があるというならば、これは親方とそのあんまさんとの関係になるから、まあ一応横に置いておいていいと思う。ところが第二の型の施術関係、現在全国の温泉地やら大都市なんかのあんまの営業の形態を見ると、これは職人とか助手とかいっておるのです。あんまさんをたくさん置いて、中にはあんまの免許を持たない者が相当多くて、持っておる者が少ない、こういう形態です。そうしてやっておるわけです。そしてその全都の実権はそこの親方が握っておる。この人が施術所の開設者になっておるわけです。医療法の施術所の開設者に親方がなっておるわけです。そうして助手、職人というものを使っておるわけです。その中にも資格のある人とない人がおるわけです。こういう形になっておるわけです。この開設者を席主といいますか、その人が実権を握っておるわけです。そうすると、これはあとでだんだん触れていきますが、どう見ても雇用関係があるかどうかということについては非常に問題がある。むしろ第二の形態のものが温泉地やら大都市に多いのです。そうすると、これは明らかに職業安定法の三十二条、「何人も、有料の職業紹介事業を行ってはならない。但し、美術、音楽、」云々とありますが、三十二条のこの条文と、それから四十四条の労働者供給事業の禁止、「何人も、第四十五条に規定する場合を除く外、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を使用してはならない。」という、この条項があるわけです。従って今の第二の方の施術行為のあっせんということはできないんじゃないかというのですが、まず第二の方からの見解を、これは違反ならば違反、こういうことでけっこうなんですが、それはどうですか。
  75. 堀秀夫

    堀政府委員 あんまのあっせん業者の問題でございます。これは最近このような事例が非常にふえておりまするので、実は厚生省とも相談をいたしまして、まずその実態調査と把握を行ないたいと考えておるわけであります。従いまして最終的な結論は、その調査を行なった上で出したいと思っておりますが、ただいまわれわれが一応考えておりますことを申し上げますると、職業安定法にいう職業紹介とは何であるかという問題であります。これは昭和三十年の十月の最高裁判所の判決にもありますが、「「職業紹介」とは求人及び求職の申込を受けて求人者を求職者との間に介在し、両者門における雇用関係成立のための便宜をはかりその成立を容易ならしめる行為一般を指称」するものである、こういうふうに最高裁の判決も言っておるところであります。ところであんまと客の関係でございますが、あんまが客にあんま施術をする行為の性質は何であるかと申しますと、これは一種の医療行為、施術行為でございます。従いましてそのような面からも、また客のからだをもむというような、きわめて短時間であるというような点からも、あんまと客との間は雇用関係は成立しておりません。これは一種の施術行為である、このように考えられるわけでございます。従いましてそのような施術行為をするあんまを施術所の業者がどのように取り扱うかという問題でございます。そこで先ほど申し上げました施術所とあんまとの間に雇用関係が成立しております場合においては、その労務者と施術所との間の雇用関係に基づく派遣行為に該当するわけでございます。  それから第二番目の施術所とあんまとの間に雇用関係がない場合におきましては、あんまは、独立の自営業者と認められる業者は、その自営業の取次ないし紹介をするという施術所の行為を行なうわけでございます。これは先ほどの最高裁の判決文からいたしましても雇用関係の成立をあっせんする職業紹介あるいは労務者供給事業というふうには考えられないわけでございます。法律内見解としては、われわれは一応今のような考え方を持っておりますけれども、詳細、具体的な結論は、なおその実態をいましばらく把握調査いたしました上で最終的な結論を出し、その取り扱いを考えていきたいと考えております。
  76. 滝井義高

    滝井委員 派遣行為ということと、それから今度は取次紹介ということでございますが、派遣行為ならば、それはたとえば医者の家でもいわゆる医師免許を持っている医者を置いている。そして自分のかわりにそれを往診に派遣するということはあり得ると思います。しかしそれは向こうから往診料をその人がもらってきて、そのうちの半分を自分がポケットに入れて半分を院長にやるというものじゃないのです。これは給料一カ月分五万円ですぞ、ボーナスは幾らですぞときまっておる。ところがあんまさんの内部の形態を調べると、そうなっていないのです。さっき私が言った形態になっておるのです。電話料、間代、飯代、こういうふうに区分して、もらっておるそのお金から取り上げる形態になっておるわけです。中には固定給の給料でやる者もあるでしよう。が、しかし温泉地や大都市においては、私の言ったような形態の方が多いのです。そういう形態が多いという一つの反命です。  それからもう一つ、今最高裁のことをお出しになりましたけれども、昭和二十九年の三月十一日最高裁の小法廷で職業安定法違反被告事件の判例は、「”雇用関係”とは、労使間に民法第五二三条にいう雇用契約の存在を要するが如き狭義のものではなく、事実上使用従価の関係をもって、労務の提供が行われる場合を含むものであり更にその労務は直接使用者に提供され、その対価が相手方の計算において支払われることを要するものでもない。従って芸娼契約も一種の雇用契約であって、その仲介を行うことは職業紹介となる。」ということがはっきりしておるわけです。形態としてはちょうどこれと同じですよ。これは図を書いてみるとわかりますが、まずここに芸妓なら楼主です。普通ならばあんまの親方です。施術所です。そうしてこちらにお客さんがおるわけですよ。そうしてその楼主の下にあんまさんがおれば、これはただ、お前、あそこから言ってきたから行きなさいといって部屋におる人に言うだけです。そうして行ったら、一時間幾らでもみますということはお客さんとの間に契約が成立してしまうのです。そうしてお客さんと今度は楼主との関係、施術業者との関係はどういうことになるかというと、わしの方から行きましたよという電話だけです。そうすると形態からいうと、明らかにここに一時的に雇用関係ができておるのです。お客さんとそれからそのあんまとの間に——はなはだあんまさんを芸妓や娼妓の例をとって言うとおかしいけれども、法律論を言っておるのですから、これと全く似ているのです。しかも労働会合宿の形態であり、電話一本で行くという形態、それからもらってきた賃金は一応自分のふところに入れておって、その中から間代その他をおやじに払うのです。だからその雇用関係というものは、むしろ本質的な雇用関係ではない、擬装的な雇用関係というものがそこに出てきておるわけです。従って、これは明らかに業職安定法における三十二条なり四十四条の関係と、私は抵触するような感じがするのです。それで最近においては、こういう状態が非常に多くなっておるのです。今調査をされるということですが、私の知っておる限りでは、これはあとで教育上の問題にもなるから言うわけですが、あんまさんでも、女のあんまさんが非常にふえてきたわけです。しかもこれは免許を持たないのです。しかも目のあいている、晴眼のあんまさんがふえてきた。今盲学校を卒業しますと、一番売れ行きのいいのは何かというと、目の見えないあんまさんよりか、幾分目の見える女のあんまさんが一番です。それから目の幾分見える男です。それから今度は目の見えない女性、目の見えない男性、こういう順序に相なります。私も参考のために盲学校で書いている本をいろいろもらって読んでみました。そうすると、温泉地に行きますと、女のあんまさんのことをパンマというそうです。最近は、こういう形態が非常にふえてきておる。形はあんまという形をとって、赤線とか青線とかいうのがなくなったけれども、そういう形態に形が変わってきているという実態です。それでしかも体よく、何か施術所開設者という、いかにも医療類似行為をやるような形態のものが出てきておるけれども、実態は時限の女のあんまさんがおる。しかも資格がない。その資格のないあんまさんに、資格のある目の見えないあんまさんが何人かまじっておる、こういう形態がとられておる。そして親方によって体のよい搾取というものが——席主と申しますか、看板料を取るという形態があるわけです。これはあなた方は、今後厚生省と協力して実情調査をすると言うのだが、今まで実情調査をしたことはないのですか。十三万有余の目の見えない人がおり、しかも目の見えない人の職業というものは、特定職種に指定をして、重度障害者として認定をするというからには、あなた方はやはり調べておかなければならぬと思うのです。この法律を実施するにあたっては、ここが一番先に調べておかなければならぬところだと思うのです。私は数年前に、今厚生省の次官の安田さんが社会局長のときに問題にしたことがあるのです。こういう形では問題にしませんでしたが、目の見えない人の職場が、だんだん晴眼者によって侵かされつつあるが、一体盲人職業をどう開拓するかと言ったら、実はあんま以外に何とか開拓したいと考えておりますということは言つたが、その後音さたがない。この法律の立案にあたって、何らその調査がなかったのか。調査をしておれば、その実態、全貌を明らかにしてもらいたいし、なければ、一体いつまでにその調査を完了して、そういう具体的な職業安定法の三十二条なり四十四条の違反だということをはっきりしていくのか。
  77. 堀秀夫

    堀政府委員 先ほど答弁の際に、実態を調査、分析したいと申し上げましたのは、ただいま施術所、客、あんまとの間の法律関係が、法律技術的にも解釈上非情に問題になり得ますので、その点を解明するための詳細な分析をいたしたい、こういう意味で申し上げたわけでございます。この法案の作成前に、神奈川、愛知、大阪、千葉、埼玉、宮城、岡山、長崎というような主要府県におきまして、あんまの施術所を調査いたしました。そこにおける盲人の数、それからいわゆる晴眼者、盲人でない者の数等の関係は、労働省としてもすでに調査をしております。これを出し上げますと、大体施術所三千六百六、そこに雇用されている者が四千三百一人のうち、盲人が二千九百八十六名、六九・四%という率になっておるわけでございます。そこでわれわれはこれをさらに、この法律の実施にあたってしさいに全国的に調査をいたし、また法律関係がどういうことになるかという、解釈上必要な分析もいたしたいと考えておるわけでございますが、先ほど滝井委員の御引用になりました、昭和二十九年三月十一日の最高裁の判決でございますが、この最高裁の判決は、いわゆる置屋と芸妓との間に雇用関係あり、こういう結論を出しておるわけでございますが、その置屋と芸妓との間になぜ雇用関係があるかという理由といたしまして、ここにいう雇用関係とは、必ずしも厳格に民法六百二十三条の意味に解すべきものではなく、広く社会通念上、使用者が有形無形に経済的利益を得て、一定の条件のもとに使用者に対し、肉体的、精神的労務を供給する関係にあれば足りる、こういっておりますし、また、この芸妓をして対価を獲得させ、その中から一定の金額を看板料または下宿料等の名義で徴収して、これを収益とする営業であるということからいって、そのような賃金関係の精算の形態からいって、これが雇用関係ではないというふうに断ずることは適当でない、こういうことを二十九年の三月の最高裁の判決は明らかにしておるでわけございます。このような最高裁の判決の考え方から申しますと、私が先ほど申し上げましたように、施術所とあんまとの間に、やはり雇用関係があるという解釈が出てくるわけであります。ただ実態につきましては、いろいろ問題があると思いますので、われわれといたしましては、このような法律解釈を確定いたします前に、いま少しくこの内容検討、分析いたしまして、そしてその結果に基づいて最終的な取り扱いをきめて参りたい。ただいまのような、一応のわれわれの調査の結果からいたしますれば、やはりあんまと客との関係は施術行為でありまして、あんまと施術所との間に雇用関係がある場合には、いわゆるあんまと施術所との間の、雇用関係に基づいて派遣する行為でありますし、それから雇用関係が施術所との間にない場合におきましては、あんまは自営業である、要するに客との間には、施術行為をなすについての契約が成立するということでありまして、職安法の職業紹介、あるいは労務供給事業に該当するものではない、このようにわれわれは一応解釈しておりますが、しかし、なお詳細、具体的には、いま少しく実態を分析した上で、最終的な結論を出したいと考えております。
  78. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、まだ実態調査は、幾分はやったが、全般的な調査はやっていないようですが、一体職業安定局と基準局とが連絡をして、今までにそういうあんまの営業についての指導監督をやったことがありますか。
  79. 上原誠之輔

    ○上原説明員 あんまの業者に対しての監督指導の問題でございますが、はっきりとした方針のもとに、全国一律で指導した例はございません。いわゆるあんま労働関係においては、非常に前近代的な労働関係が多く見られますので、そういう労働関係の改善という見地から、各地方においては集団指導というような形で、基準法の精神の徹氏をはかって参っておるような現状でございます。
  80. 滝井義高

    滝井委員 あんまの営業については、今堀さんからも、法律上の解釈問題については、すっきりしていないというニュアンスの答弁があったわけですね。従ってこれは職業安定法の違反の疑いがあるわけですよ。そうすると各公共職業安定所というものは、そういう実態をすみやかに調査をすることは当然だが、同時に労働基準法の六条でありましたか、「何人も法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」ということがあるわけです。これはだれでも知っておるように、私はしたことはありませんが、われわれ同僚議員だって、旅館に行って電話するとすぐ来ますよ。そこで金を払っておるわけです。普通のものなら、たとえば医者なら医者に往診をしてもらって、そこで金を払うというのはなかなかないですよ。その人の名をさして呼んだわけではない。ある施術開設者に向かって言って、そうして来てくれるということで、施術開設者が来るわけではない。別の人がやってくるから、当然これは非常に疑いを持たれるところなんです。いわゆる何か仲介をしてピンはねをしているのじゃないかなという疑いは、基準行政においては一番六条違反じゃないかという疑いが持たれるところなんです。そうしてしかも最近における温泉地区、大都市におけるめくらのあんまさんが、だんだん晴眼の、目あきのあんまさんにかわりつつあるという変化の状態から見ても、基準行政というものは当然私は出ていかなければならぬと思うのです。そればかりでなくて、きょうは婦人少年局長は来ていないのですが、労働省の婦人少年局は一体何をしておったかということを言いたいのです。いわゆる赤線の問題その他が消えて、そうしてこういう職種にだんだん女性がたくさん進出していく、しかも晴眼者が進出していくといったときに、ベンゾール中毒を調べるということも大事だが、こういう面も、婦人少年局はもう少し婦人あんま師の労働の民主化のためにも、少し具体的に入っていって調べる必要があったのではないかと思うのです。職業安定局、基準局、婦人少年局、この三者というものが一体になって、この問題というものは片づけなければならぬ問題だと私は思う。はっきりしなければならぬ問題だと思う。ところがどうも今までそういうことを聞かないのですね。こういう点はどうですか。きょうはあまり質問がなかったものですから婦人少年局を呼んでなかったのですが、一体どういうようにしているのですか。
  81. 堀秀夫

    堀政府委員 基準局と安定局の間では、ただいま申し上げましたようなことで雇用関係が成立しておると認められる場合が相当あると思いますので、そういうものについては、監督署において集団指導を実施いたしまして、前近代的な関係を直さしていくという方向に努力をお願いいたしておるわけでございます。  なお、婦人少年局におきましては、きょうは参っておりませんが、やはりこの点にいろいろ問題があるということは連絡いたしておりますし、婦人少年局でも、最近婦人少年室に協助員あるいは協力員というような制度を置いております。この関係におきまして、このような関係の実態等の把握にも乗り出そうとしておる段階だとわれわれは承知しております。きょう参っておりませんけれども、婦人少年局におきましてもこの問題点は十分認めておられまして、この点についての指導をどのようにやっていくかということに乗り出されておるところであるとわれわれは承知しております。
  82. 滝井義高

    滝井委員 行政というものは私は総合的にいかなければならぬと思うのです。従って少なくとも視力障害者雇用を推進しようということになれば、当然その働き場所はあんまとかマッサージが一番多いのだということになると、現在一体その職業安定関係はどうなっているのか、基準局長関係はどうなるのか、婦人少年局は一体どうなるのかということを、やはりすっきりした上で問題にしてくる必要があると思うのです。身体障害者雇用促進法を出したからには、労働省はもう少し積極的にこういう面をはっきりしてもらいたいと思う。  次に、この法律関係が非常に不鮮明でございますから、一つ鮮明にする意味において、職業安定法の三十二条をごらんになると、「何人も、有料の職業紹介事実を行ってはならない。」こうなっておって、一応有料職業紹介を禁止しているわけです。私個人は、このあんまの親方というものはむしろ有料職業紹介をしているという見方をしているわけです。「但し、美術、音楽、演芸その他特別の技術を必要とする職業に従事する者の職業をあっ旋することを目的とする職業紹介事業について、労働大臣の許可を得て行う場合、この限りでない。」こういう除外例が出ているわけです。この除外例に「美術、音楽、演芸」とは出ておりますが、「その他特別の技術を必要とする職業に従事する者」ということで、あとは出ていないのですが、あと一体どういうものがあるのですか。
  83. 堀秀夫

    堀政府委員 「その他」は労働省令で定めることになっておりまして、職安法施行規則二十四条におきましてその内容をずっと列挙しております。美術家、音楽家、演芸家のほかに、科学者、医師、歯科医師、看護婦、弁護士、弁理士、計理士、理容師、美容師、調理師、マネキン、映画法劇関係技術者、美術モデル、家政婦というような工合に列挙しております。
  84. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、職業安定法施行規則の二十四条の十三号に「その他中央職業安定審議会意見を聞いて労働大臣が定める前各号に掲げる職業に類似する職業」というのがあるのですが、この中にあんまさんが入るのですか。
  85. 堀秀夫

    堀政府委員 実は十三号はそのものを省令の改正で削除しておりまして、現在は十三号は削除されております。あんまがこれに入るかどうかということにつきましては、先ほど私が申し上げましたように、あんまと客との間の行為は施術行為である、従いましてあんまと客との間に雇用関係は成立しない、従いましてこの施術所の業者のあっせんする行為は、施術所とあんまとの間に雇用関係があれば、雇用関係に基づく派遣行為になりますし、それから施術所とあんまとの間に雇用関係がない場合には、そのような施術行為を行なうことについてこれをあっせんする行為でございますから、結局職安法の職業紹介にはならない、このように解釈しております。
  86. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、そこが私とあなたと見解が違うわけですが、あなたはあくまでも雇用関係があるとごらんになっておるわけですね。施術所とあんまさん、そこには雇用関係がある、だから職業紹介事業ではない、こうおっしゃるわけでしょう。
  87. 堀秀夫

    堀政府委員 補足して申し上げますが、二つの場合がある。施術所とあんまとの間に雇用関係がある場合においては、その雇用関係に基づく派遣行為である。そでから施術所とあんまとの間に雇用関係がない場合においてはあんまと客との間に、施術行為の委任契約が結ばれておるわけでありまして、その施術行為を行なう契約をあっせんするという行為でありまして、いずれにいたしましても、職業安定法に基づく職業紹介ではない、こういう見解を持っておるということを申し上げたのでございます。
  88. 滝井義高

    滝井委員 一の方はわかるのですが、あとの方のあんまと客との委任行為というのは、どういうのですか。
  89. 堀秀夫

    堀政府委員 あんまと客との関係は、要するに客とあんまとの間に使用、従属関係はない、要するに、あんまが客の希望を聞いて、どこをもむという行為でございまして、これは一種の医療行為的な施術行為である。時間も短時間である。そのような関係からいって、客とあんまとの期に雇用関係はない。職業紹介というものは、雇用関係が成立することをあっせんする行為が職業紹介であります。これは、先ほど申し上げました昭和三十年の最高裁の判決にも示されておる遮りでございます。従いまして、この場合においては、要するに雇用関係成立をあっせんする行為ではございませんから、職業紹介にはならない、こういう見解を申し上げたのでございます。
  90. 滝井義高

    滝井委員 問題はそこらにあると思うのです。これは時間の長短を問わないと思うのですね、それが繰り返されるわけですから……。一人のお客と一人のあんまさんとの間の行為は、それは短時間です。しかし一日の同じ繰り返す行為というものを見れば、これは明らかに一つ紹介ですよ、それがなかったら会えないのですから。だから、そこらで私はどうもこれは職業紹介だという感じがするのです。その証拠には、職業安定法施行規則の、今あなたがずっとお沈みになった二十四条の、五号に、医師、歯医者、獣医師、薬剤師、保健婦、助産婦または看護婦と、こうあるわけです。これらのものはみな広義の医療行為ですね。そうして、あんまさんたちの行なうのは医療類似行為ですから、広い意味にしたらここに入るのです。しかし、ふしぎなことには、家政婦までは入れておって、それからまた美術のモデルまで入れている。美術のモデルなんというのは、これは短時間です。そんなもの、十日も二十日も裸になっておるわけではない。一時間か二時間裸になって描くのですから、そんなにあんまさんと変わりはしないですよ。しかし、家政婦から美術のモデルまではお入れになった。お入れになったけれども、医療類似行為になったら、さっとどけてしまっているのですよ。これはこの立法の倫理からいっても、あなたの今の解釈というのは成り立たないです。ですから、これを違反にしないためには、この中に入れたらいいと思う。この十三を削ったのなら、十三として、そこに、あんま、はり、きゅう、柔道整復師を入れたらいい。そしてその有料職業紹介は、労働大臣の許可をとるようにしたら、問題はなくなるわけです。何かこれはすっきりしないと、今のようにちょっと奥歯にもののはさまったような、最高裁判所まで行かなければこの解釈がわからぬようなことでは困ると思うのですよ。現実にめくらさんの職業としてあんまがいいのだ。ところが、一体私はその施術所開設者に雇われておるのか、それとも職業紹介されておるのかわからぬということでは困ると思うのですつね。だから、どこかで明らかにする道を講ずる必要がある。そのためには、どうも私はいろいろなところを探してみたのだが、この職業安定法施行規則二十四条につけ加える以外には、どうもはっきりしないような感じがするのですね。だから、こういう形になると、たくさんなあんまさんを自分のところに置いておって、そしてこれをやるのが雇用関係だということになれば、給与をきちんと払わなければいかぬでしょう。ところが、その賃金の計算の仕方はどうなっておるか。これは基準局その他で一回お調べになったことがありますか。賃金の支払いその他はどうなっておるのだ。これをもしそういう形なら、雇用関係にあるのなら、きちっと固定給か出来高払いか何かがきめられておらなければいかぬはずだと思うのですよ。ところがさいぜん言ったように、間代から電話料から看板料みたいなものを取るということになると、これはおかしいのですよ。
  91. 上原誠之輔

    ○上原説明員 あんま業者における労働条件の問題につきまして、先ほど申し上げましたように、現在のところ詳細な調査の結果はございませんが、一応東京都内で当たりました場合の例を申し上げますと、国定給、それから出来高給というような形で給与が払われているというのが実情のようであります。
  92. 滝井義高

    滝井委員 これを機会に、もう少し私ははっきりしてもらう必要があると思うのです。  次は、今私は職業安定法の施行規則の二十四条を問題にしたのですが、明らかにはり師、あんま師、きゅう師、柔道整復師という人たちは、特別の技術を必要とする職種ですよ。さいぜん指摘しましたように、医師、看護婦、助産婦というようなものは二十四条の五号に示されておる。このあんま師とか、はり師とか、きゅう師というものはスクーリングを終えて国家試験を受けるわけですね。国家試験を受けてそうして免許が下付されるわけです。特別の技術をもって医療類似行為をやるわけですから、当然、私はこの職業というものを厚生省が重んずるならば、今の二十四条にずっと書いてある項目の中に加えられても、ちっともふしぎはないと思うのです。だがこれだけ加えられてないということは、医務局の権威にもかかわる問題ですよ。国家試験をやって全部ほかのものは加えておる。しかも国家試験のない美術モデルを加えておる。美術モデルの国家試験があるということを私は開いたことがない。国家試験のあるものは、美容から理容から調理士まで加えておるのに、この国家試験のあるあんまさんや、はり師さんというものを加えてないということはどうもおかしいのですが、医務局、これをどうお考えになりますか。マネキンや美術モデルというものは、こういうように有料職業紹介ができるのに、この人たちだけは有料職業紹介ができぬということもおかしいと思うのですよ。これは、あなたの方は国家試験をやっておるのですよ。これは明らかに、あんまさんや、はり師さんの職業を軽視しておるということになるのです、別な言葉で言えば。これは軽視する理由はないのです。どうですか、医務局長さんの方では。当然これは加えるべきだと思うのです。こういう有料職業紹介の施行規則の中に加えらるべき職業だと思うのです。
  93. 川上六馬

    ○川上政府委員 あんま業や何かは今滝井委員国家試験と言われましたが、県の試験で県の免許でありますが、これは労働行政の分野だと思って、あまり私は研究しておりませんので……。
  94. 堀秀夫

    堀政府委員 やや法律技術的になりますので、私の方から御説明申し上げますと、要するにこれに入れなかったというのは、雇用関係の成立をあっせんする場合ではないという考え方から入れなかったわけでございます。特別の技術を必要とするということには、先生御指摘のようにまさに該当しておりますし、あんま、はり、きゅう、マッサージ師等の万が、マネキンその他より劣るというような問題では毛頭ないわけでございます。要するに職安法の施行規則に入れませんでしたのは、先ほど申し上げました最高裁の判決等からいたしまして、雇用関係の成立をあっせんするものではないのだからこの中に入れなかった、こういうことでございます。先ほどからいろいろこの問題について御見解を承りまして、われわれも先生のおっしゃっておる御議論も一つ考え方だとは思います。ただ、ただいま申し上げましたように、この職安法の職業紹介とは何であるかということについて、最高感の判決等も出ております。このような解釈がありまする場合に、省令でこの職業紹介でないものをここで規定できるかと申しますと、それにも問題があるわけでございます。従いましてわれわれといたしましては、先生のおっしゃるような御議論も一つ考え方だとは思いまするが、もう少しこの点について法律技術的にその実態等を勘案してみまして、これに適当な措置があれば考えてみたいとは思っております。現在指定しておりませんのは、ただいま申し上げましたような考え方からでございます。従いましてこれと似たといっては語弊がありまするけれども、置屋が芸者をあっせんするとかいうような行為も、これは職業紹介ではない。これは先ほどの昭和二十九年の判決にありまするように、置屋と芸者との間に雇用関係があるのであって、客と芸者との間に雇用関係はない、こういう考え方を前提にしておる。まあそれと幾分似た点もあるわけでございます。今のような考え方でわれわれとしては二十四条の中に入れておりませんし、また入れるとすればただいま申し上げましたような最高裁の判決がある以上、それに対してどのような考え方をとっていいかという点をもう少し掘り下げて検討して、それに対する反論を見出さなければならないわけでございます。これらの問題についてわれわれは今後の問題としてさらに引き続き検討はいたしまするが、今のところ二十四条に入れてないという趣旨は以上の通りでございます。入れてないために、あんま、はり、きゅう、マッサージ師がマネキンなんかよりも落ちるということでは毛頭ないことを申し上げておきます。
  95. 滝井義高

    滝井委員 私は二十四条の特殊の技術を必要とする職業の中にあんま師、はり師、きゅう師千を入れることによって私の——言いたいのは、この職業が非常に非近代的な形態を持っておるのを近代化するということを言いたいのです。今国家試験と言いましたけれども、広い意味国家試験いわゆる都道府県知事が行なう試験です。これは看護婦さんも準看護婦さんもみんな県がやってくれるんですから、それらの人と同じように並べておくことが、同時に近代化にもなるし、これで無免許あんまなんかを防ぐこともできるのです。免許を持っておる人でなければだめだということになる。ところが今はそういうふるいにかけないために晴眼者で免許を持たない人の方がばっこして、免許を持っておる人の方がすみっこにおるという悪い現象が出てきておるのですよ。しかも搾取形態としては、親方は免許を持っておる人から搾取するよりも、持たぬやつの方が弱味が多いから搾取しやすいのです。こういう二重の悪をやらせることになる。ところがここに有料職業紹介ができ名という項目をがちっと入れると、この職業というものは他の試験を受ける職業と同じように——類似のものがあるでしょう。たとえばここで美容師、理容師があるでしょう。家政婦さんなんかも同じです。調理士なんかも、最近のニュー・フェースですよ。このごろ身分が確立したんです。それよりずっと昔からある、しかも日本の視力障害者にとって一番大事な職業というものを、この中にあげるべきだと思うのです。それを入れてもらうことによって、あなたの方の職業安定行政も非常に指導監督がうまくできる。そういう点で、私はこれを入れてもちっとも今までの親方なんかには迷惑をかけることはないと思う。入れることによって営業形態が一歩近代化するし、その職掌の権威というものも、特別の技術を必要とするものだということで、試験を受けて通ったのだというその権威もできてきますから、かえって職業盲人にとっては安定することになる。こういう一石二鳥も三鳥もの効果がありますよ。フルシチョフが黒いジェット機を一発で撃ち落としたよりかもっと効果があるのですよ。だからここらあたりをあなた方はもうちょっと考えていただきたいと思います。なおそれは研究するということですから、本格的に研究していただきたいと思うのです。  そうしますと、今度は質問が少し中に入るわけですが、今職業安定法施行規則二十四条の中に入れておりませんが、もし入れて下さいという申請が労働大臣に出てきたらどうしますか。
  96. 堀秀夫

    堀政府委員 先ほどお答えしましたように、ただいまのところはわれわれはこれを職業紹介とは認めておりませんから、ただいまの立場からいたしますれば、申請がありましてもそれは受け付けません。しかし今後の問題としては研究いたします。
  97. 滝井義高

    滝井委員 それならば今後の問題としてぜひ研究していただきたいと思うのです。  それから、どうも私の立論の根拠が職業安定法違反だという疑いにあって質問しておりますからあれですが、今度は文部省の方にお尋ねしてみたいのです。現在盲学校の生徒が、はりなりあんまなりおきゅうを、主としてあんまを、理療科ですから修得することになるのです。そうしますと、その職業のあっせんというか就職紹介は、主として施術所の開設者に向かって行なわれるわけですね。盲学校の校長先生やら先生方がそういうところに紹介をするわけです。あるいはそういう養成所もそうです。養成所は厚生省の所管になるかと思いますが。そうすると、私の考え方では、これが結局職業安定法違反幣助の疑いがあるという考え方に立つわけです。ここにも問題が出てくるわけです。盲学校を卒業した、そうして希望を持って、胸をふくらまして、目の見えない若い女性が社会に出てきたところが、行ったところが労働合宿所みたいな、悪い言葉でいえばピンはねをされるようなところだったということになると、これは大へんなことだと思うのです。こういう点、一体文部省なり、こういうあんま、はり、きゅうの養成所を所管する厚生省は今までどういうことをやっておられたかということです。明らかに今までもこういう問題があったわけですから。私は盲学校の子供が点字で書いたのを二、三冊送ってくれたのを読んでもらいましたが、実に悲惨なことを書いておるのです。熱海なんかに行って変なことをしいられるということが切々と訴えられていますよ。文部省は特殊教育をやる上において、当然卒業生は施術所の開設者のところに相当の者が行くことになるのだが、その場合に、施術者の実態というものを一体どう見ておるかということです。あるいは養成所の所管の厚生省は一体そういうことをどう見ておるかということです。
  98. 辻村泰男

    ○辻村説明員 ただいま御指摘のようなお話は、実は全国の盲学校長会等の席上でも、校長からの発言で私どもも承知をしております。もちろん学校でせっかく教育をいたし、理療の施術者として養成した者でございますから、これが今お話しのような方面に入りまして思わしくない環境に陥りますことは、教育上から考えましても非常に望ましくないことでございます。盲学校長会の席上等におきまして、私どもといたしましても卒業生の就職の事実上の世話をいたします場合に、相手方を十分調べて、信用の置けるところに就職と申しますか、身を落ちつけられるように、特にこの点は注意をしてほしいという意味の指示をいたしておるわけでございます。
  99. 川上六馬

    ○川上政府委員 厚生省の養成しているのは、主として晴眼、いわゆる目あきの養成が多いわけであります。しかし盲人の養成も一部いたしているわけでありますから、ただいま文部省からお話があったように、御注意を養成所長にいたしているわけでございます。
  100. 滝井義高

    滝井委員 文部省としては、全国盲学校の校長からそういう要求があって注意をしてはおるところだという意味の御発言があったのですが、あとで盲学校の教育の現状を少しお開きしたいと思うのですが、基準局で、あんまの職人から親方の不当な取り扱いについて訴えが来ておる例がありますか。
  101. 上原誠之輔

    ○上原説明員 ただいままでのところ、そういう訴えはまだ聞いておりません。
  102. 滝井義高

    滝井委員 ちょっと私、文書を探したのだけれども、見当たらないのですが、昭和三十三年に福岡市の労働基準監督署に、親方の不当な取り扱いについての訴えが出ております。それから熊本県の人吉の労働基準監督署に昭和三十一年に出ているのです。これはきょうでなくてもけっこうですが、一応調べて、一体どういう処置をあなた方の方の基準監督署がおとりになったか調べてもらいたいのです。私はちょっとそれを探そうと思ったのだけれども、時間がなくて探していないのですが、あるはずです。そういうものがあったという報告があると思いますから、ぜひ一つ調べていただきたいと思うのです。  そこで、今度はと医務局に尋ねることになるのですが、一体、問題の根源地は施術所なんです。これは、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の第七条に、広告の制限のことで施術所というのが出ておるのです。一体この施術所というのは何ですか。
  103. 江間時彦

    ○江間説明員 お答えいたします。施術所と申しますのは、あん摩、はり、きゅう法の七条に規定してございますが、あん摩、はり、きゅう法に規定されております施術者が施術を行なう場所でございます。その場所につきましては、施行規則の第二十五条にその要件が規定してございます。施行規則の第二十五条「施術所は、左の要件を具備したものでなければならない。一六・六平方メートル以上の専用の施術室を有すること。二三・三平方メートル以上の待合室を有すること。三施術室は、室面積の七分の一以上に相当する部分を外気に開放し得ること。但し、これに代るべき適当な換気装置があるときはこの限りでない。四施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること。」こんな規定でございます。大体こんなようなものだと考えております。
  104. 滝井義高

    滝井委員 一体その施術所が法の基準通りに実施されておりますか。問題は、おそらく医務行政が非常に忙しいのでそういうところまで手が回らぬのかもしれませんが、どうですか。
  105. 江間時彦

    ○江間説明員 御指摘の通り、必ずしも十分な指導監督が行なわれているわけではございませんが、施術所を現に持っているものは、大体においてこのような規模を備えているようでございます。ただし、出張のみによって施術を行なうことが現行法上可能なものでございますから、経済力のある者が施術所を持って、経済力のないものが出張のみによる施術を行なうというのが現状になっている場合が多いと思います。
  106. 滝井義高

    滝井委員 むしろ逆になっておりはせぬですか。経済力のある舌が施術所という音板だけを掲げて、実質的には労働下宿みたいにしておって、電話一本で行くという形になっているのじゃないかと思うのです。というのが、施術所としての設備も施設もなく、出張施術のみでいわゆるクラブ式のところ、こういうのがふえつつあるのです。はり、きゅう、マッサージ〇〇堂というわけですね。名前は何でもいいですが、はり、きゅう、マッサージ〇○堂とか〇〇鍼灸治療院とか書いてあるけれども、行ってみたらそんなものはないのです、泊まるところはあっても。施術所の看板は掲げている。しかしクラブ式なら明らかに雇用関係も何もないですよ、実態は。一体この括導監督というものはどこが行なうかというと、これは医務局だと思うのです。そういう場所に対する指導監督が一つ。もう一つは、私冒頭に指摘したように、無免許のあんまさんというものが、しかも目あきのあんまさんが非常に多くなってきた、この無免許のあんまの取り締まりというものを一体どうしているかということです。最近最高裁判所の判決が出ました。これはたとえば電気療法をやる、それが無害であればだれがやってもいいのだということはその通りだと思う。しかしそれもって、無害であるからといって、あんま業なりはり業をそれと一緒にやっては、これは明らかにこのあん摩師、はり師帥、きゅう師及び柔道整復師法の違反であることは間違いない。ただ最高裁判所は、その行為をやったことは医療法の違反ではない、あるいはこの法律の違反ではない、こういったことだと思う。しかしそれを業としてやれば、これは明らかに違反になってくるだろうと思う。従って、無免許のあんま師がそういうことをやった場合に、一体その責任はそのやったあんまさんが負うのか、それともその開設者が負うのですか、どっちですか。この二点について伺いたい。
  107. 川上六馬

    ○川上政府委員 無免許のあんまの取り締まりにつきましては、国会でもなかなかやかましい御意見が出ましたので、私の方も無免許あんまの取り締まりにつきましては、すでに昭和三十二年の十一月にかなり厳重な取り細まり方針を各都道府県に指示をいたしております。それから警察庁の万とも連絡をいたしまして、警察庁の方からも各府県の警察の方に無免許あんまの取り締まりを強化するようにという指示を出してもらっているわけであります。従いまして、都道府県の衙生部と都道府県の警察が連絡いたしまして、特にその取り締まりをいたしているわけでありますが、先ほどのお尋ねの点は、その取り締まり方針の中にこういうことを言っておりますすから、ちょっと読み上げますが「最近免許所有者で免許を有しない若い婦女子を雇傭し、住込みその他により短期間の施術の手ほどきをし、旅館、料亭等に出張させて施術を行わしめ、その報酬を一定の割合で分配しているものがあるが、この種業者については、無資格あん摩業と共犯としての告発、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第九条による業務の停止又は免許の取消の行政処分等の措置を行うこと。」ということをいっておりますが、無資格者であってあんま師の資格者たらんとする者は、本人はむろん処罰を受けるわけであります。それから今申しましたように、そういうことを行なわせておるということがやはり共犯に問われると思います。
  108. 滝井義高

    滝井委員 その開設者も、開設の停止か何か受けるんですか。
  109. 江間時彦

    ○江間説明員 行政処分としての適当な措置は十分とれると思います。
  110. 滝井義高

    滝井委員 今までの実態は、本人だけがとがめられて、肝心の親方は涼しい顔をしておる。無免許あんまというのは親方が養成している場合が多いのです。さっき言ったように、最近はあんパンとかパンマとかということで非常に多くなってきている。これはあなた方御存じの通りですよ。実態調査をされたら実に多い。そしてカムフラージュするために盲学校を卒業した者を何人か雇っておるのです。何人かの盲学校を卒業した者も、それは看板で雇っておるので、実際は目あきの女のあんまさんの方が多いのです。しかもそれは無免許が多いんですよ。だから、こういうところは社会の非常に盲点になっている職業である。しかもこれは夜もみに行くところなのです。だから、これは行政の上でも十分注意をして、あなた方が特定職種に指定をして、そして重度身体障害者をこれに入れようとして、しかも八割も九割も雇おうとするならば零細な親方のところにやるのですから、やはり雇用関係をはっきりし、給与の形態等もはっきりして、労働基準法から見ても職業安定法から見ても、あるいは学校教育法の面から見ても安心のいける姿を作ることが必要だと思う。それができていないところに問題がある。しかもその行くあんまさんたちはほんとうの名前を使っていない。源氏名を使っている。こういうようになってくると、実に問題だと思うのですが、一体業務開始届と申しますか、私は今から何々堂であんまをしますというようなときには、そういう届出がきちっと出ているのですね。そういうのを厚生省は調べたことはありますか。医療行政も大事ですけれども、民務局長はもう少し——今の厚生省の法律の中であん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法という法律は、私はある意味では非常に重大な法律だと思っております。だからやはりこの法律の実施についてはその業態を綿密に調査をして、現状を絶えず把握しておく必要があると思う。しかも、それが医療行政の方から見ても、いわば盲点のようになっているのですから、もう少しはっきり調べておく必要があると思う。一体医務局は、はり師やきゅう師やあんま師というようなものを技術者として取り扱うのか、それとも医療類似者として取り扱うのですか。たとえば会社雇用関係があるならば、十人以上であったら健康保除法等の関係が出てくるわけですね。そのときに登録の場合、これは一体どういうことになるのか。職業は技術者になるのか、それとも医療類似者ということになるのか。国勢調査や何かのときに一体これはどういう職業で、技術者と書くのですか。どういうようにあなた方は指導されておるのですか。
  111. 川上六馬

    ○川上政府委員 あんま師、はり師、柔道整復師等は広義の医療類似行為者でございます。国勢調査の上では多分サービス業に入れられておると思います。
  112. 滝井義高

    滝井委員 たとえば医者なんかも広い意味のサービス業になると思うのですよ。これはやはりあなたの方で少なくとも知事を監督しながら試験をする、技術の試験をするわけですから、ある意味では技術者になるような感じもしますが、広い意味のサービス業であるかもしれませんけれども、もう少しそこらあたりの身分関係と申しますか、職業上の地位と申しますか、こういうものももう少しはっきりあなた方の方で確立する必要があると思う。というのは、これを国家機関なりその他の機関の中に就職指導をどんどんしていくというような場合については、ますますこれは技術と見るかどうかということは非常に問題だと思う。技術があるということになると、たとえば最近衛生検査技師とか、その他の調理師等でも、身分をきめて下さいということになるでしょう。そうすると給与の形態が違ってくるわけです。だからもう少しそこらは御研究になって、きちっとした身分にしていただきたいと思う。意思統一をしていただきたい。医務局なり厚生省なり社会局、それから労働省等が意志統一をしてもらいたい。  そこで問題は、今度これらの盲人職業の安定をやるについて、今までのように親方ばかりにまかせておいてはいろいろ問題がある。そうしますと、どんどん学校からたくさんの盲人が卒業をしてくるというと、親方ばかりにまかしておいてもなかなか問題があるので、この際政府で私は小規模でもいいと思うが、少なくとも各県に第一年度にはモデル・ケースとして盲人ホームと申しますか、いわゆる共同作業場を持つ盲人ホーム——そこに電話がかかってくれば自分でどんどんその仕事に出ていくという、そういう搾取形態のないものを作る必要があるのではないかと思う。共同作業の共同施術所、今度医療金融公庫でエグザミネーション・センター、共同の試験室、共同の病院というものを作る制度ができてきつつあるわけです。当然私はこういう搾取されるような盲人に共同のそういう施術所というものを作ってやるべきだと思う。そこに電話がかかってくれば何も搾取なく順繰りに出ていったらいいのですから、こういうものが私は今後の盲学校教育に希望を持たせるためにも必要になってくると思う。しかもそれが同時に親方の搾収を排除して、非民主的なあんまの経営形態を排除し、しかも売春というものの余地、パンマとかあんパンというものをなくする一つの進歩的な重要な政策になると思う。これが厚生省のいわゆる雇用促進という面だけでなくて、自立業をやらせる、あんまさんはどこかに雇われるということではなくて、みずからが共同施設で仕事をやっていくということの方が雇用関係より希望が特てるわけです。こういう政策を視力障害者の生活保障、社会保障のために私は労働省、厚生省が率先をして推進をしていくことが、文部省の盲学校教育にも一つの光明を与えると思う。こういう点どうですか、むしろこの際この身体障害者雇用促進法成立記念事業としておやりになることが必要ではないかと思う。これはそうたくさんな予算は要らぬですよ。四、五十人一緒におれるというような施設を、たとえば熱海などの非常に観光の盛んなところに作る、そこには監督者を一人きちっと置いてやったならば、非常に搾取形態がなくていいのではないかと思うのですが、これはどうですかね。
  113. 松野頼三

    松野国務大臣 御趣旨よくわかりましたので、よく研究いたしまして、さらに政府として対策を立てたい、こう考えます。
  114. 滝井義高

    滝井委員 研究々々で実現をしないことでは困りますので、この研究だけは一つ研究をして、実践に移すことお願いしたいと思うのです。  いよいよ最後に移りますが、ちょっと二、三問になるのですが、現在文部省所管で、特殊教育として盲学校の教育というものが非常に重要な役割を占めておるのですが、全国の特殊教育の現状、これを一つ簡単に御説明願いたいと思うのです。
  115. 辻村泰男

    ○辻村説明員 特殊教育の対象といたしております子供は盲、これには強度の弱視を含んでおります、ろう、これは強度の難聴を含んでおります、それから精神薄弱、それから肢体不自由及び病弱、虚弱、大ざっぱに申しますと、その五つの種に分かれるわけでございます。盲、ろうにつきましては、学校教育法によりまして、盲学校、ろう学校の小学部及び中学部が義務制になっております。つまり、各部道府県は盲学校あるいはろう学校を一校以上必ず作らなければいかぬ、父兄ば盲、ろうの子供を小学部、中学部に入学させなければならぬ、こういうふうになっておるのであります。なお小、中学部以外に幼稚部及び高等部を置くことができるということになっておるのでございます。それから精神薄弱、肢体不自由及び病弱、虚弱につきましては、学校教育法上、養護学校という単独の学校、及び特殊学級という、これは小中学校の中にそういう子供だけで編成する学級でございますが、特殊学級、養護学校、この二つの教育機関で教育をいたして参ることになっておりますが、養護学校につきましては、まだ義務制がしかれておりません。従って設置義務もございませんし、就学義務も課されておらない、こういう状態でございます。それで就学状況をごく大ざっぱに申し上げますと、盲学校は義務制になっておりますが、実情は約五〇%足らずの盲児が入っておるわけでございまして、半数以上が未就学という状態でございます。ろうの方は七五%近くが就学をいたしておりますが、まだ一般の義務教育学校の九九・七%に比すればきわめて低調だ、こう申し上げざるを得ない状態でございます。なお盲、ろう以外の精薄、肢体不自由及び病弱、虚弱等につきましては、先ほど申し上げましたように、教育機関の設置義務がまだ実施されておりません関係上、それらの子供が普通学級に就学しておるという者がまだ大部分でございまして、従って養護学校あるいは特殊学級に入っております精薄、肢体不自由ないし病弱、虚弱は全対象の多くて五%ないし三%といった状態です。いわば適性就学率はきわめて低いという現状でございます。ごく簡単に概要を申し上げました。
  116. 滝井義高

    滝井委員 特殊教育の現状はわかりましたが、そうすると、やはり一応今文部省でやっている特殊教育の重点的なところは、盲とろうが中心になっておるわけですね。まあろうの方は、これは目も見えますし、手足も割合滑脱ですから、私はこれは割合うまくいくのじゃないかという感じがするのです。ところがやっぱり盲の方はそうはいかぬ。そうすると、一体盲学校の現状、これは小学校、中学校の義務制だけでは、なかなか県の試験を通ってあんまをやる程度のところまではいかぬと思うのです。やはり高等都まで行かなければいかぬと思うのですね。その現状というものは全国的に見てどうですか。
  117. 辻村泰男

    ○辻村説明員 盲学校にはほとんど全部高等部がございます。そして中宇部を卒業いたしました者は、これまたほとんど全部高等部に行っておる現状でございます。そしてその高等部ではどういう課程を設けて教育をいたしておるかと申しますと、普通課程と申しまして、これは一般高等学校に準ずる教育課程を課しております。普通課程と、それから理療科の課程、これがただいま問題になっておりますあんま、はり等の施術師を養成するための課程であります。もう一つ楽課程というのがございまして、これは邦楽あるいは洋楽等の音楽の技術を授けるという課程でございます。大体、盲の方は現在のところ課程の数がきわめて少なくて、普通課程、理療課程、音楽課程上いったような、そういう課程で教育をいたしておる現状でございます。
  118. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、多分全国で七十四くらい行学校があったと記憶しておるのです。その中で音楽課程や普通課程があるのがどのくらいあるのですか。おそらく理療科の課程というのは、あんまをやるのですから、理療科は全部だと思うのですが、音楽課程や普通課程があるところはほとんどないのじゃないかと思うのです。私は福岡県ですが、私の恩師が言学校の校長をしたことがあるので、ちょっと話のはしで聞いたことがあるのですが、多分福岡県のような教育の普及をしておる県でも、普通課程と音楽課程はなかったように私記憶しておるのですが、その現状はどうですか。
  119. 辻村泰男

    ○辻村説明員 おっしゃいます通り、盲学校の数は約七十三校だったと記憶いたしておりますが、この中で理療科の課程はどこにもございます。理療科の課程の数は、同じ学校でたとえば五年課程と三年課程あるいは別科の課程等がございますので、学校数は七十数校でございますが、理療科の方は課程の数は百八十課程ございます。それから音楽課程は、これは全国を通じましてわずかに十課程しかございません。なお普通課程の方は六課程しかございません。
  120. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、結局七十四だと思ったのですが、三ですか、七十三の盲学校では理療科を教える課程がその大部分であるということがはっきりしてきたわけです。今後労働省が身体障害者雇用促進していく、特に重度障害者として、特殊業種あんまマッサージというものを指定をして、盲人をつかせていくということになりますと、この盲学校、特に高等部の教育というものが非常に重要な関係を持ってくるわけですね。私は、ここに文部省に考えてもらわなければならぬ問題が出てきたと思うのです。今までのわれわれの概念でいけば、もう盲人といえばあんま職業につけばいいのだ、こういう概念があったわけです。ところが、最近の客観情勢は、晴眼者がどんどん入ってきて、盲人あんま職業から排除されるという客観情勢が出てきた。そこで今までのような文部省の特殊教育、特に盲学校の教育の中において、いわゆる理療科だけをやっておったのではだめだということです。むしろこの際、普通課程、音楽課程というようなものを拡大して、そうしてもう少し盲人に幅広い教養を与え、幅広い人間性を作らなければ、労働省がいかに雇用促進のためにこういう立法をやっても、それは盲人が学校を出たときに就職の口がないという情勢が出てくるというのが私の意見なんです。そこで、それを変えるためには、学校教育を七十一条の本来の精神に返す以外にないんじゃないか。最近私もあんま界の本を読んでみた。そこに、盲人あんまをやるんだという、あんま専業論が出ておるのです。ところが、方には、それはいかぬのだ、あんま専業論ではもはやわれわれ教育者は教育の情熱を失うぞ、学校教育法七十一条の精神に返って、ほんとうに基礎的な教育を与え、そして技術なり知識を習得さして、もっと高度の職業というものを身につけさせる方向にいくべきだという論も出ている。私は、文部省の特殊教育に携わっている先生方に、そういう客観的な社会情勢から、教育に対する反省が出てきているのじゃないかという感じがするのです。こういう点について、いつか私は職業訓練法審議するときに、当時松永さんが文部大臣だったのですが、職業訓練行政と文部省の実業教育の関係は一体どうなるのだということで、文部省と労働省の連絡が全くなかったことを発見したのです。今度もこういう立法を労働省がやられたならば、当然労働省は文部省に相談をして、その両省の間に有機的な連絡をとりながらやらないといかぬのじゃないかという感じがするのです。ある育児が点字で書いたのを訳してもらったら、こう書いてある。心ある盲児の悲しみは、金がないことでも着物が着れないことでもない。目が見えないということでもない。盲学校には理療科だけしかないということが書いてある。これが心ある盲児の悲しみだということです。徒然草を読むと、一人のかわいい子供がサクラの花の散るのを見てよよと泣いておった。一人の僧侶が来て、一体お前さんは何で泣いておるのだ、強い風でサクラの花が散るのを見て泣いているのかと言ったら、そうではない、私のお父さんの作った麦の花が強い風が吹くと飛んで、実がならないから泣いておるのだというのを読んだことがありますが、それと同じ話であって、金がないんじゃない、盲学校に行ったけれども、あんまさんになる仕事しか教えてくれないというところに自分の悩みがあるという盲児からの一つの抗議ですよ。しかも、先生方からもそういう抗議が出ているということになると、今後文部省自身における、義務教育はともかくとして、高等科の課程においては理療科だけではなくて、もう少し拡大する必要がある、そうしてその拡大したものが今度は労働省の職業教育の面とつながっていくという形がとられないと、どうもいかぬという感じがするのですが、そういう点労働省なり文部省というものはこの法案をお作りになるときに、一体どういう関係でどういう話し合いをされましたか。
  121. 堀秀夫

    堀政府委員 重度障害者とそれに対する適職の問題につきましては、われわれもあんまマッサージ関係は現状においても該当職種がありますから、これは速急に指定するという考えでおりますが、それだけにとどまらずに、重度障害者に対するところの適職というものについては、なるべくこれを拡大する方向に向かって進みたいと思っております。今回の法案の作成についても文部省と十分連絡して作成したわけでございまするが、法案成立後におきましては、身体障害者雇用審議会等において関係者意見も十分間きまして、盲人に適する適職というものについて積極的に開拓するように始めまして、われわれとしての意見をさらに文部省に御連絡申し上げて、盲学校においてただいま先生の言われましたような理想に近づきまするようにいたす考えでございます。
  122. 滝井義高

    滝井委員 これで終わりますが、目が見えないからといって、視覚不自由者にあんまさんの一木道だけを歩かせることはいけないと思うのです。私はこの際。文部省の特殊教育、特に盲教育について、根本的に再検討をする時期がきたと思うのです。それを再検討してもらって、盲人たちを親方制度の、はり、あんま師、きゅう師のことを三療界というそうですが、その三療界だけに追いやることをしない方がいいと思うのです。そういう点で、政府としても、この法案ができるのですから、もう少し近代的な装いをする政策を立てていただくことを文部省と労働省にお願いします。  最後に、一つ松野労働大臣と文部省の課長さん、文部大臣を代表して、一体ほんとうに盲教育をやる意思があるのかどうか、それから松野大臣もそういう盲教育の現状ですから、あなたもこれを閣議で発言されて、そして労働行政と盲教育がぴたっと一致するような政策をおとりになる意思があるのかどうか、これをお聞きして質問を終わります。
  123. 松野頼三

    松野国務大臣 今回のこの法律案は、御趣旨のように、なるべく職種を広く指定し、広く雇用の道を開こうという趣旨でございますし、特殊教育の面も、その教育と同時に、将来の生計もお考えになっていることと存じますが、文部省ともよく連絡を密にいたしまして、安定した行政ができるようにして参りたいと考えております。
  124. 永山忠則

    永山委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  125. 永山忠則

    永山委員長  この際、齋藤邦吉外一名より、身体障害者雇用促進法案に対する修正案が提出されております。まず、その趣旨の説明を求めます。齋藤邦吉君。
  126. 齋藤邦吉

    ○齋藤邦吉君 身体障害雇用促進法案に対する対する修正案を朗読いたします。      身体障害者促進法案に対する修正案  身体障害者雇用促進法案の一部を次のように修正する。  附則第一項中「昭和三十五年四月一日」を「公布の日」に改める。すなわち、施行日を修正しようというのでございます。
  127. 永山忠則

    永山委員長 次に、原案及び修正案を一括して討論に付するのでございますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  これより採決に入ります。まず、齋藤邦吉君外一名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、齋藤邦吉君外一名提出の修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  130. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  この際、河野孝子外二名より、内閣提出身体障害者雇用促進法案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。河野孝子君。
  131. 河野孝子

    河野(孝)委員 私は、ただいま議決されました身体障害者雇用促進法案につきまして、各派共同の提案で附帯決議を付するの動議を提出いたします。まず、案文を朗読いたします。     身体障害者雇用促進法案に対する附帯決議  政府は、次の事項について努力すべきである。  一、身体障害者雇用率については逐年これが拡大改善をはかり可及的すみやかに法定するよう努めること。  二、身体障害者雇用率の達成については三年以内の計画で完成すること。  三、就職が特に困難な重度障害者については、作業設備、作業補助具の整備、職業訓練の強化をはかるとともに、適職の選定の研究を早急に進めて、重度障害者職業確保に努めること。  四、身体障害者雇用を容易にし、作業能率の向上をはかるため、事業所が作業設備を改善し、または作業補助具を支給することを促進するため、政府は必要な助成措置を講ずること。  五、公団その他の政府関係機関身体障害者雇用率については、国等の場合に準じて定めること。  六、本法の実施に当り、結核回復者等内部障害者、精神薄弱者、原爆被爆者等についても、政府は、すみやかに実情を調査し、就職促進のための施策を樹実施すること。  七、身体障害者雇用促進をはかるためには、税制、資金、雇用その他諸種の方策(国庫の助成を含む)が考えられるが、このため本法に基いて設置される身体障害者雇用審議会において充分な研究と審議を尽し、急速にその向上改善に努めること。なお、これが施策の円滑適正な実施をはかるため、地方にも身体障害者雇用審議会に準ずる機械を設けること。  八、身体障害者に対する年金その他の社会福祉対策の充実に努めること。  九、本法の円滑な運営をはかるため、政府は、身体障害者職業指導官制度の設置その他公共職業安定所の人員、予算等の事務体制の整備充実に努めること。    なお、遺児未亡人の優先雇用に関しては、いまだ有効な措置がなされていないことにかんがみ、政府はこの際、すみやかに遺児未亡人雇用促進に関する適切なる立法措置につき検討すること。  何とぞ全会一致の御賛成あらんことを望みます。(拍手)
  132. 永山忠則

    永山委員長 本動議について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって内閣提出身体障害者雇用促進法案に対しましては、河野委員の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、松野労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。松野労働大臣
  134. 松野頼三

    松野国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重して、その趣旨に沿うように行政的に努力いたす所存でございます。
  135. 永山忠則

    永山委員長 この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十三分散会