○八木(一男)
委員 非常に困った問題であるというのは、
船員局長すでに御承知の通りですね。港々――これは太宰さんには何回も申し上げておるので、太宰さんはよく御存じですが、
内藤さん、
一つ聞いていただきたいのですが、この一部負担というものが船員については特にいけないのは、船員法の八十九条で、そういうようなものは一切船主の方で見るという
規定があるのです。船員法に違反した
法律を
船員保険法で作っておられる。
法律が二つ矛盾しているわけです。それで大問題になった。実際的にも非常に工合が悪くて、たとえば一部負担というのは、お医者さんに見てもらったときに払うのですが、船員のときには、横浜に入港して見てもらう、そうして一部負担金を払う。次には四日市に入港して一部負担金を払う。また神戸で払う。それからまた九州で払う。三重も四重も五重もとられるわけです。それは非常な負担になる。ところで、それは負担になるから船主からあとで返すことになっている。ところが返せと言うと、船主は、今言ったように大船舶会社のときは、まあ労働組合がしっかりしているからそういうことが少ないですけれども、中小漁船の場合や何かですね、非常に封建的な雇用
関係にあるわけです。そうすると、船主がいやな顔をする。そんなことを言うやつは首だとか、雇わないとか、お前は文句を言うということで、首になると大へんだから、結局請求しないわけです。当然の権利があるものが請求できない。それから、一回ならまだしも、数回も払わない。それができない。それが非常に工合が悪いからといって、運輸省の方では、そういうことにならないように、監督官か何とか官か、そういうものを派遣してやっておられるのだけれども、やっておられても、全然効果が上がっていない。中小漁船のときには、返してもらえないときの方がずっと多い。これは何年もやっておられるが、こんなむだなことはないわけです。一部負担は海員の場合には取らないようにすればよい。もともとあとから船主の方からくるのですから、船主の方の保険料に加えるか何かして――これは
内藤さん、言っている通りですよ。うそじゃないです。海員が見てもらったときには、お医者さんに払う。払って、その金はあとで船員が船主からもらうことになっている。そんなことでなしに、払わないことにして、船主から保険会計で取ることにすればよいのです。そうしたら、そんなことは
一つもしないで済むわけです。行政上も非常にむだが多い。むだが多くても、それが完全にいけば、海員の方は損をしなくても済むけれども、とにかく金が返ってこない。よし返ってきても、そこでいやな思いをする。いやな思いをしなくても、何回もそういう手続をするだけ、人間の
生活にとってむだです。そういうむだなことをやっておる。そういう犠牲者が出ないように労務官をたくさん派遣してやっても、しり抜けだ。お役人を減らす必要はないけれども、そういうようなお役人がいれば、もっとほかの、いろいろな船舶行政がよくなるように、その人に働いてもらったらいいと思う。そんなむだなことに使う必要はない。ほかのことでどんどん働いてもらえばいいわけです。そういうむだなことが行なわれている。そして、それは何といっても話にならぬ。何といっても話にならぬということは、数年前からわかっているわけです。数年前からわかっているのに、
一つも直さないわけです。こんなばかな話はない。数年前の二十九年のときに大問題になって、これはいかぬということは、与野党に通じてわかってそういうことはいかぬという附帯決議がついている。一年後くらいに必ず直せというのがついているのに、なまけて直さない。しかも
船員保険法がそれから二回も出ておるのに
一つも入っていない。これは非常に因った問題だと思う。太宰さんに
一つこれはぜひ、過去を問い詰めてもしようがありませんから、問い詰める
理由は十分あるのですけれども、今
国会中に
改正案を、その点だけでいいから出す、そのくらいの決意を
一つ保険局として示していただきたいと思う。これは
船員局長も同じです。政府の方で、三回も出してはどうかということを言ったら、そうではないのだ、今まで足りないことを、よいことをするには政府はやぶさかであってはならない。岸信介であってもなまけてはいかぬということを、あなたの方から突き上げれば通るわけです。自民党もわからず屋ばかりではない。自民党にもわかる人がおるので、筋の通ったことならば、三回も四回も
改正案を出しても文句は言いません。われわれも大歓迎します。三回出したらけしからぬとは言いませんから即時用意をされて、今
国会まだ期間がありますから、そういうものをお出しになる決心を固めていただきたい。それについて
保険局長、
船員局長と
内藤政務
次官から御
答弁を願いたい。