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1960-04-26 第34回国会 衆議院 社会労働委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十六日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 八田 貞義君 理事 藤本 捨助君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君    理事 堤 ツルヨ君       池田 清志君    加藤鐐五郎君       亀山 孝一君    藏内 修治君       河野 孝子君    齋藤 邦吉君       中山 マサ君    柳谷清三郎君       山下 春江君    亘  四郎君       赤松  勇君    伊藤よし子君       大原  亨君    河野  正君       小林  進君    五島 虎雄君       中村 英男君    山口シヅエ君       本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 渡邊 良夫君  出席政府委員         厚生政務次官  内藤  隆君         厚生事務官         (大臣官房長) 森本  潔君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (医務局次長) 黒木 利克君         厚生事務官         (保険局長)  太宰 博邦君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    磯江 重泰君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      館林 宣夫君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 四月二十五日  最低賃金法案大原亨君外十名提出衆法第三  四号) 同月二十一日  酒癖矯正施設設立に関する請願岡崎英城君紹  介)(第二五三九号)  同(藤本捨助君紹介)(第二八二〇号)  戦傷病者医療制度確立に関する請願臼井莊  一君紹介)(第二七三二号)  医療施設不燃化等建築費助成に関する請願(  小川豊明紹介)(第二七三三号)  インドネシア共和国における日本人戦没者の遺  骨収集に関する請願野原正勝紹介)(第二七六三号) は本委員会に付託された。     —————————————  本日の会議に付した案件  医療金融公庫法案内閣提出第三四号)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  医療金融公庫法案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 政務次官も、それから保険局長もお見えになりませんから、こまかい法案一般的なところを先に聞かしてもらいたいと思います。時間を倹約する意味で、一つ簡明率直に、大きい声で答えて下さい。  この法案の第一条で、一般金融機関融通することが困難なものに、この医療金融機関融通することになっておるわけです。一般金融機関融通することの困難な医療機関というものは、これはおそらく財政的に見ても、いわゆるコマーシャルベースになかなか乗りにくいものだと思うのです。従って一体そういうものは、どういうところの医療機関なのかということです。それは実態一体どういうものかということを、一つ説明願いたいと思います。
  4. 黒木利克

    黒木政府委員 この第一条の「一般金融機関融通することを困難とするものを融通する」と申しますのは、既存公庫には全部こういうような字句がございましてこれは市中銀行融通を受けることが困難な場合に、これを補完する意味でこういう公庫法ができたという趣旨で、公庫設立趣旨を実はうたったわけでございまして、一般金融機関が全部の医療機関に対して融通することが困難であるということを前提にはいたしていないのでございます。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、これはまくら言葉ですか。
  6. 黒木利克

    黒木政府委員 既存公庫というものが、一般市中金融機関の補完的な働きをするという性格を持っておりますので、そういう性格をうたったのでございます。
  7. 滝井義高

    滝井委員 一般金融機関の補完的な意味を持つとおっしゃいますけれども、現実日本金融というものは、政府のこういう公庫みたいなものよりか市中銀行の方が金融力は大きいわけですよ。たとえば今三池のストをやっておりますが、三井銀行中心とする市中銀行融資をしなければ、三井が倒れたら三池はだめになる、資本家の負けだ、こういうことになる。ところがそれは金融資本中心とするところのものがバック・アップしておるところに、やはりうまくいくわけです。御存じの通り資本主義社会における金融というものは商業ベースに乗らないと、なかなかやっていけないものなのです。それはおそらく医療金融公庫だって、その例に漏れないのだろうと思うのです。医療金融公庫お金を貸し出していく。その賃金に対する利ざやがあるところに、初めて公庫というものは回転していくと思うのです。従ってこれは貸す相手方というものが相当堅実でないと貸せないことになるわけです。その一般金融機関融通することの困難な医療機関というものの認定を、一体あなた方はどうおやりになるのですか。
  8. 黒木利克

    黒木政府委員 市中一般金融機関から現実医療機関融資を受けておるわけでありますが、ただ国民保険その他の事情変更によりまして、一般市中銀行からなかなか融通が受けにくくなったという現実がございます。しかし既存一般市中銀行からの融資というものもやはりあるのでございますから、こういうような公庫設立によりまして、両々相待って医療金融の需要を充たしていくということにならざるを得ないと思うのであります。だんだんこういうような医療機関の公的な性格が強化されて参りますと、市中銀行からの融資は全然無理だ、不可能だということになりますが、まだその段階ではないというふうな認定で、このような規定にいたしたのでございます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 一般市中銀行からの融資が受けがたくなるということは、その医療機関収入というものが非常に少ないか、あるいは担保力がないかということだと思うのです。担保力があり、収入が相当あるならば、これは一般市中銀行だって、商業ベースに乗ると思えば貸すわけです。そうしますと大体今の御説明で、医療金融公庫というものは、担保力も少ない、医療機関歳入歳出もきわめてこれはどうも赤字の状態だというようなところに優先的にお貸しになると、こういうことですか。
  10. 黒木利克

    黒木政府委員 確かに一般医療機関一般市中銀行からの融資を受けることが困難になりつつあることは事実でございますが、ただ相当な資産、原資がありまして、それによって診療所なり病院建設をして運営をしておるというような医療施設もあるのでありまして、一がいに全部こういうような融資なりあるいはその他の公の金によって建設をし運営をしなければ医療機関建設なり運営がやりにくいというようなまだ段階ではない。     〔委員長退席八田委員長代理着席〕 従いまして、そのような意味一般市中銀行からの融資も当然考え得ますし、現にそういう現実でございますが、そういうような一般市中銀行からだんだん融通がしにくくなってくる。そこでこういうような公庫の存在の必要があるということで、こういう規定にしたのでございますが、将来はだんだんこういうような医療機関の公的な性格が強化されるに従いまして、一般市中銀行からの融資がだんだん困難になって参り、従ってそれに応じて医療金融公庫原資と申しますか、融資額も拡大しなければならぬ、こういうような方向をたどるのではないかと思います。
  11. 滝井義高

    滝井委員 どうも理解できないですね。一般金融機関からの融資がなぜ一体困難になりつつあるのですか。皆保険になったらなぜそれは困難になるか、その困難になる原因は、これは医務局はお考えになっておりますか。
  12. 黒木利克

    黒木政府委員 医療法にも、本来医療機関営利目的としてはならないというような規定がございますから、普通の営利企業医療機関経営は異なるわけでございます。しかし公益事業とまではまだ言い切れない、いわば営利企業公益企業のちょうど中間にあると思うのでありますが、ただ国民保険の実施に伴いまして、診療報酬が一種の公定的な規格になりますから、従って公的な性格がだんだん強化されて参る、それに対応してこういうような金融措置を講じて参る、こういうような趣旨で第一条を規定したわけでございます。
  13. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと政府は、医療機関というものは、営利目的としないという医療法のその精神にのっとって、公益事業営利事業との中間のものにするんだ、従ってその医療機関というものは、一般商業ベースに、資本主義社会においても乗らないものに今後なっていく、こういう見通しなんですね。これは根本的なところですよ。
  14. 黒木利克

    黒木政府委員 お説のように、確かに医療機関というものは、国民保険下におきましては公共的な性格を強めて参る、そのためにこういうような国の特別の措置というものをやったのでございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、公共的な性格を強めて営利を排除していくということになりますと、その医療機関というものは、借りたお金を返し得るかどうかということが次に問題になってくるわけです。そこで、保険局長がお見えになりましたから、もとの問題に戻りますが、先週の私の質問に対してお答えをいただきました点は、無床診療所建設資金が三百二万円、その八割をと貸すとすれば二百三十九万円、元利金は従って三百四十万五千円返すことになる。年額は二十二万七千円である。その場合における医療機関収入というものは、平均患者さんが三〇・九人、その三〇・九人における収入は二百一万一千五百九十円である。そうすると、そこに利益が三十万九千百十七円、これは国立公立実績、こういうことになったわけですね。それで、こういう形なら、これは私はコマーシャルベースに乗ると思うのです。こういう形の経営実態ならば、一般市中金融機関だって金を貸すと思うのです。ところが、こういうものは貸付の対象の第一条の目的には当てはまらないわけです、文字通りに読めば。まくら言葉というなら別ですよ。しかし今あなたの言われたような形で説明をしていくと、これは乗らないことになるのです。そこで、私はこの前は、一体こういう三〇・九人で、収入が二百一万一千五百九十円という医務局認定というものは、保険局認定はその通りでようございましょうか、こういう質問をいたしましたら、保険局は、これは関知しておりませんと、こういうことだから、こういう国会説明する場合に、厚生省の中で、医務局見解保険局見解が異なっておることは困るので、一つ統一した見解を御説明願いたいというのが、私の質問であったわけです。そこで、きょうは統一見解を御説明願いたいと思います。これは一つ科学的な数字の根拠によって御説明を願いたいと思うのです。これは今後における日本診療単価の重要な資料にもなる問題なんです。医務局保険局が意見の一致を見る点ですからね。
  16. 黒木利克

    黒木政府委員 私が前回御説明申し上げましたのは昭和三十四年七月の「患者月報」というものと、それから病院外来診療点数というものを基礎にして、先ほど数字があげられましたが、算定をいたしたのでございます。保険局で現在作業をやっておられますのは、三十三年末の基金報告と、三十四年の五月分の支払い基金の調べの医療機関別診療状況というようなものを基礎にして、計算をしてもらっておりますが、計算基礎になりました数字が違うものですから、数字におきまして、医務局保険局の少し食い違いがあると思いますけれども、私たちの今の作業段階では、大した食い違いはないというふうに考えております。  それから第二に、今のは診療収入の面でございますが、支出の面では、医務局の御説明のあの数字は、官公立病院実績基礎にいたしたものでございます。保険局では診療報酬算定をおやりになりましたが、そのときの改正資料もとにして計算をしてもらっております。この場合に、保険局のでは、有床と無床と別々の資料がございませんので、有床と無床と一緒にいたしまして計算をされております。私の方は、先ほど申しましたように、一応そういう資料がございませんものですから、病院外来診療点数基礎にいたしましたのと、それから有床と無床を区別をいたしまして、計算をいたしたのでございます。まだ保険局の最後的な数字は聞いておりませんが、算定基礎がそれぞれ異なるということを申し上げておきたいと思います。
  17. 滝井義高

    滝井委員 私は、算定基礎が異なるとかなんとかいうことを問題にしておるのではないのです。やはり厚生省の中で、医務局見解保険局見解ことごとに食い違うところに、日本医療行政の混乱があるわけですよ。少なくとも医療機関診療報酬の標準的なものを見ていく場合には、一体医務局幾らと見、保険局幾らと見る、これでは大臣はどうにもならないです。両方から手を引っ張られちゃって、大臣はどっちにいっていいかわからない。厚生省として、日本の標準的な医療機関の無床の一年間の収入というものはこれだけなんだということを、これは大体標準的なものを出してもらわなければ、医療金融公庫で金を借りると言ったって、返せるのか返せないのか見通しがつかないのです。だから、これは一週間前にお願いしておるのですから、出ないはずはないと思うのですがね。どうですか、それは。  それから、もう一つ反論をしておきたいのです。それは、あなたの方は官公立病院実績だということでございますが、しからば、現在この官公立病院、特に国立療養所国立病院に働いておる医師の給料ですね、これがまた問題になってくるのですよ。この場合に、あなた方は公立とか国立基礎にして、一年間に無床の公立診療所は三十万の利益があるんじゃ、こういう認定をしておる。ところが、一体その実績というものはどういうものかというと、人事院民間医師比較すると、昨年三月の人事院調査によれば、三三・四%も国立病院医師は少ない。今私ここに表を持ってきておりますが、勤務医師給与比較表というものをごらんになりますと、国立がもう、その医師比較をしてみると一番低いのですよ。どれよりも低いのです。そうして、今回人事院が多分、七・三四%の去年の七月人事院勧告で決定をしましたですがね、それをやっても、なお二六・一%民間より低いのですよ。そうして、今あなた方の所管の国立療養所だって国立病院だって、特にらいの療養所なんていうのは、医者はいないのですよ。閑古鳥が鳴いている。そういう実態基礎にして、これだけの収入がありますということでは、なかなか受け取りにくいのです。だから私は、診療収入の面は、実質的にお金を払う保険局の側というものは、一体どう見ておるのかということです。あなた方の方は、これは医師給与を修正しなければお話にならない。そこで、ここでは保険局長の力に……。
  18. 黒木利克

    黒木政府委員 ちょっと説明が足りませんでしたから……。
  19. 滝井義高

    滝井委員 保険局の方から、私は支払い側見解を聞きたいのです。だから、まああなたはあとでゆっくりやってもらいますか……。
  20. 黒木利克

    黒木政府委員 ちょっと前提になる御質問基礎が間違ったものですから……。実は人件費算定は、国立病院なり官公立病院数字をとっておりません。一般診療所におきましては六万円、それから——医師が六万円であります。
  21. 滝井義高

    滝井委員 それは人件費と言ったって……。
  22. 黒木利克

    黒木政府委員 医師の……。
  23. 滝井義高

    滝井委員 そういう出し方ではちょっと困るのです。何才の医師だということまでやっていかないと、正確な話にならないのですよ。医師だった学校出たて医師もおれば、五十才の、学校を出て二十年も三十年もしたお医者さんもおるのです。だからもう少し科学的に黒木さんは科学的な人ですから、標準的にきちっと出さなければいかぬです。
  24. 黒木利克

    黒木政府委員 実は金融公庫対象にしております医療機関歳入の方と歳出の方——歳出の方は官公立病院数字をとりますと、かなりこれはゆとりがございますから、一般民間病院歳出よりもいわば多額材料費等を使っておりますからそれを採用する。これは主として材料費その他の経費でございますが、人件費につきましては、お説のように官公立病院医師俸給等基礎にしがたいものですから、そこで一応民間数字をとったのでございます。病院長は六万円といたしまして、平均いたしまして算定いたしますと、この案で採用しまし数字では医師は三万九千七百二十六円でございます。ただし病院長は六万円、こういうふうにして、歳出におきましても、民間よりも多額に必要とする官公立病院数字をとりまして、人件費等につきましては民間実績をとりまして、つまりそういう融資対象にする場合に、歳出をできるだけ多目に見たい。収入の方は、これは基金月報とかその他の数字がございますから、それを採用したわけでございまして、ゆとりを見てこういうような数字をはじき出したのでございます。従ってこれをもとにして、いろいろ診療報酬点数が高いとか低いとかいう問題を論ずるのは適当ではないと思うのでありまして、融資対象にいたした場合に歳出を多目に見て、この程度見れば大体間違いなかろうというような、単に参考としての数字を採用したのでございます。
  25. 滝井義高

    滝井委員 借りた金は返さなければならぬわけです。そこで大体今の診療報酬ベースで、あなた方の医療金融公庫からお金を七分三厘で第一年度借りて、それが一体払えるかどうかということが一番大事な点なんです。もしそれで払えないならば、これは七分三厘の利子を下げるかどうかしなければならないわけです。六分五厘なら六分五厘にして医療機関が借りて、そうして病院を二百二万円で建てて、そうして今度一年間に二百一万円の収入がなければ——これは百五十万円の収入くらいしがなかったときには返せない。赤字なんです。そうすると第一条に、一般金融機関融通することが困難なものと書いてあるから、そういう場合には当然これは木造ならば十五年ですが、その十五年を鉄筋コンクリートと同じように二十年なら二十年に延ばしてくれる政策をとってくれるかどうかということです。それで第二段階業務方法書具体的内容の問題に入ってこれるのです。だから私はまず根本を聞かなければいかぬ。一体医務局は、現在の社会保険診療であなた方が医療金融公庫の金を七分三厘で貸してもうまく順当に回転ができるという見通しを持っているかどうかということを私は聞く必要がある。あなた方の見通しを聞いて、支払い側保険局が、その通りでございますという裏づけができれば私はそれでいい。ところがあなた方が幾ら説明をされても、保険局の方は、おれの方はそれは関知しておらぬから知りませんでは、われわれは納得がいかないのです。これは一番大事なところですよ。あなた方が法律をお作りになるときに局議でこれをきめて、省議に諮って国会に持ってきたときには、厚生省一体なものでなければならないということを私は再三にわたってここで言っておるのです。医務局だけが独走するのじゃだめです。だから保険局長どうです、あなたの方の御日見解一つ——今の診料報酬で御説明になったような二百一万なにがしの収入が出るという御認定が出れば、もうわれわれはこれで引き下がります。異議ありませんか。
  26. 太宰博邦

    太宰政府委員 先週のお尋ねのことで、私の方でも医務局共同作業ではじいてみたのでございますが、けさ最終的にちょっと点検しまして少しミスがございますので、その点を今計算し直しております。これはきょう、もう間もなく出るかと思いますので、その数字で申し上げた方がいいと存じますが、基本的には、もちろん医療機関もたくさんあるわけでございまして、中には相当景気がよくて、現在の段階においても私的金融機関などからも借り入れて十分に償還できるほどのところもございましょうし、中には、今回とりましたような医療金融という特別の措置を講じましても、なおそれでもとてもその立地条件等からしてもなかなか償還をしにくいというところも私は数多くあると存じます。平均いたしまするならばこれは十分償還ができるものと考えますが、その数字の面につきましては、もうちょっとお待ち下さい。こちらへ届き次第御説明いたします。
  27. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、間もなくその数字はできてくるわけですね。
  28. 太宰博邦

    太宰政府委員 はい、来ます。
  29. 滝井義高

    滝井委員 それではそれをお待ちいたします。実は平均をすれば医療機関が返せるということでありますが、この第一条の目的平均にはならないですよ。コマーシャルベースに乗らないということが第一条の目的なんです。市中銀行がどんどん貸すようなものに医療金融公庫は貸さないですよ。もしそれをあなた方がコマーシャル・べースに乗るものにもどんどん貸すということならば、これを修正して削ってもらわなければならない。第一条の目的というものは、あくまでもコマーシャルベースに乗らないということがこれは前提ですよ。こういうところをみそもくそも一緒にして議論するからわからなくなる。少なくとも、こういうものが優先的にいくのは、やはり医療機関が散在的にしかないところだと思うのですよ。それから都市の老朽のものの補修、修理というようなことになると思うのです。だからこの一条の問題は、そういうことになるなら、明らかにこういうことをお書きになることを削るかどうかしなければならない。平均的なものじゃいかないのです。これはあとでまた出てくるから、時間がありませんから、八田君の方から早く通せという矢の催促がありますから——僕はこの前からずいぶんそういう点を御注意申し上げておる。厚生省国会に出てくるときには、やはり十分省議を開いて意思統一をしてやってきてもらわなければ困るのです。僕らだって一生懸命勉強してきておるのだから。あなたの方の答弁が毎日待った待ったと言っておるからおそくなってしまうのです。一つ待ったなしでやって下さい。このところはまたあとでやります。  次は、われわれが医療機関の体系的な整備考え、そしてその体系的整備を推進をしていくために、ここに医療金融公庫というものができたわけです。この医療金融公庫の将来の展望をやる場合においては、一体過去においてどの程度お金日本医療機関建設のために使われたかということを私どもは見なければならぬと思うのです。それを知らなければならぬ。たとえば昭和三十五年度の予算をとってみましても、医療機関整備費として十二億九千九百五万六千円、三十四年度は十二億七千四十七万七千円というように出ておるわけです。従って、こういうように医療機関整備、特に国立病院中心としてお金が出ている。しかもそれは債務負担行為というようなものがその中で六億五、六千万円ずつ含まれて出ていっておるわけです。こういうものがちょうど国で出ていくと同じように、それぞれの運営主体で出ていっておるわけです。先日運営主体を私は二十幾つあげたわけですが、われわれが医療機関の今後の体系的な整備考える場合においては、当然厚生省としては、特に医務局としては、それらの運営主体というものが過去において一体どれだけのお金医療のためにつぎ込んだかという実績把握が一番大事なのです。過去五カ年間の実績把握は、やがて将来の五カ年間の展望をわれわれに教えてくれるわけです。そこで私が厚生省にお願いしたいのは、国立及び三公社それからいわゆる公的医療機関といわれるもの、それから社会保険関係団体私的医療機関、それから医育機関、これらのものが過去昭和三十年から三十四年までに一体どの程度建設の金をつぎ込んだか、これが私は必要なのです。体系的整備をお考えになる場合は、当然あなた方はこれを作っておかなければならぬ。これを一つ、私はできれば議員全部に資料として配って、そうして説明してもらうのが一番いいのです。こういう数字ですし、しかも二十幾つの運営主体があるのですから、五カ年間を説明してもわからないので、一つできておれば一目瞭然の表を出してもらいたいのです。そうしておもなところだけ御説明いただきたいと思います。     〔八田委員長代理退席、委員長着   席〕
  30. 黒木利克

    黒木政府委員 医療機関整備のために投下した資金の調査はいろいろいたしておるのでありますが、はっきりした数字でわかっておりますのは、二十九年度から三十三年度にかけまして、厚生省関係のもの、それからその他の各省庁関係のもの、それから国庫補助金、それから地方債あるいはその他中小企業金融公庫等の融資の面、それから自己資金の分というふうに大分けに分けられるのでございますが、数字的にはっきりいたしておりますのは、昭和二十九年度におきましては百七十二億四千万円、三十年度におきましては百五十七億円、三十一年度におきましては百六十五億九千八百万円、三十二年度におきましては百六十八億四千五百万円、三十三年度におきましては百七十七億六千六百万円でございます。しかしこのほかに国庫補助に見合う地方の負担分、それから地方債等の融資に見合う自己負担分、それから市中銀行融資を受けておると思えるもの、この総額を推計いたしますと、大体年間三百億円くらいになります。大分けに三十三年度の推計の数字を申し上げますと、数字的にはっきりしておりますのが先ほど申しましたように百七十七億六千六百万円、それから国庫補助金に見合う地方負担分が五億一千三百万円、それから地方債の融資に見合う自己負担分、これが五十七億八千九百万円、それから市中銀行から私的医療機関が借りておると推定されるものが六十億前後と称されておりますが、大体三百億近くになるというふうな推計をいたしております。
  31. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、これはいわゆる還元融資その他も全部入っておりますか。
  32. 黒木利克

    黒木政府委員 全部入っております。
  33. 滝井義高

    滝井委員 全部入っておりますね。そうしますと医療機関の公的なものが二百四、五十億、私的なものが六十億、大体こういう配分でいいのですか。
  34. 黒木利克

    黒木政府委員 その市中銀行から借りている六十億に、中小企業金融公庫国民金融公庫の分がございまして、私的な医療機関に対する投下資金は大体行二、三十億になっております。百二十四、五億くらいになるというふうに推定をいたしております。
  35. 滝井義高

    滝井委員 六十億のほかに、その他別にもう六十億、中小企業金融公庫国民金融公庫の分があるということですね。
  36. 黒木利克

    黒木政府委員 そういうことです。
  37. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、私的医療機関も加えると三百五、六十億、こういうことになるのですね。
  38. 黒木利克

    黒木政府委員 いや、先ほど申し上げました百七十七億の中には、中小企業金融公庫国民金融公庫融資額も入っております。三百億の中に、私的医療機関に投下しているものが百二十四、五億、残りが公的医療機関あるいは国立でございます。
  39. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。そうしますと、過去の実績は、私的医療機関が百二十四、五億、公的、と言っても第三の範疇の国立も入るでしょうから、これが百七、八十億、こういうことがわかりましたが、できればあと一つ、もう少し詳細な一表にした資料を出してもらいたいと私は思うわけです。これで大体今後の日本医療の趨勢がわかってくるわけです。おそらくわれわれ人間というものはきわめて経験主義的なところがあるので、過去の実績がものを言うわけです。医療金融公庫ができても、やがて今後中小企業公庫なり国民金融公庫というものの実績がだんだん少なくなって、その分が今度は医療金融公庫に移るのですから、百二十五億のこの一年間の過去の実績というものは傾向としてはふえていく可能性があるかもしれないけれども、実は私は将来の見通しとしては一つの疑問を持っている。  そこで私は今からその疑問点について少し今度はお尋ねしていくのですが、この医療機関を体系的に整備していく場合に、今言ったような実績というものがものを言ってくるわけです。この場合にもう一つわれわれが考えておかなければならぬ点は、日本における医療機関の増加の趨勢というものは、一年間に病院一体幾ら増加をして、診療所一体幾ら平均的な増加の趨勢を保っているかということです。
  40. 黒木利克

    黒木政府委員 これはお手元にお配りしてございます参考資料の中に詳細な数字がございますが、百十七ページに目次がございまして、目次の「六」に「経営主体別、病院数及び病床数の年次推移」について、それから「十」に「経営主体診療所数の年次推移」というものがございますが、この「六」をごらんになっていただきたいと思います。百二十八ページでございますが、総数におきまして、昭和二十九年から三十三年までの病院数の推移、それから病床数の推移がございますが、これでごらん願いますと、平均増加数が毎年病院数において二百六十三、病床数において四万二千三百六十八ということになっております。各経営主体別には国立公立社会保険関係団体、会社、私的に分けてそれぞれ平均増加の実数が書いてございます。  それから10の診療所数の方は百三十四ページでございますが、これも昭和二十九年から三十三年までの診療所の総数の年次的な推移が書いてございます。平均しまして毎年千五百五十八の診療所がふえておるという数字がございます。そのうち私的な診療所が千百八十二、七五・八%を占めております。
  41. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、病院の趨勢としては二百六十三、診療所は千五百五十八、そのうちの私的医療機関は千百八十二、こういう形になって参りますと、この病院の中には私的なものはどの程度あるのですか。
  42. 黒木利克

    黒木政府委員 二百十六です。
  43. 滝井義高

    滝井委員 私的なものが工百十六、そうすると増加の傾向にあるわけです。ところが今度はこれらの病院の地域的な分布を考えてみると一体どういうことになっているかというと、これは明らかに都市集中が現われてきているわけです。都市集中が現われて、医療機関というものが偏在をしてきているということが明らかな現象として現われてきている。そうしますと、この体系的な整備というものは医療機関の偏在を是正することが一つの大きなねらいでなければならぬ。ということは、偏在を是正するということは書いていないけれども、医療の適正な普及向上に資するということは、別な言葉で言うと偏在を是正することを意味するわけです。そうすると、偏在を是正するということは、資本主義の経済の流れの中から見れば、都市偏重の傾向が出ておる医療機関の流れをこの医療金融公庫によって是正をして、そうして分布をうまくやっていくということになる。そうしますと、一条の目的金融機関融通をしないところのいわゆる商業ベースに乗らないところに金を出さなければならぬという形が出てくるのです。私は論理的にこう詰めていくわけです。私の論理が間違っておるならば、間違っておりますということを言ってもらえばけっこうです。私は全部傾向を調べております。従って、そういうもののいく医療機関には二百一万の収入がないというのが私の断定です。ですから二百一万の数字医療金融公庫の順当な資金の回転をもし願っておるとするならば、その政策は間違いだということを私は言いたい。私は今傾向としてやっていきましたが、今後日本の四十六の大学から三千人の者が出ていきます。この三千人の医者がどういう傾向で流れていっているかということを見ていくと、病院そのものの建物が都市にずっと偏在してくるのと同じように、医者自身の流れも都市に向かって偏在してきているわけです。だから建物と人とが都市に集中したときに、これを是正する政策というものは、金と建物を入れて、給料を人につける以外に体系的な整備の政策は出てこないと思うのです。だからその体系的な整備が端的に現われておるのは、国立病院の中でかつて陸軍の病院であったとか陸軍の療養所であった僻地の療養所では、閑古鳥が鳴いて医者が来ないということが端的に示しているわけです。この厚生省の政策というものを是正しなければならぬ、こういうことです。その政策を是正するためには一体どういう政策を今後とろうとするのかということです。医療金融公庫を作つただけではいけない、政策の方向がはっきりしていかなければいけないと思う。私はこの点をあなた方にお聞きしたい。そうしてその点が、一体保険医療、皆保険政策で全国的に網を張られていった場合に、医療機関の体系的な整備と皆保険政策とがどういう工合に車の両輪の形を形成していくか、その保険局の裏づけの答弁がなければ、医療金融公庫を作っても木によって魚を求めるのたぐいで、日本医療の適正な普及と向上はできないということが私の断定です。それも一つ納得のいくように御説明があれば、私は何もこんな質問をする必要はない。
  44. 黒木利克

    黒木政府委員 第一条の私の説明で誤解を生んでおるようでありますが、医療金融公庫医療機関体系的整備のためにだけできたというふうに考えてはいないのでございます。皆保険になりまして医療機関がいわばマル公的な診療報酬によって経営しなければなりません。だんだん公的な性格が強まって参りまして、やはり一般の企業とは違う取り扱いを政府としてもしなければならない、そういうようなことで医療金融公庫もその一助として設立しようとするわけでございます。従ってこれによって医療機関を体系的に整備するために主力を置くんだというようなことには必ずしもならないと思うのであります。もちろん医療機関整備の一助にはなるわけでございますが、ただそれの目的だけに医療金融公庫ができるのではない、医療金融公庫設立趣旨は、先ほど申しましたような医療機関がだんだん公的な性格を強めてくる、それに即応して政府としてこういう措置をとったというように第一条は考えておるわけでございます。  それから次の御質問医療機関体系的整備につきましては、お手元にございます資料の百三十八ページに都道府県別一般病床不足数調というのがございます。ここに総括表がございますが、以下百四十一ページから百九十二ページに至る広範な資料は、各保健所別に見て、先日御説明申しました医療機関整備計画の趣旨とにらみ合わせまして、どれだけわが国で一体一般病床が足りないかということを積み上げた数字でございます。それを一覧表にしたのが百三十八ページにございますが、要するに今後昭和四十年までに、医療機関整備計画によって計算いたしますと、十四万床余りが不足するということになるのでございます。これに対する対策はということでございますが、いろいろ考え方はありますけれども、まだ厚生省として確定していないのでございまして、まだ御報告する段階ではないのでございます。
  45. 滝井義高

    滝井委員 私的医療機関に百二十五億と公的医療機関に百七、八十億の金をつぎ込んでいくということになりますと、十年後の全国の医療機関の烏瞰図を見ると、公的医療機関の勢力というものが非常に強くなる傾向が出てくることはこの数字の趨勢から見て明らかです。そうしますと数字の上では、これは人口対幾らの病床、こういう形でやっておりますが、そういう算術計算ではいけない。病床十四万が不足するというものは、診療圏というものをもう少し科学的に検討してみる必要がある。東京に八百万の人口があっても、交通機関が発達してしかも医療機関の優秀なものが集——的にあれば——いなかで一日がかりで病院に行く場合と、東京でいなかと同じ程度の距離があったって二十分で中枢的な病院に行ける場合とある。だから人口だけではいけないのです。やはり地域的な診療圏というものをもう少しあなた方は科学的に検討してみる必要がある。医療機関体系的整備と申しますか、こういうものを考える場合に……。この前は診療圏の問題を私は持ち出しましたが、それは明確な答弁を得ておりません。その点を一つ医療法のときにもう少しあなた方の見解を聞かしてもらいますが、とにかく結論としては私的医療機関に百二十四、五億の金をつぎ込み、しかも公的医療機関には百七、八十億の金が行く、こうなるわけです。そうしますと、その百二十五億の私的医療機関の過去五年間の実績の中から出てきたそのお金というものは、半分程度商業ベースに乗っているものだということです。そうしてあとの半分程度も、これは中小企業金融公庫市中銀行よりか利子は低くしかとらないかもしれないけれども、まずまず今度できる医療金融公庫よりか、これは営利的ですよ。そうしますと、一体あなた方はこれから六十億程度商業ベースに乗っているものの中から、どの程度のものを医療金融公庫に持ってくるのかということです。これはあとで私は出そうと思ったのだが、もうそろそろ出しますが、この二十一条に、事業計画と資金計画の作成があるわけです。これは四半期ごとに作りますけれども、しかし四半期ごとの事業計画なり資金計画というものは、同時に一年の計画の上に立った四半期なのですね。同時にそれは皆保険の第二次四カ年計画というか、第二次五カ年計画になるのか知りませんが、八月に作られる 大臣がお約束しておる社会保障の長期計画の一環として、これが作られてこなければいかぬわけです。そうしますと、一体あなた方の資金計画というものは、日本の大局的な流れとしては、公的医療機関が怒濤のようにずっとふえつつある。その中で、一体この怒濤のように流れつつある公的医療機関に対決する私的医療機関というものを、一体どういう工合にマッチさせていくかということです。そのマッチさしていく役割を医療金融公庫はどの程度、何割になうのかということです。今年はたった十億です。あとの二十億は借りてきておる金です。一体一般会計からどの程度の金を今後入れて、七分三厘のものが六分五厘になっていくか、こういうことなのです。これは当然資金計画をお立てになるのならば、過去の実績に基づいて。医療金融公庫に切りかえていく、この資金計画の見通しというものを私はお聞かせ願わなければならぬ。これを一つはっきり科学的にいかなければ、政策というものは——社会保障の長期計画の中における皆保険の第二期四カ年計画になるか五カ年計画になるか知りませんが、皆保険の計画ができるわけですね。そうしてその皆保険の計画の中からお金が払われてくるのですから、その払われてくるお金に見合って金が貸されることになるわけです。これは総医療費にあとで関係してくるでしょう。そうして同時に、今度は借りた金を返す。医療機関は借りる計画がなければならぬ。借りる計画というものは、医療機関整備の分布の計画が、今度はその裏づけとして出てこなければならぬ。これだけの厚生省の政策が一貫したものでなければならぬと思うのです。これは何も社会主義政党でなくても、資本主義政党でも当然立てなければならぬものです。さいぜんから黒木さんが言われるように、医療というものが営利性がないのだ、今度はだんだん公定価格で公的なものになっていくのだと言明されたからには、そういう明白な方向がなければならぬと思います。それをわれわれに示さないと、これはわれわれ国会議員も因るし、療養担当者も因ることになるわけです。医療を受ける患者さんも困る。一体保険証をもらっても、うちの近所にはいついい病院ができるだろうかという見通しがつかない、だから皆保険に協力ができない、こういうことになっている。だから保険証を持った人には貧富の格差なく、都市と農村の別なく、近代的の最高の医療が受けられる姿ができますぞということは、当然われわれに教えてくれなければならぬ。その一環の役割をなすものが医療金融公庫です。これが全部とは言いません。その歯車の一つをになうものだという認識を持っております。だからそういう点の総合的な関連をもう少し明白に青写真を示してもらわなければいかぬと思うのですが、これは大臣になるのか——あなた方大臣によくそういうことまで話していないらしいか……。
  46. 黒木利克

    黒木政府委員 医療金融公庫の資金計画、事業計画は、公庫ができまして、公庫自体が作りまして、主務大臣の認可を受けるわけでございますから、今のところ持っておりません。また将来の計画につきましても、実はこういうような資金の需要がどれだけあるのか、そういうような実績を見ないことには、仰せのような計画は立ちにくいものでございますから、万事は申請の実績を見てということにしております。初年度におきましては、たまたま政府出資の十億、それから運用部資金の借り入れが二十億、計三十億というような額がきまりましたが、これも基礎があったわけではございません。中小企業金融公庫なり国民金融公庫が三十五、六億実績がある、大体その倍ぐらいの六十億程度を予算要求したわけでありますが、年度の途中からスタートしますので、その半分くらいあればよかろうというので、大体そういう腰だめで三十億という数字がきまったのでございます。本来ならお説のように、先ほど申しましたような不足病床数を計算をして、それはどんなふうにして解決をするか、その一環として医療金融公庫がどういう役割を果たすかということの計画をすべきでありますが、こういうような医療機関はこちらが計画的に作ることもなかなか、特に民間医療機関は容易でございませんので、やはりそういう建設をしたいという人があり、意欲があって初めて可能になるのでございますから、何にいたしましても金融公庫のスタートを見まして、資金の需要が一体どれだけあるのか、またそれがこういう医療機関整備のために必要なのか、そういうような検討をした上でないと、そういうような計画というものは立ちにくいというので、たまたま先ほど申しましたような腰だめ的な数字として三十億でスタートするということになったのでございます。
  47. 滝井義高

    滝井委員 それは私はどうも今の説明は受け取れないのです。資金の需要がどれだけあるかということは、たとえば福岡県にはこの表に出ておるように、私は福岡県だから福岡県の例をとりますが、福岡県の不足病床数は九千五百六十六、こう出ておりますね。そうすると、福町県の県の図をお書きになって、最近は町村の合併ができまして、町村は昔みたいに一万何ぼというものはない、三千四、五百ですから、従って福岡県の市町村の図を書いて、福岡県の何郡には病院が必要だ、何郡には診療所が何ぼ必要だ、こう入れてごらんになったらいい、そして福岡県の何郡については第一年度二個の診療所お金を貸し付けます、福岡県の何郡については保健所単位の一つ病院、地区病院お金を貸し付けます、これでいいので、これがはっきりすればみんな出てきますよ。私的医療機関が金を貸して下さいと出てきますよ。だからそういう点、大体割当はこういう形になりますぞ、そうでないと医療機関整備というものは意味がなくなる、それでなければいつまでも無医村は無医村ですよ。だからそういう点で私はやるべきだと思うのです。公的医療機関は、採算の合わないところに作ることが公的医療機関のあれであって、私的医療機関というものは、借りた金を返さなければならないのですから、ある程度商業ベースに乗らなければできないわけです。その計画がなくて、ただ医療金融公庫を作ってだれにでもお金を貸すというならば、都市の採算のとれるところしか金は貸しません。大体今の診療報酬では払えませんよ。それで医務局見解を聞きたいのですが、整備計画というものはそういうものではないかと思う。あなた方はそういうためにこれをお作りになっていると思う。そうでなかったら、福岡県に九千五百六十六の病床が不足しているというのは、福岡県のどこかの地区に病院というか、有床の診療所が必要なところにないということを意味しているのです。そうするとそういうところにお金を持っていって、そうしてできればそこらあたりのお医者さんで病院を作る人があれば貸しますぞ、こういうことになると思う。共同の検査施設があるところに、また共同の検査施設を作るために金を貸しますぞということを言う必要はないと思うわけです。そこまで行政が、かゆいところに手の届く状態にまでいくと、初めてあなたの言うようにはっきりしてくるのです。それで公的医療機関がどんどん伸びていって、私的医療機関でそれを補っていく。社会党は医療の国営をやるのだというデマを飛ばす人がありますが、社会党は国営をやろうとは考えておりません。少なくとも医療というものは、責任を最小限度に持てるところの地域に公的の医療機関がいけばいい。それから私的医療機関というものがそれをずっと補ってやっていくという形です。医療というものは、なかなかサラリーマンの医師だけではできない部面があることを私は身をもって体験しております。私たちはそういう考え方です。そうだとするならば、今言ったように公的医療機関の配置の流れというものは、今までのような実績でぐんぐん百七、八十億の金をつぎ込んでいけば、私的医療機関は圧倒されてしまいます。これは大石さん、八田さんどう考えておられるかわかりませんが、今の厚生省のようなやり方を続けていけば、私的医療機関はここ十年を出でずしてやっていけなくなってしまいます。これは私は予言しておきます。そういう公的医療機関によってむちゃくちゃにやられておる今の厚生省医療行政というものを、ある程度修正するためにできたのがこの医療金融公庫ではなかったかと思うのです。だからこそ日本医師会も、これは自由民主党の政策が初めて打ち出した正統的な政策だ、こういうことを言っているのは、私はそこだと思うのです。これは大臣どうですか。最後にこの大事な点だけ大臣にお聞きしたいのですが、過去の実績は百七、八十億の金が一年間に公的医療機関にずんずん行っておるわけです。私的医療機関は百二十四、五億です。その中で高い銀行の利子を払って借りているのがあるから、実質的に安い金利のは六十億そこそこなんです。そうすると、現在社会福祉法人あたりでも、高利貸しから金を借りた結核医療機関その他はやっていけなくなっているのです。私は調べてきましたが、都の病院も七つか八つは赤字です。こういう状態ですから、高い銀行の金を借りたのでは、今の診療報酬では返すことができない。そこでどういうことをやったかというと、医者の給料をみんな下げてしまって、高く払わない。安い医者でまかなっていく。だから今医者のストライキが至るところで起こっておる。自由民主党の中では今精神病院のストライキについて検討しておるはずです。ストライキが起こるのは給料が安いからです。しかもその一番給料の安い典型的なものは国立病院です。だから医者がいなくなっている、こういうことなんです。これは今の診療報酬ではやっていけないから、医者の給料を下げるか施設を倹約して悪いものにするか、悪い薬を使うか以外に医療機関はやっていけないというのが現状なんです。そうすると一体この状態を——百七、八十億のお金というものは、国の金か安い起債かあるいは太宰さんの方の還元融資でいっておるわけですね。そうすると医療金融公庫市中銀行から借りる私的医療機関というものはそれより高い利子を払って金を借りているわけです。だから太刀打ちできません。そうして公的医療機関は税金を払わなくてもいい、私的医療機関は税金を払う。いいですか、厚生省が八・五%のワクの拡大をする資料——きょうはここまでいくつもりだったのですが、これはむずかしくなりますからいきませんが、その資料では、一体医療機関が何ぼの利子を払っておるかというのです。医療機関は二十七年三月——これは日本で一番いい調査です。二十七生三月の調査では五百二十円九十七銭しか利子を払っていないのです。これが今度の十円単価の基礎です。そして新しい点数表甲乙両表の、特に甲表の基礎になった。しかもこれを補正して、そして今回問題になっている甲乙両表を作るときの利子は八百六十四円八十一銭です。これだけしか利子は払っていない。保険局はこれだけしか利子を見ていない。そうしますと、これ以上の利子を元利合わして二十何万円も払うということになりますと、これは修正しなければだめなんです。これは太宰さんのときの資料です。天下にたった一つしかない資料だということでいばって、そこにおる館林さん以下お出しになった資料です。一年に八百六十四円八十一銭の利子を払って一体幾らお金を貸してくれますか。これが保険局資料です。そうしますと、今のままでいけば、日本医療機関は利子を払える姿ではないのですから、結局商業ベースでは金を借りられなくなる。医療金融公庫に殺到しても、今いった資金計画というものはまだありません、こういうことでしょう。はっきりしない。だから公的医療機関はぐんぐん伸びて、私的医療機関は縮まる。今の態勢からいえばそういうことです。ところがこの圧迫をされ、踏みにじられた私的医療機関を何とかこの際興そうということで医療金融公庫がおできになったとすれば、医療金融公庫の資金計画はどうなるかということは等えとして出てこなければならぬ。一方日本医療機関の払い得る利子は一年に八百六十四円八十一銭というこの矛盾もあわせてここに解決してもらわなければならぬということになるわけです。こういう点、基本的なところですが、大臣どうお考えになっておるかということです。
  48. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 国立あるいは公的医療機関、これらの都心集中の傾向につきましては、医療法の改正によりまして適正なある程度の規制を加えていかなければならない、こうわれわれは考えております。もちろん都市におきますところの老朽病院その他につきましては、私どもは今度の医療金融公庫からの金を貸し出すことはもちろんでございますけれども、ただそれよりもむしろ不足病床地区のうちにおきまして採算のとれないところの地域に対しまして貸し出すような方向に力を注ぐ、こういうような傾向をとった方がいいのではなかろうか、かように私どもは考えております。
  49. 滝井義高

    滝井委員 どうも私は大演説を長くし過ぎたから、おわかりにならなかったかと思うのですが、公的医療機関の都市集中というのは、これは今もありますけれども、それは都市へ集中するようなお金が出ていくから建ってくるわけなんです。今私の大臣質問するのは、私的医療機関に出ていくお金というものは百二十四、五億しかありません。公的医療機関は百七、八十億から二百億の金が出ていっております。この姿というものをずっと押していけば、これは日本においては私的医療機関というものは税金も払わなければなりませんし、借りている百二十億というものは、公的医療機関よりも高い利子を払っておりますぞ、だから生存競争では、私的医療機関はここ十年を出ずして負けて、公的医療機関のみが圧倒的に日本医療を担当することになりますぞ、こういうことなんです。その傾向があるので、これはいかぬぞということで、自由民主党の反省から、医療金融公庫がその圧倒され、踏みにじられようとする私的医療機関を救済しようというのででき上がったのでしょう。これは提案理由にその通り書いてある。そうしますと、一体大臣の方としては、約二百億前後の金で作っておる公的医療機関のそのお金私的医療機関に回してでも、公的医療機関の大きな流れをしばらく足踏みさせますか、こういうことを私は質問しているのです。
  50. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 もちろん医療法等の改正によりまして、これらにつきまして地域的な規制を加えていきたい、私はかように存じておる次第でございます。
  51. 滝井義高

    滝井委員 その問題は医療法のときに——この前も大臣がおられませんでしたけれども、ちょっと御質問申し上げましたが、実はこの運営主体というものが全部違うのですよ。そしてその裏づけのお金の出どころも全部違うのですよ。これは医務局長のところで抑えようとしたって押えようがないのですよ。これは協議するくらいなら、日米両国の協議で、イエス、ノーと言ったって、力が強くて、これはやるんじゃということになれば、どうにもならぬということをわれわれは事前協議で主張していると同じように、たとえば労働省が、いや私の方はけい肺患者のために労災病院をここに作らなくてはならぬのじゃ、こういう主張をすれば、これは厚生行政としてはとめることができませんよ。問題は一体なぜ労働省が病院を持たなければならぬのか、なぜ国鉄が病院を持たなければならぬのか、なぜ郵政省が病院を持たなければならぬのか、それらの病院をなぜ医務局もとに一貫して置くことができないのか、ここに問題があるのですよ。それを一体どう是正をしていくかという根本的な問題とも、今の大きな資金の流れとの問題は関連をしてきておるわけです。この是正というものは単なる医療法で、大臣が閣議で三公社五現業関係の大臣と協議をするだけではなかなかうまくいかない。それは私今予言をしておきますが、厚生年金だって、失業保険の会計だって金はどんどん余ってき出した、何千億円という積立金が出てきたのですから、このお金をどこかに福祉のためにつぎ込まなければならぬ、住宅か病院か体育館か、何かにつぎ込まなければならぬ。そういうように各省ばらばらに金がつぎ込まれるところに問題がある。だから病院なら病院の問題は一元的に厚生大臣もとに、厚生大臣が責任を持って全国の整備をやるのだ、こういう形ができなければ行政というものはうまくいかないということを実は言いたいのです。それを歴代の厚生大臣はやっておられないのです。だからあなたがこの医療金融公庫法をお出しになって体系的に整備をされるならば、そういう公的医療機関の無秩序な流れというものをがちっとあなたの手元に握ってしまうという政策がいろいろの政策の前にとられなければならぬということです。その点どうですか。
  52. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 御指摘の通り、私も就任以来その点につきまして非常に心配しておるわけでございまして、医療機関の一元的な統制というものを医務局に持っていきたい、かように私は考えております。
  53. 滝井義高

    滝井委員 ぞひそうしてもらわなければならぬと思うのです。ところが、他の省のことはとにかくとして、大臣の所管のもとにおける——保険局病院を持っております、それから医務局でも国立療養所国立病院の所管をしておる、大臣の足元でさえもが一元化ができていない。それは何でやっておるか、連絡協議会でやっております、こういうことです。一体保険局が何で病院を所管せなければならぬのか、私はわからないのです。どうですか大臣、まず他の省のことはとにかくとして、大臣の所管のもとにおける厚生省の中の病院行政の一元化というものができますか。
  54. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 なかなか直ちにどうというわけにもいきませんけれども、保険局の使命というものは、おのずと保険行政というものの限界があるわけであります。それでございまするので、それらの点につきましても段階的に今考慮いたしておるような次第でございます。
  55. 滝井義高

    滝井委員 なかなか大臣も政治家になられたと思うのです。しかしこういうものはさいぜんの御答弁では医務局に、一元的に統制という言葉はどうかと思ったのだが、統制したいとこうおっしゃった。ところが自分の省のことになると、いやどうもそれはちょっと検討と、こういうことになる。橋本さんが厚生大臣のときは、一元的にやらなければいかぬと言った。ところが文部大臣になったとたんに医療法の改正を一番先に反対をしてしまった、それではいかぬと思う。だから自分の身をつねって、人のつねられたときの痛さというものをわれわれはまず知らなければいかぬと思うのです。だから他省に呼びかける前には、自分の省の内部の病院だけの行政というものは一元化さなければいかぬと思うのですよ。それができないと、他の省に呼びかけてもできないですよ。大臣どうですか、医療制度調査会もあと二名委員を任命すれば発足をいたします。医療金融公庫をお作りになってあと、まだ寿命があるようでありますから、もう一つ残してもらいたいと思います。厚生省内部の病院の行政だけは一元化する、それは医務局でなくてもかまわぬ、保険局でもかまわぬですよ、あるいは別のものをお作りになってもかまわぬ、医務局でおやりになってもかまいません、病院だけは一元化する、国立病院に働いておるお医者さんと保険局所管のお医者さんの給料が違うというようなことでは困ると思います。社会保険病院の給料が、ここには出ておりませんが、とにかく国立病院と社会保険病院とは違うのです。社会保険病院はこのごろ安いので、私がここで社会保険病院のことを持ち出して、そして国立並みにせいということを言っておるわけですよ。こういう点はもう少し、厚生省内部の病院くらいは一元化する必要があるのじゃないでしょうか。これはなるほど全社協といって、今度元東京都知事の安井さんが会長になりましたが、ああいうところにおまかせしております。おまかせしておりますけれども、所管は保険局なんですよ。お金を向こうから出すんだから……。そしてここに出しておるお金が、これは私太宰さんの方に資料を作ってもらってある。保険局でもいろいろ分かれておりますが、三十年から三十四年までに、健康保険病院の施設の整備費として二十五億お金を入れておるわけです。それから日雇健康保険病院の施設整備費として一億一千四百九十二万ばかり、それから厚生年金病院として九億四千万余り船員保険として四億、それから国民健康保険の直営診療として十三億、これらをみな入れておるのです。保険局が今度は病院のために還元融資をやっているのが、五カ年間で百五十七億です。今のものを合わせますと、約二百十億程度の金を保険局が自由に動かしておるのです。こちらの医務局医療金融公庫で動かす金は、今年は三十億でしょう。これは二百億ですから、五カ年で割ると一年に約四十億程度動かしておる。ほとんど医務局の方のものと匹敵するものを保険局は動かしておるわけです。それならば保険局がこういう計画を立てたならば、その病院の配置その他というものは、病院医務局なら医務局の所管か何か別なものを作って、たとえば現業官庁なら現業官庁を別に作って、監督と現業を分離するとか、やはり何かこういうすっきりした形を作る必要があると思うのです。あなたの足元がもうめちゃくちゃなんです。それから済生会とか日赤とかいうようなものもあります。これは社会局です。なるほど済生会というのは目的があって作った。日赤も目的があってお作りになったと思うのです。そうではありますけれども、今の済生会なり日赤の実体を見てみると、きわめて営利主義的です。しかもそれは公的医療機関で税金を払っていない。それで医者の給料は安い。天下に向かっては人道と博愛を唱えておるけれども、医療機関の内部においては搾取と圧迫が行なわれておるということです。こういうことではいけないと思うのです。だからまず厚生省所管の社会局と保険局医務局病院の行政というものはもう少しすっきりする必要があると思うのです。これは私はもう何回言ったかわからぬ。そうしたら歴代大臣はやりますやりますと言うだけです。今の安田次官もやりますと言ったけれども、やらないのです。これはもう一ぺん医療法のときに質問しますが、他の省のことを言う前にまず自分の足元を見なければいかぬと思うのです。人のふりを言う前にまず自分のふりを直すことがお互いに先決だと思うのです。大臣どうですか、今ここで御答弁ができなければ、厚生省にお帰りになって、それぞれの所管局長をお集めになって、この際一つの方針をお出しになる必要があると思うのです。
  56. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 できるだけすみやかに医療法規あるいは社会保険法規等の改正をやりつつ、医務局あるいは保険局の総合調整をやって、一元的なすっきりした形に何らか——現在特別会計等もあることでございますので、今直ちにこれをそれじゃどうこうというわけにはここで明言できませんので、この点につきまして十分な検討をいたしたい、かように存ずる次第でございます。
  57. 滝井義高

    滝井委員 時間がだいぶ過ぎましたから保険局にお尋ねします。  八・五%のワクを拡大するときには八百六十四円八十一銭しか利子を見なかったわけですが、これで、一体どの程度お金が措りられますか。
  58. 館林宣夫

    ○館林説明員 この八百六十四円八十一銭というものは、ある借入金を仮定しまして、それに対する利子の利率を幾らにしてというはじき方をいたしませんで、昭和二十七年三月調査のときの実際に各医療機関が利子を払っておった支払い額五百二十円九十七銭、それに増加率一・六六をかけて出したものであります。従って基礎的には現実に各医療機関が利子を支払っておったものの平均額という数字でございま  す。
  59. 滝井義高

    滝井委員 従ってこの「社会保険医療診療報酬算定方法並びに点数及び単価策定方針の概要」の結論に当たる部分の「前項の算定方法に基いて算定すると、一診療所当りの平均収入は月一五九、六三二円となり、現在の月一四七、一二五円に比し八・五%の増となる。また、開業医の所得は、月六九、九五五円となり、昭和二十七年三月の三三、五二四円に比し、およそ二・一倍となり、一般勤労者の増加率約六割を大巾に上廻る結果となり、その待遇は著しく改善される。」と、こうなったわけです。その場合の平均的な利子は八百六十四円八十一銭であります。そうしますと、これは平均的なものですから、これを基礎にして点数と単価が組まれたわけです。そうすると今度は医療金融公庫から七分三厘の利子を払って借りて医療機関を作って、そうしてその医療機関運営していくということになると、それだけの利子を払う算術上の根拠は出てこないですね。それを出そうとすればどうすればいいか。それは悪い薬を使うか、より労働過重をして夜中まで働く以外に出てこないということになる。だからここで私が医務局に言いたいのは、保険局と十分連絡をしてそしてその算定の根拠を作ってもらいたいというのはこれなんです。そうしないと、払う見通しがこれは立たないですよ。こういう算定基礎なんです。この場合の患者の数は、あなたの方は三〇・九だったですね。これよりもよけいに見ておる。これは三二・五人が個人立院長の患者取扱数になっておる。これは二十七年三月を基礎にして三十一年くらいの状態です。そうするとあなたの方のこれは三十四年四月でしょう。患者数は今ふえております。患者数は、これは三十三年七月十日の厚生省の調査ですが、これでも一般診療所の無床は三〇・九でございますが、最近は私は三十四、五人くらいになっておるのじゃないかと思うのです。ところが患者はふえたけれども単価が十円ということになっておるから、収入は必ずしも増高してないのです、それは最近における医療費が、その館林理論ではどんどん増加をしておったけれども、一体医療費の増加というものは何で増加したのだ。ここでは正式には書いておりませんがインフルエンザということになった。インフルエンザはもうだんだんしぼんじゃって、最近医療費というものは増加しなくなったのです。総医療費は大体全般的に二百億から三百億しか増加してない。ここ数年来の動きをずっと見てみても二百億か三百億です。これはコンスタントの動きを示しておる。何百億という動きはありません。二百億か三百億です。私の調べたところでは、二十八年から二十九年が二百億、二十九年から三十年が一番ふえて四百三十億です、これはあなた方の資料によってですよ。私はこの総医療費についてはなお非常に大きな疑問を持っておるのです。それから三十一年から三十二年が二百億、三十二年から三十三年が三百三十億です。二百億から三百億台を動きながら総医療費が増加をしていっておる。従って最近における医師の急激な増加、二千人、三千人ぐっと出てくる、病院も二百もふえていくということになると、日本の人口の増加というものは幾分停滞を始めましたから、人口の停滞が起こっておりますから、医者の受け持つ一人当たりの患者の人口数というものは八百とか九百になりつつあるわけです。だから軽い患者でも結局医者がサービスして扱う。従って、件数は多いけれども、診療報酬全体の利益といいますか、そういうものは必ずしも伸びていないのです。これが今の傾向なんです。そういう中で今度はお金を返していく、こういうことでしょう。そうすると今の単価は、八百円かそこらしか利子を見積っていない、そうして今の単価ができている。それが今度、少なくとも二千円、三千円以上の利子を一年に払わなければならぬということになると、非常に問題が出てくるわけです。従って、点数、単価の問題をもう一ぺん考え直さなければならぬ段階にきているわけです。政策をお立てになるときには、もう少し総合的に科学的に、しかもその政策というものが厚生省の全体の政策の一環として生きているのだ、そこをぱっとたたいたならば、保険局も痛いという政策でなくちゃいかぬと思うのです。医務局をなぐっても保険局は知らぬ顔の半兵衛をきめ込んでいる政策では、医務局行政にはなっても厚生行政にならない。もう少しそこらあたりを私ははっきりしておいてもらいたいと思う。利子の問題についての私の結論は、今の点数と単価のもとにおいては、借りた金の利子と元金というものは払える情勢にない。それを払おうとすれば悪い薬を使うか、労働力をうんと消耗するか、施設を更新しなければならぬときに施設の更新がずれてくる、そうして医療の適正な普及というものが停滞をすることになるというのが私の考え方ですよ。利子が安いということは平均的なもので、今度の貸し借りには大した関係のないことでございますけれども、しかしそういうことを指摘しておかぬと、診療報酬で払えると思って次々金を借りた、借りた金は元のもくあみで、その医療機関は差し押えになって医療金融公庫のものになってしまっては悲劇ですから、ころばぬ先のつえで御注意を申しあげておきたい。  次に、少し内容に入りますが、十八条の「政令で定める施設」というのを御説明を願いたいと思う。
  60. 黒木利克

    黒木政府委員 「病院診療所、薬局その他政令で定める施設」は、今のところ助産所を考えております。
  61. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、これは助産所だけですか。エグザミネーション・センター、いわゆる検査等の共同利用施設、それからたとえば地区的に医師会なり歯科医師会が病院を作ろうというものは入らないのですか。
  62. 黒木利克

    黒木政府委員 共同検査施設は病院診療所で解決をしたいと思います。協同検査施設を診療所なり病院の名目で申請するわけです。
  63. 滝井義高

    滝井委員 共同利用施設は医療法病院の範疇には入らぬでしょう。医療法病院の定義と診療所の定義があるのですから……。
  64. 川上六馬

    ○川上政府委員 病院診療所の検査施設に別に規格はございませんので、たとえばある診療所に従属した検査施設を持つということは自由でございます。
  65. 滝井義高

    滝井委員 病院診療所が検査施設を持つことは自由ですよ。これは病院の一環ですから。ところが独立の検査施設というものが最近は必要になってきておるというのが学者の間の定説になりつつある。それは医療法の改正を出しておるから、病院診療所の中にお作りになってもいいんですよ。共同の検査施設というものを病院とか診療所の中に入れるというのなら、どういう共同利用施設は病院となり、どういう共同利用施設は診療所になるのですか。
  66. 川上六馬

    ○川上政府委員 それは別に区別はしておりませんけれども、御承知のようにレントゲンの検査は医者の指示によってやらなければならぬということになっております。それから心電図あるいは脳波の測定というものは、現在の医療法では医師がやる建前になっておりますから、やはりそういうものをやる場合におきましては、病院診療所でやることが適当であろうというふうに現在は考えておるわけであります。
  67. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、共同利用施設というものは病院や、診療所あるいは歯科診療所に付属したものでなければ認めない、こういうことですか。
  68. 黒木利克

    黒木政府委員 御承知のように医療法一条で「「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業をなす場所」である。そこで共同検査施設の医業または歯科医業というふうに解釈しております。
  69. 滝井義高

    滝井委員 そうするとあなた方は、共同利用施設というものは病院とか診療所にするというふうに解釈するんですか。それとも病院診療所の付属機関として作る以外は共同利用施設というものは認めないという方針なんですか。もう少しはっきり答弁して下さい。
  70. 黒木利克

    黒木政府委員 実は共同検査施設の性格もいろいろありまして、まだはっきり規定ができない段階でございますので、一応共同検査施設は、第一条の規定でいずれにしても医業なり歯科医業をなすべき場所等を病院なり診療所という名目で申請していただこうというわけでございます。実はこの反対の解釈から、薬剤師のなす検査施設と申しますか、それは排除されるわけでありますが、そういう意味で共同検査施設という項目を法律に規定いたしませんで、病院診療所で共同検査施設と読もう、こういうふうにしたわけであります。
  71. 滝井義高

    滝井委員 医療法全体から見たときに非常に無理ではないでしょうか。そこには病院を開設するとすれば病院の開設者がおるし、病院の管理者がおらなければならない。診療所も同じでしょう。そうすると共同利用施設というものは、みな医師なり歯科医師なり薬剤師があって共同の利用施設を作るので、名目はその場合、開設者、院長とする以外にないのじゃないでしょうか。それを病院診療所とみなされるということになると、そこでやった診療報酬請求書というものはどういう工合に出しますか。たとえば滝井義高が共同利用施設に行ってやれば、これは私の診療報酬請求書に書いて出すことになる。黒木さんがそこの管理者の名前なら、黒木さんの名前で出すわけにいかぬと思うのですよ。だからそこらあたりをもう少しはっきりしておいてもらわぬと、病院とか診療所で出してやるということじゃ私は問題だと思うのです。
  72. 黒木利克

    黒木政府委員 先ほど申しましたように、共同検査施設というものの概念規定がまだはっきりいたしませんが、しかし、少なくとも医業なり歯科医業をなす場所であることは間違いない。そこで現行法規では、病院なり診療所で共同検査施設というものを処理せざるを得ない、こういうようなことで、一応こういうような規定にいたしたのでございます。それと先ほど申しましたように、薬剤師等のやります水質検査とかいうような検査施設もやはり一応考えられるのでございますが、しかし医療金融公庫性格から申しましてそこまでは対象にできないというので、共同検査施設の中に薬剤師の行なう化学検査施設等も入り得ることになりますから、法律規定はなかなか困難であるというので、一応こういうような解決の仕方をしたのであります。
  73. 滝井義高

    滝井委員 それはあんまり法律的に無理をしてはいかぬと思うのですよ。共同利用検査施設が病院なり診療所になるというと、では保険局の取り扱いはどうなりますか。そこでやった検査というものは、保険局としてはどういう工合に請求書に出しますか。もうこちらが病院診療所として取り扱うという方針がきまっているのですから、それは保険医療機関に指定しますか。
  74. 太宰博邦

    太宰政府委員 それは一応医療金融をいたします場合に、医務局の方で、先ほど申した病院診療所のワクの中で、範疇に入れて考えたいというだけのことだろうかと思います。
  75. 滝井義高

    滝井委員 範疇に入れて考えるといっても、新しくここに共同利用施設ができてくるわけです。そしてこのできてきたものは病院であり、診療所である、こうおっしゃるのですから、そうすると、そこでやった検査は、一体保険の請求ではどういう工合にしますかということです。保険局ではどういう工合にそれを了承しておるのですか。どうも医務局が勝手に医務局だけのことをやって、保険局との連絡がなかったら処置なしですよ。お金を払うのは保険局が払うのですからね。
  76. 黒木利克

    黒木政府委員 滝井先生の共同検査施設の概念がはっきりしないのでありますが、推測するに何かオープン・システム的な検査施設をお考えになっておるようでございますが、私の方で今融資対象にしようと考えておりますのは、診療所なり病院の形態をとっていただくものを考えておるわけであります。
  77. 滝井義高

    滝井委員 御存じの通り今の日本の資本主義というものは独占化されておるわけです。独占化された資本主義に零細な企業が対決をしていく姿というものは、これは共同化の方向以外にないのですね。農業の共同化、農業の法人化の問題、中小企業の共同化でしょう。そうしますと、各医療機関が散在をしておる。一つの郡に百の私的医療機関が散在をしておる。ところがこの私的医療機関一つ一つに検査施設の金を借りてやるのは大へんです。またそんなものを作ったら払えもしません。だからその一つの郡の中で百の私的医療機関が五十ずつに分かれている。たとえば上と下とが分かれて、上に一つの共同の検査施設を作る、下に一つの共同検査施設を作る、こういうことはあり得るわけです。その場合に一体これをお認めになりますか、こういうことです。今のあなたのように言われれば、診療機関に付属したものは認める、今の御答弁ではこういうことでしょう。それではこれは役に立たないのですよ。最近における検査施設、特に医学の中の精密検査というものは非常に発展してきた。そこに一名くらいはやはり衛生検査技師を置いてやらなければならぬ程度になっておるわけです。そうしますと、そういうものには金は貸せないのだ、こういうことになると、公的医療機関私的医療機関とのバランスがとれなくなってしまう。そうでしょう。そうなるとまた前に戻って、一体それならば私的医療機関の機能、公的医療機関の機能をどうするかという問題になってくる。あなた方は初め公的医療機関を開放しましょう、こうおっしゃった。ところが今の日本の現状では、公的医療機関を開放する情勢にないから、とりあえずそういう共同利用施設ができるまでの当座のつなぎとして保健所の施設を利用したらいいでしょう。それには少し国が金をつぎ込んで共同利用施設にしておく、そうして今言った一つの郡の中で百の医者がおって、上の方に五十、下の方に五十おるならば、その共同利用施設が二つできるまでは保健所を利用しておくのも一つの方法だろうという提案をしたわけです。ところが今になってみると、その共同利用施設は何かはっきりしない。そうすると私の言うような共同利用施設にして、そこに行って私が検査したものは、これは私が診療報酬請求書に書いたらいい。ところがあなた方がおっしゃるように、共同利用施設というものは病院とか診療所だとかいうことになると、これは個々の責任者がおらなければならぬ。その人が請求せざるを得ないというような形になるのではないですか、そう私は尋ねておる。保険局見解では、そういう段階の共同利用施設の請求書は一体どうなるか。はっきり意思が統一されてないと思いますが……。
  78. 黒木利克

    黒木政府委員 そういうオープン・システム的な共同検査施設の場合は、個々の診療所経営している医者がそこを利用するわけでございますから、その疾病と直接関係があります場合には、個々の診療所経営している医者がその疾病について必要な検査だということで、その個々の医者から請求することになると思います。
  79. 滝井義高

    滝井委員 それならわかるわけです。そうしますと、あなた方は、そういう共同利用施設の単独のものをお認めになるのですね。
  80. 川上六馬

    ○川上政府委員 先ほど申しましたように、従来のように、ただ、たとえば便の検査をするとか尿の検査をするとかいうような、そういう材料で検査するようなものが現在も方々にございまして、県の条例なんかでこれを取り締まっておるわけです。医師会などの要望しますものは、先ほど申しましたように、もっと高度な臨床検査というものを共同的に作ってみたいという希望があるわけであります。そこでそういうものをやる場合においては、どうしても医者がいなければならぬ。いわゆる検査屋では困る、診療に直結した検査であるから、やはり医者の管理のもとにやるような検査施設でなければならないというように考えまして、そうして、そういうことなら、やはり診療所という立場でその施設も一緒にやって、これをある一定の人々が利用するようにしたらどうか、こういうように考えて、一応診療所で精密な検査をやって、それをみなが利用していったらどうかというような考え方でやったのであります。
  81. 滝井義高

    滝井委員 どうも今の答弁でもはっきりしないのですが、いいですか、共同利用施設ができれば、たとえば血糖の検査をやる、これは普通の開業医ではなかなかできかねるのです。それから心電図でも、心電図の機械を買うのも大へんだ、それでは一つ共同利用施設に置いておこう、レントゲンも共同利用施設に置いておこう、こういうことになるわけですね。そうしますと一つの郡の中にはレントゲンをうまく読める先生もおるわけです。それから血糖なんかの検査に非常に詳しい先生もおるわけです。そうするとお互いに連結して、一つおれの血糖の検査を、君してくれぬか、その手数料は君に払うから、請求書は僕の方で書けばいいんですから、そういう有無相通ずることもできるわけなんです。何も診療所にしなくても私はいいんじゃないかと思うのです。それからまたそういう専門家がいなければ、しかも一人のそういう専門家を入れても採算がとれるような状態でその施設の利用者があれば、専門家を連れてきてもいいんじゃないかと思うのです。だから何かそういうはっきりとした方向を打ち出しておかないと、診療所の付属機関で作るがごとく、作らざるがごとく、作れば何か病院診療所でなければならぬようなことでは、私はおかしいと思うのです。共同利用施設なら共同利用施設にそれのお金を貸すなら貸すとはっきりしておいてもらわぬと、これはあなたの関係だけじゃないのですから、経済的な面も出てくるのですよ。そうすると、医者というものはみずからやらないことを請求書や何かに書いちゃいけないのです。それはうしろの太宰さんのところから一回でおきゅうをすえられちゃう。支払いの側がおるのですから、だから支払いをやる側と患者の側と絶えず総合的ににらみながら、ものというものは考えていかなければならぬと思うんですよ。医務局だけの考えじゃ、これはちょっと無理なことが出てくるのです。そうすると、それは保険医療機関との関係は一体どうなるのだという問題が出てくるのです。すぐ健康保険法の問題にはね返ってくる。だからあなた方がそれを病院だとおっしゃり、診療所だとおっしゃるならば、保険医療機関の将来はどうなるかという難問題にぶち当たってくる。オープン・システムにしておって、そこを自由に利用するという、みずからが主体になり監督者になってやっておるのですから、これはやった人の責任になってくるのです。そうすると保険局との関係は何らトラブルがない。何か現場にマッチするような姿で政策というものをきちっと割り切って見てもらわないと、今のようなことではわからないのですよ。これはどっちなんです。病院の付属としてやるのか、独立の機関として認めるのか、それとも何かほかの方法でやるのか、管理者を置かなければ共同利用施設というものはだめだということにするのか、その三つのどれにするのですか、明快な御答弁をいただきたい。
  82. 黒木利克

    黒木政府委員 御意見のようにいろいろ共同検査施設の性格がございますので、一体どういうものが、必要なのか、また申請があるのか、そういうものを見きわめた上で検討したい。法制的にそういう共同検査施設の概念をはっきりいたすことも一つの方法でございますが、まだこの法案を準備する段階でははっきりした規定ができなかったのでございます。医師会ともいろいろ相談はしておりますが、共同検査施設のまだはっきりした性格と申しますか、そういうものがきめかねますから、一応法律では病院診療所で読むことにしておいて、一つ申請を見た上で共同検査施設の性格をはっきりするなり、あるいはそこの経済関係を考えていこう、こういうようなことで一応共同検査施設という規定は置かなかったのでございます。
  83. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、今はっきりしていないということです。病院診療所でお読みになるなら政令で定める施設にしておったらいいのです。そうして政令でお書きになるとき、医師による共同利用施設、こうお書きになったらいいんじゃないですか。病院診療所で読むということは、これは立法技術から見ても、私はあまり無理するものじゃないと思うんですよ。それからもう一つ、共同利用施設に今検査機関を出しましたけれども、たとえば共同して歯科の病院を作る、あるいは医師病院を作るといったときには一体どうなるんですか。
  84. 黒木利克

    黒木政府委員 御質問意味がよくわかりませんが、診療報酬請求についてどうなるかということですか。
  85. 滝井義高

    滝井委員 いやいや、作るときはどうなるか。
  86. 黒木利克

    黒木政府委員 もちろん病院診療所対象にしておるわけですから、金融公庫対象にはいたす考えでございます。
  87. 滝井義高

    滝井委員 そうするとその場合は、共同で利用をする施設、いわゆるオープン・システム制の病院になってくるわけですね。同じことですよ。片一方が検査施設になる、片一方が病院になる、同じです。ところがこの病院はここにいう病院診療所とは違いますよ。これは共同利用の病院ですから、いわゆる日本医療法にない病院になってくるわけです。そうすると医療法における病院の擬制をしなければならぬことになる。法律の改正なくしてこれを通そうとすれば、だれか管理者を置き開設者を置いて、そうして看護婦なり医者を置いた病院診療所の体裁を整えなければならぬと思うんですよ。おそらくその擬制を今度はやらなければならぬ。それにはお貸しになるんでしょう。そうすると私は結論は同じじゃないかと思うのです。そうすると、そのオープン・システムのものは普通の医療法のこれとは違いますから、病院診療所ではそれは読めませんよ。そうなると、政令でやはりそういうところを私は書かざるを得ないと思うのです。そういうオープン・システム制のいわゆる開放的な病院については、無理に病院とか診療所で読まなくても、これは病院に準ずるものとしてやっていくんだということを政令でお書きになったらいいじゃないでしょうか。こういう一番大事な点について、あなた方は去年以来論議をして、私はもうきちっとした結論ができておると思っておったのです。私は医療金融公庫のこの法案には御協力を申し上げますけれども、非常にこれは不満ですよ。もう少し厚生省勉強しておかなければ、てんで話にならぬと思うんです。こんな大事な画期的な新しい法律をお出しになるときには、やはり上から見、下から見、縦から見、横から見て、どこからつつかれたって答弁のできるような姿をお作りになっておかなければならぬ。これは一番大事なことで、共同利用施設、医師病院というのは、今まで何回も言われてきておるんですよ。これがこの法律の中でどういう位置づけがやられるか、またできたとしてそれをどうやっていくかということがまだはっきりしていないということは、私は非常に遺憾だと思うんですね。それはどうですか。——わかっていなければもう答弁をいただかずに、お帰りになってよく御検討されて——そして共同利用施設を病院診療所でともに臨床共同施設と読むということは、これは納得できないですよ。そんな読み方をしておったら、あとで必ず問題が起こりますよ。これはまた片々たる答弁をいただいて何回もやることは時間のむだですから、一つあとで十分検討して、次会の冒頭にでも御答弁願いたいと思うのです。  それからこの同じく十八条に、「附属施設」という言葉がある。「当該施設の運営に関し必要な附属施設」というのがあります。それとその前に、「民法第三十四条の規定により設立した法人その他政令で定める法人」というのがあるんですね。この政令で定める法人とは一体何か、付属施設とは何か。
  88. 黒木利克

    黒木政府委員 この政令で定める法人というのは、消費生活協同組合と社会福祉法人を考えております。これは医療金融公庫医療を主たる事業とする法人に融資をすることになっておりますが、将来医療金融公庫で中小企業の医療金融を引き継ぐ予定でございますから、中小企業金融公庫対象にした法人はこちらに引き継がざるを得ない、そういう意味でこの二つを考えておるのであります。それから付属施設というのは看護婦の宿舎、あるいは看護婦の養成機関、あるいは付属の救急患者輸送の自動車、そういうものも考えております。
  89. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この看護婦の宿舎というは、病院に付属をする看護婦の宿舎ばかりでなくて、たとえば看護婦養成機関の看護婦の宿舎、看護学校というのですか、そういう宿舎も入るのですか。
  90. 黒木利克

    黒木政府委員 そこまでは含まない考えでございます。
  91. 滝井義高

    滝井委員 今多くの医師会が、医師会の建物の中に一緒にして準看護婦の養成機関を作っておりますね。その場合に、医師会館を建てると同時に、付属の看護婦の養成所を建てるというような場合に、その貸付の基準ですね。それは看護婦の養成機関を基準にして金を貸す、こういう形になるわけですね。
  92. 黒木利克

    黒木政府委員 あくまでも医療機関病院診療所の付属看護婦養成施設、宿舎というものを考えております。
  93. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、医師会等がやっておる看護婦の養成所には金を貸さない、こういうことですか。そうなると、公的医療機関の多くは看護婦を養成しておりますけれども、私的医療機関で、病院で看護婦を養成しているところは多いのですか、これは非常に少ないのじゃないでしょうか。私的医療機関、私的な病院で看護婦の養成をやっているところというものは、今全国の医療機関に私はそうないと思うのです。というのは、最近の傾向としては設立の認可規定が看護婦学校はなかなかむずかしくなってきたのですね。従って教える先生の側の供給もなかなか容易でないわけです。そこで各医師会では医師会の会館を利用しながら付属看護婦養成所を作って、そして各医師会の会員の中のそれぞれの専門家が専門部門を担当して養成しているのが現状だと思うのです。そうすると、その医師会の養成する付属機関ですね。共同利用施設ですよ。名目を変えれば別の意味の共同利用施設ですよ。共同利用施設というものは、単に患者を見る病院、いろいろの検査をやるところの検査施設ばかりでなくして、人間を養成する共同利用施設もあるわけです。看護婦を養成する。それは入らないのですか。
  94. 黒木利克

    黒木政府委員 現在のところ、大蔵省との話し合いでは対象にしておりません。
  95. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、私的医療機関で看護婦まで養成をする施設を持っているのは、私はおそらく少ないのじゃないかと思うのです。これはどのくらいありますか。
  96. 黒木利克

    黒木政府委員 あとで調査いたしまして、お答えしたいと思います。
  97. 滝井義高

    滝井委員 実はこれは、私は医師会が共同でやる看護婦養成所に拡大すべきだと思うのです。今全国で看護婦さんが不足しているのですから、当然こういうものこそ医療金融公庫から、病院に貸すのならば貸してもいいと思うのです。看護婦養成ということについては同じことですからね。いくら建物が金殿玉楼のごとくそびえ立ったって、建物の中を利用し、動かしていく人間がおらなかったらお話にならないのです。やはりまず人間を作ることです。これは一つ御検討になっていただきたいと思うのです。大蔵省の考え方は、社会福祉法人その他非課税、税金をかけない問題のときに、そこにインターンが来ている、看護婦養成所があるということで非課税の一つの要件になっているのです。そういう主税局の考え方が銀行局あるいは主計局にいっていると思うのです。だからこれは医務局はもう少し考えてもらわなければならぬ点だと思いますので、後刻御検討願いたいと思うのです。  それから十八条に「整備」ということがあるわけです。「設置、整備又は運営に必要な資金」とあるわけです。この整備というものの範囲——設置というのはわかります。作るのです。それから運営資金もわかるのです。ところが整備資金の範囲というのは一体どういう範囲が整備資金に入るのか。
  98. 黒木利克

    黒木政府委員 いわゆる体質改善を考えております。設置の場合は新しく設けるのですが、これは増設の場合でございます。従って既存のものの増改築をしたり、あるいは機械器具の更新をしたり、新しく買い入れたり、そういうものを整備考えております。
  99. 滝井義高

    滝井委員 そうすると修理も含まれますか。
  100. 黒木利克

    黒木政府委員 含まれます。
  101. 滝井義高

    滝井委員 整備は、増改策、それから修理、機械器具の更新、こういうことになったわけですね。そうしますと新しい機械を既存医療機関が買い入れるというのも整備に入るわけですね。——縦に頭を振っていらっしゃるから入る、こういうことがわかりました。  大体これでほとんどいったのですが、ちょうど一時になりますし、あともうちょっとありますから、これは午後にいたします。
  102. 永山忠則

    永山委員長 午後二時まで休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後二時二十一分開議
  103. 永山忠則

    永山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を継続いたします。滝井義高君。
  104. 滝井義高

    滝井委員 午前中に引き続いて医療金融公庫法の質問を継続いたします。  条文の具体的な質問に入る前に一つだけ聞いておきたいのですが、それは医療法の三十二条の関係でございます。厚生省医療機関の適正な配置をはかり、その配置を推進するために医療金融公庫というものをその目的にかなうようにお作りになる。そうしますと、午前中に申し上げました通り、八百円余りの利子しか計上をされてない。今の社会保険診療報酬では、順当に借りた金を返し得るやいなやという点については、非常に多くの疑点があるわけです。そこで三十二条に医療審議会等としまして「厚生大臣の諮問に応じて、医療機関整備及び診療報酬に関する重要事項を調査審議させるために、厚生大臣の監督に関する医療審議会を置く。」こうなっておるわけです。診療報酬の問題を医療審議会は医療機関整備とともに扱うことができるわけです。医務局はこれを御活用になって今私に御説明いただいた二百一万というものをお出しになったものじゃないわけです。医療法という法律をお持ちになっておるのですから、医務局独自の、日本における診療報酬というものはこうなくちゃならぬ、これならば日本医療機関というものが十分拡大再生産をやっていくことができるのだという方針を打ち出すべきだと思うのです。そしてその打ち出した方針にのっとって、保険局の方の保険診療報酬というものを決定されなければならぬと思うのです。ところが現在の日本におきましては、医療機関の拡大再生産ができるかどうかということは全然無視をして、保険局保険経済の立場から診療報酬を決定しているところに問題があるわけです。あなた方は一度くらいこの医療法の三十二条を御活用になったことがありますか。
  105. 川上六馬

    ○川上政府委員 まだ活用したことはございません。
  106. 滝井義高

    滝井委員 法律はだてにあるんじゃないんですよ。医療機関の開放については、この前ちょっと八田君も指摘をしておりましたが、これは開放いたしたい、こうおっしゃっているわけです。そうして公的医療機関についての診療報酬というものはあなたの方の権限でできるのです。ところが今あなたの方は診療報酬については一言半句も発言をせられていないわけです。そして保険局の言うがままです。ここに日本医療一つの混迷を来たす原因があるわけです。今後は病院をお作りになり、適正な配置をおやりになったら、その病院が生きているような診療報酬をあなた方が主導権を持ってお作りにならなければいかぬと思うのです。ところが保険経済という立場からのみそれが作られておるところに問題があるわけです。そうすると、借りた金は保険経済の今のワクの中ではこれは返せませんよ。返そうとすれば、私が午前中に御指摘申し上げたように、労働の強化をやるか、悪い薬を使うか、施設の荒廃をそのままほっぽり出して持続をしていく以外には方法はない、こういうことなんです。だとすれば、適正な診療報酬を作る機関をお持ちになっているから、これで一つ御努力されるべきだと思うのですが、どうですか。その御意思はありますか。
  107. 川上六馬

    ○川上政府委員 私も滝井委員のおっしゃるように、保険経済から逆に医療費をきめていくという行き方よりも、やはり適正に病院運営していくには幾ら医療費が必要かという方向でものを考えるのが妥当だという考え方をいたしております。今度の医療制度調査会におきましても、医療機関はどうあるべきか、これに医療関係者をいかに配置すべきかを考え、それには医業経済をいかにすべきかという点等が検討されていくようになろうかと思います。大臣もけさほど医療行政を一元化の方向に進めたいと言っておられますが、今後は医務局としてはそういうことに努力をしていきたいというふうに思っております。
  108. 滝井義高

    滝井委員 医療法の三十二条は、第三章の公的医療機関の章の中にあるのです。しかし公的医療機関診療報酬が決定をされますと、これが民間医療機関診療報酬に連鎖反応を起こすことは明らかです。現在あなたの方は診療報酬については何らの関知もしていない。保険局で決定されたものを公的医療機関がもらってやる、こういうことになるわけです。従って、公的医療機関は少ない報酬しかもらわないから少ない給料しか払えない、こういう悪循環が起こっておるのです。従って医療機関というものがうまくやっていけないのだ。だから、午前中も指摘いたしましたけれども、都立の病院でも七つぐらい赤字ですよ。日本医療の一番大もと医師法、医療法でしょう。あるいは今度薬剤師の身分法ができれば、薬剤師法、歯科医師法となってくるわけですが、その一番大もとのあなたの方が診療報酬について一つも発言権がなくて、保険局の言うままであるところに問題があるのですから、この条章を活用して公正妥当な診療報酬をあなたの力がお出しになる、お出しになったらそれを参考にして今度は保険局がお出しになる、そしてお出しになったものをうまく保険経済にマッチさせ、あるいは医療機関が生々発展をしていく方向にもマッチさせて、そこで大臣が適当に決定をしていくことの方がいいのではないかと思うのですが、これは政治的になりますから、政務次官どうですか。今までの診療報酬の決定の仕方は——保険医療であろうと何であろうと、広義の診療報酬だと思うのです。そこで保険保険の立場から、中央社会保険医療協議会というところで決定をされるわけです。これは医務局長は関知しておりませんよ。医務局長はその委員ではない。あれは利害関係者だけが寄っておるのです。ところがその場合に、医師利益を代表する人は入っておるのだが、日本医療行政全体を高い立場からながめた場合に、日本医療機関というものは、どういうようなものであれば生きていけるのだという高い認識を持っている医務局長はちっとも関知していなくても、日本社会保険診療報酬が決定されるという——保険になればますますこの理論は当てはまることになるのです。一体今後の診療報酬の決定にあたって、この医療法医療審議会の条項というものをどういう工合に活用していく所存なのか、どういう工合に中央社会保険医療協議会と調整をはかっていくか、これを一つ説明を願いたいと思うのです。
  109. 川上六馬

    ○川上政府委員 御承知のように、現在医療審議会で医療報酬の問題を扱っていないわけです。今お話しの通り、中央社会保険医療協議会でこの問題を扱っているわけでありますが、しかし将来も、そうした問題というものは医療制度調査会で、診療報酬の立て方の問題であるとか、あるいは今のような現物給付という形でいくか、あるいは現金給付でいくか、いろいろなことが言われておるわけでありまして、そういうような医療報酬に対する基本的な問題というものはやはり調査会で扱っていった方がよかろう、一応限られた問題だけを中央社会保険医療協議会で扱っていくようになろうかと思っております。
  110. 滝井義高

    滝井委員 どうも川上さん少し認識が足りません。現在日本医療で、自由診療の部門というものはもう一割か二割しかないのです。これは東京都その他の五大都市で皆保険政策が三十六年の三月三十一日までにしかれてしまいますと、もう自由診療というものはほとんどなくなる。影をひそめる。そうなると日本における診療報酬というものは、中央社会保険医療協議会で決定をした診療報酬が全日本診療報酬といっていいくらいの状態になってしまうのです。そうすると、それを今度は医療制度調査会で何かおやりになるようなことをおっしゃるけれども、医療制度調査会は診療報酬をやるところではなくて、これは使命が三つあるということを大臣説明されておる。一つ病院診療所の機能の問題、第二番目は病院診療所医療機関の配置の問題、第三番目は病院診療所すなわち医療機関経営実態を綿密に把握をしていく、こういう問題を調査するのが医療制度調査会の使命でございますということを大臣説明されておる。診療報酬というものはそこでやるのじゃないのです。あるいは論議をされるかもしれぬけれども、それを決定する権限というものは中央社会保険医療協議会というものが主たるものになる。ところがあなたの方の医療審議会というものは法律に明らかに、調査審議することができると書いてある。今までこの医療法というものは、戦後医務局の力がずっと落ちてきたために、こういう医療法の条文というものが活用されていないのです。そうしてこの医療審議会の中に診療報酬を調査審議するというようなことがあることさえも実はみな気づいていなかったのです。だからこれはみな無視されてきておるわけです。その証拠に、この法律ができて以来医療審議会で診療報酬の問題を論議したことはないのです。それはこの条文は忘れられておるのです。だからこの忘れたものを思い起こして、この法律が昭和二十三年の七月三十日に法律二〇五号としてできたときの立法の精神を思い起こして、もう一ぺん一つ診療報酬の問題をあなた方が主導権を握って検討すべきだと思うのです。これはする権限があります。そうして日本の全医療の一環として、診療報酬の一環として社会保険診療報酬をどうしよう、公的医療機関診療報酬はどのくらいならよかろうということをお考えになってみたらいいと思うのです。現在国立病院は二割引くらいしておるのでしょう。二割引というのは、私は医療審議会にかけてやるべきだと思うのです。ところがそういう場合に深く論議されていないのですよ。だから私は、そういう点で、今後あなたの方が診療報酬に対する主導権を握るべきだと思う。これは結局、握るか握らぬかはあなた方と保険局の人間の力関係ですよ。政治力の問題もありましょう。しかしあなた方がそれについて非常に権威を持つかどうかという問題です。それをあなた方が勉強して、成立するかどうかという問題です。保険局の案よりもより科学的な案が医務局から出れば、国会医務局案をとることになるのですよ。どうでしょう政務次官、今後、借りた金は返さなければなりませんから、診療報酬については医務局は重大な関心を持たなければなりません。今後中央社会保険医療協議会その他が診療報酬を決定する場合には、医務局にも合議をしてやるような方向に御指導できますか。
  111. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 御趣旨のような方向に進んでいきたいと私も考えます。
  112. 滝井義高

    滝井委員 甲乙二表の一本化の問題が政治の舞台に登場しつつあります。やがてこの問題は、日本診療報酬というものが一本化される形において、必ず一つの変化を来たす要素をそれがはらんでおるわけです。その場合に医務局は緊褌一番やはり診療報酬の決定に参加することが今の政務次官の御答弁でできるようになったと私は一応確認をいたしておきます。どうぞ一つ努力をしていただきたいと思います。  そこでそういうようにあなた方が診療報酬の決定に参加できる形が出て参りますと、今度は借りた金を返す問題についても、今の保険経済のもとでうまくいくかいかぬか。いかないとすればどうすればいいかという具体的な問題が出てくると思うのです、  今度具体的な法案に入りますが、十九条で「公庫は、主務大臣の認可を受けて、金融機関に対し、その業務の一部を委託することができる。」ことになっておるわけです。この業務委託の金融機関の選定の基準、これを一つ説明願いたいと思います。
  113. 黒木利克

    黒木政府委員 お手元の参考資料の八十六ページに受託金融機関選定の基準という項がございますが、第一は「貸付対象者の便宜を考慮することは当然であるが、資金の効率化、事務簡素化等の見地から成る可く少数とする  こと。」第二に「県内の各地域に代理店が適正に配置され得るよう考慮すること。」第三に「都市銀行又は地方銀行のほか事業内容の堅実な医療信用協同組合等をも対象として考慮すること。」第四に「医療機関に対する従来の貸付実績をも或る程度考慮すること。」第五に「他の公庫等の代理者として業務実績の不良なものは排除すること。」以上のように大体考えております。
  114. 滝井義高

    滝井委員 これはきわめて抽象的に書いておりますので、私は実は具体的に聞きたいのですこれはこの前八田君にも御説明がありましたし、私もこれは読んで知っておりました。問題は、医師が一番金銭の授受をするのは、社会保険における診療報酬の支払いが行なわれる銀行、いわゆる保険医療機関が窓口を開いておる金融機関です。これをまず第一に指定すべきだと私は思うのです、そうすると、その指定の基準というものは、多分全国的に支店網を持っている銀行、それからその地域において地方的な有力な銀行、大体この二本立でやっていると思うのです。たとえば富士銀行なら富士銀行、三菱銀行なら三菱銀行、三井銀行なら三井銀行というような全国的に支店網を持っているのが一つ。それから地域的に申しますならば、たとえば福岡でいえば福岡銀行、千葉なら千葉銀行というようなことになりますか、その地域の地方経済と密接に結びついている、こういうような形のものですね。従って、支払い基金から金が振り込まれる銀行です。これは医者と直結しているわけです。そういう銀行を窓口にして金を借りるということになれば、これは貸す銀行の方も、いわゆる受託金融機関もその医師実態がよくわかるわけです。あの先生は一体毎月どの程度診療報酬の請求があるのかということが大体わかるわけです。そういうものが第一前提としてやっぱり出てこなければならぬのじゃないかと思う。それがここの二の「県内の各地域に代理店が適正に配置され得るよう考慮すること」ということになるのではないかと思いますが、むしろその受託金融機関の選定の基準として、社会保険診療報酬の支払い基金を取り扱っている銀行ということをきちんとお書きになる方がきわめてわかりやすいのではないかという気がするのですが、そういう点はどういうように御考慮されますか。
  115. 黒木利克

    黒木政府委員 この受託金融機関の決定は、十九条に書いてありますように、公庫の当事者が方針をきめまして主務大臣の認可を受けて決定をいたすことになっておりますから、主として公庫の当事者に権限があるわけでございます。公庫の当事者がきめる場合の一応の基準というようなものをここに五項目にわたって列記したのでございますが、お説のように社会保険診療報酬支払い基金を取り扱っている銀行も有力な候補になることに間違いないと思います。ただ、従来医療金融に対して相当な功績のあるものをもやはり対象にしてほしいというような要望もございまして、特に医療信用協同組合等につきましては、従来とも医療金融について相当な成績がありますために、それをも考慮するという見地からこのような選定の基準を作ったわけでございます。
  116. 滝井義高

    滝井委員 これは一つの提案になりますが、医療金融をやる場合の業務の受託金融機関というようなものの決定権は、新しくできる公庫の当事者がやることは、これは当然だと思いますけれども、やはりその当事者が仕事をする上における基準というものは、厚生省の医務当局がやはり今お読みになったような基準をお作りになって、それによって指定をしていくことになると思うのです。だから、やはりここにおけるあなた方の答弁、あなた方の考えというものは、将来における公庫の当事者が受託金融機関を決定する場合の重要な基準と申しますか参考意見になってくるわけでしょう。そういう意味で私は、やはり基金と契約のある医療機関というものは、指定することに欠くことのできない金融機関だと思うのです。そういう点だけは一つ御認識をしていただきたいと思うのです。  次は、厚生省はこういうことをお考えにならなかったかという点です。現在十億を一般会計から医療金融につぎ込んで、資金運用部から二十億の金を借りてくる、こういう形になっておるわけです。十億以上は利息のつく金です。そうするとこれをもう一歩考えて、現在の日本の総医療費はおそらく三十四年度は三千四、五百億になっておるのではないかと私は思うのです。社会医療がどの程度ありますか、二千七、八百億ぐらいあるかと思いますが、総医療費としては三千四、五百億ぐらいあるわけです。その中の少なくとも社会医療に当たる分だけは基金を通じて、ある銀行の窓口を通じて医者に支払われるわけです。そうすると、たぶん東京だけでも二百億ぐらいの金が一年に支払われるのじゃないかと思います。そうするとその一割が貯金されたとしたら二十億、三菱銀行なら三菱銀行に、あるいは三井銀行か富士銀行か知りませんが、もしこれが基金の窓口だとするならば、それに落ちるわけです。そこで、これはお医者の金ですから、医療機関の金ですから、何も銀行の窓口を通す必要はない。この基金から医療金融公庫の窓口を通して医者に払う処置を講じたらいい。そうすると預金業務と申しますか、それを同時にやるわけです。医療金融公庫が預金の業務を取り扱っていく。そうしますと、今度は適切な専門家を置きまして、国債とかあるいは信託とか有力な株に金を投資しておくわけです。そうしますとその利回りはもっと高くなる。たとえば国家公務員の共済組合あたりがやっておることと同じことを医療金融公庫がおやりになるわけです。これは医者の金であります。そうしますと、何もよその金を借りなくとも、年間三千億の金が動くのですから——とにかく財政の、金融もとを握ればこれは一番強くなるのですね。あなた方が今大蔵省に頭を下げる、政府に頭を下げなければその金がこないところに医務当局の弱さがあると思うのです。ところが、医者に払う金を医療金融公庫に通してもらうだけで、そこに一割の貯金が落ちても、三百億の貯金が落ちるのです。これをお考えになる必要がある。他人のふんどしで相撲を取るよりか、みずからの金で医療行政をやっていこうというお考えですね。そうして、窓口は何も金融機関を使う必要はない。全国の医師信用組合というものが今各医師会にできつつある。ところが、これを知事の許可になっているがなかなか許可しない。これにある程度信用をつけるかして、順次、金融機関からその医師信用組合と申しますか、そういうものに移していって、そこを窓口にして金を貸す。これは今の中にもありますが、医療信用協同組合等をも対象とする、これなんです。ここに金を結局預けさせる形になって、そしてそれが上にもう一回再預金と申しますか、そういう形で、医療金融公庫に金を預けさせておく。そうしますと、一般会計から金を出してもらうこともないし、運用部から金を借りる必要もなくなる。そうして、医療機関があなた方がおっしゃるように公共性ができてくるということになれば、今後国民年金の積立金が出てくるのです。これはもうすぐに何百億という金が出てきます、支払いはすぐ起こりませんからね。そうして、厚生年金の還元融資も出てくる。そうなると多々ますます弁ずるわけです。この金の一部を公庫につぎ込んでもらってきたらいい。それはなぜかといえば、医療が公共性を持ってくれば労働者のために、国民健康保険のために活躍をするのですから。この点が今全部銀行にとられている。こういう点をもう少し金融の専門家を置いてお考えになる必要がある。実は、私は専門員室の方にそれをお尋ねしたけれども、専門員室の方ではそれはできませんということでしたけれども、私はできないはずはない、できると思う。それは農林中金が形は違うけれどもおやりになっている。米の支払い代金を集める、それもそれぞれの組合が団体で加入する形で集めてくる。そして肥料を買うときにはそのお金を貸す、馬や牛を買うときにはそのお金を貸すということで、安い金利で金を貸しているわけです。だから、これは全国の医師の、いわゆる医療担当者の貯金がどのくらいあるか知りませんけれども、私は相当あると見ております。医療関係者の預貯金というもの、あるいは株に投資している金、信託に投資している金というものは相当あるだろうと思うのです。そういうものが、とにかく総医療費の一割落ちただけでも、年間三百億あるのですから、一割くらいの金はうまくすれば一応預金として私は集め得ると思います。一割金が集まれば、あなた方は十カ年計画で実質的には五百五十億そこそこでしょうが、ここらあたりは御検討になったことがあるかないかということです。これでいわゆる保険の方の社会医療と医務行政とががっちりと結びつく道が、金融機関を通じて開けてくるのです。これをやはり医務局がお考えになって——医務局は今経済を握っていないところに医務局の弱さがあるのです。経済を握れば医務局の地位というものはぐっと上がる。今保険局が強いのは、保険局が経済を握っておるからです。だから経済を握れば医療機関を握ることができる。医療機関を握ることができることは、医療行政を左右することを意味するのです。だからあなた方の行政はもぬけのからになって、保険局がみな握っておるというのが今の実情です。それは日本保険行政、医療行政からいったら、よこしまな道、邪道ですよ。これを本来の正道に返そうとするならば、ここらあたりで金融のために医師自身の金を預かって有効に使う。医師には普通の銀行の六分か六分五厘の利子を払う、そして同時にその利ざやで、医療金融公庫というものの運営をやっていく、そしてそのお金医師にも貸す、こういう方法で私は頭をしぼらなければうそだという感じがするのです。今は銀行がもうけております。だからわれ先にと、どの銀行もみんな基金の指定銀行になるために、それは大へんですよ。どうですか、この点は。そういう見解について、磯江さんの方の銀行局の見解もあわせて聞きたいと思うのです。
  117. 黒木利克

    黒木政府委員 御意見も確かに一理あると思いますが、実はそこまでは考えつきませんでしたが、ただ基金をして貸付なり徴収の義務を代行してもらうということは一応考えまして、交渉してみたのでありますが、基金法の改正を必要としますので、そこまではまだ踏み切れないということで、今回は結論が出なかったのでありますが、将来は十分に検討してみたいと思います。ただそういうような余裕金がはたして使えるかどうかというような疑問は当時からあったのでございますが、その辺はまだ検討がよくついていないのであります。
  118. 磯江重泰

    ○磯江説明員 ただいま滝井委員の御示唆なさった構想でございますが、これにつきましては私どもまだそのようなことは考えたことはないわけでございますが、われわれの考えといたしましては、結局は金融公庫というような政府関係の金融機関を作ります趣旨から申しまして、これは民間金融機関ではなかなか金融が行なわれにくい、資金の量であるとか、あるいは条件であるとか、そういった点におきまして、そういうものにつきまして政府資金をもって補完する、こういう建前から、金融公庫という政府金融機関を作っておるわけでございます。これはそのほか各種の金融機関、銀行という名前のついたものもございますが、これらを通じまして、大体同じような見解に立っておるわけであります。  そこでただいまのお話の点は、民間の資金、医療公庫の場合で申しますと医療関係者の預金、こういうものを公庫原資として利用したらいいじゃないか、こういうことが考えられるがというお話で、これは一つのアイデアではあるわけでございますが、われわれといたしましては、民間資金を利用するということは、やはり民間金融機関にやっていただき、政府といたしましては、民間金融機関がやれない分野あるいは条件等で融資しにくいものにつきまして、財政資金でやるという建前でございまして、これはまず質の面から申しますと、なかなか金融ベースに乗りがたい、リスクが多いということがございましょう。それから金利とか条件等が、市中の金利だと高い、あるいは期間が短い、それでなかなかやりにくいというものがございましょう。そういうものにつきましては、やはり民間の資金を利用いたしますのでは、資金コストがかかるわけでございます。それから期間等につきましても、必ずしも所期の目的を達成できないというような点もございまして、現在ではほとんど政府資金のほかは運用部資金であるとかあるいは他の資金等でございますが、こういった資金を利用いたしましてやっておるわけでございます。それで医療金融公庫につきましても、そもそもこれを作るということの趣旨が、やはり低利で長期の資金を私的医療機関融資するというところに趣意があるわけでございますから、このような資金、ことに金利が六分五厘が基準ということになりますと、市中に比べますと非常に低利になるわけでございまして、こういった融資を行ないますのに民間金融機関が預金として集めた金、あるいは民間でなくても今のお話しのように公庫が何らかの窓口を使って集めるというような金、いずれにいたしましてもこれは民間からとる預金並みのコストはかかるわけでございますし、また預金を集めるということになりますと相当の手数料その他の経費がかかるわけでございますから、コストはやはり高くなります。こういったコストの高い金を低利に運用するということになりますと、どうしても政府出資がよけい必要になるということでございますので、政府といたしましてはできるだけコストの低い財政資金を使って、そうしてそれに政府出資をあわせまして、そういった政府機関の本来の目的といたしまする、市中金融ではやれないという金融をやっていく、こういう基本的な考え方に立っておるわけでございます。
  119. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今の磯江さんの御説明は、午前中われわれが医務局とやり合った点とだいぶ違ってきたわけです。と申しますのは、医療金融公庫というものは民間金融機関で行なわれがたいものに対して補完的にやるんだ、こういうことです。そうしますと、私が午前中に御指摘申し上げました一条の「一般金融機関融通することを困難とするものを融通する」んだ、こういうことの意味が主たる目的になってしまうわけですね。そうですか。医務局説明はそうじゃないんです。大蔵省の説明と違うのです。補完的なものだというならば、コマーシャルベースに乗るというものが医療機関の中でまず優先していくわけです。そうしてコマーシャルベースに乗り得ない、非常にこれは収入も少ない、危険だぞというものについてのみ、医療金融公庫融資をしていこう、こういうのが大蔵省の考え方なんですね、補完的なものだから。そうすると、午前中のあなた方の説明とは違ってくるのです。私は現在の実績として見ると、いわゆる私的医療機関というものは百二十億くらいのお金を一年に借りるんだ、その中の約六十億というものは市中銀行から借りている、あとの六十億程度のものが、これは中小企業金融公庫とか国民金融公庫とかその他低利のところから借りている、こういうことです。ところがこの国民金融公庫やあるいは中小企業金融公庫では、なかなか優先的に医師に貸すということにはいかないのだから工合が悪い。しかも怒濤のごとく公的医療機関は進出してくるから、これを何とかしなければいかぬというので、低利、長期のしかも医療を普及向上せしめるためにこの金融公庫ができたんじゃ、こういうことの御説明があった。一条にはこういうことを書いておりますが、この目的からいくと今大蔵省のようなことになるのかどうですかというのが、私の質問だったわけです。ところがあなた方はそれを御指摘になったから、そうするとこの一条に書いております「一般金融機関融通することを困難とするもの」というのはまくら言葉ですか、花言葉ですか、こういう私は御質問をしたら、大体そういうことになっておったわけなんですな。ところが今の御説明では補完的なものだ、そうすると今まで市中銀行から借りておった六十億というものは、依然として借りることになるわけです。そうしてそれらの網の目にひっかからない、漏れるものだけがこちらの金融公庫にくる、こういう形にならざるを得ないんですね。大蔵省、そうですね。
  120. 磯江重泰

    ○磯江説明員 市中金融機関との関係におきましては、もちろんコマーシャルベースから市中金融対象になりますものは、そちらで融資が行なわれることは当然でございます。それから市中金融機関融通することを困難とするものに対しまして本公庫融資する、こういうことです。
  121. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、これはだいぶん違ってきたわけです。融資対象が非常に限定されてきたわけです。私は、初めの説明の了承は、どの金融機関でも——今高い金利で市中金融機関で借りているから、それらのものはこの公庫に行き得るという認識を持っておったわけです。ところが今の説明では、全く一条のまくら言葉だと思ったものが、やはり目的の主たるものだということになったのです。これは大蔵省の認識とあなたの方の認識とは違  いますよ。だから、あなた方の御説明するような状態ならば、「一般金融機関融通することを困難とするもの」というものを削って下さいということを私は言ったはずです。これは政務次官どうですか、だいぶん説明が違ってきたんですが、大蔵省のような工合に御了承なさったのですか、それとも医務局のように、どんな医療機関でも貸すということになっておるのですか。これは運営の上でずいぶん違うんですよ。それはコマーシャルベースに乗ると銀行で見たら、医療公庫はだめです、私の銀行の金を貸します、こういうことになるんですからね。これは業務方法書を書く場合に一番大事なところですから——貸付の基準というところに今から入っていきますが、業務方法書における一番大事なところですよ。局長さんの御答弁はわかったから、やはり政務次官の政治的な答弁をしてもらわなければいかぬと思うのです。これは大蔵省とあなた方の方とそんなに違うのじゃ困るのです。
  122. 黒木利克

    黒木政府委員 この一条の「融通することを困難とするものを」というのは、困難とする施設——病院とか診療所という意味でなしに、困難とする資金という意味でございますから、そこに何か誤解がおありになるんじゃないでしょうか。
  123. 滝井義高

    滝井委員 「一般金融機関融通することを困難とするものを」というのは、たとえば一般金融機関はコンクリートの建物には融通しないんだ、その場合には金融公庫がやりますぞ、こういう意味でしょう。ただ物を指定するかしないかで、それは同じことなんですよ。それだって、コンクリートのものだって、その医療機関が動き出してコマーシャルベースに乗ると思えば市中銀行で貸すのですよ。そうでしょう。乗らぬと思えば貸さない。だから乗らぬものだけにお貸しになるのか、こういうことなんです。乗るものだって乗らないものだってお貸しになるという意味に僕はとったのです。ところが磯江さんの方は、コマーシャルベースに乗るものは銀行に行ってもらいましょう、そうでないものには貸しますということになると、医務局の意見と違うのですね。今度銀行局が、コマーシャルベースに乗るような医療機関にはこの金は貸してはいかぬぞというので、実態調査して監督指導をやり出したらどうにもならぬ。これは銀行も安い手数料をもらって貸すよりか、九分三厘とか一割の利子をとった方が、商売ですからもうかりますからね。
  124. 黒木利克

    黒木政府委員 私の方では病院診療所が皆保険下に、だんだんコマーシャルベースに乗らなくなった、そういう前提でこういう公庫の必要を痛感したわけでございまして、その前提が問題だと思うのでありますが、大蔵省の言われるのも、一般市中銀行が貸せるようなものに、あるいは一般市中銀行融資で事足るというような前提なら、医療金融公庫の必要はこれは認めないわけなのでありますから、やはり前提として皆保険下に、だんだん病院診療所一般市中銀行から金を借りて運営をしていくような状態でなくなった、こういう前提で私たち問題を考えているのでございます。
  125. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、大蔵省の磯江さんの方の認識もそれでいいですか。日本医療機関、あるいは大体皆保険政策の遂行によって全般的にコマーシャルベースに乗らなくなったのだ、従って医療機関というものは、ほとんど全部が、特別なもの以外には、医療金融公庫の貸付の対象になるのだ、こう理解して差しつかえありませんか。
  126. 磯江重泰

    ○磯江説明員 実は医療金融公庫設立問題に関しまして、厚生省の御意見といたしまして、ただいま厚生当局から御答弁になったような御意見を大蔵省としては伺ったことはございます。ただ大蔵省といたしましては、今の国民保険制度等の関連におきまして、私的医療機関というものは、やはり一般的に申しまして低利の資金を持っていかないと立ち行かないものであるのだ、そういう厚生省の御主張を、理屈の上では、なるほどそうかなという意味においては伺っております。ただ実際問題としてすべての私的医療機関が立ち行かないかどうかの点はまた別でございます。従いまして個々の金融機関が個々のお医者さんあるいは医療機関につきまして、これはこれだけの金利で金を貸しても大丈夫だという判断をして貸すということはあり得ると思うのでありますけれども、全部が全部公庫で、財政資金でまかなわなければやっていけないものだというふうには、大蔵省としては実際問題として考えてはおりません。
  127. 滝井義高

    滝井委員 抽象的には厚生省の言うことを認めるが、実際的にはそうはいかないのだ、こういうことになるわけです。そうしますと問題は、一体医療金融公庫対象になる医療機関とはいかなる実態のものが貸付の対象になるかということが問題になってくるわけです。
  128. 黒木利克

    黒木政府委員 これはこの参考資料の七十六ページに貸付対象の範囲が書いてございますが、一から九までの施設なり業種なりを必要な資金の貸付の対象にいたしておるわけでございます。ただこの場合に、一般市中銀行から借りても採算がとれるというものがかりにあるとするならば、その優先順位はあとになると思いますが、しかし厚生省考えとしては、皆保険下におきましては、私的医療機関公的医療機関と同じような使命と性格をだんだん持たされておりますので、大多数の医療機関市中銀行から金を借りて、それを償却を見ながら運営をしていくということは、やはりなかなか困難であるというような判断をしているのでございます。
  129. 滝井義高

    滝井委員 ここに書いている対象の範囲というのは、一般的な抽象的な規定なんです。それならば、一の病院診療所の普及が必要な地区だったら、うんと現在もうかっている、その病院を拡張するというときでも貸付の対象にしてくれるわけですか。うんと利潤を上げているのだ、貯金も何百万円と銀行に預けておるのだというもの、銀行から借りるよりも金融公庫から借りた方が安いのだというようなものに貸してくれるかどうかということです。
  130. 黒木利克

    黒木政府委員 この貸付対象の範囲には一応前提がございまして、やはり社会保険の診療を取り扱っておる病院診療所に限定をいたしております。これは滝井委員の御質問にもありましたように、一応医療機関が金を借りた場合に、どのくらいの患者があり、どのくらいの収入があれば返せるかという試算をお目にかけましたが、あれでもおわかりになりますように、平均的に見ますと、財政的にも一般市中銀行から借りて返せるような余裕がないというような資料がございましたように、大多数の病院診療所、特に社会保険診療を取り扱っておる医療機関につきましては、貸付の対象に大多数がなるのではないかというふうに考えております。
  131. 滝井義高

    滝井委員 私は当然、今の日本医療機関で社会保険を取り扱っていないというものは例外中の例外だと思うのです。皆保険下になったのですから、ほとんど取り扱っておると思うのです。そうしますと、ここに貸付対象の範囲というのがあるのはわかるのです。しかし、これはきわめて抽象的にお書きなっておって、じゃ一体いかなる経済的な力のものに貸し付け、いかなる力のものに貸し付けないのかということは、これではわからないわけです。それを尋ねておるのです。これが一番大事な点じゃないでしょうか。そういうものさしが引けないとするならば、どの医療機関でも貸し付けるという理論になってくるわけです。どの医療機関でも申し出たものには、そこにワクがありさえすれば貸し付けるということになるのじゃないでしょうか。
  132. 黒木利克

    黒木政府委員 先ほども申しましたように、社会保険を取り扱っておる病院診療所ならほとんど全部がその対象になるという建前でこれを考えております。
  133. 滝井義高

    滝井委員 これは非常に重要な基準ですね。社会保険を取り扱っておる病院診療所ならば大体貸し付けるのだ、しかもその貸付の具体的な基準に加えるに、ここに書いておりますような一項から九項までのどれかの範囲ならばいいのだ、こういうことになるのですね。大蔵省、これで差しつかえありませんね。社会保険を取り扱っておる日本医療機関ならばどれでも一応医療金融公庫の貸付の対象になる。
  134. 磯江重泰

    ○磯江説明員 社会保険を取り扱っておる医療機関ならすべて貸付の対象になり得るということかどうかという点でございますが、実際に融資いたすにあたりましては、やはり医療行政という見地から、そういった医療機関の適正な整備なり配置なりという観点が当然入ってくるのじゃないかと私ども考えておるわけであります。従いまして、医療施設なり、医療機関というものがすでに整備されておるようなところにつきまして、それが社会保険を取り扱っておるからといって、さらに増設するというような資金をこの公庫融資するということは必要なかろうというふうに考えておりますので、その点、御質問の点と多少感じが違うかと思いますが、そういうことでございます。
  135. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、もう一つ大蔵省から条件がついてきたわけですね。貸付というものは社会保険を担当しておるということ、しかもその地域に非常に医療機関が集中しておる、偏在をしておるというものについては、設立整備、運転資金というようなものは貸さないのだ、こういうことになったわけでしょう。
  136. 黒木利克

    黒木政府委員 これは先ほど申しましたように、貸付の対象の範囲に「病院及び診療所の普及が必要な地区における病院診療所の新設又は増床に必要な資金」とございまして、病院診療所が過剰な地区における新設なり増床につきましての必要な資金は対象にいたさないのでありますが、体質改善と申しますか、その整備費等については対象にいたすのであります。
  137. 滝井義高

    滝井委員 だから私は一項から九項までの範囲のものだと言っておるわけです。何も新しく作るものじゃなくて、設立整備、運転資金とわざわざ言っておる。整備の中には、さいぜんあなた方から御説明いただいたように、それは修理費までも含むのだ、増築、改築、修理も含むのだ、こういうことだった。ところが、今のような大蔵省のお話でありますと、密集しておるところでは修理費も貸さないということになる。
  138. 黒木利克

    黒木政府委員 いや、それは誤解です。
  139. 滝井義高

    滝井委員 それでは磯江さんの方の説明ではどうですか。ここらあたり大蔵省の見解とあなたの方の見解とはっきりしておかぬと、借りる方になったら、いよいよ業務が始まったときに必ず問題になる。貸付対象の範囲でどういうことがあるかというと、「既存の重要医療機械で耐用年数に達した老朽機械器具の更新に必要な資金」ということがある。これは医療機関が密集しておろうが、おらなかろうが貸すということを答弁されておるしあなたの方はそれでいいですか。
  140. 磯江重泰

    ○磯江説明員 先ほど私の答弁で申し上げましたのは、病院なり診療所を新設する、あるいは病床をふやすとか、増床でございますね、そういった意味の資金に限定したような意味で申し上げたのでございます。たとえば、今御指摘になりました、ような、すでに耐用年数に達して古くなった、それを新しい機械に入れかえて、その結果医療内容の向上をはかるのだというようなものにつきましては、既存診療所病院等におきましてももちろん対象にすることは差しつかえないわけでございます。
  141. 滝井義高

    滝井委員 それでわかりました。そうすると、はっきりしたのは、社会保険を担当しておるということと、それからいわゆる適正な配置、すなわち新設の場合においては、医療機関が非常に立て込んでおるようなところには貸さないことがあり得る、それから既存病院診療所における増改築なり設備の更新については貸す、こういうことです。それでけっこうだと思います。  次は業務方法書の問題で、今貸付の対象は七十六ページの一から九までの新設、増改築それから設備更新というようなものがずっと出てきたわけです。それから償還の期間についても、この前は耐火建築が二十年で、木造が十五年というようなものが出てきたわけです。それから据置期間は五年間というのがこの前説明いただきましたね。貸付金額ですが、貸付金額というのは、申し出た額の八割なら八割を貸すということだったのですが、一応ここに貸付の条件をいろいろお書きになっておるわけです。しかし、必ずしもこの条件の通りにはなかなかいかないと思うのです。いろいろバラエティに富んでおる。たとえば住宅と診療所一緒にしたものを建てるというような場合も出てくるわけです。一体三十億のこのお金を貸す場合の、もっとしろうわかりのするような貸付の限度額と申しますか、たとえば今までは災害のときには医療機関については百万円とか百五十万円と、こうきめましたね。何かそういうようなものを一応お出しになって、そして特殊のものについては、たとえば百五十万が一応限度だが、特殊なこういうことをやるものについてはそれについて二十万円ふやすとか三十万円ふやすとか五十万円ふやすとか、こういうランクをおつけになったらどうですか。一応わかりやすく、まず普通のものには二百万なら二百万貸します。それから上はこういうようにランクがつきますよ。たとえば耐火建築、木造、鉄筋、こういうように何かランクをおつけになる方がわかりやすいと思うのですが、何はそういう御説明はできませんか。
  142. 黒木利克

    黒木政府委員 この貸付条件は、公庫ができましてから公庫できしめまして、主務大臣の認可を得なければなりません。そこで現在の段階では、具体的な内容についてまだ大蔵省とも話し合いは進んでおりませんが、ただこの貸付対象の規模と申しますか、あるいは貸付の限度の考え方といたしましては、金額で各業種別に表示する方法と、この七十七ページにございますように、一応各業種別にその規模、つまり坪数とかあるいは坪当たりの単価とかいうようなものをきめるというやり方があるのでございますが、いずれにいたしましても、実際の需要度を見た上でないと見当がつきませんが、一応各業種別に、たとえば病院の新設の場合は一床当たり六・五坪というものを限度とする。坪当たりの単価は北海道とその他の地区に分けまして、これも耐火建築なり木造あるいはブロック等に分けて単価を出しておるのでありますが、総坪数もここではあえて書いておりませんが、大体三十床くらいを一応の限度といたしますと、これで金額的にも最高の限度額というものが出るわけでございます。ただ全体の資金の量が少ないものでございますから、一応こういうような病院の規模等の限度につきましても具体的にまだきめかねるという実情でございまして、これは公庫が成立いたしまして、その当事者と慎重に検討してみたいと思います。ただここに書いてあります程度のものは一応頭に置いて、問題はこの最高の坪数を各業種別にどのくらいに限るかという問題だけが残っておるのでありますが、特に病院につきましては、今申しましたような全体の資金の量との関係で、一応三十坪くらいを限度にせざるを得ないのではなかろうか。それから診療所の場合には、一応有床の場合は五床まで、一診療所当たりが五十坪を限度とする、無床の場合は一診療所当たり三十五坪を限度とする、こういうことで病院診療所については最高の限度坪数と単価を表示したのでございます。なお医療器械等につきましては、こういうようなきめ方ができませんので、一応一品目が五万円以上で百万円を限度として診療所には融資をする、それから病院等の場合につきましては一品目が十万円以上で大体五百万円を限度とするというようなことで、一応の試案は厚生省では作っておるのでありますが、これは単なる試案でございまして、まだ大蔵省との話し合いもついていないのでございます。
  143. 滝井義高

    滝井委員 そうですか。僕は大蔵省と話はついているものだと思って、あまり深く聞きもしなかったのですが、そうしますと、たとえば無床診療所で三十五坪までだ、しかしその一坪幾らかということは、一坪の基準単価というものはきめてないわけですよ。
  144. 黒木利克

    黒木政府委員 あるのです。
  145. 滝井義高

    滝井委員 別に定める基準ということは……。
  146. 黒木利克

    黒木政府委員 八十五ページ、病院診療所薬局の標準建設費というのがございます。
  147. 滝井義高

    滝井委員 こういうのも地域によってずいぶん違ってくると思うのです。ここで暖房を入れるとか入れないとかで六千円引くとか引かないということを書いてございますけれども、地域によっても違ってくるということになりますから、むしろ坪数よりか、その額できめておった方がいいのじゃないですか。たとえば六万円なら六万円として百八十万円なら百八十万円だということになれば、百八十万円借りて、そのワクの中で、建物を少し悪くしようとすれば四十坪のものができる、こういうことになるわけです。だからむしろ何かそういうことの方が、今までの災害の限度額のきめ方みたいなのがいいような感じがするのですがね。これは大蔵省と御相談をされていなければ、まだ未決定でしょうから、十分そういう点を大蔵省と御相談をされて、それぞれ地方の実情に合うような、やはりあまりこまかい規則まできめられて、坪幾らでしなければいかぬのだ、しかもそれは三十五坪までだ、こういうことになりますと、借りた人は動きがとれないのですね。それで自分は、自分のうちには材木もあるから、金を借りたら、その金でもうちっとここらあたりはこういうようによくしようという、重点的によくするところもあるかもしれないのですよ。あまりこまかいところまで干渉せずに、やはり大まかな金額をきめて、そして大体坪当たりこのくらいのものでやってもらいたいというくらいのところにする方がいいのじゃないかという感じもします。これは非常にこまかいことですから、十分大蔵省と相談をしてやっていただきたいと思うのです。  その場合に、今度はその借りたお金償還の方法ですね。これはどういうことになるのですか。
  148. 黒木利克

    黒木政府委員 償還期限の問題も、各業種別にきめなくてはなりませんが、まだこの点も大蔵省との話し合いがついておりません。ただ厚生省といたしましては、原案といたしまして、病院は新設の資金の場合は償還期限二十年以内、但し木造については十五年以内、増改築の場合につきましては償還期限が十五年以内、木造は十年以内、機械器具等につきましては五年以内、運転資金は三年以内、大体の厚生省の案というのはこういうようなことでございますが、病院につきましては以上のようで、診療所につきましては、新設資金は十五年以内、木造の場合は十年以内、増改築資金は償還期限十年以内、木造については八年以内、機械器具等につきましては五年以内、長期運転資金は同様に三年以内でございます。
  149. 滝井義高

    滝井委員 磯江さん、どうでしょうか。今の償還方法は大蔵省と相談をしていないということですが、この法案を通すにあたって、こまかい貸付の限度額その他は厚生省でここにいろいろこまかく書いてございますから、かけ算をすれば百四、五十万円くらいは無床には貸すことになるわけです。大ざっぱなそういうところと、今の償還方法で、あなたの方はのめますかしら。
  150. 磯江重泰

    ○磯江説明員 実は具体的な償還の期限でございますとか据置期間等につきましては、厚生省としての細部的なと申しますか、具体的な案としてまだ相談を受けていないわけでございますが、現在たとえば中小企業金融公庫等の融資について見ますと、貸付の期間は原則として五年以内ということになっております。災害等の場合には若干これを延長していることがございますが、原則としては五年以内ということは御承知の通りだと思います。そこで医療金融公庫につきましては、医療機関の特殊性、ことにこの公風の目的等から、長期低利の資金を融資するというような点から申しましても、一般の中小企業に対する融資の場合に比べまして、これは資金の使途にもよるかと思いますが、病院建設資金等の設備資金につきましては、一般の中小企業の場合よりも長期に考えざるを得ないのではないかという気持もいたします。具体的に何年にするかという点につきましては、なお私どもといたしましても、成案を持っておりません。
  151. 滝井義高

    滝井委員 それはどうも私大へんなことだと思うのです。与党の諸君、こういう状態ではとてもこの法案を通すわけにいかぬですよ。一番大事な業務方法書の二十条というのは、この法案の眼だと思っているのです。その眼に当たる据置期間とか貸付限度額とか、償還の方法というものが大蔵省とまとまっておらぬということ、これは大へんなことだと思うのです。   そこでこれは委員長にお願いいたします。この医療金融公庫法案参考資料の九十二ページ、九十三ページにお書きになっているような工合に、医療金融公庫の貸付条件、金融機関に対する業務の委託、こういうものを一表にして、この法律が通るまでにまとめて出してもらいたいと思うのです。こまかいことはけっこうでありますが、たとえば耐火建築におきましては何年以内に償還をする。それから簡易耐火なら幾ら、木造なら幾ら以内という工合に、こまかく何年々々とやらなくてもいいです。それから償還の据置期間は五年なら五年据え置く。今言ったような、二十年というようなことは磯江さんの方の答弁では了承しておらぬ。中小企業金融公庫が五年以内である。しかも災害その他が若干延長するくらいだという答弁ですから、とてもあなたたちの言うように、十五年、二十年ということが出るかどうかは疑問ですよ。だからこれは一つ厚生大臣と大蔵大臣の政治的折衝によって、ここに出ている表くらいの概要はこの法案が通るまでに出していただきたいと思うのですが、どうですか。
  152. 永山忠則

    永山委員長 政府を督励いたします。
  153. 黒木利克

    黒木政府委員 従来の既存公庫の先例で申しますと、公庫が成立してから公庫の当事者がいろいろ案を作りまして、主務大臣の認可を受けるという建前になっているそうでございまして、公庫ができてから詳細なこういう問題はきめるという慣例になっておるそうでございます。なお厚生省の方は公的医療機関融資条件、特に償還期限等につきましては、公的医療機関と同じような、それに準ずるような取り扱いをしたいということで折衝する腹がまえでおるのでありますから、従ってこの原案も公的医療機関に準ずるような条件になっております。
  154. 滝井義高

    滝井委員 厚生省公的医療機関に準ずるようにしたいとおっしゃっても、大蔵省の銀行局がそうはいかぬとおっしゃればそれまでですから、これは両者が合意して、意見が合致しなければできないことなのです。銀行局の方が監督官庁ですから、できないでしょう。これは業務方法書は厚生大臣だけでいいのですか。大蔵大臣が監督するのでしょう。そうしますと、ますます大蔵省の意向というものをはっきりさせなければならぬ。公庫が発足してしまってから変な条件が出て、法律は通したわ、出てきた条件は悪い条件だなんということでは大へんなことです。だから法律が通るまでに、こまかいところはいいと思いますが、しかしこの利率、償還期限、据置期間、貸付金額の限度、償還の方法、担保に関する事項の概要を少なくともこの表くらいには出せぬことはないと思うのです。これは公庫ができてその理事者が決定をされるというけれども、これは政治的に決定してちっとも差しつかえない。これは政治的に出てきた法案ですから、大蔵大臣と厚生大臣がこれでいくんだということを閣議決定されたらその通りいくのです。公庫理事長なんていうのはみんな大臣が任命するのですから、その意向にかなうような者を任命したらいい。少し強引ですが、当然私は出してもらわなければならぬと思うのです。政務次官どうですか、当然出してもらわなければ困ると思うのですよ。この前八田君なんか説明を聞いて黙っておるから、閣議決定できまって出てきたんだなと思ったが、医務局の試案では話にならぬですよ。政務次官は責任を持って大蔵大臣とお話しになって、これはあさって通すというのですから、あさっての午前中までに、細目はいいが、ここに出ている程度の概要はこの委員会に出してもらいたいと思うのです。
  155. 磯江重泰

    ○磯江説明員 先ほど私が答弁いたしましたことで、銀行局が非常に渋い感じのようにお受け取りになっておられるようでございますが、実は私は、厚生省の方からも申しておられますように、医療金融公庫といえども一つ金融機関でございますから、融資の場合の具体的な条件につきましては、金融機関が自主的にきめ得る建前を尊重するということを銀行局としては申しておるわけであります。もちろんこれは主務大臣の認可を業務方法書から受けなければならないことでございまして、設立までの過程ないしは設立後両主務省とそれから公庫の当事者との間に思想統一をして、政府設立趣旨に合致したように条件を持っていくことは当然でございます。しからば具体的にどうなるかという点につきましては、私はその点がまだきまっていないという意味で申し上げたのでございます。気持といたしましては、中小企業の場合なんかより当然長くなるんだ。資金の中にも運転資金でございますとか、それから設備資金の中でも修理のために必要な資金でございますとか、資金の使途が多種多様にわたっておりますので、それらを通じて全般的に期限は何年だというふうには申し上げられませんが、たとえば公的な医療機関につきまして政府資金をもって融資を行なっておりますから、その場合の条件等ももちろん一つの参考となるわけでございます。しかし同じ医療行政という立場から、私的医療機関公的医療機関について、両方とも同じようにうまくやっていけるようにというようなことはもちろん考えなければならぬ点だと思いますので、そういった趣旨をも考慮に入れまして、その辺の著しい不均衡のないように処理をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  156. 滝井義高

    滝井委員 不均衡のないように処理することはけっこうでございます。この貸付条件というものは今聞いたところではきまってないわけでありますから、耐火建築ならば二十年以内ならば二十年以内だ、このくらいの線は示してもらわなければならぬ。法案の一番の眼なんです。業務方法書の内容も何もわからないで、利率はこうでございます、償還期限はこうでございますと説明するが、それはまだきまっておらぬという説明では、法案を通すときには納得できない。だから少なくとも大蔵省と厚生省の意見一致を見て、二十年以内にします、十五年になるかもしれぬが、最高は二十年くらいだ、こういう答弁をもらわないと、この法案を何のために審議しておるかわからない。これは無理なことじゃない。今まで炭鉱の事業整備団の法律をやるときも詳しく内容を聞いておる。できてしまってから答弁とは違ったようなことを言って、大蔵省が言うこと聞きませんでしたからやむを得ないというのでは、泣いても泣き切れません。事務的な答弁はけっこうですが、政治的にどうですか、政務次官、大蔵大臣と協議の上、これがあさって通るとすれば、あさってまでお出しいただけますか。このくらいのものは出すことは当然ですよ。
  157. 黒木利克

  158. 滝井義高

    滝井委員 それなら、できるかでぎぬかだけでいいのです。できないというなら、僕らできるまで待ちますから……。それができなければ幾ら法案を通したって動かないのだから、きまるまで待って、きまったらすぐ通したらいいのです。これなら天下に、厚生省と大蔵省が話がまとまらないからわれわれは待っておるのです、それができましたらすぐ通しますよということですよ。
  159. 黒木利克

    黒木政府委員 これは一独立の金融機関でありますから、あまりこちらでワクをきめてしまって、金融公庫に独自性のないようなことでも困るものですから……。
  160. 滝井義高

    滝井委員 全部主務大臣が監督するんじゃないの。許可するんじゃないの。大蔵大臣とあなたの方が主務大臣でしょう。
  161. 黒木利克

    黒木政府委員 ただ全体として、どう公平に能率的に運営していったらいいかという、やはり金融機関として独自的な考えもあることと思いますから、そういう点は主務省としてもやはりある程度独立の金融機関としての方向にまかせたいというのが本筋だと思います。
  162. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今まであなた方が六分五厘で貸します、しかし当初は十億円しか金が入ってきませんから七分三厘になりますということも、これはうそになってしまうのです、利率というものは。そうでしょう。やはり私がここで言質をもらわなければならぬのは、どうして言質をもらわなければならぬかというと、将来この利率を、七分三厘を六分五厘に下げるためには、国の金をよけいもらわなければならぬのですよ。そうでしょう。よけいもらわなければ、これは下がらないのだから……。資金運用部からの金が多ければ多いほど、この利率というものは六分五厘にならないということを意味するのですよ。そうすると、六分五厘に将来はやりますという言質を、あなた方はここで言っておるのだが、もし大蔵省がそれをがえんじなくて一般会計から入れないということなら、永遠に七分三厘になり、それ以上になってしまう。だから問題はここなんです。将来一般会計から入れてもらうためにも、どうしてもここで六分五厘なら六分五厘と利率を両者で話し合って出してもらわなければ、われわれはペテンにかかってしまうのです。法案は通したわ、公庫の自主性にまかして大蔵省は金を入れぬわ、そして運営をしてみたところが八分も八分五厘にもなってしまった。へまをすると九分五厘、九分三厘になって、中小企業公庫と同じになったというのでは、法案を審議したわれわれの責任が立たないですよ。だから法案を通すについては、この法案の一番眼である業務方法書の中の内容について、そんなにこまかく、ピンからキリまで聞こうと言わないから、少なくともここに出ておるくらいの概要を示してくれ、こういうことです。これは無理ではないですよ。厚生省として当然じゃないですか。こういう一番大事なところを国会議員に知らせずして、それはわれわれにまかしておきなさい、これは自主的な国立金融機関ですから、そんなものなら国会は要らぬですよ。何のために国会がありますか。国立金融機関業務方法書の内容について聞くところに国会の妙味があり、国権の最高機関としての国会の存立する意味があるのですよ。それを何も教えてくれないで、こういうことでいくのだ、それは誰だって知っていますよ。内容を教えてくれることが一番大事なことなんです。われわれがこの法案を通して九分三厘というような利率になるのなら、こんなものは要らないですよ。中小企業金融公庫に国の金をつぎ込んで、そうして医療のワクを作ってやった方が安くなる。だから政務次官、これはどうですか、政治的の答弁をして下さい。思い切って大蔵大臣と交渉して出す。できなければ大蔵省の政務次官を呼んでいただきたいです。
  163. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 実は答弁をしようと思っておりましたが、事務的な関係等もありますので今控えておったのですが、めどならばあすまでに出したいと思います。
  164. 滝井義高

    滝井委員 どうも私一人で無理を言っておるようですが、これは決して無理ではないのです。常識ですよ。法案を審議するときに業務方法書の内容というものは、労働省だってみんな明らかにしております。きょう初めてわれわれは明らかにしないということを聞いたのです。ですからぜひあす出していただきたいと思います。  それからついでに担保のことです。これは参議院の速記その他も読んでみましたが、これは物上担保になっておるようですが、対人担保といいますか、人の信用、保証人をつけるだけで貸してくれるのですか、物上担保でなければだめなんですか。
  165. 黒木利克

    黒木政府委員 これは物上担保を原則とするという話し合いになっておりますので、もちろん原則でございますから、例外として人的担保なり、あるいは無担保の場合もあり得ると思います。
  166. 滝井義高

    滝井委員 その例外として人的なり無担保もあり得るという。物上担保のときは当然これは貸してくれるわけですね。それがしっかりしたものならば市中銀行だって貸してくれると思うのです。そうするとここに妙味があるのは、国民金融公庫ではないけれども、人的な担保あるいは無担保でも貸すというような場合は、どういう場合が考えられますか。
  167. 黒木利克

    黒木政府委員 たとえば金額が少額の場合というようなことが考えられますが、ただ幾らくらいの限度以下ならば無担保なり、あるいは人的担保でいいかということはまだ詳細に話し合いがついておりません。
  168. 滝井義高

    滝井委員 ぜひ一つ対人的な保証で貸せるという姿を作ることが必要ではないかと思うのです。それから物上担保の場合は、借りた金で建てた建物を担保とする場合も含みますね。
  169. 黒木利克

    黒木政府委員 御意見の通りであります。
  170. 滝井義高

    滝井委員 次は、この医療金融公庫ができて、そうして病院診療所お金を貸すことになるわけですが、政府としては一体その場合に病院に力をお入れになる方針なのか、診療所に力をお入れになる方針なのか、それとも病院診療所もずっと平等に取り扱っていく方針なのか、もしわかれば一体三十億なら三十億のお金の配分というものは病院に重点を置いてこのくらい診療所にこのくらい、たとえば五分五分でいくというのか、四分六でいくというのか、何かお考えをお持ちならばお聞かせ願いたいと思います。
  171. 黒木利克

    黒木政府委員 お手元の参考資料の八十七ページに資金需要見込み額調べというのがございます。これによりますと、これは過去の五年の実績を一応基礎にして推計をしたのですが、総額百三十億あまりのうちで病院関係が五十一億、診療所関係が五十億、歯科が二十三億、大体こういう実績でございますので、これを参考にして考えております。
  172. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、病院診療所とは大体半々だ、歯科診療所はその半分ぐらい、こういう形になってきておるわけですね。大体こういう実績で将来もいかれる、こういうことですね。
  173. 黒木利克

    黒木政府委員 これも資金の需要の申請を見なければはっきり申し上げられないのでありますけれども、一応過去の実績がそういうことで、参考にするとすれば、こういうものしかないものですから、一応これを参考にして資金計画なり事業計画なりを立てようと思います。
  174. 滝井義高

    滝井委員 次は二十三条の、公庫利益が生じたときには国庫に納付することになっています。これは公庫利益が生じたときには、私はそれをまた貸付金に回していくのかと思ったら、一般会計で十億なら十億入れた、その入れた金の返済金として返していくということになるのですか。
  175. 黒木利克

    黒木政府委員 これはは結局公庫法の例文的な規定をそのまま代用したのでありますが、実際問題としては当分こういうような剰余金というものは出ないと思います。ただ、将来出る場合には、未償還の金額に対する引当金と申しますか、そういうことに使うことになりまして、実際に国庫に納付金をするというようなことは考えられないと思います。
  176. 滝井義高

    滝井委員 大蔵省は大体そういうお考えですね。
  177. 磯江重泰

    ○磯江説明員 ここで利益金と申しておりますのは、金融機関でございますから、収益の中からやはりある程度貸付金の貸し倒れ準備金的なものは留保しなければならないのが当然でありまして、そういう留保をいたしまして、なおかつ利益が上がった場合には、それを国庫に納付する、こういうのが公庫全般を通ずる制度であります。実際問題といたしましては、公庫の貸し出し金利は低いのでございますので、内部留保、貸し倒れ準備金等も適正に積んでなおかつ利益が出るような状態になるかと申しますと、これはむずかしかろうということが言えるのではないかと思います。
  178. 滝井義高

    滝井委員 そういう先のことであればけっこうです。  次は二十六条の、公庫が受託金融機関に対して資金の貸付金を交付をする場合があるわけですね。これは一体どういう場合ですか。
  179. 黒木利克

    黒木政府委員 これは貸付原資を受託銀行に交付する、こういうことでございます。
  180. 滝井義高

    滝井委員 「業務を行なうため必要があるときは、」とこういう書き方になっておるので、「必要があるときは、」じゃなくて、それは受託銀行には借り手がおって、貸すときまれば当然やることになるわけですね。そういうときの書き方は「業務を行なうため必要があるときは、」とこういう書き方になるんですかな。
  181. 黒木利克

    黒木政府委員 例文によったわけでございます。
  182. 滝井義高

    滝井委員 どこか法文の場所がわかりませんが、一年以内に中小企業金融公庫から法人を除外する規定がどこかにあると思うのですが、これは法人だけどうして除外するのです。個人は除外しないわけですね。
  183. 黒木利克

    黒木政府委員 実は中小企業金融公庫法には、法律事項として法人が書いてございまして、個人が政令事項になっております。なお、国民金融公庫は法律事項ではなしに、これは業務方法書で貸付の対象がきめてございますので、一応ここでは中小企業金融公庫法の二条の法律事項だけを取り上げたわけでございます。
  184. 滝井義高

    滝井委員 「医業を主たる事業とする法人」こういうことになっておりますね。そうして法律では法人になっているが、政令で個人を入れる、こういうことですね。そうしますと、政令の中の個人というものは、その場合にはやはり一年以内にはのけられるということを意味するのですか。そういうことですか。
  185. 黒木利克

    黒木政府委員 これは政令の改正なりあるいは業務方法書の改正を当然伴うわけでございます。
  186. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと一年以内になりますと、中小企業金融公庫からは法人も個人も金を借りられなくなる、少なくとも医療機関については借りられなくなる、こういうことですね。
  187. 黒木利克

    黒木政府委員 そこで一応法律技術といたしまして、こういうような表現にいたしてありますが、この法案の第四条に資本金の規定がございまして、「公庫の資本金は、十億円とし、政府がその全額を出資する。」これは毎年法律改正を必要とするわけでございます。そういう機会もございますので、附則の一項と二十六項の関係も、その場合にもし一年以内にこういうような政令で定める事項は、中小企業金融公庫医療金融融資はやらないのだというようなことが適当かどうか、そういうような機会もございまして、一応この法案では法律技術的にこの一年、公庫法設立しまして一年以内で適当な日に政令でこの関係を処理するということになっておりますが、先ほど申し上げたようなことで、弾力性を持たしてあるわけでございます。
  188. 滝井義高

    滝井委員 一応一年以内には原則として法人も個人も医療金融については中小企業金融公庫から借りられなくなります。国民金融公庫については、これは庶民的な国民金融公庫なんだから、医者であろうが何であろうがこれは貸す、こういう意味なんですね。
  189. 黒木利克

    黒木政府委員 先ほど申し上げたように国民金融公庫では、貸付の対象業務方法書規定されておりますので、やはり医療金融公庫に将来は医療金融を一元化したいという厚生省考えでございますので、中小企業金融公庫と同じような取り扱いをしたいと思います。
  190. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、一年以内には今まで借りておった中小企業金融公庫なり国民金融公庫からは大体借りられなくなる。従って医療金融というものは医療金融公庫かあるいはコマーシャルベースに乗った市中銀行以外にはなくなる。私的医療機関についてはそういう形が出てくるわけですね、わかりました。  そこで最後に、十億円一般会計からつぎ込んだわけですね。その中で、一体人件費とか事務費とかいうものに当然これは出ていくことになるのですが、純粋の貸付金に回るものは二十億プラス幾らですか。
  191. 黒木利克

    黒木政府委員 人件費その他事務費に五千万円かかりますから、結局二十九億五千万円であります。
  192. 滝井義高

    滝井委員 大体これで、非常に大急ぎで、もっとたくさん実はあるのですが、時間がきましたからやめますが、今の業務方法書の内容の概要と、それから過去四カ年間における公的医療機関あるいは私的医療機関建設のためにつぎ込んだお金の概要を一表にして、一つあすかあさってまでに出していただきたいということをお願いして、私の質問はこれで終わります。
  193. 永山忠則

    永山委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十九分散会