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滝井委員 これは
一つの提案になりますが、
医療金融をやる場合の業務の受託
金融機関というようなものの決定権は、新しくできる
公庫の当事者がやることは、これは当然だと思いますけれども、やはりその当事者が仕事をする上における基準というものは、
厚生省の医務当局がやはり今お読みになったような基準をお作りになって、それによって指定をしていくことになると思うのです。だから、やはりここにおけるあなた方の答弁、あなた方の
考えというものは、将来における
公庫の当事者が受託
金融機関を決定する場合の重要な基準と申しますか参考意見になってくるわけでしょう。そういう
意味で私は、やはり
基金と契約のある
医療機関というものは、指定することに欠くことのできない
金融機関だと思うのです。そういう点だけは
一つ御認識をしていただきたいと思うのです。
次は、
厚生省はこういうことをお
考えにならなかったかという点です。現在十億を
一般会計から
医療金融につぎ込んで、資金運用部から二十億の金を借りてくる、こういう形になっておるわけです。十億以上は利息のつく金です。そうするとこれをもう一歩
考えて、現在の
日本の総
医療費はおそらく三十四年度は三千四、五百億になっておるのではないかと私は思うのです。社会
医療がどの
程度ありますか、二千七、八百億ぐらいあるかと思いますが、総
医療費としては三千四、五百億ぐらいあるわけです。その中の少なくとも社会
医療に当たる分だけは
基金を通じて、ある銀行の窓口を通じて
医者に支払われるわけです。そうすると、たぶん東京だけでも二百億ぐらいの金が一年に支払われるのじゃないかと思います。そうするとその一割が貯金されたとしたら二十億、三菱銀行なら三菱銀行に、あるいは
三井銀行か富士銀行か知りませんが、もしこれが
基金の窓口だとするならば、それに落ちるわけです。そこで、これはお
医者の金ですから、
医療機関の金ですから、何も銀行の窓口を通す必要はない。この
基金から
医療金融公庫の窓口を通して
医者に払う処置を講じたらいい。そうすると預金業務と申しますか、それを同時にやるわけです。
医療金融公庫が預金の業務を取り扱っていく。そうしますと、今度は適切な専門家を置きまして、国債とかあるいは信託とか有力な株に金を投資しておくわけです。そうしますとその利回りはもっと高くなる。たとえば国家公務員の共済組合あたりがやっておることと同じことを
医療金融公庫がおやりになるわけです。これは
医者の金であります。そうしますと、何もよその金を借りなくとも、年間三千億の金が動くのですから
——とにかく財政の、
金融の
もとを握ればこれは一番強くなるのですね。あなた方が今大蔵省に頭を下げる、
政府に頭を下げなければその金がこないところに医務当局の弱さがあると思うのです。ところが、
医者に払う金を
医療金融公庫に通してもらうだけで、そこに一割の貯金が落ちても、三百億の貯金が落ちるのです。これをお
考えになる必要がある。他人のふんどしで相撲を取るよりか、みずからの金で
医療行政をやっていこうというお
考えですね。そうして、窓口は何も
金融機関を使う必要はない。全国の
医師信用組合というものが今各
医師会にできつつある。ところが、これを知事の許可になっているがなかなか許可しない。これにある
程度信用をつけるかして、順次、
金融機関からその
医師信用組合と申しますか、そういうものに移していって、そこを窓口にして金を貸す。これは今の中にもありますが、
医療信用協同組合等をも
対象とする、これなんです。ここに金を結局預けさせる形になって、そしてそれが上にもう一回再預金と申しますか、そういう形で、
医療金融公庫に金を預けさせておく。そうしますと、
一般会計から金を出してもらうこともないし、運用部から金を借りる必要もなくなる。そうして、
医療機関があなた方がおっしゃるように公共性ができてくるということになれば、今後
国民年金の積立金が出てくるのです。これはもうすぐに何百億という金が出てきます、支払いはすぐ起こりませんからね。そうして、厚生年金の還元
融資も出てくる。そうなると多々ますます弁ずるわけです。この金の一部を
公庫につぎ込んでもらってきたらいい。それはなぜかといえば、
医療が公共性を持ってくれば労働者のために、
国民健康
保険のために活躍をするのですから。この点が今全部銀行にとられている。こういう点をもう少し
金融の専門家を置いてお
考えになる必要がある。実は、私は専門員室の方にそれをお尋ねしたけれども、専門員室の方ではそれはできませんということでしたけれども、私はできないはずはない、できると思う。それは農林中金が形は違うけれどもおやりになっている。米の支払い代金を集める、それもそれぞれの組合が団体で加入する形で集めてくる。そして肥料を買うときにはその
お金を貸す、馬や牛を買うときにはその
お金を貸すということで、安い金利で金を貸しているわけです。だから、これは全国の
医師の、いわゆる
医療担当者の貯金がどのくらいあるか知りませんけれども、私は相当あると見ております。
医療関係者の預貯金というもの、あるいは株に投資している金、信託に投資している金というものは相当あるだろうと思うのです。そういうものが、とにかく総
医療費の一割落ちただけでも、年間三百億あるのですから、一割くらいの金はうまくすれば一応預金として私は集め得ると思います。一割金が集まれば、あなた方は十カ年計画で実質的には五百五十億そこそこでしょうが、ここらあたりは御検討になったことがあるかないかということです。これでいわゆる
保険の方の社会
医療と医務行政とががっちりと結びつく道が、
金融機関を通じて開けてくるのです。これをやはり
医務局がお
考えになって
——医務局は今経済を握っていないところに
医務局の弱さがあるのです。経済を握れば
医務局の地位というものはぐっと上がる。今
保険局が強いのは、
保険局が経済を握っておるからです。だから経済を握れば
医療機関を握ることができる。
医療機関を握ることができることは、
医療行政を左右することを
意味するのです。だからあなた方の行政はもぬけのからになって、
保険局がみな握っておるというのが今の実情です。それは
日本の
保険行政、
医療行政からいったら、よこしまな道、邪道ですよ。これを本来の正道に返そうとするならば、ここらあたりで
金融のために
医師自身の金を預かって有効に使う。
医師には普通の銀行の六分か六分五厘の利子を払う、そして同時にその利ざやで、
医療金融公庫というものの
運営をやっていく、そしてその
お金は
医師にも貸す、こういう方法で私は頭をしぼらなければうそだという感じがするのです。今は銀行がもうけております。だからわれ先にと、どの銀行もみんな
基金の指定銀行になるために、それは大へんですよ。どうですか、この点は。そういう
見解について、磯江さんの方の銀行局の
見解もあわせて聞きたいと思うのです。