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1960-04-20 第34回国会 衆議院 社会労働委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君    理事 藤本 捨助君 理事 滝井 義高君    理事 八木 一男君 理事 堤 ツルヨ君       池田 清志君    加藤鐐五郎君       川崎 秀二君    河野 孝子君       齋藤 邦吉君    柳谷清三郎君       山下 春江君    亘  四郎君       赤松  勇君    伊藤よし子君       大原  亨君    河野  正君       小林  進君    五島 虎雄君       中村 英男君    山口シヅエ君       本島百合子君  出席政府委員         厚生政務次官  内藤  隆君         厚生事務官         (大臣官房長) 森本  潔君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (医療局次長) 黒木 利克君         厚生事務官         (保険局長)  太宰 博邦君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房審議         官)      牛丸 義留君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 四月十五日  委員池田清志君、柳谷清三郎君及び佐々木良作  君辞任につき、その補欠として中村梅吉君、吉  田茂君及び木下哲君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員中村梅吉君及び吉田茂辞任につき、その  補欠として池田清志君及び柳谷清三郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  医療金融公庫法案内閣提出第三四号)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出医療金融公庫法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 保険局長に伺います。前会までの質疑で、医療機関整備計画と、それからその整備計画の思想的な背景をなす医療制度に対する基本的な考え方の概要をお聞きをいたしました。医療機関の具体的な整備計画の内容についてはあとでお聞きをいたしたいと思います。  まず私は医療機関整備計画医療制度に対する基本的な考えかに関連しながら、もう少し政府考え方を聞いてみたいと思います。それは医療というものは、公衆衛生的なものと、それからさらに病気の治療に非常に近い関係を持つ予防の面と、そしてさらに治療になり、治療の終わったあとの後保護、こういう四つの段階というものが一貫をしてくる必要があるわけです。われわれ医療機関整備をやる場合に、一体公衆衛生、特に日本保健所との関係というものを今後一体どう考えていくかという点でございます。保健所単位に、たとえば地区病院ですか、地方病院ですか、そういうものを二つくらいの保健所単位にして置くというようなお話医療機関整備計画の中に出てきたわけです。そういうように保健所というものを単位にものを考えていく場合には、医療機関整備計画公衆衛生の重要な拠点をなす保健所との関係というものを一体どう政府考えておるのか。これは今後医療制度あり方に非常中に重要な関連を持つ点でございます。従ってこの両者の関係というものをどういう工合政府はお考えになっておるのか、これをまず明らかにしていただきたいと思います。
  4. 川上六馬

    川上政府委員 ただいまの点は、公衆衛生局の分野になるわけでありますので、私からお答えをする面も限られておると思うわけでありますが、私の考え方だけを少し述べてみたいと思うわけであります。  ただいまお話しのように公衆衛生あるいは予防の画あるいは医療の面、その他アフター・ケアの面というものを、病院保健所との関係においてどういうように考えておるか、ことに一般医師がどうこれに参加をするかというような点についてのお尋ねだと思うわけでございますが、私はやはり地域におきますところの保健計画に、病院保健所協力しなければならぬというように考えておるわけであります。むろん病院医療を主たる目的とし、保健所は御承知のように予防を主たる事業といたしておるわけでありますが、保健所事業をやります場合におきまして、ただ保健所の現在の機構なり陣容で予防の万全を期することは困難でありますので、ことにこの面につきましては、病院が相当これに協力しなければならぬ。それから病院自体におきましても、やはりその地域社会における保健事業にできるだけ協力していくという建前を今後とっていかなければならぬ。それから一般のその地区におきますところの開業医師なども、できるだけ私は、保健所予防活動に今後協力を願わなければならぬというように存じております。公衆衛生仕事あるいは最近では、成人病予防仕事、あるいは結核検診というようないろいろなそうした事業について、ただ保健所医師だけではなかなか困難でありますので、その地域開業医師の方々の協力を得て、その事業を伸長していく、普及していくということになると考えておるわけであります。大体の考えでありますけれども、さように存ずるわけであります。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、医療機関地域的にあなた方の御計画のように整備をしていく、同時に公的医療機関地域的に整備するでしょうが、私的医療機関医療金融公庫の出現によってある程度整備されてくるわけです。そうしますと、今までの保健所機能と、医療機関整備計画の完成後における保健所機能とは違って参りますか。医療機関整備計画の中における保健所機能というものは、一体どういうことになるのですか。今まで通り保健所機能でおいでになるのですか。これは当然医療機関整備計画をおきめになるときには、単に私は医療機関だけをとらえた整備計画ではないと思うのです。日本医療制度考え合わして、そして医療機関整備計画をお考えになって、総合的に今度はまず第一段階予防というもの、公衆衛生というものを一体どうするか、その場合における保健所——保健所は七百九十四あるのです。少なくとも全国十万ないし十五万に一つずつ人口配分で置かれておるわけですから、一つの郡について一つはあるわけなんです。少なくとも十万以上くらいの中には一つできてきておるわけです。政令市というのは十五万以上ですか、政令市というようなものには保健所はあるわけです。そうすると、そういうものと整備計画との関係というものが結びついてきた場合に、将来の保健所機能というものは一体どうなるのだろうかということなんです。これをもう少し私ははっきりしてもらいたいと思うのです。最近における、たとえば昨年の予算では保健所で多分二百カ所くらいの結核の特別の推進地区を作って、そこに働く保健所医師の俸給その他を引き上げたと思うのです。今年は低所得階層を中心に結核対策推進地区を四百二十五くらいに拡大をしておるらしいのです。そうしますと、こういう予防的な患者管理の強化をやると同時に、予防的な面も強化されてくるのでしょうが、その場合における医療機関との関係というものは一体どうなっていくのか。これは公衆衛生局公衆衛生局の道を歩み、医務局医務局の道を歩み、保険局保険局の道を歩んだのでは大へんなことになると思うのです。公衆衛生から後保護に至る一貫をしたものが日本医療体系の中にやはりどっかり体系づけられなければならぬと思うのです。そういう点のお話し合い整備計画省議決定をされるときにお話し合いにならなかったのですか。政務次官、どうですか。
  6. 川上六馬

    川上政府委員 今のお尋ねは、この保健所医療機関整備計画の実施につれてどういうように持っていくかというお尋ねでありますが、これもむしろ公衆衛生局の所管でありまして、私から申し上げるのもどうかと思いますけれども、私の方の関係から申しますと、ただいま申しましたように、医療機関といえどもだんだん公衆衛生活動の方面に協力をしていかなければならぬということは、大いに考えておるわけでございまして、今後そうした病院における公衆衛生活動というものもだんだん保健所と提携いたしまして、組織的な活動に持っていくようにいたしたいというように考えておるわけであります。保健所も御承知のように都市型、いなか型というように今度分けておりますので、多少都市いなかにおける保健所活動というものもおのずから性格が変わってくると思います。御承知のように、特に滝井委員は御承知だと思いますけれども、例の福岡県の黒木保健所というものは、私が当時おりましたころに、一ところに保健所病院とを作りまして、そして両方が予防あるいは治療などに全く一体的な活動をいたしておるわけでありますが、むろん厚生省といたしましては、今後とも病院保健所のその地域におけるところの保健計画というものを検討しまして、協力して、その地区民予防なり治療に十全を期して参りたいというように考えておるわけなんであります。
  7. 滝井義高

    滝井委員 さいぜんからあなたが言われましたように、今後保健所というものが成人病予防とか結核検診を強化して、そうして患者の発見に努めあるいは患者管理を強化していく、こういうことになりますと、予防活動というものから発見される疾病の保持者というものは、直ちに病院に移されなければならぬことになるわけです。その場合に保健所病院との有機的な関係というものが明白でないということは、私はナンセンスだと思うんです。もう少しここらあたり厚生省は大胆率直にわれわれの前に示して、こういう医療機関整備計画をお作りになって省議決定をされる場合には、まず第一線の予防機関である保健所病院との関係をどうするか、あなた方みずからが、少なくとも一つ保健所単位地区病院を作りますとおっしゃるからには、保健所との関係が明白でなければ話にならぬ。しかも現在御存じ通り日本の約八百近くある保健所というものは、衛生技術者特に医師が不足しておるんですよ。岩手県のごときは二割八分くらいしか医師がいない。保健所に一人か二人くらいしか医師がいない。そうしてそれらの者が十万ないし十五万くらいの人口地区のいろいろな予防活動をやるのだということはナンセンスですよ。さいぜんあなたは、病院における予防活動というものを今後やらなければならぬということをおっしゃった。病院予防活動をやらなければならぬということになったら、保健所には医者がいないという現実に立ってどうして予防活動をするのか。病院保健所機能というものが調整されなければ——しかも現在日本において医学部を卒業して保健所に行く医者がおりますか。ここ数年来いやしませんよ。衛生技術者志望者というものは急激に低下しておりますよ。そうしてみんな臨床家になろうとしておる。そうすればますます病院予防活動の面というものが保健所を凌駕してくるんです。その場合に病院保健所との関係をどうするかというなぞを厚生省自身がわれわれに解いてくれなければ、話にならぬですよ。それなら保健所病院に切りかえますか、こういうことになる。地区病院を作るんなら、そんなに金をつぎ込む必要はないんだから、保健所病院に切りかえたらいいということに理論的にはなる。だからここらの問題について今の保健所というものは見通しがないんです。そこに働く中心的な医者志願者がないということは、決定的な段階ですよ。それにもかかわらず成人病やら結核予防については、なお大きな衛生活動というのをやらなければならぬという状態が出てきている。それじゃ一体だれがかわってやるのだというと、今あなたが御指摘になったように、病院やら何かがその面にやらなければならぬということもあります。その点はまたあとで私は御質問をいたしますが、地域における診療所自体予防活動の面をになうという面が出てくる。そうなりますと保健所がだめだという認識に立つと、病院診療所との機能というものは変わってくる。付加される機能が出てくる。こういう根本的な問題を厚生省がもし討議しておらなければ、これは大へんなことだと思うんです。何か医療機関に金を貸せば日本医療制度というものがうまく行くんだ、あなた方が言う医療普及向上、別な言葉でいえば社会化ができるなんということは、これは大間違いですよ。一体ここらあたりどうお考えになっておりますか。私は理路整然と欠陥をついておるつもりですが、どうですか、御討議されていないんですか。
  8. 川上六馬

    川上政府委員 どうも滝井委員が言われました点は、大体今申し上げたようなことでいくべきだというように思うわけでございます。病院は御承知のように医療を主たる目的としており、保健所はむしろ予防を主たる目的としておる。(滝井委員医者がいない」と呼ぶ)医者がいないと言いますけれども、それは少ないところもありますが、やはり努力して医者を獲得する以外にないのでありまして、その足りない点はたとえば病院の方から振り向けていく、あるいは管内の診療所協力を得る、そういうことでやっていく。もちろん現在の保健所医療技術というものは弱体でありますから、御期待に沿わない点は多々あると思うわけでございますけれども、しかしそれぞれの建前に立って、そうしてお互い協力していく。今後は病院医療のほかに予防活動に対して協力しなければならぬし、また地区内の診療所も御協力を願わなければ保健所予防活動というものは徹底を期しにくいということで、やはりこれらの機関というものが地域社会保健計画に相協力していくということをわれわれは考えておるわけでございます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 その相協力するということは私わかるのです。ところが現実保健所——将来の展望として、医学部を卒業して衛生技術官になろうとする者の趨勢はどうですか。これは牛丸さんのところなんか総合的にやるところで、わかっておるかもしれぬが、これについてここ数年の推移を説明してみて下さい。
  10. 川上六馬

    川上政府委員 保健活動をやる医師のパーセンテージは実は最近少し下がっておりまして、これは将来何とかいたさなければならぬ。厚生省としても医師の待遇の改善その他によって、その確保に努力をいたしておるわけでありますが、この点は御承知のように、私は今後特別な措置を必要とするように存ずるわけであります。
  11. 滝井義高

    滝井委員 どうも保健所活動に従事する医師の数が、最近低下しておると、いうことはお認めになった。そこでこれを何とかして給料その他でやらなければならぬというけれども、これはできない。なぜできないか。国家公務員給与体系というものがある。それなら厚生省給与体系をお変えになるかというと、これはできないでしょう。八方ふさがりです。だからそういう段階に立って、一体医療整備計画をどうしてお立てになるか。医療というものは予防から治療から後保護までが医療なんです。予防を含まない、治療だけの医療なんというものはナンセンスです。だからこういうものをおきめになる場合に、整備計画をきめてくれということをこの前私は言いましたが、こういうものをおきめになるときに、そういう根本的なものを厚生省は忘れておるということは重大問題です。この点政務次官どうですか。政務次官おしりの下にしりもちか何かくっついておるらしくて、なかなかお立ちにならぬのですが、これは一番大事なことなんですが、この根本的なところを一体どういう工合厚生省はお考えになっておるのか。保健所を今後どうしようというのか。保健所にはお医者さんが集まらぬのですよ。ますますこれから減るのです。そうして今医務局長さんが言われるように、病院活動してもらわなければならぬということになるなら、保健所はおやめになって、病院予防活動もやらせたらどうかということなんです。医者がいなくなった保健所なんというものはナンセンスです。それだったら保健所地区病院に切りかえて、予防活動治療活動をやるということも、これはまたあとで私もう一度提案しますが、それも一つの方法だと思う。だから日本保健所というものは、そういう根本的なところにメスを入れなければならぬところに来ていると思うのです。
  12. 牛丸義留

    牛丸説明員 ただいまの滝井先生の御質問でございますが、まだ厚生省省議議論をしておるという段階ではございませんけれども、私のところで公衆衛生とそういう病院整備の問題あるいは開業医師も含めた実際の臨床にあたっている医師のこれに対する協力あり方というようなことを議論しておりまして、ちょうど今の日医の運動方針としましても、医師地区衛生活動ということが医師会活動要目としてあげられておりますし、公衆衛生活動が、皆保険下におきまして社会保険のそういういわば保険給付だけでなくして、予防なりあるいは広報活動というものも含めて保健所活動というものをもう一ぺん考え直す必要があるのではないか。それに対しましては保健所そのもの機能の問題も再検討の必要がある。現在の保健所の中で市町村行政に移行できるものも相当あると思いますし、また現在非常に充実を要求されながらできていない保健所機構整備ということも当面の重要問題でございますので、そういうふうな社会保険の国民皆保険が達成されました暁におきまして、保険というもののシステムの中で開業医師のそういう地区衛生活動及び一般公衆衛生活動中核としての保健所活動、そういうふうなものを相互に関連さして、それをどういうふうに具体的にやっていくかということを私どもの方では今議論段階でございまして、ただいま直ちにその結論を申し上げる段階ではございませんけれども、現在討議をしている段階であるということだけは申し上げることはできると思います。
  13. 滝井義高

    滝井委員 だいぶわかってきました。皆保険体制下になれば、開業医等地区衛生活動等運動も最近は起こっておるから、従って公衆衛生中核である保健所についても、その機能面等についても再検討しなければならぬ段階がきているということははっきりしたわけです。そういうことがはっきりしてきますと、それから先はどうするか。それはもう少しあとにして、もう一つ今度の医療金融公庫法貸付の対象の中に、医師共同で利用する検査施設の新設に必要な資金の貸付が行なわれるわけです。これは御存じ通り最近における医学の進歩は、衛生検査技術の非常な専門化分化を招来をしたわけです。従って実際に治療に当たる医師が万般の衛生検査全部を自己の診療所なり病院の内部でやることが十分可能であるという情勢は必ずしもなくなってきた。専門的に検査をする部門が分化的に非常に発達をしてきたわけです。最近における衛生検査技師法制定等はやはりその一つの具体的な現われだと思うのです。もちろんこれは身分上の問題もありますが、これは一つの現われです。そしてそういう身分的な現われとともに、ここにエグザミネーション・センターを共同で作ろうという思想も同時に現われてきておるわけです。それは学問的な進歩の画とそれから職業の複雑化による分化の面とが両々相待って、そしてそういう結果が必然的に出てきていると思うのです。そうしますと、こういういわゆる共通の衛生検査機構というものを作ることは、何もこれは開業医ばかりが利用するだけでなくして、その地域における病院もこれを利用する可能性が出てくるわけです。こうなった場合に、一体保健所との関係はどうなるのですか。
  14. 川上六馬

    川上政府委員 私は医師会などの要望を調べてみますと、共同検査施設というものは主として臨床検査のようでございまして、これは今滝井委員からお話がありましたように、個々の診療所でもって最近の精密ないろいろな臨床検査をするということは容易でないというようなことから、そういうような共同利用施設考えられると思うわけでございますが、これも私は現在の病院、ことに公的医療機関などはなるべく検査施設一般に利用するようにしたい。一般開業医公的医療機関検査施設を利用して諸検査をやっていけるようにしたいというふうな考えを持っておりまして、過般もその点をお答えしたわけでありますが、国立病院などではまずぼつぼつそれを始めておるようなわけであります。しかしそれだけでは足らないので、地域的にそういう検査施設がぜひほしいというような場合には、今度それに対する融資をある程度はかっていこうというような考えをいたしておるのでありますが、保健所臨床検査は、御承知のようにむしろ臨床検査の面は比較的少ないのでありまして、伝染病予防のいわゆる病源菌検査でありますとか、あるいは食品衛生などの検査というような、むしろ予防衛生面検査が主たるものになっておりまして、従って保健所も、保健所でできる検査はもちろん開業医の御依頼に応ずるわけでありますけれども、最近の臨床検査には御承知のように脳波の検査をするとかあるいは心電図検査をするとかいうような、こういう高度の検査施設整備ということが必要になって参りましたので、そういう点から申しますと、やはり私は開業医の御依頼臨床検査に応ずるものは、そういう病院検査であるとか、あるいは今後考えられるところの臨床共同検査施設というものが初めてその御要求に応じられるようなものになるだろうというように考えておるわけであります。
  15. 滝井義高

    滝井委員 どうも論理がすっきり理解できないのですがね。局長御存じ通り保健所には今予防的な検査というけれども、予防的な検査ということは、むしろ成人病その他の臨床的な検査ですね、尿にしても、蛋白にしても。心電図だって、二、三十万の金をもって、読める医者保健所に置けばこれで事足りるのですよ。そうすると医療機関整備計画ができても、なかなかこれは開業医や普通の病院の使う臨床検査施設全国的に直ちにできるものじゃないのです。そんな夢は私たちはこの法案の中には持っておりません。それならば、急速に全国的に臨床検査施設整備しようとするならば、一番早く活用できるものは何か。最小の経費で最大の効果をあげるものは保健所ですよ。保健所専門家を配置して充実をしていけば、これは一番早いです。今あなたは公的医療機関一般に開放するなんとおっしゃるけれども、日本の今の公的医療機関一般に開放してやるだけの余裕があるかというと、これは絶対できないですよ。それだけの人的な整備が整っておらぬです。公的医療機関のいいとこはインターンその他で補っておるのですよ。いい医者の充足ができずに困っておる。インターン日本医療機関から除外してごらんなさい。日本医療機関機能を麻痺するところはざらでしょう。今はそういう状態ですよ。口では開放できますよ。口では開放できるけれども、現実の問題で公的医療機関検査設備をこれで全部今開放できますか。これはあなたの方でほんとうに、たとえば昭和三十五年度からやる——四月一日過ぎましたけれども、この法案が通って、八月十五日貸し出しが始まるころから、全国公的医療機関をやる——公的医療機関といったって、国立病院は入っていないのですからね。公的医療機関の中には、府県立市町村立済生会日赤——日赤では賃金問題その他でずいぶんもめております。私ここに持っておりますが、そんなものは、独立採算制で、営利的色彩の強くなった日赤済生会施設全国開業医に開放するなんといったって絶対できませんよ。これが一体できますか。
  16. 川上六馬

    川上政府委員 もちろんそれは一度にできるわけのものじゃありません。しかし私は大体その考え方が、やはり臨床検査病院とかあるいは臨床検査共同施設のようなものがこれに当たるのが適当であろう。もちろん保健所におきましても臨床医の御依頼に応じてできるだけのことはやっております。またやらなければならぬと思いますし、特に成人病なんかに力を入れておるところは、心電図なんか持っておりますから、そういうところはまた御利用願えばいいのでありますが、一応の建前は、やはりそういうふうにいくのがほんとうではなかろうか。もちろん検査施設は、施設の問題ばかりでなしに、検査技術員の問題がより大事な問題でありますから、一ぺんにそう申したといって、その通り公的医療機関がその要求に応じられるような態勢にはなりませんけれども、私は方向としてだんだん今後そういう工合に持っていかなければならぬと思います。医療法にも御承知のように、公的医療機関は、そこに勤務しない医師、つまり一般開業医の方々にもその施設を利用さしていくという建前を規定いたしておるわけでありますから、一応そういう工合にだんだん持っていくのが適当であろう、大体このように考えておるわけであります。
  17. 滝井義高

    滝井委員 方向としては公的医療機関を開放されるとおっしゃいますが、現実問題としては、それはある程度委託をすれば検査はしてくれるかもしれませんが、そこに自由に一般医師が行ってやれるような態勢には今はないのですよ。そこであなたの気持としてはわかるのですが、それじゃいつから実行ができるかということになると、なかなかむずかしいと思うのです。ただ、幸い今保健所は閑古鳥が鳴いて、あいているわけです。あいていると言っては語弊があるけれども、十分の機能を発揮していないわけです。そこで、経済的に少ない金でもっと機能を上げようとすれば、もう建物があってある程度の検査設備があるならば、全国的に衛生検査共同施設ができるまではこれを一つ活用してみたらどうかということなのです。これはさいぜん牛丸氏も言ったように、保健所機能については再検討するということが第一段階ですけれども、共同利用施設全国に作るには莫大な金が要ります。それはなかなかすぐにはできない。一年、二年で全国共同利用施設に金が回るということは考えられないのですよ。そうすれば過渡的な措置として、臨床検査というものが今の医学にとって重要なものになってきたとするならば、その地域予防活動なり公衆衛生活動なりを強化するためには、ここで臨床検査機能を付加したらいいと思うのです。こういうことは当然やるべきだと私は思うのです。そこに専門の医師を一人配置され、そして暫定的にやってもらううちには、保健所機能もだんだん変わってくるでしょうし、いろいろの人の出入りも多くなってくることによって、保健所は大衆の中に足場を持ち、根をおろすことができると思うのです。今大衆が保健所にどんどん行かないところに保健所の問題があります。いつかも私は申し述べましたが、サービス機関としての保健所が今や取り締まり機関としての保健所に転落しているところに問題があるのです。だからそれではいけないと思うのです。もともとこれができたのは、性病の予防とか結核予防とか乳幼児の検診というようなサービス部門として出てきた。ところが最近は、飲食店とか料理屋に、優とか秀とかいうのを何々保健所という名で貼るのがおもになってしまったのですよ。だから取り締まり機能が強化されてきている。サービス部門というのは大事な医者がいないからできない。こういう昔の警察行政的なにおいが保健所機能の大きな部門を占めるという状態になってきたところに問題があると思うのです。こういう点をもう少し厚生省としては検討をして、臨機応変の対策というものを立てねばならぬと私は思うのです。日本は貧乏国ですよ。金がないのです。今のように二千二百五十三億の自然増ができたけれども、一体衛生行政にどれだけ自然増の中からつぎ込んでくれましたか。つぎ込みはせぬじゃないですか。そうだとすれば、今ある施設を最大限に活用する政策というものが行政の中に打ち立てられなければならぬのです。そういう考慮が少しもなされていないのですね。政務次官どうですか。療養担当者の側から臨床検査共同施設を作ってもらいたいという強い要求がある。その要求に短兵急に応じられないとするならば、保健所をそれに当分充てましょう、公的医療機関を開放しましょう、こういう二つの政策が出るわけでしょう。そうすると、公的医療機関というものは今すぐに開放できる状態にはないとすれば、どっちが開放しやすいかというと保健所の方が開放しやすいのです。どうですか。
  18. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 仰せごもっともであります。聞いておりますと、なるほどその方が一番手っ取り早くできるようには思いますけれども、やはり医師も要りまするし、また設備、施設等の経費も要りますので、一つ大いに検討を加えて、さような方向に進んでいくような考え方をいたしたいと思っております。
  19. 滝井義高

    滝井委員 非常に大きなふろしきを広げて理想を言うこともいいですけれども、やはり政策は非常に現実的で、大地に足をおろしたものでなければならぬと思うのです。そうしますと、莫大な金をかけることができないとすれば、私はやはりそういう方向を速急に考えるべきだと思うのです。そうして当面の需要にとにかくこたえて、なお財政的な余裕ができれば、それはできるだけ早く共同施設の本格的なものを作っていこう、こういうことの方がいいような感じがするのですが、今検討するというのですから、御検討願いたいと思うのです。  次は後保護の問題です。病気を治療して後保護をやる、アフター・ケアをやる、こうなった場合に、一体あなた方は医療機関整備計画——社会福祉関係施設がたくさんあります。精神薄弱者の施設とかいろいろたくさんあるのです。これは精神病院からすぐに関連が出てくるわけですが、この後保護社会保険なり社会福祉施設との関係を一体どう考えるか、こういう問題について何か御検討になったことがありますか。福祉行政と医療機関整備計画との関係というものをどういう工合にお考えになっているか。医療というものはただ治療だけでは済まないのですよ。あとの作業療法もあるし、アフター・ケアを結核患者なんかにはやってやらなければならぬ大問題ですよ。こういう社会福祉関係——保険関係あとで具体的に聞きますが、この関係をどうお考えになっておりますか。単に局部だけ見て全般を見られなかったら行政というものは大へんなことです。だから、国務局は医務局の道だけやればいいのだ、あとはほかのところでやればいいのだということでは私は大へんだと思うのです。
  20. 牛丸義留

    牛丸説明員 疾病を予防から後保護まで一貫して見るということは非常に大事なことでありますが、社会保険というものがその一連の疾病の中のどこまでを見るかということは、これもまた非常に重要な問題だと思います。現在は主として疾病の治療というものが重点になっているわけでありますが、皆保険の推進ということになると、先ほど申し上げましたように、保健所を中心とする公衆衛生活動公衆衛生が持つ予防活動社会保険とを十分に関連させていく。同様に後保護の問題につきましても、社会保険なり社会福祉の施設とが一体的にその問題の解決に当たるということが大事なことだと思いますし、そういう点の責任の分担——一体どこまでを社会保険で給付の対象にするか。あるいはそれ以上のいわばヘルス・サービス的なもの、あるいはまた社会復帰までも含めた社会福祉行政の限界をどういう点に結びつけていくかということは、現在私どもの段階議論をしていることでございまして、一貫した体系のある疾病対策をやっていくというただいまの先生の説には私ども賛成でございますし、そういう趣旨に沿って結論を出していきたいと思っておるわけでございます。
  21. 滝井義高

    滝井委員 こういう医療機関整備計画をお作りになり、それにのっとって大事なお金を融資していこうということをお考えになるときには、やはり大臣がきちっと出ておいでになって、日本医療制度というものは、公衆衛生から予防から治療から後保護に至る体系というものは大体こういうことになるのだ、こういう中の一環として医療機関整備計画はこういう位置を占めるのですという、これだけの親切な説明をすることが当然ですよ。ところが、医療機関整備計画だけはぽんと出すけれども、あとのものは今から検討するのですということになれば、これはちぐはぐになってしまう。やはり総合的な計画の中の一環として医療機関整備計画はこうでございます、こういうことが出てこなければならぬと思う。私に言わせれば、どうも厚生省は不勉強ですよ。もう少しやらなければいかぬ。役所が不勉強であるということは政党政治の岸内閣の責任だ。岸内閣が結局だらしがないからこういうことになる。だから、むしろ私はきょうは大臣に来てもらって、一体岸内閣の政党内閣としての方針はどうなんだということを聞きたい。さっぱりわからない。役人の皆さんに聞いたって、それは役人の個人の考えていることであって、一体岸内閣としては公衆衛生から後保護までの総合的な一貫した政策はどういうものなんだということははっきりしませんから、いずれ委員長、また岸総理といっては失礼ですが、医療金融公庫は大事ですから、岸総理に来てもらいたいと思うのです。いいですね。
  22. 永山忠則

    永山委員長 理事会で相談します。
  23. 滝井義高

    滝井委員 一ぺん来てもらわなければだめです。  次は、いよいよ医療機関整備なり医療制度のある程度の基本的な考えはおぼろげながらわかりました。根本的な考えはまだ尋ねていきますが、一応そこに受け入れ側の構想というものは出た。ところが今度はその受け入れ側の機関に入るものが出てくるわけです。いわゆる皮袋ができたら、その中に新しい酒を盛らなければならぬ。盛る酒は何かというと保険医療です。いわゆる皆保険政策が新しい皮袋の中に新しい政策として入れられる。そうしますと、すでに昭和三十二年以来日本の保守党の政府は皆保険の四カ年計画をお立てになって、ことしで終わりますが、四カ年計画医療整備計画とはどういう関連がおありになるか、これを一つ御説明願いたい。
  24. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 便宜私から答弁申し上げます。  皆保険計画は御承知のようないきさつで全面的な要望のもとにこれを実施して参っておるわけでありまして、ただいまのところは、大体当初の計画通り三十六年の四月一日には特別の事由のあるところを除きまして全国に皆保険体制がしかれる、かように私どもは見通しを持っておるわけであります。もちろんその皆保険計画というそれ自体につきましても、無医地区の対策とかいうものは早急に進めて参りませんと、その保険になりましても、医療機関がないために、その恩典に十分に浴しないというところもございます。また皆保険の札が立ちましても、その内容自体あるいはその運営自体はほんとうに国民から喜ばれるような運用をせねばならぬ、こういう点がいろいろあるわけでございます。そういう点については目下私ども非常に急いで検討いたしておるところでございます。医療機関整備計画につきましてもいろいろ御指摘もあったかと思いますが、私ども自身も必ずしもこれをもって十分だとは思っておりませんので、なお官房の審議官を中心に検討しているわけでございます。今日それはどこまでやればほんとうに満足すべきような医療機関整備及び運営ということになるかと申しますと、なかなか短時日には参らぬ点もあろうと思います。とにかく皆保険の体制が整いますまでには、できるだけ努力して医療機関整備をはかっていくべきことは当然であろうかと存ずる次第でございます。
  25. 滝井義高

    滝井委員 はかっていくことは当然だということでございますが、皆保険計画は今年度末、いわゆる三十六年三月三十一日までに終わるわけです。終わるわけですが、医療機関整備計画はようやく私から文句を言われて出てきたのです。今から発足ですよ。すでに終わるものと今から出て行くものと、これは一体どうなるのですか。すれ違いにはならぬようにやるのですが、しかし片一方は船が到達する、片一方は今から出て行くのです。その場合に皆保険計画は達成された。九千万の国民は保険正を握った。さて保険証だけはもらったけれども、医療機関整備されていない、これではどうもならぬと思う。一体その間の調整と申しますか、有機的な連絡というものは省内でどうなっておるのですか。
  26. 川上六馬

    川上政府委員 医療機関整備計画は、このたび資料として初めて出したわけでありますけれども、従来その方針で整備計画を進めておるのでありまして、お手元の資料などにおきまして、年々歳々病院診療所は相当ふえていっておるわけであります。ただこのたび出しましたものの中には、四十年を目途としてさらに一そう整備を促進しようというものがあるわけでありまして、今までにおきましても皆保険をやりますためには医療機関を適正に整備していかなければならぬ、あるいは現在の医療機関整備して、さらにその機能を強化していかなければならぬことは前々から考えておるのであります。ただ無医地区あるいは病院のない地区などがまだ残っておりまして、そういう点において遺憾があるわけでございますけれども、これは今後努力して、皆保険下におきまして、国民が医療の均霑を受けるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  27. 滝井義高

    滝井委員 今局長さんは、今までもやってきた、しかしなお遺憾の点があるから今後は医療機関機能の強化をやるのだという御答弁がございました。そうしますと、ちょっと意地悪い質問になるかもしれませんがお聞きしたいのですが、医務局機構の中で一つくらい総合的に国民医療に関知している課がありますか。
  28. 川上六馬

    川上政府委員 総務課にいたしましても医事課にいたしましても、国民医療に関与いたしております。
  29. 滝井義高

    滝井委員 課は具体的に指摘してどこですか。
  30. 川上六馬

    川上政府委員 総務課、医事課でございます。
  31. 滝井義高

    滝井委員 医事課というのは国民医療に関知しておりますか。総務課だけでしょう。
  32. 川上六馬

    川上政府委員 医事課の方も国家試験でありますとか、あるいは医師その他看護婦等、医療関係者の身分の問題などの仕事をつかさどっておるわけでありまして、広い意味におきましてむろん関与しておると考えております。
  33. 滝井義高

    滝井委員 医者の身分や何かに関係しているところまで入れれば、それはそうです。しかし川上さん、今われわれが医療と言った場合には、保険局とあなたの方との状態考えてみると、保険医療というものはほとんど保険局医療課が握っているのです。そうして医務局公衆衛生には手を触れていない。わずかにこの医務局が国民医療に関知しているのは、私の調べた限りでは総務課——私の言うほんとうの国民医療という狭義の意味に限って——広く医者の身分とかなんとかいえば、それは関知していると思います。しかしほんとうに実質行なわれる、いわゆる狭い意味の国民医療自体に関連しておるところといったら総務課くらいです。あなたの方では国民医療を指導するだけの力がないでしょう。今厚生省機構の中ではこれが実態です。これはもうだれが何と言おうと実態です。医療機関整備計画というものができた、そうして実質的に中身を握っておるのはどこかというと保険局なんです。いわゆるあんこの部分は保険局が握っているのです。そうしてあなたの方の発言権というものはいわば非常に弱い。医務局の中に総務課、医事課、管理課、国立病院課、国立療養所課、整備課、こうあります。こうありますが、医事課は今言った国家試験なんかやっています。管理課といったって、これは国立病院やら療養所の管理みたいなものでしょう。整備課だって同じようなことです。そうしますと、いわゆる民間の開業医なり公的医療機関をひっくるめたものの行政をぐっとあなた方が握っているという実態はないのです。形式的にはあるのですけれども、実態はないのです。私はここを心配するのです。あなたの方が皆保険整備計画をお出しになった。しかし中身というものはあなたの方と関係がない。保険局の方にあるのです。そういう実態があるがゆえに、事態はどういうことになるかと申しますと、整備計画で今後医務行政というものが、ある程度国務局がそののど首をきちっと握ることができるかどうかということは非常に疑問が出てくるわけです。  そこで私は今度は皮袋の中に入るお酒の方を握っている太宰さんの方に具体的に聞いてみたいのですが、太宰さんの方は御存じ通り健康保険病院をお持ちです。それから年金の病院をお持ちです。それから国民健康保険の直営診療所にも、これは補助金を通じてある程度の支配性を握っておられるわけですが、これと医療機関整備計画との関係は、将来どう処理されるおつもりなのか伺いたい。
  34. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 保険局の方でただいま所管しておりまする御指摘のような病院等の整備は私の方でやっておるわけでありますが、省全体としてはこのほかにもあろうかと思いますが、医療機関全体の整備計画は厚生大臣が大体握っておるわけでございます。それがそれぞれに分かれておりますが、これが統一性を保つために省内に連絡協議会を設けております。それの整備方針あるいは具体的な場所、その整備の程度というようなものはすべて連絡をとり、そこの協議会にかけて、そこでパスしたものを各局が実施していく、こういうふうにいたしておりますので、今日のところ十二分に一体性を保っておると信じております。
  35. 滝井義高

    滝井委員 これは非常に政治的な問題でございますから政務次官お尋ねいたしたいのです。医務局国立病院なり国立療養所を御経営になっておられる。それから保険局は今御指摘のように、これは外郭団体をお作りになっておりますけれども、金は保険局の特別会計から出るのです。厚生年金病院、それから健康保険病院があるわけです。それから直営診療所にもお金を出しているわけです。これは保険局の息のかかっているところです。一方国立療養所なり結核療養所は医務局の息がうんとかかっております。そうすると、これは連絡協議会だけで将来もおやりになるのですか。それとも医療機関整備計画と銘打たれて外郭を築き、そうしてその中で今度は皆保険政策を泳がしていこう、こういう形になった場合に、依然として病院の建設その他は、保険局保険局でやっていくし、医務局医務局でおやりになるし、労働省の労働福祉事業団は労働福祉事業団でおやりになる。こういう方向でやはりおやりになるのですか。
  36. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 ただいま保険局長から申された省内の協議会というものは、相当円滑にいっておると私は思います。しかし御指摘のような問題等も起こりますから、一つ検討を加えていきたい、かように考えております。
  37. 滝井義高

    滝井委員 これは検討じゃ済まされないと私は思う。われわれのところに医療機関整備計画と銘打ってお出しになったのは医務局です。ところが今度これを整備計画にのっとって具体的にやるときは、今まで通り各省、各局で自分の病院を作っていくのだ、そうしてそのときは厚生大臣に相談かなにかをするだけだという。あなた方はこういう行政で医療機関整備計画が順当にいくとお考えになるのですか。これは検討する、検討するだけじゃ済まぬですよ。もう少し腹をきめて、一元化してやるならやるというようにはっきりしておかないと、この問題は一番大事なところですよ。
  38. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 各局においての計画は各局でやるのだと思います。しかしその各局で計画したことを省内の協議会において大臣の監督下にこれをまとめていこう、こういう方針で現在進んでおるわけでございますので、その点で十分やれるだろうと私は考えております。
  39. 滝井義高

    滝井委員 なぜ各局が病院を打たなければならぬのですか。なぜ医務局なら医務局、どこかに病院を一元化することができないのでしょうか。何も保険の行政をやる者が病院行政までやらなくてもいいでしょう。それがわからないのです。保険の行政をやる人がなんで自分のところへ病院を作っておかなければならぬのですか。医療機関整備計画というのは、国家的な意思でどこか一つのところで作っておいきになるのでしょう。ところがその意思は寄せ集めで、あっちからも病院を作ります、こっちからも病院を作りますというものをただ総合調整するだけの整備計画ですか。そんなむだなことはないですよ。こんな財政をむだづかいすることはないですよ。そうすれば、Aという市に保険局も作りたいという、医務局も作りたいという、労働省も作りたいといいますよ。厚生大臣は、みんなやるのを一挙に一刀両断に切るだけの力は今ありますか。それはできないじゃないですか。たとえば医療法の一部を改正する法律が今国会に出てきています。出てきているけれども、あれだって協議するだけで、協議が整わなければ、事前協議じゃないけれども、そのままですよ。ちょうどアメリカの第七艦隊が核兵器を積んできておるかどうかということは、向こうから積んできておるぞと言わない限りは日本は事前協議することができないのと同じじゃないですか。厚生省は、各省が断じてこれは作るんだと言えばそれまでですよ。拒否することはできない。今の状態ではどうにもならぬ。医療法が通ったってどうにもならないです。だから、各省がそんなに自分で病院を作らなければならぬ必要があるかということです。整備計画というのを一貫して政党内閣の厚生省がお立てになったのに、他の省がおれの方はおれの方で勝手にやるんだ、お前の整備計画にはそれは載せてやろう、そういう必要がどこにあるのかというのです。どこかでほかのところの意思を聞いて、一元的に一つのスポークスマンとして発表したらいいんです。
  40. 川上六馬

    川上政府委員 医療機関整備計画は、一応省内ではかりまして、医務局が、これを作っておるのでありまして、その計画に基づいて各局が、おもに保険局でありますが、個々の計画にのっとって整備するという方針で、先ほど申しましたような調整連絡会でもってやっておるわけでございます。しかしそれをどこかの局で一元的に所管してやるべきだというようなことにつきましては、これは今次官がお答えになりましたように、今後検討しなければならぬ問題だろうと私ども考えておるわけであります。
  41. 滝井義高

    滝井委員 今後検討しなければならぬ問題じゃないと思うのですよ。現実の問題ですよ。これが一番大きな問題です。むしろ医療金融公庫よりもこれが一番大きな問題ですよ。これが根本です。これを解決せずしてどうして整備計画が具体的になりますか。たとえば国鉄が、おれの従業員があそこに多いから国鉄の病院を作るんだ、こう言います。そうすると保険局は、あそこには年金の被保険者が多いから年金の病院を作るんだ、こう言います。労働省が、あそこはけい肺の患者が多いから労災の病院を作るんだといったら、同じところに三つできる。それらのものは調整をする何らの要素がない。国鉄は国鉄の従業員のための病院、労災は労災患者のための病院、年金は年金関係病院だ、そうしてほかには関係ありませんという閉鎖的な形ができていく。そしてできた後に、労災だけでは赤字でどうにもならぬので、今度は健康保険患者をとると、健康保険病院が赤字になってくる、これが今の実態じゃないですか。一体そういうように各自の道を歩ませていいのかどうかということです。それは検討しますじゃない。今の段階、今の問題ですよ。整備計画をあなた方は何とおっしゃっているのです。「国民に対し医療の機会を均等に保障し適正な医療を提供することは、国民皆保険達成の目標であり、これがためには前提条件として医療提供の場である医療機関の配置及び機能をさらに体系的に整備する必要がある。」こうお書きになっている。今のようなことでは体系的じゃない。体系的というのはどこか大脳のような中枢神経があるのです。川上さんはお医者さんですから知っているでしょう。大脳の命令によって手が動き、足が動くところにわれわれの肉体の体系ができている。ところが、大脳が二つも三つもあって、それがどこか腹の中で話し合って手足に命令するような、そんなばらばらな体系はない。どこか命令系統が一貫をしているときに初めてわれわれは体系と言うのです。そうでしょう。体系とお書きになっている。それならば並列的なとお書きなさい。並列的なものを総合調整するとお書きになったらいい。体系といえば、どこか大脳中枢がなくちゃならぬ。その根本問題を厚生省が討議せずして、医療機関整備計画というものを省議決定をしてお出しになっているところに問題がある。私は無理を言っているのじゃない。日本医療の現状を憂うるからこんな悪態をつかなければならぬ。どうですか政務次官、もう役人の段階ではないですよ。政治的な段階ですよ。自由民主党として一体この医療政策をどうするかという段階ですよ。そこらあたりをもう少しはっきりしなければだめですよ。こんなことなら僕は審議をやめますよ。
  42. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 そういう点等もいろいろ考えられます。現に私もそういう問題にぶつっかった経験を持っております。しかしこれなどをよく考えてみますと、今継続審議になっておりますたとえば医療法の一部改正、あの御審議を願うことによって、そこに一つの調整ができると考えております。
  43. 滝井義高

    滝井委員 調整ができるならば御答弁願いたい。たとえば国鉄が東京に一つ作る、労災が病院一つ作る、健康保険一つ作る、済生会一つ作る、日赤一つ作る、みんな目的が違いますよ。これをみな許しますか。十万ぐらいの市にそれぞれみな作って、五つも六つも許しますか。一体それを規制するときにはいかなる理論的な根拠と、いかなる方針で規制しますか。
  44. 川上六馬

    川上政府委員 医療法の一部改正で、大体この基準を人口当たりの病床数に置いてやっていきたい、こう考えているわけでありますが、それぞれの病院がやはり性格なり機能が違っているわけでありまして、そういう点を実情に応じまして調整をしなければならないと考えているわけであります。そして今お話がありましたように、なるべく経営主体がばらばらに作るということを避けて、なるべく病院というものをお互い利用して、地域的に病院整備していくということから、やはり経営主体をなるべく少なくした方が適当だろうというような考え方を持っているわけであります。
  45. 滝井義高

    滝井委員 どうも局長の答弁は明確でないのでわかりませんが、具体的に申し上げますと、たとえば別府ですが、別府には国立病院が二つか三つありますよ。そして今度そこに八幡の年金病院を作りたいという運動を起こしているのですよ。そして別府できらわれたら、お隣の町の由布院へ行って作るのだ、こういって今問題になっているのです。これはなかなか抑制のしようがあなたのところはないじゃないですか。後におられる保険局の所管ですよ。お隣の、同じ省の中で顔を合わせて省議なり局長会議に出るところで話がつかぬで、地元で問題になってきている。あるいは私の選挙区の門司は、海員掖済会の病院があります。そして今度労災病院を作りますよ。そして今度健康保険の市民病院がありますよ。国鉄の大きな病院がありますよ。こんなものちょっとも統制ができない。そしてそれができるのを公的病院が反対している。ところが公的病院が反対しょうと何しようとできていく。  もう少し具体的に尋ねますが、一体あなた方は診療圏というものをどう考えておりますか。人口三十万人以上についてはベッドは五十五だとおっしゃる。そうするとベッドが五十五になるまでは一体今言ったように閉鎖的な——私はむしろ閉鎖的と言いたい。年金病院というものは年金を対象としている。ところがこれが今どんどん一般を見ているところに問題が出てきているのです。年金という特殊な目的のために作ったものが、一般を見なければ赤字でやっていけない。やっていけないから一般を見る。労災という特殊な目的で、けい肺を見るといって作った病院が、いつの間にかけい肺患者をおっぽり出して——おっぽり出してと言うと語弊があるが、けい肺患者より一般患者に力を入れているというような状態です。そうしますと人口三十万以上というのは五十五床だ、十万以上は五十床ですか、こうお考えになっている。そうすると単に人口だけではいけない問題が出てきている。診療圏という考え方たとえばこの前京都に行きましたら、京都はずいぶん病院があるが、またどこかに大きな済生会日赤かの病院ができている。衛生部長は反対だ、あんなものは必要ないと言っておる。ところができている。そしてそれらの患者さんは一体どこから来るんですかと言うと、それは京都から来るよりも奈良とか滋賀とかいう近辺から来るんだ、こういうことなんです。そうしますと整備計画というものは、今の問題とも関連をして、今の問題というのは国鉄とか逓信病院とか、あるいは労災病院というような、特殊の者を対象にした閉鎖的なニュアンスを持っている病院整備計画との関係、それから同時にそういうものが強引に作られるということは、やはり診療圏というものが今言った人口のワクの中以外にはみ出す可能性があるからこそ、そういう計画が出てくる。そうしますと、あなた方は一体診療圏というものをどう見るか、診療圏というものをいかに把握しておるか。
  46. 川上六馬

    川上政府委員 診療圏はやはりその病院の実態に応じまして、たとえばその管内の患者が五割で、あとの五割は管外から来ておるというような実情がありますれば、そういう点を考慮して考えていくということになると思います。これはそういう実情に合わすために、府県に医療機関整備審議会というものを設けることになっておりまして、現に一部ではそれを相当活用いたしておるわけでありますが、そういうことでその県の実情に応じたような整備の仕方をしていくという考え方になっておるわけであります。ただいまいろいろと例を引いてお話がございましたようなものについては、これはやはり何と言いましても、今継続審議を願っております医療法の一部改正ができますれば、三公社五現業は法律によって規制できますし、あるいは国が作るものにつきましては、厚生大臣と協議してやる。むろん国立もそういう精神で今後の整備、運営をしていこう、こういう考え方でおるわけであります。
  47. 滝井義高

    滝井委員 規制していくといっても、診療する対象が違うんですからね。ところが今は診療を、労災は労災でやります、年金は年金関係を見ますと言っておるが、作ったあとは、私が御指摘を申し上げたように、これは独立採算制ですから、一般になってしまうのです。だから目的を限って言う場合には、あなた方が何と言おうと、それは制御できませんよ。たとえば健康保険組合が、おれの組合の病院は健康保険組合の組合員だけを見るんだ、こう言って発足するわけです。健康保険組合は大体そういうことはありませんが、しばらくしたら一般を見ますということができるわけです。だから私は大脳を作りなさいと言うのです。それを許可する中枢というものをはっきりしなければいかぬ。病院というものは一体どこで一元的にやっていくかということをはっきりしなさいというのです。公的医療機関なら公的医療機関が、その運営の主体をたくさん作るところに問題がある。あなた方はどうも納得がいかぬらしいから、少し具体的に運営の主体を見ていけば、いかにこれが乱雑であるかということがおわかりになるのです。まず大きく分けると国立及び三公社でしょう。それから公的医療機関社会保険関係団体、私的医療機関、それから——これは医療機関と書いてあるが、おそらく医育機関の意味だと思いますが、これだけ大きく分けても五つですよ。一体何で国立病院、三公社、公的医療機関社会保険関係団体、私的医療機関医療機関——医育機関、こんなに分けなければならぬか。牛丸さんの説明では公私二本立てで参ります、こういう説明でしょう。国立病院医療法では公的医療機関ではない。それから社会保険関係病院もこれは公的医療機関ではない。公的医療機関でない第三の範疇のものがあるのです。今これを無秩序に建てられておる。だから公私二本立てでいくというならば、公の方は一体どういう工合にしぼりをかけるか、どういう工合に大脳をお作りになるかということです、私の質問の要点は……。もっと具体的に申し上げますならば、国立及び三公社ならば厚生省と文部省とその他の省の所管がある。なぜ一体こんなに病院を各省が持たなければなりませんか。この理由が私はわからない。医育機関はこれは特殊性があるから一つは認められると思う。それからさらに三公社関係日本国有鉄道、日本電電公社、日本専売公社、医療福祉事業団、こういうものがどうして持たなければなりませんか。医務局病院医療福祉事業団に関係する労働者をどうして入れられないかということなんです、言葉を返して言えば……。ここらの矛盾をあなた方どうしてはっきりできないのかわからない。これではまるきり体系的な整備じゃない。並列的、縦列的体系ですよ。これも一つ体系と言えば体系と言えるかもしれませんが……。公私二本立てでおやりになるという言明をされたんだが、それは二本立てでなくて、実は二十立てくらいになっておる。二十くらいの経営主体がある。ここらあたり、あの法律が通ったってできるものではないですよ。政務次官どうですか。あなたがお答えできなければ、大臣の病気がなおられるまで待っておってもけっこうです。(小林(進)委員「大臣がなおるまでこの法律待ちましょうか、急ぎの旅でもないんだから……。七月ころまでにあげればいいんだろう。」池田(清)委員「特急にしておけ」と呼ぶ)特急券を発行しても、今のやつを説明してもらわなければどうにもならない。今ごろの議論じゃない。二年も三年も前から議論をして指摘しておる。
  48. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 われわれの考え方では、やはり医療法の一部改正によって、相当の効果を上げ得ると信じております。しかしながら実際にこれの改正を御審議願って、その方の効力を見て、また結果がおもしろくない場合には、またさらに検討を加えなくてはならぬ、かように考えます。  それからもう一つは、御承知医療制度調査会等もございますから、かようなまちまちになっておるものをどうすればいいかというような大きな問題も、やはり調査、御審議を願いたい。その答申を待ってさらにわれわれまた考えなくてはならぬ、かように思っております。
  49. 滝井義高

    滝井委員 医療制度調査会をおやりになることは御自由です。しかし医療保障五人委員会の重要な答申もすでにできておるものもあるわけです。これは御存じでしょう。——どうも厚生省は不勉強でだめだ。大臣も知らないし、政務次官も知らないというのでは処置ないですよ。一体厚生省は政党の大臣なり政務次官に教えておるのですか。これは官房長の責任ですよ。医療保障五人委員会の過去における答申その他というものは、こういう重要な法律を審議するときは全部にわたって御説明申し上げておかなければいかぬですよ。ここでわれわれ野党から質問をされて、医療保障五人委員会というものはありませんでしたという大臣の答弁なんですからね。政務次官も今よくおわかりにならない。そういうことではだめですよ。日本医師会の雑誌なんか見ると、医療金融公庫法というのは自由民主党の政党内閣の政策の破綻だ、こう言っておる。僕らもそうだと思っていた。ところが今までの質疑応答を通じてみると、全くもう大臣なんかおひな様と同じで、何にもお知りにならぬ、こういう実態がわかってきた。これは私はいかぬと思うのです。もう少しそこらあたりをはっきり勉強していただいて——われわれもこのくらい質問をするためには、やはり十日なり二十日なり勉強してきておりますから、政務次官も大臣も、やはり十日なり二十日なり勉強しなければ、こんなものわけないですよ。二、三日勉強したら全部わかりますよ。もう少し、一々役人の方から聞かなくても、勉強してここで御答弁願わなければ——医療保障五人委員会の大事な答申が出ている。あなた方の顧問の答申ですよ。しかも川上さんはそれは重要な御意見でございますから、これはわれわれは検討いたしたい、こうおっしゃっている。その重要な御意見というものが、医療機関の問題についても出ているのですよ。そうするとその第一段階に出た意見をもとにして、やはり厚生省の御意見というものは持たなければいかぬ。また医療制度調査会が意見を出したら、それも参考にしたらいいでしょう。そうして厚生省の最後の腹固めをおやりになればいいのです。今の段階における腹固めというものは、もう少しはっきりしておかなければいかぬと思うのです。情勢が違ってきている。医療法を出したときは、ずっと前の国会ですよ。その後皆保険も達成されるし、新しいいろいろの見解が出てきているのですから、情勢の変化に応じて、やはりあなた方の腹がまえもだんだんよりよき方向に積み上げられていかなければならぬと思うのです。どうももう少しそこらあたりをはっきりしてもらわないと、これは話にならぬですね。  それならば運営主体の問題は、大臣がおいでになるまでは留保しておきましょう。  もう一つ、今度は大事な問題に入りますが、ここまでいきますと、医療機関整備保険との関係になるのですが、ちょうど区切りがいいのです。いよいよ医療機関整備をやることになりますと、医療金融公庫というものが財政的に相当重要な役割を演ずるわけです。そうしますと、これはお金が、まああなた方の御説明によると、七百億前後、今までのいろいろの関係その他を勘案すると、五百億ぐらいは貸されることになるだろう、十カ年間でそれくらいはいくだろうという御説明がいつかあったと思うのです。そうしますと、今度は借りたお金はネコババするわけにいかぬから、お返しをしなければならぬ。一体現在の社会保険の診療報酬で——医療機関整備計画というものは、御存じ通りこれは袋ですから、今度その中に入るのは保険制度ですから、だから今の保険制度のもとにおける診療報酬で順当に返すことができますかどうかということです。これは一つ医務局の見解を述べていただきたい。
  50. 黒木利克

    黒木政府委員 一応規模別に試算をしたことがございますから、御紹介をいたしますと、一般の無床診療所で所要資金が三百二万円、それに対して八割を公庫で貸し付けるとしまして、二百三十九万円でございます。その償還の元利金が三百四十万五千円になります。それを年額にいたしますと、二十二万七千円。そこで医療施設の今度は無床診療所の収入の方を試算をしてみますと、一応患者調査等に基づきまして、平均三〇・九人の外来患者が一日にあると見まして、診療収入は、年間でございますが、二百一万一千五百九十円でございます。これは国立とかあるいは公立とかその他の施設の実績を採用いたしておりますが、そうしますと、年間所要な支出をいたしましても、ネット・プロフィットと申しますか、これが三十万九千百十七円でございます。そこで三十万九千百十七円の収入年額でございますから、三十人の外来患者がある場合には、何とか償還はできる。それから歯科診療所の場合は、患者調査によりますと、一日平均取り扱い患者が二十人でございますから、そうして見ますと、診療収入は百五十三万六千円、諸経費を差し引きまして、ネットの収入が二十七万八百九十一円でございます。そこで医療施設の歯科診療所の新設の資金がどれくらいかかるかと申しますと、一応二百六十一万二千円の所要資金で、その八割を貸付がなされると見て二百六万円でございます。その償還元利命が二百九十五万八千円、元利の年の償還金が九万七千円でございます。それから一般病院につきましては、二十床から五床きざみに試算がしてございますが、一応一例として百二十五床の病院の例を申し上げますと、その所要資金が七千三百十二万五千円、その八割を貸し付けるといたしまして、五千八百五十万円、その償還元利金が九千八百十万円、年間の償還金が四百九十万六千円でございます。これに見合う収入でございますが、一日平均取り扱い患者の総数を二百七十人、内訳は入院が百人、外来が百七十人と見まして、その診療収入が三千七百二十三万七千五百円、諸経費を差し引きまして、七百五十七万二千七百四十六円のネット・プロフィットでございます。
  51. 滝井義高

    滝井委員 一つ一つ質問をすると時間がかかりますから……。この医療機関整備計画によって、まず主として恩恵を受けるであろう無床診療所ですね、無床診療所で三〇・九人の平均的な患者がある、そしていろいろな支出を差し引いて利益が三十万九千百十七円ですか、収入が二百一万千五百九十円、これは三十人あればこのくらいだと思うんですよ。ところが医療機関整備をやらなければならぬ地域というものは、これは三十人来るようなところではないですね。まず私は、その問題もありますが、保険局お尋ねしますが、保険局は今黒木さんから御説明になりました無床診療所、歯科診療所、それから二十床から五床きざみの百二十五床の収支計算ですね、これは保険局は御承認になりますか、金を払うのはあなたの方ですから。
  52. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これは私、実は伺っておらないのでありますが、おそらくこれは医務局としても十分計算されていることだろうと思いますから……。
  53. 滝井義高

    滝井委員 金を払う側の保険局が知らぬような資料では困るのです。これは八・五%のワクの拡大をするときに、保険局が資料をお出しになっておるのですから、保険局の資料とあなたの資料と狂っちゃ大へんです。これは現在皆保険下における基金からの支払いの状態等をごらんになると、月五万円以下の収入のものが非常に多いのです。所得じゃないですよ、収入のものが非常に多いのです。そうしますと、これは年間収入が二百一万円なんですからね、これは月にして十七、八万円ですね。そんなものはそうないです。普通の無床診療所では、そうざらにあるものじゃないですよ。これは二百一万の収入があるといえば、相当はやっている。そこで、これは医務局だけの資料では、私たち納得がいかないのです。当然支払う側の保険局の側とあなた方とが打ち合わせて出しているものだと私は思っていた。これは一番根本のところですよ。お金を返さなければならぬものなんですからね。そうすると、支払う側の保険局の了承を得ないような資料では、私たち信用できないのです。だから、ちょうどいい時間になりましたから、これは来週でけっこうです。そこで、もう一回保険局医務局と御相談されて、そして一つ払う側と受け入れる側と、間違いない、これならば責任が持てるという案をお出しにならないと、こんなずさんなもので、保険局がわれ関せずというような案を打ってきても、われわれ受け取れない。これが一番大事なところですよ。一体医療機関整備計画をお立てになって、そうして無床診療所を三百二万で建設をしていく、その八割の二百三十九万円を貸すというような地域ですね——これは地域もきまっていると思います。貸すのに。整備計画というものは、ある程度地域的な制約があるわけです。病院がひしめき建っておる、診療所がひしめき建っておるところには貸さない。それは貸しても、修理費か特殊な場合以外には貸さないことになるはずです。だからどうですか政務次官、今お聞きの通りでございます。私の直感では、八・五%のワクの拡大のときに出た資料とは、だいぶ違います。今私ここに資料を持ってきておりませんから言いませんが、当然こういう大事な基本的な資料をお出しになるときは、医務局だけの一方的な、金を借りる側の資料だけではだめですよ。これは支払う側の保険局の資料というものが、この際必要になってくる、これは保険局が専門でおやりになっていますから。だから、医務局保険局と合意の上——日米合意ではなくて、保険局医務局の合意の上の資料をお出しになっていただきたいと思います。どうですか、政務次官、次回の来週の月曜か火曜にこれをまたやることになるのですが、これをそれまでにお出しになりますか。
  54. 内藤隆

    ○内藤(隆)政府委員 よろしゅうございます。来週お出ししましょう。
  55. 滝井義高

    滝井委員 それじゃそれを一つお待ちしたいと思います。それで、ちょうど切りのいいところになりましたから、これで一つ休ませていただきます。
  56. 永山忠則

    永山委員長 午後二時まで休憩いたします。二時に再開いたします。      ————◇—————    午後一零時二十五分休憩     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕