○齋藤
委員 私は
身体障害者雇用促進法案に陶しまして若干御質問を申し上げたいと思います。
私が申し上げるまでもなく、身体障害者の
生活、職業を含めての
生活問題は非常に重要な問題でありまして、今日まで
政府は身体障害者福祉法を制定し、その
生活の安定に非常な努力をなさってきておったわけであります。それと同時に、身体障害者の
雇用問題、これは何と申しましても身体障害者の援護の
中心だと私思うのでございます。すなわち、身体障害者はとかくそれぞれの労働能力が落ちて参っておりますために、ひがんだ
感じを持ちたがるものでございます。そこで身体障害者の
雇用問題の根本は、身体障害者その人自身がひがむことなく、また
一般の人々も卑下した
感じを持たないで、あくまでも自立自営の精神を自分自身も持ち、そして外部の者もまた自立自営の精神を持たれるように
指導し、激励をしていくということが根本の問題かと思うのでございますが、そうした観点から、
政府の今日まで身体障害者の職業問題に対する態度というものを見て参りますと、さきに職業安定法によりまして、身体障害者に対する職業訓練施設を設けるということを定めて参りましたことも非常にけっこうなことだったと思います。それと同時に身体障害者の就職問題に直接取っ組もうという考え方から、先般来
行政措置でいろいろな就職の問題について措置せられたことも十分承知いたしております。それもまことにけっこうなことであったと思うのでありますが、やはり何と申しましても身体障害者の
雇用に関する基本法ともいうべきものがなかったということは、身体障害者の
生活援護全般を見渡しまして残念なことだと思っておったわけでございます。諸外国にはいろいろ身体障害の
雇用に関する立法があります。特に傷痍軍人については非常に手厚い保護がなされておるわけでございます。しかしわが国は新しい憲法のもとに、傷痍軍人だけを別建てにして援護をするということは許されないことでございまして、
一般の身体障害者というワク内において傷痍軍人をも考えられておる。非常にいい考えであるわけでございますが、こういうふうなことで諸外国にはあるにもかかわらず、わが国には身体障害者の
雇用に関する基本法がないということは、非常に残念なことであり、さびしいことであったと思うのでございますが、今
政府が新たに身体障害者の
雇用促進に関する基本立法を企てて提案されたということについては、私は深く
政府の努力に敬意を表するものでございます。
ところで、しかしこの
法律を見ますと、まだまだ私は不十分な点が多々あると思うのであります。
一つの例を引いて申し上げますれば、第二章等を見ますと、職業紹介に関する規定は入っております。就職後の
指導も入っておる。
雇用主に対する助言あるいは本人に対するいろいろな
指導というものもありますけれども、この職業紹介を容易ならしむる根本はやはり職業訓練であると思います。この職業訓練の規定というものが職業安定法にあるのゆえをもって
雇用促進法に掲げられなかったということは、これはやはり法の体系から、そちらにあるから重複して書かないということであったろうとは思いますけれども、ほんとうを申しますと、最近のいろいろな社会保障の立法を見ますと、それぞれの谷間にある人々にあたたかい手を差し伸べる総合的立法というのが、やはり法の形態としては好ましい姿であったと私は思います。そういう意味において身体障害者
雇用促進法の中に就職の根本をなす職業訓練、職業能力の劣っておる人に対して、その劣っておる者のハンディ・キャップを埋めてやるという職業訓練の規定というものを、職業安定法にあるのゆえをもってここに入れなかったということは、私は形から申しますと非常に残念なことであったと思います。安定法とこれとを合わせて読めばわかることではございますものの、やはりほんとうを申しますと、身体障害者に関する総合的な形の立法という形式の方がよかったのではなかろうかという
感じもいたすわけでございます。
そのほかに、また内容的に見ますと、いろいろ問題があると思います。たとえば身体障害者の
雇用を促進するために、民間
雇用主に対してもっと何か援助というものができないものであろうか。特に身体障害者の方々の作業
補助具、これは絶対、ほんとうに必要なものであります。そういうふうな作業
補助共の問題等について、もう少し突っ込んで努力をしていただきたい、こういうふうな
感じも持つのであります。しかしながらこうした問題は、私、一朝、夕に解決し得る問題ではない、こういうふうにも考えるのでございます。いずれにせよ、
政府が、今まで何にもなかったところに身体障害者
雇用促進法という社会保障の非常に大きな谷間を埋めるための
一つの立法をされた。ここで、きょうの段階では私は非常に満足いたしますけれども、将来の問題としてはやはりいろいろ問題は残されておる。しかしその問題が解決しないうちはこうした立法は必要がないかということになりますと、やはり大いにある。一歩前進であり
——一歩どころではなく、ほんとうに十歩も二十歩も私は前進であると思います。わが党内閣がいかに傷痍軍人を含め、こうした身体障害者の援護について努力されたかということについてあらためて敬意を表しながら、以下多少
法律の内容について御質問を申し上げてみたいと思う次第であります。
まず第一にお尋ねを申し上げたいと思いますことは、第二章の職業紹介等に関する安定所の機能の問題であります。すなわち安定所におきましては、第三条「正当な理由がないにもかかわらず身体障害者でないことを条件とする求人の申込みを受理しないことができる。」そのほかに、安定所は就職した身体障害者に対するいろいろな
指導を行なう、あるいはまた
雇用主に対する第五条の助言、こういうふうになっておるわけでございますが、できるならば安定所の機能を
——総合的機能はそういうふうになっておるのでございますが、安定所に身一障害者の職業相談員というふうなもの、現在あるのかどうか知りませんが、そういう制度をやはり機構的にもはっきり作るということが必要ではないだろうかという
感じがするわけでございます。安定所の全般的な機能の一部はある。しかし、端的に身体障害者あるいは
雇用主にぶつかっていく、そういう意味において何か身
一体障害者職業相談員というふうなものがあって、専門的に取り扱うということが必要ではなかろうかという
感じがするのでありますが、安定所のこの問題についての動き方の、具体的なそういう機能についてます御
説明をお願いいたしたいと思います。