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1960-04-12 第34回国会 衆議院 社会労働委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十二日(火曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 大石 武一君 理事 田中 正巳君    理事 八田 貞義君 理事 藤本 捨助君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君       池田 清志君    加藤 精三君       亀山 孝一君    久野 忠治君       竹下  登君    齋藤 邦吉君       二階堂 進君    柳谷清三郎君       赤松  勇君    伊藤よし子君       大原  亨君    岡本 隆一君       中村 英男君    本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 渡邊 良夫君  出席政府委員         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (医務局次長) 黒木 利克君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    磯江 重泰君         厚生事務官         (大臣官房審議         官)      牛丸 義留君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      館林 宣夫君         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 四月七日  委員大原亨辞任につき、その補欠として淺沼  稻次郎君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員岡本隆一辞任につき、その補欠として河  野正君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員藏内修治君、河野孝子君、古川丈吉君、山  下春江君、淺沼稻次郎君及び河野正辞任につ  き、その補欠として加藤精三君、久野忠治君、  二階堂進君、竹下登君、大原亨君及び岡本隆一  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤精三君、久野忠治君、竹下登君及び二  階堂進辞任につき、その補欠として藏内修治  君、河野孝子君、山下春江君及び古川丈吉君が  議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月七日  積雪地方建設労働者失業保険適用に関する請  願(西村力弥紹介)(第一九七七号)  けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護  法の一部改正に関する請願西村力弥紹介)  (第一九七八号)  同(黒田寿男紹介)(第二一二五号)  日雇労働者健康保険法改善に関する請願(西  村力弥紹介)(第一九七九号)  市町村労働組合等の行う職業訓練に対する経  費負担に関する請願西村力弥紹介)(第一  九八〇号)  同(黒田寿男紹介)(第二一二三号)  一般職種別賃金即時廃止に関する請願西村  力弥紹介)(第一九八一号)  同(黒田寿男紹介)(第二一二四号)  医療施設不燃化等建築費助成に関する請願(  野田武夫紹介)(第一九八二号)  薬事法の一部改正に関する請願森島守人君紹  介)(第一九八三号)  動員学徒犠牲者援護に関する請願高橋等君紹  介)(第一九八四号)  同外八件(大島秀一紹介)(第二〇三四号)  同外一件(内藤隆紹介)(第二一二二号)  同外百二十一件(藏内修治紹介)(第二一六  六号)  同外六件(保岡武久紹介)(第二二二三号)  酒害対策費に関する請願菊川君子紹介)(  第二〇一〇号)  同(鈴木一紹介)(第二〇一一号)  同(本島百合子紹介)(第二〇一二号)  同(加藤勘十君紹介)(第二一二六号)  同(大平正芳紹介)(第二一六七号)  同外一件(片山哲紹介)(第二一六八号)  同(河上丈太郎紹介)(第二二二四号)  酒癖矯正施設設立に関する請願鈴木一君紹  介)(第二〇一三号)  同(本島百合子紹介)(第二〇一四号)  同(加藤勘十君紹介)(第二一二七号)  同外一件(片山哲紹介)(第二一六九号)  同(橋本正之紹介)(第二一七〇号)  同(河上丈太郎紹介)(第二二二五号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正に関す  る請願馬場元治紹介)(第二〇三三号)  日雇労働者健康保険法の一部改正に関する請願  (黒田寿男紹介)(第二一二八号)  結核患者生活保護基準及び入院患者費加算の  引上げ等に関する請願帆足計紹介)(第二  一二九号)  国民健康保険内容改善及び結核回復者寮設置  等に関する請願帆足計紹介)(第二一三〇  号)  健康保険患者負担廃止及び傷病手当金給付期  間の延長等に関する請願帆足計紹介)(第  二二三号)  新薬を健康保険等適用に関する請願帆足計  君紹介)(第二二三二号)  職業安定行政地方移譲及び職員の身分移管に  関する請願阪上安太郎紹介)(第二二二〇  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月八日  町村における環境衛生施設整備充実に関する  陳情書  (第五七九  号)  失業対策事業資材費国庫補助率引上げに関す  る陳情書  (第五八七号)  石炭関係離職者緊急就労対策事業継続割当に  関する陳情書  (第  五八八号)  失業対策費の増額に関する陳情書  (第五九〇号)  国民健康保険法の一部改正等に関する陳情書  (第五九一号)  けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護  法等の一部改正に関する陳情書  (第六一二号)  旧軍人の傷病治療費全額国庫負担に関する陳情  書  (第六三九号)  石炭鉱業離職者緊急就労事業費全額国庫負担等  に関する陳情書  (第六五二号)  じん肺法制定等に関する陳情書  (第六五三号)  簡易水道新設事業に対する国庫補助率引上げ  に関する陳情書(  第六五四号)  地方衛生研究所法制化に関する陳情書  (第六四六号)  生活保護法基準額引上げに関する陳情書  (第六八三号)  日雇労働者健康保険法の一部改正に関する陳情  書(第六八四号)  消費生活協同組合資金の貸付に関する法律の一  部改正に関する陳情書  (第六八五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  医療金融公庫法案内閣提出第三四号)      ――――◇―――――
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出医療金融公庫法案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 前回の委員会で、将来医療金融公庫でいろいろお金を使う場合に、当然医療機関整備計画というものができておらなければならない。同時にその整備計画の根本的な思想的背景は、一体日本医療制度というものがどういう方向に向かうかという、こういう基本的な背景というものが同時になくてはならぬ。従って将来の医療制度というものはどういう方向に向かうのか、その医療制度にのっとった医療機関整備計画はどういうことになるのかということを、本日御答弁を願うことになっております。従って、まず第一の医療制度の方から御答弁を願いたいと思いますが、これはいろいろあとで問題がありますので、先に医療機関整備計画について、厚生省のお考えをお述べいただきたいと思います。先日医療機関整備計画については、われわれの手元に配付せられております資料の中にありますが、これは医務局試案であって、厚生省自身試案ではない、それならば厚生省試案を出してくれ、こういうことで本日厚生省試案をもあわせて出していただくことになっております。そこでまず医療機関整備計画について、厚生省案を御説明を願いたいと思います。
  4. 川上六馬

    川上政府委員 先般の委員会におきまして、この医務局案厚生省としてはどういうふうに考えておるかという御質問でございましたが、この計画を諮りまして、一応これを厚生省で確認をするということになりましたので、さよう御了承いただきたいと思います。従ってここに資料についております医療機関整備計画によりまして、今後医療機関整備をはかっていきたいと存ずるわけでありますが、先般八田委員の方から御質問がありました際にも申し述べましたように、従来厚生省といたしましては、各府県単位中央病院、それから幾つかの保健所所管区域ごと地方病院、それから保健所単位に、これは大体郡単位になると思いますけれども、地区病院、こういうようなものを一応府県基幹病院といたしまして、そうした病院計画を持っておったのであります。私自身地方におりました場合にも、こうした厚生省基幹病院整備計画方針に基づいて、われわれはきょうまで大体さような考え方におきまして医療機関整備に努めてきたわけでございます。そしてこれらの病院は相当の規模になるものでありますし、私的の機関では財力、資力の点からも無理があったり、またいろいろ施設一般開業医の方々に利用してもらうとか、あるいは医療関係者を養成いたしますとか、あるいは出張所を出してもらいますとか、その他公衆衛生活動に協力してもらうとか、いろいろな面からいたしまして、公的医療機関にこれらの基幹病院を持つことの方が適当であろうというように考えておるわけでございます。しかしこれらの基幹病院に該当いたしますような私的医療機関がございます場合、あるいは今後できます場合は、これらの私的医療機関をこの基幹病院の体系的な整備一環として考えていくというような考え方をいたしておるわけでございます。  それから国立病院はどうかということでございますが、これは現在御承知のように各ブロック基幹病院整備いたしております。たとえば九州に一個所、北海道に一個所、あるいは東京、近畿というような、そういう各ブロック国立基幹病院を作るということで、年々その整備をはかっておるわけでございますが、そうした各ブロック一つ国立基幹病院以外の国立病院は、先ほど申しましたような府県におきますところの基幹病院計画一環をになわしていこうという考え方をいたしておるわけでございます。  それから診療所の方はこの資料にございまするが、大体少なくともこの診療所人口二千に一個所は整備しなければならぬ。もっともこれは都市地方によってだいぶん需要が違っておりますので、この数字をもって一律に基準といたすことは適当でないと考えますので、その地域の医療需要考えまして、その基準というものを調整して参りたい、こういうように考えておるわけでございます。  歯科診療所は少なくとも人口三千、これは現在歯科医師が少のうございますものですから、当分こういう目標でやっていきたいというように考えておるわけでございます。しかしまたこれとても都市といなかでだいぶん医療需要が違っておりますので、むろん地域的な態様を考え基準考えていかなければならぬというように存じておるわけでございます。  それから特に診療所もないいわゆる無医地区でございますが、これも資料につけておりますように、無医地区あるいは無歯科医地区というものが相当多数に及んでおるわけでございます。これらの地方は御承知のようになかなか収支の償わないようなところが多うございますので、こういうものに対しましては、やはり公的診療所をもって補わなければならない、特に医師需給関係から申しまして、なるべく親元病院から出張所に派遣するような方法が適当であろうというふうに考えまして、特に財政事情の悪いような町村に対しましては国が助成をいたしまして、現在二百三十七個所という目標を持ってその整備に努めておるわけでございます。  大体非常に大まかな考え方でございますけれども、そういう方針を持ちまして整備に努めておるわけでございますが、その病床の数は、これも資料にございますように、四十年の基準を一応数の目途にいたしまして、その整備をはかりつつあるのでございます。以上でございます。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、厚生省としては県なり幾つかの保健所、それから保健所単位、つまり郡単位というような形で段階的に病院整備する、それから国立病院ブロック別に別個に中心的、基幹的なものを作る、診療所は二千人に一個所、歯科は三千人に一個所、無医地区は二百三十七個所を今後主として公的な病院出張所の形で整備していく、その目途は四十年である。その詳細は医療金融公庫法案参考資料の中に出ておる整備計画、いわゆる今までの医務局案というものが省議できまり、厚生省試案になった、大臣、そう理解して差しつかえありませんか。
  6. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 さようでございます。
  7. 滝井義高

    滝井委員 医療機関整備計画厚生省案がようやくここに誕生をいたしました。そこでこれについては、あとで徐々に質問さしていただきたいと思います。  こういうように医療機関整備計画というものが一応でき上がりました。そうしますと、その背景をなす医療制度というものは一体どういうことになるかということになるわけです。そこで医療制度基本となる考え方と申しますか、その医療機関整備計画背景をなす医療制度自体に対する今後の改革方向というものを、厚生省はどうお考えになっているか、これを一つ大臣から明らかにしていただきたいと思います。
  8. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 医療制度に関しましては、医療関係者医療機関及び医業経済との関係につきまして、十分にこれを検討いたしてみなければならぬ、こう思っております。医療関係者というのは、要するに医療を施す者、医師歯科医師看護婦あるいは助産婦あるいは保健婦等人々でありまするが、これらの人々のいわゆる質的あるいは学術的な、あるいはまたすべての内容というものが充実するように指導、補助をするようにいたしたい、私どもはかように考えておるような次第でございます。またそれがためには、この必要に応じましてはいわゆる国家試験というようなもの、あるいは学科目等教科内容というものにつきましても検討を加えてみたい、かように考えております。
  9. 滝井義高

    滝井委員 大臣も御存じの通り、戦後の日本医療制度で手を加えられたところは一体どこかというと、まず第一に医師国家試験というものが、われわれの学生の時代はありませんでしたが、戦後できて参ったのです。これが一つです。それからもう一つインターン制度というのができた、実地研修制度というのができました。それからもう一つは、看護婦制度なり保健婦制度と申しますか、そういう医療従事者制度というものが非常にレべル・アップされたわけです。もう一つ病院制度のあり方に局部的な、一部的な改正があって、これは大した改正ではありませんでしたが、まず戦後の改革といえば、国家試験と、インターン制度と、看護婦制度くらいなんです。いわゆる日本医療制度というものは、徳川時代からずっと自由開業医制度に発展をした。そういう形態というものが、大体大勢としてはそのままの姿できているわけです。しかしそういう姿の中で、非常に公的医療機関と申しますか、あるいは公的医療機関ともいわない、私的医療機関ともいわない、何かわからない第三のものがやはり伸びてきておるわけです。こういう形で伸びてきておるのですが、一体これを、こういう形の伸びてき方を、今大臣の御答弁では、医療制度というものを機関経済との関係検討をする、それから受ける者、施す者、それからそこに従事をする関係者というようなものを内容を充実して、技術でも高めるということなんですか、していく。それから国家試験検討する、これだけのことでは、日本医療制度というものをどういう方向に持っていくかというその方向がどうもはっきりしないのですが、もう少し厚生省の根本的な考え方をはっきりさせていただきたいと思うのです。  昨年の一月三十日にわれわれ新聞で医療保障五人委員会報告書を見たわけです。これは厚生省自身大臣諮問機関としてお作りになっている機関なんです。その医療保障の五人委員会答申を見てみましても、日本医療制度というものが一体どういう方向に向かわなければならぬかという、基本となるべき考え方というものが出ているわけです。私はこれがいいか悪いかはなお検討の余地があると思います。しかし一応医療保障委員会というものは、こういう基本となるべき考え方をお出しになっておるのですが、私の言わんとするところは、厚生省医療機関整備計画というものを省議で御決定になったその背景医療制度基本となるべき考え方は一体何なのかということなんです。これを私はお聞きしたいのです。この基本となる考え方がはっきりしないで、医療機関整備計画その他を幾ら作ったってこれはナンセンスです。それは目的のないところに船が行くようなものなんです。だから基本的な考え方はこうなんだというものを、政党政治のもとにおける内閣としては持っておらなければならぬと思うのです。私は先日日本医師会の雑誌を読んでおりました。ところがこういうことが書いてありました。今回できた医療金融公庫というものの一つの大きな特徴は——今までの厚生省政策というのは官僚によって動かされておった政策であった。ところが今回のこの医療金融公庫というものは、政党内閣における政党政策というものが出たのだということが言われておるのです。そういうように社会では評価をしておる。だとするならば、省議決定をした医療機関整備計画というものは、政党内閣における厚生省渡邊厚生大臣のもとで御決定になったものです。そうすると、その整備計画の思想的な背景をなす日本医療制度基本的な自由民主党考え方は何なのか、内閣考え方は何なのかということが出てこなければならぬ。それが出てこないと、われわれはこの医療金融公庫法案は幾ら審議したって船の行く方向がわからない。だから法律が出たらその目的地をわれわれは示してもらわなければならぬ。一体われわれをどこに連れていくのか、われわれ九千万国民医療制度としてはどこに連れていくかをお示し願わなければならぬと思う。医療保障五人委員会基本的な考え方に賛成ならば、これをお読みになっていただいてもよい。これはなかなか議論のあるところです。しかしこうではない、自由民主党としては、現在の岸内閣としては、こういう考え方なんだというものがおありにならなければ、こういう政策は出てこないはずです。しかもこれは政党内閣が打ち出した初めての政策であるということは日本医師会その他も言っておるわけであります。だから一つ自由民主党内閣である岸内閣厚生政策を代表せられる渡邊厚生大臣として、医療制度に対する基本となる考え方をお示し願いたい。
  10. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 医療保障につきましては、医療保障委員会にいろいろ諮問はいたしておりまするけれども、まだ何らの回答は出ておりませんので、そのままにしております。(滝井委員回答は出ている、答申は去年もう出た、われわれみなもらっている、みな議員に配っているのですよ」と呼ぶ)それは大へん失礼しました。昨年三月あったそうでございますが、私がまだいないときでありました。  医療制度基本的考え方につきましては、私は自由社会における医療公私並行していくべきである、かように考えておる次第でございます。
  11. 滝井義高

    滝井委員 自由社会における医療制度公私並行をするということはよくわかるのです。それは今までもそうやってきておるわけです。従ってそれも一つ基本と思うのですがね。一体方向はどういう方向になるんだということです。公私二本建でいくということは、今までそれできておるのですよ。ところが今あなた方は、あと保険局にも尋ねますが、皆保険をおやりになった。そうして皆保険政策遂行の過程において公的医療機関はぐっと伸びた。私的医療機関は非常に圧迫された。だからここで私的医療機関をてこ入れするために医療金融公庫法お作りになったわけです。しかも医療金融公庫法というものは自由民主党政策として今度出したのだ、こういうことなんです。そうすると公私二本建のレールというものは敷かれておるのですが、一体そのレールの行く先というのは、大阪に連れていくのか、仙台なり北海道に連れていくのか、どっちにわれわれを連れていこうとするのかということです。この方向というものをお示し願いたいというのです。今言ったように、機関病院とかいろいろ言いましたよ。しかし基本となる考え方は、公私二本建は今までだって基本となる考え方でしょう。そういう基本となる考え方なら、何も医療制調査会を作ったり医療保障五人委員会にこういうものを求める必要はない。ところがこういうものを求めなければならぬ程度に、日本医療制度というものは、現在皆保険との間に矛盾が出てきているところに問題があるのですよ。そうすると一体それをどういう方向に持っていこうとするのか、その基本的なものの考え方一つ教えて下さい、こういうことなんですから、もうちょっと何かはっきりしたものを出してもらわぬと、公私二本建で行こうということだけでは、どうもちょっとあまりにしろうとくさい感じがします。
  12. 牛丸義留

    牛丸説明員 ただいまの問題は、大臣がただいま御答弁しましたように、公私併存主義でいくということでございますが、さらにこの問題は医療制度調査会基本的な運営の問題でもございますので、便宜私から説明させていただきたいと思います。  日本医療のこれからの方向というものは、私は国民医療普及向上ということだと思います。その普及ということは、これは量的な面の問題でございますので、都市地方を問わず国民がりっぱな医療を受ける機会をなるべく与えていく、要するに医療そのものが全国民普及する方向をとるためにはどういうふうなことをやればいいかということが第一点でございます。それから向上といいますのは、医療そのもの内容向上でございますので、言葉をかえていいますならば、それは医学、医術の進歩というものを阻害しない医療制度というものが日本の将来の医療に存在することだと思います。その二つの面を基本考えまして具体的にどういう方向でいったらいいかということを医療制度調査会において審議していただくということでございます。  このことはこれからの医療制度調査会運営基本にもかかわることでございますので、私から便宜お答え申し上げた次第であります。
  13. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今後日本医療というものは公私二本建でいく、そうして国民医療普及向上をはかるということが、医療制度の問題を考える場合に一番基本的な問題だ。私はその通りだと思う。そうすると三十二年から皆保険の四カ年計画をお立てになって、ことしは皆保険の完成の年でございます。このときになってなお日本医療制度が一体どういう方向に向かうかというそういう基本的なものの考え方厚生省は持っていないのですか。今から何年先に結論が出るかわからない医療制度調査会結論を待たなければ、それまで日本医療制度という船は大海の中をさまよっておらなければならぬ、こういう自由民主党政策ですか、大臣どうですか。
  14. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 すみやかなる答申を待っておる次第でございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 すみやかなる答申というけれども、まだ委員の任命もできていないのでしょう。だから医療保障委員会最終報告というものがここに出てきているわけです。これはやはり厚生省諮問機関なんです。この考え方はいい悪いにかかわらず、一つの体系的なものが出てきているわけです。これに対する厚生省のものの考え方というものは、——これは一年前に出ているのですから、これに対する厚生省のものの考え方というものは、すでにきまっておらなければならぬですよ。ところがまだ今牛丸君言うように、国民医療普及向上をはかるのだ。そうして普及とは何を言う、向上とは何を言うんだとこうおっしゃって、そうして詳しいことは医療制度調査会運営の根本に関する問題でございます、こうおっしゃるけれども、医療制度調査会ができる一年前にこれが出ている。この答申というものは、同じ厚生省の中の諮問機関が堂々と天下に発表したものなんです。そうして調査会ができたら、その調査会で審議決定すべき諸問題の解明とこれが解決のための参考事項だということで提供しているわけです。ところが一年間も医療制度調査会が発足をしなかったのだから、厚生省は当然この一年の間にこれについての検討をおやりになっておるはずなんです。まだ厚生省自身の腹がまえがないのでは、出てきた答申に対するものさしがないのですよ。答申を受けるということは、答申をまるのみするということではないのです。行政には行政の主体性があり、政党内閣には政党内閣の主体性があるのです。主体性があるということは、みずからものさしを持っておるということです。みずから医療制度に対する基本的な考え方を持っているということです。だから基本的なものの考え方を持っておるからこそ、答申が出たときにこの答申がいいか悪いかということがわかるのです。何もものさしがなくて答申を得るということはナンセンスです。だから医療金融公庫法お作りになり、医療機関整備計画お作りになったその背景を、政党内閣厚生省としては持っておらなければならぬと思うのですよ。それを今牛丸さんのような、ちゃちな答弁といっては失礼にあたると思いますが、何かわからぬようなことではだめなんです。やはりもう少し具体的に——こういうようにお金がつく法案が出てきておるのです。しかもこの法案の中には明らかに今牛丸さんの言ったように、医療の適正な普及向上に資するということにきちっとなっておるのですから、これはきわめて具体的です。すなわちいかにして医療普及向上を期していくのかというと制度の問題になってくる。その制度がこういう方向に行くのだということがはっきりしなくては、これはなかなか問題だと思うのです。あまり奥歯にものがはさまっていると申しますか、歯に衣を着せると申しますか、そういうことでなくて、もう少しざっくばらんに厚生省のお考えを述べていただきたいと思います。それを述べたからといって医療制度調査会が支障を来たすものではないと思うのです。厚生省考え方を堂々と述べて、医療制度委員の皆さん方の御意見も聞かしてもらって、そうして大衆討議の中から一致した結論を得て、厚生省考えが間違っておるということなら、もう一ぺん修正をしてそういう方向に行かれてもいいのじゃないかと思うのです。だからもう少しざっくばらんにそこらあたりの御答弁をいただきたいと思うのですが、大臣どうですか。
  16. 川上六馬

    川上政府委員 別に隠しだてしておるところもありませんのですけれども、先ほど牛丸審議官から申しましたように、究極は国民全般にいい医療が均霑するようにということがそのねらいでございます。そのところへ持っていくにはどういう方向考えておるかというようなお尋ねのように思いますが、これは先ほど私が申しましたような大体病院診療所整備というような考え方で持っていっておるわけでございます。もっとも診療所病院の機能の分化——法律には一応その任務とか性格とかあるいは機能とかいうものをほぼ規定づけておるわけでございますけれども、こういう点におきましても、やはり機能の分化というものがあまりはっきりしていないような点もございますし、こういう点も将来はやはり検討いたしていかなければならぬと思うわけでございます。  それから先般も八田委員からお尋ねがありましたときに申し上げたのでありますけれども、医師と患者との人間関係、信頼関係と申しますか、そういうものがやはり医療基本的な考え方にならなければならぬと思うわけでございまして、そういう点から申しまして家庭医の性格を持っておりますところの診療所というものは、私はむしろ私的医療機関の方が適当であろうと思うわけであります。いろいろな意味で医療社会化という言葉も使われますけれども、私どもが考えております診療の社会化と申しますのは、これまた先般申し上げましたように、国なりあるいは社会なりの責任において国民医療がなるべく均霑するように持っていきたいというように考えておるわけであります。公私医療機関関係などもございまして、先ほど申しましたように比較的規模の大きなもので基幹的なものはなるべく公的医療機関に持っていくことが適当であろう、しかし公的医療機関も、できればなるべくこれを開放して、私的医療機関の便宜をはかってその医療内容向上することに資したいというような考え方もいたして、公私医療機関が対立を来たさないように、円滑に併存して参るように持っていきたいというような考え方をいたしておるわけであります。なお医療保障委員会で今お話がございましたようないろいろりっぱな御意見あるいは示唆などが出ておるわけでございまして、こういう点につきましても私たちはいろいろと検討いたしておるわけでございますが、いよいよ医療制度調査会も近々発足する運びに至りましたので、この保障委員会の意見などについても十分考慮いたしまして、今申しましたような従来の大体の医療機関整備考え方、あるいは制度といたしましては、大臣が申されましたように医療関係者医療機関、あるいは医療経済というような問題につきましても、調査会の御意見を聞いて将来の制度の刷新をはかっていきたいというように存ずる次第でございます。
  17. 滝井義高

    滝井委員 川上局長の答弁で、厚生省考えておることがだいぶわかってきました。そこでそれらの問題については、もう少し厚生省考え方を具体的にするために、あとで、今御答弁いただきました項目については私も質問を用意しておりますから、具体的に突っ込んで御答弁を得たいと思います。  その前にもっと大事なことを先に、大臣もいらっしゃっておりますからお聞かせ願いたいのですが、さいぜん牛丸さんの御答弁の中にも、医療制度調査会運営の根本に関する問題云々という言葉がございました。きょうの新聞を見てみますと、医療制度調査会委員が十六人ばかり任命をされるようなことが書いてありますが、大臣、この発足はいつからになりますか。
  18. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 けさこの任命の署名をいたしたのでございますが、今月中に発足をいたしたい、かように存じております。
  19. 滝井義高

    滝井委員 委員は何人ですか。先般出た政令では十八人と書いてありましたが、けさの新聞では十六人くらいしか名前が出ていないのですが。
  20. 牛丸義留

    牛丸説明員 委員の定数は十八名でございますので、あと二名だけの発令がおくれておりますが、これはたとえば大学などでは教授会その他の事務手続が必要でございますので発令がおくれたわけでございまして、あと両三日うちに任命の発令があると思います。現在はそういう意味で十六名だけ今日発令になったわけであります。
  21. 滝井義高

    滝井委員 医療制度調査会は期限が二年でございました。ところが御存じの通り三十六年三月三十一日になりますと、厚生省設置法の一部を改正する法律によってできましたこの委員の任期は、今ごろ任命されても結局一年で終わってしまうわけです。そうすると当初の計画では、国民健康保険法等の法律を審議する場合の附帯決議としてできて参ったこの委員会はやはり二年くらいかかるだろうということで、二年の時限的なものにして法律ができ上がったのですが、これはあと一年ということになりますと、当初の見積もりでは一年では足らなかったということなんでしょうから、なお延長するお考えですか、厚生大臣どうですか。     〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席」
  22. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 そのとき、その事情等によりまして、またさらに検討を加えたいと思っております。
  23. 滝井義高

    滝井委員 そのときそのときの事情で検討をお加えになると言いますが、これはやはり非常に重要な問題を審議する委員会でございますから、途中で委員の任期が切れてできないということでは困るのじゃないかという感じがするのです。だから、ことしの終わりになって、またあわてて、法律を頼みます、もう一年延ばして下さいというようなことを言うよりか、今から、これはいろいろな事情で委員の任命がおくれた、やはり二年は必要だ、だからもう一年延ばす方針なら方針だということをはっきりされておった方がいいのじゃないかという気か私はするのです。これはころばぬ先のつえで、大臣をいじめようとかなんとかいうつもりじゃないのです。これは今から各界の意見を調整してやって、一年くらいで出ることはなかなかむずかしいのじゃないかという感じがするのです。それは専門家の皆さんがいらっしゃるから、常識によってお考えになったらわかるのじゃないかと思うのです。初めから二年でもなかなかうまくいくかなという感じのしておった委員会が、今ごろになって発足をしたということで、すぐにそれがうまくいくかどうか。それは出そうと思ったら一カ月でも出ます。しかし少なくとも今までのあなたの御期待からすれば、やはり出たものは実践に移すようなものでなくちゃならぬということになれば、この委員会は相当各界の意見調整もその中からやらなければならぬ政治的な使命をもある程度持つ委員会になってくるだろうと思うのです。これはそのときの事情ということでなくて、この際常識で考えて、やはりもう一年延ばす形にせざるを得ないという感じがするのですが、どうですか。
  24. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 やはり先ほどの答弁で御了承願います。
  25. 滝井義高

    滝井委員 事情等で検討をするということでございます。社会党としてはころばぬ先のつえの御忠告を申し上げておりますが、年度末になってまたあわてて頼む頼むと言ってもなかなか責任を持てかねます。僕らとしてはそれだけの御忠告を申し上げておるわけですから……。そのときの事情で年末になって、次の通常国会ごろになってがたがたと頼む頼むといっても、それはわれわれとしては責任が持てかねます。  次は、いよいよ昨年の十月には発足をするといって発足をせずに、三月には発足をするというのが三月末までに発足できずに、ようやく四月の中ごろになって医療制度調査会が発足をすることになったわけです。そうしますと、当然厚生省としては中央社会保険医療協議会なり甲乙二表一本化の問題が今度は議題に上ってくるわけです。医療協議会に対する見通し、これはどういうことになるわけですか。同時に三月末には発足するということになっておりましたが、医療制度調査会とともに社会保険医療協議会が軌道に乗るかどうかということです。これは医療金融公庫の収支に重大な関係を持つ問題でございますから、これを大臣から御答弁願いたい。
  26. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 関係方面と折衝いたしまして、すみやかに発足させたい、かように考えております。
  27. 滝井義高

    滝井委員 関係方面とすみやかにということでございますが、御存じの通り、もうくさいものにふたをする段階は過ぎていると思うのです。もう医師会の選挙も終わりましたし、それから医療制度もすでに十六名の委員が発表になりまして、あと両三日すれば大学等の手続も終わって、あと二名も発令をされる。こういう段階です。だから医療協議会は一体いつごろからおやりになるのかということです。大臣はいろいろな新聞その他をごらんになっておると思うのです。大新聞の社説にも出ております。それから健康保険関係の新聞なんかをごらんになっても、大々的に医療協議会が発足しないためにカナマイシン等が使えないのだというような声も出てきております。カナマイシンがそれほど結核にきくかどうかは問題がありますけれども、とにかく支障が出てきておる。大臣にお尋ねをしますが、二十四人の中の十二人の委員が任命されていないのですよ。欠員のままなんです。法律は半年に一回開かなければならぬことになっておるわけです。去年の七月ですか、開かれてから一回も開かれていないのです。これは半年に一回開くことに法律はなっておるのです。医療協議会を開く、開かぬの問題じゃない。まず委員の任命はいつされますか。
  28. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 医療制度調査会と同じで、なかなかむずかしかったような次第でございまして、カナマイシン等の採用の要求も強うございまするので、国民医療という立場からこれはできるだけすみやかに発足してもらうように、ただいま関係方面と種々折衝をいたしております。時期はいつということを明確にここでお答えすることはできません。
  29. 滝井義高

    滝井委員 これは診療報酬に関係をする非常に重大な問題を含んでおるわけですよ。あとで御質問申し上げます甲乙両表の一本化の問題は、ここで審議しなければ審議する場所がない。いつも私が申し上ますように、岸総理以下、法治国家の国民法律を守れと労働組合には高飛車に出るのです。ところが政府自身が、半年に一回開かなければならぬと法律に書いてあるのに開かぬばかりでなくて、その委員の任命をやらないのですよ。委員の任命ができないはずはないと思うのです。だからあと十二人の委員の任命は、当然これは大臣の職権でおやりにならなければならぬ。もちろん関係団体の推薦も受けるでしょうが、一体関係団体の推薦を申し出たことはあるのですか。あまりこういう問題がだらだらと長引くということは、私は限度があると思う。従って、これは大臣として医療協議会の委員を一体いつ任命するのか、そういうことがはっきりしないと、われわれとしても医療金融公庫の審議を進めていかなければならぬ一番根本的な問題です。なぜならば医療機関の今後の収支の計画を立てる上に、借りた金を払えるか払えぬかわからぬ、こういう大事な診療報酬をする機関がストップして機能が麻痺する、一年も二年も何にもできないのだというようなばかなことはないですよ。政党内閣でございますから、当然政党が意思を決定しておやりになるべきだと思う。それができなければ社会党とかわって内閣をいただけば、われわれはいつでもできると思うのですが、大臣どうですか、いつこれは御任命になるのですか、もう少しはっきり。委員の任命とこの発足とは別なんですからね。
  30. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 早く任命したいところなんですけれども、やはり関係団体の推薦等もあることでございますので、その了解といいますか、折衝といいますか、これに今一生懸命でございますので、多少時間がかかるだろう、かように考えております。
  31. 滝井義高

    滝井委員 きわめて具体的に私は御質問申し上げます。御存じの通り医療協議会は社会保険関係においてその診療報酬と、それから保険医の指導監査等にきわめて重要な役割を演ずるものなんです。皆保険政策が最後の年になったときに、診療報酬の問題を決定し、保険医の指導監査をやる中枢的な諮問機関が機能を麻痺しておるということは、日本の皆保険最後の年にあたってこれは一番支障になっているわけです。関係団体の推薦等もあるので、実は早く委員を任命をしたいのだ、こうおっしゃっておりますが、大臣御存じの通り、この中央社会保険医療協議会がこういう状態に機能を停止するに至った根本的な原因というものは一体何であったかということです。これは診療報酬に関連をして一昨年以来こういう状態になってきたんです。そこで一体厚生省としては医師の利益を代表するというものを、どういう方面を御任命になるおつもりなのか、この問題を大臣かここで明白にすればこの問題は解決するのです。
  32. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 関係団体全部でございます。
  33. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと大臣としては、その関係団体全部というのはどういう方面のことですか。
  34. 館林宣夫

    ○館林説明員 御承知のように中央社会保険医療協議会は関係三部門と中立との四部門に分かれて委員が任命されておるわけであります。一部門は保険者、従いまして保険者の関係団体、一部門は被保険者並びに事業主、従いましてこれらの関係団体、一部門は医療担当者の関係団体、以上の関係団体に推薦を依頼して任命することになっております。
  35. 滝井義高

    滝井委員 医師の利益を代表するものというのはどこですかと言ったら、関係団体が全部だ、こうおっしゃるから、その関係団体はどことどこですかと聞いておるのです。
  36. 館林宣夫

    ○館林説明員 前回の昨年の六月の任命の際には、日本医師会を主体といたしまして、なおやむを得ず日本病院協会の意見も徴して任命の努力をいたしたわけであります。
  37. 滝井義高

    滝井委員 関係団体とはどことどこを言っておるのですかというのです。医師の利益を代表するという場合に、団体の推薦を受けるでしょう。その場合に厚生省としては、今から十二名を任命しなければならぬのです。十二名の中には医師の利益を代表するものも一人か二人入っておるはずです。そうしますと、その場合に、医師の利益を代表するものの任命というものは、どことどこの団体の推薦を受けますか。きわめて具体的に御答弁願いたいと思います。
  38. 館林宣夫

    ○館林説明員 医師の利益を代表する団体と目されるものはたくさんあるわけであります。もちろん最大のものは日本医師会であり、そのほかに東京都の医師会もあり、またそのほかの医師の特殊な団体があるわけであります。それらの中のどれを推薦団体として適当と考えるかということは、もちろん各般の事情を十分考慮して、推薦団体としてこれらの中から取り上げていかなければならぬわけです。従来は日本医師会を主体として考えて参っておったわけでありますが、なお御参考までに、ただいま任期の切れております二名の委員について申しますと、この委員は従来日本医師会から推薦を受けておった委員でございますので、実際上の取扱いは日本医師会から推薦を受けることになると思います。
  39. 滝井義高

    滝井委員 基本的な考え方として、現在の問題と将来の問題があるわけです。関係団体として最大のものは日本医師会、そのほか東京都の医師会やその他いろいろの医師会あるいは医師の特殊な団体もあります、各般の事情を考えて推薦を受けます、こういう御答弁である従来は日医を主としておった、しかし今回は、十二名のうち二名は日本医師会の人でございましたから、日本医師会の推薦を受けるだろう、こういうことなんでございますが、そうしますと、端的に申しますよ。この前トラブルになりました多賀先生が任命されたのは日本病院協会の推薦ですね。そうしますと、今後も医師会の委員の任期がきたときには医師会から、日病は日病から、こういう慣行をこれからおとりになるおつもりですか。もうこの段階で厚生省はくさいものにふたをする必要はない。あなた方の考えをずばり述べてもらいたいと思うのです。その中から一体うまくいくかいかぬか、いかないならばそれをどう修正するか、いくならばそれで押すのか、こういうやはりはっきりとした形を作らなければいかぬのです。あなた方がいつまでも煮え切らない態度をとるならば、われわれ社会党としてもこういう問題については煮え切らない態度をとっていきます。こういう根本的な問題を二年も三年もごまかしていくような国会の答弁というものは、断じて許されないのです。大臣、今後そういう二つの慣行を作るのか、それとももとの一本にもどすのか、政党内閣大臣として、政党政策として一つ明白にしていただきたいと思います。
  40. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 もとから二つあったと私は考えておりません。それですから、私どもはあなたが申されるような二つというような考え方では進んでいないのでありまして、すべてのものを一本ということで進んでいきたい、かように考えております。
  41. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、推薦団体というものは一本にしてやっていく、こう理解して差しつかえありませんね。
  42. 館林宣夫

    ○館林説明員 なるべく医師の利益を代表する団体が一本であることが望ましいわけでございますので、そのような事情があることはもちろん、任命の時期になりますればその方向考えることに越したことはないわけであります。先ほど申しましたように、医師の利益を代表するにふさわしい団体の代表者を任命するという基本方針に沿ってそれらの団体を選び、推薦を依頼するということになるわけでありまして、以前は日本医師会一本であった。従いまして、事情に応じて考えざるを得ないわけでありますが、方向としては一本であることが望ましいことであることは申すまでもないわけであります。
  43. 滝井義高

    滝井委員 それは大臣答弁と違うのです。それだったら、事情が変わればまた二本にでも三本にでもなる、こういうことでしょう。政党内閣大臣は一本でいこうというのに、役人の方は、そのときそのときで二本でもあり三本でもある、今はできれば一本でいきたいのだ、こういうことでは、何かわからぬでしょう、われわれは頭が悪いから。どうですか、それは。これはもう大臣、あなたの決断ですよ。今のあなたの答弁と違います。だれが聞いておったって、違うのです。今後一本でいくなら一本でいくということをはっきりさして下さい。そうしないと、そのときそのときで絵をかいていくようなことでは大へんなことです。医療制度が二年も三年も待たされて、恥ずかしくて外を歩けませんよ。だから一本でいくならばいくんだ、医師の利益を代表する団体というものは一つの団体の推薦を受けるんだ、こういうことをもう一ぺん大臣の責任においてきちっと言って下さい。今大臣は一本だとおっしゃったけれども、また違う答弁をしておる。
  44. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 私は一本でいきたい、かように考えております。
  45. 滝井義高

    滝井委員 では、きわめて重要な政治的答弁でございますから、さよう私たちは了承いたしました。社会保険医療協議会というものが、今後一本の姿でいく、今回の十二名の任命というものは、今までの医師会の委員の欠員であったので、当然医師会の推薦だ、しかし将来は一本でやる、こういうことがはっきりいたしました。  そうしますと次に、甲乙二表の一本化というのは昨年の七月以来当委員会で非常に問題になって、昨年十一月一本化の決議をいたしました。そうして、まずいながらも建設的な意見を出さなければいかぬというので、私は党の了解も得て滝井私案というようなものを出しました。厚生省は具体的に、一本化のための医療協議会に提出をする作業というものは、どういうように進捗をいたしておりますか。
  46. 館林宣夫

    ○館林説明員 従来から各方面で、甲乙二表はできるだけ早急に一本化する方向で努力すべき要望がなされておるわけでありまして、私どもといたしましても、終始検討はいたし、努力をいたしておるわけでありますが、なお結論を得るに至っておらないのであります。
  47. 滝井義高

    滝井委員 一本化の作業の方向は、一体どういう方向で一本化するおつもりなんですか。その一本化の基本的な精神は、どういう方向で一本化するおつもりですか。もう十一月から半年になっておりますよ。この前の答弁のように、風の間に間に、大蔵省と相談するというようなことは許されぬ、もう半年たっておるのですから。この問題が起こってから、もうやがて一年になるんですよ。一本化をするというのは、橋本厚生大臣と当時の武見日本医師会長、四月一日に三選をされた武見医師会長と、橋本さんとの申し合わせによって、一年以内に一本化するというのが当時の約束なんです。そうすると、当時の厚生大臣が一年以内に一本化する——一年という期限を書くのはいかぬから、可及的すみやかにやるんだ、こういうことになっておる。そうすると、あなた方は当然それに基づいて作業をしておかなければならぬ。今までの医療協議会の慣例としては、いわゆる幹事案と申しますか、政府の方から案を出しておるのです。それに基づいて医療協議会がやっておるのですから、医療協議会が発足すれば、この問題はすぐにあなた方か出す義務がある。各方面からの要望ではない。国会は一本化をすみやかにやれという議決をしておる。だから、少なくともやるからには、それは国会の議決通りいったって、十月には根本的な調査をやるんですから、やはり一本化の作業というものは進んでおらなければならぬ。一体その方向というのは、どういう方向でおやりになっておるのですか。われわれの方としては、わざわざ試案まで出しておるのですよ。だから、そういうことが館林さんの方で何にもやられていないということになれば、これは自由民主党内閣に対する役人のサボタージュになる。国会が議決をしておるのです。それは全然方向も何もやっていないのですか。
  48. 館林宣夫

    ○館林説明員 いろいろな方向から、いろいろな案を作っておりますが、なお結論を出すに至っておりません。
  49. 滝井義高

    滝井委員 いろいろな方向から、いろいろな案を出しております——一つ案を委員会に提出を願いたい。案を当委員会に参考資料として御提出を願いたいと思います。御提出できますね。
  50. 館林宣夫

    ○館林説明員 まだ提出する段階には至っておりません。
  51. 滝井義高

    滝井委員 いろいろな方向で、いろいろな案をお作りになっておるというならば、そのいろいろな案に対するいろいろな考え方があるはずです。そのいろいろな考え方でけっこうです。それは何も厚生省省議まで決定してきた案とは私は申し上げません。あなたの方の医療課の素案でけっこうです。いろいろなものがあれば、いろいろなものでけっこうですから、考え方一つ出してもらいたいと思うのです。こういう考え方でやるのが一つ、こういう考え方でやるのが一つ、三つか四つかあれば、三つか四つ出してもらえば、それによってわれわれも検討したいと思います。われわれをつんぼさじきに置く必要はないでしょう。いろいろな考え方があれば、一つ雑誌に書くような気持で、いろいろお書きになっておるのですから、軽い気持でお出し願いたいと思うのですが、大臣、それはどうですか。
  52. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 決してこれは国会の皆さんを軽視したわけでも何でもございませんけれども、いろいろな案というのは、なかなか複雑多岐にわたっておりまして、しかもこれは財政当局とも種々関係がございますので、みんな喜ぶような案というのは、従って財政当局がなかなかのみにくいし、これが一たび外に出ますると、一方からいろいろな問題も提起されるおそれもありますものですから、これは今実は一本化については、至急にやりたいということで、去年の暮れあたりから非常に急がせておりますが、今事務当局が説明するところの段階にはなっておりませんし、また政治的に私から答弁するところの段階でもないのでございますから、これはよく御存じのあなたのことですから、一つ御了承願いたい、かように存じます。
  53. 滝井義高

    滝井委員 こういう医療の一本化の問題というのは、大臣が今御説明のように、一国の予算に非常に大きな影響を及ぼす問題です。同時に、これは一国の予算ばかりでなくて、国民一人一人の支出の上においても非常に大きな影響を及ぼす問題です。たとえば一本化することによって単価が上がったり下がったりというような問題、あるいは現状維持というような問題もあるわけですが、上がる場合は支出が増になるし、下がれば支出が減少するし、うまくいって総医療費のワクの中できちっといけば、これは大して関係がない、こういうことになるわけです。そこで、こういう問題というものは、役人が一つの案を作ったら、やはりざっくばらんに出して大衆討議にかけたらいいと思うのです。そしてその自然に落ちつく、帰趨するところを今度つかまえて決定をしていく、こういう方法が今の段階では私は一番いいのではないかと思うのです。こういう問題は何も階級的な概念というものはあまり出てこないのです。今のような医療の危機にあたって、一本化しなければならぬということが各界各方面から要望されているようなことですから、みな関心を持っているわけです。そうしますと、やはりみんなの中でそれを討論して、意見を出し合った方向厚生省がそれをとらえて推進していく、こういうことの方が私非常にいいという感じがするのです。とにかく甲乙二表をやらしておって、事務をやらない人は、何、そんなものはあわてる必要がないなんて、新聞記者は言っておるのですけれども、私に言わせれば、何も知らぬくせに言っておるのですよ。月末になって、一日あの事務をやらしてみたらいいのです。だから僕は厚生省保険局長なり館林君に言うのです。一日署長とか一日職安所長とか、一日学校の先生とかいうのがはやるから、あなた方一ぺん月末になったら一日だけ医者のうちに行って保険書きをやってごらんなさいということを言っているのです。いかにそれが苦しいものであるかわかるわけです。そういう点を二年も三年も苦しめるということはいかぬことですよ。そういうことからお互いに感情が高ぶって、厚生省医療団体との間にうまくいかぬことがあるのですから、そんなものを、行きがかりや何かにこだわる必要はない。ただざっくばらんにみんなの中で討議をして、医師も来い、歯科医師も来い、薬剤師も来い、保険者も来たれ、被保険者も来たれ、学識経験者も来たれ、みんないい知恵を出してくれ、これくらいの大ざっぱな話し合いの広場というものを、厚生省が進んでお作りになるべきだと思うのです。それをこそこそと保険者に言う、一人こそこそとどこかに行って話す、こういうことであるからいけないのです。むしろ、ここで厚生省考え方をざっくばらんに天下に訴えて、そして、どうでしょうか、皆さん御意見を出して下さい、これくらいの気持を持っていく方が、厚生行政というものが国民大衆の関心の的になり、厚生行政が大きく推進されると思うのです。そういう点、もう少し国民の広場に医療費の問題、医療制度の問題というものを持っていく必要があると思うのです。そういう点で、何かいろいろ考えていろいろ案を作っております。それでは案をお出しなさいと言うと、いや、それはなかなか微妙でございます。微妙でも何でもないのですよ。私が出したって、見てごらんなさい、何のことはないですよ。お前の案をくれというのが近ごろだいぶありますよ。お前が出したそうだが、検討してみたいからお前の案をくれというのが、与党の中にもおりますよ。だからそういう点で、大臣、あつものにこりてなますを吹くと申しますか、あまり消極的にならずに、萎縮をせずに、できたら案を大臣おもらいになって、われわれに全部一つ見てくれ、このくらいざっくばらんなところの方がいいんじゃないですか、どうですか。
  54. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 この問題につきましては、私が就任以前から歴史的ないろいろな経緯がございまして、非常に感情的にも種々な問題が内蔵しておりまして、あなた方にこの問題について考え方を事務当局から、御披露するには、あまりに軽挙盲動をしたように一部からとられ、あるいは一部から誤解されるおそれもありますので、私どもといたしましては、ざっくばらんにやった方がいいじゃないかというあなたのお考えに対しましてはなるほどと、私もざっくばらんなことが好きな方でございますけれども、しかしなかなかそういう工合にいきませんが、もうちょっとの時間をお許し願えれば一挙に解決いたしたい、かように考えております。
  55. 滝井義高

    滝井委員 宮中の宴遊会の関係があるそうでございますから、私はきょうはこれでやめますが、苦から、兼好法師じゃないけれども、思うこと言わぬは腹ふくるるわざなりということがある。思うことを言わぬから、大臣は血圧が上がったり、かぜを引いたりする。政治というものは一つのレクリエーションですよ。思うことを言わぬで自分の胸の中に秘めておくと、頭がうっ血して血圧が上がる。肉体的にも悪い。だから開放してみんなで考えると、あなたの責任も軽くなるし、太宰保険局長なり館林君の責任も軽くなる。そうすると、その分をわれわれが背負う、こういうことになって、あなたの血圧も自然に下がってくる。肉体的にもいいことなんですよ。もうちょっと待てと言われるなら待ちますけれども、あまり待つと、ほんとうに脳溢血になってしまう。なったら大へんですよ。われわれの最愛の大臣ですから、そういうことを御忠告申し上げて、きょうは終わります。
  56. 田中正巳

    ○田中(正)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会