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1960-02-18 第34回国会 衆議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十八日(木曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君    理事 堤 ツルヨ君       池田 清志君    亀山 孝一君       齋藤 邦吉君    中村三之丞君       中山 マサ君    古川 丈吉君       柳谷清三郎君    山下 春江君       亘  四郎君    赤松  勇君       伊藤よし子君    大原  亨君       角屋堅次郎君    小林  進君       下平 正一君    多賀谷真稔君       楯 兼次郎君    本島百合子君  出席国務大臣         労 働 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         林野庁長官   山崎  齊君         労働事務官         (大臣官房長) 三治 重信君         労働事務官         (労政局長)  亀井  光君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      澁谷 直藏君         労働事務官         (婦人少年局         長)      谷野 せつ君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         長)      高尾 文知君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 二月十八日  委員河野正君、中村英男君及び山口シヅエ君辞  任につき、その補欠として下平正一君、楯兼次  郎君及び角屋堅次郎君が議長指名委員に選  任された。 同 日  委員角屋堅次郎君、下平正一君及び楯兼次郎君  辞任につき、その補欠として山口シヅエ君、河  野正君及び中村英男君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 二月十七日  身体障害者雇用促進法案内閣提出第五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  派遣委員より報告聴取  労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  去る十五日及び十六日の両日にわたり、夕張における炭鉱災害及び労働者災害補償に関する調査のため、現地に委員を派遣いたしたのでありますが、この際派遣委員より報告を承ることにいたします。大石武一君。
  3. 大石武一

    大石委員 北海道夕張炭鉱爆発事件委員派遣調査報告をいたします。  当委員会の決定に基づきまして、北海道炭鉱汽船株式会社夕張鉱業所における炭鉱災害及び労働者災害補償に関し、五島委員本島委員及び私の三名が商工委員会派遣委員とともに夕張及び札幌におもむき、実情調査に当たりましたが、その調査の概要について御報告いたします。  まず、鉱業所の大要について申し上げますと、北海道炭鉱汽船株式会社は、北海道夕張、幌内、平和、空知の四つ鉱業所を持ち、北海道出炭月産——三十四年の十二月でありますが、百五十万トンのうち三十三万トンを占めております。その中で、夕張鉱業所四つ産炭現場を有しており、出炭量は十一万トン、特に今回災害の発生した第二坑は、その五一%に当たる月産五万七千トンの原料炭を産出しております。また、夕張鉱業所労務者数は、六千九百七十五名、職員は千七十九名、そのうち第二坑関係労務者数二千九百十三名、職員は二百四十一名でありまして、北海道だけでなく、全国的にきわめて重要な炭山であり、また保安ガスの多い炭山、すなわち甲種炭山となっておるのであります。  次に、今回の災害は、二月一日午前一時五十分ころ、第二坑本坑において坑内爆発事故が発生し、急報によって救護隊が出動し、当時の入坑者救護に全力をあげるとともに、坑内火災の消火探見を同時に行なったのであります。事故の様相は、坑内切羽より手前、上部に当たる保安規則中の特免区域を含む本坑ベルト斜坑縦坑坑底、第四ベルト斜坑等、広範囲にわたって崩落と火災が発生したというきわめて特異なものでありまして、今なお燃焼中の個所もありますので、一月三日には第四区に排気坑口より注水が行なわれております。  災害原因につきましては、まだ不明でありますが、目下なお鉱山保安監督部監督官中心として鋭意調査究明中であります。  事故発生の当日は休日に当たっており、係員十一名、労務者五十一名、計六十二名の保安要員入坑者のみであったのでありますが、平日ならば約九百名がその時間の三番方に入坑しておることとなっており、もっと大きな災害を惹起したと思うのであります。この災害は二月十五日現在において死亡三十八名、うち救護隊一名死亡、行方不明二名、これは第四区のガス充満地域にあると見られますが、それから重傷五名の罹災者を出しております。  災害補償につきましては、北海道労働基準局において法定補償額について個人別に計算をして、会社側並びに鉱山保安監督部と連携の上、準備を完了している現状でありますが、救護隊死亡の一名を除き、災害原因が判然とした上で直ちに給付が行なわれることになっております。  なお、死亡者に対する法定補償額は、最高百八十二万七千円、最低は六十六万六千円、この最低の人は、昭和七年の十月二十一日生まれで、採用が昭和二十七年十二月十二日でありまして、家族は妻一人あるだけであります。こういうわけでありますが、平均百十万円であり、このほかに会社規定による退職金会社側見舞金等が支給されることになっており、さしあたって罹災者並びにその家族で生活に困るようなことはない状態で、遺族につきましては、その子弟を優先的に会社に採用する等の方法を講じておるようであります。  実地調査にあたっての感想を申し上げますと、われわれは調査目標を、災害防止行政面並びに法律関係において不備な点がなかったかどうかという点と、補償額が妥当なものであるかごうかという二点に重点を置きました。  第一点につきましては、事故原因がいまだ全く不明でありますので、結論を出し得ませんが、保安監督については予算人員等においてより豊かであることが望ましいというように考えております。次に補償額につきましては、法定額のほかに退職金見舞金等がかなり加算されますので、この場合には必ずしも不十分とは考えませんが、他の中小炭鉱の場合にもこのような金額が与えられるかいなかについては疑問があり、さらにこの補償額について検討を加える必要があると考えております。  次に、保安衛生監督行政の一元化については、いろいろの意見がありますか、これは炭鉱特殊性と人命の尊重等を十分に考慮に入れて、今後検討する必要があろうと考えております。  最後に夕張鉱業所においては、会社、労組が十分な理解と協力をもって救護、復旧に当たっておることを認識いたしました。以上をもって報告を終わります。      ————◇—————
  4. 永山忠則

    永山委員長 労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。伊藤よし子君。
  5. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 昨日小林委員より、先日の労働大臣所信表明について御質問がございましたが、私も同様な点について労働大臣に御質問申し上げたいと思います。  昨日の小林委員労働大臣との間の質疑応答を承っておりましたが、私はまだどうも納得がいきませんので、重ねて御質問申し上げる次第でございます。先日の所信表明の中で、労働大臣は、私は就任以来特に次の三点を柱として労働行政を進めてきたということをおっしゃっておりまして、その第一が、経済発展に積極的に貢献すること、第二は、経済発展の大勢に取り残された人々にあたたかい援護の手を差し伸べること、第三は、労使関係の安定の実現のために力をいたすこと、ということを言っていらっしゃいます。私はこれを承りましたときに、大へん奇異な感じがいたしました。労働省というものは少なくとも労働者立場に立って労働者の側にあってものをお考えいただくお役所であるように考えますが、この大臣所信表明の中には、そういうものがうかがわれないのでございます。昨日の小林委員との質疑応答の中にも、お聞きしておりますと、私は労働大臣労働者に対するあたたかい、血の通った労働行政と申しましょうか、そういうものに対する御所信がうかがわれないように感じられるのでございますが、いま一度その点につきまして労働大臣のお考えを承っておきたいと思うわけでございます。
  6. 松野頼三

    松野国務大臣 労働大臣としては、労働省設置法にもございますように、労働者福祉と保護とその向上をはかることがもちろん目標でございます。今回特に所信表明をいたしましたのは、最近の雇用及び経済情勢変化に伴う当面の問題というものを中心に書いたわけでありまして、基礎はあくまで労働者福祉ということを念頭に置いて、その上での話であります。当然これはきまり切ったことだ、また当然私の任務でありますし、労働省すべての任務でありますから、これはすでにきまっておること、それを基礎にして当面最近の変化と、今後の問題点を実はあげたわけであります。従ってこの国会及びその前後に問題のあるところを主としてあげたわけで、基本的なものを申しますならば、常に同じことを百万べん言わなければなりません。それよりも、それを基礎として、その上に積み重ねる当面の問題というものを焦点に、その所信を書いたわけであります。基本労働者福祉であり、その立場から当面のすべての変化情勢に応じてどうあるべきかということを、今回特に書き出したわけでありまして、基本的には少しも動いておりません。当面の問題というものをここに書いたわけであります。
  7. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 昨日もそういうような御答弁がございました。基本がそうであるとおっしゃいますけれども、私はいつもそれを柱にして、そしてただいま当面するようないろいろな問題についてお考えをいただくというふうであってほしいと思うわけでありまして、当然わかり切ったことだからとおっしゃいますが、これを全体読んでおりまして、私どもにはそういうことが響いて参りませんので、特に御要望を申し上げる次第でございます。  そういう点から考えまして、この御所信表明の中の当面の問題といたしますと、日本賃金問題があります。昨日も労働賃金が低賃金であるかどうかということについての御質疑がございましたが、それについてはいろいろ見方もございましょうが、とにかく日本の当面する重大な問題といたしましては、賃金格差と申しましょうか、大企業に働いていらっしゃる方と、中小企業以下の零細企業に働いている人との間の賃金格差が、ここにもお触れになっておりますが、非常に大きいと思います。特に最近この好況の中にも臨時工の問題が非常に大きく出て参っておりまして、所によりましては大企業で二割、三割からの臨時工を擁しておるところもございます。この臨時工労働条件は、非常に劣悪でありまして、本工とはだいぶ違っておりますし、また景気が悪くなればいつ何どき失業するかもしれないような状態にさらされておるわけでありましてこの臨時工の問題につきまして労働大臣はどのように対策をお考えになっておりますか、伺っておきたいと思います。
  8. 松野頼三

    松野国務大臣 終戦後いわゆる大企業中小企業格差が縮まりつつあります。この傾向は何とか今後伸ばさなければならないと思っております。三十四年に少し労働需要というものが好転いたしました。ただ問題は、同じ企業内における臨時工常用工の問題が残っております。これも以前よりだんだん減ってきております。しかし最近三十四年くらいから、急激な雇用の面がふえ、臨時工がある程度またふえてきております。これは私たちがよく注意しなければならないことだと思います。またその臨時工もいろいろな型があります。ある場合にはいわゆる請け負い的な、加工業的な臨時工もあれば、いわゆる常用的な臨時工もあるというふうに、臨時工の中にも実はいろいろ種類があることも御承知通りであります。従っていずれにいたしましても、何とか臨時工というものを早く常用工安定工にすることは、やはり私ども労働省としての念願であります。なるべくそういうものがないように、これを常用的なものに、まず安定させていきたいというのが念願であります。しかし各企業々々の内容について、これは臨時工から常用工に引き上げろとか、個々の対策までは私たちは、まだそこまで入る権限は労働省にはございません。法律でそこまではまだ認められておりません。そういうことを考えながら、私たち指導としては、なるべく安定した雇用に持っていくように指導はしております。最近雇用が急激にふえました中に、臨時工が急にふえたことは、これは見のがすわけには参りません。従いまして、ふえた雇用を今度は安定雇用に持っていくということが、私たちの三十五年の念願ではなかろうか、これが一つ目標ではないかと考えております。
  9. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 臨時工の問題にも関係がございますが、私は昨日小林委員が全般の問題についていろいろ私も御質問申し上げたいと思いましたことにお触れになりましたので、特にきょうは婦人労働の問題についてお尋ねしたいと思うわけでございます。  御承知のように、婦人雇用労働者は年々ふえております。しかし労働基準法第四条によれば、男女同一労働同一賃金ということが規定されておりますのに、現状男子賃金に対して四二・三%という数字が出ております。男女労働は必ずしも同種の労働ではないと思いますし、いろいろ女の特殊性などがございまして同一労働に対して賃金の差があるということばかりではないようでございますが、このような男女同一労働に対する同一賃金という点につきまして、労働大臣はどのような御対策考えおいでになりますか。その点について伺いたいと思います。
  10. 松野頼三

    松野国務大臣 伊藤委員の御趣旨のように、私も所信の中に特に婦人の問題は相当思い切って書いたわけであります。私も、最近婦人労働指数がふえて参りましてそれだけに婦人労働が大きな場面を占めてくる、そうなればおのずから婦人労働地位向上に関して今後大きな問題を実は残すのではないかと思っております。あらゆる産業の内部を検討して参りますならば、婦人労働というものが今後の労働問題の大きな焦点だ、——これは別に労使問題という意味ではありません。地位向上とその安定というものは、婦人には残された非常に大きな場面が今後ある。私は伊藤委員のおっしゃるように、今まで万全ではなかったことは認めます。また大いに問題が今日出てきておることも私は認めます。それだけ、新しい問題として婦人労働というものを労働省は真剣に、三十五年は取り組む年だと私は考えております。しかしいかんせん、これはいろいろな問題で今までおくれております。統計も必ずしも正確に出ておりません。おっしゃるように、一応の基準から見ると、男子の四〇何%、あるときは五〇%に近づいた、あるときは四〇数%、いろいろこれも変動がございました。諸外国を見ましても、必ずしも日本は、婦人男子の差は——高い方ではございません。やはり婦人は低い方の場面に、統計上は出て参ります。そう考えますと、婦人問題は確かに御指摘のごとく、今までももちろんでありますが、今後は婦人労働というものを新しい分野で新しい地位で、新しい重要性を私は講ずるべきだと考え予算編成の際にも、ことし婦人少年局予算には、特に重点を置いたわけであります。その中にまた職業の問題がございましたが、職業の問題も実は婦人職業訓練ということも考えて、今後やっていかなければならないと、私実は真剣に考えております。
  11. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 婦人労働について特に関心を持って重点を置いていきたいという大臣の御答弁で、大へんうれしいのでございますが、しかし労働省婦人少年局の三十五年度の予算を見ますと、御要求額に対してほとんどもう十分の一ぐらいに削られておりますし、そしてまた婦人労働対策の問題といたしましては、その御方針等の、総合職業補導施設費などは非常に重大なものだと思いますが、これは二億三千九百三十九万幾ら御要求になって零になっております。このような点について、これでいいと思っておいでになりますか。ただいまのお答えと非常に反した予算になっているように思いますが、その点についてはいかがでございますか。
  12. 松野頼三

    松野国務大臣 御承知のごとく、婦人問題は非常にまだ新規な場面が多いのであります。従っていろいろな構想を私は抱きました。予算も、それは九月の要求でございますが、いろいろな構想のもとに実はやりました。しかし同時に、これは調査不十分であることも事実であります。いろいろな構想も、ある場合には一つの方向を示してこういうものをやってみよう、しかしその調査資料というものが非常に不十分なものも多々ございました。その中で、ことに職業訓練の問題は御指摘通り、そういう項目を要求いたしまして最終的にいろいろ研究した結果、一応これは本年は一般訓練の中に婦人に合う科目をまず選択してみよう、しかし独立するにはもう少し先にしようという意味で、本年は一般訓練の中に婦人に適する科目を選びまして、そして本年から発足してみる。そしてこれが非常に成績がいいとか、あるいは実績が出て参りましたときに、婦人少年訓練として新しい看板を掲げよう。本年はその看板が消えましたけれども、私の気持としては、一般職業訓練予算を本年は相当な金額をふやしましたから、その中に婦人に適する科目、ことにこれは未亡人の方とか、あるいは母子世帯に対して適する職業を今回一般訓練の中に科目を選びまして、そしてこれからまずじみちに発足していこうという意味で、一応その予算は来年まで延ばしましたけれども、しかし私の構想としては、今年から一般訓練の中に婦人の問題を取り扱って参りたい、こういうわけで、本年は御指摘のごとく、予算面から見れば御承知通りでありますが、私の構想はそういう意味で、将来この婦人問題というものはまだまだ未開発な分野、未調査分野が多々ございます。
  13. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 どうぞ実質の伴うように、婦人問題について力を注いでいっていただきたいと思います。  それに関連しまして、労働基準法の第四条、先ほど申しました男子同一賃金について、日本にも労働基準法には規定が示されておりますけれども、それと同じような趣旨で、ILOの百号条約でありますか、ほとんど変わらないものだと思いますが、全体としての労働婦人地位を高めるためにも、このILOの百号条約は、一日も早く批准していただきたいと思うわけでございますが、その点につきまして労働大臣はどのような御見解を持っていますか、伺っておきたいと思います。
  14. 松野頼三

    松野国務大臣 ILO婦人地位に関する条約については、私も検討いたしておりますが、その中に、まだ多少条約中における字句とか、あるいは国内法に及ぼす影響というものをもう少し研究させていただきたい。各国においても、実はこの問題について、同じように字句について疑問が出ている。いろいろな措置をとれと書いてある。この措置とは何だということについて、いまだいわゆる権威ある解釈が出ておりません。従ってその条文の中をよく検討いたしまして——いろいろ不明確な文句がたくさんございます。従って、そういう文句をよく検討した上で、私は、これは将来において当然政府も真剣に検討する時期はあるだろう、ことしというわけには、これはなかなか参らないかと存じます。
  15. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 どうか一日も早く御検討の上、批准をしていただきたいということを御要望申し上げておきます。  それから、昨日小林委員の方からも御質問があったようでございますが、私はちょっと聞きもらしましたので……。家内労働についてでございますが、全国の家内労働者の七十万の中で、その八七・五%は女子が占めているといわれております。せんだって、ベンゾールの中毒の問題等も出ましたが、そういうベンゾール問題についてはあとでその後の状況と、こういうような御対策をとっていらっしゃるか、伺いたいと思いますが、それと同時に、この家内労働者賃金というものが、全体といたしまして、一時間当たり十円から二十円くらいで、大へん劣悪でございます。なかなかこの問題も大へんでございますが、労働大臣として、今後この家内労働者衛生と、そして賃金向上の問題について、どのような御対策考えておられますか、もう一度伺っておきたいと思います。
  16. 松野頼三

    松野国務大臣 家内労働は、ただいま研究員の方を二十数名委嘱いたしまして、この国会中には御報告をいただけるんじゃなかろうかと私は思っております。もちろん、その御報告をいただいたあとでなければ、早計に申し上げられませんが、私の構想とすることは、やはり家内労働における安全、衛生加工賃、こういう三つの問題が、私は問題になってくると思うのです。先般、衛生問題では、ベンゾールで非常に世間から実はこの問題は重要視いたされました。私の方は使用禁止まで踏み切りまして、この問題に対処して、家内労働の安全、衛生を守る見地から実は相当強硬な措置をいたしました。この次は加工賃の問題でありまして、加工賃はちょうど最低賃金法の中に、加工賃というものが明記してございます。従って、最賃法の適用によって、あるいは最賃委員会にこれを諮って、そうしてこの加工賃の問題は決定するのが一番妥当じゃなかろうか。今日最賃委員会があるにもかかわらず、別な委員会を設けるということもどうかと存じます。従って、その最低賃金審議会でこの問題は諮れるようになっておりますから、この法律を使うことが一番妥当じゃなかろうか、こういうふうに考えながら、まだ答申が出ておりませんから、どちらにするかどうかということは申し上げられませんが、何らかの形で最低賃金以上にこの問題を重視して参りたい、こう考えております。
  17. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 さっきお尋ねの中に漏れたわけでございますが、男女同一賃金について、労働省婦人少年局のお出しになりましたものの中に、労働基準法第四条違反として、男女同一賃金に関する違反件数が十二件で、前年の三分の一、五一年に比べると十分の一に減少しているというようなことが出ておりますが、この違反をお調べになるやり方はどういうようなやり方でやっていらっしゃいますか。こういうような点について、ちょっと伺っておきたいと思います。
  18. 松野頼三

    松野国務大臣 これは基準局違反件数調べからこれを出したわけであります。なお、その内容につきましては、基準局長からお答えいたします。
  19. 澁谷直藏

    澁谷政府委員 違反件数内容につきましては、手元に資料がございませんので、後刻資料を整備いたしまして御報告申し上げたいと思います。
  20. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいまのベンゾールのりにつきましては、五%以下であればいいということでございますね。ベンゼンを含有するゴムのりは、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのり溶剤の五%以下のものならばいいということでございますね。その点について、ことしの一月から始まっているのでございますか、これをもうちょっと詳細に……。  それと同時に、もう一つ中央労働基準審議会答申の中に、ベンゼンゴムのり以外に塗料印刷インクその他の用途にも使用されているということがございます。そうして、今後この方面についても十分研究することが必要だということが答申の中に出ておりますが、私ども地方へ行ってみますと、自動車塗料でございますが、自動車なんかの塗料を扱っております工員さんたちが、大企業におきましては、換気やその他いろいろ衛生方面も注意されているようでございますが、少数の、二人とか三人働いているところにおきましては、あまり注意をされなくて、非常に不安を感じているわけでございますけれども、そのゴムのり以外の塗料印刷インク等につきまして今後どういうような御対策考えおいでになりますか、その点について伺っておきたいと思います。
  21. 澁谷直藏

    澁谷政府委員 ただいま御質問のございましたベンゼンゴムのりの製造につきましては、先生もただいま御指摘のように、昨年の十一月十二日にこの・ベンゼンゴムのりの製造を禁止する省令を公布いたしまして、本年の一月一日から施行に踏み切ったわけでございます。労働省といたしましては、この省令の公布後、関係業界、事業場、またその事業場に働く労働者等に対しまして、この趣旨の啓蒙普及に努めてきておりますが、省令の実施後いまだ日浅いために、全国の、正確な実施状況を把握するには至っておりません。ただ、関係業界におきましては、労働省が非常な勇断をもってこの省令公布に踏み切ったその気持を十分御了察いただきまして、自主的にベンゼンを含有するゴムのりの製造、使用の自粛と、代替用品の製造、使用に努めることを申し合わせまして、清々その方向に努力していただいておるわけでございます。  また、ただいま御指摘のございましたゴムのり以外の塗料等の使用の問題でございますが、この点につきましても、確かに御指摘のように、その労働環境によりましては、やはり相当の弊害が生じますので、私どもといたしましては、婦人少年局と緊密な連絡をとりましていろいろな方法で啓蒙普及をやりますと同時に、地方の監督機関を督励いたしまして十分そういった弊害を防御するような監督指導をいたしておるのでございます。
  22. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 それから、これは婦人少年局長にお尋ねしたいのでございますけれども、やはり婦人労働者の問題でございますが、最近、統計上も、結婚しております婦人労働者の数が、幾らか減少しているような傾向があるようでございます。これは私は最近いろいろな方面婦人労働者から訴えられているのでございますが、どうも結婚いたしますと、職場から追放されがちな、そういうことが強くなっているような傾向が方々にございますが、こういう点についてお調べなり、そうしてこういう問題についての婦人少年局としての御対策を伺いたいと思います。
  23. 谷野せつ

    ○谷野政府委員 ただいま先生のお尋ねのございましたように、最近婦人少年局で実施いたしました女子保護実施状況調査によりますと、結婚をして働いておる婦人が一昨年までは増加の傾向をたどっていたのでございますが、一昨年を峠といたしまして、増加率が停滞しているような情勢でございます。この結婚をして働いている婦人の働く機会の問題につきましては、先生が御心配いただきましたように、やはりときには結婚婦人が、労働時間の問題につきまして、あるいは家庭の生活の責任がございます関係上、その他いろいろの事情から、職場におきましての労働状態の問題などもございまして現在の職場にお多きましては必ずしも歓迎されてはおらない面もございますようなわけでございます。私ども婦人少年局といたしましては、婦人職業機会ということにつきまして結婚をしているといないとにかかわらず、個人の能力のある者、その状態が適しておる者につきましてはやはり働くことが続けられるような可能性を持つことが望ましいと思っております。そういうところから、私どもといたしましては、家庭に責任を持つ婦人が働いていくことに対して障害となるような問題につきまして、できるだけ働く婦人の悩みを伺うことにいたしております。それからまた、時に結婚しているということの理由によりましてやめさせられるようなことがあって本人が納得しないような場合に訴えてこられましたような場合には、私どもができる限りその事情を伺いまして、そして使用者の方とお話をして問題を解決するように努力をいたしているわけでございます。なお、働く婦人職業的な地位を高めるために調査をいたしましたり、特に男女の差別的な扱いについてどのような事例があるかというようなことについても調査をいたしておりますし、年間の啓蒙活動に乗せまして、労働者、使用者、皆様の、それから社会一般の理解をいただくように努めているわけです。
  24. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 最後、婦人労働者の保護につきまして、産休や生理休の問題でございますが、全体として、こまかいことではなくてけっこうでございますが、傾向として産休はとりやすいような状態になっておりますか。それからまた、生理休などの問題につきましても、いろいろ働く婦人からも訴えられるわけでございますが、とりにくいような状態が多いといわれておりますが、こういう点について、大きな傾向だけでもお話をいただきたいと思います。
  25. 谷野せつ

    ○谷野政府委員 産前産後の休養につきましては、労働基準法にきめられております法律の施行の問題でございますが、産前の休養につきましては、任意の休養になっております関係上、やはり職場の事情によりましてとりにくい面もあるのではないかと思うのでございます。産後の休養につきましては、就業禁止になっておりますので、絶対にとらなければならない問題でございますので、問題が少ないと思うのでございます。産前の休養につきましては、やはりこれは働いていらっしゃる方の婦人の間にも理解がございません。特に若い婦人などがよけい働いていらっしゃる職場になりますと、必ずしもこの問題についてよく理解をされていないという向きがありまして、働く婦人の中での理解を深めることにも私どもとしては努力をいたしているわけでございます。  それから生理休暇につきましては、やはり女子保護実施状況調査につきまして年々調査を実施いたしております。その傾向によりますと、最近は生理休暇の活用率がだんだん低くなっておるわけでございます。これはやはり婦人の生理休暇に対する考え方が進んできているという面もございましょうし、また職場の施設がよくなっておるという事情もございましょうし、またあるいは、なるべくそれを遠慮して、必要な限度においてとりたいという考え方に立って生理休暇を活用するような面で生理休暇を考えている人たちがふえてきておるということにもよるのではないかと思います。全体といたしましては活用率が少なくなっていっている傾向でございます。私どもは生理休暇の趣旨をよく労使にわかっていただくように努めております。
  26. 本島百合子

    本島委員 関連して。——これは労働省の方にお聞きするのもどうかと思いますが、官公労の問題の場合に、各種の、保母さんとか、この産休問題というものが非常にやかましく言われておりまして、逐年運動が続けられておりますが、これが認められていない。それから学校の先生方の産休の問題につきましても、現在都道府県でやっておりますところのいわゆる産休要員——その産休に対して、教育をやっていただく代用の方ですね、こういう方々が人員が非常に不足しているというようなことで、教育をする場合でも一カ月近いものがその産休の代員がとれない、こういう現状にあるわけなんです。一般の民間におきましての産休というものはあまり好まれないというようなことで、大産業だけが多少のやりくりをする、こういう状態になっているわけなんです。従いまして、官公労における産休問題というものが大幅に解決してこないと、民間の方もこの問題の解決はなかなかむずかしいと思っておりますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。また、あなたの方で各省なんかに対するサゼスチョンなんかをされたことがあるかどうか、こういう点を承りたいと思います。
  27. 谷野せつ

    ○谷野政府委員 働く婦人が産前産後におきまして産前産後の休養を十分にとれるということは、女子の保護の上から非常に大事な要件でございます。そこで、官公労の場合には、産休の補助教員に対する特別な施策もございまして、私どもといたしましては、教員あるいは保母さんたちが十分に休養がとれることが望ましいという前提に立ちまして、この法律がよく運営されますように地方の実情なども調査をいたしておるわけでございます。産休の補助教員の問題は予算関係する問題でございますので、私どもといたしましては、文部省、厚生省などにもそのことが望ましいということをお勧めいたしておるわけでございます。  なお、民間の産前産後の休養の問題につきましては、これは法律の範囲以上にこれを勧めるかどうかというような問題につきましては、婦人の全般的な働く機会などとも関連がございますので、私どもは産前産後の休養について、十分現在の段階において勧められるようにという考え方に立って、産前産後の休養をとりやすいように勧める考え方をいたしているわけでございます。従いまして、女子保護実施状況調査などを通しまして、年々の趨勢などについて調査を発表いたしまして労使の皆様の参考にしながら、婦人労働の研究問題その他について、その問題をよくわかっていただくようにお勧めしているわけでございます。
  28. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 最後に私は、特に婦人少年局の方にお願いしておきたいのでございますが、先ほどの未亡人等の総合職業補導施設などにも関連してくるわけでございますが、特に婦人家内労働者のうちの婦人職業補導とか、仕事のあっせんまたは保育所なども総合的に作りまして共同作業場というような施設をぜひ今後作るように努力していっていただきたいと思うわけでございます。従来ありましたら、もっとたくさんそういうものを作っていただきたいと思いますが、御要望だけ申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  29. 永山忠則

    永山委員長 堤君。
  30. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 労働大臣おいでになりますから、ちょうど婦人少年局長とあわせて御意向を承りたいと思います。ただいまの婦人労働者に対しての問答を拝聴したわけでございますけれども大臣最低賃金の問題、完全雇用の問題、それから大企業、小企業場におけるところの労働賃金格差の問題、それから身体障害者をどのように産業戦線の中に吸収していくかという問題、母子世帯で、働かんとするところの、子供をかかえた有子未亡人世帯の生活保障の面から、国民年金が一人前でありませんが、これを何とかして、働く場を与えなければならない問題、それから農山漁村へ行きますと、零細百姓であって収入が少なくて、どうしても妻が働かなければならない問題、こういう問題を考えましたときに、一人前の男でも失業して一人前の働く場がないのだから、従って女子労働者などをあらためてこの職場の中に送り出すような考えを積極的にやっては困るというような考えがあるのじゃないか、こういうふうに多分に敗戦後から今日まで見せてもらってきて、私たちは婦女子の立場から不満に思って参りました。労働大臣はただいま保護しなければならないということを御主張になりましたけれども、実際に出て参りまするところの予算面から、法律面からいろいろ見ますと、守られておらないのであります。私はほんとうに何とかしてこのいびつな社会をなくす、それから少しでも豊かな生活水準を国民全体が喜んで送っていけるような社会情勢を作るためには、やはり婦人労働者を円満に受け入れてもらう態勢というものがなければならぬと思う。これは一つ今申し上げたような総合的な見地に立ってお考えいただかなければ——婦人労働者のみの問題を取り上げてくれというようないびつなことは言えませんけれども、私は婦人労働者の問題がその中でも特に取り残されてきたと思うのです。ですから大臣が今伊藤委員にお答えになりましたようなあたたかい言葉があるのならば、単に口先だけでなしに、たとえば身体障害者を職場の中に何パーセント吸収していこうというような義務立法を今度考えられるというような段階に立っておりますときにあたって、私は何とか婦人労働者一つ、いろいろな面からの困難な問題はあるだろうと思いますけれども、総合的に考え一つこれを職場戦線の中に保護育成していく、こういうふうに考えいただかなければならぬと思うのでございますが、所管大臣としては、こういうことについて特にあなたとしての希望なり御計画があるか。それから婦人少年局長も相当なベテランでありますが、こういう問題については非常に悩みを持ちながら日ごろお世話下さっていると思いますけれども、特に婦人労働者を保護する立場から、労働大臣や時の政府に対してあなた自身のプランをお出しになったことがあるかどうか、こういうことを一つ御両者に伺っておきたい。
  31. 松野頼三

    松野国務大臣 堤委員指摘のごとく、婦人問題というものは今までの労働戦線の中では必ずしも大きな場面を占めておりませんでした。終戦後非常に大きな地位と大きな働きが出て参りました。ある産業では婦人の方がいいというような産業構造も出ております。主として手工業、一番最近の花形としては、トランジスターみたいなものは婦人の方が、その特殊性からいいとさえいわれる産業構造も出てきたわけであります。そういうところから考えまして、婦人の働く職業というものは、ある場合には男子の中の何パーセントでありましたが、今日は女子の方が多くて男子が少ないという産業も実はたくさん出ております。目の前に見ますのは、サービス業なんというのは、婦人の方が雇用場面がより広い場面もございます。一番いいのは、百貨店などをごらんになればわかるように、男子の方が少なくて女子がほとんど占有するような職業も実は出てきておるわけであります。従って身体障害者は全産業について何パーセントという方向に向けられますが、婦人の場合は、産業においては婦人が八割以上を占めるという場面があるから、職業選定はなかなかできません。今後は婦人の安定した安定地位を築くことだと私は思うのであります。長く働ける、高年令者も働けるというふうな環境と指導をすることだと存じます。諸外国に見ますると、フランスでもイギリスでも、大体平均年令は三十歳以上であります。フランスは三十八歳だと私は記憶しております。日本はどうだといえば、年令は二十三、四歳なんです。確かに日本婦人は若いうちだけ働くが、あとはなかなか働く方が少ない。ここに私たちは問題を起こすわけであります。従って何とか三十歳、四十歳まで働けるような訓練と方向を労働省考えていきたい。従って二十三歳のいわゆる今日の場面はいい、この上に婦人が長く働けるという安定場面を作ることだ。あるいは家庭婦人に入られても、再び職業戦線に戻られるような能力と環境を作ることだと存じます。私はそういう意味で諸外国の賃金を見ますると、日本が非常に低いと伊藤委員から御指摘を受けたのですが、低い中には年令差があるわけであります。年令が低いからどうしても日本の方は男子と女子と比べると低いわけであります。フランスあたりは非常に高い。イギリスも高い。アメリカも割に高い。それは高年令層の方が多いから高いという結果も出てきております。けれども私はいたずらにただ婦人の方ばかり言うのじゃなしに、婦人の方が十分に男子と平等な立場と条件を備えるように、高年令層においても働けるという地位ができると、賃金基準も高くなります。また未亡人になられた方も安心して職業戦線に働けるという地位があるならば、これは社会的に考えても非常にプラスだと私は考えております。そういうようなことを、まず若いときの教育から、あるいは中年の教育から、あるいは産業人の中にこういうものを徹底させるということは私は一番大事なことだと、こういうふうに考えておりまして、まだ足らないところもございますから、婦人問題としてよく今後も研究をさせていただきたいと、こう考えております。
  32. 谷野せつ

    ○谷野政府委員 先生の御質問の問題でございますが、婦人職業問題につきましては、基本的に本来女というものは母性的な特質を持っておりますので、働く条件その他につきましても非常に複雑でございます。従いましてこういう関係から、経済関係に立って雇用の場合になりますと、どうしても婦人はいろいろなハンディキャップをしょいます。関係上、雇用機会などについてもあるいは地位向上につきましても、いろいろ問題がございます。そこで私どもといたしましては、ただいま大臣がおっしゃって下さいましたように、婦人職業上の問題といたしまして、第一に保護の問題について十分法律が期待しておりますような問題が円滑に進みますように、さらにまた保護以上の問題につきまして、特に地位を上げる点につきましては、男女機会均等の原則が守られますように、そうしてそれからはずれてくるいろいろな障害につきましては、私どもの力の及ぶ限りにおいてその障害を破るための努力をいたしております。ことに大臣のおっしゃられましたように、日本の働く婦人の姿は若い人たちでございますし、それがことに熟練を伴わない仕事であるところに、地位向上にいろいろな問題がございますので、私どもといたしましては、これが生涯の仕事として婦人職業が貫かれるように、それ以上の条件が必要な人にはそういう条件が備わるように、婦人職業機会を妨げるところの問題とか、さらに働きやすい条件を作るための社会施設を進めるための問題がどこにあるかというようなことについて研究いたしまして、調査あるいは啓蒙の機会に皆様の理解を深めるように努力をいたしているわけでございます。ことに、単純作業からもっと専門的な職業にも女の人が働けるように、職業訓練その他につきまして、今後におきましてももっと検討を深めまして、あちこちにお願いをするような仕事を進めていきたいと思っているわけであります。
  33. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 今作文のようなお答えを聞いたわけですが、労働大臣は今の岸内閣の中でも一番若くて、ホープだと思うのです。今大臣がおっしゃったように、産業によりましては、この仕事ならば、何も男を五〇%置いておかなくたって、女を九九%持っていってもいいというような、たとえば学校の先生なんかは子供を持ったお母さんが一番理想的だと思うのです。学校の先生というものは、子供を持った奥さんに変わると教壇から追放されておる。保護者といたしましては、子供を育てた体験のあるお母さんの方が預けておいて安心なのです。先進国の例を見ましても、女教員の比率というものが、男性教員の比率に比べてうんと多いのに、日本では逆なのです。これなんか逆に持っていけるのです。もちろん織姫だとか保母だとか交換手だとか、こういう女子でなければならないような仕事は必然的に生まれたものでございますけれども、私の言うのは、産業戦線の中に積極的に受け入れていただく方策を作っていただきたい。それから、大臣は保守党の大臣でございますから、警告を申し上げておきますけれども、サービス業の中には女子が大部分を占ておるとおっしやる。私が言っておるのは、消費文化の中に女子を送り込もうというのじゃなしに、能率を上げていく産業戦線の中に女子を送り込んでいかなければ、健全な産業は成り立たない。女の人を女給さんや女中さんや、いろいろなサービス業の中に置いておくということは、もっと端的な例を申しますと、売春禁止法以前の男子の付属物として扱われたあの女の姿を思い起こしますときに、女をサービス業の中に置いたらいいのだという頭で労働大臣がおられますと、女子が人間扱いでないということを基本的にお考えいただきまして、今おっしゃいましたような考えの上に立たれて、一つ職業別に、地域的に、年令的に、いろいろな角度からボリュームのある政策をもって今の労働大臣と、他省にはないところのりっぱな国際的な婦人局長を持っておるのですから、二人のお知恵を合わされましてこたえていただきたいと思います。
  34. 松野頼三

    松野労働大臣 私はサービス業に婦人がおればいいと申し上げたのではございません。サービス業の中の百貨店をお取りいただけば、あるいは生産業の中のトランジスター・ラジオ及び繊維あるいは織物業を取っていただけば、婦人の方がよりいいという職業もたくさんございますというので、女中さんや女給さんの話を私はいたしておりません。ただ私はどちらかといえば、日本婦人は優秀な才能を隠しておられる。どちらかというと優秀な才能をお持ちのくせに発揮ができないと私は思うのです。私は、男子の方と同じような高等教育を受けておる日本の今日の教育課程を卒業した方が、社会に出ると何となしにおくれられるということは非常な誤りだと思います。これだけ優秀な才能のある男子以上の働きをされる日本婦人が、そういうことであっては、優秀な才能の持ちぐされじゃないかとさえ私は考えておるのです。その意味で、婦人一つの勤めとしては、私はやはり家庭婦人ということも忘れるわけには参りません。従って婦人のために日本の家庭制度というものが存在するとさえ私は考えております。これを忘れるわけにいかない。しかしそれ以外に、未亡人になられた方とか、あるいは家庭を持った経験のあられる方がよりいいことが社会にはございます。先般婦人局長が制度化いたしましたホーム・ヘルプ制という制度は、家庭を持った婦人でなければ、どちらかというとそれの経験が薄くては困るという制度も、新しい場面でございますが、昨年の暮れから実施いたしまして非常な反響を呼んでおります。おそらく何万、何十万の方にこういう制度が及んでくるだろうと思いますが、どちらかというと大事な婦人の才能を発揮する場面を社会が忘れておったのじゃなかろうか。また政治も忘れてはいけないと思う。従って保守党においても、婦人の才能を最高限に発揮できる機会を作ることは、私は政治家の勤めだと思う。少なくとも保守党の間にこれはやりたいと私は念願しておる。従って私はそういう古い考えはもう全然ございません。私はどちらかというと、婦人に心からの尊敬を持ってその任に当たりたいと考えております。
  35. 中山マサ

    ○中山委員 関連して……。これは第二次大戦後の英国の動きだったと思いますが、戦時中には壮丁が戦線に立っておりますので、婦人を懸命になって採用しておきながら、戦争が済んで壮丁が帰って参りますと、今度は婦人たちを今まで占めていたその職場から追い出すというような動きが非常に活発になったということを聞いております。私は日本でもこういう傾向があるのではなかろうかということを考えるのでございますけれども、他国の状態はどうでございましょうか。日本状態はどうなのでございましょうか。たとえばある省におきましては、人員淘汰をするという場合になりますときに、さっそく数少ない婦人たちにこの退職を勧めてきたという実例を私は知っております。その省の名はちょっと今差し控えさせていただきますけれども、こういう傾向が日本にあるのではなかろうか。ほかの大ぜいの男子には退職の勧めをしないで、ほんとうに熟練した人、これからもっと働いてもらわなければならぬという女子にそういうことを勧めるという傾向も確かにあるということを、私は実際知っておるのでございます。労働省からごらんになった場合に、日本においてそういう傾向をお認めになっておるかどうかということを私は伺っておきたいと思います。
  36. 松野頼三

    松野国務大臣 婦人を特別扱いにいたしますことは基準法の違反であります。ただしこれは表面のことで、内容といたしますと、退職勧告とか、婦人が結婚した場合には退職すべきだというような規則みたいなものをしいているという例がございますので、私の方は、なるべくそういうことがないように、摘発しながら、指導しながらやっております。しかし統計から見ますと、何パーセントかは中山委員の御心配のようなことがあるのであります。それで私どもも十分それを注意しながら今後指導して参ります。多少統計上は出ております。これは非常に悪いことでありますので、特に厳罰というよりも指導でなるべく直させつつあります。しかし、最近はだんだん減ってきておりますが、ゼロではありません。やはり結婚したときには自然退職するのだという内規みたいなものを作ってみたり、これはよくないことだと思いますので、私はそういうようなことを考えながらやっております。学校を終えた婦人の方に対する認識は、どちらかというと多少足りないわけでありますから、日本はまだまだもっと婦人を大事にしなければならないと真に思っておりますので、その意味で今後婦人対策は新しい場面として、私の勤めだと考えております。
  37. 永山忠則

  38. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は公労法適用の問題等と関連をいたしまして、林野関係の問題にも触れながら、労働大臣並びに農林省関係のそれぞれの関係者のお考えを承りたいと思います。  まず労働大臣にお伺いをするわけでありますが、今次国会では、御承知のようにILO条約批准の問題等も大きな労働問題として注目をされておりますが、同時にあとで触れます林野関係の問題について御承知のように昭和二十八年以来公労法適用ということになりまして自来相当年数を経過しておるわけでございますけれども、最近組織内にいろいろ対当局との関係の問題で紛争が生じておる。従来労働三権である団結権、団体交渉権あるいは罷業権、こういうふうな問題について、国家公務員はさらに団体交渉権、さらに罷業権をという夢を見ておりましたが、現実に適用になりました全林野の場合においては、団体交渉等の問題について、最近非常に大きな問題が出てきておる、こういう状況に発展をしております。労働大臣労働政策として当然考えておると思いますし、考えてもらわなければなりませんのは、第一次産業に従事する労働者の問題、あるいは近代産業に従事する労働者の問題、あるいは零細企業に従事する労働者の問題、これはやはり給与、労働条件、いろいろな問題においてそれ相当な格差がある。特に第一次産業である山林労働者あるいは漁業労働者の場合も同様でございますが、そういう問題については、やはり十分この労働条件その他について抜本的な検討の上に立った対策というものを私は考えていかなければならぬだろうと思う。山林労働者の場合は、これは単に国有林野の労働者ばかりでなくて、民間産業の労働者等も含めて悪条件にある。そういう労働者労働条件をどうするかという問題については、やはり従来閑却にされておるきらいがあるのじゃないか、こういうふうにも考えておるわけでございます。後ほど触れる問題は、国有林野に従事する労働者の問題が主体でございますけれども、私たちは、やはり第一次産業に従事しておるところの山林労働者なり漁業労働者なり、あるいは少数でありましても、農業労働者等の問題について、労働政策として抜本的に取り組んでいくという熱意が、従来保守党の労政の中においては欠けておったのじゃないかという感じを、率直にいって持つわけでございます。そこでこれらの問題について、当初ILO条約批准という問題については、三月の十三日の閣議で松野労働大臣が特に発言をされて従来官房長官が今次国会見送りというような構想も新聞紙上に出ておりましたけれども、これは今次国会に提案する腹案のもとにおいて関係法案の検討を進めておるのだ、こういうふうに新聞で承知しておるわけでございますが、この問題と、さらに第一次産業である労働者に対するところの労働政策というものについてどういう考えを持って進まれようとしたのか、こういう問題について基本的な見解をまず承りたいと思います。
  39. 松野頼三

    松野国務大臣 ILO八十七号の批准問題につきましては、先般当委員会におきましても、たしか滝井委員にお答えをいたしました。昨日参議院でもお答えをいたしましたので御承知通りでございまして、目下政府としては、関係法規の整備を早急にして、早急に批准をいたしたい、こういうふうに考えておりますので、その基本考えは変わっておりません。  第二番目の農林漁業の政策ですが、農林漁業政策は、御承知のごとく、日本の農林漁業がいかなる構造かということが基本的な問題であります。日本の農林漁業の従事者が大体千六、七百万だと私は記憶しております。千六、七百万のうち、それではどういうふうになっておるかと申しますと、大体自営業の方が六、七百万人であります。あとの千万人くらいの方が家族労働であります。そして雇用形態を明確にできるものは非常に少ないのです。六十万そこそこであります。あとは大体家族労働、いわゆる自営業で、日本の農林漁業というものが成り立っておる。この姿をまず基本的に考えて、農林漁業政策というものが立てられておるわけであります。従って私たち労働省としては、その基本の問題の中に、やはり雇用場面というものがあるわけでありますから、その雇用場面については、労働省として関心を抱かなければならぬというので、今日でもやはり失業保険とか、あるいはすべての基準法というものをこれに当てはめて強制をする場面もありますが、任意に指導する場面も出てきます。日本の農林漁業というものは世界に類がありません。インドといわれれば、あるいはインドが類似しておるかもしれません。いわゆる先進国といわれるヨーロッパ諸国とかアメリカには日本のような農業政策はございません。それは構造が違っておるのであります。そこに日本における農林漁業の労働問題をはかっていかないと、ここに大きな基本をゆるがせにすることになると思うのであります。しかもほとんどが兼業である。兼業の方の場面が広い。兼業の一部のものは、あるいは役場に、あるいは団体に、あるいは役所に、あるいは日常でたばこ売りをされる。非常に日本では兼業部門というところに問題が多いのであります。山林においてもしかりであります。山林においても同様な形態があります。農山一体政策といわれますが、山ばかりやっていけるかというと、そうはいかない。山と薪炭林というのが日本の農業の基本であります。そこに牧畜が入るということになって参ります。山林経営だけということでは——これは民有林であります。国有林は別であります。民有林はやっていけない。そういう形態の基本のもとに雇用政策を立てていかなければ、基本をゆるがせにするわけにはいかない。しかし雇用場面があるから、この雇用場面については当然基本的な、いわゆる農業の雇用の保護という立場を貫いて参るということに少しもちゅうちょはいたしません。それだけで日本の農業は成り立っていかないということは、アメリカあたりは漁業というのはいわゆる大資本漁業であります。日本は沿岸漁業が基本になっておる。そういうところにも私は漁業問題の基本が違うのではなかろうかということを考えております。世界で漁業が似ておるというところは、イタリアが近いといえば近いかもしれません。農業はどこかというと東南アジアの方に近い。ヨーロッパの方には近くない。そういう場面に農林漁業というものを基本に置いて議論をしなければならない。従って一般の工場は先進国に負けない労働条件労働というものが進んで参りました。しかし、農業はそれではそれを全部当てはめればいいといっても、それは基本が違う、また生産性も違うということもお考えの上で、どうぞ私たちのやります農林漁業に関する労働政策を考えていただきたい、こう考えておるわけであります。
  40. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 労働大臣答弁は私の質問から焦点を少しはずしておられる。農業問題と第一次産業における労働者の問題は、関係はございますけれども、山林労働者ないし漁業労働者というように抽出した場合に、その労働条件、給与条件がどういうようにあるかということは、これは非常に深刻な認識の上に立って労働政策をどうするかということを考えなければならぬ。農業問題一般の中に籍口することは、ある意味では卑怯だと思う。しかしこれは時間の関係もありますから、私が希望したいのは、やはり第一次産業に従事しておる山林労働者なり漁業労働者なりの問題については、もっと労働者としては労働政策の重要な部門として真剣に分析検討されて、抜本的に対策を立ててもらいたい、こういうことをまず要望しておきたいと思います。  次に林野関係で問題になっておる一つの条項は、同時にこれは林野ばかりでなく、公労法の適用を受けておるところでは紛争の焦点になっておるかと思うのですが、二十八年から公労法が適用されて以来交渉単位でいろいろ結ばれてきた従来、慣行というものがある。これを山崎さんが長官になられてから一方的に破棄するという考え方が強く出て参って、各地に紛争を招いておるわけであります。そういう問題と、公労法の第八条におけるところの団体交渉の範囲、それから管理運営事項との区別の問題、これが一つの問題になってきておるわけです。いろいろ交渉単位で交渉する場合に、従来は団体交渉の範囲として取り扱ってきて円満に話を進めてきたことを、最近においては管理運営事項であるから団体交渉の範囲にならないというようなことで団交を拒否してくる姿が出て参っておるわけであります。そういう従来慣行の問題、公労法第八条にいうところのいわゆる団体交渉の範囲と管理運営事項との問題について労働省としてどういう見解の上に立って指導しておられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  41. 亀井光

    ○亀井政府委員 技術的な御質問でございまするので私からお答えいたします。  管理運営事項は、公労法の八条に書いてございまするように、団体交渉の対象になっていないわけでございます。過去の単位制度の実施されました際に取りきめられましたものが、この公労法の新しい法律のもとにおいて破棄されているという御質問でございますが、過去のいろいろな慣行といいましても、その慣行が法律違反し、あるいは一般の社会通念から申しまして適当でないものは、当然私は改善されていくべきじゃないか、慣行は慣行として、りっぱな慣行というものは、法令に基づく、あるいは社会の通念に基づいて判断されるべきものでございます。そういう意味において、過去においてそういう慣行があるから、その慣行は今でも当然強制されるべき性質のものであるというふうなお考え方は、これはやはりその慣行の内容によって判断をされていかなければならぬ問題だと考えております。それでまた管理運営事項の問題につきましては、公労法の八条で新しい考え方のもとに規定がされているわけでございます。ただ問題は、その管理運営事項に当たるかどうか、具体的ないろいろの事例の場合におきまして問題があろうかと思います。それも労働条件に関するものでございますれば、管理運営事項であろうとも、これは一応団体交渉の対象になるのではないだろうかというのがわれわれの解釈でございます。これは個々の具体的な問題を取り上げて判断をせざるを得ないのでございまして、管理運営事項だからどうだとか、管理運営事項でないからどうだとかいうわけには参らない問題、デリケートな問題があろうと思います。
  42. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の団体交渉の範囲の問題と、管理運営事項の問題というのは、今労政局長からお答えがございました。要するに具体的な問題についてやはり検討しなければならぬということを言われたわけですが、管理運営事項というのは、管理者側の一方的な判断において、これは管理運営事項であるというふうなことが許されるのであるか、あるいはそうでなくて、やはり団体交渉の場面で、これは団体交渉の項目になるべきであるか、管理運営事項になるべきかということが十分討議されてその討議の経過とからみ合って処理されていくものであるか、こういう点についてはどういうふうに考えますか。
  43. 亀井光

    ○亀井政府委員 ただいま申し上げましたように、労働条件関係のない純管理運営事項につきましては、これは当然当局の方におきまして団体交渉にならないという判断をすべきであろうと思います。問題の、労使の中でこの問題をめぐりまして紛争が起りますのは、具体的な問題についてそれが労働条件であるかどうか、純粋な管理運営事項であるかどうかというところに問題があるわけでございます。そこで当局といたしまして、これは純粋の管理運営事項であるというもとにおいて判断をされましてその場合に組合側から、それは労働条件の一部ではないかという反論があった場合におきましては、やはりそういう問題についての話し合いというものは、それはなければならぬかと思っております。しかしそれかといいましても、労働組合の主張がそのまま通るわけのものでもございませんし、これはお互いの話し合いで解決されていくべき性質のものだと思います。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 労働大臣に対する質問は、後ほど下平委員からもございますので簡潔にして、さらに具体的な問題に入っていきたいと思います。  その前に、労働基準法の三十六条による超勤等の三六協定の問題が、現実に公労法の適用を受けた林野においていまだ実施されてないというふうに私は承知しておるわけです。そういう形の中で超勤等が支払われる。現実にこの超勤の実際の支払い状況というのは、各地におけるいろいろな問題等を承って参りますと、相当な未払い問題があって、これが紛争の問題として上がってきておる、こういうことでございますが、労働省として、一体この労働基準法三十六条に基づくそういう協定の問題について、そういうふうな状態にいまだに置かれておる林野庁の問題を放置されておるのかどうか、あるいは適切な指導をやっておるけれどもそういう状態にいかないのであるかどうか、こういう問題について一つ明らかにしていただきたいと思います。
  45. 亀井光

    ○亀井政府委員 私の所管事項ではございませんが、また現在の林野庁の実態を承知しておりませんけれども労働基準法三十六条で定めておりますように、労働基準法の適用事業におきましてそういう違反事項があるとすれば、これは労働省といたしましても当然是正をさしていかなければならぬ問題であると考えております。
  46. 永山忠則

  47. 下平正一

    下平委員 労働大臣に一点だけお伺いしたいわけであります。  先ほど角屋君に対する答弁の中で、日本日本の社会構造、労働運動があるというふうなお話を聞きましたが、私は最近の労使のあり方等について、問題になっておる労使の慣行について、一言大臣の意見を聞きたいと思うのです。なるほど法律とかあるいは公労法といったものに違反をした協定、協約、慣行というものはいけない、こういう点については、たといそれが労働者立場であろうとも異論はないところであります。ところがそういった理屈だけの解釈で現実の労働運動が割り切っていけるかというと、そうではないと思うのです、そこに大へんむずかしいところがあると思います。御承知のように、日本労働運動は戦後発達したものでありまして、歴史もきわめて浅いのであります。労働者労働運になれていないと同時に、経営者側も、あるいはもっと大きくいえば、政治全体の中でも、労働運動に対する正しい理解というものが今日あるかといえば、これはお互いに疑問のあるところだと思うのです、そこで私は、ともかく日本の産業が終戦後世界に異数な発達を遂げて生産もその他も非常に世界の驚異の的になっておりますが、これはやはり労働者のいわゆる生産に対する意欲というものが非常に大きな力があったと私は思うのです。その意欲が出てきた一つ問題点としては、その職場環境に応じ、よしそれが厳密にいえば公労法に違反していようとも、その場の互いの労使の間の了解の上に、たとい法律違反しておることがあっても慣行としてやられてきておるのだ、そういう点も労働者の生産意欲を盛り立てたことは、私はいなめない事案だと思うのです。そういうことを改めるということは、厳密にいえば必要であろうが、改める方法については相当慎重な考慮をめぐらしていかなければならぬと私は思うわけであります。今、口を開くと法律あるいは労働法等に違反したことはいけないというけれども、たとえば労働者の側に立ってこれを見るならば、先ほどILO条約の批准についても、今日の政府がとっておる態度、当局がとっておる態度については、必ずしも労働者は満足していないのです。なぜ早く批准をしないかということが労働者の中では強くあるわけです。あるいは労働三法といわれる労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、あるいは憲法にいうところの男女同一賃金についても、法律通りに実施されておるかといえば、必ずしもそうはいっていないわけでありますし法律通りやらなければいかぬという立場に立っておる諸君の中にも、ずいぶん法律を実施しない部分がたくさんあるわけです。そういう現実の点をとらえなくて単なる法理論で、それが法律違反しておるとかいうことだけで従来の労使慣行というものをながめていくと、私はいたずらな摩擦こそ生ずるけれども、決して生産にプラスにはならぬと考えております。そこで私は、そういう従来慣行というものは尊重していくという建前をとりながら、労働者と資本家、あるいは労働者と当局というものが相当の時間をかけて、より正しい方向へ向けていくという心がまえが当局側にも十分示されていなければ、いたずらに紛争を起こすのみだ、こういうふうに私は理解をしておるわけであります。この労使の慣行等について、大臣の所見をお伺いしたいわけであります。同じ公労法の組合におきましても、たとえば団体交渉の管理運営事項であるとか、そういうような慣行もありましょうし、便宜供与というような点もありましょう、あるいはまた専従者を定率より余分に認めるという問題もありましょう、あるいは労働組合を庁舎に置かせるというような問題もあると思うのです。これらの問題も、厳密にいえば違反であります。しかしそれは多くの組合の中で慣行として認めて、それでいけない問題は徐々に解決していこう、労働組合の中にありましても、進んだ労働組合では、庁舎を借りるなんということはいかぬ、たとい公労法に許されておっても、独立の建物を持った方がいいと思えば、徐々に建物を持つ努力というものは労働組合でもやっておるわけであります。だから、そういう問題についても急激に一挙にやっていくという形は、私は好ましい方法ではないと思うのです。そういう点について、労働大臣の所見を一言お伺いいたしたいと思います。
  48. 松野頼三

    松野国務大臣 やはり労働慣行というのは、これは尊重さるべきものだと思います。しかしよき労働慣行とは何を基準にするかというと、これはやはり法律基準にするということが私は基本でなければいけないと思います。法律がきょうだから直ちにきょうというわけにはいかぬとしても、お互いに法律を守る方向に慣行を是正するという努力は、労使ともになければいけない。使用者がもしも法律違反の疑いがあるならば、何とかそういう方向を直すような方向に努力をしなければいけないと私は思うのです。従って労働慣行も、もちろん法律基準にお互いに話をしなければならぬ。ルールのない野球みたいなことはできません。従ってその中間的には、摩擦を起こしても法律を守らなければいかぬのかという場合が出てくるかもしれません。そのときに法律のように持っていくのだという方向に沿ってお互いがなるべく摩擦を避けながら方向はそちらにいく。ただしこういうことはこういうふうにしてくれというような手続の問題とか話し合いの問題とかいうものはいろいろありましょう。そういうものをやっていって目標はやはり労使ともに法律を守る方向にいくというこの基本線は一致していなければならぬ。片一方は右にいき片一方は左にいくというようなことでなく、よき慣行的な方向に進んでいくためには、手続上、個々の問題についてはよく話し合いをするとか、あるいは協約のときには交渉委員をあげるとか、実はいろんなルールがあるわけであります。それでもなおかつ紛争が起こるときには、調停機関というものも設置してあるわけであります。従って慣行だから絶対いけないんだいいんだということでなく、法律に合うように持っていくという目標をきめながらやっていけば、お互い同士の話し合いも一応進むのじゃないかという考えでいるわけで、慣行が法律に前進するわけでもございませんし、といって法律ばかりをたてにとって労使間の問題に年じゅうダンビラ下げて力でやることもいいことではございません。こういうことはやはり話すべき項目と方法はあると思う。しかし方向は法律に合うようにするということで労使お互いに一致しなければ話し合いは進まないのじゃなかろうか、私はこう思います。
  49. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今労働大臣から、従来慣行はやはり尊重するという気持を持ちながら、法律基準を置いて是正すべきものは是正する方向でやるんだというお話があったわけでございます。ところが、これは林野庁からおそらく営林局長にずっとおろしておる書類だと思いますが、便宜供与の廃止等の問題に関連をして、いろいろ想定問答集等も加えて、実に親切丁寧に通知を流しておるように承っておるわけです。その中に、従来慣行の問題に触れて、「『〇〇に関する協約』は労働組合法第七条に抵触するものであり、これに基づく義務の履行は違法な行為となるので昭和〇〇年〇月〇日以降破棄することを通告する。」というやり方を通告例として出している。昭和二十八年公労法ができて以来、営林署は生産地点において交渉単位の一つになっているわけですが、そういうところでいろいろ交渉しながら積み上げてきたものを、このように一方的に破棄するということで、従来のそういうものを破っていこうというやり方は、やはり大臣の今のお気持からいっても、いたずらに平地に波乱を招くことに私は相なると思うのです。だからそういう従来慣行については、一方において尊重するような敬虔な気持を持ち、他方において法律その他との関係とにらみ合わせながら、是正すべきものは段階的に慎重に是正していくということでなければいかぬと思う。そういう点から見て、一方的破棄ということで物事を処理していこうという、今林野に現われてきている労働政策、労務対策というものは、私はどうも慎重を欠いている措置だと思う。そこが下部における紛争の一つ問題点になってきておると思う。同時に想定問答集等をいろいろ見て参りますと、先ほどの管理運営事項の問題についてもいろいろ見解を述べてあります。またいわゆる労働者労働というものをどういうふうに見るかという問題についての考え方も、想定問答集の中を見ると、やはり私は問題があると思う。限られた時間では必ずしも意味が十分に尽くせませんけれども、「労働企業が一たんそれを購入すると、企業にとっては一つの経営手段として、企業の一所有物にすぎないのであり、経営者はこれについても管理処分の権限を有するものである。ただ、労働は売買される一種の商品であるとともに他面一個の人格であり、」というふうに書いてありますが、一個の商品である、こういうふうにいっておる。ところが、御承知のように、最近問題になっておりますILO条約の問題と関連をして、国際労働機関の目的に関する宣言という一九四四年五月十日のフィラデルフィア宣言を読むと、ここでは、やはり「総会は、この機関の基礎となっている根本原則」としてその冒頭に、労働は商品ではないという見解のもとに立って労働政策をやらなければならぬということを述べておる。そういう問題と関連をしていわゆる労働者労働というものをどう見るかということ、こういうことについて、ここで、あとにもずっといろいろ問題点のような想定問答集の回答が出ておりますが、これらを見てくると、最近の林野の労働政策の根幹を流れる労働者に対する見解、あるいは労働者に対するところの評価というものが、私は若干誤った見解に立っているのではないかという感じがするわけでするこれらの問題につきまして労働大臣の見解を少し承っておきたいと思います。
  50. 松野頼三

    松野国務大臣 ただいまお読みになった文書は、私もまだ読んでおりませんから何とも申し上げられませんが、ただあれじゃないかと思うのです。全林野の問題は、私の記憶が間違っていなければ、事業所単位から全林野の一本契約にしてやってこられたというふうな歴史を持っておる。また最近、それが事業所単位になるとかなったとかいう問題が実はあるわけで、必ずしも事業所単位でずっと今まで労働協約というか、あるいは交渉というものをやっておられなかったはずであります。最近また制度が変わられたと私は聞いておる。従ってそれはどちらもあれですけれども、なるべくやはりより労働慣行を持ちながら、そうして法律に合うように進めていくというのが私の基本的な考えであります。従って林野の話を具体的におっしゃいましたけれども、その内容を私はまだ承知しておりません。それは私の方の文書ではないんじゃないかと思います。内容承知しておりませんので、それは何とも申し上げられません。私の気持は、よき労働慣行というものは大事なものであると思う。同時に、法律に合うようにその慣行を円満に直していくということが目標でなければならない、この基本線は変わっておりませんが、林野の問題は、現業の林野庁でやっておられますので、はなはだ失礼ですけれども、私はその内容も紛争の状況もまだ明白に聞いておりません。いずれその問題は、別の機会にあらためて私も勉強しましてから、関係がございますれば御答弁いたしたいと思います。きょう林野庁が来ておりますから、できれば林野庁に聞いていただきたいと思います。
  51. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間が非常に制限されておりまして、実は私ども公労法の問題に関連をして、林野の問題についてはきょう終日いただけるものとして準備をしてきたわけですけれども、時間の制限を受けておって大へん残念でございますが、林野庁の長官にいろいろお伺いしたいと思います。  林野庁関係労働紛争の問題については、過般も別の委員会指摘をしたことがございます。しかし現実に長野等の問題を見ましても、いまだに紛争がやはり継続をしておって正常な状態に返っていない。その紛争の根本原因をついて参りますと、やはり、先ほど来労働大臣指摘をして参りました、公労法適用以来の今日までの従来慣行というもの、これを、林野庁の当局の方で、労務管理ハンドブックとか、あるいは通牒とか、あるいはいろいろな解説とか、いろいろなものを細部にわたって下部に流しまして、しかもその流した内容というものが、一例を今読んだわけですけれども、そういうふうな考え方のもとに流しておる。ことに長野の場合には、この前別の委員会で触れたように、われわれから見れば、弾圧労政の張本人として林野庁から期待されながら登場した前田総務部長というのが総指揮をとって、いわゆる各交渉単位の営林署に対して全面的な指導をし、その指導のもとにおいて今日大きな紛争が生じておるというのが、私は長野の紛争の真相だろうというふうに思っておるわけです。  こういう問題と関連をして、最近林野庁の本庁に秋田の営林局長が抜擢をされたという姿でございましょうけれども、この秋田の営林局長の昇格である植杉部長の問題にしても、これは、私は昨年でしたか、秋田に問題がありまして行きましたときに、われわれ国会議員が五名行きましたのに対して、無断で机の中にテープ・レコーダーを隠して、われわれとの会談の内容をとる、あるいはわれわれに無断で八ミリのカメラを回して会談の内容をとるというようなことをやっておる。そういうものの考え方の営林局長というものを、今日業務部長に抜擢してきておる。何かいわゆる労働政策において実際に弾圧の功績を上げたといいますか、そういうものがこういうふうな姿になってきておることとも関連をして、私は山崎長官が長官になられてからお顔を拝見し、お話を伺っておりまして、一見非常に円満な人格のように思っておりましたけれども、実際に現われてきておりますところの労務政策というものを見ると、やはり非常に常識を欠いた、力によるところの政策という感じが払拭できないわけなんです。私は、単にこれは長野の問題のみならず、今日九州においてもあるいは北海道の旭川においてもいろいろ問題が出てきておりますけれども、一体林野庁として労務政策の基本というものをどういうふうに考えておられるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  52. 山崎齊

    ○山崎政府委員 林野庁といたしまして、定員内職員約三万五千名、労務作業員につきましては、多いときで二十万、少ないときでも十三、四万名の労務者雇用するという事業形態をとっております。われわれといたしましては、組合との関係というものを友好裏に、団体交渉の場におきましてそれぞれの問題というものを誠意を持って解決に当たっていくということを方針といたしまして、その線に沿ってぜひとも進んでいきたいというふうに考えておる次第であります。
  53. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほど私が労働大臣指摘をいたしました便宜供与の廃止の問題と関連をして、想定問答集等が私の資料にあるわけですが、これは林野庁の職員課長等で作られて下部に流された資料でございますか。
  54. 山崎齊

    ○山崎政府委員 どういうものをさしておられるか十分わからないのでありますが、われわれといたしましても、事務当局におきましていろいろな問題について検討しておるわけでありまして、そういうものをどういうふうな形でやるか、どういう時点において組合との関係を話し合ってやっていくかというような点につきましては、林野庁の責任者である私がこれを決定するわけであります。まだ私の段階におきましてそういう線を決定したというふうにはなっていないということをはっきり申し上げておきます。
  55. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 林野庁長官にお尋ねをしたいのですけれども、御承知のように昨年の秋以来、長野において労働紛争が先ほど申しました従来慣行その他の問題を焦点にして出て参っておりますが、その出て参ります問題に関連をして、林野庁で出しておる雑誌等を見ましても、従来管理者というのは非常に腰抜けであったのだ、もっとしゃんとしなければならぬ、こういうふうなことと関連をして総務部長に前田を据える、あるいは各局等にあるところのいわゆる労務担当のベテランを長野等に集中をして、弾圧労政というものを現実にやってきておる。こういうふうな考え方については、もっとやはり労使の間というものは円満におさめるという前提に立って善後措置を講ずべき段階にきておるのじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけですが、これらの点についてどういうふうにお考えか承りたいと思います。
  56. 山崎齊

    ○山崎政府委員 長野営林局におきます人事その他を中心といたしまして、弾圧労政をやるための布陣をしたのではないかという御趣旨の御質問だと思いますが、われわれといたしましては組合を弾圧するとかいうふうなことを全然考えておるわけではないのであります。当初に申し上げましたような精神によりましてどこまでも進みたいというのでやっておるわけでありまして、人事につきましては経営的な人事管理という面からこれを行なっておるという現状にあるわけであります。
  57. 下平正一

    下平委員 林野庁長官にお伺いいたしますが、先ほど労働大臣に、労働大臣としての一般的な考え方を慣行の問題で聞いたのでありますが、法律とか、よき方向に向かうという点については私も同感であります。同時に労働大臣は、それらのことは力をもってやるべきことではない、話し合いをもってやっていくべきだ、こういう意見を言われましたが、私も全く同感であります。ところが現実に長野の林野において今長期の紛争が起きておりますが、その紛争は、全く林野当局は政府労働政策とは逆に、力とか権力あるいはもっと言うならば金力を使って非常な弾圧をしておるのです。たとえば私は参考までに具体的な資料を持ってきたのでありますが、前田総務部長が長野へ転勤をして、具体的に労働組合に対する権力による弾圧を始めて以来、どういうふうな金の使い方をしておるか。たとえば前田総務部長が転勤する前の各部課長その他の出張旅費と、転勤して以来の出張個所並びに出張した先の任務金額等を見ると、膨大なものになっている。たとえてみますと、九月—十二月までに労務対策のために部長なり監査官が出張した旅費は、限られた私の調べた範囲でも百三十七万円も支給しておる。全部で二百五十万円をオーバーしておる。極端に申しますと一人で八万円も旅費をとっている人がある。旅費の金額が多い少ないは別問題として、この人の給料は約一万円であります。しかもその出張先は全部中心地の木曽谷へ行っております。私はこの会議内容というものをつぶさに調査いたしました、当時九月、十月にかけて林野の管理者として最も重要なことは何であったかといえば、十五号台風による五百万石にわたる風倒木の処理、今後の治山治水の問題、現地の関係深い市町村長とのいろいろの対策協議、こういうことが長野営林局としては最も管理者としてなすべき重大な任務であろうと考えておりました。ところがこれらの莫大な出張旅費を使ったその会合はすべて労務対策であります。佐久におきましても、木曽谷におきましても、今現実に市町村その他の理事者の諸君が、営林署は一体何をやっておるのだ、早く労働問題なんか片づけて風倒木の問題や——特に上松営林署管内ではものすごい風倒木であります。この春に、たとえば四月、五月に少しの豪雨があったら、林野の風倒木による地盤のゆるみで上松の町は一瞬につぶれてしまうというような重大問題が起きておる。そういう問題についてほとんど関知していない。一体なぜ従来の二倍にも三倍にもなるような旅費を支給して——しかも特定な労務担当をしておる人事課長とか、あるいは木曽谷の営林署へ労務担当として配置された作業課長とか、あるいは監査官、こういう諸君というものは、当然の業務の風水害の問題を全然やらずに、そちらに専念をしておるのです。私がさっき言った金を使ってやっているというのはこの点であります。そのほかにもまだあるのでありまするが、一体こういう巨額な、異例な出張旅費を出して多数の人間を送り込んでの権力、金力による当局の態度は、はたして適切な労使慣行を樹立するという当局の態度であるか。この点について長官の御意見を聞きたいと思う。
  58. 山崎齊

    ○山崎政府委員 営林同署におきます仕事は、先生からもお話がありましたように、造林あるいは伐採とかその他の方面の仕事ということと、あるいはまた風倒木が発生した際に、それに伴うそういうものの調査計画とかというようなことももちろん非常に重要な問題でありますし、これらとまた同じようなウエートにおきまして労務管理の適正が期せられるということも非常に重要な問題と思うのでありましてわれわれといたしましては、この関係者が現地に出張いたしまして、労務問題だけについて朝から晩までいろいろなものをやっているというふうには承知してないのであります。いろいろなその他の重要な仕事につきましてやはり打ち合わせをしているということにわれわれは了解している次第であります。
  59. 下平正一

    下平委員 林野庁長官が実情を知らないとしたら、あなたも業務能力を持ってない不適格者です。現地に行ってごらんなさい。現地の市町村や関係の木材業者のところに行ってごらんなさい。何を一体やっているかという声がずいぶんたくさん出ているじゃありませんか。私は金を使い過ぎたということを、金額の面だけでは言いませんか、あなた方がやっているのはやや気違いじみているんです。たとえば木曽谷の岩屋という旅館に行ってごらんなさい。長野営林局の出張所ができているじゃありませんか。岩屋という旅館に特設電話を引いて、出張所を置いて莫大な金を使って、そうして弾圧行政をやっているじゃありませんか。何のために旅館の一室を営林署の出張所にする必要がありますか。特設電話を引く必要がありますか。あるいは、営林署は官費を使って署長あるいは外来者のためにジープをちゃんと備えてあるのに、あなた方はこのジープを使っておりますか。ジープが何ぼあっても、ハイヤーを借り上げて、全部ハイヤーで飛んで歩いておるじゃありませんか。こういう事実をあなたが知らないとすれば、うかつもはなはだしい。そこに職員課長かだれか知っておる人が来ておるでしょう。あなた方がやることがやや常識の程度なら私はこんな質問をいたしませんが、だれが聞いても非常識じゃありませんか。こういう点についてあなた方はどう考えておりますか、
  60. 山崎齊

    ○山崎政府委員 旅館等にしょっちゅう泊まっておるというお話でありますが、木曽谷におきましては、御存じの通りいろいろな事業をやっていく上からいたしましても、関係の営林署が十分に緊密な連絡をとってやりながらいくということがやはり必要なわけでありまして、役所でももちろんこれはやれるわけでありますし、また必要な場合は旅館等でやるということも必要なことであります。特にそういうようなことにつきどういうふうにしなければならないかという指示をすることは考えてない次第であります、
  61. 楯兼次郎

    ○楯委員 関連で一つ質問をいたしますが、実はきょうが初めてではないのです。これはこの前の農林委員会において私ども林野当局に忠告を申し上げておきました。(発言する者多し)それで、今自民党の諸君がわれわれの発言に対していろいろなことを言われます。われわれはその考え方の相違については否定はいたしませんけれども、現地へ行ってごらんなさい。全く当局のやっておることは目に余る。これは公平な人が見てそういうことを言っておるのです  私は時間の関係もありますから、三点だけを指摘をして見解をお伺いしたいと思いますが、まず、基準法三十六条の超勤支払いについては、林野においてはほとんど三十六条の協定が結ばれておらないのです。私も現地へ行きまして、こういうことは基準法三十六条違反じゃないか、こう言ったところが、署長ですか、責任者は、労働組合の方から——これは組合も悪いと思います。悪いと思いますが、組合の方から何にも言わないからいいでしょう。これが終戦以来超勤支払いというものができてからずっとやっているのです。何ら自分ではその違法をしておらぬというような態度でやっておる。それから幾多の例がある。これは疑獄、汚職といいますか、材料は幾らでもあるのでありますが、全部を申し上げることはできません。一つだけ例を申し上げてみたいと思いますが、私の付近に昭和二十九年に林道が完成をいたしました。ところが地主が幾ら料金を請求しても金を一切払わないのです。最近国会で長野の問題が起きて参りましてから、たしか三十四年の十二月に金を支払っておる。こんな例をあげればもう数限りなくある。しかも、先ほど労政局長でありますか、団交の管理運営とは、どれが管理運営事項になるか話し合ってきめていく。こういうことは、先ほど角屋君が言った前田部長になってから手のひらを返すように、きのうまで団体交渉しておりたあらゆる問題を全部管理運営だ、こういって団交をほとんどやらない。それから、私はあまり公労法の知識はありませんけれども、団交というのは秘密会にしなければならないのかどうか知りませんけれども、絶対傍聴を許さない、こういう態度をとって、労働組合を刺激するように当局は態度をとっておる。そこで、私はほかの問題は申し上げませんが、一体団体交渉というのは秘密会にしなければいけないのか。それをまず労政局長にお伺いをして、あと二点ばかり質問をいたしたい。
  62. 亀井光

    ○亀井政府委員 団体交渉というのは労使の信義誠実の原則の上に立って平穏裏に話し合いが進められるべき場であります。これはいわば使用者にとりましても労働組合にとりましても大事な場であります。その平穏整斉たる団体交渉が妨害されるということは、これは使用者として当然排除する義務があると思っております。そこで法律の上で秘密会議にしなければならぬという要請はございません。ございませんが、使用者側がそういう提案をすることそれ自体は、決して違法でもございませんし、不当でもございません。ただ、それは組合側が聞くか聞かないかは別にしまして。しかし、林野庁の現状を聞きますると、全員が傍聴に出ておるという慣行もあるようでございますが、こういうことでは、はたしてわれわれとして正しい労働慣行の上に立っての団体交渉ができるかどうかということで、疑問なきを得ないのであります。そこで、当局がその人数について制限をしたいという提案をし、またその要望をいたしますることは、これは私はよき労働慣行を作るための一つの足がかりとして当然ではないかと思っております。
  63. 楯兼次郎

    ○楯委員 簡単に答弁願いたいと思うのですが、私はここで疑問がある。それは団体交渉をするに全員が出ておるようでは困る。これは就業規則で就業中はできないのであるから取り締まっていけばいいじゃないですか。就業時間以外に秘密会にするのは、当局の一方的見解によってできるかどうかということを聞いておる。できますか。
  64. 亀井光

    ○亀井政府委員 先ほども申し上げますように、整斉平穏裏にやるべき団体交渉でございます。そういう要求をすることはできると思っております。
  65. 楯兼次郎

    ○楯委員 だから、要求をすることはできるのだが、それはあくまでも労使合意の上に立ってやらなくてはならぬでしょう、どうですか。
  66. 亀井光

    ○亀井政府委員 その要求が社会通念から見ましてあるいはよき労働慣行から見まして不適当である場合は別でございますが、そういう点から見て適当であると思われれば、団体交渉を拒否する場合もあり得ると私は思います。
  67. 楯兼次郎

    ○楯委員 林野当局は、きのうまで話し合って団交をして解決しておった問題を、その何とか部長にかわってから、一切管理運営事項である、従って営林署に行ってみますると局へ電話をかけて、電話によってこれは交渉してもいいか悪いか、こういうことをやっておるようでありますが、とにかくかわってから手のひらを返すように一切管理運営事項であると変わっておるが、これはどうですか。
  68. 亀井光

    ○亀井政府委員 その実態はよく存じませんが、一般論から申しますれば、そのときにおける労務管理の態勢あるいは労務管理の基本的な考え方、そういうものからそういう態度が出ますことは、私は決して悪いとは申し上げられないと思います。
  69. 楯兼次郎

    ○楯委員 私の言うのは、管理運営事項であるという一方的通告によって団交はやらぬというのですよ。あなたは何も自民党の議員がやじっても遠慮していることはないのですから、忠実に答えて下さい、
  70. 亀井光

    ○亀井政府委員 従って先ほど冒頭で私が御答弁申し上げましたように、管理通常事項というものの幅は非常に広いのでございます。公労法の中では抽象的に列挙しておるにすぎないのでございまするから、側々の具体的な問題になりますると、当局側はそういう解釈をするということを組合側に提案して団体交渉に応じないという主張は、これは当然できると思いまするし、組合側がそれが労働条件であるという観点からいたしまして団体交渉を要求すること、これまた組合としてできることでございます。それらのことが話し合いの中できめられない場合には第三者の公労委の最後の判定という問題までもありまするが、これはやはりおのおのの主張がございまするから、主張に基づいて話し合いというものがなされる場もあるかと思いまするし、あるいはそれが純粋に管理運営事項であるということで当局がそれを突っぱねることもあり得ると思います。個々の具体的な問題を取り上げませんと、一般論としては申し上げかねる問題がたくさんあるかと思います。
  71. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は関連質問でありますから、一言でもうやめますが、きのうまでやっておったことを手のひらを返すように管理運営事項であるといって一方的にやっておる。——今自民党の諸君は笑っておられるが、笑っておることを林野当局はやっておるのです。私は時間の制約があるそうでありますから申し上げませんが、現地に行ってごらんなさい。管理者のやっておることは、もう世間一般の人も、先ほど下平君が言ったみたいに、自分たち法律は守らずに疑獄、汚職といいますか、でたらめなことをやっておる。なぜこんなばかなことをするか、現地に行ってみれば、党派をこえてみんなびっくりしますよ。だから私どもは、お互いに当局の主張はあるだろう、組合の主張はあるだろうが、円満に日にちをかけてこういうことが是正されるようにというので、機会あるごとに委員会において忠告をしておるのです。忠告をしておるのに、そのわれわれの言を何か一方的攻撃というように解釈をして、より以上に弾圧に狂奔しておる。こういう点は私は改めてもらわなくてはいけないと思う。  先ほど角屋君が秋田へ行ったらテープ・レコーダーをかけて云々という話があったのですが、私も先日林野庁に忠告に行って御当人に会ったのですが、何であるか、その傲慢無礼な態度は。われわれは何も長官に文句を言っておるのじゃない、何とかして円満におさまるようにと思って話し合いに行ったのに、まるで何か文句を言いに来た、あるいは何か敵視に来たというような傲慢なる態度をとっておる。われわれは憤激せざるを得ない。ただいま角屋君がテープ・レコーダーをかけて云々という話が出たのでありまするが、全く私は、そういう男だと思う。そういう者が林野の労働行政をやっておるのだから、下部の営林署も、団体交渉の範囲といいますか、そういう態度をとらざるを得ない、私はこういうように思うのです。だから労働省としては、これは社会党の言い分ではない、ほんとうに公平な立場から見た場合に、でたらめをやっておる、こういう点について現地調査をやって是正をするように、一つ林野庁の方に勧告してもらいたい。
  72. 下平正一

    下平委員 二、三残っておりますのでお伺いいたしたいと思いまするが、きょう長官に来ていただきましたのは、具体的に長野における長期の紛争を解決したいというのがわれわれの考え方であります。どうしても考え方として当局に考え直してもらわなければならぬ点があるのですが、それはさっきも言ったように、何でも力関係で押し切ろうという考え方が強く出ておるような気がするのです。前田総務部長が転勤したとき、労使の慣行はすべて力関係である、こういう訓示をいたしております。それからことしの二月号の「林野時報」、これは林野庁が編さんをしている雑誌でありますが、これに林野庁の長野問題に対する考え方が出ております。これを見ると、気違いじみているというか何といいますか、異常神経の持ち主ですね、ヒステリックなような形にこの問題を考えているのです。たとえば「長野局を大掃除しろ」こういう見出しがあります。あるいは長野は林野の鬼っ子だ、たたきつぶせ。あるいはこういうことがある、これもほかの人が聞いたらおそらくほかの委員会で問題になるのではないでしょうか。たとえば「木曽谷は国鉄と、国道の二本しか交通がない。だからいや応なしに向うから歩いてきたやつは、こっちにぶつからなければいかぬのだよ、そういうところだから、いつ、誰が通ったかわかってしまう。その証拠に電話をかけると、ぜんぶ盗聴される。電話局にいとこ、はとこがいるんだから……。」電話局の電話は全部盗聴されている。タクシーの運転手にも筒抜けだ。汽車に乗っても、木曽谷線に入るとみんなよその人がこっちの話をきいて全部労働組合に筒抜けだ。あるいは旅館の女中も全部ひもがついていて、これも信用できない、という。私は、一部の場所にはそういう現象もあるという話を聞くけれども、少なくとも郵政局の管理をしている電話がすべて盗聴をされるというような考え方は、間違いだと思う。これは重大なことですよ。かりにそういうことがあるとするならば、逓信委員会で現地に調査に行きまして皆さん方に来ていただいて、私は委員会でやります。いやしくも国家機関の電話というものがすべて盗聴されるというような、こういうことを、公文書で君らの態度として発表することは、行き過ぎというよりも、正常な考え方を持った管理者の言うことですか。あなた方はほんとうにこういうことを考えていますか、この点を一つ答弁していただきたい。
  73. 山崎齊

    ○山崎政府委員 先生の今御指摘のありました「林野時報」でありますが、これはまだ私は読んでないのでございますが、これにつきましては林野庁の関係としての出版物にはなっておるのでありますが、その内容につきまして林野の当局といたしまして私とかあるいはその責任者であります担当の林政部長というような立場におきまして、そういうふうな事実認識を持ってやっておるというわけではないのでありまして、一部のいわゆる匿名という形の座談会の形式で出ているように聞いております。この点はそのように御了承願いたいと思います。
  74. 下平正一

    下平委員 この編集責任者は林政部長の高尾文知さんでしょう。高尾さんはおいでになっていますね。あなたが編集の責任者でしょう。あなたは林野庁の林政部長じゃないですか。その林野庁で出している本に、今言ったようなことが一ぱい書いてある。あなたの方ではこれがほんとうの認識なんでしょう。あなたは責任者としてこの文書についてどう考えますか。ごまかしちゃいけませんよ。林政部長、答えなさい。
  75. 高尾文知

    ○高尾説明員 お答えいたしますが、それはいわば社内報的な性格のもの、こういうふうに考えております。(「どういう認識なんだ」と呼ぶ者あり)認識云々の問題でございますが、これは林野庁としては、先ほど来長官が申し上げております通り同一考え方でございます。
  76. 下平正一

    下平委員 私は、きょうの委員会は大へん時間の制約があるそうですから、全部回答が得られない場合でもそのまま進めていきます。そうして次の機会に時間をいただいて追及をしたいと思いますので、この点は留保しておきたいと思いますが、引き続きもう一、二点お伺いしたいのです。  林野庁の、特に長野営林署に秘密電話が架設をされたそうであります。この秘密電話はどういうわけで架設をされたか、またその費用はどこから、一体どの経費で出ているか、それからどういう必要があるのか、この秘密電話について御答弁をいただきたいと思うのです。実はこの秘密電話につきましては、現地ではずいぶんいやな風評が飛んでおります。現在の前田総務部長に対する個人的な問題等も非常にいやな風評が巷間飛んでいるのです。そこで秘密電話について三つの点を明確にしていただきたいと思います。
  77. 山崎齊

    ○山崎政府委員 この電話を購入し、設置しました経費は、林野庁の予算の中から正式に支出しているものでありますが、これの秘密電話と申しますか、業務上それぞれ営林署の相互におきまして、あるいはまた営林局との関係におきまして特別のこういう電話を設置してやるということが、やはり仕事の機密を保持し、そういう面から一番望ましいのじゃなかろうかという考え方でこれを架設したわけであります。
  78. 下平正一

    下平委員 そうすると長倉、この電話は全国の営林署に設置をされましたか。
  79. 山崎齊

    ○山崎政府委員 この電話につきましては、全国に今一律に全部あるという状態ではないのでありますが、漸次こういうものを計画的に増設するという形をとっていきたいと思います。
  80. 下平正一

    下平委員 林野庁長官答弁は大へん苦しい答弁であります。これは明らかに前田総務部長が来てから対労働対策専門の電話として秘密電話を入れたのです。しかもその費用は——たちがよくいう前田弾圧労政は、山崎長官の方針だとよく私ども言いますが、この費用は普通でありますならば営林署の費目、科目から落としてあります。この電話については全部林野庁の特配の予算でやっておる。しかも長野管内だけの施設であります。これはあなた方がここでどういうふうにごまかそうとするかしれませんけれども、できた時期、使っている内容、支出をされた予算の項目、あるいは長野における現実の前田労政のあり方を見れば、いわゆる前田労政の一つの弾圧の道具として作られたということは、これは客観的には隠すべくもないのです。そういう幾多の事例をあげてくると、何としても長野における労務管理というものは行き過ぎではないか。正常なる労使慣行を作るという、そういう考え方に立つならば、そういった感情的な行き過ぎた権力的な考え方では、かえって正常なる労使慣行というものは出てこないのです。労働組合に対してもいろいろ注文をつけますが、当局側にいたしましても、旅費の問題とか特設電話、宿屋に特別な出張所を設けるとか、そういうような形で当局の管理機構の権力を使っての正常化というものはできません。よし労働組合が多少力が弱くて実施されても、其の意味の労使の慣行の正常化ではないのです。こういう点は、山崎長官以下林政部長は十分肝に銘じておいていただきたいと思います。  さらに先ほど楯委員がいろいろ言いましたけれども、私はまず第一に管理者能力というものをあなた方は考えなければいけないと思う。団体交渉の手続の問題でも、団体交渉の傍聴人を制限するということを私は必ずしもやらなくていいと思う。就業規則にあるじゃありませんか。先日そういう話を植杉さんに申し上げたところ、林野の管理者にはそういう能力はありませんと言った。そんな能力のない管理者であるならば、労使慣行のいわゆる正常化の前に、管理能力のないものはやめさせるべきである。そういう点を私は考えていただかなければならぬと思う。そのために長野における林野の労務態勢というものの中には不明朗な問題がたくさん出てきております。この問題につきましては資料もずいぶんそろいましたので、決算委員会にきていただいて追及をしたいと思いますが、かなり出ております。たとえば生立木、風倒木、転倒木、こういう名目で払い下げている問題とか、あるいはまた前田労政がたくさんの金を使いますから、通常のルートでは出ません、その出ない金の捻出もずいぶん——私のところには証拠写真だけでもこんなにきております。全部きております。たとえば五万数千円の輸送費を使った、それに対する支出の方式等についても、会計法上林野の会計の上から違法な取り扱いというものが行なわれている。あるいは風倒木の払い下げ、一般の払い下げ等についてもかなりきびしい批判というものが林野当局に出ております。そういう一般の住民の当局に対するきびしい批判と、今まで申し上げましたような今日労働運動に狂奔している姿というものが、地域住民に対しては林野庁の第一線の職員、管理者に対する不信の声として出てきておるのです。私は必ずしもそういう問題を徹底的に追及をしてどうしようということではありませんが、どうかこの際林野庁長官あるいは林野庁の行政を担当する皆さん方も、もっとすなおな気持で現実を直視して——四月、五月から林野の行政というものは非常に忙しくなります。あるいはまた風倒木、治山治水の問題も緊急の要務でありますから、そういうことを、現実に行政を向上させ、地域住民の要望にこたえる、そういう一点にしぼって、そのためには労働問題等についても、今言った弾圧的な形だけではなくて、真の意味の正しい慣行樹立のために、私は今の前田労政のあり方等について検討を加えるということがどうしても必要だと思いますが、問題を解決するという点についての長官の所見を最後にお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  81. 山崎齊

    ○山崎政府委員 われわれといたしましては、長野の事態につきまして誠意を持ちましてまた良識を持ちましてこれが問題の解決に当たっていかなければならぬというふうに考えておることはもちろんでありまして組合もまたそういう気持になりまして、よりよき慣行を作り、労使の関係をさらに円滑にしていくということにわれわれとしても最大の努力を払わなければいかぬというふうに考えております。
  82. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は時間の関係もありますので、またあらためてこの問題を取り扱うことにして、最後に私から要望かたがた締めくくりをいたしたいと思いますが、冒頭に労働大臣に申し上げましたように、やはり第一次産業における労働者、特に山林労働者等の生活環境、労働条件、給与、こういうものは近代的な産業から比べれば非常に悪条件に置かれている。従って労務対策あるいは労働政策としてもあたたかみのある気持を持って対処をするということが労働省の方針でなければならぬ、また林野庁の方針でなければならぬ。そういう点において国有林野事業特別会計というようなものが、創設以来、当初非常な赤字等に悩んだ時期もありましたけれども、御承知のように最近は黒字になって参りました。これはやはりこの国有林野事業をささえておる十万の職員の血と汗の結晶が今日のような成果を生んでいるということに思いをいたさなければ私はならぬと思う。そういう意味からいって、こういう黒字になってきた部分というものは、民有林への協力ということも一部考えられておりますけれども、同時にこれは働いておる山の人々に還元をしていくという気持も当然なければならぬ。こういう点において私は林野庁としても大いに考えをいたさなければならぬと思う。昨年、年末に御承知のように団体交渉に関する協約が十二月十八日をもって双方の意見が整わずして失効状態になりまして今日無協約の形になっている。これらの問題についてもやはりすみやかに話し合いをして、労働協約の締結ということに私は進まなければならぬと思う。今日林野庁関係における組織問題も出ておりますが、私どもの判断をしておるところでは、理事者側ではそういう組織問題について不当な介入をしているのではないかという感じさえする。こういう組織問題に頭をいためて、御承知のように本年の一月三十七日には全林野の高橋書記長が、交通事故でございましたけれども、不慮の死を遂げてなくなっておられます。これもおそらく今日の山積した問題を頭に描きながら路上を歩いておって、血液銀行の車にはねられる事態になったと思う。林野庁長官も葬儀に行かれたわけですが、かつての自分の部下であった高橋書記長の、林野を愛し、また山林労働者としての彼の熱情を十分判断をされて、今日起こっている単に長野の問題のみならず、北海道北見あるいは九州等の問題についても、労使間の問題はやはりお互いに話し合いで、しかも当局側としては愛情を持ってこれを処理する、こういう熱意を持って長野問題その他にあたられるように強く要望いたしまして、本日はこの程度で終わっておきたいと思います。
  83. 永山忠則

    永山委員長 午後二時半まで休憩いたします。     午後一時三十四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕