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1960-04-20 第34回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十日(水曜日)     午後一時三十七分開議  出席委員  国土総合開発特別委員会    委員長 寺島隆太郎君    理事 野田 武夫君 理事 濱田 幸雄君    理事 山村新治郎君 理事 足鹿  覺君    理事 石山 權作君       秋田 大助君    池田 清志君       島村 一郎君    田中 榮一君       丹羽 兵助君    松澤 雄藏君       芳賀  貢君    長谷川 保君       小松信太郎君  農林水産委員会    委員長 吉川 久衛君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君    理事 小平  忠君       倉成  正君    赤路 友藏君       茜ケ久保重光君   足鹿  覺君       石田 宥全君    西村 関一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 菅野和太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  藤巻 吉生君         農林政務次官  小枝 一雄君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君  委員外出席者         議     員 中村 梅吉君         衆議院法制局参         事         (法制次長)  三浦 義男君         農林事務官         (農地局参事         官)      庄野五一郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整課長) 木戸 四夫君         通商産業事務官         (企業局長)  磯野 太郎君         通商産業事務官         (企業局工業立         地課長)    柳井 孟士君         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      岡田京四郎君         建設事務官         (計画局総合計         画課長)    佐土 侠夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  臨海地域開発促進法案川島正次郎君外三名提  出、第三十一回国会衆法第六七号)      ――――◇―――――     〔寺島国土総合開発特別委員長委員長席に着く]
  2. 寺島隆太郎

    寺島委員長 これより国土総合開発特別委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  案件所管している委員会委員長であります私が、委員長職務を行ないます。  臨海地域開発促進法案議題といたします。
  3. 寺島隆太郎

    寺島委員長 まず、本案の趣旨につきまして、説明を聴取したいと存じます。中村梅吉君。
  4. 中村梅吉

    中村(梅)議員 連合審査の機会に、ただいま議題となっております臨海地域開発促進法案提案理由について、提案者を代表いたしまして御説明申し上げます。  およそ狭隘な国土に過大な人口をかかえ資源の大半を国外に依存しなければならないわが国におきまして、経済自立再建をはかり、民生の福祉を増進するためには、国土を最大限に開発し、効率的にこれを活用することが、当面する最も緊要な課題であることは申すまでもありません。  近来、わが国経済のおびただしい伸長発展人口増加の趨勢に伴いまして、工業用地公共用地確保その他一般市街地建設等ため土地に対する需要が急激に増大し、必然に適地の減少、地価の高騰、土地取得難等を招来いたしまして、産業助長振興民生安定向上に重大な険路となっているのであります。このような実情に即応いたしまして臨海地域における公有水面埋め立て等により、新たに国土造成し、新しい国作りを行なわんとする輿望がとみに高まって参りました。現に東京湾、伊勢湾、北部九州等における大規模な土地造成の構想が、世上しばしば論議せられているところでありますが、これら二、三の事例に徴しましても、この際、臨海地域を対象とする総合的かつ基本的な開発計画を策定し、これが実施の推進をはかることは、国の積極的施策に待つところきわめて大なるものがあると確信するものであります。すなわち、これがためには、これらの臨海地域開発基本となるべき事項に関し、あらため立法措置を講ずる必要があると存ずるのであります。  本法案は、如上の趣旨をもって、ここに制定せんとするものでありまして、その主眼とするところは、国土開発上の重点施策として、かつまた、産業及び人口適正配置等見地より、工業その他の用に供する土地造成利用及び道路、港湾その他交通施設用排水施設民生施設等整備拡充に関する基本計画を確立し、これが積極的実施促進をはかり、もって産業基盤育成強化と、健全にして機能的な臨海都市建設整備を行なわんとするものであります。  以上が、本法案提案する理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、本法案適用区域となる臨海開発区域指定の問題でありますが、これは、内閣総理大臣が、臨海地域開発審議会審議を経て、これを行なうこととなっております。審議会審議にあたりましては、厚生、農林、通産、運輸建設等関係大臣は、審議会委員として、これに参画することとなっておるのでありますが、なお、最終的には、閣議決定を経なければならないことといたしております。  第二に、内閣総理大臣は、関係大臣と協議して、臨海開発基本計画を立案し、これを審議会に付議して、閣議決定を求めることとなっております。この基本計画には、臨海開発区域における土地造成利用及び前述のような関連施設整備に関する基本的な事項について定めることとされているのであります。なお、これらの関連施設密接不可分関係にある区域外の諸施設についても、必要に応じ、基本計画にこれを含めることができることといたしております。  第三には、基本計画の円滑な実施をはかるため本法既存現行関連諸法規との所要調整規定しているのでありますが、まず、公有水面埋立法河川法港湾法漁港法等に基づく関係行政機関の行なう処分または事業について、必要のある場合においては、内閣総理大臣が、これを総合調整することといたしております。他面、都道府県知事が行なう公有水面埋立免許につきましては、基本計画実施に密接な関係がありますので、これを所管大臣の認可にかからしめる等の規定を設けた次第であります。さらにまた、国土総合開発計画首都圏整備計画その他法律規定に基づく特定の地域に関する計画と、本法による基本計画との相互の調整についても、内閣総理大臣において、それぞれの審議会等意見を聞き、必要な調整を行なうことといたしております。  第四には、本法実施にあたって、関係行政機関の長等の協力義務規定するとともに、計画実施に要する資金について、政府はこれが確保をはかるよう努めるべきことを定めております。  第五には、臨海地域開発審議会設置に関する問題でありますが、審議会は、これを総理府設置することといたしまして、臨海開発区域指定基本計画の策定その他重要な事項調査審議を行なわしめることとするほか、審議会組織専門委員設置運営等について、所要規定を設けております。なお、審議会設置に伴う所要の経費は、さしあたり現行予算の範囲内においてこれを処弁せしむるよう善処する考えであります。  最後に、本法による基本計画に基づく事業実施せしむるため、将来、別に法律で定めるところにより、特別の事業体設置規定いたしております。この種事業体設置については、今後、審議会において慎重な審議を重ねることはもとより、関係行政機関及び関係地方公共団体等においても十分に検討せられることを期待している次第であります。  なお、附則におきまして、審議会設置に伴う総理府設置法の一部改正を行なうとともに、経済企画庁設置法の一部改正により、本法における内閣総理大臣の権限の行使について、経済企画庁長官はこれを補佐すること等を明確にした次第であります。  以上が、この法案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議を願いたいと思います。
  5. 寺島隆太郎

    寺島委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
  6. 寺島隆太郎

    寺島委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。赤路友藏君。
  7. 赤路友藏

    赤路委員 提案者に御質問をいたします。  ただいま提案理由について御説明を願ったわけでありますが、日本経済発展促進ために、新たに土地造成して、高度利用をはかっていこうとすること、そのこと自体に対しましては、何ら反対をする理由はございません。ただしかしながら、ただいまの提案者提案理由説明、それから十七条にわたる簡単なものではありますが、この法律内容を一覧いたしまして、私どもが感じますことは、率直に申し上げますと、このことによって被害を受けるだろうところの国民べの措置、対策というものが、何ら記載されていない、この点が非常に問題だと思うのであります。  各個条について一応御意見を承っていきたいと思いますが、第三条の三項であります。第三条の三項は、「内閣総理大臣は、前項の規定により基本計画臨海地域開発審議会審議に付する場合においては、あらかじめ、建設大臣を通じて、関係都道府県知事意見を聞かなければならない。」この点は、どうも意見を聞いても聞きっぱなしになるという印象を受けるわけです。この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  8. 中村梅吉

    中村(梅)議員 関係都道府県知事意見を聞くということは、もちろん、その意見は、審議会審議等において十分尊重せらるべきであると考えます。一部には、これを同意とすべきであるという御意見もあるようでございますが、同意ということでくぎづけにいたしますと、このような開発を行ないまする場合には、一府県のみならず、数府県にまたがるような事態も起こるかと思われますので、そのような窮屈なことにしない方がよいのではないか。他の立法例等照らし合わせまして、立法いたしまする場合の条文としては、このような表現が妥当ではないか、かように考えておる次第であります。
  9. 赤路友藏

    赤路委員 従来の法律法文上のあり方といいますか、そういう点も十分考慮に入れ、同時に、両府県にまたがつた場合等、それぞれ地方特殊情勢によって行政庁考え方が違ってくるというので、こういうような、意見を聞かなければならないということになったという御説明でございます。これは文字通りとっていきますと、あくまでも意見を聞かなければならないのであって、同意は要しないことになる。そうすると、地方長官側の方の意見がどうあろうとも、これは押しつけるという場合が出てこないとはいえない。これでは私は、自治体の自治性というものを故意に押しつける、抑圧する、こういうような印象を受けるわけです。万々そういうことはないと思う。これはお互い日本経済発展、よりよくしようという建前の上に立ってやることですから、万々ないとは思いますが、しかし、この言葉の中から受ける印象というものは、そういう印象を私たちは受けざるを得ない。単にこれだけではありません。この法文全体を通じて感じる印象というものは、これは内閣総理大臣が中心になって、審議会を作って、そしてやる、それは絶対にのむべきであるというような強い印象を、わずかの条文の中で受けるわけなんです。これは少し問題があると思うので、もう少しここのところは、やはりそれぞれの長官納得せしめていくという親切さとあたたかさと申しますか、そういった行政の方向というものが、国としては打ち出されていいんじゃないか、私はこういうふうに感じるのですが、その点もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  10. 中村梅吉

    中村(梅)議員 このような開発を進めます場合においては、もちろん、地元関係都道府県意見が十分に尊重されて、納得がいかなければ、その実施自体が円満には遂行できないと思います。従いまして、このような審議会組織を作りまして、関係大臣は、これは自分の所管事項と直接の関連がありますから、もちろん審議会に参加するわけでありますが、そのほかに、学識経験者あるいは地元都道府県知事等審議会委員になって、そこで審議を進めていくということになりますれば、大体の同意ということは――同意という言葉は、先ほど申し上げたように非常に窮屈になりますから、法律建前としての用語上は避けてありますけれども、実質的にはそれとほとんど同じような成果を得て進められるのではないか、そうしなければ事業遂行がうまくいかないだろう、こう私は思います。従いまして、私ども考え方も、おそらくあなたの御意見と同じようなことを考えておるわけでありますが、実はわれわれ提案者としましては、現在の状態にかんがみて、このような措置が必要であるということで、骨子を考えまして、これを成文化することについては、もっぱら衆議院法制局に委託をいたしまして、専門的に成文を作っていただきましたので、考え方としては、私も全く同感でございますが、条文としては、この程度がやはり妥当であろうと考えておるわけであります。
  11. 赤路友藏

    赤路委員 今提案者の方の説明は、私もよくわかるわけなんです。わかるわけなんですが、条文として本文に明確にこういうふうになっておりますと、たとえば意見相違が出たとき等は、説得するということよりも、むしろ押しつけるという線が出てくる可能性があるわけなんです。もちろん、提案者にはそういう御意思は私はないと思います。しかしながら、現実の問題として、その事業遂行していく、あるいは計画を立てていく過程においては、そうしたことがあり得る。たとえば、同意を得なければならぬということになりますと、同意を得なければならぬのだから、説得をしますね。単に意見を聞かなければならない程度でありますなれば、説得に対する熱意と努力というものが、ともすると欠けてくるんじゃないか。こういうことがあってはならぬですよ。あってはならぬし、私は、まず、そういうことは事業遂行支障を来たすおそれがあるから、おそらくおやりにならないと思います。おやりにならないとは思いますが、法文上の建前からいうなれば、そうする方が、よりお互い納得と了解の上に立って事業遂行するという上においては、万全の措置がとれる、こういうふうに私は考えるわけなんです。そこに非常な杞憂をこの面で私は持つわけなんです。提案者の御説明はよくわかるのです。法制局はどういうふうな形でこういうふうに法制上されたのかわかりませんが、あとでこれは委員長法制局を呼んでいただいて、もう一応法制局の方の意見を聞いてみたいと思います。  その次は、第五条であります。これによりますと、「国の関係行政機関の長は、」云々と、こうあるわけです。それからそれぞれの既存法律等がございます。「その他の法令規定による処分又は事業基本計画に重大な影響を及ぼし、又はその円滑な実施支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、内閣総理大臣に対し、その旨を申し出て、調整を行うべきことを求めることができる。」こういう調整条項になっておるわけですね。この場合考えられますことは、国の行政機関の長が調整を求めるということなんです。そういたしますと、国の主権者である国民立場というものは、この中では何ら触れられていない。国民立場というものはたな上げになってしまっている、私たちはこういう印象を受けるわけなんです。この点はどういうふうにお考えなんでしょうか。
  12. 中村梅吉

    中村(梅)議員 たとえば農林省で申しますと、出先の農地事務局でありますとか、あるいは港湾関係でありますと、港湾関係の長をなすっている人とかいうふうな行政立場から、常にそれらの関係方面はにらんでおるわけでありますから、ここらの機関によってこのような調整の要求ができる、こういうことにしておくことによって、今お説のような点は十分調節ができていく、こういうように考えておるわけであります。
  13. 赤路友藏

    赤路委員 今の提案者のお言葉は、非常に私は考え方が甘いと思う。現実にいろいろな問題が起こっておるわけなんですが、たとえば国の行政機関の長、本省関係の諸君の考え方地方官庁考え方、あるいは地方官庁側の方の考え方と、利害関係者である国民自体考え方とに、相違のある場合を考えなければなりません。そういう事態はあるわけなんです。少しそれると思いますが、私の手元にきておるのでも、都市区画整理法に基づく市の方の宅地造成、これに対しまして、地元の農民の方にやはり問題があるわけなんです。現に今日までまだ長くかかって解決がつかぬのは、千葉県の金ケ作などは、あれだけ長期の期間をかけながら、今日なお解決がつかぬ、こういう場合があり得るわけなんです。必ずしもその行政機関の長の考え方というものが、利害関係を持つ国民考え方に一致するとは、私は言えないと思う。そういたしますと、関係機関の長の意見は聞く、そして関係機関の長が調整を求めたときは、その調整には応ずる、こういうことなんですが、利害関係を持つ国民自体が、何らこれに対しては調整を求める方途もない。そうしたことが規定されていないわけなんです。それでは、国の主権者である国民というものを、あまりにもばかにした――と言うと、少し言い過ぎになるかもしれませんが、たな上げしてしまった感じを私は受ける。だから、今提案者のおっしゃっておることも、これは関係機関の長は、常に国民ためによかれかしとして行政をやっておる。悪くするという考え方行政をやっているような、担当するような係官は、私はおらぬと思います。しかしながら、理屈としてはわかっても、現実の問題としては、そういうようなことがあり得るのだから、当然私は、国民立場の上に立った面がなければならぬと思いますが、どうお考えになりますか。
  14. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは、こういう関係行政機関の長に対する一つの例示的な条項でございまして、他の一般民間人――漁業団体でありますとか、農業団体でありますとか、その他利害関係のある人たちが陳情、請願あるいは要請等をいたしますことを、何ら妨げておるものではありませんので、そういうような申し出があり、それが妥当であるならば、もちろん、審議会事務及び内閣総理大臣の行なう職務の補佐は企画庁長官が行ない、企画庁がその事務調整して進めるわけでありますが、それらの事態がありますならば、もちろん、これは常識といたしまして、あらため立法措置はありませんでも、当然私は、それらの人たち納得のいくような、また、全体の角度から見て、全体の公益性がそれがために根本的に障害を受ければ別でありますが、しからざる限りにおいては、それらの要請はやはり受け入れてやっていくのが、現在の行政任務であり、また、このような審議会等ができました場合における審議会任務でもありますので、私は決してそれらの事柄を遮断しておるわけではありません。それはもちろん、大いにあってしかるべきだ。また、このような事柄については、さような各地方なり各関係者の要望というものは、数多く出てしかるべきであり、また、出てくるものと思います。さような場合には、当然企画庁長官がその処理に当たり、責任に当たるわけでありますから、そういったような事柄については、十分これを採用すべきものは採用し、また、行政機構のみで取り上げることができないような場合には、そのような事態があるが、これはどう処理するかというようなことは、基本計画の立案にあたって当然審議会に付議されて、そうして審議会の議を経て結論が出てくる、こうなっていくと私は思うのであります。
  15. 赤路友藏

    赤路委員 今の中村さんの御意見政治家としてわかるわけです。今のは、政治家としての中村先生の御意見であると私は考える。さて、法律ができてしまいますと、これは官庁所管に移るわけですね。それぞれの担当官庁によってなされていく。そうすると、どうしても法律条項、また、その内容ということが問題になるわけなのです。この条文を見て参りますと、何らそういうような条項がない。だから、全体を通じて受ける印象は、先ほど私が申しましたように、被害を受けるだろうところの国民立場というのは、何らこれにうたわれていない。たとえば、土地収用法がある、あるいは都市計画法がある、また、土地区画整理法がある。これはかなり強制的な法律になっております。それでも、これらの法律の中には、やはり縦覧期間を設けて、あるいはまた、それぞれの利害関係国民意見書を提出する等々の、救済措置と申しますとどうかと思いますが、そういうような、国民主権者としての立場を十分に考慮に入れつつ、法律というものはできておる、私はこういうふうに考えるわけです。ところが、この法文十七条のどこを見ましても、国民立場の上に立った面は一つもないのです。もちろん、当初私が申しますように、日本経済発展の上において、この狭隙な日本土地ですから、造成して産業を興そうという、このこと自体は私はわかる。しかしながら、そのために犠牲になるだろう国民立場というものを考慮に入れていないという印象は、これは明らかにこの法文上から受け取るのです。これがないと、単なるこの法文だけからいきますと、憲法違反の疑いすらも、あるのではないかと私は考えるわけです。だから、ただいまの中村先生の御説明は、政治家中村先生としての御意見としては私はわかるが、法律そのもの内容あり方から見た場合は、どうにも今の御説明だけでは納得がいかないのでありますが、もう一度、一つ意見を承らせていただきたいと思います。
  16. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御意見のような点を十分に消化していくため審議会の中にも、関係大臣や何かだけでなしに、学識経験者、さらに最近、与党の内部からも、この審議会の構成を一部修正したらいいではないか、こういう御意見等がありまして、提案者としては内々それに賛意を表しておるわけでありますが、地元関係都道府県知事等審議会委員として加えられるようにしていったらどうか。こういうような点が、この法案の中に含まれておるわけでありますが、かような方法によりまして、一般住民なり地元公共団体なり、いろいろな方面意見を十分取り入れ、また、尊重のできる道を講じて進めていくべきである、こういうように実は考えておりますので、これらの方法によって、今御指摘のような点は十分に、円満に消化していくような道が講じられるもの、こういう見地に実は立っておる次第であります。他の立法例等もいろいろしんしゃくしてみましても、今お説のような点は、土地収用法等異議の申し立てとか、訴訟の道とかいうものがあるほかは、この種の立法には、お話のような点を成文化して入れておるものは、どうも実は私ども見当たらないように思うのであります。ただ、もう一つつけ加えておきますが、この法律は、この審議会の議を経て、内閣総理大臣がさらに閣議等にかけて指定地域をきめることと、それを実施いたします基本計画――実施を具体的にするのにはどうしていくか、たとえば、一府県の場合には、その一府県地方公共団体事業を担当せしめる場合もありましょうし、あるいは国が直接実施する場合もございましょうし、あるいはその他の機関実施せしめる場合もあるかもしれませんが、それらの実施方法等についての基本計画というものが審議会の議を経てできるわけで、それから先の実施は、その地方公共団体が担当するにしても、国の一機関が担当するにしても、その他の機関が設けられて担当するにいたしましても、担当者実施するにあたりましては、土地収用法を初めその他の一般法令適用を受けて進んでいくわけでございますから、これらの面においては、それに対して異議のある者あるいは苦情のある者等に対しては、他の諸法令救済の道は当然それに加わっていくわけでございますから、基本的な土台の法律でございますこの法律としては、この程度の骨組みでよろしいのではないか、こういうように考えております。
  17. 赤路友藏

    赤路委員 よくわかるようなんですが、もう一つ私は納得いきかねるのです。どうもこの法律をお作りになるとき、提案者の無意識なうちに内在しておるものは、公有水面の埋め立てということである。これは、少なくとも、国のものといいますか、財産権のないところですね。だから、公有水面を埋め立てて、より経済効果の上がるような工場なり何なりの敷地造成をやるのだという前提の上に立って、あまりにもそれが強く内在しておるのじゃないかという印象を受けるわけです。もちろん、公有水面でありますから、国民の何の何がしが、そこに財産権を持っておるというものではないかもしれぬ。しかしながら、事実、それぞれの公有水面は、国民の生活のかてとして、漁業権の設定なり、いろいろなあれがあるわけです。それを無視することはできないと思います。やはりこれは財産権に匹敵するものだと思う。あるいはまた、憲法の条項から参りましても、国民個人の権利というものは尊重されなければならぬ。また、財産権とはいいませんが、財産権に類似するそれらのものは保障されなければならない。今提案者がおっしゃったような形で、いろいろと関連する法律等を十分活用してやるということは、私もわかるわけです。私は、これはわからぬと言っておるのじゃないのです。わかるのだが、何となしに、ざるとはいいませんが、どこかそういう面では落ちがあるという感じを受けるわけです。たとえば、仮定でありますけれども、特に公有水面の埋め立てということを前提に置いてかかる場合は、これの対象になるのは、それに接岸している海面なんです。沿岸であります。そこに蝟集しておる漁民というものは、すべて非常に零細な諸君である。この零細な漁民の漁場、生活のかてというものが、これによって失われてくるという結果を当然招来すると思う。しかし、そのことは、それだけの漁民が、かりに生活権を剥奪されるような漁場喪失というものがあったとしても、大きな日本経済全体の立場から見て、より経済効果が上がるのであるという観点の上に立ってやらざるを得ないと思う。単に一漁民の反対意見だけで、あるいはその周辺の漁民の反対意見だけによって支配されるというものではない、こう解釈します。それがまた当然だと思う。そうなって参りますと、その生活の根源を奪われる漁民の立場というものは、何ぼ日本経済が成長し、発展するためだといっても、犠牲にしつぱなしということはあり得ないわけです。これは当然、この諸君の立っていく方途というものが明確にならなければいけないと思う。私は、少なくとも今提案者のおっしゃるようなことはよくわかるのでありますが、基本的な法律であるから、その他これに付随して――付随してというと語弊がありますね。既存のいろいろな法律があるからその方で守れるのだ、こういうふうに提案者はおっしゃるわけですが、現実の問題としてはそう簡単にはいかない。だから、むしろこの法案自体の中で、そうした面を少なくとも基本的に――こまかく細分してはやれません。基本的には、そうしたことが当然うたわれてしかるべきではないか、こういうふうに考えます。
  18. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御指摘の通り、この法律ができ、このような事業が進められる場合に一番関係の深いのは、何と申しましても、接岸地域の漁業関係者であることは申すまでもないと思うのであります。従って、この点につきましても、われわれ、立案段階におきましていろいろ考慮を払ったのでございます。御承知の通り、公有水面埋立法にも、補償をしなければならないこと、それから権利者の同意を得なければならないこと等、所要条項を設けておるわけでありますが、なお、この法律といたしましては、適正な補償に努めなければならぬということは、うたい込んであるわけであります。さらに、最近、いろいろ審議過程におきまして、この法案の十条でございますか、「審議会は、次に掲げる事項調査審議する。」当然調査審議しなければならない事項の列挙の中に、一項目起こしまして漁業補償の基準を定めること等について入れたらどうかという説がありましたので、私ども提案者といたしましては、まことにごもっともな次第である、実はかように感じておる次第でございますから、審議過程を通して委員の方々が御協議の上、そのような相談の上で修正されることがあればまことにけっこうである、こう思っております。
  19. 赤路友藏

    赤路委員 これは現に、提案者から提案されております面だけで質問をしておるわけですが、今そういう御意見がありますと、どういう形になってくるか、これはまた臼後のことだと思いますので、その点は一応留保いたしておきます。  次に、十六条について伺いたい。提案者のただいまの提案理由説明によりますと、最後のところで、特別の事業体設置規定いたしております。これは十六条になると思いますが、「この種事業体設置については、今後、審議会において慎重な審議を重ねることはもとより、関係行政機関及び関係地方公共団体等においても十分に検討せられることを期待している次第であります。」こういうふうにうたわれておる。特別の機関を設けるということ、十六条にははっきり「別に法律の定めるところにより、特別の機関設置するものとする。」と明記いたしております。特別の事業体設置するということを審議会にかけて、慎重審議の結果、その必要なし、こういうふうになったら、どういうように処置をいたされるか、この点をお聞きしたいと思います。
  20. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この十六条は、条文の表現の問題もあるかと思いますが、十六条のしまいの方に、「特別の機関設置するものとする。」とあります。これは上の方の「必要」という字にかかっておりまして、必要な場合には特別の機関設置することができるという、全体の趣旨考えておるわけであります。ただ、条文の表現がこれでいいのかどうかについては、成文化した人たちと私ども提案者としていろいろ討論をいたしたのでございますが、条文の上の方に「必要」という言葉があるので、必要な場合に特別の機関設置するのだという趣旨であるわけであります。そこで、特別の事業体を設けてこの特別の事業体によって事業遂行せしむる必要があるかどうかということは、今お話しのように、審議会実施計画を、基本計画審議決定いたしまする際に当然織り込まれて論議をされ、きめていかれるわけでございますが、その結果、特別の機関設置することが必要であるということにきまった場合には、その特別の機関は、もちろんこの条項にもございますように、「別に法律で定めるところにより、」と、こういうことでありまして、何かの特別立法をしない限りは、特別の機関を設ける道は現在の制度上ないわけでございますから、そういう事態が起こった場合には、もちろん、その特別立法がどういう形でか国会に提案をされ、国会の御審議を経て国会の議決があって、初めて特別の機関が生まれる、こういうことになるわけでございます。そこで問題は、この審議会でいろいろ実施方法について審議いたしました結果、特別の機関を設けることになる場合も起こるかもしれませんし、あるいは建設省なら建設省に担当せしめて、直轄で行なう方が諸般の関係上よろしいという場合も起こるかもしれませんし、あるいはまた、関係都道府県に委託して、地方公共団体に直接事業実施せしむることが妥当であるという結論になる場合もあるかもしれませんが、それらのいろいろな場合が、私は、場所により、ところにより、状況によって起こり得ると思うのであります。これらを、あげて審議会の公正な審議の結論に待つ、こういうのが、私どもの実は考えなわけでございます。
  21. 赤路友藏

    赤路委員 どうも条文の文句にとらわれ過ぎて、少しあげ足とりのような格好になるようでございますが、今、提案者が御説明になったこと、わからぬではありませんが、この条文の文句から受ける印象は、今、御説明のようなものではないと私は思います。これは提案者の御説明を一応了といたしておきます。  そこで、政府側の方にお尋ねいたしますが、この法律関係いたします各省の方々の御出席を求めておるわけなんで、お聞きいたしたいことは、この法律案に対する政府の統一見解として、責任を持ってお答えが願えるかどうか、経済企画庁長官がお見えになっておりますが、政府を代表して、統一見解として責任のある御答弁が願えるかどうか、この点を一つお聞きしておきたい。
  22. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この法案につきましては、まだ政府といたしまして相談したことはございません。従いまして、この委員会でこの法案が決議されるようになりますれば、最終段階といたしまして、政府では閣議でこの法案を取り上げて、そして統一ある見解を決定するということにいたしたいと考えております。ただいまのところでは、経済企画庁長官として私がお答えすることになっております。
  23. 赤路友藏

    赤路委員 まだ政府として相談を受けたことがない、しかし、この法案が通れば責任を持ってやっていきたい、こういうようなお言葉であったと思います。それは企画庁長官の御意見として承っておきます。  そこで、各個にお尋ねをいたします。経済企画庁にまずお尋ねいたしますが、この法律案について、まことにけっこうなよい法律と思われるか、それとも、この法律はむだな法律であると思われるか、その見解を承りたい。
  24. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 むだな法律とは考えておりません。最近の経済発展並びに人口の増加の趨勢にかんがみましてこの法律がある方が、工業地帯の開設などにはより有利であるというように解釈いたしております。
  25. 赤路友藏

    赤路委員 重ねてお尋ねいたしますが、ある方がということは、言葉から言いますと、ないよりましだということになるわけですね。どうでしょうか、この法律があった方がいいか。政府として、責任を持って、もしこの法律が通ったらやれる、これはりっぱな法律なのだ、こういうふうに思われますか。
  26. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この委員会で皆さん方が慎重御審議下さってこの法律案を可決なさることになりますれば、もちろん、政府といたしましては、皆様方の御意思を尊重いたしまして、この法律実施にわれわれ当たりたい、こう考えております。
  27. 赤路友藏

    赤路委員 どうも長官の答弁はちょっと――私の尋ね方が悪いかもしれない。もう一ぺん率直にお尋ねしますが、ある方がいいか悪いか、これだけ一つ……。
  28. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この法律がもし成立いたしますれば、最近におけるような経済その他の急激な伸展にかんがみましてこの法律があった方が、そういう経済の伸展の要望に応じ得るという意味において、あった方がいいと、こう考えております。
  29. 赤路友藏

    赤路委員 あった方がいい、こういうことであります。  農林省の小枝次官がお見えになっておりますから、農林省を代表して、大臣代理としてお聞きしたいのですが、ただいまの点と同じでありますか、法律があった方がいいか悪いか。
  30. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 この臨海地帯の開発につきましては、これは日本経済全般から考えますと、ある方がいいのではないかと私も考えております。ただ、農林漁業の関係から申しますと、先ほどから赤路委員が御質問になっておりますような、あるいは漁業権の問題とか、あるいは水利権の問題、あるいは農地の問題等、幾多問題点が包蔵されておると考えるのであります。そういう立場においてこれらの問題が解決をされ、これらの問題が支障のない方向にこれを向けて審議していただくならばけっこうだ、かように考えております。
  31. 赤路友藏

    赤路委員 今の農林省の方の御答弁によりますと、そうしたような被害を受ける漁民なり農民なり、こういう者の立場十分考慮の中べ入れられるという形においてはある方がいい、それができればあった方がいい、こういうことですね。確認いたしますが、それでよろしゅうございますか。
  32. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 それは農林省という立場でなしに、国策全般の立場から考えていい、かように考えております。
  33. 赤路友藏

    赤路委員 あとは通産省、建設省、運輸省とございますが、順次、一つ今のお答えを願いたい。まず通産省から……。
  34. 磯野太郎

    ○磯野説明員 通産省といたしましては、将来の日本経済発展の要因を考えます場合に、いろいろな機械設備、技術、労働力その他いろいろな経済要素があろうかと思いますが、御案内の通り、一つは、ここでいろいろ御審議になっております工業用地の問題、それからもう一つは、これも御案内の通り工業用水の問題、これらの点が将来日本産業が大きく発展し、経済発展する場合のネックであるというふうに考えておる次第でございます。それで、そういう意味合いから申しまして、工業用地計画的に造成されていくという点は、非常にけっこうであるというふうに考えております。従いまして、この法案につきましては、個々の具体的な条文の点は別でございますけれども、全体としてはあった方がいいというふうに考えておるわけであります。
  35. 赤路友藏

    赤路委員 建設省の方は……。
  36. 佐土侠夫

    ○佐土説明員 あった方がよいと思います。
  37. 中道峰夫

    ○中道政府委員 運輸省といたしましても、臨海工業地帯と港湾との関係と申しますか、工業港あるいは一般の商港との関係が非常に密接でございまして、最近、御承知のように、経済基盤の強化という点から、わが国工業地帯の生産が進んで参りまして、原料は海外から大部分入る。その場合に、それらの工業港を通じて工業地帯に輸入されるわけであります。また、これが製品化されますと、もよりの輸出港を通じて海外に輸出されるというふうなことで、わが国工業地帯の発展と、貿易港湾の進展ということが、非常に密接に結びついてきておる実情でございます。従いまして、これらの臨海工業地帯が経済基盤の強化の線に沿って堅実な発展をしていくということは、まことに望ましいことでございますので、そういう趣旨から申しまして、この趣旨に対しましては、私たちは賛成でございます。
  38. 赤路友藏

    赤路委員 大体関係当局の方の御意見を承りました。ただいままで聞きました範囲内におきましては、言葉のニュアンスにやや違う点はあろうかと思いますが、経済企画庁農林省、通産省、建設省、運輸省各当局は、これはあった方がよい法律である、もっと言葉をかえて言いますと、日本経済発展ために好ましい法律である、こういうふうに私は理解をいたします。  そこで先ほど、私は、統一見解を責任を持ってやれるかということをお聞きしたのでありますが、それほど各省が好もしい法律であるとするなれば、なぜ政府の責任においてこの法律を出さないのであるか。これは政府の責任において出した法律ではございません、議員立法です。どなたか政府を代表して御答弁できますか。
  39. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 これは議員立法の方が適切であるというように議員の方々がお考えになって、議員立法として出されたのであります。でありますから、この内容の点につきましては、いろいろ政府としては検討しなければならない内容もあると思うのでありますが、議員立法で出した方が適切であるというように議員の方でお考え下すって提案されたものとわれわれは推察いたしておるのであります。
  40. 赤路友藏

    赤路委員 どうも菅野大臣の御意見ではちょっと納得いたしかねる。これは川島正次郎氏ほか自民党の方々の議員立法です。自由民主党は野党ではない、与党である。今日、政党政治のもとにおいて自由民主党が政府組織している。党の立場から言うと、大きな政治的観点から、政府に難色があっても、なおかつやらなければならぬといったものがあると思います。そうした場合は、与党であっても、与党の責任において議員立法することはわかる。しかしながら、ただいまお聞きすれば、政府関係官庁の諸君がけっこうな法律だと言っている。では、なぜこれを議員立法でお出しになったのか、なぜ、政府の責任において出さなかったのか、こういうことを私は言いたいわけです。  ここで提案者に御質問いたします。私は、その点において不安を感じる。つまらぬ質問のようでありましたが、関係官庁の御意見を聞いたことは、そこにゆえんする。政党政治であり、しかも、自由民主党が政府組織している。その政府の各官庁の諸君が、みなけっこうな法律でございますと言っている。それなら、あえて自民党から議員立法として出す必要がないじゃないか、政府の責任において出すのが政治の正道だというふうに私は考える。どういう理由でこれを議員立法としてお出しになったか、その点をお聞きしたい。
  41. 中村梅吉

    中村(梅)議員 実は、率直に申し上げますと、この立案段階におきましても、もちろん、関係各省と協議をして、関係各省の意見も十分に徴したわけでございますが、その段階におきましては、関係各省とも、このような法律制定の趣旨に対しては賛意を表しているわけでございます。ただ、問題は、各行政庁といたしましては、それぞれの立場考え方相違等がございます場合が、御承知の通りしばしばあるわけでありますが、特に具体的に申しますと、この三条にも、都道府県知事意見を徴するような場合に、この原案では、建設大臣を通じて聞かなければならない、こういう条項になっているわけであります。ところが、建設大臣を通して聞くということに対しては、たとえば、現在はどうか知りませんが、立案の段階の当時においては、農林省とか運輸省等においては、建設大臣というのは妥当でないというような意見等も起こりまして、なかなかその調整に困難いたしたのであります。ただ一点、そこらの調整が至難なために非常に手間取りまして、政府提案の運びにすることが実はできなかったわけであります。しかしながら、現状を見ますと、各重要地帯とも、継ぎはぎの埋め立て等が行なわれて、工業用水の計画も伴っていなければ、他の港湾との関係調整が十分ついていなかったり、あるいは他の交通とか人口適正配置等の点とも関連なしに、継ぎはぎの埋め立てが進められつつある現状に照らしまして、すみやかにこの種の立法をいたしまして、そういうような継ぎはぎ開発でなしに、やるならば、もっと港湾ともにらみ合わせ、水利あるいは他の一般交通等も勘案いたしまして、総合的な開発が進められなければならない。それには、早くこの種の立法をいたしませんと、だんだんにそういう継ぎはぎが進行してしまうというような角度に立ちまして、今申し上げましたように、一つかそこらの点についてなかなか調整が困難でございましたので、いっそ、この点は与党の責任において原案としての目安を策定し、さらに、これを国会に提案いたしまして、国会の審議によって、国会議員全体の国会の意思として、こういうような行政的な立場から、一致をいたしませんようなわずかの点についてはさばいてもらう方が妥当であろう、かような見地に立ちまして、実は議員立法にいたしました次第であります。私ども、できることならば政府提案の運びにいたしたいということで、相当長期にわたって実は努力をいたしたのでございますが、その結果、そういうようなことになったわけであります。そこで、三条の建設大臣を通してという規定を原案で出しました要旨は、私ども、実はそういった成文を作る技術にはうとい関係もありますので、もっぱら法制局にその検討を委託いたしまして、法制局で各種の立法例等をしんしゃくいたしまして、この結論が実はできたわけでございまして、一応私どもは、法制局のいろいろの検討の結論を妥当なものなりと、かような見解をもちまして、この成文を得て提案をした、こういう次第でございます。
  42. 赤路友藏

    赤路委員 今の提案者説明は、私は、実はすなおにお聞きしたいと思うのです。しかしながら、提案者自身も、あるいはお聞きになっているかと思うが、なぜ議員立法をしたかということについてこれは相当な疑惑が生まれている。そういったうわさを聞くわけなんです。痛くない腹を探られている。今各省と相談された、こういうふうにお話しになった。これをやる場合は、各省とおそらく私は相談していると思う。今提案者の方から、第三条の建設大臣云々の一点をお取り上げになった。そういうわずかな点にひっかかって、なかなか成案を得るのに長期間を要する、調整ができない、こういうことだと思う。しかし、それは官庁のセクト主義だと私は思う。かりにも、これは大きな仕事なんですよ。これをやるということは大事業です。また、日本経済発展という立場に立つなれば、やらなければならぬことですよ。こういうような大事業をやる場合、一官庁のセクト主義によって、そのままできないからといって与党が議員立法をするなどということは、私は、それこそ、ほんとうに政党政治の行き方としては間違いだと思う。そういうような各官庁のセクト主義を是正するということこそが、これが与党の責任でないかと私は思う。私は努力をされたと思う。努力はされたと思うが、そういうことで、あえて議員立法をしたということは、私は、これは大きな間違いだと思う。今こういうことを言っても、お聞き下さるかどうかわかりませんが、私は、できるなれば、この法律を、いろいろと相談したができないので、与党の責任でと、こうおっしゃるが、それなれば、与党の責任で、なぜ政府にこの法案で出さすようにしなかったかということです。できたはずなんです。それを、あえて議員立法として出したところに、何とかかんとか痛くない腹を探られる原因がある。私はそういうことはないと思います。あってはならぬと思います。私は、今ここで、ほんとうに、すなおに私の言うことをお聞き願えますなれば、今からでもおそくないと思う。政府の責任においてこれを再提出せしめるという、ほんとうの政治、行政というものをその筋へ乗せていく、軌道へ乗せるという努力を、私は提出者にしてもらいたい、こういうふうに考えるのですが、いかがにお考えになりますか。
  43. 中村梅吉

    中村(梅)議員 ただ、各省の立場あるいは言い分等を聞きますと、一がいにセクト主義といって片づけるわけにも参りませんし、また、各省々々のそれぞれの立場なり言い分があって主張をされるわけでありますから、それは幾ら与党でありましても、与党が、それぞれの所管を担当している人たちの言い分というものを――折り合いが簡単につく事項なら別でありますが、つかない限りは、どうも力をもってこれをどうする、あるいは説得に努力をしてみても説得が容易でない、非常に手間どって、先ほど申し上げたように、この種の立法が、現状に照らして非常に急速を要すると考えられまする場合に、そういうことによって一そうの日時を費やすということは、はなはだ遺憾な次第でありまするので、先ほど申し上げたように、与党の責任において原案を作成、提案をいたし、さらに、これは国会の責任において御審議の上、しかるべき結論を得て、そして堂々とさばいていく以外には方法がないのではないか、それが一番、つたないようでありまするけれども、今日の憲法下における国会の権威からいいましても、私は、行政庁のそういったようなことで日時を費やしますよりは、国会が解決をするということの方がむしろ公正であり、妥当であろう、こう考えておるわけであります。
  44. 赤路友藏

    赤路委員 この問題は、何ぼ私が声を大きく張り上げてやってみたところで、小さくしてやってみたところで、おそらく平行線でしょう。そう思います。ただ、あげ足をとるわけじゃありませんが、力をもって与党といえども官庁をどうするということはできにくい面もある、こういうお話である。それはよくわかるのです。しかしながら、結果論的には、力で押したことになる、そうでしょう。官庁と話し合って解決がつかぬ、仕方ないから議員立法をする、そして議員立法でできたものを押しつける、こういう結果になるのですね。だから、結果論からいけば、力で押しつけたことになる。私は、それならば、やはり政府の責任において出すべきだと思います。と同時に、賛成をする官庁の諸君が、与党から議員立法をされて、のんべんだらりんとそれを見ているなどという、無責任な話というものはないと僕は思うのです。あまりにも責任がなさ過ぎる。各官庁に一片の反対論でもあるのならばこれは別ですが、ないのです。もうこれはこれ以上言いません。何ぼ言ってみたところで、のれんに腕押しです。ですから、私の質問はこれで打ち切ります。答弁を要しません。
  45. 寺島隆太郎

    寺島委員長 芳賀貢君。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 提案者にお尋ねします。ただいまも同僚の赤路委員から指摘した点でありますが、この法案提案された経緯について、まずお尋ねしておきます。提案者におかれましては、国会に法案を提出する場合、これは二色あるわけですね。議員提案と内閣提案と両様の提案権があるわけでありますが、最近の事情を見ると、どうも今まで議員提案による法律は、成立しても、その後の実施にあたっては軽視されておるようなきらいがあったわけです。これは国会の権威の上からいっても、われわれ非常に遺憾にたえない点でありますが、聞くところによると、自民党におかれては、自民党だけの議員提案法律案は避けるというような原則が、きめられておるというふうにわれわれ聞いておるわけです。そういうことになると、これは憲法に定められた立法府としてのわれわれ議員法案提案権を、みずから圧縮し、否定するようなことにもなりかねないと思うのであります。その意味においては、本法案は自民党のほとんど首脳部といっていいような諸君が提案者になっておるのでありますが、議員提案と内閣提案の場合の法律案の提案権について、中村さんはどのように考えておるか、いずれを優位と考えて今まで議会において努力されてきたか、この点をまずお伺いしたい。
  47. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私の承知しております範囲では、自民党として議員立法を避けるという原則をきめておるというようなことは、実は聞き及んでおりません。ただ、与党として、内閣総理大臣を初め各省大臣を与党から出しておりますので、そういう関係から、いろいろな手続上その他の点から見て、政府提案というものが自然多くなるということはあると考えます。建前として今御指摘になりましたようなことを党としてきめておるということは、実は私は全然承知しておりません。ただ、お触れになりましたように、どうも議員立法は、政府及び行政機関によってうとんぜられておるではないかという御意見がございましたが、この点も私よく詳しく事情をつまびらかにしておりませんけれども、さようなことがあってはならないのでありまして、政府及び国会側に立法権がありまする以上は、できた法律に差別があるべきはずはない、かように純理論的に私は考えておるわけであります。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 提案者の顔ぶれを見ると、八人の提案者のうち、現在内閣に列している諸君が四名おるわけですね。益谷さんは副総理でありますし、福田さんは農林大臣、渡邊さんは厚生大臣、それから福田篤泰さんは総務長官。こうなると、法案を出した当時、三十四年四月一日ごろと、この法案に対する認識とか理解というものについては、政府部内の事情というものはだいぶ違っておるのじゃないですか。こういう有力な提案者の諸君が、閣僚として政府を形成しておるわけだからして、これはこの際、むしろ政府の責任で政府提案にして、内容の充実した法律案にしてなお、これは計画法に尽きておるわけだから、実施については関連法が当然必要になることは、提案者も御承知の通りですし、今の時点では、赤路君も言った通り、もう一度考え直す段階にきておるのではないかと思いますが、どう考えられますか。
  49. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この法案の立案や関係各省との折衝等が開始されましたのは、福田政調会長のころからでありまして、その後任として私が政調会長になりましたころに、結局ここに踏み切らざるを得ない、こういう決心をいたしまして、党の首脳部が提案者になりまして、この提案をいたしたわけでございます。そこで、かような踏み切りをいたしました事情を、これも率直に申しますと、行政運営は、一つの内閣におきましてはできるだけ円満であることが望ましいわけであります。従って、外交問題でありますとか、特に大きな政治問題でありますならば、たとい各省の次官あるいは事務当局がどう考えようとも、閣議決定をして事を運ぶということもあり得るわけでありますが、この種の問題につきましては、やはりいろいろ行政庁の相協力が必要であります。特殊な大きな政治問題でない限りは、御承知の通り、閣議に出ます事項というのは、事前に、次官会議なり政務次官会議なりで話し合いをし、そして意見の一致したものだけが閣議に出てくる、こういう運び方に実務上大体なっております。この種の立法政府提案なら政府提案としてまとめますについては、次官会議なら次官会議で、意見が完全に一致したという姿にならなければ困るわけであります。かようなこと等を照らし合わせまして、難航をいたしましたので、難航しておるうちに、重要な地帯についてはどんどん事態の変化が進んでいきますので、それよりは、早くそういう事態を高い角度から国家のため調整をし、日本産業の将来のためにも活発な開発が行なわれるようにするために、ここらで踏み切らなければならないという決心をいたしまして、議員立法提案をするということに実は踏み切りをいたしたわけでございます。かような事情を一つおくみ取りをいただき、御理解を賜わりたいと思います。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 政府機関内の意見の不一致とか不統一という場合は、ときどきあると思いますが、その場合は、やはり内閣総理大臣がおるのですから、最終的な方針の決定とか統一というものは、これは当然内閣総理大臣の責任においてやるべき筋合いのものであるとわれわれは考えておる。それができないということになると、現在の内閣総理大臣はそういう統制力が非常に弱過ぎる。それで、与党の方で、それにてこ入れをするために、今度は議員立法で裁断を下すような形で、総理大臣のかわりにそういう措置をとられたのですね。
  51. 中村梅吉

    中村(梅)議員 総理大臣に全体を統御する権能をふるってもらう、これはまた当然のことでありますが、事と次第によりまして、そう一から十まで総理大臣の権限を行使させるということよりは、先ほども御議論がありましたけれども、他の力をもって各行政庁意見の不一致を押えつけるということは慎むべきことでございますが、国会は国権の最高機関でありますから、国会の意思によってそういうような困難な問題をさばいていくことは、少し各関係行政庁に対しては弾圧といいますか、押しつけるような姿になるかもしれませんが、国会が国権の最高機関であるという権威に照らしまして、むしろ私は、こういうようなことは遠慮をしないで、――遠慮をして、そして国会が大事をとるばかりが能ではありませんので、このような場合におきましては、むしろ国会は進んでこれをさばくという決心に立つべきである、こういう提案者の一人としての角度に立って、実は議員提案というものに踏み切ったわけでございます。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、法案内容についてお尋ねします。この法案の目的は、結局臨海開発区域指定というのが、相当大きな目的と任務となっておると思いますが、その場合お尋ねしたい点は、たとえば国土総合開発法という法律があって、これはやはり国土の総合的な開発、あるいはまた、特定地域開発計画等を策定して、その地区の指定等も行なっておるわけです。ですから、臨海地域開発をやるということになれば、それだけ事業実施することによって、国土が膨張するというか、とにかく国土の面積がふえるわけですね。そういうことの計画指定をやるということであれば、これは国土総合開発法のやるべき任務として、いろいろ基本的な調査あるいは審議決定ということも、現在の総合開発法等を大いに活用してやることも可能であるし、また、その方が望ましいのじゃないかと思いますが、その点は検討されたわけですか。
  53. 中村梅吉

    中村(梅)議員 国土総合開発の調査立案ということは、国土総合開発法の使命であることは申すまでもないと思います。ただ、国土総合開発法のみによりましては、公有水面埋立法による許可との関係や、あるいは漁業法との関係、あるいはこの原案にございます第八条の資金の確保の問題、あるいは審議会の構成というものも、この臨海地域開発ということになりますと、国土全体ではなしに、限られた地域になりますから、それにふさわしい審議会の構成をするとか、あるいは国土総合開発法には専門委員等の制度がございませんが、本案におきましては、第十二条に、所要専門委員を置いて、専門的な調査等も行ない得るような道を講じました次第で、国土総合開発法では、この立法で目ざしておるだけのことはとうてい不可能であると思います。新たなそういうような諸問題を含めた点を、この立法によりまして解決をしていきたい、こう考えておるわけであります。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば、現在の国土総合開発法の中で十分消化できないような点があるとすれば、その不備を補うような努力をすれば十分やれるのではないかと思うわけです。できるだけ、国土の総合開発というものは、経済発展に伴うこのような事業等については、国の大方針というものを一本にまとめて、それに必要な調査研究とか、立案とか、事業実施というような点については、やはり一貫性と総合性を具備させるということが、非常に大事なことじゃないかと思うわけです。そういう意味から言えば、むしろ、現在の総合開発法が力が弱くて、また欠けた点があるとすれば、それを十分に完補して、そして強力なものにするということで行った方が、十分筋道が通るのではないかとわれわれは考えているわけです。そういう点については、経済企画庁長官などはどういうお考えを持っておられますか。
  55. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 国土総合開発法によって、こういう計画ももちろんできないことはありません。しかし、御承知の通り、国土総合開発の全般の計画がまだでき上がっていないのであります。そこで、一方におきましては人口の増加、経済発展の結果といたしまして、急速にこういう臨海地域開発をする必要に追まられているという意味で、この法案提案されたものと思います。従いまして、ある意味においては、この法案国土総合開発法の特別法とも見るべきものであって、従って、この法案は、この法文の中にもあります通り、国土総合開発審議会意見を聞いて最後的に決定するということになっておりますから、国土総合開発の方針とは矛盾しないように臨海地域開発を進めていくことができる、こう考えているので、矛盾は決してない。がしかし、国土総合開発によってできることをもう少し促進してやるという意味において、この法律の意義があるのではないか、私はこう考えている次第であります。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、基本的な計画の策定にあたっての構想、内容が、あまり明確になっていないわけであります。従って、国の経済発展に即応してこれらの施策が必要なことになるとすれば、当然国の、たとえば長期経済計画に見合った計画を立案するとか、あるいは臨海地域開発にしても、これは短期に直ちにやるということはなかなかできないですから、国の経済の成長に見合った長期計画というものを十分策定して、そしてこれを実施計画に移すにはどれだけの所要資金が要るとか、それはどのような形で事業実施を行なうかというようなことが、プログラムとして大体明らかにならぬと、こういう抽象的な法律だけ審議して協力しろと言われても、それはなかなか困難なので、この基本的な計画、構想等について、提案者から御説明願いたいと思います。
  57. 中村梅吉

    中村(梅)議員 考え方としましては、今行なわれているような、部分的に島を作ればいい、埋立地ができればいいという行き方でなしに、その土地造成したならばどう活用されるべきか、あるいはそれに必要な上下水道の問題でありますとか、交通機関関係でありますとか、あるいは港湾との関係が非常に重要だと思うのでありますが、港湾をどういうふうに整備していくかということと関連さして進めていくためには、この種の立法でやっていくことが必要であるという角度に立っている次第でございます。具体的にどこをどういうふうな港湾にし、また交通関係をどういうふうにし、水の関係をどういうふうに解決するかというようなことにつきましては、この審議会審議を経て、内閣総理大臣が、最終的に閣議決定を経てきめるということにいたしておりますので、この審議段階におきまして、資金の関係については大蔵大臣が委員として、あるいは厚生、農林、通産、運輸等、各関係大臣がその審議会のメンバーになり、また、関係都道府県の知事、学識経験者等もこれに参加いたしまして、それらの点を十分高い角度から、国家的な見地から検討して、具体案を作っていただきたい、こう思うのであります。われわれがこういうような議員立法をいたしまする段階において、あまり深入りしたことまで考えて、その考え法文の中に盛り込もうということになりますと、非常な無理が起こり、あるいは過失が伴う危険性がございますから、あげてそういったようなことは審議会の慎重な審議に待ち、また、審議会のもとには専門委員等を置けるようにいたしまして、それらの専門的な知識を組合いたしまして、万全を期するように願いたい、こう思っておるわけであります。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 法律によると、第二条にも明らかになっていますが、総理大臣が、審議会意見を徴して、臨海開発区域指定を行なうというようなことが出ておりますが、たとえば開発区域の指定等を行なう場合にも、それ以前にやめなければならぬ仕事があるわけですね。第一の基本的な調査というものは、今の経済企画庁長官のお話によっても、あまり進んでいないということになれば、まず、その計画の策定の重大な資料になるところのこれらの基本的な調査というものを、どのような機関で、どのような陣容で、どのような速度で行なうというようなことが、やはり計画法である以上、この法律の中で根拠を明らかにする必要があると思うのです。そういう点が非常に不明確だと思うのですが、いかがですか。
  59. 中村梅吉

    中村(梅)議員 地域指定は、具体的な事業実施と違いまして、大所高所に立って指定をする場合も私はあり得ると思います。しかしまた、一面において、各関係機関におきまして、すでに通産省においては工業立地条件等について調査をし、ある程度の資料を持っておるようでありますし、あるいはまた、首都圏整備委員会等におきましては、首都圏の所管する地域内の海底調査等も、一、二年ほど前から予算をある程度確保いたしまして、海底がどういうふうになっているかというような調査等もいたしておりますから、基本になるべき、どの地域指定したらいいかどうかという程度の資料は、おそらく関係行政機関に私はあるように思うのであります。ただ、これを具体的に事業実施し、推進して参りますについては、さらに専門委員の力をかり、あるいは各行政機関所要の予算等をとりまして、必要な基礎的な作業は進めなければならないことは当然だと思うのでありますが、かような方法によって地域指定をし、事業の推進がこの立法によってよほど促進をされ、また、高い角度に立ってこの開発を進めることができる、こう思っておるわけであります。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、この計画については、大体どのような構想を持っておられるかという点と、これはやはり政府においても、公共事業の一環として、能率は上がらないとしても、毎年やっておることは事実なんですから、現在政府のある程度長期的な計画と、その予算の見通し等についても、この際説明を要すると思うのです。
  61. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 国土総合開発は、ただいまお話があった通り、やはり政府の長期経済計画関連して国土総合開発計画を立てなければなりませんので、従って、この国土総合開発計画がまだでき上がってないことは事実でありますし、今申し上げました通り、長期経済計画の進行に見合わして、今後その計画を立てていきたいというように考えておりますから、具体的にどういうような基本計画があるとかということは、国土総合開発の観点からはまだ決定していないという実情であります。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 それは国土総合開発法に基づいた計画という意味ではないのですよ。政府として今日までこれらの事業をやっておるわけです。たとえば公有水面埋め立て等は、都道府県知事の認可が行なわれてやっておることは事実なんだから、国としても、埋め立ての事業土地造成等につきましては、公共事業として相当重視して、予算をつけて、計画的に進めていかなければならぬわけです。ですから、それらの計画実施内容等がどういうふうなことになっておるか、これは菅野さんでなく、政府委員でもけっこうです。
  63. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 臨海地域開発促進法案が目的としております臨海地域造成の点につきましては、全体としては、今後の経済発展の様相を見まして、大体十年間に臨海地域で約八千万坪の土地造成しなければならぬというような数字も出ておりますが、これらの点についての詳しい調査は各省でやっておりますので、あるいは建設、通産、運輸等の各省から御説明があった方がいいかと思います。
  64. 磯野太郎

    ○磯野説明員 大まかなことを申し上げますと、通産省といたしましては、大体現在の工業用地が一億三千万坪程度ではなかろうかというように推定をいたしております。それから先ほど企画庁事務当局から説明がございましたように、今後十年間の工業用地の需要と申しますか、必要な工業用地は、大体一億坪程度ではなかろうか、これも推定でございますが、経済成長率あるいは鉱工業生産水準の伸びなどから勘案いたしまして、一応そういうように考えております。ただ、ただいま申し上げました将来の十年間にわたる数字につきましては、最近の経済の伸びから見ると、多少低いというような感じは持っておりますけれども、一応の考え方としてはそういうふうに考えております。将来の十年間の一億坪の中身につきましては、ここにうたってございます臨海工業用地関係が大体六千万坪程度、これにいろいろ産業施設関連土地を加えますと、ただいま御説明がございましたように、八千万坪程度というように考えております。従って、臨海工業地でありません内陸の工業地が四千万坪ということであります。これが一応の工業用地に対する見通しでございますが、先ほど御説明がございましたように、通産省といたしましては、昨年の三月に、工場立地の調査等に関する法律が制定施行になりましたので、この法律に基づきまして、全国の工業地帯として適当であるというふうに認められます地帯についての調査をやっておりますが、三十三年度及び三十四年度につきまして、大体百十六カ所の地帯の調査をいたしました。この調査の内容といたしましては、自然的な条件といたしまして、用地の面積でございますとか、あるいは用地の価格、それから地盤が強いか弱いかというような地盤の関係、あるいは工業用水の関係、それから道路、鉄道、港湾のような輸送施設関係、あるいは住宅、教育機関というような厚生施設的な関係、市場調査といいますか、そういうような関係はもちろんでございますが、大体そういうふうな立地条件につきまして、ただいま申し上げました百十六カ所の地帯についての調査を一応持っておるわけでございます。三十五年度につきましても、引き続き五十地区の調査をいたすことになっておりますが、一応そういうことで、私どもといたしましては、立地条件も調査し、その立地条件に適応した産業が行なわれるようにと、いろいろ今資料を整備し、行政指導と申しますか、いろいろな意見等を付して、必要に応じて提供いたしておる次第でございます。
  65. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 農林関係で、干拓が一番関係するわけでございますが、干拓につきまして今調査をやって、今後できるもの、こういうものを大体農地局として今後の十年計画を立てておるわけですが、四十四年までで完成していくものが約二万町歩というふうに押えております。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 提案者も御承知の通り、最近、公共事業実施については、長期性を持った計画法律で定めて、それに予算の裏づけを行なって実施を進めるという方針がとられておるわけです。これはいろいろな批判はあるとしても、そういう形が非常に広がっておるわけです。たとえば道路整備事業にしても、この国会で通りました治山治水の促進法にしても、あるいは特定港湾実施についても、すべて五年とか十年という長期計画というものを法律に基づいて定めて、十分なる計画を策定して、それを今度は毎年の実施計画というものを明らかにして、たとえば都道府県の知事だとか関係機関に方針というものを明らかにして、そうして積極的に事業を進めていく。ところが、この法律には、そういう具体性というものが何もないんですね。だから、せっかくお出しになるとすれば、やはり先ほども指摘した通り、国の長期経済計画と当然見合う計画でなければなりませんが、そういう長期的な計画というものを法律の中で定めなければならぬということにして、そうしてこれを実施計画に毎年予算をつけて移していくということになれば、これは計画的に事業の伸展がどうなるというようなことも十分わかるし、それに関連した産業の建設というようなことも、これに付随して行なわれると思いますが、どうもこの法律を拝見すると、そういう長期的な計画性とか、または毎年度の事業実施についても、どうしなければならぬというような根拠に欠けておるのではないか。そういう点は、この法律内容としても遺憾な点が多いと思うわけなんですが、この程度のものでは、議員立法が軽視されることになると思うのです。もう少し内容についてそういう計画性を与えるという点については、どのような判断をお持ちになっておりますか。
  67. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これはあまり具体的なことまで踏み込むということは、議員立法としても、またこの基本的な法律を制定する上からも、どうも行き過ぎになるのではないかと実は私ども考えておるわけでございまして、第四条の基本計画審議会の議を経て策定いたしまする際に、産業長期計画でありますとか、道路十カ年計画でありますとか、あるいは水利の関係でありますとか、あるいは港湾関係でありますとか、それらの長期計画性を織り込んで、そうしてそれに見合った基本計画というものが、具体的にでき上がるのが望ましいのでありまして、そういった総合した機関を持たずに、あまり具体的な計画内容までもこの立法に際して織り込もうとすることは、どうも行き過ぎになるのではないか、実はこういう角度に私ども立ちまして、基本的な要素をこの成文に盛り込みました次第であります。従いまして、この立法ができましたならば、すみやかに、内閣総理大臣の指揮下にできまする審議会の議を経て、そういった総合的な立案をしてもらいたい、また、それが進められなければならない、こう思っておるわけでございます。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 計画事業実施との関連性というものが、非常に不明確になっている。先ほど赤路委員からも指摘がありましたが、十六条で、特別の機関を必要であれば設置するというようなことをうたっておりますが、これはもう少し具体的な構想があるんじゃないですか。大事な点ですから、率直にお答え願いたいと思います。
  69. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは率直なところが、基本計画を立て、その基本計画を立てると同時に、審議会の議を経てその実施方法まできめてもらうというのが、この建前でございまして、そこで、実施方法として、地方公共団体府県にやらせるのがいいか、あるいは国が直轄でやるのがいいか、あるいは特殊の機関を設けてやるのがいいか、諸般の点を考慮して、審議会で、その実施方法についても、調査審議をしてきめてもらいたい、こういう考え方でございます。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ、なぜわざわざ法律の中に「特別の機関」というものをうたったのですか。今提案者の言われた通り、審議会で、いかなる実施方法が最も望ましいかということを審議してもらって、その答えを待って実施方法というものをきめるということであれば、何もこの法律に「特別の機関設置するものとする。」というようなことをうたう必要はないのではないですか。実施については特別の機関が必要であるという前提の上に立って、この法律というものはここにできておると思うのです。中村さん、もう少し打ち割った説明をしてもらいたいと思います。
  71. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは審議会調査審議の結果、特別の機関を必要とする場合も起こり得ると思いますので、「必要」ということを上にかぶせて、特別の機関設置するということを十六条に設けたのでございますが、従来の国土総合開発委員会におきましても、審議段階において、この条文は要らないではないかという議論も相当強いようでございますから、私ども決してこの条項にこだわる意思を持っておりませんことを申し上げておきます。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 これはこの審議会の所掌事務というのは、第十条にありますが、これを見ても、実施機関の問題については、審議会としてはこれを扱うということになっていないのではないですか。
  73. 中村梅吉

    中村(梅)議員 実は第二の「基本計画の策定及び実施の推進に関する事項」で含めておるつもりでございます。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 ちょっとそれはおかしいと思う。そこで、お尋ねしますが、提案者も御承知と思いますが、通産省と運輸省と建設省が、臨海工業地帯開発公団設置構想なるものを、ちゃんとりっぱなものを作って、盛んに宣伝活動をやっていることは、御存じだと思うのです。この構想の内容を見ると、今審議中の臨海地域開発促進法を受けて、この公団を設置する、そういう考えで宣伝を展開しておるわけです。ですから、われわれとしては、現在通産、運輸、建設省が盛んにその費用をかけて宣伝しておるこの内容は、この臨海地域開発促進法が成立するということを見越して、この促進法を受けて、実施法としてこういう公団設置法が必要であるということで、動いておるというふうに判断しておるわけですが、これは賢明な提案者が、こういうことをわからないで、実施方法については審議会にお尋ねしてなんという、そういうなまぬるいものじゃないと思う。そういう点はどのようにお考えになりますか。
  75. 中村梅吉

    中村(梅)議員 実は私ども、このような必要を痛感いたしまして、与党の政務調査会として調査研究を開始し、大体この種の成案に運びましてから後に、関係各省で、俗にいわゆる三省公団という構想を立てられて、予算編成期に大蔵省に予算要求をされたということが起こってきたわけでございます。従って、私どもがこれを立案いたしますることと、三省公団とは、直接の関連は、われわれの立場としては全然ないわけでございます。ただ、三省として三省共同の公団を作ろうということで話がまとまり、予算要求をされるようになったについて、ちょうどそのころ、この法律案は提案されまして継続審議になっておりましたから、その継続審議になっておる法案ができるならばということで、予算要求のときに説明の資料にあるいはされたかもしれませんが、実は私どもの立案をいたしました当時と、後に予算要求が現われて参りました三省公団とは、直接の関連は全然ないのでございます。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 それはちょっとすなおに受け取れないのです。臨海工業地帯開発公団法案要綱というのが出ているのですが、この内容を見ると、たとえばその中には公団は臨海地域開発促進法第三条第一項の規定による云々というような、もうこういう法律の要綱まで出ておるわけです。しかも、これは三省が明らかに名前をうたって、そうしてこの法律の必要性を説いておるわけですから、与党の指導者といわれる提案者が、それは関係がないというのはおかしいと思うのです。これと第十六条の特別の機関というものを照らし合わした場合、この促進法が通れば、第十六条は、今度は特別の機関でなくて、公団を設けてということに、これは法律を読みかえするような、精密な、慎重な用意さえ、私はできておるのではないかと思うわけです。そういうことであれば、やはりこの際、これは関連法案として、そういう構想とか内容というものを明らかにされるということが、これは当然責任じゃないかと思うのです。無関係でありますとか知りませんでは、これは済まぬと思うのですが、どうですか。
  77. 中村梅吉

    中村(梅)議員 その点は、今お読み上げになりました事柄は、事態から見ても、関係三省がこの法律の成立を非常に期待しておるということは、確かに私どもも読み取れます。ただ、この法律がずっと前に、前々国会から提案になりまして継続審査になりましたので、三省で公団構想を考えて、昨年の予算要求をいたし、そういった資料を作成されたことと思うのでありますが、その点はどうも私どもの方にはよくわかりませんので、それがどういうふうな意図でそういう説明を作られたか、これは一つ三省の方にお聞き取りを願いたいと思います。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、本日は、菅野大臣が政府を代表しておるということを言われておるのですから、菅野国務大臣からこの構想について述べていただきたいと思う。
  79. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 経済企画庁は、その構想には全然タッチしておりません。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 政府として全く無責任じゃないですか。あなたが政府を代表しておらないのならいいですよ。今、経済企画庁長官は、農林大臣の留守中も兼ねておるというような資格で、それで、政府部内における通産省、運輸省、建設省が具体的にこういう作業を進めておるのを、経済企画庁が全くわかりませんというようなことは、これはちょっとあなたの立場から見ても情けないじゃないかと思うのです。ですから、あなたがわからぬければ、もう少しわかる大臣でも呼んで尋ねなければ、きょうの審議は進めるわけにはいかないと思うのです。
  81. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 その構想を作ったということにタッチはしていないということであって、そういう印刷物が出ておるということはあとで聞いたので、これに経済企画庁関係しておるかということを事務当局に聞いたら、事務当局も全然知らぬということであったのでありまして、これはおそらく通産省あるいは建設省、運輸省の三省の方で、いろいろお考えになって作られたものじゃないか、こう考えておる次第であります。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、連合審査を行なうことをきめた国土開発委員会理事会等においても、連合審査の場合においては、特に関係大臣であるところの建設大臣、通産大臣、運輸大臣は、必ず経済企画庁長官とともに出席していただかなければならぬということを、委員長理事会においても確認されておったのではないですか。それが、きょうは都合が悪いとか、雨が降って天気が悪いとかいうようなことで、大事な審議を遅延させるようなことでは困る。政府の職員が、政府を代表したようなことを言って、こういうことを説明することもできぬと思いますが、もし差しつかえがなければ――差しつかえというのは、そういうおこがましい説明ができるのであれば、これはどなたか参考までに説明してもらいたいと思う。
  83. 磯野太郎

    ○磯野説明員 今御指摘の公団と、それから本法案の十六条でございますか、この特別の機関でございますが、これはさっき提案者からも御説明ございましたように、直接の関連はございません。これは御承知かと存じますが、実は先ほども申し上げましたような、将来の工業発展ため工業用地造成が必要である、そういうふうな考え方のもとに、昭和三十三年度に――つまり、三十四年度の予算でございますが、三十三年度に、三十四年度の予算要求といたしまして、工業地帯造成公団というふうな構想を、ただいま御指摘のございました三省で考えまして、予算要求をいたしたわけでございます。これは予算がつきませんで、その構想はつぶれたわけでございます。そういうことがございます。この造成公団の構想、予算として出しましたときには、今御審議になっております臨海地域開発促進法案は、まだ国会に提出がなかったと思います。その後、この促進法案議員立法として御提出になって継続審議になっておったわけでございますが、私ども三省といたしましては、引き続き昭和三十四年度、つまり、昭和三十五年度の予算の要求といたしまして、臨海工業地帯開発公団というふうな構想を考えまして、これを三省で予算要求をいたしたわけでございます。そのときの予算説明の資料といたしまして、ただいま御指摘のございました資料を作ったわけでございます。その中に、今御指摘がございましたように、この法案の第三条の第一項の計画に基づく事業のうち、公団がやるべきものとされた事業をやるというようなことが書いてございます。書いてございますが、これとこの法案との関係につきましても、先ほど中村提案者の御説明のように、私どもといたしましては、継続審議になっておりましたこの促進法案が、通過制定されるであろうというふうな見通しに立ちまして、それが制定公布されました場合に、その臨海地域開発計画というものが作られ、その中で、公団ができておりました場合に、その公団にやらせることが適当であるというふうな事情があれば、それは公団がやります、こういうふうなことで、そういう考え方のもとに、予算要求の参考資料としてそういうような資料をこしらえ、そういう説明をしたことがございます。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 これは参考までに聞いているので、別に追及しているわけではないのですが、ただ、基本になる促進法は、これは与党議員だけの議員提案で、これがまだ審議の過程にあるのに、今度は公団法というのを政府の方で用意して、促進法が一日も早く成立するよう待機しておるというようなことであれば、これはアベックでやっているとしかわれわれは考えられない。ですから、せっかくこの一連の法案というものを是非は別ですよ。与党と政府との間において作業を進めておるとすれば、この際、やはりこれらの構想というものを、一応促進法の審議にあたっては参考の資料にするとか、また、関係特別の機関設置等に対してはこういう構想があるということを、誠意をもって審議の場に提供する必要があると思うのです。こういう点は非常に遺憾だと思うのです。ですから、もう少し率直に、提案者並びに菅野大臣から、この内部的な事情というものをお話し願いたいと思います。
  85. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御承知の通り、予算要求の場合におきましては、各省は各省それぞれの立場においていろいろな施策を作りまして、予算要求をされるわけでございますから、予算要求したものについては、いれられるものもございますし、査定の際に削られてしまって、日の目を見ないで終わるものも数々ありますことは、皆さん御承知の通りでございます。従いまして、さような各省構想の予算要求事項というのは、予算が盛り込まれれば、これをいかにして実施するか、あるいはその予算関係法案として国会に政府が出すなら、あるいは与党といたしましても協議にあずかるとかということが起こってくるわけでございますが、日の目を見ないでしまったようなことについては、与党の政調会等にも協議がない場合というのが、しばしばあると私は思うのです。さようなわけで、この三省公団の問題も、かねて国土総合開発委員会においても、ちょうど芳賀さんの御指摘のような議論がしばしばあったのでございますが、実際この予算要求を三省で考えてして、結局は予算に盛り込むことができなかったということに終わっておりますので、私どもも先ほど申し上げたように、何らの相談にも乗っておりませんし、詳しい事情を存じないわけでございます。ただ、この立法それ自体としては、提案理由にも御説明申し上げましたように、また、従来申し上げて参っておりますように、この種の高度の開発構想というものが成り立ちませんと、用水の関係考えず、今後港湾計画がどうなっていくかも考えず、都道府県知事だけの考え方で、だれそれから埋め立ての申請があったから、それでは自分の五十町歩未満の権限の範囲だから、あれを許そう、これを許そうということで参りますと、将来の港湾計画も、あるいは工業用地計画も、高度の計画性のある開発というものができないから、急速にこういう法律を制定する必要があるという角度に実は立っておりますので、この法律ができましてから、三省がこの法律を活用してどういう公団をお作りになろうと、どういう工業地帯の造成考えられようとも、これは御自由であります。また、そのような構想がまとまって、予算でも盛り込めてきた場合には、それを作りまする制度等は、それぞれ国会に審議を求めなければならない事項になるわけでございますから、それはその場合のことにしていただくのが妥当ではないか、このように実は考えておるわけでございます。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 私の指摘しているのは、もちろん基本計画も必要でありますが、それと同時に、今度は実施計画というものは、基本計画との関係でどうなっていくのかという、その移行する過程というものが、はっきりしないといかぬと思う。計画だけ一応大きなものを立てても、実施計画というものは、予算がなかなか伴わぬから、十分なことができないのだということではいけないと思う。ですから結局、長期的な基本計画というものを立てて、そして実施計画については、長期計画の中で年次的にどういうふうに実行していくかということが、やはり基本計画との関連で、実施計画内容が、明らかになっていかなければならぬと思うわけです。  それから、この事業実施についても、今提案者が言われた通り、たとえば公有水面の埋め立てに対しても、都道府県の知事が出願者に対してそれを認可するというようなことだけの形で、国の方針に基づいた総合的な土地造成というのは当然できないのですから、もう少し主体をどこに置くかということについては、根本的な検討をすることが当然必要だと思う。そういうことになれば、当然特定の指定地域等の相当大規模の事業等については、やはり国が事業の主体になって行なうというような方式も、当然考えられることであり、そういうことになれば、予算等の確保についてはいろいろあると思いますが、たとえば、この法律関係して特別会計を設けて、そこで長期的な財源の確保計画的な事業の実行を進めるというようなことも、やはり方式としてはだれでも考えられるわけでなんです。ですから、そういう点についても、この法律の体裁としてももちろんでありますが、内容についても、もう少し体系の整ったものを出す必要があったのじゃないかと考えるわけですが、どうなんです。
  87. 中村梅吉

    中村(梅)議員 お説の通り、事業実施に関する具体的な方法としては、いろいろなことが考えられると思うのです。しかし、ここでいろいろなことを想定して、基本的な法律の中に成文化して織り込むということは、実は私どもは適当でない、こう思っておるのです。むしろ、そのようなことは、この審議会審議事項にもございますように、地域指定を行ない、基本計画の策定が審議会の議を経てできる、それに伴って、審議会基本計画の策定と並行して実施方法を具体的にきめまして、そのきめた方向に従って進んでいくのが、私はいいのじゃないかと思うのです。そういうようなわけで、国が直轄でやるべき場所であるということになった場合には、一般会計でそれをどしどしやるというわけにも参りませんでしょうから、特別会計を設けるとか、あるいは三省公団というものが予算要求の際に起こりましたが、これに類するような公団組織を作って、政府でもある程度の出資をし、あるいは民間資金を吸収するとかいうことも起こってくる場合もあるかもしれません。あるいは場所によりましては、都道府県が、単独で一切計画に従って実施したいという希望の県も起こってくるかもしれません。そのような場合には、その公共団体に計画をおろして、そして実施をさせればいい場合も起きてくるだろうと思うのでございまして、これらのことは、あげて基本計画を策定し、その実施の推進をはかるところの審議会にまかせる方がいいので、今からあまり想定に基づいていろいろなことをきめて、動きのつかないようなことにしない方がいいのではないか。同時に、この審議会事項といたしましては、その計画実施するに必要な資金の調達等に関する事項も、当然計画と並行して審議することになっておりますから、さような場合におきまして、国でどのくらい出せるか、あるいは民間資金をどう吸収するか、あるいはそれが可能かどうか、こういったようなことは、審議会で具体的に調査審議し、決定をいたします段階で、きめていただくということが妥当であろう、私はかように考えておるわけでございます。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 この法律の第一条に「臨海地域における工業その他の用に供する土地造成、」ということがうたってありますが、「土地造成」の土地の定義を、提案者としては、工業用地のことに限定したような考えで出されたのではないかと思いますが、これは将来も非常に問題のある点でありますからして、「土地造成」の土地は、どのような範囲のものを土地の範疇の中に入れているのですか、その点を伺いたい。
  89. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは考え方でいろいろになるかもしれません。土地造成と並行して港湾を作っていこうという場合には、港湾土地の部類に入るという、広義の考え方もできるかもしれませんが、ここに私ども考えております土地というのは、工業用地造成ということが主目的でございます。しかし、これに関連いたしまして道路用地を作らなければならない場合も起きましょうし、あるいは工業用地関連して、住宅用地を造成しなければならない場合も起こるかもしれませんし、あるいは公園用地でありますとか、その他の公共用地を作らなければならない場合も起こってくると思うのでありまして、さらに、造成と同時に、造成する土地はどのような利用方法を講ずるかということも、この法律の使命として、造成とあわせて審議会がきめていく事項でございます。また同時に、それに関連いたします施設としては、先ほど申し上げた道路のほかに、運輸機関でありますとか、あるいは水利の関係でありますとかいうことも、含まれて参るわけでございます。それから、かつてこの委員会で、そうすると、工業及び工業関係した用地だけであるかという質問もございましたが、場合によっては、一定の計画に基づいて一定地域造成をするという場合に、この地域工業に適するけれども、ここはどうも農地の方がよかろうという場合も起きるかもしれない。そういう場合には、若干の農地も造成されることがあるかもしれません。その意味において、「工業その他の用に供する」と、「その他」をそういう含みにおいて入れてあるわけでございます。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 土地造成の場合には、計画というものが立つわけですが、しかし問題は、造成された土地の使用目的、利用区分というものは、やはり土地造成されてから、自然明確にされていくと思うわけです。従って、その使用目的によって、また土地の取り扱いとか、帰属という問題も当然出てくるわけです。そういう場合には、いろいろめんどうな問題が出てくると思うのです。たとえば、農地関係にこれを使用するという目的の場合においては、当然農地法の適用を受けるということにもなりますし、そういう既存法律を根拠にした、造成された土地に対するいろいろな支配関係というものを、どういうように調整するかという点については、特別のお考えがあるのですか。
  91. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私ども提案者としては、具体的に考えておりませんが、抽象的には、用地を造成いたしますと同時に、その利用についても基本計画できめて参るわけでございますし、その造成されたものをどのように利用していくか、利用区分等もきまっていくわけであります。
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 この点については、特に土地関係の主管である農林省の方から、もう少し具体的に説明願いたいと思います。臨海の埋め立てあるいは干拓をやって、土地造成された場合のその関係等について……。
  93. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 今農林省で実施いたしておる事業は、御承知の通り干拓事業でございまして、これは国営でやる場合と、補助あるいは融資を受けて団体でやる場合とございます。それを通じましてまず、公有水面の埋立権を事業主体が申請して、免許を受けるわけでございますが、事業主体が国であります場合、あるいは補助工事等でありますれば県、それから団体営等であれば土地改良区、こういう形になると思います。そういった場合に、埋立権をその事業主体が申請して、免許を受ければ、その事業主体が取得するわけでありますが、干拓工事を実施いたしまして、干陸の段階になって竣工通知を出す。そのときに、国の場合は、土地改良法によって、原始取得といいますか、国が配分をいたしておる部分は農民が取得いたし、配分していない部分につきましては、国が土地所得権を取得する、こういうふうに相なります。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は、他の政府委員においても、意見があれば述べていただきたい。
  95. 磯野太郎

    ○磯野説明員 今の利用に関する計画でございますが、この点につきましては、ただいま御説明があった通りに考えております。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員  提案者にお尋ねしますが、やはりこの法律関係があるわけですけれども、たとえば漁業法に基づく漁業権、特に沿岸においては、共同利用権とか、浅海増殖関係の漁業法上の権利というものは、相当利害関係を持っていることは御承知の通りであります。特に漁業法関係の問題等については、これに全然出てきていないのですが、どういうふうにお考えですか。先ほど赤路委員が言った通り、国民の利益と非常に利害関係のあるような問題が出てくるわけですが、特に臨海においては、漁業権等との関係というものが当然出てくると思います。これには触れられていないようですが……。
  97. 中村梅吉

    中村(梅)議員 漁業との関係につきましては、この法律にあらためて明文化さなくても、漁業法及びこの公有水面埋立法の方に、その補償をしなければならないこと、漁業権者の同意を得なければならないこと等、法制がありますので、もちろん、それらの法制に従って進められるわけでございます。ただ、補償については、最もこれは慎重かつ公正な、できるだけ十分な補償をしなければならないわけでございますから、この条文に公正な補償に努めるような条項を入れたわけでございますが、さらに、それだけでは不十分であるということで、先般来理事会等においても議論が出、われわれも賛意を表しておるのでございますが、審議会審議事項の中にこの補償の基準に関する事項を盛り込みまして、そこで十分の措置を講じ得るような道を作っておこうというように、実は考えておるわけでございます。
  98. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は、赤路委員も指摘した通り、やはり国民の既得の権利とか利益を、これは相当侵害することになると思うのです。この造成された土地というものは、そこに工場等がどんどん建設されるとすれば、これは必ずしも公益だけに供されるとも限らないのですね。利潤追求の会社が、その土地を取得して、そこに利益本位の事業を興すということもあり得るわけです。それを今度は、一方においては、零細な漁民とかあるいは農民が、非常に犠牲を受けるということが伴ってくると思うわけです。ですから、そういう点については、もう少し血の通ったあたたかみのある配慮というものが必要だと思う。公有水面関係の方の補償規定なりがあればそれでいいんだということで、割り切ってしまうというようなやり方というのは、やはりこれはいささか冷血な考えじゃないかというふうに考えられて、そういう点については、十分反省の余地があると思うのです。  それから、これはまだ正式に出ておるのではないと思いますが、与党の自民党の方の、促進法案の修正の案が資料として配付されておるのです。原案よりは少し手直しをしたようなことになっておるが、せっかく修正するとすれば、この国土開発委員会等を通じて相当長期的に論議された問題ですから、提案者にお伺いしたい点は、与党だけで、ちゃちな修正をやって体裁を作るということだけではなくて、問題点は、提案者におかれても十分考えを新たにする点もあったと思う。ですから、こういう点については、やはり特別委員会の中において、全体で十分話し合い等をつけて、せっかく法律を作る場合においては、後世に、これはりっぱな法律を作ったんだということで、たたえられるようなものにする必要があると思うのですが、提案者としてはそういう謙虚なお考えがおありかどうか、お伺いしたい。
  99. 中村梅吉

    中村(梅)議員 もちろん、御指摘のような考え方を持っております。従来も、しばしば理事会において、修正案をどういうふうにするかということについては、御協議をいただいておるわけであります。私どもといたしましては、各党を代表した理事の方々に、修正案についても十分話し合いをしていただいて、将来のために最もよろしいような結論を、見出していただくことを期待いたしておる次第でございます。
  100. 寺島隆太郎

    寺島委員長 この際申し上げます。質疑の通告をせられております方が、なお四名残っておる次第でございますので、右お含みの上、お願い申し上げます。丹羽兵助君。
  101. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私は、国土総合開発特別委員会委員でもありますし、なおまた、本法案の賛成者でもあります。しかしながら、賛成者ではありまするが、提案者ではないので、法案のこまかい内容について十分理解をしたり、内容を知りたい、こういうことで、先回、国土総合開発特別委員会で相当時間ちょうだいしてお尋ねをし、提案者からの御説明もいただき、また、政府からもいろいろとお考えをちょうだいいたして、理解してはおります。しかし、きょうは幸いにも農林水産委員会との連合審査会でございますので、きょうは農林水産委員会に所属する委員という立場から、もっとお尋ねをしてみたい、こう思っております。なおまた、先回の委員会において私は、農林水産の立場から、特に農林産業に携わる者の立場を通してお尋ねをし、提案者にも十分考えていただくように強く要望してあったのでありますが、ただいま中村先生からのお話を聞きますれば、私の強い要望を相当いれて、与党間においての修正という考えが、取り入れられておるということに一部触れたお話をいただきまして、敬意は表します。しかし、よく考えてみますると、この法律は臨海開発促進法で、臨海地域の全体を開発する、こういうように広く考えられておりまするが、一般の受けるところは、埋め立てをするのだ、新しい土地を作るのである、造成ということに非常にウエートを置いておるように受けるわけであります。もちろん、ただいま各省それぞれの御発言がございまして、特に運輸省から言われましたように、日本産業構造からいって、日本産業の伸張、発展から考えて、海運業に待たなければならない、特に産業の中でも、製油、製鉄等は、海岸、臨海地帯に新しい土地を求める必要がある、こういうような趣の御発言があった。こういうところから見ましても、ただいま申し上げましたように、新しい地帯を作るのだ、こういう点に非常にウエートがあるように私は考え法案のように思います。  そこで、私は、特に提案者よりも農林当局にお尋ねをしたいのですが、本来ならば、農林委員会でお尋ねをすべきかもしれませんけれども、この法案に多く関係することでありますから、この場で一つお尋ねをしておきたい。先回も申し上げましたが、新しい土地ができるということになると、背後関係の農地との関係が非常にある。それと同時に、先ほど三省公団のことも出ましたが、国において、特に農林省においては、人口等の問題から新しい開拓地の計画を立てておられる。それは逐年予算をつけておる。こういうような新しくすでに手をつけておる開拓地との関係、あるいは既耕地の関係、あるいはまた、工業水との関係、たとえば愛知用水なんかもそうなんです。農民としての農業用水ができたのでありますけれども、だんだんと工業が進んで参りますと、特に臨海工業地帯に東海製鉄のような工場がくると、農業用水、愛知用水の水を、その工業が当てにしてくるというようなことも起きてくる。それから、臨海地帯に工場がたくさんできますれば、廃水の問題がある。それから、もうとにかく農業との関係がある。特に水産なんか、今芳賀さんからもお話がありましたように、これは汚水を流されたら、沿岸の漁師というものは、ただその漁場の補償をしていただくというのではなくして、これらの転業とか、将来生きるために、また新しくその人に漁場を作ってやる。特にノリなんかそうです。わが国は、一億枚からのノリを韓国から買っておる。しかも、これが臨海工業地帯を新しく作ることによって侵され、なくなっていく。だから、漁民あるいは農民等に関係するこの法案が成立した後の処置、これはやはり、芳賀さんも言われましたように、全く軽視され、どこにもうたってない。今提案者の御説明のように、いよいよ計画ができて、やるときには補償するという規則があるのだから、こういう話だった。それはできてから、この補償するという規則があるのだから補償されるであろうし、補償されるものだという、そういう軽いものではないのです。実際において、この海岸、接岸地帯に一つの新しい工場地帯ができ、これによってその職場を失い、生活権を失うところの農民、漁民にしてみたら、これは大へんな問題なんです。その点が、この法案の中では全然深く触れてない。埋め立てするときに考えられるであろうし、するであろうというような、そういう説明では、農民、漁民は反対せざるを得ない、こういうことになる。そんなことで、一体農林省はいいか。農民、漁民の立場を深く考えておっていただく方々が――この法案をわれわれがこのまま、あるいはわずかな修正をして、これで漁民はおさまるかどうか。私は一ついい例をあげましょう。先回から水産庁に強く要求しているのですけれども、全然出してよこさないのは、愛知県に東海製鉄所ができる。そのために、一漁民当たり四百五十万ないし五百万の補償をしている、ただ別れ金というだけで補償しておる。そうしてまた、新しい漁場を県は作ると言っておる。新しいノリ場や漁場を作るその費用と、それから零細なる、ほんの片手間でやっておりまする漁民にも、平均四百五十万、五百万の補償をするというような膨大な補償になる。こういうようなことを県が独自でやったのか、水産庁と十分連絡をしての補償をやったのか、どうだ。だれも知らないと言う。県が勝手にやっているから知らない、こういうわけです。けれども、もう一度、事務当局の方にあったかもしれませんから、尋ねてみましょうというようなお話なんですね。それはどちらでもいいです。県がたくさん出せばけっこうであります。やってほしいのですけれども、そのノリを、わずかの間作る人でも、それだけの補償をしてやらねば何ともできないというくらいの大切な漁場であり、ノリ場である。でありますから、これらの法案に対して、いかに政府であろうとも、賛成だ、反対ではないと言われるならば、こういう点について、もう少し深くこの提案者と連絡をとって、協調しておられるかどうか、どうお考えなさるか、私は、農林当局の御意見を承らしていただきたい。
  102. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 御質問の通り、臨海工業地域ができるということは、背後地の問題、それから漁業の問題に非常に大きな影響を及ぼすことは、その通りでございます。農業につきまして申しましても、背後地の排水不良が起こる、あるいは臨海開発地域に通ずる道路のために農地が大きく転用される、あるいは工業用水のために農業用水の不足を来たす、そういった支障、影響があるわけであります。漁業につきましては、開発地域ために漁場が狭くなるということと、今の御趣旨のように、工場廃水その他の影響で残存海面の漁業に非常に影響を及ぼす、こういうことは、御承知の通りであります。われわれといたしましても、この法案についてのいろいろ各省の意見徴取その他の場合に、農林省としての意見を申し上げた次第でございますが、この第二条の臨海開発区域指定、それから指定がされましてからの基本計画の樹立、こういったような計画の当初の段階において、臨海地域開発審議会審議を経る、こういうことになりまして、その審議を経てから内閣総理大臣閣議において決定する、こういうことになっておるわけであります。この段階において、農林大臣も審議会のメンバーになっておりますので、審議会にかかる段階において、十分その開発区域の指定の範囲の問題とか、場所の問題とか、それから、もしそれが指定された場合におきまする基本計画について、いろいろ影響が農業、漁業にあるわけでございますが、そういう問題の処理の問題、そういった点について農林省として意見を申し上げて、十分調整をとって参りたい、こういうような考えでおります。
  103. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 二条、三条で、区域を指定し、あるいはその基本計画を立てるときに、審議会で、農林大臣も加わって意見を吐くことができるのだから、十分その点は考える、こういうお話なんです。それより方法はないかもしれません。しかし、私をして率直に言わしていただくならばもうその審議会に臨むにも、農地の問題といわず、漁民の補償及び転業等の生活保障ということについては、その場限りの解決策では私はだめだと思う。この法案が成立して、今後事業を進めていこうとするには、大臣が、そのときそのときの解決策を持って出たって、計画実施に移るのにおくれるだけのことであって、そんなやさしいものではないと私は思う。だから、この法律の中のどこかに、先ほど提案者の言われましたように、第十条の中なんかに、農業補償の基準に関するようなこと、これなんか、はっきりうたうべきだ。そうして、こういうようなことは、一つの線と申しますか、一つの基準を、農民の生きるため、漁民の生活の不安のないように、はっきり作って、そうして、その基準に基づいて、審議会において意見を吐くようにしておく必要がある。それでなかったら、われわれ、法案審議して、漁民の立場、農民の立場考える者からいっては、やはり不安定というか、安心しかねる、こういうことなんです。だから、その点、もう一ぺん農林当局にはっきり承らしていただき、なお、幸いにして提案者中村先生がおいでになっているから、その点を明白にしておいていただきたいと思います。
  104. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 ごもっともな御質問でございます。われわれといたしましても、ただいま実施いたしております干拓事業等とも、また事業関連するわけでございます。そういう点もいろいろ考えなければならぬと思いますが、最も影響を受けますのは漁民かと存じます。こういう点につきましては、農林省の干拓事業をやります場合においても、政府においていろいろ補償をやっておるわけです。大体そういうものをわれわれは基準にいたしまして、こういう場合にもいろいろ意見は申し上げたい、こう思っておるわけでございますが、そういう基準ができますれば、非常にけっこうじゃないかと考えております。
  105. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私の考えを率直に申し上げますと、第十条の審議会のいろいろ審議事項の中に、先ほど申し上げたような修正を加えることについては、私自身もまことにけっこうだと思っております。ぜひそういうような道を講じて、漁業問題等については十分の考慮を払わなければならない、こう考えております。同時に、審議会審議事項を列挙いたしておりますが、そのほかにも、目的を達するに必要な重要な事項という項目もございまして、できれば現在のように、民間企業が埋め立てをします場合には、補償は公有水面埋立法によって当然しなければならないわけでありますが、それだけで、あとの処置というものは、余地がないわけであります。しかし、このように国家的な見地に立って高度の計画をし、それから公の機関によって開発が行なわれるということになりますれば、もちろん、造成のみならず、造成及び利用がこの法律の目的であり、審議会のきめていく事項でございますから、利用の面において、転業等のことも当然私は具体的に――工場地域としてどれだけ指定する、それから住宇地域としてどうなる、公園をどうするというほかに、住宅地域をこれだけ指定するならば、そこに商業地域としてどういうようにする、それには、たとえば転業なり失業する人たちを、希望があれば、そこへはどれだけの面積の払い下げをするとかいうような、利用の面において、審議会がそういうことまできめていただくことを期待いたしておるわけでございます。当然審議会は、それらの問題までタッチしてさばいて、方針をきめていくべきものだ、こう考えております。
  106. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ただいまきわめて御懇篤な、漁民特に農民の立場をくんで提案者の御説明をいただけたので、私は提案者の気持は十分理解いたします。  ただもう一つ、参考までに承っておきたいのは、これほど提案者は、いよいよ計画を立てるとき、実施するときは審議会にはかる、漁民の立場考えておると、具体的に今御説明もいただけたのですが、実際に漁民の立場から保護政策を考えておいていただける水産庁御当局は、一体どれくらい、この審議会等に強くこれらを反映させていく誠意、熱意を持っているか、その点をあわせ承っておきたいと思います。
  107. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 漁業の補償につきましては、直接開発事業をやって参りますものは、公有水面埋立法によりまして補償をするというのが、第一の問題になってくるわけであります。その場合には、漁業権と入漁権だけが、公有水面埋立法では補償の対象になるということになっておるわけであります。それで現在の漁業といたしましては、漁業権だけではなくして、自由漁業とかあるいは区画漁業とか、その海面を利用いたしまして、いろいろほかの漁業が行なわれておるわけであります。そういう問題、あるいは漁民が職を離れなければならぬというふうな問題につきまして、水産庁の方も農林省全体といたしまして、今回の提案者の方々に、十分水産庁としてのいろいろな問題をお願い申し上げまして、先ほどからお話の出ておりまする特に補償の問題とか、漁民の転業の問題につきまして、十分な御配慮をいただくように今まで十分話し合いを続けて参っておりまして、先ほどから提案者の御発言にもありますように、この法案を修正して、そういうことを十分配慮しようというようなことに相なっておる次第であります。もしそういうことになりましたならば、水産庁といたしましても、今後補償の基準とか、あるいは転業の問題とか、いろいろ漁業に及ぼす影響が大きいのでございますから、十分な努力をいたしたいというふうに考えております。
  108. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 漁政部長のお話を聞いておると、一番立場を保護していただかなければならないあなたの方の立場でありながら、実際に弱い。それでは漁民は、この法律のできることによって、戦々きょうきょうとするのですよ。不安定になる。われわれは法律を作るのは自由なんだ、われわれは国民のすべてのしあわせを積み重ねるため法律を作る、国家の発展ため法律を作る。あなた方、どういう考えを持っておいでになろうと、われわれは、法律を作る権利を立法の府として持っているのです。  そこで、お尋ねしておきたいのは、提案者である中村先生まで、審議会に、その漁業補償の基準といいますか、補償を審議会にはかるようにしようと言っておられる。そういう工合にしようと言っておられる。それが、漁政部長さんはたるいことを言っておって、あなたはどうしますか。それでそういう工合に、審議会の中にこの漁業補償等――補償とは広い意味の転業もありましょう、生活の保障等もありましょうが、広い意味において、その補償をするというものを審議会審議されるように明白にならない限りは、あなた方は、あくまで農林省、水産庁の立場において、漁民の立場において反対するのだというくらいの――われわれがこう言っておるのに、なぜあなた方はそう弱いことを言われますか。もっと強く、しっかり、あなた方は、あなた方勝手に作りなさい、しかし、水産庁としては、絶対にそれがいれられない限りは反対であるくらいのことは、漁民生活を保障しておる行政庁として、当然私はできるだろうと思う。どうですか。
  109. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 今仰せの通り、私たちの方では考えておりまして、従来も、そういう気持を持ちまして提案者の方々に対して、十分私たちの気持を通じて参った次第でございます。それで今回の修正案におきましても、そういうふうなことをくんで考えてもらっておるのでありまして、もしこの修正がそのままいきましたならば、私たちの方といたしましては、この審議会のいろいろな内容につきまして、十分主張を通しまして努力をいたしたいというふうに存じております。
  110. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 農地局参事官はきわめて強い意見を出しておられるのですが、私ども農林水産委員会でひとり私の意見ではない。これは与野党あげて――わが国農林水産、特に水産の方面において、大洋漁業も大事でありましょうが、零細なる漁民の生活というものを考えてみますると、どうしても沿岸漁業は大へんなことでありまして、先ほど申し上げましたように、与野党あげて関心を持っておるのですから、あなた方にも一つ漁民のため考えていただくように強く要望しておきます。  次に、せっかく委員長から御注意がありましたが、もう一点だけお尋ねさしていただきたいのです。われわれは、与野党超越して、ほんとうにいい法律になるように――この提案に対する賛成者ですから、私は、法案の成立を望むと同時に、その法律がほんとうに国民から喜ばれ、明らかに国民ためになる法律であるようにという点からお尋ねしておるのですから、少々時間が長くなってもお許しを願いたいと思うのです。  お尋ねの第二点は、先回、提案者からは、賛成ではありませんでしたが、そうこだわるものではないという御答弁をちょうだいしておる。それは、先ほど私の質問のうちにちょっと出ました二条、三条の、審議会にかけるとき、計画のできたときに、建設大臣がその取りまとめ役をして各都道府県知事等に聞く、こういうのである。われわれ農林水産委員会で、まだまとまった意見ではありませんが、与野党とも、建設大臣というようなことよりも、国民生活、国民経済全体に大きく関係することであるから、経済企画庁長官にした方がいいじゃないか、こういような意見が大へん出ておるのです。それについて先ほど申し上げましたように、提案者も、何も建設大臣にとらわれておるものではない、皆さんの御意見がそうであれば、考えて修正されることもやむを得ないというような御発言があったことを私は覚えておる。特にこの法案を見まするときに、法案の附則の、経済企画庁に関する総理府設置法の一部を改正する、こういう中で、計画経済企画庁が作る、そうして、なおまた、ただいま新たに御説明いただきました審議会設置にあたり、総理府設置法の一部改正を行なうとともに、経済企画庁設置法の一部を改正して、経済企画庁長官内閣総理大臣の権限の行使を補佐する、そして経済企画庁ではこの審議会の原案を作る、こういうところにきておるのにかかわらず、なぜ、あらかじめ建設大臣都道府県知事意見を聞く取りまとめ役をなさるか、こういうことなんです。これは全部の経済関係する。通産省といわず、運輸省といわず、建設省といわず、農林省といわず、こういうようなことをやられるから、三省公団なんというものがぱっと突っ走っていってしまって、一番大事な農林省が知らずにおって、こういうことになってしまうのです。だから、これはだめだというのです。私としては、これはどうしても経済企画庁が取りまとめをやるべきだと思う。ここで言っていらっしゃるではないか。なぜ、こういうことをただ一省でやるのか。こうなるから運輸省の方も喜ばない。また、通産省の方も喜ばない。喜ばないものが集まって三省公団を作ろうではないか、農林省は置き去りを食って知らないという。肝心かなめの経済企画庁は、三省公団なんて聞いたこともありません、そんなものがありますか、こういう話なんです。だから、これはだめなんです。この点、この間の中村先生のお言葉、よもやお変えになることはないと思いますけれども、この間、この方がよいという答弁があった。これは近ごろはやりの食言というのですか、そういうことでしたら、食言の意味を一つお尋ねいたします。
  111. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この点は、提案者といたしましても、立案段階で非常に苦慮いたしました問題でございますが、結局、先刻も申し上げたように、原案を作成するにあたりましては、法制局にいろいろな検討を委託をいたしまして、その結果、建設省設置法でも国土計画及び地方計画に関することは建設省所管になっており、国土総合開発法におきましても、都道府県等の意見を徴する場合の窓口が建設省になっておる、こういうような他の立法例との比較等から、法制局としては、ここにあります原案のような結論を得られたわけでございます。私どもといたしましては、いろいろ立案段階で苦慮いたしました問題でございますので、法制的な見地で成文化した法制局意見を尊重して、そのまま提案をいたしましたような次第でございます。今もお説がございましたように、いろいろ御議論のあるところでございますから、十分審議を経て、最後の段階で委員の方々のお話し合いをいただいて、適当な結論を得るように願いたい、かように考えております。
  112. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 これは私個人の意見であり、今までの法案審議やら、あるいは途中でいろいろ飛び出して参りました問題等を総合して考えますと、私は、これは経済企画庁がいいという結論になるのです。今お話のありましたように、この法律というものは、どの省も一つだって反対しておらない。できた方がいいが、なかなかその取りまとめができなくて議員立法になったということなんです。政府が出した議案であるならば、これは所管省というものがある。建設省なら建設省、そうなれば建設委員会でいく。しかし、通産省が中心になっていくものなら、通産省が取り上げていくでしょう。今、中村先生の御意見を聞いていると、国土開発ということで、そうなれば建設省の所管になる。あるいはまた、建設委員会でやるべきだということにもなるかもしれませんが、これはどの省とも何ともしょうがない。ほしい法律であるけれども、通産省でもできない、農林省でもできない、各省がどうも取りまとめができない。それだけに全体に関係するものなのです。いわゆる国土の総合的な開発ということになるのです。だから、ここの委員会に御付託になり、委員長がこの法案審議に全力をあげておられる。だから、わかりやすく申しますと、取りまとめ役が、建設大臣にいかなくても、あるいは農林大臣にいかなくても、この国土総合開発特別委員会1きょうは連合審査会ですが、国土総合開発特別委員会がこの法案を受け持って審議する以上は、これだけの大きな意味の国土開発ということですから、これはどうしたって経済企画庁長官が取りまとめていくべきだ、こういうような考えです。それをあっちへ持っていってみたり、こっちへ持っていくからいろいろと問題が起きてくる。だから、委員長もしっかりなさって、一つ法案の修正のとき、しっかり経済企画庁と直されるように、これは私個人の意見でありますが、強く要望しておきます。  次に、もう一つお尋ねいたします。先ほど私も申し上げましたように、国土総合開発特別委員会委員として質問をさせていただきましたときには、一つ問題が保留してあるのです。それは、三省公団とこの法案との関連ということをもっと私は深くお尋ねしなければならぬ、それだけの時間を下さいということを委員長にお願いし、委員長は了承した。だから、もっと私はこれを聞こうと思いますが、この委員会では、きょうは、あとに控えている農林水産の方々に悪いからやりませんけれども、先ほど芳賀さんは、よくお知りにならぬからあの程度だった。僕はもっとよく知っている。これは逆に言いますならば、三省公団というものが先走っておるのです。そういうような埋め立て事業をやろうと思って、三省公団が先にもう話をしてできて、それをやるのに都合が悪いから、この法案が出てきた、こういうのが一般の見方なんです。だから、いろいろと問題が出てくるのです。これはこの次聞きますが、どうも、この法律の出ない先に、先ほど先生も言われましたように、これはできるものであろうという立場に立って、大蔵当局と三省公団なるものが予算の交渉をなさった。これができるものなり、成立するものなりと思ってやられたかもしれませんが、それは先回の予算編成のときの話なんです。その前から三省公団というものがある。一体、どの省のだれが中心になって三省公団なるものを動かしておるか、これはだれが一体説明するのか、私どもにはわかりませんが、その点、もしおわかりの人がありましたらお聞かせを願っておきたい、こう思います。
  113. 磯野太郎

    ○磯野説明員 三省公団につきましては、先ほど御説明いたしましたように、三十四年度、三十五年度に予算要求をやったわけでございますが、いずれもっぶれております。そういう次第であります。ただ、この考え方といたしまして、三省といいますか。われわれが持っておる基本的な考え方だけちょっと御説明したいと思います。  これはいろいろな要因を考えておるわけでございますが、まず第一点といたしまして、御案内のように、公共事業費でいろいろ土地造成がやられておるわけでございます。一般の民間の金融、つまり、民間の資本蓄積をこの土地造成に持っていくこと等につきましては、これはやはり、ある特別の機関を作りまして、そして、それが、たとえば公団債を発行するというようなことをいたしますと、政府の金のほかに、今のような一般の民間資金が土地造成に流れていくわけでございます。そういうふうな仕組みをいたしませんと、金融機関の資金、つまり、一般の民間蓄積の資金はこういうふうな公共投資には向かないわけでございます。そういう点からいきまして、もし、私ども考えておりますように、工業用地造成、特に臨海工業用地造成が今後の経済発展ために相当大規模に、かつ、計画的にやらなければいかぬというふうな立場に立ちます場合には、公共事業投資あるいは地方債による資金供給だけではまかない切れないのではないかというふうなことが第一点であります。  それから、第二点といたしまして、これは御案内のように、各地々々におきまして、土地造成と、その条件でございます工業用水の計画あるいは道路関係が、全部が全部について必ずしも十全にいっておるというわけでもございません。多少土地はできたけれども水がない、あるいは水が余っているけれども土地がないというような状況があるやに聞いておりますが、そういう点につきましては、今のように、土地関係、水の関係、あるいはその他の産業施設関係を総合的にやる必要がございます。そういうふうな意味で――これは、もちろん廃案になったわけでございますが、公団の場合には、公団におきまして土地造成すると同時に、工業用水も三百六十万トンばかり公団自体がやっておるというふうに、計画を両者あわせ考えてきたわけでございます。  それから、もう一つといたしましては、御案内のように、工業の立地――新設工場が、ややもいたしますると、既存の四大工業地帯を中心にして、それに集中する傾向があるわけでございます。これは消費地に近いとか輸送の関係がいいとか、あるいはいろいろそういう利便があるわけでございますが、こういうふうな点から、たとえば東京都の区民所得と鹿児島の県民所得では三対一の開きがある。そういう点からいきますと、日本産業あるいは経済につきまして、地域的にこれを発展させるというふうな考え方をいたしました場合には、今のような四大工業地帯のほかに、積極的に立地条件の整備をやりまして、工業地帯の造成開発をしていかなければならぬ、そういうふうな計画あるいは考え方が正しいといたしますれば、そういうような政策、考え方を実行するに適当なものが何か要るのではなかろうか、それには、あるいは特別の機関ができれば、その政策に沿った造成ができるというふうに考えた次第であります。大体基本的に考えておるのはそういうことでございますが、これは申し上げましたように、予算の要求ではつぶれたわけでございます。
  114. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ただいまの御説明を聞きまして、三省公団なるものはわかるのですが、どこの省が中心になっておるのか、一般にはわからないような三省公団が、このまじめな法案の第十六条の特別機関であるかのように印刷物を刷って出したり、予算の要求をなさるからいろいろの誤解を招いて、この大事な法案審議がおくれるのです。私は与党ですから、それを言うのですよ。あなた方が考えていらっしゃる三省公団が今後何をなさろうが、それはけっこうですが、まだできていない先に印刷物を刷ったりするから、いろいろと野党の誤解を招く。だから、こういう大切な法案審議、まじめな法案審議支障を来たすのだから考えてほしいという意見を私は持っておる。今後一つ法案審議支障にならないように、誤解や憶測の起きないように、十分注意をしていただきたい、これを申し上げておくわけであります。
  115. 赤路友藏

    赤路委員 関連して。質問じゃありません。今のに関連して、建設省の方に一つ苦言を呈しておきたいと思う。それは、今度建設省の方で設置法の一部改正をお出しになりましたね。これは土地収用法関係の調査会を作るということであったと思う。その内容は、もう出ておるのですから、私が言うまでもない。ただ、問題は、その考え方なんです。それと同じような考え方で、今度この法律が成立いたしましたときにやっていただくと困る。私は、建設省の考え方はわかるのですよ。たとえば、土地を収用して何かしようとするとき、できるだけすみやかに進めたい、これはわかるわけです。今度の場合も、これができますと、やはり一日も早く達成して、すみやかに産業発展の基礎を作ろう、それはわかるのです。しかしながら、そのために泣く者を作ってはいかぬというのです。今度の建設省設置法の一部改正は、補償問題の解決がつかなくとも作業にかかって、その間に解決をつけていくという根本的なものがあるわけです。そうすると、現実の問題として、そういう形でやると、押しつけられてくることは当然なんです。これは何とおっしゃろうとも、現実にはそうならざるを得ない。もし万一、そういうような考え方でこの法律が成立した後においてやられると、これは問題をかもします。この点は、建設省の方でも十分考慮に入れておいていただきたい。私は、この注文だけつけておきます。
  116. 寺島隆太郎

    寺島委員長 連合審査会はこの程度にいたし、これにて散会いたします。     午後四時五十四分散会