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1960-04-08 第34回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月八日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 寺島隆太郎君    理事 島村 一郎君 理事 野田 武夫君    理事 濱田 幸雄君 理事 山村新治郎君    理事 足鹿  覺君 理事 中村 時雄君       池田 清志君    丹羽 兵助君       東海林 稔君    田中 武夫君       芳賀  貢君    長谷川 保君       小松信太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  藤巻 吉生君  委員外出席者         議     員 中村 梅吉君         議     員 井手 以誠君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整課長) 木戸 四夫君                 磯野 太郎君         通商産業事務官         (企業局工業立         地課長)    柳井 孟士君         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      岡田京四郎君         建設事務官         (計画局総合計         画課長)    佐土 快夫君     ————————————— 四月八日  委員辻原弘市君、森本靖君及び田中幾三郎君辞  任につき、その補欠として片島港君、田中武夫  君及び小松信総合開発特太郎君が議長の指名で  委員に選任された。 四月八日  理事島村一郎君同日理事辞任につき、その補欠  として志賀健次郎君が理事に当選した。     ————————————— 四月六日  九州地方開発促進法の一部を改正する法律案(  井手以誠君外十七名提出衆法第二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  臨海地域開発促進法案川島正次郎君外三名提  出、第三十一回国会衆法第六七号)  九州地方開発促進法の一部を改正する法律案(  井手以誠君外十七名提出衆法第二九号)      ————◇—————
  2. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 これより会議を開きます。  臨海地域開発促進法案議題といたします。     —————————————
  3. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 本案の趣旨につきましては、すでに再度にわたり、提出者より提案理由説明を聴取いたしましたところでありまするが、この際、提案者より再びその趣旨説明を求めます。中村梅吉君。
  4. 中村梅吉

    中村(梅)委員 ただいま議題になりました臨海地域開発促進法案につきましては、前国会において、いろいろ長期にわたって質疑応答を重ねてきたのでありますが、継続審査になりましたので、今国会において、重ねて提案理由を御説明申し上げます。  およそ狭隆な国土に過大な人口をかかえ資源の大半を国外に依存しなければならないわが国におきまして、経済自立再建をはかり、民生の福祉を増進するためには、国土を最大限に開発し、効率的にこれを活用することが、当面する最も緊要な課題であることは申すまでもありません。  近年来、わが国経済のおびただしい伸長発展人口増加の趨勢に伴いまして、工業用地公共用地確保その他一般市街地建設等のため、土地に対する需要が急激に増大し、必然に適地の減少、地価の高騰、土地取得難等を招来いたしまして、産業助長振興民生安定向上に重大な降路となっているのであります。このような実情に即応いたして臨海地域における公有水面埋め立て等により、新たに国土造成し、新しい国作りを行なわんとする輿望がとみに高まって参りました。現に東京湾伊勢湾北部九州等における大規模土地造成構想が、世上しばしば論議せられているところでありますが、これら二、三の事例に徴しましても、この際、臨海地域を対象とする総合的かつ基本的な開発計画を策定し、これが実施の推進をはかることは、国の積極的施策に待つところきわめて大なるものがあると確信するものであります。すなわち、これがためには、これらの臨海地域開発基本となるべき事項に関し、あらためて立法措置を講ずる必要があると存ずるのであります。  本法案は、如上の趣旨をもって、ここに制定せんとするものでありまして、その主眼とするところは、国土開発上の重点施策として、かつまた、産業及び人口適正配置等見地より、工業その他の用に供する土地造成利用及び道路、港湾その他交通施設用排水施設民生施設等整備拡充に関する基本計画を確立し、これが積極的実施促進をはかり、もって産業基盤育成強化と、健全にして機能的な臨海都市建設整備を行なわんとするものであります。  以上が、本法案提案する理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、本法案適用区域となる臨海開発区域指定の問題でありますが、これは、内閣総理大臣が、臨海地域開発審議会審議を経てこれを行なうこととなっております。審議会審議にあたりましては、厚生、農林、通産、運輸建設等関係大臣は、審議会委員として、これに参画することとなっておるのでありますが、なお、最終的には、閣議決定を経なければならないことといたしております。  第二に、内閣総理大臣は、関係大臣協議して、臨海開発基本計画立案し、これを審議会に付議して、閣議決定を求めることとなっております。この基本計画には、臨海開発区域における土地造成利用及び前述のような関連施設整備に関する基本的な事項について定めることとされているのであります。なお、これらの関連施設密接不可分関係にある区域外の諸施設についても、必要に応じ、基本計画にこれを含めることができることといたしております。  第三には、基本計画の円滑な実施をはかるため、本法と既存の現行関連諸法規との所要調整規定しているのでありますが、まず、公有水面埋立法河川法港湾法漁港法等に基づく関係行政機関の行なう処分または事業について、必要のある場合においては、内閣総理大臣がこれを総合調整することといたしております。他面、都道府県知事が行なう公有水面埋立免許につきましては、基本計画実施に密接な関係がありますので、これを所管大臣の認可にかからしめる等の規定を設けた次第であります。さらにまた、国土総合開発計画首都圏整備計画、その他法律規定に基づく特定地域に関する計画と、本法による基本計画との相互の調整についても、内閣総理大臣において、それぞれの審議会等意見を聞き、必要な調整を行なうことといたしております。  第四には、本法実施にあたって、関係行政機関の長等の協力義務規定するとともに、計画実施に要する資金について、政府はこれが確保をはかるよう努めるべきことを定めております。  第五には、臨海地域開発審議会設置に関する問題でありますが、審議会は、これを総理府設置することといたしまして、臨海開発区域指定基本計画の策定その他重要な事項調査審議を行わしめることとするほか、審議会の組織、専門委員設置運営等について、所要規定を設けております。なお、審議会設置に伴う所要経費は、さしあたり現行予算の範囲内においてこれを処弁せしむるよう善処する所存であります。  最後に、本法による基本計画に基づく事業実施せしむるため、将来、別に法律で定めるところにより、特別の事業体設置規定いたしております。この種事業体設置については、今後、審議会において慎重な審議を重ねることはもとより、関係行政機関及び関係地方公共団体等においても十分に検討せられることを期待している次第であります。  なお、附則におきまして、審議会設置に伴う総理府設置法の一部改正を行なうとともに、経済企画庁設置法の一部改正により、本法における内閣総理大臣権限の行使について、経済企画庁長官はこれを補佐すること等を明確にした次第であります。  以上が、この法案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  5. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 去る六日本委員会に付託になりました、井手以誠君外十七名提出にかかる、九州地方開発促進法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  6. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 提出者より提案理由説明を聴取いたします。井手以誠君
  7. 井手以誠

    井手議員 最初におわびを申し上げます。説明理由書が間もなくでき上がると思いますので、御了承願いたいと思います。  九州地方開発促進法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  この法律は、昨年の通常国会において、九州、山口各県の熱望にこたえ、議員提案により全会一致成立したものであることは、委員各位の御承知通りであります。  この提案にあたって、当時の小澤自民党九州地方開発特別委員長は、この法律のかなめである国の負担率について、「昭和三十四年度においては財源の裏づけを得るに至りませんでしたので、昭和三十五年度以降において所要改正を行なうことにいたしまして、附則第二項のごとき規定を設けたのであります。すなわち、昭和三十五年度の予算の編成に伴って、重要な事業については、九割を限度として、国の通常負担割合を二割程度引き上げる措置をとり、もって開発促進計画実施促進を期している次第であります。」と言明されております。その上、国会の権威と立法建前から、立法と同時に国の負担割合を一率に二割引き上げようとする私ども社会党提出修正案を否決し、この特別措置に非財政再建団体を含める自民、社会両党共同提出修正案を可決、内閣もこれを承認する意見を述べられたことは、委員各位の記憶に新しいことと思うのであります。すなわち、この三十五年度から、九州地方開発重要事業に対する国の負担割合を二割引き上げることは、国会の厳然たる意思であり、政府与野党一致の公約であると信じます。  従いまして、政府はすみやかに国の負担割合を引き上げる立法措置をとらねばならないことは、申すまでもありませんが、諸般の事情から、三十五年度に入った今日なお提案に至っておりませんのは、まことに遺憾に存ずるものであります。よって、ここに本法律案提出いたしました。  なお、この改正法律案の概要を申し上げますると、第一、財政再建団体には国の負担割合を二割引き上げ、さらに将来の財政再建団体にも同様の措置を講ずること、第二、財政再建団体と同様の財政事情にある非財政再建団体にもこの特別措置を準用すること、第三、これらに該当しない非財政再建団体に対しても、地方総合開発見地から一割を引き上げようとするものでありまして、これらに要する一カ年の経費は、おおむね十六億円の見込みであります。  以上、提案いきさつを御賢察の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げる次第であります。(拍手)      ————◇—————
  8. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 臨海地域開発促進法案について、審査を進めます。  これより質疑に入ります。田中武夫君。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 臨海地域開発促進法案につきまして、若干の質問を提案者並びに大臣、あるいは政府委員にいたしたいと思うのですが、その前に御了解を得ておきたいと思うことは、実は私、委員長も御承知のように、今国会になりまして当委員会にかわって参りました関係上、本法案の過去の審査の状況をあまり知りませんので、ただいまから質問する事項におきましては、過去に当委員会においてすでに答弁済みあるいは論議済みのものがあろうかと思いますが、そういう点にわたることをあらかじめ御了承いただきたいと思います。  そこで、最初提案代表者にお伺いをいたしたいのでありますが、本法案は、昨年の三十一国会の、しかも、地方選挙等関係国会が事実上自然休会となっておったような四月末に至りまして、自民党の当時の七役、幹部諸君提案者となって、突如出てきたわけであります。そこで実は、この提案の仕方に対しまして、率直に申しまして、われわれは若干の危惧といいますか、なぜその必要があるのか、こういう気持を持っておるわけであります。そこでお伺いをいたしたいのですが、政党政治建前からは、与党幹部諸君提案者となるような法案であるならば、当然政府において提案せられる方が妥当ではなかろうか、このように考えるのですが、突如と申したら何ですが、昨年四月に、今申しましたように、国会自然休会のような状態のときに、自民党の当時の七役が提案者となって出されましたいきさつを、一つ説明願いたいと思います。
  10. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この法案提出いたしましたのは、前々国会でございましたが、あの通常国会の始まります前から、実は御承知通り東京湾を初め、各地方重要地帯臨海地帯開発が世間の論議になり、また、いろいろ試案等を作って天下に発表された人もあるようでありますが、かようなことから、並びに、現在公有水面が、国家的見地に立った総合的な計画の上に実施されておりませんで、非常につぎはぎの埋め立て事業ども進んでおりますので、これを放置しておくことはあまり適当でない、すみやかに総合的な企画を立て、また、それで実施されるような方向に立法措置を講じて、処置をとるべきではないかというような角度から、与党内部において検討を進めておった次第でございます。同時に、その段階におきましては、関係各省庁とも連絡をいたしまして、十分に協議を遂げてきたのでありますが、できますことならば、あの国会の冒頭に出せるような準備にいたしたかったわけであります。しかしながら、この法案立案過程におきまして、たとえば三条の地方意見を徴する場合における窓口の問題でありますとか、いろいろそういうことで各省庁の間の意見が容易に一致いたしませんで、そのために時日を経過して、だんだんと国会の会期も少なくなるような時期になってしまったわけであります。しかしながら、ただいま申し上げましたような事情から、この種の立法措置をすみやかに講ずる必要が痛感されますので、やむを得ず、議員立法として提案をすることになりました。同時に、ざっくばらんに申しますと、与党の自由民主党の政務調査会の中におきまして、当時政調の副会長でありました渡邊良夫君が主任になりまして、各方面との連絡及び立案に当たってこられたわけでありますが、ようやくさような決意をいたし、また成案を得ましたので、少し時期はおそうございましたが、提案の運びにいたしたようなわけであります。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまの御答弁を聞いておりますと、率直に言って、議員提案としなくてはならないという理由一つには、ざっくばらんに言えば、各省間のなわ張り争い意見が一致しないから、そこで議員提案という方法をとったのだ、このような拾活でございます。それはそれとしてあとでまた触れることにしておいておきたいと思うのですが、何か知らぬがあわてて出されたという感じを、法案を見ておりましても、受けるわけです。と申しますのは、この法案自体に一貫したものがないということ、もう一つは、何かずさんである、こういう感じを受けます。その点は質疑の中で逐次触れていきたいと思うわけでございますが、それはさておきまして、実は今、提案者東京湾開発等という言葉を使って言われたわけで、本法案東京湾開発のために出されたものであるという印象を受けておりますが、特に東京湾開発のために出されたのであるか、あるいはその他の地区等についても考えておられるのか。提案せられるにあたりましての構想というものがありましたら、まずお聞かせを願いたいと思います。
  12. 中村梅吉

    中村(梅)議員 法案全体として、ごらんをいただきますように、この法律運用及び適用は、できるだけ全国的に重要な地帯にわたって運用をされることを、提案者といたしては期待いたしておる次第でございます。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 だが、さしあたり提案者が頭に描かれたのは東京湾開発でございますか。何か聞くところによりますと、ここにも見えております島村一郎先生委員長となられまして、自民党内部東京湾開発特別委員会というのがありまして、そこにおいていろいろと構想を立てられておると聞いております。そういうことを実現するために、まずこの法案が必要である、こういうお立場で出されたとわれわれは思うのですが、いかがでしょう。
  14. 中村梅吉

    中村(梅)議員 自民党の中に東京湾開発特別委員会というのができましたのは、数年前でございます。島村さんは委員長としては二代目の委員長でありますが、その前から、御承知通り東京湾開発については、大規模開発を希望する人やら、現状のような継ぎはぎの埋め立てを続けておったのでは将来大へんなことになるぞという御注意やら、各方面意見があったわけであります。さような問題を研究するために、この特別委員会ができたように私承知いたしております。そこで、当初は、なるほどお説の通り、差し迫っておる東京湾について、何とか処置しなければならぬという研究が進められたと思うのでありますが、その段階において、この問題を処理する上からも、もっと高い角度で検討する必要があろうということで、東京湾のみならず、伊勢湾にいたしましても、北九州にいたしましても、その他の地域にも重要な地帯が見受けられるのでありますから、そういった全体の立場に立った立法をしなければならぬだろう、こういうことに次第に進んで参りまして、この法案が党の手元で立案をされた、こういうような次第でございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、当初は、まずさしあたって東京湾埋め立て計画の実現のために、こう考えておったが、その他にいろいろと重要な地区もあるので、それらもあわせて考えていくつもりで提案せられた、そういうことなんですか。
  16. 中村梅吉

    中村(梅)議員 そうでございます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 何か東京湾埋め立て——私よくわかりませんが、千二百万坪ですか、埋め立ての費用が約六百億円、そして十年計画、こういうのが、どうやら与党内部東京湾開発特別委員会その他関係者の立てておられる計画のようでございますが、この六百億円の金の捻出に困る、そういうところで、何とかということからこの法案が出てきた、このようなうわさも聞いておりますが、出たときには、やはりそうだったのですか。
  18. 中村梅吉

    中村(梅)議員 さようなことは、まだ党の特別委員会でも何ら結論を得ていないようであります。ただ、試案としましては、内外にいろいろ個人の意見としてはあるようでありますが、党の特別委員会としては、何らそういう結論を出してもおりませんし、そういう具体的なことにはまだ触れておらないようであります。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど提案者が申されましたが、東京湾埋め立てのほかに、重要な地区がある。たとえば播磨工業地帯あるいは四日市工業地帯、こういうのも重要な工業整備地帯として計画に載っておると聞いております。それらと東京湾と順位をつけるとか甲乙をつけるとか、そういうことでなく、同じように考えていく、こういうお立場であるのかどうかということを、提案者と、それから経済企画庁局長が見えておるそうですが、大臣がおれば大臣伺いたいのですが、お伺いいたします。関係各省で組織せられておって、経済企画庁がまとめ役といいますか、事務局のようなことになっておる鉱工業地帯整備協議会において、先年播磨工業地帯及び四日市工業地帯等指定せられてその調査その他に入っておられる段階だと理解いたしておりますが、そういうような問題とこの法案との関係はどのように考えておられるか、これは提案者と、関係経済企画庁局長とにお伺いいたします。
  20. 中村梅吉

    中村(梅)議員 提案者にお尋ねの分だけについて、まずお答えをいたしますが、もちろんお説の通り、この法律実施されることになりますれば、私どもとしては、日本国内の重要な地帯がすべて平等に取り上げられていくべきものである、かように考えます。ことに、この立法が幸いできたといたしますと、ここに十条、十一条等に規定してありまするような審議会もできますし、従って、こうした機構なり立法ができますと、各関係地元都道府県からも、自然政府並びに審議会に向かって、そういう要望が現われてくると私思うのです。これらをみな平等の立場において、政府並びに審議会十分審議をいたしまして、逐次地域指定をして、その実施に移していく、こうあるべきものである、かように考えております。
  21. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 経済企画庁開発局長でございます。お答えいたします。  私ども鉱工業地帯整備協議会というものを設けまして、ただいま七地区指定してあるかと思いますが、その七地区につきまして、必要な施設整備をはかる相談をしております。この協議会各省関係局長が集まって、はっきり申し上げますれば、それらの地区整備に必要な予算をどうやってまとめていこうかというような事務的な相談をする協議会でございまして、別段法律に基づいた協議会ではございません。ただ、この協議会とこの法案との関係でございますが、もしかりにこの法案が成立いたしました場合に、この協議会をどうするかということになりますと、それらの協議会指定しておりました地区が、臨海地域指定された場合におきましては、この法案に基づく審議会等整備に必要な計画審議していただく、こういうことになっていくかと思います。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 この法案がかりに成立をいたしましたときにおける、今答弁のありました協議会が立てておる構想との関係、この点について先ほど伺ったわけなんですが、提案をせられまして今度これが成立すると、実施政府が行なうわけですから、これは大臣でないとこの関係を明確にできないと思いますので、この関係は、大臣がこられるまで保留いたしたいと思います。  次に、これは提案者にちょっとお伺いしますが、私は不明にして国土総合開発法の内容をあまりよく知らないのですが、国土総合開発法とこの法案との関係といいますか、これはどういうようにお考えになっていますか。
  23. 中村梅吉

    中村(梅)議員 国土総合開発法は、大局的な開発計画を主とした目的といたしておるのでありまして、この法案のねらうところは、臨海地帯という特定地域についての開発を実は考えておるわけであります。なお、一部には、やりようによっては国土総合開発法でもできるじゃないか、こういう御意見もあるように聞くのでありますが、私ども考えでは、国土総合開発法のみによっては、この立法をしようとする目的を果たすことは困難である、こう考えております。たとえて申しますと、公有水面埋立法による許可等関係、あるいは漁港法等関係、あるいはこの法案の第八条にありますように資金確保関係、あるいは審議会構成等も、国土総合開発法とは違った考え方をいたしておりますし、なお、この法案の中では、公有水面埋め立てという特殊の問題あるいは特殊の技術、特殊の専門知識等を要する場合があると考えられますので、専門委員という制度を第十二条において織り込んでございますし、あるいは十六条の規定関係等もございまして、やはりこういった特殊の目的を果たしますためには、この立法が必要である、かように実は考えておるわけであります。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 国土総合開発法基本法とするならば、これはそれに基づく具体的な地区においてやるのだ、こういうような説明のように拝聴したわけです。そうすると、この法案国土総合開発法とは関連があると思います。そうしましたならば、法体系において一貫したものがなければいけないのじゃないか、このように考えるわけです。たとえば、この法案が急いで出されたと思われるほどずさんであり、一貫性を欠いておるという点なんですが、この法案附則におきまして、総理府設置法あるいは経済企画庁設置法の一部を改正いたしまして、この法案による総理大臣の行なう権限、これの補佐役経済企画庁長官である、こういうように示されておる。そうして国土総合開発法の窓口は経済企画庁です。ところが、本法の第三条三項によって、総理大臣が、いわゆる審議会基本計画を付議するにあたって、関係都道府県知事からの意見を聞く窓口を建設大臣にしておる。建設大臣にするのは、内部において何らかの事情があったものと思いますが、そういうことであるから、窓口が一貫しない。従って、政府提案が望ましいにかかわらず、議員提案としなければならない理由は、先ほど言われたように、各省間のなわ張り争いということによるものだと思う。従って、なわ張り争いがあるために、議員提案として出すというならば、議員提案でこそ、そういった窓口の輻湊したものを一貫することができると思う。この点についてはいかがでしょうか。一方において補佐役経済企画庁長官である。国土総合開発法におきましても窓口は経済企画庁長官である。ところが、知事からの意見を聞く、すなわち、総理大臣のやるやつに対する補佐をやる大臣は、建設大臣になっておる。ちょっとおかしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  25. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この法案におきましても、内閣総理大臣の行なう事務を所管する役所は、経済企画庁ということにいたしております。ただ、都道府県知事等の意見を徴しまする場合に建設大臣といたしましたのは、各省設置法と十分にらみ合わせて研究をいたしました結果、国土計画あるいは地方計画等は、建設省設置法においても建設大臣権限にされておりまするので、こういったことはやはり建設大臣を通して地方意見を徴する、それを取りまとめて審議会に付議し、あるいは事務を遂行するものは経済企画庁である、こういう形が一番合理的であるという結論に到達いたしまして、このような成案になったわけであります。この点は、われわれ議員のみでは、十分の検討を行ない、また結論を得ることが困難でありますので、法制局に主としてこの点の検討をしてもらいまして、得た結論をそのままわれわれは取り入れたようなわけであります。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 いきさつ伺いましたが、どうも、この法案における事務の総括をやるのは経済企画庁である、また、国土総合開発法による窓口も経済企画庁である、だが、実際府県においてやっておる問題には建設省が関係があるから、知事等の意見を聞く場合にのみ建設大臣を通ずるということが、一貫性を欠いておるような感じがいたします。そこで、これにつきまして、各省の見えておる人々の意見を聞くのもおもしろいと思いますが、そういうことはやめまして、本法趣旨を生かして事務をスムーズにやるためには、どちらがいいのかということについては、見方、考え方いろいろあろうと思います。従って、これは検討を必要とするという点で、保留いたしておきます。  次に、具体的な内容に若干触れていきたいと思います。まず、第一条にこの法律目的がうたってあるわけですが、この第一条の中に「臨海地域における工業その他の用に供する土地造成利用及び」云々、こういうことになっておるのですが、大体考えられることは、臨海地域開発して工業地帯を作ろうということが、まずその主眼であり、常識であろうと思います。ところが、「工業その他の用に供する」こういうことの「その他」というのは、一体どのようなことを考えておられるのか。たとえばその「その他」の中に、軍事基地とかあるいは飛行場、こういうものも含むと解せられておるのかどうかという問題、もしそうなるとするならば、最後にくる、この法律目的である「民生安定向上」とは、逆行する結果が生まれるおそれがある、こういうようにも考えられます。また、「土地造成利用」云々の中で、この土地には農地を含むことも明らかであろうと思うのです。そういたしますと、この農地の工場用地の転換というような問題で、農地の接収ということがやはり具体的に起こってくる。こういうような問題から、農民として大きな問題も出てこようと思いますので、そういうことが、いわゆる最終目的である経済基盤の育成強化民生安定向上に寄与するように運用しなければいけないと思うのですが、今申し上げました点について、「その他」というのと、それから「土地造成」というようなことを、どういうふうに考えておられますか。
  27. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これはもちろん、工業地帯造成ということを主たる目的と私ども考えておるわけでありますが、それに伴いまして、小公園を作りますとか、公共用地を作りますとかということが、当然伴って参ると思います。また同時に、場所的に、どうしてもこの一角は農地でなければならないという場合もあり得ると思います。それから関連としまして、そこに埋め立て開発と既成地域との都市計画等の関連で、道路その他の関連も出て参ると思うのであります。そういうような関係で、「その他」という言葉を使っておりますが、私ども立案者といたしましては、そのような方法によりまして、軍事基地とか軍事用地とかいうことは、毛頭考えておりません。その点は明確に申し上げておきます。  それから先ほどの点でございますが、国土総合開発法の方におきましても、主管は経済企画庁でありますが、地方意見を徴する場合には、やはり建設大臣を通して意見を徴するということになっておりますので、やはりこれらも、国土総合開発法のあり方というものをこの立案段階において検討し、先ほど申し上げたような各省設置法の構造ともにらみ合わせまして、このような結論が出たわけでありますから、その点つけ加えて申し上げておきます。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 今、提案者から御答弁願いました後段の方の問題につきましては、後ほど国土総合開発法、実は私もあまり読んでおりませんが、これとか、各省設置法等とにらみ合わせて、なお研究してみたいと思いますので、先ほど申したように、保留いたしておきます。  なお、前段の方の点でございますが、「工業その他の用に供する」こういうことは、たと、えば軍事基地とか飛行場というものは含まない、これははっきりと答弁を願ったわけですが、そうするならば、工場地帯整備するに必要な道路とか、あるいは住宅地帯、公園、こういうことになって、主体はあくまで工場地帯整備、こういうことのように理解いたします。それなら、これを「工業その他の用に供する」というようなことではなく、工業地帯整備に必要なと、そういうようなことに書いてもよし、あるいはこれは私の意見ですが、臨海地域開発促進法の名前を臨海工業地域開発というふうに、きっちりと、工業地帯に関するものだけだ、こういったように疑問を残さぬように書く方法も考えられると思うのであります。これは私の意見として法案の名前まで申し上げたのですが、提案者の御意見はどうでしょうか。
  29. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これはその点を「その他」というばく然としたことでなしに、あるいは具体的に表示する方法があれば、私ども決して固執いたしません。ただ、工業と申しましても、工業にはそれに伴うところの従業員の社宅でありますとか、もちろん、住宅地域というものも関連的に起こらざるを得ない事情もありましょうから、それぞれそういうふうに具体的にしぼることは困難ではないかと考えておるだけでございます。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 結局は、工業地帯整備に必要な問題といいますか、必要なもの、こういうようになろうと思いますの外れこれもあとで御相談申し上げたいと思います。  次に、臨海開発区域指定規定が第二条にございますが、まず、指定にあたっては、調査等も必要と思うのですが、本法には、調査の手続とか、調査について何ら明確な規定がないように見受けられます。つきましては、その調査等はどのようにしてやられる予定なのか、それとも、先ほどちょっと私触れました鉱工業地帯整備協議会ですか、それらですでにある程度の調査等もなされておるのか、そういうものも参考になるのか、お伺いいたします。
  31. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは責任者としましては内閣総理大臣でございます。そこで、内閣総理大臣審議会に諮りまして、地域指定をするということになりますと、これについてはそれぞれ関係地方等の要望等もございましょうから、それらも十分検討し、審議会に付議するに適当かどうかということについては、内閣総理大臣のスタッフとしては、経済企画庁、並びに内閣総理大臣各省大臣を指揮することになっておりまするから、当然建設省でありまするとか、そういう関係各省庁において、付議するに必要な資料の調査研究は、その段階でやるべきものだ、こう思います。それで審議会に付議されますと、その審議会委員が、すべてその指定を議決すべきかどうかをきめるわけでありますが、これにつきましては、この法案の他の条項にあげておりまするように、専門委員等の制度も置きまして、そうして十分そういう機関を通して、その内閣総理大臣から付議された事項をどう処理すべきかどうかという結論をしぼっていただく、かような考え方でおるわけでございます。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、この審議会指定するまでの段階における必要な調査とか、そういうようなものは、従来の方法といいますか、各省の所管事項にわたって、それを担当しておるところで調査するとか、すなわち、この法によって特別の調査をするのではなくて、従来の方法によってやる、それからまた、これが指定してからのいろいろな問題等については、専門委員会等によって調査をする。その調査手続等は法律できめる必要があるかどうかは別といたしまして、そういたしますと、やはりこの法実施にあたって相当の予算を伴うと思うのです。私はよく知りませんが、議員立法予算を伴う場合は、その予算の概算をつけるというような申し合わせになっているように記憶しておりますが、本法案は、この法実施にあたっての予算について何ら触れられていないのですが、提案者におきましては、本法実施にあたっては、これは年々変わると思いますが、まず初年度においてどの程度の予算を必要とするとお考えになっておりますか。
  33. 中村梅吉

    中村(梅)議員 初年度におきましては、審議会の構成に要する経費だけであると思うのであります。なお、今御指摘のありましたように、内閣総理大臣審議会にどういう地域を付議すべきかというようなことにつきましては、すでに設置されておりまする各関係省庁の機構の範囲内において、その程度の処理は可能であると私ども考えております。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 本法三条の第三項で、各都道府県知事意見を聞くということになっておりますが、先ほど来の提案者説明にもあるように、農地等にも、あるいは海岸を埋め立てるなら漁業権等にも、大きな関係が出てくると思うのです。そういたしまするならば、ただ単に都道府県知事意見を聞くだけでは足りずに、関係者、すなわち、農地の場合に、そこを代表する農業関係の代表者とか、あるいはそこの農業委員会等でもいいと思います。あるいはまた、漁業の場合では漁業協同組合等もあろうと思います。そういう関係者意見を聞く、あるいは当該の県だけでなくて、市、町等の意見も聞く必要はなかろうか。ことに生活に関係のある漁業とか、農地ということになりますと、必要が出てくると思うのですが、この点いかがでしょうか。知事だけの意見を聞いて事が済む、こういうように考えられておるのでありますか。  さらにもう一つは、この法がこのまま施行、実施せられるならば、従来持っておりますところの、たとえば都道府県知事の海岸の埋め立て認可権といいますか、そういうものも制限を受けるわけなんで、ただ単に知事の意見を聞くという程度でなく、なお進んで同意といいますか、そういうところまで持っていく必要があると思うのですが、そういうような点についてはいかがでしょうか。
  35. 中村梅吉

    中村(梅)議員 三条の三項の「都道府県知事意見を聞かなければならない。」これは要するに、その指定地域の地元としての意見を総合的に聴取するわけであります。なおほかに、第七条等でございますか、関係行政機関意見も、もちろん基本計画を策定して実施をいたしますについては、聴取もし、あるいはそのために、審議会委員のメンバーにはそれぞれそういった関係大臣考えておりまして、農林大臣も、通産大臣も、運輸大臣も、また自治庁長官も、それぞれその立場において審議会委員として、その策定に参加するわけでありますから、これらによって十分反映し得るものである、こういうように実は考えておる次第でございます。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 今、提案者は第七条を引用せられましたが、私は、第七条があるから、よけいにその関係者意見を聞く必要があるんじゃないか、こう思うわけです。と申しますのは、七条の規定は、関係者の協力要請規定なんです。従いまして、これがきまってその実施にあたっては、関係者は協力を法によって要請せられておるわけなんです。従って、その指定に先だって、まず、都道府県知事だけでなく、関係者意見を聞く、こういうことがぜひ必要になってくる、こう思うわけです。この点は、提案者と私との認識の違いかもわかりませんが、たとえば、知事はその県の代表者であるから、知事の意見を聞けば、その当該県の意見を聞いたことになる、こうお考えになっておる。従って、関係大臣意見を聞いたら、それで関係者意見も済んでおるというところに、私と考えが違っておりまして、私は、知事必ずしも県民各層の意見を代表するものでもなければ、あるいは所管の大臣必ずしも各職域を代表した意見にならない、違った意見にもなる、こういうこともあり得ると思います。従いまして、第七条があればこそ、なお第三条第三項において、知事だけでなく、関係者意見を聞く必要がある、このように考えるわけですが、いかがでしょうか。
  37. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私ただいまのお答えとして七条をあげましたのは、あるいは適切でなかったかもしれませんが、要するに、地域指定し、あるいは新しく計画を策定するにあたりましては、審議会の議を経、さらに閣議の議を経なければならないことになっております。このような進め方をいたして参りまする以上は、たとえば、それに関連する農地の問題について、あるいは漁民の問題について、こういうようなことについては、所管大臣である農林大臣が、自分の所管するそれぞれのコースを通して、地元の関係団体なり関係方面意見を聴取して、しかる後に、それに対して賛成をするとか反対をするとか、意見をしぼっていかれることが当然でありましょうと思いますから、従って、そういう意味において、一々そういうこまかいことまで、基本的な法律であるこの法律の中に指摘いたしませんでも、十分に円満な運用がついていくだろう、こう実は考えておる次第でございます。  それから、先ほど申し落としましたが、都道府県知事意見を聞くということにしておるが、これは意見を聞くのでなくて、同意にすべきではないか、こういう御意見がございましたが、しかしながら、これは同意ということになりますと、非常に事柄が窮屈になるだろうと思うのです。たとえば、ある指定地域が二県なり三県なりにわたるような場合に 国全体として、あるいはその地方全体の立場から見れば、指定をし、開発をすべきであるという場合におきましても、そのうちのある一部のところは、いろいろな利害関係から、なかなか同意がしかねるという事情も、時によっては起こるのではないだろうか。また、都道府県知事立場といたしますと、知事全体の大局的な考えとしては賛成すべき事項であるけれども、一村なり、一村の一画なり、一町の一画なりの利害関係から、なかなか快く賛成しない部分があるというような際に、それでは知事はそういうものを無視して同意をしていいのかということにもなって参りましょうから、いろいろこまかい点を具体的に考えてみますると、同意としてくぎづけにするよりは、意見を聴取ということで、もちろん、その地元都道府県知事が賛意を表しないようなことをしてできるものでもありませんし、また、やったにしても、それが円滑に実施できるものではないと思いますので、このような表現が、法律の立て方としては妥当ではないか、こういうように考えております。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 提案者の気持はわかりましたが、これは、法律にそういうことを書くことがどうかという疑問等の研究は必要だと思いますが、知事が意見を述べるにあたっては、関係者意見を聞いてから出てこいとかなんとかいうようなことも必要ではないか、こういうようにも考えますし、なおかつ、今言われたように、二府県以上にまたがる場合において、同意ということにしておれば、動きがとれぬということも理解できないことはありませんが、しかしそれでは知事が反対の吾見を述べた場合に、その反対の意見をどの程度に尊重するか、こういうことになると、新安保の問題ではないが、拒否権の問題にも触れてくるわけであります。言葉の遊戯はやめておきますが、この点なお検討を続けてみたい、このように考えていることをつけ加えておきます。  そこで、関連してでございますが、そうなりますと、こういうような法律によって事が運ばれるときには、ほんとうに生活権と生活権がぶつかる問題が出てきます。従って、深刻な場面も起ころうかと思うわけなんですが、非公式に聞いておるところでは、与党の方におかれても、本法案を修正をいたして、あるいは補償の規定を入れるというお考えもあるということを聞いておりますが、本法案に関する限り、そういうような補償には何ら触れていないわけです。従って、直接これを実施する場合において、損失を生ずる場合にはどう補償するのか、その補償も、直接補償と間接補償の場合があるし、あるいはそのことによって職場を失われる、あるいは漁業ができなくなった場合に転失業の問題が出て参ります。そのようなことについて、どのようなお考えを持っておるのか、なおかつ、どのような規定を置くことが正しいのか、そういうことは、たとえば電源開発法等にもそういう規定はあると思いますが、それとの関連等において、どのような規定をお考えになっておりますか。
  39. 中村梅吉

    中村(梅)議員 ただいま御指摘の点は、前国会論議におきましても出ましたことでありまして、与党内部におきましても、この点をどういうふうに処理すべきかということについて、いろいろ御検討が進められておるようでございます。私どもといたしましては、他の立法例等もありますから、そういう他の立法例の表現なり、あるいは織り込んである事項なりというものを十分しんしゃくをいたしまして、それに対して適当な修正を加えていただくことに、実は賛意を表しておるような次第でございます。また、たとえば漁業補償の基準などにつきましても、そういうようなことは、当然審議会審議して、その補償基準をきめなければならぬように修正するというようなことにつきましては、この委員会審議を通して、これらの状況を十分織り込んだ修正を行なおうという御意向に対しては、実は私ども心から賛意を表しておるような次第でございます。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 補償問題についての規定の挿入等については、提案者としても賛意を表する、こういうことでありますので、どういうような規定を置くかという問題になろうと思うのです。ただ、私ここで言い得ることは、一つ事業を遂行する、あるいは一つの物事を運ぶために、他に対して大きな犠牲をしいる、あるいは損失をしいる場合には、これに対して十分な補償をしなければならないことは当然であります。しかも、その補償が単に抽象的なものではなくして、具体的に、直接受けた損失はもちろん、間接的な損害、あるいはこういう事業を遂行する上においては、無過失責任というようなことまでも考えていく必要があるのじゃなかろうか、このようにも考えます。なお、本法実施にあたりましては、必要があれば土地収用法等の発動というようなこともあり得るかと思うのです。そうするならば、なお補償については十分な検討と具体的な規定が必要であろうと思いますので、この点は特に研究課題として申し上げておきたいと思います。  次に、審議会関係でございます。これはいつもこの種の審議会を置く場合に問題になるのですが、大体、政府審議会とか調査会というのを好まれまして、いろいろな問題で調査会や審議会を置かれます。ところが、われわれが見ておりますと、この審議会とか調査会というのは、民主主義の一つの隠れみのと申しますか、審議会の議を経たのだからこうだ、こういうために審議会を置いておる。ところが、その審議会のメンバーの任命にあたっては、初めから政府考えているような答申を出すというような人ばかりを選んでおるということが、今までわれわれ間々見せつけられたわけでございます。例がどうかと思いますが、たとえば独占禁止法の改正にあたっての独禁法審議会には、いわゆるカルテル友の会員といわれるような人が入って作られておる。従って、答申が出る前から、独禁法緩和の答申が出るのだということは、われわれはわかっておる。また、競輪の運営審議会におきましても、ほとんど競輪賛成の人ばかりで構成されておって、その答申は、もう結論が出る前にわれわれはわかっておるというようなことになる。従いまして、この種の審議会は、ことに当該地における関係者に大きな利害を持つ場合は、十分そのメンバーの任命にあたっては考えなくてはならない。そしてかつ、各省関係大臣等も入れますが、学識経験者と名のつく者は十五人ですか、こういう中に十分各層を代表したところのメンバーを入れる必要があると思います。この任命といっても、でき上がれば、何も提案者が任命するわけではないので、この点を提案者に聞くのもどうかと思いますが、私はそういうふうに思っておる。同時に、下手をやると、一つ産業の一方的な代表者によってのみ構成されるという危険性もあります。学識経験者というのは、普通のきまり文句なのですが、この点につきましても、任命にあたって十分な措置ができるようなといいますか、考えが及ぶような方法をとりたいと思っていますが、提案者のお考えをお伺いいたしておきます。
  41. 中村梅吉

    中村(梅)議員 実は先国会における論議の際におきましても、この審議会の構成は、国家機関である各省大臣等の委員の数と、学識経験者の数と比較すると、学識経験者の方が一名少ないんじゃないかという御議論等もございました。これらの点について、与党内部においても、御指摘のような懸念のないように、第十の学識経験者の委員を、原案の十名よりも数名ふやしたらどうかという御意見があるようでございます。また、単に学識経験者だけでなしに、関係都道府県知事の中からも委員が出られるようにすべきじゃないか、こういう意見等もあるようでございます。私どものそのような適切な修正については賛成をして参りたいと思っております。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど私十五名と言ったのは、法案では十名です。それを十五名程度の考え方もあるということです。この点につきましては、提案者の方におかれましてもそういうふうに考えておられるということで、一応了承はいたしますが、このメンバーの任命、構成にあたっては十分配慮をして、利害関係者の代表が落ちないような方法が望ましい、こういうことを特に申し上げておきたいと思います。  次に十六条、「基本計画に基く事業のうち必要、かつ、適切な事業実施させるため、別に法律で定めるところにより、特別の機関を設置する」こうなっておりますが、特別の機関というのは、どのようなことをお考えになっておるのか。聞くところによると、臨海工業地帯開発公団というような構想があって、これは通産、運輸、建設ですか、三省の間でそういう構想がある。これが現在ではちょっとつぶれたようでありますが、そういう構想があったように聞いておりますので、たとえばこういう公団のようなものを考えておられるのか、特別な機関とは提案者としてどのように考えておるのでしょうか、お伺いをしておきます。
  43. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは全部に設置しようというのではありませんので、十六条の書き方から見ましても、「基本計画に基く事業のうち必要、」こういうわけで、そういうような必要も起こるのではないだろうか、起こる場合には、そういった特殊機関を作ることができるように立法の際にしておこう、こういうことで十六条はできたわけでございます。必ずしも特殊機関によって実施をはかろうという意味ではありません。  それからもう一つは、特殊の機関を作ります場合には、公団にいたしましてもその他の方法にいたしましても、いずれにしても公の機関であります以上は、国会の議決を要する法律をもって作らなければならないわけでございますから、これはそういう必要があるということを実施計画におきまして審議会がきめた場合に、初めて政府はそういう立案をして、国会提案をして審議を願う、こういうことになるわけで、決してこの条項があるからといって、勝手にできる性質のものではもちろんないわけであります。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど申しました臨海工業地帯開発公団、その構想は現在下火になっておるように聞いておりますが、この構想がこの法案関連して起こったのか、あるいはこの法案構想とどちらが先であったかということは別といたしまして、たまたまこの法案審議せられておるときに、一方において、そういう公団というのがあたかもできたような動きを一部に示したというようなところに、この法案に対する一つの危惧の念を深めた理由があると思うのです。従いまして、この十六条の特別の機関ということ等については、運営にあたっては十分に考える必要があろう、このように考えられるわけでございます。  そこで、かりに何らかの機関、たとえば公団という名をつけておきますが、これができて事業の遂行をやった場合、埋立地の所有権、これは国であるのか、当該府県であるのか、その事業をやった公団であるのかという点についても、疑問が残るのであります。それは公団等ができた場合に、そこで検討をする問題ではなかろうかと思いますが、この法案においては、そのような点については触れられておらないのですけれども、この権利の帰属関係についてはどのようにお考えでしょうか。
  45. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは当然国が実施する場合もありましょうし、都道府県が担当して実施する場合もございましょうし、あるいは特殊の機関が必要であるということになりまして、国会の議決を経て特殊機関が実施する場合もございましょうが、おおむね私ども考えとしては、実施機関がその所有権を取得して開発をし、諸般の経費を負担する、こういうことになるのが当然であろうと思っております。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 実は私は、今日の質問はこの程度にしておきたい、こう思うのですが、先ほど申しましたように、まだ大臣も見えておりませんしいたしますから、大臣に対する質問も残っております。それから、きょうは提案者中村先生の意見を私は聞いたという程度であって、私の意見との相違についてまだ議論もいたしておりません。また私自体も、最初申しましたように、当委員会初めてでございまして、まだ十分この研究もしておりませんので、なおあらためて論議なり質問をすることを保留いたしておきまして、きょうはこの程度でおきます。
  47. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 小松信太郎君。
  48. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 私もきょう当委員会に初めて出て参りましたので、実はまだ研究しておりません。従いまして、ほんとうに御質問いたしますのは次の機会に譲るといたしまして、二、三不明の点につきまして、お伺いいたしたいと思います。  まず第一に、第二条の一項におきまして、総理大臣地域指定を行なうことになっておりますが、その地域指定の原案作成について、国土総合開発法に基づく開発計画との関係が、ちょっとよくわからないのですが、その点はどういうことになっているのですか。
  49. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この臨海地域開発について、開発地域として指定をし、また、それを推進していく必要のあるものと認めた場合には、内閣総理大臣審議会の議を経て地域指定をし、さらに基本計画立案し、基本計画審議会に付議し、審議会の議を経て結論を得ましたならば、閣議決定を経なければならない、こういう段取りになっておりますが、その間、国土総合開発事業なり計画とそごしたり、あるいは連絡調整を要するような場合には、内閣総理大臣国土総合開発審議会の方にもこの問題を付議することができるようにし、また、その調整の責任は内閣総理大臣が負うというような建前に、この法律案としてはいたしておるわけでございます。
  50. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 その調整についてでございますが、これはお互いに別々の案ができることもあり得るわけですね。そうした場合に、先ほど私ちょっと席をはずしましたので、田中委員の質問の際に聞き漏らしたのですが、こういう法案は当然内閣提出すべきであるにもかかわらず、こういうことにならざるを得なかった、こういうふうな意味のことを私ちょっと聞いたのですが、ただいまのような調整云々ということになりますと、これはむしろそういう対立的なものをなくするためにかえって対立が激しくなるというような危険性はないものでしょうか。
  51. 中村梅吉

    中村(梅)議員 国土総合開発の方は、国全体についての基本的な計画を策定するだけでありまして、実施に関しては直接触れておらないわけであります。従いまして、臨海地域開発のような特定地域について具体的なことを進めるについては、このような特殊立法と特殊の構造が必要であろうということで、この法案立案いたしたような次第であります。ただ、今申し上げましたように、国土総合開発審議会、あるいは東京の地域につきましては首都圏整備法というものがありまして、首都圏整備審議会というものがございます。これらの関係につきましては、この臨海地域開発審議会に付議すると同時に、内閣総理大臣国土総合開発審議会や首都圏整備審議会にあわせて付議をいたしまして、両方の協議研究を経て結論を得る、こういうような方法も、この法案の中で考えておるわけであります。なおそれでも若干の調整を要するものが残りました場合には、内閣総理大臣の責任においてその調整をはかる、こういうようにいたしておるわけでございます。
  52. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 それから第三条の第三項でございまするが、「関係都道府県知事意見を聞かなければならない。」この基本計画審議会審議に付する場合においては、あらかじめ、建設大臣を通じて、関係都道府県知事意見を聞かなければならないということになっておるのですが、この知事の意見具申の場合、国土総合開発法に基づく地方計画とか府県計画とかを基礎にして意見を具申するのか、それとはまた別に何か基礎とするものがあるのですか。
  53. 中村梅吉

    中村(梅)議員 国土総合開発において府県計画とか地方計画のありまする場合には、もちろん、都道府県知事がこの臨海地域開発について意見を述べる場合には、そういったすでにあります計画の上に立って、知事は意見を述べることになると思います。しかし、現実の問題としましては、まだ府県計画とか地方計画というものは具体的にない地帯がほとんど全部でありますから、ない場合におきましては、都道府県知事は独自の立場に立って、自分の府県なりその近傍の実情というものを十分に勘案をして、意見を述べる、こういうことになろうかと思います。
  54. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 それから十五条ですね。「国土総合開発計画基本計画との調整は、内閣総理大臣国土総合開発審議会意見を聞いて行うものとする。」こういうことでございまするが、この調整は、国土総合開発法に基づいてやっておりましたし、当然国土総合開発法に基づきましただけでも、この法にうたっているような目的は達し得るはずだと思うのです。国土総合開発法に基づいてやるのならば、おそらくなかなか容易なことじゃあるまいと思われる調整というような問題について、初めから問題がないんじゃないか、こういうふうに私は思うのでございますが、この点はどういうことなんでしょうか。
  55. 中村梅吉

    中村(梅)議員 先ほども申し上げましたように、国土総合開発法だけでは、本法に定めておりまするような目的を果たすことが至難であるということから、このような臨海地域開発という問題についてのみ特殊な立法を行なう必要がある、かように私ども実は考えておる次第でございます。先ほども申し上げましたように、公有水面埋立法との関係やら、漁港法の関係、あるいは資金確保の問題、いろいろそういうような点について、新しい立法をしなければさばけない事態がありますので、そこでこのような立法をいたしましたので、今御指摘になりましたように、国土総合開発審議会とこの審議会との意見の食い違い等が万一あります場合においては、内閣総理大臣が両方の審議会に付議して、両方の審議会意見を取り入れて調整をはかる、このような方法で調整の道を講じていく、これ以外にないと思いますので、この第十五条を起こしたようなわけであります。
  56. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 国土総合開発法だけではできないことがあるというお話でございますが、その点をもっと具体的にお話し願いたい。
  57. 中村梅吉

    中村(梅)議員 大ざっぱに申しますと、一般法と特別法というような関係になってくると思うのであります。いろいろな計画を立てるということが、国土総合開発法の精神であり、また考え方のようでありますが、具体的に実施をどうするかということが一番問題なんでありますから、差し迫っております臨海地帯開発については、計画とともに、さらにその実施をはかるということを考えますと、この実施をねらいとした特別法というものが、一般法の下に立ってといいますか、横に立ってといいますか、そういう関連において必要である、こう私どもは実は考えておるわけであります。
  58. 小松信太郎

    ○小松(信)委員 実は、先ほど申し上げましたように、まだこれをよく見ておりませんので、別の機会にまた質問いたします。
  59. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 東海林稔君。
  60. 東海林稔

    ○東海林委員 私も実は今国会初めてでございますので、従来のいきさつはよく知りませんし、十分検討しておりませんが、大ざっぱに見て、若干疑問の点がございますので、提案者にお尋ねいたします。  まず第一は、第四条の問題であります。「政令で定めるところにより、臨海開発区域における関連施設密接不可分関係にある諸施設整備」、この諸施設という点が若干はっきりいたしません。本法律案は、臨海地域における工業その他に供する土地造成というようなことが目的でありますので、工業用地あるいは住宅用地、農業用地等の造成考える場合に、どうしてもまず第一に必要なのは、水の問題だと思うのです。しかし、実際問題として、水の問題が臨海の指定区域内に求め得られるという場合はきわめてまれであって、他の地域に求めなければならぬ場合がある。たとえば、先般発表された産業計画会議でも、東京湾埋め立てについては、利根川の上流に大きいダムを作らなければ、実際その開発はできない、こういうような例も出ておるようであります。そういう離れたところの、しかもダムの大規模な建設ということまで、この法律によって実施計画を立てるのかどうか、その点具体的に諸施設整備の内容をまず承りたいと思います。
  61. 中村梅吉

    中村(梅)議員 関連施設ということになりますと、道路、あるいは配水、用水という問題が当然考えられるわけであります。今御指摘のように、用水につきましては、なかなかその開発地域だけで処分をするということはむずかしいだろう、私どもも当然そうだろうと思います。そこで、その水源地帯の問題でありますとか、その水源を利用してどういうふうな工程でもって配水の計画をするか、そういうようなことも、当然、工業用地造成する上から、密接不可分事項として取り入れて企画をされなければならないと思います。そこで起きて参りますのは、先ほども触れましたように、第十五条にございます、国土総合開発基本計画というものと関連をして参りますので、これらのことについては、内閣総理大臣の責任において国土総合開発審議会の方にも付議いたしまして、両方の調整をはかる。ただ、国土総合開発の方では、どこの地帯をどういうふうに開発するという計画を定めるのが、国土総合開発の使命であるようでありますから、従って、それと関連を密接につけまして、実施は、特別立法であるこちらの方の基本計画並びに事業主体がその実施をはかる、こういうことになって参りまするわけで、今御指摘になりました第四条の、密接不可分関係にある関連施設というのは、そういうことが含まれてくると私ども考えております。
  62. 東海林稔

    ○東海林委員 そうすると、ただいまの御答弁によりますと、たとえば大規模工業用水が要るという場合には、そのダム建設も本法によって実際はやる、こういうことなんでしょうか。
  63. 中村梅吉

    中村(梅)議員 それはそういうことになる場合もありましょうし、あるいは他の方面利用との関係等関連して参りますと、それは国が他の事業計画の上でやらなければならないという場合も起こってくるかと思いますが、それらの関係は、全部、審議会の議を経て基本計画を定めまする場合に、それらの細目を決定すべき事柄であると思います。
  64. 東海林稔

    ○東海林委員 次に、第五条の「その他の法令の規定による処分又は事業基本計画に重大な影響を及ぼし、」という点ですが、その場合に、調整を行なうことを求めることができるということになっておるのです。これは基本計画がきまった後においてそういう事態が起こってくるのですか。この基本計画審議の過程においてもこの調整が起こってくるのでありますか。この法文を見ますと、一応基本計画がきまった後においてというふうに考えられますが、その点はいかがでありましょう。
  65. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私ども基本計画が定まってから後とのみは考えておりません。一応基本計画策定の間においても、もちろんこの調整を求めることができるものと考えております。
  66. 東海林稔

    ○東海林委員 そうすると、基本計画が一応定まる以前の過程においても調整ができる。さらに、基本計画ができて、それの変更、修正ということも考えられるのですが、基本計画はそのままとして、ただ実施計画の面においてのみそれが考えられるか、それはどうですか。
  67. 中村梅吉

    中村(梅)議員 もちろん、基本計画の必要に応じて変更というものはあり得ると私は思います。
  68. 東海林稔

    ○東海林委員 もう一点でございますが、この法の一条の目的を見ますと、「産業基盤育成強化民生安定向上」ということがあるのですが、現在、国民所得の問題を論ぜられる場合においても、各階層間における格差の問題が非常に問題になります。私は、このことは、やはり国民全体の民生の安定ということを考えたときに、地域における経済の発展あるいは産業、文化の発展の均衡ということも、考えなければならないのではないかと思う。最近におけるいろいろな土地開発というような傾向を見ますと、どうも企業者の利害というような点が重視せられて、一つ地域にのみ集中するような傾向がある。そこで、御承知のように、首都圏整備法というものが制定されまして、東京都中心の人口の集中、それに伴ういろいろな施設が、この地域に集中することをなるべく排除するというものができておるわけです。先ほど御説明がありましたように、この法案でさしあたって具体的に考えておることは、東京湾埋め立てということを考えておるというようなお話であります。そういたしますと、さらに、これは首都圏整備法の考え方と基本的に背馳する点があるのではないか。いわゆる全国的に、地域的な産業、文化の発展を均需さす方向に持っていくという方向とは非常に食い違った基本的な方向が、この中に含まれているのではないかということを心配するわけですが、そういうような点についてはいかがお考えですか。
  69. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは、東京湾について御指摘がありましたから、具体的に申し上げますと、今お話しの通り首都圏整備計画といたしましては、過度の人口集中を来たさないように、衛星都市を作ったり、昨年でしたか、いろいろなそういう立法をいたしましたように、既成市街地の地域に、工場とか学校を建てることの制限をする立法等もいたしましたが、こういう規制の措置等も考えておるわけでございます。ところが、現在のまま放置いたしておきますと、東京にせよ、あるいは川崎市にせよ、横浜にせよ、こういった既成市街地に隣接したところに埋め立てる方が、埋め立て企業をやる人としては、採算上都合がいいということから、自然、埋立免許をここにとりまして、つぎはぎで埋め立てられていく。こういう情勢を放置しておきますと、全くそれこそ、首都圏整備計画というものとは相反したできごとが次々と起こってしまう危険性がある。こういうような考えに立ちますと、このような国家的見地に立った総合計画を立てて、もし埋立開発をするとするならば、既成市街地とはどういうふうに遮断をするかというようなことも十分考慮に入れて、既成市街地の過度の集中防除を、首都圏整備法で考えておる精神に反しない方法でやらなければならない、こういう方向に持っていくことが必要なわけだと思うのであります。さような角度から考えますと、この立法は、今放置しておきますことによって首都圏整備の精神に相反したできごとが次々と起こっていくのを防除いたしまして、これを合理的に、そのような既成市街地につながった過度の集中を起こさないような開発をしなければならない、こういう角度から考えますと、今御指摘になったような矛盾を起こすのではなくして、矛盾を解決して、国家的見地に立った臨海地帯開発をそういう方向に進めていかなければならないというのが、この立法でまず第一に考えておる点でございます。
  70. 東海林稔

    ○東海林委員 今、言葉の上では一応理解できるような気がするわけですが、しかし、東京湾埋め立て考えたり、あるいは伊勢湾埋め立てをまず重点的に考えるというようなことになりますと、どうもそういうふうには実際方向としては理解されないわけです。非常に局部的な面から見れば、ただいまの御説明のような点が理解できるのですが、全国的な視野から考えた場合には、どうも今の点私はまだ理解できません。もう少しその点を親切に一つ説明願いたい。
  71. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは少し私見になりまして、本来ならば、この法律ができて、審議会の議を経て、学識経験者やいろいろな人が集まって、高い角度から検討をして出すべき結論でありますから、われわれ提案者が私的な意見を申し上げるべき段階ではないと思うのですが、ただ、私どものねらっておるというか、考えております点を率直に申し上げますると、たとえば、東京の既成市街地に接続した部分の、かりに東京湾開発をするとすれば、それは東京港としての港の整備ということに重点を置く。新しい市街を作り、工場地帯を作るという角度からいくならば、たとえば千葉の方に別の工場地帯を作るという形で、東京湾開発をすべきである、こう実は考えておるわけであります。しかしながら、そういうことも、この立法ができ、審議会というものができて、合理的な進め方になっていけば、そういうような理想の達成もできると思いますが、ほっておけば、そうではない逆の方向にいってしまうのではないかということを、私どもとしては実は憂慮いたしておるわけであります。
  72. 東海林稔

    ○東海林委員 だいぶわかってきたような気がしますが、そういたしますと、私の考え方からいいますと、やはり国土総合開発の広い見地からして、重要産業の全国的な配置計画がある程度できた上で、本法が動くのでないと、実際国土総合開発の具体的なものはなかなか容易でなくて、時間がかかると思う。ところが、この法案が成立しますと、これは地域的には割方先行するんですね。私は、そういう危険性が出てくるのではないか、こういうような点が考えられるのですが、どうしても、国土総合開発見地からして、やはり産業の、特に重要産業についての全体的な配置構想が出た後にこの法律が動くのでないと、ただいま御説明のような点が、実際問題としては何か非常にそごを来たすような懸念があるのではないかと思うのですが、そういうような点はいかがですか。
  73. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この点につきましては、前国会の際に、多分通産当局から御説明があったと思うのでありますが、通産当局としては、全国的な産業立地条件、労働力とか、輸送とか、いろいろな関係を考慮いたしまして、全国的な産業立地条件というものの計画を持っておるようであります。従って、これができまする場合には、先ほど申し上げましたように、ただここべ土地造成すれば、非常に地価が上がって採算がよいとか悪いとかいうことで今動いておりまするのを、一定の網をかけまして、そうして通産大臣ももちろんこの審議会の重要な委員でございますから、通産省の意見等も取り入れられて、全国的な産業立地条件も含めた臨海地帯開発が行なわれて、放任しておくよりは、合理的なさばきがついていく、また、そうしなければならない、かように私ども実は考えておるわけであります。
  74. 東海林稔

    ○東海林委員 それでは、きょうは関係省の大臣が来ておりませんので、一応提案者に対する本日の質問はこの程度にしまして、ただ、関係省の大臣が来た際に、あらためて関連事項を質問したい、こういうことでお許し願いたいと思います。二応質問を終わります。     —————————————
  75. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 資料要求に関する発言の申し出がありますので、この際、これを許します。足鹿覺君。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 資料を前の臨時国会の際にいろいろいただいたのですが、まだ、その際要求しましたものが二、三お届けを願っておりません。それとあわせて、若干の資料を御提示願いたいと思います。  第一は、この前、農林関係の干拓事業造成面積年度割合というのをいただきましたが、その都道府県別、あるいはその都道府県内における地名、その規模、そういったようなものを知るに必要な資料をお願いしたい。  これを要求しますのは、前から申し上げておりますように、いろいろ重複等の事態が起きてくると思うのです。まず、われわれは、現在の時点においてどういう状態になっておるのかということの実態の把握なくして、次から次といろいろな網を張る。中村さんの御意見は御意見として、一応正当性を持っておると思いますが、実際は全く競合したり、重複したり、自然放任そのものになっておる。その実態と、この事業関係の深い干拓事業関係とにおいてどう見るか、これをもう少し農林省も資料を整備して御提示を願いたい。  これに関連しまして、第二で青りますが、先般いただきました資料に、四十四年度の臨海工業用地の見通しというものが総括的に出ております。しかし、その用地の見通しというものは、各産業、それに必要な、関連したものを二応出されただけでありまして、その根拠となるものは一体何なのか。それは日本経済の発展の見通しとも関係がありまして、なかなか大きい内容でありますから、そこまでは無理かと思いますが、一応それを出された基礎になったものをお示しを願いたい。特に各都道府県別の予定地名、面積、用途といったようなものを添えて、御提示を願いたい。  それから一番大事な問題でありますが、第三には、この間、二十九年から三十三年度までの公有水面埋め立て「に関する資料を御提示願いたいと言いまして、若干はいただきましたが、半ページくらいのものに、二、三行書くという程度のものでありました。年度も変わりましたし、最も現在の時点に近い、二十九年から三十四年度までの公有水面埋立免許及び承認実績調べの各県別の内容を御提示願いたい。  その内容のおもなるものを申し上げますと、一、五十ヘクタール以上とその他のものに分類してもらいたい。二に、許可年月日とその期限。三、工事の進捗状況。四、用途。五、許可と築造基準。六、地盤調査とその成績。七、被免許者の氏名、その他必要な資料。これは前に建設省の方でやりかけたが、非常に急いでおった関係上困ったというが、それからもう三、四ヵ月たっておりますので、おそらく膨大なものになると思いますが、この前いただいたのは、五十ヘクタール以上のものがなんぼ、その他のものがなんぼという、きわめてばくたるものでありました。それらのものを大体総合してみますと、臨海地域開発の最近の実態というものが、一応把握できるのではないかと思います。非常にめんどうであろうと思いますが、前にも申し上げておりますので、ぜひ一つ御提示を願いたい。  それから、大きい第四点としまして、東京湾開発の問題でありますが、ただいま東海林委員からも、また、田一中委員からもいろいろ御質問がございました。この東京湾開発については、政府構想はどういうものを持っておるか。また、聞くところによりますと、自民党の方にも、ここにおいでになる島村さんが特別委員長になられまして東京湾開発構想というものができておるやに聞いております。それらのものがありましたら、それをお願いしたい。  それから、ただいまも東海林さんからお話がありましたが、産業計画会議が膨大なものを出しておる。この間は、産業計画会議は専売事業に対する構想を発表して、大きな世論を喚起したり、いろいろ次から次とやっておりますが、これは後日その人々を一ぺんお招きして、公式に意見を聞いてもみたいと思います。それまでに、産業計画会議構想しておると伝えられておる、また、東京湾二億坪埋め立てについての勧告なるものを各方面に配付しておるようでありますが、肝心な国土開発委員会には、われわれ、そういう資料をいまだ拝見したこともない。そういったものを、もう少し議会尊重の立場に立って、われわれも知りたい。あながち観念的に、これを質疑応答の場にしておるわけではありません。それらのことについても、提案者政府ももう少し——各方面で、この臨海地域開発法に対して賛否いろいろありますが、提案者考えられておられるような考えの背景をなしておるものとも、一応われわれは受けとれるわけでありますが、産業計画会議の勧告案といいますか、計画案といいますか、そういうものがあったら、まず事前に見せていただきたい。適当な機会に、その他の人々にも、この前の参考人の意見聴取とは別な角度から、それぞれの学識経験者の意見も聞いてみたいと思いますが、これはまた後日、委員長に御相談申し上げたいと思います。とりあ、えず以上の資料をいただきたい。  それから、一番知事会議その他市町村長あたりの会議体から、同意条項ということをやかましく言ってきておる。ところが、現在地方自治体において相当埋立計画を持ち、また、持つのみならず、実際にやっておられるところもあろう。それらの、たとえば神奈川県なら神奈川県、千葉県なら千葉県、東京湾を取り巻く地方自治体あるいは団体というものの、東京湾開発関連する構想なり実施案というものは、どういうものがあるのか、一ぺん伺いたい。昼間、飛行機の上から見ますと、全くおのおのが勝手に——というと語弊がありますが、やって、地上におってわれわれは見たこともありませんが、機上から久しぶりに見ましたら、大へんな状態のようであります。それらを、政府なり提案者は、どのように把握しておられるのか。その上に立って、われわれも、本法案審議に、もう少し内容的な審議を加えてみたいと思っております。自民党の方においては、この法案提案されるまでに各省のなわ張りで収拾がつかなくなり、その収拾策として、こういう案を一応議員立法で出したといわれます。その過程においても一応知っておられるかもしれませんが、われわれは全くわかりません。特に私どもは、東京湾には何の関係もない遠隔の地におりますので、相当公正な立場に立って批判もできると思いますし、考えも述べることができようと思います。そういう点について、東京湾開発に関して、政府あるいは自民党産業計画会議地方自治体、その他の団体等がどういうことを考え、どういうことをやり、今後やろうとしておるか、そういったようなものを、一応概括的に知る資料を四にお願いしたい。  それから、これは前に私が臨時国会でこの法案審議いたしました際に、各団体なり地方自治体が、本法案に対する修正要望事項というものを出されましてそれを集めて膨大なものに取りまとめて委員の諸君にも全部お配りいたしました。私どもが立与えております修正条項というものは、われわれが独善的な立場考えたものではない。それらの人々の意見を、とるべきものはとり、必要であるものは必要であろうと認めて、これを条文別に整理をいたしたものを、まだ公式ではありませんが、理事会の論議にしておるのであります。その後、浅海漁業振興について要請が出ております。提案者はもう御承知であろうと思いますが、東京湾周辺におけるノリ漁業あるいは貝類の採取というようなことについて、浅海漁業振興と臨海地域開発との調整に関する法律案の要綱なるものを持ってきまして、そしてるる意見調整を要請してきておる事実がございます。おそらくあなた方の手元にも届いておると思いますが、この案によりますと、この臨海地域法が成立を予想するか、あるいは成立の過程にあって、浅海漁業とどう調整をして参りたいか、関連してできれば法律を出してもらいたいという趣旨のようにわれわれは見ておるのでありますが、いずれにしましても、一方に大きな権利なり、生活の不安を覚える事態が伴うのでありましてこれらの地方住民の意見というものは、われわれは議会として、特に議員立法審議するにあたっては、よくその実情あるいは意見を聴取して、でき得る限りその意見を生かすことが、当然の責任であり、義務だと思います。それらの点についても、この次の適当な機会に意見等も聴取してみたいと思っておりますが、何か提案者の方において、これらとの調整問題について、若干検討されたかいなか、何かまとまったものがあれば、資料としてでもけっこうでありますので、御提示を願いたい。  以上であります。
  77. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  78. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 速記を始めて。  ただいまの足鹿君の御要求につきましては、提案者並びに政府関係省局において、御提出願うよう、すみやかに御手配願います。      ————◇—————
  79. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 この際、お諮りいたします。理事島村一郎君より理事を辞任いたしたいとの申し出がありますので、これを許可し、その補欠選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 御異議なしと認め、志賀健次郎君を理事に指名いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会