○
田中(幾)
委員 四国地方開発促進法の
成立に伴いまして、私は希望と
意見を開陳いたしまして、
政府の御所信をお伺いしたいと思うのであります。
申すまでもなく、
本案の
目的は、
後進性の
地域の
開発を
促進するにあるのでありまして、その
対象とする
地域は、本
法律に示された
通り、
四国に加えて
和歌山県を入れておるのであります。私は、
和歌山を
四国地方の未
開発地域に加えたということは、これは大阪に近い
和歌山市
地方を
対象としたのでなくして、むしろ勝浦から東の方の
新宮あたりを
中心にした、いわゆる
熊野と称する
地方が、重要な
対象であろうと思うのであります。申すまでもなく、
和歌山県は
紀伊の国の大部分でありまして、それより東から北に向かって、
紀州のうちで、南牟婁、北牟婁、
尾鷲市、
熊野市という二市、二郡がこの
紀州地域になっておるのでありまして、これが
熊野川を隔てて
三重県に編入されておるのであります。こういった単に
行政上の
区画で
地域をきめるということでなくして、広く未
開発の
地域を
開発していこうというのが
趣旨でありましょうけれ
ども、
地域の決定が非常に判定しにくいがために、県を
対象としたのであろうと思うのであります。しかしながら、ただいま申し上げました
三重県の一部である
紀伊の国の二市二郡は、
行政区画からいえば
三重県ですけれ
ども、国という昔の古い
地域からいえば、非常に明確になっておるのでありまして、しかも
熊野地方というのは、
新宮から
東北にかけていわゆる
奥熊野といわれる
地方が、この
紀州の国でも最も未
開発の
地域であります。先年もここに着眼をされまして、
熊野川の流域の
森林の
開発を目標とする
森林開発公団ができましたときにも、
四国の徳島を
中心にして剣山と、
熊野の
森林を
対象として、
森林開発公団ができたほどであるのであります。また、いかに未
開発であるかということは、大正八年、今から約四十年前に、
和歌山から松阪に通ずる、いわゆる紀勢線と称する
鉄道法案が通過しましたけれ
ども、四十年を経まして昨年の七月十五日に、初めて
熊野市と
尾鷲市を通ずる汽車ができたのでありまして、四十年の間、
後進地域として放置せられた
地方であるのであります。さようでありますから、こういう
国民の非常に待望する
法案ができました際に、何人が見ても未
開発であるという
地域を目こぼしにしていくということは、量はまことに遺憾に存ずるのでありまして、この
地方こそ、むしろ
促進法の
対象になる第一位に置かるべき
地域ではないかと存ずるのであります。しかも、ただいま申しましたように、地上の
森林のみでなく、水系を
中心として
電発も最近工事を起こされておりますが、
地下資源もこれに伴って非常に多いし、また、これらの電力等を使用して
開発していく部面も、非常に広大であろうと思いまするし、その
経済的効果というものも、従って大きかろうと存ずるのでありまして、私は、この
地方が、単に
四国四県と
和歌山県という
行政区域に入らないという、ただそのことのために除かれたということは、まことに遺憾でございまして、この点につきまして、これはこの
法律の
成立に伴いまして、どうしてもこの
地方も
政府において御
考慮をいただきたい、かように存ずるのであります。こういう点に対しまして、この
法律の施行に伴って、
政府は一体どういうふうにこの
地方をお考えになっておるか、私の要望を申し上げて、御
意見を伺いたいと思います。