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1960-03-04 第34回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月四日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 羽田武嗣郎君    理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君    理事 二階堂 進君 理事 南  好雄君    理事 中島  巖君 理事 山中 吾郎君    理事 塚本 三郎君       大久保武雄君    砂原  格君       徳安 實藏君    橋本 正之君       石川 次夫君    岡本 隆一君       兒玉 末男君    坂本 泰良君       實川 清之君    三鍋 義三君       今村  等君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     志村 清一君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建設事務官         (河川局次長) 曾田  忠君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 三月四日  委員山中日露史辞任につき、その補欠として  坂本泰良君が議長指名委員に選任された。 同日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として山  中日露史君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二日  治水事業推進のため特別会計創設等に関する陳  情書(第  二四〇号)  二級国道整備促進に関する陳情書  (第二五二号)  二級国道西条徳島線及び徳島高松線の一級国道  昇格に関する陳情書  (第二五三号)  二級国道松山高知線の一級国道昇格に関する陳  情書(第二五  四号)  中央自動車道建設促進に関する陳情書  (第二五五号)  準用河川の廃川敷地処分に関する特例法制定に  関する陳情書  (第二五七号)  多目的ダム管理費国庫補助に関する陳情書  (第二五八号)  昭和三十四年発生災害に係る復興財源措置に関  する陳情書(第二  五九号)  国、県道の整備促進に関する陳情書  (第三〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建設省関係重要施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 これより会議を開きます。  建設省関係重要施策に関する件につきまして調査を進めます。  質疑の通告がありますから、これを許します。  石川次夫君。
  3. 石川次夫

    石川委員 この前の前の委員会で、砂原委員の方からすでに道路財源の問題については質問が終わっておりますので、重複を避けて一、二の点だけちょっと伺いたいと思います。  と申しますのは、この前三十四年度道路関係予算は九百八十八億、ことしが千百一億ということで、若干の増額を見ることができた。ただ、要求の方からいいますと、これはおそらく千四百億円くらいの道路関係予算要求になっておったかと思うのであります。ところで、その財源の問題でありますけれども、実は昨年の財源は、大体八百十億円足らずというふうにガソリン税の収入が見込まれておったわけですが、ことしはこれに対して、千四百億円という要求の中で占めるガソリン税要求額が、大体九百億円ちょっとというふうに了解しておるわけです。ところが、実際にきまった予算を見ますと、ガソリン税が実に九百五十億円、要求の全体のワクからいいますと、だいぶ道路関係予算は減っておる。しかしながら、ガソリン税それ自体は逆に五十億円ばかりふえておる。大体において去年の実際に対しまして一八%ばかりの増額を見ておるという点が、どうもふに落ちないような感じがするわけなんです。従って、三十五年度ガソリン税というものは、要求よりもはるかにふえた形で実現を見ておる、歳入が見込まれておるということは、これは、はたして過大な見積もりではなかったかという点と、要求に対して逆に実質的に額がふえて予算が決定をしたという原因はどこにあったかという点を一つ伺いたいと思うのであります。これは道路局長に……。
  4. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 当初私ども考えましたときには、既定の五カ年計画予定通り実施いたすことはもちろんでございますが、それに加えまして、御承知のように、近く開催されますオリンピックのための道路準備を来年度から相当やっておきたいというふうに考えておったわけでございます。いろいろ折衝の経過を経まして、既定五カ年計画予定通り実行できることに相なっております。オリンピックに対しましても、御存じのように、どうしても来年度から着手を必要といたします都内の最も時間のかかりそうな事業予定個所に対する準備は、来年かかれるように、予算的な配慮をなされておるわけでございます。そういうわけで、当初オリンピックのために、もう少し準備をいたしておきたいというように考えたことがございますので、まあ当初の私ども考えからしますと、その点で若干数字的には変わっておりますが、これは五カ年計画の実施には支障のないものになっております。それからまた、オリンピックに対しましても、必要最小限度の手当はできるように相なっておるわけでございます。  それから、その次の揮発油税関係でございますが、これは五カ年計画策定当初におきまして、五カ年間を見通しましていろいろと想定を立てておったのでございますが、御承知のように、年々その予定は、実際におきましては変わっております。年々予定より伸びておる状況でございます。これらにつきまして、私どもは、その予定通り考えておったのでございますが、この予算数字は、財政当局が、これに対しまして十分御研究の上示されたものでございまして、私どもとしては、この予想が十分確実に進行するものと考えておるわけでございます。
  5. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 私からもお答え申し上げます。建設省の当初の予算要求と比べると、この予算の案は少ないじゃないか、昨年と比べても伸び方が足りないというような御趣旨で御質問がございました。(石川委員「ちょっと趣旨が違う」と呼ぶ)  それじゃ、ガソリン税伸びについてだけ申し上げますが、ガソリン税伸びは、大蔵省といたしましては、大体今度の予算に盛りました程度は確実に伸びるという見通しをつけて計上いたしましたので、あるいはそれ以上に伸びるかもわかりませんが、あまり過大に見るということは財政上どうかと思いまして、これも一四%も伸びるという見方もありましたのですが、そこまでは見きらずに、一応確実なところを見て計上した次第でございます。
  6. 石川次夫

    石川委員 私の質問趣旨がはっきりしなかったらしいのですが、一四%の伸びと今、政務次官はおっしゃいましたが、実は去年よりことしは一八%伸びを見込んであるわけです、ガソリン税の方は。これは八百億円に対して九百億日というふうな格好で相当伸びておるので、この伸び方が少し過大に見積もっておらないかという不安があるわけですが、それといま一つは、大蔵省建設省の方から要求したガソリン税見込みよりも五十億もふえておるという点で、二重の不安を感ずるという点なんです。  それが一つですが、それとあわせて、ガソリン税をそれほど多く目一ぱいに見込んで、しかも全体の予算ワクというものは大蔵省で相当大幅に削減されている。この中には、先ほどおっしゃったように、オリンピックの百十億という、関係道路予算というものが相当大幅に減らされておるというような事情もあることは承知はいたしております。ところで、そういうふうにガソリン税目一ぱいに見積もっておって、しかも一般財源というものが、この前も質問がありましたように、九十億が二十五億円にも大幅に減っておる。わずかに去年の三割程度、三割足らずというような格好になっている。どこの国の道路予算を見ても、ある程度自動車運行面での負担というものが相当程度高い割合を占めておるということは、私も承知はいたしております。しかしながら、ガソリン税だけに依存しているという格好ではない。それからさらに幾ら多く見積もっても、たとえば通行料金とかあるいは自動車税それ自体ということで、いろいろな面で持っておりますが、全部含めて七、八割ぐらいでとどまっておるというのが諸外国の実例じゃないかというふうに考えておるわけです。特に、いつも言われておりますように、道路公団に対する六十億円の半分にも足りないような二十五億円の負担ということになれば、二重課税であるという非難があちこちで出ておるわけですが、そういうことも含めて、どう考えてもガソリン税だけに負担をかける道路行政というのは合点がいかないということは、常識的にだれもが考えておると思うのです。それと、あと一つは、五カ年計画の一兆円というのは、作った当時といたしましては、相当思い切った施策であるというふうに考えておったわけなんですが、最近におきましては、これではまだ非常に不十分だというような声が出ておりまして、あらためて五カ年計画というものを策定し直さなくてはいけないというふうな世論もあるし、それからさらに建設省当局としても、五カ年計画というものを、構想を変えて、一兆円というワクにこだわらないで考え直そうというような機運も出ておるということも聞いておるわけです。ところで、この財源がまたさらにガソリン税だけということになると、策定のし直しということが不可能になってくる。われわれから言わせれば、ガソリン税というものは、少なくとも、もう少し減免をしなければならぬ、減税をしなければならぬというふうに考えておるわけですが、ガソリン税だけに依存をしておるような現在の状態では、五カ年計画策定をし直すことは不可能なんだ。少なくとも一般財源から——ことしは二百億ぐらいの一般財源要求をしておったわけですが、これも非常に削減をされておるわけですが、少なくとも全面的にガソリン税に依存するような不自然な形のこういう財源の持ち方というものはどう考えても合点がいかないという点で、五カ年計画策定し直すということについての建設省の心がまえ、こういう考え方に対して大蔵省はどういうふうにお考えになっているかという点を、一つ伺いたいと思います。
  7. 大沢雄一

    大沢(雄)政府委員 道路五カ年計画の改定に関する私ども建設省考え方でございますが、ただいま御質問趣旨の中にもございましたが、経済伸びが、長期経済計画を三十二年に決定いたしましたときに予想いたしましたよりも、大幅に伸びておりまして、従って、また経済成長に伴う輸送需要伸びも非常に大幅にふえておるわけでございます。ただいま御指摘になりましたガソリン税伸びそのものが、この輸送需要に対する大きな伸びを示しておると思うのでありますが、三十三年度に比しまして二十四年度ガソリン税伸びは、一五・八%の伸びを示しておりまして、五カ年計画策定当時の推定はたしか一一・六%と承知しておりまするが、これを大幅に上回っておるのでございます。このこと自体から見ましても、どうしてもこの道路交通需要量が非常に多いということを如実に示しておると考えておるわけでございます。従いまして、現在の一兆円計画をもちましては、必要としまする道路交通需要量に即応することのできないことが明らかであると存じまするので、私どもといたしましては、何とかいたし属して、明年度あたりにおきましては、この一兆円計画を拡張改定しなければ、経済伸びに即応し、道路交通需要量に即応した道路計画を持つことができない、かように考えておるわけでございます。今年の予算編成の経緯におきましても、一般財源からの繰り入れが大幅に昨年から減りまして、二十四億ということになっておるのでございますが、この五カ年計画ワクガソリン税伸びに比しまして少ない。ガソリン税予定よりも伸びましたために、この五カ年計画達成の上には、一般会計繰り入れをもってしてもできる、こういう結果になってしまったわけでございまして、この点からかんがみましても、このワクの拡大ということが緊急の問題ではないか、かように建設省としては考えておるわけでございます。
  8. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 過去一年間の国民経済の非常な発展成長に伴いまして、道路交通需要が多い。従って、道路整備五カ年計画については再検討して、もう少しワクを拡大すべきでないか、こういう趣旨の御質問と承りまして、大蔵省考えをお答え申し上げます。  御承知通り、五カ年計画は現在、三十三年から始まって、三十六年、三十七年と、もうあと二年で完成するわけでありますので、大蔵省としては、実は一応計画を実施いたしまして、その次またそのような即応できるような計画策定してやって参りたい。これが基本的な考えでありますが、しかし、ただいま大沢政務次官からお話がありましたように、経済伸びについていけないということではいけませんので、考えていかなければなりませんが、しかし、そうなりますと、今のお話のように、ガソリン税はこの上増税はできません。むしろ減税すべきだ、こういう御意見が強いし、すれば、計画を拡大すれば当然一般会計からの繰り入れを大幅にふやさねばならぬということに立ち至るわけでありますが、この当委員会でも御審議いただいておりますように、治水特別会計をこの国会で議決していただく予定でございますが、そのほかに、災害復旧その他公共事業だけで見ましても、ずいぶん需要がふえておりますので、なかなか大蔵省としても困難であります。そこで、先般も当委員会でお答え申し上げたのですが、所得倍増計画がもう少し具体的に進みますならば、そういう問題とも一つにらみ合わせて御趣旨に沿うようなことも考えてみたい、かように存じておる次第でございます。
  9. 木村守江

    木村(守)委員 関連。ただいまの大蔵政務次官の御答弁によりますと、五カ年計画は作ったのだから、この五カ年計画あと二カ年はこのままいきたいというような御答弁でありましたが、これは大蔵省考え方としては、そういうような考えを持っておるかもしれませんが、そのあとからすぐに、この産業伸びに応じないような状態であってはいけないから、この産業伸びに応じて考慮しなければいけないというようなことを述べられておるように拝聴いたしたのであります。  御承知のように、ガソリン税伸び既定計画よりも非常な急テンポ伸びておるということ自体が、道路整備を必要とする一つのりっぱな証左であろうと思うのであります。そういうような点から、ガソリン税伸びて、そうして五カ年計画ワク内の金額を調達するために、一般会計からの支出が少なくなった。そうしてまた明年もおそらくはそういう状態が続けられてくるであろうと思うのですが、そういうような状態にあっても、なお、五カ年計画を作ったのだからそれを守っていくのだというような状態では、日本産業の進展のテンポに合って道路整備計画をやっておるとはいえないと思うのです。政治は御承知のように生きものであります。これはどんどん進んで、大きくなっていく。子供に例をとってみますと、どんどん大きくなっておる。これは大体一年に五センチきりしか大きくならぬはずだといって計画を立てましても、これが都合によって十センチ大きくなった場合、五センチの着物をそのまま着せておかなければいけないというような考え方では、私は政治ではないと思うのです。十センチ伸びて、また明年も十五センチ伸びるというようなことが数字で明らかになっておるのに、この五カ年計画をきめたのだから、五カ年の既定計画によっていかなければならないのだというような考えであってはいけないと考えますので、本年度予算はもちろん問題になりませんが、明年度におきましては、道路整備五カ年計画というものは、これは再検討していかなければならない問題だと考えております。石川君からガソリン税を軽減しなければいけないというような話がありましたが、私どもはそういう考えは持っておりません。世界の各国道路状態、特に日本よりも後進国といわれる国々の道路状態考えて参りましても、日本のような悪路はおそらくないのじゃないか。これは各国を回って参られました方々は御承知通りであります。そういう状態におきまして、今ガソリン税を軽減するというようなことではなく、ガソリン使用量が上がって参りまして、税金が上がって参りますと同時に、これに見合った国費を投じまして、立ちおくれた日本道路整備して参ることが緊急の必要事であろうと私は考えております。そういう点から考えまして、大蔵省におきましても、日本産業基盤の一番大事な道路整備して参ることが緊急の必要事考えますので、五カ年計画を作ったのだからこのままいくのだというような考え方ではなく、お考えを改められまして、明年度は再検討して参るというようなお考えを持つべきではないかと考えられますが、奥村政務次官の賢明なる御答弁をお願いいたしたいと思います。
  10. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 ただいまの御質問、並びに前の委員の御質問にもありましたが、ガソリン税が五カ年計画で当初見込んだ伸びよりも伸びておるじゃないかということでありますが、私の手元にあります資料によりましても、課税の数量としては当初の見込みよりも多少伸びておりますが、しかし、税収見込額としてはそんなに伸びていないように思います。これは御承知通り道路整備特別措置法に基づいてやっていくわけでありますが、私が今御趣旨に沿うように、はっきり御答弁ができかねますのは、ことしなり来年の日本国民経済伸び、またそれによる税収伸び、つまりガソリン税だけではなしに、一般会計における税収伸びなどの見通しがつき、それによる所得倍増計画ということも具体化し、また、一般会計にも財源の余裕ができるという場合に、この計画を拡大し、再検討することができるのじゃないか。こういうふうに思いますので、ただいまのところとしてはこの程度の御答弁しかできかねる次第であります。あと建設省とよく相談してみたいと思います。
  11. 木村守江

    木村(守)委員 今の奥村政務次官の御答弁によりますと、ガソリン税収がもっとふえるはずであったのが、割合にふえなかったというような御答弁のようでありましたが、私どもそのことがわからないのです。大体建設省計画としては、予算としては去年と同じ一一%くらいのテンポ伸びるだろうと思ったところが、一三・五%伸びておるというような点から考えましても、ガソリン税伸びて参ったことは、もう数字をもって明らかに示されていると思います。今、政務次官日本所得倍増計画日本産業の伸展のテンポに合わして予算考えていく、日本生産力がもっと上がって参りますれば、それに応じて考えていくのだということを言っておりまするが、これは日本全体の平均を道路にかけて道路の費用を伸ばすというようなことを説明しているのだと思うのです。ところが、実際問題として、道路はすべての産業に先駆するのです。すべての産業発展に先んじて道路発展がなければならないのです。道路発展に付随してすべての産業発展してくるのです。その一例は、すなわちガソリン税がほかのものよりも急テンポ伸びてきたことによってもわかるのです。そういう点から考えて、大蔵省は、ほかの生産力の増強の伸びに応じて道路考えるのだということではなく、日本所得を倍増するのは十年ではなく五年にしていこう、そうして、もっともっと日本産業発展さしていこうというのであったならば、その一番根幹をなす道路に対しましてはもっと大胆に、日本の将来をもっと考えて考慮していくべきではないか。もちろん非常に慎重な奥村政務次官ですから、ここではなかなかはっきりした答弁はできないだろうと思うのですが、おそらく奧村政務次官も私と同じ考えを持っていると思うのです。ただ、政務次官をやっているために、うちへ帰ると大蔵省方々にいろいろ牽制される関係上はっきり言えないのかもしれませんが、奥村さんも私と同じような考えを持っていると思うのです。それですから、これは勇敢に、ここはその通りだ、そうするような考えをもって大蔵省に帰ったならばよく相談をして、建設省と協議の上御趣旨に沿うというような意思表明をできないものかどうか。どうぞお考え置きを願いたい。
  12. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 ただいま御質問になりました木村委員初め、当委員会の皆さんの非常な御推進道路特別会計もでき、今度この国会では治水特別会計ができ、また今度は道路、とこういうふうに御推進いただいたことについてはまことにけっこうに存じますので、私もそのお気持を受けて、できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  13. 石川次夫

    石川委員 私の言おうとすることを大体木村さんが言われたのであります。それで、今の奥村政務次官答弁以上のことはここでは言えないと思うので、ただ、念のためにあと一つだけ申し上げておきますが、どこの国でも自動車運行面だけの負担は多くて、七、八割というのが実情であると思う。ところが、御承知通りに、千億円の予算でも産業進歩に即応できなくなっているときに、千億円予算のうち一般財源から十三億というのはどう考えても私は納得できない。日本は特殊な事情がございますけれども、とにかくガソリン伸びだけに依存するという形ではなく、一般財源からつけ加えても道路が隘路にならないように、一つ大蔵省に特段の御配慮をいただくよう希望申し上げておきます。  大蔵政務次官は大へんお忙しいらしいので、そちらに特に関係の多い点を若干申し上げたいと思いますが、交付公債の点であります。申し上げるまでもなく、交付公債がだんだんふえてきまして、やがては償還が年に三百三十億円くらいになってしまうではないかというふうなことから、地方行財政面立場から、何とか交付公債制度をやめてもらいたいという非常に熾烈な要望によって、今度特別会計分関係についてだけは交付公債というものをやめるということになったわけです。三十四年末では八百億円ほどに交付公債というものがふえたわけですが、とにもかくにもこれが廃止になったということ自体は、大きく見て私は、非常な進歩だった。従って、大蔵省あたりの御理解ある態度というものに対しては、敬意を表するわけでございますけれども、ただ、建設委員会立場でいいますと、事業推進しようという立場から見るというと、交付公債という制度は、必ずしも改善ということにならないんじゃないか。むしろ改悪という場合が往々にして出てくるんじゃないかということを懸念をしておるわけです。それは言うまでもなく、この中で二〇%程度現金納付で、それから八〇%から八五%くらいは起債という格好で、全体として百六十億円ばかり全国としては起債ワクというものを新たに認めるという措置大蔵省としてはとられたわけであります。ところで、現金納付の二割でございますけれども貧弱府県あたりにとっては、二割の現金納付というものは非常に困難だという場合も考えられるわけです。私も地方行政に長い間携わった関係で、そういう場合が考えられないわけじゃないわけです。従って、この二割の現金納村という分についての十分なる財源措置というものを考えてもらわないと、この現金納付がないばかりに事業それ自体がストップしてしまうというふうな危険がないとは言えない。従って、二割の現金納付分については、基準財政需要額として十分にこれを財源として見てやる、交付税の中に加算をしてやるというふうな配慮がなされれば、それを理由として強制的に納入させるということもできることになる。従って、二割の現金納付——私は非常に不勉強で、十分に確認をしておらないわけなんですけれども現金納付の分についても、基準財政需要額にこれを見込むという点での措置を、大蔵省として十分とっておるのかどうかという点を、まずお伺いしたいと思います。
  14. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 今回、特に特別会計における地方の団体の負担について、交付公債制度をやめ、現金納付制度につきまして、そのこと自体については御賛成いただいたようなお言葉で、まことにありがたいと存じます。  ただいまのお尋ねの点については、たしか地方財政の交付金の算定の方で十分見込むことになっておると思っておりますが、正確を期するために、主計官からお答えをいたします。
  15. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問ございました通りに、本年度から、特別会計につきまして、交付公債制度を廃止いたしまして、約二百三億というものが現金納付されることになった次第でありまして、そのうち八割の百六十億円が地方債措置をいたすことになっております。その場合に、一つ問題は、地方債の充当をどうするかという問題、もう一つは、御質問にございましたように、現金納付財源をどういうふうに基準財政需要に見ていくかという、二つの問題があると思うのです。地方債の充当につきましては、ただいま自治庁と大蔵省の理財局との間で御相談されているようでありますが、財源の裕福ないわゆる財源超過団体等につきましては、ただいまのところ、全額現金納付をしていただく。むしろそれによって浮いた地方債は貧弱な県の方に回していただくという方向で御相談願っておるように聞いております。  それからもう一つの、現金納付分をどのように基準財政需要等に見込むかという点でございますが、これも別途交付税法の改正によりまして、各投資的経費の単位費用の算定におきまして、今回相当大幅に単位費用を引き上げまして、それによってそれが所要の財源措置をはかっていくということで、自治庁において目下案が策定されているように聞いております。
  16. 石川次夫

    石川委員 自治庁で非常にその点については熱心に考えておられるようですが、ただ、出た結果に対して、大蔵省としては相当考慮を払ってもらわなければならぬというふうに考えるわけです。  ただ、先ほど政務次官は、私がこの交付公債制度の廃止、今回のそれに対する対策というものに対して賛意を表したというふうにおっしゃっておるわけですが、私は進歩であると言いましたけれども、これに対して全面的に賛成しているわけではない。と申しますのは、これは言うまでもなく、結局起債という形になって元利償還しなければならぬというこの現実は、相当大きな問題として残されておるわけです。  ところで、私はこの件については疑問がある。私の地元の方の話をして非常に恐縮ですけれども、茨城県は一番交付公債の元利償還額が多いわけです。それは、どこで多いか。これは河川局の方がよく御承知でしょうけれども、利根川という一番大きな川の直轄工事の分担金という形でもって、一番多く交付公債というものを背負い込まされているわけです。ところで、茨城県独自の立場を申し上げて大へん恐縮ですが、利根川というのは、洪水になりました場合、茨城県の側の方が切れても、東京の方、天皇陛下の住んでおられる帝都を守るということで、東京の側にはなるべく水が行かないという形で、結果からいいますと、茨城県の犠牲においてあそこの治水というものがはかられたという過去の実績があるわけです。そういうことに対しまして、茨城県としては非常に不満を持っておるわけです。茨城県の犠牲でいつも東京を守っているわけです。ところが、それに対する工事を最近やっておりますけれども、それに対しては、利水というものを全然考えられないで、治水の面で直轄工事分担金がほかの県よりも非常に大きな比率でもって負担を強要されておる。こういう治水などというものは茨城県の責任で、茨城県の金をもってやらなければならぬ性質のものであるかということと、先ほど申し上げた今までのいきさつから考えて、これを茨城県が特に多く負担をするという必要が一体あるのかどうかという疑問を持っておるわけです。  こういうような利根川の、たとえば直轄工事による治水という問題を一つとらえてみても、これは、はたして地方でもって分担をすべき性質の作業であるかどうかという点について、非常に疑問を感じております。従って私は、こういうような疑問を、全国の知事会でも結論が出ましたように、こういう性質のものについては、交付公債にたよるべき作業のものについては、全額国庫でもって負担をすべきではないかという考え方を持っておるわけです。従って、この非常に進歩ではあったという点で、大蔵省の御理解ある態度には敬意を表しますけれども、私はこれでもって解決がはかられたとは毛頭考えておらない。交付公債というものの作業の持つ性質からいいまして、今一つあげましたような引例からいいましても、これはどうしても全額国庫負担ということで将来は解決のめどを持たなければ、ほんとうの解決というものではないというふうに考えておるわけです。  それから、こまかい話になりますけれども、こういうことと関連をして、過去に発行した交付公債にかかる利子というものは、全額これは免除すべきだというようなことも、知事会としては結論として要望をしておるわけであります。従って私は、どうしてもこの点の実現を見ない限りにおいては、交付公債が全面的に解決がはかられたというふうには考えられないわけですけれども、これに対する大蔵省の所見を伺いたいと思います。
  17. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 ただいまお述べになりました茨城県の御事情については、特に検討を要すべき問題があると思いますが、しかし直轄工事、直轄事業全体といたしまして全額国庫が負担して、いわゆる地方団体の負担をやめるということは、とうていできないと思っております。何と申しましても、受益者負担その他いろいろな事情もありますし、これはとうてい踏み切れない。茨城県等の場合においては、これを地元負担させるのは少し無理じゃないかということについては、検討すべきと思いますが、その点については主計官から御答弁をいたしたいと存じます。
  18. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいまの利根川の分担金に対しまして、各県の分担額の決定の方法がやや不合理な点があるのじゃないかというような御質問趣旨と伺いましたが、この点につきましては、むしろ大蔵省よりもあるいは建設省河川局長からお答えを願った方が適当と思いますが、私ども承知しております範囲で申し上げますと、こういった直轄分担金の各県にまたがる場合の方式というものは、従来からの一定の方式がございます。しかしながら、今御指摘の利根川の問題について申し上げてみますと、何分にも群馬県から埼玉、東京都、千葉、茨城、栃木というように非常にたくさんの県に関係をいたしますので、その分担のやり方について従来の方法が若干実情に合わなかった面もあったように伺っております。そういう点がございまして、三十二年にこの方法につきまして、いろいろの面から検討を加えまして、現在の分担金の算出方法といたしましては、堤防などによって防除される地域の資産額といいますか、資産の評価額といったようなものを基準にいたしまして、合理的にきめていくということにすでになっておりますので、現在の方法でやっていくということで支障はないのじゃないか、こういうふうに考えております。その他道路等に対しても同様な問題が若干ございますが、こういったものもだんだん研究は進んでおりますので、現在の分担金の按分方法は大体この形でやって合理的でよろしいのではないか、かように考えております。
  19. 石川次夫

    石川委員 茨城県の特殊事情を申し上げたので、今の答弁の筋が茨城県の負担率が不当に高いじゃないかということに関しての御答弁のような形になってしまいました。それも若干ありますが、そういう意味ではなくて、たとえば大きな川の治水というふうな問題は、地元の受益者負担というふうな考え方ではなくて、やはり国がやるべきだ、大きな河川の治水は。利水は違います。利水の問題については地元負担金という考え方も成り立ちますけれども、治水という関係になると、どうしても国がやるべき性質のものじゃないかというふうに考えておりますので、このことについても今後あらためてまたこちらから要望申し上げるときもあろうかと思いますけれども、一応今の御答弁だけは承知をいたしておきます。  とにかく、交付公債の面については非常な進歩ではあるけれども、建設工事をするという面からいきますと、現金納付が非常に渋滞をすることで作業が渋滞してしまうのじゃないかという点の懸念と、根本的には交付公債というものは全額国庫負担でやるという形でなければ最終的な解決策にはならないということだけを申し上げておきたいと思います。関連があるそうですから、そのあとで私の方も大蔵省関係は……。
  20. 山中吾郎

    山中(吾)委員 関連して。交付公債制度の廃止について大蔵政務次官主計官にお尋ねいたしますが、根本的に地方負担を廃止するという御意思はないのでございますか。
  21. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 今までの交付公債のことですか、今後の方針のことですか。
  22. 山中吾郎

    山中(吾)委員 直轄事業の地方負担金です。
  23. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 今後の負担金を廃止するかどうか、これは地方財政法にも規定してございまして、直轄事業についても国の負担区分と、それから地元の地方団体の負担区分というものが明確になっておりまして、全部これを国が持つということの考え方をしておりません。従って、地方の負担を全廃するという考えは持っておりません。
  24. 山中吾郎

    山中(吾)委員 現行法の仕組みを私はお聞きしておるのではなしに、思想をお聞きしておるのです。従って、不合理であってそれを改正すべきであるのじゃないかという大蔵省のお考えなのか、当然地方が負担すべきものであるから負担させておるのか、どちらであるか、お聞きしておるわけです。
  25. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 これはなかなか大きな問題で、むしろ大蔵大臣からお聞きいただきたいと思うのでありますが、私の個人的な考えで申し上げますと、地方と国との仕事の区分というものからいたしまして、国だけで直轄を全部やる、それじゃ今度は直轄以外の補助事業、市町村道あるいは府県道、これは補助事業でいく、そうすると、また補助事業の方もだんだん国の責任を重くしていくということになりますと、国の財政だけに重みがかかり過ぎるというふうに考えます。また、やはりその地方々々でそういう直轄事業における受益があります。河川などによっても、それが改修されればまた新たにその付近の地価も上がるとか、あるいは新たに便益を得られるという意味において、受益者の負担ということもある程度はなければならぬ、かように思いますので、私はただいまのお説には賛成はできません。
  26. 山中吾郎

    山中(吾)委員 直轄事業ですから、当然国の責任において事業をするという思想が根本にあって、直轄事業という思想があると思うのです。補助事業は補助ですから、地方の負担があるのは当然でありますが、従って、筋は通らないのだけれども、一応財政上困難のためにまだ筋を通すところまでいっていないので、やむを得ず必要悪として地方負担金を出しているんだという大蔵次官の答弁が当然出てくるんだと私は予想したのですが、そうでないようでありますけれども、私はそうは思わないのです。  そういうことを前提といたしますと、いろいろ矛盾が出ておると私は思うのですが、国土保全予算という国家の予算の性格をはなやかに出してきておる現在のあり方の中に、同じ直轄事業であっても、道路の場合における直轄事業は地方に対して四分の三の負担になる、それから河川関係は三分の二である。海岸関係の直轄事業負担は二分の一である。こういうふうな三つの筋の通らない負担金に対する差別待遇、こういう理まはどうして説明できるのですか。
  27. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御承知通り公共事業の国と地方との負担率は、それぞれ相当長い歴史にわたるいきさつというものがございます。今例におあげになりました国土保全関係の、たとえば河川改修事業あるいは砂防治山の事業といったものにつきましては、直轄事業を実施いたします場合の国の負担率は三分の二と規定いたしてございます。それから道路におきましても、直轄事業を実施いたしました場合、一級国道の場合の負担率は三分の二に相なっておりますが、この方は御承知通り、三十四年に非常に大きな道路計画をきめます際に、ガソリン税の増徴とあわせまして国の負担率を四分の三に特に引き上げられております。それから、海岸は二分の一ということになっております。  この違いは何かということになりますと、これはなかなか簡単に割り切った説明というのはむずかしいと思いますが、私が考えております点を申し上げてみますと、大体河川改修とか道路事業につきまして直轄事業をどういう場合に実施するかと申しますと、これは御承知通りで、非常に大規模な工事や、あるいはその工事が技術的に非常に困難であるというような、特に重要な事業を実施するということになっております。従いまして、こういった事業が実際に取り上げられるにあたりましても、数府県にまたがる事業であるとか、そういったものが実際に取り上げられておるわけであります。こういうものでありますから、その属地的な利益と申しますか、地元に対する利益という関係から見ますと、直轄事業で実施いたしますものは比較的属地性が少ない、こういうような関係にあるかと思います。そういう点を考慮したことと思いますが、一般の補助事業に比べて一段高い負担率がきめられておる、こういうふうになっております。  では、海岸の場合は一体どうなるかということになりますが、海岸は御承知通り、非常に大きな事業といいましても、その事業を実施いたします場所、またその受益との関係を見ますと、やはり地先々々の事業ということが主体でございますので、そういった点もありまして、海岸法制定の際の問題として、直轄事業と補助事業負担率を同一にしてあるというのが、あの当時の実情でございます。この問題につきまして、最近、もう少し再検討すべきではないかという御議論のあることも、私ども承知しております。また最近、海岸の非常に大きな事業をやらなければならぬような事態もございますので、そういう点も相当考慮しなければならぬかと考えておりますが、一応今までの考え方としてはそういった姿できまっておるわけでございます。  道路につきましては、御承知通り、昨年度道路整備五カ年計画が決定されるにあたりまして、非常に大きな事業量の増加をいたしたわけでございます。これはガソリン税の増税ということが片やありまして、国の財源を相当大きくふやすということと相関連いたしまして、大体五割に近い国庫予算増額をいたしました。そういった非常に大きな規模の増額でございますので、この分について従来通りの通常の国庫負担率でいくということは、非常に急激に地方負担をふやすことになるので不適当であろうという問題がございまして、臨時の措置として五カ年計画完成までの間上げるということが行なわれておるわけでございまして、原則はやはり河川その他と全く同様の規定になっておるわけでございます。  現在の各事業間のこういった負担率の調整が全然不必要であるかどうかということになりますと、これはなかなかそういった断言はできないと思いますが、何分にも、それぞれ相当長い歴史を持っております負担率のことでございますので、これを調整するということになりますと、これは大へんな準備を必要とするわけでございますし、現在の姿でも大体において合理的な線がきめられておる、こういうふうに考えておりますので、現在の姿でやっていくということでそう支障はないのではないかと考えておる次第でございます。
  28. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今の主計官お話考え方大蔵省の全体の思想であるとすれば、それはまことに便宜主義で、そして一つの偏見があると思うのです。そういうことで査定をされるのでは、日本の現在の政治というものに対して、私は非常に曲った査定をしておるように思う。何となれば、現在の治山治水の立場というのは、国土保全、人命保護の、あの伊勢湾台風の悲惨なる姿の中から、国の責任において処理するというような思想の上に立ってきておるので、そこからいうと、海岸関係は四分の三、それからほんとうに人命保護の関係からいけば河川関係は三分の二、道路は、自動車使用者からガソリン税というふうな税金をとって利益を得るので、二分の一でいいとかいうふうなことならば——あなたのおっしゃることは全然反対なんで、そういう思想のもとに四分の三、三分の二、二分の一という補助金は、全然逆な考えのように私は思うのです。今、次官にお聞きしておるときに、あなたが特に発言をされたのですけれども、そういう査定というものが大蔵省の最初の査定に出てくるものだから、日本政治にヒューマニズムが一つも出てこない。あなた方が政治思想の進歩を阻止しておるような感じがするのですが、財政関係でやむを得ない、ある程度地方負担をかけるという場合のかけ方の中に、私は根本のものの考え方に間違ったものがあると思うのですが、いま一度あなたの思想を聞きたいと思います。
  29. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいまのお話でございますと、実は現在までやってきております河川あるいは海岸、道路といったものの負担率が、いってみれば考え方として逆転しておるというふうなお話でございますが、私どもは必ずしもそういうふうには考えておりません。といいますのは、もちろん事業負担の問題でございますから、その事業がどれだけ国の責任においてやるべきかということは、非常に重要な問題でございます。法律上、それぞれ直轄の事業として実施しようということを規定しておりますので、そういったものにつきましては、すべて国が直轄の事業として関与しなければならぬということにおいてこういった事業が取り上げられておるわけでございますから、その点において、さしたる甲乙はないのではないかと考えるわけでございます。  むしろ問題としましては、国の実施します事業でありますが、その事業の受益と申しますか、あるいは属地的受益と申しますか、その地方公共団体が直接受ける利益は一体どの程度であるかといった問題が、一つの大きな要素ではないか。もちろんこの事業は国と地方が負担するわけでございますから、その負担能力という問題がまた非常に重要でございます。根本的な制度としてきめられておる点は、私はそういった属地的な受益という問題が主体となって、こういった事業別の負担率がきめられておる、こういうふうに考えております。  先ほど申しました道路の問題は、これはむしろ第二の問題でございまして、急激に増額するという際の臨時の措置。これは問題としてはちょっと違うかと思いますが、そういうものも、もちろん考えなければならない。便宜主義というお言葉もございましたが、こういった工合に、一つ事業を国が非常に重点を置いて、ある期間集中的に実施しようといったようなことをいたします場合に、その負担が地方において合理的に持ち得るかということは、これは重要な問題として配慮しなければならぬと思います。そういう点が道路の場合に考慮せられまして臨時特例法が行なわれておるのでございまして、これはこれで合理的ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  30. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 決して御議論申し上げるつもりはありませんが、大蔵省考えをちょっとつけ加えて申し上げて、御理解をいただきたいのです。  政治にヒューマニズムを盛らねばいかぬということには、私は全く同感でありますが、大蔵省としての基本的な考えは、通貨の安定、すなわちインフレを起こさぬ、これが政治のヒューマニズムの根底である。つまりインフレになると、勤労者の方々がせっかく一定の賃金を受け取っておっても、インフレによって実質賃金が下がっていく。あるいは貯蓄をした人がばかを見るということで、大衆が一番ばかを見る。従って、通貨の安定、通貨の安定は財政の健全ということから、なかなか皆さんの御要望に沿いがたい渋いことばかり申し上げますが、それが一番のヒューマニズムである、かように私は確信をしておるので、どうぞ御了解を願いたいと思います。
  31. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その思想からいえば、合理的な率を得ることが結論であって、私は予算ワクを多くふやすということがヒューマニズムとは思っておりません。景気の変動を押えること、安定的経済発展ということは、確かに御説の通りでありますが、予算の編成の中において与えられた国家財源の中において処理するという問題、それで私は論議しておる。  そこで、今の宮崎さんのお話、受益者負担と言いましたが、道路が一番受益者負担が多いでしょう。そうすると、補助率は、国の負担は少なくして地方から多くとっていく。治水とか海岸なんというものは、りっぱに作っても、そこで商売が繁栄するはずもないのだから、それは国がほとんど持ってやらなければならない。あなたの論理は合わないですよ。財政的にしはつていくということは、あなたの責任だからわかるが、従って、しぼり方は便宜主義でなくて、公正でなければならない。今までの長年の大蔵省の査定の思想が、金科玉条、絶対に間違いないという確信をお捨てにならぬといけないと思う。その意味において、今のお話は矛盾だらけだと思う。受益者負担からいえば、順序は逆なんです。国土保全という立場からいっても順序は逆なんで、少なくとも四分の三全部出すというなら理屈は合う。ことに五カ年計画で、自民党の方でも大いに国土保全について努力をされて、治水、治山、海岸、一貫作業でという、なかなかまだいっておりませんけれども。ところが、単なる補助率の関係でも三通りある。それが一つの国土保全の予算の中に入り込んでいるというふうな矛盾は解決しなければならない。そのときにあなたの考え方、今のように受益者負担からいったら当然だ。しかし私は、受益者が負担すれば逆なんで、道路が一番多いから道路は地方負担が多くていいということになると思いますし、その点は私はもうぼちぼち大蔵省も、国の予算の性格がだんだん変わってきておるのですから、査定する人々も思想、お考えを変えないと、私は、ある意味においては政治のブレーキをかける役割しか果さなくなるんじゃないか。事務的に処理をするという事務的良心が歴史の発展にプラスになるかならぬかということを考えなくても、一応事務的良心は満足できると思いますけれども、それだけでは解決しない問題があるから国会において論議をしておるのでありまして、今お話しになっておるお考えについては、それが自分が真理だとお考えになればそれは検討すべきである。次官もお聞きになっておりますが、主計官と私の論議はどっちが筋が通っておると思いますか。
  32. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 お答え申し上げます。どちらも筋が通っておると思いますが、いわゆる実態に沿わないやり方も、それは中にはあろうと思います。それを改めていくのが大臣であり、政務次官でありますので、御趣旨を体して、誤った、あるいはまずい点があれば、今後改めて参りたいと存じます。
  33. 山中吾郎

    山中(吾)委員 もう終わりますけれども、大臣にもよく話をしていただいて、ただ主計官のおっしゃることが、やはりこれは専門家の言うことで正しいのであって、そういう先入主で大蔵大臣も次官も査定を、その上に乗っかっておるというようなことではいけないと思うのです。そしてお互いに切礎琢磨し、ときには——やはり主計官には専門的な深さはあっても、広さはないと思うのです。その点において私は、政治的な大所高所から、やはり指導性を持って進むべきである。あなたのおっしゃる意味のヒューマニズムも、私はそこからほんとうに出てくるのだと思うので、私と主計官の論議はむだにされちゃ困る。それを申し上げて関連質問を終わります。
  34. 羽田武嗣郎

  35. 徳安實藏

    徳安委員 奥村政務次官にちょっと伺いたいのであります。私の申し上げることは、野人でありますからときどきかどの立ったことは言いますけれども、決して腹が悪いわけじゃありませんから、そういう気持でなしに、ほんとうに国を憂え、また善政をしこうというわが党の大きな精神から、どうすれば善政がしけるか、どうすれば行政が円満にいくかという立場から申し上げるのでありますから、政務次官もあまり四角張らずに、また大蔵省の役人だからというような考えでなしに、ときによりましては私どもと志を同じくする政党の先輩でもあり、同志であるという立場から、ざっくばらんにお話しをいただきたいと思うのです。  私は、本日申し上げることは古証文みたいなことで、まことに言いにくいんですけれども、しかし、古証文もあまり火事の大きくならないうちに、小さいうちに消しとめた方がいいと思いますから、古証文回収の意味で、あの特別会計のことを一つだけ申し上げてみたいと思います。  昨年の十月十五日ごろでありましたか、本委員会におきまして公に取り上げられまして、石原主計局長から答弁書が参りました。この答弁書によりますと、大蔵省は賛成しがたいという回答がございましたので、これに対して政務次官に御質問いたしたのでありますが、その当時の御答弁は石原主計局長のお話を敷衍したようなお話でございました。しかし、私どもはすでにこの問題は、岸総理自身がたとい公の立場お話しになっていないといたしましても、党内におきましては相当に、何年来の問題であり、三十四年度予算決定のときにも問題になりまして、そうして総理みずから必ず来年はやるのだというような内々のお話も承っておった問題でありますから、私は慎重に大蔵省で取り扱ってほしかったと思います。ところが偶然にも、賛成いたしかねるという書類が参りましたので、私はがく然としたのです。その当時政務次官にもお尋ねしたのですが、これは実際省議で決定してこういう回答になったのか。それは一主計局長がここに来られて、とっさの間に私が質問して、とっさに回答されたということであればあるいは言い違いがあったということがあるかもしれません。しかし、書面で回答を求めて、その書面による正式の回答にこういうはっきりした文字が出てくることになりますと、私どもとしてはほんとうに心外なのでありまして、これはほんとうに省議でおきめになってこういう回答があったかどうかということを御質問したいのでありますが、そこまではまだ決定していないようなお話でございましたけれども、しかし結果におきましては御承知のように特別会計ができたわけであります。主計局長は賛成しかねる、しないと、はっきりした答弁をされている。しかし、事実はできた。こういう点につきまして、私はどうも大蔵省の役人は独善的な考えがあるのではないかと思うのです。私は本来なら主計局長に来てもらい、大臣にも来てもらって、そうしていきさつについて、もう少し追及したいと思いますけれども、今申し上げた通りに、あまり火事を大きくしない方がいいから、もうすでに振り出した手形でありますから、これを回収するためには一応ここで最後のめどをつけておきたいと思います。主計局長は、あるいはまた大蔵省のこれに関係する役人の諸君は、多少でもああいう回答はまずかったという反省の気分ぐらいはあるのでしょうか。一つこれはざっくばらんにお聞きしたいと思います。ああいうことを言ったけれども、あれは政党がきめたので、おれは知らないのだというような、相変わらずのごう然たる態度であるのか。あるいは、やはりこれは私が少し軽はずみだったな、今後は気をつけなければならぬというような気持があるのだか、一つその間の政務次官のお考えを承りたいと思います。
  36. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 去年の十月ごろでは主計局長としては、はっきりしたもの言いはできない状態でありましたけれども、それを当委員会が早く言え早く言えと言うので相当強く責められた。主計局長の立場とすれば、その当時は、それは賛成はいたしかねる——それは議論としては、やはり賛成と反対とがあって議論が成り立つのですから、政府部内で、あるいはまた大蔵省内でいろいろ議論を尽くさなければならぬ。こういう立場から主計局長がああいう発言をしたことは、これは私はやむを得ないことだと存じます。しかも皆さんの御意見、御要望の通り、りっぱに特別会計ができることになって、法案も提案されておるのですから、そこまで御追及にならずに、できたものをりっぱに育てるということに一つお話を進めていただきたいと思います。
  37. 徳安實藏

    徳安委員 それは確かに政務次官という立場から言えば、そういう議論も立つかもしれません。しかし、私はそのときにも申し上げたように、この問題は偶然に起きた問題ではない。すでに数回閣議にもかけられ、しかもその当時の総理は今の総理と同じ継続であります。しかもこの問題に対しては閣僚懇談会もできまして、そうしてその線に沿っていこうというような気持でお互いに了解し合っておる問題であったのは、わが党の幹部の方はほとんど承知しておられると思うのです。ですから、こういう回答をなさるのなら、研究しておるとか、あるいは多少そこにゆとりのある御回答をなさることが、私は四囲の情勢から考えて、あたりまえだと思うのです。こうはっきり、ありませんと言い切られるような答弁をなさるということについては、どうも、私は大蔵省の役人に対して尊敬はしておりますけれども、いかにも政党を見くびったような、あるいは政府そのものをほんとうにないがしろにしたようなお考えではないかというように考えるのです。これはどうですか。この問題がそのときに起きたのなら別ですよ。しかし、これは前内閣のときに何べんも論議せられ、予算編成のときにはほんとうに大きな暗礁に乗り上げて、ここにおられる先輩の諸君も心配して、そうして総理もお話し下さり、大蔵大臣もお話し下さって、そうしてお互いに調整を保つために一年待とうじゃないかというようなことまで話がつき、来年は必ず何とかするよというようなことが、大体党の最高幹部、総理を初めとして、そういう話がすでに起きておることがわかっておる問題を、はっきりもうやらないのだというような、断定するような御回答をなさるというようなことは、一主計局長として、私はまことに僣越しごくであり、党を無視するやり方であり、私はほんとうに大蔵大臣も総理大臣もこれに対しては怒られなくちゃならぬのじゃないかというように思うのです。どうぞ一つその点について、もう少し衣を着ずに、ざっくばらんのお話一つ伺いたいと思います。
  38. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 しかしこれは、あのときの事情徳安委員もよく御承知通り、主計局長のお答え以後におきましても、閣議においてもなかなか具体的にはきまり得なかった。御承知通り、大蔵大臣としても、かりに特別会計を作るにしても、一体どういう規模で、どういう中身を持ってというその規模と中身がわからぬことには、おいそれと大蔵大臣として賛成できぬと言われて、予算編成の、予算案のまとまるほとんどどたんばまで話が詰まらなんだ。大蔵大臣がそういうお気持であったのですから、いわんや主計局長が事務当局の立場として、それは賛成できますというようなことは軽々に言うべきものではないので、それは一つ主計局長の立場も御了察を願いたいと思います。
  39. 徳安實藏

    徳安委員 それは賛成しかねると——賛成すると言ってくれなくてもいいのです。——賛成せぬと、はっきり言われることがまずいと私は思うのです。これは党内のことをこの際あれこれ言ってはいけませんから、私は言いません。言いませんけれども、決定するまでにはいきさつがある。少なくとも、あの特別会計はもうほとんど党の一致した意見であることは、一、二の方は別といたしまして、ほとんど大勢はきまっておった問題でありまして、偶然起きたことではない。二年も前に起き、もう三年もすでにもんでもまれたものでありますから、大蔵大臣は大蔵大臣という立場からいって、やはり外部的な問題もありますから、あるいは党内調整なり、あるいは政治の行き方についていろいろな関係もあって軽率なことは言えないから、いろいろ腹の中でお苦しみになったと思うのです。私どもはそれをよく知っております。知っておりますが、しかし、少なくともそういう大きな閣議の問題になって、大体そういう見当がついておるような問題については、あんまりああいうはっきりした公文書で、やらぬということを言い切るような答弁をなさることは、これはどう考えたって、私どもはほんとうに侮辱されたような、その当時の責任者の一人といたしましても非常に不愉快に思うのであります。ですから、そうした点について、あたりまえなんだとおっしゃるならそれでけっこうですが、私はあたりまえでは済まぬじゃないか。もう少し謙虚な気持で御答弁願って、そしてその当時の諸君も、少し言い過ぎしたり勘違いもしておったというくらいな腹があっていいんじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  40. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 徳安委員のお説の通り、これは古証文じゃがという冒頭のお話で、その古証文にはすでにこの国会でりっぱにもう御返済ができておるのですから、これ以上の追及は一つごかんべん願いたいと思います。
  41. 徳安實藏

    徳安委員 いや、それは追及というわけじゃないのですよ。ただ、大蔵政務次官として、当時の答弁にも立っておいでになっておりましたから、いい機会だから、あまり大きくならぬうちに、この古証文はどうするのだ、いつ回収するのだという説もちょいちょいあるから、こういうふうにあまりたくさん見えてないときに回収してしまった方が、小さいうちに回収してしまった方がためだと思ったから、回収して、かつての速記はこれで消えてしまうようにしたいから申し上げておるわけです。この問題に対しては、やはり大蔵省も謙虚な気分で御答弁いただいた方がいいと思うのです。これはそれ以上追及してもしようがありませんから、言いますまい。  次に、河川に対する災害でございますが、もちろんこれは政府の責任でもあるものもたくさんございましょうけれども、やはり地方々々に参りますと、いろいろぐちを言うわけであります。ということは、大蔵省が一文惜しみの百文知らずという態度であって、こういう災害が起きたというようなこともちょいちょい聞きます。これはひとり大蔵省ばかりの責任ではない、政府の責任だと思いますけれども、済んだことは仕方がありませんが、どうもこのごろ、こうした問題に対する発言権が大蔵省に強過ぎて困るということはどこでも言うのです。かつては査定も——どもも深い、昔のことは知らないのですが、前はやはり災害関係の主管省のみがみずから査定に出ておったそうであります。何か二十五年ごろですか、後でしたか、大蔵省も査定にも立ち会う。これはほんとうに、立ち会うのも強い意味の立ち会いではなかったそうでありますけれども、だんだん立ち会いがきびしくなってきて、主導権が、ものによってはむしろ大蔵省にあるというような形——それは、悪いことをしてはいけませんし、査定にもあまり手心を加えるようなことがあってはいけませんから、これに対して大蔵省が峻厳な態度で臨むことはけっこうだと思いますけれども、主客転倒のような行き方に対する批判を今後継続して受けるというようなことは、私は大蔵省のためによくないと思うのであります。こういう点につきまして、大蔵政務次官はどうお考えになりますか。
  42. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 お説のような声も、私どもも間々承るのであります。しかし御承知通り予算案は一たん大蔵省で大蔵原案を作りますが、最終的には閣議できめるということでありますから、大蔵省の省議で予算案を作るとか、あるいは閣議で最終案を作るとかいう際に、そういう御意見、御要望の声は十分盛り込み得るのであって、それに大蔵省の役人も従う、また当然従っております。だから、そういう御要望を十分盛れないということであるならば、それは政府並びに政府の閣僚、またそれを補佐する私ども政務次官の力の足らざるところでありまして、御趣旨を十分体して今後やらしていただきます。
  43. 徳安實藏

    徳安委員 下の方の声を上に持ってきて、政務次官や大臣に、下はこう言いますがいかがですかと言うのではないのです。私どもの聞いておるところは、むしろ大臣や政務次官の親心があっても、下の方はこれを知らずに、何でもかんでも財布を締めることばかり考える。無用な摩擦を考える。——考えられるわけではないでしょうが、そういう締め方をされる。けちをつけるとか、あるいはいやな顔をするとか、一ぺんごきげんを損じたら最後、なかなかそのごきげんが直らない。そのときはようやくそのとりなしをしても、次にかたきをとられるというようなことを、これはひとり一役所ばかりではない、各役所の諸君に聞きましても、また地方の役所に聞きましても、みんなそう言うのです。私どもは、そんなわからぬことを大蔵省が言うはずはないから、私どもが出張っていって一つ話してやる。もし聞かなければ政務次官にも話しましょうと言うと、それはやめてくれ。そのことはそれで済むかもしれぬけれども、話はあなたの言う通りになるかもしれぬが、あとのことでかたきをとられては困るから、どうかこれはやめてくれと言って、その役所でも、あるいは地方官庁でも、そういうことを言う場合が多いのであります。私は、こういうことは大蔵省としてあまりいい行き方でないと思いますから、甘くてはいけないけれども、やはり喜ばれる役所になることが私は必要だと思うのであります。そうして、ほんとうに善政をたたえられるような役所になっていただくことが妥当なんで、こういう点につきましては、やはり大臣、政務次官がにらみをきかしていただいて、そうしてほんとうの民意のあるところをくんで——だらしのないことではいけない。締めるべきは締めなければいけないけれども、いたずらに、先ほど申したように主客転倒で、むしろ農林省や建設省の役人は遠慮して、大蔵省の役人の方が采配を振るというような考え方が、かりに少しでもあるとすれば、いいことでないと思いますから、一つ特に改めていただきたいと思う次第であります。  それから、いよいよ災害復旧がどんどん進むわけでありますが、この工事の施行にあたりましても、やはり大蔵省が進んで協力するという態度でありませんと、これは各省の役人が非常に労力を浪費するばかりではなしに、仕事の進行がおくれるわけであります。こういうことは少し目を通していただけばわかると思いますが、各官庁、政府内の役所におきましても、困っている場合が相当あると思います。今の組織なり、やり方がいいか悪いかということにつきましては、今後一つ研究して、改むべきは改めなければならぬと思いますが、しかし、即座にそういうことができるわけでもございませんので、災害復旧につきましては、一日も早く復旧せねばならないし、大蔵大臣も被害たんぼのごときは、いつまでには必ず直させるというような話をしばしばお話しになっておるし、それに対するやはり河川、道路等の関係もございますから、すべてをあげて復旧改良に対しては協力的な態度で、むしろ大蔵省は、しりをたたいて下さるというような立場になっていただきたい。従って、そういう工合に政務次官から一つぜひ督励をしていただきたいと思うのであります。  ここに見えておる宮崎さんみたいなりっぱな主計官がおりますと、どこの役所でも非常に喜んでいるようですし、地方でも、私どもは親しみ深くお話ができますが、たくさんの中には必ずしもそうでない人もおるようです。ずいぶん私も批判を受けますが、もちろんこれは批判する方が悪いかもしれませんけれども、もう少し、大蔵省の役人だからといって特別な優越感を持って臨むというような形でなしに——それは確かにりっぱな頭の持ち主ばかりだと思いますけれども、やはりお互いに役人同士でありますから、もう少し謙虚な気持で、親しみを持って、そうしてみんなとつき合ってやる。そうして、言うことは十分聞いてやって、悪いことは改める、いいことはとってやるというような工合に、親しみのある政治、潤いのある政治というものを大蔵省の役人に望んでいきたい。ほかの役所はだいぶこのごろ民主化されたようでありますけれども、やはり大蔵省には優秀な諸君が陣取っておって、われこそ天下の役人だ、天下の秀才は大蔵省に集まっているのだというような御気分も強いようですし、なかなか頭のいい人もずいぶんいるようでありますが、しかし、そういったようにあまり気位を高くしますと、ほかの方が気おくれしてしまって、いいことができない。仕事が結局おくれてしまうということになりますから、幸い大臣もりっぱな方だし、政務次官もりっぱですから、ぜひ一つそういうことがないように御協力をいただきたいものだと思うのであります。これは希望しておきます。  次に、道路五カ年計画のことについて、先ほどちょっと政務次官からお話がございましたから、私からちょっと伺いたいと思います。道路自動車用の道路じゃない。国の道路であり、府県の道路であり、町村の道路であります。それをあげてガソリン税に依存するというようなことは、私どもはどう考えても、これは与党の私でもふに落ちないのです。ですから、しばしばこの点について論議をいたしておるのでありますが、しかし、何しろ道路を一番こわすのは自動車ですから、自動車会社から、あるいは自動車経営者からできるだけ税金を取り立てて直すというのは、これは私はあたりまえだと思います。私はかつて運輸関係に強い関係もございましたので、その方も十分理解をしておるつもりですが、運輸省関係の諸君からすると、非常にこれは非難しておりますけれども、実際道路行政というものに携わってみますと、私はもっと値上げしてもいいのだというくらいに考えるのです。そうして早く道路を直してやって、自動車の耐久年数あたりもずっと年数をふやしてやるというような行き方にしますれば、結論においては自動車を持っておる者ももうかるのだ。また、国もそうすることがいいのだと思います。私はガソリン税を値上げすることについては、率先賛成しておるのであります。しかし、その反面において、一体国が国道であるものを一文も金を出さずにおいて、そうしてガソリン税だけでやっていくというような考え方というものは、間違っておりはせぬか。また自動車経営しておる諸君も、しばしば、私どもにも陳情され、また会等もありますが、決して出さぬとは言わぬのです。出します。しかし国も応分出すべきである。私どもの犠牲だけでやるということはおかしいじゃないか。私どもも出すから国も出しなさい、こういうことをしばしば叫んでおられる。私どももかつて、この前の値上げのときにも、国も出すからあなた方も応ずべきだということで、説得して、この諸君も快く応じたのでありますが、今回また値上げをやっておる。しかるに、国の一般会計からはなるべく出さぬように出さぬようにというような考え方で、出さぬというよりは、むしろないから出さぬのかもしれぬけれども、今のような考え方は、与野党を問わず、どうも今ガソリン税だけに依存するという考え方は、国民全部が納得しないのじゃないか。もう少し一般会計から入れるべきだ。しかも、本年度予算のごときにおきましても、やむなく私どもはこれに同意し、賛成しておりますけれども、相当金額を違った方に持っていっておる。それは目的は同じでありましても、違った方に持っていくなんというようなやり方については、どうしても私は納得ができない。ただ、やむなく賛成はいたしました。今日も賛成はしておりますが、何かこういう点につきまして大蔵政務次官が御研究いただきまして、だれもが納得するような道路行政一つ考えていただきたい。特に先ほどお話もございました五カ年計画も、そうむやみに改定すべきではないと思います。ないと思いますけれどもガソリン税等が相当増収になり、しかも道路改良というものが非常に国民的な世論になっております今日においては、もう一ぺん考え直して、五カ年計画——かつて私が政務次官のときにも、八千億円でありましたものを一兆億円に、二千億円上げました。ですから、必ずしもこれは法律であるから、あるいは閣議で決定した国策の基本であるからといっても、時の流れによりましてはこれを改変しても決して差しつかえないと思うのであります。もうすでにこの問題は、おそらく与野党を問わず、国民全部が適当な機会に、もう一ぺん考え直すべきではないかという機運に私はきておるように思うのであります。そういうときに、大蔵省は相変わらず金を出すことを惜しんで、そうして、あくまでもこのワクのみに拘束されてがんばられるというようなことになりますと、これはやっぱり大蔵省を捨てていくというような形になって、また、やらぬやらぬといっておったものを、結局最後にはやらざるを得ない結果になる。決して善政じゃないと思います。大蔵省のためにならないと思います。さっきインフレ、インフレとおっしゃいましたけれども、百億や二百億かりに特別な措置が講ぜられたといっても、日本がつぶれるほどインフレになるというようなことは、これはどこから出る声か知りませんけれども、私どもには考えられないのであります。これはほんとうに国の強い要請であり、国民一般が望むところである。しかも、これによってどのくらい国が助かるか、こうした経済効果等をお考え下さるならば、ただ財布の中にある金だけでまかなう以外には、一文も多く出してインフレになるのはいけないのだというような型の古い考えではなしに、やはり五カ年間に倍増するというような、一時から考えるととっぴな考え方も、今日では正当化されて、みんなから信じられておるような時代でありますから、こうしたような問題については、もう少し視野を広くされて、そうして、ただ税収入というものにだけこだわらないで、もっと日本をどうするかというような問題からお考え置きをいただきたいと思いますが、政務次官の率置な御意見を伺いたい。大蔵省の役人に押されずに、政務次官や大臣が押し返して、こうするんだ、この方向に進んでこいという工合にやっていただけば、われわれも一生懸命になってあとをついて行きます。大蔵省の役人の方々に押されて、代弁みたいなことを聞くと、私どもも、ちょっとむかむかっとすることもありますから、一つの大きな方針をきめて、その方針に従って、大臣と政務次官大蔵省方々をその方に向けて強力に進んでいっていただくというようなお気持を伺いたいと思うのであります。
  44. 井原岸高

    ○井原委員 関連して、政務次官に……。新聞等で見ますと、自動車工業が本年度計画しておりまする生産量というものは、昨年に倍するような計画が出ておるわけでございます。それから、昭和三十三年と三十四年との事故の統計を見ましても、東京都だけで——あれだけ殺人行為とか火災で人が死んだとかいっても、それは百何十人程度でございますけれども——こうしてわれわれが話しているうちにも、一日に二人半、一カ年八百人の死者を出しておるわけでございます。また、今日トラックや乗用車も次第に小型になり、今年からは非常に安い国民車も出るようでございますが、一方また大型がだんだんとふえて参りまして、地方等においては、それが通ることによって自転車が走ることもできない、通行人も危険を感じるというような状況でございます。そういうふうに自動車の生産量あるいは事故の状況から見ましても、今の年次計画ではおそらく間に合わないのじゃないか。これは予算があるとかないとかいう問題も大事なことではございますが、年間に何千人という人が死んだり、そういう事故を起こしておるというこの現実に対して、われわれは目をおおうわけにはいかないのじゃないか、というようなことを十二分に御検討いただきまして、そういう立場からも年次計画を変えるように、今、徳安先生の言われたように私もお願いいたしたいのでございます。
  45. 奧村又十郎

    奧村(又)政府委員 両委員から、特に道路整備五カ年計画にこだわらずに、もっと道路交通需要の拡大に即応するように積極的にやれという御意見でございます。私もその点は全く賛成であります。  御承知通り、これは釈迦に説法ですが、ドイツやフランスあたりでは、鉄道よりも道路輸送の方にどんどん重点がかかってきておるということを、私も現実に行って見ております。ドイツのアウトバーン道路などを見ますと、鉄道よりも、むしろトラック輸送ということに重点を置かなければいかぬと思いますが、それからいたしますと、ことしの国鉄の建設予算が約一千億、それに今度世銀借款で大阪—東京間弾丸鉄道が敷設されると、約二百億くらい使いますか。そういうことと比較いたしますと、道路整備というものはもっと急速に力を入れにやならぬ、こういうように——これはしかし、政務次官個人の考えですから、別に当委員会にお上手を言うつもりではありません。信念として考えております。  しかし一方、これは徳安委員の前段の御質問に対するお答えにもなるのですが、大蔵省立場についてもいささか御同情を賜わりたいと思いますのは、昨年の予算編成でも、当初各省から大蔵省に対して要求された額が二兆数千億、それで、健全財政ワクで一応まとめたのが一兆五千六百数十億、といたしますと、各省要求の約半分に削ったのです。各省が大蔵省に対して、ともかくみな、どないかして少しでもよけい予算をとろう。これは当然なことだと思うのですが、それを一定のワク内におさめて健全財政を堅持するのが大蔵省の役目です。私も政務次官として今度初めて予算編成に携わってみまして、大蔵省へふとんを持ち込んで、寝ずの番でがんばったつもりですが、各省と国会側からも、さあこの金出せ、あの金を出せ、ともかく出せ出せばかりで、これを控えろと言って大蔵省を応援して下さる勢力というのはまことに少ない。そうすると、大蔵大臣と政務次官だけが大蔵省をバックアップするということでありますので、心ならずも主計官はつい、すげないことも言わざるを得ぬということでありますから、一ぺん徳安委員も大蔵大臣か政務次官におなりいただいて、ほんとうに大蔵省の苦労のほどもお察しを願いたいと存ずる次第であります。
  46. 徳安實藏

    徳安委員 ただいま御答弁をいただきまして、私も決してただいまの御答弁の言質をとって将来どうこうということは考えておりません。お互いに政治家の立場から御意見を伺ったわけでありますから、決してそういうけちな考えを持っておりませんが、井原委員からもお話がございましたように、道路関係は、このままで放っておきますと麻痺状態になります。すでに東京都内はそうでありますし、また、主要都市と主要都市との関係についても、将来鉄道以上に道路が利用されることはあたりまえである。これは世界的な現象でありまして、ひとり日本だけの現象ではない。こういう点を考えてみますと、お話のように、国鉄には一千億以上も投ずる。ああいうスピードの早い鉄道を建設することも必要でありましょう。しかし、あの一千億は日本全国の国道や地方道を直す金と同じである。一方は東京から神戸あるいは大阪までの間に一千億入れるので、これを比較してみますと、いかにも道路というものは貧弱に見えてしょうがない。ですから、そういう点につきまして——もちろん先ほどのお話を聞きましても、各役所が予算ぶん取りに一生懸命になったということも無理はないと思いますけれども、そこは一つ、目のある大臣、政務次官考え方で、大したものでないものは、そういう問題については、ものによっては断固として切ってもよいと思いますけれども道路関係のごときは、これはだれが見たってあたりまえのことだ、もっと何とかせんならぬという気持は。ですから、重点的に取り上げていただいて、今申し上げたような点についてよく考慮願いたい。そういう問題はもちろん閣内にも起きましょうし、党内にも起きましょう。あるいは野党の諸君からもそういう話が出ると思います。この道路行政につきましては、従来のような一兆円というワクにいつまでもこだわらずに、進んでこれを改定するというような気分になっていただいて、大蔵省をリードしていただくようにお願いしまして、私の質問を打ち切ります。
  47. 石川次夫

    石川委員 二つ三つあるのですが、最後に一つだけ質問をしたいのです。これは非常に重要な問題で、実は大蔵大臣のいるときにお伺いをしたかったのです。大蔵大臣でなければだめだということじゃないのですけれども、政府として真剣に取り組んでもらいたいのは、土地政策を一体どうするかという問題です。これはどこの国でも非常に問題になっておりまして、英国なんかでは戦後の最大の課題だというふうにいわれておる。御承知のように、政府では所得倍増論というものを掲げておるが、そうなれば、結局産業開発、住宅とか工場とか道路とかいうものを作り上げるということになって参りますと、ここで一番問題になるのは用地の取得の問題、それから水の利用の問題が出て参ります。ところが、この土地の問題は、御承知のように、昔の大地主という制度がなくなって、非常に農地関係を初めとして地主が零細化されており、土地に対する非常な執着も多い。そういうことで、非常に土地買収の交渉が難渋をきわめておるし、さらにまた土地がウナギ登りに地価が上っていくというような格好であります。物価は戦前に比べて三百二十五倍といわれておるけれども、土地の値段は五百六十五倍だといわれておる。なかんずく全国の市街地関係になりますと七百倍くらいになっておる。そうしてまた、とどまるところを知らないような状態になっておるというようなことでありまして、いろいろ建設省としては、この対策に苦慮しておるという事情はよく承知しております。しかし、これは糊塗策ではどうにも、もう解決がつかないという状態になっておることも言うまでもないと思うのです。ここで、土地政策というものを政府も非常に大きな問題であるというふうに考えて、一つ遠大な見通しを立てて、そして抜本的に対策を考えるということでないと、土地取得の問題、用地取得の問題というものは、ほとんど道路問題以上に重大な問題である。もちろん住宅の問題も道路の問題も全部これに関連してきて、その土地が隘路になって、国土の開発というのが不可能になってくるという事態になってくることは明瞭だと思うのです。土地区画整理法の関係は、区画整理というものをやっておるということで、非常に効果が上がっておるわけですが、これは非常に糊塗策でありまして、抜本的な対策になっておらない。そうしますと、最大の課題ともいわれる土地政策の問題について、建設省は一体どういう考え方でどういうふうに対処しようとしておるか、こういう点をまず伺いたいわけなんです。
  48. 大沢雄一

    大沢(雄)政府委員 私からお答え申し上げるよりも、大臣からお答えを願わなければならぬ問題と存じまするが、一応の建設省としてのアウトラインの考え方を申し上げます。  お話通り、土地の問題は政府の政策、また国民生活のあらゆる分野に関係を持ちまするきわめて大きな問題でございまして、大きな、そして広い視野からこの問題を取り上げて解決をはかっていくのでなければ、成果をおさめることはできないと論ぜられますこと、まことに御同感でございます。建設省といたしましては、そういう観点に立ちまして、さしあたっての問題といたしまして最も当面いたしておりまするのは、公共用地の取得の問題でございます。御承知のように、公共事業が国の、また国民の要請に従って大幅に年々増大しておりまして、その事業量も逐年増加するのでございまするが、その円滑な実施がこの土地取得の問題に突き当たりまして、なかなか思うにまかせないという現状でございます。この点をまず取り上げまして、私ども別途御審議を願っておりまする公共用地取得制度調査会の設置ということをお願いをいたしまして、学識経験者その他の御審議をいただきまして、その答申に基づきましてこの問題の解決をはかっていきたい。また他面、今御意見に出ました、ことに住宅政策に関係いたしまするこの住宅用地の取得の問題、宅地の地価の高騰の問題、こういう問題につきましても、これをいかにして解決していくかということについて、非常に頭を痛めておる次第でございます。いろいろと検討はいたしておりまするが、何分にも非常に影響するところが多く、また経済の深いところに根ざしておりまするので、なかなか建設省としてこれをどういうふうな具体策に取りまとめていくかということが、まだ打ち出しかねておりますような実情でございます。かような点が当面の問題でございますが、そのほか今お話しの通り、いろいろ水の問題、いろいろに関係いたしまする問題でございまするが、御高見の点は十分大臣にお伝えを申しまして、さらに一そう検討していただくようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  49. 石川次夫

    石川委員 政務次官の御意見はわかりますけれども、とにかく暗中模索というのが現在の状態だと思います。これは建設大臣だけの問題でもなく、政府自体が相当大きく土地問題というものを直剣に改革する意気込みを持たないと、大へんなことになるということを考えておりますので、この次のまたの機会に建設大臣からも一つ信念のあるところを聞かしていただきたいというふうに考えますので、建設大臣によくお伝え願いたいと思います。  そこで、一つだけつけ加えますが、この土地問題の最終的な対策というのは、土地収用法以外にはないといってもいいくらいだと思うのです。これは御承知のように、公共の福利増進と私有財産との調整をはかって、そうして国土の適正かつ合理的な利用に寄与するというようなことで、言葉の上では公共の利益、それから私有財産というものを割り切れておりますけれども、現実の問題としてはこれが一番の難点になっておるということは言うまでもないと思います。たとえば私鉄会社あたりが大きな土地を買いまして、そこに道ができれば土地が上がり、ガスを引き、それから水道や何か引けば、そのつど土地が上がっていくということで、公共事業でもってそういう暴利をむさぼるのを援助している。いわば一つの幇助罪みたいなものをやっておるような形になっている。それで、さらに土地が上がるということによって、さらに非常にその地方の開発が困難になるというような形になって、二重の罪悪を建設省が一緒に援助をしているというような、結果的にはそうなっている面がかなりあると思うのです。こういう点もよく考えていただいて、とにかく土地というものは労働の所産でできたものではなく、自然の与えたところの一つの財産だという考え方に立って、この土地に対する考え方の基本理念をしっかりと今持っていただかないと、まずいのではないか。これは非常な素朴な意見としては、地権平均説というふうなものもありまして、とにかく労働力と投下資本というものが本人に与えられた価格だというふうに考えて、そのあと土地が開発されて、産業が誘致され、あるいは人口がふえ、道ができ、ガスが引かれたというときにどんどん地価が上がってくるというのは、本人に帰属すべき価値ではない。これは社会に寄与すべきものであるというふうな考え方で、この地価というものをはっきり二つに分けて、本人に帰属すべき価格、それからそれ以外は社会に帰属すべき価格という、この二つに分けた考え方を基本的にはっきり立てて、今建設省の方で考えているのは買収の価格はいわば近傍類地というようなことで大ざっぱに出ておるわけですが、それよりもっと基本的に土地の値段というものをはっきりと把握してかからなければいかぬのではないか、というふうに思うわけです。  それから、あと一つは、具体的な対策となると、なるほどこれは非常にむずかしい問題で、私たちも、もちろん一挙にその解決策を持っているというふうに自負しているわけではありません。しかしながら、少なくともやらなければならぬことは、土地の配分というものをはっきり総合開発の上でもってきめる権威のある委員会というものを持って、たとえば住宅、たとえば農地、たとえばそのほかの工業用地というような区分というものを、将来開発さるべき土地に対しては、はっきりと権威のある区分というものをきめてかかるということと。それから同時に、一緒にやらなければならぬことは、土地評価というものに関する権威のある委員会というものを持たなくてはならぬ。きのうは、予算の組みかえで、民主社会党の方から、土地の上がった分については相当の課税をするということで一つ財源にしておったようでありますけれども、これも一つ考え方だと思うのです。それにいたしましても、土地評価の権威のある委員会というものが、はっきり土地の価格というものの見通しもつけた上で、土地の配分というものをきめないと、土地の配分をきめただけでまた地価が上がってしまうということにもなりかねないと思うのであります。  それから、あるいはまた、所有権と利用権というものをはっきり分ける。所有権は移動させないけれども、利用権は公共団体に所属させるというような考え方もあろうかと思うのですが、いずれにいたしましても、根本的な土地の値段というものに対する考え方を、しっかりここで政府が、権力といっては非常に語弊がありますけれども、権威のある形でもって一つ把握をしまして、将来の土地の暴騰によって利益をおさめる階級というもののないように、またそのことによって庶民が土地を取得するのに非常に不利な立場に置かれる、国土の総合開発がそこでもって非常に支障を来たすということのないような形に、しっかりした土地政策というものを持っていただかなければ大へんなことになるというふうなことを考えるわけです。  そのほか、いろいろとこまかい点で申し上げたいことがありますけれども、こういう点についての御所見があれば承りたいし、それから建設大臣に別の機会に、こういうことについてどういう考え方で取り組もうとしておるか。はっきり申し上げると住宅の問題も、河川の問題も、都市計画の問題も相当あると思いますが、しかし、建設省としてほんとうに真剣に取り組んでやるのは土地政策が一番重大なる問題になるのじゃないか。各局々々でそれぞれ困難な土地の問題を打破していく、解決していく。あるいはそのつどそのつど土地を取得するための法案を用意するということじゃなくて、建設省あるいは政府自体が真剣にこの土地問題というものに取り組んでいくという気魄を持たないと、容易ならざる事態になるということを私は非常に懸念をしておるわけです。それで、今申し上げたことに対する御意見があれば承りたいし、またあらためて建設大臣のこれに対する所信を承りたいと思いますので、その点をお伝え願いたいと思います。
  50. 大沢雄一

    大沢(雄)政府委員 ただいまの御意見の次第につきましては、全く同感でございます。土地問題の前半に関します点につきましては、先ほど申し上げました通り、大臣にもよく御趣旨のある点をお伝え申し、適当な機会に御答弁をいただきますとともに、なお閣議等を通じまして、十分大臣としての識見に基づきまして政府全般の意思としてお考えができるだけ早く反映するようにお伝えを申し上げたいと考えておる次第であります。  あとに主として御指摘になりました現在の土地価格のとめどない増高に対します処理の問題でございますが、社会正義、公平の見地からこれをいかにすべきかということは、確かに緊急問題であると私も痛感いたす次第でございます。お話通り、土地の増高につきましては、本人の資本と労働の成果でなくして、社会的な結果によります増高ということが現在最も著しいわけでございます。ことに公共事業を大幅に実施をいたしまして、土地価格の増大の側面的な援助の役割りを果たしております建設省といたしまして、全くお説のような点につきまして十分思いをいたさなければならぬことと存ずるのでございますが、この点につきましても、十分御意見の内容を大臣にお伝えいたしまして、先ほど申し上げました通り、大臣からそれぞれ処理していただくようにお伝えをいたしたいと考えておる次第であります。
  51. 羽田武嗣郎

  52. 坂本泰良

    坂本委員 先般、熊本県並びに大分県の境にあります松原・下筌ダムについて御意見を伺ったわけでありますが、時間の関係で法律的の問題について省略した次第であります。なおその後、逼迫した強制測量、いわゆる試掘、試錐の仮処分を二十六日に取り下げて延期した、こういう点は伺いましたが、三月の末にはやはりこれを強行するんだということがいわれておりますから、この問題は公共の利益の増進と個人の私有財産の保護、この二つの面にかかっておるのでありますから、先般はわれわれとしては、双方から裁判が出ておるから、裁判所の決定並びに判決に基づいて合理的な解決をした方が一番よろしいんじゃないか、現段階においては話し合いの場が持たれるような客観情勢でない、こういうようなことを申し上げておいたわけであります。ところが、話し合いをするために建設省は仮処分を取り下げたのであって、やるのはこの仮処分がなくてもやれるから、やはり三月末には強行するんだ。こういうようなことが新聞その他で報道されておるものですから、そういうようなことになれば、公共の利益もはっきりしない前に個人の私有財産が侵害されるんじゃないか。こういう懸念もございますから、そういう点について二、三御質問を申し上げたいと思います。  村上大臣がお見えでありませんが、りっぱな大沢政務次官がおられますから、御質問を申し上げたいと思います。  その第一は、建設省の方で二十六日に取り下げられた民事の仮処分の問題であります。これは国から、室原ほか一名を相手として民事訴訟法七百六十条による妨害排除の仮処分の申請をされたわけであります。ところが、その仮処分の目的はどこにあるか、法律的根拠は——特に仮処分といえば被保全権利というのが確定しなければならぬわけですが、こういうのがどこにあるかというのがわれわれの疑問でありまして、こういうような仮処分で精神的な打撃を与えて、そうして強制測量、試掘、試錐を強行するんだ。こういうようなことになりましたならば、やはり強力な反対派が主張しておりますところの官僚によるところの違法行為を強行するんだ、こういうことにもなるわけであります。従って、この二月二十六日にこれを取り下げられたのは当然じゃないかと思うわけでありますが、新聞の発表等によりますと、地元反対派との円満話し合いのために取り下げた、こういうようなことを言われて、あたかも反対派が違法な、あるいは強固な反対をするから仮処分を取り下げて円満話し合いをするんだ、こういうふうに考えて、九州地検が法務局を通じて出した仮処分は当然であった、こういうようなことを言われておるんだが、はたしてそうかどうか。もしそうならば、最初から仮処分の申請をやる必要はなかったんじゃないか。その仮処分を二月四日に申請して二十六日に取り下げるということは、最初から仮処分の申請なんかやるべきでなかった。被保全の権利並びに法律的根拠がないのに仮処分の命令をもらって、それをかさに着て精神的打撃を与えて強行する、こういうようなふうに考えるわけであります。最初から円満解決する意図がなくて、この仮処分の申請をして、その後この仮処分は却下されるという事情の変更の事実があったからそれを取り下げたんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、この点について御説明を願いたいと思います。
  53. 大沢雄一

    大沢(雄)政府委員 私、申しわけありませんが、風邪のために数日休みました期間がありまして、その間に処理せられたかと思いますので、仮処分取り下げの件につきましては存じません。しかし、法律問題でございますので、この点につきましては次長からかわってお答え申し上げることをお許しいただきたいのでございますが、私が建設省に参りましてから以来関係いたし、また大臣から承っております範囲におきましては、建設省としては決して法律をたてにとって強行をどこまでもするというような考え方は、最初から持っておらなかったことを確信いたしておる次第であります。常々大臣といたしましては、国利民福のために、国民の福祉のためにやる仕事におきまして、強権力のみをまつ先に立ててものごとを処理していくというようなことは、やるべきでないということを申しておる次第でございます。現在におきましても、もとよりさようでございます。何とかして話し合いの糸口を見つけまして、納得の上に民生の安定、治水、利水、その他の多目的のためのダムの建設をしたい、かように考えておりますことを御了承願いたいと思う次第でございます。
  54. 曾田忠

    ○曾田政府委員 補足いたしまして御答弁申し上げたいと思います。この妨害排除の仮処分の申請でございますが、これは御存じのように、申請の内容の理由に詳細にうたってございますが、要するに筑後川の下流の治水対策を一日もすみやかに完成をするためには、下筌・松原ダムの早期着工が必要である。それがためには、すでに予算的におきましても、三十三年、三十四年から事業計画調査費が計上されておりまして、事業計画も樹立しておる。まずその段階におきまして、大分側の方におきましては一部試錐も終わっておりますが、熊本県側におきましては、まだ試錐がいろいろな事情によりまして終わってないということであります。いろいろな事情と申しますのは、昨年の五月に熊本県知事の土地収用法第十四条の許可を受けまして、立ち入りを行なったわけでございますが、五月の十九日におきましていろいろの妨害を受けた。内容といたしまして、奇声あるいは罵声を発したというようなことでございまして、これに対しまして、妨害のためにお互いに衝突事故が起こらないためには、事前にこの妨害排除の仮処分の申請をした方がいいんじゃないかというようなわけで、この仮処分の申請が出たわけでございます。そのねらいといたしましたところは、あくまでも話し合いで今までやって参っておりましたし、今後もまた続けていきたいと思っておりますが、なかなかお会いする機会もなかったというようなことで、土地収用法の第十四条を適用して参っておるわけでございますが、それにいたしましても、できるだけお互いの衝突を避けたいというのがねらいでございます。しかしながら、先ほど政務次官が申されましたように、また過日の委員会におきまして建設大臣が御答弁されておりますように、建設省といたしましては、まだまだ話し合いの機会が持てるんじゃないか、今後十分話し合いのチャンスをつかむことになお一そう努力すべきじゃないか。そういうような意見の一致を見まして、そういうことを前提といたしますと、この妨害排除の仮処分申請を、何もそのまま固執する必要もない。この際あっさりと取り下げまして、事態の円満な解決に何らかの役に立てるべきじゃないか、そういう形で取り下げようと思うわけであります。
  55. 坂本泰良

    坂本委員 それはそうじゃなくて、仮処分を取り下げても、三月末に土地収用法に基づいて強制測量を強行するのは何もさしつかえない——そういうのならば、最初から仮処分の申請をする必要はないと思う。そこに建設省の大きいあやまちがある。しかも、その前には——これはこの前御質問申し上げましたから、もう一口だけ申し上げますと、県知事の許可を受けて、その許可が非常に不完全なものであるのにかかわらず、立ち入りをして立木その他雑木を伐採しておる。そうして、ほったらかしてしまう。だから、反対がそれから強くなったわけです。そういうように、国家は何でもむちゃくちゃにやってしまえばそれでいい——それではいけない。水没者に対しては今後十分な補償をすると言うけれども、それは口先だけであって、信用ができないのだ。それがこの強力な反対の起きた原因になっておると、われわれも調査して思われるわけであります。  そこで、この仮処分を出されたものだから、反対側から次々と、四つの仮処分申請並びに訴訟が出ているわけです。円満に解決するために自分の方を取り下げて、よろしくというのじゃ、前回も私申し上げましたように、反対側はとうてい納得いかないと思う。ただ、これは公共の利益のために必要だ——必要だということはわかっているけれども、それをやるためには、やはり憲法上保障された個人の私有財産も保護してやらなければならない。それが最初からじゅうりんされておるから、あとは満足に保障しますなんと言っても、これは大へんなことだというので、この反対が起きたわけです。ですから、今この仮処分を取り下げたぐらいで、現地に行ってあの悲壮な状態を見ますと、話し合いの場は、なかなかそう簡単にはいかないと思う。ですから、私は反対派側から仮処分申請並びに訴訟が出ておるから、これはやはり法律問題として解決した上でないと、いずれに結論が出るかは別にいたしまして、その過程において話し合いの場を求めなければ、ただ取り下げただけでは、話し合いの場は私は持てないと思う。これは仮処分を単に取り下げて、三月末にはまた強行してやるんだ、こういうような、かえって反発が起きているように新聞なんかの情報では見受けられるわけなんです。ですから、最初から仮処分なんか必要なかったのをやって、そして仮処分をとって、いなかの山村の百姓を押えつけてやろう、そういうところに問題があるわけなんです。反対派の室原知幸さんの話を聞くと、官僚のやり方がまずい、いかないのだ。やり方がいかないのは、この被害者の補償その他の問題について全然自信が持てない。だから反対をして、もし法律上やってくるならば、法律上明らかにして、そうしてその上でやらなければならぬ——私はこの考えの方が合理的じゃないかと思うわけなんです。ですから、三月の末までには、私は話し合いの場は持てないのではないかと思う。それを、あえて大分県の知事あるいは福岡県の知事あるいは建設大臣というようなふうに持っていっても、解決はできぬじゃないかと思うのです。ですからこの際、この仮処分が出たものですから、証拠を集めてみますと、室原、穴井、この両名から建設局長並びに熊本県知事に対して行政訴訟が出ているわけです。土地試掘等許可無効確認の訴えが出されているわけです。これは「被告等」というのは建設局長と熊本県知事ですが、「被告等は原告等に対し、被告熊本県知事が昭和三十四年四月九日付で、被告九州地方建設局長にあててなした土地収用法第十四条第一項の土地試掘等許可及び、昭和三十四年七月十八日付右許可についてなした追加処分は無効であることを確認せよ。」この行政訴訟が起きておるのです。この行政訴訟に基づいて執行停止の仮処分の申請が出ておるのです。それはやはり原告は室原、穴井両名から、被告は熊本県知事寺本広作、九州地方建設局長上ノ土実、土地試掘等許可処分執行停止決定申請事件、行政訴訟を起こせば仮処分の申請ができることになっているのは御存じの通りであります。「被申請人熊本県知事が昭和三十四年四月九日付で被申請人九州地方建設局長にあててなした土地収用法第十四条第一項の土地の試掘等許可及び昭和三十四年七月十八日付右許可についてなした追加処分は本案訴訟の判決確定に至る迄この執行を停止する。」いわゆる行政訴訟の判決があるまでこの執行を停止するという仮処分の申請が当然付随的に出ておるわけであります。その前に建設省側の仮処分に対して、これは当事者を間違えておる。実際は三人であるけれども、二人を相手にしておる。さらに土地収用の許可の過程においても違法がある。だから、これについては裁判所は書面審理でなくて、室原、穴井の双方を裁判所に呼んで、そうして審尋をするか、さらには口頭弁論を開いて、そうして実地検証並びに証人の喚問等もして、そうしてそれをきめてもらいたい、そういうような上申書を出すと同時に、問題の土地は、建設省は室原、穴井二人と言われるのですが、あそこには末松豊という人の山が入っている。だから、この三人から被告国相手に、被告は原告に対して、原告等が占有中の物件、これは別紙目録がつけてありますが、「家屋及び、同家屋等に設備された有線電気通信設備並に従量電灯使用設備を土地収用法第十四条第一項の土地試掘等工事により、妨害してはならない。」今度反対側の方から逆に妨害排除の仮処分の申請が出されておるわけであります。そうしてさらにこの室原、穴井、夫松の三名から国相手に民法の妨害排除の仮処分が出されて、「被申請人は、添付物件目録記載の家屋及び、同家屋等に設備された、有線電気通信設備並に従量電灯使用設備を、申請人等が、占有し、使用する事を妨げてはならない。」こういうような二つの仮処分と二つの訴えが出ておるわけなんです。ですから、国側の方で仮処分の申請なんかしなければこういうのが出なかったかもわかりませんが、それをやったから、これでは大へんだというので仮処分並びに本訴が出ておる。  それを建設省の方で仮処分を取り下げたから、それですぐ話し合いの場を作るのだと言っても、これは客観的にでき得べきことではない。だから、これは国の方で法律的根拠が薄弱な点と、いわゆる仮処分については被保全権利がないのにやったものだから、それによって取り下げたのだ。しかしながら、表面には反対派と円満話し合いのために取り下げたのだ、こういうふうに言われているのが非常に矛盾をするわけです。そういうようなことをしていたら、これはいつまでたっても話し合いは解決できないと思うのです。  そこでお尋ねいたしたいのは、こういうような状態になっているのを、三月の末にまた強制測量をしよう、強制的に試掘、試錐をやろうといっても、これはできないから、やはりこれは訴訟も起きているから、訴訟を促進して、そうして行政訴訟においても、さらに占有保全の妨害排除の訴えにおいても、これは実地検証もできますし、さらに現場で証人を呼んで、そうして建設省の方も正しい解釈をとられているならばその点を主張されて、それから反対派の方もそこに主張するだろうから、そこで訴訟において初めてここにその場が持たれるから、その過程においてこれは裁判所だって和解の勧告はできるわけですから、現場へ検証に行った場合もできるわけですから、そこでやるか、あるいはいずれかに判決の結論が出て、その上で話し合いということにならなければ私は不可能じゃないか、こういうふうに考えられますが、御所見はいかがですか。
  56. 大沢雄一

    大沢(雄)政府委員 二つの本訴、二つの仮処分の申請の件につきましては、よくお話を承りまして、私といたしましてはよくその間の経緯がわかりました次第でございます。しかし、建設省といたしましては、仮処分の申請を取り下げましたことは、決してただ、これによりまして最初から法律手段によって強行するという考え方を持っておったので取り下げたのではなく、この点につきましては先ほど申しました通り、今の事情を承りますれば、話し合いということはなかなか困難な問題であるということはよくわかりますが、それにいたしましても、何とか話し合いの糸口を見つけまして、そうして円満な遂行を期したい。こういう一念から、その一助にも、かように考えまして取り下げた次第でありまして、この点につきましては重ねて御了承をお願いする次第でございます。  なお、この試掘、試錐を三月末に強行するかという点でございますが、この点は大臣からもお答えがあったように伺っておったのでございますが、決して建設省として今三月末に強行するということをきめておるわけでは毛頭ございません。今申しました通り、何とか円満に話し合いの糸口を見つけたい。それにつきましては、衆参両委員会の問題にもなっておりますので、委員の皆様方にも御協力、また御指導、御支援、御助力をいただきまして、円満な話し合いの糸口をこの機会に見つけたいという一念よりほかない次第でございます。御意見といたしまして、試掘等許可無効の行政訴訟の終結を見ましてから話し合いをする方がいいのではないかという御意見と承知いたしましたが、この点につきましては、十分御意見として伺っておきたいと存ずる次第でございます。
  57. 坂本泰良

    坂本委員 問題は、仮処分を二十六日に取り下げたけれども、三月末にやはり今度は強制測量、強制試掘、試錐をやるんじゃないかという不安がそこに大いにあるものですから、問題になるわけなのです。今、大沢次官のお話をお聞きしますと、三月末の強行はまだきめていないというお話ですが、やはり民法上の妨害排除の本訴、それから土地収用法十四条に基づくところの熊本県知事の許可が無効である無効確認の訴えが出ておりまして、これの二つの訴えは表裏一体をなしておるのでありますから、やはり早く口頭弁論を開くようにして、そうして実地検証をして、その場で多数の関係者を証人として調べる。そうすると、そこに話し合いの場ができてくるのじゃないか。必ずしもいずれが是なり、いずれが否なりという判決を見なくても、その前にそこに解決を見ればやはりけっこうなことである。  ただ問題は、ここにダムを設置するかどうかという基本的な問題も大きくあるものですから、やはりこの問題も納得のいくようにやらなければ、話し合いというのは相当困難じゃないか。反対派の方々も、ただむやみに反対しているわけではなくて、むしろ反対派の方が建設省の違法を指摘して、そうして調査もやるし、全国のダムによって被害を受けた方々が現在どういうようなみじめな生活をしているか、そういうような点も調査をして、部落全部がこぞって墳墓の地を去りたくない。室原さんは持っているから、どこに行かれてもいいけれども、われわれここで生活している者は生活ができなくなる。かりに金をもらっても、その金がなくなれば、こじきかルンペンにならなければならないというので、やはり一致結束した反対の状態でおるのですから、公共の利益と国民の私有財産の保護という点については十分考えねばならぬ。これは強行してやったときの感情的のものでしょうが、もしもここにダムを作られたら、自分は反対をし続けてこのダムの中に生命をともにするのだ。永遠のダム反対の守り神になる。こういうかたい決心があるわけなんです。しかし、その決心の基盤には、やはり七十数戸のこの志屋部落の方々の、室原さん以上の生活権の問題を考えた強い反対の意思があるわけですから、ただ仮処分を取り下げて、そうして話し合いの場だ、話し合え、話し合わぬからもうだめだ、強行するのだ。こういうのであってはいけないと思うわけです。  また、われわれが調査に行きまして、代表の室原さんの話を聞くと、今まで山間僻地の農民その他に対しては、法律にかのうていようが、いまいが、国家の仕事であるといって、どんどんこれを強行して、泣き寝入りになっているのが多い。そうして、悲惨な生活をしているのが多い。これであってはならないから、われわれはこのダムの反対は官僚の横暴に対する戦いである、こういうことまで言われているわけです。そして、この実情も建設省以上に調査をされているから、こういう点も十分考えて、補償の問題についても、部落が全部移動したならば、そこで開墾をするといいましても、戦後の飛行場その他軍用地に対する引揚者その他の方々の集団開拓も、成功しているところもありますが、不成功に終わっているところもたくさんあるわけでありますから、単に公共の利益のためだといって私有財産を無視してはいけない。やはり憲法上保障されているから、その点は十分考えなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。  ですから、私は重ねて一つお聞きしておきたいのは、そういうような点を考えて、建設省も改めるべきは改め、違法な点は改めてやって、そうして完璧にして話し合いの場に臨まなければならぬ。そうするためには、やはりここ一カ月、二カ月では困難ではないかと思われる。やられればけっこうですが。困難じゃないかと思うし、これが対立的になっている以上、やはり冷却期間を置くことも一つの解決のあれにもなるわけですから、三月末までにはやるのだ、三月一ぱいにやるのだ。予算関係があるから、いやがおうでもこれをやらなければならぬというところに、反対派の非常な結束と、反対の意思を強化さしておるところもあると思います。先ほどの御発言では、三月末に強行するときめていない。これでもわれわれとしては第三者としては十分のみ込めると思いますけれども、三月末と切って強制測量ということはせずに、十分話し合いの上でやりたい、こういうようなことができないかどうか。最後に承っておきたいと思います。
  58. 大沢雄一

    大沢(雄)政府委員 公共事業の遂行の必要性は申し上げるまでもありませんが、同時に憲法によって保障されました私権の保護尊重ということも、同じウェートにおきまして同時に考えなければならぬ問題だということも全く同感であります。私ども、決してかような大きな問題につきまして、年度末であるとか、あるいは功を急ぐとか、さような考えは毛頭ございません次第でございます。十分に努力を尽くし、願わくは何とか話し合いの糸口を求めまして、円満な解決のもとに仕事を進めたいということだけを考えておるのでございます。年度にとらわれて三月末までに是が非でも強行するということを、決して今きめておりますことはないということは、先ほどから繰り返して申し上げておる通りでございます。その犠牲となります立場方々の悲痛な考え方その他も承りまして、私といたしましては、いろいろと実情についてさらにこの認識を深めさせられていることもある次第でございますので、大臣によく御意見の趣旨をお伝えいたしまして、善処していただくようにいたしたいと考えておる次第であります。
  59. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十三分散会