○松隈
説明員 公社民営論につきましても、時代によりましていろいろ変遷がございまして、日本専売公社の制度を改正するという目的で開かれました
調査会も、現在までに三つくらいできております。第一回に設けられました
調査会は、公社発足間もないころでございまして、そのころの
調査会の民営を主眼といたします当時は、たばこ製造事業にいたしましても、戦災を受けまして、終戦後非常に混乱状態にございました。こういう場合において、公社の工場設備その他を拡充して、たばこの需給のバランスを回復するということのためには、場合によっては外資を導入する、そういうことの方が経済復興が早いんじゃないか、外資を導入することになれば、民営というふうな形の方が資金が入りやすい、そういうふうなことを
検討することも加味されておったように聞いておるのでありますが、その当時の
調査会としては、外資導入必ずしも時宜を得てないとか、あるいはそういう考え方が適当でないというような結論に終わったようであります。その後の状態といたしましては、労務問題の解決のために、公社制度を根本的に改めた方がいいんじゃないか、こういうふうな考え方もありまして、労務問題を中心に議論されたこともあるわけであります。公共企業体審議会の
答申というものが、約一年半ほど前に
一つ出ておりました。それは、たばこ専売事業というようなものは、必ずしも民営に不適当であるというような仕事ではない。民営でやれないことはないんだ。従って、民営に移すということについて、慎重に
検討すべきである。その際、
検討すべき
事項といたしましては、民営に移した場合に、はたして現在公社制度で上げておりますような専売納付金というものが確実に上がり、しかも、これがだんだん増収の方向へ向いていくというような
見通しが立つかどうかというような点、それからタバコ耕作農民が、当時でありますれば四十五万ほどありましたので、その耕作農民の利害
関係はどうであるか、そのほか、現在日本専売公社は、たばごのほかに塩とかシヨウノウというような、財政
収入を上げるということよりも、むしろ一般公益の力に主眼を置いた専売をあわせ営んでおりますので、それらの調整はどうするのか、こういう点を
検討すべきであるというようなことに
答申が出ております。それを受けまして、昨年大蔵大臣の諮問機関といたしまして、専売制度
調査会というのができまして、昨年の九月ごろから、日本専売公社制度のあり方について
検討を続けておりまして、まだその結論を得る段階になっておりません。いずれその
答申も出ることと思うのでありますが、公社の
総裁といたしましては、民営も考え方としては確かに
一つの考え方でありますけれども、現実の問題といたしまして、これを民営に切りかえるということについては、なかなか大きな問題がございます。民営になれば、簡単に安くてうまいたばこがのめる、そういう公式論ばかりでもいきませんし、専売納付金の確保ができるかどうかという問題はもちろんのことでありますが、そのほかに、先ほど申し上げました耕作農民の問題であるとか、あるいはたばこのような利益のあるものは民営になりますけれども、そうなったときに、現在赤字を出しておる塩やシヨウノウというものをほうり出して、はたしてそれはどうなるのか、こういうような問題もございますので、なかなか現実問題として、民営に切りかえるということについては、大きな支障があるというふうに感じております。民営論の起こる理由は、現在では、とにかく公社であるというと、役所の延長というような考え方で仕事をしておる。それからまた
一つは、先ほど
小川委員から御
指摘のありましたことに関連するのでありますが、現在の専売納付金制度というものは、公社の収支の利益の最後の一円までが納付金として国庫へ吸い上げられてしまう。その中の大部分はお話の
通り消費税に当たるものでありますけれども、やはり企業が
努力によって生み出した利益に当たる部分もあるわけなんですが、それを上げてみたところで、全部国庫へいってしまう。こういうふうなことについては、どうしても
職員の勤労意欲を必ずしもふるい立たせるような制度になっておらぬ。従ってこういう点についても、制度なり、
運営なりの点で
改善していく点が多々あると思いますので、そういう面に力を注いで、現実問題とあまり離れず実行できつつ、公社の設けられた本来の制度が生きていくように、また、その面目が発揮できるようにしていくということが、一番公社の
総裁として考え、また実行に移さなければならぬ点であると、かように考えております。