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1960-04-27 第34回国会 衆議院 議院運営委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十七日(水曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 荒舩 清十郎君    理事 菅家 喜六君 理事佐々木 盛雄君    理事 長谷川 峻君 理事 松澤 雄藏君    理事 三和 精一君 理事 柳田 秀一君    理事 池田 禎治君       安倍晋太郎君    天野 公義君       飯塚 定輔君    久野 忠治君       砂原  格君    高石幸三郎君       二階堂 進君    服部 安司君       古川 丈吉君    木原津與志君       小林  進君    兒玉 末男君       阪上安太郎君    八木  昇君       小沢 貞孝君  委員外出席者         議     長 清瀬 一郎君         副  議  長 中村 高一君         議     員 佐々木盛雄君         議     員 長谷川 峻君         衆議院参事         (事務次長)  山崎  高君         法 制 局 長 西澤哲四郎君         衆議院法制局参         事         (法制次長)  三浦 義男君     ————————————— 四月二十六日  委員中村時雄辞任につき、その補欠として木  下哲君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員天野光晴君、椎熊三郎君、長谷川四郎君、  田中織之進君及び木下哲辞任につき、その補  欠として高石幸三郎君、二階堂進君、久野忠治  君、木原津與志君及び小沢貞孝君が議長指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国会審議権確保のための秩序保持に関する  法律案(第三十三回国会衆法第二二号)(参議  院送付)  次回の本会議等の件      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案を議題といたします。  前会に引き続き質疑を続行いたします。小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は最初に、この法律運営の衝に当たる議長、副議長お尋ねをいたしたいと思います。最初に、きのうの請願、あるいは全学連の方はデモということになりますか、きのうの状態においては、こういう法律がなかったわけです。なかったけれども、別に支障を来たしたとは考えられないわけです。きょうの新聞によると「幹部級根こそぎ逮捕」という見出しで、これは全学連主流派であるか、反主流派であるかわかりませんが、「都公安条例道路交通取締法違反事件として捜査することにきめ、デモのさなかに現行犯逮捕した十七人の取り調べと現場検証にかかった。」こういうふうに新聞には出ておるわけです。きのうの状態においても、七万人前後の請願があったようですが、この法律はなかったけれども、別に何らの支障がなかったというように私たち考えるわけです。こういう法案があれば、きのうのような状態において、どういう利点があるのか、どういう便宜があるのか、何か都合がよいのか、きのうはこういうものはなかったけれども、ちっとも支障がなかった、こう考えるわけですが、議長にその点をまずお尋ねいたしたいと思うわけです。
  4. 清瀬一郎

    清瀬議長 せっかくのお問いでありまするから、お答えはできる限度においていたしますけれども、それがこの案に対する私の賛成または反対意味であるとおとりにならぬようにお願いいたします。これは議長が皆様に付託して賛否を聞いておるのでございます。本会議におきましても、可否同数の場合に初めて表決するのでありまするから、賛成反対意味とはおとりにならぬようにお願いいたします。  私は、きのうの状態は、やはり国会審議影響を及ぼしたと思います。国会の方で、安保委員会において質問応答がよく聞こえぬために、ことさらに大きな声を出してやったということも、私間接に承っております。むろん、これは外を通る人がやったんじゃなく、ヘリコプターがやったとも言えまするけれども、あの運動がなかったら、ヘリコプターも飛ばない。やはり審議影響があったと思います。それから、審議には関係しませんけれども、わが同胞学生または警官が大へん負傷しております。実数は確かめておりませんが、新聞では、七十八人という。国会審議の問題に関連してわが同胞が傷つくなんということも、これもどうも避けなければなりませんが、これがやはり心理的に、審議するものの頭に影響を及ぼすのです。愛する学生がけがをしておるといったようなことは、議員に、当日も、その翌日も影響を及ぼしますから、法律は、やってみぬとほんとうのことはわかりませんが、できるだけのことを私はなした方がよい、かように思っております。
  5. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私たちがこの法律反対をする一番大きな理由は、ただいま議長答弁したようなことがあるから、私たちはこの問題が重要だ、こういうように考えておる。その心配しておる通りのことを、今、運営の衝に当たられる議長は言っておるわけです。きのうは、私たちの感覚をもってすれば、国民憲法に保障された正当な請願秩序正しくやったというように判断をするわけですが、議長はあれが心理的に影響を及ぼしたとか、いろいろのことで影響があったということになると、この法律国会を通過して実施されるときには、議長はあの請願をさせないようにする、要するに要請権を発動する——この法律第四条ですか、「おそれがあると認められる場合においては、両議院の議長は、都公安委員会に対して、その集団示威運動等につきその許可の取消又は条件の変更を要請することができる。」この四条によって要請をして、きのうのような請願をやめさせるような要請をする、こういうことになるに違いないわけです。これでは、国民憲法に保障された請願というものが実施できないわけです。それとの関係は、一体議長はどういうようにお考えになるか、それが一点です。  それから、学生が傷つき、七十何人負傷したということは、これは何も私たちはいいことだとは思っておりません。これはきわめて、遺憾なことだというように考えておるわけです。けれども、ああいうのを取り締まり、あるいは逮捕するというのは、ほかにちゃんと法律があるわけです。先ほど新聞を読み上げたように、たとえば都公安条例あるいは道路交通取締法、さくの中まで入ってきたならば侵入罪等々、幾らでもあって、それでちゃんと実施できたというように私たち考えるわけです。この法律ができた場合には、あれ以上のことが何かできると考えられるわけですか、これが質問の第二点です。  これは議長運営して、しかもきのうのは非常に工合が悪い状態だからというので、議長としてはおそらくこの要請権を発動せられるに違いないと思う。それでは、憲法に保障された請願権というものは認められないという格好になると思う。これは運営の衝に当たる議長判断が大切だと思うので、私たちが非常に心配しておることを、議長が率直に今発言第一声において言われたのだから、これは非常に重大なことだと思うので、議長に今の二点についてお尋ねいたしたいと思うわけです。
  6. 清瀬一郎

    清瀬議長 これも同様、私のこの法律に関する賛否ではないとお聞きを願いたい。しかしながら、そういう議論で答えをはばむことは、国会審議を十分にするゆえんじゃございませんから、私の考えておることだけを率直に申し上げます。  私自身は、国民請願権を非常に大切だと思っております。選挙権と相並んで、平穏なる請願は絶対に保護したいと思います。本来は、衆議院規則では、請願は文書で、紹介議員があれば、それを受け取って審議する、それでよいのでありまするけれども、近時、代議士諸君のもし御紹介があれば、時間の許す限り請願趣旨も聞き取っておるのであります。もしこの法律が通って施行され、私が議長で就任しておる、こういう二つの前提がそろうならば、私は、きのうの国民会議の方の請願、すなわち、平穏であって、議員諸君紹介がある請願は、とめるなどという考えは毛頭持っておりません。全部これは受くべきものだと思っております。しかしながら、一方、初めからすわり込みをし、国会の構内へなだれ込む、警察官と格闘をするといったような情勢を看取した請願は、やはりこの法律第四条によって規制いたしたい、こう思っております。そうすれば幾らかでも助かるだろうと思うのは、五条によれば、まず警告ができまするし、それから制止ができます。今の警職法の解釈は少しむずかしいのでありまするけれども、現実起こる直前でないと、できないのですね。こういうものがもしあれば、やはり警告もする、制止もできる。警告全学連諸君に響くかどうか知りませんけれども、やはり続くものは刑罰ですね。それと組み合って幾らかでもあの損害を少なくするだろう。それからまた、この法律の別表にある七つの坂、その坂の末端において押えますると、国会にこれだけの響きがなくて済むだろう。今のは押えられませんからしてチャペル・センターのあそこで、法律にかのうておるかおらぬか知りませんけれども、トラックやそういうものを無理にそこへ詰め込んで、これをかぎのかわりに使うておるのですから、非常にプリミティブな話で、合法的にはいっておりません。やはりこの案を、賛成反対は別として、巧みに使えば、幾らかでも前進することと、私はこう思っております。
  7. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 最初答弁のときには、国会審議影響を及ぼしたというような御答弁で、きのうの請願は、全部この第四条の要請権を発動して何らかのことをするというようにとれたのですが、今の御答弁は、国民会議の方のは、国民の正常な請願であるということで、あれはこの第四条を発動されるものに該当しない、こういうような工合答弁になったと思いますが、それでよいわけですか。
  8. 清瀬一郎

    清瀬議長 初めに言ったのは、静穏な国民会議の方のことを含んではおりませんので、きのうの事態で国会影響を及ぼしたかという問いに対しては、影響を及ぼした方のことを言ったので、初めのお答えにも国民会議の方は含んでおりません。
  9. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 議長のそういう御答弁で、現在の議長のときには、安心してそういう請願ができるということになると思うのですが、私は、法律を少し拡張して解釈するということになると、こういう心配が実は起こってくるのです。これは提案者にもお尋ねしたいと思うのですが、たとえば、副議長社会党党籍を持つ副議長議長自民党党籍を持つ議長議長が不在のときには、副議長が当然この法の運営をやると思うのですが、そのときには、たとえばこういう現象が心配になるわけです。安保阻止請願の方は、社会党の副議長議長としてこの法律運営するというときになれば、心配はないから、どしどし来てもよろしい、こういう立場をとり、自民党議長のときならば、どうも安保阻止請願の方は調子が悪いということになると、これは国会の正常な運営を阻害するおそれがあるというようなことで、事前に制止するという心配が実は出てくるわけです。私、実は参議院公聴会で公述したのを読んでみると、権威ある公述人が、そういう心配があるということを言っておるわけです。そこで、私は、そういうことを考えれば、当然、党籍を離れた議長が超党派的な立場運営することが、この法律ができた後においては好ましい姿ではないかというように実は考えるわけです。そこで、この前、提案趣旨説明を聴取したときの本会議質問に立った阪上議員は、社会党代表という立場で、なぜ党籍を離れないか、こういうことを質問しておったと思います。会議録にも載っておったと思います。だから、社会党に所属する副議長の方は、おそらくそういう態度だろうと思うのです。副議長の所属する社会党の方がそういう態度であるということになれば、議長の所属する自民党の方もそういう態度であって、正副議長党籍を離れるという格好になると思うのです。私は、こういう法律が通った後は、党籍を離れることが必要ではないかというように考えるわけです。新聞によると、議長党籍永久離脱がいいのじゃないかというようなことを発表されたことも記憶しておるわけですが、その点についての議長の心境を一つお尋ねをしたいと思います。
  10. 清瀬一郎

    清瀬議長 少し問題が離れておるようですけれども、お許しがあれば、詳しくお答えしたいと思います。
  11. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 どうぞ。
  12. 清瀬一郎

    清瀬議長 議長党籍離脱は私の所論であります。戦前から、議長党籍離脱すべしという主張は、私や当時の私の先輩がほんとうに主張しておったところであります。なぜ、党籍離脱すべきかというと、ほんとうはそうでなくても、国会は相手のあることであるから、ある党籍におりますると、政府・与党に都合のいいような議事運行をしはせぬか—都合のいい議事運行をするということは、党へ戻って相当の地位なり権力を得ようということからくる。それゆえに、将来党へ帰らぬという意味党籍離脱をして、初めて値打ちがあるわけです。粕谷さんはそうされましたけれども、近ごろの党籍離脱を見ると、議長をやめた翌日に党に帰るのです。そんな党籍離脱欺瞞だと私は思っております。離脱するならば、一生しなければ—政治家としての一生ですよ。命の一生ではない。政治家としての一生は独立不覊でいくという決心で党籍離脱すべきものと思っております。私は、やるならばそれをやろうと思っております。しかし、それを実行するためには、やはり議長を保護するだけの条件がなければできない。私はもはや年がいっておりまするし、議長をやめて落選しても私はちっともかまわぬけれども、後に来たる人が同じようにできるだけの条件一つきめたい。そこで、今期国会が済んだら、国会正常化懇談会とでもいったようなものを作って、あなた方のような経験ある方々、また委員会の人も入れ、日本国会運営のためには、やはり議長中立性保持しなければならぬ、それについては党籍離脱すべし—むろん、永久のことです。うそ離脱はだめです。その議長中立性保持及び議長の将来への保護をどうしたらいいかということをきめまして、それがきまりましたら、私は断然永久離脱いたします。今までのようなうそ離脱は私はきらいです。欺瞞はきらいです。
  13. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 議長のきわめてかたい決意をお聞きしたわけですが、その国会正常化懇談会は、議長在任中に設けて始めなければ、価値はないと思うのです。その決意はございますか。
  14. 清瀬一郎

    清瀬議長 今期国会が済みましたら、すぐに始めようと思うのです。ところが、前回のように、国会中に不信任を受けて私がやめるのでは、何とも仕方がありませんが、私が国会終了後まで皆さんの御信任を受けて議長でありますれば、国会終了翌日というわけにはいきませんが、終了しましたら、すぐにこれをやるつもりであります。
  15. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 議長はきわめて明快な御答弁で、党籍離脱議長中立性保持というのは私は大賛成でございます。  そこで、私は副議長お尋ねしたいと思うのですが、阪上委員が本会議質問した通り社会党態度は、この前の三十一国会国会正常化申し合わせ一つ議長党籍離脱云々、これは、代表質問ですから、おそらく党議となっておると思いますが、副議長も今の議長態度賛成だということでよろしゅうございますか。
  16. 中村高一

    中村議長 議長党籍の問題については、われわれが就任をいたしましたときに、議長にもどうしたらいいかということを相談いたしたのでありますが、その際に、議長は今言われるような意見を持っておられたのであります。当時、とにかく両党の申し合わせ党籍を離れるということがきまっておるのでありますから、できるならば、両党で話し合った申し合わせ趣旨に基づいて、党籍を離れることの方がいい、私はそういうふうに考えておったのでありますが、なるほど、やめればすぐに党に復するというようなことは、不徹底なやり方であるというそしりは免れないかもしれませんけれども、今までの、在職中だけでも党籍を離れておったことの方が、私はより好ましいのではないかと思うのであります。いろいろ議論はありましょうけれども、離れておることの方が、いろいろの場合において好ましい点が非常に多いというふうに、今でも私は考えております。しかし、議長が、この国会を終えたならば、特別委員会で、本質的なものまでも協議してきめられるというのでありますから、そういうことができるならば、別に急いで党籍を離れなければならぬというほどのこともありませんから、それに従っておるのでありますけれども、私としては、やはり離れることの方が、今までの慣例でもありますから、いい、かように考えております。
  17. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 議長の御答弁と副議長の御答弁とは、ニュアンスがだいぶ違うようです。そこで、きょうは、副議長のそういう御発言で、それはけっこうだと思いますが、この法律がたとえば通ったときにおいては、私は、非常に議長中立性ということが大きなウエートを占めると考えるので、引き続いて議長構想について若干お尋ねをしたいと思う。  議長発言された国会正常化懇談会、あるいは特別委員会という中には、まず第一には、議長永久党籍離脱というようなことも検討をするということですが、そのほかにも検討されることを予定されておりましたならば、その構想等について一つ御発表をいただきたいと思います。
  18. 清瀬一郎

    清瀬議長 議長中立性を保つためには、永久離脱してもいける条件を作らなければなりません。わが国は中選挙区ですから、イギリスのやっておる通りそのままはいけませんけれども、政党間の申し合わせで、議長たりし者の次の当選を保持する何らかの方法があると思います。それから、国会運営全体について、新憲法、新国会法施行後十数年の経験によって、改善すべきことが相当あるんじゃないか。今ここで私のプログラムをざらっと言い出すことはどうかと思いますが、議事運営等についても相当改善の余地があろうと思います。これは委員のみならず、国会議員全体から一ぺんアンケートのようなものをとって、どこを改めたらいいか、大きなところも、小さなところも、すべてやってみたいと思っております。今日の委員会中心イギリスの方では本会議中心ですが、どっちも一方に偏してしまうということは、筋は通るけれども、やはり臨機応変、折衷すべき必要があるのじゃないか。わが国ではまだそれほど弊害も顕著でありませんけれども、他の国においては、常任委員会政府のお出先のようなことになっておる国もあるのです。その辺について徹底的に調査をいたしてみたいと思っておるのでございます。
  19. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大体構想がわかって参りました。先ほど来繰り返すように、一体、永久離脱条件は、中選挙区の日本においてはできるかどうか、そういうことも含めて検討する、それからもう一つは、国会運営全体についてということなのです。これは国会法の改正の必要があるかないかというようなことも含めて、議員全体からアンケートをとって、根本的な検討を進めたい、こういうように理解をしたいと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
  20. 清瀬一郎

    清瀬議長 大体それでよろしゅうございます。
  21. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこで、今度は若干この法律の問題について触れたいと思うのですが、私は、この法律国会を通過しても、特に四条などは運営が不可能ではないかというように考えるわけです。運営が不可能ということは、なかなか妙な法律だと思うのです。私は、これは提案者の方にお尋ねしますけれども、また、議長にもときどきお尋ねいたしますので、お答えをいただきたいと思いますが、運営が不可能な法律というものは、私はおかしいのではないかと思うのです。というのは、たとえば第四条一項、第五条一項、これは参議院等で、提案者東京都公安条例に基づいておるということを言明されておりますが、まず第一に、それはその通りでよろしゅうございますね。
  22. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 第四条第一項、並びに、それを受けた第五条第一項は、いずれも東京都公安委員会を対象としたものでございます。
  23. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこで、これは法律内容のことになりますけれども、一番大きな問題だと思いますので、お尋ねしたいと思うのですが、東京都の公安委員会が、公安条例に基づいて、デモ集団行進、その他屋外集会等許可したり、その許可申請条件を変更したり、いろいろするということは、東京都公安委員会のやっておることであって、この国会あるいは議長等とはちっとも関係がないわけです。だから、その内容を知るよしもないわけです。この法律には、そういう義務一つも課していない。もっと極端に言ったならば、社会党か何かの公安委員長があって、こっちの方は自由党の議長か何かだ、こういうことになれば、公安委員長が、そんなことは議長報告する義務はないから知らせない、こういうようなことを言えば、東京都の公安委員会許可した内容というものは、議長は全然知るよしがないわけです。全然知らないものが、なぜ、その許可を取り消せとか、要請権を発動することができるか、私は、理論的に言ってもおかしいと思うのです。だから、この法律運営できないのではないかと思うのです。どこにも報告義務を課していないわけです。この報告義務を課するということになれば、明らかに憲法九十五条の住民投票をしなければならないということになるのです。そういうところは逃げてあると思います。このように、東京都公安委員会許可した内容というものは、議長は何も知らない。何も知らない議長が、それをやめてもらいたい、何とか条件を変更してもらいたいという、いわゆる要請権の発動ができるかどうか、これは理論的に言ってもできないようにこの法律はなっておるわけです。その辺のところを一つ説明をしていただきたいと思います。
  24. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 御指摘の点は、第四条に関することだと思いますが、なるほど、御指摘のように、東京都公安委員会がすでに許可した、あるいは許可をしなかった屋外集会集団行進等について、両院の議長に対する報告義務規定はございません。しかしながら、かりにこの法律成立をいたしました暁におきましては、おそらく東京都の公安委員会、また、第四条の二項や、それを受けた第五条の二項についての警視総監との間には、緊密な連絡が行なわれるものと思いますし、現在、本法の制定を見ない今の段階におきましても、現に公安委員会や、あるいはまた、警察当局との間にも常時緊密な連絡等もあるようでありますから、従って、なおさら、本法成立をいたしました暁におきましては、実際運営の面において緊密な連絡が行なわれるので、その点については何ら心配はなかろうと考えております。
  25. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 運営の面においては緊密な連絡がとられると言うけれども、それは期待するだけであって、東京都の公安委員長がすねた人であったら、知らせる意思もないし、知る方法もないわけです。それは私は理論的に言っておるわけです。だから、緊密に連絡しますと言っても、だめです。この法律には何もうたってないのですから、それはできないはずです。できないはずのものを、「国権最高の機関である性格にかんがみ」と、この提案理由にうたってあるのですが、その議長要請権を発動するという不見識なことは、私は不可能だと思うのです。そうじゃないですか。大体この中に、東京都の公安委員会許可したものを、全然何もその内容を知らない公安委員会は、こっちは通ってはいけない、あっちを通れ、いろいろ条件を付すると思う。そういうことを何も知るよしもない議長が、それをやめてもらいたいとか、それは何とかしてもらいたいという不見識なことは、できないはずだと思う。従って、私はこの法律運営は不可能だと思う。運営が不可能な法律というのは、まことに奇妙きてれつな話じゃないかと思う。全然議長のところに知らせる方法がないわけです。義務も何も課していないわけです。それを、国権最高権威議長が、実際の場合にそういうことができると思いますか。
  26. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 ただいま申し上げました通り、なるほど、法律上の義務はございません。しかしながら、あなたは不見識だとおっしゃるが、私はそれが良識だと考える。不見識と考える者と、それが良識と考える者と、全くあなたと私とは考えを異にいたしておりますが、現在でも、すでに外部の警察当局と院内との関係は円満に行なれておるわけであります。いわんや、本法国会周辺の秩序を保つことによって国会審議権確保したいという趣旨法律として誕生いたしましてならば、その法律の精神に従って、市京都の公安委員会なり警視総監から管時連絡のあることは、当然われわれが期待することであって、そのことを一一法文の上で明記する必要はなかろうと考えております。
  27. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今まで、なくても、やっておった、それは常識上そういうこともやっておるかもしれません。私はそういうことは否定していないわけです。しかし、この法律の条文の上においては、東京都の公安委員会許可した、あるいは条件をつけていろいろ変更したり何かして許可した内容というものは、何も知るようになっていたいわけです。何も知るようになっていないものが、それはやめたらどうだとかなんとか、これは何というか、やぶから棒にそういうことを言ったって——東京都公安委員会というものは、自治体に設けられたものです。それを議長が、法律の上からいういろいろくちばしを入れることができるのですか。これは今まで緊密な連絡をしておった、連絡があるでしょう、期待いたします、そんなことは、今までやっていたでしょうけれども、この法律の形として、そういうことができるかどうかということを言っておるのです。不見識なことになりはしないですか。地方公共団体の事務のことです。東京都公安委員会がいろいろやることは、地方公共団体のすることです。国の最高機関の議長が、そういう不見識なことはできないことじゃないかと思います。この法律の上からは、できないことだと思います。
  28. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 先ほど申しましたように、私は不見識でもないと思いまするし、また、場合によっては、かりに報告がないというような場合におきましても、いろいろな情報から、議長が、こういうふうな情報も聞いておるが、君の方ではどういうふうな措置をとったかというようなことをお聞き合わせになる場合もあろうかと思います。また、この法律成立いたしました暁におきましては、常時公安委員会警察当局との間には連絡が行なわれることは、私たちは良識によって判断し得るところでありまするし、従って、あなたのおっしゃいまするような、そういう法律上の規定を設けることは、必ずしも必要なことではなかろう、これで十分運営が達せられますならば、なるべくそういった法律上の規定等は設けない方がよくはないかと思います。
  29. 菅家喜六

    ○菅家委員 関連して。ただいまの質疑応答を聞いておりましたが、ちょっと提案者お尋ねしたいと思います。明文に書いておかなくとも、もし公安委員会許可したもの、あるいは制限もしくはその他の方法によって許可した場合においては、これは問い合わせがあれば、秘密のものというのは公安委員会にはございません。それであるから、法文に書いておかないでも、公安委員会がどういう処置をとったかということを議長から問い合わせることは、私は可能であると思いますが、そういうことはどういうふうに考えておられますか。法律に書いておかなくても、公安委員会がどの集会に対してどういう決定を与えたかということは、秘密のあるものはありません。従って、一院の議長から問い合わせがあれば、公安委員会が決定したものは、その一院の議長に、報告する義務はなくても、報告するということになると思います。私はそう思うが、提案者はどんなふうに考えておりますか。
  30. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 今の御質問趣旨と同様に私は考えております。なお、この際つけ加えておきまするが、本法成立いたしました後におきましては、警察当局国会当局との間におきましても、何らかの行政的な取りきめとか了解というようなものを取りつけることになろうかとは考えております。
  31. 菅家喜六

    ○菅家委員 大へん恐縮ですが、今、提案者の話を聞きますと、法律の成文にないのはおかしいではないかという小澤君の御質問です。私は、それはやはり一つ考え方であると思うのでありますが、そこに書いてなくとも、僕は、公安委員会の決定がわからないということはあり得ないと思います。国家公安委員会は、正式な委員会でございます。ここで決定することの秘密事項というものはないわけであります。従いまして、もし公安委員会の決定というものがわからないというならば、一院の議長から公安委員会に公文で問い合わせれば、国家公安委員会はこちらに答弁しなければならぬ義務を持っておると思います。これは別な条文で、公安委員会はそういう責任があると思うのであります。従って、それに書かなかったのではないかと思うのでありますが、その点、提案者から聞きたい、こういうのでございます。
  32. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 今、菅家委員の御説のように、先ほど私が御説明申し上げましたように、原則といたしましては、本案が成立いたしました後におきましては、警察当局などとの間に何らかのそういう事前の了解事項をつけておいて、そうして、かくかくの問題は、これは許可をしたとか、不許可にしたとか、あるいは、どういう規模でどういうデモが行なわれるかというようなことについては、それらの取りきめに基づいて、常時連絡があろうかと思います。しかし、連絡がないからというて、今菅家委員のおっしゃったように、こちらから聞き合わせたものに対しては、向こうからそれに対する返事のあることは、当然のことでありまするし、従って、今御指摘のように、法律上にそういうことを明記する必要は少しもなかろうと思っております。
  33. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 うんと意地悪くして、私がもし東京公安委員長になれば、何もそういう義務はないから、われわれは地方自治を侵害される必要はないから、報告をしません。この法律は何も義務づけていないのです。そうしたときには、この法律運営できないじゃありませんか。理論的にそういうことでこの法律運営できません。私が公安委員長になれば、この法律運営できない。提案者公安委員長になれば、常時連絡してやれる、こういうずさんな法律というものがありますか。  もう一つ、行政的取りきめをするということは、自治法あるいは憲法第九十五条によって、特定な地方公共団体を拘束する法律というものは、そこの住民の過半数の投票がなければいけない、こういうことになります。これは法制局にお尋ねしますが、だんだんこまかいことになって恐縮ですが、行政的取りきめというものは、憲法第九十五条の、特定な地方公共団体を拘束することになると思う。この法律に基づく行政的取りきめということになると、憲法九十五条の、住民の投票を必要とするということになると思う。この二点を、一つ提案者から、一つは法制局から伺いたい。
  34. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 私は、本法成立したときにおきましては、本法の精神と、本法の第五条におきましても、第四条によって要請を受けた東京都の公安委員会は、これに対して必要な措置を講ずるようにしなければならないという規定もあるわけでありますから、そういう精神にかんがみましても、常時連絡をするのは当然のことでありますし、いわんや、こちらから問い合わせたことに対して、向こうが回答しないというような、そんなことのあろうはずはなかろうと思います。それから、取りきめは、双方の合意に基づくものでございまするから、決して義務づけたものであるとは考えておりません。
  35. 西澤哲四郎

    ○西澤法制局長 御質問の点でございますが、ただいま発案者からお答えがございましたように、行政取りきめと申しましても、別に法律上の問題でもございません。ただ、申し合わせと申しましょうか、こういうふうな取り扱いにしようじゃないかという意思の一致があったものでありまして、そこのところに法的な拘束力を生ずるものでもなければ、また、地方公共団体の組織、運営等の根本に関する問題でもございませんので、その意味からいきますと、九十五条の関係ではない、こういうふうに考えております。
  36. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 法律上の義務づけ、法律上の問題じゃないから、両方の合意で申し合わせをしよう、こういうことだと思います。私が公安委員長なら、そういうことはやりません。私が公安委員長に就任したら、意地悪くして、そういうことはやりません。それではこの法律運営できないじゃないか、こういうことを言っておるのです。もう一つ提案者は、第五条に「必要な措置を講ずるようにしなければならない。」そういうことをいっておるから、そうするだろうといっておるけれども、こういうことをしなければならないということは、義務規定ですか。
  37. 菅家喜六

    ○菅家委員 ちょっと、それに関連して一緒に答えてもらいたい。ただいまの質問の要旨を聞きますと、法律の成文としては何ら制約をしておらないのであって、自分が公安委員長であるならば、そういうものには答えない、そういうことは、法律上できない。よく国家公安委員会と都道府県の公安委員会について調べてみますと、警察法第三十八条に「都道府県公安委員会は、国家公安委員会及び他の都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。」という一条があるのであります。そういたしますと、国家公安委員長というものは——これは御承知のごとく、警察法第四条によって、内閣総理大臣の所轄のもとに国家公安委員会を設けておるのでありまして、その任務と権限を警察法第五条に書いてあるのであります。内閣総理大臣の所轄のもとにあって、国家公安委員会は、都道府県公安委員会と常に緊密な連絡をとっておるので、国権最高機関の長たる者から連絡があったときに、答弁しないということは、この条文からあり得ないことであります。また、第三十八条に「都道府県公安委員会は、国家公安委員会及び他の都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。」という条文があるから、私は、法理上そういうことはあり得ないと思いますが、提案者はどう考えておりますか、提案者お尋ねいたします。法律上の根拠がなければならぬ。
  38. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 菅家さんのお説には、私は非常に共感を覚えるわけでありますけれども、率直に申しまして、必ずしもそれのみが根拠になるかどうかということについては、純然たる法律上の立場からいうならば、やや疑念があろうかと思います。しかしながら、御趣旨のほどに対しましては、私はそういう精神である点におきましては全く同感であります。しかし、もう一点の、第五条の第一項が義務規定かどうかということでございますが、要請を受けたときは、これに対して「必要な措置を講ずるようにしなければならない」という、この法律上の言葉の使い方は、「講じなければならない」という使い方とは、おのずから別でございまして、従いまして本法の五条の一項は義務規定ではございません。さようにされることを期待をいたしておるというような意味でございまして、純然たる義務の規定ではございません。
  39. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 関連して。今の菅家君の発言によりますると、国家公安委員長ないし国家公安委員は、警察法に基づいて、内閣総理大臣の指揮権限下にある、従って、国権最高機関である国会と緊密な連絡をとることは当然であると言われるが、しからば、衆議院議長は、今まで院内に警察官を招集するときにはどういう手続をおとりになっておったのか、その点をこの際明示していただきたい。議長の権限において行なっておる国会法衆議院規則に基づくものでありますから、その関連を従来どういうふうにやり、今後いかようにするのであるか、このことをお伺いしたい、こういうことであります。
  40. 清瀬一郎

    清瀬議長 警察官の派遣は、国会法及び衆議院規則によって、これを政府に申し入れ、政府から警察に通達いたしておるわけであります。
  41. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 そうすると、これは自動的に行なっておるものではなくして、議長の職権をもって行なうものであることは、事実でございまょうか。
  42. 清瀬一郎

    清瀬議長 その通りでございます。
  43. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 そうであるとするならば、菅家君のただいま提案者に対する関連した質問というものは、本法の構成上における警察法の法規というものと合一するものではない。やはり立法府と行政府というものは厳然と区別さるべきものである。そういうことを混同されて、国権最高機関であるから当然だ、そういう牽強付会の議論は、私はこの際は撤回していただきたい。本法において今後これをこういう形において規定するというなら、立案の趣旨というものに反対であろうが、なかろうが、これは法律上の示すところであります。これは反対しても、多数をもって成立するならやむを得ない。ただ、そういうこじつけはおやめ願いたい。
  44. 菅家喜六

    ○菅家委員 ただいま池田君から牽強付会の言だと言われるけれども、私は、池田君の言うておることこそ、牽強付会だと思う。私は、行政府と立法府が渾然一体のものであるというような、子供みたいな議論をしておるものではございません。先ほど関連質問で聞きたいと思ったことは、ここに成文化していなかったから、もし国家公安委員会問い合わせがあっても、返事をしないときには困るじゃないか、わが輩が国家公安委員長なら、そういうことには返事しない、この条文からいえば、そういうことはあり得ないということを言ったにすぎないのであります。何も牽強付会でも何でもないのでありまして、これは警察法の四条、五条、それから三十八条をお読みになると、その関連性はわかるということを私は提案者に聞いたのであります。聞いたことに対する意見の相違は、何もここで池田君と争う必要はありません。
  45. 阪上安太郎

    阪上委員 今の問題に関連して提案者と法制局にお聞きしたいと思います。端的に申し上げますと、先ほどの答弁によりましても、そういう連絡義務等については法は要請していない、法が要請していないのに、そういった連絡義務づけるような行政協定をやる、こういうことをおっしゃっておるのですが、これは不当じゃないですか、それをお伺いしたい。
  46. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 先刻もお答えいたしましたように、私は本法成立して法律の効力を発揮するようになりましたならば、この法律を円満に行ないます上からいって、議長公安委員会との間には常時緊密な連絡が行なわれ、相互の意思の疏通等も行なわれると考えられまするし、また、従って、両者の間に何らかの行政的な取りきめ、了解と申しますか、申し合わせと申しますか、そういうことが行なわれることになろうかと申したわけであります。しかし、さりとて、今の菅家さんの説とはやや見解を異にいたしておりますのは、公安委員会議長に対して法律報告義務があるものとは、私は、厳格には考えておりません。しかし、法律義務がないからといって法の精神を体してその行政的な運営の面において遺憾なきを期していくというこ上も、一つ考え方であろうかと思っております。
  47. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私の言っておることと答弁が食い違っておるのです。二つ質問をしておる。一つは、第五条の「都公安委員会は、自らその職権を行使するほか、前条第一項の規定による要請を受けたときは、これに対し必要な措置を講ずるようにしなければならない。」という言葉は、義務づけではないということで、提案者は率直に答弁しておるはずであります。それからもう一つ、法制局にお尋ねした行政協定ですか、何とかの取りきめというものは、私は、法律的に拘束力があってそういう取りきめをするということになると、憲法九十五条の問題になると思うのです。だから、そういうことはしないで、何となく合意で申し合わせをしようじゃないかというようなことなので、意地の悪い私みたいな者が公安委員長になれば、そういうことはやりませんということになると、第五条の方もこれは義務規定ではないし、今の行政協定式のものを設けるということも、何の法的拘束力もないので、この法律というものは運営できないのじゃないか、そういうことを先ほどから言っておるのですが、私の了解できるような答弁がないわけです。しかし、ここでやると時間が長くなりますし、そういうこまかい点については質疑をする時間がたくさんあると思いますから、一応この問題についての質問はここで留保しておいて、次に進みたいと思う。  そこで、提案者の言うように、好意をもって内容議長の方に知らしていただいたとします。好意ですよ。はっきり法的にはだめだと思いますが、好意をもって知らしてもらったとしても、東京都の公安委員会は、このデモ行進はよろしいというては許可しているわけです。ところが、議長が、それはいけないからやめろということになるわけですね。東京都の公安委員会が、東京都公安条例に基づいて—第一条から第七条までありますが、この条項に照らして相当と認めて許可をしたといたします。それを議長が、どういう判断か知らないけれども、それはだめだぞといって、この法律の第四条でその取り消しを要請するということになるわけです。東京都公安委員会が、条例にちゃんと合って許可したものを、議長がそれを取り消せといって、もし公安委員会が取り消したことになるならば、東京都公安委員会がみずから条例違反をしなければ、先ほど許可したものは取り消すことはできないのではないか、この法律運営のできない第二点はそこにあるわけです。その点を明快に御答弁願いたいと思います。
  48. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 東京都公安委員会がすでに許可をしたものに対して、議長から許可の取り消しなり条件の変更を要請することは、本法によってできます。しかしながら、それはあくまでも要請権であって、何ら公安委員会の権限を規制するものではございません。従って、議長からの要請を受けた東京都の公安委員会が、許可の取り消しをするかしないか、条件の変更をするかしないかということは、もっぱら東京都公安委員会の自主的判断に基づいて決定をすることでございますから、従って、議長の権限が東京都の公安委員会の権限の中に食い込んでいくというようなものではございません。
  49. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういうことだから、この法律というものは運営できないと私は言っておるのです。適法だといって許可をした、条例に合うといって許可をした、それを議長が取り消すなんということはできないことなんです。向こうの条例でもってちゃんとやっておることです。できないことを要請をしようというのです。この要請には義務づけはないかもしれませんけれども、できないことをやらせようというこの法律は、ナンセンスというか、運営できないことじゃないかと思います。どうも答弁が、義務がないからいいのだと言うけれども、できないことをやらせようというような—提案説明にもあるように、国権最高機関である議長が、そういうばかなことを要請するという恥ずかしい話はないのですよ。
  50. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 東京都公安委員会許可をいたしておりました場合におきましても、本法におき、ましては、もっぱら議員の登院と国会審議権の公正な行使の確保という見地から、それらのことに一番関係の深い、事情に精通をしておりますところの議長が再考を求めるというようなことは、ままあろうかと思います。また、そういうためには、本法はぜひとも必要であると思います。しかも、これを要請いたしますときは、両院の議長が連名でするわけでありますから、両院の議長が相談をした結果、これは国会にとっては非常な事態あって、国会審議権確保することができない、議員の登院ができない、こういうように両院議長の合意が成り立った上で要請するわけでありますから従って、東京都の公安委員会が一方的に許可をする場合と、両院の議長が、国会審議権確保という立場から、きわめて限定された地域において、しかも議員の登院と審議権確保のために要請をするというふうなことは、これは必要なことではなかろうかと思います。
  51. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私の疑念に対して率直な答弁をしてくれてないわけです。国会審議権とか、そういうことをみんな考慮して、東京都の公安委員会というものは、公安条例に基、ついて、公共の安寧と秩序を乱さない条件で、これならば大丈夫だ、たとえば、きのうのような請願でも、一万人なら一万人来るけれども、それはよろしいといって、三日前に許可をした、そうしたならば、議長がそれはだめだからと要請をすることは、公安委員会公安条例に違反しろという要請じゃないですか。だれが考えてもそうじゃないかと思う。五日前に、ここで集団行進をします。よろしくお願いしますと、公安委員会にいって許可を受けた。ところが、議長が、その内容がよくわかっていないのに、それはだめだからといってやったならば、東京都の公安委員会は第三条のどこに該当して許可の取り消しになるのか。東京都公安委員会が自分で許可したものを取り消すことは、自分が公安条例に違反をしなければ取り消すことはできないのです。そこのところを理論的に説明をしていただかぬと、私にはわからない。何となくそうなるだろうということではだめですよ。
  52. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 すでに一応許可したものを取り消すことが違反であるということは、少しあなたの観念の飛躍じゃなかろうかと思います。一たん許可したものでも取り消すことは、往々あることであります。また、一たん与えられた条件の変更を求めることもある。そのことをもって、公安条例に違反するというような考え方は、あまり的確な表現ではなかろうと思います。しかしながら、東京都の公安委員会議長要請権は何ら干渉するわけではないのでありますから、議長から要請を受けた東京都公安委員会には何らの義務はないのであります。そういう立場からいうならば、本法はまことに手ぬるいと申しますか、議長要請されたことを、場合によっては向こうの方から拒否してくるということもあり得るわけでありますから、不徹底なものであるということのそしりは免れないかとも思います。その点は明らかだと思います。しかしながら、議長立場から、国会審議権確保立場からそういうことを要請するということは、何ら悪いことではない、当然やるべきことであると私は考えております。
  53. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 公安条例の条項によれば、ここも東京都の中ですから、この国会で十分審議ができるようにというようなことも、公共の安寧のために必要だということで、当然東京都公安条例の中には入っておるわけです。国会で正常な審議ができるようなことにならなければ、公共の安寧を害するのですから、そういうものは許可しないわけです。そういうことを十分考え東京都の条例はできておると思います。そういうことを慎重に検討して、東京都公安委員会許可をすると思います。慎重に検討して、これならば絶対大丈夫だということで許可した、それを議長が、それはやめなさいと言ったって、東京都公安委員会はやめるわけにいかないわけです。議長要請したものが端から全部拒否されるような要請というものは、権威ある国会議長として出せるようなことにはならぬと思う。だから、この法律運営できない。もう少しそこのところを的確に答弁していただかないと、わかりません。
  54. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 私から法律上の点について補充して御説明申し上げます。ただいま御質問の点はごもっともと考えておりますが、法律上はこういうように一応お考え願ったらいいかと思っております。この新しい法律によりますところの要請権の問題と、それから現在の東京都の公安条例の三条三項の取り消しの問題との関係におきましては、いわゆる要請権東京都公安条例の取り消し権との関係において、それがきわめて近接しておるということが必要であろうと考えております。そうでありませんと、両方は法律上は全然別個の権限でございますので、要請をいたしましても、取り消しということにすぐ結びついてこないといことは、ごもっともでございます。しかしながら、その場合におきまして、公安条例の三条三項に「公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったとき」あとりますこの規定を、この新しい法案に当てはめて考えてみますと、公共の安寧を保持するということは、国会周辺だけでございませんで、東京都全体の問題でございます。これは新しい国会審議権確保法律考えますと、国会議員の登院と国会審議権の公正な確保ということが、この場合における国会周辺における公共の安寧を保持するということに該当すると考えております。従いまして、その意味合いにおきまして、議長要請いたします場合におきましては、その内容が公正な行使等に著しく影響を与えるおそれがある、こういう段階になりますことは、同時に、公安条例第三条三項によりますと、「緊急の必要があると明らかに認められるに至ったとき」という事項に近接しておる、かように法律上は考えておるわけでございます。しかしながら、要請権一と取り消し権とは、明らかに根拠法規を異にいたしておりますから、一方の要請権義務づけてない限りは、直ちに取り消しをしなければならないと義務づけられることはございませんけれども、私がただいま御説明をいたしましたような関係において、要請権は取り消し権と非常に密接な関係がある、こういう意味において、要請をされれば、許可を取り消したり、条件を変更することは、公安委員会においてなされるであろう、こういう期待を持っておるわけであります。
  55. 小林進

    ○小林(進)委員 関連。ただいま法制局の三浦次長から御説明がありましたけれども、これは民主主義国家における人民の権利義務を抑制する重大な法規です。また、法律の建前から申し上げましても、一たん行政庁あるいはこれに準ずるものが与えた許可というものは、民衆に権利を与えたのです。民衆に権利を与えたものを、官庁側、ないしは、与えられたものでなく、与えたものの状況の変化その他によってそれを取り消す場合には、法律上の明確な根拠がなければならないと思う。ところが、先ほど佐々木議員説明によると、取り消すことは法律違反じゃないとか、あるいは、議長要請があれば勝手にできるような答弁がありまして、私は民主政治の公正を害する実におそるべき答弁であると思っておりましたが、さすがに次長は聞きかねたとみえて、その救済の答弁に出られましたけれども、いささかその御説明は詭弁に堕しておるという感じをわれわれは受ける。先ほどから私が申し上げますように、民衆の権利、特に大衆の行動に対しては、民主政治では大幅にこれを守るという立場にすべての法律はある。その立場に立って一たん許可を与えたものを、あなたは、都の公安条例の第三条の第三項に基づいて直ちにこれが取り消しできる。その取り消す理由として、「前二項の規定にかかわらず、公共の安寧を保持するための緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、」この条文と、今の議長要請に基づいてこれを取り消すということは、私は本質を異にすると思う。それは全然問題が別だと思う。もし取り消すならば、あらためて公安条例が改正せられて、衆議院議長要請があるならば、そのときには取り消すという明確な条文がなければ、取り消すことはできないという答弁が正しいと思う。そんなことでは、人民に与えられた権利が剥奪されてしまいます。それでは李承晩と同じですよ。
  56. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 私からただいまの点にお答え申し上げますが、取り消しの問題は明らかに今おっしゃいました通りでございまして、それは東京都の公安条例におきまして、公安条例の三条三項をごらん願いますと明らかに書いてございますように、「公安委員会は、……公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、その許可を取り消し又は条件を変更することができる。」こういう規定がございます。従いまして、許可の取り消し、条件の変更は、公安委員会自体が、公安条例に基づきまして、自分の許可したこと自体を取り消すことができることになっておるわけでございます。従いまして、先ほど提安者からお話がありましたと思いますが、国会審議権確保のための秩序保持に関する法律要請権に基づいて直ちに取り消さなければならないと申し上げておるわけではございませんで、取り消しの根拠規定は、あくまでも公安条例の三条三項でございます。ただ、その三条三項の取り消しをなす場合の要件に、こちらが要請します場合の事項が該当しておる、従いまして、向こうの取り消しをいたします場合と条件が大体において合致しておるから、取り消すようになるであろう、こういうことを申し上げておるのであります。
  57. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、提案者長谷川議員お尋ねをしたいと思うのです。先ほど来、東京都で許可をしました、それを議長要請したところで、許可して、ちゃんとうまくやれることがはっきりわかっておるのだから、これは取り消しはできないと、拒否されると思うのです。そこへ持ってきて、今法制局でこういうことを言っておるわけです。公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときは、公安委員会許可を取り消すことはできるわけです。これは、議長から要請がなくても、公安委員会は、自分でやらなければいけないということなんです。そうですね。議長要請がなくても、公安条例がありますから、東京都公安委員会は自分でやらなければいけないから、自分でやるわけです。だから、そういうことを考えてみると、議長要請というものは常に拒否されるように、理論的になっておるわけです。このときには、三日後とか五日後のことを東京都公安委員会許可をした、それはいけないといって議長要請権を発動しても、それが拒否される、それは明らかなことです。それが進行形で、それが危険な状態になったときは、公安委員会が正当に自分の権能でやらなければならぬ。議長から何も言われないでも、自分でやるわけです。また、やるのだから、議長から要請されたって、そんなことは自分はやっておりますよということで、拒否される。だから、常に拒否される法律ですから、この法律運営はできない、こう言っておるわけです。そこを明確に答弁していただきたい。時間がかかっていけませんから。
  58. 長谷川峻

    長谷川(峻)議員 お答えいたします。小澤君の言うたように、公安条例でも自分で取り消しができるわけです。しかしながら、国会審議権の問題については、両院の議長が一番よくわかっておるわけです。そこにおいて、両院の議長が、国会審議権確保のためにこれが必要だというので要請した場合に、さらにまた公安委員会としてあらためて考えるということもあり得ると思います。そういう要請権があるわけであります。
  59. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、東京都の公安条例というのは、実にうまくできておって、議長からそんな要請がなくても、国会審議というものがうまくいかないというときには、「公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったとき」と、ちゃんとうたってあるわけです。そういう時点になれば、もし東京都の公安委員会、警視総監、警察官というものが正常に法律通りにやっておるとするならば、議長の、要請のある前に、すでにそれは取り消しになるとかなんとかなっておるわけですよ。だから、議長要請するのは、端から、それはやっておりました、そんなことは許可してあるから、できませんといって、全部拒否されざるを得ない法律になっておるわけです。明らかにそうなっておる。静止の状態において三項の許可の取り消しとかなんとかいうことになれば、当然、要請権が発動をしたってだめです。進行形のときだって、東京都の警察官あるいは公安委員会、警視総監というものが正常に働いておって、この条例通りにやっておるならば、許可取り消しになっておるという過去の状態から、これも拒否されるというわけです。だから、私の言うのは、いつ、いかなるときに要請をしても、百パーセント拒否されざるを得ないような法律は、これは運営できない、こういうことを私は言っておるわけです。どうですか、理論的にそうじゃないと言ってもらわないと、わからないわけですが……。
  60. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 ただいま小澤さんからお話のありました点、私からちょっと法律的に御説明したいと思います。先ほど私が御説明申しましたように、東京都の公安条例の三条三項に基づきますところの許可の取り消し、こちらの四条に基づきますところの、要請とは、近接しておらなければならない、こう申し上げました。その近接と申し上げました意味をさらに詳しく申し上げますと、いわゆる公安条例の三条三項にすでに該当いたしました場合においては、お話の通り東京都公安委員会の取り消し権が発動いたしますので、こちらの要請をいたします機会はもちろんないと思います。その点におきましては、小澤さんのおっしゃる通りだと思います。しかしながら、私が申し上げましたように、近接しておるということは、この要請権は、公安条例の三条三項に基づく事前の段階において近接しておる、こういうことでございますので、こちらが要請いたしました場合におきまして、それに応じて向こうが取り消しをやる、こういう余地はあり得ると、法律考えておるわけであります。従いまして、事後になりました場合には、当然公安条例の三条三項が優先して働きますから、お話のようなことにはならないと思いますが、そういう意味で近接しておる、こういう意味を申し上げたわけであります。
  61. 八木昇

    ○八木(昇)委員 内容にわたっての私の意見は、あと木原さんの質問に続いてまた日をあらためてやりたいと思いますが、ちょっと先ほど来の御答弁を通じて疑問に感じました点が出ましたので、この際お考えを伺いたいと思います。それは、議長には、国会運営が会期中十分に規律が保持されてやっていけるように、国会法に基づいてすべての警察権が与えられておるわけです。そこで、先ほど来のお答えで、それとの関連において疑問を感じたのは、これは提案者と、それから法制局の方と両者からお答えいただきたいと思いますが、現在のまま、まだこの法律がない現状のもとにおいては、衆議院議長は、都の公安委員会等に対して、デモ許可の取り消し、あるいは条件の変更等を要請するということはできないのであるか、あるいは、すでに許可をされた集団示威運動等について、その制止のために必要な措置を警視総監やその他に対して要請することができないのであるか、すなわち、その新しい法律がない現状のもとにおいては、そういう要請を衆議院議長はやることができないというお考えなのかどうかという点を明らかにしておいていただきたい。
  62. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 議長の院外の警察官の出動に対する要請権はございません。議長要請権は、もっぱら院内に限っておるわけでございまして、外部に対する要請権は持っておりません。
  63. 八木昇

    ○八木(昇)委員 私の言っておるのは、もしそうだとするならば、たとえば三日ぐらい前でございましたか、今の学連の最初の予定が繰り上がって、二十六日の予定であったのを、二十三日でしたか、二十四日でしたかにこれを行なった。これは不測の事態がおもんばかられるというのでもって、警察官の出動を要請したのであります。
  64. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 それは院内警備のために要請することはできまするが、外部において警察がどういう措置をとるかというようなことに対しての要請をすることはできません。
  65. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それは全然おかしいじゃないですか。それでは、三日前ばかりの学連のデモ隊がどういうことになりそうだから要請をしたんですか。あの学連のデモによってどういう事態が起こりそうだから警察官の出動を要請したのですか。
  66. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 ただいまの点は、法律上はこういうように考えております。法律上の点におきましては、ただいま提案者がおっしゃいました通りであると考えておりますので、つまり、議長の現在の国会法に基づきまする要請権は、院内警察権の範囲に限られます。院内警察権の範囲に限られまするけれども、それによりまして要請いたしました警察官が、警備に関しまして、院内、院外にわたっていかなる処置をとるか、これはまた別個の問題、これは一般警察作用の問題でありますから、ただいま提案者のおっしゃいましたように、法律的には院内警察権に限られるが、その警備についてどういう配置をやるか、どういう取り締まりをやるか、あるいは院内だけに警備配置をやるか、院外にもさらに警備配置をやるか、これは全く一般警察作用の問題だと考えております。
  67. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そういう御解釈ならば、今提案をせられておるこの法案は、衆議院の議長に院外の警察に関してもある種の権限を与えようとするものなんですか。そうだとすると、重大問題です。
  68. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 その点はそういうようには考えておりませんので、院外における行動が、つまり、言葉を分けて申し上げますと、たとえば示威運動等が、院内における国会審議権の公正な確保とか、あるいは国会議員の登院、こういう問題に影響を持ちます限度において要請をする、こういうことでございます。
  69. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それは詭弁じゃありませんか。院外における行動が院内に影響を及ぼして、院内の秩序を乱すおそれがあるという場合のことを考えてこの法律案が出されておる、こういう意味でしょう。それならば、それは当然、根本は、院内の秩序影響を及ぼすところの諸行動ですね。これに対して議長要請権を発動する、こういうわけなんですから、現在の国会法におけるところの、院内の秩序を乱すおそれがある事態に対して議長は警察権を持つということとどこが違うか。違いはしませんよ。
  70. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 それは、この法案におきまして、第四条を読んでいただきますとおわかりになります通り、「国会議事堂周辺道路において屋外集会集団行進又は集団示威運動が行なわれることにより、国会議員の登院と国会審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがある」こういうことでありまして、行動は、もとより院外の行動であることは、当然であります。しかも、院外におきましても、国会周辺道路という、限られました道路上における院外の行動でございます。その院外の行動が、ただいま申し上げました登院と審議権の公正な行使に影響を与える限度において要求をする、こういうことでございまして、現在の国会法に基づきまするところの院内警察権の範囲だけでは、ちょっとこの問題は処理できない問題かと考えております。従いまして、この法案においてこういう要請権を認めることになったと考える次第でございます。
  71. 八木昇

    ○八木(昇)委員 関連でございますから、きょうのところは疑問を提起しておくだけにとどめたいと思いますので、あと一点で終わりますけれども、今の答弁は了解できませんよ。それは、国会周辺の屋外の道路上での行為でしょう。これがやはり院内に影響を及ぼす、こういう場合に当てはめてこの提案がなされておる、こういうのでしょう。それならば、三日前の学連のあのデモ隊は、これは院外の道路上にデモをするんだけれども、それがやはり院内にいろいろな形での影響を及ぼすおそれがあると考えたから、警察官の出動を要請したんじゃないですか。現実に出動要請議長はせられたのです。その間の関連について一つも明快な御答弁がない。すなわち、現在の国会法に基づいて議長は、この法律の提案を待たずとも、当然、国会の周辺の道路上での行動が院内に影響を及ぼすおそれのあるときには、警察に出動を求めることができる、こう解釈するのが、すなおな、まともな解釈である、こうよりほかに考えられませんが、もう一度答えていただきたい。
  72. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 現在の国会法の百十四条、百十五条に基づきますところの院内警察権は、御承知の通り、どこまでも院内に限られます。従いまして、院外の行動については及ばないことは明確であると考える次第でございます。従いまして、現行法のもとにおいて警察官の派遣を要請いたすとしますれば、院内における秩序が破壊されるとか、あるいは保持されることに非常な障害がある、こういう限度において要請されるわけでございまして、その場合におきまして、警備態勢を、警視庁が院内だけを固めるだけでなくして、さらに院外の警備態勢をも固めるかどうかということは、この院内警察権の要請の問題とは全然別だ、こういうことを申し上げたわけでございます。従いまして、今度のこの法案に基づきまするところの要請権は、それでは足りないものですから、やはり院外におけるところの登院行為が妨害されるとか、あるいは、周辺道路は院外でございまするから、その院外において行動される示威運動等が院内の審議権の公正な行使等に影響を与える場合に要請するということでございまして、院外にわたりまして議長が警察権を行使するわけじゃございません。現在におきましては、警察権の行使は院内だけでございます。要請権と、警察作用を働かしまするところの警察権は、全く別の問題でございますることは、御承知の通りでございまして、現在院内警察権の関係におきましては、院内は議長の指揮下に警察は入ります。しかしながら、この要請権に基づきますところの院外の警察につきましては、議長の指揮下に入らないわけでございます。それはどこまでも警視庁等の一般警察作用に基づくわけでございます。その点が非常に根本的に違うわけでございます。ただ要請をするだけと申し上げるのは、そういう意味でございます。
  73. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 先ほど私が、この法律運営できないと言ったことの一つは、議長の知るよしもないということ、もう一つは、要請をしても、それは常に拒否されざるを得ない、そういう事情から、運営できないということを申し上げたわけでありますが、最後に法制局では奇妙きてれつな答弁をしたわけです。奇妙きてれつな答弁をしたのですが、それは理論的には通っていないと思うのです。理論的に通っていないということは、この公安条例の中で、国会審議権等が阻害されるようなのは、公共の安寧のため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったときということで、東京都の公安条例にはみんな入っているのです。この法律でうたわなければならないようなことは、みんな入っているわけです。入っているわけですから、審議権が阻害されるようなおそれがあるようになったときには、公安委員会が自分で許可の取り消しや条件の変更をやってしまうわけです。ただ、議長要請権が生かされる唯一の、何万分の一、何億分の一というのは、議長要請公安委員会許可の取り消しをするというその瞬間のときだけが生かされるだけであって、あとは、いかなるときでもそれは拒否されざるを得ないように、時間的にはなにになっているのです。だから私は、この法律というものは運営できないのだということを言っているわけです。理論的にそうです。議長がその許可をやめてくれという要請をしたその瞬間に、公安委員会許可を取り消す、こういう何億分の一の瞬間しか、この法律は生きないわけです。あとはみんな議長要請は拒否されざるを得ないように理論的にできているわけです。だから、私は先ほどの法制局の答弁では満足しませんが、そういうこまかいことについてはまだ審議する機会がありますので、追って質問をいたしたいと思いますが、きょうは最初の日でありますので、もう少し大きな問題について一つ、二つだけ質問をいたしたいと思うのです。  最近、広島市で公安条例を廃止する、きのうだかの新聞によると、岡山市でも廃止する、こういうことになりました。こういう廃止の風潮が伝わってくれば、東京都議会でも廃止するか、または届出制にするということになれば、この法律は、その部分に関する限り無効になるわけです。それは参議院でそういうように答弁されているわけですから、いいわけですね。
  74. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 これは東京都公安委員会を対象として作られておるわけでありますから、従って、その東京都公安条例がかりに法律上無効であるという判決が下りました場合におきましては、判決が無効となって公安条例法律上の効果を失う場合と、あるいは、あなたのおっしゃいますように、廃止する場合があるかもしれません。いかなる理由によるにいたしましても、現行の東京都公安条例法律上の根拠を失いましたときにおきましては、第四条の第一項、並びにそれを受けた第五条の第一項は、実際上働かなくなる、つまり死文同様になると考えます。
  75. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 従って、その公安条例が廃止または違憲の判決が下った、そういうときに、あわてて国会においてはその部分の一部修正か何かをやるわけですね。これは事務的なことですか……。
  76. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 今小澤さんの御指摘のようなこともあるかもわかりません。しかし、私たちは、かりに公安条例が無効となったからというて、必ずしも、直ちにそれに関連した事項の法律の改正をしなければならぬとは考えておりません。すなわち、第四条第一項、これを受けた第五条第一項が実際上働かなくなりましても、残余の条項につきましては、これは法律上生きておるわけでありますから、私たちは、もしも万一に東京都公安条例法律上の根拠を失うというような場合におきましては、なおさらその他の部分に期待しなければならぬところが非常にたくさんあるわけでございます。従いまして、私は、その条例が無効となったからといって、本法がほご同様になるという意味のものではない、かように考えております。
  77. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 こういうことを言うわけです。東京都の公安条例というものは許可制になっておる。これはもう全国どこでも公安条例は廃止しようという時代になってきたから、許可制は届け出にしてしまおうじゃないか、こういうような改廃があるかもしれません。あるいは、今最高裁でやっておりますけれども、無効というような判決になるかもしれません。いずれにしても、この法律のよって立つ根拠というものは失われる可能性がある。これはきわめて濃厚なんです。そういう場合に、私はお尋ねをしたいけれども、東京都の条例といわず、人口千か千二、三百の一寒村の条例といわず、同じ地方自治法に基づいてできておると思うのです。私たち国権最高機関であるという国会できめたものが、一寒村の村会で、やめてしまおうときめて、こういうことによってこの法律が無効になるというようなことがはたしてできますか。東京都というと、大きそうだからいけませんけれども、東京都の条例でも、一いなかの村の条例でも、同じことです。一応自治法でできておる。一いなかの村会が、この条例をやめましょうということをきめたときに、国会できめたところの法律が無効になるというようなことが起こり得ますか。これは法的にもそういうことができますか。ということは、私はこういうことを言っておるのです。この法律ができてしまったからには—東京都の公安条例というものを基礎にしてこの法律ができておりますから、東京都議会においては、公安条例の改廃の権能を失ってしまう、逆に言えば、もうこの法律ができた以上は、東京都議会においては公安条例を改廃する権能はなくなってしまうのだ。こういうように、裏を返して言えば、言えそうなんです。そういうことになると、憲法九十五条の住民投票が要るということになってくるわけであります。地方自治法でやっておるから、千から千五百の一村会できめたことも同じことです。そういうところできめて、条例をやめましょうと言ったら、国会できめた法律が無効になってしまう。そういうばかなことは、理論的にはどうしても考えられないのですが、その辺を一つ……。
  78. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 ただいまの点につきましては、法律上はこういうふうに考えております。無効という問題でございませんので、お話のような点がかりにあったといたしまするなばら、それは法律の規定の適用の対象を失うということでございます。つまり、法律的にはそれが無効というような問題ではございませんので、この法案の四条一項によりまして、許可の取り消し、条件の変更を要請することになっております。その点は、公安条例にもそういう規定があるから、こういう規定が照応してあることは当然のことでございますが、公安条例の方でかりに許可の取り消しとか条件変更という規定がなくなったといたしますれば、適用の対象がなくなる、こういうことでございます。
  79. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まだ今の説明ではよくわかりません。法律に違反しない限度において条例を制定することができる、これは憲法ですか、自治法ですか、そういうことになっておる。法律に違反しない限度において条例は制定できる、それを逆に言うと、条例の改廃をやったことによって法律を無効にさせるということは、私はできないと思うのです。
  80. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 わかります。その点につきましては、こういうような前提であるといたしますればお話の通りになると思います。と申しますのは、この法案におきまして、公安条例に対しまして義務づけておる、あるいは直接の権限を与えている、こういうような場合におきましては、向こうの規定が改廃されることによりまして、こちらの義務づけておる規定が変更される、こういうことになることは、法律上当然でございますので、そういう場合であれば、お説の通りだと思います。しかしながら、この法案は東京都の公安委員会等を義務づける規定は一つもございませすので、お話しのような場合がかりにありましたといたしましても、それは、私が先ほど申しましたような意味におきまして、適用の対象がないというだけのことであって、この法案がきまったことによって向こうの公安条例の方を変更することができなくなる、こういう問題とは、全然別個の問題だと思います。義務づけておる場合におきましては、お説の通りだと思います。
  81. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 こまかいことに入っていく機会はまたあると思いますが、そういうことになると、四条一項、五条一項というものは削除してもこの法律には絶対に影響がない、こういうように私は断言できると思うのです。ほかの部分は別ですよ。第四条一項、第五条一項というものは、私たち議員修正で削除しても、一切これは影響がないことであるということになると、逆に言えば、これは何の意味もない法律だ、こういうことになると思うのです。提案者、それでいいですか。
  82. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)議員 今あなたのおっしゃいますようなことも考えられないわけではございません。そういうことだけを非常に拡大して考えますなれば、なるかもわかりません、しかしながら、先ほど申しましたように、かりに四条一項、それを受けた五条一項の項目が実際上死文同様になりましても、その他の四条二項、また五条二項という項目は、われわれにとってきわめて大事な問題でございますし、従って、本法というものは紙切れ同様になってしまうというものではない。むしろ、あなたの今の御指摘のように、かりに公安条例等が法律上の根拠を失ってしまいました暁におきましては、なおさらそれを除く他の部分にわれわれは大きな期待をしなければならぬ重要性が生まれてくるとも言えるわけでございます。
  83. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 きょう私の質問したいと思ったことは、一つは、四条一項、五条一項について、義務がないから、そんなものは全然効能がない法律だということ、それから、いつでも、要請したって必ず百パーセント拒否されるから、意味がないということ、もう一つは、憲法違反だとされたか、あるいは東京都議会でもう廃止になったということになれば、これまた意味のないことだ、こういうことで、これは何らの義務づけもないし、何にもないということになれば、これはなくてもいいじゃないか、削除して全然影響ないのではないか、この部分についてだけ私は言ったわけです。その点についてはまだ明確な答弁はありません。まだたくさん質問事項がありますが、私は大体時間の予定の質問が一時間半になってしまいましたので、どうですか、委員長……。
  84. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 さっき阪上君から発言を求められております。阪上君。
  85. 阪上安太郎

    阪上委員 私はこの際資料を要求したいと思うのです。その資料の一つは、国会周辺デモによりまして国会の公正な審議権が阻害されたという事例がありましたならば、出していただきたい。それから、国会議員の登院の確保及び議事堂周辺の静穏保持等に関する要綱試案、これはA案とB案が出ておったと思いますが、この法律のもとになっているという議長の試案です。このA案、B案を出していただきたい。それから、三十一国会における四者会談の申し合わせ事項というものがあったはずです。これを出していただきたい。それから、東京都公安条例—これは今出しましたから、よろしゅうございます。それから、公安条例に対するおもなる判決、それから判決の要旨、これを一つお願いいたしたい。それから、国会周辺デモ等の禁止に関する外国の立法例がありましたら、その外国の立法例を一つ出してもらいたい。以上七つです。
  86. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま阪上君御要求の資料は、なるべく早く出すように努力いたさせます。  関連質問で、小林君。
  87. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、関連の質問がたくさんありますけれども、ただ、今小澤君が言われた中で、きょうこの場においていま一度再確認をしておきませんと、どうも将来禍根を残すおそれがありますので、幾つもの関連のうち、その重要な一つだけ提案者にお聞きしておきたいと思いますが、先ほども八木昇君が言われました、現在も議長は警察官出動の要請権があるじゃないか、現に二十三日の全学連デモに対しては、巷間伝うるところ—議長がおりませんから、確認はできませんけれども、約五千名の警察官を動員せられた。院の内外を問わず、警察官で黒々と埋まった。現われた全学連は二千名足らずにかかわらず、この周辺、構外は、全部警察官で埋められるくらい要請せられておる。こういう事実に対して、三浦さんは、今の議長要請権は院内だけだ、院外に対する議長要請権はないのだというような御答弁をされた。もしこれが事実ならば、全学連は院外のチャペル。センター前に集まったのであって、構内には一人も入っておらない。それを取り締まったのは、一体現行法に基づく議長要請権の乱用なのか、あるいは、警察官が議長要請権を逸脱して、要請と異なった行動に終始したのか、この点が一点。  それからいま一つ、私が特にここで確認をしておきたいと思うのは、さっきこういうことを言われました。間違いかもしれませんけれども、現行法では議長は院内の警察権だけで、院外の警察権を掌握することはできない、だから、この法律を制定することによって、今度議長は院外の警察権をも掌握するのだ、こういうことをおっしゃった。私は、この法律によって、院外の取り締まりに対する要請権だけだと思っていたにもかかわらず、先ほどの説明によると、院外の警察権をも掌握するのだ、今は院内の警察権しかない、こういう言葉を使っておる。そういうことを言われると、これは実に重大問題なんで、要請権と掌握権というものは、天地霄壌の違いがある重大問題でありますから、こういう点を私は御答弁願いたいと思います。
  88. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 ただいまお尋ねのございました最初の点について御答弁申し上げますると、第一点につきましては、すでに御承知のことかと存じまするが、昭和二十四年の十月十九日と同月の二十一日に、議院運営委員会におきまして、院内警察権の範囲に関しましていろいろ議論が出まして、そうしてその当時におきまして、現在の国会法におきまする院内警察権と申しますのは、現在そこにございまするところのさく内、こういうようなことに大体なっておるわけでございます。従いまして、現在ありまする議員会館とか、ああいうところには院内警察権は及ばない、こういうようなことが衆議院においては確立されておるわけでございまして、この点は、提案者も、参議院の議院運営委員会におきまして、そういうことをお話しになったのでございまして、私どももさように考えております。従いまして、院外につきましては現在の院内警察権が及びませんことは当然でございます。ただ、この前参りましたのはどういうことでございましたか、それは警務部の方の所管だとは考えますが、私の知っている範囲内においてお答え申し上げますれば、あのときのデモは無届けデモでございまして、現在の公安条例による許可の手続を経ていないわけでございます。従いまして、無届デモは当然に公安条例違反でございまして、それがいい悪いは別問題といたしまして、法律上、公安条例違反という事態を招来する以上は、警視庁が積極的に進んでそれの取り締まりに当たるということは、院内警察権の問題とは全然別個の問題だと考えてよかろうかと思うのであります。  それから第二点の問題につきましては、私はさように申し上げたつもりはございませんので、この法案に基づきまして、院外の国会周辺の道路におきまして集団示威運動等が行なわれました場合におきまして、議長要請権があることは、この法案が認めたのでございますから、当然でございますけれども、その場合における警察作用は、警視庁自体が一般警察法あるいは警察官職務執行法に基づきまして行ないまする警察作用でございまして、院内警察権を持っておる議長がその警察権を掌握するという問題とは全然別で、言葉をかえて申しますれば、そういう院外におきましては警察権を掌握はいたしておりません。私が申し上げましたのは、現行法における院内警察権は議長が掌握している、こういうことを申し上げたわけでございます。
  89. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 よろしゅうございますか。—本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次会に譲ることといたします。     —————————————
  90. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、次回の本会議及び委員会は、追って公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十二分散会