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柳田委員 議長さんに簡単にお尋ねいたしますが、
提案理由の
説明を見ますと、「
議員の
登院を妨害した者についても、特に
罰則を設けたのは、
国会の
構成員たる
議員の
登院こそは、
国政審議の
ための不可欠の
前提要件であるからであります。」こういうふうに書いてあるわけであります。このように、
国民の
権利義務を拘束してまで
議員の
登院を
確保するという
趣旨の
法案が出ておるわけです。ところが、今日の
実情を見ますと、私は、
議員の
登院が必ずしもよろしいとは、言いにくい言葉であるが、言い得ない
実情を悲しむものであります。中には、百五十日なら百五十日の
通常国会の
会期中、おそらく、実質的には十日間出ない人があるのではなかろうか。この問題を私は先般
事務総長にただした。おそらく、私の方の
社会党にもあるかもしれない、
自民党さんにもあるかもしれない、
一つ、せめて今
国会が始まってからまだ実質的に十日も
登院しておらぬ者の氏名を発表してくれろと言ったところが、
事務総長は、それは困る、こういうわけなんです。それじゃ
一体何人ぐらいそういう者があるかと言ったところが、みな
形式上
議長あてに休暇の
手続なんかを出されるわけですから、
ほんとうに無届というものになってくると、少ない。しかし、実際は
登院していない。ただ
形式上
——議長が目を通されるわけはないのですが、
形式上、届けだけをして、ほとんど出てこられない。私はたまたま
イギリスの
国会を傍聴したのですが、そう大した
議題はございませんでした。
傍聴者には、その日の
議題は全部プリントにして配ってあるわけです。一時から五時ごろまででしたが、かつての
総理大臣の老
チャーチルが1歩かれておる姿は、だいぶよぼよぼしておられましたが、あれだけ功成り名遂げられた老
チャーチルですら、
イギリスの
国会で、
最前端の
議席におられましたが、ずっと
議席に着かれたまま、四時間も立たれずにおられた姿に非常に打たれた。それから思うと、
日本の
国会は、何か、
登院する者はまるで小者であって、
登院せぬ者が
大物であるかのような錯覚を受ける。また、そういう者を代議士に選んでおる
国民もどうかと思う。その人がいかにりっぱな
政治家であるかどうかは別です。また、そういうりっぱな
政治家は、何も
国会議員にならなくとも、外交にしても、経済にしても、
国政に参画する道はおのずからあろうと思う。しかし、いやしくも立候補して何万からの
有権者の負託を受けたからには、出てくるのがあたりまえだ。前
総理大臣であろうが、前
議長であろうが、前大使であろうが、出てくるのが当然だと思う。それを出した
国民にも問題があると思いますが、立候補して
国会議員になったならば、出てくるのが当然であると思う。こういう者に対して、何らかの
規制をする必要があるんじゃないか。こういうような
法律を作って
国民の
権利義務を拘束して、
罰則まで設けて
議員の
登院を
確保するならば、
議員みずからの
責任において
登院すべきだ。しかも、実質的に
登院されていない者がたくさんある。それに対して
議長は今後どういうふうにおやりになるか。今のようなやり方では、ただ単に
形式を整えるというだけである。これに対して、いやしくも
清瀬先生は、
政党人として半世紀間、
日本の
立憲政治史上にもかくかくたる名声を残された方で、その方が現在
議長をやっておられる。この
議長のときに、もう少し確固たる方針と確固たる
態度で、しかも何らか
規制する道を
議長みずから
発議されてもよいのではないか。この
法案も、聞くところによると、前
議長の
発議であったようであります。
加藤鋳五郎氏は、こういうふうな
国民の
権利義務を拘束するような
法案を
発議された。
清瀬議長は、
国民の
権利義務を拘束するのではなしに、
議員みずからの
義務をもっと高揚せしめるようなそういう
発議をされたならば、私は、後世、さすがに
清瀬一郎は名
議長であったということが残ると思うのでありますが、
議長さんのお
考えを承りたい。