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1960-02-26 第34回国会 衆議院 議院運営委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十六日(金曜日)     午後零時五十一分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 菅家 喜六君 理事 佐々木盛雄君    理事 長谷川 峻君 理事 松澤 雄藏君    理事 三和 精一君 理事 柳田 秀一君    理事 下平 正一君 理事 池田 禎治君       安倍晋太郎君    天野 公義君       飯塚 定輔君    椎熊 三郎君       古川 丈吉君    毛利 松平君       小林  進君    小林 正美君       兒玉 末男君    八木  昇君  委員外出席者         議     長 清瀬 一郎君         副  議  長 中村 高一君         事 務 総 長 鈴木 隆夫君         衆議院法制局長 西澤哲四郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日米安全保障条約等特別委員長から議院運営委  員長宛申入れの件についての荒舩委員長の報  告  右申入れに対する回答書の件  「国会において条約について審査するに当り、  法律案予算と同じように修正できるか否か」  の問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  まず、日米安全保障条約等特別委員長からの申し入れの件についてでありますが、さきに御報告を申し上げました通り、去る二十四日、小澤委員長から私あてに次のような申し入れがありました。今、一応これを朗読いたします。    申入れ  昨二十三日の日米安全保障条約等特別委員会理事会申合せに基き、「国会において条約について審査するに当り、法律案予算と同じように修正できるか否か」の問題については、貴委員会において御検討の上、結論を出されたい。   昭和三十五年二月二十四日   日米安全保障条約等特別委員長            小澤佐重喜   議院運営委員長    荒舩清十郎殿  この申し入れにつきましては、同日以来、当委員会理事会において御協議を願っておりましたが、本日話し合いができまして、次のような回答書を私から小澤委員長あてに出すことになりました。回答書を朗読いたします。    回答書去る二月二十四日、貴委員会理事会申合せに基く、「国会において条約について審査するに当り、法律案予算と同じように修正できるか否か」の問題について、検討の上結論を出されたいとの申入れの件については、当委員会としてはこれを慎重に検討の上貴意に添うよう致したい所存である。右回答する。   昭和三十五年二月二十六日     議院運営委員長           荒舩清十郎    日米安全保障条約等特別委員長    小澤佐重喜殿  本件について御協議を願います。
  3. 小林進

    小林(進)委員 今の文章を、さきにこの委員会に諮ったというふうな委員長お話がありましたが、小澤委員長申し入れをこの委員会でお取り上げになったことがございますか。さきに御報告いたしましたというのは……。
  4. 菅家喜六

    菅家委員 こういう申し入れがあったという……。
  5. 小林進

    小林(進)委員 その問題について貴意に沿う所存だということは、今の文章をいま一回委員長から御解明いただきたいと思うのですが、修正権があるかないかという問いに対して、貴意に沿うよういたしたいというのは……。
  6. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 小林君からお尋ねがございましたが、これは昨日理事会におきまして、こういう文章がよろしいということで、この文章を満場一致できめたわけでございます。従いまして、貴意に沿うよういたしたい所存であるということは、あなたの方のお尋ね、また依頼に沿うて、この委員会研究していきたいという意味の気持を表明したものであります。
  7. 小林進

    小林(進)委員 イエスノーかでなく、その問題について研究していくということが、今の回答になるというのですか。
  8. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 研究してから結論を出してくれという問題でございますから、その通りいたしましょうということです。
  9. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 他に御意見はございませんか。――それでは、本件理事会話し合い通り決定することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  10. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。  ついては、直ちに回答することにいたします。     ―――――――――――――
  11. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それでは、これより引き続き、国会において条約について審査するにあたり、法律案予算と同じように修正できるかいなかの問題について御協議願うことにいたします。
  12. 柳田秀一

    柳田委員 われわれに今与えられておる案件でありますが、この問題は、もとをさかのぼれば、憲法自体の問題であり、さらにそれを受け継いだ国会法の問題です。同時に、われわれ立法府に席を置くものとして、行政府立法府の問題、行政権立法府権限の問題にも関係しておると思いますので、当委員会としては、十分慎重に検討したいと思います。ただ、日米安全保障条約等特別委員会で、従来の審議あとを見ますと、本件に関して、内閣法制局長官が答えており、それに特別委員会参考人を呼ばれたのですが、元来、国権の最高機関である国会からいうならば、内閣は、われわれから見れば、日本行政に関するところの権限を行使する別個の機関であり、その内閣法制局長官意見を聞くということは、参考として、条約締結権を持っておる内閣から聞くのですから、別に違法と言うのではないが、ただ、国会自体としてこの問題を国会立場から検討するという意味において、私はここで、国会の中に法制局長も職制上おるわけでありますから、一応法制局長をこの委員会に呼んでいただいて、そうして疑義の点を少し確かめてみたいと思うのであります。委員長においては一つそのようにお取り計らいを願いたいと思います。
  13. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま柳田君の御発言でございますが、多分そういうようなこともあろうと思いまして、西澤法制局長をここに呼んでありますから、どうぞ。
  14. 菅家喜六

    菅家委員 ただいま柳田君からお話のありました、西澤法制局長を呼んで所見をただすということには異議はありません。なお、先般申し入れを受けました条項は、国会において条約について審査するにあたり、法律案予算と同じように修正できるかいなかを検討の上、結論を出されたいという申し入れでありますから、この申し入れの趣旨に沿うて、今後当委員会が取り扱う方法等は、一つ次回の理事会各党の間で検討し、その検討の結果を当該委員会にかけて審査方法をきめたいと思います。――とりあえず、きょうは西澤法制局長意見を聞こうという御意見だろうと思います。西澤法制局長お話が終わってから後、委員長からそういうことも順次お諮り願いたいと思います。
  15. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま菅家君から御発言がございまして、この問題についての取り扱いについては、後ほどまた理事会あるいは理事協議会等機関を通じて御相談いただくとして、とりあえず、西澤法制局長に来ていただいておりますから、局長お尋ねすることはまことに至当だと思います。従いまして、そういうことにいたしたいと思います。
  16. 小林進

    小林(進)委員 西澤君から御意見を聞くのは私は賛成でございます。賛成でございまするが、先ほどの菅家理事発言もございましたが、小澤特別委員長申し入れに対して、貴意に沿う所存であるというふうに回答をお作りになった。その貴意に沿う所存というのは、今までの貴意に沿うというのは、大体、イエスとかノーとか、問い合わせに対して回答が出るものと私は判断するのでありますが、そうじゃなくて、貴意に沿うということは、研究をすることだ、貴意に沿うようにこれから研究することだ、こういうような委員長お話があったのでありますが、申し入れに対して、貴意に沿うように研究をするということになるならば、そういう結果を出すためのプログラムというものが理事会話し合いができたのではないか、私はこう考えておったのでありまするけれども、今の菅家理事お話では、そういうものはできてない、ただ、研究するという申し合せのみであって、その回答に至るまでのプログラムはでき上がっていない。わが党の柳田理事提案があったから、さしあたり西澤法制局長の話をきょうは聞くけれども、その後のプログラムは何もない、こういうお話で、これから一応聞いたあとで、理事会で自後の回答を出すまでの研究をおやりになるのですね。私は、実は先ほどの小澤委員長に対する回答の中には、回答に至るまでの計画、プログラムというものが全部でき上がっておるというふうに了承をして、この回答に承諾をしたのであります。
  17. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それは、小林君はどういうふうにおとりになったか知りませんが、ただいま御議決を願いました回答書は、検討の上、結論を出されたいとの申し入れの件ということについてでございますので、このプログラムというのですか、順序といいましょうか、これからどういう審議をしようかということは、理事会等でよく御相談いただきまして、あるいはまた、委員会等のなにもございますから、そういうことは、一つ各党と御相談をいただいて、やろう、こういうことでございまして、決して与党の方から無理押しをしてどうというふうな意味は少しもありませんから、どうぞ誤解のないようにお願いします。
  18. 菅家喜六

    菅家委員 委員長の今のお話しで御了承を得たと思うのでありますが、小林君は何か考え違いをしておられるのではないか。私どもは、この申入書回答書をよく読んでいただきますれば、わかると思います。検討の上、結論を出されたいとの申し入れなんです。この申し入れに対して、こちらの方は善処して貴意に沿うようにいたしたい、こういう回答です。しかし、何もプランがないというふうなことで、何かとっさにきょう西澤法制局長だけを呼んで、あと一つもこの問題の結論を出すプランがないようなお話であります。この種の問題は、そう簡単ではありません。両論があり、各党各党おのおの意見をお持ちになっておるのでございますから、それをどういうふうにここで取り扱っていくかということは、そう簡単に、受けてすぐできるものではないのであって、きのう、きょうと各党代表者の中でお話し合いをいたしまして、きょうは、とりあえずまず西澤局長の話を聞こう、それから今度は各党意見をまとめて、まとまったところで、この審議申し入れに対する進め方をやっていこうということですから、私は適当だと思うのです。どうかそういうふうに一つ了承願います。
  19. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は、申し入れに対する回答の案文は賛成でございます。それで結構だと思う。そこで私は、当委員会としてこれを調査研究していった上において結論を出すということですが、結論はいろいろ予想されることであるが、これは一体どういうことなんですか。要するに、条約に対し修正権ありゃいなやが中心ですな。そうすると、あるとか、ないとかいうことをきめるということでしょうか。それだと、私は結論にはならぬと思うのです。長年多くの学者が研究しても、両論あって、定説がないのですね。修正権ありと称する者、そう信じておる者、あるいは、なしと主張する者、ともに今日現存しておるわけです。これを国会がきめるということならば、国会機関でものをきめるということは、いろいろの方法がありますが、どういう方法によってきめる――ということは、どっちか一方にこうだときめる、たとえば、あるんだときめるとか、ないんだときめるとか、そういうことで、ただここで多数決できめたとか、いや論争の結果きめたということできめてみても、私は何にも権威がないのだと思うのです。きめる以上、そのきめた通りに、国会法疑義のないように、あるならあると、あるがゆえにこういうことができるんだという、その国会法の規定でもいじるとか、ないならないように、疑問の余地のないように国会法を直していくということでないと、きめたということにはならぬのです。今国会だけは大体あるときまったとか、ないときまったとかとなれば、お互いの政党の信義上それは守るという申し合せでもあれば別ですが、まだそんな申し合せも何もない。きまったのに従うという申し合せもないですから、そういうばく然と、一応、あるとか、ないとかだけの結論を出してみたところで、次の国会になったら、そんなものは意味はありませんし、解散後の国会ではさらに意味がありません。こういうものは、幾らたっても、個々の人々の判断によって、修正権ありと信ずる人は、修正せんという志を持っておるならば、それに向一かって修正をしていけばいい。その修正が成功するかどうかは、国会運営で各機関を通じて決定をしていく。決定方法は、国会法にありますからいいのであって、ここで議運が幾ら研究しても、私どもこの問題に携わってから十数年になるわけですが、いまだに結論を得ておらぬ。結論をそんなにはっきりつけておいても、何にもならない。あるとかないとか言ったって、意味をなさない。あるとかないとかいうことなら、国会法疑義のないように法律を直していく、そこまでの決意がなければ意味がないことだと思うが、委員長はどう思われますか。
  20. 菅家喜六

    菅家委員 ただいま椎熊君からお話のあったことはごもっともでありますが、私ども考えは、この申入書に基づいて――まず、当該委員会から、国会運営の任に当たる当委員会申し入れがあったのでありまして、「国会において条約について審査するに当り、法律案予算と同じように修正できるか否か、向こうは限定してきておるのであります。この限定してきておる、法律案予算と同じように修正する権限があるかないかということを第一に検討してみなければなりません。しかし、それを検討するにあたっては、もちろん国会法にも及ぶでありましょう。あるいは憲法上の解釈の問題にも及んでくるでありましょうが、どういうふうにして結論を出すかということ、結論を得られるか得られないかということを今ここで論議していますと、これは私なかなかそこに議論があると思うのでありまして、こういう申し入れを受けた以上は、やはり一応申し入れの趣意に従ってここで検討を加えてみたい。その過程においてそういうことの結論が出ないということにあるいはなるかもしれません。結論が出るかもしれません。椎熊君は、結論は出ないとおっしゃるかもしれませんが……。
  21. 椎熊三郎

    椎熊委員 いや、出ないという結論もあり得る。終着点がなければならない。いやしくも運営委員会結論を出すといったら、国会法を改正するまでの決意を持ってやらなければいけませんぞということを言いたいために、こういう質問の形式で言っておる。それでなければ意味をなさぬということです。
  22. 菅家喜六

    菅家委員 今ここでこの問題を論ずることになれば、なかなか意見が統一されていかないと思う。しからば、国会法を改正するという結論が出るか、そう単純には出てこない。審議過程において、そういう結論も出るかもしれぬし、まず、一応ここでそういう審議を進めてみることが、穏健妥当な審議方法だろうと思う。結論は出るかもしれぬ、出ないかもしれぬ。それは、審議の後において出ることだと思う。だから、順序を追って、派生的なことでなく、社会党さんからのお申し入れによって、きょうは西澤法制局長意見を聞き、質問をいたす、その後に理事会において各党代表意見を聞いて審議方法をきめて、そうして審議を連日続けまして、しかる後にまたそういう意見がありましたら、そういう意見は、当委員会お互い意見交換をして、論じ合ってみたいと思うのであります。
  23. 八木昇

    八木(昇)委員 私、ちょっと議運の招集がよくわからなかったのでおくれて来まして、あるいはすでに出ておるかもしれませんが、こういう回答を出すことに必ずしも私ども異論はありません。これを出すことはいいと思います。ただ、問題が一つ残るのですが、この回答書を出すということは、結果的には、当然、議運委員会としては、修正権ありゃなしや、また、それに関連する問題についての論議がまだ今後相当の日時を要する、従いまして、安保特別委員会の方においては、こちらの議運結論を待つまでもなく、審議は適当な時期から始められるもやむを得なかろうという意味が裏面にはある、こういう格好になっておると思うのです。非常に端的に言いましてね。ところが、その場合に、従来から非常に大きな問題として一つ疑義が出されておるのは、今度の安保改定についての承認を求める議案の出し方について問題が出ておるわけでしょう。それについては、これは私が申すまでもないことですけれども、今度の新安保の本文ですね。それから条約第六条の実施に関する交換公文とか、あるいは吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文、それから行政協定に関連をする交換公文の問題、こういうふうなものについては、付属文書という形になっておる。そういう出し方について非常に疑義がある。従って、その問題がまず解決をされなければ、安保特別委員会としては具体的な審議に入れない。修正権ありやなしやという問題については、必ずしも今ただちに結論は出ていなくても、委員会審議に入ることはできるけれども、しかし、この議案の出し方そのものについて疑義がある場合、これの解明がなされずしては、委員会審議に入ろうにも入れないのじゃないか、こういう議論はまだ残っておるわけです。そこで質問をしますが、その疑義が残っておるので、おそらくこの回答書を私どもが出しましても、今の議案の取り扱い問題については、当然これは安保特別委員会で問題がやはり提起されて、そうしてまずその問題が相当議論になるということが考えられるのだが、その点について一体委員長はどういう考え方ですか。
  24. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 きのうの理事会の結果を菅家理事から――ただいまの点は、柳田理事からそういう御発言もございましたので、それらを含んで、菅家理事から報告……。
  25. 椎熊三郎

    椎熊委員 菅家君は答弁の位置に立つ必要はない。今のは委員長に対する質問でしょう。
  26. 八木昇

    八木(昇)委員 どちらでもかまいません。
  27. 椎熊三郎

    椎熊委員 菅家君、まだ答弁するのは早いと思う。  ところで、あなたの今の発言は、どういう立場発言ですか。議運委員としての発言としては、私は聞き取れない。議運においては、この案の提出に対しては何らの疑義を差しはさまずしてこれを受理し、委員会に回付した。あなたは、まだ委員会審議が始まっていないと言ったが、すでに審議に入っておる。政府説明があって、きょうは質問に入るという段階だ。政府説明をした以上、審議はまだ始まっていないとは言えない。あなた自身がどこかの代弁をして言うならば別だが、議運委員としての発言としては不穏当だと思う。受け取って回付してしまっておるじゃないか。疑義があったら、なぜそのとき争わないか。
  28. 菅家喜六

    菅家委員 報告でなく、意見があります。今の八木さんのお話は、今椎熊さんからお話があったのでありますが、ちょっと私は納得いたしかねます。なぜかと言えば、この問題は各党で話し合って結論に到達した。あなたの方の党の代表も来て、そのことを論ぜられた。これは先決問題としてその問題を先にやるべきじゃないかという御主張が強くありました。しかし、私ども考えは、そういうことじゃない。それは特別委員会それ自体のおきめになることだ。それであるから、この問題を検討するにあたって、その範囲内でそういうこともこちらの方でも検討を加えていくということは適当なことであるが、提案権の問題の解決がつかない前にはこの回答ができないとか、この審議が進められないとかいうことは、少し行き過ぎであろうということに、各党意見が一致したのであります。そこで、ここで審議過程においてそういう問題も出てくるでしょう。憲法の問題も出る、国会法の問題も出る、提案権の問題も出る、いろいろ問題が出てくるでしょう。そのときは当然この委員会でやっていいでしょう。しかし、向こう委員会でやるべきことをこちらの運営委員会がとって、提案の仕方の問題を検討するということは、当委員会でやるべきことでないということに各党の党の態度が一致したわけであります。決して個々理事意見ではありません。ですから、そういう問題は今やりましても、向こうが進めるか進めないかということは、ここできめることではありません。そういうことで、進めるか進めないかは、当該特別委員会できめることです。この委員会で、進めるとか進めないとかということを議論することは、余談になってしまうのでありますから、先ほど申し上げた通り、きょうは、各党の申し合わせによって、まず西澤法制局長の話を聞こう、その次の審議方法は、各党間で話し合いをして、月曜日からでも、火曜日からでもいいから、一つ審議方法はきめていこう、これは各党間で一致したことです。あなたはその党の一分子として出席しているのだから、それを何べんも何べんも蒸し返されたのでは、その議論に時間を費やしてしまうことになる。
  29. 八木昇

    八木(昇)委員 そういう意味ではない。今の提案の仕方という問題については、当該委員会である安保特別委員会でやってもらいたいという意味なのかどうかということです。
  30. 菅家喜六

    菅家委員 やってもらいたいとかなんとかいうのでなく、やるのが当然だ。
  31. 八木昇

    八木(昇)委員 もう一つ、この議運委員会でなぜこういう疑問を出したかというと、向こうが求めてきておるのは、結局、条約審査について、国会においては法律案予算と同じように修正ができるかどうかについての結論を求めてきておるわけです。この回答書では、それに対するわれわれの結論を出すためには、審議相当長期間かかるという答えになっておる。ところが、もう一つの問題は、今度のいわゆる承認案の出し方についてもう一つ実は問題があった。その問題についても、これはそういった議案の出し方という問題であるから、これも当然議運としても論議の対象となるべき問題ではなかろうかと考えたのです。従って、今のお答えは、これは当然当該委員会議論になる問題だという考えだというふうに理解してよいですね。
  32. 菅家喜六

    菅家委員 それは私ども当該委員会のことはわかりませんよ。この委員会においては、今言った通りの運び方ですから、あなたの方の理事の話を聞くとよくわかります。
  33. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 今、菅家君のお話し通り各党で一致したのでございますから、どうぞあなたの方の理事のお二人にお聞きとりを願いたい。     ―――――――――――――
  34. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 先ほど柳田君から、西澤法制局長を呼んでいただきたい、こういうことでございまして、来ておりますから、どうぞ御質問を願います。
  35. 柳田秀一

    柳田委員 それでは、私、今わが党の八木君が言った点を局長お尋ねしたい。法律案予算と同じように修正できるかどうかということに関連するわけですが、二十三日の閣議で、内閣の方の法制局意見としては――われわれ国会国会独自で将来きめることですけれども締結権を持った内閣の方の意見参考にはなるわけです。決定するのは、われわれ国会としてきめる、そういう意味でございます。その中で「米国の上院規則には条約修正という言葉が出ているが、これは実際には条件付き承認意味している。つまり条約のある部分政府が直す、または削ったら承認を与えようというものである。このような条件付き承認日本国会に」ここから大事なんです。「あるともないともいえない。しかしあるとしてもこれは国会条約修正権とは全く別なもので」あって、政府を法理論的には拘束しない。こういうふうに、政府の方の法制局側解釈はなっているわけですが、これは政府の方の解釈です。そこで、これは参考に述べただけですが、そういう国会修正権があるのかないのか、あるいは部分的修正権があるかどうかということは、将来の問題です。それに関連してくると、今ここで八木君が言ったように、この条約の出し方が問題になる。ところが、われわれ国会議員も、この点はある意味においてはお互い共通の責任があるということは、従来の先例では、確かに今回安保条約等承認を求めたと同様の求め方をしてきておる先例はあるわけです。その点は率直に認めます。ただし、今回この問題が非常に憲法並びに国会法との関連の、ある意味の盲点としてことに立法府行政権との関係のいわば盲点のような形で浮かび上がったので、そこで、そういう先例のあることは率直に認めますが、将来は十分検討しなければならぬ。ことに、われわれが、この回答でも、慎重に検討しようというのだから、そういう意味で私は局長お尋ねしますが、そうなってくると、かりに百歩も二百歩も譲って、部分修正というようなことになってきても、そうなると、今のような議案の出し方、この「承認を求めるの件」一枚が議案書とするならば、これはかりに百歩譲って部分修正にしても、これは修正のしょうがない。そうなってくると、どうしても条約案文そのものも、議案の内容じゃなしに、議案そのものになってこなければいかぬ。これはしても別に悪いことはないわけですが、先例は確かに「承認を求めるの件」紙一枚です。その辺のところがどうも不明確です。こういう問題は、第一国会のときにもっと審議しなければならぬ問題であった。その点は私も率直に認めます。やはり議案書というものは、「承認を求めるの件」だけが議案書じゃなしに、「承認を求めるの件」と同時に、その条約案文そのものも議案書としておいた方がさらによいのではないか、また、そうすべきが当然じゃないか、こういうふうに考えるわけです。政府説明によると、出てきましたものは、そういう「承認を求めるの件」という二つの議案書で、それに付属していろいろな文書があるのです。そうしてその中には、政府の答弁によると、最初に、参議院で昨年の十一月でしたかの、ベトナムのときのわが党の小林孝平君の質問に対しては、その当時、それぞれの案文等は参考書類でございますと、こういう答弁があった。それから先般の安全保障条約特別委員会では、これは条約案文は付属文書でございます。ところが、交換公文だとか、合意議事録だとかいうものは参考資料でございます。こういうふうに、政府の答弁も必ずしも明快でない。この点を少し明らかにしておきませんと、修正権ありゃなしやという問題の前提条件として、今のような紙きれ一枚の「承認を求めるの件」が議案だということになってくると、ここに問題が出てくる。そういうことですから、これは私は党利党略で言っておるのではなしに、この問題はやはりこういう機会に解明しておく必要があるのではないか。しかし、この解明も、今直ちにきょう解明できるとは思っておりません。これから、われわれの考えとしては、わが党においても、自由民主党さんがおやりになったように、それぞれ専門的の学者の意見を聞くこともありましょうし、また、当委員会においてもそれぞれのそういう専門家の意見参考に伺うこともあり得るでありましょう。まず、きょうは当面、衆議院の法制局長に、議案書というものは、どれが議案書なのか、この点に関して御見解を承っておきたい、かように考えます。
  36. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 今の御質問でございますが、条約というものを、国会法上、議案という観念に当てはめて考えた場合に、これが議案であるかどうかという問題になってくると思います。今の、同意を求める件が、議案という表現で表わし得るかどうか、あるいは、議案という以上は、あくまでも案でなければならないという考え方からしますと、条約のようなものについては、ちょっとその案の中には入りかねるような気もいたすのであります。これは実は私どもの方でまだ法制局としての意見は全部固まっているわけではございません。その点は、私個人といたしましては、ある程度の考え方もございますけれども法制局といたしましての考え方は、今しばらくお時間をちょうだいしたいと考えております。
  37. 椎熊三郎

    椎熊委員 この問題は、十数年来の懸案なんです。今回の安全保障条約の締結に対する承認を求める案件についても、政府の答弁の中に、案文そのもの、それから交換公文等は、付属書類であるということが、内閣法制局長官の話の中に三カ所ほどある。同時に、それと背反した発言もある。われわれはそれで満足しないので、追及の結果、彼は、承認を求める件と、この条約案、それから交換文書というものは不離一体のものであるとも言っておる。私どもは、当然不離一体でなければならぬと思う。審議の対象は条約そのものでなければならぬ。この表紙一枚、これは何を政府が要求しておるかという意思表示であってその表題は審議の対象じゃない。表題の内容がわれわれの審議の対象だということに、われわれの安保特別委員会では両党とも意見が一致しております。しからば、その出し方について不備があるかということになると、日米安全保障条約に関する承諾を求めるの件として出して参りましても、それは不離一体なる条約がちゃんと出ておるのでございますから、議案として扱うのに何らの支障を来たさない。これは十数年来の慣例上からもそうであって、それがそうなっておるから修正ができるとか、できないとかいう問題じゃなくて、現在の場合でも、修正ができると信ずる人は、できるという意見を出しております。ことに本院の事務総長のごときは、国会法上から割り出して、これは当然できるという意見を持っておる。しかしながら、条件があって、それは調印以前だ、調印以後はできない、そういうことも言っておられる。しかしながら、これは一つ意見にすぎません。意見としてはそういうことがあるし、われわれは、議案の出し方は今日まで何らの疑義を差しはさまずに、これを審議して参ったのでございます。から、これはこのままで出しても、瑕疵欠陥があるとは私どもは思っていないのです。ただ、遺憾ながら、法制局において、今日これほど天下の大問題になっておるのに、個人的見解はあるけれども法制局意見がコンクリートされていないということは、私は、法制局の怠慢を意味するものとして、はなはだ遺憾であります。少なくとも、本日は法制局長意見を聞くのだから、局長は堂々と本人の所信を披瀝したらいい。法制局の下僚との合議が決定しないから、意見は述べられない、そんなことはない。局長としての意見を私どもは聴取しておるのです。そこは勇敢に、遠慮することなくあなたの信念を吐露したらいいでしょう。それがいいか悪いか、用いるか用いないかは、こっちの勝手です。そういう答弁はいけませんよ。無責任というものです。
  38. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 法制局長にちょっとお尋ねしますが……。
  39. 柳田秀一

    柳田委員 関連して池田さんからも御発言があるようですが、その前に、今椎熊さんからもお話がありまして、審議の対象としては、これは紙一枚ではどうにもならぬ、議案書の条文その他のものは不即不離一体なんだということは、両党一致しておる、その通りなんです。また、そうあるべきです。そうしなければ、かりに部分修正というようなことがあっても、対象がないものに部分修正なんということはあり得ない。そこで、先例も私知っておるので申し上げますが、この機会に、修正権ありゃなしやの前に聞いておくわけです。  今まで政府側ばかりに聞いておるので、政府側の答弁しか聞いておりませんが、政府側の答弁によりますと、審議の対象になる議案は「承認を求めるの件」だ、条約文はその内容をなすんだ、だから不即不離一体だと言われる。非常に微妙な点で、そういう意味では、先ほどの御発言もありましたように、将来国会法等の改正の問題にもこれは発展する可能性もあり、かつて議運でもそういうことを取り上げたことがある。そういうのと同時に、当委員会先例を重んずる委員会だということも知っておりますが、こういうように問題になってくると、確かにこれは微妙であり、その解釈は非常にデリケートで、むずかしいことになっていくのですから、私は、この際法制局長は率直に意見を言われたらいいと思う。そういうことを何も遠慮することはないのです。確かにこれは非常にデリケートな問題なんです。今のように、条約文そのものも当然これは審査の対象であり、そうでなければならぬ、不即不離一体のものであるということは、両党一致しておるのだから、そんなことは一つも遠慮される必要はない。私が質問したことに対して堂々とあなたの所信を表明されたい。あなたのように、まるではれものにさわるような態度だったら、この議運審査というものはこれから一つも進展しません。これは従来の先例とかなんとかは私は一応認めた上で議論しておるので、新しい観点に立ってもう一度検討し直そうというのですから、あなたは所信を率直に披瀝願いたい。
  40. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 承認を求める件といいますのは、紙きれ一枚では審査の対象にならない、それから、当然にそこに条約文も審査の対象になる、この事実は明らかでございます。ただ、それを議案という考え方のワクの中に押し込むことがはたしていいかどうかという点でございます。私は、実は条約承認につきましては、これは条約承認に関する件という議案とは別ワクのものに入れたい、こういう考え方を持っております。それは、広い意味におきましては議案ではございますけれども、また、議案と同様の取り扱いをいたしておりますけれども、しかしながら、議案という、少なくとも案という考え方は、私は、この場合にはどうもちょっと適当ではないのではないかと考えておるわけでございます。
  41. 柳田秀一

    柳田委員 そうすると、法制局長考えでいくと、議案という議じゃなしに、案の方に非常にアクセントを置かれた御解釈のように承る。これはいささか文字の上にとらわれ過ぎた考えで、われわれは、議であろうが、案であろうが、議題であろうが、審査の対象であろうが、同じに考えておる。議案の案にあまり拘泥されるのじゃなしに、一体、審査する対象は何か、審査する対象は当然条約文も含まれるということなら、これは一つ議案であるというふうに、常識上解釈しなければ、あまりにも――これは議案の、案ではない、条約というのは法律とは違うんだ、条約は調印してきたものは案じゃないんだ、イニシアルのときは案か知らぬが、調印してきたときは案ではないのだというような、とらわれ過ぎた解釈では、どんなことでも行き詰まってしまう。日本の言葉は、どのように書いたって、それはぴしっといくようにできるものじゃありません。これは、国家安康の字を用いて豊臣がつぶれたように、どのようにでも解釈できると思う。だから、やはり「承認を求めるの件」と同時に、条約文そのものが、委員会における、あるいは国会における審査の対象になり、それが議案としてかかっておるのだ、こういうふうにすなおにものを解釈するのが――私は、法理論を展開する上において、言葉の文字だけをやるということは、法理論の末梢の問題だ、法理論というものは、法律というものは、そこに流れておる精神とか、そういうものによって解釈すべきだと思うのですが、どうですか。
  42. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 またお言葉を返すようでございますが、先ほど私が申しましたように、広義の議案という意味であれば、もちろんその中に入る、私はこう思っておるわけでございます。ただ、これを綿密に分けていきますと、そこのところに区別がある、そういうふうに考えております。
  43. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 ちょっと西澤法制局長お尋ねいたしますが、あなたは、条約案は議案であると認めるかどうか、このことを聞きます。
  44. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 池田先生のおっしゃる条約案というのは、どういう意味でございましょうか。
  45. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 国会に提出されておる日米安保条約です。
  46. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 今の、調印前のもの、あるいは……。
  47. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 現に提出されておるものです。
  48. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 現に提出されておる具体的なもの――これは私は条約案とは考えておりません。条約そのものであると考えております。
  49. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 議案考えますか。
  50. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 議案というのは、今申しましたように、広い意味議案だと考えております。
  51. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それではこの条約は、締結をされ、国会承認をされれば、法律としての効力を発生するものですか、どうですか。
  52. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 法律としての効果ということは、ちょっと私わかりかねますが、批准書の交換によりまして効果を発生いたすことになります。もちろん、それは国際的に効果を発生するわけでございまして、国内法の改正を要する場合には、当然その手続も必要となってくることだと考えます。
  53. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私の言っておるのは、法律としての効力を発生するかいなやということです。
  54. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 条約法律とはやはり違っておりますから、法律としての効果の問題ではなく、条約そのものの効果の問題だと考えます。
  55. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 しからば、この日米安保条約の改定が、国会において承認をされて批准された場合には、国民はこれに基づくところの法律上の義務を負わぬでよろしいのですか。両国間に締結されたことは、承認されたならば、国民が義務を負うことは当然でしよう。
  56. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 その点は、憲法が、条約はこれを尊重しなければならないということを申しておるわけでございます。
  57. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 しかりとすれば、当然私は法律と同一の効果を持っておると思うが、いかがですか。
  58. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 それは法律とは私は別だと思います。
  59. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それでは、国民は、この締結された条約に対して義務はないわけですか、あるわけですか。
  60. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 もちろん、批准書の交換によって、両国間はそれによって拘束され、また、国民もそれに従うべきものだと考えております。
  61. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 そうすると、僕は、あなたの言っておることは、条約というものは、国会承認を求むるにあたって法律とは別個のものであって、国内的の法規という意味においては、条約上の責任だというふうに受け取れるのですが、そういうふうに解釈してよろしいですか。
  62. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 条約が国際間を拘束するとともに、それが国内法的な面がありますれば、それは当然に九十八条の規定によって、条約は国民によって順守されなければならないものではないかと考えております。
  63. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 しかりとするならば、この条約の改正にあたりまして、国内法的な諸法規を改正しなければならぬことは当然だと思う。それに対して、これは法律としての効果でなく、条約としての効果ですか。国内法としてはこれは法律の効果ですか。
  64. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 条約の改正に伴いまして国内法の改正を必要とするときは、当然に国内法の改正もなさるべきものだと考えます。
  65. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それではお尋ねいたしますが、憲法第四十一条の条章は「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」こういうふうに私は新憲法制定のときの模様を、あの当時の起草の人々から聞いたのです。従来、帝国憲法というものは、主権を天皇に置き、外交権を初めとして、天皇の大権というものを最も重要視しておった。これをすべて国民の前に戻して、主権を国民に移して、国会を国権の最高機関とし、国の唯一の立法機関とした。そうすると、法律上の問題、条約上の問題――かりにあなたの言う、条約の問題は行政府にあるとしても、憲法の条章からいうなら、これこそまことに重大な問題であって、主権が国民にきた、しかりとすれば、行政権に対して、行政府決定したものといえどもこれを否認することは当然である。否決することは、これは認めますか。
  66. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 池田さんのお説の通りでございます。
  67. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 しからば、それに基づいて修正が不可能であるということの論点は、あなたはどういうふうにお考えになっておりますか。
  68. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 修正の問題につきましては、今の問題とちょっとかけ離れておるように思います。今のお話は、直ちに、先ほどの特別委員会からの御照会に対する回答そのものを、この揚で私ども考え方をお話せよという意味ではないかと考えます。そうなんでございましょうか。
  69. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私は、あに、あなただけの意見をとって、それを本委員会が採択するかいなかはわかりません。しかし、あなたの意見も重要な参考意見として承りたい。従来、ともすると、国会議員政府法制局長官を呼んで、法律上の解釈を聞くということは、これは議員の見当違いだと思う。国会に厳たる法制局があるのだから、行政府法制局長官をわずらわす必要はない。まず、立法府法制局長の見解を中心に論議することが、立法府としての忠実なゆえんではなかろうか。ところが、ともすると、行政府というものに対して日本人は何か昔からの慣習があって、政府にある機関がいいように思う。私どもはそういうことに対して非常に不愉快に思っておる。従って、あなたの見解もまたわれわれにとっては重要な参考になることであって、あに、あなたのみではありません。この委員会は、根本的な研究をするにあたっては、そういう意味においては、私どもは学界の人々を呼んで意見を聞くかもしれません。さらにまた、憲法制定当時の各条章についての起案の骨子となるところのものは、そもそもいずこに源を発したか、こういうことを調査しようということも、私個人としては考えております。それらのものを統一する意味において、本委員会として一つ結論を出したい、こういう見解でありまして、あなたの見解を一つ参考にいたしたい、こういう所見であります。
  70. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 今の修正というお話でございますが、私は、法律及び予算に対すると同様の意味における修正権は、国会はできないと考えております。私個人の考えであります。
  71. 柳田秀一

    柳田委員 実は私が最初言ったのは、修正権のあるなしは一応おくとするが、このような内閣側の見解に関連して、実際審査の対象になるのは一体何かということに論点をしぼって一応法制局長の答弁を聞いたわけです。だから、まずその問題をやりまして、最終的の、修正権ありやなしやの問題は、追って、時日をかさなければならぬ。  そこで、先ほどあなたは、広義の意味においては議案だ、しかし、狭義においては必ずしも議案ではないと言われた。それでは、広義と狭義との区別は一体どこでいたしますか、その点を聞きます。
  72. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 狭い意味議案は、私は、それを国会が議決することにおいて最終的な決定をなし得るもの、これを実は狭い意味議案考えております。つまり、言葉をかえて申せば、国会の議決があった法律あるいは予算、それから一院限りの決議というようなものは、これは国会として、あるいはハウスとしての意思決定ができますから、これは狭い意味における議案だ、私はかように考えております。広い方は、今の、国会の意思だけではきまり得ない。これは私は明らかだと考えております。
  73. 柳田秀一

    柳田委員 それじゃ一つお尋ねいたしますが、今の所論には私は納得できない。法制局長お話によると、国会の意思決定によって左右されるものは、狭い意味議案だ、国会の意思決定によっては最終にならないもの、それは狭い意味議案じゃない、こうおっしゃる。それならば、修正権ありゃなしやは別問題にしておきます。ただし、今の池田君の質問に対してあなたがお答えになったように、国権の最高機関たる国会は、条約承認することも否認することもできる、最終的の意思決定ができるのです。否認したならば、最終的意思決定です。条約は否認された、とうてい締結に至らない。批准書交換に至らない、締結というところまでは至らない。調印はしたけれども、締結に至らなかった、批准書は交換できなかった。だから、国会の意思決定によって最終的な決定になるわけです。なるか、ならぬかは政治論だけれども、法理論としては、国会の意思決定がなる。意思決定がなるならば、狭義の議案でしょう。あなたはその点を混同していやしませんか。おかしいじゃないですか、どうですか。
  74. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 承認の場合を考えてみますと、承認したときには、これは批准という行政権の行為を必要といたします。国会の議決それ自身が、批准という効果を発生するものではございません。批准には、結局国会承認というものが、前提要件と申しましょうか、法定要件として認められておるわけでございますから、この場合には、国会承認があったからといって、それで条約が成立するということは、私は言い得ないのではないかと考えます。不承認の場合におきましても、もちろん、政府がこれを批准することができないという問題であろうと私は考えます。政府行政権、外交権の発動によって、あるいは条約締結権によって批准という行為を阻止せられるという効果を発生するのでありまして、私は、不承認があったから、それによって条約の効果が発生しないというものではなしに、政府が批准をすることができないから、効果を発生することができないのだ、こういうふうに考えるわけであります。
  75. 柳田秀一

    柳田委員 ちょっとまだ納得しない。条約というものは、まず最初にネゴシエートする、そうしてイニシアルをつける、そうして調印をする、そうして国会承認を求める、それによって今度は批准書を交換するということで締結が完了するものですね。ところが、今あなたのおっしゃるように、国会承認したけどれも、それは内閣行政権としての行為、今度は憲法七条に入ってきますが、批准書を交換しなければ条約は成立しない。条約は、最終的には、条約文に書いてあります、国会承認を求めて批准書を交換する場合と、批准書を交換しない場合とありますが、国会承認を求めて、国会承認を与えて、批准書を交換しないということはあり得ないのです。批准なんという言葉になってくると、いかにも古めかしいが、批准という言葉は、訳したら、ラティファイでしょう。ラティファイということは、やはり承認することでしょう。アメリカ大統領の教書なども、いかにも国民に教えるみたいですが、メッセージと同じことなんです。一つも変らない。教書というと、メッセージと違うように考える。批准ということも、国会承認することです。だから、実質的に国会承認しておいて、政府が批准書を交換しないというようなことはあり得ない。だから、結局、国会承認したならば、日本憲法においては、そういう条約について意思決定ができる、最終的の効力がある。国会承認しなければ最終的効果はない。だから、国会承認ということは、条約に対しては、結局これは最終的の効果があるかないかというきめ手になる。そういう点から言うと、あなたの言う狭義だとか広義だとかいうことは、おかしいじゃないですか。最近の新聞を読まれたり、ラジオを聞かれた政治論が多分に入ってるんじゃないかと思う。どうも私は納得できない。
  76. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連して局長お尋ねしたい。議案というものをあなたは広義と狭義の二つに分けておる。そういう分け方が、混乱するもとです。私はこういうふうに考えるのですが、それはどうかという意見をこれから聞くのですが、私は、議案とは、議題に供されて審議の対象になるものが議案である。最終的に決議が出るとか出ないとかいうことは、出るものもある、出ないものもある。流してしまうものもある。それでも議案だ。そんなことでなしに、議題に供せられて審議の対象になるものを、法律用語であるかどうかわからぬが、われわれは議案と唱えておる。こういう考え方はどうでしょう。
  77. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 柳田さんの先ほどのお話でございますが、承認政府が批准をしないということはあり得ないというお説でございますが、ものの本によりますと、著しい例といたしましては、アメリカとキューバの間の条約でございますが、これが一九〇四年に署名されましたのに、批准されましたのは一九二五年という記録が残っております。
  78. 柳田秀一

    柳田委員 日本のことを言っておる。外国のことを聞いているんじゃない。
  79. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 そこで、はなはだおこがましい議論かもわかりませんけれども、私は、その点については、現在の関係法規の中に、今の承認と批准との間の期間でございますね、これについて何らの規定がないということは、ある意味において、立法府の意思を無視するようなことになるのではないかということをおそれるのでございます。その点は、私、意見としてぜひ申し上げたいと実は考えておった点でございます。  それから、椎熊先生のお話でございますが、私が先ほど申し上げました広義の議案についてのお話でございましたが、ただ単に、会議の議題として、それの審議の対象となるものということになりますと、実は動議まで入るような気もいたすのでありますが、動議はやはり除いて考えなくちゃなるまいというような考え方を持っております。
  80. 椎熊三郎

    椎熊委員 動議は、議案審査過程における意思表示なんです。そうすると、議題に供せられて審議の対象になるものを議案と称するという私の俗論は、あなたの解釈をもってすると、立たない。あなたは、動議は議案でないというのですか。
  81. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 私は、動議は議案ではないと考えております。動議は動議だという考え方であります。
  82. 椎熊三郎

    椎熊委員 動議を提出する際は、動議を議題に供すると宣告して、動議の内容を審査の対象としていないから、私もそれは議案だと言っているんじゃないのです。動議は、そのとき発言されて一つの動議が出てくる、それが議案だと私は言っているんじゃない。だから、審議の対象になるかならないかという私の説を退けるには、あなたの論拠は薄弱だということです。もう少し論争してみようじゃないか。
  83. 菅家喜六

    菅家委員 私は、委員長にも、また委員の諸君にもお諮りをし、委員長にお願いしたいと思います。西澤局長にきょう意見をただすということは適切だと思ったのでありますが、これはあくまでも本委員会参考意見たることは間違いありません。しかし、少なくとも立法府の責任ある法制局長としての意見は、これはやはりこの院の法律の元締めの意見となります。それで、質問する方は楽で、皆さんからどんどん疑問の点を、意見を交えて質問しております。そうすると、どうしてもこの委員会で無理をして答弁をしなければならぬということでやりますと、人間のことでありますから、その間にちょっとまだ研究の足りない部分も、百般の問題が同時に出てくると、あると思う。そこで、ここで質問されて、法制局長が言ってしまったとなると、これをあとから訂正していくことはなかなか容易ならぬ問題になってくる。だから、局長の方も、老婆心ではなはだ失敬な話でありますけれども、疑問の点は、必ずしもここで無理をして答えなければならぬということはない。そういうことはあり得ないと思うが、そういうような質疑応答が速記録に残る、そうすると、衆議院の法制局長意見はこういう意見だということになって、あとでこれを訂正するのは大へんなことになる。そこから派生的な問題が起こりますから、われわれがいろいろ疑問の点を局長にただすことは、参考意見としてただすことでありますから、どういうことを聞こうとも何ら支障はありません。しかし、私が局長に望むところは、もし即座にできないというような重要なことであれば、一応はやはり、研究の上お答えいたしますとしておきませんと、これはあとで大へんなことになるのじゃないかと思う。あまり無理をなさらないように、希望意見を述べておきます。
  84. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それは私は、菅家君の法制局に対する思いやりはわからぬではないが、それはさっき椎熊君が言ったように、法制局は、法制局としての意見がいまだ統一されておらないということは、私に言わせれば怠慢です。この問題は、すでに、近くは十九国会以来大きな論争になっておる。国会法疑義をたださなければならぬということまで申し合わせをしておる。記録にも残っておる。あなた方はみずからその衝にありながら、知っておってそうして今日まで意見の統一ができないというのは、それこそ怠慢しごくであると思う。こういうことは許されません。それこそ、あなたはあなただけの意見でなく、統一されたる法制局としての意見を持ってくるべきだ。今日まで何年になるか。二十八年以来のことですよ。それ以来今日まで等閑に付しておったということは、これは私は何と言っても怠慢のそしりを免れないと思っております。従って、あなた方も解明すべきものは十分討議し日て――自分らだけで討議しないで、議員も入れなさい。そうしてただ単に、こういうときだけ呼び出されて意見を聞かれるということではなくして、われわれ立法府に身を置いておるのですから、あなた方自身が聞くべきところは聞き、ただすべきところはただしたらどうですか。われわれがあなた方と質疑応答、論戦をしてもけっこうじゃないですか。何年かに一回しかこういうところでやらないで、審議の対象は何かなんという議論をするのは、私ども不愉快です。動議は審議の対象、そんなことを言う議員は一人もいない。あなたの言いのがれというものは許しがたい。だれ一人そういうことを考えておる者はおらないと思う。そのことを私は申し上げておきます。菅家さんはえらい救いの神のようでございますが、そうじゃなくて、法制局としての権威をみずからが作らなければ、内閣法制局長官を呼んで立法府意見を聞くなんということは、ナンセンスである。あなた方が侮辱されることは、本院みずからが侮辱されることになるのであるから、あなた方は十分考えて下さい。
  85. 柳田秀一

    柳田委員 私も池田君と同感です。菅家さんが福の神のような発言をされました。苦労人の菅家さんの人柄が現請われておる。むげに私は言いませんが、このような重大問題で、しかも菅家委員長のときから懸案になっておる問題です。それを、今のような法制局長の答弁では満足できません。十分これは御研究願います。  もう一度戻りますが、広義の議案だ、狭義の議案だなんと言うものだから、混乱が起こってきた。それで一つ聞きますが、決議案というのは、広義の議案ですか、狭義の議案ですか。
  86. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 先ほど申し上げましたように、狭義の議案だと思います。
  87. 柳田秀一

    柳田委員 狭義の議案というものは、議決されて、それが政府を縛ったり、効力を発生するという場合には狭義の議案だ、広義の議案は、そのこと自体では効力を発生しないものだと、こうおっしゃるならば、決議案というのは、衆議院でもやっております。たとえば、日中国交回復に関する決議案とか何とかいうのがあります。決議案というものは、内閣、行政府に対して、立法府として、国権の最高機関として、本来ならば当然縛るべきですから、今日、国会の決議案というものは、あなたは狭義の議案と言っておるが、先ほど言われたあなたの広義と狭義の解釈はさかさまになってきた。だから、その場その場の都合のよいことをここで答弁しようと思うものだから、だんだんだんだん自家撞着が起こってき、矛盾が起こってくるのですよ。椎熊さんが言うように、審議の対象となるものは議案ですよ。案という、そんな言葉の上のことはナンセンスですよ。もう少しきぜんたる態度で勉強してもらわなければ困る。ただ、従来、衆議院の法制局長を少し軽んじた傾向があるとしたならば、それはわれわれみずからが戒めなければならぬ。それだからといって、あなたもこのような不勉強のことでは困ると思うのです。
  88. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 決議案の問題でございますが、決議案それ自身は、私は院の意思の表明と考えております。従って、その決議を議決することによって、院としての最終決定がなされ得るわけであります。その意味において、狭義の議案だと申しておるわけであります。
  89. 柳田秀一

    柳田委員 わかりました。それならば、条約についても、これを否認したならば、院としての最終決定はできた。決議案と何らかわかっていない。ただその場合に、あなたは、条約のときは広義と称し、そして決議案のときには狭議と称する、これはおかしいじむ、ないですか。内閣に対してこれが縛るかどうかは別問題としておきます。しかし、院としてはこの条約に対して否認した、承認したということは、院自体の最終決定である。だから、決議案に対して最終決定の院の意思表示をしたのと何らかわりない。ところが、決議案の場合には狭義だ、条約のときは広義だ。これを狭義だとか広義だとかに分けたあなた自身の議案解釈そのものが初めからおかしいから、こういう矛盾が出てくるのですよ。だから、これ以上あなたを呼んでもしかたがない。もう少し勉強してもらわなければ困る。このような不勉強の法制局長では困るね。
  90. 古川丈吉

    ○古川委員 局長のおられる前ではっきりさしておいた方がよいと思いますが、今、広義とか狭義とかいう議案説明がありましたけれども議案とはいかなるものであるかという答えとしては、全く答えていないと同じことになると思う。今お話しのように、議案というものは審議の対象になるものだということは、これは間違いないと思う。私はもう一つ要素があると思う。それは何かと言うと、議案というものは、審議すると同時に、その内容において国会において変更または修正できるということが議案の内容じゃないか。審議の対象になるということだけでは非常に狭い。その二つの要素があるのじゃないか。そこのところがはっきりすれば、議案というものは、広義も狭義もなくなるのではないかと考えます。
  91. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 もちろん、議案というものは、具体的内容がなければならないということがいわれております。この点につきましても、実は議案が何ものであるかにつきましては、御承知のように、学者の間にもなかなか議論がございます。私自身としては、先ほど申し上げたような考え方で進んで参ったのでありますが、その考え方はルーズだという、実はおしかりを受けておるわけであります。そういったように、ここでなかなかはっきりした考え方を浮かび出さすということもむずかしいことじゃないかと私は考えます。これも、実はこう申し上げますと、私が逃げ口上を言うようでありますが、やはり皆様方のお知恵によりまして、そこに何らかのはっきりした観念が浮かび上がれば非常にけっこうだと私は考えておるわけでございます。私は私なりに、先ほど申しましたような考え方を持っているものであることだけを申し上げておきたいと思います。
  92. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  93. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 速記を始めて下さい。
  94. 小林進

    小林(進)委員 私は法制局長に、先ほどのお話は、だいぶきめの荒い御質問もありましたから、私はいま少しきめをこまかく、質問を集約してその結論を明確にしておきたいと思うのでありますが、先ほどからの御説明によりますと、議案には、広義の意味議案と、狭い意味議案がある。狭い意味議案というのは、国会において議決されることによって最終の決定を見るものが狭い意味議案である、こういうことを言われた。最終の決定を見るものをいうのか、最終の効力を発するものをいうのかということを、一点私はこの際明確にお聞きしておきたい。  それからもう一つは、広い意味議案というのは、国会の議決によって最終の決定を見ないものだ、すなわち、国会決定をしても、それは直ちに最終決定にならないで、その上に批准というものがある。批准を経なければ条約は効力を発生しないから、これは狭い意味議案でなくて、広い意味議案だ、こういうことを言われたが、私は、この第二番目の、広い意味議案ということに対しては、国会承認を与えた、国会が否認をした――なるほど、局長の言われるように、形式上はそれは最後の決定にはならないかもしれませんけれども、特に民主主義の今日においては、議会というものは最終の決定権を持っておるから、実質上は、先ほどもわが党の柳田さんが言われるように、あなたの言われる狭い意味国会における決定と同じような効力を持っておる。残されたものは、批准という、ほんとうの形式だ。あってもなくてもいいような、盲腸みたいな形式というものが一つ残っておる。その形式というものを非常に重視して、国会の最終決定権というものを軽く見ておる。これは私は、立法府におられる局長として、法解釈というものに対して、この立法府権限を努めて狭めて、行政権ないし批准権というような、形式に重きを置いてそうして広義の解釈等とせられることは、民主主義を守るという番頭の立場から見て、非常に牽強付会の説ではないか、政府側を代弁する発言ではないか、その意味において、そういう形式の論拠に走って狭義、広義と言われるよりは、やはり、ものは実質をとって、実質そのものをすなおに見て、国会が最終決定権を持つから、議案として国会においてその内容をも審議してもらうことが当然である、こう私は解すべきではないかと思いますが、いま一応その点を西澤さんから明快な答弁をしていただきたい。
  95. 西澤哲四郎

    西澤法制局長 お説の通り、私、国会に長いこと御厄介になっておりますし、国会権限を縮小的に考えるという考えは毛頭ございません。ただ私は、現在の法律解釈という建前からいけば、そういうふうになりはしないか、こう思うのであります。ただ、もう一つの問題は、条約というものは国会承認を経るということは、あくまでも民主的なコントロールのもとに外交権も置くのだ、こういう考え方からいきますと、これはまた別個の問題が起こってくるのではないかと私は考えておるのであります。
  96. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 私は、きょうは、修正権の問題をめぐって法制局長の話を聞く非常に大事な冒頭の説明会だと思うのです。それに対する結論みたいなものが、池田さんの質問に対して出てしまったけれども、私はこの際、国会法において今まで未解決であったものが、統一解釈ができるいいチャンスだと思う。そういう意味からしまして、法制局長ども、出たとこ勝負の話ではなくて、たとえば、今の憲法第七十三条に承認の問題がある、それを受けて立った国会法八十五条の問題、こういうようなものを解釈してもらいつつ、最後に池田君に答えたような結論が出るかもしれぬけれども、そういう積み上げを明確にしてもらわぬと、われわれが今から議論をしていく間に非常にロスが出てくるのではないか。ですから、今のように、国会法制局にあっておそらく一番心配しておった国会の権威の問題、権限の問題について、心配しながら勉強してきたと思うのですが、こういう意味で私は、憲法第七十三条と国会法八十五条を受けて立って、その結果が、今まで懸案であった条約の問題についての国会権限というものが、どういうふうにしてここに法律解釈ができるかという積み上げまで、真剣に法制局でやってもらいたいと考えます。
  97. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私はこの際一言申し上げておきますが、法制局長の個人的見解であっても、私は同意いたしかねる。憲法第四十一条に対するあなたの解明がなされていない。いわんや、国民の権利、義務というものを制限するこの条約について、何ら国会がこれに対するところの意見とか、修正とか、あるいはこれに対するところの態度を留保する道がない。私はかようなことは、憲法四十一条から言うならば、断じて許されない。あなたの見解、ないしは、先般の安保特別委員会における学界の人々の考え方を聞いても、天皇主権、外交権が天皇にありしときの姿が、新憲法制定当時の意見と何ら合致していないという見解を持つものであります。従って、この点について、私は、重大な国民の権利と義務を制限する条約、これが承認をされるならば、それはさらに国内法としては法律をもって施行されることになるわけであります。さようなことを、私は今日において、法律上においても、政治上においても、さような修正の意図が表現されないということは認められないという信念を持っております。さらに、これは柳田君がついたけれども国会承認が即批准ではない、これは牽強付会の弁です。キューバがどうとか、アメリカがどうかは知りませんが、アメリカの上院における、外交に対する上院の権能と大統領、これは日本と全然趣きを異にしておりますから、私は、外国がこうだから、日本もこうせよということは、ときに都合のいいところにおきまして引例する人があるが、さようなことは許されない。万国共通する場において許される共通の引例であればけっこうです。しかし、立法府であるとか、行政府であるとか、あるいは国会におきましても、上院に外交の審査権を認めておるような国柄とは、おのずから趣きを異にしておるのでありますから、そういうものをただときどきによって、こういう例がアメリカとキューバにある、承認があってから批准を延引されたんだ、そういう迂遠な話は、日本の現実当面しておる問題については、やめてもらいたい、こういうことを特に申し上げておきます。
  98. 八木昇

    八木(昇)委員 あまり長時間をかけてはどうかと思いますので、私はきょうほんの二、三点ごく事務的にお伺いをして、意見は差し控えて、法制局長考え方をただしておきたいと思うのです。それは国会法の八十五条の件ですが、八十五条に「予算及び衆議院先議の条約について衆議院において参議院の回付案に同意しなかったとき、」こう書いてありますね。すでに特別委員会あたりでは相当論議をされ、参考人からも意見が出されておるのですが、この八十五条にいう回付案というのはどういう意味か、法制局長はどういうふうに理解をしておられるかを一つ聞きたいと思う。回付案というのは、衆議院でまず先議をして、衆議院の出した結論を参議院が否決した場合をさしていないことは明らかです。すなわち、参議院がこれを修正したもの、こういう意味であることは非常に明瞭であるというふうに思うのだけれども、一応衆議院の法制局長としての見解を確かめておきたいというのが一つ。     〔「そういうことをやり出すなら、僕ら聞きたいことがたくさんある」と呼び、その他発言する者あり〕
  99. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 お静かに願います。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止]
  100. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 速記を始めて。  それでは、本日のところはこの程度にとどめ、次回の委員会においてさらに協議することといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたします。  次回の委員会は、追って公報をもってお知らせすることといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十八分散会