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1960-05-17 第34回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十七日(火曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 村瀬 宣親君    理事 小坂善太郎君 理事 西村 英一君    理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君    理事 石野 久男君 理事 岡  良一君    理事 北條 秀一君       秋田 大助君    細田 義安君       石川 次夫君    大原  亨君       岡本 隆一君    松前 重義君       内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         科学技術政務次         官       横山 フク君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁         原子力局長)  佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君         大蔵政務次官  奧村又十郎君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局政策課         長)      井上  亮君         運 輸 技 官         (気象庁観測部         長)      川畑 幸夫君     ————————————— 五月十三日  原子力損害賠償に関する法律案内閣提出第  一三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  原子力損害賠償に関する法律案内閣提出第  一三三号)  科学技術振興対策に関する件      ————◇—————
  2. 村瀬宣親

    村瀬委員長 これより会議を開きます。  原子力損害賠償に関する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。中曽根国務大臣
  3. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま議題となりました原子力損害賠償に関する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国における原子力開発利用は、昭和三十一年原子力基本法の施行を見て以来目ざましい進展を示し、昨年末にはコールダーホール改良型発電炉設置許可を見る等、今や研究体制の強化とともに実用化へ一歩を進めんとする段階に至りつつあるのでありますが、かかる原子力開発利用発展に伴い、原子力災害に対する賠償制度確立が必須の要請とされてきたのであります。  もとより、原子力開発利用につきましては、その安全性確保が絶対的な要件であることは申すまでもなく、万々一にも不測の事態の生じないよう、政府といたしましても原子炉設置等に際しましては、原子炉等規制法以下諸般の法令及び行政措置により万全の対策を講じており、第三者にまで被害の及ぶような大規模災害発生する可能性はほとんどあり得ないと考えているところであります。しかしながら、現代科学の最先端にある原子力開発利用でありますだけに、なお技術的に未知の点があるとされており、万々が一に災害発生する可能性を理論的に完全に、否定することは困難な事情にあるのであります。同時に、原子力災害万々一にも発生いたしました場合には、放射能による被害規模が広範な地域にわたる可能性があり、また、後発性遺伝的影響の特異な放射能障害をもたらす危険性があるという特殊性を有するものであります。かかる特殊性にかんがみ、安全性確保を第一義としつつも、万々一の際における賠償制度確立いたしません限り、住民の不安は除去されず、また、原子力発電等事業者も不安定な基盤の上に事業を行なわざるを得ず、原子力研究及び原子力事業の正常な発展は望むべくもないのであります。一方、世界の趨勢に日を転じますと、すでにアメリカ、イギリス、西ドイツ及びスイスの各国におきましては、原子力損害賠償に関する法制が整備されており、国際原子力機関におきましても、国際条約審議が進められている現況にあるのであります。  かかる情勢に対応いたしまして、わが国原子力委員会におきましても、すでに昭和三十三年十月原十力災害補償についての基本方針決定し、同時に原子力災害補償専門部会を設置して検討を続け、昨年十二月同部会の答申を受け、本年三月には原子力損害賠償制度確立について決定を行なったのであります。政府といたしましても、すでに原子炉等規制法の一部を改正し、本年初めより、原子炉の段丘につきましては五十億円以下の損害賠償措置を具備させることとして参ったのでありますが、これは暫定的な措置であり、ただいま申し上げました原子力委員会決定の趣旨を尊重いたしまして、鋭意検討を重ねました結果、今般成案を得ましたので、ここに本法案を国会に提出する運びとなった次第であります。  以下、本法律案内容につきまして、その重要な点を御説明申し上げます。  第一に、この法律目的は、原子炉運転核燃料物質の加工、使用及び再処理等行為を行なうことによって、方々一放射能等原子力による被害第三者に与えました場合、その損害賠償に関する基本的制度を定めて、被害者保護に遺憾なきを期することにより住民の不安を除去し、同時に、原子力事業者損害賠償措置を講じさせることにより原子事業経営基盤を安定化し、原子力事業の健全な発達に寄与しようとするものであります。  第二に、原子力事業者賠償責任につきましては、民法の不法行為責任の特例として無過失責任とし、かつ、康子力事業者責任を集中することといたしたのであります。無過失責任といたしましたのは、原子力の分野においては、未知要素が含まれるという実情にかんがみ、原子力損害発生について故意過失の存在しない場合も考えられ、また、かりにこれらの要件が存在するといたしましても、その立証は事実上不可能と認められるからであり、一方、近代科学の所産である危険を内包する事業を営む者は、よって生ずる損害については故意過失の有無を問わず責任を負うべしとして無過失責任を課している各国の例に徹しても妥当であると考えられるからであります。また、原子力事業が広範な産業の頂点に立つ総合産業でありますだけに、損害発生時における責任の帰属が不明確になる場合が予想されるのであります。それでは被害者保護に欠けるばかりでなく、原子力事業に対する資材役務等供給が円滑を欠き、事業そのもの発達が阻害されることとなるおそれが強い点もあわせ考慮して責任の集中を行なったのであります。従ってまた、損害発生資材役務供給に原因するような場合にありましても、原子力事業者求償権は原則としてこれらの者に故意がある場合に限って行使できるものとしたのであります。ただし、異常に巨大な天災地変等によって損害が生じた場合まで、原子力事業者賠償責任を負わせますことは公平を失することとなりますので、このような不可抗力性の特に強い特別の場合に限り、事業者を免責することといたしたのであります。  第三に、損害賠償のための一定措置を講じない限り、原子炉運転等を行なわせないこととし、損害賠償責任を担保するための措置原子事業者に強制することといたしたのであります。この措置は、原子力損害賠償責任保険にかけるか、または供託をするか、あるいはこれらに相当するその他の方法により、一事業所または一工場当たり五十億円を損害賠償に充てることができるようにしなければならないものであります。ただし、教育用小型原子炉等、大規模損害発生が予想されないものにつきましては、その規模内容に応じてこの金額を引き下げることといたしておるのであります。  第四に、現在の原子力損害賠償責任保険につきましては、その大半を外国保険市場の再保険に依存しているのでありますが、一定の事由、たとえば日本における地震、正常運転等による損害外国保険業者がこれに応じないという実情にあるため、保険のみをもってしては賠償責任の全部はカバーしきれない場合があるのであります。このような場合における損害賠償の履行を確保するため、政府といたしましては、原子力損害賠償補償契約原子力事業者との間に締結し、被害者保護の完全を期することといたしたのであります。なお、この補償契約の詳細につきましては、さらに検討の上、別に法律をもって定めることといたしておるのであります。  第五に、ただいま申し上げましたように、五十億円までの損害賠償につきましては完璧を期待し得るのでありますが、五十億円をこえる損害がかりに生じた場合いかにこれに対処するかという問題が残るわけであります。政府といたしましては、このような場合はまずあり得ないと考えておりますが、万々一このような事態に至りました場合は、被害者保護原子力事業の健全な発達をはかるというこの法律案目的を達成するため必要と認められますときは、国会の議決により、政府に属させられた権限の範囲内において、原子力事業者に対し、賠償に必要な援助を行なうことといたしたのであります。また、原子力損害が異常に巨大な天災地変等によって生じたため原子力事業者損害賠償責任を負わないような場合におきましても、政府は、原子力損害被災者の救助や被害拡大防止のために必要な措置を講ずるものとして、住民の不安に対処することとしているのであります。  さらに、原子力損害に関する国民的関心損害、の特殊性等にかんがみ、万々一相当規模原子力損害発生いたしましたような場合には、わが国原子力政策の帰趨にもかかる問題でありますので、国家的規模において、すなわち、国民の代表たる国会の意思が十分反映されるような形態で処理されるのが適当であろうと考えるものであります。このため、政府は、相当規模原子力損害が生じました場合には、できる限りすみやかに損害の状況及びこの法律に基づき政府のとりました措置国会に報告するものといたしたのであります。また、原子力損害が生じました際、専門的立場から、原子力委員会損害処理損害防止等につき内閣総理大臣意見書を提出いたしましたときは、政府は、当該意見書国会に提出しなければならないものといたしたのであります。  第六に、原子力損害賠償につき紛争が生じました場合、その迅速な処理をはかり、被害者保護に資するため、紛争に関し和解の仲介及びそのための損害調査評価を行なう特別の機関として、原子力損害賠償紛争審査会を必要に応じ設置するものといたしたのであります。  第七に、原子力損害につきまして国の特別の措置を講じておりますゆえんのものは、その未知要素に基づく不安を除くところにその一半の理由があるわけでありまして、今後研究が進み、未知の点が究明されるに従い、国による特別の措置必要性は減少する方向にあると言えるのであります。アメリカ西ドイツ等におきましても、国の措置は一応十年程度としている点も参考とし、この法律案におきましても、国の補償契約及び事業者に対する援助措置につきましては、現段階において、一応今後十年に限るものといたしたわけであります。  以上が原子力損害賠償に関する法律案提案理由並びに要旨であります。何とぞ慎重御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 村瀬宣親

    村瀬委員長 以上をもちまして提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 村瀬宣親

    村瀬委員長 この際、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。岡良一君。
  6. 岡良一

    岡委員 私は、今、国内においても、また、国際的にも非常なセンセーションを起こしておりますいわゆる黒いジェット機、U2型なる飛行機が、日本気象観測をやっておるという政府側の御答弁に関連しまして、若干中曽根長官並びに気象庁長官お尋ねをいたしたいと存じます。  まず、第一にお尋ねをいたしたいことは、去る十四日、大阪で気象学会が開かれておりまして、その席上での有志の方の声明なるものが新聞に発表されております。私は、この声明のいわば信憑性について、まず、気象庁長官お尋ねをいたしたいと思います。その声明なるものの、これは骨子と存じまするが、「米当局言明では日本に配置されているU2機は単なる気象観測機スパイ活動を行なっているものではないとのことであり、日本政府国会で昨年の伊勢湾台風にあたってもU2機が資料提供していると答弁している。しかし我々、気象学に従事しているものは「黒いジェット機」すなわちU2型機は気象観測機WB—66—D型とはまったく別なものであることを知っている。いままでにU2機で観測された気象資料気象庁に報告されたこともなく、伊勢湾台風の際に資料を受けた事実も聞かない。U2機はWMO及びICAOのワク内で観測しているともいわれるが、これらの機構にU2機の観測資料が発表されたことも知らない。我々はこのような事実からU2機が気象観測機であるという米国日本政府言明は疑わしいと思わざるをえない。」こういう声明が出されておるのでございます。私どもは、かねてこの委員会において、台風観測等については、できるだけ近代的な科学的な方法を駆使すべきであるということを繰り返し申しておるのでございますが、たまたまU2機が観測をしておる、してない、こういうふうな形になっておるのでございますが、この有志声明について、これが事実であるかどうか、この点を、まず気象庁長官からお伺いいたしたい。
  7. 和達清夫

    和達政府委員 第一に、気象観測機という言葉定義でございますが、気象観測には毎日のように飛ひまして気象観測をしておるもの、それから、台風が現われたときに、特にそういうところへ行きまして台風観測をする、それから、研究用に特別の目的をもちまして、特に限られた研究のようなことに従事しておるもの、気象観測機という名前のもとにそれらがよく区別されませんと、話がいろいろ間違うおそれもあるかと存じます。  さて、気象庁米軍気象中枢からテレタイプ同線によって受け取っております気象観測機による観測結果は、パンアメリカン機など、一般の航空機による気象観測電報とともに気象庁に通報されております。このような日常業務に入って参ります気象電報には、どういう機種観測したかということを示す符号がございません。従って、私どもはどういう機種によって行なわれたかということは確認しがたいのであります。なお、この有志が何か出されたというお話の、そのWB50その他の飛行機は、米空軍がこういう飛行機観測しておるということも、われわれを招いて構造その他を見せてくれたことがあります。  それから、その次は研究観測であります。特殊の研究をする問題であります。これに関しましては、たとえば米国気象学会機関誌ウエザーワイズという雑誌の一九五九年四月号に、こういうような記事が出ております。それは、台風研究に関する非常に高々度から台風写真をとったりした研究でありますが、その一節を申しますと、米国航空宇宙局、すなわち、NASAは、空軍気象隊の助力を得て、一九五七年以来、日本において高層大気研究計画を行なってきたが、その目的は、気象測器の改良とか、高度の気象資料を得るためである。——そこにいろいろの測器が書いてありまして、この測器は、海面上約十マイルまでの高度で飛行し得るU2ジェット機に装備されている、こういうふうに書いてあります。そして、そこに出ておる三つの台風は、一つは一九五七年十一月十四日、ルソン島沖の北の台風キット一つは、一九五八年七月十四日、台湾の束の台風ウィニー、もう一つは、一九五八年九月二十四日、台風アイーダ、これが狩野川台風であります。これらの資料の一部は気象庁提供されております。  なお、伊勢湾台風のときでございますが、気象庁米空軍にやはり資料提供を求めたところが、本年二月二日に資料が参っております。この中に、五万五千フィートの高々度から伊勢湾台風中心を俯瞰撮影した写真がありまして、U2機によって撮影したと書いてございます。  以上、申し上げます。
  8. 岡良一

    岡委員 なお、ただいまの御答弁は、やはり新聞紙にあなたの談話として発表されておる、行政協定に基づいて在日米軍資料交換をしておる、U2型機の観測した資料としては、狩野川台風の際、高々度から撮影した台風中心写真研究用提供されたことがあるだけだ云々、このことを承認されるわけでございますね。  そこで、それではお伺いをいたしますが、この行政協定に基づいて相互に気象観測をなし、また、その結果を交換する、その場合には、協定に基づく実施の細目の取りきめがあるはずだと思います。この細目の取りきめの中では、いかなる飛行機を用いるかというようなことは規定されておらないのでございますか。
  9. 和達清夫

    和達政府委員 機種については明確でございません。
  10. 岡良一

    岡委員 細目協定の中では、わが方に対して、アメリカ側観測した結果は、広くこまかいデータもこれを公開するということがうたわれていると承知しておりますが、そうでございますか。その細目協定の該当の部分を読んでいただきたいと思います。
  11. 和達清夫

    和達政府委員 ちょっと細目協定を持っておりませんので、記憶で申し上げますが、観測した場合には提供するというようなことがあったと記憶しております。
  12. 岡良一

    岡委員 それではU2機が観測をした結果というものは、巨細の点までもわが方に対しては資料として提供されておりますか。
  13. 和達清夫

    和達政府委員 たとえば、ウェザーワイズ誌に出ておる研究結果の資料が、全部参っておるわけではございません。従って、それらの資料が全部参っておるとは私には考えられないのであります。なお、これは研究観測でございまして、行政協定の方で言っておる気象観測を行なった場合はというのは、別に定義はございませんけれども、多分に、気持の上においては、日常天気予報その他に用いるために交換しておる気象情景意味で、そういう観測を行なった場合には提供するというように解しておるのではないかと思います。
  14. 岡良一

    岡委員 従って、たとえば、御答弁をこういうふうに解釈をしていいのでございますか。アメリカ側気象観測は、提供していい部分日本提供するが、提供することを適当と認めなければ提供しない、また、わが方がそれを求めても提供しないで済むものである、こういう形において情報交換がされておるのでございますか。
  15. 和達清夫

    和達政府委員 先ほども申し上げましたように、日常気象観測については提供されるべきものと私は解釈しております。研究用に特殊の目的を持ってしたものにつきましては、おそらく、全部の資料提供されないのじゃないかと私ども考えております。
  16. 岡良一

    岡委員 それでは気象庁長官は、U2機の気象観測というものは研究用データを集めておる、こういうふうに御解釈でございますか。してみれば、その研究とは何を目的とする研究と理解しておられますか。
  17. 和達清夫

    和達政府委員 研究用という言葉が、毎日の天気予報その他予報業務というような業務に刻々使う気象資料でないものを総称して研究用という意味におきまして、U2機は、今まで気象庁に報告されたもので確認できるものは、研究用しかないということでございます。
  18. 岡良一

    岡委員 それでは、情報提供についての取りきめというものは、いわば片務的と申しますか、一方的な運営がなされるものである、こういうふうに私どもは考えざるを得ないのでございますが、そのように理解していいのでございますか。
  19. 和達清夫

    和達政府委員 私は、行政協定の中に書かれておることは、気象業務についてと思っております。その飛行機観測が行なわれた場合にはし得るということになっておるものと思います。研究的に、ある特殊目的を持ってするものにつきましては、これは必ずしも片務的と申せるかどうか私にはよくわかりません。
  20. 岡良一

    岡委員 片務的であると申しますのは、たとえばウェザーワイズには、高高度から観測した台風の目の写真が出ておる。おそらく研究報告の発表の雑誌かと思いますが……。そういたしますと、これが研究用であるか研究用でないか、実地において必要であるかないかという判断は、アメリカ側にあるということになります。してみれば、アメリカ側判断によって提供されるものであって、細目協定においては、できるだけ資料を公開するとうたわれておりながら、事実上はアメリカ側の一方的な判断によって資料というものの提供は左右されておる、こういうふうな運営がこれまでなされてきたものかということでございます。
  21. 和達清夫

    和達政府委員 おっしゃる通りかもしれませんが、御存じのように、研究用にしますと、あの台風写真も一枚でとったものではなくて、非常にたくさんの写真をモザイクのようにして作る。いろいろたくさんの写真をとったり、それを集合、整理してこしらえるものでございますので、交換といいましても、成果にして交換するのであるか、なまの材料として渡すかというような点につきまして、非常にいろいろ問題があるかと思います。
  22. 岡良一

    岡委員 私が特にこういう点を執拗にお尋ねをいたしますのは、御存じのように、台風の予防、従って、また災害防止、従って、科学的な調査観測というようなものが、これからの重要な日程に上っておるわけでございます。ところが、アメリカ側協力を得るというけれどもアメリカ側に何らかの理由があって、一部の資料提供するが、一部の資料提供しないという形では全き協力ではない。少くとも、行政協定細目に基づく気象観測資料交換の精神から見て、私どもは非常に遺憾ではないかと申し上げておるのでございます。そういうわけで、アメリカ軍協力というものが、しばしばそういう一方的な選択の自由のもとにあって、協定が片務的に運営される。たとえば、事実について申しますと、当初はグワム島に気象観測隊がおり、また、次いで横田にもおった。ところが、最近はこのグワム気象観測はこれを中止するというようにも聞いております。そういうようなことになれば、いわばアメリカ側軍部都合によって、おそらく、私どもしろうとから考えましても、台風発生地点における科学的な観測というものは私は非常に重要なデータだと思うのでございますが、それが、もうわが方としては得られなくなる。こういうようなアメリカ軍部都合によって、日本国民が重大な関心を注いでいる台風の正確な御側が阻害されるという事実が起こってくるので、このグワムの問題は、私どもは非常に関心を持っておるのでございますが、そういう事実はございますか。
  23. 和達清夫

    和達政府委員 米空軍飛行機観測組織につきまして、若干の変更があったように開いております。その変更をいたす前に、係の方に対して気象庁から、いかなる組織変更があろうとも、米空軍によって行なわれておる台風観測は、日本台風観測上非常に大切なものであるから、これが強化されようとも現状より縮小されるようなことがないように強く主張し、そしてその係官も、自分もそう思っておるというふうに言われて、私どもは、そういうふうに組織変更されましても、台風観測につきまして実質上の支障が起こらぬように願い、また、それを期待いたしておったのであります。本年になりまして、南の方に少しずつ台風は出ておりますが、まだ日本に向かうようになっておりませんので、どの程度観測仕方等変更を来たしたか、私とも十分に知ることができませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
  24. 岡良一

    岡委員 中曽根長官お尋ねをいたします。先ほども繰り返し申しましたように、この委員会では、台風の科学的な対策ということが決議されておるような状態でございます。そこで、今問題となっておるU2機でございますが、新聞の報ずるところによると、このU2機はNASAに所属するものである。ところが、NASA米国外自分施設を持っていない。そこで米空軍または海軍の所有する施設で支援することに決定をされたということをこの間在日米軍が発表し——支援というのは、具体的には、米空軍気象隊なり、あるいは臨時気象偵察中隊活動を通じてNASAに支援を与えておるというような状態でございます。U2機もそういう関係から、現在三機日本にある。ところが、これが民間のロッキード会社の所有機でもあり、また、そういうわけで軍が支援をするという態勢にもある。公用機か、軍用機か、あるいはまた私有機かという、きわめて性格が明確ではない。その飛行機日本気象観測をやっておるということから、いろいろ国民にも疑惑が生じておることも御存じの通りでございます。中曽根長官は昨年アメリカ側に対しても台風観測についての協力を求められたということを私ども承知しておりますが、具体的にどういう取りきめに相なったのでございますか。
  25. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 具体的な取りきめというようなものは、まだございません。ただ、これからそういう問題について具体的な話し合いをしようと思っておるので、先般井上調査官をアメリカに派遣しましたときも、向こうのウエザー・ビューローといろいろ話し合いをいたしまして、どういう協力ができるかという大体の見当をつける談合をやってきたのであります。
  26. 岡良一

    岡委員 それでは、この問題はあとでさらにお尋ねをいたします。  和達長官にお尋ねをいたしますが、ウェザーワイズに発表された写真、そういうようなこと、その他私どもも見ておりませんが、あなた方は、専門家としていろいろな資料に目を通しておられると思いますが、このU2機の気象観測というのはどういうことができるもので、どういうことをやっておるのでございますか。あなた方の専門的な立場からお考えになって、どう推定されますか。
  27. 和達清夫

    和達政府委員 私、飛行機の知識があまりございませんので、はっきりお答えいたしかねますが、U2機は非常に高いところへ行かれる性能がありますために、台風のように二万メートル、それ以上高くまで行って、擾乱が影響しておるものの上に出て観測するには非常に適当な機種飛行機でないかと存じております。
  28. 岡良一

    岡委員 黒いジェット機の性能として新聞で伝えられておるところを要約すると、今御指摘のように、非常に高くまで上がることができる、六万フィートくらいまでは上がることができる、同時に、上空でエンジンをとめて、気流のまにまに滑空ができるそういうことが高々空における観測に有利な点である、そうして、そういうようなことができるように、翼の構造も大きく長く、グライダー的になっておる、いろいろな事情もございましょうが、非常に多くの計測器を積んで、乗員は一名で、その計測器はオートマチックに稼働しておるような状態であるといわれておるわけです。何を積んでおるか私どもわかりませんが、こういうような高々空の気象側側で一体何を観測しておるかという点について、具体的にあなた方の方でこういうことをやっておるという御推定がありましたら、お答え願いたいと思います。
  29. 和達清夫

    和達政府委員 U2機の中の気象観測装置につきましては、私どもは、公表された雑誌しか知る手だてがございませんが、これには一つの機械として特殊のカメラがありまして、これによって雲の形を撮影することができるのでございます。この写した写真台風の目の上の全体の雲の形状を示すように、寄せ木組工的につなぎ合わせて作っておる、そういうことがわかるくらいのものであります。
  30. 岡良一

    岡委員 このくらいの高度に上がれば、ジェット・ストリームとか、対流、オゾン、イオン、また、空中のいろいろな電離現象等、低空では観測されない資料も豊富に得られる、また得ておると思いますが、その点はいかがでしょうか。
  31. 和達清夫

    和達政府委員 それらにつきましては、全くわかりません。
  32. 岡良一

    岡委員 中曽根長官お尋ねいたします。アメリカとの間における気象観測については、これからも話を進めるということでございますが、こういうきわめて問題となり得るような飛行機、あるいはアメリカ軍気象情報提供を頼んで協力するという関係は、問題を将来に残す可能性がある、現にU2機で非常に問題を起こしておると考えられます。現に、ハンソン・ボールドウィンが十日付のニューヨーク・タイムズに書いておる記事を下手に翻訳いたしましても、このU2機は、五年以来非常に重要な役割を演じてきて、非常な成果をおさめておる、これはアメリカ政府がどう言おうとも、気象観測だけにとどまるものではない、フォールス、間違い、虚偽だということを言い切っておる。私どもは、アメリカとの気象関係についての協力においても、今後こういうような疑惑のあり得るような形の協力は絶対に排除すべきものだ、私どもの科学の平和目的のための開発利用という見地からも、絶対にそういうことがないようにすべきだと思う。機種もきめず、また、どの機に依存するか、こういうことを何も取りきめないで、ただデータだけを結果的にもらえばいいということになると、その使用機そのものが、今申したように、アメリカのハンソン・ボールドウィンのような専門的な諸君が、政府が何と言おうと、これは単なる平和目的だけの気象観測というのはフォールス、誤りだ、虚偽だというような、アメリカ部内でもこういうふうに手きびしく批判されておるようなものとの協力は望むべきではないと思うのですが、そういう点について、将来の御所信のほどをお伺いいたします。
  33. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 台風災害の問題は、日本の毎年の大問題でございますので、アメリカ気象観測機データというものは日本にとっては非常に貴重であるように思います。日本に独自のそういうものができれば、また別でありますが、それには若干時間もかかるように思われます。従いまして、台風等に関するアメリカ気象観測機データというものは、できるだけ日本が受けられるようにして、日本の防災体制を整備すべきであると私は思います。ただ、それらの気象観測機の中で誤解を受けるような行動がもし万一あれば、それは遺憾なことでありまして、そういうことがないように規制しつつ、台風に対する対策だけはやはり万全を期していくべきであると私は思います。
  34. 岡良一

    岡委員 気象庁長官お尋ねします。国際気象機構でございますか、この機構は、アジアにおける地域機構をすでに持っておると聞いておりますが、いかがでしょうか。
  35. 和達清夫

    和達政府委員 世界気象機構は六つの地区に分かれておりまして、アジア地区というのがございます。日本から西の方へ、フィリピン、インドネシアは他の地区でありますが、イラン、アラビアの辺まで含んでおる地域がそうでございます。
  36. 岡良一

    岡委員 こういう国際的な機構に活発に活動をしてもらう、そして台風の問題を取り上げ、また、そういう傘下の諸国がファンドを作って飛行機を持つというような形で、台風問題についても国際的な協力をアジアに作り上げていくというのが、私は今後の台風の科学的な観測での基本的な正しい方針ではないかと存じます。いたずらに、ただ便宜上、まずアメリカというような形でアメリカ側援助を求めることは、こういう問題が起こっておるやさき、私どもとしては非常にとりたくないやり方だと思います。中曽根長官は、アメリカ年の援助が非常に必要である、こういうふうに思われるのですがやはりこれは、今、和達長官が言われたようなアジア各国協力を求め、資金をお互いが出して、あるいは国際機関援助を求めて、そういう国際的な規模における協力体制の上に台風観測調査をする、こういう方向に日本台風観測対策を切りかえる必要が、こういう際にはあろうと私は思いますが、中曽根長官の御所見はいかがでございましょうか。
  37. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いずれはそういう方向に行くのが望ましいと思いますが、当面の問題といたしましては、やはり日本は一番被害を受けておる国でありまして、そういう能力を持っている国と提携して精細なデータを得ることは、防災対策上必要であると思います。台風はほっておいても毎年くることでございますから、できるだけそういう体制の整備をいたしたいと考えます。
  38. 岡良一

    岡委員 それでは、たとえばU2機にいたしましても、また、米空軍気象観測機にいたしましても、U2機ほどは上がれないにしても、やはり一万五千メートルくらいまでは高空観測ができると私は聞いておる。しかしながら、米空軍気象観測というのは、何も日本台風観測のためにあるものではないと私は思う。常識的にそう判断する。特にU2機のごときは、本来、戦略空軍に配属されておる。従って、高空における気象観測というものは、いわゆる大量報復力としての戦略空軍の活動のためのデータを収集することが主目的だ。同様なことは、日本気象観測を任務とする米空軍の部隊についても言える。戦術大航空軍の行動のためのデータを作る。アジアにおける局地戦争なり、あるいはまた全面戦争なり、あるいはまた全面戦争なり、そういうもののための、いわば軍事的な目的のためのデータを集める。日本台風観測を、これに便乗し、これに依存する、こういう態度は、日本としてとるべきじゃないと私は思います。従って、とりあえずは米空軍に依存するという方針は、私は納得いたしかねるのでございますが、重ねて中曽根長官の御所見を伺いたい。
  39. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 最近におきまする台風観測、あるいは予報等が割合に正確になっておりますのは、何と申しても米軍観測機のデータが非常に貢献しておるのでありますし、日本の防災体制整備の上におきましては、やはりこれを無視するわけにはいかないと思います。U2機のような場合は、業務研究と両方にわたっているところがあるように思われますが、研究という程度で得た情報を、どの程度日本に渡すか。研究ともなりますと、それをそっくりさらけ出すというのも研究者として正しい態度であるかどうかわかりません。適当でないデータもございましょうし、学問的に不要なデータもございましょうから、ある程度整理して、利用できるような体裁を整えて日本側にデータを出してくることもあり得ると思うのです。そういう面からいたしますと、研究の場合には選択の可能性はあるのでありまして、その辺は、気象庁米軍のそういう関係の面とよく話し合いをつけてやってもらったらよいと思います。いずれにせよ、日本の防災対策上、台風の問題というのは大問題でありますので、気象観測機データを無視するわけには参りません。そういう無川な刺激とか、誤解を避けるようにしながら、われわれは提携していく考えであります。
  40. 岡良一

    岡委員 しかしながら、このU2機は別といたしましても、米空軍気象隊なり臨時気象偵察中隊なり、あるいはまた、先ほど申し上げました機種飛行機なりがおそらくこれに所属するものかと思いますが、これらのものは、先ほど申しましたように、局地戦争なり全面戦争のために、あるいはジェット気流なり、対流なり、イオンなり、オゾンなり、電離現象なり、ミサイルを飛ばせたり、戦略空軍が飛ぶためのデータを集めておる。それに便乗し、こういうものに依存して台風観測をやるという行き方は、私は、科学の平和利用という立場から見ても、日本としてはとるべき道じゃないと思う。しかし、中曽根長官のお話では、それもいたし方ないからやるのだ、こういうことでございますか。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 われわれといたしましては、日本のためにそういう正確な情報を得ることが非常に重要であると思いますので、それを無視することはできないということを申し上げたのであります。ただ、それがどういう程度に軍事目的に利用されているか、内部のことは私たちはわかりませんが、その点は向こうともよく話してみて、先方側も、そういう中共とかソ連の偵察とか、領空侵犯をやっておることは、日本の場合はないということも正式に言明しておるわけでありますから、われわれは、それをある程度信用して参りたいと思います。
  42. 岡良一

    岡委員 安保特別委員会じゃございませんから論争はいたしませんが、しかし、現にハンソン・ボールドウインが、先ほど申し上げましたように、米国政府言明は間違いである、五年間にわたって非常な功績をU2機は上げておる、U2型機による作戦計画は、CIAの一任務として非常な成果をおさめているU2機はアラスカ、日本西ドイツその他の地域から作戦行動をしておったということを、アメリカ部内のいわば権威ある軍事評論家がはっきり指摘して、アメリカ国務省の、日本にいるU2機は気象観測のためのみだというような言明を否定しておる。それどころか、最近になってからアメリカ国務省も、U2機のこの任務というものについては、諜報活動をやったということを認めておる。日本がその例外であったということをわれわれが納得し得る理由一つもございません。現に、先般、安保委員会で飛鳥田委員が示した蒙古、それから中共の奥地、満州、シベリヤの航空地図は、米軍提供によるものであるという。あの航空地図を見たって、これは一体だれが作成したのかといえば、当然常識的な帰結として、このU2機がやったものといわざるを得ない。そういうことであるから、御存じのようにチェコスロバキアの大使館の招待でも、フルシチョフが、万一U2機の基地を持っているような国は、ロケットで攻撃するぞというようなことを言っておる。引き続いて、また、アメリカ側気象観測のみだという言明を、日本政府責任者が言明をしておるので、さらに十四日のプラウダは、日本の指導者たちは、あつかましくもソ連を脅迫しようとしておる、彼らは、あたかも現行犯で捕えられたどろぼうのように、日本に駐留する米軍部隊がソ連への侵入を目的としていることを自供しているものである。U2機の正体がこういう任務を帯びておるということは、アメリカ自身も認めておるというのに、それをことさらに日本が言をかまえて、気象観測であるというふうにアメリカの側に立ってものを言おうとする。アメリカ自身さえもそれを認めておるのに、そういうような態度に出ておるということに対して、非常な憤激を漏らしておる。日本の平和目的のための具体的な台風調査というものが、こういう形で国際的な紛争の種をまいても、あえてわれわれは差しつかえないんだ、台風の危機の方が戦争なり、戦争の不安の危機よりも大事なんだとおっしゃれば別であるが、まさかそうではないと私は思う。こういう点は、やはり根本問題は、台風発生から成長、その及ぼす一切の影響調査というものも、日本がアジアの各国と提携して自主的にやる、予算を持って日本飛行機を持てばいいじゃないですか、そういうことが、こういう日本に対する大陸諸国の批判なり、あるいは攻撃というようなものを回避し、そして、科学が台風の防衛という平和の目的に役立つと同時に、国際的な平和にも役立つ、そういう形における科学対策というものが、私は、ほんとうの台風に対する科学対策だと思う。やはりそういう方向に、あなたも決意を持って進まるべきだと私は思う。重ねて長官の御所信を伺いたい。
  43. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 台風や、そのほか気象業務についてアジアの諸国が自主的に協力していくという方向は、われわれも終局的には望ましい方向であり、そういう方面につきましても努力をして参りたいとは思っておりますが、当面の問題といたしましては、やはり現在米軍がやっております気象観測というものが非常に有効でありますので、これも活用して参りたいと思います。  航空地図その他の問題につきましては、安保委員会におきまして政府当局が言明した通りであります。
  44. 岡良一

    岡委員 これでやめます。
  45. 村瀬宣親

    村瀬委員長 石野久男君。
  46. 石野久男

    ○石野委員 この際、中曽根長官お尋ねをいたしますが、去る十一日の午後二時ごろ、茨城県の東海村原子力研究所あるいは原子力発電所の上空に怪しい双発のジェット機が飛来したということが伝えられております。     〔委員長退席、前田(正)委員長代理   着席〕 また、十二日も同じような時刻にそういうようなことがあったというので、地元は非常な大騒ぎになっておるのでございます。そのことにつきまして、原研とか、あるいは関係筋から、政府または中曽根長官のところに何か報告でもあったでございましょうか。そしてまた、そのことに関連をして、今までどういうふうな御調査が行なわれ、また処置がなされておるか。この際、一つお話を承りたいと思います。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 東海村原子力施設上空へ航空機が侵入した事件につきましては、その後直ちに原研並びに関係方面に対しまして真相を報告するように連絡してありまして、原研等からは一部状況の報告はございます。五月十一日午後、それから十二日にも飛来しておるようでございます。それで、これがどこに所属しておる飛行機であるかということは、まだよくわかりません、防衛庁、調達庁にも科学技術庁からさっそく連絡をとっておりまして、数回にわたって、すみやかに真相を調査して、科学技術庁の方に報告してくれるように申し入れをしております。私は、本日、念のために赤城長官に正式に、これは長官同士でそういう申し入れをしておこうと存じまして、そのことも申し入れておきました。防衛庁、調達庁の方面では、米軍は土曜日が休みでありましたし、それから日曜が続きましたものですから、きのう、きょうあたりいろいろ手配をして真相を調査しておることだと思います。いずれ判明次第、御報告を申し上げたいと思いますが、もし、これが万一米軍機が先般来の協定を犯して入ってきておるような場合には、このことを抗議したいと思っておるし、将来はそういうことの絶無を期したいと思っております。
  48. 石野久男

    ○石野委員 今調査中であるということですから、私は、まあ、それ以上のことは実は質問もできないわけでございますけれども、しかし、事実は、もう二一同にわたってそういう問題があり、しかも、この問題は、会長官から言われるように、もし、事実であるとするならば、そうしてアメリカ飛行機であるとするならば、これは合同委員会決定事項にも反することでありますし、きわめて重要であります。しかも、あの地区におけるところの災害排除の点からいいましても、非常にこれは重要な意義を持ってくると思うのです。今回、この国籍不明機が茨城県東海村上空を飛んだということについては、二つの問題がある。その一つは、やはり、その機がどこの国に所属しておるかということを明確にするという点が一つあると思うのです。いま一つは、先ほど来長官からお話があったように、日米合同委員会決定の線に沿って、もし、これがアメリカ飛行機であるとするならば、決定違反でございますから、そういう問題として出てくると思います。先ほど岡委員からも、U2機についての問題が、やはりわが国の平和、安全のために非常に危険なものであるということ、気象観測機であるとは言うけれども、非常に重要ではないかという質問がありました。われわれにはやはり国内におけるU2機の問題がそういうふうに展開されると同時に、この東海村の上空を国籍不明機が飛んだということは、火に不可解なんです。今、防衛庁あるいは調達庁の関係者が出てもらうように言っておりますけれども、なかなかその関係筋が出ていないようでございます、私は、常識的に考えてみましても、日本の上空に飛来する国籍不明機はわれわれの目に見えない形のものも、アメリカの関係筋のレーダーは常にキャッチしておるわけです。しかも、三百メートル、千五百メートルという高度で国籍不明機が入ってくるのに、日本の自衛隊なりあるいはアメリカの空軍がこれに対する態勢を整えないというのは、実におかしなことだと思うのでございますが、これらの問題が、どうも不明朗な中で、調査だ、調査だということになってくると、従来私たちが非常に安心感を持って信頼していくべきだということをいろいろ政府から話をされ、在日米軍の問題については話が進んでいるわけでございますけれども、どうもそういう点で不可解な点があるわけでございます。  この際、私が長官にお聞きしたいことは、ジェット機が二日間にわたって飛来したということは確認をされておる。しかし、それがどこのどういう機種であるかということについては、まだ明確でないというふうにおっしゃいますので、これは、やはり私は調査するまで待たなければならぬと思いますが、もし、それがアメリカ飛行機であるとするならば、これは厳重な抗議をしなくちゃならないと思うのでございます。そういう点については、先ほどもちょっと触れておられますけれども、これは早急にやるべきだと思うのです。もし、これがあすの日にでも、あるいはきょう、現在でも来るとしますと、非常に重要な問題だと思いますので、その点について、もし、それがアメリカ飛行機であるならば、これは重要でございます。  ただ、ここでお尋ねしておきたいことは、日本。自衛隊の飛行機であるかないかということについては、もう政府の方でわかっておると思いますけれども、その点はどうですか。
  49. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点も含めまして、防衛庁に対しまして報告を要求しておるのでございます。まだ防衛庁からは正式の回答はございません。
  50. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、とにかく、防衛庁の方は調査が進んでいないということでございますが、委員長、私は、やはりこの問題は防衛庁の方あるいは調達庁の方がこられないと、話が進まないと思うので、早急に呼んでいただきたい。これはどうしても防衛庁関係の方、調達庁の方が来てから話を進めたいと思うので、もし、おいでにならないとするならば、これらの方々がこられる、こられないにかかわらず、事実として、二日間にわたって飛んでいるということがあるわけです。これは非常に危険地帯を飛ぶわけでございますので、この際、現実に飛んでいるという問題、それがアメリカ飛行機であろうと、どこの飛行機であろうとも、飛んでいることに対する問題を考えなくちゃならないと思うのです。私は、おそらく、アメリカ飛行機以外のものはここを飛ぶはずがないと思うのです。もし、アメリカ飛行機以外のもので飛ぶとすると、自衛隊の飛行機です。自衛隊の飛行機か、アメリカ飛行機でない限りにおいては、非常に大きな問題が出てきます。そういう問題が、こんなになまやさしい形で処理されるはずがないのです。地元の新聞などを見ますと、こういうことを言っておる。米軍が日米合同委員会決定に違反したので、自己の過失を隠すために故意に国籍不明といっているのではないか、ということさえ地元の方は言っておるのです。これは当然出てくる疑問だと私は思います。そこで、私は、それがどこの所属であるかどうかということにかかわらず、日来の間におけるところの安保体制下において、日本の防衛体制は相当強くとられておるということを前提といたしまして、これは、おそらくアメリカ飛行機日本飛行機だ、こういうことに違いないと思う。そういうことになりますと、茨城県東海村の上空は、日米合同委員会決定で絶対に飛ばさないということになっておるわけです。それから航空機の爆撃演習コースというものも、標的はかえって逆に那珂湊の方へ上がっていくという形になっておるわけでございますので、これは明らかに合同委員会決定違反でございます。だから、これは早急に合同委員会を通じてアメリカ軍に抗議をしてもらわなければいけないと思うのです。長官は、もし、それが国籍不明機であるということがそのまま残るといたしますと、米軍に対しては何らの処置をとられないのでございましょうか、それがはっきりするまでは全然処置をとらないという形でいかれるのであるかどうか。これはわれわれ地元民としても考えなければならぬし、国会議員としても考えなければならぬ。地元の立場として重要でございますので、この際、長官の御意見を伺っておきたい。
  51. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだ調査中でありまして、はっきりしないわけでありますから、われわれがどういうことをやるかというはっきりしたことは申し上げられませんが、万一それが米軍飛行機でありますような場合は、もちろん、これは抗議いたしまして、将来こういうことを再び起こさないように措置をするつもりであります。米軍機でない場合とか、あるいは自衛隊その他の問題等につきましては、そのときの状況を見つまして、そういうことが繰り返されないように適当な措置をとる考えであります。
  52. 石野久男

    ○石野委員 これは当然抗議をしていただかなくちゃならないと同時に、すでに現地における米軍の爆撃演習場の返還の要求が強く出ております。この地区を原子力センターとして発展させるために、いかに爆撃演習場というものが不似合いなものであるかということは、大臣自身よくわかっておるはずでございます。そういう意味合いから、大臣は、先般の合同委員会の席上においても、やはり爆撃演習コースというものを標的の一位置まで変えさせて、この原子力センターといわれる研究所あるいは東海村の発電所の上を飛ばさないように処置したはずでございます。それがまだ半年とたたない、ようやく半年かそこらのときに、しかも、二日間も続けてこういうことがあったとしますならば、これはゆゆしき問題であると思います。ことに、この問題は、炉が設置されておる、特にコールダーホール型の炉などが設置されておるとしますと、なお一そうこういう危険が起きるわけでございまして、私は、この問題については、どうしても基地がここにあるから問題が出てくるのだということに思いをいたさなくてはいかぬと思います。中曽根長官は、日本におけるところの原子力の開発と発展のために熱意をささげて政治をなさっておられる。すでに政府災害に対する賠償、補償の法案等も提出されておるが、そんな問題を幾ら論議したところで、危険を内包し、また、危険を生み出すような状況を排除することなくして進めても、原子力政策は進まないということになってくる。われわれの心配することが、もうすでにこういうような形で出てきておる。そこで、原子力関係の最高の政治をやる中曽根長官として、この際、基地の問題について明確に態度を表明されるべきじゃなかろうか。基地の返還の問題については、これはほんとうにアメリカに反対するとかなんとかいう問題じゃなくて、日本における原子力政策遂行のために、どうしてもふさわしくないものだという立場から、この基地返還というかたい決意の表明がここでなさるべきじゃないかと私は思うのでございますが、長官はそれについてはどういうような御所見でございますか。
  53. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先般来の合同委員会決定、新しい協定によりまして、東海村原子炉上空についての保安の措置は十分とられておるとわれわれは考えます。しかし、将来のあの辺の発展や、あるいは原子力施設の性格等から考えまして、爆撃演習場のようなものはない方が好ましいと思います。従いまして、当面の保安措置は十分とられておるとは思いますが、将来にわたって日本の方へあの爆撃演習場を返すように私は努力いたしたいと思います。
  54. 石野久男

    ○石野委員 長官は、今ない方が望ましいということをおっしゃったのですが、私たちも、できるだけ危険は内包されない方がいいと思う。合同委員会の路線の上で御決定になっております、上空は飛ばないという問題、この問題は、確実にお互いに審議をして、信頼のおけるように実行していかなくちゃならぬと思いますが、すでに、もうここへきて二回も立て続けに行なわれておる。しかも、それは高度三千とか五千とかいうことではない、実際に三百メートルあるいは千メートル以下のところを飛んでおるということです。そしてどこの飛行機であるかという問題は、防衛庁あるいは調達庁に聞きませんと、中曽根長官とここでいろいろ話をしても無理でございますから、私は、その点はこの次の委員会にでも来てもらって早急にやりたいと思いますけれども、しかし、とにかく、基地があそこにあるということが、やはりいろいろな問題をはらんでおりましてさ、原子力政策遂行上、これは非常に障害になる、そういう疑問をますます残すことになってきておると思う。私は、やはりこういう事実に徴して、早急に長官の腹を明確にすべきだし、そして同時に、政府の方針というものを明確にここに打ち出しませんと、日本原子力政策は、このことのために、かえって国民協力を得られなくなってくることを憂えるのです。地元民は、そういう点でやはり神経質に考えておるわけでございますので、再度長官のこの問題に対する御所見を何っておきたいと思う。なお、防衛庁やあるいは調達庁等の答弁が得られれば、得られたあとで、また、いろいろな問題が出ると思いますけれども、問題の重要性にかんがみて、私は、この際、中曽根長官のこの爆撃演習場というものの所在についての所見を、明確にもう一度聞いておきたいと思います。
  55. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もし、もう一度米軍機が協定を侵犯して上空に侵入したような場合には、厳重に抗議をいたします。なおまた、東海村の原十方研究所上空の保安は、この間の新協定によって安全措置が講ぜられておるとわれわれは考えますが、しかし、爆撃演習施設のようなものがそばにあることは、必ずしも好ましいとは思いませんので、将来にわたりまして、私は、日本側に返るように努力いたしたいと思います。
  56. 前田正男

    ○前田(正)委員長代理 石川次夫君。
  57. 石川次夫

    ○石川委員 今、石野委員の方から詳細に質問がありましたので、私は、重複いたしますから、半ば要望のような形で、一つつけ加えておきたいと思います。  実は、この点につきましては、昨日の内閣委員会で、私も防衛庁長官に対して一応の質問は申し上げてあるわけです。そのときにもちょっと触れておいたのでございますけれども新聞によりますと、東海村の上を飛行機が飛んだのに対して非常に神経質になっておる、ノイローゼぎみだということが出ております。これは今さら長官に御説明するまでもない。あの東海村に初めて原子力研究所ができるときには、私は地元におりまして、将来の産業構造におけるエネルギー源としての原子力産業というものに対しては相当の期待をかけなければならぬ、その点においては協力しなければならぬという建前から、協力を惜しまなかったわけでございますが、だんだんに原研の実態が明らかになり、その危険性というものが明瞭になってきた。しかも、七つの実験炉、試験炉、研究炉というものが集中されている。その一つが破壊されても茨城県はほとん汚染されてしまうだろうし、かてて加えて、コールダーホールがきますと、言うまでもなく、これが暴走すれば神奈川県まで汚染されるという非常な危険が、しかも東海村に集中されておる。御承知のように、茨城県といたしましては、これに非常に協力的だったことは、長官も認めるだろうと思います。ほかの県では実験炉、試験炉一つ作るにしても非常な反対があって行き悩んであるのに、非常に協力的な態度で今日まできておるわけでありますけれども、最近に至って、非常な不安が醸成されてきておるということも率直に認めてもらわなければならぬ。そういうところに、かてて加えて、今度上空を怪飛行機が侵犯したという事実が出てきたわけでございますから、従って、新聞でいわれるようなノイローゼぎみということも、想像以上に事実存在するというのもやむを得ないというふうに考えておるわけであります。昨日も、この点についていろいろ防衛庁長官に質問をしたわけでございますけれども、政治家は、もちろん非常な善意でやったにいたしましても、その結果の責任というものは持たなければならぬ。今後、原研関係あるいはコールダーホールの動力炉について一たん過失があったとすれば、これはとても負い切れないような政治責任というものが出てくるということは当然でありますし、それからまた、民主主義時代の新しい政治家といたしましては、国民がいわれのない不安を持っておっても、その住民の不安を除いてやるという責任は、当然新たな責任とりして付加されておるというふうに考えておるわけであります。ところで、今度飛行機が侵犯したという問題にからんでいろいろ尋ねてみたわけでありますけれども、あそこへくる飛行機機種はF100とB57の二通りあるわけでございます。ところが、信号でもって、入ってきたものに対して応答を求めたわけでありますけれども、波長が合わない、全然応答がなかったということで、とうとうその飛行機の正体は不明であったということになっておりますけれども、最近では、この二つの機種の中で、F100というのは、訓練用としては全然飛来していないということが明らかにされております。従って、B57かといいますと、B57でもないらしい。ということは、今申し上げましたように、波長が全然合わなかったということから、そういうふうな回答が補助飛行場の隊長の方から寄せられてきておるわけであります。そうなりますと、これは日本飛行機かという疑問が出てくるわけでありますけれども、これは、きのう防衛庁長官に尋ねてみましたところが、日本飛行機は絶対にあそこは危険区域として入っておらないということであります。しかし、日本飛行機でないとすれば、アメリカ飛行機か、アメリカ飛行機といたしましても、今の二つの機種のうちのいずれでもないらしいということになりますと、いよいよもって奇々怪々な航空機ということになってくるわけであります。従って、この航空機がいかなる筋で、いかなる任務を持ってきたかということは、長官の方で徹底的に究明してもらわなければならぬ。これは防衛庁長官も、あくまで究明もし、確かめるということは言明しておりますけれども、これは目的不明、しかも、どこの飛行機かわからぬというふうな、うやむやのままで済ませるわけにいかぬ性質のものだということはよく記憶にとどめておいてもらいたい。それと同時に、絶対、再びこの飛行機が飛来しないようなかたい誓約といいますか、そういうものを、アメリカ軍に対する抗議とともに確立してもらわなければならぬという点は、石野さんの言われることと全然同感であります。  それから、重ねまして、これも石野さんからも質問申し上げ、要望申し上げたわけでありますけれども、御承知のように、今度原子力損害賠償に関する法律案が出ましたけれども、これは原子力施設周辺都市整備法案というものが一緒に出なければ、片手落ちな、かたわな法案だということは言うまでもない。しかし、これが出ないということの一つのガンは何かといえば、言うまでもなく、この周辺に射爆場があるということで行き悩んでいるということは否定できないと思う。そういうこともあるし、われわれは、この射爆場があることは、社会党の基本的な基地反対という立場ではなくて、原子力都市というものを発展させること、また、住民協力を得るという点から、射爆場というものは絶対に返還してもらわなければならぬ。この点も、きのう防衛庁長官に質問をし、要望したわけでありますけれども、防衛庁長官も地元の茨城県の出身ということもありますが、これに対しては何とか協力し、実現に努力するということを言っておられるのであります。ところで、科学技術庁責任者である中曽根長官のお立場からいたしますと、これは単に望ましいとか、努力するとかいうことでなくて、大臣に就任されたときに、すぐに東海村の原研にかけつけられて、射爆場の返還に努力すると言われたことが地元の新聞に喧伝されて、われわれもそのことに非常に期待をかけておったのであります。従って、これはない方が望ましいという消極的な態度ではなくて、何とかあの射爆場は返還をしてもらう、最小限度土地をかえるというようなことは実現しないと、現在のような不安な東海村の地元の情勢でありますと、どういう反対運動が突発するか、すでにそういう基盤ができ七おりますから、相当根強い反対というものが新たに生まれてくるということを私は予想いたしておるわけであります。そういう点を認めて、あくまでも飛行機がきたということの事実を究明する、それから、絶対に今後飛ばせないということの確約を確立する、また、射爆場を何とかほかに移転するか、あるいは返還してもらうか、少なくとも、ここは移転をするというふうな点について、科学技術庁原子力産業発展させる責任上、あくまで実現をさせるという熱意を持っているか、最後に、この三点について御質問を申し上げます。
  58. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど答弁申し上げましたように、協定を犯して、もし上空へ米軍機が入っておるような場合には、将来そういうことを、再び繰り返さないように抗議をする考え方であります。なおまた、射爆場の返還の問題につきでましては、私は茨城県に参りましたときにも、ああいうものが近くにあることは望ましくないので、将来にわたって返還方に努力いたしたい、そういうことを申し上げたのでございまして、ニュアンスは、一貫して同じようなことを申し上げておるのであります。しかし、将来あの東海村周辺の発展やその他を考えてみますと、やはり射爆場はない方がいいので、今後とも努力をして参りたいと考えております。      ————◇—————
  59. 前田正男

    ○前田(正)委員長代理 次に、資料要求に関して発言の申し出がありますので、これを許します。岡良一君。
  60. 岡良一

    岡委員 明日から原子力損害賠償に関する法律案審議が始まることになっておりますので、ぜひ次の資料を出していただきたいと思います。  第一は、各国の立法例でございます。あまりこうかんなものをいただいてもなかなか大へんでございますから、できたら、その重要なポイントについて、それぞれ各国別に表のような形で、日本のものも含めて、一覧表のようなものにしてぜひ一つ出していただきたいと思います。  それから、この損害賠償の当然前提となろうと思いますが、一体原子炉が、たとえば、コールダーホール型あるいは動力試験伊が万一最大の事故を起こしたときにどの程度災害を及ぼすかということ、これも若干の予算で調べられてあるはずでございますので、一つ正直に出していただきたい。  それから、この保険契約約款を一つ出していただきたい。  それから、大蔵省と交渉中だといいますが、補償契約でございますね、これはさまった決定版じゃなくても、一応その要項的な骨子を一つお願いしたい。  それから、この法律案では、従業員の損害の補償が除かれております。一方、労災保険もかなり改正されておりますが、改正された労災法の中で、特に原子力従業員の事故に基づく傷害等に対する補償の可能性を私どもはっきりと知りたいので、これはいずれ係りの人に来てもらって聞きますが、事前に、該当する法律案を整備して出していただきたいと思います。  それから、もう一つは、今、石川君も指摘されました原子力施設周辺都市整備ですが、これも出る、出ると言いながら、出さないままで損害賠償が出てきた。これは、特に日本原子力施設を東海村に集中しておる関係上、この損害賠償と不可分の問題として私ども重大な関心を払っておりますので、どういう構想があるのか、せめて、その骨子だけでも資料としてお願いしたいと思います。  それから、ちょっと一点だけ和達長官にお尋ねいたします。それは、気象庁長官としての利達さんではなく、日本学術会議の議長としてのあなたに、私は一言だけお尋ねをいたしたいと思います。  それは、先ほど中曽根科学技術庁長官の御所信によれば、台風観測等については、やはり米空軍の観側のデータというものを今後も使用していくということでございます。U2機であろうと、あるいはまた、それ以外のものであろうと、米軍台風観測というものは軍事目的であります。この軍事目的による観測データというものに日本が依存するというようなことは、学術会議の伝統的な精神から見て、まことに遺憾なことだと私は存ずるのでございますが、議長として、この点いかにお考えであるか、一つ明確な御所信だけをお伺いをしておきたいと思います。
  61. 和達清夫

    和達政府委員 学術会議の議長としてでなく、お答え申し上げます。  気象庁といたしましても、先ほど来のお話にありますように、この気象研究が軍事目的にならないように、あるいはそれと関係づけられないように、できるだけ努力を払いまして、そうして、お話しのような心配をよく考慮いたした上で、もし、できますならば、また、必要でありますならば、日米の研究協力の体制を作りたいと考えます。
  62. 前田正男

    ○前田(正)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明十八日午後一時より委員会を開催することとし、これにて散会いたします。     午後零時四十五分散会