運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-04 第34回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月四日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 村瀬 宣親君    理事 西村 英一君 理事 平野 三郎君    理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君    理事 岡  良一君 理事 北條 秀一君       小平 久雄君    橋本 正之君       細田 義安君    石川 次夫君       石野 久男君    大原  亨君       内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君  委員外出席者         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局原子炉規         制課長)    藤波 恒雄君     ――――――――――――― 三月二日  原子力発電炉安全対策強化に関する陳情書  (第三〇一号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一四号)      ――――◇―――――
  2. 村瀬宣親

    村瀬委員長 これより会議を開きます。  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際、本案に関し、各国における原子炉安全審査について政府よりその説明を聴取することといたします。藤波説明員
  3. 藤波恒雄

    藤波説明員 原子炉規制課長藤波でございます。御指名によりまして、各国における原子炉安全審査組織やり方等について御説明するわけでございますが、御承知のように、大部分先進諸国では、原子力利用軍事目的よりスタートいたしましたこともありまして、原子炉開発は、主として国が直接行なわれてきた。従いまして、それらの安全確保につきましても、その開発当事者自身の手によって、その責任によって行なわれてきたのが大部分でございます。従いまして、一般に原子炉規制をするという立場からの組織なり態勢というものは、必ずしも整っていないところが多うございまして、その意味におきまして、われわれの参考になるものは比較的少ないのでございますが、アメリカにおきましては、御承知のように一九五四年の原子力法改正によりまして、民間企業に対しても大幅に原子炉開発を許すという方針をとられましてから、原子炉規制に対する態勢整備されてきておるので、非常に参考になると考えております。従いまして、本日は主として米国における原子炉許可制度中心にいたしまして御説明を申し上げたいと存じます。お手元にお配りいたしました資料は、本日御説明を申し上げるための便宜としてまとめてみたものでございまして、御参考にしながら御聴取願いたいと思います。  ただいま申し上げましたように、一九五四年の法律改正におきまして、それ以前には、主として国が直接開発を行なっておりました原子炉設置につきまして、民間企業においても許すという方針をとりまして以後、規制方面におきましてもその整備をすることの必要性を認めまして、私企業許可計画におきます公衆安全の基本的責任は、やはり政府指導計画——といいますと、政府みずから、あるいは政府がコントラクトを結びましてやっております開発計画でございますが、それらの場合と同様に、やはり基本的責任AECにあるということをこの法律で定めておりまして、AEC法律に基づきまして私企業活動許可規制及び検査という手段によりまして有効な安全保持を行なうということになっております。従いまして、許可を受けた私企業は、当然施設安全運転について責任を持っておるということはもちろんでありますが、そういう施設許可された場所に設置されて運転するということを認めて、これを許可したものはAECであるという意味において、AEC十分責任を持つ、こういう意味のことを、この法律にはっきり示しておるわけでございます。  それで、現在、炉を設置する場合に、AECがどういう許可手続を踏んでおるかということが、資料の八ページの第二章のところに載っているわけでございますが、まず、許可手続を大きく分けますと、最初建設認可、コンストラクション・パーミットと和しておりますが、最初原子炉設置したいというものから申請書が出て参りまして、その申請書審査した結果、おおむね建設を進めてよかろうという判断がついたときに建設許可ということで指導いたしまして、しかる後に建設に入っていく。建設に入って進行しております間に、逐次残された問題の追加説明をさせ、追加審査をしていって、建設が終わった段階で、また、あらためて最終的な安全審査を行なった上にライセンスフォアオペレーションと称しておりますが、運転許可を与える。こういう二段階手続を踏んでいるわけでございます。これらの審査をやりますところは、AEC許可規制部というのがございまして、ディビジョン・オブ・ライセンシング・アンド・レギュレーションと申しておりますが、許可規制部において行なっております。この許可規制部審査を行ないますにつきましては、関係ディビジョン、たとえば、経理能力については財政、燃料については燃料関係、あるいは原子炉開発部等々と協議してその助言を受けることのほかに、その災害報告書審査を行なうにあたりましては、諮問委員会であります原子炉安全諮問委員会アドバイザリー・コミティ・オン・リアクター・セーフガーズ諮問をといたしてその助言を受けております。ただし、これはあとで述べますように、すべての炉について諮問しているわけではございませんで、必要がある場合ということになっております。具体的には、大きな発電炉とか、試験炉とか、あるいは新しく開発されたタイプの炉に限られておるのでありますが、そういうステップを踏んでおります。なお、資料公開という意味で、申請書の中からシークレットの部分等を除きましたものをAEC資料公開室に展示をするということ、それからさらに、処分をする前に公聴会を開く、これもやはり発電炉等についてでありますが、公聴会を開くというような手続を踏んでおります。そういたしまして、それらの助言等を入れて、許可規制部におきまして、資料がまとまりましたものを事務総長あて提出をいたしまして——小さな炉につきましては事務総長権限が委譲されておるようでございますが、大きな炉、発電炉のすべて、あるいは研究炉の大きなものにつきましては、最高原子力委員会まで上げまして、そこで最終決定をした上で第一段階建設許可というものがおりる、こういうことになっております。  その次が、十一ページから書いてございます許可という段階でございまして、建設許可を受けまして申請者が炉の建設に人ってから後に、さらに新しい情報を次々とAEC提出してくるわけであります。と申しますのは、最初に申し上げましたように、建設許可を出す段階ですべてのポイントを究明し尺くし得ない。それを待っておりますと、開発する途上にあります原子力の現段階から考えると、時期がいたずらに長くかかるということから、一度建設してから後に、建設終了までに解決し得ると考えられるような問題であれば、あと回しにして、あとから資料提出させてそれを解明していく、こういう立場をとっております関係上、そういう工合にして新たな資料が出て参りましたら、最後に、それを最終災害総合報告書、ファイナル・ハザーズ・サマリー・レポートという形にまとめましてAEC提出する。それをさらにAEC技術スタッフ検討をいたすわけでございまして、この場合も、必要があれば、先ほどの安全諮問委員会に諮るということをやっておるようでございます。その段階になりますと、規制部と並列に置かれております検査部というのがございまして、そこで炉の検査をいたしまして、その結果を規制部助言をする、こういう建前になっておりまして、それらを合わせまして、最後規制部技術スタッフスタッフ・ペーパーを作成いたしまして、それをつけまして、事務総長を通じ原子力委員会に報告する、そこで最終的な結論を出して、炉の運転許可ライセンスフォアオペレーションが与えられる、こういう建前になっておるのであります。従いまして、そういう建前をずっと見てみますと、日本におきます規制法による審査と少し違ってはおるわけでございますが、趣旨においては、大体合っているとも考えられるわけでございます。と申しますのは、わが国におきましては、最初総理大臣設置許可というものを行ないまして、そのときに、基本的計画が安全を確保し得るかいなかを調べまして許可を与える、その次に設計工事方法認可という段階がございまして、そこでは、やはり詳細なる設計資料に基づきまして審査をするわけでございまして、最初許可のときの基本的計画に沿って行なわれているかどうかを確認をして、設計及び工事方法認可という処分がなされる、その後に、やはり検査という段階がございまして、初めて運転が許される、こういうことになっております点において、それぞれの形式上、若干違うところがございますが、実質においては、大体これはコレスポンドしておると考えていいのではないかと思います。  次に、十六ページ、十七ページにございますのは、さらに具体的に、申請書内容をどういうように調べていくかというようなことが、やや例示的に書いてございますが、ここは省略いたしまして、二十五ページのAEC安全審査、あるいは許認可行政事務担当する組織がどうなっているかということを申し上げてみたいと思います。  先ほど申し上げましたように、その主体は許可規制部ディビジョン・オブ・ライセンシング・レギュレーションが担当するわけでございますが、これは組織図の上でどういうことになっているかと申しますと、付録Iといたしまして折り込みの機構図がございますが、これをちょっとごらんになっていただきます。AEC機構図で、まん中の一番上にザ・コミッションというものがあります。これが原子力委員会であります。それの中のディビジョンとか、ブランチがずっと書いてございます。AEC日本原子力委員会とは若干違いまして、御承知のように、行政委員会的な性格を持っておるわけでございまして、その下部機構といたしましていろいろなディビジョンブランチがございます。三段目の欄の左から三番目を見ていただきますとディビジョン・オブ・ライセンシング・アンド・レギュレーションというものがございます。その二つ置いて右にディビジョン・オブ・インスペクション、これが先ほどちょっと申し上げました検査部でございます。それで、実は、このディビジョン・オブ・ライセンシング・アンド・レギュレーションというのは、もとは民間原子炉応用部というようなところで一括やられていた業務を分けて独立させたものでございまして、その要請は、要するに、原子炉開発のプロモーションとレギュレーション、規制というものを一緒くたにやるのはどうもうまくないではないかという批判にこたえまして、民間原子炉応用部というところで両方の業務をやっていたものを二つに分けまして、その二つは、今の左から四つめに書いてございますアシスタント・ゼネラル・フォア・リサーチ・アンド・インダストリアル・デベロップメントというところでデベロップの方を担当し、それから規制の方は、今申し上げました規制部に独立させる、こういう経緯になっておるわけでございますが、その規制部で、先ほど申し上げましたような原子炉のっ許認可業務、それに関連する安全審査というものをやることになっております。それで、二十六ページ、二十七ページ等にございますように、この部は、全体で六つの課と一室、一班からできておりまして、その中心をなすものは許可課、ライセンシング・ブランチ、それから三十一ページにあります災害評価課、バザーズ・エバリュエーション・ブランチ、それから三十四ページにございます放射線費全課、ラジエーション・セーフティ・ブランチというようなものからできておりまして、総人数が約百十名でございます。このハザーズ・エバリュエーション・ブランチ災害評価課というのは、あとで申し上げます安全諮問委員会とタイ・アップいたしまして、AEC事務局としての安全評価をやっているスタッフが集まっているところであります。初め、一九五四年原子力法改正以前は、災害評価課に相当するブランチはございませんで、一にアドバイザリー・コミティ安全諮問委員会だけにたっよいていたのでございますが、民間原子炉がどんどんふえてくるという実態に即しまして、全EC事務局自身で、みずから審査を進める態勢を強化しなければならないという必要を感じまして、この裸が新設をされた、こういう経緯になっておるわけでございまして、このことが三十主ページのところにあります。  それから検査部でございますが、検査部の方は、お手元資料でいきますと三十七ページのところから書いてございます。ここの総人数は約三十名でございまして、原子炉検査に当たっておりますが、この検査やり方といたしましては、コンベンショナルな部分は、できるだけ従来の方式にのっとりまして、保険会社溶接協会、そういったようなところに委任をしているのが多いようでございます。この部では、特に原子炉に特有なところ、すなわち、安全に大切な制御と安全装置というようなところに重点を置いて行なっているようでございます。でき上がったものにつきましても、大体年一回程度は定期検査的なことを行なっておるようでございます。  以上がAEC事務局内機構でございますが、次に、先ほど来申し上げております原子炉安全諮問委員会のことにつきまして、第四章に書いてございますので、御説明を申し上げたいと思います。  先ほどの機構図で申し上げますと、一番上の一番左にアドバイザリー・コミティ・オン・リアクター・セーフガーズと書いてございますが、これでございます。そのほかにもアドバイザリー・コミティといたしましては、そこに書いてありますようにゼネラル・アドバイザリー・コミティ・ミリタリーリェーゾン・コミティというような機関原子力法に基づいて設置されておるわけでございまして、そのうちの一つでございます。しかし、現在の形になるまでには若干の経緯がございまして、四十三ページ以下に書いてございまするが、最初は、一九四七年に原子炉安全委員会、リアクター・セーフガズ・コミティと称するものができまして、AEC自身開発いたしておりました炉の安全評価を行なっておったわけでございます。その後、それと並立いたしまして、原子炉立地問題諮問委員会アドバイザリー・コミティ・オン・リアクター・ロケーション・ブロブレムズというものが並置されていた時代があったわけでございますが、それがその後統合されたわけであります。原子炉立地の問題と原子炉安全の問題を切り離して考えることは、実際問題としてできないという観点から、一九五三年に至りましてこの両者が一つにまとまりまして、原子炉安全諮問委員会アドバイザリー・コミティ・オン・リアクター・セーフガーズという現在の形になったわけでございます。当初は、これは原子力法百六十一条の規定に基づくところのアドバイザリー・ボード一つだということにしてあったわけでございます。といいますのは、必要に応じて委員会諮問委員会設置することができるということに基づいてできるアドバイザリー・ボード一つとして最つり扱っていたわけでありますが、それを一九五七年に至りまして、原子力法第一十九条に基づく法定の委員会として、その性格が明確化されたわけでございます。その原子力法第二十九条をちょっと読んでみますと、「原子力委員から、各任期四年をもって任命される最大十五名の構成員からなる原子炉安全諮問委員会を置く。委員会は、照会された安全研究施設許可申請書とについて検討し、これに関する報告書を作成し、提案された、または既存の原子炉施設災害に関し、また提案された原子炉安全基準適切性に関し、原子力委員会助言し、およびその他原子力委員会の正要求する義務を遂行するものとする。」云々ということになっております。現在、実員は十二名からなっておるようでございまして、これの人名、所属専門等につきさましては、四十九ページ以降に書いておきましたように、専門的には原子力工学化学工学機械工学、あるいは物理の部門化学部門等からなっておりまして、所属といたしましては大学教授とか、あるいは工業会社研究者——工業会社といいましても、主としてAECが、その下請けとして原子力開発担当をさせておりますところの会社の人が多いわけでございますが、そういったようなことでございます。これは全部非常勤でございます。この趣旨は、非常勤でなければ優秀な第一線の人を確保できないという観点から、やはり非常勤ということになっておるようでございます。されて、あと事務局員といたしましては、やはり一、二名程度がおる模様でございます。やり方といたしましては、この法律にも書いてございましたように、諮問を受けましたものを審査するという立場をとっておるのでございます。その諮問につきましては、先ほど説明をいたしましたAEC事務局の中の原子炉規制部災害評価課スタッフが、まず申請書内容審査ついたしまして、意見をある程度まとめた上で、この諮問委員会にありますアドバイザリー・コミティ諮問をいたす、こういう形をとつておるようでございまして、その後も、その事務局と、それからアドバイザリー・コミティは緊密な連絡をとりつまして、ディスカッション等も行なうというようなやり方をやっておるようでございます。なお、そのやり方につきまして四十六、七ページ等のところに若干書いてございますが、時間もございませんので省略させていただきまして、お読み取りをお願いしたいと思います。あと付録資料といたしまして載せてありますのは、関係条文という意味で、原子力法等の抜粋をしてあるわけでございます。これも省略させていただきさたいと思います。  なお、次に、ほかの国のものにつきましても、わかる範囲において簡単に触れてみますと、カナダにつきましては、この関係は、最高責任はフェデラル・ガバーメントのコミティ・オブ・ザ・プライビー・カウンシル・オン・ザ・サイエンティフィック・リサーチ、訳してみれば、いわば科学技術研究閣内委員会といったようなものがございまして、そこの委員長通商大臣がやっておりまして、七人の閣僚から組織されている。そういう委員会がフェデラル・ガバーメンドとしての最高責任機関になっておりまして、その下にアトミック・エナージー・コントロール・ボード、原子力管理委員会というものがございます。これもやはり行政機関でございまして、ここで原子炉規制の規則を作ったり、許可を与えたりする、こういう研究をやっております。常勤五名の委員と、それから、やはり常勤のセクレタリ十三名とからなっているものでございますが、その諮問委員会といたしまして、やはりアドバイザリー・コミティ・オブ・リアクター・セーフティというものがあります。これは十二名ないし十六名から構成するといっておりますが、これもやはり非常勤でございまして、そこのチェアマンは、御承知AECL、カナダ原子力開発実施機関でありますアトミック・エナージー・カンパニー・リミッテッドのドクターロームスという人がやっておりますが、あと、メンバーといたしましては、フィジシストとか、あるいはヘルス・デパートメントとか、レーバー・デパートメントの代表者大学教授、そういったような人から構成されておるようでございまして、こういうところで安全審査が行なわれることになっておるようでございます。  イギリスにつきましては、最初に申し上げましたように、従来、国の開発実施機関であるAEA自身が一手に原子力開発を進めてきております関係上、炉の安全審査等も、みずから担当者の手によって行なわれていたというのが実情でございます。その中には、組織としては、最近はヘルス・アンド・セーフティ・ディビジョンというものができまして、その中にリアクター・セーフティ・ブランチ放射線安全ブランチと、二つあるようでありまして、そこで担当しておるようであります。最近は御承知のように、実用発電炉はCEGB、セントラル・エレクトリシティ・ゼネレーティング・ボードというところが建設しておるようでありますが、これも国の機関でございます。これの技術的検討につきましては原子炉部分につきましてはAEA技術スタッフがコンサルタントとして活動しておるようでございますが、最近におきましては、わが国原子炉規制法に相当する原子炉施設法というのができまして、だんだんに許認可法的体制が備わってきておるようでございますので、安全審査等につきましても体制がだんだんに確立されていくのではないかと考えておるわけでございますが、これら最近の動向につきましては、たまたま、現在、生産性本部調査団といたしまして、安全性調査目的とするチームが欧米を回っておりますので、帰られれば新しい情報が入手できるのではないかと期待いたしております。最近できました原子炉施設法によりますと、やはり、原子炉設置につきましては国の許可を要するということになっておるわけでございますが、その主務大臣としては、動力大臣担当するということになっておるようであります。  それから、西ドイツにつきましても、やはり同様、最近原子力平和的利用及びその危険の防護に関する法律というものが出ておるわけでございますが、それにつきまして見ましても、やはり原子炉設置許可を要するということになっておるわけでございます。その行政処分責任個所といたしましては、州政府の定める最高公庁権限ということになっておりまして、州の方に委任されているというふうに見ておるわけであります。西ドイツにおきます具体的な原子炉輸入等につきまして、も今までのところ、はっきり伺っておりませんが、先ほど申し上げました安全調査団等が帰られれば、あるいは最近のもっと新しい実情がわかるかと期待しております。  きわめて大ざっぱでございますが、私の説明を終わります。     —————————————
  4. 村瀬宣親

    村瀬委員長 質疑の通告がありますので、この際、これを許します。岡良一君。
  5. 岡良一

    岡委員 主たる資料は、アメリカ安全審査機構についてでございましたので、若干お尋ねをいたしたいと思います。  特に、私どもが各国安全審査機構に対して重大な関心を払うべきだと信じておりますゆえんは、申し上げるまでもなく、今度の国会でも、あるいは原子力災害補償法、また、原子力施設周辺整備法、あるいは放射線障害防止法、すべて原子炉安全性と不可分な法案が予定されておりますので、おくれた日本においての安全審査機構が今日までのようなあり方ではたしていいかどうかということが、これら法案を審議する場合における大きな前提になる、こういうことで、きょうは、特にその方面情報を求めたわけでございます。実は、中曽根原子力委員長にも御出席を願って、御報書中心に、日本の現在の安全審査機構について、今後さらにどういうふうにこれを充実させるべきかというふうなことについての御所見も、隔意なくこの委員会でただしたいと思っておったのでございますが、所用がある趣でございますので、私は、たまたま兼重委員の御出席をいただきましたので、一応問題点だけを取り上げてみたいと思います。それが問題点になるのかどうかということでございますが、今の御報告を聞きまして一つ問題点と申しますのは、日本では、内閣総理大臣原子炉設置許可するということに規制法ではなっておる。アメリカの場合は、一応建設認可は与える、しかし、現在の技術水準では、それが安全であるかどうかということについては、まだ十分の確信があり得ないのであるから、次々建設を進めながら、その過程において、次々といろいろな問題についてその安全性を確かめ、そのつど、また原子力委員会等に申請をしながら、最終的に、いわばハザード・レポートというものが出て、これに対する同意を与える、あるいは承認するという形で運転許可ライセンスフォアオペレーションを与えるということになると、日本の場合と若干その取り扱いが違っているように思うのでございますが、その点、御所見があったら伺いたい。
  6. 藤波恒雄

    藤波説明員 ただいまの御質問、先ほどの私の御説明と関連があるわけでございますが、おっしゃる通り、アメリカ日本では、建設申請書が出てから運転許可までのやり方が違っておるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、考え方におきましては、アメリカにおける建設認可という段階が、日本における総理大臣設置許可段階に相当し、それから、アメリカにおけるその後の追加使用の検討段階が、日本における場合の設計認可工事方法認可という段階に大体コレスポンドする。それから、検査段階は完全に今一致している。最後に、日本の場合は、保安規定の認可というのがあり、さらに、手続としては、主任技術者の選任の届出とか、運転計画の届出とかいうことになって、それが完結すれば、自動的に運転をしてもよろしい、あらためて許可書の発行ということなしに運転してよろしいという段階になるわけであります。従いまして、アメリカでやること、日本でやることの全体を通覧してみれば、合っているという工合に考えておるわけでございますが、その場合に、アメリカの場合は、最初段階で、相当程度問題点がまだ解明されない点が残っている場合でも、早目に踏み切りまして建設に着手させることを認めるという態度をとっておりますので、相当途中における変更その他もあるようでございますし、それから最後段階にきて、建設が終わってからオペレーションライセンスが出るまでの間にも、相当手間取っている場合もあるようでございます。わが国の場合には、できるだけ最初段階に、基本的には安全性が確保できる計画であるかどうかを確認して、そうした上で、やはり全体計画として、そういうタイプの炉をそういう場所に置くことについては許可をする、そしてあとは、その線に沿って設計ができておるかということを、設計認可あるいは検査段階で確認をして、最初許可処分の補完をするという建前をとっておるわけであります。その場合に、御指摘のように、原子力はまだ全体として開発段階、進歩段階における技術でございますので、途中において相当変更ということも予想される。そういう場合には、日本の場合は、それが大きな変更、すなわち、最初許可段階で考えられた基本的な線と相当変わってくるというようなときは、あらためて変更の申請という手続をとることになっておる。その場合は、最初段階にリターン・バックする、そして、最初からまた審査をやって、その変更計画の許可という段階を通っていく、こういう工合に考えておるわけでございます。  それから、なお、これらの点につきましては、アメリカ内部でもいろいろ論議があるようでございまして、昨年十一月三日に、アメリカのフォーラムでマッコーン原子力委員長が話をされた内容等を見ましても、最初に、許可になるかならぬかわからない形で建設認可段階に踏み込んでいって、最後に、設備ができてから、あらためて審査をしてやるという方式が必ずしもいいかどうかということについて、いろいろ議論があることに対する反省をしなければならぬというような意味にとれる発言もあったようでございまして、問題点一つであろうと思います。
  7. 岡良一

    岡委員 しかし、内閣総理大臣設置許可を与えるということになれば、一応包括的には運転許可も含んでいるものと考えられる。もちろん、さて、運転をいよいよ始めるまでの間には、今申されたように、三段階、四段階のいろいろの検査があるといたしましても、結局、認められるという大きな前提ができてくる。その上で、今度はいろいろの細目についての認可を与えるということになる。アメリカでは、最初は予備的な災害報告があり、これを検討する、その後、新しい技術に基づく安全保障の体制がとられて最終的な災害報告書ができる、その報告書を妥当と認めて、そこで初めて運転許可を与える。そういうことで、手続上からいえば、やはり趣は大きく違っているんじゃないか、こういう感じがするのですが、いかがですか
  8. 藤波恒雄

    藤波説明員 事実上から申しますと、確かに違ってはおるわけであります。これはやはり、国の全体の立法技術と申しますか、立法の考え方にも関係することとも考えるわけでございまして、必要があれば、その運用の面で万全を期するということより仕方がないことではないかという感じもいたしております。
  9. 岡良一

    岡委員 兼重委員、いかがですか。
  10. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 ただいまの問題につきまして、私は、アメリカにおけるやり方を一から十までよく知っておるわけではございませんから、この点が同じであります、この点が違いますというふうに申し上げることはできませんが、日本でも、許可を与えますときには、そのときにわかっております範囲で、大丈夫という見込みがついたものについて許可を与える。けれども、その後の設計の進行その他の上で、どうしても安全が確保できないというような事実が現われれば、やはり運転は許すことができないと思っておりますから、そういう意味では、初めに許可を与えたことが、同時に運転許可を与えたのも同然であるというふうには考えておりません。実際問題として、そういうことが起こっては非常に遺憾なことでございますから、そういうことが起こらないことを期待しておりますが、趣旨としては、決して初めの許可ということが、あと、どのようなことがあろうとも運転許可されるということを意味していないと了解しております。
  11. 岡良一

    岡委員 そうしますと、たとえば、民間会社にかなり大規模な実用炉の設置許可を与える、そこで、外国のメーカーとの間にいろいろな契約を結び、金銭の授受もある、そうして、さて、やってみた、ところが、そこに大きな技術上の手違いがあって、安全性が保証され得ないという状況になった、その場合には、問題が二つあると私は思うのですが、その場合に、原子力委員会とすれば、この運転許可しないということでございますね。
  12. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 今、どういうような場合を仮定して御質問になりましたか、そこがよくわからないのでありますが、実際にできましたものの検査とか、あるいはそのときの資料によって今まで出された災害対策書というようなものが全然意味をなさないようなものであれば、これは運転許可ができないものと考えております。しかし、そのときに違っておっても、おそらくは、現在よりも一そう改善され、より安全になったような、そういう変更があるとすれば——その変更も非常に大きな変更であり、たとえば、今お話に出ました日本原子力発電株式会社設置しようとしております、炉における燃料が中空であるけれども、それを今後中空でない、詰まったものに変更するというような場合には、その変更する理由は、その方がより安全であるからという立場からであると思いますが、これはかなり大きな変更でありますから、そういう場合には、あらためて審査をし直すことになっております。従って、その変更の程度によって、審査をしないで済ませる場合もあるかもしれません。その辺は、それではどれだけの変更であればこうする、どれだけであればしないということを、今ここで簡単に御説明できるようなふうに私は考えておりませんけれども、精神において、安全の確保ということがはっきりしておれば問題はないと思っております。
  13. 岡良一

    岡委員 私は、原則的な問題について、原則的な御方針を承りたいと思っておったのですが、今の燃料の問題でありますが、この中空燃料についての疑義がかなり広がってきておるような情報も聞いております。これは具体的には、やはり原子力発電株式会社では中空燃料から中実燃料への転換ということが日程に上っておるのではございませんか。
  14. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 私のお答えを具体的におわかりいただくように今例に申し上げましたそのことは、今の御質問を引き起こすようなことは何も含んでおらないわけであります。従って、今お答えするといたしましても、私は何も知りませんけれども、そういうことはないと信じております。
  15. 岡良一

    岡委員 中曽根原子力委員長もお見えになりましたので、重ねてお聞きをいたしますが、今のアメリカ原子炉許可についてのやり方と、日本の場合とに若干相違がある。それで、原子炉安全性の問題は、今後御提出が予定されておる原子力施設周辺整備なり、放射線障害防止なり、また、原子力災害補償なりの諸法案の大前提にもなりますので、でき得る限り、原子炉安全性については、国会も国民も納得のいく措置が講ぜられたい。それには、各国では一体その安全審査をどういう機構でやっておるかということをまず勉強しようというので、わざわざきょう専門家においで願ったわけであります。  そこで、先般、私も若干お尋ねをいたしましたが、御存じのように、小型の教育用、訓練用の原子炉さえも、やはり地元の不安というか、懸念というか、そういうものから、いまだに敷地の選定も不可能な状態になっておる。こういうことも、やはり大型の実用炉の導入に際しての大きな批判、また、学界の批判に対し、原子力委員会としては、率直なところ、きわめて強引に一方的な決定をされたというようなことに対する国民の疑義が、小型原子炉設置にさえも、その敷地の選定でやはり難渋を来たしておる大きな原因の一つではないか、こう考えられますので、安全審査については、ぜひとも、そういう経験にかんがみても、私は、厳正な、権威ある結論を出すような御努力を願いたいという気持ち持っておるわけです。  そこで、第一の問題として、ごく原則的に、内閣総理大臣民間会社の大型炉について設置許可を与えるということになると、やはりほかの人と違って、総理大臣許可を与えますので、そのウエートからいえば、実質的には運転許可をも包括しておる。そこで、いざ、でき上がって、完成を見るまでの間にはいろいろな検査を施行せられる。これは当然なことでございますが、その結果として、運転をするということになる。アメリカの場合は、まだまだ原子炉安全性については技術的に確かな保証がないが、月とともに、年とともに進んでいくものであるから、そのつど、進んだ技術水準に照らし合わせて、安全性についてさらに念を入れなければならぬ、最終的には、災害レポートというようなものを徴し、これを検討して、いよいよ運転をしてもいいぞという許可を与える。ここが日本の場合と若干取り扱いが違っている。それが一つ問題点ではないか、こういうことを今お尋ねしておるのでございますが、それだけに、当初の設置許可は、この法がある限りは、慎重の上にも慎重を要するということを申し上げておったわけです。  これは、まあ、これといたしまして、それでは、コールダーホールというお話が出ましたから、コールダーホールについて申し上げますると、いろいろな問題点が残されておったわけでございますが、この問題点安全性については、今後新しい事実が起こったときに、だれが審査するかということです。
  16. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子炉設置安全性検討設置許可の際のいろいろな手続等につきましては、今、矢木さんや福田さんも調査団として外国を回っておりますので、それらの人々が帰って参りましたら、その意見も聞きまして、もし必要があれば、現在のやり方に適当なる改善策を講じたいと思います。われわれといたしましては、慎重の上にも慎重を期しまして、あやまちなきを期する必要があると思いますので、ただいまの手続につきましては、さらに再検討を加えていきたいと思います。  それから、コールダーホールやその他の炉に、もし、多少事故でも起きた場合どうするかということにつきましては、原子力委員会においてこれを一応検討いたしますが、いずれその際は、専門の調査委員会などを作りまして、専門家の判定を待って原子力委員会で判断する、そういうことになるだろうと思います。
  17. 岡良一

    岡委員 設計の変更については、軽重いろいろあろうかと思います。そこで、先ほど兼重委員からもお話がありましたが、たとえば、燃料を中空燃料から中実燃料にするというふうなことは、炉の安全性に関して重大な問題だ、こういう場合には、やはり安全審査部会が審査をする、こういうことになるのでございますか。
  18. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 設計変更につきましては、今まで審査していた安全審査部会が設計変更の申請書をもう一回点検する、そういうことになるだろうと思います。
  19. 岡良一

    岡委員 これは、藤波さんにもあわせてお尋ねをしますが、アメリカでは、今、お説のように、いわゆる原子炉安全諮問委員会というものがある。この諮問委員は、AECの任命するところではあるが、しかし、かなり独立機関として事実上審査に従事しておるということでございます。日本原子力委員会下部機構としての安全審査部会とアメリカ原子炉安全諮問委員会とは、いわば、その機能においてどの程度の差違があるか、この点を、さらに具体的に御説明願いたいと思います。
  20. 藤波恒雄

    藤波説明員 全体の組織、それからメンバーの構成等から見ますと、ほとんど日本原子炉安全審査部会と同じ構想でできており、大体同じ実態を備えておると私は考えます。審査やり方につきましては、先ほども触れましたが、やはり諮問を受けたものについて審査をして助言をする、これも同様でございます。それから、あらゆるものの灯を調べるかどうかにつきましては、日本の場合は、現在は、すべての炉を諮問いたしております。規制法に基づきまして原子力委員会の意見を聞いて、これを尊重しなければならないということをきめて、さらに、それを安全審査部会にその委員会から諮問するという形でやっております。アメリカの方は、先ほども申し上げましたように、大きな炉だけに限っておる、あるいは新しく開発されるタイプの炉だけに限っておる。それからAEC事務局アドバイザリー・コミティとの関係は、アメリカの場合は、AEC事務局自身に相当のスタッフを持っておりまして、百人くらいスタッフを持って独自の審査をし、ある程度の意見もまとめて、それと並行してアドバイザリー・コミティの方では、アドバイザリー・コミティとしての審査をやるという両建になっておる。その間、両者との討論のステップを踏んでおるようでございます。それから答申の結果の尊重のあれにつきましては、アメリカの場合は、必ずしもそのまま全部がAEC許認可と同一方向をとったかというと、例外的ではありましょうが、御承知のデトロイトの高速炉の場合には、アドバイザリー・コミティの方で若干問題としたものをAEC側において建設許可に踏み切ったという例はあると思います。
  21. 岡良一

    岡委員 要するに、原子炉安全諮問委員会は、その萌芽的なものとして、最初、一九四七年に原子炉安全委員会ができた。それが、その後一九五〇年には原子炉立地問題諮問委員会という形のものが別に設けられた。これもやはりハンフォードの原子炉施設の対岸の地主たちが、原子炉の安全の問題で騒ぎ出したことが大きな動機となってこういうものが設けられた。こういうものが一本にまとまったのが一九五三年の原子炉安全諮問委員会。しかも、今、御指摘の高速中性子炉の問題で、AECは強引に許可をした。ところが、安全諮問委員会としては大きな疑義を提出した。そこで両院合同原子力委員会の強い要望によって、ここに初めて原子力法改正して、原子炉安全諮問委員会というものが法制化されたわけです。それが先ほど御説明原子力法二十九条。常勤ではないとしても、いろいろな手当も受け、そしてまた、原子力委員長の任命によって、しかも、実際の運営を見ると、やはりAECスタッフ申請者を指導して、申請書内容整備充実させ、問題点を、整理し、意見を付し、そこで、その意見を付した申請書原子炉安全諮問委員会に回す、原子炉安全諮問委員会では、今日となれば法律改正され、十五名以内のメンバーよりなる下部スタッフがあり、専門スタッフがありますから、これはやはり相当必要な給与を受けて、そして、今度は、あらためて独自な立場からこの安全性についての議論をやる。その場合、AECは、もちろんAECとしてこの討議にも参加し得る道が残されておるわけですね。そうしますと、今の、原子炉安全諮問委員会と、日本安全審査部会というものと原子力委員会との関係は、やはり違うのじゃないですか。第一、そういう形で、アメリカ原子力法においてそういう人数、給与等が規定されておる。事実、その発展の歴史を見ても、安全性についての疑義が出るつど強化され、発展をして、原子力法改正でそういう機関を置くこととなっておる。法に基づいて、これが機能的にも、AECとの間の問題については十分対等的な立場で討論をする、そして最終的には、独自の意見を出している。その独自の意見がいれられなかったときには、AECがこれを強引にやったのが国会の問題になって、原子力法改正になったという事態があるくらい権威あるものです。その点、日本原子力安全審査部会というのは、たとえば、この安全の決定に対しては責任を持たないといって、有力なメンバーが脱落しておりますね。原子力委員会は、そういうことは馬耳東風で、よろしいといってきめてしまうやり方、これと違うと思う。少なくとも、運営においても民主的であり、あるいは原子炉安全諮問委員会そのものの権威が、アメリカ日本では非常に違っておる。こういう点は、今後の原子炉安全審査の場合、アメリカから炉だけを入れるのじゃなくて、安全についての責任体制を大いに学ぶ必要がある。これはアメリカだけではございません。英国、西ドイツ等もどういうふうになっておるか、具体的に十分御調査の上において今後の日本原子力開発のスムーズな発展のためにも、一つ十分学ぶ必要がある、こう思うのです。中曽根委員長も若干触れられましたが、この機会に重ねて御所信を承っておきたいと思います。
  22. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 日本の法制上におきましては、原子力政策の審議決定というものは、原子力委員会に帰属させてありまして集中した機関責任を持って処置するということは、やはり正しいと思います。従いまして、最終の決定権というものは、あくまで原子力委員会に確保さるべきものだと思いますが、そこへ出てくるいろいろな議論というものは、非常に多彩な、専門的な、えぐった議論が出てくることが望ましいと思います。従いまして、調査団の諸君が帰りましたらよく話も聞きまして、もし必要ならば、改善策を講じてみる所存であります。
  23. 岡良一

    岡委員 そこで、この原子炉設置許可について、この委員会が、規制法のときに、公聴会を開いて民主的に決定しろということを決議したわけです。そこで、なるほど公聴会を七月三十一日に開きました。この公聴会のあり方にしても、たとえば、原子炉安全審査部会の中間報告が二十九日に出ておる。しかも、それは中間報告、ところが、今、御説明アメリカの場合、公聴会を開くがためには、初めは十五日間、原子力委員会設置認可申請の書類は全部これを公告、周知せしめる。ところが十五日では足りない、検討ができないからというので、最近は三十日間公知せしめる、その上で、申請書について十分検討を加えた公述人によって公聴会を開く。日本では、最終の報告書は、全然公聴会を開かない、中間報告、しかも、重要な点においてはイントロゲェーション・マークをつけたような中間報告を出してから二日目に公聴会を開いておるということでは、これは公聴会意味がない。少なくとも、その公聴会は、最終的な報告について十分検討し得るような時間的余裕をまず与えるということが、この公聴会というものが、ほんとうに実のある公聴会として、権威ある公聴会たり得るまず第一の前提でなければならぬと私は思うのです。こういう点も、ぜひ一つ教訓的に、今後の公聴会のあり方については重要な参考にしていただかねばならぬと私は思うのでございますが、この点、原子力委員長のお考えはいかがでしょう。
  24. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御意見はごもっともであると思いますので、調査団が帰りましたらいろいろ意見を聞きまして、必要あらば改善を加えるつもりでございます。
  25. 岡良一

    岡委員 それから公聴会なり、あるいは安全審査部会に対する資料公開の問題でございます。公聴会においても、御存じの通り、たとえば、ある東人の教授は、原子力発電会社に行って、いわゆる緊急被爆時における線量、その線量の詐容量をどう見ておるかというふうな、一群必要な問題点についても明確な資料をもらえなかった。私は想像で申し上げる、間接的に入った情報で申し上げるというようなことを言っておられる。そういうような状態でございますし、安全審査部会においても、やはりある委員委員会における御発言の中で、商業上の秘密という理由であったということでございますが、事実上、やはり十分なる資料が得られなかったということが、この安全性に対する審査の結果について責任を持てない理由の一つにあげておられる。ところが、アメリカの場合は、公聴会における公述人に提供する資料については、こういうことが書いてある。要するに、この文章の内容公開することが公共のために必要とされない、かえって利害関係人の利益に反する可能性のある場合——おそらく、この中には商業土の秘密ということも含まれておると思う。この場合には、公衆の閲覧に供することは差し控えることができさる。しかし、今度は逆に、たとい利害関係人の利益に反しても、公共の利益に必要あるものであれば、軍事的な機密を除いては公表するという原則が立てられておる。公聴会が公述人をして十分に検討せしめ、責任の持てる意見を言っていただくに足る時間的余裕と同時に、何と申しましても、その意見の前提となるものは資料公開である。ところが、商業上の秘密とかいうような理由のもとに、結果的には、その公述人としては責任ある公述ができない、また、責任ある態度を持って安全審査部会の審査に加わることかできない、こういうことであってはならないと思うのです。この点も、今後の公聴会、あるいはまた、安全審査部会の運営にあたっては、十分に責任を持って善処していただかねばなるまいと私は存じます。この点についての原子力委員長の御所信はいかがでございましょうか。
  26. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 コールダターホール炉の場合は、初めてのことでございまして、いろいろ時間的なそごもございましたが、今度の問題につきましては、できるだけ慎重にいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  27. 岡良一

    岡委員 それから、例の審査部会の参考人としてここへ出てきていただいた場合も言っておられつたことでございますが、審査基準がない、審査基準というものをぜひ作ってもらいたいという意見が非常にありました。今、日本の独力でもって審査基準を作るということは、いろいろ技術的な問題点もございましょうけれども、しかしまた、一方から考えると、何しろ、アメリカ原子炉と違って、非常に人口の細密なところに集中的に原子炉を置こうというような方針をとられておることでございますし、あるいは行く行くは大型の原子炉もあちこちにでき得ることも考えられますので、やはり、そういう場合は、いわゆる中曽根長官の御抱負である原子力施設の周辺整備と申しますか、こういう基準の設定ということが非常に重要な問題だと私は思っておるのでございますが、これについては今後の国会にお出しになるおつもりでございますか。
  28. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 審査基準につきましては、許容量とかその他の問題について、国際的にもまだ非常に不安定でありますので、日本だけが独断で先にきめるということは、また危険を冒すおそれがないとは言えません。従いまして、現在では、やはりケース・バイ・ケースでやっていくべきで、抽象的に、一般的にきめることは不適当であると私は思います。  それから、もう一つ原子力施設周辺整備法は、今一生懸命努力をしておりますが、できるだけ今国会に間に合わせるようにいたしたいと思っております。
  29. 岡良一

    岡委員 このいただきました資料を見ると、アメリカでも、ようやく原子力委員会が本腰を入れて原子炉設置のためのもろもろの基準の設定に本気で取りかかってきた。これまでのいろいろな手引きのようなものを整理して、一本の基準を設定しようという方向に努力を向けられてきておるということでございます。私は、特に日本原子炉開発のためには、一つでも原子炉設置したいと思います。そのためには、やはり何と申しましても、基準の設定ということで安全審査部会も一つのよりどころを持って、そうして、この機能を果たしていただけるような、まず大きなスタート・ラインとしての基準設定について御努力を願いたいと思います。  いろいろ申し上げたいこともございますけれども、あとに譲りまして、きょうはこれで終わります。
  30. 村瀬宣親

    村瀬委員長 他に御質疑がなければ、この程度とし、次会は来たる八日午前十時半より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十三分散会