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1960-03-02 第34回国会 衆議院 運輸委員会都市交通に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二日(水曜日)     午後一時二十七分開議  出席小委員    小委員長代理 高橋清一郎君       天野 公義君    生田 宏一君       井岡 大治君    久保 三郎君  小委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  石井  健君         運輸事務官         (鉄道監督局民         帯鉄道部都市交         通課長)    平出 三郎君         運輸事務官         (自動車局参事         官)      坂本 祐一君         参  考  人         (大阪交通局         長)      下村  進君         参  考  人         (大阪交通局         高速鉄道建設部         長)      田中 幸二君         参  考  人         (大阪交通局         経理課長)   土井 英明君         参  考  人         (名古屋交通         局長)     石田 二郎君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月二日  小委員高橋清一郎君三月十七日委員辞任につき、  その補欠として高橋清一郎君が委員長の指名で  小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市交通に関する件      ————◇—————
  2. 高橋清一郎

    高橋(清)小委員長代理 これより運輸委員会都市交通に関する小委員会を開会いたします。  本日は川野小委員長都合により欠席いたしておりますので、私がかわって小委員長の職務を行ないます。  本日は都市交通問題について大阪交通局方々及び名古屋交通局長参考人としてお呼びしておりますので、この方々より本問題について御意見を聴取いたしたいと存じます。  この際、一言小委員会を代表いたしまして私よりごあいさつを申し上げます。参考人方々には、本日は御多忙中にもかかわりませず御出席下さいまして、まことにありがとうございました。皆様の有益なる御意見を承ることができますことは、今後の小委員会の調査の上におきましても多大の参考になることと存じます。  なお、本日お呼びいたしました参考人はお手元に配付した名簿の方々でございますが、まず参考人各位より御意見を承り、御意見の開陳が終わったあと、小委員各位より参考人方々に対し質疑を行ないたいと存じます。  それでは、まず下村参考人より御意見を承りたいと存じます。下村参考人
  3. 下村進

    下村参考人 大阪市の交通局長下村でございます。ただいま委員長からお話がありましたように、都市交通問題、特に大阪市の現状等について御説明を申し上げたいと存じます。  お手元に配付いたしております資料によりまして順次御説明を申し上げたいと存じますが、このたび国会におかれましては、最近の大都市交通問題を非常に重視せられまして、運輸委員会に特に都市交通に関する小委員会を設置していただいたということは、私たち都市交通に参与する者として深く敬意を表しますとともに、また本日はここに皆様大阪市の交通事情並びにこれについての所見をお聞きいただくという機会をお与えいただきましたことを、まずもって心から御礼を申し上げたいと存ずるのであります。ここに大阪市の交通現状とその問題点及びこれに対する私ども考え方というものについて御説明を申し上げまして御参考に資したいと存ずるのでございます。  まず第一に、大阪市の交通現状でございますが、大阪市の交通事情が現在どのような事態に直面しておるかということについて御説明を申し上げたいと存じます。東京都の交通事情等につきましては、前回の本委員会東京都の交通局長及び営団の総裁からいろいろ御説明を聴取されたように伺っておりますが、私ども大阪市の場合もこれと大同小異でありますので、できるだけ重複を避けまして、大阪市の交通特殊事情について、資料を御参無いただきながら御説明申し上げたいと存ずるのでございます。  大阪市の交通現状は、東京と同様に、きわめて路面交通が窮迫しておるのでありまして、特に道路交通輻湊という点におきましては、場所によりましては、東京以上の事態を呈しておるということが申し上げられると存ずるのであります。  まず、大阪市の道路面積でございますが、東京大阪を比較いたしますと、もちろん東京都のいわゆる旧市内区部に相当する部分ですが、大体大阪東京の三分の一、名古屋の約八〇%でございまして市域面積に対するいわゆる道路密度というものは、大阪市は御承知のように商業都市として発展いたしました関係から、この両都市よりも非常に低いのでございまして、道路容量はきわめて狭小であるということが申し得るのでございます。しかも、この道路が最近の五カ年間にわずか二%ぐらいの容量増加し得たにすぎないのでありますが、一方、自動車の数及び自動車交通量は、同じ期間に実に二倍以上に及びまして、自動車数増加率におきましては、東京名古屋の両都市増加率を上回るというような趨勢にあるわけでございます。お手元に配付いたしております資料の第一をごらんいただきますと、昭和二十九年の大阪東京自動車の数が、大阪で八万六千台、東京で十九万四千台、それが三十五年の一月には、大阪で二十三万五千台、東京で四十九万台、増加率にいたしますと、大阪が二七一%、東京が二五三%、こういうふうになっておるわけであります。自動車の絶対数は、もちろん東京大阪の倍あるわけでありますけれども、今申し上げました道路面積との関係から考えますと、大阪路面交通事情が非常に逼迫しておるということが、御理解いただけると存ずるのであります。資料第一をごらんいただきますと、そこにありますように、道路面積一キロ平方メートルに対する自動車の数というものは、大阪が一万二千台、東京が八千台ということになりまして、つまり大阪は非常に道路が狭い、少ないにもかかわらず、諸車の輻湊による路面交通の困難というものは、非常に逼迫しておるということを申し上げたいわけでございます。  次に、人口密度について申しましても、大阪は昼夜間人口とも六大都市の中で一番多いのでありまして特に流入人口夜間人口に対する比率は、東京が五%、大阪は一二%というふうになっておるのでありまして、これに対応いたします輸送需要も、地域的に非常に大きいわけでございます。最近特に、これは大阪に限ったことでございませんが、市の周辺部郊外地に大規模住宅群が形成され、都心における高樹ビル建築ブームと相待って、累年都心集中輸送の、需要はますます増大して参っておるわけであります。大阪市は現在市電、バス地下鉄及びトロリーバスの四つの交通機関を一元的に経営いたしまして、市内交通需要を充足しておるのでございますが、これらの四事業で現在一月平均二百五十五万人を運んでおるのでございます。これを五年前の昭和二十九年に比較いたしますと、その間七十四万人の増加でございまして、これを一年間に平均いたしますと、一年間に一日平均十五が人のお客がふえておるという勘定になるわけでございます。  この需要増加は今後も続くものと考えられますので、さらに笹年大量の車両の投入を行なって輸送力確保しなければならないわけでございますけれども、先ほど申しましたように、路面交通機関による輸送増強は、路面交通が行き詰まっておるという現状からいたしますと、ほとんどその効果を期待することはできないのでありまして、また、そうすることは、かえって路面交通混雑を激しくすることになるのでありまして、大量かつ耳速輸送力を持つ地下鉄あるいは高架高速鉄道整備拡充という以外に、これの打開策はないというふうに考えておるわけでございます。そこに資料として少しお示しいたしましたが、資料の五、六、七、これらはいわば路面交通混雑による電車バスのスピード・ダウンがいかに顕著に現われておるか。それもこの一両年非常にきびしくなって参っておる。また路面における交通事故、これはわれわれだけでございませんが、われわれの関係いたします交通機関における路面交通上における事故件数というものも非常にふえて参っておるのでありまして、このことは、やはり今申し上げました高速地下鉄なりあるいは高架鉄道でなければ、もはや都市交通の大量な流れを解決する道がないということを申し上げておる次第でございます。  大阪市の地下鉄は、常業路線としては現在十四・二キロのきわめて短い区間でありまして、東京の半分にも当たらないくらいかと存じますが、しかし、ちょうど中心部を抜いております関係で、きわめて利用率は高く、路面交通機関からの転移の傾向も、最近の路面交通輻湊から非常に強いのでありまして、毎年一〇%程度増加をいたしまして、事実今日一日平均六十万人以上も輸送しておるわけであります。大阪市といたしましては、このように輸送力整備はすべて高速鉄道へ依存するほかなく、この意味におきまして、戦後はもっぱらこの地下鉄建設改良工事に重点を注いで参ったのでありまして、今後は路面交通混雑緩和のためにも、ますますその整備拡充を積極的に推進しなければならないというふうに考えておるわけでございます。  しからば、この大阪市の交通事業における財政、特に建設資金はどうかということについて御説明を申し上げたいと存じます。  大阪市が市内交通体質改善をはかりますために、高速鉄道建設を促進し、その輸送力整備増強に努めるといたしましても、すべてはその資金調達の問題と企業経営採算性の問題に大きな壁があるのでありまして、この解決策がいわば集約された先決問題であるというふうに存ずるのであります。大阪市が現在計画いたしております高速鉄道網だけで五路線七十六・九キロというものでありまして、これは資料の第八に略図を掲載いたしております。それで、現在工事中のものを含めて、あと約六十三キロを建設しなければなりませんが、これに必要な資金が概算して七百億ないし八百億ということになるわけであります。それらの数字の概算は大体第九表に載せておきましたが、この完成目標を一応昭和五十年ということにいたしましても、毎年五十億の建設資金を必要といたすのでございます。しかし私どもこの計画を立てましてから、ここ一年、一年半の路面交通混雑がきびしくなってきたということから考えますと、とても五十年を待てないのではないか、あるいは建設計画を著しく短縮する必要があるんではないかというふうに考えるのでありまして、あるいは五十億のベースが七十億、百億というべースをとらざるを得ないのではないかというふうに考えておるわけであります。本市が戦後現在までに地下鉄建設に投じました額は、昭和三十四年度の予算実行見込額を含めまして約百億円でございます。その百億円のうち起債によったものが約半額の五十三億円でありまして、戦後十四年間の起債額全額に相当するものを今後毎年起債しなければ、建設の進捗をはかることができないということに相なるわけでございます。現在地方公営企業起債は、地方公営企業法において、企業特殊事情に応じて自主的に発行できるという定めになっておるのでございますが、御承知のように同法の附則におきましてこの規定を制限し、政府資金の統制を受ける一般地方債発行のワク内に限定せられておるのでありまして、建設計画に相当する必要な資金起債によってまかなうということも、必ずしも容易ではないということに相なっておるのであります。  幸い大阪市の高速鉄道の現営業路線は、その路線の大部分を戦前に建設いたしました関係から、またきわめて輸送量が多い路線を通っておる関係から、良好な事業成績をおさめておるのでありまして従来はこの利益をもって起債不足分建設費をまかなって参ったわけでございます。しかし建設事業輸送力増強のための整備改良を積極的に進めて参りましたため、最近は公債利子減価償却負担が非常に大きくなりまして、今日では費用の半ば近くを占めるようになりまして、建設資金の一部を利益金によってまかなうという期待はほとんど持てなくなって参ったわけでございます。資料の第十一に、営業実績の推移というものをお示しいたしております。これを昭和三十四年度の予算実行見込みで見ますと、高速鉄道の収益約二十六億、費用が約二十五億、差引一億ほどの黒になっておりますが、その費用のうちの十億余りがいわゆる公債利子減価償却ということになっておるのであります。現在、大阪の一号線の、南の方で西田辺—我孫子間、北の方で一部の延長工事、四号線の弁天町—大阪港間の約七キロの建設工事を進めておるのでありまして、今後はこの公債利子負担減価償却費とがさらに増加して、ついに赤字経常に陥ることは明らかでございまして今後はますます費用が増大し、莫大な欠損金が累秘すると考えられるのであります。従いまして建設資金全額起債に依存いたしますとともに、国による別途な積極的な、強力な財政援劫をお願いいたしたいと存ずるのでありますが、また事業経常立場から、料金適正化ということもわれわれにおいて十分検討しなければならないというふうに存じておるのであります。昭和三十五年度は一億前後の赤になるかと存じておりますが、以上申し述べましたような事情によって、三十六年度は減価償却及び金利というものが急激に増大いたしまして、約五億程度の赤になるということがはっきりいたしておるわけであります。  電力、船舶その他重要産業は比較的恵まれた資金融通によりまして、今日確固たる基礎を築くに至っておりますが、都市交通事業への投資はいまだ十分とは申し上げにくいのでありまして、これでは大都市交通改善方策も具体的な進展を見ることはできないのであります。私たち都市交通を担当しております立場から言いますと、最近のような車両増高による市内交通の圧迫あるいは特にラッシュ時における麻痺状態というものが大きく産業経済社会活動に響くということは火を見るより明らかでありまして、最近までどうやらやってきたものの、この三年、五年という先を考えまするに、非常におそろしい感じがいたすのでありまして、今にして、ここにおいて大志一番、思い切った施策をせられない限りは非常な事態になるのではないか、どうかこれらの実情を十分お察しいただきまして、資金問題解決の上に格段の御理解、お力添えをお願いいたしたいと在ずるのであります。  今日まで都市交通改善につきましては、もっぱら——われわれの泣きごとみたようになりますけれども交通事業担当者責任であるというような考えから、路面温雅にようてラッシュ時の通勤通輸送が困難になりますと、すべてそれは企業者のサービスが悪いんだとおしかりを受けて参ったわけであります。そこで事業者立場として、整備改良のため種々施策を講じようとしても思うように資金調達が参らない。また、ある程度料金値上げによって自己資金を作りたいということを考えましても、これについても実際問題としていろいろ制約があるわけでありまして、必ずしもそう容易に料金の改訂もできない。  ここで少しそれますけれども、たとえば今日大阪だけでなく大都市では、ほとんど電車は大きい赤字を出して経営をいたしております。これは、いわば路面電車というものが朝夕のラッシュ時の交通機関であって、昼間はほとんどバス輸送に振りかえられておる。これは御承知のように路面電電に乗りにくいとか、あるいは自動車交通のために安全地帯に渡りにくいというようないろいろな理由もございますが、しかし、ここで電車赤字であるから電車料金値上げができるかということになりますと、なかなかむずかしいのでありまして、こういう場合に電車バスというものを総合して料金を考えるべきではなかろうかというふうな考え方もあるわけでありますが、現在各事業採算料金値上げというものの中には、やはり一つの建前と制約がありましてつまり都市交通は、こういうことからも企業全体の経営収支を困難にしておるような問題があるわけであります。今日のように大都市の社会的、経済的発展に伴って都市活動が活発になり、交通機関の使命がますます重大になりつつある。そういう事情から、いわば企業性と申しますか、それがだんだん薄れまして公共性要請というものが非常に強くなって参りまして、企業としての経営が非常な困難になって参っておるわけであります。そこで大都市にあっては、このような公共的な要請に基づいて、交通機関整備することはいわば国の産業経済発展に寄与するとの立場から、改善に必要な資金確保を国がもっと助成するという措置が講ぜられることが必要であるというふうに考えられるわけであります。外国にはいろいろこういう大都市交通整備、特に地下鉄高速鉄通整備というものを中心として、国であるとか州であるとか、あるいは自治体であるとかいうものがいろいろの立場から、財政的にあるいは用地確保というものについての援助をしておる例をいろいろ見るわけでありますが、わが国においてもこういうものをぜひ積極的に考えていただきたいというふうに存ずるわけであります。  わが国大都市交通がこのように窮迫するに至りましたのは、都市交通改善責任の所在というものが必ずしも明確でなく、外国都市のように国家の適切な助成措置が今日まで講ぜられなかったからであると申し上げても、決して過言ではないと存ずるのであります。従いまして、今後大阪市が市内交通を根本的に改善するため、地下鉄建設を進めるにあたりまして、これに必要な資金低利で調達できますよう、国の全面的な助成策をお願いする次第でございます。また現在の企業債金利は七分五厘という高率となっておりますが、新線経営は当初から相当長期にわたって経常費を支出できない、現行料金を相当大幅に上げなければ収支の均衡ははかれない、また大幅に上げれば、結局利用者が減るというようなことで、非常にむずかしい問題がそこにあるわけであります。このような点から、欧米諸国においては、国が長期かつ低利の金融を行なって、さらに利子補給もしくは免除等立法措置を講じておるという例もあるやに承っておるわけでありまして、すでにわが国でも、道路建設には建設費半額までを国庫補助し、また電源開発外航船舶建造には低利資金の供給または利子補給が行なわれておりますが、都市交通改善に必要な資金につきましても同様な措置をお願いしたい。またそうすることによって国家経済活動に重大な影響ある大都市のそういう交通の問題が解決されるというふうに存ずるのであります。  地下隧道あるいは高架路線の構築という高速鉄道建設は、輸送力から見ますと、相当幅の広い地上一般道路を数条以上も建設するのと同様の交通上の効果がありますので、これを道路の立体的な拡張あるいは質的な改善であるという意味におきまして、国が直接これを建設し、その施設企業体に貸与し、経営企業に行なわしめるということも一策でありましょうし、道路同様の建設補助金を交付して助成措置を講じていただくということもお考え願えたらと存ずるのであります。このように国が諸般にわたる助成策を講じていただくとともに、地方公共団体においても、建設資金に充てるため、たとえばガソリン消費税付加税等目的税の新設によって財源を求め、特別の基金を準備するような措置立法上講じていただければと存ずるのであります。  大阪市は高速鉄道建設都市計画事業として実施し、またその路線の大半を都市計画通路建設するものでありますので、道路の早急な完成建設促進の重要な前提条件でありまして、都市計画道路用地確保、家屋立ちのき補償等問題解決にも、政府の強力な助成策をお願いしたいと存ずるのであります。東京におきましては、営団に対し政府の貸付や融資が行なわれ、公債相当額まで認められておるようでございますので、高速鉄道建設事業もかなりそういうことによって進められておるように伺っておりますが、一方、建設の緊急な点においては変わりのない大阪市は、きわめて限られた起債だけで、資金難に悩んでおるわけであります。産業経済中心として大阪市は、その活発なる経済力によって国家の繁栄に若干の貢献をいたしておると自負いたしておりますが、その活動を円滑にし、能率化させる基礎となるものが交通施設改善であり、高速鉄道建設であるということを考えますならば、国が必要な融資助成措置を講じていただければ、その結果われわれは国の経済発展を促進し、国民生活に十分寄与し得るというふうに存ずるわけであります。  どうか以上述べましたように大阪市の市内交通改善についての私たちの熱意を御理解いただきまして、これらの高速鉄道建設についての急速な推進をなし得ますように、資金確保その他万般にわたり一つ特別な国のお力添えをいただきたいと存ずるのでありまして、何とぞ皆さん方のこの上もない御協力を賜わりたいと存ずるのであります。  要を尽くしませんでしたが、これをもって私の説明を終わらせていただきたいと思います。大へんありがとうございました。
  4. 高橋清一郎

    高橋(清)小委員長代理 次に田中参考人及び土井参考人より順次御意見を聴取いたす予定でありましたが、議事の都合上これを省略いたしまして、石田参考人より御意見を聴取いたします。石田参考人
  5. 石田二郎

    石田参考人 名古屋市の石田であります。名古屋市の交通事情について申し六」げますが、大部市の交通一般問題に関しましては大阪交通局長さんから申し上げましたので、私は主として名古屋特殊事情について申し上げてみたいと思います。  お手元に差しあげてあります「事業の概要」というのをごらん願いたいと思います。名古屋市におきましては市営として路面電車バス高速鉄道経営いたしております。名古屋市内大衆的交通機関といたしましては、ほとんど市営が主でありまして、民間鉄道として名古屋鉄道、近鉄がごく一部都市交通を扱っております。なお郊外バス名古屋駅まで入ってきておりますが、それはいわゆるクローズド・ドアでありまして、入るときはおりる人である。郊外に出るときは乗る人だけ扱っておるのであります。従って名古屋市内大衆交通機関としては、市営路面電車バス高速鉄道がおもなものでございます。  事業規模といたしましては、路面電車車両数四百十五両、バスが七百三十五両、高速鉄道が十六両という状況でありまして扱っておるお客の数は、路面電車が一日約六十万、バスが五十五万、高速鉄道が三万五千、全体で一日約百二十万人のお客を扱っておる状況であります。  路面電車バス状況でありますが、その一五ページのところにこういうグラフが出ております。路面電車昭和三十年を境といたしましてお客の数がずっと毎年減っております。収入の方は、三十年の暮れに料金値上げをいたしましたので、三十一年を頂点といたしまして下降線をたどっております。ところがバスの方は毎年非常な増加をいたしまして、もう現在では、ほとんどバスお客路面電車お客とが同じくらいになっておるかと思いますが、収入の方はバスの方は非常にふえておるという状況でありまして、ことに広小路から名古屋駅にかけましてもうこれ以上バスが人り切れないことになっておりまして、実は交通取り締まりの警察の方から、何とかできないかという御注意を受けておる状況であります。これが解決策としては、どうしても地下鉄網完成によって路上火通を緩和する以外に方法はないと考えております。  高速度鉄道建設工事費の問題でありますが、名古屋市の高速度鉄道は、ただいまお手元に差し上げてありますこの図面にありますように、名古屋駅から栄町まで開業いたしております。これが二キロ半であります。これが延びまして池トまで参りますのが、ことしの六月でございますが、これが池下まで参りますと六キロになります。名古屋駅—栄町間を第一期工事、栄町—池下間を第二期、工事と考えておりまして、資料の二ページに一期工事と二期工事工事費、財源が記入してございますが、一期工事工事費と起債元利その他を入れまして二十六億五千万円、それの財源といたしまして、起債によって二十一億一千万円、自己財源が五億四千万円、二期工事の方が、工事費、起債元利その他を入れまして三十六億七千万円、財源が、起債が三十六億四千万円、自己財源が三千三百万円、合計三十六億七千万円、一期、二期合わせまして、工事費、起債元利その他が六十三億二千九百万円、財源が、起債が五十七億五千万円、自己財源が五億七千九百万円、こういうことになっておりまして、池下まで開業いたしますと、引き続いて池下から先の方に延長して三期工事をすることになっております。  この資料の三ページをごらん願いますと、高速度鉄道の営業収支概算表がございますが、これは池下から先に東山というところがありまして、それから先にさらに星ヶ丘というところがあります。そこまで延長いたしますのは大体三十八年末か三十九年かと思いますが、そういうように考えまして、一応ずっと初期の収支を勘定いたしてみますと、この表にあります通りに三十七年度までは一億五、六千万円の赤字、三十八年度以降一億二、三千万円の赤字で、さらに漸次少なくなりまして、四十五年で二千万円の赤字、こういうことになっております。この赤字のおもな原因は、ここにもあります通れ起債利子関係で、一番多いときで三十八年の七億七千五百万円というように、非常に大きく起債利子がかさみまして、これが大きな原因になって、こういう大きな赤字を生ずるのであります。従って私どもこの地下鉄を促進するためには、どうしても利子補給について何とかお考えを願いたい、かように考えておる次第であります。交通局自体の経済だけでやっていくためには、建設が進むに従って利子の支払いに非常に困難を来たすという現況でございます。  それから御参考に「名古屋交通事業常業収支概算表」というのをその次に掲げてございますが、これは路面電車バス高速度鉄道を一緒にいたしまして、将来の収支概算表を掲げてみたのでございます。  それから名古屋市の高速度鉄道網でありますが、お手元に差し上げてありますこの図面は、終戦後、戦災復興の計画高速度鉄道を取り上げましてその計画の一環として都市計画事業計画して載せたのがこの網でありまして、これが三十五年の一月に決定されております。ところが、その後の都市発展状況に照らし合わせまして、どうもこの網では不適当であるというので、これが改訂を考えておったところ、たまたま都市交通審議会が名古屋の問題を取り上げられました。ただいま検討されておりますが、都市交通審議会におかれましては昭和六十年を目途にして、そのときの人口が、名白魔の現在の市域内で二百六十万、そのときはさらに周辺の合併が行なわれるだろうから、大体昭和六十年に人口三百万を目途にいたしまして、そのときには路面電車がおおむね撤廃されるだろうということの条件で、高速度鉄道はいかにあるべきかということでただいま審議中でございましておそらくお手元に差し上げてありますこの計画は、その審議の結果変わるかと存じます。その審議の内容をただいま申し上げるのはどうかと思いますが、大体こういう格好で今論議がかわされておるという状況でございます。このまわりの方の状況はずっと変わりまして、都心部に周辺から入ってくる、それから外側に大きな外回り線を考える、こういう考え方で今審議が進められております。この考え方でいきますと、全体で九十八キロということになります。資金問題いろいろからみ合わせまして、これがどの程度取り上げられますか、その決定に従って都市計画の方も変更になるものと私ども考えております。ただ変わらないのは、名古廃駅から東山までの東西線と、市役所裏から金山に、至る南北線、これは変わらないものと考えております。そういうわけでありますので、今全体の計画としての詳しいことが申し上げられないのをまことに遺憾といたします。  それから名古屋市の高速度鉄道建設にあたりまして、その準拠法規の問題でございます。お手元に差し上げてあります「建設省と運輸省との折衝の経過について」という冊子がございますが、この中に詳しく書いてございます。大体高速度鉄道建設するのに準拠法規として、軌道法と地方鉄道法とあります。大阪においては軌道法に準拠し、東京においては地方鉄道法に準拠されておるのでございます。名古屋においては、一番最初に、そのいずれによるべきかということについて、政府で話し合いをした結果示してもらいたいということを申し入れたのでございますが、なかなかその結論が示されませんので、名古屋市におきましては、最初の計画は、郊外鉄道都心内に乗り入れするという計画でありましたので、地方鉄道が乗り入れするということで、地方鉄道法によりまして免許をもらったのであります。それに対しまして建設省は、地方鉄道法ではいけないのだということで、建設省と運輸省と論議がかわされたのであります。この冊子の三ページに参考として、軌道法の第二条「軌道ハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外之ヲ道路二敷設スヘシ」、四ページに地方鉄道法の第四条「地方鉄道ハ之ヲ道路ニ敷設スルコトヲ得ス但シ已ムコトヲ得サル場合ニ於テ主務大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ布ラス」こういうことになっておりまして、名古儀においては一期工事、二期工事とも地方鉄道法によってこれをやっておりますが、この第四条によって道路関係するところは建設大臣の許可が必要でありますので、第四条による手続をいたしましたところ、建設省におきましては、元来軌道法によるべきであるけれども、今これを軌道法にするということは行政上混乱を来たすので、この場合に限り許可する、これは将来の前例にならないのだという書面がつきまして第四条の許可をもらって工事をいたしておる状況でございます。そこでいろいろ両省の問で話をいたしましたが、結局最後の方、別紙2というのにありますが、建設省の道路局長と運輸省の鉄道監督局長の間で覚書がかわされました。この覚書を読んでみますと、「道路下に敷設する地下鉄道に関する準拠法規の問題に関しては今なほ意見の一致を見ない点があるので、今後の取扱方について次のとおり申し合せ、ここに覚書を交換する。1、道路下に敷設する地下鉄道の準拠法規の問題に関しては従来各般にわたる交渉の経緯を勘案して相互に充分検討を加え、できるだけ速かに解決するものとする。2、右決定までは道路下に敷設する新たな地下鉄道の準拠法規に関しては申請の都度連絡打合せするものとする。昭和三十年十二月二十六日、建設道路局長富樫凱一、運輸省鉄道監督局長柏田純一」こういう覚書がかわされたのでございます。これは、三十年の十二月二十六日に覚書がかわされておりまして、三十一年の二月八日に「地方鉄道道路に敷設する許可について」ということで、建設省の道路局長から書面が参りまして、結局一期工事、二期工事の許可が参ったのでありますが、その後三十一年の二月九日に建設事務次官から「道路に敷設する地下鉄道及び高架鉄道の取扱について」という書面が参りました。この書面を読んでみますと、「近時都市発展に伴う一般交通量の激増に加うるに、自動車交通の発達による道路交通のふくそうは、都市における交通供給がひっぱくするに至っており、かかる事態に対応すべく各都市内において道路地下鉄又は高架鉄道を敷設して交通供給の増大を図る計画を策定中の向もあることと思料されるが、従来より道路に敷設する地下鉄道及び高架鉄道については、その性格において道路面上に敷設する軌道と全く同一であり、その準拠法に関しても、道路面上に敷設する軌道とその取扱を異にすべき何らの意義を認め難いと考えられるので、これらを道路に敷設する場合において、軌道法による主務大臣の特許を受けることが必要である。なほ地方鉄道法による免許を受けて地方鉄道を敷設しようとする場合における同法第四条但書の運用については、道路の敷地外に適当な余地がないため、やむを得ず局部的例外的に道路面下又は道路の上空を占用する必要がある場合等に限り、「已ムコトヲ得サル場合」に該当するものとして同条但書の許可を与える方針であるので、同条但書の許可申請の進達にあたっては、右の趣旨を申請者に徹底せしめ、その申請に過誤なからしめるよう指導し、その取扱に万全を期せられたく通牒する。」こういう書面が建設事務次官から名古屋市長あてに参りました。  さらに三十一年の四月二十日に運輸事務次官から名古屋市長あてに「地下鉄道及び高架鉄道の取扱に関する建設省の通達に対する申入について」「本年二月九日建設事務次官から都道府県知事及び五大市長に対し別紙1による通達が発せられているが、この通達に対して本年四月二十日運輸事務次官から建設事務次官に対する申入を別紙2のとおり行ったので、この旨を御参考までに御連絡する。なほ道路下に敷設する地下鉄道に関する準拠法規の問題について、昭和三十年十二月二十六日建設道路局長と運輸省鉄道監督局長との間で交換された覚書を御参考として添附する。」運輸事務次官から建設事務次官にあてました書類は、要するに道路局長と監督局長の間で申し合わせがあるのにかかわらず、かような書面を市長なり各府県知事に出したことはけしからぬじゃないかといった意味であります。  要するに、われわれといたしましては、建設省の言い分を聞いた方がいいか、運輸省の言い分を聞いた方がいいか、どちらが正しいのか実は迷っておるのであります。こういったことは事業をするものとして非常に迷惑でありまして、これが解決について一つ国会方面におかれても何らかの御尽力を願って扱いの統一をぜひお願い申し上げたい、かように考えておる次第であります。
  6. 高橋清一郎

    高橋(清)小委員長代理 これより質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  7. 井岡大治

    ○井岡小委員 まず大阪参考人からお尋ねをいたしたいと思います。先ほどの公述書に基づいて順を追ってお伺いをいたしますので、お答えを願いたいと思います。  大阪市の平均一日の輸送人口は二百五十万だ、こういうように言われておるわけですが、各事業別にはどういうようになっているか、まずこの点をお伺いいたしたい。
  8. 土井英明

    土井参考人 事業別の乗車人員でございますが、電車では大体九十六万人乗っております。地下鉄では六十四万、バスでは八十九万、トロリーバスでは六万ということでございます。
  9. 井岡大治

    ○井岡小委員 各種別の台数はわかりますか。
  10. 土井英明

    土井参考人 路面電車が、在籍単数が五百五十五台ございます。それから地下鉄が百四十一両ございます。ハスが千二百四両、トロ・バスが四十二両でございます。
  11. 井岡大治

    ○井岡小委員 これは稼働数はどのくらいになっていますか。
  12. 土井英明

    土井参考人 お答え申し上げます。路面電車では、三十四年度の見込みでございますが、四百八十四両、それから高速鉄道地下鉄が百十九両でございます。それからトロリーバスが三十七両、自動車が九百九十両になっております。
  13. 井岡大治

    ○井岡小委員 従って、今申された輸送人口をこの稼働数で割れば一車当たりの人口が出る、こういうことですね。
  14. 土井英明

    土井参考人 そうでございます。
  15. 井岡大治

    ○井岡小委員 そこで次にお尋ねをいたしますが、現在の計画は七十七キロだ、これは一応昭和五十年に完成をしたい、こういうふうに申されておるわけですが、完成をされた暁は路面電車はどういう状態になるのか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  16. 下村進

    下村参考人 路面電車地下鉄に置きかえていくという建前でありますので、つまり高速鉄道が伸びれば、その分だけ路面電車輸送が必要でない、あるいはバスで十分補助的に可能であるという限りにおいては、電車ははずしていきたい、これは根本的な考え方でございます。ただこれは非常にむずかしいのでありまして、いずれも七十六キロやったら電車は全部やめるのかという御質問をいただくのですが、やめ得ればよろしいのですが、私はやはり大阪のあの地域あるいは周辺の交通事情から、ほんとうに電車をやめ得るためには、大阪でも百五十キロくらい要るのじゃないか、従って、七十六キロやったから電車がやまってバスだけでいけるかどうかということには、多少疑問を持っております。可能な限りバス輸送に切りかえていくことの方が望ましいというふうには考えております。
  17. 井岡大治

    ○井岡小委員 と申しますのは、先ほどの説明では、最近の累計では一年の輸送量が十五万ふえる、こういうことになっているわけです。そうしますと、今から十五年と見て二百二十五万。それと現在の二百五十五万を足しますと四百八十万、こういう数字にたるわけですね。従って、これはそういうふうな算用数字的に伸びるかどうかは別として、かなり大きな輸送人口になってくるのじゃないか。そこで先ほど申し上げましたような五十年までを一つの計画としておやりになっているが、路面電車がどうなるのか、将来これでもうやる意思がないのかどうか、こういうような点をお聞きしておかないと、今後の問題にもなろうかと思いますので、この点をもう一度お伺いかいたします。
  18. 下村進

    下村参考人 今十五万人づつふえれば十五年で四百八十万になる——先ほど公述のときにもちょっと申し上げましたが、地下鉄の七十六キロを早くやらなければならないということを申し上げたのは、こういうことに関連があるわけでありまして、現在十四キロ、百四十両で六十何方運んでおるわけでありますが、大阪交通量、これは限度はないわけでありますが、もう五百万、六百万というものを基準にして一つものを考えておく必要がある。そうすると、やはり前提として七十六キロを一日も早くやらなければいけない。七十六キロをやりますと、算用数字ではありませんけれども、約四百万近くのものが地下鉄の収容し得るお客である。やはりバス車両が先ほど申し上げましたように九百台動いておりますが、大阪市域内においてバスが動き得る限度というものはおのずからある。かりに倍といたしましても、先ほど申し上げましたように八十九万ですから、二百万以上のものをバスで運ぶことは不可能である。すると高速鉄道で幾ら運べるか。高速鉄道では、外国等の例を見ましても、線の構造によりますけれども大阪といえども三百万、四百万という輸送はやはり高速鉄道を土台にして考えなければならないというふうに考えているわけであります。
  19. 井岡大治

    ○井岡小委員 そこでちょっと運輸省にお尋ねしたいのです。民鉄部長さんお見えになっておりますが、今のお話を聞きますと、一応五十年までに七十六キロないし七十七キロをやりたい、実際の大阪輸送人口なり大阪都市交通規模というものを考えると、これだけでなくて百五十キロくらいな規模を持たないと、ほんとうにその需要を満たせない、こういう下村参考人からの御説明であります。そこで現在のところ十五キロそこそこの工事をやっておるときに、それから先の算用をするのもどうかと思いますけれども、しかし少なくとも今後の都市交通なり都市交通輸送計画などを考えてみると、今からやっておかなければならぬ。今日まで都市交通審議会でこれを十分審議し、あるいは早く結論を得なかったところにも一つの問題があったと思うのです。ですから、さらに第二次のいわゆるこういう計画をする意思があるのかどうか、この点を一つお伺いしてみたいと思います。
  20. 石井健

    ○石井説明員 ただいまの御質問でございますが、大阪の現在の地下鉄計画は、三十三年の初めに都市交通審議会の答申をいただきまして、それと都市計画審議会と両方の計画を合わせまして決定したはずであります。ただその当時参考にしました人口その他の伸びをただいま比較する材料がないものでございますから、今すぐどうとは申し上げかねますが、東京につきましては、都市交通審議会、それから都市計画審議会の計画が決定したのが三十一年だったと思います。その当時考えていました昭和五十年の人口の伸び状況につきまして、通勤輸送の伸び等を比較する材料が二、三件でございますかございますので、その結果を見ますと、五十年目標で現在の東京都の百何キロからの地下鉄ではとうてい話にならぬというお話がありますので、それをもとにして計画を変更し、新しい追加を考えていきたいと思います。大阪につきましても、比較の材料がございませんので、今すぐには考えられませんが、しばらく時間をいただきまして、数字その他の検討ができるようになりましたら、当然計画の変更その他を運輸省の立場としても考えるべきではないか、こういうように考えております。
  21. 井岡大治

    ○井岡小委員 もう一度お伺いします。というのは、先般の運輸委員会の鉄監局長からの御説明では、東京をやって大阪をやって、それから名古屋をやる、今のお話を聞いていると昭和六十年、こういうような考え方で区切っておやりになる。もちろんそれには財政資金等の関係もあって、そういう一つのテクニックというものも必要かと思うのですが、最近の都市輸送人口の増大ということを考えると、そういうテクニックだけでは事は済まされないのではないか、こういうように思うわけです。ですから、私は今直ちにこの問題をここでどうこうという考え方は持ちませんけれども、たとえば名古屋の問題等を考えてみましても、現在のような建設速度というものではとうてい岡に合わなくなってくる、こういうように思うわけです。ですからこの際、今直ちにどうこうというわけではないにしても、早急にこれらの問題に対する運輸省の態度というものを打ち出してもらわなければならぬ、こういうように思うわけです。従ってこの点をもう一度お伺いしておきたいと思います。
  22. 石井健

    ○石井説明員 東京をやって大阪をやって、名古屋をやるというふうにあれしましたが、私どもといたしましては、都市によって順位はきめているわけではございません。ただ都市交通解議会に諮問を発するときに、各委員さんの御都合その他で、同時に諮問をしますと、内容がごっちゃになることがございますので、順々にやっていきたいと思うわけでございますけれども、緊急であるということは私ども十分存じておりますから、できるだけ足並みをそろえて——またただいま名古屋交通局長からお話がありましたように、名古屋では六十年を目標にしているということを申されましたが、一方現在までに答申をいただきました東京大阪につきましては五十年が目標でありましてそういう点でも足並みが合わぬということがございますので、統一したものにやっていくことにつきましては十分研究していきたいと思います。
  23. 井岡大治

    ○井岡小委員 この問題はあとでまたお伺いすることとして、参考人の方から先に聞きたいと思います。  そこで事務的な問題として、これは名古屋局長さんの方からも一緒にお答えをいただきたいと思うのですが、公債の償還年限というものは、これはかなり建設関係があると思うのですが、これらの問題について、一応どのくらいになっているか聞かしていただきたいと思います。
  24. 土井英明

    土井参考人 起債の元金償還期限はいっかという問題でございますが、これは二つに分かれておりまして、政府資金をお借りする場合は償還期限は二十年でございます。一般市中銀行から公募いたします場合は七年でございます。
  25. 石田二郎

    石田参考人 名古屋も同様でございます。
  26. 井岡大治

    ○井岡小委員 公募の率ですね、政府資金とそれから公募との比率というものはどういうようになっているか、これをお伺いしたい。
  27. 土井英明

    土井参考人 三十四年度の起債の例をとりますと、大阪市の地下鉄債の起債は十三億でございまして、うち四億が政府資金でございまして、残りの九億が公募になっております。
  28. 石田二郎

    石田参考人 名古屋の場合におきましては、一期工事につきましては、政府資金が十に対して公募債は八という割合になっております。それから二期工事につきましては、三十四年度までにつきましては政府資金が五・七に対して公募債が十という割合になっております。
  29. 井岡大治

    ○井岡小委員 この利子はいずれも七分五厘、こういうことですか。
  30. 土井英明

    土井参考人 政府資金を借ります場合は六分五厘でありまして、一般公募はただいまのところ七分五厘でございます。
  31. 井岡大治

    ○井岡小委員 それでは今後の見通しとして政府資金と公募債とはどういう比率になりますか。たとえば昭和三十五年度の見通しについて、割合をわかれば聞かしていただきたい。
  32. 土井英明

    土井参考人 従来大阪市の場合は、ただいま申し上げました比率よりも公募の方が多かったのでございますが、逐年その比率が緩和されたと申しますか、政府資金の度合いが若干ずつ増してきております。三十五年度につきましてはまだ明確に存じておりません。
  33. 井岡大治

    ○井岡小委員 そうしますと、七年という公募債は、戦後の当初のはもうすでに償還済みと理解していいですね。
  34. 土井英明

    土井参考人 償還済みの分もございますし、また借りかえた分もございます。
  35. 井岡大治

    ○井岡小委員 政府の二十年という分について、今残っておる額、それから民間では何ぼ残っておるか、わかりましたら、ちょっとお聞かせいただきたい。
  36. 土井英明

    土井参考人 現在地下鉄起債の未償還額が四十八億ございますが、その中で政府関係のものは、明確な数字はちょっと忘れておりますが、七、八億しかないかと思っております。
  37. 井岡大治

    ○井岡小委員 あと残りは民間、こういうことですね。
  38. 土井英明

    土井参考人 そうです。
  39. 井岡大治

    ○井岡小委員 これは名占屋さんも大体そういう率になっておりますか。
  40. 石田二郎

    石田参考人 名古屋におきましては、償還したのはまだごくわずかでありまして、ほとんど問題にならぬと思います。
  41. 井岡大治

    ○井岡小委員 それでは次にお尋ねいたしますが、非常に短い期間で償還をしなければならない、こういう状況にあるわけです。従って、それだけかなり経営に圧迫をするというか、資金に圧迫を加えておるわけですが、建設をして採算ベースに乗るのは大体何年くらいになりますか。もちろん、ところにもよるでしょうけれども平均してどのくらいですか。
  42. 土井英明

    土井参考人 非常にむずかしい御質問でございますが、これには料金の問題もございますし、また乗車人員の問題もございます。それからまた建設資金の獲得の方法、低利で借りるとか、あるいは現在のようなままでいくとか、いろいろ条件がございますが、私ども経理屋のはじいたそろばんでお話し申し上げますと、大阪市には、ただいまこれから建設しようとし、現に建設中の四号線、五号線とあるわけでございますが、その中で四号線につきまして申し上げますと、それも四号線、五号線両方とも緊急の十カ年計画というものを土台として考えますと、これができましてからやはり約十四、五年の年月を経なければ採算ベースには乗らないであろう、五号線の場合につきましては大体昭和五十一年——四十一年にその部分完成いたしまして、やはり十年間の歳月は要るのではなかろうかと考えております。これは料金を一応二十円と仮定しての話でございます。
  43. 井岡大治

    ○井岡小委員 二十円と仮定してという——二十円か十五円か私はちょっと忘れましたが、それはそれとして、応借りた金で建設をして、ペイするまで逐年借り延ばしていくわけですから、そこで営業の方としては、そういうふうになると大体二十年ないし二十五年かかればそれでペイする、こういうように理解していいかどうか、この点を一つお伺いしてみたいと思います。
  44. 土井英明

    土井参考人 大体三十年——その後の都市発展状況もあるでしょうから、明確にはわかりませんですが、まあ二十年、二十五年になれば、採算ベースに乗ってくるんじゃないかというふうに思っております。
  45. 井岡大治

    ○井岡小委員 そうしますと、政府融資と申しますか、財政融資だろうと思うのですが、これは公債になっているかどうかわかりませんが、そういう額をお借りしていくならば、まあ大体何とか格好がついていく。もちろんそれにはいろいろの方法があるでしょうけれども、大体そういうように理解していいわけですか。
  46. 土井英明

    土井参考人 えらいむずかしいことでございますが、大体私どもそのように存じております。
  47. 井岡大治

    ○井岡小委員 その点はまた別にあとの方で研究することにしましょう。  それでは三十四年度は公債利子減価償却に約十億を充てている、こういうお話だったと思うのですが、この内訳を、計算をすればわかりますが、利子はどのくらいで、償却は何ぼ、これをちょっとわかりませんか。
  48. 土井英明

    土井参考人 利子が大体三億九千万円、減価償却費が六億四千万円でございます。
  49. 井岡大治

    ○井岡小委員 次に、これは局長さんにお尋ねをするわけですが、先ほどのお話を承っておりますと、特に公営事業は民間事業に比べて資金調達の道が閉ざされておる、非常に困難だ、こういうようなお話があったように承るわけです。これは具体的にどういう理由で困難なのか、この点を一つお聞かせいただきたい。
  50. 下村進

    下村参考人 非常に端的な言い方をしますと、民間でありますと、一般の借入金、いわゆる銀行からする借入金、それから社債発行による借入金、それから増資というものがあるわけであります。われわれの方は、まあいわば起債一本、しかも先ほどからだんだん御説明申し上げますように、起債というものは事業そのものの必要性ということを無視した、というと言い過ぎかもしれませんが、やはり全体の地方債のワクというものがいろいろの条件から先にきめられて、そうしてあるいは学校、六・三制であるとか、あるいは道路、災害、かれこれしおると、かりに交通事業にこれこれくらい必要であろうと思っても、実際は残りはこれだけだからこれだけ。だから、たとえば私鉄事業でありますと、その必要性、採算性からやはり資金調達一般から得られる。われわれの場合は、必要あっても、まあことしはこれだけやというようなことが現在までの行き方で、現在部市交通の行き詰まってきているいわば一つの問題点がそこにあったといっても禍害ではなかろうと思うわけであります。
  51. 井岡大治

    ○井岡小委員 それでは先に事務的た問題だけを聞いておきます。今日の一つの部市交通の根本的な改善整備をするためには、たとえば路面電車バスあるいは高速度鉄道、トロリーバス、こういうような総合的な料金体系というか、総合的なものを立てなければならない、こういうようにいわれているわけです。もちろんこれは現在の法律ではなかなかむずかしいということで、できないことになっているから、これを何か改めた方がいいだろう、こういう御意見だろうと思うのですが、これをさらに一歩進めて、ではどういうようにすることがいいか、この点を一つお伺いをいたしたいと思う。
  52. 下村進

    下村参考人 ここに運輸省の方もお見えになっておりまして、これは運輸職にもいろいろ御研究いただきたいと思っておりますが、私たちの方にも具体案が今あるわけではありません。しかし、先ほどから御説川申し上げるように、地下鉄建設を非常に念がなければいけない。しかもそれが採算に乗ろうが乗るまいが、都市大衆交通機関であるという使命の上しからすれば、やはり料金というものにはおのずから限度があるということを言っておるわけであります。その足らず前を、先ほどから申し上げるように、政府で利下補給してもらいたい、あるいは補助金をもらいたいというようなことももちろんありますけれども、やはり受益しておるお客なりあるいは地域というものについてどういうふうに負担さすか。つまりどういうことを申し上げているかと申しますと、売り買いというものと、コストというものと、お容さんが買う値段というものは必ずしも一緒じゃないということをまず考えてみる必要があるのではないか。たとえば先ほどちょっと申し上げましたように、電車は十三円で赤字だ。だから、かりにこれを御当局の方に、どうしても引き合わぬから十五円にしていただきたいというお願いをすれば、あるいはお聞き届けになるかもしれぬと存じます。しかしバスは十五円で黒字でありますが、これも値上げをしてもらいたいということは、お聞きしていただけないんじゃないか。ところが今度は市民の側からすれば、十五円のバスが高い、また十三円の電車料金は高いのだという市民感情はおのずから別だと思います。  従って、これを端的に申しますと、大阪市の場合だけでなく、むしろ電車赤字のためにはバスを値上げしたらどうだということをわれわれは考えるわけであります。そうすることによって電車お客も増し、全体の調整もつく。つまりお客からいえば、今日のあの路面交通の実情からいい、また車両の改良の実情からいえば、バスというものは安い、便利だ、電車は高いのだ、乗りにくいのだ、不便だ、こういうことになるわけでありまして、必ずしも事業採算だけが料金決定に取り上げらるべきでないということを言いたいわけであります。そのためにはやはり地下鉄バス、トロリーバス、総合してどういうふうな組み方をするか。だから、これは一つの都市々々における総体的な交通料金の大衆負拙のきめ方でも、その各事業々々による料金というものは、必ずしもバス電車地下鉄というものが同じである必要はないんじゃないか。非常に話が飛躍するのですが、そういうふうなことでなければ地下鉄建設促進にも影響を待つ、非常に回りくどくなりましたけれども、そういう意味で、それなら、何をどうしてどうするか、あるいはアメリカ等にもいろいろ例がありますように、乗り継ぎを自由にさすかという問題になりますと、またいろいろむずかしい問題がありますが、今のような料金の非常にかたい、あるいは採算を主としたきめ方だけで、この都市の中に、しかも総合的に事業を運営しておる場合に、しかも大都市における各交通機関のウエート、使命というものが著しく移行をしておる場合には、かえって従来のような料金の立て方は一般民衆の利害に反するのではないか、そういう意味における総合料金制を一ぺん考えなければいかぬなあ、あるいは御当局にも考えていただきたいなあということであってまだ案は具体案というところまではいっておりません。
  53. 井岡大治

    ○井岡小委員 今の法規は、バスにしたって、路面電車にしたって、原価を償うものでなければならぬし、バスの場合はある一定の利潤を得るものでなければならぬ。こういう一つの個々の問題について料金の設定をやっている、こういうことであるために、かなり問題があると思う。もう一つは、一つの都市で、一つの営業主が事業しておる場合には、今、局長さんの言われたようなことは一応考えられるわけですが、営業主が非常に分散をしているということになると、なかなかその問題もとりにくいのではないかと思うわけです。そこで、もし今おっしゃるようなことができるとするならば、どういう方法をとったらいいのか、運輸省の方でこういう問題を御研究なさったかどうか、もしなさっておらなければけっこうですが、お聞かせをいただきたい。
  54. 石井健

    ○石井説明員 そういうバス、特にバス市内路面電車でもそうですが、これらの運賃につきましていろいろどっちでも乗りかえられるような制度ができぬものかということを一応研究はいたしましたか、今のところ法律体系が違うので、工合が悪いだろうということを考えております。
  55. 井岡大治

    ○井岡小委員 そうしますと、やはり市内における交通調整などといっても、現実には交通調整はできない、こういうように理解をせざるを得ないのですが、そういうように理解していいかどうか、この点お伺いしたい。
  56. 石井健

    ○石井説明員 その点について、バス路面電車の運賃上の違いを申し上げますと、路面電車につきましては定期券がございますし、一方バスにつきましては、通勤の定期というものが各都市とも考えられていない状況です。通学はあるはずでございますが、そういう点で、定期の点まで考えますと、何らかの調整はできるのじゃないかと私どもは考えております。
  57. 井岡大治

    ○井岡小委員 自動車の方はどうですか。自動車の面から一ぺんこの調整の問題についてお伺いをしておきたい。
  58. 坂本祐一

    ○坂本説明員 先ほどおっしゃいましたように、道路運送法におきまして自動車運送事業だけの採算ということでやっておりまして現在のところ自動車運送事業の健全な発達というためには、現在の建前で十分じゃないか、こういうように考えております。
  59. 井岡大治

    ○井岡小委員 自動車としてはこれでいいのじゃないか——私の言うのは、市内の、あるいは都内の調整をする場合に、現在の料金制度ではなかなか調整ができないが、調整するための具体案があるかどうか、こういうことなんで、料金がいいか悪いかということは、今の法律から今のままではできない、こういうように考える。従って、それらの点について研究なさったことがあるかどうかと聞いているのです。
  60. 平出三郎

    ○平出説明員 われわれとしましては、路面事業はだいぶ込んで参りますので、路面交通機関地下鉄にできるだけ吸収するというような運賃体系が望ましいのじゃないかと思うのですが、今の路面電車地下鉄といったときに、どういうふうにやっていったらいいか。たとえば路面電車十三円、今早朝割引というのがありますが、東京なんかの場合は地下鉄は二十円、そういうふうな開きがございますので、路面電車お客地下鉄ができてそれに吸収するという場合に、なかなか簡単にはいかぬのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。それでどういうふうにして歩み寄りするかというような点、たとえば定期券の割引、特に通勤、通学の割引というようなものは高速鉄道におきましては特に高いようでございます。そういうふうなところの考え方、それからまた早朝割引なんかをどうするかというような点もございますので、なかなかうまいあれはありませんが、いずれ路面部会でもそういうふうな点をお取り上げ願って、御討議願いたいというふうに考えております。
  61. 井岡大治

    ○井岡小委員 課長さん、十三円と二十円では十三円が安いということはわかっておるが、路面電車は今乗りかえ券を出しておらないわけです。だから、現実には路面電車は一回乗りかえたら二十六円になるわけです。これは今一十五円でやっておいでになると思うのですが、六大都市はどこでも同じだと思う。だから、逆にいうと、路面電車の方が高くなるんです。バスは十五円だといっているけれども、ほとんど乗りかえないで長い距離行ってしまう。それでうまくいく。だから、私は路面電車というものはこの際なくしてしまったらいい、赤字でどうにもならないといって、みんなが困ってしまったら、地下鉄というものを考え出すと思うのです。しかし、そんなことをやって、百万から百五十万、名古屋さんは六十万から七十万ですか、こういう人間を一ぺんになくしてしまうということは不可能だと思いますから、そこでお尋ねをしておるわけです。だから、そこの点は十三円と十五円と二十円ということでは比較にならぬと思うのです。そこにやはり各都市における一つの運賃体系なり交通体系なりというものを急速に立てる必要があるのではないか、われわれはこう思うのです。これらの問題については、また後ほどこの参考人方々でなくて、われわれ仲間だけでやるときに十分討論をさしていただきたいと思いますから、それに譲ります。  そこで、私はもう一度参考人に戻ってお尋ねをいたしますが、こういう状態の中で、いわゆる採算ベースが割れてくる、同時に、都市交通密度というものが非常に輻湊してくる、しかもこれが必要だ、こういうことになってくると、企業性を離れて公共性に重点を置かなければならない、こういう立場で、国家要諦なり、あるいは地方公共団体に対する要請が各都市において行なわれておるのだ、こういうように思うわけですが、この傾向はもっともっと顕著になってくる。そこで、単に国家的に要請をするというだけでなしに、企業者の努力というものはこの面でできないのか、できるのか、その点をお伺いしておきたいと思うのです。
  62. 下村進

    下村参考人 御質問の趣旨がちょっと私理解しにくかったので、御質問のお答えになるかどうかわかりませんが、たとえば地下鉄でも、もうかるところをぼちぼちやっていけば、もうかると思うのです。しかし、やはり急いでやらなければならぬ。割高な金利である。しかも二十年、三十年は引き合わない。そんなら二十年、三十年で引き合うか。二十年、三十年たつと引き合うのですが、それまでどうするのだという面が解かれていない以上、公共事業としては全然計画に乗らない。それで、先ほどもちょっと申し上げましたように、企業にまかしておいていいかどうかということをわれわれ申し上げておるのでありまして、都市交通の内部の行き詰まりと、それがその都市経済活動に致命的なものになるということであるならば、やはり企業のかいしょうがあろうがなかろうが、国なりあるいは自治体なりが積極的に企業要請してやらすべきであるということを申しておるわけであります。そのことは、先ほどもちょっと申し上げましたように、外国では相当やっているのですが、日本が少しおくれておるんじゃないかということをわれわれは感じ、大いに一つこの際お国の方でも奮発してもらいたいということをお願いしたいと思います。
  63. 井岡大治

    ○井岡小委員 そこで、私はあまり深く調べておりませんが、それでもこれに対して外国の二、三の例を知らないわけでもないわけですけれども、たとえばどういう処置をとっている、こういうことで運輸省でもどちらでもかまいませんが、もし御存じであれば一つお知らせをいただきたい、こう思います。
  64. 石井健

    ○石井説明員 不勉強で申しわけないのですが、確かに私どもも。パリとかロンドンの運賃を見て、これで成り立つかどうかということを考えてみるのですが、どういう措置をとっているかどうかにつきましても、私、資料その他の関係で十分に承知しておらないのであります。不勉強で申しわけありません。
  65. 下村進

    下村参考人 私もちょっと一年余り前に外国を回って伺って——ただ私らは外国語ができませんし、通訳もともすれば交通の専門家でありませんので、非常に正確とは申し上げかねますが、今申し上げた一、二の例をあげて一つ御参考にしたいと思います。  御承知のように、体系的にあるいは理論的に御説明するなにはないのですが、ただ一番はっきりしているのはスウェーデンのストックホルム、これはたしか三十キロくらい今やっておったのですが、これは民営でやっております。それでこんなものを民営でやれるのかという質問をしたところが、いや、うちは土地と駅はみんな市で買収してもろうて、ただ貸してもろうておるんじゃ、つまりこれなんかはそういう助成をしておるわけであります。それから、ちょうど参りましたときに、パリではどまん中に大きい二つの路線をつなぐ工事をしておりました。君のところでは地下鉄工事にどのくらいかかるのだという話をちょっと伺ったところが、大体普通だったら二十億か二十五億、御承知のようにフランと円はとんとんでありまして、二十億か二十五億。それから今やっておる工事は、都心部の非常にどまん中のややこしいところをやっておりましたので、今やっておるのは、四キロくらいで七十億くらい、こういうので、そない金をどうするんだ、その辺の話は非常に的確なんだかというと、いやフランス銀行が全部出すんだ。であれば、いわゆる私どもが言う一般公募であるとかどうとかいう金ではなさそうだ。非常に言葉があいまいなために十分でないのですが、それは全部フランス銀行が出してくれるんだ。その実質は、結局政府が保証してやらしているんじゃないかなという感じを持って聞いておりました。それからカナダのトロントで、これは二十キロくらい最近始めたところなんですが、これはいわゆる公営企業体でやっております。ところが、なかなかこんなものは引き合わぬ、やれないというので、あれはたしか市の議会ですかね、州議会かに陳情書を出した。そうしたら、自今土地は全部市でめんどうを見る、建設資金についても五五%は市がめんどうを見ようということになったんだという話をいたしておりました。ロンドンは御承知のように国管でありますので、結局いわゆる全体の国営企業も、集中的にロンドンの地下鉄になっておるわけでありますから、これはもうおのずから少し話が変わるのでございます。ニューヨーク等も、赤字の場合にはもちろん市がめんどうを見るということで、つまり地下鉄経営が大きい。それから、たとえばローマでも、ちょっと今始まったところなんです。あれは民営になっておりますが、資本が全部政府と市、従っていわゆる国がめんどうを見ておる。西ベルリンは言うまでもなく、他の目的もありますから、西ドイツで大きな資金投資をやっておる。どうもこういう巨額の資本の要る地下鉄事業を、一つの企業体が自己の責任においてやっておるという姿はあまりないのじゃないか。どこでも何かいろいろややこしい姿をとっておりますけれども、国なり市なりがめんどうを見てやらしておる。つまり企業体でやっておるというよりも、企業体をしてやらしめておるという感じを私は受けて帰ったわけであります。ただ、いろいろ突っ込みが足らぬので、あるいは私なりの解釈であったかもわかりませんが、そういう意味で十分に諸外国の例を調べて、大都市のそういう最も的確な御調査をいただいて、参考にしていただきたいと思っております。
  66. 井岡大治

    ○井岡小委員 運輸省にお願いなりお尋ねをするわけですが、そうしますと、こういう外国資料は集められますかどうか。もし集められるとするならば、きょうあすには問題にならないでしょうけれども、やはり都市交通はこの問題をやっていくということで小委員会を設けたもので、非常にこれらの問題が参考になりますから、一つお伺いをしておきしたい。
  67. 石井健

    ○石井説明員 ただいま私鉄経営者協会その他を通じまして、ぼつぼつ集めるように努力しております。
  68. 井岡大治

    ○井岡小委員 外務省などを通じて大使館からこれをとるというようなことはできませんか。
  69. 石井健

    ○石井説明員 それも考えたいのでございますが、大使館を通じますと、大使館の現地におられる方が交通に対してさっぱり常識がございませんので、ピントはずれで回答その他をいただきますので、むしろ私鉄経協あたりから向こうの経営者に問い合せてやった力が、こっちの望む資料が出てくるような状況であります。
  70. 井岡大治

    ○井岡小委員 大使館でそれを調べるといっても、それはおそらく今の下村さんのお話と一緒で、やはり専門でないから、わからないということになりましょうけれども、たとえば地下鉄をやっておるような外国の部市あるいは会社、こういうものはじきにわかるわけですから、どういう会社がやっておるか、そこでそれらの問題についての定款なりあるいはその議事録なりを取り寄せますと、それらの問題についてわかると思うのですが、そういうことはできませんか。外務省を通じて原簿をとってくるなり何なりして、こちらの方で訳すなり、そういう手続はできませんか。
  71. 石井健

    ○石井説明員 できるはずでございますから、その方でもやりたいと思います。
  72. 井岡大治

    ○井岡小委員 そこであまりおそくなってもお気の毒ですから質問を続けますが、最後に現在の都市交通改善責任の所在が明確でない、こういうふうにおっしゃったように承るわけです。たとえばそういう点についてどの点が明確で、どういうところを努力することによってそれがいいのだ、こういうことがおわかりだったらこの機会にお知らせをいただきたいと思います。
  73. 下村進

    下村参考人 先ほどから繰り返し申し上げておる中で御輿解いただいたと思うのですが、その都市交通を担当しておる企業部門がその都市交通改善責任がある、これはもちろんであります。けれども、先ほど外国の例等で申しましたように、そういう非常に大きい交通網を処置する場合に、企業だけの責めでないということは外国あたりでもはっきり腹をきめておるのじゃないか。日本は今日いろいろ運輸省のごあっせんにより都市交通審議会で大都市交通の何ものであるかということが十分PRされてきたと存じますが、しかし、やはり少なくとも国家的な経済、文化、産業中心、あるいは国家の生成発展に著しく関係深い部面における交通というものは、必ずしも地域社会だけの利益でないということを、私たちから言えばもう少し明確に国の方でお考えをいただきたい。そうすればおのずから、何か一地域のことに国が一々めんどう見る、つまり東京都は言うまでもなくその他大阪でも名古屋でも、やはり産業経済中心であり、そのことが国家経済振興に非常に深い関係ありということでありますならば、一地域の問題であるということでなく、もっともっと国家責任の一端を分担すべきであるという観点に立っていただかなければ、大都市交通問題の解決はできない。その点が諸外国に比較して、日本は敗戦後いろいろ問題もたくさん持っておりた関係もありましょうけれども、不明確であり、またこのことはもう時期的にはこの辺で本気に考えていかなければほんとうに困りてしまうのじゃないか。これはあるいは手前勝手かもしれませんが、私はそういうように思っております。
  74. 井岡大治

    ○井岡小委員 最後に、軽油引取税の大阪の額は、どのくらいお納めになっておられますか。
  75. 土井英明

    土井参考人 ちょっとわかりません。
  76. 井岡大治

    ○井岡小委員 わからなければ、各都市のを取り寄せていただけませんか。たとえば、先ほどの公述の中の、ガソリン税の付加税というようなもの、これは外国でもこういうことをやっておるから出されたのだろうと思うのです。特に軽油引取税は、御承知のように漁村なり農村の需要者に対しては免税措置を講じておる。今日、都市交通が非吊に困難な状態になってきて、たとい少しでも財源を見つけるということに相なりますならば、それらと見合うという措置も、わずか一億そこらではあろうと思いますけれども、とにかく一助になると思うのです。言いかえれば、それを免税することによって現在の七分五厘という利子は、これを総合的に考えたらもっと下がるということにもなろうと思いますので、各都市のなにを政府の方で出していただけますか。——お願いしておきます。  そこで最後に、民鉄部長さんに名古屋の諮を聞かしてもらって、私は前からこの問題がどういうように解決されておったのかと思っておったのですが、例の建設省と運輸省の問題、当分の間ということになっておるのですが、これは将来各都市がこの問題を考えるようになってくれば、やはりおそらくこういう問題が出てくると思うのです。同時に建設省がそこまでがんばるなら、私はこの前の委員会でも申し上げましたように、都市計画法に基づく六条二項の道路としての指定をやって、別に政令を設けてやはりこれに出してやるという根拠がここに出てくるわけですから、その後どうなっておるか聞かして下さい。
  77. 石井健

    ○石井説明員 名古屋市から話のありました地方鉄道法によるか軌道法によるかという問題でありますが、実を申しますとまだ両者で結論は出しておりません。一応の結論は、先ほどお話がありました鉄道監督局長道路局長との覚書交換で出ておるわけでございますが、具体的な問題に関しまして、先ほどお話がありましたように建設省から通達が出、追っかけて運輸省から通達が出たようなわけでございますが、実を申しますとまだ決定しておりません。大体私当事者でありませんので詳しくは存じませんが、関西方面は地下鉄に限らず、私鉄につきましても大体軌道法で出発したのが多いように考えておりますし、関東の方は大体地方鉄道法で出発している。東京大阪地下鉄に関しましては、大阪地下鉄は大きな将来計画において路面に出る部面が多いからということで、軌道法で話し合いができ、東京の方はもっぱらもぐっていくから地方鉄道だということで、当時は出発したらしいのであります。名古屋につきましては、大体名古屋都市乱闘が非常にりっぱな計画でございまして、道路を使わずに地下鉄用地という格好を使っていくので地方鉄道だということで出発したやに今までの経過については承知しております。
  78. 井岡大治

    ○井岡小委員 外へ出るから軌道で、中に入るから地方鉄道だ、私はこの通牒を見ますとそういうようにはならないと思うのです。やはり道路の下もおれのところの領分だ、こういう言い分なんです。それをお前ら勝手に侵すのはけしからぬという言い分だと思うのです。現に名古屋の場合そのためになかなかうまい工合にいかぬで、私も名古屋局長さんに陳情を受けたことがあるのですが、やはりもし建設省が言う通りであるならば、この問題を私、きょう建設省おりませんが、あなたを責めようとは思いませんよ。思いませんけれども、私の言うように、これは部市計画法に基づく鉄道軌道だということになる、交通ということになると思うのです。だから、当然補助金を出さなければいかぬということになる。おれのところの下をお前勝手に掘りやがって何するのだ、こういう言い分ですからね。そこで名古屋局長さんにお聞きするのですが、これは一線ごとにそういう覚書の協議をしなければ線の免許はもらえないのですか。
  79. 石田二郎

    石田参考人 実は今まで地方鉄道の免許をもらっているところを工事しておるわけでありますが、これからするところはまた新しく免許をもらうわけであります。その場合にいずれによるべきかということで、実は私ども迷っておるわけでございます。すみやかに一つ解決してもらいたいというのが私どもの希望なのでございます。
  80. 井岡大治

    ○井岡小委員 もう一度お尋ねしますが、いずれによるべきかということになりますと、やはり一線ごとに免許をもらう、こういうように理解していいわけですね。しかもそのつど話し合いをされておやりになる、そのつど役人から、お前はけしからぬ、いやこれでよろしいという、おしかりを受けたりおほめを受けたりしつつやっていく、こういうように理解していいかどうか、こういうことなんです。
  81. 石田二郎

    石田参考人 今、都市交通審議会で路線の審議をいたしておりますが、大体これがきまりますと、それに準じて一括して、軌道法によるかあるいは地方鉄道法によって免許をもらうかということになるのではないかと私ども考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、どちらによるかについては迷っているわけでございます。
  82. 井岡大治

    ○井岡小委員 迷っている人に聞いたって、やはり迷っておいでになるのでもうやめますが、じゃ運輸省に聞きます。一線ごとに、やはりそういうことになるわけですね。審議会は免許をやるというのではなくて、これだけを通しなさいというなにだけですから、免許は別ですから、一線ごとになにする。そのつど、どっちからどういうように、局長さんの方から申請がどう出てくるか知らないけれども、出てきた場合によっていろいろ相談をする、こういうことですか。わかりました。  そこで最後にお尋ねをしておきますが、今お話になるようなことがあるから、私は前から都市交通の特別立法というものをしないと、実際そういう役人のけんかで工事が始められないというようなことが起こる、こういうことではたしていいのかどうかということを私は非常に不満に思うのです。だから、われわれも小委員会を設けてやっていることですから、すみやかに運輸省としても、今後の地下鉄問題についてもっと真剣にお考えをいただきたい。同時に、やはりそのけんかも今織りまぜて考えなければいけませんので、名古屋の問題の審議会の結論はいつごろ…出るのかどうか、こういう点もわかりましたらお聞かせをいただきた。
  83. 石井健

    ○石井説明員 お話のありました促進できるようにやるということにつきましては、十分やっていきたいと思います。  なお、次に名古屋の結論でございますが、先ほど名古屋交通局長からもお話がありましたように、地下鉄路線網を検討中でございます。これはもう一回か二回で路線網につきましてだけは中間的な結論が出ると思いますが、その後、地下鉄だけでありませんので、バスをどうするか、その他もございますので、それを合わせますと、大体五月かそこらには名古屋の答申が出るのではないか、こういうふうに考えております。
  84. 井岡大治

    ○井岡小委員 なおいろいろお伺いしたいこともございますが、参考人の方についてはこれくらいにして、あとはお役人さんにお伺いすることにいたしたいと思います。
  85. 高橋清一郎

    高橋(清)小委員長代理 ほかに御質疑もないようでございますので、この際、一言参考人方々に御礼を申し上げます。  本日はまことに御多用中のところ御出席下さいまして、いろいろと貴重なる御意見をお述べ下され、また質疑などに対しましても懇切にお答えいただきましたことを厚く御礼申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十二分散会