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1960-02-12 第34回国会 衆議院 運輸委員会都市交通に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十五年二月三日(水曜日)委 員会において設置することに決した。 二月十日  本小委員委員長指名で次の通り選任された。       天野 公義君    生田 宏一君       川野 芳滿君    關谷 勝利君       高橋清一郎君    塚原 俊郎君       井岡 大治君    久保 三郎君       菊川 君子君    土井 直作君 同日  川野芳滿君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和三十五年二月十二日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席小委員    小委員長 川野 芳滿君       天野 公義君    生田 宏一君       關谷 勝利君    井岡 大治君       久保 三郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君  小委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局都         市交通課長)  平出 三郎君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市交通に関する件      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより運輸委員会都市交通に関する小委員会を開会いたします。  この際、大都市及びその周辺都市交通についての現況及び将来の問題等について、政府当局より説明を聴取いたしたいと存じます。山内政府委員
  3. 山内公猷

    山内(公)政府委員 大都市付近交通の問題につきまして御説明をするわけでございますが、お手元に「東京及びその周辺都市交通について」というつづりが配付してありますが、これに基づきまして、基本的な問題につきまして簡単に御説明をいたします。それから具体的な問題につきまして、担当課長から詳しく御説明申し上げたいと思います。初めにこの御配付いたしました資料に基づきまして御説明申し上げます。特に東京付近についてこれは書いてあるわけでございますが、一つモデルとして東京付近を具体的に御説明申し上げた方が御理解に早いと思いますので、これによって説明いたします。  首都周辺輸送需要が年々ふえており、特に自動車の増加によりまして交通が非常な困難に立ち至っておることは御承知通りでございます。運輸省におきましても都市交通審議会におきましてこの問題は、三十一年から取り扱っておるわけでございまして、お手元にも書いておりますように、まず三十一年の八月に大体東京都内における将来の地下鉄建設はどうあるべきかという答申——後ほど御説明申し上げますが、そういう答申が行なわれたわけでございます。しかるにその三十一年以降われわれが想像していたより交通伸びが大きくて、この三十一年八月に答申になった状態では、もうすでにむずかしいのではないかということが、その後の輸送数字によりまして明らかになりつつあります。しかしこの三十一年八月に答申になりました線に沿いまして地下鉄建設は着々と行なわれております。その状況は最近とみに著しいものがあるわけでございますが、この計画もただいま言いましたようにその後の輸送需要伸びというものが異常に大きいということで、さらに第二次の修正をする必要があるのではないかというふうに考えております。また、この第一次の答申の際には、路面電車というものはそのままあるということを仮定いたしまして、路面電車の存在というものを前提とした地下鉄網の将来の構成というものを考えたわけでございますが、最近この路面電車というものをもうできるだけ早く東京の路上からなくなすことが、東京における路面交通の基本的な問題ではないかという意見が、相当強く出ております。これは御承知通りでございます。ただその場合にわれわれ運輸省はどちらかというと消極的ではないかという御批判も受けておるわけでございますが、われわれといたしましてもその必要は十分感じておるわけでございます。ただその路面電車というものを簡単にとるということは輸送上できないわけでございまして、路面電車輸送力というものが非常に大きいので、これをすぐバスに代替をするということは、現在の路面交通をさらに混雑するという結果を招来する、そのためにはどうしても地下鉄をもっとふやさなければ、そういった目的は達成されないというふうな観点に立ちまして、もう一ぺん、三十一年八月の第一次答申というものから状態が変わってきたので、さらにこの地下鉄網というものを策定いたしますとともに、今までのピッチよりも繰り上げてやらなければ、そういった交通需要に応じ切れないという観点に立ちまして、第二次の地下鉄網構成というものの検討を今いたしておるわけでございます。幸い三十五年度国政調査に伴います交通量調査予算も今回の予算で認められておりますので、私どもは三十五年度中に東京、大阪、名古屋という大都市流動調査を綿密に行ないまして、その資料に基づいて今後の地下鉄の新しい路線の追加ということを検討して参りたいと思っております。ただ難点といたしましては、地下鉄構築費というものが非常に高いわけでございまして、現在一キロ当たり約二十億の地下鉄建設費がかかるわけでございます。それで地下鉄キロ当たり二十億ということでは、現在の運賃企業採算ベースが非常にとりにくいという状態にありますので、何らかこの問題について国家的な助成の手を打たない限り、そういう経営面から地下鉄建設が阻害されはしないかということを心配いたしておるわけでございます。それらの問題につきまして、当小委員会におきまして十分御審議を願えればしあわせであろうと思います。  東京の現在までの状態につきまして、個々のこまかい点は、担当課長から一応お手元に配付いたしてあります地図に伴いまして御説明を申し上げたいと思います。
  4. 平出三郎

    平出説明員 引き継ぎまして、お手元にお配りしてございます「東京及びその周辺都市交通について」にいろいろ表が書いてございますので、表に基づきまして簡単に御説明したいと思います。  東京につきましては、三十一年八月十四日に都市交通審議会答申がございました。答申の概要を申し上げますと、第一表というのがございますが、将来の輸送量は第一表のように伸びると想定いたしまして、それで路線網を作ったわけでございます。たとえば東海道で申し上げますと、横浜—品川間は二十九年を一〇〇とすると最大の通過量が五十年には一七九になるだろうというふうな数字でございまして、以下京浜線大井—品川間が一九一くらいの指数を示すであろうというふうに予想しまして、いろいろな路線網を作ったわけでございます。そのように輸送需要伸びるであろうと想定して、根幹となる交通機関輸送力増強対策として、地下高速鉄道網その他につきまして策定したのが第二表以下であります。  第二表で地下高速鉄道整備計画というふうになっておりますが、これはお手元地図をお配りしてございますのでこれをごらんになって下さい。四号線の延伸とございますが、四号線というのは緑色で書いたものでございます。当時池袋からお茶の水まで開通しておったのでございますが、それを延ばしまして、東京通りましてそれから新宿を通って荻窪方南町の方へ参る線を作る、それが一つ。それから二番目に、これも現在ございます銀座線と申しますが、黒い線でございます。浅草からずっと来まして上野、神田、日本橋、銀座を通って虎ノ門、赤坂、渋谷、こういうふうにあったのですが、これを渋谷から三軒茶屋方面への延伸というふうなのが一つのものでございます。それから三番目に馬込武蔵小山、五反田、品川方面から押上方面に至る、これが一号線でございまして、図の赤い線でございます。それから四番目に祐天寺恵比寿方面から北千住方面に至る、これが二号線でございまして、これは祐天寺になっておりますが、いよいよきまりますときに少し変わりまして中目黒恵比寿六本木——こっちの方がちょっとルートが変わりましたが、そして北千住に至る青い線でございます。それから五番目に中野高田馬場方面下板橋巣鴨方面及び江東、東陽方面と都心とを結ぶ、これは五号線で黄色い線でございます。二つありまして、北の方の下板橋から大手町へ行くもの、それから中野の方から両国の方の東陽町の方へ抜ける、こういうふうな線でございます。それから六番目に池袋から向原方面への線、これはもとへ戻りまして緑色の線で、池袋でとまっておりましたのを向原へ延ばす、こういうふうな趣旨で答申をいたしまして、その後都市計画決定首都圏整備委員会決定などございまして、この図が確定いたしました。  それから国有鉄道につきましては、京浜、山手の分離東京—三鷹間の複々線化南武線及び東神奈川—原町田間の複線化横須賀線湘南電車分離、その他、それから武蔵野線及び根岸線の建設というようなものが答申の内容に盛られておったわけでございます。  それから所要資金としましては、第四表でございますが、国有鉄道千二百二十億、地下高速鉄道千五百億というふうに所要資金も確定したものでございます。  以上が三十一年八月の都市交通審議会第一次答申の概略でございますが、この答申がどのように実行されておるかというのが次の第五表以下でございます。  これは少し、くしゃくしゃしておりますが、最初の第四号線をとって申し上げますと、四号線というのは緑色の線でございますが、これは工事が少しずつ分かれておりますのでこまかくなっておりますが、要するに東京—西鉄座間一・一キロの延長は、右の方の欄にございますが、三十二年十二月十五日開通、それから西銀座から霞ケ関が三十三年十月十五日開通霞ケ関から新宿まで三十四年三月十五日開通、これはすでに開通しております。それから池袋—新宿間の残工事、これは駅その他の工事でございますが、これが来年の三月竣工予定、それから環状線の外へ延びていきます分につきましては新宿南中野間、これは三十四年三月に着工いたしまして、三十六年三月に竣工予定、それから次の本町通三丁目から方南町まで、これが三十四年九月に着工、三十六年三月竣工、これは富士見町までで、方南町まで全部開通いたしますのは三十七年三月、さらに荻窪までの延長は三十五年五月に着工いたしまして、三十七年三月に竣工予定、こういうふうになっておりますので、第四号線全部見ますと、三十七年三月にでき上がるというようなことで、今工事中でございます。それから四号線のもう一つの端の池袋から先の向原、これは審議会答申では四十年度以降四十三年度までに作ったらどうかというふうな答申でございましたが、首都圏整備委員会決定によりますと、三十九年度以降というふうになっておりまして、順位が非常におそいことになっておったのですが、最近の情勢にかんがみまして、営団としても多少早く取り上げるような動きになっておりまして、大体三十九年の三月くらいには池袋—向原開通させるように最近計画を変えておるようでございます。それから第二号線関係、青い線でありますが、これは北千住が始発になっておりますが、途中から先に手をつけまして、南千住—三ノ輪を一番先に手をつけまして、南千住—三ノ輪三ノ輪—仲御徒町、つまり南千住—仲御徒町が三十六年二月竣工予定になっております。これで北千住がちょっとあとになりましたのは、国鉄との駅舎の関係か何かで相談がおくれたとかいうような話も聞いております。それで北千住—南千住はちょっとおくれまして、三十七年一月竣工仲御徒町—人形町が三十七年二月竣工人形—虎ノ門及び虎ノ門—中目黒、終点まで、これは三十九年二月竣工、こういうふうな予定になっておりまして、この二号線全体は三十九年三月には開通いたす、オリンピックが開かれます三十九年三月には作り上げてしまう予定になっております。なお、二号線は北千住で東武鉄道、中目黒におきまして東横線と接続いたしまして、相互乗り入れでもって、東武の車を中に入れる、また東横の車を中に入れる、逆に地下鉄の方から東武線東横線の方にお互いに出ていくというふうに、車両の直通をやるというような計画になっております。それから第五号線、これは黄色い線でございますが、これは三十一年八月の審議会答申によりましても三十九年度以降というふうになっておりまして、順位がかなりあとになっておったのですが、これも最近は早目にしなければいけないのではないかというので、三十六年度くらいから手をつけまして——この表には書いてございませんが、三十九年度中には完成したい、そのように最近工事を早めようというふうな動きになっております。それから次の第一号線でありますが、今までのは帝都高速度交通営団、いわゆる地下鉄のやります分でございますが、赤い線につきましては東京都営でやるということになっておりまして、押上から馬込までという線でございまして、押上—浅草橋が三十五年八月竣工、ただいま工事中でございます。それから浅草橋—人形町が三十六年六月竣工人形—大門が三十七年三月竣工大門—泉岳寺が三十七年八月、泉岳寺馬込が三十八年三月、つまり赤い線は三十八年三月までには全部でき上がるというふうな予定でございます。なお、品川から泉岳寺の間が点々になっておりますが、これは京浜急行でこの線を建設するというふうになっておりまして、泉岳寺の地点で京浜急行線お互いに乗り入れる。それから押上におきまして京成電車と乗り入れる。先ほど申し上げましたと同じように、この線も私鉄相互乗り入れで直通する、こういうふうな計画になっております。その泉岳寺—品川間は、次に書いてございますが、これも同じように三十七年八月に竣工する。なお渋谷から三軒茶屋までは、営団線といいますか、答申計画線に入っておったわけですが、これは東京急行が第二玉川線というのを建設することになりまして、これが三十八年度中に竣工する。そうしてこの第二玉川線と黒い三号線とは、これもお互いに乗り入れする、こういうふうな計画になっております。この答申で盛られました東京における地下鉄網計画及びそれの実施または実施予定状況というのは大体今申し上げました通りでございます。  それから次に、第六表になるわけでございますが、国鉄計画に対する実施または実施予定状況、これは必ずしもはかばかしくいっていないのでありますが、京浜線山手線分離、これは二十四年十二月に着工、三十三年七月に完成いたしました。それから東京—三鷹間の複々線化、これは三十三年四月着手、四十年三月完成というふうになっておりますが、着手というのは予算上措置がつき始めたという意味でございまして、まだ工事着手しているという意味ではございません。それから南武線複線化、これは溝ノ口—登戸間につき三十四年八月に着工、これはすでに着工しておりまして、三十五年四月には完成するということになっております。それから横浜線複線化、これはまだ手がつけられておりません。横須賀線湘南線分離、これを三十二年十月から着手——これは着工ではございませんが、着手して、四十二年三月には完成するという予定になっております。あとはその他の路線になるわけでございますが、省略いたします。  次に、この計画路線をどのように実施してきて、どのような実施計画であるかというのを資金面で見たのが第七表でございます。これは営団がどのような資金計画でやってきたか、それから今後どのような資金計画で進むかという表でございます。それを少し詳しくいたしましたものがその次の営団資金支出実績及び計画という表でございまして、三十年度までの累計で八十八億四千四百万円、それから三十一年度で四十四億円、三十二年度で五十億三千五百万円、三十三年度で六十三億千百万円、三十四年度が七十五億七千三百万円というふうに使って参りまして、それぞれその資金をどのように使ったかというのは下の表に出ております。それから三十五年度、つまり来年度でございますが、当初の計画では百七十五億円の計画で、その下欄に書いてあるような工事をする予定であったのですが、これが百二十五億の範囲でやらなければならぬというふうになりましたので、三十六年度以降の計画も多少狂って参ることとなると思います。このしわ寄せが三十六年度以降に寄せられることになりますので、当初の計画予定通り進めるためには、かなり増額していかなければならないのじゃないか。特に、この計画表では五号線なんかは入っておりませんので、三十九年度以降というふうになっておりますので、そこら辺、五号線とかあるいは四号線の池袋—向原間というようなものもオリンピックに間に合わせようとしますとなお数字が大きくなっていく、こういうふうに考えられます。その次の表の、東京新線建設資金調達実績及び計画並びにその支出実績及び計画ということで、三十二年度から始まりまして、十億、二十三億、五十四億というふうになって、三十五年度、来年度は八十五億余の計画でございます。この方はまだはっきり三十五年度の予算に確定しておりませんので、八十五億の線で進むというふうにいっております。それからその次の表は、東京付近における国鉄輸送力増強整備所要資金実績及び計画ですが、国鉄につきましては、資金が一体どうなっているのか、なかなかあっちこっちひっかかるものがありまして、この算定がむずかしいのでございますが、大ざっぱに調べましたところが、三十一年が二十六億、三十二年が三十六億、三十三年が二十億、三十四年が四十四億、三十五年度計画が九十九億。車両が、三十一億、三十二億、十四億、十六億、十四億というふうになっておりまして、三十一年、三十二年の施設の中には京浜山手線分離が含まれておる。三十三年の二十億の中には、中央線十両運転のためのいろいろの駅のホームの延伸などをやりまして、そのための経費が含まれておる。国鉄の方はやはり全国的なあれもございまして、かなり車両をあっちへやったりこっちへやったりということもございますので、なかなか明瞭な数字がつかめませんのですが、大ざっぱに申し上げまして大体このようなことになっております。  それからその次に第八表をごらん願いたいと思うのですが、先ほど局長から、当初の輸送需要推定と実際の伸びとの間にギャップがあるということを申し上げたのですが、それがこの第八表の表になっているのでございます。これはたとえば二十九年を一〇〇とした三十一年度の輸送量実績をここに掲げたわけですが、審議会答申によりますと、大体、東海道大井—品川間は一一八になる予定——予定といいますか、推測をいたしたのです。審議会答申は、二十九年度と、それから次に三十五年度に飛んでおりますので、三十三年度そのものの推定はございませんが、カーブの上で三十三年度の点をとりまして見ますと、大体一一八、これに対しまして実績の方は、定期客は一二二、定期定期外を全部合わせまして一一八、これは大体合っておるような格好になっております。その次に上野—御徒町間が一二二に対して定期客は一二四、全部合わせますと一一六、それから代々木—千駄谷間、これが一二一に対しまして、一三三と一二〇、総武線が一一七の予想に対しまして、一二九と一二六、常磐線が一二五の予想に対しまして、一三二と一二八、こういうような工合になっております。なお、これはラッシュ時間の最大通過人員を見ておりますので、この指数はむしろ定期客指数ごらんになった方が実際に合うんじゃないかという点を考えますと、いずれも実績予想を上回っておるというような数字でございます。これが私鉄の方に参りますと、さらにその傾向がひどくなっておりまして、たとえば京浜線では一一二というふうに予想を立てましたのが一五二、東急が一一七の予想が一四四、以下同様にいたしまして、いずれも審議会答申当時の推定をかなり上回っておるというような実績を示しております  それから、第八表は三十三年度だけの実績でございますが、第九表は将来推定をやり直してみたという表でございます。審議会答申当時の将来推定、五十年までやっておりますが、それと、最近六カ年間の実際の伸びの勢いというものとを比べてみまして、将来推定を改訂してみるとこうなるという表でございまして、将来推定につきましては、最近六カ年門の伸び最小自乗法によって直線的に伸ばした、そういう操作を使ってやりますと、三十五年、四十年、四十五年、五十年の将来推定がこのようになるということでございます。たとえば上から三番目の中央線をとってみますと、代々木—千駄谷間ABとありまして、Aが三十一年八月の審議会答申をした当時推定いたしました指数でございまして、三十五年の推定を一三二、四十年を一四二、四十五年を一四九、五十年を一五四、このような指数を示すであろうというふうに推定しておったのですが、最近の実績によって将来推定をやり直してみますと、三十五年度が一四七——上段定期で、下段が一般の定期定期外を合わせたものでございます——それから四十年では一八五、四十五年では二二四、五十年では二六二というふうになることが予想されますので、いずれも当初の推定値を上回っておる計算でございます。これは私鉄の方になりますとなおひどくなって、一般的にかなり当初の推定を上回った最近の勢いでございます。その両者を比較しましたのがこの第九表でございます。  それで次に第十表で、先ほど局長から、建設費に金がかかるということで地下鉄というものが採算性が薄いということを申し上げたのですが、試みにモデル的な地下鉄というものを想定して試算してみたのが第十表でございます。これは十五キロの地下鉄というものを予想してございます。(1)に建設費資金調達建設費キロ当たり二十億と見まして、十五キロでございますので、建設費に三百億要することになります。それでこの三百億のうち他人資本の比率を九割と見まして他人資本が二百七十億になります。これは今までの営団実績を見ますと大体九割が他人資本になっておりますので、このようにいたしました。キロ当たり建設費二十億と見たのは、これはちょっと前の表になりますが、実績を申しますと、第七表のIIの営団資金支出実績及び計画というところの備考欄に書いてございますが、キロ当たり建設費池袋—御茶ノ水間が七億八千万円、池袋—御茶ノ水間はだいぶ前にやったものでございますので、かなり安くなったのでございますが、その後作りました御茶ノ水—西銀座間、これがキロ当たり二十億七千万円、西銀座—新宿間二十二億五千万円というふうに実績がなっておりまして、なお新宿—荻窪方南町間、これは予想といたしまして二十一億八千万円というふうに予想されております。大体こんなふうなことでございますので、二十億と見ましても過大ではございません。そういうふうに十五キロのモデル地下鉄を想定いたしますと、その開業後の収支状態はどうなるかと申しますと、一人当たり平均運賃がただいまのベースで大体十三円二十八銭となっております。これは運賃べースといたしまして二十円でございますが、定期客なんかがありますので、割引になった乗客がかなりございますので、一人当たり十三円二十八銭というのが平均的な価でございます。これが一日四十万人、注といたしまして銀座線の最近の実績が四十万人となっております。銀座線は十四・七キロでございますので、大体十五キロのモデル地下鉄も四十万人運ぶというふうに考えまして、それを三百六十五ではじいて年間の収入が十九億三千九百万円になるわけでございます。それに運輸雑収入が大体一億五千万から二億ぐらいになるわけでございます。それからこれに対しまして営業費はどのくらいになるかと言いますと、大体実績で申しますと、一人当たり平均営業費が七円四十四銭になっている。これを実績から逆算いたしまして営業費は大体十億八千六百万円ぐらいかかるだろう、こういうことになるわけでございます。そうしますと、それに今度は支払い利子がつくわけでございまして、他人資本が二百七十億円になるのでございますから、利率を七分五厘といたしまして二十億二千五百万円、営業費が十億八千六百万円に対しまして支払い利子が二十億二千五百万円、このように高率になるわけでございます。これを貸借対照表、損益計算表のように表にいたしましたのが右でございまして、収入が十九億三千九百万円、運輸雑収が二億円、合計しまして二十一億三千九百万円が年間の収入、これに対しまして支出は、営業費十億八千万円、支払い利子が二十億二千万円、それから定額法によります償却を行ないますと、これが七億五千万円、合計三十八億六千百万円ということで、純損益を見ますと、十七億二千二百万円の赤が出る、大ざっぱでありますが、試算いたしますとこのようになりまして、一番大きな要素は、やはり支払い利子であります。これは支払い利息と減価償却費を払わなければ、これでも十億円ばかりの黒が出るというふうな計算になろうかと思います。大体東京地下鉄につきましては、ただいま申し上げましたのが概略でございます。  なお第十一表以下の表、これは非常にきたない表で恐縮でございますが、これは路面電車の撤廃にからむ表でありまして、東京都の自動車がものすごくふえてきたということを示す表でございます。この中で特に著しくふえておりますのが、最初の乗用車の欄の自家用車、それの小型三、四輪の自家用車——これは一番上の左から二番目でございますが、これでごらんになるとわかりますように、東京都の登録乗用車数が二十八年、七千七百四十三台、これを比率で一〇〇といたしますと、これが三十三年度末——これは三十四年三月の数字でございますが、五万三千九百四十九というようなふえ方で、比率で申しますと一〇〇に対して約七〇〇、この五年間で七倍になっておるというような数字を示しております。この自家用小型乗用車というのは、ダットサンとかトヨペットとかいうのはみなこれに入るのでございますが、このふえ方が最大でございます。全部トータルいたしましたのが、右の一番すみっこにございますが、二十八年を一〇〇としますと、三十三年度は二一六、五、六年の間に二倍以上にふえておる、こういうことになっておりまして、実数といたしましては二十八年度末の十九万両が、三十三年度末では四十一万九千両、このようなものすごいふえ方を示しております。  それから第十二表は、運転免許所持者の数がどのようにふえてきたかという表でございまして、これも特にふえておりますのが、先ほど申し上げました小型乗用に相当いたします、上段の右にございます小型自動四輪車、これはトラックもありますが、それの免許所持者数というものが、これは最近五年間でございますが、やはり一〇〇から二九六という指数を示して、非常にふえております。ですから単数もふえておる、運転者数もふえておるということでございまして、実数といたしましては二十一万人が免許証を持っておる、こういうことでございます。  次に最後の表は、これは交差点の自動車交通量でありまして、地区ごとの交差点の平均値を示したものでございます。都心部におきましては、一交差点の通過交通量、これは一日でございますが、たとえば二十七年が二万九千五百十九両通過しておりましたのが、三十三年では六万五千八百三十八両通過しておる、こういうようなことで、飽和状態みたいになっている交差点、これは三万両をこえているようなところは相当な交差点でございますが、そういうふうなところがかなり多く出てきているというのを示した表でございます。  以上が東京におきます現状でございます。  それからあと大阪につきましてお配りしてございますので、それもごらんになっていただきたいと思いますが、この大阪につきましては、三十三年三月に答申がありまして、それでこれは答申後間もないことでございますから、当初の推定した輸送需要伸びと現実の伸びと、まだ十分に対比するほどの時間がたっておりませんので、対比してございません。それで大体大阪におきましてはどのような計画を立てたかというのは、このもう一枚の方の大阪の地図ごらん願いたいと思いますが、これをごらんになりますと、地下高速鉄道につきましては、一号線から五号線までこの赤い線で書いてございますような路線網計画を立てたわけでございます。この赤い線のうち、鉄道のレールみたいなふうに、赤いのが中にぽつぽつ入っているのが、これが現在ある高速鉄道でありまして、これにつけ加えるに、赤い線はこういうふうな網を作るのがよいというふうな答申でございます。  それからなおこの緑色の線は、これは国鉄の新線建設をやれという線でございまして、この左側の西九条から今宮まで、西成線と城東線というのがあるわけでございますが、これをつなぎまして循環線にする、ちょうど東京山手線みたいにする格好であります。それから右側にあります片町から天満橋への延長、これは片町線を天満橋まで延長するというふうなことでございます。  それから青い線——今まで申し上げました赤い線は、これはみな大阪市営の線でございますが、青い線は、これは私鉄が新線建設をするという計画の線でありまして、上の方から申し上げますと、天神橋から天満までの延長、これは京阪電鉄の京都線の延長でございます。それから右の方にあります大和田から森ノ宮まで、これも京阪電鉄の延長でございます。それから左の方に千鳥橋というのがございますが、これは阪神の伝法線と称しておりますが、千鳥橋から西九条に至りまして、これは環状線にぶつかり、それから中に入りまして、湊町、難波に至る、これは当然地下へ入っていく線でございます。それからもう一つ近鉄の奈良線といいますか、大阪線といいますか、右側にあります鶴橋—上本町、上本町からやはり難波まで乗り入れる、地下鉄を掘りまして、中に入っていくという形でありまして、この近鉄の線と阪神の線とは難波におきまして一緒になって、ここをお互い相互乗り入れでやろうというふうな計画でございます。  あとそのほかに黄色の線で書いてあるのは、これは検討の余地があるという線でございまして、いついつまでに作るとかそういうふうなことは別に書いてございません。まあこういうふうな状況でございまして、大体それに対してどのような進行状況を示しておるかというのが、このもう一つの紙の第六表に書いてございます。  これを簡単に申し上げますと、第一号というのはこの地図の上の方に垂水というのがございますが、垂水から現在ございます線に沿って来ておるというのがあれでございますが、この終点の右側が本線になっておりまして、西田辺から我孫子までの延長、これが三十五年七月にできあがる。それから北の方、大阪から垂水までの間、これは四十五年三月までにでき上がる、こういうふうなことでございます。それから第二号線、これは京阪の守口というところから出まして、大阪駅のところを通って天満橋、天王寺、阿部野のところへ至る線でございます。これは四十八年三月までに梅田—阿部野間まででき上がり、それから五十一年三月に梅田から北の方、守口の間までできる、こういうふうな予定でございます。それから三号線、これは第一号線から分岐いたしまして、左の下の方、堺の方に参る線でございますが、これが四十九年三月までにでき上がる。これらはそれぞれ途中で工事を区切って、でき上がりましたところから開通していくというふうになっております。それから第四号線、これは大阪港の方に至る線でございます。東西線と申していいかと思うのでございますが、これは最近着工いたしましたものでございます。これはまず大阪港の方から出まして、弁大町まで、これが三十六年三月に開通する予定でございまして、それからずっと、以下工事を区切って参りますが、最後の森ノ宮—放出間、これが四十五年三月までにでき上がる。それから第五号線、これは阪急の神戸線、神崎川から出まして、国鉄の平野というところまでですが、これは大体全部でき上がりますのが五十一年三月です。それから四十二年三月までに野田から今里までができ上がる、そういうふうな予定でございます。以上が非常に簡略化いたしましたが、大阪の地下鉄計画網並びにその実施状況でございます。  それからなお国鉄計画がどのように進んでおるかと申しますと、例の環状線でございますが、西九条は今宮間をつなぎまして環状線を作るというのは三十一年三月に着工いたしまして三十六年三月には竣工する予定でございます。これに伴いまして阪神の伝法線の千鳥橋から西九条までの延長、これも三十八年四月までにでき上がる、こういうふうになっております。  それからその次の第八表の方は、私鉄のいろいろな計画、これがどのようにできるか、これは新線建設もありますし、線路増設というものもございます。いずれも三十七年くらいから四十五年くらいの間にでき上がる予定であります。こういうふうになっております。この中ででき上がっておりますのが京阪神の梅田—十三間の三複線化、これがすでにでき上がっておる、こういうふうなことでございます。  以上非常に端折りましたが、東京、大阪の計画並びに実施状況を申し上げた次第であります。
  5. 川野芳滿

    川野委員長 それではただいまの御説明に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。      ————◇—————
  6. 川野芳滿

    川野委員長 この際お諮りいたします。すなわち、本小委員会において今後調査の必要上都市交通の現状及びその対策等について参考人より意見を聴取することもあろうと存じますが、参考人の決定は運輸委員会において行なうことになりますので、参考人招致の必要を生じたるときの人選及び手続につきましては小委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、さよう決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時二十七分散会